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特表2023-544310プロバイオティクス成分の使用及びプロバイオティクス成分を含む医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】プロバイオティクス成分の使用及びプロバイオティクス成分を含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/742 20150101AFI20231016BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20231016BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20231016BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20231016BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20231016BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231016BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20231016BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231016BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231016BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231016BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A61K35/742
A61K35/745
A61K35/747
A61K35/741
A61K35/744
A61P35/00
A61P29/00
A61P5/00
A61P17/00
A61P15/00
A61P1/18
A61P1/16
A61P1/02
A61P1/04
A61P11/04
A61P11/00
A61P13/08
A61P15/02
A61P25/00
A61P35/02
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/12
A61K47/02
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519649
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2021122132
(87)【国際公開番号】W WO2022068924
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】202011064448.1
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011059746.1
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111147464.1
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521083980
【氏名又は名称】チェンドゥ クァチャンアオプー メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521083991
【氏名又は名称】クァチャン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,ファンリン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,リーチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジェン シャ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C076CC04
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC26
4C076CC27
4C076DD23Z
4C076DD25Z
4C076DD26Z
4C076DD30Z
4C076DD41Z
4C076DD43Z
4C076DD51
4C076DD59
4C076DD60
4C076DD61
4C076FF53
4C076FF61
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZB212
4C084ZC412
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC11
4C087BC12
4C087BC13
4C087BC14
4C087BC56
4C087BC57
4C087BC58
4C087BC59
4C087BC61
4C087BC62
4C087BC64
4C087BC65
4C087CA08
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA67
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZB11
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
本発明は、プロバイオティクス成分及びそのプロバイオティクス成分を含む局所医薬組成物の新たな用途、並びに局所病変疾患の治療のための局所医薬組成物の製造において治療効果を提供しうる有効成分としてのプロバイオティクス成分の用途を提供する。本発明の局所医薬は、既存のプロバイオティクス組成物では達成することができない、局所効果(又は局所的相乗効果)を含む化学的アブレーション様局所治療及び/又は局所効果(又は局所的相乗効果)に関連する二次免疫効果を含む免疫療法を実現するために、全く新しい薬理を提供する。さらに、本発明の局所医薬には、ほぼ完全に無毒の全身安全性と著しく高い長期効能があり、急速に成長する腫瘍、大きな腫瘍、及び低血管腫瘍に対して著しい可能性があり、薬剤耐性がなく、調製が便利で、低コストである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所病変疾患の治療のための局所医薬組成物の製造において治療効果を提供しうる有効成分としてのプロバイオティクス成分の使用であって、前記治療効果は、局所効果(又は局所的相乗効果)及び/又は免疫療法を含む局所治療を含む、使用。
【請求項2】
治療効果を呈しうるプロバイオティクス成分と、薬学的に許容される適当な担体を含むが、血液浸透圧を正常な生理学的レベルまで上昇させる塩又は単糖を含まない、局所病変疾患の治療のための局所医薬組成物であって、前記治療効果は、局所効果(又は局所的相乗効果)及び/又は免疫療法を含む局所治療を含む、局所医薬組成物。
【請求項3】
医薬組成物が、さらに、プロバイオティクス成分の治療効果と相乗効果を呈しうる化学的有効成分及び/又は生物学的有効成分を含み、かつ、前記医薬組成物における、前記化学的有効成分に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/化学的有効成分の質量濃度)が(1~110)/(1~100)若しくは(1.5~100)/(0.1~1)、及び/又は、前記生物学的有効成分に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/生物活性成分の質量濃度)が(60~180)/(0.1~60)である、請求項1又は2に記載の使用又は局所医薬組成物。
【請求項4】
治療効果を与えることができるプロバイオティクス成分、化学的有効成分、及び/又は、前記プロバイオティクス成分の治療効果と相乗作用を示すことができる生物学的有効成分を含む局所病変疾患治療用の局所医薬組成物であって、前記化学的有効成分に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/化学的有効成分の質量濃度)が(1~110)/(1~100)若しくは(1.5~100)/(0.1~1)、及び/又は、前記生物学的有効成分に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/生物活性成分の質量濃度)が(60~180)/(0.1~60)であり、前記治療効果は局所効果(又は局所相乗作用)及び/又は免疫療法を含む局所治療を含む、局所医薬組成物。
【請求項5】
プロバイオティクス成分は、細菌の免疫原性を最小限に抑制し、天然のプロバイオティクス又は加工された前記プロバイオティクスに由来する製剤、又は前記製剤の人工的な類似体から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用又は医薬組成物であって、前記製剤は、前記プロバイオティクスの水溶性成分、前記プロバイオティクスの半流動体様成分、前記プロバイオティクス成分の水不溶性粒子、不活化された前記プロバイオティクス、及び前記誘導体からなる群から選択される1つ以上である、使用又は医薬組成物。
【請求項6】
プロバイオティクスの水溶性成分は、前記プロバイオティクス又は破壊された前記プロバイオティクスの上清成分、前記プロバイオティクスの抽出物、前記プロバイオティクスの細胞内水溶性成分、前記水溶性成分の水溶性誘導体又は前記プロバイオティクスの細胞壁成分の非水溶性成分、前記プロバイオティクスのリボ核酸、及び前記誘導体の1つ以上から選択される、請求項5に記載の使用又は医薬組成物であって、
前記プロバイオティクスの半流動体様成分は、前記プロバイオティクスの多糖類及びその類似体の1つ以上の、水性混合物が半流動体様組成物を形成しうる前記プロバイオティクス成分の1つ以上から選択され;
前記プロバイオティクス成分の水不溶性粒子は、前記破壊された前記プロバイオティクスの沈殿成分、前記プロバイオティクスの細胞壁多糖類粒子、前記プロバイオティクスの細胞壁多糖類ナノ粒子及びその誘導体の1つ以上からなる群から選択され;
場合によっては、不活化プロバイオティクスが、完全な形態である不活化プロバイオティクスから選択され、
ここで、前記プロバイオティクスの水溶性成分は、前記プロバイオティクスの水溶性β-グルカン、又は90%以上の純度の水溶性β-グルカンから選択される、前記プロバイオティクスのβ-グルカンの水溶性誘導体、前記プロバイオティクスのリボ核酸、及び前記誘導体のうちの1つ以上からなる群から選択される、使用又は医薬組成物。
【請求項7】
前記プロバイオティクスは、前記プロバイオティクスのBacillus、前記プロバイオティクスのLactobacillus、前記プロバイオティクスのBifidobacterium、前記プロバイオティクスの真菌のうちの1つ以上からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用又は医薬組成物であって、ここで、
前記Bacillusは、Bacillus licheniformis、Bacillus subtilis、Bacillus pumilus、Bacillus nattoを含む群から選択された1つ以上を含み;
前記Lactobacillusは、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus pumilus及びLactobacillus fermentumを含む群から選択された1つ以上を含み;
前記Bifidobacteriumは、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium breve、Enterococcus faecium及びStreptococcus fecalisを含む群から選択された1つ以上を含み;
前記真菌は、酵母及びBrettanomycesを含む群から選択された1つ以上を含むが、ここで、前記酵母は、Saccharomyces cerevisiae、Torulaspora delbrueckii、Wickerhamomyces、Pichia、Candida utilis、Kluyveromyces marxianusを含む群から選択された1つ以上を含む、使用又は医薬組成物。
【請求項8】
前記プロバイオティクスは、Saccharomyces cerevisiae及び/又はBrettanomyces bruxellensisから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項9】
前記プロバイオティクスの成分は、医薬組成物中に、0.1%より多いか、0.25%以上、0.25~25%、0.5~25%、1~5%、5~15%又は15~25%の濃度で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項10】
前記プロバイオティクスの成分に不活化プロバイオティクスが含まれる場合、前記不活化プロバイオティクスは前記医薬組成物中に0.3%より多いか、0.75%以上、0.75~15%、1.5~15%又は5~15%の濃度で存在し;
前記プロバイオティクス成分にプロバイオティクス水溶性成分が含まれる場合、前記プロバイオティクス水溶性成分は前記医薬組成物中に0.1より多いか、0.15~25%、0.35~5%、5~15%又は15~25%の濃度で存在し;
前記プロバイオティクス成分にプロバイオティクス非水溶性成分粒子が含まれる場合、前記プロバイオティクス非水溶性成分粒子は前記医薬組成物中に0.5より多いか、0.5~15%、1.5~15%又は5~15%の濃度で存在し;
前記医薬組成物が半流動体様組成物である場合、前記プロバイオティクスの半流動体様成分は前記医薬組成物中に2.5%より多いか、2.6~25%、又は5~15%の濃度で存在する、請求項9に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項11】
化学活性成分が弱性局所作用性化合物及び/又は細胞毒性剤を含む群から選択される1つ以上であり、かつ、化学活性化合物が前記細胞毒性剤を含む場合、前記細胞毒性剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W細胞毒性剤)は(1~110)/(1~100)であり、前記化学活性化合物が前記弱性局所作用性化合物を含む場合、前記プロバイオティクス成分と前記弱性局所作用性化合物(Wプロバイオティクス成分/W弱性局所作用性化合物)の質量比は(1~90)/(1~100)である、請求項3~10のいずれか一項に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項12】
アミノ酸栄養素、生体色素、キニーネ剤、低濃度酸性化剤、低濃度塩基化剤、酸性化剤及び/又は塩基化剤の一つ以上を含む群から選択され、かつ、
前記弱性局所作用性化合物が前記アミノ酸栄養素を含む場合、前記プロバイオティクス成分と前記アミノ酸栄養素の質量比(Wプロバイオティクス成分/Wアミノ酸栄養素)は(1~20)/(1~100)であり、
前記弱性局所作用性化合物が前記生体色素を含む場合、前記生体色素に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W生体色素)は(7~90)/(1~100)であり;
前記弱性局所作用性化合物が前記キニーネ剤を含む場合、前記キニーネ剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W生体色素)は(2~90)/(1~100)であり;
前記弱性局所作用性化合物が前記酸性化剤及び/又は前記塩基化剤を含む場合、前記酸性化剤及び/又は前記塩基化剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W酸性化剤及び/又は塩基化剤)は(2~60)/(1~100)である、請求項11に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項13】
前記アミノ酸栄養素は、アルギニン、リジン、グリシン、システイン、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸を含む群から選択される、アミノ酸又はその塩であり、又はこれらを含む若しくはからなる群から選択されるあり御ペプチド又はポリペプチドであり、かつ、前記アミノ酸栄養素は、2.5%より多いか、5~30%、又は5~25%の濃度で存在する、請求項12に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項14】
前記生体色素は、ベンガルレッド及び/又はメチレンブルー系色素であるメチレンブルー、パテントブルー、イソスルファーブルー、ネオメチレンブルーを含む群から選択される1つ以上であり、かつ、前記ベンガルレッドの濃度は、2.5%~20%であり、かつ、メチレンブルー系色素の濃度は、0.25%以上、0.25~2.5%、又は0.5~2.5%である、請求項12に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項15】
前記酸性化剤は一つ以上の強酸及び/又は弱酸から選択され、かつ、前記酸性化剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/酸性化剤の質量濃度)は(1~20)/(0.5~50)であり、かつ、前記酸性化剤の濃度は0.5%以上、0.5~2%(強酸)、又は2~15%(弱酸)であり、かつ、前記強酸は、例えば塩酸であり、ここで、前記弱酸は、例えば、グリコール酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸であり;前記塩基化剤は、例えば、1つ以上の強アルカリ又は弱アルカリから選択され、前記塩基化剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(前記プロバイオティクス成分の質量濃度/塩基化剤の質量濃度)は、(1~20)/(0.5~50)であり、前記塩基化剤の濃度は、0.5%以上、0.5~5%(強アルカリ)又は2~15%(弱アルカリ)であり、ここで、前記強アルカリは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムであり;前記弱アルカリは、例えば、リン酸二水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムである、請求項12に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項16】
前記細胞毒性剤は、シクロホスファミド、カルムスチン、金属白金錯体、ドキソルビシン系薬物、トポテカン、イリノテカン等のDNA構造及び機能を撹乱する薬物抗腫瘍抗生物質等のRNA転写を阻害するためにDNAに挿入される薬物;5-フルオロウラシル(5~Fu)、フロフルオロウラシル、ジフロフルオロウラシル、シトシンアラビノシド、環状シチジン、5~アザシチジン等のDNA合成を阻害する薬物;コルヒチン系薬物、ビンクリスチン系薬物、タキサン系薬物等のタンパク質合成に影響を及ぼす薬物を含む群から選択される一つ以上を含み、かつ、前記細胞毒性剤の濃度が0.1%以上、又は0.1~15%である、請求項11に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項17】
前記生物活性成分は抗原、免疫調節抗体、サイトカイン、アジュバントのうちの1つ以上から選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項18】
局所病変疾患を治療する方法であって、請求項3~22のいずれか一項に記載の治療有効量の医薬組成物を、局所病変内及び/又は局所病変外でそれが必要な被験体に局所投与する工程を含み、前記局所病変外に局所投与することにより、局所効果(又は局所相乗作用)に関連する二次的な免疫学的効果が生じるのに利点がある、方法。
【請求項19】
前記プロバイオティクスの成分に不活化プロバイオティクスが含まれる場合、前記不活化プロバイオティクスは前記医薬組成物中に0.3%より多いか、0.75%以上、0.75~15%、1.5~15%又は5~15%の局所濃度で投与され;
前記プロバイオティクス成分にプロバイオティクス水溶性成分が含まれる場合、前記プロバイオティクス水溶性成分は前記医薬組成物中に0.1より多いか、0.15~25%、0.35~5%、5~15%又は15~25%の局所濃度で投与され;
前記プロバイオティクス成分にプロバイオティクス非水溶性成分が含まれる場合、前記プロバイオティクス非水溶性成分は前記医薬組成物中に0.5より多いか、又は0.5~15%、1.5~15%又は5~15%の局所濃度で投与される;
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記局所病変は腫瘍細胞及び/又は線維芽細胞を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の使用若しくは医薬組成物又は請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記局所病変疾患は腫瘍、非腫瘍性肥大、局所炎症、内分泌腺機能不全及び皮膚疾患を含み、前記腫瘍は、悪性及び非悪性の固形腫瘍を含む、請求項1~17及び20のいずれか一項に記載の使用若しくは医薬組成物又は請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
固形腫瘍は、乳がん、膵がん、甲状腺がん、上咽頭がん、前立腺がん、肝臓がん、肺がん、腸がん、口腔がん、食道がん、胃がん、喉頭がん、精巣がん、膣がん、子宮がん、卵巣がん、脳腫瘍及びリンパ腫のうちの一つ以上の腫瘍及びその二次腫瘍を含む、請求項21に記載の使用、医薬組成物又は方法。
【請求項23】
前記治療に適用可能な患者は、免疫抑制患者、病変内に局所的に投与可能な患者、局所病変組織が化学的アブレーション様に適合する患者、局所病変内に二次免疫物質を産生可能な患者、及び病変外の投与領域内に二次免疫物質を産生可能な患者のうちの1つ以上からなる群から選択される、請求項1~17及び20~22のいずれか一項に記載の使用若しくは医薬組成物又は請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
プロバイオティクス成分及び薬学的に許容される適当な担体を含む局所病変疾患の治療用医薬組成物であって、前記局所病変疾患が固形腫瘍を含む、治療用医薬組成物。
【請求項25】
請求項2から22のいずれか一項に記載された医薬組成物を含む1つ以上の容器と、場合によっては、前記医薬組成物が必要な被験体に投与する方法に関する説明書又はラベルを含む、医薬キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤の技術分野、特にプロバイオティクス成分の新規な使用及びプロバイオティクス成分を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
病変組織の観点からは、充実性腫瘍は、腫瘍体症状を有する腫瘍疾患である局所病変疾患の代表的なモデルであり、腫瘍体は、腫瘍細胞を構成する腫瘍体組織に加えて、複数の他の細胞、複数の細胞間物質、複数の導管等、より多くの他の構成要素(腫瘍細胞の微小環境ともいう)から構成されている。例えば、膵がん腫瘍体の場合、膵臓がん細胞は腫瘍体の体積の約30%程度である。
細胞傷害性薬剤と化学的アブレーション剤は、固形腫瘍の治療に100年近く用いられる一般的な薬剤である。細胞傷害性薬剤の腫瘍内濃度は、腫瘍内投与によって高めることができるが、当該薬剤の効能は、がん細胞阻害動態の予想範囲内(通常200%未満)でわずかに高まるだけである。患者のコンプライアンスを考慮すると、細胞傷害性薬剤は基本的に経口投与又は静脈内注射によって全身投与される。一方、化学的アブレーション剤は、通常、腫瘍細胞の破壊ではなく、薬理的特性として腫瘍組織の破壊を特徴とし、腫瘍内投与は、期待される範囲のがん細胞阻害動態よりもはるかに薬理的に有効であり、高純度のエタノール、高濃度の酸性化剤又は塩基化剤等、全身投与とは薬理的に大きく異なる。しかし、刺激性が高く、長期的な効果は低く、酸及び塩基の用量が0.2ml/kgを超えない等、介入量や介入部位が極めて限定されており、腫瘍の存在する臓器に制限があり、腫瘍の体縁に対する限定的なアブレーション等により、臨床での使用は徐々に薄れてきている。
【0003】
近年、腫瘍ワクチン、細胞養子療法、免疫チェックポイント阻害剤に代表される腫瘍免疫療法のアプローチがいくつか進歩している。当該治療薬は多種多様であり、患者の遺伝的特異性と腫瘍特異性が非常に高くなければならず、一般的な動物実験では投与群と陰性対照群の腫瘍残存質量の明らかな差はほとんど観察できず、臨床適応の範囲も非常に狭い。
世界保健機関は、プロバイオティクスを、十分な量を摂取した場合に宿主に何らかの健康上の利益をもたらす、生きた非病原性細菌と定義している。研究によると、プロバイオティクスには、その有益な特性を支持するための3つの作用機序がありうる。(1)腸上皮細胞上の病原体付着部位に結合するために病原体と競合する、又は病原体の栄養物質を消費するために、病原性細菌の増殖を阻害する。(2)腸バリア機能の改善;(3)生体の免疫機能の向上。その中でも、生体の免疫機能を向上させるプロバイオティクスの研究は非常に興味深い。ブタの免疫機能を高めるための飼料添加物として酵母を利用する研究もある(例:特許文献1)。また、免疫機能を高めるための不活化酵母の利用、抗菌・抗ウイルス(例:特許文献2)の研究もある。
先行技術では、プロバイオティクスの抗腫瘍効果は主に細菌の免疫原性に関連すると考えられている。しかし、この免疫原性は治療用ワクチン抗原に期待される治療効果を示さないため、現在、プロバイオティクスは主に患者の免疫を高めるために用いられている。免疫の不均一性は腫瘍の不均一性の特徴の一つであり、この薬理はプロバイオティクスの免疫増強を大腸がんに対してのみ存在させることで、強い腫瘍特異性を示す。そのため、プロバイオティクスは他の薬剤と比較して、動物実験において意味のある腫瘍増殖阻害(腫瘍阻害率が15%以下又は相対的腫瘍増殖率が85%以上)を示さず、提供される当該抗腫瘍免疫増強効果は極めて限定され、補助的治療として機能するのみであり、治療効果をもたらすとはいえない。
そこで、プロバイオティクスの新しい薬理を開発して、免疫増強機能の提供等の従来の期待を打ち破ることは、臨床治療の新しい解決策を提供しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第106387398号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第108524925号明細書
【発明の概要】
【0005】
この観点から、本発明は、プロバイオティクス成分に基づく新しい薬理を提案することを目的としており、すなわち、その局所的効果(又は局所的相乗作用)及び二次的効果(又は二次的相乗作用)を提供することにより、製造された局所的な医薬組成物は、様々な臨床オプションを提供するために、特に中長期的に、高効率かつ低毒性を達成する。
【0006】
本発明は、局所病変疾患の治療のための局所医薬組成物の製造において治療効果を提供しうる有効成分としてのプロバイオティクス成分の使用であって、前記治療効果は、局所効果(又は局所的相乗効果)及び/又は免疫療法を含む局所治療を含む。
好ましくは、当該医薬組成物は、さらに、プロバイオティクス成分の治療効果と相乗効果を呈しうる化学的有効成分及び/又は生物学的有効成分を含み、かつ、前記医薬組成物における、前記化学的有効成分に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/化学的有効成分の質量濃度)が(1~110)/(1~100)である。
さらに、本発明は、治療効果を呈しうるプロバイオティクス成分と、薬学的に許容される適当な担体を含むが、血液浸透圧を正常な生理学的レベルまで上昇させる塩又は単糖を含まない、局所病変疾患の治療のための局所医薬組成物であって、前記治療効果は、局所効果(又は局所的相乗効果)及び/又は免疫療法を含む局所治療を含む。
場合によっては、好ましくは、プロバイオティクス成分の治療効果と相乗効果を呈しうる化学的有効成分を含む。
また、治療効果を呈しうるプロバイオティクス成分、プロバイオティクス成分の治療効果と相乗効果を呈しうる化学的有効成分及び薬学的に許容される適当な担体を含み、かつ前記化学的有効成分に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/化学的有効成分の質量濃度)が(1~110)/(1~100)である、局所病変疾患治療のための局所医薬組成物であって、前記治療効果は、局所効果(又は局所的相乗効果)及び/又は免疫療法を含む。
好ましくは、当該プロバイオティクス成分は、細菌の免疫原性を最小限に抑制し、天然のプロバイオティクス又は加工された前記プロバイオティクスに由来する製剤、又は前記製剤の人工的な類似体から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用又は医薬組成物であって、前記製剤は、前記プロバイオティクスの水溶性成分、前記プロバイオティクスの半流動体様成分、前記プロバイオティクス成分の水不溶性粒子、不活化された前記プロバイオティクス、及び当該誘導体からなる群から選択される1つ以上である。
好ましくは、当該プロバイオティクスの水溶性成分は、前記プロバイオティクス又は破壊された前記プロバイオティクスの上清成分、前記プロバイオティクスの抽出物、前記プロバイオティクスの細胞内水溶性成分、前記水溶性成分の水溶性誘導体又は前記プロバイオティクスの細胞壁成分の非水溶性成分、前記プロバイオティクスのリボ核酸、及び当該誘導体の1つ以上から選択される。当該前記プロバイオティクスの半流動体様成分は、前記プロバイオティクスの多糖類及びその類似体の1つ以上の、水性混合物が半流動体様組成物を形成しうる前記プロバイオティクス成分の1つ以上から選択される。前記プロバイオティクス成分の水不溶性粒子は、前記破壊された前記プロバイオティクスの沈殿成分、前記プロバイオティクスの細胞壁多糖類粒子、前記プロバイオティクスの細胞壁多糖類ナノ粒子及びその誘導体の1つ以上からなる群から選択される。場合によっては、前記不活化プロバイオティクスは、完全な形態である不活化プロバイオティクスから選択される。ここで、前記プロバイオティクスの水溶性成分は、前記プロバイオティクスの水溶性β-グルカン、又は90%以上の純度の水溶性β-グルカンから選択される、前記プロバイオティクスのβ-グルカンの水溶性誘導体、前記プロバイオティクスのリボ核酸、及び当該誘導体のうちの1つ以上からなる群から選択される。
【0007】
好ましくは、前記プロバイオティクスは、前記プロバイオティクスのBacillus、プロバイオティクスのLactobacillus、プロバイオティクスのBifidobacterium、プロバイオティクスの真菌のうちの1つ以上からなる群から選択される。
好ましくは、前記Bacillusは、Bacillus licheniformis、Bacillus subtilis、Bacillus pumilus、Bacillus nattoを含む群から選択された1つ以上を含み、前記Lactobacillusは、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus pumilus及びLactobacillus fermentumを含む群から選択された1つ以上を含み;前記Bifidobacteriumは、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium breve、Enterococcus faecium及びStreptococcus fecalisを含む群から選択された1つ以上を含み;前記真菌は、酵母及びBrettanomycesを含む群から選択された1つ以上を含むが、ここで、前記酵母は、Saccharomyces cerevisiae、Torulaspora delbrueckii、Wickerhamomyces、Pichia、Candida utilis、Kluyveromyces marxianusを含む群から選択された1つ以上を含む。
【0008】
好ましくは、前記プロバイオティクスは、Saccharomyces cerevisiae及び/又はBrettanomyces bruxellensisから選択される。
【0009】
好ましくは、前記適当な担体は水であり、前記化学活性成分は水に可溶であり、前記プロバイオティクス成分は水に不溶であり、不活化プロバイオティクス、プロバイオティクス成分水不溶粒子、プロバイオティクス半流動体様成分及び当該誘導体からなる群から1つ以上選択される。
好ましくは、前記プロバイオティクスの成分は、医薬組成物中に、0.1%より多いか、0.25%以上、0.25~25%、0.5~25%、1~5%、5~15%又は15~25%の濃度で存在する。
好ましくは、前記プロバイオティクスの成分に前記不活化プロバイオティクスが含まれる場合、前記不活化プロバイオティクスは前記医薬組成物中に0.3%より多いか、0.75%以上、0.75~15%、1.5~15%又は5~15%の濃度で存在し;前記プロバイオティクス成分に前記プロバイオティクス水溶性成分が含まれる場合、前記プロバイオティクス水溶性成分は医薬組成物中に0.1%より多いか、0.15~25%、0.35~5%、5~15%又は15~25%の濃度で存在し;前記プロバイオティクス成分に前記プロバイオティクス非水溶性成分粒子が含まれる場合、前記プロバイオティクス非水溶性成分粒子は医薬組成物中に0.5より多いか、又は0.5~15%、1.5~15%又は5~15%の濃度で存在し;医薬組成物が半流動体様組成物である場合、前記プロバイオティクス半流動体様成分は医薬組成物中に2.5%より多いか、2.6~25%、好ましくは、5~15%の濃度で存在する。
【0010】
好ましくは、前記化学活性成分が弱性局所作用性化合物及び/又は細胞毒性剤を含む群から選択される1つ以上であり、かつ、前記化学活性化合物が前記細胞毒性剤を含む場合、前記細胞毒性剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W細胞毒性剤)は(1~110)/(1~100)であり、前記化学活性化合物が前記弱性局所作用性化合物を含む場合、前記プロバイオティクス成分と前記弱性局所作用性化合物(Wプロバイオティクス成分/W弱性局所作用性化合物)の質量比は(1~90)/(1~100)である。
好ましくは、アミノ酸栄養素、生体色素、キニーネ剤、低濃度酸性化剤、低濃度塩基化剤、酸性化剤及び/又は塩基化剤の一つ以上を含む群から選択され、かつ、
前記弱性局所作用性化合物が前記アミノ酸栄養素を含む場合、前記プロバイオティクス成分と前記アミノ酸栄養素の質量比(Wプロバイオティクス成分/Wアミノ酸栄養素)は(1~20)/(1~100)であり、
前記弱性局所作用性化合物が前記生体色素を含む場合、前記生体色素に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W生体色素)は(7~90)/(1~100)であり;
前記弱性局所作用性化合物が前記キニーネ剤を含む場合、前記キニーネ剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W生体色素)は(2~90)/(1~100)であり;
前記弱性局所作用性化合物が前記酸性化剤及び/又は前記塩基化剤を含む場合、前記酸性化剤及び/又は前記塩基化剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W酸性化剤及び/又は塩基化剤)は(2~60)/(1~100)である。
好ましくは、前記化学活性成分は、生体色素及び1つ以上の他の前記化学活性成分から選択される。
好ましくは、前記化学活性成分は、細胞毒性剤及び生体色素から選択される。
【0011】
好ましくは、前記アミノ酸栄養素は、アルギニン、リジン、グリシン、システイン、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸を含む群から選択される、アミノ酸又はその塩であり、又はこれらを含む若しくはからなる群から選択されるあり御ペプチド又はポリペプチドであり、かつ、前記アミノ酸栄養素は、2.5%より多いか、5~30%、又は5~25%の濃度で存在する。
好ましくは、前記生体色素は、ベンガルレッド及び/又はメチレンブルー系色素であるメチレンブルー、パテントブルー、イソスルファーブルー、ネオメチレンブルーを含む群から選択される1つ以上であり、かつ、前記ベンガルレッドの濃度は、2.5%~20%であり、かつ、メチレンブルー系色素の濃度は、0.25%以上、0.25~2.5%、又は0.5~2.5%である。
【0012】
好ましくは、前記酸性化剤は一つ以上の強酸及び/又は弱酸から選択され、かつ、前記酸性化剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/酸性化剤の質量濃度)は(1~20)/(0.5~50)であり、かつ、前記酸性化剤の濃度は0.5%以上、0.5~2%(強酸)、又は2~15%(弱酸)であり、かつ、前記強酸は、例えば塩酸であり、ここで、前記弱酸は、例えば、グリコール酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸であり;前記塩基化剤は、例えば、1つ以上の強アルカリ又は弱アルカリから選択され、前記塩基化剤に対する前記プロバイオティクス成分の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/塩基化剤の質量濃度)は、(1~20)/(0.5~50)であり、前記塩基化剤の濃度は、0.5%以上、0.5~5%(強アルカリ)又は2~15%(弱アルカリ)であり、ここで、前記強アルカリは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムであり;前記弱アルカリは、例えば、リン酸二水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムである。
【0013】
好ましくは、前記細胞毒性剤は、シクロホスファミド、カルムスチン、金属白金錯体、ドキソルビシン系薬物、トポテカン、イリノテカン等のDNA構造及び機能を撹乱する薬物抗腫瘍抗生物質等のRNA転写を阻害するためにDNAに挿入される薬物;5-フルオロウラシル(5-Fu)、フロフルオロウラシル、ジフロフルオロウラシル、シトシンアラビノシド、環状シチジン、5-アザシチジン等のDNA合成を阻害する薬物;コルヒチン系薬物、ビンクリスチン系薬物、タキサン系薬物等のタンパク質合成に影響を及ぼす薬物を含む群から選択される一つ以上を含み、かつ、前記細胞毒性剤の濃度が0.1%以上、又は0.1~15%である。
好ましくは、当該医薬組成物が場合によっては、生物活性成分をさらに含み、前記生物活性成分は抗原、免疫調節抗体、サイトカイン、アジュバントのうちの1つ以上から選択される。
【0014】
局所病変疾患を治療する方法であって、上記記の治療有効量の医薬組成物を、局所病変内及び/又は局所病変外でそれが必要な被験体に局所投与する工程を含む、方法である。
好ましくは、この方法はさらに、化学療法、免疫療法、放射線療法、外科手術、化学的アブレーション、物理的アブレーション等の1つ以上の他の治療を、場合によっては、当該医薬組成物の投与前、投与中又は投与後に投与する段階を含む。
好ましくは、前記プロバイオティクスの成分に前記不活化プロバイオティクスが含まれる場合、前記不活化プロバイオティクスは前記医薬組成物中に0.1%より多いか、0.25%以上、0.25~25%、0.5~15%、1~15%又は5~15%の局所濃度で投与される。
好ましくは、前記プロバイオティクスの成分に前記不活化プロバイオティクスが含まれる場合、前記不活化プロバイオティクスは前記医薬組成物中に0.3%より多いか、0.75%以上、0.75~15%、1.5~15%又は5~15%の局所濃度で投与され;前記プロバイオティクス成分に前記プロバイオティクス水溶性成分が含まれる場合、前記プロバイオティクス水溶性成分は医薬組成物中に0.1より多いか、0.15~25%、0.35~5%、5~15%又は15~25%の局所濃度で投与され;前記プロバイオティクス成分に前記プロバイオティクス非水溶性成分が含まれる場合、前記プロバイオティクス非水溶性成分は医薬組成物中に0.5より多いか、又は0.5~15%、1.5~15%又は5~15%の局所濃度で投与される。
好ましくは、当該医薬組成物の含有量又は単位含有量が、その投与量が>0.1、0.15~1.5、好ましくは0.23~1.5又は0.5~1.5に局所病変内の標的領域の体積を乗じた係数である。
好ましくは、当該医薬組成物の含有量又は単位含有量が、1ml以上の容量で投与されるか、又は局所病変内の10~150ml及び/又は局所病変外の1.5~50mlの容量で投与される。
【0015】
好ましくは、前記局所病変は腫瘍細胞及び/又は線維芽細胞を含む。
好ましくは、前記局所病変疾患は腫瘍、非腫瘍性肥大、局所炎症、内分泌腺機能不全及び皮膚疾患を含み、前記腫瘍は、悪性及び非悪性の固形腫瘍を含む。
好ましくは、固形腫瘍は、乳がん、膵がん、甲状腺がん、上咽頭がん、前立腺がん、肝臓がん、肺がん、腸がん、口腔がん、食道がん、胃がん、喉頭がん、精巣がん、膣がん、子宮がん、卵巣がん、脳腫瘍及びリンパ腫のうちの一つ以上の腫瘍及びその二次腫瘍を含む。
【0016】
好ましくは、上記の局所的効果(又は局所的相乗効果)は局所的化学的効果(又は局所的化学的相乗効果)を含み、場合によっては、他の効果を生じる上記の局所的治療は、1つ以上の局所病変に対する化学的アブレーション様化学療法及び、場合によっては、他の化学療法を含み、上記の免疫療法は、上記の局所的効果(又は局所的相乗効果)の二次的な免疫学的効果及び、場合によっては、上記病変の内部及び/又は外部の他の免疫学的効果を含む。
好ましくは、前記治療に適用可能な患者は、免疫抑制患者、病変内に局所的に投与可能な患者、局所病変組織が化学的アブレーション様に適合する患者、局所病変内に二次免疫物質を産生可能な患者、及び病変外の投与領域内に二次免疫物質を産生可能な患者のうちの1つ以上からなる群から選択される。
【0017】
プロバイオティクス成分及び薬学的に許容される適当な担体を含む局所病変疾患の治療用医薬組成物であって、前記局所病変疾患が固形腫瘍を含む。
医薬組成物を含む1つ以上の容器を含む、医薬キットである。好ましくは、医薬キットは、さらに、前記医薬組成物が必要な被験体に投与する方法に関する説明書又はラベルを含む。好ましくは、当該投与は局所病変内での投与、又は局所病変内及び局所病変外での投与を含み、局所病変外での当該投与は、例えば、当該被験体の腋窩下への皮下注射を含む。
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明の技術的解決策は、プロバイオティクス成分と薬学的に許容される担体とを含み、当該プロバイオティクス成分の濃度が0.25~25%である、局所病変治療のための局所投与物(又は医薬品)として実現される。
好ましくは、当該局所投与物は、弱性局所作用性化合物及び/又は細胞毒性剤をさらに含み、ここで、弱性局所作用性化合物は1~20%の濃度であり、細胞毒性剤は1~5%の濃度である。
好ましくは、当該局所投与物の組成物は、0.25%~10%のプロバイオティクス成分を含み、さらに0.1~2.5%の細胞毒性剤及び/又は5~20%のアミノ酸栄養素及び/又は0.5~1%の活性染料を含む。
好ましくは、当該局所投与物の組成物は、0.5%~10%のプロバイオティクス成分を含み、さらに0.5~1%のメチレンブルー又は5~20%のリジン又は0.1~2.5%のゲムシタビン又は5-フルオロウラシルを含む。当該局所投与物の組成物は、0.25~0.5%のプロバイオティクス成分及び5~10%のアルギニンを含む。
【0019】
当該局所投与物の構成は、プロバイオティクス成分2.5%、5-フルオロウラシル1%、残りが注射用水;又はプロバイ2.5%オティクス成分2.5%、アルギニン10%、残りが注射用水;又はプロバイオティクス成分2.5%、5-フルオロウラシル1%、アルギニン10%、残りが注射用水;又は熱不活化Saccharomyces boulardii 5%、メチレンブルー1%、残りが注射用水;又は熱不活化Saccharomyces boulardii 5%、5-フルオロウラシル1%、残りが注射用水;又は熱不活化Saccharomyces boulardii 5%、5-フルオロウラシル1%、メチレンブルー1%、残りが注射用水;又は半流動性組成物のβ-グルカン7.5%、メチレンブルー1%、5-フルオロウラシル1%、残りが注射用水;又は破壊されたSaccharomyces boulardii上清成分5%、メチレンブルー1%、5-フルオロウラシル1%、残りが注射用水;又は破壊されたSaccharomyces boulardii上清成分5%、メチレンブルー1%、5-フルオロウラシル1%、残りが注射用水;又は熱不活化されたSaccharomyces boulardii上清成分5%、メチレンブルー1%、5-フルオロウラシル1%、残りが注射用水;又はβ-グルカン5%、メチレンブルー1%、5-フルオロウラシル1%を水性懸濁液中で加熱し、冷却して得られる半流動体;又は水溶性のSaccharomyces cerevisiaeβ-グルカン5%、メチレンブルー1%、5-フルオロウラシル1%及び残りが注射用水;又はSaccharomyces cerevisiaeリボ核酸20%、メチレンブルー1%、5-フルオロウラシル1%及び残りは注射用水を含む。好ましくは、当該局所投与の構成は、プロバイオティクス成分10%、メチレンブルー1%、5-フルオロウラシル1%を含む。好ましくは、当該局所投与の構成は、プロバイオティクス成分0.5%/重炭酸ナトリウム7%/水酸化ナトリウム3%又はプロバイオティクス成分10%/重炭酸ナトリウム0.7%/水酸化ナトリウム0.3%を含む。好ましくは、当該プロバイオティクス成分は、不活化プロバイオティクス、プロバイオティクス水溶性成分、プロバイオティクス水不溶性成分粒子、プロバイオティクス半流動様成分の少なくとも1つを含む。好ましくは、当該プロバイオティクスは、Bacillus、Lactobacillus、Bifidobacterium、プロバイオティクス真菌の少なくとも1つを含む。好ましくは、当該プロバイオティクスはSaccharomyces boulardiiである。好ましくは、当該局所投与物は、浸透圧調節剤、香料を含まない。
【0020】
先行技術と比較して、本発明に記載された局所投与物は、新規な薬理(局所的効果又は局所的相乗作用、及びそこからの二次的な免疫学的効果)を提供することにより、先行技術のプロバイオティクス組成物では達成できない、化学的アブレーション様治療を含む局所治療及び/又は二次免疫学的効果を含む免疫療法を行うことができるという利点がある。局所治療は、先行技術のプロトコルをはるかに超える治療効果(例えば3倍以上の腫瘍抑制率)及び適応(例えば、先行技術における腫瘍特異性の限界を突破し、患者の免疫機能に依存する限界を突破する)をもたらすことができる。また、免疫療法は、先行技術のプロトコル(例えば、当該二次的な免疫学的効果又は病変領域内及び/又は病変領域外で得られる免疫学的効果の大幅な増強が、身体の免疫増強の期待を大幅に超える場合)及び適応をはるかに超える免疫学的効果をもたらすことができる。さらに、本発明の実施形態には、さらに、投与モードを制限しない先行技術の実施形態の安全性リスクを大幅に低減するという利点がある。
【0021】
本発明による実施形態には、局所病変疾患の治療のための他の組成物の先行技術に対する以下の利点がある:ほとんど無毒の全身安全性及び既存の細胞毒性剤と比較して有意に高い長期効能;より要求の少ない適応スクリーニング、及び既存の分子標的剤と比較して急速に成長する腫瘍、大きな腫瘍及び低血管性腫瘍を標的とする大きな可能性;既存の化学的アブレーション剤と比較して局所刺激性が有意に低く、長期効果が良好である。また、本発明の使用及び組成物は、既存の細胞毒性薬物及び既存の分子標的薬で遭遇する薬剤耐性の問題とは関連がない。さらに、使用及び組成物は、準備が容易かつ安価であり、高費用の支払いが困難な幅広い人々に安全かつ効果的な治療を提供する上で特に有用である。
本発明はまた、局所病変疾患の治療のための局所医薬組成物の調製における上記の局所投与物の使用を提供し、ここで、前記治療効果は、局所効果(又は局所相乗作用)及び/又は免疫療法を含む局所治療を含む。好ましくは、前記医薬組成物の含有量又は単位含有量は、投与体積V1=(0.15~1.5)×V2、好ましくは(0.23~1.5)×V又は(0.5~1.5)×V(Vは局所病変内の標的領域の体積)とする。好ましくは、前記投与体積Vは1.5~150ml、又は局所病変内に投与する場合、投与体積Vは10~150ml、又は局所病変外に投与する場合、投与体積Vは1.5~50mlとする。
【0022】
好ましくは、前記局所病変は腫瘍、非腫瘍性腫大、局所炎症、内分泌腺機能障害、皮膚疾患を含み、ここで、前記腫瘍は悪性及び非悪性の固形腫瘍を含む。好ましくは、前記固形腫瘍は、乳がん、膵がん、甲状腺がん、上咽頭がん、前立腺がん、肝がん、肺がん、腸がん、口腔がん、食道がん、胃がん、喉頭がん、精巣がん、膣がん、子宮がん、卵巣がん、脳腫瘍、リンパ腫のうちのいずれかである。
本発明はまた、上記のような医薬組成物を含む1つ以上の容器からなる医薬キットを提供する。好ましくは、当該医薬キットは、さらに、当該医薬組成物が必要な被験体に投与する方法に関する説明書又はラベルを含む。好ましくは、局所病変内に投与すること、又は局所病変内及び局所病変外に投与することを含み、局所病変外への投与は腋窩下の皮下注射である。
また、本発明は、局所病変内又は局所病変内及び局所病変外の患者に上記のような治療有効量の医薬組成物を投与することを含む、局所病変疾患を治療する方法を提供する。好ましくは、化学療法、免疫療法、放射線療法、外科手術、化学的アブレーション、物理的アブレーションのうち少なくとも1つは、当該医薬組成物の投与前及び/又は投与中及び/又は投与後に実施される。好ましくは、当該医薬組成物の投与後、その中のプロバイオティクス成分の局所投与濃度は0.25~25%、好ましくは0.5~15%、より好ましくは1~15%又は5~15%である。
好ましくは、当該患者は、免疫抑制患者、病変内に局所的に投与可能な患者、局所病変組織が化学的アブレーション様治療に適している患者、局所病変内に二次免疫物質を産生可能な患者、病変外の投与領域内に二次免疫物質を産生可能な患者のうちの1つ以上からなる群から選択される患者のいずれかである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態と特徴は、競合しない限り、互いに組み合わせることができる。L-アミノ酸は、本出願ではアミノ酸と省略され、例えば、L-アルギニンはアルギニンと省略される。
ある物質が特定の条件下で治療活性を示す場合、これはその物質が局所病変疾患の治療において有効成分として使用できることを示す。同じ物質であっても、異なる条件下で異なる活性や薬理作用を示すことがあり、例えば、エタノールは殺菌剤として一般的に使用されているが、高濃度のエタノールは腫瘍内投与によって腫瘍組織に対する化学的アブレーションの薬理作用を示す。
発明者らは、意外にも、腫瘍があるヌードマウスを使った実験で、通常は免疫増強剤として用いられるプロバイオティクスを不活化することで、実際に局所的に大きな化学的効果をもたらすことができることを発見した。特定の条件下では、化学的なアブレーションのような効果さえも引き起こしうる。特定の条件は、先行技術におけるプロバイオティクス成分の適用条件ではなく、以下に定義されるようなものである。
本出願の発明の目的は、局所病変疾患の治療のための局所医薬組成物の製造におけるプロバイオティクス成分の使用を提供することであり、当該プロバイオティクス成分は治療効果がある有効成分として用いられうる。本出願で用いられる関連用語を以下に説明する。
【0024】
用語「プロバイオティクス」は、宿主の健康に有益な効果をもたらしうる非病原性の生細菌及び真菌をいう。用語「プロバイオティクス成分」は、天然のプロバイオティクス又は人工プロバイオティクスに由来する製剤(例えば、細胞壁多糖)、又はそのような製剤の類似体をいう。用語「類似体」は、製剤と同様の活性がある類似物質をいい、製剤の誘導体(例えば、細胞壁多糖類の誘導体であって、水溶性又は活性を向上させることができるもの)、合成製品(例えば、細胞壁多糖に類似した合成多糖)、プロバイオティクス製剤に類似したその他の原料製剤(例えば、細胞壁多糖に類似した別の供給源多糖)があげられる。
用語「医薬」又は「医薬組成物」は、有効成分を含み、患者においてその薬理を達成するために必要な薬理的方法や薬理的構成等の薬学的特性を示す物質をいう。用語「有効成分」は、特定の条件下で特定の薬理を行うことができる物質をいう。用語「薬理的方法」は、特定の薬理を達成するために必要な投与経路をいい、例えば、プロバイオティクスによる腸のバリアを改善する薬理的方法は経口投与である。用語「薬理組成物」とは、ある特定の薬理を達成するために必要な医薬組成物を含む成分、特に標的領域に入る医薬組成物をいう。異なる薬理作用には通常、異なる好ましい薬理組成物(有効成分、有効動態、剤形条件等)が必要である。用語「活性動的条件」とは、有効成分がある特定の薬理作用を達成するために満たさなければならない定量的条件のことであり、異なる有効成分として用いられる同一の物質には、異なる動的条件を満たす必要がある場合がある。用語「剤型条件」とは、有効成分がある特定の薬理作用を達成するために満たさなければならない薬理反応の環境条件のことであり、異なる有効成分として用いられる同一の物質についても、異なる剤形条件を満たす必要がある場合がある。例えば、プロバイオティクスとその成分を含有する医薬組成物の場合、先行技術において全身作用型有効成分として用いられる場合、薬物を運搬する血液として標的領域の反応器に入るため、開放型構成の従来の剤形(例えば、経口剤の香料、従来の注射剤の浸透圧調整剤等である)を用いることができる。本発明において局所有効成分として用いられる場合、反応環境に対する感度が高く、一般的に用いられる特定の添加物(例えば、次の例では浸透圧調整剤としてよく用いられる塩化ナトリウム)がプロバイオティクス成分の局所活性に悪影響を及ぼす場合があるため、外因性の干渉を最小限に抑えるために、閉鎖型構成の薬理的剤形を用いなければならない。
【0025】
用語「治療薬」は用語「(治療のための)補助薬」とは区別され、前者は治療効果をもたらす薬物をいい、後者は(治療のための)補助的効果をもたらす薬物をいう。用語「治療効果」は、補助的効果(例えば、局所病変の局所治療や免疫療法)とは区別され、前者は、疾患の有効な寛解、改善又は治癒をもたらす一次的な薬理作用であるのに対し、後者は、疾患の有効な寛解、改善又は治癒をもたらさないが、それでも患者にとって有益である二次的な薬理作用である(例えば、生物の免疫強化)。治療効果には通常、単独で用いた場合には有意な効果が、他の薬剤と併用した場合や他の治療法と併用した場合には一次的又は同等の効果で有意な効果が得られるが、補助的な効果(治療のための効果)は通常、単独で用いた場合には有利だが明らかでない効果、他の薬剤と併用した場合や他の治療法と併用した場合には有利だが非一次的又は同等でない効果で有意な効果が得られるだけである。用語「有意な効果」は、古典的な化学療法剤や古典的な化学的アブレーション剤と比較して、局所病変の増殖又は進行を効果的に阻害することを意味し、例えば、局所病変に対する臨床病理学的有効率(PR+CR)が30%以上、又は動物実験において、腫瘍増殖率が85%以下又は腫瘍阻害率が15%以上、好ましくは、腫瘍増殖率が60%以下又は腫瘍阻害率が40%以上というように、局所病変の増殖阻害の無視できない薬理的意義がある。異なる有効成分として同じ物質を使用しても、全く異なる効果が得られる場合がある。例えば、プロバイオティクス及びその成分を含む医薬組成物の場合、先行技術において全身作用型有効成分として用いられると、主に免疫増強効果等の補助的効果をもたらすが、通常は腫瘍抑制効果を観察するには不十分である。本発明において局所有効成分として用いられると、主に治療効果をもたらす。
【0026】
用語「局所製剤」又は「局所適用のための製剤」は、用語「従来の製剤」又は「従来のように投与される製剤」とは区別され、前者は主に局所薬理に基づく薬物をいい、後者は全身の薬理に基づく薬物をいう。両者の違いは、前者は通常治療薬であるのに対し、後者は治療薬又は(治療のための)補助薬である場合がある;前者の薬理的方法が局所投与、特に局所病変への投与であるのに対し、後者は主に従来通りの投与(全身投与)である等、適応症への影響が全く異なる場合があり、投与の副作用の注意点が全く異なる場合がある;前者の薬理的有効成分が局所作用を示すのに対し、後者の薬理的有効成分は全身作用を示す必要があり、好ましい方向性が全く逆である場合がある;前者の薬力学における本質的な要因は投与濃度であり、後者は投与量に関するものであり、両者の薬物濃度の意味が全く異なる場合がある;前者の薬理的な剤形は局所投与用の剤形であるのに対し、後者の薬理的な剤形は通常投与用の剤形であり、両者の薬理的な剤形の構成は全く異なる要件がある場合がある。
局所投与とは、通常の投与とは区別され、局所的な効果を発現させることを目的とした投与手段であって、局所的な治療効果を発現させることができる病変内投与や病変外有益な局所内投与(例えば、局所効果を生じ、局所効果による二次的な免疫学的効果を促進する皮下注射)を含むものをいうのに対し、通常の投与とは、全身的な効果を発現させることを目的とした投与手段であって、消化管(例えば、経口)や血管(例:静脈注射、腹腔内注射)を介した投与を含み、血液を介して標的領域に到達させることをいう。病変内投与とは、腫瘍内投与、局所病変内への着床、局所病変へのダウニング、局所病変への噴霧、局所病変内への皮下又は経血管的注入、局所病変への挿入等、薬剤を血液で運搬する方法といった間接的ではなく、直接局所病変に薬剤を到達させる投与手段をいう。
【0027】
局所治療とは、全身的治療とは異なり、前者は、患者の局所病変が存在する局所領域(例:局所病変及び局所病変と関連する他の病変部位への投与)を標的として、薬剤自体の局所的な薬理作用(局所活性)を主に用いる治療をいい、後者は、患者の全身的病変(例えば、腫瘍体、腫瘍体と接続している領域;体の他の部分に含まれる腫瘍細胞)を標的として、血液に運搬される薬剤の全身的な薬理作用(従来の活性)を主に用いる治療をいう。従来技術では、局所病変の治療に用いられるプロバイオティクス成分の主要な機能は、治療効果よりもむしろ、はるかに局所的な治療効果である、異種抗原としての治療(例えば、免疫増強作用)に対する補助的効果に基づく。
用語「局所活性」は、従来の活性とは区別され、前者は局所効果及び/又は局所効果に関連する二次効果(中長期的な相乗効果)を提供しうるのに対し、従来の活性は通常全身効果(例:細胞毒性作用、免疫増強作用)のみを提供するが、これらは二つの完全に異なる薬理活性である。用語「局所効果」は、従来の効果とは区別され、組織間質浸透(例えば、腫瘍及び/又は腫瘍外の局所領域)の局所領域内に薬物を局所投与した後に生じる薬理効果をいい、通常は局所化学的効果を含むのに対し、従来の効果は、消化管又は血管を介して薬物を投与し、標的領域に血液を運ぶ方法で薬物を送達した後に生じる薬理効果をいう。用語「局所化学的効果」は、化学作用を含む局所効果をいう。用語「局所的相乗効果(local synergy)」とは、相乗効果があげられるが、局所的効果である。用語「局所化学的相乗効果(local chemical synergy)」は、相乗効果を含む局所化学的効果のことである。二次効果(例えば、二次的な交差距離効果)を通じて、局所活性がシステム的な効果を生み出すことがある。
本出願に記載されている局所化学的効果(又は局所化学的相乗効果)は、薬理的に共通の局所化学的効果、化学的アブレーション及び化学的アブレーション様な効果を含む。共通の局所化学的効果とは、細胞傷害性薬物の通常の投与による化学療法効果等、薬物効果が同じ薬物の通常の化学的効果の動態(例えば200%以内)における最大の予想される差を超えない局所化学的効果をいう。化学的アブレーションとは、同じ薬物の通常の化学的効果(例えば、従来の高濃度エタノール投与による化学療法効果)の動態(例えば、200%を超える、好ましくは、400%を超える)における最大の予想される差を超える局所化学的効果をいい、通常は古典的な化学的アブレーション剤(例えば、高濃度のエタノール、高濃度の酸、高濃度の塩基)の局所化学的効果をいう。化学的アブレーション様とは、(従来の効果の予想を超える)化学的アブレーションに類似した薬物の局所効果をいう。古典的な化学的アブレーション剤によって誘発されないが、化学的アブレーション様効果は薬理的に一般的な局所化学的効果とは異なる。
用語「二次効果」は、用語「直接効果とは区別され、前者は後者に関連するが同一ではなく、後に発生する効果をいい、後者は標的領域(例えば、局所作用は、従来投与されていた局所投与物が局所病変に入り、病変組織と相互作用することで生じる)に入った後に標的に直接反応する薬物の効果をいう。
【0028】
用語「免疫療法」は、用語「免疫増強」とは区別され、前者は単独で用いられる場合に治療的である免疫学的効果をいい(例えば、治療用ワクチン、特異抗体等の免疫学的効果)、後者は単独で用いられる場合に治療的ではないが、依然として補助的効果がある免疫学的効果をいう(例えば、免疫増強剤は生体の免疫機能を高める効果がある)。用語「二次免疫学的効果」は、用語「薬物の抗原的効果」(例えば、異物として体内に入った薬物の抗原作用)という用語とは区別され、前者は薬剤投与に関連する免疫学的効果をいうが、薬剤の局所的な化学的効果によるin situワクチン接種等の薬剤の抗原性効果とは異なる)をいい、後者は薬剤自体の抗原性効果をいう。用語「in situ二次免疫」は、用語「非in situ二次免疫」とは区別され、前者は病変内の二次免疫(例えば、腫瘍体)をいい、後者は病変外の二次免疫(例えば、腋窩下皮内組織において)をいう。用語「二次免疫物質」は、局所投与の結果として投与領域に形成される免疫物質をいい、薬剤投与後に何らかの理由で放出、生成、活性化、又は/又は補充される抗原、アジュバント、又はその他の免疫分子等、投与された薬剤自体とは区別される。用語「in situ二次免疫物質」は、用語「非in situ二次免疫物質」とは区別され、前者は病変内(例えば、腫瘍内)の二次免疫物質(例えば、in situ抗原、in situアジュバント、及び/又は病変内で放出、生成、活性化、及び/又は動員された他の免疫分子)をいい、後者は病変外(例えば、腋窩下皮内組織で)の二次免疫物質(例えば、投与部位で形成される結節性免疫物質、その他の薬物作用の結果として放出、生成、活性化、及び/又は補充されるその他の免疫分子等である)をいう。
【0029】
用語「ワクチン抗原」は、用語「抗原」とは区別され、前者は、生物において特定の疾患に対する治療効果を誘導しうる抗原をいい、例えば、同じ物質は、非常に異なる技術的解決法によって各々ワクチン抗原及び免疫エンハンサー抗原として用いられうるが、後者は、生物において免疫応答を誘導しうるいかなる物質をいう。用語「アジュバント」は、ワクチンにおける抗原の免疫治療効果を高めることができる物質をいう。用語「in situ抗原」は、抗原として用いられうるin situ二次免疫物質をいう。用語「ワクチン様薬物」又は用語「ワクチン様」は、ワクチンの効果と同様の二次的な免疫学的効果をもたらし、場合によっては、外因性の抗原効果の存在をもたらすことができる治療薬(免疫増強剤や従来のワクチンとは異なる)をいう。
本発明の範囲では、当該プロバイオティクス成分は、プロバイオティクス成分との相乗効果を生み出すことができる化学的有効成分及び/又は生物学的有効成分と共に局所的に投与される。一実施形態では、当該プロバイオティクス成分と当該共投与有効成分は同じ薬剤に含まれる。
相乗効果とは、特定の有効成分(例えば、本出願のプロバイオティクス成分)と他の有効成分(例えば、弱性局所作用性化合物及び/又は細胞毒性薬物)とを、特定の条件下(例えば、好ましくは最小限の細菌免疫を提供する薬理的成分と、好ましくは最小限の局所効果を提供する薬理的濃度)で、各々の個々の投与により期待される効果の総和を上回るように組み合わせた効果(例えば、短期及び/又は中長期の効能)をいう。局所的相乗効果とは、相乗効果を含む局所効果をいう。局所的化学相乗効果とは、相乗効果を含む局所化学的効果をいう。
【0030】
量比とは、同一組成物の複数の有効成分(例えば、本出願におけるプロバイオティクス成分及びその共投与物質)の質量比をいう。濃度比とは、同一組成物の複数の有効成分(例えば、本出願におけるプロバイオティクス成分及びその共投与物質)の濃度比をいう。
当該治療に適した患者は、免疫抑制状態の患者(例:免疫不全患者、高齢者)、病変内に局所投与可能な患者、局所病変組織が化学的アブレーションに類似した治療が可能な患者、局所病変内に二次免疫物質を産生可能な患者、病変外の投与領域内に二次免疫物質を産生可能な患者のうちの1つ以上からなる群から選択される。
用語「免疫抑制状態の患者」とは、免疫力が低いために放射線療法や従来の化学療法が困難な患者等、本発明の技術的実施形態の組成物が局所的効果(例えば、以下の例2の初回投与後7日以内)をもたらすことができる期間内に、何らかの理由で免疫機能が低レベルであり、他の方法(例えば免疫増強法)を用いて正常レベルに達することができない患者等、腫瘍を有するヌードマウスモデルによって代表されることができるあらゆる患者をいう。
当該治療効果は、当該局所効果(又は局所相乗作用)及び/又は免疫療法を含む局所治療を含む。
免疫療法としては、当該局所効果(又は局所相乗作用)の二次的な免疫学的効果、及び場合によっては、当該病変の内部及び/又は外部の他の免疫学的効果、及び局所治療は、1つ以上の局所病変の化学的アブレーション様及び、場合によっては、他の化学療法があげられる。好ましくは、医薬組成物は、化学的アブレーション様のin situ及び非in situ免疫療法剤であり、患者は、局所病変内に投与することができ、局所病変組織が化学的アブレーション様及び/又は局所病変内で二次的な免疫学的効果を生じることができる患者、病変外の投与領域内で二次的な免疫学的効果を生じることができる患者のうちの1人以上から選択される。医薬組成物は、化学的アブレーション様薬物又はin situ免疫療法薬であり、in situ免疫療法薬は、病変内の標的領域においてin situワクチン活性化、及び、場合によっては、他の免疫学的効果を提供する免疫療法薬であってよく、また、医薬組成物は、病変外で二次免疫効果を提供し、場合によっては、ワクチン様薬物のような他の免疫学的効果を提供する免疫療法薬であってよい。病変外での二次免疫効果には、局所効果(例えば結節)に二次的な非正常構造からの免疫学的効果があげられる。
【0031】
プロバイオティクス成分は、局所効果、局所効果の二次的効果、局所投与の免疫学的効果のうち少なくとも1つを提供することができ、局所効果の二次的効果としては、薬物投与領域の二次的免疫物質が関与する免疫学的効果があげられる。
プロバイオティクス成分は、プロバイオティクス水溶性成分、プロバイオティクス半流動体様成分、プロバイオティクス成分水不溶性粒子、不活化プロバイオティクスの1つ以上から選択され、細菌の免疫原性が低い。本発明の一例として、当該プロバイオティクス成分は、プロバイオティクス水溶性成分及び/又はその工学的類似体から選択され、当該組成物は溶液組成物である。一実施形態では、当該プロバイオティクス成分は、プロバイオティクス成分の水不溶性粒子及び/又は不活化プロバイオティクスから選択され、当該組成物は懸濁組成物である。一実施形態では、当該プロバイオティクス成分は、プロバイオティクス半流動体様成分から選択され、当該組成物は半流動体様組成物である。一実施形態では、当該組成物は、半流動体様組成物又は水溶液組成物であることが好ましく、より好ましくは半流動体様組成物である。
【0032】
用語「細菌の免疫原性」とは、完全な異物としての細菌がレシピエントに免疫反応を起こす機能をいい、細菌によって細菌の免疫原性は異なる。生のプロバイオティクスは細菌の免疫原性が最も強いが、生物に直接侵入した場合の安全性リスクも高い。用語「不活化プロバイオティクス」とは、高温不活化、高温高圧不活化、紫外線不活化、化学試薬不活化、放射線不活化等の不活化処理後の製剤をいい、用語「プロバイオティクス水溶性成分」とは、プロバイオティクス由来成分のうち、水溶性が0.1%未満のものをいい、用語「プロバイオティクス水溶性成分」とは、プロバイオティクス由来成分のうち、水溶性が0.1%以上のものをいい、用語「破壊されたプロバイオティクス」とは、プロバイオティクスから破壊操作によって得られた混合物をいい、用語「破壊されたプロバイオティクス沈殿成分」とは、破壊されたプロバイオティクス(例えば、ろ過及び/又は遠心分離によって)から分離された、水に不溶の沈殿物及びそのさらに分離された成分とその類似物をいう。用語「破壊されたプロバイオティクスの上清成分」は、破壊されたプロバイオティクス(例えば、ろ過及び/又は遠心分離によって)から分離された上清及びそのさらに分離された成分とその類似物をいう。用語「プロバイオティック細胞壁多糖」は、細胞壁に含まれる多糖及びβ-グルカン等のその類似体をいう。用語「プロバイオティック半流動体様成分」は、本発明の組成物の半流動体様形態を提供するプロバイオティック成分をいう。
【0033】
用語「半流動体様」は、液体と半固体の間の物理的形態の一種をいい、半流動体とその類似物があげられる。用語「半流動体」は、室温での下限時間(例:20秒)内に外圧がなければ視覚的には流れないが、臨床的に許容される外圧(例えば、注射器推進装置に加えることができる外圧)の下で流れ不可逆的に変形しうる物体をいい、液体(同様に外圧がなければ流れる)及び半固体(臨床的に許容される外圧の下で可逆的な変形のみを受ける)とは区別される。用語「半流動体アナログ」は、液体(懸濁液)と半流動体の間の物理的形態をいい、約1分間室温に置いた後、半流動体に近く、懸濁液は著しく層化されているが、半流動体に近く、層化されておらず、約1分間外圧なしで室温に置いた後、肉眼で見える流れを示すが、半流動体はそうではない。5%β-グルカンと水を混合して懸濁液とする等、懸濁液は半流動体のようなものに変化することができ、5%β-グルカン水性懸濁液は加熱して半流動体のアナログに調製することができ、5%β-グルカン/1%メチレンブルー/1% 5-フルオロウラシル水性懸濁液は加熱して半流動体に調製しうる。
プロバイオティクスの水溶性成分は、破壊されたプロバイオティクスからの上清成分、プロバイオティクス抽出物、及びプロバイオティクスの細胞内水溶性成分の少なくとも1つから選択される。プロバイオティクスの半流動体様成分は、水性混合物が多糖類及びその類似体のような半流動体様組成物に形成(例えば、加熱後に冷却、アルカリ化等によって)できるプロバイオティクス成分の1つ以上から選択される。
プロバイオティクスの水不溶性粒子は、破壊されたプロバイオティクス沈殿成分、プロバイオティクス細胞壁多糖類粒子、プロバイオティクス細胞壁多糖類ナノ粒子の少なくとも1つから選択される。
不活化プロバイオティクスは、すべてが完全な不活化プロバイオティクスに限定されず、例えば、不活化プロバイオティクス中の非無傷プロバイオティクスの質量比が20%超又は30%超、又は完全なプロバイオティクスの数が10/ml未満又は0.5×10/ml未満である。
【0034】
プロバイオティクス細菌は、Bacillus、乳酸菌、Bifidobacterium、及びFungusのうち少なくとも1つから選択され、これらは天然に存在するか、又は人工的に作製されてよい。Bacillusは、Bacillus cereus、Bacillus licheniformis、Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、Bacillus firmus、Bacillus coagulans、Bacillus lentus、Bacillus pumilus、Bacillus nattoの1つ以上である。乳酸菌は、Lactobacillus及び/又はBifidobacteriumであり、当該乳酸菌は、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus pumilus及びLactobacillus fermentumの少なくとも1つから選択される。ビフィズス菌は、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Lactobacillus bruce、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus thermophilus、Enterococcus faecium及びStreptococcus fecalisの少なくとも1つを含む。真菌は、酵母及び/又はBrettanomyces bruxellensis(Saccharomyces boulardii)を含み、ここで、前記酵母は、Saccharomyces cerevisiae、Torulaspora delbrueckii、Candida、Wickerhamomyces、Pichia、Torulopsis candida、Saccharomyces chevalieri、Rhodotorula rubra、Schizosaccharomyces、Saccharomyces boulardii、Candida utilisの少なくとも1つを含む。
【0035】
上記のように、当該プロバイオティクス成分が治療効果を発揮するために必要な薬理的構成は、当該プロバイオティクス成分が当該治療効果を発揮するために必要な薬理的濃度(局所投与濃度)であり、0.1%より多いか、0.25%以上、0.25~25%、0.5~15%、又は5~15%を満たす。
用語「濃度」は、医薬品中の特定の成分の質量対体積百分率濃度(w/v)である。用語「薬理的濃度」は、特定の薬理的反応を達成するために必要な、標的領域における特定の成分の、例えば病変内における初期濃度の濃度をいう。用語「製剤濃度」は、製剤形態(注射剤や灌流液等)における特定の成分の濃度をいう。用語「投与濃度」は、製剤の送達形態(例えば、製剤の希釈)における特定の成分の濃度をいう。用語「病変内初期濃度」は、薬剤が病変部に入る時点での、薬剤含有培地(例えば、薬物を含む血液)中の特定成分の濃度をいう。本発明の組成物のプロバイオティクス成分を、従来の注射剤のプロバイオティクス成分と同じ濃度で投与したとしても、各々の薬理作用(局所的な化学効果と免疫増強効果)に必要な腫瘍内初期濃度は全く異なる場合がある。本発明の用途、組成物及び方法の技術的解決策の特徴の1つは、本明細書に記載された効果、特に局所的な化学作用に必要な薬理的濃度(局所投与濃度)を保証することである。
【0036】
用語「標的」は、腫瘍細胞を標的とする細胞毒性薬物、免疫系の調節因子を標的とする免疫調節剤、腫瘍組織を標的とする化学的除去剤等、薬理の主要な目的をいう。用語「標的領域」は、腫瘍又はその部分等、薬物が標的に投与される空間領域をいう。例えば、腫瘍の直径が小さく、必要な投与量を臨床的に単回投与できる場合、標的領域はこの治療の対象となる1つの腫瘍体である。又は、腫瘍の直径が大きく、必要な投与量を臨床的に単回投与できない場合、標的領域はこの治療の対象となる腫瘍の部分である。
【0037】
患者の治療に用いられる場合、組成物の成分又は単位成分は、プロバイオティクス成分が上記の効果を発揮できるようにするために必要な薬理的体積の条件を満たしていなければならず、ここで、当該薬理的体積(局所投与体積)は、1ml以上、又は局所病変内投与では10~150ml、及び/又は局所病変外投与では1.5~50mlである。本発明の用途、組成物及び方法の技術的解決策の特徴の一つとして、当該プロバイオティクス成分の局所的効果のために、具体的には、従来の投与量以上の投与量が必要である。
当該組成物の成分が、当該局所的効果を提供するために必要な局所的な薬理的環境条件を満たすには、相乗剤以外の成分が最小化されなければならず、好ましくは、当該組成物の成分は、固体賦形剤、経口製剤の香料及び従来の注射製剤の浸透圧増加剤等の、従来の組成物における医薬品及び/又は投与安全性のために必要な不活性成分を含まない。
【0038】
一実施形態では、当該医薬組成物の担体は水であり、共投与物質は水溶性であり、当該プロバイオティクス成分は、プロバイオティクス水溶性成分、又は不活化プロバイオティクス、プロバイオティクス成分の水不溶性粒子、プロバイオティクス半流動様成分の1つ以上又はその誘導体の水不溶性成分である。一実施形態では、当該医薬組成物の担体は水であり、当該共投与物質及び/又はは水に不溶性であり、当該プロバイオティクス成分はプロバイオティクス半流動様成分である。
好ましくは、本出願に記載された化学的有効成分は、弱性局所作用性化合物及び/又は細胞毒性薬物から選択され、例えば、当該共投与物質は少なくとも2つの化学的有効成分である。当該化学的有効成分が細胞毒性薬物である場合、細胞毒性薬物に対する当該プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W細胞毒性薬物)は(1~110)/(1~100)であり、当該化学的有効化合物が弱性局所作用性化合物である場合、弱性局所作用性化合物に対する当該プロバイオティクス成分の質量比(Wプロバイオティクス成分/W弱性局所作用性化合物)は(1~90)/(1~100)である。
【0039】
用語「化学的有効成分」は、細胞毒性薬物及び局所化学成分を含む、化学的効果をもたらすいかなる有効成分をいう。用語「局所化学成分」は、局所投与されたときに局所化学的効果をもたらすことができるいかなる有効成分をいう。用語「弱性局所作用性化合物」は、特定の条件下で古典的な化学的アブレーション剤よりも局所的効果が低い化学的有効成分をいう(例:共投与物質として用いた場合の濃度)。弱性局所作用性化合物は、アミノ酸栄養素、生体色素、キニーネ剤、低濃度酸性化剤、低濃度塩基化剤、酸性化剤及び/又は塩基化剤を含むpH緩衝系を含む。共投与物質は、生体色素と少なくとも1つの他の化学活性成分、生体色素と細胞毒性薬物、生体色素とアミノ酸栄養素、又は細胞毒性薬物と少なくとも1つの他の化学活性成分であってよい。
当該弱局所作用性化合物がアミノ酸栄養素である場合、当該プロバイオティクス成分とアミノ酸栄養素の質量比(Wプロバイオティクス成分/Wアミノ酸栄養素)は、(1~20)/(1~100)、当該弱局所作用性化合物が生体色素である場合、当該プロバイオティクス成分と生体色素の質量比(Wプロバイオティクス成分/W生体色素)は、(7~90)/(1~100)、当該弱局所作用性化合物がキニーネ剤である場合、当該プロバイオティクス成分とキニーネ剤の質量比(Wプロバイオティクス成分/Wキニーネ剤)は、(2~90)/(1~100);当該弱局所作用性化合物が酸性化剤及び/又は塩基性化剤である場合、当該プロバイオティクス成分と酸性化剤及び/又は塩基性化剤の質量比(Wプロバイオティクス成分/W酸性化剤及び/又は塩基性化剤)は、(2~60)/(1~100)である。
【0040】
用語「アミノ酸栄養素」とは、公的な薬局方又はガイドラインに記載されている栄養的健康効果があるアミノ酸化合物、好ましくは栄養的健康効果があるアミノ酸栄養剤又はアミノ酸補助材料をいう。アミノ酸栄養素としては、アミノ酸、アミノ酸塩、オリゴペプチド及びポリペプチドがあげられれる。好ましくは、前記アミノ酸栄養素は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、セリン、システイン、メチオニン、トレオニン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、β-アラニン、タウリン、ガンマアミノ酪酸(GABA)、テアニン、シトルリン、オルニチンからなる群から選択されるアミノ酸若しくはその塩、又はこれらのオリゴペプチド及びポリペプチドがあげられる。好ましくは、当該アミノ酸栄養素は、アミノ酸若しくはその塩、又はアルギニン、リジン、グリシン、システイン、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸を含むか又はこれらからなるオリゴペプチド及びポリペプチドを含む。一実施形態では、前記アミノ酸栄養素の濃度は2.5%より多いか、5~30%、又は5~25%の濃度で存在する。
【0041】
用語「生体色素」は、生体の動物組織に侵入後に組織、細胞、細胞内ユニット等を染色しうるが、動物全体に許容できないほど有害ではない芳香族化合物色素をいう。生体色素は、メチレンブルー、パテントブルー、イソスルファーブルー、ベンガルレッド、トルイジンブルー、トリパンブルー、アルカリブルー、エオシン、アルカリフクシン、クリスタルバイオレット、リンドウバイオレット、ニュートラルレッド、ヤヌスグリーンB、サフラニンの少なくとも1つを含む。好ましくは、当該生体色素は、メチレンブルー、パテントブルー、イソスルファーブルー、ネオメチレンブルー等のメチレンブルー系色素である。一実施形態では、当該生体色素は、0.25%以上、0.25~10%、好ましくは0.25~1.5%又は2.5%~10%の濃度である。好ましくは、生体色素は、0.35%以上、好ましくは、0.35~2.5%、より好ましくは0.35~1.5%又は0.5~1%の濃度(w/v)のメチレンブルー系色素である。一実施形態では、前記生体色素は、1~10%の濃度(w/v)のベンガルレッドである。
【0042】
キニーネ化合物は、0.5%以上又は0.5~5%、好ましくは、1.5~5%又は1.5%~3%の濃度のキニーネ、一塩酸キニーネ、二塩酸キニーネの少なくとも1つを含む。用語「酸性化剤」は、主に医薬品の調製、より具体的にはpH調整の補助材料として用いられる酸をいい、酸性を提供し、通常用いられる場合に特定の生物活性を導入しない。好ましくは、各国の公式行政当局によって承認された強酸及び/又は弱酸、又は各国の公式薬局方やガイドラインに含まれる。強酸として、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、セレン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、塩素酸等があり、好ましくは、塩酸があげられる。弱酸としては、炭酸、ホウ酸、酢酸、リン酸、亜硫酸、ピルビン酸、シュウ酸、酒石酸、亜硝酸等があげられ、好ましくは、酢酸である。一実施形態では、当該プロバイオティクス成分と酸性化剤の質量比、すなわち質量濃度(Wプロバイオティクス成分/W酸性化剤)は(1~20)/(0.5~50)である。一実施形態では、当該酸性化剤の濃度は0.5%以上、0.5~2%(強酸)又は2~15%(弱酸)である。
【0043】
一実施形態では、当該プロバイオティクス成分と塩基性化剤の質量比(プロバイオティクス成分の質量濃度/塩基性化剤の質量濃度)は(1~20)/(0.5~50)である。一実施形態では、前記塩基性化剤の濃度は、0.5%以上、0.5~5%(強アルカリ)、及び/又は2~15%(弱アルカリ)である。用語「塩基性化剤」は、主に製剤の補助材料として、より具体的にはpH調整のために用いられるアルカリ化合物をいう。このましくは、各国の公式行政当局によって承認された塩基性化剤から選択されるか、又は各国の公式薬局方又はガイドラインに含まれ、強アルカリと弱アルカリがあげられる。強アルカリはアルカリ金属水酸化物及び/又は有機強アルカリであり、医薬組成物中の濃度(w/v)が0.5%以上、好ましくは、0.5~7.5%又は0.75~7.5%である。好ましくは、前記強アルカリは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、より好ましくは水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物である。弱アルカリは、多塩基性弱酸の酸性無機塩、多塩基性弱酸のアルカリ無機塩、窒素含有弱アルカリを含み、多塩基性弱酸の酸性無機塩は、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、硫酸水素ナトリウム、好ましくは炭酸水素ナトリウムを含む。一実施形態では、当該医薬組成物中の多塩基性弱酸の酸無機塩の濃度(w/v)は、1%以上、好ましくは2~10%又は3~10%である。
多塩基性弱酸のアルカリ無機塩としては、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ砂、好ましくは炭酸ナトリウムがあげられ、かつ、当該医薬組成物中の当該多塩基性弱酸のアルカリ無機塩の濃度(w/v)は、1%以上、好ましくは2~10%又は3~10%である。窒素を含む弱アルカリとしては、アンモニア、塩化アンモニア、2~アミノエタノール、トリステアリン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシメチルアミノメタン、2~アミノエタノール、トリステアリン、トリエタノールアミン、メグルミン、N~エチルグルカミンがあげられる。また、当該医薬組成物中の窒素を含む弱アルカリの濃度(w/v)は、好ましくは、2%以上、2~35%又は3~35%である。塩基性化剤は水酸化ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムであってよく、当該医薬組成物中の2つの化合物の濃度(w/v)は各々2~5%、3~10%である。また、塩基性化剤は炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムであってよく、当該医薬組成物中の2つの化合物の濃度(w/v)は各々3~10%、3~10%である。好ましくは、当該医薬組成物は、酸性化剤及び/又は塩基性化剤を含み、pH緩衝能がある。
化学的有効成分は、少なくとも1つの細胞毒性薬物を含み、当該細胞毒性薬物は、抗腫瘍薬の有効成分を含む。ここで、抗腫瘍薬の有効成分の濃度は、0.1%以上、0.1~15%である。
用語「細胞傷害性薬物」は、通常の化学療法剤のように、主に疾患細胞又は疾患細胞の細胞内構造を標的として薬物効果を達成する有効成分をいう。用語「通常の化学療法剤」は、安全な用量で通常の投与により局所病変疾患を効果的に治療するために用いられうる薬物をいい、好ましくは、各国の公的な行政当局(例:FDAや中国薬局方)によって承認されているか、承認される予定の通常の化学療法剤(例えば、抗悪性腫瘍薬)、又は各国の公的な薬局方に含まれる予定のものをいう。
【0044】
抗腫瘍薬の有効成分は、1)シクロホスファミド、カルムスチン等のアルキル化剤、b)シスプラチン、カルボプラチン等の金属白金錯体、c)ドキソルビシン薬、トポテカン、イリノテカン等のDNAトポイソメラーゼ阻害剤、2)アクチノマイシン、エリスロマイシン、ドキソルビシン等の抗腫瘍抗生物質のようにDNAにインターカレートしてRNA転写を阻害する薬物等、3)DNA合成を阻害する薬物であって、a)5-フルオロウラシル、フロフルオロウラシル、ジフロフルオロウラシル等のピリミジン拮抗薬、シトシンアラビノシド等のシトシン誘導体、環状シチジン、5~アザシチジン等のウラシル誘導体、b)リゾレシチン、チオグアニン等のプリン拮抗薬、c)メトトレキサート等の葉酸拮抗薬;4)コルヒチン、ビンクリスチン、パクリタキセル、ドキソルビシン等のタキサン等のタンパク質合成に影響を及ぼす薬物等から選択することができる。
抗腫瘍薬の有効成分は、ウラシル誘導体、シクロホスファミド、ゲムシタビン、エピルビシン、抗腫瘍抗生物質、テニポシド、金属白金錯体、タキサンのうち少なくとも1つを含む。好ましくは、抗腫瘍薬の有効成分は、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、ゲムシタビン、エピルビシン、抗腫瘍抗生物質、テニポシド、金属白金錯体、パクリタキセルのうち少なくとも1つから選択される。
抗腫瘍薬の有効成分は、シクロホスファミド、カルムスチン等のアルキル化剤とすることができ、当該医薬組成物中のその濃度(w/v)は、0.5~6%、好ましくは0.75~1.5%であるか;又は、シスプラチン、カルボプラチン等の金属白金錯体とすることができ、当該医薬組成物中のその濃度(w/v)は、0.03~0.15%、好ましくは0.05~0.15%であるか;又は、ドキソルビシン、トポテカン、イリノテカン等のDNAトポイソメラーゼ阻害剤とすることができ、当該医薬組成物中のその濃度(w/v)は、0.05~0.20%、好ましくは0.075~0.15%であるか;又は、アクチノマイシン、エリスロマイシン等の抗腫瘍性抗生物質とすることができ、当該医薬組成物中のその濃度(w/v)は、1~4%、好ましくは1~2%であるか;又は、5-フルオロウラシル、フロフルオロウラシル、ジフロフルオロウラシル等のウラシル誘導体、シトシンアラビノシド等のシトシン誘導体、環状シチジン、5~アザシチジン、その他のピリミジン拮抗薬とすることができ、当該医薬組成物中のその濃度(w/v)は、0.5~2%、好ましくは0.75~1.5%である。
【0045】
好ましくは、当該医薬組成物は生物活性成分を含み、当該生物活性成分は抗原、免疫調節抗体、サイトカイン、アジュバントの少なくとも1つを含む。抗原は微生物抗原又は腫瘍抗原であり、ここで、当該微生物抗原は、1)非プロバイオティクス細菌、例えば、化膿レンサ球菌、セラチア・ヘテロプラスティカ、BCG、破傷風菌、酪酸菌、アシドフィルス菌を含む。2)B型肝炎ウイルス、アデノウイルス、単純型スカーラッシュウイルス、ワクシニアウイルス、ムンプスウイルス、ニューカッスル熱ウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、西ニカバレーウイルス、コクサッキーウイルス、レオウイルス等のウイルス;3)マラリア原虫等の寄生虫であり、当該腫瘍抗原は、乳がん、膵がん、甲状腺がん、上咽頭がん、前立腺がん、肝がん、肺がん、腸がん、口腔がん、胃がん、大腸がん、気管支がん、喉頭がん、精巣がん、膣がん、子宮がん、卵巣がん、悪性黒色腫、脳腫瘍、腎細胞がん、星細胞腫、膠芽腫のうち少なくとも1つ以上から選択され;1)CTLA-4分子及びPD-1分子に対する阻害抗体等の阻害受容体に対する阻害抗体;2)阻害受容体のリガンドに対する阻害抗体、抗OX40抗体、抗CD137抗体、抗4-1BB抗体等の免疫応答細胞表面刺激分子に対する活性化抗体;3)抗TGF-p1抗体等の局所病変疾患の微小環境における免疫抑制分子に対する中和抗体を含む免疫調節性クラスの抗体、を含む。サイトカインは腫瘍壊死因子、インターフェロン、インターロイキンを含む。
【0046】
本出願に記載されている医薬組成物の剤形は、好ましくは、局所剤形であり、当該医薬組成物は、プロバイオティクス成分を含み、注射剤、ダウビング剤、クリーム等、当該プロバイオティクス成分が所望の効果を発揮できるようにするために必要な条件を満たすいかなる局所剤形であってよい。
【0047】
用語「注射剤形」とは、生体内投与のための有効成分と液体担体を含む無菌製剤をいい、投与方法によって、局所注射剤形、静脈内注射剤形等に分けられ、局所注射剤形は、局所投与の濃度を与えた後にのみ、局所注射剤形として用いられうる。市販の剤形によれば、局所注射剤形は、液体注射剤、半液体注射剤、注射用粉末に分けられる。注射用粉末は滅菌乾燥粉末と溶媒からなり、滅菌乾燥粉末は有効成分の部分又は全部を含み、溶媒はすべての液体担体を含む。注射剤中の当該有効成分の濃度は、有効成分と当該液体担体の全部との混合物中の有効成分の濃度であり、通常、注射器、穿刺器具、注射カテーテル等の局所投与装置の終点(例えば、針穴、カテーテル出口等)における液体薬物中の有効成分の濃度である。注射用粉末の場合、当該有効成分の濃度は、乾燥粉末と溶媒(例えば、溶解液又は当該医薬上許容される液体担体)との混合物中の有効成分の濃度である。
【0048】
好ましくは、本出願に記載されている医薬組成物は、さらに、分散媒、防腐剤、安定剤、湿潤剤及び/又は乳化剤、可溶化剤、粘稠剤等の賦形剤を含み、ここで、粘稠剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチンであってよく、当該防腐剤は、アスコルビン酸等の抗酸化剤であってよい。好ましくは、本出願に記載されている医薬組成物は、さらにヨウ素化油等のトレーサーを含む。
また、本出願は、本出願に記載された医薬組成物を含む1つ以上の個別容器を含む医薬キットを提供し、ここで、当該個別容器は、アンプル、小型ガラスバイアル等であってよく、好ましくは、当該医薬キットは、さらに、当該医薬組成物が必要な被験体に投与する方法に関する説明書又はラベルを含む。投与は、当該局所病変内での投与、又は局所病変内及び局所病変外での投与を含み、局所病変外での投与は、例えば、腋窩皮下注射である。投与時において、当該局所病変内の標的領域の体積に対する当該医薬組成物の投与量の比は、0.1以上、0.15~1.5、好ましくは、0.23~1.5又は0.5~1.5である。
【0049】
本発明の医薬組成物の調製は、プロバイオティクス成分及び場合によっては、存在する他の物質を含む局所医薬製剤を調製すること、又はプロバイオティクス成分、共投与物質及び場合によっては、他の物質を含む局所医薬製剤を調製することを含む。ここで、前記薬物は液体薬物でも半液体薬物でもよく、液体薬物は溶液(例えば、親水性溶媒の溶液、好ましくは、水溶液)、懸濁液、エマルションであってよい。一実施形態では、前記薬物は生体内投与剤も、体表面塗布剤でよい。
【0050】
本出願の不活化プロバイオティクスは、高温不活化、高温高圧不活化、紫外線不活化、化学試薬不活化、放射線不活化等により調製することができ、本出願の破壊されたプロバイオティクス成分は、1)生きたプロバイオティクスを高圧均質化破壊法、振動ビーズ破壊法、高速撹拌ビーズ粉砕破壊法、超音波破壊法、衝撃破壊法、浸透圧衝撃破壊法、凍結融解破壊法、酵素溶解破壊法、化学破壊法、洗剤破壊法等;2)必要に応じて、1)を分離したプロバイオティクスの成分として、例えば、分離したプロバイオティクスの水不溶性成分粒子、分離したプロバイオティクスの水溶性成分として、ろ過又は遠心分離等の分離工学によって調製調製しうる。一実施例では、本発明のプロバイオティクスの水溶性成分は、上記のような分離したプロバイオティクスの水溶性成分の調製方法(例えば、破壊されたプロバイオティクスの上澄み成分)又は先行技術のプロバイオティクスの水溶性成分の調製方法(例:プロバイオティクスエキス)によって調製される。一実施例では、本発明のプロバイオティクスの水不溶性成分粒子は、上記の分離したプロバイオティクスの水不溶性成分粒子の調製方法(例えば、破壊されたプロバイオティクス沈殿成分)又は先行技術のプロバイオティクスの水不溶性成分粒子の調製方法(例えば細胞壁多糖)によって調製される。一実施例では、本発明のプロバイオティクスの半流動様成分は、プロバイオティクスの多糖類又はその類似体と水の混合物の加熱工程の方法によって調製されてよい。一実施例では、当該プロバイオティクスの多糖類/水の混合物は、好ましくは、マイクロ波加熱、電気オーブン加熱、蒸気加熱等によって、50~110°Cの温度で加熱されるが、一実施例では、プロバイオティクスの半流動様成分及び共投与物質を含む本発明の医薬組成物の調製としては、当該プロバイオティクスの多糖類又はその類似体、当該共投与物質及び水を均一に混合した後、当該加熱を行うことがあげられる。一実施例では、本発明の医薬組成物の調製は、さらに、当該医薬組成物に存在する当該プロバイオティクス成分、当該共投与物質及び場合によっては、他の物質の濃度を、本発明の技術的溶液における投与のための望ましい濃度以上にすることがあげられる。本発明の医薬組成物における投与のための濃度よりも濃度が高い場合、使用のためにさらに希釈しうる。
【0051】
好ましくは、本発明の医薬組成物の調製は、さらに、当該プロバイオティクス成分、当該同時投与物質及び場合によっては、当該医薬製剤に存在する他の物質の内容物を、本発明の技術的解決において必要な薬物体積/標的領域体積比を満たすのに適したものにするように、例えば、薬物体積/標的領域体積比に応じて薬物を分注し、密封することがあげられる。好ましくは、本発明の医薬組成物の調製は、さらに、製剤を高温滅菌、高温高圧滅菌、紫外線滅菌、化学試薬滅菌、放射線滅菌等により滅菌することがあげられる。
上記の当該方法の原理によれば、当業者は、適当な特定の方法を用いて、本発明の組成物を含む様々な特定の剤形を調製しうる。例えば、本発明の医薬組成物の変形としては、異なる種類及び濃度の医薬組成物の含有、異なる種類及び濃度の他の薬物の含有、異なる種類及び濃度の他の添加物の含有(例えば、鎮痛剤、活性剤等である)があげられる。
【0052】
用語「局所病変疾患」は、局所病変の症状を伴う疾患をいう。用語「局所病変(病変ともいう)」とは、構造的(例えば、病変組織)、形態学的又は機能的に症候性の領域とそれに接する異常領域を含む動物(好ましくは、ヒト)の身体の一次又は二次的な異常領域をいう。本願に記載されている局所病変疾患としては、固形腫瘍、非腫瘍性結節等の非腫瘍性腫大、頸部びらん等の局所炎症性状態、分泌腺機能の異常、皮膚疾患があげられる。局所病変疾患が固形腫瘍の場合、局所病変は腫瘍本体及び腫瘍細胞が存在するその組織であり、これに接する異常領域は、腫瘍本体に接する隣接領域(例えば、リンパ管や血管を介して)であり、腫瘍細胞が存在するか、又は存在する疑いがある。局所病変疾患が非腫瘍性の腫大である場合、局所病変は過形成、嚢胞、結節等の異常な非腫瘍性の塊である。甲状腺、乳房、肝臓、腸等のポリープのような非腫瘍性の結節であり、局所病変疾患が局所の炎症である場合、局所病変は炎症がある表面や炎症がある身体等の炎症部位であり;局所病変疾患が異常な分泌物である場合、局所病変は異常の発生源又はその存在する分泌腺であり;例えば、疾患が異常なインスリン分泌である場合、異常の発生源は膵島であり、局所組織は膵島又はその存在する膵臓であり;疾患が皮膚疾患である場合、局所組織は疾患のある皮膚又は疾患のある皮膚の付属器である。
【0053】
用語「腫瘍」は、細胞又は変異した細胞の異常な増殖によって形成される塊をいい、固形腫瘍があげられる。用語「固形腫瘍」は、腫瘍本体がある腫瘍をいい、腫瘍細胞の種類によって分類すると、上皮性腫瘍、肉腫、リンパ腫、胚細胞腫瘍、胚細胞腫瘍等があり、あらゆる病理(悪性及び非悪性)による腫瘍であり、あらゆる段階の腫瘍である。腫瘍細胞が集中している臓器又は組織によって命名されている場合は、脳、皮膚、骨、筋肉、乳房、腎臓、肝臓、肺、胆嚢、膵臓、脳、食道、膀胱筋、大腸、小腸、脾臓、胃、前立腺、精巣、卵巣、子宮の臓器又は組織によって命名された腫瘍があげられる。具体的には、当該腫瘍には悪性腫瘍と非悪性腫瘍があり、当該悪性腫瘍には、乳がん、膵がん、甲状腺がん、上咽頭がん、前立腺がん、肝がん、肺がん、腸がん、口腔がん、食道がん、胃がん、喉頭がん、精巣がん、膣がん、子宮がん、卵巣がん、悪性リンパ腫、悪性脳腫瘍等がある。当該非悪性腫瘍には、乳がん、膵腫瘍、甲状腺腫瘍、前立腺腫瘍、肝がん、肺腫瘍、腸腫瘍、口腔がん、食道腫瘍、胃腫瘍、上咽頭腫瘍、喉頭腫瘍、精巣腫瘍、膣腫瘍、子宮腫瘍、卵管腫瘍、卵巣腫瘍、リンパ腫、脳腫瘍等があり、局所病変疾患には、慢性粘膜皮膚カンジダ症、様々な白癬やその他の皮膚疾患であってよい。
【0054】
本出願に記載されている医薬組成物を疾患の治療に用いる場合、他の介入療法、全身化学療法、免疫療法、光線力学療法、音響力学療法、外科的介入等と組み合わせて投与し、その効能をさらに高めることもできる。
以下により詳細に説明する研究に基づき、具体的なメカニズムについては更なる研究が必要であるが、本発明の医薬組成物は、患者の正常組織への最小限の損傷のみで腫瘍組織の効果的な破壊を促進し、結果として局所病変疾患の安全かつ効果的な治療をもたらすという薬理的効果を示す。
【0055】
本出願で用いられるプロバイオティクス及び部分のプロバイオティクス成分(Saccharomyces水溶性β-グルカン粒子、Saccharomyces水溶性β-グルカン、Saccharomyces hydroxymethyl glucan、Saccharomyces carboxymethyl glucan、Saccharomyces ribonucleic acid等)は市販されており、他のプロバイオティクス成分(不活化プロバイオティクス、プロバイオティクスディスラプト、プロバイオティクスディスラプトの上澄み成分、プロバイオティクスディスラプトの沈殿画分)は上記の方法(例:100°Cの高温で2時間不活化する、5,000rpmの粉砕機で粉砕する、上澄みを分離する、10000rpmの遠心分離機で沈殿する)を用いて自社製造できる。
以下の例で用いられる実験動物は、専門の実験動物会社から購入したSPF(Specific Pathogen Free)等級の動物であり、特に明記されていない限り、マウス及びヌードマウスは生後6~8週の健康な雌であり、体重は17.5~20.5gである。
以下の例では、特に明記されていない限り、細胞を皮下移植して局所病変を発生させる動物試験(例えば腫瘍体)は、医薬品規制当局が発行する試験ガイドライン及び従来の細胞皮下接種法に従って実施された。特に明記されていない限り、局所病変(例えば腫瘍体)が所望の体積(例えば、担がんマウスでは50~500mm)まで増殖した時点でモデル化は成功した。モデル化後、動物を1群6匹に分けて定期的に観察し、全身状態、体重、摂餌量、動物の移植片対宿主病、腫瘍体積、腫瘍質量、生存期間等を決定した。モデルは、各々、腫瘍細胞からなる腫瘍本体(腫瘍本体を表す)、線維芽細胞を含む結節(線維芽細胞からなる腫瘍本体及びその他の局所病変を表す)、及び正常な生検(正常組織からなる局所病変を表す)を含んだ。
局所病変(例えば腫瘍)体積(V)、相対的局所病変(例えば腫瘍)増殖率(R)、局所病変(例えば腫瘍)抑制率(r’)、及び腫瘍抑制率(r)を、次式に従って計算した。
局所病変の体積(例えば腫瘍):V=0.5×a×b2(aは局所病変の長さ、bは局所病変の幅を表す);
局所病変(例えば腫瘍)増殖率(R)=TV/CV×100(TVは研究群、CVは陰性対照群の局所病変体積を表す);
局所病変(例えば腫瘍)抑制率(r’)=100%~R(Rは局所病変増殖率を表す)。
【0056】
腫瘍抑制率r=(CW~TW)/CW×100%(TWは試験群、CWは陰性対照群の平均腫瘍質量)。
以下の例では、薬剤iの薬効をEiとし、ri’又はriで表すことができる。薬剤の作用タイプ、すなわち薬理は、薬剤効果、特に異なるレジメンにおける同じ薬剤の薬効によって試験することができる。例えば、レジメンXとYにおける薬剤iの薬効の差が有意でない場合(例:Ei/Ei<200%)、その薬剤の薬理が同じであることを示す。また、レジメンXとYにおける薬剤iの薬効の差が有意でない場合(例:Ei/Ei>200%)、レジメンXにおける薬剤iの薬理が、レジメンYにおける薬理の期待範囲を力学的に大きく超えており、レジメンYとは異なる新たな薬理が関与している可能性が高いことを示す。2つの薬剤のEi/Eiの関係が有意に異なる場合、異なる薬理が関与している可能性が高い。2つの薬剤のEi/Eiの関係が類似している場合、2つの薬剤は同一の薬理、又は少なくとも類似した薬理、例えば化学的アブレーションのような薬理が関与している可能性が高い。
以下の例では、実験結果(例えば、腫瘍質量、腫瘍体積、病変組織体積)を平均±標準偏差(x±s)で表し、統計ソフトウェアSPSS 13.0又はSPSS 19.0を用いて2つの実験動物群間の差と群平均値の有意性を検定し、統計量tを用いて検定を行った。検定レベルα=0.05,P<0.05は統計学的に有意な差を示したが、P>0.05は統計学的に有意ではなかった。
【0057】
化学療法の陽性対照としては、古典的な細胞毒性薬(例えば、0.5~1%の5-フルオロウラシルは、以下の例の条件下で腫瘍抑制率が30%以上であった)と古典的な化学的アブレーション薬(例えば、以下の例の条件で腫瘍抑制率が15%以上であった75~99%エタノール)があげられる。免疫増強陽性対照としては、サイトカイン(例:インターロイキンー12)、細菌成分(例えば、弱毒細菌ワクチン等である)、ワクチンアジュバント等の免疫増強剤があげられる。
【0058】
本発明の範囲内では、薬剤Aと薬剤Bの組み合わせをB/Aとし、その併用効果はq=実際の併用効果/理論的に期待される純粋に相加的な効果により決定され、薬剤A単独及び薬剤B単独の薬効を各々E及びEと指定し、A/Bの実際の併用薬効を腫瘍抑制率等EA+Bと指定した。q=1の場合、実際の併用効果は理論的な期待通りであり、相加的な効果を示した;q<1、実際の併用効果は理論的な予想よりも弱く、拮抗効果を示した;qのとき>1の場合、実際の併用効果は理論的な期待以上であり、相乗効果を示した。
動物実験における薬物併用投与の効果判定法は、Burgi法(Burgi Y.Pharmacology;Drug actions and reactions.Cancerres.1978,38(2),284-285)であった。Burgi法はJin Zhengjun(Zhengjun JIN,Equal probability and curve and “Q50”,Journal of the Second Shanghai Medical College;1981,1,75-86)によりq=EA+B/(E+E-E×E)として計算されるqで修正した。本発明の以下の例では、次のようにJin Zhengjun法に従い、実際の薬効(薬効)/理論的薬効(薬効)の比qによってA剤とB剤の併用の薬効(薬効)を求めた。
A剤とB剤の併用群が意味のある薬効(例:r又はr’≦15%)を示さなかった場合、この併用投与も意味のある併用効果を示さず、本発明では無視できる併用効果とした。併用群が意味のある薬効(例:腫瘍阻害率≧15%)を示した場合、実際の薬効/期待薬効比q=1.00であれば、併用群の薬効は相加的であった(実際の効果は理論上の純相加的期待値と一致していた)。実際の薬効/期待薬効比q>1.00であれば、併用群の薬効は有意に相乗的な薬効であった(実際の効果は理論上の純相加的期待値を上回っていた)。実際の薬効/期待薬効比q<1.00であれば、併用群の薬効は有意に拮抗的な薬効であった(実際の効果は理論上の純相加的期待値を下回っていた)。
【実施例1】
【0059】
組成物の調製
本発明の多数の異なる組成物は、上記の本発明の組成物の調製方法に従って調合しうる。本例で調製した本発明の組成物のいくつかの組成物を表2(プロバイオティクス成分を有効成分として使用)及び表3(プロバイオティクス成分を相乗有効成分として使用)に列挙した。
表2 プロバイオティクス成分を含む組成物の水性製剤の成分、薬理的濃度(0.1%より多いか、0.25%以上、0.25~25%、好ましくは、0.5~15%、さらに好ましくは、1~15%又は5~15%)
【0060】
【表1-1】
【0061】
【表1-2】
表2の製剤のいくつかの調製例を以下に示す。
【0062】
A1~A8の調製法:プロバイオティクス(例:乾燥Saccharomyces cerevisiae末2.5g)、他の場合によっては存在する成分、及び全体積に対して一定体積にするための液体担体(例えば注射用水)(例:100ml)を測定し、所望の濃度(例えば、局所的な化学作用に必要な)で採取し、ゆっくりと均質に混合してプロバイオティクス混合物を得た。液体混合物を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積の所望の比率(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm3)で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす医薬組成物の剤形及び製剤フォーマットが得られた。製剤(例:出芽酵母Saccharomyces cerevisiae 2.5%)をパスツール不活化キャビネット型機械でパスツール不活化(60°C、48時間)し、A1を得た。A1の調製と同じ方法で、異なる不活化プロバイオティクス(例:上記表の製剤A1~A8)を各々異調製することができた。
【0063】
A9~A16の調製方法:プロバイオティクス(例:乾燥Saccharomyces cerevisiae末2.5g)、他の場合によっては、存在する成分、及び全体積に対して一定体積にするための液体担体(例えば注射用水)(例:100ml)を測定し、望ましい濃度(例えば、局所的な化学作用に必要な)で採取し、ゆっくりと均一に混合し、ホモジナイザーを使用して破壊した。均質化プロセスパラメータ(例:回転速度10,000~25,000rpm、回転時間0.5~1分、均質化回数2~10回)を調整することで、破壊度の異なる(好ましくは、100%破壊)破壊されたプロバイオティクスを得ることができた。液体混合物を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm)の所望の比率で密封すると、腫瘍内局所効果を与える製剤組成物の剤形とフォーマット(又は仕様)が得られた。得られた製剤はA9であった。A9の調製と同じ方法を用いて、異なるプロバイオティクスから異なる組成物(例:上記表の製剤A9~A16)を各々異調製することができた。
さらに、上記の調製法を用いて、破壊されたプロバイオティクスを調製すると、プロバイオティクス(例:乾燥Saccharomyces cerevisiae末10g)と注射用水から、高濃度の破壊されたプロバイオティクス懸濁液(例えば、10%がSaccharomyces cerevisiaeの懸濁液を破壊した)を調製して、100mlまで一定量にすることができた。この懸濁液を遠心分離瓶に加え、遠心分離器で遠心分離した。遠心分離速度(例:1000~25000rpm)、遠心分離時間(例:0.5~30分)、遠心分離回数(例2~4回)を調整することで、異なる遠心分離度での破壊されたプロバイオティクス上清成分と破壊されたプロバイオティクス沈殿成分を得ることができた。遠心分離後、上清をデカンティングして別に用いて、残余の沈殿成分を乾燥(例:125°C、90分)して、破壊されたプロバイオティクス沈殿成分の乾燥粉末に調製した。生のプロバイオティクス(例:出芽酵母10g)と、そこから調製された破壊されたプロバイオティクス沈殿成分の乾燥粉末(例:4g)との差を、破壊されたプロバイオティクス上清成分の乾燥質量(例:6g)として計算した。
【0064】
A17~A19の調製方法:プロバイオティクスの水不溶性成分粒子(例1aの方法で調製したSaccharomyces cerevisiaeの乾燥粉末1.4g)、その他場合によっては存在する成分、及び全体積に対して一定体積にするための液体担体(例えば注射用水)(例:100ml)を測定し、所望の濃度(例えば、局所的な化学作用に必要な)で採取し、ゆっくりとよく混合した。液体混合物を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm)の所望の比率で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす製剤組成物の剤形とフォーマットが得られた。得られた製剤はA17であった。A17の調製と同じ方法を用いて、異なるプロバイオティクス(例えば、上記の表の製剤A17及びA18)と市販の水不溶性β-グルカン粒子(例えば、上記の表の製剤A19)とを別々に調製した、異なる破壊されたプロバイオティクス沈殿成分を有する製剤を調製することができた。
【0065】
A20~A21の調製方法:プロバイオティクスから生産可能な半流動体様成分(例:不溶性β-グルカン粒子10g)、他の場合によっては存在する成分、及び全体積に対して一定の体積を作るための液体担体(例えば注射用水)(例:100ml)を測定し、懸濁液としてゆっくりと均一に混合し、所望の濃度(例えば、局所的な化学作用に必要な)で採取した。その後、懸濁液を加熱(例:気温50~110°C、時間0.5~24時間)し、冷却後に半流動体を形成した。半流動体を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm3)の所望の比率で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす製剤組成物の剤形とフォーマットが得られた。得られた製剤はA16であった。A16の調製と同じ方法を用いて、異なるプロバイオティクスの半流動性成分とは別に、異なる半流動性組成物を調製することができた。実験では、プロバイオティクスの半流動性成分の濃度がある閾値(例:β-グルカン≧2.5%)よりも大きい場合にのみ、それを含む液体を加熱時のように半流動性に変換できることが示された。
【0066】
A22~A24の調製法:プロバイオティクスの水溶性成分(例えば、A17~A18の方法で調製したSaccharomyces cerevisiaeの分解した上清の組成物1.1g又はそれに相当する上清溶液20ml)、他の場合によっては存在する成分、及び全体積に対して一定の体積を作るための液体担体(例えば注射用水)(例:100ml)を測定し、所望の濃度(例えば、局所的な化学作用に必要な)でゆっくりとよく混合して採取した。液体混合物を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm)の所望の比率で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす製剤組成物の剤形とフォーマットが得られた。得られた製剤はA22であった。A12の調製と同じ方法を用いて、異なる組成物(例:上記表の製剤A22~A24)を異なるプロバイオティクスとは別に調製することができた。
【0067】
A25~A31の調製方法:プロバイオティクスの水溶性成分(例:市販の水溶性酵母β-グルカン5g)、他の場合によっては存在する成分、及び全体積に対して一定の体積を作るための液体担体(例えば注射用水)(例:100ml)を測定し、所望の濃度(例えば、局所的な化学作用に必要な)でゆっくりとよく混合して採取した。液体混合物を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積の所望の比率(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm)で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす製剤組成物の剤形及びフォーマットが得られた。得られた製剤はA26であった。A26の調製と同じ方法を用いて、異なる組成物(例えば、上記の表のA25~A32製剤)を、市販品から得られる異なるプロバイオティクス成分とは別に調製することができた。
上記の調製方法を用いて得られた組成物の水性製剤は、さらに、プロバイオティクス成分*と化学活性成分を含む組成物の水性製剤を製造するために、先行技術の方法に従って化学活性成分を加えることができた。
表3 プロバイオティクス成分*及び化学的有効成分を含む組成物の水性製剤の成分及び成分比
【0068】
【表2-1】
【0069】
【表2-2】
*:プロバイオティクス成分の種類と濃度は表2のとおり
表3の製剤のいくつかの調製例を以下に示した。
プロバイオティクス成分(B1、B5~B7、B9~B18、B25、B26、B29~B32)と化学有効成分:プロバイオティクス水溶性成分(例:水溶性酵母β-グルカン10g)、共投与薬物(例えばアルギニン20g)、他の場合によっては存在する成分、及び全容量100mlに一定容量にするための注射用水を含む組成物の水性製剤(例えば、地域相乗効果や中長期相乗効果に必要な)の調製方法を測定し、望ましい相乗量比と相乗濃度で服用し、ゆっくりとよく混合した。液体混合物を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積の望ましい比率(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm)で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす製剤組成物の剤形とフォーマットが得られた。得られた製剤はB1であった。B1の調製と同じ方法を用いて、異なるプロバイオティクス水溶性成分とその共投与薬物から、各々異なる組成(例:上記表の製剤B1、B5~B7、B9~B18、B25、B26、B29~B32)を調製することができた。
【0070】
プロバイオティクス成分(水不溶性粒子/水溶性成分)と化学有効成分を含む組成物の水性製剤(B2~B4、B8)の調製法:プロバイオティクス(例:出芽酵母1.5g)、共投与薬物(例えばリジン20g)、他の場合によっては存在する成分、及び全容量100mlに対して一定の容量にするための注射用水を測定し、望ましい相乗量比と相乗濃度(例えば、地域相乗効果や中長期相乗効果に必要な)で摂取し、ホモジナイザーを用いてゆっくりとよく混合して崩壊させ、A10の調製と同じ方法を用いて崩壊したプロバイオティクス/共投与薬物の懸濁液を得た。懸濁液を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積の望ましい比率(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm)で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす製剤組成物の剤形とフォーマットが得られた。得られた製剤はB2であった。B2の調製と同じ方法を用いて、異なるプロバイオティクス及び/又は異なる共投与薬物から、各々異なる組成物(例:上記表の製剤B2~B4、B8)を調製することができた。
【0071】
プロバイオティクス成分(半流動性成分)と化学有効成分:プロバイオティクス半流動性成分(例:水溶性β-グルカン7.5g)、共投与薬物(例:5-フルオロウラシル1g)、他の場合によっては存在する成分、及び全体積を一定体積にするための液体担体(例えば注射用水)(例:100ml)を含む組成物の水性製剤(B19~B22)の調製方法を測定し、望ましい相乗量比及び相乗濃度(例えば、地域相乗効果や中長期相乗効果に必要な)で服用し、懸濁液にゆっくりと均一に混合し、その後加熱(例:気温50~110°C、時間0.5~24時間)及び冷却して半流動体を形成した。半流動体を分注し(例:10ml/ボトル)、薬物体積/標的領域体積の望ましい比率(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm)で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす医薬組成物の剤形及びフォーマットが得られた。得られた製剤はB19であった。B17の調製と同じ方法を用いて、異なる半流動体組成物(例:上記表の製剤B20~B22)を調製することができた。
【0072】
プロバイオティクス成分(水不溶性成分粒子)と化学有効成分を含む組成物の水性製剤(B23)の調製法:プロバイオティクスの水不溶性成分粒子(例:A19中の非水溶性β-グルカン粒子10g)、共投与薬物(例:還元型グルタチオン10g、5-フルオロウラシル1g、水酸化ナトリウム1g)、他の場合によっては存在する成分、及び全体積を100mlに一定体積にするための注射用水を測定し、望ましい相乗量比と相乗濃度(例えば、地域相乗効果や中長期相乗効果に必要な)で摂取し、ゆっくりと均一に混合した。液体混合物を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積の望ましい比率(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm)で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす製剤組成物の剤形とフォーマットが得られた。得られた製剤はB23であった。B6の調製と同じ方法を用いて、異なるプロバイオティクス成分(プロバイオティクス沈殿成分のような水不溶性粒子)と異なる共投与薬物から各々異なる組成物を調製することができた。
【0073】
プロバイオティクス成分(不活化プロバイオティクス)と化学有効成分を含む組成物の水性製剤(B24、B27、B28)の調製方法:プロバイオティクス(例:乾燥Saccharomyces cerevisiae末2.5g)、他の成分(例:メチレンブルー1g、5-フルオロウラシル1g)、及び全容量100mlに一定容量にするための注射用水を測定し、望ましい相乗量比と相乗濃度(例えば、地域相乗効果や中長期相乗効果に必要な)で摂取し、ゆっくりとよく混合してプロバイオティクス/共投与薬物液体混合物を得た。液体混合物を分注(例:10ml/ボトル)し、薬物体積/標的領域体積(例えば、臨床的によくみられる固形腫瘍の平均体積の30cm)の所望の比率で密封すると、腫瘍内局所効果をもたらす製剤組成物の剤形とフォーマットが得られた。製剤(例:出芽酵母Saccharomyces cerevisiae 2.5%)をパスツール不活性化キャビネットで低温殺菌(60°C、48時間)し、B24を得た。B24の調製と同じ方法を用いて、異なるプロバイオティクスから各々異なる不活性化プロバイオティクス(例えば、上記表のB27製剤及びB28製剤)を調製することができた。
【0074】
上記の不活性化製剤(例:A1~B31、B1~B32)をパスツール殺菌用のパスツール不活性化キャビネットマシン(60°C、48時間)に入れると、殺菌済みの液体注射製剤が得られた。
なお、A1~16及びB1~B19の調製時には、当該殺菌を60°Cで48時間のパスツール殺菌で行い、殺菌済みの液体注射製剤が得られた。
凍結乾燥粉末製剤を調製する際には、上記の液体製剤を各々凍結乾燥したが、当該凍結乾燥の工程条件は、予備凍結は~45°Cで4時間保持、昇華は~15°Cまで0.1°C/分の割合で昇温した場合に10時間以上保持された。脱着乾燥は30°Cまで昇温し6時間保持され、凍結乾燥粉末製剤が得られた。注射用水は7.5ml/瓶等必要に応じて分注し、キャップで密封して注射用溶剤瓶を得た。使用時には、瓶内の滅菌溶剤を上記の凍結乾燥粉末瓶に圧送し、よく混合して液状の薬剤、すなわちSaccharomyces cerevisiaeの1.5%崩壊成分/アミノ酸20%等の注射剤とした。
【実施例2】
【0075】
免疫抑制動物モデルを用いた薬理試験
腫瘍があるヌードマウスは、固形腫瘍患者の免疫療法よりも化学療法の薬物研究に広く用いられる。
ヌードマウスを実験対象とし、ヒト肝がんHepG2細胞をモデル細胞とし、移植腫瘍モデル化のために1×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入したところ、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は161.3mmであった。モデル動物を無作為に17群に分けた。表4の薬剤と投与方法に従って投与された。各群は150μl/マウスの注射量で1回投与された。薬物投与後7日目に動物を安楽死させ、解剖後に腫瘍組織を取り出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率(r)を算出した。
表4 各群の腫瘍抑制率のデータ
【0076】
【表3】
一般に、5-フルオロウラシルの静脈内投与は従来の化学的効果をもたらす可能性がある一方で、腫瘍内注射による投与は共通の局所化学的効果をもたらす可能性があると考えられており、二つの投与方法による効果の違いは細胞毒性動態と相関していた。一群に対する7群の腫瘍阻害率の比はE7/E1<200%であり、異なる投与条件下で5-フルオロウラシルが細胞毒性薬として作用することが示された(体系的投与対局所投与)。高濃度(75~99%)のエタノールは静脈内注射によって酩酊様の反応を示した;と腫瘍内注射による化学的アブレーション効果を示した。群2と比較した群8の腫瘍阻害率の増加は、200%と後者に基づく動的増加の期待限界をはるかに超えており(酩酊薬と化学的アブレーション薬)、異なる投与条件(体系的投与対局所投与)の下で異なる有効成分としてエタノールを適用できることを示唆している。
【0077】
インターロイキンー12は通常、免疫増強剤として臨床的に使用され、期待されたような腫瘍内注射による短期的な腫瘍阻害効果は示さなかった(群9)。従来技術では、プロバイオティクスとその成分は補助薬としても使用でき、その抗腫瘍効果も免疫増強効果に基づいており、群4~6の結果は群3の結果と一致していた。注目すべきは、注射後に群4と5の各々で1匹の動物が死亡したことであり、5%のプロバイオティクス成分の静脈注射による懸濁の安全性リスクを示した。
【0078】
先行技術における免疫増強の期待に基づくと、群10の結果は、免疫増強対照群9の結果と一致するはずである。予想外に、両者の薬理的挙動は有意に異なっていた:同じ薬剤の同じ用量で、群9と群3の間の薬効にほとんど差はない。一方、同じ薬剤の同じ用量での群10と群4の間の薬効の差は、速度論的改善の期待限界(E10/E>200%)を超えており、これは両者の間の著しく異なる薬効(E10/E=459%>200%)にも反映された。対照的に、薬理的期待外であった群10と群7及び8の間の腫瘍阻害率の差は有意ではなく(例:E/E10=133%<200%)、群10と群8の薬理的行動も明らかに一致しており、同じ薬剤の同じ用量での群8と群2の間の腫瘍阻害率の差は有意であった(E10/E>200%)。そして、群10と同じ薬効と薬理的行動が群11と12に存在した。
実際、腸内投与のみが腸内細菌叢を調整するプロバイオティクス成分を可能にする。そして、腸内投与と腸外投与の両方が、プロバイオティクス成分が免疫効果を高めることを可能にする。したがって、経口投与や静脈内投与等の従来の投与経路を除外した場合、局所投与、特に病変内投与により、プロバイオティクス成分が従来とは異なる新しい機能を提供することが可能になる(E10/E>>200%)。
プロバイオティクス及びその成分の免疫増強効果は、細菌及び真菌の免疫原性に基づいている。通常、細菌の免疫原性は強いものから弱いものの順に、生菌、基本的に生菌の形を保っている不活化細菌、多かれ少なかれ生菌に似た形をしている水不溶性粒子、生菌の形を失った半流動体、水溶性成分、の順であると考えられている。しかし、局所投与された各群のプロバイオティクスとその成分の薬効の順序は、半流動性成分(群13)、生菌の形状を本質的に維持する必要のない不活化プロバイオティクス(非完全菌体の質量比が20%の不活化プロバイオティクス、群10)、非水溶性成分/水溶性成分の混合物(群14)、水溶性成分(群12)、非水溶性成分(ただし化学組成物は半流動性成分と同一)(群11)、生菌・真菌(群15)であった。これはさらに、プロバイオティクス成分の新しい機能が先行技術における機能に依存しないことを示した(例えば、細菌の免疫原性)。したがって、医薬品組成物中のプロバイオティクス成分の濃度は、単位体積あたりの無傷細菌の数ではなく、質量濃度で表すことができた。
【0079】
薬理的機能は医薬品の基本的な特性であり、古い医薬品のために発見された新しい薬理は、しばしば新しい医薬品のそれとして新しい用途を創造的に生み出すことができた。通常、医薬品の効果的な適用は、投与の頻度と用量を最小限に抑える等、臨床治療によって制限された実験条件下での効能と安全性によって提供される薬理的機能の相対的な利点、すなわち好ましい薬理作用に依存する。したがって、同じ物質が異なる条件下で異なる有効成分として用いられることがあり、同じ種類の物質が異なる有効成分として用いるのに適した異なる優先的選択肢を持つことがある。上記の実験では、陽性対照(5-フルオロウラシル、エタノール、インターロイキンー12)は各々異なる薬理的アプローチにおいて、好ましい薬理(各々細胞毒性薬理、免疫増強薬理、局所作用薬理)に従って期待される薬効と薬理的挙動を示し、比較薬理的研究システムが与えられた。プロバイオティクス成分の静脈内注射によって示された薬効は、先行技術(例えば、免疫増強)の薬理的期待と一致するかもしれないが、病変内投与による薬効は明らかに期待を上回った。薬理的挙動は、細胞毒性薬理的期待さえも上回った。異なる投与様式で示された薬理的差異は、薬効に大きな差異をもたらし、その薬理的挙動は局所効果陽性対照であるエタノールのそれと非常に類似しており、病変内投与に好ましい薬理が局所効果であることを示唆している。以上の結果から、プロバイオティクス成分は、局所効果をもたらす有効成分(例:細胞毒性作用、免疫増強作用)として、薬理的・効能の面で期待を大きく上回っていることがわかった。
【0080】
以上の新たな機能をさらに検討するため、正常な動物組織を局所病変モデルとした以下の比較実験を実施した(モデルは化学的アブレーション剤の古典的研究モデル)。ヌードマウスを実験動物とし、各群6匹ずつのA群とB群に無作為に分け、実験薬として75%エタノール水溶液、5%不活化プロバイオティクスを右脚外側筋塊に各々100ul/マウスの注射用量で注射した。薬物投与後7日目に安楽死させ、ヌードマウスから右脚外側筋塊の検体を剖検により取り出し、切片作製・洗浄後に壊死や結節等正常筋とは異なる異常領域を測定した。その結果、異常領域の面積はA群で35.14±15.92mm、B群で34.12±15.81mmであり、統計学的な差は認められなかった(P>0.05)。当該結果から、プロバイオティクス成分の局所作用薬理がエタノールと類似していることがさらに確認された。エタノールと同様に、プロバイオティクス成分によるこの局所作用は、病変組織を構成するあらゆる局所病変に用いることを可能にした。
【実施例3】
【0081】
局所作用の薬理的研究と薬理濃度の最適化
ヌードマウスを実験対象とし、モデル細胞として乳がん細胞(MDA-MB231)を用いて、移植腫瘍モデリングのために1×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入したところ、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は158.2mmであった。モデル動物を無作為に16群に分け、表5の薬物成分と投与量に従って腫瘍内注射により投与し、各群に1回ずつ投与した。薬物投与後7日目に動物を安楽死させ、腫瘍組織を摘出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率(r)を算出した。
表5 異なる薬物成分及び用量が腫瘍抑制率に及ぼす影響
【0082】
【表4】
*:上清成分を破壊したSaccharomyces boulardii上清成分;**:不活化された真菌は熱不活化されたSaccharomyces boulardii;***;粒子はSaccharomyces cerevisiaeのβ-グルカン粒子;****:破壊された菌類はSaccharomyces boulardiiを破壊した。
【0083】
表5からわかるように、群01の技術溶液中のエタノールは化学的なアブレーション活性を示さず、静脈内エタノール注入とほぼ同じであった;群02と03の腫瘍阻害率は近い(E03/E02<200%)が、群01のそれ(E02/E01>200%)よりはるかに高く、化学的なアブレーションが期待されることを示した;ある閾値(例:70%)以上の濃度のエタノールのみが化学的なアブレーション剤として使用できることを示した。
群1~3は同じ容量の腫瘍に異なる濃度のプロバイオティクス成分を同じ用量で注射したが、群3の腫瘍阻害率は群02と有意差がなく(E03/E02=79%)、同様の局所効果を示したことを示した。群5、8、11は群02と同様の局所効果を示したが、群3、6、9、12の腫瘍阻害率のデータは、局所効果が投与濃度依存的に起こることを示唆している。
群1と群2は同じ用量で腫瘍内投与されたが、異なる投与濃度でのプロバイオティクス成分の薬理効果の差は、予想される動的差(E02/E01>200%)を超えた。したがって、本出願の医薬組成物におけるプロバイオティクス成分の投与濃度は、局所効果に必要な薬理濃度であって、免疫増強には必要ではなかった。
【0084】
プロバイオティクス成分が局所作用を発揮するための必要条件は、その薬理濃度(局所投与濃度)が0.1%以上、0.25%以上、0.25~25%、好ましくは、0.5~15%、さらに好ましくは、1~15%又は5~15%であるような含有量で、プロバイオティクス成分が医薬組成物中に存在することであった。その中で、当該プロバイオティクス成分が不活化プロバイオティクスである場合、その薬理濃度は0.3%以上、0.75%以上、0.75~15%、好ましくは、1.5~15%又は5~15%であった。その中で、当該プロバイオティクス成分がプロバイオティクス水溶性成分である場合、その薬理濃度は0.1%以上、例えば0.15~25%、好ましくは、0.35~25%又は5~25%であった(ただし、水溶性成分がプロバイオティクス上清成分の場合、その薬理濃度は0.35~3.5%であった;水溶性成分が水溶性プロバイオティクス由来多糖類の場合、その薬理濃度は2~5%又は5~15%;水溶性成分がプロバイオティクス由来リボ核酸の場合、その薬理濃度は15~25%)。その中で、プロバイオティクス成分がプロバイオティクス水溶性成分粒子である場合、その薬理濃度は0.5%以上又は0.5~15%、好ましくは、1.5~15%又は5~15%であった;その中で、そのプロバイオティクス成分がプロバイオティクス半流動様成分である場合、その薬理濃度は2.5%以上、2.6~25%、好ましくは、5~15%であった。
【0085】
同一の物質を異なる有効成分として用いた場合、異なる薬理動態プロファイルを満たさなければならない場合があった。上記の投与濃度依存的な薬理効果の比較研究の結果は、さらに、本発明に記載されたプロバイオティクス成分の局所活性が化学的アブレーションに類似しており、従来の活性(がん細胞阻害作用、腫瘍血管阻害作用、免疫増強作用等)とはかけ離れていることを確認した。本出願に記載された局所活性成分としてのプロバイオティクス成分の薬理濃度は、従来の非局所活性成分としてのプロバイオティクス成分の製剤濃度や投与濃度と単純に比較できるものでは全くなく、非局所活性薬物の製剤濃度は、輸送費や保管費を節約するための高濃度製剤や、投与時間を短縮するための注射量を減らすための適当に高濃度の注射等、医薬品のみによって制限されることが多かった。製剤濃度の範囲が広いことはよく知られていたが、薬物の薬理作用に必要な投与濃度とは本質的に異なっていた。例えば、静脈内投与の場合、希釈時の投与濃度は製剤濃度よりもはるかに低く、薬物が急速に血流に入ることによる安全性リスクを回避した。本発明の組成物中の薬理濃度は、組成物及び製剤を制限する特性であっただけでなく、新薬承認申請において薬理的状態として、また、医薬品の使用説明書において投与条件として現れる必要がある。
【実施例4】
【0086】
局所作用の薬理的研究と薬理量の最適化
通常、異なる薬理の医薬組成物の成分含有量は、異なる特性によって定義されなければならず、通常、従来の医薬組成物の薬理量は、投与量を除いて、病変部位の体積に依存しなかった。これを試験したのが以下の実験である。
ヌードマウスを実験対象とし、モデル細胞としてヒト膵がん細胞(PANC-1)を用い、移植腫瘍モデリングのため右腋窩皮下に1×10細胞/マウスを注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は213.1mmであった。モデル動物を無作為に16群に分け、表6の薬物成分と投与体積に応じて腫瘍内に投与し、各群は一回ずつ投与された。1~12群の薬物は例1の方法に従って調製され、不活化プロバイオティクスは熱不活化Saccharomyces boulardii、プロバイオティクス水不溶性成分粒子はβ-グルカン粒子、プロバイオティクス水不溶性成分は破壊Saccharomyces boulardii上清成分、プロバイオティクス水不溶性成分粒子と水溶性成分の混合物(以下、プロバイオティクス成分混合物)は破壊Saccharomyces boulardiiであり、調製方法は例3と同じであった。薬物投与後7日目に動物を安楽死させ、解剖後に腫瘍組織を取り出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率(r)を算出した。
表6 異なる注射濃度と容量を用いた腫瘍抑制率のデータ
【0087】
【表5】
表6からわかるように、01~03群は投与量/標的領域体積の比率が異なる同じ体積の腫瘍にエタノールを注入したが、01群のエタノールは静脈内注入エタノールと同様に化学的アブレーションができなかった。02群の腫瘍抑制率は01群と極端に異なっていたが(E02/E01>200%)、02群の腫瘍抑制率は03群と有意差がなく(E03/E02<200%)、化学的アブレーションが期待できることが示された。このことは、0.15年のような投与量/腫瘍体積比の一定の閾値を超えるエタノールのみが化学的アブレーション剤として適用できることを示唆している。
【0088】
群1~3では、投与体積/標的領域体積比が異なるプロバイオティクス成分を同量の腫瘍体積を有する腫瘍に注入したところ、2群の腫瘍抑制率は02群と同程度(E03/E02=105%)であり、局所効果は同程度であった;また、5群、8群、11群でも02群と同程度の局所効果が認められ、さらに3群、6群、9群、12群では、局所効果は標的領域体積と相関し、投与体積に依存することが示された。要約すると、高濃度の製剤組成物を腫瘍内投与した場合でも、同じ用量で投与体積/標的領域体積比が異なるプロバイオティクス成分の薬効の差は、予想される動的な差(例:E02/E01>200%)をはるかに超える可能性がある。この点で、プロバイオティクス成分の投与体積((投与体積/標的領域体積比)は、もはや薬力学的な問題ではなく、薬理的な問題であった。
好ましくは、医薬組成物中のプロバイオティクス成分の含有量は、投与体積/標的領域体積比>0.09、0.1~1.5、好ましくは、0.23~1.5又は0.5~1.5となる。臨床的には、多くの腫瘍体積は30cm以上であったが、腫瘍領域内の免疫増強薬理に基づく薬剤の投与体積は一般的に非常に低かった(例えばサイトカインの場合、容量は2ml以下である)。このような薬剤製剤のサイズは、通常、注射液用バイアルや粉末注射製剤用バイアル等の小容量であった。しかし、本出願に記載された医薬組成物は、上記の投与量/標的領域体積比を満たす条件下でのみ投与することができ、例えば、腫瘍標的体積が30cm以上で、投与量/標的領域体積比が0.2の場合、投与量が6.0cm以上必要となるため、薬剤製剤の体積サイズは6ml又はその整数倍であった。実際、薬剤サイズは、所望の薬理作用を達成するために必要な有効成分の含有量の一般的に用いられる形態の一つでもあり得ることが知られていた、例えば、アスピリンの含有量が各々異なる「ベイアスピリン」錠剤は、適応範囲が異なる。
【0089】
病変量に応じて投与される局所有効成分としてのプロバイオティクス成分の本出願における上記の好ましい実施形態は、プロバイオティクス成分に対して従来技術で期待されていたものを超えていた。特に、従来技術で非局所有効成分(例えば、免疫増強活性成分)として使用されていたプロバイオティクス成分は、局所病変疾患の治療、特に局所病変量を減少させる可能性のある局所病変治療には、補助的治療としては用いられるが、一次治療薬としては使用されない可能性があり、したがって、従来技術におけるその投与量は、局所病変量に基づいていなかった。また、上記の実施例2の実験やその他の同様の実験の結果によれば、病変部に投与された同一濃度の薬剤に対する安全量(例:死亡時の投与量)は、静脈内注射による安全量の2倍以上になる可能性がある。したがって、局所有効成分として本出願に記載されたプロバイオティクス成分は、より大きな(例:平均直径が3cmを超える)病変に特に適していた。
【0090】
投与量に対する薬効の依存性についての上記の比較研究の結果は、さらに、本発明に記載されたプロバイオティクス成分の局所活性が化学的アブレーションに類似しており、従来の活性とはかけ離れていることを確認した(がん細胞阻害作用、腫瘍血管阻害作用、免疫増強作用等)。従来の非局所活性成分としてのプロバイオティクス成分の薬力学的プロファイルは、血中薬物濃度(通常は非常に低く、例えば0.25×10-5%)によって特徴づけられ、投与量は血中薬物濃度に必要な用量にのみ関係し、病変標的領域の容量には関係しなかった。用量は全身安全性に関連するため、その後、薬力学的プロファイルから投与量は広範囲にフェードアウトされ、体重等の患者の状態に基づいて医師によって決定された。本申請書に記載された局所有効成分としてのプロバイオティクス成分の薬理量は、その構成(例えば単位定式化体積)と製剤を制限するだけでなく、薬理的条件としての新薬申請書及び適用条件としての医薬品の使用説明書にも記載されなければならない重要な薬力学的特徴であった。本申請書に記載された局所有効成分としてのプロバイオティクス成分の薬理量は、従来技術における非局所有効成分としてのプロバイオティクス成分の単位製剤量又は投与量に単純に匹敵するものでは全くなかった。
【0091】
上記の実施例2~4及びより類似した研究の結果に基づき、プロバイオティクス成分を含む本発明の局所医薬組成物(本発明の組成物)は、以下の点で、プロバイオティクス成分を含む従来技術の非局所医薬組成物(例えば、経口又は静脈内注入に使用できるプロバイオティクス成分を含む先行技術の組成物)の期待を上回った。
1)その基本的な薬理は期待を上回った:本発明の組成物における局所有効成分としてのプロバイオティクス成分は、その新しい薬理~薬物浸透領域における組織破壊効果~すなわち、主に局所的な化学作用(例えば化学的アブレーションのような)を含む局所効果の発見に基づいており、先行技術のプロバイオティクス成分(例えば、免疫学的作用、抗ウイルス作用、腫瘍細胞毒性作用、腫瘍血管破壊作用等)のいかなる非局所活性の薬理的期待を上回った。
2)その薬理的方法は期待を上回った:本発明の組成物におけるプロバイオティクス成分は、その新しい機能を達成するために標的領域反応器に入るために、厳密に局所投与に限定されなければならないが、一方、先行技術の組成物におけるプロバイオティクス成分の薬理的方法は、局所投与に限定されず、その標的機能を達成するために、好ましくは、全身投与であった。
3)有効成分の選択スキームは予想を超えていた:先行技術の免疫強化組成物におけるプロバイオティクス成分は、より強い細菌性免疫成分(生のプロバイオティクスや、基本的に生のプロバイオティクスの形態を保持する不活化プロバイオティクス等、形態学的に最も近接性の高い成分等)であることが望ましいが、本発明の組成物は、免疫を最小化する細菌性成分(生菌との形態的な近接性が最も低い成分、例えば生菌性の水溶性成分、生菌性の半流動性成分)であることが望ましい。
4)その薬力学的スキームは予想を超えていた:その全身的効果を達成するための先行技術の組成物におけるプロバイオティクス成分の動的条件(薬理的濃度は血中薬物濃度)は、製剤濃度(通常、調製、保管、輸送の便宜のために濃縮物として調製される)は言うまでもなく、投与濃度ではなく投与量に依存し、例えば注射部位の局所的効果の損傷を避けるために投与される製剤の希釈に依存していた。しかし、その局所的効果を達成するための本発明の組成物におけるプロバイオティクス成分の動的条件は、逆に投与量(血中薬物濃度)ではなく投与濃度に依存しており、局所的投与濃度はその薬理的濃度であり、しばしば製剤濃度でもあった。さらに、先行技術の組成物の投与量は、全身薬理に必要な血中薬物濃度の用量のみに関連し、病変標的領域の容量には関連していなかったのに対し、本発明の組成物の投与量は、その局所的活性のために侵入される標的領域の容量に関連していた。
5)その薬理的応答に必要な時間は予想を超えていた:先行技術の組成物の全身的活性は、標的領域における長時間の高頻度(例:3か月で数十回)の薬理的応答によって達成されなければならず、したがって、先行技術の組成物は、高頻度かつ長期間にわたって供給されなければならないが、一方、本発明の組成物の局所的活性は、投与領域におけるわずか数倍(例:≦3回3か月)の薬理的応答によって達成され得る化学的アブレーションに類似していた。これはまた、剤形(例:数十回の注射と数回の注射)と調製プロトコルに大きな違いをもたらした。
6)その薬理反応に必要な反応環境は予想を超えていた:本発明の組成物は、局所投与(全身送達のための剤形に特定の賦形剤を含むべきではない、均一な溶媒は組成物を投与する際によく混合した混合物を必要とする等)のための対応する剤形の構成に厳密に限定されていた。
7)その技術的効果は予想を超えていた:第一に、局所病変に対する治療効果は予想を超えていた。例えば、少なくとも投与領域では、認識されている有効な薬剤に匹敵し、かつ先行技術の組成物に対する短期的(例えば、反復投与の場合は初回投与から21日後、最終投与から7日後)に予想される効果よりも実質的に大きい発明(発明/先行技術の組成比>200%、好ましくは、発明/先行技術の組成比>400%)の薬剤効果を得ることができる。この薬効プロファイルは、例えば、上記の動物モデルに代表される免疫不全患者、高齢患者、様々な治療後に免疫が低下した患者等、予想される範囲を超えた適応範囲にもつながった。これらはさらに、2つの組成物の違いが動的ではなく、薬理的な違いであることを示した(例:局所的効果と従来の効果)。
【実施例5】
【0092】
免疫抑制動物モデルにおける同時投与の薬理的研究と好ましい技術的溶液
ヌードマウスを実験対象とし、モデル細胞として肺腫瘍細胞(A549)を用い、移植腫瘍モデリングのために1×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は153.7mmであった。モデル動物を無作為に18群に分け、表7の薬物成分と投与経路に従って薬剤を投与した。各群には150μl/マウスの注射量で一回投与した。ここで、プロバイオティクス成分は熱不活化Saccharomyces boulardiiであり、16群の投与経路は、プロバイオティクス成分の腫瘍内注射後、約2時間後に10%アルギニンの腫瘍内注射であった。薬物投与後7日目に安楽死させ、解剖後に腫瘍組織を取り出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率(r)を算出した。また、治療効果(腫瘍抑制率)に応じて、薬剤の実際の効能/期待効能比qを算出することもできた。
表7 異なる成分や投与経路が腫瘍抑制率に及ぼす影響
【0093】
【表6】
上の表からわかるように、実際の同時投与効果と理論上の純粋な相加効果の期待値との比qは、5、6、7群では1.00以下であり、このような状況では、プロバイオティクス成分と静注で同時投与された化学活性物質との相乗効果が得られなかったことを示している。
異なる投与経路による同じプロバイオティクス成分/化学活性物質(エタノール)混合物の12群は、5群よりもはるかに高い薬効を示したが、実際の同時投与効果と理論上の純粋な相加効果の期待値の比qは1.00以下であったため、この高い薬効は主にエタノール(8群)の局所効果によるものであった。同じプロバイオティクス成分を他の化学活性物質と組み合わせると、同様の薬理作用を示すことが期待された。しかし、13群と14群は、各々6群と7群よりも有意に高い薬効(各々同じプロバイオティクス成分/化学活性物質混合物を使用して)を示し、高い薬効は局所作用に直接関係していることが示された。さらに、13群と14群の両方で、実際の同時投与効果/理論的な純粋な相加効果の期待比qは1.00より大きく、局所作用はプロバイオティクス成分と当該化学活性物質の局所的相乗効果であることが示された。
さらに、15群は最も高い薬効と実際の同時投与効果/理論的な純粋な相加効果の期待比q>1.00を示し、三成分組成物(プロバイオティクス成分/弱性局所作用性化合物/細胞毒性薬物)が実際にはその二成分(プロバイオティクス成分/弱局所作用性化合物、及びプロバイオティクス成分//細胞毒性薬物)の相乗効果に基づいてさらに相乗効果を生み出すことができることを示した。最後に、14群と同じ成分を有するにもかかわらず同じ製剤に含まれていなかった16群の医薬組成物は、実際の同時投与効果/理論的な純粋な相加効果の期待比q<1.00との相乗効果を示さなかった。
【0094】
実験では、11群と12群のほとんどの実験動物が注射後により強い反応を示すことが観察され、安全性リスクを回避するためには、プロバイオティクス成分単独又は非相乗的な医薬組成物を鎮痛条件下で使用すべきであることが示された。しかし、上記のような強い刺激反応は13~15群では観察されず、プロバイオティクス成分と弱性局所作用性化合物及び/又は細胞毒性薬物の相乗的な医薬組成物は、単独の薬効から期待されるものよりも優れた安全性を有することが示された。他のプロバイオティクス成分、例えばプロバイオティクス半流動性成分、プロバイオティクス水溶性成分、プロバイオティクス非水溶性成分粒子等についても同様の結果が存在したが、これらは規格の長さの制限からここでは詳述しない。
【0095】
発明者らは、プロバイオティクス成分の組成物、特に3成分で形成される組成物について詳細な研究を行った。
ヌードマウスを実験対象とし、モデル細胞として胃腫瘍細胞(BGC 823)を用い、移植腫瘍モデリングのため右腋窩皮下に1×105細胞/マウスを注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は164.4mmであった。モデル動物を無作為に14群に分け、表8の薬理的構成に従った薬剤を腫瘍内注射により投与した。各群は150μl/マウスの注射量で一回投与された;ここで、第5群、第11群の医薬組成物は半流動性であり、他の群の医薬組成物は液体である。薬物投与後7日目に動物を安楽死させ、解剖後に腫瘍組織を取り出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率(r)を算出した。また、治療効果(腫瘍抑制率)に応じて、薬剤の実際の効能/期待効能比qを算出することもできた。
表8 異なる薬剤の併用による腫瘍抑制結果
【0096】
【表7】
腫瘍内に注射した場合、実際の同時投与効果/理論的な純粋な相加効果の期待値の比qは、8~13群ですべて1.00を超え、いずれも有意な相乗効果を示した。発明者らは、この新機能の薬効をさらに検討した。ヌードマウスを実験対象とし、各々75%エタノール水溶液、5%熱不活化Saccharomyces boulardii/1%メチレンブルー、7.5%β-グルカン/1%メチレンブルー/1% 5-フルオロウラシルを半流動性組成物として、各群6匹ずつの3群に無作為に分けた。各群には、右脚の外側の筋肉量に投与することにより、100μl/マウスの注射量で1回投与された。薬物投与後7日目に動物を安楽死させ、解剖後に右脚の外側の筋肉量の標本を取り出して一般的な病理学的分析を行った。壊死や結節等、正常な筋肉と区別される異常な領域の切片を測定した。その結果、第1群、第2群、第3群の異常な領域の面積は、各々32.24±13.71mm2、46.78±13.64mm2、72.35±23.71mmであり、プロバイオティクス成分が提供する局所的な相乗作用は類似しており、主に局所的な化学的相乗作用であり、エタノールよりも強いことが示された。
【実施例6】
【0097】
非腫瘍局所病変モデルにおける薬理的研究と最適化
ヌードマウスを実験対象とし、モデル細胞としてマウス胚線維芽細胞3T3を用いた。移植結節モデリングのために右腋窩皮下に2×10細胞/マウスを注入し、モデル化に成功したヌードマウスの腫瘍様結節の平均体積は171.5mmであった。モデル動物を無作為に16群に分け、表9に従って薬剤を投与した。21~24群を除く各群は、腹腔内注射、リンパ節内注射により投与された。21~24群で用いられる薬剤は、非局所投与物形(プロバイオティクス成分と共投与物質を別々に投与できる剤形)の組成物であった。シリーズAの投与経路は、プロバイオティクス成分の腹腔内注射+共投与物質のリンパ節内注射であった。シリーズBの投与経路は、共投与物質の腹腔内注射+プロバイオティクス成分のリンパ節内注射であった。各群は2日間の間隔で2回投与され、注射量は150μl/マウス/時間であった。最終投与後7日目に線維芽細胞からなる局所病変の体積(V)を測定し、陰性対照群と比較して、シリーズAとシリーズBの相対的局所病変抑制率(r’A、r’B)を各々算出した。また、治療効果(局所病変抑制率)に応じて、実際の薬効/期待薬効比qを算出することもできた。
表9 各薬剤の相対的な局所病変抑制率と投与経路のデータ
【0098】
【表8-1】
【0099】
【表8-2】
実施例における02群の5-フルオロウラシルは、細胞毒性陽性対照として腫瘍体に有効な用量で投与された;02群のレンチナン注射液を免疫増強対照として臨床最大投与量の10倍投与し、04群の無水エタノールを非特異的細胞毒性陽性/局所作用陽性対照として用いたところ、非臨床条件下で非特異的細胞毒性陽性を示し、臨床条件下で局所作用陽性のみを示した無水エタノールは、当該臨床条件が治療期間中(40日間)に10回未満の注射を行う等、臨床的安全性及びコンプライアンスの面で許容される従来の条件であるのに対し、当該非臨床条件は、サイトメトリー条件や治療期間中(40日間)に10回以上の注射を行う等、臨床的安全性及びコンプライアンスからかけ離れた従来の条件であった。
【0100】
上記の表からもわかるように、03群の薬剤の腫瘍抑制率はシリーズA、Bともに15%未満であり、免疫増強の補助薬としてのみ用いられるという薬理的期待と一致した。04群の薬剤の腹腔内注射による腫瘍抑制率はr<15%に対し、腫瘍内注射による腫瘍抑制率はr>15%であり、一定の治療効果を示し、極端な条件下では非特異的細胞毒性作用薬理を示すが、正常条件下では局所作用薬理のみを示すという期待と一致した(EB04EA04>200%)。02群の薬剤の腹腔内注射による腫瘍抑制率はr<細胞毒性の薬理的期待に沿って、例2の薬効よりも有意に低い15%であったのに対し、腫瘍内注射(EB02/EA02>200%であり、エタノールと同様の局所作用と細胞毒性作用以外の作用を示すという薬理的期待が示された。
【0101】
1~4群の薬剤の腹腔内注射による薬効は01~04群と一致しており、プロバイオティクス成分の免疫増強作用、細胞毒性作用その他の全身投与による作用の可能性は、対照薬01~04の薬理的期待を超えるものではなかった。しかし、1~4群の腫瘍内注射による薬剤の効能は、腹腔内注射によるものよりもはるかに強力であり(E/E>200%)、有意に異なる新しい薬理を示した。実際、1~4群の薬剤の効能は対照薬01~04と類似しており、従来の条件下では局所的な効果しか示さなかった。同様に、11群と12群の薬剤も対照薬04と同様の効力と薬理作用を示した。
投与経路の異なる21~24群の組成物では、腫瘍内注射、腹腔内注射のq値が1.0以下であり、プロバイオティクス成分(X)と同時投与物質(Y)が形成する組成物(X+Y)の、異なる方法での投与による非局所投与物形での併用効果は、単剤の期待される相加効果を超えるものではなく、二剤を同時投与した場合の相乗効果はないことが示された。一方、31~34群では、同じ組成物の局所投与物形(X、Y)を腹腔内注射した場合、q値が1.0以下であった;、病変内注射した場合、q値が1.00以上であり、局所的な相乗効果が認められた。
【実施例7】
【0102】
薬理的研究と局所的な相乗効果の質量比最適化
ヌードマウスを実験対象とし、ヒト肝がん細胞(HepG2)をモデル細胞として用いた。移植腫瘍モデリングのために1×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は155.7mmであった。モデル動物を無作為に13群に分け、表10に従って薬剤を投与した。該当する薬剤は全て水性の液体であり、例1の方法に従って製剤化された。各群は、150μl/マウス/時間の注射量で1回投与された。薬物投与後7日目に動物を安楽死させ、腫瘍組織を摘出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率を算出した。また、治療効果(腫瘍抑制率)に応じて、薬剤の実際の効能/期待効能比qを算出することもできた。
表10 各群の腫瘍質量と腫瘍抑制率のデータ
【0103】
【表9】
炭酸水素ナトリウム~水酸化ナトリウム緩衝系は水酸化ナトリウム単独の溶液をpH>12.5から約11に減少させ、pHの減少は局所的な化学的効果をもたらさないと一般に考えられていた。上の表から、群9の実際の組み合わせ効果/期待される理論上の純粋な相加効果比q<1.00であるため、その医薬品組成物は相乗効果を示さなかったが、10、11及び12群の医薬品組成物のpHは、各々pH10±1.0又はpH4±1.0であり、当該実際の組み合わせ効果/期待される理論的純粋相加効果比q>1.00について、いずれも(0.2~20)/(0.29~14.3)の相乗量比(Wプロバイオティクス成分/W共投与物質)で相乗効果を示していることが示された。
ヌードマウスを実験対象とし、モデル細胞としてヒト肝細胞がん細胞(HepG2)を用いた。移植腫瘍モデリングのために1×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は163.2mmであった。モデル動物を無作為に13群に分け、表11に従って薬剤を投与した。該当する薬剤は水性の液体で、プロバイオティクス成分を不活化した出芽酵母Saccharomyces cerevisiae、弱性局所効果化合物をメチレンブルーとする例1の方法に従って製剤化した。各群に7日間隔で2回投与し、注射量は150μl/マウス/時間とした。最終投与後7日目に安楽死させ、解剖後に腫瘍組織を取り出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率を算出した。
表11 各群の腫瘍質量と腫瘍抑制率のデータ
【0104】
【表10】
上の表から、群9の組成物は相乗効果を示さず(q<1.00)、一方、10、11、12群の組成物は相乗効果を示した(各々q>1.00)。その相乗量比(Wプロバイオティクス成分/W共投与物質)は(0.2~20)/(0.15~1.0)であることがわかり、プロバイオティクス成分は、弱性局所作用性化合物が提供する局所的な化学作用の強さに関係なく、局所的な化学的相乗効果を提供することが示された。
実験対象としてヌードマウスを用い、モデル細胞としてヒト肝がん細胞(HepG2)を用いた。移植腫瘍モデリングのために1×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は168.7mmであった。モデル動物を無作為に13群に分け、表12に従って薬剤を投与した。該当する薬剤は水性の液体であり、実施例1の方法に従って製剤化され、プロバイオティクス成分は破壊された出芽酵母の上澄み成分であり、弱性局所作用性化合物はリジンであった。各群は7日間の間隔で2回投与され、注射量は150μl/マウス/時間であった。最終投与後7日目に動物を安楽死させ、腫瘍組織を摘出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率を算出した。
表12 各群の腫瘍質量と腫瘍抑制率のデータ
【0105】
【表11】
上の表からわかるように、9群の組成物は相乗効果を示さなかったが(q>1.00)、10、11、12群の組成物は有意な相乗効果を示し(各々q>1.00)、当該相乗量比(Wプロバイオティクス成分/W共投与物質)は(0.2~20)/(1~25)であり、やはりプロバイオティクス成分は、弱性局所作用性化合物が提供する局所的な化学作用の強さに関係なく、局所的な化学的相乗効果を提供することを示した。
ヌードマウスを実験対象とし、ヒト膵がん細胞(PANC-1)をモデル細胞として用いた。移植腫瘍モデリングのために1×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は157.3mmであった。モデル動物を無作為に13群に分け、表13に従って薬剤を投与した。該当する薬剤は水性の液体であり、プロバイオティクス成分は崩壊した出芽酵母の上清成分であり、化学療法剤はゲムシタビンである、例1の方法に従って製剤化された。各群は100μl/マウス/時間の注射量で一回投与された。投与7日目に動物を安楽死させ、腫瘍組織を摘出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率を算出した。
表13 各群の腫瘍質量と腫瘍抑制率のデータ
【0106】
【表12】
同様に、群9の組成物は相乗効果を示さなかったが(q>1.00)、群10、11、12の組成物は有意な相乗効果を示し(各々q>1.00である)、当該相乗量比(Wプロバイオティクス成分/W共投与物質)は(0.2~20)/(0.05~2.5)であり、プロバイオティクス成分は、弱性局所作用性化合物によって提供される局所的な化学作用の強さに関係なく、局所的な化学的相乗効果を提供することも示した。
当該製剤組成物中のプロバイオティクス成分の相乗量比は、免疫増強の相乗効果には必要ではなく、局所的な相乗効果に必要であるため、薬理的な量比であった。好ましくは、プロバイオティクス成分と化学活性化合物(Wプロバイオティクス成分/W化学活性化合物)の薬理的な量比は、(1~110)/(1~100)であった。当該化学活性化合物が細胞毒性薬物であった場合、(Wプロバイオティクス成分/W細胞毒性薬物)は、(1~110)/(1~100)であった。当該化学活性化合物が弱局所作用性化合物であった場合、(Wプロバイオティクス成分/W弱局所作用性化合物)は、(1~90)/(1~100)であった。また、当該弱局所作用性化合物がアミノ酸栄養素であった場合、Wプロバイオティクス成分/Wアミノ酸栄養素は、(1~20)/(1~100)であった。当該弱局所作用性化合物が生体色素であった場合、Wプロバイオティクス成分/W生体色素は、(7~90)/(1~100)であった。当該弱局所作用性化合物が酸性化剤及び/又は塩基性化剤であった場合、Wプロバイオティクス成分/W酸性化剤及び/又は塩基性化剤は、(2~60)/(1~100)であった。
【実施例8】
【0107】
局所的相乗効果の薬理的研究及び薬理濃度の最適化
ヌードマウスを実験対象とし、ヒト膵がん細胞(PANC-1)をモデル細胞として用いた。移植腫瘍モデリングのために右腋窩皮下に1×10細胞/マウスを注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は152.8mmであった。モデル動物を無作為に10群に分け、表14の薬剤と用量に従って薬剤を腫瘍内注射した。該当する薬剤は、プロバイオティクス成分が崩壊した出芽酵母の上清成分であり、化学的活性化合物がアルギニンである液体製剤であり、実施例1の方法に従って製剤化された。各群に1回投与された。投与7日目に動物を安楽死させ、腫瘍組織を摘出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率を算出した。
表13 薬物・用量別の腫瘍質量と腫瘍抑制率のデータ
【0108】
【表13】
上記の表からもわかるように、7~9群では、同じ成分、同じ量比だが濃度の異なるプロバイオティクス成分/化学活性化合物を同じ体積の腫瘍に注入した。7群の医薬組成物は相乗効果を1.00示さなかった<1.00)、群8の医薬品組成物は有意な相乗効果(q>。9群の結果(q>1.00)はさらに相乗効果が投与濃度に依存することを示した。
通常、医薬品組成物が有効成分の質量比、投与量が同じであれば、医薬品の同時投与効果は同じであった。しかし、プロバイオティクス成分は、異なる共投与薬理を提供することによって、薬物の異なる共投与効果を得ることができた。たとえ腫瘍内投与であっても、同じ用量で異なる投与濃度のプロバイオティクス成分の薬効の差は、予想される動的な差(表13のE/E>200%)を超える可能性さえある。
以上の実験により、局所的な病変内投与によって得られた本発明のプロバイオティクス成分/共投与物質組成物の短期的な薬効は、主に当該混合・共投与によって生じる局所的な相乗作用によるものであり、上記の相乗作用をもたらす当該プロバイオティクス成分の薬理的濃度は、上記の例では当該プロバイオティクス成分が局所的な効果をもたらす濃度であったことから、当該プロバイオティクス成分とその共投与物質によって局所的な相乗作用をもたらす薬理的組成物は、両者の質量比ではなく、両者の濃度比(プロバイオティクス成分が局所的な効果をもたらすために必要な上記の相乗量比+濃度)であることが確認された。
局所的な相乗作用の濃度は上記の例で得られた。メチレンブルー染料の場合、濃度はより弱性局所的効果(0.5~1.5%)をもたらす濃度であった。他の弱性局所作用性化合物の場合、濃度はより強い局所的効果(1~35%)をもたらす濃度であり、細胞毒性薬物の場合、濃度は最も一般的な局所的化学的効果(0.1~5%)をもたらす濃度であった。
その局所的効果に関連して、本発明のプロバイオティクス成分/共投与物質の組成物も、例4に記載された投与量/標的領域体積比で投与されることが好ましい。
【実施例9】
【0109】
一般的な動物モデルにおける病変領域への短期単剤投与/共投与の薬理的研究及び最適化
BALB/cマウスを実験対象とし、乳がん4T1細胞をモデル細胞として用いた。移植腫瘍モデリングのために0.5×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は160.1mmであった。モデル動物を無作為に21群に分け、表14の薬剤と用量に応じて各々静脈内注射(シリーズA)と腫瘍内注射(シリーズB)で投与した。投与された薬剤はすべて水性の液体であり、例1の方法に従って製剤化された。各群は2回投与された。最終投与後7日目に動物を安楽死させ、解剖後に腫瘍組織を取り出して腫瘍質量を測定し、シリーズA及びシリーズBの対応する陰性対照群に対する腫瘍抑制率r及びrを算出した。
表14 異なる薬剤の組み合わせ及び投与経路が腫瘍質量及び腫瘍抑制率に及ぼす影響
【0110】
【表14】
固形腫瘍の薬物治療において、化学療法剤は標的領域に入ると標的を攻撃しうるため、短期間で化学療法効果を示す。表14からわかるように、群1~5の薬物は、一般的な動物モデルにおいて治療効果と薬理的挙動を示し、実験2の免疫不全動物モデルにおける対応する薬物の結果と一致し、各々細胞毒性作用、化学的除去、免疫増強、化学的除去様の点で局所効果薬理に準拠していた。
群9の薬物は、一般的な動物モデルにおいて治療効果(r9B>r4B及びr9B>r5B)、共投与効果(q>1.00)、共投与挙動(r9B/r9A>200%)を示し、実験5の免疫不全動物モデルにおける対応する薬物の結果と一致した。すなわち、プロバイオティクス成分は、局所作用を提供する上記の条件下で、弱性局所作用性化合物に対して局所的な薬効相乗効果と局所的な安全性相乗効果を提供することもできた。このことは、群10~13の結果によってさらに確認された。
【0111】
動物の正常組織を局所病変モデルとして用いた研究例は、以下の実験で示された。
BALB/cマウスを実験対象とし、モデル動物を無作為に4群に分け、各群6匹ずつとした。投与方法は表15のとおりとした。各群に一回ずつ投与し、右脚外側筋量に100ul/マウスの注射量で投与した。投与7日目に安楽死させた。剖検で右脚外側筋塊の検体を採取し、一般的な病理学的分析を行った。正常筋と区別される壊死や結節等の異常領域の切片を測定した。
表15 各群の投与成分
【0112】
【表15】
以上の試験及びその他の同様の試験による短期的な薬効の結果、本願書に局部有効成分として記載されたプロバイオティクス成分は、一般動物モデルにおいても、実施例2~8の免疫不全動物モデルにおいても一貫した薬理作用を有しており、いずれも局所効果又は局所的な相乗作用によって薬理標的(薬物浸透領域内の組織)を破壊することが示された。
【0113】
上記実施例2~9の結果及びその他の同様の試験の結果に基づき、プロバイオティクス成分及びその共投与物質を含む本発明の局所医薬組成物(本発明の組成物ともいう)は、局所病変内で用いられる場合、以下の点において、プロバイオティクス成分/共投与物質を含む先行技術の非局所医薬組成物(以下、先行技術の組成物という)のいかなる期待をも上回った。
1)すなわち、本発明の組成物におけるプロバイオティクス成分及びその共投与物質は、局所効果がある成分を介して共投与され、その共投与薬理は、各々の局所効果の共投与を含み、結果として生じる短期的な相乗作用は、主に局所相乗作用であり、先行技術におけるプロバイオティクス成分とその共投与物質との間の非局所活性(例えば、免疫学的作用、抗ウイルス作用、腫瘍細胞毒性作用、腫瘍血管破壊作用等)を含むいかなる共投与の薬理的な期待をも上回った。
2)薬理的方法は、期待を上回った:本発明の組成物におけるプロバイオティクス成分及びその共投与物質は、短期的な相乗作用を呈するには、局所投与に厳密に限定されなければならないが、先行技術におけるプロバイオティクス成分とその共投与物質との共投与のいかなる期待される薬理的方法も、局所投与、好ましくは、全身投与に限定する必要はなかった。
3)有効成分の好ましい実施形態は、期待を上回った:好ましい成分種の数に関して、本発明の組成物は、3つ以上の成分(例:プロバイオティクス成分/弱局所作用性化合物/細胞毒性薬物)から成ることが望ましいが、2つの成分の相乗的組成物(例:プロバイオティクス成分/弱局所作用性化合物)は、すでに期待を超えていた。共投与物質種の選択に関しては、プロバイオティクス成分は、驚くべきことに、エタノールに対して局所的な相乗効果をもたらさず、弱性局所作用性化合物及び/又は細胞毒性薬物に対して局所的な相乗効果をもたらした。特定の薬物選択に関しては、プロバイオティクス成分が局所的な効果をもたらす上記の好ましい実施形態に加えて、好ましくは、共投与物質が、弱性局所作用性化合物の1つ以上、弱性局所作用性化合物及び細胞毒性剤、弱性局所作用性化合物及び免疫増強剤等、全身的な効果よりも主に局所的な効果をもたらす、弱性局所作用性化合物である1つ以上の薬物を含む。
4)有効成分の共投与薬理的組成物の期待:本発明の組成物は、プロバイオティクス成分の局所的な効果薬理的濃度を含み、したがって、その共投与薬理的組成物のパラメータは、先行技術の組成物における量比ではなく、濃度比であった。プロバイオティクス成分が共投与作用を示す薬理的濃度は、上記の例において局所作用を示す濃度であった。当該弱局所作用性化合物の薬理的濃度は、アミノ酸栄養素が5~25%、メチレンブルー染料が0.5~3%又は0.5~1.5%、キニンが3~10%、弱酸が3~20%、強アルカリが1~10%、弱アルカリが1~20%、酸性化剤又は塩基化剤のpH緩衝系が3~25%であった。
5)技術的効果は期待を超えていた:本発明の組成物は、先行技術の組成物では提供できない局所活性(局所効果又は局所的相乗効果)を提供することができ、少なくとも投与領域では、先行技術の組成物では提供できないより高い局所治療効果が提供された。好ましくは、本出願の医薬組成物は、あらゆる疾患組織(例えば、腫瘍細胞及び/又は線維芽細胞を含む)の破壊的治療(例えば腫瘍負荷軽減)に用いることができた。より好ましくは、本出願の医薬組成物は、全身薬(細胞毒性薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、血管新生阻害剤、免疫薬等)で治療することが困難であり、病変内投与が実用的であるあらゆる局所病変の治療に用いることができた。
【実施例10】
【0114】
共通の動物モデルにおける病変領域への中長期的な単剤投与/同時投与の薬理的研究と最適化
BALB/cマウスを実験対象とし、乳がん4T1細胞をモデル細胞として用いた。移植腫瘍モデリングのために0.5×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は107.4mmであった。モデル動物を無作為に17群に分けた。
実施例1の方法に従って製剤化された薬剤を、表16に従って投与した。各群は7日間隔で2回投与され、注射量は13群が300μl/マウス/時間、その他の群が14,100μl/マウス/時間であった。15群は右前肢の腋窩下投与、その他の群は腫瘍内注射により投与された。16群は順次投与(最初の投与はプロバイオティクス半液体様成分/細胞毒性薬物/弱性局所作用性化合物であり、最後の投与は不活化プロバイオティクスであった)、その他の群は同一薬剤を二回投与した。最終投与後7日目と21日目に各群の腫瘍体積を測定し(V7d、V21d)、陰性対照群との相対的な腫瘍増殖率(R7d、R21d)を算出することで、各々短期治療効果(100%~R7d)、中長期治療効果(100%~R21d)を算出することができた。
表16 異なる薬剤投与後7日目と21日目の腫瘍抑制結果
【0115】
【表16-1】
【0116】
【表16-2】
化学療法剤の効果動態の特徴として、その薬が存在すると攻撃が起こることであることはよく知られていた;一方、その薬が代謝された場合、当該攻撃はもはや起こらない。免疫エンハンサーの薬学的効果は、腫瘍体の変化をほとんど示さなかった。1群と2群では、21日目と7日目の相対的腫瘍増殖率R(R21/R7)の比が1.50より大きく、腫瘍抑制に対する短期的な薬物効果が有意に低下したことが示された。3群の相対的腫瘍増殖率は一貫して高く、免疫エンハンサーのみの使用では有意な治療効果が示されないという期待に対応していた。1~3群の陽性対照(5-フルオロウラシル、エタノール、インターロイキンー12)は、その薬理(各々細胞毒性薬理、免疫増強薬理、局所作用薬理)から期待される効果動態(R21/R7)と一致する中長期的な薬効を示し、比較試験システムを構築した。
【0117】
7日目の群1~7の医薬品組成物の短期的な薬効は実施例9の結果と一致した。群5~7のプロバイオティクス成分は、群2の化学的アブレーション剤に類似した局所有効成分の期待と一致する短期的な薬効を示し、群2の化学的アブレーション剤と一致する中長期的な薬効を示すと思われる。驚くべきことに、プロバイオティクス成分は全く異なる効果動態(R21/R7は100%未満)を示し、薬理における全ての陽性対照の予想される中長期的な薬効を大きく上回った。異なるプロバイオティクス成分は、細菌の免疫原性とは無関係に、ほぼ同じ効果動態を示した。同様に、群8~12は、プロバイオティクス成分/共投与物質が、上記の陽性対照とは全く異なる局所的な相乗効果(q7d>1.00)、中長期的な相乗効果(q21d>1.00)、効果動態(R21/R<100%)をもたらすことを示した。
群13と群5(同じ投与成分と用量)を比較すると、プロバイオティクス成分の投与濃度は、その局所的な効果薬理に好ましい濃度ではなく、200%を超える短期的な薬効差を示した。群14と群6(同一投与成分・同量比、用法・用量)を比較すると、組成物の投与濃度は、その局所的な相乗薬理に好ましい濃度ではなく、また200%を超える短期的な薬効差を示した。群13と14の中長期的な薬効(R21)も、群5と6よりもかなり低かった。さらに、群13と14の効果動態(R21/Rは約100%以上)は、群5と6の効果動態(R21/Rは100%未満)とは有意に異なっていた。群15の結果は群13と同様で、病変外のプロバイオティクス成分の局所的効果(短期的な薬効)とその二次的効果(中長期的な薬効、効果動態)も弱すぎるかのようであった。群16(プロバイオティクス半流動様成分/細胞毒性薬物/弱局所作用性化合物を1回、不活化プロバイオティクスを1回)の連続投与併用の中長期的な薬効は、同一薬剤の2回目の投与(5群と12群で各々異なる短期(局所効果)治療力を示した不活化プロバイオティクス及びプロバイオティクス半流動様成分/細胞毒性薬物/弱性局所作用性化合物)の間であり、さらに、当該薬剤の中長期的な治療効果は、短期的な(局所的な)治療効果と相関していることが示唆された。
以上の結果は、群5から群12のプロバイオティクス成分が、群1から群3の薬理的期待を超え、さらには単純な局所的効果の薬理的期待を超えた中長期的な効果、すなわち化学作用や免疫増強効果とは異なる新しい薬理を示すことを示した。この新しい薬理の生成は、少なくとも上記の例2から4の局所的効果の薬理的条件(細菌の免疫原性等を最小限に抑えたプロバイオティクス成分を含むことが望ましい)を満たさなければならず、したがって、局所的効果の二次的効果(相乗効果)であることを合理的に推測することができた。
要約すると、病変内投与後の本出願の組成物の短期的効果は主に局所的効果(又は局所的相乗効果)であったが、長期的効果は主に二次免疫効果のような局所的効果(又は局所的相乗効果)から生じる二次的効果であった。本出願の組成物は、投与後に産生されるin situ抗原のようなin situ免疫物質を抗原として機能する物質が構成するワクチンのような免疫医薬品とは全く異なっていた。また、プロバイオティクス成分は、他の外因性物質と同様に、in situ免疫物質の薬効を高める非特異的な抗原作用もある可能性がある。
【0118】
本出願の組成物には、局所作用(又は局所相乗作用)及びその二次的免疫学的作用を含む化学的/免疫薬理的機能があるため、先行技術におけるプロバイオティクス成分の薬理作用に関する薬効期待を大きく上回り、先行技術の免疫増強剤よりも優れた治療薬であった。局所内病変投与、局所作用の濃度閾値、局所作用の体積閾値、局所相乗的組み合わせ等を制限することにより、本出願の組成物は、いかなる局所病変疾患に対しても効果的な治療を提供し、細胞毒性薬物に必要な治療過程内での高頻度の大量投与を回避し、高い安全性とコンプライアンスを有しうる。本出願の組成物は、間質比が25%を超える固形腫瘍等、細胞毒性薬物、抗ウイルス薬、抗菌薬、血管新生阻害剤、免疫薬等では治療困難な局所病変疾患の治療に用いられうる。他の薬物とは対照的に、本出願に記載された組成物は、組織毒性/免疫薬として用いることができ、さらに、線維芽細胞を作用標的として上記の適応症を治療するために用いられうる一方で、線維芽細胞とそれが産生する線維等の沈着物は、しばしば難治性局所病変疾患の主要な特徴の一つであった。
【実施例11】
【0119】
一般的な動物モデルにおける局所単剤投与/病変領域外への共投与の薬理的研究と最適化
実施例9の腫瘍外投与による不顕性薬効にもかかわらず、腫瘍外投与に関する研究は中断しなかった。BALB/cマウスを実験対象とし、乳がん4T1細胞をモデル細胞として用いた。移植腫瘍のモデル化のため、0.25×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入した。モデル化後5日目に、視覚的に明らかな腫瘍を有する被験動物を無作為に12群に分け、各群10匹ずつとした。表17の薬剤と投与量に従って薬剤を投与し、実施例1の方法に従って薬剤を製剤化した。10群と11群には異なる薬剤を1日2箇所(生菌成分/共投与物質の組成物を腫瘍内に投与し、生菌成分のみを同日に動物の左腋窩皮内に投与した)投与し、それ以外の群には同じ薬剤を7日間隔で2回、腋窩下に皮内投与した。1~11日群では、最終投与後7日目と21日目に腫瘍体積(V7d、V21d)を測定し、投与後7日目と21日目の陰性対照群との相対的な腫瘍増殖率(R7d、R21d)を算出することで、各々短期治療効果(100%~R7d)、中長期治療効果(100%~R21d)を算出することができた。また、短期治療効果と中長期治療効果に基づき、各々短期薬効q7dの実績/期待比と中長期薬効q21dの実績/期待比を算出した。
表17 異なる薬剤を投与した7日目と21日目の腫瘍抑制結果
【0120】
【表17】
*:投与量(μl/マウス/時間)
表17からわかるように、1~3群の陽性対照(5-フルオロウラシル、エタノール、インターロイキンー12)は、薬理的期待値(各々細胞毒性薬理、免疫増強薬理、局所作用薬理)と一致する結果を示したが、いずれも意味のある中長期的な薬効を示さなかった。5~7群の短期的な薬効は、主に局所効果又は局所的相乗効果であり、有意でない結果は2群と一致した。驚くべきことに、5~7群では無視できない中長期的な薬効が認められ、対照群1~3のどの薬理とも大きく異なる新しい薬理が示された。従来のワクチン用量(20mg/kg)を用いた8群と9群では、超従来のワクチン用量(240 mg/kg)を用いた5群と6群と同じ中長期的な薬効が認められず、後者の新しい薬理が局所作用により密接に関連していることが示された。プロバイオティクス成分/共投与物質の組成物を腫瘍内投与し、プロバイオティクス成分のみを腫瘍外投与した10群と11群の短期的な薬効は、主に腫瘍内局所的相乗効果によるものであったが、中長期的な薬効は、この腫瘍内局所的相乗効果と、5群と6群で示された腫瘍外局所作用の二次的効果との複合効果であった。
5群と6群のほとんどの実験動物は、注射時に強い闘争反応を示すことが観察されたことから、安全性リスクを回避するためには、プロバイオティクス成分のみを鎮痛条件下で使用すべきであることが示唆されたが、7群では説明できないことに、上記のような強い反応が観察されなかったことから、プロバイオティクス成分と弱性局所作用性化合物及び/又は細胞毒性薬物との相乗的な薬物組成物は、単剤効果から予想される安全性プロファイルを超えていることが示唆された。
【0121】
以下の例では、本出願の組成物の腋窩皮下における局所効果をさらに調査した。
BALB/cマウスを実験対象とし、各群6匹ずつのA群とB群の2群に無作為に分けた。A群とB群に各々10%の熱不活化Saccharomyces boulardiiと10%の熱不活化Saccharomyces boulardii/20%のリジンを投与し、各々の群に100ul/匹の注射量で右前脚の腋窩皮内に一回ずつ投与した。投与7日後に動物を安楽死させ、マウスの右前脚の腋窩の皮内結節の標本を剖検し、切片を作製して洗浄し、壊死の離断や結節等の正常な筋肉とは区別される異常領域の面積を測定した。
その結果、A群とB群の異常領域の面積は各々30.15±11.31mmと45.74±13.71mmであり、実施例9の結果と一致した。本出願の技術的解決におけるプロバイオティクス成分は高濃度エタノールに類似しており、局所投与後に最初に示された薬効は主に局所作用(又は局所相乗作用)であり、これは主に化学的アブレーションと同様の局所化学的作用(又は局所化学的相乗作用)であった実施例2、5及び9の腫瘍内投与後に示された局所作用(又は局所相乗作用)と一致した。腫瘍外局所投与後の本剤の組成物の短期的効果は主に皮下薬物透過領域の組織破壊であり、中長期的効果は主に破壊による二次的効果であった。上記表の5~7群で観察された遠距離にわたる中長期的効果は、二次的効果が主にワクチン効果を含むことを示したことから、本剤の組成物は、抗原として作用する物質が薬物投与後の組織破壊によって産生される非特異的抗原を構成する古典的なワクチンとは全く異なる腫瘍外ワクチン効果をもたらす可能性がある。また、他の外因性物質と同様に、プロバイオティクス成分もワクチンの薬効を高める非特異的抗原効果があった。
【0122】
以上から、局所外病変の適当な局所で用いられる場合、プロバイオティクス成分を含む本発明の組成物(本発明の組成物)は、全身作用薬理(例えば、細胞毒性薬理、上記のような免疫増強薬理)又は局所作用薬理(例えば、上記のような化学的アブレーション)を示す従来の組成物(通常の組成物)とは全く異なることが明らかであった:1)標的薬理:本発明の組成物は、通常の組成物(例えば、化学的アブレーションによる悪い組織の抗原効果がほとんどない)の効果の薬理的期待を大きく超える、十分に強力な二次的効果又は局所効果の二次的相乗作用(これには、悪い組織の抗原効果や、まだ調査されていない他の二次免疫反応が含まれるが、これらに限定されない)を提供しうる。2)薬理的組成物:本発明の組成物が局所病変外で十分に強力な局所効果を生じるために満たされなければならない条件は、薬理的組成物の観点から、局所病変における上記例のプロバイオティクス成分の局所的効果と同じであった。これは、通常の組成物(例えば、より強力な免疫原性や、好ましい免疫増強成分を最大化したり、高用量の細胞毒性薬を好んだりする)の期待される薬理的組成物を大きく上回った。3)技術的効果:本発明の組成物は、既存の通常の組成物の期待される技術的効果を大きく上回る、治療用ワクチンのそれと同様の局所病変の有意な中長期的な交差距離阻害を生成することができた。
また、腫瘍外投与量と腫瘍内標的領域体積との間に関連性は見出されていなかったが、その投与量の必要条件は、例えば、腫瘍の総体積が2.85cm以上である場合、その投与量が0.01ml/kg人以上、0.015~0.25ml/kg人、0.020~0.25ml/kg人であることであり、本出願の腫瘍外局所注射用プロバイオティクス成分を含む薬剤の投与量は、従来のワクチンの投与量の2倍又は3~100倍、好ましくは、5~100倍であることが必要であった。
【実施例12】
【0123】
二次効果(相乗効果)の更なる検討とスキームの最適化
BALB/cマウスを実験対象とし、モデル化された動物をシリーズA、モデル化されていない動物をシリーズBとし、モデル化された動物のモデル細胞として乳がん4T1細胞を用いた。移植腫瘍モデリングのために0.25×10細胞/動物を右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は173.6mmであった。モデル動物を各群10匹ずつの18群に無作為に分け、表18に従った薬剤を腫瘍内注射により投与した。BALB/cマウスをモデル化せずに実験対象として追加し、各群10匹ずつの18群に無作為に分け、表18に従った薬剤を右後大腿に筋肉内注射により投与した。プロバイオティクス成分を含む全ての被験薬は例1の調製法に従い、他の薬剤は既存の既知の方法に従い、水溶液として製剤化された。各群は3日間隔で2回投与され、投与量は50ul/マウス/時間であった。
【0124】
シリーズAの各群の腫瘍体積は、最初の薬剤投与後10日目と30日目に測定され、腫瘍抑制率(r’10d、r’30dの場合)は陰性対照に対する相対値として算出された。最初の投与後30日目に、シリーズAの各群とシリーズBの各群は、各々1×105個の乳がん4T1細胞/マウスと0.2×105個の線維芽細胞3T3細胞/マウスの皮下細胞移植を左前腋窩と左後腋窩に行った。各群の4T1細胞移植(S4T1)と3T3細胞移植(S3T3)の腫瘍発生率は、細胞移植後10日目に観察され、腫瘍発生率S=(担がん動物数/細胞移植動物数)×100%であった。
表18 各群の腫瘍抑制率と腫瘍発生率のデータ
【0125】
【表18-1】
【表18-2】
【0126】
表18からわかるように、シリーズAの腫瘍抑制率r’10d、r’30dは、各々局所病変に対する短期的な薬効と中長期的な薬効を表しており、病変部に投与された薬剤によるものである。前述のように、プロバイオティクス成分とその組成物の短期的な薬効は局所作用に直接関係していたのに対し、中長期的な薬効、特に化学療法剤に期待される効果よりも有意に高い中長期的な薬効は、二次的な効果又は局所作用の二次的な相乗作用、特に二次的な免疫学的効果に関係していた。
シリーズAでは、02~06群の各対照群は、各々腫瘍内注射による投与後に、各々の薬理的期待と一致する薬効、すなわち、細胞毒性効果、免疫増強効果、化学的除去効果、ワクチンアジュバント効果、条件付き局所効果(多糖類)を示し、細胞毒性効果(02群)と化学的除去効果(04群)は短期的な薬効(r’10d)を示し、その他の効果は示さなかったが、いずれの効果も中長期的な薬効(r’30d)を示さなかった。1~4群で単剤として用いられるプロバイオティクス成分は、有意な短期及び中長期的な治療効果を示した。予想外に、不活化されたプロバイオティクスは、短期的な薬剤効果は最も高かったが(r’10d)、中長期的な薬剤効果は最も低かった(r’30d)。
組成物(A/B)およびシリーズAの対応する成分(A、B)の薬効(r’10d、r’30d)に基づいて、組成物共投与の短期、中期および長期の医薬効率(q10d、q30d)の実際/予想比を計算することができるが、ここでq=r’A/B/[r’+r’-(r’×r’)]である。21~26群のプロバイオティクス成分/共投与物質で形成された組成物のq30dは、いずれも1.0以上、さらには1.15以上であり、中・長期薬効が成分の中・長期薬効の予想和より大きく、薬剤を共投与した場合の局所作用の二次相乗効果があった。上記の群3~4と一致して、群22~26の短期的な薬効(r’10d)は群21よりも劣っていたが、中長期的な薬効(r’30d)はより高かった。
また、表18のS3T3及びS4T1は、各々移植細胞3T3と4T1に対する移植拒絶反応を示していた。01~06群の対照群のS3T3及びS4T1は、シリーズA又はシリーズBに関係なく100%であり、免疫療法効果が得られなかったことを示している。シリーズAでは、群1~4で用いられるプロバイオティクス成分は、非病原体を完全に抑制するにはまだ十分ではないが(S3T3は100%)、病原体を排除又は少なくとも強力に抑制するには十分であり(S4T1は100%未満)、有意な特異性を示した。これは、関連薬によって発生する短期的(局所的)効果は局所的な病変に限定され、中長期的(二次的)効果は局所的な病変に限定されず、治療的な免疫学的効果を含むことを示した。群21~26の医薬組成物は、各々群1~4の対応するプロバイオティクス成分と一致する免疫学的効果をもたらしたが、病原体(4T1)に対してより強い免疫学的効果を持ち、腫瘍形成率が低かった。シリーズBでは、群1~4のプロバイオティクス成分及び群21~26の組成物から発生した非特異的免疫学的効果は、移植細胞(4T1及び3T3)のいずれかを強力に阻害するのに十分ではなかった。
【0127】
表中のシリーズAの組成物(A/B)と対応する構成成分(A,B)の同一病原体に対する移植片拒絶反応[S4T1又はS’4T1=(1-S4T1)]を特に比較することにより、組成物の共投与薬効における免疫共投効果の実際/予想比を、以下のように算出できるであろう:q4T1=S’A/B4T1/[S’A4T1+S’B4T1-(S’A4T1×S’B4T1)]。
群21~26の組成物の実際/期待比q4T1はすべて1.00より大きく、免疫相乗作用、特に特異的免疫相乗作用を示した。プロバイオティクス成分及びプロバイオティクス成分を含む組成物は、最初に病変部で局所的効果を生じたことから、中長期的な薬効における免疫学的効果又は免疫相乗作用、特に特異的免疫効果又は特異的免疫相乗作用は、局所的効果の環境依存的な二次的効果であることが示唆された。
【0128】
上記の結果及び他の同様の試験の結果に基づいて、局所病変部の治療に用いた場合、本発明に記載されたプロバイオティクス成分を含む局所的な医薬組成物(上記の細胞傷害性薬物、免疫増強剤、化学的アブレーション剤、ワクチンアジュバント、調整局所剤等のような、先行技術の組成物という)は、以下の側面で期待されるように、先行技術の非特異的免疫治療用医薬組成物のいずれをも上回った。
1)その薬理は期待を超えていた:本発明の組成物の薬理、特に中長期的な薬理は、先行技術の組成物には見られない、二次的な効果(又は二次的な相乗作用)、特に病原体特異的な免疫学的効果(又は局所的な相乗作用)を含んでいた。
2)その薬理的組成物は期待を超えていた:上記の例のプロバイオティクス成分の局所的効果の薬理的組成物に基づいて、プロバイオティクス成分によって提供される局所的効果を最大化する必要はなく、又はプロバイオティクス成分によって提供される局所的効果を最小化することさえ望ましくなかった。例えば、好ましくは、プロバイオティクス成分は、細菌の免疫原性と局所的効果が非常に弱い成分(水溶性多糖類の投与濃度は3~15%又は3~5%、核酸の投与濃度は10~25%、半流動性成分の投与濃度は4~12%に制限された)、プロバイオティクス成分の薬理的濃度は、より高い投与濃度よりも低いものから選択され、特定の組み合わせ関係にある複数の(好ましくは、2つ以上)同時投与薬物等から選択される。
3)技術的効果は期待を上回るものであった:有意で、たとえ有効な中長期的な薬効と、遠距離間の薬効、特に治療用ワクチンに類似した明らかな特異的免疫学的効果が、先行技術の組成物が生成しなかった条件下(例えば、短期的な相乗効果はなく、短期的な拮抗薬の効能があっても)で生成されたため、本発明の組成物には、先行技術の組成物を大幅に超える適応範囲があった。
【実施例13】
【0129】
剤形の検討と最適化
BALB/cヌードマウスを実験対象とし、乳がん細胞4T1をモデル細胞とした。移植腫瘍モデリングのために0.25×10細胞/マウスを右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は291.7mmであった。モデル動物を3群に無作為に分け、A、B、Cに各々生理食塩水、5%不活化Saccharomyces boulardii水性懸濁液、5%不活化Saccharomyces boulardii及び生理食塩水を混合した水性懸濁液を試験薬として与えた。上記の薬剤は例1の調製法に従って製剤化された。各群は2日間隔で2回腫瘍内に薬剤を注射し、注射量は150μl/マウス/時間であった。最初の薬剤投与後10日目に動物を安楽死させ、腫瘍組織を摘出して腫瘍質量を測定し、陰性対照群に対する腫瘍抑制率(r)を算出した。
その結果、B群の薬剤は局所剤形で浸透圧調節剤を含まないのに対し、C群の薬剤は非局所剤形で浸透圧調節剤~塩化ナトリウムを含み、B群とC群の腫瘍抑制率は各々19.8%と41.3%であり、C群はB群よりも有意に低いことが示され、浸透圧調節剤が組成物の免疫増強効果を阻害し、局所効果を低下させることが示唆された。現在の実験条件では、プロバイオティクス成分がB群で有効な治療効果を示すものからC群では治療効果を示さないものに変更されたほどであり、以上のことから、本出願組成物の剤形の選択が従来の組成物と根本的に異なることは明らかであった。具体的には、従来技術では、プロバイオティクス成分を含む組成物は通常、経口剤形又は従来の注射剤形であり、前者は通常、固体賦形剤を含む必要があり、後者は通常、薬液の浸透圧が血液浸透圧と同じか類似していることを保証するために、プロバイオティクス成分の浸透圧上昇剤(塩又は単糖類)を含む必要がある。本出願に記載された医薬組成物は、この局所効果を提供するという要件を満たす必要があるだけであり、その好ましい実施形態では、局所効果を減少させないように、固体賦形剤又は浸透圧増強剤を含まないことができる。実際、上記の投与形態は、局所作用薬の好ましい投与形態でもあった。
【実施例14】
【0130】
中高年患者モデルにおける比較検討とさらなる最適化
中高年患者モデルでは生後8か月のマウスを実験対象とし、移植腫瘍モデリングのために0.5×10マウス乳がん4T1細胞/マウスを右腋窩皮下に注入し、モデル化に成功したヌードマウスの平均腫瘍体積は117.3mmであった。モデル動物を無作為に18群に分けた。各群は50μl/マウスの注入量で、表19の薬物群別に腫瘍内注射により一回投与された。投与後3日目と21日目に局所病変体積(V)を測定し、各時点での陰性対照群に対する腫瘍抑制率(r’3d、r’21dの場合)を算出した結果を下表に示す。投与する薬剤は、従来の水溶液の調製法又は例1の調製法により調製した。短期薬効の実/期待比q3d、中長期薬効の実/期待比q21dは、各々異なる時期(3日目、21日目)の薬効(r’3d、r’21dの場合)を基に算出した。
表19 投与群別の短時間作用型及び長時間作用型のデータ
【0131】
【表19-1】
【0132】
【表19-2】
中高年患者モデルは、腫瘍形成と免疫能の点で一般的に用いられる若年患者モデルと一致しなかった。表19からわかるように、第1~3群の糖の対照群は、非常に高濃度(30%)でのみ短期的な薬物効果(r’d>15%)を示したが、いかなる濃度(r’21d<15%)でも中長期的な薬物効果は示されず、糖の栄養素は非常に高濃度(30~50%)でのみ局所的な効果をもたらす可能性があり、意味のある二次的効果をもたらさないという期待と一致した。第4~9群のプロバイオティクス成分(類似体を含む)には、意味のある短期的な薬物効果(r’3d<15%)も中長期的な薬物効果(r’21d<15%)も観察されなかったことから、高齢患者に局所投与した場合、短期的な薬物効果と中長期的な薬物効果をもたらす全身的なメカニズム(例えば、細胞毒性等の化学療法のメカニズム)は無視できるものであり、局所的な効果も最小限に抑えられることが示唆された。10群の薬物併用の局所効果は有意に有効であったが(r3d>40%)、局所効果の効能は時間とともに減衰した(r’21d<2/3×r’3d)。
【0133】
短期的な薬効の実際/期待比q3dと、中長期的な薬効の実際/期待比q21dを、各々異なる時期(3日目、21日目)の薬効(r’3d、r’21dの場合)に基づいて算出した。群11から群13の糖類の対照は、非常に高濃度(30%)でのみ局所的な相乗効果(q3d>1.00)を示したが、どの濃度でも中長期的な相乗効果は示されず(q21dは1.00未満)、糖類の栄養素は非常に高濃度(30から50%)でのみ局所的な相乗効果をもたらすが、意味のある二次的な相乗効果はもたらさないという期待と一致した。群14から群19のプロバイオティクス成分とその類似体は、群11と群12の糖類の対照と濃度の点で類似しており、どちらも局所的な影響は最小限であり、同じ局所投与物との併用でも同様の結果が得られるようである。しかし、同じ局所投与物と併用したプロバイオティクス成分(類似体を含む)の短期的な薬効(r’3d)は、同じ濃度の糖類の対照と比較して有意に高く、中長期的な薬効(r’21d)の差は有意に大きかった。実際、同じ局所投与物と併用したプロバイオティクス成分(類似体を含む)のq1.00dはを超えており、糖類の対照/局所投与物の効果に基づいて予測される中長期的な相乗効果を大きく上回っていた。さらに、構造が非常に似ているにもかかわらず、プロバイオティクス成分/局所投与物は、他の供給源の類似体/局所投与物から予測されるものを超える短期的な効果と中長期的な相乗効果をもたらす可能性があった。
【0134】
プロバイオティクス成分(類縁体を含む)自体が実施例の条件下では中長期的な薬効を示さなかったことを考慮すると、上記の結果から得られた共同投与薬理は、先行技術における相乗作用の薬理的期待を上回るものであり、細菌抗原性を最小化し、局所作用(r’3d<15%)を最小化し、中長期的な薬効(r’21d<15%)を最小化したプロバイオティクス成分(類縁体を含む)は、関連する技術的解決において、これまで発見されていないが有用な薬理的機能を提供する可能性がある。すなわち、必ずしもプロバイオティクス成分自体が強力な作用を示さない、好ましくは、局所作用を最小化した条件下で、必ずしも局所相乗作用を示さない、又は局所相乗作用が弱い共投与物質に対して、中長期的な薬理的相乗作用を示す可能性がある。関連する技術的解決において、プロバイオティクス成分(類縁体を含む)を含む中長期的な相乗作用を示す医薬組成物の適応範囲は、中高年患者に対して、局所作用を最小化したプロバイオティクス成分(例えば、水溶性成分や半流動性成分等)、局所作用を最小化した薬理的濃度(例えば、水溶性多糖類では投与濃度を3~15%に、核酸では投与濃度を10~25%に、半流動性成分では投与濃度を4~12%に制限する等である)の要件を有する薬理的構成物であった。
【0135】
ここに記載されたプロバイオティクス成分を含む局所医薬組成物(以下、本発明の組成物と略す)は、上記の例における非特異的免疫療法医薬組成物の期待を超えるだけでなく、本例の上記の結果(特に中長期の結果)及び同様の試験の他の結果に基づき、特に以下の側面において、局所作用薬(例えば、エタノール、従来の糖類栄養素等)を含む先行技術の局所医薬組成物(以下、先行技術組成物と略す)の期待をも超えていた。
1)好ましい同時投与薬理作用は期待を上回り、既存の相乗効果の定義に基づく先行技術の組成物の好ましい同時投与薬理作用(例えば、従来の糖類栄養素の局所的な影響はより大きいか、最大化さえしていた)は、成分の局所的な効果を支持する条件下での局所的な相乗効果であったのに対し、既存の相乗効果の定義を超える本発明の組成物の好ましい同時投与薬理作用は、成分の局所的な効果を明確に支持しない条件下(例えば、プロバイオティクス成分の局所的な影響は小さいか、最小化されてさえいて、プロバイオティクス成分とその共投与物質は短期的な相乗効果がなかったか、あるいは短期的な拮抗効果さえあった)で中長期的な相乗効果が発生し、中長期的な相乗効果には、各成分の局所的な効果を超える免疫学的な効果が含まれる可能性が高かった。
2)その薬理的構成は期待を上回った:上記の実施例で述べたように、薬理的構成は、いかなる非特異的免疫療法医薬組成物の薬理的構成に対する期待も上回った。一般に、局所作用は局所刺激性と正の相関があると考えられていた。しかし、好ましいプロバイオティクス半流動性成分又はプロバイオティクス水溶性成分は、プロバイオティクス粒子成分(不活化プロバイオティクス、プロバイオティクスの水不溶性粒子)と比較して、局所刺激性(局所投与中に激しく悪戦苦闘する動物の割合)が有意に低く、好ましい共投与物質は、局所刺激性が強いエタノールではなく、局所刺激性が弱性局所作用性化合物等であった。
3)技術的効果は期待を上回るものであった:本発明の組成物は、短期的な局所的薬効しか得られなかった先行技術の組成物の期待される技術的効果を大幅に上回る、明白かつ効果的な中長期的薬効及び全身的薬効(交差距離薬効)を得ることができた。中長期的薬効及び全身的薬効は、中高年の患者、特に高齢者に特に適していた。さらに、本発明の好ましい組成物は、局所刺激性をほとんど示さなかったが、古典的な化学的アブレーション剤(例えばエタノール)の局所効果は、局所刺激性と正の相関を示した。
【0136】
ここで、当該プロバイオティクス成分に局所的な相乗効果及び/又は中・長期的な相乗効果をもたらすことができる共投与物質は、他の薬学的に適当な薬物から選択され、意味のある局所効果をもたらす薬物(化学的有効成分及び/又は生物学的有効成分)又は薬物の組み合わせであってよい。例えば、
1)アルカリ金属水酸化物、アルカリ無機塩、及びメチレンブルー及びその類似体、免疫調節剤、細胞毒性薬物から選択される1つ以上からなる群から選択される組み合わせ:アルカリ金属水酸化物/アルカリ無機塩/メチレンブルー及びその類似体の組み合わせで、濃度比(Wアルカリ金属水酸化物/Wアルカリ無機塩/Wメチレンブルー及びその類似体)が(1~5%)/(3~15%)/(0.35~5%);アルカリ金属水酸化物/塩基性無機塩/免疫調節剤の組み合わせで、濃度比(アルカリ金属水酸化物/W塩基性無機塩/W免疫調節剤)が(1~5%)/(3~15%)/(1~15%);アルカリ金属水酸化物/塩基性無機塩/細胞毒性薬物の組み合わせで、濃度比(アルカリ金属水酸化物/W塩基性無機塩/W細胞毒性薬物)が(1~5%)/(3~15%)/(0.1~10%)である。
2)アルカリ有機化合物、アルカリ無機塩、及びメチレンブルー及びその類似体から選択される1つ以上の化合物、免疫調節剤、細胞毒性薬物からなる群から選択される組み合わせであって、例えば濃度比(Wアルカリ有機化合物/Wアルカリ無機塩/メチレンブルー及びその類似体)が(5~25%)/(3~15%)/(0.35~5%)であるアルカリ有機化合物/アルカリ無機塩/メチレンブルー及びその類似体の組み合わせ;濃度比(アルカリ有機化合物/Wアルカリ無機塩/W免疫調節剤)が(5~25%)/(3~15%)/(1~15%)であるアルカリ有機化合物アルカリ無機塩/免疫調節剤の組み合わせ;濃度比(Wアルカリ有機化合物/Wアルカリ無機塩/W細胞毒性剤)が(5~25%)/(3~15%)/(0.1~10%)であるアルカリ有機化合物/アルカリ無機塩/細胞毒性剤の組み合わせである。
3)濃度比(Wアルカリ有機化合物/Wメチレンブルー及びその類似体/W免疫調節剤)が(5~25%)/(0.35~3.5%)/(1~15%)であるアルカリ有機化合物/メチレンブルー及びその類似体の組み合わせのように、アルカリ有機化合物メチレンブルー及びその類似体からなる群、並びに免疫調節剤、細胞毒性剤、非塩基性アミノ酸及びその酸塩から選択される1つ以上から選択される組み合わせ;濃度比(Wアルカリ有機化合物/Wメチレンブルー及びその類似体/細胞毒性剤)が(5~25%)/(0.35~3.5%)/(0.1~10%)であるアルカリ有機化合物メチレンブルー及びその類似体細胞毒性剤の組み合わせ;濃度比(Wアルカリ有機化合物/Wメチレンブルー及びその類似体/W非塩基性アミノ酸及びその酸塩)が(5~25%)/(0.35~3.5%)/(10~25%)であるアルカリ有機化合物メチレンブルー及びその類似体非塩基性アミノ酸及びその酸塩の組み合わせである。
4)濃度比(W細胞毒性薬物/Wアルカリ有機化合物/W免疫調節剤)が(0.1~10%)/(5~25%)/(1~15%)である細胞毒性薬物/アルカリ有機化合物/免疫調節剤の組み合わせ等、細胞毒性薬物とアルカリ有機化合物、免疫調節剤、ポリオール、メチレンブルー及びその類似体から選択された少なくとも2つを含む群から選択された組み合わせ;濃度比(W細胞毒性薬物/Wポリオール/Wメチレンブルー及びその類似体)が(0.1~10%)/(5~25%)/(0.35~3.5%)である細胞毒性薬物/ポリオール/メチレンブルー及びその類似体の組み合わせ;濃度比(0.1~10%)/(0.35~5%)/(1~15%)である細胞毒性薬物/メチレンブルー及びその類似体/免疫調節剤の組み合わせ(W細胞毒性薬物/Wメチレンブルー及びその類似体/免疫調節剤)である。
上記は本発明の好ましい例に過ぎず、本発明を限定するために用いられたものではない。本発明の精神及び原則の範囲内でなされた修正、同等の置換、改良等は、本発明の保護範囲に含まれる。
【国際調査報告】