(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】新規医薬化合物、その方法および使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/08 20060101AFI20231016BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231016BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20231016BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231016BHJP
A61P 15/14 20060101ALI20231016BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
C07D471/08 CSP
A61P43/00 111
A61K31/439
A61P35/00
A61P15/14
A61K45/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516234
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 IB2021058241
(87)【国際公開番号】W WO2022053998
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513303795
【氏名又は名称】ウニベルシダージ ド ポルト
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDADE DO PORTO
(71)【出願人】
【識別番号】523087777
【氏名又は名称】ファクルダージ ジ ファルマシア ダ ウニベルシダージ ジ リズボア
【氏名又は名称原語表記】FACULDADE DE FARMACIA DA UNIVERSIDADE DE LISBOA
(71)【出願人】
【識別番号】523087788
【氏名又は名称】ウニベルシダージ ペダゴージカ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDADE PEDAGOGICA
(71)【出願人】
【識別番号】523087799
【氏名又は名称】インスティトゥート ジ パトロジア イ イムノロジア モレクラール ダ ウニベルシダージ ド ポルト - アイピーエイティーアイエムユーピー
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTO DE PATOLOGIA E IMUNOLOGIA MOLECULAR DA UNIVERSIDADE DO PORTO - IPATIMUP
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】ルシーリア ヘレナ アタイジ サライヴァ
(72)【発明者】
【氏名】マリア ジョゼ ウンベリーノ フェヘイラ
(72)【発明者】
【氏名】シウヴァ ファビオ ムルホヴォ
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ ルイス ダ シウヴァ ボルジス コスタ
(72)【発明者】
【氏名】リリアナ ソフィア ゴメス ライムンド
(72)【発明者】
【氏名】アンジェラ パテルナ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアナ メイシェド カルヘイロス
【テーマコード(参考)】
4C065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA09
4C065AA19
4C065BB04
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH08
4C065HH09
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP01
4C065PP03
4C065PP12
4C065PP15
4C084AA19
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA81
4C084ZB26
4C084ZC41
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、一般式Iによる新規化合物または薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、水和物、溶媒和物、N-オキシド、立体化学的異性体形態、特にジアステレオ異性体、鏡像異性体もしくはアトロプ異性体、またはそれらの混合物、その多形体もしくはエステルに関する。本開示はまた、相同組換えDNA修復経路によって、ならびに野生型、変異、および他のBRCA1および/またはBRCA2の欠損によって影響を受ける状態の治療において、すなわち癌の療法または治療において使用するための、式Iの化合物またはそのプロドラッグを含む医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学または獣医学における使用のための、一般式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体、アトロプ異性体、多形体。
【化1】
(式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は、互いに独立して選択され;
R
1は、H、アルキル、アルケニル、アルキニルであり;
R
2は、アリール、アロイル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールカルボニルであり;
R
3は、Hまたはエチルであり;
R
4は、Hまたはエチルであり;
R
5は、COOR
6、CH
2OR
6、CONR
6R
7またはCH
2NR
6R
7であり;
R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルキニルであり;
R
7は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールである。)
【請求項2】
BRCA1および/またはBRCA2経路の阻害によって改善される疾患の療法または治療における使用のための、先行する請求項に記載の化合物。
【請求項3】
BRCA1および/またはBRCA2経路の破壊を介する相同組換えDNA修復のインヒビターとしての使用のための、先行する請求項の何れか一項に記載の化合物。
【請求項4】
BRCA1-BARD1相互作用の破壊を介する相同組換えDNA修復のインヒビターとしての使用のための、先行する請求項の何れか一項に記載の化合物。
【請求項5】
癌または腫瘍の予防、療法、または治療に、好適には固形腫瘍の療法、または治療における使用のための、先行する請求項の何れか一項に記載の化合物。
【請求項6】
乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、肺癌、膠芽細胞腫、または神経芽細胞腫の予防、療法、または治療における使用のための、先行する請求項の何れか一項に記載の化合物。
【請求項7】
トリプルネガティブ乳癌の予防、療法、または治療における使用のための、先行する請求項の何れか一項に記載の化合物。
【請求項8】
ただし、メチル(5R,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール-14-カルボキシレートおよびメチル(5,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール-14-カルボキシレートは除外される、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項9】
R
1は、H、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニルまたはC
1-C
6アルキニルから選択される、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項10】
R
2は、ヘテロアリールである、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項11】
R
2は、ピリジンである、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項12】
R
2は、置換ハロゲン有するピリジンである、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物
【請求項13】
R
2は、5-ブロモピリジンである、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項14】
R
3は、Hであり、R
4は、エチルである、先行する請求項に記載の使用のための化合物。
【請求項15】
R
3は、エチルであり、R
4は、Hである、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項16】
R
5は、COOR
6、CONR
6R
7から選択される、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項17】
R
6は、H、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニルまたはC
1-C
6アルキニルから選択される、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項18】
R
7は、H、アルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択される、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項19】
R
7は、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニルまたはC
1-C
6アルキニルから選択される、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項20】
R
5は、COOR
6であり、R
6は、メチルである、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項21】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は、互いに独立して選択され、
R
1は、Hであり;
R
2は、ヘテロアリールであり;
R
3は、Hまたはエチルであり;
R
4は、Hまたはエチルであり;
R
5は、COOR
6またはCONR
6R
7であり、
R
6は、Hまたはアルキルであり;
R
7は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールである、
先行する請求項に記載の使用のための化合物。
【請求項22】
R
7は、H、アルキル、アルケニル、アルキニルである、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項23】
メチル(5R,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール-14-カルボキシレートまたはメチル(5,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール-14-カルボキシレートである、先行する請求項の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項24】
化学保護剤としての使用のための、先行する請求項の何れか一項に記載の化合物。
【請求項25】
薬学的に有効な担体および治療有効量の請求項1~24の何れか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項26】
化学療法剤を更に含む、先行する請求項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
局所、経口、非経口、または注射可能な経路を介して投与される、先行する請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般式Iによる新規化合物または薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、水和物、溶媒和物、N-オキシド、立体化学的異性体形態、特にジアステレオ異性体、鏡像異性体もしくはアトロプ異性体、またはそれらの混合物、その多形体もしくはエステルに関する。本開示はまた、相同組換えDNA修復経路によって、ならびに野生型、変異、および他のBRCA1およびBRCA2の欠損によって影響を受ける状態の治療において、すなわち癌の療法または治療において使用するための、式Iの化合物またはそのプロドラッグを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
標的療法は、個別化された癌治療の基礎を示し、抗癌剤開発のこの分野への世界的な投資を正当化する。標的療法は、通常の化学療法とは異なり、急速に分裂しているすべての正常細胞および癌細胞に無差別に作用することによって非特異的な方法で細胞死を誘導するのではなく、特定の分子標的に作用する。したがって、従来の化学療法と比較して、標的療法は、正常細胞に対して低い毒性を呈し、患者に対する不所望な副作用を減少させる。標的DNA修復療法は、合成致死性の概念を介するDNA修復経路における欠陥を探索することによって、化学増感剤または放射線増感剤として使用される有望な戦略として出現している。このアプローチは、癌細胞における変異によって誘導される表現型に類似した、生存性と対応する、特定の遺伝子産物の存在に依存する。特定の遺伝子産物は、異なる遺伝子における第2の機能不全と組み合わされると、細胞死をもたらす。したがって、これらの治療は、健康な細胞に対する副作用を最小限に抑えて、癌細胞を特異的に標的とする。
【0003】
BRCA1およびBRCA2(BRCA1/2)腫瘍抑制遺伝子は、分子リスクシグネチャーおよびいくつかの癌タイプにおける予後バイオマーカーの両方として、関連する役割を有する。実に、ゲノムの完全性の維持におけるそれらの重要な役割のために、変異または低発現レベルのいずれかによる、機能不全のBRCA1/2活性は、多様な遺伝性癌および散発性癌タイプ、すなわち乳癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、喉頭癌、および卵管癌を発症する高いリスクと関連する。実際、BRCA1/2は、いくつかの細胞プロセスを調和させ、相同組換えによるDNA修復に重要な役割を果たしている。特に、BRCA1は、その結合パートナーであるBARD1と関連してこれらの役割を果たす。BARD1は、BRCA1を安定化させて、核に閉じ込め、主に相同組換えによってDNA二本鎖切断の修復を促進する。そのようなものとして、BRCA1-BARD1ヘテロ二量体が破壊されると、BRCA1の正常な機能が失われて、BRCA1、BARD1、および他の主なDNA修復因子の発現が減少する。
【0004】
腫瘍形成における機能的なBRCA1および/またはBRCA2経路の関連性にもかかわらず、確立された腫瘍では、これが、DNA損傷修復経路の継続的な活性化による予後不良および療法抵抗性と関連している。実際、DNA修復の障害は発癌の主要な促進因子ではあるが、機能している修復経路が、癌患者の予後がより不良となることと関連していた。これと矛盾なく、欠陥のあるDNA修復経路は、細胞死を誘導するためにDNA損傷の誘導に依存する化学療法および放射線療法に対する癌細胞の感受性に、プラスに影響することができる。実に、BRCA1欠損癌は、鎖間架橋剤(例えば、白金およびアルキル化剤)およびアントラサイクリンなどの二本鎖切断誘導剤、ならびにポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼインヒビター(PARPi;例えば、オラパリブ、タラゾパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ)などの他のDNA標的剤に対して、高い感受性を有することが示された。実際、PARPiは、変異BRCA1形成を有する患者において、進行性および化学療法抵抗性の卵巣癌と、転移性のHER2陰性の乳癌の治療のために、既に承認されている。これにもかかわらず、DNA損傷修復因子の調節不全および過剰発現によって、細胞はPARPiの致死効果を回避する傾向がある。したがって、初期の反応は良好であるにもかかわらず、これらの治療は、抵抗性の発現により失敗する傾向がある。実際、ヘテロ接合性の変異BRCA1の形成を、またはヘテロ接合の喪失を伴う腫瘍は、DNA損傷修復活性(またはITS修復)、特に機能的な相同組換え経路が残存することに起因して、通常、PARPiおよびDNA損傷剤に対する抵抗性と関連している。
【0005】
臨床現場において、PARPiは、現在、BRCA1欠損癌の臨床研究の最前線にある。したがって、特に、治療抵抗性を回避するために、癌細胞をDNA損傷剤の効果に対して感作させる、より有効なDNA修復阻害剤が求められている。この分野において、BRCA1/2経路のインヒビターは、相同組換えDNA修復を不活性化し、抵抗性のある治療困難な癌に対して有望であることが明らかである。しかしながら、腫瘍形成におけるこれらのタンパク質の関連する役割にもかかわらず、それらの活性の有効なレギュレータは、依然として欠けている。
【0006】
これらの事実は、本開示によって対処される技術的問題を説明するために開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、医学または獣医学における使用のための、一般式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体、アトロプ異性体、多形体に関する。
【化1】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は、互いに独立して選択され;
R
1は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アロイル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールカルボニルであり;
R
2は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アロイル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールカルボニルであり;
R
3は、Hまたはエチルであり;
R
4は、Hまたはエチルであり;
R
5は、COOR
6、CH
2OR
6、CONR
6R
7またはCH
2NR
6R
7であり;
R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり;
R
7は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールであり、好適には、BRCA1および/またはBRCA2媒介の相同組換えDNA修復経路に関連する状態の治療において、特にBRCA1および/またはBRCA12の阻害を介する相同組換えのディスラプタとして使用される。
【0008】
一実施形態では、本開示の化合物は、BRCA1および/またはBRCA12経路の阻害によって改善される疾患の療法または治療に使用することができる。
【0009】
一実施形態では、R1は、H、アルキル、アルケニル、またはアルキニルから選択され、好適には、R1は、H、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニルまたはC1-C6アルキニルから選択される。
【0010】
一実施形態では、R2は、アリール、アロイル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールカルボニルから選択され、好適には、R2はヘテロアリールである。
【0011】
一実施形態では、R2はピリジンであり、より好適にはR2は置換ハロゲンを有するピリジンであり、より好適にはR2は5-ブロモピリジンである。
【0012】
一実施形態では、R3はHであり、R4はエチルである。
【0013】
一実施形態では、R3はエチルであり、R4はHである。
【0014】
一実施形態では、R5は、COOR6、CONR6R7から選択される。
【0015】
一実施形態では、R6は、H、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニルまたはC1-C6アルキニルから選択される。
【0016】
一実施形態では、R7は、H、アルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択される。
【0017】
一実施形態では、R7は、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニルまたはC1-C6アルキニルから選択される。
【0018】
一実施形態では、R5はCOOR6であり、R6はメチルである。
【0019】
一実施形態では、化合物は、メチル(5R,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ(methanoazecino)[5,4-b]インドール-14-カルボキシレートまたはメチル(5,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール-14-カルボキシレートである。
【0020】
一実施形態では、本開示の化合物は、BRCA1/2経路の破壊を介する相同組換えDNA修復のインヒビターとして使用することができる。
【0021】
一実施形態では、本開示の化合物は、BRCA1-BARD1相互作用の破壊を介する相同組換えDNA修復のインヒビターとして使用することができる。
【0022】
一実施形態では、本開示の化合物は、癌または腫瘍の予防、療法、または治療に使用することができる。
【0023】
一実施形態では、本開示の化合物は、固形腫瘍の予防、療法、または治療に使用することができる。
【0024】
一実施形態では、本開示の化合物は、乳癌の予防、療法、または治療に使用することができる。
【0025】
一実施形態では、本開示の化合物は、トリプルネガティブ乳癌の予防、療法、または治療に使用することができる。
【0026】
一実施形態では、本開示の化合物は、化学保護剤として使用することができる。
【0027】
本開示の別の態様は、薬学的に有効な担体および治療有効量の本開示の化合物を含む医薬組成物に関する。
【0028】
一実施形態では、本開示の医薬品は、化学療法剤を更に含むことができる。
【0029】
一実施形態では、本開示の医薬品は、局所、経口、非経口、または注射可能な経路を介して投与することができる。
【0030】
本開示の別の態様は、一般式(I)の化合物、または薬学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体、アトロプ異性体、多形体に関する。
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7は、互いに独立して選択され;
R1は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アロイル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールカルボニルであり;
R2は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アロイル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールカルボニルであり;
R3は、Hまたはエチルであり;
R4は、Hまたはエチルであり;
R5は、COOR6、CH2OR6、CONR6R7またはCH2NR6R7であり;
R6は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり;
R7は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり;
ただし、メチル(5R,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,4,6,5,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール-14-カルボンキシレートおよびメチル(5,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,3,4,5,6,7,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール-14-カルボキシレートは除外され、好適には医療に使用される。
【0031】
一実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7は、互いに独立して選択され:
R1は、Hであり;
R2は、ヘテロアリールであり;
R3は、Hまたはエチルであり;
R4は、Hまたはエチルであり;
R5は、COOR6またはCONR6R7であり;
R6は、Hまたはアルキルであり;
R7は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールである。
【0032】
本開示は、これまでに記載されたものとは全く異なる化学構造の相同組換えインヒビター、化合物の類似体に関する。
【0033】
一実施形態では、本開示は、BRCA1/2経路を阻害する能力、特にBRCA1-BARD1相互作用を破壊することによって阻害する能力を有する化合物(5R,および5S,6S,14S,E)-5-エチル-8-ヒドラゾノ-3,14-ジメチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール(以下COMP)に関する。
【0034】
一実施形態では、COMPは、ヒト癌細胞および異種移植マウスモデルの両方において強力な抗腫瘍活性を示す。特に、COMPは、依然として有効な治療選択肢を欠く治療困難な腫瘍、すなわちトリプルネガティブ乳癌および膵臓癌、予後不良および治療抵抗性と頻繁に関連する癌に対して、有望な抗腫瘍効果を示す。追加的に、COMPは、正常細胞において毒性が低く、動物モデルでは毒性の副作用を示さなかった。COMPは、特にBRCA1-BARD1相互作用の破壊、細胞周期停止の誘導、DNA修復因子のダウンレギュレーション、およびその後のDNA損傷および細胞死の増加によって、BRCA1/2経路の阻害を介して、相同組換えを不活性化する。COMPはまた、トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞をシスプラチンおよびオラパリブの効果に感作させ、それらのアポトーシス潜在性を増加させながら、それらの有効量を減少させる。重要なことに、COMPは、卵巣癌細胞の異種移植マウスにおいて有望なin vivo抗腫瘍活性を示し、明らかな不所望な毒性はない。これらの特性により、この化合物は、現在利用可能な他のDNA修復阻害剤と比較して、優れた分子プローブおよび抗癌剤候補となっている。最も重要なことは、BRCA1-BARD1相互作用を阻害するその能力によって、広範囲の癌患者、特に有効な治療選択肢がまだ欠ける癌患者の個別化治療のためのCOMPの有望な臨床応用を予測できる、全く新しい分子的アプローチが可能となることである。
【0035】
本開示の化合物の利点は、以下を含む:i)癌治療に一般的に関連する不所望な毒性の副作用を伴わずに、より効果的かつ選択的な化学薬品を使用することにより、抗癌治療ならびに患者の生活の質を改善する;ii)BRCA1/2経路を阻害することができ、その結果、癌細胞がDNA損傷を修復して成長する能力を阻害できる新しい分子を使用することによって、癌治療の恩恵を受けることができる癌患者の集団を拡大する可能性。
【0036】
一実施形態では、COMPは、相同組換えにおける、および他の癌関連プロセスにおけるBRCA1/2の関与を研究するために、癌研究分野における化学プローブとして使用される。
【0037】
一実施形態では、活性成分としてCOMPを含有する製剤は、DNA修復に依存するいくつかの耐性癌を治療するための有効な戦略であり得る。
【0038】
一実施形態では、本開示の化合物は、BRCA1/2経路の阻害、特にBRCA1-BARD1ヘテロ二量体の破壊による、完全に新しい作用モードを有する、相同組換えインヒビターの新しい化学ファミリーである。
【0039】
一実施形態では、本開示の化合物は、現在臨床使用が承認されている他のDNA修復標的療法よりも、高い抗腫瘍効果を提示する。
【0040】
一実施形態では、本開示の化合物は、トリプルネガティブ乳癌および膵臓癌のような、依然として効果的な治療レジメンを欠く治療困難な癌に対する有望な抗腫瘍組成物である。
【0041】
一実施形態では、本開示の化合物は、従来の化学療法剤およびPARPiと組み合わせて有望な相乗効果を有する。
【0042】
一実施形態では、本開示の化合物は、従来の化学療法とは異なり、正常細胞において低い毒性を有し、明らかな不所望な毒性の副作用を有さない。
【0043】
用語「アルキル」は、本明細書において、飽和直鎖状、分岐状、または環状アルキル基を意味するために使用される。
【0044】
用語「アルケニル」は、本明細書において、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素を意味するために使用される。
【0045】
用語「アルキニル」は、本明細書において、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素を意味するために使用される。
【0046】
用語「アリール」は、本明細書において、ベンゼン、ナフタレンなどを含むがこれらに限定されない任意の炭素ベースの芳香族基である。アリール基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化物、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸、ケトンまたはアルコキシを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換され得る。
【0047】
用語「ヘテロアルキル」は、本明細書において、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子(例えば、O、N、またはS原子)で置換されたアルキル基を意味するために使用される
【0048】
用語「アロイル」は、本明細書において、アリールカルボニル基を意味するために使用される。
【0049】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書において、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むアリール基を意味するために使用される。
【0050】
用語「ヘテロアリールカルボニル」は、本明細書において、ヘテロアリールカルボニル基を意味するために使用される。
【0051】
以下の図は、開示を説明するための好適な実施形態を提供するものであり、本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】(5R,および5S,6S,14S,E)-5-エチル-8-ヒドラゾノ-3,14-ジメチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール(COMP)の一般構造である。
【
図2】ヒト不死化正常(MCF10aおよびHFF-1)および癌細胞株(T47D,MCF-7,MDA-MB-231,MDA-MB-468,SK-BR-3およびHCC193,OCVAR,SKOV-3,SK-BR-3,IGROV-1およびHeLa,PANC-1,MIAPACA,SHSY-5Y,NCI-H460,VCaP,A375,SKI-MEL-5およびSF-208)のパネルにおけるCOMPの成長阻害効果を示す。IC50値は、COMPで48時間の処理後に、SRBアッセイで決定した。データは、平均±SEM(n=5)である。
【
図3】48時間の処理後にSRBアッセイによって決定された、正常(MCF10aおよびHFF1)細胞と比較した、卵巣およびトリプルネガティブ乳癌細胞に対するCOMPの成長阻害効果についての濃度-反応曲線の間の有意差を示す。データは平均±SEM(n=5)である;DMSOで得られた成長を100%とした;正常細胞から得られた値は、癌細胞と有意に異なる;
***P<0.001(一元配置分散分析およびその後のダネット検定)。
【
図4】処理の8日後(MDA-MB-231およびIGROV-1)および16日(HCC1937)後の、(A-B)癌細胞のコロニー形成に対するCOMPの効果を示す。Aに、代表的な実験を示す。Bに、コロニー形成の定量化を示す;DMSOで得られた成長を100%とした;データは平均±SEM(n=5)である;
*P<0.05および
***P<0.001は、DMSOと有意に異なる(二元配置分散分析およびその後のシダック検定)。
【
図5】COMPでの72時間の処理後の、(A-B)HCC1937マンモスフェア形成に対する、COMPの効果を示す;処理は、最長11日間の処理のために、HCC1937細胞の播種時、または(C-D)3日齢のHCC1937マンモスフェアで行った。AおよびCは、代表的な画像(スケールバー=50μm、100×倍率)である。BおよびDは、処理終了時のマンモスフェア領域を示す;データは平均±SEM(n=5);
*P<0.05および
***P<0.001は、DMSOと有意に異なる(スチューデントt検定)。
【
図6】トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞において、48時間の処理後に、相同組換え、増殖および化学療法抵抗性に関与する重要なタンパク質の発現(A-B)に対する、12μMのCOMPの効果を示す。Aは、ウェスタンブロット分析によって検出された代表的な免疫ブロットを示す;GAPDHをローディングコントロールとして使用した。Bは、DMSOに対するタンパク質発現レベルの定量化を示す;データは平均±SEM(n=3);
*P<0.05は、DMSOと有意に異なる(スチューデントt検定)。
【
図7】6および12μMのCOMPが、(A)細胞周期進行、(B)アポトーシス、および(C)ROS生成に及ぼす影響を、トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞において、48時間の処理後に示す;データは平均±SEM(n=5);数値は、DMSOと有意に異なる:
*P<0.05、
**P<0.01、
*P<0.001(二元配置分散分析およびその後のダネット検定)。細胞周期の期を、ヨウ化プロピジウム(PI)を使用したフローサイトメトリーによって分析し、FlowJoソフトウエアを使用して定量化した。アポトーシスおよびROSは、それぞれ、FITC-アネキシンV/PIおよび2´,7´-ジクロロジヒドロフルオレセイン ジアセテート(H2DCFDA)を使用して、フローサイトメトリーによって分析した。
【
図8】6および12μMのCOMPの、トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞のDNA損傷に対する効果を示すものであり、48時間の処理後に、コメットアッセイによって測定した。Aは、代表的な画像である(スケールバー=20μm;200×倍率)。Bは、テールDNAの割合(テールに5%を超えるDNAを有するコメット陽性細胞の割合)の定量化を示す。Cは、TriTek Comet ScoreイメージングソフトウエアV2.0を使用したテールモーメント(テールの長さとテールのDNAの%の積)の定量化を示す;データは平均±SEM(n=3-4;試料あたり200細胞);
*P<0.05は、DMSOと有意に異なる(二元配置分散分析およびその後のダネット検定)。
【
図9】染色体DR-GFPアッセイを使用した、MCF7 DR-GFP細胞における相同的組換え活性に対する、48時間の処理後の、2および6μMのCOMPの効果を示す。72時間の二本鎖切断誘導の後、MCF7 DR-GFP細胞をフローサイトメトリーによって分析し、GFP陽性細胞の割合を定量化した。データは、平均±SEM(n=4);
*P<0.05は、DMSOと有意に異なる:(一元配置分散分析とその後のダネット検定)。
【
図10】12μMのCOMPの、48時間の処理後の、(A)γH2AX発現レベルと、(B)γH2AXおよびRAD51病巣形成、ならびにBRCA1病巣形成および細胞局在に対する効果と、を示す。Aは、実施された3つの独立した実験のうちの1つの免疫ブロットを示す;ローディングコントロールとしてGAPDHを使用した。Bは、Fijiソフトウエアを使用して作成された代表的な画像である(スケールバー=100μm;400×倍率)。γH2AX(C)、RAD51(D)およびBRCA1(E)の病巣形成の定量化;データは平均±SEM(n=3;試料あたり100細胞);
*P<0.05は、DMSOと有意に異なる(スチューデントt検定)。
【
図11】トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞における、COMPによるBRCA1-BARD1相互作用の破壊を示す。12および20μMのCOMPで、18時間(MDA-MB-231およびHCC1937細胞において)および24時間(IGROV-1細胞において)処理したMDA-MB-231(A)、HCC1937(B)およびIGROV-1(C)細胞において、(A~D)Co-IPを実施した。Pierce classic magnetic IPおよびキットを使用してアッセイを行い、その後ウェスタンブロット検出を行った。A~Cに、代表的な免疫ブロットを示す;全細胞ライセート(インプット)。Dは、DMSO(1として)に対するBARD1の定量化を示す;IPからのBRCA1を、ローディングコントロールとして使用した;データは平均±SEM(n=3);
*P<0.05はDMSOと有意に異なる(スチューデントt検定)。
【
図12】COMPによるHCC1937細胞移動の防止を示す。コンフルエントな細胞を、1.9μMのCOMPまたはDMSOで処理し、創傷治癒アッセイにおいて異なる時間ポイントで観察した(スケールバー=50μmおよび倍率=100×)。
【
図13】COMPが、トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞を、シスプラチン(CDDP)およびオラパリブの効果に対して感作させることを示す。細胞を、CDDPおよびオラパリブ単独の濃度で処理し、MDA-MB-231(A)、HCC1937(B)およびIGROV-1(C)中の単一濃度のCOMP(細胞の成長に有意な影響なし)と組み合わせて処理した。48時間の処理後に、SRBアッセイで細胞増殖を測定した;コントロール(DMSO)で得た成長を100%とした。データは平均±SEM(n=6);
*P<0.05は、化学療法薬単独と有意に異なる(二元配置分散分析およびその後のシダック検定)。各併用処理に対する併用指数(CI)および用量減少指数(DRI)は、CompuSynソフトウエアを使用して計算した(CI<1、相乗効果;1<CI<1.1、相加効果;CI>1.1、拮抗効果);データは、6つの独立した実験の平均値効果を使用して計算した。
【
図14】COMPのin vivo抗腫瘍活性を示す。IGROV-1細胞を担持する、C57BL/6-Rag2-/-IL2rg-/-異種移植マウスを、ビヒクル(コントロール)、または2mg/kgのCOMPもしくは50mg/kgのオラパリブで、週3回腹腔内注射(計7回投与)によって処理した。触知可能な腫瘍が確立した時点で、処理を開始した(~100mm3)。Aは、COMP、オラパリブまたはビヒクルで処理した異種移植マウスの、腫瘍量曲線を示す;各データポイントの腫瘍量を開始腫瘍量で除することによって、対照群と処理群に対する相対腫瘍量をプロットした;値は、ビヒクルと有意に異なる:
*P<0.0001(チューキー多重比較検定による二元配置分散分析)。Bは、各条件下で処理中に測定されたマウスの体重を示しており、ビヒクル処理マウスとCOMP処理マウスの体重間に有意差は認めなかった(p>0.05;対応のないスチューデントt検定)。Cは、COMPまたビヒクルで処理した動物の脾臓、肝臓、心臓および腎臓の重量を示す。A-Cでは、データは平均±SEM、n=13匹である。BおよびCでは、値はビヒクルと有意差がない:P>0.05(チューキー多重比較検定による二元配置分散分析)。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本開示は、BRCA-1および/またはBRCA1-2経路の不活性化を介して、特にBRCA1-BARD1相互作用の破壊およびBRCA2活性の破壊によって、相同組換えDNA修復を阻害する化合物に関する。
【0054】
一実施形態では、本開示の化合物は、一般式(1)での、(5R,および5S,6S,14S,E)-5-エチル-8-ヒドラゾノ-3,14-ジメチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール(COMP)である。
【化2】
式中、
R
1は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アロイル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールカルボニルから選択され;
R
2は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アロイル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールカルボニルから選択され;
R
3は、Hまたはエチルから選択され;
R
4は、Hまたはエチルから選択され;
R
5は、COOR
6、CH2OR
6、CONR
6R
7またはCH
2NR
6R
7から選択され;ここで、
R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールから選択され;
R
7は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールから選択され、
BRCA1/A2媒介の相同組換えDNA修復経路において使用する。
【0055】
一実施形態では、5Rエピマーは、R3はHであり、R4はエチルであることによって表される。
【0056】
一実施形態では、5Sエピマーは、R3はエチルであり、R4はHであることによって表される。
【0057】
一実施形態では、化合物(5R,および5S,6S,14S,E)-5-エチル-8-ヒドラゾノ-3,14-ジメチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドールの類似体は、DNA修復経路およびBRCA1/2の研究分野における分子プローブとして使用することができ、化学予防として、腫瘍形成を抑制し、または化学療法として、腫瘍の進行を抑制し、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、肺癌、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫を含むいくつかの癌の種類の播種を抑制する。この化合物、またはその薬学的に許容される塩は、DNA修復阻害剤、特に相同組換え修復経路の、完全に新しい化学ファミリーを表し、抗癌剤として高い効力を有する。最も興味深いのは、BRCA1-BARD1相互作用の破壊を介する、BRCA1阻害の新しい作用機序を提示し、癌細胞に対する高い選択性を有することである。さらに、本明細書において開示される化合物は、明らかな不所望な毒性副作用を有さない。全体として、この技術によって、抗癌療法と患者の生活の質が向上し、特に有効な治療法がまだ欠ける癌患者に対して、癌治療の恩恵を受けることができる癌患者を増やすことが可能である。
【0058】
好適な一実施形態では、メチル(5R,および5S,6S,14S,E)-5-エチル-8-ヒドラゾノ-3,14-ジメチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドールは、BRCA1/2媒介のDNA修復に、特に相同的DNA組換えに関連する状態の治療用に使用される。
【0059】
一実施形態では、本開示はまた、治療有効量の本開示の化合物を含み、薬学的に有効な担体を更に含む医薬組成物に関する。
【0060】
一実施形態では、本開示の化合物を含む医薬組成物は、化学療法剤を更に含む。
【0061】
実施形態では、本開示の化合物、または本開示の化合物を含む医薬組成物は、化学保護剤として使用することもできる。
【0062】
一実施形態では、本開示の化合物、または本開示の化合物を含む医薬組成物は、局所、経口、非経口または注射可能な経路を介して投与される。
【0063】
一実施形態では、COMP「メチル(5R,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール-14-カルボキシレート」は、アフリカの薬用植物、Tabernaemontana elegans(キョウチクトウ科(Apocynaceae))のアルカロイド画分から得られる天然物である、モノテルペン インドール アルカロイド ドレガミン(monoterpene indole alkaloid dregamine)を、スキーム1にしたがって誘導体化することにより調製した。
【0064】
一実施形態では、ドレガミン(1mmol)を、5-ブロモ-2-ヒドラジノピリジン(3mmol)および触媒量の酢酸を含むMeOH(3mL)に溶解した。混合物を還流下で24時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで抽出し、有機層を合わせて乾燥した(Na2SO4)。溶媒を真空下40℃で除去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酸化アルミニウム、n-ヘキサン/CH2Cl2 1:0~1:1)により精製して化合物1を得た。
IR (NaCl) vmax 3601, 1728, 1637 cm-1;
HRTOFESIMS m/z 546.1473 [M + Na] + (calcd for C26H30BrN5O2Na, 546.1481);
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.88 (1H, s, N-H), 8.15 (1H, d, J = 2.0 Hz, H-6′), 7.64 (1H, dd, J = 8.9, 2.1 Hz, H-4′), 7.57 (1H, d, J = 7.9 Hz, H-9), 7.27 (1H, m, H-12), 7.22 (1H, m, H-11), 7.18 (1H, d, J = 8.7 Hz, H-3′) 7.09 (1H, t, J = 7.5 Hz, H-10), 3.96 (1H, td, J = 8.1, 3.0 Hz, H-5), 3.20 (1H, dd, J = 14.6, 8.3 Hz, H-6a), 3.01 (1H, dd, J = 14.6, 8.3 Hz, H-6b), 2.75 (4H, m, H-14, H-15, H-16), 2.60 (3H, s, -COOMe), 2.54 (3H, s, N-Me), 2.50 (1H, m, H-21a), 2.43 (1H, m, H-21b), 1.81 (1H, m, H-20), 1.41 (2H, m, H-19), 1.02 (3H, t, J = 7.3 Hz, H-18) ppm.
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 171.1 (-COOMe), 155.6 (C-3), 148.1 (C-6′), 142.1 (C-2′), 140.5 (C-4′), 135.8 (C-13), 133.0 (C-2), 129.8 (C-8), 124.2 (C-11), 119.6 (C-10), 118.8 (C-9), 114.2 (C-7), 110.5 (C-12), 109.9 (C-5′), 109.2 (C-3′), 58.0 (C-5), 50.4 (-COOMe), 48.9 (C-16), 48.2 (C-21), 43.3 (C-20), 42.5 (N-Me), 32.1 (C-14), 31.2 (C-15), 24.0 (C-19), 19.8 (C-6), 12.2 (C-18) ppm.
【0065】
スキーム1
試薬および条件:i)MeOH中の5-ブロモ-2-ヒドラジノピリジン(3当量)、酢酸(触媒)、還流、24時間。
【化3】
【0066】
【0067】
【0068】
一実施形態では、化合物、メチル(5R,6S,14S,E)-8-(2-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヒドラジンイリデン)-5-エチル-3-メチル-2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-1H-2,6-メタノアゼシノ[5,4-b]インドール-14-カルボキシレート(COMP;
図1)は、異なるBRCA1/2の状態(野生型、変異およびヘテロ接合性の喪失)を発現する腫瘍細胞の成長を阻害した。しかしながら、この化合物は、正常細胞に対する増殖抑制効果は、はるかに低い(表2、
図2)。
【0069】
一実施形態では、COMP化合物の活性を、ヒト正常細胞株および癌細胞株のアレイにおいて試験した(表2、
図2)。化合物のIC
50(50%の成長阻害を起こす化合物の濃度)値は、乳癌細胞(T47D、MCF-7、MDA-MB-231、MDA-MB-468、SK-BR-3およびHCC1937)では、4.4μM~12μMの範囲であり、卵巣および子宮頸癌細胞(OCVAR、SKOV-3、SK-BR-3、IGROV-1およびHeLa)では4.6~13.9μM、膵臓癌細胞(PANC-1およびMIAPACA)では4.5μM、および神経芽細胞腫細胞(SHSY-5Y)では4.5μMであった(表2)。得られた結果は、乳癌(特にトリプルネガティブ乳癌)、卵巣癌、膵臓癌、神経芽細胞腫、肺癌、前立腺癌、皮膚癌、膠芽細胞腫を含む、個別のタイプの癌に対する化合物の有望な抗腫瘍活性を示した(表2、
図2)。さらに、本化合物のIC50値は、正常なヒト細胞では、MCF10aおよびHFF-1において各々29.5および33.6μMのIC50値を示し、有意により高い(
図3)。追加的に、患者由来の卵巣癌細胞に対するCOMPのIC
50値も評価し(表2)、2.68μM~15.1μMの範囲であった。
【0070】
乳癌細胞および卵巣癌細胞に対するCOMPの有効性は、シスプラチン(CDDP、トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌患者に臨床的に使用される)およびオラパリブ(変異BRCA1関連乳癌および卵巣癌に対して承認されている)と比較した場合に、証明される。さらに、CDDPとは異なり、COMPの抗増殖効果は、癌細胞の選択性が高いと思われ、正常細胞に対する効果は明らかにより低い(表1)。重要なことに、COMPは、BRCA1の状態にかかわらず、検査したすべての癌細胞において、オラパリブよりもはるかに有効であることが示されている(表2)。
【0071】
表2は、ヒト不死化乳癌細胞(T47D、MCF-7、MDA-MB-231、MDA-MB-468、SK-BR-3およびHCC1937)、卵巣および子宮頸癌細胞(OCVAR、SKOV-3、SK-BR-3、IGROV-1およびHeLa)、膵臓癌細胞(PANC-1およびMIAPACA)、神経芽細胞腫細胞(SHSY-5Y)、肺癌細胞(NCI-H460)、前立腺癌細胞(VCaP)、黒色腫細胞(A375およびSK-MEL-5)および膠芽細胞腫細胞(SF-208)、不死化正常MCF10aおよびHFF1ヒト細胞、ならびに患者由来の卵巣(PD-OVCA#1、#9、#41、#49および#62)癌細胞のパネルにおける、COMP、オラパリブおよびシスプラチン(CDDP)の成長阻害効果を示す。半最大阻害濃度(IC50)値は、スルホローダミンB(SRB)アッセイまたはCellTiter96(登録商標)Aqueous one solution cell proliferation (MTS)アッセイによって、不死化またはPD-OVCA細胞に対して各々、COMPでの48時間の処理後に測定した。データは平均±SEM(n=5)である。
【0072】
【0073】
一実施形態では、IC50値は、不死化細胞およびPD-OVCA細胞において各々、スルホローダミンB(SRB)またはMTS[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルフォフェニル)-2Hテトラゾリウム]アッセイによって決定した。癌細胞を96ウェルプレートにプレーティングし、24時間インキュベートした。その後、細胞を化合物の連続希釈液に48時間曝露した。これらのアッセイで使用した最大濃度(0.025%)に相当する溶媒DMSOは、コントロールとして含まれた。結果は、3~5回の独立した実験の平均±S.E.M.である。
【0074】
一実施形態では、コロニー形成アッセイが実施された。トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞の生存性に対するCOMPの顕著な阻害効果は、コロニー形成アッセイによって更に実証された。ここでも、BBTI20は、癌細胞のコロニー形成能力を有意に低下させた(
図4A~B)。
【0075】
一実施形態では、COMPは、HCC1937細胞から生成された3D-マンモスフェアモデルにおけるマンモスフェア形成を有意に阻害し、播種時に添加すると、6μMでスフェロイド形成の完全な消滅をもたらした(
図5A~B)。さらに、6μMおよび12μMのCOMPは、3日経過したスフェロイドにおけるマンモスフェアの成長を顕著に減少させ、12μMでマンモスフェアの崩壊を誘発した(
図5C~D)。
【0076】
一実施形態では、COMP化合物は、トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞において、相同DNA修復、増殖、化学療法抵抗性、誘導された細胞周期停止、アポトーシスおよびROS生成に関与する重要なタンパク質の発現を調節した。12μMのCOMPは、DNA損傷修復に関連するタンパク質、特にBRCA1、BRCA2、RAD51、RAD52、FANCD2、pATM、pATRの発現レベル、ならびに治療抵抗性に関連するタンパク質(すなわち、CDK2、サバイビン、BARD1、RAD51およびFAND2;
図6A~B)を有意に減少させたと示された。さらに、トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞におけるCOMP抗増殖効果は、48時間の処理後に、G0/G1-(MDA-MB-231細胞において)、S-およびG2/M-(HCC1937およびIGROV-1細胞において)相(
図7A)での、細胞周期停止の誘導、およびp21(
図6A~B)の発現増加と関連していたと示された。
【0077】
一実施形態では、COMP処理細胞は、PUMAおよび切断型PARPタンパク質発現レベル(
図6A~
図6B)およびアネキシンV陽性細胞(
図7B)の増加によって明らかなように、アポトーシス細胞死において有意な増加を示した。
【0078】
一実施形態では、COMPは、COMP処理癌細胞におけるROS生成を、用量依存的に増加させる(
図7C)。
【0079】
一実施形態では、COMPは、相同組換えDNA修復を減少させ、BRCA1-BARD1相互作用を破壊した。6μMおよび12μMのCOMPは、MDA-MB-231、HCC1937およびIGROV-1細胞において、特にテールDNA(
図8AおよびB)およびテールモーメント(
図8AおよびC)で、コメット陽性細胞の割合を有意に増加させた。COMP処理細胞は、相同組換えに対して、2μMおよび6μMのCOMPで処理したMCF7 DR-GFP癌細胞で観察されたように、相同組換えDNA修復能の顕著な低下を呈した(
図9)。
【0080】
一実施形態では、12μMのCOMPは、MDA-MB-231、HCC1937およびIGROV-1細胞において、リン酸化(Ser139)ヒストンH2AX(γH2AX)の量(
図10A)およびγH2AX陽性病巣形成数(
図10BおよびC)を増加させた。
【0081】
一実施形態では、RAD51病巣形成の著しい減少もまた、COMP処理癌細胞における免疫蛍光分析によって観察できた(
図10BおよびD)。
【0082】
一実施形態では、12μMのCOMPは、MDA-MB-231、HCC1937およびIGROV-1細胞において、BRCA1の核細胞質転座(nucleocytoplasmic translocation)を誘発した(
図10BおよびD)。この結果は、12および20μMのCOMPで処理した場合の、MDA-MB-231(
図11AおよびD)、HCC1937(
図11BおよびD)、およびIGROV-1(
図11CおよびD)細胞におけるBRCA1-BARD1相互作用の破壊に起因する可能性がある。
【0083】
一実施形態では、COMPは、トリプルネガティブ乳癌細胞の細胞遊走を防止した。HCC1937細胞の遊走能に対するCOMPの効果も研究した。創傷治癒アッセイにおいて、1.9μM(細胞の生存性に有意な影響を与えない濃度)で、COMPは、HCC1937細胞の創傷閉鎖を有意に減少させた(
図12)。
【0084】
一実施形態では、COMPは、成長阻害効果の増強およびCOMPとCDDPまたはオラパリブとの間の有望な相乗効果(CI<1)によって示されるように、トリプルネガティブ乳癌および卵巣癌細胞をCDDPおよびオラパリブの効果に対して感作させ、それに伴って、化学療法剤の有効用量を顕著に減少させる(
図13A~C)。
【0085】
一実施形態では、COMPは、卵巣癌細胞の異種移植マウスモデルにおいて抗腫瘍活性を示した。異種移植マウスモデルを使用したin vivo研究は、2mg/kgのCOMPを7回投与した後、ビヒクルまたは50mg/kgのオラパリブ投与と比較して、IGROV-1腫瘍の成長が有意に阻害されることを示した(
図14A)。追加的に、体重(
図14B)および臓器重量(
図14C)の有意な変化は、ビヒクルと比較して、COMP処理マウスにおいて観察されなかった。
【0086】
【0087】
本発明の好適な実施形態は、説明のために開示されてきた。しかしながら、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、多様な変更、追加および置換が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲とその均等範囲とによって定義される。
【0088】
本明細書で使用される用語「含む」は、記載の特徴、整数、工程、構成要素の存在を示すことを意図しているが、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程、構成要素、またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。
【0089】
本明細書で別段の指示がない限り、記載された工程の特定の順序は例示にすぎず、本開示から逸脱することなく変更することができることが、当業者には理解されよう。したがって、特に明記しない限り、記載された工程は順序付けされておらず、可能であれば、工程は、任意の都合のよい、または望ましい順序で実施することができることを意味する。
【0090】
特に除外されない場合には、特許請求の範囲の記載において単数形の要素または特徴が使用される場合、複数形もまた含まれるものであり、逆もまた同様である。例えば、用語「化合物」または「前記化合物」は、複数形「化合物」または「前記化合物」も含み、逆もまた同様である。特許請求の範囲において、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、反対の指示がない限り、または文脈から明らかでない限り、1つまたは複数を意味することができる。群の1つまたは複数の要素間で、「または」を含む特許請求の範囲または記載は、反対の指示がない限り、または文脈から明らかでない限り、その群の要素の1つ、2つ以上、または全てが、所定のプロダクトまたはプロセスに存在し、採用され、または関連している場合に、満足するとみなされる。本発明はまた、群の要素の2つ以上、または全てが、所定のプロダクトまたはプロセスに存在し、採用され、または関連する実施形態を含む。
【0091】
さらに、本発明は、1つまたは複数の請求項から、または明細書の関連部分からの1つまたは複数の制限、要素、条項、記述用語などが別の請求項に導入される、全ての変形、組み合わせ、および置換を含むことを理解されたい。例えば、別の請求項を引用する請求項は、同じ基本となる請求項を引用する他の請求項に見られる1つまたは複数の限定を含むように変更することができる。
【0092】
さらに、特許請求の範囲に組成物が記載されている場合、別段の指示がない限り、または矛盾または不整合が生じることが当業者にとって明らかでない限り、本明細書に開示されている目的のいずれかのために組成物を使用する方法、および本明細書に開示されている作成方法のいずれかにしたがってこの組成物を作成する方法、または当該技術分野において既知の他の方法が含まれる、と理解されるべきである。
【0093】
範囲が与えられている場合は、終点が含まれる。さらに、別段の指示がない限り、または文脈および/または当業者の理解から明らかでない限り、また文脈上明らかにそうでない場合を除き、範囲として表された値は、本発明の異なる実施形態において記載された範囲内の任意の特定の値を、範囲の下限の単位の10分の1まで想定できることが理解される。また、別段の指示がない限り、または文脈および/または当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表された値は、与えられた範囲内の任意のサブレンジを想定することができ、サブレンジの終点は、範囲の下限の単位の10分の1と同じ程度の精度で表現されることが理解される。
【0094】
本開示は、記載された実施形態に限定されるとみなされるべきではない。当業者は、それらの変更に対する多くの可能性を予測するであろう。
【0095】
上述の実施形態は、組み合わせ可能である。
【0096】
以下の請求項は、本開示の特定の実施形態を更に記載する。
【国際調査報告】