(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(54)【発明の名称】マイクロフォン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/28 20060101AFI20231013BHJP
H04R 1/22 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H04R1/28 320Z
H04R1/22 320
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560089
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2021112056
(87)【国際公開番号】W WO2023015485
(87)【国際公開日】2023-02-16
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】周 文兵
(72)【発明者】
【氏名】黄 雨佳
(72)【発明者】
【氏名】袁 永▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 文俊
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
【テーマコード(参考)】
5D018
【Fターム(参考)】
5D018BA03
(57)【要約】
本願に係るマイクロフォンは、ハウジング構造と、前記ハウジング構造の振動に応答して振動する振動ピックアップ部と、前記振動ピックアップ部の振動を伝達するように構成された振動伝達部と、前記振動伝達部から伝達された振動を受けて電気信号を生成するように構成された音響電気変換素子と、を含み、前記振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造と前記振動伝達部との間に真空キャビティが画成され、前記音響電気変換素子は、前記真空キャビティ内に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング構造と、
前記ハウジング構造の振動に応答して振動する振動ピックアップ部と、
前記振動ピックアップ部の振動を伝達するように構成された振動伝達部と、
前記振動伝達部から伝達された振動を受けて電気信号を生成するように構成された音響電気変換素子と、
を含み、
前記振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造と前記振動伝達部との間に真空キャビティが画成され、前記音響電気変換素子は、前記真空キャビティ内に位置することを特徴とするマイクロフォン。
【請求項2】
前記真空キャビティの内部の真空度は、100Paより小さいことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項3】
前記真空キャビティの内部の真空度は、10
-6Pa~100Paであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項4】
前記振動ピックアップ部と前記ハウジング構造は、少なくとも1つの音響キャビティを画成し、前記少なくとも1つの音響キャビティは、第1の音響キャビティを含み、
前記ハウジング構造は、少なくとも1つの孔部を含み、前記少なくとも1つの孔部は、前記第1の音響キャビティに対応する前記ハウジング構造の側壁に位置し、前記少なくとも1つの孔部は、前記第1の音響キャビティを外部と連通させ、
前記振動ピックアップ部は、前記少なくとも1つの孔部を通って伝達された外部音声信号に応答して振動し、前記音響電気変換素子は、それぞれ前記振動ピックアップ部の振動を受けて電気信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項5】
前記振動ピックアップ部は、上から下へ順に設置された第1の振動ピックアップ部及び第2の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に管状構造を呈する振動伝達部が設置され、
前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部、及び前記第2の振動ピックアップ部の間に前記真空キャビティが画成され、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部は、その周側部により前記ハウジング構造に接続され、
前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造は、外部音声信号に応答して振動することを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項6】
前記第1の振動ピックアップ部又は前記第2の振動ピックアップ部は、弾性部及び固定部を含み、前記第1の振動ピックアップ部の固定部、前記第2の振動ピックアップ部の固定部、及び前記振動伝達部の間に前記真空キャビティが画成され、前記弾性部は、前記固定部と前記ハウジング構造の内壁との間に接続され、
前記弾性部は、前記外部音声信号に応答して振動することを特徴とする請求項5に記載のマイクロフォン。
【請求項7】
前記固定部の剛性は、前記弾性部の剛性より大きいことを特徴とする請求項6に記載のマイクロフォン。
【請求項8】
前記固定部のヤング率は、50GPaより大きいことを特徴とする請求項7に記載のマイクロフォン。
【請求項9】
前記真空キャビティに対応する前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の上面又は下面に位置する補強部材をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のマイクロフォン。
【請求項10】
前記振動ピックアップ部は、第1の振動ピックアップ部、第2の振動ピックアップ部、及び第3の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部は、上下に対向して設置され、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に、管状構造を呈する振動伝達部が設置され、前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部、及び前記第2の振動ピックアップ部の間に前記真空キャビティが画成され、
前記第3の振動ピックアップ部は、前記振動伝達部と前記ハウジング構造の内壁との間に接続され、
前記第3の振動ピックアップ部は、外部音声信号に応答して振動することを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項11】
前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の剛性は、前記第3の振動ピックアップ部の剛性より大きいことを特徴とする請求項10に記載のマイクロフォン。
【請求項12】
前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部のヤング率は、50GPaより大きいことを特徴とする請求項11に記載のマイクロフォン。
【請求項13】
前記音響電気変換素子は、1つの片持ち梁構造を含み、前記片持ち梁構造の一端は、前記振動伝達部の内壁に接続され、前記片持ち梁構造の他端は、前記真空キャビティ内に宙吊りに設置され、
前記片持ち梁構造が振動信号に基づいて変形することにより、前記振動信号を電気信号に変換することを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項14】
前記片持ち梁構造は、第1の電極層、圧電層、第2の電極層、弾性層、ベース層を含み、前記第1の電極層、前記圧電層、及び前記第2の電極層は、上から下へ順に設置され、前記弾性層は、前記第1の電極層の上面又は前記第2の電極層の下面に位置し、前記ベース層は、前記弾性層の上面又は下面に位置することを特徴とする請求項13に記載のマイクロフォン。
【請求項15】
前記片持ち梁構造は、少なくとも1つの弾性層、電極層、及び圧電層を含み、前記少なくとも1つの弾性層は、前記電極層の表面に位置し、前記電極層は、第1の電極及び第2の電極を含み、前記第1の電極は、第1の櫛歯状構造に折り曲げられ、前記第2の電極は、第2の櫛歯状構造に折り曲げられ、前記第1の櫛歯状構造は、前記第2の櫛歯状構造と嵌合して前記電極層を形成し、前記電極層は、前記圧電層の上面又は下面に位置し、前記第1の櫛歯状構造及び前記第2の櫛歯状構造は、前記片持ち梁構造の長手方向に沿って延在することを特徴とする請求項13に記載のマイクロフォン。
【請求項16】
前記音響電気変換素子は、第1の片持ち梁構造及び第2の片持ち梁構造を含み、前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造は、対向して設置され、かつ前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造とは、第1の間隔を有し、
前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造との前記第1の間隔が振動信号に基づいて変化することにより、前記振動信号を電気信号に変換することを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項17】
前記音響電気変換素子に対応する前記第1の片持ち梁構造及び前記第2の片持ち梁構造の一端は、前記振動伝達部の周側部の内壁に接続され、前記第1の片持ち梁構造及び前記第2の片持ち梁構造の他端は、前記真空キャビティ内に宙吊りに設置されることを特徴とする請求項16に記載のマイクロフォン。
【請求項18】
前記第1の片持ち梁構造の剛性は、前記第2の片持ち梁構造の剛性とは異なることを特徴とする請求項16に記載のマイクロフォン。
【請求項19】
前記音響電気変換素子の上面及び/又は下面に位置する少なくとも1つの膜構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項20】
前記少なくとも1つの膜構造は、前記音響電気変換素子の上面及び/又は下面を全部又は部分的に被覆することを特徴とする請求項19に記載のマイクロフォン。
【請求項21】
少なくとも1つの支持構造を含み、前記少なくとも1つの支持構造の一端は、前記振動ピックアップ部のうちの第1の振動ピックアップ部に接続され、前記支持構造の他端は、前記振動ピックアップ部のうちの第2の振動ピックアップ部に接続され、前記少なくとも2つの音響電気変換素子の自由端と前記支持構造とは、第2の間隔を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、マイクロフォン装置の技術分野に関し、特にマイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロフォンは、音声信号を電気信号に変換するトランスデューサである。気導マイクロフォンを例とすれば、外部音声信号は、ハウジング構造における孔部を通って気導マイクロフォンの音響キャビティに入り、かつ音響電気変換素子に伝達され、音響電気変換素子は、該音声信号に基づいて振動し、かつ振動信号を電気信号に変換して出力する。マイクロフォンの音響キャビティの内部に一定の気圧の気体(例えば、空気)を有するため、マイクロフォンの音響キャビティによる音声信号の音響電気変換素子への伝達において大きなノイズが生成されて、マイクロフォンから出力される音質が低下する。一方、マイクロフォンの音響電気変換素子が音声信号を受信して振動するプロセスにおいて、音響電気変換素子が音響キャビティ内の気体と摩擦し、マイクロフォンの音響キャビティの空気ダンパを増大させることで、マイクロフォンのQ値が低減する。
【0003】
したがって、低ノイズフロア、高いQ値を有するマイクロフォンを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施例に係るマイクロフォンは、ハウジング構造と、前記ハウジング構造の振動に応答して振動する振動ピックアップ部と、前記振動ピックアップ部の振動を伝達するように構成された振動伝達部と、前記振動伝達部から伝達された振動を受けて電気信号を生成するように構成された音響電気変換素子と、を含み、前記振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造と前記振動伝達部との間に真空キャビティが画成され、前記音響電気変換素子は、前記真空キャビティ内に位置する。
【0005】
いくつかの実施例において、前記真空キャビティの内部の真空度は、100Paより小さい。
【0006】
いくつかの実施例において、前記真空キャビティの内部の真空度は、10-6Pa~100Paである。
【0007】
いくつかの実施例において、前記振動ピックアップ部と前記ハウジング構造は、少なくとも1つの音響キャビティを画成し、前記少なくとも1つの音響キャビティは、第1の音響キャビティを含み、前記ハウジング構造は、少なくとも1つの孔部を含み、前記少なくとも1つの孔部は、前記第1の音響キャビティに対応する前記ハウジング構造の側壁に位置し、前記少なくとも1つの孔部は、前記第1の音響キャビティを外部と連通させ、前記振動ピックアップ部は、前記少なくとも1つの孔部を通って伝達された前記外部音声信号に応答して振動し、前記音響電気変換素子は、それぞれ前記振動ピックアップ部の振動を受けて電気信号を生成する。
【0008】
いくつかの実施例において、前記振動ピックアップ部は、上から下へ順に設置された第1の振動ピックアップ部及び第2の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に管状構造を呈する振動伝達部が設置され、前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部、及び前記第2の振動ピックアップ部の間に前記真空キャビティが画成され、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部は、その周側部により前記ハウジング構造に接続され、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造は、前記外部音声信号に応答して振動する。
【0009】
いくつかの実施例において、前記第1の振動ピックアップ部又は前記第2の振動ピックアップ部は、弾性部及び固定部を含み、前記第1の振動ピックアップ部の固定部、前記第2の振動ピックアップ部の固定部、及び前記振動伝達部の間に前記真空キャビティが画成され、前記弾性部は、前記固定部と前記ハウジング構造の内壁との間に接続され、前記弾性部は、前記外部音声信号に応答して振動する。
【0010】
いくつかの実施例において、前記固定部の剛性は、前記弾性部の剛性より大きい。
【0011】
いくつかの実施例において、前記固定部のヤング率は、50GPaより大きい。
【0012】
いくつかの実施例において、前記マイクロフォンは、前記真空キャビティに対応する第1の振動ピックアップ部及び第2の振動ピックアップ部の上面又は下面に位置する補強部材をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例において、前記振動ピックアップ部は、第1の振動ピックアップ部、第2の振動ピックアップ部、及び第3の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部は、上下に対向して設置され、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に、管状構造を呈する振動伝達部が設置され、前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部、及び前記第2の振動ピックアップ部の間に前記真空キャビティが画成され、前記第3の振動ピックアップ部は、前記振動伝達部と前記ハウジング構造の内壁との間に接続され、前記第3の振動ピックアップ部は、前記外部音声信号に応答して振動する。
【0014】
いくつかの実施例において、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の剛性は、前記第3の振動ピックアップ部の剛性より大きい。
【0015】
いくつかの実施例において、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部のヤング率は、50GPaより大きい。
【0016】
いくつかの実施例において、前記音響電気変換素子は、1つの片持ち梁構造を含み、前記片持ち梁構造の一端は、前記振動伝達部の内壁に接続され、前記片持ち梁構造の他端は、前記真空キャビティ内に宙吊りに設置され、前記片持ち梁構造が前記振動信号に基づいて変形することにより、前記振動信号を電気信号に変換する。
【0017】
いくつかの実施例において、前記片持ち梁構造は、第1の電極層、圧電層、第2の電極層、弾性層、ベース層を含み、前記第1の電極層、前記圧電層、及び前記第2の電極層は、上から下へ順に設置され、前記弾性層は、前記第1の電極層の上面又は前記第2の電極層の下面に位置し、前記ベース層は、前記弾性層の上面又は下面に位置する。
【0018】
いくつかの実施例において、前記片持ち梁構造は、少なくとも1つの弾性層、電極層、及び圧電層を含み、前記少なくとも1つの弾性層は、前記電極層の表面に位置し、前記電極層は、第1の電極及び第2の電極を含み、前記第1の電極は、第1の櫛歯状構造に折り曲げられ、前記第2の電極は、第2の櫛歯状構造に折り曲げられ、前記第1の櫛歯状構造は、前記第2の櫛歯状構造と嵌合して前記電極層を形成し、前記電極層は、前記圧電層の上面又は下面に位置し、前記第1の櫛歯状構造及び前記第2の櫛歯状構造は、前記片持ち梁構造の長手方向に沿って延在する。
【0019】
いくつかの実施例において、前記音響電気変換素子は、第1の片持ち梁構造及び第2の片持ち梁構造を含み、前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造は、対向して設置され、かつ前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造とは、第1の間隔を有し、前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造との第1の間隔が前記振動信号に基づいて変化することにより、前記振動信号を電気信号に変換する。
【0020】
いくつかの実施例において、前記音響電気変換素子に対応する前記第1の片持ち梁構造及び前記第2の片持ち梁構造の一端は、前記振動伝達部の周側部の内壁に接続され、前記第1の片持ち梁構造及び前記第2の片持ち梁構造の他端は、前記真空キャビティ内に宙吊りに設置される。
【0021】
いくつかの実施例において、前記第1の片持ち梁構造の剛性は、前記第2の片持ち梁構造の剛性とは異なる。
【0022】
いくつかの実施例において、前記マイクロフォンは、前記音響電気変換素子の上面及び/又は下面に位置する少なくとも1つの膜構造を含む。
【0023】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの膜構造は、前記音響電気変換素子の上面及び/又は下面を全部又は部分的に被覆する。
【0024】
いくつかの実施例において、前記マイクロフォンは、少なくとも1つの支持構造を含み、前記少なくとも1つの支持構造の一端は、前記振動ピックアップ部のうちの第1の振動ピックアップ部に接続され、前記支持構造の他端は、前記振動ピックアップ部のうちの第2の振動ピックアップ部に接続され、前記少なくとも2つの音響電気変換素子の自由端と前記支持構造とは、第2の間隔を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本願は、例示的な実施例によってさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面を参照して詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ符号は同じ構造を表す。
【0026】
【
図1】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係る別のマイクロフォンの概略構成図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る音響電気変換素子のばね-質量-ダンパシステムの概略図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係るばね-質量-ダンパシステムの変位共振曲線の例示的な正規化の概略図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図6】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図7】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図8A】
図5におけるマイクロフォンのA-A方向に沿う概略断面図である。
【
図8B】
図5におけるマイクロフォンのA-A方向に垂直な方向に沿う概略断面図である。
【
図9A】本願のいくつかの実施例に係る片持ち梁構造の分布概略図である。
【
図9B】本願のいくつかの実施例に係る片持ち梁構造の分布概略図である。
【
図10】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図11】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの周波数応答曲線の概略図である。
【
図12】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図13】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図14】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図15】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図16】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図17】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図18A】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図である。
【
図18B】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図である。
【
図19A】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図である。
【
図19B】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図である。
【
図20】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図21】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図22】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、単に本願の例又は実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに応用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記されない限り、図面において同じ符号は同じ構造又は操作を表す。
【0028】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別するための方法であることが理解されよう。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0029】
本願及び特許請求の範囲に示すように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「一」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素のみを含むように提示し、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は設備は、他のステップ又は要素も含む可能性がある。
【0030】
本願において、フローチャートを用いて本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作は、必ずしも順序に応じて正確に実行されるとは限らないことが理解されよう。その代わりに、様々なステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0031】
本明細書は、マイクロフォンを説明する。マイクロフォンは、音声信号を電気信号に変換するトランスデューサである。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、可動コイル型マイクロフォン、リボン型マイクロフォン、コンデンサ型マイクロフォン、圧電型マイクロフォン、エレクトレット型マイクロフォン、電磁型マイクロフォン、カーボンマイクロフォンなど、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例において、音声収集方式で区別すると、マイクロフォンは、骨伝導マイクロフォン及び気導マイクロフォンを含んでもよい。本明細書の実施例に係るマイクロフォンは、ハウジング構造、振動ピックアップ部、振動伝達部、及び音響電気変換素子を含んでもよい。ハウジング構造は、振動ピックアップ部、振動伝達部、及び音響電気変換素子を積載するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング構造は、内部が中空の構造体であってもよい。ハウジング構造は、音響キャビティを独立して形成してもよく、振動ピックアップ部、振動伝達部、及び音響電気変換素子は、ハウジング構造の音響キャビティ内に位置してもよい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部は、ハウジング構造の側壁に接続されてもよく、振動ピックアップ部は、ハウジング構造に伝達された外部音声信号に応答して振動してもよい。いくつかの実施例において、振動伝達部は、振動ピックアップ部に接続されてもよく、振動伝達部は、振動ピックアップ部の振動を受け、かつ振動信号を音響電気変換素子に伝達し、音響電気変換素子は、振動信号を電気信号に変換することができる。いくつかの実施例において、振動伝達部と振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造(例えば、固定部)との間に真空キャビティが画成されてもよく、音響電気変換素子は、真空キャビティ内に位置する。本明細書の実施例に係るマイクロフォンにおける音響電気変換素子は、振動ピックアップ部と振動伝達部で形成された真空キャビティ内に位置し、外部音声信号は、孔部を通ってハウジング構造の音響キャビティ内に入り、音響キャビティ内の空気を振動させ、振動ピックアップ部及び振動伝達部は、振動を真空キャビティ内にある音響電気変換素子に伝達し、音響電気変換素子が音響キャビティの空気と接触することを回避し、さらに音響電気変換素子の音響電気変換動作プロセスにおける音響キャビティの空気振動による影響を解決し、すなわちマイクロフォンの大きなノイズフロアの問題を解決する。一方、音響電気変換素子は、真空キャビティ内に位置することにより、音響電気変換素子が振動において気体と摩擦することを回避し、マイクロフォンの真空キャビティの内部の空気ダンパを減少させ、マイクロフォンのQ値を向上させることができる。
【0032】
図1は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図1に示すように、マイクロフォン100は、ハウジング構造110、音響電気変換素子120、及びプロセッサ130を含んでもよい。マイクロフォン100は、外部信号、例えば、音声信号(例えば音波)、機械的振動信号などに基づいて、変形及び/又は変位することができる。上記変形及び/又は変位は、マイクロフォン100の音響電気変換素子120によりさらに電気信号に変換することができる。いくつかの実施例において、マイクロフォン100は、気導マイクロフォン又は骨伝導マイクロフォンなどであってもよい。気導マイクロフォンとは、音波が空気を通して伝導されるマイクロフォンである。骨伝導マイクロフォンとは、音波が機械的振動の方式で固体(例えば、骨)中を通して伝導されるマイクロフォンである。
【0033】
ハウジング構造110は、内部が中空の構造体であってもよく、ハウジング構造110は、音響キャビティ140を独立して形成してもよく、音響電気変換素子120及びプロセッサ130は、音響キャビティ140内に位置する。いくつかの実施例において、ハウジング構造110の材質は、金属、合金材料、ポリマー材料(例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレンなど)などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、ハウジング構造110の側壁に1つ以上の孔部111が開設されてもよく、1つ以上の孔部111は、外部音声信号を音響キャビティ140に導入してもよい。いくつかの実施例において、外部音声信号は、孔部111からマイクロフォン100の音響キャビティ140に入り、かつ音響キャビティ140内の空気を振動させることができ、音響電気変換素子120は、該振動信号を受信し、かつ振動信号を電気信号に変換して出力することができる。
【0034】
音響電気変換素子120は、外部信号を目標信号に変換するために用いられる。いくつかの実施例において、音響電気変換素子120は、積層構造であってもよい。いくつかの実施例において、積層構造の少なくとも一部の構造とハウジング構造は、物理的方式により接続される。本願に記載の「接続」は、同一構造における異なる部位の間の接続か、又はそれぞれ異なる部品若しくは構造を製造した後、各独立した部品若しくは構造を溶接、リベット接合、係止、ボルト接続、接着剤による接着などの方式で固定接続することか、又は製造プロセスにおいて、物理的堆積(例えば、物理的気相堆積)若しくは化学的堆積(例えば、化学的気相堆積)の方式で第1の部品又は構造を第2の部品又は構造に堆積することとして理解され得る。いくつかの実施例において、積層構造の少なくとも一部の構造は、ハウジング構造の側壁に固定されてもよい。例えば、積層構造は、片持ち梁であってもよく、該片持ち梁は、板状構造体であってもよく、片持ち梁の一端は、ハウジング構造のキャビティの所在する側壁に接続され、片持ち梁の他端は、ハウジング構造のキャビティに宙吊りに設置されるように、基体構造に接続又は接触しない。また、例えば、マイクロフォンは、振動膜層(振動ピックアップ部とも称される)を含んでもよく、振動ピックアップ部は、ハウジング構造に固定接続され、積層構造は、振動ピックアップ部の構造の上面又は下面に設置される。本願で言及される「キャビティに位置する」又は「キャビティに宙吊りに設置される」ことは、キャビティの内部、下部又は上方に宙吊りに設置されることを意味することができると了解されよう。いくつかの実施例において、音響電気変換素子120は、他の部品(例えば、振動ピックアップ部、振動伝達部)によりハウジング構造110に接続されてもよい。
【0035】
いくつかの実施例において、積層構造は、振動ユニット及び音響変換ユニットを含んでもよい。振動ユニットとは、積層構造における、外力を受けて変形しやすい部分であり、外力による変形を音響変換ユニットに伝達することができる。音響変換ユニットとは、積層構造における、振動ユニットの変形を電気信号に変換する部分である。具体的には、外部音声信号は、音響導入孔111を通って音響キャビティ140に入り、音響キャビティ140内の空気を振動させ、振動ユニットは、音響キャビティ140の内部の空気の振動に応答して変形し、音響変換ユニットは、振動ユニットの変形に基づいて電気信号を生成する。ここで、振動ユニット及び音響変換ユニットについての説明は、積層構造の動作原理を容易に説明することのみを目的としており、積層構造の実際の構成及び構造を限定するものではないと了解されよう。実際には、振動ユニットは、必須のものではなく、その機能を音響変換ユニットにより完全に実現してもよい。例えば、音響変換ユニットの構造に特定の変更を加えると、音響変換ユニットが基体構造の振動に直接的に応答して電気信号を生成してもよい。
【0036】
いくつかの実施例において、振動ユニットと音響変換ユニットとが重ねることにより、積層構造が形成される。音響変換ユニットは、振動ユニットの上層に位置してもよく、振動ユニットの下層に位置してもよい。
【0037】
いくつかの実施例において、音響変換ユニットは、少なくとも2つの電極層(例えば、第1の電極層及び第2の電極層)及び圧電層を含んでもよく、圧電層は、第1の電極層と第2の電極層との間に位置してもよい。圧電層とは、外力を受けるときにその両端面に電圧を発生可能な構造である。いくつかの実施例において、圧電層は、振動ユニットの変形応力の作用で電圧を発生させることができ、第1の電極層及び第2の電極層は、該電圧(電気信号)を収集することができる。
【0038】
プロセッサ130は、音響電気変換素子120から電気信号を取得し、かつ信号処理を行ってもよい。いくつかの実施例において、プロセッサ130は、導線150(例えば金線、銅線、アルミニウム線など)を介して音響電気変換素子120に直接的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、上記信号処理は、周波数変調処理、振幅変調処理、フィルタリング処理、ノイズ低減処理などを含んでもよい。いくつかの実施例において、プロセッサ130は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、中央処理装置(CPU)、物理処理ユニット(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、アドバンスドRISCマシン(ARM)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)など、又は他のタイプの処理回路又はプロセッサを含むが、これらに限定されない。
【0039】
いくつかの実施例において、マイクロフォン100を気導マイクロフォン(例えば、気導マイク)とするとき、音響キャビティ140は、孔部111を通ってマイクロフォン100の外部と音響的に連通して、音響キャビティ140内に一定の気圧の気体(例えば、空気)を有してもよい。音響キャビティ140の内部の気体は、音声信号を孔部111から音響キャビティ140を介して音響電気変換素子120に伝達するプロセスにおいて、音響キャビティ140の内部の空気を振動させ、該振動は、音響電気変換素子120に作用して振動を発生させるとともに、マイクロフォン100に大きなノイズフロアをもたらす。一方、音響電気変換素子120は、音声信号を受信して振動するプロセスにおいて、音響キャビティ140の内部の気体と摩擦し、音響キャビティ140内の空気ダンパを増大させることにより、マイクロフォン100のQ値を低減する。上記問題を解決するために、本願の明細書の実施例においてマイクロフォンが提供され、マイクロフォンの具体的な内容について、以下の内容を参照することができる。
【0040】
図2は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図2に示すように、マイクロフォン200は、ハウジング構造210、音響電気変換素子220、及びプロセッサ230を含んでもよい。
図2に示すマイクロフォン200は、
図1に示すマイクロフォン100と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン200のハウジング構造210は、マイクロフォン100のハウジング構造110と同じ又は類似である。また、例えば、マイクロフォン200の音響電気変換素子220は、マイクロフォン100の音響電気変換素子120と同じ又は類似である。マイクロフォン200のさらなる構造(例えば、プロセッサ230、導線270など)について、
図1及びその関連説明を参照することができる。
【0041】
いくつかの実施例において、マイクロフォン200とマイクロフォン100との相違点は、マイクロフォン200が振動ピックアップ部260を含んでもよいということである。振動ピックアップ部260は、ハウジング構造210の音響キャビティ内に位置し、振動ピックアップ部260の周側部は、ハウジング構造210の側壁に接続されることにより、上記音響キャビティを第1の音響キャビティ240と第2の音響キャビティ250に仕切ってもよい。いくつかの実施例において、マイクロフォン200は、1つ以上の孔部211を含んでもよく、孔部211は、第1の音響キャビティ240に対応するハウジング構造210の側壁に位置してもよく、孔部211は、第1の音響キャビティ240をマイクロフォン200の外部と連通させることができる。外部の音声信号は、孔部211により第1の音響キャビティ240に入り、かつ第1の音響キャビティ240内の空気を振動させることができる。振動ピックアップ部260は、第1の音響キャビティ240内の空気の振動をピックアップし、かつ振動信号を音響電気変換素子220に伝達することができる。音響電気変換素子220は、振動ピックアップ部260の振動信号を受信し、かつ振動信号を電気信号に変換する。
【0042】
いくつかの実施例において、振動ピックアップ部260の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部260の構造は、板状構造、柱状構造などであってもよい。
【0043】
いくつかの実施例において、音響電気変換素子220及びプロセッサ230は、第2の音響キャビティ250内に位置してもよい。第2の音響キャビティ250は、真空キャビティである。いくつかの実施例において、音響電気変換素子220は、第2の音響キャビティ250内に位置し、音響電気変換素子220が第2の音響キャビティ250内の空気と接触することを回避し、さらに音響電気変換素子220の音響電気変換動作プロセスにおける第2の音響キャビティ250の内部の空気振動による影響を解決し、すなわちマイクロフォン200の大きなノイズフロアの問題を解決する。一方、音響電気変換素子220は、第2の音響キャビティ250内に位置し、音響電気変換素子220が振動において第2の音響キャビティ250の内部の空気と摩擦することを回避することにより、第2の音響キャビティ250の内部の空気ダンパを減少させ、マイクロフォン200のQ値を向上させることができる。いくつかの実施例において、第2の音響キャビティ250の内部の真空度は、100Paより小さくてもよい。いくつかの実施例において、第2の音響キャビティ250の内部の真空度は、10-6Pa~100Paであってもよい。いくつかの実施例において、第2の音響キャビティ250の内部の真空度は、10-7Pa~100Paであってもよい。
【0044】
音響電気変換素子の理解を容易にするために、いくつかの実施例において、マイクロフォンの音響電気変換素子は、ばね-質量-ダンパシステムとほぼ同等であってもよい。マイクロフォンが動作するとき、ばね-質量-ダンパシステムは、励起源(例えば、振動ピックアップ部の振動)の作用で振動する可能性がある。
図3は、本願のいくつかの実施例に係る音響電気変換素子のばね-質量-ダンパシステムの概略図である。
図3に示すように、ばね-質量-ダンパシステムは、微分方程式(1)に従って移動してもよい。
【0045】
【0046】
ここで、Mは、ばね-質量-ダンパシステムにおける質量を表し、xは、ばね-質量-ダンパシステムにおける変位を表し、Rは、ばね-質量-ダンパシステムにおけるダンパを表し、Kは、ばね-質量-ダンパシステムにおける弾性係数を表し、Fは、駆動力の振幅を表し、ωは、外力の角周波数を表す。
【0047】
微分方程式(1)を解いて定常状態(2)での変位を取得することができる。
【0048】
【0049】
ここで、xは、出力電気信号の値に等しい、マイクロフォンが動作するときのばね-質量-ダンパシステムにおける変形を表し、
【0050】
【0051】
におけるxaは、出力変位を表し、Zは、機械的インピーダンスを表し、θは、発振位相を表す。
【0052】
変位振幅の比率Aの正規化は、方程式(3)で表現してもよい。
【0053】
【0054】
ここで、
【0055】
【数5】
におけるx
a0は、定常状態での変位幅(又はω=0であるときの変位幅)を表し、
【0056】
【0057】
における
【0058】
【0059】
は、外力周波数と固有周波数との比率を表し、ω0=K/Mにおけるω0は、振動の角周波数を表し、
【0060】
【0061】
におけるQmは、機械的品質係数を表す。
【0062】
図4は、本願のいくつかの実施例に係るばね-質量-ダンパシステムの変位共振曲線の例示的な正規化の概略図である。横軸は、ばね-質量-ダンパシステムにおける実際の振動周波数とその固有周波数との比率を表すことができ、縦軸は、ばね-質量-ダンパシステムの正規化変位を表すことができる。
図4における各曲線は、異なるパラメータを有するばね-質量-ダンパシステムの変位共振曲線をそれぞれ表すことができるということは理解できるであろう。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、音響電気変換素子とハウジング構造との間の相対変位により電気信号を生成してもよい。例えば、エレクトレット型マイクロフォンは、変形する振動膜と基板との間の距離の変化に基づいて電気信号を生成することができる。別の例として、片持ち梁式骨伝導マイクロフォンは、変形する片持ち梁構造による逆圧電効果に基づいて電気信号を生成することができる。いくつかの実施例において、片持ち梁構造の変形による変位が大きいほど、マイクロフォンから出力される電気信号が大きくなる。
図4に示すように、ばね-質量-ダンパシステムの実際の振動周波数とその固有周波数が同じ又はほぼ同じである場合(すなわち、ばね-質量-ダンパシステムの実際の振動周波数とその固有周波数との比率ω/ω
0が1に等しいか又はほぼ等しい場合)、ばね-質量-ダンパシステムの正規化変位が大きくなり、変位共振曲線における共振ピークの3dBの帯域幅(共振周波数範囲と理解してもよい)が狭くなる。上記方程式(3)から分かるように、ばね-質量-ダンパシステムの正規化変位が大きいほど、マイクロフォンのQ値が大きくなる。
【0063】
図5は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図5に示すように、マイクロフォン500は、ハウジング構造510、音響電気変換素子520、振動ピックアップ部522、及び振動伝達部523を含んでもよい。ハウジング構造510は、振動ピックアップ部522、振動伝達部523、及び音響電気変換素子520を積載するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング構造510は、直方体、円柱体、円錐台などの規則的な構造体、又は他の不規則な構造体であってもよい。いくつかの実施例において、ハウジング構造510は、内部が中空の構造体であり、ハウジング構造510は、音響キャビティを独立して形成してもよく、振動ピックアップ部522、振動伝達部523、及び音響電気変換素子520は、該音響キャビティ内に位置してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング構造510の材質は、金属、合金材料、ポリマー材料(例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレンなど)などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522の周側部は、ハウジング構造510で形成された音響キャビティを第1の音響キャビティ530及び第2の音響キャビティ540を含む複数のキャビティに仕切るために、ハウジング構造510の側壁に接続されてもよい。
【0064】
いくつかの実施例において、ハウジング構造510の第1の音響キャビティ530に対応する側壁に1つ以上の孔部511が開設されてもよく、1つ以上の孔部511は、第1の音響キャビティ530に位置し、かつ外部音声信号を第1の音響キャビティ530に導入してもよい。いくつかの実施例において、外部音声信号は、孔部511からマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530に入り、かつ第1の音響キャビティ530内の空気を振動させてもよい。振動ピックアップ部522は、空気の振動信号をピックアップし、かつ振動信号を音響電気変換素子520に伝達してもよく、音響電気変換素子520は、該振動信号を受信し、かつ振動信号を電気信号に変換して出力する。
【0065】
いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522は、上から下へ順に設置された第1の振動ピックアップ部5221及び第2の振動ピックアップ部5222を含んでもよい。第1の振動ピックアップ部5221及び第2の振動ピックアップ部5222は、その周側部によりハウジング構造510に接続されてもよく、第1の振動ピックアップ部5221及び第2の振動ピックアップ部5222の少なくとも一部の構造は、孔部511を通ってマイクロフォン500に入った音声信号に応答して振動してもよい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522の構造は、板状構造、柱状構造などであってもよい。
【0066】
いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522は、弾性部及び固定部を含んでもよい。単に一例として、
図6は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図6に示すように、第1の振動ピックアップ部5221は、第1の弾性部52211及び第1の固定部52212を含んでもよい。第1の弾性部52211の一端がハウジング構造510の側壁に接続され、第1の弾性部52211の他端が第1の固定部52212に接続されることにより、第1の弾性部52211は、第1の固定部52212とハウジング構造510の内壁との間に接続される。第2の振動ピックアップ部5222は、第2の弾性部52221及び第2の固定部52222を含んでもよい。第2の弾性部52221の一端がハウジング構造510の側壁に接続され、第2の弾性部52221の他端が第2の固定部52222に接続されることにより、第2の弾性部52221は、第2の固定部52222とハウジング構造510の内壁との間に接続される。
【0067】
いくつかの実施例において、振動伝達部523は、第1の振動ピックアップ部5221と第2の振動ピックアップ部5222との間に位置してもよい。振動伝達部523の上面は、第1の振動ピックアップ部5221の下面に接続され、振動伝達部523の下面は、第2の振動ピックアップ部5222の上面に接続される。具体的には、振動伝達部523と、第1の振動ピックアップ部5221の第1の固定部52212と、第2の振動ピックアップ部5222の第2の固定部52222との間に真空キャビティ550が画成されてもよく、音響電気変換素子520は、真空キャビティ550内に位置してもよい。具体的には、音響電気変換素子520の一端は、振動伝達部523の内壁に接続されてもよく、音響電気変換素子520の他端は、真空キャビティ550内に宙吊りに設置されてもよい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522(例えば、第1の振動ピックアップ部5221の第1の弾性部52211、第2の振動ピックアップ部5222の第2の弾性部52221)がピックアップした振動は、振動伝達部523により音響電気変換素子520に伝達することができる。いくつかの実施例において、振動伝達部523の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、振動伝達部523の材料と振動ピックアップ部522の材料は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達部523と振動ピックアップ部522は、一体成形された構造であってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達部523と振動ピックアップ部522は、互いに独立した構造であってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達部523は、管状構造、環状構造、四角形、五角形などの規則的及び/又は不規則な多角形構造であってもよい。
【0068】
音響電気変換素子520は、真空キャビティ550内に設置され、音響電気変換素子520が真空キャビティ550内の空気と接触することを回避し、音響電気変換素子520の振動における真空キャビティ550の内部の空気振動による影響を解決し、さらにマイクロフォン500の大きなノイズフロアの問題を解決することができる。一方、音響電気変換素子520は、真空キャビティ550内に位置し、音響電気変換素子520と真空キャビティ550の内部の空気との摩擦を回避することにより、真空キャビティ550の内部の空気ダンパを減少させ、マイクロフォン500のQ値を向上させることができる。マイクロフォン500の出力効果を向上させるために、いくつかの実施例において、真空キャビティ550の内部の真空度は、100Paより小さくてもよい。いくつかの実施例において、真空キャビティ550の内部の真空度は、10-6Pa~100Paであってもよい。いくつかの実施例において、真空キャビティ550の内部の真空度は、10-7Pa~100Paであってもよい。
【0069】
いくつかの実施例において、第1の固定部52212、第2の固定部52222の材料は、第1の弾性部52211、第2の弾性部52221の材料と異なってもよい。例えば、いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522の固定部の剛性は、弾性部の剛性より大きくてもよく、すなわち第1の固定部52212の剛性は、第1の弾性部52211の剛性より大きくてもよく、及び/又は第2の固定部52222の剛性は、第2の弾性部52221の剛性より大きくてもよい。第1の弾性部52211及び/又は第2の弾性部52221は、外部音声信号に応答して振動し、かつ振動信号を音響電気変換素子520に伝達することができる。第1の固定部52212及び第2の固定部52222が大きな剛性を有することにより、第1の固定部52212、第2の固定部52222、及び振動伝達部523の間に画成された真空キャビティ550が外部気圧の影響を受けないことを保証する。いくつかの実施例において、真空キャビティ550が外部気圧の影響を受けないことを保証するために、振動ピックアップ部522の固定部(例えば、第1の固定部52212、第2の固定部52222)のヤング率は、60GPaより大きくてもよい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522の固定部(例えば、第1の固定部52212、第2の固定部52222)のヤング率は、50GPaより大きくてもよい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522の固定部(例えば、第1の固定部52212、第2の固定部52222)のヤング率は、40GPaより大きくてもよい。
【0070】
いくつかの実施例において、真空キャビティが外部気圧の影響を受けないことを保証するために、マイクロフォンは、補強部材を含んでもよく、補強部材は、振動ピックアップ部の、真空キャビティに対応する部分の剛性を向上させるために、真空キャビティに対応する振動ピックアップ部の上面又は下面に位置してもよい。単に一例として、
図7は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図7に示すように、マイクロフォン500は、補強部材560を含んでもよい。補強部材560は、真空キャビティ550に対応する振動ピックアップ部522の上面又は下面に位置してもよい。具体的には、補強部材560は、それぞれ第1の振動ピックアップ部5221の下面、第2の振動ピックアップ部5222の上面に位置してもよく、補強部材560の周側部は、振動伝達部523の内壁に接続される。いくつかの実施例において、補強部材560の構造は、板状構造、柱状構造などであってもよく、補強部材560の構造は、振動伝達部523の形状及び構造に応じて適応的に調整してもよい。なお、補強部材560の位置は、
図7に示す真空キャビティ550の内部に限定されず、他の位置に位置してもよい。例えば、補強部材560は、真空キャビティ550の外部に位置してもよい。具体的には、補強部材560は、第1の振動ピックアップ部5221の上面、第2の振動ピックアップ部5222の下面に位置してもよい。また、例えば、補強部材560は、真空キャビティ550の内部及び外部に同時に位置してもよい。具体的には、補強部材560は、第1の振動ピックアップ部5221の上面、第2の振動ピックアップ部5222の上面に位置してもよく、あるいは、補強部材560は、第1の振動ピックアップ部5221の上面、第2の振動ピックアップ部5222の下面に位置してもよく、あるいは、補強部材560は、第1の振動ピックアップ部5221の下面、第2の振動ピックアップ部5222の下面に位置してもよく、あるいは、補強部材560は、第1の振動ピックアップ部5221の下面、第2の振動ピックアップ部5222の上面に位置してもよく、あるいは、補強部材560は、第1の振動ピックアップ部5221の上面及び下面、第2の振動ピックアップ部5222の上面及び下面に位置してもよい。補強部材560の位置は、上記説明に限定されず、真空キャビティが外部気圧の影響を受けないことを保証する役割を果たすことができる限り、本明細書の保護範囲内にある。
【0071】
いくつかの実施例において、真空キャビティ550が外部気圧の影響を受けないことを保証するために、補強部材560の剛性は、振動ピックアップ部522の剛性より大きい。いくつかの実施例において、補強部材560のヤング率は、60GPaより大きくてもよい。いくつかの実施例において、補強部材560のヤング率は、50GPaより大きくてもよい。いくつかの実施例において、補強部材560のヤング率は、40GPaより大きくてもよい。いくつかの実施例において、補強部材560の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。
【0072】
真空キャビティ550の内部気圧は、真空キャビティ550の外部気圧よりはるかに低く、真空キャビティ550に対応する第1の振動ピックアップ部5221及び/又は第2の振動ピックアップ部5222に補強部材560を設置することにより、真空キャビティ550が外部気圧の影響を受けないことを保証することができる。ここで理解されるように、補強部材560を設置することにより、真空キャビティ550に対応する第1の振動ピックアップ部5221及び第2の振動ピックアップ部5222の剛性を向上させ、真空キャビティ550に対応する振動ピックアップ部522が外部気圧と真空キャビティ550の内部の気圧との差の作用で変形することを回避し、マイクロフォン500が動作するときに真空キャビティ550の体積を基本的に一定に保持することを保証し、さらに真空キャビティ550の内部の音響電気変換素子520が正常に動作することを保証することができる。なお、真空キャビティ550の内部の真空度を所望の範囲内にするために、マイクロフォン500の各部品(例えば、第1の振動ピックアップ部5221、第2の振動ピックアップ部5222、振動伝達部523、音響電気変換素子520)は、製造プロセスにおいてパッケージ装置によって所望の真空度を提供する必要がある。
【0073】
なお、代替的な実施例において、振動ピックアップ部522は、第1の振動ピックアップ部5221のみを含んでもよく、第1の振動ピックアップ部5221は、その周側部によりハウジング構造510に接続され、音響電気変換素子520は、第1の振動ピックアップ部5221に直接又は間接的に接続されてもよい。例えば、音響電気変換素子520は、第1の振動ピックアップ部5221の上面又は下面に位置してもよい。また、例えば、音響電気変換素子520は、他の構造(例えば、振動伝達部523)により第1の振動ピックアップ部5221に接続されてもよい。第1の振動ピックアップ部5221が孔部511を通ってマイクロフォン500に入った音声信号に応答して振動し、音響電気変換素子520が第1の振動ピックアップ部5221又は振動伝達部523の振動を電気信号に変換してもよい。
【0074】
いくつかの実施例において、音響電気変換素子520は、1つ以上の音響電気変換素子を含んでもよい。いくつかの実施例において、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523の内壁に間隔を隔てて分布してもよい。なお、ここで、間隔を隔てて分布するとは、水平方向(
図5に示すA-A方向に垂直な方向)又は鉛直方向(
図5に示すA-A方向)であってもよい。例えば、振動伝達部523が環状管状構造であるとき、鉛直方向において、複数の音響電気変換素子520は、上から下へ順に間隔を隔てて分布してもよい。
図8Aは、
図5におけるマイクロフォンのA-A方向に沿う概略断面図である。
図8Aに示すように、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523の内壁に順に間隔を隔てて分布してもよく、かつ水平方向において、間隔を隔てて分布する複数の音響電気変換素子520は、同一の平面上又はほぼ平行になる。
図8Bは、
図5におけるマイクロフォンのA-A方向に垂直な方向に沿う概略断面図である。
図8Bに示すように、水平方向において、各音響電気変換素子520における振動伝達部530との固定端は、振動伝達部523の環状内壁に間隔を隔てて分布してもよく、音響電気変換素子520の固定端と振動伝達部523とは、ほぼ垂直であってもよく、音響電気変換素子520の他端(自由端とも称される)は、振動伝達部523の中心の方向に延在し、かつ真空キャビティ550内に宙吊りにされることにより、音響電気変換素子520は、水平方向において環状に分布する。いくつかの実施例において、振動伝達部523が多角形の管状構造(例えば、三角形、五角形、六角形など)であるとき、水平方向において、複数の音響電気変換素子520の固定端は、振動伝達部523の各側壁に沿って間隔を隔てて分布してもよい。
図9Aは、本願のいくつかの実施例に係る音響電気変換素子の水平方向での分布概略図である。
図9Aに示すように、振動伝達部523は、四角形構造であり、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523の4つの側壁に交互に分布してもよい。
図9Bは、本願のいくつかの実施例に係る音響電気変換素子の分布概略図である。
図9Bに示すように、振動伝達部523は、六角形構造であり、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523の6つの側壁に交互に分布してもよい。いくつかの実施例において、複数の音響電気変換素子520が振動伝達部523の内壁に間隔を隔てて分布することにより、真空キャビティ550の空間の利用率を向上させ、マイクロフォン500の全体体積を低減することができる。
【0075】
なお、水平方向又は鉛直方向において、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523のすべての内壁に間隔を隔てて分布することに限定されず、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523の1つの側壁又は一部の側壁に設置されてもよく、複数の音響電気変換素子520は、同一の水平面上に位置してもよい。例えば、振動伝達部523は、直方体構造であり、複数の音響電気変換素子520は、直方体構造の1つの側壁、対向又は隣接する2つの側壁、又は任意の3つの側壁に同時に設置されてもよい。複数の音響電気変換素子520の分布方式について、その数又は真空キャビティ550の大きさに応じて適応的に調整してもよく、ここではさらに限定しない。
【0076】
いくつかの実施例において、音響電気変換素子520は、1つの片持ち梁構造を含んでもよく、片持ち梁構造の一端は、振動伝達部523の内壁に接続されてもよく、片持ち梁構造の他端は、真空キャビティ550内に宙吊りに設置されてもよい。
【0077】
いくつかの実施例において、片持ち梁構造は、第1の電極層、圧電層、第2の電極層、弾性層、及びベース層を含んでもよい。第1の電極層、圧電層、第2の電極層は、上から下へ順に設置されてもよく、弾性層は、第1の電極層の上面又は第2の電極層の下面に位置してもよく、ベース層は、弾性層の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例において、外部音声信号は、孔部511を通ってマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530に入り、かつ第1の音響キャビティ530内の空気を振動させる。振動ピックアップ部522(例えば、第1の弾性部52211)は、空気の振動信号をピックアップし、かつ振動信号を振動伝達部523により音響電気変換素子520(例えば、片持ち梁構造)に伝達し、片持ち梁構造における弾性層を振動信号の作用で変形させることができる。いくつかの実施例において、圧電層は、弾性層の変形に基づいて電気信号を生成することができ、第1の電極層及び第2の電極層は、該電気信号を収集することができる。いくつかの実施例において、圧電層は、圧電効果に基づいて、弾性層の変形応力の作用で電圧(電位差)を生成することができ、第1の電極層及び第2の電極層は、該電圧(電気信号)を導出することができる。
【0078】
いくつかの実施例において、片持ち梁構造は、少なくとも1つの弾性層、電極層、及び圧電層を含んでもよく、弾性層は、電極層の表面に位置してもよく、電極層は、圧電層の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例において、電極層は、第1の電極及び第2の電極を含んでもよい。第1の電極と第2の電極は、第1の櫛歯状構造に折り曲げられてもよく、第1の櫛歯状構造と第2の櫛歯状構造は、複数の櫛歯構造を含んでもよく、第1の櫛歯状構造の隣接する櫛歯構造の間にも、第2の櫛歯状構造の隣接する櫛歯構造の間にも、一定の間隔を有し、該間隔は、同じであってもよく、異なってもよい。第1の櫛歯状構造は、第2の櫛歯状構造と嵌合して電極層を形成し、さらに、第1の櫛歯状構造の櫛歯構造は、第2の櫛歯状構造の間隔へ入り込み、第2の櫛歯状構造の櫛歯構造は、第1の櫛歯状構造の間隔へ入り込むことにより、互いに嵌合して電極層を形成してもよい。第1の櫛歯状構造と第2の櫛歯状構造が互いに嵌合することにより、第1の電極と第2の電極は、コンパクトに配列されるが、交差しない。いくつかの実施例において、第1の櫛歯状構造及び第2の櫛歯状構造は、片持ち梁の長手方向(例えば、固定端から自由端への方向)に沿って延在する。
【0079】
いくつかの実施例において、弾性層は、1つ又は複数の半導体材料で支持された膜状構造又はブロック状構造であってもよい。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、圧電層の材料は、圧電結晶材料及び圧電セラミック材料を含んでもよい。圧電結晶材料とは、圧電単結晶である。いくつかの実施例において、圧電結晶材料は、水晶、閃亜鉛鉱、方硼石、電気石、紅亜鉛鉱、GaAs、チタン酸バリウム及びその誘導体結晶、KH2PO4、NaKC4H4O6・4H2O(ロッシェル塩)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。圧電セラミック材料とは、異なる材料の粉末間の固相反応と焼結により得られた微細結晶粒がランダムに集合した圧電多結晶体である。いくつかの実施例において、圧電セラミック材料は、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸鉛バリウムリチウム(PBLN)、改質チタン酸鉛(PT)、窒化アルミニウム(AIN)、酸化亜鉛(ZnO)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、圧電層の材料は、圧電ポリマー材料、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などであってもよい。いくつかの実施例において、第1の電極層及び第2の電極層は、導電性材質の構造であってもよい。例示的な導電性材質は、金属、合金材料、金属酸化物材料、グラフェンなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、金属と合金材料は、ニッケル、鉄、鉛、白金、チタン、銅、モリブデン、亜鉛、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、合金材料は、銅亜鉛合金、銅錫合金、銅ニッケルケイ素合金、銅クロム合金、銅銀合金など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、金属酸化物材料は、RuO2、MnO2、PbO2、NiOなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0080】
いくつかの実施例において、片持ち梁構造は、ボンディングワイヤ電極層(PAD層)を含んでもよく、ボンディングワイヤ電極層は、第1の電極層及び第2の電極層上に位置してもよく、外部ボンディングワイヤ(例えば、金線、アルミニウム線など)の方式で第1の電極層及び第2の電極層を外部回路に接続することにより、第1の電極層と第2の電極層との間の電圧信号をバックエンド処理回路に出力する。いくつかの実施例において、ボンディングワイヤ電極層の材料は、銅箔、チタン、銅などを含んでもよい。いくつかの実施例において、ボンディングワイヤ電極層と第1の電極層(又は第2の電極層)の材料は、同じであってもよい。いくつかの実施例において、ボンディングワイヤ電極層と第1の電極層(又は第2の電極層)の材料は、異なってもよい。
【0081】
いくつかの実施例において、片持ち梁構造のパラメータ(例えば、片持ち梁構造の長さ、幅、高さ、材料など)を設定することにより、異なる片持ち梁構造がそれぞれ異なる共振周波数を有し、振動伝達部523の振動信号に対して異なる周波数応答を生成するようにすることができる。例えば、長さの異なる片持ち梁構造を設置することにより、長さの異なる片持ち梁構造に異なる共振周波数を備えさせることができる。長さの異なる片持ち梁構造に対応する複数の共振周波数は、100Hz~12000Hzの範囲内にあってもよい。片持ち梁構造は、その共振周波数の近傍にある振動に敏感であるため、片持ち梁構造が振動信号に対して周波数選択の特性を有すると考えられてもよく、すなわち、片持ち梁構造は、主に振動信号のうち、その共振周波数の近傍にあるサブバンド振動信号を電気信号に変換する。したがって、いくつかの実施例において、異なる長さに設定することにより、異なる片持ち梁構造が異なる共振周波数を有し、各共振周波数の近傍においてそれぞれサブバンドを形成することができる。例えば、複数の片持ち梁構造により人声の周波数範囲内に11個のサブバンドを設定してもよく、11個のサブバンドにそれぞれ対応する片持ち梁構造の共振周波数は、それぞれ500Hz~700Hz、700Hz~1000Hz、1000Hz~1300Hz、1300Hz~1700Hz、1700Hz~2200Hz、2200Hz~3000Hz、3000Hz~3800Hz、3800Hz~4700Hz、4700Hz~5700Hz、5700Hz~7000Hz、7000Hz~12000Hzにあってもよい。なお、片持ち梁構造により人声の周波数範囲内に設定されたサブバンドの数は、マイクロフォン500の応用シーンに応じて調整してもよく、ここではさらに限定しない。
【0082】
図10は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図10に示すように、マイクロフォン1000は、ハウジング構造1010、音響電気変換素子1020、振動ピックアップ部1022、及び振動伝達部1023を含んでもよい。
図10に示すマイクロフォン1000は、
図5及び
図6に示すマイクロフォン500と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1000のハウジング構造1010は、マイクロフォン500のハウジング構造510と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1000の第1の音響キャビティ1030、第2の音響キャビティ1040、真空キャビティ1050は、それぞれマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530、第2の音響キャビティ540、真空キャビティ550と同じ又は類似であってもよい。さらに、例えば、マイクロフォン1000の振動ピックアップ部1022(例えば、第1の振動ピックアップ部10221(例えば、第1の弾性部102211、第1の固定部102212)、第2の振動ピックアップ部10222(例えば、第2の弾性部102221、第2の固定部102222))は、マイクロフォン500の振動ピックアップ部522(例えば、第1の振動ピックアップ部5221(例えば、第1の弾性部52211、第1の固定部52212)、第2の振動ピックアップ部5222(例えば、第2の弾性部52221、第2の固定部52222))と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1000のさらなる構造(例えば、孔部1011、振動伝達部1023など)について、
図5及び
図6並びにその関連説明を参照することができる。
【0083】
いくつかの実施例において、
図10に示すマイクロフォン1000と
図5に示すマイクロフォン500との主な相違点は、マイクロフォン1000の音響電気変換素子1020が第1の片持ち梁構造10211及び第2の片持ち梁構造10212を含んでもよいということであり、ここで、第1の片持ち梁構造10211及び第2の片持ち梁構造10212は、2つの電極板に相当する。音響電気変換素子1020に対応する第1の片持ち梁構造10211及び第2の片持ち梁構造10212の固定端は、振動伝達部1023の内壁に接続されてもよく、第1の片持ち梁構造10211及び第2の片持ち梁構造10212の他端(自由端とも称される)は、真空キャビティ1050内に宙吊りに設置される。いくつかの実施例において、第1の片持ち梁構造10211と第2の片持ち梁構造10212は、対向して設置されてもよく、かつ第1の片持ち梁構造10211と第2の片持ち梁構造10212は、対向面積を有する。いくつかの実施例において、第1の片持ち梁構造10211及び第2の片持ち梁構造10212は、鉛直に配置され、このときの対向面積は、第1の片持ち梁構造10211の下面が第2の片持ち梁構造10212の上面と対向する面積であると理解されてもよい。いくつかの実施例において、第1の片持ち梁構造10211と第2の片持ち梁構造10212とは、第1の間隔d1を有してもよい。第1の片持ち梁構造10211及び第2の片持ち梁構造10212は、振動伝達部1023の振動信号を受信すると、それぞれの振動方向(第1の間隔d1の延長方向)に程度の異なる変形を発生させ、第1の間隔d1を変化させることができる。第1の片持ち梁構造10211及び第2の片持ち梁構造10212は、第1の間隔d1の変化に基づいて、受信した振動伝達部1023の振動信号を電気信号に変換することができる。
【0084】
第1の片持ち梁構造10211と第2の片持ち梁構造10212にその振動方向に程度の異なる変形を発生させるために、いくつかの実施例において、第1の片持ち梁構造10211の剛性と第2の片持ち梁構造10212の剛性は異なってもよい。振動伝達部1023の振動信号の作用で、剛性が比較的小さい片持ち梁構造は、ある程度の変形を発生させることができ、剛性が比較的大きい片持ち梁構造は、ほぼ変形しないか又は剛性が比較的小さい片持ち梁構造より変形量が小さいと考えられてもよい。いくつかの実施例において、マイクロフォン1000が動作状態にあるとき、比較的小さい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第2の片持ち梁構造10212)が振動伝達部1023の振動に応答して変形し、比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造10211)が変形することなく振動伝達部1023と共に振動することにより、第1の間隔d1を変化させてもよい。
【0085】
いくつかの実施例において、音響電気変換素子1020内の比較的小さい剛性を有する片持ち梁構造の共振周波数は、人の耳の聴覚範囲内(例えば、12000Hz内)の周波数範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、音響電気変換素子1020内の比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造の共振周波数は、人の耳が感知しにくい(例えば、12000Hzより大きい)周波数範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、音響電気変換素子1020内の第1の片持ち梁構造10211(又は第2の片持ち梁構造10212)の剛性は、第1の片持ち梁構造10211(又は第2の片持ち梁構造10212)の材料、長さ、幅又は厚さなどを調整することによって実現することができる。いくつかの実施例において、音響電気変換素子1020に対応する各組の片持ち梁構造のパラメータ(例えば、片持ち梁構造の材料、厚さ、長さ、幅など)を調整することにより、異なる共振周波数に対応する異なる周波数応答を取得する。
【0086】
図11は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの周波数応答曲線の概略図である。
図11に示すように、横軸は、周波数を表し、単位は、Hzであり、縦軸は、マイクロフォンから出力された音声信号の周波数応答を表し、単位は、dBである。ここで、マイクロフォンは、マイクロフォン500、マイクロフォン1000、マイクロフォン1200、マイクロフォン1300、マイクロフォン1500、マイクロフォン1600、マイクロフォン1700、マイクロフォン2000、マイクロフォン2100、マイクロフォン2200などであってもよい。
図11における各破線は、マイクロフォンの各音響電気変換素子にそれぞれ対応する周波数応答曲線を表すことができる。
図11における各周波数応答曲線から分かるように、各音響電気変換素子は、いずれも自体の共振周波数を有し(例えば、周波数応答曲線1120の共振周波数が約350Hzであり、周波数応答曲線1130の共振周波数が約1500Hzである)、外部音声信号がマイクロフォンに伝達されるとき、各音響電気変換素子がいずれも自体の共振周波数の近傍にある振動信号により敏感であるため、各音響電気変換素子から出力される電気信号は、主にその共振周波数に対応するサブバンド信号を含む。いくつかの実施例において、各音響電気変換素子の共振ピークでの出力は、その自体の平坦領域での出力よりはるかに大きく、各音響電気変換部品の周波数応答曲線における共振ピークに近接する周波数帯域を選択することにより、音声信号に対応するフルバンド信号に対するサブバンド分周を実現することができる。いくつかの実施例において、
図11における各周波数応答曲線を融合することで、信号対雑音比が高く、かつより平坦なマイクロフォンの周波数応答曲線1110を取得することができる。また、異なる音響電気変換素子(片持ち梁構造)を設置することにより、マイクロフォンシステムにおいて周波数範囲の異なる共振ピークを付加し、マイクロフォンの複数の共振ピークの近傍での感度を向上させ、さらにマイクロフォンの広帯域全体での感度を向上させることができる。
【0087】
マイクロフォンに複数の音響電気変換素子を設置し、音響電気変換素子(例えば、片持ち梁構造)が異なる共振周波数の特性を有することを利用することにより、振動信号に対するフィルタリング及び帯域分解を実現し、マイクロフォンにおける複雑なフィルタ回路、ソフトウェアアルゴリズムによる計算資源の大量占用、信号歪み、雑音混入をもたらすという問題を回避し、さらにマイクロフォンの複雑さ及び製造コストを削減することができる。
【0088】
図12は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図12に示すように、マイクロフォン1200は、ハウジング構造1210、音響電気変換素子1220、振動伝達部1223、及び振動ピックアップ部1222を含んでもよい。
図12に示すマイクロフォン1200は、
図5及び
図6に示すマイクロフォン500と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1200のハウジング構造1210は、マイクロフォン500のハウジング構造510と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1200の第1の音響キャビティ1230、第2の音響キャビティ1240、真空キャビティ1250は、それぞれマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530、第2の音響キャビティ540、真空キャビティ550と同じ又は類似であってもよい。さらに、例えば、マイクロフォン1200の振動ピックアップ部1222(例えば、第1の振動ピックアップ部12221(例えば、第1の弾性部122211、第1の固定部122212)、第2の振動ピックアップ部12222(例えば、第2の弾性部122221、第2の固定部122222))は、マイクロフォン500の振動ピックアップ部522(例えば、第1の振動ピックアップ部5221(例えば、第1の弾性部52211、第1の固定部52212)、第2の振動ピックアップ部5222(例えば、第2の弾性部52221、第2の固定部52222))と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1200のさらなる構造(例えば、孔部1211、振動伝達部1223、音響電気変換素子1220など)について、
図5及び
図6並びにその関連説明を参照することができる。
【0089】
いくつかの実施例において、
図12に示すマイクロフォン1200と
図5に示すマイクロフォン500との主な相違点は、マイクロフォン1200が1つ以上の膜構造1260を含んでもよいということである。いくつかの実施例において、膜構造1260は、音響電気変換素子1220の上面及び/又は下面に位置してもよい。例えば、膜構造1260は、単層膜構造であって、音響電気変換素子1220の上面又は下面に位置してもよい。また、例えば、膜構造1260は、二層膜であって、音響電気変換素子1220の上面に位置する第1の膜構造と、音響電気変換素子1220の下面に位置する第2の膜構造と、を含んでもよい。音響電気変換素子1220の表面に膜構造1260を設置することにより、音響電気変換素子1220の共振周波数を調整することができ、いくつかの実施例において、膜構造1260の材料、寸法(例えば長さ、幅)、厚さなどを調整することにより、音響電気変換素子1220の共振周波数に影響を与えることができる。膜構造1260のパラメータ情報(例えば、材料、寸法、厚さなど)及び音響電気変換素子1220(例えば、片持ち梁構造)を調整することにより、各音響電気変換素子1220が所望の周波数範囲内に共振を発生させることができる。一方、音響電気変換素子1220の表面に膜構造1260を設置することにより、マイクロフォン1200の過負荷による音響電気変換素子1220への損傷を回避し、マイクロフォン1200の信頼性を向上させることができる。
【0090】
いくつかの実施例において、膜構造1260は、音響電気変換素子1220の上面及び/又は下面を全部又は部分的に被覆してもよい。例えば、各音響電気変換素子1220の上面又は下面には対応する膜構造1260が被覆され、膜構造1260は、対応する音響電気変換素子1220の上面又は下面を全部被覆してもよく、膜構造1260は、対応する音響電気変換素子1220の上面又は下面を部分的に被覆してもよい。また、例えば、水平方向に見ると、複数の音響電気変換素子1220が同時に同一の水平面に位置するとき、1つの膜構造1260は、同時に同一の水平面にある複数の音響電気変換素子1220の上面又は下面を全部被覆してもよく、例えば、ここで、膜構造1260は、その周側部により振動伝達部1223の内壁に接続されることにより、真空キャビティ1250を互いに独立した上下2つの真空キャビティに仕切る。さらに、例えば、膜構造1260の形状は、振動伝達部1223の断面形状と同じであってもよく、膜構造1260は、その周側部により振動伝達部1223の内壁に接続され、膜構造1260の中間部分は、1つの孔部(
図12には図示せず)を含んでもよく、膜構造1260は、同時に同一の水平面にある複数の音響電気変換素子1220の上面又は下面を部分的に被覆し、かつ真空キャビティ1250を連通する上下2つの真空キャビティに仕切ってもよい。
【0091】
いくつかの実施例において、膜構造1260の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。
【0092】
図13は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図13に示すマイクロフォン1300は、
図10に示すマイクロフォン1000と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1300の第1の音響キャビティ1330、第2の音響キャビティ1340、真空キャビティ1350は、それぞれマイクロフォン1000の第1の音響キャビティ1030、第2の音響キャビティ1040、真空キャビティ1050と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1300の振動ピックアップ部1322(例えば、第1の振動ピックアップ部13221(例えば、第1の弾性部132211、第1の固定部132212)、第2の振動ピックアップ部13222(例えば、第2の弾性部132221、第2の固定部132222))は、マイクロフォン1000の振動ピックアップ部1022(例えば、第1の振動ピックアップ部10221(例えば、第1の弾性部102211、第1の固定部102212)、第2の振動ピックアップ部10222(例えば、第2の弾性部102221、第2の固定部102222))と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1300のさらなる構造(例えば、ハウジング構造1310、孔部1311、振動伝達部1323、音響電気変換素子1320など)について、
図10及びその関連説明を参照することができる。
【0093】
いくつかの実施例において、
図13に示すマイクロフォン1300と
図10に示すマイクロフォン1000との主な相違点は、マイクロフォン1300が1つ以上の膜構造1360を含んでもよいということである。いくつかの実施例において、膜構造1360は、音響電気変換素子1320の比較的小さい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第2の片持ち梁構造13212)の上面及び/又は下面に位置してもよい。例えば、膜構造1360は、単層膜構造であって、第2の片持ち梁構造13212の上面又は下面に位置してもよい。また、例えば、膜構造1360は、二層膜であって、第2の片持ち梁構造13212の上面に位置する第1の膜構造と、第2の片持ち梁構造13212の下面に位置する第2の膜構造と、を含んでもよい。いくつかの実施例において、膜構造1360は、第2の片持ち梁構造13212の上面及び/又は下面を全部又は部分的に被覆してもよい。例えば、各第2の片持ち梁構造13212の上面又は下面には対応する膜構造1360が被覆され、膜構造1360は、対応する第2の片持ち梁構造13212の上面又は下面を全部被覆してもよく、膜構造1360は、対応する第2の片持ち梁構造13212の上面又は下面を部分的に被覆してもよい。第2の片持ち梁構造13212の上面及び下面を全部又は部分的に被覆する膜構造1360のさらなる内容について、
図12及びその関連説明を参照することができる。
【0094】
いくつかの実施例において、膜構造1360は、音響電気変換素子1320の比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造13211)の上面及び/又は下面に位置してもよい。膜構造1360が第1の片持ち梁構造13211の上面及び/又は下面に位置する形態は、膜構造1360が第2の片持ち梁構造13212の上面及び/又は下面に位置する形態と類似し、ここでは説明を省略する。
【0095】
いくつかの実施例において、膜構造1360は、同時に音響電気変換素子1320の比較的小さい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第2の片持ち梁構造13212)の上面及び/又は下面と、比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造13211)の上面及び/又は下面とに位置してもよい。例えば、
図14は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図であり、
図14に示すように、膜構造1360は、同時に第1の片持ち梁構造13211の上面と第2の片持ち梁構造13212の下面に位置する。いくつかの実施例において、比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造13211)の上面及び/又は下面に膜構造1360を設置することにより、比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造の振動伝達部1323に対する変形を防止し、マイクロフォン1300の感度を向上させることができる。
【0096】
なお、
図10に示すマイクロフォン1000、
図12に示マイクロフォン1200並びに
図13及び
図14に示すマイクロフォン1300におけるそれぞれの対応する振動ピックアップ部は、剛性の異なる固定部及び弾性部を設置することによって真空キャビティの安定性を保証することに限定されず、いくつかの実施例において、真空キャビティに対応する振動ピックアップ部に補強部材を設置することによって真空キャビティの安定性を保証してもよく、固定部の説明について、
図7及びその関連内容を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0097】
図15は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図15に示すように、マイクロフォン1500は、ハウジング構造1510、音響電気変換素子1520、振動ピックアップ部1522、及び振動伝達部1523を含んでもよい。
図15に示すマイクロフォン1500は、
図5に示すマイクロフォン500と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1500の第1の音響キャビティ1530、第2の音響キャビティ1540、真空キャビティ1550は、それぞれマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530、第2の音響キャビティ540、真空キャビティ550と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1500のさらなる構造(例えば、ハウジング構造1510、孔部1511、振動伝達部1523、音響電気変換素子1520など)について、
図5及びその関連説明を参照することができる。
【0098】
いくつかの実施例において、
図15に示すマイクロフォン1500と
図5に示すマイクロフォン500との主な相違点は、振動ピックアップ部1522である。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部1522は、第1の振動ピックアップ部15221、第2の振動ピックアップ部15222、及び第3の振動ピックアップ部15223を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動伝達部1523が第1の振動ピックアップ部15221と第2の振動ピックアップ部15222との間に位置するように、第1の振動ピックアップ部15221と第2の振動ピックアップ部15222は、振動伝達部1523に対して上下に対向して設置されてもよい。具体的には、第1の振動ピックアップ部15221の下面は、振動伝達部1523の上面に接続され、第2の振動ピックアップ部15222の上面は、振動伝達部1523の下面に接続される。いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部15221と、第2の振動ピックアップ部15222と、振動伝達部1523との間に真空キャビティ1550が画成されてもよく、音響電気変換素子1520は、真空キャビティ1550内に位置する。いくつかの実施例において、第3の振動ピックアップ部15223は、振動伝達部1523とハウジング構造1510の内壁との間に接続される。マイクロフォン1500が動作するとき、音声信号が孔部1511を通って第1の音響キャビティ1530に入り、かつ振動ピックアップ部1522に作用することにより、第3の振動ピックアップ部15223を振動させることができ、第3の振動ピックアップ部15223は、振動を振動伝達部1523により音響電気変換素子1520に伝達する。
【0099】
いくつかの実施例において、第3の振動ピックアップ部15223は、1つ以上の薄膜構造を含んでもよく、該薄膜構造は、振動伝達部1523及びハウジング構造1510に適合する。例えば、ハウジング構造1510及び振動伝達部1523がいずれも円柱状の構造であるとき、第3の振動ピックアップ部15223は、環状の薄膜構造であってもよく、環状の薄膜構造の周側部の外壁は、ハウジング構造1510に接続され、環状の薄膜構造の周側部の内壁は、振動伝達部1523に接続される。また、例えば、ハウジング構造1510が円柱状の構造であり、振動伝達部1523が直方体構造であるとき、第3の振動ピックアップ部15223は、中心部位に長方形の孔部を有する円形の薄膜構造であってもよく、該薄膜構造の周側部の外壁は、ハウジング構造1510に接続され、薄膜構造の内壁は、振動伝達部1523に接続される。なお、第3の振動ピックアップ部15223の形状は、前述の環状及び長方形に限定されず、他の形状、例えば、五角形、六角形などの規則的及び/又は不規則な形状の薄膜構造であってもよく、第3の振動ピックアップ部15223の形状及び構造は、ハウジング構造1510及び振動伝達部1523の形状に応じて適応的に調整してもよい。
【0100】
いくつかの実施例において、第3の振動ピックアップ部15223の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。
【0101】
いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部15221及び第2の振動ピックアップ部15222の材料は、第3の振動ピックアップ部15223の材料とは異なる。例えば、いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部15221の剛性及び第2の振動ピックアップ部15222の剛性は、第3の振動ピックアップ部15223の剛性より大きくてもよい。いくつかの実施例において、第3の振動ピックアップ部15223は、外部音声信号に応答して振動し、かつ振動信号を音響電気変換素子1520に伝達することができる。第1の振動ピックアップ部15221及び第2の振動ピックアップ部15222が大きな剛性を有することにより、第1の振動ピックアップ部15221、第2の振動ピックアップ部15222、及び振動伝達部1523の間に画成された真空キャビティ1550が外部気圧の影響を受けないことを保証する。いくつかの実施例において、真空キャビティ1550が外部気圧の影響を受けないことを保証するために、第1の振動ピックアップ部15221及び第2の振動ピックアップ部15222のヤング率は、60GPaより大きくてもよい。いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部15221及び第2の振動ピックアップ部15222のヤング率は、50GPaより大きくてもよい。いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部15221及び第2の振動ピックアップ部15222のヤング率は、40GPaより大きくてもよい。
【0102】
いくつかの実施例において、真空キャビティ1550が外部気圧の影響を受けないことを保証するために、マイクロフォン1500は、補強部材(図示せず)を含んでもよく、補強部材は、真空キャビティ1550に対応する振動ピックアップ部1522(例えば、第1の振動ピックアップ部15221、第2の振動ピックアップ部15222)の上面又は下面に位置してもよい。具体的には、補強部材は、それぞれ第1の振動ピックアップ部15221の下面、第2の振動ピックアップ部15222の上面に位置し、補強部材の周側部が、振動伝達部1523の内壁に接続されてもよい。補強部材の構造、位置、材料などの具体的な内容について、
図7及びその関連説明を参照することができる。また、補強部材は、本明細書の他の実施例、例えば、
図16に示すマイクロフォン1600、
図17に示すマイクロフォン1700、
図20に示すマイクロフォン2000、
図21に示すマイクロフォン2100、
図22に示すマイクロフォン2200に用いられてもよい。
【0103】
いくつかの実施例において、マイクロフォン1500は、少なくとも1つの膜構造(図示せず)を含んでもよく、少なくとも1つの膜構造は、音響電気変換素子1520の上面及び/又は下面に位置してもよい。少なくとも1つの膜構造の詳細について、
図12及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0104】
図16は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図16に示すように、マイクロフォン1600は、ハウジング構造1610、音響電気変換素子1620、振動ピックアップ部1622、及び振動伝達部1623を含んでもよい。
図16に示すマイクロフォン1600は、
図10に示すマイクロフォン1000と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1600の第1の音響キャビティ1630、第2の音響キャビティ1640、真空キャビティ1650は、それぞれマイクロフォン1000の第1の音響キャビティ1030、第2の音響キャビティ1040、真空キャビティ1050と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1600のさらなる構造(例えば、ハウジング構造1610、孔部1611、振動伝達部1623、音響電気変換素子1620など)について、
図10及びその関連説明を参照することができる。
【0105】
いくつかの実施例において、
図16に示すマイクロフォン1600と
図10に示すマイクロフォン1000との主な相違点は、振動ピックアップ部1622である。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部1622は、第1の振動ピックアップ部16221、第2の振動ピックアップ部16222、及び第3の振動ピックアップ部16223を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動伝達部1623が第1の振動ピックアップ部16221と第2の振動ピックアップ部16222との間に位置するように、第1の振動ピックアップ部16221と第2の振動ピックアップ部16222は振動伝達部1623に対して上下に対向して設置されてもよい。具体的には、第1の振動ピックアップ部16221の下面は、振動伝達部1623の上面に接続され、第2の振動ピックアップ部16222の上面は、振動伝達部1623の下面に接続される。いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部16221と、第2の振動ピックアップ部16222と、振動伝達部1623との間に真空キャビティ1650が画成されてもよく、音響電気変換素子1620(例えば、第1の片持ち梁構造16211、第2の片持ち梁構造16212)は、真空キャビティ1650内に位置する。
【0106】
いくつかの実施例において、第3の振動ピックアップ部16223は、振動伝達部1623とハウジング構造1610の内壁との間に接続される。マイクロフォン1600が動作するとき、音声信号は、孔部1611を通って第1の音響キャビティ1630に入り、かつ第3の振動ピックアップ部16223に作用してそれを振動させることができ、第3の振動ピックアップ部16223は、振動を振動伝達部1623により音響電気変換素子1620に伝達する。第3の振動ピックアップ部16223の詳細について、
図15及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0107】
いくつかの実施例において、マイクロフォン1600は、少なくとも1つの膜構造(図示せず)を含んでもよく、少なくとも1つの膜構造は、音響電気変換素子1620の上面及び/又は下面に位置してもよい。少なくとも1つの膜構造の詳細について、
図12~
図14及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0108】
図17は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図17に示すように、マイクロフォン1700は、ハウジング構造1710、音響電気変換素子1720、振動ピックアップ部1722、及び振動伝達部1723を含んでもよい。
図17に示すマイクロフォン1700は、
図15に示すマイクロフォン1500と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1700の第1の音響キャビティ1730、第2の音響キャビティ1740、真空キャビティ1750は、それぞれマイクロフォン1500の第1の音響キャビティ1530、第2の音響キャビティ1540、キャビティ1550と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1700の振動ピックアップ部1722(例えば、第1の振動ピックアップ部17221、第2の振動ピックアップ部17222、第3の振動ピックアップ部17223)は、マイクロフォン1500の振動ピックアップ部1522(例えば、第1の振動ピックアップ部15221、第2の振動ピックアップ部15222、第3の振動ピックアップ部15223)と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1700のさらなる構造(例えば、ハウジング構造1710、孔部1711、振動伝達部1723、音響電気変換素子1720など)について、
図15及びその関連説明を参照することができる。
【0109】
いくつかの実施例において、
図17に示すマイクロフォン1700と
図15に示すマイクロフォン1500との主な相違点は、マイクロフォン1700が1つ以上の支持構造1760を含んでもよいということである。いくつかの実施例において、支持構造1760は、真空キャビティ1750内に設置されてもよく、支持構造1760の上面は、第1の振動ピックアップ部17221の下面に接続されてもよく、支持構造1760の下面は、第2の振動ピックアップ部17222の上面に接続されてもよい。真空キャビティ1750内に支持構造1760を設置し、支持構造1760をそれぞれ第1の振動ピックアップ部17221と第2の振動ピックアップ部17222に接続することにより、第1の振動ピックアップ部17221と第2の振動ピックアップ部17222の剛性をさらに向上させ、第1の振動ピックアップ部17221と第2の振動ピックアップ部17222が第1の音響キャビティ1730内の空気振動の影響を受けて変形することのないようにし、さらにマイクロフォン1700の内部素子(例えば、第1の振動ピックアップ部17221、第2の振動ピックアップ部17222)の振動モードを低減することができる。また、支持構造1760は、第1の振動ピックアップ部17221及び第2の振動ピックアップ部17222の剛性を向上させ、さらに真空キャビティ1750の体積を基本的に一定に保持することを保証することにより、真空キャビティ1750の内部の真空度を所望の範囲内(例えば、100Paより小さい)にし、さらに真空キャビティ1750内の空気ダンパの音響電気変換素子1720への影響を低減し、マイクロフォン1700のQ値を向上させることができる。一方、支持構造1760をそれぞれ第1の振動ピックアップ部17221と第2の振動ピックアップ部17222に接続することにより、マイクロフォン1700の過負荷の場合での信頼性も向上させることができる。
【0110】
いくつかの実施例において、支持構造1760の形状は、板状構造、円柱体、円錐台、直方体、角錐台、六面体などの規則的及び/又は不規則な構造であってもよい。いくつかの実施例において、支持構造1760の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。
【0111】
図17に示すように、いくつかの実施例において、音響電気変換素子1720における自由端(即ち真空キャビティ1750内に宙吊りにされた端部)と支持構造1760との間の第2の間隔d2を2um以上にすることにより、音響電気変換素子1720が振動において支持構造1760と衝突することを防止する。また、第2の間隔d2が小さい(例えば、第2の間隔d2が20um以下である)とき、マイクロフォン1700全体の体積を効果的に低減することができる。いくつかの実施例において、各音響電気変換素子1720(例えば、長さの異なる片持ち梁構造)における自由端と支持構造1760との第2の間隔d2は異なってもよい。いくつかの実施例において、形状、寸法の異なる支持構造1760を設計し、かつ支持構造1760の位置を調整することにより、複数の音響電気変換素子1720(例えば、片持ち梁構造)を真空キャビティ1750内に緊密に配置し、マイクロフォン1700の全体寸法を小さくすることができる。
図18A及び
図18Bは、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの異なる方向での概略断面図であり、
図18A及び
図18Bに示すように、支持構造1760が楕円柱体であるとき、支持構造1760、振動伝達部1723、及び振動ピックアップ部1722は、真空キャビティ1750において環状又は略環状のキャビティを画成し、複数の音響電気変換素子1720は、該キャビティ内に位置し、かつ支持構造1760の周側部に沿って間隔を隔てて分布する。
【0112】
いくつかの実施例において、支持構造1760は、真空キャビティ1750の中心位置に位置してもよい。例えば、
図19Aは、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図であり、
図19Aに示すように、支持構造1760は、真空キャビティ1750の中心位置に位置する。ここで、中心位置は、真空キャビティ1750の幾何学的な中心であってもよい。いくつかの実施例において、支持構造1760は、真空キャビティ1750における振動伝達部1723のいずれか一端に近接する位置に設置されてもよい。例えば、
図19Bは、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図であり、
図19Bに示すように、支持構造1760は、真空キャビティ1750における振動伝達部1723の側壁Lに近接する位置に位置する。なお、支持構造1750の形状、配置方式、位置、材料などは、音響電気変換素子1720の長さ、数量、及び分布方式などに応じて適応的に調整してもよく、ここではさらに限定しない。
【0113】
いくつかの実施例において、マイクロフォン1700は、少なくとも1つの膜構造(図示せず)を含んでもよく、少なくとも1つの膜構造は、音響電気変換素子1720の上面及び/又は下面に設置されてもよい。いくつかの実施例において、膜構造の中部位置に、支持構造1760が貫通するための孔部が設置されてもよく、該孔部は、支持構造の断面形状と同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例において、支持構造1760の周側部の側壁は、膜構造における孔部の周側部に部分的に接続されてもよく、膜構造における孔部の周側部に部分的に接続されなくてもよい。膜構造の形状、材質、構造などのさらなる説明について、
図12及びその関連説明を参照することができる。
【0114】
なお、支持構造は、他の実施例におけるマイクロフォンに適用されてもよく、例えば、
図5に示すマイクロフォン500、
図10に示すマイクロフォン1000、
図12に示すマイクロフォン1200、
図13に示すマイクロフォン1300、
図14に示すマイクロフォン1300に適用されてもよく、支持構造が他のマイクロフォンに適用されるとき、支持構造の形状、位置、材料は、具体的な状況に応じて適応的に調整してもよい。
【0115】
図20は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図20に示すように、マイクロフォン2000は、ハウジング構造2010、音響電気変換素子2020、振動ピックアップ部2022、及び振動伝達部2023を含んでもよい。
図20に示すマイクロフォン2000は、
図16に示すマイクロフォン1600と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン2000の第1の音響キャビティ2030、第2の音響キャビティ2040、真空キャビティ2050は、それぞれマイクロフォン1600の第1の音響キャビティ1630、第2の音響キャビティ1640、真空キャビティ1650と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン2000の振動ピックアップ部2022(例えば、第1の振動ピックアップ部20221、第2の振動ピックアップ部20222、第3の振動ピックアップ部20223)は、マイクロフォン1600の振動ピックアップ部1622(例えば、第1の振動ピックアップ部16221、第2の振動ピックアップ部16222、第3の振動ピックアップ部16223)と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン2000のさらなる構造(例えば、ハウジング構造2010、孔部2011、振動伝達部2023、音響電気変換素子2020など)について、
図16及びその関連説明を参照することができる。
【0116】
いくつかの実施例において、
図20に示すマイクロフォン2000と
図16に示すマイクロフォン1600との主な相違点は、マイクロフォン2000が支持構造2060を含んでもよいということである。いくつかの実施例において、支持構造2060の上面は、第1の振動ピックアップ部20221の下面に接続されてもよく、支持構造2060の下面は、第2の振動ピックアップ部20222の上面に接続されてもよい。いくつかの実施例において、音響電気変換素子2020(例えば、第1の片持ち梁構造20211、第2の片持ち梁構造20212)の自由端(すなわち、真空キャビティ2050内に宙吊りにされた端部)と、支持構造2060とは、第2の間隔d2を有してもよい。支持構造2060のさらなる説明について、
図17及びその関連説明を参照することができる。
【0117】
いくつかの実施例において、マイクロフォン2000は、少なくとも1つの膜構造(図示せず)を含んでもよく、支持構造2060を含むマイクロフォン2000の少なくとも1つの膜構造の詳細な説明について、
図13、
図14、
図17、及びその関連説明を参照することができる。
【0118】
図21は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、骨伝導マイクロフォンであってもよく、
図21に示すように、骨伝導マイクロフォン2100は、ハウジング構造2110、音響電気変換素子2120、振動ピックアップ部2122、及び振動伝達部2123を含んでもよい。
図21に示す骨伝導マイクロフォン2100の部品、例えば、音響電気変換素子2120、第1の音響キャビティ2130、第2の音響キャビティ2140、真空キャビティ2150、振動ピックアップ部2122(例えば、第1の振動ピックアップ部21221、第2の振動ピックアップ部21222)、振動伝達部2123、支持構造2160などは、
図17に示すマイクロフォン1700の部品と同じ又は類似であってもよい。
【0119】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン2100と
図17に示すマイクロフォン1700との相違点は、振動ピックアップの方式が異なるということであり、マイクロフォン1700の振動ピックアップ部1722(例えば、第3の振動ピックアップ部17223)は、孔部1711を通って第1の音響キャビティ1730内に伝達された空気の振動信号をピックアップするが、骨伝導マイクロフォン2100のハウジング構造2110は、孔部を含まず、骨伝導マイクロフォン2100は、振動ピックアップ部2122(例えば、第3の振動ピックアップ部21223)によりハウジング構造2110の振動に応答して振動信号を生成する。具体的には、ハウジング構造2110は、外部音声信号に基づいて振動することができ、第3の振動ピックアップ部21223は、ハウジング構造2110の振動に応答して振動信号を生成し、かつ振動信号を振動伝達部2123により音響電気変換素子2120に伝達することができ、音響電気変換素子2120は、振動信号を電気信号に変換して出力する。
【0120】
図22は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図22に示すように、骨伝導マイクロフォン2200は、ハウジング構造2210、音響電気変換素子2220、振動ピックアップ部2222、及び振動伝達部2223を含んでもよい。
図22に示す骨伝導マイクロフォン2200の部品、例えば、音響電気変換素子2220、第1の音響キャビティ2230、第2の音響キャビティ2240、真空キャビティ2250、振動ピックアップ部2222(例えば、第1の振動ピックアップ部22221、第2の振動ピックアップ部22222)、振動伝達部2223、支持構造2260などは、
図20に示すマイクロフォン2000の部品と同じ又は類似であってもよい。
【0121】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン2200と
図20に示すマイクロフォン2000との相違点は、振動ピックアップの方式が異なるということであり、マイクロフォン2000の振動ピックアップ部2022(例えば、第3の振動ピックアップ部20223)は、孔部2011を通って第1の音響キャビティ2030内に伝達された空気の振動信号をピックアップするが、骨伝導マイクロフォン2200のハウジング構造2210は、孔部を含まず、骨伝導マイクロフォン2200は、振動ピックアップ部2222(例えば、第3の振動ピックアップ部22223)によりハウジング構造2210の振動に応答して振動信号を生成する。いくつかの実施例において、ハウジング構造2210は、外部音声信号に基づいて振動することができ、第3の振動ピックアップ部22223は、ハウジング構造2210の振動に応答して振動信号を生成し、かつ振動信号を振動伝達部2223により音響電気変換素子2220(例えば、第1の片持ち梁構造22211、第2の片持ち梁構造22212)に伝達することができ、音響電気変換素子2220は、振動信号を電気信号に変換して出力する。
【0122】
なお、
図5に示すマイクロフォン500、
図10に示すマイクロフォン1000、
図12に示すマイクロフォン1200、
図13に示すマイクロフォン1300は、骨伝導マイクロフォンとして使用されてもよい。例えば、ここで、マイクロフォンは、孔部が設置されず、ハウジング構造が外部音声信号に基づいて振動し、第1の振動ピックアップ部又は第2の振動ピックアップ部がハウジング構造の振動に応答して振動信号を生成し、かつ振動を振動伝達部により音響電気変換素子に伝達し、音響電気変換素子が振動信号を電気信号に変換して出力してもよい。
【0123】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されておるため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0124】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0125】
さらに、当業者には理解されように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。さらに、本願の各態様は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0126】
コンピュータ記憶媒体は、例えばベースバンド上に、又は搬送波の一部として、コンピュータプログラムコードを含む伝播データ信号を含み得る。該伝播信号は、電磁的な形態、光学的な形態など、又は適切な組み合わせ形態の様々な形態であってもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、該媒体は、命令実行システム、装置又は設備に接続されることにより、使用されるプログラムの通信、伝播又は伝送を実現することができる。コンピュータ記憶媒体上のプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RFを含む任意の適切な媒体、又は類似の媒体、又は上記媒体の任意の組み合わせを介して伝播され得る。
【0127】
本願の各部分の操作に必要なコンピュータプログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのようなオブジェクト指向プログラミング言語、C言語、Visual Basic、Fortran 2003、Perl、COBOL 2002、PHP、ABAPのような一般的な手続き型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyのような動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語などを含む、いずれか1つ又は複数のプログラミング言語で記述することができる。該プログラムコードは、完全にユーザコンピュータ上で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとしてユーザコンピュータ上で実行されてもよく、一部がユーザコンピュータ上で実行され、一部がリモートコンピュータ上で実行されてもよく、完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形態でユーザコンピュータに接続されてもよく、或いは、(例えばインターネットを介して)外部コンピュータに接続され、又はクラウドコンピューティング環境において、又はソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)などのサービスとして利用してもよい。
【0128】
さらに、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単にその目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、反対に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることが理解されよう。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0129】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることが理解されるであろう。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求される主題は、前述の単一の開示された実施形態のすべての特徴より少ない場合がある。
【0130】
いくつかの実施例において成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものとして理解されるべきである。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、上記数字が説明する値の±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも特定の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例におけるその範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例では、このような数値は可能な限り正確に設定される。
【0131】
本願において参照されているすべての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などのような他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の特許請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0132】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることが理解されよう。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0133】
100、200、500、1000、1200、1300、1500、1600、1700、2000、2100、2200 マイクロフォン
120、220、520、1020、1220、1320、1520、1620、1720、2020、2120、2220 音響電気変換素子
110、210、510、1010、1210、1310、1510、1610、1710、2010、2110、2210 ハウジング構造
260、522、1022、1222、1322、1522、1622、1722、2022、2122、2222 振動ピックアップ部
111、211、511、1011、1211、1311、1511、1611、1711、2011 孔部
523、1023、1223、1323、1523、1623、1723、2023、2123、2223 振動伝達部
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング構造と、
前記ハウジング構造の振動に応答して振動する振動ピックアップ部と、
前記振動ピックアップ部の振動を伝達するように構成された振動伝達部と、
前記振動伝達部から伝達された振動を受けて電気信号を生成するように構成された音響電気変換素子と、
を含み、
前記振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造と前記振動伝達部との間に真空キャビティが画成され、前記音響電気変換素子は、前記真空キャビティ内に位置することを特徴とするマイクロフォン。
【請求項2】
前記真空キャビティの内部の真空度は、100Paより小さいことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項3】
前記振動ピックアップ部と前記ハウジング構造は、少なくとも1つの音響キャビティを画成し、前記少なくとも1つの音響キャビティは、第1の音響キャビティを含み、
前記ハウジング構造は、少なくとも1つの孔部を含み、前記少なくとも1つの孔部は、前記第1の音響キャビティに対応する前記ハウジング構造の側壁に位置し、前記少なくとも1つの孔部は、前記第1の音響キャビティを外部と連通させ、
前記振動ピックアップ部は、前記少なくとも1つの孔部を通って伝達された外部音声信号に応答して振動し、前記音響電気変換素子は、それぞれ前記振動ピックアップ部の振動を受けて電気信号を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロフォン。
【請求項4】
前記振動ピックアップ部は、上から下へ順に設置された第1の振動ピックアップ部及び第2の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に管状構造を呈する振動伝達部が設置され、
前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部、及び前記第2の振動ピックアップ部の間に前記真空キャビティが画成され、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部は、その周側部により前記ハウジング構造に接続され、
前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造は、外部音声信号に応答して振動することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロフォン。
【請求項5】
前記第1の振動ピックアップ部又は前記第2の振動ピックアップ部は、弾性部及び固定部を含み、前記第1の振動ピックアップ部の固定部、前記第2の振動ピックアップ部の固定部、及び前記振動伝達部の間に前記真空キャビティが画成され、前記弾性部は、前記固定部と前記ハウジング構造の内壁との間に接続され、
前記弾性部は、前記外部音声信号に応答して振動することを特徴とする請求項4に記載のマイクロフォン。
【請求項6】
前記固定部の剛性は、前記弾性部の剛性より大きいことを特徴とする請求項5に記載のマイクロフォン。
【請求項7】
前記真空キャビティに対応する前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の上面又は下面に位置する補強部材をさらに含むことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載のマイクロフォン。
【請求項8】
前記振動ピックアップ部は、第1の振動ピックアップ部、第2の振動ピックアップ部、及び第3の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部は、上下に対向して設置され、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に、管状構造を呈する振動伝達部が設置され、前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の間に前記真空キャビティが画成され、
前記第3の振動ピックアップ部は、前記振動伝達部と前記ハウジング構造の内壁との間に接続され、
前記第3の振動ピックアップ部は、外部音声信号に応答して振動することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロフォン。
【請求項9】
前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の剛性は、前記第3の振動ピックアップ部の剛性より大きいことを特徴とする請求項8に記載のマイクロフォン。
【請求項10】
前記音響電気変換素子は、1つの片持ち梁構造を含み、前記片持ち梁構造の一端は、前記振動伝達部の内壁に接続され、前記片持ち梁構造の他端は、前記真空キャビティ内に宙吊りに設置され、
前記片持ち梁構造が振動信号に基づいて変形することにより、前記振動信号を電気信号に変換することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロフォン。
【国際調査報告】