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特表2023-543913照明器具への水浸入を決定するための照明器具システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】照明器具への水浸入を決定するための照明器具システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/20 20200101AFI20231011BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231011BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231011BHJP
【FI】
H05B47/20
F21V23/00 140
F21V23/00 117
F21V23/00 110
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520415
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2021076847
(87)【国際公開番号】W WO2022073828
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/087,510
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20202181.2
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ダイクスラー ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ブロエルス ハリー
(72)【発明者】
【氏名】クラインツ ヒューゴ ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ドリエル ヴィレム ディルク
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K273AA09
3K273BA33
3K273BA35
3K273BA37
3K273CA02
3K273DA08
3K273EA05
3K273EA17
3K273EA25
3K273EA36
3K273EA40
3K273FA03
3K273FA14
3K273HA03
(57)【要約】
本発明は、照明ユニット101と、照明ユニットの少なくとも一部を収容するハウジング102であって、照明ユニット及びハウジングは照明器具の一部である、ハウジングと、ハウジングに又はハウジング内に位置付けられるセンシング手段103であって、センシング手段は、照明器具の少なくとも一部への水浸入によって影響を受ける照明器具の機能特性を示す機能パラメータを感知するように構成される、センシング手段とを含む、照明器具システム100に関する。さらに、照明器具システムは、感知された機能パラメータに基づいて照明器具の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される水侵入決定ユニット104を含む。斯くして、照明器具の持続性及び安全性が改善されるように、水が照明器具を損傷し得る前に照明器具への水浸入を決定することを可能にする照明器具システムが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を提供するように構成される照明ユニットと、
前記照明ユニットの少なくとも一部を収容するハウジングであって、前記照明ユニット及び前記ハウジングは照明器具の一部である、ハウジングと、
前記照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入によって影響を受ける前記照明器具の機能特性を示す機能パラメータを感知するように構成される前記ハウジングに又は前記ハウジング内に位置付けられるセンシング手段であって、前記機能特性は、前記照明器具の機能に機能的に関連する前記照明器具の特性を指す、センシング手段と、
感知された機能パラメータに基づいて前記照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される水侵入決定ユニットであって、前記水侵入決定ユニットは、前記照明器具の内部構造に存在する水及び/又は水蒸気の量と前記機能パラメータとの機能的関係を利用するように構成される、水侵入決定ユニットと、
を含む、照明器具システム。
【請求項2】
前記水侵入決定ユニットは、感知された機能パラメータとこのパラメータの所定のベースラインとを比較することによって前記照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される、請求項1に記載の照明器具システム。
【請求項3】
前記機能パラメータのベースラインは、周囲環境条件並びに/又は前記照明ユニットの動作状態及び/若しくは水侵入状態に関して前記照明ユニットの機能パラメータをモデル化するように構成されるパラメータモデルに基づいて予め定められる、請求項2に記載の照明器具システム。
【請求項4】
前記センシング手段は、前記照明ユニットの異なる動作状態において前記照明器具の機能パラメータを感知するように構成され、前記水浸入決定ユニットは、前記照明ユニットの異なる動作状態において決定される機能パラメータの比較に基づいて前記照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入を決定するように構成される、請求項1に記載の照明器具システム。
【請求項5】
前記機能パラメータは、前記照明器具の前記ハウジングの少なくとも一部内の圧力を示す、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の照明器具システム。
【請求項6】
前記センシング手段は、前記照明器具の前記ハウジングに位置付けられ、前記照明器具の前記ハウジングの少なくとも一部内の圧力を示す機能パラメータとして、前記ハウジングの少なくとも一部の変形を感知するように構成される、請求項5に記載の照明器具システム。
【請求項7】
前記ハウジングは、少なくともフレキシブル部分及びリジッド部分を含み、前記フレキシブル部分は、前記リジッド部分よりも柔軟であり、前記センシング手段は、前記ハウジングの前記フレキシブル部分の変形を感知することによって前記ハウジングの変形を感知するように構成される、請求項6に記載の照明器具システム。
【請求項8】
前記センシング手段は、前記照明器具の前記ハウジングの少なくとも一部内の圧力を示す機能パラメータとして、前記ハウジングの少なくとも一部に加えられる機械的な力を感知するように構成される、請求項5に記載の照明器具システム。
【請求項9】
前記センシング手段は、機能パラメータとして、前記照明器具の温度を示すパラメータを感知するように構成される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の照明器具システム。
【請求項10】
前記照明器具の温度を示す機能パラメータは、ある動作状態から別の動作状態への前記照明ユニットの変化時に測定される温度プロファイルを指す、請求項9に記載の照明器具システム。
【請求項11】
前記照明器具の前記ハウジングの少なくとも一部内の湿度を示す湿度パラメータを感知するように構成されるさらなるセンシング手段が設けられ、前記水浸入決定ユニットは、前記湿度パラメータにさらに基づいて前記照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入を決定するように構成される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の照明器具システム。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記ハウジングに存在する水がシンクホールに蓄積するように設けられるシンクホールを含み、さらなるセンシング手段が、前記シンクホールにおける水の存在を感知するように構成される、請求項9に記載の照明器具システム。
【請求項13】
当該照明器具システムは、当該照明器具システムの一部である又は当該照明器具システムの外部である別の照明器具に関する機能パラメータを提供するように構成される機能パラメータ提供ユニットを含み、前記水侵入決定ユニットは、前記提供された機能パラメータを受ける、及び、前記提供された機能パラメータにさらに基づいて前記照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の照明器具システム。
【請求項14】
照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入を決定するための方法であって、当該方法は、
照明ユニットと、前記照明ユニットの少なくとも一部を収容するハウジングとを含む照明器具の機能パラメータの測定を行うことであって、前記機能パラメータは、前記照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入によって影響を受ける前記照明器具の機能特性を示し、前記機能特性は、前記照明器具の機能に機能的に関連する前記照明器具の特性を指す、ことと、
感知された機能パラメータに基づいて前記照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定することであって、水侵入決定ユニットは、前記照明器具の内部構造に存在する水及び/又は水蒸気の量と前記機能パラメータとの機能的関係を利用するように構成される、ことと、
を含む、方法。
【請求項15】
照明器具への水浸入を決定するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに請求項14に記載の方法を実行させるプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明ユニットへの水浸入(water ingress)を決定するための照明器具システム、方法及びコンピュータプログラムプロダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具における水浸入は、年中事件の上位に現れ続ける続発故障である。水浸入は、屋外及び屋内照明器具の両方にとって、腐食(corrosion)、照明器具の窓等の透明部分上の結露(condensation)、ましては突発的な製品分野の故障(catastrophic product field failure)につながることが多い。
【0003】
複数の照明器具を含むコネクテッド照明器具システム(connected luminaire system)において、起こり得る水分結露(water condensation)及び/又は水浸入について個々の照明器具を監視するための満たされていない必要性(unmet need)がある。それゆえ、この水浸入センシング機能を実現するための低コストセンサハードウェアの必要性がある。さらに、水浸入が結露のみにつながるのか、ましては蓄積された水たまりをもたらしているのかを予測することが可能なセンシング機能の必要性がある。水たまりは、セーフティクリティカルでさえあり得る製品故障につながる可能性がある。深刻さのもう一方において、結露は、通常、レンズ及びリフレクタにまず発生し、環境を適切に照らす照明器具の能力を低下させる及び/又は照明器具の美的外観に影響を及ぼすだけである。したがって、これらの課題を解決するために個々の照明器具に対する水浸入を正確且つ容易に測定する要望がある。
【0004】
US 2017/184659A1は、少なくとも1つのライトフィクスチャコンポーネントを含むライトフィクスチャ(light fixture)を開示している。ライトフィクスチャはまた、少なくとも1つのライトフィクスチャコンポーネントに関連する少なくとも1つのパラメータを測定する少なくとも1つのセンサを含むことができる。ライトフィクスチャはさらに、少なくとも1つのセンサに結合されるPHM(prognostic and health monitoring)システムを含むことができ、PHMシステムは、少なくとも1つのセンサによってなされる、少なくとも1つの測定を分析して、少なくとも1つのライトフィクスチャコンポーネントの寿命に影響する少なくとも1つの要因を特定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、照明器具の持続性(persistence)及び安全性(safety)の改善を可能にする照明器具システム、方法及びコンピュータプログラムプロダクトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、a)光を提供するように構成される照明ユニットと、b)照明ユニットの少なくとも一部を収容するハウジングであって、照明ユニット及びハウジングは照明器具の一部である、ハウジングと、c)照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入によって影響を受ける照明器具の機能特性を示す機能パラメータを感知するように構成されるハウジングに又はハウジング内に位置付けられるセンシング手段と、d)感知された機能パラメータに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される水侵入決定ユニット(water ingress determination unit)とを含む、照明器具システムが提供される。
【0007】
水侵入決定ユニットは、水侵入によって影響を受ける照明器具の機能特性を示す感知された機能パラメータに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成されるので、水侵入は、照明器具内の水の影響に基づいて間接的に検出されることができる。斯くして、構造的に困難である照明器具内の水の直接測定が回避されることができる。さらに、一般に既に、一般的な水又はモイスチャ(moisture)センサでは測定することが困難な少量の水が、照明器具の機能特性、例えば、照明器具のハウジング内の圧力に影響を与え得、したがって、照明器具の「実際の(real)」損傷、例えば、腐食が見込まれる(expected)前に水の存在を検出することを可能にし得る。これにより、照明器具の持続性及び安全性を向上させることができる。
【0008】
照明器具は、少なくとも1つの照明ユニットを含む。照明ユニットは、光を提供するように構成される。とりわけ、照明ユニットは、光を提供するように構成され、光は、電磁スペクトルの所定の範囲からの波長を有する電磁放射を含む。とりわけ、光は、電磁スペクトルの所定の範囲からの異なる離散的波長又は連続的波長範囲を有する電磁放射を含むことができる。好ましくは、照明ユニットは、少なくとも可視光を提供するように構成される。これにより、可視光は、人間の目が感知できる波長範囲によって定義され、すなわち、波長は、380nmから780nmの範囲であることができる。照明ユニットは、可視光の数100nmの範囲の波長を有する放射を含む白色光を提供するように構成されることができ、スペクトルは、連続的又は離散的であることができる。しかしながら、照明ユニットは、例えば、500nmから550nmの範囲の波長を有する放射を主に含む緑色光等、可視光の数10nmの範囲の波長を有する放射を含むカラー光(colored light)を提供するように構成されることもできる。照明ユニットは、任意の他のカラー光を提供するように構成されることもできる。追加的に又は代替的に、照明ユニットは、人間の目が感知できない波長を有する電磁放射を含む光を提供するように構成されることができる。例えば、提供される光は、紫外放射を含む電磁スペクトルの所定範囲の放射を含む殺菌光であることができる。提供される光は、赤外放射を含む電磁スペクトルの所定範囲の放射を含むこともできる。
【0009】
光を提供するように構成される照明ユニットは、連続的又は離散的な波長スペクトルを有する電磁放射を放出する任意の光源であることができる。例えば、照明ユニットは、発光ダイオード(LED:light emitting diode)であることができる。しかしながら、照明ユニットは、VCSEL、白熱ランプ、ハロゲンランプ、蛍光ランプ、メタルハロゲンランプ、ガス放電ランプ等の他の光提供デバイスを含むこともできる。照明ユニットは、任意の光源の組み合わせを含むこともできる。この場合、照明ユニットによって提供される光は、照明ユニットの各光源の提供される光の和である。
【0010】
照明ユニットは、ハウジングによって少なくとも部分的に取り囲まれるように構成される。ハウジングは、照明ユニットの少なくとも一部を取り囲むように構成される。とりわけ、ハウジングは、照明ユニット全体を取り囲むように構成されることもできる。好ましくは、ハウジングは、照明ユニットの少なくとも一部を気象条件等の外的条件から保護することができるように構成される。照明ユニットを制御及び動作するための回路及び電子部品は、ハウジングの一部であって、この場合照明ユニットに接続されることができ、又は照明ユニットの一部であることができる。この場合、ハウジングは、これらの回路及び電子部品を少なくとも部分的に取り囲むこともできる。
【0011】
ハウジングは、閉じられることができ、又は開口部を有することができる。開口部は、例えば、ハウジング又は照明ユニットに接続されるべきケーブル又は固定具をハウジング内に入れることを可能にするように構成されることができる。この場合、開口部は、例えば、ハウジングの内部が保護されるように追加のケーブルシール(cable seal)を設けることによって、密閉されることができる。好ましくは、ハウジングのすべての開口部は、ハウジングへの水浸入が防止されるように密閉される。
【0012】
ハウジングは、1つの材料で作られることができる。これにより、ハウジングは、照明ユニットによって提供される光がハウジングの外側に提供されることができるように、ガラス、透明プラスチック、アクリルガラス又は任意の他の透明材料で作られることができる。ハウジングは、少なくとも2つの材料の組み合わせから成ることもできる。好ましくは、ハウジングは、例えば、気象条件等の外的条件からハウジングの内部ボリューム(inner volume)を保護するように構成され、内部ボリュームからハウジングを通して外側に光を提供するように構成される。ハウジングの内部ボリュームは、照明器具の内部構造の少なくとも一部を含むことができる。斯かる場合、ハウジングのボリュームは、内部構造によって分割されることができる。一般に、センシング手段は、ハウジングにおける機能パラメータを感知するように構成される。追加的に又は代替的に、センシング手段は、例えば、ハウジングの内部構造によって画定されるハウジングの一部における機能パラメータを感知するように構成されることもできる。
【0013】
照明ユニット及びハウジングは、照明器具を形成していると見なされることができる。照明器具は、建物内又は屋外に位置付けられることができる。複数の照明器具が、例えば、照明又は案内タスク等のタスクを一緒に実行するように互いに配置されることができる。一般に、1つ以上の照明器具は、任意の既知のやり方で提供されることができる。
【0014】
照明器具システム、とりわけ、照明器具はさらに、少なくとも1つのセンシング手段を含む。センシング手段は、照明器具のハウジングに、すなわち、照明器具のハウジングと機能的に接触するように位置付けられることができる。例えば、センシング手段は、ハウジングの外側に取り付けられることができる。代替的に、センシング手段は、ハウジング内に位置付けられることができる。例えば、センシング手段は、ハウジング自体に直接接触することなく、ハウジングによって囲まれるボリューム内のどこかに設けられることができる。
【0015】
センシング手段は、照明器具の機能特性を示す機能パラメータを感知するように構成される。一般に、機能特性は、照明器具の機能、例えば、光を提供するプロセスに機能的に関連する照明器具の特性を指す。例えば、光を提供するプロセスにおいて、ハウジング内の温度及び/又は圧力が影響を受け得、斯くして、ハウジング内の温度及び/又は圧力は、照明器具の照明機能に機能的に関連していると見なされることができる。さらに、センシング手段によって測定される機能パラメータは、照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入によって影響を受ける機能特性を指し、照明器具の内部構造は、ハウジングに含まれるボリュームと見なされることができる。例えば、ハウジング内の温度又は圧力は、照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入によって影響を受け得、この場合、機能特性を指すことができ、センシング手段は、該機能特性を示す機能パラメータを測定するように構成されることができる。さらに、他の特性も機能特性として利用されることができる。例えば、場合によっては、照明器具の一部のコンダクティビティ(conductivity)及び/又は抵抗も、照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入によって影響を受け得、斯くして、照明器具の機能特性と見なされることができる。場合によっては、センシング手段は、機能パラメータとして、機能特性を直接感知するように構成されることができる。しかしながら、他の実施形態では、機能パラメータは、機能特性を示すだけであり、すなわち、機能特性との既知の機能的関係を有する。
【0016】
照明器具システムは、水浸入決定ユニットを含む。水侵入決定ユニットは、感知された機能パラメータに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される。水侵入決定ユニットは、一般的な又は専用のコンピューティングシステム上のハードウェア又はソフトウェアとして実現されることができる。一般に、水侵入決定ユニットは、例えば、センシング手段への有線又は無線接続を介して、感知された機能パラメータを示す信号をセンシング手段から受けるように構成される。
【0017】
一実施形態において、水侵入決定ユニットは、照明器具に組み込まれることができる。この場合、水浸入決定ユニットは、照明器具のハウジング内又はハウジングの外側にあることができる。しかしながら、水浸入決定ユニットは、照明器具とは別個に設けられ、照明器具のセンシング手段と有線又は無線通信することも可能である。例えば、水侵入決定ユニットは、別個のデバイスの一部、例えば、スマートフォン等のユーザデバイス上で動作するソフトウェアであることができ、又は、2つ以上のセンシング手段を制御する、又は複数の異なるセンサ、デバイス、照明ユニット及び/若しくは照明器具を制御する、全体的な制御システムの一部であることができる。
【0018】
水侵入決定ユニットは、センシング手段によって感知される機能パラメータに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成されることができる。とりわけ、水侵入決定ユニットは、照明器具の内部構造に存在する水及び/又は水蒸気の量と機能パラメータとの機能的関係を利用するように構成されることができる。このような機能的関係は、水侵入決定ユニットの一部として記憶されることができ、又は外部ストレージから水侵入決定ユニットに提供されることができる。一般に、このような機能的関係は、数学的関係、ルールのセット(set of rules)、ルックアップテーブル等として提供されることができる。照明器具の内部構造への水浸入と少なくとも一つの機能パラメータとの間の機能的関係は、例えば、実験によって、又は既知の物理法則及び照明器具のコンストラクション(construction)に関する知識を適用した照明器具の計算モデリング(computational modelling)によって決定されることができる。例えば、機能的関係は、照明器具の内部構造に供給される水の量に依存して照明器具のハウジング内の、温度又は圧力等、少なくとも1つの機能特性を実験で測定することによって決定されることができる。このような測定に基づいて、既知の統計分析ツールが、機能的関係を決定するために適用されることができる。さらに、機械学習技術が適用されることもできる。例えば、測定結果は、ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク等の機械学習アルゴリズムに訓練データとして提供され、アルゴリズムが、機能パラメータに基づいて照明器具における水の量を決定するように訓練されることができる。機械学習アルゴリズムの利用は、複数の機能パラメータ、とりわけ、機能パラメータ展開(functional parameter development)、すなわち、プロファイルの形態で、センシング手段によって提供される場合、とりわけ有利である。なぜなら、機械学習アルゴリズムは、適宜訓練されれば、異なるパラメータの複雑な関係であっても評価することを可能にするからである。
【0019】
水浸入の決定の結果は、例えば、視覚的又は可聴的な出力の形態で、ユーザに提供されることができる。例えば、照明ユニットは、水浸入が照明器具に有害である可能性があると判断される、又は発光等の照明器具の機能を低下させる可能性がある場合、特定の色の光等、特定の光を提供するように構成されることができる。追加的に又は代替的に、結果は、例えば、照明器具の内部構造に存在すると決定される水の量を示す値を提供することによって、決定された含水量(water content)の視覚化として、少なくとも水侵入決定ユニットと通信するユーザインターフェース等のディスプレイ上に提供されることもできる。追加的に又は代替的に、水侵入の決定の結果は、例えば、決定された水侵入から生じることが見込まれる損傷のレベルを提供することによって、間接的に可視化されることもできる。さらに、結果に基づいて、追加的に又は代替的に、例えば、照明器具を交換すべき、照明器具の電源をシャットダウンすべき、又はサービス担当者へ連絡すべきという推奨等、推奨が、ユーザに提供されることができる。代替的に、照明器具システムは、水浸入決定の結果に自動的に反応するように構成されることができる。例えば、水浸入決定の結果に基づいて、例えば、照明器具の内部構造において決定された水の量に基づいて照明器具の機能を制御するルールが、照明器具システムに記憶されることができる。一例において、照明器具システムは、決定された水浸入に基づいて、提供される光の強度を増加若しくは減少させるように、及び/又は照明ユニットによって提供されるスペクトルを制御するように、照明ユニットを制御するよう構成されることができる。照明器具に存在する水の量が致命的結果をもたらす可能性があると判断される場合、照明器具システムは、回路の故障又は短絡のあらゆるリスクが回避されることができるように、照明器具がオフにされるように制御するよう構成されることができる。
【0020】
一実施形態において、水侵入決定ユニットは、感知された機能パラメータとこのパラメータの所定のベースラインとを比較することによって照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される。機能パラメータは、このパラメータに関する1つ又は複数の測定値を示すことができる。さらに、機能パラメータは、経時的なこのパラメータの値の展開(development)を示すこともできる。この場合、機能パラメータのベースラインは、相応に、機能パラメータの1つ以上の値、又は機能パラメータの展開を指すことができる。一般に、ベースラインは、特定の、既知の条件下での機能パラメータを示す。例えば、ベースラインは、照明器具の内部構造において水が存在しない状態、照明器具の内部構造において特定の水の量が存在する状態、1日の特定の時間中、特定の環境条件中等の機能パラメータの測定を示すことができる。好ましくは、ベースラインは、製造者サイトでの予め定義された設定における機能パラメータの測定中に決定され、この場合、同じベースラインが、同じコンストラクションを有する、すなわち、照明器具モデルを参照するすべての照明器具に提供されることができる。しかしながら、ベースラインは、例えば、新しく設置された照明器具が実質的な水浸入を示さないことを期待して設置直後のあるタイミングで機能パラメータを測定することによって、照明器具の設置後に顧客サイトで確立されることもできる。
【0021】
一般に、機能パラメータとベースラインとの比較は、2つの値又は関数の互いの比較の任意のタイプを指すことができる。例えば、比較として、機能パラメータ及びベースラインの差又は比が決定されることができる。しかしながら、機能パラメータ及びベースラインが経時的な値の展開、すなわち、関数を指す場合、比較は、関数の波形を比較することを指すこともできる。例えば、比較は、関数の特定のデータポイント、最大値又は最小値、勾配等に関することができる。この場合、水侵入決定ユニットは、感知された機能パラメータ関数及びパラメータの所定のベースライン関数の形状、すなわち、波形、又は特定のデータポイントの比較の結果に基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成されることができる。例えば、比較の結果と照明器具の内部構造への水浸入との間の機能的関係は、予め定められることができる。このような機能的関係は、例えば、比較の1つ以上の結果と、照明器具の内部構造内の特定の水の量とを相関させる。しかしながら、水侵入が検出されたか否かの定性的な情報を提供するだけの単純な機能的関係も利用されることができる。例えば、水侵入決定ユニットは、測定された機能パラメータがベースラインと異なるという結果を比較が提供する場合に水侵入が起こったと決定するように構成されることができる。しかしながら、水侵入決定ユニットは、照明器具に存在する水の量を決定するために、比較の結果が、例えば、1つ以上の閾値と再び比較される、より複雑な機能的関係を適用するように構成されることもできる。このような閾値は、例えば、機能パラメータに関連する実験又はシミュレーションによって決定されることができる。例示的に、照明器具の機能特性が照明器具の内圧を指し、水浸入によって影響を受ける内圧の値が製造者によって決定されるベースライン内圧と比較して20%上昇すると、水浸入が照明器具の一部を破壊することが知られている場合、閾値は、ベースラインから20%の偏差を指すことができる。
【0022】
パラメータの所定のベースラインは、記憶された値であることができ、記憶された値は、センシング手段によって感知される感知された値又は計算された値であることができる。水侵入決定ユニットは、パラメータの所定のベースラインを記憶する記憶ユニットからパラメータの所定のベースラインを受けるように構成されることができる。パラメータの所定のベースラインが記憶ユニットに記憶される場合、記憶ユニットは、水浸入決定ユニットに、又は任意の他の別個のデバイス若しくはクラウドに位置することができる。パラメータの所定のベースラインを記憶する記憶ユニットが水浸入決定ユニットに位置しない場合、水浸入決定ユニットは、パラメータの所定のベースラインを記憶するデバイスに接続されることができる。例えば、パラメータの所定のベースラインは、1日の異なる時点で測定された一連の値であることができる。この場合、水侵入決定ユニットは、感知された機能パラメータと、1日の同じ時点におけるパラメータの記憶された所定のベースラインとを比較することによって、照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成されることができる。
【0023】
好ましい実施形態において、機能パラメータのベースラインは、周囲環境条件並びに/又は照明ユニットの動作状態及び/若しくは水侵入状態に関して照明ユニットの機能パラメータをモデル化するように構成されるパラメータモデルに基づいて予め定められる。
【0024】
照明器具の動作状態は、照明器具の動作に関連する照明器具の任意の状態を指すことができる。例えば、照明ユニットの動作状態は、照明ユニットのオン状態又はオフ状態であることができる。オン状態において、照明ユニットは光を提供し、オフ状態において、照明ユニットは光を提供しない。照明ユニットの動作状態は、照明ユニットの任意の調光状態を指すこともでき、照明ユニットの調光状態は、所定の光強度を有する光が提供される状態を指す。照明ユニットのオン状態は、調光状態として理解されることもできる。動作状態は、照明器具の完全スリープ状態又はダウンロード状態であることもできる。完全スリープ状態は、照明ユニットが、例えば、外部信号を受信する場合、又は所定期間にわたって外部信号を受信しない場合に、オフ状態であることによって提供されることができる。完全スリープ状態において、照明ユニットの1つ以上の機能は制限されることができ、例えば、提供される照明は、緊急照明のみを指すことができ、ネットワーク機能又は通信機能は、ウェイクアップ信号の受信に制限されること等が挙げられる。このような完全スリープ状態の有利な点は、照明ユニットの電力消費を低減することである。照明ユニットのダウンロード状態は、照明ユニットが情報、データ、ソフトウェアアップデート等を受信する、すなわち、ダウンロードする状態を指すことができる。好ましくは、照明ユニットの動作状態は、オン状態、オフ状態又は調光状態である。水浸入状態は、水浸入に関する照明器具の任意の状態であることができる。例えば、水浸入状態は、照明器具に存在する水の量を指すことができる。
【0025】
パラメータモデルは、周囲環境条件及び/又は水浸入状態及び/又は動作状態に依存して機能パラメータをモデル化するように構成される任意のモデルであることができる。好ましくは、モデルは、経時的な機能パラメータの値の展開をモデル化するように構成される。例示的に、機能特性が温度を指す場合、モデルは、照明器具のハウジングの内部構造の少なくとも一部において、周囲環境条件及び/又は水浸入状態及び/又は動作状態に基づいて、例えば、照明器具のハウジングの内部構造内の水の量及び照明器具がオン状態かオフ状態かに基づいてセンシング手段の当該サイトにおける温度をシミュレーションするように構成される温度モデルとして理解されることができる。さらに、モデルは、追加的にさらなるパラメータ、好ましくは照明器具のコンストラクション特性(constructional characteristics)を考慮に入れるように構成されることもできる。一般に、パラメータモデルは、照明器具の機能パラメータに影響を与える異なる物理量間の既知の物理的関係に基づいて提供されることができる。例えば、理想気体の法則、熱輸送方程式等が、パラメータモデルの数学的背景を提供するために利用されることができる。
【0026】
一実施形態において、センシング手段は、照明ユニットの異なる動作状態において照明器具の機能パラメータを感知するように構成され、水浸入決定ユニットは、照明ユニットの異なる動作状態において決定される機能パラメータの比較に基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入を決定するように構成される。例えば、センシング手段は、照明器具のオフ状態中に第1の機能パラメータ及びオン状態中に第2の機能パラメータを感知するように構成されることができる。この場合、水侵入決定ユニットは、2つの異なる動作状態について決定される第1及び第2の機能パラメータの比較に基づいて水侵入を決定するように構成されることができる。一般に、照明器具への水浸入は、照明器具の異なる動作状態において照明器具の機能パラメータに異なる影響を与え得る。例えば、水浸入は、照明器具の異なる動作状態間の圧力又は温度差に影響を与えることができる。斯くして、機能的関係が提供され、照明器具の異なる動作状態において感知される機能パラメータの比較から水浸入を導出するために水浸入決定ユニットによって利用されることができる。
【0027】
一実施形態において、機能パラメータは、照明器具のハウジングの少なくとも一部内の圧力を示す。圧力を感知するために、センシング手段は、ハウジングの少なくとも一部内の圧力を示す機能パラメータを少なくとも感知するように構成される。好ましくは、センシング手段は、照明器具のハウジング内の圧力を直接感知するように構成される。例えば、センシング手段は、圧力を感知するためにハウジング内に位置付けられることができる。センシング手段は、この実施形態では、ピエゾ抵抗ひずみゲージセンサ(piezoresistive strain gauge sensor)、容量圧力センサ(capacitive pressure sensor)、ピエゾ電気圧力センサ(piezoelectric pressure sensor)等を指すことができる。一般に、水、とりわけ、水蒸気の形態での水の存在は、例えば、環境条件又は動作状態の変化に対する、照明器具の圧力反応に影響を与える。
【0028】
好ましい実施形態において、センシング手段は、照明器具のハウジングに位置付けられ、照明器具のハウジングの少なくとも一部内の圧力を示す機能パラメータとして、ハウジングの少なくとも一部の変形を感知するように構成される。例えば、照明器具の機能特性は、ハウジングの少なくとも一部内の圧力を示すハウジングの一部の長さ、面積又は体積であることができる。とりわけ、ハウジングの少なくとも一部の長さ、面積又は体積の変化は、ハウジングの少なくとも一部内の圧力変化を示すことができる。好ましい実施形態において、センシング手段は、照明器具のハウジングに位置付けられ又は照明器具のハウジングの一部であり、照明器具のハウジングの少なくとも一部内の圧力を示す機能パラメータとして、ハウジングの少なくとも一部の変形を感知するように構成されるひずみゲージセンサを少なくとも含む。とりわけ、ひずみゲージは、ハウジングの外側に対する圧力差に起因する照明器具のハウジングの変形を監視するように構成されることができる。代替例において、センシング手段は、MEMS圧力センサ、ピエゾ抵抗体、又はハウジングの少なくとも一部の変形を感知できる任意の他のセンサを少なくとも含むこともできる。好ましくは、センシング手段は、機能パラメータとして圧力プロファイルを提供するように構成され、圧力プロファイルは、ハウジング内の圧力を示す経時的に測定される一連の値を指す。一実施形態において、ある日、例えば、照明器具の設置の直後の日に測定される圧力プロファイルが、水浸入を決定するために後続の全ての圧力プロファイルが比較される所定のベースラインとして利用されることができる。
【0029】
好ましい実施形態において、ハウジングは、少なくともフレキシブル部分(flexible part)及びリジッド部分(rigid part)を含み、フレキシブル部分は、リジッド部分よりも柔軟(flexible)であり、センシング手段は、ハウジングのフレキシブル部分の変形を感知することによってハウジングの変形を感知するように構成される。この実施形態では、ハウジングが少なくともフレキシブル部分及びリジッド部分を含み、フレキシブル部分がリジッド部分よりも柔軟であるため、環境に対する圧力差に起因するハウジングのフレキシブル部分の変形はより顕著になるであろう。これは、ハウジングの変形をより正確に測定する、斯くして、より正確な機能パラメータを提供することを可能にする。ハウジングのより柔軟な部分は、例えば、フレキシブル部分をリジッド部分と異なる材料で提供することによって、フレキシブル部分をリジッド部分と比較して減少した厚さで提供することによって、フレキシブル部分を別の構造、例えば、多数の凹部を有するように提供することによって等実現されることができる。好ましい実施形態において、センシング手段は、ひずみゲージセンサとして作用するように構成されるフレキシブル部分の表面上に位置付けられる銅トラック(copper track)を含む。
【0030】
一実施形態において、センシング手段は、照明器具のハウジングの少なくとも一部内の圧力を示す機能パラメータとして、ハウジングの少なくとも一部に加えられる機械的な力(mechanical force)を感知するように構成される。例えば、センシング手段は、ハウジングの少なくとも一部に加えられる機械的な力を感知するためのピエゾ抵抗体であることができる。照明器具のハウジングの外側の圧力と比較したハウジングの少なくとも一部内の圧力変化に由来し得る、機械的な力が、ピエゾ抵抗体に影響を与える場合、ピエゾ抵抗体は、機械的な力に依存して電圧を受動的に生成する。
【0031】
好ましい実施形態において、ハウジングは、フレキシブル部分として、ゴムリングを含む。ゴムリングは、水浸入に対して照明器具を密閉するように構成されることができる。例えば、ハウジングが2つの部分から成る場合、ゴムリングは、2つの部分の間に位置付けられ、水浸入に対してハウジングの内部構造を密閉するように構成されることができる。例えば、照明器具のハウジングの内側と外側との間の圧力差によってゴムリングに加えられる機械的な力を感知するように構成される、センシング手段、好ましくは、少なくとも1つのピエゾ抵抗体は、ゴムリングと直接接触して位置付けられることができる。好ましい実施形態において、ハウジングは、照明器具のハウジングの内側と外側との間の圧力差がハウジングの少なくとも2つの部分を互いに押し付ける圧力につながる、少なくとも2つの部分を含む。この実施形態では、少なくとも2つの部分間の圧力がハウジング内の圧力のインジケータとして測定されることができるように、センシング手段が設けられることが好ましい。例えば、少なくとも2つの部分が、これらの間にゴムリングを含む場合、ピエゾ抵抗体が、ゴムリングの下、すなわち、ハウジングの2つの部分の一方とゴムリングとの間に位置付けられることができる。
【0032】
一実施形態において、センシング手段は、機能パラメータとして、照明器具の温度を示すパラメータを感知するように構成される。照明器具の温度は、照明器具のハウジングの少なくとも一部内で、ハウジング内の温度センシング手段によって測定されることができる。好ましくは、照明器具の温度は、照明器具のハウジング内で測定され、内部温度の値は、内部温度の以前に測定された値又は温度の所定のベースラインと比較されることができる。さらに、水侵入決定ユニットは、照明器具の外部温度に関する情報を受けるように構成されることができ、水侵入決定ユニットは、外部温度にさらに基づいて、例えば、外部温度と内部温度との比較に基づいて水侵入を決定するように構成されることができる。
【0033】
一実施形態において、照明器具の温度を示す機能パラメータは、ある動作状態から別の動作状態への照明ユニットの変化時に測定される温度プロファイルを指す。温度プロファイルは、照明器具のハウジングの少なくとも一部内の温度を示す一連の値を含み、温度値は、好ましくは、照明ユニットの2つの異なる動作状態間の変換(translation)を含む期間において、連続的に測定される。上述したように、動作状態は、照明ユニットのオン状態若しくはオフ状態、又は照明ユニットの任意の調光状態を指すことができる。動作状態は、照明ユニットのオン状態又はオフ状態の両方を参照する照明ユニットの状態を指すこともでき、例えば、照明ユニットの動作状態は、照明ユニットのダウンローディング状態と比較した照明ユニットの完全スリープ状態であることができる。動作状態の変化は、照明器具の任意の動作状態から照明器具の任意の他の動作状態への変化を指すことができる。例えば、温度プロファイルは、ある調光状態から別の調光状態への、又はある調光状態からオフ状態への変化時に測定されることができる。ある動作状態から別の動作状態への変化時の温度の展開、すなわち、温度プロファイルは、照明器具の内部構造への水浸入を示すことができる。例えば、照明器具への水浸入は、照明器具の熱慣性(thermal inertia)、すなわち、動作状態の変化に起因する温度の変化に対するその反応性(reactiveness)を変化させ得る。この場合、水侵入決定ユニットは、例えば、現在測定された温度プロファイルと以前に測定された温度プロファイルとを比較することによって、又は勾配、最大値、最小値等、温度プロファイルの特性を決定し、水浸入を決定するために所定の機能的関係を適用することによって、温度プロファイルに基づいてこの熱慣性の変化を決定するように構成されることができる。好ましくは、水侵入決定ユニットは、感知された温度プロファイルと温度プロファイルの所定のベースラインとを比較することによって照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成され、プロファイルの所定のベースラインは、照明器具の内部構造に水が存在しない場合に温度センシング手段によって感知される。追加的に又は代替的に、水侵入決定ユニットは、照明器具の異なる水侵入状態について温度プロファイルを予測するために温度モデルを使用するように構成される。この場合、水侵入決定ユニットは、温度プロファイルと温度モデルに起因する少なくとも1つの温度プロファイルとを比較することによって、例えば、温度モデルに起因する温度プロファイルに対する感知された温度プロファイルの偏差を決定することによって水侵入を決定するように構成される。
【0034】
好ましい実施形態において、照明器具システムはさらに、照明器具システムの一部である又は照明器具システムの外部である別の照明器具に関する機能パラメータを提供するように構成される機能パラメータ提供ユニット(functional parameter providing unit)を含み、水侵入決定ユニットは、提供された機能パラメータを受ける、及び、提供された機能パラメータにさらに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される。機能パラメータ提供ユニットは、別の照明器具、好ましくは、複数の他の照明器具の機能パラメータを提供するように構成され、水侵入決定ユニットは、他の照明器具又は複数の他の照明器具の複数の提供された機能パラメータに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される。他の照明器具又は複数の他の照明器具は、照明器具システムの一部であることができ、又は照明器具システムの外部である、例えば、別の照明器具システムの一部であることができる。
【0035】
機能パラメータ提供ユニットは、他の照明器具又は複数の他の照明器具の提供された機能パラメータを受けるためのレシービングユニットであることができる。追加的に又は代替的に、機能パラメータ提供ユニットは、他の照明器具、好ましくは、複数の他の照明器具の提供された機能パラメータを記憶する記憶ユニットであることもでき、例えば、機能パラメータ提供ユニットは、クラウドストレージの形態で設けられることができる。追加的に又は代替的に、水侵入決定ユニットは、水侵入決定ユニットが機能パラメータ提供ユニットであると見なされることができるように、他の照明器具、好ましくは、複数の照明器具の提供された機能パラメータを受けるように構成されることができる。機能パラメータ提供ユニットは、照明器具の構造的部分として、例えば、照明器具のハウジング内に設けられることができ、又は照明器具と構造的に別個に、例えば、照明器具のセンシング手段及び/又は水侵入決定ユニットと通信する計算システムの一部として設けられることができる。
【0036】
好ましい実施形態において、照明器具の水侵入決定ユニットは、例えば、異常検出アルゴリズムを適用することによって、他の照明器具の提供された機能パラメータにさらに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される。好ましくは、水侵入決定ユニットは、照明器具からの機能パラメータ、例えば、温度プロファイルと、少なくとも1つの他の照明器具又は複数の照明器具の提供された機能パラメータとを比較することによって照明器具のうちの1つの内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される。一般に、複数の照明器具のうち、ごく少数の照明器具のみが水浸入によって影響を受け、他の照明器具は、異なる照明器具間の変化を監視することによって水浸入を決定するための良い根拠(good basis)を提供することが期待され得る。さらに、照明器具の機能特性は、外部条件、例えば、気象条件等によって影響を受ける。このような条件は、水浸入に起因せず外部条件に起因する実験室で決定されたベースラインに比べた機能パラメータの差異が、複数の照明器具の機能パラメータを比較する際に認識されることができるように、特定のエリアにおける複数の照明器具のすべての照明器具についてほぼ同じである。斯くして、外部条件に起因するこのような差異は、水浸入を決定する際に考慮されることができ、斯くして、水浸入は、より正確に決定されることができる。好ましくは、複数の他の照明器具の機能パラメータが提供される場合、水侵入決定ユニットは、機能パラメータの監視、照明器具の相対位置に関する情報、及び/又は環境情報に基づいて、例えば、同じ環境条件にさらされる他の照明器具からの、複数の提供された機能パラメータから選択するように構成される。例えば、水侵入決定ユニットは、各照明器具の環境温度情報に基づいて、ある照明器具のグループは日陰にほとんど設けられ、別の照明器具のグループは日中の一部において集中的な太陽光にさらされていることを決定するように構成されることができる。この場合、水侵入決定ユニットは、照明器具の機能パラメータと、同じ照明器具グループに属する1つ以上の照明器具の機能パラメータとを比較することによって照明器具の内部構造への水侵入を決定するように構成されることができる。
【0037】
好ましい実施形態において、照明器具は、2つ以上の機能パラメータを感知するように構成されるセンシング手段を含む。とりわけ、センシング手段は、第1の機能パラメータとして、ハウジングの少なくとも一部内の圧力を示すパラメータ、及び、第2の機能パラメータとして、照明器具のハウジングの同じ部分内の温度を示すパラメータを感知するように構成されることができる。照明器具の内部構造の少なくとも一部内の圧力を示すパラメータと、照明器具の内部構造の少なくとも同じ部分内の温度を示すパラメータとの間の関係は、理想気体の法則PV=nRTによって経験的に(empirically)計算されることができる。ここで、Pは圧力であり、Vは体積であり、nは物質量であり、Rは理想気体定数であり、Tは温度である。この場合、水侵入決定ユニットは、圧力Pと温度Tの関係に基づいて照明器具のハウジングの内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成されることができる。好ましくは、水侵入決定ユニットは、この関係と、照明器具のハウジングの内部構造に水が存在しない場合について理想気体の法則に基づいて決定された値とを比較することによって水侵入を決定するように構成される。別の好ましい変形例では、理想気体の法則は、照明ユニットの動作状態に関する圧力プロファイルと温度プロファイルの関係を監視するために使用されることもでき、この場合、水侵入は、照明ユニットの動作状態に関して決定されたベースライン圧力及び温度プロファイルと比較した感知された圧力及び温度プロファイルの偏差に基づいて決定される。
【0038】
一実施形態において、照明器具のハウジングの少なくとも一部内の湿度を示す湿度パラメータを感知するように構成されるさらなるセンシング手段が設けられ、水浸入決定ユニットは、湿度パラメータにさらに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入を決定するように構成される。湿度パラメータは、ハウジングの少なくとも一部内の湿度、すなわち、ハウジングの一部内の空気中に存在する水の量を示すことができる。しかしながら、湿度パラメータは、ハウジング内の空気中に存在しない、すなわち、結露したハウジングの少なくとも一部に存在する水の量を示すこともできる。とりわけ、湿度パラメータは、ハウジングの少なくとも一部における絶対湿度又は相対湿度を示す。絶対湿度Hと相対湿度Hとの関係は、August-Roche-Magnusの式及び理想気体の法則から導出されることができ、H=cH/Tによって記述される。ここで、Tは温度であり、cはハウジング内部で一定である物理定数及びパラメータを含む。密閉されたハウジングにおいて、絶対湿度は一定であり、それゆえ、相対湿度が温度とともに変化する。
【0039】
一実施形態において、絶対湿度は、以下によって計算されることができる:
【0040】
ここで、Pは無限温度における蒸気分圧、Hは水の蒸発エンタルピー、Rは気体定数、MH20は水の分子量、Tは温度であり、H及びHはパーセントで与えられる。とりわけ、絶対湿度を計算するために、以下の値が使用されることができる:P=1.002・1011N/m、H=42809J/mol、R=8.3145J/(K・mol)、MH2O=0.0180153kg/mol。水浸入決定ユニットは、この関係を利用して、ハウジングがまだ密閉されているか、すなわち、まだ関係を満たしているか、又は、関係がもはや満たされなくなるような水浸入が発生したかを決定するように構成されることができる。好ましくは、センシング手段は、温度センシング手段も含み、水浸入決定ユニットは、照明ユニットの動作状態に関して、温度センシング手段及びさらなる湿度センシング手段によってそれぞれ感知される、温度プロファイル及び湿度プロファイルを監視するように構成される。この場合、水侵入決定ユニットは、照明ユニットの動作状態に関して、湿度プロファイルと組み合わせた温度プロファイルに基づいて、照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成されることができる。とりわけ、照明器具のハウジングの少なくとも一部への水浸入は、ハウジング内部の温度応答、すなわち、ハウジング外部の温度の変化に起因するハウジング内部の温度の変化が遅延される(retarded)ように、照明器具の熱質量を増加させる。一実施形態において、ハウジング内部の温度プロファイル及び湿度プロファイルは、ある時間範囲にわたって監視され、温度プロファイル及び湿度プロファイルは、例えば、照明器具を温める太陽の位置に起因して、ある時間範囲にわたって特定の形状を有する。閉じたハウジングにおいて、温度プロファイルと湿度プロファイルとの関係は、上記の関係によって定義されるように記述されることができ、この関係は、モデルとして使用されることができる。この場合、水浸入は、特定の時間範囲における温度プロファイル及び湿度プロファイルの関係のモデルと、現在測定された温度及び湿度とを比較することにより水浸入決定ユニットによって決定されることができる。
【0041】
一実施形態において、ハウジングは、ハウジングに存在する水がシンクホールに蓄積するように設けられるシンクホール(sinkhole)を含み、さらなるセンシング手段が、シンクホールにおける水の存在を感知するように構成される。シンクホールは、例えば、ハウジングの少なくとも一部に浸入した水を集めるための容積を含む上部で開口し下部で閉じられるキャビティとして理解されることができる。とりわけ、内面及び外面を有する壁を含むハウジングは、ハウジングの少なくとも一部において結露したある量の水が、例えば、結露した水に作用する重力によって移動して、シンクホールに到達することができるように形作られる。例えば、水は、液体の水として又は気体の水としてハウジングの少なくとも一部に侵入することができ、気体の水の場合、水分子は、ハウジングに侵入することができる空気中に分布している。このような場合、水はハウジングの内面に結露し、重力によってシンクホールの方向に引き下げられ得ることにより、水は、ハウジングの壁の内面に及び/又はシンクホール内に蓄積する。好ましくは、シンクホールは、水が重力を受けることによってのみシンクホールに到達することができるように、地面に対してハウジングの最も深いポイントを含む。
【0042】
さらなるセンシング手段は、シンクホール内の水の存在によって影響を受けるシンクホールに含まれるボリュームの機能特性を感知することができる任意のセンシング手段であることができる。例えば、さらなるセンシング手段は、電子回路に接続され、機能特性として、シンクホール内の水の存在によって影響を受けるシンクホールに含まれるボリュームのコンダクティビティ及び/又は抵抗が監視されることができるようにシンクホールに位置付けられる電極を含むことができる。好ましくは、機能特性を示す機能パラメータは、電極及び電子回路によって感知される抵抗又はキャパシタンスであることができる。機能パラメータは、シンクホールに含まれ、シンクホール内の水によって影響を受けるボリュームの機能特性に関連する任意の他の電気量であることもできる。この場合、水侵入決定ユニットは、シンクホールにおける湿度、この場合、水の測定結果にさらに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される。例えば、シンクホールにおいて測定される水の量は、水侵入決定の信頼性を決定する又は水侵入決定の精度を高めるために他の機能パラメータから決定される水の量と比較されることができる。
【0043】
シンクホールに追加的に又は代替的に、ハウジングは、モイスチャ保持基体(moisture holding substrate)を含み、さらなるセンシング手段は、モイスチャ保持基体の電気パラメータを感知することによって湿度パラメータを感知するように構成されることができる。モイスチャ保持基体は、環境からモイスチャ、すなわち、水を取り込むように構成される任意の基体であることができる。好ましい実施形態において、モイスチャ保持基体は、塩又は導電性プラスチックポリマを含む。モイスチャ保持基体は、ハウジングの少なくとも一部に位置付けられる。さらなるセンシング手段は、モイスチャ保持基体にモイスチャとして取り込まれる水の量によって影響を受けるモイスチャ保持基体のキャパシタンス又は抵抗等の電気量を監視するための電極及び電子回路を含むことができる。好ましい実施形態において、電極は、モイスチャ保持基体が電極によって挟まれるように配置される。代替的に、電極は、モイスチャ保持基体を間にして並べて配置されることもできる。この場合、水侵入決定ユニットは、電極の感知された機能パラメータに基づいて、モイスチャ保持基体が位置付けられるハウジングの内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される。
【0044】
本発明の第2の態様によれば、照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入を決定するための方法であって、当該方法は、a)照明ユニットと、照明ユニットの少なくとも一部を収容するハウジングとを含む照明器具の機能パラメータの測定を行うステップであって、機能パラメータは、照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入によって影響を受ける照明器具の機能特性を示す、ステップと、b)感知された機能パラメータに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するステップとを含む、方法が提供される。
【0045】
本発明のさらなる態様によれば、照明器具への水浸入を決定するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムは、コンピュータに本発明による方法を実行させるプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0046】
照明器具システム、方法及びコンピュータプログラムは、同様及び/又は同一の好適な実施形態、とりわけ、従属請求項に記載されるような実施形態を有することを理解されたい。
【0047】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであり得ることも理解されたい。
【0048】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、照明器具システムを概略的且つ例示的に示す。
図2図2は、照明器具への水浸入を決定するための方法を概略的且つ例示的に示す。
図3図3A~3Cは、本発明の好ましい実施形態のある態様を概略的且つ例示的に示す。
図4図4A~4Cは、本発明の好ましい実施形態のある態様を概略的且つ例示的に示す。
図5図5は、本発明の好ましい実施形態のある態様を概略的且つ例示的に示す。
図6図6は、照明器具への水浸入を決定するための一実施形態の原理を示すグラフを概略的且つ例示的に示す。
図7図7A及び図7Bは、モイスチャ保持基体を含む本発明の別の好ましい実施形態の一態様を概略的且つ例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、改善された持続性及び安全性を有する照明器具システム100を概略的且つ例示的に示している。照明器具システム100は、光107を提供するための照明ユニット101を含む。照明ユニット101は、例えば、LEDと、LEDを制御するための及びLEDに電力を供給するための回路とを含むことができる。しかしながら、照明ユニット101は、光107を提供することができる任意の他の光源を含むこともできる。任意選択的に、照明ユニット101は、例えば、専用ハードウェアとして、又は一般的な計算デバイス上で動作するソフトウェアとして実現される制御ユニットも含み、制御ユニットは、照明ユニット101を制御するように、とりわけ、照明ユニット101によって提供される光107を制御するように構成される。しかしながら、制御ユニットは、照明ユニット101によって提供される場合、照明ユニット101の他の機能性を制御するように構成されることもできる。
【0051】
さらに、照明器具システム100は、この例では、LEDと、照明ユニット101の一部としてLEDとともに設けられる回路の少なくとも一部とを包含するハウジング102を含む。好ましくは、ハウジング102は、透明な部分、例えば、図1に示されるドーム状の部分と、照明ユニット101が取り付けられることができ、少なくとも照明ユニット及びハウジングによって形成される照明器具に安定性を与えるコンストラクションベース(construction basis)と見なされることができる、非透明な部分、例えば、図1に示される照明ユニット101の下方の部分とを含む。一般に、ハウジング102は、照明器具の意図されたアプリケーション及びそれぞれの照明器具のために選択される固定システムに基づいて決定及び選択される多種多様な形態及び設計をとることができる。さらに、照明器具システム100、とりわけ、照明ユニット101及びハウジング102によって規定される照明器具は、少なくともセンシング手段103を含み、センシング手段103は、照明器具の内部構造への、例えば、照明器具のハウジング102への及び/又は照明ユニット101の回路への水侵入によって影響を受ける照明器具の機能特性を示す機能パラメータを感知するように構成される。センシング手段103によって測定される機能パラメータは、照明器具の機能特性に対する水浸入の影響を推論することを可能にする任意のパラメータを指すことができる。例えば、機能パラメータは、照明器具のハウジング102内で測定される温度を指すことができ、機能パラメータとしてセンシング手段103によって提供される温度の測定における変化は、照明器具のハウジング102に浸入した水を示すことができる。しかしながら、他の機能パラメータ、例えば、照明器具のハウジング102内の圧力、照明器具のハウジング102の変形等のパラメータもセンシング手段103によって測定されることができる。センシング手段103は、センシング手段103によって測定されるべき機能パラメータに応じて実現されることができる。例えば、機能パラメータがハウジング102内の温度を指すように選択される場合、センシング手段103は、任意の既知の温度センサ、例えば、サーモカップル(thermocouple)によって具現化されることができる。さらに、照明器具の機能特性として圧力が検出されるべきである場合、センシング手段103は、ハウジング102内の圧力、又は圧力差を決定することを可能にする任意の圧力センサ、例えば、ピエゾ電気センサ(piezoelectric sensor)によって具現化されることができる。
【0052】
照明器具システム100はさらに、専用のハードウェアとして、又は一般的な計算システム上で動作するソフトウェアとして実現されることができる水浸入決定ユニット104を含む。水侵入決定ユニット104は、照明器具の一部として設けられることができ、例えば、照明器具の照明ユニット101を制御するための回路を提供するためにも利用される回路基板に組み込まれることができる。しかしながら、水侵入決定ユニット104は、照明器具の外側、とりわけ、ユーザデバイス等、異なるデバイスに設けられることもできる。好ましい実施形態において、水侵入決定ユニット104は、スマートフォン、サーバ、ラップトップ等、ユーザ計算システム上で動作するソフトウェアアプリケーションとして実現される。一般に、水侵入決定ユニット104は、照明器具システム100のセンシング手段103によって感知される機能パラメータを受けることができるように構成される。例えば、水侵入決定ユニット104は、直接、例えば、回路基板に設けられる有線接続を介して、又はセンシング手段103と水侵入決定ユニット104との間の無線接続を介して、又は照明器具がセンシング手段103によって測定される機能パラメータを提供するサーバ、感知された機能パラメータが既に記憶されているストレージ、センシング手段103を水侵入決定ユニット104と接続するゲートウェイ等、中間システムを利用する非直接接続を介して、センシング手段103と接続されることができる。任意選択的に、水侵入決定ユニット104はさらに、キーボード、スイッチ、接触センサ等の入力ユニット105、及び/又はディスプレイ、光出力システム、音声出力システム等の出力ユニット106を含むことができる。
【0053】
水侵入決定ユニット104は、1つ以上の感知された機能パラメータに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される。例えば、水侵入決定ユニット104は、感知された機能パラメータと、照明器具の内部構造の少なくとも一部に存在する、例えば、ハウジング102に存在する水の量との機能的関係を利用することができる。このような機能的関係は、機能的関係を記憶するストレージから水侵入決定ユニット104に提供されることができる。一般に、このような機能的関係は、例えば、コンストラクションサイト(construction site)において、同じタイプの照明器具を用いて行われる実験に基づいて決定されることができる。このコンテキストにおいて、照明器具の複数の機能パラメータが、照明器具のハウジング102内に存在する異なる水の量で測定されることができる。このような測定から、機能的関係が、既知の統計的方法で決定されることができ、例えば、数学的関係、ルックアップテーブル、又は、水侵入決定ユニット104により、センシング手段103によって測定される機能パラメータに適用されることができるルールのセットの形態で提供されることができる。
【0054】
水侵入決定ユニット104の水侵入決定の結果は、例えば、照明器具の少なくとも一部内に存在する水の絶対量又は相対量を決定することを指すことができる。しかしながら、結果は、照明器具の少なくとも一部内に水が存在するか否かに関する単純な決定であることもできる。水侵入決定の結果は、水侵入決定ユニット104によって、例えば、出力ユニット106を利用して、ユーザに提供されることができ、例えば、照明器具に水が侵入していることを示す可視又は可聴出力を指すことができる。さらに、出力は、水浸入によって照明器具の機能がどの程度深刻な影響を受ける可能性があるかについての推定、照明器具又は照明器具の部品の修理又は交換のためにユーザが設置者に連絡すべきか否か等、決定された水浸入に関する追加の情報を提供することを指すこともできる。追加的に又は代替的に、水浸入決定ユニット104は、例えば、照明器具のコントローラ、とりわけ、照明ユニット101のコントローラが、水浸入決定の結果を利用して照明器具、とりわけ、照明器具の照明ユニット101を制御することができるように、照明器具との有線又は無線通信を介して、水浸入決定の結果を照明器具自身に提供するように構成されることもできる。例えば、水侵入決定ユニット104が、水侵入決定の結果として、照明器具の内部構造に存在する水の量が、例えば、短絡が発生する可能性に起因して、安全性リスクをもたらす可能性があると決定する場合、この情報は、照明器具のコントローラによって、照明器具の電源のスイッチオフを引き起こすために利用されることができる。一実施形態において、水侵入決定結果は、コントローラによって、水侵入決定結果に基づいて照明ユニット101を制御するために利用されることもできる。例えば、コントローラは、水侵入決定結果に基づいて照明ユニット101によって提供される光107の光強度を適応させる、すなわち、増加又は減少させるように構成されることができる。さらに、例えば、コントローラによる、照明ユニット101の制御は、例えば、照明ユニット101によって提供される光107の色を変えることにより、照明ユニット101によって提供される光107のある種類の点滅パターンを提供することにより等、あるタイミングで、例えば、照明ユニット101をオンした直後のタイミングで、ユーザに水侵入決定結果を示すために利用されることもできる。
【0055】
図2は、照明器具への水浸入を決定するための方法を概略的且つ例示的に示している。方法200は、照明器具、例えば、図1に関して述べられるような照明器具の機能パラメータの測定値を提供する第1のステップ210を含む。測定値は、例えば、照明器具のセンシング手段103によって提供されることができる。しかしながら、測定値は、例えば、センシング手段103の測定値を記憶する記憶ユニットとして実現されることができる測定値提供ユニットによって提供されることもできる。さらに、方法は、例えば、上述のような水浸入決定ユニット104を利用して、感知された機能パラメータに基づいて照明器具の内部構造の少なくとも一部への水浸入を決定するステップ220を含む。任意選択的に、方法200はさらに、例えば、照明器具の照明ユニット101又は水侵入決定ユニット104の出力ユニット106を利用して、水侵入決定の結果をユーザに提供するステップを含むことができる。追加的に又は代替的に、方法はまた、例えば、照明ユニット101のコントローラを利用して、水侵入決定の結果に基づいて照明器具の照明ユニット101を制御するステップを含むこともできる。
【0056】
以下では、いくつかの好ましい実施形態が、より詳細に述べられる。好ましい実施形態において、センシング手段103は、機能パラメータとして、湿度によって誘発される圧力差の増大によって引き起こされる照明器具のハウジング102の変形を監視するように構成される。一般に、照明器具、例えば、ハウジング102の密閉は、正の変動、すなわち、過圧、及び負の変動、すなわち真空の両方について、圧力変動を高速で低減する照明器具の能力を強く低減する。照明器具がオン及びオフする際に圧力差が生じることは一般に知られている。さらに、このような圧力差は、密閉された照明器具が、外部環境へのリーク経路の存在のインジケータとなることができる圧力差を保持できるかどうかを判断するために利用されることができることも一般に知られている。
【0057】
このコンテキストにおいて、水浸入は、リーク経路の提示とは無関係に、照明器具の一般的な圧力変動挙動(general pressure fluctuation behavior)を修正することも観察されることができる。斯くして、一実施形態において、センシング手段103は、機能パラメータとして、圧力プロファイル、より好ましくは圧力差プロファイル、すなわち、照明器具内、例えば、ハウジング102内の圧力をある期間にわたって、好ましくは24時間にわたって監視することから得られる、照明器具、例えば、ハウジング102の内部と、照明器具の外部との間の圧力差のプロファイルを提供するように構成されることが好ましい。この場合、水侵入決定ユニット104は、圧力プロファイルと、照明器具の内部構造内に水が存在しない場合に決定される、例えば、照明器具の設置直後に決定されるベースライン圧力プロファイルとを比較するように構成される。この比較に基づいて、とりわけ、2つのプロファイル間の差に基づいて、水侵入決定ユニット104は、水侵入が発生したかどうか、すなわち、水が照明器具に存在するかどうかを決定するように構成されることができる。
【0058】
一実施形態において、センシング手段103は、機能パラメータとして、圧力を実際に測定することなく照明器具の圧力プロファイルを提供するように構成される。図3A~3Cは、一実施形態を示し、センシング手段103は、図3Aに示されるように、ハウジング102の照明器具表面301に変形せずに置かれるひずみゲージ302を指す。正及び負の変形について図3B及び図3Cに概略的に示されるように、ひずみゲージ302の変形を利用して、外部環境に対する圧力差に起因する照明器具ハウジング102の変形が測定されることができる。図3A~3Cに示されるように、センシング手段としてのひずみゲージ302は、導電体304の電気特性が決定されることができる導電体304の端部における端子303を備える導電体304のひずみ感応パターン(strain sensitive pattern)を備えることが好ましい。図3Bに示されるように、張力をもたらすハウジング102の変形は、ひずみゲージ302の伸長、それゆえ導体304'の狭まり(narrowing)、斯くして、端子303における電気抵抗の増加をもたらし、一方、図3Cに示されるように、圧縮をもたらす変形は、ひずみゲージ302の短縮、それゆえ導体304''の増厚(thickening)、斯くして、端子303における電気抵抗の減少をもたらす。それゆえ、ひずみゲージ302は、照明器具の内部と照明器具の外部との間の圧力差を測定するための簡単で単純な可能性を提供する。
【0059】
好ましい実施形態において、照明器具ハウジング102の一部は、圧力差に起因する変形を強化するために、ハウジング102の残りの部分よりも柔軟であるように提供される。この場合、センシング手段103は、より柔軟な部分、すなわち、この変形可能な照明器具の部分の表面に、例えば、単純なひずみゲージとして作用する銅トラックの形態で置かれることができる。
【0060】
センシング手段103は、この例では、図4A~4Cに示されるように、MEMS圧力センサの形態で提供されることもできる。この例では、ひずみゲージの原理に従って構成されるピエゾ抵抗センサ412が、より柔軟な部分411とハウジング410の残りの部分との間のエッジに適用される。好ましくは、MEMSセンサの場合、より柔軟な部分411は、変形420によって、柔軟な部分411のエッジにおけるピエゾ抵抗センサ412のピエゾ抵抗を変える薄いシリコン膜を指す。
【0061】
ひずみゲージの代替例として、ピエゾ抵抗体も、外部環境との圧力差に起因するある照明器具ハウジング部分にかかる機械的な力を測定するために検出手段103として利用されることができる。ピエゾ抵抗体は、受動的に、それが経験する機械的変形の程度に依存する電圧を生成する。
【0062】
図5は、典型的な水密照明器具ハウジング500の一実施形態を示している。水密照明器具ハウジングにおいて、典型的には、柔軟なゴムシール510が、ハウジングの異なる部分530、520の間に設けられ、ハウジングを水密にするために用いられる。この実施形態では、ゴムシール510の一部は、例えば、ピエゾ抵抗体の形態で、センシング手段103を備えることができる。ゴムシール510の一般的に柔軟な性質に起因して、外部環境に対する正の圧力差がある場合、ゴムシール510は、ハウジングの2つの部分530、520の方向に機械的に膨張されることになり、この膨張(expansion)が、センシング手段103によって測定されることができる。特定の実施形態において、例えば、ピエゾ抵抗体の形態の、センシング手段103は、ゴムシール510と直接接触して置かれ、斯くして、シールの膨張を測定するように構成されることができ、ゴムシール510の膨張の程度は、照明器具の内部と外部との間の圧力差を示す。別の特定の実施形態では、図5を参照して示される照明器具カバー、すなわち、シールへの下向きの力が、機能パラメータとして測定されることができる。例えば、照明器具への外圧が照明器具内の内圧よりも高い場合、これは、照明器具カバー530、すなわち、上部ハウジング部分への力をもたらす。この場合、センシング手段103は、機能パラメータとして、この力を監視するように構成されることができ、センシング手段103は、ゴムシール510の直下、すなわち、ゴムシール510とハウジングの一部、例えば、下部ハウジング部分520との間に置かれるピエゾ抵抗体であることができる。追加的に又は代替的に、追加の機械的部分、例えば、ポールが、上部ハウジング部分530と下部ハウジング部分520との間に垂直に位置付けられることができる。ハウジングへの又はハウジングの部品への圧力が増加する場合、このポールの下、すなわち、ポールとハウジング530、520の一部との間に位置するセンシング手段103、例えば、ピエゾ抵抗体は、実質的な圧力差の存在を検出するように構成されることができる。これらの測定値に基づいて、水浸入決定ユニット104は、水浸入を推論するように構成されることができる。
【0063】
一実施形態において、ハウジングの少なくとも一部の内側及び外側の経時的な圧力差の展開が測定される。圧力差は、例えば、閉じたハウジングの場合、ベースライン圧力差が特定の形状で記録され得るような、太陽光による周囲温度の温度変化等の環境変化によって引き起こされ得る。例えば、ベースライン圧力差は、日の出及び日の入に依存する毎日繰り返される形状を含む。実質的に閉じたハウジングの場合、圧力差は、実質的に漏れているハウジングと比較してはるかに高く、ハウジングの少なくとも一部における漏れているハウジング(leaky housing)に由来する水浸入は、ベースライン圧力差からの圧力差の偏差を決定することによって決定されることができる。
【0064】
一実施形態において、理想気体の法則は、水浸入を決定するために水浸入決定ユニットによって利用されることができる。理想気体の法則は、経験的フォーム(empirical form)で以下のように書かれることが多い。
PV=nRT
ここで、P、V及びTは、それぞれ、圧力、体積及び温度であり、nは物質量であり、Rは理想気体定数である。密閉された照明器具の場合、気体の体積は定義上一定であるが、気体の温度及び圧力は変化し得る。例えば、照明器具、とりわけ、照明ユニットがオン状態からオフ状態に遷移した後、照明ユニット及び電源回路による熱放散は停止する。したがって、照明器具の内部温度は、照明器具及び外部環境の両方の温度に依存する、特定の温度及び圧力のプロファイルに従って低下することになる。照明器具への水浸入は、照明器具の状態の変化時の温度及び圧力プロファイルを変える。例えば、照明器具が水浸入を被っている場合、照明器具のクールダウンフェーズ中に気体がハウジングから出る及び入ることになる。斯くして、器具、すなわち、照明器具に水が存在する場合、照明器具のハウジング内の熱及び圧力プロファイルは、例えば、照明器具の製品リリース時に、水の存在なしで記録された、又は水侵入事象(water ingress event)が発生する前に現場でこの特定の照明器具について以前に測定された、通常のベースラインプロファイルから逸脱することになる。上述したように、圧力プロファイルは、センシング手段によって、複数のやり方で、例えば、MEMS圧力センサを利用して監視されることができる。温度プロファイルを監視するために、センシング手段は、代替的に又は追加的に、それぞれの温度センサ、例えば、サーモカップルを備えることができる。
【0065】
さらに、照明器具のハウジング内の蓄積された水又は湿った空気は、照明器具の熱質量、すなわち、それぞれの温度刺激に関してその温度を適応させる照明器具の能力を高めることができることが観察されている。したがって、乾燥した照明器具のベースラインと比較すると、水の存在は、例えば、照明器具の機能状態が変更される場合に照明器具の温度変化の速度を遅くすることになる。例えば、異なる調光レベル、すなわち、調光状態間の遷移のイベントにおいて、照明器具が新しい温度に適応する速度は減少されることになる。斯くして、水の存在は、照明器具の温度遷移プロファイルに影響を与えることができる。
【0066】
したがって、一実施形態において、センシング手段は、照明器具内の機能パラメータとして、温度プロファイル、すなわち、経時的な温度を測定するように構成される。例えば、センシング手段が、ハウジング内に位置するマイクロコントローラにおける組み込み温度センサ、又は照明器具内の専用サーモカップルを指す場合、温度プロファイルは容易に測定されることができる。さらに、湿度及び温度の両方が、例えば1つのMEMSセンサを指す、センシング手段によって測定されることが好ましい。MEMSセンサのコンパクトな寸法は、照明ユニットにおける既存の電子回路との単純な統合(simple integration)を可能にする。
【0067】
図6は、密閉された照明器具の実験結果を示している。ダイアグラム600は、密閉された屋外照明器具のオン/オフ調光遷移611、612、613及び様々な調光ステップ611'、612'、613'を表す照明器具のハウジング内の3つの異なる内部温度センサによって記録される異なる温度応答曲線の熱モデルを示している。熱モデルは、測定された温度応答曲線の非常に良好なフィット(very well fit)を提供するので、元の測定された温度応答曲線は、熱モデル曲線の「背後に」見えない。Y軸602は温度を表し、X軸601は時間を表す。遷移時に照明器具の環境で測定される、外気温度610、すなわち、環境温度は、図の下部に示されている。
【0068】
各ケースについて測定された内部温度から、照明器具の調光状態遷移に対する応答の経験的熱モデル(empirical thermal model)が、各遷移について作成されることができる。照明ユニットをオフ状態からオン状態に切り替える場合、照明ユニットエンジン及びドライバが熱を放散するため、照明器具内部の温度はある温度だけ高められることになる。温度は時間の関数として指数関数的に上昇する。同じ原理は、照明ユニットをスイッチオフする場合に照明器具の内部がクールダウンする場合にも用いられることができる。例えば、オン/オフ遷移時の温度について、モデルは、以下の式を適用する及び測定された温度プロファイルから式のそれぞれの定数を決定することによって、測定された温度プロファイルから決定されることができる:
ここで、Tは温度、tは時間、Tは初期状態における照明器具内部の温度、Tendは切り替えられる状態における照明器具内部の温度、τは時定数を指す。この熱平衡状態に達するまでの時間は、時定数τを決定する照明器具の熱容量に依存する。Tend-Tは、照明ユニットエンジン及びドライバが熱を放散することに起因する、オン/オフ遷移に起因するある温度上昇/低下を記述する。漏れ照明器具(leaking luminaire)の場合、実際の温度プロファイルは、熱モデルに基づく予想プロファイルから逸脱することになる。例として、図6に示される実験結果について、熱モデルは、以下を指す:
【0069】
ここで、インデックスiは、それぞれの測定を指す。min(-t,0)演算子は、正のtの場合、指数曲線の一部を用いて昇温をモデル化することを可能にし、負のtの場合、モデル関数の結果は一定で、初期温度T又はTi0を指す。
【0070】
上記で指摘したように、水浸入は照明器具の熱特性を変化させることになり、したがって、器具、すなわち、照明器具が新しい調光状態に遷移した後に記録される測定された動的温度プロファイルは、水浸入なしで測定されるモデル化されたベースラインプロファイルから逸脱し始めることになる。斯くして、水侵入決定ユニットは、照明器具の2つの機能状態間の遷移時に測定された温度プロファイルと、この遷移のモデル化されたベースラインプロファイルとの比較に基づいて水侵入を決定するように構成されることができる。
【0071】
図6に示されるように、モデル化されたベースライン温度プロファイルは、異なる照明器具調光状態間の遷移時にセンシング手段によって測定される温度の正確なフィット(accurate fit)を提供する。それゆえ、水侵入決定ユニットは、例えば、ハウジングにおける漏れに起因する、水侵入及び/又は空気漏れを推測するために、ここでは温度センサである、センシング手段によって測定される温度プロファイルに変化検出アルゴリズムを適用するように構成されることが好ましい。3つの異なるセンサ位置によって図6に示されるように、この実施形態では、センシング手段の配置は重要ではなく、センシング手段は、照明器具の内部構造内の温度を推測することが可能な任意の位置に設けられることができる。
【0072】
図7A及び7Bは、モイスチャ保持基体を含む本発明の別の好ましい実施形態の一態様を概略的且つ例示的に示す。この実施形態において、照明器具におけるセンシング手段は、湿度センサ700であり、好ましくは、モイスチャ保持基体703を挟む上部電極701及び下部電極702を含む。モイスチャ保持基体703は、好ましくは、塩又は導電性プラスチックポリマであり、ガラス基体704上に電極701、702とともに位置付けられることができる。モイスチャ保持基体703は、電極701、702間のコンダクティビティが増加されるように、水蒸気、すなわち、湿った空気の水分子がモイスチャ保持基体703に吸収される場合にイオンを放出する。2つの電極701、702間の抵抗の変化は、照明器具のハウジングの少なくとも一部における相対湿度に比例する。相対湿度が高いと、電極701、702間の抵抗が減少し、相対湿度が低いと、電極701、702間の抵抗が増加する。
【0073】
一実施形態において、水侵入決定ユニットは、経験的熱モデルを利用して照明器具の内部構造内のセンシング手段の温度測定値に基づいて外気温度を推定するように構成されることができる。この場合、水侵入決定ユニットは、照明器具の推定された外気温度が実際の外気温度と異なる場合に照明器具の内部構造内に水が存在すると決定するように構成されることができる。実際の外気温度は、例えば、気象サービスへの接続によって、又は近傍にあり、水侵入決定ユニットと通信する他の照明器具によって決定される平均外気温度によって、水侵入決定ユニットに提供されることができる。
【0074】
一実施形態において、水侵入決定ユニットは、蓄積された水の程度と同様に照明器具内部の温度の関数として照明器具内部の相対湿度を決定するように構成されることができる。日中温度が上昇する場合、より多くの水が徐々に蒸発し、冷却効果につながる可能性がある。蓄積された水は完全に蒸発する可能性がある。水がすべて蒸発した場合、照明器具の湿度プロファイル及び温度プロファイルは明確なキンク(distinct kink)を示し、照明器具内部の温度がさらに上昇する場合に相対湿度は低下することになる。キンクの存在に基づいて、水浸入の量が推測されることができ、例えば、適度な水浸入(moderate water ingress)は、日中蒸発するが、照明器具内部の温度が下がる場合に戻り、大量の水の水浸入は、照明器具の熱質量を大きく変化させる。相対湿度は、照明器具内部の結露の洞察も与える。ハウジングの漏れ(leakage)が、閉じた照明器具ハウジング及び漏れている照明器具ハウジングにおける結露の発生も測定されることができるように、照明器具の外部温度を知る必要なく測定されることができる利点がある。
【0075】
一実施形態において、水侵入決定ユニットは、単にいくらかの結露をもたらすだけの軽微な水侵入事象も決定するように構成されることができる。一般に、ある照明器具の内部で結露が発生することを推測するために、照明器具ボリューム内部の相対湿度がいつ、どこで100%に達するかの理解が利用されることができる。結露は、例えば、温度、照明器具の内部構造内に存在する水蒸気の量、密閉された照明器具ボリュームから周囲に向かう水蒸気拡散に対する抵抗(resistance)に依存する。照明器具の内部と外部との間の温度差は、照明器具の内部構造内のコールドスポット結露(cold-spot condensation)につながり得る。照明器具の内部と外部との間のこのような温度差は、外気温度又は照明器具の内部温度のいずれか、又は両方の変化によってトリガされ得る。場合によっては、例えば、夏の暑い日の突然の雷雨の場合等、外部温度変化はいっそう劇的であり得る。照明器具内部の温度が急速に低下する場合、照明器具の内部構造における相対湿度が上昇し、内部の水蒸気が外部環境と十分に速く交換されることができない場合、例えば、ハウジングの総ボリューム及び周囲温度低下に応じて、照明器具内部の結露が発生することになる。この場合、結露は、照明器具内部の最も低い温度を有するエリアで発生することになる。
【0076】
一実施形態において、劇的な温度変化をもたらす外部事象(例えば、雷雨)は、結露を引き起こす可能性が最も高く、したがって、提案されるセンシング方法が、特定の照明器具が水を蓄積しているかどうかを評価するための良い機会を提供する。例えば、シンクホールの内部温度、湿度及び/又は抵抗率の測定値等の機能パラメータ測定値は、所定の期間、例えば、何週間及び/又は何ヶ月にもわたって記録されることができる。この場合、一連の雷雨等の類似の外部事象は、機能パラメータのそれぞれの測定値の類似の形状をもたらし得、一方、事象、例えば、雷雨の類似性は、インターネット又は付近の追加の気象センサ等、別のソースからのローカル気象データに基づいて判断されることができる。このような場合、変化検出アルゴリズムが、類似の事象中に照明器具特性の変化が生じたか否か検出するために適用されることができ、水浸入の時間を示すこのような変化がいつ生じたかが、水浸入決定ユニットによって導出されることができる。照明器具の熱及び/又は圧力挙動の変化は、それまでは照明器具内部が乾燥していたが、水浸入が生じたことを示す。任意選択的に、例えば、街路又は都市にある、同一の照明器具のグループのデータが、照明器具のうちの1つに変化が生じたかどうかを識別するために使用されてもよい。
【0077】
一実施形態において、好ましくは相対的に近傍に位置する、多数の照明器具からの機能パラメータが記録され、異常検出アルゴリズムが記録された測定値に適用されることができる。記録、すなわち、他の照明器具の機能パラメータは、機能パラメータ提供ユニットによって水浸入決定ユニットに提供される及び/又は記憶されることができる。水浸入は照明器具のごく一部でのみ発生する稀な事象であるため、水浸入を被る照明器具の機能パラメータは、他の「健康な」照明器具からの機能パラメータの大部分と大きく異なることになる。教師なし異常検出技術、教師付き異常検出技術又は半教師付き異常検出技術等、異なる異常検出技術が、水浸入決定ユニットによって適用されてもよい。教師なし異常検出技術は、様々な照明器具からの測定データセットにおけるインスタンスの大部分が正常であるという仮定の下で、データセットの残りに最もフィットしていないと思われるインスタンスを探すことによって、ラベル付けされない測定データセットにおける異常を検出することを含む。教師付き異常検出技術は、あるデータセットを「正常」とラベル付けし、別のデータセットを「異常」とラベル付けし、さらなるデータセットを「正常」又は「異常」と分類するようにアルゴリズムを訓練することを含む。半教師付き異常検出技術は、上述した両方の技術のステップを含むことができる。
【0078】
一実施形態において、センシング手段は、追加的に、結露した水又はモイスチャを直接測定するように構成されることができる。このような実施形態において、照明器具、とりわけ、ハウジングは、低温に起因して湿った空気が結露する場合、結露した水が、例えば重力によって、シンクホールに集められるように構成される。シンクホールは、水の存在についてセンシング手段によって監視される。この場合、センシング手段は、例えば、水の存在によって2つのパッド間に短絡を生じさせる、電子回路に接続される2つのパッドを指すことができる。しかしながら、シンクホールの代わりに、モイスチャ又は水保持基体が、照明器具に設けられることもできる。この場合、センサ手段は、水又はモイスチャ保持基体と接触して置かれる2つの電極を指すことができ、センシング手段は、水又モイスチャ保持基体の抵抗を監視することができる。この場合、水侵入決定ユニットは、センシング手段によって行われる測定値を使用して凝縮水(condensed water)の存在を検出するように構成されることができる。さらに、水侵入決定ユニットは、機能パラメータに基づく水侵入決定の結果を検証するために、直接測定された凝縮水を使用するように構成されることができる。とりわけ、水侵入決定ユニットは、機能パラメータに基づいて照明器具の内部構造における水の量を決定する際に、直接決定された凝縮水の結果を追加的に考慮するように構成されることができる。例えば、凝縮水の量、水蒸気の量、及び照明器具の機能パラメータ間の機能的関係が、水侵入決定ユニットによって利用されることができる。
【0079】
上述した実施形態において、照明ユニットは、光源としてLEDを含むが、例えば、ハロゲンランプ、蛍光灯等、任意の他の照明ユニットも使用されることができる。
【0080】
図1の実施形態において、照明器具のハウジングは、透明な部分としてドーム状の部分を含むが、照明器具の他の実施形態では、例えば、例示的にインロードライト(in-road light)として使用されることができるスポットライト等、ハウジングの透明な部分は平面であることもできる。
【0081】
上述した実施形態において、水浸入は、照明器具のハウジングにおいて決定されることが多いが、水浸入は、ハウジングの一部のみ、ハウジング全体、ハウジングの内部構造等において決定されることもできる。
【0082】
上述した実施形態において、照明器具システムは1つの照明器具のみを含むことが多いが、照明器具システムは、複数の照明器具を含むこともできる。このような場合、複数の照明器具は、例えば、道、道路等を照らすタスクを一緒に実行する、又は、例えば、脱出口若しくは非常口等の方向に道路利用者を誘導するために使用されることが好ましい。さらに、照明器具システムは、例えば、照明器具システムのネットワークの一部として、他の照明器具システムと通信するように構成されることもできる。両方の実施形態において、照明器具の水浸入決定ユニットは、2つ以上の照明器具の機能パラメータを受け、異なる照明器具の機能パラメータの比較に基づいて照明器具への水浸入を決定するように構成されることが好ましい。
【0083】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。
【0084】
請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。
【0085】
単一のユニット又はデバイスが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0086】
1つ又は複数のユニット又はデバイスによって実行される、照明器具への水浸入の決定、照明器具の照明ユニットの制御等のプロシージャは、任意の他の数のユニット又はデバイスによって実行されることができる。これらのプロシージャは、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は専用ハードウェアとして実装されることができる。
【0087】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体等、好適な媒体において記憶/頒布されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システム等を介して、他の形態で頒布されてもよい。
【0088】
請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0089】
本発明は、照明ユニットと、照明ユニットの少なくとも一部を収容するハウジングであって、照明ユニット及びハウジングは照明器具の一部である、ハウジングと、ハウジングに又はハウジング内に位置付けられるセンシング手段であって、センシング手段は、照明器具の少なくとも一部への水浸入によって影響を受ける照明器具の機能特性を示す機能パラメータを感知するように構成される、センシング手段とを含む、照明器具システムに関する。さらに、照明器具システムは、感知された機能パラメータに基づいて照明器具の少なくとも一部への水侵入を決定するように構成される水侵入決定ユニットを含む。斯くして、照明器具の持続性及び安全性が改善されるように、水が照明器具を損傷し得る前に照明器具への水浸入を決定することを可能にする照明器具システムが提供される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】