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特表2023-544314接触情報の検出に基づく外科用ロボットにおける衝突回避
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】接触情報の検出に基づく外科用ロボットにおける衝突回避
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20231016BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J19/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519667
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 IB2021058548
(87)【国際公開番号】W WO2022069992
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/086,036
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ボ
(72)【発明者】
【氏名】フアン・ヤナン
(72)【発明者】
【氏名】タヘリ・ホセイン
(72)【発明者】
【氏名】キアンマジド・ババク
(72)【発明者】
【氏名】マオ・イン
【テーマコード(参考)】
3C707
4C130
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS13
3C707CS08
3C707CT04
3C707HS27
3C707HT20
3C707HT21
3C707KS29
3C707KS31
3C707KS36
3C707KT01
3C707KV11
3C707KW01
3C707KW03
3C707LV02
3C707MS07
3C707MS08
4C130AA22
4C130AA24
4C130AB01
4C130AD01
4C130CA02
4C130CA03
4C130CA08
(57)【要約】
ロボットシステムは、衝突検出及び衝突回避が可能であり得る。医療用ロボットシステムは、第1の運動学的連鎖と、第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサとを含むことができる。医療用ロボットシステムは、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータから判定された制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせるように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ロボットシステムであって、
第1の運動学的連鎖と、
前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサと、
前記1つ又は2つ以上のセンサと通信する1つ又は2つ以上のプロセッサと、
前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータから判定された制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせる、命令を記憶する、メモリと、
を備える、医療用ロボットシステム。
【請求項2】
前記第1の運動学的連鎖は、第1のロボットアームを含む、請求項1に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項3】
前記第1の運動学的連鎖は、前記第1のロボットアームが位置決めされている調整可能なアーム支持体を含み、
前記第1の運動学的連鎖の前記構成の前記調整は、前記調整可能なアーム支持体の位置を変更することを含む、
請求項2に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項4】
前記第1の運動学的連鎖は、1つ又は2つ以上のリンク及びエンドエフェクタを含み、
前記1つ又は2つ以上のセンサは、前記第1の運動学的連鎖の基部に位置決めされた力/トルクセンサ、前記1つ又は2つ以上のリンクと前記エンドエフェクタとの間の関節に隣接して位置決めされた力/トルクセンサ、あるいは前記1つ又は2つ以上のリンク上の1つ又は2つ以上の接触センサ、のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項5】
前記第1の運動学的連鎖との前記接触が、前記第1の運動学的連鎖と前記医療用ロボットシステムの一部ではない対象物との間の接触を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項6】
前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分と接触していない1つ又は2つ以上の運動学的連鎖を更に備え、
前記命令が、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータから判定された前記制約に基づいて、前記1つ又は2つ以上の運動学的連鎖の構成の調整を行わせる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項7】
前記制約は、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、潜在フィールドとしてモデル化される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項8】
前記潜在フィールドはまた、前記1つ又は2つ以上のセンサのうちのそれぞれのセンサにより接触を検出する確率に基づく、請求項7に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項9】
前記接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、前記接触の力情報、前記接触の位置情報、及び前記接触の方向情報からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項10】
前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との後続の接触の1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、前記制約を更新すること、及び/又は制約マップを構築することを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項11】
接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、確率マップの一部を形成する、請求項1~10のいずれか一項に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項12】
前記確率マップは、接触の検出の信頼度に基づいて判定される、請求項11に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項13】
接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、前記接触が移動している対象物との接触であるか、若しくは固定されている対象物との接触であるかに関する情報、及び/又は前記接触の位置情報を含む、請求項11又は12に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項14】
前記記憶された命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、制約の有限時間に基づいて、前記確率マップを更新することを更に行わせる、請求項13に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項15】
前記記憶された命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、制約の変化する確率に基づいて、前記確率マップを更新することを更に行わせる、請求項13又は14に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項16】
前記第1の運動学的連鎖の前記構成の前記調整は、前記第1の運動学的連鎖の零空間を利用する、請求項1~15のいずれか一項に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項17】
前記第1の運動学的連鎖は、運動学的に冗長である、請求項1~16のいずれか一項に記載の医療用ロボットシステム。
【請求項18】
第1の運動学的連鎖と、前記第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサと、を含む医療用ロボットシステムと通信する、電子デバイスによって実行される方法であって、
前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを受信することと、
前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、前記第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定することと、
前記制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記第1の運動学的連鎖は、第1のロボットアームと、前記第1のロボットアームが位置決めされている調整可能なアーム支持体と、を含み、
前記第1の運動学的連鎖の前記構成の調整は、前記調整可能なアーム支持体の位置を変更することを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ又は2つ以上のセンサは、前記第1の運動学的連鎖の基部に位置決めされた力センサ、前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上のリンクとエンドエフェクタとの間の関節に隣接して位置決めされた力センサ、あるいは前記1つ又は2つ以上のリンク上の1つ又は2つ以上の接触センサ、のうちの少なくとも1つを含む、
請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の運動学的連鎖との前記接触が、前記第1の運動学的連鎖と前記医療用ロボットシステムの一部ではない対象物との間の接触を含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータから判定された前記制約に基づいて、前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分と接触していない1つ又は2つ以上の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることを更に含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記制約は、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、潜在フィールドとしてモデル化される、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記潜在フィールドはまた、前記1つ又は2つ以上のセンサのうちのそれぞれのセンサにより接触を検出する確率に基づく、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、前記接触の力情報、前記接触の位置情報、及び前記接触の方向情報からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含む、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の構成から前記第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせながら、前記第1の運動学的連鎖の零空間を利用することを含む、請求項18~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
電子デバイスであって、
1つ又は2つ以上のプロセッサと、
命令を記憶するメモリであって、前記命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、
前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された、医療用ロボットシステムの第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを受信することと、
前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、前記第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定することと、
前記制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることと、
を行わせる、メモリと、
を備える、電子デバイス。
【請求項28】
前記第1の運動学的連鎖は、第1のロボットアームと、前記第1のロボットアームが位置決めされている調整可能なアーム支持体と、を含み、
前記第1の運動学的連鎖の前記構成の調整は、前記調整可能なアーム支持体の位置を変更することを含む、
請求項27に記載の電子デバイス。
【請求項29】
前記1つ又は2つ以上のセンサは、前記第1の運動学的連鎖の基部に位置決めされた力センサ、前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上のリンクとエンドエフェクタとの間の関節に隣接して位置決めされた力センサ、あるいは前記1つ又は2つ以上のリンク上の1つ又は2つ以上の接触センサ、のうちの少なくとも1つを含む、請求項27又は28に記載の電子デバイス。
【請求項30】
前記第1の運動学的連鎖との前記接触が、前記第1の運動学的連鎖と前記医療用ロボットシステムの一部ではない対象物との間の接触を含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項31】
前記命令が、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータから判定された前記制約に基づいて、前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分との接触に含まれない1つ又は2つ以上の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることを、更に行わせる、請求項27~30のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項32】
前記制約は、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、潜在フィールドとしてモデル化される、請求項27~31のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項33】
前記潜在フィールドはまた、前記1つ又は2つ以上のセンサのうちのそれぞれのセンサにより接触を検出する確率に基づく、請求項32に記載の電子デバイス。
【請求項34】
前記接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、前記接触の力情報、前記接触の位置情報、及び前記接触の方向情報からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含む、請求項27~33のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項35】
前記命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、前記第1の構成から前記第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の前記構成の調整を行わせながら、前記第1の運動学的連鎖の零空間を利用することを更に行わせる、請求項27~34のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項36】
電子デバイスの1つ又は2つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記記憶された命令が、
前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された、医療用ロボットシステムの第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを受信することと、
前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、前記第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定することと、
前記制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることと、
のための命令
を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項37】
前記記憶された命令はまた、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法を実行するための命令を含む、請求項36に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、ロボットアームを有する医療用ロボットシステムを対象とし、より具体的には、衝突を回避するようにロボットアームを自動的に調整することができる医療用ロボットシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
医療用ロボットシステムを使用する医療処置中に、ロボットアームは、互いが接触する(例えば、アーム同士の衝突)及び環境(例えば、患者、ベッドサイドスタッフ、及び付属品)に接触する可能性がある。ロボットアーム間の衝突は、既知のアーム構成に基づいて予測及び回避され得るが、他の対象物との衝突を予測し、完全に回避することは、特に、経時的にそれらの位置が変化する対象物の場合は困難であった。衝突のタイプにかかわらず、衝突は、医療処置に問題を引き起こすものであり得、したがって、ロボットアームとの衝突の発生を低減又は排除することができる医療用ロボットシステムに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書では、運動学的構成要素(例えば、ロボットアーム)上の1つ又は2つ以上のセンサを使用して、力(例えば、衝突の他のパラメータ)を検出する医療用ロボットシステムが開示される。衝突の検出された力又は他のパラメータは、運動学的構成要素の構成(例えば、位置)を調整するために使用され、それは、ひいては、運動学的構成要素との衝突の将来の発生を低減する。
【0004】
いくつかの実施形態によれば、医療用ロボットシステムは、第1の運動学的連鎖と、第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサと、1つ又は2つ以上のセンサと通信する1つ又は2つ以上のプロセッサと、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータから判定された制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせる、命令を記憶するメモリと、を備える。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、方法は、医療用ロボットシステムと通信する電子デバイスによって実行される。医療用ロボットシステムは、第1の運動学的連鎖と、第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサとを含む。本方法は、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを受信することと、第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定することと、制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることと、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、電子デバイスは、1つ又は2つ以上のプロセッサと、命令を記憶するメモリであって、命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ又は2つ以上のプロセッサに、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された、医療用ロボットシステムの第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを受信することと、第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定することと、制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への第1の運動学的連鎖の構成の調整をすることと、を行わせる、メモリと、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、コンピュータ可読記憶媒体は、電子デバイスの1つ又は2つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶する。記憶された命令は、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された、医療用ロボットシステムの第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを受信することと、第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定することと、制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることと、のための命令を含む。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、医療用ロボットシステムは、第1のロボットアームと、第1のロボットアームに隣接する対象物の存在を検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサと、1つ又は2つ以上のセンサと通信する1つ又は2つ以上のプロセッサと、メモリとを、含む。メモリは、命令を記憶し、命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ又は2つ以上のプロセッサに、1つ又は2つ以上のセンサから、第1のロボットアームの近傍内にある1つ又は2つ以上の対象物の1つ又は2つ以上の位置的場所に対応する第1のセンサ情報を受信することと、第1のセンサ情報に基づいて、対象物マップを生成又は更新することであって、対象物マップが、第1のロボットアームに隣接する対象物の空間関係を特徴付ける、対象物マップを生成又は更新することと、対象物マップに基づいて、第1の構成から第2の構成へと第1のロボットアームの構成を調整することと、を行わせる。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、医療用ロボットシステムは、第1のロボットアームと、第1のロボットアームの近傍内の動的対象物の存在を検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサと、1つ又は2つ以上のセンサと通信する1つ又は2つ以上のプロセッサと、メモリとを、含む。メモリは、命令を記憶し、命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ又は2つ以上のプロセッサに、1つ又は2つ以上のセンサから、第1のロボットアームの近傍内にある動的対象物の位置に対応するセンサ情報を受信することと、センサ情報に基づいて、対象物マップを生成又は更新することであって、対象物マップが、第1のロボットアームの近傍内の対象物の空間関係を特徴付ける、対象物マップを生成又は更新することと、対象物マップに基づいて、第1の構成から第2の構成へと第1のロボットアームの構成を調整することと、を行わせる。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、方法は、第1のロボットアームと、第1のロボットアームの近傍内の対象物の存在を検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサと、を含む医療用ロボットシステムと通信する、電子デバイスによって実行される。方法は、1つ又は2つ以上のセンサから、第1のロボットアームの近傍内に存在する1つ又は2つ以上の対象物の位置に対応するセンサ情報を受信することと、センサ情報に基づいて、対象物マップを生成又は更新することであって、対象物マップが、第1のロボットアームの近傍内の対象物の空間関係を特徴付ける、対象物マップを生成又は更新することと、対象物マップに基づいて、第1の構成から第2の構成へと第1のロボットアームの構成を調整することと、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、電子デバイスは、1つ又は2つ以上のプロセッサと、メモリとを含む。メモリは、命令を記憶し、命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ又は2つ以上のプロセッサに、1つ又は2つ以上のセンサから、医療用ロボットシステムの第1のロボットアームの近傍内にある1つ又は2つ以上の対象物の位置に対応するセンサ情報を受信することと、センサ情報に基づいて、対象物マップを生成又は更新することであって、対象物マップが、第1のロボットアームの近傍内の対象物の空間関係を特徴付ける、対象物マップを生成又は更新することと、対象物マップに基づいて、第1の構成から第2の構成へと第1のロボットアームの構成の調整することと、を行わせる。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、コンピュータ可読記憶媒体は、電子デバイスの1つ又は2つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶する。記憶された命令は、医療用ロボットシステムの第1のロボットアームに隣接して存在する1つ又は2つ以上の対象物の位置に対応するセンサ情報を受信することと、センサ情報に基づいて、対象物マップを生成又は更新することであって、対象物マップが、第1のロボットアームに隣接する対象物の空間関係を特徴付ける、生成又は更新することと、対象物マップに基づいて、第1の構成から第2の構成への第1のロボットアームの構成の調整を行わせることと、のための、命令を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を示すが、限定するものではなく、同様の称号は同様の要素を示す。
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図2図1のロボットシステムの更なる態様を図示する。
図3】尿管鏡検査のために配置された図1のロボットシステムの実施形態を示す。
図4】血管処置のために配置された図1のロボットシステムの実施形態を示す。
図5】気管支鏡検査処置のために配置されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図6図5のロボットシステムの代替的な図を提供する。
図7】ロボットアームを収容するように構成された例示的なシステムを示す。
図8】尿管鏡検査処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図10】ピッチ調整又は傾斜調整を有する図5図9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図11図5図10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な図示を提供する。
図12】テーブルベースのロボットシステムの代替的実施形態を示す。
図13図12のテーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
図14】ロボットアームが取り付けられた、テーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
図15】例示的な器具ドライバを示す。
図16】ペアの器具ドライバを有する例示的な医療用器具を示す。
図17】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。
図18】器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。
図19】例示的なコントローラを示す。
図20】例示的な実施形態による、図16図18の器具の位置など、図1図10のロボットシステムの1つ又は2つ以上の要素の位置を推定する位置特定システムを示すブロック図を図示する。
図21】いくつかの実施形態による例示的なロボットアームを示す。
図22A】いくつかの実施形態による、ロボットアームの一部分を形成することができる、例示的なロボットリンクを示す。
図22B】いくつかの実施形態による、ロボットアームの一部分を形成することができる、例示的なロボットリンクを示す。
図23】いくつかの実施形態による、剛性シェルを含み、外部の対象物との接触を検出するように構成されている、例示的なリンクを示す。
図24】いくつかの実施形態による、図23のリンクにおいて使用され得る力感知センサの例を示す。
図25A】いくつかの実施形態による、複数のセンサがリンクに含まれている、リンクの図を示す。
図25B】いくつかの実施形態による、複数のセンサがリンクに含まれている、リンクの図を示す。
図25C】いくつかの実施形態による、複数のセンサがリンクに含まれている、リンクの図を示す。
図25D】いくつかの実施形態による、複数のセンサがリンクに含まれている、リンクの図を示す。
図26】いくつかの実施形態による、調整可能なアーム支持体を含む、ロボットシステムの例を示す。
図27】1つ又は2つ以上の自由度(degrees-of-freedom、DoF)が、ロボットアームと調整可能なアーム支持体とセットアップ関節との間でどのように共有され得るかを概略的に示す。
図28】いくつかの実施形態による、接触情報に基づいて1つ又は2つ以上の運動学的連鎖を調整するための方法を示すフロー図である。
図29A図28のフロー図に示される動作中のロボットアームの構成を示す。
図29B図28のフロー図に示される動作中のロボットアームの構成を示す。
図29C図28のフロー図に示される動作中のロボットアームの構成を示す。
図29D図28のフロー図に示される動作中のロボットアームの構成を示す。
図29E図28のフロー図に示される動作中のロボットアームの構成を示す。
図29F図28のフロー図に示される動作中のロボットアームの構成を示す。
図30】いくつかの実施形態による、接触情報に基づいて運動学的連鎖の構成を調整する方法を示すフロー図である。
図31】いくつかの実施形態による、近傍にある対象物を検出するために装着されたセンサを示す。
図32】動的環境に関する情報を収集するための複数のセンサを有するロボットアームの例を示す。
図33】いくつかの実施形態による、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された情報に基づく対応するマップを伴う、ヒトの例示的表現を示す。
図34】いくつかの実施形態による、検出された対象物の情報に基づいて1つ又は2つ以上の運動学的連鎖を調整するための方法を示すフロー図である。
図35A】いくつかの実施形態による、ロボットアーム及び対応するマップの構成を示す。
図35B】いくつかの実施形態による、ロボットアーム及び対応するマップの構成を示す。
図35C】いくつかの実施形態による、ロボットアーム及び対応するマップの構成を示す。
図35D】いくつかの実施形態による、ロボットアーム及び対応するマップの構成を示す。
図35E】いくつかの実施形態による、ロボットアーム及び対応するマップの構成を示す。
図35F】いくつかの実施形態による、ロボットアーム及び対応するマップの構成を示す。
図35G】いくつかの実施形態による、ロボットアーム及び対応するマップの構成を示す。
図36A】いくつかの実施形態による、バッファゾーンを示す概略図である。
図36B】いくつかの実施形態による、バッファゾーンを示す概略図である。
図37】いくつかの実施形態による、センサ情報に基づいてロボットアームの構成を調整する方法を示すフロー図である。
図38】いくつかの実施形態による、医療用ロボットシステムの電子構成要素を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.概論
本開示の態様は、腹腔鏡処置などの低侵襲性処置、及び内視鏡処置などの非侵襲性処置の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボット対応の医療用システムに統合され得る。内視鏡処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査などを行うことができる。
【0015】
幅広い処置を行うことに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。追加的に、システムは、厄介な腕の及び運動勢を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ又は2つ以上が単一のユーザによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0016】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示される概念の多くの他の実装態様が可能であり、開示される実装態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0017】
A.ロボットシステム-カート
ロボット対応の医療用システムは、特定の処置に応じて様々な方式で構成され得る。図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置されたカートベースのロボット対応のシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査中、システム10は、気管支鏡検査のための処置専用気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療用器具を、診断ツール及び/又は治療ツールを送達するための自然開口部アクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置決めされた患者の口)に送達するための1つ又は2つ以上のロボットアーム12を有するカート11を含むことができる。示されるように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置決めすることができる。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置決めするために作動され得る。図1の配置はまた、胃腸管(gastro-intestinal、GI)処置を、GI処置のための特殊な内視鏡である胃鏡を用いて行うときに利用することができる。図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に図示する。
【0018】
図1を引き続き参照すると、カート11が適切に位置決めされると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。示されるように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダー部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を含んでもよく、各部分は、器具ドライバ28の組から別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端に結合されている。リーダー部分をシース部分と同軸上に位置合わせするのを容易にする、器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ又は2つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内に再位置決めされ得る「仮想レール」29を形成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に図示されており、したがって破線は、いずれのシステムの物理的構造も図示しない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダー部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進若しくは後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動されてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及び位置は、内視鏡13を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0019】
内視鏡13は、標的の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して挿入後に患者の気管及び肺の下流に向けられてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを促進し、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡13を操作して、内側リーダー部分を外側シース部分から入れ子状に延ばして、高められた関節運動及びより大きい曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダー部分及びシース部分が互いに独立して駆動することも可能になる。
【0020】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように方向付けられてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下方に展開されて、病理医によって分析される組織サンプルを得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下流に展開されてもよい。小結節を悪性と識別した後、内視鏡13は、潜在的ながん組織を切除するためにツールを内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別の処置で提供することができる。これらの状況において、内視鏡13はまた、標的小結節の位置を「マーク」するために基準を送達するために使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0021】
システム10はまた、カート11に支持ケーブルを介して接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のためのサポートを提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフがより容易に調整及び/又は再位置決めすることができるより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して位置決めされてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように離れた位置に収容されてもよい。
【0022】
上述のロボットシステムをサポートするために、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるのか又はカート11内で行われるのかにかかわらず、システム全体又はそのサブシステムを制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されるとき、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療用器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に位置決めしてもよい。
【0023】
タワー30は、内視鏡13を通して展開することができるシステムに、制御された灌注及び吸引機能を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスも含むことができる。これらの構成要素は、タワー30のコンピュータシステムも使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブルを介して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0024】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート11内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置することが回避され、カート11はより小さく、より移動可能になる。
【0025】
タワー30は、ロボットシステム10全体に展開されたセンサのための支持機器も含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10を通して光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、そのようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に配置された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するように使用されてもよい。同様に、タワー30はまた、展開された電磁(electromagnetic、EM)センサから信号を受信し、受信した信号を処理するための電子サブシステムも含んでもよい。タワー30はまた、医療用器具内又は医療用器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収納し、位置決めするために使用されてもよい。
【0026】
タワー30はまた、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部に装着されたコンソールに追加して、コンソール31も含んでもよい。コンソール31は、オペレータである医師のためのユーザインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではない場合、コンソール31は、看護師などの第2のオペレータによって使用されて、患者の健康又はバイタル及びシステムの動作を監視し、並びにナビゲーション上方及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供することができる。他の実施形態では、コンソール31は、タワー30とは別個の本体内に収納される。
【0027】
タワー30は、1つ又は2つ以上のケーブル又は接続部(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からのサポート機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個の配線及び接続部で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカートに電力が供給されてもよい一方で、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのためのサポートは、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0028】
図2は、図1に示されるカートベースのロボット対応のシステムからのカートの実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、概して、細長い支持構造14(「カラム」と称されることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ又は2つ以上のロボットアーム12(図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ又は2つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置決めするために垂直軸に沿って回転してロボットアーム12の基部を調整する、個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19を含む。
【0029】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を案内するためにカラム14の両側に位置決めされているスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジを位置決め及び保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12のリーチを調整することが可能となる。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21を様々な構成で角度付けすることが可能となる。
【0030】
いくつかの実施形態では、キャリッジ17が垂直方向に並進するときにカラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット20には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に位置決めされているばねスプールのペアを通じて展開されてもよい。カバーは、キャリッジ17が上下に垂直方向に並進するにつれてコイル状態から伸縮するように展開されるまで、スプール内でコイル巻きにされている。スプールのばね荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進するときにカバーをスプール内に後退させるための力を提供する一方で、キャリッジ17がスプールから離れるように並進するときに密封も維持する。カバーは、キャリッジ17が並進するときにカバーが適切に延伸及び後退するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0031】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザ入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に位置合わせされた主ねじを使用するように設計された、ギア及びモータなどの機構を内部に含んでもよい。
【0032】
ロボットアーム12は、一般に、一連の関節24によって接続されている一連のリンク23によって分離されたロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を含んでもよく、各関節は独立したアクチュエータを含み、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを含む。独立して制御可能な各関節は、ロボットアームが利用可能な独立した自由度を表す。アーム12の各々は、7つの関節を有し、したがって、7つの自由度を提供する。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度は、ロボットアーム12が、異なる結合位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を位置決めすることを可能にする。これにより、システムが空間内の所望のポイントから医療用器具を位置決めし、方向付けることが可能になると同時に、医師がアーム関節を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アームの衝突を回避しながらよりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0033】
カート基部15は、床の上のカラム14、キャリッジ17、及びアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、並びにカートの移動及び/又は固定化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い構成要素を収納する。例えば、カート基部15は、処置前にカートが部屋中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、処置中にカート11を所定の場所に保持するためのホイールロックを使用して動かないようにされてもよい。
【0034】
カラム14の垂直方向の端部に位置決めされたコンソール16は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を可能にして、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザに提供する。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、並びに/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、並びに呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含み得る。コンソール16は、医師が、キャリッジ17の反対側のカラム14側からコンソールにアクセスすることを可能にするように位置決めされ、傾斜が付けられてもよい。この位置から、医師は、コンソール16をカート11の背後から操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、及び患者を見ることができる。示されるように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27を含む。
【0035】
図3は、尿管鏡検査のために配置された、ロボット対応のシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部エリアに送達するように位置決めされてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接位置合わせされて、エリア内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。示されるように、カート11は、ロボットアーム12が尿管鏡32を、患者の尿道に直線状に直接アクセスするように位置決めすることを可能にするように、テーブルの脚部に位置合わせされてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0036】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技法を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために、膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32は、尿管及び腎臓に向けられ、尿管鏡32の作業チャネルの下方に展開されたレーザ又は超音波結砕石術デバイスを使用して、形成された腎臓結石を破砕することができる。砕石術が完了した後、結果として得られた結石片は、尿管鏡32の下方に展開されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0037】
図4は、血管処置のために同様に配置されたロボット対応のシステムの実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療用器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への、遠回りが比較的少ない曲がりくねった経路との両方を呈し、これによりナビゲーションが簡略化される。尿管鏡検査処置におけるように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向けて位置決めされて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ28を並進させることによって医療用器具34が方向付けられ、挿入されてもよい。代替的に、カートは、例えば、肩及び手首付近の頸動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に位置決めされてもよい。
【0038】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボット対応の医療用システムの実施形態はまた、患者テーブルを組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートを除去することによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きいアクセスを可能にする。図5は、気管支鏡検査処置のために配置されたこうしたロボット対応のシステムの一実施形態を示す。システム36は、プラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を床より上に支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、器具ドライバ42の線形アライメントから形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、図5の気管支鏡40などの細長い医療用器具を操作するように設計された器具ドライバ42を含む。実際には、蛍光透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周囲に置くことによって、患者の上腹部エリアの上方に位置決めされてもよい。
【0039】
図6は、考察を目的として、患者及び医療用器具なしのシステム36の代替的な図を提供する。示されるように、カラム37は、1つ又は2つ以上のロボットアーム39の基部となり得る、システム36内でリング形状として図示される1つ又は2つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように位置決めされ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ43は、カラム37内に位置決めされている機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば、患者の両側などのテーブル38の多数の側部へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に位置決めされてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要はないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでキャリッジ43が回転するのを容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システムは、内視鏡及び腹腔鏡などの医療用器具を患者の異なるアクセスポイントに位置合わせさせることができる。他の実施形態(図示せず)では、システム36は、並行して延在するバー又はレールの形態の調整可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ又は2つ以上のロボットアーム39を、(例えば、肘関節を有する肩部を介して)垂直方向に調整することができる調整可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直方向の調整を提供することによって、ロボットアーム39は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容されることが可能であり、その後、処置中に引き上げられることが可能である。
【0040】
アーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延在し得る一連の関節を備えるアームマウント45のセットを介してキャリッジに装着されてもよい。追加的に、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されると、アームマウント45がテーブル38の同じ側(図6に示すように)、テーブル38の両側(図9に示すように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに位置決めされ得るように、キャリッジ43上に位置決めしてもよい。
【0041】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジの垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム37は、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づく当該キャリッジの並進を機械化するためのモータが備えられていてもよい。カラム37は、キャリッジ43及びその上に装着されたロボットアーム39に電力及び制御信号も伝達してもよい。
【0042】
テーブル基部46は、図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43し及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収納する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスタを組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスタは、基部46の両側で反対方向に延在し、システム36を移動させる必要があるときに後退してもよい。
【0043】
引き続き図6によれば、システム36は、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)も含んでもよい。先に開示された実施形態におけるように、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体工学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々な支持機能をテーブルに提供してもよい。タワーはまた、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置決めされるように移動可能であってもよい。追加的に、タワー内に構成要素を位置決めすることにより、ロボットアームの潜在的な収容のために、テーブル基部内により多くの格納空間を可能にする。タワーは、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインターフェース、並びにリアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)の両方を提供するマスタコントローラ又はコンソールも含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーはまた、送気のために使用されるガスタンク用のホルダを含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。図7は、テーブルベースのシステムの実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51、及びキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内へと垂直方向に並進されてもよい。基部カバー52は、並進及び後退して、キャリッジ48、アームマウント51、及びアーム50をカラム53の周りに配置させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー52は、閉じたときに汚れ及び流体の侵入を防止するために、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されてもよい。
【0045】
図8は、尿管鏡検査処置のために構成されたロボット対応のテーブルベースのシステムの一実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに位置決めするためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離すように位置決めするために、(例えば、患者の頭部の下方に位置する)枢動点を中心に回転又は枢動してもよい。例えば、スイベル部分55の枢動により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を奪い合うことなく、患者の下腹部の上方に位置決めされることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、患者の鼠径部エリアに尿管鏡56を直接挿入してもよい。尿管鏡検査では、また処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部エリアへの明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55にスターラップ58も固定されてもよい。
【0046】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを行うように指示されてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを含むことができる。図9は、腹腔鏡検査処置のために構成されたロボット対応のテーブルベースのシステムの実施形態を示す。図9に示されるように、システム36のキャリッジ43は回転し、垂直方向に調整されて、器具59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようにアームマウント45を使用して位置決めされ得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に位置決めしてもよい。
【0047】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボット対応のテーブルシステムはまた、プラットフォームを所望の角度に傾斜させてもよい。図10は、ピッチ調整又は傾斜調整を有するロボット対応の医療用システムの実施形態を示す。図10に示されるように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方の部分を他方の部分より床から離れた距離に位置決めすることができる。追加的に、アームマウント45は、アーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転させてもよい。急角度に適応するために、カラム37は、テーブル38が床に接触するか又は基部46と衝突するのを防ぐためにカラム37が垂直方向に延在するのを可能にする入れ子部分60も含んでもよい。
【0048】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図を提供する。ピッチ回転機構61は、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を多数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の位置決めによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動される。一方のねじ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するために、玉継ぎ手が使用されてもよい。
【0049】
例えば、ピッチ調整は、テーブルをトレンデレンブルグ体位に位置決めしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の下腹部よりも床からより高い位置に患者の下腹部を位置決めしようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は、重力によって患者の内臓を患者の上腹部に向かってスライドさせ、低侵襲性ツールが入って腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科又は医療処置を行うために、腹腔を空にする。
【0050】
図12及び図13は、テーブルベースの外科用ロボットシステム100の別の実施形態の等角図及び端面図を示す。外科用ロボットシステム100は、テーブル101に対して1つ又は2つ以上のロボットアームを支持するように構成され得る1つ又は2つ以上の調整可能なアーム支持体105(例えば、図14参照)を含む。示された実施形態では、単一の調整可能なアーム支持体105が示されているが、テーブル101の反対側に追加のアーム支持体を設けることができる。調整可能なアーム支持体105は、テーブル101に対して移動して、調整可能なアーム支持体105及び/又はそれに装着された任意のロボットアームの位置をテーブル101に対して調整及び/又は変更することができるように構成され得る。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101に対して1つ又は2つ以上の自由度で調整することができる。調整可能なアーム支持体105は、1つ又は2つ以上の調整可能なアーム支持体105及びそれに取り付けられた任意のロボットアームをテーブル101の下に容易に収容する能力を含む高い汎用性をシステム100に提供する。調整可能なアーム支持体105は、収容位置から、テーブル101の上面の下の位置まで上昇され得る。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、収容位置から、テーブル101の上面の上方の位置まで上昇され得る。
【0051】
調整可能なアーム支持体105は、リフト、横方向並進、傾斜などを含む、いくつかの自由度を提供することができる。図12及び図13の示された実施形態では、アーム支持体105は、4つの自由度で構成され、それらは図12に矢印で示されている。第1の自由度は、z方向における調整可能なアーム支持体105の調整(「Zリフト」)を可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101を支持するカラム102に沿って、又はそれに対して上下に動くように構成されたキャリッジ109を含むことができる。第2の自由度は、調整可能なアーム支持体105が傾斜することを可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体105は、回転関節を含むことができ、これにより、調整可能なアーム支持体105を、トレンデレンブルグ位置のベッドと位置合わせすることが可能となり得る。第3の自由度は、調整可能なアーム支持体105が「上方枢動する」ことを可能にでき、それを使用して、テーブル101の側部と調整可能なアーム支持体105との間の距離を調整することができる。第4の自由度は、調整可能なアーム支持体105がテーブルの長手方向の長さに沿って並進するのを可能にする。
【0052】
図12及び図13の外科用ロボットシステム100は、基部103に装着されたカラム102によって支持されるテーブルを含むことができる。基部103及びカラム102は、支持面に対してテーブル101を支持する。床軸131及び支持軸133は、図13に示される。
【0053】
調整可能なアーム支持体105は、カラム102に装着することができる。他の実施形態では、アーム支持体105は、テーブル101又は基部103に装着することができる。調整可能なアーム支持体105は、キャリッジ109、バー又はレールコネクタ111、及びバー又はレール107を含むことができる。いくつかの実施形態では、レール107に装着された1つ又は2つ以上のロボットアームは、互いに対して並進及び移動することができる。
【0054】
キャリッジ109は、第1の関節113によってカラム102に取り付けられてもよく、それにより、キャリッジ109がカラム102に対して移動することが可能になる(例えば、第1又は垂直軸123を上下するなど)。第1の関節113は、調整可能なアーム支持体105に第1の自由度(「Zリフト」)を提供することができる。調整可能なアーム支持体105は、第2の自由度(傾斜)を調整可能なアーム支持体105に提供する第2の関節115を含むことができる。調整可能なアーム支持体105は、第3の自由度(「上方枢動」)を調整可能なアーム支持体105に提供することができる第3の関節117を含むことができる。第3の軸127を中心にしてレールコネクタ111を回転させるときにレール107の向きを維持するように第3の関節117を機械的に拘束する、追加の関節119(図13に示す)を設けることができる。調整可能なアーム支持体105は、第4の自由度(並進)を第4の軸129に沿って調整可能なアーム支持体105に提供することができる第4の関節121を含むことができる。
【0055】
図14は、テーブル101の両側に装着された2つの調整可能なアーム支持体105A、105Bを有する、外科用ロボットシステム140Aの端面図を示す。第1のロボットアーム142Aは、第1の調整可能なアーム支持体105Bのバー又はレール107Aに取り付けられる。第1のロボットアーム142Aは、レール107Aに取り付けられた基部144Aを含む。第1のロボットアーム142Aの遠位端は、1つ又は2つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けることができる器具駆動機構146Aを含む。同様に、第2のロボットアーム142Bは、レール107Bに取り付けられた基部144Bを含む。第2のロボットアーム142Bの遠位端は、器具駆動機構146Bを含む。器具駆動機構146Bは、1つ又は2つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けるように構成され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ又は2つ以上は、7つ以上の自由度を有するアームを含む。いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ又は2つ以上は、挿入軸(挿入を含む1つの自由度)、リスト(リストピッチ、ヨー及びロールを含む3つの自由度)、エルボ(エルボピッチを含む1つの自由度)、ショルダ(ショルダピッチ及びヨーを含む2つの自由度)、及び基部144A、144B(並進を含む1つの自由度)、を含む8つの自由度を含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム142A、142Bによって提供することができるが、他の実施形態では、器具自体は、器具ベースの挿入アーキテクチャを介して挿入を提供する。
【0057】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療用器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的には、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と称される)と、(ii)モータなどのあらゆる電気機械部品を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療用器具と、を含む。この二分は、医療処置において使用される医療用器具を滅菌する必要性と、医療用器具の機械組立が複雑でありかつ電子機器の感受性が高いことから高価な資本設備を適切に滅菌することができないこととによって引き起こされ得る。したがって、医療用器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外される、除去される、及び交換されるように設計することができる。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布をすることができる。
【0058】
図15は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端に位置決めされた器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療用器具に制御トルクを提供するために平行軸を伴って配置された1つ又は2つ以上の駆動ユニット63を備える。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギアヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定して制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信して駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を含む。各駆動ユニット63は独立して制御され電動化され、器具ドライバ62は、複数(図15に示すように4つ)の独立した駆動出力を医療用器具に提供することができる。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定された結果として得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0059】
滅菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療用器具との間に位置する、滅菌ドレープに接続された滅菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。滅菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力部に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力部との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な滅菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力部及び出力部と、器具に対する駆動入力部とで構成することができる。滅菌アダプタに接続される滅菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としないエリア(すなわち、非滅菌野)に依然として位置している間に、資本設備を患者に近接して位置決めすることが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療用器具は、滅菌を必要とするエリア(すなわち、滅菌野)において患者とインターフェースしてもよい。
【0060】
D.医療用器具
図16は、ペアの器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。ロボットシステムと共に使用するために設計された他の器具と同様に、医療用器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を含む。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも称される器具基部72は、一般に、ロボットアーム76の遠位端において器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延在する駆動出力部74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力部73、例えば、レセプタクル、プーリ、又はスプールを含んでもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は結合されるときに、器具基部72の嵌合された駆動入力部73は、器具ドライバ75における駆動出力部74と回転軸線を共有して、駆動出力部74から駆動入力部73へのトルクの伝達を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力部74は、駆動入力部73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを含んでもよい。
【0061】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計される。細長いシャフト71は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであってもよく、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含んでもよい。腹腔鏡検査のために設計される場合、剛性の細長いシャフトの遠位端は、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合されたリストから延在するエンドエフェクタ、及び駆動入力部が器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに応答して回転する際に、腱からの力に基づいて作動され得る、例えば、把持具又ははさみなどの外科用ツール又は医療用器具に接続することができる。内視鏡検査のために設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端は、器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0062】
器具ドライバ75からのトルクは、シャフト71に沿った腱を使用して細長いシャフト71の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力部73に個別に固定されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71に沿って1つ又は2つ以上のプルルーメン(pull lumen)を下って導かれ、細長いシャフト71の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分のリストに固定される。腹腔鏡処置、内視鏡処置、又はハイブリッド処置などの外科的処置中、これらの腱は、リスト、把持具、又ははさみなどの遠位に装着されたエンドエフェクタに結合されてもよい。このような構成下で、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方式で作動させる。いくつかの実施形態では、外科的処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的に、腱は、細長いシャフト71の遠位端で把持具の1つ又は2つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具が閉鎖される。
【0063】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端に)位置決めされている屈曲部又は関節運動部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端に固定的に取り付けられる場合、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部(関節運動可能部又は領域と称されることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)向ける個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。これらの間の螺旋及び/又は間隔の角度は、特定の目的のために変更又は設計されてもよく、より狭い螺旋は負荷力下でより小さいシャフト圧縮を呈する一方で、より少ない量の螺旋は負荷力下でより大きいシャフト圧縮をもたらすが、屈曲制限も示す。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に方向付けられて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0064】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収納する。シャフトは、シャフト71の遠位端における手術領域に対して外科用ツール(又は医療用器具)を配置、灌注、及び/又は吸引するための作業チャネルで構成してもよい。シャフト71は、光学カメラを含んでもよい遠位先端部の光学アセンブリとの間で信号の伝達を行うために、ワイヤ及び/又は光ファイバも収容してもよい。シャフト71は、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフトの遠位端に光を搬送するための光ファイバも収容してもよい。
【0065】
器具70の遠位端では、遠位先端部は、診断及び/又は治療、灌注、及び吸引のためにツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口部を含んでもよい。遠位先端部はまた、内部解剖学的空間の画像をキャプチャするために、ファイバスコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端部はまた、カメラを使用する場合に解剖学的空間を照明するための光源用のポートを含んでもよい。
【0066】
図16の実施例では、駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は、細長いシャフトの軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト71のロール能力を複雑にする。駆動入力部73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿ってロールさせることの結果として、腱が駆動入力部73から延出して細長いシャフト71内のプルルーメンに入るときに、腱の望ましくない絡まりをもたらす。結果として生じるそのような腱のもつれは、内視鏡処置中に可撓性の細長いシャフトの移動を予測することが意図される任意の制御アルゴリズムを妨害することがある。
【0067】
図17は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。示されるように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部において平行に位置合わせされた駆動出力部81を有する4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収納される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバの非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電力及び制御信号は、電気接点を通して器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に通信されてもよく、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に統合され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81を回転させることを可能にする。
【0068】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力部81を受け入れるように構成された複数の駆動入力部89(レセプタクル、プーリ、及びスプールなど)を含む器具基部87(考察目的のために透明な外部スキンで示される)と、を含んでもよい。前に開示した実施形態とは異なり、器具シャフト88は、器具基部87の中心から延在し、軸は、図16の設計におけるように直交するのではなく、駆動入力部89の軸に実質的に平行である。
【0069】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に結合されると、器具基部87及び器具シャフト88を含む医療用器具86は、器具ドライバ軸85を中心にして回転アセンブリ83と一緒に回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に位置決めされているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88と共に回転すると、器具基部87内の駆動入力部89に接続されたいずれの腱も、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力部81、駆動入力部89、及び器具シャフト88の軸の平行性は、どの制御腱も絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0070】
図18は、いくつかの実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。器具150は、上で考察された器具ドライバのうちのいずれかに結合することができる。器具150は、細長いシャフト152と、シャフト152に接続されたエンドエフェクタ162と、シャフト152に結合されたハンドル170と、を含む。細長いシャフト152は、近位部分154及び遠位部分156を有する管状部材を含む。細長いシャフト152は、その外側表面に沿った1つ又は2つ以上のチャネル又は溝158を含む。溝158は、1つ又は2つ以上のワイヤ又はケーブル180を内部を通して受け入れるように構成されている。したがって、1つ又は2つ以上のケーブル180は、細長いシャフト152の外側表面に沿って延びる。他の実施形態では、ケーブル180は、細長いシャフト152を通って延びることもできる。ケーブル180のうちの1つ又は2つ以上の操作(例えば、器具ドライバを介して)により、エンドエフェクタ162の作動がもたらされる。
【0071】
器具基部とも称され得る器具ハンドル170は、一般に、器具ドライバの取り付け面上で1つ又は2つ以上のトルクカプラと往復嵌合するように設計された1つ又は2つ以上の機械的入力部174、例えば、レセプタクル、プーリ又はスプールを有する取り付けインターフェース172を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、器具150は、細長いシャフト152がハンドル170に対して並進することを可能にする一連のプーリ又はケーブルを含む。換言すれば、器具150自体は器具の挿入に適応する器具ベースの挿入アーキテクチャを含み、それによって器具150の挿入を提供するためのロボットアームへの依存を最小化する。他の実施形態では、ロボットアームは、器具の挿入に大きく関与することができる。
【0073】
E.コントローラ
本明細書に記載のロボットシステムのうちのいずれも、ロボットアームに取り付けられた器具を操作するための入力デバイス又はコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、器具と結合(例えば、通信的に、電子的に、電気的に、無線的に、及び/又は機械的に)することができ、それによりコントローラの操作は、例えば、マスタースレーブ制御を介して、器具の対応する操作を引き起こす。
【0074】
図19は、コントローラ182の実施形態の斜視図である。本実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を有することができるハイブリッドコントローラを含む。他の実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス又は受動的制御だけを利用することができる。他の実施形態では、コントローラ182は、アドミタンス制御だけを利用することができる。ハイブリッドコントローラであることにより、コントローラ182は、有利には、使用中、より低い知覚慣性を有することができる。
【0075】
図示される実施形態では、コントローラ182は、2つの医療用器具の操作を可能にするように構成され、2つのハンドル184を含む。ハンドル184の各々は、ジンバル186に接続されている。各ジンバル186は、位置決めプラットフォーム188に接続されている。
【0076】
図19に示されるように、各位置決めプラットフォーム188は、直動関節196によってカラム194に結合されたSCARA(selective compliance assembly robot)アーム(選択的コンプライアンスアセンブリロボットアーム)198を含む。直動関節196は、(例えば、レール197に沿って)カラム194に沿って並進して、ハンドル184の各々がz方向に並進され、第1の自由度を提供するように構成されている。SCARAアーム198は、x-y平面におけるハンドル184の運動を可能にし、2つの更なる自由度を提供するように構成されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のロードセルがコントローラ内に位置決めされる。例えば、いくつかの実施形態では、ロードセル(図示せず)は、ジンバル186の各々の本体内に位置決めされる。ロードセルを設けることによって、コントローラ182の一部分は、アドミタンス制御下で動作することができ、それによって、使用中にコントローラの知覚慣性を有利に低減する。いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188はアドミタンス制御用に構成され、一方、ジンバル186はインピーダンス制御用に構成されている。他の実施形態では、ジンバル186はアドミタンス制御用に構成され、位置決めプラットフォーム188はインピーダンス制御用に構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188の並進自由度又は位置自由度は、アドミタンス制御に依存することができ、一方、ジンバル186の回転自由度はインピーダンス制御に依存する。
【0078】
F.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、オペレータである医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の曝露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、「位置特定」という用語は、基準座標系内の対象物の位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない手術環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用される他の場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0079】
図20は、例示的な実施形態による、器具の位置など、ロボットシステムの1つ又は2つ以上の要素の位置を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ又は2つ以上の命令を実行するように構成されている1つ又は2つ以上のコンピュータデバイスのセットであってもよい。コンピュータデバイスは、上で考察された1つ又は2つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、図1に示すタワー30内、図1図4に示すカート内、図5図14に示すベッド内などにあってもよい。
【0080】
図20に示されるように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療用器具の遠位先端部の位置データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。位置データ96は、基準系に対する器具の遠位端の位置及び/又は向きを表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器についての以下の考察を参照)などの既知の対象物に対する基準系とすることができる。
【0081】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの収集を利用して達成することができる。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の切欠図の「スライス」として可視化される三次元画像に再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から決定及び近似して、モデルデータ91(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の三次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワーク位相モデルもまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0082】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、視覚データを処理して、1つ又は2つ以上の視覚ベースの位置追跡を可能にしてもよい。例えば、術前モデルデータは、医療用器具(例えば、内視鏡、又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ92と共に使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいて、モデルから、予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端でのカメラ)でキャプチャされたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照することができる。
【0083】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、特徴追跡を使用して、カメラ、したがって内視鏡の運動を判定する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転運動及び/又は並進運動を決定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技術を更に向上させることがある。
【0084】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技術は、カメラの移動を推測するために、視覚データ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析し得る。光学フロー技術の例としては、動き検出、物体セグメンテーション計算、輝度、動き補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたり複数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置を判定することができる。
【0085】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に位置合わせされ得るグローバル座標系内に、内視鏡のリアルタイムの位置を生成することができる。EM追跡では、医療用器具(例えば、内視鏡器具)内に1つ又は2つ以上の位置及び向きで埋め込まれた1つ又は2つ以上のセンサコイルを構成するEMセンサ(又はトラッカ)は、既知の位置に位置決めされた1つ又は2つ以上の静的EM場発生器によって発生されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置することができる。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さい電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び向きは、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の位置を位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「位置合わせ」することができる。一旦、位置合わせされると、医療用器具の1つ又は2つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端部)に埋め込まれたEMトラッカは、患者の解剖学的構造を通る医療用器具の進行のリアルタイム表示を提供することができる。
【0086】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定することができる。術中に、これらの較正測定は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定することができる。代替的に、これらの計算は、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析して、ネットワーク内の医療用器具の位置を推定し得る。
【0087】
図20が示すように、いくつかの他の入力データは、位置特定モジュール95によって使用することができる。例えば、図20には示していないが、形状感知ファイバを利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の位置及び形状を判定するために使用し得る形状データを提供することができる。
【0088】
位置特定モジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された位置に信頼重み(confidence weight)を割り当てる確率的アプローチを使用し得る。したがって、EMデータが信頼でき得ない場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された位置の信頼性を低下させることができ、位置特定モジュール95は、視覚データ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存し得る。
【0089】
上で考察されたように、本明細書で考察されるロボットシステムは、上述の技術のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせを組み込むように設計することができる。タワー、ベッド、及び/又はカートに基づいているロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0090】
2.衝突回避のためのシステム及び方法の序論
本出願は、将来の衝突のリスクを回避又は低減するために、医療用ロボットシステムの近傍内の対象物に関する情報を利用する医療用ロボットシステムを開示する。本明細書で説明するように、ロボット医療用システムは、所与の医療処置中に医療用ツールの移動を制御するように構成された複数のロボットアームを含むことができる。医療用ツールの所望の姿勢を達成するために、ロボットアームは、例えば、患者、ベッドサイドスタッフ、又は無生物(例えば、ベッド上の付属品)などの外部の対象物とロボットアームを接触させる可能性がある姿勢に配置される可能性がある。ロボットアームと外部の対象物との接触を十分早期に(例えば、接触直後に、又は接触により閾値よりも大きい力が発生する少なくとも前に)検出することによって、ロボット手術の安全性を向上することができる。
【0091】
近傍内の対象物に関する情報は、力センサなどの接触センサを使用して取得される接触情報と、非接触センサを使用して取得される非接触情報とを含み得る。医療用ロボットシステムの近傍内の対象物に関する情報に基づいて、運動学的連鎖(例えば、ロボットアーム及び調整可能なアーム支持体)の構成が、例えば、近傍内の対象物からの距離を長くして、将来の衝突の可能性を低減するように調整される。
【0092】
A.接触を検出する又は制御情報を取得するためのロボットアーム及びセンサアーキテクチャ
医療用ロボットシステムは、医療用ロボットシステムの近傍内の対象物に関する情報(例えば、位置情報)を収集するための複数のセンサを含む。センサのうちのいくつかは、医療用ロボットシステムのロボットアーム上に、又はそれに隣接して位置する。
【0093】
図21は、いくつかの実施形態による例示的なロボットアーム205を示す。ロボットアーム205は、1つ又は2つ以上の関節131(例えば、131-1~131-3)によって接続される複数のリンク132を含む。ロボットアーム205の近位端は、基部136に接続されてもよく、ロボットアーム205の遠位端は、高度デバイスマニピュレータ(advanced device manipulator、ADM)134(ロボットアームの器具ドライバ又はエンドエフェクタとも称される)に接続されてもよい。ADM134は、医療用ツール135(医療用器具とも称される)の位置決め及び操作を制御するように構成され得る。したがって、リンク132は、医療用ツール135に取り外し可能に結合され得る。関節131は、ADM134を介して医療用ツール135の制御を容易にする複数の自由度(DoF)をロボットアーム205に提供する。
【0094】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム205は、ロボットアーム205の任意の部分とロボットアーム205以外の対象物137(例えば、別のロボットアーム、他の医療用機器、患者、医療従事者など)との接触を検出するための1つ又は2つ以上の力にベースセンサを含む。いくつかの実施形態では、そのようなセンサは、関節131内に、又はそれに隣接して位置する。例えば、1つ又は2つ以上の力センサが関節131-3に位置し得る。関節131-3に位置する1つ又は2つ以上の力センサは、ロボットアーム205の近位端からの相互作用力(例えば、力及び/又はモーメントの大きさ及び/又は方向)を検出することができる。追加的又は代替的に、1つ又は2つ以上の力センサは、ロボットアーム205の遠位端付近の関節131-1に、又はその近傍に位置し得る。関節131-1に又はその付近に位置する1つ又は2つ以上の力センサは、6つの軸に関する力とモーメント(例えば、トルク)(例えば、x軸、y軸、並びにz軸に沿った力、及びx軸、y軸、並びにz軸に関するトルク)の両方を検出することが可能な6軸ロードセルを含んでもよい。1つ又は2つ以上のセンサによって検出された力に基づいて、1つ又は2つ以上のプロセッサは、接触の位置、及び接触に関与するロボットアーム205の1つ又は2つ以上の部分(1つ又は2つ以上のリンク又は関節、ADM134、あるいは医療用ツール135)を判定することができる。
【0095】
追加的に又は代替的に、ロボットアーム205は、1つ又は2つ以上の接触センサを含む。図22A及び図22Bは、いくつかの実施形態による、1つ又は2つ以上の接触センサを有するロボットアームの一部分を形成し得る、例示的なロボットリンクを図示する。
【0096】
図22Aは、ロボットアーム205の遠位部分の3つの図を示し、図22Bは、図22Aの遠位部分の近位側にあるロボットアーム205の一部分の3つの図を示す。図22A及び図22Bを参照すると、ロボットアーム205は、デバイスマニピュレータ203、複数のリンク207、209、211及び233、並びにデバイスマニピュレータ203とリンク207、209、211及び233とを接続する複数の関節213、215、217及び219を含み得る。図22Aに示す図の各々において、患者と衝突する可能性が比較的高いロボットアーム205の領域221が強調表示されている。
【0097】
いくつかの実施形態では、アーム構成要素(例えば、図22A図22Bのロボットリンク205~211又は関節213~219のうちの1つ)は、患者、ベッドサイドスタッフ、又は他の対象物などの外部の対象物との接触を感知するための1つ又は2つ以上のセンサと結合される。
【0098】
いくつかの実施形態では、シェルは、所与のリンクの周囲に懸架されることができ、シェルとリンクの内部構成要素/部材との間の相対運動が、外部の対象物との接触を検出するために、1つ又は2つ以上のセンサを使用して検出され得る。図23は、いくつかの実施形態による、剛性シェル309を含み、外部の対象物との接触を検出するように構成されている、例示的なリンク300を示す。特に、リンク300は、構造リンク301と、構造カバー303と、第1の関節305と、第2の関節307と、シェル309と、一対のリアクションパドル311と、シェルカバー313とを含む。例えば、リンク300の内部構成要素は、構造リンク301及び構造カバー303を備えてもよい。
【0099】
構造カバー303は、構造リンク301の構成要素を収納し、第1の関節305と第2のリンクとの間の内部構造接続を形成するために、構造リンク301に取り付けられ得る。シェル309は、シェルカバー313と共に、構造リンク301から懸架され、構造リンク301を取り囲む。本明細書で使用される場合、シェル309及びシェルカバー313は、集合的に単に「シェル」309と称されてもよく、一方、構造リンク301及び構造カバー303は、文脈が明確に別様に示さない限り、集合的に単に構造リンク301又は操作可能なリンクと称されてもよい。
【0100】
シェル309は、力感知接続部を介して構造リンク301に接続されてもよい。シェル309は構造リンク301を取り囲むので、リンク300が外部の対象物に接触すると、対象物はシェル309に接触するようになる。したがって、力感知接続部は、リンク300が外部の対象物と接触することによって引き起こされるシェル309と構造リンク301との間の力の変化を測定することによって、シェル309と外部の対象物との間の接触を検出することができる。シェル309はまた、外部の対象物と接触すると、シェル309が力感知接続部に係合するように、十分に剛性であり得る。有利には、剛性シェル309を使用することによって、シェル309と構造リンク301との間の力及び相対運動を、3つの方向すべてにおいて感知することができる。
【0101】
力感知接続部は、いくつかの実施形態に従って、様々な異なる様式で実装され得る。例えば、力感知接続部は、従来のロードセル、力感知抵抗器、及び/又は力(又はばねと組み合わされた場合の変位)を感知することができる任意の構成要素のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0102】
図24は、いくつかの実施形態による、図23のリンク300において使用され得る力感知接続部の一例を示す。特に、力感知接続部は、構造リンク301とシェル309との間に配設され得る複数のシェルセンサ321(例えば、図示の実施形態では14個のシェルセンサ)を含むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、センサ321は、シェル309と構造リンク300との間のリンク301全体に分散される。例えば、シェル309は、センサ321を介して構造リンク301上に懸架することができる。実装態様に応じて、リンク300は、ロボットアームリンクに沿って分散された1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のセンサ321を含むことができる。図25A及び図25Bは、いくつかの実施形態による、14個のセンサ321がリンク401に含まれている、リンク401の2つの図を示す。特に、図25A及び図25Bは、それぞれ、7つのセンサ321を含むリンク401の一端の側面図及び正面図を示す。リンク401は、リンク401の両端で実質的に対称であってもよく、それによって、リンク401内に合計14個のセンサ321を含む。
【0104】
図25C及び図25Dは、いくつかの実施形態による、12個のセンサ321がリンク411に含まれている、リンク411の2つの図を示す。いくつかの実装態様では、ロボットアームは、リンク401及びリンク411の両方を含んでもよく、リンク401は、リンク411の近位側に位置決めされる。特に、図25C及び図25Dは、それぞれ、12個のセンサ321を含むリンク411の側面図及び正面図を示す。リンク411は、リンク411の両端で実質的に対称であってもよく、それによって、リンク401内に合計24個のセンサ321を含む。いくつかの実装態様では、複数のセンサ321は、剛性シェルに固定されることなく剛性シェルを支持するように構成され得る。いくつかの実装態様では、リンク401又は411は、構造リンクに対して剛性シェルを支持するように構成された1つ又は2つ以上の支持体を更に含むことができる。例えば、1つ又は2つ以上の支持体は、ばね、屈曲部、及び/又は懸架部を含むことができる。
【0105】
図25A図25Dは、複数のセンサ321を含むリンク401及び411を示すが、いくつかの実施形態では、リンクは、複数の方向における構造リンク301とシェル309との間の力及び/又は変位を感知するように構成された単一のセンサを含むことができる。センサ321から受信した信号を使用して、ロボットシステムは、シェル309と外部の対象物との間の接触の方向を検出するように構成され得る。ロボットシステムはまた、センサ321からの信号に基づいて、シェル309と外部の対象物との間の接触から生じる力の大きさを測定することができる。リンク401及び411内の複数のセンサ321の配置に基づいて、ロボットシステムはまた、リンクに印加されるトルクを検出するように構成され得る。例えば、シェル309にトルクが印加されると、リンク401及び411の一方の側にある特定のセンサ321が圧縮され得る。圧縮されているセンサ321によって感知される位置及び力に基づいて、ロボットシステムは、リンク401及び411に印加されているトルクを判定することができる。
【0106】
図21に戻って参照すると、ロボットアーム205は、1つ又は2つ以上のセンサ321がロボットアーム205の任意の部分と別の対象物との間の接触又は衝突を検出する間、様々な姿勢で配置され得る。いくつかの状況下では、ロボットアーム205の移動には更なる制約がある。例えば、医療処置中に、ロボットアーム205のADM134及び/又はそれに結合されたツール135の遠隔運動中心(remote center of movement、RCM)を静的姿勢/位置に保つことが望ましい場合がある。RCMは、医療用ツール135が挿入されるカニューレ又は他のアクセスポートの運動が制約され空間内の点を参照する場合がある。いくつかの実装態様では、医療用ツール135は、RCMを維持しながら患者の切開部又は自然開口部を通して挿入されるエンドエフェクタを含む。
【0107】
いくつかの状況において、ロボットシステムは、ロボットアーム205のADM134及び/又はRCMがそれぞれの姿勢/位置に維持されている間に、ロボットアーム205の1つ又は2つ以上のリンク132を「零空間」内で移動させて、近くの対象物(例えば、他のロボットアーム)との衝突を回避するように構成され得る。零空間は、ADM134及び/又はRCMの移動を引き起こすことなく、ロボットアーム205が移動することができる空間とみなすことができ、それにより医療用ツール135の位置及び/又は向きを維持する。いくつかの実装態様では、ロボットアーム205は、ADM134の各姿勢に利用可能な複数の位置及び/又は構成を有することができる。
【0108】
ロボットアーム205がADM134を空間内の所望の姿勢に移動させるために、ある特定の実装態様では、ロボットアーム205は、少なくとも6つのDoF、すなわち、並進(例えば、X位置、Y位置、Z位置)のための3つのDoF及び回転(例えば、ヨー、ピッチ、及びロール)のための3つのDoFを有することができる。いくつかの実装態様では、各関節131は、ロボットアーム205に単一のDoFを提供することができ、したがって、ロボットアーム205は、空間内の任意の姿勢でADM134を位置決めするための運動の自由度を達成するために少なくとも6つの関節を有することができる。ロボットアーム205のADM134及び/又は遠隔中心若しくは運動を所望の姿勢に更に維持するために、ロボットアーム205は、少なくとも1つの追加の「冗長関節」を更に有してもよい。したがって、ある特定の実装態様では、システムは、少なくとも7つの関節131を有するロボットアーム205を含むことができ、ロボットアーム205に少なくとも7つのDoFを提供する。しかしながら、実装態様によっては、ロボットアーム205は、より多くの又はより少ない数のDoFを有してもよい。
【0109】
少なくとも1つの冗長DoFを有するロボットアーム205(「運動学的に冗長な」ロボットアームとも呼ばれる)は、所与のタスクを実行するために必要なDoFの最小数よりも少なくとも1つ多いDoFを有するロボットアーム205を指す場合がある。例えば、ロボットアーム205は、少なくとも7つのDoFを有することができ、ロボットアーム205の関節131のうちの1つは、6つのDoFを必要とするタスクを完了するための冗長関節とみなすことができる。1つ又は2つ以上の冗長関節は、ADM134の姿勢及びRCMの位置の両方を維持し、かつ他のアーム又は対象物との衝突を回避するために、ロボットアーム205が零空間内で移動することを可能にし得る。
【0110】
ロボットシステム(例えば、図6のシステム36又は図14のシステム140A)は、零空間内の1つ又は2つ以上の冗長関節の運動(例えば、個別の運動又は協調運動のいずれか)を利用することによって、例えば、隣接するロボットアーム間の衝突を回避するために、衝突回避を行うように構成され得る。例えば、ロボットアームが別のロボットアームと衝突又は別のロボットアームに(例えば、規定された距離内に)接近すると、システムの1つ又は2つ以上のプロセッサは、衝突又は差し迫った衝突を(例えば、運動学を介して)検出するように構成され得る。したがって、システムは、衝突又は差し迫った衝突を回避するために、ロボットアームの一方又は両方を制御して、零空間内でそれらのそれぞれの関節を調整することができる。一対のロボットアームに関するいくつかの実装態様では、ロボットアームのうちの1つの基部及びそのエンドエフェクタは、それらの姿勢を維持が可能である一方で、それらの間のリンク又は関節が、隣接するロボットアームとの衝突を回避するために零空間内で移動する。
【0111】
図26は、いくつかの実施形態による、調整可能なアーム支持体210を含む、ロボットシステム200の例を示す。図26において、ロボットシステム200は、複数のロボットアーム205と、1つ又は2つ以上の調整可能なアーム支持体210と、1つ又は2つ以上のセットアップ関節215と、ベッドカラム220とを含む。ロボットアーム205の各々は、調整可能なアーム支持体210のうちの1つによって支持されてもよく、調整可能なアーム支持体210は、セットアップ関節215によって支持されてもよい。上述したように、各ロボットアーム205は、複数のDoFを有することができる。同様に、調整可能なアーム支持体210及びセットアップ関節215は、1つ又は2つ以上のDoFで移動可能であってもよい。
【0112】
図27は、1つ又は2つ以上のDoFが、ロボットアームと調整可能なアーム支持体とセットアップ関節との間でどのように共有され得るかを概略的に示す。図27は、セットアップ関節215が近位端でベッド支持体223に結合され、遠位端で調整可能なアーム支持体210に結合され得るシステムを示す。更に、複数のロボットアーム205は、それぞれの近位端で調整可能なアーム支持体210に結合されてもよい。ある特定の実装態様では、調整可能なアーム支持体210及びセットアップ関節215は共に4つのDoFを有することができる。したがって、調整可能なアーム支持体210に取り付けられたロボットアーム205は、セットアップ関節215及び調整可能なアーム支持体210によって提供される4つのDoFを共有することができる。
【0113】
したがって、実装態様に応じて、ロボット医療用システムは、零空間運動及び衝突回避を提供するために、ロボットアームにおける自由度だけを超えて、はるかに多くのロボット制御された自由度を有することができる。これらの実装態様の各々において、1つ又は2つ以上のロボットアーム(及びそれに結合された任意のツール又は器具)のエンドエフェクタ及び/又はそれと関連付けられた(例えば、ツールの軸に沿った)遠隔中心は、有利には、患者内の姿勢及び/又は位置を維持することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるロボットシステムは、衝突回避のための零空間運動を達成するために、(例えば、複数のロボットアーム及び/又は調整可能なアーム支持体の)異なるリンク部材間の共有DoFを利用する。ある特定の実装態様では、システムは、(例えば、図26に図示されたロボットアーム205のような、1つ又は2つ以上のロボットアームの形態の)1つ又は2つ以上の電動リンクの第1のセットと関連付けられた1つ又は2つ以上のDoFを、(例えば、図26に図示されたセットアップ関節215及び調整可能なアーム支持体210のような、1つ又は2つ以上のセットアップ関節リンク及び1つ又は2つ以上のアーム支持体リンクを含む、ロボットアームを支持するサポートリンクの形態の)1つ又は2つ以上の電動リンクの第2のセットと関連付けられた1つ又は2つ以上のDoFと協調及び/又は同期した移動で使用して、衝突回避のための零空間運動を達成することができる。
【0115】
1つ又は2つ以上の電動リンク(例えば、1つ又は2つ以上のロボットアームの形態)の第1のセットは、(例えば、調整可能なアーム支持リンク又はレールの形態の)1つ又は2つ以上の電動リンクの第2のセットとは異なる機能を実行するように構成され得る。いくつかの実装態様では、1つ又は2つ以上のリンクの第1のセットは、1つ又は2つ以上のリンクの第2のセットによって支持される。
【0116】
更に、いくつかの実装態様では、1つ又は2つ以上の電動リンクの第1のセットは、1つ又は2つ以上の電動リンクの第2のセットとは異なる数のDoFを有する。例えば、図27に例示される簡略化された実装態様に示されるように、1つ又は2つ以上のリンクの第1のセットは、各々が7つ以上のDoFを有する3つのロボットアーム205を形成することができる。例えば、ロボットアーム205の各々は、ショルダヨー、ショルダピッチ、エルボピッチ、リストヨー、リストピッチ、ロール、及びインサーションを含むがこれらに限定されないDoFを有することができる。1つ又は2つ以上の電動リンクの第2のセットは、4つ以上のDoFを有する調整可能なアーム支持体210と組み合わせてセットアップ関節215を形成することができる。例えば、セットアップ関節215及び調整可能なアーム支持体210は、垂直並進又は「Zリフト」、ベッドに沿った長手方向並進、傾斜、及び上向き旋回を含むがこれらに限定されないDoFを有してもよい。セットアップ関節215及び調整可能なアーム支持体210のDoFも、上で考察されたように、図24に示されている。
【0117】
いくつかの他の実装態様では、1つ又は2つ以上の電動リンクの第1のセットは、1つ又は2つ以上の電動リンクの第2のセットと同じ数のDoFを有することができる。有利なことに、1つ又は2つ以上のリンクの第1のセットと1つ又は2つ以上のリンクの第2のセットとの間でDoFを共有することによって、零空間運動及び衝突回避のためのDoFの数を拡張することができる。
【0118】
本開示の態様は、零空間運動が可能なロボットアームのDoFに加えて、1つ又は2つ以上のDoFを有するロボットシステムに関するものである。これらの追加のDoF(例えば、調整可能なアーム支持体と組み合わせたセットアップ関節からの)は、調整可能なアーム支持体に結合されたロボットアームの運動に影響を及ぼし、衝突回避を支援することができる。例えば、垂直並進、長手方向並進、及び傾斜を含むリンクの第2のセットからのDoFは、ロボットアームの各々のDoFと組み合わされるときの零空間運動に特に有用であり得る。
【0119】
上述の実装態様では、リンク部材の少なくとも1つのセットがロボットアームと関連付けられることによって、リンク部材の異なるセット間で共有されるDoFが、零空間運動のために利用される。これらの実装態様では、ロボットアームに取り付けられたツールのRCMだけでなく、ロボットアームのADMは、有利には、姿勢/位置を保ことができる。
【0120】
B.ロボットアーム及び/又はバー最適化のための力情報の利用
(例えば、ロボットアームと患者などの対象物との衝突又は接触中に)上述の1つ又は2つ以上のセンサによって検出される力情報は、ロボットアーム及び/又は調整可能なアーム支持体(「バー」としても知られる)最適化のための一般的制約に変換され得る。場合によっては、医療処置は、標準的なポート配置から開始することができ、それによって、1つ又は2つ以上のロボットアームがポート位置に取り付けられる。衝突が発生すると、衝突情報が、力センサ(例えば、1つ又は2つ以上の関節における力センサを含む接触センサ)のうちの1つ又は2つ以上を介して収集されることになる。衝突を検出することができる他の潜在的なセンサは、超音波又は光を検出するためのセンサを含む。そのような衝突情報は、衝突の性質(例えば、アーム同士の衝突、アームと環境との衝突)、衝突の全般的な位置(例えば、衝突がリンク上であるか、関節上であるか、高度デバイスマニピュレータ(ADM)上であるかなど)、及び衝突の推定された方向(例えば、衝突ベクトル)を含む。この情報は、外部制約、例えば、衝突の方向において衝突の位置で発生する潜在フィールド/衝突フィールドを生成するために使用される。この潜在フィールドは、ロボットアーム及び/又は調整可能なアーム支持体の近くの関節及びリンクを反発させて「押し」退けることができ、それによって更なる衝突を有利に回避する。このような「押し」の強度は、近くの構成要素から衝突の位置までの距離の関数であり得る。これらの制約により、1つ又は2つ以上のアームを最適化することに加えて、調整可能なアーム支持体/バー姿勢も、衝突距離及びロボットアームのエンドエフェクタ作業空間に対して最適化することができる。これにより、システムが衝突から容易に回復し、将来の衝突の可能性がより低い処置を継続することを可能にする。
【0121】
図28は、いくつかの実施形態による、接触情報に基づいて1つ又は2つ以上の運動学的連鎖(例えば、それぞれの運動学的連鎖は、関連付けられた調整可能なアーム支持体/バーに結合された1つ又は2つ以上のロボットアームなどの、互いに回転可能に結合された剛体のアセンブリを含む)を調整するための方法を示すフロー図である。
【0122】
図28に示されるワークフローは、医療用ロボットシステムが医療処置に使用されることで開始し(動作281)、医療用ロボットシステムは、1つ又は2つ以上の運動学的連鎖を有する。システムが医療処置のために使用されている間、運動学的連鎖との衝突(例えば、ロボットアームと患者との間の接触)が、(例えば、図21図22A図22B図24、及び図25A図25Dに関して説明した1つ又は2つ以上のセンサを使用して)検出される(動作282)。医療用ロボットシステムは、運動学的連鎖の移動を停止し(動作283)、接触情報を収集する。場合によっては、医療用ロボットシステムは、1つ又は2つ以上の運動学的連鎖の構成の最適化のために、特定の命令セット(例えば、ソフトウェアアプリケーション)又は電子デバイスに接触情報を提供する。次に、医療用ロボットシステムは、例えば、特定の命令セット又は電子デバイスを使用することによって、運動学的連鎖の新たな構成を決定し(動作284)、運動学的連鎖を決定された構成に配置し(動作285)、それによって運動学的連鎖との接触を排除する。その後、医療用ロボットシステムは、医療処置を再開する(動作286)。運動学的連鎖が最適化された構成にあるので、運動学的連鎖が対象物と接触する可能性が低減される。場合によっては、医療用ロボットシステムは、医療処置(動作281)を継続する。
【0123】
図29A図29Fは、図28のフロー図に従った動作中のロボットアーム205の構成を示す。
【0124】
図29Aは、テーブルトップ225上の患者が医療処置を受けている、図26に関して説明された医療用ロボットシステム200を示す。図29A図29Fでは、医療用ロボットシステム200の動作の他の態様が不明瞭にならないように、医療用器具は示されていない。
【0125】
図29Bは、ロボットアーム205-2が下方に移動し、ロボットアーム205-2の一部分が患者と接触することを示す。図29Cは、医療用ロボットシステム200(又はその1つ又は2つ以上のプロセッサ)が、接触情報(例えば、接触の位置、接触の方向、接触の力など)を受信し、マップ(例えば、医療用ロボットシステム200の近傍内の対象物をモデル化する三次元マップ)において接触をモデル化することを示す。例えば、接触又は衝突は、マップ内の制約フィールド又は潜在フィールドとしてモデル化することができる。図29Cでは、接触は潜在フィールド227-1としてモデル化される。いくつかの実装態様では、潜在フィールドは、指向性(例えば、接触位置からある特定の方向又は特定の範囲の方向に位置する運動学的連鎖の部分に適用可能)又は無指向性(例えば、接触位置を基準とする運動学的連鎖の位置に関係なく運動学的連鎖のすべての部分に適用可能)である。いくつかの実装態様では、制約又は潜在性の影響は、接触位置から運動学的連鎖のそれぞれの部分までの距離に基づく。例えば、接触位置から第1の距離に位置する運動学的連鎖の一部は、接触位置から第1の距離よりも大きい第2の距離に位置する運動学的連鎖の別の部分よりも、その元の位置及び/又は接触位置から更に離れて移動され得る。図29Cでは、接触位置の近くに位置するロボットアーム205-2の遠位端(例えば、医療用ツールを保持するように構成されたロボットアーム205-2の先端)は、接触位置から離れて維持されるか、又は最小限に移動され得る。同様に、ロボットアーム205-2の近位端(調整可能なアーム支持体210付近)並びに他のロボットアーム205-1及び205-3~205-6は静止したままであり得るが、アームの近位端と遠位端との間の中間リンク及び関節は移動し得る。
【0126】
いくつかの実装態様では、制約のサイズ(例えば、制約されたエリア又はボリュームのサイズ)又は潜在フィールドの範囲は、接触から検出された力、接触対象物のタイプ(例えば、テーブルトップ225上で衝突が検出された患者、及びテーブルトップ225の外で衝突が検出された医療従事者など、接触位置に基づいて判定される)、及び検出の確率など、1つ又は2つ以上の要因に基づいて判定される。例えば、図29Dは、図29Cに示される潜在フィールドよりも広い範囲を有する潜在フィールドを示し、複数のロボットアーム、すなわちロボットアーム205-1~205-3の構成が調整される(例えば、ロボットアーム205-1並びに205-3、及びロボットアーム205-2の部分が、接触位置又は潜在フィールドから離れるように移動される)。
【0127】
図29Eは、ロボットアーム205-1の遠位端の下方への移動中に、ロボットアーム205-1と患者との別の衝突(又は接触)が検出されることを示す。図29Eでは、医療用ロボットシステム200は、ロボットアーム205-1と患者との接触に関する情報を受信し、接触をマップ内の潜在フィールド227-2としてモデル化し、ロボットアーム205-1の構成(又は、潜在フィールドの範囲に応じて、ロボットアーム205-1~205-6のうちの2つ以上の構成)を調整する。図29E及び図29Fはまた、医療用ロボットシステム200がマップ内の潜在フィールド227-1を維持することを示す(その結果、ロボットアーム205-1の構成の調整中に、ロボットアーム205-1が潜在フィールド227-1の近傍に来ない場合がある)。場合によっては、1つ又は2つ以上の潜在フィールド(又は制約)が経時的に失効し、その結果、医療用ロボットシステム200は、ロボットアーム205-1と患者との衝突が検出される時間までに潜在フィールド227-1を維持しない場合がある。
【0128】
図30は、いくつかの実施形態による、接触情報に基づいて運動学的連鎖の構成を調整する方法330を示すフロー図である。方法330は、第1の運動学的連鎖と、第1の運動学的連鎖(例えば、図21図23図24、及び図25A図25Dに関して説明したロボットアーム205及び1つ又は2つ以上のセンサを有する医療用ロボットシステム200)との接触の1つ又は2つ以上のパラメータ(例えば、力、トルク、接触の方向、接触位置など)を検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサとを含む、医療用ロボットシステムと通信する電子デバイス(例えば、図38に関して説明したプロセッサ380などの1つ又は2つ以上のプロセッサ)によって実行される。
【0129】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサは、第1の運動学的連鎖の基部(例えば、関節131-3又は基部136)に位置決めされた力センサ、第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上のリンクとエンドエフェクタとの間の関節(例えば、関節131-1)に隣接して位置決めされた力センサ、あるいは1つ又は2つ以上のリンク上の(例えば、シェルセンサ上)1つ又は2つ以上の接触センサ(例えば、センサ321)、のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のリンクとロボットアームエンドエフェクタとの間の関節に隣接して位置決めされた力センサは、6軸ロードセルを含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、第1の運動学的連鎖は、運動学的に冗長である。例えば、第1の運動学的連鎖は、医療タスクを完了するのに必要な自由度よりも高い自由度を有する(例えば、第1の運動学的連鎖は、7つ、8つ又は9つ以上の自由度を有する)。いくつかの実施形態では、第1のロボットアームは、運動学的に冗長である。いくつかの実施形態では、第1のロボットアームと調整可能なアーム支持体との組み合わせは、運動学的に冗長である。
【0131】
方法330は、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを(例えば、1つ又は2つ以上のセンサから)受信すること(331)を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、第1の運動学的連鎖との接触は、第1の運動学的連鎖と医療用ロボットシステムの一部ではない対象物(例えば、患者、スタッフ、又は付属品)との間の接触を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、接触の1つ又は2つ以上のパラメータは、接触の力情報(力及び/又はトルクを含む)、接触の位置情報、及び接触の方向情報(第1の運動学的連鎖と対象物との間の接触前及び/又は接触中の第1の運動学的連鎖の移動並びに/あるいは力の方向から判定され得る)からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含む(332)。
【0134】
いくつかの実施形態では、接触の1つ又は2つ以上のパラメータは、接触が移動している対象物か、若しくは固定されている対象物との接触であるかについての情報(接触の位置が経時的に変化するかどうかに基づいて判定され得る)を含む。
【0135】
方法330はまた、第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定すること(333)を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、方法330は、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された第1の運動学的連鎖との後続の接触の1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、制約を更新すること、及び/又は制約マップを構築することを含む。例えば、医療用ロボットシステム200は、(例えば、接触の初期情報に基づいて)制約マップを作成する、又は(例えば、後続の接触情報に基づいて)以前に構築された制約マップを更新する。
【0137】
いくつかの実施形態では、接触の1つ又は2つ以上のパラメータは、確率マップの一部を形成する。例えば、接触情報は、ある特定の対象物が三次元空間内のそれぞれの位置に存在する可能性があるという確率に変換される(したがって、確率マップ内の確率値は、それぞれの位置又はボクセルに対する接触又は衝突の可能性を表す)。
【0138】
いくつかの実施形態では、確率マップは、接触の検出の信頼度に基づいて判定される。例えば、検出の信頼度が高い対象物(又は接触)は、その対象物が対応する位置に存在する可能性が高いので、高い確率値を割り当てられてもよく、検出の信頼度が低い対象物(又は接触)は、その対象物が対応する位置に存在する可能性が低いので、低い確率値を割り当てられてもよい。
【0139】
いくつかの実施形態では、方法330は、制約の有限時間に基づいて確率マップを更新することを含む。例えば、医療用ロボットシステム200は、1つ又は2つ以上の時間間隔で確率マップを更新してもよい。いくつかの実装態様では、制約の有限時間に基づいて確率マップを更新することは、そのような制約が確率マップ内で最後に更新されてから、ある特定の期間の後に1つ又は2つ以上の制約を失効させる(又は除去する)ことを含む。これにより古い制約が確率マップ上に残ることで、第1の運動学的連鎖のための最適な構成の判定を妨げることを防止することが可能になる。
【0140】
いくつかの実施形態において、方法330は、制約の変化する確率に基づいて確率マップを更新することを含む。いくつかの実装態様では、医療用ロボットシステム200は、接触が静止している対象物となされたか、又は動的な移動している対象物となされたかを判定する(例えば、接触位置に基づいて、例えば、テーブルトップ225の外側の接触は、移動している対象物との接触としてモデル化されてもよく、テーブルトップ225上の接触は、静止している対象物との接触としてモデル化されてもよい)。動的対象物との接触に関しては、動的対象物が同じ位置に留まらない可能性に基づいてその確率は低減される。例えば、時間減衰関数(又は曲線)を使用して確率マップを更新してもよく、この場合、時間減衰関数は、線形減衰関数又は非線形減衰関数(例えば、指数減衰関数)であってもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、制約は、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された接触の1つ又は2つ以上のパラメータの少なくとも部分的に基づいて、潜在フィールド(例えば、潜在フィールド227-1)としてモデル化される(334)。例えば、潜在フィールドは、第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の構成要素(及び場合によっては他の運動学的連鎖の構成要素)に対して力が印加される1つ又は2つ以上の位置としてモデル化される。いくつかの実施形態では、潜在フィールドに起因する第1の運動学的連鎖のそれぞれの構成要素上のモデル化された力は、接触位置からそれぞれの構成要素の位置までの距離に基づき、衝突の位置から離れる方向を有し得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、潜在フィールドはまた、1つ又は2つ以上のセンサのうちのそれぞれのセンサにより接触を検出する確率に基づく(335)。例えば、検出の高い信頼性/忠実度を有するセンサ(例えば、低い感度を有するセンサ)によって検出された接触に対しては、モデル化された力が増加し、検出の低い信頼性/忠実度を有するセンサ(例えば、高い感度を有するセンサ)によって検出された接触に対しては、モデル化された力が低減される。これは、(例えば、対象物のサイズ又は材料に起因して)検出することが困難である対象物との接触の可能性を低減する一方で、確実かつ正確に検出され得る対象物に対する力を低減することによって、ロボットアーム及びツールが操縦するために利用可能な空間を増大させる。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサのうちのそれぞれのセンサは、所定の検出確率を割り当てられる(例えば、医療用ロボットシステム200は、それぞれのセンサ又はそれぞれのセンサタイプについての所定の検出確率値のテーブルをメモリに記憶する)。
【0143】
いくつかの実施形態では、制約は、進入禁止ゾーン(例えば、第1の運動学的連鎖の構成要素が進入することを許可されないボリューム)としてモデル化される。いくつかの実施形態では、進入禁止ゾーンは、接触の1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて規定される1つ又は2つ以上の境界を有する(例えば、進入禁止ゾーンのサイズは、力情報に基づいて決定され、進入禁止ゾーンの形状は、方向情報及び/又は位置情報に基づいて決定される)。
【0144】
方法330は、制約に基づいて、第1の構成から第2の構成(例えば、第2の構成は第1の構成とは異なる)への第1の運動学的連鎖の構成の調整を(例えば、第1の運動学的連鎖に結合された又は含まれる1つ又は2つ以上のアクチュエータを作動させることによって)行わせることを更に含む(336)。この調整により、第1の運動学的連鎖が非衝突位置に位置決めされ、将来の衝突のリスクが低減される。
【0145】
いくつかの実施形態では、第1の運動学的連鎖は、第1のロボットアーム(例えば、ロボットアーム205-1)と、第1のロボットアームが位置決めされている調整可能なアーム支持体(例えば、調整可能なアーム支持体210)とを含み(例えば、第1のロボットアームは、調整可能なアーム支持体と、回転可能に結合されるなど、機械的に結合される)、第1の運動学的連鎖の構成の調整は、調整可能なアーム支持体の位置を変更することを含む(337)。
【0146】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の運動学的連鎖の零空間を利用し、第1の運動学的連鎖の構成を第1の構成から第2の構成に調整を行わせること(338)を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、方法330は、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータから判定された制約に基づいて、第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分と接触していない1つ又は2つ以上の他の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることを含む(例えば、図29Dに示されるように、ロボットアーム205-1及び205-3がロボットアーム205-2と接触していなくても、ロボットアーム205-1及び205-3を移動させる)。
【0148】
いくつかの実施形態では、方法330は、1つ又は2つ以上のセンサによって検出された第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータから判定された制約に基づいて、対象物と接触していない1つ又は2つ以上の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることを含む(例えば、図29Dに示されるように、患者と接触していないロボットアーム205-1及び205-3を移動させる)。
【0149】
いくつかの実施形態では、方法330は、医療処置を行うことを更に含む。いくつかの実施形態では、医療処置は、外科的処置を含む。
【0150】
C.近傍内の対象物を検出するためのセンサアーキテクチャ
上述したように、医療用ロボットシステム200は、運動学的連鎖(例えば、ロボットアーム)との接触を検出するための1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、医療用ロボットシステム200は、医療用ロボットシステム200の近傍内の対象物を検出するための1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、非接触近接センサ)を含む。このようなセンサは、接触を必要とせず、したがって、運動学的連鎖の構成(又は移動)を調整し、接触が生じる前に接触を防止するために使用され得る。このようなセンサの例として、ソナー、レーダ、LIDAR、超音波センサ、光ベースのセンサ、又は視覚ベースのセンサが挙げられる。
【0151】
図31は、いくつかの実施形態による、近傍にある対象物を検出するために装着されたセンサ314を示す。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、センサ314-1~314-5)は、ロボットリンク132のうちの1つ又は2つ以上に固定される。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、センサ314-6及び314-7)は、医療用ロボットシステム200の外部に(例えば、壁又は天井に)固定される。場合によっては、1つ又は2つ以上のセンサ314は、動的環境に関する情報を収集するための基準点として機能することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサ314は、対象物(例えば、患者)に対して最大の可視性を有するリンク又はリンク間の関節のいずれかに位置する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのロボットアームは、1つのセンサを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのロボットアームは、複数のセンサを有する。
【0152】
図32は、動的環境に関する情報を収集するための複数のセンサ314を有するロボットアーム205の例を示す。図32では、ロボットアーム205は少なくとも4つのセンサを含む(ロボットアーム205は追加のセンサを含んでもよいが、図32には4つのセンサ314-1~314-4が示されている)。3つのセンサ314-1~314-3は、ロボットアーム205の遠位リンク上に位置決めされる一方で、1つのセンサ314-4は、ロボットアーム205の近位リンク上に位置決めされる。図32に示されるように、異なるセンサ314は、環境の異なるパッチ又は領域を検出するように構成され得る。センサ314-1及び314-2は、患者の異なる領域を検出し、センサ314-3は、医療スタッフ(例えば、医師助手、看護師、麻酔医など)を検出するが、センサ314-4は、何も検出しない。センサ314によって検出された情報から、環境のマップを生成することができる。
【0153】
図33は、いくつかの実施形態による、1つ又は2つ以上のセンサ314(又は単一のセンサ)によって検出された情報に基づくマップを伴う、ヒト(例えば、患者)の例示的表現を示す。図33では、ヒトは、三次元空間内の点群(例えば、点又はドットのグループ)として表される(例えば、各点は、三次元座標と関連付けられる)。いくつかの実施形態では、各点は、その点が特定の対象物(例えば、患者)に属する可能性を示す確率値を有する。図33では、確率値は、点のサイズに基づいて表される(例えば、より大きい点は、その点が対象物に属する確率がより高いことを表す)。
【0154】
D.感知された対象物のマップを生成するための感知された情報の利用
図34は、いくつかの実施形態による、検出された対象物の情報に基づいて1つ又は2つ以上の運動学的連鎖を調整するための方法を示すフロー図である。
【0155】
図34に示されるワークフローは、マップ初期化(動作322)から開始する。いくつかの実装態様では、マップ初期化は、空マップを使用することを含む。このような場合、医療用ロボットシステムは、環境の先験的知識(例えば、対象物の位置及びサイズ)を仮定しない。いくつかの他の実装態様では、マップ初期化は、患者の身体モデルの所定のモデル(格子又は点群の形態における空間モデル、統計モデル、又は決定論的モデル)からの初期患者身体マップの選択を含む。このような場合、マップは、患者身体マップ(例えば、デフォルトの患者身体マップ、あるいはユーザ入力に基づいて選択又は生成された患者身体マップ)を用いて初期化される。例えば、患者身体マップは、患者の身体測定値(例えば、身長及び胴囲など)に基づいて生成されてもよい。いくつかの実装態様では、初期患者身体マップは、モデル化された患者身体の周囲に何もない空間を有する。
【0156】
医療処置が開始され、医療用ロボットシステムが環境を監視し(動作323)、検出された対象物に関する情報でマップを更新する(動作324)。例えば、ロボットアームが移動すると、センサは、視野内の最も近い対象物までの距離を記録する。いくつかの実装態様では、医療用ロボットシステムは、検出された対象物が医療用ロボットシステムに属するか否かを判定する。検出された対象物が医療用ロボットシステム200に属さず、対象物が医療処置の範囲内にある場合、初期の空間モデル/統計モデル又は決定論的モデル(あるいはマップ)が更新される。更新は、カルマンフィルタ、粒子フィルタ、及び共分散交差アルゴリズムなど、任意の同時位置特定及びマッピング(simultaneous localization and mapping、SLAM)アルゴリズム又はセンサ融合アルゴリズムに基づくことができる。更新動作(動作324)は周期的に繰り返される。数回の反復後、高い信頼度を有する環境(例えば、患者の身体を含む)の空間モデルが達成され得る。
【0157】
ロボットプロセッサは、モデルの信頼度及び精度が十分に高い場合、このモデルとの衝突を回避する。これにより、患者との衝突の可能性が排除される。このモデルに基づいて動作中にバーの配置を修正することにより、(アーム同士の衝突などを減らすなど)効率を高めることも可能である。
【0158】
場合によっては、運動学的連鎖の新しい構成が、更新されたマップに基づいて決定され(動作325)、医療用ロボットシステムは、決定された構成に運動学的連鎖を配置する(動作326)。運動学的連鎖が最適化された構成にある間、医療処置は継続する。その結果、運動学的連鎖が別の対象物と接触する可能性が低減される。これにより、ひいては、(例えば、ロボットアーム間の、又はロボットアームと別の対象物との間の)衝突が少なくなるため、医療処置の効率が向上する。
【0159】
いくつかの実装態様では、環境の動的性質に起因して、境界の各パッチには、境界のパッチがいつ、どのように検出されたかに基づく確率が割り当てられ得る(例えば、医療用ロボットシステムは、特定の点に関する情報がいつ、どのように検出されたかを示す情報、例えば、検出のタイムスタンプを記憶する)。例えば、パッチが高い接触力で(又は高い感度を有するセンサで)決定されたという判定に従って、医療用ロボットシステムは、対象物の検出された境界に高い確率を割り当てる。加えて、医療用ロボットシステムは、対象物がその元の位置から移動した可能性があるという事実を反映するために、経時的に確率を減少させるので、かなり前に検出された境界が無効になる。一方、時間が経っても、対象物が同一又は類似の位置で検出され続ける場合、医療用ロボットシステムは、対象物の検出された境界に割り当てられる確率を増加させる。このような場合、対象物(又はその境界)の位置及び形状は、より高い精度で近似され得る。いくつかの実装態様では、追加的な先験的知識が使用されてもよい。例えば、患者はテーブルトップに比較的固定されていることが既知であるが、スタッフは一般にベッドの外側を動き回る。したがって、センサ測定値の位置に基づいて、別個のモデルが生成されてもよい(例えば、経時的に失効又は減衰し得る、テーブルトップエリアのセンサ測定値に基づく患者モデル、及びベッドの外側のセンサ測定値に基づくスタッフモデル)。
【0160】
図35A図35Gは、いくつかの実施形態による、ロボットアーム及び対応するマップの構成を示す。図35A図35Gでは、医療用ロボットシステムの動作の他の態様が不明瞭にならないように、センサは示されていない。
【0161】
図35Aは、図の左側に、ロボットアーム205-1及び205-2を有する医療用ロボットシステムを示しており、患者240がテーブルトップ225上に位置決めされている。図35Aはまた、天井構造体291(例えば、照明器具)を示す。図35Aの右側には、図35Aの左側に示されている設定に対応する対象物マップのグラフィック表現が示されている。対象物マップは、患者のマップ241(例えば、患者の表面境界を表す点群)を含み、テーブルトップ225及び天井構造体291の1つ又は2つ以上の部分のマップも含む。
【0162】
図35Bは、図の左側に、ロボットアーム205-2が、患者のマップ241に基づいて(例えば、より最適な位置又は姿勢に)移動することを示す。図35Bはまた、図の左側で、医療従事者242がロボットアーム205-1の近傍に移動したことを示す。図35Bの右側には、医療従事者242のマップ243を含む更新された対象物マップのグラフィック表現が示されている。
【0163】
図35Cは、図の左側に、ロボットアーム205-1が、医療従事者のマップ243を含む更新されたマップに基づいて移動することを示す。
【0164】
図35Dは、図の左側で、医療従事者242がロボットアーム205-1から移動して離れたことを示す。しかしながら、図35Dは、図の右側に、医療従事者のマップ243が(少なくともある特定の期間にわたって)残っていることを示す。
【0165】
図35Eは、図の右側に、医療従事者のマップ243が除去されたことを示す。いくつかの実装態様では、医療従事者(又は任意の移動している対象物)のマップ243は、ある特定の期間の後に失効する(例えば、移動している対象物のマップは、事前設定された期間の経過時に除去される)。いくつかの他の実装態様では、医療従事者(又は任意の移動している対象物)のマップ243は、経時的に減衰する(例えば、移動している対象物のマップの確率値が経時的に減少する)。一方、患者240は、同じ位置で経時的に検出され続ける。いくつかの実装態様では、静的対象物(例えば、患者240)のマップの確率値は、経時的に増加する。
【0166】
図35Fは、図の左側に、医療従事者242がロボットアーム205-2の近傍に移動したことを示す。図35Fの右側には、患者240の右側の医療従事者242のマップ243を含む別の更新された対象物マップのグラフィック表現が示されている。
【0167】
図35Gは、図の左側に、ロボットアーム205-2が、新しい位置における医療従事者のマップ243を含む、更新されたマップに基づいて移動することを示す。
【0168】
図35A図35Gに示すように、医療用ロボットシステムは、医療用ロボットシステムの近傍内の対象物を検出し、運動学的連鎖との衝突のリスクが低減されるように運動学的連鎖の構成を調整することができる。図35A図35Gはまた、ある特定の対象物がマップ内で異なってモデル化されることを示す。例えば、移動している対象物のマップは、経時的に失効又は減衰する可能性があり、静的対象物の確率値は、経時的に(又は閾値時間に達すると)増加する可能性がある。
【0169】
いくつかの実施形態では、対象物は、マップ内のバッファゾーンを用いてモデル化される。運動学的連鎖が対象物の境界のすぐ隣に移動することを可能にすると、測定誤差、モデリング誤差、及び対象物の移動などの様々な理由に起因して運動学的連鎖が対象物と接触することを引き起こす可能性があり、バッファゾーン(例えば、対象物の境界からある特定の距離を有する境界を有する一定のエリア又はボリューム)を設けることは、運動学的連鎖と対象物との間の接触の可能性を低減し得る。いくつかの実施形態では、バッファゾーンのバッファ距離dbは、図36Aに示されるように、様々な要因(例えば、検出の確率、検出の信頼度など)に基づいて判定される。例えば、同じ物理的サイズ(及び形状)を有する2つの対象物244及び245に対して、対象物244が静的対象物であり、対象物245が動的な移動している対象物である場合、それらのバッファゾーン246及び247は異なるサイズを有し得る。
【0170】
図37は、いくつかの実施形態による、センサ情報に基づいてロボットアームの構成を調整する方法370を示すフロー図である。方法330は、第1のロボットアームと、第1のロボットアームの近傍内の対象物を検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサとを含む医療用ロボットシステム(例えば、図31に関して説明したロボットアーム205及び1つ又は2つ以上のセンサを有する医療用ロボットシステム200)と通信する電子デバイス(例えば、図38に関して説明したプロセッサ380などの1つ又は2つ以上のプロセッサ)によって実行される。
【0171】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサは、ソナー、レーダ、LIDAR、超音波、光ベースのセンサ、又は視覚ベースのセンサのうちの少なくとも1つ又は2つ以上を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサは、少なくとも1つの非接触センサを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサは、少なくとも1つの非接触センサに加えて、少なくとも1つの接触センサを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、第1のロボットアームは遠隔操作で制御される。いくつかの実施形態では、記憶された命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ又は2つ以上のプロセッサに、1つ又は2つ以上のプロセッサとは別個に位置する入力デバイスから制御信号を受信させる。いくつかの実施形態では、入力デバイスは、第1のロボットアーム又は任意の他のロボットアームとは別個に位置する。
【0174】
いくつかの実施形態では、第1のロボットアームは、運動学的に冗長である。例えば、第1のロボットアームは、医療タスクを完了するのに必要な自由度よりも高い自由度を有する(例えば、第1のロボットアームは、関連付けられた調整可能なアーム支持体を伴って、あるいは伴わずに、7つ、8つ又は9つ以上の自由度を有する)。
【0175】
いくつかの実施形態では、医療用ロボットシステムは、可動式患者プラットフォームを含む。いくつかの実施形態では、可動式患者プラットフォームは、剛性である基部と、剛性である基部に対して移動可能であるテーブルトップとを含む。
【0176】
方法370は、1つ又は2つ以上のセンサから、(例えば、第1の時間に)第1のロボットアームの近傍内に存在する1つ又は2つ以上の対象物の位置に対応するセンサ情報を受信すること(371)を含む。
【0177】
方法370はまた、センサ情報に基づいて、対象物マップ(例えば、医療用ロボットシステム、特に第1のロボットアームに隣接する対象物の位置及び/又はサイズを示すデータ構造)を生成又は更新すること(372)を含み、対象物マップは、第1のロボットアームの近傍内の対象物の空間関係を特徴付ける。いくつかの実施形態では、対象物マップは、医療用ロボットシステムに隣接する対象物の空間関係を特徴付ける。複数のセンサを利用することによって、遮蔽を通過する対象物を検出することが可能である。例えば、対象物は、特定のセンサの視野内の障害物の後ろに位置し得る。しかしながら、対象物は、異なる角度から対象物を見ている1つ又は2つ以上の他のセンサによって検出される場合がある。したがって、複数のセンサを利用することによって、ある特定の視野では対象物を遮る障害物が存在する場合であっても、対象物を検出することができ、それらの位置を判定することができる。
【0178】
方法370は、対象物マップに基づいて、第1のロボットアームの構成を第1の構成から第2の構成(例えば、第2の構成は第1の構成とは異なる)へと調整すること(373)を更に含む。第1のロボットアームの構成の調整は、第1のロボットアームと検出された対象物との衝突のリスクを低減する。
【0179】
いくつかの実施形態では、医療用ロボットシステムは、第1のロボットアーム以外の1つ又は2つ以上のロボットアームと、1つ又は2つ以上のロボットアームの近傍内の対象物の存在を検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上の第2のセンサとを含む。方法370は、1つ又は2つ以上の第2のセンサから、1つ又は2つ以上のロボットアームの近傍内にある1つ又は2つ以上の対象物(例えば、第1のセンサ情報に表される同じ対象物及び/又は異なる対象物)の1つ又は2つ以上の位置的場所に対応する第2のセンサ情報を受信することと、第2のセンサ情報にも基づいて、対象物マップを生成又は更新することと、対象物マップに基づいて、1つ又は2つ以上のロボットアームの構成を調整することと、を更に含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、方法370は、対象物マップを生成又は更新した後に、1つ又は2つ以上のセンサから、第1のロボットアームの近傍内にある1つ又は2つ以上の対象物の位置に対応する後続のセンサ情報を受信することと、後続のセンサ情報に基づいて、対象物マップを更新することと、後続のセンサ情報に基づいて更新されている対象物マップに従って、第1のロボットアームの構成を調整することと、を繰り返すこと(374)を、含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、方法370は、1つ又は2つ以上の対象物のうちのそれぞれの対象物を検出する確率に基づいて、対象物マップを更新すること(375)を任意選択的に含む。例えば、検出の確率が低い対象物(例えば、閾値周波数未満の周波数で検出され、したがって検出される可能性が低い対象物)は、対象物との衝突の確率を低減するためにバッファエリアを用いてモデル化され、検出の確率が高い対象物(例えば、閾値周波数を超える周波数で検出され、したがって検出される可能性がより高い対象物)は、バッファエリアを用いずに、又はより小さいバッファエリアを用いてモデル化される。
【0182】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の対象物は、動的に移動する対象物を含む。例えば、対象物は、第1の時間に第1の位置に位置し、第1の時間と異なる第2の時間に第1の位置とは異なる第2の位置に位置する。動的に移動する対象物は、患者、スタッフ、又は付属品であってもよい。いくつかの実施形態では、対象物は、医療用ロボットシステムの構成(例えば、運動学的情報)に基づいて動的に移動する(例えば、対象物は、第1のロボットアーム又は任意の他のロボットアームの構成に基づいてその位置を変化させる)。例えば、対象物は、患者プラットフォーム(例えば、手術台)の構成に基づいて位置が変化する患者である。他の実施形態では、対象物は、ロボットアームが動いている間にロボットアームの邪魔にならないようにしようとしているベッドサイドスタッフである。いくつかの実施形態では、本方法は、対象物を反映するように対象物マップが更新された後のある期間の後に、対象物マップへの更新を除去すること(376)(又は対象物マップに対する対象物の影響を低減又は排除するように対象物マップを更新すること、又は対象物マップから対象物を除去すること)を更に含む。例えば、対象物が位置Aで検出された場合、位置A付近のエリアが対象物マップにマークされる。一定時間が経過すると、位置Aの周囲のエリアは、対象物マップにマークされなくなる。これは、同じ位置に留まる対象物には適用されない。例えば、1つ又は2つ以上のプロセッサは、対象物が(例えば、同じ位置の周りで)検出され続けるという判定に従って、対象物マップへの更新を除去することを取り止める、又は対象物を対象物マップ内に維持する。
【0183】
いくつかの実施形態では、第1のロボットアームの構成を調整することが、第1のロボットアームと動的対象物との間の衝突のリスクが低減されるように、第1のロボットアームと動的対象物との間の距離が増加させる。
【0184】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の対象物は、静的対象物を含む。いくつかの実施形態では、方法370は、センサ情報に基づいて、(例えば、同じ位置の周囲の)静的対象物を検出し続けることによって、静的対象物を対象物マップ内に維持する(又は静的対象物に関する対象物マップの更新を維持する)ことを含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、方法370は、医療用ロボットシステム(例えば、第1のロボットアーム及び/又は任意の他のロボットアームの構成)の構成(例えば、運動学的情報)にも基づいて対象物マップを更新すること(377)を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、方法370は、医療処置を行うことを更に含む。いくつかの実施形態では、医療処置は、外科的処置を含む。
【0187】
E.構成の決定
上述したように、医療用ロボットシステムは、センサ情報(例えば、接触情報及び/又は検出された対象物の情報)に基づいて運動学的連鎖の新しい構成を決定する。ロボットアーム205のADM134及び/又はそれに結合された遠隔運動中心(RCM)が静的姿勢/位置に保たれるなど、新しい構成のためのある特定の条件がある一方で、(接触の可能性を低減し、運動学的連鎖を操作するために拡大した作業空間を提供するように)それぞれの運動学的連鎖と検出された対象物との間の距離及び任意の2つの運動学的連鎖間の距離を増加する必要がある。これらの条件に基づいて新しい構成を決定する多くの方式が存在するが、新しい構成を決定する1つの方式は、コスト関数(損失関数とも呼ばれる)に基づく。例えば、コスト関数は、新しい構成の条件に基づくペナルティ又はポイントを含むことができ、新しい構成は、コスト関数を最小化又は最大化するパラメータ(例えば、運動学的連鎖のそれぞれの構成要素の位置)に基づいて選択される。
【0188】
いくつかの実装態様では、医療用ロボットシステムの作業空間を最大化するために、以下の最適化プロセスが実行され得る。各ロボットアームの遠隔中心位置を維持しながら、それぞれの関節限界までの関節位置の最小距離(関節限界までの移動量を多くすることで、どの関節もその関節限界に達する可能性を低減させる)、及び任意の2つのロボットアームの最小距離(2つのロボットアーム同士の衝突の可能性を低減させる)を最大化することを目標とする。ロボットアームが全部で6本あり、第1から第3のロボットアームが1つの基部に、第4から第6のロボットアームが別の基部にあると仮定すると、コスト関数は次のように記述することができる。
【0189】
【数1】
式中、qi,jはロボットアームjの関節iの位置であり、qi,j,minはロボットアームjの関節iの下限値、qi,j,maxはロボットアームjの関節iの上限値、wi,j及びvm,nは特定の用途のために選択された重みであり、Tbase,jはロボットアームjの基本姿勢を表す同次(例えば4×4)行列であり、d(j1,j2)は2つのロボットアームj1とj2との間の最小距離であり、これは各ロボットアーム上の任意の2つのリンクの最小距離である。最適化問題は、コスト関数を最大化するためのTbase,1及びTbase,4を見つけることであり、これは数学的に以下のように表される。
【0190】
【数2】
式中、qjはロボットアームjのすべての関節位置に対するベクトルであり、prc,j(qj,Tbase,j)は、ロボットアームjの関節位置及び基本姿勢の関数としてのロボットアームjの遠隔中心の位置である。
【0191】
接触の大きさ、力又はトルクのいずれかあるいはその両方の大きさが既知であり、使用される場合、最適化は、接触低減の改善が最適化中に測定され得るように、オンラインプロセスとして実行されてもよい。以下の修正されたコスト関数が使用され得る。
【0192】
【数3】
式中、Fi,j及びTi,jは、ロボットアームjのリンクi上の測定された外部接触力及びモーメントであり、wF及びwTは、特定の用途のために選択された重みである。この場合、最適化問題は、コスト関数を最大化するためのTbase,1及びTbase,4を見つけることであり、これは数学的に以下のように表される。
【0193】
【数4】
【0194】
オフライン最適化を可能にするために、粗接触位置及び接触方向の追加情報を利用して、ロボットアームと対象物との間の推定距離を計算することができるように、対象物の位置を推定することができる。
【0195】
接触の方向情報を用いずに粗位置が使用される場合、|Fi,j|及び|Ti,j|の大きさを有する接触がロボットアームjのリンクi上で検出されると仮定すると、対象物の位置は、Oi,jとして示されるその垂直二等分線に沿って接触リンクからmin(kF/|Fi,j|,kT/|Ti,j|)だけ離れていると推定することができる。接触リンクと対象物との間の距離を、ri,j(qj)として推定することができる。接触が検出されなかったリンクriについては、j(qj)=0である。接触距離も考慮する新しいコスト関数は、以下の通りである。
【0196】
【数5】
式中、wrは特定の用途のために選択された重みである。この場合、最適化問題は、コスト関数を最大化するためのTbase,1及びTbase,2を見つけることであり、これは数学的に以下のように表される。
【0197】
【数6】
【0198】
接触方向情報が粗接触位置と共に利用可能である場合、より正確な対象物位置を推定することができる。接触方向情報を用いて、対象物位置O’i,jは、veci,j+kF・Fi,j/|Fi,j|2として推定することができ、式中veci,jは、
【0199】
【数7】
から取得される。
【0200】
次に、接触リンクと対象物との間の距離を、上述したのと同様に推定することができる。推定距離はr’i,j(q)として表記される。いくつかの実装態様では、回転関節上のリンクについて、接触方向と長さ方向のリンク方向との間の角度を90°に向けることを最適化に含める必要がある。diri,jに沿って、ロボットアームjのリンクi上で検出された接触に関して、長さ方向のリンク方向は、2つの方向ベクトルθi,j(q)=arccos(diri,j・linki,j)の間の角度qの関数であるlinki,jである。接触方向も考慮する新しいコスト関数は、以下の通りである。
【0201】
【数8】
式中、wθは、特定の用途のために選択された重みである。この場合、最適化問題は、コスト関数を最大化するためのTbase,1及びTbase,4を見つけることであり、これは数学的に以下のように表される。
【0202】
【数9】
【0203】
3.実装システム及び用語
図38は、いくつかの実施形態による、医療用ロボットシステムの電子構成要素を示す概略図である。
【0204】
医療用ロボットシステムは、本明細書に記載される任意の方法(例えば、図30及び図37に関して記載される動作)を実行するための命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体382(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、スタティックランダムアクセスメモリ、及び不揮発性メモリなどのコンピュータメモリデバイス、並びにハードドライブ、光ディスク、磁気テープ記録などの他の記憶デバイス、又はそれらの任意の組み合わせ)と通信する1つ又は2つ以上のプロセッサ380を含む。1つ又は2つ以上のプロセッサ380はまた、(システムバス又は任意の好適な電気回路を介して)入力/出力コントローラ384と通信する。入力/出力コントローラ384は、1つ又は2つ以上のセンサ388-1、388-2などからセンサデータを受信し、センサデータを1つ又は2つ以上のプロセッサ380に中継する。入力/出力コントローラ384はまた、1つ又は2つ以上のプロセッサ380から命令及び/又はデータを受信し、第1のモータ387-1及び387-2などの1つ又は2つ以上のアクチュエータに命令及び/又はデータを中継する。いくつかの実施形態では、入力/出力コントローラ384は、1つ又は2つ以上のアクチュエータコントローラ386に結合され、1つ又は2つ以上のアクチュエータコントローラ386の少なくともサブセットに命令及び/又はデータを提供し、次に、選択されたアクチュエータに制御信号を提供する。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のアクチュエータコントローラ386は、入力/出力コントローラ384と統合され、入力/出力コントローラ384は、(別個のアクチュエータコントローラを伴わずに)制御信号を1つ又は2つ以上のアクチュエータ387に直接提供する。図38は、1つのアクチュエータコントローラ386(例えば、モバイル医療用プラットフォーム全体に対して1つのアクチュエータコントローラ)が存在することを示すが、いくつかの実施形態では、追加のアクチュエータコントローラ(例えば、各アクチュエータに対して1つのアクチュエータコントローラなど)が使用されてもよい。
【0205】
本明細書に開示される実装態様は、運動学的連鎖の近傍にある対象物の位置に基づいて運動学的連鎖の構成を最適化することができる、医療用ロボットシステムのためのシステム、方法、及び装置を提供する。
【0206】
本明細書で使用するとき、「結合する」、「結合している」、「結合された」という用語、又は結合という単語の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続される、又は第2の構成要素に直接的に接続される、のいずれかであってもよい。
【0207】
本明細書に記載のモバイル医療用プラットフォームの電力アシストモビリゼーションのための機能は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ又は2つ以上の命令として記憶されてもよい。「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、「コード」という用語は、コンピューティングデバイス又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指してもよい。
【0208】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ又は2つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序のステップ又は行為が必要とされない限り、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0209】
本明細書で使用するとき、「複数」という用語は、2つ又は3つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ又は3つ以上の構成要素を示す。「判定する」という用語は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、算出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受け取る(例えば、情報を受信すること)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0210】
語句「に基づく」は、別段に明示的に指定されない限り、「のみに基づく」を意味しない。換言すれば、語句「基づく」は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0211】
本明細書で使用される場合、「医療用ロボットシステムの近傍」という語句は、センサの検出範囲(例えば、センサのうちの少なくとも1つは、医療用ロボットシステムの近傍内の対象物を検出し得る)又は運動学的連鎖の移動範囲を指し得る。場合によっては、「近傍内」という語句は、「同じ部屋内」、「視野内」、隣接、又は近くをも包含する。
【0212】
開示される実装態様の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実装態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実装態様に適用され得る。例えば、当業者であれば、締結、装着、結合、又は係合ツール構成要素の均等の方式、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギーを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を採用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実装態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0213】
〔実施の態様〕
(1) 医療用ロボットシステムであって、
第1の運動学的連鎖と、
前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサと、
前記1つ又は2つ以上のセンサと通信する1つ又は2つ以上のプロセッサと、
前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータから判定された制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせる、命令を記憶する、メモリと、
を備える、医療用ロボットシステム。
(2) 前記第1の運動学的連鎖は、第1のロボットアームを含む、実施態様1に記載の医療用ロボットシステム。
(3) 前記第1の運動学的連鎖は、前記第1のロボットアームが位置決めされている調整可能なアーム支持体を含み、
前記第1の運動学的連鎖の前記構成の前記調整は、前記調整可能なアーム支持体の位置を変更することを含む、
実施態様2に記載の医療用ロボットシステム。
(4) 前記第1の運動学的連鎖は、1つ又は2つ以上のリンク及びエンドエフェクタを含み、
前記1つ又は2つ以上のセンサは、前記第1の運動学的連鎖の基部に位置決めされた力/トルクセンサ、前記1つ又は2つ以上のリンクと前記エンドエフェクタとの間の関節に隣接して位置決めされた力/トルクセンサ、あるいは前記1つ又は2つ以上のリンク上の1つ又は2つ以上の接触センサ、のうちの少なくとも1つを含む、
実施態様1~3のいずれかに記載の医療用ロボットシステム。
(5) 前記第1の運動学的連鎖との前記接触が、前記第1の運動学的連鎖と前記医療用ロボットシステムの一部ではない対象物との間の接触を含む、実施態様1~4のいずれかに記載の医療用ロボットシステム。
【0214】
(6) 前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分と接触していない1つ又は2つ以上の運動学的連鎖を更に備え、
前記命令が、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータから判定された前記制約に基づいて、前記1つ又は2つ以上の運動学的連鎖の構成の調整を行わせる、
実施態様1~5のいずれかに記載の医療用ロボットシステム。
(7) 前記制約は、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、潜在フィールドとしてモデル化される、実施態様1~6のいずれかに記載の医療用ロボットシステム。
(8) 前記潜在フィールドはまた、前記1つ又は2つ以上のセンサのうちのそれぞれのセンサにより接触を検出する確率に基づく、実施態様7に記載の医療用ロボットシステム。
(9) 前記接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、前記接触の力情報、前記接触の位置情報、及び前記接触の方向情報からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含む、実施態様1~8のいずれかに記載の医療用ロボットシステム。
(10) 前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との後続の接触の1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、前記制約を更新すること、及び/又は制約マップを構築することを更に含む、実施態様1~9のいずれかに記載の医療用ロボットシステム。
【0215】
(11) 接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、確率マップの一部を形成する、実施態様1~10のいずれかに記載の医療用ロボットシステム。
(12) 前記確率マップは、接触の検出の信頼度に基づいて判定される、実施態様11に記載の医療用ロボットシステム。
(13) 接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、前記接触が移動している対象物との接触であるか、若しくは固定されている対象物との接触であるかに関する情報、及び/又は前記接触の位置情報を含む、実施態様11又は12に記載の医療用ロボットシステム。
(14) 前記記憶された命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、制約の有限時間に基づいて、前記確率マップを更新することを更に行わせる、実施態様13に記載の医療用ロボットシステム。
(15) 前記記憶された命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、制約の変化する確率に基づいて、前記確率マップを更新することを更に行わせる、実施態様13又は14に記載の医療用ロボットシステム。
【0216】
(16) 前記第1の運動学的連鎖の前記構成の前記調整は、前記第1の運動学的連鎖の零空間を利用する、実施態様1~15のいずれかに記載の医療用ロボットシステム。
(17) 前記第1の運動学的連鎖は、運動学的に冗長である、実施態様1~16のいずれかに記載の医療用ロボットシステム。
(18) 第1の運動学的連鎖と、前記第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを検出するように位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサと、を含む医療用ロボットシステムと通信する、電子デバイスによって実行される方法であって、
前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを受信することと、
前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、前記第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定することと、
前記制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることと、
を含む、方法。
(19) 前記第1の運動学的連鎖は、第1のロボットアームと、前記第1のロボットアームが位置決めされている調整可能なアーム支持体と、を含み、
前記第1の運動学的連鎖の前記構成の調整は、前記調整可能なアーム支持体の位置を変更することを含む、
実施態様18に記載の方法。
(20) 前記1つ又は2つ以上のセンサは、前記第1の運動学的連鎖の基部に位置決めされた力センサ、前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上のリンクとエンドエフェクタとの間の関節に隣接して位置決めされた力センサ、あるいは前記1つ又は2つ以上のリンク上の1つ又は2つ以上の接触センサ、のうちの少なくとも1つを含む、
実施態様18又は19に記載の方法。
【0217】
(21) 前記第1の運動学的連鎖との前記接触が、前記第1の運動学的連鎖と前記医療用ロボットシステムの一部ではない対象物との間の接触を含む、実施態様18~20のいずれかに記載の方法。
(22) 前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータから判定された前記制約に基づいて、前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分と接触していない1つ又は2つ以上の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることを更に含む、実施態様18~21のいずれかに記載の方法。
(23) 前記制約は、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、潜在フィールドとしてモデル化される、実施態様18~22のいずれかに記載の方法。
(24) 前記潜在フィールドはまた、前記1つ又は2つ以上のセンサのうちのそれぞれのセンサにより接触を検出する確率に基づく、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、前記接触の力情報、前記接触の位置情報、及び前記接触の方向情報からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含む、実施態様18~24のいずれかに記載の方法。
【0218】
(26) 前記第1の構成から前記第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせながら、前記第1の運動学的連鎖の零空間を利用することを含む、実施態様18~25のいずれかに記載の方法。
(27) 電子デバイスであって、
1つ又は2つ以上のプロセッサと、
命令を記憶するメモリであって、前記命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、
前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された、医療用ロボットシステムの第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを受信することと、
前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、前記第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定することと、
前記制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることと、
を行わせる、メモリと、
を備える、電子デバイス。
(28) 前記第1の運動学的連鎖は、第1のロボットアームと、前記第1のロボットアームが位置決めされている調整可能なアーム支持体と、を含み、
前記第1の運動学的連鎖の前記構成の調整は、前記調整可能なアーム支持体の位置を変更することを含む、
実施態様27に記載の電子デバイス。
(29) 前記1つ又は2つ以上のセンサは、前記第1の運動学的連鎖の基部に位置決めされた力センサ、前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上のリンクとエンドエフェクタとの間の関節に隣接して位置決めされた力センサ、あるいは前記1つ又は2つ以上のリンク上の1つ又は2つ以上の接触センサ、のうちの少なくとも1つを含む、実施態様27又は28に記載の電子デバイス。
(30) 前記第1の運動学的連鎖との前記接触が、前記第1の運動学的連鎖と前記医療用ロボットシステムの一部ではない対象物との間の接触を含む、実施態様27~29のいずれかに記載の電子デバイス。
【0219】
(31) 前記命令が、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータから判定された前記制約に基づいて、前記第1の運動学的連鎖の1つ又は2つ以上の部分との接触に含まれない1つ又は2つ以上の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることを、更に行わせる、実施態様27~30のいずれかに記載の電子デバイス。
(32) 前記制約は、前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、潜在フィールドとしてモデル化される、実施態様27~31のいずれかに記載の電子デバイス。
(33) 前記潜在フィールドはまた、前記1つ又は2つ以上のセンサのうちのそれぞれのセンサにより接触を検出する確率に基づく、実施態様32に記載の電子デバイス。
(34) 前記接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータは、前記接触の力情報、前記接触の位置情報、及び前記接触の方向情報からなる群から選択される1つ又は2つ以上を含む、実施態様27~33のいずれかに記載の電子デバイス。
(35) 前記命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、前記第1の構成から前記第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の前記構成の調整を行わせながら、前記第1の運動学的連鎖の零空間を利用することを更に行わせる、実施態様27~34のいずれかに記載の電子デバイス。
【0220】
(36) 電子デバイスの1つ又は2つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記記憶された命令が、
前記1つ又は2つ以上のセンサによって検出された、医療用ロボットシステムの第1の運動学的連鎖との接触の1つ又は2つ以上のパラメータを受信することと、
前記第1の運動学的連鎖との接触の前記1つ又は2つ以上のパラメータに基づいて、前記第1の運動学的連鎖と関連付けられた制約を判定することと、
前記制約に基づいて、第1の構成から第2の構成への前記第1の運動学的連鎖の構成の調整を行わせることと、
のための命令
を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
(37) 前記記憶された命令はまた、実施態様19~26のいずれかに記載の方法を実行するための命令を含む、実施態様36に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
図26
図27
図28
図29A
図29B
図29C
図29D
図29E
図29F
図30
図31
図32
図33
図34
図35A
図35B
図35C
図35D
図35E
図35F
図35G
図36A
図36B
図37
図38
【国際調査報告】