(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-19
(54)【発明の名称】電気エネルギー貯蔵体
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20231012BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K11/04 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515274
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2021073558
(87)【国際公開番号】W WO2022073684
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102020126424.0
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フランケ・トルステン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・ダーフェ
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB24
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC13
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF43
3D235HH02
(57)【要約】
本発明は、少なくとも二つのハウジング部からなる、自動車に組み込むための電気エネルギー貯蔵体であって、-貯蔵セルを収容しない第一のハウジング部と、貯蔵セルを収容する第二のハウジング部とが設けられており、
-第一のハウジング部は、自動車に組み込むために上部ハウジング部として設けられているとともに、第二のハウジング部は、自動車に組み込むために下部ハウジング部として設けられており、
-第一のハウジング部は、取り外しできる第一のカバーで閉鎖することができ、
-第二のハウジング部は、再び取り外せない第二のカバーにより閉じたカプセルとして形成されている
電気エネルギー貯蔵体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つのハウジング部(2,3)からなる、自動車に組み込むための電気エネルギー貯蔵体(LiB)であって、
-貯蔵セル(17)を収容しない第一のハウジング部(2)と、貯蔵セル(17)を収容する第二のハウジング部(3)とが設けられており、
-前記第一のハウジング部(2)は、前記自動車に組み込むために上部ハウジング部として設けられているとともに、前記第二のハウジング部(3)は、前記自動車に組み込むために下部ハウジング部(3)として設けられており、
-前記第一のハウジング部(2)は、取り外しできる第一のカバー(11)で閉鎖することができ、
-前記第二のハウジング部(3)は、再び取り外せない第二のカバー(12)により閉じたカプセルとして形成されている
電気エネルギー貯蔵体。
【請求項2】
請求項1に記載の電気エネルギー貯蔵体(LiB)において、両方の前記ハウジング部(2,3)の間に、中央ハウジング部(1)が配置され、当該中央ハウジング部は、二つの前記ハウジング部(2,3)を水平面で分離するとともに、貫流する冷却液(4)用の中間スペースを内包していることを特徴とする電気エネルギー貯蔵体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気エネルギー貯蔵体(LiB)において、前記第一のハウジング部(2)は、貯蔵体電子部品(6)を収容するように作られており、外に向かって突出する電気接続部(7)を備えていることを特徴とする電気エネルギー貯蔵体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の電気エネルギー貯蔵体(LiB)において、前記第一のハウジング部(2)の前記貯蔵体電子部品(6)と、前記第二のハウジング部(3)の前記貯蔵セル(17)とは、電気的連絡部(9)により電気的に接続され、前記中央ハウジング部(1)を貫くその貫通部には、シール体(10)が備えられていることを特徴とする電気エネルギー貯蔵体。
【請求項5】
請求項4に記載の電気エネルギー貯蔵体(LiB)において前記シール体(10)は、破裂圧に耐えるように作られていることを特徴とする電気エネルギー貯蔵体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の電気エネルギー貯蔵体(LiB)において、前記第二のハウジング部(3)は、前記貯蔵セル(17)を備えているセルパック(8)を内包し、その貯蔵セルのケースは、組み込まれた状態において垂直に整列されており、さらに、前記第二のハウジング部(3)は、前記セルパック(8)の下側に配置されたフレーム(13)を内包していることを特徴とする電気エネルギー貯蔵体。
【請求項7】
請求項6に記載の電気エネルギー貯蔵体(LiB)において、下に向けられた前記フレーム(13)が、複数の支持部材(30)による架台を備え、支持部材は、力を受ける、前記セル(17)のケース延長部として機能することを特徴とする電気エネルギー貯蔵体。
【請求項8】
請求項7に記載の電気エネルギー貯蔵体(LiB)において、前記支持部材(30)は、セルケースの下側の別体の担持体として、或いは、前記セルケースの延長部として、或いは、前記セル(17)を完全に取り囲み且つ空洞をさらに備えた支持管として形成されていることを特徴とする電気エネルギー貯蔵体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の電気エネルギー貯蔵体(LiB)において、前記第二のカバー(12)は、貯蔵体内が危機的な超過圧力にあるときに破断箇所として機能する少なくとも一つの材料薄化部(12a)を局所的に備えていることを特徴とする電気エネルギー貯蔵体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の電気エネルギー貯蔵体(LiB)において、前記セルパック(8)は、横方向および進行方向の衝突に際して、前記第二のハウジング部(3)の外側境界までの中間スペース(23)により損傷から保護され、中間スペースが、前記中間スペース(23)を充たす可塑弾性材料(24)により少なくとも部分的に強化されていることを特徴とする電気エネルギー貯蔵体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車載バッテリー、高電圧貯蔵体またはトラクションバッテリーとして知られているような、車両に搭載するためのリチウムイオン電池を組み立てる方法に関し、さらに、自動車用の電気エネルギー貯蔵体、特にリチウムイオン電池に関する。以下に、電気エネルギー貯蔵体、特にリチウムイオン電池を略してエネルギー貯蔵体と呼ぶ。
【背景技術】
【0002】
特許文献1より、例えば、水平面で分離された二つの区画(若しくはハウジング部)を持つ貯蔵体組立スペースを備えた(リチウムイオン電池の形態の)エネルギー貯蔵体が公知であり、その貯蔵体組立スペースにおいては、水平の冷却プレートとしての隔壁が形成されており、下部の組立スペースには、セル組立体が吊下して且つ熱を良く伝えるように冷却プレートに接続され、各セルのセル接点並びにハザード開口部は下に向けられている。
【0003】
2020年9月22日付けのTesla社の“Battery-Day”(https://www.youtube.com/embed/l6T9xIeZTdsにおけるライブ録画)にて、(リチウムイオン電池の形態の)エネルギー貯蔵体が紹介されたが、これは、失われる貯蔵体に関するもので、その貯蔵体は、ハウジングにセルをしっかりと結合することによって高い剛性を備えているものの、そのセルの組立体は、故障時に修理することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019110007号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、自動車用のエネルギー貯蔵体、特に自動車用のリチウムイオン電池をできるだけ経済的に改善していくことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項の特徴部により解決される。従属請求項は、本発明の有利な発展形態である。
【0007】
本発明は、少なくとも二つのハウジング部からなる、自動車に組み込むための電気エネルギー貯蔵体に関し、
-貯蔵セルを収容しない第一のハウジング部と、貯蔵セルを収容する第二のハウジング部とが設けられており、
-第一のハウジング部は、自動車に組み込むために上部ハウジング部として設けられているとともに、第二のハウジング部は、自動車に組み込むために下部ハウジング部として設けられており、
-第一のハウジング部は、取り外しできる第一のカバーで閉鎖することができ、
-第二のハウジング部は、再び取り外せない第二のカバーにより閉じたカプセルとして形成されている。
【0008】
本発明の有利な形態では、両方の上記ハウジング部の間に、中央ハウジング部が配置され、この中央ハウジング部は、二つのハウジング部を水平面で分離するとともに、貫流する冷却液用の中間スペースを内包している。
【0009】
本発明のさらに有利な形態では、第一のハウジング部は、貯蔵体電子部品を収容するように作られており、外に向かって突出する電気接続部を備えている。
【0010】
本発明のさらに有利な形態では、第一のハウジング部の貯蔵体電子部品と、第二のハウジング部の貯蔵セルとは、電気的連絡部(例えば配線束)により電気的に接続され、中央ハウジング部を貫くその(一つ又は複数の)貫通部には、(一つ又は複数の)シール体が備えられている。
【0011】
本発明のさらに有利な形態では、シール体は、破裂圧に耐えるように作られている。
【0012】
本発明のさらに有利な形態では、第二のハウジング部は、貯蔵セルを備えているセルパックを内包し、その貯蔵セルのケースは、組み込まれた状態において垂直に整列されており、さらに、第二のハウジング部は、そのセルパックの下側に配置されたフレームを内包している。
【0013】
本発明のさらに有利な形態では、(組み込まれた状態で)下に向けられたフレームが、支持部材(複数)による架台を備え、支持部材は、力を受ける、セルのケース延長部として機能する。
【0014】
本発明のさらに有利な形態では、支持部材は、セルケースの下側の別体の担持体として、或いは、セルケースの延長部として、或いは、セルを完全に取り囲み且つ空洞をさらに備えた支持管として形成されている。
【0015】
本発明のさらに有利な形態では、第二のカバーは、貯蔵体内が危機的な超過圧力にあるときに破断箇所として機能する少なくとも一つの材料薄化部を局所的に備えている。
【0016】
本発明のさらに有利な形態では、セルパックは、横方向および進行方向の衝突に際して、第二のハウジング部の外側境界までの中間スペースにより損傷から保護され、中間スペースが、中間スペースを充たす可塑弾性材料により少なくとも部分的に強化されている。
【0017】
本発明は、以下の考察に基づいている:
【0018】
本発明は、(例えば、しばしば“LiB”とも略されるリチウムイオン電池の形態の)エネルギー貯蔵体のコストを削減するのに寄与することを意図している。一般に知られている技術水準に基づいて、この公知の水準に加えて、以下の特性を有するエネルギー貯蔵体を提案する:
・クラッシュ安全性およびボラード安全性(Pollersicherheit)
・気密に封止したセル設置スペース
・セル単位での自滅性(すなわち、セル単位での伝搬防止)
・貯蔵体電子部品の冷却、保守、交換可能
【0019】
一般に知られている技術の欠点は、エネルギー貯蔵体が、衝突安全性およびボラード安全性、湿気および熱伝播に対する保護、ならびに電子部品の信頼性および耐危険性のために非常に高いコストを必要とすることである。これらの問題の解決が本発明の主題である。
【0020】
本発明によるエネルギー貯蔵体は、車両内部に臨む電子機器設置スペースと、車両外部に臨む気密に封止したセル設置スペースとに分割されている。セル設置スペースの気密シールにより、シール体ならびにガス抜きおよび/または凝縮液排出のための装置は省くことができる。さらに、セルパックの要素が湿気や腐食にさらされることが排除され、危険が生じた場合、電池の漏出物が車両内部に侵入することが回避される。気密に封止した接続により、構造の剛性が高くなる。機能として超過圧力の解放は、車両外側部分におけるセル設置スペースの壁部の破断箇所を介して行なわれる。横方向および進行方向の衝突時のセルパックの保護は、力を分散する可塑弾性材料によって強化される。可塑弾性材料は、侵入してくる力を、セルパックの周りに迂回させ若しくはセルの間をかいくぐらせるようにして、あたかも液圧式であるかのように横方向にそらせ、これにより、一つには、より多くの材料を衝突の吸収に関与させることができるだけでなく、力が少なくとも部分的に圧縮力から引張力に変換され、この形でセル設置スペースの壁部に加えられ、そのことが、材料をより上手く使い尽くす結果をもたらしている。加えて、あたかも液圧式であるかのような力の分散により、セルは、均等に全ての側から圧力が加えられ、そのことが、衝突によるセル損傷のリスクを低減している。可塑弾性材料はここで、セル単位で伝搬を食い止めることをサポートするために、膨張する特性を有していてもよい。ボラード衝突時のセルパックの保護は、路面に臨むセル設置スペースの壁部から、セル接点の領域の中間部材を介してセル間を通過させるように力を導く、或いは、セル壁へと導く、さらに、セル壁を通して車両内側に臨むセル設置スペース壁部へと導くことにより実行され、その壁部が、車両の車体構造上へと力を伝達する役割を担うとともに、セルの冷却機能も含んでいる。中間部材はまた、個々のセルのガス抜きスペースを個別化することにより、セル障害の影響を低減し、それにより、熱伝搬に対する保護を強化する。電子機器設置スペースをセル設置スペースから分離することで、電池に危険が生じた場合に電子機器が保護され、その機能がその後も確実に保たれる。電子機器設置スペースを車両内側に配置することで、車両構造において例えばインフォテインメント電子機器などのために使用される手段を用いた高い力学的な負荷、温度上昇および湿気からの保護が可能になる。さらに、セル設置スペースを開けないままでの電子機器部品の保守可能性が実現する。両方の設置スペースの間の仕切り壁は、セルパックと電子機器を冷却するために使用される。
【0021】
図には、本発明の実施例が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によるエネルギー貯蔵体の有利な全体構造を示す図である。
【
図2a】本発明によるフレームを形成する支持部材の考えられ得る第一の形態を示す図である。
【
図2b】本発明によるフレームを形成する支持部材の考えられ得る第二の形態を示す図である。
【
図3】このエネルギー貯蔵体構造の例示的な製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に、エネルギー貯蔵体LiBが示されており、このエネルギー貯蔵体は、中央ハウジング部1からなり、その中央ハウジング部は、エネルギー貯蔵体LiBの二つのハウジング部2,3を水平面で分離し、流れる冷却液4のための中間スペースを内包し、この中間スペースを接続口5を通して外部の冷却流路に接続することができる。第一のハウジング部2は、車両内部の方に(つまり、組み込まれた状態で上に)向けられており、好ましくは貯蔵体電子部品6を収容するために使用され、外に向けられた電気接続部7を有している。第二のハウジング部3は、車両外部の方に(つまり、組み込まれた状態で路面に向かって下に)向けられており、特にセルパック8として作られた貯蔵セル17(略してセルとも呼ばれる)を収容するために使用される。セル17は、例えば円形セルまたは角柱セルとすることができる。貯蔵体電子部品6およびセルパック8は、例えば電気的連絡部9に電気的に接続され、好ましくは中央ハウジング部1を貫くその貫通部には、破裂圧に耐える気密なシール体10が備えられている。第一のハウジング部2は、電子機器部品の保守を可能にするために、中央ハウジング部1に取り付けられ且つ封止された繰返し取り外し可能なカバー11が設けられている。
【0024】
第二のハウジング部3は、中央ハウジング部1に、気密に封止するように、再び取り外せない、例えば、溶接、カシメまたは接着などされたカバー12が設けられている。換言すれば、第二のハウジング部3は、中央ハウジング部1および取り外しできないカバー12によって、閉じたカプセルとして形成されている。
【0025】
好ましくは、中央ハウジング部1は、深絞り加工され、打抜き加工され、例えば互いに溶接された、平坦部1c,1dを持つ二つのプレート1a,1bからなり、これらが、貯蔵体電子部品6とセルパック8との熱接触面になっている。第一のプレート1aは、接続口5と接続部7を取り付けるための貫通孔1e,1f並びに第一のカバー11を取り付けるためのフランジを含む。第二のプレート1bは、第二のカバー12を取り付けるためのフランジ若しくは縁部を含む。これら1a,1b,12はここで、金属、プラスチック若しくはプラスチック-金属多層複合材からなるのでもよく、少なくとも部分的に、電気的な絶縁体、例えばフィルムが設けられていてもよい。
【0026】
セルパック8は、好ましくは、(組み込まれた状態で)下に向けられたフレーム13、セル接点14、セル感知部15の端子、電気的連絡部9のセルパック側の電気端子16、セル17、セル17間の接着部若しくは充填剤19ならびにセル接点14とセル感知部15周りのポッティング部(Weichverguss)20からなる。ここで、ポッティング部20と同じ材料の充填剤19は、ポッティング部と一緒に導入することができる。好ましい実施形態では、これらは硬質パラフィンからなる。ここで、セル接点14、セル感知部15および端子16は、少なくとも部分的にフレーム13内に事前に組み込まれ、集合体21を形成し、これが、第一の交替部18aでは第二のカバー12および中央ハウジング部1に、或いは、第二の交替部18bではセル17および中央ハウジング部1にしっかりと接続されていてもよい。この接続はここで、例えば、塗布接着剤によっても、好ましくは熱伝導が良い両面接着フィルムによっても、接続対象の要素の一つに予め着けておく(Vorapplikation)ことによっても、或いは溶接することによっても、行なうことができる。
【0027】
さらに、セル17の位置固定を担う保持体21が設けられている。この保持体21は、この保持体が丸いセルとして作られている場合、例えば、貯蔵セル17(複数)の中間スペースへのスパイクを既知の態様で備えていてもよい。
【0028】
フレーム13は、保持体21の一部として作られていてもよく、また、第二のカバー12から中央ハウジング部1へ、或いは、セル壁部17aへと、力を伝達する要素として、
ボラード衝突(Pollercrash)による力を中央ハウジング部1へと導くために用いられ、さらに、個々のセル17に対して設けられたガス抜きスペース22を相互に遮蔽するもの(Abschottung)として、障害発生時に隣接するセル17の保護のため、セル17から放出されたガスと粒子を誘導するために用いられる。
【0029】
本発明の特に有利な形態において、フレーム13は、支持部材30(複数)による架台を有し、これらの支持部材は、力を受ける、セル17のケース延長部として機能する。ここで、支持部材30は、セルケースの下側に別体の担持体として形成されているか(
図2a)、或いは、セルケースの延長部として形成されているか、或いは、セルを完全に取り囲むとともにさらに空洞Hを備えた支持管として形成されている(
図2b)ものとしてよい。支持部材30は、好ましくは、セル接点14および/またはセル感知部15の端子を形成する一体化された電気接続部か、或いは、電気的連絡部9のセルパック側の電気的接続部16かの少なくともいずれかを備えている。さらに、支持部材30は、保持体21の一部とされていてもよい。
【0030】
第二のカバー12は、少なくとも一部の領域に、少なくとも一つの材料薄化部12aを包含し、これが、貯蔵体内における危機的な超過圧力に際して破断箇所として働き、超過圧力を制御しつつ制限する。複数の材料薄化部12aが、第二のカバー12の前側、後側および/または下側に形成されていることが好ましい。さらに他の実施形態では、各ガス抜きスペース22の下側にそれぞれ材料薄化部12aがある。さらに他の実施形態では、破断箇所は、中央ハウジング部1および第二のカバー12の気密に封止した接続部12bを局所的に弱くすることによって実現される。
【0031】
セルパック8は、好ましくも、横方向および進行方向の衝突に際して、第二のハウジング部3の外側境界までの中間スペース23によっても損傷から保護される。好ましい実施形態では、この保護は、少なくとも部分的に、中間スペース23を充たす可塑弾性材料24により強化され、これが、局所的に作用する力をより大きな面積に広げ、力の向きを流体のようにそらせることで、貯蔵体アセンブリ全体を衝突エネルギーの吸収に関与させる。考えられ得る実施形態では、可塑弾性材料24は、中間スペース23を充たす殆ど圧縮されない軽量のプラスチック粉粒体、無機充填剤、砂、コルク、おがくず、ワックス、流体、或いはこれらの組み合わせからなる。有利な実施形態では、可塑弾性材料は、膨張する特性を持つ。可塑弾性材料24はここで、チューブなどに詰められていてもよい。さらに他の実施形態では、可塑弾性材料24は、予め成形されたプロファイルからなる。さらに他の構成では、接着部若しくは充填剤19、可塑弾性材料24、そして場合によっては、ポッティング部20は、同じ材料からなり、一緒の製造工程で導入される。
【0032】
貯蔵体電子部品6は、好ましくは、セルモニタ6a、保護回路装置6b、電池管理システム6c、並びに、車両におけるさらに他の電圧レベルを供給するためのオプション的なコンバータ6d、車両外部の供給電圧と回路装置に接続するためのコンバータ6e、並びに、車両の電気消費部用のフィルタ6fを内蔵している。貯蔵体電子部品6のこれらの要素は、少なくとも部分的に電気的連絡部9の電子機器側を介してセルパック8に接続されているとともに、さらに他の電気接続部25により接続部7に接続されている。有利な構成では、接続部7およびさらに他の接続部25は、一つのコンポーネント、例えばピグテール内にまとめられている。
【0033】
図3は、本発明によるエネルギー貯蔵体LiBを組み立てるための有利なステップを概略的に示す:
1.フレーム13を有する保持体21を置く。
2.セル17を組み入れる。
3.中央ハウジング部1を上に被せて接着する。
4.これまでの構造を引っくり返す。
5.接着剤を注入することによってセル17間に接着部19を配設する。
6.セル17にセル接点14を設けて電気的連絡部9をつなげる。
7.保持体21を注埋し、セル接点14およびセル感知部15とともにセル17を取り囲ませる。
8.可塑弾性材料24を少なくとも一つの中間スペース23に導入する。
9.第二のカバー12を上に被せ、取り外せないように中央ハウジング部1に接合する(例えば接着する)。
10.接着、溶接またはその他の方法で接合した後に、第一のカバー11を除く上述の全ての部品とともにエネルギー貯蔵体LiBを硬化する。
11.このエネルギー貯蔵体を引っくり返す。
12.貯蔵体電子部品6を取り付ける。
13.貯蔵体電子部品6および電気接続部25を電気的連絡部9に接続する。
14.取り外し可能なカバー11を閉じ、こうして出来上がったエネルギー貯蔵体LiBの全体構造を検査し、自動車に組み込むために取り外す。
【国際調査報告】