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特表2023-544329高い軸方向強度を有する微細加工されたカテーテル装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】高い軸方向強度を有する微細加工されたカテーテル装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
A61M25/00 632
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519827
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 US2021053647
(87)【国際公開番号】W WO2022076472
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/087,410
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/493,265
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515246317
【氏名又は名称】サイエンティア・バスキュラー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,クラーク・シー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267BB02
4C267BB31
4C267CC08
4C267GG02
4C267GG23
4C267GG24
4C267HH04
(57)【要約】
本開示は、有効曲げ可撓性も維持しながら高い軸方向強度のために構成された、微細加工された血管内装置を説明する。管部材は、一連の軸方向に延びるビームによって互いに接続された一連の周方向に延びるリングを含む。横方向切断部はリングを分離させ、リングを画定している。一連の軸方向切断部はビームと整列させられており、ビームから隣接するリング内へ部分的に延びており、これにより、ビーム長さは隣接するリングの軸方向長さ内に部分的に重なり合っている。これは、有効軸方向剛性を提供するための十分なリング構造を依然として提供しながら曲げ可撓性を提供するためのビームの機能的長さを増大する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内装置のための微細加工された細長い管部材であって、前記細長い管部材が、長手方向軸線に沿って延びており、かつ
複数の周方向に延びるリングであって、各リングが軸方向長さを有する、複数の周方向に延びるリングと、
隣接するリングの間にそれぞれ位置決めされた複数の横方向切断部であって、各横方向切断部が、前記管部材の前記長手方向軸線に対して横方向に延びている、複数の横方向切断部と、
隣接するリングを接続するために1つのリングから別のリングまでそれぞれ延びる複数の軸方向に延びるビームと、
前記ビームと整列させられた複数の軸方向切断部であって、各軸方向切断部が、隣接するリング内へ実質的に軸方向に部分的に延びており、これにより、対応するビームが、前記対応するビームによって接続された前記隣接するリングのうちの一方または両方の長さの中で少なくとも部分的に重なり合っている、複数の軸方向切断部と、を含む、血管内装置のための微細加工された細長い管部材。
【請求項2】
前記横方向切断部の少なくとも一部が、楔形である、請求項1に記載の管部材。
【請求項3】
前記横方向切断部の少なくとも一部が、前記対応するビームの近くでより狭く、前記対応するビームから離れる方へ周方向に延びながら広くなっていく、請求項2に記載の管部材。
【請求項4】
前記軸方向切断部の少なくとも一部が、楔形である、請求項1に記載の管部材。
【請求項5】
前記軸方向切断部の少なくとも一部が、前記隣接するリングの縁部においてより広く、前記隣接するリング内へ軸方向に沿って延びながら細くなっていく、請求項4に記載の管部材。
【請求項6】
前記管部材が、隣接するリングの各対の間に一対のビームが設けられた2ビーム構成を有し、隣接するリングの各対の間の前記一対のビームが、周方向に約180度だけ間隔が隔てられている、請求項1に記載の管部材。
【請求項7】
前記2ビーム構成が、隣接するリングの所与の対の間の前記ビームが隣接するリングの先行するおよび/または後続の対のビームから回転方向にずれるような回転方向オフセットを含む、請求項6に記載の管部材。
【請求項8】
前記回転方向オフセットが、約5度~約90度である、請求項7に記載の管部材。
【請求項9】
リングの軸方向長さが、前記管部材の遠位端部に向かって漸進的に減少している、請求項1に記載の管部材。
【請求項10】
ビーム厚さが、前記管部材の遠位端部に向かって漸進的に減少している、請求項1に記載の管部材。
【請求項11】
前記管部材の遠位セクションにおいて、前記リングが、約0.25~0.8のリング直径に対するリング長さの比を有する、請求項1に記載の管部材。
【請求項12】
前記管部材の少なくとも1つのセクションが、少なくとも約3の微細加工対均質比を有する、請求項1に記載の管部材。
【請求項13】
前記管部材が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ステンレス鋼、またはニチノールのうちの1つまたは複数から形成されている、請求項1に記載の管部材。
【請求項14】
前記横方向切断部および前記軸方向切断部を充填するように前記管部材に適用されたポリマーをさらに含む、請求項1に記載の管部材。
【請求項15】
内側ライナまたは外側ライナのうちの一方または両方をさらに含む、請求項1に記載の管部材。
【請求項16】
前記内側ライナおよび前記外側ライナが、前記横方向切断部も前記軸方向切断部も充填していない、請求項15に記載の管部材。
【請求項17】
血管内装置のための微細加工された細長い管部材であって、前記細長い管部材が、長手方向軸線に沿って延びており、かつ
複数の周方向に延びるリングであって、各リングが軸方向長さを有する、複数の周方向に延びるリングと、
隣接するリングを接続するように1つのリングから別のリングまでそれぞれ延びる複数の軸方向に延びるビームと、
隣接するリングの間にそれぞれ位置決めされた複数の横方向切断部であって、各横方向切断部が、前記管部材の前記長手方向軸線に対して横方向に延びており、各横方向切断部が、対応するビームの近くでより狭く、前記対応するビームから離れる方へ周方向に延びながら広くなっていく、複数の横方向切断部と、を含む、管部材。
【請求項18】
前記横方向切断部の少なくとも一部が、楔形であり、前記横方向切断部の少なくとも一部が、前記対応するビームの近くでより狭く、前記対応するビームから離れる方へ周方向に延びながら広くなっていく、請求項17に記載の管部材。
【請求項19】
血管内装置のための微細加工された細長い管部材であって、前記細長い管部材が、長手方向軸線に沿って延びており、かつ
複数の周方向に延びるリングであって、各リングが軸方向長さを有する、複数の周方向に延びるリングと、
隣接するリングを接続するように1つのリングから別のリングまでそれぞれ延びる複数の軸方向に延びるビームと、
前記ビームと整列させられた複数の軸方向切断部であって、各軸方向切断部が、隣接するリング内へ実質的に軸方向に部分的に延びており、これにより、対応するビームが、前記対応するビームによって接続された前記隣接するリングのうちの一方または両方の長さ内へ少なくとも部分的に重なり合っている、管部材。
【請求項20】
前記軸方向切断部の少なくとも一部が、楔形であり、前記軸方向切断部の少なくとも一部が、前記隣接するリングの縁部においてより広く、前記隣接するリング内へ前記軸方向に沿って延びながら細くなっていく、請求項19に記載の管部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
[0001]本願は、2021年10月4日に出願された、「Microfabricated Catheter Devices with High Axial Strength」という名称の米国特許出願第17/493,265号の優先権を主張し、この出願は、2020年10月5日に出願された、「Microfabricated Catheter Devices with High Axial Strength」という名称の米国仮特許出願第63/087,410号の優先権および利益を主張する。前記出願のそれぞれは、引用によりそれらの全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]ガイドワイヤおよびカテーテルは、しばしば、身体の血管系内の深いところで繊細な処置を行うために医療分野において利用される。典型的には、カテーテルは、患者の大腿血管、橈骨血管、頸動脈血管または頸静脈血管に挿入され、患者の血管系を通じて心臓、脳またはその他の標的解剖学的部位へ操縦される。しばしば、ガイドワイヤが、まず標的解剖学的部位へ送られ、1つまたは複数のカテーテルが引き続きガイドワイヤ上を通過させられ、所望の位置へ送られる。所定の位置に達すると、カテーテルは、凝血塊またはその他の閉塞部を吸引するため、あるいは薬剤、ステント、塞栓用装置、X線不透過性染料、または患者を治療するためのその他の装置もしくは物質を送達するために使用することができる。
【0003】
[0003]多くの用途において、このようなカテーテルは、標的解剖学的部位に到達するために血管系通路の蛇行した曲がりおよびカーブを通って送られなければならない。理想的には、これらのカテーテルは、このような蛇行した通路の有効な操縦を可能にする設計特徴を含む。例えば、カテーテルは、血管系の曲がりを操縦するために十分に可撓性であるべきであるが、十分な押付け可能性(すなわち、近位部分から遠位部分へ軸方向の力を伝達するための能力)およびトルク可能性(近位部分から遠位部分へトルクを伝達するための能力)を提供することもできなければならない。
【0004】
[0004]例えば、カテーテルが十分な軸方向剛性を欠く場合、オペレータが血管系を通じてカテーテルを前方へ押すことが困難となる可能性がある。すなわち、オペレータによって近位端部において加えられる軸方向の力は、カテーテルの遠位端部へ有効に伝達されるのではなく、カテーテルを軸方向に圧縮および「アコーディオン」させる場合がある。より高い軸方向剛性を有するようにカテーテルを設計することにより、この問題を軽減することができる。しかしながら、カテーテルの軸方向剛性を増大することは、カテーテルの有効性を妨げる他の問題を生じる可能性がある。例えば、カテーテルの軸方向剛性を増大することは、通常、カテーテルの曲げ剛性も増大させ、これは、不十分な曲げ可撓性が装置に残っている場合に有害である可能性がある。
【0005】
[0005]したがって、装置の可撓性およびトルク可能性などの必要な特性を過度に妨げることなく、有効軸方向剛性を提供するように設計された特徴を備えるカテーテル装置が現在必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本開示は、有効曲げ可撓性も維持しながら高い軸方向強度のために構成された、微細加工された血管内装置を説明する。
【0007】
[0007]1つの実施形態において、管部材は、一連の軸方向に延びるビームによって互いに接続された一連の周方向に延びるリングを含む。複数の横方向切断部が、リングを分離しかつリングを画定している。横方向切断部は、隣接するリングの間に配置されており、管部材の長手方向軸線に対して横方向に延びているが、管部材を完全に切断するほどは延びておらず、これにより、リングの間に位置決めされたビームを残している。
【0008】
[0008]幾つかの実施形態において、横方向切断部の少なくとも一部は、楔形である。例えば、1つまたは複数の横方向切断部は、対応するビームの近くでより狭くてよく、次いで、対応するビームから離れる方へ周方向に延びながら広くなっていく。
【0009】
[0009]幾つかの実施形態において、一連の軸方向切断部は、ビームと整列させられており、ビームから隣接するリング内へ部分的に延びており、これにより、ビーム長さは、隣接するリングの軸方向長さ内に部分的に重なり合っている。これは、有効軸方向剛性を提供するために十分なリング構造を依然として提供しながら曲げ可撓性を提供するためのビームの機能的長さを増大する。
【0010】
[0010]幾つかの実施形態において、軸方向切断部の少なくとも一部は、楔形である。例えば、1つまたは複数の軸方向切断部は、隣接するリングの縁部においてより広くてよく、次いで、隣接するリング内へ軸方向に延びながら細くなっていく。
【0011】
[0011]この概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の選択を単純化された形式で紹介するために提供されている。この概要は、請求項に記載の主題の主要の特徴または必須の特徴を特定することは意図されておらず、請求項に記載の主題の範囲を指示するものとして使用されることも意図されてよい。
【0012】
[0012]発明の様々な目的、特徴、特性および利点は、それらの全てが本明細書の一部を形成する添付の図面および添付の請求項に関連して読まれる、実施形態の以下の説明から明らかになりかつより容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]高い軸方向強度を有するカテーテルを提供するために本明細書に説明された切断パターンによって修正されてよい例示的なカテーテル装置を示す。
図2A】[0014]従来の2ビーム切断パターンを有するカテーテルの微細加工された遠位セクションの詳細図である。
図2B】[0015]3ビーム切断パターンを有するカテーテルの微細加工された遠位セクションの詳細図である。
図2C】[0015]1ビーム切断パターンを有するカテーテルの微細加工された遠位セクションの詳細図である。
図3】[0016]図3Aは、軸方向荷重下で微細加工されたカテーテルセクションがどのように圧縮および「アコーディオン」することができるかを概略的に示す図である。図3Bは、軸方向荷重下で微細加工されたカテーテルセクションがどのように圧縮および「アコーディオン」することができるかを概略的に示す図である。
図4】[0017]軸方向剛性を高めるために比較的厚いリングエレメントを有するが、軸方向ビームエレメントに曲げ力を集中させる微細加工されたカテーテルセクションを示す図である。
図5】[0018]図5Aは、曲げ剛性を過剰に増大させることなく有効軸方向剛性を提供し、これにより、高い曲げ剛性対軸方向剛性比を提供する切断パターンを備えた例示的な微細加工されたカテーテルセクションを示す図である。図5Bは、曲げ剛性を過剰に増大させることなく有効軸方向剛性を提供し、これにより、高い曲げ剛性対軸方向剛性比を提供する切断パターンを備えた例示的な微細加工されたカテーテルセクションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概説
[0019]図1は、以下に説明する独特な高い押付け強度パターンを組み込むことによって改良することができる従来のカテーテル装置10の一例を示す。カテーテル装置10は、近位セクション40および遠位セクション50を含む。X線不透過性マーカ16が遠位端部の近くに配置されてよい。ハブおよび/またはポート42が近位端部に配置されてよい。カテーテル用途における高い押付け強度設計の特定の利点により、本明細書に説明される例のほとんどは、カテーテル装置に言及する。しかしながら、幾つかの実施形態において、同じ特徴が、ガイドワイヤなどのその他の血管内装置のその他の微細加工された構成要素に適用されてよいことが理解されるであろう。
【0015】
[0020]遠位セクション50の少なくとも一部は、装置の有効性を高めるために意図された1つまたは複数の切断パターンが微細加工されている。従来、このような切断パターンは、良好なトルク可能性を維持しながら装置の曲げ可撓性を高めることに重点を置いていた。しかしながら、以下で説明するように、改良された切断パターンは、今では、押付け可能性を最適化しながら(すなわち、軸方向剛性を最適化しながら)装置の曲げ可撓性を増大させるように設計されている。
【0016】
[0021]改良された切断パターンは、従来の切断パターンのトルク可能性の一部を犠牲にするが、装置の高められた押付け可能性と、曲げ剛性に対する改良された軸方向剛性の比とは、特に、多くのカテーテル用途などの、軸方向剛性がトルク可能性よりも重要である可能性が高い用途において、より有効な全体的機能性を提供する。例えば、ガイドワイヤとは異なり、カテーテルは、中実なコアを欠き、したがって、本質的に良好な軸方向剛性を欠く。カテーテルはしばしばガイドワイヤ上で送られるので、ガイドワイヤは、血管を部分選択し、解剖学的標的に到達するために利用されてよい。したがって、押付け可能性は、しばしば、カテーテルにおいてトルク可能性よりも重要である。
【0017】
[0022]カテーテル10の長さは、特定の用途の必要性に従って変化してよいが、典型的には、約125cm~175cmの範囲内である。微細加工された部分は、特定の用途の必要性に従って変化する可能性があるが、典型的には、約50~90cmの長さを有する。最も遠位のセクション(例えば、最も遠位のセクションは、約10~30cmである)は、典型的には、より可撓性であるために、より高い程度の微細加工を有する。カテーテル長さのように、カテーテル直径は、用途の必要性に従って変化してよい。例は、約2F~10Fの範囲であってよいが、この範囲外のサイズも、適切であるところ(典型的な神経および冠状動脈用途の外側)において利用されてもよい。神経血管処置における使用のための吸引カテーテルは、本明細書の説明される高い押付け強度の装置の1つの例示的な用途である。
【0018】
[0023]カテーテル10の微細加工されたセクションは、「リング」および「ビーム」を形成するようにカテーテルの長手方向軸線に対して横方向に延びる複数の切断部を含む。リングは、周方向に延びるリング状の構造であり、ビームは、隣接するリングを接続する、管の切断されていない軸方向に延びるセクションである。カテーテル10のセクションは、本明細書においてリングのそれぞれの連続する対の間に配置されたビームの数に従って規定されてよい。
【0019】
[0024]図2A図2Cは、一般的な特徴を説明しかつ一般的な用語を定義するために従来の微細加工された構成を示している。以下でさらに説明される改良された特徴は、図2A図2Cに示された従来の構成のいずれかに適用されてよい。
【0020】
[0025]図2Aは、例えば、微細加工された管部材の「2ビームセクション」15を表す。2ビームセクションは、一連の連続するリング14と、リングの間に延びる、リングを接続する一連のビーム12とを含む。図示したように、隣接するリング14の各対は、2つのビーム12によって接続されている。図2Bは、隣接するリング24の各セットの間に3つのビーム22が配置されている「3ビームセクション」20を示している。図2Cは、隣接するリング34の各対の間に1つのビーム32が延びておりかつ各対を接続している「1ビームセクション」30を示している。本明細書に説明される例のほとんどは2ビーム構成に言及するが、同じ特徴が、1ビームまたは3ビーム構成を有する他の実施形態、あるいはさらには隣接するリングの各セットの間にその他の数のビームを有する構成に適用されてもよいことが理解されるであろう。
【0021】
[0026]図3Aおよび図3Bは、微細加工されたカテーテルセクションが軸方向荷重下でどのように圧縮および「アコーディオン」することができるかを概略的に示している。図3Aは、ビーム12およびリング14を備える従来の2ビームセクション(図2Aに示されている)の側面図を示す。図3Bは、軸方向荷重(すなわち、押付力)が加えられたとき、リング14が僅かに曲がり、装置のより遠位のセクションへ軸方向荷重を完全に伝達するのではなく、軸方向荷重の一部を吸収してよい。これは、装置の押付け可能性を減じ、オペレータがガイドワイヤ上のカテーテルを追跡することおよび/またはカテーテルを所望の解剖学的標的へ到達させることをより困難にする。
【0022】
[0027]装置の軸方向剛性を高める1つの方法は、軸方向に沿ったリングの長さを単に増大させることである(時には、この寸法は、リングの「厚さ」、「軸方向長さ」または「幅」とも称される)。図4は、リング64の増大された軸方向長さを有する実施形態を示す。リング64の軸方向長さを増大させることは、実際に、装置の軸方向剛性を増大させることができるが、リングの軸方向長さをどれだけ増大させることができるかに関して実用上の限界がある。例えば、リング64の軸方向長さがビーム62のサイズに対して増大させられすぎると、過剰な曲げ応力がビーム62に集中する。ある時点で、装置は、ビーム62において塑性変形することなしには十分に曲がることができなくなる。したがって、所望の軸方向剛性が達せられるまでリングサイズを単に増大させることは、実用的な選択肢ではない。
【0023】
高押付け強度の微細加工されたセクション
[0028]図5Aおよび図5Bは、管部材に提供され、図1に示された装置などのカテーテル装置において利用されてよい、高押付け強度切断パターンの実施形態を示す。切断パターンは、有利には、良好な曲げ可撓性を依然として維持しながら有効な軸方向剛性を提供する。さらに、リングの厚さを単に拡張させるのとは異なり、例示された構成は、応力をビームに過剰に集中させることなく高い相対的軸方向剛性を可能にする。図5Aは、例示的な管部材100(例えば、カテーテルの遠位セクション)を示し、図5Bは、管部材100が長手方向軸線に沿って半分に切断され、平らになるように広げられた場合の同じ切断パターンを示す。
【0024】
[0029]図示のように、細長い管部材100は、一連の軸方向に延びるビーム112によって接続された、一連の周方向に延びるリング114を含む。リング114は、軸方向で長さ「L」を有する。この寸法は、時には、リング「幅」、「軸方向長さ」またはリング「厚さ」と称される場合があるが、典型的には、本明細書では、一貫性のために長さ(またはより具体的には軸方向長さ)と称される。なぜならば、これは、管部材100の長手方向軸線に対して平行な寸法であるからである。ビーム112に関して、ビーム112の「長さ」は、本明細書では軸方向に沿った寸法を指すために使用されるのに対し、ビームの「幅」または「厚さ」は、本明細書では、管部材100の円周に沿った寸法を指すために使用される。
【0025】
[0030]リング114同士は、横方向切断部118によって間隔が隔てられている。横方向切断部118はそれぞれ、管部材100の長手方向軸線に対して横方向に延びているが、管部材100を完全に貫いて延びていない。したがって、管部材100は、図2A図2Cに示された従来の構成のいくぶん類似している。例示された管部材100は、隣接するリング114の各対の間に2つのビーム112を含むので、2ビームセクションを表している。しかしながら、上記で説明したように、その他の実施形態は、隣接するリングの各対の間に異なる数のビームを備える構成を含んでよい(例えば、1ビームまたは3ビーム構成)。
【0026】
[0031]しかしながら、図2A図2Cに示された従来の構成とは異なり、例示された実施形態は、ビーム112と整列した一連の軸方向切断部116も含む。各軸方向切断部116は、対応するビーム112の縁部に沿って始まり、隣接するリング内へ、実質的に軸方向に部分的に延びており、これにより、対応するビーム112は、隣接するビーム112の軸方向長さ内に部分的に「重なり合って」いる。
【0027】
[0032]図5Aおよび図5Bに例示された実施形態のビーム112はそれぞれ、好ましい実施形態を表す、隣接するリング114のそれぞれへ延びた軸方向切断部116に関連している。しかしながら、その他の実施形態は、より少ない軸方向切断部116を含んでよい。例えば、幾つかの実施形態は、2つの隣接するリングのうちの一方(例えば、近位の隣接するリングのみ、または遠位の隣接するリングのみ、ただし両方ではない)へ延びる軸方向切断部のみに関連したビームを有してもよい。別の実施形態において、管部材100は、軸方向切断部116に関連した幾つかのビーム112を有してよく、他のビーム112は軸方向切断部116に関連していない。
【0028】
[0033]ビーム112の一部は、リング114の軸方向長さ内に重ね合わされているので、その結果、軸方向切断部116を有さない同じ構造と比較して、管部材100の単位長さ当たりでより可撓性のビーム構造が得られる。言い換えれば、例示された切断パターンは、装置の円周のほとんどに沿ってリング114が比較的厚い(すなわち、比較的長い軸方向長さを有する)ことを許容しながら、ビーム112に追加的な機能的長さを提供し、ひいては装置により高い曲げ可撓性を提供する。したがって、全体的構造は、曲げ剛性を過剰に増大させることなく良好な軸方向剛性を提供することができ、その結果、好ましい軸方向剛性と曲げ剛性との比を有する装置を生じる。
【0029】
[0034]図5Aおよび図5Bに示したように、横方向切断部118は、楔形を有してよい。楔形の切断部118は、有利には、追加的な空所を提供し、装置が曲線の内側に沿って曲がることを許容する。同様に、以下でさらに説明するような、装置の間隙をポリマー材料で充填する実施形態の場合、楔形切断部118は、曲線の内側に向かって圧縮されるポリマーのための追加的な空間を提供する。
【0030】
[0035]例えば、管部材110の所与の軸方向位置において、横方向切断部118は、ビーム112の近くでより狭く、次いで、ビーム112から離れるほど広くなっていてよい。ビーム112のうちの一方を始点として円周に沿って延びながら、切断部118は、頂点119に達するまで広がることができ、次いで、反対側のビーム112に向かって延び続けながら再び狭まり始めることができる。図示したように、頂点119は、2つのビーム112から等距離の位置に配置されてよいが、その他の実施形態において、1つまたは複数の横方向切断部118は、非対称であってよく、頂点119は、各ビーム112から等距離である必要はない。
【0031】
[0036]楔形の横方向切断部118のサイズおよび形状は、変化させられてよい。概して、より広い間隙は、より急な曲げのためのより大きな空所を提供するが、軸方向剛性の低下という犠牲を払う。したがって、楔形の角度および/または間隙サイズは、より大きな曲げ可撓性を必要とする用途のために増大されてよく、または楔形の角度および/または間隙サイズは、より大きな軸方向剛性を必要とする用途のために減じられてよい。代替的に、楔形の角度および/または間隙は、より大きな可撓性を必要とする装置の領域のために増大されてよく、より大きな軸方向強度を必要とする装置の領域のために減じられてよい。1つの非限定的な例において、楔形の角度および/または間隙サイズは、装置のより近位のセクションに対して装置のより遠位のセクションにおいて増大されてよい。幾つかの実施形態において、少なくとも管部材100の遠位セクションにおいて、頂点119(すなわち、横方向切断部118の最も広い部分)の間隙サイズは、リング114の長さの約25%~約100%、またはリング114の長さの約35%~約75%であってよい。追加的に、または代替的に、楔形の角度は、第1のセクションから第2のセクションへと楔形角度の漸進的な変化が生じるように、1つのセクションから別のセクションへ漸進的に増大または減少してもよい。
【0032】
[0037]横方向切断部118の楔形がビーム112から延びる角度「A」は、約2度~約35度、約5度~約25度、または約10度~約20度の範囲であってよい。言い換えれば、0度の角度が、直線的な垂直の切断部を表すならば、楔形の切断部118は、好ましくは、0度よりも大きいが、35度よりも小さい、より典型的には約25度よりも小さいまたは約20度よりも小さい角度を有する。
【0033】
[0038]例示された実施形態において、横方向切断部118は、両軸方向(近位および遠位)に角度付けられている。すなわち、所与のビーム112を始点として、管部材100の周囲を別のビーム112に向かって周方向に垂直方向に移動すると、対応する横方向切断部118は、近位に隣接するリング114および遠位に隣接するリング114の両方に沿って垂直から離れる方へ角度付けられている。その他の実施形態は、一方向においてのみ(すなわち、近位に隣接するリングのみに沿ってまたは遠位に隣接するリングのみに沿って)垂直から離れる方へ角度付けられた横方向切断部118を含んでよい。
【0034】
[0039]1つまたは複数の軸方向切断部116は、楔形であってよい。図5Aおよび図5Bに示したように、軸方向切断部116は、切断部がリングの縁部に沿って「始まる」ところではいくぶん広くてよく、隣接するリング内へさら遠くに軸方向に沿って延びながら細くなってよい。横方向切断部118の楔形のように、軸方向切断部116の楔形は、追加的な間隙を提供してよく、ビーム112に対するリング114のより大きな移動を許容し、管部材100が曲げられたときにリング114が曲線の内側に沿って互いに向かってより良く曲がることを許容する。直線的な軸方向切断部(長手方向軸線に対して平行)が0度の切断角度を有する場合、軸方向切断部116の角度は、0度よりも大きいが、約35度よりも小さく、より典型的には約25度よりも小さくまたは約20度よりも小さくてよい。
【0035】
[0040]少なくとも管部材100の遠位セクションにおいて、軸方向切断部116は、リング114の軸方向長さの約25%~約75%、または約35%~約65%、または約45%~約55%に等しい距離だけ、隣接するリング114内へ延びていてよい。軸方向切断部116がリング114内へより多く延びるほど、関連するビーム112の追加された機能的長さが大きくなる。しかしながら、これは、リングの構造の一部を犠牲にし、したがって、より深い軸方向切断部116は、少なくとも軸方向切断部116およびビーム112と一致するリング114の特定の部分において、さもなければ軸方向剛性に寄与するリング114の構造の一部を減じる。幾つかの用途において、軸方向切断部116は、関連するビーム112の長さ、ひいては管部材100の可撓性を増大するためにリング114内へさらに延びていてよい。その他の用途において、軸方向切断部116は、装置の1つのセクションにおいて、装置の別のセクションよりもさらにリング114内へ延びていてよい。例えば、軸方向切断部116は、装置の遠位または近位端部の近くで増大または減少させられてよい。
【0036】
[0041]したがって、ビーム長さのサイズも増大または減少してよい。これは、上記で説明したように軸方向切断部116の長さの結果であってよい。代替的に、または追加的に、ビーム長さのサイズは、リング114の対応する対の間のビーム112の部分の長さを増大または減少させることによって、軸方向切断部116から独立して変化してよい。幾つかの用途において、管部材100の1つのセクションは、装置の異なる部分において装置に異なる可撓性を与えるために、別のセクションのビーム長さよりも比較的より長いビーム長さを有してよい。最後に、ビーム長さは、ビーム長さが2つのセクションの間で徐々に増大または減少するように、第1のセクションから第2のセクションへ漸進的に変化してよい。
【0037】
[0042]ビーム幅、またはビーム厚さのサイズは、装置の用途、装置の全体のサイズおよび/または装置のセクションに従って変化してもよい。幾つかの用途において、装置の1つのセクションは、装置の第2のセクションよりも比較的より大きなビーム幅を有してよい。加えて、ビーム幅は、各ビーム112のビーム幅が第1のセクションと第2のセクションとの間で徐々に増大するように漸進的に変化してよい。
【0038】
[0043]リングサイズは、装置の全体のサイズおよび/または装置のセクションに応じて変化してもよい。例えば、管部材100の遠位セクションにおいて、リング114は、約0.25~0.8、または約0.35~0.65、または約0.4~0.6の、リング長さとリング直径との比を有してよい。幾つかの用途において、装置全体は、利用類似リングサイズを有し、各リング114は類似の軸方向長さを有する。代替的に、幾つかの用途において、装置の1つまたは複数のセクションのリングサイズは、装置の1つまたは複数のセクションが1つまたは複数の他のセクションに対してより大きな軸方向強度を有するように、装置の1つまたは複数の他のセクションとは異なる。幾つかの実施形態において、リング軸方向長さは、リングサイズが1つのセクションから別のセクションへ徐々に増大または減少するように、装置に沿って漸進的に変化してよい。
【0039】
[0044]図示のように、隣接するリング114の各対の間のビーム112は、等しく周方向に間隔が隔てられていてよいが(例えば、2ビーム構成において180度だけ間隔が隔てられている)、その他の実施形態は、等しく周方向に間隔が隔てられないようにビームを配置してよい。ビーム112のセットは、ビーム112の隣接するセットから回転方向でずれていてもよい。例えば、隣接するリングの所与の対の間のビーム112のセットは、隣接するリングの先行するおよび/または後続の対のビームのセットから回転方向でずれていてよい。例示した実施形態において、回転方向のずれは90度である。すなわち、ビームの第1の対は第1の回転位置に設けられており、次いで、管部材100の長さに沿って移動すると、ビームの次の対は、第1の対から90度ずれている。
【0040】
[0045]その他の回転方向のずれが利用されてよい。回転方向のずれは、例えば、約5度~約90度であってよい。90度未満の回転方向のずれは、らせん状パターンを提供し、これは、管部材100における好ましい曲げ軸線を最小限にする。その他の有利な「分散された」ビーム配列は、代替的に、好ましい曲げ軸線を回避するために利用されてよい。これらは、この引用によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Micro-Fabricated Medical Device Having a Non-Helical Cut Arrangement」という名称の、米国特許出願第16/616,139号により詳細に説明されている。
【0041】
[0046]管部材100は、血管内用途に適したあらゆる材料または材料の組合せから形成されてよい。例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマー材料、弾性率のための類似の範囲で定式化することができるその他のポリマー、ステンレス鋼、ニチノールなどの超弾性材料を含む。好ましい実施形態は、ニチノールから形成されている。
【0042】
[0047]上記で簡単に言及したように、ポリマー材料は、横方向切断部118および軸方向切断部116によって形成された間隙を充填し、管部材100が流体を搬送することを可能にするために、管部材100に加えられてよい。ポリマー材料は、ポリエーテルブロックアミドなどのエラストマおよび/または別の類似のポリマーを含んでよい。
【0043】
[0048]従来の構成と比較した場合の説明された実施形態の別の利点は、管部材100の外面に沿った比較的より小さな開放間隙スペースに関する。改良された切断パターンは、リングの増大された軸方向長さを許容するので、全体の外側表面積のより少ない部分が、間隙によって占められる。これは、比例して、装置のより少ない部分が、加圧下での流体密一体性を維持するためにポリマー材料に依存し、したがって、装置は、加圧下で流体を送達する場合に失敗しにくいことを意味する。
【0044】
[0049]その他の実施形態は、ポリマー材料を省略してよい。例えば、ある用途は、流体の送達または吸入を必要としない場合があり、間隙が充填されていない装置を適切に利用することができる。間隙を開放させておくことは、ある用途においては有利である。なぜならば、横方向および軸方向切断部にポリマーを加えることは、管部材100の曲げ剛性を増大させるからである。その他の実施形態は、ポリマー充填材料ではなく1つまたは複数のライナを利用してよい。例えば、内側ライナが管部材100の内面に沿って配置されてよいおよび/または外側ライナが管部材100の外面に沿って配置されてよい。いずれにしても、内側ライナおよび外側ライナは、管部材100の間隙を充填しない。このような実施形態は、有利には、横方向および軸方向切断部の間隙を開放されかつ閉塞されないままにしてよく、これは、曲げに対する抵抗の大きさを低減し、より低い曲げ剛性を可能にする。
【0045】
[0050]前記特徴は、主に、管部材100の遠位セクションに向けられていることが理解されるべきである。類似の特徴は、より近位のセクションにおいて利用されてよい。しかしながら、より近位のセクションは、典型的には、同じ曲げ可撓性を必要としないので、このようなセクションは、押付け可能性および/またはトルク可能性により向かってかつ曲げ可撓性により向かわないように調製されてよい。したがって、より近位のセクションは、リングの軸方向長さを増大させる、ビームの幅を増大させる、楔形間隙のサイズを減少させる、軸方向切断部の深さを減少させる、またはリングの各対の間のビームの数を増大させることのうちの1つまたは複数を介して修正されてよい。
【0046】
実施例
[0051]血管内装置を比較するための有用な基準は、曲げ剛性に対する軸方向剛性の比である。軸方向剛性および曲げ剛性(すなわち、曲げ剛性)は、典型的には、異なる単位を使用して表される。SI系において、例えば、軸方向剛性は、力毎距離(例えば、ニュートン毎メートル)の単位で表されるのに対し、曲げ剛性は、典型的には、力と距離の二乗の積(例えば、ニュートンと平方メートルの積)の単位で表される。このような単位を使用する場合、有用な基準は、微細加工された構造の曲げ剛性に対する軸方向剛性の比を比較し、その数字を、均質な材料(微細加工されていないが、それ以外は微細加工された構造に類似する)の曲げ剛性に対する軸方向剛性の比と比較することによって決定することができる。例えば、微細加工された構造の曲げ剛性に対する軸方向剛性の比は、均質な材料の曲げ剛性に対する軸方向剛性の比によって割ることができ、これにより、微細加工された構造がどのように基準の均質な材料と比較されるかを示す有用な比較比を提供する。このような全体的な比は無単位である。この基準は、本明細書では、微細加工対均質比と称される。
【0047】
[0052]曲げ剛性に対する軸方向剛性の比を測定するために、様々なカテーテル装置および材料が試験された。試験された材料は、PEBAX(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)、ポリウレタン等を含む、均質なゴムおよびプラスチック材料の管を含んでいた。コイルおよび/または編組された材料のセクションを備えて形成された商業用カテーテル装置も試験された。商業的に利用可能なカテーテルの微細加工対均質比は、約1~2.5の範囲であった。最も高い微細加工対均質比は、コイルおよび/または編組されたセクションを備えるある商業用カテーテル製品において見られ、約3であることが測定された。
【0048】
[0053]上記と比較して、図5Aに示したような高い押付け強度構成を備えて形成された管部材も試験された。ニチノールから形成された管部材が最も好ましいが、その他の材料から形成された管部材も十分に機能した。高い押付け強度構成は、一般的なコイルおよび/または編組配列のものよりも、著しく高い微細加工対均質比を提供した。高い押付け強度構成を備える管部材は、3よりも高い微細加工対均質比を有し、幾つかの例においては3よりも大幅に高い微細加工対均質比を有していた。ある試験は、約14の微細加工対均質比を示した。ある試験はさらに、高い程度の微細加工を有する管の遠位セクションにおいて、最大100の微細加工対均質比を示した。
【0049】
追加的な用語および定義
[0054]本開示の実施形態は、特定の構成、パラメータ、構成要素、要素などに関連して詳細に説明されているが、説明は、例示的であり、請求項に記載の発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0050】
[0055]さらに、説明された実施形態の構成要素のあらゆる所与の要素について、その要素または構成要素のために列挙された可能な代替例のいずれも、概して、暗黙的または明示的に別段の定めがないかぎり、個々にまたは互いに組み合わせて使用されてよいことが理解されるべきである。
【0051】
[0056]加えて、別段の定めがないかぎり、明細書および請求項において使用された、量、成分、距離またはその他の測定値を表す数字は、「約」という用語またはその同義語によって選択的に修正されたものとして理解されるべきである。述べられた量、値または条件に関連して「約」、「ほぼ」、「実質的に」等の用語が使用されている場合、述べられた量、値または条件の20%未満、10%未満、5%未満または1%未満だけ逸脱した量、値または条件を意味することも解釈されてよい。少なくとも、請求項の範囲の均等物の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数の観点から、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0052】
[0057]本明細書において使用される見出しおよび小見出しは、構成的な目的のみのためであり、説明または請求項の範囲を限定するために使用されることは意図されていない。
【0053】
[0058]本明細書および添付の請求項において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明らかに指示していないかぎり、複数の指示物を排除しないことにも留意されたい。したがって、例えば、単数の指示物(例えば、「ウィジェット」)に言及する実施形態は、2つ以上のこのような指示物も含んでよい。
【0054】
[0059]本明細書に説明された実施形態は、本明細書に説明された他の実施形態において説明された特性、特徴(例えば、成分、構成要素、部材、要素、部品、および/または部分)を含んでよいことが認められるであろう。したがって、所与の実施形態の様々な特徴は、本開示の他の実施形態と組み合わされるおよび/または組み込まれることができる。したがって、本開示の特定の実施形態に関するある特徴の開示は、特定の実施形態への前記特徴の適用または包含を限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、他の実施形態もこのような特徴を含むことができることが認められるであろう。
【0055】
追加的な例示的な実施形態
[0060]本開示の実施形態は、以下の条項に挙げられた特徴を含んでよいが、必ずしもそれらに限定されない。
【0056】
[0061]実施形態1:血管内装置のための微細加工された細長い管部材(すなわち、「装置」)において、細長い管部材が、長手方向軸線に沿って延びており、かつ複数の周方向に延びるリングであって、各リングが軸方向長さを有する、複数の周方向に延びるリングと、隣接するリングの間にそれぞれ位置決めされた複数の横方向切断部であって、各横方向切断部が、管部材の長手方向軸線に対して横方向に延びている、複数の横方向切断部と、隣接するリングを接続するために1つのリングから別のリングまでそれぞれ延びる複数の軸方向に延びるビームと、ビームと整列させられた複数の軸方向切断部であって、各軸方向切断部が、隣接するリング内へ実質的に軸方向に部分的に延びており、これにより、対応するビームが、対応するビームによって接続された前記隣接するリングのうちの一方または両方の長さ内へ少なくとも部分的に重なり合っている、複数の軸方向切断部と、を含む、血管内装置のための微細加工された細長い管部材。
【0057】
[0062]実施形態2:横方向切断部が、楔形である、実施形態1の装置。
【0058】
[0063]実施形態3:各横方向切断部が、対応するビームの近くではより狭く、対応するビームから離れる方へ周方向に延びながら広くなっていく、実施形態2の装置。
【0059】
[0064]実施形態4:軸方向切断部が、楔形である、実施形態1から3のいずれか1つの装置。
【0060】
[0065]実施形態5:各軸方向切断部が、隣接するリングの縁部においてより広く、隣接するリング内へ軸方向に沿って延びながら細くなっていく、実施形態4の装置。
【0061】
[0066]実施形態6:管部材が、2つのビームが隣接するリングの各対の間に延びておりかつ隣接するリングの各対を接続するように2ビーム構成を有する、実施形態1から5のいずれか1つの装置。
【0062】
[0067]実施形態7:隣接するリングの各対の間のビームの対が、周方向に約180度だけ間隔が隔てられている、実施形態7の装置。
【0063】
[0068]実施形態8:2ビーム構成が、隣接するリングの所与の対が隣接するリングの先行するおよび/または後続の対のビームから回転方向にずれるような回転方向オフセットを含む、実施形態6または7の装置。
【0064】
[0069]実施形態9:前記回転方向オフセットが、約5度~約90度である、実施形態8の装置。
【0065】
[0070]実施形態10:リングの軸方向長さが、管部材の遠位端部に向かって漸進的により短くなっている、実施形態1から9のいずれか1つの装置。
【0066】
[0071]実施形態11:ビームの厚さが、管部材の遠位端部に向かって漸進的により小さくなっている、実施形態1から10のいずれか1つの装置。
【0067】
[0072]実施形態12:管部材の遠位セクションにおいて、リングが、約0.25~0.8、または約0.35~0.65、または約0.4~0.6のリング直径に対するリング長さの比を有する、実施形態1から11のいずれか1つの装置。
【0068】
[0073]実施形態13:管部材が、ニチノールから形成されている、実施形態1から12のいずれか1つの装置。
【0069】
[0074]実施形態14:管部材の少なくとも1つのセクションが、少なくとも約3、または少なくとも約10、または少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、または少なくとも約60、または少なくとも約70、または少なくとも約80、または少なくとも約90の微細加工対均質比を有する、実施形態1から13のいずれか1つの装置。
【0070】
[0075]実施形態15:管部材が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ステンレス鋼またはニチノールのうちの1つまたは複数から形成されている、実施形態1から14のいずれか1つの装置。
【0071】
[0076]実施形態16:管部材が、ニチノールから形成されている、実施形態15の装置。
【0072】
[0077]実施形態17:横方向切断部および軸方向切断部を充填するために管部材に適用されるポリマーをさらに含む、実施形態1から16のいずれか1つの装置。
【0073】
[0078]実施形態18:管部材に取り付けられた内側ライナおよび/または外側ライナをさらに含む、実施形態1から16のいずれか1つの装置。
【0074】
[0079]実施形態19:内側ライナおよび/または外側ライナが、横方向切断部も軸方向切断部も充填していない、実施形態18の装置。
【0075】
[0080]実施形態20:管部材が、神経血管用途における吸引カテーテルとして使用するようにサイズ決めされている、実施形態1から19のいずれか1つの装置。
【0076】
[0081]実施形態21:血管内装置のための微細加工された細長い管部材において、細長い管部材が、長手方向軸線に沿って延びており、かつ複数の周方向に延びるリングであって、各リングが軸方向長さを有する、複数の周方向に延びるリングと、隣接するリングを接続するように1つのリングから別のリングまでそれぞれ延びる複数の軸方向に延びるビームと、隣接するリングの間にそれぞれ位置決めされた複数の横方向切断部であって、各横方向切断部が、管部材の長手方向軸線に対して横方向に延びており、各横方向切断部が、対応するビームの近くでより狭く、対応するビームから離れる方へ周方向に延びながら広くなっていく、複数の横方向切断部と、を含む、管部材。
【0077】
[0082]実施形態22:横方向切断部の少なくとも一部が、楔形であり、横方向切断部の少なくとも一部が、対応するビームの近くでより狭く、対応するビームから離れる方へ周方向に延びながら広くなっていく、実施形態21の管部材。
【0078】
[0083]実施形態23:血管内装置のための微細加工された細長い管部材であって、細長い管部材が、長手方向軸線に沿って延びておりかつ複数の周方向に延びるリングであって、各リングが軸方向長さを有する、複数の周方向に延びるリングと、隣接するリングを接続するように1つのリングから別のリングまでそれぞれ延びる複数の軸方向に延びるビームと、ビームと整列させられた複数の軸方向切断部であって、各軸方向切断部が、隣接するリング内へ実質的に軸方向に部分的に延びており、これにより、対応するビームが、対応するビームによって接続された隣接するリングのうちの一方または両方の長さ内へ少なくとも部分的に重なり合っている、血管内装置のための微細加工された細長い管部材。
【0079】
[0084]実施形態24:軸方向切断部の少なくとも一部が、楔形であり、軸方向切断部の少なくとも一部が、隣接するリングの縁部においてより広く、隣接するリング内へ軸方向に沿って延びながら細くなっていく、実施形態23の管部材。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】