(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(54)【発明の名称】デバイス用ウェハレベルパッケージ
(51)【国際特許分類】
B81B 7/00 20060101AFI20231013BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20231013BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B81B7/00
B81C1/00
H01L23/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518077
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 FI2021050619
(87)【国際公開番号】W WO2022058659
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェ-ウン
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA11
3C081AA17
3C081BA21
3C081BA22
3C081BA30
3C081BA32
3C081CA02
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3C081CA32
3C081DA03
3C081DA07
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3C081DA30
3C081EA01
3C081EA03
3C081EA07
3C081EA22
3C081EA23
(57)【要約】
本発明の態様の一例によれば、デバイス用のウェハレベルパッケージ(100)が提供され、このパッケージ(100)は、第1基板(102)及び第2基板(103)と、第1基板(102)と第2基板(103)との間の少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造(104)と、少なくとも一つのスタンドオフ構造(104)の上の接合層(108)と、第1基板(102)の表面上の第1横向き電気接続線(109)及び第2基板(103)の表面上の第2横向き電気接続線(110)とを具備し、少なくとも一つのスタンドオフ構造(104)の接合層(108)を介して第1横向き電気接続線(109)と第2横向き接続線(110)との間に電気接続が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス用のウェハレベルパッケージ(100)であって、
第1基板(102)及び第2基板(103)と、
前記第1基板(102)と前記第2基板(103)との間の少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造(104)と、
前記少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造(104)の上の接合層(108)と、
前記第1基板(102)の表面上の第1横向き電気接続線(109)及び前記第2基板(103)の表面上の第2横向き電気接続線(110)と、
を具備するパッケージ(100)であり、
前記少なくとも一つのスタンドオフ構造(104)の前記接合層(108)を介して前記第1横向き電気接続線(109)と前記第2横向き接続線(110)との間に電気接続が形成され、
前記接合層(108)が共晶合金を包含する、
ウェハレベルパッケージ(100)。
【請求項2】
前記少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造(104)の各々が、5μm未満など10μm未満、例えば1~2μmの高さを有する、請求項1に記載のウェハレベルパッケージ(100)。
【請求項3】
前記第1横向き電気接続線(109)の厚さが0.5~1μmなど0.2~5μmである、先行請求項のいずれか一つに記載のウェハレベルパッケージ(100)。
【請求項4】
前記第1横向き電気接続線(109)の厚さが前記少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造(104)の高さより小さい、先行請求項のいずれか一つに記載のウェハレベルパッケージ(100)。
【請求項5】
前記接合層(108)の厚さが0.5~2μmなど5μm未満である、先行請求項のいずれか一つに記載のウェハレベルパッケージ(100)。
【請求項6】
前記第1基板(102)が前記第1基板(102)の前記表面上に不動態化層(111)を具備する、及び/又は、前記第2基板(103)が前記第2基板(103)の前記表面上に不動態化層(112)を具備する、先行請求項のいずれか一つに記載のウェハレベルパッケージ(100)。
【請求項7】
前記パッケージ(100,200)が前記第1基板(102,202)に少なくとも一つの溝部(113,205,213)を具備する、先行請求項のいずれか一つに記載のウェハレベルパッケージ(100,200)。
【請求項8】
前記第2横向き接続線(110,210)を介して前記少なくとも一つの溝部(113,205,213)を越えて電気接続が形成される、請求項7に記載のウェハレベルパッケージ(100,200)。
【請求項9】
前記第2接合材料層(307)を介して前記少なくとも一つの溝部(313)を越えて電気接続が形成される、請求項7に記載のウェハレベルパッケージ(100,200)。
【請求項10】
前記パッケージ(200)が少なくとも一つの密閉構造(219)を具備して、前記密閉構造(219)が、
前記第1基板(202)と前記第2基板(203)との間のシールリング(221)と、
前記第2基板の表面上の接合層(222)と、
前記接合層の融解金属をマイクロリングの間に閉じ込める前記シールリング内の複数のマイクロリング(223)と、
を具備する、
先行請求項のいずれか一つに記載のウェハレベルパッケージ(200)。
【請求項11】
前記パッケージ(100)がMEMSデバイス用である、先行請求項のいずれか一つに記載のウェハレベルパッケージ(100)。
【請求項12】
デバイス用のウェハレベルパッケージ(200)を形成する為の方法であって、
第1基板(202)の表面上に第1横向き電気接続線(209)を作製することと、
第2基板(203)の表面上に第2横向き電気接続線(210)を作製することと、
前記第1横向き電気接続線(209)の一部分にわたって少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造(214)を作製することと、
前記少なくとも一つのスタンドオフ構造(214)の前記表面上に第1接合材料層(206)を作製することと、
前記第1接合材料層(206)を前記第2横向き電気接続線(210)と接合して前記スタンドオフ構造(214)に接合層(208)を生成し、前記少なくとも一つのスタンドオフ構造(214)の前記接合層(208)を介して前記第1横向き電気接続線(209)と前記第2横向き接続線(210)との間に電気接続を生成することと、
を包含し、
前記第1接合材料層(206)と前記第2横向き電気接続線(210)との接合が共晶接合により設けられる、
方法。
【請求項13】
前記少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造(104)の各々が、5μm未満など10μm未満、例えば1~2μmの高さを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1横向き電気接続線(109)の厚さが0.5~1μなど0.2~5μmである、先行請求項12乃至13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
前記第1横向き電気接続線(109)の厚さが、前記少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造(104)の高さより小さい、先行請求項12乃至14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
前記接合層(108)の厚さが0.5~2μmなど5μm未満である、先行請求項12乃至15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記第1基板(202)の前記表面上に不動態化層(211)を作製すること、及び/又は、前記第2基板(203)の前記表面上に不動態化層(212)を作製することを包含する方法である、先行請求項12乃至16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
前記第2横向き電気接続線(210)の表面上に第2接合材料層(207)を作製することを包含する方法である、先行請求項12乃至17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
前記第1基板(202)に少なくとも一つの溝部(205,213)を作製することを包含する方法である、先行請求項12乃至18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
前記第1横向き電気接続線(209)の一部分にわたって少なくとも一つの密閉構造(219)を作製することを包含する方法である、先行請求項12乃至19のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
前記ウェハレベルパッケージ(200)がMEMSデバイス用である、先行請求項12乃至20のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス用のウェハレベルパッケージ、特に微小電気機械システム(MEMS)用のウェハレベルパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、微小加工技術を使用して作製されるデバイス及び構造など、小型化された機械及び電気機械要素である。MEMSは、1マイクロメートルと100マイクロメートルの間のサイズのコンポーネントから成り、MEMSデバイスのサイズは概ね20マイクロメートルから1ミリメートルまでの範囲である。
【0003】
MEMSデバイスは、その小型サイズ、構成、そして極めて要求の高い製造方法ゆえに、電気的不具合を起こし易い。例えば、TSV(シリコン貫通電極)による電気相互接続の形成は、複雑で費用の掛かるプロセスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故に、ウェハパッケージングの改良構造及び製造方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
独立請求項の特徴により本発明が定義される。幾つかの具体的な実施形態は、従属請求項で定義される。
【0006】
本発明の第一態様によれば、デバイス用のウェハレベルパッケージが提供され、このパッケージは、第1基板及び第2基板と、第1基板と第2基板との間の少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造と、少なくとも一つのスタンドオフ構造の上の接合層と、第1基板の表面上の第1横向き電気接続線及び第2基板の表面上の第2横向き電気接続線とを具備する。少なくとも一つのスタンドオフ構造の接合層を介して、第1横向き電気接続線と第2横向き接続線との間に電気接続が形成される。接合層は共晶合金を包含する。
【0007】
本発明の第二態様によれば、第1基板の表面上に第1横向き電気接続線を作製すること、第2基板の表面上に第2横向き電気接続線を作製すること、第1横向き電気接続線の一部分にわたって少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造を作製すること、少なくとも一つのスタンドオフ構造の表面上に第1接合材料層を作製すること、そして第1接合材料層を第2横向き電気接続線と接合してスタンドオフ構造に接合層を生成し、少なくとも一つのスタンドオフ構造の接合層を介して第1横向き電気接続線と第2横向き接続線との間に電気接続を生成することを包含する、デバイス用ウェハレベルパッケージを形成する方法が提供される。第1接合材料層と第2横向き電気接続線との接合は、共晶接合により設けられる。
【0008】
一実施形態によれば、パッケージは第1基板に少なくとも一つの溝部を具備する。
【0009】
一実施形態によれば、第2横向き接続線を介して少なくとも一つの溝部を越えて電気接続が形成される。
【0010】
一実施形態によれば、第2接合材料層を介して少なくとも一つの溝部を越えて電気接続が形成される。
【0011】
一実施形態によれば、パッケージは少なくとも一つの密閉構造を具備し、この密閉構造は、第1基板と第2基板との間のシールリングと、第2基板の表面上の接合層と、接合層の融解金属をマイクロリングの間に閉じ込めるシールリング内の複数のマイクロリングとを具備する。
【0012】
本発明はかなりの利点を提供する。本発明は、深溝部及び/又はキャビティを備える深溝部により電極とパッドとが分離されている時、或いはデバイスの電極がパッケージングの内側の深溝部とパッケージングの外側のパッドとを有する時には取り分け、デバイスの電極とパッドとの間に電気相互接続を設ける簡単でコスト効果の高い手法を可能にする。接合構造の加工中に構造が自動的に生成される。故に、こうして製造プロセスを一層複雑で費用の掛かるものにするであろう追加のリソグラフィ又はエッチングのプロセスが必要とされ無い。
【0013】
本発明の実施形態は、取り分け基板の共晶接合では、基板の接合におけるプロセスウィンドウを広げる。マイクロリングの正確な高さ故にマイクロリングには正確な間隙が設けられ、この間隙には、空所のように温度及び圧力の不均一性が見られ無い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態は、局所的な圧入と摩擦の増大の故に接合基板の間での滑動による不整合を抑制し、こうして接合品質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2C】本発明の少なくとも幾つかの実施形態によるデバイス用ウェハレベルパッケージを図示している。
【
図3F】本発明の少なくとも幾つかの実施形態によるデバイス用ウェハレベルパッケージの第1構造の製造方法を図示している。
【
図4E】本発明の少なくとも幾つかの実施形態によるデバイス用ウェハレベルパッケージの第2構造の製造方法を図示している。
【
図6】本発明の少なくとも幾つかの実施形態によるデバイス用ウェハレベルパッケージを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書の文脈において、「基板(substrate)」の語は、MEMSデバイスウェハ及びキャップウェハなどのウェハを包含する。
【0017】
本明細書の文脈において、「第1構造(first structure)」の語は、デバイスウェハなどの第1基板と、接合前の第1基板上の層とを包含する。
【0018】
本明細書の文脈において、「第2構造(second structure)」の語は、キャップウェハなどの第2基板と、接合前の第2基板上の層とを包含する。
【0019】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の目的は、取り分け微小電気機械システム(MEMS)デバイスの為に、デバイスの電極とパッドとの間に簡単でコスト効果の高い電気相互接続を設けることである。
【0020】
図1は、一実施形態によるウェハレベルパッケージ100の一部分を図示している。パッケージ100は、第1基板102及び第2基板103と、第1基板102と第2基板103との間の少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造104と、少なくとも一つのスタンドオフ構造104の上の接合層108と、第1基板102の表面上の第1横向き電気接続線109及び第2基板103の表面上の第2横向き電気接続線110とを具備する。少なくとも一つのスタンドオフ構造104の接合層108を介して第1横向き電気接続線109と第2横向き接続線110との間に電気接続が形成される。これは、深溝部及び/又はキャビティを備える深溝部により電極とパッドとが分離されている時、或いは、デバイスの電極がパッケージングの内側の深溝部とパッケージングの外側のパッドとを有する時には取り分け、デバイスの電極とパッドとの間での電気相互接続を可能にする。接合構造の加工中に構造が自動的に生成される。故に、製造プロセスを一層複雑で費用の掛かるものにするであろう追加のリソグラフィ又はエッチングプロセスが必要とされ無い。
【0021】
接合層108は共晶合金を包含する。共晶合金は二以上の金属を包含し得る。適当な共晶合金は、例えば、ゲルマニウム‐アルミニウム、金‐スズ、金‐ゲルマニウム、金‐シリコン、金‐インジウム、又は銅‐スズ合金を含む。
【0022】
一実施形態によれば、少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造104の各々は、5μm未満など10μm未満であって、例えば1~2μmの高さを有する。
【0023】
一実施形態によれば、第1横向き電気接続線109の厚さは0.5~1μmなど0.2~5μmである。
【0024】
一実施形態によれば、第1横向き電気接続線109の厚さは少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造104の高さより小さい。
【0025】
一実施形態によれば、接合層108の厚さは0.5~2μmなど5μm未満である。
【0026】
一実施形態によれば、第1基板102は第1基板102の表面上に不動態化層111を具備する、及び/又は、第2基板103は第2基板103の表面上に不動態化層112を具備する。不動態化層は、例を挙げると、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、又は窒化アルミニウム(AlN)を包含し得る。不動態化層は、基板要素の間での電気接触を防止することによりパッケージ又はパッケージデバイスの要素の短絡を防止する。
【0027】
一実施形態において、第1基板102及び第2基板103はシリコン又はセラミックを包含する。シリコンは、受ける疲労が非常に少なく、破損を起こさずに長期の使用寿命を有し得るので、非常に信頼できる基板材料である。単結晶形態において、シリコンは事実上ヒステリシスを有さず、その為、エネルギー散逸がほぼ生じ無い。適当なセラミック基板は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、又は炭化ケイ素である。ウルツ鉱型構造の窒化アルミニウムは、焦電気性及び圧電性の特性を示し、これは、例えば垂直力及び剪断力に対する感度を備えるセンサの生産を可能にする。窒化チタンは高い導電性と高い弾性率とを呈する。
【0028】
一実施形態によれば、第1横向き電気接続線109と第2電気接続線110とは、モリブデン、アルミニウム、又は銅などの金属を包含する。これらの金属は、パッケージの内側のデバイスとパッケージの外側の電気回路との間での横向き電気接続線における良好で信頼できる電気接続を可能にする。
【0029】
一実施形態によれば、絶縁スタンドオフ構造104は、セラミック材料などの誘電材料を包含する。スタンドオフ構造は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)、又は炭化ケイ素(SiC)を包含し得る。これらの物質は、接合層108の為の良好な湿潤表面と良好な電気絶縁とを提供する。
【0030】
一実施形態において、パッケージ100,200は第1基板102,202に少なくとも一つの溝部113,205,213を具備する。そして、少なくとも一つのスタンドオフ構造104,214,215,216,217の接合層108を介して第1横向き電気接続線109,209と第2横向き接続線110,210との間に、又、第2横向き接続線を介して少なくとも一つの溝部113,205,213を越えて、電気接続が形成される。これは、溝部により分離されているデバイスの電気相互接続を提供する、簡単で費用効果の高い構造を可能にする。
【0031】
一実施形態によれば、ウェハレベルパッケージ200は第2基板203にキャビティ224を具備する。
【0032】
一実施形態によれば、パッケージ200はキャビティ224の表面上にゲッタ225を具備する。ゲッタ225は、真空を生成及び維持するのに使用され得る。ゲッタは薄膜ゲッタであり得る。ゲッタは、水蒸気、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水素、及び/又は、他の気体など、キャビティへ放出されると予測される気体の一部又は全てを吸収する。ゲッタは、気体を容易に吸収する金属を包含する。例えば、ゲッタは、以下のもの、すなわちチタン、アルミニウム、ジルコニウム、ホウ素、コバルト、カルシウム、ストロンチウム、又はトリウムのうち少なくとも一つを包含し得る。
【0033】
一実施形態において、ウェハレベルパッケージ200は少なくとも一つの密閉構造219を具備する。密閉構造219は、第1基板202と第2基板203との間のシールリング221と、第2基板の表面上の接合層222と、接合層の融解金属をマイクロリングの間に閉じ込めるシールリング内の複数のマイクロリング223とを具備し得る。
【0034】
シールリング及び他の関連構造についての詳しい情報は、参照により本明細書に援用されるフィンランド特許出願第20205075号に提示されている。
【0035】
密閉構造219のマイクロリングは、基板の接合における、取り分け基板の共晶接合におけるプロセスウィンドウを広げる。又、マイクロリングの正確な高さ故にマイクロリングでは正確な間隙が設けられ、この間隙には、空所のように温度及び圧力の不均一性が見られない。密閉構造は、局所的圧入及び摩擦の増大の故に接合基板の間での滑動による不整合を抑制し、こうして接合品質を向上させる。
【0036】
シールリング221は、誘電材料又はセラミック材料、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)、又は炭化ケイ素(SiC)を包含し得る。
【0037】
接合層222は共晶合金を包含し得る。共晶合金は二以上の金属を包含し得る。適当な共晶合金は、例えば、ゲルマニウム‐アルミニウム、金‐スズ、金‐ゲルマニウム、金‐シリコン、金‐インジウム、又は銅‐スズ合金を含む。
【0038】
次に実施形態例によってデバイス用のウェハパッケージの構造がより詳しく考察される。
【0039】
図2A乃至2Cは、パッケージ200が第1基板202と第2基板203との間に四つのスタンドオフ構造214,215,216,217を具備することを図示している。パッケージは、スタンドオフ構造214,215,216,217の上に接合層208を具備する。第1横向き電気接続線209は第1基板202の表面上にあり、第2横向き電気接続線210は第2基板203の表面上にある。
【0040】
図2A乃至2Cは、パッケージ200が第1基板202に少なくとも一つの溝部205,213を具備することを図示している。パッケージは、絶縁スタンドオフ構造214,215の間の溝部205と、絶縁スタンドオフ構造216,217の間の溝部213とを具備し得る。そして、スタンドオフ構造214,215の接合層208と溝部205を越える第2横向き電気接続線210とを介して、またスタンドオフ構造216,217の接合層208と共に溝部213を越える第2横向き電気接続線210を介して、第1横向き電気接続線209と第2横向き接続線210との間に電気接続が形成される。
【0041】
図2A乃至2Cは、キャビティ226を備える溝部213をパッケージ200が具備することを図示している。
【0042】
図2Bは、スタンドオフ構造215の接合層208を通って、及びスタンドオフ構造214,215の間の溝部205を越える第2横向き電気接続線210を通って、第1電気横向き接続線209から第2横向き電気接続線210へ電気信号が通過できることを図示している。それぞれにおいて、スタンドオフ構造214の接合層208を通って第2横向き電気接続線210から第1横向き電気接続線209へ電気信号が通過できる。
【0043】
図2Cは、スタンドオフ構造216の接合層を通って、及びスタンドオフ構造216,217の間の溝部213を越える第2横向き電気接続線210を通って、第1横向き電気接続線から第2横向き電気接続線へ電気信号が通過できることを図示している。それぞれにおいて、スタンドオフ構造217の接合層208を通って第2横向き電気接続線210から第1横向き電気接続線209へ電気信号が通過できる。
【0044】
更に、
図2Aは、ウェハレベルパッケージ200が第2基板203にキャビティ224を具備することを図示している。加えて、パッケージ200はキャビティ224の表面上にゲッタ225を具備する。
【0045】
図2A乃至2Cは、ウェハレベルパッケージ200が密閉構造219を具備することを図示している。密閉構造219はキャビティ224を囲繞し得る。
【0046】
一実施形態によれば、デバイス用のウェハレベルパッケージ100,200を形成する為の方法が提供され、この方法は、第1基板102,202の表面上に第1横向き電気接続線109,209を作製することと、第2基板103,203の表面上に第2横向き電気接続線110,210を作製することと、第1横向き電気接続線109,209の一部分にわたって少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造104,214,215,216,217を作製することと、少なくとも一つのスタンドオフ構造104,214,215,216,217の表面上に第1接合材料層106,206を作製することと、第1接合材料層106,206を第2横向き電気接続線110,210と接合してスタンドオフ構造104,214,215,216,217に接合層108,208を生成し、少なくとも一つのスタンドオフ構造104,214,215,216,217の接合層108,208を介して第1横向き電気接続線109,209と第2横向き接続線110,210との間に電気接続を生成することとを包含する。これは、デバイスの為の電気相互接続を設ける簡単でコスト効果の高い手法を可能にする。
【0047】
第1接合材料層106,206と第2横向き電気接続線110,210との接合は、共晶接合により設けられる。最初に、共晶合金の共晶温度より低い値まで温度が上げられ得る。そして、第1基板と第2基板の両方の均一な加熱を達成するように短時間にわたって温度が一定に維持され得る。その後、共晶点を超える温度まで温度が上げられ得る。最後に、共晶温度を下回る温度まで構造が冷却され得る。
【0048】
共晶接合は、接合中に高い一定の力の使用を必要としない。共晶接合プロセスは液相を経るので、直接ウェハ接合方法と比較して、共晶結合は、表面平坦性の不規則性、傷と共に粒子に影響を受け難い。
【0049】
一実施形態によれば、第2横向き電気接続線110,210は、第2横向き電気接続線110,210の表面上に第2接合材料層107,207を具備する。故に、第1接合材料層106,206が第2接合材料層107,207と接合されて接合層108,208が生成され得る。
【0050】
一実施形態によれば、この方法は、第1基板102,202の表面上に不動態化層111,211を作製すること、及び/又は、第2基板103,203の表面上に不動態化層112,212を作製することを包含する。層が酸素及び/又は蒸気に露出されて薄い表面層を層に成長させる熱酸化により、不動態化層111,112が成長され得る。
【0051】
一実施形態によれば、この方法は、第1基板102,202に少なくとも一つの溝部113,205,213を作製することを包含する。この方法は、絶縁スタンドオフ構造214,215の間に溝部205を、そして絶縁スタンドオフ構造216,217の間に溝部213を作製することを包含し得る。溝部は、例えばシリコン湿式又は乾式エッチングにより形成され得る。
【0052】
この方法は、第2基板203にキャビティ224を形成することを包含し得る。キャビティは、例えばシリコン湿式又は乾式エッチングにより形成され得る。
【0053】
更に、この方法は、第2基板203のキャビティ224にゲッタ225を形成することを包含し得る。ゲッタ225は、ゲッタ蒸着プロセスにより形成され得る。例えば、スパッタリング、抵抗蒸発、Eビーム蒸発、又は他の適当な蒸着技術により、ゲッタが蒸着され得る。
【0054】
一実施形態において、この方法は、第1横向き電気接続線209の一部分にわたって少なくとも一つの密閉構造219を作製することを包含する。最初に、密閉構造219のシールリング221が第1横向き電気接続線209の一部分にわたって形成される。そして、シールリング221の表面上に第1接合材料層206が形成される。その後、第2基板203の表面上に第2接合材料層207が形成される。最後に、第1接合材料層が第2接合材料層と接合されて接合層208が生成される。
【0055】
少なくとも一つの密閉構造219の層は、少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造104,214~217の層と同時に形成され得る。例えば、絶縁スタンドオフ構造104,214~217が形成されている間に、密閉構造219のシールリング221が形成され得る。従って、密閉構造の第1接合材料層206及び第2接合材料層207と絶縁スタンドオフ構造とが同時に形成され得る。
【0056】
次にデバイス用のウェハパッケージを形成する為の方法が実施形態例によってより詳しく考察される。
【0057】
図3A乃至3Fは、幾つかの実施形態による第1構造の製造方法を図示している。最初に、MEMS構造を用意する為の第1基板202が得られる。この構造は、
図3Aに図示されているように、共に接合されて内側にキャビティを包囲する二つのシリコン層を具備する。そして、第1基板202の上に不動態化層211が設けられる(
図3B)。不動態化層211の上に第1横向き電気接続線209が蒸着される(
図3C)。その後、第1横向き電気接続線209の上に少なくとも一つの絶縁スタンドオフ構造214,215,216,217が蒸着される。更に又、第1横向き電気接続線209には少なくとも一つの密閉構造219も蒸着され得る(
図3D)。そして、
図3Eに図示されているように、少なくとも一つのスタンドオフ構造214,215,216,217及び/又は少なくとも一つの密閉構造219の表面上に、第1接合材料層206が蒸着される。最後に、例えばシリコン湿式又は乾式エッチングにより、溝部205,213とMEMSデバイス218とが第1基板202に形成される。
【0058】
図4A乃至4Eは、幾つかの実施形態による第2構造の製造方法を図示している。最初に、第2基板203の上に不動態化層212が設けられる(
図4A)。そして、第2横向き電気接続線210と第2接合材料層207とが不動態化層212の上に蒸着される(
図4B)。
図4Cに図示されているように、例えば、プラズマ洗浄、湿式化学エッチング、又は乾式化学エッチングにより、不動態化層212が部分的に除去され得る。その後、例えばシリコン湿式又は乾式エッチングにより、第2基板203にキャビティ224が形成され得る(
図4D)。最後に、そして任意で、
図4Eに図示されているように、キャビティ224の表面上にゲッタ225が蒸着され得る。
【0059】
第1接合材料層106,206及び第2接合材料層107,207のようなウェハレベルパッケージ100,200の層の蒸着は、蒸着プロセスにより実行され得る。蒸着プロセスは、例えば物理蒸着(PVD)又は化学蒸着(CVD)を包含し得る。
【0060】
図5は、ウェハレベルパッケージを形成する為の代替実施形態を図示している。第1基板302は、第1基板の表面上に不動態化層311を具備する。加えて、第1基板302は、密閉構造319と第1横向き接続線309とを第1基板の表面上に具備する。密閉構造319は、シールリング321と、シールリングの表面上の第1接合材料層306とを具備する。第2基板303はスタンドオフ構造304を具備する。スタンドオフ構造304は、第2接合材料層307をスタンドオフ構造の表面上に具備する。密閉構造とスタンドオフ構造304との間の第1基板には、溝部313が形成される。
【0061】
密閉リング321上の第1接合材料層306を第2接合材料層307と接合して接合層を形成することにより、ウェハレベルパッケージが形成される。そして、第2接合材料層307を介して少なくとも一つの溝部313を越えて電気接続が形成される。
【0062】
図6は、ウェハレベルパッケージの為の代替実施形態を図示している。第1基板402はスタンドオフ構造404を具備する。第1接合材料層406は、スタンドオフ構造404の表面と第1基板402との上に部分的に設けられている。第2基板403は、第2横向き電気接続線410と密閉構造419とを具備する。密閉構造419はシールリング421を具備する。第2接合材料層407は、シールリングの表面上に、そして第2横向き電気接続線410の表面上に部分的に設けられている。第1基板は更に第1基板の表面上に不動態化層411を具備し、第2基板は更に第2基板の表面上に不動態化層412を具備し得る。スタンドオフ構造404と密閉構造419との間の第1基板には、溝部413が設けられている。
【0063】
ウェハレベルパッケージは、第1接合材料層406と第2接合材料層407とを接合することにより形成される。そして、第2横向き電気接続線410を介して溝部を越えて電気接続が形成される。
【0064】
幾つかの実施形態によれば、密閉構造はMEMSデバイスの為のものである。しかしながら、自動車用デバイス、例えばライダーコンポーネント及びタイヤ圧センサと、RFコンポーネント、例えばスイッチ、フィルタ、インダクタ、アンテナと、受動光素子、例えばシリコン導波管及びモジュレータと、マイクロ分光計と、プラズモニックデバイスのような他のデバイスで、密閉構造が使用され得る。
【0065】
開示される本発明の実施形態は、本明細書に開示される特定の構造、プロセス、ステップ、又は材料に限定されず、当業者により認識されるであろうその同等物にも拡張されることが理解されるはずである。本明細書で採用される用語は特定の実施形態を記述することのみを目的として使用され、限定の意図は無いことも理解されるべきである。
【0066】
「一実施形態(one embodiment)」又は「実施形態(an embodiment)」についての本明細書全体での言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味している。故に、明細書全体の様々な箇所に「一実施形態において」又は「実施形態において」という語句が現れても、必ずしも全てが同じ実施形態に言及している訳では無い。
【0067】
本明細書で使用される際に、複数の物品、構造要素、構成要素、及び/又は、材料は、利便性の為に共通のリストで提示され得る。しかしながら、リストの各部材が別々の固有の部材として個々に識別されるものであるかのようにこれらのリストが解釈されるべきでは無い。故に、逆の指摘が無い限り、共通グループでの提示にのみ基づいて、このようなリストの個々の部材が同じリストの他の部材の事実上の同等物として解釈されるべきでは無い。加えて、本発明の様々な実施形態及び例が、本明細書でのその様々なコンポーネントの代替物と共に、本明細書で言及され得る。このような実施形態、例、そして代替物が互いの事実上の同等物として解釈されてはならず、本発明の別々の自立した代表例と見なされるものであることは理解されている。
【0068】
更に、記載された特徴、構造、又は特性が一以上の実施形態において何らかの適当な形で組み合わされてもよい。以下の記載では、発明の実施形態の完全な理解を提供するように、長さ、幅、形状等の例のように多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら当業者は、具体的詳細のうち一以上を含まずに、或いは他の方法、コンポーネント、材料等と共に発明が実践され得ることを認識するだろう。他の事例では、発明の態様を曖昧にすることを避けるように、周知の構造、材料、又は操作が示されないか詳しく記載されない。
【0069】
上記の例は、一以上の特定の用途において本発明の原理を例示するものであるが、発明力の行使を伴わずに、そして発明の原理及び概念から逸脱せずに、形態、使用、及び実装の詳細における様々な修正が行われ得ることは当業者には明白であろう。従って、下に提示される請求項によるものを除いて本発明が限定されることは意図されていない。
【0070】
「具備/包含する(to comprise)」と「含む(to include)」という動詞は、本書において、記載されていない特徴の存在を除外することも必要とすることも無い、開かれた限定として使用されている。従属請求項に記載されている特徴は、そうでは無いことが明記されていない限り、相互に自由な組み合わせが可能である。更に、本書全体において“a”又は“an”つまり単数形の使用が複数を除外していないことが理解されるはずである。
【符号の説明】
【0071】
100,200 ウェハレベルパッケージ
102,202,302,402 第1基板
103,203,303,403 第2基板
104,304,404 スタンドオフ構造
106,206,306,406 第1接合材料層
107,207,307,407 第2接合材料層
108,208 接合層
109,209,309 第1横向き電気接続線
110,210,410 第2横向き電気接続線
111,112,211,212,311,411,412 不動態化層
113,205,213,313,413 溝部
214~217 スタンドオフ構造
218 MEMSデバイス
219,319,419 密閉構造
221,321,421 シールリング
222 接合層
223 マイクロリング
224,226 キャビティ
225 ゲッタ
【国際調査報告】