(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】表面をクリーニングするクリーニングデバイスに使用するブラシ
(51)【国際特許分類】
A47L 11/30 20060101AFI20231016BHJP
A47L 11/18 20060101ALI20231016BHJP
A47L 11/20 20060101ALI20231016BHJP
A47L 11/24 20060101ALI20231016BHJP
A47L 11/282 20060101ALI20231016BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20231016BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A47L11/30
A47L11/18
A47L11/20
A47L11/24
A47L11/282
B08B1/04
B08B3/02 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519683
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2021076954
(87)【国際公開番号】W WO2022069638
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デ ウィト バスティアン ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】メーレンダイクス アンケ リエカ
(72)【発明者】
【氏名】ミッドハット ジャミラ
(72)【発明者】
【氏名】カーヤ オルハン
(72)【発明者】
【氏名】カオ チェンガン
(72)【発明者】
【氏名】ボースマ リンス ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】エスピン フランコ フェルミン
(72)【発明者】
【氏名】ビュルヘルス ロベルト フリソー
(72)【発明者】
【氏名】アル‐ショラチ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】フォンク アルヤン サンダー
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AB52
3B116BA02
3B116BA15
3B116BA32
3B116BB21
3B116BB62
3B116BB72
3B201AB52
3B201BA02
3B201BA15
3B201BA32
3B201BB21
3B201BB62
3B201BB72
3B201BB92
(57)【要約】
ブラシ21は、表面をクリーニングするクリーニングデバイス内に回転可能に配置され、コア要素24と、コア要素24に配置されたブラシ要素25とを含む。ブラシ要素25は、ブラシ21の長手方向軸22の方向及び長手方向軸22周りの周辺方向に延在する毛フィールド26に配置されており、繊維毛を含む。ブラシ要素25の少なくとも先端部分25aの線形質量密度は、10km当たり15gよりも低い。毛フィールド26におけるブラシ要素25の充填密度の平均は、クリーニング動作中にブラシ21を移動させるために必要なエネルギー量が比較的少なくて済むことを確実にするために、1cm2当たり15,000個のブラシ要素25よりも低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面をクリーニングするために前記表面を横切って移動可能なクリーニングデバイス内に、クリーニングする前記表面に向く前記クリーニングデバイスの機能ヘッドの位置において、回転可能に配置されたブラシであって、前記ブラシは、コア要素と、前記コア要素に配置されたブラシ要素とを含み、前記ブラシ要素の先端部分は、クリーニングする前記表面に接触するように構成され、前記ブラシ要素は、前記ブラシの長手方向軸の方向及び前記長手方向軸周りの周辺方向に延在する毛フィールドに配置され、前記ブラシ要素は、繊維毛を含み、前記ブラシ要素の少なくとも前記先端部分の線形質量密度は、10km当たり15gよりも低く、前記毛フィールドにおける前記ブラシ要素の充填密度の平均は、1cm
2当たり15,000個のブラシ要素よりも低い、ブラシ。
【請求項2】
前記ブラシ要素は、前記毛フィールドの全体に実質的に均等に分布しているか、又は不均等に分布しているのいずれかである、請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ要素は、前記毛フィールドの全体に不均等に分布し、前記毛フィールドは、局所的な中断を含む、請求項2に記載のブラシ。
【請求項4】
前記毛フィールドにおける前記ブラシ要素の前記充填密度の平均は、1cm
2当たり10,000個のブラシ要素よりも低く、任意選択で、1cm
2当たり5,000個のブラシ要素よりも低い、請求項1から3のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項5】
前記ブラシ要素の少なくとも前記先端部分の前記線形質量密度は、10km当たり10gよりも低く、任意選択で、10km当たり5gよりも低く、更に任意選択で、10km当たり1gよりも低い、請求項1から4のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項6】
前記毛フィールドにおける前記ブラシ要素の前記充填密度の平均は、1cm
2当たり1,000個のブラシ要素よりも高く、任意選択で、1cm
2当たり2,000個のブラシ要素よりも高く、更に任意選択で、1cm
2当たり5,000個のブラシ要素よりも高い、請求項1から5のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項7】
前記ブラシ要素の少なくとも前記先端部分の前記線形質量密度は、10km当たり0.7gよりも高く、任意選択で、10km当たり0.8gよりも高く、更に任意選択で、10km当たり1gよりも高い、請求項1から6のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項8】
前記ブラシ要素の前記充填密度は、前記毛フィールドの2つの側方セクションの位置におけるよりも前記毛フィールドの中間セクションの位置において、より高く、前記2つの側方セクションは、前記中間セクションの両側にある、請求項1から7のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項9】
前記毛フィールドは、前記ブラシ要素のタフトのパターンを含み、タフト当たりのブラシ要素数は、少なくとも300である、請求項1から8のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項10】
円形の外面を有する細長い円筒のような形を概して有している、請求項1から9のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項11】
前記ブラシ要素が設けられ、且つ前記コア要素に巻き付けられている布を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項12】
前記クリーニングデバイスの動作中に、クリーニングする表面と接触しなくなるように移動する前記ブラシ要素の先端部分において、少なくとも3,500m/s
2の遠心加速度を含む加速度を伴う回転速度で駆動される、請求項1から11のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項13】
表面をクリーニングするために前記表面を横切って移動可能なクリーニングデバイスであって、クリーニングする前記表面に向く機能ヘッドと、前記ブラシの前記長手方向軸の前記方向に延在する回転軸周りを回転可能に前記機能ヘッド内に配置された請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのブラシとを含む、クリーニングデバイス。
【請求項14】
前記クリーニングデバイスの動作中に、クリーニングする表面と接触しなくなるように移動する前記ブラシ要素の先端部分において、少なくとも3,500m/s
2の遠心加速度を含む加速度を伴う回転速度で、前記少なくとも1つのブラシを駆動する機構を含む、請求項13に記載のクリーニングデバイス。
【請求項15】
前記クリーニングデバイスは、少なくとも湿式動作モードで動作可能であり、且つ前記少なくとも1つのブラシがある前記機能ヘッドの領域にクリーニング液を供給して、前記クリーニングデバイスの前記湿式動作モードにおける前記少なくとも1つのブラシの湿式クリーニング状態を実現する湿潤システムを含む、請求項13又は14に記載のクリーニングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面をクリーニングするために表面を横切って移動可能なクリーニングデバイス内に、クリーニングする表面に向くクリーニングデバイスの機能ヘッドの位置において、回転可能に配置されたブラシであって、コア要素と、コア要素上に配置されたブラシ要素とを含み、ブラシ要素の先端部分は、クリーニングする表面に接触するように構成され、ブラシ要素は、ブラシの長手方向軸の方向及び長手方向軸周りの周辺方向に延在する毛フィールドに配置され、ブラシ要素は繊維毛を含む、ブラシに関する。
【0002】
更に、本発明は、表面をクリーニングするために表面を横切って移動可能なクリーニングデバイスであって、クリーニングする表面に向く機能ヘッドと、ブラシの長手方向軸の方向に延在する回転軸周りを回転可能に機能ヘッド内に配置された上記の少なくとも1つのブラシとを含む、クリーニングデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
国際特許公開WO2010/041184A1は、表面をクリーニングするためのクリーニングデバイスであって、回転方向に回転可能で且つクリーニングする表面上で移動可能な少なくとも1つのブラシを含み、この少なくとも1つのブラシが、クリーニングデバイスの動作中に、表面からの汚れを緩めたり除去するのに効果的である、クリーニングデバイスに関する。このクリーニングデバイスは、クリーニング液の有無にかかわらずクリーニングに適している。第1のオプションを考慮して、クリーニングデバイスは、少なくとも1つのブラシにクリーニング液を供給する湿潤システムを含む。クリーニングデバイスの使用者が、クリーニングデバイスを使用して湿式クリーニング動作を行うことを希望する場合、湿潤システムが起動されて、少なくとも1つのブラシにクリーニング液が供給される。その結果、クリーニングする表面が少なくとも1つのブラシで濡らされ、少なくとも1つのブラシはまた、汚れとともにクリーニングする表面からクリーニング液を除去するように作用する。
【0004】
国際特許公開2010/041184A1から知られているクリーニングデバイスのようなクリーニングデバイスの分野では、コードレスクリーニングデバイス、特に充電式バッテリ配置を含むクリーニングデバイスの継続的な傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その観点から、本発明は、クリーニングデバイスの動作中に必要な電気エネルギー量を低減するやり方を提供し、これにより、クリーニングデバイスのランタイム、即ち、バッテリ配置が切れるまでに、フル充電されたバッテリ配置でクリーニングデバイスを操作できる合計時間を長くすることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面をクリーニングするために表面を横切って移動可能なクリーニングデバイス内に、クリーニングする表面に向くクリーニングデバイスの機能ヘッドの位置において、回転可能に配置されたブラシであって、コア要素と、コア要素に配置されたブラシ要素とを含み、ブラシ要素の先端部分は、クリーニングする表面に接触するように構成され、ブラシ要素は、ブラシの長手方向軸の方向及び長手方向軸周りの周辺方向に延在する毛フィールドに配置され、ブラシ要素は、繊維毛を含み、ブラシ要素の少なくとも先端部分の線形質量密度は、10km当たり15gよりも低く、毛フィールドにおけるブラシ要素の充填密度の平均は、1cm2当たり15,000個のブラシ要素よりも低い、ブラシを提供する。
【0007】
本発明は、カーペットのある床面などの柔らかい床面や、タイルのある床面などの硬い床面を含む、あらゆる種類の表面をクリーニングするコンテキストにおいて適用可能である。本発明によるブラシは、ブラシ要素が繊維毛を含むタイプであり、ブラシ要素の少なくとも先端部分の線形質量密度は、10km当たり15gよりも低い。この線形質量密度は、Dtex値とも呼ばれる。本発明によるブラシにおいて、ブラシ要素の少なくとも先端部分に可撓性がある。好ましくは、ブラシ要素は全体に可撓性があり、したがって、表面への接触の影響下で容易に曲がることができる。ブラシ要素の少なくとも先端部分のDtex値は、10km当たり10g、10km当たり5g、又は10km当たり1gなど、更に低い上限値があってもよい。完全性のために、「ブラシ要素の少なくとも先端部分」という表現は、ブラシ要素の全部又はほぼ全部というオプションを含めるように理解されるべきであることに留意されたい。
【0008】
前述したように、ブラシ要素が繊維毛を含むタイプのブラシは、クリーニング動作、特に湿式クリーニング動作を実行する際に非常に効果的であることが知られている。汚れ及び/又は液体を受け取り保持する、場合によっては、表面から遠くに離れる方へ汚れ及び/又は液体を輸送する適切なシステムが設けられていると仮定して、ブラシ要素の先端部分がクリーニングする表面と接触しなくなるように移動した途端に、表面から拾い上げられた汚れ及び/又は液体が振り飛ばされ、それ以降は表面に到達できなくなるような程度まで加速される速度で、ブラシを回転させることができる。前述の加速度の適切な値は、少なくとも3,500m/s2の値、好ましくは少なくとも7,000m/s2又は更には12,000m/s2の値である。
【0009】
本発明の根底にある洞察は、クリーニングする表面とクリーニング接触し、それらの表面上を移動する少なくとも1つのブラシを含むクリーニングデバイスにおいて、ブラシの設計を適応させることによって、エネルギー消費量の削減が可能であることである。特に、クリーニングデバイスの動作中に回転するブラシが装備されたクリーニングデバイスのコンテキストにおいて、出願人は、ブラシ要素の充填密度とブラシの移動に必要なエネルギーとの関係を見出し、この関係によれば、ブラシ要素の充填密度が低下すると、必要なエネルギーは少ない。ブラシ要素の少なくとも先端部分の非常に低いDtex値を考慮すると、これは(他のコンテキストでは期待される効果を言及すると)クリーニングする表面との接触位置での摩擦の減少とは関係がなく、したがって、言及したような関係は予想外のものである。出願人は、ブラシを回転させると、ブラシの空気圧送効果が得られ、この空気圧送効果は、クリーニングする表面にぶつかるブラシ要素間から空気が強制的に流れることと、ブラシ要素が表面を離れた後に再びブラシ要素間に空気が吸い込まれることとに関連しているという洞察を得た。つまり、ブラシは、クリーニングする表面と接触する位置で局所的に圧縮され、接触する位置を過ぎた位置で局所的に開くという事実を考慮して、ブラシの空気圧送効果が得られる。この空気圧送効果は、ブラシ要素の充填密度が低下すると低下し、また、有利な結果として、ブラシの移動に必要なエネルギー量を減らすことが可能であるように見える。更に、出願人は、ブラシ要素の充填密度を大幅に低減しても、許容可能なクリーニング結果を依然として得られることを発見している。
【0010】
本発明のコンテキストにおいては、毛フィールド内のブラシ要素の充填密度の平均が1cm2当たり15,000個のブラシ要素よりも低い場合、許容可能なクリーニング結果とブラシを駆動するための比較的低いエネルギー消費との組み合わせが実現されることが分っている。毛フィールドにおけるブラシ要素の充填密度の平均に関する他の可能な最大値は、1cm2当たり10,000個のブラシ要素、5,000個のブラシ要素、3,000個のブラシ要素、又は2,000個のブラシ要素である。
【0011】
ブラシの毛フィールドとは、ブラシ要素が存在するブラシの領域全体であり、毛フィールドは、ブラシの長手方向軸の方向において、ブラシの第1の長手方向の位置にあるエッジブラシ要素と、ブラシの別の第2の長手方向の位置にあるエッジブラシ要素との間に延在している。毛フィールドがブラシの外面全体に及ぶ場合は実用的であるが、これは、毛フィールドがブラシの外面の一部にのみ及ぶことが可能であるという事実を変えない。本発明は、ブラシ要素が毛フィールド全体に実質的に均等に分布しているオプションと、ブラシ要素が毛フィールド全体に不均等に分布しているオプションとの両方を対象としている。第2のオプションのコンテキストにおいて、毛フィールドが局所的な中断を含む、即ち、毛要素が局所的に存在しない場合は実用的であり得る。
【0012】
本発明の枠組みにおいて、ブラシ要素の充填密度がブラシ全体で実質的に同じであることが可能である。一方、ブラシに沿って充填密度の特定の分布がある場合は有益な場合がある。例えば、ブラシ要素の充填密度は、毛フィールドの2つの側方セクションの位置におけるよりも毛フィールドの中間セクションの位置においてより高い。2つの側方セクションは、中間セクションの両側にある。出願人は、ブラシの長手方向軸の方向において、毛フィールドの異なるセクションにおけるブラシ要素の充填密度が異なるようにブラシが設計されている場合、一方でエネルギー消費を更に削減し、他方で依然として許容可能なクリーニング結果を達成できることを発見している。このようなブラシを表面クリーニングのプロセスで使用すると、毛フィールドの側方セクションの位置におけるブラシと表面との相互作用が少なくなることにより、エネルギー消費が更に削減される。ブラシのクリーニング性能は、主に毛フィールドの中間セクションの位置におけるブラシ要素のより高い充填密度に基づいて決定される。
【0013】
上記のブラシの実用的な実施形態では、ブラシの長手方向軸の方向に見て、毛フィールドの中間セクションはブラシの中央位置を有する。特に、機能ヘッドの中央位置に少なくとも1つのブラシを配置したクリーニングデバイスのコンテキストにおいて、毛フィールドの中間セクションのこのような位置決めは、想像どおりに許容可能なクリーニング結果を達成するのに役立つ。これは、このようなクリーニングデバイスの使用者が、目に見える染みなどの上に機能ヘッドの中央セクションを通過させることは自然な行動だからである。
【0014】
毛フィールドは、中間セクション及び2つの側方セクションのみから構成される場合があり、この場合、2つの側方セクションは、実際には毛フィールドの2つの端セクションであることに留意されたい。一方、毛フィールドにおいてより多くのセクションが区別されることも別の実現可能なオプションである。実際、本発明は、毛フィールドが、2つの側方セクション(それらの位置では、ブラシ要素は、低い充填密度で配置されている)に挟まれた中間セクション(その位置では、ブラシ要素は、比較的高い充填密度で配置されている)を含む全てのオプションを対象としている。毛フィールドの2つの側方セクションのうちの1つの位置におけるブラシ要素の充填密度は、毛フィールドの2つの側方セクションのうちのもう一方の位置におけるブラシ要素の充填密度と同じであり得るが、これは発明の枠組みにおいて必須ではない。
【0015】
本発明のコンテキストにおいては、毛フィールドの2つの側方セクションの各々の位置におけるブラシ要素の充填密度と、毛フィールドの中間セクションの位置におけるブラシ要素の充填密度との任意の適切な関係を選択できる。例えば、毛フィールドの2つの側方セクションの各々の位置におけるブラシ要素の充填密度は、最大で毛フィールドの中間セクションの位置におけるブラシ要素の充填密度の50%である。
【0016】
ブラシ要素は、タフトのパターンに配置できる。この場合、従来のブラシと比較して、タフト当たりのブラシ要素数が少ない及び/又は所定のサイズの面積当たりのタフト数が少ないことによって、毛フィールドにおけるブラシ要素の充填密度の平均が低下される。タフト当たりのブラシ要素数に関しては、300以上、500以上、又は1,000以上であり得ることに留意されたい。
【0017】
実用的な実施形態では、ブラシは円形の外面を有する細長い円筒のような形を概して有しているが、本発明は、ブラシのこの特定の構成及び形状に限定されないことに留意されたい。また、ブラシ要素が設けられ、且つコア要素に巻き付けられている布を、ブラシが含む場合は実用的であり得る。ブラシが毛フィールドにおいてブラシ要素の充填密度の異なる様々なセクションを含む場合、適切な異なるセクションを有する1つの布が提供されても、毛フィールドの異なるセクションごとに異なる布が使用されてもよい。
【0018】
有利には、ブラシ要素に使用される材料はマイクロファイバ材料である。このような材料の実用的な例としては、ポリエステルマイクロファイバ、ポリアミドマイクロファイバ、及びポリプロピレンマイクロファイバが挙げられる。実現可能なオプションによれば、ブラシ要素は単一のタイプのマイクロファイバ材料でできている。本発明によるブラシは、湿式クリーニング動作での使用のために特に構成されており、ブラシ要素のオプションのマイクロファイバ材料は、このような使用に適したブラシをもたらす。
【0019】
本発明はまた、表面をクリーニングするために表面を横切って移動可能なクリーニングデバイスであって、クリーニングする表面に向く機能ヘッドと、ブラシの長手方向軸の方向に延在する回転軸周りを回転可能に機能ヘッド内に配置された前述の少なくとも1つのブラシとを含む、クリーニングデバイスを提供する。本発明によるクリーニングデバイスにおいて、少なくとも1つのブラシは、クリーニングデバイスの動作中に、クリーニングする表面と実際に相互作用する。ブラシが円形断面を有するローラーのように幾分形作られている場合は実用的であることに留意されたい。この点について先に提案されているものに基づいて、クリーニングデバイスの動作中に、クリーニングする表面と接触しなくなるように移動するブラシ要素の先端部分において、少なくとも3,500m/s2の遠心加速度を含む加速度を伴う回転速度で、少なくとも1つのブラシを駆動する駆動機構が、クリーニングデバイスに設けられている場合は有益である。本発明による実際のブラシの寸法設計を含むことに依存して、これは、クリーニングデバイスに、少なくとも4,5000rpm、少なくとも6,500rpm、又はより高い値の回転速度で少なくとも1つのブラシを駆動する駆動機構が、クリーニングデバイスに設けられている場合は有益であることを意味し得る。これは、本発明が、回転速度に関する他の可能性も対象としているという事実を変えない。
【0020】
本発明は、乾式動作モード及び湿式動作モードのいずれかで動作可能なクリーニングデバイスや、湿式動作モードでのみ動作可能なクリーニングデバイスに特に適用可能である。乾式動作モード以外に可能な動作モードとして、又は唯一の可能な動作モードとして湿式動作モードで動作可能なクリーニングデバイスが、少なくとも1つのブラシがある機能ヘッドの領域にクリーニング液を供給して、クリーニングデバイスの湿式動作モードにおける少なくとも1つのブラシの湿式クリーニング状態を実現する湿潤システムを含むことは実用的である。前述の湿潤システムは、少なくとも1つのブラシがある機能ヘッドの領域に水又は水/石鹸混合物などのクリーニング液を供給するように特に構成されており、少なくとも1つのブラシの湿式クリーニング状態を、直接又は間接的に、即ち、例えば少なくとも1つのブラシに液体を直接噴霧するか又は少なくとも1つのブラシがカバーするクリーニングする表面の領域に液体を噴霧し、したがって、クリーニングする表面の領域との接触の影響下で少なくとも1つのブラシが濡らされることによって実現する。更に、前述の湿潤システムには、少なくとも1つのブラシがある機能ヘッドの領域に、その領域に向かってクリーニング液を圧送することによって、クリーニング液を供給するポンプ配置が含まれている。
【0021】
本発明によるクリーニングデバイスにおいてクリーニング液を使用する可能性に関して、クリーニングデバイスが、湿潤システムによって少なくとも1つのブラシがある機能ヘッドの領域に供給されるクリーニング液を入れるリザーバを含む場合は実用的であることに留意されたい。いずれの場合でも、クリーニングデバイスが回収領域及び搬送領域を含み、少なくとも1つのブラシからの汚れ及び/又は液体が、動作中に搬送領域を通って回収領域に到達する場合は実用的である。搬送領域には、例えば、単に輸送パイプが含まれている場合があり、空気流の影響下で汚れ及び/又は液体が搬送される。この場合、クリーニングデバイスには、空気流を誘導するための真空機構が設けられている。
【0022】
更に、クリーニングデバイスは、動作プログラムに従ってクリーニングデバイスの動作を制御する制御システムを含んでいてもよい。制御システムは、動作プログラムが格納されているメモリを有するマイクロコントローラなどを含んでいてもよい。クリーニングデバイスには、動作プログラムの1つ以上の特定のアルゴリズムにアドレス指定したり、動作プログラムを一時的に無効にしたりすることによって、クリーニングデバイスの使用者がクリーニングデバイスが動作する様態に影響を与えることを可能にするユーザインターフェースが装備されていてもよい。
【0023】
前述のように、毛フィールドにおいてブラシ要素の充填密度が異なる様々なセクションがあるという概念、特に毛フィールドにおいて少なくとも中間セクション及び2つの側方セクションがあるという概念は、10km当たり15gよりも低いブラシ要素の少なくとも先端部分の線形質量密度が有り、1cm2当たり15,000個よりも低い毛フィールドにおけるブラシ要素の充填密度の平均を有するという概念とは独立して実用化され得ることに留意されたい。したがって、別の態様では、本発明は、表面をクリーニングするために表面を横切って移動可能なクリーニングデバイスで使用するためのブラシであって、コア要素と、コア要素に配置されたブラシ要素とを含み、ブラシ要素の先端部分は、クリーニングする表面に接触するように構成され、ブラシ要素は、ブラシの長手方向軸の方向及び長手方向軸周りの周辺方向に延在する毛フィールドに配置され、ブラシ要素の充填密度は、毛フィールドの2つの側方セクションの位置におけるよりも毛フィールドの中間セクションの位置においてより高く、2つの側方セクションは、中間セクションの両側にある、ブラシに関するものと定義できる。
【0024】
前述の要因は、以下を含む上記の本発明の他の態様にも同様に適用可能である:i)ブラシ要素は繊維毛を含み、ブラシ要素の少なくとも先端部分の線形質量密度は、10km当たり15gよりも低いこと、又は、10km当たり10g、10km当たり5g、若しくは10km当たり1gよりも低いこと、ii)ブラシの長手方向軸の方向に見て、毛フィールドの中間セクションはブラシの中央位置を有すること、iii)ブラシ要素は、毛フィールドの全体に実質的に均等に分布しているか、又は毛フィールド全体に不均等に分布しているのいずれかであり、ブラシ要素が毛フィールドの全体に不均等に分布している場合、毛フィールドは局所的な中断を含むこと、iv)毛フィールドは、ブラシ要素のタフトのパターンを含み、タフト当たりのブラシ要素数は、少なくとも300、少なくとも500、又は少なくとも1,000であり得ること、v)ブラシは円形の外面を有する細長い円筒のような形を概して有していること、vi)ブラシは、ブラシ要素が設けられ、且つコア要素に巻き付けられている布を含むこと、及びvii)ブラシ要素は、マイクロファイバ材料を含むこと。更なるオプションには、viii)毛フィールドの2つの側方セクションのうちの1つの位置におけるブラシ要素の充填密度は、毛フィールドの2つの側方セクションのうちのもう一方の位置におけるブラシ要素の充填密度と同じであること、及びix)毛フィールドの2つの側方セクションの各々の位置におけるブラシ要素の充填密度は、最大で毛フィールドの中間セクションの位置におけるブラシ要素の充填密度の50%であることが含まれる。また、ブラシは、表面をクリーニングするために表面を横切って移動可能なクリーニングデバイスで使用するのに適している。したがって、他の態様において、本発明は、クリーニングデバイスの動作中にクリーニングする表面に面を向く機能ヘッドと、機能ヘッドに配置されたこのようなブラシを少なくとも1つ含むクリーニングデバイスに関する。少なくとも1つのブラシを含むクリーニングデバイスに関して前述した更なるオプションは、同様に適用可能である。
【0025】
本発明の上記及び他の態様は、クリーニングデバイスの実施形態及びクリーニングデバイスに使用するためのブラシの実施形態の以下の詳細な説明から明らかになり、また、当該説明を参照して明瞭にされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明について、図を参照してより詳細に説明する。図では、同じ又は同様の部分は同じ参照符号によって示している。
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による湿式クリーニングデバイスの構成要素と、クリーニングする表面を有する床の一部とを図示する。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態によるブラシの一部の斜視図を図示する。
【
図3】
図3は、本発明の第2の実施形態によるブラシの一部の斜視図を図示する。
【
図4】
図4は、本発明の第3の実施形態によるブラシの斜視図を図示する。
【
図5】
図5は、ブラシ要素が設けられた布の一部の裏側を図示する。
【
図6】
図6は、
図5に示す布の裏材にブラシ要素のタフトがどのように配置されているかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の実施形態による湿式クリーニングデバイス1のデザインを示している。
図1に示され、以下に説明される特定のクリーニングデバイスは、本発明の枠組みで実現可能な多くの種類のクリーニングデバイスの一例にすぎない。この点において、本発明は、湿式クリーニングデバイスだけでなく、湿式クリーニング機能以外に乾式クリーニング機能を有する湿式/乾式クリーニングデバイスや、湿式クリーニング機能(場合によっては乾式クリーニング機能も)以外に真空クリーニング機能を有する掃除機などの他の種類のクリーニングデバイスにも関する。
【0029】
湿式クリーニングデバイス1は、床面などの表面10を湿式クリーニング動作にさらす目的で使用される。クリーニングデバイス1の動作中に表面10に面している側で、クリーニングデバイス1は、2つのブラシ21を収容するクリーナーノズル20を含む。以下では、各ブラシ21は、ローラーの中心長手方向軸によって画定されるブラシ回転軸22周りを回転可能なローラーの形で提供されていると仮定する。これは、ブラシ21の他の実施形態も可能であるという事実を変えない。
図1に示されているように、ブラシ21の位置で描かれた曲線矢印によって、ブラシ21は、それぞれのブラシ回転軸22周りを反対方向に回転できるように配置されている。本発明の枠組みでは、クリーナーノズル20は、別の数のブラシ21を収容することもでき、単一のブラシ21のみを持つことが実現可能な代替オプションであることに特に留意されたい。クリーナーノズル20は、ブラシ21を一時停止するために機能するブラシホルダフレーム23を含む。クリーニングデバイス1は、クリーナーノズル20の他に、本体部分30を含み、この本体部分は、クリーニングデバイス1の使用者によって保持され、ヒンジ配置31を介してクリーナーノズル20に接続可能である。
【0030】
クリーニングデバイス1の動作中にブラシ21を駆動するために、クリーニングデバイス1には適切な電気駆動機構(図示せず)が装備されている。駆動機構、場合によっては、クリーニングデバイス1の他の構成要素にもに給電するために、クリーニングデバイス1は、主電源に接続可能であるか、及び/又は適切なバッテリ配置が装備されている。好ましくは、クリーニングデバイス1は、充電式バッテリ配置を含むコードレスデバイスであり、この場合、クリーニングデバイス1が、クリーニングデバイス1以外に充電ドックを含むセットの一部である場合は更に実用的である。このようなセットにはまた、ブラシ21をクリーニングするために使用できるフラッシングトレイが含まれていてもよい。クリーニングデバイス1にバッテリが装備されていない場合は、クリーニングデバイス1を受け取って保持するために、充電機能のない単純なドックが提供されてもよい。
【0031】
クリーニングデバイス1の本体部分30には、クリーニング液を入れるための第1のリザーバ32と、クリーニングデバイス1の動作中にクリーニング液をブラシ21に供給する液体供給機構33が含まれている。液体供給機構33は、第1のリザーバ32とクリーナーノズル20との間にその端まで位置決めされている。液体供給機構33は、例えば、任意の適切なタイプのポンプ配置34を含む。クリーニングデバイス1の本体部分30には更に、使用済みの汚れたクリーニング液を入れるための第2リザーバ35と、ブラシ21からクリーニング液と汚れの混合物を受け取り、混合物を第2のリザーバに運ぶ搬送領域36とが含まれており、配送領域36は、クリーナーノズル20と第2のリザーバ35との間に位置決めされている。また、本体部分30には、例えばブラシ21から離れる方向に本体部分30を通って汚れを輸送するのに役立つ負圧を生成する真空機構37が含まれている。
【0032】
図1には図示されていないが、クリーニングデバイス1の本体部分30に、少なくともリザーバ32、35、液体供給機構33、真空機構37、及び上述したオプションのバッテリ配置など、クリーニングデバイス1の可能な他の構成要素を収容するハウジングがある場合は実用的である。クリーニングデバイス1の本体部分30は、使用者が本体部分30を容易に制御でき、要望どおりにクリーニングされる表面10を横切ってクリーニングデバイス1を移動させることができるように、ハンドル38を含む。
【0033】
湿式クリーニングデバイス1の基本的な動作の仕方は以下のとおりである。動作中、ブラシ21は、回転するように駆動され、液体供給機構33は、
図1に左側にある下向き矢印によって示すように、ブラシ21にクリーニング液を供給し、それによってブラシ21が湿式クリーニング状態になるように作動される。ブラシ21が届く範囲内の表面10の領域は、ブラシ21によって濡らされる。表面10の領域にある染みは、クリーニング液の影響で分離されるか、及び/又はブラシ21でこすって取られる。また、表面10の領域にある汚れは、第2のリザーバ35に運ばれ、その過程で、
図1に右側にある上向き矢印によって示すように、搬送領域36を通過するクリーニング液とともに除去される。特に、ブラシ21には、コア要素と、コア要素から延在する可撓性ブラシ要素とが含まれており、ブラシ要素には、表面10に接触する先端部分がある。汚れ及び液体は、ブラシ要素の先端部分によって表面10から拾い上げられ、ブラシが回転し、先端部分が、表面10と接触しなくなるように移動するにつれて、先端部分から振り飛ばされる。
【0034】
図示する実施例では、クリーニングデバイス1には、オン/オフボタンを含むユーザインターフェース41が装備されている。クリーニングデバイス1のオフモードを想定して、使用者がオン/オフボタンを押すと、クリーニングデバイス1の動作が開始される。クリーニングデバイス1は、マイクロコントローラを含む制御システム40を含む。このマイクロコントローラは、使用者がオン/オフボタンを押したことに反応して、ブラシ21を動かし、液体供給機構33と真空機構37の両方を作動させるようにプログラムされている。使用者がオン/オフボタンをもう一度押すと、使用者は、制御システム40にクリーニングデバイス1を制御させて、クリーニングデバイス1の様々な機能構成要素への電力供給を中断することで動作を停止させる。
【0035】
図2は、本発明の第1の実施形態によるブラシ21の態様を示している。上記で説明したように、ブラシ21には、コア要素24と、コア要素24に配置されたブラシ要素25とが含まれており、ブラシ要素25の先端部分25aは、クリーニングする表面10に接触するように構成されている。説明のために、
図2では、3つのブラシ要素25が図示されており、また、ブラシ要素25が存在するコア要素24の周囲の領域を区切る円形外面の外側の仮想円筒50も示されている。コア要素24は、任意の適切な設計にすることができ、一般的には、
図2に示すように中空円筒、又は、例えば
図4に示すように中実円筒に成形される。ブラシ要素25には以下の特徴が適用可能である:i)ブラシ要素25は、ブラシ21の長手方向軸22の方向及び長手方向軸22周りの周辺方向に延在する毛フィールド26に配置される、ii)ブラシ要素25は繊維毛を含み、ブラシ要素25の少なくとも先端部分25aの線形質量密度が、10km当たり15gよりも低い、及びiii)毛フィールド26におけるブラシ要素25の充填密度の平均が、1cm
2当たり15,000個のブラシ要素25よりも低い。
【0036】
前述のように、毛フィールド26におけるブラシ要素25の充填密度の平均は、1cm2当たり15,000個のブラシ要素25よりも低い。毛フィールド26におけるブラシ要素25の充填密度の平均の最小値も適用できる。例えば、1cm2当たり1,000個の最小値、1cm2当たり2,000個の最小値、又は1cm2当たり5,000個の最小値などである。これは、他の要因とは無関係に、一般的に本発明の枠組みにおいて適用可能である。更に、前述のように、ブラシ要素25の少なくとも先端部分25aの線形質量密度は、10km当たり15gよりも低い。ブラシ要素25の少なくとも先端部分25aの線形質量密度の最小値も適用できる。例えば、10km当たり0.7gの最小値、10km当たり0.8の最小値、又は10km当たり1gの最小値などである。これも、他の要因とは無関係に、一般的に本発明の枠組みにおいて適用可能である。コア要素24の外径の例として、20mmの大きさのオーダーの直径がある。また、外側の仮想円筒50の直径、即ち、ブラシ要素25の伸張状態でのブラシ21の直径の例として、40mmの大きさのオーダーの直径がある。この場合、ブラシ要素25の長さは、10mmの大きさのオーダーである。
【0037】
当技術分野で知られているものと比較して、1cm2当たり15,000個のブラシ要素25よりも低い、毛フィールド26におけるブラシ要素25の充填密度の平均は低く、ブラシ21を駆動するためのエネルギー消費が削減される。
【0038】
図3は、本発明の第2の実施形態によるブラシ21の態様を示している。最初に、ブラシ21の長手方向軸22の方向における毛フィールド26のサイズは、ブラシ21の長手方向軸22の方向におけるコア要素24のサイズと同じであり得るが、ブラシ21の長手方向軸22の方向における毛フィールド26のサイズが、ブラシ21の長手方向軸22の方向におけるコア要素24のサイズよりも小さくてもよいことに留意されたい。後者は、本発明の第2の実施形態によるブラシ21に適用可能であり、また、
図4を参照して後述するように、本発明の第3の実施形態によるブラシ21にも適用可能である。次に、ブラシ要素25は、毛フィールド26の全体に実質的に均等に分布しているが、ブラシ要素25が毛フィールド26の全体に不均等に分布することも可能であることに留意されたい。後者は、本発明の第2の実施形態によるブラシ21の場合であり、毛フィールド26が局所的な中断を含むようにそのようになっている。図示する実施例では、連続した均一な毛フィールド26と比較して、毛フィールド26のらせん状のストリップ部分26aが空である。明確化のために、本発明の定義では、局所的な中断26aは、毛フィールド26に含まれていると見なされることに留意されたい。このことは、局所的な中断26aを含む毛フィールド26を、連続的な毛フィールド26と比較したときに、ブラシ21の第1の長手方向の位置にあるエッジブラシ要素25とブラシ21の別の第2の長手方向の位置にあるエッジブラシ要素25との間の長手方向の距離が同じ場合、且つ毛フィールド26がブラシ21の外面に及ぶ範囲(ブラシ21の多くの実用的な実施形態では最大限の範囲である予想される)が同じである場合は、両方の毛フィールドの総面積は同じであることを意味する。
【0039】
図4は、ブラシ要素25の少なくとも先端部分25aの線形質量密度及び毛フィールド26におけるブラシ要素25の充填密度の平均に関する上記の数値的基準のうちの少なくとも1つに適合する(ただし、これは必須ではない)本発明の第3の実施形態によるブラシ21を示している。
図4は、追加又は代替のエネルギー節約対策に関連しており、特にブラシ21の長手方向軸22の方向に、毛フィールド26の3つの異なるセクション27、28、29が区別されるという事実を示している。毛フィールド26のこれらのセクション27、28、29に関して、ブラシ要素25の充填密度は、毛フィールド26の2つの側方セクション28、29の位置におけるよりも毛フィールド26の中間セクション27の位置で高いことに留意されたい。側方セクション28、29は、中間セクション27の両側にある。このようにして、ブラシ21の汚れ及び/又は液体の優れた除去性能が得られる一方で、毛フィールド26におけるブラシ要素25の充填密度が毛フィールド26の2つの側方セクション28、29の位置において低下しない場合よりも、ブラシ21を表面10上で移動するのに必要なエネルギーは少なくて済む。特に毛フィールド26の中間セクション27の位置におけるブラシ21と表面10との相互作用は、毛フィールド26の側方セクション28、29の位置におけるブラシ21と表面10との相互作用よりも、ブラシ21の汚れ及び/又は液体の除去性能により多く寄与し、また、毛フィールド26の側方セクション28、29の位置におけるブラシ21と表面10との相互作用は、毛フィールド26の中間セクション27の位置におけるブラシ21と表面10との相互作用よりも必要なエネルギーは少ない。
【0040】
図5及び
図6を参照するに、ブラシ要素25が設けられ、且つコア要素24に巻き付けられている布を、ブラシ21が含む場合、実用的であることに留意されたい。
図5は、前述の布60の例の一部の裏側を示している。布60は、より糸62の担体格子を含む裏材61を含み、ブラシ要素25のタフト63は、裏材61のより糸62と織り交ぜられた糸64によって裏材61に設けられる。
図6は、例として、各糸64が3本のより糸62とW字状に織り交ぜられていることを示している。W字状の糸64の1本の外側の脚が、ブラシ要素25の第1のタフト63を構成し、W字状の糸64のもう1本の外側の脚が、ブラシ要素25の第2のタフト63を構成している。各タフト63には、複数のブラシ要素25が含まれている。タフト63当たりのブラシ要素25の数は、数百個ほどのブラシ要素25、或いは1,000個以上のブラシ要素25であってもよい。
【0041】
当業者には、本発明の範囲は前述の例に限定されず、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの補正及び修正が可能であることが明らかであろう。本発明は、特許請求の範囲又はその等価物の範囲内である限り、そのような全ての補正及び修正を含むものと解釈されることを意図している。本発明は、図及び説明に詳細に例示及び説明されているが、このような例示及び説明は、例示的又は模範的にのみ見なされるべきであって、限定的と見なされるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。図面は概略図であり、本発明を理解するために必要でない詳細は省略されている場合があり、また、必ずしも縮尺通りではない。
【0042】
開示された実施形態の変形は、図、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に係る発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。特許請求の範囲において、「含む」という語は、他のステップや要素を排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0043】
特定の実施形態について又はそれに関連して説明された要素及び態様は、特に明示的に述べられていない限り、他の実施形態の要素及び態様と適切に組み合わせることができる。したがって、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを意味するものではない。
【0044】
本テキストで使用されている「有する」及び「含む」という用語は、「からなる」という用語を網羅するものとして当業者によって理解されるであろう。したがって、「有する」又は「含む」という用語は、1つの実施形態に関する限りでは「からなる」を意味する場合があるが、別の実施形態では「少なくとも定義された種及び任意選択で1つ以上の他の種を含有する/有する/備えている」を意味する場合がある。
【0045】
本発明の重要な態様は次のとおりである。ブラシ21は、クリーニングする表面10を横切って移動可能なクリーニングデバイス1での使用のために構成されており、コア要素24と、コア要素24に配置されたブラシ要素25とを含む。ブラシ要素25は、ブラシ21の長手方向軸22の方向及び長手方向軸22周りの周辺方向に延在する毛フィールド26に配置されており、繊維毛を含む。ブラシ要素25の少なくとも先端部分25aの線形質量密度は、10km当たり15gよりも低い。毛フィールド26におけるブラシ要素25の充填密度の平均は、クリーニング動作中にブラシ21を移動させるために必要なエネルギー量が比較的少なくて済むことを確実にするために、1cm2当たり15,000個のブラシ要素25よりも低い。
【国際調査報告】