(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】レリーフ構造の所望の特徴を得るために使用される露光時間および/または強度を決定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20231016BHJP
B41C 1/055 20060101ALI20231016BHJP
H05K 3/06 20060101ALN20231016BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
G03F7/20 511
B41C1/055
H05K3/06 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023518409
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2021077300
(87)【国際公開番号】W WO2022069767
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518216205
【氏名又は名称】エクシス プリプレス エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】レンセン, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】デ ラウ, ディルク ルード ジュリエン
(72)【発明者】
【氏名】フライシャー, ダニエル
【テーマコード(参考)】
2H084
2H197
5E339
【Fターム(参考)】
2H084AA30
2H084AA32
2H084BB04
2H084BB13
2H084CC01
2H197BA11
2H197CA02
2H197CA03
2H197CA04
2H197CA05
2H197CA07
2H197CA18
2H197CE01
2H197DB06
2H197HA01
2H197HA02
2H197HA03
2H197HA07
2H197HA08
2H197JA14
5E339AA02
5E339AB02
5E339BE11
5E339CC01
5E339EE10
(57)【要約】
レリーフ構造の所望の特徴、特に所望のフロア厚さを得るために使用される露光時間および/または強度を決定するための方法であって、レリーフ前駆体の第1の側を電磁放射線で露光するステップであって、露光が、第1の位置Aおよび第2の位置Bを有する領域内で実行され、第1の位置Aと第2の位置Bとの間の複数の点について、露光時間および露光強度の値が既知であるように実行され、かつ前記複数の点において露光時間および/または露光強度が変化するように自動的に制御される、ステップと、前記複数の点のうち、所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップと、決定された1つ以上の点および既知の値に基づいて、所望の特徴の必要な露光時間および/または露光強度を決定するステップとを含む、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーフ構造の所望の特徴、特に所望のフロア厚さを得るために使用される露光時間および/または露光強度を決定するための方法であって、
レリーフ前駆体の第1の側を電磁放射線で露光するステップであって、前記露光が、第1の位置Aおよび第2の位置Bを有する領域内で行われ、かつ前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の複数の点について、前記露光時間および前記露光強度の値が既知であるように実行され、前記露光時間および/または前記露光強度が、前記複数の点において変化するように自動的に制御される、ステップと、
任意選択で、前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の部分で、前記レリーフ前駆体の第2の側を露光するステップと、
任意選択で、前記レリーフ前駆体の非露光材料を除去することによって前記レリーフ前駆体を現像するステップと、
任意選択で、現像された前記レリーフ前駆体を乾燥させるステップと、
任意選択で、現像された前記レリーフ前駆体を硬化させるステップと、
前記複数の点のうち前記所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップと、
決定された前記1つ以上の点および前記既知の値に基づいて、前記所望の特徴に必要な露光時間および/または露光強度を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の側が背面であり、前記所望の特徴が所望のフロア厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記露光するステップが、前記位置Aと前記位置Bとの間の方向、好ましくは前記レリーフ前駆体の長さ方向に延びる方向で連続的に行われることにより、前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間に連続的な露光領域が形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記レリーフ前駆体の非露光材料を除去することによって前記レリーフ前駆体を現像するステップを含み、前記複数の点のうち前記所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップが、前記現像するステップの後に行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記露光時間および前記露光強度が、前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の線に沿った位置の関数として既知である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記関数が、線形関数またはステップ関数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
任意選択の前記現像するステップの前に、最大露光時間中に所定の強度で前記第1の側から第1の基準領域を露光し、および/または前記第1の側から第2の基準領域を露光しないステップと、前記現像するステップの後に、前記第1および/または前記第2の基準領域を確認するステップと、必要な場合、任意選択で前記確認するステップに基づいて補正係数を決定するステップとをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の基準領域が、電磁放射線に対して不透明な層によって覆われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
任意選択の前記現像するステップの前に、所定の露光時間中に所定の強度で前記第2の側から第3の基準領域を露光するステップと、前記現像するステップの後に、前記第3の基準領域を確認するステップと、必要な場合、任意選択で前記確認するステップに基づいて補正係数を決定するステップとをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記前駆体の前記第2の側が、電磁放射線に対して不透明な層によって覆われ、前記第3の基準領域が、前記層によって覆われていないか、または前記層が、前記第3の基準領域の上方の領域において電磁放射線に対して透明であり、任意選択的に、前記第3の基準領域が、前記位置Aと前記位置Bとの間の前記露光領域、および/または前記第1の基準領域もしくは前記第2の基準領域と少なくとも部分的に重なる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記露光するステップの間、前記露光強度が一定であり、前記露光時間が変化する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記露光するステップが、電磁放射線源と、前記レリーフ前駆体と前記電磁放射線源との間の可動シャッタとを備える露光ユニットによって行われ、前記露光するステップの間、前記露光時間が、前記レリーフ前駆体に対する前記シャッタの相対移動によって制御され、前記相対移動が、好ましくは前記レリーフ前駆体に平行である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
露光中、前記シャッタが、前記シャッタが前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の領域を遮蔽する開始位置から、前記シャッタが前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の前記領域の全露光を可能にする終了位置まで、前記第2の位置Bの方向に移動する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記露光するステップの間に、前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の異なる領域を異なる露光強度で露光することによって、前記露光強度が変化する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
電磁放射線による露光が、前記電磁放射線源(23)によって前記レリーフ前駆体Pに放出される放射線を少なくとも部分的に遮断または低減するように構成された1つ以上の放射線制御層(24)を通して実行される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記レリーフ前駆体を現像するステップが、流体を使用して前記非露光材料を処理することによって、および/または露光された前記前駆体を加熱し、非露光材料を別の材料、好ましくは不織布ウェブに転写することによって行われる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
現像された前記前駆体の厚さが、厚さプロファイルを得るために、前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の複数の点で測定され、前記複数の点のうち前記所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップが、得られた前記厚さプロファイルに基づく、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記レリーフ前駆体が、長さ方向および幅方向を有し、前記第1の位置および前記第2の位置が、前記レリーフ前駆体の前記幅方向に延びる第1の縁部および第2の縁部に対応する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記露光するステップが、くさび形状を実質的に有する現像されたレリーフ前駆体が得られるように実行される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の点のうち前記所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップが、機械的、光学的および/または音響的方法のいずれか1つ、好ましくは非接触的方法によって、現像された前記レリーフ前駆体の厚さを測定する工程を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
レリーフ構造を製造するための方法であって、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法を含み、前記レリーフ構造を製造するために、決定された前記露光時間および/または前記露光強度を使用する、方法。
【請求項22】
前記レリーフ構造が、フレキソ印刷プレート、レタープレスプレート、レリーフ印刷プレート、(フレキシブル)プリント回路基板、電子素子、マイクロ流体素子、マイクロリアクタ、泳動セル、フォトニック結晶、光学素子、またはフレネルレンズである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
レリーフ構造の所望の特徴、特に所望のフロア厚さを得るために使用される露光時間および/または露光強度を決定するように構成されたシステムであって、
レリーフ前駆体Pを支持するように構成された保持手段(10)と、
前記前駆体の第1の位置Aと第2の位置Bとの間で、前記レリーフ前駆体の第1の側を電磁放射線で露光するように構成され、任意選択で、前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の部分で前記レリーフ前駆体の第2の側を露光するように構成された露光ユニット(20)と、
前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の少なくとも複数の点において、前記露光時間および/または前記露光強度が前記複数の点に沿って変化するように、前記露光時間および/または前記露光強度の値を制御するように構成された制御モジュール(30)と、
非露光材料を除去するために、露光された前記レリーフ前駆体を現像するように構成された任意選択の現像ユニット(40)と、
前記複数の点のうち前記所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するために、任意選択の現像された前記レリーフ前駆体を測定するように構成された測定ユニット(50)と、
決定された前記1つ以上の点、および前記制御モジュールによって設定された前記値に基づいて、前記所望の特徴に必要な露光時間および/または露光強度を決定するように構成された決定モジュール(60)と
を備える、システム。
【請求項24】
前記露光ユニットが、前記レリーフ前駆体の背面を露光するように構成された背面露光手段(20)を備え、前記所望の特徴が所望のフロア厚さである、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記制御モジュール(30)が、前記露光が前記第1の位置と前記第2の位置との間の方向、好ましくは前記レリーフ前駆体の長さ方向Lに延びる方向で連続的に行われることにより、前記第1の位置と前記第2の位置との間に連続的な露光領域(15)が形成されるように、前記露光ユニット(20)を制御するように構成される、請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記決定モジュール(60)が、前記露光時間および/または前記露光強度を、前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の線に沿った位置の関数として受信するように構成される、請求項23~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記決定モジュール(60)によって受信された前記関数が、線形関数またはステップ関数である、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記露光ユニット(20)が、電磁放射線源(23)と、前記電磁放射線源(23)によって前記レリーフ前駆体Pに放出される放射線を少なくとも部分的に遮断または低減するように構成された1つ以上の放射線制御層(24)とを備える、請求項23~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記制御モジュール(30)が、前記露光時間が変化するように前記露光時間を制御するように構成され、前記露光ユニット(20)が、一定の露光強度で露光するように構成される、請求項23~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記露光ユニットが、電磁放射線源(23)と、前記レリーフ前駆体Pと前記放射線源(23)との間の可動シャッタ(25)とを備え、前記制御モジュール(30)が、前記露光時間を制御するように前記シャッタ(25)と前記レリーフ前駆体との間の相対移動Mを制御するように構成され、前記相対移動が、好ましくは前記レリーフ前駆体と平行である、請求項23~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記制御モジュール(30)が、前記シャッタが前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の領域を遮蔽する開始位置から、前記シャッタが前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記領域(15)の全露光を可能にする終了位置まで、前記第2の位置Bの方向に移動するように、前記シャッタ(25)を制御するように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記制御モジュール(30)が、前記第1の位置と前記第2の位置との間の異なる領域間で前記露光強度を変化させるように構成される、請求項23~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記システムが前記現像ユニットを備え、前記現像ユニット(40)が、流体を使用して前記レリーフ前駆体の前記非露光材料を処理するように、および/または露光された前記前駆体を加熱し、非露光材料を別の材料、好ましくは不織布ウェブに転写するように構成される、請求項23~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記測定ユニット(50)が、厚さプロファイルを得るために、前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の複数の点で、現像された前記前駆体の厚さを測定するように構成され、前記決定モジュール(60)が、得られた前記厚さプロファイルに基づいて、前記複数の点のうち前記所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するように構成される、請求項23~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記露光ユニット(20)が、光管のセット、好ましくは蛍光灯のセット、複数のLED、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、請求項23~34のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、レリーフ構造の所望の特徴、より具体的には印刷プレートまたは印刷スリーブの所望のフロア厚さを得るために使用される露光条件、特に露光時間および/または露光強度を決定する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
レリーフ構造は、画像情報を画像形成可能層に転写し、画像形成可能層の一部を除去することによって作製することができる。次いで、形成されたレリーフを使用して、印刷ステップにおいて基材上に情報を転写することができる。
【0003】
例示的なレリーフ前駆体は、印刷プレートまたは印刷スリーブ前駆体である。デジタル画像形成可能な可撓性印刷前駆体が公知であり、典型的には、少なくとも寸法的に安定な支持層、感光層およびデジタル画像形成可能層を備える。従来の印刷前駆体の場合、デジタル画像形成可能層は、感光層に取り付けられたマスク層である。デジタル画像では、前記層は、例えばレーザアブレーション可能な層であってもよい。
【0004】
レリーフ構造を製造するために、レリーフ前駆体は、電磁放射線に露光され、非露光材料を除去することによって現像される。
【0005】
前駆体を印刷するための露光システムが公知である。露光システムは、前面露光のための放射手段および/または背面露光のための放射手段を備えることができる。寸法的に安定した支持体を介して背面露光が実行され、結果としてフロアが支持体に恒久的に固定される。背面露光は、典型的には、UV光管のセットを使用して行われる。背面露光は、レリーフ特徴部を生成することができる固体層(フロア)を形成する。前面露光もまた、UV光管のセットを使用して行われてもよく、または可動レーザもしくはLEDバーなどの可動UV放射線源を使用して行われてもよい。
【0006】
しかしながら、特にレリーフ前駆体の背面露光のために、より具体的には所望のフロア厚さを得るために、正しい露光条件を知る必要がある。露光条件を決定するための従来技術の方法は、通常、複雑で誤差が生じやすく、長時間を要する外部手段に依存する。したがって、当該技術分野では、前記決定方法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態の目的は、レリーフ構造の所望の特徴、特に印刷プレートまたは印刷スリーブの所望のフロア厚さを得るために使用されるレリーフ前駆体の露光条件、特に露光時間および/または露光強度を決定するための改良されたシステムおよび方法を提供することである。より具体的には、本目的は、複雑なツールまたはレリーフ前駆体の面倒な取り扱いを必要とせずに所望の特徴を得るための、より迅速かつより信頼性の高い露光条件の決定を可能にする方法およびシステムを提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、レリーフ構造の所望の特徴、特に所望のフロア厚さを得るために使用される露光時間および/または露光強度を決定する方法が提供される。本方法は、以下のステップ:
レリーフ前駆体の第1の側を電磁放射線で露光するステップであって、露光が、第1の位置Aおよび第2の位置Bを有する領域内で行われ、かつ前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の複数の点について、露光時間および露光強度の値が既知であるように実行され、露光時間および/または露光強度が、前記複数の点において異なるように自動的に制御される、ステップと、
任意選択で、第1の位置Aと第2の位置Bとの間の部分で、レリーフ前駆体の第2の側を露光するステップと、
任意選択で、レリーフ前駆体の非露光材料を除去することによってレリーフ前駆体を現像するステップと、
任意選択で、現像されたレリーフ前駆体を乾燥させるステップと、
任意選択で、現像されたレリーフ前駆体を硬化させるステップと、
前記複数の点のうち、所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップと、
決定された1つ以上の点および既知の値に基づいて、所望の特徴に必要な露光時間および/または露光強度を決定するステップと
を含む。
【0009】
そのような方法は、従来技術の方法と比較して、より信頼性が高く、誤差を測定しにくい方法で露光条件を決定する。異なる露光時間および/または露光強度を用いて一連の点を露光することによって、現像されたレリーフ前駆体の所望の特徴、例えば、所望のフロア厚さを正確に識別すること、および関連する既知の値を使用してレリーフ前駆体のその後の露光を実行することを可能にする露光プロファイルが得られる。また、本方法は、露光システムによって簡単に実行することができ、所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップは、簡単な手段を使用して行うことができる。
【0010】
所望の特徴に必要な露光時間および/または露光強度の決定は、選択、計算、または導出のいずれかまたは組み合わせによって行うことができる。例えば、決定された1つ以上の点のうちの1つの点が所望の特徴と正確に対応する場合、この点に対応する既知の値を選択することができる。別の例では、2つの点が所望の特徴に近い場合、それらの2つの点に対応する既知の値の平均を計算することができる。
【0011】
好ましくは、前記複数の点のうち所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップは、レリーフ前駆体を現像した後に行われる。追加的に、前記複数の点のうち所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップの前に、前処理ステップおよび/または後処理ステップなどの他のステップを行うことができる。そのような前処理ステップは、例えば、印刷プレートの前洗浄を含むことができる。後処理ステップは、すすぎステップ、乾燥ステップ、例えばUVAおよび/またはUVC光を使用する後露光ステップ、熱処理ステップならびにそれらの組み合わせであってもよい。より一般的には、レリーフ前駆体を製造するときに通常実行される任意のステップも、レリーフ構造の所望の特徴を得るために使用される露光時間および/または露光強度を決定するための較正方法中に実行することができる。
【0012】
さらに、様々な現像条件、例えば、使用される溶媒、温度、ウォッシュアウト速度などが、現像されるレリーフ前駆体の特徴に影響を及ぼすことに留意されたい。これらの条件のいずれかが変化する場合、較正方法を繰り返してもよい。
【0013】
好ましい実施形態によれば、レリーフ前駆体の第1の側は、前駆体の背面であり、所望の特徴は、現像されたレリーフ前駆体のフロア厚さである。
【0014】
例示的な実施形態によれば、露光は、位置Aと位置Bとの間の方向、好ましくはレリーフ前駆体の長さ方向に延びる方向で連続的に行われ、それにより、第1の位置Aと第2の位置Bとの間に連続的な露光領域が形成される。連続的な露光領域は、露光するためにレリーフ前駆体上で利用可能な領域のより効率的な使用をもたらす。さらに、精度を高めることができる。単一のレリーフ前駆体で高い精度を得ることができるので、レリーフ前駆体に関して形成される廃棄物がより少なくなり、その後、特に非露光材料が除去される現像ステップにおいて、非露光材料の残りがより少なくなる。
【0015】
例示的な実施形態によれば、露光時間および/または露光強度は、前記複数の点において異なるように自動的に制御される。このようにして、手動の取り扱いステップの必要性を低減しながら、より効率的でより迅速なプロセスが達成される。当業者は、露光時間および/または露光強度のいくつかの組み合わせを前記複数の点に対して行うことができることを理解する。露光時間および/または露光強度の値は、前記複数の点において変化するように制御される。好ましくは、露光時間および露光強度は、第1の位置Aと第2の位置Bとを結ぶ線に沿って見たときにそれらが異なるように制御される。露光時間および/または露光強度が前記複数の点において自動的に異なるように制御することは、このステップが、オペレータが露光中に手動でアクションを実行する必要なく、プログラムされた命令に基づいて実行され得ることを意味する。例えば、強度は、コンピュータ命令を使用して自動的に調整することができ、および/または露光時間は、コンピュータ命令を使用して自動的に調整することができる。
【0016】
例示的な実施形態によれば、露光時間および露光強度は、第1の位置Aと第2の位置Bとの間の線に沿った位置の関数、好ましくは連続関数として既知である。中断または不連続のない連続的な露光領域は、レリーフ前駆体の利用可能な露光可能領域の効率的な使用をもたらす。
【0017】
例示的な実施形態によれば、関数は線形関数であるか、またはステップ関数であり、現像後、くさび形状の部分、または複数のステップを含む部分がもたらされる。代替的に、関数は、波、双曲線関数、多項式関数、または一連の勾配などのより複雑な形状をもたらし得るより複雑な関数である。さらに、露光時間および/または露光強度は、第1の位置と第2の位置との間の領域において二次元的に変化し得ることに留意されたい。このようにして、フロアのピラミッド形状または円錐形状などのさらに複雑な形状を得ることができる。
【0018】
例示的な実施形態によれば、本方法は、前駆体を現像する前に、最大露光時間中に、第1の側から所定の強度で第1の基準領域を露光し、および/または第1の側から第2の基準領域を露光しないステップをさらに含む。第1の基準領域は、完全に硬化したレリーフ前駆体の感光層を有し、フロアの厚さは、感光層の厚さに対応する。第2の基準領域は硬化材料を有さず、0のフロア厚さを表す。第2の基準領域に材料が存在する場合、適切な現像条件は満たされず、補正する必要がある可能性がある。本方法は、レリーフ前駆体を現像した後、第1および/または第2の基準領域を確認するステップと、必要な場合、任意選択でそれに基づいて補正係数を決定するステップをさらに含む。
【0019】
例示的な実施形態によれば、第2の基準領域は、電磁放射線に対して不透明な層によって覆われる。そうすることで、レリーフ前駆体の被覆領域は放射線を受けにくくなる。したがって、第2の領域に位置する非露光材料は、前駆体の現像中に除去される。したがって、材料が存在しないので、前記第2の領域は、所望の特徴、好ましくはフロア厚さを測定するときの基準として使用することができる。
【0020】
例示的な実施形態によれば、本方法は、現像するステップの前に、所定の露光時間中に所定の強度で第2の側から第3の基準領域を露光するステップと、現像するステップの後に、第3の基準領域を確認するステップと、必要な場合、任意選択でそれに基づいて補正係数を決定するステップとをさらに含む。
【0021】
例示的な実施形態によれば、前駆体の第2の側は、電磁放射線に対して不透明な層によって覆われるが、第3の基準領域は、層によって覆われていない。または、層は、第3の基準領域の上方の領域では電磁放射線に対して透明であり、第2の側を覆う層の領域の残りの部分では不透明である。第3の基準領域は、任意選択的に、位置Aと位置Bとの間の露光領域および/または第1の基準領域もしくは第2の基準領域と少なくとも部分的に重なる。
【0022】
任意選択的に、第1および/または第2および/または第3の基準領域の確認に基づいて、補正係数が決定される。その後、補正係数を使用して、測定された厚さの誤差または欠陥を決定および/または補正することができる。これは、レリーフ前駆体の現像後に非露光または非現像の材料が残っている場合に特に望ましい。代替的に、第1、第2、および/または第3の基準領域は、複数の点のうち所望の特徴を表す1つ以上の点を決定する場合の較正に使用することができる。
【0023】
例示的な実施形態によれば、露光強度は一定であり、露光時間は露光ステップ中に変化する。ある特定の領域での露光時間が長いほど、別の領域での露光時間が短い場合と比較して、両方の領域の強度が一定に保たれている場合に厚さが厚くなる。
【0024】
例示的な実施形態によれば、本方法は、電磁放射線源と、レリーフ前駆体と電磁放射線源との間の可動シャッタとを備える露光ユニットを用いてレリーフ前駆体を露光するステップをさらに含み、露光するステップの間、露光時間は、レリーフ前駆体に対するシャッタの相対移動によって制御され、相対移動は、好ましくはレリーフ前駆体に平行である。
【0025】
好ましくは、シャッタは、シャッタが第1の位置Aと第2の位置Bとの間の領域を遮蔽する開始位置から、シャッタが第1の位置Aと第2の位置Bとの間の領域の全露光を可能にする終了位置まで、第2の位置Bの方向に移動する。このようにして、前記第1の位置Aと前記第2の位置Bとの間の複数の点における露光時間が変化する。シャッタを一定の速度で移動させて、線形の厚さプロファイル、好ましくはくさびプロファイルを有するレリーフ前駆体を得ることができる。代替的に、シャッタは、開始位置と終了位置との間で一定時間固定されたままで、ステッププロファイルを有するレリーフ前駆体を形成することができる。さらに他の実施形態では、シャッタの速度は、開始位置と終了位置との間で連続的または不連続的に変化することができる。
【0026】
別の例示的な実施形態によれば、強度は、第1の位置Aと第2の位置Bとの間の異なる領域を異なる露光強度で露光することによって変化する。そうすることで、より高い強度を受ける領域は、より低い強度を受ける領域と比較してより大きな厚さで現像される。これは、例えば、位置Aと位置Bとの間のいくつかの位置に移動し、各位置で一定時間異なる強度が送達されるように制御される背面露光用のLEDバーを使用することによって達成することができる。別の可能性は、LEDバーを一定の速度で移動させ、強度を連続的または段階的に変化させることである。さらなる設定では、前駆体のサイズ全体をカバーするLEDアレイまたは光管のセットを使用することができ、アレイの領域に属する特定のLEDまたは管は、異なる領域が異なる強度を送達するように制御される。
【0027】
強度を変更する別の方法は、電磁放射線源によってレリーフ前駆体に放出される放射線を少なくとも部分的に遮断または低減するように構成された1つ以上の放射線制御層を使用することである。例えば、放射線制御層は、層の特定の領域ではより透明であり、他の領域ではより透明でないように構成することができる。代替的または追加的に、異なる透明度を有する複数の放射線制御層(例えば、レリーフ前駆体上に互いに隣接して配置された複数のタイル)が使用されてもよい。これにより、1つ以上の放射線制御層は、レリーフ前駆体が受ける露光強度を制御することができる。放射線制御層は、異なる光学密度の領域を有し、異なる領域を通過する強度が既知であるフィルムであってもよい。そのような透過率が段階的なくさびは、例えば、Stouffer Industries、AgfaまたはKodakから入手可能である。異なる光学密度を有する領域を有する放射線制御層を使用する場合、より多数の異なる強度を1回の単一露光ステップで適用することができ、時間および材料を節約する。放射線制御層の別の可能性は、異なる色調値を有する領域が表されるマスクフィルムを使用することである。そのようなマスクフィルムは、非透明マスク層をアブレーションすることによって、または層の透明度を変化させることによって得ることができる。領域の構造は、適用された光の定義された部分のみが通過し得るような、単位面積当たりの特定のサイズおよび数を有する透明な線またはドットであってもよい。そのようなマスクフィルムは、例えば、Miraclon(Flexcel)またはFolex(LADF)から入手可能である。さらに別の実施形態では、第1の既知の透明度を有する第1のタイルと、第1の透明度とは異なる第2の既知の透明度を有する第2のタイルとを含むタイルのパターンが使用される。
【0028】
例示的な実施形態によれば、レリーフ前駆体の現像は、流体を使用して非露光材料を処理することによって、および/または露光された前駆体を加熱し、非露光材料を別の材料、好ましくは不織布ウェブに転写することによって行われる。そうすることで、現像されたレリーフ前駆体を残して非露光材料が除去され、その所望の特徴、特に厚さを測定および/または識別することができる。現像ステップは、前駆体を露光ステーションから現像ステーションに自動的に移動させるインライン構成で実行されてもよく、または前駆体を手動で移動させるスタンドアロン装置で実行されてもよい。較正方法の間、好ましくは、現像ステップおよび/または所望の特徴に影響を与える他のステップについて、レリーフ構造の製造に使用されるのと同じ条件が使用されることは明らかである。所望の特徴に影響を及ぼし得るステップは、例えば、前処理ステップおよび/または後処理ステップである。
【0029】
好ましくは、前記複数の点のうち所望の特徴を表す1つ以上の点の決定は、レリーフ前駆体の、露光ステップに供された位置と同じ位置で行われる。したがって、好ましくは、決定は、露光するステップの後にレリーフ前駆体を移動させることなく、1つ以上の点を測定することによって行われる。
【0030】
例示的な実施形態によれば、現像された前駆体の厚さは、第1の位置Aと第2の位置Bとの間の複数の点で測定される。それにより、厚さプロファイルが得られる。次いで、複数の点のうち所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップは、前記厚さプロファイルに基づくことができる。好ましくは、厚さプロファイルはくさびプロファイルである。当業者は、異なるプロファイル、例えば波、一連の三角形、階段状ステッププロファイルが可能であることを理解する。厚さは、機械的、光学的および/または音響的方法のいずれか1つ、好ましくは非接触的方法によって測定することができる。フロア厚さの決定は、別個の装置で実行されてもよいが、好ましい方法では、露光ユニットで実施される。露光ユニットで実施される場合、現像された前駆体は、露光中と全く同じ位置に位置決めされてもよく、それにより、厚さ値は、実行される正確な位置および露光条件に関連することができる。最良の結果を得るために、前駆体位置合わせマークまたは他の位置決めツールの再位置決めを使用することができる。これにより、測定誤差が低減される。
【0031】
レリーフ前駆体は、長さ方向と幅方向とを有する。好ましくは、第1および第2の位置は、レリーフ前駆体の幅方向に延びる第1および第2の縁部に対応する。代替的に、第1および第2の位置は、長さ方向、または幅方向に対して90°とは異なる方向に延びる縁部に対応してもよい。また、対応する縁部は湾曲していてもよい。
【0032】
例示的な実施形態によれば、露光は、くさび形状を実質的に有する現像されたレリーフ前駆体が得られるように実行される。前記形状は、くさびの上部位置と底部位置との間の複数の点で異なる厚さを有する、取り扱いが容易で便利な形状をもたらす。これにより、対応する露光条件が導出され得る多数の異なる厚さを有する形状が提供される。
【0033】
例示的な実施形態によれば、前記複数の点のうち所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するステップは、機械的、光学的および/または音響的方法のいずれか1つ、好ましくは非接触的方法によって、現像されたレリーフ前駆体の厚さを測定することを含む。代替的に、レリーフ前駆体を現像することなく厚さを測定してもよい。後者は、例えば、密度の差を検出する非接触的な音響法によって行うことができる。
【0034】
前のステップの結果から、所望のフロア厚さに対する露光条件を選択することができる。次いで、これらの選択された条件は、所望のフロア厚さを有するレリーフ構造の製造に使用される。
【0035】
本発明の別の態様によれば、上述のような方法の実施形態のいずれか1つを実行することを含む、レリーフ構造を製造するための方法が提供され、この方法は、所望の特徴、例えば、所望のフロア厚さの露光時間および/または露光強度を決定、例えば選択するステップと、選択された露光時間および/または露光強度を使用してレリーフ構造を製造するステップとを含む。
【0036】
好ましくは、レリーフ構造は、フレキソ印刷プレート、レタープレスプレート、レリーフ印刷プレート、(フレキシブル)プリント回路基板、電子素子、マイクロ流体素子、マイクロリアクタ、泳動セル、フォトニック結晶、光学素子、またはフレネルレンズである。
【0037】
本発明の別の態様によれば、レリーフ構造の所望の特徴、特に所望のフロア厚さを得るために、レリーフ前駆体の露光に使用する露光時間および/または露光強度を決定するように構成されたシステムが提供される。システムは、保持手段と、露光ユニットと、制御モジュールと、測定ユニットと、決定モジュールとを備える。保持手段は、前駆体の第1の位置Aと第2の位置Bとの間で電磁放射線によって第1の側が露光ユニットによって露光されるレリーフ前駆体を支持するように構成される。任意選択的に、露光ユニットは、前記位置の間で前駆体の第2の側を露光するように構成される。制御モジュールは、第1の位置と第2の位置との間の複数の点について、露光時間および/または露光強度が前記複数の点において自動的に変化するように、露光の値、特に露光時間および/または露光強度を制御するように構成される。任意選択の現像ユニットは、非露光材料を除去するために、露光されたレリーフ前駆体を現像するように構成される。測定ユニットは、前記複数の点のうち所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するために、現像されたレリーフ前駆体を測定するように構成される。決定モジュールは、決定された1つ以上の点および制御モジュールによって設定された値に基づいて、所望の特徴を得るために必要な露光時間および/または強度を決定するように構成される。追加的に、システムは、例えば前洗浄でレリーフ前駆体を前処理および/または後処理するように設定された前処理および/または後処理手段を備えることができる。
【0038】
本システムは、複雑なツールまたはレリーフ前駆体の面倒な取り扱いを必要とせずに、所望の特徴、好ましくは所望のフロア厚さを得るために使用される露光条件のより迅速かつより信頼性の高い決定を可能にする。さらに、このシステムを使用して、レリーフ前駆体、好ましくはポリマー印刷プレートまたはスリーブの現像プロセスの現像安定性および/または露光効率を追求することができる。
【0039】
露光は、安定した背面フロア構造を達成するために、ポリマー印刷プレートまたはスリーブ前駆体を硬化させる背面露光であってもよい。一定の選択された厚さを有する背面フロア構造を達成することが望ましいため、適切な露光条件、例えば、露光強度および露光時間を知る必要がある。測定ユニットによって測定された1つ以上の点、および制御モジュールによって設定された関連する1つ以上の値に基づいて前記条件を決定する決定モジュールを提供することによって、所望の特徴を達成するための露光条件を導出することができる。そうすることで、所望の特徴を導出する精度を高めることができる。
【0040】
好ましい実施形態によれば、露光ユニットは、レリーフ前駆体の背面を露光するように構成された背面露光手段を備え、所望の特徴は所望のフロア厚さである。
【0041】
例示的な実施形態によると、制御モジュールは、露光が第1の位置と第2の位置との間の方向、好ましくはレリーフ前駆体の長さ方向Lに延びる方向で連続的に行われることにより、第1の位置と第2の位置との間に連続的な露光領域を形成するように、露光ユニットを制御するように構成される。当業者は、制御モジュールが、他の方向、例えば幅方向または幅方向に対して90°以外の角度の方向に露光するように露光ユニットを制御するように構成され得ることを理解する。連続的な露光は、レリーフ前駆体上で利用可能な露光可能領域のより効率的な使用をもたらす。そうすることで、レリーフ前駆体の浪費される領域が少なくなり、より具体的には、特に非露光材料が除去されるときの現像ステップにおいて、除去される非露光材料が少なくなる。
【0042】
例示的な実施形態によれば、決定モジュールは、前駆体の第1の位置と第2の位置との間の線に沿った位置の関数として、露光時間および露光強度を受信するように構成される。このようにして、露光時間および露光強度の値をレリーフ前駆体上の位置と関連付けることができる。
【0043】
例示的な実施形態によれば、決定モジュールによって受信される関数は、線形関数またはステップ関数である。当業者は、より複雑な形状をもたらし得る他の機能も可能であることを理解する。例えば、形状は、波、一連の三角形または丘の形状であってもよい。さらに、露光時間および/または露光強度は、第1の位置と第2の位置との間で二次元的に変化することができ、ピラミッドまたは円錐形状などのさらに複雑な形状をもたらし得ることに留意されたい。
【0044】
例示的な実施形態によれば、露光ユニットは、電磁放射線源と、電磁放射線源によって1つ以上の放射線制御層に放出される放射線を少なくとも部分的に遮断または低減するように構成された1つ以上の放射線制御層とを備える。このようにして、放射線源は、1つのタイプの強度をレリーフ前駆体に向けて放射する1つのタイプのものであってもよく、レリーフ前駆体は、その複数の点において異なる強度を受ける。例えば、層の特定の領域ではより透明であり、他の領域ではより透明でないように構成される単一の放射線制御層を設けることができる。代替的に、透明度が異なる複数のタイルを使用してもよい。これにより、1つ以上の放射線制御層は、レリーフ前駆体が受ける露光強度を制御することができる。放射線制御層は、異なる光学密度の領域を有し、異なる領域を通過する強度が既知であるフィルムであってもよい。そのような透過率が段階的なくさびは、例えば、Stouffer Industries、AgfaまたはKodakから入手可能である。放射線制御層の別の可能性は、異なる色調値を有する領域が表されるマスクフィルムを使用することである。そのようなマスクフィルムは、非透明マスク層をアブレーションすることによって、または層の透明度を変化させることによって得ることができる。領域の構造は、適用された光の定義された部分のみが通過し得るような、単位面積当たりの特定のサイズおよび数を有する透明な線またはドットであってもよい。そのようなマスクフィルムは、例えば、Miraclon(Flexcel)またはFolex(LADF)から入手可能である。1つ以上の放射線制御層は、電磁放射線源とレリーフ前駆体との間に、例えば、レリーフ前駆体に対して直接、またはレリーフ前駆体を支持する支持プレートに対して、またはレリーフ前駆体の距離を置いて配置される。別の可能性によれば、支持プレートは、放射線制御層として実施することができる。
【0045】
露光ユニットは、当業者に公知の任意の光源を備えることができる。例えば、蛍光灯、フラッシュライト、水銀ランプ、キセノンランプ、発光ダイオード(LED)、発光スクリーン(液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機発光ディスプレイ)、投影システム(マイクロミラー投影)、レーザ、またはそれらの組み合わせを使用することができる。
【0046】
好ましくは、露光ユニットは、200~2000nm、好ましくは250~900nm、より好ましくは250~450nm、最も好ましくは250~410nmの範囲の電磁放射線を放射する放射線源を備える。露光ユニットは、1mW/cm2~2000mW/cm2、好ましくは5mW/cm2~1000mW/cm2、より好ましくは10mW/cm2~500mW/cm2、最も好ましくは10mW/cm2~250mW/cm2の露光強度または露光強度の範囲でレリーフ前駆体を露光するように構成される。
【0047】
好ましくは、放射線源は、レリーフ前駆体に平行であるように意図された平面内に実質的に延びる。しかしながら、他の実施形態では、放射線源の平面は、レリーフ前駆体に平行な平面に対して傾斜してもよい。
【0048】
例示的な実施形態によれば、制御モジュールは、露光ユニットが実質的に一定の露光強度で露光するように構成および/または制御されると共に露光時間が変化するように、露光時間を制御するように構成される。好ましくは、強度は、前駆体の領域にわたって実質的に一定であり、±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±2%未満の偏差を有する。
【0049】
別の例示的な実施形態によれば、露光ユニットは、電磁放射線源と、レリーフ前駆体と放射線源との間の可動シャッタとを備えることができる。制御モジュールは、露光時間を制御するようにシャッタとレリーフ前駆体との間の相対移動を制御するように構成され、相対移動は、好ましくはレリーフ前駆体に平行である。
【0050】
例示的な実施形態によると、制御モジュールは、シャッタが第1の位置と第2の位置との間の領域を遮蔽する開始位置から、第2の位置の方向に、シャッタが前記第1の位置と前記第2の位置との間の領域の全露光を可能にする終了位置までの前記シャッタの移動を制御するように構成される。
【0051】
相対移動は、好ましくは、0.2mm/秒~50mm/秒の範囲の1つ以上の速度で行われる。これにより、0.5秒~15分の露光時間が可能になる。
【0052】
例示的な実施形態によれば、制御モジュールは、第1の位置と第2の位置との間の異なる領域間で露光強度を変化させるように構成される。例えば、放射線源は、1つ以上のLEDの複数のサブセットを備えるLEDのアレイであってもよく、各サブセットは個別に制御可能である。制御モジュールは、複数のサブセットを個別に制御し、所定の表面領域における放射強度の変化が所定の範囲内にあるように構成することができる。そのような例示的な実施形態に関するさらなる詳細は、本出願人名義のオランダ特許出願2023537号に見出すことができ、これは参照により本明細書に含まれる。
【0053】
例示的な実施形態によれば、任意選択の現像ユニットは、流体を使用してレリーフ前駆体の非露光材料を処理するように、および/または露光された前駆体を加熱し、非露光材料を別の材料、好ましくは不織布ウェブに転写するように構成される。
【0054】
例示的な実施形態によると、測定ユニットは、厚さプロファイルを得るために、第1の位置と第2の位置との間の複数の点で、現像された前駆体の厚さを測定するように構成され、決定モジュールは、前記得られた厚さプロファイルに基づいて、複数の点のうち、前記所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するように構成される。測定ユニットは、レリーフ前駆体に対して、好ましくは前駆体に平行な平面内で、相対的に移動することができるが、傾斜面または垂直面も可能である。そうすることで、レリーフ前駆体上の複数の点で複数の測定を行うことができる。測定ユニットの移動は、移動手段によって行うことができる。代替的に、レリーフ前駆体を測定ユニットの反対側に移動させてもよい。例えば、移動手段は、保持手段および/またはレリーフ前駆体を測定ユニットに対して移動させることができる。
【0055】
好ましくは、露光ユニットは、光管のセット、好ましくは蛍光灯のセット、複数のLED、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える。
【0056】
例示的な実施形態では、システムは、入口および出口を有するハウジングを備えることができ、任意選択的に、レリーフ前駆体は、入口を通って支持構造上の位置に自動的に供給され、露光され、次に出口を通ってシステムから取り除くことができる。言い換えれば、本発明の実施形態は、完全に自動化されたインラインシステムを構築することを可能にする。入口および出口は、同じ側または反対側にあってもよい。入口および出口は、他のユニットに接続されるように構成されてもよい。
【0057】
システムは、搬送方向にレリーフ前駆体を自動搬送するための搬送システムを備えることができる。搬送システムは、無端ベルト、1対のチェーンまたはベルト(押し込みブロックを有する)、1対のリードスクリュー、クリープ駆動装置、摩擦駆動装置、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される搬送手段を備えることができる。
【0058】
搬送システムは、レリーフ前駆体を搬送手段に取り付けるための少なくとも1つの取り付け手段をさらに備えることができる。取り付け手段は、レリーフ前駆体の縁部を通って延びる複数のピンを有する搬送バーであってもよい。代替的に、レリーフ前駆体をクランプするためのクランプ手段を使用してもよい。搬送バーは、レリーフ前駆体の前縁部に結合されるように構成することができ、搬送システムは、ハウジングを通して結合されたレリーフ前駆体と共に搬送バーを引っ張るように構成される。搬送システムが2つのリードスクリューを備える場合、搬送バーの端部には、リードスクリューに結合されるように適合された結合手段を設けることができる。
【0059】
例示的な実施形態では、システムは、レリーフプレート前駆体および/または露光ユニットを冷却するように構成された冷却手段をさらに備える。例えば、少なくとも1つの冷却手段は、電磁放射線源および/または保持手段(例えば、透明プレート)および/またはレリーフ前駆体の表面および/またはシャッタを冷却することができる。冷却手段は、冷却のために流体またはガス、例えば水または空気を使用することができる。
【0060】
追加の構成要素は、システムの一部であってもよい。そのような追加の構成要素は、電源、追加の電磁放射線源、冷却システム、クランプ手段、追加の搬送手段、モータ、センサ、およびそれらの組み合わせを含む群から選択することができる。追加の放射線源は、LED、蛍光灯、フラッシュランプ、直線状に配置された光管のセット、(走査)レーザ、LCDスクリーン、投影システム(例えば、可動ミラー付き)、レーザ、およびそれらの組み合わせを含む群から選択することができる(これらは固定式および/または可動式であってもよい)。追加の放射線源は、レリーフ前駆体の片面または両面の少なくとも一部の領域、好ましくは全領域を照射することができる。追加の放射線源は、放射線源が追加の放射線源とレリーフ前駆体との間を移動することができるように配置することができる。任意選択的に、レリーフ前駆体のいずれかの側に追加の放射線源を設けることができる。追加の放射線源は、第1の放射線源による露光の前、最中、または後にレリーフ前駆体を露光するように制御することができる。
【0061】
任意選択的に、制御モジュールは、システムの構成要素、およびプロセスチェーン内の他のユニットの構成要素を制御する。そのようにして、レリーフ前駆体に対して実行する必要がある様々な動作を調整することができる。制御モジュールは、単一の集中コントローラであっても、または複数の制御ユニットを有する分散制御モジュールであってもよい。
【0062】
任意選択的に、1つ以上のセンサ、例えば、光センサ、磁気センサ、近接センサ、温度センサ、過熱センサ、流量センサ、強度センサ、圧力センサ、厚さセンサなどを設けることができる。放射線源の移動および放射線源の駆動は、1つ以上のセンサによって測定されたセンサデータに応じてさらに制御することができる。1つ以上のセンサのうちのセンサは、レリーフ前駆体のサイズおよび/または厚さを検出することができ、これらのデータは、例えば、露光領域のサイズ、露光時間および/または露光強度を制御するために使用することができる。
【0063】
任意選択的に、システムは、装填および取り出しユニット、画像化ユニット、液体現像ユニット、熱現像ユニット、乾燥ユニット、後処理ユニット、前処理ユニット、貯蔵ユニット、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される1つ以上の追加の処理ユニットを備えることができる。
【0064】
本発明のさらなる態様によれば、プログラムがコンピュータ上で実行されるときに、第1の位置と第2の位置との間の複数の点について、露光時間および/または露光強度が前記複数の点において自動的に変化するように、露光の値、特に露光時間および/または露光強度を制御するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムが提供される。露光の値、特に露光時間および/または強度の制御は、上記で開示された実施形態のいずれか1つに従って行うことができる。
【0065】
本発明のさらなる態様によれば、第1の位置と第2の位置との間の複数の点について、露光時間および/または露光強度が前記複数の点において自動的に変化するように、露光の値、特に露光時間および/または露光強度を制御するようにプログラムされたコンピュータ装置または他のハードウェア装置が提供される。別の態様によれば、第1の位置と第2の位置との間の複数の点について、露光時間および/または露光強度が前記複数の点において自動的に変化するように、露光の値、特に露光時間および/または強度を制御するための機械可読形式および機械実行可能形式のプログラムを符号化するデータ記憶装置が提供される。露光の値、特に露光時間および/または強度の制御は、上記で開示された実施形態のいずれか1つに従って行うことができる。
【0066】
添付の図面は、本発明のシステムおよび方法の現在好ましい、非限定的で例示的な実施形態を説明するために使用される。本発明の特徴および目的の上記および他の利点は、添付の図面と併せて読むと、より明らかになり、本発明は以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】所望の特徴、より具体的には印刷プレートまたはスリーブのフロア厚さを得るために使用される露光条件、特に露光時間および/または露光強度を決定するためのシステムの例示的な実施形態を概略的に示す。
【
図2】第1の位置Aと第2の位置Bとの間に露光領域を有するレリーフ前駆体の概略上面図である。
【
図3】露光ユニットが放射線制御層を備える、本発明の例示的な実施形態の簡略化された概略側面図である。
【
図4】露光ユニットが可動シャッタを備える、本発明の例示的な実施形態の簡略化された概略側面図である。
【
図5】可動放射線源を有する露光ユニットを示す、本発明の別の例示的な実施形態の概略側面図である。
【
図6】異なる強度で放射する放射線源を有する露光ユニットを示す、本発明の別の例示的な実施形態の概略側面図である。
【
図7A】ある可能な厚さプロファイルを示すレリーフ前駆体の概略側面図である。
【
図7B】別の可能な厚さプロファイルを示すレリーフ前駆体の概略側面図である。
【
図7C】さらに別の可能な厚さプロファイルを示すレリーフ前駆体の概略側面図である。
【
図7D】またさらに別の可能な厚さプロファイルを示すレリーフ前駆体の概略側面図である。
【
図7E】またさらに別の可能な厚さプロファイルを示すレリーフ前駆体の概略側面図である。
【
図8A】ある露光条件で露光された異なる領域を示す、露光レリーフ前駆体の概略上面図である。
【
図8B】別の露光条件で露光された異なる領域を示す、露光レリーフ前駆体の概略上面図である。
【
図8C】さらに別の露光条件で露光された異なる領域を示す、露光レリーフ前駆体の概略上面図である。
【
図9】露光し、レリーフ前駆体の露光条件を決定するためのシステムの例示的な実施形態の概略斜視図である。
【
図10A】放射線制御層の一実施形態の上面図を示す。
【
図10B】放射線制御層の別の実施形態の上面図を示す。
【
図10C】放射線制御層のさらに別の実施形態の上面図を示す。
【
図11】例示的な実施形態を使用する較正の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、レリーフ構造Pの所望の特徴、特に印刷プレートまたはスリーブの所望のフロア厚さtを得るために使用される露光時間および/または露光強度を決定するためのシステムを概略的に示す。システムは、保持手段10と、露光ユニット20と、制御モジュール30と、任意選択の現像ユニット40と、測定ユニット50と、決定モジュール60とを備える。
【0069】
保持手段10は、露光ユニット20によって電磁放射線を用いて背面が露光されるレリーフ前駆体Pを、前駆体Pの第1の位置Aと第2の位置Bとの間、特に露光領域の第1の縁部Aと露光領域の第2の縁部Bとの間で支持するように構成される。保持手段10は、レリーフ前駆体を保持および/または支持する透明プレート、ガラスプレート、フレーム、吊り下げグリップ、クランプまたはそれらの組み合わせであってもよい。移動手段(図示せず)は、レリーフ前駆体Pを露光ユニット20に対して移動させるように構成することができる。移動手段はまた、制御モジュール30によって制御することができる。
【0070】
露光ユニット20は、好ましくは前記位置の間で、前駆体Pの背面を露光するように構成された背面露光手段20aを備える。追加的または代替的に、露光ユニット20は、レリーフ前駆体Pの前面を露光するように構成された前面露光手段20bを備えることができる。好ましくは、露光ユニット20は、複数のLED、光管のセット、蛍光灯、フラッシュランプ、水銀灯、キセノンランプ、光管のセット、レーザ、例えばLCD-、OLED-またはプラズマ-スクリーンなどのライトニングスクリーン、可動ミラー付きの光投影システム、太陽光収集システム、およびそれらの組み合わせのいずれかを備える。
【0071】
制御モジュール30は、第1の位置Aと第2の位置Bとの間の複数の点について、露光時間および/または露光強度が前記複数の点において変化するように、露光のパラメータ、特に露光時間および/または露光強度を制御するように構成される。制御モジュールは、システムの他の構成要素、例えば、可動光源または前駆体のための移動手段、シャッタ、LEDアレイ、センサ、測定ユニット50および/または現像ユニット40を制御するようにさらに構成することができる。
【0072】
現像ユニット40は、非露光材料を除去するために、レリーフ前駆体を現像するように構成される。現像ユニット40は、流体を使用してレリーフ前駆体の非露光材料を洗浄し、および/または露光された前駆体を加熱し、非露光材料を別の材料、好ましくは不織布ウェブに転写するように構成される。露光された前駆体からの材料の除去は、加熱し、前駆体と接触する現像材料、例えばウェブまたはフィルムを用いて液化材料を除去することによって実行することができる。追加的または代替的に、現像ユニット40は、ブラッシング、すすぎ、乾燥および/または加熱、レリーフ前駆体のガスまたは液体による処理、またはそれらの組み合わせによってレリーフ前駆体を現像するように構成されてもよい。
【0073】
測定ユニット50は、前記複数の点のうち所望の特徴を表す1つ以上の点を決定するために、現像されたレリーフ前駆体を測定するように構成される。測定ユニット50は、例えば、現像されたレリーフ前駆体の厚さを測定するための異なる方法、例えば、機械的、光学的および/または音響的方法を使用することができる。好ましくは、非接触的な測定法が使用される。測定ユニット50は、近接センサ、圧力センサ、密度センサ、好ましくは厚さセンサなどの1つ以上のセンサを使用することができる。機械的センサの例は、移動ホイール、移動スタイラスもしくはプレート、ばね、またはそれらの組み合わせである。非接触センサの例は、スペクトル分析センサ、スペクトル反射率分析センサ、有彩色共焦点センサ、シングルチャネルまたはデュアルチャネルセンサ、非接触レーザ厚さ計などである。任意選択的に、光センサ、磁気センサ、温度センサ、過熱センサ、流量センサ、強度センサなどの追加または代替のセンサを設けることができる。
【0074】
決定モジュール60は、決定された1つ以上の点、および制御モジュール30によって設定された値に基づいて、所望の特徴を得るために必要な露光時間および/または強度を決定するように構成される。
【0075】
レリーフ前駆体Pは、第1の位置Aと第2の位置Bとの間に露光領域を有し、これらの位置の間の露光領域は、厚さプロファイルを有するくさび形状を備える。くさび形状は、第1の位置Aから第2の位置Bへの方向に見て減少する厚さを有する。代替的に、
図2から
図8Cに関連して説明したように、異なる形状が可能である。
【0076】
図2は、長さLおよび幅Wを有するレリーフ前駆体Pの概略上面図を示す。第1の位置Aおよび第2の位置Bは、レリーフ前駆体の幅方向に延びる。代替的に、第1および第2の位置は、レリーフ前駆体の長さ方向、または幅方向に対して90°とは異なる方向に延びる。また、位置A、Bは湾曲していてもよい。
【0077】
第1の位置Aと第2の位置Bとの間の露光領域が、
図1に関連して上述したくさびの上面図を示して示されている。第1の位置Aは、第2の位置Bよりも長い露光時間および/または高い露光強度を受ける。AからBまでの長さ方向に見て、厚さは、より短い露光時間および/またはより低い露光強度に起因して漸減する。
【0078】
前駆体の長さLは、10mm~2000mm、好ましくは20mm~1500mm、より好ましくは50mm~1000mm、最も好ましくは50mm~350mmの範囲であってもよい。
【0079】
測定ユニット50は、長さLに沿った複数の点について、位置Aと位置Bとの間の厚さプロファイルを測定することができる。追加的に、測定ユニット50は、複数の点に位置する幅方向に延びる線に沿って厚さを測定することができ、前記線に沿った測定値の平均を使用して、位置Aと位置Bとの間の厚さプロファイルを作成することができる。可能な厚さプロファイルは、
図7Aから
図7Eに示されており、厚さプロファイルは、レリーフ前駆体の断面図に示されている。代替的に、測定ユニットは、露光領域の上面全体の厚みを測定してもよい。このようにして、測定された2D厚さプロファイルが得られる。
【0080】
決定モジュール60は、露光時間および露光強度を、第1の位置と第2の位置との間の線に沿った位置の関数として受信するように構成することができる。このようにして、露光時間および露光強度を、位置間の複数の点について測定された厚さプロファイルに関連付けることができる。
【0081】
図3は、
図1の実施形態に類似した例示的な実施形態の概略側面図である。同一または類似の構成要素は、同一の参照番号で示されている。露光ユニット20は、放射線源23と、任意選択の放射線制御層24とを備える。代替的に、保持手段10が、放射線制御層24を備えてもよい。放射線源23は、200~2000nm、好ましくは250~900nm、より好ましくは250~450nm、最も好ましくは250~410nmの範囲の電磁放射線を放射する。放射線源23は、1mW/cm
2~2000mW/cm
2、好ましくは5mW/cm
2~1000mW/cm
2、より好ましくは10mW/cm
2~500mW/cm
2、最も好ましくは10mW/cm
2~250mW/cm
2の範囲の露光強度でレリーフ前駆体を露光するように構成される。放射線源23は、実質的に一定の露光強度で放射してもよく、または放射線源23の露光強度は変化してもよい。電磁放射線源23は、好ましくは、LED、蛍光ランプ、フラッシュランプ、直線状に配置された光管のセット、(走査)レーザ、LCDスクリーン、光投影システム(可動ミラー付き)、および/またはそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0082】
放射線制御層24は、レリーフ前駆体が受ける露光強度を変化させるために使用することができる。放射線制御層24は、第1の位置Aの近くの電磁放射線に対してより透明で、位置Bの近くでは制御層24の透明度が漸減するように構成されてもよい。代替的に、放射線制御層24の透明度は異なるように変化してもよく、例えば、透明度は段階的に減少してもよい。
【0083】
図10A、
図10B、および
図10Cは、放射線制御層の3つの実施形態を示す。
図10Cの例では、放射線制御層24は、層の特定の領域ではより透明であり、他の領域ではより透明でないように構成される。例えば、放射線制御層24は、異なる光学密度の領域を有し、異なる領域を通過する強度が既知であるフィルムであってもよい。そのような透過率が段階的なくさびは、例えば、Stouffer Industries、AgfaまたはKodakから入手可能である。例えば、一方向に向かって徐々に透明度が高くなってもよい。
【0084】
図10Aの例では、異なる透明度を有するタイルとして成形された複数の放射線制御層24が設けられている。そのようなタイルは、どちらの側が露光されるかに応じて、例えばレリーフ前駆体の第1の側および/または第2の側に対して配置することができる。タイル24のパターンは、例えば、4つの異なる透明度を有する4つのタイルを備えることができる。
【0085】
図10Bの例では、放射線制御層24はマスクフィルムであり、異なる色調値を有する領域S1、S2、S3、S4が表されている。そのようなマスクフィルムは、層の透明度を変化させることによって、または非透明マスク層をアブレーションすることによって得ることができる。例えば、領域S1は穴(完全に透明)であってもよく、領域S2、S3、S4は異なるアブレーション深さを有することができる。そのようなマスクフィルムは、例えば、Miraclon(Flexcel)またはFolex(LADF)から入手可能である。
【0086】
図4は、
図1の実施形態に類似した例示的な実施形態の概略側面図である。同一または類似の構成要素は、同一の参照番号で示されている。露光ユニット20は、可動シャッタ25と、放射線源23とを備える。
【0087】
可動25シャッタは、好ましくは、先に開示された範囲の電磁放射線に対して不透明および/または非反射性である。シャッタ25は、好ましくは、移動手段(図示せず)によって移動される平面構造、例えば、シート、カーテン、折り畳みシートまたはそれらの組み合わせである。移動手段は、無端ベルト、チェーン、リードスクリュー、リニアモータなどのモータ、ピストン、コグレールを有する歯車などの歯車、摩擦車、ギヤ、およびそれらの組み合わせを含む群のいずれか1つを備えることができる。
【0088】
シャッタ25の相対移動により、位置Aと位置Bとの間の複数の点は、異なる露光時間を受ける。可動シャッタ25は、シャッタが第1の位置Aと第2の位置Bとの間の領域を遮蔽する開始位置から、シャッタが第1の位置と第2の位置との間の領域の全露光を可能にする終了位置まで、第2の位置Bの方向に一定の速度で移動することができる。このようにして、くさび形状が形成される。相対移動はまた、段階的に行われてもよく、それによって段階的な厚さプロファイルを有する硬化領域を形成する。代替的に、より複雑な形状が形成されるように移動を変化させることができる。
【0089】
好ましくは、シャッタ25は、0.2mm/秒~50mm/秒の範囲の速度で移動し、0.5秒~15分の間のレリーフ前駆体Pの露光時間を可能にする。露光が必要とされない相対移動の軌跡の部分については、速度をより速くすることができる。代替的に、放射線源23とレリーフ前駆体Pとの間の別のおよび/または異なる相対移動は、保持手段10および/またはレリーフ前駆体P自体を移動させることによって提供されてもよい。
【0090】
図5は、
図1の実施形態に類似した例示的な実施形態の概略側面図である。同一または類似の構成要素は、同一の参照番号で示されている。
図5の放射線源23は可動である。放射線源23とレリーフ前駆体Pとの間の相対移動は、異なる露光時間、したがって異なる厚さを引き起こす。相対移動は、位置Aと位置Bとの間で厚さを漸減させるために一定の加速度で行うことができる。代替的に、放射線源23の移動は段階的で、階段形状の厚さを引き起こしてもよい。放射線源23の強度は、実質的に一定に保たれてもよく、またはより複雑な形状を作り出すために変化してもよい。
【0091】
図6は、
図1の実施形態に類似した実施形態を示す。同一または類似の構成要素は、同一の参照番号で示されている。露光ユニット20は、異なる強度で放射するように構成された3つの放射線源23を備え、それによって段階的な厚さプロファイルを有する硬化領域を形成する。一定の減少強度でレリーフ前駆体Pを露光することにより、くさび形状を得ることができる。代替的に、露光ユニット20は、3つより多くの放射線源23を備えてもよい。
【0092】
図7Aから
図7Bは、様々な可能な厚さプロファイルを示す。
図7Aは、段階的な厚さプロファイルを示す。
図7Bは、くさび形状の厚さプロファイルを示す。
図7Cから
図7Eは、位置Aと位置Bとの間の複数の点が受ける異なる露光時間および/または露光強度から生じるより複雑な形状の例を示す。
【0093】
図8Aは、長さLおよび幅Wを有するレリーフ前駆体Pの上面図を示し、露光領域90、91、92は異なる厚さプロファイルを有する。領域90は、位置Aから位置Bへの段階的な厚さの減少を示す。領域91は、厚さの漸減を示す。基準領域92は、測定された厚さを基準にすることができ、および/または測定ユニット50の較正に使用することができる対照として機能させるための非露光または完全露光領域である。
【0094】
図8Bおよび
図8Cは、長さ方向以外の方向において、露光条件の変化に起因して、厚さが二次元的に段階的または徐々に変化し得ることを示している。
図8Bにおいて、位置Aと位置Bとの間の露光領域は、特定の領域がより高い強度および/またはより長い露光時間で露光されたグリッドを形成する。基準領域92は、測定された厚さを基準とすることができる参照として使用することができる。
図8Cは、第1の位置A上の1つの点から第2の位置B上の1つの点に向かって見たときに厚さが漸減することを示している。
【0095】
図9は、上述のシステムおよび方法の教示を実施するシステム1000を概略的に示す。
【0096】
システム1000は、レリーフ前駆体に結合されるように意図された少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらにより好ましくは少なくとも3つの搬送バー100を有する搬送システム210、220、230を備える。例えば、
図9に示すように、4つの搬送バー100を搬送システム210、220、230に設けることができる。搬送バー100は、レリーフ前駆体Pの前縁部3に結合され、そして、さらに見るように、搬送バー100の端部を搬送システム210、220の搬送機構に結合することができるように、好ましくは前縁部の全長よりも長く延びる。複数のレリーフ前駆体を搬送バー100に結合することも可能であることに留意されたい。好ましくは、搬送バー100の長さは、100mm~1000mm、より好ましくは1000mm~4000mmである。
【0097】
システム1000は、レリーフ前駆体Pを搬送バー100に結合するように構成されたプレート結合ステーション300と、レリーフ前駆体を露光および現像するように構成された露光現像セクション400とを備える。露光現像セクション400は、特に
図1および
図3から
図6に関連して上述した露光ユニット20および現像ユニット40を備える。
【0098】
搬送システム210は、レリーフプレート前駆体が結合された搬送バー100を、レリーフプレート前駆体Pを露光および現像する露光現像セクション400を通って移動させるように、例えば制御モジュール800を使用して制御される。
【0099】
図11は、
図1の実施形態に類似した例示的な実施形態を使用した較正の一例を示す。
図11の例では、最初に所望の現像条件、例えばウォッシュアウト速度=350mm/分、温度=35℃、溶媒=nylosolv(登録商標)Aなどを設定し、次にプレートの異なる位置で可変露光時間を使用してプレートの背面を露光した。露光時間を直線的に変化させ、レリーフ深さ(プレート厚さからフロア高さを引いたものに対応する)を測定した。結果を
図11のグラフに示す。見て分かるように、レリーフ深さは露光時間と共に減少する。言い換えると、フロア高さは露光時間と共に増加する。この例では、目標レリーフ深さは550ミクロンであるため、選択される露光時間はおよそ16秒である。
【0100】
図示されていない実施形態では、レリーフ前駆体に対して後処理、例えば乾燥、後露光、加熱、冷却などを実行するために後処理ユニットを設けることができる。さらに、図示されていない実施形態では、レリーフ前駆体に対して前処理を実行するために前処理ユニットが設けることができ、前記前処理は、切断、アブレーション、電磁放射線への露光、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0101】
任意選択的に、前露光または後露光は、LED、蛍光ランプ、フラッシュランプ、直線状に配置された光管のセット、(走査)レーザ、LCDスクリーン、光投影システム(可動ミラー付き)、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される放射線源を使用して実行することができる。前露光ステップの間に、レリーフ前駆体の層を画像形成方式で変更することができる。
【0102】
レリーフ前駆体は、一般に、支持層と、少なくとも1つの感光層とを備える。支持層は、可撓性金属、天然もしくは人工ポリマー、紙またはそれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、支持層は、可撓性の金属またはポリマーフィルムまたはシートである。可撓性金属の場合、支持層は、薄膜、ふるい状構造、メッシュ状構造、織布もしくは不織布構造、またはそれらの組み合わせを含むことができる。鋼、銅、ニッケルまたはアルミニウムシートが好ましく、約50~1000μmの厚さであってもよい。ポリマーフィルムの場合、フィルムは寸法的に安定であるが屈曲可能であり、例えば、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドおよびポリカーボネート、織状、不織状もしくは層状の繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維)で強化されたポリマーまたはそれらの組み合わせから作製することができる。好ましくは、ポリエチレンおよびポリエステル箔が使用され、ポリエチレンおよびポリエステル箔の厚さは、約100~300μmの範囲、好ましくは100~200μmの範囲であってもよい。
【0103】
レリーフ前駆体は、少なくとも1つの追加の層を支持することができる。例えば、追加の層は、直接彫刻可能な層(例えば、レーザによる)、溶媒または水現像可能な層、熱現像可能な層、感光層、感光層とマスク層との組み合わせのいずれか1つであってもよい。任意選択的に、追加の層の最上部に1つ以上のさらなる追加の層を設けることができる。そのような1つ以上のさらなる追加の層は、画像形成可能層が画像形成される前に除去される全ての他の層の最上部にカバー層を含むことができる。1つ以上の追加の層は、レリーフ層と、支持層とレリーフ層との間、またはレリーフ層とは反対側の支持層の側にあるハレーション防止層とを含むことができる。1つ以上の追加の層は、レリーフ層と、画像形成可能層と、レリーフ層と画像形成可能層との間にあり、酸素の拡散を防止する1つ以上のバリア層とを含むことができる。上述の異なる層の間には、異なる層の適切な接着を確実にする1つ以上の接着層を位置させることができる。
【0104】
好ましい実施形態では、レリーフ前駆体は、ポリマー材料のポリエステルから作製された支持層と、樹脂材料などの直接彫刻可能な材料から作製された追加の層とを備える。次いで、任意選択の層は、レーザアブレーション層であってもよい。例示的な実施形態では、レリーフ前駆体は、少なくとも寸法的に安定な支持層と、レリーフ層と、画像形成可能なマスク層とを含むことができる。任意選択的に、さらなる層が存在してもよい。他の全ての層の最上部には、画像形成可能マスク層が画像化される前に除去されるカバー層が存在することができる。支持層とレリーフ層との間にハレーション防止層が存在してもよく、またはハレーション防止層はレリーフ層とは反対側の支持層の側に位置してもよい。レリーフ層と画像形成可能マスク層との間には、酸素の拡散を防止する1つ以上のバリア層が存在することができる。上述の異なる層の間には、異なる層の適切な接着を確実にする1つ以上の接着層を位置させることができる。1つ以上の層は、液体による処理によって除去可能であってもよい。使用される液体は、異なる層に対して同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、使用される液体は異なる。
【0105】
好ましい実施形態では、レリーフ前駆体は感光層と、マスク層とを備える。マスク層は、処理中にアブレーションまたは透明性を変化させることができ、透明および不透明領域を有するマスクを形成する。好ましくは、マスク層および/またはバリア層は、さらなるプロセスステップまたは最終レリーフの使用中に問題を引き起こす可能性がある材料を含み得るため、システムの前洗浄セクションで除去される。マスクの透明領域の下で、感光層は、照射時に溶解度および/または流動性の変化を受ける。変化は、1つ以上の後続のステップにおいて感光層の一部を除去することによってレリーフを生成するために使用される。溶解度および/または流動性の変化は、光誘起重合および/または架橋によって達成することができ、照射領域をより溶解しにくくする。他の場合では、電磁放射線は、照射領域をより可溶性にする結合の切断(breaking)または保護基の開裂(cleavage)を引き起こすことができる。好ましくは、光誘起架橋および/または重合を使用するプロセスが使用される。
【0106】
露光された前駆体から材料を除去するために使用され得る液体には、とりわけ、水、水溶液、溶媒およびそれらの組み合わせが含まれる。使用される液体の性質は、使用される前駆体の性質によって導かれる。除去される層が水または水溶液に可溶性、乳化性または分散性である場合、水または水溶液を使用することができる。層が有機溶媒または混合物に可溶性、乳化性または分散性である場合、有機溶媒または混合物を使用することができる。有機現像可能な前駆体の場合、異なる有機溶媒またはそれらの混合物を使用することができる。
【0107】
露光された前駆体からの未硬化材料の除去はまた、加熱し、液化材料を現像材料で除去することによって実行することもできる。軟化した材料の除去は、軟化した材料を吸収材料と連続的に接触させることによって達成される。吸収性現像剤材料は、ポリアミド、ポリエステル、セルロースまたは無機繊維の不織布であってもよく、その上に軟化した材料が接着し、その後除去される。そのような方法は、例えば、米国特許第3,264,103号、米国特許第5,175,072号、国際公開第96/14603号または国際公開第01/88615号に記載されている。代替的に、国際公開第01/90818号は、未硬化材料を除去するために、露光されたレリーフ前駆体を高温ガスまたは流体ジェットで処理することを提案した。欧州特許出願公開第469735号明細書および国際公開第01/18604号には、上述の方法を実行することができる装置が記載されている。
【0108】
本発明の原理は特定の実施形態に関連して上記に記載されているが、この説明は単なる例としてなされたものであり、添付の特許請求の範囲によって決定される保護範囲の限定としてではないことを理解されたい。
【国際調査報告】