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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】空気を利用した船舶抵抗減速装置
(51)【国際特許分類】
   B63B 1/38 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
B63B1/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504483
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 KR2021015000
(87)【国際公開番号】W WO2022103016
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0151673
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523023340
【氏名又は名称】コーポレーション コンデンセイション ストーリー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソン キ
(57)【要約】
本発明は、空気を利用した船舶抵抗減速装置を開示する。本発明は、船舶の底側に空気を噴射して生成された気泡を底側に止まるようにして、水に対する摩擦抵抗を減少させて運航速度の増加と燃費改善を図るためのもので、構造が簡素化されながら、別途の駆動源を用いなくても船舶の運航時に発生する空気を吸入して船底の底側に気泡からなる空気層が形成されるようにして、経済的な製造と運営効率を高めることができるようにしたのである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の船首の左右に対称的に備えられて、運航時に発生する空気を吸入する空気吸入口と、
前記各空気吸入口に連結されて、船体の下部側に吸入空気を誘導する空気吸入管路と、
前記各空気吸入管路に連結されて空気を受けて、船底の底面で気泡が生成されるように排出するもので、船底の中心部側に配置される内側浮力部及びこの内側浮力部の外側に船底の辺縁に沿って配置される外側浮力部からなるマニホールドと、
前記船底の底面側に船体の長さ方向に沿って突出して形成され、間隔を隔てて複数個を備えるもので、前記内側浮力部と外側浮力部で発生した気泡が船体の幅方向に流動されることを抑制しながら運航方向に流動されることができるように規制するガイドピンと、で構成された、ことを特徴とする空気を利用した船舶抵抗減速装置。
【請求項2】
前記マニホールドは、内部に吸入空気が流動される通路を形成するもので、この通路の底面には所定間隔を隔てて吸入空気が外部に排出される排出孔が形成され、この排出孔の一側には通路側に向かって突出して形成されて、吸入空気の流動方向に対する抵抗を発生させて排出孔側に誘導されて、船底の外部に排出されるようにする排出誘導板が突出して形成された構成を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の空気を利用した船舶抵抗減速装置。
【請求項3】
前記空気吸入口の一側には電源が供給されて送風作用をする送風機が連結されて備えられるか、または前記各空気吸入口の一側に設置されて選択的に空気の吸入と遮断をするソレノイドバルブの何れか一つまたは一つ以上を含んで構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の空気を利用した船舶抵抗減速装置。
【請求項4】
前記マニホールドは、船体の船底で着脱可能に嵌込構造またはねじ締結構造で結合されて備えられる、ことを特徴とする請求項1に記載の空気を利用した船舶抵抗減速装置。
【請求項5】
前記船体は、船尾の両側に船首の上げ現象を抑制するための揚力翼が備えられる、ことを特徴とする請求項1に記載の空気を利用した船舶抵抗減速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の運航時に、空気を利用した船舶抵抗減速装置に関し、より詳しくは、船舶の底側に空気を噴射して生成された気泡を底側に止まるようにして、水に対する摩擦抵抗を減少させて速度を向上させることができる空気を利用した船舶抵抗減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、船舶は水の上に浮かんで運航する交通機関を指すもので、動力機関によって櫓櫂船・帆船(風力)・機船(石炭・石油を燃料とする機械力)・原子力船(核燃料による機械力)に分けられ、現在機船という名称は、種類を問わずに全部機械力によって推進される動力船の意味で用いられるが、狭い意味の機船は、蒸気力で作動する往復動機関や蒸気タービン機関を有する船を指し、ガソリン機関・吸入ガス機関・ホットバルブ機関・ディーゼル機関を有する内燃機船は機船として区別する。
【0003】
推進機別に見ると、機船の初期は水車式外輪船であったが、現代は、翼が3~7個の翼を有するプロペラからなるスクリュープロペラ船が主に用いられる。スクリュープロペラ(screw propeller)は、通常3~7個の翼を有するプロペラでありながら、プロペラ翼の螺旋面が水を押し出し、その反動で生じた推進力を受けて船が前進するが、通常の船舶用推進装置としては、単一プロペラである固定ピッチプロペラ(FPP:Fixed Pitch Propeller)、可変ピッチプロペラ(CPP:Controllable Pitch Propeller)、及び複合プロペラ(compound propeller)である二重反転プロペラ(CRP)、タンデムプロペラ(Tendem propeller)などの推進装置がある。
【0004】
このような伝統的な船舶の推進装置であるスクリュープロペラは、船舶の高速化大型化に伴って発展しているが、船舶が高速化されるにつれて発生するキャビテーション(Cavitation)による振動及び騒音の問題が発生するようになり、この時の前記キャビテーション(Cavitation)とは、負荷の高いプロペラがある臨界回転数を超える回転速度で構成される時に現われる現象であり、より一般的には、所定の温度で圧力を低減すると水蒸気または空気で満たされている気泡が可視化されて成長する現象を言う。
【0005】
その他にも、船舶は海水面上を運航する時、各種原因によってエネルギー損失が発生する。代表的に、船体の船首部で水を切り開きながら発生する発散波(divergent wave)及びこれに追随する発散波と垂直に発生する横波(Transverse wave)からなって、船体のすべての部分に抵抗を発生させる造波抵抗(wave making resistance)と、水の粘性によって船体の進行を妨害する表面摩擦抵抗と形状抵抗に分けられる粘性抵抗(frictional resistance)と、水が船体表面に沿って円滑に流れることができない造渦抵抗(eddy making resistance)と、水面上に露出された船体と船楼で発生する空気抵抗(aerodynamic resistance)とが発生するようになる。
【0006】
このような船舶の運航時に発生する各種抵抗は、流線形設計、ウェーブピアーシング設計、多胴船設計など様々な方法が適用されている。一例として、造波抵抗の場合、船首部分を『球状船首(Bulbous bow)』形態に設計する方法が適用されており、造渦抵抗の場合、浮遊体の前面をできれば流線と小さい角度を成すようにし、背面は流線が離れないように形状が漸次に縮小される流線形設計が作用している。粘性抵抗の場合、海水との摩擦抵抗を減少させるために、水と接触する面積を減らし、また、抵抗を減少する特殊塗料を多く用いる方法が適用されている。また、空気抵抗の場合には、水面上部構造物を直角形態から円形にし、また、構造物の中間に空の空間を作って、空気の抵抗が減少するようにしている。
【0007】
最近では、船舶の運航時の抵抗を低減させるための方法の一つとして、船体表面に空気層である空気腔(air cavity)を配置させて、空気層によって海水との粘性によるエネルギー損失を減少させる方式の船舶抵抗減速装置が持続的に研究開発されている。
【0008】
従来技術としては、韓国登録特許第10-1980738号公報を通じて『船舶の摩擦抵抗減少のためのウォータージェット式空気潤滑装置』、韓国登録特許第10-2031829号公報を通じて『浮力増強によって復元力が向上した小型船舶』及び韓国登録特許第10-1433525号公報を通じて空気生産装置を船体内部に配置し、空気噴射装置を船底面の船首から船尾に至る縦方向に長く配置して、噴射される空気が船底面を充分に覆うことができる空気潤滑船舶について開示されている。
【0009】
しかしながら、前記従来技術に係る船舶の空気潤滑装置は、空気噴射装置に大量の空気を提供するためには、空気生産装置の駆動による電力消耗費用が増加するという問題点があり、また、航海の時には船舶が左右及び前後方向に揺動されることから、空気層が円滑に形成されず、また空気層を形成して保持しにくいという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1980738号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-2031829号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10-1433525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために創出されたもので、本発明の目的は、船舶の運航時に発生する不規則な動きにも水と船舶との間に形成された空気層が船首から船尾に安定的な流れを有するように誘導して、船舶の揺れを抑制し、別途の空気発生装置を使用しないことにより、経済的な製造とメンテナンスの便宜性を高めることができるようにした空気を利用した船舶抵抗減速装置の提供をその目的とする。
【0012】
本発明の他の目的は、高速船舶の場合、船首が上げられながら摩擦抵抗と造波抵抗が増加して、船舶の速度を低下させることを防止するために、船尾に揚力翼を付加構成して、船舶の前後水平を保持するようにすることにより、運航安定性を高めることができる空気を利用した船舶抵抗減速装置を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、船舶の旋回または停止または減速時に船底の底面に形成される空気層の発生を制御して、運航効率性を高めることができる空気を利用した船舶抵抗減速装置を提供することにある。
【0014】
本発明の目的は以上で言及した目的に制限されず、言及されなかったまた他の目的は以下の記載から当業者に明確に理解され得るはずである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を実現するための本発明の好ましい実施例に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置は、船舶の船首の左、右に対称的に備えられて、運航時に発生する空気を吸入する空気吸入口と、各前記空気吸入口に連結されて、船体の下部側に吸入空気を誘導する空気吸入管路と、各前記空気吸入管路に連結されて、空気を受けて船底の底面で気泡が生成されるように排出するもので、船底の中心部側に配置される内側浮力部及びこの内側浮力部の外側に船底の辺縁に沿って配置される外側浮力部からなるマニホールドと、前記船底の底面側に船体の長さ方向に沿って突出して形成され、間隔を隔てて複数個備えられ、前記内側浮力部と外側浮力部で発生した気泡が船体の幅方向に流動することを抑制しながら、運航方向に流動することができるように規制するガイドピンとで構成されることをその特徴とする。
【0016】
本発明の好ましい一特徴として、前記マニホールドは、内部に吸入空気が流動する通路を形成したもので、この通路の底面には所定間隔を隔てて吸入空気が外部に排出される排出孔が形成され、この排出孔の一側には通路側に向かって突出して形成されて、吸入空気の流動方向に対する抵抗を発生させて、排出孔側に誘導されて、船底の外部に排出されるようにする空気排出誘導板が突出して形成される構成にある。
【0017】
本発明の好ましい他の特徴として、前記空気吸入口の一側には電源を供給されて送風作用をする送風機が連結されて備えられるか、または各前記空気吸入口の一側に設置されて、選択的に空気の吸入と遮断を行うソレノイドバルブの、いずれか一つまたは一つ以上を含んで構成される。
【0018】
本発明の好ましいまた他の特徴として、前記マニホールドは、船体の船底で着脱可能な嵌込構造またはねじ締結構造で結合されて備えられる。
【0019】
本発明の好ましいまた他の特徴として、前記船体は船尾の両側に船首が上がる現象を抑制するための揚力翼が備えられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置は、船舶の底面である船底側に空気を噴射して、気泡による摩擦抵抗を減少させることにより、運航速度の増加と燃費改善を図ることができるという有用な効果が期待される。
【0021】
また、構造が簡素化され、別途の駆動源を用いなくても船舶の運航時に発生する空気を吸入して、船底の底側に気泡からなる空気層を形成させるので、経済的な製造が可能であり、必要時に着脱可能であるので、船底の底側に付いているフジツボや海藻類などの付着物を容易に取り除くことができるので、メンテナンスの便宜性が良好であるという利点がある。
【0022】
また、本発明は、左右に配置された一対のマニホールドで生成される空気層を部分的に発生させるか、または発生させないようにして、船舶の旋回、または減速及び停止時の摩擦力を部分的に高めて、運航効率性を高めることができるという利点がある。
【0023】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以下の詳細な説明により明らかになり得るはずである。これに先立ち、本明細書及び特許請求範囲に用いられた用語や単語は通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自身の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念に解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置が適用された船舶を示した側面図である。
図2】本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置が適用された船舶を底面で見た図面である。
図3】本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置が適用された船舶を船首側で見た図面である。
図4】本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置で船底浮力部の主要部を抜粋して示した図面である。
図5】本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置の他の実施例を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に対する構成及び作用について詳細に説明する。ただし、本発明を特定の開示形態に限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであり、1つまたはそれ以上の他の特徴やステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。すなわち、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0026】
また、異なるように定義されない限り、技術的または科学的用語を含む、ここで用いられるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有している。一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈で有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0027】
ここで、繰り返される説明、本発明の要旨を不必要に曖昧にするおそれのある公知機能、及び構成に対する具体的な説明は、本発明の要旨を曖昧にしないようにするために省略する。本発明の実施形態は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0028】
図1は、本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置が適用された船舶を示した側面図である。
【0029】
図面には、船体2の前方部分を構成する船首3と、船体2の後部分を指す船尾4と、船体2の下面を指す船底5とからなる船舶1が示されており、この船体2の船首3側には船舶1の運航時に発生する運航風を吸入して誘導するための空気吸入口21が位置し、この空気吸入口21を通じて吸入された空気を船体2の海側、すなわち船底5側に案内するための管路である空気吸入管路11、前記空気吸入管路11を通じて流入する空気を受けて、内側浮力部13aと外側浮力部13bに分岐させて案内するためのマニホールド13、及び前記船体2の船尾4の両側に突出して備えられて、船舶1の運航時に船首3部分が上げられることを補償するために、運航風によって船尾4側の部分が上昇するように誘導して、船舶1の前後水平を保持する揚力翼sを備えた空気を利用した船舶抵抗減速装置が示されている。
【0030】
図2は、本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置が適用された船舶を底面で見た図面である。
【0031】
図面には、船舶1の船体2から船底5の部分が示されており、図面で示すように、船首3側には左右対称に船舶1の運航時に発生する運航風による空気を吸入して誘導するための空気吸入口21が位置し、この空気吸入口21を通じて吸入された空気を船体2の海側、すなわち船底5側に案内するための管路である空気吸入管路11、前記空気吸入管路11を通じて流入する空気を受けて、内側浮力部13aと外側浮力部13bに分岐させて案内するためのマニホールド13、及び前記マニホールド13の下部に突出して備えられ、船体2の長さ方向に沿って突出して幅方向に区画することにより、前記内側浮力部13aと外側浮力部13bで発生した気泡bが船体2の幅方向に流動することを抑制して、船舶1の直進安定性を高めるためのガイドピン15で構成された空気を利用した船舶抵抗減速装置が示されている。
【0032】
図3は、本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置が適用された船舶を船首側で見た図面である。
【0033】
図面には、船体2の船底5側に一体に形成されるか、または別途に製作されて、ねじ部材や嵌込構造などによって着脱可能に備えられるマニホールド13、及びこのマニホールド13で発生した気泡bによる空気層が船体2の幅方向に流動されることを抑制するために、船底5、すなわちマニホールド13の下側にひれ状に突出されて区画する複数のガイドピン15が設けられた船舶1が示されている。
【0034】
図4は、本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置で船底浮力部の主要部を抜粹して示した図面である。
【0035】
図面には、船舶1の船首3側に設けられた空気吸入口21と空気吸入管路11を通じて空気を受けて、内側浮力部13aと外側浮力部13bに分岐して供給するために、内部に空気流動のための通路が形成された分岐要素であるマニホールド13、このマニホールド13を構成する内側浮力部13aと外側浮力部13bを構成するもので、船首3側で吸入された空気が船尾4側に流動される通路の底面側に形成された複数の排出孔17、及びこの排出孔17から通路a側に向かって突出されて、吸入空気の流動方向に対する抵抗を発生させて、前記排出孔17を通じて船底5の外部に排出されるようにする空気排出誘導板18が設けられた空気を利用した船舶抵抗減速装置が示されている。
【0036】
図5は、本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置の他の実施例を示した図面である。
【0037】
図面には、大型船舶または運航速度が遅い場合、前記船体2の船首3側に設けられた空気吸入口21を通じて円滑な空気吸入が難しくなることがあるが、これを補償するために、前記空気吸入口21に強制的に空気を供給するための送風機20が設けられた構成を示したのである。
【0038】
また、前記送風機20とともに設置されるかまたは独立的に設置されることができ、前記一対の空気吸入管路11に設置されて、管路を開閉制御する作用をするソレノイドバルブ25を含んだ空気を利用した船舶抵抗減速装置を示した。この時の前記左右ソレノイドバルブ25は、同時に管路を開放または閉鎖させるか、または左側または右側の空気吸入管路11に対する管路開放を制御するように備えられることができる。
【0039】
以上の図面を参照して本発明に係る空気を利用した船舶抵抗減速装置の構成について詳しく説明すれば次の通りである。
【0040】
図1図5を参照すると、本発明は、大体、船舶1の船首3の左右側に配置されて、空気を吸入するための空気吸入口10と、この空気吸入口10に連結されて、吸入された空気を船底5の底側に案内するための空気吸入管路11と、この空気吸入管路11に連結されて空気を受けて、内側浮力部13aと外側浮力部13bに分岐して案内するためのもので、吸入された空気が船底5の外部に排出されながら気泡bを形成するマニホールド13と、前記マニホールド13を通じて形成された気泡bが船体2の幅方向に流動されることを抑制するように、船底5の長さ方向に沿って突出して形成されるガイドピン15とで構成される。
【0041】
空気吸入口10は、船舶1の船体2で前方部分である船首3の左右側に対称的に備えられるもので、船舶1の運航時に、船首3側には空気抵抗が発生するようになるが、これを吸入して誘導するための要素である。このような空気吸入口10は図示しなかったが、メッシュ網などのフィルタ要素を備えることが好ましく、これは生物やその他浮遊物質などの異物が流入されることを防止するためである。
【0042】
このような空気吸入口10は好ましい実施例で、本発明では、船首3の左右側に配置される構成を例示したが、これに限定されず、船体2の中央または船尾4側に別途の空気吸入口を設置して空気を吸入して誘導するように設置されることも可能である。
【0043】
また、本発明における前記空気吸入口10は自然吸気構造を例示したが、船舶1の運航速度が遅い場合、または船舶1の運航方向と反対方向に風が吹く場合には、別途の送風機20を利用して空気を強制に吸気させる構成も可能である。すなわち、船舶1の運航速度や風の方向によって自然吸気のみでマニホールド13に充分な吸入空気を供給しにくい場合には、空気吸入口10の一側に設けた送風機20を通じて空気を強制的に送風させることができる。
【0044】
空気吸入管路11は前記空気吸入口10に連結されて、船底5側に案内するための管路要素であり、前記空気吸入口10と一体に成形される。このような空気吸入管路11は船体2の外面に一体に形成されるか、または別途に成形されて付着されることができ、このような構造は、公知の技術によって多様に実施されることができるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
マニホールド13は、船底5の底側に左右対称的に配置されるもので、船首3の空気吸入管路11に連結されて吸入空気を受けて、船尾4側に移動されることができるようにする通路aを形成し、それぞれのマニホールド13は船底5の中心部側に船体2の長さ方向に沿って長く配置される内側浮力部13aと、この内側浮力部13aの外側に、すなわち船底5の外側に船体2の長さ方向に沿って長く配置される外側浮力部13bとからなる。
【0046】
すなわち、前記マニホールド13は内側浮力部13aと外側浮力部13bとからなり、これら内側浮力部13aと外側浮力部13bにそれぞれ吸入された空気を流動案内するように通路aを形成した構成である。
【0047】
一方、マニホールド13は通路aに沿って船尾4側に流動される空気が船底5の外部に排出されることができるように、間隔を隔てて複数の排出孔17が形成され、この排出孔17で空気が容易に排出されることができるように、前記排出孔17の一側には通路a側に向かって突出して形成されることによって、吸入空気の流動方向に対する抵抗を発生させる空気排出誘導板18が備えられる。
【0048】
すなわち、マニホールド13の前方から後方へ流動される吸入空気は、それぞれの空気排出誘導板18にぶつかって流れ抵抗が発生しながら、排出孔17を通じて船底5の外部に排出され、このように排出される過程で気泡bを形成するようになる。
【0049】
ガイドピン15(Guide Fin)は、前記船体2の船底5の 外面側に船体2の長さ方向に沿って形成され、前記船体2の幅方向に間隔を隔てて複数個備えられる区画要素である。
【0050】
すなわち、前記ガイドピン15は、内側浮力部13aと外側浮力部13bで発生した気泡bが船体2の幅方向に流動されることを抑制し、船舶1の運航安定性を高めるようにし、生成された気泡bからなった空気層が前記ガイドピンとガイドピンとの間の区画された空間に閉じ込まれた状態で、船舶1の運航によって自然に船尾4側に流動されるようにすることにより、船体2と水との摩擦抵抗を減少させるようになる。
【0051】
一方、前記ガイドピン15はマニホールド13の底面に一体に形成されることが好ましく、前記マニホールド13は、前記船体2の船底5に着脱可能に嵌込構造またはねじ締結構造で結合される構成である。
【0052】
一方、本発明において、船体2は船尾4の両側に揚力翼sが備えられることを提案し、このような揚力翼sは船舶1が高速で運航する場合、船首3側が上げられるながら、摩擦抵抗、造波抵抗、そして空気抵抗が増加されて、船舶1の速度を低下させる要因として作用する。この時、前記船尾4の両側に設けられた揚力翼sは、浮上力を作用して船尾4を上昇させて、結果的に船舶1の前後が水平を保持するようにする。
【0053】
このような揚力翼sは、船尾4の上部に設けられて、空気による浮上力を受けるように構成されるか、または船尾4の下部分に設置されて、水に浸った状態で設けられて、水による浮上力を受けるように構成されることができる。
【0054】
一方、本発明において、前記一対の空気吸入口10または空気吸入管路11には管路の開閉を制御する一対のソレノイドバルブ25が設置されることができ、前記一対のソレノイドバルブ25は選択的に管路を開閉させることによって、左右一対に提供されるマニホールド13を通じて船底5に対する空気層の形成有無を制御することにより、船舶1の旋回時に、船底5に局所的な摩擦力を形成するか、または船舶1の停止や速度を減速する場合、船底5全体に摩擦抵抗を高めるように制御されることができる。
【0055】
すなわち、船舶1が右側に旋回する場合、船底5の右側部分に位置したマニホールド13は、空気層を形成しないように、当該位置のソレノイドバルブ25を利用して、空気吸入口10または空気吸入管路11を閉鎖して、船底5の右側部分に対する摩擦力を高め、船底5の左側部分に位置したマニホールド13は正常に気泡bを生成させて、船底5の左側部分に対する摩擦を低減させることにより、安定した旋回ができるようにすることができる。
【0056】
また、船舶1の速度を減速したり停止させる場合、前記一対のソレノイドバルブ25を動作させて、左右に配置された空気吸入口10または空気吸入管路11の管路を閉鎖させる。それで、前記空気吸入管路11に連結された一対のマニホールド13は気泡bを生成させなくなるので、結果的に船底5の摩擦抵抗が高くなることによって、船舶1の減速または停止作用に役に立つことができる。
【0057】
前記のように構成される本発明に係る船舶抵抗減速装置の使用過程を説明すれば、次の通りである。
【0058】
まず、船舶1が所定速度で運航すると、船体2の船首3の左右側に配置された空気吸入口10を通じて空気が吸入されて誘導されて、空気吸入管路11に案内される。
【0059】
そして、前記空気吸入管路11に誘導された吸入空気は、船底5の底側に左右対称的に備えられた一対のマニホールド13の通路aに供給される。
【0060】
その次、前記各マニホールド13の通路aに誘導された空気は、マニホールド13を構成する内側浮力部13aと外側浮力部13bにそれぞれ分岐されて供給され、これら内側浮力部13aと外側浮力部13bに形成された排出孔17と空気排出誘導板18によって船底5の外部に排出されながら気泡bを生成するようになる。
【0061】
このように生成された気泡bは、船体2に沿って長く配置され、船体2の幅方向に間隔を隔てて複数個備えられたガイドピン15が区画する空間内で空気層を形成するようになる。これら各ガイドピンが区画した空間の間に形成された空気層は、船体2の長さ方向に沿って船首3から船尾4側に移動されながら、船体2の幅方向には移動が規制されて、船舶1の直進安定性を高めるようになる。
【0062】
また、船尾4の両側に提供された揚力翼sは、空気または水中に設置される構造であるので、船舶1の運航時に発生する空気や水によって浮上力を受けることによって、結果的に、前記船舶1の船首3部分が上げられる現象を減少させることができるので、結果的に、船舶1の船首3と船尾4部分が互いに水平状態を有ることができるように作用して、運航安定性を改善させることができる。
【0063】
また、本発明は、ガイドピン15を備えたマニホールド13と空気吸入管路11を船体2から分離させることができるので、必要の時、船体2で脱去してフジツボや青海苔、海藻類などの付着物質に対する除去が容易である。
【0064】
一方、本発明は記載された実施形態に限定されるのではなく、適用部位を変更して用いることが可能で、本発明の思想及び範囲を逸脱しない範囲内で、多様に修正及び変形することができることは当該技術分野において通常の知識を有する者にとって自明である。よって、そのような変形例または修正例は本発明の特許請求範囲に属するとすべきである。
【符号の説明】
【0065】
1 船舶
2 船体
3 船首
4 船尾
5 船底
10 空気吸入口
11 空気吸入管路
13 マニホールド
13a 内側浮力部
13b 外側浮力部
15 ガイドピン
17 排出孔
18 空気排出誘導板
20 送風機
21 供給管路
25 ソレノイドバルブ
a 通路
b 気泡
s 揚力翼
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】