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特表2023-544302ロボット制御送達カテーテルで肺腫瘍を治療するためのシステム、機器、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】ロボット制御送達カテーテルで肺腫瘍を治療するためのシステム、機器、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519370
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 US2021052121
(87)【国際公開番号】W WO2022067146
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/084,404
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523072588
【氏名又は名称】ジダン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】パネスク ドリン
(72)【発明者】
【氏名】ライナ シャシャンク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェリラ シンプリシオ アギュラー
(72)【発明者】
【氏名】ゲルファント マーク
(72)【発明者】
【氏名】レオン マーク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK13
4C160KK24
4C160KK37
4C160KK58
4C160KK63
4C160KK64
4C160MM32
(57)【要約】
肺組織の対象領域を治療するためのシステムであって、導電性液源と、肺組織の対象領域に、または付近に配置可能である導電性液出口との間に介在されるように構成されている、流量調整器であって、さらに、液源から流れてきて導電性液出口に送達される導電性液の流速またはボーラス注入量を制御するように構成されている、流量調整器と、流量調整器及び少なくとも1つのセンサと通信接続可能であるコントローラであって、少なくとも1つのセンサは、物理的特性を表している少なくとも1つの制御パラメータによって取得された値を検出するように構成されており、物理的特性は、肺組織の対象領域に、または付近に存在している物質の温度(T)、圧力(p)、電気インピーダンス(Z)、または導電率(C)のうちの1つである、コントローラと、を備えているシステムである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺組織の対象領域を治療するためのシステムであって、
導電性液源と、肺組織の前記対象領域に、または付近に配置可能である導電性液出口との間に介在されるように構成されている、少なくとも1つの流量調整器であって、さらに、前記液源から流れてきて前記導電性液出口に送達される導電性液の流速またはボーラス注入量を制御するように構成されている、流量調整器と、
前記流量調整器及び少なくとも1つのセンサと通信接続可能であるコントローラであって、前記少なくとも1つのセンサは、物理的特性を表している少なくとも1つの制御パラメータによって取得された値を検出するように構成されており、前記物理的特性は、肺組織の前記対象領域に、または付近に存在している物質の温度(T)、圧力(p)、電気インピーダンス(Z)、または導電率(C)のうちの1つである、コントローラと、を備えているシステムであり、
前記コントローラは、
前記センサから、前記制御パラメータの検出値を表している信号を受信して、
前記流量調整器を、前記制御パラメータの1つ以上の検出値に基づいて制御するように構成されていて、
前記流量調整器の制御は制御サイクルの実行を備え、前記制御サイクルは、
前記流量調整器を高送達モードで制御し、前記高送達モードにおいて、前記導電性液出口に送達された導電性液の前記流速は、高流速設定値以上であるか、または、前記導電性液出口に送達された導電性液の前記ボーラス注入量は、高ボーラス注入量設定値以上であり、
前記流量調整器を低送達モードで制御し、前記低送達モードにおいて、前記導電性液出口に送達された導電性液の前記流速は、前記高流速設定値よりも小さい低流速設定値以下であるか、または、前記導電性液出口に送達された導電性液の前記ボーラス注入量は、前記高ボーラス注入量設定値よりも小さい低ボーラス注入量設定値以下である、
システム。
【請求項2】
前記低送達モードにおいて、
前記導電性液出口に送達された導電性液の前記流速は、前記高流速設定値の50%よりも小さい低流速設定値以下であるか、または、
前記導電性液出口に送達された導電性液の前記ボーラス注入量は、前記高ボーラス注入量設定値の50%よりも小さい低ボーラス注入量設定値以下である、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記低送達モードにおいて、前記低流速設定値は0ml/minと5ml/minとの間であるか、または、前記低ボーラス注入量設定値は0mlと10mlとの間である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記高送達モードにおいて、前記高流速設定値は2ml/minと16ml/miとnの間であるか、または、前記高ボーラス注入量設定値は0.3mlと60mlとの間である、請求項1または2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記流量調整器の制御は、前記制御サイクルの繰り返し実行を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記肺組織の前記対象領域に配置可能であり、焼灼源に接続可能である、少なくとも1つの焼灼要素を備えている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
肺の気道通路を通って進むように構成されていて、前記肺組織の前記対象領域に配置可能である能動部分を有しており、前記少なくとも1つの焼灼要素を含んでいる、少なくとも1つの可撓性シャフトを備えている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサを備えていて、前記センサは前記肺組織の前記対象領域に配置可能であるように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサは前記可撓性シャフトの前記能動部分によって担持されている、請求項1から6及び8のいずれか1項と組み合わせた請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサは、前記可撓性シャフトの前記能動部分の周りの体積に一致して配置されるように構成されている、請求項1から6及び8のいずれか1項と組み合わせた請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサは、前記少なくとも1つの制御パラメータによって取得された値を検出するように構成されており、前記物理的特性は前記能動部分の周りの体積内に存在している物質の温度、圧力、電気インピーダンス、または導電率のうちの1つである、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記導電性液源と流体連結して配置されるように構成されている前記導電性液出口を備えている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記導電性液出口は前記可撓性シャフトの能動部分によって担持されている、請求項7または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記導電性液出口は、前記能動部分の周りの前記体積に一致して配置されるように構成されている、請求項7または12に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記焼灼源に接続可能であり、前記焼灼エネルギー源を制御して、焼灼エネルギーを前記少なくとも1つの焼灼要素に送達するように構成されている、請求項6から14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
さらに、前記コントローラは、
前記センサから、前記制御パラメータの検出値を表している信号を受信するステップと、
前記流量調整器を、前記制御パラメータの1つ以上の検出値に基づいて制御して、前記制御サイクルを実行し、必要に応じて繰り返し実行するステップと、
を実行するように構成されていて、
一方で、前記コントローラは、前記焼灼エネルギー源に、焼灼エネルギーを前記少なくとも1つの焼灼要素に送達することを指示する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記可撓性シャフトによって担持されていて、前記少なくとも1つの焼灼要素を前記焼灼源に電気的接続するように適合されている、電気コネクタを備えている、請求項7から16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御サイクルは、前記制御パラメータの1つ以上の検出値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっているかどうかを評価することを備え、
前記流量調整器を低送達モードにする制御は、前記制御パラメータの前記1つ以上の検出値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっている場合に実行される、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御サイクルは、前記制御パラメータの1つ以上の検出値が設定高閾値(T_High、Z_High)を超えているかどうかを評価することを備え、
前記流量調整器を高送達モードにする制御は、前記制御パラメータの前記1つ以上の検出値が設定高閾値(T_High、Z_High)を超えている場合に実行される、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御サイクルは、前記制御パラメータの1つ以上の検出値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっているかどうかを周期的に評価することを備え、
前記制御パラメータの前記1つ以上の検出値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっているときに、前記流量調整器を高送達モードから低送達モードに切り替え、
必要に応じて、前記周期的に評価するステップは少なくとも毎秒10回実行される、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御サイクルは、前記制御パラメータの1つ以上の検出値が設定高閾値(T_High、Z_High)を超えているかどうかを周期的に評価することを備え、
前記制御パラメータの前記1つ以上の検出値が設定高閾値(T_High、Z_High)を超えているときに、前記流量調整器を低送達モードから高送達モードに切り替え、
必要に応じて、前記周期的に評価するステップは少なくとも毎秒10回実行される、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラは、同一の治療セッションの間に複数回、前記制御サイクルを繰り返すように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記コントローラは、前記流量調整器を高送達モードで、または低送達モードで、それぞれの時間間隔の間制御するように構成されていて、前記それぞれの時間間隔の持続時間は、予め決められているか、作動させるイベントの検出によって決定されるかのいずれかである、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記コントローラは、作動させるイベントの検出によって前記時間間隔の持続時間を決定するように構成されていて、前記作動させるイベントの検出は、
前記検出パラメータの1つ以上の値が設定超高閾値(T_Overheat)を超えていることの検出、
前記検出パラメータの1つ以上の値が前記設定高閾値(T_High、Z_High)を超えていることの検出、及び
前記検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっていることの検出、
のうちの1つ以上を備えている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、前記流量調整器を高送達モードに調整する時間間隔の間に入れられた、前記流量調整器を低送達モードに調整する複数の時間間隔を含む前記同一の治療セッションを実行するように構成されており、
これによって、前記パラメータの前記検出値を制御下で維持しながら、前記治療セッションにわたって送達された導電性液の総量を減らす、請求項22または23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記流量調整器を低送達モードにするように制御するステップは、
特に1~10秒の間に含まれる低送達時間間隔(Flow Low Time)の間、前記導電性液出口への導電性液の前記流速を前記低流速設定値以下に維持するように、前記流量調整器を調整するステップ、または
特に1~10秒の間に含まれる低送達時間間隔(Flow Low Time)内に、前記低ボーラス注入量設定値以下の導電性液の前記ボーラス注入量を、前記導電性液出口に送達するように、前記流量調整器を調整するステップ、を備えている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記サイクルは前記低送達時間間隔の終了後に随意実行されるサブルーチンを備えていて、前記サブルーチンは、
前記検出パラメータの1つ以上の値が前記設定低閾値(T_Low)未満であるか、または超えているかを評価するさらなるステップと、
前記さらなる評価ステップで検出された前記パラメータの1つ以上の値が前記設定低閾値(T_Low)未満である場合に、前記低流速設定値または前記低ボーラス注入量設定値に減値を割り当てるステップと、
前記低流速設定値の前記減値または低ボーラス注入量設定値の前記減値を用いて、前記流量調整器を低送達モードにするように繰り返し制御するステップと、を含んでいる、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記流量調整器を高送達モードにするように制御する前記ステップは、
特に1~30秒の間に含まれる高送達時間間隔(Flow High Time)の間、前記導電性液出口への導電性液の前記流速を前記高流速設定値以上に維持するように、前記流量調整器を調整するステップ、または
特に1~30秒の間に含まれる高送達時間間隔(Flow High Time)内に、前記高ボーラス注入量設定値以上の導電性液の前記ボーラス注入量を、前記導電性液出口に送達するように、前記流量調整器を調整するステップ、を備えている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記サイクルは前記高送達時間間隔の終了後に随意実行されるサブルーチンを備えていて、前記サブルーチンは、
前記検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満であるか、または超えているかを評価するさらなるステップと、
前記さらなる評価ステップで検出された前記パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)を超えたままである場合に、前記高流速設定値または前記高ボーラス注入量設定値に増値を割り当てるステップと、
前記高流速設定値の前記増値または高ボーラス注入量設定値の前記増値を用いて、前記流量調整器を高送達モードにするように繰り返し制御するステップと、を含んでいる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記サイクルは、前記さらなる評価ステップの際に前記検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満であるかどうかに対して確実に合格するまで、請求項29に記載のサブルーチンを繰り返すことを規定する、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
請求項29に記載のサブルーチンを規定回数繰り返した後、前記検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満であるかどうかを評価するステップに対して合格できていないと判定された場合、前記コントローラは、前記少なくとも1つの焼灼要素への焼灼エネルギーの送達を中断または低減するように構成されている、請求項16及び30に記載のシステム。
【請求項32】
前記サイクルは、
前記1つ以上のパラメータ値が、前記高閾値(T_High; Z_High)よりも大きい設定過高閾値(T_Over High;Z_Over High)を超えているかどうかで、安全性に関係するイベントの発生を判定することを備え、
安全性に関係する状態と判定された場合は、
前記焼灼エネルギー源に供給された出力を下げるように一時的に調整し、及び/または
前記流量調整器を超高送達モードになるように制御し、前記超高送達モードにおいて、前記導電性液出口から送達された導電性液の前記流速は前記高流速設定値よりも大きい設定超高流速値以上である、または、前記導電性液出口から送達された導電性液の前記ボーラス注入量は前記高ボーラス注入量よりも大きい超高ボーラス注入量設定値以上である、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記コントローラは、前記焼灼エネルギー源によって供給された出力を、前記治療セッションの大部分にわたって、必要に応じて治療セッション全体にわたって、20W~200Wの間に含まれる範囲に維持するように構成されている、請求項6から32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記コントローラは、前記治療セッションの最初の部分の間で、必要に応じて治療セッション全体の10%~30%まで持続して、前記焼灼エネルギー源によって供給された出力を初期値から治療計画値まで増加させるように構成されている、請求項6から33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記コントローラは、前記焼灼エネルギー源によって供給された出力を、前記治療セッションの最初の部分の後に続く前記治療セッションの大部分にわたって、治療計画値に維持するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記初期値は20W~80Wの間に含まれ、前記治療計画値は40W~200Wの間に含まれ、さらに、前記初期値は前記治療計画値の80%より小さく、必要に応じて前記治療計画値の50%より小さい、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記治療セッションは30秒~30分の間に含まれる総治療時間を有している、請求項22から36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記コントローラは、治療時間が終了したら、前記焼灼エネルギー源からの出力の送達を自動停止して、導電性液の送達を停止するように前記流量調整器に自動的に指示するように構成されている、請求項6から37のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記コントローラは、前記治療セッション中に送達される導電性液の最大体積が0.3ml~60mlの間に含まれること、及び/または、前記治療セッション中に維持される導電性液の平均流速が0.1~15ml/minであること、を課すように、前記流量調整器を制御するように構成されていて、
特に前記送達される導電性液の最大体積に達したら、前記コントローラは、前記焼灼エネルギー源からの出力の送達を自動停止して、かつ/または、導電性液の送達を停止するように前記流量調整器に自動的に指示するように構成されている、請求項22から38のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
前記設定高閾値(T_High)は前記設定低閾値(T_Low)よりも大きい、請求項18から21のいずれか1項と組み合わせた先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記設定超高閾値(T_Overheat)は前記設定高閾値(T_High)よりも大きい、請求項24と組み合わせた請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記物理的特性は前記対象領域に存在している物質の温度であり、特に本請求項が請求項11に従属する場合、前記物理的特性は前記能動部分の周りの前記体積内に存在している物質の前記温度である、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項43】
前記設定低閾値(T_Low)は60~95℃である、請求項40または42に記載のシステム。
【請求項44】
前記設定高閾値(T_High)は75℃より高く、105℃までである、請求項42及び43のいずれか1項と組み合わせた請求項40に記載のシステム。
【請求項45】
前記設定超高閾値(T_Overheat)は85~115℃の間である、請求項42または43または44のいずれか1項と組み合わせた請求項41に記載のシステム。
【請求項46】
前記焼灼エネルギー源は無線周波数発生器であり、前記コントローラは、前記無線周波数発生器を制御して、1~200Wの範囲内、特に20~200Wの間に含まれる出力を有するRFを、30秒~30分間送達するように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項47】
前記流量調整器は、
ポンプと、必要に応じてシリンジポンプ、蠕動ポンプ、または注入ポンプと、
弁と、を備えている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項48】
高張生理食塩水溶液を送達するように構成されている導電性液源と、
前記導電性液源に接続可能であり、前記導電性液出口と流体連結している流体ポートと、を備えており、
必要に応じて、前記高張生理食塩水溶液は逆相の遷移ポリマー及び水を含有しており、体温より低い温度から体温へと遷移する際に粘度が高くなるように遷移し得る、請求項7から47のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項49】
前記高張生理食塩水溶液は1つ以上の生理的に許容できる溶質を含有しており、0.8~15Osm/Lの間の理論浸透圧を有していて、以下の式、
【数1】
に従って算出され、ここでnは各溶質分子から解離した粒子数であり、
必要に応じて、前記高張生理食塩水溶液は請求項123から146のいずれか1項に記載の水溶液である、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記高張生理食塩水溶液は、塩化ナトリウム(NaCl)を3%~30%(w/v)の間の濃度で含有している、請求項48または49に記載のシステム。
【請求項51】
前記可撓性シャフトは焼灼カテーテルの前記可撓性シャフトである、請求項7から50のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項52】
前記焼灼カテーテルは、前記可撓性シャフトの近位端にあり、前記可撓性シャフトの前記能動部分に位置している前記導電性液出口と流体連結している、1つの/前記流体ポートを有している、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記能動部分は前記可撓性シャフトの遠位端部分である、請求項7から52のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項54】
前記可撓性シャフトの前記能動部分で、または前記能動部分よりも近位側で、特に前記可撓性シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する、少なくとも1つの空間閉塞器を備えている、請求項7から53のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項55】
前記空間閉塞器は、展開可能バルーン、展開可能弁、展開可能ステント、または先細形シャフト区画のうちの1つである、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記空間閉塞器は、第1断面幅が1~30mmで長さが5~30mmの範囲である展開可能な閉塞バルーンを備えており、前記閉塞バルーンは、膨張して気道の一部分を閉塞するように構成されている、請求項54または55に記載のシステム。
【請求項57】
前記第1断面幅は前記展開可能閉塞バルーンの近位領域にあり、1~30mmの範囲の第2断面幅は前記バルーンの遠位領域にあり、第1断面幅と第2断面幅との間の断面幅は第1断面幅及び第2断面幅の両方よりも小さい、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記第1断面幅は前記展開可能閉塞バルーンの近位領域にあり、1~20mmの範囲かつ前記第1断面幅よりも小さい第2断面幅は前記バルーンの遠位領域にある、請求項56に記載のシステム。
【請求項59】
前記可撓性シャフトを受容する管状シースまたは気管支鏡を備えており、前記可撓性シャフトの少なくとも前記能動部分、特に前記遠位端部分は前記管状シースまたは気管支鏡から出てくるように構成されている、請求項7から58のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項60】
前記空間閉塞器は前記管状シースまたは気管支鏡によって担持されている、請求項54から58のいずれか1項と組み合わせた請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記少なくとも1つの空間閉塞器は前記可撓性シャフトまたは他のシャフトに直接担持されている、請求項54から58のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項62】
前記可撓性シャフトを貫通しており、流体源、任意で液体源または気体源に接続可能な近位端と、前記バルーンの内部と流体連結している遠位端とを有している膨張式管腔をさらに備えている、請求項54から61のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項63】
前記可撓性シャフトは少なくとも前記近位領域の5cm上と前記遠位領域の5cm上とに深さマーカーを備えている、請求項7から62のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項64】
真空源に流体連結されて配置されて、前記シャフトの前記遠位端部分の周りの肺容量から空気を吸い込むように構成されている少なくとも1つの吸引開口を、前記可撓性シャフトの遠位端部分に備えている、請求項7から62のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項65】
前記少なくとも1つの吸引開口は前記空間閉塞器に対して遠位側に配置されている、請求項54から63のいずれか1項と組み合わせた請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する追加の空間閉塞器を備えていて、
特に、前記追加の空間閉塞器は、展開可能バルーン、展開可能弁、及び展開可能ステントのうちの1つであり、前記少なくとも1つの吸引開口は前記空間閉塞器と前記追加の空間閉塞器との間に配置されている、請求項54から63のいずれか1項と組み合わせた請求項64に記載のシステム。
【請求項67】
前記少なくとも1つの導電性液出口は、前記空間閉塞器に対して遠位側に、または前記空間閉塞器と前記追加の空間閉塞器との間に配置されている、請求項65または66に記載のシステム。
【請求項68】
前記少なくとも1つのセンサは、前記空間閉塞器に対して遠位側に、または前記空間閉塞器と前記追加の空間閉塞器との間に配置されている、請求項54から67のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項69】
前記少なくとも1つのセンサは前記可撓性シャフトの遠位端部分によって担持されており、前記物理的特性は、前記可撓性シャフトの前記遠位端部分の周りの物質の温度、圧力、電気インピーダンス、または導電率のうちの1つである、請求項67に記載のシステム。
【請求項70】
前記少なくとも1つのセンサは、前記焼灼要素よりも近位側に配置されている第1センサと、前記焼灼要素よりも遠位側に配置されている第2センサとを備えている、請求項68または69に記載のシステム。
【請求項71】
前記少なくとも1つの焼灼要素は、前記可撓性シャフトの遠位チップに配置されている丸端の遠位チップを有している焼灼要素を備えている、請求項7から70のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項72】
共通管腔、または、専用の洗浄用管腔及び専用の空気吸引管腔を備えており、
共通管腔は、前記可撓性シャフトを貫通しており、前記導電性液源及び真空源のうちの少なくとも1つに選択的に接続可能である近位端と、前記少なくとも1つの出口及び前記少なくとも1つの吸引開口を規定する共通開口を構成している遠位端とを有していて、
専用の洗浄用管腔及び専用の空気吸引管腔は、前記洗浄用管腔が前記少なくとも1つの出口に接続されて前記カテーテルの可撓性シャフトを貫通している状態であり、前記洗浄用管腔が前記導電性液源に接続されるように構成されている入口ポートを有しており、前記空気吸引管腔が前記少なくとも1つの空気吸引開口に接続されて前記カテーテルの可撓性シャフトを貫通している状態であり、前記空気吸引管腔が前記真空源に接続されるように構成されている吸引ポートを有している、請求項54から63及び65から71のいずれか1項と組み合わせた請求項64に記載のシステム。
【請求項73】
前記可撓性シャフトは外径が2mm以下である、請求項7から72のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項74】
前記可撓性シャフトの少なくとも一部分は、前記シャフト内の曲がりは少なくとも7mmの曲率半径を有するように湾曲させることができる、請求項7から73のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項75】
前記可撓性シャフトは長さが少なくとも50cmである、請求項7から74のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項76】
前記細長シャフトは、前記遠位端部分内に、ガイドワイヤを受容するように構成されているガイドワイヤ管腔を有している、請求項7から75のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項77】
前記吸引管腔及び前記ガイドワイヤ管腔は共通管腔によって形成されている、請求項72及び76に記載のシステム。
【請求項78】
前記焼灼要素は、
120mm未満の総表面積、
0.5~2mmの範囲の直径、
3~20mmの範囲の長さ、
のうちの1つ以上を特徴とする少なくとも1つの電極を備えている、請求項6から77のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項79】
前記少なくとも1つの焼灼要素は少なくとも2つの電極を含んでいて、電極間の距離が5~15mmの間である、請求項6から78のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項80】
前記少なくとも1つのセンサと接続可能であり、少なくとも前記コントローラと通信接続可能で、前記センサが検出した前記少なくとも1つの制御パラメータの前記検出値を前記コントローラに伝送する、インターフェース要素を含んでいる、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項81】
前記コントローラは、
前記検出値を処理し、
前記検出値のうちの1つ以上に基づいて、少なくとも1つの出力信号を生成する、ように構成されていて、
前記少なくとも1つの出力信号は、
使用者認識可能出力、必要に応じて、前記使用者認識可能出力は、前記シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する少なくとも1つの空間閉塞器を展開するように、前記使用者に合図を送る可聴信号、視覚信号、または振動性信号を備えていて、
1つの/前記カテーテルの遠位端部分に位置している肺部分の空気体積減少の程度を示しているステータス出力、
1つの/前記シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作可能な少なくとも1つの空間閉塞器を自動展開する出力指示、
1つの/前記可撓性シャフトの1つの/前記遠位端部分の周りの物質の前記温度の示度を与える温度出力、
前記シャフトの1つの/前記遠位端部分の周りの物質の前記インピーダンスまたは導電率の示度を与える電気特性出力、
1つの/前記可撓性シャフトの1つの/前記遠位端部分の周りの物質の前記圧力の示度を与える圧力出力、
のうちの1つ以上を備えている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項82】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されていて、
前記センサは、
前記対象領域で温度をモニタリングするように構成されている温度センサであり、
前記コントローラは、
前記少なくとも1つの出口を通って送達される前記導電性液の前記導電率または前記組成を、モニタリングされた温度に基づいて制御して、前記温度センサが検出した前記温度値を、決められた温度範囲内に、または特定の温度閾値よりも高く維持する、
ように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項83】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されていて、
前記センサは温度センサであり、特に本請求項が請求項7に従属する場合、前記センサは、
前記可撓性シャフトの前記遠位端部分の周りの物質の温度値を検出するように構成されており、
前記コントローラは、
前記対象領域で温度をモニタリングし、 前記エネルギー源が出力した前記焼灼エネルギー出力を調整して、前記温度センサが検出した前記温度値を、決められた温度範囲内に、または特定の温度閾値よりも高く維持する、
ように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項84】
前記決められた温度範囲は60~115℃の間であり、前記特定の温度閾値は少なくとも80℃である、請求項82または83に記載のシステム。
【請求項85】
少なくとも前記遠位端領域上に、3次元ナビゲーションセンサ等のナビゲーションセンサ、またはファイバーブラッググレーティングセンサ等の形状センサをさらに備えており、特に前記ナビゲーションセンサは、電磁気センサ、3D電磁気センサ、形状センサ、FBGセンサ、3D超音波センサ、及び3Dナビゲーション用インピーダンス追跡のうちの1つ以上である、請求項1から84のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項86】
前記可撓性シャフトの遠位チップに、腫瘍に貫通するように構成されている穿孔要素をさらに備えており、前記穿孔要素は、ニードル、展開可能ニードル、及びRF穿孔電極を含むリストから選択される、請求項7から85のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項87】
前記空間閉塞器と前記焼灼要素との間の距離は1mm~40mmの範囲である、請求項54と組み合わせた請求項6から87のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項88】
肺の気道通路を通って進むように構成されている可撓性シャフトと、
前記可撓性シャフトの遠位端部分に配置されていて、焼灼エネルギー源に電気的接続可能である少なくとも1つの焼灼要素と、
導電性液源に接続可能である流体ポートと、
前記遠位端部分に位置していて、前記流体ポートと流体連結している少なくとも1つの導電性液の出口と、を備えている、焼灼カテーテル。
【請求項89】
前記シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する、少なくとも1つの空間閉塞器をさらに備えており、特に前記空間閉塞器は、先細形シャフト区画、展開可能バルーン、展開可能弁、または展開可能ステントのうちの1つである、請求項88に記載のカテーテル。
【請求項90】
前記閉塞器は、第1断面幅が1~30mmで長さが5~30mmの範囲である展開可能な閉塞バルーンを備えており、前記閉塞バルーンは、膨張して気道の一部分を閉塞するように構成されている、請求項89に記載のカテーテル。
【請求項91】
前記第1断面幅は前記展開可能閉塞バルーンの近位領域にあり、1~30mmの範囲の第2断面幅は前記バルーンの遠位領域にあり、第1断面幅と第2断面幅との間の断面幅は第1断面幅及び第2断面幅の両方よりも小さい、請求項90に記載のカテーテル。
【請求項92】
前記第1断面幅は前記展開可能閉塞バルーンの近位領域にあり、1~20mmの範囲かつ前記第1断面幅よりも小さい第2断面幅は前記バルーンの遠位領域にある、請求項90に記載のカテーテル。
【請求項93】
前記シャフトを受容する管状シースまたは気管支鏡を備えており、前記可撓性シャフトの少なくとも前記遠位端部分は前記管状シースまたは気管支鏡から出てくるように構成されている、請求項88から92のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項94】
前記空間閉塞器は前記管状シースまたは気管支鏡によって担持されているか、または、前記少なくとも1つの空間閉塞器は前記シャフトまたは異なるシャフトに直接担持されている、請求項90と組み合わせた請求項93に記載のカテーテル。
【請求項95】
前記可撓性シャフトを貫通しており、流体源、任意で液体源または気体源に接続可能な近位端と、前記バルーンの内部と流体連結している遠位端とを有している膨張式管腔をさらに備えている、請求項90と組み合わせた請求項88から94のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項96】
前記可撓性シャフトは少なくとも前記近位領域の5cm上及び前記遠位領域の5cm上に深さマーカーを備えている、請求項88から95のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項97】
真空源に流体連結されて配置されて、前記シャフトの前記遠位端部分の周りの肺容量から空気を吸い込むように構成されている少なくとも1つの吸引開口を、前記シャフトの遠位端部分に備えている、請求項88から96のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項98】
前記少なくとも1つの吸引開口は前記空間閉塞器に対して遠位側に配置されている、請求項90と組み合わせた請求項97に記載のカテーテル。
【請求項99】
前記シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する追加の空間閉塞器を備えていて、特に、前記追加の空間閉塞器は、展開可能バルーン、展開可能弁、展開可能ステント、及び先細形シャフト区画のうちの1つであり、前記少なくとも1つの吸引開口は前記空間閉塞器と前記追加の空間閉塞器との間に配置されている、請求項98に記載のカテーテル。
【請求項100】
前記少なくとも1つの導電性液出口は、前記空間閉塞器に対して遠位側に、または前記空間閉塞器と前記追加の空間閉塞器との間に配置されている、請求項88から99のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項101】
前記空間閉塞器に対して遠位側に、または前記空間閉塞器と前記追加の空間閉塞器との間に配置されている少なくとも1つのセンサをさらに備えている、請求項88から100のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項102】
前記少なくとも1つのセンサは前記可撓性シャフトの前記遠位端部分によって担持されており、前記物理的特性は、前記可撓性シャフトの前記遠位端部分の周りの物質の温度、圧力、電気インピーダンス、または導電率のうちの1つである、請求項101に記載のカテーテル。
【請求項103】
前記少なくとも1つのセンサは、前記焼灼要素よりも近位側に配置されている第1センサと、前記焼灼要素よりも遠位側に配置されている第2センサとを備えている、請求項101または102に記載のカテーテル。
【請求項104】
前記少なくとも1つの焼灼要素は、前記可撓性シャフトの遠位チップに配置されている丸端の遠位チップを有している焼灼要素を備えている、請求項88から102のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項105】
共通管腔、または、専用の洗浄用管腔及び専用の空気吸引管腔を備えており、
共通管腔は、前記可撓性シャフトを貫通しており、前記導電性液源及び真空源のうちの少なくとも1つに選択的に接続可能である近位端と、前記少なくとも1つの出口と前記少なくとも1つの吸引開口を規定する共通開口を形成している遠位端とを有していて、
専用の洗浄用管腔及び専用の空気吸引管腔は、前記洗浄用管腔が前記少なくとも1つの出口に接続されて前記カテーテルシャフトを貫通している状態であり、前記洗浄用管腔が前記導電性液源に接続されるように構成されている入口ポートを有しており、前記空気吸引管腔が前記少なくとも1つの空気吸引開口に接続されて前記カテーテルシャフトを貫通している状態であり、前記空気吸引管腔が前記真空源に接続されるように構成されている吸引ポートを有している、請求項88から103のいずれか1項と組み合わせた請求項97に記載のカテーテル。
【請求項106】
前記可撓性シャフトは外径が2mm以下である、請求項88から105のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項107】
前記可撓性シャフトの少なくとも一部分は、前記シャフト内の曲がりは少なくとも7mmの曲率半径を有するように湾曲させることができる、請求項88から106のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項108】
前記可撓性シャフトは長さが少なくとも50cmである、請求項88から107のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項109】
前記細長シャフトは、前記遠位端部分内に、ガイドワイヤを受容するように構成されているガイドワイヤ管腔を有している、請求項88から108のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項110】
前記吸引管腔及び前記ガイドワイヤ管腔は共通管腔によって形成されている、請求項105及び109に記載のカテーテル。
【請求項111】
前記焼灼要素は、
120mm未満の総表面積、
0.5~2mmの範囲の直径、
3~20mmの範囲の長さ、
のうちの1つ以上を特徴とする少なくとも1つの電極を備えている、請求項88から110のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項112】
前記少なくとも1つの焼灼要素は少なくとも2つの電極を含んでいて、電極間の距離が5~15mmの間である、請求項88から111のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項113】
前記少なくとも1つのセンサと接続可能であり、少なくともコントローラと通信接続可能で、前記センサが検出した前記少なくとも1つの制御パラメータの値を前記コントローラに伝送する、インターフェース要素を含んでいる、請求項101と組み合わせた請求項88から112のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項114】
前記検出値を処理し、
前記検出値のうちの1つ以上に基づいて、少なくとも1つの出力信号を生成する、ように構成されている、コントローラを備えており、
前記少なくとも1つの出力信号は、
使用者認識可能出力、必要に応じて、前記使用者認識可能出力は、前記シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する少なくとも1つの空間閉塞器を展開するように、前記使用者に合図を送る可聴信号、視覚信号、または振動性信号を備えていて、
前記可撓性シャフトの前記遠位端部分に位置している肺部分の空気体積減少の前記程度を示しているステータス出力、
前記可撓性シャフトの前記遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する少なくとも1つの空間閉塞器を自動展開する出力指示、
前記可撓性シャフトの前記遠位端部分の周りの物質の前記温度の示度を与える温度出力、
前記可撓性シャフトの前記遠位端部分の周りの物質の前記インピーダンスまたは導電率の示度を与える電気特性出力、
前記可撓性シャフトの前記遠位端部分の周りの物質の前記圧力の示度を与える圧力出力、
のうちの1つ以上を備えている、請求項101と組み合わせた請求項88から113のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項115】
前記少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されているコントローラを備えており、
前記センサは、
前記対象領域で温度をモニタリングように構成されている温度センサであり、
前記コントローラは、
前記少なくとも1つの出口を通って送達される前記導電性液の導電率または組成を、モニタリングされた温度に基づいて制御して、前記温度センサが検出した温度値を、決められた温度範囲内に、または特定の温度閾値よりも高く維持する、
ように構成されている、請求項101と組み合わせた請求項88から114のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項116】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されていて、
前記センサは温度センサであり、特に本請求項が請求項7に従属する場合、前記センサは、
前記可撓性シャフトの前記遠位端部分の周りの物質の温度値を検出するように構成されており、
前記コントローラは、
前記対象領域で温度をモニタリングし、
前記エネルギー源が出力した前記焼灼エネルギー出力を調整して、前記温度センサが検出した温度値を、決められた温度範囲内に、または特定の温度閾値よりも高く維持する、
ように構成されている、請求項88から115のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項117】
前記決められた温度範囲は60~115℃の間であり、前記特定の温度閾値は少なくとも80℃である、請求項115または116に記載のカテーテル。
【請求項118】
少なくとも前記遠位端領域上に、3次元ナビゲーションセンサ等のナビゲーションセンサ、またはファイバーブラッググレーティングセンサ等の形状センサをさらに備えており、特に前記ナビゲーションセンサは、電磁気センサ、3D電磁気センサ、形状センサ、FBGセンサ、3D超音波センサ、及び3Dナビゲーション用インピーダンス追跡のうちの1つ以上である、請求項88から117のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項119】
前記可撓性シャフトの遠位チップに、腫瘍に貫通するように構成されている穿孔要素をさらに備えており、前記穿孔要素は、ニードル、展開可能ニードル、及びRF穿孔電極を含むリストから選択される、請求項88から118のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項120】
前記空間閉塞器と前記焼灼要素との間の距離は1mm~40mmの範囲である、請求項89から119のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項121】
先細形遠位端と、前記シャフトを前記近位領域から前記遠位領域まで貫通する管腔と、を備えており、前記管腔は前記先細形遠位端の一番狭い部分で前記遠位領域に出てくる、請求項88から120のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項122】
請求項121に記載のカテーテルと、前記シャフトを前記近位領域から前記遠位領域まで貫通する前記管腔を通して、さらに前記遠位領域を越えて挿入されるように適合されている腫瘍穿孔ワイヤと、を備えており、前記腫瘍穿孔ワイヤは、鋭利な遠位チップと、任意で近位領域上にある深さマーカーと、任意で遠位領域上にある放射線不透過マーカーと、を備えている、システム。
【請求項123】
肺気道の対象領域にある肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)を治療するための溶液であって、
1つ以上の生理的に許容できる溶質を備え、0.8~15Osm/Lの間の理論浸透圧を有し、以下の式
【数2】
に従って算出され、ここでnは各溶質分子から解離した粒子数であり、及び/または、
3%~30%(w/v)の濃度の塩化ナトリウム(NaCl)
を備えている溶液であり、
前記溶液は前記肺気道の前記対象領域内で60~115℃の範囲の温度に達し、
前記溶液は気道を介して前記対象領域に局所的に送達され、
前記溶液は一定ではない流速で前記対象領域に送達され、
前記溶液は30秒~30分の間に含まれる総治療時間の間、前記対象領域に送達される、溶液。
【請求項124】
前記溶液は高張生理食塩水溶液である、請求項123記載の溶液。
【請求項125】
前記溶液は、海抜、20℃で少なくとも30mS/cm、好適には70mS/cm~225mS/cmの間に含まれる導電率を有している、請求項123または124に記載の溶液。
【請求項126】
前記総治療時間中に送達された溶液の総体積は0.3ml~60mlの間に含まれる、請求項123から125のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項127】
前記溶液の一定ではない流速での前記対象領域への送達は、低送達モードでの期間と高送達モードでの期間を交互に行い、
前記低送達モード期間中は、流速を0~10ml/minの間に維持し、またはボーラス注入量を0~10mlの間で送達し、
前記高送達モード期間中は、流速を2~16ml/minの間に維持し、またはボーラス注入量を0.3~60mlの間で送達する、請求項123から126のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項128】
前記溶液の一定ではない流速での前記対象領域への送達は、前記治療時間中、0.1~15ml/minの間に含まれる導電性液の平均流速に維持されている、請求項123から127のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項129】
1~200Wの範囲の、特に20~200Wの間に含まれる出力を有するRF焼灼エネルギーを送達しながら、前記高張生理食塩水溶液は気道を介して前記対象領域に局所的に送達される、請求項123から128のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項130】
前記生理食塩液は逆相の遷移ポリマー及び水を含有しており、体温より低い温度から体温へと遷移する際に粘度が高くなるように遷移する、請求項123から129のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項131】
前記対象領域に続く肺そのものの気道内で第1閉塞バルーンを膨らませることによって肺の前記対象領域が隔絶されている状態で、前記溶液の組成は前記対象領域に送達され、前記バルーンは肺の前記対象領域よりも近位側にある、請求項123から130のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項132】
第1閉塞バルーンよりも遠位側かつ前記対象領域よりも遠位側にある肺そのものの気道内で第2閉塞バルーンを膨らませることによって肺の前記対象領域が隔絶されている状態で、前記溶液は前記対象領域に送達される、請求項123から131のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項133】
前記一方のまたは両方のバルーンが、前記肺そのものの気道を閉塞して前記気道において前記溶液を注入する部分を形成し、前記気道の当該部分の外への液体の流れを抑制しながら、前記溶液は前記対象領域に送達される、請求項131または132に記載の溶液。
【請求項134】
前記溶液は、0.8~15Osm/Lの間、好適には5~9Osm/Lの間の理論浸透圧を有している、請求項123から133のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項135】
前記1つ以上の溶質は、生理的に許容できる塩及び無機水酸化物から選択され、好適には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、または硝酸ナトリウム、の水溶液またはそれらの組み合わせのいずれかからなる群から選択される、請求項123または125から134のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項136】
前記溶液は、3%~30%(w/v)の間の濃度の塩化ナトリウム(NaCl)と水とを含有している高張生理食塩水溶液である、請求項123から134のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項137】
前記溶液は、5%~25%(w/v)の間の濃度の塩化ナトリウム(NaCl)を含有している高張生理食塩水溶液である、請求項136記載の溶液。
【請求項138】
前記溶液は、水とは異なる成分と1%未満の重量/体積濃度の塩化ナトリウムとを含有している、請求項136または137に記載の溶液。
【請求項139】
前記対象領域は癌組織によって形成されており、体積が0.1~30cm、特に0.5~15cmである、請求項123から138のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項140】
前記溶液は、前記対象領域の体積の関数である総治療時間を有する処置中に使用される、請求項123から139のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項141】
前記溶液は7分未満の総治療時間を有する処置中に使用され、前記溶液は直径が約2cm未満の対象領域を治療するために使用される、請求項123から141のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項142】
前記溶液は10分未満の総治療時間を有する処置中に使用され、前記溶液は直径が約2cmの対象領域を治療するために使用される、請求項123から140のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項143】
前記溶液は15分未満の総治療時間を有する処置中に使用され、前記溶液は直径が少なくとも2cmの対象領域を治療するために使用される、請求項123から140のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項144】
前記溶液は30分未満の総治療時間を有する処置中に使用され、前記溶液は直径が3cmより大きい対象領域を治療するために使用される、請求項123から140のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項145】
前記溶液は前記対象領域に直に接触している、請求項123から144のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項146】
前記溶液は前記気道の対象領域に、請求項1から87のいずれか1項に記載のシステムを用いて、または請求項88から122のいずれか1項に記載のカテーテルを用いて送達される、請求項123から145のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項147】
肺組織の対象領域を治療するためのシステムであって、
導電性液源と、肺組織の前記対象領域に、または付近に配置可能である導電性液出口との間に介在されるように構成されている、流量調整器であって、さらに、前記液源から流れてきて前記導電性液出口に送達される前記導電性液の流速またはボーラス注入量を制御するように構成されている、流量調整器と、
前記流量調整器を制御するように構成されていて、センサが検出した値を受信するように構成されているコントローラであって、前記センサは、肺組織の前記対象領域に、または付近に存在している物質の温度(T)、圧力(p)、電気インピーダンス(Z)、及び導電率(C)のうちの少なくとも1つである物理的特性を表している制御パラメータの値を検出する、コントローラと、を備えているシステムであり、
前記コントローラは、
前記制御パラメータの値の1つ以上を受信して、
前記流量調整器を、前記制御パラメータの値の前記1つ以上に基づいて制御し、前記導電性液出口に送達された前記導電性液の量を、肺癌治療に適した量になるように最適化するように構成されていて、
前記流量調整器の制御は制御サイクルの実行を備え、前記制御サイクルは、
前記流量調整器を高送達モードで制御し、前記高送達モードにおいて、前記導電性液出口に送達された前記導電性液の前記流速は、高流速設定値以上であるか、または、前記導電性液出口に送達された導電性液の前記ボーラス注入量は、高ボーラス注入量設定値以上であり、
前記流量調整器を低送達モードで制御し、前記低送達モードにおいて、前記導電性液出口に送達された前記導電性液の前記流速は、前記高流速設定値よりも小さい低流速設定値未満であるか、または、前記導電性液出口に送達された前記導電性液の前記ボーラス注入量は、前記高ボーラス注入量設定値よりも小さい低ボーラス注入量設定値未満である、
システム。
【請求項148】
前記低流速設定値は前記高流速設定値の半分未満であるか、または、前記低ボーラス注入量設定値は前記高ボーラス注入量設定値の半分未満である、請求項147に記載のシステム。
【請求項149】
前記低流速設定値は毎分0~5ミリリットルの範囲であるか、または、前記低ボーラス注入量設定値は0~10ミリリットルの範囲である、請求項147に記載のシステム。
【請求項150】
前記高流速設定値は毎分2~16ミリリットルの範囲であるか、または、前記高ボーラス注入量設定値は0.3~60ミリリットルの範囲である、請求項147に記載のシステム。
【請求項151】
前記流量調整器の制御は、さらに前記制御サイクルの繰り返し実行を備える、請求項147に記載のシステム。
【請求項152】
前記センサは前記肺組織の前記対象領域に配置可能であるように構成されている、請求項147に記載のシステム。
【請求項153】
前記肺組織の前記対象領域に配置可能であり、焼灼源に接続可能である、少なくとも1つの焼灼要素をさらに備えており、前記コントローラは、前記焼灼源を制御して焼灼エネルギーを前記少なくとも1つの焼灼要素に送達するように構成されている、請求項147に記載のシステム。
【請求項154】
前記コントローラは、前記焼灼源を制御して20~200ワットの範囲の焼灼エネルギーを送達するように構成されている、請求項153に記載のシステム。
【請求項155】
前記コントローラは、前記焼灼源を制御して30~1800秒間焼灼エネルギーを送達するように構成されている、請求項153に記載のシステム。
【請求項156】
前記制御サイクルは、
前記制御パラメータの前記検出値の1つ以上が設定低閾値未満に下がっているかどうかを評価することを備え、
前記流量調整器を低送達モードにする制御は、前記制御パラメータの前記1つ以上の検出値が設定低閾値未満に下がっている場合に実行される、請求項147に記載のシステム。
【請求項157】
前記制御サイクルは、前記制御パラメータの1つ以上の検出値が設定高閾値を超えているかどうかを評価することを備え、
前記流量調整器を高送達モードにする制御は、前記制御パラメータの前記1つ以上の検出値が設定高閾値を超えている場合に実行される、請求項147に記載のシステム。
【請求項158】
前記制御サイクルは、前記制御パラメータの前記検出値の1つ以上が設定低閾値未満に下がっているかどうかを周期的に評価することを備え、
前記制御パラメータの前記1つ以上の検出値が設定低閾値未満に下がっていることに応答して、前記流量調整器を高送達モードかおら低送達モードに切り替える、請求項147に記載のシステム。
【請求項159】
前記制御サイクルは、前記制御パラメータの1つ以上の検出値が設定高閾値を超えているかどうかを周期的に評価することを備え、
前記制御パラメータの前記1つ以上の検出値が設定高閾値を超えているときに、前記流量調整器を低送達モードから高送達モードに切り替える、請求項147に記載のシステム。
【請求項160】
前記コントローラは、同一の治療セッションの間に少なくとも2回、前記制御サイクルを繰り返すように構成されている、請求項147に記載のシステム。
【請求項161】
前記コントローラは、前記流量調整器を高送達モードで、または低送達モードで、それぞれの時間間隔の間制御するように構成されていて、前記それぞれの時間間隔の持続時間は、予め決められているか、作動させるイベントの検出によって決定されるかのいずれかである、請求項160に記載のシステム。
【請求項162】
前記コントローラは、前記作動させるイベントの検出によって前記時間間隔の持続時間を決定するように構成されていて、前記作動させるイベントの検出は、
前記検出パラメータの1つ以上の値が設定超高閾値を超えていることの検出、
前記検出パラメータの1つ以上の値が前記設定高閾値を超えていることの検出、及び
前記検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値未満に下がっていることの検出、
のうちの1つ以上を備えている、請求項161に記載のシステム。
【請求項163】
さらに、
前記検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値未満であるか、または超えているかを評価すると、
0~5秒の予め設定された時間間隔の範囲内に、検出された前記パラメータの1つ以上の値が設定低閾値未満である場合に、
前記高流速設定値または前記高ボーラス注入量設定値に減値を割り当てて、
前記高流速設定値の前記減値または高ボーラス注入量設定値の前記減値を用いて、前記流量調整器を高送達モードにするようにする制御を繰り返すことを備える、請求項158に記載のシステム。
【請求項164】
さらに、
検出された前記パラメータの1つ以上の値が設定低閾値未満であるか、または超えているかを評価すると、
1~30秒、好適には1~5秒である予め設定された時間間隔の間、検出された前記パラメータの1つ以上の値が前記設定低閾値を超えたままである場合に、
前記高流速設定値または前記高ボーラス注入量設定値に増値を割り当てて、
前記高流速設定値の前記増値または高ボーラス注入量設定値の前記増値を用いて、前記流量調整器を高送達モードにするようにする制御を繰り返すことを備える、請求項158に記載のシステム。
【請求項165】
前記コントローラは、前記検出された温度を60℃~115℃、好適には80℃~105℃の間の幅で維持するような前記流量調整器サイクルを指示する、請求項147に記載のシステム。
【請求項166】
前記サイクルは、
前記1つ以上のパラメータ値が、前記高閾値よりも大きい設定過高閾値を超えているかどうかで、安全性に関係するイベントの発生を判定し、
安全性に関係する状態と判定された場合は、
前記焼灼エネルギー源に供給された出力を一時的に下げ、及び/または
前記流量調整器を超高送達モードになるように制御し、前記超高送達モードにおいて、前記導電性液出口から送達された導電性液の前記流速は前記高流速設定値よりも大きい設定超高流速値以上である、または、前記導電性液出口から送達された前記導電性液の前記ボーラス注入量は前記高ボーラス注入量よりも大きい超高ボーラス注入量設定値以上であることを備える、請求項147に記載のシステム。
【請求項167】
肺癌治療に適した前記量は、毎分0.2~5ミリリットルの範囲、好適には毎分1.5~2.5ミリリットルの範囲で最適化された導電性液流速である、請求項147に記載のシステム。
【請求項168】
肺癌治療に適した前記量は、毎分0.1~15ミリリットルの範囲で最適化された平均導電性液流速である、請求項147に記載のシステム。
【請求項169】
患者の肺腫瘍を治療する方法であって、
ロボット制御されたシースを患者の気道を通して送達し、
焼灼カテーテルを前記ロボット制御されたシースを通して送達し、前記焼灼カテーテルは焼灼電極を備えており、
前記焼灼カテーテルを組織に差し込み、前記焼灼電極を前記肺腫瘍内または近傍に配置して、
前記焼灼電極からRFエネルギーを送達して、前記肺腫瘍を焼灼する、方法。
【請求項170】
前記焼灼カテーテルを送達する前に、前記肺腫瘍の生検が行われる、請求項169に記載の方法。
【請求項171】
さらに、前記シースを通って前記肺腫瘍内にガイドワイヤを送達することを備える、請求項169または170に記載の方法。
【請求項172】
前記ガイドワイヤを、前記生検が行われた位置と同じ位置に送達する、請求項170と組み合わせた請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記焼灼カテーテルは、先細円錐形チップと、前記円錐形チップの先端部に出口ポートを有するガイドワイヤ同軸管腔とを備えており、前記ガイドワイヤは前記ガイドワイヤ管腔を通して送達され、一方、前記円錐形チップは、前記シースの遠位チップに、またはチップの付近に配置されて、前記出口ポートから差し込まれるときに前記ガイドワイヤを支持する、請求項171または172に記載の方法。
【請求項174】
前記焼灼カテーテルは硬質の遠位端を有している、請求項170から173のいずれか1項に記載の方法。
【請求項175】
前記硬質の遠位端は長さが8mm~20mmの範囲である、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記ガイドワイヤ及び焼灼カテーテルは、前記焼灼カテーテル内部または前記シース内部における前記ガイドワイヤの並進運動のデジタル指示を示す並進運動センサを有している、請求項171から175のいずれか1項に記載の方法。
【請求項177】
前記並進運動のデジタル指示は、前記ガイドワイヤの差し込みを制御するコンピュータ制御されたロボット制御コントローラと通信する、請求項176に記載の方法。
【請求項178】
前記ガイドワイヤは、形状センサ、任意で光学式形状センサ、及び電磁式位置センサのうちの少なくとも1つ、または放射線不透過マーカーを有している、請求項171から177のいずれか1項に記載の方法。
【請求項179】
前記ガイドワイヤは遠位部と中間部とを有しており、前記遠位部は長さが5cm~10cmの範囲であり、前記遠位部は弾性率が前記中間部よりも高い、請求項171から178のいずれか1項に記載の方法。
【請求項180】
前記ガイドワイヤはさらに、長さが10cm~110cm範囲であり、弾性率が前記中間部よりも高い、近位部を備えている、請求項179に記載の方法。
【請求項181】
前記ガイドワイヤの前記遠位チップが前記シースの前記遠位チップに位置し、前記ガイドワイヤの前記近位部が使用者またはロボット制御マニピュレータによって把持されていて、前記ガイドワイヤの前記遠位チップを前記焼灼カテーテルから進めるときに、前記中間部は完全に前記焼灼カテーテル内に収容されている、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
前記ガイドワイヤは尖った円錐形遠位チップを有している、請求項171から181のいずれか1項に記載の方法。
【請求項183】
前記コンピュータ制御されたロボット制御コントローラは、使用者が規定した距離、以前に前記シースから前記肺腫瘍に差し込まれた生検カテーテルの距離によって規定された保存距離、医用画像のうちの少なくとも1つに従って、前記ガイドワイヤの差し込みを制御する、請求項177から182のいずれか1項に記載の方法。
【請求項184】
前記ガイドワイヤは自身の遠位部上に配置された展開可能固着具を有している、請求項179から183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項185】
前記ガイドワイヤを前記肺腫瘍内に配置したときに、前記展開可能固着具が膨らまされる、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記ガイドワイヤ上の前記展開可能固着具が展開している状態で、前記焼灼カテーテルが差し込まれる、請求項185に記載の方法。
【請求項1861】
前記展開可能固着具はバルーンである、請求項184から186のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1862】
前記展開可能固着具はニチノールバスケットである、請求項184から186のいずれか1項に記載の方法。
【請求項187】
前記ガイドワイヤは、遠位チップからRF穿孔エネルギーを送達するように構成されており、RF穿孔エネルギーを送達しながら前記ガイドワイヤが組織に差し込まれる、請求項171から186のいずれか1項に記載の方法。
【請求項188】
前記ガイドワイヤは、前記遠位チップを除き、長さ方向に沿って電気絶縁されていて、前記ガイドワイヤの前記近位端はRFエネルギー源に接続可能である、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
前記ガイドワイヤは、自身の遠位部上または遠位部内に配置されている温度センサを有している、請求項179から188のいずれか1項に記載の方法。
【請求項190】
前記温度センサはエネルギー送達コントローラと通信しており、焼灼エネルギーを前記焼灼カテーテルに送達するエネルギー送達アルゴリズム内で使用されている、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
前記焼灼カテーテルは、前記シースに対する前記焼灼カテーテルの相対位置のデジタル指示を示す並進運動センサを有している、請求項169から190のいずれか1項に記載の方法。
【請求項192】
並進運動センサを有するアダプタが前記シースに接続されていて、前記焼灼カテーテルの並進運動センサは前記アダプタに対する位置を測定する、請求項191に記載の方法。
【請求項193】
前記焼灼カテーテルは請求項88から121のいずれか1項に記載の焼灼カテーテルである、請求項169から192のいずれか1項に記載の方法。
【請求項194】
請求項1から87または請求項147から168のいずれか1項に記載のシステムをさらに備えている、請求項169から193のいずれか1項に記載の方法。
【請求項195】
前記焼灼カテーテルから溶液が注がれて洗浄され、前記溶液は請求項123から146のいずれか1項に記載の溶液である、請求項169から194のいずれか1項に記載の方法。
【請求項196】
カテーテルを患者の体内の対象部位に送達しやすくする機器であって、遠位端と近位端と、その間に細長管状構造とを備えており、前記細長管状構造は遠位部と中間部とを備えていて、前記遠位部は弾性率が前記中間部よりも高い、機器。
【請求項197】
前記遠位部の長さは5cm~10cmの範囲である、請求項196に記載の機器。
【請求項198】
前記中間部は長さが80cm~110cmの範囲である、請求項196から197のいずれか1項に記載の機器。
【請求項199】
前記細長管状構造はさらに、弾性率が前記中間部よりも高い近位部を備えている、請求項196から198のいずれか1項に記載の機器。
【請求項200】
前記近位部の長さは10cm~110cmの範囲である、請求項199に記載の機器。
【請求項201】
前記中間部は、長さが前記カテーテルの全長よりも短い、請求項196から200のいずれか1項に記載の機器。
【請求項202】
前記中間部及び前記遠位部は、合わせた長さが前記カテーテルの全長よりも短い、請求項201に記載の機器。
【請求項203】
前記細長管状構造の最大外径は0.014”~0.018”の範囲である、請求項196から202のいずれか1項に記載の機器。
【請求項204】
前記細長管状構造の全長は135cm~300cmの範囲である、請求項196から203のいずれか1項に記載の機器。
【請求項205】
前記細長管状構造は、前記近位端から前記遠位端まで超弾性ニチノールワイヤを備えており、前記ニチノールワイヤは、前記遠位部において外径が0.011”~0.018”の範囲で、前記中間部において直径が0.005”~0.010”の範囲である、請求項196から204のいずれか1項に記載の機器。
【請求項206】
前記ニチノールワイヤは前記近位部において外径が0.011”~0.018”の範囲である、請求項199と組み合わせた請求項205に記載の機器。
【請求項207】
前記遠位端は半球形である、請求項196から206のいずれか1項に記載の機器。
【請求項208】
前記遠位端は尖った形状である、請求項196から206のいずれか1項に記載の機器。
【請求項209】
前記尖った遠位端は円錐形である、請求項208に記載の機器。
【請求項210】
前記遠位端よりも近位側に温度センサをさらに備えている、請求項196から209のいずれか1項に記載の機器。
【請求項211】
前記遠位端の1mmまでを除き、前記細長管状構造の外面上に電気絶縁をさらに備えており、前記近位端は電気エネルギー源に接続可能である、請求項196から210のいずれか1項に記載の機器。
【請求項212】
形状センサ、ナビゲーションセンサ、電磁式センサ、ファイバーブラッググレーティングセンサ、光学式センサ、3D超音波センサのうちの少なくとも1つをさらに備えている、請求項196から211のいずれか1項に記載の機器。
【請求項213】
並進運動測定機構をさらに備えている、請求項196から212のいずれか1項に記載の機器。
【請求項214】
前記並進運動測定機構は容量プレートを備えている、請求項213に記載の機器。
【請求項215】
前記遠位部上に展開可能固着具をさらに備えている、請求項196から214のいずれか1項に記載の機器。
【請求項216】
前記展開可能固着具はバルーンまたはニチノールケージのうちの1つである、請求項215に記載の機器。
【請求項217】
第2並進運動センサと容量的嵌合するように適合されている第1並進運動センサを前記可撓性シャフト上にさらに備えている、請求項88から121のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項218】
並進位置を評価するためのアダプタであって、前記アダプタに対する請求項217に記載のカテーテルの並進位置を評価し、前記第2並進運動センサと、前記カテーテルの前記可撓性シャフトを摺動して嵌合するように適合されている貫通管腔と、前記アダプタを接続するように適合されているコネクタと、管腔内シースと、を備えている、アダプタ。
【請求項219】
前記管腔内シースは、気管支鏡、ロボット操作シース、内視鏡、または放射状超音波シースのうちの1つである、請求項218に記載のアダプタ。
【請求項220】
マイクロコンピュータ、デジタルディスプレイ、及びアクチュエーターをさらに備えている、請求項218から219のいずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項221】
前記アダプタはコンピュータ制御コントローラに接続可能である、請求項218から220のいずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項222】
請求項88から121または217のいずれか1項に記載のカテーテルと、請求項196から216のいずれか1項に記載の機器とを備えているシステム。
【請求項223】
請求項218から221のいずれか1項に記載のアダプタをさらに備えている、請求項222に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本開示は、広くは悪性肺腫瘍を焼灼するための機器及び方法に関し、詳細には患者の気道を通るアプローチで肺腫瘍を焼灼するための機器及び方法に関する。
【0002】
[背景]
肺癌は、世界におけるがん関連死の主要原因であり続けている。実際、肺癌は、この国では毎年、乳癌、大腸癌、及び前立腺癌を合わせた数よりも多く死亡に関与している。非小細胞肺癌(Non-small cell lung cancer:NSCLC)は肺癌の中で最も一般的で、癌が発生する肺内部の細胞の種類にちなんで称されている。肺癌患者の約75~80%がNSCLCを有している。初期のNSCLCは、癌発生部位から大きく広がってはいない癌を指す。肺癌の検出と治療が早いほど、より良好な転帰が得られる。初期の肺癌に対する現在の標準治療は、可能な限り多く癌を外科的に切除し、その後に化学療法及び/または放射線療法を行うことで構成されている。
【0003】
肺または葉の外科的切除は、ステージ1または2の非小細胞肺癌(NSCLC)治療の絶対的な標準治療である。しかし残念なことに、毎年、肺癌と診断された患者の約15%~30%しか外科手術の対象にならない。特に、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)を併発している多くの患者は、外科手術には適さないとみなされている。
【0004】
針電極をCTによるガイド下で胸壁を貫いて挿入させる経皮的肺ラジオ波焼灼(radiofrequency ablation:RFA)は、原発性及び転移性肺癌に対する治療選択肢として採用されることが増えてきている。直近の技術的成功率は95%を超えており、術関連の死亡率も低く、主な合併症の発生率も8~12%である。最も頻発する合併症は気胸であるが、そのうち胸腔チューブでのドレーンを必要とする患者は10%未満である。治療対象となった病変の85%~90%で、癌の持続的な完全奏功が報告されている。
【0005】
肺腫瘍の気管支鏡焼灼は、非外科的熱腫瘍焼灼における次の先端領域として、多くの人に認識されているが、対象となる部位に十分な量の破壊された組織を形成するための専用機器がないことが妨げとなってきた。この制約はさらに、気管支鏡の作業チャネルを介して操作する必要性、焼灼電極を標的腫瘍に内視鏡で誘導する難しさ、及び、肺は血流によって十分に灌流され、灌流、気化、及び対流によって冷却され、さらには肺は、RFパス電気インピーダンスを増加させるとともに呼吸と同期して対象となる組織の体積を変形できる、大量の空気を内包しているという、肺組織の特殊な性質によって困難なものになっている。この後半の考察は、マイクロ波エネルギーであれば空気を十分に進行できることから、マイクロ波エネルギーに与えられている研究の優先につながった。しかし、RFによる組織の加熱には、この分野で評価されてきた簡便性と効率性という利点が存在する。
【0006】
前記に鑑み、気管支鏡で送達される肺腫瘍焼灼の妥当性を証明する、RFエネルギー送達方法及び機器の改善の必要性が今もまだ存在する。さらに、肺の末梢部により近い腫瘍に到達するために、この機器が可撓性があって比較的柔らかく、直径が小さい、好適には2mm未満である作業チャネルにフィットすることが望まれている。
【0007】
[概要]
本開示は、肺腫瘍の経気管支焼灼を行うための方法、機器、及びシステムに関する。本開示の各態様は以下の内容を含む。
【0008】
組織インピーダンスを下げるとともに効果的なRFエネルギー送達電極サイズを大きくするための、気管支内焼灼カテーテルを用いて導電性液(例えばHTS)を気道内に送達することに適した機器及びシステム。
【0009】
標的腫瘍につながっている気道の閉塞。
焼灼電極を用いた腫瘍の包囲または貫入(末梢部または中央部)。
単極、複数の単極、双極、多極、及び多相のRF構成を用いたRF焼灼エネルギーによる腫瘍の焼灼。
【0010】
RF焼灼エネルギーを用いた腫瘍の焼灼、及び、通常生理食塩水もしくは高張生理食塩水、または他の生体適合性のある導電性溶液(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム)を用いたRF電極の洗浄、並びに、温度センサ、洗浄生理食塩水濃度、温度または流速またはインピーダンスからのフィードバックを用いたRF焼灼エネルギーの制御。
【0011】
腫瘍焼灼のための、腫瘍を備えた肺部分の虚脱、圧縮、空気体積削減、または部分虚脱。
ガイドワイヤ上での焼灼カテーテルの配置及び気管支鏡の交換。
気管支鏡及び電極カテーテルのワイヤ上での交換を用いた気道内での電極の配置。
ばね荷重式または押引式カテーテルハンドル部設計を用いた腫瘍内への針電極の配置。
ガイドあり生検用器具をガイドなしまたはガイドあり焼灼器具に、現場での陽性生検結果を受けてすぐの交換、及び、X線透視または超音波ガイド下での同じ生検採取場所への操縦。
【0012】
肺の対象領域への血流の削減をその領域への酸素の削減によって実施、及び、焼灼エネルギー送達前または送達中の局所的な低酸素性血管収縮の誘発。
気管支鏡及び患者の気管支の分岐を通して結節へと焼灼カテーテルを挿入しやすくするための、CT画像データを用いた気管支内ナビゲーションによるナビゲーション計画の作成。気管支の分岐を通して結節へと焼灼カテーテルを案内しやすくするために、CTデータとともに電磁式追跡も利用してもよい。分岐した管腔ネットワークの気道のうちの結節または注目点付近または内部にある1箇所内に、焼灼カテーテルを配置してもよい。一度その位置に配置したら、X線透視を用いて、結節または注目点に向かってさらに操縦しているときに焼灼カテーテルを視覚化してもよい。ナビゲーション式気管支鏡検査と組み合わせるX線透視またはCTとともに、あるいは代わりに、MRI、超音波等の他の画像診断技術を使用してもよい。必要に応じて、気管支内焼灼カテーテルに、ナビゲーション式気管支鏡検査システムに適合する、現場で使用可能なセンサ(例えば3D電磁気コイル、ファイバーブラッググレーティング形状センサ等)を装着してもよい。
【0013】
本発明の1つ以上の態様を、本明細書にて以下に開示する。
第1態様は肺組織の対象領域を治療するためのシステムに関し、本システムは、導電性液源と、肺組織の対象領域に、または付近に配置可能である導電性液出口との間に介在されるように構成されている、少なくとも1つの流量調整器であって、さらに、液源から流れてきて導電性液出口に送達される導電性液の流速またはボーラス注入量を制御するように構成されている、流量調整器と、流量調整器及び少なくとも1つのセンサと通信接続可能であるコントローラであって、少なくとも1つのセンサは、物理的特性を表している少なくとも1つの制御パラメータによって取得された値を検出するように構成されており、物理的特性は、肺組織の対象領域に、または付近に存在している物質の温度(T)、圧力(p)、電気インピーダンス(Z)、または導電率(C)のうちの1つである、コントローラと、を備えているシステムであり、コントローラは、センサから、制御パラメータの検出値を表している信号を受信して、流量調整器を、制御パラメータの1つ以上の検出値に基づいて制御するように構成されていて、流量調整器の制御は制御サイクルの実行を備え、制御サイクルは、流量調整器を高送達モードで制御し、高送達モードにおいて、導電性液出口に送達された導電性液の流速は、高流速設定値以上であるか、または、導電性液出口に送達された導電性液のボーラス注入量は、高ボーラス注入量設定値以上であり、流量調整器を低送達モードで制御し、低送達モードにおいて、導電性液出口に送達された導電性液の流速は、高流速設定値よりも小さい低流速設定値以下であるか、または、導電性液出口に送達された導電性液のボーラス注入量は、高ボーラス注入量設定値よりも小さい低ボーラス注入量設定値以下である。
【0014】
第2態様は第1態様に係り、低送達モードにおいて、導電性液出口に送達された導電性液の流速は、高流速設定値の50%よりも小さい低流速設定値以下であるか、または、導電性液出口に送達された導電性液のボーラス注入量は、高ボーラス注入量設定値の50%よりも小さい低ボーラス注入量設定値以下である。
【0015】
第3態様は第1態様または第2態様に係り、低送達モードにおいて、低流速設定値は0ml/minと5ml/minとの間であるか、または、低ボーラス注入量設定値は0mlと10mlとの間である。
【0016】
第4態様は第1または第2または第3態様に係り、高送達モードにおいて、高流速設定値は2ml/minと16ml/minとの間であるか、または、高ボーラス注入量設定値は0.3mlと60mlとの間である。
【0017】
第5態様は第1~4態様のいずれか1つに係り、流量調整器の制御は、制御サイクルの繰り返し実行を備える。
第6態様は第1~5態様のいずれか1つに係り、肺組織の対象領域に配置可能であり、焼灼源に接続可能である、少なくとも1つの焼灼要素を備えている。
【0018】
第7態様は第6態様に係り、肺の気道通路を通って進むように構成されていて、肺組織の対象領域に配置可能である能動部分を有しており、少なくとも1つの焼灼要素を含んでいる、少なくとも1つの可撓性シャフトを備えている。
【0019】
第8態様は先行する第1~7態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つのセンサを備えていて、センサは肺組織の対象領域に配置可能であるように構成されている。
第9態様は第1~6及び8態様のいずれか1つと組み合わせた第7態様に係り、少なくとも1つのセンサは可撓性シャフトの能動部分によって担持されている
第10態様は第1~6及び8態様のいずれか1つと組み合わせた第7態様に係り、少なくとも1つのセンサは、可撓性シャフトの能動部分の周りの体積に一致して配置されるように構成されている。
【0020】
第11態様は第9態様または第10態様に係り、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの制御パラメータによって取得された値を検出するように構成されており、物理的特性は能動部分の周りの体積内に存在している物質の温度、圧力、電気インピーダンス、または導電率のうちの1つである。
【0021】
第12態様は先行する態様のいずれか1つに係り、導電性液源と流体連結して配置されるように構成されている導電性液出口を備えている。
第13態様は第7及び12態様に係り、導電性液出口は可撓性シャフトの能動部分によって担持されている。
【0022】
第14態様は第7及び12態様に係り、導電性液出口は、能動部分の周りの体積に一致して配置されるように構成されている。
第15態様は先行する第6~14態様のいずれか1つに係り、コントローラは、焼灼源に接続可能であり、焼灼エネルギー源を制御して、焼灼エネルギーを少なくとも1つの焼灼要素に送達するように構成されている。
【0023】
第16態様は第15態様に係り、さらに、コントローラは、センサから、制御パラメータの検出値を表している信号を受信するステップと、流量調整器を、制御パラメータの1つ以上の検出値に基づいて制御して、制御サイクルを実行し、必要に応じて繰り返し実行するステップと、を実行するように構成されていて、一方で、コントローラは、焼灼エネルギー源に、焼灼エネルギーを少なくとも1つの焼灼要素に送達することを指示する。
【0024】
第17態様は先行する第7~16態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトによって担持されていて、少なくとも1つの焼灼要素を焼灼源に電気的接続するように適合されている、電気コネクタを備えている。
【0025】
第18態様は先行する態様のいずれか1つに係り、制御サイクルは、制御パラメータの1つ以上の検出値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっているかどうかを評価することを備え、流量調整器を低送達モードにする制御は、制御パラメータの1つ以上の検出値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっている場合に実行される。
【0026】
第19態様は先行する態様のいずれか1つに係り、制御サイクルは、制御パラメータの1つ以上の検出値が設定高閾値(T_High、Z_High)を超えているかどうかを評価することを備え、流量調整器を高送達モードにする制御は、制御パラメータの1つ以上の検出値が設定高閾値(T_High、Z_High)を超えている場合に実行される。
【0027】
第20態様は先行する態様のいずれか1つに係り、制御サイクルは、制御パラメータの1つ以上の検出値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっているかどうかを周期的に評価することを備え、制御パラメータの1つ以上の検出値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっているときに、流量調整器を高送達モードから低送達モードに切り替え、必要に応じて、周期的に評価するステップは少なくとも毎秒10回実行される。
【0028】
第21態様は先行する態様のいずれか1つに係り、制御サイクルは、制御パラメータの1つ以上の検出値が設定高閾値(T_High、Z_High)を超えているかどうかを周期的に評価することを備え、制御パラメータの1つ以上の検出値が設定高閾値(T_High、Z_High)を超えているときに、流量調整器を低送達モードから高送達モードに切り替え、必要に応じて、周期的に評価するステップは少なくとも毎秒10回実行される。
【0029】
第22態様は先行する態様のいずれか1つに係り、コントローラは、同一の治療セッションの間に複数回、制御サイクルを繰り返すように構成されている。
第23態様は第22態様に係り、コントローラは、流量調整器を高送達モードで、または低送達モードで、それぞれの時間間隔の間制御するように構成されていて、それぞれの時間間隔の持続時間は、予め決められているか、作動させるイベントの検出によって決定されるかのいずれかである。
【0030】
第24態様は第23態様に係り、コントローラは、作動させるイベントの検出によって時間間隔の持続時間を決定するように構成されていて、作動させるイベントの検出は、検出パラメータの1つ以上の値が設定超高閾値(T_Overheat)を超えていることの検出、検出パラメータの1つ以上の値が設定高閾値(T_High、Z_High)を超えていることの検出、及び検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満に下がっていることの検出、のうちの1つ以上を備えている。
【0031】
第25態様は第22または23または24態様に係り、コントローラは、流量調整器を高送達モードに調整する時間間隔の間に入れられた、流量調整器を低送達モードに調整する複数の時間間隔を含む同一の治療セッションを実行するように構成されており、これによって、パラメータの検出値を制御下で維持しながら、治療セッションにわたって送達された導電性液の総量を減らす。
【0032】
第26態様は先行する態様のいずれか1つに係り、流量調整器を低送達モードにするように制御するステップは、特に1~10秒の間に含まれる低送達時間間隔(FlowLowTime)の間、導電性液出口への導電性液の流速を低流速設定値以下に維持するように、流量調整器を調整するステップ、または特に1~10秒の間に含まれる低送達時間間隔(FlowLowTime)内に、低ボーラス注入量設定値以下の導電性液のボーラス注入量を、導電性液出口に送達するように、流量調整器を調整するステップ、を備えている。
【0033】
第27態様は第26態様に係り、サイクルは低送達時間間隔の終了後に随意実行されるサブルーチンを備えていて、サブルーチンは、検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満であるか、または超えているかを評価するさらなるステップと、さらなる評価ステップで検出されたパラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満である場合に、低流速設定値または低ボーラス注入量設定値に減値を割り当てるステップと、低流速設定値の減値または低ボーラス注入量設定値の減値を用いて、流量調整器を低送達モードにするように繰り返し制御するステップと、を含んでいる。
【0034】
第28態様は先行する態様のいずれか1つに係り、流量調整器を高送達モードにするように制御するステップは、特に1~30秒の間に含まれる高送達時間間隔(FlowHighTime)の間、導電性液出口への導電性液の流速を高流速設定値以上に維持するように、流量調整器を調整するステップ、または特に1~30秒の間に含まれる高送達時間間隔(FlowHighTime)内に、高ボーラス注入量設定値以上の導電性液のボーラス注入量を、導電性液出口に送達するように、流量調整器を調整するステップ、を備えている。
【0035】
第29態様は第28態様に係り、サイクルは高送達時間間隔の終了後に随意実行されるサブルーチンを備えていて、サブルーチンは、検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満であるか、または超えているかを評価するさらなるステップと、さらなる評価ステップで検出されたパラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)を超えたままである場合に、高流速設定値または高ボーラス注入量設定値に増値を割り当てるステップと、高流速設定値の増値または高ボーラス注入量設定値の増値を用いて、流量調整器を高送達モードにするように繰り返し制御するステップと、を含んでいる。
【0036】
第30態様は第29態様に係り、サイクルは、さらなる評価ステップの際に検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満であるかどうかに対して確実に合格するまで、第29態様に係るサブルーチンを繰り返すことを規定する。
【0037】
第31態様は第16及び30態様に係り、第29態様のサブルーチンを規定回数繰り返した後、検出パラメータの1つ以上の値が設定低閾値(T_Low)未満であるかどうかを評価するステップに対して合格できていないと判定された場合、コントローラは、少なくとも1つの焼灼要素への焼灼エネルギーの送達を中断または低減するように構成されている。
【0038】
第32態様は先行する態様のいずれか1つに係り、サイクルは、1つ以上のパラメータ値が、高閾値(T_High;Z_High)よりも大きい設定過高閾値(T_OverHigh;Z_OverHigh)を超えているかどうかで、安全性に関係するイベントの発生を判定することを備え、安全性に関係する状態と判定された場合は、焼灼エネルギー源に供給された出力を下げるように一時的に調整し、及び/または流量調整器を超高送達モードになるように制御し、超高送達モードにおいて、導電性液出口から送達された導電性液の流速は高流速設定値よりも大きい設定超高流速値以上である、または、導電性液出口から送達された導電性液のボーラス注入量は高ボーラス注入量よりも大きい超高ボーラス注入量設定値以上である。
【0039】
第33態様は先行する第6~32態様のいずれか1つに係り、コントローラは、焼灼エネルギー源によって供給された出力を、治療セッションの大部分にわたって、必要に応じて治療セッション全体にわたって、20W~200Wの間に含まれる範囲に維持するように構成されている。
【0040】
第34態様は先行する第6~33態様のいずれか1つに係り、コントローラは、治療セッションの最初の部分の間で、必要に応じて治療セッション全体の10%~30%まで持続して、焼灼エネルギー源によって供給された出力を初期値から治療計画値まで増加させるように構成されている。
【0041】
第35態様は第34態様に係り、コントローラは、焼灼エネルギー源によって供給された出力を、治療セッションの最初の部分の後に続く治療セッションの大部分にわたって、治療計画値に維持するように構成されている。
【0042】
第36態様は第35態様に係り、初期値は20W~80Wの間に含まれ、治療計画値は40W~200Wの間に含まれ、さらに、初期値は治療計画値の80%より小さく、必要に応じて治療計画値の50%より小さい。
【0043】
第37態様は先行する第22~36態様のいずれか1つに係り、治療セッションは30秒~30分の間に含まれる総治療時間を有している。
第38態様は先行する第6~37態様のいずれか1つに係り、コントローラは、治療時間が終了したら、焼灼エネルギー源からの出力の送達を自動停止して、導電性液の送達を停止するように流量調整器に自動的に指示するように構成されている。
【0044】
第39態様は先行する第22~38態様のいずれか1つに係り、コントローラは、治療セッション中に送達される導電性液の最大体積は0.3ml~60mlの間かに含まれること、及び/または、治療セッション中に維持される導電性液の平均流速は0.1~15ml/minであること、を課すように、流量調整器を制御するように構成されていて、特に送達される導電性液の最大体積に達したら、コントローラは、焼灼エネルギー源からの出力の送達を自動停止して、かつ/または、導電性液の送達を停止するように流量調整器に自動的に指示するように構成されている。
【0045】
第40態様は第18~21態様のいずれか1つと組み合わせた先行する第1~39態様のいずれか1つに係り、設定高閾値(T_High)は設定低閾値(T_Low)よりも大きい。
【0046】
第41態様は第24態様と組み合わせた第40態様に係り、設定超高閾値(T_Overheat)は設定高閾値(T_High)よりも大きい。
第42態様は先行する態様のいずれか1つに係り、物理的特性は対象領域に存在している物質の温度であり、特に本態様が第11態様に従属する場合、物理的特性は能動部分の周りの体積内に存在している物質の温度である。
【0047】
第43態様は第40または42態様に係り、設定低閾値(T_Low)は60~95℃である。
第44態様は第42または43態様のいずれか1つと組み合わせた第40態様に係り、設定高閾値(T_High)は75℃より高く、105℃までである。
【0048】
第45態様第42または43または44態様のいずれか1つと組み合わせた第41態様に係り、設定超高閾値(T_Overheat)は85~115℃の間である。
第46態様は先行する第1~45態様のいずれか1つに係り、焼灼エネルギー源は無線周波数発生器であり、コントローラは、無線周波数発生器を制御して、1~200Wの範囲内、特に20~200Wの間に含まれる出力を有するRFを、30秒~30分間送達するように構成されている。
【0049】
第47態様は先行する第1~46態様のいずれか1つに係り、流量調整器は、ポンプと、必要に応じてシリンジポンプ、蠕動ポンプ、または注入ポンプと、弁と、を備えている。
第48態様は先行する第7~47態様のいずれか1つに係り、高張生理食塩水溶液を送達するように構成されている導電性液源と、導電性液源に接続可能であり、導電性液出口と流体連結している流体ポートと、を備えており、必要に応じて、高張生理食塩水溶液は逆相の遷移ポリマーと水を含有しており、体温より低い温度から体温へと遷移する際に粘度が高くなるように遷移し得る。
【0050】
第49態様は第48態様に係り、高張生理食塩水溶液は1つ以上の生理的に許容できる溶質を含有しており、0.8~15Osm/Lの間の理論浸透圧を有していて、以下の式、
【0051】
【数1】
【0052】
に従って算出され、ここでnは各溶質分子から解離した粒子数であり、必要に応じて、高張生理食塩水溶液は第123~146態様のいずれか1つに係る水溶液である。
第50態様は第48態様または第49態様に係り、高張生理食塩水溶液は、塩化ナトリウム(NaCl)を3%~30%(w/v)の間の濃度で含有している。
【0053】
第51態様は先行する第7~50態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトは焼灼カテーテルの可撓性シャフトである。
第52態様は第51態様に係り、焼灼カテーテルは、可撓性シャフトの近位端にあり、可撓性シャフトの能動部分に位置している導電性液出口と流体連結している、1つの/流体ポートを有している。
【0054】
第53態様は先行する第7~52態様のいずれか1つに係り、能動部分は可撓性シャフトの遠位端部分である。
第54態様は先行する第7~53態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトの能動部分で、または能動部分よりも近位側で、特に可撓性シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作可する、少なくとも1つの空間閉塞器を備えている。
【0055】
第55態様は第54態様に係り、空間閉塞器は、先細形シャフト区画、展開可能バルーン、展開可能弁、及び展開可能ステントのうちの1つである。
第56態様は第54または55態様に係り、空間閉塞器は、第1断面幅が1~30mmで長さが5~30mmの範囲である展開可能な閉塞バルーンを備えており、閉塞バルーンは、膨張して気道の一部分を閉塞するように構成されている。
【0056】
第57態様は第56態様に係り、第1断面幅は展開可能閉塞バルーンの近位領域にあり、1~30mmの範囲の第2断面幅はバルーンの遠位領域にあり、第1断面幅と第2断面幅との間の断面幅は第1断面幅及び第2断面幅の両方よりも小さい。
【0057】
第58態様は第56態様に係り、第1断面幅は展開可能閉塞バルーンの近位領域にあり、1~20mmの範囲かつ第1断面幅よりも小さい第2断面幅はバルーンの遠位領域にある。
第59態様は先行する第7~58態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトを受容する管状シースまたは気管支鏡を備えており、可撓性シャフトの少なくとも能動部分、特に遠位端部分は管状シースまたは気管支鏡から出てくるように構成されている。
【0058】
第60態様は第54~58態様のいずれか1つと組み合わせた第59態様に係り、空間閉塞器は管状シースまたは気管支鏡によって担持されている。
第61態様は第54~58態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つの空間閉塞器は可撓性シャフトまたは他のシャフトに直接担持されている。
【0059】
第62態様は第54~61態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトを貫通しており、流体源、任意で液体源または気体源に接続可能な近位端と、バルーンの内部と流体連結している遠位端とを有している膨張式管腔をさらに備えている。
【0060】
第63態様は先行する第7~62態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトは少なくとも近位領域の5cm上と遠位領域の5cm上とに深さマーカーを備えている。
第64態様は先行する第7~62態様のいずれか1つに係り、真空源に流体連結されて配置されて、シャフトの遠位端部分の周りの肺容量から空気を吸い込むように構成されている少なくとも1つの吸引開口を、可撓性シャフトの遠位端部分に備えている。
【0061】
第65態様は第54~63態様のいずれか1つと組み合わせた第64態様に係り、少なくとも1つの吸引開口は空間閉塞器に対して遠位側に配置されている。
第66態様は第54~63態様のいずれか1つと組み合わせた第64態様に係り、シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作可能する追加の空間閉塞器を備えていて、特に、追加の空間閉塞器は、展開可能バルーン、展開可能弁、及び展開可能ステントのうちの1つであり、少なくとも1つの吸引開口は空間閉塞器と追加の空間閉塞器との間に配置されている。
【0062】
第67態様は第65または66態様に係り、少なくとも1つの導電性液出口は、空間閉塞器に対して遠位側に、または空間閉塞器と追加の空間閉塞器との間に配置されている。
第68態様は第54~67態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つのセンサは、空間閉塞器に対して遠位側に、または空間閉塞器と追加の空間閉塞器との間に配置されている。
【0063】
第69態様は第67態様に係り、少なくとも1つのセンサは可撓性シャフトの遠位端部分によって担持されており、物理的特性は、可撓性シャフトの遠位端部分の周りの物質の温度、圧力、電気インピーダンス、または導電率のうちの1つである。
【0064】
第70態様は第68または69態様に係り、少なくとも1つのセンサは、焼灼要素よりも近位側に配置されている第1センサと、焼灼要素よりも遠位側に配置されている第2センサとを備えている。
【0065】
第71態様は先行する第7~70態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つの焼灼要素は、可撓性シャフトの遠位チップに配置されている丸端の遠位チップを有している焼灼要素を備えている。
【0066】
第72態様は第54~63及び65~71態様のいずれか1つと組み合わせた第64態様に係り、共通管腔、または、専用の洗浄用管腔と専用の空気吸引管腔を備えており、共通管腔は、可撓性シャフトを貫通しており、導電性液源及び真空源のうちの少なくとも1つに選択的に接続可能である近位端と、少なくとも1つの出口及び少なくとも1つの吸引開口を規定する共通開口を構成している遠位端とを有していて、専用の洗浄用管腔及び専用の空気吸引管腔は、洗浄用管腔が少なくとも1つの出口に接続されてカテーテルの可撓性シャフトを貫通している状態であり、洗浄用管腔が導電性液源に接続されるように構成されている入口ポートを有しており、空気吸引管腔が少なくとも1つの空気吸引開口に接続されてカテーテルの可撓性シャフトを貫通している状態であり、空気吸引管腔が真空源に接続されるように構成されている吸引ポートを有している。
【0067】
第73態様は先行する第7~72態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトは外径が2mm以下である。
第74態様は先行する第7~73態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトの少なくとも一部分は、シャフト内の曲がりは少なくとも7mmの曲率半径を有するように湾曲させることができる。
【0068】
第75態様は先行する第7~74態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトは長さが少なくとも50cmである。
第76態様は先行する第7~75態様のいずれか1つに係り、細長シャフトは、遠位端部分内に、ガイドワイヤを受容するように構成されているガイドワイヤ管腔を有している。
【0069】
第77態様は第72及び76態様に係り、吸引管腔及びガイドワイヤ管腔は共通管腔によって形成されている。
第78態様は先行する第6~77態様のいずれか1つに係り、焼灼要素はは、120mm未満の総表面積、0.5~2mmの範囲の直径、及び3~20mmの範囲の長さ、のうちの1つ以上を特徴とする少なくとも1つの電極を備えている。
【0070】
第79態様は先行する第6~78態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つの焼灼要素は少なくとも2つの電極を含んでいて、電極間の距離が5~15mmの間である。
第80態様は先行する態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つのセンサと接続可能であり、少なくともコントローラと通信接続可能で、センサが検出した少なくとも1つの制御パラメータの検出値をコントローラに伝送する、インターフェース要素を含んでいる。
【0071】
第81態様は先行する態様のいずれか1つに係り、コントローラは、検出値を処理し、検出値のうちの1つ以上に基づいて、少なくとも1つの出力信号を生成する、ように構成されていて、少なくとも1つの出力信号は、使用者認識可能出力、必要に応じて、使用者認識可能出力は、シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する少なくとも1つの空間閉塞器を展開するように、使用者に合図を送る可聴信号、視覚信号、または振動性信号を備えていて、1つの/カテーテルの遠位端部分に位置している肺部分の空気体積減少の程度を示しているステータス出力、1つの/シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作可能な少なくとも1つの空間閉塞器を自動展開する出力指示、1つの/可撓性シャフトの1つの/遠位端部分の周りの物質の温度の示度を与える温度出力、シャフトの1つの/遠位端部分の周りの物質のインピーダンスまたは導電率の示度を与える電気特性出力、1つの/可撓性シャフトの1つの/遠位端部分の周りの物質の圧力の示度を与える圧力出力、のうちの1つ以上を備えている。
【0072】
第82態様は先行する態様のいずれか1つに係り、コントローラは、少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されていて、センサは、対象領域で温度をモニタリングするように構成されている温度センサであり、コントローラは、少なくとも1つの出口を通って送達される導電性液の導電率または組成を、モニタリングされた温度に基づいて制御して、温度センサが検出した温度値を、決められた温度範囲内に、または特定の温度閾値よりも高く維持する、ように構成されている。
【0073】
第83態様は先行する態様のいずれか1つに係り、コントローラは、少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されていて、センサは温度センサであり、特に本態様が第7態様に従属する場合、センサは、可撓性シャフトの遠位端部分の周りの物質の温度値を検出するように構成されており、コントローラは、対象領域で温度をモニタリングし、エネルギー源が出力した焼灼エネルギー出力を調整して、温度センサが検出した温度値を、決められた温度範囲内に、または特定の温度閾値よりも高く維持する、ように構成されている。
【0074】
第84態様は第82または83態様に係り、決められた温度範囲は60~115℃の間であり、特定の温度閾値は少なくとも80℃である。
第85態様は先行する第1~84態様のいずれか1つに係り、少なくとも遠位端領域上に、3次元ナビゲーションセンサ等のナビゲーションセンサ、またはファイバーブラッググレーティングセンサ等の形状センサをさらに備えており、特にナビゲーションセンサは、電磁気センサ、3D電磁気センサ、形状センサ、FBGセンサ、3D超音波センサ、及び3Dナビゲーション用インピーダンス追跡のうちの1つ以上である。
【0075】
第86態様は先行する第7~85態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトの遠位チップに、腫瘍に貫通するように構成されている穿孔要素をさらに備えており、穿孔要素は、ニードル、展開可能ニードル、及びRF穿孔電極を含むリストから選択される。
【0076】
第87態様は第54態様と組み合わせた先行する第6~87態様のいずれか1つに係り、空間閉塞器と焼灼要素との間の距離は1mm~40mmの範囲である。
第88態様は焼灼カテーテルに関し、焼灼カテーテルは、肺の気道通路を通って進むように構成されている可撓性シャフトと、可撓性シャフトの遠位端部分に配置されていて、焼灼エネルギー源に電気的接続可能である少なくとも1つの焼灼要素と、導電性液源に接続可能である流体ポートと、遠位端部分に位置していて、流体ポートと流体連結している少なくとも1つの導電性液の出口と、を備えている。
【0077】
第89態様は第88態様に係り、シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作可能する、少なくとも1つの空間閉塞器をさらに備えており、特に空間閉塞器は、先細形シャフト区画、展開可能バルーン、展開可能弁、または展開可能ステントのうちの1つである。
【0078】
第90態様は第89態様に係り、閉塞器は、第1断面幅が1~30mmで長さが5~30mmの範囲である展開可能な閉塞バルーンを備えており、閉塞バルーンは、膨張して気道の一部分を閉塞するように構成されている。
【0079】
第91態様は第90態様に係り、第1断面幅は展開可能閉塞バルーンの近位領域にあり、1~30mmの範囲の第2断面幅はバルーンの遠位領域にあり、第1断面幅及び第2断面幅との間の断面幅は第1断面幅と第2断面幅の両方よりも小さい。
【0080】
第92態様は第90態様に係り、第1断面幅は展開可能閉塞バルーンの近位領域にあり、1~20mmの範囲かつ第1断面幅よりも小さい第2断面幅はバルーンの遠位領域にある。
第93態様は第88~92態様のいずれか1つに係り、シャフトを受容する管状シースまたは気管支鏡を備えており、可撓性シャフトの少なくとも遠位端部分は管状シースまたは気管支鏡から出てくるように構成されている。
【0081】
第94態様は第90態様と組み合わせた第93態様に係り、空間閉塞器は管状シースまたは気管支鏡によって担持されているか、または、少なくとも1つの空間閉塞器はシャフトまたは異なるシャフトに直接担持されている。
【0082】
第95態様は第90態様と組み合わせた第88~94態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトを貫通しており、流体源、任意で液体源または気体源に接続可能な近位端と、バルーンの内部と流体連結している遠位端とを有している膨張式管腔をさらに備えている。
【0083】
第96態様は第88~95態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトは少なくとも近位領域の5cm上及び遠位領域の5cm上に深さマーカーを備えている。
第97態様様は第88~96態様のいずれか1つに係り、真空源に流体連結されて配置されて、シャフトの遠位端部分の周りの肺容量から空気を吸い込むように構成されている少なくとも1つの吸引開口を、シャフトの遠位端部分に備えている。
【0084】
第98態様は第90態様と組み合わせた第97態様に係り、少なくとも1つの吸引開口は空間閉塞器に対して遠位側に配置されている。
第99態様は第98態様に係り、シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作可能する追加の空間閉塞器を備えていて、特に、追加の空間閉塞器は、展開可能バルーン、展開可能弁、展開可能ステント、及び先細形シャフト区画のうちの1つであり、少なくとも1つの吸引開口は空間閉塞器と追加の空間閉塞器との間に配置されている。
【0085】
第100態様は第88~99態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つの導電性液出口は、空間閉塞器に対して遠位側に、または空間閉塞器と追加の空間閉塞器との間に配置されている。
【0086】
第101態様は第88~100態様のいずれか1つに係り、空間閉塞器に対して遠位側に、または空間閉塞器と追加の空間閉塞器との間に配置されている少なくとも1つのセンサをさらに備えている。
【0087】
第102態様は第101態様に係り、少なくとも1つのセンサは可撓性シャフトの遠位端部分によって担持されており、物理的特性は、可撓性シャフトの遠位端部分の周りの物質の温度、圧力、電気インピーダンス、または導電率のうちの1つである。
【0088】
第103態様は第101態様または第102態様に係り、少なくとも1つのセンサは、焼灼要素よりも近位側に配置されている第1センサと、焼灼要素よりも遠位側に配置されている第2センサとを備えている。
【0089】
第104態様は第88~102態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つの焼灼要素は、可撓性シャフトの遠位チップに配置されている丸端の遠位チップを有している焼灼要素を備えている。
【0090】
第105態様は第88~103態様のいずれか1つと組み合わせた第97態様に係り、共通管腔、または、専用の洗浄用管腔及び専用の空気吸引管腔を備えており、共通管腔は、可撓性シャフトを貫通しており、導電性液源及び真空源のうちの少なくとも1つに選択的に接続可能である近位端と、少なくとも1つの出口と少なくとも1つの吸引開口を規定する共通開口を形成している遠位端とを有していて、専用の洗浄用管腔及び専用の空気吸引管腔は、洗浄用管腔が少なくとも1つの出口に接続されてカテーテルシャフトを貫通している状態であり、洗浄用管腔が導電性液源に接続されるように構成されている入口ポートを有しており、空気吸引管腔が少なくとも1つの空気吸引開口に接続されてカテーテルシャフトを貫通している状態であり、空気吸引管腔が真空源に接続されるように構成されている吸引ポートを有している。
【0091】
第106態様は第88~105態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトは外径が2mm以下である。
第107態様は第88~106態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトの少なくとも一部分は、シャフト内の曲がりは少なくとも7mmの曲率半径を有するように湾曲させることができる。
【0092】
第108態様は第88~107態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトは長さが少なくとも50cmである。
第109態様は第88~108態様のいずれか1つに係り、細長シャフトは、遠位端部分内に、ガイドワイヤを受容するように構成されているガイドワイヤ管腔を有している。
【0093】
第110態様は第105及び109態様に係り、吸引管腔及びガイドワイヤ管腔は共通管腔によって形成されている。
第111態様は第88~110態様のいずれか1つに係り、焼灼要素は、120mm未満の総表面積、0.5~2mmの範囲の直径、3~20mmの範囲の長さ、のうちの1つ以上を特徴とする少なくとも1つの電極を備えている。
【0094】
第112態様は第88~111態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つの焼灼要素は少なくとも2つの電極を含んでいて、電極間の距離が5~15mmの間である。
第113態様は第101態様と組み合わせた第88~112態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つのセンサと接続可能であり、少なくともコントローラと通信接続可能で、センサが検出した少なくとも1つの制御パラメータの値をコントローラに伝送する、インターフェース要素を含んでいる。
【0095】
第114態様は第101態様と組み合わせた第88~113態様のいずれか1つに係り、検出値を処理し、検出値のうちの1つ以上に基づいて、少なくとも1つの出力信号を生成する、ように構成されている、コントローラを備えており、少なくとも1つの出力信号は、使用者認識可能出力、必要に応じて、使用者認識可能出力は、シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する少なくとも1つの空間閉塞器を展開するように、使用者に合図を送る可聴信号、視覚信号、または振動性信号を備えていて、可撓性シャフトの遠位端部分に位置している肺部分の空気体積減少の程度を示しているステータス出力、可撓性シャフトの遠位端部分で、または遠位端部分よりも近位側で動作する少なくとも1つの空間閉塞器を自動展開する出力指示、可撓性シャフトの遠位端部分の周りの物質の温度の示度を与える温度出力、可撓性シャフトの遠位端部分の周りの物質インピーダンスまたは導電率の示度を与える電気特性出力、可撓性シャフトの遠位端部分の周りの物質の圧力の示度を与える圧力出力、のうちの1つ以上を備えている。
【0096】
第115態様は第101態様と組み合わせた第88~114態様のいずれか1つに係り、少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されているコントローラを備えており、センサは、対象領域で温度をモニタリングように構成されている温度センサであり、コントローラは、少なくとも1つの出口を通って送達される導電性液の導電率または組成を、モニタリングされた温度に基づいて制御して、温度センサが検出した温度値を、決められた温度範囲内に、または特定の温度閾値よりも高く維持する、ように構成されている。
【0097】
第116態様は先行する第88~115態様のいずれか1つに係り、コントローラは、少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されていて、センサは温度センサであり、特に本態様が第7態様に従属する場合、センサは、可撓性シャフトの遠位端部分の周りの物質の温度値を検出するように構成されており、コントローラは、対象領域で温度をモニタリングし、エネルギー源が出力した焼灼エネルギー出力を調整して、温度センサが検出した温度値を、決められた温度範囲内に、または特定の温度閾値よりも高く維持する、ように構成されている。
【0098】
第117態様は第115または116態様に係り、決められた温度範囲は60~115℃の間であり、特定の温度閾値は少なくとも80℃である。
第118態様は先行する第88~117態様のいずれか1つに係り、少なくとも遠位端領域上に、3次元ナビゲーションセンサ等のナビゲーションセンサ、またはファイバーブラッググレーティングセンサ等の形状センサをさらに備えており、特にナビゲーションセンサは、電磁気センサ、3D電磁気センサ、形状センサ、FBGセンサ、3D超音波センサ、及び3Dナビゲーション用インピーダンス追跡のうちの1つ以上である。
【0099】
第119態様は第88~118態様のいずれか1つに係り、可撓性シャフトの遠位チップに、腫瘍に貫通するように構成されている穿孔要素をさらに備えており、穿孔要素は、ニードル、展開可能ニードル、及びRF穿孔電極を含むリストから選択される。
【0100】
第120態様は第89~119態様のいずれか1つに係り、空間閉塞器と焼灼要素との間の距離は1mm~40mmの範囲である。
第121態様は第88~120態様のいずれか1つに係り、先細形遠位端と、シャフトを近位領域から遠位領域まで貫通する管腔と、を備えており、管腔は先細形遠位端の一番狭い部分で遠位領域に出てくる。
【0101】
第122態様は、第121態様に係るカテーテルと、シャフトを近位領域から遠位領域まで貫通する管腔を通して、さらに遠位領域を越えて挿入されるように適合されている腫瘍穿孔ワイヤと、を備えており、腫瘍穿孔ワイヤは、鋭利な遠位チップと、任意で近位領域上にある深さマーカーと、任意で遠位領域上にある放射線不透過マーカーと、を備えている、システムに関する。
【0102】
第123態様は、肺気道の対象領域にある肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)を治療するための溶液に関し、1つ以上の生理的に許容できる溶質を備え、0.8~15Osm/Lの間の理論浸透圧を有し、以下の式
【0103】
【数2】
【0104】
に従って算出され、ここでnは各溶質分子から解離した粒子数であり、及び/または、3%~30%(w/v)の濃度の塩化ナトリウム(NaCl)を備えている溶液であり、溶液は肺気道の対象領域内で60~115℃の範囲の温度に達し、溶液は気道を介して対象領域に局所的に送達され、溶液は一定ではない流速で対象領域に送達され、溶液は30秒~30分の間に含まれる総治療時間の間、対象領域に送達される。
【0105】
第124態様は第123態様に係り、溶液は高張生理食塩水溶液である。
第125態様は第123または124態様に係り、溶液は、海抜、20℃で少なくとも30mS/cm、好適には70mS/cm~225mS/cmの間に含まれる導電率を有している。
【0106】
第126態様は第123~125態様のいずれか1つに係り、総治療時間中に送達された溶液の総体積は0.3ml~60mlの間に含まれる。
第127態様は第123~126態様のいずれか1つに係り、溶液の一定ではない流速での対象領域への送達は、低送達モードでの期間と高送達モードでの期間を交互に行い、低送達モード期間中は、流速を0~10ml/minの間に維持し、またはボーラス注入量を0~10mlの間で送達し、高送達モード期間中は、流速を2~16ml/minの間に維持し、またはボーラス注入量を0.3~60mlの間で送達する。
【0107】
第128態様は第123~127態様のいずれか1つに係り、溶液の一定ではない流速での対象領域への送達は、治療時間中、0.1~15ml/minの間に含まれる導電性液の平均流速に維持されている。
【0108】
第129態様は第123~128態様のいずれか1つに係り、1~200Wの範囲の、特に20~200Wの間に含まれる出力を有するRF焼灼エネルギーを送達しながら、高張生理食塩水溶液は気道を介して対象領域に局所的に送達される。
【0109】
第130態様は第123~129態様のいずれか1つに係り、生理食塩液は逆相の遷移ポリマー及び水を含有しており、体温より低い温度から体温へと遷移する際に粘度が高くなるように遷移する。
【0110】
第131態様は第123~130態様のいずれか1つに係り、対象領域に続く肺そのものの気道内で第1閉塞バルーンを膨らませることによって肺の対象領域が隔絶されている状態で、溶液の組成は対象領域に送達され、バルーンは肺の対象領域よりも近位側にある。
【0111】
第132態様は第123~131態様のいずれか1つに係り、第1閉塞バルーンよりも遠位側かつ対象領域よりも遠位側にある肺そのものの気道内で第2閉塞バルーンを膨らませることによって肺の対象領域が隔絶されている状態で、溶液は対象領域に送達される。
【0112】
第133態様は第131または132態様に係り、一方のまたは両方のバルーンが、肺そのものの気道を閉塞して気道において溶液を注入する部分を形成し、気道の当該部分の外への液体の流れを阻止しながら、溶液は対象領域に送達される。
【0113】
第134態様は第123~133態様のいずれか1つに係り、溶液は、0.8~15Osm/Lの間、好適には5~9Osm/Lの間の理論浸透圧を有している。
第135態様は第123態様または第125~134態様のいずれか1つに係り、1つ以上の溶質は、生理的に許容できる塩及び無機水酸化物から選択され、好適には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、または硝酸ナトリウム、の水溶液またはそれらの組み合わせのいずれかからなる群から選択される。
【0114】
第136態様は第123~134態様のいずれか1つに係り、溶液は、3%~30%(w/v)の間の濃度の塩化ナトリウム(NaCl)と水とを含有している高張生理食塩水溶液である。
【0115】
第137態様は第136態様に係り、溶液は、5%~25%(w/v)の間の濃度の塩化ナトリウム(NaCl)を含有している高張生理食塩水溶液である。
第138態様は第136または137態様に係り、溶液は、水とは異なる成分と1%未満の重量/体積濃度の塩化ナトリウムとを含有している。
【0116】
第139態様は第123~138態様のいずれか1つに係り、対象領域は癌組織によって形成されており、体積が0.1~30cm、特に0.5~15cmである。
第140態様は第123~139態様のいずれか1つに係り、溶液は、対象領域の体積の関数である総治療時間を有する処置中に使用される。
【0117】
第141態様は第123~141態様のいずれか1つに係り、溶液は7分未満の総治療時間を有する処置中に使用され、溶液は直径が約2cm未満の対象領域を治療するために使用される。
【0118】
第142態様は第123~140態様のいずれか1つに係り、溶液は10分未満の総治療時間を有する処置中に使用され、溶液は直径が約2cmの対象領域を治療するために使用される。
【0119】
第143態様は第123~140態様のいずれか1つに係り、溶液は15分未満の総治療時間を有する処置中に使用され、溶液は直径が少なくとも2cmの対象領域を治療するために使用される。
【0120】
第144態様は第123~140態様のいずれか1つに係り、溶液は30分未満の総治療時間を有する処置中に使用され、溶液は直径が3cmより大きい対象領域を治療するために使用される。
【0121】
第145態様は第123~144態様のいずれか1つに係り、溶液は対象領域に直に接触している。
第146態様は第123~145態様のいずれか1つに係り、溶液は気道の対象領域に、第1~87態様のいずれか1つに係るシステムを用いて、または第88~122態様のいずれか1つに係るカテーテルを用いて送達される。
【0122】
第147態様は肺組織の対象領域を治療するためのシステムに関し、導電性液源と、肺組織の対象領域に、または付近に配置可能である導電性液出口との間に介在されるように構成されている、流量調整器であって、さらに、液源から流れてきて導電性液出口に送達される導電性液の流速またはボーラス注入量を制御するように構成されている、流量調整器と、流量調整器を制御するように構成されていて、センサが検出した値を受信するように構成されているコントローラであって、センサは、肺組織の対象領域に、または付近に存在している物質の温度(T)、圧力(p)、電気インピーダンス(Z)、及び導電率(C)のうちの少なくとも1つである物理的特性を表している制御パラメータの値を検出する、コントローラと、を備えているシステムであり、コントローラは、制御パラメータの値の1つ以上を受信して、流量調整器を、制御パラメータの値の1つ以上に基づいて制御するように構成されていて、流量調整器の制御は制御サイクルの実行を備え、制御サイクルは、流量調整器を高送達モードで制御し、高送達モードにおいて、導電性液出口に送達された導電性液の流速は、高流速設定値以上であるか、または、導電性液出口に送達された導電性液のボーラス注入量は、高ボーラス注入量設定値以上であり、流量調整器を低送達モードで制御し、低送達モードにおいて、導電性液出口に送達された導電性液の流速は、高流速設定値よりも小さい低流速設定値未満であるか、または、導電性液出口に送達された導電性液のボーラス注入量は、高ボーラス注入量設定値よりも小さい低ボーラス注入量設定値未満である。
【0123】
第168態様は、肺組織の対象領域を治療する方法に関し、焼灼エネルギーを対象領域に送達して、焼灼エネルギーの送達中に導電性液を対象領域に送達して、対象領域より近位側の温度(T)、圧力(p)、電気インピーダンス(Z)、または導電率(C)のうちの少なくとも1つである制御パラメータの値を検出して、(i)制御パラメータの検出値に基づいて導電性液の流速またはボーラス注入を制御し、(ii)高送達モードで動作している間は、流速を高流速設定値より大きくなるように制御し、またはボーラス注入を高ボーラス注入量設定値より大きくなるように制御して、(iii)低送達モードで動作している間は、流速を低流速設定値未満になるように制御し、またはボーラス注入を低ボーラス注入量設定値未満になるように制御することによって、導電性液の送達を制御し、低流速設定値は高流速設定値よりも低く、または低ボーラス注入量設定値は高ボーラス注入量設定値よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
図1図1はヒトの呼吸器系の一部の概略図である。
図2図2図1の一部分の詳細図である。
図3図3は焼灼機器の遠位領域の概略図であり、1つの閉塞バルーンが電極よりも近位側にある状態で構成されている。
図4A図4Aは、図3の機器のin situでの概略図である。
図4B図4Bは、腫瘍穿孔ワイヤと穴拡張器を有する代替的実施形態の概略図である。
図4C図4Cは、先細形シャフト区画を有している代替的実施形態の概略図である。
図4D図4Dは、気道内に配置されたロボットシースの概略図であり、焼灼カテーテルの腫瘍内挿入に備えて、焼灼カテーテルがシース内に配置され、ガイドワイヤをカテーテルから対象腫瘍に差し込んだ状態を示している。
図4E図4Eは、展開固着具であるバルーンを有するガイドワイヤと、気道から対象組織内に挿入されている焼灼カテーテルの概略図である。
図4F図4Fは、焼灼電極が対象組織内にある状態に配置されている焼灼カテーテルの概略図である。
図4G図4Gは、近位側バルーンと遠位側バルーンとを有した代替の焼灼カテーテルの概略図であり、その焼灼電極は対象組織内に配置された状態である。
図5A図5Aは、焼灼機器の遠位領域の概略図であり、2つの閉塞バルーンが同一シャフト上にあって、片方は電極よりも近位側に、もう片方は電極より遠位側にあるように構成されている。
図5B図5Bは、焼灼機器の遠位領域の概略図であり、2つの閉塞バルーンがあって、片方は電極よりも近位側にあって、第1シャフト上に位置し、もう片方は電極より遠位側にあって、第1シャフトから延長した第2シャフト上に位置するように構成されている。
図5C図5Cは、伸縮式シャフトがあり、近位側バルーンのみを有している焼灼カテーテルの概略図である。
図5D図5Dは、図5Cに示した伸縮式機器の近位端の概略図である。
図6A図6A図5Aの機器のin situでの概略図である。
図6B図6B図5Bの機器のin situでの概略図である。
図7図7は針電極を有している焼灼機器の遠位領域の概略図である。
図8図8図7の機器のin situでの概略図である。
図9図9は、標的腫瘍に関係している異なる位置にそれぞれエネルギー送達電極を配置するために、患者の気道内に配置されている複数のカテーテルの概略図である。
図10A図10A図9の断面の概略図である。
図10B図10Bは多相波形のグラフである。
図10C図10Cは多相RFシステムの概略図である。
図10D図10Dは、分割により多相RF構造を発生させるデジタルクロックのプロットである。
図11図11は気管支内肺腫瘍焼灼機器を操作するシステムの概略図である。
図12図12は、肺部分が虚脱する前、虚脱後、及び実験中に高張生理食塩水を注入した後の段階におけるインピーダンスと位相のグラフである。
図13図13は、高張生理食塩水洗浄を行うRF送達中における電極温度、出力、位相、及びインピーダンスのグラフである。
図14A図14Aは、焼灼カテーテルの閉塞物の種々の実施形態の概略図である。
図14B図14Bは、焼灼カテーテルの閉塞物の種々の実施形態の概略図である。
図14C図14Cは、焼灼カテーテルの閉塞物の種々の実施形態の概略図である。
図14D図14Dは、焼灼カテーテルの閉塞物の種々の実施形態の概略図である。
図15図15は、2つのインピーダンスモニタリング電極間に焼灼電極を有する焼灼カテーテルのin situでの概略図である。
図16A図16Aはポンプの制御アルゴリズムの実施形態を示すフローチャートである。
図16B図16Bはポンプの制御アルゴリズムの実施形態を示すフローチャートである。
図16C図16Cはポンプの制御アルゴリズムの実施形態を示すフローチャートである。
図16D図16Dはポンプの制御アルゴリズムの実施形態を示すフローチャートである。
図16E図16Eはポンプの制御アルゴリズムの実施形態を示すフローチャートである。
図17A図17Aは、60WのRFを送達中における時間に対する温度と流れのプロットであり、図16A~16Eに記載されたポンプ制御アルゴリズムの結果得られる挙動を説明している。
図17B図17Bは、出力を増やしていきながら送達している間における、時間に対する温度、出力、及び流れのグラフである。
図18A図18Aはカテーテル配置のCT画像の絵図であり、白く混濁した領域が小さいことで証明されるように、対象となる気道内で空気体積減少が低レベルである状態である。
図18B図18Bはカテーテル配置のCT画像の絵図であり、白く混濁した領域が大きくなっていることで証明されるように、対象となる気道内で空気体積減少が高レベルになった状態である。
図19A図19Aは左下葉を通る断面の肉眼所見図であり、高張生理食塩水注入後1か月後における非常に小さな壊死組織ゾーンを示している。RFエネルギーは印加されていない。
図19B図19Bは右下葉を通る断面の肉眼所見図であり、高張生理食塩水注入と90秒RF送達を組み合わせた処置後1か月後における大きな壊死組織ゾーンを示している。
図20図20は、送達シース、例えばロボット制御送達シースを通して焼灼カテーテルの並進運動を測定及び制御する機構の概略図である。
図21図21は、気道壁を通って焼灼カテーテルを送達しやすくするように構成されているガイドワイヤの概略図である。
図22図22は、ヒトの正常組織に対する腫瘍の導電率特性を周波数範囲にわたって図示している。
図23図23は、本明細書に記載されている焼灼カテーテルを用いて組織インピーダンスをモニタリングするように構成されているシステムのブロック図である。
図24図24は、検出された組織の特性に基づく焼灼エネルギー送達制御アルゴリズムのフローチャートである。
図25図25A、25Bは、正常組織対腫瘍組織における、焼灼カテーテルを用いて得られた電気インピーダンス-周波数特性を示したものである。図25C、25Dは、正常組織対腫瘍組織における、本発明の焼灼カテーテルを用いて得られた電気的位相-周波数特性を示したものである。
図26図26は固着用ガイドワイヤの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0125】
[詳細な説明]
本開示は、広くは悪性肺腫瘍を焼灼するための機器及び方法に関し、より詳細には患者の気道を通す手法を用いて肺腫瘍を焼灼するための機器及び方法に関する。患者の気道を通す手法は経気管支的手法または気管支内手法と称されることもあり、空気が鼻や口を通過して肺の肺胞に入る通路を通して医療機器を供給することを備えている。気道という語は、呼吸器系において空気が通過する任意の解剖学的管腔、例えば気管、気管支、及び細気管支を指す。
【0126】
図1は患者の呼吸器系の一部の概略図であり、気管50、気管竜骨51、左主気管支52、右主気管支53、細気管支54、肺胞(図示せず。細気管支端部に房状で存在している)、左肺55、右肺56を含んでいる。右主気管支は3つの二次気管支62(葉気管支としても知られている)に細分されていて、右肺の3つの葉、すなわち上葉57、中葉58、及び下葉59に酸素を供給する。左主気管支は2つの二次気管支66、つまり葉気管支に分かれており、左肺の2つの葉、すなわち上葉60及び下葉61に酸素を供給する。二次気管支はさらに三次気管支69(区域気管支としても知られている)に分かれていて、各々が気管支肺区域に分布されている。気管支肺区域は、結合組織(図示せず)の隔膜で肺の残りの部分とは隔てられた肺の区分である。図2に示されているように、三次気管支69は多数の一次細気管支70に分かれ、それが終末細気管支71に分かれた後、各々から数個の呼吸細気管支72が生じ、その先で2~11個の肺胞管73に分かれる。各肺胞管には5~6個の肺胞嚢75が付随している。肺胞嚢は数個の肺胞74で構成されている。肺胞74は、肺内におけるガス交換の基本解剖学的単位である。図2はまた、細気管支の間にある外側の空間に存在する、末梢位置の腫瘍80を示している。標的腫瘍80は、肺または縦隔のリンパ節または気道壁の末梢部、中央部、または内部に存在する可能性がある。
【0127】
肺癌は主に2種類、非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer:NSCLC)と小細胞肺癌(small cell lung cancer:SCLC)とが存在する。非小細胞肺癌は肺癌の約85パーセントを占め、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌が含まれる。米国において男女ともに最も一般的な肺癌の形態である腺癌は、上皮組織内の腺状構造から発現し、通例では肺の末梢領域内に生じている。扁平上皮癌は全肺癌の25パーセントを占め、一般的に中央部に存在している。大細胞癌はNSCLC腫瘍の約10パーセントを占める。本開示はNSCLCの治療に焦点を当てているが、NSCLCは細気管支間の末梢部、気管支間の中央部、またはリンパ節に発生する可能性がある。しかし、本明細書で開示されている機器、システム、及び方法は、他の肺疾病を同様に焼灼または治療するためにも使用してもよい。
【0128】
本開示のある態様は、患者の肺腫瘍を治療する方法を提供する。患者の肺内にある注目点への経路が生成される。孤立結節を有する患者の大多数において、対象の近接、例えば1cm以内に焼灼エネルギー送達要素を配置することに適した、対象へと通じる気道がCT上で識別できると想定される。予め取得したCTをマップとして用いて、周知の既存器具を用いた気管支鏡医により、可撓器具を気道内に通すことができる。一実施形態では、伸長型作業チャネルを気道を通して、そして注目対象地点への経路に沿って肺内へと通していく。伸長型作業チャネルを注目点においてほぼ一定の方向に配置する。固着機構を用いてチャネルの安定性を確保してもよい。カテーテルを、伸長型作業チャネルを通して肺の対象領域へと挿入してもよい。作業チャネルは、例えば送達シースを通る管腔であっても、または気管支鏡を通る管腔であってもよく、両者とも操舵可能であっても、またガイドワイヤ管腔を組み込んでいてもよい。必要に応じて、送達シースは、シースの遠位端の周囲にある組織の超音波画像を生成する気管支内超音波送達シースであってもよい。
【0129】
肺のうち対象領域を含む部分を閉塞し、少なくとも対応する空気の体積を、例えば当該部分を与える気道を閉塞して(例えば、少なくとも、カテーテルまたは送達シース上でバルーン等の閉塞要素を用いて)肺部分に陰圧を加えることによって、または本明細書で開示されている肺の一部分を虚脱する他の手段によって減らしてもよい。肺部分の空気体積減少を確認するために、カテーテル上の電極を用いて組織インピーダンスや位相を計測してもよい。対象となる肺部分の完全虚脱は必要ではない。実験観察によれば、対象となる肺部分の空気体積が、それぞれの双極インピーダンスの5~20%減少をもたらすほど減少することは、効果的な焼灼エネルギー送達を促進する目的では十分であることが示されている。肺組織は、肺の対象領域において、焼灼カテーテルを用いて、高張生理食塩水または他の種類の生体適合性のある導電性塩もしくは溶液(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム等)を、カテーテルを通じて肺の対象部分に注入し、カテーテル上の1つ以上の電極からRFエネルギーを印加することによって処置される。必要に応じて、2つ以上の焼灼カテーテル肺の対象領域に送達してもよいし、RF回路を第1カテーテル上の電極(複数の電極)から第2カテーテル上の電極(複数の電極)への間に作成してもよい。本開示で提示された実施形態では、焼灼エネルギーの送達にRF電極を用いている。
【0130】
伸長型作業チャネルは、必要に応じて気管支鏡を通して、または気管支鏡の一部として、患者の体内に配置してもよい。伸長型作業チャネルを注目対象の地点に配置するために、伸長型作業チャネルの内部に位置確認可能なガイドを置いてもよい。生検用器具を注目対象の地点に挿入してもよい。伸長型作業チャネルを通して生検用器具を挿入する前に、位置確認可能なガイドを伸長型作業チャネルから取り除いてもよい。代替として、ナビゲーションにより誘導される伸長型作業チャネルを、Veran Medical社製の製品やsuperDimension(商標)(Medtronic社製)等の3-Dナビゲーションシステムと併用して使用してもよく、Intuitive Surgical社製やAuris Health社製の製品といった、ロボットで送達される作業チャネルを用いてもよい。例えば、ナビゲーション制御された器具(例えば本開示のカテーテル)には、ファイバーブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating:FBG)センサ等の形状センサが備わっていてもよい。焼灼カテーテル内部でのこのような形状センサの使用は、Hoらによる「FBG Sensor for Contact Level Monitoring and Prediction of Perforation in Cardiac Ablation(Sensors 2012,12,1002-1013)」に記載されており、参照により本願に援用される。
【0131】
Intuitive Surgical社製のIon(商標)管腔内システムやAuris Health社製のMonarch(商標)プラットフォームといった、ロボットで送達される作業チャネルは、作業チャネルの先端部を高精度に送達して配置したり、関節式シース内の形状センサを用いたコンピュータ支援マッピングや送達を行うことによって先端部の位置を追跡したり、到達のためにより蛇行した経路が必要で、より細い直径を有する、高世代の気道に到達するための関節結合とサイズを有していたり、生検カテーテルや焼灼カテーテル等の器具を作業チャネルを通って挿入する際に位置を保持するために作業チャネルの安定性に優れていたりする、といった点で、従来の手動操作による気管支鏡検査に対して有利である。本明細書で開示されている焼灼カテーテルは、ロボットで送達される作業チャネルと共に使用するように構成されていてもよい。
【0132】
肺組織に対して生検を行ってもよい。生検で陽性が確定した場合には、その肺組織を焼灼してもよい。生検用器具を引っ込めて、焼灼カテーテルまたは少なくとも1つのエネルギー送達要素を備えた器具と交換する。本方法により、焼灼カテーテルまたは器具のエネルギー送達要素を、生検を施した場所と同じ位置に配置しやすくなる。肺組織を処置する前に、焼灼カテーテルが注目対象地点に配置されていることを、例えば気管支鏡またはロボットシステムの観察用スコープを用いて気道要素に対する注目対象地点を特定することによって視覚的に確認してもよい。注目対象地点において、肺組織または腫瘍に貫入してもよい。例えば焼灼後生検を取得したり、焼灼カテーテルの電極やセンサを用いて処置後の組織のインピーダンスや位相を評価したりすることによって、肺組織の効果的な処置を確定してもよい。
【0133】
CTスキャナの現状の解像度であれば、少なくとも7または8、おそらくはそれ以上の世代の気道が撮像・評価可能である。撮像解像度のさらなる向上が急速に進むと確信するだけの理由がある。気管が始点で肺実質結節が対象となる終点である場合、適切なソフトウェアは3次元像データセットに照会を行い、隣接する気道を通って対象へと向かう1つの経路または数個の経路を供給することができる。気管支鏡医はこの経路を、人力によって、またはナビゲーションによって気管支鏡検査を行っている間中追従可能であり、ワイヤ、気管支鏡、及び薄肉ポリマーチューブまたはチャネル、または感知式/ナビゲーション式気管支鏡検査器具を用いて、結節への正しい気道経路へと迅速に挿入することができる。
【0134】
アクセスチャネルが所定位置に置かれると、生検か、または特定された腫瘍を焼灼するかのどちらかを行うために、複数のプローブを設置可能である。極細の気管支鏡も同様の手法で使用可能である。ナビゲーション式気管支鏡検査器具とともに、これらの類の手法を用いると、肺末梢部の病変の大部分を破壊することができる。
【0135】
現在利用可能な光ファイバー気管支鏡(fiberoptic bronchoscope:FOB)は、照明用光ファイバーバンドル、及び撮像用光ファイバーまたはカメラを有している。非常に少ない「極細の」気管支鏡を除き、分泌物と血液を吸引するため、局所用薬剤や洗浄用液体を流すため、及び、診断目的での組織の取得用または治療処置用の様々な器具を通すためのチャネルも存在している。代表的な診断用気管支鏡は、外径が5.0~5.5mmで操作チャネルが2.0~2.2mmである。この口径のチャネルであれば、外装の外径が1.8~2.0mmである、ほとんどの細胞診用ブラシや気管支生検用鉗子や経気管支吸引針を通す。それより小型、外径で3.0~4.0mmの範囲であってチャネルも相応して細い気管支鏡は通常「P」(小児用)という呼称が与えられているが、成人の気道にも使用可能である。より新しい世代の細型映像光ファイバー気管支鏡は、2.0mmの操作チャネルを有し、外径は4.0mmである。これらの気管支鏡の難点として、光ファイバーバンドルが少なくなるために画像領域が犠牲になり小さくなってしまうことが挙げられる。極細の気管支鏡は一般的に外径が3mm未満である。例えば、オリンパス社製の機種BF-XP40及びBF-XP160F(Olympus America社:Center Valley,ペンシルベニア州)は、外径が2.8mm、操作チャネルが1.2mmである。適正口径の特殊器具(例えば再利用可能な細胞診用ブラシや鉗子)は組織サンプリングに使用可能である。映像気管支鏡の現状の世代はすべて60cmの作業長で製造されている。これらの気管支鏡は、送達チャネルまたはエネルギー送達カテーテルを交換可能なガイドワイヤを設置するために末端気道にアクセスするのに適している。
【0136】
ナビゲーション気管支鏡検査(Navigation bronchoscopy:NB)は2つの主要段階、プラニング及びナビゲーションからなる。プラニング段階では、既に取得したCTスキャンを利用して、肺内部における対象への経路をマーキングしてプラニングする。ナビゲーション段階では、これら既にプラニングされた対象及び経路が表示されることで、これらを利用して肺内部の深くまでナビゲーション及びアクセス可能である。対象に到達すると、NBはすべて同一の処置の範囲内にある複数のアプリケーションを使用可能にする。患者の胸部のCTスキャンが、患者の気道を複数の3D画像で再現する独自開発のソフトウェアにロードされる。医師はこれらの画像を利用して対象の位置をマーキングし、肺内部にあるこれら対象の位置への経路をプラニングする。プラニング段階で生成されたプラニング経路とリアルタイム誘導を用いて、医師は検知プローブと伸長型作業チャネルとを所望の対象位置(複数の対象位置)へと操作する。所望の位置に到達すると、医師は伸長型作業チャネルを所定の位置に固定し、検知プローブを取り除く。伸長型作業チャネルにより、気管支鏡器具やカテーテルに対して対象結節へのアクセスが与えられる。
【0137】
対象となる肺組織部分における空気体積の削減
図1に示されているように、肺は5つの葉に分けられ、右上葉57、右中葉58、右下葉59、左上葉60、及び左下葉61が含まれている。各葉はさらに区域に分かれている。各葉または区域はおおむね独立しており、自身の気管支と肺動脈分岐を有している。1つの葉または区域を供給する気道が一方向弁により閉塞しているか、または閉塞物により閉塞していながら空気が吸い出された場合、虚脱するか体積が減少した結果、肺の残りの部分により圧力がかかった状態で局部組織が圧縮される。身体における腫瘍が発生しやすい組織の大部分とは違い、肺組織は本質的に非常に従順で圧縮可能であり、最終的には虚脱可能である。無気肺とは、肺、葉、または肺の一部の完全または部分的な虚脱を指す。気道が閉鎖されると、肺の対象部分に与えられる陰圧がなくなるか、または減少する。よって、隣接部分または区域が対象部分を圧迫して溜まっている空気を排除する。代替として、または追加として、閉鎖装置(例えばバルーン)内において管腔を通して真空吸引を施してもよい。真空吸引を用いて、対象となる肺部分からさらに空気を排除することができる。その結果、さらなる虚脱、またはより効果的な虚脱が実現できる。本開示のために、「肺の一部分を虚脱する」という文は、対応する空気体積を圧縮または削減すること、または肺の当該部分を収縮させることを指し、完全虚脱を必ずしも意図することではない。より多くの空気がなければ、嚢は収縮する。いくつかの場合では、側副換気により虚脱した区域を再度膨らませることもあることが理解できるが、蓄積熱や連続吸引からの組織の収縮により、少なくとも部分的に対象領域の再膨張を抑えることができることが予想される。膨張した際には、バルーンを用いて対象の気道への流入を封じてもよい。バルーンを通る管腔を用いて追加の真空吸引を供給してもよい。
【0138】
肺コンプライアンスは肺の重要な特性の1つである。様々な病理がコンプライアンスに影響を及ぼす。特に肺癌焼灼に関連しているものは、線維症は肺コンプライアンスの低下と関連しており、肺気腫/COPDは肺胞弾性組織の損失により肺コンプライアンスの上昇と関連している可能性があり、肺サーファクタントは、水分の表面張力を減少させることによりコンプライアンスを上昇させる、という所見である。肺胞の内壁面は液状の薄膜で覆われている。この液体の水分は表面張力が高く、肺胞を虚脱できる力を与えている。この液体内にサーファクタントが存在するために水分の表面張力が破られて、肺胞が内側方向に虚脱しにくくなるようにしている。肺胞が虚脱しようとするのであれば、その存在を開放するのにかなりの力が必要になるであろう。これはコンプライアンスが激減することを意味する。X線撮影で可視できる肺領域の虚脱として臨床的に定義されている無気肺は、普通は望まれない状態である。しかし、局部的な肺虚脱は、肺気腫の治療や、著者の提案であるが、対象となる肺癌の焼灼においては有益になりうる。腫瘍焼灼中における標的腫瘍を含む対象となる肺部分の虚脱または空気体積減少の利点としては、気道内に位置し、腫瘍を取り囲む電極を腫瘍により近づくように引き込んだ結果、焼灼エネルギー密度が高くなる、または腫瘍焼灼の有効性が高くなる可能性がある;虚脱または収縮した肺組織から気道が供給した空気を排除することにより、焼灼エネルギーの送達及び熱伝播をより効率的に行える; 当該区域が虚脱することで、局所的な低酸素性肺血管収縮及び肺区域の虚血を誘発する低酸素につながる可能性があり、代謝冷却を低減させ熱エネルギーの効率的な利用を向上させる;高張生理食塩水等の洗浄液の拡散が対象となる領域に閉じ込められることにより、実質的な電極焼灼の成果をほとんど対象領域に供給できる可能性がある、ことが挙げられるであろう。しかし、肺、肺葉、または肺区域の完全な虚脱は、本発明の意図にとっては必要ではない。真空をカテーテルに施すことによる気管支の空気体積減少は、一般的には、RF電極と気管支壁との間の電気接触を改善するには十分である。これにより、今度は安全性が高まり洗浄液の気化(過度な加熱による)や隣接する組織への意図しない拡散により生じ得るエネルギー送達の非効率な部分が減り、したがって組織との電極接触がより安定し、接触表面積が広くなる。さらに、無線周波数の電気エネルギー等の焼灼エネルギーを、コンピュータ制御式焼灼コンソールによって送達してもよく、肺部分の虚脱は、組織と電極(複数の電極)との間の接触安定性や接触圧力を増加させることにより、温度制御された焼灼性能を向上させ得る。例えば、虚脱または収縮した気道内では、電極(複数の電極)内または上にある温度センサ(複数の温度センサ)により、RF出力、RF出力立ち上がり勾配、または継続時間等のエネルギー送達パラメータを制御するのに用いられるコンピュータ制御式焼灼コンソールに、より正確な温度フィードバックが与えられ得る。その一方で、接触安定性や接触圧力の増加により、熱伝導と電気伝導の安定性も増加させることができ、温度センサ(複数の温度センサ)が電極の周囲の組織の温度をより正確に表示できるようになる。よって、対象となる肺組織や腫瘍に送達される焼灼エネルギーを最適化でき、対象となる組織の温度を、効果的かつ安全に所定の温度設定値に熱することができる。
【0139】
気道の形態で規定された肺の1つの葉または区域、または他の区画での空気体積減少、及び気道による給気は、小葉間での側副換気によって妨害される可能性がある。この側副換気は、不完全な葉間裂と部分的に損傷や破損がある肺を有する患者に共通している。肺区域や肺葉の虚脱の別の方法を、肺組織を暖めるか、化学物質、気泡、または高温蒸気を対象となる区域内または対象となる葉内に注入するかによって採用することができる。例えば、高温蒸気を葉や区域のような閉じた空間に注入すると、この空間を虚脱させる結果になる。肺の性質として、1つの区域を虚脱すると、加圧された隣接区域がその区域を圧縮して、虚脱された空間が空けた体積を埋める。側副空気経路がある肺の部分を気管支鏡及び気管支鏡送達器具を用いて虚脱または部分的に虚脱する技術は、例えば米国特許第7412977(B2)号明細書に記載されている。肺の、特に上葉の部分的虚脱は、進行した肺気腫における肺縮小手術の結果を模倣するために従来技術で提案されたものであるが、腫瘍の熱焼灼(例えばRF)を向上させるためには示唆されていなかった。提案された技術としては、閉塞器や、弁、蒸気(例えば湯気)、気泡、接着剤の気道への注入、等が挙げられる。ばねやワイヤコイルを用いた肺部分の機械的圧縮も提案されている。これらの方法はすべて、そこにある腫瘍がCTで位置が分かり、悪性であると特定されている任意の葉または区域における癌治療に対して調整・採用されるように構想されていると思われる。上述されているように、肺または肺領域の部分的な虚脱は、本発明を正常に実施するために必要とされていない。その目的は、電極と組織との接触を向上させるために気管支の空気体積を削減することである。
【0140】
究極的には、独立した肺の換気技術を用いて、肺全体を一時的に虚脱することが可能である。肺は、2つの主気管支の閉塞物を有する別個の気管内チューブで挿管・換気される。この処置に耐えられるだけの健康を有する患者であれば、片方の肺を虚脱させて手術を行っている間、対側肺だけの機械的換気で呼吸可能である。肺をしぼませて虚脱させる前に電極の配置が可能である。この場合、側副換気は、術者の肺を虚脱する手腕にはほとんど影響を及ぼさない。
【0141】
対象となる肺の部分の空気体積の削減は、RF焼灼を行う病変の大きさを増大させることで腫瘍焼灼を行いやすくするという別の利点を提供しうる。肺の気道内の空気は熱伝導や電気伝導が非常に悪い。気道を虚脱(例えば空気の流れを閉塞することにより、または本明細書に記載されている他の方法により)するとそれらはしぼみ、これにより先に通気した組織を通じたRFの透過性が高まる。したがって、我々は、気管支内カテーテル等の機器と組み合わせた電極を通じたエネルギー送達の向上を容易にする手段として、対象の肺部分内の空気体積の削減を提案する。標的腫瘍を取り囲む、または標的腫瘍に隣接する特定の肺部分の空気体積を削減するために気道を閉塞するには、バルーン(例えば液体または空気が充填されている)、他の空間閉塞器、展開可能弁、注入蒸気、ファン、接着剤注入、またはステントが使用可能である。例えば、バルーンを使用して気道の一部分を閉塞してもよく、気道が閉鎖されると、その血液が肺胞内部の気体を吸収し、これにより空気体積が削減される。代替として、カテーテル内の管腔を通じて減圧を行って、溜まっている空気を吸引してもよい。吸引は、所望の収縮や虚脱の度合いに応じて30秒から10分間施してもよい。気道から空気が除かれると、肺胞は収縮する。いくつかの場合では、血液、流体、及び粘液が、少なくとも部分的に、先に通気した空間に充填されることにより、RFエネルギーと熱をより効果的に伝導できるようにしてもよい。
【0142】
また、区域の虚脱は、肺の局所的な低酸素性血管収縮を招く低酸素をもたらす。肺の対象領域への血流を削減すると、血流速度と代謝冷却とが低下して、熱エネルギーがより効率的に利用される結果になる。
【0143】
気道を閉塞して組織を焼灼するように構成されているカテーテルを用いて、肺の対象となる部分を虚脱する、肺腫瘍を焼灼する手順的な方法は、以下のステップを備えていてもよい。肺内の標的腫瘍の位置を(例えばCT等の医用画像診断技術を用いて)特定するステップと、医用画像をナビゲーション技術で登録することによって3Dナビゲーションマップを生成するステップと、3Dナビゲーションまたは電磁式ナビゲーション支援を随意用いて、患者の気道を通して気管支鏡を送達し、対象となる肺部分の近傍に遠位端を配置するステップと、生検を行って腫瘍の位置を確認するステップと、気管支鏡、閉塞・焼灼カテーテル、及び気管内チューブの管腔を潤滑するステップと、閉塞・焼灼カテーテルを気管支鏡の作業チャネルを通して配置するステップと、カテーテルの遠位領域を対象となる部位に操舵して、焼灼電極を、必要に応じてガイドワイヤ上にカテーテルを送達して(例えば標準的な仮想式またはナビゲーション式気管支鏡検査により)できる限り腫瘍に近づけるように誘導するステップと、必要に応じて、電極から計測したインピーダンス、画像診断、またはEMナビゲーションを用いて電極位置または電極接触を確認するステップと、必要に応じて、閉塞バルーンを気道内において焼灼部位の近位に配置するステップと、閉塞バルーンを気管支鏡のレンズで視覚化しながら膨らませるステップと、必要に応じて、空気を吸収させて、または本明細書で開示されているような他の気管支空気体積減少ステップ(例えば、吸引を施して対象となる肺部分から空気を排除する)を行って、肺の対象部分内の空気体積の削減を可能にするステップと、必要に応じて、組織(例えばRF電極(複数のRF電極)と接地パッドとの間、または双極RF電極間)の電気インピーダンスをモニタリングし、インピーダンスが安定して不変であることは、気管支の空気体積が既に減少しているために組織と電極(複数の電極)との接触が良好であることを示している(例えば著者が行った研究では、気管支の空気体積を削減するとインピーダンスは約24%から38%低下した)ステップと、電極(複数の電極)を洗浄するか、または導電性液を対象となる肺部分に注入するステップと、コンピュータ制御の焼灼エネルギーを電極(複数の電極)を通じて対象となる組織に送達するステップと、必要に応じて、肺部分内に残存する液をカテーテルまたは気管支鏡で除去するステップと、閉塞バルーンをしぼませてカテーテルを患者から取り出すステップと、処置された気道において出血や水疱の兆候の有無を視覚化し、必要であれば治療を行ってもよいステップと、を備えていてもよい。必要に応じて、焼灼電極を次の位置に移動させることにより、異なる位置で引き続き焼灼を行ってもよい。先に虚脱させていた場合、肺部分が虚脱している限りは電極の再配置が難しいのであれば、焼灼電極を移動させる前に肺部分を膨らませることが必要なこともある。いくつかの状況では、電極(複数の電極)を再配置している間、肺部分をしぼませたままにして、必要であれば導電性液を注入したままにしておくことが可能であることもある。必要に応じて、後でCTを用いて腫瘍の位置を特定して、焼灼に成功したかどうかを判定するために、または次の焼灼を施すために、基準点マーカーを腫瘍内または周りに置いてもよい。
【0144】
図18A、18Bは、動物実験時の肺のCT画像図であり、様々な程度の気管支の空気体積減少が存在している状況例を示している。図18Aにおいて、気管支の空気体積をかなり削減させた際、真空吸引はあまり有効ではなかった。結果として、白く混濁した領域800(気管支の空気の排除の影響を受けた肺組織の体積を示している)は大きさが限られており、RF電極234の周りの空間のみに集中していた。この観察結果は、カテーテルの双極インピーダンスの相対的な低下(近位の電極237とRF電極234との間で測定。図4A参照)と非常によく相関していた。治療前において、カテーテルの真空吸引を行う前、双極インピーダンスは590Ωであった。真空吸引後、双極インピーダンスは変化せず、590Ωのままであった。反対に、図18Bは、気管支の空気体積を削減させた際にカテーテルの真空吸引が図18Aの状況よりも成功した状況を示している。その結果、白く混濁した領域800は広がっており、カテーテルのRF電極234の周りのより広い領域を取り囲んでいる。この観察結果も測定されたカテーテルの双極インピーダンスの変化とよく相関していた。治療前において、吸引を行う前、双極インピーダンスは670Ωを示していた。真空吸引後、双極インピーダンスは400Ωに低下しており、治療前の値から40%低下したことを表している。治療前の値からの双極インピーダンスの低下が5~50%の範囲内であれば、気管支壁とRF電極234との間の電気接触の改善を支援する点において、通常は十分である。RF電極と対象となる気管支壁との間の電気接触の質をさらに上げるためには、RFの送達前に少量の高張生理食塩水を流す。例えば、図18A、18Bにそれぞれ図示されている例では、23.4%の高張生理食塩水を5ml/minの速度で5秒間流すと、カテーテルの双極インピーダンスがそれぞれ140Ωと130Ωに低下する。好適には、本発明の範囲に限定されることなく、RFエネルギーの送達前に、双極インピーダンスは300Ω未満に低下していなければならない。表1に示されているように、RF電極接触が改善する結果となる、気管支の空気体積減少が大きいほど(図18)、生じる焼灼体積も大きくなる(表1に幅1、幅_2、及び長さとして列挙)。焼灼体積の増加は、気管支の空気体積削減の増加のみから導かれた結果ではなく、高張生理食塩水の流速の増加が、おそらくは局部血液量と空気流の状態の結果でもあるが、実質的なRF電極を形成していた。予想していたように、実質的なRF電極が大きいほど、より大きな焼灼領域の形成に貢献していた。
【0145】
【表1】
【0146】
対象となる肺部分への導電性液の送達
導電性液を(例えば焼灼カテーテルの管腔を経て)肺の対象部分の気道に送達することによってRF焼灼を強化してもよい。多量の組織を焼灼(例えば直径1.5cm以上の焼灼)することによって気管支内の肺腫瘍焼灼を強化するために、導電性液の送達は高張生理食塩水(例えば濃度が5%から30%の範囲である高張生理食塩水)の大量注入であってもよい。他の導電性液を使用してもよい。例えば、数種の生体適合性のある導電性水溶液(例えばそれ自体が生体に対して致死性も毒性もない導電性溶液)、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化ナトリウム等を使用してもよい。このような溶液は、容量濃度で10%以上で、電気抵抗が2~35Ω・cmの範囲内、好適には4~14Ω・cmの範囲内(導電率で表すと70~225mS/cm)であり、無線周波数電流の効果的な伝導を支援するには十分に低い。浸透圧はこのような水溶液の重要な特性であり、以下の式で算出できる。
【0147】
【数3】
ここでnは各溶質分子から解離した粒子数である。例えば、種々の溶液の浸透圧は以下のようにして算出できる。
1)23.4容量%のNaCl溶液(分子量58.44g/mol)の場合、モル濃度は23.4g/100ml/58,44g/mol=0.4mol/100ml=4mol/L
NaClがNaとClに解離することを考えると、その結果n=2である。よって、浸透圧はOsm=4mol/l*2=8Osm/Lに等しい。
2)10容量%のCaCl溶液(分子量110.98g/mol)の場合、モル濃度は10g/100ml/110.98g/mol=0.09mol/100ml=0.9mol/L
CaClがCa2+と2Clに解離することを考えると、その結果n=3である。よって、浸透圧はOsm=0.9mol/l*3=2.7Osm/Lに等しい。
【0148】
浸透圧の高い溶液ほど好適であり得る。食塩液の理論浸透圧の計算において、浸透係数φ=1である。
必要に応じて、導電性液は、粘度が高くてもよいし、粘度が低い状態で対象領域に注入されて、体内の対象領域内でより高い粘度に遷移してもよい。例えば、NaClまたは上記に列挙された他の類のイオン性塩は、逆相の遷移ポリマー及び水と混合可能であり、体温より低い温度から体温へと遷移する際に、粘度が高くなるように遷移し得る。適切な特性を有するポリマーは、例えば、ポリエチレングリコールからなり、両端にあるFDA承認のポリ乳酸・グリコール酸共重合体により共有結合でエステル化されたブロック共重合体PLGA-PEG-PLGA等であってもよい。他のポリマーの例は、ポリエチレングリコール、アルブミン、シルク、ウール、キトサン、アルギン酸塩、ペクチン、DNA、セルロース、ポリシアル酸類、樹状ポリリシン、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ジェラン、多糖類、ポリアスパラギン酸、及びこれらを組み合わせたものを基にしていてもよい。混合物は、高張生理食塩水基剤の高い導電率を保持しながら、一方でポリマーの粘度が高い特性を加えるように設計してもよい。このように、導電性液の広がりにわたる制御をより良好に確立できる。ポリマーの持つ性質として、生分解性、生体適合性、または生体吸収性であってもよい。イオン成分は、例えば、M.sup.+X.sup.-またはM.sup.2+Y.sup.2-を含んでいてもよく、ここでMはLi、Na、K、Rb、Cs等、アルカリ金属またはアルカリ土類金属に属していて、Xはハロゲン類、酢酸塩、及び他の等価のM.sup.+への拮抗物質を表しており、YはX.sub.2または混合ハロゲン類、酢酸塩類、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、及び他の等価のM.sup.2+への拮抗物質であり、さらに、ギ酸、グリコール酸、乳酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、尿酸、及びこれらに対応する共役塩基であり得る。導電性液はさらに、組織の回復、癌性細胞のさらなる治療、またはX線造影を助けるために、医薬品(例えば抗がん剤や抗生剤)等の成分を含んでいてもよい。注入量は、対象となる気道を越えて肺胞及び肺実質へと注入するのに十分な量であってもよい。このことは、送達された焼灼エネルギー(例えばRFまたはマイクロ波)を電極接触面よりも多くの組織に伝導することによって実現され、これにより、実質的に、実効電極サイズを大きくし(つまり仮想電極を生成して)、組織に対してより安定かつ均一な電気接触をもたらす。生理食塩水中では出力の損失が少なく、組織により多く送達されるので、高張生理食塩水または上記に列挙された他の液といった導電性液はまた、焼灼エネルギー送達をより効率よくし得る。高張生理食塩水中では生理食塩液中に比べて出力の損失が少なく、その理由は、高張生理食塩水は極めて高い導電率を有するので、接触インピーダンスが低くなるからである。高張生理食塩水中での出力の損失が少なければ、沸点に到達しにくくなる。したがって、気管支の空気体積を削減した状態の肺部分内で高張生理食塩水を用いて行われる焼灼は、チャー形成を示さず、なおかつより大きな病変を生成する傾向にある。導電性液の注入は、本明細書に記載されているような、液を注入し、任意で付随する引き込みを行う方法及び機器で、必要に応じて電極(複数の電極)の周りの対象となる肺部分を虚脱した状態で実施してもよい。肺の対象部分を閉塞することによって、その肺部分を虚脱して洗浄した電極を用いて焼灼するように構成されている機器220の一例を図4Aに示し、機器220は、少なくとも1つの洗浄ポート235を有する少なくとも1つの電極234を備えている。表1に示されているように、図18Bに記載されている6分間のRF送達中の高張生理食塩水の流速が速いほど、焼灼体積も大きくなる結果となる。図17及び関連する文章で示されているように、RF送達中の高張生理食塩水の流れは、本開示のアルゴリズム態様によって制御されている。このアルゴリズムは高張生理食塩水の全体量を最適化することを目的としているが、一方で、肺癌を治療するのに適したサイズの焼灼体積を得るためには、最小量が必要になる。例えば、本開示の範囲に限定されることなく、図18Aに記載されている場合から、流速が0.5ml/minと低いと、焼灼体積が小さくなる結果となる。RF送達中は、0.2~0.5ml/minを超える流速に達することが好ましい。最大値を超える流速(例えば最大約15ml/min)の高張生理食塩水は、生理食塩水がRFエネルギーを無駄に損失するポイントに到達してしまうので、焼灼体積が大きくはならない可能性がある。よって、図17Aのアルゴリズムは、高張生理食塩水の流速を、全体量を最大量より少なく、しかし上述の最小値よりは多く保つように最適化する。高張生理食塩水の流速は、0.2~5ml/minの範囲、好適には1.5~2.5ml/minの範囲が、十分に大きな焼灼体積を得るには効果的であると予想される。治療措置中に維持されている導電性液の平均流速は0.1~15ml/minの範囲であってもよい。
【0149】
動物実験では、気道への高張生理食塩水注入と無線周波数を用いた気道への熱エネルギー送達との組み合わせには、処置後2週間後に撮影したCTスキャンで明らかなように、組織を破壊する素晴らしい効果があることが示された。いくつかのこれまで研究では、高張生理食塩水は、接着分子とラミニンの発現を抑制することによって、腫瘍細胞の内皮への付着性を大幅に弱めることができたことが示されている。(Shields CJ1,Winter DC,Wang JH,Andrews E,Laug WE,Redmond HP.Department of Academic Surgery,Cork University Hospital and National University of Ireland,Wilton.Hypertonic saline impedes tumor cell-endothelial cell interaction by reducing adhesion molecule and laminin expression.Surgery.2004 Jul;136(1):76-83.)これは、外科手術ではく離した腫瘍細胞が転移するという習性を停止させる可能性がある。他の調査では、細胞のアポトーシスを誘発するのに生理食塩水を使用する同様の研究が報告されている。調査者は、がん細胞を消滅させるのに塩を使用した研究を行い、がん細胞に塩を注入することによってがん細胞が自滅するようにすることができる技術を作り出した。(Busschaert,N., Park,S.,Baek,K.,Choi,Y.,Park,J.,Howe,E.,Hiscock,J.,Karagiannidis,L.,Marques,I.,Felix,V.,et al(2017).A synthetic ion transporter that disrupts autophagy and induces apoptosis by perturbing cellular chloride concentrations.Nature Chemistry,9(7),667-675.)(Ko,S.,Kim,S.,Share,A.,Lynch,V.,Park,J.,Namkung,W.,Van Rossom,W.,Busschaert,N.,Gale,P.,et al(2014).Synthetic ion transporters can induce apoptosis by facilitating chloride anion transport into cells.Nature Chemistry,6(10),885-892.)残念ながら、細胞ががん化すると、自身の細胞膜を横断させてイオンを輸送する手法を、アポトーシスを阻止するように変化させる。しかし、温度を上げると高張生理食塩水(hypertonic saline:HTS)の拡散率が高くなることによって、HTSを細胞内に輸送する力を高めることができることが予想され、熱したHTSや他の生理食塩水を注入することが腫瘍細胞の消滅に有益な効果がある可能性はかなり高い方向であると考えられる。上述したように、他の生体適合性のある導電性水溶液を使用してもよい。浸透圧が高いほど、細胞膜を横断するイオンの拡散率もより高くなるように支援できる。
【0150】
高温高張生理食塩水(HTS)や、上記で説明されている他の任意の高温溶液は、細胞に対するHTSの輸送を浸透や拡散でより良く行うことができ、細胞の脱水の促進を加速することができる。細胞外塩分の増加は、隣接する細胞内からの含水量の減少を招く。その結果、高温HTSは、RFエネルギー送達によって生じた細胞脱水効果を強める。比較として、標準的な汎用焼灼カテーテル(ThermoCool)で行った研究では、50Wで作動させて、室温生理食塩水で高い洗浄流速(30ml/min)で洗浄した結果、細胞死はかなり少なかった。濃度が約5%、例えば10%のHTSを対象空間に注入することができ、その後、RF電流はその空間を通って組織内に進むので、HTSは、カテーテルの遠位領域にある電極によって、ある程度の温度、例えば60℃から115℃の範囲にまで達する。代替として、肺の隔絶された部分を、加熱HTSで、カテーテル上の洗浄ポートから直接洗浄することができる。隔絶された部分は、少なくとも2分間、または相応して30秒から30分の範囲の間、熱とHTSに晒すことが可能であり、その後、HTSとこの局所領域は、電極の遮断によって、または室温生理食塩水での洗浄もしくは交換によって冷却するか、洗浄ポートから直接真空引きすることができる。この処置は、所望の焼灼結果が達成されるまで繰り返すことができる。温度を上げるとHTSの拡散率が高くなることによって、HTSを細胞内に輸送する力も高めることができることが予想され、熱したHTSや他の生理食塩水を注入することが腫瘍細胞の消滅に有益な効果がある可能性はかなり高い方向であると考えられる。
【0151】
図19A、19Bは、動物実験で得られた解剖した肺組織の画像であり、高張生理食塩水注入とRFエネルギー印加の結果として肺組織に壊死が発現した例を示している。図19Aは、23.4%の高張生理食塩水を流速3ml/minで10分間注入した場合を示している。RFエネルギーは印加していない。動物の左下肺内には高張生理食塩水を送達した。動物は1か月間生存させた。その後、組織病理検査を行った。図19Aに示されている肉眼所見図から、大きさが約0.5mmの壊死スポット805が分かる。壊死スポット805は注入後の急性時にはある程度大きかったと思われるが、その後1か月の間に徐々に動物の体内に再吸収されていった。この動物には指摘された安全性の懸念はなかった。Na値等の血中電解質は処置前の値に対して変化していなかった。血圧や他のバイタルサインはすべて正常であった。高倍率の組織病理観察でも細菌コロニーは観察されなかった。しかし、小さな壊死スポットが存在することは、高張生理食塩水の治療効果の可能性があることを示している。RFエネルギーの送達と組み合わせた場合、高張生理食塩水の治療効果は高くなる。例えば、図19Bに示されているように、RFエネルギーと高張生理食塩水を組み合わせた効果により、図19Aの壊死スポットの約10倍の大きさである、約5mmの壊死ゾーン806が得られる結果となった。図19Bの場合では、23.4%高張生理食塩水を図19Aと同じ量で右下肺に送達した。同じ流速である3ml/minで10分間注入した。さらに、生理食塩水送達時間中に10WのRF出力を90秒間印加した。同じ動物を図19Aの場合と同様に処置した。したがって、RFエネルギーと高張生理食塩水注入を組み合わせた効果は、壊死ゾーンを増大させる結果となり、肺内の腫瘍等の組織を焼灼する場合の治療成果を高めることができる。
【0152】
導電性液、例えばHTSの組成は、HTSの導電度や熱伝導度や粘度を調整可能なようにして調整可能であってもよい。例えば、導電性液源は、肺の対象領域内に注入される導電性液の特性を調整するように組み合わされてもよい複数の供給源を備えていてもよい。焼灼すべき対象領域において混合された液体を肺の本来の気道に注入する前に、または注入中に、ソフトウェア駆動型コントローラを、複数の供給源を所定の比率または自動で決定された比率で混合するようにプログラムしていてもよい。例えば、別々のポンプを制御された比率と時間で作動させて、複数の供給源の各々の所望の量を選択的に取得してもよい。複数の液体は、混合室に揚水されてから、その後にその混合液体を機器を通じて対象領域に送達してもよく、あるいは同時に、または順々に、直接対象領域に送達されてもよい。例えば機器の遠位領域に位置するセンサからの入力を使用するコントローラによって、複数の供給源の比率の自動定量を算出してもよい。
【0153】
必要に応じて、コントローラは、焼灼エネルギー送達パラメータ(例えば、導電性液の流速、焼灼エネルギー出力、設定温度、勾配速度、送達時間)を、変化する導電性液の特性、例えば導電度、粘度、温度、または圧力等を基にして調整してもよい。例えば、導電性液の流速及び導電度のうちの少なくとも1つを調整することは、流速及び導電度のうちの少なくとも1つを調整して、温度センサが検知した値を定められた温度範囲内に維持することを含んでいてもよく、ここでは必要に応じて、定められた温度範囲は60~115℃の間、またはある温度閾値よりも上であり、必要に応じて、好適な温度閾値は75~105℃、例えば85~99℃の間である。他の例では、システムは、導電性液の導電度を、基準流体温度が25℃で10mS/cmと450mS/cmとの間の範囲に調整するように構成されている。
【0154】
例えば、表1に示されているように、RF出力を平均67Wで6分間送達すると、平均組織温度が90℃、焼灼体積が4.4cmx3.1cmx3.9cm、つまり約27cmである結果になった。さらに、高張生理食塩水、または上記で説明したものから他の任意の水溶液(例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化ナトリウム等)は、がん細胞に対して毒性があることが知られており、代替として、または追加として、腫瘍細胞を化学的に焼灼可能である。肺実質に浸透した生理食塩水は、肺胞気と入れ代わり、Kohn孔やLambert管を通じて周囲の肺胞へと広がっていってもよい。灌流される高張生理食塩水には非イオン系ヨード造影剤が添加されることにより、コンピュータ断層撮影法(computed tomography:CT)で視覚化することもできる。硫酸アルミニウム等の他の導電性洗浄液を想定することもできる。焼灼中に吸引を利用して導電性液流を生成し、焼灼領域での洗浄を絶えず補充することにより、液中に生じた熱を除去することによって腫瘍焼灼をさらに促進することも可能である。
【0155】
様々な液体をコンピュータ制御下で混合することによって、制御可能、プログラム可能、及び予測可能な導電性イオン濃度を作り出すことが可能である。代替として、対象となる肺組織内に溜めた流れのない導電性液により、対象となる肺腫瘍を焼灼するのに十分な病変を生成しやすくなり得る。所望の焼灼体積は、例えば、腫瘍のサイズ、標的腫瘍とRF電極との距離、または影響を被る焼灼対象ではない構造との近さの関数であってもよいが、導電性液の注入が流動しているか停滞しているかで決定してもよく、ここで、停滞注入は狭めの焼灼に、流動注入は広めの焼灼にそれぞれ用いてもよく、必要に応じて、さらに広めの焼灼には、注入液の流速や冷却を高めて使用してもよい。
【0156】
焼灼開始前に導電性液を注入することによって、焼灼できるように肺の準備を行って、液が組織内を流れるようにしてもよい。高張生理食塩水等の導電性液の送達は、焼灼エネルギーコンソールに、治療の目的を達成するのに必要な幅広い出力レベルで操作可能にするようにしてもよい。
【0157】
図13は、高張生理食塩水を1ml/minの速度で注入することによって得られた、近位電極温度303、洗浄された遠位電極温度304、出力305、インピーダンス306、及び位相307の範囲の例を図示したものである。温度は60℃より高いが115℃より低い(例えば105℃未満、または100℃未満)範囲内で調節されてもよい。ただし、限られた時間(例えば1秒未満、2秒未満、3秒未満)内ではこのような範囲外に変動することもある。
【0158】
必要に応じて、導電性液を、気道内に位置するニードルカテーテルを通じて実質や腫瘍に注入してもよく、ニードルカテーテルは、導電性液を対象部位により効果的に、またはより選択的に送達可能である。ニードルはさらに、関連温度を有するRF電極と、RFエネルギーを腫瘍の近くの実質に、または腫瘍内部に、直接送達するのに使用してもよいインピーダンスセンサとを備えていてもよい。
【0159】
必要に応じて、焼灼サイズを調整するために、導電性液、例えば高張生理食塩水溶液の注入を滴定で行ってもよい。上記で説明したように、十分に大きな焼灼体積を生成することに寄与するためには、患者の電解質、血圧、及び液の流し込みを正常で安全な範囲内に保ちながら、高張生理食塩水の流速が0.2~5ml/minの間であることが予想される。滴定は、生理食塩水濃度、注入される高張生理食塩水の量を調整することによって、または、閉塞している構造物の位置を調整して異なる大きさの肺部分を遮断することによって行われてもよい。生理食塩水濃度が高いほど導電性も高く、より大きな病変の生成が可能である。注入された生理食塩水量が多いほど、より大きい体積の組織に広がり、より大きな病変の生成が可能である。閉塞している肺部分が大きいほど、より多くの量の注入高張生理食塩水を受け取ることが可能であり、その結果より大きな病変が得られる。RF送達パラメータは高張生理食塩水滴定に従って調整してもよい。例えば、インピーダンス値の好ましくない変動に応じて洗浄液の塩分を増加してもよい。
【0160】
実施形態#1(気道、腫瘍、または肺実質内に配置する1本のシャフト上にある、焼灼電極(複数の電極))
作業チャネルを通して送達されて、肺の対象部分を閉塞し、肺の対象部分内の空気体積を削減し、導電性溶液を肺の対象部分に送達し、組織の特性をモニタリングし、腫瘍を焼灼するように構成されている機器220の例を図3に示す。図4Aでは、図3の機器がin situで示されている。
【0161】
機器220は、患者の体外に存在することを意図されている近位領域と、作業チャネルを通して、対象となる肺腫瘍の近位にある肺の対象領域に送達されることを意図されている遠位領域215とを有する細長シャフト229を有している。遠位領域215は、作業チャネル(例えば、気管支鏡221の作業チャネル225、ロボット操作シースの作業チャネル、または、気管支鏡またはロボット操作シースの作業チャネルを通して送達されてもよいシース213の管腔)を通して送達されるように構成されている。例えば、共通の気管支鏡作業チャネルは、内径が2.8mmで長さが60cmであってもよい。2.8mmの気管支鏡作業チャネルを通して送達するように構成されている送達シース213は、外径が2.8mm未満、好適には約1.95mm±0.05mm、内径が約0.45mm外径より小さく、好適には約1.5mm±0.05mm、長さが気管支鏡の長さよりも長く(例えば60cmよりも長く、好適には約105cm)てもよい。別の例では、肺癌焼灼カテーテルは、侵襲が最小限の肺末梢部生検を行うIntuitive Surgical社のロボットプラットフォームであるIon(商標)管腔内システムといったロボット操作シースを通して送達されてもよい。Ion(商標)システムは、肺末梢部内の深くまでナビゲーション可能な、超薄型で極めて操縦しやすいカテーテルを特徴とし、前例のない安定性が生検に必要な精密性を可能にしている。Ionシステムは、内径が2mmの内管腔を有するシースを精密に制御する。Ionのシースを通して挿入されるように構成されている焼灼カテーテルは、外径が2mm未満(例えば約1~1.9mmの範囲、約1.4mm~1.9mmの範囲、約1.8mm)で、長さがIonのシースよりも長くてもよく、このため、遠位領域はシースから差し込まれることができるが、近位端はシースの近位端の外側にあるままである(例えば焼灼カテーテルの長さは少なくとも110cmであってもよい)。別の例では、肺癌焼灼カテーテルは、Auris Health社のMonarch(商標)システムといったロボット操作シースを通して送達されてもよい。
【0162】
異なる寸法で作られた作業チャネルを通り抜けるように構成されている同様のカテーテルの場合に、他の寸法も利用可能であってもよい。送達状態において、機器220は、最大直径が送達で通されるシース213の内径よりも小さく、例えば2mm以下(例えば1.8mm以下、好適には1.4mm±0.05mm)であってもよい。機器220は送達シースの長さより長くてもよく、例えば50cm以上(例えば60cm以上、105cm以上、好適には約127cm)であってもよい。機器220のシャフト229は、例えばPebax720でできた外径が約1.35mmの伸長管でできていてもよい。シャフトは、シャフトの曲がりの曲率半径がわずか7mmほどであるような曲がりを通過することができる可撓性シャフトであってもよい。シャフトは、撓み可能、押し込み可能、耐屈曲、及び回転可能な機能を与えるワイヤブレードを含んでいてもよい。
【0163】
必要に応じて、機器220はガイドワイヤ管腔236(例えば、シャフト229内の管腔を貫通する、内径が0.015”のポリイミド管)を有していてもよく、よって、機器をガイドワイヤ227上で送達してもよいし、補強ワイヤ、腫瘍穿孔ワイヤ、光ファイバーワイヤ、または他の機器といった構成部品を、管腔を通して送達することもできる。一例において、ガイドワイヤ管腔を有する焼灼カテーテルの使用方法は、以下のステップを含んでいる。まず、対象組織の生検を、気管支鏡の作業チャネル、ロボット操作シース、凸状EBUSシース、または他の送達シースを通して送達してもよい生検カテーテルで取得するステップと、生検を(例えばオンサイト迅速診断(Rapid Onsite Evaluation:ROSE)を用いて)評価するステップと、ガイドワイヤを、必要であれば気道壁または肺実質を随意通して、生検カテーテルによって開けられた対象組織の穿孔に挿入させ、必要に応じて、ガイドワイヤの挿入は、作業チャネル内に焼灼カテーテルを、カテーテルの遠位端が作業チャネルの遠位端か、その近くにあるように配置することを含み、ガイドワイヤを、焼灼カテーテルのガイドワイヤ管腔を通して挿入させるステップと、焼灼カテーテルをガイドワイヤ上で挿入させて、焼灼要素を対象組織内に配置するステップと、必要に応じて、焼灼エネルギーの送達前にガイドワイヤを取り出すステップと、必要に応じて、組織の特性を焼灼カテーテルとコンピュータ制御コンソールとを用いて評価するステップと、焼灼プロトコルを送達するステップと、必要に応じて、焼灼中または焼灼後の組織の特性を評価するステップと、焼灼カテーテルを取り出すステップと、を含んでいる。
【0164】
代替として、図4Bに示されているように、鋭利な遠位チップ249を有する腫瘍穿孔ワイヤ248は、ガイドワイヤ管腔236を通して挿入されてカテーテル220の遠位端から突き出てもよく、これにより、気道内で閉鎖または浸食している腫瘍80等の組織を貫く穿刺が行いやすくなり、また、気道壁を貫通して、肺実質内で気道の外側にある(図4Dに示されているように)か、あるいは、少なくとも部分的に気道内にはあるが、気道内へのアクセスだけでは到達が難しい可能性がある場所にある、腫瘍内に穿刺が行いやすくなる。図4Bに示されている機器220は、先細形遠位端247を有し、先細形遠位端247の先端を出る管腔236があることを除いて、図4Aの機器と類似している。先細形遠位端247は、腫瘍穿孔ワイヤ248が生成した組織内の穴に入り、焼灼電極234を穴に挿入または穴を貫通できるように穴を広げることができる拡張器として使用されてもよい。必要に応じて、まず、腫瘍の疑いがある対象組織で、例えば気管支鏡の作業チャネルまたはロボット操作シースを通じて生検カテーテルを差し込むことによって、組織生検を採取してもよい。基準マーカーまたはガイドワイヤを生検を採取した場所に残し、焼灼カテーテルでその位置に戻るのを助けてもよい。図4Bに示されているように、ガイドワイヤ管腔236がある先細チップ247を有する焼灼カテーテルは、生検カテーテルが形成した対象組織へのチャネル内に差し込むことができる。必要に応じて、生検後にガイドワイヤをその場所に残しておくならば、焼灼カテーテル220をガイドワイヤ上で、ガイドワイヤ管腔236内でガイドワイヤを摺動可能に係合することによって進めてもよい。
【0165】
必要に応じて、腫瘍穿孔ワイヤ248は、近位領域上に、鋭利な遠位チップ249がカテーテル247の遠位端の近くにある場合に示す深さマーカーを有していてもよい。必要に応じて、腫瘍穿孔ワイヤ248は、放射線不透過である材料で作られているか、もしくは鋭利な遠位チップ249の近くに放射線不透過マーカーを有している。使用方法において、カテーテル220を、腫瘍穿孔ワイヤ248のない患者の気道を通って差し込んでもよく、これにより、カテーテル220がより可撓性を増し、急カーブを通過しやすくなる。必要に応じて、ガイドワイヤを用いて、カテーテルを送達しやすくしてもよい。標的腫瘍が少なくとも部分的に気道内にあってカテーテルをさらに挿入することを阻止している場合、腫瘍穿孔ワイヤ248を管腔236を通して、鋭利な遠位チップ247が任意で深さマーカーが示しているように開口の近くになるまで差し込んでもよい。その後、鋭利な遠位チップ247を腫瘍内に、または腫瘍を貫通するように挿入するが、必要に応じて透視誘導や他の医用画像診断、またはロボット誘導の下で挿入を監視して、胸膜や他の非対象組織を突き刺す危険を回避するようにして挿入する。必要に応じて、腫瘍穿孔ワイヤ248は、カテーテル220の遠位端から所定の距離(例えば約5cmまで、約3cmまで、約2cmまで、約1cmまで、約5mmまで)だけしか進めないように構成されていてもよい。カテーテル220は、腫瘍穿孔ワイヤ248が開けた腫瘍内の穴を先細チップ247が拡張して、焼灼電極234が腫瘍80に入るように差し込んでもよい。腫瘍穿孔ワイヤ248は焼灼エネルギーの送達前に取り出してもよい。
【0166】
代替として、シャフト補強ワイヤをシャフト内の管腔、例えばガイドワイヤ管腔236を通して差し込んで、配置時のカテーテルの剛性を高めるようにしてもよい。カテーテルシャフトは、曲率半径がわずか7mmほどであるような気道の曲がりを通過することができるようにかなり可撓性が高くてもよいが、挿入時に屈曲を防ぐためにより大きな剛性を必要としてもよい。
【0167】
必要に応じて、シース213は、長さに沿って、または長さの一部分に沿って(例えば少なくともシャフト長さの近位5cmと遠位5cm上に)、一定の間隔をあけて(例えば約1mmの幅を有し、中心から中心まで1cmの間隔で)配置されている深さマーカー415を有していてもよい。必要に応じて、図4Aに示されている実施形態のシャフト229、または図5Aまたは5Bに示されている他の実施形態のシャフト429,529は、長さに沿って、または長さの一部分に沿って(例えば少なくともシャフト長さの近位5cmと遠位5cm上に)、一定の間隔をあけて(例えば約1mmの幅を有し、中心から中心まで1cmの間隔で)配置されている深さマーカー416を有していてもよい。深さマーカーは、従来技術で知られているパッド印刷やレーザーエッチング等の方法を用いて、シースまたはシャフトに追加してもよい。使用するときは、医師が患者の肺内で作業チャネル(例えば気管支鏡の作業チャネル)の位置決めを行い、シースまたはシャフト上で、作業チャネルに対して深さマーカーを用いて、作業チャネルに対する焼灼電極または閉塞物の位置を決定する。
【0168】
機器220は、対象となる肺部分に給気する気道を少なくとも部分的に、一時的に閉塞するように構成されている。図3、4Aに示されているように、機器220は、膨張式バルーン等の閉塞要素または閉塞物231を有している。細長シャフト229は、閉塞物を膨縮するポート232が閉塞物231内にある管腔222(例えば、シャフト229内の管腔を貫通する、内径が0.015”のポリイミド管)を備えている。閉塞物231は、気道または気道の直径の範囲(例えば3mm~10mmの範囲の直径)を閉塞するような大きさのバルーン(例えば弾性バルーン)であってもよい。閉塞物231は、流体(例えば空気等の気体、水や生理食塩水等の液体、または造影剤液)を管腔222を介して閉塞物231内に注入することによって膨らませてもよい。必要に応じて、流体はシリンジを機器220の近位領域に接続した状態で手動で注入してもよく、流体圧はロック止め弁を閉じることによって封じ込めてもよい。ロック止め弁を開けて膨張流体をシリンジを用いてバルーンから除去することによって、閉塞物をしぼませてもよい。代替として、機器を操作するシステムは、流体を注入、または除去して、バルーンを膨らませる、またはしぼませるポンプを備えていてもよい。必要に応じて、閉塞物内に、第2管腔と流体連結している第2ポートを配置して、膨張流体を、膨張圧力を維持するために注入しながら閉塞物から除去できるように、しかし流体を閉塞物内で循環できるようにしてもよい。この循環は閉塞物の温度を焼灼温度よりも低く保つことに役立ち、閉塞物の熱損傷の危険性を回避することができる。
【0169】
図3、4に示されている閉塞物231、または、図5Aに示されている同様の閉塞物431,481、図5Bに示されている531,581、図7に示されている231は、弾性、半弾性、または非弾性の膨張式バルーンであってもよく、好適には、少なくとも120℃までの温度で少なくとも30分間損傷を防ぐことができ、かつ、空気1ccで少なくとも30分間膨張に耐えることができる材料でできた弾性バルーンであってもよい。弾性バルーンの材料の適切な例はシリコーンであり、約140℃までの本体温度の動作範囲において温度に安全に耐え得る。例えば、バルーン材料は、0.1”の直径で製造されていて、幅が12mmまで安全に低圧膨張する、肉厚が0.0015”±0.001”の40Aシリコーンであってもよい。バルーン閉塞物は、伸長した状態(例えば伸長させていない状態の2倍伸長させて)でシャフト229に取り付けられ、両端でシアノアクリレート等の接着剤で接着させていてもよい。強度を加えるために、任意の熱収縮カラー(例えばPET)をバルーンの接着縁端上に追加してもよい。本明細書で開示されている任意の実施形態の膨張式バルーン閉塞物は、図14Aに示されているバルーン402のようにやや球形で、例えば生体外で膨らませた状態で、長さ400が5mm~30mmの範囲(例えば12mm)で同じ大きさの直径401が1mm~30mmの範囲(例えば12mm)であってもよい。代替として、膨張式バルーンは、例えば図14Bに示されているバルーン403のように細長形やソーセージ形で、生体外で膨らませた状態で、長さ404が5mm~30mmの範囲(例えば10~20mmの範囲)でより小さい大きさの直径405が1mm~30mmの範囲(例えば4mm~20mmの範囲、約12mm)であってもよい。細長バルーン403は、気道での流体封止をより良好に行うことができ、球形バルーン402と比べて、使用中に位置をしっかりと保持することができる。しかし、バルーンに長さが長くなるとバルーンとシースとの間の摩擦も大きくなるので、シースを通して送達することが困難になり、送達中にバルーンを損傷する危険も増大する。したがって、バルーンは30mm以下(例えば25mm以下、20mm以下)であることが好ましいであろう。
【0170】
代替として、本明細書で開示されている任意の実施形態の膨張式バルーン閉塞物は、図14Cに示されているバルーン408のようにやや先細形状で、例えば生体外で膨らませた状態で、長さ409が5mm~30mmの範囲で、第1直径410が1mm~30mmの範囲(例えば12mm)、下に向かって先細になった第2直径411が0mm~20mmの範囲(例えば約2mm)であってもよい。ここで、第1直径(つまり先細形バルーン408の大きい方の端部)は、第2直径よりも焼灼電極からかなり離れている。この先細形バルーンの形状によって、機能的な気道封止を可能にしながら、使用中に気道に真空を施したときに気道と肺組織が焼灼電極に向かって虚脱する能力が改善できる。
【0171】
図14Dに示されているような閉塞バルーン423の別の代替的実施形態は、近位部412と、遠位部413と、両者の間にあるくびれ部414とを有する細長形状であってもよい。例えば生体外で膨らませた状態で、バルーン423の近位部412は幅418が1mm~30mmの範囲(例えば約12mm)であってもよく、遠位部413は幅419が1mm~20mmの範囲(例えば約10mm)であってもよく、くびれ部414は幅418,419よりもせまい幅421が例えば1mm~19mmの範囲(例えば約8mm)であってもよい。必要に応じて、遠位部の幅419は近位部の幅418よりも狭くてもよい。バルーンのこの形状を作る方法の一つは、バルーン材料をくびれ部領域414でわずかに厚くすることである。このようなバルーンの構造は気道を閉塞することができるが、対象の気管支の開口の近くに位置する場合、近位部412が対象の気管支の開口を封止するように位置しながら、遠位部413は対象の気管支内に位置することができるので、特に有益であり得る。
【0172】
代替として、閉塞バルーン231は、例えば展開可能弁やPTFE等の閉塞材料製の展開可能ステントといった、異なる形状の閉塞構造であってもよい。
図4Aは、図3に示されている焼灼装置220を、選択された気道151内に導入されている状態で図示したものである。焼灼装置220は、細長シャフト229と、シャフトの遠位領域にあって気道を閉塞する空間閉塞器(例えば閉塞物)231と、カテーテルの近位領域で吸引機器(例えば真空ポンプ)に接続可能な管腔(図示せず)と流体連結して、閉塞物231の遠位にある気道151から空気を抜いて、肺の対象となる部分、区域、または葉を虚脱させる、少なくとも1つの空気除去ポート235とを備えている。ある例示的実施形態では、機器220は4つの空気除去ポート235を有していて、各々の直径は0.017”である。対象となる肺部分からの空気の除去は、(例えば吸引機器を用いて)管腔に陰圧を印加することによって行ってもよい。この管腔は空気除去ポート235と連通していて、肺部分から管腔を通じて患者の体外にある装置の近位領域へと、空気を引く。図に示すように、空気除去ポート235は導電性液(例えば高張生理食塩水)を送達可能なポートと同一である。代替として、肺の対象部分からの空気の除去は、ガイドワイヤ管腔236等の異なる管腔に、またはシャフト229上であって閉塞物231とは遠位に出口ポートを有する追加の管腔(図示せず)に吸引を施すことによって行ってもよい。肺の対象部分を少なくとも部分的に虚脱する別の方法は、本明細書に記載されている。
【0173】
図3、4Aに示されている機器220はさらに、機器220の遠位領域215に位置し、導体238(例えば銅ワイヤ32 AWG)に接続されている遠位電極234を備えている。導体238は機器のシャフト229内を貫通して近位領域につながり、そこでRF焼灼エネルギー送達を行うエネルギー送達コンソールに接続可能である。絶縁して導体と電極との間の絶縁応力を防ぐには、十分な電気絶縁を設けなければならない。焼灼エネルギーの送達中、300kHz~1MHzの範囲の周波数で300VのRF電圧を印加してもよい。最小絶縁耐力は約2000V/mmであってもよい。例えば、電気絶縁は導体とシャフト材料との絶縁によって行われてもよい。追加として、シャフト229内にある、少なくとも機器の遠位領域であって遠位電極234の近傍にある導体を担持する管腔内に、紫外線硬化型接着剤等の絶縁材料を注入することによって、遠位電極234と近位電極237との間の絶縁耐力を高めてもよい。遠位電極234は円筒形であり、直径が0.5mm~2mmの範囲(例えば約1.35mm)で長さが3mm~20mmの範囲(例えば3mm~10mmの範囲、約5mm)であってもよい。任意の近位電極237は、シャフト229上で、閉塞物231より遠位(例えば距離239が1mm~8mmの範囲、約5mm)で遠位電極234より近位(例えば距離240が5~15mmの範囲、約10mm)に位置している。任意の近位電極237は、長さが0.5mm~5mmの範囲、好適には1mm±0.25mmで、外径が0.5mm~2mmの範囲(例えば約1.35mm)であってもよい。遠位電極234と閉塞物231の間の総距離245は1mm~40mmの範囲(例えば5mm~30mmの範囲、10mm~20mmの範囲、約16mm±2mm)であってもよく、これにより、閉塞物231に熱損傷を及ぼす危険もなく、遠位電極234が隣接する組織や導電性液を熱することができ、また、焼灼電極234の周りにかなり大きな焼灼ゾーン244を生成する能力に悪影響を及ぼす危険を回避することができる。近位電極237は導体241(例えば32 AWG銅導体)に接続されていて、導体241は、機器のシャフト229内を貫通してカテーテルの近位領域につながり、そこでエネルギー送達コンソールに接続可能である。必要に応じて、遠位電極234と近位電極237を一緒に用いて、この2つの電極に近辺の組織の電気インピーダンスや位相を測定またはモニタリングするために使用する電気回路を完了させてもよい。インピーダンスまたは位相を使用して、肺部分内の空気体積減少ステップ中や焼灼エネルギー送達中に気管支の空気体積が減少する状態を評価してもよいし、対象となる肺部分への導電性液の注入の度合いを評価してもよいし、また、電極付近の組織の焼灼の度合いを評価してもよい。例えば、遠位電極234と近位電極237との間で測定した双極インピーダンスによって行ったベンチテストでは、双極インピーダンスは約5~20%(例えば約400Ω~約350Ω)低下した。それに応じて位相は、ほぼ虚脱前の範囲である20°~60°から上昇して、虚脱後の範囲である10°~30°へと降下すると考えられる。図12は、「通常の組織接触」、対象となる肺部分の虚脱後の「強力な組織接触」、及び対象となる気道に高張生理食塩水を注入した後である「生理食塩水」を含む様々な組織接触の想定下における、480kHzでのインピーダンス300及び位相301の代表値を示している。さらに、虚脱した気道内の空間を高張生理食塩水で充填した時、RF印加の最初の部分の間、電気インピーダンスは、安定かつ一貫した低下を示している。この電気インピーダンスの安定かつ一貫した挙動は、対象となる気道が虚脱したので強力な組織接触が起こっていることを使用者に知らせるために使用されてもよい。
【0174】
図3、4Aに示されているように、焼灼カテーテルは焼灼電極234を有しており、焼灼電極よりも遠位にはシャフトの短区間があって、そこにはガイドワイヤポート236がある。代替として、焼灼カテーテルはガイドワイヤ管腔がなくてもよい。さらに、焼灼カテーテルは焼灼電極234よりも遠位にシャフトの短区間がなくてもよく、カテーテルは焼灼電極内で終端していてもよく、電極は半球形の遠位チップを有していてもよい。
【0175】
高張生理食塩水(HTS)は、生理生理食塩水(0.9%)よりも高い塩化ナトリウム(NaCl)濃度の任意の食塩液を指す。一般に使用される調合には2%、3%、5%、7%、及び23%NaClが含まれていて、通例では滅菌袋や滅菌ボトルに入れられて病院の薬局を通じて入手可能である。HTSは医療行為では、その導電性よりもむしろ浸透性を求めて使用される(例えば浮腫の低減のため)。上述のように、他の水溶液(例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化ナトリウム等)を用いることもできる。
【0176】
導電性液(例えば3%~30%高張生理食塩水)を、対象となる肺部分に、電極(複数の電極)234にある洗浄ポート235を介して送達してもよく、また追加として、または代替として、機器220から出ていて閉塞バルーン231よりも遠位側にあって、電極内のポートを介して出ていてもいなくてもよい、注入用管腔(図示せず)を介して送達してもよい。注入用管腔は、洗浄ポート(例えば235)からシャフト229を貫通して機器の近位領域へ伸びていて、近位領域で導電性液供給部や、必要に応じてポンプに接続可能である。代替として、導電性液の注入にガイドワイヤ管腔236を用いてもよい。
【0177】
代替として、または追加として肺の対象部分の虚脱と組み合わせて、先に通気した空間に高張生理食塩水等の電気伝導流体を注入してもよい。高張生理食塩水を用いることで、仮想電極効果に基づいて、RF送達を向上させることができる。
【0178】
対象となる肺部分を閉塞物231で閉塞し、必要に応じて虚脱し、そして導電性液を注入しながら、RF焼灼エネルギーをエネルギー送達コンソールから遠位電極234に送達してもよい。温度センサ242(例えばT型熱電対)は、遠位電極234上に、または遠位電極234内に配置されてもよく、シャフト229を通って機器220の近位領域へと延び、そこでエネルギー送達コンソールに接続可能である、熱電対ワイヤ243に接続されてもよい。温度センサ242を用いて、エネルギー送達中に電極234の温度をモニタリングしてもよく、ここでは温度はエネルギー送達を制御するパラメータとして使用される(例えば、45℃~115℃の範囲、好適には50℃~95℃の設定値温度を満たすように温度制御された出力送達、または45℃~115℃の範囲、好適には50~95℃、ただし過熱防止のために特定の局所条件に依存する最高温度を有する、一定出力に制御された出力送達)。
【0179】
図4Aに示されているように、焼灼の範囲244は、対象となる肺部分への導電性液注入の影響を非常に受ける。
電気回路を完了させるための戻り電極は、患者の皮膚上に配置された分散電極であってもよく、ここでRFエネルギーは、遠位電極234と分散電極との間の組織を通って伝導する。必要に応じて、または代替として、焼灼エネルギーの送達や電気回路(例えば双極モード)の完了に近位電極237を用いてもよい。
【0180】
図4Aに示されているように、レンズ224と照明223とを有する気管支鏡221が患者の気道内に配置されており、気道閉塞と腫瘍焼灼を行うように構成されているカテーテル220が、気管支鏡の作業チャネル225を通して肺226の対象部分(例えば肺部分、葉、または区域)に送達されている。ガイドワイヤ227はナビゲーションセンサ228を備えていてもよく、あるいは、焼灼カテーテルの遠位端は、ナビゲーションセンサ246(図3参照)(例えば仮想での気管支鏡検査、電磁式、3D電磁式、超音波式)を備えていてもよく、センサは3Dナビゲーションシステムを用いて対象となる位置に配置されてもよく、カテーテル220はガイドワイヤ管腔236経由でガイドワイヤ上を進んでもよい。必要に応じて、カテーテル220は、閉塞物231から遠位電極までの距離が調整可能である伸縮式であってもよく、シャフト229の遠位領域に実装されている閉塞バルーン231を有する第1細長シャフト229を備えていてもよい。閉塞バルーン231は、バルーン内部にあるバルーン膨張ポート232と流体連結している、第1シャフト内の管腔を介して、流体(例えば空気、滅菌水、生理食塩水)を注入することによって膨らむ。第1シャフト229は、少なくとも1つの焼灼電極234を備えた第2シャフト230を伸縮自在に挿入する管腔233を備えている。代替として、焼灼電極を第1シャフト上で閉塞バルーンよりも遠位側に、図3に示されているようにバルーンと電極(複数の電極)との間の距離が固定または調整可能である状態で配置してもよい。バルーンと電極との間の距離が伸縮自在または調整可能であると、電極を腫瘍に隣接させて配置することや、気道の形状、対象となる肺部分の寸法、または腫瘍の大きさによって決まる所望の位置に閉塞バルーンを配置することが効果的にできるようになり得る。必要に応じて、第2シャフト230は第1シャフト229に対して偏向可能であっても回転可能であってもよい。焼灼電極(複数の電極)234は、電極を洗浄する少なくとも1つの洗浄ポート235を随意で備えていてもよい。
【0181】
代替として、または追加として、光ファイバーレンズを、細長シャフト229上で閉塞構造よりも遠位側に配置してもよく、閉塞構造よりも遠位側の気道を視覚化するのに使用してもよい。これにより、閉塞構造を設置したままで、例えば気道収縮、電極(複数の電極)位置、または気道損傷等を確認しやすくすることができる。
【0182】
必要に応じて、ポート235を介して流体を注入することによって電極を洗浄する場合、ガイドワイヤ管腔236に吸引を施すことによって流体を引き込み、流体の流れを発生させてもよい。
【0183】
図4Aに示されているような閉塞バルーン231等の膨張性閉塞要素は、気道を閉塞するまで閉塞要素を膨らませることにより、カテーテルを気道寸法の範囲内で使用できるようにしてもよい。代替として、対象腫瘍が狭い気道内にある場合に、膨張性閉塞要素は、閉塞するのに十分な程度にその狭い気道内にくい込めるのであれば、膨らませないままにしておいてもよい。図4Cに示されているような焼灼カテーテルの代替的実施形態において、カテーテル600は膨張性閉塞要素を省いてもよく、シャフト601を気道に食い込ませるように用いることによって、気道を閉塞することができる。必要に応じて、焼灼カテーテル600は、カテーテルの遠位領域の一部であり電極237及び234よりも近位側にある先細形シャフト区画254を有していてもよい。先細形シャフト区画254は、シャフト直径602以下の管腔直径603を有する気道内へ差し込まれるときに、気道を封止するのに役立つ。
【0184】
代替として、図5A、6Aに示されているように、機器420は、膨張式バルーンまたは閉塞物431,481等の2つの閉塞要素を有することができる。一方の閉塞要素は焼灼電極よりも近位側に位置しており、もう一方は電極よりも遠位側にある。細長シャフト429は2つの管腔422,483(例えば、シャフト429内の管腔を貫通する、内径が0.015”のポリイミド管)を備えており、それぞれに対応する、閉塞物を膨縮するポート432,482を、閉塞物431,481内に位置している状態で有している。閉塞物431または481は、気道または気道の直径の範囲(例えば3mm~10mmの範囲の直径)を閉塞するような大きさのバルーン(例えば弾性バルーン)であってもよい。この実施形態では、遠位側閉塞物と近位側閉塞物との間の距離はあらかじめ決められている。例えば、バルーン同士の間の距離は20mm~40mmの範囲内であってもよい。閉塞物431,481は、流体(例えば空気等の気体、水や生理食塩水等の液体、または造影剤液)を管腔422,483を介して対応する閉塞物431,481内に注入することによって膨らませてもよい。必要に応じて、流体はシリンジを機器420の近位領域に接続した状態で手動で注入してもよく、流体圧はロック止め弁を閉じることによって封じ込めてもよい。ロック止め弁を開けて膨張流体をシリンジを用いてバルーン(複数のバルーン)から除去することによって、閉塞物をしぼませてもよい。代替として、機器を操作するシステムは、流体を注入、または除去して、複数のバルーンを同時に、または別々に膨らませる、またはしぼませるポンプを備えていてもよい。
【0185】
代替として、閉塞バルーン431または481は、例えば展開可能弁やPTFE等の閉塞材料製の展開可能ステントといった、異なる形状の閉塞構造であってもよい。
図6Aは、図5Aに示されている焼灼装置420を、選択された気道151内に導入されている状態で図示したものである。焼灼装置420は、細長シャフト429と、電極よりもそれぞれ近位側と遠位側にある近位側閉塞物431及び遠位側閉塞物481(両方ともがシャフトの遠位領域にあって気道を閉塞する)と、機器の近位領域で吸引機器(例えば真空ポンプ)に接続可能な管腔(図示せず)と流体連結して、閉塞物431,481の間にある気道区域から空気を抜いて、肺の対象となる部分、区域、または葉を虚脱させる、空気除去ポート435とを備えている。対象となる肺部分からの空気の除去は、管腔に陰圧を印加する(例えば吸引機器を用いて)ことによって行ってもよい。この管腔は空気除去ポート435と連通していて、肺部分から管腔を通じて患者の体外にある装置の近位領域へと、空気を引く。図に示すように、空気除去ポート435は導電性液(例えば高張生理食塩水)を送達可能なポートと同一である。代替として、肺の対象部分からの空気の除去は、ガイドワイヤ管腔436等の異なる管腔に、またはシャフト429上であって閉塞物431,481の間に出口ポートを有する追加の管腔(図示せず)に吸引を施すことによって行ってもよい。肺の対象部分を少なくとも部分的に虚脱する別の方法は、本明細書に記載されている。
【0186】
導電性液(例えば5%~30%高張生理食塩水)を、対象となる肺部分に、電極434にある洗浄ポート435を介して送達してもよく、また追加として、または代替として、機器420から出ていて閉塞バルーン431よりも遠位側にあって、電極内のポートを介して出ていてもいなくてもよい、注入用管腔(図示せず)を介して送達してもよい。注入用管腔は、洗浄ポート(例えば435)からシャフト429を貫通して機器の近位領域へ伸びていて、近位領域で導電性液供給部や、必要に応じてポンプに接続可能である。
【0187】
図6Aに示されているように、レンズ224と照明223とを有する気管支鏡221が患者の気道内に配置されており、気道閉塞と腫瘍焼灼を行うように構成されているカテーテル420が、気管支鏡の作業チャネル225を通して肺226の対象部分(例えば肺部分、葉、または区域)に送達されている。ガイドワイヤ227はナビゲーションセンサ228を備えていてもよく、あるいは、焼灼カテーテルの遠位端は、ナビゲーションセンサ446(図5A参照)(例えば仮想での気管支鏡検査、電磁式、3D電磁式、超音波式)を備えていてもよく、センサは3Dナビゲーションシステムを用いて対象となる位置に配置されてもよく、カテーテル420はガイドワイヤ管腔436経由でガイドワイヤ上を進んでもよい。
【0188】
必要に応じて、図5Bに示されているように、カテーテル520は、近位側閉塞物531から焼灼電極534までの距離245が調整可能(例えば20~40mmの範囲の第1距離から30mm~70mmの範囲の第2距離まで)である伸縮式であってもよい。同様に、近位側閉塞物531とインピーダンス監視電極537との間の距離539が5mm~50mmの間で調整可能である。伸縮式焼灼カテーテル520は、シャフト529の遠位領域に実装されている近位側閉塞バルーン531を有する第1細長シャフト529を備えていてもよい。近位側閉塞バルーン531は、近位側バルーン内部にあるバルーン膨張ポート532と流体連結している、第1シャフト内の管腔522を介して、流体(例えば空気、滅菌水、生理食塩水)を注入することによって膨らむ。必要に応じて、膨張管腔522はシャフト529の壁面内に突き出てもよい。第1シャフト529は、少なくとも1つの焼灼電極534と任意で遠位側バルーン581を備えた第2シャフト230を一緒に伸縮自在に挿入する管腔を備えている。第2シャフト230は、閉塞物を膨縮するそれぞれのポート582が閉塞物581内にある管腔583(例えば、第2シャフト230内の管腔を貫通する、内径が0.015”のポリイミド管)を備えていてもよい。閉塞物581は、気道または気道の直径の範囲(例えば3mm~10mmの範囲の直径)を閉塞するような大きさのバルーン(例えば弾性バルーン)であってもよい。
【0189】
図6Bは、図5Bに示されている焼灼装置520を、選択された気道151内に導入されている状態で図示したものである。細長形の第1シャフト529及び第2シャフト230と、電極よりもそれぞれ近位側と遠位側にある近位側閉塞物531及び遠位側閉塞物581と、機器の近位領域で吸引機器(例えば真空ポンプ)に接続可能な管腔(図示せず)と流体連結して、閉塞物531,581の間にある気道区域から空気を抜いて、肺の対象となる部分、区域、または葉を虚脱させる、空気除去ポート535とを備えている。対象となる肺部分からの空気の除去は、管腔に陰圧を印加する(例えば吸引機器を用いて)ことによって行ってもよい。この管腔は空気除去ポート535と連通していて、肺部分から管腔を通じて患者の体外にある装置の近位領域へと、空気を引く。図に示すように、空気除去ポート535は導電性液(例えば高張生理食塩水)を送達可能なポートと同一である。代替として、肺の対象部分からの空気の除去は、ガイドワイヤ管腔536等の異なる管腔に、または第2シャフト230上であって閉塞物531,581の間に出口ポートを有する追加の管腔(図示せず)に吸引を施すことによって行ってもよい。肺の対象部分を少なくとも部分的に虚脱する別の方法は、本明細書に記載されている。
【0190】
導電性液(例えば5%~30%高張生理食塩水)を、対象となる肺部分に、電極534にある洗浄ポート535を介して送達してもよく、また追加として、または代替として、機器520から出ていて閉塞バルーン531よりも遠位側にあって、電極内のポートを介して出ていてもいなくてもよい、注入用管腔(図示せず)を介して送達してもよい。注入用管腔は、洗浄ポート(例えば535)から第2シャフト230を貫通して機器の近位領域へ伸びていて、近位領域で導電性液供給部や、必要に応じてポンプに接続可能である。
【0191】
図5Bに示されているものと同様の実施形態を図5Cに示すが、ここでは、遠位側バルーン581とその膨張管腔583、及びポート582が省かれている。他の構造はすべてそのままであり、図5Bと同じ参照番号を使用している。遠位側バルーン581を省いているので、RF電極534はカテーテルの遠位チップに近くてもよい。図5D図5Cに示す実施形態のハンドル部を示している。ハンドル部590は、伸縮式シャフト230に接続されている近位部592と、主シャフト429に接続されている遠位部591とを有している。遠位部に対して近位部を動かすことで、伸縮式シャフト230が主シャフト429に対して動かされ、これにより焼灼電極534をバルーン531に対して動かせる。近位部592は、カテーテルを通って焼灼電極や、インピーダンス電極、温度センサ(複数の温度センサ)、または他の電気部品等の他の電気部品まで伸びている導体に接続されていて、コンソールまたはエネルギー源に接続可能である電気コネクタ597を有していてもよい。近位部592はまた、カテーテルシャフトを貫通して例えば焼灼電極内のポート535を通って出ていく管腔と流体連結している、注入/真空ポート593を有していてもよい。三方弁(図示せず)をポート593に接続して、真空源と注入源との間で切り替えを行ってもよい。必要に応じて、カテーテルが遠位側閉塞バルーン581を有している場合(図5B)、ハンドル部590の近位部592は、遠位側閉塞バルーンを膨らませる膨張ポートを有していてもよい。遠位部591は、カテーテルシャフトを貫通して、近位側バルーン531内にあって、バルーン531を膨張具596(例えばシリンジ)で膨らませる膨張ポートへとつながる管腔と流体連結している、近位側バルーン膨張ポート594を有している。ポート594と膨張具596との間に弁598を配置して、バルーンを膨らんだ形態で保持してもよい。
【0192】
近位側バルーンと電極(複数の電極)との間の、または近位側バルーンと遠位側バルーンとの間の距離が伸縮自在または調整可能であると、電極を腫瘍の近傍または内部に(必要に応じて中心や中心近くに)配置することや、気道の形状、対象となる肺部分の寸法、または腫瘍の大きさによって決まる所望の位置に閉塞バルーンを配置することが効果的にできるようになり得る。近位側閉塞物と遠位側閉塞物との間の距離が調整可能であると、気道のより特別な区域を孤立させることができるので、例えば空気排出、流体注入、または焼灼等の操作に関係するあらゆる危険性や望まない影響を大幅に低減させる、または最小限にすると考えられる。伸縮式焼灼カテーテルを用いて、図6Bに示されているような標的腫瘍の近くにある、または標的腫瘍に囲まれているか閉塞されている気道内に、焼灼要素534を配置してもよい。代替として、伸縮式焼灼カテーテルを用いて、気道壁を通って遠位部に進めて、焼灼要素534を標的腫瘍の近傍または内部に配置してもよい。実際に使用される場合、気道からの出口点から対象組織の中心までの距離(例えば腫瘍性結節)は変わりやすい。この距離は術前CTスキャンで測定してもよい。当業者が他の計測装置(例えばX線透視、超音波、MRI等)を使用しても想定してもよい。一度算出されると、その距離を用いて、バルーンに対する焼灼電極の軌跡を調整することができる。バルーンは気道内部に配置されてもよく、必要に応じて、高張生理食塩水の逆流を阻止するために、シャフト230が延在する気道壁にある穿孔に接していてもよい。その後、随意、例えば術前CTスキャンから計測された上述の距離に応じて焼灼電極を摺動させて、対象組織(例えば腫瘍性結節)内に入れる。このように焼灼電極を配置することは、患者の特定の条件であれば実現可能であれば、高張生理食塩水の前方への流れを自然に制限するという利点がある。焼灼電極の前方にある組織は、高張生理食塩水が前方へ広がっていくのを制限することができ、この場合には、遠位側閉塞物581は必要ではない可能性もあるし、膨らませないままである可能性もある。必要に応じて、第2シャフト230は第1シャフト529に対して偏向可能であっても回転可能であってもよい。焼灼電極(複数の電極)534は、電極を洗浄する少なくとも1つの洗浄ポート535を随意で備えていてもよい。
【0193】
この二重閉塞物構造により、以下のような更なる利点が得られる。
側副換気からの影響が小さくなる。側副換気は肺の一般的な生理機能である。側副換気中、空気は肺内の細気管支間にある経路を通って、葉、細気管支、または肺胞の間を伝わることができる。側副換気の空気の流れは通常の呼吸に比べて少量であるが、それでも十分な局所的空気排出や流体注入に影響を及ぼす可能性がある。二重閉塞物構造は、対象となる気道内に隔絶された空間をより多く設けることができる。この隔絶された気道区域では、側副換気からの影響を最小限にすることができる。
【0194】
局所に集中した治療をより行える。隔絶された気道区域では、空気排出や導電性液注入をこの特殊な位置に行うことができ、この位置に焼灼エネルギーをより集中させることができる。閉塞物も物体阻止物やエネルギー封止物として働く可能性もあり、これにより、あらゆる空気、流体、またはエネルギーの拡散の作用を低減でき、エネルギーを節約することもできる。
【0195】
望まない損傷を胸膜組織に生じさせる危険性を低下させる。二重閉塞物構造は追加の固定ポイントを設けることで、焼灼カテーテルをさらに安定させることができる。特に、焼灼カテーテルの遠位部は、焼灼電極、焼灼ニードル、またはガイドワイヤチップを備えており、カテーテル本来の強度限界の範囲内で自由に変形させたり傾けたりできる。カテーテル遠位部のあらゆる不測の動き、例えば空気排出中や流体注入中に不均一な力を受けたせいでシャフト429,529が引き伸ばされたり遠位チップが動かされたりすると、胸膜組織に望まない損傷(例えば突き刺し、摩擦または肉芽形成、組織の変形)が起こり得るので、焼灼結果に影響を与えたり、追加の治療や処置を引き起こしたりする。さらに、高張生理食塩水や熱を胸膜や胸膜の直近の肺実質に送達することを防ぐことが望まれる場合もある。遠位側閉塞バルーンは、注入された高張生理食塩水を胸膜から安全な距離だけ離しておくことにより、熱エネルギーや高張生理食塩水からの脱水によって胸膜を傷つける危険性を低減できる。例えば、遠位側閉塞バルーンは長さが少なくとも10mmであってもよく、この長さは胸膜からの安全な距離であると考えられる。機器の遠位端が胸膜の10mmの範囲内であり得る気道の遠位端まで挿入されていて、かつ遠位側閉塞バルーンを膨らませた場合、高張生理食塩水の注入と熱の送達は胸膜から安全な距離を保ったままで行われていると予想され得る。
【0196】
上述の焼灼カテーテルを用いて、肺腫瘍細胞を焼灼する方法を、腫瘍細胞に隣接している肺の対象部分を隔離し、肺の隔絶された部分に高張生理食塩水(HTS)を送達し、肺の隔絶された部分に熱を印加することによって行ってもよい。HTSはナトリウム(NaCl)濃度が少なくとも3w/v%(例えば3~30w/v%の範囲、5~25w/v%の範囲)であってもよい。
【0197】
HTSは、肺の対象領域内で摂氏60~115℃の範囲に加熱してもよい。熱の印加は、カテーテル上のRF電極から、肺腫瘍の近くにある肺そのものの気道に注入されたHTS液に、無線周波数(RF)電流を出力することによって行ってもよい。肺の対象領域は、30秒から30分の範囲(例えば1~30分の範囲、1~15分の範囲、2~10分の範囲)の時間、熱とHTSに晒してもよい。
【0198】
液へのRFエネルギーの印加は、液を、エネルギーを送達して腫瘍細胞を焼灼する仮想電極として効果的に利用している。HTS溶液は、RFエネルギーを肺組織へと伝え、このエネルギーが組織に熱を生じさせる。また、若干のRFエネルギーは、液を、加熱された液が腫瘍細胞を焼灼できるように加熱する。
【0199】
肺の対象部分は、肺そのものの気道内で第1閉塞バルーンを膨らませることによって隔絶されるが、ここで第1バルーンは肺の対象部分よりも近位側にある。さらに、焼灼電極よりも遠位側にある気道内において第2(遠位側)閉塞バルーンを使用して、気道を閉塞してもよい。1つの、または両方のバルーンは、肺そのものの気道を閉塞して、HTS溶液を注入する気道の一部分を区画し、気道のその部分の外側への液の流れを抑える。
【0200】
代替として、または追加として、近位側閉塞構造よりも遠位側の第1細長シャフト529上に光ファイバーレンズを配置してもよく、また、遠位側閉塞構造よりも遠位側の第2シャフト230に別のレンズを配置してもよく、選択された閉塞構造(複数の閉塞構造)よりも遠位側の気道を視覚化するのに使用してもよい。これにより、閉塞構造を設置したままで、例えば気道収縮、電極(複数の電極)位置、または気道損傷等を確認しやすくすることもできる。
【0201】
代替として、または追加として、肺部分の虚脱は、胸膜腔内(例えば胸膜洞内)にニードルを置くことにより、限定されて制御された気胸を生じさせることによって行われてもよく、これにより対象となる肺部分を虚脱しやすくできる。胸腔穿刺(a.k.a.胸膜タップ)は、肺の周りから流体や空気を抜くための既知の処置であり、この処置では、ニードルを胸壁を貫いて胸膜腔に挿入する。この処置は、胸膜腔と肺部分との圧力差を変えるために行われてもよく、虚脱をより容易に行える。必要に応じて、胸膜タップによって電流分散戻り電極を挿入し、肺上に配置することにより、RF電流を選択的に戻り電極に向かわせるようにしてもよい。必要に応じて、胸膜タップを用いて生理食塩液や滅菌水等の低温流体を送達することで、領域を焼灼から熱的に保護してもよく、特に、腫瘍が肺の末梢部にあり、臓側胸膜や、心臓、食道、神経、横隔膜、または他の重要な非対象組織といった臓器を焼灼する危険性が存在する場合に、このような保護を行ってもよい。
【0202】
気道から気道壁を通って肺腫瘍へと送達するように構成されている機器の別の実施形態を図4D~4Gに示す。この実施形態及び説明されている変形例は、Ion(商標)(Intuitive Surgical社製)やMonarch(商標)(Auris Health社製)といったロボット操作の管腔内シースとともに使用するのに特に適していてもよい。図4Dは、気道を通って送達され、ロボットによって偏向されることによって、ロボットシース1000の中心軸1001を結節80の方に向けるようにチップ1002を曲げる、ロボット操作シース1000を示している。必要に応じて、生検の前にロボットシース1000から送達された生検カテーテルが作った気道壁を通る穴と同じ位置から、生検を採取する。必要に応じて、生検で作られた穴を、ロボットシース内の内視鏡を用いて見つけてもよいし、または、基準マーカーまたはガイドワイヤを生検を採取した場所に残し、焼灼カテーテルを同じ対象組織に送達するのを助けてもよい。代替として、対象組織の位置を、医用画像診断やナビゲーション技術を用いて決めてもよい。
【0203】
焼灼カテーテルを組織を通って対象組織80へと進める前に、ロボットシースとともに使用するのに適している新たなガイドワイヤ1040を、まず気道壁を通して挿入し、または必要に応じて生検カテーテルが作ったチャネル内へと進み、対象組織80に到達させてもよい。ガイドワイヤ1040の挿入は、まず、焼灼カテーテル1020を、ロボットシース1000を通って、焼灼カテーテルの先端がシースの先端または先端の近辺に位置するまで進めることを含んでいてもよい。図4Dに示されている焼灼カテーテル1020は、カテーテルのシャフトを通って延びており、カテーテルの先端に位置する出口ポート1023を有するガイドワイヤ管腔1022を有している。好適には、中心軸においてロボットシースは、ガイドワイヤ1040を進めながら、ガイドワイヤをシース1002の中心軸に保持して、ガイドワイヤへの支持を行っていると同時に、ガイドワイヤ1040がロボットシースの中心から真っすぐ突出した状態で確実に挿入され、ガイドワイヤの座屈を低減し、かつ組織への貫入力をより強くすることを助けるようにして自身も進んでいる。先細チップ2027は、長さ1024が4mm~20mmの範囲(例えば4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm)であり、円錐形をした、カテーテルのシャフトの外径とほぼ同じまたは等しい大きさの外径(例えば1.4mm~1.8mmの範囲)から、ガイドワイヤ管腔の出口ポート1023の直径(例えば0.356mm~0.5mmの範囲)までの先細りになっていてもよい。先細チップ1027と、任意で焼灼カテーテルシャフト1026において先細チップに隣接している部分(例えば長さ1025が4mm~10mmの範囲である)は、硬質であってもよく、焼灼カテーテルの遠位端で1024と1025を足した全長が8mm~20mmの範囲である硬質区画を設けていることによって、直線のガイドワイヤ管腔経路を構築して、ガイドワイヤ1040がロボットシースの軸1001から真っすぐ突出した状態で挿入されることを助けることができる。先細チップ1027を用いて気道壁にある穴を拡張してもよく、その穴を通してガイドワイヤを挿入することで、焼灼カテーテルがその穴を通って対象組織80へと進みやすくする。図4Dは、カテーテルが挿入されているときに、対象組織80内に挿入されたガイドワイヤ1040と、気道壁の穴に差し込まれて拡張している先細チップ1027とを示している。
【0204】
特にロボットシースからカテーテルを進めるように適合されているガイドワイヤ1040を図21に示す。ガイドワイヤ1040は細長形の可撓管状構造であり、焼灼カテーテル1020のガイドワイヤ管腔1022を摺動自在に貫通するように適合されている。ガイドワイヤ1040は少なくとも焼灼カテーテルを貫通する細長部分に沿って、0.014”~0.018”の範囲の最大外径を有していてもよい。ガイドワイヤの1042、1044、及び1046を足した全長は約135cm~300cmの範囲(例えば約250cm)であってもよく、長さ1042が5cm~10cmの範囲である遠位部1041と、長さ1046が10cm~110cmの範囲である近位部1045と、長さ1044が80cm~110cmの範囲(例えば焼灼カテーテルの長さよりも短い)である中間部1043とを有していてもよい。遠位部1041及び近位部1045は中間部1042と比較して弾性率が高くてもよく、これにより、蛇行したガイドワイヤ管腔を貫通させるときには曲げられるが、蛇行したガイドワイヤ管腔からかかる力を受けていないとき、例えば遠位部がガイドワイヤ管腔出口ポート1023から出て組織内に差し込まれたときには元の真っすぐな構造に弾性的に戻ることができる。中間部1043は遠位部及び近位部よりも可撓性が高くてもよく、これにより、蛇行したガイドワイヤ管腔を通って送達しやすくできる。例えば、ガイドワイヤ1040は、ニチノールまたはばね状ステンレススチールからなり、中間部1043の直径が他より小さい細長棒1047でできていてもよい。中間部は、棒芯1047の周囲に巻き付けられた密巻コイル1048を有していてもよく、これにより押し出し性、高い可撓性、及び低い弾性率が得られる。近位部は中間部よりも硬質であるか、または弾性率が高くてもよく、よって使用者は近位端からガイドワイヤを操作することができる。例えば、使用者が近位部1045を握って進めていくと、その力は遠位部1041へと並進して、組織を介して押し出す。中間部の長さ1044と遠位部長さ1042とを足した長さは焼灼カテーテルの長さより短くてもよく、これにより、ガイドワイヤ1049の先端部がカテーテルの遠位端1023に位置している状態で、焼灼カテーテルのガイドワイヤ管腔1023内にガイドワイヤ1040を挿入すると、ガイドワイヤの近位部1045の一部分がカテーテルのガイドワイヤ管腔に存在する。近位部1045の一部分がガイドワイヤ管腔内に収納された状態で、使用者またはロボットは近位部に並進運動を与えてもよく、硬質であるほど、近位部1045の高い弾性率によってガイドワイヤの制御された操作が行いやすくなり、近位部が座屈することなく遠位部1041を組織内へ差し込める。遠位部1041の先端部1049は尖っていてもよく、好適には円錐形チップを有していて、そのため、組織を貫通するときに先端部に作用する力は放射対称になるので、遠位部1041は組織内を一直線に貫く。代替として、遠位チップ1049は斜角をつけたチップであってもよく、また、遠位部1041は成形された曲線を有していてもよく、使用者またはロボットが、組織内を進むときにガイドワイヤを回転させることによって、チップを操舵してもよい。必要に応じて、ガイドワイヤは、遠位チップ1049から電流を送達するように構成されていてもよい。例えば、ガイドワイヤ1040の長さ方向は、図21に示されているように、遠位チップ1049を除いて絶縁スリーブ1050で電気絶縁されていてもよく、ガイドワイヤの近位端は電気的接続可能であってもよい。例えば、電気コネクタ1051は、棒1047の近位端1052に着脱可能に接続可能であってもよく、これにより、エネルギー源に(例えばコネクタ1054を用いて)接続可能であるコネクタケーブル1053と電気的接続が行える。エネルギー源1055はコンピュータ制御式電気信号発生器であってもよい。必要に応じて、分散性接地パッド1056をエネルギー源1055に接続させてもよく、これによりチップ1049から始まり患者を通る電気回路が完了する。チップを介して組織に印加されるエネルギーは、例えば、電気インピーダンスを計測するのに用いられる低出力電流、インピーダンスの位相を計測するための周波数範囲を有する電流、または、必要であれば、無線周波数穿孔を施してチップが組織内に差し込まれるのを助ける高出力RF電流であってもよい。必要に応じて、ガイドワイヤは、少なくとも遠位端領域に、3次元ナビゲーションセンサ等のナビゲーションセンサ(図示せず)またはファイバーブラッググレーティング(FBG)センサ等の形状センサを有していてもよく、特にここではナビゲーションセンサは、電磁気センサ、3D電磁気センサ、形状センサ、FBGセンサ、3D超音波センサ、及び、3Dナビゲーション用インピーダンス追跡のうちの1つ以上であってもよい。必要に応じて、ガイドワイヤはさらに、ガイドワイヤ内に組み込まれている並進運動測定機構(例えば容量プレートを基にしている)を有していてもよく、並進運動測定機構は、焼灼カテーテルと相互に作用して、ガイドワイヤが焼灼カテーテルの遠位端から突出している距離を測定するとともに、必要に応じて信号をロボットコントローラに送出して、ガイドワイヤを精密に進める。必要に応じて、ガイドワイヤは、チップ1049の中または付近に位置する温度センサ1057(例えば熱電対)を有していてもよく、温度センサを用いて、焼灼中における対象組織80よりも遠位側の組織の温度を監視してもよい。この温度を用いて、生成された病変の大きさを評価したり、対象組織80の周辺で効果的な焼灼温度に到達していることを確認したり、特に組織80が胸膜や他の重要な非対象組織の近くにある場合には、対象組織80よりも遠位側にある組織の過熱を防いだりしてもよい。
【0205】
図4Eに示されているように、ガイドワイヤ1040は、遠位部1042の遠位チップの近くに位置しているバルーン1065等の展開可能な構造を随意有していてもよい。例えば、図21に示されているガイドワイヤ1040はニチノール芯1047を有している。必要に応じて、ニチノール芯1047さらに、軸に沿って延びていて、バルーン1065(図4E)内の遠位部1050にある膨張ポートと、及び、近位部1045にある膨張ポートと流体連結している管腔を有していてもよい。バルーン1065は、一度ガイドワイヤの遠位部1041が対象組織80内に差し込まれたら、または貫通したら展開してもよく、これにより、ロボットシース1000から焼灼カテーテル1020を挿入したままの状態で、ガイドワイヤを組織内に固定できる。このことは、肺実質は容易に動き回り、かつ腫瘍結節はかなり硬い場合もあるので、特に有用であり得る。展開バルーン1065は、焼灼カテーテル1020を対象組織80内に挿入しているときに、対象組織80をその位置に留めておくことができる。展開可能バルーン1065は、焼灼中はその位置で展開したままであってもよく、これにより洗浄後の高張生理食塩水が腫瘍80の外に実質的に漏れ出てしまうことを防げる。さらに、バルーンは、ガイドワイヤよりも遠位側の組織を熱から保護する断熱要素として機能してもよい。必要に応じて、焼灼エネルギーを送達しながら組織内にとどまるためのものであるこの実施形態において、チップ1049を含む遠位部1041全体は、焼灼エネルギーからの電流の伝導を防ぐために、電気絶縁または非導電性であってもよい。図4Fは、ガイドワイヤバルーン1065を展開させた状態で腫瘍80に挿入されている焼灼カテーテル1020を示している。焼灼カテーテル1020上の近位側バルーン1064は展開していてもよく、導電性液(例えば高張生理食塩水)を洗浄ポート1069(矢印1067で示している)から注入してもよく、ガイドワイヤバルーン1065を展開しながら焼灼RFエネルギーを焼灼電極1066から送達してもよい。焼灼カテーテル1020上で展開している近位側バルーン1064は、カテーテルが生成したチャネル外に導電性液が実質的に漏れ出さないようにすることに役立ち得るので、そのほとんどが対象となる組織内に留まる。必要に応じて、洗浄ポート1069を、ガイドワイヤ管腔と同一の管腔であってもよいカテーテル内の管腔と流体連結してもよい。
【0206】
代替として、焼灼エネルギーの送達前に、焼灼カテーテルが標的腫瘍80内に位置しているときに、バルーン1065をしぼませてもよく、ガイドワイヤ1040を取り出してもよい。あるいは、バルーンのないガイドワイヤをその位置に置いたままにするか、または焼灼RFエネルギーを焼灼電極1066に送達する前に取り出すか、いずれかを行ってもよい。
【0207】
固着機構を有するガイドワイヤの別の実施形態を図26に示す。ここではガイドワイヤ1080の遠位領域上に自動展開固着具1081を実装している。自動展開固着具1080は、ニチノール、ばねスチール、または形状記憶ポリマー等の弾性材料製であって、図26に示されているように展開された状態において成形された形状を有していてもよい。固着具は、ガイドワイヤと嵌合するように適合されている近位端及び遠位端を有していてもよい。近位端または遠位端のうちの一方の端部はガイドワイヤ上で自由に摺動できるようにしながら、もう一方をガイドワイヤに固定してもよい。示されているように、近位端1082はガイドワイヤ1080に圧着し、遠位端1083はガイドワイヤの外径よりもわずかに大きい内径を有するカラーであって、これにより、ガイドワイヤを摺動自在に嵌合することができる。固着具の近位端と遠位端との間に成形スプライン1084を接続してもよく、スプラインの成形形状は、虚脱した状態よりも大きな外径を有している。例えば、スプライン1084は、ガイドワイヤの軸を中心にして対称な間隔で配置されている複数(例えば3~10個、好適には6個)のスプラインで構成されていてもよい。固着具はニチノール管からレーザー切断されていてもよく、例えばニチノール管は、外径が0.018”以下(例えば0.014”以下、0.010”以下)、肉厚が約0.003”であってもよい。
【0208】
代替として、図26に示されているガイドワイヤは、ガイドカテーテル内の管腔(例えば0.010”ID)を通って送達されるように構成されていてもよく、焼灼カテーテルはガイドカテーテル状を進んでいってもよい。例えば、固着具1081は外径が約0.009”の虚脱した形状であってもよい。固着具は、外径が0.009”、肉厚が約0.003”、内径が約0.003”であるレーザー切断されたニチノール管から作成されてもよい。本実施形態は、ガイドカテーテルを生検チャネルを通って対象結節内または側に差し込み、ガイドワイヤ1080をガイドカテーテルから差し込んで固着具1081を展開させた後、焼灼カテーテルをガイドカテーテル上で進めて、焼灼要素を結節内または側に配置することによって使用されてもよい。展開固着具は、焼灼カテーテルを差し込みながら結節をその位置に留めておくことを助けてもよい。一度焼灼カテーテルが結節内の所定の位置に置かれると、ガイドワイヤとガイドカテーテルを抜いてもよく、あるいは、特にガイドワイヤとガイドカテーテルが非導電性である場合は、その場所に置いたままにしてもよい。
【0209】
固着具1081は、例えば焼灼カテーテルまたは送達シースの抑圧管腔内に挿入することによって、作業チャネルを通して送達するガイドワイヤの周りで虚脱してもよい。固着具1081を抑圧管腔から進めていくと、半径方向外向きの力を周りの組織にかけるその成形形状に向かって弾性的に変形していく。必要に応じて、固着具、例えばニチノールスプラインの外面の周りに、絶縁要素または断熱要素として機能するための、または流体の流れを妨げるための非導電性膜を装着してもよい。必要に応じて、ガイドワイヤは、ガイドワイヤシャフト内に(例えば固着具よりも遠位側に)または固着具内に位置する1つ以上の温度センサを有していてもよく、温度センサをエネルギー送達中に用いて熱エネルギーの拡散を評価してもよい。
【0210】
本明細書で開示されているガイドワイヤのすべての実施形態は、図21に示されているチップ1049のような尖った先端部を有していてもよく、組織の穿刺や組織への貫通が行いやすくなり得る。代替として尖っていない先端部、例えば半球形チップを有していてもよく、このような先端部は、生検ニードルや他のニードルが作った穴やチャネル等の既存の経路内への挿入をより簡単に行い得る。
【0211】
必要に応じて、焼灼カテーテル1020は、インピーダンス監視電極1067と、任意で第2インピーダンス監視電極1068とを有していて、それぞれがカテーテルを貫通してカテーテルの近位端につながる導体に接続されており、ここで両電極ともエネルギー送達コンソールに接続可能である。各インピーダンス監視電極は、組織を通って分散性接地パッドへとつながる電気回路を完了させる、すなわち単極モードであってもよく、これにより、それぞれのインピーダンス監視電極の周囲にある組織の電気インピーダンスを評価でき、電極が入り込んでいる組織の種類や状態を判定することを助けられる。代替として、第1及び第2インピーダンス監視電極が組織を通って互いにつながる電気回路を完了させる、すなわち双極モードであってもよく、これにより、この2つの電極の間にある組織の種類や状態をより正確に評価することができる。必要に応じて、第2インピーダンス監視電極1068は、図4Fに示されているような硬質の先細チップ1068として機能してもよく、また、焼灼電極1066よりも遠位側に配置された別個の電極バンドであってもよい(図示せず)。
【0212】
代替的実施形態では、図4Gに示されているように、焼灼カテーテル1020は、焼灼電極1066よりも遠位側にある遠位側バルーン1070を追加で有していてもよい。遠位側バルーン1070は、例えば、注入された導電性液が、カテーテル、ガイドワイヤ、または生検が作った組織を通るチャネルから漏れることを防ぐように機能し得る。近位側バルーン1064と遠位側バルーン1070との間の距離1071は10mm~40mmの範囲であってもよい。各バルーン1064,1070は、展開した時の直径が4mm~10mmの範囲、好適には約5mmであってもよく、シリコーン等の材料からできていてもよい。必要に応じて、もし使用されているのであれば、ガイドワイヤをRF焼灼エネルギーの送達前に抜いてもよい。
【0213】
焼灼カテーテルをガイドワイヤ上に送達する代替方法では、気管支壁を貫いて穿刺を形成し、形成は、必要に応じて気管支鏡の作業チャネルやロボット操作シースを通して送達された、生検ニードルや他の任意の種類のニードルを用いて行われる。その後、形成された穿刺に、ガイドワイヤを貫通させることもできる。必要に応じてガイドワイヤを、気管支鏡の作業チャネル、送達シース、ロボット操作シース、または焼灼カテーテルのガイドワイヤ管腔を通して、穿刺に送達してもよい。本方法では、ガイドワイヤは、本明細書で開示されている実施形態のガイドワイヤであってもよいし、あるいは、より従来技術寄りである、全長に沿って比較的柔らかいガイドワイヤであってもよい。なぜなら、ガイドワイヤは既に存在している穴を通って差し込まれ得るために、硬めの弾性率は求められていない可能性もあるからである。焼灼カテーテルは、ガイドワイヤ上をわたって対象となる組織へと差し込まれてもよい。カテーテル内部において隙間が狭いことを考えると、電極間のカップリングを生じさせないように、一度焼灼カテーテルを所望されるように配置したら、エネルギー送達前にガイドワイヤを抜いてもよい。しかし、特にガイドワイヤが非導電性であったとしたら、焼灼カテーテルへのエネルギー送達中も、ガイドワイヤはその位置に置いたままにしてもよい。
【0214】
実施形態#2(組織を穿刺する針電極及び腫瘍または肺実質内への配置)
代替として、図7、8に示されているように、図3または4Aに示されている実施形態の少なくとも1つのRF電極234は、気道壁または腫瘍を貫いて穿刺を行うために使用される少なくとも1つの針電極250であってもよく、これにより、RF電極250を標的腫瘍80内または腫瘍付近の肺実質内に配置できる。針電極250は、シャフト229を貫通してカテーテルの近位領域に延びる洗浄用管腔と流体連結している洗浄ポート251を有していてもよい。針電極250は、長さが3~20mmの範囲(例えば5~15mm、約7mm)で、直径が0.5mm~2mmの範囲(例えば約1.35mm)であってもよい。必要に応じて、針電極は、機器をガイドワイヤ228上で送達できるガイドワイヤ管腔252(例えば内径が0.015”~0.030”)を有していてもよい。針電極250の先端部253は尖っていてもよく、よって気道壁または腫瘍を貫いて穿刺できる。例えば先端部253は、示されているように斜角をつけて切除されていてもよく、あるいは、他の尖った輪郭、例えば鉛筆の先のようであってもよい。使用時には、図8に示されているように針電極250を実質または腫瘍内に配置したときに、導電性液(例えば5~30%高張生理食塩水)を洗浄ポート251から肺実質または腫瘍内に注入してもよい。
【0215】
必要に応じて、機器255は、生検後に肺実質または腫瘍内に所定位置で置かれているガイドワイヤ上を送達してもよい。これにより、針電極250を、生検が行われた場所と同じ位置に容易に配置できる。
【0216】
必要に応じて、針電極250を有する機器255の遠位領域256は、ばね257と嵌合ロック258とを有するばね荷重機構を有していてもよい。この機構は、針電極250を第1ばね荷重位置で保持し、機器255の近位領域上でアクチュエーターによってロック258を外すと、ばね257が針電極250が装着されているシャフト259を押圧し、その結果ばね荷重状態(例えば5~10mm)から展開された状態(例えば5~15mmの増大)になって距離260が広がる。ばね荷重機構を外すことで得られた運動量により、針電極250による気道壁への穿刺が行いやすくなり得る。嵌合ロック258は、遠位側シャフト259に堅固に接続されている要素と嵌合する旋回レバー等の機械的機構であってもよい。旋回レバーは、機器のシャフト229を通って機器の近位領域へと延びるワイヤ261を引っ張るように接続されてもよい。近位領域でワイヤは、引っ張りワイヤに張力をかけてロック機構258を外すために用いられてもよいアクチュエーターに接続されてもよい。
【0217】
気道壁を貫いて穿刺可能な肺癌焼灼カテーテルの代替的実施形態は、その先端部にRF穿孔電極(例えば直径0.5mm、長さ1mm)を有していてもよく、シャフトの外径はRF穿孔電極の直径から遠位側焼灼電極の直径(例えば約1.5mm)まで漸減していてもよい。RF穿孔電極は、RF穿孔モードを有するエネルギー送達コンソールに接続可能であってもよい。RF穿孔電極及びエネルギー送達プロファイルは、例えば中隔穿孔等の心臓治療の分野では既知である。
【0218】
必要に応じて、針電極を有する機器の遠位領域は偏向可能であってもよく、これにより、気道壁を貫いて穿刺して、または腫瘍内に穿刺して、肺腫瘍の近傍または内部にある肺実質内に、または腫瘍そのものの内部に、針電極250を配置するために、尖った先端部を気道壁の方に向けやすくなる。
【0219】
必要に応じて、遠位電極250に追加して、遠位電極250の代わりに、または遠位電極250と併用して、近位電極237を用いて焼灼RFエネルギーを送達してもよい。近位電極237は、シャフト229を貫通して機器255の近位領域に延びる洗浄用管腔(図示せず)と流体連結している洗浄ポート263を任意で有していてもよい。近位領域で、管腔は導電性液源またはポンプに接続可能である。近位電極237及び遠位電極250上にある洗浄ポート263及び251は、同じ洗浄用管腔に接続されてもよいし、あるいは導電性液を送達する別々の管腔に接続されてもよい。図8に示されているように、近位電極237上に洗浄ポート263を、遠位側針電極250上に洗浄ポート251を有する実施形態において、導電性液を、ポート251かポート263のいずれかから、好適には両方から、肺実質または腫瘍内に、及び/または閉塞物231より遠位側の気道内に送達されてもよい。好適には、RFエネルギーを2つの電極237、250に、デュアルチャネル単極RFモードで送達してもよい。例えば、各チャネルは、分散電極が患者の皮膚上または体内にある状態の完了した回路を有していてもよく、チャネルは互いに対して浮いている状態であってもよい。代替として、焼灼エネルギーコンソールは、RFエネルギーを2つの電極250、237に、双極モードで送達してもよい。
【0220】
実施形態#3(複数のシャフト上にある焼灼電極(複数の電極)
図9は、エネルギー送達電極102、103を一例として有している2つのカテーテル100、101を示している。2つのカテーテルは、可撓性気管支鏡221を用いて別々に導入可能であり、2つの別個の気道内でそれぞれ終端する電極が標的腫瘍80の両側にある状態で配置可能である。本装置は、気管支鏡221の作業チャネル225と、任意で送達シース213を通って送達されてもよい閉塞カテーテル270を有していてもよい。閉塞カテーテル270は、閉塞カテーテル270のシャフトに装着された弾性バルーン等の閉塞物271を備えていてもよい。膨張管腔は、閉塞カテーテルシャフトを貫通して閉塞物内部にあるポート272で終了し、閉塞物271の展開または膨張を行う。閉塞カテーテル270のシャフトは、閉塞物271よりも遠位側でシャフトを終了する2つ以上の焼灼カテーテル管腔273、274を備えていてもよい。閉塞要素の代替形状は、本明細書で開示されているように具現化されてもよい。カテーテル100、101は、閉塞物の遠位側の管腔273、274を通って気道に送達してもよい。管腔273、274は各々が、送達されたカテーテル100、101の周囲を封止することで低圧力または導電性液を肺部分の対象領域内に収容する弁を有していてもよい。カテーテルは、ガイドワイヤ104上をガイドワイヤ管腔106、107経由で送達してもよい。電極は、カテーテルシャフトを貫通して、例えば電気コネクタ内で終端するカテーテルの近位領域に達する、導電物に接続されてもよく、コネクタは例えばコネクタケーブルを用いてRF発生器に電気的接続してもよい。各カテーテルは、同時に、または別々に通電可能な2つ以上の電極を組み込んでいてもよい。必要に応じて、各カテーテルは、遠位電極103とインピーダンス電極276の間の、または遠位電極102とインピーダンス電極275の間の組織インピーダンスと位相を監視する、インピーダンス・位相監視電極275、276を有していてもよく、これにより、気道の虚脱、導電性液の注入、組織の特性、または組織の焼灼の程度を評価する。閉塞物271で閉塞される対象となる肺部分に、導電性液216を、電極102、103にある洗浄用穴277または278を介して注入してもよい。
【0221】
カテーテルの電極は、例えば極細の気管支鏡を用いて、敷設されているガイドワイヤ104上でカテーテル100、101を送達することによって、気道内の所望の位置に配置してもよい。カテーテル100、101は、ガイドワイヤ管腔106、107を備えていてもよく、オーバー・ザ・ワイヤ式(over-the-wire:OTW)交換を行えるように構成されていてもよい。現在利用可能な機器を使用して、患者の気道内の所望の位置へのナビゲーションを行ってもよい。例えば、電磁式ナビゲーション気管支鏡検査は、電磁気技術を利用した、肺の気管支経路を通して内視鏡ツールやカテーテルを位置決定及び誘導するように設計されている医療処置である。仮想気管支鏡検査(Virtual Bronchoscopy:VB)は、スパイラルCTデータから気管支内画像を生成する3次元のコンピュータ処理技術である。最近においてコンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)された胸部スキャンからの仮想3次元気管支マップと、使い捨てカテーテルセットとを用いて、医師は、病変の生検のために肺内部の所望の位置へのナビゲーションを行って、リンパ節から試料を採取し、放射線療法を誘導する、または近接照射療法カテーテルを誘導するためのマーカーを挿入することができる。このような既存技術を用いて、処置を計画したり、生検を用いて腫瘍を診断したり、あるいは、1つ以上の治療カテーテルを配置するためのガイドワイヤを配置してもよい。ガイドワイヤ104を対象の焼灼ゾーン付近(例えば、対象の焼灼ゾーンから0~10mmの範囲内、または対象の焼灼ゾーン内)の気道内に配置した後、その場所に残しておいたワイヤを使って、極細の気管支鏡を抜去可能であり、ワイヤ上で電極カテーテルを交換してもよい。代替として、電磁式ナビゲーション気管支鏡検査を用いて同様の結果を得てもよい。必要に応じて、複数のカテーテルは代替としてバルーンが2つある構造であってもよく、その構造は図5Aまたは5Bに示されている機器と類似している。
【0222】
電極を有する複数のカテーテル、またはバルーン要素は、上記で記載されたようにして、ワイヤ上で気管支鏡をカテーテルと交換することによって配置可能である。このようにして腫瘍をエネルギー送達要素で囲み、気管支鏡とガイドワイヤを抜いた後、カテーテルの近位端を体外にあるRF発生器に接続可能である。万が一生検結果がリンパ節転移を示していた場合には、リンパ節を焼灼することにも本開示の技術対象を用いることができる。
【0223】
ガイドワイヤまたはカテーテル上にある放射線不透過マーカーを用いて、電極を正確な所望の位置に配置することができる。例えば、RF電極は放射線不透過であり得る。本明細書で開示されているいずれの焼灼カテーテルも、カテーテルの遠位領域に保持または固着機構を備えていてもよく、これにより、エネルギー送達要素(複数の要素)を所望の位置に確実に留まらせて、特に患者が呼吸や咳をしたときに偶発的に外れることを防げる。例えば、保持または固着機構は、カテーテルの遠位領域に位置している既定の非直線形状(図示せず)、膨張式バルーン、ばね荷重式またはワイヤ作動式スプライン、ステント、または展開可能な返しを採用する、カテーテルの一区画を備えていてもよい。電極カテーテルの大きさ及び設計は、定型または極薄型の気管支鏡の作業チャネルと互換性があるように作成されてもよい。エネルギー送達及び信号伝送(温度やインピーダンス)を行う複数の電気接続が具現化されている。焼灼カテーテルは物質送達管腔を備えていてもよく、この管腔は、薬剤、X線透視を用いて生体構造を視覚化する造影剤、及び肺虚脱を誘発する物質といった物質を気道内に送達するために使用してもよい。必要に応じて、ガイドワイヤを除去する際に、ガイドワイヤ管腔は物質送達管腔として機能してもよく、これによりカテーテルの直径を最小にすることが可能になる。焼灼カテーテルは、電極を囲む気道内に洗浄液を注入するために用いられる洗浄送達管腔を備えていてもよく、これにより、チャー形成やインピーダンス上昇を防ぎ、より大きな病変を形成できるようになる。洗浄送達管腔は、物質送達管腔やガイドワイヤ管腔と同じ管腔であってもよい。
【0224】
図10Aに示されているように、E1、E2、E3と称した3つのRF電極が、B1、B2、B3と称した3本の別個の気道内に配置されている。例えば、3つの電極は、図9に示す実施形態のカテーテル等の別々のカテーテル上に送達されてもよい。回転焼灼電場を設定するために、多相のRF焼灼波形を用いてもよく、これにより、焼灼エネルギーを腫瘍内に、より局所化されたモダリティで送達する。図10Bは、複数のRF電極で取り囲まれた標的腫瘍を焼灼するために使用されてもよい、多相RF波形を図示している。ここで、RF1は電極E1に、RF2は電極E2に、RF3は電極E3に、それぞれ送達されたRF信号である。この例では、波形RF1、RF2、RF3は120°ずつ位相がずれている。このように位相がずれた波形を印加すると、回転多極焼灼電場が生じることで、腫瘍空間の到達範囲が広がって、より均一な病変を得られる可能性を有している。原則的には、位相ずれのあるRF焼灼は、位相差に支配されたシーケンスで、電流が多数の電極との間で流れる点を除き、双極焼灼と同様に作用する。各電極は、異なる位相を持つRF源によって駆動される。それぞれの電極対(例えばE1-E2、E2-E3、及びE3-E1)の間で生じるRF電圧はRF電流を発生させて、より均一な加熱パターンで腫瘍空間内に流す。出力レベルの範囲は1~200Wであり、出力時間は30秒~30分である。使用者が規定した対象の周囲の局所温度値を制御する目的で、温度センサを利用してもよい。このような対象の温度は60~115℃の範囲、好適には50~80℃の範囲で変動してもよい。位相ずれのある焼灼エネルギーを送達できるRF発生器は、追加のRF出力段を有していてもよい。図10Cは、多相RFエネルギー供給源175の一例を示していて、ここで各出力177は独立して制御された位相を有している。各出力でのRF信号の位相は、別々のRF出力供給源176によって、または代替として中央マイクロコントローラによって、ソフトウェアを介して、あるいはハードウェアによって、例えば図10Dに示されているように高い方の周波数のデジタルクロックを分割することにより制御されてもよい。図10Dに示されているように、デジタルクロックは、周波数181、182、及び183の周期の6分の1である周期(例えばtからtまで)を有する基本周波数180を備えていてもよい。周波数181、182、及び183は焼灼電極に送達され、それぞれが基本周期1つ分だけずれている。必要に応じて、各電極E1、E2、E3(及びそれぞれのRF出力電圧VRF1、VRF2、VRF3)は、分散性接地パッドをRFエネルギー供給源175の端子178で接地電圧VGNDに接続した状態で、電気回路を完了させてもよい。代替的実施形態は、構成する電極と波形の数が4以上でも2以下(例えば2つの電極及び波形)でもよい。
【0225】
RFコンソールが複数の電極、複数のバルーンまたはバルーン及び電極エネルギーの各要素の組み合わせに送達する、双極式または多極式RF焼灼パラメータは、一例として、1~200Wの範囲で30秒~30分間の出力で構成されていてもよい。組織インピーダンスは30~1000オームの範囲であると予測されてもよく、本システムは、高いインピーダンス(例えば1000オーム超)が検出された場合に終了するか、または出力送達を減らすかによって、過熱や気道壁との電極接触不良のせいで起こる組織のチャー形成や制御できない焼灼を防いでもよい。乾燥させた組織を自然に、または洗浄によって再水和した後、エネルギー送達は自動的に再開可能である。組織の温度が効果的な腫瘍焼灼に十分な値まで上昇して、エネルギー送達の終了を引き起こしそうな温度になっているかどうかを判断するために、エネルギー送達中にインピーダンスモニタリングを用いてもよい。これらのパラメータは、多相式RF焼灼波形で、または単相波形で使用されてもよい。
【0226】
必要に応じて、焼灼エネルギーコンソールは、焼灼エネルギーをマルチチャネル単極モードで、複数のRF電極(例えば1つの焼灼機器上にある、または別々の焼灼機器上にある)に送達してもよく、独立した波形(例えば図10Cに示すVRF1、VRF2等)は同相であってもよい。
【0227】
ロボット操作作業チャネルとの一体化
本明細書で開示されている焼灼カテーテルは、気管支鏡によって、またはロボット制御で配置された作業チャネルによって、手動で送達されてもよい。必要に応じて、ロボット制御作業チャネル内でロボット制御前送りや改良された手動送達を行うロボットシステムと、焼灼カテーテルとを一体化させることができる追加機能を設けてもよい。
【0228】
図20に示されているように、並進運動測定アタッチメントを、例えばアタッチメント上のコネクタを作業チャネル上のコネクタに嵌合することによって、ロボット操作シースまたは作業チャネルの近位端に接続してもよい。アタッチメントは、ロボットシースに対する焼灼カテーテルの並進運動を正確に(例えば、0.001インチ程度まで)測定して、使用者が設定した始点または検出された始点から移動した距離といった値を表示するために使用される。例えば、並進運動を用いて、焼灼カテーテルの遠位端がロボットシースの遠位端から延びる距離を正確に決定してもよい。必要に応じて、値を表すデジタル信号をコンピュータ制御されたロボットコントローラに送信してもよく、このロボットコントローラは、信号をロボット制御焼灼カテーテルマニピュレータに送信してもよい。コンピュータ制御されたロボットコントローラは、ロボット操作シースとも同様に通信してもよい。アタッチメントは、焼灼カテーテルを貫通させてロボット操作シースへと差し込む管腔を有している。アタッチメントは、管腔の内面に測定用容量プレートを有している。焼灼カテーテルも、少なくともシャフトの近位領域に、カテーテルがロボットシース内へと進んでいくときに測定用容量箇所を横断して滑走する静電容量プレートを有している。摺動カテーテルが測定用容量プレートに沿って進んでいくので、これらのプレートが整列したりずれたりしてプレート間の静電容量が変化する。これにより信号が送信されてアタッチメント内部または接続されている構成要素、例えば別個のディスプレイ、ロボットコントローラ、またはカテーテルのハンドル部等の内部にあるチップに届き、ディスプレイに表示された、ロボットコントローラまたはロボット制御焼灼カテーテルマニピュレータと通信を行った読み取り値を生成する。
【0229】
必要に応じて、1つ以上のアクチュエーター(例えばボタン)をチップと通信を行うシステムの一部に配置して、最初の位置の設定、焼灼カテーテルをロボットシースから伸ばす所望の距離、測定単位の選択、照明の起動、値の保存、等の使用者の設定値を入力してもよい。代替として、別個のアタッチメントは必要としなくてもよく、測定用容量プレートをロボット操作シースそのものに接続してもよい。
【0230】
必要に応じて、同様の並進運動測定機能を生検カテーテルまたはガイドワイヤ上に組み込んでいてもよい。生検カテーテルまたはガイドワイヤがロボットシースから延びる距離の測定値を用いて、焼灼カテーテルを手動または自動で送達する距離を決定してもよく、このようにして焼灼要素を生検を採取した場所と同じ場所に配置する。自動制御の一例として、使用者が対象組織よりも近位側にあるロボット操作シースを進める、生検カテーテルをロボット制御または手動でロボットシースを通して差し込み、対象組織の生検を得る、肺の構造に対するロボットシース先端部の位置を保存する、生検カテーテルをシースから延ばした距離を保存する、生検カテーテルを抜く、本明細書で開示されている実施形態のような焼灼カテーテルをシースを通して手動でまたはロボット制御のいずれかで送達する、シースの先端部が保存された位置に配置されると、焼灼カテーテルをその先端部から差し込むが、ここで差し込みは、カテーテルの焼灼要素を生検採取場所と同じ位置に配置するまで焼灼カテーテルを延ばすことである、本明細書で開示されているような焼灼プロトコルを送達する、焼灼カテーテルとシースを抜く、ことが挙げられてもよい。必要に応じて、焼灼カテーテルをシースから差し込むことは、まず、ガイドワイヤ(例えば本明細書で開示されている先端の尖った硬質のガイドワイヤ)をシースから対象組織まで差し込み、その後、焼灼カテーテルをガイドワイヤ上で対象組織まで進め、ガイドワイヤを抜いて焼灼エネルギーを送達する、ことを含む。並進運動の正確な制御は、不必要な損傷を引き起こすおそれのある、必要な距離を越えて進むことを防ぐことにより、処置の安全性もまた向上し得る。
【0231】
必要に応じて、並進運動測定機構は、焼灼カテーテルとディスプレイまたはロボットコントローラとの間の通信接続を用いて構成されていてもよい。
システム
本明細書で開示されている機器(例えば機器220、255、または270)といった気管支内肺腫瘍焼灼機器は、図11に示されているように、システム290の一部であってもよい。システム290はさらに、ソフトウェア292を用いるプログラム可能コントローラを備えたコンピュータ制御式焼灼エネルギー(例えばRF)コンソール291と、導電性液供給部293及びポンプ294と、真空ポンプ295と、閉塞物膨張具296(例えば吹送具、弁付きシリンジ297、電動ポンプ、加圧流体への電動弁)と、関連するコネクタケーブル及び機器の近位領域をコンソール、ポンプ、または真空ポンプに接続する管と、を備えている。
【0232】
必要に応じて、システム290は、2つ以上の焼灼機器、例えば、図9に示されているような閉塞カテーテル270によって送達可能な複数の焼灼機器100、101、または例えば220、255といった複数の焼灼機器を有していてもよい。システム290はまた、ガイドワイヤ227、送達シース213、分散性接地パッド、または気管支鏡221を有していてもよい。焼灼コンソール291はさらに、インピーダンス・位相監視回路と、焼灼機器(220、255、270)上の電極に接続可能であるソフトウェア298とを備えていてもよく、インピーダンス及び位相を測定してその値を使用者に表示してもよい。必要に応じて、インピーダンス・位相監視回路とソフトウェア298は別々の構成要素であってもよく、これらは焼灼コンソールに接続されることで、測定されたインピーダンスまたは位相を入力して焼灼コンソールソフトウェア292のアルゴリズムを制御してもよい。
【0233】
システムは、焼灼コンソール291、ポンプ294、コントローラソフトウェア292、及び任意でインピーダンス・位相監視回路及びソフトウェア298、またはこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。さらに、焼灼コンソール291、ポンプ294、コントローラソフトウェア292、並びに任意でインピーダンス・位相監視回路及びソフトウェア298は、別々に設けられていてもよい。
【0234】
ソフトウェア292は、真空ポンプ295を制御して対象となる肺部分から空気を排除するアルゴリズムを含んでいてもよい。真空ポンプは、大気と対象となる肺部分との圧力差を示す圧力センサを有していてもよい。真空ポンプは1~5atmの範囲の最大陰圧差を印加してもよく、アルゴリズムは圧力差を入力して、圧力差が最大陰圧差に到達した時に真空ポンプを遮断してもよく、その時真空ポンプには、肺内の圧力を維持するために、例えば弁を閉じることで肺部分からの空気の流れを封止する信号が送られてもよい。肺から空気を排除する管腔と同じ管腔を介して導電性液が注入される実施形態では、システムは、例えば一度アルゴリズムが、圧力センサ信号か、または機器(例えば220、255、または270)上の遠位電極と近位電極に関連した組織インピーダンス及び位相のいずれかを介して、十分な肺部分の虚脱を検出すると、流体連結を真空ポンプから注入ポンプに切り替える、自動制御された切り替え弁を有していてもよい。例えば、ソフトウェア292は、焼灼コンソール291を制御して、電気波形(例えば、ある周波数範囲にわたる低出力高周波数電流)を遠位電極と近位電極とに送達し、真空ポンプ295の動作中の組織インピーダンスまたは位相をモニタリングして、インピーダンス降下が肺虚脱を示した場合には真空ポンプを制御して停止させてもよい。ソフトウェア292は、ポンプ294を制御して、流体供給源293から機器及び対象となる肺部分に導電性液を揚水してもよく、また必要に応じて、電気波形を送達し、インピーダンスまたは位相を同時にモニタリングして注入を評価してもよい。必要に応じて、コンソール291からの焼灼エネルギーの送達中は、注入(例えば速度約5mL/minで)を継続してもよい。ソフトウェア292はさらに、温度及びインピーダンスの安全性のモニタリングを含む焼灼エネルギー送達プロファイルを制御してもよい。
【0235】
代替として、手動吸引ツールを用いてカテーテルを介して(例えば洗浄ポート235及び洗浄用管腔を介して)空気を引くことによって、陰圧を手動で印加して、対象となる肺部分から空気を排除してもよい。手動吸引ツールは、シリンジであってもよく、さらに、シリンジを引いたときにカテーテルから空気を引いて、シリンジを押し下げたときに空気を雰囲気内に排出することを可能にする2つの逆止弁を有していてもよい。圧力センサは洗浄用管腔内に配置されてもよい。使用の際には、医師が焼灼カテーテルを患者の肺内に配置し、閉塞物を展開し、そして、低電流を送達して近位電極と遠位電極との間の組織インピーダンスを測定することにより計測された双極インピーダンスと、任意で圧力センサが計測した圧力とをモニタリングしながら、手動吸引ツールに手動で吸引を施してもよい。5%~20%のインピーダンス降下は、気道が、次の作業を行うには十分に虚脱したことを示している可能性がある。吸引を施して、インピーダンスまたは圧力の降下により十分な虚脱が示された後、使用者は、インピーダンスまたは圧力をモニタリングしながら、吸引ツールを静止設定状態に保っておいてもよい。安定したインピーダンスまたは圧力は、対象となる肺部分が十分に虚脱した状態のままであることを示している可能性がある。この段階におけるインピーダンスまたは圧力の上昇は、閉塞物による気道の閉塞が足りない状態であることを示している可能性があり、使用者は、閉塞物を配置し直したり、検査したり、再膨張させたりすることで閉塞をやり直してもよい。
【0236】
手動で吸引を施す場合、使用者は、対象となる肺部分が十分に虚脱していると確信した時にアルゴリズムを始動させ(例えば焼灼コンソール上のアクチュエーターを押すことによって)てもよい。ソフトウェア292のアルゴリズムにより自動で吸引を施す場合、アルゴリズムは使用者に、吸引段階中におけるインピーダンスまたは圧力降下が次の焼灼に進むには十分であることを示すメッセージを送信してもよく、使用者は、焼灼段階を始動させ(例えば焼灼コンソール上のアクチュエーターを押すことによって)、アルゴリズムが継続することを可能にしてもよい。
【0237】
ソフトウェア292のアルゴリズムは、ポンプ速度を制御することによって注入された導電性液の流速を誘導してもよい。焼灼段階中において、ソフトウェア292のアルゴリズムは、焼灼RFエネルギーを送達せずに導電性液源293から導電性液を送達するように、ポンプ294に指示を送って、注入用管腔に導電性液を呼び水として入れて、焼灼RFエネルギーの送達を始める前に少なくとも少量の導電性液が対象となる肺部分の気道内に確実にある状態にする、呼び水段階に入ってもよい。例えば、呼び水段階は、速度5mL/minで5秒間、または測定されたインピーダンスが最長期間(例えば15秒)までにさらに10%~20%降下するまで、導電性液を注入することを含んでいてもよい。少なくとも10%のインピーダンス降下は、洗浄が適切に作用していることを示している可能性がある。この呼び水段階の間にインピーダンスが降下しなければ、アルゴリズムは、使用者に、洗浄、流体ポンプ、または導電性液供給部に問題がある可能性を示すエラーメッセージを送信してもよい。呼び水段階の間にインピーダンス降下(例えば10%~20%の範囲の値で)が測定された場合は、アルゴリズムは焼灼RF送達段階へと継続してもよい。
【0238】
一実施形態において、焼灼RF送達段階中、導電性液の洗浄速度は、焼灼RFの送達開始時に0mL/minから始まってもよい。このことは、送達される導電性液の量を最小限にすることに役立ち得る。焼灼RFの送達中、温度は、焼灼電極234、434、534、250にそれぞれ関連する温度センサ242、442、542、262によってモニタリングされて、制御アルゴリズム内に入力されてもよく、温度が所定の上限温度(例えば95℃)に上昇すると、一貫した出力でのRFエネルギー送達を継続しながら、洗浄用の流れ(例えば速度5mL/minで)が投入されてもよい。洗浄は、温度を上限温度より低く保って、焼灼電極を冷却することが予測される。測定温度が所定の下限(例えば85℃)に下がったら、一定のRF出力を維持しながら洗浄用の流れを停止または減少させるように指示されてもよく、これにより温度上昇が可能になる。アルゴリズムは、温度を上限と下限の範囲内に保つための流速の調整を、予め設定された焼灼時間に達するか他の終了トリガーが発生するまで継続してもよい。他の終了トリガーには、使用者が焼灼RF出力アクチュエーターを押し込むことによる焼灼手動終了、または、アルゴリズムが作動させた自動停止エラーが含まれていてもよい。自動停止エラーは、温度を上限と下限の範囲内に保つことができない場合や、システムの構成要素の故障(例えば、導電性液供給部の動作不足、ポンプの動作不良、弁の動作不良)によって生じてもよい。
【0239】
焼灼時間は30秒~30分の範囲内であってもよく、必要に応じて、所望の焼灼サイズに基づいて医師により選択されてもよい。例えば、動物モデル及びベンチマークモデルによれば、著者は、長さが5mmで直径が1.5mmの焼灼電極234とともに5%HTSを用いて、5分間の焼灼を行うと、直径が約1.5~2cmの球形の焼灼が生成され、7分以上では直径が2~2.5cmの焼灼結果、10分以上では直径が2.5~3cmの焼灼結果、15分以上では直径が3cm以上の焼灼結果が得られたことを実験により証明した。腫瘍のサイズ及び対象気道に対する位置に応じて、医師は、腫瘍を取り囲むための適切な焼灼時間を選択し、コンソール291のユーザーインターフェイスを用いてその時間をアルゴリズムに入力してもよい。アルゴリズムは、ユーザーインターフェイス上に、選択された焼灼時間と、入力された時間に従って推定された焼灼直径を表示してもよい。代替として、医師は所望の焼灼寸法(例えば直径)をアルゴリズムに入力してもよく、焼灼時間が計算されて表示されてもよい。医師は、標的腫瘍のサイズ及び腫瘍の位置によって決まる治療計画を作成してもよい。治療計画は、所望の焼灼サイズ及び腫瘍に対する気道内での位置を含んでいてもよく、必要に応じて、1回の焼灼では腫瘍を完全には取り囲めないと推定された場合は、腫瘍を複数の方向から焼灼する、肺内の異なる対象位置からの複数回焼灼を含んでいてもよい。
【0240】
必要に応じて、焼灼RF送達の終了後(例えば焼灼時間が完了した、または焼灼途中での終了が作動した場合)、注入された導電性液を排除するアルゴリズムによって、吸引が作動してもよい。
【0241】
代替として、ソフトウェア292は、焼灼エネルギーの送達中における導電性液の送達速度を、温度設定値を得るための温度センサ(例えば242、262)からの電極温度フィードバックに基づいて制御(例えばポンプ速度によって)してもよい。例えば、一定の出力を送達してもよく、一定の注入流速を送達してもよく、また、温度設定値に近づいてきたら、出力、流速、または両者の組み合わせを少しずつ調整して温度設定値を実現してもよい。実際の電極温度が設定値よりも低ければ、注入速度を低下させてもよく、かつ/または、出力を増加させてもよい。実際の電極温度が設定値よりも高ければ、注入速度を増加させてもよく、かつ/または、出力を低下させてもよい。
【0242】
必要に応じて、閉塞物の膨張圧力を、閉塞物の膨張具296または弁297と閉塞物231、431、481、531、581との間にある閉塞物膨張管腔に配置された圧力センサ425によってモニタリングしてもよい。閉塞物の膨張圧力は、ソフトウェアアルゴリズム292によって入力・モニタリングされており、必要に応じてアルゴリズムによって使用されてもよく、それは例えばその圧力を、真空吸引を開始する要件として(例えばバルーン膨張圧力が例えば2atmの既定閾値以上であることが必要とされる)、または、故障モードの検出(例えばバルーン膨張圧力の突然の降下は、RF送達の終了を引き起こし得る閉塞物の破裂を表している可能性がある)として、ユーザーインターフェイスに表示するためである。
【0243】
高張生理食塩水等の導電性液は沸騰温度が100℃より高くてもよく、これにより、より大きな焼灼エネルギーを導電性液内に蓄積できるようになり、さらに、より高い流体温度が得られて対象組織を焼灼しやすくなる。これは、腫瘍焼灼のために軟骨性気道壁を通して熱エネルギー及び電気エネルギーを送達する際に特に有益であり得る。なぜなら、気道壁は熱伝導率及び導電率が比較的低く、腫瘍焼灼には多量の焼灼を必要とするからである。例えば、20%高張生理食塩水等の導電性液は、沸騰温度が約105℃~110℃の範囲内であり得る。
【0244】
肺の閉塞された対象領域内において、この領域に注入された導電性液の温度を沸点近くまで上げることによって蒸気を発生させることは効果的であり得る。蒸気を発生させて、閉塞機器(例えばバルーン)を用いて肺の対象領域に閉じ込めることにより、導電性液の蒸気圧を上昇できるので、さらに沸点が上昇し、より大きな焼灼エネルギーを送達できるようになる。軟骨性気道壁を100℃近くの温度に長時間、例えば2~10分晒すことは、その粘度を柔らかくし、導電性液がより良く浸透できるようになって、対象となる肺組織内へ進みやすくなるという効果が得られる。さらに、肺実質を熱すると、その実質は収縮し、実質とつながっている気道が引っ張られて互いに近づく。対象となる肺領域で発生させた蒸気は関連する実質に伝わり、焼灼エネルギー送達前または送達中にその実質を収縮させることによって、腫瘍焼灼の有効性を向上させることができる。エネルギー送達コンソールは、対象領域内の液圧における導電性液の沸点付近の狭い範囲内である温度設定値を可能にするエネルギー送達制御アルゴリズムを備えていてもよい。必要に応じて、アルゴリズムは、蒸気発生に適した温度設定値(例えば、20%高張生理食塩水が導電性液である場合、蒸気発生段階での温度設定値は100℃~110℃の範囲内、好適には105℃付近であり得る)でエネルギーを送達する、蒸気発生段階を有していてもよい。対象となる肺組織の焼灼は、このように上昇させた温度設定値で行ってもよく、1~10分間持続させてもよい。代替として、蒸気発生段階は、既定の持続時間(例えば2分まで)を有していてもよく、または、電極間のインピーダンスをモニタリングする(ここで高インピーダンスのスパイクは蒸気の発生を表す可能性がある)ことによって制御されてもよい。しかし、代替として、蒸気発生の各段階は、温度設定値が低い焼灼段階と交代させてもよい。例えば、最初の2分以内のエネルギー送達を105℃の設定値で、次の2分以内は85℃の設定値で、その次の2分以内は105℃の設定値で、というように、焼灼時間(例えば総時間が8~15分の範囲、または約10分)が終了するか、治療の目的が達成される(例えば移動平均インピーダンスが対象となる閾値を超えて増加した)まで、焼灼を行ってもよい。必要に応じて、機器の遠位領域上の圧力センサを用いて、圧力信号をコントローラに入力してもよく、圧力の上昇は十分な蒸気が生成されたことを表している可能性がある。必要に応じて、蒸気発生段階は、焼灼要素から焼灼エネルギーを送達することによって、または代替として、機器上で閉塞機器よりも遠位側にある直接熱抵抗コイルから熱エネルギーを送達することによって、導電性液を熱することを含んでいてもよい。直接熱抵抗コイルは、機器のシャフトの周囲に巻き付けられた、電気絶縁性を有する電気抵抗性金属(例えばポリイミド、パリレン)であってもよく、熱伝導のみで導電性液を熱する。蒸気発生段階の後には、上記で提示したように温度設定値が蒸気発生段階の設定値よりも低い腫瘍焼灼段階が続けられてもよい。
【0245】
導電性液を対象領域に注入するときに、制御アルゴリズムは、導電性液の沸点より低く保つために、85℃~115℃の範囲、好適には90℃~105℃の範囲の対象設定温度を用いてもよい。代替として、閉塞された対象領域内で蒸気を発生させることが望ましい場合もあり、その場合は、十分な安全機構、例えば、インピーダンスや温度の急激な上昇や電気位相(つまり焼灼電流と焼灼電圧の間の位相)の突然の変化によって引き起こされる迅速なRFエネルギー遮断がシステム内に設計されているのであれば、設定温度が105℃~115℃の範囲内であってもよい。
【0246】
上記で説明したように、電気インピーダンス及び位相は、近位電極と遠位電極との間で、またはこれらのどちらかと分散電極(例えば皮膚上に配置した接地パッド)との間で測定されてもよい。焼灼コンソール291内のソフトウェアアルゴリズムによってインピーダンス分光を算出し、電流が送達されたインピーダンス監視電極(複数の電極)近辺の組織の特徴を分析してもよい。組織の特徴を分析することによって、癌組織を、焼灼された癌組織と比較し、正常組織と比較して特定してもよい。任意または代替として、図15に示されているように、焼灼カテーテルは、近位電極237に加えて、焼灼電極234よりも遠位側に位置する第3電極537を有していてもよい。機器の他の構成要素は図3に示されている実施形態と同様であってもよく、第3電極537以外の表記された数字は図3と同一である。図15では、第3電極537は、標的腫瘍80の第1側(例えば遠位側)に配置されてもよく、その場合、近位電極237は腫瘍80の第2側(例えば近位側)に配置されており、このため、2つのインピーダンス監視電極237、53の間、例えば腫瘍80の内部に、焼灼電極234を配置してもよい。この構成では、インピーダンス及び位相のモニタリングのために電極237、537の間に通される電流は、点線540で表されているように、腫瘍80を直に貫通することができる。
【0247】
図22に示されているように、人体内の腫瘍は、正常組織と比較して特異的な導電率特性を有し得る。図22は、肝腫瘍組織641と比較した正常組織640の周波数範囲にわたる導電率のプロットである。この特定の例(Haemmerich D.,et al.Electrical conductivity measurement of excised human metastatic liver tumors before and after thermal ablation.Physiol.Meas.30(2009)459-466.)において、腫瘍壊死がどのように生じたかの詳細を考えると、腫瘍内部の細胞膜が損傷を受けていた。結果として、細胞内液が漏れ出て、細胞外液の量が増加した。細胞外液の周波数特性は大部分が抵抗性であるのであれば、その結果得られる導電性は、値は高めであり、その周波数範囲にわたって平坦である。しかし、他の状況では、腫瘍組織は導電性が低い状態で現れる。このような状況は、腫瘍内部で結合組織または脂肪組織が相対的にかなり混合して存在している時に遭遇することもある。このような組織は、低い電気伝導性を示す傾向がある。しかし、これらの周波数プロファイルは、それでもなお健常組織が示すものよりも平坦である。その細胞構造のせいで、健常組織は、正常/健常細胞の静電容量のために高い容量性周波数特性を持つ傾向がある。健常組織は、腫瘍組織よりも顕著に変曲している周波数曲線を示す傾向がある。
【0248】
図23は、本明細書で開示されている焼灼カテーテル220、255、420、520、600、1020といった、焼灼カテーテルの2つの電極の間の双極インピーダンスをモニタリング可能なシステムのブロック図を示している。焼灼カテーテル220は、生体インピーダンス電極E1(例えば図15の焼灼電極234)及びE2(例えば図15のインピーダンス電極237)を担持していてもよい。肺に関連した生体インピーダンスフィードバックに基づいて焼灼エネルギーを調整するという概念を説明するために、この段落は、単極焼灼源を制御する双極インピーダンス測定サブシステムを提示する。当業者であれば、単極インピーダンスを測定するために、あるいは双極焼灼エネルギー源またはエネルギー構造を駆動するために、同党の概念を適用することによって、その本質から逸脱することなく、本発明を適用する方法を理解できるであろう。また、2電極インピーダンス測定技術を図示するが、3電極または4電極のインピーダンス測定技術を用いてもよい。電極E1、E2は、I源(Isource)(+)とI源(source)(-)との間を進む定電流によって駆動される。好適には、この電流源は、少なくとも2つの異なる周波数f1、f2の電流波形を印加する。例えば、f1とf2はそれぞれ500~1000kHzの間及び10~100kHzの間であってもよい。他の範囲を用いてもよい。例えば、本実施形態が実現する結果と同等の結果を、5kHz~5MHzの範囲のf1とf2を用いて得られる。電流波形f1、f2の印加は、順次(例えば周波数f1は周波数f2の波形より先に発生する)行ってもよいし、同時に行ってもよい。順次印加する場合は、f1からf2に波形が遷移して再びf1に戻ることが確実にゼロ交差で行われることが重要である。これは、時間間隔が短かったとしても、電流波形全体の平均値がゼロであること保持することに役立つ。代替として、不連続な周波数値の波形を印加する代わりに、図23の電流源I源(Isource)(図23のI源(Isource)-とI源(Isource)+)は、その動作周波数を上述のような値の範囲内で掃引してもよい。患者の安全性を満たすために、印加された電流の大きさを、国際医療安全規格、例えばIEC60601-1によって規定されたレベルに制限することが重要である。例えばf1=1000kHzの場合、相当する電流の大きさは10mAであり得る。f2=100kHzの場合は、相当する電流の大きさは1mAであり得る。よって、その結果得られるE1、E2間の電圧(図23)は、検出モジュールVセンス(Vsense)(図23参照)によって検出される。Vセンス(Vsense)は、生体インピーダンス電極E1、E2上で検出された電圧であり、データ収集システム(data acquisition system:DAQ)及びCPUに渡される。検出された電圧は増幅されて相応に調整される。例えば、1つはf1を中心としてもう1つはf2を中心とする2つの帯域を有するバンドパスフィルタを用いてもよい。このフィルタは、Vセンス(Vsense)増幅器の出力に接続するアナログフィルタとして実現してもよい。代替として、帯域がただ1つの広帯域アナログフィルタを、Vセンス(Vsense)増幅器の出力に配置してもよく、これにより、f1とf2の両方が通過できるが、それよりも高いか低い周波数は除去される。このような場合、デジタルフィルタを用いて、周波数f1及びf2が保持する情報を抽出してもよい。フェイズロックループ、FFT技術を使用したフィルタ等の他のフィルタリング技術を使用してもよい。任意のこのようなデジタルフィルタリング要素がデータ収集(DAQ)要素の後に存在し、調整されたVセンス(Vsense)をデジタル化する機能に供すると考えられるのは当然である。その後、データは制御部(CPU)に渡され、制御部は情報をさらに処理して、本明細書に記載されている検出アルゴリズムのうちの任意のものを実行する。例えば、CPUは、電極E1、E2間の複素インピーダンスの大きさZmagと位相φを抽出する。その後、Zmagとφとのばらつきをf1とf2において評価する。3つ以上の周波数を使用している場合は、印加された周波数のすべてまたはサブセットにおいて、この技術を行う。掃引された周波数が使用されている場合は、掃引周波数の範囲にわたってZmag及びφを算出する。制御部CPUは、図24に示されているように、情報を使用して、既定または生成された検出閾値642と比較する。
【0249】
図25A、25B、25C、25Dは、電極E1、E2が正常組織(図25A、25C)内、腫瘍組織(図25B、25D)内にそれぞれ位置している状況での周波数範囲にわたるインピーダンス及び位相の代表例を図示したものである。正常/健常組織は増加する変曲を有する周波数プロファイルを示すことを考えると、カテーテルが位置しているのは健常組織であるのか腫瘍組織であるのかを判定するために、平坦度という測定項目を使用できる。代替として、または追加として、定められた閾値を使用してもよい。例えば図22に示されているような肝腫瘍に見られるように、腫瘍が増加する導電性プロファイル(例えば壊死して間もない腫瘍で、取り囲む血液供給が多い状態等)を有するのであれば、インピーダンスの大きさの閾値を用いてもよい。手術前検査において、腫瘍は結合組織と脂肪組織がかなり混合している状態である可能性が高いと確認された場合、それでもインピーダンスの大きさの閾値を使用してもよいが、腫瘍インピーダンスは正常組織よりも高い可能性がある。例えば本発明で説明されているような電極構成の場合、460kHzにおいて、双極インピーダンスの大きさは200~300Ω、位相は-10~-20°と測定される可能性がある。結合組織/脂肪組織の含有率が高い腫瘍では、460kHzにおいて、双極インピーダンスの大きさは300~500Ω、位相は0~-10°と測定される可能性がある。
【0250】
システム制御アルゴリズムの実施形態
本システムは、様々な焼灼要素洗浄手段を使用してもよい。蠕動ポンプ、注入ポンプ、膨張具/収縮具を使用してもよい。本発明の範囲を限定することなく、蠕動ポンプの場合に、ポンプヘッドの回転速度を制御することによって、洗浄流速を間接的に制御してもよい。回転速度を洗浄体積に変換する係数を生成するために、ポンプを較正する。例えば、20~100rpmの範囲の回転速度を用いて、2~10ml/minの範囲の流速を発生させてもよい。この例では、回転速度を洗浄体積に変換する変換係数は0.1mL/min/rpmであると考えられる。
【0251】
流速の代わりに、コントローラは、高張液の(または上述の他の水溶液のいずれかの)ボーラス注入体積を制御してもよい。例えば、ボーラス注入体積10mlは、洗浄速度2ml/minで5分間作動したことと等価である。60mlまでのボーラス注入体積を使用してもよい。
【0252】
以下は、焼灼コンソール291に格納されている、ポンプ294を制御して導電性液を導電性液供給部293からカテーテル220、255、270に送達するためのソフトウェア292の一部であってもよい、ポンプ制御アルゴリズムの実施形態の説明である(図11)。このアルゴリズムは、呼び水段階と焼灼段階との間、ポンプを稼働させて温度を対象範囲内に維持する機能を有していてもよい。当該温度は焼灼電極234内の温度センサによって測定されてもよく、組織温度を表すものであってもよい。当該温度はまた、電極温度または焼灼電極と接触している導電性液の温度を示していてもよい。従来技術では周知である比例・積分・微分(proportional-integral-derivative:PID)タイプの制御とは異なり、本発明は、当該温度を治療効果があると知られている範囲内に維持する、インピーダンス及び温度の突然の上昇を回避する、及び、患者の肺内に注入される高張液の量を最適化する、という3つの目的を持って、ポンプの流れを制御する。例えば、PIDコントローラであれば、通常は、温度が治療域の範囲内のレベルに達した場合、流れをほぼ一定の範囲内に、または厳しい範囲内に制御することにするであろう。その代わりに、本発明に係るコントローラは、当該温度が既に対象となる範囲に到達していた場合でも、流れを低流動値と高流動値との間に制御する。したがって、本開示に係るコントローラは、注入される高張生理食塩水の総量を効果的な動作範囲内で最小限にするという目的を持って、流れの変動性を意図的にシステムに導入する。当業者であれば、一定の低流速-高流速ではなく、勾配をつけた流速を使用することにするかもしれない。流れを例えば低値から高値に増やすのではなく、徐々に増やしていくことを用いてもよい。同様に、流速制御に様々な予測アルゴリズムを用いてもよい。システムが急速に上昇する温度を検出した場合、温度上昇を予測して、流速を高める方に調整可能であり、そうすれば過熱の状況を防げる。同様に、システムが急速に降下する温度を検出した場合、流速を低くする方に流れを調整可能であり、そうすれば大きな温度変動を防げる。誤り値(つまり実際の流速と設定流速との差)に応じて非線形の流れ調整を用いることにより、修正されたPIDアルゴリズムを用いることもできる。制御されたパラメータが高張生理食塩水のボーラス注入体積である場合に、同じ制御概念を用いてもよい。
【0253】
ポンプ制御アルゴリズムは、焼灼コンソールから新たなインピーダンスまたは温度データ入力を受信するたびに毎回実行される。インピーダンス入力は40ミリ秒間隔で到着してもよい。温度データ入力は10ミリ秒間隔で到着してもよい。このアルゴリズムは図16Aに示されているフローチャートに、さらに詳細には図16B、16C、16Dに図示されている。ポンプ制御アルゴリズムの出力は指令流速である。追加として、アルゴリズムは、過熱状況または高インピーダンス状況を処理することに関係する決定を行ってもよい。このような状況では、出力を低下するように一時的に調整してもよく、このようにして温度及びインピーダンスをそれぞれの正常範囲内に戻すことができる。代替として、過熱状態または高インピーダンス状態が一定時間継続する場合には、アルゴリズムはエネルギーの送達を終了することにしてもよい。以前の指令流速と異なっている場合には、ポンプに新たな流速の要求を送信する。本開示のアルゴリズム態様は、過熱状態または過インピーダンス状態が起きるとすぐにRF送達を停止することは行わないことに留意することが重要である。むしろ、本アルゴリズムはこのような状態を、高張生理食塩水の流れを最適に調節することによって補正しようとしている。
【0254】
枠610において、アルゴリズムは、High Flow Rate設定値及びOverheat Flow Rate設定値を調整する必要があるかどうかを計算する。
設定値の調整値の計算後、アルゴリズムは主ポンプ制御状態機械を動作させる(枠611)。状態機械は、ポンプに送信すべき3つの流速、つまりLow Flow Rate(低流速)、High Flow Rate(高流速)、及びOverheat/Over-impedance Flow Rate(過熱/過インピーダンス流速)のうちの1つを選択する。追加として、予冷流速及び後冷却流速を、それぞれ気道と電極との電気接触を向上させるために、及び、焼灼後に気道を冷却するために用いてもよい。しかし、状態機械の出力は、単位がmL/minの数値であって、一覧表の形式ではない。状態機械が流速を選択したら、流速に相当する現在の設定値を出力する。例えば、状態機械がOverheat/Over-impedance Flow Rateを選択し、Overheat/Over-impedance Flow Rateに対する現在の設定値が6mL/minである場合、状態機械は6mL/minを出力する。わかりやすくするために、本明細書での記載は、過熱状態と過インピーダンス状態に対して、同一の流速を用いている。本開示の精神から逸脱することなく、異なる過熱流速値と過インピーダンス流速値を使用することもできる。これは、状態機械(state machine:SM)指令流速と呼ばれる。
【0255】
温度またはインピーダンスがそれぞれのOverheatまたはOver-impedance閾値を超えると、コントローラは、ポンプに、流速をOverheat Flow RateまたはOver-impedance Flow Rate値に増やすように指示してもよい。このようにすることによって、システムは、組織の過熱や高張生理食塩水の沸騰を防ごうと試みる。一度流れをこれらの高いレベルに増やすと、コントローラは、過熱または過インピーダンス状態が既に解除されていても、流れをこのようなレベルで一時期維持することにしてもよい。このようにすることによって、コントローラは、過熱または過インピーダンス状態の再発の可能性を下げようと試みる。
【0256】
例示のために、計算設定値調整セクションが、流速設定値を変更する必要があると判定した場合には、新たな設定値に適合するように指令流速を調整する(枠613)。例えば、アルゴリズムの開始時において、High Flow Rateは2mL/minであり、Overheat Flow Rateは6mL/minであると仮定する。
【0257】
次に、計算設定値調整セクションが計算した保留中の設定値は、High Flow Rateが4mL/minであり、Overheat Flow Rateが8mL/minと仮定する。状況機械(SM)指令流速が2mL/min(High Flow Rateの現在の値)である場合、ここで指令流速を4mL/min(High Flow Rateの新たな値)に調整する。一方、SM指令流速がLow Flow Rateに等しい場合は、Low Flow Rate設定値は動的には変更されないので、ここでは修正は行わない。このセクションの出力は指令流速と呼ばれる。これは、ポンプを制御するために何を送信するかである。一般に、温度がT_High閾値を超えると、流れは状態機械の要素611、612、613、614によってHigh Flowに制御される。反対に、温度がT_Low閾値よりも下に下がると、流れは図16Aの同じ要素によってLow Flowに制御される。High FlowとLow Flowのレベルは、コントローラ/状態機械によって自動制御可能であるか、または使用者によって手動制御可能である。例えば、High Flowレベルがある期間(手動で、または自動プログラムで可能である)の後に、当該温度をT_Lowを下回るレベルに下げるという点において無効であるとコントローラが判断した場合には、コントローラはHigh Flow をより高い流速に自動的に増加させることが可能であり、これにより冷却がより効果的になる。反対に、冷却が非常に効果的であるときは、コントローラは、High Flowをより低いレベルに低下させることにしてもよく、これにより注入される高張生理食塩水の量を最小限にする。これらの詳細は図16Bに図示されている。同じ概念がLow Flow及びOverheat/Over-impedance Flowの制御にも当てはまる。Overheat及びOver-impedance状態機械は図16D及び16Eにそれぞれ記載されている。
【0258】
次に、保留中の設定値変更(もしあれば)がシステムの残りの部分に一斉配信される(枠614)。新たな設定値がUIにあるHigh Flow Rate及びOverheat Flow Rateのスピンボックス内に即時反映される。
【0259】
保留中の流れ設定値調整610、611(図16A)を計算するステップのより詳細な図は、図16Bに示されている。設定調整アルゴリズムは3つの部分に分かれ、測定温度がT_Lowより低い(620)、T_LowとT_Highとの間(621)、またはT_High以上(622)かどうかによって決まる。一例として、システムは既に過熱状態に達していたがOverheatフローが温度をT_Lowを下回る値に戻すことにおいて有効であるために(623)、温度がT_Lowより低ければ、状態機械は流れの設定値を増分することにする(624)。その根拠は、High Flow Rateが高めであったならば、過熱温度範囲に入ることを防ぐことが可能であるかもしれないからである。温度がT_High以上であるがFlow high timeがFlow high最長時間以上である(625)場合には、状態機械は、現在のFlow high rateが温度をT_Lowに戻すことにおいて無効であると決定する(625)。結果として、流れ設定値を増分する(626)。温度がT_High未満であるが十分に長い時間内にT_Lowを下回るまで低下しなかった(つまりT_LowとT_Highとの間に留まり過ぎていた)場合、状態機械は、現在のHigh Flowが無効であったと決定する(627)。その結果、流れ設定値を増分する(628)。そうでない場合は、流速設定値は増分されない(629)。一例として、以下の設定値を使用することができる。T_Lowは85℃、T_Highは95℃、Flow_Lowは0mL/min、Flow_Highは4mL/min、Flow_high_timeは5秒である。等しい薬効を有する他の値を使用できる。例えば、T_Lowは60℃~95℃の範囲であってもよく、T_Highは75℃~105℃の範囲であってもよく、Flow_Lowは0~5mL/minの範囲であってもよく、Flow_Highは2~16mL/minの範囲であってもよく、Flow_high_timeは1~30秒の範囲であってもよい。同じ概念を、しかし逆にはなるが、現在の流速が非常に有効であるときに流速を減分することに適応可能である。このようにすることによって、注入する高張生理食塩水の総量が最適化される。当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく他の閾値を使用することができる。
【0260】
本システムの全状態機械は、図16Cにより詳細に図示されている。状態機械における4つの状態として、IDLE630、PRECOOL631、NORMALCOOL632、及びPOSTCOOL633が含まれている。実線矢印は状態間の遷移を表す。遷移を引き起こす条件は、矢印上に直に書き込まれたテキストで示している。例えば、遷移「通常冷却時間超過」634は、NORMALCOOL状態持続時間が通常冷却時間の設定値を超過した場合には、状態機械がPOSTCOOL状態633に遷移することを表している。遷移に付けられた小円付きのボックスは、状態機械が遷移されたときに行われるアクションを表している。例えば、「RF出力オフ」というテキストを含んでいる遷移アクション枠635は、状態機械がNORMALCOOL632からPOSTCOOL633に遷移すると、RF出力の電源が切られることを示している。
【0261】
NORMALCOOL状態632は状態機械において最も複雑な状態である。その詳細を図16A、16Bに示している。この状態では、システムはRFエネルギーをカテーテルに送達している。NORMALCOOL状態を実行するたびに、Overheat637(図16D)とOver-impedance638(図16E)の各状態のチェックも行っている。簡易温度制御サブ動作636の間、温度が高すぎる場合には、流速を増加させる。一方、温度が低すぎる場合には、流速を減少させる。しかし、サブ状態機械636が、温度またはインピーダンスがOverheatまたはOver-impedance状態に到達したと判定した場合は、サブ状態機械637、638をそれぞれ要求する。温度状態機械サブ動作637が要求された場合、状態機械は、より細密な計算を行い、温度がT_Overheatを超えていたら過熱流速の指示に関与する。例えば、T_Overheatは105℃に設定されていてもよく、Overheat_Flowは12mL/minに等しくてもよいが、他の値も同様に検討できる。例えば、T_Overheatは85~115℃の範囲内でもよく、Overheat_Flowは4~14mL/minの範囲内でもよい。この状態機械は簡易温度制御636の後に実行されるので、制御結果を無視することができる。この状態機械はまた、温度が長時間にわたってT_overheatを超えている場合に治療を中断することもできる。この温度状態機械のさらなる詳細は図16Dに示されている。同様に、サブ状態機械636がOver-impedance状態を検出してインピーダンス状態機械サブ動作638を要求した場合、状態機械は、測定された単極インピーダンスに基づいてポンプの流速を変更する。その目的は、インピーダンスをZ_high未満に保つように流速を増加させることである。例えば、Z_highを600Ωに、Over-impedance Flowを12mL/minに設定することができるが、他の値も同様に使用できる。例えば、Z_highは、有効であるように、300~1500Ωの範囲であってもよい。パラメータOver-impedance Flowは、有効であるように、6~20ml/minの範囲であってもよい。この命令文は温度状態機械637の後に実行されるので、温度状態機械の結果を無視して流速を増加させることができる。しかしより低い流速では無視することはない。このインピーダンス状態機械のさらなる詳細は図16Eに示されている。図4E、F、G、Hに示す実施形態とともに動作させる場合、Flow_Highを好ましい範囲の下限、例えば1~3mL/minに設定することが有益である場合もある。このことは、高張生理食塩水の流れが焼灼電極の周囲環境を冷却することにおいてより有効である場合もあるならば、有益であり得る。なぜなら、上述の各実施形態で示したように、この流れは腫瘍空間または遠位側バルーンと近位側バルーンとの間の空間に閉じ込められるからである。Over-impedance Flowは8~16mL/minの範囲内に設定されてもよい。Flow_Highが焼灼電極の周囲環境を十分に冷却するには低すぎる場合には、図16A~16Eに示されている各図に従って高張生理食塩水の流れを調整してもよい。
【0262】
図17Aは、図16A~16Eに提示されている状態図の実行結果を図示したものである。ここでは、温度505と流速506が時間に対してグラフ化されている。RF焼灼エネルギーは5秒の時点で印加が開始され、一定の出力60Wで2分間印加されている。これに先立ち、0秒から5秒までの間はPrecool状態で、ポンプは流速5mL/minで投入されて、システムの呼び水を行って、少量の高張生理食塩水を焼灼電極を通って気道内に送達している。5秒の時点でNormalCool状態に入り、RFの送達が開始され(つまり、出力が0Wから60Wに増加する)、流速は0で、通常冷却タイマーが開始される。温度はすぐに上昇し、上限(T_High)である95℃に達する。コントローラは流れを4ml/minに設定する。当初、温度がT_Lowである85℃未満に下がったときは4ml/minが有効であった。その結果、この特殊な例では、流れの設定がLow Flowである0ml/minに戻された。その後、温度再び上昇し始め、T_Highを上回った。結果として、流れはまたHigh Flowである4ml/minに設定された。しかし、4mL/min付近のこの時間は、ある一定時間後に温度をT_Lowである85℃未満に下げることにおいて無効であったと考えると、最長持続時間以上であるFlow High Time(この例では5秒に設定されている)で、コントローラは、High Flowを6mL/minに増分して、高流量時間をリセットする。さらにもう一度、Flow_High_Timeである5秒後に、High Flow(6mL/minに設定されている)は、温度をT_Low未満に下げることにおいて未だに無効であったので、コントローラはHigh Flowを8ml/minに増加した。この新たなHigh Flow値8mL/minは、温度を下げることにおいて有効であった。このように、温度がT_Lowである85℃未満に下がった後、コントローラは流れをLow Flow(この例では0mL/min)に設定する。上記の内容をさらに詳細に確認すると、導電性液の流れによって、約8秒の時点で見られる、下限(T_Low)である85℃未満への温度の降下が生じる。図16Bを参照すると、この状況において、温度はT_Low以下であり(620)、これにより流速は0になる。温度が上昇したがT_High未満であるとき、流速は0mL/minのままである。約10秒の時点で、温度は上限(T_High)に達し、流れを作動させて、5秒間(高流量最短時間)過熱流速である4mL/minになる。5秒後、温度はT_Low以下ではなく、T_High以上(621)でもなく、そして現在の高流量4mL/minは温度をT_Low未満にする(627)ことにおいて無効であったので、流速を6mL/minに増分して(628)、高流量時間を0秒にリセットする。この新たな流れ6mL/minは5秒間印加され、再び温度がT_Low未満ではなくT_High以上(627)でもなく、このためこの時点で流速を再び8mL/minに増分する。高流量時間である5秒に達する前に、温度は下限(T_Low)に達し、よって流れは減少して0mL/minになり、約28秒の時点で見られる、温度が上昇して上限に達するまでこの流速のままである。現在の流速である8mL/minが作動し、5秒間実行される。ここでも再び、8mL/minを用いても温度がT_Lowを下回らなかったので、流速を10mL/minに増分する。5秒が経過する前に温度がT_Lowに達したので、流れが低下して0mL/minにする。約43秒の時点で、温度はT_Highに達し、このため現在の流速である10mL/minがさらに5秒間作動し、この5秒の時点で、10mL/minは温度をT_Lowにすることにおいて無効であったので、流れを12mL/minに増分する。約51秒の時点で、温度はT_Lowに達し、このため流れは0になる。流れが0mL/minなので、温度は再び上昇して約57秒の時点でT_Highに達し、現在の流速である12mL/minが作動し、その5秒後に流れが有効であると判定されて、約70秒の時点で温度がT_Lowに達するまで12mL/minで維持される。流れは低下して0mL/minになり、約76秒の時点で温度がT_Highに達すると、現在の流速である12mL/minが作動する。この流れによって、効果的に温度を下げてT_HighとT_Lowに間に保つことが約115秒の時点までうまく処理され、約115秒の時点で温度がT_Lowに達すると流れは0に設定される。この例では、Flow_High_Timeである5秒を超過したが、許容される最高のHigh Flowレベルとしてプログラムされていたのは12ml/minだったので、流れをこれ以上増加させなかった。当業者であれば、他の最高レベルも使用できるであろう。約122秒の時点で温度は再びT_Highに達し、このため流れは12mL/minに設定される。125秒の時点でNormalCoolタイマーが終了し、RF出力の電源をオフにして、PostCool段階に入って流れは0に設定される。図17Bは、出力が段階的に増加していくシステムの挙動を示している。出力ステップ(例えば0~60W)の印加の代わりに、図17Bでは出力が40Wから一定値である約75Wまで段階的に増加している。このように制御を展開する場合、出力は、40Wで最初の30秒間は維持し、次に50Wに増加させて次の30秒間保ち、このようにして対象となる最大出力レベルに達するまで続けることもできる。このような出力制御アルゴリズムの効果は、このようにすると、組織が飛び出したり組織に空洞ができたりする可能性が低くなることに起因している。組織が飛び出すことも空洞ができることも、どちらも気胸につながりかねないために、安全上の懸念に等しい。
【0263】
上記で説明された、及び/または請求されたシステム(複数のシステム)、カテーテル(複数のカテーテル)、及び装置は、少なくとも1つのコントローラを有していてもよい。このコントローラは、メモリ(または複数のメモリ)を有するデジタルプロセッサ(CPU)、類推型回路、または、1つ以上のデジタル処理ユニットと1つ以上の類推処理回路との組み合わせを有していてもよい。本説明と請求項では、コントローラは、ある特定のステップを実行するように「構成されている(configured)」または「プログラムされている(programmed)」ことが示されている。このことは実際には、コントローラを構成する、またはプログラムすることを可能にする任意の手段によって実現されていてもよい。例えば1つ以上のCPUを備えているコントローラの場合、1つ以上のプログラムが適切なメモリ内に格納されている。1つ以上のプログラムは、コントローラによって実行されると、コントローラに関連して説明された、及び/または請求されたステップをコントローラに実行させる命令を含んでいる。代替として、コントローラがアナログ型である場合には、コントローラの回路は、使用時において、電気信号を処理して、例えば、本明細書で説明された、及び/または請求されたコントローラのステップを実行するように構成されている回路を有するように設計されている。
【0264】
本発明(複数の本発明)の少なくとも1つの例示的実施形態を本明細書で開示しているが、修正、置換および代替は、当業者に明らかであろうし、本開示の範囲から逸脱することなく実行可能であることを理解されたい。本開示は、例示的実施形態(複数の実施形態)のあらゆる適応例または変形例も網羅することを意図している。また、本開示において、「備えている(comprise)」または「備えている(comprising)」という語は他の要素またはステップを排除するものではなく、「1つの(a)」または「1つの(one)」という語は複数の存在を排除するものではなく、「または(or)」という語は、いずれかまたは両方を意味する。さらに、説明された特徴またはステップは、本開示または文脈がそうでないことを示唆しない限り、他の特性またはステップと組み合わせて使用することもできるし、任意の順序で使用することもできる。本開示は、本開示が利益または優先権を主張するいずれの特許または出願の完全な開示を、参照により援用する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【国際調査報告】