(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】リビトール治療
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7004 20060101AFI20231016BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20231016BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20231016BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231016BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A61K31/7004
A61P21/00
A61K9/48
A61K9/08
A61K47/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023515723
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 US2021049677
(87)【国際公開番号】W WO2022056137
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521517153
【氏名又は名称】ザ シャーロット メクレンバーグ ホスピタル オーソリティー ディー/ビー/エー アトリウム ヘルス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー,キー ロン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ボー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC09
4C076FF04
4C076FF11
4C076FF31
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA94
(57)【要約】
疾患又は障害の治療を必要とする対象におけるそれを治療する方法及び関連する組成物が提供される。有効量のリビトールが投与され、それによって、α-DGの機能的グリコシル化を回復及び/若しくは強化し、かつ/又は疾患若しくは障害を治療する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、有効量のリビトールを含む用量、任意選択的に即時放出用量、及び/又は非制御放出用量を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記用量が、最大で1日4回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記用量が、最大で1日2回投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記用量が、1日3回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記用量が、1日2回投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記用量が、1日1回投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、少なくとも0.5グラム/日(g/日)、少なくとも1g/日、少なくとも2g/日、少なくとも3g/日、少なくとも4g/日、少なくとも5g/日、少なくとも7.5g/日、少なくとも10g/日、少なくとも12.5g/日、少なくとも15g/日、少なくとも20g/日、少なくとも25g/日、少なくとも30g/日、少なくとも35g/日、少なくとも40g/日、少なくとも45g/日、少なくとも50g/日、少なくとも55g/日、又は少なくとも60g/日投与することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、最大で0.5g/日、最大で1g/日、最大で2g/日、最大で3g/日、最大で4g/日、最大で5g/日、最大で7.5g/日、最大で10g/日、最大で12.5g/日、又は最大で15g/日、最大で20g/日、最大で25g/日、最大で30g/日、最大で35g/日、最大で40g/日、最大で45g/日、最大で50g/日、最大で55g/日、又は最大で60g/日投与することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、0.5g/日、1g/日、1.5g/日、2g/日、3g/日、4g/日、5g/日、6g/日、7.5g/日、10g/日、12g/日、12.5g/日、15g/日、20g/日、25g/日、30g/日、35g/日、40g/日、45g/日、50g/日、55g/日、又は60g/日投与することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、0.5g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、1.5g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、3g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、6g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、10g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、12g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、15g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、20g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、25g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、30g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、35g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、40g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、45g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、50g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、55g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、60g/日投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1週間、2週間、又は4週間、リビトールの前記用量を投与することを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1カ月間、2カ月間、又は4カ月間、リビトールの前記用量を投与することを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
慢性的にリビトールの前記用量を投与することを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記疾患又は障害が、フクチン関連タンパク質(FKRP)の欠損と関連する、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
哺乳動物が、FKRPにおいて部分的又は完全な機能喪失を引き起こすフクチン関連タンパク質(FKRP)をコードする遺伝子に変異を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記疾患又は障害が、筋ジストロフィーである、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記筋ジストロフィーが、FKRP関連アルファ-ジストログリカン異常症である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記疾患又は障害が、肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記筋ジストロフィーが、フクチン(FKTN)関連アルファ-ジストログリカン異常症である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記FKTN関連アルファ-ジストログリカン異常症が、福山症候群である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
リビトールの最大観察濃度(C
max)が、50~2500μg/mLである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
リビトールの濃度-時間曲線(AUC
0-24)下面積が、100(μg・h)/mL~8000(μg・h)/mL又は350(μg・h)/mL~8000(μg・h)/mLである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約100(μg・h)/mL又は約100(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約182(μg・h)/mL又は約182(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約200(μg・h)/mL又は約200(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約700(μg・h)/mL又は約500(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記対象が、哺乳動物である、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、ヒトである、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、ヒト小児である、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、α-DGの機能的グリコシル化を回復及び/又は強化する、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、前記疾患又は障害を治療する、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、定常状態AUC(0-24)レベルを達成するために有効な用量でリビトールを投与することを含む、方法。
【請求項48】
前記用量が、最大で1日4回投与される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記用量が、最大で1日2回投与される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記用量が、1日3回投与される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記用量が、1日2回投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記用量が、1日1回投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記方法が、少なくとも0.5グラム/日(g/日)、少なくとも1g/日、少なくとも2g/日、少なくとも3g/日、少なくとも4g/日、少なくとも5g/日、少なくとも7.5g/日、少なくとも10g/日、少なくとも12.5g/日、少なくとも15g/日、少なくとも20g/日、少なくとも25g/日、少なくとも30g/日、少なくとも35g/日、少なくとも40g/日、少なくとも45g/日、少なくとも50g/日、少なくとも55g/日、又は少なくとも60g/日投与することを含む、請求項47~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記方法が、最大で0.5g/日、最大で1g/日、最大で2g/日、最大で3g/日、最大で4g/日、最大で5g/日、最大で7.5g/日、最大で10g/日、最大で12.5g/日、又は最大で15g/日、最大で20g/日、最大で25g/日、最大で30g/日、最大で35g/日、最大で40g/日、最大で45g/日、最大で50g/日、最大で55g/日、又は最大で60g/日投与することを含む、請求項47~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記方法が、0.5g/日、1g/日、1.5g/日、2g/日、3g/日、4g/日、5g/日、6g/日、7.5g/日、10g/日、12g/日、12.5g/日、15g/日、20g/日、25g/日、30g/日、35g/日、40g/日、45g/日、50g/日、55g/日、又は60g/日投与することを含む、請求項47~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記方法が、0.5g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記方法が、1.5g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記方法が、3g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記方法が、6g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記方法が、10g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記方法が、12g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
前記方法が、15g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
前記方法が、20g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
前記方法が、25g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、30g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項66】
前記方法が、35g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項67】
前記方法が、40g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項68】
前記方法が、45g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項69】
前記方法が、50g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項70】
前記方法が、55g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項71】
前記方法が、60g/日投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項72】
少なくとも1週間、2週間、又は4週間、リビトールの前記用量を投与することを含む、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
少なくとも1カ月間、2カ月間、又は4カ月間、リビトールの前記用量を投与することを含む、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
慢性的にリビトールの前記用量を投与することを含む、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記疾患又は障害が、フクチン関連タンパク質(FKRP)の欠損と関連する、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
哺乳動物が、FKRPにおいて部分的又は完全な機能喪失を引き起こすフクチン関連タンパク質(FKRP)をコードする遺伝子に変異を有する、請求項47~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記疾患又は障害が、筋ジストロフィーである、請求項47~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記筋ジストロフィーが、FKRP関連アルファ-ジストログリカン異常症である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記疾患又は障害が、肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記筋ジストロフィーが、フクチン(FKTN)関連アルファ-ジストログリカン異常症である、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記FKTN関連アルファ-ジストログリカン異常症が、福山症候群である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
リビトールの最大観察濃度(C
max)が、50~2500μg/mLである、請求項47~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
リビトールの血清濃度-時間曲線(AUC
0-24)下面積が、350(μg・h)/mL~8000(μg・h)/mLである、請求項47~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約100(μg・h)/mLである、請求項47~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約182(μg・h)/mLである、請求項47~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約200(μg・h)/mLである、請求項47~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約700(μg・h)/mLである、請求項47~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記対象が、哺乳動物である、請求項47~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記対象が、ヒトである、請求項47~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記対象が、ヒト小児である、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記方法が、α-DGの機能的グリコシル化を回復及び/又は強化する、請求項1~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記方法が、前記疾患又は障害を治療する、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
リビトール及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項94】
前記薬学的組成物が、固体、任意選択的に錠剤又はカプセルである、請求項93に記載の薬学的組成物。
【請求項95】
前記薬学的組成物が、溶液である、請求項93に記載の薬学的組成物。
【請求項96】
前記担体が、水である、請求項95に記載の薬学的組成物。
【請求項97】
前記担体が、実質的に純粋な水である、請求項96に記載の薬学的組成物。
【請求項98】
前記担体が、生理食塩水である、請求項97に記載の薬学的組成物。
【請求項99】
前記薬学的組成物が、0.2g/mL~10g/mLでリビトールを含む、請求項93~98のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項100】
請求項93~99のいずれか一項に記載の薬学的組成物と、疾患又は障害の治療における使用のための説明書とを含む、キット。
【請求項101】
0.5g~60gのリビトールを含む、単位用量。
【請求項102】
前記単位用量が、0.5gのリビトールを含む、請求項101に記載の単位用量。
【請求項103】
前記単位用量が、1.5gのリビトールを含む、請求項101に記載の単位用量。
【請求項104】
前記単位用量が、3gのリビトールを含む、請求項101に記載の単位用量。
【請求項105】
前記単位用量が、6gのリビトールを含む、請求項101に記載の単位用量。
【請求項106】
前記単位用量が、9gのリビトールを含む、請求項101に記載の単位用量。
【請求項107】
前記単位用量が、12gのリビトールを含む、請求項101に記載の単位用量。
【請求項108】
前記単位用量が、15gのリビトールを含む、請求項101に記載の単位用量。
【請求項109】
前記リビトールが水に溶解されている、請求項101~108のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項110】
100(μg・h)/mL~8000(μg・h)/mLのリビトールの定常状態AUC(0-24)レベルを達成するために有効であるリビトールの量を含む、単位用量。
【請求項111】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約100(μg・h)/mL又は約100(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである、請求項110に記載の単位用量。
【請求項112】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約182(μg・h)/mL又は約182(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである、請求項110に記載の単位用量。
【請求項113】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約200(μg・h)/mL又は約200(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである、請求項110に記載の単位用量。
【請求項114】
リビトールに対する前記AUC
0-24が、少なくとも約700(μg・h)/mL又は約500(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである、請求項110に記載の単位用量。
【請求項115】
前記単位用量が、固体、任意選択的に錠剤又はカプセルとして製剤化される、請求項101~114のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項116】
前記単位用量が、液体として製剤化され、任意選択的に前記リビトールが、水に溶解されている、請求項101~114のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項117】
前記単位用量が、経口投与のために製剤化される、請求項101~116のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項118】
請求項1~92のいずれか一項に記載の治療方法における使用のための、請求項93~99のいずれか一項に記載の薬学的組成物又は請求項101~106のいずれか一項に記載の単位用量。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月10日に出願された米国仮特許出願第63/076,761号の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)、LGMD R9としても知られる(Straub et al.Neuromuscular Disorders 28(2018)702-710)は、FKRP遺伝子の部分的な機能喪失変異によって引き起こされるジストログリカン異常症である。ジストログリカン異常症の最も一般的な形態であり、中枢神経系(CNS)の軽度の関与の有無を問わず、主にミオパチー表現型として現れる。疾患発症の年齢は、主に筋力低下として、10~20歳の間で最も一般的である。しかしながら、最初の疾患の症状は、10歳未満40歳以上の対象でも起こり得る。初期症状は主に、軽度のふくらはぎ及び大腿部の肥大を伴う四肢の筋力低下である。疾患が進行するにつれて、患者は腰の屈曲及び内転、膝の屈曲、及び足首の背屈の筋力低下を示す。症状は、進行性の筋肉変性、線維の消耗、浸潤、及び筋組織における線維症及び脂肪の蓄積とともに悪化する。患者は、最終的に歩行能力を失う。筋力低下はまた、重症度が異なり、患者の一部で呼吸不全につながる横隔膜を伴う。最も重度かつ頻繁な症状を伴って影響を及ぼす心筋は拡張型心筋症である。現在の疾患修飾療法又は根治療法はない。LGMD2iに加えて、アルファジストログリカン(αDG)の異常なグリコシル化に関連する他の筋ジストロフィーとしては、例えば、肢帯型筋ジストロフィー2M型、肢帯型筋ジストロフィー2U型、福山先天性筋ジストロフィー(FCMD)、筋-眼-脳(MEB)疾患、及びWalker-Warburg症候群(WWS)(Montenaro and Carbonetto,Neuron,2003,Vol.37,193-196)が挙げられる。
【0003】
健康な筋細胞では、アルファジストログリカン(αDG)のタンパク質上の糖鎖は、ヒトでは以前は知られていなかったペントースアルコールであるリビトール-リン酸のタンデム構造を含有する。遺伝子フクチン(FKTN)、フクチン関連タンパク質(FKRP)、及びイソプレノイドシンターゼドメイン含有タンパク質(ISPD)は、この構造の合成のための必須酵素をコードする。ISPDは、リビトール-5-リン酸を、フクチン及びFKRPの基質であるCDP-リビトールに代謝的に変換する。続いて、フクチンは、第1のリビトール-リン酸を、αDGの糖鎖上に輸送し、続いて、FKRPを輸送し、続いて、リビトール-リン酸を輸送する。
【0004】
US2018/0169036A1は、フクチン関連タンパク質(FKRP)遺伝子内の変異に関連する障害を、リビトールを飲料水中で投与することによって治療する方法を開示している。治療効果を達成するために、連続的又は少なくとも1日1回、リビトールを投与する必要性は、リビトールのようなペントースアルコールの予想される短い半減期と一致する。例えば、密接に関連するペントース糖D-リボースは、ウサギにおいて短い半減期、14~24分を有する(Alzoubi et al,2018)。
【0005】
したがって、ヒトにおけるリビトールを使用した治療方法に対するアンメットニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、疾患又は障害を治療するための組成物及び方法を提供する。例えば、本開示は、リビトールを含む組成物、並びに対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)中の様々な疾患及び障害を治療するために、リビトールを使用する方法を提供する。本明細書に提供される方法による治療のための疾患及び障害としては、FKRP関連アルファジストログリカン異常症又は肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)などの筋ジストロフィーを含む、フクチン関連タンパク質(FKRP)の欠損に関連する疾患及び障害が挙げられる。
【0007】
一態様では、本開示は、疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法に関し、有効量のリビトールを投与することを含み、それによってαDGの機能的グリコシル化を回復及び/又は強化し、並びに/又は疾患若しくは障害を治療することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、用量は、最大で1日4回投与される。いくつかの実施形態では、用量は、最大で1日2回投与される。いくつかの実施形態では、用量は、1日3回投与される。いくつかの実施形態では、用量は、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、用量は、1日1回投与される。
【0009】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも約0.5グラム(g)/日、少なくとも約1g/日、少なくとも約2g/日、少なくとも約3g/日、少なくとも約4g/日、少なくとも約5g/日、少なくとも約7.5g/日、少なくとも約10g/日、少なくとも約12.5g/日、少なくとも約15g/日、少なくとも約20g/日、少なくとも約25g/日、少なくとも約30g/日、少なくとも約35g/日、少なくとも約40g/日、少なくとも約45g/日、少なくとも約50g/日、少なくとも約55g/日、少なくとも約60g/日、少なくとも約70g/日、少なくとも約80g/日、少なくとも約90g/日、少なくとも約100g/日、少なくとも約110g/日、少なくとも約120g/日、少なくとも約130g/日、少なくとも約140g/日、少なくとも約150g/日、少なくとも約160g/日、少なくとも約170g/日、少なくとも約180g/日、少なくとも約190g/日、少なくとも約200g/日、又は少なくとも約210g/日投与することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、この方法は、最大で約0.5g/日、最大で約1g/日、最大で約2g/日、最大で約3g/日、最大で約4g/日、最大で約5g/日、最大で約7.5g/日、最大で約10g/日、最大で約12.5g/日、最大で約15g/日、最大で約20g/日、最大で約25g/日、最大で約30g/日、最大で約35g/日、最大で約40g/日、最大で約45g/日、最大で約50g/日、最大で約55g/日、最大で約60g/日、最大で約70g/日、最大で約80g/日、最大で約90g/日、最大で約100g/日、最大で約110g/日、最大で約120g/日、最大で約130g/日、最大で約140g/日、最大で約150g/日、最大で約160g/日、最大で約170g/日、最大で約180g/日、最大で約190g/日、最大で約200g/日、又は最大で約210g/日投与することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、この方法は、約0.5g/日、約1g/日、約1.5g/日、約2g/日、約3g/日、約4g/日、約5g/日、約6g/日、約7.5g/日、約10g/日、約12g/日、約12.5g/日、約15g/日、約20g/日、約25g/日、約30g/日、約32g/日、約35g/日、約40g/日、約45g/日、約50g/日、約55g/日、約60g/日、約70g/日、約80g/日、約90g/日、約100g/日、約110g/日、約120g/日、約130g/日、約140g/日、約150g/日、約160g/日、約170g/日、約180g/日、約190g/日、約200g/日、又は約210g/日投与することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、この方法は、約0.5g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、約1.5g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、約3g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、約6g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、約10g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、約12g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、約15g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、24g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、25g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、30g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、32g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、35g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、40g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、45g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、50g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、55g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、60g/日投与することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも1週間、2週間、4週間、又はそれ以上、リビトールの用量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも1カ月、2カ月、4カ月、6カ月、8カ月、10カ月、12カ月、14カ月、16カ月、18カ月、又はそれ以上、リビトールの用量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも6カ月以上、リビトールの用量を慢性的に投与することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、フクチン関連タンパク質(FKRP)の欠損と関連している。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、FKRPにおいて部分的又は完全な機能喪失を引き起こすフクチン関連タンパク質(FKRP)をコードする遺伝子に変異を有する。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、筋ジストロフィーである。いくつかの実施形態では、筋ジストロフィーは、FKRP関連アルファ-ジストログリカン異常症である。
【0015】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)である。いくつかの実施形態では、筋ジストロフィーは、フクチン(FKTN)関連アルファ-ジストログリカン異常症である。いくつかの実施形態では、筋ジストロフィーは、肢帯型筋ジストロフィー2M型(LGMD2M)である。いくつかの実施形態では、筋ジストロフィーは、肢帯型筋ジストロフィー2U型(LGMD2U)である。
【0016】
いくつかの実施形態では、FKTN関連アルファ-ジストログリカン異常症は、福山症候群である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、イソプレノイドシンターゼドメイン含有タンパク質(ISPD)関連アルファ-ジストログリカン異常症である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、筋眼脳疾患(MEB)である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、先天性筋ジストロフィー(CMD)である。
【0017】
いくつかの実施形態では、リビトールの最大観察濃度(Cmax)は、約50マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)~約2500μg/mLである。
【0018】
いくつかの実施形態では、リビトールの血漿濃度-時間曲線(AUC0-24)下面積は、約100マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]~約8000(μg・h)/mL、又は約350マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]~約8000(μg・h)/mLである。
【0019】
いくつかの実施形態では、リビトールの血漿濃度-時間曲線(AUC0-24)下面積は、少なくとも約100マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]又は約100マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]~約700(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールの血漿濃度-時間曲線(AUC0-24)下面積は、少なくとも約182マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]又は約182マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]~約700(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールの血漿濃度-時間曲線(AUC0-24)下面積は、少なくとも約200マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]又は約200マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]~約700(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールの血漿濃度-時間曲線(AUC0-24)下面積は、少なくとも約700マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]又は約500マイクログラム・時間/ミリリットル[(μg・h)/mL]~約700(μg・h)/mLである。
【0020】
いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトの子供である。
【0021】
いくつかの実施形態では、前述の実施形態のいずれかに記載の方法は、疾患又は障害を治療する。
【0022】
別の態様では、疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法が本明細書に提供され、定常状態AUC(0-24)レベルを達成するために有効な用量でリビトールを投与することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、用量は、最大で1日4回投与される。いくつかの実施形態では、用量は、最大で1日2回投与される。いくつかの実施形態では、用量は、1日3回投与される。いくつかの実施形態では、用量は、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、用量は、1日1回投与される。
【0024】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも0.5グラム/日(g/日)、少なくとも1g/日、少なくとも2g/日、少なくとも3g/日、少なくとも4g/日、少なくとも5g/日、少なくとも7.5g/日、少なくとも10g/日、少なくとも12.5g/日、少なくとも15g/日、少なくとも20g/日、少なくとも25g/日、少なくとも30g/日、少なくとも35g/日、少なくとも40g/日、少なくとも45g/日、少なくとも50g/日、少なくとも55g/日、又は少なくとも60g/日投与することを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、この方法は、最大で0.5g/日、最大で1g/日、最大で2g/日、最大で3g/日、最大で4g/日、最大で5g/日、最大で7.5g/日、最大で10g/日、最大で12.5g/日、又は最大で15g/日、最大で20g/日、最大で25g/日、最大で30g/日、最大で35g/日、最大で40g/日、最大で45g/日、最大で50g/日、最大で55g/日、又は最大で60g/日投与することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、この方法は、0.5g/日、1g/日、1.5g/日、2g/日、3g/日、4g/日、5g/日、6g/日、7.5g/日、10g/日、12g/日、12.5g/日、15g/日、20g/日、25g/日、30g/日、35g/日、40g/日、45g/日、50g/日、55g/日、又は60g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、0.5g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、1.5g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、3g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、6g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、10g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、12g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、15g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、20g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、25g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、30g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、35g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、40g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、45g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、50g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、55g/日投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、60g/日投与することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも1週間、2週間、又は4週間、リビトールの用量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも1カ月間、2カ月間、又は4カ月間、リビトールの用量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、リビトールの用量を慢性的に投与することを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、フクチン関連タンパク質(FKRP)の欠損と関連している。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、FKRPにおいて部分的又は完全な機能喪失を引き起こすフクチン関連タンパク質(FKRP)をコードする遺伝子に変異を有する。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、筋ジストロフィーである。いくつかの実施形態では、筋ジストロフィーは、FKRP関連アルファジストログリカン異常症である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)である。いくつかの実施形態では、筋ジストロフィーは、フクチン(FKTN)関連アルファ-ジストログリカン異常症である。いくつかの実施形態では、FKTN関連アルファ-ジストログリカン異常症は、福山症候群である。
【0029】
いくつかの実施形態では、リビトールの最大観察濃度(Cmax)は、50~2500μg/mLである。
【0030】
いくつかの実施形態では、リビトールの血清濃度-時間曲線(AUC0-24)下面積は、350(μg・h)/mL~8000(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールのAUC0-24は、少なくとも約100(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、少なくとも
【0031】
約182(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、少なくとも約200(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、少なくとも約700(μg・h)/mLである。
【0032】
いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトの子供である。
【0033】
いくつかの実施形態では、この方法は、α-DGの機能的グリコシル化を回復及び/又は強化する。いくつかの実施形態では、この方法は、疾患又は障害を治療する。
【0034】
本開示の別の態様は、リビトール及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含む薬学的組成物に関する。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、固体、任意選択的に錠剤、カプセル、又は粉末である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、溶液である。いくつかの実施形態では、担体は、水、実質的に純粋な水、又は生理食塩水である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約0.05グラム/ミリリットル(g/mL)~約10g/mLでリビトールを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示は、前述の薬学的組成物と、疾患又は障害の治療における使用のための説明書とを含むキットに関する。
別の態様では、本開示は、約0.5g~約210gのリビトールを含む単位用量に関する。いくつかの実施形態では、単位用量は、約12gのリビトールを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、約24gのリビトールを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、0.5g~60gのリビトールを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、約0.5gのリビトールを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、約1.5gのリビトールを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、約3gのリビトールを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、約6gのリビトールを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、約9gのリビトールを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、約12gのリビトールを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、約15gのリビトールを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、単位用量中のリビトールは、水に溶解されている。
【0037】
別の態様では、単位用量は、本明細書に提供されており、100(μg・h)/mL~8000(μg・h)/mLのリビトールの定常状態AUC(0-24)レベルを達成するために有効であるリビトールの量を含む。いくつかの実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、少なくとも約100(μg・h)/mL又は約100(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、少なくとも約182(μg・h)/mL又は約182(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、少なくとも約200(μg・h)/mL又は約200(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである。いくつかの実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、少なくとも約700(μg・h)/mL又は約500(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mLである。
【0038】
いくつかの実施形態では、単位用量は、固体、任意選択的に錠剤又はカプセルとして製剤化される。いくつかの実施形態では、単位用量は、液体として製剤化され、任意選択的に、リビトールは水に溶解されている。いくつかの実施形態では、単位用量は、経口投与のために製剤化される。
【0039】
別の態様では、本開示は、先行する実施形態の任意の1つによる治療方法における使用のための、又は本明細書に提供される、先行する実施形態の任意の1つに記載の薬学的組成物又は単位用量に関する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】FKRP変異細胞におけるαDGのリビトール誘導性機能的グリコシル化のモデル図である。「*」=コアM3上の第1のリビトール-5-ホスペートのμ-DGは、ドナー基質としてCDP-リビトールを使用してフクチンにより伝達される、CTP=シチジン三リン酸、D-グルクロン酸(GlcA)、キシリトール(キシル)、N-アセチル-D-ガラクトサミン(GalNAc)、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)、D-マンノース(Man)(Source:Cataldi et al.2018)
【
図2】P448L FKRP変異マウスにおけるリビトール治療の1カ月後のマトリグリカンの検出を示す一連の免疫蛍光染色画像である。
【
図3A】6カ月間のリビトール治療後のマトリグリカンにおける発現を示す一連の免疫蛍光染色画像である。
【
図3B】異なる用量範囲にわたって、前脛骨筋(3本セットの第1の棒)、横隔膜(3本セットの第2の棒)、及び心臓(3本セットの第3の棒)筋のIIH6抗体染色(aDGグリコシル化が存在する)が陽性である線維のパーセンテージを示す。
【
図3C】異なる用量にわたるaDGのグリコシル化を示すIIH6抗体でプローブされたウェスタンブロットである。下側のパネルは、アクチン抗体でプローブされたローディングコントロールである。
【
図3D】
図3Cの定量であり、C57野生型対照マウスは、100%のaDGグリコシル化を表すために使用され、治療群値は、野生型染色のパーセンテージである。
【
図4A】6カ月間のリビトール処理後のP448L FKRP変異マウスのトレッドミル疲労走行距離試験結果を示すグラフを示す。統計的有意性を、対応のないt検定を使用して評価した。*P≦0.05
【
図4B】6カ月間のリビトール治療後のP448L FKRP変異マウスのトレッドミル疲労走行時間試験結果を示すグラフを示す。統計的有意性を、対応のないt検定を使用して評価した。*P≦0.05
【
図5A】6カ月間のリビトール治療後のP448K FKRP変異マウスにおける全身プレチスモグラフィーパラメータのピーク吸気流量を示すグラフを示す。統計的有意性を、対応のないt検定を使用して評価した。*P≦0.05
【
図5B】6カ月間のリビトール治療後のP448K FKRP変異マウスにおける全身プレチスモグラフィーパラメータのピーク呼気流量を示すグラフを示す。統計的有意性を、対応のないt検定を使用して評価した。*P≦0.05
【
図5C】6カ月間のリビトール治療後のP448K FKRP変異マウスにおける全身プレチスモグラフィーパラメータの最終吸気停止を示すグラフを示す。統計的有意性を、対応のないt検定を使用して評価した。*P≦0.05
【
図5D】6カ月間のリビトール治療後の、P448K FKRP変異マウスにおける全身プレチスモグラフィーパラメータの1回換気量を示すグラフを示す。統計的有意性を、対応のないt検定を使用して評価した。*P≦0.05
【
図5E】6カ月間のリビトール治療後のP448K FKRP変異マウスにおける全身プレチスモグラフィーパラメータの有効量を示すグラフを示す。統計的有意性を、対応のないt検定を使用して評価した。*P≦0.05
【
図5F】6カ月間のリビトール治療後のP448K FKRP変異マウスにおける全身プレチスモグラフィーパラメータの終末呼気停止を示すグラフを示す。統計的有意性を、対応のないt検定を使用して評価した。*P≦0.05
【
図6】6カ月間のリビトール治療後の血清クレアチンキナーゼレベルを示すグラフである。
【
図7A】リビトール又は生理食塩水のいずれかで1年間治療されたL276I FKRP変異マウスの総体重(g)を示すグラフである。
【
図7B】リビトール又は生理食塩水のいずれかで1年間治療されたL276I FKRP変異マウスの総距離(m)のトレッドミル疲労試験結果を示すグラフである。
【
図7C】リビトール又は生理食塩水のいずれかで1年間治療されたL276I FKRP変異マウスの総時間のトレッドミル疲労試験結果を示すグラフである。
【
図8】1年間のリビトール又は生理食塩水治療後のL276I FKRP変異マウスにおけるマトリカン発現を示す一連の免疫蛍光染色画像である。
【
図9】1カ月間の治療後の、リビトール治療(+)及び未治療(-)C57/BL/6Jマウスからの、心臓、横隔膜(横隔膜)、及び脛骨筋前部(TA)組織由来の可溶化液中のアルファ-ジストログリカン(αDG)、ベータ-ジストログリカン(β-DG)、及びGAPDHのタンパク質発現を示すウェスタンブロットである。
【
図10】オス及びメスのCD-1マウスに0.3又は1.0g/kgのリビトールを経口投与した後の平均血漿濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。mpk=mg/kg、h=時間
【
図11A】試験1日目のオス及びメスのバマミニブタにリビトールを300mg/kg経口投与した後の平均血漿濃度対時間を示すグラフである。
【
図11B】試験3日目のオス及びメスのバマミニブタにリビトールを1000mg/kg経口投与した後の平均血漿濃度対時間を示すグラフである。
【
図11C】試験16日目のオス及びメスのバマミニブタにリビトールを300mg/kg経口投与した後の平均血漿濃度対時間を示すグラフである。
【
図12】オス及びメスのCD-1マウスに10、30又は100mg/kgのリビトールを静脈内投与した後の平均血漿濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図13】オス及びメスのバマミニブタへのリビトールの静脈内注射後の平均血漿濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図14】L276I FKRP変異マウスにおけるリビトールの1年間の経口投与後のクレアチンキナーゼ活性測定値を示す。C57は、野生型マウス対照である。生理食塩水は、未治療のL276I FKRP変異マウスを表す。
【
図15】マトリグリカンを特異的に検出するIIH6抗体を用いた免疫組織化学(赤色膜染色)を示す。
【
図16】3カ月間の療法後の全コホートに対するグリコシル化aDGのレベルを示す。
【
図17】90日間の治療後のコホート1(6g QD)及びコホート2(6g BID)のクレアチンキナーゼの平均レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
アドニトール又は(2R,3s,4S)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントールとしても知られるリビトールは、以下の化学構造及び152.15g/molの分子量を有する。
【0042】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。用語は、一般的に使用される辞書に定義されるものなど、本出願及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書に明示的に定義されない限り、理想化された、又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが更に理解されるであろう。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。用語に矛盾がある場合、本明細書が制御される。
【0043】
本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0044】
用量(例えば、脂肪酸の量)などの測定可能な値を指す場合、本明細書で使用される用語「約」は、指定量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、又は更には±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0045】
本明細書で使用される「対象」は、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジ、又はブタ、好ましくはヒトなどの哺乳動物を含む。用語「対象」及び「患者」は、本明細書では互換的に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される患者は、ヒト成人である。いくつかの実施形態では、患者は、ヒト小児である。患者が治療される年齢は、診断の年齢に依存し得る。例えば、LGMD2iは2歳又は5歳で発症することが多いが、9歳になるまで診断されないことがある。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従って治療される患者は、2~5歳のヒト小児である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従って治療される患者は、5~12歳のヒト小児である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従って治療される患者は、12~18歳のヒト小児である。
【0046】
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」又は「治療」はまた、疾患又は障害を有する対象に利益を付与する任意のタイプの作用又は投与を指し、これには、患者の状態の改善(例えば、1つ以上の症状の減少又は改善)、治癒などが含まれる。
【0047】
用語「有効量」は、所望の生化学的又は生理学的効果を有するのに十分な薬剤(例えば、リビトール)の量を指す。用語「治療有効量」は、治療される状態、疾患、又は障害を改善するのに十分であり、及び/又は所望の利益又は目的(例えば、クレアチンキナーゼレベルの減少、アルファ-ジストログリカン(αDG)レベルの増加、運動制御の増加、及び/又は疲労の減少)を達成した薬剤(例えば、リビトール)の量を指す。当業者は、いくつかの利益が対象に提供される限り、治療効果が完全又は治癒的である必要はないことを認識するであろう。αDG又はグリコシル化αDGに関する場合の用語「量」は、一次抗体の検出に使用される二次抗体に対応する波長から得られたシグナルの検出によって定量されたタンパク質の定量を指す。
【0048】
用語「強化」、「強化する(enhance)」、「強化する(enhances)」、又は「強化すること」は、指定されたパラメータの増加(例えば、少なくとも約1.1倍、1.25倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、12倍、又は更に15倍以上の増加)、及び/又は指定された活性の少なくとも約5%、10%、25%、35%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の増加を指す。
【0049】
用語「阻害する」、「減少する」、「低減する」、又は「抑制する」は、指定されたパラメータの減少(例えば、少なくとも約1.1倍、1.25倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、12倍、又は更に15倍以上の増加)、及び/又は指定された活性の少なくとも約5%、10%、25%、35%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の減少若しくは低減を指す。これらの用語は、参照又は対照に関連することが意図されている。
【0050】
上記の用語は、参照又は対照に関するものである。例えば、対象にリビトール、CDP-リビトール、リボース、及び/又はリブロースを投与することによって対象におけるαDGのグリコシル化を強化する方法において、強化は、リビトール、CDP-リビトール、リボース、及び/又はリブロースの投与の非存在下での対象(例えば、対照対象)におけるグリコシル化の量に関するものである。
【0051】
用語「予防する」、「予防すること」、又は「予防」(及び文法的な変化)は、本明細書に開示される方法の非存在下で起こるであろうものに対する、対象における疾患、障害、及び/若しくは臨床症状の発症及び/若しくは進行の予防及び/若しくは遅延、並びに/又は疾患、障害、及び/若しくは臨床症状の発症及び/若しくは進行の重症度の減少を指す。予防は、例えば、疾患、障害、及び/又は臨床症状の完全に不在など、完全であり得る。予防はまた、対象における疾患、障害及び/又は臨床症状の発生、及び/又は発症の重症度及び/又は進行が、リビトールの投与の非存在下で起こるものよりも低いように、部分的であり得る。
【0052】
本明細書で使用される「予防有効」量は、対象の疾患、障害、及び/又は臨床症状を予防する(本明細書で定義される)のに十分な量である。当業者は、いくつかの利益が対象に提供される限り、予防のレベルは完了される必要はないことを認識するであろう。
【0053】
本明細書に記載の活性化合物は、公知の技術に従って、薬学的担体における投与のために製剤化されてもよい。例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy(21st Ed.2005)を参照されたい。薬学的製剤の製造では、活性化合物は、典型的には、特に、許容可能な担体と混合される。担体は、当然のことながら、製剤中の任意の他の成分と適合性があり、対象に対して有害でないという意味で許容可能でなければならない。担体は、固体若しくは液体、又は両方であってもよく、好ましくは、単位用量製剤として化合物とともに製剤化され、例えば、活性化合物が0.01重量%又は0.5重量%~95重量%又は99重量%を含有し得る錠剤である。1つ以上の活性化合物は、本明細書に開示される製剤に組み込まれてもよく、これは、任意選択的に1つ以上の副成分を含む、構成要素を混合することを含む、薬局の周知の技術のいずれかによって調製されてもよい。
【0054】
更に本開示による組成物の糖、担体、賦形剤又は希釈剤などの「薬学的に許容できる」構成要素は、(i)組成物を本来の目的に適さない状態にすることなく、本開示の組成物と組み合わせることができるという点で、組成物の他の成分と適合性があり、かつ(ii)過度の有害な副作用(毒性、刺激、及びアレルギー反応など)なく、本明細書に提供されるように対象者への使用に適している構成要素である。副作用は、そのリスクが組成物によってもたらされる利益を上回る場合、「不当」である。薬学的に許容できる構成要素の非限定的な例としては、生理食塩水、水、油/水エマルションなどのエマルション、マイクロエマルション、及び様々なタイプの湿潤剤などの標準的な薬学的担体のいずれかが挙げられる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「即時放出用量」とは、経口投与のための活性成分(例えば、リビトール)若しくは粉末、又は錠剤、カプセル、若しくは制御放出賦形剤(例えば、ポリマー若しくはマイクロカプセル)を含まない他の固体製剤を含む溶液若しくは懸濁液などの、即時の生物学的利用能のために製剤化された組成物を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「制御放出用量」又は「持続放出用量」は、所望の速度として活性成分(例えば、リビトール)を放出するために製剤化された組成物を指す。例示的制御放出用量は、有効量のリビトール及び/又はリボースを負荷した架橋ポリマーマトリックスなど、ポリマー系制御放出システム、マイクロカプセル系制御放出システム、浸透圧制御放出経口送達システム(OROS)、又はそれらの任意の組み合わせとして製剤化された活性成分を含み得る。制御放出用量は、望ましい速度でポリマーから、及び/又はポリマー内からリビトールを放出し得る。
【0057】
また本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、関連する列挙事項のうちの1つ以上を考え得る形で組み合わせたものの全てと、代替(又は)で解釈される場合には、組み合わせたものが含まれないことを指し、かつこれらを包含する。
【0058】
文脈上、別段に解される場合を除き、本明細書に記載されている様々な特徴は、いずれかに組み合わせて用いることができるように明確に意図されている。更に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいずれかの特徴又は特徴を組み合わせたものを除外又は省略できることも本開示は想定している。例示するために、複合体が、成分AとBとCを含むことが本明細書に示されている場合、A、B又はCのいずれかを、又はいずれかに組み合わせた状態で省略及び排除できるように明確に意図されている。
【0059】
本明細書で使用される場合、その例、例示的、例示的(illustrative)、及び文法的な変形は、本明細書に記述された非限定的な実施例及び/又はバリアントの実施形態を指すことを意図しており、1つ以上の他の実施形態と比較して本明細書に記述された1つ以上の実施形態の優先性を示すことを意図していないことも理解されるであろう。
【0060】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参考文献が提示される文章及び/又は段落に関連する教示について、その全体が参照により組み込まれる。
【0061】
文脈上、別段に解される場合を除き、本明細書に記載されている様々な特徴は、いずれかに組み合わせて用いることができるように明確に意図されている。
【0062】
更に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいずれかの特徴又は特徴を組み合わせたものを除外又は省略できることも本開示は想定している。
【0063】
本開示の実施形態は、リビトールがジストログリカン異常症に関連する遺伝子に欠陥を有する細胞及びFKRP変異を有する細胞においてアルファ-ジストログリカン(αDG)の機能的グリコシル化を回復及び/又は強化できるという予想外の発見に基づく。したがって、一態様では、本開示は、ジストログリカン関連遺伝子に欠損を有し、かつ機能的グリコシル化の回復及び/又は強化を必要とする対象において、それを回復及び/又は強化する方法を提供し、有効量のリビトールを対象に投与し、それによって対象における機能的グリコシル化を回復及び/又は強化することを含む。
【0064】
本開示はまた、対象におけるリビトール及び/又はCDP-リビトールのレベルにおける欠陥又は異常を治療する方法を提供し、有効量のリビトールを対象に投与し、それによって対象におけるリビトール及び/又はCDP-リビトールのレベルを変更することを含む。いくつかの実施形態では、有効量のリビトールの投与は、対象における筋ジストロフィー(例えば、LGMD2i)を治療する。
【0065】
更に、本開示は、対象におけるフクチン関連タンパク質(FKRP)遺伝子の変異に関連する(例えば、引き起こす、又は起因する)障害を治療する方法を提供し、有効量のリビトールを対象に投与し、それによって、対象におけるフクチン関連タンパク質(FKRP)遺伝子の変異に関連するフクチン関連タンパク質(FKRP)遺伝子障害の変異に関連する障害を治療することを含む。いくつかの実施形態では、FKRP遺伝子内の変異に関連する障害は、LGMD2iである。
【0066】
更に、本開示は、変異FKRP遺伝子の担体であり、かつ/又はジストログリカン関連遺伝子の変異を有し、かつ/又はαDGのグリコシル化の欠損を有する対象における筋力低下を治療する方法を提供し、有効量のリビトールを対象に投与し、それによって筋力低下を治療することを含む。筋力低下としては、対象における骨格筋、心筋、及び/又は呼吸筋の任意の組み合わせの筋力低下を挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0067】
いくつかの実施形態では、筋力低下に関連する障害は、欠損の根底にある原因を明確に理解していない状況を含む、αDGのグリコシル化の欠損と関連し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示は、筋ジストロフィー疾患を治療する方法であって、当該筋ジストロフィー疾患において、当該筋ジストロフィーの回復及び/又は強化グリコシル化が有益及び/又は治療的である方法を提供する。FKRP遺伝子における変異又は機能喪失に関連する障害の非限定的な例は、肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)である。FKRPにおける特定の変異は、ウォーカー・ワーブルグ症候群(WWS)及び先天性筋ジストロフィー1C型(MDC1C)に関連する。本開示の方法はまた、リビトールの代謝に関連する任意の疾患若しくは障害、及び/又はリビトールが治療的に有効である任意の疾患若しくは障害に適用され得る。
【0069】
本開示の方法は、非筋ジストロフィー疾患を治療するために使用することができ、その場合、当該非筋ジストロフィー疾患に対して、αDGの回復及び/又は強化グリコシル化が有益及び/又は治療的であると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、αDGの異常グリコシル化と関連するか、又は異常グリコシル化によって引き起こされる他のジストロフィーを治療するために使用され得る。
【0070】
本明細書に記載される方法に従って治療され得る疾患の例としては、福山先天性筋ジストロフィー(FCMD)、筋-眼-脳(MEB)疾患、ウォーカー・ワーブルグ症候群(WWS)、LGMD 2I/LGMD R9、FKRP関連先天性筋ジストロフィー1C型(MCD1C)、肢帯型筋ジストロフィー2M型(LGMD2M)、肢帯型筋ジストロフィー2U型(LGMD2U)、及び非定型肢帯筋ジストロフィー(LGMD)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
WWS、MEB及びFCMDは、脳奇形及び筋ジストロフィーを含む一般的な臨床所見を有する(Martin,Nat Clin Pract Neurol.,2006;2(4):222-230)。
【0072】
FCMDは、福山症候群としても知られており、FCMD又はFKTN遺伝子の変異によって引き起こされる。この遺伝子は、推定上のグリコシルトランスフェラーゼであるフクチンをコードする。福山症候群患者は、早期発症(8カ月齢以前)全身対称性筋力低下及び筋緊張低下、運動発達の遅延、及びクレアチンキナーゼ活性の上昇を呈する。一部の患者はまた、精神遅滞及び言語遅滞、発作、並びに眼異常を患う。患者は、同じファミリーのメンバーへの変動を含む、様々な程度の臨床症状を示す。Falsaperla et al.,Ital J Pediatr.2016;42(1):78)を参照されたい。
【0073】
MEBは、先天性筋ジストロフィー、構造的眼奇形(通常、先天性であり、重度の近視、緑内障、視神経、及び網膜低形成を含む場合がある)、脳奇形、重度の先天性筋力低下、歩行不能、痙縮、運動悪化、精神遅滞を特徴とする。罹患した各器官の重症度のグレードは、かなり可変である。MEBは常染色体劣性パターンで遺伝し、1p34-p32で、グリコシルトランスフェラーゼであるPOMGnT1を分類する遺伝子の変異と関連しているが、POMGnTI、FKRP、Fukutin、ISPD、TMEM5などの異なる遺伝子を伴い得る。Falsaperla et al.,Ital J Pediatr.2016;42(1):78)を参照されたい。
【0074】
WWSは遺伝子的に不均一であり、POMT1、POMT2、及びあまり頻繁にはPOMGnT1、FKRP、フクチン、及びLARGE遺伝子が関与する。常染色体劣性の様式で遺伝する。症状及び徴候は出生時に存在し、時には出生前に検出され得る。罹患した小児の大部分は、生後1年を超えて生存しない。WWSは、全身型筋緊張低下症、重度の先天性筋ジストロフィー、脳奇形(石畳み石皮質を有する滑脳症I型、閉塞性水頭症、神経型水頭症、脳梁無形成、半球の融合、及び白質低ミエリン化を含む)、精神遅滞を伴う発達遅延を呈する。前眼奇形(白内障、浅前房、小角膜及び小眼球症、並びに水晶体欠損)及び後眼奇形(網膜剥離又は異形成、視神経及び黄斑及び結腸球腫の低形成又は萎縮)を含む眼奇形も存在してもよく、一部の患者は顔面異型並びに口唇又は口蓋裂を追加的に罹患する。患者は多くの場合、クレアチンキナーゼの上昇、及び変化したアデノシンジストログリカンを示す。Vajsat and Schachter,Orphanet J Rare Dis.,2006;1:29を参照されたい;Falsaperla et al.,Ital J Pediatr.2016;42(1):78)を参照されたい。
【0075】
MDC1Cは、CMDとの生涯の最初の数週間に現れ、クレアチンキナーゼの顕著な増加を示すが、患者は、脳撮像上の正常な知能及び正常な脳構造を呈することがある。その後(若年成人期)、MDC1Cは進行し、心臓の関与、重度の筋肉の肥大及び筋力低下、重度の呼吸不全が起こる。MDC1Cはまた、異なる遺伝子(FKRP、フクチン、ISPD、GMPPB)が関与するCMD/LGMDの臨床的特徴、例えば、脳への関与及び心筋症を伴わない早期発症の衰弱及び早期発症のLGMDを含む。Falsaperla et al.,Ital J Pediatr.2016;42(1):78)を参照されたい。
【0076】
アルファ-ジストログリカン関連ジストロフィーに属する他の種類のCMDには、部分的なメロシン欠損症(MCD1B)を有する先天性筋ジストロフィーを含み、これは、グリコシル化aDGエピトープ及び二次性ラミニンアルファ2欠損症、並びに近位肢帯の筋力低下、特にふくらはぎの筋肥大、早期呼吸不全、LARGE関連CMD(MDC1D)の可変欠損で発現し、MEB及び/又はWWSの臨床的特徴を共有し、精神遅滞、重度の全身筋力低下、クレアチンキナーゼのレベル上昇を呈する場合がある。Martin,Nat Clin Pract Neurol.,2006;2(4):222-230を参照されたい;Falsaperla et al.,Ital J Pediatr.2016;42(1):78)を参照されたい。
【0077】
遺伝子変異及び臨床症状との関係は変わりやすい。したがって、例えば、FKRPの変異は当初、脳の関与とは関連していなかったが、FKRP V405L及びA455D変異は、精神遅滞、小頭症及び小脳嚢胞を含む脳異常と関連していた。この遺伝子の他の変異は、MEB又はWWSとして存在する。対照的に、ホモ接合性L276I変異は、LGMD2Iを引き起こすが、これはMDC1Cよりも軽度である。更に、これらの障害の全てが二次的な遺伝的要因によって調節される可能性が高い。Martin,Nat Clin Pract Neurol.,2006;2(4):222-230を参照されたい。本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、疾患又は障害を治療するためのリビトールの治療上有効な血漿レベルを提供する。リビトールの血漿レベルは、定常状態血漿レベル、AUC、Cmax、及びCminなど、当業者に公知の薬物動態(PK)パラメータを使用して発現され得る。本開示全体を通して、薬物動態パラメータは、特定のPKパラメータ(例えば、定常状態血漿Cmax、定常状態AUCなど)の定常状態血漿レベルを提供することに関して記載される。しかしながら、本開示は、本明細書に表される定常状態PKパラメータが、患者集団からの平均値(平均値など)である実施形態を企図する。したがって、薬物動態パラメータの以下の記述は、個々の患者からの定常状態PKパラメータ値及び値の平均を記述する。別段の指定がない限り、本明細書に記載される全てのPKパラメータは、定常状態値として提供される。
【0078】
追加の実施形態では、本開示は、対象における筋力低下の発症を治療又は阻害する方法を提供し、対象に、有効量のリビトールを含む組成物を投与し、それによって、対象の日常活動を制限又は遅延させる筋力低下、例えば、筋力低下を治療又は阻害することを含む。
【0079】
本開示は更に、αDGのグリコシル化の欠損に関連する障害を治療する方法を提供し、αDGのグリコシル化の欠損に関連する障害を有するか、又はそれを有すると疑われる対象に、有効量のリビトールを投与することを含む。対象の遺伝子解析及び生化学的解析が原因遺伝子欠損の特定に失敗した場合であっても、対象が筋力低下を有する場合、対象は、αDGのグリコシル化における欠損を有すると疑われ得る。
【0080】
追加の実施形態では、本開示は、筋力低下に関連する障害を治療する方法を提供し、筋力低下に関連する障害を有するか、又はそれを有するか若しくは発症することが疑われる対象に、有効量のリビトールを投与することを含む。筋力低下は、類似の性別、年齢、及び他の病態の健常者が遂行する能力が期待される日常活動が、対象によって実施できないことを暗示し得る。例としては、階段を上る、走る、又は長期間物体を保持する能力の喪失又は欠如が挙げられる。
【0081】
FKRP遺伝子の変異によって引き起こされる、αDGのグリコシル化の欠損に関連する障害を治療する方法が更に本明細書に提供され、FKRP遺伝子に変異を有するか、又はそれを有すると疑われる対象に有効量のリビトールを投与することを含む。FKRP遺伝子中の変異は、例えば、対象の核酸の遺伝子分析によって特定することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための活性化合物又は薬剤は、リビトールであり得る。
【0083】
更なる実施形態では、本開示の方法は、リビトールの代わりに、リビトール誘導体又は類似体を投与することを含む。リビトール誘導体は、例えば、トリアセチル化リビトール、ペルアセチル化リビトール、リボース、ホスホリル化リビトール(例えば、リボース-5-P)、リビトールのヌクレオチド形態(シトシン又は他の塩基を有するヌクレオチド-アルジトールを1、2、又は3個のリン酸基を有する核酸塩基とし、及びCDP-リビトール又はCDP-リビトール-OAc2などのリビトールをアルジトール部分として)、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0084】
本開示の更なる態様は、本明細書に開示される方法を実施するための薬剤の調製におけるリビトールの使用を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、リビトールの投与としては、髄腔内注射、皮下、皮膚、静脈内、腹腔内、筋肉内注射、動脈内、腫瘍内、又は任意の組織内注射、経鼻、経口、舌下、又は吸入が挙げられるが、これらに限定されない任意の適切な経路によってであり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、リビトールは、固体薬学的組成物、例えば、錠剤、カプセル、又は粉末として提供される。薬学的組成物は、凍結乾燥され得る。あるいは、リビトールは、液体薬学的組成物としての溶液中での再構成のために固体(例えば、粉末)として提供され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、封入又は圧縮リビトール組成物は、適切なフィルムコート、耐食性外層組成物、粘着性外層組成物、又はそれらの任意の組み合わせで被覆され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、耐食性外層組成物は、セルロースポリマー(例えば、HPMC、EC)、ビニルピロリドン系ポリマー(例えば、PVP、)、ポリエチレン系ポリマー(例えば、PEO、PEG)、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、耐食性外層組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)、エチルセルロース、ポリ(エチレン酸化物)(PEO)、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、粘着性外層組成物は、炭水化物ポリマーを含み得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、リビトール組成物は、溶液である。いくつかの実施形態では、リビトール組成物は、粉末である。例えば、リビトールは、サシェで供給される経口投与用の粉末であり得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、リビトール組成物としては、グルコース、ポリエチレングリコール(PEG)(いくつかの実施形態では、約200~約500の範囲の分子量を有し得る)、グリセリン、水、実質的に純粋な水、生理食塩水、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、及び/又は担体を更に含み得る。リビトールは、送達、吸収などを改善するために、任意の物質と混合又は組み合わせることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、少なくとも約0.5g/日(g/日)、少なくとも約1g/日、少なくとも約2g/日、少なくとも約3g/日、少なくとも約4g/日、少なくとも約5g/日、少なくとも約7.5g/日、少なくとも約10g/日、少なくとも約12.5g/日、少なくとも約15g/日、少なくとも約20g/日、少なくとも約25g/日、少なくとも約30g/日、少なくとも約35g/日、少なくとも約40g/日、少なくとも約45g/日、少なくとも約50g/日、少なくとも約55g/日、少なくとも約60g/日、少なくとも約70g/日、少なくとも約80g/日、少なくとも約90g/日、少なくとも約100g/日、少なくとも約110g/日、少なくとも約120g/日、少なくとも約130g/日、少なくとも約140g/日、少なくとも約150g/日、少なくとも約160g/日、少なくとも約170g/日、少なくとも約180g/日、少なくとも約190g/日、少なくとも約200g/日、少なくとも約210g/日、又はそれ以上の用量で投与される。
【0093】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、最大で約0.5g/日、最大で約1g/日、最大で約2g/日、最大で約3g/日、最大で約4g/日、最大で約5g/日、最大で約7.5g/日、最大で約10g/日、最大で約12.5g/日、最大で約15g/日、最大で約20g/日、最大で約25g/日、最大で約30g/日、最大で約35g/日、最大で約40g/日、最大で約45g/日、最大で約50g/日、最大で約55g/日、最大で約60g/日、最大で約70g/日、最大で約80g/日、最大で約90g/日、最大で約100g/日、最大で約110g/日、最大で約120g/日、最大で約130g/日、最大で約140g/日、最大で約150g/日、最大で約160g/日、最大で約170g/日、最大で約180g/日、最大で約190g/日、最大で約200g/日、最大で約210g/日、又はそれ以下の用量で投与される。
【0094】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約0.5g/日~約1g/日、約1g/日~約2g/日、約2g/日~約3g/日、約3g/日~約4g/日、約4g/日~約5g/日、約5g/日~約7.5g/日、約7.5g/日~約10g/日、約10g/日~約12.5g/日、約10g/日~約15g/日、約15g/日~約20g/日、約20g/日~約25g/日、約25g/日~約30g/日、約30g/日~約35g/日、約35g/日~約40g/日、約40g/日~約45g/日、約45g/日~約50g/日、約50g/日~約55g/日、約55g/日~約60g/日、約60g/日~約65g/日、約65g/日~約70g/日、約70g/日~約75g/日、約75g/日~約80g/日、約80g/日~約85g/日、約85g/日~約90g/日、約90g/日~約95g/日、約95g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0095】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約0.5g/日~約2g/日、約2g/日~約4g/日、約4g/日~約7.5g/日、7.5g/日~12.5g/日、10g/日~15g/日、12g/日~22g/日、15g/日~25g/日、20g/日~30g/日、25g/日~35g/日、30g/日~40g/日、35g/日~45g/日、40g/日~50g/日、45g/日~55g/日、50g/日~60g/日、55g/日~65g/日、60g/日~70g/日、65g/日~75g/日、70g/日~80g/日、75g/日~85g/日、80g/日~約90g/日、約85g/日~約95g/日、約90g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0096】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約0.5g/日~約4g/日、約4g/日~約12.5g/日、約10g/日~約15g/日、約12.5g/日~約17.5g/日、約15g/日~約20g/日、約17.5g/日~約22.5g/日、約20g/日~約25g/日、約22.5g/日~約27.5g/日、約25g/日~約30g/日、約27.5g/日~約32.5g/日、又は約30g/日~約35g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0097】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約0.5g/日、約1g/日、約1.5g/日、約2g/日、約3g/日、約4g/日、約5g/日、約6g/日、約7.5g/日、約10g/日、約12g/日、約12.5g/日、又は約15g/日の用量で投与される。
【0098】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約0.5g/日~約1g/日、約0.5g/日~約1.5g/日、約0.5g/日~約2g/日、約0.5g/日~約3g/日、約0.5g/日~約4g/日、約0.5g/日~約5g/日、約0.5g/日~約6g/日、約0.5g/日~約7.5g/日、約0.5g/日~約10g/日、約0.5g/日~約12g/日、約0.5g/日~約12.5g/日、約0.5g/日~約15g/日、約0.5g/日~約20g/日、約0.5g/日~約25g/日、約0.5g/日~約30g/日、約0.5g/日~約40g/日、約0.5g/日~約50g/日、約0.5g/日~約60g/日、約0.5g/日~約70g/日、約0.5g/日~約80g/日、約0.5g/日~約90g/日、又は約0.5g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0099】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約1g/日~約1.5g/日、約1g/日~約2g/日、約1g/日~約3g/日、約1g/日~約4g/日、約1g/日~約5g/日、約1g/日~約6g/日、約1g/日~約7.5g/日、約1g/日~約10g/日、約1g/日~約12g/日、約1g/日~約12.5g/日、約1g/日~約15g/日、約1g/日~約20g/日、約1g/日~約25g/日、約1g/日~約30g/日、約1g/日~約40g/日、約1g/日~約50g/日、約1g/日~約60g/日、約1g/日~約70g/日、約1g/日~約80g/日、約1g/日~約90g/日、又は約1g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0100】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約2g/日~約3g/日、約2g/日~約4g/日、約2g/日~約5g/日、約2g/日~約6g/日、約2g/日~約7.5g/日、約2g/日~約10g/日、約2g/日~約12g/日、約2g/日~約12.5g/日、約2g/日~約15g/日、約2g/日~約20g/日、約2g/日~約25g/日、約2g/日~約30g/日、約2g/日~約35g/日、約2g/日~約40g/日、約2g/日~約50g/日、約2g/日~約60g/日、約2g/日~約70g/日、約2g/日~約80g/日、約2g/日~約90g/日、又は約2g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0101】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約3g/日~約4g/日、約3g/日~約5g/日、約3g/日~約6g/日、約3g/日~約7.5g/日、約3g/日~約10g/日、約3g/日~約12g/日、約3g/日~約12.5g/日、約3g/日~約15g/日、約3g/日~約20g/日、約3g/日~約25g/日、約3g/日~約30g/日、約3g/日~約35g/日、約3g/日~約40g/日、約3g/日~約50g/日、約3g/日~約60g/日、約3g/日~約70g/日、約3g/日~約80g/日、約3g/日~約90g/日、又は約3g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0102】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約4g/日~約5g/日、約4g/日~約6g/日、約4g/日~約7.5g/日、約4g/日~約10g/日、約4g/日~約12g/日、約4g/日~約12.5g/日、約4g/日~約15g/日、約4g/日~約20g/日、約4g/日~約25g/日、約4g/日~約30g/日、約4g/日~約35g/日、約4g/日~約40g/日、約4g/日~約50約g/日、約4g/日~約60g/日、約4g/日~約70g/日、約4g/日~約80g/日、約4g/日~約90g/日、又は約4g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0103】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約5g/日~約6g/日、約5g/日~約7.5g/日、約5g/日~約10g/日、約5g/日~約12g/日、約5g/日~約12.5g/日、約5g/日~約15g/日、約5g/日~約20g/日、約5g/日~約30g/日、約5g/日~約40g/日、約5g/日~約50g/日、約5g/日~約60g/日、約5g/日~約70g/日、約5g/日~約80g/日、約5g/日~約90g/日、又は約5g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0104】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約7.5g/日~約10g/日、約7.5g/日~約12g/日、約7.5g/日~約12.5g/日、約7.5g/日~約15g/日、約7.5g/日~約20g/日、約7.5g/日~約30g/日、約7.5g/日~約40g/日、約7.5g/日~約50g/日、約7.5g/日~約60g/日、約7.5g/日~約70g/日、約7.5g/日~約80g/日、約7.5g/日~約90g/日、又は約7.5g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0105】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約10g/日~約12g/日、約10g/日~約12.5g/日、約10g/日~約15g/日、約10g/日~約20g/日、約10g/日~約25g/日、約10g/日~約30g/日、約10g/日~約40g/日、約10g/日~約50g/日、約10g/日~約60g/日、約10g/日~約70g/日、約10g/日~約80g/日、約10g/日~約90g/日、又は約10g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0106】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約12.5g/日~約15g/日、約12.5g/日~約20g/日、約12.5g/日~約25g/日、約12.5g/日~約30g/日、約12.5g/日~約35g/日、約12.5g/日~約40g/日、約12.5g/日~約50g/日、約12.5g/日~約60g/日、約12.5g/日~約70g/日、約12.5g/日~約80g/日、約12.5g/日~約90g/日、又は約12.5g/日~約100g/日、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。
【0107】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約3g~約12g、1日2回(BID)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、少なくとも約3g BIDの用量で投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、約12g BIDの用量で投与される。
【0108】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、少なくとも1日1回、少なくとも1日2回、少なくとも1日3回、少なくとも1日4回、少なくとも1日5回、又は少なくとも1日6回投与される。好ましい実施形態では、治療有効量のリビトールは、1日2回(「BID」)投与される。いくつかの実施形態では、有効量のリビトールは、約12時間ごと(「Q12時間」)に投与される。
【0109】
治療有効用量のリビトールは、例えば、年齢、体重、体表面積、及び/又は代謝酵素の発現レベルなど、治療される患者の特性に基づいて調整され得る。成人におけるリビトールの投与レジメンの例は、以下の表1に記載されている。12~18歳の小児におけるリビトールの投与レジメンの例を表2に記載されている。2~5歳の小児におけるリビトールの投与レジメンの例を表3に記載されている。いくつかの実施形態では、5~12歳の小児は、表2に記載される投与レジメンで治療され得る。
【0110】
理論に束縛されることを望むものではないが、表1~表3に示される投与レジメンは、患者を0~24の曲線下面積の「有効」範囲内に置くことが予期される(以下、「AUC
0-24」)。多くの場合、BID投与又はQ12時間投与が好ましいが、1日1回投与、及び更に低い頻度も可能であり、時には有利であり得る。
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
【表3-1】
【表3-2】
【0111】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、2週、17日、3週、25日、4週、5週又は6週間投与される。
【0112】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年、18カ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年又は10年間投与される。
【0113】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも6カ月など、リビトールの用量を慢性的に投与することを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、リビトールの最大観察濃度(Cmax)は、約50μg/mL~約2500μg/mLである。
【0115】
いくつかの実施形態では、リビトールのCmaxは、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約75μg/mL、少なくとも約100μg/mL、少なくとも約150μg/mL、少なくとも約200μg/mL、少なくとも約300μg/mL、少なくとも約400μg/mL、少なくとも約500μg/mL、少なくとも約600μg/mL、少なくとも約700μg/mL、少なくとも約800μg/mL、少なくとも約900μg/mL、少なくとも約1000μg/mL、少なくとも約1100μg/mL、少なくとも約1200μg/mL、少なくとも約1300μg/mL、少なくとも約1400μg/mL、少なくとも約1500μg/mL、少なくとも約1600μg/mL、少なくとも約1700μg/mL、少なくとも約1800μg/mL、少なくとも約1900μg/mL、少なくとも約2000μg/mL、少なくとも約2100μg/mL、少なくとも約2200μg/mL、少なくとも約2300μg/mL、少なくとも約2400μg/mL、少なくとも約2500μg/mL、又はそれ以上である。
【0116】
いくつかの実施形態では、リビトールの定常状態での血漿濃度-時間曲線(AUC0-24)下面積は、約100(μg・h)/mL~約8000(μg・h)/mLである。当業者には、リビトールの血清濃度及び血漿濃度が関連していることは明らかであり、いずかを使用して定常状態AUC0-24を生成し得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、少なくとも約100(μg・h)/mL、少なくとも約200(μg・h)/mL、少なくとも約300(μg・h)/mL、少なくとも約400(μg・h)/mL、少なくとも約500(μg・h)/mL、少なくとも約600(μg・h)/mL、少なくとも約700(μg・h)/mL、少なくとも約800(μg・h)/mL、少なくとも約900(μg・h)/mL、少なくとも約1000(μg・h)/mL、少なくとも約1100(μg・h)/mL、少なくとも約1200(μg・h)/mL、少なくとも約1300(μg・h)/mL、少なくとも約1400(μg・h)/mL、少なくとも約1500(μg・h)/mL、少なくとも約1600(μg・h)/mL、少なくとも約1700(μg・h)/mL、少なくとも約1800(μg・h)/mL、少なくとも約1900(μg・h)/mL、少なくとも約2000(μg・h)/mL、少なくとも約2100(μg・h)/mL、少なくとも約2200(μg・h)/mL、少なくとも約2300(μg・h)/mL、少なくとも約2400(μg・h)/mL、少なくとも約2500(μg・h)/mL、少なくとも約2600(μg・h)/mL、少なくとも約2700(μg・h)/mL、少なくとも約2800(μg・h)/mL、少なくとも約2900(μg・h)/mL、少なくとも約3000(μg・h)/mL、少なくとも約3500(μg・h)/mL、少なくとも約4000(μg・h)/mL、少なくとも約4500(μg・h)/mL、少なくとも約5000(μg・h)/mL、少なくとも約5500(μg・h)/mL、少なくとも約6000(μg・h)/mL、少なくとも約6500(μg・h)/mL、少なくとも約7000(μg・h)/mL、少なくとも約7500(μg・h)/mL、又は少なくとも約8000(μg・h)/mLである。好ましい実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、少なくとも約182(μg・h)/mLである。
【0118】
いくつかの実施形態では、リビトールに対するAUC0-24は、約100(μg・h)/mL~約200(μg・h)/mL、約200(μg・h)/mL~約300(μg・h)/mL、約300(μg・h)/mL~約400(μg・h)/mL、約400(μg・h)/mL~約500(μg・h)/mL、約500(μg・h)/mL~約600(μg・h)/mL、約600(μg・h)/mL~約700(μg・h)/mL、約700(μg・h)/mL~約800(μg・h)/mL、約800(μg・h)/mL~約900(μg・h)/mL、約900(μg・h)/mL~約1000(μg・h)/mL、約1000(μg・h)/mL~約1100(μg・h)/mL、約1100(μg・h)/mL~約1200(μg・h)/mL、約1200(μg・h)/mL~約1300(μg・h)/mL、約1300(μg・h)/mL~約1400(μg・h)/mL、約1400(μg・h)/mL~約1500(μg・h)/mL、約1500(μg・h)/mL~約1600(μg・h)/mL、約1600(μg・h)/mL~約1700(μg・h)/mL、約1700(μg・h)/mL~約1800(μg・h)/mL、約1800(μg・h)/mL~約1900(μg・h)/mL、約1900(μg・h)/mL~約2000(μg・h)/mL、約2000(μg・h)/mL~約2100(μg・h)/mL、約2100(μg・h)/mL~約2200(μg・h)/mL、約2200(μg・h)/mL~約2300(μg・h)/mL、約2300(μg・h)/mL~約2400(μg・h)/mL、約2400(μg・h)/mL~約2500(μg・h)/mL、約2500(μg・h)/mL~約2600(μg・h)/mL、約2600(μg・h)/mL~約2700(μg・h)/mL、約2700(μg・h)/mL~約2800(μg・h)/mL、約2800(μg・h)/mL~約2900(μg・h)/mL、約2900(μg・h)/mL~約3000(μg・h)/mL、約3000(μg・h)/mL~約3500(μg・h)/mL、約3500(μg・h)/mL~約4000(μg・h)/mL、約4000(μg・h)/mL~約4500(μg・h)/mL、約4500(μg・h)/mL~約5000(μg・h)/mL、約5000(μg・h)/mL~約5500(μg・h)/mL、約5500(μg・h)/mL,~約6000(μg・h)/mL、約6000(μg・h)/mL~約6500(μg・h)/mL、約6500(μg・h)/mL~約7000(μg・h)/mL、約7000(μg・h)/mL~約7500(μg・h)/mL、又は約7500(μg・h)/mL~約8000(μg・h)/mLである。
【0119】
いくつかの実施形態では、リビトールの治療有効量は、約0.2g/mL~約10g/mLである。
【0120】
いくつかの実施形態では、治療有効量のリビトールは、少なくとも約0.01g/mL、少なくとも約0.05g/mL、少なくとも約0.1g/mL、少なくとも約0.2g/mL、少なくとも約0.3g/mL、少なくとも約0.4g/mL、少なくとも約0.5g/mL、少なくとも約0.6g/mL、少なくとも約0.7g/mL、少なくとも約0.8g/mL、少なくとも約0.9g/mL、少なくとも約1g/mL、少なくとも約2g/mL、少なくとも約3g/mL、少なくとも約4g/mL、少なくとも約5g/mL、少なくとも約6g/mL、少なくとも約7g/mL、少なくとも約8g/mL、少なくとも約9g/mL、又は少なくとも約10g/mLである。
【0121】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示は、約0.5g~約50gのリビトールを含み得る、リビトールの単位用量を提供する。単位用量は、固体形態(例えば、乾燥粉末サシェとして)又は溶液中で提供され得る。投与前に、単位用量を水、又は別の適切な希釈剤に希釈され得る。溶液の濃度は、約20mg/mL~約250mg/mLであり得る。場合によっては、液体溶液中の単位用量は、約25mL、約50mL、又は約75mL、又は約100mLの総体積を有し得る。
【0122】
本開示のいくつかの実施形態では、リビトールの単位用量は、少なくとも約0.5g、少なくとも約1g、少なくとも約1.5g、少なくとも約2g、少なくとも約2.5g、少なくとも約3g、少なくとも約3.5g、少なくとも約4g、少なくとも約4.5g、少なくとも約5g、少なくとも約5.5g、少なくとも約6g、少なくとも約6.5g、少なくとも約7g、少なくとも約7.5g、少なくとも約8g、少なくとも約8.5g、少なくとも約9g、少なくとも約9.5g、少なくとも約10g、少なくとも約10.5g、少なくとも約11g、少なくとも約11.5g、少なくとも約12g、少なくとも約12.5g、少なくとも約13g、少なくとも約13.5g、少なくとも約14g、少なくとも約14.5g、少なくとも約15g、少なくとも約16g、少なくとも約18g、少なくとも約20g、少なくとも約22g、少なくとも約24g、少なくとも約26g、少なくとも約28g、少なくとも約30g、少なくとも約33g、少なくとも約36g、少なくとも約39g、少なくとも約42g、少なくとも約45g、少なくとも約47.5g、又は少なくとも約50gを含む。
【0123】
一態様では、本開示は、例えば、疾患又は障害の治療における使用のための組成物を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、治療有効量のリビトールを含む組成物を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、本開示の組成物及び/又は製剤の任意の数を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、疾患又は障害の治療における使用のための説明書を含む。
【0126】
本明細書に開示される製剤には、経口、直腸、局所的、口腔(例えば、舌下)、膣、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、又は静脈内)、局所(すなわち、気道表面を含む皮膚及び粘膜表面の両方)、及び経皮投与に適したものが含まれるが、いずれの場合においても、最も適切な経路は、治療される状態の性質及び重症度、並びに使用される特定の活性化合物の性質に依存する。
【0127】
本明細書に記載される治療方法の有効性は、当該技術分野で公知の又は本明細書に記載される任意の適切な評価項目又は測定値によって評価され得る。したがって治療効果は、αDGレベル、αDGグリコシル化レベル、αDGのマトリグリカン発現レベル及びアミノ末端断片レベルの測定値、筋損傷のマーカーの測定値(例えば、クレアチンキナーゼ(CK)、アルドラーゼ、トロポニン)、筋肉の性能の測定値(例えば、歩行試験、握力)、心臓機能の測定値(例えば、心エコー検査)、気道パフォーマンスの測定値(例えば、プレチスモグラフィー)、及び/又は筋肉の変化を評価する画像ベースの方法(例えば、磁気共鳴画像法(MRI))を含むがこれらに限定されないバイオマーカーを用いて評価され得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、患者におけるクレアチンキナーゼレベルの減少をもたらし得る。クレアチンキナーゼは、骨格筋、心筋、及び脳に最大量で存在する細胞内酵素であり、より少量は他の内臓組織で発生する。筋損傷のマーカーとして一般的に使用され、クレアチンキナーゼレベルは、例えば、ホスホクレアチン及びADPのクレアチン及びATPへの変換におけるNADPH形成の速度を測定することによって、血液、血清、又は血漿中で検出され得る。クレアチンキナーゼの一単位は、1.0mmoleのリン酸をホスホクレアチンから、pH6.0で1分当たりADPに移す酵素の量として定義される。Cabaniss,in Clinical Methods:The History,Physical,and Laboratory Examinations.3rd edition.Boston:Butterworths;1990.Chapter 32を参照されたい。血液中のクレアチンキナーゼ活性を測定するアッセイキットは市販されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、治療前レベルと比較して、約10%~約20%、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%、又は約90%超のクレアチンキナーゼレベルの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、正常範囲に戻る患者におけるクレアチンキナーゼレベルをもたらし、これはメスでは約26~192U/L、オスでは39~308U/Lである。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、患者におけるαDGレベルの増加をもたらす(Crowe et al.,J Neuromuscul Dis.2016 May 27;3(2):247-260を参照)。例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット法、及び免疫組織化学法を含む、本明細書に記載される、又は当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して、患者のαDGレベルを評価され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、治療前レベルと比較して、約1.1倍~約2倍、約2倍~約3倍、約3倍~約4倍、約4倍~約5倍、約5倍~約6倍、約6倍~約7倍、約7倍~約8倍、約8倍~約9倍、約9倍~約10倍の、約10倍~約15倍の、約15倍~約20倍の、約20倍~約25倍、約25倍~約30倍、約30倍~約40倍、約40倍~約50倍、約50倍~約60倍、約60倍~約70倍、約80倍~約90倍、又は約90倍~約100倍のαDGレベルの増加をもたらす。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、αDGのグリコシル化の増加をもたらす。患者におけるαDGのグリコシル化は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット法、及び免疫組織化学法を含む、本明細書に記載される又は当技術分野で既知の任意の適切な方法を使用して評価され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、治療前レベルと比較して、約1.1倍~約2倍、約2倍~約3倍、約3倍~約4倍、約4倍~約5倍、約5倍~約6倍、約6倍~約7倍、約7倍~約8倍、約8倍~約9倍、約9倍~約10倍の、約10倍~約15倍の、約15倍~約20倍の、約20倍~約25倍、約25倍~約30倍、約30倍~約40倍、約40倍~約50倍、約50倍~約60倍、約60倍~約70倍、約80倍~約90倍、又は約90倍~約100倍のαDGのグリコシル化の増加をもたらす。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、患者におけるグリカンとクレアチンとの比の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、比率は、約0.1~約0.2、約0.2~約0.3、約0.4~約0.5、約0.5~約0.6、約0.6~約0.7、又は約0.7~約0.8で増加する。いくつかの実施形態では、比率は、約0.9の正常値に戻る。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、患者におけるマトリグリカンレベルの増加をもたらす。マトリグリカンレベルは、例えば、ウェスタンブロット法及び免疫組織化学法を含む、本明細書に記載される、又は当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、治療前レベルと比較して、約1.1倍~約2倍、約2倍~約3倍、約3倍~約4倍、約4倍~約5倍、約5倍~約6倍、約6倍~約7倍、約7倍~約8倍、約8倍~約9倍、約9倍~約10倍の、約10倍~約15倍の、約15倍~約20倍の、約20倍~約25倍、約25倍~約30倍、約30倍~約40倍、約40倍~約50倍、約50倍~約60倍、約60倍~約70倍、約80倍~約90倍、又は約90倍~約100倍のマトリグリカンレベルの増加をもたらす。
【0133】
本明細書に記載される治療方法はまた、筋肉疲労及び運動機能、日常生活動作(ADL)などの疾患症状を使用して評価され得る。
【0134】
筋肉疲労を評価するための模範的な尺度が、Berard et al.Neuromuscular Disorders 15(2005)463-470によって記載されている。計量器は、立位及び移動、軸運動機能及び近位運動機能、並びに遠位運動機能の3つの寸法で32項目を含む。
【0135】
ADLスコアは、例えば、Pettinato,et al.,The Cerebellum(2021)20:596-605を参照されたい。例示的なADLスコアは、9つのドメイン(発話、嚥下、摂食能力、着衣、座位、歩行、転倒の頻度、自己機能及び膀胱機能)を含み、各ドメインは、0(正常な機能)~4(重度の機能障害)のスケールで測定される。このような尺度では、最大総合スコアは36であり、非常に重度の機能障害を示す。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、眼又は脳の構造異常の正規化をもたらす。このような変化は、例えば、CTスキャン又はMRIを使用して評価することができる。
【0137】
経口投与に適した製剤は、カプセル、カシェ、サシェ、スティックパック、トローチ、又は錠剤などの個別の単位で提示されてもよく、粉末若しくは顆粒として、水性若しくは非水性の液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油型若しくは油中水型エマルションとして各々が所定量の活性化合物を含有する。こうした製剤は、活性化合物と適切な担体(上述したように1つ以上の副成分を含有し得る)とを関連付けさせるステップを含む、任意の適切な薬学の方法によって調製され得る。概して、本明細書に開示される製剤は、活性化合物を液体若しくは微細に分割された固体担体、又はその両方と均一かつ密接に混合し、その後、必要に応じて、得られた混合物を形成することによって調製される。例えば、錠剤は、活性化合物を含有する粉末又は顆粒を、任意選択的に1つ以上の副成分で圧縮又は成形することによって調製され得る。圧縮錠剤は、適切な機械で、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、及び/又は表面活性/分散剤と任意選択的に混合された粉末又は顆粒など、自由に流れる形態で化合物を圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、適切な機械で、不活性液体結合剤で湿らせた粉末化合物を成形することによって作製され得る。
【0138】
口腔(舌下)投与に適した製剤には、風味付き塩基、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカンス中に活性化合物を含むトローチ、並びにゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性塩基中に化合物を含むパステル剤が含まれる。
【0139】
非経口投与に適した本開示の製剤は、活性化合物の滅菌水性及び非水性注射溶液を含み、当該調製物は、意図されるレシピエントの血液と等張であることが好ましい。これらの製剤は、意図されるレシピエントの血液との製剤を等張させる抗酸化物質、緩衝剤、バクテリオスタット及び溶質を含有してもよい。水性及び非水性の滅菌懸濁液は、懸濁剤及び増粘剤を含み得る。製剤は、単位/用量又は複数回用量の容器、例えば密封されたアンプル及びバイアルに提示されてもよく、使用直前に滅菌液体担体、例えば生理食塩水又は注射用水の追加のみを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。即時の注射溶液及び懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製され得る。例えば、本開示の一態様では、密封容器内の単位剤形に、活性化合物又はその塩を含む、注射可能な、安定な、滅菌組成物が提供される。化合物又は塩は、適切な薬学的に許容できる担体で再構成されて、その対象への注射に好適な液体組成物を形成することができる凍結乾燥物の形態で提供される。単位剤形は、典型的には、約10mg~約10グラムの化合物又は塩を含む。化合物又は塩が実質的に水不溶性である場合、生理学的に許容可能な十分な量の乳化剤が、水性担体中で化合物又は塩を乳化するために十分な量で用いられてもよい。そのような有用な乳化剤の一つはホスファチジルコリンである。
【0140】
活性化合物に加えて、薬学的組成物は、pH調整添加剤などの他の添加剤を含有してもよい。特に、有用なpH調整剤は、塩酸、塩基、又は緩衝剤、例えば乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸塩ナトリウム、又はグルコン酸ナトリウムなどの酸を含む。更に、組成物は、微生物保存剤を含有してもよい。有用な微生物防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びベンジルアルコールが挙げられる。微生物防腐剤は、製剤が複数回使用のために設計されたバイアル中に置かれるとき、典型的には使用される。もちろん、示されるように、本開示の薬学的組成物は、当技術分野で周知の技術を使用して凍結乾燥されてもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法における使用のための治療薬は、リビトールとすることができる。
【0142】
更なる実施形態では、本開示の方法は、リビトールの代わりに、リビトール誘導体又は類似体を投与することを含む。リビトール誘導体は、例えば、トリアセチル化リビトール、ペルアセチル化リビトール、リボース、ホスホリル化リビトール(例えば、リボース-5-P)、リビトールのヌクレオチド形態(シトシン又は他の塩基を有するヌクレオチド-アルジトールを1、2、又は3個のリン酸基を有する核酸塩基とし、及びCDP-リビトール又はCDP-リビトール-OAc2などのリビトールをアルジトール部分として)、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、フクチン関連タンパク質(FKRP)の欠損と関連している。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、フクチン(FKTN)の欠陥と関連している。追加の実施形態では、対象は、FKRPにおいて部分的又は完全な機能喪失を引き起こす、フクチン(FKTN)、フクチン関連タンパク質(FKRP)、又はイソプレノイドシンターゼドメイン含有タンパク質(ISPD)をコードする遺伝子に変異を有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、本開示の治療剤は、例えば、軽度のふくらはぎ及び大腿部の肥大を伴う肢の筋力低下、腰の屈曲及び内転の減少、膝の屈曲及び足首の背屈の減少、進行性筋変性、線維の消耗、母趾発現の減少、筋組織における線維症及び/又は脂肪の浸潤及び蓄積、並びに歩行能力の喪失を含むがこれに限定されない、疾患の1つ以上の症状を改善及び/又は予防し得る。筋力低下は、様々な重症度の横隔膜を伴い、患者の一部で呼吸不全につながる場合がある。最も重度かつ頻繁な症状を伴って影響を及ぼす心筋は拡張型心筋症である。
【0145】
列挙された実施形態
本開示は、以下の列挙された実施形態を提供する:
条項1.疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法における使用のためのリビトールであって、有効量のリビトールを含む用量、任意選択的に即時放出用量、及び/又は非持続放出用量を投与することを含む、リビトール。
条項2.用量が、最大で1日4回投与される、条項1に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項3.用量が、最大で1日2回投与される、条項2に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項4.用量が、1日3回投与される、条項1に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項5.用量が、1日2回投与される、条項3に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項6.用量が、1日1回投与される、条項3に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項7.方法が、少なくとも0.5グラム/日(g/日)、少なくとも1g/日、少なくとも2g/日、少なくとも3g/日、少なくとも4g/日、少なくとも5g/日、少なくとも7.5g/日、少なくとも10g/日、少なくとも12.5g/日、又は少なくとも15g/日投与することを含む、条項1~5のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項8.方法が、最大で0.5g/日、最大で1g/日、最大で2g/日、最大で3g/日、最大で4g/日、最大で5g/日、最大で7.5g/日、最大で10g/日、最大で12.5g/日、又は最大で15g/日投与することを含む、条項1~6のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項9.方法が、0.5g/日、1g/日、1.5g/日、2g/日、3g/日、4g/日、5g/日、6g/日、7.5g/日、10g/日、12g/日、12.5g/日、又は15g/日投与することを含む、条項1~5のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項10.方法が、0.5g/日投与することを含む、条項8に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項11.方法が、1.5g/日投与することを含む、条項8に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項12.方法が、3g/日投与することを含む、条項8に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項13.方法が、6g/日投与することを含む、条項8に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項14.方法が、10g/日投与することを含む、条項8に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項15.方法が、12g/日投与することを含む、条項8に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項16.方法が、15g/日投与することを含む、条項8に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項17.少なくとも1週間、2週間、又は4週間、リビトールの用量を投与することを含む、条項1~16のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項18.少なくとも1カ月間、2カ月間、又は4カ月間、リビトールの用量を投与することを含む、条項1~16のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項19.慢性的にリビトールの用量を投与することを含む、条項1~16のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項20.疾患又は障害が、フクチン関連タンパク質(FKRP)の欠損と関連する、条項1~19のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項21.哺乳動物が、FKRPにおいて部分的又は完全な機能喪失を引き起こすフクチン関連タンパク質(FKRP)をコードする遺伝子に変異を有する、条項1~20のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項22.疾患又は障害が、筋ジストロフィーである、条項1~21のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項23.筋ジストロフィーが、FKRP関連アルファ-ジストログリカン異常症である、条項22に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項24.疾患又は障害が、肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)である、条項23に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項25.筋ジストロフィーが、フクチン(FKTN)関連アルファ-ジストログリカン異常症である、条項22に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項26.筋ジストロフィーが、ISPD関連アルファ-ジストログリカン異常症である、条項22に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項27.FKTN関連アルファ-ジストログリカン異常症が、福山症候群である、条項25に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項28.リビトールの最大観察濃度(Cmax)が、125~2500μg/mLである、条項1~27のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項29.リビトールの血清濃度-時間曲線(AUC0-24)下面積が、350(μg・h)/mL~8000(μg・h)/mLである、条項1~28のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項30.対象が、哺乳動物である、条項1~29のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項31.対象が、ヒトである、条項1~29のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項32.方法が、α-DGの機能的グリコシル化を回復及び/又は強化する、条項1~31のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項33.方法が、疾患又は障害を治療する、条項1~31のいずれか一項に記載の方法における使用のためのリビトール。
条項34.リビトール及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含む、薬学的組成物。
条項35.薬学的組成物が、固体、任意選択的に錠剤又はカプセルである、条項34に記載の薬学的組成物。
条項36.薬学的組成物が、溶液である、条項34に記載の薬学的組成物。
条項37.担体が、水である、条項36に記載の薬学的組成物。
条項38.担体が、実質的に純粋な水である、条項37に記載の薬学的組成物。
条項39.担体が、生理食塩水である、条項38に記載の薬学的組成物。
条項40.薬学的組成物が、0.2g/mL~10g/mLでリビトールを含む、条項34~39のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
条項41.条項34~40のいずれか一項に記載の薬学的組成物と、疾患又は障害の治療における使用のための説明書とを含む、キット。
条項42.0.5g~15gのリビトールを含む、単位用量。
【実施例】
【0146】
以下の実施例は、本明細書に記述された組成物及び方法がどのように使用、作製、及び評価され得るかの記述を当業者に提供するために提示され、本発明の単なる例示を意図されており、本発明に関するものの範囲を限定することを意図するものではない。
【0147】
実施例1:非臨床試験
リビトールは、筋肉内でCDP-リビトール(フクチン関連タンパク質[FKRP]の基質)に変換されるペントースアルコールである。高レベルのリビトールでは、FKRP酵素の遺伝的欠損を有する筋肉は、FKRPの特定の変異によって引き起こされる生化学的欠損を克服することができるように、十分な量のCDP-リビトールを産生することができ、それによって、筋肉の性能を改善すると予測されるであろう、α-DGグリコシル化レベルの回復を可能にする。
【0148】
リビトールの非臨床薬理試験戦略は、マトリグリカンの発現及び筋肉の性能を増加させる仮説の信頼性を提供するように設計した。欠損したマトリグリカンの発現及び筋肉の性能は、肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)の顕著な特徴である。リビトールを、LGMD2i FKRP変異マウスの2つのモデルで試験した。重度の表現型(P448L FKRP)を示すモデルでは、リビトールは、マトリグリカン発現の増加及び筋肉の性能の改善を示した。組織学的検査では、筋線維症の減少及び再生線維の減少が示された。クレアチンキナーゼレベルは、リビトールの存在下で改善された。LGMD2iのより軽度の形態を呈する第2のマウスモデル(L276I FKRP)はまた、リビトールで治療された場合に、マトリグリカン発現の増加及びトレッドミルによる走行距離の改善が示された。
【0149】
ヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)アッセイでは、リビトールの最大阻害濃度(IC50)は、2.90ミリモル(mM)超であった。意識のあるオスのバマミニブタにおいて心血管系及び呼吸系の効果を評価し、評価した最高単回投与(2グラム/キログラム(g/kg))まで、血圧、心拍数、心電図(ECG)、又は呼吸パラメータに対するリビトール関連の効果はなかった。中枢神経系(CNS)に対するリビトールの単回投与の効果を、最大2g/kgの用量レベルでオスCD-1マウスの機能観察総合評価法(FOB)で評価した。任意の時点でも、評価したパラメータのいずれにも治療関連効果はなかった。ミニブタにおけるリビトール関連心血管系(CV)及び呼吸系の効果、並びにマウスにおけるCNS効果に対する無有害量(NOEL)を、各試験で試験された最高用量の2g/kgであると決定し、提案された臨床開始用量(60kgの患者において0.5g/日)に対して19倍及び227倍の安全域を得た。この用量は、FKRP変異マウスモデルにおいて有効リビトール用量0.5g/kgの約4倍超である。
【0150】
単回投与後のリビトールの薬物動態(PK)を、CD-1マウス及びバマミニブタで試験した。オス動物とメス動物の間にリビトールのPKに差異はなかった。
【0151】
経口投与後、リビトールは急速に吸収され、最大血漿濃度(Cmax)は2時間未満で観察された(Tmax)。経口バイオアベイラビリティは、マウスで約22.1%~30.9%、ミニブタで55.9%~70.2%であった。1日2回最大1.5g/kg/用量([BID]、3.0g/kg/日)で経口投与した後の、全身リビトール曝露(初回投与の0~24時間後の時間曲線下面積[AUC024]及びCmax)における明白な性別差はなかった。リビトールの曝露は、マウスにおいて0.5~1.5g/kg/用量BID(1.0~3.0/kg/日)及びミニブタにおいて0.1~1g/kg/用量BID(それぞれ、0.2~2g/kg/日)の反復投与後に、用量に比例して増加した。28日間の反復経口投与後、任意の用量レベルでリビトールの明らかな薬剤蓄積は観察されなかった。
【0152】
マウスにおける静脈内(IV)投与後、リビトールの曝露は、10~30mg/kg/日で用量に比例して増加したが、30~100mg/kg/日では用量に比例しては増加しなかった。ミニブタでは、リビトールの曝露は、10~100mg/kg/日で用量に比例して増加した。リビトールの全身クリアランスは、マウス及びミニブタの両方で中等度であった。定常状態(Vss)での分布容積は、マウス(1.49~6.74L/kg)で大きかったが、ミニブタ(0.417~0.603L/kg)では中等度であった。
【0153】
Caco-2細胞におけるインビトロの浸透性試験では、リビトールは浸透性が低く、P-糖タンパク質(P-gp)基質ではないことが示唆されている。リビトールは、0.49及び1.31mMの濃度で低血漿タンパク質結合を有した。ヒト血漿へのリビトールの結合(34.6%~36.5%)は、CD-1マウス、Sprague-Dawleyラット、及びゲチンゲンミニブタ(38.6%~44.6%)のものよりもわずかに低かった。
【0154】
リビトールは、CD-1マウス、Sprague-Dawleyラット、ゲチンゲンミニブタ、又はヒトの肝臓ミクロソーム、サイトゾル、及び肝細胞中で最大2時間インキュベートしたときに安定しており、肝臓代謝がリビトールのクリアランスに関与する可能性は低いことを示唆している。動物におけるリビトールの腎排泄試験は計画されており、第I相単回投与用量漸増(SAD)試験及び反復投与用量漸増(MAD)試験において健康なボランティアでも評価される。
【0155】
経口リビトールは、評価した最高用量であるマウスにおける最大1.5g/用量BID(3g/kg/日)のCD-1、及びバマミニピグにおける最大1g/kg/用量BID(2g/kg/日)を投与した最大耐量(MTD)/7日用量範囲発見(DRF)非臨床試験の基準(GLP)試験及び28日間反復投与GLP毒性試験において、忍容性良好であった。治療に関連した死亡率又は臨床病理の変化はなかった。これらのデータは、正常マウスにおいて、10g/kg/日のリビトールの単回経口投与後に血清グルコースレベルに変化がないこと、及び7週間~1年間毎週最大(10g/kg)のリビトールを経口投与したFKRP P448Lマウスにおいて血清トリグリセリドレベルの増加がないことを示した薬理試験と一致する。唯一の治療関連観察は、7日間のMTD試験において、両種において最高用量レベルの軟便又は軽度な軟便であった。マウスのみを対象とした28日間の試験では、軟便又は異常便は、低用量及び中等度用量での低発現率でのみ観察され、治療中止なしに2~8日以内に回復した。マウスでは最大1.5g/kg/用量BID(3g/kg/日)、ミニブタでは1g/kg/用量BID(2g/kg/日)の用量での、消化管(GI)における血清電解質又は肉眼的観察の相関的変化。主要試験及び回復動物には顕微鏡所見はなかった。
【0156】
0.5、1.5、及び3g/日の提案されたヒトの初期用量は、マウス及びミニブタの研究からそれぞれ決定されたヒト等価用量(HED)よりも約29~227倍低い(60kgのヒト体重を想定し、体表面積を考慮に入れる、表4)。更に、提案されたヒト用量は、予測されるヒト治療用量よりも低いものとなる。28日間の経口反復投与毒性試験で観察された最小の無毒性量(NOAEL)曝露まで、及びそれ以上の投与は、利用可能なヒト安全性データに依存する。正常マウス及びミニブタにおける毒性試験から得られた利用可能なデータは、試験された最高用量であるマウスでは最大1.5g/kg/用量BID(3g/kg/日)、及びミニブタでは1g/kg/用量BID(2g/kg/日)の用量での好ましい安全性プロファイルを示し、提案された臨床試験を支持している。
【0157】
重度のP448L FKRP変異からなるLGMD2iのマウスモデルにおける更なる前臨床概念実証研究は、以下の実施例2に要約されるように、提案された臨床治療戦略の裏付けとなった。
【0158】
概念実証試験では、外因性リビトールの経口投与又は静脈内投与が、未治療マウスと比較して、分子的、細胞的、及び機能的表現型を回復したことを確認した。治療されたマウスは、心臓及び下肢筋において、未治療マウスと比較して、最大4倍のレベルのリビトール、リビトール-5-リン酸、及びシチジン5-ジリン酸-リビトール(CDP-リビトール)を示した。グリコシル化レベルは、骨格筋において検出不可能なレベルから最大26%まで上昇し、中心核線維(横隔膜)及び線維症(心臓)などの疾患特異的病理が減少した。トレッドミルの可動性試験及び呼吸機能において機能改善が実証された。
【表4】
【0159】
実施例2:非臨床薬理、薬物動態、及び毒性学
一次薬理学
リビトール非臨床薬理プログラムは、インビボ薬理試験及び安全性薬理試験から構成される。
【0160】
FKRPは最近、筋肉の完全性の重要なステップである、α-DG上のラミニン結合ビグリカン(マトリグリカン)の伸張のための基質としてシチジン5’ジホスフェート(CDP)-リビトールを利用する、リビトール-5-ホスフェートトランスフェラーゼとして特定された。以前の研究では、リビトール投与は、細胞におけるCDP-リビトールレベルの増加をもたらす可能性があることが示唆された。また、変異型FKRPは、先天性筋ジストロフィー(CMD)に関連するP448L変異があっても、導入遺伝子としての変異型FKRPを用いたアデノ関連ウイルス媒介遺伝子療法によって実証されるように、マトリグリカンを産生するのに十分な機能を保持し得ることも実証されている(Tucker et al.2018)。リビトールによる補充は、CDP-リビトールレベル、FKRP基質を増加させ、これは次にFKRP機能の効率を増強し、それにより変異型FKRP機能の減少及びマトリグリカンの発現の回復を補償する。これらのFKRP変異の正確な生化学的機序は、現在知られていないが、多量のリビトールがマトリグリカンの発現の増加につながるため、酵素反応のミカエリス定数(K
M)に影響を及ぼす可能性が高い。この機序は、特に疾患のインビボ前臨床モデルにおいて、主にいくつかの先行研究において確立された(Cataldi et al.2018,Gerin et al 2015、Kanagawa et al 2016)(
図1)。
【0161】
インビボ
インビボ一次薬理試験を実施して、マウスにおける筋肉のマトリグリカン発現及び筋肉性能に対するリビトールの効果を決定した。変異型FKRPの2つのマウスモデルを評価した。1つのモデルは先天性筋ジストロフィー1C型P448L FKRP変異を呈し、もう1つはより一般的で重症度の低いLGMD2i L276I FKRP変異を呈した。非疾患筋において追加のマトリグリカン発現が観察されたかを理解するために、野生型マウスでリビトールをまた評価した。
【0162】
リビトールは、P448L FKRP変異型マウスモデルで研究され、マトリグリカンの発現及び筋肉の性能における薬剤媒介性の改善を評価した。1つの研究では、変異型マウスを、強制経口投与によって10g/kgの用量で1日1回、又は2.5g/kgのリビトールの静脈内注射を1カ月間毎週治療した。組織免疫組織化学は、マトリグリカン発現がビヒクル対照と比較して、1カ月のリビトールで改善されたことを示した(
図2)。
【0163】
長期有効性試験では、FKRP P448L変異マウスに、最大1年間、強制経口投与した。マトリグリカンの発現は、2g/kg、5g/kg、及び10g/kgの1日1回で6カ月間の投与後に、免疫組織化学及びウェスタンブロット分析によって測定されるように増加した(
図3)トレッドミルの疲労は、2g/kg/日、5g/kg/日、5g/kg/用量BID(10g/kg/日)、及び3.3g/kg/用量の1日3回(TID)(9.9g/kg/日)の用量で走行距離及び走行時間の改善を示した(
図4A-4B)。横隔膜性能を、全身プレチスモグラフィー(
図5A-5F)を使用して評価した。0.5g/kg、5g/kg、10g/kg、及び5g/kg/用量BID(10g/kg/日)の呼気終末期停止に改善が見られた。クレアチンキナーゼ活性は、リビトールの用量増加とともに減少し(
図6)、組織学は筋肉における線維症の減少を示した。
【0164】
より一般的なLGMD2i FKRP L276I変異を、疾患のマウスモデルで研究した。6カ月間の投薬後に、筋肉の性能を、トレッドミル疲労試験を使用して評価し、2g/kg、5g/kg、5g/kg/用量BID(10g/kg/日)、及び3.3g/kg/用量TID(9.9g/kg/日)の1日用量で、距離の改善傾向が見られた(
図7B)。総走行時間は、これらの投薬群で増加した(
図7C)。免疫組織化学は、全ての治療群においてマトリグリカン発現の増加を示した(
図8)。
【0165】
野生型マウスにリビトールを投与し、正常マウスにおけるマトリグリカン発現を評価した。マウスを、5%のリビトールで、飲料水の自由摂取下で1カ月間治療した。筋肉試料を、投与終了時にウェスタンブロット分析によりマトリグリカンの発現を評価した(
図9)。ビヒクル治療マウスと比較して、治療群においてマトリグリカン発現の増加は観察されなかった(
図9)。
【0166】
安全性薬理学
hERGチャネルに対するリビトールの効果
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株で安定的に発現された、hERGカリウムチャネル(急速に活性化する遅延整流型心筋カリウム[IKr〕電流の代替物)を通過する電流に対するリビトールの潜在的な阻害効果を、手動パッチクランプ法を使用して評価した。最大3mMのリビトール濃度を使用して、hERG電流に対する効果を評価した。リビトールは、それぞれ、0.03mMで3.09%、0.3mMで6.43%、3mMで7.82%のhERG電流を阻害した。したがって、決定的なhERGアッセイのために選択された濃度は、0.1、0.3、1、及び3mMであり、検出された灌流後溶液の濃度はそれぞれ、0.101、0.293、0.999、及び2.90mMであった。リビトールの阻害効果に対するIC50は、2.90mM超であった。CV及び呼吸効果は、意識のあるオスのバマミニブタで評価され、評価した最高用量(2.0g/kg)まで、血圧、心拍数、ECG、又は呼吸パラメータに対するリビトール関連効果はなかった。
【0167】
意識のあるテレメーター付きミニブタにおける心血管パラメータ及び呼吸パラメータに対するリビトールの効果
ミニブタは、1、12、17、及び25日目に、それぞれ0(ビヒクル、精製水)、0.3、1.0、又は2.0g/kgのリビトールをラテン方格法で受けた。動物は、臨床徴候及び死亡率について毎日観察された。体重は、ベースライン及び各投与日に測定された。各投与機会において、ECG波形、心拍数、及び血圧データを、少なくとも投与前2時間(ベースライン値を確立するため)から投与後約24時間まで記録した。各投与前(少なくとも30分間隔)、及び投与後0.5、2、4、8、12、及び24時間で、全てのミニブタから少なくとも30秒の持続時間のECGトレースを2回取得した。
【0168】
最大2.0g/kgの全ての用量レベルで、血圧、心拍数、ECG、又は呼吸パラメータにリビトールに関連した変化はなかった。したがって、NOELは、2.0g/kgであり、FKRP変異型マウスモデルにおける0.5g/kgリビトールの有効用量のおよそ4倍超であると決定された。
【0169】
機能観察総合評価法(FOB)に対するリビトールの効果
このGLP研究では、リビトールのCNSに対する潜在的効果を、FOBを利用したCD-1マウスで評価した。オスのマウスを8匹の4群に無作為に割り当て、0(ビヒクル、精製水)、0.5、1.0、又は2.0g/kgのリビトールの単回経口投与を行った。FOB試験は、投与前、及び投与後0.5、1、2、4、及び24時間で実施された。時点は、約1時間でマウスのリビトールのTmaxに基づいて選択された。任意の時点でも、評価したパラメータのいずれにも治療関連効果はなかった。したがって、NOELは、試験された最高用量である2.0g/kgリビトールであると決定された。この用量は、FKRP変異マウスモデルにおける0.5g/kgリビトールの有効用量の約4倍超である。
【0170】
非臨床薬物動態
吸収
インビトロ浸透性試験
Caco-2細胞におけるリビトールの吸収を、300μg/mLの濃度で評価した。頂端(A)から基底(B)及びBからA輸送の見かけの浸透率は、それぞれ<0.4及び<0.1cm/秒であった。このデータは、リビトールが透過性が低く、P-糖タンパク質(P-gp)基質ではないことを示唆している。
【0171】
単回投与
CD-1マウス及びバマミニブタにおける単回経口投与
0.3g/kg及び1.0g/kgの2回の経口投与後に、オス及びメスのCD-1マウスにおいてリビトールのPKを試験した(
図10)。血液試料を、投与後最大24時間連続的に採取した。平均血漿濃度-時間プロファイルを
図10に示す。薬物動態パラメータを表5に要約する。
【0172】
リビトールのPKを、0.3g/kg(1日目)(
図11A)、1.0g/kg(3日目)(
図11B)及び0.3g/kg TID(16日目)(
図11C)で48時間のウォッシュアウト期間で、同じ動物を使用して、漸増PO用量レベルの後に、オス3匹及びメスのバマミニブタ3匹で試験した。1日目及び3日目に、血液試料を、全動物から投与後0、0.5、1、2、4、8、12、及び24時間で採取した。16日目に、血液試料を、投与後0、0.5、1、2、4、6(2回目の投与前)、6.5、7、8、10、12(3回目の投与前)、12.5、13、14、16、及び24時間で全ての動物から採取した。平均血漿濃度-時間プロファイルを
図11A-11Cに示す。PKパラメータを表5に要約する。
【0173】
両方の種で、リビトールは、2時間未満でT
maxに到達するまで急速に吸収された。リビトールのピーク曝露及び全身曝露(C
max及びAUC
024)に明らかな性別差はなかった。両方の種で、曝露は0.3g/kg~1.0g/kgで比例的に増加した。経口バイオアベイラビリティは、マウスで約22.1%~30.9%、ミニブタで55.9%~70.2%であった。
【表5】
【0174】
CD-1マウスにおける1日1回、2回、又は3回の経口投与後のPK比較
リビトールのPKは、0.3mg/kg/用量の1日1回(QD)、BID又はTID投与レジメンの後、その後の投与間で6時間にわたって評価された。各レジメンを、オス3匹及びメスのCD-1マウス3匹で試験した。最終投与後のリビトールのPKを、これら3つのレジメン間で比較した。リビトールのQD及びBIDを投与されたマウスの第1及び第2のサブセットは、QD投与の0.5、1、2、4、及び6時間後に採血され、BID投与の2回目の投与では、それぞれ、リビトールのTIDを投与されたマウスの第3のサブセットは、3回目の投与の0.5、1、2、4、及び12時間後に採血された。平均PKパラメータを表6に要約した。
【0175】
QD、BID、及びTID投与後のリビトールの最終投与のPKパラメータは、投与レジメン間で同等であり、性別間で差異はなかった。0.3g/kgの単回投与と0.3g/kgのTID(0.9g/kg/日)を比較すると、リビトールのAUC
0∞は、用量に比例して増加したが、C
maxは、薬剤蓄積がないことを示唆する同じままであった。
【表6】
【0176】
CD-1マウス及びバマミニブタにおける反復投与
CD-1マウスにおける反復投与
7日間のCD-1マウス反復投与経口トキシコキネティクス
トキシコキネティクスは、CD-1マウスにおける7日間の経口反復投与用量範囲発見試験の一部として評価された。簡潔に述べると、CD-1マウスに、0、0.5、1.0、又は1.5g/kg/用量BID(0、1.0、2.0、又は3.0g/kg/日、5~7時間空けて)リビトールを強制経口投与した。1日目及び7日目に、0時間(初回投与前)、初回投与の0.5、2、4、6時間後(2回目の投与前)、6.5、8、10、12、及び24時間後で、治療群から血漿トキシコキネティクス(TK)用の血液を採取した。ビヒクル対照群では、1日目及び7日目に、初回投与の0.5及び6.5時間後に血漿TK用の血液を採取した。
【0177】
血漿TKパラメータを表7に示す。1日目及び7日目の初回投与の6.5時間後に、最大リビトール血漿濃度が観察された(0.5g/kgのBIDを1日目に受けたメスでは0.5時間を除く)。ピーク濃度及び全身曝露(C
max及びAUC
024)に明らかな性別差はなかった。用量が0.5~1.5g/kg/用量BID(1.0~3.0g/kg/日)に増加したため、リビトール曝露(C
max及びAUC
024)は、1日目及び7日目にオス及びメスで比例的に用量を増加させた。リビトール曝露は、1日目及び7日目に類似しており、任意の用量レベルでも明らかな薬物蓄積は示さなかった。
【表7】
【0178】
28日間のCD-1マウス反復投与経口トキシコキネティクス
リビトールのトキシコキネティクスを、オス及びメスのCD-1マウスにおける28日間の毒性試験の一部として評価した。動物は、0[ビヒクル、精製水〕、0.5、1.0、又は1.5g/kg/用量BID(1.0、2.0、又は3.0g/kg/日)の用量レベルで、1又は28日間、強制経口投与を介してリビトールを投与された。トキシコキネティクス動物は、対照群で12匹/性別、治療群で48匹/性別/群であった。1日目及び28日目に、初回投与前、0.5、2、4、8(2回目の投与前)、8.5、10、及び24時間で血液を採取した。
【0179】
オスマウス及びメスマウスに、28日間、0.5、1.0、又は1.5g/kg/用量BID(1.0,2.0、又は3.0g/kg/日)でのリビトールのBID経口投与後のリビトールのC
max、T
max、及びAUC
024h値を、表8に提示する。
【表8】
【0180】
オス及びメスのCD-1マウスにリビトールを単回(1日目)又は反復(28日目)経口投与した後、リビトールのTmaxは、1回目投与0.5時間後及び2回目投与0.5時間後で観察された。任意の用量レベルにおいても、リビトールに対する全身曝露(Cmax及びAUC0-24)に明らかな性差は観察されなかった。用量が0.5~1.5g/kg/用量BID(1.0~3.0g/kg/日)に増加したため、ピーク濃度及び全身曝露(Cmax及びAUC0-24)は、1日目及び28日目にオス及びメスで用量比例的に増加した。28日間の反復経口投与後、任意の用量レベルでリビトールの明らかな薬剤蓄積は観察されなかった。
【0181】
リビトールは忍容性良好であり、0.5、1.0、又は1.5g/kg/用量BID(1.0、2.0、又は3.0g/kg/日)の用量でリビトールを1日2回経口投与した後、いずれの死亡も生じなかった。試験の条件下で、NOAELは、1.5g/kg/用量BID(3.0g/kg/日)であり、28日目のAUC0-24及びCmaxは、オスでは1340h*μg/mL及び377μg/mLであり、メスではそれぞれ839h*μg/mL及び294μg/mLであった。
【0182】
バマミニブタにおける反復投与
7日間のバマミニブタ反復投与経口トキシコキネティクス
トキシコキネティクスは、バマミニブタにおける7日間の経口反復投与用量範囲発見試験の一部として評価された。簡潔に述べると、バマミニブタ(2匹/性別/群)に、0(ビヒクル、精製水)、0.1、0.3、又は1.0g/kg/用量BID(0.2、0.6、2.0g/kg/日、6時間空けて)リビトールを強制経口投与した。1日目及び7日目に、0時間(初回投与前)、初回投与の0.5、1、2、4、6時間後(2回目の投与前)、6.5、7、8、10、及び24時間後で、血漿TK用の血液を採取した。
【0183】
TK結果を表9に示す。T
max値は、1日目から7日目の初回投与の0.5~6.5時間後に観察された。任意の用量レベルにおいても、リビトールに対する全身曝露(AUC
0-24及びC
max)に明らかな性別差はなかった。用量が0.1~1.0g/kg/用量BID(0.2~2.0g/kg/日)に増加したため、全身曝露(C
max及びAUC
024)はほぼ用量比例性であった。最大1.0g/kg/用量BID(2.0g/kg/日)の用量で7日間の経口リビトールの反復投与後、明らかな蓄積はなかった。
【表9】
【0184】
28日間のバマミニブタ反復投与経口トキシコキネティクス
リビトールのトキシコキネティクスを、オス及びメスのバマミニブタにおける28日間の毒性試験の一部として評価した。被験物質治療群の動物に、1日2回(6±0.5時間間隔)、0.1、0.3、又は1.0g/kg/用量でのBID(0.2、0.6、2.0g/kg/日)で28日間、リビトールを強制経口投与した。対照群の動物に、ビヒクルのみ(精製水)を1日2回28日間投与した。1日目及び28日目に、血液試料を、0(初回投与前)、0.5、1、2、4、6(2回目の投与前)、6.5、7、8、10、12、及び24時間で、全ての利用可能な動物から採取した。
【0185】
オス及びメスのミニブタへの28日間の、0.1、0.3、又は1.0g/kg/用量BID(0.2、0.6、2.0g/kg/日)でのリビトールのBID経口投与後のリビトールのC
max及びAUC
024値に対する平均±SD、並びにT
maxの中央値(範囲)を、表10に提示する。
【表10】
【0186】
オス及びメスのミニブタにリビトールを単回(1日目)又は反復(28日目)経口投与した後、リビトールのTmaxは、投与後0.5~2.0時間の間、及び2回目の投与後0.5~2.0時間の間に観察された。リビトールに対する全身曝露(Cmax及びAUC0-24)における顕著な性別差は、任意の用量レベルでは観察されなかった。用量が0.1~1g/kg/用量BID(0.2~2.0g/kg/日)に増加したため、リビトールに対する全身曝露(Cmax及びAUC0-24)は、1日目及び28日目に、オス及びメスにおいて用量比例的に増加した。28日間の反復経口投与後、任意の用量レベルでもリビトールの顕著な薬剤蓄積は観察されなかった。
【0187】
リビトールのNOAELは、両性において1g/kg/用量BID(2g/kg/日)と考えられた。28日目のリビトールに対するNOAELでの全身曝露(Cmax及びAUC0-24)は、オスでそれぞれ475μg/mL及び2560μg*h/mLであり、メスでそれぞれ281μg/mL及び1980μg*h/mLであった。
【0188】
CD-1マウス及びバマミニブタへの単回静脈内投与
10、30、及び100mg/kg(n=3/用量/性別)の3回の静脈内投与後に、リビトールのPKをオス及びメスのCD-1マウスで試験した。血液試料を、投与後最大24時間連続的に採取した。平均血漿濃度-時間プロファイルを
図12に示す。薬物動態パラメータを表11に要約した。
【0189】
リビトールのPKを、10mg/kg(1日目)、30mg/kg(3日目)、100mg/kg(5日目)で48時間のウォッシュアウト期間で、同じ動物を使用して、漸増静脈内用量レベルの後に、オスの2匹及びメスのバマミニブタ2匹で試験した。各投与日に、血液試料を投与後最大24時間連続的に採取した。平均血漿濃度-時間プロファイルを
図13に示す。PKパラメータを表11に要約する。
【0190】
両種とも、静脈内投与後のリビトールのPKには、オス動物とメス動物の間に差異はなかった。CD-1マウスでは、リビトールの曝露は、10~30mg/kgの用量に比例して増加したが、30~100mg/kgの用量比例未満であった。バマミニブタでは、リビトールの曝露は、10~100mg/kgで用量に比例して増加した。
【0191】
リビトールの全身クリアランス(CL)は、マウス及びミニブタの両方で中等度であった。マウスのCLは、10及び30mg/kgで12.6~25.0mL/分/kgであったが、100mg/kgで高かった(33.6~38.9mL/分/kg)。ミニブタでは、CLは10~100mg/kgの用量範囲にわたって類似しており、7.95~15.1mL/分/kgの範囲であった。
【0192】
定常状態での分布容積は、マウス(1.49~6.74L/kg)で大きかったが、ミニブタ(0.417~0.603L/kg)では中等度であった。
【0193】
リビトールは、マウス及びミニブタの両方で短い半減期(T
1/2)を有した。マウスの静脈内投与後のT
1/2は、終末相のデータ点が限定されているため、正確に算出できなかった。マウスにおける経口投与後のT
1/2は、0.677~1.31時間であった(表5)。ミニブタの静脈内投与後のT
1/2は、0.519~0.993時間であった。
【表11】
【0194】
分布
インビボPK試験では、リビトールのVssはCD-1マウスでは大きいが(1.49~6.74L/kg)、バマミニブタでは中等度である(0.417~0.603L/kg)ことが示唆された。リビトールは、0.49~1.31mMの濃度で、CD-1マウス、Sprague-Dawleyラット、ガッティンゲンミニピグ及びヒトにおいて低血漿タンパク質結合を有していた。
【0195】
タンパク質結合
CD-1マウス、Sprague-Dawleyラット、ガッティンゲンミニピグ、及びヒト由来の血漿を使用して、迅速平衡透析法を使用して、75μg/mL(0.49mM)及び200μg/mL(1.31mM)で、インビトロでリビトールを用いたタンパク質結合試験を実施した。血漿に結合したリビトールの割合は、全ての種で試験された2つの濃度間でほぼ同様であった。リビトールのタンパク質結合は、ヒト血漿(34.6%~36.5%)において、動物(38.6%~44.6%)よりもわずかに低かった(表12)。
【表12】
【0196】
代謝
CD-1マウス、Sprague-Dawleyラット、ガッティンゲンミニピグ、及びヒト由来の肝臓ミクロソーム、サイトゾル、及び初代肝細胞において、リビトールの代謝安定性を、10μMの濃度のリビトールで実施した。
【0197】
T
1/2(分)及び固有クリアランス値を含む代謝安定性の結果は、表13に要約される。データは、リビトールが肝臓の酵素によって代謝されなかったことを示す。したがって、代謝は、リビトールの主要な排出経路である可能性は低い。
【表13】
【0198】
排泄
インビトロでの代謝安定性試験に基づき、リビトールは肝臓代謝経路によって除去される可能性は低い。動物におけるリビトールの腎排泄を調査する試験が計画されている。ヒトにおけるリビトールの腎排泄も、第I相SAD及びMAD試験で評価される。
【0199】
薬物動態学的薬剤相互作用
リビトールの潜在的な薬物間相互作用を評価するインビトロ試験は、リビトールによるCYP阻害及び誘導、並びにリビトールが薬物トランスポーターの基質又は阻害剤となる可能性に関して継続中であるか、又は計画されている。
【0200】
要約
単回投与後のリビトールのPKを、CD-1マウス及びバマミニブタで試験した。オス動物とメス動物の間にリビトールのPKに差異はなかった。静脈内投与後、マウスにおいて、リビトールの曝露は、10~30mg/kgの用量に比例して増加したが、30~100mg/kgの用量比例未満であった。ミニブタでは、リビトールの曝露は、10~100mg/kgの用量に比例して増加した。リビトールの全身クリアランスは、マウス及びミニブタの両方で中等度であった。定常状態での分布容積は、マウス(1.49~6.74L/kg)で大きかったが、ミニブタ(0.417~0.603L/kg)では中等度であった。
【0201】
経口投与後、リビトールは2時間未満のTmaxで急速に吸収された。経口バイオアベイラビリティは、マウスで約22.1%~30.9%、ミニブタで55.9%~70.2%であった。最大1.5g/kg/用量BID(3.0g/kg/日)までの経口投与後のリビトールのピーク濃度及び全身曝露(Cmax及びAUC024)に明らかな性差はなかった。リビトールの曝露は、マウスにおいて0.5~1.5g/kg/用量BID(1.0~3.0g/kg/日)及びミニブタにおいて0.1~1g/kg/用量BID(0.2~2.0g/kg/日)の1日2回反復投与後に、用量に比例して増加した。28日間の反復経口投与後、任意の用量レベルでも明らかなリビトール薬剤蓄積は観察されなかった。
【0202】
Caco-2細胞におけるインビトロの浸透性試験では、リビトールは浸透性が低く、P-gp基質ではないことが示唆されている。リビトールは、血漿タンパク質結合が低かった。ヒト血漿へのリビトールの結合(34.6%~36.5%)は、CD-1マウス、SpragueDawleyラット、及びガッティンゲンミニピグ(38.6%~44.6%)のものよりもわずかに低かった。
【0203】
リビトールは、CD-1マウス、Sprague-Dawleyラット、ガッティンゲンミニピグ、又はヒトの肝臓ミクロソーム、サイトゾル、及び肝細胞中でインキュベートしたときに安定しており、代謝がリビトールのクリアランスに関与する可能性は低いことを示唆している。動物におけるリビトールの腎排泄試験は、健康なボランティアにおける第I相SAD/MAD試験と同時に計画されている。
【0204】
非臨床毒性学
ML Bio Solutionsは、マウス及びミニブタにおいてINDを可能にする毒性試験を実施した。これらのげっ歯類種及び非げっ歯類種は、筋組織におけるグリコシル化α-DGレベルの産生及び維持のための同じ生化学的経路を有するという点で、薬理学的に妥当であると考えられる。更に、リビトールは、疾患のマウスモデル(P448L FKRP)に有効である。
【0205】
毒性試験における投与経路は、臨床プログラムで意図されているものと同一である。ヒトにおける最初の試験は、第I相ユニットの健康なボランティアを対象とした第I相SAD/MAD試験である。リビトールは、経口溶液としてQD又はBIDで投与される。したがって、動物毒性試験をBID投与で実施した。
【0206】
利用可能なデータは、ヒトでの最初の試験を裏付けるのに十分であると考えられる。これらの研究及び利用可能な結果の簡単な説明を以下に提示する。
【0207】
マウスにおける毒性研究
最大耐量及び7日間の用量範囲発見試験
この試験の目的は、単回経口投与(第I相)後のMTDを決定し、リビトールを7日間BID投与(第II相)した後の毒性及びトキシコキネティクスプロファイルを特徴とすることであった。
【0208】
第I相で、Swiss Crl:CD1(登録商標)マウス(5匹/性別/群)に、0.3、1.0、1.5、又は2.0g/kg/用量のBID(0.6、2.0、3.0、又は4.0g/kg/日)で、投与間で5~7時間でリビトールを投与した。投与後、マウスは投与後14日間観察された。マウスは、剖検時に生存率、臨床徴候、体重、食物消費量、及び肉眼的所見について評価された。最大2.0g/kg/用量BID(4.0g/kg/日)の単回経口リビトール投与後のマウスにおいて、治療に関連した死亡率、臨床徴候の変化、体重又は食物消費量、又は肉眼所見はなかった。
【0209】
第I相試験の結果及び12.0g/日の意図される最高臨床用量に基づいて、第II相の用量を選択した。第II相では、マウス(5匹/性別/群)に0(ビヒクル対照、精製水)、0.5、1.0、又は1.5g/kg/用量のリビトールBID(1.0、2.0、3.0g/kg/日)を、投与と投与との間隔を6時間空けて経口投与した。マウスは、剖検時に、生存率、臨床徴候、体重、食物消費量、臨床病理(血液学及び血清化学)、器官重量(副腎、脳、心臓、腎臓、胆嚢を伴う肝臓、卵巣、脾臓、精巣、及び胸腺)、及び肉眼病理について評価された。1日目及び7日目に、動物のサテライト群(3/性別/時点)から血漿TK分析用の血液を採取した。
【0210】
治療に関連した死亡率又は体重又は食物消費量の変化はなかった。1.5g/kg/用量のBID投与(3.0g/kg/日)では、1日目から7日目は、5匹のオスの4匹に異常な軟便が、1日目は、5匹のメスの1匹に異常な軟便が観察された。これは、わずかな大きさ及び発生率のため、治療関連及び非有害と考えられた。7日間(3.0g/kg/日)最大1.5g/kg/用量BIDの経口投与後、血清グルコース値、血清電解質、器官重量、又は治療関連肉眼所見に変化はなかった。本試験のNOAELは、1.5g/kg/用量BID(3.0g/kg/日)と考えられた。対応する7日目のCmaxは、オスで305μg/mL、メスで266μg/mLであり、AUC0-24は、オスで562μg*h/mL、メスで602μg*h/mLであった。
【0211】
14日間回復及びTKを伴うマウスを用いた28日間経口GLP毒性試験
このGLP試験の目的は、28日間のBID強制経口投与後のマウスにおけるリビトールの潜在的な毒性、可逆性、持続性、又は遅延効果を評価することであった。更に、20匹のマウス/性別/群を、ビヒクル(精製水)、0.5、1.0、又は1.5g/kg/用量のリビトールBID(1.0、2.0、又は3.0g/kg/日)のいずれかで28日間治療し、続いて14日間の治療なしで回復させた。生体内評価は、死亡率、詳細な臨床所見を含む臨床徴候、試験前及び投与及び回復段階中の週1回、体重、食物消費量、眼科、及び臨床病理(血液学及び血清化学)が含まれた。末端評価項目は、肉眼的病理、器官重量、及び組織病理であった。1日目及び28日目に、マウスのサテライト群から血漿TK(3/性別/時点)用の血液を採取した。
【0212】
全ての動物は予定された終了まで生存した。リビトールは忍容性が良好であったが、0.5g/kg/用量BID群及び1g/kg/用量BID群において、6日間の投与後のオス20匹中1匹において、軟便又は異常便が低発現率で観察された。軟便又は異常な便は、治療中止なしに2~8日以内に消失した。体重、食物消費量、眼科検査、血液学検査及び血清化学検査(トリグリセリド、グルコース、及び電解質を含む)、肉眼的観察、器官重量、又は組織病理検査に対する被験物質に関連した効果はなかった。
【0213】
要約すると、リビトールは忍容性良好であり、0.5、1.0、又は1.5g/kg/用量BID(1.0、2.0、又は3.0g/kg/日)の用量でのリビトールのBID経口投与後に、CD-1マウスにいかなる死滅も生じなかった。試験の条件下で、NOAELは、1.5g/kg/用量BID(3.0g/kg/日)であり、28日目のAUC0-24及びCmaxは、オスでは1340h*μg/mL及び377μg/mLであり、メスではそれぞれ839h*μg/mL及び294μg/mLであった。
【0214】
ミニブタにおける毒性研究
最大耐量及び7日間の用量範囲発見試験
この試験の目的は、6±0.5時間の間隔を空けて2回の経口投与(第I相)後のMTDを決定し、ミニブタにおける6±0.5時間のリビトールとの7日間のBID投与後の毒性及びTKプロファイルを特徴とすることであった。
【0215】
マウスは、剖検時に、生存率、臨床徴候、体重、食物消費量、臨床病理(血液学、凝固及び血清化学)、器官重量(副腎、脳、心臓、腎臓、胆嚢を伴う肝臓、卵巣、脾臓、精巣、及び胸腺)、及び肉眼病理について評価された。1日目及び7日目に血漿TK分析用の血液を採取した。
【0216】
第I相では、バマミニブタ(2匹/性別/群)に、0.3、1.0、1.5、又は2.0g/kg/用量BID(0.6、2.0、3.0、又は4.0g/kg/日)でリビトールであり、投与間隔は5.5~6.5時間であった。投与後、ミニブタは14日間観察された。ミニブタは、剖検時に生存率、臨床徴候、体重、食物消費量、及び肉眼的所見について評価された。
【0217】
用量は、第I相試験の結果に基づき、一般毒性試験(ICH M3[R2])の高用量選択のガイダンス基準に準拠して、第II相で選択された。この相では、ミニブタ(2匹/性別/群)に、0(ビヒクル対照、水)、0.1、0.3、又は1.0g/kg/用量のリビトールBIDを、用量間で5.5~6.5時間(それぞれ0.2、0.6、又は2.0g/kg/日)経口投与した。
【0218】
第I相では、全ての動物が予定された剖検まで生存した。2.0g/kg/用量BID(4.0g/kg/日)で異常な便のみが観察され、観察期間内に回復した。体重、食物消費量、又は肉眼的観察に対する治療関連効果はなかった。本試験の条件下で、MTDは≧2.0g/kg/用量BID(4.0g/kg/日)と考えられた。
【0219】
第II相では、治療に関連した死亡はなかった。異常な便は、最初の5日間はオスで1.0g/kg BIDで見られ、5日後は観察されなかった。血清トリグリセリド、グルコース、及び電解質を含む、体重、食物消費量、又は臨床病理(血液学、臨床化学、及び凝固)における治療に関連した変化はなかった。予定された終了後、器官重量の変化はなく、消化管を含む剖検時に肉眼的所見もなかった。本試験の条件下で、ミニブタに≦1.0g/kg/用量BID(2.0g/kg/日)で経口投与した場合、リビトールは忍容性良好であった。経口1.0g/kgのBIDの7日目Cmaxは、オスで283μg/mL、メスで331μg/mLであり、AUC0-24は、オスで1,920μg*h/mL、メスで1,870μg*h/mLであった。
【0220】
14日間回復及びトキシコキネティクスを伴うミニブタにおける28日間経口GLP毒性試験
このGLP試験の目的は、14日間の回復期間を伴う28日間のBID強制経口投与後のミニブタにおけるリビトールの潜在的な毒性、可逆性、持続性、又は遅延効果を評価することであった。更に、リビトールの血漿TKプロファイルを1日目及び28日目に評価した。4匹のバマミニブタ/性別/群に、0(ビヒクル対照、精製水)、0.1、0.3、又は1.0g/kg/用量のリビトールを、強制経口投与BID(0.2、0.6、2.0g/kg/日、6時間間隔)により28日間投与した。更に、2匹のミニブタ/性別/群を、ビヒクル(水)又は1.0g/kg/用量のリビトールBID(2.0g/kg/日)のいずれかで28日間治療し、その後14日間の無治療回復期間を行った。生体内評価には、死亡率、試験前の詳細な臨床観察を含む臨床徴候、及び投与及び回復段階中の週1回の実施、体重、食物消費量、眼科、心電図、及び臨床病理(血液学、凝固、血清化学、及び尿検査)が含まれた。末端評価項目は、肉眼的病理、器官重量、及び組織病理であった。1日目及び28日目に血漿TK用の血液を採取した。
【0221】
臨床徴候にリビトールに関連した変化はなかった。試験中、体重及び食物消費量は良好に維持され、眼科検査、心電図検査、又は臨床病理検査ではリビトールに関連した所見はなかった。用量段階又は回復段階において、リビトールに関連した器官重量変化、肉眼所見、又は顕微鏡所見はなかった。
【0222】
リビトールのNOAELは、両性において1.0g/kg/用量BID(2.0g/kg/日)であると考えられた。28日目のリビトールに対するNOAELでの全身曝露(Cmax及びAUC0-24h)は、オスでそれぞれ475μg/mL及び2560μg*h/mLであり、メスでそれぞれ281μg/mL及び1980μg*h/mLであった。
【0223】
インビトロ小核アッセイ
このGLP準拠の研究では、S9の非存在下及び存在下で、HPBLに小核を誘導する可能性を評価するためにリビトールが試験された。HPBL細胞を、S9の非存在下で4時間、及びS9の非存在下で24時間治療した。精製水をビヒクルとして使用した。
【0224】
予備毒性アッセイでは、試験された用量は、0.0152~152μg/mL(1mM)の範囲であり、これはこのアッセイの限界用量であった。細胞毒性は、3つの治療群のいずれにおいても、いずれの用量でも観察されなかった。これらの結果に基づいて、小核アッセイに選択された用量は、3つの曝露群全てについて19~152μg/mLの範囲であった。
【0225】
S9を有する、又は有さない治療群において、いずれの用量でも、小核誘導の統計的に有意な増加も用量依存的な増加も観察されなかった。これらの結果は、リビトールが、外因性代謝活性化系の存在下及び非存在下での小核の誘導に対して陰性であったことを示す。
【0226】
インビボ小核試験
マウスにおけるGLP準拠のインビボ小核アッセイは継続中であり、データは第I相MAD試験の開始前にINDに提出される。
【0227】
考察及び結論
ML Bio Solutionsは、提案された第I相試験を裏付けるために、マウス及びミニブタにおける28日間の反復投与による一般毒性試験、並びにインビトロ遺伝子毒性試験を含む、リビトールに対する包括的なIND可能毒性試験プログラムを実施した。
【0228】
経口リビトールは、マウスでは最大1.5g/kg/用量BID(3.0g/kg/日)、ミニブタでは最大1.0g/kg/用量BID(2.0g/kg/日)で、MTD/7日間のDRF非GLP試験、及び28日間の反復投与GLP毒性試験において忍容性良好であった。治療に関連した死亡、又は臨床病理の変化はなかった。10g/kg/日のリビトールを投与されたマウスの結果と一致して、マウス又はミニブタにおいて血清トリグリセリド又はグルコースに変化はなかった。唯一の治療関連観察は、7日間のMTD試験において、両種において最高用量レベルの軟便又は軽度な軟便であった。マウスのみを対象とした28日間の試験では、軟便又は異常便は、中等度用量での低発現率でのみ観察され、治療中止なしに2~8日以内に回復した。7及び28日間の経口毒性試験で軽度の軟便又は異常な便が観察されたが、マウスでは最大1.5g/kg/用量BID(3.0g/kg/日)、ミニブタでは1.0g/kg/用量BID(2.0g/kg/日)の用量で、血清電解質の治療関連変化又はGI管を含む剖検での肉眼観察は観察されなかった。これらの効果が、より長期間の投与で見られるかどうかは不明である。主要試験及び回復動物には顕微鏡所見はなかった。したがって、マウスでは最大1.5g/kg/用量BID(3.0g/kg/日)、及び試験された最高用量であるミニブタでは1.0g/kg/用量BID(2.0g/kg/日)の用量で有害な所見はなかった。
【0229】
リビトールの遺伝毒性の可能性を、インビトロAmesアッセイ、及びHPBLにおける小核アッセイで評価した。リビトールは、両方のインビトロアッセイにおいて遺伝毒性の可能性を欠いていた。マウスにおけるインビボ小核アッセイは継続中であり、臨床試験のMAD期の初期前にINDに提出される。
【0230】
最初のヒト用量は、0.5g/日であることは、マウス及びミニブタの研究からそれぞれ決定されるヒト等価用量(HED)よりも約29~227倍低いことが提案されている(60kgのヒト体重を想定し、体表面積を考慮に入れる、表14)。更に、提案されたヒト用量は、予測されるヒト治療用量よりも低いものとなる。28日間の経口反復投与毒性試験で観察された最小のNOAEL曝露まで、及びそれ以上の投与は、利用可能なヒト安全性データに依存する。
【表14】
【0231】
結論として、正常マウス及びミニブタにおける毒性試験から得られるデータは、最大1.5g/kg/用量BID(3.0g/kg/日)、及びミニブタにおける1.0g/kg/用量BID(2.0g/kg/日)の用量での好ましい安全性プロファイルを示し、提案された臨床試験を支持している。
【0232】
実施例3:安全性及び薬物動態の臨床試験
毒性研究は、マウスでは1.5g/kg/用量BID(3.0g/kg/日)、ミニブタでは1.0g/kg/用量BID(2.0g/kg/日)のいずれかで28日間の毒性試験で試験された最高用量までの有害な効果を明らかにしていない。毒性試験で使用された量を超える用量(≧2g/kg/日)でのマウスにおける慢性(6カ月)投与の非臨床データに基づき、腸膨満及び軟便が観察され、リビトール治療に起因する浸透圧変化に起因する。この反応は、治療終了から48時間後に治まった。これまでにリビトールで他の有害な所見は特定されていない。リビトールの食品エネルギー含有量は、文献では見出すことができなかった。その立体異性体であるキシリトールは、3kcal/gのカロリー含有量を有し、10gの1日用量が、1日の総カロリー摂取量に対して50kcal未満に寄与することを示す。
【0233】
リビトールは、キシリトールの立体異性体であるペントースアルコールである。キシリトールは一般に、米国食品医薬品局(FDA)により安全(GRAS)とみなされ、ヒトの消費用製品において甘味剤として使用される。D-リビトールは、約0.5マイクロモル(μM)の濃度で健康なヒト対象の血液及び脳脊髄液(CSF)中で測定可能な内因性物質である。
【0234】
現在、承認された治療法が存在しない肢帯型筋ジストロフィー2i型(LGMD2i)患者の治療を目的として、リビトールが開発されている。この疾患は、α-ジストログリカン及びフクチン関連タンパク質(FKRP)のグリコシル化に関与する酵素の変異を特徴とし、低グリコシル化が結果として生じる。筋細胞膜の完全性維持には、α-ジストログリカンのグリコシル化が中心的な役割を果たし、また、低グリコシル化は進行性の筋変性及び機能喪失をもたらす。経時的に、筋肉は線維性組織及び脂肪によって置き換えられる。リビトールは、変異酵素に過剰な基質を供給することによって、筋αジストログリカンのグリコシル化を促進することによって、供給源における分子的欠陥を標的とする。
【0235】
以下に記載される試験は、健康な対象に対するリビトールの単回漸増用量(SAD)及び複数回漸増用量(MAD)の投与に関する無作為化、盲検化、プラセボ対照、並行群試験である。本試験のSADパートには、1つの食物効果(FE)コホートが含まれる。試験のSAD期及びMAD期はネストされている。
【0236】
本試験の各部分では、最大6つのコホートを、最大12のコホートについて調査することができる。各コホートは、8人の健康な対象からなり、6:2でリビトール:プラセボに無作為化される(治験薬はリビトール又はプラセボを指す)。各コホート内では、対象2名が40~50kgの体重を、残りの対象6名が>50kgの体重を量らなければならない。本試験には最大96名の対象が登録される場合がある。
【0237】
第I相試験の目的には、健康な対象におけるリビトールの単回投与及び反復投与の安全性及び忍容性の評価、健康な対象におけるリビトールの単回投与及び定常状態薬物動態(PK)の特徴付け、並びにリビトールのPKプロファイルに対する標準化された高カロリー食事の効果の評価が含まれる。
【0238】
単回漸増用量(SAD)コホート
最大6つのコホートが登録される。開始用量は0.5gである。暫定用量レベルは、1.5g、3g、6g、及び12gであるが、コホート2以上に対する実際の用量の増分(可能性のある減少を含む)は、安全性評価委員会(SRC)によって決定され、最小で24時間の投与後PKデータ、及び少なくとも72時間の従前の用量レベルからの用量安全性データに基づいて決定される。センチネル投与計画は、各用量レベルで採用され、各コホートの最初の2名の健康な参加者(リビトール1名、プラセボ1名)は、残りのコホートの参加者に投与している少なくとも24時間前にセンチネルとして投与される。インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名し、適格性基準が決定されると、対象は、投与の1日前(-1日目)に臨床研究ユニット(CRU)に入院する。テレメトリーを使用した連続心臓モニタリングは、投与前の少なくとも12時間から、投与後の少なくとも24時間まで実施される。
【0239】
1日目に、対象は、投与前に少なくとも10時間の一晩の絶食後、及び投与後少なくとも4時間にわたって、経口治験薬と水との単回投与(薬剤マニュアルを参照されたい)を受ける。水自由摂取は、投与後1時間から1時間前を除き許可される(治験薬で摂取したもの以外)。対象は、3日目までCRUに留まる(これは、コホート2について、7日目まで、少なくとも3半減期を超えて調整され得る)。バイタルサイン、心電図(ECG)、AEの評価、及びPK及び安全性臨床検査のための採血を連続的に取得する(下記の評価スケジュールを参照されたい)。対象は、7日目(+3日間の許容時間枠)又は約5半減期のいずれか長い方の試験終了(EOS)来院のため、14日目まで再び来院する。PKサンプリング時間及びサンプリング期間は、以前のコホートのPK(半減期)結果に応じて、最大8回の追加採血まで調整され得る。
【0240】
コホートの暫定用量レベルは以下の通りである:
SADコホート1:0.5g
SADコホート2:1.5g
SADコホート3:3g
SADコホート4:6g
SADコホート5:12g
SADコホート6:用量は決定されるが、12gを超えないものとする。
【0241】
単回漸増用量-食物効果(FE)コホート
本試験のSADパートには、SRCが選択した1つのFEコホートが含まれる。FEコホートは、2つの治療期間からなる。SRCは、試験のFE部分に参加するコホートを決定する。そのコホートは、クロスオーバー様式で2回用量を投与される(絶食下〔治療期間1]、摂食下〔治療期間2])。2つの期間は、少なくとも7日間又は5半減期のいずれか長い方の、最大21日間のウォッシュアウト期間によって分離される。第2の期間にはセンチネルの投与は不要である。
【0242】
治療期間1
治療期間1の間、対象は、投与の1日前(-1日目)にCRUに入院する。対象は、上述のように監視、投与、及び評価される。水は、投与後1時間の1時間前からを除いて、自由摂取で許容される。
【0243】
治療期間2
対象は、治療期間2のために、治験薬2回目の投与の1日前(-1日目)にCRUに戻る。対象は、上述のように監視、投与、及び評価される。
【0244】
治療期間2の1日目に、対象は、治験薬の第2の用量を投与する前に、水とともに食事を摂取する。
【0245】
FEコホートのEOS来院は、治療期間2の7日目(許容時間枠の3日後)又は約5半減期のいずれか長い方で、21日以内である。
【0246】
試験期間
個々の対象に対する予想される試験期間は、最大40日(スクリーニング期間については29日、院内で4日、外来として3日、1日(+3)のEOS来院)である。以前のコホートで取得された実際のPKデータに対する許容可能な調整に基づく最大許容期間は47日である。FEの2期間クロスオーバーパートに参加するコホートの予想される試験期間は、更に8日間(院内4日間、外来3日間、1日間のEOS来院)である。
【0247】
複数回漸増用量(MAD)コホート
最大6つのコホートが登録される。第1のコホートに対する開始用量及び投与頻度(すなわち、1日1回、Q12h、Q8h)は、SRCが、2つのSADコホートからの少なくとも72時間の安全性データ及び少なくとも24時間のPKデータをレビューした後に決定される。開始用量及び投与頻度(すなわち、1日1回、8時間ごと、又は12時間ごと)は、SADコホートで取得されたPKデータに基づいて決定される。投与頻度が1日1回よりも大きい場合、MADコホートの投与は、FEデータが入手可能になると開始される。
【0248】
対象は、投与の1日前(-1日目)にCRUに入院する。1日目に、対象は、投与前10時間以上、投与後4時間以上の一晩絶食後、水とともに、経口治験薬6日間コースを開始する。SADコホートからのデータに基づいて1日に2回以上の投与が発生した場合、投与及び絶食要件の緩和の指示を、別個の文書で提供する。水自由摂取は、投与前1時間から投与後1時間までの間を除き許容される。対象は、8日目までCRUに留まる。バイタルサイン、ECG、AEの評価、及びPK及び安全性臨床検査のための採血を連続的に取得する(下記の評価スケジュールを参照されたい)。対象は、10日目にEOS来院に戻る(+5日間の許容時間枠)。
【0249】
より短い投与間隔(1日2回又は3回の投与)は、FEが判明した時点で選択されてもよく、その場合、絶食要件は変化し得る。これについては、別の文書で概説する。投与期間は、3半減期+3日(CRUにおいて最大21日[20日目])の達成を可能にするために、最大12日間まで延長され得る。また、PKサンプリング時間及びサンプリング期間は、PK(半減期)に応じて、最大8回の追加採血まで調整され得る。同様に、EOS来院は、少なくとも5半減期、最大30日目まで調整され得る。
【0250】
試験期間
個々の対象の予想される試験期間は、最大46日(スクリーニング29日、社内9日、外来2日、1日(+5)のEOS来院)である。SAD期及び以前のコホートで取得された実際のPKデータに対する許容可能な調整に基づく最大許容期間は、78日である。
【0251】
登録及び治験手順
対象には最初にスクリーニング識別番号が割り当てられ、ICFに署名し、全ての選択基準を満たし、除外基準に抵触することが決定された時点で、治験への登録と考えられる。投与時に、対象に対象無作為化番号を割り当てる。対象の来院及び臨床評価に関する詳細は、以下に記載する評価スケジュールに見出すことができる。対象は、投与日(1日目)の1日前(-1日目)に治験実施施設に報告し、48時間の採血が治験薬の最終投与後に取得されるまで、合計3日間(SAD)又は8日間(MAD)施設に留まる。PK試料、バイタルサイン、及び/又はECG評価の採取が同時に行われるように予定されている場合、以下のように優先順位を付ける必要がある:1.PK採集(公称時点で採集)2.バイタルサインの採集3.ECG。バイタルサインの測定及びECG検査は、PK試料の結果に基づいて調整され得る。
【0252】
対象選択基準
対象は、スクリーニング時及び入院時(-1日目)に以下の基準を全て満たさなければならない。
1.本質的に正常な身体検査及び正常な臨床検査で決定される健康な男性及び非妊娠女性、18~65歳及び体格指数(BMI)18~32kg/m2
2.インフォームドコンセントを行い、全ての治験手順及び要件に従う意思及び能力がある
3.入院から最終投与後12週まで、適切な避妊法を使用する意思がある。(適切な避妊の説明については、セクション5.3.3を参照されたい)
4.EOS来院までの投与前48時間は、全てのアルコール飲料及びカンナビノイドを控える意思がある
5.CRUにいる間はカフェイン及びニコチンを控える
【0253】
対象の除外基準
対象は、スクリーニング時及び入院時(-1日目)に以下の基準のいずれにも該当しない。
1.(a)経口投与後の吸収に影響を与え得る外科手術を含む、任意の消化器病態の既往歴。(b)収縮期>140mmHg又は<90mmHg、拡張期>90mmHg又は<50mmHgと定義される異常血圧。(c)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、又はビリルビン>1.5×正常上限(ULN)。ギルバート症候群によるビリルビン上昇を有する対象は、メディカルモニターとの協議の後、対象として適格となる可能性がある。(d)ヘモグロビンA1c≧6.5%及び/又は糖尿病の診断。(e)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体に対する陽性検査。(f)B型肝炎コア抗体及び/又はC型肝炎抗体により証明される急性又は慢性のB型肝炎又はC型肝炎。回復した感染のエビデンス又は抗体が存在するワクチン接種後(s/p)の状態。PCRでウイルスDNAがないことが証明された場合は可とする。(g)心筋虚血又は梗塞、第2度又は第3度房室ブロック、バンドルブランチブロックの既往歴又は心電図(ECG)所見。ただし、臨床的心疾患、多巣性又は多巣性の心室期外収縮の非存在下での不完全な右バンドルブランチブロック、又はQTcF>470msecの女性又は>450msecの男性(平均3回のトレース)は例外である。更に、対象は洞調律になければならない。(h)その他の臨床検査、バイタルサイン、ECG異常、又は病歴、又は治験責任医師の意見では、治験参加のリスクベネフィットを不利に変化させる、又は治験結果に混乱をもたらす、又は治験の実施若しくは遵守を妨害する可能性が高い。
2.リビトールへの曝露歴
3.投与前1カ月以内の1単位(450mL)を超える血液の輸血又は喪失
4.4週間以内の処方薬又は12週間以内の治験薬の使用(例外:避妊薬は許可されている)
5.投与前5日以内の任意の非処方薬の使用(例外:投与前の1日2gまでのアセトアミノフェンが許容される)。
6.女性の場合、授乳中、授乳中、又は妊娠している場合
7.スクリーニング前2年以内に薬物乱用及び/又はアルコール依存症の既往があること、又はスクリーニング又は入院時に薬物乱用又はアルコールのスクリーニングが陽性であること。1日>5本(又は同量のニコチン含有製品)の定期的な使用。
【0254】
治験薬、用量及び投与方法
リビトールは、少なくとも10時間の一晩の絶食期間の後、水で経口投与され、その後、少なくとも4時間絶食される。水は、投与前の1時間及び投与後の1時間を除き、自由摂取が許容される。FEコホートは、第2期に、標準化された高カロリーの朝食とともに治験薬を受ける。MADコホートにおける投与が、SADコホートからのデータに基づいて1日2回以上発生する場合、投与及び絶食要件の緩和の指示は、別個の文書で提供される。
【0255】
SAD期における予測される用量レベルは、0.5g、1.5g、3g、6g、12g、15g、20g、25g、及び30gである。試験のMAD部分の用量レベルは、SRCがレビューしたSADのデータに基づいて決定される。
【0256】
参照療法、用量及び投与経路:経口で投与された対応するプラセボ。
【0257】
分析集団
本試験では、3つの分析集団が定義される。
【0258】
安全性集団は、治験薬を少なくとも1回投与され、ベースライン後の安全性評価を少なくとも1回受けた全ての対象と定義される。
【0259】
PK集団は、対象PKパラメータを少なくとも1つ計算できる全ての登録対象として定義される。一般に、パラメータごとに、対象に対して不十分なデータが問題となっている特定のパラメータを計算するために利用可能である場合、個々の対象のデータは、分析から除外され得る。
【0260】
完全分析集団は、重大なプロトコル逸脱又は違反を経験することなく試験を完了した無作為化された全対象として定義される。
【0261】
試料サイズ
試料サイズは、ヒトを対象とした最初の試験に一般的であり、忍容性の安全性及び有効性の予備的決定、並びに健康対象におけるFEの推定値を含む、単回投与及び反復投与のPKの包括的決定を可能にする。
【0262】
薬物動態分析
PK分析は、PK集団を使用して実施される。リビトールの血漿濃度は、PK集団の記述統計量を使用して、用量及び時点で要約される。経時的な平均及び個々の血漿リビトール濃度は、線形スケール及びセミログスケールを使用して図で提示される。上述のPKパラメータは、非コンパートメント分析を使用して算出され、用量別に要約される。AUC及びCmaxは、用量比例性について用量レベル間で試験され、定常状態でのAUC及びCmaxの蓄積が算出される。単回投与後48時間(Ae48h)及び最終投与後24時間(Ae24h)にわたる尿薬物排泄量が示され、腎クリアランス(CLr)が算出される。
【0263】
FEコホートのSADコホート及び治療期間1の評価スケジュール
血液学的分析(ヘモグロビン、ヘマトクリット、WBC、血小板数、及びCBC分画を含む)及び尿検査(比重、pH、グルコース、タンパク質、ヘモグロビン、白血球エステラーゼ、及び亜硝酸塩を含む)は、試験過程にわたって、スクリーニング中、入院中(-1日目)、CRU2日目、及びEOS来院中に4回測定される。バイタルサイン及び12誘導ECGは、試験参加の毎日、並びにスクリーニング中に測定される。PK分析(血液及び尿の採取)試料が、1日目に、投与前の30分以内、投与後0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、18時間、24時間、36時間、及び48時間以内に採取される。尿試料は、投与前の2時間以内にPK用に採取され、その後、8時間アリコートでのPK用の48時間尿採集が行われる。
【0264】
FEコホートの治療期間2の評価スケジュール
血液学的分析(ヘモグロビン、ヘマトクリット、WBC、血小板数、及びCBC分画を含む)及び尿検査(比重、pH、グルコース、タンパク質、ヘモグロビン、白血球エステラーゼ、及び亜硝酸塩を含む)は、試験過程にわたって、スクリーニング中、CRU2日目、及びEOS来院中に3回測定される。バイタルサイン及び12誘導ECGは、試験参加の毎日、並びにスクリーニング中に測定される。PK分析(採血)試料が採取される:1日目:投与前1時間以内、及び投与後0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、18時間、24時間、36時間及び48時間。
【0265】
MADコホートの評価スケジュール
血液学的分析(ヘモグロビン、ヘマトクリット、WBC、血小板数、及びCBC分画を含む)及び尿検査(比重、pH、グルコース、タンパク質、ヘモグロビン、白血球エステラーゼ、及び亜硝酸塩を含む)は、試験過程にわたって、スクリーニング中、入院中(-1日目)、CRU2日目、CRU5日目、CRU8日目、及びEOS来院中に6回測定される。バイタルサイン及び12誘導ECGは、試験参加の毎日、並びにスクリーニング中に測定される。PK分析(血液及び尿の採取)試料が、1日目に、投与前の1時間以内、及び初回投与の0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、18時間後に採取される。2~5日目:初回投与の30分前以内、及び初回投与の0.5時間後。6日目:初回投与の30分前以内、及び初回投与の0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、18、24、36、及び48時間後。尿試料は、投与後2時間以内にPK分析のために取得され、治験薬の最終投与から始まる8時間アリコートで24時間採取される。
【0266】
安全性分析
安全性分析は、試験全体の治療で発生した有害事象(TEAE)の評価に基づいて評価される。全てのAEは、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)バージョン19.1以降を使用してコード化される。AE、12誘導ECGの主要間隔を含む臨床検査結果、及びバイタルサイン測定値を含む安全性データを、用量及びプラセボ別に要約する。身体検査所見及び併用薬が列挙される。
【0267】
食事及び活動
対象は研究ユニットに定住しているが、研究ユニットプロトコルに従って特定される食事内容の定食スケジュールで標準化された食事を受け取る。食事は、全ての対象に対して同一であり、投与、治療期間中の毎日、及びクリニックのプロトコルに従って、同時に提供される。特に、-1日目、1日目の食事のタイミング及びメニュー項目、並びにMAD期の最終投与日は同一であるべきである。少なくとも10時間の一晩の絶食は、治験薬投与前及びその後少なくとも4時間観察されなければならない。SAD期からの結果に基づいて1日に2回以上の投与が発生した場合、投与及び絶食要件の緩和の指示を、別個の文書で提供する。
【0268】
治療期間2の1日目に、対象は、治験薬の第2の用量を投与する前に、水とともに食事を摂取する。食事は、FDAのGuidance for Industry文書(Food-Effect Bioavailability and Fed Bioequivalence Studies;December 2002)に記載されるように、標準化された高カロリーの朝食で構成される。食事は30分以内に完全に摂取され、治験薬は食事開始後30分に投与される。水は、投与後1時間の1時間前からを除いて、自由摂取で許容される。
【0269】
投与された治療
対象は、盲検化された様式でリビトール又はプラセボを受けるように無作為化される。リビトール及びプラセボの用量は、体積及び色を含む全ての点で同一である。投与の直前に、対象は、リビトールとプラセボとの間の風味の違いを隠すために、投与前に味覚マスキング剤を与えられる場合がある。
【0270】
薬物動態評価
血漿及び尿試料は、リビトール、CDP-リビトール、及び場合により他の代謝物の濃度を決定するため採集される。試料採集時間は、上述の評価スケジュールに記載されている。PK検体の取り扱いに関する詳細は、別の臨床検査マニュアルに記載されている。
【0271】
以下のPKパラメータを全対象について算出する:
・終末半減期(t1/2)は、血漿濃度-時間曲線の分布及び終末部分のlog濃度の線形回帰によって決定される。終末半減期は、ln(2)/(-β)として算出され、式中、βは、log濃度-時間曲線の末端部分の傾きである。
・最大観察された血漿濃度までの時間(Tmax)
・最大観察された血漿濃度(Cmax)
・SADコホートPK評価:
・AUC0-last、AUC0-24、AUC0-48、及びAUC0-∞(AUC0-∞=AUC0-last+Cplast/(-β)と計算され、式中、Cplastは、最後の測定可能な血漿濃度である。
・AUC0-∞の外挿比率
・48時間にわたって尿中に排泄された量(Ae48)
・腎クリアランス(CLr)=Ae48/AUC0-48
・用量正規化AUC0-∞[AUC0-∞/D]及びCmax(Cmax/D)
・見かけのクリアランス(CL/F)
・見かけの分布体積(Vz/F)
・MADコホートPK評価:
・初回投与後及び最終投与後の投与間隔(AUC0~τ)の血漿濃度-時間曲線下面積
・蓄積比(RAUC)=最終日AUC0-24/1日目AUC0-24
・最終投与後24時間にわたって尿中に排泄された量(Ae24)
・CLr=Ae24/AUC0-24
・CL/F
・Vz/F
【0272】
安全性評価委員会
拘束期間中の安全性データがその後の用量漸増を支持する限り、主任治験責任医師、ML Bio Medical Monitor、及び独立した医師で構成される安全性評価委員会(SRC)は、各コホートのSAD期の単回投与後、及びMAD期の最終投与後24時間までに得られたPK及び安全性のデータをレビューする。SRCが招集され用量上昇に関する決定をするために、所与のコホートにおいて計画された対象8人のうち、少なくとも6人のデータが、利用可能でなければならない。
【0273】
梱包
バルク原薬は、乾燥剤とともに低密度ポリエチレン(LDPE)袋に包装され、結束で閉じられる。LDPEバッグ内の原薬は、ホイルバッグ内に配置され、密封され、次いで、密封されたホイルバッグは、高密度ポリエチレン(HDPE)ドラム内に配置される。バルク原薬は、臨床現場において配合薬局によって受領され、試験対象への投与のために製剤化される。
【0274】
バイアスの最小化
投与の直前に、対象は、リビトールとプラセボとの間の風味の違いを隠すために、呼気ストリップを与えられる。治験責任医師、CRUスタッフ、及び対象は、治療の割り当てに関して盲検化され、個々の治療の割り当ては無作為化される。治験薬剤師は、非盲検のままとする。
【0275】
実施例4:0.5g/kg、2g/kg、5g/kg、10g/kg、及び5g/kgのBID用量でのL267I FKRP変異マウスにおけるリビトールの1年間の経口投与
L276I FKRP変異を有するマウスにおいて、LGMD2iの追加モデルに対するリビトールの効果を評価した。L276I変異マウスを、0.5g/kg、2g/kg、5g/kg、及び5g/kg BIDの1日単回投与で、軽度のジストロフィー表現型が検出可能な8週齢からの強制経口投与によりリビトールで治療した。治療期間は1年であった。リビトールを生理食塩水に溶解し、経口強制経口投与した。上述の同じ方法を適用して、マトリグリカン及び筋病理の発現を評価した。
【0276】
図14は、クレアチンキナーゼ(筋肉損傷の一般的なマーカー)が、リビトールの用量が増加すると減少することを示す。
図15は、免疫組織化学を用いて、マトリグリカンの用量依存的増加を示す。このデータは、クレアチンキナーゼの減少が、αDG上のマトリグリカン発現量の増加によるもので、筋繊維を安定化させ、クレアチンキナーゼの放出を妨げていることから生じることを示唆する。
【0277】
バイオマーカー変化に加えて、上記実施例2に記載されるように、2g/kg/日で統計的に有意な改善を有する臨床変化がマウスで観察された。P448Lマウスモデルでは、6カ月時点でのトレッドミル距離は50%増加し、走行時間は50~75%増加した(
図4A及び4B)。L276Iマウスでは、2g/kg/日でトレッドミルによる走行距離の14%の増加も観察された(
図7B及び7C)。
【0278】
したがって、少なくとも約0.5g/kg/日の1日用量は、CKを含むバイオマーカーの改善に有効であってもよく、少なくとも約2g/kg/日の1日用量は、臨床的利益をもたらし得る。
【0279】
実施例5:健康なボランティア研究-TK/AUC曝露に基づく有効用量の推定の確立:
0.5~2g/kg/日後の曝露は、他の研究のデータを使用して推定した。3g/kg/日後のリビトールの平均薬物動態パラメータを表15に示す。
【表15】
【0280】
3つの試験からの3g/kg/日後のリビトールの平均AUC(0-24)は、1090μg*h/mLであった。リビトールの曝露は用量に比例して増加するので、2g/kg/日での曝露は、727μg*h/mL[1090*2/3=727μg*h/mL]であると算出された。0.5mg/kg/日でのAUC(0-24)は、182μg*h/mL[1090*0.5/3=182μg/h/mL]であると算出された。
【0281】
実施例6:健康なボランティア研究
第I相試験では、実施例3に上述したように本質的に実施される。単回投与群の対象は、0.5、1.5、3、6、9、12、又は15グラムのリビトールを投与された(データは示さず)。これらの用量レベルでは、リビトールは忍容性良好であり、用量制限毒性は観察されなかった。反復投与群の対象は、1.5gを1日1回、3gを1日1回、3gを1日2回(q 12 h)、6gを1日2回(q 12 h)、及び9gを1日2回(q 12 h)投与された。曝露値を表16に提供する。3gのBID群の対象は、動物試験(182μg*/mL)によって設定された標的閾値についての定常状態AUC(0-24)値を達成した。
【表16】
【0282】
AUC0-24=182μg*h/mLにおける動物モデル試験の有効性を考慮すると、第I相試験は少なくともこのレベルの曝露を標的とした。健康なボランティア試験からの薬物動態データに基づいて、この曝露は、少なくとも3gのq 12時間(BID)のヒト用量で達成され得る。しかしながら、高用量は忍容性良好であった。ヒトにおける3gのBID(6g/日)の用量は、マウスにおける0.5g/kg/日と同様の曝露を有し、ヒトにおける9gのBID(18g/日)は、マウスにおける2g/kg/日に近い曝露を有した。
【0283】
実施例7:第II相患者試験-臨床試験データに基づく有効用量の特定/確認
リビトールは、6gを1日1回(QD)、6gを1日2回(BID)、又は12gのBIDのいずれかで投与されている14人の患者を伴う進行中の第II相試験で試験されている。データは、8人の対象(6g QD、n=4、6g BID、n=4)における3カ月間の治療曝露後に利用可能である。6gのQD又は6gのBIDでの治療は、低用量コホートの4人中4人及び高用量コホートの4人中3人において、両コホートの平均増加13%で、αDGのグリコシル化の増加を引き起こす(
図16)。更に、αDGの増加に関連していると思われる筋肉損傷の減少が、8人の対象全員で観察され、90日目に6gのQDコホートで平均90%、6gのBIDコホートで77%の減少が観察された(
図17参照)。12gのBIDコホートは、8日目にクレアチンキナーゼの平均減少が33%を示した。対象12人全員が、クレアチンキナーゼのベースラインからの減少を示した。若年の歩行可能な患者は、より高いベースラインのクレアチンキナーゼ値から開始し、最大の大きさの低下があった。減少は、8日目から90日目まで低下が続いており、観察可能であった。
【0284】
先行研究(Cataldi et al.,Nature Communications 9:3448(2018))において、グリコシル化の増加と筋肉の分解の減少とを結び付けるバイオマーカーのエビデンスは、αDG及びクレアチンキナーゼの組み合わせが説得力のあるものである。
【0285】
有効性試験は継続中である。歩行能力試験のための10メートル歩行試験(MWT)、肉眼的運動機能のためのNSAD、上肢機能のためのPUL2.0、及び呼吸機能のための肺活量測定の改善が観察された(表17)。公表された自然経過に関するデータは、標準的な運動転帰で検出できるFKRP変異を有する成人において、運動機能における遅い年次低下があることを示唆しているが、小児集団の変化は最も可変であり、遺伝子型によって影響を受ける(Gedlinske,et al,2020)。3カ月時点での増加及び安定性が実証され、追跡継続が計画されている。
【0286】
患者報告による90日間の治療期間の筋肉疲労の減少は、患者8人中7人で観察されている。これらの7/8人の患者は、毎日の日誌に記録され、1が疲労なしを示し、10が疲労の最大レベルである、1から10のスケールで記録して、減少を報告している。90日間にわたるコホート1の疲労の平均低下は、コホート2で1.3点及び1.5点であった(表17)。
【表17】
【0287】
実施例8:安全性及び薬物動態の臨床試験
臨床試験は、実施例3に記載されるように実施されたが、2回の追加用量のリビトール(9g及び15g)がSAD群に投与されたこと、すなわち、SAD用量は、0.5g、1.5g、3g、6g、9g、12g、及び15gのリビトールであった。この研究の結果は、曝露による線量の線形性を確認した。
【表18-1】
【表18-2】
【表18-3】
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】