(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-19
(54)【発明の名称】がん患者を治療するためのPD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩の併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20231012BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231012BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231012BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20231012BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20231012BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/47
A61K39/395 N
C07K16/18 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516587
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 US2021050143
(87)【国際公開番号】W WO2022060678
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヒーリー,ジェーン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ジャー,スジャータ・シュラヴァンクマール
(72)【発明者】
【氏名】マリネッロ,パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ペリーニ,ロドルフォ・フルーリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルマン・ロジェリオ,ジャクリーン
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085DD61
4C085EE03
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086GA14
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、プログラム死1タンパク質(PD-1)の拮抗薬、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)拮抗薬、及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩を含む併用療法、並びにがん治療のためのその併用療法の使用を記述するものである。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体におけるがんの治療方法であって、個体に、PD-1拮抗薬、LAG3拮抗薬及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記PD-1拮抗薬がモノクローナル抗体又はそれの抗原結合性断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記個体がヒトであり、前記PD-1拮抗薬が、ヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトPD-L1のヒトPD-1への結合を遮断するモノクローナル抗体又はそれの抗原結合性断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PD-1拮抗薬がヒトPD-L2のヒトPD-1への結合も遮断する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記PD-1拮抗薬が、(a)それぞれ配列番号1、2及び3の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域、及び、(b)それぞれ配列番号6、7及び8の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体又はそれの抗原結合性断片である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記PD-1拮抗薬が、重鎖及び軽鎖を含む抗PD-1抗体であり、ここで、前記重鎖が、配列番号9を含む重鎖可変領域を含み、そして、前記軽鎖が、配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記PD-1拮抗薬が、二つの重鎖及び二つの軽鎖を含む抗PD-1抗体であり、ここで、前記重鎖が配列番号10を含み、そして、前記軽鎖が配列番号5を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記PD-1拮抗薬がペンブロリズマブである、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記PD-1拮抗薬がペンブロリズマブバリアントである、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記PD-1拮抗薬がニボルマブである、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記LAG3拮抗薬が、LAG3のMHCクラスII分子への結合を遮断するモノクローナル抗体又はそれの抗原結合性断片である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記LAG3拮抗薬が、(a)配列番号26、27及び28の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域、及び、(b)配列番号29、30及び31の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域、を含む抗体又はそれの抗原結合性断片である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記LAG3拮抗薬が、重鎖及び軽鎖を含む抗LAG3モノクローナル抗体であり、ここで、前記重鎖が、配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、そして、前記軽鎖が、配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記LAG3拮抗薬が、二つの重鎖及び二つの軽鎖を含む抗LAG3抗体であり、ここで、前記重鎖が配列番号23を含み、そして、前記軽鎖が配列番号22を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記LAG3拮抗薬がAb6バリアントである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記LAG3拮抗薬がAb6抗体である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記PD-1拮抗薬が、重鎖及び軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であり、ここで、前記重鎖が、配列番号6、7及び8の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、そして、前記軽鎖が、配列番号1、2及び3の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み;
そして、前記LAG3拮抗薬が、重鎖及び軽鎖を含むヒト化抗LAG3抗体であり、ここで、前記重鎖が、配列番号29、30及び31の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、そして、前記軽鎖が、配列番号26、27及び28の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記PD-1拮抗薬が、重鎖及び軽鎖を含む抗PD-1抗体であり、ここで、前記重鎖が、配列番号9を含む重鎖可変領域を含み、そして、前記軽鎖が、配列番号4を含む軽鎖可変領域を含み;
そして、前記LAG3拮抗薬が、重鎖及び軽鎖を含む抗LAG3抗体であり、ここで、前記重鎖が、配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、そして、前記軽鎖が、配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記PD-1拮抗薬が、重鎖及び軽鎖を含む抗PD-1抗体であり、ここで、前記重鎖が配列番号10を含み、そして、前記軽鎖が配列番号5を含み;
そして、前記LAG3拮抗薬が、重鎖及び軽鎖を含む抗LAG3抗体であり、ここで、前記重鎖が配列番号23を含み、そして、前記軽鎖が配列番号22を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記PD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬を共製剤化する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記PD-1拮抗薬及び前記LAG3拮抗薬を共投与する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
レンバチニブメシレートを投与する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記個体に、ペンブロリズマブ200mg及び抗LAG3抗体Ab6 800mgを含む組成物を3週間ごとに静脈注入によって投与すること、及び、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩8~20mgを経口投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ペンブロリズマブ200mg及びAb6 800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で、及び、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩8~20mgを1日1回経口で共投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
ペンブロリズマブ400mgを6週間ごとに第1日に、及び、Ab6 800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与すること、及び、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩8~20mgを1日1回経口投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記個体が、以前に抗PD-1又は抗PD-L1療法によって治療されたことがない、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記個体が、以前の抗PD-1又は抗PD-L1療法による治療で進行させた、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記個体が、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせての又は順次でのPD-1又はPD-L1チェックポイント阻害剤による以前の治療で進行させた、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記がんが結腸直腸がんである、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記がんが非マイクロサテライト不安定性高(非MSI-H)又は優れたミスマッチ修復(pMMR)結腸直腸がんである、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記がんが腎細胞癌である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記がんが明細胞腎細胞癌である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんの治療に有用な併用療法に関する。特に、本発明は、プログラム死1タンパク質(PD-1)の拮抗薬、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)の拮抗薬、及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩を含む併用療法に関する。
【0002】
電子的に提出された配列表への参照
本願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年9月13日に作成されたこのASCIIコピーは、25101WO-PCT_SL.txtという名称で、サイズは38キロバイトである。
【背景技術】
【0003】
PD-1に対する2つの公知のリガンド、PD-L1(B7-H1)及びPD-L2(B7-DC)は、様々な組織中に生じるヒトのがんにおいて発現する。例として卵巣がん、腎臓がん、結腸直腸がん、膵臓がん、肝臓がん、並びにメラノーマの大規模サンプルセットにおいて、PD-L1発現は、その後の治療にかかわらず、予後不良及び全生存期間の低減と相関することが示された(2-13)。同様に、腫瘍浸潤性リンパ球上でのPD-1発現は、乳がん及びメラノーマ中の機能障害T細胞を特徴付けること(14-15)、並びに腎臓がんにおける予後不良と相関すること(16)が見出された。それゆえに、PD-L1を発現する腫瘍細胞は、PD-1を発現するT細胞と相互作用することでT細胞活性化を減弱して免疫監視を回避し、それによって腫瘍に対する免疫応答障害に寄与することが提唱されている。
【0004】
PD-1とそのリガンドであるPD-L1及びPD-L2のうちの一方又は両方との間の相互作用を阻害するいくつかのモノクローナル抗体が、がん治療について承認されている。ペンブロリズマブは、プログラム細胞死1(PD 1)受容体への高い結合特異性を有する強力なヒト化免疫グロブリンG4(IgG4)mAbであり、それゆえにそのプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)及びプログラム細胞死リガンド2(PD-L2)との相互作用を阻害する。前臨床のイン・ビトロデータに基づくと、ペンブロリズマブは、PD-1への高いアフィニティ及び強力な受容体ブロッキング活性を持つ。
【0005】
Keytruda(登録商標)(ペンブロリズマブ)は、多くの適応症について患者治療用の適応がある。
【0006】
リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)は、エフェクターT細胞の恒常性、増殖及び活性化を制御する抑制性の免疫調節受容体であり、制御性T細胞(Treg)のサプレッサー活性において役割を持っている。LAG3は、活性化されたCD8+及びCD4+T細胞、Treg及びTr1制御性T細胞集団上で、並びにナチュラルキラー細胞及び寛容原性形質細胞様樹状細胞のサブセット上に発現する。エフェクターT細胞及びTregの両方に対する提唱されている役割のため、LAG3は、両細胞集団を同時にブロックすることで抗腫瘍免疫を増強する可能性を有するいくつかの免疫チェックポイント分子の一つである。
【0007】
LAG3は、表面抗原分類(CD)4と構造的に関連しており、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーの構成員である。CD4と同様、そのリガンドは主要組織適合複合体(MHC)クラスII分子である。そのリガンドとの相互作用は、二量化及びシグナル伝達を導いてT細胞活性化の変化をもたらす。T細胞活性化の後、LAG3は細胞表面上に一過性に発現する。大部分のLAG3分子は細胞内貯蔵の中で認められ、T細胞が活性化されると細胞膜に速やかに移動することができる。LAG3の発現は、細胞表面で細胞外切断によって可溶形態のLAG3(sLAG3)を生じることによって制御され、これは血清中で検出することができる。LAG3の発現は厳密に制御されており、制御されないT細胞の活性に対抗するための自己制限機序を代表するものである。
【0008】
チロシンキナーゼは、増殖因子シグナル伝達の調節に関与していることから、がん療法における重要な標的である。レンバチニブは、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体(VEGFR1(FLT1)、VEGFR2(KDR)及びVEGFR3(FLT4))、並びに線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体FGFR1、2、3及び4、さらに、腫瘍増殖に関与するその他の血管新生促進経路及び発癌経路関連RTK(血小板由来増殖因子(PDGF)受容体PDGFRα;KIT;及びRET癌原遺伝子(RET)を含む)のキナーゼ活性を選択的に阻害する、多重RTK(多RTK)阻害剤である。特に、レンバチニブはVEGFR2に対し、X線結晶構造解析で確認された新たな結合モード(タイプV)を有し、動態解析により、キナーゼ活性の迅速且つ強力な阻害を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
米国(US)において、CRCは3番目に多く診断されるがんであり、男女ともにがんによる死亡原因の第3位である。米国がん協会は、2015年には132,640人がCRCと診断され、49,700人がこの疾患で死亡すると推定した。近年の進歩があるにもかかわらず、mCRC参加者のほとんどにおける治療意図は苦痛緩和的であって、長期生存を達成する患者はほとんどない(5年生存率13.5%)。
【0010】
早期ライン設定におけるmCRCの現行の標準治療(SOC)処置には、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカンを併用又は順次使用する化学療法が含まれ、任意に、血管内皮増殖因子(VEGF)(例えば、ベバシズマブ、ziv-アフリベルセプト)若しくはそれの受容体(例、ラムシルマブ)を標的とするモノクローナル抗体、及び、Ras野生型腫瘍の患者では、上皮成長因子(EGF)受容体(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ)を標的とするモノクローナル抗体を用いる。しかしながら、第2ライン設定を超えて重度の前治療を受けた患者の治療選択肢は特に限られており、関連する毒性が重度になる可能性がある。
【0011】
リンチ症候群は、CRCなどの各種がんに対する感受性を高めるミスマッチ修復の欠陥によって定義される遺伝障害である。診断は、二つの生物学的に異なるが診断的に等価である試験、a)ミスマッチ修復(MMR)タンパク質発現のIHC特性評価、及びb)腫瘍組織における遺伝子マイクロサテライトマーカーのPCRのいずれかで確認することができる。MMR IHC及びPCRに基づくMSI検査の結果は、ほぼ一致していることが示されている(97.80%一致、正確な95%CI:96.27-98.82)。Baetley et. al. Cancer Prev Res(Phila) 2012;5:320-327。ペムブロリズマブなどの抗PD-1療法による結腸直腸がん(CRC)集団における抗がん活性は、ステージIV転移性結腸直腸がん(mCRC)集団の少数群(約5%)を代表するミスマッチ修復(dMMR)/マイクロサテライト不安定性高(MSI-H)表現型が欠損しているがんに限定されていた。抗PD-1療法は、非MSI-Hであるかミスマッチ修復(pMMR)に優れているmCRC腫瘍では、ほとんどないし全く効果がないことを示していた。MSI-H結腸直腸腫瘍は主に近位結腸で認められ、病期が一致したマイクロサテライト不安定性低(MSI-L)又はマイクロサテライト安定性(MSS)腫瘍よりも侵襲性の低い臨床経過と関連している。mCRC患者の約95%が非MSI-H又はpMMRである腫瘍を有することから、永続的な臨床的利益をもたらすと考えられる併用治療法を開発する必要がある。現在の標準的な化学療法による未治療のmCRC集団で高い奏効率が報告されているが、臨床的利益の持続性は限られている。さらに、二次ラインセッティングを超えて重度の前治療を受けた患者の治療選択肢は限られており、関連する毒性が重度になる可能性がある。レゴラフェニブ及びTAS-102が、非MSI-H/pMMRであるmCRC患者に対する第3ライン選択の標準ケア(SOC)療法として認められている。これらの療法は、フルオロピリミジン、イリノテカン、オキサリプラチンを含む化学療法、抗VEGF又は抗EGFR剤(KRAS野生型の場合)で治療されたmCRC患者に対して承認されている。規制当局の承認にもかかわらず、レゴラフェニブ及びTAS-102は、両薬剤ともORRが2%以下であるため、益がほとんどない。臨床的利益の持続性が非常に小さいことは、6ヶ月のPFS率が約15%であることからも明らかである。明らかに、非MSI-H/pMMR CRC患者の臨床転帰を改善するための新規な併用治療法を開発することが医療上非常に必要とされているが、まだ満たされていない。
【0012】
免疫調節剤及び/又はVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI(s))を組み合わせた第一ライン(1L)進行腎細胞がん(RCC)の治療には最近進歩があり、現在では複数の薬剤が第二ライン(2L)RCC患者の治療に利用することもできる。しかしながら、現在あるデータは、これらの薬剤による完全奏効(CR)を経験する患者はほとんどなく、ほぼ全員で進行があることを示している。これらの大幅な進歩により、これらの患者の治療パラダイムに変化があったが、新規な併用治療法を使用して1L及び2L+の両方の進行RCC集団の転帰を改善するという満たされていないニーズが残されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、個体におけるがんの治療方法であって、PD-1拮抗薬、LAG3拮抗薬、及び下記式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)又はそれの薬学的に許容される塩:
【化1】
を含む併用療法を個体に投与することを含む方法を提供する。1実施形態において、前記がんは、非マイクロサテライト不安定性高(非MSI-H)又は優れたミスマッチ修復(pMMR)結腸直腸がん(CRC)である。1実施形態において、前記がんは腎細胞癌である。1実施形態において、前記PD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬は共製剤される。別の実施形態において、前記PD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬は共投与される。1実施形態において、前記PD-1拮抗薬は、PD-1のPD-L1及びPD-L2への結合を遮断する抗PD-1抗体である。別の実施形態において、前記LAG3拮抗薬は、LAG3のMHCクラスII分子への結合を遮断する抗LAG3抗体である。1実施形態において、レンバチニブメシレートを用いる。
【0014】
レンバチニブ、抗PD-1抗体、抗LAG3抗体による本発明の三重併用療法は、レンバチニブ及び抗PD-1の併用療法よりも良好な腫瘍増殖阻害傾向を示した。さらに、レンバチニブが、抗PD-1及び抗LAG3併用療法に応答しない腫瘍に利益をもたらす可能性があることが示唆されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】各治療群における平均腫瘍体積(A)又は各個々の群のカプラン・マイヤー生存曲線(B)によって示される、CT26モデルにおけるレンバチニブと抗PD-1及び抗LAG3の同時投与の抗腫瘍効果を示す図である。
【
図1B】各治療群における平均腫瘍体積(A)又は各個々の群のカプラン・マイヤー生存曲線(B)によって示される、CT26モデルにおけるレンバチニブと抗PD-1及び抗LAG3の同時投与の抗腫瘍効果を示す図である。
【
図2】各治療群における平均腫瘍体積によって示される、レンバチニブの抗PD-1及び抗LAG3との同時投与の抗腫瘍効果を示す図である。
【
図3A】CT26(A)及びKPC-2838c3(B)に対する特定の治療過程時のマウス体重における変化を示す図である。
【
図3B】CT26(A)及びKPC-2838c3(B)に対する特定の治療過程時のマウス体重における変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
略語:本発明の詳細な説明及び例の全体を通じて、次の略語が用いられる:
BOR:最良総合効果
BID:1日2回の投薬
BICR:盲検独立中央放射線学
CBR:臨床的有用率
CDR:相補性決定領域
CHO:チャイニーズハムスター卵巣
CR:完全奏功
DCR:病勢コントロール率
DFS:無病生存期間
DLT:用量制限毒性
DOR:奏功持続期間
DSDR:持続的病勢安定率
FFPE:ホルマリン固定パラフィン包埋
FR:フレームワーク領域
IgG:免疫グロブリンG
IHC:免疫組織化学又は免疫組織化学的
irRC:免疫関連効果判定基準
IV:静脈内
MTD:最大耐量
NCBI:米国国立バイオテクノロジー情報センター
NCI:米国国立がん研究所
ORR:客観的奏効率
OS:全生存期間
PD:病勢進行
PD-1:プログラム死1
PD-L1:プログラム細胞死1リガンド1
PD-L2:プログラム細胞死1リガンド2
PFS:無増悪生存期間
PR:部分奏功
Q2W:2週に1回の投薬
Q3W:3週に1回の投薬
QD:1日に1回の投薬
RECIST:固形腫瘍における応答評価基準
SD:病勢安定
TPI:毒性発現確率区間
VH:免疫グロブリン重鎖可変領域
VK:免疫グロブリンカッパ軽鎖可変領域
【0017】
I.定義
本発明がより容易に理解され得るように、ある種の技術用語及び科学用語が下に具体的に定義される。本書類中のどこかで具体的に定義されないかぎり、本明細書中で用いられる全ての他の技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により共通に理解される意味を持つ。
【0018】
添付の特許請求の範囲を包含する本明細書中で用いられる場合、言葉の単数形、例えば「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」などは、文脈によって他の形で明瞭に明瞭に記載されていない限り、それらの対応する複数形の言及を包含する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「Ab6抗体」は、それぞれ配列番号23及び配列番号22の二つの重鎖配列及び二つの軽鎖配列からなるモノクローナル抗体を意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「Ab6バリアント」は、軽鎖CDRの外側に位置する位置に3個、2個若しくは1個の保存的アミノ酸置換、及び重鎖CDRの外側に位置する6個、5個、4個、3個、2個若しくは1個の保存的アミノ酸置換を有することを除き、本明細書に記載のAb6における配列と実質的に同一である重鎖及び軽鎖配列を含むモノクローナル抗体を意味し(以下及び国際特許公開第WO2016028672号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、例えばバリアント位置がFR領域若しくは定常領域にあり、任意に重鎖のC末端リジン残基の欠失を有する。換言すれば、Ab6及びAb6バリアントは、同一のCDR配列を含むが、それらの全長軽鎖及び重鎖配列のそれぞれに、三つ又は六つ以下の他の位置に保存的アミノ酸置換を有するために互いに異なっている。Ab6バリアントは、次の特性:ヒトLAG3への結合アフィニティ、及びヒトLAG3のヒトMHCクラスIIへの結合を遮断する能力に関してAb6と実質的に同じである。
【0021】
「投与」とは、それが動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官又は生物学的液体に適用される場合、その動物、ヒト、対象、細胞、組織、器官又は生物学的液体への外来性の医薬、治療薬、診断剤又は組成物の接触をいう。細胞の処置は、細胞への試薬の接触、同様に、液体が細胞と接触している場合にその液体への試薬の接触を包含する。「対象」という用語は、任意の生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物(例としてラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ)、最も好ましくはヒトを包含する。
【0022】
本明細書中で用いられるとき、「抗体」という用語は、所望の生物学的又は結合活性を呈する任意の形態の抗体を指す。それゆえに、これは最も広い意味で用いられ、具体的には、限定されるものではないが、モノクローナル抗体(完全長のモノクローナル抗体を包含する)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例として二重特異性抗体)、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、キメラ抗体及びラクダ化シングルドメイン抗体に及ぶ。「親抗体」は、意図される使用のための抗体の改変に先立って、例えばヒト治療薬としての使用のための抗体のヒト化などに先立って、免疫系の抗原への曝露により得られる抗体である。
【0023】
一般的に、基本的な抗体構造単位はテトラマーを含む。各テトラマーは2つの同一のポリペプチド鎖ペアを包含し、各ペアは一つの「軽」鎖(約25kDa)及び一つの「重」鎖(約50~70kDa)を持つ。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識に関与する約100~110アミノ酸残基以上の可変領域を包含する。重鎖のカルボキシ末端部分は、主としてエフェクター機能に関与する定常領域を定義し得る。典型的には、ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖に分類される。さらに、ヒト重鎖は典型的にはミュー、デルタ、ガンマ、アルファ又はイプシロンに分類され、それぞれ抗体のアイソタイプをIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEと定義する。軽鎖及び重鎖内で、可変領域及び定常領域は約12アミノ酸残基以上の「J」領域により連結されており、重鎖はさらに約10アミノ酸残基の「D」領域も包含する。Fundamental Immunology Ch.7(Paul, W., ed.,2nd ed. Raven Press, N. Y. (1989)を参照する。
【0024】
各軽鎖/重鎖ペアの可変領域は、抗体結合部位を形成する。それゆえに、一般的に、未変化抗体は二つの結合部位を持つ。二機能性抗体又は二重特異性抗体におけるものを除いて、二つの結合部位は、一般的に同じである。
【0025】
典型的には、重鎖及び軽鎖両方の可変ドメインは、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる三つの高頻度可変領域を含む。CDRは通常フレームワーク領域と並んでおり、特異的なエピトープへの結合を可能にする。一般的に、N末端からC末端までに、軽鎖及び重鎖両方の可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabat, et al.;National Institutes of Health, Bethesda, Md.;5th ed.;NIH Publ. No.91-3242(1991);Kabat(1978) Adv. Prot. Chem. 32:1-75;Kabat, et al., (1977) J. Biol. Chem. 252:6609-6616;Chothia, et al.,(1987) J. Mol. Biol. 196:901-917又はChothia, et al., (1989) Nature 342:878-883の定義に準ずるものである。
【0026】
本明細書中で使用される場合、別断の断りがない限り、「抗体断片」又は「抗原結合性断片」とは、抗体の抗原結合性断片、すなわち完全長抗体によって結合される抗原に特異的に結合する能力を保持した抗体断片を指し、例として1以上のCDR領域を保持した断片を指す。抗原結合性断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片;ダイアボディ;直鎖抗体;一本鎖抗体分子、例えばsc-Fv;抗体断片から形成されるナノボディ及び多重特異性抗体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
特定の標的タンパク質「に特異的に結合する」抗体は、他のタンパク質と比較してその標的への優先的な結合を呈する抗体であるが、この特異性は絶対的な結合特異性を必要としない。抗体は、例えば偽陽性などの望ましくない結果を生じることなく、それの結合がサンプル中の標的タンパク質の存在を決定するのであれば、それの所期の標的に「特異的」であると考えられる。本発明において有用な抗体又はその結合性断片は、非標的タンパク質とのアフィニティより少なくとも2倍強い、好ましくは少なくとも10倍強い、より好ましくは少なくとも20倍強い、最も好ましくは少なくとも100倍強いアフィニティで、標的タンパク質に結合する。本明細書で用いられる場合、抗体は、所与のアミノ酸配列、例えば成熟ヒトPD-1又はヒトPD-L1分子のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合するが、その配列を欠いたタンパク質には結合しない場合、その配列を含むポリペプチドに特異的に結合するといわれる。
【0028】
「キメラ抗体」とは、重鎖及び/又は軽鎖のある部分が特定の種(例えば、ヒト)に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同であるが、鎖(複数可)の残部は別の種(例としてマウス)に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である抗体を指し、同様に、それらが所望の生理活性を呈するかぎりにおいて、そのような抗体の断片も指す。
【0029】
本明細書中でPD-1拮抗薬又はLAG3拮抗薬などの薬剤について使用される場合、「共投与」は、治療活性が重なるようにそれら薬剤を投与することを意味し、必ずしもそれら薬剤を対象に同時投与することを意味するものではない。それら薬剤は、投与前に物理的に組み合わせてもそうでなくてもよい。ある実施形態において、それら薬剤は、同時に又はほぼ同時に対象に投与される。例えば、液体中に入っている場合、抗PD-1抗体と抗LAG3抗体を別々のバイアル中に入れることができ、同じ静注バッグ又は注射機器に入れて混合し、同時に患者に投与することができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「共製剤される(co-formulated)」又は「共製剤(co-formulation)」又は「共製剤(coformulation)」又は「共製剤される(coformulated)」とは、個別に製剤及び保管され、次いで投与前に混合されるか別々に投与されるのではなく、一緒に製剤化されて、単一のバイアル又は容器(例えば注射機器)中に組み合わせ製品として保管される少なくとも二つの異なる抗体又はそれの抗原結合性断片を指す。1実施形態において、共製剤は、二つの異なる抗体又はそれの抗原結合性断片を含有する。
【0031】
「ヒト抗体」とは、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を指す。ヒト抗体は、マウス、マウス細胞又はマウス細胞由来のハイブリドーマ中で産生された場合はマウスの糖鎖を含有し得る。同様に、「マウス抗体」又は「ラット抗体」とは、それぞれマウス又はラットの免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。
【0032】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト(例えば、マウス)抗体からの配列、並びにヒト抗体からの配列を含有する形態の抗体を指す。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含む。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含み、そこでは、高頻度可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、FR領域の全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含んでもよい。接頭辞「hum」、「hu」又は「h」は、ヒト化抗体を親齧歯類抗体から区別することが必要な場合に抗体クローン名称に付加される。ヒト化形態の齧歯類抗体は、一般に、親齧歯類抗体と同じCDR配列を含むが、但し、アフィニティーを向上させるため、ヒト化抗体の安定性を向上させるため、又は他の理由のために、ある種のアミノ酸置換が包含されていても良い。
【0033】
治療法、例えば本明細書に記載の併用療法で治療されるがん患者に言及する場合の「抗腫瘍応答」は、少なくとも一つの陽性治療効果、例えばがん細胞数の低減、腫瘍サイズの低減、末梢臓器へのがん細胞の浸潤速度の低下、腫瘍転移若しくは腫瘍増殖速度の低下、又は無増悪生存などを意味する。がんにおける陽性治療効果は、多くの方法で測定することができる(W. A. Weber, J. Null. Med. 50:1S-10S(2009);Eisenhauer et al.、上記を参照する)。一部の実施形態において、本明細書に記載の併用療法への抗腫瘍応答は、RECIST 1.1基準、二次元irRC又は一次元irRCを用いて評価される。一部の実施形態において、抗腫瘍応答は、SD、PR、CR、PFS又はDFSのいずれかである。
【0034】
「二次元irRC」とは、Wolchok JD,et al. ’’Guidelines for the evaluation of immune therapy activity in solid tumors:immune-related response criteria.’’Clin Cancer Res. 2009;15(23):7412-7420に記載されている一連の基準を指す。これらの基準は、標的病変の二次元腫瘍測定値を利用するものであり、各病変の最長直径に最長垂直直径を掛けることによって得られる(cm2)。
【0035】
「生物療法剤」は、腫瘍の維持及び/若しくは増殖を支持する又は抗腫瘍免疫応答を抑制する任意の生理的経路におけるリガンド/受容体シグナル伝達を遮断する生体分子、例えば抗体又は融合タンパク質を意味する。生物療法剤の分類としては、PD-1、LAG3、VEGF、EGFR、Her2/neu、他の増殖因子受容体、CD20、CD40、CD-40L、CTLA-4、OX-40、4-1BB及びICOSに対する抗体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
「CBR」又は「臨床的有用率」は、CR+PR+持続的SDを意味する。
【0037】
本明細書で用いられる「CDR(単数形)」又は「CDR(複数形)」は、別断の断りがない限り、Kabatナンバリングシステムを用いて定義される、免疫グロブリン可変領域中の相補性決定領域(複数可)を意味する。
【0038】
「化学療法剤」は、がんの治療において有用な化学物質である。化学療法剤の分類には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、キナーゼ阻害剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞傷害性/抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、光増感剤、抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)、抗プロゲステロン剤、エストロゲン受容体抑制剤(ERD)、エストロゲン受容体拮抗薬、黄体形成ホルモン放出ホルモン作動薬、抗アンドロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、異常な細胞増殖若しくは腫瘍増殖にかかわる遺伝子の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドなどがあるが、これらに限定されるものではない。本発明の治療方法において有用な化学療法剤には、細胞増殖抑制剤及び/又は細胞傷害剤などがある。
【0039】
本明細書で使用される場合、「Chothia」は、Al-Lazikani et al.,JMB 273:927-948(1997)に記載される抗体ナンバリングシステムを意味する。
【0040】
「を含む(comprising)」又はバリエーション、例えば「を含む(comprise)」、「を含む(comprises)」若しくは「からなる(comprised of)」などのそれの変形体は、明確な言語又は必要な示唆のために文脈上他の意味が必要でない限り、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて包含的な意味で、すなわち、述べられた特徴の存在を特定するが本発明の実施形態のいずれかの作用又は有用性を実質的に高め得るさらなる特徴の存在又は追加を排除せずに用いられる。
【0041】
「併用療法」又は「組み合わせて」は、治療法の一部として投与される2以上の生物療法剤及び化学療法剤を指す。
【0042】
「順次」とは、任意の順序で連続して投与される2以上の治療法を指す。
【0043】
「保存的改変バリアント」又は「保存的置換」とは、タンパク質の生理活性又は他の所望の特性、例えば抗原アフィニティ及び/又は特異性などを変えることなく、高頻度で変化させることができるような、タンパク質中のアミノ酸の、類似の特性(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、骨格コンホメーション及び剛性など)を持つ他のアミノ酸による置換を指す。当業者は、一般的に、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸置換が生理性をほとんど変えないことは理解している(例えば、Watson et al.(1987) Molecular Biology of the Gene, The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(4th Ed.)を参照する)。加えて、構造的又は機能的に類似したアミノ酸の置換は、生理活性を破壊する可能性が低い。例示的な保存的置換を、下記の表1に示す。
【0044】
【0045】
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて用いられる場合、「から本質的になる(consists essentially of)」及び変形体、例えば「から本質的になる(consist essentially of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」は、任意の列挙された要素又は要素の群を含めること、及び列挙された要素と類似した又は異なる、特定の投薬レジメ、方法若しくは組成物の基本的な又は新規な性質を実質的に変化させない他の要素を含めてもよいことを示す。非限定的な例として、列挙されたアミノ酸配列から本質的になるPD-1拮抗薬は、結合性化合物の性質に実質的に影響しない1以上のアミノ酸残基の置換などの1以上のアミノ酸をも包含し得る。
【0046】
「DCR」又は「病勢コントロール率」は、CR+PR+SDを意味する。
【0047】
「診断用抗PD-Lモノクローナル抗体」は、特定の哺乳動物細胞表面に発現される指定のPD-Lの成熟型(PD-L1又はPDL2)に特異的に結合するmAbを意味する。成熟PD-Lは、リーダーペプチドとも呼ばれる前分泌(presecretory)リーダー配列を欠いている。「PD-L」及び「成熟PD-L」という用語は、本明細書では互換可能に使用され、別途示されるか文脈から容易に明らかでない限り同じ分子を意味すると理解されるものである。
【0048】
本明細書で使用される場合、診断用抗ヒトPD-L1mAb又は抗hPD-L1mAbは、成熟ヒトPD-L1に特異的に結合するモノクローナル抗体を指す。成熟ヒトPD-L1分子は、以下の配列のアミノ酸19~290からなる:
【0049】
【0050】
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織切片におけるPD-L1発現を免疫組織化学(IHC)検出するための診断用mAbとして有用な、診断用抗ヒトPD-L1mAbの特定の例は、WO2014/100079に記載されている抗体20C3及び抗体22C3である。FFPE組織切片におけるPD-L1発現をIHC検出するのに有用であると報告されている別の抗ヒトPD-L1mAb(Chen, B. J. et al., Clin Cancer Res 19:3462~3473(2013))は、Sino Biological, Inc. (Beijing, P. R. China;カタログ番号10084-R015)から公的に入手可能なウサギ抗ヒトPD-L1mAbである。
【0051】
【0052】
本明細書中で用いられる「PD-L1」又は「PD-L2」の発現は、細胞表面上の指定されたPD-Lタンパク質又は細胞若しくは組織内での指定されたPD-L mRNAのいずれか検出可能なレベルの発現を意味する。PD-Lタンパク質の発現は、診断用PD-L抗体を使用して、腫瘍組織切片のIHCアッセイにおいて又はフローサイトメトリーにより検出され得る。或いは、腫瘍細胞によるPD-Lタンパク質の発現は、所望のPD-Lターゲット、例えばPD-L1又はPD-L2に特異的に結合する結合剤(例えば、抗体断片、アフィボディなど)を用いて、PETイメージングにより検出され得る。PD-L mRNAの発現を検出して測定するための技術としては、RT-PCR、リアルタイム定量的RT-PCR、RNAseq、及びナノストリングプラットフォーム(J. Clin. Invest. 2017;127(8):2930-2940)などがある。
【0053】
腫瘍組織切片のIHCアッセイにおいてPD-L1タンパク質発現を定量するために、いくつかの手法が記載されている。例えば、Thompson, R. H. et al., PNAS 101(49);17174-17179(2004);Thompson, R. H., et al., Cancer Res. 66:3381-3385(2006);Gadiot, J., et al., Cancer 117:2192-2201(2011);Taube, J. M. et al., Sci Transl Med 4, 127ra37(2012);及びToplian, S. L. et al., New Eng. J Med. 366(26):2443-2454(2012)を参照する。病理学者が使用するヘマトキシリン及びエオシン染色について記載しているUS20170285037を参照する。
【0054】
一つの手法は、PD-L1発現が陽性又は陰性であるというシンプルな二値エンドポイントを使用するものであり、陽性の結果は、細胞表面膜染色の組織学的エビデンスを示す腫瘍細胞のパーセントに関して規定される。腫瘍組織切片は、PD-L1発現が全腫瘍細胞のうち少なくとも1%である場合に、PD-L1発現について陽性としてカウントされる。
【0055】
別の手法において、腫瘍組織切片中のPD-L1発現は、腫瘍細胞中で、並びに、主にリンパ球を含む浸潤性免疫細胞中で定量される。膜染色を呈する腫瘍細胞及び浸潤性免疫細胞のパーセントは、<5%、5~9%、次いで10%ずつ増やして最大100%として別々に定量される。免疫浸潤物におけるPD-L1発現は、補正炎症スコア(AIS)と呼ばれる半定量的測定値として報告され、これは、膜染色細胞のパーセントに浸潤物の強度を乗算することにより決定され、無(0)、軽度(スコア1、リンパ球ほとんどなし)、中度(スコア2、リンパ組織球性凝集物による腫瘍の限局性浸潤)又は重度(スコア3、びまん性浸潤)として評点される。腫瘍組織切片は、AISが≧5であれば、免疫浸潤物によりPD-L1発現について陽性としてカウントされる。
【0056】
PD-L1 mRNAの発現レベルは、定量的RT-PCRにおいて非常に多く用いられる1以上の参照遺伝子のmRNA発現レベルと比較され得る。
【0057】
一部の実施形態において、腫瘍内の悪性細胞及び/又は浸潤性免疫細胞によるPD-L1の発現レベル(タンパク質及び/又はmRNA)は、適切な対照によるPD-L1の発現レベル(タンパク質及び/又はmRNA)との比較に基づいて「過剰発現」又は「上昇」と決定される。例えば、対照のPD-L1タンパク質又はmRNAの発現レベルは、同タイプの非悪性細胞中で又は対応する正常組織からの切片中で定量されるレベルであり得る。一部の好ましい実施形態において、腫瘍試料中のPD-L1タンパク質(及び/又はPD-L1 mRNA)が対照におけるものよりも少なくとも10%、20%又は30%多いならば、腫瘍試料中のPD-L1発現は上昇したと決定される。
【0058】
「腫瘍率スコア」は、いずれかの強度(弱、中若しくは強)での細胞膜上でPD-L1を発現する腫瘍細胞のパーセントを指す。線形部分若しくは完全細胞線色は、PD-L1について陽性であると解釈される。
【0059】
「単核炎症密度スコア(MIDS)」とは、腫瘍に浸潤又は隣接しているPD-L1を発現する単核炎症細胞(MIC)(腫瘍巣及び隣接する支持間質内の小リンパ球、大リンパ球、単球及びマクロファージ)数の腫瘍細胞の総数に対する比をいう。MIDSは0から4までのスケールで記録され、0=なし;1=存在するが、100個の腫瘍細胞あたり1個未満のMICである(<1%);2=100個の腫瘍細胞あたり少なくとも1個のMICがあるが、10個の腫瘍細胞あたり1個未満のMICである(1~9%);3=10個の腫瘍細胞あたり少なくとも1個のMICがあるが、腫瘍細胞よりもMICの数は少ない(10~99%);4=腫瘍細胞と少なくとも同数のMICがある(≧100%)。
【0060】
「組み合わせ陽性スコア(CPS)」とは、腫瘍巣及び隣接する支持間質内のPD-L1陽性腫瘍細胞及びPD-L1陽性単核炎症細胞(MIC)の数(分子)の、腫瘍細胞の総数(分母;すなわちPD-L1陽性及びPD-L1陰性の腫瘍細胞数)と比較した比を指す。あらゆる強度、すなわち弱(1+)、中(2+)又は強度(3+)のPD-L1発現が陽性と考えられる。
【0061】
「PD-L1発現陽性」とは、少なくとも1%の腫瘍率スコア、単核炎症密度スコア又は組み合わせ陽性スコア;AISが≧5;又は適切な対照と比較した腫瘍内の悪性細胞及び/若しくは浸潤性免疫細胞によるPD-L1の発現レベル(タンパク質及び/又はmRNA)の上昇を指す。
【0062】
「DSDR」又は「持続的病勢安定率」は、≧23週間のSDを意味する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」又は「FR」は、CDR領域を除いた免疫グロブリン可変領域を意味する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「Kabat」は、Elvin A. Kabat((1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda,Md.)により開発された免疫グロブリンのアラインメント及びナンバリングシステムを意味する。
【0065】
「LAG3拮抗薬」は、免疫細胞(T細胞、Treg、又はNK細胞など)上で発現されるLAG3のMHCクラスII分子への結合を遮断する化合物又は生体分子を意味する。ヒトLAG3は、下記のアミノ酸配列を含む。
【0066】
【化3】
(配列番号33);Uniprot寄託番号P18627も参照する。
【0067】
「マイクロサテライト不安定性(MSI)」とは、腫瘍におけるDNAミスマッチ修復欠損に関連したゲノム不安定性の形態をいう。Boland et al., Cancer Research 58, 5258-5257,1998を参照する。1実施形態において、MSI解析は、米国国立がん研究所(NCI)が推奨する5個のマイクロサテライトマーカーBAT25(GenBank寄託番号9834508)、BAT26(GenBank寄託番号9834505)、D5S346(GenBank寄託番号181171)、D2S123(GenBank寄託番号187953)、D17S250(GenBank寄託番号177030)を用いて行うことができる。付加的なマーカー、例えば、BAT40、BAT34C4、TGF-β-RII及びACTCを用いることができる。MSI解析のための市販のキットとしては、例えば、Promega MSIマルチプレックスPCRアッセイ、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織検体から単離されたDNAを用いるFoundationOne(登録商標) CDx(F1CDx)次世代配列決定に基づくイン・ビトロ診断機器が挙げられる。
【0068】
「高頻度マイクロサテライト不安定性」又は「マイクロサテライト不安定性高(MSI-H)」とは、上記で示した5個のNCIマーカーのうちの2個以上が不安定性を示す場合、又は全マーカーの≧30~40%が不安定性を実証する(すなわち挿入/欠失変異を持つ)場合をいう。
【0069】
「低頻度マイクロサテライト不安定性」又は「マイクロサテライト不安定性低(MSI-L)」とは、上記で示した5個のNCIマーカーのうちの1個が不安定性を示す場合、又は全マーカーの<30~40%が不安定性を呈する(すなわち挿入/欠失変異を持つ)場合を指す。
【0070】
本明細書中で用いられる「非MSI-H結腸直腸がん」とは、マイクロサテライト安定性(MSS)及び低頻度MSI(MSI-L)の結腸直腸がんを指す。
【0071】
「マイクロサテライト安定性(MSS)」とは、上記で示した5個のNCIマーカーのいずれも不安定性を示さない(すなわち挿入/欠失変異を持たない)場合を指す。
【0072】
「優れたミスマッチ修復(pMMR)結腸直腸がん」とは、IHCによるCRC腫瘍検体におけるMMRタンパク質(MLH1、PMS2、MSH2及びMSH6)の正常な発現を指す。MMR解析のための市販のキットとしては、Ventana MMR IHCアッセイが挙げられる。
【0073】
「ミスマッチ修復欠損(dMMR)の結腸直腸がん」とは、IHCによるCRC腫瘍検体における1又は複数のMMRタンパク質(MLH1、PMS2、MSH2及びMSH6)の低発現を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」又は「mAb」又は「Mab」とは、実質的に均一な抗体の集合を指す、すなわちその集合を含む抗体分子が、少量存在し得る可能な天然変異を除いてアミノ酸配列において同一である。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、それらの可変ドメイン、特にそれらのCDRの中に異なるアミノ酸配列を有する数多くの異なる抗体を含むものであり、それらは異なるエピトープに特異的である場合が多い。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集合から得られるものとしての抗体の特性を示し、何らかの特定の方法による抗体産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って用いられることになるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975) Nature 256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法により作製され得るか、組換えDNA法により作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照する)。「モノクローナル抗体」はまた、例えばClackson et al.(1991) Nature 352:624-628及びMarks et al.(1991) J. Mol. Biol. 222:581-597に記載される技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離され得る。Presta(2005) J. Allergy Clin. Immunol. 116:731も参照する。
【0075】
「ノンレスポンダー患者」は、本明細書に記載される併用療法での治療への特異的な抗腫瘍応答に言及するとき、患者が抗腫瘍応答を呈さなかったことを意味する。
【0076】
「ORR」又は「客観的奏効率」とは、一部の実施形態において、CR+PRを指し、ORR(24週)とは、24週の抗がん治療後のコホート中の各患者においてirRECISTを用いて測定したCR及びPRを指す。
【0077】
「患者」又は「対象」とは、治療が望まれる、又は臨床試験、疫学研究に参加している又は対照として用いられる任意の単独の対象を指し、例えばヒト及び哺乳脊椎動物の患者、例えばウシ、ウマ、イヌ及びネコである。
【0078】
「PD-1拮抗薬」とは、がん細胞上で発現したPD-L1が免疫細胞(T細胞、B細胞又はNKT細胞)上で発現したPD-1に結合することを遮断し、好ましくはがん細胞上で発現したPD-L2が免疫細胞発現PD-1に結合することをも遮断する任意の化合物又は生物分子を意味するが、ただし、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブではない。PD-1及びそれのリガンドについての別名又は同義語としては、PD-1についてはPDCD1、PD1、CD279及びSLEB2;PD-L1についてはPDCD1L1、PDL1、B7H1、B7-4、CD274及びB7-H;並びにPD-L2についてはPDCD1L2、PDL2、B7-DC、Btdc及びCD273などがある。ヒト個体が治療される本発明の治療方法、薬剤及び使用のいずれかにおいて、PD-1拮抗薬は、ヒトPD-L1のヒトPD-1への結合を遮断し、好ましくはヒトPD-L1及びPD-L2の両方のヒトPD-1への結合を遮断する。ヒトPD-1のアミノ酸配列は、NCBI Locus No.:NP_005009中にある。ヒトPD-L1及びPD-L2のアミノ酸配列は、それぞれNCBI Locus No.:NP_054862及びNP_079515中にある。
【0079】
本明細書で使用される場合、「ペンブロリズマブバリアント」は、軽鎖CDRの外側にある位置に3個、2個又は1個の保存的アミノ酸置換を持つこと及び重鎖CDRの外側にある6個、5個、4個、3個、2個又は1個の保存的アミノ酸置換を有することを除き、ペンブロリズマブにおけるものと実質的に同一である重鎖及び軽鎖配列を含むモノクローナル抗体を意味し、例えば、バリアント位置はFR領域又は定常領域にあり、重鎖のC末端リジン残基の欠失を有していても良い。言い換えれば、ペンブロリズマブ及びペンブロリズマブバリアントは同一のCDR配列を含むが、それぞれそれらの全長軽鎖及び重鎖配列におけるわずか3個又は6個の他の位置に保存的アミノ酸置換を有するために互いに異なる。ペンブロリズマブバリアントは、PD-1への結合アフィニティ及びPD-L1及びPD-L2の各々のPD-1への結合を遮断する能力という特性に関してペンブロリズマブと実質的に同じである。
【0080】
本明細書で使用される場合、「RECIST 1.1効果判定基準」は、応答が測定される文脈に基づいて適宜に、標的病変又は非標的病変についてEisenhauer et al., E. A. et al.,Eur. J Cancer 45:228-247(2009)に規定される定義を意味する。
【0081】
「レスポンダー患者」は、本明細書に記載の併用療法での治療への特異的な抗腫瘍応答に言及するとき、患者が抗腫瘍応答を呈したことを意味する。
【0082】
「持続的奏功」は、本明細書に記載の治療薬又は併用療法による治療の休止後の持続的治療効果を意味する。一部の実施形態において、持続的奏功は、その持続期間が、治療の持続期間と少なくとも同じ、又は治療の持続期間より少なくとも1.5、2.0、2.5若しくは3倍長い。
【0083】
「組織切片」とは、組織サンプルの単一の部分又は片、例えば、正常組織又は腫瘍のサンプルから切り出した組織の薄切片を指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、がんを「治療する」又は「治療すること」は、PD-1拮抗薬、LAG3拮抗薬及びレンバチニブを含む併用療法を、がんを有する又はがんと診断された対象に、少なくとも一つの陽性治療効果、例えばがん細胞数の低減、腫瘍サイズの低下、末梢臓器へのがん細胞の浸潤速度の低減、又は腫瘍転移若しくは腫瘍増殖速度の低減などを達成するために投与することを意味する。がんにおける陽性治療効果は、各種方法で測定することができる(W. A. Weber, J. Null. Med. 50:1S-10S(2009)を参照する)。例えば、腫瘍増殖阻害に関して、NCI標準によると、T/C≦42%が抗腫瘍活性の最小レベルである。T/C<10%は、高い抗腫瘍活性レベルと考えられ、ここでT/C(%)=処置される腫瘍体積の中央値/対照の腫瘍体積の中央値×100である。一部の実施形態において、本明細書に記載の併用療法への応答はRECIST 1.1基準又はirRC(二次元又は一次元)を用いて評価され、本発明の組み合わせによって達成される治療は、PR、CR、OR、PFS、DFS及びOSのいずれかである。PFSは、「腫瘍無増悪期間」とも称され、治療中及び治療後のがんが増殖しない期間を示し、患者がCR又はPRを経験した時間、並びに患者がSDを経験した時間を含む。DFSとは、治療中及び治療後の患者が疾患のない状態にある期間を指す。OSとは、ナイーブ又は未治療の個体又は患者と比較した平均余命の延長を指す。一部の実施形態において、本発明の組み合わせへの応答は、RECIST 1.1効果判定基準を用いて評価されるPR、CR、PFS、DFS、OR又はOSのいずれかである。がん患者を治療する上で有効である本発明の組み合わせについての治療法は、例えば患者の病態、年齢及び体重、並びに対象においてその療法が抗がん応答を誘発する能力などの因子に応じて変わり得る。本発明の態様のいずれかの1実施形態はあらゆる対象における陽性治療効果の達成に有効でないこともあり得るが、当該技術分野で知られている任意の統計的検定、例えばステュデントのt検定、chi2検定、マン・ホイットニーによるU検定、クラスカル・ウォリス検定(H検定)、ヨンクヒール・タプストラ検定並びにウィルコクソン検定などにより決定される統計的に有意な数の対象において、それはそのようになるべきである。
【0085】
「治療法」、「投薬プロトコール」及び「投薬レジメ」という用語は、本発明の組み合わせにおける各治療剤の用量及び投与時期を指すのに互換的に使用される。
【0086】
がんと診断された又はがんを有する疑いのある対象に適用される場合、「腫瘍」とは、任意の大きさの悪性又は悪性の可能性がある新生物又は組織塊を指し、原発性腫瘍及び続発性新生物を包含する。固形腫瘍は、通常は嚢胞又は液体の領域を含有しない組織の異常増殖物又は塊である。異なる種類の固形腫瘍が、それらを形成する細胞の種類に由来して命名される。固形腫瘍の例には、肉腫、癌腫及びリンパ腫がある。白血病(血液のがん)は、一般に固形腫瘍を形成しない(National Cancer Institute, Dictionary of Cancer Terms)。
【0087】
「腫瘍量(tumor burden)」は、「腫瘍負荷(tumor load)」とも称され、全身に分布した腫瘍物質の総量を指す。腫瘍量は、リンパ節及び骨髄を含む全身のがん細胞の総数又は腫瘍の総サイズを指す。腫瘍量は、当該技術分野で知られている各種方法により、例えば、対象から摘出した際に腫瘍の寸法を例えばキャリパーを用いて測定することにより、又は体内にある時には撮像技術、例えば超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)若しくは磁気共鳴画像(MRI)スキャンを用いることなどによって測定することができる。
【0088】
「腫瘍サイズ」という用語は、腫瘍の長さ及び幅として測定することができる腫瘍の総サイズを指す。腫瘍サイズは、当該技術分野で知られている各種方法により、例えば、対象から摘出した際に腫瘍の寸法を例えばキャリパーを用いて測定することにより、又は体内にある時には撮像技術、例えば骨スキャン、超音波、CT又はMRIスキャンを用いることなどによって測定することができる。
【0089】
「一次元irRC」とは、Nishino M,Giobbie-Hurder A,Gargano M,Suda M,Ramaiya NH,Hodi FS. ’’Developing a Common Language for Tumor Response to Immunotherapy:Immune-related Response Criteria using Unidimensional measurements.’’ Clin Cancer Res. 2013;19(14):3936-3943に記載されている一連の基準を指す。これらの基準は、各病変の最長直径(cm)を利用する。
【0090】
本明細書で使用される場合、「可変領域」又は「V領域」は、異なる抗体間で配列が可変であるIgG鎖のセグメントを意味する。典型的には、これは、軽鎖中のKabat残基109及び重鎖中の113に及ぶ。
【0091】
PD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬
本発明の治療方法、薬剤及び使用において有用なPD-1拮抗薬としては、PD-1又はPD-L1に特異的に結合する、好ましくはヒトPD-1又はヒトPD-L1に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)又はそれの抗原結合性断片を含む。mAbはヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体であり得て、ヒト定常領域を包含し得る。一部の実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1又はIgG4定常領域である。一部の実施形態において、抗原結合性断片は、Fab、Fab’-SH、F(ab’)2、scFv及びFv断片からなる群から選択される。
【0092】
ヒトPD-1に結合し、本発明の治療方法、薬剤及び使用において有用なmAbの例は、米国特許番号US7488802、US7521051、US8008449、US8354509、及びUS8168757、及び国際出願公開番号WO2004/004771、WO2004/072286、WO2004/056875、及びUS2011/0271358に記載されている。本発明の治療方法、薬剤及び使用においてPD-1拮抗薬として有用な特異的な抗ヒトPD-1 mAbとしては、次のもの:ペンブロリズマブ(MK-3475としても知られる)、WHO Drug Information, Vol.27, No.2, pages 161-162(2013)に記載されている構造を有し、表3中に示される重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含むヒト化IgG4 mAb;ニボルマブ(BMS-936558)、WHO Drug Information, Vol.27, No.1, pages 68-69(2013)に記載されている構造を有し、表3中に示される重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含むヒトIgG4 mAb;WO2008/156712に記載されているヒト化抗体h409A11、h409A16及びh409A17、及びMedImmuneにより開発中のAMP-514;セミプリマブ;カムレリズマブ;シンチリマブ;チスレリズマブ;及びトリパリマブなどがある。本明細書での使用に想到される追加の抗PD-1抗体には、MEDI0680(米国特許第号8609089)、BGB-A317(米国特許公開番号2015/0079109)、INCSHR1210(SHR-1210)(PCT国際出願公開番号WO2015/085847)、REGN-2810(PCT国際出願公開番号WO2015/112800)、PDR001(PCT国際出願公開番号WO2015/112900)、TSR-042(ANB011)(PCT国際出願公開番号WO2014/179664)及びSTI-1110(PCT国際出願公開番号WO2014/194302)などがある。
【0093】
ヒトPD-L1に結合し、本発明の治療方法、薬剤及び使用において有用なmAbの例は、US8383796に記載されている。本発明の治療方法、薬剤及び使用においてPD-1拮抗薬として有用な特異的抗ヒトPD-L1 mAbとしては、BMS-936559、MEDI4736、及びMSB0010718Cなどがある。
【0094】
本発明の治療方法、薬剤及び使用において有用な他のPD-1拮抗薬としては、PD-1又はPD-L1に特異的に結合する、好ましくはヒトPD-1又はヒトPD-L1に特異的に結合するイムノアドヘシン、例えば、免疫グロブリン分子の定常領域、例えばFc領域などと融合したPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含む融合タンパク質などがある。PD-1に特異的に結合する免疫接着分子の例は、PCT国際出願公開番号WO2010/027827及びWO2011/066342に記載されている。本発明の治療方法、薬剤及び使用においてPD-1拮抗薬として有用な特異的融合タンパク質としては、PD-L2-FC融合タンパク質でありヒトPD-1に結合するAMP-224(B7-DCIgとしても知られる)などがある。
【0095】
本発明の治療方法、薬剤及び使用の一部の好ましい実施形態において、PD-1拮抗薬は、(a)それぞれ配列番号1、2及び3の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域、並びに、(b)それぞれ配列番号6、7及び8の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域、を含むモノクローナル抗体又はそれの抗原結合性断片である。
【0096】
本発明の治療方法、薬剤及び使用の他の好ましい実施形態において、PD-1拮抗薬は、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ(a)配列番号9又はそのバリアントを含む重鎖可変領域、及び、(b)配列番号4又はそのバリアントを含む軽鎖可変領域、を含むモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片である。重鎖可変領域配列のバリアントは、フレームワーク領域中(すなわちCDRの外側)に最大で6個の保存的アミノ酸置換を有することを除いて基準配列と同一である。軽鎖可変領域配列のバリアントは、フレームワーク領域中(すなわちCDRの外側)に最大で3個の保存的アミノ酸置換を有することを除いて基準配列と同一である。
【0097】
本発明の治療方法、薬剤及び使用の別の好ましい実施形態において、PD-1拮抗薬は、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ(a)配列番号10を含む重鎖、及び、(b)配列番号5を含む軽鎖、を含むモノクローナル抗体である。1実施形態において、前記PD-1拮抗薬は、重鎖及び軽鎖を含む抗PD-1抗体であり、ここで、重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号10及び配列番号5中にアミノ酸配列を含む。
【0098】
本発明の治療方法、薬剤及び使用のなお別の好ましい実施形態において、PD-1拮抗薬は、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ(a)配列番号12を含む重鎖、及び、(b)配列番号11を含む軽鎖、を含むモノクローナル抗体である。
【0099】
上記の治療方法、薬剤及び使用の全てにおいて、PD-1拮抗薬は、PD-L1のPD-1への結合を阻害し、好ましくはPD-L2のPD-1への結合をも阻害する。上記の治療方法、薬剤及び使用の一部の実施形態において、PD-1拮抗薬は、PD-1又はPD-L1に特異的に結合し、PD-L1のPD-1への結合を遮断するモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片である。
【0100】
下の表3は、本発明の治療方法、薬剤及び使用において使用するための例示的な抗PD-1 mAbのアミノ酸配列のリストを提供する。
【0101】
【0102】
本発明の治療方法、薬剤及び使用において有用なLAG3拮抗薬には、LAG3に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)又はそれの抗原結合性断片が含まれる。mAbは、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体であることができ、ヒト定常領域を含み得る。一部の実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1又はIgG4定常領域である。一部の実施形態において、抗原結合断片は、Fab、Fab′-SH、F(ab′)2、scFv及びFv断片からなる群から選択される。
【0103】
1実施形態において、抗LAG3抗体は、Ab6:各軽鎖及び重鎖が下記のアミノ酸配列からなる、二つの軽鎖及び二つの重鎖からなる抗体である。
【0104】
【0105】
【0106】
Ab6軽鎖可変ドメインアミノ酸配列:
【化6】
(配列番号24);及び
【0107】
Ab6重鎖可変ドメインアミノ酸配列:
【化7】
(配列番号25)
【0108】
CDR-L1:KASQSLDYEGDSDMN(配列番号26)
CDR-L2:GASNLES(配列番号27)
CDR-L3:QQSTEDPRT(配列番号28)
CDR-H1:DYNVD(配列番号29)
CDR-H2:DINPNDGGTIYAQKFQE(配列番号30);及び
CDR-H3:NYRWFGAMDH(配列番号31)
【0109】
本発明の治療方法、薬剤及び使用の一部の好ましい実施形態では、LAG3拮抗薬は、モノクローナル抗体又はそれの抗原結合性断片であり、(a)軽鎖CDR配列番号26、27及び28、及び、(b)重鎖CDR配列番号29、30及び31を含む。
【0110】
本発明の治療方法、薬剤及び使用の他の好ましい実施形態において、LAG3拮抗薬は、ヒトLAG3に特異的に結合し、(a)配列番号25を含む重鎖可変領域又はそれのバリアント、及び、(b)配列番号24を含む軽鎖可変領域又はそれのバリアント、を含むモノクローナル抗体又はそれの抗原結合性断片である。重鎖可変領域配列のバリアントは、フレームワーク領域(すなわち、CDRの外側)に最大5個の保存的アミノ酸置換を有する以外は基準配列と同一である。軽鎖可変領域配列のバリアントは、フレームワーク領域(すなわち、CDRの外側)に最大3個の保存的アミノ酸置換を有する以外は基準配列と同一である。
【0111】
本発明の治療方法、薬剤及び使用の別の好ましい実施形態において、LAG3拮抗薬は、ヒトLAG3に特異的に結合し、(a)配列番号23を含む重鎖、及び、(b)配列番号22を含む軽鎖、を含むモノクローナル抗体である。本発明の治療方法、薬剤及び使用の別の好ましい実施形態において、LAG3拮抗薬は、ヒトLAG3に特異的に結合し、(a)配列番号25を含む重鎖可変領域、及び、(b)配列番号24を含む軽鎖可変領域、を含むモノクローナル抗体である。
【0112】
ヒトLAG3に結合し、本発明の治療方法、薬剤及び使用において有用であるmAbsの他の例は、LAG3.5として国際特許出願公開番号WO2014/008218に開示されているレラトリマブ(WHO Drug Information, Vol.32, No.2, 2018)、IMP731、IMP701、及び米国特許出願公開番号US2017101472に開示されている抗LAG3である。本発明の治療方法、薬剤及び使用において有用である他のLAG3拮抗薬には、ヒトLAG3に特異的に結合するイムノアドヘシン、例えば免疫グロブリン分子のFc領域などの定常領域に融合した細胞外LAG3を含む融合タンパク質などがある。
【0113】
1実施形態において、抗PD-1又は抗LAG3抗体又はそれの抗原結合性断片のそれぞれは、重鎖定常領域、例えばヒト定常領域、例えばJ1、J2、J3、又はJ4ヒト重鎖定常領域又はそれのバリアントを含む。別の実施形態において、抗PD-1又は抗LAG3抗体又はそれの抗原結合性断片は、軽鎖定常領域、例えばヒト軽鎖定常領域、例えばラムダ又はカッパヒト軽鎖領域又はそれのバリアントを含む。例を挙げると、非限定的であるが、ヒト重鎖定常領域はJ4であることができ、ヒト軽鎖定常領域はカッパであることができる。別の実施形態において、その抗体のFc領域は、Ser228Pro変異を有するJ4である(Schuurman, J et al., Mol. Immunol. 38:1-8, 2001)。
【0114】
一部の実施形態において、異なる定常ドメインが本明細書で提供されるCDR由来のヒト化VL及びVH領域に付加され得る。例えば、本発明の抗体(又は断片)の特定の所期の使用がエフェクター機能の変化を必要とする場合、ヒトIgG1以外の重鎖定常ドメインを用いることができるか、ハイブリッドIgG1/IgG4を用いることができる。
【0115】
ヒトIgG1抗体は、長い半減期及びエフェクター機能、例えば補体活性化及び抗体依存性細胞傷害性を提供するが、そのような活性は、抗体の全ての使用において望ましいわけではない可能性がある。そのような場合、例えば、ヒトIgG4定常ドメインを用いることができる。本発明は、IgG4定常ドメインを含む、抗PD-1抗体、又は、抗LAG3抗体及びそれの抗原結合性断片の使用を含む。1実施形態において、IgG4定常ドメインは、EUシステムで228位に、KABATシステムで241位に相当する位置においてネイティブのヒトIgG4定常ドメイン(Swiss-Protアクセッション番号P01861.1)と異なるものであることができ、ここで、適切な鎖内ジスルフィド結合形成を妨げる可能性のあるCys106とCys109(EUシステムでCys226位及びCys229位に、KABATシステムでCys239位及びCys242位に相当する)の間の潜在的な鎖間ジスルフィド結合を防ぐため、ネイティブのSer108はProで置き換えられる。Angal et al.(1993) Mol. Imunol. 30:105を参照する。他の場合、半減期を延長するかエフェクター機能を低下させるよう改変されている改変IgG1定常ドメインを用いることができる。
【0116】
方法、使用及び薬剤
1実施形態において、本発明は、個体におけるがんの治療方法であって、その個体に対して、PD-1拮抗薬、LAG3拮抗薬及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩を共投与することを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、個体におけるがんの治療方法であって、その個体に対して、PD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬を含む組成物並びにレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0117】
別の実施形態において、本発明は、がん治療のためにLAG3拮抗薬及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩と併用するための、PD-1拮抗薬を含む医薬を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、がん治療のためにPD-1拮抗薬及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩と併用するための、LAG3拮抗薬を含む医薬を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、がん治療のためにPD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬と併用するための、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩を含む医薬を提供する。
【0118】
別の実施形態において、本発明は、LAG3拮抗薬及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩と併用投与される場合に、個体におけるがんを治療するための医薬の製造におけるPD-1拮抗薬の使用を提供する。1実施形態において、本発明は、PD-1拮抗薬及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩と併用投与される場合に、個体におけるがんを治療するための医薬の製造におけるLAG3拮抗薬の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、LAG3拮抗薬及びPD-1拮抗薬と併用投与される場合に、個体におけるがんを治療するための医薬の製造におけるレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0119】
他の実施形態は、がんの治療での使用のためのLAG3拮抗薬であって、該使用がPD-1拮抗薬及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩との併用である、LAG3拮抗薬;がんの治療での使用のためのPD-1拮抗薬であって、該使用がLAG3拮抗薬及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩との併用である、PD-1拮抗薬;がんの治療での使用のためのレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩であって、該使用がPD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬との併用である、がんの治療での使用のためのレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩、を提供する。
【0120】
さらに別の実施形態において、本発明は、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩と併用投与した場合に個体におけるがんを治療するための医薬の製造におけるPD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬の使用を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、がんを治療するためにレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩と併用するためのPD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬を含む医薬を提供する。
【0121】
上記の方法、医薬及び使用において、1実施形態において、PD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬を共製剤し、静脈注入又は皮下注射を介して投与する。別の実施形態において、PD-1拮抗薬及びLAG3拮抗薬は静脈注入又は皮下注射を介して共投与される。
【0122】
1実施形態において、PD-1拮抗薬は、PD-1のPD-L1及びPD-L2への結合を遮断する抗PD-1抗体である。1実施形態において、PD-1拮抗薬は抗PD-L1抗体である。1実施形態において、LAG3拮抗薬は、LAG3のMHCクラスIIへの結合を遮断する抗LAG3抗体である。1実施形態において、レンバチニブの薬学的に許容される塩はレンバチニブメシレートである。
【0123】
本発明の方法、医薬及び使用によって治療することができるがんには、心臓がん:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、筋腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫;肺がん:気管支原性癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;消化管がん:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カルポジ肉腫(Karposi’s sarcoma)、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫) 結腸直腸;尿生殖路がん:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(腎芽腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胚性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓がん:肝癌(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨がん:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、オステオクロンフローマ(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、コンドロミクソフィブローマ(chondromyxofibroma)、類骨骨腫及び巨細胞腫瘍;神経系がん:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形神経膠芽腫、乏突起膠細胞腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科がん:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍性子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌)、卵胞顆粒膜細胞腫瘍(granulosa thecal cell tumor)、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状横紋筋肉腫(胚性横紋筋肉腫)、輸卵管(癌腫)、乳房;血液がん:血液(骨髄性白血病(急性及び慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群);白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、骨髄腫及びバーキットリンパ腫などのリンパ系の造血器腫瘍;急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び前骨髄球性白血病を包含する骨髄系の造血器腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を包含する間葉起源の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫及びシュワン腫を包含する中枢及び末梢神経系の腫瘍;並びにメラノーマ、皮膚(非メラノーマ)がん、中皮腫(細胞)、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、角化棘細胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞がん及びカポジ肉腫を包含する他の腫瘍などがあるが、これらに限定されるものではない。1実施形態において、前述のがんは、進行性、切除不能又は転移性である。
【0124】
1実施形態において、本発明の方法、薬剤及び使用により治療され得るがんとしては、肺がん、膵臓がん、結腸がん、結腸直腸がん、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、甲状腺がん、骨髄異形成症候群、膀胱癌、表皮癌、メラノーマ、乳がん、前立腺がん、頭頸部がん、卵巣がん、脳がん、間葉起源のがん、肉腫、奇形癌腫(tetracarcinoma)、神経芽細胞腫、腎臓癌、肝癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫及び甲状腺未分化癌などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
別の実施形態において、本発明の方法、薬剤及び使用により治療され得るがんとしては、頭頸部扁平細胞がん、胃がん、胃及び/又は胃食道接合部の腺癌、腎細胞がん、卵管がん、子宮内膜がん、及び結腸直腸がんなどがあるが、これらに限定されるものではない。1実施形態において、結腸直腸がん、胃がん、胃及び/又は胃食道接合部の腺癌(GEJ)、又は子宮内膜がんは、非マイクロサテライト不安定性高(非MSI-H)又は優れたミスマッチ修復(pMMR)である。1実施形態において、がんは、胃がん、胃及び/又は胃食道接合部の腺癌である。1実施形態において、がんは腎細胞癌である。1実施形態において、結腸直腸がんは切除不能又は転移性である(ステージIV)。
【0126】
別の実施形態において、本発明の方法、薬剤及び使用により治療され得るがんとしては、血液悪性腫瘍:古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、変換DLBCL、グレイゾーンリンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBCL)又は緩慢性非ホジキンリンパ腫(iNHL)(例えば、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、又は小リンパ球性リンパ腫)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
さらなる実施形態において、本発明の方法、薬剤及び使用により治療され得るがんとしては、腎細胞癌、腎盂、尿管、膀胱又は尿道の尿路上皮癌、胃がん、GEJ腺癌、小細胞肺がん及び膀胱がんからなる群から選択されるがんなどがある。さらなる実施形態において、治療可能ながんは、腎細胞癌、胃がん、GEJ腺癌、非小細胞肺がん、頭頸部扁平細胞がん、卵管がん、子宮内膜がん、及び結腸直腸がんからなる群から選択される。1実施形態において、前記がんは結腸直腸がんである。別の実施形態において、前記がんはマイクロサテライト不安定性高(MSI-H)結腸直腸がんである。1実施形態において、前記結腸直腸がんは、非マイクロサテライト不安定性高(非MSI-H)又は優れたミスマッチ修復(pMMR)である。1実施形態において、前記がんは腎細胞癌である。1実施形態において、前記がんは明細胞腎細胞癌である。1実施形態において、前記がんは、進行がん、切除不能がん又は転移がんである。1実施形態において、前記がんはステージIVである。別の実施形態において、前記がんはステージIIIである。
【0128】
前記実施形態の1態様において、がん患者は抗PD-1又は抗PD-L1治療後に進行した。1実施形態において、がん患者は抗PD-1又は抗PD-L1及び抗LAG3治療の併用療法後に進行した。1実施形態において、がん患者は以前に抗PD-1又は抗PD-L1治療を受けたことがなかった。別の実施形態において、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤による治療を受けたことがある患者は進行した。別の実施形態において、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR/TKI)との併用で又は順次にPD-L1若しくはPD-1チェックポイント阻害剤治療を受けたことがある患者は進行した。VEGFR/TKIの例には、アキシチニブ及びカボザンチニブなどがあるが、これらに限定されるものではない。1実施形態において、前記併用療法は一次治療のためである。別の実施形態において、前記併用は二次若しくは三次治療のためである。
【0129】
本発明の方法、医薬及び使用はまた、1以上の追加の治療剤を含み得る。追加の治療剤は、例えば、化学療法剤、生物療法剤、免疫原性剤(例えば、弱毒化がん細胞、腫瘍抗原、抗原提示細胞、例えば腫瘍由来抗原又は核酸でパルスされた樹状細胞など、免疫刺激性サイトカイン(例えば、IL-2、IFNα2、GM-CSF)、及び免疫刺激性サイトカイン、例えば限定されるものではないがGM-CSFなどをコードする遺伝子でトランスフェクトされた細胞)であることができる。追加の治療剤の具体的な投薬量及び投薬計画はさらに変えることができ、最適用量、投薬計画及び投与経路は、用いられている具体的な治療剤に基づいて決定される。
【0130】
本発明の方法、医薬及び使用における各治療剤は、標準的な医薬実務に従って、単独で、又は治療剤と1以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、添加剤及び希釈剤を含む薬剤(本明細書中で医薬組成物とも称される)で投与され得る。
【0131】
本発明の方法、医薬及び使用における各治療剤は、同時に(すなわち同じ薬剤中で)、同時期に(すなわち任意の順番で一方を投与した直後に他方を投与される別々の薬剤中で)又は任意の順序で逐次投与され得る。逐次投与は、併用療法における治療剤が異なる剤形である(一つの剤が錠剤又はカプセルで、別の剤が滅菌液体である)とき、及び/又は異なる投薬計画で投与されるとき、例えば、化学療法剤が少なくとも1日1回投与され、生物療法剤がより低頻度で、例えば週1回、2週に1回又は3週に1回などで投与されるときに、特に有用である。
【0132】
一部の実施形態において、LAG3拮抗薬は、PD-1拮抗薬投与の前に投与されるが、他の実施形態においては、LAG3拮抗薬は、PD-1拮抗薬投与後に投与される。別の実施形態において、LAG3拮抗薬は、PD-1拮抗薬と同時に投与される。
【0133】
一部の実施形態において、本発明の方法、医薬及び使用における治療剤のうちの少なくとも一つは、剤が同じがんを治療するための単剤治療として用いられるときに典型的に使用されるものと同じ投薬レジメ(用量、頻度、及び治療の持続期間)を用いて投与される。他の実施形態において、患者が受ける、本発明の方法、医薬及び使用における治療剤のうちの少なくとも一つの総量は、剤が単剤治療として用いられるときよりも少なく、例えば用量がより少なく、投薬がより低頻度であり、及び/又は治療の持続期間がより短い。
【0134】
本発明の方法、医薬及び使用における各小分子治療剤は、経口的に、又は、静脈、筋肉、腹腔内、皮下、直腸、局所及び経皮といった投与経路で非経口的に投与することができる。
【0135】
本発明の方法、医薬及び使用は、腫瘍を摘出するための手術の前又は後に用いることができ、放射線治療の前、最中又は後に用いることができる。
【0136】
一部の実施形態において、本発明の併用療法は、過去に生物療法剤又は化学療法剤による治療を受けたことがない、すなわち、治療未経験の患者に投与される。他の実施形態において、当該併用療法は、生物療法剤又は化学療法剤での先に治療した後に持続性奏功を達成しなかった、すなわち治療を経験した患者に投与される。
【0137】
本発明の併用療法は、典型的には、触診によって又は当該技術分野で公知の画像技術、例えばMRI、超音波又はCATスキャンなどによって発見するのに十分な大きさの腫瘍を治療するために用いられる。
【0138】
本明細書の併用療法は、PD-L1及びPD-L2の一方若しくは両方について検査で陽性と出る、好ましくはPD-L1発現について検査で陽性と出るがんを有するヒト患者に投与することができる。一部の好ましい実施形態において、PD-L1発現は、患者から取り出された腫瘍試料のFFPE又は凍結された組織切片に対し、IHCアッセイで診断用抗ヒトPD-L1抗体、又はその抗原結合フラグメントを使用して検出される。通常、PD-1拮抗薬、AG3拮抗薬及び/又はレンバチニブによる治療の開始前に患者から取り出された腫瘍組織試料でのPD-L1発現について決定するため、患者の医師は診断検査を指示するが、例えば治療周期終了後など、治療開始後の任意のタイミングで最初の又はその後の診断検査を医師が指示することが想定される。1実施形態において、PD-L1は、PD-L1 IHC22C3 pharmDxアッセイによって測定される。別の実施形態において、患者は、PD-L1発現の単球炎症密度スコア≧2を有する。別の実施形態において、患者は、PD-L1発現の単球炎症密度スコア≧3を有する。別の実施形態において、患者は、PD-L1発現の単球炎症密度スコア≧4を有する。別の実施形態において、PD-L1発現の腫瘍率スコアを、非小細胞肺がん患者の選択に用いる。
別の実施形態において、患者はPD-L1発現の腫瘍率スコア≧1%を有する。別の実施形態において、患者はPD-L1発現の腫瘍率スコア≧10%を有する。別の実施形態において、患者はPD-L1発現の腫瘍率スコア≧20%を有する。別の実施形態において、患者はPD-L1発現の腫瘍率スコア≧30%を有する。別の実施形態において、患者はPD-L1発現の腫瘍率スコア≧50%を有する。さらなる実施形態において、患者はPD-L1発現の組み合わせ陽性スコア≧1%を有する。さらなる実施形態において、患者はPD-L1発現の組み合わせ陽性スコア1~20%を有する。さらなる実施形態において、患者はPD-L1発現の組み合わせ陽性スコア≧2%を有する。さらなる実施形態において、患者はPD-L1発現の組み合わせ陽性スコア≧5%を有する。さらなる実施形態において、患者はPD-L1発現の組み合わせ陽性スコア≧10%を有する。さらなる実施形態において、患者はPD-L1発現の組み合わせ陽性スコア≧15%を有する。
さらなる実施形態において、患者はPD-L1発現の組み合わせ陽性スコア≧20%を有する。
【0139】
本発明の併用療法のための投薬レジメ(本明細書では投与法とも称される)の選択は、剤の血清若しくは組織代謝速度、症状のレベル、剤の免疫原性、及び治療を受ける個体の標的細胞、組織若しくは臓器のアクセスしやすさなどの数種の因子によって決まる。投薬レジメにより、許容されるレベルの副作用と調和して、患者に送達される各治療剤の量が最大になることが好ましい。したがって、組み合わされる各生物療法剤及び化学療法剤の投与量及び投与回数は、ある程度は、特定の治療剤、治療を受けるがんの重度、及び患者の特徴によって決まる。抗体、サイトカイン、及び小分子の適切な用量を選択するにあたっての指針が利用可能である。例えば、Wawrzynczak (1996) Antibody Therapy, Bios Scientific Pub. Ltd, Oxfordshire, UK; Kresina (ed.) (1991) Monoclonal Antibodies, Cytokines and Arthritis, Marcel Dekker, New York, NY; Bach (ed.) (1993) Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases, Marcel Dekker, New York, NY; Baert et al. (2003) New Engl. J. Med. 348: 601-608; Milgrom et al. (1999) New Engl. J. Med. 341: 1966-1973; Slamon et al. (2001) New Engl. J. Med. 344: 783-792; Beniaminovitz et al. (2000) New Engl. J. Med. 342: 613-619; Ghosh et al. (2003) New Engl. J. Med. 348: 24-32; Lipsky et al. (2000) New Engl. J. Med. 343: 1594-1602; Physicians’ Desk Reference 2003 (Physicians’ Desk Reference, 57th Ed); Medical Economics Company; ISBN: 1563634457; 57th edition (November 2002)を参照する。適切な投薬レジメの決定は、例えば、治療に影響を及ぼすことが当技術分野で知られているか疑われているパラメータ若しくは因子、又は治療に影響を及ぼすことが予測されるパラメータ若しくは因子を使用して臨床医が行ってもよく、例えば、患者の病歴(例えば以前の療法)、治療されるがんの種類及びステージ、並びに併用療法の治療剤のうちの1以上に対する応答についてのバイオマーカーによって決まる。
【0140】
本発明の併用療法の生物療法剤は、連続注入により、又は、例えば、毎日、2日に1回、1週間に3回、若しくは1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、毎月1回、隔月で1回などの間隔を置いた用量によって投与されてもよい。一般的に、毎週の総用量は少なくとも0.05μg/kg、0.2μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.2mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kg又はそれ以上である。例えば、Yang et al. (2003) New Engl. J. Med. 349: 427-434; Herold et al. (2002) New Engl. J. Med. 346:1692-1698; Liu et al. (1999) J. Neurol. Neurosurg. Psych. 67: 451-456; Portielji et al. (2003) Cancer Immunol. Immunother. 52: 133-144を参照する。
【0141】
本発明の方法、医薬及び使用にPD-1拮抗薬として抗ヒトPD-1mAbを使用する一部の実施形態において、投薬レジメは、治療過程を通して、約14日(±2日)又は約21日(±2日)又は約30日(±2日)の間隔で、1、2、3、5又は10mg/kgの用量で抗ヒトPD-1mAbを投与することを含む。
【0142】
本発明の方法、医薬及び使用にPD-1拮抗薬として抗ヒトPD-1mAbを使用する他の実施形態では、投薬レジメは、患者内用量を漸増させつつ約0.005mg/kg~約10mg/kgの用量で抗ヒトPD-1mAbを投与することを含む。他の用量漸増実施形態において、投与の間隔は、例えば、1回目と2回目の投与の間で約30日(±2日)、2回目と3回目の投与の間で約14日(±2日)と、次第に短縮させる。特定の実施形態において、投与間隔は、2回目の投与以降の投与で約14日(±2日)である。
【0143】
特定の実施形態において、対象は、本明細書に記載されるPD-1拮抗薬のいずれかを含む医薬の静脈(IV)注入又は皮下注射を投与される。
【0144】
本発明の一つの好ましい実施形態において、併用療法のPD-1拮抗薬はニボルマブであり、それは1mg/kgQ2W、2mg/kgQ2W、3mg/kgQ2W、5mg/kgQ2W、10mgQ2W、1mg/kgQ3W、2mg/kgQ3W、3mg/kgQ3W、5mg/kgQ3W、及び10mg/kgQ3Wからなる群から選択される用量で静脈投与される。
【0145】
本発明の別の好ましい実施形態において、併用療法でのPD-1拮抗薬は、ペムブロリズマブ又はペムブロリズマブバリアントであり、それは1mg/kgQ2W、2mg/kgQ2W、3mg/kgQ2W、5mg/kgQ2W、10mg/kgQ2W、1mg/kgQ3W、2mg/kgQ3W、3mg/kgQ3W、5mg/kgQ3W、10mg/kgQ3W、及びこれらの用量のいずれかの均一用量の同等物、すなわち、200mgQ3W又は400mgQ6Wなどからなる群から選択される用量で、液体医薬で投与される。一部の実施形態において、ペムブロリズマブは、10mMヒスチジン緩衝液pH5.5中に25mg/mlペムブロリズマブ、7%(w/v)スクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80を含む液体医薬として提供される。他の実施形態において、ペンブロリズマブは、約125~約200mg/mLのペンブロリズマブ、又はそれの抗原結合性断片;約10mMヒスチジン緩衝液;約10mM L-メチオニン、又はそれの薬学的に許容される塩;約7%(w/v)スクロース;及び約0.02%(w/v)ポリソルベート80を含む液体医薬として提供される。
【0146】
一部の実施形態において、選択された用量のペンブロリズマブをIV注入によって投与する。1実施形態において、選択された用量のペムブロリズマブを、25~40分間、又は約30分間の期間をかけてIV注入により投与する。他の実施形態において、選択された用量のペムブロリズマブを皮下注射によって投与する。
【0147】
一部の実施形態において、患者は、少なくとも24週間、例えば、8回の3週サイクルの併用療法で治療される。一部の実施形態において、併用療法での治療は、患者がPD又はCRのエビデンスを呈するまで続けられる。
【0148】
前記の方法、医薬及び使用において、別の実施形態において、抗PD-1又は抗PD-L1抗体及び抗LAG3抗体を共製剤する。1実施形態において、本発明は、患者におけるがんの治療方法であって、個体に対して、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及び抗LAG3抗体Ab6又はAb6バリアント800mgを含む組成物を3週間ごとに第1日に静脈注入を介して投与すること、及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩8mgを1日1回経口投与することを含む方法を提供する。1実施形態において、本発明は、患者におけるがんの治療方法であって、個体に対して、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及び抗LAG3抗体Ab6又はAb6バリアント800mgを含む組成物を3週間ごとに第1日に静脈注入を介して投与すること、及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩10mgを1日1回経口投与することを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者におけるがんの治療方法であって、個体に対して、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及び抗LAG3抗体Ab6又はAb6バリアント800mgを含む組成物を3週間ごとに第1日に静脈注入を介して投与すること、及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩12mgを1日1回経口投与することを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者におけるがんの治療方法であって、個体に対して、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及び抗LAG3抗体Ab6又はAb6バリアント800mgを含む組成物を3週間ごとに第1日に静脈注入を介して投与すること、及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩14mgを1日1回経口投与することを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者におけるがんの治療方法であって、個体に対して、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及び抗LAG3抗体Ab6又はAb6バリアント800mgを含む組成物を3週間ごとに第1日に静脈注入を介して投与すること、及びレンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩20mgを1日1回経口投与することを含む方法を提供する。
【0149】
前記の方法、医薬及び使用において、別の実施形態において、抗PD-1又は抗PD-L1抗体及び抗LAG3抗体を共投与する。1実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及びAb6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩8mgを1日1回経口投与する。1実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及びAb6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩10mgを1日1回経口投与する。1実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及びAb6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩12mgを1日1回経口投与する。1実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及びAb6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩14mgを1日1回経口投与する。1実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント200mg及びAb6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩20mgを1日1回経口投与する。
【0150】
前記の方法、医薬及び使用において、1実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント400mgを6週間ごとに第1日に投与し、Ab6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩8mgを1日1回経口投与する。1実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント400mgを6週間ごとに第1日に投与し、Ab6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩10mgを1日1回経口投与する。別の実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント400mgを6週間ごとに第1日に投与し、Ab6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩12mgを1日1回経口投与する。1実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント400mgを6週間ごとに第1日に投与し、Ab6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩14mgを1日1回経口投与する。1実施形態において、ペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント400mgを6週間ごとに第1日に投与し、Ab6又はAb6バリアント800mgを3週間ごとに第1日に静脈注入で投与し、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩20mgを1日1回経口投与する。
【0151】
前記の方法、医薬及び使用において、1実施形態において、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩を、8、10、12、14、18、20又は24mgの1日用量で投与する。
【0152】
本開示の薬学的に許容される賦形剤としては、例えば、溶媒、増量剤、緩衝剤、浸透圧調節剤及び保存剤が挙げられる(例えば、Pramanick et al., Pharma Times, 45:65-77, 2013を参照する。)。一部の実施形態において、医薬組成物は、溶媒、増量剤、緩衝剤及び浸透圧調節剤のうちの1以上として機能する賦形剤を含み得る(例えば、生理食塩水中の塩化ナトリウムは水性媒体及び浸透圧調節剤の両方として働き得る)。
【0153】
一部の実施形態において、医薬組成物は、溶媒として水性媒体を含む。好適な媒体としては、例えば、滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水及びリンゲル液が挙げられる。一部の実施形態において、組成物は等張性である。
【0154】
医薬組成物は、増量剤を含み得る。増量剤は、医薬組成物が投与前に凍結乾燥されるときにとりわけ有用である。一部の実施形態において、増量剤は、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥中の及び/又は保存中の活性剤の安定化及び分解防止を助ける保護剤である。好適な増量剤は、糖類(単糖、二糖及び多糖)、例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース、マンニトール、ソルビタール、グルコース及びラフィノースなどである。
【0155】
医薬組成物は、緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、加工中、保存中、及び任意に再生時の活性剤の分解を阻害するようにpHを制御する。好適な緩衝剤としては、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩又は硫酸塩を含む塩などがある。他の好適な緩衝剤としては、例えば、アミノ酸、例えばアルギニン、グリシン、ヒスチジン及びリジンなどが挙げられる。緩衝剤は、さらに塩酸又は水酸化ナトリウムを含み得る。一部の実施形態において、緩衝剤は、組成物のpHを4~9の範囲内で維持する。一部の実施形態において、pHは、4、5、6、7又は8(下限)より高い。一部の実施形態において、pHは、9、8、7、6又は5(上限)より低い。すなわち、pHは、約4~9の範囲内であって、その下限は上限より低い。
【0156】
医薬組成物は、浸透圧調節剤を含み得る。好適な浸透圧調節剤としては、例えばグルコース、グリセロール、塩化ナトリウム、グリセリン及びマンニトールが挙げられる。
【0157】
医薬組成物は、保存剤を含み得る。好適な保存剤としては、例えば抗酸化剤及び抗菌剤が挙げられる。一方、好ましい実施形態において、医薬組成物は滅菌条件下で調製されてて使い捨て容器中にあり、それゆえに保存剤を含むことを必要としない。
【0158】
一部の実施形態において、PD-1拮抗薬として抗PD-1抗体を含む薬剤は、液体製剤として提供され得るか、使用前に凍結乾燥粉末を注射用滅菌水で再生することによって調製され得る。PCT国際出願公開番号WO2012/135408は、本発明における使用に適したペンブロリズマブを含む液体及び凍結乾燥薬剤の製剤を記載している。一部の実施形態において、ペンブロリズマブを含む薬剤は、溶液4mL中にペンブロリズマブ約100mgを含有するガラスバイアルで提供される。溶液1mLは、各々ペンブロリズマブ25mgを含有し、L-ヒスチジン(1.55mg)、ポリソルベート80(0.2mg)、スクロース(70mg)及び注射用水USP中で製剤される。溶液は、IV注入のために希釈を必要とする。
【0159】
一部の実施形態において、LAG3拮抗薬として抗LAG3抗体を含む医薬は、液体製剤として提供され得るか、使用前に無菌注射用水で凍結乾燥粉末を再生することで調製することができる。1実施形態において、その液体製剤は、約25mg/mLの抗LAG3抗体;約50mg/mLのショ糖;約0.2mg/mLのポリソルベート80;約10mMの約pH5.8~6.0のL-ヒスチジン緩衝液;約70mMのL-アルギニン-HCl塩;及び任意に約10mMのL-メチオニンを含む。
【0160】
他の態様において、当該医薬は、20mg/mLのAb6又はAb6バリアント、5mg/mL又はペンブロリズマブ又はペンブロリズマブバリアント、56mMのL-アルギニンHCl、5.4%ショ糖、8.0mMメチオニン、0.02%PS-80、及び10mMヒスチジン緩衝液を有する、抗LAG3抗体又は抗原結合性断片及び抗PD-1抗体又は抗原結合性断片の共製剤である。
【0161】
本明細書中に記載される医薬は、第一の容器、第二の容器及び添付文書又はラベルを含むキットとして提供され得る。本明細書に記載の医薬は、第一の容器、第二の容器及び添付文書又はラベルを含むキットとしても提供され得る。第一の容器は、少なくとも1用量のPD-1拮抗薬を含む医薬及び少なくとも1用量のLAG3拮抗薬を含む医薬を含有し、第二の容器は少なくとも1用量のレンバチニブを含む医薬を含有し、添付文書又はラベルは、医薬を用いて患者のがんを治療するための説明を含む。第一の容器及び第二の容器は、同じ若しくは異なる形状(例としてバイアル、注射器及び瓶)であり得て、及び/又は同じ若しくは異なる材料(例としてプラスチック又はガラス)であり得る。キットはさらに、医薬の投与に有用であり得る他の材料、例えば希釈剤、フィルター、IVバッグと管、針と注射器などを含み得る。前記キットの一部の好ましい実施形態において、PD-1拮抗薬は抗PD-1抗体であり、説明には、医薬がIHCアッセイによりPD-L1発現に陽性と検査で出るがんを有する患者の治療での使用を意図したものであると述べられている。
【0162】
本明細書で提供される各種方法、キット又は使用のさらに別の実施形態において、レンバチニブ又はそれの薬学的に許容される塩は、レンバチニブメシレートである。好適な薬学的に許容される賦形剤は、EP2468281及びLENVIMA(登録商標)に関する処方情報に開示されている。経口投与用のカプセルは、レンバチニブ4mg又は10mgを含み、それぞれレンバチニブメシレート4.90mg又は12.25mgと等価である。別の実施形態において、レンバチニブメシレートなどのレンバチニブの薬学的に許容される塩が投与され、使用されるレンバチニブの用量が4mgである場合、医師はレンバチニブメシレート4.90mgを投与することはわかっているものとする。別の実施形態において、レンバチニブメシレートなどのレンバチニブの薬学的に許容される塩を投与し、使用されるレンバチニブの用量が10mgである場合、医師はレンバチニブメシレート12.25mgを投与することはわかっているものとする。
【0163】
一般法
分子生物学における標準的方法は、Sambrook, Fritsch and Maniatis (1982 & 1989 2nd Edition, 2001 3rd Edition) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Wu (1993) Recombinant DNA, Vol. 217, Academic Press, San Diego, CA)に記載されている。標準的な方法はまた、Ausbel, et al. (2001) Current Protocols in Molecular Biology, Vols.1-4, John Wiley and Sons, Inc. New York, NYにも記載されており、これは細菌細胞におけるクローニング及びDNA突然変異誘発(Vol.1)、哺乳動物細胞及び酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質及びタンパク質の発現(Vol.3)及びバイオインフォマティクス(Vol.4)を記載している。
【0164】
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離及び結晶化を包含するタンパク質精製方法が記載されている(Coligan, et al. (2000) Current Protocols in Protein Science, Vol. 1, John Wiley and Sons, Inc., New York)。化学分析、化学修飾、翻訳後修飾及び融合タンパク質の生産、タンパク質のグリコシル化が記載されている(例えば、Coligan, et al. (2000) Current Protocols in Protein Science, Vol. 2, John Wiley and Sons, Inc., New York; Ausubel, et al. (2001) Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 3, John Wiley and Sons, Inc., NY, NY, pp. 16.0.5-16.22.17; Sigma-Aldrich, Co. (2001) Products for Life Science Research, St. Louis, MO; pp. 45-89; Amersham Pharmacia Biotech (2001) BioDirectory, Piscataway, N.J., pp. 384-391を参照する)。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の生産、精製及び断片化が記載されている(Coligan, et al. (2001) Current Protocols in Immunology, Vol. 1, John Wiley and Sons, Inc., New York; Harlow and Lane (1999) Using Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Harlow and Lane、上記)。
【0165】
リガンド/受容体相互作用の特性評価のための標準的技術が利用可能である(例えば、oligan, et al. (2001) Current Protocols in Immunology, Vol. 4, John Wiley, Inc., New Yorkを参照する)。
【0166】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体及びヒト化抗体は、調製することができる(例えば、Sheperd and Dean (eds.) (2000) Monoclonal Antibodies, Oxford Univ. Press, New York, NY; Kontermann and Dubel (eds.) (2001) Antibody Engineering, Springer-Verlag, New York; Harlow and Lane (1988) Antibodies A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, pp. 139-243; Carpenter, et al. (2000) J. Immunol. 165: 6205; He, et al. (1998) J. Immunol. 160:1029; Tang et al. (1999) J. Biol. Chem. 274: 27371-27378; Baca et al. (1997) J. Biol. Chem. 272: 10678-10684; Chothia et al. (1989) Nature 342: 877-883; Foote and Winter (1992) J. Mol. Biol. 224: 487-499;米国特許第6,329,511号を参照する。)。
【0167】
ヒト化への代替法は、ファージ上にディスプレイされたヒト抗体ライブラリ又はトランスジェニックマウスにおけるヒト抗体ライブラリを用いることである(Vaughan et al. (1996) Nature Biotechnol. 14: 309-314; Barbas (1995) Nature Medicine 1:837-839; Mendez et al. (1997) Nature Genetics 15: 146-156; Hoogenboom and Chames (2000) Immunol. Today 21: 371-377; Barbas et al. (2001) Phage Display: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York; Kay et al. (1996) Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual, Academic Press, San Diego, CA; de Bruin et al. (1999) Nature Biotechnol. 17: 397-399)。
【0168】
抗原の精製は、抗体作製に必要ではない。動物を、対象の抗原を有する細胞で免疫することができる。次いで、脾臓細胞を免疫動物から分離し、脾臓細胞をミエローマ細胞株と融合することでハイブリドーマを作ることができる(例えば、Meyaard et al. (1997) Immunity 7: 283-290; Wright et al. (2000) Immunity 13: 233-242; Preston et al.、上記; Kaithamana et al. (1999) J. Immunol. 163: 5157-5164を参照する)。
【0169】
抗体は、例えば低分子量の薬物分子、酵素、リポソーム、ポリエチレングリコール(PEG)とコンジュゲートさせることができる。抗体は、治療薬、診断薬、キット又は他の目的のために有用であり、例えば色素、放射性同位体、酵素、又は金属、例えばコロイド金と結合した抗体を含む(例えば、Le Doussal et al. (1991) J. Immunol. 146: 169-175; Gibellini et al. (1998) J. Immunol. 160: 3891-3898; Hsing and Bishop (1999) J. Immunol. 162: 2804-2811; Everts et al. (2002) J. Immunol. 168: 883-889を参照する)。
【0170】
蛍光活性化細胞分取(FACS)を包含するフローサイトメトリー法が、利用可能である(例えば、Owens, et al. (1994) Flow Cytometry Principles for Clinical Laboratory Practice, John Wiley and Sons, Hoboken, NJ; Givan (2001) Flow Cytometry, 2nd ed.; Wiley-Liss, Hoboken, NJ; Shapiro (2003) Practical Flow Cytometry, John Wiley and Sons, Hoboken, NJを参照する)。例えば、診断用試薬としての使用のための、核酸プライマー及びプローブを包含する核酸、ポリペプチド並びに抗体の修飾に適した蛍光試薬が利用可能である(Molecular Probesy (2003) Catalogue, Molecular Probes, Inc., Eugene, OR; Sigma-Aldrich (2003) Catalogue, St. Louis, MO)。
【0171】
免疫系の組織学の標準的方法が記載されている(例えば、Muller-Harmelink (ed.) (1986) Human Thymus: Histopathology and Pathology, Springer Verlag, New York, NY; Hiatt, et al. (2000) Color Atlas of Histology, Lippincott, Williams, and Wilkins, Phila, PA; Louis, et al. (2002) Basic Histology: Text and Atlas, McGraw-Hill, New York, NYを参照する)。
【0172】
例えば抗原性断片、リーダー配列、タンパク質折り畳み、機能的ドメイン、グリコシル化部位及び配列アラインメントを決定するためのソフトウェアパッケージ及びデータベースが利用可能である(例えば、GenBank, Vector NTI(登録商標) Suite (Informax, Inc, Bethesda, MD); GCG Wisconsin Package (Accelrys, Inc., San Diego, CA); DeCypher(登録商標) (TimeLogic Corp., Crystal Bay, Nevada); Menne, et al. (2000) Bioinformatics 16: 741-742; Menne, et al. (2000) Bioinformatics Applications Note 16:741-742; Wren, et al. (2002) Comput. Methods Programs Biomed. 68: 177-181; von Heijne (1983) Eur. J. Biochem. 133: 17-21; von Heijne (1986) Nucleic Acids Res. 14: 4683-4690を参照する)。
【実施例】
【0173】
実施例1:結腸直腸がんにおけるペムブロリズマブ、抗LAG3抗体Ab6及びレンバチニブの臨床試験
二つの以前の療法ラインで進行があった、以前にPD-1/PD-L1治療を受けたことがない非MSI-H又は優れたミスマッチ修復(pMMR)の結腸直腸がんを有する対象を登録する。ペムブロリズマブ及びレンバチニブと併用投与されたAb6の抗腫瘍効力を調べる。TPI設計を使用して、治療を受けた最初の被験者14名におけるこの3剤組み合わせの安全性及び耐容性を評価する。TPIによってデエスカレーションが求められた場合は、レンバチニブの用量を減らし、Ab6とペムブロリズマブの用量は固定する。
【0174】
被験者は、局所的に進行した切除不能又は転移性(すなわち、ステージIV)であり、2つの以前の療法で治療されているが、抗PD-1/PD-L1療法で治療されたことがない結腸又は直腸のいずれかに由来するCRCに従って選択される。治験薬は、第3ライン(3L)CRCを処理する。被験者は、オキサリプラチン及びイリノテカンを別々の療法ラインで受けている必要があり、これらは、通常、フルオロピリミジン(FOLFOX及びFOLFIRI)とともに提供される。カペシタビンは、前療法(XOLFOX、XOLFIRI)でフルオロピリミジンと等価であるとして許容される。以前にフルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカンを同じ唯一の化学療法レジメン、例えばFOLFOXIRI又はFOLFIRINOXの一部として受けたことがある被験者は、第2ライン(2L)患者と見なされ、試験に適格ではない。アジュバント化学療法は、化学療法の完了から6ヶ月以内に疾患の進行が記録されている場合、以前の全身療法の第一選択としてカウントされる。細胞傷害性弾頭を備えた抗体-薬物複合体などのすべての全身性細胞傷害性化学療法は、以前のラインの療法と見なされる。治癒を目的とした根治手術及び放射線療法又は全身投与された放射性医薬療法は、以前のラインの療法とは見なされない。何らかの理由で治療法が中止され、別の治療法が開始された場合、それは新しいラインの療法と見なされるべきである。切り替え(例えば、シスプラチンからカルボプラチンへ)は、療法ライン変更とはみなされない(≧2ヶ月の治療の遅延が必要でなければ)。療法間で作用機序に変化がある場合、毒性の切り替えは療法ラインの変更と見なされる。中断は、療法ラインの変更とは見なされない(中断が≧2ヶ月でなければ)。治療後の応答を維持する目的で投与される維持法は、療法ラインとは見なされない。温熱腹腔内化学療法(HIPEC)又は他の局所領域療法は許容されるが、以前のラインの療法としてカウントされない。
【0175】
【0176】
最初にペムブロリズマブを投与し、その後30分間隔でAb6を投与する。レンバチニブは、21日サイクルで毎日ほぼ同時刻に経口摂取される。しかしながら、ペムブロリズマブとAb6を同時に投与する来院日には、Ab6の注入が完了してから0~4時間後にレンバチニブを投与する。
【0177】
実施例2:進行性明細胞腎細胞癌におけるAb6A及びレンバチニブのI相試験
Ib/2相は、進行性RCCの治療についての基準アーム(ペムブロリズマブ+レンバチニブ)及びAb6A(Ab6 800mg及びペムブロリズマブ200mgの共製剤品)、及びレンバチニブの安全性及び有効性を評価するものである。BICRによりRECIST1.1に従ってORRを使用して、予備的有効性を評価する。この試験は、明細胞成分を伴う進行性又は転移性RCC(ccRCC)を有する18歳以上の男性及び女性の参加者を含む。
【0178】
I.参加者のタイプと疾患の特徴
1.局所進行性/転移性ccRCC(肉腫様の特徴の有無にかかわらず)、すなわちAJCCによるステージIV RCCの組織学的に確認された診断を受けている。
2.進行性RCCに対して以前に全身療法を受けていない[1L参加者]。無作為化/割り付けの≧12ヶ月に完了しているのであれば、RCCに対する以前のネオアジュバント/アジュバント療法は許容される。
3.BICRによる評価で、RECIST1.1に従って測定可能な疾患を有する。以前に放射線照射された領域に位置する病変は、そのような病変で進行が示されている場合、測定可能と見なす。
【0179】
II.参加者のタイプと疾患の特徴
1.局所進行性/転移性ccRCC(肉腫様の特徴の有無にかかわらず)、すなわちAJCCによるステージIV RCCの組織学的に確認された診断を受けている。
2.PD-(L)1チェックポイント阻害剤(VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)と順次に又は組み合わせて))による局所進行性又は転移性RCCの全身治療を受けた際又はその後に疾患の進行を経験した。
【0180】
この試験では、PD-(L)1チェックポイント阻害剤治療の進行は、次の基準:「少なくとも2用量の抗PD-(L)1 mAbの投与を受けている;RECIST1.1で定義されているように、抗PD-(L)1 mAbの投与時又は投与後にX線検査で疾患の進行を示した;抗PD-(L)1 mAbの最終投与から12週間以内に疾患の進行が記録されている」をすべて満たすことによって定義される。
【0181】
3.VEGFR-TKIによる局所進行性又は転移性RCCの全身治療(PD-[L]1チェックポイント阻害剤と順次に又は組み合わせて)を受けた際又はその後に疾患の進行を経験した。
【0182】
VEGFR-TKI治療の進行は、次の基準:「治験責任医師によりRECIST1.1によって定義されるVEGFR-TKIによる治療時若しくは治療後にX線検査で疾患の進行が記録されている;BICRによる評価でRECIST1.1に従って測定可能な疾患を有する」を満たすことによって定義される。以前に放射線照射された領域に位置する病変は、そのような病変で進行が示されている場合、測定可能と見なす。
【0183】
【0184】
Ab6Aは、3週間ごとに第1日に30分かけてIV注入として投与される。レンバチニブは、第1日に注入が完了してから30分後に1日1回投与される。
【0185】
実施例3:レンバチニブと抗PD-1及び抗LAG3二重チェックポイント遮断の抗腫瘍効果を調べるためのマウス同系腫瘍モデル
VEGFチロシンキナーゼ阻害剤レンバチニブと抗PD-1及び抗LAG3二重チェックポイント遮断を組み合わせることによる抗腫瘍効果を実証するための、同系腫瘍モデルを使用した前臨床マウスデータが提供される。二つの腫瘍モデルを、抗PD-1療法に部分的に感受性のある腫瘍型(CT26モデル)と、抗PD-1療法に対して本質的に耐性である腫瘍型(KPC-2838c3モデル)を表すために評価した。抗PD-1、抗LAG3及びレンバチニブの組み合わせを使用した治療は、単剤療法として単独で投与した場合の各薬剤による治療より有利である。
【0186】
治療開始前に、体重18~21グラムの8週齢の雌BALB/cマウス(CT26試験用)又はC57BL/6Jマウス(KPC-2838c3試験用)に麻酔を施し、後腹部に0.3×106CT26又は0.5×106KPC-2838c3対数期サブコンフルエント細胞を皮下注射した。接種動物の平均腫瘍体積が約100mm3(CT26では11日後、KPC-2838c3では15日後)に達した時点で、マウスを、群当たりマウス10匹からなる8治療群にペアマッチさせた。治療群は、1)0.5%メチルセルロース(ビヒクル)+アイソタイプマウスIgG1抗体(mIgG1);2)ビヒクル+抗PD-1mIgG1抗体(muDX400);3)ビヒクル+抗LAG3mIgG1抗体(28G10);4)レンバチニブ+アイソタイプ;5)ビヒクル+抗PD-1+抗LAG3;6)レンバチニブ+抗PD-1;7)レンバチニブ+抗LAG3;8)レンバチニブ+抗PD-1+抗LAG3からなるものであった。ビヒクル及びレンバチニブは、10mg/kgで1日1回(QD)強制経口投与した。アイソタイプ対照、アイソタイプIgG1のアデノウイルスヘキソンに特異的なマウスモノクローナル抗体、並びに抗PD-1及び抗LAG3抗体を、10mg/kgで5日ごとに腹腔内投与した。治療の開始を第0日とみなし、スケジュールに基づく投薬を記載のように第35日まで続けた。腫瘍のキャリパー測定値及び体重を週2回記録した。
【0187】
腫瘍増殖阻害(TGI)の統計分析を、処置群とビヒクル群を比較するスチュデントt検定によって行った。群間の有意差を求めるために、ログランク(Mantel-Cox)検定によって生存解析を実施した。生存は、動物プロトコルで定義された人道的エンドポイントである、1800mm3を超える腫瘍でマウスが試験終了となった時点と定義した。
【0188】
図1A及び表6に示すように、各単剤療法はCT26結腸直腸モデルで部分的な抗腫瘍有効性を示し、ビヒクル対照動物と比較して有意な腫瘍増殖抑制(TGI)をもたらした。抗PD-1+抗LAG3による二重チェックポイント遮断は、いずれかの単独療法よりも優れていた(表6)。同様に、レンバチニブ+抗PD-1治療は、各単剤よりも優れた有効性を示した。レンバチニブ+抗PD-1+抗LAG3による3剤併用療法では、試験終了まで生存したマウスの数がより多く(
図1B及び表7)、レンバチニブ+抗PD-1療法よりTGIが良好な傾向が認められた(統計学的有意差なし)。
【0189】
KPC-2838c3膵臓モデルでは、抗PD-1及び抗LAG3チェックポイント遮断のどちらも、単剤療法又は併用療法として顕著な抗腫瘍効果を示さなかった(
図2)。対照的に、レンバチニブ治療は顕著なTGIを誘発した。これは、レンバチニブが、抗PD-1+抗LAG3二重チェックポイント遮断に応答しない腫瘍に有効であり得ることを示唆している。レンバチニブを含む2剤又は3剤併用群のいずれも、試験終了時では互いに統計的有意差がなかった(表8)。
【0190】
体重増加(
図3A及び3B)、早期死亡率、及び臨床観察によって評価されるように、すべての治療法がマウスによって良好に耐容された。
【0191】
表6.ビヒクル群からのすべての動物が試験終了した第17日のビヒクル処置動物に対応する処置群のCT26試験腫瘍増殖阻害(TGI)のまとめ
【表6】
【0192】
表7.3剤併用群と比較した単剤治療群の生存率の差を求めるための、CT26試験のログランクp値のまとめ
【表7】
【0193】
表8.試験終了時(第41日)のKPC-2838腫瘍の一元配置ANOVA解析、レンバチニブ療法を含む群のみ
【表8】
【0194】
参考文献
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【0195】
本明細書中で引用される全ての参考文献は、各々の個別の刊行物、データベースエントリー(例としてGenbank配列又はGeneIDエントリー)、特許出願又は特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に指し示されていた場合と同程度に、参照により組み込まれ、あらゆる個別の刊行物、データベースエントリー(例としてGenbank配列又はGeneIDエントリー)、特許出願又は特許はそれぞれ、かかる引用が参照による組み込みについての専用の記述に直接隣接していなくとも、37 C.F.R. §1.57(b)(2)に従って明確に識別される。明細書の中に参照による組み込みについての専用の記述を含めることは、もしあったとしても、参照による組み込みについてのこの一般的な記述を何ら弱めるものではない。本明細書中の参考文献の引用は、参考文献が関連する従来技術であるという承認とは意図されず、これらの刊行物又は文書の内容又は日付に関して何らの承認を構成するものではない。特許請求の範囲の用語について参考文献が本明細書で提供される定義と矛盾する定義を提供する限りにおいて、本明細書で提供される定義が、特許請求の範囲に記載の発明を解釈するために用いられる。
【配列表】
【国際調査報告】