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特表2023-543902回分式活性汚泥反応槽において汚泥を圧密化することにより廃水を処理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】回分式活性汚泥反応槽において汚泥を圧密化することにより廃水を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20230101AFI20231011BHJP
   C02F 3/34 20230101ALI20231011BHJP
【FI】
C02F3/12 S
C02F3/34 101A
C02F3/34 101C
C02F3/12 A
C02F3/12 B
C02F3/12 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520117
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2021077091
(87)【国際公開番号】W WO2022069705
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】2010109
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517366002
【氏名又は名称】スエズ インテルナシオナール
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プチパン・ペラン,フランソワーズ
(72)【発明者】
【氏名】ドーネイ,アレクシス
【テーマコード(参考)】
4D028
4D040
【Fターム(参考)】
4D028AA02
4D028AA08
4D028BB01
4D028BC18
4D028BC19
4D028BD08
4D028BD16
4D028CA15
4D028CB02
4D028CC15
4D028CD00
4D028CE00
4D040BB08
4D040BB32
4D040BB67
4D040BB72
4D040BB91
(57)【要約】
本発明は、炭素汚染物、窒素汚染物、及びリン汚染物を含む廃水(20)を回分式活性汚泥反応槽(SBR)で処理する方法に関し、前記SBRは、
-各種の境界面を有する廃水汚泥混合物を収容できるチャンバと、
-PAOsを含み、チャンバの底部にあり、その上方に汚泥境界面が画定される汚泥床と、
-チャンバ内の汚泥を抽出するための最小境界面と最大境界面を特定する手段と、
-最小抽出境界面と最大抽出境界面との間の各種の境界面で汚泥を抽出することのできる抽出手段と、
を含み、
前記方法は、
-SBRに供給を行うステップ(101)であって、その間に処理すべき量の廃水(20)がチャンバの底部付近の汚泥床に導入されるステップ(101)と、
-反応シーケンス(102)であって、
・少なくとも、PAOsが炭素汚染物を捕捉して、リン化合物を放出する第一の嫌気条件ステップ(103)と、
・任意選択により、無酸素条件下での脱窒の第二のステップ(104)と、
・PAOsによる廃水の脱リンが実行されるようにする第三の曝気ステップ(105)と、
を含む反応シーケンス(102)と、
-汚泥がチャンバの底部に堆積し、チャンバの内容物がその表面付近で清澄化する沈降ステップ(106)と、
-清澄分画がチャンバの内容物から引き出される回収ステップ(107)であって、前記回収ステップ(107)と供給ステップ(101)が同時に行われる回収ステップ(107)と、
-所定の境界面で軽量汚泥の少なくとも一部を抽出するステップ(108)と、
を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素汚染物、窒素汚染物、及びリン汚染物を含む廃水(20)を回分式活性汚泥反応槽(SBR)(10)で処理する方法において、前記SBR(10)は、
-各種の境界面を有する廃水汚泥混合物(12)を収容できるチャンバ(11)であって、各境界面は汚泥濃度及び/又は密度により画定されるチャンバ(11)と、
-PAOs(14)を含み、前記チャンバ(11)の底部にあり、その上方に汚泥境界面(15)が画定される汚泥床(13)と、
-前記チャンバ(11)内の汚泥を抽出するための最小境界面(17)と最大境界面(18)を特定する手段(16)と、
-前記最小抽出境界面(17)と前記最大抽出境界面(18)との間の各種の境界面で汚泥(23)を抽出することのできる抽出手段(19)と、
を含み、
-前記SBR(10)に供給を行うステップ(101)であって、その間に処理すべき量の廃水(20)が前記チャンバ(11)の前記底部付近の前記汚泥床(13)に、好ましくは前記チャンバ(11)の前記底部を覆う分散器網(21)を介して導入されるステップ(101)と、
-反応シーケンス(102)であって、
・少なくとも、前記PAOs(14)が前記炭素汚染物を捕捉して、リン化合物を放出する第一の嫌気条件ステップ(103)と、
・任意選択により、無酸素条件下での(部分及び/又は完全)脱窒の第二のステップ(104)であって、NOx濃度が所定の閾値より高い場合のみ行われる第二のステップ(104)と、
・前記PAOs(14)による前記廃水の脱リンが実行されるようにする第三の曝気ステップ(105)であって、前記曝気は(部分若しくは完全)窒化又は(部分若しくは完全)亜硝酸化の何れかを同時に実行するように制御される第三の曝気ステップ(105)と、
を含む反応シーケンス(102)と、
-汚泥が前記チャンバ(11)の前記底部に堆積し、前記チャンバ(11)の前記内容物がその表面(24)付近で清澄化する沈降ステップ(106)と、
-清澄分画(22)が前記チャンバの前記内容物から引き出される回収ステップ(107)であって、前記回収ステップ(107)と供給ステップ(101)が同時に行われて、前記チャンバ(11)の前記内容物の前記液面は前記回収ステップ(107)及び供給ステップ(101)中に実質的に一定に保たれるステップ(107)と、
-好ましくは前記汚泥ブランケット(15)の付近の、前記最小抽出境界面(17)と前記最大抽出境界面(18)との間の所定の境界面で、汚泥指標が100mL/gより大きく、沈降速度が2m/h未満の前記軽量汚泥(23)の少なくとも一部を抽出するステップ(108)と、
を含む処理方法。
【請求項2】
前記汚泥ブランケット(15)を測定するステップ(109)をさらに含み、前記軽量汚泥の少なくとも一部を抽出する前記ステップ(108)は、前記汚泥ブランケット(15)の前記測定値が前記汚泥抽出境界面からの所定の距離と実質的に等しいときに実行される、請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記軽量汚泥の少なくとも一部を抽出する前記ステップ(108)は前記供給ステップ(101)中及び/又は前記沈降ステップ(106)中に実行される、請求項1又は2の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項4】
前記反応シーケンス(102)中に空気を前記チャンバ(11)内に注入するステップ(110)を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項5】
前記第三の曝気ステップ(105)に、好ましくは前記第三のステップ(105)が完全若しくは部分窒化ステップである場合に実行される無酸素条件下での後脱窒のステップ(111)が続き、又は前記第三の曝気ステップ(105)に、好ましくは前記第三のステップ(105)が完全又は部分亜硝酸化ステップである場合に実行される無酸素条件下での脱硝ステップ(111)が続き、又は前記第三の曝気ステップ(105)に、好ましくは前記第三のステップ(105)が部分亜硝酸化ステップである場合に実行される無酸素条件下での脱アンモニアステップ(111)が続く、請求項1~4の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項6】
前記沈降ステップ(106)に前記チャンバ(11)内に空気を注入するステップ(112)が先行する、請求項1~5の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項7】
前記チャンバ(11)内の圧密化装置(30)を使って汚泥を圧密化するステップ(113)を含む、請求項1~6の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項8】
前記第三の曝気ステップ(105)の持続時間を、前記廃水(20)の炭素、窒素、及びリン汚染物のレベルに応じて制御するステップ(114)をさらに含む、請求項1~7の何れか1項に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市下水及び産業廃水の生物処理の技術分野に属し、より詳しくは、回分式活性汚泥反応槽(SBR:Sequencing Batch Reactor)として知られる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
SBRは、各種の処理ステップを回分式に実行するものであり、特に「活性」汚泥を処理水から分離できる沈降フェーズを実行する。
【0003】
「活性汚泥」法と呼ばれる方法は、その排水処理に生物学的浄化を利用する。これは浮遊培養菌を使用する浄化方式である。その原理は、廃水中に浮遊又は溶解する有機物を細菌により分解することを含む。細菌が粒子に到達できるようにする媒質の均質化と良好な曝気により、高レベルの生物分解が得られる。したがって、沈降フェーズ中に汚泥は反応槽内に堆積する。
【0004】
活性汚泥法は、炭素汚染と窒素汚染を取り除くことのほか、リン汚染に含まれるリンを除去し、回収することを目的としている。したがって、炭素汚染を確実に排除するために、従属栄養細胞に富む細胞培養液が必要となる。しかしながら、細菌の成長には、排水中に含まれるような栄養の存在、特に窒素とリンの供給源が必要となり、その除去も必要となる。
【0005】
窒素処理には一般に、窒化及びその後の脱窒(N/DN)方法が必要である。窒化は、多くの場合にN-NHと呼ばれる独立栄養細菌、アンモニア態窒素、又はアンモニウムを用いる酸化反応であり、
-亜硝酸、N-NOとしても知られる亜硝酸態窒素、
-その後、硝酸、N-NOとしても知られる硝酸態窒素
を使用する。
【0006】
既知の方法で、生物窒化処理は、アンモニウムイオン(NH )を酸化して亜硝酸イオン(NO )に、その後、硝酸イオン(NO )にすることのできる独立栄養微生物を使って好気条件下で行われる。このステップは通常、亜硝酸化及び硝酸化の2つのサブステップで実行される:
NH ⇒NO ⇒NO
【0007】
脱窒は、窒化反応中に産生した硝酸の気体窒素(又は二窒素、Nとも示される)を、脱窒細菌を使って還元することを含む。生物脱窒処理は典型的に無酸素条件下で、第一の処理中に産生した硝酸イオンを亜硝酸イオンに、次に亜硝酸イオンを気体窒素(N)に還元できる従属栄養微生物を使って行われる。
【0008】
より具体的には、窒化は2つのサブステップに分けられ、これはすなわち、酸素の存在中での亜硝酸化の第一のステップと、それに続く、同じく酸素の存在中での硝酸化の第二のステップである。亜硝酸化は、AOB、すなわち“Ammonia Oxidizing Bacteria(アンモニア酸化細菌)”として知られ、その主な属がニトロソモナス(Nitrosomonas)である独立栄養亜硝酸細菌を使ってアンモニウムを酸化して亜硝酸にすることを含む。硝酸化は、NOB、すなわち“Nitrite Oxidizing Bacteria(亜硝酸酸化細菌)”として知られ、その主な属がニトロバクタ(Nitrobacter)である他の独立栄養細菌を使って亜硝酸を酸化して、硝酸にすることを含む。
【0009】
脱窒は、硝酸を亜硝酸に変換する脱硝ステップと、これらの亜硝酸を気体窒素に変換する脱硝ステップの2つのサブステップに分けることもできる。これらの2つのサブステップの各々は、従属栄養細菌を使って行われ、大量の生分解炭素が必要となる。実際、脱窒には、1キログラムのN-NOを二窒素に還元するために5日間生物学的酸素要求量(DBO)の形態の炭素、約2.9キログラムが必要である。
【0010】
窒素の処理に必要なエネルギと炭素の量を削減するために、他の代謝ルートも想定できる:亜硝酸化-脱硝化及び部分亜硝酸化-脱アンモニアである。
【0011】
亜硝酸化-脱硝化法は「亜硝酸シャント」とも呼ばれ、窒素の酸化を亜硝酸段階で停止し、硝酸塩の産生を回避しようとするものであり、したがってこれはサイクルの「硝酸部分」のシャントである。そのため、亜硝酸化-脱硝化を行うために、AOB(Ammonia Oxidizing Bacteria)(アンモニア酸化細菌)に有利になるようにNOB(Nitrite Oxidizing Bacteria)(亜硝酸酸化細菌)を抑制しなければならない。先行技術によれば、この方法では酸素需要量は25%削減でき、脱窒のために1キログラムのN-NOを二窒素に還元するのに必要なDBO5の形態の炭素はわずか1.7キログラムだけでよい。これは、従来の窒化-脱窒方法と比較して、炭素需要量の約40%削減にあたる。
【0012】
既知の方法で、亜硝酸化処理は好気条件下で、アンモニアイオン(NH )を酸化して亜硝酸イオン(NO )にすることのできる独立栄養微生物を使って行われる。脱硝処理は無酸素条件下で、亜硝酸イオン(NO )を還元して二窒素(N)にすることのできる従属栄養微生物を使って行われる。
【0013】
部分脱アンモニア又は亜硝酸化/アナモックス(NP/A)と呼ばれる他の方法は、上述の亜硝酸化反応を利用するが、その後、アナモックス、すなわち“ANaerobic AMMonium Oxidation”と呼ばれる嫌気性独立栄養細菌がかかわり、これはアンモニウムと亜硝酸塩を消費してNを産生し、酸素と生分解可能炭素を必要としない。
【0014】
脱アンモニアの第一のステップは部分亜硝酸化(NP)である。これには、アンモニウムイオンの一部(57%)を酸化して亜硝酸塩にすることが含まれる。第二のステップは、アナモックス嫌気性細菌によって行われる。この反応では、窒素負荷の約11%が硝酸塩に変換され、これによって理論上の最大除去率は89%まで上がる。
【0015】
N/DNのそれと同じ微生物集団、すなわち嫌気性酸化細菌(AOB)が部分亜硝酸化にもかかわる。この場合、(i)N/DN方式ではNHの100%酸化が必要であるのに対して、アンモニウムの一部のみが酸化され、(ii)標的分子がNOであり、NOではないため、酸化レベルが低下する。先行技術によれば、この処理ルートのための酸素節約量は、従来の亜硝酸化及び脱窒処理と比べて約50%である。
【0016】
さらに、AOB及びアナモックス細菌は独立栄養手段であるため、NP/Aプロセス全体を行うために、生分解可能炭素は一切不要である。窒素処理の実行に、外部(すなわち外来性)炭素を追加する必要がない。したがって、この処理では存在する可能性のある炭素を除去できない。
【0017】
既知の方法で、部分亜硝酸化処理は好気条件下で、アンモニウムイオン(NH )を酸化して亜硝酸イオン(NO )にすることのできる独立栄養微生物を使って行われる。嫌気性酸化処理は嫌気条件下で、亜硝酸イオン(NO )(アナモックス細菌)の存在中でアンモニウムイオン(NH )を酸化して二窒素(N)にすることのできる独立栄養微生物を使って行われる。
【0018】
生物脱リン(すなわち、生物学的ルートによるリンの処理)は、嫌気条件下での処理ステップと好気条件下での処理ステップを連続的に実行することによって行われる。実際、ポリリン酸蓄積細菌群(すなわち、PAOs)と呼ばれる特定の細菌は、リンを嫌気条件と好気条件に交互にさらすと、それを過剰蓄積させる特有の特徴を有する。PAOsは、嫌気条件ではリン酸塩を放出し、その後、好気条件下へと移されると、嫌気条件下で放出されたものより多い量のリン酸塩を蓄積させる。
【0019】
その結果、チャンバの嫌気/好気条件を調整することにより、SBRのチャンバ内のリン酸塩の濃度を、リンを多く含むPAOsの介入によって制御できる。
【0020】
使用される処理方式に関係なく、SBR技術は汚泥の沈降性によりその寸法の点で限定されている。実際、それ自体が汚染負荷を処理する能力を表すSBRの活性汚泥濃度を限定する要因の1つは、汚泥の沈降性であり、これは一般にMohlman指標を使って表される。Mohlman指標とは、汚泥の沈降性の指標である。この指標は、30分間で沈降する活性汚泥の、この汚泥の乾燥残留物の質量(又はMESとも示される浮遊物の濃度)に関する量を定義し、この指標が低いほど、汚泥の沈降能力は高い。
【0021】
汚泥の密度が高くなると、沈降フェーズはより高速で進み、処理サイクル全体の持続時間が短縮し、それによって、同日の汚染処理量は、より多くのサイクルを実行することで増大する。
【0022】
一般に、より高密度の汚泥とは、より高い濃度で作業でき、その一方で、良好な沈降性(指標)を実現できることを意味しており、したがって、同じ作業量でより多くの汚染を処理できることを意味する。
【0023】
回分式活性汚泥反応槽(SBR)と呼ばれる第一の反応槽のデザインは2つの異なる容積を用い、これらは反応のため及びデカンテーションのために交互に使用され、水が反応コンパートメントからデカンテーションコンパートメントへと輸送される(Seghers Unitank方式)。しかしながら、この種のSBRは改良され、現在ではほとんどの回分式(SBR)生物反応槽が1つの容積で設計され、その中で処理の様々なステップが連続的に行われる。これらの反応槽は一般に、可変液面反応槽であり、すなわち、原水供給フェーズと処理水回収フェーズが時間的に分離され、それによって、処理水が回収されると反応槽内の液位が下がる。
【0024】
「一定液面」SBRも知られており、これは各処理シーケンスの時間を短縮でき、それと同時に処理の効果は保持される。このような反応槽は例えば、国際公開第2016/020805号パンフレットの文献に記載されている。
【0025】
SBR型反応槽では、最も沈降しやすい汚泥、すなわち最も重い汚泥は一般に、汚泥床の底部分に見られる。しかしながら、各サイクル中、沈降期間終了時に抽出されるのはこの汚泥であり、これは最も軽量で、沈降性の最も低い汚泥を選択する傾向にある。
【0026】
国際公開第2004/024638号パンフレットに記載のSBR方式は、この問題の克服を目指す。これには一定液面SBR方法がかかわり、これは好気性粒状汚泥を実現し、その特有の特徴は沈降が非常に素早いことである(沈降速度は10m/hを超える)。しかしながら、都市排水、すなわち低い濃度の汚染物(炭素、窒素、リン)で細粒を生成するには時間がかかり、流入負荷及び温度変化に応じたその安定性はこれまでに証明されていない。
【0027】
国際出願である国際公開第2019/053114号パンフレットは、国際公開第2004/024638号パンフレットに記載のSBR方式を、SBRチャンバ内の汚泥抽出の最小境界面及び最大境界面を特定する手段の使用が可能なSBRを提案することによってさらに改良することを提案しており、粒状汚泥の選択的抽出は最良の沈降性を示す。
【0028】
したがって、より競争力があり、すなわちより強力であり、非細粒汚泥を含むあらゆる種類の汚泥について動作可能なSBRを使用して活性汚泥を処理する方法が求められている。さらに、本発明の方法は、有利な点として、先行技術の方法のそれと同等又は、さらにはそれより多い量の廃水を処理でき、それでありながら設置面積は限定的で済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】国際公開第2016/020805号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/024638号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2019/053114号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明は、前述の問題の全部又は幾つかを、「汚泥圧密化」法と呼ばれる方法を提案することによって克服することを目指しており、それによって汚泥の性質(それが粒状か否か)に関係なく、有利な点として、非粒状汚泥でも高い沈降速度を実現できる。汚泥は、一定液面SBRの中で、沈降しやすい微生物の生成を最適化することによって圧密化され、これは以下の幾つかの要因の組合せによる:
-汚泥床を通じた供給、
-良好な沈降性を示す特定の微生物集団、特にPAOs(リン酸塩蓄積細菌群)の生成を可能にする、廃水処理において実行されるシーケンスの順序、及び
-最善の沈降性を有する汚泥を反応槽に残すことのできる、各サイクルで最も沈降性の低い汚泥を抽出することによる汚泥抽出戦略。
【課題を解決するための手段】
【0031】
このために、本発明の目標は、炭素汚染物、窒素汚染物、及びリン汚染物を含む廃水を回分式活性汚泥反応槽(SBR)で処理する方法であり、前記SBRは、
-各種の境界面を有する廃水汚泥混合物を収容できるチャンバであって、各境界面は汚泥濃度及び/又は密度により画定されるチャンバと、
-PAOsを含み、チャンバの底部にあり、その上方に汚泥境界面が画定される汚泥床と、
-チャンバ内の汚泥を抽出するための最小境界面と最大境界面を特定する手段と、
-最小抽出境界面と最大抽出境界面との間の各種の境界面で汚泥を抽出することのできる抽出手段と、
を含み、
前記方法は、
-SBRに供給を行うステップであって、その間に処理されるべき量の廃水がチャンバの底部付近の汚泥床に、好ましくはチャンバの底部を覆う分散器網を介して導入されるステップと、
-反応シーケンスであって、
・少なくとも、PAOsが炭素汚染物を捕捉して、リン化合物を放出する第一の嫌気条件ステップと、
・任意選択により、無酸素条件下での(部分及び/又は完全)脱窒の第二のステップであって、NOx濃度が所定の閾値より高い場合のみ行われる第二のステップと、
・PAOsによる廃水の脱リンが実行されるようにする第三の曝気ステップであって、曝気は(部分若しくは完全)窒化又は(部分若しくは完全)亜硝酸化の何れかをそれと同時に実行するように制御される第三の曝気ステップと、
を含む反応シーケンスと、
-汚泥がチャンバの底部に堆積し、チャンバの内容物がその表面付近で清澄化する沈降ステップと、
-清澄液がチャンバの内容物から引き出される回収ステップであって、前記回収及び供給ステップが同時に行われて、チャンバの内容物の液面が回収及び供給ステップ中に実質的に一定に保たれる回収ステップと、
【0032】
好ましくは汚泥ブランケットの付近の、最小抽出境界面と最大抽出境界面との間の所定の境界面で軽量汚泥の少なくとも一部を抽出するステップと、を含む。1つの特定の実施形態によれば、本発明の方法は上述のステップ及び、該当する場合は後述の1つ又は複数の任意選択的ステップで構成される。
【0033】
有利には、本発明による処理方法は、汚泥ブランケットを測定するステップをさらに含み、軽量汚泥の少なくとも一部を抽出するステップは、汚泥ブランケットの測定値が汚泥抽出境界面からの所定の距離と実質的に等しいときに実行される。
【0034】
有利には、軽量汚泥の少なくとも一部を抽出するステップは、供給ステップ中及び/又は沈降ステップ中に実行される。
【0035】
有利には、本発明による処理方法は、反応シーケンス中に空気をチャンバ内に注入するステップを含む。
【0036】
有利には、第三の曝気ステップに、好ましくは第三のステップが完全若しくは部分窒化ステップである場合に実行される無酸素条件下での後脱窒ステップが続き、又は第三の曝気ステップに、好ましくは第三のステップが完全又は部分亜硝酸化ステップである場合に実行される無酸素条件下での脱硝ステップが続き、又は第三の曝気ステップに、好ましくは第三のステップが部分亜硝酸化ステップである場合に実行される無酸素条件下での脱アンモニアステップが続く。
【0037】
有利には、沈降ステップに空気をチャンバ内に注入するステップが先行する。
【0038】
有利には、本発明による処理方法は、チャンバ内の圧密化装置を使って汚泥を圧密化するステップを含む。
【0039】
有利には、本発明による処理方法は、第三の曝気ステップの持続時間を、廃水の汚染物(特に炭素、窒素、及びリン汚染物)境界面に応じて制御するステップを含む。
【0040】
「粒状汚泥」は、10m/hより速い沈降速度と35mL/gより低い汚泥指標(「汚泥容量指標」であり、2006年7月の規格NF EN14702-1にしたがって測定)により特徴付けられる(特に国際公開第2004/024638号パンフレット第3頁に記載)。これら2つの条件を同時に満たさない汚泥は、粒状汚泥とはみなされない。例えば、非粒状汚泥は、沈降速度が10m/h以下である汚泥である。その結果、粒状汚泥の場合、5分での汚泥指標は30分での汚泥指標と等しい。
【0041】
「圧密化汚泥」は、重量汚泥とも呼ばれ、35~100mL/g、好ましくは40~80mL/g、より好ましくは40~70mL/gの範囲の汚泥指標と2.0~9.0m/hの範囲の沈降速度により特徴付けられる。これは、粒径が100μm(1,000μmまで、好ましくは200μm~500μm)の粒子の10%~50%(好ましくは20%~40%)の質量比と粒径が100μm未満(有利な態様では200μm未満)の生物フロックの高い質量比(50%~90%)によっても特徴付けられる。この圧密化汚泥はまた、8kgMES.m-2.h-1より高いか、それと等しい、好ましくは8.5kgMES.m-2.h-1より高いか、それと等しい限界質量流量基準によっても特徴付けることができる。これは固体、液体、及び微生物の混合物であり、前記微生物はリンを多く含むポリリン酸蓄積細菌群を含む。この重量汚泥は非常に良好なデカンタビリティを示す。
【0042】
「軽量汚泥」は、100mL/gを超える汚泥指標と2m/h未満の沈降速度により特徴付けられる。これはまた、粒径0.2mm未満の生物フロックの15~50%の範囲の質量比によっても特徴付けられる。この軽量汚泥は、8kgMES.m-2.h-1未満の限界質量流量基準によっても特徴付けることができる。これは、固体、液体、及び微生物の混合物である。この汚泥はPAOsをほとんど、又は全く含まない。この軽量汚泥は沈降しにくい。
【0043】
「沈降速度」とは、メートル/時(m/h)で表される。それはキンチ曲線から特定でき、これは重力で1Lの試験片中のサンプルのデカンテーションを観察することにより得られる。留意すべき点として、2006年7月NF EN14702-1の規格により、キンチ曲線の30分での数値からMolhman指標(SVI、“Sludge Volume Index(汚泥容量指標)”)又は汚泥指標(原汚泥希釈、DSVI(希釈SVI))が得られる。試験規模又は産業用反応槽で、沈降速度は非曝気シーケンス中、沈降ブランケットの高さの経時変化から推測できる。汚泥ブランケットの高さは、例えば超音波プローブを使って継続的に測定できる。或いは、それは断続的とすることもでき、すると、所定の間隔で反応槽の高さにわたる様々な境界面でマニュアルでのサンプル採取が可能となる。
【0044】
「限界質量流量」はkg.m-2-1で表される。これは、単位面積及び時間あたりに沈降可能な浮遊固形物質(MES)の量を特徴付け、ある濃度で汚泥が有し得る液滴速度を測定する。この限界質量流量はキンチ曲線から、原汚泥を連続して複数回希釈又は濃縮することによって特定される。
【0045】
「生物フロックの比」は、あるサイズに関連付けられる汚泥重量%として表現され、例えば0.2mm未満のパーセンテージである。この値は、様々なメッシュサイズ(例えば、200μm/400μm/500μm/800μm/1mm/1.25mm)のふるいで汚泥サンプルをスクリーニングすることによって取得できる。すると、得られたろ液のMES(浮遊物質)の濃度が測定され、それが原汚泥のMES濃度(%)に加えられる。
【0046】
「生物フロックのサイズ」は粒径、特に粒子の最大粒径に対応する。これは、顕微鏡写真に基づく統計学的解析を利用して特定できる。
【0047】
有利には、本発明の方法は回分式活性汚泥反応槽内で軽量汚泥を再循環させるステップを含まない。
【0048】
例として提供される実施形態の詳細な説明を読めば本発明はよりよく理解され、別の利点が明らかになるが、この説明は下記のような添付の図面により図解されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の処理方法を実行するのに適した回分式活性汚泥反応槽の例を概略的に示す。
図2】本発明による廃水処理方法のステップのフローチャートを示す。
図3】本発明による廃水処理方法のステップを概略的に示す。
図4】本発明の方法により実装される回分式活性汚泥反応槽を概略的に示す。
図5】本発明による処理方法中に実行される測定を用いた反応シーケンスに応じた細菌群の選択を示す。
図6】供給及び回収ステップ中のSBRのチャンバと回収手段を概略的に示す。
図7】沈降ステップ中のSBRのチャンバと回収手段を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
これらの図面中、明瞭にするために縮尺は正確ではない。さらに、異なる図面で同じ要素には同じ参照番号が使用されている。
【0051】
図1は、本発明の処理方法を実行するのに適した回分式活性汚泥反応槽の例を概略的に示す。本発明の方法は、炭素汚染物、窒素汚染物、及びリン汚染物を含む廃水20を回分式活性汚泥反応槽(SBR)10内で処理することを目的としている。SBR10は、様々な境界面を含む廃水汚泥混合物12を収容できるチャンバ11を含み、各境界面は汚泥の濃度及び/又は密度により画定される。チャンバ11内の各高さは、内容物12の汚泥濃度及び/又は密度に対応する。例えば、幾つかの境界面を画定でき、これらはN1、N2、N3、N4、N5、N6で示されている。境界面の各々は、他の境界面とは異なる汚泥濃度及び/又は密度を有し得るか、又は幾つかの境界面が同じ汚泥濃度及び/又は密度を有することもできる。最後に、処理方法のあるフェーズ中、後でさらに詳しく説明するように、アセンブリ内の全ての境界面は同じ汚泥濃度及び/又は密度を有する。チャンバ11には、処理されるべき廃液20が、有利には、好ましくはチャンバの底部を覆う分散器網21を介して、また、空気8が、好ましくはチャンバの底部を覆う分散器網27を介して供給される。
【0052】
SBR10は、概略的に示される汚泥床13を含み、これはPAOs14を含み、チャンバ11の底部にあり、その上方に汚泥ブランケット境界面15が画定される。SBR10は、チャンバ11内の汚泥を抽出するための最小境界面17と最大境界面18を特定する手段16を含む。図1において、これらの境界面は概略的に示されている。その特定については後述する。
【0053】
廃水を処理する際、チャンバ11には廃水汚泥混合物12が収容されている。汚泥が沈降すると、処理水は反応槽のチャンバの上部分にある。この水はチャンバ11の表面24の高さの下にある開口を通じて、サンプリングシステム200を使って引き出すことができ、これは清澄部分を取り出すことができ、浸漬させた管を含むか、又はそれから構成され、それを通じて水を引き出し、チャンバの外に出すことができる(矢印A)。回収手段の他の代替的な実施形態は後述する。
【0054】
最も重い及び/又は最も密度の高い汚泥粒子はチャンバ11の底部に見られ、これらはチャンバの底壁から引き出すことができる。混合物の残りの部分はこれら2つの間にあり、混合物の残りの部分は階層の形態であり、すなわち複数の境界面N、N、N、N、N、N、...を有し、各境界面は混合物12内の汚泥濃度及び/又は密度により画定される。
【0055】
汚泥ブランケット15は、そこから汚泥が存在する境界面である。これは、チャンバの内容物の表面24とアセンブリの汚泥の存在部分との間の高さにより画定される。汚泥ブランケット15の境界面は特定手段16によって、好ましくは継続的に特定できる。代替的に、これはセッキ板を使って手作業で測定することもできる。汚泥ブランケットは継続的に測定できる。しかしながら、均質化フェーズ中は、チャンバの内容物が混合され、存在する汚泥がまだ沈降していないため、測定しても意味がない。
【0056】
本発明による反応槽10によれば、最も沈降しにくい、混合物12の中に見られる汚泥を選択的に抽出できる。
【0057】
SBR10は抽出手段19を含み(理解しやすくするために概略的に示されている)、これは最小抽出境界面17と最大抽出境界面18との間の様々な境界面において汚泥23を抽出できる(矢印B)。例えば、非限定的に、抽出手段19は抽出器191を含むことができ、これは少なくとも、チャンバ11内の少なくとも1つの開口191aを有する1つの第一の部分と、汚泥を前記チャンバの外部に引き出すことのできる1つの第二の部分191bを含む。抽出手段19は、前記抽出器191の開口191aの位置、特に最小抽出境界面17と最大抽出境界面18との間の前記開口の高さを変えることのできる変更手段192を含むことができる。抽出器191は、有利には、汚泥を抽出するための(吸引)ポンプ又は重力弁(図示せず)を含む。有利には、抽出器191はチャンバ11内の様々な高さに配置される管群を含むことができ、各管はチャンバ11内に開口を有する第一の端と、抽出器191の第二の部分191bに接続された第二の端を有し、変更手段192は前記管を開閉できる弁群を含む。抽出手段はそれゆえ、汚泥を1つ又は複数の可変的境界面で抽出できる。図をより見やすくするために、抽出手段19はSBRの左側に示されているが、汚泥を引き出すための第二の部分191bは抽出された汚泥23につながっている。
【0058】
チャンバ11内の汚泥23を抽出するための最小境界面17と最大境界面18を特定するための手段16は、廃水汚泥混合物の様々な境界面での濃度を測定できる測定手段161を含むことができる。例えば、汚泥ブランケットプローブにより、汚泥床の表面を測定できる。MES(浮遊物質)プローブにより、汚泥の濃度を測定できる。幾つかのプローブをチャンバの高さにわたって配置して、様々な境界面での浮遊物質の濃度を測定することができる。これらの測定結果を使って、境界面17、18が特定される。手段16は、最大汚泥濃度値と最小汚泥濃度値を選択できる選択手段162を含むことができる。選択は、オペレータにより、又は汚泥年齢に関連付けられる計算に基づいて行うことができる。手段16は、選択された最大濃度値に対応する最小抽出境界面と選択された最小濃度値に対応する最大抽出境界面を推定できる推定手段163を含むことができる。
【0059】
測定手段161は、例えば1つ又は複数の測定プローブ、特に濃度プローブを含むことができる。前記測定プローブにより、混合物中の汚泥の濃度を測定できる。測定プローブ161は、図のように混合物中に浸漬される。これは、選択されたプローブの種類に応じて、固定又は可変浸漬深度とすることができる。代替的に、前述のように、チャンバの高さにわたり複数の測定プローブがあってもよい。測定プローブ161は、選択手段162に接続され、それによって測定結果が抽出されるべき汚泥に対応するか否かをチェックすることを可能にし、及び測定値を対応する境界面に結び付けることを可能にする推定手段163に接続される。これらの特定手段16は汚泥抽出手段19に、より具体的には抽出境界面を変化させるための手段192に、主として抽出境界面を選択するために接続される。変更手段192は抽出器191の開口191aの高さを変化させるか、又は選択的に、一定の抽出境界面で、且つ内容物の変化に応じて可変的な時間に、例えば沈降、待機、供給/回収ステップ中、嫌気条件ステップ中、汚泥ブランケットの測定結果に応じて、又はさらには曝気ステップ中に非選択的にも抽出することもできる。
【0060】
例えば、非限定的に、特定手段16の測定手段161は、廃水汚泥混合物の表面より下に浸漬される超音波センサを含む。超音波センサは、超音波が前記混合物に送信されるようにすることができ(すると、これは送信器として動作する)、その後、廃水汚泥混合物内をある距離にわたり移動した後の超音波が再び受信されるようにすることができる(すると、これは受信器として動作する)。センサは、選択手段162及び推定手段163に接続される。
【0061】
図2は、本発明による廃水を処理する方法のステップのフローチャートを示す。本発明による処理方法は:
-SBR10に供給を行うステップ101であって、その間に処理されるべき量の廃水20がチャンバ11の底部分付近の汚泥床13に、好ましくはチャンバ11の底部を覆う分散器網21を介して導入されて、処理されるべき廃水が汚泥床の汚泥と混合されるステップ101と、
-反応シーケンス102であって、
・少なくとも、PAOs14が炭素汚染物を捕捉してリン化合物を放出する第一の嫌気条件ステップ103と、
・任意選択により、有利にはNOxの濃度が所定の閾値より高い場合に実行される、無酸素条件下での(予備)脱窒の第二のステップ104と、
・PAOs14による廃水の脱リンが実行されるようにし、曝気は、(部分若しくは完全)窒化又は(部分又は完全)亜硝酸化の何れかをそれと同時に実行するように制御される第三の曝気ステップ105と、
を含む反応シーケンス102と、
-沈降ステップ106であって、その間に汚泥がチャンバ11の底部に堆積し、チャンバ11の内容物はその表面24の付近で清澄化するステップ106と、
-清澄液22がチャンバの内容物から引き出される回収ステップ107と、を含み、前記回収ステップ107と供給ステップ101は同時に行われて、回収ステップ107と供給ステップ101中にチャンバ11の内容物の液面が実質的に一定に保たれ、また、
-好ましくは汚泥ブランケット15の付近の、最小抽出境界面17と最大抽出境界面18との間の所定の境界面で軽量汚泥23の少なくとも一部を抽出するステップ108
を含む。
【0062】
典型的に、供給ステップ101は嫌気条件下で、さらには無酸素条件下で行われる。この後者の場合、無酸素条件下でのステップ101により脱窒又は脱硝が可能となる。嫌気条件ステップ103は嫌気条件下で行われ、曝気ステップ105は好気条件下で行われる。好ましくは、沈降ステップ106は、少なくとも部分的に無酸素条件下で行われる。
【0063】
第二のステップ104は、チャンバ内のNOx濃度を測定するステップ117に関連付けることができる。
【0064】
本発明による処理方法はまた、任意選択により、第4の無酸素脱窒又は脱硝又は脱アンモニアステップ111を含むことができる。より具体的には、基本的に3つの代替的な実施形態が想定され、すなわち、第一の代替的実施形態によれば、この第三のステップ105は完全又は部分窒化を含み、無酸素ステップ111は脱窒を含み(後脱窒方式)、第二の代替的実施形態によれば、第三のステップ105は完全又は部分亜硝酸化を含み、無酸素ステップ111は脱硝を含み(後脱硝方式)、最後に、第三の代替的実施形態によれば、第三のステップ105は部分亜硝酸化を含み、無酸素ステップ111は脱アンモニアを含む(「アナモックス」と呼ばれる方式)。第4のステップ111は、チャンバ内のNOx濃度を測定するステップ117bisに関連付けることができる。
【0065】
汚泥床を通じて供給するステップ101により、汚泥を処理対象の原水と接触させることができる。処理対象の廃水20の量は、PAOsが存在する汚泥床を通じて導入される。このように、導入量のうちの粒子及び可溶性分画に細菌が到達できることになる。嫌気条件ステップ103により、PAOsは炭素汚染物を捕捉し、リン酸塩化合物を放出する。曝気ステップ105では、PAOsによりチャンバ内容物の脱リンが可能となる。反応シーケンス102は、良好な沈降性を示すPAOsの展開に寄与する。沈降ステップ106中、汚泥は重力によってチャンバ底部に堆積する。重量汚泥とPAOsは軽量汚泥より素早く堆積する。これらは、汚泥床に追加される。軽量汚泥はそれほど沈降性が高くない。それはチャンバ内容物中の汚泥床の上方に、より長時間にわたり浮遊したままである。
【0066】
軽量汚泥の少なくとも一部を抽出するステップ108により、最も沈降性の低い汚泥を定期的に、又は少なくとも所定のタイミングで、例えば各サイクル中に抽出できる。しかしながら、抽出は、動作の制約に応じて、必ずしも各サイクル中に行われるとはかぎらない。例えば、抽出は週末には行われないかもしれない。その結果、良好な沈降性を示す汚泥のみがSBRのチャンバ内にとどまる。導入された廃水中に存在する汚染物を処理することに加えて、より高密度の汚泥を生成するPAOsの動作と軽量汚泥抽出の動作との組合せにより、チャンバ内に存在する汚泥が圧密化される。その結果、本発明の方法は、汚泥圧密化方式と呼ばれ、SBRのチャンバ内に存在する汚泥の性質に関係なく、高い汚泥沈降速度を得ることができる。
【0067】
反応シーケンス102中、前記シーケンスが第二のステップ104を含む場合、空気をチャンバ11内に注入するステップ110を有することができる。ステップ104の前に空気をチャンバ内に注入することにより、バイオマスを浮遊させることができ、これは酸化された窒素富化上澄み(硝酸NOと亜硝酸NO)とよりよく混合され、それによって供給ステップ104の脱窒の効率と、また第一の嫌気条件ステップ103の効率も改善される。留意すべき点として、このステップ110は、NOx濃度測定結果に応じて、任意選択的な第二のステップ104が実行された場合に任意選択的である。
【0068】
沈降ステップ106の前に、空気をチャンバ11内に注入するステップ112を先行させることができる。沈降ステップの前に空気をチャンバ内に注入することにより、チャンバ内の内容物を均質化でき、汚泥を酸化した窒素種に接触させることができる。さらに、空気の注入により、反応槽の内容物中に存在する二窒素の脱気も可能となる。
【0069】
さらに、本発明による処理方法は、チャンバ11の内部又は外部、好ましくは内部の圧密化装置30を使って汚泥を圧密化するステップ113を含むことができる。圧密化装置30は、汚泥抽出手段の下流又は上流にある適当な大きさのふるいとすることができ、これは最大のフロックを保持し、それゆえ最も沈降しやすい粒子の選択、すなわちチャンバ内でのその保持を改善するためのである。代替的に、又はそれに加えて、汚泥を圧密化するステップは、バラスト(ゼオライト等)を添加することを含むことができる。
【0070】
有利な点として、本発明による処理方法は、廃水20の汚染レベルに応じて、特にチャンバの内容物のNH及び/又はNO 及び/又はNO の濃度に応じて第三の曝気ステップ105の持続時間を制御するステップ114を含む。より具体的には、チャンバの内容物が少なくとも1回曝気された後すぐに、原水の汚染物が間接的に測定される。
【0071】
図3は、本発明による廃水処理方法のステップを概略的に示す。SBRに処理対象の廃水を供給するステップ101及びチャンバの内容物の清澄分画を回収するステップ107中に、チャンバには廃水20が満たされ、混合物12を形成し、汚染物に生物処理が行われる。このフェーズ中、廃水がチャンバ内に導入される。チャンバ内の液面は、例えば処理水弁(清澄分画)を開放することによって一定に保たれる。換言すれば、処理水は、原水(廃水)が供給されるのと同時に回収される。処理水の流量は常に供給流量と同じである。
【0072】
この段階で、脱窒(汚泥床の底部の無酸素条件下での外生脱窒と、チャンバの上部での無酸素条件下での内生脱窒)と生物脱リンプロセスが始まる。廃水の生物処理は主として、反応シーケンス102中に行われる:
-曝気ステップ105中に炭素が取り除かれ、アンモニア性窒素が窒化され、
-嫌気条件ステップ103中にリンが放出され、曝気ステップ105中に再吸収され、
-特定の無酸素期間中に脱窒が行われる。沈殿及び供給時間が不十分である場合、予備脱窒期間(無酸素条件下での外生脱窒)及び/又は後脱窒期間(外生脱窒)がある。
【0073】
次に、沈降ステップ106が行われる。このステップ中では、処理水が汚泥から静的沈殿のみで分離される。液体に汚泥層と接触して内生脱窒が行われる際、幾つかの生物活動が行われる。このステップ中、チャンバに供給するステップ101とチャンバから回収するステップ107は実行できない。チャンバの内容物は静置されて、汚泥が沈降させられる。沈降ステップ106の終了時に、良好な沈降性を示す汚泥(重量汚泥)はチャンバの底部に見られ、沈降性の低い汚泥(軽量汚泥)はチャンバの内容物中に、チャンバの底部と汚泥ブランケットとの間で浮遊する。清澄分画はチャンバの上部分のその表面24の付近にある。沈降ステップ106の終了時に、過剰な生物汚泥を抽出して、温度測定ステップ118中に測定可能な温度に応じて窒化及び/又は亜硝酸化に必要な汚泥の年齢を保持することができる。代替的に、過剰な生物汚泥は、沈降ステップ106中、及び/又は供給ステップ101と回収ステップ107中、及び/又は嫌気条件ステップ103及び/又は待機ステップ116中に選択的に抽出できる。汚泥は、曝気ステップ105中に非選択的に抽出することもできる。
【0074】
軽量汚泥23の少なくとも一部を抽出するステップ108は、最小抽出境界面17と最大抽出境界面18との間の所定の境界面で、好ましくは汚泥ブランケット15の付近で実行される。実際、軽量汚泥は汚泥ブランケットの境界面にある。軽量汚泥の抽出のための所定の境界面は、必ずしも時間がたっても一定の境界面であるとはかぎらない。この境界面は、生物処理に、及びSBRのチャンバ内に導入される廃水の流量に応じて変化し得る。抽出手段19は、何れの境界面での抽出も可能である。軽量汚泥はこのように、処理方法のサイクル中、様々な境界面で抽出できる。実践的な観点から、例えば3つ等、幾つかの固定抽出境界面を画定できる。さらに、チャンバ内の廃水汚泥混合物の様々な境界面における汚泥濃度及び/又は密度の測定結果に応じて、及び/又は汚泥ブランケットの測定結果に応じて、3つの境界面のうちのどの境界面を抽出に使用するかを選択することが可能である。このために、本発明による方法は、汚泥ブランケット15を測定するステップ109を含むことができ、軽量汚泥の少なくとも一部を抽出するステップ108は、汚泥ブランケット15の測定結果が汚泥の抽出境界面からの所定の距離と実質的に等しいときに行われる。
【0075】
汚泥床の境界面は時間と共に変化するため、汚泥抽出境界面は、有利な点として、チャンバの高さの中の、重量汚泥の場合は底と高さの中間との間に、軽量汚泥の場合はチャンバの高さ全体の中の2つの境界面間に設定される。例えば、抽出境界面は、過剰な古い汚泥(鉱物化されている)を除去するために、チャンバの底から50cm上に位置付けることができ、他の抽出点をチャンバの高さにわたり位置付けることができる。図3では、太く示される矢印は開放入口/出口を示し、これは方法のフェーズに応じて対応する流れを流すことができる。
【0076】
図4は、本発明により実装される回分式活性汚泥反応槽10を概略的に示す。前述の様々なフェーズは同じチャンバ内で行われ、時間により分離される。その結果、チャンバに廃水を供給するステップ101は間欠的に管理される。しかしながら、廃水の継続的な処理を確実に行うためには、複数のチャンバを同時に稼働させて、交互に供給が行われる。本発明の原理は複数のチャンバにも同様に当てはまる。
【0077】
供給ステップ101中、原水はチャンバの底部で、例えば多孔管網21を通じて分散される。沈降ステップ106の後に、供給ステップ101と同時に、上澄みの清澄液がチャンバの上部分から、例えば多孔回収管の網状構造を使って引き出される。清澄分画を回収するための特に有利な手段を後述する。
【0078】
軽量汚泥は、沈降ステップ106中、及び/又は供給ステップ101と回収ステップ107中、及び/又は第一の嫌気条件ステップ103中に、ちょうど汚泥ブランケットの境界面で選択的に抽出でき、それによって最も軽量の汚泥の粒子が取り除かれる。
【0079】
非選択的な汚泥抽出はまた(特に重量だけでなく軽量汚泥も)、曝気ステップ105中、及び/又はステップ110中、及び/又はステップ112中の内容物12が均質であるときに想定できる。
【0080】
図5A、5B、5C、5Dは、本発明による処理方法中に行われる、測定結果を用いた反応シーケンスに応じた細菌群の選択を示す。
【0081】
汚泥床を通じた原水(生分解が容易な炭素)の供給に続く厳格な嫌気性シーケンスとその後の好気性シーケンスにより、細胞内ポリリン酸の細粒の形態でリン酸塩を蓄積できる脱リン細菌(PAOs)が選択される。
【0082】
図5Aは、P-PO4の放出(嫌気性)とその後の曝気期間中(好気性)の再吸収を示す。40で示される曲線は、反応槽が嫌気条件下に置かれるとすぐにP-PO4を有意に放出する生物脱リンの動作を明瞭に示す。曲線の上昇が見られ、その後、曝気が行われるとすぐに下降し、この下降は放出されたP-PO4の、及び原水により提供されるそれの再吸収に対応する。これは、リンの生物過剰蓄積に対応する。
【0083】
図5Bは窒化(NH4曲線の下降とNOx曲線の上昇)と、内生脱窒(NOx曲線の下降の第一の部分)と外生脱窒(供給後のNOx曲線の下降の第二の部分)を示す。曲線は明らかに、内生脱窒に関する脱窒反応を増強させるための外生脱窒の利点を、生分解が容易な炭素富化供給の後のはるかに急峻な勾配、及びしたがってより高いキネティクスで示している。この細菌群のほか、PAOsは、エキソポリマを生成し、これは自然にフロックを圧密化しがちである。これらの高密度のフロックは粒状汚泥ではなく、この汚泥の沈降速度は2~10m/h、好ましくは3~6m/hであり、そのMohlman指標(すなわち汚泥指標)は約65mL/gである。粒状汚泥は、常に200マイクロメートルより大きい粒子(又は細粒)を有し、他方でこの場合、圧密化された汚泥は200マイクロメートルより小さい粒子をある割合で含み得る。
【0084】
汚泥中の高密度フロックの割合をさらに増やすために、本発明による処理方法は、最も軽量の汚泥を排除できるような汚泥抽出方式を適用する。その結果、沈降速度がより速くなり、これは、良好な沈降性を有する汚泥だけがチャンバ内に残るからである。
【0085】
本発明による方法はまた、供給、沈降、又は曝気ステップに関係付けられた待機フェーズ116を含むこともできる。
【0086】
特に沈降ステップ106の終了時、及び/又は待機ステップ116中、及び/又は供給ステップ101中、及び/又は回収ステップ107中、及び/又は第一の嫌気条件ステップ103中(最も重い汚泥は沈降開始から底部へと落下している)に軽量汚泥が汚泥床の最上部見られることを考えると、汚泥は、沈降ステップ106の終了時、及び/又は待機ステップ116中、及び/又は供給ステップ101中、及び/又は回収ステップ107中、及び/又は第一の嫌気条件ステップ103中に汚泥ブランケットの境界面で(又はそれより若干下で)抽出される。
【0087】
軽量汚泥はまた、沈降の開始から、ただし反応槽内のより高い境界面において抽出することもできる。また、この抽出が曝気終了時にチャンバの何れの境界面でも行うことができ、これは、内容物がチャンバの高さ全体にわたって均質であり、したがって軽量汚泥を含んでいるからである。また、軽量汚泥は、軽量汚泥が最初に上昇するために供給段階のまさに開始時又は供給時に、又は嫌気性反応シーケンス中に抽出することも想定できる。
【0088】
本発明の方法は、軽量汚泥の抽出時間とこの抽出が行われる高さを組み合わせた選択に基づく。選択された高さはまた、持続時間と抽出流量により反応槽内に保持されるべき汚泥の年齢にも関連付けられる。標的汚泥年齢は、反応槽内の水/汚泥混合物の温度の測定結果から特定できる。
【0089】
本発明による処理方法は、汚泥ブランケット15を測定するステップ109をさらに含むことができ、軽量汚泥の少なくとも一部を抽出するステップ108は、汚泥ブランケット15の測定結果が汚泥の抽出境界面からの所定の距離と実質的に等しいときに行われる。軽量汚泥を抽出する方法は、汚泥ブランケットを測定して、汚泥ブランケットの境界面が汚泥の抽出境界面からの所定の距離であるときに、この境界面に到達したのが沈降ステップ中か、供給ステップ中か、嫌気性反応シーケンス中かを問わず、ある境界面での軽量汚泥の抽出をトリガすることによって改善される。この測定と、任意選択により反応槽内の水/汚泥混合物の温度のそれにより、瞬間的落下速度(又は残留物供給速度)と抽出に必要な持続時間を、好ましくはダイナミックな汚泥年齢の考えを取り入れて、その自己最適化された抽出モードを完全にするために、考慮に入れることも可能である。そのように進めることにより、汚泥抽出では、汚泥ブランケットプローブを適切に較正することで、各シーケンスで汚泥ブランケットの若干上方、より具体的にはその上部分にある最も軽量の汚泥を排除することができる。
【0090】
本発明の方法により、チャンバに生じ得る流量の毎日の変化を考慮に入れることができる。夜間、供給流量は低く、供給速度と沈降速度の差が大きく、汚泥ブランケットはすぐに抽出点に近付く。反対に、毎日の動水ピーク時には、供給速度と沈降速度の差が小さく、汚泥ブランケットの降下が低速となる。汚泥ブランケットの測定結果を用いて抽出時間とその持続時間を制御することにより、サイクル間で抽出時間を調整することによって、常にある境界面で最も軽量の汚泥が確実に抽出される。
【0091】
反応シーケンス、及び沈降ステップの供給及び回収ステップを、軽量汚泥を抽出するステップと組み合わせることで、従来の活性汚泥のそれより密度の高い汚泥を取得できる。その結果、汚泥は、沈降速度が2m/hより高く、10m/hより低い、3m/h~6m/h程度で、Mohlman指標が65mL/g(+/-10mL/g)の汚泥が非常に安定に取得される。本発明の方法は、圧密化されているが、粒状ではない汚泥の取得が可能となるこの組合せに基づく。
【0092】
図5Cは、良好な沈降性を有する圧密化された汚泥を実証する、パイロット試験中の汚泥指標の75mL/g未満の値での安定性を示している。結果は、91日間分が示されている(横軸)。
【0093】
この圧密化の利点は明らかに、2つの反対の流れ、すなわち原水供給と汚泥の沈降を同時に安全に管理できる点であり、2m/hより速い原水供給速度を適用しながら、汚泥は処理水に引き込まれない。
【0094】
様々な供給速度(4m/h未満)での実験によれば、供給時、沈降速度は低下するが、デカンテーションは原水供給時にも継続して行われることがわかった。
【0095】
図5Dは、17m3/h、すなわち2,266m/hの供給速度での汚泥ブランケットを示している。上の曲線は、下降部分で、沈降時である()で示されるフェーズと供給時である(#)で示されるフェーズにおける汚泥ブランケットの減少を示している。グラフでは、沈降速度が供給速度よりはるかに速く、汚泥ブランケットが供給時に減少し続けることがわかる。
【0096】
SBR型反応槽の各種のシーケンスの持続時間は一般に一定であるが、本発明による方法ではまた、適当なセンサとプローブを取り付けることにより、時刻(充填時点)に応じた汚染物濃度と動水流量の変化を考慮に入れるために、又は降雨時に関連付けられる廃水の希釈を考慮に入れるために、反応シーケンス102の持続時間がリアルタイムで調整されるようにすることができる。さらに、待機フェーズを設けることにより、サイクルの同期を設定できる。
【0097】
特に、反応槽内でのNH測定の設定により、NOx(特にNO)の測定で補足してもしなくてもよいが、その変化を曝気窒化フェーズ中にモニタし、所定の値に到達したらすぐに停止させることができる。
【0098】
利点は、水が希釈されたとき(夜間又は降雨時の動水点)の曝気期間を短縮できることである。曝気期間の長さの短縮により、エネルギ消費量も最適化でき、1日により多くのサイクルを実行でき、したがって、曝気時間が一定の動作と比較して、より多くの汚染物を処理できる。反対に、汚染物のピーク中、曝気フェーズの持続時間は増大されて、充填地点では低負荷時より長く、NHを規定の値まで変換できるようにされ、それゆえNH濃度がピークのときのパフォーマンスケイパビリティが確実に得られる。
【0099】
最後に、本発明による処理方法は、チャンバ内のNOx濃度を測定するステップ117を含むことができ、それによって、供給及び回収ステップへと移行する前にこの値を十分に低くして、嫌気条件下で脱リン細菌によってリンを放出できるようにし、それゆえ、生物脱リンが確実に適正に行われる。その後、この測定はステップ106の終了時又は、好ましくはステップ105の終了時に行われる。測定されたNOx濃度が依然として高すぎる場合は、窒素を処理する追加のステップを実行して、所望のNOx濃度閾値に到達させることができる。
【0100】
サイクルの全体的な持続時間と供給持続時間は一般に固定され、複数のチャンバに連続的に供給できるようにされる。供給持続時間も固定され、サイクルの全体的持続時間は一般に、供給持続時間の4倍である。これは、反応シーケンスの持続時間と沈降時間の合計が供給持続時間の3倍であることを意味する。しかしながら、本発明の方法は、可変的なサイクル持続時間にも当てはめられる。
【0101】
本発明の方法はそれゆえ、高いフレキシビリティを提供する。特に、ステップ、特に沈降ステップ、供給及び回収ステップ、並びに無酸素ステップの持続時間を、動水状態及び処理対象負荷に応じて調整することが可能である。
【0102】
本発明はまた、炭素汚染物、窒素汚染物、及びリン汚染物を含む廃水を処理する施設にも関する。この施設は、回分式活性汚泥反応槽(SBR)を含み、前記SBR10は:
-各種の境界面を含む廃水汚泥混合物12を収容できるチャンバであって、各境界面は汚泥の濃度及び/又は密度により画定されるチャンバと、
-PAOs14を含み、チャンバの底部の、その上に汚泥ブランケット境界面15が画定される汚泥床13と、
-チャンバ内の汚泥を抽出するための最小境界面17と最大境界面18を特定する手段16と、
-軽量汚泥23の少なくとも一部を、最小抽出境界面と最大抽出境界面との間の所定の境界面で抽出でき抽出手段19と、
-SBRに、処理対象の量の廃水をチャンバの底部付近の汚泥床内に、好ましくはチャンバの底部を覆う分散器網を介して、好ましくは汚泥ブランケットの付近に供給する装置と、
-チャンバの内容物の清澄分画を回収する装置と、
-チャンバを曝気する手段と、
を含む。
【0103】
この施設は、前述の処理方法を実行するために配置され、装備される。
【0104】
本発明において、「回収」という用語は「排出」という用語と同義語として使用され、基本的に、処理水をチャンバから放出することを示すことが意図される。
【0105】
図6は、供給及び回収ステップ中のSBRのチャンバと回収手段の実施形態を概略的に示し、図7は、沈降ステップ中のSBRのチャンバと回収手段を概略的に示す。説明の残りの部分全体を通じて、回収/再使用という用語は、排出(evacuation/evacuate、drain/draining)と理解されるものとする。チャンバの内容物の曝気は、好ましくはチャンバ11の底部を覆う分散器網27を介して、空気8で行われる。本発明のこの実施形態において、チャンバ11の内容物12の清澄分画を回収する手段200は:
-チャンバ11の内容物12の表面24の下の、チャンバの内部25と外部26との間に延びる回収ダクト201であって、
・チャンバ11の内容物12と回収ダクト201を水理学的に接続する少なくとも1つのチャネル202と、
・そこを通ってチャンバ11の内容物12の清澄分画が放出される回収穴203と、
・回収ダクト201を大気と水理学的又はエネルギ伝達的に接続するエアダクト204と、
を含む回収ダクト201と、
-開位置又は閉位置をとることができ、それによって回収ダクトを閉塞させていた空気を大気中に放出できる、エアダクト204上の排気弁205と、
-回収ダクト201上の空気/水閉塞装置216であって、回収ダクト201内の、空気/水閉塞装置216の上流で空気により閉塞させることができ、空気/水閉塞装置216の下流で水により閉塞させることができる空気/水閉塞装置216と、
-回収ダクト201に接続され、回収ダクト201に加圧及び/又は圧縮空気を供給することが意図されるエアインジェクタ207と、を含む。
【0106】
回収手段200は、エアダクト204の排気弁205と空気/水閉塞装置216との間に接続され、回収ダクト201に加圧/圧縮空気を供給することが意図されるエアインジェクタ207(有利には逆止弁を含む)を含むことができる。
【0107】
空気/水閉塞装置216は、開又は閉位置をとることができる、好ましくは電動の弁か、プライミングすることも、しないこともできるU字型サイフォンであり得る。説明の残りの部分全体を通じて、空気/水閉塞装置216は、弁が開位置にあるとき、又はサイフォンがプライミングされているときに開いていると言われ、弁が閉じている、又はサイフォンがプライミングされていないときに閉じていると言われる。
【0108】
回収手段200は、エアダクト204の排気弁205と空気/水閉塞装置216との間に接続されたエアインジェクタ207を含むことができ、回収ダクト201に加圧/圧縮空気を供給することが意図されるものとすることができる。回収ダクトを閉鎖する空気は代替的に、処理方法で使用される空気源から発生させることができる。より具体的には、エアインジェクタ207は、空気/水による閉塞の専用とすることができる。この場合、これは逆止弁を含む。エアインジェクタ207はまた、空気/水による閉塞の専用でなくてもよく、すなわち、エアインジェクタは空気の供給源から発してチャンバに至ることができる。この場合、回収手段200は、閉塞機能を提供するための閉鎖弁206をさらに含む。エアインジェクタ207は、必ずしもエアダクト204に接続されているとはかぎらず、これは回収ダクト101に、それを空気/水で閉鎖させるために体系的に接続される。
【0109】
エアインジェクタ207は、曝気ステップ105中に間欠的に、又は継続的に動作できる。
【0110】
排気弁205は通気弁に対応する。
【0111】
回収手段200を制御する手段210は、回収ダクト201に空気を満たし、回収ダクト201から回収ダクト201に含まれる清澄分画が完全になくなるようにして、曝気ステップ105中及び沈降ステップ106中は回収ダクト201に空気が満たされた状態にし、供給ステップ101及び回収ステップ107中は、回収ダクト201内に含まれる空気が清澄分画22を介して放出されるようにすることを目的とする。より具体的には、制御手段210は、弁205と閉塞装置216を必要に応じて作動させて、回収ダクトから、回収ダクト201内に存在する清澄分画が完全になくなり、曝気フェーズ及び沈降フェーズ中に回収ダクト201が空気で満たされた状態に保たれるように構成される。空気は連続的に供給できる。これは、外部の、すなわち空気/水による閉塞の専用ではなく、チャンバの曝気のために設計された空気源からも供給できる。外部の空気源の場合、仕切弁206が必要となる。回収手段200が空気/水による閉塞の専用のエアインジェクタ207を含む場合、前記インジェクタは加圧及び/又は圧縮空気を回収ダクト201に注入できる。留意すべき点として、この専用のエアインジェクタ207は逆止弁(図示せず)を有する。換言すれば、回収ダクト201はすると、空気で閉塞され、すなわちそれは空気で満たされ、これは空気/水閉塞装置216及び排気弁205が閉じているために外に出ることができない。曝気フェーズ中、チャンバの内容物の液面は、空気がチャンバに導入されることから増大し、内容物の液面が上昇する。チャンバの内容物の液面が上昇する。しかしながら、回収ダクトには空気が満たされているため、この内容物はダクトに入ることができない。これには、システムからの汚泥の損失の回避(汚泥の存在は圧密化にとって重要である)と、回収ダクトの、及び穴203から出る清澄液の汚染の回避(これは、下流に実装すべき三次処理に関して、及び/又は拒絶基準に関して重要である)という利点があり、チャネル202によって、気体の保持による曝気の行われる反応槽の水位上昇を補償でき、これらは配管の不完全な水平度も補償する。
【0112】
不連続的な空気の注入が行われるが、回収ダクト201に入ることができない場合に、チャネル202内で内容物が増える。この構成は、回収手段の制御により、清澄分画だけが回収ダクトに入ることを確実にし、内容物がその中に入った汚泥により汚染されるリスクがなくなる。
【0113】
回収ダクトがチャンバの内容物の表面24の下に延びることを強調することが重要である。したがって、これはチャンバの内容物の中に永久的に浸漬される。チャネル202は、入口を有する管であり、永久的に浸漬されて、(供給/回収ステップ及び嫌気条件ステップ中は)チャンバの内容物で(清澄液で)、又は(曝気ステップを含む反応ステップと、沈降ステップ中は)空気で満たされる。換言すれば、チャネルの内容物は現在のシーケンスに応じて変化する。チャネル202は二つの役割を担い、すなわち、これは供給/回収ステップ中は回収ダクト201に向かう清澄分画へのアクセスを形成し、また、これらは、回収ダクト201にアクセスせず、チャンバの内容物の液面が曝気により上昇したときにチャンバの内容物を収容するバッファ容積を形成する。回収ダクトにアクセスする役割からバッファ容積のそれへの移行は、処理方法の進行状況に応じて、加圧及び/又は圧縮空気の注入/放出と閉塞装置の、及び排気弁の開/閉によって行われる。加圧及び/又は圧縮空気の注入/放出と閉塞装置の、及び排気弁の開/閉は、回収手段200の制御手段210によって制御される。
【0114】
1つの実施形態において、空気/水閉塞装置216はエアダクト204と回収穴203との間のU字型サイフォン208を含む。空気が注入されると、サイフォンに、及び回収ダクトに含まれる清澄液は、1つ又は複数のチャネルの端と同等の高さまで空気と置き換えられる。この手段により、サイフォンはチャンバの内容物をチャンバの外の清澄液から水理学的に切断することが意図され、それゆえプライムされない。サイフォンの高さを伸ばすことにより、曝気ステップ中の表面24の高さの上昇を補償することが可能である。サイフォンの存在は強制ではなく、他の実施形態も可能であり、それについては後述する。サイフォンは、回収ダクトを満たすための空気が処理のための空気から得られる場合(閉塞用空気専用ではないエアインジェクタ207)、同じく制御手段210によって制御される閉鎖弁206に関連付けることができる。回収穴203は、それを通って処理水が放出される穴である。
【0115】
回収穴203は、有利には、回収ダクト201の高さの上方に位置付けられる。さらに、有利には、回収ダクト201は排気ダクト211を含む。この場合も、他の実施形態も可能であり、それについは後述する。
【0116】
回収手段のこの実施形態では、本発明の方法は、汚泥がチャンバ11の底部に堆積し、チャンバ11の内容物がその表面24付近で清澄化する沈降ステップ106の後に、チャンバ11の内容物の清澄分画22を回収するステップ107を含み、前記回収ステップ107及び供給ステップ101は同時に行われて、チャンバ11の内容物の液面は、回収ステップ107及び供給ステップ101中に実質的に一定に保たれる。
【0117】
本発明による処理方法は、供給、沈降、又は嫌気条件ステップに関連付けられた待機フェーズ116も含むことができる。
【0118】
本発明によれば、処理方法は:
-回収手段200を制御するステップ120であって、その間に回収ダクト201に空気が満たされて、回収ダクト201から回収ダクト201に含まれる清澄分画22が全てなくなるようにされ、回収ダクト201が反応シーケンス102及び、好ましくは沈降ステップ106中、及び任意選択的に待機ステップ中に回収ダクト201が空気で満たされた状態に保たれるステップ120と、
-供給ステップ101及び回収ステップ107中に回収ダクト201に含まれる空気を清澄分画22により排出するステップ123と、
を含む。
【0119】
空気注入ステップ中に空気注入が連続していなければ、方法は、ステップ120の後で及びステップ123の前に、曝気ステップ105中に少なくとも1つのチャネル202をチャンバ11の内容物12で少なくとも部分的に満たすステップ121を含むことができる。
【0120】
さらに、処理方法は、ステップ120とステップ123との間に、回収ダクトが空気で満たされた状態に保持する他の2つのステップを含む。前述のように、回収ダクト201を空気で充填するステップ120は、空気を注入するのと同時に、清澄液を排出することによって行われる。第一の曝気ステップ105の開始時に、弁205は閉じ、空気/水閉塞装置216は閉じていると言われる状態であり、空気注入装置(エアインジェクタ207)は作動している。
【0121】
次に、方法は、空気を注入することによって回収ダクト201が空気で満たされた状態に保持するステップ122を含む。曝気ステップ105中、弁205は閉じ、空気/水閉塞装置216は閉じていると言われる状態であり、空気注入装置207は作動している。
【0122】
次に、方法は、空気を注入せずに回収ダクトを空気で満たされた状態に保持するステップ122bisを含む。曝気ステップ105及び沈降ステップ106中、弁205は閉じ、空気/水閉塞装置216は閉じていると言われる状態であり、空気注入装置207は停止している。
【0123】
次に、回収ダクト中に含まれる空気を排出するのと同時に、清澄液で満たすステップ123が行われる。供給ステップ101、回収ステップ107、及び嫌気条件ステップ103中に、弁205は開き、閉塞装置216は開いていると言われる状態であり、空気注入装置207は停止している。
【0124】
すると、最後に、曝気ステップ105中に空気の注入が継続されない場合、特にエネルギを節約するために、曝気ステップ105中に少なくとも1つのチャネル202をチャンバ11の内容物12で少なくとも部分的に満たすステップ121が実行され得る(ただし、このステップはそのように意図されたものではない)。この場合、回収ダクト201に再充填するために、空気を再注入することが可能であり、これはステップ122である。これは、周波数及び空気注入持続時間を調整することによって簡略的に、又は曝気ステップ105中に空気を再注入すべきでありステップ122をトリガすべきか否かを検出することを可能にする液面測定プローブを組み込むことによってより精密に実行できる。
【0125】
曝気ステップを含む反応シーケンス中に、回収ダクトは空気で満たされた状態に保たれる。好ましくは、これは沈降ステップ中も空気で満たされた状態に保たれる。実際、沈降の開始時に回収ダクトが空気で満たされていなければ、汚泥ブランケットがチャネル202の入口より下まで沈降する時間が不十分であり、これは汚泥による回収ダクトの汚染の原因となる。
【0126】
本発明の特定の特徴は、回収ダクト201をチャンバの内容物の表面24より下に位置付けること、すなわち、それが常に浸漬された状態であることである。換言すれば、その内容物は、処理方法のステップに応じて回収手段200を制御するステップ(120、122、122bis、123)によって制御される。その結果、処理水だけが回収のために回収ダクトに入ることができる。回収ダクトは実質的に水平に、すなわちチャンバの内容物の表面24に平行に示されているが、これは傾斜させて、表面24のある平面に対して斜めの軸に沿って延ばすこともできる。第一の利点はチャンバの容積を限定しないことであり、これは、曝気ステップ105中に未処理水と汚泥が入らないようにするために、水の平面を回収ダクトより下に下げる必要がないからである。回収手段の制御により、回収ダクトには、反応槽の曝気ステップ105の直前に空気が満たされる。換言すれば、チャンバの、ダクト付近の内容物が処理水だけではないフェーズ中に、回収ダクトが空気で満たされ、すなわち、それは空気で閉塞されて、それゆえチャンバの内容物が入れなくなる。他の特定の特徴は、チャンバ11の内容物を回収ダクト201に水理学的に接続するチャネル202から得られる。これらは表面24に垂直に示されているが、下方に傾斜させることもできる。チャネル202は顕著な役割を果たすが、これは、清澄分画と回収ダクトとの間の水理学的接続を確保することにより、清澄分画を回収できるようにする一方で、曝気ステップ中に、チャンバの内容物の境界面の上昇を保持することもできる。チャネル202は2つの端を有し(図4で見ることができる)、これは第一の端221と、回収ダクト201と直接接触する第二の端222であり、それによって回収ダクト201とチャネル202との間の流れが可能となる。チャネル202は、円形、長方形、多角形等、回収ダクト201と同様に何れの断面を有することもできる。
【0127】
曝気ステップ105は、空気がチャンバに注入されることによるチャンバの内容物の液面の変化につながる。曝気ステップ105中、チャネル202は少なくとも部分的にチャンバの内容物で満たされる。これは回収ダクトへの空気の注入が継続されない方法のための、特別なケースのステップ121である。チャネル202の充填高さは、チャンバの内容物の上昇高さに対応する。チャネル202は、特別なケースのステップ121に対応するのに十分な高さを有するような寸法であるため、内容物12はチャネル202の第二の端222に到達しない。回収ダクト201自体は空気で満たされたままである。曝気ステップ105中、チャンバの内容物は、表面24においてさえ均質である。チャネル202により、汚泥を含むこの均質な内容物は回収ダクト201に入らない。チャネル202は空気で閉塞された回収ダクトとチャンバの内容物との間の遷移ゾーンを形成する。チャネル202の端221は、水及び汚泥と接触する可能性がある。チャネル202の端222が汚泥と接触することはない。それゆえ、回収ダクトは、フェーズに応じて空気又は処理水を含むが、汚泥を含むことはない。
【0128】
回収ダクト201は、反応シーケンス102及び、好ましくは沈降ステップ106、そして任意選択的に待機フェーズ116中、空気で満たされた状態に保たれる。これはステップ122bisである。沈降の終了時に、チャンバ内にある汚泥はチャンバ11の底部に堆積し、チャンバ11の内容物はその表面24において清澄化する。すると、方法は回収ダクト201から空気を排出するステップ123を含む。弁205は開位置にあり、清澄液が回収ダクトに入り、回収ダクトを閉塞させている空気が弁205及び通気ダクトを介して排出されるようにする。回収ダクトを閉塞させていた空気はなくなる。
【0129】
その後、空気/水閉塞装置216は開位置と呼ばれる状態にセットされ、新しいサイクルが始まり、すなわち、供給ステップ101が回収ステップ107と同時に実行される。ある量の廃水をチャンバ内に導入することにより、同じ量が排出されて、実質的に一定の液面が保持される。回収ダクトは空気で塞がれていないため、回収ダクト201とチャネル202はチャンバ11の表面24にあるこの量の内容物12で満たされる。これは、回収されることが意図される清澄分画である。
【0130】
回収ダクトへの空気の充填(ステップ120)と回収ダクトの空気による閉塞(ステップ122bisであり、空気の注入が継続していない場合に任意選択的にステップ122で補足)を制御することにより、内容物を回収ダクトに流入させるタイミングを正確に制御できる。回収ダクトは、チャンバの内容物がその表面で清澄化した時にチャンバの内容物に到達できる。しかしながら、内容物が均質な曝気ステップ中、すなわち、チャンバの内容物が回収ダクトの付近で清澄化していないとき、回収ダクトはこの内容物に到達し得ない。換言すれば、本発明による方法では、回収ダクトに入るものを正確に制御できる。廃水処理のステップにより、回収ダクトを空気で閉塞させるフェーズとチャンバの内容物が回収ダクト内で循環できる自由動水接続のフェーズが連続する。
【0131】
その結果、この代替的実施形態は、SBRのチャンバを回復させる手段を制御するステップに基づいており、その間、SBR内で曝気が行われる直前に、回収ダクトに空気が充填され、ダクトはダクト内に含まれる水(清澄液)が完全に排出された状態となる。本発明のこの代替的実施形態によれば、処理方法のステップに応じて制御しながら回収ダクトに空気を充填することにより、曝気中に活性汚泥で処理された水回収ダクトが汚染されないことが保証される。
【0132】
より一般的には、当業者にとって、上で開示された教示に照らして、上述の実施形態に様々な変更を加え得ることは明らかであろう。以下の特許請求項では、使用される用語は請求項を本明細書に記載の実施形態に限定するものと理解すべきではなく、その文言により特許請求項がカバーしようとし、その提供が当業者のその一般的知識に基づく視野の範囲内であるそのあらゆる等価物を含めるように理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】