(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(54)【発明の名称】食品組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20231013BHJP
A23K 20/158 20160101ALI20231013BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20231013BHJP
【FI】
A23L33/105
A23K20/158
A23K10/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518175
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 US2021050778
(87)【国際公開番号】W WO2022066513
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ルルクセル,エム ニコラス
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
【Fターム(参考)】
2B150AA06
2B150DD42
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018LE06
4B018MD07
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4B018ME06
4B018ME14
4B018MF06
4B018MF09
4B018MF14
(57)【要約】
本開示は、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを含む食品組成物、その製品およびキットに関する。本開示は、また、保存料としての使用のための、かつ/または医薬品としての使用のための、特に、動物の免疫応答を惹起するかまたは増加させるための方法において使用するための、かかる食品組成物、製品およびキットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の
(i)カルノシン酸源;
(ii)ヒドロキシチロソール源;および
(iii)タンニン源
の組み合わせを含む、食品組成物。
【請求項2】
前記タンニン源が約40ppm(約0.004%)未満の量で存在する、請求項1記載の食品組成物。
【請求項3】
前記(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源および(iii)タンニン源が、各々、約40ppm(約0.004%)未満の量で存在する、請求項1または2記載の食品組成物。
【請求項4】
前記(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源および(iii)タンニン源が、各々、約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在する、請求項1から3までのいずれか1項記載の食品組成物。
【請求項5】
前記タンニン源が加水分解性タンニン源である、請求項1から4までのいずれか1項記載の食品組成物。
【請求項6】
前記タンニン源が、ガロタンニン源、エラジタンニン源、またはそれらの組み合わせである、請求項1記載の食品組成物。
【請求項7】
前記タンニン源が、タンニン酸源、没食子酸源、エラグ酸源、またはそれらの組み合わせである、請求項1記載の食品組成物。
【請求項8】
前記タンニン源が、タンニン酸源の組み合わせである、請求項1記載の食品組成物。
【請求項9】
前記タンニン源が、タンニン酸源と没食子酸源との組み合わせであり、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:5~約1:50の範囲である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項10】
トコフェロールを含まない、請求項1から9までのいずれか1項記載の食品組成物。
【請求項11】
機能性食品、食事、食品添加物、食品保存料、サプリメント、薬品、食品、または栄養学的に完全な食品組成物であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の食品組成物。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の食品組成物を含む、コンパニオン動物用食品製品。
【請求項13】
トコフェロールを含まない、請求項12記載のコンパニオン動物用食品製品。
【請求項14】
コンパニオン動物用食品製品を調製するためのキットであって、
(i)カルノシン酸源;
(ii)ヒドロキシチロソール源;および
(iii)タンニン源
を含む、キット。
【請求項15】
動物用食品製品の保存料としての、請求項1から14までのいずれか1項記載の食品組成物、製品またはキットの使用。
【請求項16】
医薬品としての使用のための、請求項1から14までのいずれか1項記載の食品組成物、製品またはキット。
【請求項17】
動物の免疫応答を惹起するかもしくは増加させるための方法、または動物の感染および/もしくはアレルギー反応の発生の可能性を防止もしくは低減するための方法における使用のための、請求項1から14までのいずれか1項記載の食品組成物、製品またはキット。
【請求項18】
ウイルスまたは細菌または寄生虫感染に対する免疫応答を惹起するかまたは増加させるための使用のための、請求項1から14までのいずれか1項記載の食品組成物、製品またはキット。
【請求項19】
コンパニオン動物用食品製品を製造するための方法であって、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源を混合するステップを含む、方法。
【請求項20】
コンパニオン動物用食品製品のPV(過酸化物価)を維持するための方法であって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせに前記コンパニオン動物用食品製品を接触させるステップを含む、方法。
【請求項21】
前記コンパニオン動物用食品製品の前記PVが、少なくとも12ヶ月間、脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
(i)前記カルノシン酸源が、約40ppm(約0.004%)未満の量であり、(ii)前記ヒドロキシチロソール源が、約40ppm(約0.004%)未満の量であり、(iii)タンニン源が、約40ppm(約0.004%)未満の量である、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
コンパニオン動物用食品製品のヘキサナール値を維持するための方法であって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせに前記コンパニオン動物用食品製品を接触させるステップを含む、方法。
【請求項24】
前記コンパニオン動物用食品製品の前記ヘキサナール値が、少なくとも約12ヶ月間、約15ppm(約0.0015%)未満である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
(i)前記カルノシン酸源が、約40ppm(約0.004%)未満の量であり、(ii)前記ヒドロキシチロソール源が、約40ppm(約0.004%)未満の量であり、(iii)前記タンニン源が、約40ppm(約0.004%)未満の量である、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
細胞酸化ストレスの発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の前記食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを前記コンパニオン動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項27】
炎症または炎症性障害の発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の前記食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを前記コンパニオン動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項28】
コンパニオン動物において免疫応答を惹起または防止するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の前記食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを前記コンパニオン動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項29】
コンパニオン動物における感染および/またはアレルギー反応の発生の可能性を防止または低減するためなどの、上記で定義されるような治療方法であって、
a)有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに
b)有効量の前記食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを前記コンパニオン動物に投与するステップ
を含む、治療方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2020年9月24日に出願された欧州特許出願第20198127.1号の優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、食品組成物、殊に食品添加物、および治療方法の分野に関する。こういった食品組成物は、コンパニオン動物、殊にペットに特に好都合である。有利には、本開示は、保存料として、かつ健康改善のために、単独で、またはコンパニオン動物用食品製品の形態で、二重の特性を有する食品組成物に関連する。
【背景技術】
【0003】
食品製品は、食品製品中の脂肪分が化学的および物理的に変化するため、酸敗するようになる可能性がある。脂質酸化は、開始、伝播および終了という3つの主要な段階からなる一般な望ましくない連鎖反応である。この酸化プロセス中、不飽和脂肪酸はゆっくりと酸化される。その結果、一連の分解生成物が生成され、これにより食品の嗜好性が悪くなり、酸敗した風味につながる可能性がある。
【0004】
この現象は、特にペットなどの動物にとって、栄養上のリスクを引き起こす可能性がある。特に、酸敗した食品製品は、酸化が良質の脂肪分およびビタミンの一部を破壊するため、栄養価が低くなる。専門家たちは、時々、酸敗した食品製品または油を定期的に摂取すると、炎症性疾患、心血管疾患、成長、骨形成および免疫機能の低下、さらには特定の癌の発症に寄与する可能性があるという見解で一致している。食品製品の保存寿命を延ばし、これらの栄養上の問題を克服するためには、影響を受けやすい材料に抗酸化物質を添加することが有効である。抗酸化物質は飼料添加物(European Union Register of Feed Additives, Annex I of Regulation (EC) No. 1831/2003)に分類され、食品組成物の酸化劣化プロセスを遅らせ、ひいては酸化安定性を改善する物質と定義されている。
【0005】
ペット用食品組成物などの動物用食品において、これらの抗酸化物質としては、主に、合成抗酸化物質として、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が挙げられる。しかしながら、これらの合成抗酸化物質には、いかなる栄養上の活性もなく、発癌性または内分泌撹乱作用が疑われている。
【0006】
防止原則として、一部の食品組成物が、合成保存料に代わって、一般に天然由来の混合トコフェロールのみをベースとした抗酸化系を採用している。トコフェロールをベースとしたこれらの天然保存料系は、ドライ食品組成物、すなわちキブル(kibble)などの食品組成物中の脂質酸化を低減するための合成系よりも効率が悪い。
【0007】
特許文献1は、脂肪分含有組成物中のトコフェロールの抗酸化作用を増強する天然抗酸化物質の組み合わせを記載しており、これには、トコフェロール、カルノシン酸および加水分解性ガロタンニンが含まれる。
【0008】
非特許文献1は、ザクロ、ローズマリーおよびオリーブのエキス(ヒドロキシチロソールなどのフェノール化合物を含有する傾向がある)が、合成添加物の代替として、食品組成物の抗酸化物質および抗微生物剤として機能することを記載している。
【0009】
それにもかかわらず、トコフェロールをベースとしたこれらの保存料系は、脂質酸化を低減するための合成系よりも効率が悪く、そのため、製品の鮮度が損なわれ、酸敗性が増加する可能性があり、そのため、製品の拒否、嘔吐、下痢、および/または栄養的に偏った食品組成物につながる可能性がある。実際、天然抗酸化物質は、合成抗酸化物質よりも安定性が低い傾向にある。
【0010】
特許文献2は、細胞の解毒を促進し、炎症を抑制する天然抗酸化物質を含む経口製剤を記載している。
【0011】
最も注目すべきは、現在、ペット用食品業界は、ペットに対する食品嗜好性に悪影響を及ぼす可能性があるため、天然抗酸化物質の使用に懸念を抱いていることである。
【0012】
それにもかかわらず、これらの食品製品は、特定の保存活性を示さず、嗜好性がない。
【0013】
したがって、増加した抗酸化特性、増加した安定性、およびコンパニオン動物用食品製品の調製にも好都合である新規な食品組成物が必要とされている。
【0014】
コンパニオン動物用食品製品用の保存料としての新規な食品組成物が必要とされている。
【0015】
コンパニオン動物用食品製品の嗜好性も経時的に保持する新規な食品組成物が必要とされている。
【0016】
天然源を含み、かつ/または合成添加物を含まない新規な食品組成物が必要とされている。
【0017】
より少ない量のトコフェロールを含み、またはかかるトコフェロールを含まない新規な食品組成物が必要とされている。
【0018】
また、コンパニオン動物用食品組成物、殊にイヌおよびネコなどのペットに投与されることを意図した組成物の嗜好性、ならびに全体的な受容性および外観を損なわない新規な食品組成物も必要とされている。
【0019】
コンパニオン動物のワクチン応答を増加させる新規なコンパニオン動物用食品製品が必要とされている。
【0020】
コンパニオン動物の免疫応答を惹起するかまたは増加させる新規なコンパニオン動物用食品製品が必要とされている。
【0021】
細胞酸化ストレスおよび炎症から選択されるコンパニオン動物の症状の発生の可能性を防止または低減する新規な食品製品が必要とされている。
【0022】
本開示は、上記の必要性の全部または一部を満たすことを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】国際公開第2017/085099号
【特許文献2】国際公開第2012/125772号
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Martinez et al. (Antioxidant and Antimicrobial Activity of Rosemary, Pomegranate and Olive Extracts in Fish Patties; Antioxidants; 2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
開示された主題の目的および利点は、以下の説明に記載され、以下の説明から明らかであるだけでなく、開示された主題の実践によっても身につけられる。開示された主題の追加の利点は、明細書およびその特許請求の範囲で特に指摘されたデバイスによってだけでなく、添付の図面からも実現および達成されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0026】
これらおよび他の利点を達成するために、また、具体化され広範に記載されているように、開示された主題の目的に従って、開示された主題は、抗酸化特性および/または治療目的のために嗜好性がありながら、トコフェロールよりも効率が良く、合成抗酸化物質と同じくらい効率が良いことを実証している幾つかの植物エキスの組み合わせを含む。
【0027】
したがって、この二重効果は、特にペット用食品産業において、特に好都合であり得る。驚くべきことに、本明細書の本開示は、本開示による天然抗酸化組成物が、ネコおよびイヌなどのペットに対するコンパニオン動物用食品製品の嗜好性に悪影響を及ぼし得ないことを示す。
【0028】
第1の態様によれば、本開示は、有効量の:(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物に関する。
【0029】
特定の実施形態では、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源および(iii)タンニン源のうちの少なくとも1つは、各々、約40ppm(約0.004%)未満の量で;特に約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。かかる例示的な実施形態では、タンニン源は、40ppm(0.004%)未満の量で存在し得る。
【0030】
特定の実施形態では、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源および(iii)タンニン源のうちの少なくとも2つは、各々、約40ppm(約0.004%)未満の量で;特に、約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。
【0031】
特定の実施形態では、カルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源およびタンニン源は、各々、約40ppm(約0.004%)未満の量で;特に、約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。
【0032】
特定の実施形態では、カルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源およびタンニン源を合わせた総量は、約40ppm(約0.004%)未満;特に約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。
【0033】
特定の実施形態では、タンニン源は、加水分解性タンニン源を含み得る。特定の他の実施形態では、タンニン源は、ガロタンニン源および/またはエラジタンニン源を含み得る。特定の他の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源、エラグ酸源、没食子酸源、またはそれらの組み合わせを含み得る。ある特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、没食子酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源と没食子酸源との組み合わせであり得る。特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:5~約1:50の範囲であり得る。ある特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:10~約1:40であり得る。ある特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:15~約1:30であり得る。
【0034】
特定の実施形態では、本開示の食品組成物は、トコフェロールを含まない。ある特定の実施形態では、本開示の食品組成物は、ガンマおよび/またはデルタトコフェロールを含まない。
【0035】
特定の実施形態では、カルノシン酸源は、ローズマリーエキスであり得る。
【0036】
特定の実施形態では、ヒドロキシチロソール源は、オリーブエキスであり得る。
【0037】
特定の実施形態では、タンニン源は、没食子エキスであり得る。
【0038】
特定の実施形態では、本開示は、有効量の:(i)ローズマリーエキス;(ii)オリーブエキス;および(iii)没食子エキスの組み合わせを少なくとも含む食品組成物に関する。
【0039】
特定の実施形態では、食品組成物は、機能性食品、食事、食品添加物、食品保存料、サプリメント、薬品、食料、または栄養的に完全な食品組成物であり得る。
【0040】
別の態様によれば、本開示は、上記で定義されるような食品組成物を含むコンパニオン動物用食品製品を提供する。
【0041】
特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、少なくとも約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量でタンニン源を含み得る。
【0042】
特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、トコフェロールを含まない。
【0043】
特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、栄養的に完全な食品であり得る。
【0044】
別の態様によれば、本開示は、コンパニオン動物用食品製品の調製のためのキットであって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源を含む、キットを提供する。特定の実施形態では、タンニン源は、加水分解性タンニン源を含み得る。特定の実施形態では、タンニン源は、ガロタンニン源および/またはエラジタンニン源を含み得る。特定の他の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源、エラグ酸源、没食子酸源、またはそれらの組み合わせを含み得る。ある特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、没食子酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源と没食子酸源との組み合わせであり得る。特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:5~約1:50の範囲であり得る。ある特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:10~約1:40であり得る。ある特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:15~約1:30であり得る。
【0045】
別の態様によれば、本開示は、コンパニオン動物用食品製品の保存料としての、本開示で定義されるような食品組成物、製品またはキットの使用に関する。
【0046】
別の態様によれば、本開示は、医薬品として使用するための、本開示で定義されるような食品組成物、製品またはキットに関する。
【0047】
別の態様によれば、本開示は、コンパニオン動物の免疫応答を惹起するかもしくは増加させるための方法、またはコンパニオン動物の感染および/もしくはアレルギー反応の発生の可能性を防止もしくは低減するための方法において使用するための、本開示で定義されるような食品組成物に関する。
【0048】
特定の実施形態では、本開示で定義されるような食品組成物は、ウイルスまたは細菌または寄生虫感染に対する免疫応答を惹起するかもしくは増加させるための方法において使用することができる。
【0049】
特定の実施形態では、本開示で定義されるような食品組成物は、細胞酸化ストレスおよび炎症からなる群から選択されるコンパニオン動物の症状の発生の可能性を防止または低減するための方法において使用することができる。ある特定の実施形態では、本開示で定義されるような食品組成物は、DNA損傷を低減するために使用することができる。
【0050】
特定の実施形態では、コンパニオン動物は、ペットであり得る。ある特定の実施形態では、ペットは、イヌ科動物またはネコ科動物である。ある特定の実施形態では、ペットは、イヌまたはネコである。ある特定の実施形態では、ペットは、高齢のイヌまたは高齢のネコである。
【0051】
別の態様によれば、本開示は、動物用食品を製造するための方法であって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源を混合するステップを含む、方法を提供する。
【0052】
特定の実施形態では、動物用食品を製造する方法は、以下のステップ:a)(i)ヒドロキシチロソール源と(ii)タンニン源との組み合わせの押出物を提供するステップ;およびb)前述の押出物をカルノシン酸源でコーティングするステップを含み得る。
【0053】
特定の実施形態では、本開示は、コンパニオン動物用食品製品のPV(過酸化物価)を維持するための方法であって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせに前述のコンパニオン動物用食品を接触させるステップを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、前述のコンパニオン動物用食品製品のPVは、少なくとも12ヶ月間、脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満である。特定の実施形態では、(i)カルノシン酸源は、約40ppm(約0.004%)未満の量で前述のコンパニオン動物用食品製品中に存在し、(ii)ヒドロキシチロソール源は、約40ppm(約0.004%)未満の量で前述のコンパニオン動物用食品製品中に存在し、(iii)タンニン源は、約40ppm(約0.004%)未満の量で前述のコンパニオン動物用食品製品中に存在する。
【0054】
特定の他の実施形態では、本開示は、コンパニオン動物用食品製品のヘキサナール値を維持するための方法であって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせに前述のコンパニオン動物用食品製品を接触させるステップを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品のヘキサナール値は、少なくとも約12ヶ月間、約15ppm(約0.0015%)未満である。特定の実施形態では、(i)カルノシン酸源は、約40ppm(約0.004%)未満の量で前述のコンパニオン動物用食品製品中に存在し、(ii)ヒドロキシチロソール源は、約40ppm(約0.004%)未満の量で前述のコンパニオン動物用食品製品中に存在し、(iii)タンニン源は、約40ppm(約0.004%)未満の量で前述のコンパニオン動物用食品製品中に存在する。
【0055】
特定の他の実施形態では、本開示は、細胞酸化ストレスの発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0056】
特定の実施形態では、本開示は、細胞酸化ストレスの発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0057】
特定の実施形態では、本開示は、炎症または炎症性障害の発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物投与するステップを含む、方法を提供する。
【0058】
特定の実施形態では、本開示は、コンパニオン動物において免疫応答を惹起または防止するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0059】
特定の実施形態では、本開示は、コンパニオン動物における感染および/またはアレルギー反応の発生の可能性を防止または低減するためなど、上記で定義されるような治療方法であって、a)有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびにb)有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップを含む、治療方法を提供する。
【0060】
本開示の詳細な説明
本開示は、コンパニオン動物用食品製品の保存のための食品組成物を利用可能にすることを目的とする。本開示はまた、治療上の健康効果を有し得る食品組成物を利用可能にすることを目的とする。本開示はまた、治療上の健康効果をも有し得るコンパニオン動物用食品製品の保存のための食品組成物を利用可能にすることを目的とする。
【0061】
有効量のカルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源およびタンニン源の組み合わせを少なくとも含むコンパニオン動物用食品製品用の食品組成物が、本明細書で提供される。
【0062】
特定の実施形態では、この組み合わせは、食品製品中の酸敗を遅らせる。特定の実施形態では、この組み合わせは、コンパニオン動物の免疫応答を惹起するかもしくは増加させるか、またはコンパニオン動物の感染および/もしくはアレルギー反応の発生の可能性を防止もしくは低減する。特定の実施形態では、この組み合わせは、食品製品中の酸敗を遅らせることと、コンパニオン動物の免疫応答を惹起するかもしくは増加させるか、またはコンパニオン動物の感染および/もしくはアレルギー反応の発生の可能性を防止もしくは低減することの両方の活性を発揮し得る。
【0063】
驚くべきことに、有効量のカルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源およびタンニン源の組み合わせが、最終的なコンパニオン動物用食品製品の良好な嗜好性を維持しながら、食品保存料としての混合トコフェロールよりも効率が良く、参照合成抗酸化物質(例えば、没食子酸プロピル、BHA、BHT、エトキシキン、TBHQ等)と少なくとも同じ効率であるということが見出された。さらに、またこの組み合わせは、コンパニオン動物の免疫応答を惹起するかまたは増加させるための医薬品などの医薬品として使用できることも見出された。特定の実施形態では、また、この組み合わせは、コンパニオン動物の免疫応答を惹起するかまたは増加させるための機能性栄養食品などの機能性栄養食品として使用することができる。
【0064】
有利には、この有効成分の食品組成物はまた、植物エキスもしくは供給源および/または植物(vegetable)などの天然供給源に由来し得る。
【0065】
本開示で提供され、実施例に示されるように、かかる食品組成物は、原材料、殊に脂肪分を含有する原材料、およびドライもしくはウェットな完成品を酸敗腐敗に対して保存するために、有効量の幾つかの植物エキスの組み合わせを含み得るか、またはそれからなり得る。さらに、実施例に示されるように、かかる保存組成物は、コンパニオン動物にとって嗜好性がありながら、紙バッグ中または調整された雰囲気条件(ATCO)中のコンパニオン動物用食品製品の保存寿命を延ばすことが、本明細書で提供される。
【0066】
本開示でさらに提供され、本明細書で提供される実施例に示されるように、かかる食品組成物は、コンパニオン動物の免疫応答を惹起するかまたは増加させることができる。特に、特定の実施形態では、かかる組み合わせは、ワクチンに対する応答を増加させ、リンパ球の増殖を増加させることができる。
【0067】
したがって、本開示は、カルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源およびタンニン源の組み合わせを含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品の調製のためのキットに関する。
【0068】
本開示はさらに、本開示の食品組成物を含むコンパニオン動物用食品製品を提供する。本開示のこれらおよび他の態様は、以下でさらに詳細に議論される。
【0069】
定義
本明細書で使用される用語は、一般に、本主題の文脈内および各用語が使用される特定の文脈において、当該技術分野におけるその通常の意味を有する。特定の用語は、開示された主題の組成物および方法、ならびにそれらがどのように作製および使用されるかを説明する際に追加のガイダンスを提供するために、以下で定義される。
【0070】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上特に明記されていない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物」への言及は、化合物の混合物を含む。
【0071】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、当該技術分野の慣例に従って、3以内の標準偏差または3を超える標準偏差を意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、さらに好ましくは最大1%の範囲を意味し得る。また、特にシステムまたはプロセスに関して、この用語は、ある値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。
【0072】
さらに、「少なくとも」および「未満」という用語は、以下に引用される値を包含する。例えば、「少なくとも40ppm(少なくとも0.004%)」は、「40ppm(0.004%)」も包含するものとして理解されなければならない。
【0073】
本明細書で使用される場合、「動物」または「ペット」という用語は、例えば、家畜または野生動物を指すために使用することができる。特定の実施形態では、この用語は、ネコもしくはネコ科動物、またはイヌもしくはイヌ科動物を指すことができる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸源」という用語は、アミノ酸を含有する材料を意味する。前述のアミノ酸源は、植物性タンパク質、動物性タンパク質、単細胞生物からのタンパク質、および遊離アミノ酸を含むか、またはそれらから誘導され得るが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書で使用される場合、「動物性タンパク質」という用語は、動物をベースとしたタンパク質源を指す。かかる動物性タンパク質は、例えば、肉(例えば、豚、牛、または子牛)、家禽(例えば、鶏)、魚、臓器(例えば、肝臓、脾臓、または心臓)、内臓(例えば、鶏または豚の内臓)、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書で使用される場合、「抗酸化物質」という用語、動物用食品、特に酸化可能な脂肪分の酸化を遅延または防止する任意の分子、組成物または製品を指す。本開示の保存性食品組成物は、酸化プロセスを防止または阻害する。さらに、本開示の保存料は、それを含む動物用食品の新鮮な属性および栄養品質を維持する。有利には、かかる保存性食品組成物中に存在する抗酸化物質は、非合成(すなわち、天然)抗酸化物質のみからなる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「合成抗酸化物質」という用語は、脂質酸化を防止するのに役立つ保存料として食品に添加することができる、化学的に合成された、天然には存在しない化合物を指す。したがって、この用語は、非網羅的には、以下の化合物:ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、TBHQ(tert-ブチルヒドロキシキノン)、没食子酸プロピル(PG)、没食子酸ドデシル(DG)、没食子酸オクチル(OG)およびキレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を包含する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「天然抗酸化物質」という用語は、抗酸化特性を有する天然に存在する化合物を指す。
【0079】
所与の製品または組成物(すなわち、本開示の保存性食品組成物)の「抗酸化」特性は、脂質、リポタンパク質、タンパク質またはDNAなどの分子の酸化を、所与の時間にわたって遅延または防止する能力を決定することによって評価することができる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「イヌ科動物」という用語、認知されたイヌ種(そのうちの一部はさらに細分化される)を含む群において選択されるペットを含む動物を包含し、この動物としては、アフガン・ハウンド、エアデール、アキタ、アラスカン・マラミュート、バセット・ハウンド、ビーグル、ベルジアン・シェパード、ブラッドハウンド、ボーダー・コリー、ボーダー・テリア、ボルゾイ、ボクサー、ブルドック、ブル・テリア、ケアーン・テリア、チワワ、チャウ、コッカー・スパニエル、コリー、コーギー、ダックスフンド、ダルメシアン、ドーベルマン、イングリッシュ・セッター、フォックス・テリア、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリバー、グレート・デーン、グレーハウンド、グリフォン・ブリュッセロワ、アイリッシュ・セッター、アイリッシュ・ウルフハウンド、キング・チャールズ・スパニエル、ラブラドール・レトリバー、ラサ・アプソ、マスチフ、ニューファンドランド、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、パピオン、ペキニーズ、ポインター、ポメラニアン、プードル、パグ、ロットワイラー、セント・バーナード、サルーキ、サモエド、シュナウザー、スコティッシュ・テリア、シェットランド・シープドッグ、シーズー、シベリアン・ハスキー、スカイ・テリア、スプリンガー・スパニエル、ウエスト・ハイランド・テリア、ウィペット、ヨークシャー・テリア等を挙げることができる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「コンパニオン動物」という用語は、ペットを指す。ペットは、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット、ラットおよびマウスを包含する。好ましくは、本明細書のある特定の実施形態では、本明細書のペットは、ネコ科動物またはイヌ科動物であり、殊にイヌおよびネコである。
【0082】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、もしくは装置がそれらの要素のみを含むのではなく、明示的にリストされていない他の要素またはかかるプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の要素を含み得るように、非網羅的な包含を対象に含めることを意図している。
【0083】
本明細書の詳細な説明において、「実施形態」、「ある実施形態」、「一実施形態」、「様々な実施形態では」等への言及は、記載される実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態が、必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むとは限らないことを示す。さらに、かかる言い回しは、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、ある実施形態に関連して説明されている場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してかかる特徴、構造、または特性に影響を与えることは、当業者の知識の範囲内であると提示される。説明を読んだ後、関連する技術の当業者には、代替の実施形態では本開示をどのように実施するかが明らかであろう。
【0084】
本明細書で使用される場合、「食品組成物」とは、望ましくない化学変化を防止するために、飲料を含む食品製品に添加することができる任意の分子もしくは物質、またはそれらのブレンドの組み合わせを指す。「食品組成物」という用語は、「天然抗酸化組成物」、「保存性食品組成物」、「抗酸化物質の組み合わせ」および「組成物」という用語を包含する。
【0085】
本明細書で使用される場合、「コンパニオン動物用食品」または「動物用食品」または「食品製品」または「製品」または「食事」という用語は、コンパニオン動物またはペットによる摂取を目的とする組成物または製品を指す。動物用食品製品としては、毎日の飼料だけでなく、おやつにも適しており、栄養的にバランスがとれているか否かにかかわらず、栄養的に完全であるか否かにかかわらず、任意の組成物または製品を挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、かかる組成物は、タンパク質、炭水化物および/または脂肪分を含有することができ、これは、生物の体内で、成長、修復および生命維持のプロセスを維持し、エネルギーを供給するために使用される。食品はまた、補助物質または添加物、例えば、ミネラル、ビタミンおよび調味料を含有することができる(Merriam-Webster’s Collegiate Dictionary, 10th Edition, 1993を参照)。
【0086】
本明細書に開示される保存性食品組成物および動物用食品製品は、ドライまたはウェットな食品であり得る。特に、動物用食品製品または保存性食品組成物は、動物用ドライ食品製品またはドライ食品組成物であり得る。
【0087】
本明細書で使用される場合、「機能性食品」という用語は、健康維持に重要な栄養成分を提供する食品製品を意味する。これらの機能性食品組成物は、プロバイオティクス、アミノ酸、マルチビタミン、および抗酸化物質などの生物学的に活性または生物学的に利用可能な化合物を含有し、多くの場合、疾患および障害の処置または正常な健康状態の維持に有用であることが見出されている。
【0088】
本明細書で使用される場合、「動物用ドライ食品製品」または「ドライ保存性食品組成物」という用語は、一般に、食品製品または組成物の総重量に対して、12質量%未満、通常はさらに7質量%未満の水分含有量を有する食品製品または組成物を指す。動物用ドライ食品製品は、押出プロセスによって形成することができる。幾つかの実施形態では、動物用ドライ食品製品は、コアおよびコーティングから形成されて、コーティングされている動物用ドライ食品製品(コーティングされた動物用ドライ食品製品とも呼ばれる)を形成することができる。「動物用ドライ食品製品」という用語が使用される場合、それはコーティングされていない動物用ドライ食品製品またはコーティングされた動物用ドライ食品製品を指すことができることを理解されたい。動物用ドライ食品組成物は、キブルであり得る。
【0089】
本明細書で使用される場合、「キブル」という用語は、イヌおよびネコの飼料などの動物飼料の粒子状ペレット様成分を含み、典型的には、キブルの総重量に対して12質量%未満の水分、すなわち水の含有量を有する。キブルの食感は、硬いものから柔らかいものまで、様々であり得る。キブルの内部構造は、膨張したものから密集したものまで様々であり得る。
【0090】
本明細書で使用される場合、「コア」、または「コアマトリックス」という用語は、動物用ドライ食品製品の粒子状ペレット、すなわちキブルを意味し、典型的には、成分のコアマトリックスから形成される。粒子状ペレットは、コーティングされてコア上にコーティングを形成することができ、これがコーティングされた動物用ドライ食品製品であり得る。コアは、コーティングなしであり得るか、または部分的なコーティングを有し得る。コーティングなしの実施形態では、粒子状ペレットは、動物用ドライ食品製品全体を含み得る。コアは、デンプン質材料、タンパク質材料、およびそれらの混合物および組み合わせを含み得る。一実施形態では、コアは、タンパク質、炭水化物、および脂肪分のコアマトリックスを含み得る。
【0091】
本明細書で使用される場合、「コーティング」という用語は、典型的にはコア上の、表面、例えばコアの表面の少なくとも一部を覆う、部分的または完全な被覆を意味する。一例では、コアは、コアの一部のみが覆われ、コアの一部は覆われず、ひいては露出するように、コーティングで部分的に覆われることができる。別の例では、コアは、コア全体が覆われ、ひいては露出しないように、コーティングで完全に覆われることができる。したがって、コーティングは、無視できる量から表面全体まで覆うことができる。実施形態では、本開示の保存性食品組成物は、コーティングによる動物用ドライ食品の調製に適切であり得る。例えば、カルノシン酸源が、コーティングによって動物用ドライ食品製品に添加されることができる。
【0092】
本明細書で使用される「押出物」とは、押出機またはペレット化プロセスを経て送出させることなどによって加工された、動物用食品製品などの任意の製品を指す。押出物は、ドライでもウェットでもあってよい。特定の実施形態では、押出物は、ドライ押出製品である。ある特定の実施形態では、押出製品は、動物用ドライ食品、特にキブルである。押出の特定の実施形態では、キブルは、デンプンを含む原材料を、熱および加圧下で押し出してデンプンをゲル化し、コアであり得るペレット化キブル形態を形成することができる押出プロセスによって形成される。任意の種類の押出機を使用することができ、その非限定的な例としては、単軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機が挙げられる。
【0093】
特段の記載がない限り、量(特に百万分の一(ppm)の量、または脂肪分1kg当たりのミリ当量(mEq/kg))は、本開示による製品基準、例えば保存性食品組成物の重量で本明細書に表される。本開示では、範囲は、範囲内のあらゆる値を詳細に設定し、説明する必要がないように、簡略に記載される。範囲内の任意の適切な値は、必要に応じて、範囲の上限値、下限値、または終端として選択され得る。例えば、1~10の範囲は、1および10の末端値、ならびに2、3、4、5、6、7、8、9の中間値、ならびに2~5、2~8、7~10等の1~10内に包含されるすべての中間範囲を表す。
【0094】
「ppm」または「百万分の一」は、本明細書ではその従来の意味に従って使用される。より正確には、それは、本明細書では、保存性食品組成物、または保存性食品組成物を含む動物用食品製品の総重量に対する重量量(mg/kg)を指す(特に断りのない限り)。
【0095】
本明細書で使用される場合、「ネコ科動物」という用語は、チーター、ピューマ、ジャガー、ヒョウ、ライオン、オオヤマネコ、ライガー、トラ、パンサー、ボブキャット、オセロット、スミロドン、カラカル、サーバルおよびネコを含む群において選択されるペット含む動物を包含する。本明細書で使用される場合、ネコは、野生のネコおよび家畜のネコを包含する。特定の実施形態では、ネコは、家畜のネコである。
【0096】
本明細書で使用される場合、「栄養的に完全な」という用語は、動物用食品製品の意図されたレシピエントにとって必要なすべての既知の栄養素を、例えば、動物栄養の分野で認知された管轄当局の勧告に基づくすべての適切な量および割合で含有する動物用食品製品を指す。したがって、かかる食品は、補助栄養源を加えなくても、生命を維持するための食事摂取源として機能することができる。
【0097】
本明細書で使用される場合、「栄養的にバランスのとれた」という用語は、動物用食品製品であって、前述の食品の一回分または基準分量を通じて、栄養的に望ましいレベルの脂肪分、タンパク質またはアミノ酸源、および食物繊維を提供する、動物用食品を指す。したがって、本明細書で使用される「栄養的にバランスのとれた」という用語は、栄養的に完全であり得る動物用食品を指すことができる。あるいは、本明細書で使用される「栄養的にバランスのとれた」とは、栄養的に完全でない動物用食品を指すこともできる。
【0098】
本明細書で使用される場合、「嗜好性」または「嗜好性がある」という用語は、口蓋または味覚にとって望ましいことを指す。さらに、本明細書で使用される「嗜好性」または「嗜好性がある」という用語は、ペット用食品製品が動物の口蓋または味覚に訴える程度を指す。これは、給餌試験、例えば、差分試験または順位付け試験によって適切に測定される。特定の実施形態では、「嗜好性」は、ある食品製品が別のものに対する相対的な好みを意味し得る。例えば、動物が2つ以上の食品製品のうちの1つに対する好みを示す場合、好ましい食品製品はより「嗜好性」があり、「強化された嗜好性」または「増加した嗜好性」を有する。特定の実施形態では、1つ以上の他の食品製品と比較した1つの食品製品の相対的な嗜好性は、例えば、並べての自由選択の比較において、例えば、食品製品の相対的な消費量、または嗜好性を示す好みの他の適切な尺度、すなわち「2皿試験」によって決定することができる。
【0099】
本明細書で使用される場合、「タンパク質源」という用語は、「動物性タンパク質源」、「植物性タンパク質源」、もしくは任意の他のアミノ酸源、またはそれらの組み合わせを包含し得る。
【0100】
本開示の保存性食品組成物は、合成または天然の抗酸化物質をさらに含み得る。有利には、保存性食品組成物は、より少ない量の合成抗酸化物質を含み得る。幾つかの実施形態によれば、かかる保存性食品組成物は、最小量の合成抗酸化物質を含む。例えば、かかる保存性食品組成物は、約1ppm(約0.0001%)未満の量の合成抗酸化物質を含み得る。
【0101】
本明細書で使用される場合、「ウェットな動物用食品製品」または「ウェットな保存性食品組成物」という用語は、一般に、食品製品または組成物の総重量に対して、12質量%よりも高い、通常はさらに20質量%よりも高い水分含有量を有する食品製品または組成物を指す。
【0102】
本明細書で使用される場合、「脂肪分」という用語は、本開示の実施形態に存在する、消化可能、部分消化可能および非消化可能な脂肪分の総量を指し、特に、動物用食品製品、殊に脂肪酸化を防止または遅延すべき動物用食品製品をする。本明細書で使用される場合、「脂質」、「脂肪分」および「油分」は同義である。
【0103】
油分および脂肪分の構成要素は、化学的には酸素を吸収してそれと反応する傾向を有することが知られている。酸敗の発生は、主に酸化中に形成された生成物に起因する。溶解または吸収された酸素は、通常、最初に反応して過酸化物を形成する。過酸化物の発生は、水分、熱、光または触媒によって促進される。さらに分解すると、より低分子量のアルデヒド、ケトンおよび酸が形成され、これらの物質は油分または脂肪分に望ましくない臭気および風味を付与する。
【0104】
品質評価のためには、当業者に知られている多くの方法、例えば過酸化物価測定(PV)、ヘキサナール値測定、チオシアン酸第二鉄法(FTC)、チオバルビツール酸法(TBA)、アニシジン指数測定、共役ジエン測定、または酸素ボンブもしくはランシマットなどの安定性を測定するための任意の方法が存在する。したがって、好ましい実施形態によれば、脂質酸化から生じる主要な一次生成物(すなわち、ヒドロペルオキシド)、ならびに二次化合物(アルカン、アルケン、アルデヒド、ケトン、アルコール、エステル、酸および炭化水素を含む)の測定は、抗酸化特性を評価するために使用することができる。したがって、非網羅的には、それらの抗酸化特性は、「過酸化物価」(PV)、または「ヘキサナール値」を決定することによって評価することができる。
【0105】
本明細書で使用される場合、「過酸化物価」(PV)は、脂肪酸の一次酸化分解化合物のマーカーを指す。別の言い方をすれば、PVは、一次脂肪酸化生成物の定量化に使用される。新鮮な食品製品の過酸化物価が約10ミリ当量/kg(mEq/kg)(約10ミリモル/kg)未満であるのに対し、過酸化物価が約20mEq/kg(約20ミリモル/kg)~約40mEq/kg(約40ミリモル/kg)である場合、食品製品は酸敗していると見なされる。好ましい実施形態によれば、これらの値は、保存寿命の終了時に決定されなければならない。実施形態によれば、10mEq/kg(10ミリモル/kg)までの値が、酸敗していると見なされることになる。動物用食品製品のPVを解析する方法は、当業者に周知である。実例として、当業者であれば、NF EN ISO 3960(2017年4月版)を使用することができ、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【0106】
本明細書で使用される場合、「ヘキサナール値」は、脂肪酸の二次酸化分解化合物のマーカーを指す。新鮮な食品製品のヘキサナール値が約15ppm(約0.0015%)未満であるのに対し、ヘキサナール値が約15ppm(約0.0015%)~約40ppm(約0.004%)である場合、食品製品は酸敗していると見なされる。好ましい実施形態によれば、これらの値は、保存寿命の終了時にも測定されなければならない。実施形態によれば、15ppm(0.0015%)までの値が、酸敗していると見なされる。動物用食品製品のヘキサナールレベルを解析する方法は、当業者に周知である。実例として、当業者であれば、AOCS法Cg4-94(AOCS. 1997)を使用することができ、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【0107】
本明細書で使用される場合、「トコフェロール」という用語は、トコフェロールの異性体ガンマおよび/またはデルタおよび/またはその誘導体のいずれかを指す。「トコフェロール」に言及する場合、それは、ガンマおよびデルタトコフェロールの組み合わせ、例えば、酸敗を抑えるための自然保存のために使用される、それらの天然形態(それらのエステル化形態または非エステル化形態のいずれでも)で見出されるものを意味する。「トコフェロール」に言及する場合、それは、栄養目的で使用されるビタミンEを含まない。
【0108】
ビタミンEは、すべてのトコフェロール(Toc)およびトコトリエノール(Toc-3)誘導体の総称である。トコフェロールはフィチル鎖を有し、トコトリエノールは同様の鎖を有するが、3’、7’および11’位に3つの二重結合を有する。トコフェロールとトコトリエノールとは、クロマン環上のメチル基の数および位置が異なるα-、β-、γ-およびδ-と呼ばれる4つの異性体を有する。これらの分子はすべて抗酸化活性を有するが、α-トコフェロール(α-Toc)が生物学的に最も活性が高い。α-トコフェロールは生体内で主要なビタミンEであり、生物学的に最も高い活性を発揮する。一方、γ-およびδ-トコフェロールは最も高い保存活性を示し、食品製品中の脂質酸化を抑えるために使用される。トコフェロールは多価不飽和植物油および穀物種子の胚芽に含まれるが、トコトリエノールは穀物種子のアリューロン層およびサブアリューロン層ならびにパーム油に含まれる。
【0109】
本明細書で使用される場合、「カルノシン酸」という用語は、化学式C20H28O4のフェノール性ジテルペンおよび/またはその誘導体を指す。「カルノシン酸」という用語は、カルノシン酸および/またはカルノソール(化学式C20H26O4)を包含する。「ローズマリー」という用語は、植物材料(Rosmarinus officinalis)のすべて、または植物材料の一部、例えば葉もしくは根からの任意のエキス、部分、もしくはエキスのいずれかを指す。ローズマリーは、カルノシン酸(およびカルノソール)に加えて、ロスマリン酸および/またはロスマノールを含み得る。
【0110】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシチロソール」という用語は、化学式C8H10O3を有する4-(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ベンゼンジオール(CAS番号:10597-60-1)、および/またはチロソールなどのその誘導体で、オリーブなどの植物源から得ることができるものを指す。「オリーブ」という用語は、植物材料のすべて、または植物材料の一部、例えば、オリーブオイル製造および/もしくはオリーブのオイルの葉、果実、パルプ、穀粒、植生水からの任意のエキス、部分、もしくはエキスのいずれかを指す。オリーブは、ヒドロキシチロソール(およびチロソール)に加えて、オレウロペインおよび/またはリグストロシドを含み得る。
【0111】
本明細書で使用される場合、「タンニン」という用語は、一般に「加水分解性」または「非加水分解性」および/または「縮合」タンニンとして分けることができる天然および非天然ポリフェノールの範囲を指し、かつ/または代替的に、1000ダルトン(1.660538921×10-21g)未満のモル質量を有するものなどの低分子およびモノマーのタンニンを含む。したがって、それらの構造的特性に基づくタンニンの分類に関する完全な報告については、Karamali KhanbabaeeおよびTeunis van Reeの総説(「Classification and Definition」; The Royal Society of Chemistry; 2001であって、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする)-DOI:10.1039/b1010611を参照-が参照される。
【0112】
タンニンが植物に由来する場合、それらは一般にポリフェノールの二次代謝産物であり、(i)ガロイルエステルおよびその誘導体であって、ガロイル部分もしくはその誘導体がポリオール-、カテキン-およびトリテルペノイドコアに結合しているか、または(ii)それらが、必要に応じてフラバニル間カップリング(interflavanyl coupling)および置換パターンを有することができるオリゴマーおよび/もしくはポリマーのプロアントシアニジンに由来しているかのいずれかである。したがって、「タンニン」という用語は、本明細書で使用される場合、「ガロタンニン」、「エラジタンニン」、「複合タンニン」および「縮合タンニン」を包含し得る。
【0113】
特に、「加水分解性タンニン」という用語は、したがって、ガロタンニン、エラジタンニン、複合タンニンおよびそれらの混合物を包含し得る。より具体的には、加水分解性タンニンは、一般に、ガロタンニンおよびエラジタンニン、またはそれらの混合物からなる。
【0114】
幾つかの実施形態によれば、ガロタンニンは、ガロイル単位またはそのメタデプシド誘導体が、1つ以上のポリオール-カテキン-またはトリテルペノイド単位に結合したタンニンからなり得る。したがって、かかるガロタンニンは、一般に、少なくともポリフェノールおよびポリオール残基を含み、例えば、植物由来のガロタンニンではD-グルコース由来のポリオール残基を含む。例えば、ガロタンニンは、次式:
【0115】
【0116】
[式中、
RおよびR1は、α-OH、β-OH、α-OGおよびβ-OGから選択され、
R2、R3、R4およびR5は、同一であるかまたは異なり、独立して、ガロイル部分または任意の他の置換基、例えば、限定されないが、H、G、シンナモイル基およびクマロイル基であり得、
ここで、Gは、
【0117】
【0118】
またはそのメタデプシド誘導体である]
で表すことができる。
【0119】
幾つかの実施形態によれば、エラジタンニンは、少なくとも2つのガロイル単位が互いにC-C結合しており、グリコシド結合カテキン単位を含有しないタンニンであり得る。具体的な実施形態としては、2つのガロイル単位がそれらの芳香族炭素原子を介して互いに結合して、以下から選択される軸方向にキラルなヘキサヒドロキシジフェノイル(HHDP)単位を形成するエラジタンニンが挙げられるが、これらに限定されない:
【0120】
【0121】
例えば、限定するものではないが、エラジタンニンは、式(II):
【0122】
【0123】
[式中、各Rは、同一であるかまたは異なり、独立して、ガロイル部分または任意の他の置換基、例えば、限定されないが、上記で定義されるようなH、G、シンナモイル基およびクマロイル基から選択される]
で表される化合物であり得る。
【0124】
幾つかの実施形態によれば、複合タンニンは、カテキン単位がガロタンニンまたはエラジタンニン単位、例えば上記で定義したものにグリコシド結合したタンニンである。例えば、複合タンニンは、式(III):
【0125】
【0126】
[式中、各Rは、同一であるかまたは異なり、独立して、ガロイル部分または任意の他の置換基、例えば、限定されないが、上記で定義されるようなH、G、シンナモイル基およびクマロイル基から選択されることができる]
で表すことができる。
【0127】
幾つかの実施形態によれば、縮合タンニンは、カテキン単位が、上記で定義されるようなガロタンニンまたはエラジタンニン単位にグリコシド結合しているタンニンである。特定の実施形態では、かかる縮合タンニンは、オリゴマーおよび/もしくはポリマーのプロアントシアニジン、または縮合プロアントシアニジンである。例えば、限定するものではないが、縮合タンニンは、式(IV):
【0128】
【0129】
[式中、各Rは、同一であるかまたは異なり、ガロイル部分または任意の他の置換基、例えば、限定されないが、上記で定義されるようなH、G、シンナモイル基およびクマロイル基を含み得るか、またはそれらからなり得る]
で表すことができる。
【0130】
本明細書で使用される場合、「エラグ酸」という用語は、化学式C14H6O8のエラグタンニンの形態を指す。4,4’,5,5’,6,6’-ヘキサヒドロキシジフェン酸2,6,2’,6’-ジラクトンとしても知られているエラグ酸(CAS登録番号476-66-4)は、没食子酸の形式的な二量化から生じる有機複素四環化合物である。
【0131】
エラグ酸源は、ザクロ、ユーカリ、イチゴ、ブドウ、ブラックベリー、ラズベリー、クランベリー、グアバ、ペカン、クルミおよびクリの木などの天然源、または天然源の一部の任意のエキス、部分、またはエキスを含み得るが、これらに限定されない。
【0132】
本明細書で使用される場合、「タンニン酸」という用語は、加水分解性クラスの化学式C76H52O46のガロタンニンの形態を指す。タンニン酸(CAS登録番号1401-55-4)は、加水分解を受けると没食子酸およびグルコースまたはキナ酸のいずれかを生じることができる複合ポリフェノール有機化合物である。タンニン酸は、黄白色~淡褐色の物質で、非晶質固体、かさ高い粉末、光沢のある薄片、または海面状の塊の形態をしている。無臭、またはほのかな特有の臭いがあり、渋味を有する。タンニン酸は、Quercus infectoria Oliverまたは近縁種のコナラ属(Quercus)の若い小枝に形成される没食子または突出物の溶媒抽出によって得ることができる。タンニン酸はまた、タラ(Caesalpinia spinosa)の種子の莢、またはRhus semialata、R.coriaria、R.galabra、およびR.typhiaを含む様々なスマック種の没食子の溶媒抽出によって得ることができる。適切なタンニン酸植物源の他の例としては、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、Rhus punjabensis var.sinica(Diels)Rehder & E.H.Wilson、Camellia sinensis、Berry、Bixa orellana、Vitis vinifera、Punica granatum、Quercus infectoria、Quercus cerris、Acacia mearnsii、Pseudotsuga menziesii、Caesalpinia spinosa、Fagus hayata Palib.ex Hayata、またはMachilus thunbergii Sieb.& Zuccが挙げられるが、これらに限定されない。タンニン酸源はまた、他の天然源、例えば没食子、ザクロ、または木材、例えばオーク、クルミ、マホガニー、スマック、または前述の天然源の一部の任意のエキス、部分、またはエキスを含み得るが、これらに限定されない。
【0133】
本明細書で使用される場合、「没食子酸」という用語は、加水分解性クラスの化学式C6H2(OH)3COOHのガロタンニンの形態を指す。3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸としても知られている没食子酸(CAS登録番号149-91-7)は、フェノール酸の1種であるトリヒドロキシ安息香酸である。
【0134】
本明細書で使用される場合、「医薬品」という用語は、対象に利益または治療効果を提供する任意の化合物または組成物を指す。この利益または治療効果は、最初の適用時に、かつ/または継続的な使用により経時的に達成することができる。「医薬品」という用語は、処置のためにヒトまたは非ヒト対象で使用するために許容され得、特に動物で使用するために許容され得る。
【0135】
本明細書で使用される場合、「防止する」という用語は、症状の発生、または再発の可能性の減少を包含し得る。
【0136】
本明細書で使用される場合、「細胞酸化ストレス」という用語は、酸化剤に好都合に働く酸化剤と抗酸化物質との間の不均衡を指し、酸化還元シグナル伝達および制御の崩壊および/または分子損傷をもたらす。細胞酸化ストレスは、1985年にHelmut Seisによって定義されている(「Oxidative stress」, Academic press, eBook ISBN: 9781483289113、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする)。
【0137】
本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、外来分子(抗原など)を検出および認識する能力を有する恒常性メカニズムを指す。外来分子に対する初期応答は「自然免疫」と呼ばれ、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好中球、およびその他の白血球が外来病原体部位に急速に移動することによって特徴付けられる。これらの細胞は、短期間で病原体を溶解するサイトカインを貪食、消化、溶解または分泌することができる。自然免疫応答は抗原特異的ではないが、一般に「適応免疫応答」が起こるまで、外来病原体に対する防御の最前線と見なされている。適応免疫応答には、T細胞とB細胞との両方が関与する。適応免疫応答の形成には、様々なメカニズムが関与している。適応免疫応答形成のメカニズムについて、考えられるすべてを考察することは、このセクションの範囲を超えている。しかしながら、よく特徴付けられた幾つかのメカニズムとして、抗原B細胞の認識、それに続く抗原特異的な活性化による抗体の分泌、および抗原提示細胞への結合によるT細胞の活性化がある。
【0138】
本明細書で使用される場合、「免疫応答を惹起する」という用語は、抗原に対する特異的抗体応答および/または特異的T細胞応答を引き起こす対象の能力を指すと理解されるべきである。ある特定の実施形態では、免疫応答は抗体応答である。
【0139】
本明細書で使用される場合、「免疫応答を増加させる」という用語は、免疫応答を高めること、および/または免疫応答の持続時間を延長することを指す。具体的には、本開示を通して、「免疫応答を増加させる」という用語は、所与の抗原に対する免疫応答性の大きさおよび/または有効性を増加させる特性またはプロセスを指す。抗原の投与は、意図的なもの、例えば、生ワクチンの株の投与であり得る。
【0140】
本明細書で使用される場合、「感染」という用語は、当業者によって一般に使用され理解される意味を有し、疾患の発現の有無にかかわらず、対象における、または対象上の微生物、すなわち、細菌、ウイルス、真菌または寄生虫(抗原など)の侵入および増殖を含む。感染は、対象における、または対象上の1つ以上の部位で起こり得る。感染は、非意図的なもの、例えば、意図的でない摂取、吸入、創傷の汚染、または意図的なもの、例えば、生ワクチンの株の投与であり得る。特に、「感染」という用語は、ウイルス感染、寄生虫感染(真菌に関連するものなど)、および細菌感染を包含し得る。
【0141】
ウイルス感染の例としては、狂犬病ウイルス;サイトメガロウイルス(CMV)肺炎;エプスタイン・バーウイルス;水痘・帯状疱疹ウイルス;HSV-1および-2粘膜炎;HSV-6脳炎;BK-ウイルス出血性膀胱炎;ウイルス性インフルエンザ;呼吸器多核ウイルス(RSV);A、BまたはC肝炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
真菌感染の例としては、アスペルギルス症;咳咽頭(Candida albicansに起因する);クリプトコックス症(Cryptococcusに起因する);およびヒストプラズマ症が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、感染性真菌の例としては、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマティティジス(Blastomyces dermatitidis)が挙げられる。
【0143】
感染性細菌の例としては、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、マイコバクテリア種(Mycobacteria sps)(ヒト結核菌)、結核菌(M.tuberculosis)、抗酸菌(M.avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)、マイコバクテリウム・カンサシ(M.kansaii)、マイコバクテリウム・ゴルダネ(M.gordonae))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、化膿性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)(A群レンサ球菌)、レンサ球菌・β溶血レンサ球菌(Streptococcus agalactiae)(B群レンサ球菌)、緑色レンサ球菌(Viridans streptococci)(Streptococcus (viridans group))、大便レンサ球菌(Streptococcus faecalis)、ウシレンサ球菌(Streptococcus bovis)、レンサ球菌(嫌気性種(anaerobic sps.))、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、病原性カンピロバクター属(カンピロバクター属)種)、腸球種(Enterococcus sp.)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、コリネバクテリウム・ジフテリア(corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.)、豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringers)、破傷風菌(Clostridium tetani)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、バクテロイデス種(Bacteroides sp.)(フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum))、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidium)、スピロヘータ梅毒(Treponema pertenue)、レプトスピラ(Leptospira)、および放線菌(Actinomyces israeli)が挙げられる。その他の感染性生物(原生動物など)には、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、およびトキソプラズマ(Toxoplasma gondii)が含まれる。
【0144】
本明細書で使用される場合、「アレルギー反応」という用語は、アレルゲンに対する個体による臨床反応である。アレルギー反応の症候は、皮膚(例えば、蕁麻疹、血管浮腫、かゆみ)、呼吸器(例えば、喘鳴、咳、喉頭浮腫、鼻漏、涙目/目のかゆみ)、胃腸(例えば、嘔吐、腹痛、下痢)、および/または心血管(全身性反応が起こる場合)に影響を及ぼし得る。
【0145】
本明細書で使用される場合、「アレルゲン」という用語は、(i)個体においてIgE応答を惹起する抗原;(ii)喘息反応(例えば、好酸球増加症、気道過敏性、および過剰な粘液産生によって特徴付けられる慢性気道炎症)を惹起する抗原(かかる反応が検出可能なIgE応答を含むか否かにかかわらず);および/または(iii)アレルギー反応(例えば、くしゃみ、涙目、掻痒症、下痢、アナフィラキシー)を惹起する抗原(かかる反応が検出可能なIgE応答を含むか否かにかかわらず)である。
【0146】
本明細書で使用される場合、「炎症」という用語は、病原体、損傷した細胞、または刺激物などの有害な刺激に対する対象の組織の生物学的応答を指す。それは、一般に、炎症性サイトカインの分泌によって特徴付けられ得る。
【0147】
炎症は、様々な内因性因子および外因性因子によって引き起こされる可能性がある、傷害による生きた組織の局所的な反応である。外因性因子には、物理的、化学的、および生物学的な因子が含まれる。内因性因子には、炎症性メディエーター、抗原、および抗体が含まれる。内因性因子は、多くの場合、外因性損傷の影響を受けて発生する。炎症反応に続いて、多くの場合、細胞膜の構造および透過性が変化する。メディエーターおよび抗原などの内因性因子は、炎症反応の性質および種類、特に傷害のゾーンにおけるその経過を定義する。組織の損傷がメディエーターの生成に限定されている場合、急性型の炎症が発生する。このプロセスに免疫応答も関与している場合は、抗原、抗体、および自己抗原の相互作用を通じて、長期的な炎症プロセスが発生することになる。
【0148】
幾つかの実施形態によれば、「炎症」は、したがって、炎症性疾患と関連付けることができる。本文脈の中では、かかる炎症性疾患は、肥満細胞からの炎症性生化学物質の活性化、脱顆粒およびその結果としての分泌に起因する。したがって、非網羅的には、結果として生じる炎症性疾患は、アレルギー性炎症、関節炎(変形性関節症および関節リウマチなど)、線維筋痛症、慢性疲労症候群、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性腸症候群、片頭痛、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈炎症、虚血、慢性前立腺炎、湿疹、多発性硬化症、乾癬、日焼け、歯茎の歯周病、表在型血管拡張性フラッシュ症候群、ホルモン依存性の癌、および子宮内膜症からなる群を含み得る。
【0149】
本明細書で使用される場合、「細胞酸化ストレス」という用語は、酸化剤に好都合に働く酸化剤と抗酸化物質との間の不均衡を指し、酸化還元シグナル伝達および制御の崩壊および/または分子損傷をもたらす。細胞酸化ストレスは、1985年にHelmut Seisによって定義されている(「Oxidative stress」, Academic press, eBook ISBN: 9781483289113、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする)。細胞酸化ストレスは、細胞損傷の発生を通じて、特にDNA損傷の発生を通じて特徴付けられ得る。
【0150】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、組成物に含まれる場合、意図した組成物のまたは生理学的な効果を達成するのに十分な成分の量を指す。したがって、「治療有効量」とは、活性薬剤が有効であることが知られている症状を処置または防止する際に治療結果を達成するために、非毒性であるが十分な量の活性薬剤を指す。様々な生物学的因子が、物質がその意図したタスクを実行する能力に影響を与える可能性があることが理解される。したがって、「有効量」または「治療有効量」は、場合によっては、かかる生物学的因子に依存する可能性がある。さらに、治療効果の達成は、当該技術分野で知られている評価を用いて医師または他の有資格の医療関係者が測定することができるが、個人差および処置に対する応答により、治療効果の達成は主観的な判断になり得ることが認識されている。有効量の決定は、薬学および栄養科学ならびに医学の分野における当業者の範囲内であり、所望の生物学的効果を実現するのに必要または十分なコンジュゲート(例えば、カルノシン酸、ヒドロキシチロソール、タンニン、エラグ酸、没食子酸)または組み合わせの量を指す。
【0151】
本明細書で使用される場合、「投与」および「投与する」は、活性薬剤、またはそれを含有する組成物が対象に提示される方法を指す。投与は、経口および非経口方法など、当該技術分野で周知の様々な経路によって達成することができる。本明細書で使用される場合、「経口投与」とは、食品組成物または動物用食品を含む経口剤形を飲み込む、噛む、または吸うことによって達成できる投与経路を指す。経口剤形の例としては、錠剤、カプセル、カプレット、粉末、顆粒、飲料、ゼリー、キブル、または本開示で言及される他の動物用食品製品が挙げられる。
【0152】
食品組成物および食品製品
本開示は、以下の組み合わせを含む、食品組成物、本開示の食品組成物を含むコンパニオン動物用食品製品、または本開示のコンパニオン動物用食品製品を調製するためのキットを提供する:
(i)カルノシン酸源;
(ii)ヒドロキシチロソール源;および
(iii)タンニン源。
【0153】
特定の実施形態では、加水分解性タンニン源、例えばタンニン源、ガロタンニン源、エラジタンニン源、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0154】
特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源、没食子酸源、またはそれらの組み合わせを含み得る。ある特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、没食子酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源と没食子酸源との組み合わせであり得、特に、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:5~約1:50の範囲である。ある特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:10~約1:40であり得る。より具体的な特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:15~約1:30であり得る。
【0155】
特定の実施形態では、エラジタンニン源は、エラグ酸源を含み得る。
【0156】
本開示による食品組成物は、当業者に周知の技術に従って調製される。
【0157】
特定の実施形態では、食品組成物、食品組成物を含むコンパニオン動物用食品製品、またはコンパニオン動物用食品製品を調製するためのキットは、天然には存在しないカルノシン酸、ヒドロキシチロソール、タンニン、例えばタンニン酸、エラグ酸および/または没食子酸を含む。特定の実施形態では、カルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源、タンニン源、例えばタンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、天然源、例えば、植物または植物性源に由来するものから選択され得る。
【0158】
言及されたカルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源、タンニン源、例えばタンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、同じ供給源または異なる供給源を指すことができる。
【0159】
特定の実施形態では、言及されたカルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源、タンニン源、例えばタンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、異なる供給源、特に、異なる天然源を指すことができる。
【0160】
特定の実施形態では、カルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源、ならびにタンニン源、例えばタンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、約40ppm(約0.004%)未満の量で、特に約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。
【0161】
特定の実施形態では、タンニン源は、加水分解性タンニン源であり得る。ある特定の実施形態では、タンニン源は、ガロタンニン源および/またはエラジタンニン源であり得る。
【0162】
特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源、没食子酸源、エラグ酸源、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0163】
特定の実施形態では、言及された食品組成物、食品組成物を含むコンパニオン動物用食品製品またはコンパニオン動物用食品製品を調製するためのキットは、最小量のトコフェロールを含むか、またはトコフェロールを含まないことさえある。
【0164】
幾つかの実施形態によれば、言及された食品組成物、コンパニオン動物用食品製品を含むコンパニオン動物用食品製品またはコンパニオン動物用食品製品を調製するためのキットは、約1ppm(約0.0001%)未満である量でトコフェロールを含み得る。
【0165】
他の実施形態によれば、本開示による食品組成物を含むコンパニオン動物用食品製品は、コーティングされた動物用食品製品、例えばコーティングされた動物用ドライ食品製品などであり得、コーティングされた動物用食品製品は、コアと、コアを少なくとも部分的に覆うコーティングとを含む。
【0166】
特定の他の実施形態では、本開示の食品組成物は、コンパニオン動物用食品製品のコア中にあることができる。
【0167】
特定の他の実施形態では、本開示の食品組成物は、コンパニオン動物用食品製品のコーティング中にあることができる。
【0168】
幾つかの実施形態によれば、ヒドロキシチロソール源およびタンニン源はコア中にあることができ、カルノシン酸源はコーティング中にあることができる。
【0169】
幾つかの実施形態では、コーティング中にあるカルノシン酸源は、約40ppm(約0.004%)未満の量、特に約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量(食品組成物または製品の総重量に対して)で存在し得る。
【0170】
幾つかの実施形態では、ヒドロキシチロソール源と、コア中にあるタンニン源、エラグ酸源または没食子酸源のうちの少なくとも1つとは、約40ppm(約0.004%)未満の量、特に約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。
【0171】
幾つかの他の実施形態によれば、カルノシン酸源およびヒドロキシチロソール源はコア中にあることができ、タンニン源はコーティング中にあることができる。
【0172】
幾つかの実施形態では、コーティング中にあるタンニン源は、約40ppm(約0.004%)未満の量、特に約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。
【0173】
幾つかの実施形態では、コア中にあるカルノシン酸源およびヒドロキシチロソール源は、約40ppm(約0.004%)未満の量、特に約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。
【0174】
幾つかの他の実施形態によれば、タンニン源およびカルノシン酸源はコア中にあることができ、ヒドロキシチロソール源はコーティング中にあることができる。
【0175】
幾つかの実施形態では、コーティング中にあるヒドロキシチロソール源は、約40ppm(約0.004%)未満の量、特に約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。
【0176】
幾つかの実施形態では、コア中にあるタンニン源およびカルノシン酸源は、約40ppm(約0.004%)未満の量、特に約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在し得る。
【0177】
特定の実施形態では、本開示による食品組成物、コンパニオン動物用食品製品またはキットは、トコフェロールを含まない。
【0178】
ある特定の実施形態では、本開示の食品組成物またはキットは、カルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源、ならびにタンニン源、例えばタンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源の組み合わせであり得る。言い換えれば、カルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源、ならびにタンニン源、例えばタンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、組み合わせの唯一の抗酸化物質であり得る。
【0179】
有利には、本開示の食品組成物は、粉末形態または液体形態であり得る。したがって、ある特定の実施形態では、本開示の天然食品組成物は、適切な担体をさらに含む。当業者であれば、用途に応じて、特に、組み合わせの形態、すなわち液体もしくは粉末に応じて、かつ/または組み合わせの親水性もしくは疎水性形態に応じて、適切な担体を決定することができる。
【0180】
本開示はさらに、本開示による食品組成物を含むコンパニオン動物用食品製品を提供する。
【0181】
特に、本開示の食品組成物は、上記で定義されるようなコンパニオン動物用食品、または逆にコンパニオン動物用食品に組み込まれ得る食品組成物のいずれかであり得る。
【0182】
特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、タンパク質、炭水化物および/または粗脂肪分を含み得る。動物用食品製品はまた、補助物質または添加物、例えば、ミネラル、ビタミンおよび調味料を含有し得る(Merriam-Webster’s Collegiate Dictionary, 10th Edition, 1993を参照、その内容を参照により援用するものとする)。かかるコンパニオン動物用食品製品は、栄養的に完全であってもなくてもよい。特定の実施形態では、本開示によるコンパニオン動物用食品製品は、栄養的に完全な食品であり得る。
【0183】
特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む。タンニン源は、加水分解性タンニン源、例えばガロタンニン源、エラジタンニン源またはそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源、没食子酸源、エラグ酸源、またはそれらの組み合わせから選択される加水分解性タンニンであり得る。ある特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、没食子酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源と没食子酸源との組み合わせであり得、特に、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:10~約1:40である。特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:15~約1:30であり得る。特定の実施形態では、それはまた、約1ppm(約0.0001%)未満のトコフェロールを含み得る。
【0184】
特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む。タンニン源は、加水分解性タンニン源、例えばガロタンニン源、エラジタンニン源、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源、没食子酸源、エラグ酸源、またはそれらの組み合わせから選択される加水分解性タンニンであり得る。ある特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、没食子酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源と没食子酸源との組み合わせであり得、特に、タンニン酸:没食子酸比は、約1:5~約1:50の範囲である。ある特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:10~約1:40であり得る。特定の他の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:15~約1:30であり得る。特定の実施形態では、それは、トコフェロールを含み得ない。
【0185】
特定の他の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、(i)少なくとも約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量のカルノシン酸源、(ii)少なくとも約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量のヒドロキシチロソール源、および(iii)少なくとも約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量のタンニン源の組み合わせを少なくとも含み、それは、約1ppm(約0.0001%)未満のトコフェロールを含む。
【0186】
特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む。タンニン源は、加水分解性タンニン源、例えばガロタンニン源、エラジタンニン源、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源、没食子酸源、エラグ酸源、またはそれらの組み合わせから選択される加水分解性タンニンであり得る。幾つかの実施形態では、トコフェロールを含み得ない。
【0187】
ある特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、(i)少なくとも約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量のカルノシン酸源、(ii)少なくとも約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量のヒドロキシチロソール源、および(iii)少なくとも約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量のタンニン源の組み合わせを少なくとも含み、それは、トコフェロールを含み得ない。
【0188】
特定の実施形態では、動物用食品製品の前述の供給源は、天然供給源であり得る。特定の非限定的な実施形態では、カルノシン酸源は、ローズマリーエキスであり得、ヒドロキシチロソール源は、オリーブエキスであり得、タンニン源は、没食子および/またはザクロエキスであり得る。
【0189】
特定の実施形態では、本開示は、(i)ローズマリーエキス、(ii)オリーブエキス、および(iii)没食子エキスの組み合わせを少なくとも含むコンパニオン動物用食品製品に関する。
【0190】
特定の他の実施形態では、本開示のコンパニオン動物用食品製品は、動物用ドライ食品製品であり得る。特定の他の実施形態では、動物用ドライ食品製品は、キブルであり得る。例えば、限定されないが、キブルは、微粒子;ペレット;ペット用食品の小片、脱水肉、肉類似物、野菜、およびそれらの組み合わせ;ならびに肉または野菜のジャーキー、生皮、およびビスケットなどのペット用スナックを含む。動物用ドライ食品製品は、調理可能な一貫したドウを作るために、成分を一緒に混合し、混練することによって製造できる。一般に、それは、押出ステップとそれに続く乾燥ステップとを含むプロセスの最終製品であり得る。
【0191】
特定の他の実施形態では、本開示によるコンパニオン動物用食品製品は、ネコ科動物またはイヌ科動物、特にネコまたはイヌなどの動物にとって嗜好性がある。
【0192】
幾つかの実施形態によれば、本開示の食品組成物は、機能性食品、食事、食品添加物、食品保存料、サプリメント、薬品、食品、または栄養的に完全な食品組成物から選択される任意の形態であり得る。
【0193】
本開示の食品組成物に組み込むことができる成分の非限定的な例を、以下にさらに提供する。
【0194】
カルノシン酸
特定の実施形態では、本開示の食品組成物は、カルノシン酸を含み得る。特定の非限定的な実施形態では、カルノシン酸源は、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)もしくはコモンセージ(Salvia officinalis)、またはそれらの組み合わせを含み得るか、またはそれらからなり得る。
【0195】
別の実施形態では、カルノシン酸源は、ローズマリーエキスを含み得るか、またはそれらからなり得る。
【0196】
特定の実施形態では、カルノシン酸源は、保存性食品組成物中に、該保存性食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満の量で存在し得る。
【0197】
例えば、カルノシン酸源は、保存用食品組成物中に、該保存用食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)、約35ppm(約0.0035%)、約30ppm(約0.003%)、約25ppm(約0.0025%)、約20ppm(約0.002%)、約15ppm(約0.0015%)、約10ppm(約0.001%)、またはさらに約5ppm(約0.0005%)未満の量で存在し得る。
【0198】
例えば、カルノシン酸源は、保存用食品組成物中に、該保存用食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約0.1ppm(約0.0001%)超の量で存在し得る。
【0199】
例えば、カルノシン酸源は、保存性食品組成物中に、該保存性食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約3ppm(約0.0003%)超の量で存在し得る。
【0200】
特定の実施形態では、カルノシン酸源は、コンパニオン動物用食品製品中に、該コンパニオン動物用食品製品の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満の量で存在し得る。
【0201】
例えば、カルノシン酸源は、コンパニオン動物用食品製品中に、該コンパニオン動物用食品製品の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)、約35ppm(約0.0035%)、約30ppm(約0.003%)、約25ppm(約0.0025%)、約20ppm(約0.002%)、約15ppm(約0.0015%)、約10ppm(約0.001%)、またはさらに約5ppm(約0.0005%)未満の量で存在し得る。
【0202】
例えば、カルノシン酸源は、約40ppm(約0.004%)未満かつ約0.1ppm(約0.00001%)超の量でコンパニオン動物用食品製品中に存在し得る。
【0203】
例えば、カルノシン酸源は、約40ppm(約0.004%)未満かつ約3ppm(約0.0003%)超の量でコンパニオン動物用食品製品中に存在し得る。
【0204】
ヒドロキシチロソール
特定の実施形態では、本開示の食品組成物は、ヒドロキシチロソールを含み得る。特定の非限定的な実施形態では、ヒドロキシチロソール源は、オリーブまたはそのエキスを含み得るか、またはそれからなり得る。
【0205】
特定の他の実施形態では、ヒドロキシチロソール源は、オリーブエキスを含み得るか、またはそれからなり得る。
【0206】
特定の実施形態では、保存性食品組成物のヒドロキシチロソール源は、該保存性食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満の量で存在し得る。
【0207】
特定の実施形態では、保存性食品組成物のヒドロキシチロソール源は、約40ppm(約0.004%)未満かつ約0.1ppm(約0.00001%)超の量で存在し得る。
【0208】
例えば、ヒドロキシチロソール源は、保存用食品組成物中に、該保存性食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)、約35ppm(約0.0035%)、約30ppm(約0.003%)、約25ppm(約0.0025%)、約20ppm(約0.002%)、約15ppm(約0.0015%)、約10ppm(約0.001%)、またはさらに約5ppm(約0.0005%)未満の量で存在し得る。
【0209】
例えば、ヒドロキシチロソール源は、保存性食品組成物中に、該保存性食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約0.1ppm(約0.00001%)超の量で存在し得る。
【0210】
例えば、ヒドロキシチロソール源は、保存性食品組成物中に、該保存性食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約3ppm(約0.0003%)超の量で存在し得る。
【0211】
特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品のヒドロキシチロソール源は、該コンパニオン動物用食品製品の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約0.1ppm(約0.00001%)超の量で存在し得る。
【0212】
例えば、ヒドロキシチロソール源は、コンパニオン動物用食品製品中に、該コンパニオン動物用食品製品の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)、約35ppm(約0.0035%)、約30ppm(約0.003%)、約25ppm(約0.0025%)、約20ppm(約0.002%)、約15ppm(約0.0015%)、約10ppm(約0.001%)、またはさらに約5ppm(約0.0005%)未満の量で存在し得る。
【0213】
例えば、ヒドロキシチロソール源は、コンパニオン動物用食品中に、該コンパニオン動物用食品製品の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約0.1ppm(約0.00001%)超の量で存在し得る。
【0214】
例えば、ヒドロキシチロソール源は、動物用食品製品中に、動物用食品製品の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約3ppm(約0.0003%)超の量で存在し得る。
【0215】
タンニン
特定の実施形態では、本開示の食品組成物は、1つ以上のタンニンを含み得る。特定の非限定的な実施形態では、タンニンは、加水分解性タンニンもしくは縮合タンニンまたはそれらの組み合わせを含み得るか、またはそれらからなり得る。
【0216】
特定の実施形態では、タンニンは、ガロタンニン、エラジタンニン、複合タンニン、および縮合タンニン、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0217】
特定の実施形態では、加水分解性タンニンは、ガロタンニンおよびエラジタンニン、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0218】
特定の実施形態では、タンニン源は、没食子酸源、タンニン酸源、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0219】
特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源を含み得る。
【0220】
特定の実施形態では、タンニン源は、没食子酸源を含み得る。
【0221】
特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源と没食子酸源との組み合わせを含み得る。かかる実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:5~約1:50の範囲である。一実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:10~約1:40であり得る。一実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:15~約1:30であり得る。
【0222】
特定の実施形態では、本開示の食品製品に使用されるタンニンは、2つ以上の異なる供給源から提供され得る。本開示の例示的な実施形態では、コナラ属種(Quercus spp)由来のタンニン酸は、ウルシ属種(Rhus spp)由来の没食子酸と組み合わせることができ、タンニン酸対没食子酸の比は、1:5~1:50の範囲である。特定の実施形態では、本開示の組成物、より具体的には本開示による食品組成物に使用されるタンニン酸は、押出のような食品加工中に更なる加水分解を受け、没食子酸を含む加水分解物生成物をもたらし、最終製品におけるタンニン酸対没食子酸の比に影響を与えることができる。当業者であれば、約1:5~約1:50;約1:10~約1:40;または約1:15~約1:30の範囲の最終比率を達成するために、適切な量のタンニン酸と、最終的には没食子酸とを組み込むために、この加水分解を予測するであろう。実施形態では、タンニン酸の加水分解は、約1:5~約1:50の範囲の最終的な比を達成するのに十分であり得るので、没食子酸を添加する必要はないことがある。
【0223】
特定の実施形態では、エラジタンニン源は、エラグ酸源を含み得る。
【0224】
特定の実施形態では、タンニン酸源は、没食子エキスを含み得る。
【0225】
特定の実施形態では、エラグ酸源は、ザクロエキスを含み得る。
【0226】
タンニン源は、天然源、例えば果実および植物、例えば没食子、イチゴ、ブドウ、ブラックベリー、ラズベリー、クランベリー、ザクロ、グアバ、ペカン、クルミ、クリ、または天然源の一部の任意のエキス、部分、またはエキスを含み得る。
【0227】
特定の実施形態では、保存性食品組成物のタンニン源は、約40ppm(約0.004%)未満かつ約0.1ppm(約0.00001%)超の量で存在し得る。
【0228】
例えば、タンニン源は、食品組成物中に、該食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)、約35ppm(約0.0035%)、約30ppm(約0.003%)、約25ppm(約0.0025%)、約20ppm(約0.002%)、約15ppm(約0.0015%)、約10ppm(約0.001%)、またはさらに約5ppm(約0.0005%)未満の量で存在し得る。
【0229】
例えば、タンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源を合わせた量は、食品組成物中に、該食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)、約35ppm(約0.0035%)、約30ppm(約0.003%)、約25ppm(約0.0025%)、約20ppm(約0.002%)、約15ppm(約0.0015%)、約10ppm(約0.001%)、またはさらに約5ppm(約0.0005%)未満の量で存在し得る。
【0230】
例えば、タンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、食品組成物中に、該食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約0.1ppm(約0.00001%)超の量で存在し得る。
【0231】
例えば、タンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、食品組成物中に、該食品組成物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約3ppm(約0.0003%)超の量で存在し得る。
【0232】
特定の実施形態では、タンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、コンパニオン動物用食品製品中に、該コンパニオン動物用食品製品の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)、約35ppm(約0.0035%)、約30ppm(約0.003%)、約25ppm(約0.0025%)、約20ppm(約0.002%)、約15ppm(約0.0015%)、約10ppm(約0.001%)、またはさらに約5ppm(約0.0005%)未満の量で存在し得る。
【0233】
例えば、タンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、コンパニオン動物用食品製品中に、該コンパニオン動物用食品製品の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約0.1ppm(約0.00001%)超の量で存在し得る。
【0234】
例えば、タンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源は、コンパニオン動物用食品製品中に、該コンパニオン動物用食品製品の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満かつ約3ppm(約0.0003%)超の量で存在し得る。
【0235】
製造方法
特定の態様では、コンパニオン動物用食品製品を製造するための方法が提供される。特定の実施形態では、1つ以上のドライ成分を1つ以上のウェット成分と混合して、エマルジョンまたはドウを形成することができる。特定の実施形態では、1つ以上のドライ成分を1つ以上のドライ成分と混合して、エマルジョンまたはドウを形成することができる。
【0236】
特定の非限定的な実施形態では、1つ以上のウェット成分を1つ以上のウェット成分と混合して、エマルジョンまたはドウを形成することができる。
【0237】
特定の非限定的な実施形態では、1つ以上のウェット成分を1つ以上のドライ成分と混合して、エマルジョンまたはドウを形成することができる。
【0238】
エマルジョンまたはドウは、加圧下で所定の温度まで加熱した後、徐々に冷却することができる。代替的に、エマルジョンを形成し、これを粉砕して所与の温度まで加熱し、その後、加工ゾーンに導入することもできる。加工ゾーンでは、エマルジョンを所定の圧力に供し、排出することができる。チャンク様製品を製造するために、代替的に、スラリーを所定の圧力で掻き取り式熱交換器に導入し、加熱して、特定の温度を有する熱処理製品を製造することができる。特定の非限定的な実施形態では、1つ以上のドライ成分を1つ以上のウェット成分、例えば、水と混合して、ドウを形成することができる。ドウは、高温、圧力、またはそれらの組み合わせの条件下で、押出中に調理することができる。押出機は、特定の形状を有するダイを備えることができ、製品が押し出されるときに押出物を粒子または小片に分割することができる。
【0239】
特定の実施形態によれば、本開示はまた、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源を混合するステップを含むコンパニオン動物用食品製品の製造方法に関する。タンニン源は、加水分解性タンニン源、例えばガロタンニン源、エラジタンニン源、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源、没食子酸源、エラグ酸源、またはそれらの組み合わせから選択される加水分解性タンニンであり得る。ある特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、没食子酸源であり得る。ある他の特定の実施形態では、タンニン源は、タンニン酸源と没食子酸源との組み合わせであり得、特に、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:5~約1:50の範囲である。特定の実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:10~約1:40であり得る。一実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:15~約1:30であり得る。
【0240】
製造されるコンパニオン動物用食品製品は、ドライ食品製品またはウェット食品製品であり得る。特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品は、ドライ食品製品であり得る。
【0241】
特に、特定の実施形態では、動物用食品を製造するための方法は、以下のステップ:
a)(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源を混合し、それによって混合物を提供するステップ;ならびに
b)混合物を加熱するステップ
を含む。
【0242】
ある特定の実施形態では、動物用食品製品を製造するための方法は、(i)約40ppm(約0.004%)未満の量のカルノシン酸源、(ii)約40ppm(約0.004%)未満の量のヒドロキシチロソール源、および(iii)約40ppm(約0.004%)未満の量のタンニン源を混合するステップを含む。
【0243】
ある特定の実施形態では、コンパニオン動物用食品製品を製造するための方法は、以下のステップ:
a)(i)約40ppm(約0.004%)未満の量のカルノシン酸源、(ii)約40ppm(約0.004%)未満の量のヒドロキシチロソール源、および(iii)約40ppm(約0.004%)未満の量のタンニン源を混合し、それによって混合物を提供するステップ;ならびに
b)混合物を加熱するステップ
を含む。
【0244】
混合するステップは、特定の種類の混合に限定されない。例示的な実施形態によれば、混合するステップは、以下のステップ:
a1)(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源から選択される少なくとも2つの供給源を含む押出物を提供するステップ;
a2)前述の押出物を、ステップa1)で言及された2つの供給源とは異なり、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源から選択され得る少なくとも第3の供給源でコーティングするステップ
を含む。
【0245】
有利には、コンパニオン動物用食品製品の製造方法は、a1)(i)ヒドロキシチロソール源と(ii)タンニン源との組み合わせの押出物を提供するステップ;およびa2)前述の押出物をカルノシン酸源でコーティングするステップを含む。
【0246】
ある特定の実施形態によれば、コンパニオン動物用食品製品を製造する方法は、以下のステップ:
a1)(i)押出物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満の量のヒドロキシチロソール源と、(ii)押出物の総重量に対して、約40ppm(約0.004%)未満の量のタンニン源との組み合わせの押出物を提供するステップ;
a2)前述の押出物をカルノシン酸源でコーティングし、それによって混合物を提供するステップ;
b)混合物を加熱するステップ
を含む。
【0247】
当業者であれば、動物用食品製品を製造する多種多様な方法が本開示と共に使用するのに適切であることを理解するであろう。
【0248】
保存剤としての食品組成物の使用
別の態様によれば、本開示は、コンパニオン動物用食品製品の保存料としての、本明細書に記載される食品組成物またはキットの使用に関する。
【0249】
特定の実施形態によれば、本開示は、コンパニオン動物用食品製品の保存料としての、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源、例えばタンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源の抗酸化物質の組み合わせの使用を記載する。
【0250】
言い換えれば、本開示の食品組成物は、コンパニオン動物用食品の保存剤として使用することができるか、または食品組成物は、コンパニオン動物用食品用の抗酸化物質として使用することができる。
【0251】
前述のように、本開示による食品組成物は、任意の動物用食品製品に、特に脂肪分を含有する任意のコンパニオン動物用食品に組み込むことができる。
【0252】
幾つかの実施形態では、食品組成物は、肉製品、例えば肉、家禽製品、魚、甲殻類、野菜、インスタント食品、調理済み食品、乳製品、ジャム、ゼリー、飲料およびキブルなどの保存のために使用することができる。
【0253】
幾つかの実施形態では、食品組成物は、コンパニオン動物用食品製品の保存のために、特にウェット食品製品およびドライ食品製品のために使用することができる。ある特定の実施形態では、本開示の食品組成物は、ドライ食品製品の保存のために使用することができる。
【0254】
食品組成物は、保存されるべきコンパニオン動物用食品製品の最終段階に添加することができるか、またはコンパニオン動物用食品製品を処理する利点を有するであろう初期段階に添加することができ、それによって食品組成物は、ドライ製品として、保存されるべきコンパニオン動物用食品製品に添加することができるか、または溶液もしくは分散液の形態で添加することができる。
【0255】
特に、本開示は、コンパニオン動物用食品製品の保存料としての、(i)約40ppm(約0.004%)未満の量のカルノシン酸源、(ii)約40ppm(約0.004%)未満の量のヒドロキシチロソール源、および(iii)約40ppm(約0.004%)未満の量のタンニン源の組み合わせの使用を記載する。
【0256】
したがって、この組み合わせは、(i)カルノシン酸、(ii)ヒドロキシチロソール、および(iii)タンニン酸、エラグ酸、没食子酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。ある特定の実施形態では、この組み合わせは、(i)カルノシン酸、(ii)ヒドロキシチロソール、および(iii)タンニン酸を含有し得る。ある他の特定の実施形態では、この組み合わせは、(i)カルノシン酸、(ii)ヒドロキシチロソール、および(iii)没食子酸を含み得る。ある他の特定の実施形態では、この組み合わせは、(i)カルノシン酸、(ii)ヒドロキシチロソール、および(iii)タンニン酸没食子酸の組み合わせを含み得、特に、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:5~約1:50の範囲である。一実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:10~約1:40であり得る。一実施形態では、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:15~約1:30であり得る。
【0257】
特定の実施形態によれば、本開示は、動物用食品製品のPV(過酸化物価)を維持するための方法であって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせに前述の食品を接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0258】
特に、本開示は、少なくとも12ヶ月間、動物用食品製品のPVを脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満に維持するための方法であって、前述の方法は、(i)約40ppm(約0.004%)未満の量のカルノシン酸源、(ii)約40ppm(約0.004%)未満の量のヒドロキシチロソール源、および(iii)約40ppm(約0.004%)未満の量のタンニン源の組み合わせを前述の食品に組み入れるステップを含む。
【0259】
ある特定の実施形態では、本方法は、紙バッグの条件下で少なくとも約12ヶ月間、コンパニオン動物用食品製品のPV値を脂肪分1kg当たり約10mEq(約10ミリモル)未満に維持するのに適切であり得る。
【0260】
ある特定の実施形態では、本方法は、雰囲気制御条件下で少なくとも約18ヶ月間、コンパニオン動物用食品製品のPV値を脂肪分1kg当たり約10mEq(約10ミリモル)未満に維持するのに適切であり得る。
【0261】
ある特定の実施形態によれば、本開示は、コンパニオン動物用食品製品のヘキサナール値を維持するための方法であって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせに前述の食品を接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0262】
特に、特定の実施形態では、本開示は、コンパニオン動物用食品製品のヘキサナール値を少なくとも約12ヶ月間、約15ppm(約0.0015%)未満に維持するための方法であって、(i)約40ppm(約0.004%)未満の量のカルノシン酸源、(ii)約40ppm(約0.004%)未満の量のヒドロキシチロソール源、および(iii)約40ppm(約0.004%)未満の量のタンニン源の組み合わせを前述の食品に組み入れるステップを含む、方法を提供する。
【0263】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、紙バッグの条件下で少なくとも約12ヶ月間、動物用食品製品のヘキサナール値を約15ppm(約0.0015%)未満に維持するのに適切であり得る。
【0264】
ある特定の実施形態では、本方法は、雰囲気制御された条件下で少なくとも約18ヶ月間、動物用食品のヘキサナール値を約15ppm(約0.0015%)未満に維持するのに適切であり得る。
【0265】
治療方法
別の態様によれば、本開示は、医薬品として使用するための、本明細書に記載される食品組成物、またはコンパニオン動物用食品製品またはキットに関する。
【0266】
幾つかの実施形態では、本開示は、医薬品として使用するための、有効量の:
(i)カルノシン酸源;
(ii)ヒドロキシチロソール源;および
(iii)タンニン源
の組み合わせを少なくとも含む、食品組成物、製品またはそのキットを提供する。
【0267】
幾つかの実施形態では、本開示は、医薬品として使用するための、
(i)カルノシン酸源;
(ii)ヒドロキシチロソール源;および
(iii)加水分解性タンニン源のうちの少なくとも1つ
の組み合わせを少なくとも含む、食品組成物、製品またはそのキットを提供する。
【0268】
幾つかの実施形態では、本開示は、医薬品として使用するための、
(i)カルノシン酸源;
(ii)ヒドロキシチロソール源;および
(iii)タンニン酸源、没食子酸源およびエラグ酸源のうちの少なくとも1つ
の組み合わせを少なくとも含む、食品組成物、製品またはそのキットを提供する。
【0269】
幾つかの実施形態では、本開示による食品組成物、製品またはキットは、細胞酸化ストレスの発生の可能性を処置または防止または低減するための方法において使用することができる。
【0270】
幾つかの実施形態では、本開示による食品組成物、製品またはキットは、炎症または炎症性障害の発生の可能性を処置または防止または低減するための方法において使用することができる。
【0271】
幾つかの実施形態では、本開示による食品組成物、製品またはキットは、コンパニオン動物の免疫応答を惹起するかもしくは増加させるための方法、またはコンパニオン動物の感染および/もしくはアレルギー反応の発生の可能性を防止もしくは低減するための方法、例えば、ウイルスもしくは細菌もしくは寄生虫感染に対する免疫応答を惹起するかもしくは増加させるための方法において使用することができる。
【0272】
特定の実施形態では、本開示は、感染および/またはアレルギー反応の発生の可能性を防止または低減するために使用することができる新規な食品組成物を提供する。特定の実施形態では、本開示の食品組成物は、コンパニオン動物のウイルス、細菌、または寄生虫感染による悪影響に抵抗するかまたはそれを抑制するために使用することができる。
【0273】
前述のように、年齢に関係なく健康な動物でさえも、免疫系が弱まり、その結果、アレルゲンがより敏感になり、ウイルス、細菌または寄生虫感染などの感染に対する感受性がより高くなる可能性がある。特定の実施形態では、本開示の食品組成物の投与は、コンパニオン動物の健康に及ぼす感染および/またはアレルギー反応の影響を軽減し得る。
【0274】
特定の実施形態では、本開示の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットの使用は、動物におけるウイルスまたは細菌または寄生虫感染に対する免疫応答に及ぼす加齢に伴う作用に対向するか、それを抑制するか、または逆転させることができる。特定の実施形態では、動物は、高齢の動物である。
【0275】
本開示の食品組成物は、コンパニオン動物に投与された場合、ウイルスもしくは細菌もしくは寄生虫感染および/またはアレルギー反応に対する免疫応答を惹起することができる。
【0276】
幾つかの実施形態では、本開示は、コンパニオン動物における感染および/またはアレルギー反応の発生の可能性を防止または低減するための方法であって、コンパニオン動物に投与されるべき本開示による有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップを少なくとも含む、方法を提供する。
【0277】
幾つかの実施形態では、本開示は、コンパニオン動物における感染および/またはアレルギー反応の発生の可能性を防止または低減するための治療方法であって、本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;および有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップを含む、治療方法を提供する。
【0278】
幾つかの実施形態では、本開示は、細胞酸化ストレスの発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、コンパニオン動物に投与されるべき有効量の本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップを少なくとも含む、方法を提供する。
【0279】
幾つかの実施形態では、本開示は、細胞酸化ストレスの発生の可能性を処置または防止または低減するための治療方法であって、本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ、および有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップを含む、治療方法を提供する。
【0280】
幾つかの実施形態では、本開示は、コンパニオン動物における感染および/またはアレルギー反応の発生の可能性を防止または低減するための方法であって、コンパニオン動物に投与されるべき有効量の本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップを少なくとも含む、方法を提供する。
【0281】
幾つかの実施形態では、本開示は、コンパニオン動物における感染および/またはアレルギー反応の発生の可能性を防止または低減するための治療方法であって、本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ、および有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップを含む、治療方法を提供する。
【0282】
幾つかの実施形態では、本開示は、コンパニオン動物における炎症または炎症性障害の発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、コンパニオン動物に投与されるべき有効量の本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップを少なくとも含む、方法を提供する。
【0283】
幾つかの実施形態では、本開示は、炎症または炎症性障害の発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ、および有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0284】
幾つかの実施形態では、本開示は、コンパニオン動物において免疫応答を惹起するかまたは増加させるための方法であって、コンパニオン動物に投与されるべき有効量の本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップを少なくとも含む、方法を提供する。
【0285】
幾つかの実施形態では、本開示は、コンパニオン動物において免疫応答を惹起するかまたは増加させるための方法であって、本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ、および有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0286】
幾つかの実施形態では、本開示は、コンパニオン動物における感染および/またはアレルギー反応の発生の可能性を防止または低減するためなど、上記で定義されるような治療方法であって、
a)本開示による食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ、および
b)有効量の食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットをコンパニオン動物に投与するステップ
を含む、治療方法を提供する。
【0287】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるような食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットは、処置の期間中、処置されるべき動物に提供され得る。これらの実施形態によれば、前述の食品組成物は、処置の期間中、日常的にコンパニオン動物に提供される。
【0288】
特定の実施形態では、本開示の食品組成物は、特定の投与レジメンに従って有効量の活性薬剤を提供するように処方され得る。本明細書の食品組成物は、所望の1日用量に従って活性薬剤の各々を提供することができる。
【0289】
別の態様では、本開示の食品組成物は、体重当たりの所望の量の活性薬剤を送達するように動物に投与することができる。投与は、コンパニオン動物の種、ならびに性別、年齢、病状などの他の要因に基づいて構成することができる。
【0290】
ある特定の実施形態では、本開示の食品組成物は、前述の動物の体重に基づく有効量の1つ以上の活性薬剤の1日量(mg/kg bw)を動物に提供するように処方され得る。特定の実施形態では、有効量の食品組成物は、i)約0.01~約10mg/kg bw、約0.01~約1mg/kg bwまたは約0.04~約0.6mg/kg bwのカルノシン酸源、ii)約0.01~約10mg/kg bw、約0.01~約1mg/kg bwまたは約0.04~約0.6mg/kg bwのヒドロキシチロソール源、ならびにiii)約0.01~約10mg/kg bw、約0.01~約1mg/kg bwまたは約0.04~約0.6mg/kg bwのタンニン源、エラグ酸源または没食子酸源を含むように処方され得る。
【0291】
ある特定の実施形態では、食品組成物の有効量は、i)約0.01~約10mg/kg bw、約0.01~約1mg/kg bwまたは約0.04~約0.6mg/kg bwのカルノシン酸源、ii)約0.01~約10mg/kg bw、約0.01~約1mg/kg bwまたは約0.04~約0.6mg/kg bwのヒドロキシチロソール源、ならびにiii)約0.01~約10mg/kg bw、約0.01~約1mg/kg bwまたは約0.04~約0.6mg/kg bwのタンニン酸源、没食子酸源および/またはエラグ酸源を含むように処方され得る。
【0292】
本明細書で議論される処方および方法は、他の処置と組み合わせて採用できることがさらに企図される。
【0293】
コンパニオン動物に給餌する日常的な実践において、動物の所有者は、日常的に常に動物を食品組成物で常に毎日処置する体系的な方法に従って進めることはできないことを理解されたい。しかしながら、免疫応答を惹起するかまたは増加させるという有益な効果は、動物を1日おきに本明細書に記載される食品組成物で処置する場合に十分に提供される。
【0294】
本明細書に記載される食品組成物により、免疫応答を惹起するかもしくは増加させるか、または感染および/もしくはアレルギー反応の発生の可能性を防止もしくは低減するための期間は、数日~数週間の範囲であり得る。
【0295】
特定の他の実施形態によれば、食品組成物は、約12週間以上の期間;約24週間以上の期間;または約30週間以上の期間など長期間にわたって、(i)コンパニオン動物に本明細書に記載される食品組成物を専ら提供することを含む給餌スケジュールに従って、または(ii)本明細書に記載される食品組成物と別の食品組成物とを交互に与えるスケジュールに従って、コンパニオン動物に提供され得る。
【0296】
幾つかの実施形態では、本開示は、特にここで報告される治療状態のうちのいずれか1つに向けられた医薬品の調製のために、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源、例えばタンニン酸源、エラグ酸源および/または没食子酸源を使用することを提供する。
【0297】
本開示の更なる態様では、医薬品としての使用のための食品組成物は、機能性食品、食事、食品添加物、食品保存料、サプリメント、薬品、食品、または栄養的に完全な食品組成物の形態であり得る。
【0298】
本開示の態様は、以下の例示的な実施形態によってさらに説明される。これらの実施例は、本開示の限定と見なされるべきではなく、本開示の主題を実践する際に当業者に指示するためのものにすぎない。当業者には、形態、使用法および実施の詳細における多数の変更が、発明の能力を発揮することなく、また本開示の原理および概念から逸脱することなく行われ得ることは明らかであろう。したがって、本開示は、以下に示される特許請求の範囲による場合を除き、限定されることは意図されていない。
【実施例】
【0299】
本開示の主題は、以下の実施例を参照することによって、より良く理解されるであろうが、これらの実施例は、本開示の例示として提供されるものであり、限定するものではない。実施例で使用される材料および方法は、以下に要約される。
【0300】
略称:
ATCO:雰囲気制御
BHA:ブチル化ヒドロキシアニソール
NS:有意でない
PG:没食子酸プロピル
PV:過酸化物価
RM:原材料
VHS:非常に有意
実施例1
1.1 材料および方法
過酸化物価およびヘキサナールレベル
過酸化物価(PV)およびヘキサナールレベル(ヘキサナール)を決定すべく、得られた食品製品を解析した。PVは、動物および植物起源の脂肪物質の過酸化物価のヨウ素滴定測定の方法に従って、測定の終了時に視覚的に検出することにより決定した:NF EN ISO 3960(2017年4月版)またはNF EN ISO 27107(2010年6月版)。
【0301】
ヘキサナールレベルは、AOCS法Cg4-94(AOCS. 1997)に従って、または文献に記載の方法(Azarbad, Determination of hexanal - an indicator of lipid oxidation by HS-GC-FID in food matrices, 2014)に従って測定した。
【0302】
周囲条件で保管された食品製品は、研究初日(T0)および12ヶ月後(M12)および18ヶ月後に解析した。
【0303】
加速保管条件で保管された食品製品は、研究初日(T0)および研究終了時(120日後-D120)に解析した。
【0304】
食品製品に使用されている市販の配合成分
ネコ用には、食品製品は、市販の配合成分ROYAL CANIN(登録商標)Fit 32(F32)をベースにしている。
【0305】
イヌ用には、食品製品は、市販の配合成分ROYAL CANIN(登録商標)Medium adult(M25)をベースにしている。
【0306】
抗酸化物質の組み合わせ
実施例を通して、3つの抗酸化物質の組み合わせを提供し、試験した:
・BHA、PGおよびクエン酸を使用した合成抗酸化物質基準品(SA);
・混合トコフェロールとローズマリーエキスとを使用した天然抗酸化物質基準品(NA1G);
・オリーブエキス、没食子エキスおよびローズマリーエキスを使用した新しい天然抗酸化物質の組み合わせ(NA2G)。
【0307】
食品製品
動物用食品の調製は、当業者に周知である。
【0308】
ネコ用には、試験された食品製品は、次のように製造した:
・F32 SA(ポジティブコントロール):市販の配合成分F32を、押出前に75ppm(0.0075%)のBHAと混合し、次いで50ppm(0.005%)のBHA+17ppm(0.0017%)のPG+17ppm(0.0017%)のクエン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0309】
・F32 NA1G(ポジティブコントロール):市販の配合成分F32を、押出前に混合トコフェロール由来の120ppm(0.012%)のガンマおよびデルタトコフェロールと混合し、次いでローズマリーエキス由来の7ppm(0.0007%)のカルノシン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0310】
・F32 NA2G:市販の配合成分F32を、押出前に没食子エキス由来の22.5ppm(0.00225%)のガロタンニンおよびオリーブエキス由来の25ppm(0.0025%)のヒドロキシチロソールと混合し、次いでローズマリーエキス由来の7ppm(0.0007%)のカルノシン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0311】
イヌ用には、試験された食品製品は、次のように製造した:
・M25 SA(ポジティブコントロール):市販の配合成分M25を、押出前に75ppm(0.0075%)のBHAと混合し、次いで50ppm(0.005%)のBHA+17ppm(0.0017%)のPG+17ppm(0.0017%)のクエン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0312】
・M25 NA1G(ポジティブコントロール):市販の配合成分M25を、押出前に混合トコフェロール由来の120ppm(0.012%)のガンマおよびデルタトコフェロールと混合し、次いでローズマリーエキス由来の11ppm(0.0011%)のカルノシン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0313】
・M25 NA2G:市販の配合成分M25を、押出前に没食子エキス由来の22.5ppm(0.00225%)のガロタンニンおよびオリーブエキス由来の25ppm(0.0025%)のヒドロキシチロソールと混合し、次いでローズマリーエキス由来の11ppm(0.0011%)のカルノシン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0314】
各食品製品は、独立した方法で2回製造した(2製造バッチ)。
【0315】
食品製品の保管
食品製品は、定められた期間、周囲条件または加速条件で保管した。
【0316】
周囲条件:室温、相対湿度50%で保管。
【0317】
加速条件:40℃、相対湿度50%で保管。
【0318】
包装:紙バッグまたは雰囲気制御バッグ(ATCOバッグ)。
【0319】
ネコを対象とする消費試験の研究デザイン
試験プロトコルは、「2皿試験」としても知られている一対比較を使用した。
【0320】
この試験では、2つのキャットフード食品(AおよびB)を2つの同じ皿に並べて、n匹のネコに与えた。ネコは2つの食品のどちらかを自由に選ぶことができた。試験期間終了後に、各食品の消費量を測定した。2皿試験は、常に一方の食品の嗜好性を他方のものとの比較で評価する。登録されたネコは、食事量を自己調節できることが分かっているため、1日16時間、自由に給餌した。この時間枠の間、ネコは2つの食事皿のどちらかを選ぶことができた。給餌期間終了後、10g超の製品を食べたネコのみを結果に考慮した。
【0321】
消費率は、パネルの総消費量と比較した、動物のグループが食べた各食品の割合である。比率は以下のように計算した:
比率A=(食品Aの消費量)/(食品Aの消費量+食品Bの消費量)
消費率は、まず各動物について個別に計算した。次いで、個々の比率の平均を計算し、グループの平均結果を得た。
【0322】
イヌを対象とした消費試験の研究デザイン
イヌ用には、ドッグフード製品(AおよびB)を午前と午後とに2皿ずつ、予め決められた時間、各イヌに提供した。4つの皿(午前中に給餌する2つの皿+午後に給餌する2つの皿)の総量が、維持エネルギー必要量をカバーした。食品の好みは、最初に食べ終わった皿を動物管理者が観察することで判断した。
【0323】
1.2 結果
提示された結果は、バッチ1およびバッチ2の平均値である。
【0324】
A.本開示の天然抗酸化物質の組み合わせは、動物用食品製品の安定性および保存性に作用する。
【0325】
【0326】
【0327】
第1表および第2表に示すように、NA2Gの組み合わせは、キャットフードおよびドッグフード製品において、加速保管条件下で120日間、PVを脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満に維持し、ヘキサナールを15ppm(0.0015%)未満に維持するという点で、SAおよびNA1Gと同等であった。したがって、NA2Gは、動物用食品製品の良好な保存性を提供することができる優れた新しい天然保存性食品組成物であることが見出された。
【0328】
A.2.周囲保管条件
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
【0333】
第3表~第6表に示すように、NA2Gの組み合わせは、キャットフードおよびドッグフード製品において、紙バッグに入れた周囲条件下で12ヶ月間およびATCOバッグの周囲条件下で18ヶ月間、PVを脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満に維持し、ヘキサナールを15ppm(0.0015%)未満に維持するという点で、SAおよびNA1Gと同等であった。したがって、NA2Gの組み合わせは、動物用食品製品の良好な保存性を誘発する、優れた新しい保存性食品組成物であることが見出された。
【0334】
B.本開示の天然抗酸化物質の組み合わせは、動物用食品製品の嗜好性に作用する。
【0335】
【0336】
【0337】
第7表および第8表に示すように、NA2Gの組み合わせを含む食品製品の官能性能は、イヌおよびネコ用の保存寿命中、SAの組み合わせを含む食品製品と同等またはそれよりも優れていた。さらに、NA2Gの組み合わせを含む食品は、市販の食品製品(Pro PlanおよびHill’s製品)よりも有意に嗜好性が高いことが第8表に示された。
【0338】
実施例2
2.1 材料および方法
過酸化物価およびヘキサナールレベル
過酸化物価(PV)およびヘキサナールレベル(ヘキサナール)を決定すべく、得られた食品製品を解析した。過酸化物値は、動物および植物起源の脂肪物質の過酸化物価のヨウ素滴定測定の方法に従って、測定の終了時に視覚的に検出することにより決定した:NF EN ISO 3960(2017年4月版)またはNF EN ISO 27107(2010年6月版)。
【0339】
ヘキサナールレベルは、AOCS法Cg 4-94に従って、または文献に記載の方法(Azarbad and Jelen, Determination of hexanal - an indicator of lipid oxidation by Static Headspace Gas Chromatography (SHS-GC) in Fat-Rich Food Matrices, Food Analytical Methods 8(7), 2014)に従って測定した。
【0340】
食品製品に使用されている市販の配合成分
ネコ用には、第1の食品製品は、市販の配合成分ROYAL CANIN(登録商標)Sensible 33(S33)にベースにしている。第2の食品製品は、市販の配合成分ROYAL CANIN(登録商標)Urinary feline moderate calorie(UMC)をベースにしている。
【0341】
イヌ用には、第1の食品製品は、市販の配合成分ROYAL CANIN(登録商標)Mobility(MOB)をベースにしている。第2の食品製品は、市販の配合成分ROYAL CANIN(登録商標)Skin care small dog(SCD)をベースにしている。
【0342】
抗酸化物質の組み合わせ
実施例を通して、2つの抗酸化物質の組み合わせを提供し、試験した:
・BHA、PGおよびクエン酸を使用した合成抗酸化物質基準品(SA);
・オリーブエキス(ヒドロキシチロソール源)、没食子エキス(加水分解性タンニン源)およびローズマリーエキス(カルノシン酸源)を使用した新しい天然抗酸化物質の組み合わせ(NA2G)。
【0343】
食品製品
動物用食品の調製は、当業者に周知である。
【0344】
ネコ用には、試験した第1の食品は、次のように製造した:
・S33 SA(ポジティブコントロール):市販の配合成分S33を、押出前に75ppm(0.0075%)のBHAと混合し、次いで119ppm(0.0119%)のBHA+40ppm(0.004%)のPG+40ppm(0.004%)のクエン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0345】
・S33 NA2G:市販の配合成分S33を、押出前に適用された没食子エキス由来の22.5ppm(0.00225%)のガロタンニンおよびオリーブエキス由来の25ppm(0.0025%)のヒドロキシチロソールと混合し、次いでローズマリーエキス由来の7ppm(0.0007%)のカルノシン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0346】
試験した第2の食品は、次のように製造した:
・UMC SA(ポジティブコントロール):市販の配合成分UMCを、押出前に75ppm(0.0075%)のBHAと混合し、25ppm(0.0025%)のBHA+9ppm(0.0009%)のPG+9ppm(0.0009%)のクエン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0347】
・UMC NA2G:市販の配合成分UMCを、押出前に没食子エキス由来の22.5ppm(0.00225%)のガロタンニンおよびオリーブエキス由来の25ppm(0.0025%)のヒドロキシチロソールと混合し、次いでローズマリーエキス由来の7ppm(0.0007%)のカルノシン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0348】
イヌ用には、第1の食品製品は、次のように製造した:
・MOB SA(ポジティブコントロール):市販の配合成分MOBを、押出前に75ppm(0.0075%)のBHAと混合し、32ppm(0.0032%)のBHA+11ppm(0.0011%)のPG+11ppm(0.0011%)のクエン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0349】
・MOB NA2G:市販の配合成分MOBを、押出前に没食子エキス由来の22.5ppm(0.00225%)のガロタンニンおよびオリーブエキス由来の25ppm(0.0025%)のヒドロキシチロソールと混合し、次いでローズマリーエキス由来の11ppm(0.0011%)のカルノシン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0350】
試験した第2食品は、次のように製造した:
・SCD SA(ポジティブコントロール):市販の配合成分SCDを、押出前に75ppm(0.0075%)のBHAと混合し、130ppm(0.013%)のBHA+43ppm(0.0043%)のPG+43ppm(0.0043%)のクエン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0351】
・SCD NA2G:市販の配合成分SCDを、押出前に没食子エキス由来の22.5ppm(0.00225%)のガロタンニンおよびオリーブエキス由来の25ppm(0.0025%)のヒドロキシチロソールと混合し、次いでローズマリーエキス由来の11ppm(0.0011%)のカルノシン酸を、脂肪コーティングを介して適用した。
【0352】
各食品製品は、独立した方法で2回製造した(2製造バッチ)。
【0353】
食品製品の保管
食品製品は、定められた期間、周囲条件で保管した。
【0354】
周囲条件:室温、相対湿度50%で保管。
【0355】
加速条件:40℃、相対湿度50%で保管。
【0356】
包装:紙バッグまたは雰囲気制御バッグ(ATCOバッグ)。
【0357】
2.2 結果
提示された結果は、バッチ1およびバッチ2の平均値である。
【0358】
A.本開示の天然抗酸化物質の組み合わせは、動物用食品製品の安定性および保存性に作用する。
【0359】
A.1 周囲保管条件
【0360】
【0361】
【0362】
【0363】
【0364】
第9表~第12表に示すように、NA2Gは、キャットフードおよびドッグフード製品において、紙バッグに入れた周囲条件下で12ヶ月間およびATCOバッグで18ヶ月間、PVを脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満に維持し、ヘキサナールを15ppm(0.0015%)未満に維持するという点で、SAと同等であった。したがって、カルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源;およびタンニン源、エラグ酸源または没食子酸源(NA2G)を含む抗酸化物質の組み合わせは、食品組成物の保存性を誘発するのに効果的であることが見出された。したがって、NA2Gは、動物用食品製品の良好な保存性を誘発し、優れた新しい保存性食品組成物であることが見出された。
【0365】
B.本開示の天然抗酸化物質の組み合わせは、動物用食品の嗜好性に作用する。
【0366】
【0367】
【0368】
【0369】
第13表~第15表に示すように、キャットフード製品およびドッグフード製品の保存寿命中、NA2Gの組み合わせを含む食品製品の官能性能は、SAの組み合わせを含む食品製品と同等またはそれよりも優れていた。
【0370】
具体的には、第13表において、NA2Gの組み合わせを含むキャットフード製品は、SAの組み合わせを含む食品製品よりも、3.5または5ヶ月でネコによる消費量が有意に多いことが観察された。したがって、カルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源;およびタンニン源、エラグ酸源または没食子酸源を含む保存性食品組成物を含むキャットフード製品は、合成抗酸化物質の組み合わせよりも有意に嗜好性が高いことが観察された。
【0371】
さらに、第14表~第15表に示すように、NA2Gの組み合わせを含む食品は、SAの組み合わせを含む食品よりも、それぞれ3.5ヶ月および5.5ヶ月でネコおよびイヌによって有意により好まれることが示された。
【0372】
したがって、本開示のカルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源;およびタンニン源を含む保存性食品組成物は、動物にとって嗜好性があることが観察された。
【0373】
実施例3
3.1 材料および方法
過酸化物価およびヘキサナールレベル
過酸化物価(PV)およびヘキサナールレベル(ヘキサナール)を決定すべく、得られた食品製品を解析した。PVは、動物および植物起源の脂肪物質の過酸化物価のヨウ素滴定測定の方法に従って、測定の終了時に視覚的に検出することにより決定した:NF EN ISO 3960(2017年4月版)またはNF EN ISO 27107(2010年6月版)。
【0374】
ヘキサナールレベルは、AOCS法Cg 4-94に従って、または文献に記載の方法(Azarbad, Determination of hexanal - an indicator of lipid oxidation by HS-GC-FID in food matrices, 2014)に従って測定した。
【0375】
ドライ食品製品に使用されている配合成分
ドライ食品製品(キブル)は、25%の動物性ドライタンパク質源(ダックミール)、脂肪源、炭水化物源、およびその他の有効成分を含む完全でバランスのとれた動物性ドライ食品配合成分をベースとしていた。ドライタンパク質源は、以下の抗酸化物質を含んでいた:
・合成抗酸化物質基準品(SA)(ポジティブコントロール):80ppm(0.008%)のBHA、26ppm(0.0026%)のPGおよび26ppm(0.0026%)のクエン酸。
【0376】
・天然抗酸化物質基準品(NA1G)(ポジティブコントロール):180ppm(0.018%)のガンマおよびデルタトコフェロールならびに30ppm(0.003%)のカルノシン酸;
・新しい天然抗酸化物質の組み合わせ(NA2G):180ppm(0.018%)のガンマおよびデルタトコフェロールならびに30ppm(0.003%)のカルノシン酸。
【0377】
抗酸化物質の組み合わせ
実施例を通して、3つの抗酸化物質の組み合わせを提供し、試験した:
・ BHAをベースとした製品SA;
・ ガンマおよびデルタ(g+d)トコフェロールの混合物をベースとした製品NA1G;
・ オリーブエキス、没食子エキスおよびザクロエキスをベースとした製品NA2G。
【0378】
ドライ食品製品および製造
動物用ドライ食品製品(キブル)の調製は、当業者に周知のペット用食品の標準ステップを使用する。
【0379】
本実施例で試験したドライ食品製品は、次のように調製した:
成分を受け取り、使用するまで周囲温度で保管した。粉砕中の成分は、パドルミキサーを用いて2分間予備混合した後、ハンマーミル(0.8mmで篩分け)で粉砕した。この粉砕されたブレンドと、NA2G用のオリーブおよび没食子エキスを含む他のすべての抗酸化物質とを、最終的なブレンドおよび混合のために第2のミキサーに取り入れた。この最終ブレンドをパドルミキサーで5分間混合した後、以下の条件で押し出した:調整装置内で100℃で約2.5分、押出機内で30kPaおよび120℃で約1分。
【0380】
次いで、コーティングされていないキブルの半分を紙バッグに入れて周囲条件で保管し、残りの半分のコーティングされていないキブルを乾燥(90℃で25分)させた後、脂肪および天然フレーバー(60℃で3.5分)ならびにNA2G用のローズマリーエキスでコーティングした。次いで、コーティングされたキブルを、周囲温度、典型的には20~25℃で約30分間冷却し、サイロで一時保管(0~90分の間)した後、異なるサイズの紙バッグ、プラスチックバッグ、または窒素でフラッシュされたアルミプラスチックバッグに包装した。
【0381】
各抗酸化物質の組み合わせによる動物用ドライ食品の配合成分は次のとおりであった:
・ 製品SA(ポジティブコントロール):75ppm(0.0075%)の
BHA;
・ 製品NA1G(ポジティブコントロール):130ppm(0.013%)のガンマおよびデルタトコフェロール;
・ 製品NA2G:32ppm(0.0032%)の
カルノシン酸、10ppm(0.001%)の
エラグ酸(ザクロエキス)および5ppm(0.0005%)の
ヒドロキシチロソール(オリーブエキス)。
【0382】
各ドライ食品製品は、独立した方法で2回製造した(2製造バッチ)。
【0383】
ドライ製品の保管
ドライ食品製品(コーティングなしおよびコーティングあり)を、定められた期間、周囲条件で保管した。
【0384】
周囲条件:室温で50%RHの紙バッグに入れて保管、または50%RHの雰囲気制御ルームのバッグ(ATCOバッグ)に入れて保管
3.2 結果
提示された結果は、バッチの平均値である。
【0385】
A.本開示の天然抗酸化物質の組み合わせNA2Gは、コーティングされた動物用ドライ食品製品の安定性および保存性に作用する。
【0386】
【0387】
【0388】
第16表に示すように、コーティングされていない食品は、PVを脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満に維持することができなかったが、コーティングされていない食品は、ヘキサナールを紙バッグに入れて周囲条件で90日間、15ppm(0.0015%)未満に維持した。
【0389】
第17表に示すように、NA2Gの組み合わせを含むコーティングされた食品製品は、紙バッグに入れた周囲条件下で12ヶ月間、PVを脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満に維持し、ヘキサナールを15ppm(0.0015%)未満に維持するという点で、SAの組み合わせを含む食品と同等だった。
【0390】
したがって、ローズマリーエキス、オリーブエキスおよびザクロエキスのブレンド(NA2G)のキブルへの使用は、紙バッグに入れて12ヶ月間、PVを脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満に維持し、ヘキサナールを15ppm(0.0015%)未満に維持するという点で、BHAまたは混合トコフェロールと同様に効率的であった。
【0391】
結論として、有効量のカルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源および少なくとも1つのタンニン源の組み合わせを含む食品組成物は、新しく、より有効な保存性食品組成物であり、動物用食品製品に使用できることが見出された。さらに、有効量のカルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源および少なくとも1つのタンニン源の組み合わせを含む食品組成物は、トコフェロールを含まない食品組成物と同様に効率的であった。
【0392】
実施例4
4.1 材料および方法
本実施例で測定される生理学的パラメーターは、免疫機能:リンパ球増殖アッセイである。
【0393】
末梢血単核細胞(PBMC)の増殖
PBMCの増殖は、短期間の組織培養に置かれたリンパ球が、インビトロで外来分子、抗原またはマイトジェンによって刺激されたときに、クローン増殖を起こす能力を測定する。CD4+リンパ球は、抗原提示細胞(APC)上のクラスII主要組織適合性複合体(MHC II)分子と結合した抗原性ペプチドに応答して増殖する。
【0394】
このインビトロでのリンパ球の抗原に対する増殖応答は、動物がその抗原を含む微生物の感染から回復するか、またはワクチン接種を受けて、その抗原に対して免疫化された場合にのみ起こる。したがって、正常な個体の中には、所与の抗原に応答できないものもあるが、ほとんどの動物は、幾つかの一般的な微生物抗原のうちの少なくとも1つに応答することになる。
【0395】
血液を用いて、フィトヘマグルチニン(PHA、Sigma社)、コンカナバリンA(Con A、Sigma社)およびヤマゴボウマイトジェン(PWM、Sigma社)に対するPBMCのマイトジェン増殖応答性を解析し、インビボ条件を模擬した。
【0396】
ヘパリン化血液を、2.5、5、10、20μl血液/100μl/ウェルを達成するように、培地で希釈した。96ウェルフラットボトムプレート(1ウェル当たり200μlの総量)で、すべて3回に分けて行った。培地は、RPMI1640+10%FCS、4mM L-グルタミン、10U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを使用した。2.5、5、10、20μl血液/100μl/ウェルを達成するように希釈した血液を用いた予備試験では、ConAおよびPWMでは5μl血液/ウェル、PHAでは2.5μl血液/ウェルを用いたときに最良の再現性とマイトジェンに対する最適な応答性を示した。マイトジェンは、最大値の50%~95%の中間的な効果を与える濃度(EC50およびEC95)で試験した:PWM0.01~0.05μg/ml、ConA0.1~0.5μg/ml、PHA1~5μg/ml。この混合物を5%CO2雰囲気下の加湿インキュベーター内で37℃にて72時間、インキュベートした。インキュベーション終了の8時間前に、10μlの[3H]-チミジン(1μCi/ウェル)を添加した。三重水素チミジンの取り込みを液体シンチレーションで測定し、PBMCの増殖応答を、刺激培養のカウント毎分(cpm)を非刺激培養のcpmで補正した刺激指数(SI%)として表した。解析は、GraphPrismソフトウェアで行い、可変勾配の4パラメーターカーブフィットを作成した。各マイトジェンについて、可能であればEC50を算出した。
【0397】
動物用食品製品に使用されている市販の配合成分
イヌ用には、ROYAL CANIN(登録商標)Medium adult(M25)をベースに、必須ではない「栄養」抗酸化物質(緑茶ポリフェノール、ルテイン・・・)を含まない動物用食品製品を試験した。原材料はすべて同じで、合成保存されていた(抗酸化物質を含まない脂肪コーティングを除く)。
【0398】
抗酸化物質の組み合わせ/食品組成物
実施例を通して、3つの抗酸化物質の組み合わせを提供し、試験した:
- BHAおよび没食子酸プロピル(PG)をベースとした低用量合成保存システムをベースとしたウォッシュアウト食。
【0399】
- トコフェロールをベースとしたプラセボ食(コントロール)。
【0400】
- 没食子エキス(ガロタンニン)、オリーブエキス(ヒドロキシチロソール)およびローズマリーエキス(カルノシン酸)をベースとした抗酸化2G食(試験)。
【0401】
動物用食品製品
動物用食品製品の調製は、当業者に周知である。動物用食品製品は、AAFCO(米国飼料検査官協会)の最低要件を満たす、メンテナンスコンプリートドライ食品であった。
【0402】
第18表に、試験した3つの動物用食品製品について、各保存システムの精度を、活性化合物の投与量およびプロセス中の適用ポイントと共に示す。
【0403】
【0404】
保存システムの違いによる保管中の安定性の違いを軽減するため、完成品を脱酸素剤入りのアルミバッグに包装した。
【0405】
研究デザイン
試験した動物用食品製品は、エネルギー必要量に応じて分配した。水へのアクセスは制限しなかった。各イヌの1日の消費量を記録した。
【0406】
イヌの選択基準は、以下のとおりであった:(i)様々な品種および系統、(ii)年齢:3歳超、(iii)健康状態全般が良好、(iv)病気がない、(v)実験食の制限がない。
【0407】
イヌの除外基準は、以下のとおりであった:(i)研究前または研究中に申告された病気、(ii)摂食拒否。
【0408】
17匹の雌イヌに、同じウォッシュアウト食品製品を8週間、給餌した。
【0409】
イヌを、抗酸化物質2G(試験)とプラセボ(コントロール)との2群に分けた。次いで、2Gまたはプラセボ食品製品を8週間与え、その後に8週間のウォッシュアウト期間を設けた。次いで、2G群とプラセボ群とを最後の8週間逆にした。8週間ごとに血液サンプルを採取し、生理学的パラメーターをモニターして、抗酸化物質の組み合わせ、すなわち動物用食品製品の免疫機能への影響を評価した。したがって、研究期間は32週間であった。
【0410】
2G群:8匹のイヌおよびプラセボ群:9匹のイヌ。
【0411】
統計解析
リンパ球増殖アッセイでは、関連する2つのサンプルの比較にウィルコクソンの符号付き順位検定を使用した。
【0412】
4.2 結果
4.2.1 末梢血単核細胞(PBMC)の増殖
【0413】
【0414】
8週間の消費後のPBMCの増殖応答は、プラセボ群よりも2G群で高かった(第19表)。
【0415】
2G食を給餌したイヌは、8週間後に、PWM(0.01μg/mlおよび0.05μg/ml)、ConA(0.1μg/ml)、PHA(1μg/ml)に対する増殖応答が有意に高くなった。
【0416】
したがって、ヒドロキシチロソール、ガロタンニン、およびカルノシン酸を8週間補給すると、マイトジェン刺激に対するリンパ球増殖応答(低濃度のPHAおよびCon Aならびに低&高濃度のPWH)が有意に増加(p>0.05)する。
【0417】
要約すると、2G抗酸化ブレンドは、健康なイヌの免疫応答をプラスに調節することが見出された。
【0418】
実施例5
5.1 材料および方法
本実施例で測定した生理学的パラメーターは、免疫機能:リンパ球増殖アッセイおよびワクチン応答であった。
【0419】
末梢血単核細胞(PBMC)の増殖
PBMCの増殖は、短期間の組織培養に置かれたリンパ球が、インビトロで外来分子、抗原またはマイトジェンによって刺激されたときに、クローン増殖を起こす能力を測定する。
【0420】
この方法は、PBMCを分離し、分離した細胞を96ウェルプレートの各ウェルに各種刺激の有無にかかわらず入れ、CO2インキュベーター内で37℃にて2日間、細胞を増殖させる。2日目に黄色いテトラゾリウムMTT(3-(4,5-ジメチルチアゾリル-2)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を4時間添加することにより、増殖量を検出した。MTTは、代謝の活発な細胞によって、一部は脱水素酵素の作用によって還元され、NADHおよびNADPHなどの還元当量を生成した。次いで、得られた細胞内の紫色のホルマザンを可溶化し、560nmおよび690nmの分光光度分析手段で定量化することができた。これは、増殖細胞の数に比例し、これはまた、所与のマイトジェンによって刺激されて増殖応答を起こすリンパ球の数の関数である。
【0421】
使用したマイトジェンは、コンカナバリンA(Con A、イヌ用に5および1μl/ml、ネコ用に2.5および0.25μl/ml)、フィトヘマグルチニンA(PHA、イヌ用に20および2μl/ml、ネコ用に1.25および0.25μl/ml)、ヤマゴボウマイトジェン(PWM、イヌ用に2および0.25μl/ml、ネコ用に0.25μlおよび0.05μl/ml)である。
【0422】
動物用食品製品に使用されている市販の配合成分
イヌ用には、ROYAL CANIN(登録商標)Medium adult(M25)をベースに、必須ではない「栄養」抗酸化物質(緑茶ポリフェノール、ルテイン・・・)を含まない動物用食品製品を試験した。
【0423】
ネコ用には、ROYAL CANIN(登録商標)FIT 32(F32)をベースに、必須ではない「栄養」抗酸化物質(緑茶ポリフェノール、ルテイン・・・)を含まない動物用食品製品を試験した。
【0424】
原材料はすべて同じで、合成保存されていた(抗酸化物質を含まない脂肪コーティングを除く)。
【0425】
抗酸化物質の組み合わせ
3つの抗酸化物質の組み合わせを提供し、実施例を通して試験した:
- 保存料無添加のウォッシュアウト食。
【0426】
- 保存料無添加のプラセボ食(コントロール)。
【0427】
- 没食子エキス(ガロタンニンの組み合わせ)、オリーブエキス(ヒドロキシチロソール)およびローズマリーエキス(カルノシン酸)をベースとした抗酸化物質2G(試験)。
【0428】
動物用食品製品
動物用食品製品の調製は、当業者に周知である。動物用食品製品は、AAFCO(米国飼料検査官協会)の最低要件を満たす、メンテナンスコンプリートドライ食品であった。
【0429】
第20表に、試験した3つの動物用食品製品について、各保存システムの精度を、活性化合物の投与量およびプロセス中の適用ポイントと共に示す。カルノシン酸の投与量のみ、ネコとイヌとで異なっていた。
【0430】
【0431】
保存システムの違いによる保管中の安定性の違いを軽減するため、完成品を脱酸素剤袋入りのアルミバッグに包装した。
【0432】
イヌの研究デザイン
選択基準は、以下のとおりであった:(i)様々な品種および系統、(ii)年齢:3歳超、(iii)健康状態全般が良好、(iv)病気がない、(v)実験食の制限がない、(vi)性別:雄および雌、(vii)体重:7kg超、(viii)全身性ステロイド療法または非ステロイド性抗炎症療法を含む、現在使用中の投薬がない。
【0433】
除外基準は、以下のとおりであった:(i)研究前または研究中に申告された病気、(ii)摂食拒否、(iii)研究前の過去6ヶ月間にワクチン接種を受けたイヌ。
【0434】
健康なイヌ30匹に、ウォッシュアウト食品製品(M25ベース)を4週間、給餌した。
【0435】
4週間後、イヌを、抗酸化物質2G(試験)とプラセボ(コントロール)との2群に分けた。次いで、2Gまたはプラセボ食品製品を40週間、与えた。12、14、16、18、20、28、36および44週目に、絶食したイヌの血液を採取した。12週目には、この時期に予定されていた採血後に狂犬病ワクチンの接種を実現した。
【0436】
2G群:15匹のイヌおよびプラセボ群:15匹のイヌ。
【0437】
【0438】
ネコの選択基準は、以下のとおりであった:(i)様々な品種および系統、(ii)年齢:3歳超、(iii)健康状態全般が良好、(iv)病気がない、(v)実験食の制限がない、(vi)性別:雄および雌、(vii)全身性ステロイド療法または非ステロイド性抗炎症療法を含む、現在使用中の投薬がない。
【0439】
除外基準は、以下のとおりであった:(i)研究前または研究中に申告された病気、(ii)摂食拒否、(iii)研究前の過去6ヶ月間にワクチン接種を受けたネコ。
【0440】
21匹の健康なネコに、ウォッシュアウト食品製品(ネコ用F32)を4週間、給餌した。
【0441】
ネコを、抗酸化物質2G(試験)とプラセボ(コントロール)との2群に分けた。次いで、2Gまたはプラセボ食品製品を40週間、給餌した。12、14、16、18、20、28、36および44週目に、絶食したネコの血液を採取した。
【0442】
使用したマイトジェンは、低濃度と呼ばれる0.25μg/mlのコンカバリンA(Con A)である。
【0443】
2G群:10匹のネコおよびプラセボ群:11匹のネコ。
【0444】
統計解析
混合モデルを用いて、時間(2~9レベル)、食品製品(2レベル)およびそれぞれの相互作用が、すべての測定パラメーターに与える影響を試験した。イヌ効果はランダム項としてモデル化した。最尤法は、制限付き最尤法(REML法)に基づいていた。
【0445】
残差分布をチェックし、必要に応じて数学的変換を使用した。P値は、αリスクのインフレを避けるため、シェッフェの方法によって調整した。有意水準は5%に設定した。
【0446】
5.2 結果
5.2.1 イヌのリンパ球増殖
低用量のPHA、低用量のConAおよび高用量のPWMを用いたときのリンパ球の刺激指数に、群間および経時的に有意差が存在していた(第22表)。刺激指数は、2G群では4週目よりも12週目の方が高かった。また、2G群の12週目の刺激指数はプラセボ群よりも高かった。12週目以降、ワクチン接種後は、予想通り、群間の値は正常化した。PHAおよびConAはリンパ球Tの刺激を示し、PMWはリンパ球BおよびTの刺激を示した。
【0447】
【0448】
5.2.2 イヌにおける狂犬病ブースターワクチンによるワクチン応答
すべてのイヌは、採血後12週目に狂犬病ブースターワクチンを投与され、これが各動物の初期ベースラインを表している。血液サンプルは20週目まで2週間ごとに、その後44週目まで8週間ごとに解析された。狂犬病抗体は、両群とも2週間後にピークに達し、ワクチン接種に対する応答を示した。
【0449】
2G群では、コントロール群よりも、狂犬病抗体の減少速度が緩かった(第23表)。2G群の犬は、コントロール群と比較して、狂犬病に対するワクチン応答が経時的に有意に高いことを示した(第24表)。
【0450】
【0451】
【0452】
したがって、2G食品組成物(ヒドロキシチロソール25ppm(0.0025%)、タンニン/没食子酸22.5ppm(0.00225%)、カルノシン酸11ppm(0.0011%))を40週間補充することで、狂犬病特異的中和抗体の増加を通じて、経時的に狂犬病ワクチンに対する免疫応答を促進することが示された。
【0453】
5.2.3 ネコのリンパ球増殖アッセイ
低用量のPHA、低用量のConAおよび高用量のPWMを用いたときのリンパ球の刺激指数に、群間および経時的に有意差が存在していた(第25表)。刺激指数は、2G群では4週目よりも12週目の方が高かった。また、2G群の12週目の刺激指数はプラセボ群よりも高かった。12週目以降、ワクチン接種後は、予想通り、群間の値は正常化した。PHAおよびConAはリンパ球Tの刺激を示した。
【0454】
【0455】
結論として、実験データは、有効量のカルノシン酸源、ヒドロキシチロソール源、およびタンニン源、エラグ酸源または没食子酸源の少なくとも1つの組み合わせを少なくとも含む食品組成物が、動物の免疫応答を惹起することを示す。言い換えれば、本開示の食品組成物は、動物の免疫機能の有意に有益な調節を誘導する。
【0456】
実施例6
6.1 材料および方法
本実施例で測定した生理学的パラメーターは、局所免疫および腸の炎症であった。腸の免疫保護の重要な戦略は、免疫グロブリンA(IgA)の産生であり、体内で産生される最も豊富な抗体アイソタイプであるが、循環中ではIgGに次いで2番目に優勢なアイソタイプである。IgAは粘膜リンパ組織で多く産生され、粘膜免疫に重要な役割を担っている。
【0457】
イヌカルプロテクチン、S100A8/A9タンパク質複合体、それにS100A12(カルグラヌリンCとしても知られている)は、S100/カルグラヌリンファミリーのCa2+結合タンパク質で、急性および慢性炎症、悪性転換との関連性が示されている。これらのタンパク質は、細胞増殖および転移の制御に関与し、細胞外への放出後は内因性の危険信号伝達分子(アラーミン)として機能する。カルプロテクチンおよびS100A12は、イヌの炎症マーカーとしての可能性がある。糞便中カルプロテクチンおよびS100A12は、幾つかの臨床的疾患活動性と相関があることが示されている。糞便中カルプロテクチン、S100A12、IgAは、腸の炎症または局所免疫を評価するための有用なマーカーである。
【0458】
本実施例で使用した試験デザイン、食品製品および抗酸化物質の組み合わせは、イヌに関する先の実施例5で使用および説明したものと同じであった。
【0459】
糞便サンプルは、20週目、28週目、36週目および44週目に、各週の連続する3日間に採取した。サンプルは、各イヌについて個別に、またはペアで飼育されている場合は2匹のイヌ(同じグループ内)ごとにプールした。サンプルは凍結され、解析のために研究所に送られた。
【0460】
6.2 結果
以下の結果は、3日間連続の平均値を用いて、全期間にわたってグループごとに解析したものである。
【0461】
糞便中IgAは、全期間にわたって2G食群でコントロール群よりも有意に低かった(ウィルコクソン/クラスカル・ウォリス検定、p=0.0173)。糞便中IgAは、2G食群で糞便1g当たり0.11~15.09mgの範囲であり、コントロール群で糞便1g当たり0.15~21.22mgの範囲であった。2G食群およびコントロール群の中央値は、それぞれ糞便1g当たり0.675および1.36mgであった。
【0462】
糞便中カルプロテクチンは、全期間を通じて2G食群でコントロール群よりも有意に低かった(ウィルコクソン/クラスカル・ウォリス検定、p=0.0142)。糞便中カルプロテクチンは、2G食群で糞便1g当たり0.37~22.57μgの範囲であり、コントロール群で糞便1g当たり0.37~58.9μgの範囲であった。2G食群およびコントロール群の中央値は、それぞれ糞便1g当たり0.41および0.59μgであった。
【0463】
糞便中S100A12は、全期間を通じて2G食群でコントロール群よりも有意に低かった(ウィルコクソン/クラスカル・ウォリス検定、p=0.0178)。糞便中S100A12は、2G食群で糞便1g当たり1.00~8952.86ngの範囲であり、コントロール群で糞便1g当たり1.67~15390.14ngの範囲であった。2G食群およびコントロール群の中央値は、それぞれ糞便1g当たり11.56および21.24ngであった。
【0464】
【0465】
【0466】
【0467】
6.2.4 結論
糞便中のIgA、カルプロテクチン、およびS100A12は、2G食事群で有意に低下しており、2G食品組成物(ヒドロキシチロソール25ppm(0.0025%)、10タンニン/没食子酸22.5ppm(0.00225%)およびカルノシン酸11ppm(0.0011%))を40週間補充することにより、イヌの局所免疫および腸の炎症に有益な影響を与えることが示された。
【0468】
本開示の主題およびその利点について詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本願の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換および改変を本明細書で行うことができることを理解されたい。さらに、本願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、本開示の主題の開示から容易に理解できるように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすかまたは実質的に同じ結果を達成する、現在存在するかまたは後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップは、本開示の主題に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、かかるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップをその範囲に含めることを意図している。
【0469】
すべての特許、特許出願、刊行物、製品説明、およびプロトコルについて、本出願を通して引用され、それらのすべての開示は、あらゆる目的のためにそれらの内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0469
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0469】
すべての特許、特許出願、刊行物、製品説明、およびプロトコルについて、本出願を通して引用され、それらのすべての開示は、あらゆる目的のためにそれらの内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
有効量の
(i)カルノシン酸源;
(ii)ヒドロキシチロソール源;および
(iii)タンニン源
の組み合わせを含む、食品組成物。
実施形態2
前記タンニン源が約40ppm(約0.004%)未満の量で存在する、実施形態1に記載の食品組成物。
実施形態3
前記(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源および(iii)タンニン源が、各々、約40ppm(約0.004%)未満の量で存在する、実施形態1または2に記載の食品組成物。
実施形態4
前記(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源および(iii)タンニン源が、各々、約3ppm(約0.0003%)~約40ppm(約0.004%)未満の範囲の量で存在する、実施形態1から3までのいずれか1つに記載の食品組成物。
実施形態5
前記タンニン源が加水分解性タンニン源である、実施形態1から4までのいずれか1つに記載の食品組成物。
実施形態6
前記タンニン源が、ガロタンニン源、エラジタンニン源、またはそれらの組み合わせである、実施形態1に記載の食品組成物。
実施形態7
前記タンニン源が、タンニン酸源、没食子酸源、エラグ酸源、またはそれらの組み合わせである、実施形態1に記載の食品組成物。
実施形態8
前記タンニン源が、タンニン酸源の組み合わせである、実施形態1に記載の食品組成物。
実施形態9
前記タンニン源が、タンニン酸源と没食子酸源との組み合わせであり、タンニン酸:没食子酸の比は、約1:5~約1:50の範囲である、実施形態1に記載の食品組成物。
実施形態10
トコフェロールを含まない、実施形態1から9までのいずれか1つに記載の食品組成物。
実施形態11
機能性食品、食事、食品添加物、食品保存料、サプリメント、薬品、食品、または栄養学的に完全な食品組成物であることを特徴とする、実施形態1から10までのいずれか1つに記載の食品組成物。
実施形態12
実施形態1から11までのいずれか1つに記載の食品組成物を含む、コンパニオン動物用食品製品。
実施形態13
トコフェロールを含まない、実施形態12に記載のコンパニオン動物用食品製品。
実施形態14
コンパニオン動物用食品製品を調製するためのキットであって、
(i)カルノシン酸源;
(ii)ヒドロキシチロソール源;および
(iii)タンニン源
を含む、キット。
実施形態15
動物用食品製品の保存料としての、実施形態1から14までのいずれか1つに記載の食品組成物、製品またはキットの使用。
実施形態16
医薬品としての使用のための、実施形態1から14までのいずれか1つに記載の食品組成物、製品またはキット。
実施形態17
動物の免疫応答を惹起するかもしくは増加させるための方法、または動物の感染および/もしくはアレルギー反応の発生の可能性を防止もしくは低減するための方法における使用のための、実施形態1から14までのいずれか1つに記載の食品組成物、製品またはキット。
実施形態18
ウイルスまたは細菌または寄生虫感染に対する免疫応答を惹起するかまたは増加させるための使用のための、実施形態1から14までのいずれか1つに記載の食品組成物、製品またはキット。
実施形態19
コンパニオン動物用食品製品を製造するための方法であって、(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源を混合するステップを含む、方法。
実施形態20
コンパニオン動物用食品製品のPV(過酸化物価)を維持するための方法であって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせに前記コンパニオン動物用食品製品を接触させるステップを含む、方法。
実施形態21
前記コンパニオン動物用食品製品の前記PVが、少なくとも12ヶ月間、脂肪分1kg当たり10mEq(10ミリモル)未満である、実施形態20に記載の方法。
実施形態22
(i)前記カルノシン酸源が、約40ppm(約0.004%)未満の量であり、(ii)前記ヒドロキシチロソール源が、約40ppm(約0.004%)未満の量であり、(iii)タンニン源が、約40ppm(約0.004%)未満の量である、実施形態20または21に記載の方法。
実施形態23
コンパニオン動物用食品製品のヘキサナール値を維持するための方法であって、(i)カルノシン酸源;(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせに前記コンパニオン動物用食品製品を接触させるステップを含む、方法。
実施形態24
前記コンパニオン動物用食品製品の前記ヘキサナール値が、少なくとも約12ヶ月間、約15ppm(約0.0015%)未満である、実施形態23に記載の方法。
実施形態25
(i)前記カルノシン酸源が、約40ppm(約0.004%)未満の量であり、(ii)前記ヒドロキシチロソール源が、約40ppm(約0.004%)未満の量であり、(iii)前記タンニン源が、約40ppm(約0.004%)未満の量である、実施形態23または24に記載の方法。
実施形態26
細胞酸化ストレスの発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源;および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の前記食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを前記コンパニオン動物に投与するステップを含む、方法。
実施形態27
炎症または炎症性障害の発生の可能性を処置または防止または低減するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の前記食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを前記コンパニオン動物に投与するステップを含む、方法。
実施形態28
コンパニオン動物において免疫応答を惹起または防止するための方法であって、有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに有効量の前記食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを前記コンパニオン動物に投与するステップを含む、方法。
実施形態29
コンパニオン動物における感染および/またはアレルギー反応の発生の可能性を防止または低減するためなどの、上記で定義されるような治療方法であって、
a)有効量の(i)カルノシン酸源、(ii)ヒドロキシチロソール源、および(iii)タンニン源の組み合わせを少なくとも含む食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを提供するステップ;ならびに
b)有効量の前記食品組成物またはコンパニオン動物用食品製品またはキットを前記コンパニオン動物に投与するステップ
を含む、治療方法。
【国際調査報告】