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特表2023-544146電気光学ディスプレイおよびそれを駆動するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイおよびそれを駆動するための方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/34 20060101AFI20231013BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231013BHJP
   G09G 3/38 20060101ALI20231013BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G09G3/34 C
G09G3/20 641H
G09G3/20 641C
G09G3/20 641K
G09G3/38
G09G3/20 670K
G09G3/20 621B
G09G3/20 641R
G09G3/20 660B
G09G3/20 660F
G09G3/20 631W
G09G3/20 650J
H04N5/66 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519847
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 US2021052812
(87)【国際公開番号】W WO2022072596
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/086,118
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ドブ, ユヴァル
(72)【発明者】
【氏名】シム, テック ピン
(72)【発明者】
【氏名】クラウンス, ケネス アール.
【テーマコード(参考)】
5C058
5C080
【Fターム(参考)】
5C058BA05
5C058BA07
5C058BB25
5C080AA11
5C080AA13
5C080AA16
5C080BB05
5C080DD02
5C080DD20
5C080DD29
5C080EE02
5C080EE19
5C080EE22
5C080EE23
5C080EE26
5C080EE29
5C080FF11
5C080GG12
5C080HH21
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
(57)【要約】
複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するための方法であって、方法は、グレースケール画像を白黒画像にディザリングすることと、白黒画像を表示するように複数のディスプレイピクセルを更新することと、白黒画像をグレースケール画像に戻すように変換することとを含む。一実施形態では、方法は、複数のディスプレイピクセルからアーチファクトを除去するように構成されている波形を印加することをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するための方法であって、前記方法は、
グレースケール画像を白黒画像にディザリングすることと、
前記白黒画像を表示するように前記複数のディスプレイピクセルを更新することと、
前記白黒画像を前記グレースケール画像に戻すように変換することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のディスプレイピクセルからアーチファクトを除去するように構成されている波形を印加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グレースケール画像を白黒画像にディザリングする前記ステップは、ハーフトーニングアルゴリズムを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ハーフトーニングアルゴリズムは、グリーンノイズハーフトーニングアルゴリズムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記グレースケール画像を白黒画像にディザリングする前記ステップは、クラスタリングされたハーフトーニングマップを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のディスプレイピクセルを更新する前記ステップは、ディスプレイピクセルが黒色光学状態から白色光学状態に切り替わるとき、単一フレームの負極性電圧を前記ディスプレイピクセルに印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のディスプレイピクセルを更新する前記ステップは、ディスプレイピクセルが白色光学状態から黒色光学状態に切り替わるとき、単一フレームの正極性電圧を前記ディスプレイピクセルに印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のディスプレイピクセルを更新する前記ステップは、nフレームを伴う波形を使用することを含み、nは、整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
n=3である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のディスプレイピクセルを更新する前記ステップは、n個の波形を使用することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のディスプレイピクセルを更新する前記ステップは、27個の波形を使用することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のディスプレイピクセルを更新する前記ステップは、実質的にDC平衡である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記電気光学ディスプレイは、電気光学媒体を有する電気泳動ディスプレイである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記電気光学媒体は、回転二色部材またはエレクトロクロミック媒体である、請求項13に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項15】
前記電気光学媒体は、流体中に複数の荷電粒子を備える、前記電気光学媒体への電場の印加時に前記流体を通して移動することが可能である電気泳動媒体である、請求項13に記載の電気光学ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2020年10月1日に出願された米国仮出願第63/086,118号に関連し、それに対する優先権を主張する。
【0002】
前述の出願の開示全体は、参照によって本明細書に援用される。
【0003】
(発明の対象)
本発明は、電気光学ディスプレイを駆動するための方法に関する。より具体的には、本発明は、映像を表示するための駆動方法に関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、長年にわたって、精力的な研究および開発の対象となっている。そのようなディスプレイでは、複数の荷電粒子(時として、顔料粒子とも称される)が、電場の影響下で流体を通して移動する。電場は、典型的には、伝導性フィルムまたは電場効果トランジスタ等のトランジスタによって提供される。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、および低電力消費の属性を有する。そのような電気泳動ディスプレイは、LCDディスプレイより遅い切替速度を有する。加えて、電気泳動ディスプレイは、流体の粘度が電気泳動粒子の移動を限定するため、低温において不活発であり得る。これらの欠点にもかかわらず、電気泳動ディスプレイは、電子書籍(電子書籍リーダ)、携帯電話および携帯電話カバー、スマートカード、看板、時計、棚ラベル、ならびにフラッシュドライブ等の日用品に見出されることができる。
【0005】
多くの市販の電気泳動媒体は、「グレースケール」として公知である黒色極端と白色極端との間の階調を伴って、本質的に2色のみを表示する。そのような電気泳動媒体は、第2の異なる色を有する着色流体中で第1の色を有する単一タイプの電気泳動粒子を使用するか(この場合、粒子がディスプレイのビュー表面に隣接して置かれているとき、第1の色が表示され、粒子がビュー表面から離されているとき、第2の色が表示される)、または、非着色流体中で異なる第1および第2の色を有する第1および第2のタイプの電気泳動粒子を使用するかのいずれかを行う。後者の場合、第1のタイプの粒子がディスプレイのビュー表面に隣接しているとき、第1の色が、表示され、第2のタイプの粒子がビュー表面に隣接して置かれているとき、第2の色が、表示される。典型的には、2つの色は、黒色および白色である。
【0006】
一見、単純であるが、電気泳動媒体および電気泳動デバイスは、複雑な挙動を示す。例えば、良好な映像表示は単純ではない「オン/オフ」電圧パルスを要求することが、分かっている。むしろ、状態間で粒子を駆動するために、および、生み出された映像が十分に良好な品質であることを確実にするために、複雑な「波形」が、必要とされる。したがって、電気泳動ディスプレイにおいて映像表示を実施するための駆動方法に関する必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明は、複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するための方法を提供し、方法は、グレースケール画像を白黒画像にディザリングすることと、白黒画像を表示するように複数のディスプレイピクセルを更新することと、白黒画像をグレースケール画像に戻すように変換することとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、方法は、複数のディスプレイピクセルからアーチファクトを除去するように構成されている波形を印加することをさらに含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、グレースケール画像を白黒画像にディザリングするステップは、ハーフトーニングアルゴリズムを使用することを含む。また、別の実施形態では、ハーフトーニングアルゴリズムは、グリーンノイズハーフトーニングアルゴリズムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、電気泳動ディスプレイを表している回路図である。
【0010】
図2図2は、電気光学イメージング層の回路モデルを示している。
【0011】
図3図3は、なめらかなアニメーションの更新を可能にするための例示的プロセスを図示している。
【0012】
図4図4a~4cは、グレースケール画像を白黒画像に変換するためのハーフトーニングプロセスを図示している。
【0013】
図5図5は、なめらかなアニメーションを生成するための例示的プロセスを図示している。
【0014】
図6図6は、例示的ルックアップテーブル(LUT)を図示している。
【0015】
図7図7は、画像処理アルゴリズムがなめらかなスクローリングアニメーションを可能にするように適切な波形を割り当てた後の例示的画像状態の割り当てを図示している。
【0016】
図8図8は、例示的な順次的画像更新プロセスを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
本発明は、電気光学ディスプレイに関し、特に、双安定電気光学ディスプレイを駆動するための方法と、そのような方法において使用するための装置とに関する。より具体的には、本発明は、映像を表示するための駆動方法に関する。本発明は、排他的ではないが、特に、1つまたはそれより多くのタイプの帯電粒子が流体中に存在し、ディスプレイの外観を変化させるように電場の影響下で流体を通して移動させられる粒子ベースの電気泳動ディスプレイとの使用を意図されている。
【0018】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用される場合、本明細書では、イメージング技術分野におけるその従来の意味において、少なくとも1つの光学性質において異なる第1および第2の表示状態を有する材料指すように使用され、材料は、材料への電場の印加によって、その第1の表示状態からその第2の表示状態へと変化させられる。光学性質は、典型的には、人間の眼に知覚可能な色であるが、これは、光学透過率、反射率、ルミネッセンスであってもよく、または、機械読取を意図されているディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学性質であってもよい。
【0019】
用語「グレー状態」は、本明細書では、イメージング技術分野におけるその従来的な意味において、2つの極端なピクセルの光学状態の中間の状態を指すように使用され、これらの2つの極端な状態の間の黒色-白色遷移を必ずしも意味しない。例えば、下記に参照されるE Inkの特許および公開された出願のうちのいくつかは、極端な状態が白色および濃青色であり、それによって、中間の「グレー状態」が実際には薄青色である電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに記述されたように、光学状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。用語「黒色」および「白色」は、以降、ディスプレイの2つの極端な光学状態を指すように使用され得、通常、厳密には黒色および白色ではない極端な光学状態、例えば、前述の白色および暗青色状態を含むものとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降、介在グレー状態を伴わずにそれらの2つの極端な光学状態のみにピクセルを駆動する駆動スキームを指すように使用され得る。
【0020】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味において固体であるが、材料は、内部液体または気体充填空間を有し得、多くの場合、有する。固体電気光学材料を使用したそのようなディスプレイは、以降、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、用語「固体電気光学ディスプレイ」は、回転二色部材ディスプレイ、カプセル化電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化液晶ディスプレイを含む。
【0021】
用語「双安定」および「双安定性」は、本明細書では、当技術分野におけるそれらの従来の意味において、少なくとも1つの光学性質において異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備える、その第1または第2の表示状態のいずれかを呈するための有限持続時間のアドレッシングパルスを用いて任意の所与の要素が駆動された後、アドレッシングパルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために要求されたアドレッシングパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が持続するようなディスプレイを指すように使用される。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイがはそれらの極端な黒色および白色状態においてだけではなくそれらの中間グレー状態においても安定であり、同じことがいくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが、示されている。このタイプのディスプレイは、適切には、双安定ではなく「複安定」と呼ばれるが、本明細書では、便宜上、用語「双安定」が、双安定および複安定ディスプレイの両方を網羅するように使用され得る。
【0022】
用語「インパルス」は、本明細書では、時間に対する電圧の積分のその従来の意味において使用される。しかしながら、いくつかの双安定電気光学媒体は、電荷トランスデューサとして働き、そのような媒体では、インパルスの代替定義、すなわち、経時的な電流の積分(印加された全電荷に等しい)が、使用され得る。媒体が電圧時間インパルストランスデューサまたは電荷インパルストランスデューサとして働いているかどうかに応じて、インパルスの適切な定義が、使用されるべきである。
【0023】
下記の議論の多くは、初期グレーレベルから最終グレーレベル(初期グレーレベルと異なる場合も、そうでない場合もある)への遷移を通した、電気光学ディスプレイの1つまたはそれより多くのピクセルを駆動するための方法に焦点を当てている。用語「波形」は、ある具体的な初期グレーレベルから具体的な最終グレーレベルへの遷移をもたらすために使用される、時間に対する電圧全体の曲線を示すように使用される。典型的には、そのような波形は、複数の波形要素を備え、これらの要素が略長方形である場合(すなわち、所与の要素がある時間周期にわたる一定電圧の印加を備える場合)、要素は、「パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。用語「駆動スキーム」は、具体的なディスプレイに関するグレーレベル間の可能性として考えられるあらゆる遷移をもたらすために十分な波形のセットを示す。ディスプレイは、1つより多くの駆動スキームを利用してもよい。例えば、前述の米国特許第7,012,600号は、ディスプレイの温度またはその寿命中に動作していた時間等のパラメータに応じて駆動スキームが修正される必要があり得、したがって、ディスプレイは異なる温度等で使用されるための複数の異なる駆動スキームを提供され得ることを教示している。この様式において使用される駆動スキームのセットは、「関連駆動スキームのセット」と称され得る。また、前述のMEDEOD出願のうちのいくつかに説明されたように、1つより多くの駆動スキームを同一ディスプレイの異なるエリアにおいて同時に使用することも可能であり、この様式において使用される駆動スキームのセットは、「同時駆動スキームのセット」と称され得る。
【0024】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されているような回転二色部材タイプである(このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、上記に言及された特許のうちのいくつかでは、回転部材が球状ではないため、用語「回転二色部材」が、より正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つまたはそれより多くの部分と、内部双極子とを有する多数の小さい物体(典型的には、球形または円筒形)を使用する。これらの物体は、マトリクス内の液体が充填された空胞内に懸濁されており、空胞は、物体が自由に回転するように液体を充填されている。ディスプレイの外観は、それに電場を印加し、それによって物体を種々の位置に回転させ、ビュー表面を通して見られる物体の部分を変えることによって変更される。このタイプの電気光学媒体は、典型的には、双安定である。
【0025】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体(例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成された電極と、電極に取り付けられた可逆的色変化が可能な複数の染色分子とを備える、ナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体)を使用する。例えば、O’Regan, B., et al, Nature 1991,353,737、およびWood, D., Information Display,18(3),24(2002年3月)を参照されたい。Bach, U., et al, Adv. Mater.,2002,14(11),845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムは、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。このタイプの媒体も、典型的には、双安定である。
【0026】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発された、Hayes, R.A., et al,「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」,Nature,425,383-385(2003)に説明されているエレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは双安定に作製され得ることが、示されている。
【0027】
長年にわたって、精力的な研究および開発の対象である1つのタイプの電気光学ディスプレイは、複数の荷電粒子が電場の影響下で流体を通して移動する粒子ベースの電気泳動ディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、ならびに低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題が、それらの広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向にあり、これらのディスプレイに関する不適正な使用可能寿命をもたらす。
【0028】
上記のように、電気泳動媒体は、流体の存在を要求する。殆どの従来技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、気体流体を使用して生産されることができる(例えば、Kitamura, T., et al. 「Electrical toner movement for electronic paper-like display」, IDW Japan,2001,Paper HCS1-1、およびYamaguchi, Y., et al.,「Toner display using insulative particles charged triboelectrically」,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4を参照)。米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのような気体ベースの電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直平面において配置されている看板において、そのような沈降を許容する向きにおいて媒体が使用されるとき、粒子沈降に起因する、液体ベースの電気泳動媒体と同一のタイプの問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速な沈降を許容する流体の粘度と比較したときの気体懸濁流体のより低い粘度のため、液体ベースの電気泳動媒体より気体ベースの電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0029】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化電気泳動媒体および他の電気光学媒体において使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化媒体は、多数の小型カプセルを備え、それらの各々自体が、電気泳動で移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を囲むカプセル壁とを備える。典型的には、カプセル自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられたコヒーレント層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。
【0030】
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号を参照)
【0031】
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号を参照)
【0032】
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号を参照)
【0033】
(d)マイクロセルを充填し、それを封止するための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号を参照)
【0034】
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号を参照)
【0035】
(f)ディスプレイにおいて使用されるバックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびに方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号を参照)
【0036】
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号を参照)
【0037】
(h)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号を参照)
【0038】
(i)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号に説明されているような非電気泳動ディスプレイ、ならびにディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号を参照)
【0039】
(j)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号,および第9,412,314号、ならびに米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0070032号、第2007/0076289号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2007/0296452号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0169821号、第2008/0218471号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号を参照)
【0040】
前述の特許および出願のうちの多くは、カプセル化電気泳動媒体中の離散マイクロカプセルを囲む壁が連続相によって置き換えられ得、それによって、電気泳動媒体が電気泳動流体の複数の離散液滴とポリマー材料の連続相とを備える、いわゆる「ポリマー分散電気泳動ディスプレイ」を生産することと、いかなる離散カプセル膜も各個々の液滴と関連付けられない場合でも、そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴がカプセルまたはマイクロカプセルと見做され得ることとを認識している。例えば、前述の米国特許第2002/0131147号を参照されたい。故に、本願の目的に関して、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見做される。
【0041】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、例えば、ポリマーフィルム内に形成された複数の空洞内に留められる。例えば、国際出願公開第WO02/01281号および公開された米国出願第2002/0075556号(両方とも、Sipix Imaging, Inc.に譲渡されている)を参照されたい。
【0042】
前述のE InkおよびMIT特許ならびに出願の多くは、マイクロセル電気泳動ディスプレイおよびポリマー分散電気泳動ディスプレイも検討している。用語「カプセル化電気泳動ディスプレイ」は、あらゆるそのようなディスプレイタイプを指し得、これらは、壁の形態にわたって一般化するために、集合的に、「マイクロキャビティ電気泳動ディスプレイ」としても説明され得る。
【0043】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発された、Hayes, R. A., et al. 「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」, Nature, 425, 383-385(2003)に説明されているエレクトロウェッティングディスプレイである。2004年10月6日に出願された同時係属中の出願第10/711,802号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは双安定に作製され得ることが、示されている。
【0044】
他のタイプの電気光学材料も、使用され得る。特に着目すべきこととして、双安定強誘電液晶ディスプレイ(FLC)が、当技術分野において公知であり、残留電圧挙動を呈してきた。
【0045】
電気泳動媒体は、不透過性を有し(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子がディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードにおいて動作し得るが、いくつかの電気泳動ディスプレイは、1つの表示状態が実質的に不透過性を有し、1つが光透過性である、いわゆる「シャッターモード」において動作するように作製されることができる。例えば、米国特許第6,130,774号および第6,172,798号、ならびに米国特許第5,872,552号、第6,144,361号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイに類似しているが電場強度の変動に依拠する誘電泳動ディスプレイが、類似のモードにおいて動作することができる。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイも、シャッターモードにおいて動作することが可能であり得る。
【0046】
高分解能ディスプレイは、隣接するピクセルからの干渉を伴わずにアドレッシング可能である個々のピクセルを含んでもよい。そのようなピクセルを取得するための1つの手法は、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することであり、少なくとも1つの非線形要素は、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生み出すために、各ピクセルと関連付けられている。1つのピクセルをアドレッシングするアドレッシングまたはピクセル電極は、関連付けられた非線形要素を通して適切な電圧源に接続される。非線形要素がトランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され得、それは本質的に恣意的であり、ピクセル電極はトランジスタのソースに接続されてもよいが、以下の説明では、この配列が、仮定される。高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の具体的ピクセルが1つの指定された行と1つの指定された列との交点によって一意に画定されるように、行および列の2次元アレイにおいて配列されてもよい。各列における全てのトランジスタのソースが単一の列電極に接続されてもよい一方、各行における全てのトランジスタのゲートは、単一の行電極に接続されてもよい。ここでも、行へのソースおよび列へのゲートの割り当ては、所望に応じて逆転させられてもよい。
【0047】
ディスプレイは、行毎様式において書き込まれてもよい。行電極は、行ドライバーに接続され、これは、選択された行電極に、選択された行における全てのトランジスタが伝導性であることを確実にするような電圧を印加しながら、全ての他の行に、これらの選択されていない行における全てのトランジスタが非伝導性のままであることを確実にするような電圧を印加してもよい。列電極は、列ドライバーに接続され、これは、種々の列電極に、選択された行におけるピクセルをそれらの所望の光学状態に駆動するように選択された電圧をかける(前述の電圧は、電気光学媒体の非線形アレイと反対側に提供されている、ディスプレイ全体にわたって延在し得る共通フロント電極に対するものである。当技術分野において公知であるように、電圧は、相対的なものであり、2つの点の間の電荷差の測定値である。一方の電圧値は、別の電圧値に対するものである。例えば、ゼロ電圧(「0V」)は、別の電圧に対して無電圧差を有することを指す)。「ラインアドレス時間」として公知である事前選択された間隔後に、選択された行は、選択解除され、別の行が、選択され、列ドライバーに対する電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変更される。
【0048】
しかしながら、使用時、ある波形は、電気光学ディスプレイのピクセルに対して残留電圧を生み出し得、上記の議論から明白であるように、この残留電圧は、いくつかの不要な光学効果を生み出し、一般に、望ましくない。
【0049】
本明細書で提示される場合、アドレッシングパルスと関連付けられた光学状態における「シフト」は、電気光学ディスプレイへの特定のアドレッシングパルスの最初の印加が第1の光学状態(例えば、第1のグレートーン)をもたらし、電気光学ディスプレイへの同一アドレッシングパルスの後続の印加が第2の光学状態(例えば、第2のグレートーン)をもたらす状況を指す。アドレッシングパルスの印加中に電気光学ディスプレイのピクセルに印加される電圧は残留電圧およびアドレッシングパルスの電圧の全体を含むため、残留電圧は、光学状態におけるシフトを生じさせ得る。
【0050】
経時的なディスプレイの光学状態における「ドリフト」は、ディスプレイが休止している間に(例えば、アドレッシングパルスがディスプレイに印加されていない期間中に)電気光学ディスプレイの光学状態が変化する状況を指す。ピクセルの光学状態はピクセルの残留電圧に依存し得、ピクセルの残留電圧は経時的に減衰し得るため、残留電圧は、光学状態におけるドリフトを生じさせ得る。
【0051】
「残影」は、電気光学ディスプレイが書き換えられた後に、前の画像の痕跡が依然として見える状況を指す。残留電圧は、前の画像(単数または複数)の一部の輪郭(エッジ)が見えたままである残影のタイプである「エッジ残影」を生じさせ得る。
【0052】
例示的EPD
【0053】
図1は、本明細書に提起される主題による電気光学ディスプレイのピクセル100の概略図を示している。ピクセル100は、イメージングフィルム110を含んでもよい。いくつかの実施形態では、イメージングフィルム110は、双安定であり得る。いくつかの実施形態では、イメージングフィルム110は、限定ではないが、例えば、荷電顔料粒子を含み得るカプセル化電気泳動イメージングフィルムを含んでもよい。
【0054】
イメージングフィルム110は、フロント電極102とリア電極104との間に配置されてもよい。フロント電極102は、イメージングフィルムとディスプレイのフロントとの間に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、フロント電極102は、透明であり得る。いくつかの実施形態では、フロント電極102は、限定ではないが、酸化インジウムスズ(ITO)を含む任意の好適な透明材料から形成されてもよい。リア電極104が、フロント電極102と反対側に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、寄生静電容量(図示せず)が、フロント電極102とリア電極104との間に形成され得る。
【0055】
ピクセル100は、複数のピクセルのうちの1つであり得る。複数のピクセルは、任意の具体的ピクセルが1つの指定された行と1つの指定された列との交点によって一意に画定されるように、行および列の2次元アレイに配列され、マトリクスを形成してもよい。いくつかの実施形態では、ピクセルのマトリクスは、各ピクセルが少なくとも1つの非線形回路要素120と関連付けられている「アクティブマトリクス」であってもよい。非線形回路要素120が、バックプレート電極104とアドレッシング電極108との間に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、非線形要素120は、ダイオードおよび/またはトランジスタ(限定ではないが、MOSFETを含む)を含んでもよい。MOSFETのドレイン(またはソース)は、バックプレート電極104に結合されてもよく、MOSFETのソース(またはドレイン)は、アドレッシング電極108に結合されてもよく、MOSFETのゲートは、MOSFETのアクティベーションおよびアクティベーション解除を制御するように構成されているドライバー電極106に結合されてもよい(便宜上、バックプレート電極104に結合されるMOSFETの端子は、MOSFETのドレインと称され、アドレッシング電極108に結合されるMOSFETの端子は、MOSFETのソースと称される。しかしながら、当業者は、いくつかの実施形態では、MOSFETのソースおよびドレインが入れ替えられ得ることを認識するであろう)。
【0056】
アクティブマトリクスのいくつかの実施形態では、各列における全てのピクセルのアドレッシング電極108が、同一の列電極に接続されてもよく、各行における全てのピクセルのドライバー電極106が、同一の行電極に接続されてもよい。行電極は、行ドライバーに接続されてもよく、これは、選択された行電極に、選択された行(単数または複数)における全てのピクセル100の非線形要素120をアクティベートするために十分な電圧を印加することによってピクセルの1つまたはそれより多くの行を選択し得る。列電極は、列ドライバーに接続されてもよく、これは、選択された(アクティベートされた)ピクセルのアドレッシング電極106に、ピクセルを所望の光学状態に駆動するために好適な電圧をかけ得る。アドレッシング電極108に印加される電圧は、ピクセルのフロントプレート電極102に印加される電圧(例えば、約ゼロボルトの電圧)に対するものであってもよい。いくつかの実施形態では、アクティブマトリクス内の全てのピクセルのフロントプレート電極102は、共通電極に結合されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、アクティブマトリクスのピクセル100は、行毎様式において書き込まれてもよい。例えば、ピクセルの行は、行ドライバーによって選択されてもよく、ピクセルの行に対する所望の光学状態に対応する電圧が、列ドライバーによってピクセルに印加されてもよい。「ラインアドレス時間」として公知である事前選択された間隔後に、選択された行は、選択解除されてもよく、別の行が、選択されてもよく、列ドライバーに対する電圧は、ディスプレイの別のラインが書き込まれるように変更され得る。
【0058】
図2は、本明細書に提示される主題による、フロント電極102とリア電極104との間に配置されている電気光学イメージング層110の回路モデルを示している。抵抗器202およびコンデンサ204は、任意の接着剤層を含む、電気光学イメージング層110、フロント電極102、およびリア電極104の抵抗および静電容量を表し得る。抵抗器212およびコンデンサ214は、積層接着剤層の抵抗および静電容量を表し得る。コンデンサ216は、フロント電極102と後部電極104との間、例えば、イメージング層と積層接着剤層との間および/または積層接着剤層とバックプレーン電極との間のインターフェース等の、層間のインターフェース接触エリアに形成し得る静電容量を表し得る。ピクセルのイメージングフィルム110にわたる電圧Viは、ピクセルの残留電圧を含み得る。
【0059】
実践では、陰極線管上の蛍光面および従来の液晶ディスプレイ等の非双安定媒体を使用した従来の映像レートディスプレイは、容認可能な映像品質を提供するために、毎秒約25フレーム(fps)を超えるフレームレートを要求する(インターネット上では、15fpsにおける映像表示が一般的であるが、映像品質の著しい欠如をもたらす)。しかしながら、双安定およびある他の電気光学ディスプレイは、25fpsを大幅に下回る、かつ約10~約20fpsの範囲内、好ましくは、約13~約20fpsの範囲内のフレーム率において良好な品質の画像を生み出すことができることを見出されている。経験豊富な観察者は、15fpsで起動するカプセル化電気泳動ディスプレイが、約30fpsで起動する非双安定ディスプレイによって生み出されるものと実質的に同等に見える映像品質を生み出すことができると決定している。
【0060】
低フレームレートにおけるこの予想外に高い映像品質に関して、可能性として考えられる多くの理由が存在し、1つは、その解説の一部が、双安定ディスプレイ上の継続的な画像が、運動の錯覚を作成するために連続的な画像を「混成」することにおいて眼を支援する様式にあると考えられていることである。全ての映像ディスプレイは、運動の錯覚を作成するために一連の静止画像を混成することに対して、眼の能力に依拠する。しかしながら、多くのタイプの映像ディスプレイは、実際には、混成プロセスを妨害する一時的に介在する「画像」を導入する。例えば、機械的フィルムプロジェクタを使用した運動フィルムディスプレイは、実際には、第1の静止画像を画面上に設置し、次いで、プロジェクタがフィルムを次のフレームまで進めると、非常に短い期間だけブランクスクリーンを表示し、その後、第2の静止画像を表示する。
【0061】
本明細書に提示される主題は、実質的なDC平衡を維持しつつ中断可能な波形更新を利用する駆動方法を含み、これは、更新からの正味の結果として生じるインパルスは実質的にゼロであり、それによって、なめらかなパイプラインアニメーションの更新を可能にすることを意味する。いくつかの実施形態では、本明細書に提示される駆動方法は、残影効果に対処するための方略をさらに提供する。上記に説明されたような場合において、「残影」は、電気光学ディスプレイが書き換えられた後に前の画像(単数または複数)の痕跡が依然として見える状況を指す。残留電圧は、前の画像の一部の輪郭(エッジ)が見えたままである残影のタイプである「エッジ残影」を生じさせ得る。
【0062】
ここで図3を参照すると、本明細書に開示される主題による、なめらかなアニメーションの更新を可能にするための駆動プロセス300のフローチャートが、図3に図示されている。このプロセス300は、グレースケール画像が白黒画像にディザリングされる第1のステップ302を含み得る。続いて、ディザリングされた画像は、画像処理ステップ304において処理され、画像処理ステップ304は、電気光学ディスプレイと関連付けられたコントローラのパイプライン/並列的更新能力を使用して、ディザリングされた画像をアニメーションにすることを含み得る。いくつかの実施形態では、5ビット波形ルックアップテーブル(LUT)(例えば、ステップ306)が、なめらかな更新を可能にするDC平衡を維持しつつ中断可能な直接更新方略(例えば、ステップ308)を実装するために使用されてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、消去更新デート310内の任意の残影アーチファクトを消去するために、特殊な波形が、使用されてもよい。
【0063】
実践では、図3のディザリングステップ302は、グリーンノイズハーフトーンアルゴリズム(例えば、図4b)および/またはクラスタリングされたハーフトーニングマップ(例えば、図4c)等の当該技術において一般的に使用されるハーフトーニングアルゴリズムを使用することによって、グレースケール画像(例えば、図4a)をもとの画像を精密に複製した黒色および白色のみの画像に処理し得る。いくつかの実施形態では、アニメーションの方向がページを上下または左右にスクロールすること等において把握されているアニメーション表示の適用のために、クラスタリングされたドットスクリーンをアニメーションによるスクローリングの方向に対して好ましい方向に回転させることが、好ましくあり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、表示ピクセルのための白黒画像のみを生み出すステップ302のハーフトーニングプロセスを用いて、以下の遷移のみを考慮することを必要とする。
白色 → 黒色
白色 → 白色
黒色 → 白色
白色 → 白色
【0065】
実践では、ピクセルのグレースケールを変更することに対して、比較的短いパルスを利用した駆動方法(下記に述べられる、直接更新またはDU方法)を用いる場合と同様に、白色→白色および黒色→黒色遷移は、空のままにされてもよく、これは、DC平衡を維持し、遷移の出現も低減させる。
【0066】
上記に説明されたように、いくつかのディスプレイ用途に関して、ディスプレイは、「直接更新」駆動スキーム(「DU」駆動スキーム)を利用してもよい。DU駆動スキームは、典型的にはグレースケール駆動スキーム(「GSDS」)より少ない、2つまたは2つより多くのグレーレベルを有し得、これは、全ての可能性として考えられるグレーレベル間の遷移をもたらすことができるが、DU駆動スキームの最も重要な特性は、少なくともいくつかの遷移では、ピクセルが初期グレーレベルから1つの極端な光学状態へと駆動され、次いで、逆方向に最終グレーレベルへと駆動される、GSDSにおいて多くの場合に使用される「間接」遷移とは対照的に、遷移が単純な一方向性駆動によって初期グレーレベルから最終グレーレベルへと操作されることである。いくつかの場合、遷移は、初期グレーレベルから1つの極端な光学状態へと駆動され、故に、逆の極端な光学状態へと駆動されることによってもたらされ得、そうすることによってのみ、最終的な極端な光学状態へと駆動され得る。例えば、前述の米国特許第7,012,600号の図11Aおよび図11Bに図示されている駆動スキームを参照されたい。したがって、本電気泳動ディスプレイは、飽和パルス長(「飽和パルス長」は、1つの極端な光学状態から他の状態へとディスプレイのピクセルを駆動するために十分である具体的な電圧における期間として定義される)の約2~3倍のグレースケールモードでの更新時間、すなわち、約700~900ミリ秒を有し得るが、DUDSは、飽和パルス長に等しい最大更新時間、すなわち、約200~300ミリ秒を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、上記で記述された白色→黒色は、パルス長フレームに関する正極性電圧を伴って駆動されるパルスを含むことができ、黒色→白色遷移は、負極性電圧を伴って駆動されるパルスを含むことができ、この場合、パルス長は、おおよそ25℃の温度において、15~21フレームの間であり得る。
【0068】
しかしながら、なめらかな映像遷移に関して、白色→黒色および黒色→白色遷移は、中断可能であるように構成される。好ましくは、アニメーションモードでは、所与のピクセルがフレーム毎に黒色または白色への光学状態の変更を要求し得るため、フレームの更新毎である。
【0069】
図5は、各フレームにおけるピクセル状態の一連の変更に対して印加され得る波形の実施例を図示している。DC平衡を維持するために、各フレームにおいて、以下のルールが、適用され得る。
【0070】
ルール#1:ピクセルが黒色から白色に切り替わるとき、単一フレームの負極性電圧を印加し、ピクセルが白色から黒色に切り替わるとき、単一フレームの正極性電圧を印加する。
【0071】
ルール#2:同一の状態への後続の更新がゼロボルトで駆動されるパルス長が到達されるまで、未変化の状態に関して、単一のフレーム電圧を継続的に印加する。
【0072】
ルール#3:アニメーションシーケンスの最後に、所望の黒色および白色状態に到達させるための余剰インパルス電位を印加し、DC平衡サイクルを完了する。
【0073】
実践では、ピクセルを駆動するために要求される-15ボルト、0ボルト、および+15ボルトの可能性として考えらえる全ての電圧の組み合わせの順序を変更するために、持続時間内のnフレームの波形が、使用されてもよい。これは、可能性として考えられる電圧の組み合わせのn個の総数を与え、または、この場合ではn個の総数を与える。電圧の組み合わせのそのようなリスト(例えば、n個)は、32個の波形スロットを提供する5ビット波形ルックアップテーブル(LUT)を用いて実装することが可能である。いくつかの他の実施形態では、16個の波形スロットを提供する4ビット波形LUTを用いて、n個の電圧の組み合わせが、達成されることができる。
【0074】
ここで図6を参照すると、図6は、n個の電圧の組み合わせを伴うLUTを図示しており、この場合、27個の波形が、生成されることができる。いくつかの実施形態では、画像処理アルゴリズムは、なめらかなアニメーションの錯覚を与えるために、適切なLUT状態を一連の画像に割り当てることができる。なめらかなスクローリングアニメーションを生成するために適切な波形LUTに割り当てられた画像状態の実施例が、図7に示されている。いくつかの場合、波形が持続時間内に1フレームより多い場合(例えば、n>1)、図8に示されるように、順次的な画像を連結させることができる。そのような場合、EPDコントローラが、そのパイプライン更新能力を使用して、パイプライン画像バッファ内にこれらの画像を継続的に待ち行列に入れてもよい。
【0075】
さらに、最後に、または映像更新中にブルーミングおよび/または残影等のアーチファクトを消去するために、特殊な波形が、利用されてもよい。いくつかの実施形態では、このアーチファクトの消去は、表示プロセスがもとの最後のグレースケール画像に対する黒色および白色のディザリングパターンから生じるときに実施され得る。例えば、単極波形が、駆動後放電の使用を用いて白色または黒色状態上のアーチファクトを消去するために使用されてもよい。
【0076】
本発明の範囲から逸脱することなく、多数の変更および修正が上記に説明される本発明の具体的な実施形態に対して行われ得ることは、当業者に明白であろう。故に、前述の説明の全体は、限定的な意味ではなく、例証的な意味において解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】