(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-19
(54)【発明の名称】熱機関
(51)【国際特許分類】
F01K 25/06 20060101AFI20231012BHJP
F01K 27/00 20060101ALI20231012BHJP
F01D 1/32 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
F01K25/06
F01K27/00 Z
F01D1/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023514886
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 IL2021051061
(87)【国際公開番号】W WO2022049573
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399042535
【氏名又は名称】テクニオン・リサーチ・アンド・ディベロップメント・ファウンデーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ロスチャイルド,カーメル
(72)【発明者】
【氏名】カッセル,ジョゼフ
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA20
3G081BB10
3G081BC00
3G081BD00
(57)【要約】
熱を機械的仕事に変換するための方法であって、第1の温度の流入伝熱流体(HTF)を混合チャンバに供給することと、第2の温度の流入圧縮気体を混合チャンバに供給することと、気体とHTFの混合を可能にし、気体とHTFの混合物を生成することと、気体とHTFの混合物中のHTFが気体を加熱し、気体とHTFの混合物中の気体が等温膨張することを可能にすることと、気体とHTFの混合物の体積を制限し、これにより、気体の圧力を増加させ、気体とHTFの混合物の流れを加速させることと、気体とHTFの混合物をノズルから噴出させ、これにより、HTFの熱を運動エネルギーに変換することと、運動エネルギーを使用して機械的仕事を発生させることと、を含む方法である。関連する装置及び方法も説明される。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を機械的仕事に変換するための方法であって、
第1の温度の流入伝熱流体(HTF)を混合チャンバに供給することと、
第2の温度の流入圧縮気体を前記混合チャンバに供給することと、
前記気体と前記HTFの混合を可能にし、気体とHTFの混合物を生成することと、
前記気体とHTFの混合物中の前記HTFが前記気体を加熱し、前記気体とHTFの混合物中の前記気体が等温膨張することを可能にすることと、
前記気体とHTFの混合物の体積を制限し、これにより、前記気体の圧力を増加させ、前記気体とHTFの混合物の流れを加速させることと、
前記気体とHTFの混合物をノズルから噴出させ、これにより、前記HTFの熱を運動エネルギーに変換することと、
前記運動エネルギーを使用して機械的仕事を発生させることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記機械的仕事は、発電機を駆動するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械的仕事は、前記流入圧縮気体を圧縮するための圧縮機を駆動するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流入HTFの前記第1の温度は、摂氏90度を超えている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記流入気体の前記第2の温度は、前記第1の温度よりも低い、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記流入気体を供給すること、前記流入HTFを供給すること、及び前記気体とHTFの混合物がノズルを通って流れることを可能にすることは、
流入気体を複数の混合チャンバに供給することと、
流入HTFを前記複数の混合チャンバに供給することと、
前記気体とHTFの混合物が複数のノズルを通って流れることを可能にすることと、
前記複数のノズルの運動を使用して仕事を発生させることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記気体は、前記HTFによって準等容加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記気体は、前記HTFによって等容加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記運動エネルギーの生成は、
前記流入圧縮気体の圧力、
流入気体の流量、
流入HTFの流量、
前記ノズルのサイズ、及び
前記ノズルの形状、
からなる群から選択されたパラメータを制御することによって制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
機械的仕事を発生させるための装置であって、
伝熱流体(HTF)を受け入れるためのHTF入力ポートと、
気体を前記HTFに注入するための気体注入ポートと、
前記気体と前記HTFを混合して気体とHTFの混合物を生成するためのチャンバと、
前記気体とHTFの混合物を噴出するためのノズルと、
ロータと、
を備える熱機関を含み、前記熱機関は1つ又は複数のノズルを備え、前記1つ又は複数のノズルを通じて前記気体とHTFの混合物が噴出するとき、前記気体とHTFの混合物の噴出に反作用してロータが回転し、これにより機械的仕事が生じる、装置。
【請求項11】
前記装置は、
複数の熱機関と、
複数のノズルと、
を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ロータは、複数のアームを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記熱機関は、摂氏200度を超える温度のHTFに耐えるように設計される、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記熱機関は、溶融塩を含むHTFに耐えるように設計される、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記熱機関は、前記気体とHTFの混合物のキャビテーションを防ぐように設計される、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
熱機関を動作させるための方法であって、
伝熱流体(HTF)を熱機関に供給することと、
気体を熱機関に供給することと、
気体とHTFの混合物中の前記気体の等温膨張を可能にすることで前記熱機関内の前記HTFを加速させることと、
前記加速されたHTFを使用して仕事を発生させることと、
を含む方法。
【請求項17】
前記等温膨張は準等温膨張である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記等温膨張又は準等温膨張を可能にする前に、前記気体の等容加熱を誘起する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記熱機関は、ノズルを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記HTFを供給することは、摂氏50度を超える温度のHTFを供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記HTFを供給することは、周囲温度のHTFを供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
気体と前記HTFを混合することは、周囲圧力よりも高い圧力の気体を供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
気体と前記HTFを混合することは、周囲温度よりも高い温度の気体を供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
気体と前記HTFを混合することは、周囲温度の気体を供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
気体と前記HTFを混合することは、周囲温度よりも高い温度の気体を供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記発生した仕事は、気体を加圧するために使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記熱機関を出る高温気体は、前記HTFを加熱するために使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記熱機関を出る高温気体は、さらなる熱機関を駆動するために使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
熱機関であって、
伝熱流体(HTF)のための入力部と、
気体を前記HTFに注入するための気体注入器と、
前記気体とHTFの混合物中の前記気体を等温膨張させることで前記熱機関内の前記HTFを加速させるための区域と、
前記気体とHTFの混合物の出力部と、
を含む熱機関。
【請求項30】
前記気体とHTFの混合物中の前記気体を等容加熱するための区域を含む、請求項29に記載の熱機関。
【請求項31】
前記熱機関は、前記気体を前記等温膨張させるための前記熱機関の徐々に狭くなる区域を含む、請求項29に記載の熱機関。
【請求項32】
前記熱機関は、前記気体を等容加熱するための前記熱機関の区域を含む、請求項29に記載の熱機関。
【請求項33】
前記熱機関は、前記HTFを流すノズルを含む、請求項29に記載の熱機関。
【請求項34】
前記エンジンは、加圧気体を前記気体注入器に供給するための動力を提供するべく機械的に接続される、請求項29に記載の熱機関。
【請求項35】
前記エンジンは、加圧気体を前記気体注入器に供給するために加圧気体に動力を与えるべく電気を生成するように接続される、請求項29に記載の熱機関。
【請求項36】
回転力を生み出す方法であって、
請求項29に記載の熱機関を少なくとも1つのロータアームに取り付けることと、
前記ロータアームを回転させるべく流体と加圧気体を前記熱機関に供給することと、
を含む方法。
【請求項37】
流体を供給することは、周囲温度を超える温度の加熱流体を供給することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
加圧気体を供給することは、加圧気体を供給し、前記気体とHTFの混合物の前記出力部の半径方向距離よりも小さいロータアームの回転軸からの半径方向距離で前記加圧気体を前記流体に注入することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
加圧気体を供給することは、加圧気体を供給し、前記気体とHTFの混合物の前記出力部への流体入力部よりも前の位置で前記加圧気体を前記流体に注入することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記加圧気体を前記流体に注入する位置は、前記アームに沿って外方へ流れる流体の流れがHTF供給源からHTFを前記アームに吸い込むのを妨げないように選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記加圧気体を前記流体に注入する位置は、前記アームに沿って外方へ流れるHTFが気体を前記気体とHTFの混合物の前記出力部の方にドラッグするように選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
熱機関を動作させる方法であって、
第1の温度及び第1の圧力の気体を加熱チャンバに供給することと、
伝熱流体(HTF)からの熱伝達によって前記加熱チャンバ内の前記気体を前記第1の温度よりも高い第2の温度に等容加熱し、これにより、前記気体の圧力を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に上昇させることと、
前記加熱及び加圧された気体をHTFが入っている圧力チャンバに供給することと、
前記圧力を使用してHTFの流れを生み出してエンジンを動作させることと、
を含む方法。
【請求項43】
前記HTFと前記加熱及び加圧された気体を前記圧力チャンバ内で混合することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記エンジンから出る前記HTFを収集することと、
前記収集したHTFを前記圧力チャンバに戻すことと、
を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
ソーラーパネル、
集光型太陽光レシーバ、
地熱源、
電気ヒータ、
化学発熱反応、
機械的摩擦、及び
廃熱、
からなる群から選択された熱源を使用することによって前記HTFを加熱することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記エンジンは、周囲圧力の前記気体を気体チャンバ内で前記第1の圧力で圧縮するためのエネルギーを提供し、前記第1の温度及び前記第1の圧力の前記気体を前記加熱チャンバに供給することは、前記HTFチャンバから供給することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記HTFは、
水、
オイル、
溶融塩、及び
溶融金属、
からなる群から選択された流体を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
熱を機械的仕事に変換するための方法であって、
流入伝熱流体(HTF)を混合チャンバに供給することと、
流入圧縮気体を前記混合チャンバに供給することと、
前記気体と前記HTFの混合を可能にし、気体とHTFの混合物を生成することと、
前記気体とHTFの混合物中の前記気体の等温膨張を可能にし、これにより、前記気体の圧力を低下させ、前記気体とHTFの混合物の流れを加速させることと、
前記気体とHTFの混合物をノズルから噴出させ、これにより、前記HTFの熱を運動エネルギーに変換することと、
前記運動エネルギーを使用して電気を生成することと、
を含む方法。
【請求項49】
連続的に等温圧縮する方法であって、
伝熱流体(HTF)をHTFフローパイプのHTF入力部に供給することと、
前記パイプを回転させ、これにより、前記HTFに遠心力を生じさせて前記入力部から第2のより遠位の半径方向位置に流れさせることと、
前記パイプの気体入力部に気体を供給し、これにより、前記気体と前記HTFを混合し、前記パイプの前記回転によって生じる遠心力の増加により、前記気体が前記パイプに沿って流れる際に前記気体が圧縮されることと、
圧縮熱を前記HTFに伝達することによって、圧縮中に前記気体が温度を維持できるようにすることと、
を含む方法。
【請求項50】
システムであって、
第1の温度及び第1の圧力の気体を収容する加熱チャンバと、
前記気体を加熱し、これにより、前記気体の温度及び前記気体の圧力を上昇させるためのヒータと、
前記加熱及び加圧された気体を受け入れるように構成され、伝熱流体(HTF)を収容する圧力チャンバであって、前記HTFと前記気体を混合するための混合要素と、前記気体の等温膨張を伴う加速された速度で前記HTFが出るための開口部とを備える、圧力チャンバと、
加速されたHTFを受け入れ、仕事を発生させるように構成されたエンジンと、
を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年9月4日に出願された米国特許仮出願第63/074,485号の一部継続出願である2021年5月6日に出願された米国特許仮出願第63/184,928号の一部継続出願であり、これらの内容はすべて、それらの全体が本明細書に十分に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、熱機関に関し、より具体的には、しかし排他的にではなく、気体と流体の混合物を使用して熱機関を動作させるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
さらなる背景技術としては、以下が挙げられる:
Varshayらの米国特許第5,598,700、
論文“Innovative Concepts for High-Speed Underwater Propulsion”,Alon Gany,International Journal of Energetic Materials and Chemical Propulsion,17(2):83-109(2018)、及び
論文“Theoretical Performance Evaluation of a Marine Solid Propellant Water‐Breathing Ramjet Propulsor”, Nachum E. Eisen and Alon Gany, J. Mar. Sci. Eng. 2020, 8, 8; doi:10.3390/jmse8010008。
【0004】
上記の及び本明細書の全体にわたるすべての参考文献の開示、並びに、それらの参考文献で言及されたすべての参考文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、外部熱機関に関し、より具体的には、しかし排他的にではなく、気体と流体の混合物を使用して外部熱機関を動作させるためのシステム及び方法に関する。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、熱を機械的仕事に変換するための方法であって、第1の温度の流入伝熱流体(HTF)を混合チャンバに供給することと、第2の温度の流入圧縮気体を混合チャンバに供給することと、気体とHTFの混合を可能にし、気体とHTFの混合物を生成することと、気体とHTFの混合物中のHTFが気体を加熱し、気体とHTFの混合物中の気体が等温膨張することを可能にすることと、気体とHTFの混合物の体積を制限し、これにより、気体の圧力を増加させ、気体とHTFの混合物の流れを加速させることと、気体とHTFの混合物をノズルから噴出させ、これにより、HTFの熱を運動エネルギーに変換することと、運動エネルギーを使用して機械的仕事を発生させることと、を含む方法が提供される。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態によれば、機械的仕事は、発電機を駆動するために使用される。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態によれば、機械的仕事は、流入圧縮気体を圧縮するための圧縮機を駆動するために使用される。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態によれば、流入HTFの第1の温度は、摂氏90度を超えている。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態によれば、流入気体の第2の温度は、第1の温度よりも低い。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によれば、流入気体を供給すること、流入HTFを供給すること、及び気体とHTFの混合物がノズルを通って流れることを可能にすることは、流入気体を複数の混合チャンバに供給することと、流入HTFを複数の混合チャンバに供給することと、気体とHTFの混合物が複数のノズルを通って流れることを可能にすることと、複数のノズルの運動を使用して仕事を発生させることを含む。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体は、HTFによって準等容加熱される。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体は、HTFによって等容加熱される。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態によれば、運動エネルギーの生成は、流入圧縮気体の圧力、流入気体の流量、流入HTFの流量、ノズルのサイズ、及びノズルの形状からなる群から選択されたパラメータを制御することによって制御される。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、機械的仕事を発生させるための装置であって、伝熱流体(HTF)を受け入れるためのHTF入力ポートと、気体をHTFに注入するための気体注入ポートと、気体とHTFを混合して気体とHTFの混合物を生成するためのチャンバと、気体とHTFの混合物を噴出するためのノズルと、ロータとを備える熱機関を含み、熱機関は1つ又は複数のノズルを含み、1つ又は複数のノズルを通じて気体とHTFの混合物が噴出するとき、気体とHTFの混合物の噴出に反作用してロータが回転し、これにより機械的仕事が生じる、装置が提供される。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態によれば、装置は、複数の熱機関と、複数のノズルを含む。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ロータは複数のアームを含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関は、摂氏200度を超える温度のHTFに耐えるように設計される。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関は、溶融塩を含むHTFに耐えるように設計される。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関は、気体とHTFの混合物のキャビテーションを防ぐように設計される。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、熱機関を動作させるための方法であって、伝熱流体(HTF)を熱機関に供給することと、気体を熱機関に供給することと、気体とHTFの混合物中の気体の等温膨張を可能にすることで熱機関内のHTFを加速させることと、加速されたHTFを使用して仕事を発生させることとを含む、方法が提供される。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態によれば、等温膨張は準等温膨張である。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態によれば、等温膨張又は準等温膨張を可能にする前に、気体の等容加熱を誘起する。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関はノズルを含む。
【0025】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFを供給することは、摂氏50度を超える温度のHTFを供給することを含む。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFを供給することは、周囲温度のHTFを供給することを含む。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体とHTFを混合することは、周囲圧力よりも高い圧力の気体を供給することを含む。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体とHTFを混合することは、周囲温度よりも高い温度の気体を供給することを含む。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体とHTFを混合することは、周囲温度の気体を供給することを含む。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体とHTFを混合することは、周囲温度よりも高い温度の気体を供給することを含む。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態によれば、発生した仕事は、気体を加圧するために使用される。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関を出る高温気体は、HTFを加熱するために使用される。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関を出る高温気体は、さらなる熱機関を駆動するために使用される。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、熱機関であって、伝熱流体(HTF)のための入力部と、気体をHTFに注入するための気体注入器と、気体とHTFの混合物中の気体を等温膨張させることで熱機関内のHTFを加速させるための区域と、気体とHTFの混合物の出力部とを含む、熱機関が提供される。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体とHTFの混合物中の気体を等容加熱するための区域を含む。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関は、気体を等温膨張させるための熱機関の徐々に狭くなる区域を含む。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関は、気体を等容加熱するための熱機関の区域を含む。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関は、HTFを流すノズルを含む。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは、加圧気体を気体注入器に供給するための動力を提供するべく機械的に接続される。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは、加圧気体を気体注入器に供給するために加圧気体に動力を与えるべく電気を生成するように接続される。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、回転力を生み出す方法であって、請求項30~請求項35のいずれか一項に記載の熱機関を少なくとも1つのロータアームに取り付けることと、ロータアームを回転させるべく流体と加圧気体を熱機関に供給することと、を含む方法が提供される。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態によれば、流体を供給することは、周囲温度を超える温度の加熱流体を供給することを含む。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体を供給することは、加圧気体を供給し、ノズルの半径方向距離よりも小さいロータアームの回転軸からの半径方向距離で加圧気体を流体に注入することを含む。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体を供給することは、加圧気体を供給し、ノズルへの流体入力部よりも前の位置で加圧気体を流体に注入することを含む。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体を流体に注入する位置は、アームに沿って外方へ流れる流体の流れがHTF供給源からHTFをアームに吸い込むのを妨げないように選択される。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体を流体に注入する位置は、アームに沿って外方へ流れるHTFが気体をノズルの方にドラッグするように選択される。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、熱機関を動作させる方法であって、第1の温度及び第1の圧力の気体を加熱チャンバに供給することと、伝熱流体(HTF)からの熱伝達によって加熱チャンバ内の気体を第1の温度よりも高い第2の温度に等容加熱し、これにより、気体の圧力を第1の圧力よりも高い第2の圧力に上昇させることと、加熱及び加圧された気体をHTFが入っている圧力チャンバに供給することと、前記圧力を使用してHTFの流れを生み出してエンジンを動作させることと、を含む方法が提供される。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFと加熱及び加圧された気体を圧力チャンバ内で混合することを含む。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンから出るHTFを収集することと、収集したHTFを圧力チャンバに戻すことを含む。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ソーラーパネル、集光型太陽光レシーバ、地熱源、電気ヒータ、化学発熱反応、機械的摩擦、及び廃熱からなる群から選択された熱源を使用することによってHTFを加熱することを含む。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは、周囲圧力の気体を気体チャンバ内で第1の圧力で圧縮するためのエネルギーを提供し、第1の温度及び第1の圧力の気体を加熱チャンバに供給することは、HTFチャンバから供給することを含む。
【0052】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFは、水、オイル、溶融塩、及び溶融金属からなる群から選択された流体を含む。
【0053】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、熱を機械的仕事に変換するための方法であって、流入伝熱流体(HTF)を混合チャンバに供給することと、流入圧縮気体を混合チャンバに供給することと、気体とHTFの混合を可能にし、気体とHTFの混合物を生成することと、気体とHTFの混合物中の気体の等温膨張を可能にし、これにより、気体の圧力を低下させ、気体とHTFの混合物の流れを加速させることと、気体とHTFの混合物をノズルから噴出させ、これにより、HTFの熱を運動エネルギーに変換することと、運動エネルギーを使用して電気を生成することと、を含む方法が提供される。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、連続的に等温圧縮する方法であって、伝熱流体(HTF)をHTFフローパイプのHTF入力部に供給することと、パイプを回転させ、これにより、HTFに遠心力を生じさせて入力部から第2のより遠位の半径方向位置に流れさせることと、パイプの気体入力部に気体を供給し、これにより、気体とHTFを混合し、パイプの回転によって生じる遠心力の増加により、気体がパイプに沿って流れる際に気体が圧縮されることと、圧縮熱をHTFに伝達することによって、圧縮中に気体が温度を維持できるようにすることと、を含む方法が提供される。
【0055】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、システムであって、第1の温度及び第1の圧力の気体を収容する加熱チャンバと、気体を加熱し、これにより、気体の温度及び気体の圧力を上昇させるためのヒータと、加熱及び加圧された気体を受け入れるように構成され、伝熱流体(HTF)を収容する圧力チャンバであって、HTFと気体を混合するための混合要素と、気体の等温膨張を伴う加速された速度でHTFが出るための開口部とを備える、圧力チャンバと、加速されたHTFを受け入れ、仕事を発生させるように構成されたエンジンと、を含むシステムが提供される。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、熱機関を動作させるための方法であって、伝熱流体(HTF)を熱機関の入力区域に供給することと、入力区域の下流の熱機関の注入区域で気体とHTFを混合することと、気体とHTFの混合物中の気体の等温膨張を可能にすることで熱機関内のHTFを加速させることと、加速されたHTFを使用して仕事を発生させることと、を含む方法が提供される。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態によれば、等温膨張を可能にする前に、気体の等容加熱を誘起する。
【0058】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体の等容加熱を可能にする前に、気体の等温圧縮を誘起する。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関はノズルを含む。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFを供給することは、摂氏0度を超える温度のHTFを供給することを含む。
【0061】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFを供給することは、摂氏50度を超える温度のHTFを供給することを含む。
【0062】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFを供給することは、摂氏250度を超える温度のHTFを供給することを含む。
【0063】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体とHTFを混合することは、周囲圧力よりも高い圧力の気体を供給することを含む。
【0064】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体とHTFを混合することは、周囲温度よりも高い温度の気体を供給することを含む。
【0065】
本開示のいくつかの実施形態によれば、発生した仕事は、気体を加圧するために使用される。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態によれば、発生した仕事は、電気の生成を含む。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態によれば、発生した仕事は、機械的仕事の生成を含む。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、熱機関であって、伝熱流体(HTF)のための入力部と、気体をHTFに注入するための気体注入器と、気体とHTFの混合物中の気体を等温膨張させることで熱機関内のHTFを加速させるための区域と、気体とHTFの混合物の出力部とを含む、熱機関が提供される。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体とHTFの混合物中の気体を等容加熱するための区域を含む。
【0070】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関は、気体を等温膨張させるための熱機関の徐々に狭くなる区域を含む。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関は、気体を等容加熱するための熱機関の区域を含む。
【0072】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱機関は、HTFを流すノズルを含む。
【0073】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加熱HTFの供給源を含む。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体の供給源を含む。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは、加圧気体を気体注入器に供給するための動力を提供するべく機械的に接続される。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、回転力を生み出す方法であって、ノズルを少なくとも1つのロータアームに取り付けることと、ロータアームを回転させるべく流体と加圧気体をノズルに供給することと、を含む方法が提供される。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加熱流体を供給することは、周囲温度を超える温度の加熱流体を供給することを含む。
【0078】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体を供給することは、加圧気体を供給し、ノズルの半径方向距離よりも小さいロータアームの回転軸からの半径方向距離で加圧気体を流体に注入することを含む。
【0079】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体を供給することは、加圧気体を供給し、ノズルへの流体入力部の位置よりも前の位置で加圧気体を流体に注入することを含む。
【0080】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体を流体に注入する位置は、アームに沿って外方へ流れる流体の流れがHTF供給源からHTFをアームに吸い込むのを妨げないように選択される。
【0081】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体を流体に注入する位置は、アームに沿って外方へ流れるHTFが気体をノズルの方にドラッグするように選択される。
【0082】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、熱機関を動作させる方法であって、第1の温度及び第1の圧力の気体を加熱チャンバに供給することと、伝熱流体(HTF)からの熱伝達によって加熱チャンバ内の気体を第1の温度よりも高い第2の温度に等容加熱し、これにより、気体の圧力を第1の圧力よりも高い第2の圧力に上昇させることと、加熱及び加圧された気体をHTFが入っている圧力チャンバに供給することと、前記圧力を使用してHTFの流れを生み出してエンジンを動作させることと、を含む方法が提供される。
【0083】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFと加熱及び加圧された気体を圧力チャンバ内で混合することを含む。
【0084】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFと加熱及び加圧された気体を圧力チャンバに格納することを含む。
【0085】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンはタービンを含む。
【0086】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンから出るHTFを収集することと、収集したHTFを圧力チャンバに戻すことを含む。
【0087】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ソーラーパネル、集光型太陽光レシーバ、地熱源、電気ヒータ、化学発熱反応、機械的摩擦、及び廃熱からなる群から選択された熱源を使用することによってHTFを加熱することを含む。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは、周囲圧力の気体を加熱チャンバ内で第1の圧力で圧縮するためのエネルギーを提供する。
【0089】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは、周囲圧力の気体を気体チャンバ内で第1の圧力で圧縮するためのエネルギーを提供し、第1の温度及び第1の圧力の気体を加熱チャンバに供給することは、HTFチャンバから供給することを含む。
【0090】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体は空気である。
【0091】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体は窒素である。
【0092】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFは、水、オイル、溶融塩、及び溶融金属からなる群から選択された流体を含む。
【0093】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第2の温度は、370ケルビンを超えている。
【0094】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、システムであって、第1の温度及び第1の圧力の気体を収容する加熱チャンバと、気体を加熱し、これにより、気体の温度及び気体の圧力を上昇させるためのヒータと、加熱及び加圧された気体を受け入れるように構成され、伝熱流体(HTF)を収容する圧力チャンバであって、HTFと気体を混合するための混合要素と、気体の等温膨張を伴う加速された速度でHTFが出るための開口部とを備える、圧力チャンバと、加速されたHTFを受け入れ、仕事を発生させるように構成されたエンジンと、を含むシステムが提供される。
【0095】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加圧気体とHTFを圧力チャンバ内で混合するためのミキサをさらに含む。
【0096】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンを出るHTFを収集するためのHTFチャンバをさらに含む。
【0097】
本開示のいくつかの実施形態によれば、収集したHTFを圧力チャンバに送るためのポンプをさらに含む。
【0098】
本開示のいくつかの実施形態によれば、HTFチャンバから圧力チャンバにポンプで送られるHTFを加熱するための熱源をさらに含む。
【0099】
本開示のいくつかの実施形態によれば、熱源は、ソーラーパネル、集光型太陽光レシーバ、電気ヒータ、化学発熱反応、機械的摩擦、地熱、及び廃熱からなる群から選択された熱源を含む。
【0100】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンはタービンを有する。
【0101】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは電気を生成する。
【0102】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは機械的仕事を発生させる。
【0103】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは気体を圧縮する。
【0104】
本開示のいくつかの実施形態によれば、加熱チャンバ内の気体を加圧するためのポンプに接続された、電気を提供するエンジンを含む。
【0105】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第1の温度及び第1の圧力の気体を加熱チャンバに供給する前に、気体を第1の温度及び第1の圧力で格納するための気体チャンバをさらに含む。
【0106】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体チャンバ内の気体を加圧するためのポンプに接続することによって電気を提供するエンジンを含む。
【0107】
本開示のいくつかの実施形態によれば、エンジンは、気体チャンバ内の気体を加圧するためのポンプを駆動するべく機械的に接続される。
【0108】
本開示のいくつかの実施形態によれば、気体チャンバからの加圧気体を格納するために気体チャンバに接続されたさらなるチャンバを含む。
【0109】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び/又は科学用語は、本開示が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書での記載と同様又は同等の方法及び材料を本開示の実施形態の実施又はテストに使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に説明する。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が優先される。さらに、材料、方法、及び例は、単なる例示であって、必ずしも限定することを意図していない。
【0110】
本開示のいくつかの実施形態が、添付の図面を参照しながら単なる例として本明細書で説明される。ここで特に図面を詳細に参照すると、示されている詳細は、例として、本開示の実施形態の例証となる議論を目的としていることが強調される。これに関して、図面を用いた説明は、本開示の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【
図1A】例示的な実施形態に係る方法の簡略化されたフローチャートを示す図である。
【
図1B】例示的な実施形態に係る方法の簡略化されたフローチャートを示す図である。
【
図1C】例示的な実施形態に係る熱機関の簡略化されたブロック図である。
【
図1D】例示的な実施形態に係る熱機関の簡略化されたブロック図である。
【
図2】例示的な実施形態のP-V図及びT-S図である。
【
図4A】例示的な実施形態に係る真空の生成によって熱を仕事に変換するためのシステムの簡略図である。
【
図4B】例示的な実施形態に係るエネルギー生成システムで使用される熱機関の簡略図である。
【
図4C】例示的な実施形態に係る加熱流体と気体を混合するためのチャンバの使用の簡略図である。
【
図4D】例示的な実施形態に係る2つのチャンバの使用の簡略図である。
【
図4E】例示的な実施形態に係る加熱流体と気体を混合するためのチャンバの使用の簡略図である。
【
図4F】例示的な実施形態に係る2つのチャンバの使用の簡略図である。
【
図5】例示的な実施形態に係るノズルを熱機関として使用することの簡略図である。
【
図6】例示的な実施形態に係るエネルギー生成設定で使用される例示的な実施形態の熱機関の簡略図である。
【
図7A-7D】例示的な実施形態に係るジェットエンジンのような構成の熱機関の簡略図である。
【
図8A】例示的な実施形態に係る複数のジェットエンジンのような構成の装置の簡略図である。
【
図8B】例示的な実施形態に係る反作用装置の簡略図である。
【
図8C】例示的な実施形態に係る反作用装置の簡略図である。
【
図9】例示的な実施形態に係る反作用と衝動を組み合わせた構成の熱機関タービンの簡略図である。
【
図10A】例示的な実施形態に係る気体を連続的に等温圧縮するための装置の簡略図である。
【
図10B】例示的な実施形態に係る気体を連続的に等温圧縮するための装置の簡略図である。
【
図11】例示的な実施形態に係る熱機関と圧縮空気発生器の組み合わせを使用するエネルギー生成システムの簡略図である。
【
図12A】例示的な実施形態に係る空気又は気体を追加していない場合のウォータージェットの写真である。
【
図12B】例示的な実施形態に係る空気又は気体を追加した場合のウォータージェットの写真である。
【
図13】例示的な実施形態に係る方法の簡略化されたフローチャートを示す図である。
【
図14】例示的な実施形態に係るシステムの簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、熱機関に関し、より具体的には、しかし排他的にではなく、気体と流体の混合物を使用して熱機関を動作させるためのシステム及び方法に関する。
【0113】
概要
いくつかの実施形態の一態様は、2つの材料、すなわち、大きい熱容量をもつ第1の材料と、大きい熱容量の材料の熱エネルギーを力学的エネルギーに変換するために用いられる1つ又は複数の特性をもつ第2の材料を、混合することに関係する。
【0114】
いくつかの実施形態では、大きい熱容量の材料の熱エネルギーを力学的エネルギーに変換するために用いられる特性は、第2の材料の圧縮性である。
【0115】
2つのそのような材料の限定ではない例は、第1の材料として液体が挙げられ、第2の材料として気体が挙げられる。液体は、通常、気体よりも大きい熱容量を有する。気体は圧縮可能であり、一方、液体は、通常、圧縮可能ではない。
【0116】
液体と気体が混合されるとき、特に、気体が多数の気泡の形態で液体に混合される場合、液体と気体の間に熱交換が存在し得る。
【0117】
限定ではない例として、液体が気体よりも高温のとき、気体は加熱される。密閉されたチャンバ内で加熱が起こるとき、気体が液体の温度まで加熱され、気体は液体よりも熱容量が小さいため、液体の温度の変化はわずかである。気体が加熱される際に、気体の圧力が増加する。気体と液体の混合物は、このとき、使用可能な力学的エネルギーを有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、液体又は流体が最初に気体よりも高温であるかどうかは問題ではない。圧縮空気を、圧縮空気と同じ温度の液体又は流体に注入してもよい。液体又は流体は、気体の膨張中であっても、流体のより大きい熱容量に起因して気体と流体の混合物を流体の最初の温度とほぼ同じ温度に維持する。流体は、気体が膨張によって冷えないようにする。
【0119】
いくつかの実施形態では、気体と液体の混合物が収容されるチャンバは密閉されたチャンバである。いくつかの実施形態では、密閉されたチャンバは、随意的に、力学的エネルギーの使用が望まれるときに開かれる。
【0120】
いくつかの実施形態では、チャンバは、開口部を有し得る。気体は、1つ又は複数の気体入口を通してチャンバに継続的に供給することができ、液体は、1つ又は複数の液体入口を通してチャンバに継続的に供給することができ、気体と液体の混合物は、1つ又は複数の出口又はノズルを通して継続的に噴出することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、第1の材料の特性は、大きい熱容量、すなわち、第2の材料よりも大きい熱容量である。
【0122】
いくつかの実施形態では、第2の材料の特性は、圧縮可能であるということである。
【0123】
いくつかの実施形態では、第2の材料の特性は、低い熱容量、すなわち、第1の材料よりも低い熱容量である。
【0124】
いくつかの実施形態では、第1の材料の特性は、非圧縮性、又は非常に低い圧縮性である。
【0125】
いくつかの実施形態では、第2の材料の特性は、第1の材料に溶解しないことである。
【0126】
いくつかの実施形態では、第2の材料の特性は、第1の材料に溶解しづらいことであり、例えば、熱機関の温度及び圧力などの稼働条件下で第1の材料に溶解することができるのは第2の材料の10パーセント未満である。
【0127】
いくつかの実施形態の一態様は、外部熱機関で流体と気体を混合することに関する。気体は、気体と流体の混合物において圧縮可能及び/又は膨張可能な成分を提供し、流体は、気体よりもはるかに高い熱容量をもつ成分を提供する。
【0128】
いくつかの実施形態では、流体は気体よりも高温であり、流体は気体を加熱する。
【0129】
いくつかの実施形態では、体積は一定又はほぼ一定に保たれ、ゆえに、流体が気体を加熱することで圧力が増加する。
【0130】
いくつかの実施形態では、温度は一定又はほぼ一定に保たれ、ゆえに、流体が気体を加熱することで膨張が引き起こされ、気体が、気体と流体の混合物の流れを加速させる。
【0131】
いくつかの実施形態では、気体と流体の混合物が圧縮され、気体の圧縮は流体を実質的に加熱するのに十分な熱を提供しないため、実質的に等温で圧力が増加する。
【0132】
いくつかの実施形態の一態様は、熱機関で流体と気体を混合することと、気体を等温膨張させることで流体を加速させることと、加速された流体を使用して仕事を発生させることに関する。
【0133】
本出願の種々の図面は、種々の態様を以下のように説明する:
【0134】
図1A~1Dは、例示的な実施形態に係る熱機関の方法及びブロック図を示しており、
図2は、熱力学システムを説明するためによく用いられるグラフを使用して方法を説明している。
【0135】
図1E、
図3、及び
図4A~4Fは、一実施形態のプロセスを使用してエネルギーを生成することと、随意的に、エネルギー貯蔵システムと併せてエネルギーを生成することを例示している。
【0136】
図5及び
図6は、熱機関の実施形態を使用してエネルギーを生成することと、随意的に、エネルギー貯蔵システムと併せてエネルギーを生成することを示している。
【0137】
図7A~7D、
図8A~8C、及び
図9は、熱機関の実施形態を使用してエネルギーを生成することを例示している。
【0138】
図10A及び10Bは、1つ又は複数の回転アームを使用して気体を連続的に等温又はほぼ等温で圧縮することを例示している。そのような圧縮は、上記の図面で説明したエネルギーを生成するための熱機関及びプロセスのうちの1つ又は複数を含む、様々な用途の圧縮気体の供給源として随意的に使用することができる。
【0139】
図11は、
図10A及び10Bに例示したような圧縮機と、
図7A~7D、
図8A~8C、及び
図9に例示したような熱機関が、協働してエネルギーを生成することを例示している。
【0140】
多くのエンジンは、気体を圧縮し、すなわち気体の圧力を増加させ、次いで、気体を加熱する、すなわち、気体の圧力をさらにもっと増加させることによって機能する。圧縮と加熱により、気体のエネルギー含有量が増加する。そのようなエンジンは、次いで、加熱された圧縮気体を膨張させることによって、濃縮されたエネルギーを使用して仕事を発生させる。
【0141】
しかしながら、気体の熱容量は液体ほど大きくはない。
【0142】
さらに、気体は膨張すると冷えてエネルギーを失う。
【0143】
すべての文法形式での「空気」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「気体」という用語及びその対応する文法形式と交換可能に用いられる。
【0144】
すべての文法形式での「例」及び「例えば」の使用は、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「限定ではない例」及びその対応する文法形式の使用と交換可能に用いられる。
【0145】
いくつかの実施形態では、
図7A~7D、
図8A~8C、
図9、及び
図14で説明される熱機関は、随意的に、連続的に使用され、
図1E、
図3、
図4A~4F、
図5、及び
図6を参照して説明したような供給源及び/又はチャンバから圧縮空気が供給される。これは、チャンバに圧縮空気を充填し、チャンバ内の圧力が使い果たされると、停止して、上記の供給源からチャンバに再充填するシステムとは対照的である。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるプロセスは、気体を液体と一緒に使用する場合に用いられ、気体がほぼ等温で膨張するという利点を潜在的に提供する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるプロセスは、液体の限定ではない例として流体は気体よりも膨張しにくいという意味で、気体を流体と一緒に使用する場合に用いられ、気体がほぼ等温で膨張するという利点を潜在的に提供する。
【0148】
すべての文法形式での等温という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において、気体と流体の混合物の温度低下は、流体の温度安定効果なしでの温度低下よりもはるかに少ないことを意味するために用いられる。
【0149】
流体の温度安定効果なしでの、気体の膨張は、断熱膨張又は等エントロピー膨張になることに留意されたい。
【0150】
いくつかの実施形態では、気体は等容加熱される。
【0151】
定容量プロセス、等容量プロセス、又はアイソメトリックプロセスとも呼ばれる等容プロセスは、このようなプロセスを行う閉じたシステムの体積が一定のままである熱力学的プロセスである。
【0152】
気体が等容加熱されるとき、気体は膨張しないため、加熱によって圧力が増加する。気体が膨張すると、ある程度の温度低下又は熱の一部の損失が生じることに留意されたい。
【0153】
いくつかの実施形態では、熱機関は、ここでは、気体の膨張からより多くの仕事を取り込むために等温膨張を使用すると説明される。
【0154】
いくつかの実施形態では、等容加熱は、ここでは、気体を加熱するときに非等容プロセスよりも多くの仕事を有すると説明される。
【0155】
いくつかの実施形態では、気体を加熱するために等容加熱が用いられ、仕事を発生させるために等温膨張が用いられる。
【0156】
いくつかの実施形態では、気体と流体の混合物を使用して仕事を発生させ、これは上記の気体プロセスの利点から潜在的に恩恵を受け、流体に運動エネルギーを与え、これは気体又は液体の運動エネルギーを使用して回転を引き起こすタービンなどの一部のタイプのエンジンに適切に作用し得る。
【0157】
流体と気体の混合物は、気体単独よりも密度が高い可能性があり、タービンブレードにより多くのモーメントを与えることができる可能性がある。
【0158】
いくつかの実施形態の一態様は、気体プロセスの上記の利点から潜在的に恩恵を受ける、運動エネルギーを生成する、熱機関に関する。
【0159】
いくつかの実施形態では、運動エネルギーは、発電機を回転させる及び動力を与えるために使用される。
【0160】
いくつかの実施形態では、運動エネルギーは、機械装置を回転させる及び動力を与えるために使用される。
【0161】
いくつかの実施形態では、運動エネルギーは、限定ではない例として、以下のことによって熱機関に帰還するために使用される。
【0162】
加圧気体をエンジンに送り込むために使用されるシャフトを回転させること。気体を加圧するエネルギーに加えて、流体によって加えられる熱エネルギーは、気体を加圧するために用いられるエネルギーに比べて過剰なエネルギーを提供する可能性がある。
【0163】
加圧気体をエンジンに供給するべくポンプを動作させるための電気を供給すること。気体を加圧するエネルギーに加えて、流体によって加えられる熱エネルギーは、気体を加圧するために用いられるエネルギーに比べて過剰なエネルギーを提供する可能性がある。
【0164】
いくつかの実施形態の一態様は、混合物がエンジンを通過する間、気体を加熱する流体を維持するために、エンジン内の高温の流体と気体の混合物中の流体液滴のサイズを選択及び制御することに関する。
【0165】
いくつかの実施形態では、流体液滴のサイズは、高温の流体をエンジンに噴射する穴の直径を決定することによって制御される。いくつかの実施形態では、選択される穴の直径は、随意的に、所望のサイズの液滴を生成するために所望の温度での流体の表面張力を考慮に入れる。
【0166】
いくつかの実施形態の一態様は、熱機関を動作させるために、太陽エネルギー及び/又は廃熱及び/又は地熱などの熱源からの熱を使用することに関する。
【0167】
流体と混合され圧縮及び/又は加熱された気体から仕事を発生させるための上記の改善は、工業プロセスからの廃熱及び集光型太陽エネルギー装置などの及びサーマルソーラーパネルなどの太陽エネルギー装置からの廃熱を含む様々な熱源からの熱を使用するのに適している。
【0168】
いくつかの実施形態の一態様は、エネルギーを圧縮気体又は熱などの形態で貯蔵し、貯蔵したエネルギーを気体プロセスの上記の利点から潜在的に恩恵を受ける様態で放出することに関する。
【0169】
いくつかの実施形態では、貯蔵したエネルギーを以前よりも効率的な様態で放出する。
【0170】
仕事の出力を連続的にする
【0171】
流体と気体を収容するためのチャンバが、本明細書で種々の実施形態を参照して説明されることに注目されたい。チャンバは通常、その開口部にバルブを有し、バルブは通常、開くと流体又は気体又は圧縮気体が入り、閉じるとプロセス中に流体又は気体がチャンバを出ることなくチャンバ内でプロセスが起こるように操作される。
【0172】
例えば、一部のチャンバでは、等容加熱として説明されるプロセスが行われる。等容又は一定体積での加熱は、流体又は気体がチャンバを出ないようにチャンバが閉鎖された状態、これにより、体積が一定に保たれた状態で行われる。
【0173】
本明細書で説明されるチャンバは、プロセスのある段階で閉鎖され、別の段階で開放され得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、チャンバがプロセスの段階を完了するために停止することなくエネルギーを生成するために、同じプロセスを行うのに2つ以上のチャンバを使用してもよく、1つのチャンバが閉鎖され、流体と気体を供給して仕事を行っていない間、別のチャンバが開放され、流体と気体を供給して仕事を行い、これにより、より多くの連続的な仕事の出力をもたらすことができる。
【0174】
エンジンのタイプ
【0175】
本明細書で説明される方法によって得られる流体と気体の混合物中の気体の膨張によって様々なエンジンに動力を与えることができる。そのようなエンジンはすべて、いくつかの限定ではない例として、タービン、カプラン設計タービン、ペルトンホイール、水力発電タービン、高温熱油タービン、ラムジェットエンジン、及びジェットエンジンを含む本明細書で説明される実施形態の変形に含まれることを意図している。
【0176】
熱源
【0177】
本明細書で説明される方法を使用して、様々な熱源が流体と気体に熱を供給することができる。そのような熱源はすべて、いくつかの限定ではない例として、太陽熱、集光型太陽熱、地熱、工業プロセスからの廃熱、及び化石燃料からの熱を含む本明細書で説明される実施形態の変形に含まれることを意図している。
【0178】
例えば、太陽光発電分野で使用するための、例えば、850K未満の温度で20MW未満の容量をもつ、効率が33%を超える高効率エンジンを我々は知らない。蒸気タービンなどの効率的な熱機関は存在するが、その容量は20MWを超えており、巨大なエネルギー源又は太陽光発電所、多額の投資を必要とする。小型の蒸気タービン(<1MW)の効率は通常20%未満である。
【0179】
小型の効率的なエンジンは、分散した集光型太陽光発電の使用を可能にし、太陽光発電と同様に規模の経済によってコストを3¢/kWh未満に削減できる可能性があり、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)のSunShotイニシアチブによると、現在の10%の太陽エネルギーと比較して、米国では2050年までに50%の太陽エネルギーへの道が開かれる。
【0180】
スターリングエンジン、蒸気タービンエンジン、及びガスタービンなどの現在の小型熱機関は、通常、850Kでは効率が悪く(効率25%未満)、通常、高価である。
【0181】
3MW未満などの小容量のための、例えば750$/kW未満のコストで、費用対効果の高いエンジンは知られていない。
【0182】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態に係る熱機関の潜在的利点は、少なくとも15MWの容量までは、熱機関の費用対効果が既存のエンジンよりも高い可能性があることである。
【0183】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態に係る熱機関の潜在的利点は、エンジン内で気体に加えて流体を使用することで、エンジンのサイズを最大3桁縮小できる可能性があることである。
【0184】
一部の太陽エネルギーシステムでは、太陽エネルギーは約850Kの典型的な温度で熱に変換され、エネルギー密度は化石燃料のエネルギー密度に比べて低い。公知の熱機関は通常、気体で動作し、気体は2つの役割を果たす:1)膨張及び圧縮の熱力学的仕事を行うこと。2)エネルギーをエンジンに運ぶこと。気体は体積あたりの熱容量が比較的小さいため、エンジン内での気体の膨張は温度の低下を伴う。これは、気体の膨張が等温で起こる理想エンジンのカルノーの説明とは対照的である。この理想カルノーエンジンからの逸脱は、効率の低下につながる。
【0185】
いくつかの実施形態の一態様は、伝熱流体が、熱力学的膨張及び圧縮中にエンジン内部の気体に熱を供給し、等温又は等温に近い膨張及び圧縮と効率の向上をもたらす、熱機関に関する。
【0186】
カルノーエンジンという用語は、等温圧縮及び等温膨張によって一定の温度でポンプ及びタービンによって行うことができる理論的に最も効率的な仕事を表す。
【0187】
ここで、例示的な実施形態に係る方法の簡略化されたフローチャートを示す図である、
図1Aを参照する。
【0188】
図1Aは、気体の膨張が等温ではない場合に抽出されるよりも多くの仕事を圧縮気体から抽出し得る熱プロセスを示すことを意図している。
【0189】
図1Aによって示される方法は、
流体を供給すること(140)、
気体を供給すること(141)、
気体と流体を組み合わせること(143)、
気体と流体の等温膨張を可能にすること(147)、及び
これにより、仕事を発生させること(148)、
を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、この方法は、等温膨張(147)の前に、気体の等容加熱を行うことを含む。
【0191】
ここで、例示的な実施形態に係る方法の簡略化されたフローチャートを示す図である、
図1Bを参照する。
【0192】
図1Bは、気体の加熱が等容ではない場合に抽出されるよりも多くの仕事を圧縮気体から抽出し得る熱プロセスを示すことを意図している。
【0193】
図1Bはまた、膨張が等温ではない場合に抽出されるよりも多くの仕事を圧縮気体から抽出し得る等温膨張の随意的な段階を示す。
【0194】
図1Bによって示される方法は、
高温の流体を供給すること(160)、
気体を供給すること(161)、
気体と流体を組み合わせること(163)、
等容加熱を行うこと(165)、
気体の膨張を可能にすること(167)、及び
これにより、仕事を発生させること(168)、
を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、気体の膨張を可能にすること(167)は、気体の等温膨張を可能にすることを含む。
【0196】
ここで、例示的な実施形態に係る熱機関の簡略化されたブロック図である、
図1Cを参照する。
【0197】
図1Cは、加圧気体と流体が組み合わされ、仕事が発生する、一般的な熱機関を示すことを意図している。
【0198】
図1Cの熱機関では、加圧気体150と流体151は、コンバイナ152で組み合わされる。
【0199】
加圧気体は、等温膨張153に近い又は等温膨張に近い状態で膨張し、また、流体を加速する。
【0200】
体積あたりの流体の熱容量は気体の熱容量よりもはるかに大きいため、気体と流体の組み合わせの温度は、流体の存在なしに気体だけが膨張した場合ほど変化しない。
【0201】
発生した仕事は、通常は気体の質量よりも大きい、加速された流体の質量から潜在的に恩恵を受ける。
【0202】
ここで、例示的な実施形態に係る熱機関の簡略化されたブロック図である、
図1Dを参照する。
【0203】
図1Dは、気体と加熱流体が組み合わされ、仕事が発生する、一般的な熱機関を示すことを意図している。
【0204】
図1Dの熱機関では、気体155と加熱流体156は、コンバイナ157で組み合わされる。
【0205】
気体は、流体からの熱伝達によって、気体の膨張を可能にしない体積158で加熱される。加熱は、等容加熱である又は等容加熱に近い。
【0206】
定容量プロセス、等容量プロセス、又はアイソメトリックプロセスとも呼ばれる等容プロセスは、このようなプロセスを行う閉じたシステムの体積が一定のままである熱力学的プロセスである。
【0207】
いくつかの実施形態では、流体の熱容量は気体の熱容量よりもはるかに大きいため、気体と流体の組み合わせの温度はあまり変化しない。
【0208】
等容加熱に続いて、加圧気体は、等温膨張159に近い又は等温膨張に近い状態で膨張が可能となり、また、流体を加速する。
【0209】
発生した仕事は、通常は気体の質量よりも大きい、加速された流体の質量から潜在的に恩恵を受ける。
【0210】
等温圧縮又は等温圧縮に近い状態、及び、等温膨張又は等温膨張に近い状態を達成することができる。100%の等温仕事容量は、PVlan(P/P0)ジュールである。気体を圧縮又は膨張するときに流体を気体に混合することによって、流体の熱質量が気体に加わり、50%から100%近くの等温圧縮及び膨張が達成される。流体は、随意的に、摂氏50度以上、100度以上、350度以上の温度で圧縮及び/又は膨張され、気体の温度をおよそ750度以上最高1500度に保つまでの非常に高温の伝熱流体(HTF)である。気体の実質的に等温での圧縮及び膨張は、等温プロセス中のチャンバ内での液体と気体の混合によって行われる。液体の大きい熱容量により、気体の温度がほぼ一定に保たれる。例えば、空気を気泡として水中に注入すること又は空気中に水を噴霧することは、空気の等温膨張及び圧縮を可能にするために空気と水との間の表面積を増加させる2つの効率的な方法である。液体は、随意的に高温の伝熱流体とすることができる。いくつかの限定ではない例として、700Kのオイル又は830K以上の溶融塩が挙げられる。
【0211】
一定温度の大きいチャンバは、圧力のゆっくりとした変化を可能にし、非常に効率的な等温プロセスを可能にし得る。気泡又は液滴による流体と気体との間の熱伝達は非常に高く、等温プロセスを可能にし得る。流体中の気体の気泡又は気体中の流体の液滴の高い熱伝達係数により、等温膨張を迅速なプロセスとして実現することができる。例えば、1秒で体積の10倍膨張を、最初の液滴サイズ1mmで等温的に達成することができる。
【0212】
等温プロセスの特性から恩恵を受ける熱機関の様々な例を本明細書で説明する。
【0213】
いくつかの例の態様は、太陽エネルギーの貯蔵及び変換と、廃熱の電気への変換に関する。
【0214】
いくつかの例の態様は、仕事を発生させるべく高温で気体を等温膨張させるために、気体と混合される高温の非圧縮性流体(例えば、溶融塩又はサーマルオイル)を使用することに関する。
【0215】
いくつかの実施形態の一態様は、電気を生成することに関する。加圧された水が発電機を駆動する水力発電タービンは、90%の標準効率を有し、最も効率的な費用対効果の高いエネルギー変換器の一種である。
【0216】
水を高所に汲み上げて発電に使用する、水力発電エネルギー貯蔵は、約70%~80%の電力変換効率を有し、効率的なエネルギー貯蔵法と考えられる。
【0217】
高さのポテンシャルエネルギー(高度差)が圧力及び温度差に置き換えられる、チャンバを使用するエネルギー貯蔵の実施形態が本明細書で説明される。このような例示的な貯蔵システムでは、水又は他の何らかの流体が、ハイドロポンプによって低圧チャンバから高圧用のチャンバに送り込まれる。高圧用のチャンバは、密閉されたチャンバ内に空気又は他の何らかの圧縮可能な気体を有する。いくつかの実施形態では、空気が断熱圧縮され(等エントロピー)、空気の圧縮はまた、空気を加熱し、したがって、圧縮され加熱された空気は、熱及び圧力の形態のエネルギーを蓄える。いくつかの実施形態では、空気が圧縮され、圧縮だけでも加熱されるとともに、熱源(例えば、太陽熱源、廃熱、地熱源)からさらに加熱され、圧縮され加熱された空気は、熱及び圧力の形態のエネルギーを蓄える。吐出段階で、水が、高圧チャンバから水力発電タービンを通って低圧チャンバに流れ、エネルギーが回収される。電気に関して言えば、このようなシステムは、電気エネルギーのほとんどを回収する。そのようなシステムは、約70%~80%のラウンドトリップ効率を報告している。
【0218】
本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載されている及び/又は図面及び/又は例に示されているコンポーネント及び/又は方法の構成及び配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実施又は実行することができる。
【0219】
高温及び高圧の大きいチャンバを使用する例示的な実施形態の方法及びシステム
【0220】
ここで、例示的な実施形態の簡略図である、
図1Eを参照する。
【0221】
図1Eは、低圧チャンバ1、4、高圧チャンバ2、3、ポンプ110、及び熱エネルギーを使用して空気を加圧し、電気に変換するためのタービン112を含む、システムを示している。
【0222】
一般的な例として、周囲圧力及び温度の第1のチャンバ1を含む、
図1Eに示されている水力発電エネルギー貯蔵システムを考える。限定ではない例として、第1のチャンバ1は、1バールの圧力及び300Kの温度の流体114が少なくとも部分的に充填された50立方メートルのタンクであり得る。第1のチャンバ1は、ポンプ110を通じて、気体116、例えば空気が少なくとも部分的に充填された第2のチャンバ2に接続される。
【0223】
ポンプ110を駆動することで、流体114が第2のチャンバ116に送り込まれ、気体116が随意的に等温で圧縮される。ポンプで送られた流体は、第2のチャンバ116内の流体122として示されている。
【0224】
第2のチャンバ116から、加圧空気が随意的にチャンバ5に充填され、圧力下でチャンバ6に貯蔵され得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、チャンバ6内での等温圧縮は、矢印121で示すように、環境に熱を放出し得る。
【0226】
チャンバ6から、流体122、例えば水122が少なくとも部分的に充填された第2のチャンバ2への逆方向の圧力の解放により、水力タービン(図示せず)を駆動して電気を発生させることができる(図面に含まれていない)。
【0227】
高圧気体を貯蔵してタービンに供給し、電気に変換するために利用可能である。
【0228】
いくつかの実施形態では、第3のチャンバ3は、高温の液体124、例えば、850Kの溶融塩又は700Kのサーマルオイル又は沸点よりも僅かに低い温度の圧力下の水を収容している。
【0229】
タービン112、いくつかの実施形態では、化学的耐性があり、作動液及び作動温度用に設計されたタービンが、流れによる回転を電気に変換することで発電する水力発電タービンとして使用される。タービン112は、第3のチャンバ3に、及び、低圧の、例えば、周囲圧力又は1バールの第4のチャンバ4に接続される。
【0230】
このような設計は、タービン112について、フランシスタービン、カプランタービン、ペルトンホイール、テスラタービン、及び水力発電タービンに使用される同様の設計を使用することができ、いくつかの実施形態では、通常、溶融塩及び/又は高温サーマルオイルポンプに使用される材料を使用することができる。
【0231】
いくつかの実施形態では、タービン112によって生成された電気は、ポンプ110を動作させるために使用することができる。
【0232】
いくつかの実施形態では、タービン112は、随意的に、シャフト126によってポンプ110に直接、又はポンプ110の流量を制御するためのギアによって接続される。第3のチャンバ3の圧力が増加するときに仕事が発生し、シャフト126がポンプ110を駆動する。
【0233】
図1Eに示されているシステムの例示的な動作条件は、いくつかの限定ではない例として、以下を含み得る:
【0234】
第1のチャンバ1内の本明細書では状態1と呼ばれる室温及び/又は周囲圧力の水が、空気116を全体的に又は部分的に有し得る第2のチャンバ2に送り込まれ、空気が、本明細書では状態2と呼ばれる40バール、100バール、300バール、又は他の値などの、周囲より上の圧力に等温圧縮され得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、圧力が増加する状態での、第2のチャンバ2内での水の噴霧又は第2のチャンバ2内での気泡の循環により、随意的に、等温又は等温に近い圧縮を維持することができる。
【0236】
いくつかの実施形態では、等温圧縮は、水の熱容量が圧縮空気の熱容量よりもかなり大きければ維持される。そのような条件は、随意的に、十分な量の水を使用して達成される。
【0237】
水は、空気を圧縮して第2のチャンバ2から空気パイプによってチャンバ5、6に流入させる。
【0238】
いくつかの実施形態では、チャンバ5は、随意的に、場合によっては動作温度によって定義される比率で、チャンバ6よりも小さい。
【0239】
いくつかの実施形態では、チャンバ5は、随意的に、タービン112を駆動するために使用され、チャンバ6は、第2のチャンバ2と第1のチャンバ1との間の電気を発生させるためのタービン112を駆動するために後で使用できる圧縮空気をさらに貯蔵するために使用される。
【0240】
いくつかの実施形態では、チャンバ5及び/又は6において、等温圧縮を可能にするべく圧縮空気を冷却するために水の噴霧を用いることができる。
【0241】
いくつかの実施形態では、チャンバ5は、加熱パイプの入口を有し、加熱パイプでの溶融塩の流れが随意的に温度を上昇させる。温度が上昇し、チャンバ5が密閉されると、圧力が高まる。300Kで40バールのとき、本明細書では状態3と呼ばれる、850Kで113バールの圧力に達する。
【0242】
状態3で、第3のチャンバ3に、随意的に、溶融塩が部分的に充填される。第3のチャンバ3とチャンバ5との間の空気流を開放することで、随意的に流れの発生なしに、第3のチャンバ3の圧力が113バールに上昇する。
【0243】
第3のチャンバ3と第4のチャンバ4との間の流れが可能にされると、仕事が発生し、いくつかの実施形態ではシャフト126が回転する。第4のチャンバ4内で、空気が周囲圧力に等温膨張し、状態4と呼ばれる状態に達する。
【0244】
いくつかの実施形態では、空気の等温膨張は、第3のチャンバ3内で溶融塩を噴霧すること又は気泡を循環させることによって達成される。
【0245】
随意的に、チャンバ3に最初により低い圧力を設定することによって高圧を回避することができる。例えば、300Kで最初に15バールの場合、850Kで42.5バール、又は所望のエネルギー変換がもたらされるならば任意の他の圧力に達する。数値例は、以下のように計算される。
【0246】
113バールの場合の数値例:
第1のチャンバ1及び第2のチャンバ2は、それぞれ、50立方メートルのサイズを有する。圧力1バールの空気の体積が、第2のチャンバ2内で、この例では、40バールで1.25立方メートルの空気の体積に圧縮される。この等温圧縮空気が室温でチャンバ5、6に取り込まれる。空気が圧縮されると、チャンバが密閉され、随意的に、水が、第2のチャンバ116から第1のチャンバ1に排出され、空気を圧縮してチャンバ6に、随意的に、チャンバ6のカセットに流入させる際に再利用される。
【0247】
チャンバ5、6に焦点をあてると、300Kの室温に比べて溶融塩は850Kである。このような比は、等温プロセスによって行うことができる仕事の比につながり、これは2つのチャンバ間の所望のサイズ比につながる。
【0248】
空気を40バールに圧縮するのに必要な仕事は、
【数1】
である。
【0249】
溶融塩の一部を使用して、チャンバ5に40バールで取り込まれた空気を加熱する。空気をチャンバ5内で40バールの圧力で850Kに加熱した後、圧力は温度比によって40*850/300=113バールに増加し、同じ体積で空気が等温膨張を通じて行うことができる全仕事が、以下の係数だけ増加する:
【数2】
【0250】
上記の計算は、その圧縮の仕事を発生させるために圧縮空気の1/3.62=27%しか潜在的に必要とされないことを示す。この例での加熱チャンバ5の体積は、第2のチャンバ2内の圧縮空気の体積の27%にすぎない。
【0251】
第2のチャンバ2内の40バールで1.25立方メートルの圧縮空気の例では、チャンバ5は、0.345立方メートルとすることができ、チャンバ6は、0.9立方メートルとすることができる。
【0252】
高温の圧縮空気から仕事を抽出するために、高温の圧縮空気が、随意的に気泡として又は他の混合方法によって、随意的に溶融塩で完全に満たされた第3のチャンバ3に注入され、これにより、チャンバ3が113バールに加圧される。第3のチャンバ3での溶融塩の圧力が、随意的に流れを誘発し、タービン112を駆動して仕事を発生させる。流れとともに圧力が低下すると、空気の体積が等温膨張する。
【0253】
いくつかの実施形態では、機械的仕事は、随意的に、シャフト126によってシステムのより冷たい(例えば、300K)部分に伝達され、そこでポンプ110が、随意的に空気を等温圧縮する。上で計算したように、この仕事は、50立方メートルの空気全体を周囲圧力から40バールで1.25立方メートルに圧縮し、チャンバ5及び6に充填するのに潜在的に十分である。
【0254】
前述のプロセスは、随意的に、すべてのチャンバ6が満たされるまで継続する。
【0255】
いくつかの実施形態では、チャンバ6は、例えば、50m3の体積を有する1つの大きいチャンバであってもよく、チャンバ3が空になって再充填されるときに随意的に部分的に吐出する。プロセスは、随意的に、大きいチャンバ6内の圧力が例えば周囲圧力に低下するまで繰り返される。このような大きいチャンバの使用は、費用対効果が高い可能性がある。このエネルギーにより、3.62個のチャンバ6に40バールで圧縮空気を充填することができる。チャンバ1は1バールであり、チャンバ2は、40バールで圧縮空気をチャンバ6に格納することができる。
【0256】
いくつかの実施形態では、チャンバ6は、いくつかのチャンバであってもよい。いくつかの実施形態では、バルブは、加圧気体がいくつかのチャンバ6のうちの1つ又は複数に個別に流れること、及び加圧気体がいくつかのチャンバ6のうちの1つ又は複数から個別に流れることを可能にする。
【0257】
いくつかの実施形態では、2つのチャンバ5、5Bを有することにより、タービン112及びポンプ110でのより連続的な流れを潜在的に可能にするべく、他方のチャンバを圧縮解除する(吐出する)と同時に一方のチャンバを圧縮する(充填する)ことができる。
【0258】
いくつかの実施形態では、全体の容量を増加させるためにシステムが増大される。
【0259】
随意的に、1つよりも多いチャンバ5、5Bが吐出のために同時に使用され、タービン112の出力が増加し得る。
【0260】
場合によっては、空気がチャンバ5に入るとき、空気は随意的に周囲温度であることに留意されたい。これは、第2のチャンバ2を水の噴霧又は熱交換器で予冷することによって達成することができる。
【0261】
いくつかの実施形態では、第2のチャンバ2及び第3のチャンバ3を再充填する代わりに、ポンプ110とタービン112の方向が随意的に逆にされ、高圧チャンバが第1のチャンバ1及び第4のチャンバ4となる。随意的に、空気の流れを、新しい高圧の第1のチャンバ1及び第4のチャンバ4に向けることができる。このようなシナリオでは、第3のチャンバ3が空になり、第4のチャンバ4が満たされると、第4のチャンバ4が随意的に密閉され、空気が随意的に第4のチャンバ4に注入されてその圧力が上昇する。第4のチャンバ4からの流れが、第3のチャンバ3に戻る間にタービン112を駆動することができる。このようなサイクルは随意的に繰り返され、チャンバは、2ピストンエンジンのように動作し、タービンを同じ回転方向に押す。
【0262】
場合によっては、圧力勾配の変化が必ずしもタービン112及びポンプ110を逆方向に作動させるとは限らない。いくつかの実施形態では、作動方向は、チャンバ2及び3が高圧である場合のように、ポンプ110及びタービン112の同じ高圧側に新たに高圧チャンバ1及び4を接続するさらなるパイプによって維持され得る。
【0263】
例示的な実施形態のP-V図及びT-S図を示す、
図2をさらに参照する。
【0264】
図2は、例示的な実施形態のシステムで発生する熱力学的プロセスを、P-V(圧力-体積)
図202及びT-S(温度-エントロピー)
図222として示している。
【0265】
P-V
図202は、体積[m
3]のX軸204と、圧力[バール]のY軸203を有する。
【0266】
T-S
図222は、エントロピーS[MJ/K]のX軸224と、温度[ケルビン]のY軸203を有する。
【0267】
図202、222に示されている値は、以下に説明する例示的な実施形態によるものであり、説明されるプロセスは例示的な実施形態のプロセスである。
【0268】
前述の状態1(符号206、226)で、システムは300Kであり、随意的に水スプレーを注入することによって、空気が、例えば40バールに等温圧縮される。空気と同じ温度又はほぼ同じ温度の水を注入することで、水の大きな熱容量により、圧力が低下するときに圧縮空気がほぼ一定の温度に保たれ、ゆえに膨張は等温と呼ばれる。
【0269】
熱がシステムを出る際に(Q1(Out)211参照)、システムは状態2(符号207、227)に達する。
【0270】
次に、空気が気泡として例えば850Kの溶融塩に注入され、潜在的に、理想的な又は理想に近い気体の膨張を呈する。限定ではない計算例として、40バールで50立方メートルの加圧空気体積を考える。
【0271】
空気は、流れによる体積の増加に応じてゆっくりと膨張する。空気は、一定体積で加熱され、
【数3】
の圧力及び状態3(符号208、228)に達すると考える。
【0272】
最後に、溶融塩がより低圧の方へ流れる際に、気泡又は噴霧により等温膨張を通じて仕事が発生し、体積が増加し、タービンが駆動される。システムは、状態4(符号209、229)で1バールの周囲圧力に緩和する。
【0273】
図1Eに示すようないくつかの実施形態では、タービン112は、随意的に、状態1と状態2の間で空気を随意的に等温圧縮するポンプ110にシャフト126によって接続される。
【0274】
【0275】
いくつかの実施形態では、ポンプ110は電気で駆動され、第3のチャンバ3と第4のチャンバ4の間のタービン112は、他のタービン電気系統と同様に発電モータに接続される。
【0276】
【0277】
システムにおける潜在的損失は、状態4での850Kの熱であり、これは次式で説明され得る:
【数5】
【0278】
Q4は、気体を流体の温度に等しい温度に加熱するための気体への熱投入量である。
【0279】
いくつかの実施形態では、この熱は、随意的に、状態2で空気を加熱すること、又はタービンでの最終的な発電時に水を加熱することによって取り戻すことができる。
【0280】
この段階での高温水は、周囲温度に比べて膨張が大きくなり得る。この段階での水は、随意的に、例えば廃熱を使用して、摂氏90度にすることができる。
【0281】
等温膨張によって達成される効率は90%に達する可能性がある。等温膨張は、前述のフル圧縮膨張サイクルの約半分であり、前述のような熱回収なしで、
【数6】
の全体的な潜在的な実用効率を示す。
【0282】
Q4熱の50%を再び取り込むことにより(Q4は、システムを出る気体を加熱するために使用された熱であり、その再取り込みは、随意的に、850Kで出ていく空気とチャンバ5との間に熱交換器を使用することによって達成される)、効率は、
【数7】
となり得る。
【0283】
パワー消費
【0284】
場合によっては、実際には、空気の温度が低下するという潜在的な犠牲を伴った上で、生産性を高めるために大量の空気を注入することが望ましい。
【0285】
いくつかの実施形態では、熱補償が、随意的に、例えば、太陽光レシーバでの集光型太陽光発電によって提供される。ソーラー用途の場合、太陽光レシーバからの、例えば、溶融塩、サーマルオイルなどの伝熱流体(HTF)を、熱機関を駆動するチャンバ3及び4内の熱流体として使用することができる。
【0286】
いくつかの実施形態では、随意的に、2つの異なる流体を使用してもよい。いくつかの実施形態では、ソーラーHTFからエンジンHTFに熱を伝達するために熱交換器が使用される。
【0287】
ソーラー用途の場合、
図1Eのポンプ110などのエンジンは、一日中動作し、チャンバ6などのチャンバに圧縮空気(又は他の気体)としてパワーを貯蔵し、これは後で水力タービンを使用して電気に変換することができる。
【0288】
いくつかの実施形態では、エンジンは、タービン112などの発電機に作動的に接続することができ、生成された電気エネルギーを電池に蓄えることができる。
【0289】
いくつかの実施形態では、蓄熱器を太陽エネルギーシステムの一部としてもよく、タービン112のHTFが蓄熱器から熱を受け取り、連続動作が可能となり得る。
【0290】
いくつかの実施形態では、エンジンHTFの温度の上昇はエンジンHTFの冷却速度に依存し、これはエンジンの容量(生成されるパワー)及び熱損失に依存する。いくつかの実施形態では、ソーラーHTFとエンジンHTFとの間の熱交換は、各サイクルで又はエンジンHTFが冷却されるときに行うことができる。
【0291】
いくつかの実施形態では、熱源は、工業熱源からの廃熱である。
【0292】
いくつかの実施形態では、地熱熱源を使用することができる。
【0293】
いくつかの実施形態では、
図1Eに示すような限定ではない例として、チャンバ3内の溶融塩の温度は、空気が膨張する際に、例えば850Kから700Kに低下する。この150Kの低下は、随意的に、熱源(一例として太陽光レシーバ)によって補償することができる。
【0294】
いくつかの実施形態では、1サイクルあたりに生成される仕事に比べてHTFの熱容量が大きいため、HTFの温度差は1度未満である。このような場合、チャンバ3及び4は、温度が下がってオイルの再加熱が必要になるまでに数百サイクルを行うことができる。
【0295】
ソーラー用途の例示的な実施形態では、上記により、多くのサイクル(数十又は数百サイクル)の後に、ソーラーHTFでエンジンHTFを再加熱することができる。加熱するまでの時間が延びることは、再加熱イベントの数が減ることにより、質量流量の潜在的減少及び/又はコストの潜在的減少をもたらす。
【0296】
いくつかの実施形態では、チャンバ3が空になった後で、再充填プロセスの一部として、ポンプ(図面に含まれていない)が、溶融塩(流体128)を、チャンバ4から太陽光レシーバ130を通してチャンバ3に循環させ、太陽光レシーバで溶融塩(液体124)の温度が潜在的に上昇し、随意的に850Kに戻る。このような例では、Q2+Q3=37015MJ(1031kWh)が、各サイクルの持続時間にわたるレシーバの投入熱である。1時間サイクルの場合、これは1.031MWhに変換される。
【0297】
レートについての議論
【0298】
上記の例では、レシーバは、50m3の空気チャンバ6の吐出のためにQ2+Q3=1.031MWhの熱を発生させる。
【0299】
いくつかの実施形態では、例えば、1.03MWのサーマルパワーを有する太陽光レシーバ又は廃熱受熱器の場合、50m
3のチャンバを1時間で完全に吐出させることができる。同時に、システムは、その1時間の間に、随意的に3.62個のそのようなチャンバを40バールに充填し、チャンバ1及び2は、随意的に113サイクルにわたって動作する。このようなレートを実装するのは難しいかもしれない。システムのチャンバの数を増やすことで、より長いサイクルの持続時間にわたって同様の熱投入パワーをサポートすることができる。例えば、同じ1MWレシーバとともに使用される、10個のチャンバ1及び10個のチャンバ2のシステムは、1MWの同じ総熱投入パワーを受け取り、潜在的に1サイクルあたり5分が可能となる。
図1Eに示すようなシステムを5つのサブシステムの2つのグループに分けることで、それぞれ、5つのチャンバ6の一方のセットを吐出しながら、5つのチャンバ6の他方のセットに充填することが可能となり得る。
【0300】
いくつかの実施形態では、複数のシステムを並列に追加することで、サイクルの持続時間が任意の必要な期間に延長され得る。
【0301】
いくつかの実施形態では、タービンを通じたチャンバ6の最終的な吐出中に、1.03MWの太陽光レシーバは、熱回収なしでも、1.03MWh*0.45*6時間=2.781MWh/日の電気を供給できる可能性があり、熱の50%が回収されるとき、55%の効率で1.03MWh*0.55*6時間=3.4MWh/日であり得る。
【0302】
動的パワー範囲:
【0303】
溶融塩タービンとウォーターポンプは、潜在的に広範囲の圧力差で作動し得る。例えば、第1の吐出サイクルで、チャンバ3とチャンバ5の圧力差は113バールであり、約2バールに低下し、一方、最後の吐出サイクルでは、圧力差は<10バールで、約2バールに低下する。ポンプは、潜在的に2バール~40バールの圧力を生みだす。
【0304】
そのような課題を克服するために、いくつかの実施形態では、随意的に、圧力差の変化に応じてブレードの角度を随意的に変更できるカプランタービンを使用することができ、最適な圧力差の範囲が増加し得る。
【0305】
随意的に、ペルトンホイールを使用する場合、圧力を流れの運動エネルギーに変換するように設計されたノズルを、サイクル間の及びサイクル内の圧力差に応じて、調整する及び/又は異なるノズルと交換することができる。
【0306】
随意的に、ポンプとタービンの間のギアが、必要に応じてパワーを変換し、ポンプとタービンの両方を最適な動作に維持することができる。
【0307】
高温チャンバ(3)の圧力の低減:
【0308】
溶融塩(又は他の高温流体)が、ポンプとストレージを駆動する。上記の例では、行われる仕事は2670MJであり、これは、以下の式に従って種々の圧力及び体積の溶融塩によって達成することができる:
【数8】
【0309】
113バールで動作する50m
3の体積の上記の例に相当する可能な圧力及び体積の値の例示的なリストは、以下を含む:
【表1】
【0310】
逐次の空気注入による高温チャンバの体積及び圧力の低減
【0311】
これまで、高温サイクルと低温サイクルによりすべてのチャンバを同時に再充填できる可能性がある、バランスの取れたシステムを説明した。その説明には、随意的に、水チャンバ2の体積のオーダーの体積、例えば、上記の表に記載の体積を有する溶融塩チャンバ3が含まれていた。
【0312】
いくつかの実施形態では、チャンバ5は、随意的に、チャンバ3に充填するのに十分な空気を収容している。
【0313】
いくつかの実施形態では、チャンバ3内の溶融塩が、水チャンバ1のサイクルの入力及び出力サイクルよりも速く入力及び出力サイクルを完了することを可能にし、潜在的に、入力サイクル時間と出力サイクル時間の比によってチャンバ3の体積を低減することができる。
【0314】
いくつかの実施形態では、低温サイクルの持続時間と高温サイクルの持続時間との同期が随意的に維持される。例えば、充填-吐出が10倍速くなると、チャンバ3の体積及びチャンバ5の体積が1/10に低減する。
【0315】
いくつかの実施形態では、より小さいチャンバ3、4、及び5を、随意的に、例えば、
図3に示されているシステムによって使用することができる。
【0316】
ここで、例示的な実施形態の簡略図である、
図3を参照する。
【0317】
図3は、低温チャンバ301、302、高温チャンバ303、304、ポンプ310、及び熱エネルギーを使用して空気を加圧し、電気に変換するためのタービン312を含む、システムを示している。
【0318】
図3は、
図1Eを参照して示したチャンバ3、4、及び5の体積を低減するために高速高温サイクルを使用する例示的な実施形態を示している。
【0319】
図3は、
図1Eのチャンバ6のカセットを、随意的により大きいチャンバ306に置き換えて示している。
【0320】
いくつかの実施形態では、チャンバ305は、随意的にチャンバ303の底部に取り付けられる。
【0321】
図3のシステムでのエネルギーの流れの限定ではない例をここで説明する。
【0322】
状態1のチャンバ301内の周囲温度(例えば、約300K)及び/又は周囲圧力の水が、空気316を全体的に又は部分的に有し得るチャンバ302に送り込まれ、空気が、膨張にわたってほぼ一定の温度を維持する大きい熱容量を有する流体に曝されることで、周囲温度で40バール、100バール、300バール、又は他の値などの、周囲圧力より上の圧力に等温圧縮され、状態1から状態2に移行し得る。状態2での圧縮空気は、随意的に、状態2のチャンバ306に、例えば、40バールの圧力、及び周囲温度、例えば、300Kで貯蔵される。いくつかの実施形態では、空気は、バブリングによってチャンバ3内の流体に曝される。いくつかの実施形態では、流体は、チャンバ3内の空気中に噴霧される。
【0323】
加圧空気が、随意的に、チャンバ306からチャンバ305に送られ、その後、バルブ315が閉じられ、熱源314によって加熱された高温の流体又は空気又は流体/気体の混合物が、チャンバ315及び/又はチャンバ303に送られ、加圧空気が流体/空気の混合物として加熱され、チャンバ303内で状態3に達する。例えば、チャンバ303は、温度850K及び圧力113バールで0.02m3の溶融塩を収容する。
【0324】
温度850K及び圧力113バールの溶融塩が、タービン312を駆動するために使用され、チャンバ304に送り込まれ、圧力及び/又は温度を失う。限定ではない例として、チャンバ304は、700Kの温度及び周囲温度、例えば、300Kの溶融塩を収容し得る。
【0325】
いくつかの実施形態では、チャンバ304は、0.02m3の体積を有し得る。
【0326】
いくつかの実施形態では、熱源314は、太陽光レシーバ及び/又は他の何らかの熱投入部であり得る。
【0327】
いくつかの実施形態では、シャフトが、エネルギーをタービン312からポンプ310に伝達する。いくつかの実施形態では、タービン312は電気を生成し、これは、生成された電気の他のユーザに加えて、ポンプ310にも供給される。
【0328】
このような設計は、タービン312について、フランシスタービン、カプランタービン、ペルトンホイール、テスラタービン、及び水力発電タービンに使用される同様の設計を使用することができる。
【0329】
いくつかの実施形態では、チャンバ303の充填前に、チャンバ305に、随意的に、限定ではない例として圧力40バールの低温空気が充填される。チャンバ305は前のサイクルから高温のままであり得る。このような場合、空気とチャンバ305の壁との間の熱伝達速度は、随意的に、迅速なチャンバ305への空気の充填及びチャンバ305の密閉よりも遅くなるように設計される。
【0330】
例えば、空気が、圧力40バールでチャンバ305の空気に追加される。空気は、チャンバ305内で圧力113バールに加熱される。チャンバ303の体積が20リットルである場合、チャンバ305は、随意的に、20リットル/113=0.18リットルの体積を有することができる。
【0331】
チャンバ306とチャンバ305の間のバルブを開くと、圧力が、短時間で、例えば、典型的な熱伝達速度よりも速く、数ミリ秒で平衡化し、温度上昇が排除又は大幅に低減され得る。
【0332】
いくつかの実施形態では、タービンの連続的な又は連続的に近い動力供給が達成されるように、いくつかのそのようなチャンバ305及び303が逐次に使用される。車のエンジンと同様に、随意的に2つ、3つ、4つ、又は他の数のチャンバが存在し、随意的に異なる時点で充填され、随意的にそれらのサイクル間で等しい位相差を有する。
【0333】
場合によっては、随意的に逆に接続される(例えば、チャンバ303がタービン312の低圧側に接続され、チャンバ304がタービン312の高圧側に接続され、チャンバ301及び302についても同様の)さらなる配管システムが使用される。このような場合、チャンバ303及び301が空のとき、バルブをフリップさせて、チャンバ301とチャンバ302の間、及びチャンバ303とチャンバ304の間で切り替える。このような例示的な構成では、チャンバ304は、随意的にその底部でチャンバ305にも接続される。前の例(50m3)と同じ発電のための各チャンバ303の吐出時間は、チャンバのサイズ及び数に比例し得る。体積20リットルの10個のチャンバについて(各チャンバ305及び303について)、吐出時間は、10*3600/50000*20=14秒とすることができる。
【0334】
チャンバ303及び305のサイズを増加させながら、圧力を低減するために高速の空気注入を使用することによって、体積と圧力との間のトレードオフも実施され得る。
【0335】
真空の生成によって熱を仕事に変換する
【0336】
これまで、熱を使用して圧力勾配を生み出し、機械的仕事を発生させるための方法を説明した。この方法は、高価であり得る高温及び高圧チャンバを使用するものであった。さらに、高温で動作し、腐食性があり得る媒体によって作動するタービンは、高価であり得る。タービンの使用及び/又は高温及び/又は高圧チャンバの使用を排除することに利点があるかもしれない。
【0337】
ここで、例示的な実施形態に係る真空の生成によって熱を仕事に変換するためのシステムの簡略図である、
図4Aを参照する。
【0338】
図4Aは、
図3のシステムと部分的に類似しているシステムを示す。
図3と類似している部分は、チャンバ(1)401、ポンプ410、チャンバ(2)402、及びチャンバ(6)406である。
【0339】
図4Aはまた、チャンバ(3)403と、バルブの設定に応じてチャンバ(2)402又はチャンバ(6)406のいずれかがチャンバ(3)403に加圧気体を供給することを可能にするバルブ415を示している。
【0340】
図4Aは、限定ではない例として、例えば周囲条件である300K及び1バールの水が入っている、体積50m
3のチャンバ(1)401を示している。周囲条件の選択は単なる例である。ポンプ410が、水をチャンバ(1)401から密閉された空気又は他の何らかの気体を有するチャンバ(2)402に移送する。空気は、ポンプで送られた水によって、例えば、水の噴霧を使用するか又は水の中で気泡を循環させることによって等温圧縮される。限定ではない例として、40バールの圧縮空気が随意的にチャンバ(6)406に収集される。チャンバ(6)406からの圧縮空気は、チャンバ(3)403の圧力を、限定ではない例として40バールに増加させるために使用される。
【0341】
随意的な太陽光レシーバ414又は廃熱源414などの他の何らかの熱源からの高温空気が随意的にチャンバ4に移送される。高温空気は、限定ではない例として850Kの温度である。
【0342】
チャンバ(4)404が随意的に密閉され、水の噴霧により、随意的に空気が周囲温度に、例えば300Kに冷却される。
【0343】
いくつかの実施形態では、チャンバ(3)403からの水が、冷却水として作用するように提供される。チャンバ(4)404内の圧力は、300K/850Kの係数で1バールから0.353バールに低下し得る。タービン412は、チャンバ(3)403とチャンバ(4)404との間の圧力差をシャフト416の回転に変換することによって機械的仕事を行う。
【0344】
このような設計は、タービン412について、フランシスタービン、カプランタービン、ペルトンホイール、テスラタービン、及び水力発電タービンに使用される同様の設計を使用することができる。
【0345】
タービン412によって行われる仕事は、タービンにわたる圧力差の自然対数(ln)に比例し、ゆえに、チャンバ(4)404内の圧力がおよそ1/3に低減することで、およそln(3)=約1.1が例えばおよそln(40バール/1バール)=ln40=約3.7に加わることによって行われる潜在的な仕事が増加し、仕事がおよそ1.1/3.7=約30%向上することに留意されたい。
【0346】
いくつかの実施形態では、チャンバ(3)403内の空気又は気体の膨張は、流体がほぼ定常温度を維持する等温プロセスである。
【0347】
いくつかの実施形態では、チャンバ(4)404内の空気又は気体の膨張は、水又は他の流体の噴霧によりほぼ定常温度が維持される等温プロセスである。
【0348】
真空法は、チャンバの再充填の繰返しサイクルを使用し得る。
【0349】
タービンとポンプの間のパワーの調節
【0350】
説明される方法及びシステムのいくつかにおいて、シャフトは、随意的に、仕事を発生させるタービンと、仕事を発生させるべく空気を圧縮するために使用されるポンプとの間に接続される。シャフトを使用してタービンとポンプを直接接続すると、ポンプとタービンの間のパワーを調整できない場合がある。
【0351】
場合によっては、シャフトは、随意的に、タービンの回転とポンプの回転との回転速度比のいくつかの選択肢を提供するギアボックス(図示せず)に接続される。これにより、より高い効率を潜在的に達成するためのより広いダイナミックレンジが可能になる。
【0352】
場合によっては、ギアボックスは、随意的に、ポンプ側で必要とされる最大圧力に関連する回転比の全範囲をカバーすることができ、これは、上記の例では40バールで、タービンでの圧力差が最小の場合である。
【0353】
いくつかの実施形態では、広範囲の圧力差にわたる空気の圧縮を可能にするべく、ハイドロポンプに圧力補償ポンプが含められる。
【0354】
いくつかの実施形態では、空気は、チャンバ301内の1バールからチャンバ302内の40バールに圧縮され、ポンプは1~40バールの圧力差を提供する。
【0355】
説明した例では、タービンが最後のサイクル中にも動作するように、例えば、
図3のチャンバ6 306がほぼ空で、例えば2バールの圧力を有するとき、圧力2バールの気体の圧力が、加熱後に、例えば700Kで4.7バールに増加する。このような場合、
図3のシステムは、ポンプに十分なエネルギーを提供するために、タービンがポンプよりも10倍速い、比10のギアを使用することができる。
【0356】
いくつかの実施形態では、タービンにわたる圧力差が減少すると、タービンとポンプの間のギア比が増加する。
【0357】
システムの最初のサイクル中の、チャンバ(6)406の使用中の圧力変化の別の端で、チャンバ(6)406は例えば40バールの圧力を有し、これは
図3のチャンバ(3)303内で加熱されて93バールに増加する。
【0358】
場合によっては、その時点で、ポンプ310は、
図3の実質的に空のチャンバ(2)302に対して作動し得る。そのような条件下では、回転比は約1/10で、ポンプがより速くなる。
【0359】
いくつかの実施形態では、2桁のダイナミックレンジ(回転範囲で0.1~10の比)を達成することは、カプランポンプなどのポンプ設計によって達成され、これにより、タービンブレードの角度を変化させることでより広い効率範囲が可能となり得る。
【0360】
場合によっては、タービンはカプラン設計タービンである。
【0361】
動作圧力の低減
【0362】
一部のシステムでは、上記よりも低い圧力で動作することが好ましい場合がある。例えば、17.6バールの低温空気を370Cのサーマルオイルに注入すると、40バールのタービンを駆動する40バールの動作圧力が生じる。別の例では、8.75バールの低温空気を370Cのサーマルオイルに注入すると、20バールの動作圧力が生じ、20バール用に設計されたタービンを駆動することができる。
【0363】
圧力低下に伴う負荷の動的変化による高効率タービンの維持
【0364】
図3の高温高圧チャンバ(3)303又は
図3の高温チャンバ(4)403が吐出するとき、圧力がその最大値からより低い圧力に、随意的に、タービン312が動作できる最小値まで低下する。より低い圧力は、周囲圧力に近いか、又はそれより幾らか高い圧力とすることができる。圧力が低下するとき、ノズルから出てタービンを駆動するHTFの速度が低下する。タービンの場合、最大効率は、流体の速度がタービンの接線速度の2倍のときである。従来のタービンは、通常、システムのヘッド圧によって定義される一定の負荷に対して動作する。このような従来のシステムでは、(高圧に一致する)一定の負荷に対する圧力が低下すると、タービンの回転が遅くなり、タービンの効率が低下する。場合によっては、タービンは、発電ユニットに接続される。このような場合、タービンの負荷は、発電量によって定義される。圧力の低下に合わせて発電量を減らすと、タービンブレード先端の線速度が流体速度の50%に維持され、最大効率が維持され得る。そのような効果は、発電ユニットの電気制御システムによって達成することができる。随意的に、負荷の低減は圧力の低減と一致するため、HTFの圧力によって駆動されるピストンなどの機械要素が、電気負荷を制御し、電気制御システムと置き換わることができる。
【0365】
そのような制御は、電気自動車のブレーキに接続された電気自動車の発電機に似ている。ブレーキの圧力が高いと、発電機の発電量が増加する(負荷を増加させることで、より多くの電気エネルギーを生成する)。ブレーキの圧力を低減させると、発電機の負荷が低減する。
【0366】
いくつかの実施形態では、タービンは、シャフトによって、エネルギーを圧縮空気として貯蔵するポンプに接続される。このような場合、HTFの圧力が低下するにつれてタービンの負荷を低減する機械要素は、車のブレーキパッドに似ている。タービンにわたる圧力が増加すると、HTFの速度と比較してタービンの速度を最適な値に維持する負荷が増加する。
【0367】
いくつかの実施形態では、タービンとポンプの間の機械的ギアが、動的圧力範囲全体にわたって最適なタービン速度、又は少なくとも動的圧力範囲にわたってギアなしよりも良好なタービン速度を維持し得る。
【0368】
いくつかの実施形態では、広範囲の圧力差にわたって効率的にポンピングするために圧力補償ポンプが使用される。
【0369】
本明細書で説明される例の一態様は、圧縮可能な気体としての空気と、水及び/又はサーマルオイル及び/又は溶融塩などの流体との組み合わせを例として取り上げる。しかしながら、そのような概念は、例えば、CO2、N2、蒸気などの任意の気体で実現することができる。伝熱流体は、例えば、溶融ナトリウムを含む、集光型太陽光発電所又は原子力発電プラントで使用されるような任意の有用な流体とすることができる。
【0370】
理想カルノーサイクルは、等温プロセスに基づいている。しかしながら、同じ概念を、チャンバ3内の流体を押してタービンを駆動する気体の等圧膨張又は圧縮を通じて実施することもできる。
【0371】
場合によっては、チャンバ6から水チャンバ3への圧縮気体の需要に応じた放出を使用して、水力発電タービンを駆動し、これにより、蓄えられた気体の圧力を電気に変換する。このようなプロセスでは、気体の膨張は水の温度に依存し得る。
【0372】
いくつかの実施形態では、水を高温に加熱すると、例示的な装置の効率が向上し得る。例えば、40バール及び400Kで50m3の気体を挙げると、同じ条件下の300Kの気体よりも25%多いエネルギー(電気に変換される)を有し得る。水の大きい熱容量と低い熱損失率を利用して、エネルギー貯蔵段階の最後に水を加熱することが可能であり得る。
【0373】
太陽光レシーバの例では、太陽が沈むと、日中に熱を受け取った塩はまだ熱いかもしれないが、溶融塩としてタービンを駆動するのに十分ではないかもしれない。
【0374】
いくつかの実施形態では、塩の残熱が、随意的に水チャンバに伝達され、水の温度を上昇させる。
【0375】
いくつかの実施形態では、タービンは、効率よく動作する最小圧力値を有する。この最小圧力は、チャンバ3又はチャンバ4内の高温気体とHTFの残留圧力を維持することができる。チャンバ3及び4とチャンバ2との間にパイプを接続し、タービンをバイパスして、貯蔵のためにチャンバ2内の圧力を直接増加させることによって、この圧力を回収することができる。
【0376】
いくつかの実施形態では、残留圧力の使用は、気体が冷える前に行われる。
【0377】
前述の例のサイクルによれば、チャンバ3及び4は、気体の膨張が終わった後に高温の気体(例えば、空気)が残る。その空気の熱は、次のサイクル中にチャンバにHTFが再充填されるときに無駄になる場合がある。
【0378】
いくつかの実施形態では、圧縮された低温空気を充填した後にチャンバ5を加熱することによって熱損失が防がれる。このような実施形態では、チャンバ5内の圧力が加熱とともに増加し、流体、例えば、オイルからの熱伝達を低減する。
【0379】
ソーラー用途などのいくつかの実施形態では、一日を通して動作するのに十分な空気を供給する、大きいチャンバ5が使用される。このような空気の供給は、10、50、又は100m3のチャンバサイズに対応し得る。各エンジンサイクルでチャンバ3及び4内の残熱を使用してチャンバ5を加熱することで、チャンバ5の温度がわずかに上昇し得るが、廃熱はリサイクルされ得る。いくつかの実施形態では、夜に、チャンバ5がハイドロポンプを使用して再充填される。
【0380】
ここで、例示的な実施形態に係るエネルギー生成システムで使用される熱機関の簡略図である、
図4Bを参照する。
【0381】
図4Bは、随意的に蓄熱器、チャンバ(0)422、及びオイル駆動HTFエンジン423と一体化された、太陽光レシーバなどの受熱器421を示している。
図4Bの例示的な実施形態では、摂氏400度の温度のサーマルオイル、例えば、Therminol(登録商標)66が、100kWタービン423を駆動するために使用される。シャフト424が、タービン423をポンプ425に接続し、ポンプ425は、最初の圧縮空気を1つ又は複数のチャンバ(6)428に供給するために、初期量の空気が入っているチャンバ(1)426及びチャンバ(2)427内で流体を圧縮する。いくつかの実施形態では、シャフト424はまた、バッテリ435に蓄えられる又はグリッド436に供給される電気を発生させるために、発電機428に接続される。
【0382】
受熱器421からのTherminol(登録商標)66などの加熱流体がチャンバ(3)431に収集される。
【0383】
チャンバ(6)428又はチャンバ(2)427からの圧縮空気がチャンバ(5)433Aに供給される。チャンバ(5)433Aが密閉されると、チャンバ(3)431からの加熱流体がチャンバ(5)433Aに供給され、そこで加熱流体が圧縮空気を加熱し、圧力が温度比によって増加する。加熱流体と気体は、タービン423に流れ、そこで仕事が発生し、前述のように使用される。
【0384】
このような設計は、タービン423について、フランシスタービン、カプランタービン、ペルトンホイール、テスラタービン、及び水力発電タービンに使用される同様の設計を使用することができる。
【0385】
いくつかの実施形態では、次いで、流体がチャンバ(4)432に充填される。空気圧がチャンバ(5)433Bに充填され、チャンバ(5)433Bが密閉されると、チャンバ(4)432の流体がチャンバ(5)433Bに供給され、チャンバ(4)432からの流体からの加熱によって圧力が増加する。次いで、加圧された流体と気体がタービン423を駆動する。
【0386】
いくつかの実施形態では、流体がチャンバ(3)431に戻ってサイクルが完了し、サイクルが最初からやり直される。
【0387】
いくつかの実施形態では、
図4Bの例示的な実施形態はHTFリザーバチャンバ(7)429を含む。HTFリザーバチャンバ(7)429は、随意的に、タービン423での1つ又は複数のサイクル後にオイルを収集する。
【0388】
いくつかの実施形態では、一日の終わりに、HTFリザーバチャンバ(7)429に収集されたHTFを、再加熱のために受熱器421又はチャンバ(0)422に移送するために、空気圧が使用される。
【0389】
いくつかの実施形態では、高温の流体及び/又は気体を収容し得るチャンバと、高温気体を誘導し得るパイプは、随意的に断熱430される。断熱されるコンポーネントは、随意的に、チャンバ(3)431、チャンバ(4)432、チャンバ(5)433A、433B、随意的なチャンバ(7)429を含み得る。
【0390】
100kW太陽光レシーバ用に設計された400℃のTherminol(登録商標)66の制御された体積の計算:
【0391】
慣性基準系での空気の体積を考慮する。
【0392】
ステップ1:周囲条件で、チャンバ(1)426内の3m
3の制御された体積の空気から始める。
【数9】
【0393】
理想気体の式PV=nRTによれば、気体の圧力をおよそ1バールから40バールに増加させると、体積が0.075m3に減少する。プロセスが等温で行われるとき、気体から周囲に奪われる熱は、Q1=W1=P1V1ln(V2/V1)=1.107MJである。
【0394】
ステップ2:一定体積で気体をオイルで673Kに加熱する。空気とオイルの体積比を4/96と仮定する。2%ではなく4%の空気を使用すると、圧力損失1%未満、熱容量
【数10】
及びオイルの密度738Kg/m
3で、チャンバのサイズを1/2に縮小できることに留意されたい。結果として、温度は、
3.51*0.81*ΔT
Air=0.075*0.96/0.04*738*2.89*ΔT
oil、及び
ΔT
oil=373-ΔT
Air=>ΔT
Air=372.97K
になる。
【0395】
空気とオイルの温度は両方とも673Kである。空気によって吸収される熱は、Q2=mCVΔT=3.51Kg*0.81*373K=1.06MJであり、圧力は、理想気体の場合、P2=673*40バール/300=89.7バールに増加する。
【0396】
ステップ3:概ね等温膨張の場合の計算は、
Q3=W3=V3P3ln(V4/V3)=0.0375m3*89.7バール*ln(89.7)=3.02MJ
である。
【0397】
費やされる総エネルギーは、Q
2+Q
3=1.06MJ+3.02MJ=4.08MJである。
【数11】
【0398】
Q2+Q3=0.075m3によるオイルの温度の変化は、0.96/0.04*738*2.89*ΔToilであり、ΔToil=1Kである。いくつかの実施形態では、オイルの温度は1ケルビン下がり、ゆえに、別のサイクルで気体をさらに加熱するために再び使用され得る。
【0399】
理想効率は、
【数12】
であり、チャンバ4からの熱回収なしでは、
【数13】
チャンバ4からの50%の熱回収では、
【数14】
の実用的な(水力発電のように90%と仮定して)効率が達成され得る。
【0400】
いくつかの実施形態では、チャンバ4からの熱回収は、動作温度の、例えば約400Cの排出空気と、充填され密閉された後のチャンバ6との間の熱交換器によって行われる。
【0401】
Q
3=W
3は、流体の運動エネルギーに変換され、
【数15】
これはタービンによって電気に変換される。
【0402】
例示的な実施形態では、0.1MWth(0.1MJ/秒)の熱供給を有することは、チャンバ(3)431が空になってチャンバ(4)432に切り替わるまでの時間は4.08[MJ]/0.1[MJ/秒]=40.8秒であることを意味する。
【0403】
いくつかの実施形態では、そのような太陽光レシーバ及びHTFエンジンは蓄熱器を使用することができ、蓄熱器を加熱するために太陽放射が使用され、蓄熱器は需要に応じてHTFエンジンを駆動することができる。
【0404】
いくつかの実施形態では、太陽放射が利用可能なときにHTFエンジンを駆動し、需要時に使用するためにバッテリを充電することによって、蓄熱器の代わりにバッテリストレージを使用することができる。
【0405】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のチャンバ(6)428内の圧縮空気が、エネルギーを貯蔵するために使用される。
【0406】
いくつかの実施形態では、前述のエネルギー貯蔵容量よりも長く数日間にわたって太陽を利用できないとき、HTFエンジンが、水素、バイオガス、天然ガス、又は任意の他の燃料源で動作することができる。このようにして、システムは、24時間365日動作し、化石燃料(ガス、石炭など)だけで動作するエネルギーシステムと置き換わることができ、このようなシステムは、利用可能な時にソーラーパワーを収集し、同システムによって蓄えられた貯蔵エネルギーにシフトすること、及び太陽エネルギーも貯蔵エネルギーも利用できないときに最終的に燃料の使用にシフトすることを可能にする。化石燃料タービンをマルチソースのエネルギーシステムに置き換えることで、グリッドシステム全体のコストが削減され得る。
【0407】
いくつかの実施形態では、周囲温度よりも高い、例えば373Kよりも高い温度の低品質廃熱が、HTFエンジンを駆動する。
【0408】
いくつかの実施形態では、沸点よりも低い温度の温水を、タービンを駆動する、すなわち、チャンバ(2)427に接続された水力発電モータ(図示せず)を使用して圧力を電気に変換するためのHTFとして使用することができる。この場合、高温水によって圧力が上昇し、出力が増加する。
【0409】
図4Bのチャンバ(3)431、チャンバ(4)432、及びチャンバ(5)433についての説明:
【0410】
いくつかの実施形態では、
図4Bのチャンバ(5)433A、433Bの使用が除去され、加熱流体が供給される前に密閉されたチャンバ(3)431及びチャンバ(4)432の頂部から未加熱の加圧空気が供給され、空気が加熱され、圧力が増加する。チャンバ(5)433の除去は、コストと複雑さを低減し得る。
図4Cは、このようなシステムの随意的な構成とチャンバの構成を示している。
【0411】
ここで、例示的な実施形態に係る加熱流体と気体を混合するためのチャンバの使用の簡略図である、
図4Cを参照する。
【0412】
図4Cはチャンバ441を示している。チャンバ441に加熱流体を供給するためにバルブ442を開くことができる。次いで、バルブ442を閉じることができる。バルブ443を開き、チャンバ441に圧縮空気を供給することができる。次いで、圧力を失わないようにバルブ443を閉じることができる。気体は膨張できず、流体を圧縮できないため、加熱流体がチャンバ441内の圧縮空気を等容プロセスで加熱する。
【0413】
いくつかの実施形態では、チャンバ441は、随意的にチャンバ441内の空気と流体を混合するポンプ444も有する。いくつかの実施形態では、ポンプ444は、チャンバ441の底部から流体を吸い上げ、流体をチャンバ441の頂部に噴霧することができる。
【0414】
いくつかの実施形態では、ポンプ444は、チャンバ441の頂部から空気を吸引し、チャンバ441の底部の流体に空気を気泡として注入し、空気は流体を通ってバブリングする過程で加熱される。
【0415】
チャンバ441は出口445を有し、出口445は、開かれると、流体と気体が
図4Bに示されているHTFエンジン423などのエンジンに勢いよく流れ込むことを可能にする。
【0416】
ここで、例示的な実施形態に係る2つのチャンバの使用の簡略図である、
図4Dを参照する。
【0417】
図4Dは、チャンバ(3)452及びチャンバ(4)453(
図4Bを参照して説明したチャンバ(1)426及びチャンバ(2)427なし)を示している。
【0418】
いくつかの実施形態では、チャンバ(4)453の部分的充填により、
図4Bのチャンバ(5)433Bから空気の代わりに低温空気を注入するのに十分な体積が残る。低温空気が注入されると、チャンバ(4)453が密閉され、
図4Cに示すような随意的なオイルスプレーポンプ(又は気泡ポンプ)が動作し、空気の温度がオイルの温度に達する。次いで、オイルバルブが開かれ、
図4Bに示されているペルトンホイールなどの熱機関459にオイルが流れ、熱機関が回転する。オイルは、随意的に、ドレインを通ってチャンバ(3)452に排出される。
【0419】
いくつかの実施形態では、オイルは収集チャンバ451を通過する。
【0420】
いくつかの実施形態では、オイルは再加熱のために蓄熱器451又は太陽光レシーバ451を通過する。再加熱は、温度差を増加させるために、各サイクルで又は多くのサイクル後に行うことができる。
【0421】
次いで、チャンバ(3)452が密閉され、低温空気が注入され、プロセスが繰り返される。
【0422】
図4Dは、熱機関を駆動するための加熱流体及び気体を2つのチャンバが交互に供給することができる構成を示している。
【0423】
図4Dは、熱機関459に流れを供給するためのノズル457、458、459を示している。
【0424】
このような設計は、熱機関459について、タービン、フランシスタービン、カプランタービン、ペルトンホイール、テスラタービン、及び水力発電タービンに使用される同様の設計を使用することができる。
【0425】
ここで、例示的な実施形態に係る加熱流体と気体を混合するためのチャンバの使用の簡略図である、
図4Eを参照する。
【0426】
図4Eは、頂部及び底部が開口している細いパイプ484が垂直に配置されたチャンバ483を示している。パイプ484は、頂部でプレート485に接続され、プレート485は、チャンバ483を、プレート485よりも上の上部とプレート485よりも下の下部に分割する。
【0427】
加熱流体をチャンバ483に供給するためにバルブ481を開くことができる。次いで、バルブ481を閉じることができる。
【0428】
いくつかの実施形態では、加熱流体は、通常、チャンバ483の体積のおよそ95%を占めるように供給される。
【0429】
いくつかの実施形態では、加熱流体は、プレート485よりも上に達しないように充填される。
【0430】
バルブ482を開き、チャンバ483に圧縮空気を供給することができる。次いで、圧力を失わないようにバルブ482を閉じることができる。気体は膨張できず、流体を圧縮できないため、加熱流体がチャンバ483内の圧縮空気を等容プロセスで加熱する。
【0431】
加熱流体は、パイプ484の全周及びパイプ484の内部にある。チャンバ483の底部でバルブ485が開かれると、加熱及び加圧空気がパイプ484を通って膨張し、流体をチャンバ483から押し出す。空気はパイプを通過するため、加圧気体の膨張はほぼ等温で行われ、その間、膨張する気体は冷えるはずであり、この場合、膨張する気体は、高温及び大きい熱容量の熱源、すなわち、パイプとその周囲のオイルから熱を受け取る。
【0432】
バルブ485を通って出る流体は、
図4Bに示されているHTFエンジン423などのエンジンに勢いよく流れ込む。
【0433】
ここで、例示的な実施形態に係る2つのチャンバの使用の簡略図である、
図4Fを参照する。
【0434】
図4Fは、第1のチャンバ470A及び第2のチャンバ470B、圧縮空気を供給するためのパイプ469A、469B、HTFストリームをペルトンホイール465に注入するためのノズル466、使用済みのHTFを収集するための随意的なベースン467、及び気体とHTFの流れを制御するためのバルブ468を示している。
【0435】
図4Fは、各チャンバのための2つのパイプを有する例示的な構成を示している。
【0436】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバ470Aへの流体の部分的充填により、パイプ469Aから空気を注入するのに十分な体積が残る。空気が注入されると、第1のチャンバ470Aが密閉され、空気の温度がHTFの温度に達する。次いで、バルブ468が開かれ、HTFがペルトンホイール465などの熱機関に流れ、熱機関が回転する。HTFは、随意的に、ベースン467に及びそこから第2のチャンバ470Bに排出される。
【0437】
いくつかの実施形態では、HTFは随意的にベースン467に収集される。
【0438】
いくつかの実施形態では、HTFは再加熱のために蓄熱器又は太陽光レシーバ(図示せず)を通過する。再加熱は、温度差を増加させるために、各サイクルで又は多くのサイクル後に行うことができる。
【0439】
次いで、第2のチャンバ470Bが密閉され、低温空気がパイプ469Bを通じて注入され、プロセスが繰り返される。
【0440】
図4Fは、熱機関を駆動するためのHTFを2つのチャンバが交互に供給することができる構成を示している。
【0441】
図4E及び4F、並びに本明細書で説明される他の例示的な構成では、HTFは、チャンバに及びチャンバから重力によって流れてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプがHTFをチャンバに送り込むことができる。
【0442】
このような設計は、熱機関465について、タービン、フランシスタービン、カプランタービン、ペルトンホイール、テスラタービン、及び水力発電タービンに使用される同様の設計を使用することができる。
【0443】
等温に近いプロセスを維持するための油滴のサイズ及び速度:
【0444】
Q3=W3は、それぞれ、等温膨張プロセスにわたって供給される必要がある熱及び生成される仕事である。熱Q3は、油滴から気体(空気又は他の気体)に伝達される。簡単にするために、任意の他のタービンに適用することができる、(初期圧力の投入と損失に起因する、40%の効率につながる)6kWの総正味出力をサポートする、15kWペルトンホイールの例を示す。
【0445】
伝達される熱は、
【数16】
であり、ここで、
【数17】
は、空気中に噴射された1秒当たりのオイル噴霧の総体積であり、
【数18】
は、オイルの体積あたりの熱容量であり、ΔT
oil_airは、空気とオイルの最終的な温度差である。例えば、ΔT
oil_air=10度以下の温度差を次のように計算する
【数19】
【数20】
の場合、
【数21】
であり、
【数22】
の場合、
【数23】
である。
【0446】
いくつかの実施形態では、熱伝達率は、発電パワーに相当することに留意されたい。
【0447】
いくつかの実施形態では、スプレーポンプを制御するために制御システムは使用されない。いくつかの実施形態では、シャフト、又は制御システムなしの別の機械的又は電気的配線が、ペルトンホイールのメインシャフトとスプレーポンプとを接続する。発電量が多いとき、スプレーポンプは大容量で動作し、発電量が少ないとき、スプレーポンプは噴霧量を少なくする。
【0448】
いくつかの実施形態では、制御システムは、随意的に、ペルトンホイールでの圧力及び流量の変化に関連する噴霧速度を制御するために使用される。
【0449】
オイルの噴霧に関連して考慮されるパラメータは、液滴のサイズ及び速度であり、サイズが小さすぎると液滴の熱容量が小さくなり、温度が低下して効率の低下につながる可能性がある。サイズが大きすぎると、液滴の表面積と体積の比が減少し、熱伝達率が低下する可能性がある。
【0450】
いくつかの実施形態では、液滴直径の変化は、一定のオイルの体積及び/又は質量及び/又は熱容量率を維持するべく、提供される液滴の速度
【数24】
を変化させることによって補償される。例えば、オイルの体積は、
【数25】
で表すことができ、ここで、rは液滴の半径である。
【0451】
液滴のサイズの計算:
【0452】
液滴のサイズは、液滴の終端速度、液滴の空気中での持続時間、及び液滴からの熱伝達率に影響する。
【0453】
例えば、平均圧力20バール、オイルの温度673K、及びオイルが流れに戻るまでの温度差10度のとき、次の値の範囲が予想される:
【表2】
ここで、「Nu」はヌッセルト数を表し、「t」は最終温度までの加熱時間を表す。
【0454】
上記の表での伝搬距離は、終端速度×最終温度までの時間に等しい。
【0455】
いくつかの実施形態では、チャンバのおおよそのサイズ、長さ、直径、及び幅のうちの1つ又は複数は、随意的に伝搬距離に等しくなるように選択され、伝搬距離は、終端速度×最終温度までの時間である。
【0456】
上記の計算から、チャンバのサイズが数メートルの場合、空気がオイルの温度よりも20度以上低い温度に維持されるという条件下で、液滴の有効直径は5mm以上であることが分かり、ここで、直径5mmの液滴は、その温度が10度下がる前に3.7センチメートルの伝搬長を有する。したがって、直径が1mmよりも大きい液滴は、より高い温度差を可能にし得る。
【0457】
気体と流体をジェット状に混合するためのノズル
【0458】
場合によっては、気体とHTFをチャンバ内で混合する代わりに、気体は、随意的に、HTFの流れとともにノズルに注入される。
【0459】
空気と流体を混合する1つの方法は、「Underwater two phase ramjet engine」(Hezi Varshay及びAlon Ganyの米国特許第5,598,700号)に記載されているように行うことができる。その方法では、空気がノズルに注入され、等温膨張し、圧力が水の運動エネルギーに変換される、ボート用のモータが提案されている。
【0460】
しかしながら、上記の推進は周囲温度の水を使用する。
【0461】
ジェットの例示的な実施形態
【0462】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、空気と高温の流体が混合される。
【0463】
ここで、例示的な実施形態に係る熱機関としてのノズルの使用の簡略図である、
図5を参照する。
【0464】
図5は、高温で、例えば700Kの空気及びサーマルオイルで動作するのに適したノズル530が、圧縮空気を加熱するために高温HTFが使用される
図1E及びさらなる実施形態を参照して説明されるチャンバ5及びチャンバ3と置き換わることができる、例示的な実施形態を示す。
【0465】
周囲温度、例えば300Kの空気が、随意的にチャンバ502内で例えば40バールに圧縮され、随意的に膨張なしに、随意的にチャンバ505内で例えば700Kの温度に加熱され、93.3バールの圧力に達する。
【0466】
700Kの高温サーマルオイル521がノズル530に流れ込む。700Kの空気522がノズル530に注入される。空気が等温膨張する際に、空気圧がオイルの運動エネルギーに変換される。高速のサーマルオイルが随意的にタービン532などのエンジンを駆動し、仕事を発生させる。
【0467】
いくつかの実施形態では、エンジンは、回転するペルトンホイールであり、随意的にシャフト526に接続され、随意的にチャンバ501とチャンバ502などの2つのチャンバ間のハイドロポンプを駆動して加圧空気を生成する。いくつかの実施形態では、加圧空気はチャンバ506に貯蔵される。上記のプロセスは、
図1Dの説明と同様である。
【0468】
このような設計は、熱機関532について、タービン、フランシスタービン、カプランタービン、ペルトンホイール、テスラタービン、及び水力発電タービンに使用される同様の設計を使用することができる。
【0469】
いくつかの実施形態では、再使用のため及び/又はオイルと空気を分離するために、オイルを収集チャンバ525に収集することができる。
【0470】
空気は加圧して注入する必要はないことに留意されたい。気体は加圧せずに注入することができ、等容加熱とも呼ばれる膨張なしの加熱によって圧力を生じさせることができる。気体を加圧せずに注入することができ、等容加熱に近い、膨張が制限された状態での加熱によって圧力が生じる。
【0471】
前述のシステム及び方法に対するこのようなシステム及び方法の潜在的な利点は、抽出できる高い出力パワーである。別の利点は、より連続した動作(より長いサイクル)であり、大きいチャンバ3及び/又はチャンバ4は不要であり、大量の伝熱流体も不要である。完全に連続した動作方法も説明される。
【0472】
ここで、例示的な実施形態に係るエネルギー生成設定で使用される例示的な実施形態の熱機関の簡略図である、
図6を参照する。
【0473】
図6は、空気などの気体622が、加熱HTF621の入力を受け入れるノズル630に注入され、等温膨張する気泡を形成する、固定のジェット構成の閉ループサイクルを示している。HTFジェットの速度は、気体の膨張によって高まり、加熱気体の圧力がHTFの運動エネルギーに変換される。
【0474】
いくつかの実施形態では、衝動タービン又はペルトンホイールなどのエンジン632を使用して、HTFの速度を、ポンプ610を駆動するシャフト626の回転に変換する。ポンプ610は、随意的に、水などの流体をチャンバ602に送り込み、チャンバ602内の空気を加圧する。いくつかの実施形態では、加圧空気は、貯蔵チャンバ606に貯蔵される。
【0475】
このような設計は、エンジン632について、タービン、フランシスタービン、カプランタービン、ペルトンホイール、テスラタービン、及び水力発電タービンに使用される同様の設計を使用することができる。
【0476】
場合によっては、ノズル630に注入された空気622は、随意的に、密閉されたチャンバ内で空気の等容加熱を行うために加熱チャンバ605内で予熱される。随意的に、空気の予熱は、HTFの噴霧又はHTFへの気体のバブリングによって行われる。
【0477】
場合によっては、バルブ607を使用して、高圧気体がチャンバ606に戻らないようにする。
【0478】
場合によっては、循環ポンプ(図示せず)が、HTFをエンジン632の後に随意的に所望の圧力及び速度でノズル630に戻す。
【0479】
場合によっては、循環ポンプは、再加熱のためにHTFを熱交換器627に通す。随意的に、循環ポンプは、低温HTFを蓄熱器からの高温HTFに置き換える。
【0480】
回転するジェットエンジンのような構成の例
【0481】
いくつかの実施形態では、ジェットが、空気圧を発生させる及び圧縮空気を貯蔵するための発電機及び/又はポンプに接続されたシャフトを直接回転させる。
【0482】
ここで、例示的な実施形態に係るジェットエンジンのような構成の熱機関の簡略図である、
図7A~7Dを参照する。
【0483】
図7Aは、リング形のHTFプール704内で又はその上で回転する2つのジェットノズル702A、702Bの構成を示している。このような構成の潜在的な利点は、(いくつかの実施形態では、圧力がデューティサイクルで指数関数的に低下する可能性がある一部の密閉されたチャンバ構成とは対照的に)絶えず電力を生成できることである。
【0484】
様々な実施形態において、1つ、2つ、又はそれ以上のノズルが、随意的に、リング形のHTFプール704内で又はその上で回転して、発電機ユニット708又はポンプ708に接続されたシャフト706に伝達される回転トルクを生成することができる。空気が、空気供給源712から供給710され、中心軸を通り、アーム714を通って、ノズル702A、702Bに到達する。
【0485】
いくつかの実施形態では、空気は、ノズル702A、702B内で等温膨張し、シャフト706を回転させ、電気及び/又は機械的仕事として仕事を発生させる。
【0486】
限定ではない例として、
図7Aは、発電機708又はポンプ708又はハイドロポンプ708に接続されたメインシャフト706を回転させる2つのノズル702A、702Bの上面図を示している。
【0487】
様々な実施形態において、任意の数のノズル702を接続して、より多くのパワーを発生させることができる。
【0488】
いくつかの実施形態では、バルブ716を使用して、空気供給源712からノズル702A、702Bに空気を供給するべく開く及び閉じることができる。
【0489】
図7Aに関連して、及び以下に説明する
図8A~8C、
図9、
図10A、
図10B、
図11、及び
図14に関連して、アーム714及びノズル702A、702Bの数は、2つに限定されないことに留意されたい。任意の整数のアーム及びノズルが理解されるべきであり、2つのアーム714及び2つのノズル702A、702Bは限定ではない単なる例である。
【0490】
いくつかの実施形態では、
図1E、
図3、
図4A~4F、
図5、及び
図6を参照して説明したような供給源及び/又はチャンバからの圧縮空気を使用して、
図7A~7D、
図8A~8C、
図9、及び
図14で説明される熱機関に動力を供給するべく圧縮空気を供給することができることに留意されたい。
【0491】
いくつかの実施形態では、
図1E、
図3、
図4A~4F、
図5、及び
図6を参照して説明したような供給源及び/又はチャンバから圧縮空気が供給され、
図7A~7D、
図8A~8C、
図9、及び
図14で説明される熱機関は、随意的に連続的に使用される。これは、チャンバに圧縮空気を充填し、チャンバ内の圧力が使い果たされると、上記の供給源からのチャンバを再充填するために停止するシステムとは対照的である。
【0492】
図7Aに示されている構成のためのいくつかの限定ではない例示的な動作パラメータは、以下を含む:
【0493】
例1:HTFは、高温、例えば670K、又は100C~1500Cの範囲内であり、加圧空気は、5バールの圧力及び670Kの高温又は100C~1500Cの範囲内で供給され得る。
【0494】
例2:HTFは、高温、例えば670Kであり、加圧空気は、5バールの圧力及び周囲温度で供給され得る。いくつかの実施形態では、空気は、加熱HTFと混合されたときに加熱される。
【0495】
例3:HTFは、周囲温度、例えば21Cであり、加圧空気は、5バールの圧力及び周囲温度で供給され得る。いくつかの実施形態では、加圧空気は、加圧空気の供給源から供給され得る。いくつかの実施形態では、加圧空気の供給源は、
図1E、
図3、
図4A~4B、
図5、及び
図6を参照して説明したように、加圧空気の形態でエネルギーを貯蔵するために使用され、
図7Aの構成は、例えば、電気の形態のエネルギーを生成するために使用される。
【0496】
図7Aの構成は、以下の利点のうちの1つ又は複数を提供し得る:
【0497】
HTFをノズル702A、702Bに継続的に供給するためにHTFポンプを使用する必要はない。ノズルが動作しているとき、遠心力が、HTFをアーム714に沿ってノズル702A、702Bに運び、ノズルに運ばれるHTFからの吸引力が、HTFプール704からHTFを吸い上げる。
【0498】
ノズルの動作は、随意的に、加熱されたHTFをノズルの入力部に供給することによって、手動ポンプによって、又はアームが回転していれば使用する必要はないスタータポンプによって開始することができる。
【0499】
いくつかの実施形態では、圧縮空気をノズルに供給することで回転を開始することができる。
【0500】
図7Aの構成のアーム714が回転するとき、アーム714に沿ってノズル702A、702Bに向かうHTFの流れが、アーム714に沿って加速され、いくつかの実施形態ではHTFをHTFプール704からノズル702A、702Bの方に吸引するのに役立ち得る吸引力を生み出すことに留意されたい。
【0501】
HTFをノズル702A、702Bに供給する半径方向アーム714に沿った圧力プロファイルは、アーム714に沿って増加する。
【0502】
いくつかの実施形態では、アーム714に沿った位置でHTFに圧縮気体が注入される。
【0503】
いくつかの実施形態では、アームに沿ったHTFの流れが、気体をアームに吸い込む吸引力を生み出すことができる。流れているHTFの吸引作用に加圧気体の圧力を加えることで、注入位置で特定の圧力が生じる。
【0504】
いくつかの実施形態では、注入位置は、HTFと気体がアーム714に沿って外方へ流れ、HTFプール704からアーム714にHTFを吸い上げる吸引力を生み出すように選択される。
【0505】
いくつかの実施形態では、注入位置は、HTFの流れが気泡をノズル702A及び702Bの方にドラッグするように選択される。
【0506】
HTFをノズル702A、702Bに供給する半径方向アーム714における圧力プロファイルは、半径方向アームに沿って増大し、回転中心から遠ざかるにつれて圧力は大きくなる。
【0507】
いくつかの実施形態では、HTF温度よりも低い空気温度で半径方向アーム714に沿ってHTFに空気を注入することで、圧力の増加とともに空気が加熱される。流体であるHTFは、圧縮可能ではなく、空気の膨張を阻止し、ノズル702A、702Bに向かうHTFの流れとともに空気の等容加熱をもたらす。
【0508】
いくつかの実施形態では、空気の気泡は、アーム714に注入されたときと同じ又はより小さいサイズでノズル702A、702Bに到達することができる。
【0509】
いくつかの実施形態では、空気の気泡は、HTFと同じ温度でノズル702A、702Bに到達することができる。
【0510】
アーム714が回転するとき、HTFに遠心力がかかることに留意されたい。流体は、普通は気体よりも密度が高く、圧縮気体よりも密度が高いため、HTFは回転軸から離れる方へ押され、気泡はアルキメデスの原理に従って回転軸に向かう方へ押される。
【0511】
いくつかの実施形態では、気泡がノズルに到達するためには、HTFの流れとともに気泡をドラッグするHTFによって気泡にかかる抗力が、HTFの流れとは反対向きに気泡を押すアルキメデスの力よりも強くなるようにする。
【0512】
いくつかの実施形態では、気泡がノズル702A、702Bに隣接しているとき、気泡のサイズは、アームに注入されたときよりも小さくなり、アルキメデスの力は、注入位置よりも低くなり得る。
【0513】
以下のパラメータが、典型的に、
図7Aによって示されるような実施形態において相互作用し得る:
アームに沿った距離と回転速度に依存する遠心力、
気泡の気体圧力、
アームの回転速度、
HTFの半径方向の流速、
気泡をその流れとともにドラッグするHTFの抗力係数
抗力係数に影響を与える気泡サイズ、
気泡空気圧とともに気泡サイズに影響を与える、気泡空気質量、
回転中心から気体注入位置までの半径方向距離、及び
ノズルの半径方向位置。
【0514】
限定ではない計算例を以下に説明する:
この例は、ノズルが、本明細書では位置2と呼ばれる半径方向距離r
2、ここで、
【数26】
にある状態で、本明細書では位置1と呼ばれる回転軸からの半径方向距離r
1でHTFに空気を注入することを説明する。
【0515】
気泡の圧力をノズルでP2、注入位置でP1とすると、遠心力F=mω2rによりP2=2*P1となる。
【0516】
r1とr2の間を流れる間に空気の温度が2倍になると仮定すると、気泡の体積は不変のままであり、これは等容加熱を受けた気泡に対応し、Vbubble_2=Vbubble_1である。
【0517】
抗力は、
【数27】
であり、ここで、ρはHTFの密度であり、
【数28】
は、HTFの速度U
HTFに対する気泡の速度であり、C
Dは抗力係数であり、Aは気泡の直径である。
【0518】
HTFに作用する遠心力はF
cent=mω
2rであり、アルキメデスの原理によると、この力は気泡に対して逆方向に作用し、回転軸の方に気泡を押し、ここで、mは、気泡によって変位したHTFの質量であり、ωは回転速度である。この限定ではない例
【数29】
の場合、位置2にあるノズルでの遠心力と注入位置1での遠心力との間の関係は、
【数30】
である。
【0519】
いくつかの実施形態では、HTFが気泡をドラッグするときの抗力は、気泡が正の速度で半径方向に流れるように、遠心力よりも大きくされる。
【0520】
Fcent_r2<FD_r2であり、これは、r=r2を含むr1とr2の間のすべてのrの値に対して真になるようにされる。
【0521】
気泡のサイズ、HTFの速度、及びさらなるシステムパラメータの間には、次の関係が見出される:
【数31】
【0522】
いくつかの実施形態では、上記のUHTFよりも低い、例えばUHTFの50%のHTF流量値が使用され、これにより、依然として気泡はノズルに到達するが、途中で減速する。
【0523】
いくつかの実施形態では、気体の圧力は、HTFの半径方向の流れとともに増加し、流れとともに空気が圧縮され、これにより、このような実施形態で用いられる注入空気を最初に圧縮する必要性を潜在的に低減又は排除することができる。半径方向の流れを使用して空気を圧縮することで、圧縮空気の最初の圧力を低減することができ、これにより、システムが簡素化され得る及び/又はエネルギー効率が向上し得る。いくつかの実施形態では、圧縮されていない気体は、HTFに加えられ、HTFとともにより高い圧力の場所に流れる際に、限定ではない例として、回転アーム714に気体を加え、気体が回転アームに沿って外方へ流れる際に、回転が気体を加圧することなどにより、圧縮される。
【0524】
制御
【0525】
本明細書で説明される熱機関の制御は、随意的に、いくつかの入力パラメータを制御することによって提供される。
【0526】
いくつかの実施形態では、このような熱機関の回転速度は、随意的に流入気体の圧力及び/又は流量を制御するバルブを制御することによって、随意的に流入気体の圧力を制御することによって行われる。
【0527】
いくつかの実施形態では、このような熱機関の回転速度は、随意的に、流入HTFの速度を制御することによって行われる。
【0528】
いくつかの実施形態では、このような熱機関の回転速度は、随意的に、調節可能なノズルのサイズ及び/又は形状を制御することによって行われる。
【0529】
いくつかの実施形態では、制御は、随意的に、本明細書で説明される熱機関を使用するエネルギー生成システムの効率を高めるために行われる。
【0530】
いくつかの実施形態では、制御は、随意的に、エネルギー生成システムの効率を高めるために行われ、効率は、本明細書の別の箇所で説明されているように計算される。
【0531】
等容又は準等容加熱
【0532】
等容加熱のいくつかの実施形態が本明細書で説明される。しかしながら、いくつかの実施形態では、準等容加熱が等容加熱ほど効率的ではない場合でも準等容加熱プロセスが適用される。準等容加熱プロセスを用いる例示的な実施形態は、気体の加熱中にいくらかの膨張が起こり、続いて気体の圧縮が起こる、気体の加熱を含み得る。全体として、気体は加熱されており、気体の最終体積はほぼ同じに保たれるため、プロセスの結果は、等容加熱と同様に、同じ体積又はほぼ同じ体積で、より高温の気体になる。
【0533】
上記のプロセスは、圧力が増加する流れで実現することができ、これにより、気体が加熱され、気体が膨張し、その後圧縮され、最終的に等容加熱の場合と同じ圧力、体積、及び温度に達することになり得る。
【0534】
例示的な実施形態では、プロセスは、例えば、回転アーム714などのパイプ内での、気体が膨張する間の気体の等圧加熱と、それに続く断熱圧縮を含む。
【0535】
いくつかの実施形態では、例えばアーム714などの回転パイプに沿って準等容加熱が達成され、そこでは遠心力が流体と気体の混合物の流れに対して増加した圧力を生み出す。
【0536】
図7B、
図7C、及び
図7Dは、HTFのプール724、734、744に関連するノズルの3つの例示的な実施形態の構成の側面断面図を示している。
【0537】
図7B、
図7C、及び
図7Dは、マウント721、731、741に取り付けられたノズル722、732、742を示している。
図7B、
図7C、及び
図7Dの限定ではない例では、マウントは、加圧空気供給部を含む。
【0538】
図7B、
図7C、及び
図7Dは、
図7Aのシャフト706を回転させて仕事を発生させるために使用することができる前方推進力726、736、746を提供するノズル722、732、742を示している。
【0539】
図7B及び
図7Cは、加熱HTF供給部723、733を前部に備えたノズル722、732を示している。
図7B及び
図7Cの実施形態では、ノズル722、732に供給されるHTFは、ノズル742に供給するための所望の温度である。
図7B及び
図7Cによって示されるいくつかの実施形態では、HTFプール724、734の中のHTFは加熱されていなくてもよく、HTFはノズル722、732に供給されるときに加熱されてもよい。
図7B及び
図7Cによって示されるいくつかの実施形態では、HTFプール724、734の中のHTFは所望の温度に加熱することができる。
【0540】
図7Dは、HTFのプール744内を移動しているノズル742を示している。
図7Dの実施形態では、HTFプール744の中のHTFは、ノズル742に供給するための所望の温度である。いくつかの実施形態では、HTFプール744の中のHTFは、所望の温度に加熱される。
【0541】
図7Bは、ノズル722がHTFのプール704よりも上を移動するノズル構成を示している。
【0542】
図7Cは、ノズル732がHTFのプール704の表面上にあるノズル構成を示している。
【0543】
図7Dは、ノズル742がHTFのプール704の中に浸漬されるノズル構成を示している。
【0544】
図7C及び7Dは、HTFがHTFプール704に直接流出734、744する状態のノズル732、742を示している。
図7Bは、HTF724を空気中に放出しているノズル722を示しており、放出されたHTF724はHTFプール704に落ちる。
【0545】
いくつかの実施形態では、フィン735、745又はバッフル735、745がHTFプールの中に配置され、ノズル732、742から出る流れ734を、ペルトンタービンのカップ内の流れと同様の様態で回転させる。そのようなフィンは、HTFプール704の中のHTFの速度を低減し、ノズル732、742からのHTFの流出734、744に対する抵抗を潜在的に提供し、ノズル732、742によって提供される前方推進力736、746を潜在的に増加させることによって、潜在的に効率を高める。いくつかの実施形態では、フィン735、745は、随意的に、プールの中のHTFの循環流をなくすために、HTFのフローライン737、747の混合流を遮断するように設計される。プールの中のそのような流れをなくすことで、HTFプール744内で動作するノズル742の抗力が低減し得る。
【0546】
いくつかの実施形態では、HTFプールの中のHTFは、高温及び周囲圧力の、例えば、670Kのオイル、溶融塩、又は他の流体である。いくつかの実施形態では、HTFは、その温度が特定の温度を下回るときに交換又は再加熱される。
【0547】
このようなノズルでは、空気流が増加するとパワーが増加する。
【0548】
図7Dに示すようないくつかの実施形態では、HTFプールでのノズルの速度は10~50メートル/秒である。ノズルの速度が増加すると、抗力が効率を制限するまでパワーが増加する。
【0549】
いくつかの実施形態では、注入空気721の最初の圧力は、2バール以上であり、随意的に10バール、20バール、又は40バールよりも高い。ノズルエンジンに関連する1つのパラメータは、グラム/秒の空気の流れである。典型的な値は、2kWパワーエンジンの場合、20~40グラム/秒である。空気の流れが増加すると、推力(パワー)が増加する。20メートル/秒の速度で回転する単一のノズルに400グラム/秒の空気供給を注入することによって20kWエンジンを実装することができる。ノズル内の空気流の速度は、通常、HTFの質量の0.3%未満であり、減圧後に、空気は、通常、空気とHTFの体積の70%以下の体積を有する。入口面積が増加すると、ノズルの推力が増加することに留意されたい。
【0550】
ノズルがHTFに浸漬されている
図7Dに示すような構成での潜在的な問題は抗力であり、エンジン効率を50%低下させる可能性がある。いくつかの実施形態では、抗力は、随意的に、回転速度を低減することで下がる。
【0551】
いくつかの実施形態では、
図7Cに示すようにノズルをほとんどHTFの水面外に配置し、ノズルの出口だけがHTFの水面に触れるようにすることで抗力が低減する。ノズルがHTF外にあるとき、ノズルの入口は、HTFを供給するパイプに接続され、さらに、ノズルは空気を供給するパイプも有する。
【0552】
いくつかの実施形態では、空気供給及び/又はHTF供給パイプは、ノズルエンジンの回転対称軸につながるバーに沿って又はバーを通じてノズルに接続される。
【0553】
流れ方向の成形
【0554】
いくつかの実施形態では、
図7Aに示されている回転アーム714などの回転アームの流れ方向の形状は、随意的に直線ではない。
【0555】
いくつかの実施形態では、遠心力及び/又はコリオリの力が、随意的に、回転する水平パイプの形状を決めるときに考慮に入れられる。
【0556】
考慮に入れられるいくつかの考慮事項は次のとおりである:
気体と流体の混合物のキャビテーションを防ぐこと、
HTFにかかる力により、HTFがパイプ壁から分離すること、
パイプ壁との流体摩擦によって生じる摩擦損失、及び
気体と流体の混合物を維持すること、及び/又は気泡が成長して気体が流体から分離することを防止すること、及び/又は気泡が流体とは異なる方向に移動するのを防止すること。
【0557】
いくつかの実施形態では、パイプの形状は、回転するカルーセルの中心からカルーセルの縁の方に、半径方向外方に投げられるボールの経路に似ている。
【0558】
いくつかの実施形態では、パイプの形状は、いくつかの実施形態ではパイプの円周端で純粋に接線方向の流れに達することさえある、気体と流体の混合物の半径方向の速度を低減するように設計される。
【0559】
気体と流体の混合物がパイプのノズル端に到達するときに接線方向に流れる場合、気泡は、遠心力の方向とは反対の方向に、又はHTFの流れに対して接線方向に「浮遊」する可能性があり、これは潜在的に気体をHTFから分離する可能性があり、潜在的にエンジンの効率が低下する可能性があることに留意されたい。いくつかの実施形態では、気体が流体から分離する可能性をなくすために、フィンが、随意的にパイプの内部に追加され、流れの方向に沿って流れを回転させるように配置される。このようにすることで、気泡は、随意的に、HTFとの均一混合物の中に維持される。
【0560】
ここで、例示的な実施形態に係る複数のジェットエンジンのような構成の装置の簡略図である、
図8Aを参照する。
【0561】
図8Aは、2つのノズル802と、2つの湾曲した又はS形のアーム814とを有する、反作用装置800を示している。
図8Aはまた、空気又は気体を混合チャンバ808に供給するパイプ806に空気又は気体を誘導する気体又は空気入力部807を示している。
【0562】
湾曲したアーム814は、タンク又はコンテナ816の流体取入口812を通じて流体入力を受け入れる。湾曲したアーム814は、ベアリング810上で回転する。
【0563】
いくつかの実施形態では、湾曲したアーム814は、随意的に、いくつかの実施形態ではノズル802で純粋に接線方向の流れに達することさえある、気体と流体の混合物の半径方向の速度を低減するように設計及び/又は形状設定される。
【0564】
いくつかの実施形態では、湾曲したアーム814は、随意的に、気体と流体の混合中及び/又は混合物の流動中のキャビテーションを低減する及び/又はなくすように設計及び/又は形状設定される。
【0565】
いくつかの実施形態では、随意的に、タンク又はコンテナ816にベント818を設けることができる。ベント818は、
図8Aの熱機関からの残熱からエネルギーを回収するための随意的なさらなる又は第2の熱機関(図示せず)のための熱源として機能するようにコンテナ816から加熱された気体を誘導するために使用することができる。
【0566】
いくつかの実施形態では、第2の熱機関は、随意的に
図8Aの熱機関と同じタイプのものであり、随意的に異なる温度及び/又は圧力設定で動作する。
【0567】
ここで、例示的な実施形態に係る反作用装置の簡略図である、
図8B及び8Cを参照する。
【0568】
【0569】
図8B及び8Cは、4つのノズル834を備えたロータ830の実施形態を示している。ロータ830は、空気の入口ポート832、HTFの入口ポート(図示せず)を有し、
図8Cの断面図は、ロータ830の中心からノズル834までの、気体と流体の混合物の渦巻流路も示している。
【0570】
反作用と衝動を組み合わせたエンジン
【0571】
図7A~7Dに示すような反作用ノズル(ノズルが、気体と流体の噴出の反作用によって加速される)と、
図5及び
図6に示すような衝動タービンは、随意的に、潜在的に効率を高めることができる。
図7A~7Dに示されているノズルから出てくる気体と流体のジェットは、外界に比べて速度がゼロではない可能性があり、これは、気体と流体のジェットに回収可能な残存エネルギーが存在することを意味する。
【0572】
いくつかの実施形態では、この残存運動エネルギーを仕事又は電気に変換するために、
図5又は
図6に示すようなペルトンホイールなどのさらなる衝動エンジンを使用することができる。
【0573】
いくつかの実施形態では、このような二次衝動エンジン又はペルトンホイールの実装は、反作用ノズルの周りのリングであってもよく、これも回転可能であり、気体と流体の混合物の噴出によって回転する。いくつかの実施形態では、リングは、随意的に、反動タービンのアームと同じ回転中心を有することができる。
【0574】
ここで、例示的な実施形態に係る反作用と衝動を組み合わせた構成の熱機関の簡略図である、
図9を参照する。
【0575】
図9は、2つの反作用ノズル902が2つの回転アーム914に取り付けられ、第1の方向906に回転し、気体と流体の混合物903を噴出する、熱機関900の上面図である。
図9はまた、噴出した気体と流体の混合物903を捕捉し、噴出した気体と流体の混合物903の速度を遅くし、場合によっては噴出した気体と流体の混合物903の速度をさらに遅くしてゼロにする、リング916及びフィン又はカップ904を示しており、リング916は、第1の方向906とは反対の第2の方向908に回転する。
【0576】
いくつかの実施形態では、回転アーム914は、回転運動して1つのエネルギーハーベスタ(図示せず)への仕事又は電気を生成し、回転リング916は、回転運動して別のエネルギーハーベスタ(図示せず)への仕事又は電気を生成する。
【0577】
いくつかの実施形態では、回転アーム914と回転リング916は、回転運動してエネルギーハーベスタ(図示せず)への仕事又は電気を生成するべく機械的に接続される。
【0578】
図9は、回転運動して仕事又は電気を生成するべく回転アーム914と回転リング916を接続する、随意的なギア910を示す。
【0579】
いくつかの実施形態では、リングは、回転アームの半分の回転速度で回転する。そのような実施形態は、回転運動を取り込んで仕事又は電気を生成する際に最適な効率を提供し得る。
【0580】
いくつかの実施形態では、外側リングは、随意的に、キャビテーションに潜在的に抵抗できるテスラタービンに似た形態のフィンを含み得る。カップの代わりに、フィン、ブレード、又はプレートの密集したアレイがリングに沿って配置される。噴出した気体と流体のジェットは、随意的に、ブレード間を流れ、粘性及び/又は付着力によってリングを回転させる。
【0581】
本明細書で説明されるHTFエンジンは、低温で優れた効率を潜在的に有し、これは廃熱からパワーを得るのに潜在的に非常に適している。
【0582】
限定ではない例として、HTFエンジンは、潜在的に、その廃熱を使用する、ガスタービンなどの従来の発電機と組み合わされた(二次)サイクルとすることができ、これにより、その組み合わせは、得られる総パワーを増加させる。
【0583】
限定ではない例として、例えば、ガソリン、水素、ガス、又はディーゼルで作動し得る発電機からの排気ガスは、30%を超える効率で、本明細書で説明されるHTFエンジンでの使用に適した300Cを超える温度である。
【0584】
本明細書で説明される熱機関内の圧縮気体としてクリーンな空気を使用すると、サーマルオイルHTF及びクリーンな空気の自然発火を回避するために、HTFとして随意的に使用されるサーマルオイルの最大動作温度が300C未満に制限される場合がある。これはエンジン効率を制限する場合がある。排気ガスは酸素含有量が低い場合がある。
【0585】
いくつかの実施形態では、排気ガスは、随意的に1つ又は複数の加熱のために使用され、圧縮気体として効率を向上させることができる。
【0586】
いくつかの実施形態では、排気ガスは、オイルHTFを加熱し、これにより熱を失い、冷えて、圧縮機によって圧縮される。随意的に、排気ガスは、断熱圧縮され、それらの温度が再び上昇し、温度が上昇すると、HTFの温度と膨張効率が上昇し得る。
【0587】
いくつかの実施形態では、圧縮機は、随意的に、気体と水を混合し、水は、圧縮によって生じた熱を抽出し、気体の温度を水の温度に等しく維持し、水の存在下での圧縮を等温圧縮にする。
【0588】
排気ガス中の酸素含有量が低いと、排気ガス中の酸素濃度に応じて、300C、350C、又は400Cなどの高温での自然発火を回避しながら、オイルを使用できる可能性がある。
【0589】
図5、
図6、
図7、
図8A~8C、
図9、及び
図10で説明した熱機関又はノズル又はタービンはまた、周囲温度で動作し、気体又は空気の等温膨張を通じて気体又は空気圧を運動エネルギーに変換することができることに留意されたい。そのような変換は、加圧空気の形態で貯蔵されたエネルギーを連続プロセスで仕事に変換する際に有用であり得る。
【0590】
気体の連続的な等温圧縮
【0591】
以下に説明する実施形態は、気体の連続的な等温又は準等温圧縮を提供する。このような実施形態は、圧縮空気チャンバの必要性を潜在的になくすことができる。
【0592】
気体の等温圧縮のいくつかの実施形態が本明細書で説明される。
【0593】
しかしながら、いくつかの実施形態では、準等温圧縮プロセスが適用される。準等温圧縮プロセスを使用する例示的な実施形態は、より低温の気体とより高温の流体の混合を含み、流体による気体の加熱が起こり、続いて気体のさらなる圧縮が起こる。全体として、気体の温度が流体の温度と等しくなり、次いで、流体圧力によって気体がさらに圧縮され、気体の最終圧力は、例えば、等容加熱によって達成されるよりも高くなり、等温圧縮に近くなり得る。
【0594】
ここで、例示的な実施形態に係る気体を連続的に等温圧縮するための装置の簡略図である、
図10Aを参照する。
【0595】
図10Aは、ディバイダ1005によって下部1004と上部1006に分割されたタンク又はコンテナ1002を含む装置1000を示している。
【0596】
1つ又は複数のノズル1016がアーム1014に取り付けられる。アーム1014は、
図7A~7D、
図8A~8C、及び
図9に示されているアームと同様に、回転するように設計される。
【0597】
アーム1014及びノズル1016が回転するとき、随意的に機械シャフト又は電気モータ(図示せず)によって回転し、アーム内の流体に遠心力が作用し、流体をノズル1016の方に、及びノズル1016の外1022に押し出す。流体の移動が、下部1004からさらに流体1010を吸い上げる吸引1024を引き起こす。アームが回転する際に、流体1010が上部1006に吸い込まれる又は送り込まれる。流体1010が上部1006に加わると、空気又は気体が圧縮され、コンテナ1002の上部の圧力が上昇する。
【0598】
圧縮気体又は空気は、例えば、圧力バルブを備えていても備えていなくてもよいパイプ1028を通じて引き出すことによって使用することができる。
【0599】
いくつかの実施形態では、連続圧縮のためのさらなる気体又は空気を、気体又は空気が上部1006に入ることを可能にする一方向バルブを通じて上部1006(図示せず)に供給することができる。
【0600】
いくつかの実施形態では、連続圧縮のためのさらなる気体又は空気を、パイプ1020を通じて回転アーム1014に供給1018することができる。アーム1014の回転とノズル1016からの流体の吐出1022が、随意的にさらなる気体又は空気を吸引し、遠心力が、アーム1014内にある間でも流入気体又は空気の圧縮を引き起こす。
【0601】
回転アーム内の流体に気体又は空気を供給することにより、圧縮気体と流体の混合物をノズル1016から吐出1022する力が増加し得る。圧縮気体と流体の混合物をノズル1016から吐出1022する力が増加すると、アーム1014を回転させるのに必要な力が潜在的に減少し、結果的に、同じ又はより高い圧縮圧力に対してより少ない力を必要とすることにより、装置1000のエネルギー効率が向上し得る。
【0602】
いくつかの実施形態では、フロートバルブ1008が、圧縮気体は放出させずに、上部1006に溜まっている流体が、上部1006に溜まらないように下部1004に逆流することを可能にする。
【0603】
いくつかの実施形態では、下部1004は周囲圧力である。
図10Aは、下部1004とコンテナ1002の外部との間の圧力を等しくすることを可能にする随意的な開口部1012を示している。
【0604】
いくつかの実施形態では、モータ又は機械シャフト(図示せず)が、アーム1014及びノズル1016を回転させ、流体1010を吸引する遠心力を生じさせる。垂直(軸方向)パイプ1026の上部の高さでは、圧力は周囲圧力よりも低く、周囲圧力の気体が随意的に制御された速度でパイプに入ることができる。いくつかの実施形態では、気体の流量は、液体の遠心圧力を維持するべく、回転アーム1014内の気体の不連続性を維持するために、流体の流量に比べて十分に小さくなるように制御される。圧力は、回転中心からの半径方向距離とともに増加する。
【0605】
いくつかの実施形態では、流体1010の流量は、随意的に気体の流量の20%よりも高い。遠心力が気体を圧縮する一方で、流体の温度は、随意的に気体の温度に等しくなる。流体、通常、気体よりもはるかに大きい熱容量を有し、ゆえに、気体は流体の温度になる。
【0606】
いくつかの実施形態では、流体は、気体又は空気よりも高温であり、温度の上昇によって気体又は空気の圧力が増加する。
【0607】
回転速度と、中心からのノズル1016の距離が、遠心力によってノズルからの気体の出力圧力を増大させる。
【0608】
圧縮空気は、コンテナ1002の上部1006に収集され、潜在的に圧力バルブを通って継続的に出るが、流体はフロートバルブ1008を通って下部1004に戻り、再びノズル1014に吸い戻される。
【0609】
いくつかの実施形態では、そのような装置は、圧縮気体を供給するための
図7A~7D、
図8A~8C、及び
図9に示すような熱機関に接続されたシャフトとすることができ、したがって、熱機関によって生成されたエネルギーの一部は、熱機関の気体又は空気の圧縮のためのパワーを与えることができる。
【0610】
ノズルのそれぞれに圧縮空気チャンバが取り付けられ、圧縮空気チャンバから圧縮気体又は空気が引き出される、同様の構成を実現することができる。
【0611】
ここで、例示的な実施形態に係る気体を連続的に等温圧縮するための装置の簡略図である、
図10Bを参照する。
【0612】
【0613】
図10Bは、1つ又は複数のエンジン又はノズル1056がアーム1044に取り付けられているタンク又はコンテナ1042を含む装置1040を示している。アーム1044は、
図7A~7D、
図8A~8C、
図9、及び
図10Aに示されているアーム又はロータと同様に、回転するように設計される。
【0614】
アーム1044及びノズル1056が回転するとき、随意的に機械シャフト又は電気モータ(図示せず)によって回転し、アーム内の流体に遠心力が作用し、流体をノズル1056の方に、及びノズル1056の外1062に押し出す。流体の移動が、コンテナ1042から流体1050を吸い上げる吸引1060、1064を引き起こす。アームが回転する際に、流体1050がアーム1044に吸い込まれ又は送り込まれ、気体又は空気1060もアーム1044に吸い込まれる。空気又は気体1060が圧縮され、ノズル1056の出口に取り付けられた圧力チャンバ1057内の圧力が上昇する。
【0615】
圧力チャンバ1057内の圧縮気体又は空気は、例えば、圧力チャンバ1057につながるパイプ1064を通じて引き出し、圧力バルブを備えていても備えていなくてもよい装置1040の出口で圧縮気体又は空気を供給1070することによって使用することができる。
【0616】
いくつかの実施形態では、バルブ1058は、圧力チャンバ1057に溜まっている流体が、圧力チャンバ1057に溜まらないようにコンテナ1042に逆流することを可能にする。
【0617】
いくつかの実施形態では、コンテナ1042は周囲圧力である。
図10Bは、コンテナ1042の圧力がコンテナ1042の外部と等しくなることを可能にする随意的な開口部1052を示している。
【0618】
図7A~7D、
図8A~8C、及び
図9は、随意的に圧縮気体又は空気の入力を受け入れる熱機関を示している。
図10A及び10Bは、圧縮空気発生器を示している。
【0619】
熱機関と圧縮空気発生器を組み合わせることができる。
【0620】
ここで、例示的な実施形態に係る熱機関と圧縮空気発生器の組み合わせを使用するエネルギー生成システムの簡略図である、
図11を参照する。
【0621】
図11は、圧縮空気発生器1102と熱機関1104を含むシステム1100を示す。
【0622】
図11の圧縮空気発生器1102は、回転アーム1110上に1つ又は複数のノズル1108を有する第1のコンテナ1106を含み、第1のコンテナ1106から流体1114を吸い上げ1112、気体又は空気を吸い込み1116、気体と流体の混合物を第1のコンテナ1106に噴出1118する。このプロセスにより、第1のコンテナ1106内の圧力が上昇する。
【0623】
圧縮気体は、接続パイプ1120を通って圧縮空気発生器1102から熱機関1104に流れる。
【0624】
いくつかの実施形態では、随意的な圧力バルブ1122が、熱機関1104への気体の供給のために、第1のコンテナ1106内の特定の圧力を維持する。
【0625】
熱機関1104は、回転アーム1128上に1つ又は複数のノズル1126を有する第2のコンテナ1124を含む。アーム1128が回転するとき、熱機関は、第2のコンテナ1124から流体1132を吸い上げ1130、パイプ1120を介してアーム1128内に圧縮気体又は空気を受け入れる。回転により、ノズル1126を通じて気体と流体の混合物が噴出1134し、アーム1128を回転させる反作用を生み出し、仕事又はエネルギーを生成する。
【0626】
いくつかの実施形態では、熱機関1104は、限定ではない例として、チェーン1136などの機械的リンクを介して圧縮空気発生器1102に動力を供給する。いくつかの実施形態では、機械的リンクは、1つ又は複数のシャフト又はギアを含み得る。
【0627】
いくつかの実施形態では、熱機関1104は、随意的に、熱機関1104の動作中に圧力が上昇しないようにベント1138される。
【0628】
いくつかの実施形態では、熱回収機能を備えた潜在的に連続動作の熱機関が提供される。空気、窒素、又は排気ガスなどの気体は、随意的に、室温で連続的に等温圧縮される。
【0629】
いくつかの実施形態では、気体は、随意的に、熱機関として作用する等温膨張システムのタービンに入る前に等容加熱される。
【0630】
いくつかの実施形態では、室温の気体が注入され、次いで、遠心力によって水平方向に回転するパイプ内の流れとともに等容加熱される。
【0631】
いくつかの実施形態では、ノズル内の気体の等温膨張により、等温圧縮ユニットと電気モータの両方が回転する。気体は、ノズルから高温及び周囲圧力で出る。
【0632】
いくつかの実施形態では、熱交換器は、随意的に、低温空気入力の等容加熱のために熱を抽出する。随意的に、この熱は、気体が膨張し続いて、回転するHTFの遠心力によって圧縮されている間に、低温空気を加熱する。
【0633】
いくつかの実施形態では、準等容圧縮が使用されてもよく、例えば、低温空気の等圧加熱が行われ、続いてHTFの遠心力による断熱圧縮が行われるが、これは等容加熱よりも効率的ではない場合がある。
【0634】
いくつかの実施形態では、
図10A~10B、
図11、及び
図12に示すような2つの結合されたシステムは、随意的に、圧力バッテリの連続充電及び/又は圧力バッテリの連続放電のために使用される。
【0635】
いくつかの実施形態では、電気が、
図10A~10B及び
図11に示すような気体圧縮ユニットを駆動する。
【0636】
いくつかの実施形態では、熱は、圧力タンクの気体又は空気の連続的な等温圧縮のために、本明細書で説明される熱機関、例えば、
図11の熱機関1104を駆動する。加圧気体又は空気は、随意的に、
図11の熱機関1104などの熱機関を使用してエネルギーを生成するために、連続等温膨張ユニットでの連続吐出のために後で使用される。
【0637】
いくつかの実施形態では、気体の等温膨張は、圧力を電気に変換するために、随意的に水と混合して周囲温度で行うことができる。
【0638】
いくつかの実施形態では、水が加熱され、加熱された水は、膨張と、例えば電気の形態で抽出されるエネルギーの量を増加させる。
【0639】
いくつかの実施形態では、高温HTFは、随意的に、連続モードで圧力と熱の両方から電気を発生させるために使用される。
【0640】
ここで、例示的な実施形態に係る空気又は気体を追加した場合と追加しない場合のウォータージェットの写真である、
図12A及び
図12Bを参照する。
【0641】
図12Bは、空気圧がどのように運動エネルギーに変換されるかを示している。
【0642】
空気又は気体と水の混合からエネルギーを抽出するプロセスの効率は、ノズルから出てくるウォータージェットのさらなるエネルギーと圧縮空気の等温エネルギーとの比として計算される。計算では、実験装置への入口での値と、ノズルからの出口での値を、以下のように比較する
【数32】
ここで、添字「in」が付いた値はノズルの入口での値であり、添字「out」が付いた値はノズルからの出口での値であり、添字「a」が付いた値は空気の値であり、添字「wが付いた値は水の値であり、ρは水の密度を表し、Pは圧力を表し、P
aは周囲空気圧であり、Vは水の体積であり、uは水の速度である。入口での水の圧力P
inと注入空気の圧力P
aを測定し、水と空気の両方の流量も測定した。u
inは、流量と断面積に基づいて計算した。
【0643】
ノズルを使用した実験は、水中での気体の等温膨張により、80%を超える効率を示した。
【0644】
HTFのみの流れによって動作するノズルに接続されたロードセルにかかる負荷を、圧力最大3バールで最大10g/secの気体の速度で、気体又は気泡を伴うHTFの流れと比べて、比較を行った。
【0645】
図12Aは、ノズルから出る第1のウォータージェット1202を示しており、
図12Bは、圧力2バールで10g/secの空気が水に加えられた、同じノズルから出る第2の気体と水のジェット1204を示している。
【0646】
ジェット1202、1204が到達する距離及び高さは、第2のジェット1204が第1のジェット1202よりも多くのエネルギーを有することを示している。
【0647】
ここで、例示的な実施形態に係る方法の簡略化されたフローチャートを示す図である、
図13を参照する。
【0648】
図13の例示的な実施形態の方法は、熱を機械的仕事に変換するための方法であって、
第1の温度の流入伝熱流体(HTF)を混合チャンバに供給すること(1302)と、
第2の温度の流入圧縮気体を混合チャンバに供給すること(1304)と、
気体とHTFの混合を可能にし、気体とHTFの混合物を生成すること(1306)と、
気体とHTFの混合物中のHTFが気体を加熱し、気体とHTFの混合物中の気体が等温膨張することを可能にすること(1308)と、
気体とHTFの混合物中のHTFの体積を制限し、これにより、気体の圧力を増加させ、気体とHTFの混合物の流れを加速させること(1310)と、
気体とHTFの混合物をノズルから噴出させ、これにより、HTFの熱を運動エネルギーに変換すること(1312)と、
運動エネルギーを使用して機械的仕事を発生させること(1314)と、
を含む方法である。
【0649】
ここで、例示的な実施形態に係るシステムの簡略図である、
図14を参照する。
【0650】
図14のシステムは、本明細書で説明されるエネルギー生成コンポーネントと、さらなる随意的なコンポーネントを含む。
【0651】
図14は、発電機1408に動力を供給する熱機関1402を示している。
【0652】
いくつかの実施形態では、熱機関1402は、熱機関1402に圧縮空気又は気体を供給する圧縮機1406に動力を供給することができる。
【0653】
いくつかの実施形態では、発電機1408が、熱機関1402に圧縮空気又は気体を供給する圧縮機1406に動力を供給することができる。
【0654】
いくつかの実施形態では、熱機関1402を動作させるための加熱流体が供給1405される。流体は、いくつかの限定ではない例として、太陽熱、地熱、発電所からの廃熱、原子力発電所を冷却するために使用される冷却液からの熱、化石燃料発電所を冷却するために使用される冷却液からの熱、化石燃料の燃焼、セメント製造などの産業用途からの熱、吸熱化学反応などの熱源1412によって加熱される。
【0655】
いくつかの実施形態では、加熱流体は、随意的に、随意的な入力リザーバ1404に貯蔵することができる。
【0656】
いくつかの実施形態では、熱機関1402からの高温気体又は空気は、随意的に、熱機関1402から出る熱を潜在的に取り込む予熱リザーバ1410内の流体を加熱するために使用することができ、随意的に、その熱を使用して、熱機関1402の動作に使用することを意図した流体を予熱することができる。
【0657】
いくつかの実施形態では、圧縮空気の等容加熱は熱機関1402内で行われる。加熱された空気が熱機関内のノズルに到達し、回転運動する際に力学的エネルギーが生成される。
【0658】
いくつかの実施形態では、力学的エネルギーの一部は、随意的に機械シャフト又はベルト又はチェーンドライブを介して、圧縮機1406を駆動し、さらなる力学的エネルギーが発電機1408に動力を供給するために使用される。
【0659】
いくつかの実施形態では、発電機は、機械シャフト又はベルト又はチェーンドライブを介して駆動することもできる。
【0660】
いくつかの実施形態では、圧縮される気体として空気が使用され、伝熱流体として例えば摂氏550度の温度の溶融塩が使用される。ノズルから出てくる高温空気は、周囲圧力に近いがまだ熱い、例えば、摂氏550度に近い温度である可能性があり、随意的に、熱の再利用のために予熱リザーバ1410に誘導することができる。
【0661】
いくつかの実施形態では、出てくる高温の空気は、随意的に、いくつかの実施形態では、より低い温度で第2の熱機関(図示せず)を駆動することができる。
【0662】
図14に示されているシステムは、上記の式で説明したように計算された効率η>40%で動作すると予想される。
【0663】
本出願から特許権の存続期間の満了までに多くの関連する熱機関が開発されることが予想され、熱機関という用語の範囲は、そのようなすべての新しい技術を事前に含むことを意図している。
【0664】
量又は値に関して本明細書で用いられる場合の「約」という用語は、「の±75%以内」を意味する。
【0665】
備える、含む、有するという用語及びそれらの活用形は、「~を含むがこれに限定されない」を意味する。
【0666】
「~からなる」という用語は、「~を含み、~に限定される」を意味することを意図している。
【0667】
「~から本質的になる」という用語は、組成物、方法、又は構造が、さらなる成分、ステップ、及び/又は部分を含み得ることを意味するが、さらなる成分、ステップ、及び/又は部分が、特許請求される組成物、方法、又は構造の基本的な新規な特徴を大幅に変更しない場合に限る。
【0668】
本明細書で用いられる場合の単数形は、文脈上他の意味に明白に規定される場合を除き、複数形での言及を含む。例えば、「ユニット」又は「少なくとも1つのユニット」という用語は、それらの組み合わせを含む複数のユニットを含み得る。
【0669】
「例」及び「例示的な」という言葉は、本明細書では、「例、実例、又は例示として役立つ」ことを意味するために用いられる。「例」又は「例示的な」として説明される実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではなく、及び/又は他の実施形態からの特徴の組み込みを除外すると解釈されるべきではない。
【0670】
「随意的に」という言葉は、本明細書では、「いくつかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」という意味で用いられる。本開示の任意の特定の実施形態は、そのような特徴が矛盾しない限り、複数の「随意的な」特徴を含み得る。
【0671】
本出願の全体を通して、本開示の様々な実施形態が範囲形式で提示される場合がある。範囲形式での説明は、単に便宜のため及び簡潔にするためのものであり、本開示の範囲に対する融通性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての可能な部分範囲を具体的に開示したと考えられるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、その範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、及び6だけでなく、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲を具体的に開示したと考えられるべきである。これは範囲の広さに関係なく当てはまる。
【0672】
本明細書で数値範囲(例えば、「10~15」、「10から15」、又はこれらの別のそのような範囲表示によってリンクされた数値の任意のペア)が示されているときにはいつでも、文脈上他の意味に明白に規定される場合を除き、範囲の上下限を含めて、示された範囲制限内に任意の数値(分数又は整数)を含むことを意味する。第1に示す数と第2に示す数との間の範囲、及び、第1に示す数から第2に示す数までの範囲という語句(又は別のそのような範囲を示す用語)は、本明細書で交換可能に用いられ、第1に示す数と第2に示す数、並びにそれらの間のすべての分数及び整数を含むことを意味する。
【0673】
他に指定のない限り、本明細書で用いられる数値及びそれに基づく任意の数値範囲は、当業者によって理解される妥当な測定精度及び丸め誤差の範囲内の概算である。
【0674】
明確にするために、別個の実施形態に関連して説明されている本開示の特定の特徴はまた、単一の実施形態に組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して説明されている本開示の様々な特徴はまた、別々に、又は任意の適切な部分的組み合わせで、又は本開示の任意の他の説明された実施形態で適切に提供され得る。実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除き、様々な実施形態に関連して説明されている特定の特徴は、それらの実施形態の必須の特徴と考えられるべきではない。
【0675】
本開示は、その特定の実施形態と併せて説明されているが、多くの代替、修正、及び変形が当業者に明白であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内にあるそのようなすべての代替、修正、及び変形を包含することを意図している。
【0676】
本明細書で参照されているすべての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが参照時に具体的に個々に記載されているかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれることが出願人の意図である。さらに、本出願におけるどの参考文献の引用又は識別も、そのような参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることの自認として解釈されるべきではない。セクションの見出しが用いられている限りにおいて、それらは必ずしも限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本出願の優先権書類は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を機械的仕事に変換するための方法であって、
第1の温度の流入伝熱流体(HTF)を混合チャンバに供給することと、
第2の温度の流入圧縮気体を前記混合チャンバに供給することと、
前記気体と前記HTFの混合を可能にし、気体とHTFの混合物を生成することと、
前記気体とHTFの混合物中の前記HTFが前記気体を加熱し、前記気体とHTFの混合物中の前記気体が等温膨張することを可能にすることと、
前記気体とHTFの混合物の体積を制限し、これにより、前記気体の圧力を増加させ、前記気体とHTFの混合物の流れを加速させることと、
前記気体とHTFの混合物をノズルから噴出させ、これにより、前記HTFの熱を運動エネルギーに変換することと、
前記運動エネルギーを使用して機械的仕事を発生させることと、
を含み、前記HTFは、水、オイル、溶融塩、及び溶融金属からなる群から選択された流体を含む、方法。
【請求項2】
前記機械的仕事は、発電機を駆動するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械的仕事は、前記流入圧縮気体を圧縮するための圧縮機を駆動するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流入HTFの前記第1の温度は、摂氏90度を超えている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記流入気体の前記第2の温度は、前記第1の温度よりも低い、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記流入気体を供給すること、前記流入HTFを供給すること、及び前記気体とHTFの混合物がノズルを通って流れることを可能にすることは、
流入気体を複数の混合チャンバに供給することと、
流入HTFを前記複数の混合チャンバに供給することと、
前記気体とHTFの混合物が複数のノズルを通って流れることを可能にすることと、
前記複数のノズルの運動を使用して仕事を発生させることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記気体は、前記HTFによって準等容加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記気体は、前記HTFによって等容加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記運動エネルギーの生成は、
前記流入圧縮気体の圧力、
流入気体の流量、
流入HTFの流量、
前記ノズルのサイズ、及び
前記ノズルの形状、
からなる群から選択されたパラメータを制御することによって制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
機械的仕事を発生させるための装置であって、
伝熱流体(HTF)を受け入れるためのHTF入力ポートと、
気体をHTFに注入するための気体注入ポートと、
気体とHTFを混合して気体とHTFの混合物を生成するためのチャンバと、
気体とHTFの混合物を噴出するためのノズルと、
ロータと、
を備える熱機関を含み、
前記熱機関は1つ又は複数のノズルを備え、前記1つ又は複数のノズルを通じて気体とHTFの混合物が噴出するとき、気体とHTFの混合物の噴出に反作用してロータが回転し、これにより機械的仕事が生じ、
前記HTFは、水、オイル、溶融塩、及び溶融金属からなる群から選択された流体を含む、
装置。
【請求項11】
前記装置は、
複数の熱機関と、
複数のノズルと、
を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ロータは、複数のアームを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記熱機関は、摂氏200度を超える温度のHTFに耐えるように設計される、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記熱機関は、溶融塩を含むHTFに耐えるように設計される、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記熱機関は、前記気体とHTFの混合物のキャビテーションを防ぐように設計される、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
熱機関を動作させるための方法であって、
伝熱流体(HTF)を熱機関に供給することと、
気体を熱機関に供給することと、
気体とHTFの混合物中の前記気体の等温膨張を可能にすることで前記熱機関内の前記HTFを加速させることと、
前記加速されたHTFを使用して仕事を発生させることと、
を含み、前記HTFは、水、オイル、溶融塩、及び溶融金属からなる群から選択された流体を含む、
方法。
【請求項17】
前記等温膨張は準等温膨張である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記等温膨張又は準等温膨張を可能にする前に、前記気体の等容加熱を誘起する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記熱機関は、ノズルを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記HTFを供給することは、摂氏50度を超える温度のHTFを供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記HTFを供給することは、周囲温度のHTFを供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
気体と前記HTFを混合することは、周囲圧力よりも高い圧力の気体を供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
気体と前記HTFを混合することは、周囲温度よりも高い温度の気体を供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
気体と前記HTFを混合することは、周囲温度の気体を供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
気体と前記HTFを混合することは、周囲温度よりも高い温度の気体を供給することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記発生した仕事は、気体を加圧するために使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記熱機関を出る高温気体は、前記HTFを加熱するために使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記熱機関を出る高温気体は、さらなる熱機関を駆動するために使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
熱機関であって、
伝熱流体(HTF)のための入力部と、
気体を前記HTFに注入するための気体注入器と、
前記気体とHTFの混合物中の前記気体を等温膨張させることで前記熱機関内の前記HTFを加速させるための区域と、
前記気体とHTFの混合物の出力部と、
を含み、前記HTFは、水、オイル、溶融塩、及び溶融金属からなる群から選択された流体を含む、熱機関。
【請求項30】
前記気体とHTFの混合物中の前記気体を等容加熱するための区域を含む、請求項29に記載の熱機関。
【請求項31】
前記熱機関は、前記気体を前記等温膨張させるための前記熱機関の徐々に狭くなる区域を含む、請求項29に記載の熱機関。
【請求項32】
前記熱機関は、前記気体を等容加熱するための前記熱機関の区域を含む、請求項29に記載の熱機関。
【請求項33】
前記熱機関は、前記HTFを流すノズルを含む、請求項29に記載の熱機関。
【請求項34】
前記エンジンは、加圧気体を前記気体注入器に供給するための動力を提供するべく機械的に接続される、請求項29に記載の熱機関。
【請求項35】
前記エンジンは、加圧気体を前記気体注入器に供給するために加圧気体に動力を与えるべく電気を生成するように接続される、請求項29に記載の熱機関。
【請求項36】
回転力を生み出す方法であって、
請求項29に記載の熱機関を少なくとも1つのロータアームに取り付けることと、
前記ロータアームを回転させるべく流体と加圧気体を前記熱機関に供給することと、
を含む方法。
【請求項37】
流体を供給することは、周囲温度を超える温度の加熱流体を供給することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
加圧気体を供給することは、前記気体とHTFの混合物の前記出力部の半径方向距離よりも小さいロータアームの回転軸からの半径方向距離で前記加圧気体を前記流体に注入することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
加圧気体を供給することは、加圧気体を供給し、前記気体とHTFの混合物の前記出力部への流体入力部よりも前の位置で前記加圧気体を前記流体に注入することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記加圧気体を前記流体に注入する位置は、前記アームに沿って外方へ流れる流体の流れがHTF供給源からHTFを前記アームに吸い込むのを妨げないように選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記加圧気体を前記流体に注入する位置は、前記アームに沿って外方へ流れるHTFが気体を前記気体とHTFの混合物の前記出力部の方にドラッグするように選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
熱機関を動作させる方法であって、
第1の温度及び第1の圧力の気体を加熱チャンバに供給することと、
伝熱流体(HTF)からの熱伝達によって前記加熱チャンバ内の前記気体を前記第1の温度よりも高い第2の温度に等容加熱し、これにより、前記気体の圧力を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に上昇させることと、
前記加熱及び加圧された気体をHTFが入っている圧力チャンバに供給することと、
前記圧力を使用してHTFの流れを生み出してエンジンを動作させることと、
を含み、前記HTFは、水、オイル、溶融塩、及び溶融金属からなる群から選択された流体を含む、方法。
【請求項43】
前記HTFと前記加熱及び加圧された気体を前記圧力チャンバ内で混合することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記エンジンから出る前記HTFを収集することと、
前記収集したHTFを前記圧力チャンバに戻すことと、
を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
ソーラーパネル、
集光型太陽光レシーバ、
地熱源、
電気ヒータ、
化学発熱反応、
機械的摩擦、及び
廃熱、
からなる群から選択された熱源を使用することによって前記HTFを加熱することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記エンジンは、周囲圧力の前記気体を気体チャンバ内で前記第1の圧力で圧縮するためのエネルギーを提供し、前記第1の温度及び前記第1の圧力の前記気体を前記加熱チャンバに供給することは、前記HTFチャンバから供給することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記HTFは、
水、
オイル、
溶融塩、及び
溶融金属、
からなる群から選択された流体を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
熱を機械的仕事に変換するための方法であって、
流入伝熱流体(HTF)を混合チャンバに供給することと、
流入圧縮気体を前記混合チャンバに供給することと、
前記気体と前記HTFの混合を可能にし、気体とHTFの混合物を生成することと、
前記気体とHTFの混合物中の前記気体の等温膨張を可能にし、これにより、前記気体の圧力を低下させ、前記気体とHTFの混合物の流れを加速させることと、
気体とHTFの混合物をノズルから噴出させ、これにより、前記HTFの熱を運動エネルギーに変換することと、
前記運動エネルギーを使用して電気を生成することと、
を含み、前記HTFは、水、オイル、溶融塩、及び溶融金属からなる群から選択された流体を含む、方法。
【請求項49】
(削除)
【請求項50】
システムであって、
第1の温度及び第1の圧力の気体を収容する加熱チャンバと、
前記気体を加熱し、これにより、前記気体の温度及び前記気体の圧力を上昇させるためのヒータと、
前記加熱及び加圧された気体を受け入れるように構成され、伝熱流体(HTF)を収容する圧力チャンバであって、前記HTFと前記気体を混合するための混合要素と、前記気体の等温膨張を伴う加速された速度で前記HTFが出るための開口部とを備える、圧力チャンバと、
加速されたHTFを受け入れ、仕事を発生させるように構成されたエンジンと、
を含み、前記HTFは、水、オイル、溶融塩、及び溶融金属からなる群から選択された流体を含む、システム。
【国際調査報告】