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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(54)【発明の名称】連続的なウイルス捕捉濾過
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/36 20060101AFI20231013BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20231013BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20231013BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20231013BHJP
   C07K 1/34 20060101ALI20231013BHJP
   C12M 3/06 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
C07K1/36
C07K16/00
C12M1/00 A
C07K1/16
C07K1/34
C12M3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520051
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 US2021053260
(87)【国際公開番号】W WO2022072899
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/087,037
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/109,942
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507302748
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ロス
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー エリック
【テーマコード(参考)】
4B029
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029AA21
4B029BB11
4B029BB17
4B029DG08
4B029HA06
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA10
4H045CA01
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA10
4H045GA21
(57)【要約】
本出願は、ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するためのウイルスクリアランスのための方法及びシステムを提供する。本方法は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラム及びウイルス捕捉濾過(VRF)システムを含むシステムにおいて実施される。HICカラム及びVRFシステムは、連続処理システムにおいてインラインで接続され、VRFシステムは、少なくとも2つのフィルタトレインを並列に含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための方法であって、
前記抗体を含む前記試料を提供することと、
前記試料を、ウイルス捕捉濾過(VRF)システムに結合されている疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムに負荷することであって、前記HICカラム及び前記VRFシステムが、連続処理システムにおいてインラインで接続され、前記VRFシステムが、少なくとも2つのフィルタトレインを並列に含む、前記負荷することと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、体積スループット、又は圧力のエンドポイントに基づいてオン又はオフに切り替わる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記VRFシステムが、一定流量又は一定圧力下で動作する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、異なる時間間隔で動作するようにスケジュール設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記VRFシステムが、外部駆動フィード流量の下で動作する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、少なくとも1つのフィルタを備え、前記フィルタが、媒体濾過、膜濾過、機能性濾過、クロマトグラフィー濾過、又はサイズ排除濾過である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、プライミング、平衡化、濾過、フラッシング、完全性試験、消毒、中和、又は保管のための時点にスケジュール設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記VRFシステムが、約10LMH~約100LMHの一定流量の下で動作する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記VRFシステムが、約90LMHの一定流量の下で動作する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法のウイルス低減能力が、少なくとも4LRV(対数減少値)である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
シングルパスタンジェンシャルフロー濾過及び/又はプレ濾過のステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための連続処理システムであって、前記連続処理システムが、
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムと、
ウイルス捕捉濾過(VRF)システムと
を備え、
前記HICカラム及び前記VRFシステムがインラインで接続され、前記試料が前記HICカラムに負荷され、前記VRFシステムが少なくとも2つのフィルタトレインを並列に含む、
前記連続処理システム。
【請求項13】
前記少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、体積スループット、又は圧力のエンドポイントに基づいてオン又はオフに切り替わる、請求項12に記載の連続処理システム。
【請求項14】
前記VRFシステムが、一定流量又は一定圧力下で動作する、請求項12に記載の連続処理システム。
【請求項15】
前記少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、異なる時間間隔で動作するようにスケジュール設定される、請求項12に記載の連続処理システム。
【請求項16】
前記VRFシステムが、外部駆動フィード流量の下で動作する、請求項12に記載の連続処理システム。
【請求項17】
前記少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、少なくとも1つのフィルタを備え、前記フィルタが、媒体濾過、膜濾過、機能性濾過、クロマトグラフィー濾過、又はサイズ排除濾過である、請求項12に記載の連続処理システム。
【請求項18】
前記少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、プライミング、平衡化、濾過、フラッシング、完全性試験、消毒、中和、又は保管のための時点にスケジュール設定される、請求項12に記載の連続処理システム。
【請求項19】
前記VRFシステムが、約10LMH~100LMHの一定流量の下で動作する、請求項12に記載の連続処理システム。
【請求項20】
前記VRFシステムが、約90LMHの一定流量の下で動作する、請求項12に記載の連続処理システム。
【請求項21】
前記システムのウイルス低減能力が、少なくとも4LRV(対数減少値)である、請求項12に記載の連続処理システム。
【請求項22】
シングルパスタンジェンシャルフロー濾過及び/又はプレ濾過を更に含む、請求項12に記載の連続処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月2日に出願された米国仮特許出願第63/087,037号及び2020年11月5日に出願された米国仮特許出願第63/109,942号の優先権及び利益を主張し、それらは各々参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本発明は概して、ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための方法及びシステムに関する。本方法は、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム及びウイルス捕捉濾過システムを含む連続処理システムにおいて実施され得る。
【背景技術】
【0003】
背景
生物学的製品は、ウイルス性疾患を伝染させる危険性を有する細菌、真菌及びウイルスの影響をうけやすいため、ウイルスクリアランスは、バイオ医薬製品の製造に不可欠である。ウイルス汚染が哺乳動物細胞培養物の増殖中に増幅され得るため、世界的な保健当局は、生物学的製品又はバイオテクノロジー製品を製造するためにウイルスクリアランスの評価を必要とする。効果的なウイルスクリアランス試験は、薬物安全性を確保するために重要である工程検証の重要な部分である。ウイルス汚染は、原材料、細胞培養工程、バイオリアクター、及び下流精製工程にも影響を与え得る。
【0004】
ウイルスバリデーション試験は、ウイルス安全性を保証する製品品質に関する選択された動作条件を記録するように設計される。ウイルスクリアランス試験の実験計画は、処理条件の理解を改善し、最悪条件の選択を正当化するための重要な工程パラメータを特定する、製造工程の重要な特徴付けを含む。
【0005】
バッチモード処理を連続処理に変換することによる大規模な商業規模での生物学的製品の生産が求められている。ウイルスの安全性は、規制要件を満たすために提案された連続処理に対処する必要がある。ウイルス不活性化又は除去の工程は、pH処理、熱処理、溶媒/洗剤処理、濾過、又はクロマトグラフィーを含む。除去機構はフィルタの孔径に基づいているため、濾過ステップは堅牢なウイルスクリアランスステップであると見なされる。
【0006】
生物学的製品の連続処理のためのウイルスクリアランス及び試験を効果的に組み込むための方法及びシステムを開発するための必要性が存在することが認識されるであろう。
【発明の概要】
【0007】
概要
本開示は、連続処理システムにおけるウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料からの抗体の精製中にウイルスクリアランス及び試験を組み込むための方法及びシステムを提供する。提案される連続処理システムは、ウイルス捕捉濾過(VRF)システムに接続されている疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムを含む。
【0008】
本開示は、ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための方法を提供し、この方法は、抗体を含む試料を提供することと、試料を、VRFシステムに接続されているHICカラムに負荷することであって、HICカラム及びVRFシステムが、連続処理システムにおいてインラインで接続され、VRFシステムが、少なくとも2つのフィルタトレインを並列に含む、前記負荷することとを含む。いくつかの例示的な実施形態では、本出願の方法は、シングルパスタンジェンシャルフロー濾過及び/又はプレ濾過のステップを更に含む。いくつかの例示的な実施形態では、本出願の方法のウイルス低減能力は、少なくとも4LRV(対数減少値)である。
【0009】
いくつかの態様では、少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、プライミング、平衡化、フィルタ処理、フラッシング、完全性試験、消毒、中和、又は保管のための時点にスケジュール設定される。いくつかの態様では、少なくとも2つのフィルタトレインの各々は、体積スループット、又は圧力のエンドポイントに基づいてオン又はオフに切り替えられ、異なる時間間隔で動作するようにスケジュール設定される。他の態様では、少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、少なくとも1つのフィルタを備え、フィルタは、媒体濾過、膜濾過、機能性濾過、クロマトグラフィー濾過、又はサイズ排除濾過である。他の態様では、VRFシステムは、外部駆動フィード流量の下の一定の流量又は一定の圧力下で動作する。更に他の態様では、VRFシステムは、約10~約100リットル/m/時間(LMH)の一定流量の下で動作する。いくつかの態様では、VRFシステムは、約90LMHの一定流量の下で動作する。
【0010】
本開示は、少なくとも部分的に、ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための連続処理システムを提供し、連続処理システムは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラム、及びウイルス捕捉濾過(VRF)システムを備え、HICカラム及びVRFシステムはインラインで接続され、試料はHICカラムに負荷され、VRFシステムは、少なくとも2つのフィルタトレインを並列に含む。いくつかの態様では、本出願の連続処理システムは、シングルパスタンジェンシャルフロー濾過及び/又はプレ濾過を更に含む。他の態様では、本出願の連続処理システムのウイルス低減能力は、少なくとも4LRV(対数減少値)である。
【0011】
いくつかの態様では、少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、プライミング、平衡化、フィルタ処理、フラッシング、完全性試験、消毒、中和、又は保管のための時点にスケジュール設定される。いくつかの態様では、少なくとも2つのフィルタトレインの各々は、体積スループット、又は膜貫通圧力のエンドポイントに基づいてオン又はオフに切り替えられ、異なる時間間隔で動作するようにスケジュール設定される。他の態様では、少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、少なくとも1つのフィルタを備え、フィルタは、媒体濾過、膜濾過、機能性濾過、クロマトグラフィー濾過、又はサイズ排除濾過である。他の態様では、VRFシステムは、外部駆動フィード流量の下の一定の流量又は一定の圧力下で動作する。更に他の態様では、VRFシステムは、約10~約100LMHの一定流量の下で動作する。いくつかの態様では、VRFシステムは、約90LMHの一定流量の下で動作する。
【0012】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の説明及び添付の図面と併せて考慮される場合、よりよく認識され、理解されるであろう。以下の説明は、その様々な実施形態及び多数の具体的な詳細を示すが、限定ではなく、例証として与えられる。多くの置換、修正、追加、又は再配置が、本発明の範囲内で行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的な一実施形態に係る、HIC及びシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)に接続することができる、ウイルス捕捉濾過(VRF)システムの設計を示す。例示的な一実施形態によると、VRFシステムは、1つ以上の小型ウイルスフィルタを使用して、パルボウイルス及びより大きなウイルスのレベルを、サイズ排除によって処理ストリームから低減するように実装され得る。
図2】例示的な一実施形態に係る、連続HIC及びシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)に接続することができる、複数のフィルタを含むベンチスケールの連続VRFシステムの設計を示す。例示的な一実施形態によると、連続VRFシステムは、1つ以上の小型ウイルスフィルタを使用して、パルボウイルス及びより大きなウイルスのレベルを、サイズ排除によって処理ストリームから低減するように実装され得る。
図3】例示的な一実施形態に係る、2つ以上のフィルタトレインを並列に含む、連続VRFシステムの監視ディスプレイを示す。例示的な一実施形態によると、連続VRFシステムのフィルタトレインは、フィルタ処理、緩衝液フラッシング、又はフィルタプライミングなどの異なるステータスに供され得る。
図4】例示的な一実施形態に係る、2つ以上のフィルタトレインを並列に含む、ウイルスクリアランスのための連続VRFシステムを示す。例示的な一実施形態によると、各フィルタトレインは、連続VRF制御ロジックの下で、緩衝液プライミング、平衡化、フィルタ処理、緩衝液フラッシング、又は完全性試験のステップなどの様々なステップについて特定の時点にスケジュール設定される。
図5】例示的な一実施形態に係る、VRFシステムとインラインで接続されたHICを使用してモノクローナル抗体を精製するための処理システムの性能を示す。例示的な一実施形態によると、3つのクロマトグラフィーサイクルのウイルスフィルタスループット(L/m)の関数として、VRFΔP(psi)に基づいて、この処理システムの性能を評価した。
図6】例示的な一実施形態に係る、4.6を超えるLRVを伴う1000L/mのスループットで56.6%の流束減衰を示す、一定圧力の実行下でのVRFシステムの性能を示す。
図7】例示的な一実施形態に係る、5.2を超えるLRVを伴う1000L/mのスループットで圧力の検出可能な増加を示さない(1.5psi未満)、一定流量の実行下でのVRFシステムの性能を示す。
図8】例示的な一実施形態に係る、一定圧力下での、VRFシステムの性能を示す。最終流束減衰は、様々な動作条件の関数として測定された。
図9】例示的な一実施形態に係る、一定流量及び一定圧力下での、VRFシステムの性能を示す。結果を、フィルタスループットの関数としてのフィルタ透過率の観点から、一定流量及び一定圧力の下で分析した。
図10】例示的な一実施形態に係る、連続VRFシステムのための設計空間を特徴付けるために、ウイルスクリアランス試験を設計する実施例を示す。例示的な一実施形態によると、HIC、プレフィルタ、及びViresolve(登録商標)Proを含む連続処理に対してウイルスをスパイクした。
図11】例示的な一実施形態に係る、連続VRFシステムのデータ管理及び制御戦略を示す。
図12】例示的な一実施形態に係る、低いpH条件でのマウスの微小ウイルス(MVM)の安定性研究の設計を示す。
図13】例示的な一実施形態に係る、高いpH条件でのMVMの安定性研究の設計を示す。
図14】例示的な一実施形態に係る、時点(時間)の関数としてのMVM LRF(Log10)に基づく、低い又は高いクエン酸濃度での低い又は高いpH条件でのMVMの安定性研究の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
ウイルス汚染は、哺乳動物細胞培養の増殖中に増幅され得るか、又は処理中に汚染された装置を介して導入され得るため、薬物安全性を確保するためには、生物学的製品又はバイオテクノロジー製品を製造するためのウイルスクリアランスの評価が重要である。保健当局は、どのようにクリアランスが起こるか、いつステップが互いに独立して動作するか、それらの能力が相加的であるか、又は相加的ではないかを知ること、及び何が性能に影響を与えるかを知ることによって、ステップがウイルスを除去するかを評価するために患者のリスクを管理するガイダンスを提供する。ウイルスクリアランスの評価は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のゲノムに固有のレトロウイルス様粒子についての特定のモデルウイルスの除去を示すことを含むべきである(Anderson et al.,Endogenous origin of defective retroviruslike particles from a recombinant Chinese hamster ovary cell line,Virology 181(1):305-311,1991)。
【0015】
ウイルスフィルタは、バイオ医薬品におけるウイルス汚染のリスクを低減するために、バイオ処理で広く使用されている。図1に示すように、非連続的なウイルス捕捉濾過(VRF)システムを疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムに接続することができる。本出願は、連続処理下で動作するベンチ及び製造スケールでの連続VRFシステムを提供し、これは、図2に示されるように、HICカラム及び/又はシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)システムに接続され得る。本出願の連続VRFシステムは、産業製造及び/又は規制要件を満たすために、バイオ医薬品の製造中のウイルス汚染の可能性を最小限に抑えるために、ウイルスクリアランス要件を満たすことができる。本出願の連続VRFシステムは、少なくとも4である対数減少値(LRV)などのウイルスクリアランスのための重要な品質属性を提供する。本出願はまた、製造制御制限を実施するための重要な処理パラメータ及び材料属性を決定する処理を実証する。図1に示されるように、本出願の連続VRFシステムは、小型ウイルスフィルタなどの1つ以上のフィルタを使用して、パルボウイルス及びより大きなウイルスのレベルを、サイズ排除によって処理ストリームから低減するように実装され得る。パルボウイルス(パルボとは小さいことを意味する)は、偏在的であり、動物の多くの種に感染する非常に小さなDNAウイルスのグループである。パルボウイルスは、直径が約18~26nmの非エンベロープ型の二十面体粒子である。小型ウイルスフィルタステップを使用する場合のウイルスクリアランスに対する業界の期待は、少なくとも4ログである。(John R.Pattison and Gary Patou,Chapter 64 Parvoviruses,Medical Microbiology,4th edition,Baron S,editor,University of Texas Medical Branch at Galveston,1996.)
【0016】
ウイルス減少とは、特定の処理ステップを行った後の、入力試料及び出力試料における総ウイルス量の間の差異を指す。ウイルス低減能力は、処理ステップのLRV又は対数減少率(LRF)として定義することができる。減少率は、クリアランスステップを適用する前の総ウイルス負荷及びクリアランスステップを適用した後の総ウイルス量に基づいて計算される。ウイルスバリデーション試験は、製品と関連する既知のウイルスのクリアランスを記録するため、及び非特異的モデルウイルスを除去する処理の能力を特徴付けることによって潜在的なウイルス汚染物質を除去する処理の有効性を推定するために実施することができる。
【0017】
製造工程のウイルスクリアランスを研究するための典型的なワークフローは、試料負荷をウイルスでスパイクすることと、大スケールのステップを模倣するスケールダウン実験で工程を実行することと、スパイクされたウイルスを除去する能力を記録することと、を含む。規制ガイドラインは、工程極限で検証を実施するなど、重要工程パラメータを決定するための工程内限界を設計するためにウイルス検証データを使用することを推奨する。試験は、工程ステップが提供することができる最小限のクリアランスを示すために最悪条件下で実施することができる(1998,Q5A Viral Safety Evaluation of Biotechnology Products Derived from Cell Lines of Human or Animal Origin.T.I.C.f.H.o.T.R.f.P.f.H.Use)。最悪条件は、使用される工程に応じてウイルスクリアランスメカニズムに影響を与える因子によって決定することができる。最悪条件は、特定の工程ステップの最小限のウイルス減少を示すために試験することができる(Aranha et al.,Viral clearance strategies for biopharmaceutical safety,part II:a multifaceted approach to process validation,BioPharm 14(5),43-54,90,2001)。
【0018】
ウイルスバリデーション試験は、ウイルス安全性を保証する製品品質及び工程特異性に関する選択された動作条件を記録するように設計されることができる。ウイルス不活性化又は除去の工程は、pH処理、熱処理、濾過、又はクロマトグラフィーを含む。低pHインキュベーションは、カプシドの不可逆的変性によってなど、エンベロープウイルスを不活性化するために使用することができる(Brorson et al.,Bracketed generic inactivation of rodent retroviruses by low pH treatment for monoclonal antibodies and recombinant proteins,Biotechnol Bioeng 82(3):321-329,2003)。濾過は、エンベロープ及びノンエンベロープウイルスの両方を除去するために使用することができるサイズベースの除去である(Lute et al.,Phage passage after extended processing in small-virus-retentive filters,Biotechnol Appl Biochem 47(Pt3):141-151,2007)。クロマトグラフィーステップは、ウイルスクリアランスのためのウイルス減少を提供する素質によって生物製剤製品を精製するために使用することができ、例えば、プロテインAクロマトグラフィー(Bach et al.,Clearance of the rodent retrovirus,XMuLV,by protein A chromatography,Biotechnol Bioeng 112(4):743750,2015)又はアニオン交換クロマトグラフィーなどである。
【0019】
バイオ医薬品の製造のためのウイルス試験、クリアランス又は不活性化方法を組み込んだ連続VRFシステムを設計することには様々な課題がある。連続VRFを実施するために一定流量の動作を維持する必要がある一方で、一定の圧力を維持することは産業的なスタンダードである。連続VRFシステムがHICとインラインで接続されている場合、動作圧力は制限される。例えば、サージタンク、例えば、保管リザーバが入口に設置されていない場合、連続VRFシステムは、HICによって確立された条件で動作する。スループット、処理中の流体流量、及び取り扱いを含む様々な要因がウイルスクリアランスに影響を与える可能性がある。経時的な供給材料組成物の変化は、連続VRFを実施するための課題も提示する。更に、タンパク質濃度の変動は、ウイルスクリアランス試験中に評価する必要がある。(Strauss,et al.,Characterizing the Impact of Pressure on Virus Filtration Processes and Establishing Design Spaces to Ensure Effective Parvovirus Removal.Biotechnology Progress,vol.33,no.5,2017,pp.1294-1302,doi:10.1002/btpr.2506)。これらの課題を克服するためにいくつかのアプローチが適応されている。例えば、VRFまでは連続処理が実行され、その後、バッチVRF及びバッチ限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)が行われる。一部の処理では、完全性試験が失敗するリスクを軽減するために、2つのウイルスフィルタを一連に適合させている。もう1つの選択肢は、設計空間を、より長い処理時間で、動作圧力又は流束を低減するようにシフトすることである。
【0020】
ウイルスを捕捉するためのフィルタの小さな細孔は、微量汚染物質による詰まりに敏感であり、しばしばインラインでの吸着プレ濾過を必要とする。連続的なウイルスクリアランスを検証するために、目詰まり及びフィルタ過負荷の問題を克服する必要がある。使用される全てのフィルタに対して完全性試験を実行することは、処理された材料を偶発的なウイルス汚染物質から隔離するための重要な戦略であり得る。処理された材料を濾過した後のフィルタの完全性試験は、そのプロセスの間にフィルタの完全性が損なわれたかどうかを検出することができる。連続培養は長期間にわたって実施することができるため、偶発的な物質の存在を試験するために特定の時点を選択する必要がある。失敗に終わった完全性試験を観察した後に影響を受ける材料を隔離することには課題がある。場合によっては、フィルタの破断を示す特定の流量減衰はなく、検証された体積スループットは、フィルタの使用を終了するタイミングを決定するための唯一の信頼できるパラメータになる。流量の一貫性及び負荷材料の組成(濃度、pH、又は導電性など)の変動は、ウイルスクリアランスのための連続VRFシステムの有効性に影響を及ぼし得る。
【0021】
他の課題としては、連続HICを実行しながらバルブが濾過と緩衝液フラッシュとの間で切り替えられたときに生じ得る減圧などの処理の中断が挙げられる。連続処理中の小型ウイルスフィルタのウイルス捕捉に対する、処理の中断の影響を調査するための研究が行われている。研究は、フィルタの設計又は動作機構に応じて、処理の中断によってウイルスの捕捉が低減される可能性があることを示している。いくつかのタイプのフィルタは、他のタイプよりも処理の中断の影響を受けやすい。処理の中断は、フィルタがウイルスを捕捉する能力の低下を引き起こす可能性があり、これは、孔径分布及び処理中断時のフィルタマトリックス内のウイルスの位置に関連する可能性がある。処理中断後に対流が再開されると、捕捉されたウイルスはフィルタを通る経路を見つける可能性がある。(Genest,P.,Slocum,A.,LaCasse,D.,Pizzelli,K.,Greenhalgh,P.,Mullin,L.Impact of Process Interruption on Virus Retention of Small-Virus Filters.Bioprocess Int.Bioprocess Tech.,11(10),34-44)。
【0022】
スケールダウンされた研究は、1つ以上の小型ウイルスフィルタ、処理材料、及び緩衝液を含む連続VRFシステムのウイルス低減能力を調査するように設計されることができる。スケールダウンされたモデルは、製造処理をできるだけ忠実に表し、製造スケール処理の代表的な条件下で動作する必要がある。検証されたLRVは、バリデーション試験が製造処理を正確に表さない場合、大規模処理を表すことが保証されない場合がある。マウスの微小ウイルス(MVM)などのパルボウイルスは、連続VRFシステムのスケールダウンされた研究を調査するためのモデルとして処理にスパイクすることができる。MVMは、化学的処理に対して非常に耐性があり、18~24nmのような小さな粒子サイズを有し、これは、サイズ排除を介する濾過を使用して除去することが特に困難であるため、MVMは、しばしば選択されるモデルである。(Genest et al.)。
【0023】
スケールダウンされたフィルタを使用したウイルスフィルタ検証のためのインラインスパイク方法を調査するための研究が行われている。プレ濾過がウイルスを除去し、ウイルスフィルタLRVの測定を妨げる場合、標準的なアプローチは、タンパク質溶液をバッチプレ濾過し、ウイルスでスパイクし、次にウイルス濾過することである。しかしながら、標準的なウイルスクリアランスバッチ研究は、実際の負荷条件を代表するものではない場合がある。多くのタンパク質について、バッチプレ濾過は、インラインプレ濾過よりも詰まりの増加及びスループットの顕著な低下をもたらす。ある研究では、ウイルスフィルタ除去能力を直接測定するインラインプレ濾過が提供されており、3つの異なるタンパク質供給と2つの異なるパルボウイルスフィルタを2つのウイルス注入速度で用いて試験される。このインライン方法は、製造処理を表すスループットでLRVを確実に測定することができる。(Lutz,Herbert,et al.“Qualification of a Novel Inline Spiking Method for Virus Filter Validation.”Biotechnology Progress,vol.27,no.1,2010,pp.121-128.,doi:10.1002/btpr.500)。タンパク質濃度勾配は、インラインウイルススパイクによってより正確にモデル化されるべきである。
【0024】
連続処理用途におけるウイルス濾過の検証のためのフィルタ設計空間を調査するために、より多くの研究が行われている。ある研究は、Pegasus(商標)プライムフィルタ上で2.5psiでのバクテリオファージPP7スパイクPBS(リン酸緩衝生理食塩水)のウイルスクリアランスの成功を示している。この研究には、7日目に24時間の処理一時停止を伴う8日間の処理が含まれ、負荷される最大体積スループットは約7000L/mである。クオリティ・バイ・デザイン(QbD)の原則は、設計空間を変化させるリスクを最小限に抑えるために重要であることを示している。QbDを使用して設計空間を特徴付け、流量、タンパク質濃度、負荷、及び処理の一時停止などの全ての予想される動作条件でウイルスクリアランスを確認することが重要である。(McAlister,Morven,Virus Filtration in Continuous Processing:Considerations for Filter Design Space and Validation,BioProcess International Conference and Exhibition.BioProcess International Conference and Exhibition,27 Sept.2017,Boston,MA)。医薬品のQbDは、健全な科学と品質リスク管理に基づいた製品に対する理解、処理に対する理解、及び処理制御を強調することにより、事前に定義された目標から始まる処理を開発するための体系的なアプローチである。設計空間検証は、入力処理パラメータと材料属性との提案された組み合わせが、商業規模で高品質の製品を製造することができることを実証するものである。
【0025】
インラインウイルススパイクシステムを含む、生物学的製品の連続処理を実施するウイルス安全性を保証する様々な設計戦略が提案されている。検証された合計体積スループットに達する前に古いフィルタと新鮮なフィルタとを切り替えることによるフィルタスキームのスイッチイン及びスイッチアウトを含む、自動化並列スイッチングシステムが提供された。概念実証研究は、この自動化並列フロー濾過システムが、従来のバッチウイルススパイク法を使用して、タンパク質含有量の有無にかかわらず4LRV以上でバクテリオファージモデルを除去することができたことを示す。したがって、新規の製造スキームにおいて検証されたウイルスクリアランス及び他の安全性保証を提供するための十分かつ堅牢な科学的証拠がある限り、連続処理を実施しない理由はない(Johnson,Sarah A.,et al.,Adapting Viral Safety Assurance Strategies to Continuous Processing of Biological Products,Biotechnology and Bioengineering,vol.114,no.6,2017,pp.1362-1362)。
【0026】
いくつかの例示的な実施形態では、本出願は、2つ以上のフィルタトレインを並列に含むウイルスクリアランスのための連続VRFシステムを提供し、この連続VRFシステムは、連続処理下で動作し、フィルタトレインは、体積スループット、又は圧力のエンドポイントに基づいてオン又はオフに切り替えられ、各フィルタトレインは、1つ以上のフィルタを含む。いくつかの態様では、連続VRFシステムは、HICに接続され、抗体、ウイルス粒子、及び1つ以上の不純物を含む試料が、HICに負荷され得る。一態様では、本出願の連続VRFシステムは、複数のフィルタトレインを並列に備え、Cadence(登録商標)BioSMBシステム(Pall Corporationから購入)などの外部駆動フィード流量の下で動作する。本出願の連続VRFシステムは、フィルタをプライミング、消毒、中和、平衡化、及びフラッシュする能力を有する。例えば、連続VRFシステムの監視ディスプレイに関して図3に示されるように、フィルタトレインは、フィルタ処理、緩衝液フラッシング、又はフィルタプライミングなどの異なるステータスに供することができる。一例として、システムメッセージは、トレイン2について進行中の緩衝液フラッシュなどの、フィルタトレインのステータスを示す。
【0027】
いくつかの例示的な実施形態では、本出願は、2つ以上のフィルタトレインを並列に含むウイルスクリアランスのための連続VRFシステムを提供し、この連続VRFシステムは、2つ以上のフィルタトレインをオン又はオフに切り替えることにより、連続処理下で動作する。図4に示されるように、各フィルタトレインは、連続VRF制御ロジックの下で、緩衝液プライミング、平衡化、消毒、フィルタ処理、緩衝液フラッシング、又は完全性試験のステップなどの様々なステップについて特定の時点にスケジュール設定される。加えて、本出願の連続VRFシステムは、媒体濾過、膜濾過、又はEmphaze(商標)濾過(3M,IncからのEmphaze(商標)精製器)などの任意の連続的な通常の流量濾過ステップの実施を可能にする柔軟な設計を有する。加えて、自動化された濾過システムは、深層濾過、培地のウイルス濾過、又はユニット操作間の滅菌濾過などの他の連続的な通常の流量濾過ステップに適合させることができる。
【0028】
媒体濾過システムは、汚染物質の物理的捕捉及び/又は化学反応による汚染物質の吸着によって動作する。膜濾過システムは、透過性層を通過する液体流からの不純物及び標的汚染物質を捕捉する透過性薄層の材料(例えば、フィルタ膜材料)の使用によって動作する。膜濾過の除去メカニズムは、フィルタ膜材料による粒子の物理的遮断である。膜濾過システムの孔径は、フィルタ膜材料中の穴又は隙間の大きさを指す。フィルタ膜の孔径がより小さいほど、より小さい粒子の、フィルタ膜材料の通過を遮断することができる。Emphaze(商標)濾過は、合成機能性媒体、アニオン交換媒体、及び非対称生体負荷低減膜を含むEmphaze(商標)精製器を使用して実施することができる。Emphaze(商標)精製器は、汚染物質のフロースルークロマトグラフィー分離又はクロマトグラフィーとサイズ排除メカニズムとの組み合わせを提供する。
【0029】
大規模な商業規模での生物学的製品の生産の必要性は、バッチモード処理を連続処理に変換することに対する需要の増加につながっている。ウイルスの安全性は、規制要件を満たすために提案された連続処理システムに対処する必要がある。本開示は、生物学的製品を製造するための提案された連続処理システムにウイルスクリアランス及び試験を効果的に組み込む方法及びシステムを提供することによって前述の必要性を満たすための方法及びシステムを提供する。
【0030】
本明細書にて開示される例示的な実施形態は、ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための方法及びシステムを提供することによって、前述の必要性を満たす。
【0031】
「1つの(a)」という用語は、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきであり、「約」及び「およそ」という用語は、当業者によって理解されるように標準的な変動を可能にすると理解されるべきであり、範囲が提供される場合、エンドポイントが含まれる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」という用語は、非限定的であることを意味し、各々、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」を意味すると理解される。
【0033】
いくつかの例示的な実施形態では、本開示は、ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための方法を提供し、この方法は、抗体を含む試料を提供することと、試料を、ウイルス捕捉濾過(VRF)システムに接続されている疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムに負荷することであって、HICカラム及びVRFシステムが、連続処理システムにおいてインラインで接続され、VRFシステムが、少なくとも2つのフィルタトレインを並列に含む、前記負荷することとを含む。いくつかの態様では、本開示は、ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための連続処理システムを提供し、連続処理システムは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラム、及びウイルス捕捉濾過(VRF)システムを備え、HICカラム及びVRFシステムはインラインで接続され、試料はHICカラムに負荷され、VRFシステムは、少なくとも2つのフィルタトレインを並列に含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ウイルス粒子」という用語は、生細胞内で複製する感染性因子を含む。ウイルス粒子には、カプシドと呼ばれるタンパク質の殻に囲まれたRNA又はDNAが含まれる。カプシドは、ウイルスゲノム及びウイルスタンパク質を含む内部コアを保護する。ウイルス粒子が特定の宿主細胞の表面に結合すると、ウイルス複製のためにウイルスDNA又はRNAが宿主細胞に注入される。最終的に、ウイルス感染は他の宿主細胞に広がる。ウイルス粒子は、例えば、マウスの微小ウイルス(MVM)などのパルボウイルスであり得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖からなる免疫グロブリン分子を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(HCVR又はVH)及び重鎖定常領域を有する。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3を含有する。各軽鎖は、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を有する。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)からなる。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が点在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域へと更に細分することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDR及び4つのFRから構成され得る。「抗体」という用語は、任意のアイソタイプ又はサブクラスのグリコシル化及び非グリコシル化免疫グロブリンの両方への言及を含む。「抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作成、又は単離されるもの、例えば、抗体又は抗体を発現するようにトランスフェクトされた宿主細胞から単離される二重特異性抗体を含むが、これらに限定されない。IgGは、抗体のサブセットを含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、「不純物(impurities)」又は「不純物(impurity)」という用語は、タンパク質生物学的製剤製品に存在する任意の望ましくないタンパク質又はウイルス粒子を含むことができる。不純物には、工程及び産生物に関連する不純物が含まれ得る。不純物は更に、既知の構造を有するか、部分的に特徴付けられるか、又は未特定であり得る。工程関連不純物は、製造工程に由来する可能性があり、3つの主要なカテゴリー:細胞基質由来、細胞培養由来、及び下流由来を含み得る。細胞基質由来不純物としては、宿主生物に由来するタンパク質及び核酸(宿主細胞ゲノム、ベクター、又は総DNA)が挙げられるが、これらに限定されない。細胞培養由来不純物としては、誘導物質、抗生物質、血清、及び他の培地成分が挙げられるが、これらに限定されない。下流由来の不純物は、酵素、化学的及び生化学的処理試薬(例えば、臭化シアン、グアニジン、酸化剤及び還元剤)、無機塩(例えば、重金属、ヒ素、非金属イオン)、溶媒、担体、リガンド(例えば、モノクローナル抗体)、及び他の溶出性物質を含むが、これらに限定されない。産生物関連不純物(例えば、前駆体、特定の分解産生物)は、活性、有効性、及び安全性に関して所望の産生物のものと同等の特性を有しない、製造及び/又は保存中に生じる分子バリアントであり得る。そのようなバリアントは、修飾のタイプを特定するために、単離及び特徴付けにおけるかなりの努力を必要とし得る。産生物関連不純物には、切断形態、修飾形態、及び凝集体が含まれ得る。切断形態は、ペプチド又はジスルフィド結合の切断を触媒する加水分解酵素又は化学物質によって形成される。修飾形態としては、脱アミド化、異性化、ミスマッチS-S連結、酸化、又は改変共役形態(例えば、グリコシル化、リン酸化)が挙げられるが、これらに限定されない。修飾形態はまた、任意の翻訳後修飾形態を含み得る。凝集体には、所望の産生物の二量体及びより高い多量体が含まれる。(Q6B Specifications:Test Procedures and Acceptance Criteria for Biotechnological/Biological Products,ICH August 1999,U.S.Dept.of Health and Humans Services)。
【0037】
例示的な実施形態
本明細書にて開示される実施形態は、ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための方法及びシステムを提供する。方法は、HICカラム及びVRFシステムを含む連続処理システムにおいて実施される。
【0038】
いくつかの例示的な実施形態では、本開示は、ウイルス粒子を含む1つ以上の不純物を含む試料から抗体を精製するための方法を提供し、この方法は、抗体を含む試料を提供することと、試料を、VRFシステムに接続されているHICカラムに負荷することであって、HICカラム及びVRFシステムが、連続処理システムにおいてインラインで接続され、VRFシステムが、少なくとも2つのフィルタトレインを並列に含む、前記負荷することとを含む。
【0039】
一態様では、本出願の方法のウイルス低減能力は、0.1~0.9LRV、0.9~2.1LRV、4.6LRV、5.2LRV、0.1~4LRV、0.1~5LRV、0.1~6LRV、3~6LRV、4~5LRV、又は少なくとも4LRVである。
【0040】
一態様では、少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、少なくとも1つのフィルタを備え、フィルタは、媒体濾過、膜濾過、機能性濾過、クロマトグラフィー濾過、又はサイズ排除濾過である。一態様では、少なくとも2つのフィルタトレインの各々が、プライミング、平衡化、フィルタ処理、フラッシング、完全性試験、消毒、中和、又は保管のための時点にスケジュール設定される。
【0041】
本システムは、前述のフィルタ、抗体、ウイルス粒子、HIC、VRFシステム、プレ濾過、又はSPTFFのいずれかに限定されないことを理解されたい。本明細書で提供される方法ステップの数字及び/又は文字による連続的な標識は、方法又はその任意の実施形態を特定の指示された順序に限定することを意味しない。特許、特許出願、公開特許出願、受入番号、技術論文、及び学術論文を含む、様々な刊行物が、本明細書全体を通して引用される。これらの引用された参考文献の各々は、その全体が全ての目的のために本明細書中に参考として援用される。別段記載されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0042】
本開示は、本開示をより詳細に説明するために提供される以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。それらは、例示することを意図しており、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0043】
材料
1.濾過:Viresolve(登録商標)Pro、Viresolve(登録商標)Pro Shield H、及びViresolve(登録商標)Pro Shieldは、EMD Millipore Corporationから購入したウイルス除去用のサイズに基づく濾過膜である。Viresolve(登録商標)Pro Shield H及びViresolve(登録商標)Pro Shieldは、Viresolve(登録商標)Proフィルタとインラインで使用されるプレフィルタである。Viresolve(登録商標)Pro Shield Hは、ミックスモード吸着化学に基づいており、苛性安定性かつ低抽出性である。Viresolve(登録商標)Pro Shieldは、陽イオン交換吸着化学に基づいており、苛性安定性かつ低抽出性である。
【0044】
2.連続VRFシステム:モノクローナル抗体を精製するための連続処理システムを設計し、構築し、HIC処理を実行するクロマトグラフィーシステムとインラインで接続した。抗体を含有する試料をHICカラムに負荷した。HICのフロースルーを連続VRFシステムに負荷した。HICは、内径1cmのカラムを使用して実施した。連続的なVRFシステムは、2つのViresolve(登録商標)Pro Shield H(3.1cmのフィルタ)、及び2つのViresolve(登録商標)Pro(3.1cmのフィルタ)を含んでいた。
【0045】
実施例1.HIC及びVRFシステムのインライン接続
モノクローナル抗体(例えば、MAB1)を精製するための処理は、概念実証として、2つのViresolve(登録商標)Pro Shield H及び2つのViresolve(登録商標)Proを含有するVRFシステムとインラインで接続したHICを使用して実施した。MAB1を含有する試料をHICカラムに負荷した。HICのフロースルーをVRFシステムに負荷した。この処理は、HICの流量に基づいて一定の流量の下で行われた。VRF流束は、253LMH(リットル/m/時間)であり、15psiの初期ΔPであった。HICの3サイクルを、1160L/mのVRF負荷で実施した。約12%の、一定圧力での予測流束減衰を与えられた場合、一定流量での対応する予測圧力上昇は約2psiであった。
【0046】
この処理システムの性能は、スループットの関数としてVRF差圧に基づいて評価された。図5に示されるように、ウイルスフィルタ全体の差圧を、ウイルスフィルタのスループットの関数としてL/mでプロットした。緩衝液フラッシュ中のプレフィルタ入口圧力は14.6psiであり、サイクル1の最大圧力は16.7psiであり、サイクル2の最大圧力は16.6psiであり、サイクル3の最大圧力は17.2psiであった。1160L/mに負荷された一定流量VRFの過程にわたって観察されたフィルタΔPに顕著な増加はなく、HIC及びVRFフィルタのインライン接続を有するシステムの有効性を実証した。これらの結果は、一定の圧力で実施された以前のVRF処理の性能と一致した。
【0047】
実施例2.一定流量でのウイルスクリアランス
モノクローナル抗体(例えば、MAB2)を精製するための連続処理を、連続VRFシステムを用いて行った。VRFシステムの性能は、一定流量及び一定圧力モード下で試験された。負荷材料には、4.9pHに調整されたモノクローナル抗体(MAB2)HICプールが含まれた。負荷がpH4.9に調整されると、0.1% v/vのMVMストックでスパイクした。MVMスパイクされた材料を、ウイルスフィルタの前に単分散ウイルスチャレンジを促進するために、0.1μmのフィルタ上を通過させた。処理開発中に観察されたViresolve(登録商標)Pro ShieldによるHCPクリアランスの増加により、低pHを使用した。処理は、圧縮窒素及び圧力缶セットアップ、25psiでの460LMHの緩衝液流束、及び1000L/mの負荷を使用して、一定圧力の実行下で実施した。あるいは、AKTA Explorer(GE Healthcare Life Science,Inc.から購入されたFPLCシステム)、5psiの初期圧力での90LMH、及び使用後の緩衝液フラッシュを伴う1000L/mの負荷を使用して、一定流量の実行下で、処理を実施した。低い初期圧力は、入口圧力限界に達する前にスループットを増加させることができた。低い圧力は、ウイルス粒子のブラウン運動によるウイルスブレイクスルーにつながる可能性がある(Strauss Daniel et al.)。
【0048】
図6に示されるように、一定圧力の実行下での結果は、4.6を超えるLRVを伴う1000L/mのスループットで56.6%の流束減衰を示した。図7に示されるように、一定流量の実行下での結果は、製品プール及び緩衝フラッシュにおける5.2を超えるLRVを伴う1000L/mのスループットで圧力の検出可能な増加を示さなかった(1.5psi未満)。したがって、90LMHの流束は、ウイルスクリアランスを提供するのに十分であった。この結果はまた、一定流量の実行が、一定圧力の実行と比較して、フィルタの汚れを顕著に減少させる可能性があることを示した。約90LMHの低流束での一定流束モード下で動作するVRFシステムは、完全に統合された連続下流処理を可能にするために十分なウイルス安全性を提供することができた。
【0049】
実施例3.一定流量及び一定圧力の比較
連続VRFシステムの性能は、直接比較を可能にする条件下で、一定の流量及び一定の圧力モード下で試験された。流れを、AKTA Explorer(例えば、FPLC)にて、それぞれ270LMH及び15psiの一定流量及び一定圧力モードの両方で、Viresolve(登録商標)Pro及びViresolve(登録商標)Pro Shieldで濾過した。図8に示されるように、一定圧力モードにおける流束減衰に影響を及ぼす因子を評価するために、一連の条件を試験した。一定流量及び一定圧力モードの比較のために、MAB2 HICプールをpH4.0に調整して、ファウリングを増加させ、したがって、シグナルを増加させた。流束を膜貫通圧力(TMP)で割った値、例えば、LMH/psiで表される膜透過率に基づいて結果を分析した。初期透過率は、270LMHを15psiで割ることによって計算され、これは18LMH/psiに等しい。
【0050】
図9に示されるように、一定圧力の実行下での結果は、590L/mで92%の流束減衰、及び206L/mで50%の透過率減衰を示した。一定流量の実行下での結果は、479L/mで55psiΔP、208L/mで50%の透過率減衰を示した。したがって、結果は、270LMH/15psiでの一定流量及び一定圧力VRFが、フィルタスループットの関数としてのフィルタ透過率の観点から同一の性能を示すことを示した。透過率の低下は、除去されたファウラント粒子の総数の関数であるように見え、これは濾過モードとは無関係であった。
【0051】
実施例4.本出願の連続VRFシステムの設計特徴
図3に示されるように、2つ以上のフィルタトレインを並列で含む、ウイルスクリアランスのための連続VRFシステムを設計し、構築した。連続VRFシステムに、抗体、任意選択的にはウイルス粒子、及び1つ以上の不純物を含むHICプール試料を負荷した。本出願の連続VRFシステムを、ベンチスケールで、中断することなく3.5日間稼働させた。連続VRFシステムは、体積スループット、又は圧力のエンドポイントに基づいて、フィルタトレインをオン又はオフに切り替えることによって、連続処理下で動作させた。連続VRFシステムは、フィルタをプライミング、消毒、中和、平衡化、及びフラッシュする能力を有する。連続VRFシステムの各フィルタトレインは、1つ以上のフィルタを含む。図3に示されるように、各フィルタトレインに、フィルタ処理、緩衝液フラッシング、又はフィルタプライミングなどの異なるステータスを付与した。連続VRFシステムは、媒体濾過、膜濾過、又はEmphaze(商標)濾過を含む様々な連続流量濾過ステップを実装するための柔軟な設計を有した。連続VRFシステムは、Cadence(登録商標)BioSMBシステムなどの外部駆動フィード流量の下で動作した。ベンチスケールの連続VRFシステムの設計を図2に示す。
【0052】
試験結果は、圧力対流量制御の選択が、連続VRFシステムの能力に影響を及ぼさないことを示した。バッチVRF流束の約20%で動作した一定流量VRFプールではウイルスは検出されなかった。HICの出口に接続された連続VRFシステムは、バッチVRFと同等の性能を示した。
【0053】
連続VRFシステム及び他の連続ユニットの運用開発中に、負荷分子、負荷条件、タンパク質濃度、流量速度、及び処理休止の変動を含む低流量での連続VRFシステムの性能を評価するために、研究を実施した。最初の連続処理を開発段階から製造段階に移行する前に、QbDを使用してウイルスクリアランス試験を設計し、連続VRFシステムの設計空間を特徴付けて、設計空間が変化するリスクを最小限に抑えた。連続処理用途におけるウイルス濾過の検証のためのフィルタ設計空間を調査するために、研究を実施した。ウイルスクリアランスは、全ての予想される動作条件で確認された。連続VRFシステムの設計空間を特徴付けるためのウイルスクリアランス試験を設計する実施例を図10に示し、この実施例は、最大タンパク質濃度又はタンパク質濃度なしで交互にHICフロースルーを実施することを示す。ウイルスを、HIC、プレ濾過、及びViresolve(登録商標)Proの処理ステップを含む連続処理にスパイクした。その後、ウイルスクリアランスのためのウイルスフィルタの能力が評価された。フィルタ切り替えポイントを、ウイルスクリアランス試験で達成された最小スループットに基づいて、連続VRFシステムにプログラムした。
【0054】
図4に示されるように、連続VRFシステムの各フィルタトレインは、連続VRF制御ロジックの下で、緩衝液プライミング、平衡化、フィルタ処理、緩衝液フラッシング、又は完全性試験のステップなどの様々なステップについて特定の時点にスケジュール設定された。例えば、各フィルタトレインは、異なる時間間隔で動作するようにスケジュール設定することができる。試験結果は、使用後のVRF緩衝液フラッシュが、連続限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF-DF)のためのプール濃度の一貫性を向上させることを示した。ウイルスフィルタが使用されていないとき、それらは待機フィルタとしてNaOH中に保存された。図4の図は、例示を目的としており、各ステップの期間は正確な縮尺ではない。具体的には、フィルタ当たりの濾過時間は、低い流束のために従来のバッチVRFと比較して顕著に高く、フィルタ当たり1日を超える可能性がある。図4に示す処理は、使用済みフィルタを置き換えるためにユーザーが処理に介入すると仮定して、無期限に繰り返すことができる。
【0055】
加えて、本出願の連続VRFシステムの設計特徴は、図11に示されるようなデータ管理及び制御戦略を含む。バルブ、ポンプ、圧力センサ、及び流量センサなどの連続VRFシステムは、Ethernet I/O(入力/出力)ボードと直接通信する。その後、Kepwareソフトウェアは、I/Oボード通信プロトコルを業界標準のOPC(オープンプラットフォーム通信)(Open Platform Communications)に変換した。SynTQには、システム制御用にKepwareへの読み取り/書き込みアクセス権がある。PI(工程情報)には、データの保存、分析、及び視覚化のためにKepwareへの読み取り専用アクセス権がある。
【0056】
Kepwareは、単一のユーザーインターフェイスを介してユーザーが様々な自動化デバイス及びソフトウェアアプリケーションを接続、管理、監視、制御できるようにする、単一の産業用自動化データソースをアプリケーションに提供する接続プラットフォームである。OPCは、独自の制限なしにマルチベンダーデバイスと制御アプリケーションとの間でデータ交換を可能にする産業用通信規格である。PIは、バルブ、ポンプ、流量、圧力、又はレベルなどのリアルタイム情報を記録、分析、監視するための時系列データベースを備えたリアルタイムデータヒストリアンアプリケーションである。synTQ PATナレッジマネジメントソフトウェアスイートは、効果的なリアルタイムデータ記録及びデータ管理を介して、ユニバーサルハードウェア及びソフトウェアシステムの統合を提供する。MATLAB(マトリックスラボラトリ)は、計算、視覚化、及びプログラミングを統合するためのテクニカルコンピューティング用の高性能言語である。制御ロジックは、プログラムの動作を制御するソフトウェアプログラムの重要な部分である。
【0057】
実施例5.低及び高pH条件でのMVM安定性試験
VRF負荷中のウイルス粒子は、経時的に分解され得るため、ウイルスクリアランスは、フィルタに対する実際のウイルスクリアランスを実証することなく、ウイルス安定性のアーティファクトであり得る。スパイクされたウイルス負荷が安定している時間の長さは、単一の負荷源を将来のウイルスクリアランス試験に使用できる期間を通知する。低又は高クエン酸濃度を有する低及び高pH条件におけるMVMの安定性研究を実施した。実験設計の実施例を、図12及び図13に示す。
【0058】
図14に示すように、時間の関数としてのMVM LRFに基づいて、試験結果を分析した。ウイルスストック緩衝液を対照として使用した。対照と比較して、全ての評価された負荷条件で、経時的なウイルス分解が観察された。約0~0.9LRFが24時間にわたって観察された。7日間(168時間)にわたって、約0.9~2.1のLRFが観察された。これらの試験結果に基づいて、適切なウイルス負荷チャレンジを確実にするために、負荷の使用は、ウイルススパイク後の24時間に制限され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】