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▶ シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】適応モータ制御を用いた外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
A61B17/115
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520163
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 IB2021058898
(87)【国際公開番号】W WO2022070064
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】17/062,499
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・シェーン・アール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC36
4C160MM43
(57)【要約】
外科用器具は、外科用器具機能の適応制御を提供するための指示を受信する。指示は、適応可能なステープル高さ動作範囲を提供すること、組織圧縮に関連付けられたモータを制御すること、及び/又は以前の外科手術に関連付けられた動作パラメータを使用して動作することを示し得る。外科用器具は、識別された機能に関連付けられるパラメータの値を決定し、決定されたパラメータに基づいて識別された機能の制御を適応させ得る。外科用器具は、アンビルヘッドのサイズを示すパラメータに基づいてステープル高さ動作範囲の表示を適応させ得る。外科用器具は、器具に印加された力を示すパラメータに基づいて、組織圧縮に関連付けられたモータを制御し得る。外科用器具は、外科用ハブによって識別される動作パラメータに従って動作し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ制御を提供するための指示を受信し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられた第1のモータを監視し、
外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた第2のモータを監視し、
外科用ステープルを前記アンビルによって圧縮された組織に挿入するための力の前記印加に関連付けられた指示を識別し、
前記外科用ステープルを挿入するための前記力の前記印加に関連付けられた前記指示を識別したことに応答して、前記アンビルが前記組織に力を印加するように前記第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
【請求項2】
前記外科用ステープルを挿入するための前記力の印加に関連付けられた指示を識別するように構成されている前記プロセッサが、前記第2のモータを監視することによって前記指示を識別するように構成されている、請求項1に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記アンビルが前記組織への力の印加を中断するように前記第1のモータを制御することを決定するように更に構成されている、請求項1又は2に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項4】
前記アンビルが前記組織に力を印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成されている前記プロセッサが、前記アンビルが第1の力を第1の期間にわたって印加し、かつ第2の力を第2の期間にわたって印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項5】
前記アンビルが第1の力を前記第1の期間にわたって印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成されている前記プロセッサが、外科用ステープラが前記組織に挿入されるのに対応する期間中に前記アンビルが前記第1の力を印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成され、
前記アンビルが第2の力を前記第2の期間にわたって印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成されている前記プロセッサが、ナイフが前記組織を切断するために使用されるのに対応する期間中に前記アンビルが前記第2の力を印加するように前記第2のモータを制御することを決定するように構成されている、請求項4に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項6】
モータ制御を提供するための指示を受信するように構成されている前記プロセッサが、アンビル閉鎖の電動制御及び外科用ステープラ発射の電動制御を提供するための指示を受信するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項7】
前記プロセッサが、
前記第1のモータに関連付けられた指示に基づいて、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定し、
前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記所定の閾値を満たしていることに基づいて、前記外科用ステープルを前記アンビルによって圧縮された前記組織に挿入するために前記力を印加することを決定する、
ように更に構成されている、請求項6に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項8】
前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記所定の閾値を満たしていると決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が時間に関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成され、請求項について、前記力が所定の閾値時間を超える時間にわたって印加されたか否かを、前記プロセッサが決定してもよい、請求項7に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項9】
前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記所定の閾値を満たしていると決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が力の大きさに関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成され、請求項について、前記印加された力の前記大きさが力の大きさの所定の範囲内にあるか否かを、前記プロセッサが決定してもよい、請求項7に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項10】
センサ読み取り値に基づいて、モータ制御を提供するための指示を受信し、
前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定し、
前記センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを前記組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
【請求項11】
前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、前記センサ読み取り値が示していると決定するように構成されている、請求項10に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項12】
前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されている前記プロセッサが、複数のゾーンからのセンサ読み取り値を決定するように構成されている、請求項10又は11に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項13】
前記センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを挿入するための力を印加することを決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、複数のゾーンからの前記センサ読み取り値が示していると決定するように構成され、請求項について、前記複数のゾーンのうちの1つに関連付けられた各センサ読み取り値が前記複数のゾーンのうちの他のゾーンに関連付けられたセンサ読み取り値からどれだけ逸脱してもよいかを定義する所定の閾値に、決定が基づいてもよい、請求項12に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項14】
前記複数のゾーンが、円形配列で配列されている、請求項12又は13に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項15】
前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されている前記プロセッサが、ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されている、請求項10~14のいずれか一項に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項16】
ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されている前記プロセッサが、前記ある期間にわたって連続的にセンサ読み取り値を決定するように構成されている、請求項15に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項17】
構成データに基づいてモータ制御を提供するための指示を受信し、
閾値を示す構成データを受信し、
前記組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が前記閾値を満たしていると決定し、
前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていることに基づいて、外科用ステープルを前記アンビルによって圧縮された前記組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
【請求項18】
前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力に関連付けられた第2のモータを監視するように更に構成され、
前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていると決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていることを、前記第2のモータから決定するように構成されている、請求項17に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項19】
前記プロセッサが、前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を受信するように更に構成され、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていると決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていることを、前記受信されたセンサ読み取り値から決定するように構成されている、請求項17又は18に記載の外科用円形ステープラ。
【請求項20】
構成データに基づいてモータ制御を提供するための前記指示が、外科用ハブシステムから受信される、請求項17~19のいずれか一項に記載の外科用円形ステープラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、同時に出願された以下の出願に関連し、これらの各々の内容は、本明細書中に参考として援用される。
●代理人整理番号END9287USNP1、表題METHOD FOR OPERATING TIERED OPERATION MODES IN A SURGICAL SYSTEM、
●代理人整理番号END9287USNP8、表題SURGICAL INSTRUMENT WITH ADAPTIVE FUNCTION CONTROLS、及び
●代理人整理番号END9287USNP10、表題SURGICAL INSTRUMENT WITH ADAPTIVE CONFIGURATION CONTROL。
【背景技術】
【0002】
外科用器具は、多くの場合、外科用器具の動作に付随する機能を提供するように動作する構成要素又はシステムを備える。例えば、外科用ステープラは、組織圧縮に関するフィードバックをオペレータに提供するように適応されたディスプレイを備え得る。外科用ステープラは、組織をクランプするための力を提供し得る第1のモータと、ステープルを組織の中に駆動するための力を提供し得る第2のモータと、を備え得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
外科用ステープラは、適応可能なモータ制御を提供するために、外科用ハブから指示を受信し得る。外科用ステープラは、組織を圧縮するための力を印加するように適応される第1のモータを備え、ステープルを組織に挿入するための力を印加するように適応される第2のモータを備え得る。外科用ステープラは、ステープルを挿入するための力を印加するように適応される第2のモータを監視し、力がステープルを挿入するために印加されていると決定すると、組織に追加の圧力を印加するように第1のモータを制御し得る。
【0004】
この「発明の概要」は、「発明を実施するための形態」において以下に更に説明される簡潔な形態で概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、特許請求される対象の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また、特許請求される対象の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。他の特徴が本明細書に記載される。
【0005】
本発明の様々な実施形態によれば、以下の例が提供される。
1.モータ制御を提供するための指示を受信し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられた第1のモータを監視し、
外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた第2のモータを監視し、
外科用ステープルをアンビルによって圧縮された組織に挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別し、
外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別したことに応答して、アンビルが組織に力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ
を備える、外科用円形ステープラ。
2.外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別するように構成されているプロセッサが、第2のモータを監視することによって指示を識別するように構成されている、実施例1に記載の外科用円形ステープラ。
3.プロセッサが、アンビルが組織への力の印加を中断するように第1のモータを制御することを決定するように更に構成されている、実施例1又は2に記載の外科用円形ステープラ。
4.アンビルが組織に力を印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されているプロセッサが、アンビルが第1の力を第1の期間にわたって印加し、かつ第2の力を第2の期間にわたって印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されている、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用円形ステープラ。
5.アンビルが第1の力を第1の期間にわたって印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されているプロセッサが、外科用ステープラが組織に挿入されるのに対応する期間中にアンビルが第1の力を印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成され、
アンビルが第2の力を第2の期間にわたって印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されているプロセッサが、ナイフが組織を切断するために使用されるのに対応する期間中にアンビルが第2の力を印加するように第2のモータを制御することを決定するように構成されている、実施例4に記載の外科用円形ステープラ。
6.モータ制御を提供するための指示を受信するように構成されているプロセッサが、アンビル閉鎖の電動制御及び外科用ステープラ発射の電動制御を提供するための指示を受信するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用円形ステープラ。
7.プロセッサが、
第1のモータに関連付けられた指示に基づいて、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていることに基づいて、外科用ステープルをアンビルによって圧縮された組織に挿入するための力を印加することを決定する、
ように更に構成されている、実施例6に記載の外科用円形ステープラ。
8.組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が時間に関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成され、例えば、力が所定の閾値時間を超える時間にわたって印加されたか否かを、プロセッサが決定してもよい、実施例7に記載の外科用円形ステープラ。
9.組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が力の大きさに関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成され、例えば、印加された力の大きさが力の大きさの所定の範囲内にあるか否かを、プロセッサが決定してもよい、実施例7に記載の外科用円形ステープラ。
10.センサ読み取り値に基づいて、モータ制御を提供するための指示を受信し、
組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定し、
センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
11.組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、センサ読み取り値が示していると決定するように構成されている、実施例10に記載の外科用円形ステープラ。
12.組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、複数のゾーンからのセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施例10又は11に記載の外科用円形ステープラ。
13.センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを挿入するための力を印加することを決定するように構成されているプロセッサが、組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、複数のゾーンからのセンサ読み取り値が示していると決定するように構成され、例えば、複数のゾーンのうちの1つに関連付けられた各センサ読み取り値が、複数のゾーンのうちの他のゾーンに関連付けられたセンサ読み取り値からどれだけ逸脱してもよいかを定義する所定の閾値に、決定が基づいてもよい、実施例12に記載の外科用円形ステープラ。
14.複数のゾーンが、円形配列で配列されている、実施例12又は実施例13に記載の外科用円形ステープラ。
15.組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施例10~14のいずれか一項に記載の外科用円形ステープラ。
16.ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、ある期間にわたって連続的にセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施例15に記載の外科用円形ステープラ。
17.構成データに基づいてモータ制御を提供するための指示を受信し、
閾値を示す構成データを受信し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていると決定し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていること基づいて、外科用ステープルをアンビルによって圧縮された組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ
を備える、外科用円形ステープラ。
18.プロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられた第2のモータを監視するように更に構成され、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていることを、第2のモータから決定するように構成されている、実施例17に記載の外科用円形ステープラ。
19.プロセッサが、組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を受信するように更に構成され、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていることを、受信されたセンサ読み取り値から決定するように構成されている、実施例17又は18に記載の外科用円形ステープラ。
20.構成データに基づいてモータ制御を提供するための指示が、外科用ハブシステムから受信される、実施例17~19のいずれか1つに記載の外科用円形ステープラ。
【0006】
上記の例として、特に実施例1では、外科用ステープルが組織に挿入される時点で、外科用ステープラは、組織にクランプ力を印加するように動作可能である。そのようなとき、ステープルの挿入の力の下で、組織が伸長し、拡張する傾向があり得る。このような組織の伸長は、組織がもはやステープル形成のために最適化された幅に圧縮されないことを意味し得る。(第1のモータ及びアンビルを介して)組織に力を印加することによって、この伸長に対抗することができる。これは、ひいては、ステープルが挿入時に適切に形成されることを確実にするために有用であり、処置からの改善された臨床転帰につながる。
【0007】
上記の例として、特に実施例2では、(外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた)第2のモータは、第1のモータによりアンビルが組織に力を印加するときの指示を提供するために監視される。指示は、(例えば、ユーザ入力ではなく)第2のモータの監視に基づくため、組織の伸長に対抗する力が、組織を通して駆動されるステープルと正確に同期されることを確実にし、ステープルが挿入時に適切に形成されることを更に確実にすることができる。
【0008】
上記の例として、特に実施例3では、伸長に対抗するために組織に印加された力は、ステープル挿入が伸長を引き起こす時間に対応する離散的な時間だけ印加される。これは、次に、組織が過剰なクランプ力を受けないことを確実にし、それによって、望ましくない組織損傷の可能性を軽減する。
【0009】
上記の例として、特に実施例4及び5では、組織に印加される追加のクランプ力を、異なる量の力で2段階で印加することができる。これは、外科用ステープラが、外科用ステープラの動作の他の段階と関連付けられ得る追加的な伸長を補償することを可能にする。例えば、ナイフが組織を通して前進するように動作可能である実施例5では、これは、ステープラ挿入によって引き起こされるものに加えて、更なる組織伸長を生じさせ得る。あるいは、いくつかの状況において、ステープルの挿入によって引き起こされる伸長の程度は、予測可能な様式で経時的に変化してもよく、例えば、最初に、特定の予測可能な伸長の程度を引き起こし、その後、少ない(又は多い)伸長の期間が続く。これらの状況(又は他の状況)のいずれかにおいて、それぞれの期間にわたって第1及び第2の力を印加することは、外科用ステープラが、ステープルの挿入(及び/又は組織を通るナイフの進行)によって付与されることが予想される伸長の程度を正確に補償することを可能にし、更に、ステープルが挿入時に適切に形成されることを確実にする。
【0010】
上記の例として、特に実施例7、10、及び17では、組織をクランプするために印加される力が、ステープラによるステープルの挿入に適切であることを確実にすることができる。そうでなければ、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力は、力が過少圧縮又は過剰圧縮となる可能性があり、これは、適切なステープル挿入に悪影響を及ぼし得る。
【0011】
上記の例として、特に実施例10及び19では、組織に印加された力を、センサ読み取り値を使用することによって評価することができる。これにより、モータ負荷又はアンビル位置とは無関係に、適切な組織圧縮の確認が可能になり、それによって、ステープルが組織内への挿入時に適切に形成されることを確実にすることができる。
【0012】
上記の例として、特に実施例11では、均一な圧力が組織に印加されたときにのみ、ステープラがステープルを組織に挿入するように動作可能であることを確実にすることができる。これは、クランプされた組織が定位置に「定着」することを確実にし、ステープル挿入中に組織が移動する可能性を軽減することができる。これは次に、挿入時の適切なステープル形成を確実にするために有用である。
【0013】
上記の例として、特に実施例15では、組織に印加された圧力が時間と共に安定したときにのみ、ステープラがステープルを組織に挿入するように動作可能であることを確実にすることができる。これは、例えば、クランプ中の組織クリープの期間に続いて、クランプされた組織が定位置に「定着」することを確実にすることができる。これは、ステープル挿入中に組織が移動する可能性を軽減し、ひいては、挿入時に適切なステープル形成を確実にするために役立たせることができる。
【0014】
上記の例として、特に実施例20では、ステープル挿入前に達成されるべき適切な組織クランプ力の閾値を含む外科用ステープラの構成を、外科用ハブ内に記憶された構成に基づいて更新することができる。このようにして、外科用ステープラは、特定の処置、患者の組織が圧縮にどのように応答するかに影響を及ぼす可能性がある特定の患者の特性、又はステープル挿入のための最適な組織圧縮に影響を及ぼす特定の患者の特性(患者の年齢、病歴、生理、病理など)に関して最良の臨床診療に適応することができる。これは、患者毎、又は処置毎に臨床転帰を改善することができる。更に、外科用ハブは、以前の同様の処置の結果に基づいて、臨床転帰が経時的に更に改善され得るように、構成データを改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。
図2】手術室内で外科手術を実施するために使用されている例示的な外科用システムの図である。
図3】可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた例示的な外科用ハブの図である。
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ以上の手術室に、又は外科手術用に特別に装備された医療施設内の任意の部屋に、配置されたモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されている通信ハブを有する外科用データネットワークを示す図である。
図5】例示的なコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムを示す図である。
図6】モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを備える例示的な外科用ハブを示す図である。
図7】例示的な外科用器具又はツールを示す図である。
図8】様々な機能を実施するために起動され得る、モータを有する例示的な外科用器具又はツールを示す図である。
図9】例示的な状況認識外科用システムの図である。
図10】例示的な外科手術と、外科手術の各工程で検出されたデータから外科用ハブが実施し得る推測との例示的なタイムラインを示す図である。
図11】コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。
図12】例示的なコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの機能アーキテクチャを示す図である。
図13】モジュール式装置のための制御プログラム更新を適応的に生成するように構成されている例示的なコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムを示す図である。
図14】コントローラ及びモータを有するハンドルと、ハンドルに解放可能に連結されるアダプタと、アダプタに解放可能に連結される装填ユニットと、を含む例示的な外科用システムを示す図である。
図15A】動作モードを決定し、決定されたモードで動作するための例示的なフローを示す図である。
図15B】動作モードを変更するための例示的なフローを示す図である。
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書に記載される外科用ツールを動作させるように構成されている外科用器具の概略図である。
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成されている外科用器具のブロック図である。
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、円形ステープル留め外科用器具の斜視図である。
図19A】本開示の少なくとも1つの態様による、開放位置にあるアンビルを示す、図18の器具のステープル留めヘッドアセンブリの拡大縦断面図である。
図19B】本開示の少なくとも1つの態様による、閉鎖位置にあるアンビルを示す、図18の器具のステープル留めヘッドアセンブリの拡大縦断面図である。
図19C】本開示の少なくとも1つの態様による、発射位置にあるステープルドライバ及びブレードを示す、図18の器具のステープル留めヘッドアセンブリの拡大縦断面図である。
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、アンビルに接して形成されたステープルの拡大部分断面図である。
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、円形ステープル留めヘッドアセンブリ及びアンビルを備える電動円形ステープル留め装置の部分切断図である。
図22】本開示の少なくとも1つの態様による、第1の列のステープル(内側ステープル)及び第2の列のステープル(外側ステープル)を示す、本明細書に示される円形ステープル留めヘッドアセンブリの部分上面図である。
図23】本開示の少なくとも1つの態様による、装置又はその組み合わせによって感知される組織間隙、閉鎖力(closure force、FTC)、又は組織クリープ安定化に基づいて、使用可能なステープル高さウインドウによって示されるように、実行可能ステープル発射範囲のグラフ図である。
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、ステープル留め器具の例示的な発射のためのアンビル間隙及び組織圧縮力に対する時間を示す第1のペアのグラフのグラフ図である。
図25】本開示の少なくとも1つの態様による、ステープル留め器具の例示的な発射のためのアンビル間隙及び組織圧縮力に対する時間を示す第2のペアのグラフのグラフ図である。
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、有効な組織間隙、実際の間隙、正常な範囲間隙、及び範囲外の間隙を示す、電動円形ステープル留め装置の概略図である。
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、閾値と比較され感知されたパラメータに従って任意又は強制的なロックアウトを提供するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、組織間隙の範囲及び結果として生じるステープルの形態を示す図である。
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、3つの閉鎖する力(FTC)曲線に対する時間のグラフ図である。
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、閉鎖する力(FTC)曲線に対する時間の詳細なグラフ図である。
図31】本開示の少なくとも1つの態様による、トロカールの後退ストロークに沿った特定の主要点における、アンビル閉鎖速度調整を示す、グラフ及び関連する電動ステープル留め装置の図である。
図32】本開示の少なくとも1つの態様による、トロカールの後退ストロークに沿った特定の主要点における、電動ステープル留め装置のアンビル部分の閉鎖速度を調整するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
図33】本開示の少なくとも1つの態様による、トロカール位置を経時的に示す、グラフ及び関連する電動ステープル留め装置の図である。
図34】本開示の少なくとも1つの態様による、アンビルを適切な着座へと駆動するためのトロカール上の多方向着座運動を検出する制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
図35】本開示の少なくとも1つの態様による、左側にアンビル閉鎖部及び右側で作動するナイフ201616を示す、円形電動ステープル留め装置の部分概略図である。
図36】本開示の少なくとも1つの態様による、水平軸に沿ったクランプを閉鎖する力(FTC)の関数として、垂直軸に沿ったアンビル変位(δAnvil)のグラフ図である。
図37】本開示の少なくとも1つの態様による、左側で水平軸に沿ったナイフ201616速度(VK mm/秒)の関数として、また、右側で水平軸に沿ったナイフ201616の力(FK lbs)の関数として、垂直軸に沿ったナイフ201616変位(δKnife)のグラフ図201630である。
図38】本開示の少なくとも1つの態様による、ナイフストローク及び速度を調整するために、組織間隙及び発射力を検出するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
図39】本開示の少なくとも1つの態様による、図37に示されるような速度スパイクを伴う高い組織靭性速度プロファイルの下で、ナイフ201616を前進させるための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
図40】本開示の少なくとも1つの態様による、4つの所定のゾーンを有する、ステープルカートリッジを含む円形ステープラトロカールを示す円形ステープラの部分斜視図である。
図41】本開示の少なくとも1つの態様による、8つの所定のゾーンを有する、ステープルカートリッジを含む円形ステープラトロカールを示す円形ステープラの部分斜視図である。
図42】本開示の少なくとも1つの態様による、左側で、図40のステープルカートリッジ上に適切に配設された、予め配備されたステープルを含む2つの組織と、右側で、図40のステープルカートリッジ上に適切に配設された、予め配備されたステープルを含む2つの組織と、を示す図である。
図43】本開示の少なくとも1つの態様による、図41のステープルカートリッジ上に適切に配設された、予め配備されたステープルを含む2つの組織を示す図である。
図44】本開示の少なくとも1つの態様による、図41のステープルカートリッジ上に不適切に配設された、予め配備されたステープルを含む2つの組織を示す図である。
図45】本開示の少なくとも1つの態様による、図43の適切に配設された組織の組織インピーダンスシグネチャを示すグラフ図である。
図46】本開示の少なくとも1つの態様による、図44の不適切に配設された組織の組織インピーダンスシグネチャを示すグラフ図である。
図47】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの動作モードを選択するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
図48】本開示の少なくとも1つの態様による、感知されたパラメータに応答するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
図49】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な装置パラメータを制御するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の図である。
図50】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用システムを示すブロック図である。
図51】本開示の少なくとも1つの態様による、患者の電子医療記録(Electronic Medical Record、EMR)データベースと相互作用するための技術を示す図である。
図52】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。
図53】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具制御プログラムを更新する例示的な分析システムの図である。
図54】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブのための制御プログラム更新を適応的に生成するように構成されているコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの図である。
図55】本開示の少なくとも1つの態様による、例示的な円形ステープラの斜視図である。
図56】本開示の少なくとも1つの態様による、電池パックがハウジングアセンブリから取り外され、アンビルがステープル留めヘッドアセンブリから取り外された状態にある図55の円形ステープラの斜視図である。
図57】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ステープル留め器具の制御システムの図である。
図58】外科用器具機能の適応制御のための例示的な処理のフローチャート図である。
図59】本開示の少なくとも1つの態様による、例示的な電動円形ステープル留め器具を示す図である。
図60】例示的な電動円形ステープル留め器具上に表示される適応可能なステープル高さ動作範囲の例示的な表現を示す図である。
図61】ストローク制御動作モードで動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の例示的なフロー図である。
図62】負荷制御動作モードで動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の例示的なフロー図である。
図63】以前の構成制御動作モードで動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の例示的なフロー図である。
図64】負荷制御動作モードにおいて適応モータ制御を使用して動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の様々な態様を示す例示的な図である。
図65】負荷制御動作モードにおいて適応モータ制御で動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の例示的なフロー図である。
図66】負荷制御動作モードで動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の別の例示的なフロー図である。
図67】負荷制御動作モードで動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の別の例示的なフロー図である。
図68】以前の構成制御動作モードで動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の別の例示的なフロー図である。
図69】以前の構成制御動作モードで動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の別の例示的なフロー図である。
図70】以前の構成制御動作モードで動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の別の例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願の出願人は、以下の米国特許出願、特許公報、及び特許を所有しており、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
●2019年7月4日に公開された、「METHOD OF COMPRESSING TISSUE WITHIN A STAPLING DEVICE AND SIMULTANEOUSLY DISPLAYING THE LOCATION OF THE TISSUE WITHIN THE JAWS」と題する米国特許出願公開第20190200981号(2018年12月4日に出願された米国特許出願第16/209,423号)、
●2018年12月4日に出願された、METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAYと題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)、
●2018年12月4日に出願された、Method for adaptive control schemes for surgical network control and interactionと題する米国特許出願公開第20190206563(A1)号(米国特許出願第16/209,465号)、
●2018年12月4日に出願された、Method of hub communication,processing,display,and cloud analyticsと題する米国特許出願公開第20190206562(A1)号(米国特許出願第16/209,416号)、
●2018年11月6日に出願された、Powered stapling device configured to adjust force,advancement speed,and overall stroke of cutting member based on sensed parameter of firing or clampingと題する米国特許出願公開第20190201034(A1)号(米国特許出願第16/182,240号)、
●2018年11月6日に出願された、ADJUSTMENT OF STAPLE HEIGHT OF AT LEAST ONE ROW OF STAPLES BASED ON THE SENSED TISSUE THICKNESS OR FORCE IN CLOSINGと題する米国特許出願公開第20190200996(A1)号(米国特許出願第16/182,229号)、
●2018年11月6日に出願された、Stapling device with both compulsory and discretionary lockouts based on sensed parametersと題する米国特許出願公開第20190200997(A1)号(米国特許出願第16/182,234号)、
●2019年6月30日に出願された、SURGICAL SYSTEM WITH RFID TAGS FOR UPDATING MOTOR ASSEMBLY PARAMETERSと題する米国特許出願第16/458,117号、
●2018年12月4日に出願された、METHOD OF ROBOTIC HUB COMMUNICATION,DETECTION,AND CONTROLと題する米国特許出願公開第2019-0201137(A1)号(米国特許出願第16/209,407号)、
●2018年12月4日に出願された、METHOD OF CLOUD BASED DATA ANALYTICS FOR USE WITH THE HUBと題する米国特許出願公開第2019-0206569(A1)号(米国特許出願第16/209,403号)、
●2017年10月19日に公開された、SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENTと題する米国特許出願公開第2017/0296213号(米国特許出願第15/130,590号)、
●2016年5月24日に発行された、STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEMと題する米国特許第9,345,481号、
●2014年9月18日に公開された、STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEMと題する米国特許出願公開第2014/0263552号(米国特許出願第13/800,067号)、
●2017年6月20日に出願された、TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENTと題する米国特許出願公開第20180360452(A1)号(米国特許出願第15/628,175号)、
●2016年5月24日に発行された、STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEMと題する米国特許第9,345,481号、
●2017年6月20日に出願された、TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENTと題する米国特許出願公開第20180360452(A1)号(米国特許出願第15/628,175号)、
●2017年6月29日に出願された、CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENTと題する米国特許出願公開第20190000446(A1)号(米国特許出願第15/636,829号)、
●2017年9月29日に出願された、SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENTと題する米国特許出願公開第20190099180(A1)号(米国特許出願第15/720,852号)、
●2014年6月19日に公開された、「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Modular End Effector」と題する米国特許出願公開第2014/0166728号(米国特許出願第13/716,318号)、
●2016年2月2日に発行された、Systems and methods for predicting metabolic and bariatric surgery outcomesと題する米国特許第9,250,172号、
●2013年5月9日に公開された、Methods and compositions of bile acidsと題する米国特許出願公開第20130116218(A1)号(米国特許出願第13/631,095号)、
●2014年3月27日に公開された、Clinical predictors of weight lossと題する米国特許出願公開第20140087999(A1)号(米国特許出願第13/828,809号)、
●2013年7月2日に発行された、Methods of activating a melanocortin-4 receptor pathway in obese subjectsと題する米国特許第8,476,227号、
●2019年9月18日に出願された、METHOD FOR CALIBRATING MOVEMENTS OF ACTUATED MEMBERS OF POWERED SURGICAL STAPLERと題する米国特許出願第16/574,773号、
●2019年9月18日に出願された、METHOD FOR CONTROLLING CUTTING MEMBER ACTUATION FOR POWERED SURGICAL STAPLERと題する米国特許出願第16/574,797号、
●2019年9月18日に出願された、METHOD FOR CONTROLLING END EFFECTOR CLOSURE FOR POWERED SURGICAL STAPLERと題する米国特許出願第16/574,281号、
●2018年3月29日に出願された、CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTIONと題する米国特許出願公開第20190201119(A1)号(米国特許出願第15/940,694号)、
●2019年12月3日に発行された、SURGICAL INSTRUMENT WITH IMPROVED STOP/START CONTROL DURING A FIRING MOTIONと題する米国特許第10,492,783号、
●2018年12月4日に出願された、METHOD FOR CIRCULAR STAPLER CONTROL ALGORITHM ADJUSTMENT BASED ON SITUATIONAL AWARENESSと題する米国特許出願公開第20190200998(A1)号(米国特許出願第16/209,491号)、及び
●2018年3月29日に出願された、SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESSと題する米国特許出願公開第20190201140(A1)号(米国特許出願第15/940,654号)。
【0017】
例えば外科用ステープラなどの外科用器具と、例えばステープルカートリッジなどの取り外し可能な構成要素との間の通信能力を制御するためのシステム及び技術が開示される。外科用器具が、外科用器具及び取り外し可能な構成要素に関連付けられた1つ以上のパラメータを決定し得る。例えば、外科用器具は、外科用器具又は構成要素のうちの1つに関連付けられたソフトウェアバージョンを表すパラメータを決定し得る。外科用器具は、1つ以上のパラメータに基づいて、外科用器具と取り外し可能な構成要素との間で行われ得る通信のタイプ及び程度を決定し得る。例えば、外科用器具及び/又は取り外し可能な器具が最近のソフトウェアバージョンを含むことを示すパラメータに基づいて、外科用ステープラは、外科用器具と取り外し可能な構成要素との間で双方向通信が実施され得ると決定し得る。
【0018】
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100は、1つ以上の外科用システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージ装置105に連結されたリモートサーバ113を含み得るクラウド104)と、を含み得る。各外科用システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する少なくとも1つの外科用ハブ106を含み得る。一実施例では、図1に示すように、外科用システム102は、可視化システム108と、ロボットシステム110と、ハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含み、これらは、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成されている。いくつかの態様では、外科用システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個のハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、M、N、O及びPは、1以上の整数である。
【0019】
様々な態様では、可視化システム108は、図2に示すように、滅菌野に対して戦略的に配置される1つ以上の撮像センサと、1つ以上の画像処理ユニットと、1つ以上のストレージアレイと、1つ以上のディスプレイと、を含んでもよい。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS及びEMR用のインターフェースを含んでもよい。可視化システム108の様々な構成要素は、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された、METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAYと題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)の「Advanced Imaging Acquisition Module」と題する下に記載されている。
【0020】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114のオペレータに見えるように滅菌野に配置される。加えて、可視化タワー111が、滅菌野の外側に配置される。可視化タワー111は、互いに反対側を向いている、第1の非滅菌ディスプレイ107と、第2の非滅菌ディスプレイ109と、を含み得る。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109及び119を利用して、滅菌野の内側及び外側のオペレータへの情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106により、可視化システム108は、一次ディスプレイ119上に手術部位のライブ映像を維持しつつ、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109に表示してもよい。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットにより、例えば、非滅菌オペレータが、外科手術に関連する診断工程の実施を可能にすることができる。
【0021】
一態様では、ハブ106は、可視化タワー111において、非滅菌オペレータによって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌野内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台において、滅菌オペレータが見得るように構成されてもよい。一実施例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送り得る、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットへの修正の形態であってもよい。
【0022】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科手術において外科用システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成され得る。例えば、2018年12月4日に出願された、METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAYと題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。可視化タワー111において、非滅菌オペレータによって入力される診断入力又はフィードバックは、ハブ106によって、滅菌野内の外科用器具ディスプレイ115に送られ、これを外科用器具112のオペレータが見ることができる。外科用システム102と共に使用に適した例示的な外科用器具は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、例えば、2018年12月4日に出願された、METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAYと題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)に記載されている。
【0023】
図2は、外科用手術室116内の手術台114上に横たわっている患者に対して外科手術を実施するために使用されている外科用システム102の例を示す。ロボットシステム110は、外科手術において外科用システム102の一部として使用され得る。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含み得る。外科医が外科医のコンソール118を通して手術部位を見る間、患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開部を通して、少なくとも1つの取り外し可能に連結された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は、医療用撮像装置124によって取得され、この医療用撮像装置は、患者側カート120によって操作されて、撮像装置124の向きを変えることができる。ロボットハブ122を使用して、手術部位の画像を処理し、その後、外科医のコンソール118を通して、外科医のために表示することができる。
【0024】
他の種類のロボットシステムを、外科用システム102と共に使用するように容易に適応することができる。本開示と共に使用に適したロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された、METHOD OF ROBOTIC HUB COMMUNICATION,DETECTION,AND CONTROLと題する米国特許出願公開第2019-0201137(A1)号(米国特許出願第16/209,407号)に記載されている。
【0025】
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用に適したクラウドベース分析法の様々な実施例は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された、METHOD OF CLOUD BASED DATA ANALYTICS FOR USE WITH THE HUBと題する米国特許出願公開第2019-0206569(A1)号(米国特許出願第16/209,403号)に記載されている。
【0026】
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと、1つ以上の光学構成要素と、を含んでもよい。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0027】
撮像装置124の光学構成要素は、1つ以上の照明源、及び/又は1つ以上のレンズを含み得る。1つ以上の照明源は、術野の一部分を照明するように方向付けられてもよい。1つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0028】
1つ以上の照明源は、可視スペクトル並びに不可視スペクトル内の電磁エネルギーを照射するように構成され得る。可視スペクトルは、場合によっては、光スペクトルや発光スペクトルとも称され、人間の目に見える(すなわち、人間の目によって検出することができる)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と称されることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に応答する。
【0029】
不可視スペクトル(例えば、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長の)電磁スペクトルの一部分である。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線及びガンマ線電磁放射線になる。
【0030】
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性処置において使用するように構成されている。本開示と共に使用するために好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、膀胱鏡、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃カメラ)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
撮像装置は、マルチスペクトルモニタリングを使用して、トポグラフィ及び基礎構造を識別し得る。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトル全体から特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR、及び紫外からの光を含む特定の波長に対する感度を有する器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像により、人間の目がもつ赤、緑、青の受容体では取り込むことができない追加情報を抽出することが可能にある。マルチスペクトル撮像の使用は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された、METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAYと題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)の「Advanced Imaging Acquisition Module」と題する下に詳細に記載されている。マルチスペクトルモニタリングは、処置された組織に対して上述の試験のうちの1つ以上を実行するための手術タスクが完了した後に術野を再配置するのに有用なツールであり得る。いかなる外科手術においても手術室及び手術機器の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術室」、すなわち、手術室又は処置室において要求される厳格な衛生条件及び滅菌条件は、全ての医療装置及び機器の可能な最も高い滅菌性を必要とする。上記の滅菌プロセスの一部は、撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性がある。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、あるいは滅菌野は、外科手術の準備が整った患者の直ぐ周囲の領域と見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0032】
ここで図3を参照すると、可視化システム108、ロボットシステム110及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信するハブ106が示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135と、撮像モジュール138と、発生器モジュール140と、通信モジュール130と、プロセッサモジュール132と、ストレージアレイ134と、手術室マッピングモジュール133と、を含む。特定の態様では、図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。外科手術中、封止及び/又は切断のために、組織へエネルギーを印加することは、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注と関連付けられる。異なる供給源からの流体ライン、電力ライン及び/又はデータラインは、外科手術中に絡まり合うことが多い。外科手術中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式エンクロージャ136は、電力ライン、データライン、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科手術において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブエンクロージャと、ハブエンクロージャのドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ接点及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールはまた、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、リモート手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。一態様では、上記の流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、リモート手術部位から、ハブエンクロージャ内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在している。一態様では、ハブエンクロージャは、流体インターフェースを備える。一部特定の外科手術は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式エンクロージャ136が様々な発生器を収容して、これらの間のインタラクティブ通信を促進するように構成されているという解決法を提示する。ハブのモジュール式エンクロージャ136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科手術で使用するためのモジュール式外科用エンクロージャを提示する。モジュール式外科用エンクロージャは、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。上記に加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、組織に印加するために、第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーを発生させるように構成されている第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ接点及び第2の電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力接点及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力接点及び第2のデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成されている、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを含む。図3を参照すると、本開示の態様は、発生器モジュール140、排煙モジュール126、及び吸引/灌注モジュール128のモジュール式統合を可能にするハブのモジュール式エンクロージャ136について提示されている。ハブのモジュール式エンクロージャ136は、モジュール140とモジュール126とモジュール128と間のインタラクティブ通信を更に促進する。発生器モジュール140は、ハブのモジュール式エンクロージャ136内に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット内に支持された一体型単極構成要素、双極構成要素、及び超音波構成要素を有する発生器モジュールとすることができる。発生器モジュール140を、単極装置142、双極装置144、及び超音波装置146に接続するように構成することができる。代替的に、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式エンクロージャ136を介して相互作用する一連の単極発生器モジュール、双極発生器モジュール及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。ハブのモジュール式エンクロージャ136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式エンクロージャ136にドッキングされた発生器間のインタラクティブ通信と、を促進するように構成されてもよい。
【0033】
図4は、医療施設の1つ以上の手術室、又は外科手術用に特別に装備された医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えば、ストレージ装置205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されているモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203はまた、ローカルコンピュータシステム210に連結することができ、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント又は切り替え式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェント外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機構を含む。インテリジェント外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0034】
手術室に位置するモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、リモートデータ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0035】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科手術中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0036】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ、ネットワークスイッチ及びネットワークルータとの組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、コンピューティングリソースを共有することに依存することは理解されるであろう。「クラウド」という語は、「インターネット」の隠喩として使用され得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、「クラウドコンピューティング」という用語は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために使用することができ、この場合、サーバ、ストレージ及びアプリケーションなどの様々なサービスは、インターネットを介して、手術室(例えば、固定式、移動式、一時的又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、かつモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて多数の計算を実施することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0037】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的結果の改善、コスト低減及び患者満足度の改善をもたらすことができる。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織のサンプルの画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病理を識別するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。これには、組織の位置特定及び限界確認並びに表現型を含み得る。撮像装置と一体化された様々なセンサを使用し、かつ複数の撮像装置によって捕捉された画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を識別するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを決定することによって、外科手術の結果を改善するために分析されてもよい。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に用いてもよく、標準化された手法を使用することは、外科的治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科的治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0038】
手術室装置1a~1nは、ネットワークハブへの装置1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又は無線チャネルを介してモジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(Open System Interconnection、OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供し得る。ネットワークハブ207は、パケットの形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信し得る。ネットワークハブ207は、装置データを転送するためのいかなる媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(media access control、MAC/Internet Protocol、IP)も記憶し得ない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関するルーティングテーブル又は知識を有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体及びクラウド204上のリモートサーバ213(図4)にブロードキャストし得る。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0039】
手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続され得る。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置であり得る。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能し得る。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0040】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結され得る。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ、又はそれら全部によって収集されたデータを更に処理し、操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケットの形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能し得る。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0041】
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線機能又は無線機能を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために用いられてもよい。
【0042】
実施例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換するため(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信してもよい。手術室装置1a~1n/2a~2mは、数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができ、そのような規格又はプロトコルとしては、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、新無線(NR)、ロングタームエボリューション(LTE)並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT及びこれらのイーサネット派生物のみならず3G、4G、5G及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるが、これらに限定されない。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどのより短距離の無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどのより長距離の無線通信専用であってもよい。
【0043】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mのうちの1つ、又はその全部のための中央接続部として機能し、フレームとして知られるデータ型を取り扱い得る。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送し得る。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されたとき、フレームは、増幅されてネットワークルータ211に送信され、ネットワークルータ211は、本明細書に記載されるように、数多くの無線通信規格又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによって、データをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0044】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよいか、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、設置、構成、及び維持が一般に容易であり得るため、モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0045】
図5は、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、多くの点で外科用システム102と類似する1つ以上の外科用システム202を含む。各外科用システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。図6に示すように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。
【0046】
図5の実施例に示すように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結され得る撮像モジュール238と、エネルギー装置241に連結され得る発生器モジュール240と、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228と、通信モジュール230と、プロセッサモジュール232と、ストレージアレイ234と、ディスプレイ237に任意選択的に連結されてもよいスマート装置/器具235と、非接触センサモジュール242と、に連結され得る。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結され得る。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。とりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載されるように、有線又は無線通信規格又はプロトコルを介して、モジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、モジュール式制御タワーに接続された装置から受信されたデータを、画像及び重ね合わせられた画像と共に表示してもよい。
【0047】
図6は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えばローカルでの処理、可視化及び撮像を行うためのコンピュータシステム210と、を備え得る。図6に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送してもよい。図6に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチの各々は、3つの下流ポートと、1つの上流ポートと、を含み得る。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続され得る。クラウド204への通信は、有線通信チャネル又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0048】
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、超音波非接触測定装置又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して手術室のマップを生成してもよい。超音波ベースの非接触センサモジュールは、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された、METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAYと題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」と題する下に詳細が記載されているように、超音波のバーストを送信し、それが手術室の周囲壁から跳ね返ったときにエコーを受信することによって、手術室を走査することができ、センサモジュールは、手術室のサイズを決定し、Bluetoothペアリング距離制限を調整するように構成されている。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信することによって手術室を走査し、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して、手術室のサイズを決定し、Bluetoothペアリング距離制限を調整し得る。
【0049】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244と、ネットワークインターフェース245と、を備え得る。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250及び入力/出力インターフェース251に連結され得る。システムバスは、任意の様々な利用可能なバスアーキテクチャを使用する、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造のうちのいずれかであってもよく、それらのアーキテクチャの例としては、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周辺装置相互接続(PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、小型計算機システムインターフェース(SCSI)又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)及び/又は、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0051】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラベースのファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0052】
システムメモリは、揮発性メモリと、不揮発性メモリと、を含み得る。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0053】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性のコンピュータストレージ媒体、例えばディスク記憶装置などを含んでもよい。ディスク記憶装置としては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード又はメモリスティックのような装置が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスク記憶装置は、上記の記憶媒体を、独立して、又は他の記憶媒体との組み合わせで含むことができる。他の記憶媒体としては、コンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない。ディスク記憶装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0054】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含み得ることを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられ得る。ディスク記憶装置上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能し得る。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスク記憶装置上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用し得る。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0055】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力し得る。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティング装置、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポートを介し、システムバスを通じてプロセッサに接続する。インターフェースポートとしては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート及びUSBが挙げられる。出力装置は、入力装置と同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、コンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とし得る出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ及びプリンタなどのいくつかの出力装置であり得ることを示すために提供される。出力アダプタとしては、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられるが、これは例示としてのものであり、限定するものではない。リモートコンピュータなどの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供し得ることに留意されたい。
【0056】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータなどの1つ以上のリモートコンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。リモートクラウドコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置又は他の一般的なネットワークノードなどであり得るが、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、リモートコンピュータと共に、メモリストレージ装置のみが示される。リモートコンピュータは、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続を介して物理的に接続され得る。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含し得る。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられ得る。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク並びにデジタル加入者回線(DSL)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0057】
様々な態様では、図6のコンピュータシステム210、図5図6の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(DSP)を備えてもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを用いて速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実施することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0058】
通信接続とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのため通信接続はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続部はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術が挙げられ得る。
【0059】
図7は、本開示の1つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。システム470は、制御回路を備え得る。制御回路は、プロセッサ462及びメモリ468を備えるマイクロコントローラ461を含み得る。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ以上が、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータドライバ492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、Iビームナイフ要素を駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を決定するように構成され得る。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を決定するようにプログラム又は構成され得るプロセッサ462に提供される。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ473は、器具の様々な動作条件を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含み得る。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
【0060】
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ以上のPWMモジュール、1つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0061】
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラベースのファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0062】
マイクロコントローラ461は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実施するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462と、メモリ468と、を含んでもよい。電気モータ482は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。一態様では、モータドライバ492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバを、絶対位置付けシステムを備える追跡システム480で使用するために容易に代用することができる。絶対位置付けシステムに関する詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0063】
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較され、「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの決定に使用される。観測された応答は、シミュレートされた応答の滑らかで連続的な性質と、測定された応答とのバランスをとる好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0064】
いくつかの実施例では、モータ482を、モータドライバ492によって制御してもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって用いることができる。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。いくつかの実施例では、モータ482は、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでもよい。モータドライバ492は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドルアセンブリ又はツールハウジングに解除可能に装着された電源アセンブリによって給電され得る。電源アセンブリは、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を備えてもよい。特定の状況下では、電源アセンブリの電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリに連結可能かつ電源アセンブリから分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0065】
モータドライバ492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941 492は、ブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として特に設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラであってもよい。ドライバ492は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を使用して高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。パワーFETは、抵抗器で調整可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護され得る。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を示すものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータドライバを、絶対位置付けシステムを備えた追跡システム480で使用するために容易に代用することができる。
【0066】
追跡システム480は、本開示の一態様による位置センサ472を備える制御されたモータ駆動回路配置を備え得る。絶対位置付けシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供し得る。いくつかの実施例では、変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す場合がある。いくつかの実施例では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適応され、構成され得る発射部材を表す場合がある。いくつかの実施例では、変位部材は発射バー又はIビームを表してもよく、その各々を、駆動歯のラックを含むように適応し、構成することができる。したがって、本明細書で使用するとき、変位部材という用語を、駆動部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具又はツールの任意の移動可能な部材を一般的に指すために、使用することができ。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材を、発射部材、発射バー、及びIビームに連結することができる。したがって、絶対位置付けシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、Iビームの直線変位を追跡することができる。様々な態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結されてもよい。直線変位センサは、接触式変位センサ又は非接触式変位センサを含んでもよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線状に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線状に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0067】
電気モータ482は、変位部材上の駆動歯の組又はラックと噛合係合で装着されるギアアセンブリと動作可能にインターフェースする回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくつかの直線長手方向並進に対応するように、ギアアセンブリに動作可能に連結されてもよい。ギアリング及びセンサの構成は、ラックピニオン構成によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置付けシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置付けシステムの出力を表示し得る。変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表し得る。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組み合わせを表す場合がある。
【0068】
位置センサ472と関連付けられたセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材に連結されたセンサ素子の1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離であり得る。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して連結されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0069】
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1よりも大きい整数である)が、単独で、又はギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態は、マイクロコントローラ461にフィードバックされ、マイクロコントローラ461は、論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を決定し得る。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0070】
位置センサ472は、例えば、全磁界又は磁界のベクトル成分を測定するかどうかに従って分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために使用される技術は、物理学及び電子工学の多数の態様を含み得る。磁界の感知に使用される技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサが挙げられ得る。
【0071】
一態様では、絶対位置付けシステムを備える追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置付けシステムを備えてもよい。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ472は、マイクロコントローラ461とインターフェースされて絶対位置付けシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に位置し得る位置センサ472のエリアに、4つのホール効果素子を含み得る。また、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラがチップ上に設けられ得る。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔で効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(CORDIC)プロセッサが設けられ得る。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に送信され得る。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度をもたらし得る。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4x4x0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0072】
絶対位置付けシステムを備える追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源は、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサが設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサとしては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ配置を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置付けシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置付けシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置付けシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを使用して、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮してもよい。
【0073】
変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、モータ482がとった前方又は後方へのステップの数を単に計数して装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、絶対位置付けシステムは、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供する。
【0074】
例えば、歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに印加される閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ以上のパラメータを測定するように構成され得る。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。センサ474の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムによってアンビルに加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定することができる。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームを発射バーによって遠位に前進させる際に、Iビームはまた、組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含んでもよい。代替的に、モータ482により引き込まれる電流を測定するために、電流センサ478を用いることができる。発射部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に対応し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0075】
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療されている組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に印加された力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ以上のパラメータを測定するように構成され得る微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を備えてもよい。一態様では、歪みゲージセンサ474は、組織圧縮を示し得る、クランプ動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は規模を測定することができる。測定された歪みを、デジタル信号に変換し、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供することができる。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を動作させるために使用される力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0076】
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0077】
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、図5及び図6に示されるようにモジュール式通信ハブ203と通信するための有線通信回路又は無線通信回路を備えてもよい。
【0078】
図8は、様々な機能を実施するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実施することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実施することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実施することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実施することができる、といった具合である。特定の例では、ロボット外科用器具600の複数のモータは個々に起動されて、エンドエフェクタにおいて発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフトアセンブリを介してエンドエフェクタに伝達することができる。
【0079】
特定の例では、外科用器具システム又はツールは発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、具体的にはIビーム要素を変位させるために、モータ602によって生成された発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成することができる、発射モータ駆動アセンブリ604に動作可能に連結されてもよい。特定の例では、モータ602によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルをステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織内へと配備し、かつ/又はIビーム要素の切刃を前進させて、捕捉された組織を切断してもよい。Iビーム要素は、モータ602の方向を逆転させることによって後退させることができる。
【0080】
特定の例では、外科用器具又はツールは、閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動アセンブリ605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、エンドエフェクタは、例えば、組織を捕捉する、開放構成から接近構成へと移行することができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に移行され得る。
【0081】
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。モータ606a、606bは、モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、対応する関節運動モータ駆動アセンブリ608a、608bに動作可能に連結され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0082】
本明細書に記載されるように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成され得る複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止した状態を維持している間に、個別に又は別個に起動させて、1つ以上の機能を実施することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。代替的に、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止した状態を維持している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は切刃を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管及びIビーム要素を遠位に前進させるために、発射モータ602と同時に起動されてもよい。
【0083】
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータと共に用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、ロボット外科用器具の複数のモータに対して個々に連結可能かつ分離可能であってもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に個別にかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうちの一方とのインターフェース接続から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちのもう一方とのインターフェース接続へと選択的に切り替えることができる。
【0084】
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、図8に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は移行させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に連結してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に連結してもよく、第3の位置618aでは、例えば、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に連結してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
【0085】
モータ602、603、606a、606bの各々は、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の様式で感知されてもよい。
【0086】
様々な例では、図8に示されるように、共通の制御モジュール610は、1つ以上のHブリッジFETを備え得るモータドライバ626を備えてもよい。モータドライバ626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に連結されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、本明細書に記載されるように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に連結されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を決定することができる。
【0087】
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、様々なプログラム命令を記憶し、それが実行されると、プロセッサ622に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させてもよい。特定の例では、メモリユニット624のうちの1つ以上が、例えば、プロセッサ622に連結されてもよい。
【0088】
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給することができる。特定の例では、電源628は、例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「電源パック」)を備えてもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0089】
様々な例では、プロセッサ622は、モータドライバ626を制御して、共通の制御モジュール610に連結されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータドライバ626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に連結されるモータを停止及び/又は無効化することができる。「プロセッサ」という用語は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(central processing unit、CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合した他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受け取り、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的プログラマブル装置とすることができる。これは、内部メモリを有し得るので、逐次的デジタル論理の一実施例であり得る。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作し得る。
【0090】
プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えばTexas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な機能の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ以上のPWMモジュール、1つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0091】
メモリ624は、共通の制御モジュール610に連結可能な外科用器具600のモータの各々を制御するプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
【0092】
例えば、センサ630などの1つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警報することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警報することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを備えてもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのIビームの発射と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
【0093】
図9は、本開示の少なくとも1つの態様による、状況認識外科用システム5100の図を示す。一部の例示では、データソース5126は、例えば、モジュール式装置5102(患者及び/又はモジュール式装置自体に関連付けられたパラメータを検出するように構成されているセンサを含み得る)と、データベース5122(例えば、患者記録を含むEMRデータベース)と、患者監視装置5124(例えば、血圧(BP)モニタ、及び心電図(EKG)モニタ)と、を含んでもよい。外科用ハブ5104は、例えば、受信したデータの特定の組み合わせ又はデータソース5126からデータが受信される特定の順序に基づいて、データから外科手術に関するコンテキスト情報を導出するように構成され得る。受信されたデータから推測されるコンテキスト情報は、例えば、実施される外科手術の種類、外科医が実行している外科手術の特定の工程、手術されている組織の種類、又は処置の対象である体腔を含むことができる。受信されたデータから外科手術に関する情報を導出又は推測するための外科用ハブ5104のいくつかの態様に係わるこの機能は、「状況認識」と称する場合もある。一例示では、外科用ハブ5104は、受信されたデータから外科手術に関連するコンテキスト情報を導出する外科用ハブ5104に関連付けられたハードウェア及び/又はプログラミングである状況認識システムを組み込むことができる。
【0094】
外科用ハブ5104の状況認識システムは、様々な異なる方法でデータソース5126から受信されたデータから、コンテキスト情報を導出するように構成することができる。一例示では、状況認識システムは、様々な入力(例えば、データベース5122、患者監視装置5124、及び/又はモジュール式装置5102からのデータ)を、外科手術に関する対応するコンテキスト情報と相関させるために、訓練データで訓練されたパターン認識システム又は機械学習システム(例えば、人工ニューラルネットワーク)を含むことができる。言い換えると、機械学習システムは、提供された入力から外科手術に関するコンテキスト情報を正確に導出するように訓練することができる。実施例では、状況認識システムは、外科手術に関する事前に特性評価されたコンテキスト情報を、そのコンテキスト情報に対応する1つ以上の入力(又は、入力の範囲)と関連付けて記憶する、ルックアップテーブルを含むことができる。1つ以上の入力によるクエリに応答して、ルックアップテーブルは、モジュール式装置5102を制御するために状況認識システムの対応するコンテキスト情報を返すことができる。実施例では、外科用ハブ5104の状況認識システムによって受信されたコンテキスト情報を、1つ以上のモジュール式装置5102の特定の制御調整、又は一連の制御調整に関連付けることができる。実施例では、状況認識システムは、コンテキスト情報を入力として提供されたとき、1つ以上のモジュール式装置5102の1つ以上の制御調整を生成又は読み出す、更なる機械学習システム、ルックアップテーブル、又は他のそのようなシステムを含むことができる。
【0095】
状況認識システムを組み込む外科用ハブ5104は、外科用システム5100に多くの利点をもたらすことができる。1つの利点は、感知され、収集されたデータの解釈を改善することを含み得、これは、外科手術の過程中の処理精度、及び/又はデータの使用を改善させる。以前の例に戻ると、状況認識外科用ハブ5104は、どの種類の組織が手術されたかを決定することができ、したがって、外科用器具のエンドエフェクタを閉鎖する想定外に高い力が検出されたとき、状況認識外科用ハブ5104は、組織の種類に合わせて外科用器具のモータを正しく加速、又は減速させることができる。
【0096】
手術されている組織の種類は、特定の組織間隙測定用の外科用ステープル留め及び切断器具の圧縮速度と負荷閾値になされる調整に影響を及ぼすことがある。状況認識外科用ハブ5104は、実施されている外科手術が胸部手術であるのか、又は腹部手術であるのかを推測することができ、これにより、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具のエンドエフェクタによってクランプされている組織が肺であるのか(胸部手術の場合)、又は胃であるのか(腹部手術の場合)を決定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具の圧縮速度及び負荷閾値を、組織の種類に合わせて適切に調整することができる。
【0097】
送気処置中に手術されている体腔の種類は、排煙器の機能に影響を及ぼすことがある。状況認識外科用ハブ5104は、手術部位が(外科手術が送気を利用していると決定することによって)圧力下にあるか否かを決定し、処置種類を決定することができる。任意の処置種類を特定の体腔内で一般に実施することができるので、外科用ハブ5104は、手術されている体腔に合わせて適切に排煙器のモータ速度を制御することができる。かくして、状況認識外科用ハブ5104は、胸部手術及び腹部手術の両方用に一貫した量の排煙を提供することができる。
【0098】
実施されている処置の種類は、超音波外科用器具又は高周波(RF)電気外科用器具が動作するために最適なエネルギーレベルに、影響を及ぼすことがある。例えば、関節鏡処置では、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエンドエフェクタが流体中に浸漬されるので、高いエネルギーレベルを必要とすることがある。状況認識外科用ハブ5104は、外科手術が関節鏡処置であるか否かを決定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、流体充填環境を補償するために、発生器のRF電力レベル又は超音波振幅(すなわち、「エネルギーレベル」)を調整することができる。関連して、手術されている組織の種類は、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、どの種類の外科手術が実施されているかを決定し、次いで、外科手術について予想される組織形状に従って、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルをそれぞれカスタマイズすることができる。更に、状況認識外科用ハブ5104は、単に処置毎にではなく、外科手術の過程にわたって、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルを調整するように構成することができる。状況認識外科用ハブ5104は、外科手術のどの工程が実施されているか、又は引き続き実施されるかを決定し、次いで、発生器、及び/又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具の制御アルゴリズムを更新して、外科手術の工程に従って予想される組織種類に適切な値までエネルギーレベルを設定することができる。
【0099】
実施例では、外科用ハブ5104が1つのデータソース5126から導き出される結論を改善するために、追加のデータソース5126から、データを導出することもできる。状況認識外科用ハブ5104は、モジュール式装置5102から受信したデータを、他のデータソース5126から外科手術に関して構築したコンテキスト情報で強化することができる。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、医療用撮像装置から受信したビデオ又は画像データに従って、止血が行われたか否か(すなわち、手術部位での出血が止まったか否か)を決定するように構成することができる。しかしながら、場合によっては、ビデオ又は画像データは、決定的ではない可能性がある。したがって、一例示では、外科用ハブ5104は、生理学的測定(例えば、外科用ハブ5104へと通信可能に接続されたBPモニタで感知された血圧)を、(例えば、外科用ハブ5104へと通信可能に連結された医療用撮像装置124(図2)からの)止血の視覚データ又は画像データと比較して、ステープル線又は組織溶着の完全性に関する決定を行うように更に構成することができる。言い換えると、外科用ハブ5104の状況認識システムは、生理学的測定データを考慮して、可視化データを分析する際に追加のコンテキストを提供することができる。追加のコンテキストは、可視化データがそれ自体では決定的ではないか、又は不完全であり得る場合に有用となり得る。
【0100】
例えば、状況認識外科用ハブ5104は、処置の後続の工程で器具の使用が必要であると決定された場合に、RF電気外科用器具が接続されている発生器を積極的に起動させてもよい。エネルギー源を積極的に起動することにより、処置の先行する工程が完了すると直ぐに器具の使用準備を完了することができる。
【0101】
状況認識外科用ハブ5104は、外科医が見る必要があると予想される手術部位の特徴に従って、外科手術の現在の工程、又は後続の工程が、ディスプレイ上の異なるビューや倍率を必要とするか否かを決定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、表示されたビュー(例えば、可視化システム108用に医療用撮像装置によって供給される)を積極的に変更することができ、これにより、ディスプレイは外科手術にわたって自動的に調整する。
【0102】
状況認識外科用ハブ5104は、外科手術のどの工程が実施されているか、又は次に実施されるか、及び特定のデータ又はデータ間の比較が外科手術の該当工程に必要とされるか否かを決定することができる。外科用ハブ5104は、外科医が特定の情報を要求するのを待つことなく、実施されている外科手術の工程に基づいて、データスクリーンを自動的に呼び出すように構成することができる。
【0103】
外科手術のセットアップ中に、又は外科手術の過程中に、エラーをチェックしてもよい。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、手術室が、実施されるべき外科手術用に適切に又は最適にセットアップされているか否かを決定してもよい。外科用ハブ5104は、実施されている外科手術の種類を決定し、(例えば、メモリから)対応するチェックリスト、用品位置、又はセットアップ要件を読み出し、次いで、現在の手術室のレイアウトを、外科用ハブ5104が決定した実施されている外科手術の種類の標準レイアウトと比較するように構成することができる。一部の例示では、外科用ハブ5104は、処置のためのアイテムリスト、及び/又は外科用ハブ5104とペアリングされた装置のリストを、所与の外科手術のためのアイテム及び/又は装置の推奨される若しくは予想されるマニフェストと比較するように構成することができる。リスト間に分断が存在する場合、外科用ハブ5104は、特定のモジュール式装置5102、患者監視装置5124、及び/又は他の手術用アイテムが欠落していることを示す警報を与えるように構成することができる。一部の例示では、外科用ハブ5104は、例えば、近接センサによってモジュール式装置5102及び患者監視装置5124の相対距離又は相対位置を決定するように構成することができる。外科用ハブ5104は、装置の相対位置を、特定の外科手術用に推奨又は予想されるレイアウトと比較することができる。レイアウト間に分断が存在する場合、外科用ハブ5104は、外科手術の現在のレイアウトが推奨レイアウトから逸脱していることを示す警報を与えるように構成することができる。
【0104】
状況認識外科用ハブ5104は、外科医(又は、他の医療従事者)が誤りを犯しているか否か、又は外科手術の過程中に予想される一連の行為から逸脱しているか否かを決定することができる。例えば、外科用ハブ5104は、実施されている外科手術の種類を決定し、(例えば、メモリから)機器使用の工程又は順序の対応リストを読み出し、次いで、外科手術の過程中に実施されている工程又は使用されている機器を、外科用ハブ5104が決定した実施されている外科手術の種類の予想される工程又は機器と比較するように構成することができる。一部の例示では、外科用ハブ5104は、外科手術における特定の工程で想定外の行為が実施されているか、又は想定外の装置が利用されていることを示す警報を与えるように構成することができる。
【0105】
外科用器具(及び他のモジュール式装置5102)は、各外科手術の特定の状況に合わせて調整されてもよく(異なる組織の種類への調整など)、外科手術中の動作を検証してもよい。次の工程、データ、及び表示調整は、処置の特定の状況に従って、手術室内の外科用器具(及び他のモジュール式装置5102)に提供され得る。
【0106】
図10は、例示的な外科手術と、外科手術の各工程でデータソース5126から受信されたデータから外科用ハブ5104が導出し得るコンテキスト情報とのタイムライン5200を示す。図9に示されるタイムライン5200の以下の説明では、図9も参照されたい。タイムライン5200は、手術室のセットアップで始まり、患者を術後回復室に移送することで終了する肺区域切除術の過程中に、看護師、外科医及び他の医療従事者がとるであろう一般的な工程を示し得る。状況認識外科用ハブ5104は、外科手術の過程全体にわたって、医療従事者が外科用ハブ5104とペアリングされたモジュール式装置5102を使用するたびに発生するデータを含むデータを、データソース5126から受信し得る。外科用ハブ5104は、ペアリングされたモジュール式装置5102及び他のデータソース5126からこのデータを受信して、任意の所与の時間に処置のどの工程が行われているかなどの新しいデータが受信されると、進行中の処置に関する推定(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導出することができる。外科用ハブ5104の状況認識システムは、例えば、報告を生成するために処置に関するデータを記録し、医療従事者によってとられている工程を検証し、特定の処置ステップに関連し得るデータ又はプロンプトを(例えば、表示画面を介して)提供し、コンテキストに基づいてモジュール式装置5102を調整し(例えば、モニタを起動する、医療用撮像装置のFOVを調整する、又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具のエネルギーレベルを変更する)、本明細書に記載の任意の他のこうした動作を行うことが可能である。
【0107】
この例示的な処置における第1の工程5202として、病院職員は、病院のEMRデータベースから、患者のEMRを読み出してもよい。EMRにおいて選択された患者データに基づいて、外科用ハブ5104は、実施される処置が胸部手術であることを決定する。第2の5204では、職員は、処置のために到来する医療用品をスキャンし得る。外科用ハブ5104は、スキャンされた用品を様々な種類の処置において利用され得る用品のリストと相互参照し、用品の組み合わせが、胸部処置に対応することを確認する。更に、外科用ハブ5104はまた、(到来する用品が、胸部楔形切除術に必要な特定の用品を含まないか、又は別の点で胸部楔形切除術に対応していないかのいずれかであるので)処置が楔形切除術ではないと決定し得る。第3の5206では、医療従事者は、外科用ハブ5104に通信可能に接続されたスキャナを介して患者バンドをスキャン5128し得る。次いで、外科用ハブ5104は、スキャンされたデータに基づいて患者の身元を確認することができる。第4の5208では、医療職員が補助装置をオンにする。利用されている補助装置は、外科手術の種類、及び外科医が使用する技術に従って変動し得るが、この例示的なケースでは、排煙器、送気器及び医療用撮像装置が挙げられる。起動されると、モジュール式装置5102である補助装置は、その初期化プロセスの一部として、モジュール式装置5102の特定の近傍内に位置し得る外科用ハブ5104と自動的にペアリングすることができる。次いで、外科用ハブ5104は、この術前又は初期化段階中にそれとペアリングされるモジュール式装置5102の種類を検出することによって、外科手術に関するコンテキスト情報を導出することができる。この特定の実施例では、外科用ハブ5104は、ペアリングされたモジュール式装置5102のこの特定の組み合わせに基づいて、外科手術がVATS手術であると決定してもよい。患者のEMRからのデータの組み合わせ、処置に用いられる医療用品のリスト、及びハブに接続するモジュール式装置5102の種類に基づいて、外科用ハブ5104は、外科チームが実施する特定の処置を概ね推定することができる。外科用ハブ5104が、何の特定の処置が行われているかを知ると、次いで外科用ハブ5104は、メモリから、又はクラウドからその処置の工程を読み出し、次いで接続されたデータソース5126(例えば、モジュール式装置5102及び患者監視装置5124)からその後受信したデータを相互参照して、外科手術のどの工程を外科チームが実行しているかを推定することができる。第5の5210では、職員は、EKG電極及び他の患者監視装置5124を患者に取り付ける。EKG電極及び他の患者監視装置5124は、外科用ハブ5104とペアリングし得る。外科用ハブ5104が患者監視装置5124からデータの受信を開始すると、外科用ハブ5104は、例えば、プロセス5207で説明するように、患者が手術室にいることを確認し得る。第6の5212では、医療従事者は患者に麻酔をかけ得る。外科用ハブ5104は、例えば、EKGデータ、血圧データ、ベンチレータデータ又はこれらの組み合わせを含む、モジュール式装置5102、及び/又は患者監視装置5124からのデータに基づいて、患者が麻酔下にあることを推測することができる。第6の工程5212が完了すると、肺区域切除術の術前部分が完了し、手術部が開始する。
【0108】
第7の5214では、手術されている患者の肺が(換気が対側肺に切り替えられる間に)虚脱され得る。外科用ハブ5104は、例えば、患者の肺が虚脱されたことをベンチレータデータから推測することができる。外科用ハブ5104は、患者の肺が虚脱したことの検出を、処置の予期される工程(予めアクセス又は読み出すことができる)と比較し得るため、処置の手術部分が開始したことを推定して、それによって肺を虚脱させることが、この特定の処置における第1の手術工程であると決定することができる。第8の5216では、医療用撮像装置5108(例えば、スコープ)が挿入され、医療用撮像装置からのビデオを開始し得る。外科用ハブ5104は、医療用撮像装置への接続を通じて医療用撮像装置データ(すなわち、ビデオ又は画像データ)を受信し得る。医療用撮像装置データを受信すると、外科用ハブ5104は、外科手術の腹腔鏡部分が開始したことを決定することができる。更に、外科用ハブ5104は、行われている特定の処置が、肺葉切除術とは対照的に区域切除術であると決定することができる(処置の第2の工程5204で受信したデータに基づいて、楔形切除術は外科用ハブ5104によって既に考慮に入れられていないことに留意されたい)。医療用撮像装置124(図2)からのデータを利用して、様々な方法で、例えば、患者の解剖学的構造の可視化に対して向けられている医療用撮像装置の角度を決定することによって、利用されている(すなわち、起動されており、外科用ハブ5104とペアリングされている)数又は医療用撮像装置を監視することによって、及び利用されている可視化装置の種類を監視することによって、行われている処置の種類に関するコンテキスト情報を決定することができる。例えば、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は、カメラを患者の胸腔の前下方角部の横隔膜上方に配置するが、他方、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、カメラを、区域裂に対して前方の肋間位置に配置してもよい。状況認識システムは、例えば、パターン認識技術又は機械学習技術を使用して、患者の解剖学的構造の可視化に従って、医療用撮像装置の位置を認識するように訓練することができる。VATS肺葉切除術を実施するための例示的な技術は、単一の医療用撮像装置を利用し得る。VATS区域切除術を実施するための例示的な技術は、複数のカメラを利用する。VATS区域切除術を実施するための例示的な技術は、区域裂を可視化するために赤外線光源(可視化システムの一部として外科用ハブへと通信可能に連結できる)を利用するが、これはVATS肺葉切除術では利用されない。医療用撮像装置5108からのこのデータのいずれか又は全てを追跡することによって、外科用ハブ5104は、行われている特定の種類の外科手術、及び/又は特定の種類の外科手術に使用されている技術を決定することができる。
【0109】
第9の5218では、外科チームは、処置の切開工程を開始し得る。外科用ハブ5104は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器からのデータを受信するため、外科医が患者の肺を切開して分離するプロセスにあると推定することができる。外科用ハブ5104は、受信したデータを外科手術の読み出しされた工程と相互参照して、プロセスのこの時点(すなわち、上述された処置の工程が完了した後)で発射されているエネルギー器具が切開工程に対応していると決定することができる。第10の5220では、外科チームは、処置の結紮工程に進み得る。外科用ハブ5104は、器具が発射されていることを示すデータを外科用ステープル留め及び切断器具から受信し得るので、外科医が動脈及び静脈を結紮していると推定することができる。前工程と同様に、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、読み出しされたプロセス内の工程と相互参照することによって、この推定を導出することができる。第11の5222では、処置の区域切除術の部分を実施することができる。外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータ(そのカートリッジからのデータを含む)に基づいて、外科医が実質組織を横切開していると推定することができる。カートリッジのデータは、例えば、器具によって発射されているステープルのサイズ又はタイプに対応することができる。異なる種類のステープルが異なる種類の組織に利用されるので、カートリッジのデータは、ステープリング及び/又は横切開されている組織の種類を示すことができる。この場合、発射されているステープルの種類は実質組織(又は他の同様の組織種)に利用され、これにより、外科用ハブ5104は、処置の区域切除術の部分が行われていると推定することができる。続いて第12の工程5224で、結節切開工程が行われる。外科用ハブ5104は、RF又は超音波器具が発射されていることを示す、発生器から受信したデータに基づいて、外科チームが結節を切開し、漏れ試験を行っていると推定することができる。この特定の処置の場合、実質組織が横切開された後に利用されるRF又は超音波器具は結節切開工程に対応しており、これにより外科用ハブ5104がこの推定を行うことができる。異なる器具が特定のタスクに対して良好に適応するので、外科医が、処置中の特定の工程に応じて、外科用ステープル留め/切断器具と外科用エネルギー(例えば、RF又は超音波)器具との間を、定期的に交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープリング留め/切断器具及び手術用エネルギー器具が使用される特定のシーケンスは、外科医が処置のどの工程を実行しているかを示すことができる。第12の工程5224が完了すると、切開及び閉鎖、並びに処置の術後部分を開始し得る。
【0110】
第13の5226では、患者の麻酔を解き得る。外科用ハブ5104は、例えば、ベンチレータデータに基づいて(すなわち、患者の呼吸速度が増加し始める)、患者が麻酔から覚醒しつつあると推定することができる。最後に、第14の工程5228は、医療従事者が患者から様々な患者監視装置5124を除去する工程であり得る。したがって、外科用ハブ5104は、ハブがEKG、BP、及び患者監視装置5124からの他のデータを喪失したとき、患者が回復室に移送されていると推定することができる。この例示的な処置の説明から分かるように、外科用ハブ5104と通信可能に連結された各種データソース5126から受信したデータに従って、外科用ハブ5104は、所与の外科手術の各工程が発生しているときを決定又は推定することができる。
【0111】
図10に示されるタイムライン5200の第1の工程5202に示されるように、EMRデータベースからの患者データを利用して、実施される外科手術の種類を推定することに加えて、患者データを、ペアリングされたモジュール式装置5102の制御調整を生成するために、状況認識外科用ハブ5104によって利用することができる。
【0112】
図11は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。一態様では、このコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムは、外科用ハブ、外科用器具、ロボット装置、及び手術室又は医療施設を含む様々な外科用システムの動作に関するデータを監視及び分析するように構成されてもよい。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムは、クラウドベースの分析システムを備えてもよい。クラウドベースの分析システムは、外科用システムとして記載されているが、必ずしもそのように限定されるものではなく、一般的にクラウドベースの医療システムであってもよい。図11に示すように、クラウドベースの分析システムは、(器具112と同じ又は類似であってよい)複数の外科用器具7012と、(ハブ106と同じ又は類似であってよい)複数の外科用ハブ7006と、外科用ハブ7006を(クラウド204と同じ又は類似であってよい)クラウド7004に連結するための(ネットワーク201と同じ又は類似であってよい)外科用データネットワーク7001と、を備え得る。複数の外科用ハブ7006の各々は、1つ以上の外科用器具7012に通信可能に連結されてもよい。ハブ7006はまた、ネットワーク7001を介してコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのクラウド7004に通信可能に連結されてもよい。クラウド7004は、様々な外科用システムの動作に基づいて発生したデータを記憶、操作、及び通信するためのハードウェア及びソフトウェアのリモートの集中型供給源であり得る。図11に示すように、クラウド7004へのアクセスは、ネットワーク7001を介して達成され、このネットワーク7001は、インターネットであってもよく、又は他の好適なコンピュータネットワークであってもよい。クラウド7004に連結され得る外科用ハブ7006を、クラウドコンピューティングシステムのクライアント側(すなわち、クラウドベースの分析システム)と見なすことができる。外科用器具7012は、本明細書に記載される様々な外科手術又は動作の制御及び実施のために、外科用ハブ7006とペアリングされ得る。
【0113】
加えて、外科用器具7012は、(これも送受信機を備え得る)対応する外科用ハブ7006へのデータ伝送、及び外科用ハブ7006からのデータ伝送のための送受信機を備えてもよい。外科用器具7012と対応するハブ7006との組み合わせは、医療手術を提供するための医療施設(例えば、病院)内の手術室などの、特定の位置を示すことができる。例えば、外科用ハブ7006のメモリは、位置データを記憶することができる。図11に示すように、クラウド7004は、(リモートサーバ7013と同じ又は同様であってもよい)中央サーバ7013と、ハブアプリケーションサーバ7002と、データ分析モジュール7034と、入出力(「I/O」)インターフェース7006と、を備える。クラウド7004の中央サーバ7013は、クラウドコンピューティングシステムを集合的に管理し、これは、クライアント外科用ハブ7006による要求を監視し、その要求を実行するためのクラウド7004の処理能力を管理することを含む。中央サーバ7013の各々は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、及び磁気記憶装置などの不揮発性メモリを含み得る、好適なメモリ装置7010に連結された1つ以上のプロセッサ7008を備え得る。メモリ装置7010は、実行されると、プロセッサ7008に、クラウドベースのデータ分析、動作、推奨、及び以下で説明するその他の動作のためのデータ分析モジュール7034を実行させる、機械実行可能命令を含み得る。更に、プロセッサ7008は、独立して、又はハブ7006によって独立して実行されるハブアプリケーションと併せて、データ分析モジュール7034を実行することができる。中央サーバ7013はまた、メモリ2210内に存在し得る集約された医療データのデータベース2212を備え得る。
【0114】
ネットワーク7001を介した様々な外科用ハブ7006への接続に基づいて、クラウド7004は、様々な外科用器具7012及びそれらの対応するハブ7006によって生成された特定のデータからのデータを集約することができる。そのような集約されたデータは、クラウド7004の集約された医療データベース7012内に記憶され得る。具体的には、クラウド7004は、有利にも、集約されたデータ上でデータ分析及び動作を実行して、洞察をもたらし、及び/又は個別のハブ7006がそれ自体では達成できない機能を行うことができる。この目的のために、図11に示すように、クラウド7004と外科用ハブ7006とは、情報を送受信するために通信可能に連結される。I/Oインターフェース7006は、ネットワーク7001を介して複数の外科用ハブ7006に接続される。このようにして、I/Oインターフェース7006を、外科用ハブ7006と、集約された医療データデータベース7011との間で情報を転送するように構成することができる。したがって、I/Oインターフェース7006は、クラウドベースの分析システムの読み出し/書き込み動作を容易にし得る。このような読み出し/書き込み動作は、ハブ7006からの要求に応じて実行されてもよい。これらの要求は、ハブアプリケーションを介してハブ7006に送信され得る。I/Oインターフェース7006は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポートと、IEEE1394ポートと、クラウド7004をハブ7006に接続するためのWi-Fi及びBluetooth I/Oインターフェースと、を含み得る1つ以上の高速データポートを含み得る。クラウド7004のハブアプリケーションサーバ7002は、外科用ハブ7006によって実行されるソフトウェアアプリケーション(例えば、ハブアプリケーション)に共有機能をホストし、供給するように構成され得る。例えば、ハブアプリケーションサーバ7002は、ハブアプリケーションによるハブ7006を介する要求を管理し、集約された医療データのデータベース7011へのアクセスを制御し、負荷分散を実行し得る。データ分析モジュール7034について、図12を参照して更に詳細に説明する。
【0115】
本開示に記載される特定のクラウドコンピューティングシステムの構成は、外科用器具7012、112などの医療用装置を使用して実施される医療手術及び処置のコンテキストにおいて生じる様々な問題に対処するように具体的に設計され得る。特に、外科用器具7012は、外科手術の成績を改善するための技術を実施するために、クラウド7004と相互作用するように構成されたデジタル外科用装置であってよい。様々な外科用器具7012及び/又は外科用ハブ7006は、臨床医が外科用器具7012とクラウド7004との間の相互作用の態様を制御し得るように、タッチ制御されたユーザインターフェースを備え得る。聴覚的に制御されたユーザインターフェースなどの制御のための他の好適なユーザインターフェースもまた使用することもできる。
【0116】
図12は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの機能アーキテクチャを示すブロック図である。クラウドベースの分析システムは、医療分野において特に生じる問題にデータ分析ソリューションを提供するために、クラウド7004のプロセッサ7008によって実行され得る複数のデータ分析モジュール7034を含み得る。図12に示すように、クラウドベースのデータ分析モジュール7034の機能は、外科用ハブ7006上でアクセスされ得るハブアプリケーションサーバ7002によってホストされるハブアプリケーション7014を介して支援され得る。クラウドプロセッサ7008及びハブアプリケーション7014は、データ分析モジュール7034を実行するために連携して動作してもよい。アプリケーションプログラムインターフェース(API)7016は、ハブアプリケーション7014に対応する一連のプロトコル及びルーチンを規定し得る。加えて、API7016は、アプリケーション7014の動作のために集約された医療データベース7012へのデータの記憶、及びそこからのデータの読み出しを管理し得る。キャッシュ7018はまた、データを(例えば、一時的に)記憶し、アプリケーション7014によって使用されるデータの効率的な読み出しのためにAPI7016に連結され得る。図12のデータ分析モジュール7034は、資源最適化7020、データ収集及び集約7022、認可及びセキュリティ7024、制御プログラムの更新7026、患者転帰分析7028、推奨7030、並びにデータ分類及び優先順位付け7032のためのモジュールを含み得る。他の好適なデータ分析モジュールも、いくつかの態様により、クラウド7004によって実装され得る。一態様では、データ分析モジュールは、傾向、転帰、及び他のデータの分析に基づいて特定の推奨に使用されてもよい。
【0117】
例えば、データ収集及び集約モジュール7022は、顕著な特徴又は構成(例えば、傾向)の識別、冗長データセットの管理、及び手術によってグループ化することができるが、必ずしも実際の外科手術日付及び外科医に一致していないペアリングされたデータセットへのデータの保存を含む、自己記述型データ(例えば、メタデータ)を生成するために使用され得る。特に、外科用器具7012の動作から生成される対のデータセットは、例えば出血又は非出血事象などの二項分類を適用することを含み得る。より一般的には、二項分類は、望ましい事象(例えば、成功した外科手術)又は望ましくない事象(例えば、誤発射又は誤使用された外科用器具7012)のいずれかとして特徴付けられ得る。集約された自己記述型データは、外科用ハブ7006の様々なグループ又はサブグループから受信された個々のデータに対応し得る。したがって、データ収集及び集約モジュール7022は、外科用ハブ7006から受信した生データに基づいて、集約メタデータ又はその他の編成されたデータを生成することができる。この目的のために、プロセッサ7008は、データ分析モジュール7034を実行するために、ハブアプリケーション7014及び集約された医療データのデータベース7011に動作的に連結することができる。データ収集及び集約モジュール7022は、集約された編成データを集約された医療データのデータベース2212に記憶してよい。
【0118】
資源最適化モジュール7020は、この集約されたデータを分析して、特定の医療施設又は医療施設のグループに関する資源の最適な使用を決定するように構成することができる。例えば、資源最適化モジュール7020は、外科用ステープル留め器具7012の対応する予測される要求に基づいて、医療施設のグループに関する外科用ステープル留め器具7012の最適な発注点を決定することができる。資源最適化モジュール7020はまた、資源使用を改善することができるかどうかを決定するために、様々な医療施設の資源使用又は他の動作構成を評価することができる。同様に、推奨モジュール7030は、データ収集及び集約モジュール7022から集約された編成データを分析して推奨を提供するように構成することができる。例えば、推奨モジュール7030は、特定の外科用器具7012が、例えば、誤り率が予測よりも高いことに基づいて改善されたバージョンにアップグレードされるべきであることを、医療施設(例えば、病院などの医療サービス提供者)に推奨することができる。加えて、推奨モジュール7030及び/又は資源最適化モジュール7020は、製品再注文点などのより良好なサプライチェーンパラメータを推奨し、異なる外科用器具7012、その使用、又は手術結果を改善する手順工程の提案を提供することができる。医療施設は、対応する外科用ハブ7006を介してそのような推奨を受信することができる。様々な外科用器具7012のパラメータ又は構成に関する、より具体的な推奨もまた提供することができる。ハブ7006及び/又は外科用器具7012はそれぞれ、クラウド7004によって提供されるデータ又は推奨を表示する表示画面を有することもできる。
【0119】
患者転帰分析モジュール7028は、外科用器具7012の現在使用されている動作パラメータに関連付けられた手術結果を分析することができる。患者転帰分析モジュール7028はまた、他の潜在的な動作パラメータを分析及び評価してもよい。これに関連して、推奨モジュール7030は、より良好な封止又はより少ない出血などの、より良好な手術結果をもたらすことに基づいて、これらの他の潜在的な動作パラメータを使用して推奨することができる。例えば、提案モジュール7030は、対応するステープル留め外科用器具7012に特定のカートリッジを使用するときに関する提案を外科用7006に送信することができる場合もある。したがって、クラウドベースの分析システムは、共通変数を制御しながら、収集された大規模な生データを分析し、複数の医療施設にわたって(有利には、集約されたデータに基づいて決定される)集中的推奨を提供するように構成され得る。例えば、クラウドベースの分析システムは、医療行為の種類、患者の種類、患者の数、同様の種類の器具を使用する医療提供者間の地理的類似性などを、1つの医療施設が単独で独立して分析することはできない方法で、分析、評価、及び/又は集約することができる。制御プログラム更新モジュール7026は、対応する制御プログラムが更新されたときに、様々な外科用器具7012の推奨を実施するように構成することができる。例えば、患者転帰分析モジュール7028は、特定の制御パラメータを成功した(又は失敗した)結果と結び付ける相関関係を識別することができる。そのような相関関係は、更新された制御プログラムが制御プログラム更新モジュール7026を介して外科用器具7012に送信されるときに対処され得る。対応するハブ7006を介して送信され得る器具7012への更新は、クラウド7004のデータ収集及び集約モジュール7022によって収集され、分析された、集約された成績データを組み込み得る。加えて、患者転帰分析モジュール7028及び推奨モジュール7030は、集約された成績データに基づいて、器具7012を使用する改善された方法を識別することができる。
【0120】
クラウドベースの分析システムは、クラウド7004によって実装されるセキュリティ機能を含んでもよい。これらのセキュリティ機能は、認可及びセキュリティモジュール7024によって管理され得る。各外科用ハブ7006は、ユーザ名、パスワード、及びその他の好適なセキュリティ資格情報などの関連する固有の資格情報を有することができる。これらの資格情報は、メモリ7010に記憶され、許可されたクラウドアクセスレベルに関連付けることができる。例えば、正確な資格情報を提供することに基づいて、外科用ハブ7006は、クラウドと所定の範囲まで通信するアクセスを付与され得る(例えば、特定の定義された種類の情報の送信又は受信を行ってよい)。この目的のために、クラウド7004の集約された医療データのデータベース7011は、提供された資格情報の正確さを検証するための認定された資格情報のデータベースを含んでもよい。異なる資格情報は、クラウド7004によって生成されたデータ分析を受信するための所定のアクセスレベルなど、クラウド7004との相互作用のための様々なレベルの許可に関連付けられてよい。更に、セキュリティ目的のために、クラウドは、ハブ7006、器具7012、及び禁止された装置の「ブラックリスト」を含み得るその他の装置のデータベースを維持することができる。具体的には、ブラックリスト上に列挙された外科用ハブ7006は、クラウドと相互作用することを許可されなくてもよい一方で、ブラックリスト上に列挙された外科用器具7012は、対応するハブ7006への機能的アクセスを有さなくてもよく、かつ/又は対応するハブ7006とペアリングされたときに完全に機能することが防止されてもよい。追加的に、又は代替的に、クラウド7004は、不適合性又はその他の指定された基準に基づいて、器具7012にフラグを立ててもよい。このようにして、偽造医療用装置、及びそのような装置の、クラウドベースの分析システム全体での不適切な再使用を識別し、対処することができる。
【0121】
外科用器具7012は、無線送受信機を使用して、例えば、対応するハブ7006及びクラウド7004へのアクセスのための認可資格情報を表し得る無線信号を送信してもよい。有線送受信機も、信号を送信するために使用することができる。そのような認可資格情報は、外科用器具7012のそれぞれのメモリ装置に記憶することができる。認可及びセキュリティモジュール7024は、認可資格情報が正確であるか又は偽造であるかを決定することができる。認可及びセキュリティモジュール7024はまた、強化されたセキュリティのために、認可資格情報を動的に生成してもよい。資格情報はまた、ハッシュベースの暗号化を使用することなどによって、暗号化してもよい。適切な認可を送信すると、外科用器具7012は、対応するハブ7006及び最終的にはクラウド7004に信号を送信して、器具7012が医療データを取得し送信する準備ができていることを示すことができる。これに応答して、クラウド7004は、集約された医療データのデータベース7011に記憶するための医療データを受信することが可能な状態に遷移し得る。このデータ伝送準備は、例えば、器具7012上の光インジケータによって示すことができる。クラウド7004はまた、それらの関連する制御プログラムを更新するために、外科用器具7012に信号を送信することができる。クラウド7004は、制御プログラムに対するソフトウェアアップデートが適切な外科用器具7012にのみ送信されるように、特定の部類の外科用器具7012(例えば、電気外科器具)に向けられた信号を送信することができる。更に、クラウド7004は、選択的データ送信及び認可資格情報に基づいてローカル又はグローバルの問題に対処するために、システム全体のソリューションを実装するために使用することができる場合もある。例えば、外科用器具7012のグループが共通の製造欠陥を有するものとして識別される場合、クラウド7004は、このグループに対応する認可資格情報を変更して、このグループの動作ロックアウトを実施し得る。
【0122】
クラウドベースの分析システムは、改善された実務を決定し、それに応じて変更を推奨する(例えば、提案モジュール2030を介して)ために、複数の医療施設(例えば、病院のような医療施設)を監視することを可能にし得る。したがって、クラウド7004のプロセッサ7008は、個々の医療施設に関連付けられたデータを分析して、施設を識別し、そのデータを他の医療施設に関連付けられた他のデータと集約することができる。グループは、例えば、同様の操作行為又は地理的位置に基づいて規定し得る。このようにして、クラウド7004は、医療施設グループに幅広い分析及び推奨を提供することができる。クラウドベースの分析システムはまた、強化された状況認識のために使用することもできる。例えば、プロセッサ7008は、(全体的な動作及び/又は様々な医療処置と比較して)特定の施設に対するコスト及び有効性に関する推奨の効果を予測的にモデル化してもよい。その特定の施設に関連するコスト及び有効性はまた、他の施設又は任意のその他の同等の施設の対応するローカル領域と比較することもできる。
【0123】
データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、重大性(例えば、データに関連付けられた医療イベントの重篤度、意外さ、不審さ)に基づいてデータを優先順位付けし分類してもよい。この分類及び優先順位付けは、本明細書に記載されるクラウドベースの分析及び動作を改善するために、本明細書に記載の他のデータ分析モジュール7034の機能と併せて使用され得る。例えば、データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、データ収集及び集約モジュール7022並びに患者転帰分析モジュール7028によって実行されるデータ分析に対する優先度を割り当てることができる。異なる優先順位レベルは、迅速応答のための上昇、特別な処理、集約された医療データのデータベース7011からの除外、又はその他の好適な応答などの、(緊急性のレベルに対応して)クラウド7004からの特定の応答をもたらすことができる。更に、必要に応じて、クラウド7004は、対応する外科用器具7012からの追加データのために、ハブアプリケーションサーバを介して要求(例えば、プッシュメッセージ)を送信することができる。プッシュメッセージは、支持又は追加のデータを要求するために、対応するハブ7006上に表示された通知をもたらすことができる。このプッシュメッセージは、クラウドが有意な不規則性又は外れ値を検出し、クラウドがその不規則性の原因を決定することができない状況で必要とされ得る。中央サーバ7013は、例えば、データが所定の閾値を超えて予測値と異なると決定されたとき、又はセキュリティが含まれていたと見られる場合など、特定の重大な状況において、このプッシュメッセージをトリガするようにプログラムされることができる。
【0124】
説明された様々な機能に関する更なる例示的な詳細を、以下の説明において提供する。様々な説明の各々は、ハードウェア及びソフトウェアの実装の一実施例として図11及び図12に記載されるように、クラウドアーキテクチャを利用し得る。
【0125】
図13は、本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式装置9050のための制御プログラム更新を適応的に生成するように構成されている、コンピュータ実装適応外科用システム9060のブロック図を図示する。一部の例示では、外科用システムは、外科用ハブ9000と、外科用ハブ9000に通信可能に連結された複数のモジュール式装置9050と、外科用ハブ9000に通信可能に連結された分析システム9100と、を含んでもよい。単一の外科用ハブ9000を示しているが、外科用システム9060は、分析システム9010に通信可能に連結された外科用ハブ9000のネットワークを形成するように接続され得る、任意の数の外科用ハブ9000を含み得ることに留意されたい。一部の例示では、外科用ハブ9000は、記憶された命令を実行するためのメモリ9020に連結されたプロセッサ9010と、データが分析システム9100に送信されるデータ中継インターフェース9030と、を含んでもよい。一部の例示では、外科用ハブ9000は、ユーザからの入力を受信するための入力装置9092(例えば、静電容量タッチスクリーン又はキーボード)と、ユーザに出力を提供するための出力装置9094(例えば、ディスプレイスクリーン)と、を有するユーザインターフェース9090を更に含んでもよい。出力は、ユーザによって入力されたクエリからのデータ、所与の処置において使用するための製品又は製品の混合の提案、及び/又は外科手術の前、間、若しくは後に行われる動作のための命令を含むことができる。外科用ハブ9000は更に、モジュール式装置9050を外科用ハブ9000に通信可能に連結するためのインターフェース9040を含んでもよい。一態様では、インターフェース9040は、無線通信プロトコルを介してモジュール式装置9050に通信可能に接続可能な送受信機を含んでもよい。モジュール式装置9050は、例えば、外科用ステープル留め及び切断器具、電気外科用器具、超音波器具、送気器、人工呼吸器、及び表示画面を含むことができる。一部の例示では、外科用ハブ9000を、EKGモニタ又はBPモニタなどの1つ以上の患者監視装置9052に通信可能に更に連結することができる。一部の例示では、外科用ハブ9000を、外科用ハブ9000が位置する医療施設のEMRデータベースなどの1つ以上のデータベース9054又は外部コンピュータシステムに通信可能に更に連結することができる。
【0126】
モジュール式装置9050が、外科用ハブ9000に接続されたとき、外科用ハブ9000は、モジュール式装置9050から周術期データを感知又は受信し、次いで、受信した周術期データを外科的処置結果データと関連付けることができる。周術期データは、外科手術の過程で、モジュール式装置9050がどのように制御されたかを示し得る。処置結果データは、外科手術(又はその工程)からの結果に関連付けられたデータを含み、それは、外科手術(又はその工程)が肯定的又は否定的な結果であるか否かを含むことができる。例えば、結果データは、患者が特定の処置による術後合併症に罹患したか否か、又は特定のステープル若しくは切開線において漏出(例えば、出血又は空気漏出)があったか否かを含むことができる。外科用ハブ9000は、外部ソースから(例えば、EMRデータベース9054から)データを受信することによって、結果を(例えば、接続されたモジュール式装置9050のうちの1つを介して)直接検出することによって、又は状況認識システムを通して結果の発生を推測することによって、外科的処置結果データを取得することができる。例えば、術後合併症に関するデータをEMRデータベース9054から読み出すことができ、ステープル又は切開線の漏れに関するデータを状況認識システムによって直接検出又は推測してもよい。モジュール式装置9050自体、患者監視装置9052、及び外科用ハブ9000が接続されるデータベース9054を含む、種々のデータソースから受信されるデータから、外科的処置結果データを、状況認識システムによって推測することができる。
【0127】
外科用ハブ9000は、関連付けられたモジュール式装置9050のデータ及び結果データを、分析システム9100上で処理するために分析システムに送信することができる。モジュール式装置9050がどのように制御されるかを示す周術期データと、処置結果データとの両方を送信することによって、分析システム9100は、モジュール式装置9050を制御する異なる様式を、特定の処置タイプのための手術結果と相関させることができる。一部の例示では、分析システム9100は、外科用ハブ9000からデータを受信するように構成されている分析サーバ9070のネットワークを含んでもよい。分析サーバ9070の各々は、メモリと、受信されたデータを分析するためにそこに記憶された命令を実行しているメモリに連結されたプロセッサと、を含むことができる。一部の例示では、分析サーバ9070は、分散コンピューティングアーキテクチャで接続されてもよく、及び/又はクラウドコンピューティングアーキテクチャを利用してもよい。このペアリングされたデータに基づいて、分析システム9100は、次いで、様々なタイプのモジュール式装置9050のための最適又は好ましい動作パラメータを学習し、現場のモジュール式装置9050の制御プログラムに対する調整を生成し、次いで、モジュール式装置9050の制御プログラムに対する更新を送信(又は「プッシュ」)することができる。
【0128】
外科用ハブ9000、及びそれに接続可能な様々なモジュール式装置9050を含む、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム9060に関する更なる詳細は、図5図6に関連して説明される。
【0129】
図14は、本開示による外科用システム6500を提供し、有線又は無線接続を介してローカルエリアネットワーク6518又はクラウドネットワーク6520を通して、コンソール6522又はポータブル装置6526と通信し得る外科用器具6502を含み得る。様々な態様では、コンソール6522及びポータブル装置6526は、任意の適切なコンピューティング装置であってもよい。外科用器具6502は、ハンドル6504と、アダプタ6508と、装填ユニット6514と、を含み得る。アダプタ6508は、ハンドル6504に解放可能に連結し、装填ユニット6514は、アダプタ6508が駆動シャフトから装填ユニット6514に力を伝達するように、アダプタ6508に解放可能に連結する。アダプタ6508又は装填ユニット6514は、装填ユニット6514に及ぼされる力を測定するために、その中に配設される力ゲージ(明示的に図示せず)を含み得る。装填ユニット6514は、第1のジョー6532及び第2のジョー6534を有するエンドエフェクタ6530を含み得る。装填ユニット6514を再装填するために装填ユニット6514が手術部位から除去される必要なく、装填ユニット6514は、臨床医が複数の締結具を複数回発射することを可能にする、原位置装填又は多発射装填ユニット(MFLU)であってもよい。
【0130】
第1及び第2のジョー6532、6534は、それらの間に組織をクランプし、クランプされた組織を通して締結具を発射し、クランプされた組織を切断するように構成され得る。第1のジョー6532は、少なくとも1つの締結具を複数回発射するように構成されてもよく、又は交換される前に2回以上発射され得る複数の締結具(例えば、ステープル、クリップなど)を含む交換可能な多発射締結具カートリッジを含むように構成されてもよい。第2のジョー6534は、ファスナーが多発射締結具カートリッジから排出される際に、締結具を変形させるか、又は他の方法で組織の周りに固定するアンビルを含んでもよい。
【0131】
ハンドル6504は、駆動シャフトの回転に影響を及ぼすように駆動シャフトに連結されたモータを含み得る。ハンドル6504は、モータを選択的に作動させるための制御インターフェースを含み得る。制御インターフェースは、ボタン、スイッチ、レバー、スライダ、タッチスクリーン、及び任意の他の好適な入力機構又はユーザインターフェースを含み、これらを、モータを起動するために臨床医によって係合することができる。
【0132】
ハンドル6504の制御インターフェースは、ハンドル6504のコントローラ6528と通信して、モータを選択的に作動させ、駆動シャフトの回転に影響を及ぼし得る。コントローラ6528は、ハンドル6504内に配設されてもよく、制御インターフェースからの入力、及びアダプタ6508からのアダプタデータ、又は装填ユニット6514からの装填ユニットデータを受信するように構成されている。コントローラ6528は、モータを選択的に起動するために、制御インターフェースからの入力と、アダプタ6508及び/又は装填ユニット6514から受信されたデータと、を分析し得る。ハンドル6504はまた、ハンドル6504の使用中に臨床医が見ることができるディスプレイを含んでもよい。ディスプレイは、器具6502の発射前、発射中、又は発射後に、アダプタ又は装填ユニットデータの部分を表示するように構成されてもよい。
【0133】
アダプタ6508は、その中に配設されるアダプタ識別装置6510を含んでもよく、装填ユニット6514は、その中に配設される装填ユニット識別装置6516を含む。アダプタ識別装置6510は、コントローラ6528と通信してもよく、装填ユニット識別装置6516は、コントローラ6528と通信してもよい。装填ユニット識別装置6516は、装填ユニット識別装置6516からコントローラ6528への通信を中継又は通過させるアダプタ識別装置6510と通信し得ることが理解されるであろう。
【0134】
アダプタ6508はまた、アダプタ6508又は環境の様々な状態(例えば、アダプタ6508が装填ユニットに接続されている場合、アダプタ6508がハンドルに接続されている場合、駆動シャフトが回転している場合、駆動シャフトのトルク、駆動シャフトの歪み、アダプタ6508内の温度、アダプタ6508の発射回数、発射中のアダプタ6508のピーク力、アダプタ6508に印加された力の総量、アダプタ6508のピーク後退力、発射中のアダプタ6508の休止回数など)を検出するために、その周囲に配設される複数のセンサ6512(1つを示す)を含んでもよい。複数のセンサ6512は、データ信号の形態でアダプタ識別装置6510に入力を提供し得る。複数のセンサ6512のデータ信号は、アダプタ識別装置6510内に記憶されてもよく、又はアダプタ識別装置6510内に記憶されたアダプタデータを更新するために使用されてもよい。複数のセンサ6512のデータ信号は、アナログ又はデジタルであってもよい。複数のセンサ6512は、発射中に装填ユニット6514に及ぼされる力を測定するための力ゲージを含み得る。
【0135】
電気インターフェースを介して、アダプタ識別装置6510及び装填ユニット識別装置6516をコントローラ6528と相互接続するように、ハンドル6504及びアダプタ6508を構成することができる。電気的インターフェースは、直接電気的インターフェースであってもよい(すなわち、エネルギー及び信号をそれらの間で伝送するために互いに係合する電気接点を含む)。追加的に又は代替的に、電気インターフェースは、エネルギー及び信号をそれらの間で無線伝送する(例えば、誘導伝送する)ための非接触電気インターフェースであってもよい。アダプタ識別装置6510及びコントローラ6528は、電気的インターフェースとは別個の無線接続を介して互いに無線通信し得ることも企図される。
【0136】
ハンドル6504は、コントローラ6528からシステム6500の他の構成要素(例えば、LAN6518、クラウド6520、コンソール6522、又はポータブル装置6526)に器具データを送信するように構成されている送信機6506を含み得る。送信機6506はまた、システム6500の他の構成要素からデータ(例えば、カートリッジデータ、装填ユニットデータ、又はアダプタデータ)を受信してもよい。例えば、コントローラ6528は、ハンドル6504に取り付けられた取り付けアダプタ(例えば、アダプタ6508)のシリアル番号と、アダプタに取り付けられた装填ユニット(例えば、装填ユニット6514)のシリアル番号と、装填ユニットに装填された多発射締結具カートリッジ(例えば、多発射締結具)のシリアル番号と、を含む器具データを、コンソール6528に送信してもよい。その後、コンソール6522は、取り付けカートリッジ、装填ユニット、及びアダプタにそれぞれ関連付けられたデータ(例えば、カートリッジデータ、装填ユニットデータ、又はアダプタデータ)をコントローラ6528に返信し得る。コントローラ6528は、ローカル器具ディスプレイ上にメッセージを表示するか、又はメッセージを送信機6506を介してコンソール6522又はポータブル装置6526に送信して、それぞれディスプレイ6524又はポータブル装置スクリーン上にメッセージを表示することができる。
【0137】
図15Aは、動作モードを決定し、決定されたモードで動作するための例示的なフローを示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム並びに/あるいはコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの構成要素及び/又はサブシステムは、更新されるように構成され得る。そのような更新は、更新前にユーザに利用可能でなかった機能及び利益が混在したものを含み得る。これらの更新は、ユーザに機能を導入するために適したハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェア更新の任意の方法によって確立され得る。例えば、置換可能/スワップ可能(例えば、ホットスワップ可能)なハードウェア構成要素、フラッシュ可能なファームウェア装置、及び更新可能なソフトウェアシステムを使用して、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム、並びに/あるいはコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの構成要素及び/又はサブシステムを更新してもよい。
【0138】
更新は、任意の適切な基準又は基準のセットが条件であり得る。例えば、更新は、処理能力、帯域幅、解像度など、システムの1つ以上のハードウェア能力が条件であってもよい。例えば、更新は、特定のソフトウェアコードの購入など、1つ以上のソフトウェア態様が条件であってもよい。例えば、更新は、購入されたサービス層が条件であってもよい。サービス層は、ユーザが、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムに関連して使用する資格がある機能及び/又は機能のセットを表し得る。サービス層は、ライセンスコード、eコマースサーバ認証対話、ハードウェア鍵、ユーザ名/パスワードの組み合わせ、生体認証対話、公開/秘密鍵交換対話などによって決定され得る。
【0139】
10704において、システム/装置パラメータが識別され得る。システム/装置パラメータは、更新が条件付けられる任意の要素又は要素のセットであってもよい。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムは、モジュール式装置と外科用ハブとの間の通信の特定の帯域幅を検出してもよい。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムは、特定のサービス層の購入の指示を検出してもよい。
【0140】
10708において、動作モードは、識別されたシステム/装置パラメータに基づいて決定され得る。この決定は、システム/装置パラメータを動作モードにマッピングするプロセスによって行われ得る。プロセスは、手動及び/又は自動プロセスであってもよい。プロセスは、ローカル計算及び/又はリモート計算の結果であってもよい。例えば、クライアント/サーバ対話を使用して、識別されたシステム/装置パラメータに基づいて動作モードを決定してもよい。例えば、ローカルソフトウェア及び/又はローカルに埋め込まれたファームウェアを使用して、識別されたシステム/装置パラメータに基づいて動作モードを決定してもよい。例えば、セキュアなマイクロプロセッサなどのハードウェアキーを使用して、識別されたシステム/装置パラメータに基づいて動作モードを決定してもよい。
【0141】
10710において、動作は、決定された動作モードに従って進み得る。例えば、システム又は装置は、デフォルト動作モードで動作するように進んでもよい。例えば、システム又は装置は、代替動作モードで動作するように進んでもよい。動作モードは、システム又は装置内に既に存在する制御ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって指示され得る。動作モードは、新規にインストール/更新された制御ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって指示されてもよい。
【0142】
図15Bは、動作モードを変更するための例示的な機能ブロック図を示す。アップグレード可能な要素10714は、初期化構成要素10716を含み得る。初期化構成要素10716は、動作モードを決定するために適した任意のハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含み得る。例えば、初期化構成要素10716は、システム又は装置スタートアッププロシージャの一部であってもよい。初期化構成要素10716は、アップグレード可能な要素10714の動作モードを決定するための相互作用に関与し得る。例えば、初期化構成要素10716は、例えば、ユーザ10730、外部リソース10732、及び/又はローカルリソース10718と対話してもよい。例えば、初期化構成要素10716は、ユーザ10730からライセンスキーを受信して、動作モードを決定してもよい。初期化構成要素10716は、動作モードを決定するために、アップグレード可能な装置10714のシリアル番号を用いて、例えばサーバなどの外部リソース10732に問い合わせてもよい。例えば、初期化構成要素10716は、利用可能な帯域幅の量を決定するためのローカルクエリ、及び/又は例えば動作モードを決定するためのハードウェアキーのローカルクエリなどのローカルリソース10718に問い合わせてもよい。
【0143】
アップグレード可能な要素10714は、1つ以上の動作構成要素10720、10722、10726、10728及び動作ポインタ10724を含み得る。初期化構成要素10716は、動作ポインタ10724に指示して、アップグレード可能な要素10741の動作を、決定された動作モードに対応する動作構成要素10720、10722、10726、10728に指示し得る。初期化構成要素10716は、アップグレード可能な要素の動作をデフォルト動作構成要素10720に指示するように、動作ポインタ10724に指示してもよい。例えば、デフォルト動作構成要素10720は、他の代替動作モードが決定されていないという条件で選択されてもよい。例えば、デフォルト動作構成要素10720は、初期化構成要素の障害及び/又は対話障害の条件で選択されてもよい。初期化構成要素10716は、アップグレード可能な要素10714の動作を常駐動作構成要素10722に指示するように、動作ポインタ10724に指示してもよい。例えば、特定の機能がアップグレード可能な構成要素10714に存在してもよいが、動作させるためには起動を必要とする場合がある。初期化構成要素10716は、新規の動作構成要素10728及び/又は新規にインストールされた動作構成要素10726をインストールするために、アップグレード可能な要素10714の動作を指示するように動作ポインタ10724に指示してもよい。例えば、新規のソフトウェア及び/又はファームウェアがダウンロードされてもよい。新規のソフトウェア及び/又はファームウェアは、選択された動作モードによって表される機能を有効にするコードを含み得る。例えば、新規のハードウェア構成要素をインストールして、選択された動作モードを有効にしてもよい。
【0144】
図16は、本開示の一態様による、本明細書に記載される外科用ツールを動作させるように構成されている外科用器具700の概略図である。外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転、及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、及び/又は1つ以上の関節運動部材を独立して制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ以上の関節運動部材を制御するように構成された制御回路710を備える。一態様では、外科用器具700は、ハンドヘルド式外科用器具を表す。別の態様では、外科用器具700は、ロボット外科用器具を表す。他の態様では、外科用器具700は、ハンドヘルド式及びロボット式外科用器具の組み合わせを表す。様々な態様では、外科用ステープラ700は、線形ステープラ又は円形ステープラを表してもよい。
【0145】
一態様では、外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のアンビル716及びナイフ714(又は鋭い切刃を含む切断要素)部分、取り外し可能なステープルカートリッジ718、シャフト740、並びに1つ以上の関節運動部材742a、742bを制御するように構成されている制御回路710を備える。位置センサ734は、ナイフ714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成されてもよい。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ731は、制御回路710にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736は、モータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって個別に動作することができる。
【0146】
一態様では、制御回路710は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ(複数可)に、1つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ731は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して位置センサ734によって決定されたナイフ714の位置をタイマー/カウンタ731の出力と相関させ、その結果、制御回路710は、ナイフ714が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)におけるナイフ714の位置を決定することができる。タイマー/カウンタ731は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてもよい。
【0147】
一態様では、制御回路710は、1つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで、厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に治療するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、厚い組織が存在するとき、制御回路710は、変位部材を低速で、及び/又は低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。薄い組織が存在するとき、制御回路710は、変位部材を高速で、及び/又は高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、アンビル716によって組織に加えられる閉鎖力を制御し得る。他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
【0148】
一態様では、制御回路710は、モータ設定点信号を生成することができる。モータ設定点信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供され得る。モータコントローラ708a~708eは、本明細書に記載されるようにモータ704a~704eを駆動するためにモータ704a~704eにモータ駆動信号を提供するように構成されている1つ以上の回路を備え得る。いくつかの実施例では、モータ704a~704eは、ブラシ付きDC電気モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eは、ブラシレスDC電気モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ以上のステータ巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ708a~708eは省略されてもよく、制御回路710は、モータ駆動信号を直接発生してもよい。
【0149】
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eの各々を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分について開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の外科用器具700の応答に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実装し得る。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0150】
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ってもよい。エネルギー源712は、主交流電源、電池、スーパーキャパシタ又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、それぞれの伝達装置706a~706eを介して、ナイフ714、アンビル716、シャフト740、関節運動742a、及び関節運動742bなどの個々の可動機械要素に機械的に連結され得る。伝達装置706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に連結するための1つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734は、ナイフ714の位置を感知し得る。位置センサ734は、ナイフ714の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施例では、位置センサ734は、ナイフ714が遠位及び近位に並進すると、一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されているエンコーダを含んでもよい。制御回路710は、パルスを追跡して、ナイフ714の位置を決定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、ナイフ714の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの例では、位置センサ734は省略されてもよい。モータ704a~704eのいずれかがステップモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示された工程の数及び方向を集約することによって、ナイフ714の位置を追跡し得る。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。モータ704a~704eの各々の出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0151】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のナイフ714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、駆動信号をモータ704aに提供するモータ制御708aにモータ設定点を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結される。トルクセンサ744aは、ナイフ714に連結される伝達装置706aに連結される。伝達装置706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向へのナイフ714の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギアアセンブリに連結されていてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、ナイフ714を発射又は変位させるために必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿ったナイフ714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備ができたとき、制御回路710は、発射信号をモータ制御708aに提供し得る。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材を、エンドエフェクタ702の長手方向軸に沿って、近位ストローク開始位置からストローク開始位置より遠位のストローク終了位置まで遠位に駆動し得る。発射部材が遠位に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるナイフ714は、遠位に前進して、ステープルカートリッジ718とアンビル716との間に位置する組織を切断する。
【0152】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のアンビル716部分などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、駆動信号をモータ704bに提供するモータ制御708bにモータ設定点を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに連結される。トルクセンサ744bは、アンビル716に連結される伝達装置706bに連結される。伝達装置706bは、開放位置及び閉鎖位置からのアンビル716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギアアセンブリに連結される。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、アンビル716に適用される閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供することができる。枢動可能なアンビル716は、ステープルカートリッジ718の反対側に位置決めされる。使用準備ができたとき、制御回路710は、モータ制御708bに閉鎖信号を提供し得る。閉鎖信号に応答して、モータ704bは、アンビル716とステープルカートリッジ718との間の組織を把持する閉鎖部材を前進させる。
【0153】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるために、シャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、駆動信号をモータ704cに提供するモータ制御708cにモータ設定点を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに連結される。トルクセンサ744cは、シャフト740に連結される伝達装置706cに連結される。伝達装置706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を、360度まで及びそれを超えて制御するための回転要素などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギアアセンブリによって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達装置アセンブリに連結される。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
【0154】
円形ステープラの実装において、トロカールを前進又は後退させるために、伝達装置706c要素がトロカールに連結される。一態様では、シャフト740は、図19A図19Cを参照して本明細書において以下で詳細に説明されるように、トロカール201904及びトロカールアクチュエータ201906を備える閉鎖システムの一部である。したがって、制御回路710は、モータ制御回路708cを制御して、トロカールを前進又は後退させるようにモータ704cを制御する。トルクセンサ744cは、トロカールを前進及び後退させる際に用いられる伝達構成要素706cに、モータ704cのシャフトによって印加されるトルクを測定するために設けられる。位置センサ734は、トロカール、アンビル716、若しくはナイフ714、又はこれらの任意の組み合わせの位置を追跡するための様々なセンサを含んでもよい。トロカール、アンビル716、若しくはナイフ714、又はこれらの任意の組み合わせの位置又は速度を含む様々なパラメータを測定するために、他のセンサ738を用いてもよい。トルクセンサ744c、位置センサ734及びセンサ738は、所望の方法で外科用器具700の動作を制御するための様々なプロセスへの入力部として制御回路710に連結される。
【0155】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成されている。制御回路710は、モータ設定点をモータ制御708dに提供し、モータ制御708dは、駆動信号をモータ704dに提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに連結される。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに連結された伝達装置706dに連結される。伝達装置706dは、エンドエフェクタ702の関節動作を±65°制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに連結され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動ギアアセンブリによって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に加えられる関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
【0156】
別の態様では、ロボット外科用システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材又はリンク742a、742bを備えてもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ708d、708eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の別個のディスクによって駆動される。別個の発射モータ704aが提供されるとき、関節運動リンク742a、742bの各々を、ヘッドが移動していないときに抵抗性保持運動及び負荷をヘッドに提供し、ヘッドが関節運動されるときに関節運動を提供するために、他方のリンクに対して拮抗的に駆動することができる。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに規定の半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転するとプッシュプル連結部の機械的利益は変化する。この機械的利益の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
【0157】
一態様では、1つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックスと、発射部材、閉鎖部材又は関節運動部材への機械的連結部と、を備えるブラシ付きDCモータを備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電気モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体及び物理システム上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。そのような外部影響は、電気モータ704a~704eのうちの1つに対抗して作用する抗力と呼ぶことができる。抗力などの外部影響は、物理システムの動作を物理システムの所望の動作から逸脱させる可能性がある。
【0158】
一態様では、位置センサ734は、絶対位置付けシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置付けシステムを備えてもよい。位置センサ734は、絶対位置付けシステムを提供するために制御回路710とインターフェース接続されてもよい。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔で効率的なアルゴリズムを実装するために設けられ、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0159】
一態様では、制御回路710は、1つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に位置付けられ、外科用器具700と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ738は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量性センサ、光センサ及び/又はエンドエフェクタ702の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ738は、1つ以上のセンサを含み得る。センサ738は、分割された電極を使用して組織の位置を決定するために、ステープルカートリッジ718のデッキ上に配置されてもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)ステープルカートリッジ718のどの部分がその上に組織を有しているか、並びに(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
【0160】
一態様では、1つ以上のセンサ738は、クランプされた状態の間のアンビル716における歪みの規模を測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの規模に伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に位置する組織の一部分のインピーダンスを検出するように構成することができ、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0161】
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(MR)装置、巨大磁気抵抗(GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、電気導体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計及び慣性センサを含んでもよい。
【0162】
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってアンビル716に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってアンビル716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル716との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル716に対して及ぼされる力は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に捕捉された組織の一部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ738を、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に位置決めして、閉鎖駆動システムによりアンビル716に印加された閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ738は、クランプ動作中にリアルタイムで、制御回路710のプロセッサによってサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル716に印加された閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0163】
一態様では、電流センサ736を使用して、モータ704a~704eの各々によって引き込まれた電流を測定することができる。ナイフ714などの可動機械的要素のいずれかを前進させるために必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き出される電流に対応する。力は、デジタル信号に変換され、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答を、コントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内のナイフ714を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形二次(linear-quadratic、LQR)、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。追加の詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日に出願された、CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENTと題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
【0164】
外科用器具700は、図1図6及び図9図13に示すように、モジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備え得る。外科用器具700は、電動円形ステープル留め器具201800(図18)、201000(図21図22)であってもよい。
【0165】
図17は、本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成されている外科用器具750のブロック図を示す。一態様では、外科用器具750は、ナイフ764などの変位部材又は他の好適な切断要素の遠位並進を制御するようにプログラムされている。外科用器具750は、アンビル766、ナイフ764(鋭い切刃を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ768を備え得るエンドエフェクタ752を備える。
【0166】
ナイフ764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置付けシステム、センサ機構、及び位置センサ784によって測定することができる。ナイフ764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、ナイフ764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって決定することができる。したがって、以下の説明では、ナイフ764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、ナイフ764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばナイフ764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって決定されたナイフ764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるナイフ764の位置を決定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定し、外部イベントをカウントし、又は外部イベントを計時するように構成され得る。
【0167】
制御回路760は、モータ設定点信号772を生成してもよい。モータ設定点信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ754は、ブラシ付きDC電気モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電気モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0168】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、スーパーキャパシタ若しくは任意の他の好適なエネルギー源であってもよいか、又はそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してナイフ764に機械的に連結され得る。伝達装置756は、モータ754をナイフ764に連結するための1つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。一態様では、伝達装置は、トロカールを前進又は後退させるために、円形ステープラのトロカールアクチュエータに連結される。位置センサ784は、ナイフ764、トロカール、若しくはアンビル766、又はこれらの組み合わせの位置を感知することができる。位置センサ784は、ナイフ764の位置を示す位置データを発生し得る任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、ナイフ764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡して、ナイフ764の位置を決定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、ナイフ764の運動を示す他の信号を提供し得る。また、いくつかの実施例では、位置センサ784を省略してもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、ナイフ764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に配置され得る。
【0169】
円形ステープラの実装において、伝達装置756要素は、トロカールを前進又は後退させるためにトロカールに連結されてもよく、ナイフ764を前進又は後退させるためにナイフ764に連結されてもよく、あるいはアンビル766を前進又は後退させるためにアンビル766に連結されてもよい。これらの機能は、好適なクラッチ機構を使用する単一のモータで実施されてもよく、あるいは、例えば、図16を参照して示されるように、別個のモータを使用して実施されてもよい。一態様では、伝達装置756は、図19A図19Cを参照して本明細書において以下に詳細に説明されるように、トロカール201904及びトロカールアクチュエータ201906を備える閉鎖システムの一部である。したがって、制御回路760は、モータ制御回路758を制御して、トロカールを前進又は後退させるようにモータ754を制御する。同様に、モータ754は、ナイフ764を前進又は後退させ、アンビル766を前進又は後退させるように構成され得る。トルクセンサは、トロカール、ナイフ764、若しくはアンビル766、又はこれらの組み合わせを前進及び後退させる際に用いられる伝達構成要素756にモータ754のシャフトによって印加されるトルクを測定するために提供され得る。位置センサ784は、トロカール、ナイフ764、若しくはアンビル766、又はこれらの任意の組み合わせの位置を追跡するための様々なセンサを含んでもよい。トロカール、ナイフ764、若しくはアンビル766、又はこれらの任意の組み合わせの位置又は速度を含む様々なパラメータを測定するために、他のセンサ788を用いてもよい。トルクセンサ、位置センサ784、及びセンサ788は、所望の方法で外科用器具750の動作を制御するための様々なプロセスへの入力部として、制御回路760に連結される。
【0170】
制御回路760は、1つ以上のセンサ788と通信し得る。センサ788は、エンドエフェクタ752上に位置付けられ、外科用器具750と共に動作して、間隙距離に対する時間、組織圧縮に対する時間、及びアンビル歪みに対する時間などの様々な導出パラメータを測定するように適応されてもよい。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量性センサ、光センサ、及び/又はエンドエフェクタ752の1つ以上のパラメータを測定するためのいずれかの他の好適なセンサを含んでもよい。センサ788は、1つ以上のセンサを含んでもよい。一態様では、センサ788は、円形ステープラのトロカールの位置を決定するように構成されてもよい。
【0171】
1つ以上のセンサ788は、クランプされた状態の間のアンビル766における歪みの規模を測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの規模に伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって発生した圧力を検出するように構成されている圧力センサを備えてもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織の一部分のインピーダンスを検出するように構成してもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0172】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてもよい。例えば、1つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置し得る。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織の一部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に位置決めして、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ788は、クランプ動作中にリアルタイムで、制御回路760のプロセッサによってサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0173】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。ナイフ764を前進させるのに必要な力は、モータ754による引き込み電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0174】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答を、コントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内のナイフ764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない、任意のフィードバックコントローラのうちの1つであってよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0175】
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はナイフ764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば変位部材及び関節運動ドライバを動作させる電気モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体及び物理システム上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ754に反して作用する障害と称されることがある。障害などの外部影響は、物理システムの動作を物理システムの所望の動作から逸脱させることがある。
【0176】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750を対象とする。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なアンビル766と、使用のために構成されている場合は、アンビル766の反対側に配置されたステープルカートリッジ768とを備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で組織を把持することができる。器具750を使用する準備が整うと、臨床医は、例えば、器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸に沿って、近位のストローク開始位置から、ストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで、遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進するにつれて、遠位端に配置された切断要素を有するナイフ764は、ステープルカートリッジ768とアンビル766との間の組織を切断することができる。
【0177】
様々な実施例で、外科用器具750は、1つ以上の組織状態に基づいて、例えば、ナイフ764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えてもよい。制御回路760は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで、厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に治療するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0178】
いくつかの例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などを挙げることができる。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実装してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。追加の詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日に出願された、SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENTと題する米国特許出願第15/720,852号に開示される。
【0179】
外科用器具750は、図1図6及び図9図13に示すように、モジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備え得る。外科用器具750は、電動円形ステープル留め器具201800(図18)、201000(図21図22)であってもよい。
【0180】
図18は、例示的な電動円形ステープル留め器具201800を示す。この例の器具201800は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802と、アンビル201804と、シャフトアセンブリ201806と、ハンドルアセンブリ201808と、回転ノブ201812と、を備える。ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、アンビル201804と選択的に連結する。ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、アンビル201804のステープルポケットとステープル形成ポケットとの間の組織をクランプするように動作可能である。ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802とアンビル201804との間に捕捉された組織を切るように動作可能な円筒形ナイフを備える。ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802とアンビル201804との間に捕捉された組織を通じてステープルを駆動する。ステープル留め器具201800を使用して、患者の胃腸管又は他の場所の中に固定吻合(例えば、端々吻合)を生成することができる。外側管状部材201810は、アクチュエータハンドルアセンブリ201808に連結されている。外側管状部材201810は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802とハンドルアセンブリ201808との間にメカニカルグラウンドを提供する。
【0181】
ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、シャフトアセンブリ201806を介して伝達される単一の回転入力に応答して、組織をクランプし、組織を切り、組織をステープル留めするように動作可能である。したがって、ステープル留めヘッドアセンブリ201802が並進クラッチ機構を備えてもよいが、シャフトアセンブリ201806を通って線形に並進する作動入力は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に必要とされない。単に例として、ステープル留めヘッドアセンブリ201802の少なくとも一部は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2012年12月17日に出願され、2014年6月19日に米国特許出願公開第2014/0166728号として公開された、「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Modular End Effector」と題する米国特許出願第13/716,318号の教示の少なくとも一部に従って構成されてもよい。ステープル留めヘッドアセンブリ201802の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0182】
シャフトアセンブリ201806は、ハンドルアセンブリ201808をステープル留めヘッドアセンブリ201802と連結させる。シャフトアセンブリ201806は、単一の作動機構である回転ドライバアクチュエータを備える。ハンドルアセンブリ201808及び回転ドライバアクチュエータに関する更なる詳細は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年11月6日に出願された、ADJUSTMENT OF STAPLE HEIGHT OF AT LEAST ONE ROW OF STAPLES BASED ON THE SENSED TISSUE THICKNESS OR FORCE IN CLOSINGと題する米国特許出願第16/182,229号に開示されている。
【0183】
次に、図19A図19Cを参照して、本実施例において、器具201800は、閉鎖システムと、発射システムと、を備える。閉鎖システムは、トロカール201904と、トロカールアクチュエータ201906と、回転ノブ201812と、を備える(図18)。前述したように、回転ノブ201812は、回転ノブ201812を時計回り又は反時計回り方向に回転させるためにモータに連結されてもよい。アンビル201804は、トロカール201904の遠位端に連結されてもよい。回転ノブ201812は、トロカール201904をステープル留めヘッドアセンブリ201802に対して長手方向に並進させ、これにより、アンビル201804がトロカール201904に連結されたときに、アンビル201804を並進させてアンビル201804とステープル留めヘッドアセンブリ201804との間で組織をクランプするように動作可能である。発射システムは、トリガ、トリガ作動アセンブリ、ドライバアクチュエータ201908、及びステープルドライバ201910を備える。ステープルドライバ201910は、ステープルドライバ201910が長手方向に作動したときに、組織を切るように構成されたナイフ201912などの切断要素を備える。それに加えて、ステープルドライバ201910を長手方向で作動させると、ステープルドライバ201910がステープル201902も遠位側に駆動するように、ステープル201902は、ステープルドライバ201910の複数のステープル駆動部材201914の遠位側に位置付けられる。それ故、ステープルドライバ201910がドライバアクチュエータ201908を介して作動すると、ナイフ201912部材201914は、組織201916を実質的に同時に切ると共に、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に対して遠位側に、組織内へとステープル201902を駆動する。次に、閉鎖システム及び発射システムの構成要素と機能性について、より詳細に説明する。
【0184】
図19A図19Cに示したように、アンビル201804は、表面を提供するように器具201800に選択的に連結可能であり、その表面に対して、ステープル201902を曲げて、ステープル留めヘッドアセンブリ201802とアンビル201804との間に収容された物質をステープル留めし得る。本実施例のアンビル201804は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に対して遠位側に延びるトロカール又は先のとがったロッド201904に選択的に連結可能である。図19A図19Cを参照すると、アンビル201804は、アンビル201904の近位シャフト201918をトロカール201904の遠位先端部の連結部を介して、選択的に連結可能である。アンビル201804は、概ね円形のアンビルヘッド201920、及びアンビルヘッド201920から近位方向に延びる近位シャフト201918を備える。図示されている例では、近位シャフト201918は、アンビル201804をトロカール201904に対して選択的に連結するための、弾性的に付勢された保持クリップ201924を有する管状部材201922を備えるが、これは単に任意選択のものであり、同様にアンビル201804をトロカール201904に対して連結するための、他の保持機構を使用してもよいことを理解すべきである。例えば、アンビル201804をトロカール201904に連結するために、Cクリップ、クランプ、糸、ピン、接着剤などを用いてよい。それに加えて、アンビル201804は、トロカール201904に選択的に連結可能であるように説明しているものの、変形例によっては、近位シャフト201918は、一旦アンビル201804を装着するとアンビル201804をトロカール201904から取り外せないように、一方向の連結機構を備えていてもよい。一例として、一方向の機能としては、返し、一方向スナップ、コレット、カラー、タブ、バンド、などが挙げられる。当然のことながら、アンビル201804をトロカール201904に連結するための更に他の構成が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかになるであろう。例えば、トロカール201904は、代わりに中空シャフトであってもよく、近位シャフト201918はこの中空シャフトに挿入可能なとがったロッドを備えていてもよい。
【0185】
本例のアンビルヘッド201920は、アンビルヘッド201920の近位面201940に形成された複数のステープル形成ポケット201936を備える。したがって、図19Cに示したように、アンビル201804が閉鎖位置にあり、ステープル201902がステープル留めヘッドアセンブリ201802からステープル形成ポケット201936の中へと駆動されたとき、ステープル201902の脚部201938が曲げられて、完成したステープルが形成される。
【0186】
別個の構成部品としてのアンビル201804の場合は、アンビル201804は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に連結される前に、組織201916の一部分に挿入され、固定されてよいことを理解すべきである。例示的なものにすぎないが、器具201800が、組織201916の第2の管状部分の中に挿入され、固定された状態で、アンビル201804が、組織201916の第1の管状部分の中に挿入され、固定されてもよい。例えば、組織201916の第1の管状部分は、アンビル201804の一部分に対して、又はアンビル201804の一部分の周囲に縫合されてもよく、組織201916の第2の管状部分は、トロカール201904に対して、又はトロカール201904の周囲に縫合されてもよい。
【0187】
図19Aに示したように、その後、アンビル201804は、トロカール201904に連結される。本例のトロカール201904は、最遠位の作動位置に示されている。このようにトロカール201904が伸長した位置にくることで、アンビル201804を取り付ける前に組織201916が連結され得る面積をより広く与えることができる。それに加えて、トロカール20190400が伸長した位置にくることで、アンビル201804のトロカール201904に対する装着をより容易にすることもできる。トロカール201904は、先細りの遠位先端部を更に備える。このような先端部は、組織に穿刺し、かつ/又はアンビル201804のトロカール201904への挿入を補助できるが、先細りの遠位先端部は単に任意選択のものである。例えば、他の変形例では、トロカール201904は、鈍先端部を有していてもよい。それに加えて、又はその代わりに、トロカール201904は、アンビル201804をトロカール201904の方へ引き付けることができる磁性部分(図示せず)を備えていてもよい。当然ながら、アンビル201804及びトロカール201904に対する更に他の構成及び配置が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0188】
アンビル201804がトロカール201904に連結されたとき、アンビル201804の近位面とステープル留めヘッドアセンブリ201802の遠位面との間の距離が、間隙距離dを定義する。本実施例のトロカール201904は、以下で詳細に説明されるように、アクチュエータハンドルアセンブリ201808(図18)の近位端に位置する調整ノブ201812(図18)を介して、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に対して、長手方向に並進可能である。結果的に、アンビル201804がトロカール201904に連結されると、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に対してアンビル201804を作動させることにより、調整ノブ201812の回転によって間隙距離dが拡大又は縮小する。例えば、図19A及び図19Bに連続的に示したように、アンビル201804は、初めの開放位置から閉鎖位置へアクチュエータハンドルアセンブリ201808に対して近位側に作動していることが示されていて、これによって間隙距離d及び組織201916の接合されるべき2つの部分間の距離が短くなる。一旦間隙距離dが所定の範囲以内になれば、図19Cに示したように、ステープル留めヘッドアセンブリ201802が発射され、アンビル201804とステープル留めヘッドアセンブリ201802との間の組織201916をステープル留めして切ることができる。ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、以下により詳細に説明するように、アクチュエータハンドルアセンブリ201808のトリガによって、組織201916をステープル留めし、切るように動作可能である。
【0189】
図19A図19Cを再度参照すると、ステープル留めされる組織201916の一部分の中にアンビルヘッド201920が位置するように、ユーザは、組織201916の一部分を管状部材201944の周囲に縫合する。組織201916がアンビル201804に装着されると、ユーザがアンビル201804をトロカール201904に連結できるように、保持クリップ201924及び管状部材201922の一部分が組織201916から外へ突出する。組織201916がトロカール201904及び/又はステープル留めヘッドアセンブリ201802の別の部分に連結された状態で、ユーザは、アンビル201804をトロカール201904に取り付け、アンビル201804をステープル留めヘッドアセンブリ201802に向かって近位に作動させて、間隙距離dを低減させる。器具201800が動作範囲内に入ると、ユーザは次に、組織201916の端部を共にステープル留めし、それによって、組織201916の実質的に連続した管状部分を形成する。
【0190】
本発明の例のステープル留めヘッドアセンブリ201802は、シャフトアセンブリ201806の遠位端に連結され、摺動可能なステープルドライバ201910と、ステープルポケット201928内に包含される複数のステープル201902とを収容する管状ケーシング201926を備える。本実施例のシャフトアセンブリ201806は、外側管状部材201942及びドライバアクチュエータ201908を備える。ステープル201902及びステープルポケット201928は、管状ケーシング201926の周囲に円形配列で設けられている。本実施例では、ステープル201902及びステープルポケット201928は、ステープル201902とステープルポケット201928とからなる一対の同心円形列として設けられている。ステープルドライバ201910は、アクチュエータハンドルアセンブリ201808の回転に応答して、管状ケーシング201926内で長手方向に作動するように動作可能である(図18)。図19A図19Cに示されるように、ステープルドライバ201910は、トロカール開口部201930と、中央凹部201932と、中央凹部201932の周囲に円周に沿って配設されて、シャフトアセンブリ201806に対して遠位側に延在する複数の部材201914と、を有するフレア状の円筒形部材を備える。各部材201914は、ステープルポケット201928内の複数のステープル201902のうち、対応するステープル201902と接触し、係合するように構成されている。したがって、ステープルドライバ201910がアクチュエータハンドルアセンブリ201808に対して遠位側に作動するとき、各部材201914は、管状ケーシング201926の遠位端に形成されるステープル孔201934を通して、対応するステープル201902をそのステープルポケット201928から打ち込む。それぞれの部材201914はステープルドライバ201910から延びているため、複数のステープル201902は、実質的に同時にステープル留めヘッドアセンブリ201802から駆動される。アンビル201804が閉鎖位置にあるとき、ステープル201902は、ステープル形成ポケット201936の中へと駆動されて、ステープル201902の脚部201938を曲げ、それによって、アンビル201804とステープル留めヘッドアセンブリ201808との間に位置する物質をステープル留めする。図20は、例として、部材201914によってアンビル201804のステープル形成ポケット201928内に駆動されて、脚部201938を曲げるステープル201902を示す。
【0191】
図18図21を参照して、本明細書に記載される電動円形ステープル留め器具201800、201000は、図7図8及び図16図17に関連して説明される制御回路のいずれかを使用して制御され得る。例えば、図7を参照して説明される制御システム470。更に、電動円形ステープル留め器具201800は、図1図6及び図9図13に関連して説明されるように、ハブ及びクラウド環境で用いられてもよい。
【0192】
図21は、本開示の少なくとも1つの態様による、円形ステープル留めヘッドアセンブリ201002及びアンビル201004を備える電動円形ステープル留め装置201000の部分切断図である。電動円形ステープル留め装置20100は、アンビル201004と円形ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間で、組織201006の第1の部分及び組織201008の第2の部分をクランプしていることが示されている。アンビル201004と円形ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間の組織201006、201008の圧縮は、例えば歪みゲージなどのセンサ201018で測定される。円形ステープル留めヘッドアセンブリ201002はまた、ナイフ201019も含み、このナイフは、ステープルの内側列201010及び外側列201014が発射され、アンビル201004の対応するステープル形成ポケット201011、201015に対して形成された後に、異なる速度で前進して、アンビル201004と円形ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間にクランプされた組織201006、201008を切り通すことができる。
【0193】
図22は、本開示の少なくとも1つの態様による、第1の列のステープル201010(内側ステープル)及び第2の列のステープル201014(外側ステープル)を示す、図21に示す円形ステープル留めヘッドアセンブリ201002の部分上面図である。内側列のステープル201010及び第2の列のステープル201014は、第1のステープルドライバ201012及び第2のステープルドライバ201016によって独立して作動可能である。
【0194】
ここで図21及び図22を参照すると、組織201006、201008がアンビル201004と円形ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間にクランプされると、第1の間隙δ1が内側列のステープル201010に設定され、第2の間隙δ2が外側列のステープル201014に設定される。組織圧縮が増加したとき、又は組織間隙δ1、δ2が減少したときに、ウインドウの中央の名目ステープル高さを調整する。第1のステープルドライバ201012が、組織201006、201008を通して、内側列のステープル201010を駆動し、内側列のステープル201010がアンビル201004に対して形成される。その後に、第2のステープルドライバ201016が、組織201006、201008を通して、外側列のステープル201010を独立して駆動し、外側列のステープル201014がアンビル201004に対して形成される。
【0195】
独立して作動可能なステープル列201010、201014は、組織201006、201008上のアンビル201004によってクランプされたFTC、又はアンビル201004クランプと円形ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間の組織間隙δ1、δ2に基づいて形成され得る。感知した組織厚さ又はFTCに基づく少なくとも1つの列のステープルのステープル高さの調整は、組織201006、201008の厚さ/閉鎖する際の負荷に基づく選択ウインドウの調整に焦点を当てる。他の態様では、選択可能なステープル高さのユーザ調整可能範囲は、アンビル201004の後退動作中に検出される組織負荷に基づいて変更することができる。組織圧縮(例えば、FTC)が増加したとき、又は組織間隙δ1、δ2が減少したときに、ウインドウの中央の名目ステープル高さは、図23を参照して本明細書で記載したように調整され得る。他の態様では、許容可能なステープルのウインドウ範囲の調整は、圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに表示される。他の態様では、組織圧縮、次いで組織の安定化が完了すると、組織のクリープ速度及び待機時間に基づいて、許容可能な範囲を更に調整することができる。
【0196】
図24は、本開示の少なくとも1つの態様による、ステープル留め器具の例示的な発射のためのアンビル間隙及び組織圧縮力Fに対する時間を描く第1のペアのグラフ202000、202020のグラフ図である。組織圧縮力Fはまた、閉鎖する力(FTC)として表現され得る。上のグラフ202000は、アンビル間隙δが垂直軸に沿って示され、時間が水平軸に沿って示され、下のグラフ202020において示されるような、3つの別個の組織圧縮力において、経時的なアンビル間隙の閉鎖を表す3つの別個のアンビル間隙曲線202002、202004、202006を示す。アンビル間隙曲線202002、202004、202006は、アンビル間隙δの調整が制御アルゴリズムによって行われるまで、組織の可変剛性、一定の厚さ、及び一定のアンビル間隙δについて、時間tの関数としての電動円形ステープル留め装置202080(図26)のアンビル閉鎖を表す。図7図8及び図16図17を参照して本明細書に記載される制御回路のいずれかによって実施される制御アルゴリズムを、1つ以上の様々な閾値と比較される感知された組織圧縮力Fに従って、アンビル間隙を調整するように構成することができる。制御回路に関する更なる詳細は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年11月6日出願された、ADJUSTMENT OF STAPLE HEIGHT OF AT LEAST ONE ROW OF STAPLES BASED ON THE SENSED TISSUE THICKNESS OR FORCE IN CLOSINGと題する米国特許出願第16/182,229号に開示されている。
【0197】
ここで図26を簡単に参照すると、本開示の少なくとも1つの態様による、有効な組織間隙δy、実際の間隙δactual、正常な範囲間隙δ2、及び範囲外間隙δ3を示す電動円形ステープル留め装置202080の概略図を示す。電動円形ステープル留め装置202080は、円形ステープラ202082及びアンビル202084を備え、アンビル202084は、アンビル201084とステープラ202082との間に組織をクランプするために開放位置から閉鎖位置へと後退する。アンビル202084が組織上で完全にクランプされると、アンビル202084とステープラ202082との間に画定された間隙δが存在することになる。円形ステープラ202082が発射された(例えば、作動された)とき、ステープル形成は、組織間隙δに依存する。図26に示すように、正常な範囲間隙δ2に対して、ステープル202088は良好に形成される。間隙δが小さすぎるとき、ステープル202086が密に形成されすぎ、間隙δが大きすぎるとき、ステープル202090が疎に形成されすぎる。
【0198】
ここで図24に戻り、上及び下のグラフ202000、202020並びに図26を参照すると、アンビル201084が時間t1において初期組織接触点202008に到達する前に、時間t0において、アンビル201084は、最大アンビル間隙δmaxを超えて最初に開いている。図示のように、一定の組織厚に起因して、t1は、可変組織剛性を有する組織に関する共通の組織接触点である。時間t1において、アンビル間隙δは、上側発射ロックアウト閾値202012を画定する最大アンビル間隙δmaxと、下側発射ロックアウト閾値202014を画定する最小アンビル間隙δmin 202014との間に示される理想発射ゾーン202016の依然として外側にある。アンビル201084が閉鎖し続けるにつれて、時間t1における初期組織接触点202008から組織圧縮力Fは増加し始める。組織圧縮力Fは、剛性の観点から組織の生物力学的特性の関数として変化することとなる。下のグラフ202020に示されるように、通常剛性の組織は、第1の組織圧縮力曲線202022によって表され、高剛性の組織は、第2の組織圧縮力曲線202024によって表され、低剛性の組織は、第3の組織圧縮力曲線202026によって表される。
【0199】
アンビル201084が最大アンビル間隙δmaxと最小アンビル間隙δminとの間で閉じ続けると、アンビル間隙δminは、時間t2において一定アンビル間隙202018の点に到達する。下のグラフ202020に示すように、時間t2において、第1の組織圧縮力曲線202022によって表される正常な剛性の組織に関する組織圧縮力Fは、上側警告閾値202032を規定する最大圧縮力Fmaxと下側警告閾値202034を規定する最小圧縮力Fminとの間に規定される理想発射ゾーン202036の範囲内にある。時間t2において、第2の組織圧縮力曲線202024によって表される高い剛性の組織に関する組織圧縮力Fは、理想発射ゾーン202036の外側で上側警告閾値202032を上回り、第3の組織圧縮力曲線202026によって表される低い剛性の組織に関する組織圧縮力Fは、理想発射ゾーン202036の外側で下側警告閾値202034未満である。
【0200】
時間t2から時間t3まで、アンビル201084は、3つのアンビル間隙曲線202002、202004、202006によって、上のグラフ202000に示されるように、一定の間隙δに維持される。この一定の間隙δの期間により、組織クリープが可能になり、下のグラフ202020に示されるように、3つの組織圧縮力曲線202022、202024、202026によって示されるように、この組織クリープの間に平均組織圧縮力Fがゆっくりと低下する。組織クリープは、組織が把持され、ステープル及びナイフが配備される発射段階を開始する前に、アンビル201084及びステープラ202082が、所定の時間にわたって組織を間に保持するように平均組織圧縮力Fが所定の閾値及びアンビル201084の閉鎖運動に達した後に入る段階である。組織クリープ段階中に、平均組織圧縮力Fは、t2とt3との間の期間にわたって低下する。組織は、固体材料及び液状材料から構成されていることを部分的に理由として、圧縮時に伸びる傾向がある。この特性を考慮した1つの方法が「組織クリープ」である。組織を圧縮する時、ある特定量の組織クリープが生じ得る。したがって、組織が圧縮されると、組織クリープを達成する特定の状況下での適切な時間により、恩恵が生じ得る。1つの恩恵は、適切なステープル形成であり得る。これは、一貫したステープル線に寄与することができる。したがって、発射よりも前に組織クリープをイネーブルするために、特定の時間を与えることができる。
【0201】
ここで図17もまた参照すると、アンビル間隙δが一定に維持されて組織クリープを可能にする期間の後、時間t3において、ステープルを配備する前に、点202010において、制御回路760は、ステープルカートリッジ764に対するアンビル766(図26のアンビル201804及びステープラ202084)の可能な調整が必要であるか否かを決定する。したがって、制御回路760は、組織圧縮力Fが、理想発射ゾーン202036の間にあるか、最大圧縮力Fmax閾値202032を上回るか、又は最小圧縮力Fmin閾値202034を下回るか否かを決定し、アンビル間隙δに任意の必要な調整を行う。組織圧縮力Fが理想発射ゾーン202036の間にある場合、制御回路760は、ステープルカートリッジ768内のステープルを配備し、ナイフ764を配備する。
【0202】
組織圧縮力Fが最大圧縮力Fmax閾値202032を上回る場合、制御回路760は、圧縮力が強すぎるという警告を登録し、アンビル間隙δを調整するか、発射前の待機時間を増加させるか、発射速度を下げるか、又は発射ロックアウトを有効にするか、又はこれらの任意の組み合わせを行うように構成されている。制御回路760は、アンビル766を遠位に、例えば、ステープルカートリッジ768(図26のアンビル201804及びステープラ202084)から離れる方向に前進させて、時間t3を超えたアンビル間隙曲線2002004のセグメントによって示されるように、アンビル間隙δを増加させることによって、アンビル間隙δを調整することができる。制御回路760がアンビル間隙δを増加させた後、時間t3を超えた組織圧縮力曲線202024のセグメントによって示されるように、組織圧縮力Fは、理想発射ゾーン202036へと減少する。
【0203】
組織圧縮力Fが最小圧縮力Fmin閾値202034を下回る場合、制御回路760は、圧縮力が弱すぎるという警告を登録し、アンビル間隙δを調整するか、注意して進めるか、又は発射ロックアウトを可能にするか、又はこれらの任意の組み合わせを行うように構成されている。制御回路760は、アンビル766を近位に、例えば、ステープルカートリッジ768(図26のアンビル201804及びステープラ202084)に向かって後退させて、時間t3を超えたアンビル間隙曲線2002006のセグメントによって示されるように、アンビル間隙δを減少させることによって、アンビル間隙δを調整するように構成され、時間t3を超えた組織圧縮力曲線202026のセグメントによって示されるように、アンビル間隙δを減少させた後、組織圧縮力Fは、理想発射ゾーン202036へと増加する。
【0204】
ここで図25に進むと、本開示の少なくとも1つの態様による、ステープル留め器具の例示的な発射のためのアンビル間隙及び組織圧縮力Fに対する時間を示す第2のペアのグラフ202040、202060のグラフ図が示される。上のグラフ202040は、3つの別個の組織厚における、経時的なアンビル間隙の閉鎖を表す3つの別個のアンビル間隙曲線202042、202046、202046を示し、アンビル間隙δは垂直軸に沿って示され、時間は水平軸に沿って示される。アンビル間隙曲線202042、202044、202046は、アンビル間隙δの調整が制御アルゴリズムによって行われるまで、組織の可変厚さ、一定の剛性、及び一定のアンビル間隙δに関する時間tの関数としての電動円形ステープル留め装置202080(図26)のアンビル閉鎖を表す。図7図8及び図16図17を参照して本明細書に記載される制御回路のいずれかによって実施される制御アルゴリズムを、1つ以上の様々な閾値と比較される感知された組織圧縮力Fに従ってアンビル間隙を調整するように構成することができる。
【0205】
ここで、上のグラフ202040及び下のグラフ202060並びに図26を参照すると、厚い組織に関する組織圧縮力曲線202064が増加し始める時間t1において、アンビル201084が厚い組織に関する第1の組織接触点202048に到達する前に、アンビル201084は、時間t0において、最初に最大アンビル間隙δmaxを超えて開放する。時間t1において、アンビル間隙δは、上側発射ロックアウト閾値202052を規定する最大アンビル間隙δmaxと、下側発射ロックアウト閾値202054を規定する最小アンビル間隙δminとの間に示される理想発射ゾーン202056の依然として外側にある。図示のように、一定の組織剛性及び可変的な組織厚により、アンビル201084は、異なる時間に組織に接触する。例えば、時間t1は、厚い組織に関する第1の組織接触点202048であり、時間t2は、通常の厚さの組織に関する第2の組織接触点であり、時間t3は、薄い組織に関する第3の組織接触点202058である。
【0206】
第1の組織圧縮力曲線202062は、通常の厚さの組織に関する圧縮力を表し、通常の厚さの組織が最初にアンビル201804と接触した時間t2で増加し始める。第2の組織圧縮力曲線202064は、厚い組織を表し、厚い組織が最初にアンビル201804と接触した時間t1で増加し始める。第3の組織圧縮力曲線202066は、薄い組織を表し、薄い組織が最初にアンビル201804と接触した時間t3で増加し始める。時間t2及びt3における第2及び第3の組織接触点において、通常及び薄い組織に関して、アンビル間隙δは、理想発射ゾーン202056、202076内にある。組織圧縮力Fは、組織厚の生体力学的特性の関数として変化することとなる。下のグラフ202040に示されるように、通常の厚さの組織は、第1の組織圧縮力曲線202042によって表され、厚い組織は、第2の組織圧縮力曲線202044によって表され、低剛性の組織は、第3の組織圧縮力曲線202066によって表される。時間t1、t2、t3における初期組織接触点から、アンビル201084が閉鎖し続けるにつれて、曲線202062、202064、2020066毎の組織圧縮力は、アンビル間隙が所定の値に到達する時間t4まで増加し始め、ステープラ202082が発射する準備ができるまで、t4とt5との間で一定を維持する。
【0207】
アンビル201084が最大アンビル間隙δmaxと最小アンビル間隙δminとの間で閉鎖し続けると、アンビル間隙δは、時間t4において一定アンビル間隙の点に到達する。下のグラフ202060に示すように、時間t4において、第1の組織圧縮力曲線202062によって表される通常の厚さの組織に関する組織圧縮力Fは、上側警告閾値202072を規定する最大圧縮力Fmaxと、下側警告閾値202074を規定する最小圧縮力Fminとの間に規定される理想発射ゾーン202076の範囲内にある。時間t4において、第2の組織圧縮力曲線202064によって表される厚い組織に関する組織圧縮力Fは、理想発射ゾーン202076外側で上側警告閾値202072を上回り、第3の組織圧縮力曲線202066によって表される薄い組織に関する組織圧縮力Fは、理想発射ゾーン202076外側で下側警告閾値202074未満である。
【0208】
時間t4から時間t5まで、アンビル201084は、3つのアンビル間隙曲線202042、202044、202046によって、上のグラフ202040に示されるように、一定の間隙δに維持される。この一定の間隙δの期間により、組織クリープが可能になり、下のグラフ202060に示されるように、3つの組織圧縮力曲線202062、202064、202066によって示されるように、この組織クリープの間に平均組織圧縮力Fがゆっくりと低下する。組織クリープは、組織が把持され、ステープル及びナイフが配備される発射段階を開始する前に、アンビル201084及びステープラ202082が、所定の時間にわたって組織を間に保持するように平均組織圧縮力Fが所定の閾値及びアンビル201084の閉鎖運動に達した後に入る段階である。組織クリープ段階中に、平均組織圧縮力Fは、t2とt3との間の期間にわたって低下する。組織は、固体材料及び液状材料から構成されていることを部分的に理由として、圧縮時に伸びる傾向がある。この特性を考慮した1つの方法が「組織クリープ」である。組織を圧縮する時、ある特定量の組織クリープが生じ得る。したがって、組織が圧縮されると、組織クリープを達成する特定の状況下での適切な時間により、恩恵が生じ得る。1つの恩恵は、適切なステープル形成であり得る。これは、一貫したステープル線に寄与することができる。したがって、発射よりも前に組織クリープをイネーブルするために、特定の時間を与えることができる。
【0209】
ここで図17もまた参照すると、アンビル間隙δが一定に維持されて組織クリープを可能にする期間の後、時間t5において、ステープルを配備する前に、点202050において、制御回路760は、ステープルカートリッジ764に対するアンビル766(図26のアンビル201804及びステープラ202084)の可能な調整が必要であるか否かを決定する。したがって、制御回路760は、組織圧縮力Fが、理想発射ゾーン202076の間にあるか、最大圧縮力Fmax閾値202072を上回るか、又は最小圧縮力Fmin閾値202074を下回るかを決定し、アンビル間隙δに任意の必要な調整を行う。組織圧縮力Fが理想発射ゾーン202076の間にある場合、制御回路760は、ステープルカートリッジ768内のステープルを配備し、ナイフ764を配備する。
【0210】
組織圧縮力Fが最大圧縮力Fmax閾値202072を上回る場合、制御回路760は、圧縮力が強すぎるという警告を登録し、アンビル間隙δを調整するか、発射前の待機時間を増加させるか、発射速度を下げるか、又は発射ロックアウトを可能にするか、又はこれらの任意の組み合わせを行うように構成されている。制御回路760は、アンビル766を遠位に、例えば、ステープルカートリッジ768(図26のアンビル201804及びステープラ202084)から離れる方向に前進させて、時間t5を超えたアンビル間隙曲線2002044のセグメントによって示されるように、アンビル間隙δを増加させることによって、アンビル間隙δを調整することができる。制御回路760がアンビル間隙δを増加させた後、時間t5を超えた組織圧縮力曲線202064のセグメントによって示されるように、組織圧縮力Fは、理想発射ゾーン202076へと減少する。
【0211】
組織圧縮力Fが最小圧縮力Fmin閾値202074を下回る場合、制御回路760は、圧縮力が弱すぎるという警告を登録するように構成され、アンビル間隙δを調整するか、注意して進めるか、又は発射ロックアウトを可能にするか、又はこれらの任意の組み合わせを行うことができる。制御回路760は、アンビル766を近位に、例えば、ステープルカートリッジ768(図26のアンビル201804及びステープラ202084)に向かって後退させて、時間t5を超えたアンビル間隙曲線202046のセグメントによって示されるように、アンビル間隙δを減少させることによって、アンビル間隙を調整するように構成されている。アンビル間隙δを減少させた後、時間t5を超えた組織圧縮力曲線202066のセグメントによって示されるように、組織圧縮力Fは、理想発射ゾーン202076へと増加する。
【0212】
図24及び図25を参照すると、一態様では、アンビル間隙δは、例えば、図8を参照して説明されるように、閉鎖モータ603からの読み取り値に基づいて、コントローラ620によって決定されてもよい。一態様では、アンビル間隙δは、例えば、図16を参照して説明されるように、アンビル716に連結された位置センサ734からの読み取り値に基づいて、制御回路710によって決定されてもよい。一態様では、アンビル間隙δは、例えば、図17を参照して説明されるように、アンビル766に連結された位置センサ784からの読み取り値に基づいて、制御回路760によって決定されてもよい。
【0213】
図24及び図25を参照すると、一態様では、組織圧縮力Fは、図8を参照して説明されるように、閉鎖モータ603からの読み取り値に基づいて、コントローラ620によって決定されてもよい。例えば、組織圧縮力Fは、モータの引き込み電流に基づいて決定されてもよく、アンビルを閉鎖している間のより高い引き込み電流は、より高い組織圧縮力に関連する。一態様では、組織圧縮力Fは、例えば、図16を参照して説明されるように、アンビル716又はステープルカートリッジ718に連結された歪みゲージなどのセンサ738からの読み取り値に基づいて、制御回路710によって決定されてもよい。一態様では、組織圧縮力Fは、例えば、図17を参照して説明されるように、アンビル766に連結された歪みゲージなどのセンサ788からの読み取り値に基づいて、制御回路760によって決定されてもよい。
【0214】
図27は、本開示の少なくとも1つの態様による、閾値と比較された感知されたパラメータに従って任意のロックアウト又は強制的ロックアウトを提供するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセス202100の論理フロー図である。図27に示すように、1つ以上の閾値に対する測定されたアンビル間隙と、1つ以上の閾値に対する測定された組織圧縮力F(別様にFTCと称される)との比較に従って、制御アルゴリズムは、器具に、無制限に発射させ(例えば、作動させ)るか、任意のロックアウトを実施させ(例えば、ユーザに警告を提供させ)るか、又は器具の強制的ロックアウトを実施させることができる。
【0215】
したがって、図17図26及び図27を参照して、プロセス202100は、図17図25を参照して説明される。制御回路760は、図17のアンビル766が図26のアンビル202084として示され、図17のステープルカートリッジ768が図26のステープラ202082として示されているプロセス202100を実行するアルゴリズムを実施する。電動円形ステープル留め装置202080の構成及び動作に関する更なる詳細は、図18図20を参照して本明細書に記載される。プロセス202100に戻り、制御回路760は、図24及び図25に関連して説明されるように、アンビル766に連結された位置センサ784からの読み取り値に基づいてアンビル間隙δを決定する。アンビル間隙δがδ3>δMaxであるとき、アンビル間隙は範囲外であり、制御回路760は強制ロックアウト202104を係合する。アンビル間隙δがδMaX>δ2>δMinであるとき、アンビル間隙δは範囲内にあり、制御回路760は、図29を参照して説明されるように、組織圧縮力F(FTC)を決定202106する。上述のように、組織圧縮力は、アンビル766又はステープルカートリッジ768に連結された歪みゲージセンサ788からの読み取り値に基づいて、制御回路760によって決定されてもよい。あるいは、組織圧縮力は、モータ754による引き込み電流に基づいて決定されてもよい。
【0216】
ここで図27及び図29を参照すると、FTCが理想FTC閾値未満であるとき(X1<理想FTC)、すなわち、図29のゾーンAにあるとき、制御回路760は、無制限電子ロックアウトを実行202108する。FTCが最大FTC閾値と理想FTC閾値との間にあるとき(最大>X2>理想)、すなわち、図29のゾーンBにあるとき、制御回路760は、無制限の任意の電子ロックアウトを実行202110する。一態様では、この条件下で、制御回路760は、メッセージ又はアラート(聴覚、視覚、触覚など)の形態の警告を発行する。FTCが最大FTC閾値より大きいとき(X3>限界)、すなわち、図29のゾーンCにあるとき、制御回路は、制限を有する任意の電子ロックアウトを実行202112する。この条件下で、制御回路760は、メッセージ又はアラート(聴覚、視覚、触覚など)の形態の警告を発行し、発射前に待機期間を適用する。様々な態様では、電動円形ステープル留め装置202080は、202082ステープラの作動を防止するか、又は感知された条件及び二次的測定値に基づいて、電動円形ステープル留め装置202080の機能を調節することができる、本明細書に記載されるような調節可能な電子ロックアウトを含む。
【0217】
一態様では、プロセス202100として本明細書に記載される電動円形ステープル留め装置202080の制御アルゴリズムは、電動円形ステープル留め装置202080が動作するための限界条件及び必要条件に基づいて、任意のロックアウト及び強制的ロックアウトを開始するように構成することができる。一態様では、電動円形ステープル留め装置202080のためのプロセス202100は、システム内の感知されたパラメータに基づいて、任意のロックアウト及び強制的ロックアウトの両方を実施するように構成することができる。任意のロックアウトは、順次処理の自動実行を休止させるが、例えば、ユーザ入力によって無効にされてもよい。強制的ロックアウトは、次の順次工程を防止し、ユーザに動作の工程を途中でやめさせ、例えば、ロックアウトを誘発したロックアウト条件を解消させる。一態様では、任意のロックアウト及び強制的ロックアウトの両方は、上限閾値及び下限閾値の両方を有することができる。したがって、電動円形ステープル留め装置202080は、任意のロックアウト及び強制的ロックアウトの組み合わせを含むことができる。
【0218】
一態様では、プロセス202100として本明細書に記載される電動円形ステープル留め装置202080の制御アルゴリズムは、システムの作動を防止するか、又は感知された条件及び二次的測定値に基づいてその機能を調節することができる電子ロックアウトを調節するように構成され得る。感知された条件は、FTC、アンビル変位、間隙δ、ステープルの形成であってもよく、二次的測定値としては、例えば、故障の重篤度、ユーザ入力、又は所定の比較ルックアップテーブルを挙げることができる。
【0219】
一態様では、強制的電子ロックアウトの反応は、状況が解消されるまで、電動円形ステープル留め装置202080の機能を禁止することである。逆に、任意のロックアウトへの反応は、よりわずかであり得る。例えば、任意のロックアウトは、警告指示、続行するためのユーザの同意を要求するアラート、作動若しくは待機時間の速度若しくは力の変化、又は状況が解決若しくは安定化されるまで行われる特定の機能の禁止を含むと考えられる。動作中、電動円形ステープル留め装置202080に関する必須条件として、例えば、クランプ前に完全に着座したアンビル202084を有することか、又は発射前にステープラカートリッジにステープルが装填されていることを挙げることができる。電動円形ステープル留め装置202080の実行可能な条件としては、例えば、所与の組織厚又は最小組織圧縮に関して許容可能なステープルの高さ以内であることを挙げることができる。更に、様々な条件は、同じパラメータ、例えば、電池パック内の電力レベルの任意のレベルの閾値及び強制的レベルの閾値の両方を有すると考えられる。
【0220】
一態様では、電動円形ステープル留め装置202080は、ロックアウトタイプに基づいて、電動円形ステープル留め装置202080の機能を防止又は調節するための様々な制御機構を実装するように構成することができる。一態様では、強制的ロックアウトは、単に、電子的、機械的インターロック、又はこれらの2つの組み合わせであると考えられる。2つのロックアウトを有する様々な態様では、ロックアウトは、冗長であるか、又は装置の設定に基づいて任意選択的に使用されると考えられる。一態様では、任意のロックアウトは、感知されたパラメータに基づいて調節可能であり得るように、電子ロックアウトであってもよい。例えば、任意のロックアウトは、電子的に無効化される機械的インターロックであると考えられ、又は単なる電子ロックアウトであると考えられる。
【0221】
図28は、本開示の少なくとも1つの態様による、アンビル間隙の範囲及び対応するステープル形成を示す図である。アンビル間隙202120が上限202126と下限202128との間にあるとき、ステープル形成は適切であり、組織厚の所与の範囲又は最小組織圧縮力に関して許容可能な範囲のステープルの高さ以内である。アンビル間隙202122が上限202126よりも大きいとき、ステープル形成は緩くなる。アンビル間隙202124が下限202128未満である場合、ステープル形成は緊密となる。
【0222】
図29は、本開示の少なくとも1つの態様による、3つの閉鎖する力(FTC)曲線202152、202154、202156に対する時間のグラフ図202150である。FTC曲線202152、202154、202156は、クランプ、待機、及び発射の3つの段階に分割される。クランプ段階は、共通の開始点を有し、これは、図24に詳細に記載されるように、組織が共通の厚さ及び可変の組織剛性を有することを意味する。クランプ段階の終了時に、組織クリープを考慮して、発射段階を開始する前に待機期間が存在する。
【0223】
第1のFTC曲線202152は、低い組織剛性を有する組織に対応する。クランプ段階の間、FTC曲線202152は、ゾーンAの理想FTC閾値202158未満にピークがある組織圧縮力の上昇を示す。クランプ段階の終了時に、電動円形ステープル留め装置202080(図26)は、組織クリープを考慮して、発射段階を開始する前に、ユーザ制御期間202162待機する。
【0224】
第2のFTC曲線202154は、正常な組織剛性を有する組織に対応する。クランプ段階の間、FTC曲線202154は、理想FTC閾値202158と、ゾーンBの最大FTC閾値202160との間にピークがある組織圧縮力の上昇を示す。クランプ段階の終了時に、電動円形ステープル留め装置202080(図26)は、組織クリープを考慮して、発射段階を開始する前にユーザ制御期間202164待機する。
【0225】
第3のFTC曲線202154は、高い組織剛性を有する組織に対応する。クランプ段階の間、FTC曲線202156は、ゾーンCにおいて最大FTC閾値202160を上回るピークがある組織圧縮力の上昇を示す。クランプ段階の終了時に、電動円形ステープル留め装置202080(図26)は、組織クリープを考慮して、発射段階を開始する前に待機期間202166を制御する。
【0226】
図30は、本開示の少なくとも1つの態様による、FTC曲線202172に対する時間の詳細なグラフ図202170である。図示のように、FTC曲線202172は、クランプ段階、待機段階、及び発射段階の3つの段階に分割される。クランプ段階の間、FTC曲線202172は、クランプ段階のセグメント202174によって示されるように、組織圧縮力を呈し、増加する。クランプ段階の後、発射段階を開始する前に待機期間202176が存在する。待機期間202176は、理想圧縮力閾値及び最大圧縮力閾値に対する組織圧縮力の値に応じて制御されるユーザか、又は装置かいずれか一方であり得る。発射段階の間、組織圧縮力は、FTC曲線のセグメント202178によって示されるように増加し、その後、低下する。
【0227】
様々な態様では、円形ステープラの閉鎖速度若しくは方向、又はそれらの組み合わせは、感知された取り付けに基づき、アンビルの完全に取り付けられた状態に対して調節することができる。一態様では、本開示は、トロカール上にアンビルを適切に着座させることを確実にするために、トロカールの主要場所におけるアンビルの閉鎖速度の変化を決定するためのデジタル的に有効にされた円形ステープラアルゴリズムを提供する。図31は、本開示の少なくとも1つの態様による、トロカール201510の後退ストロークに沿った特定の主要点における、電動ステープル留め装置201502のアンビル201514部分の閉鎖速度調節を示す、電動ステープル留め装置201502及びグラフ201504の図201500である。電動ステープル留め装置201502は、図18図20を参照して本明細書に記載される電動円形ステープル留め器具201800と同様であり、図7図8及び図16図17に関連して説明される制御回路のいずれかを使用して制御されてもよく、図1図6及び図9図13に関連して説明されるように、ハブ及びクラウド環境で用いられ得る。アンビル201514は、アンビルヘッド201515及びアンビルシャンク201517を含む。トロカール201510は、矢印201516によって示される方向に前進及び後退させることができる。一態様では、トロカール201510がアンビル201514にわずかに取り付けられているが、完全には取り付けられていない場合に、トロカール201510上のアンビル201514の最終着座を改善するために、トロカール201510の後退ストロークに沿った特定の主要点で、アンビル210514の閉鎖速度を調節することができる。
【0228】
図31の左側に示される電動ステープル留め装置201502は、トロカール201510を内部を通して受容する着座カラー201508を有する円形ステープル留めヘッドアセンブリ201506を含む。トロカール201510は、ロック特徴部201512を介してアンビル201514と係合する。トロカール210510は、矢印201516によって示される方向に移動可能であり、例えば、前進及び後退する。ナイフ201519などの切断要素は、円形ステープル留めヘッドアセンブリ201506がアンビル201514に向かって駆動されるときに組織を切断する。一態様では、アンビル201514の閉鎖速度は、例えば、トロカール210510がアンビル201514にわずかに取り付けられているが完全には取り付けられていない場合に、トロカール201510上のアンビル201514の最終着座を改善するために、アンビル201510の後退ストロークに沿った特定の主要点で調節され得る。したがって、アンビル201514の閉鎖速度は、適切な着座を確実にするために主要場所で変化させることができる。モータに連結されたトロカールアクチュエータによって前進又は後退される際のトロカール210510の位置又は変位は、トロカール210510の変位経路に沿って配設された複数の近接センサによって検出され得る。いくつかの態様では、トロカール210510の位置又は変位は、追跡システム480(図7)又は位置センサ734、784(図16図17)を使用して追跡されてもよい。
【0229】
図31の右側では、グラフ201504は、本開示の少なくとも1つの態様による、垂直軸に沿った「δトロカール」及び水平軸に沿った「Vclosure mm/秒」とラベル付けされた特定の主要点におけるトロカール201510の位置の関数としてのアンビル201514の閉鎖速度を示す。アンビル201514閉鎖速度プロファイル曲線201505は、トロカール201510の位置の関数としてプロットされる。アンビル201514の閉鎖速度は、アンビル201514へのトロカール210510の適切な取り付けを確実にするために、第1のゾーン201518で減速され、閉鎖中に第2のゾーン201520でより速くなり、取り付けを確認するために第3のゾーン201522で再度減速され、次いで高閉鎖負荷の適用中に第4のゾーン201524で更により減速され得る。
【0230】
トロカール201510の後退ストロークに沿った特定の主要点におけるアンビル201514の閉鎖速度調整は、トロカールがわずかに取り付けられているが完全には取り付けられていない場合に、トロカール201510上のアンビル201514の最終的な着座を改善する。トロカール201510の位置δ0において、アンビル201514は完全開放位置201521にあり、トロカール201510の位置δ4において、アンビル201514は完全閉鎖位置201523にある。トロカール201510の完全開放位置201521δ0と完全閉鎖位置δ4との間で、アンビル201514の閉鎖速度は、トロカール201510の位置に基づいて調整される。例えば、第1のゾーン201518において、トロカール201510が完全開放位置201521 δ0から第1のトロカール201510の位置δ1に移動するとき、アンビル201514の閉鎖速度は、アンビル201514のトロカール201510への適切な取り付けを確実にするために遅い(0~2mm/秒の間)。第2のゾーン201520において、トロカール201510がδ1からδ2に移動するとき、アンビル201514は、一定の迅速閉鎖速度(3mm/秒)で閉鎖される。トロカール201510がδ2位置からδ3位置に移動するとき、第3のゾーン201522において、アンビル201514の閉鎖速度は、アンビル201514のトロカール201510への完全な取り付けを確認するために減速される。最後に、トロカール201510が第4のゾーン201524においてδ3からδ4の位置に移動するとき、アンビル201514の閉鎖速度は、高い閉鎖負荷の間に再び遅くなる。
【0231】
図32は、本開示の少なくとも1つの態様による、トロカール201510の後退ストロークに沿った特定の主要点における、電動ステープル留め装置201502のアンビル201514部分の閉鎖速度を調整するための制御プログラム又は論理構成を示す、プロセス201700の論理フロー図である。このプロセス201700は、図7図8及び図16図17を参照して説明された制御回路のいずれかと共に実施されてもよい。このプロセス201700は、例えば、図1図6及び図9図13を参照して説明される、ハブ又はクラウドコンピューティング環境内で実施されてもよい。
【0232】
具体的には、図32に示されるプロセス201700を、図17の制御回路760を参照して説明する。制御回路760は、位置センサ784から受信した情報に基づいて、トロカール201510の位置を決定201702する。代替的に、トロカール201510の位置は、センサ788若しくはタイマー/カウンタ781回路又はこれらの組み合わせから受信した情報に基づいて、決定されてもよい。トロカール201510の位置に基づいて、制御回路760は、本開示の少なくとも1つの態様による、特定の主要点におけるトロカール201510の位置の関数として、アンビル201514の閉鎖速度(Vclosure mm/秒)を制御する。したがって、トロカール201510の位置が、アンビル201514がトロカール201510に取り付けられる第1のゾーン201518内に位置するとき、プロセス201700は、はい(Y)分岐に沿って継続し、制御回路760は、アンビル201514の閉鎖速度を減速に設定201704して、アンビル201514へのトロカール210510の適切な取り付けを確実にする。別様に、プロセス201700は、いいえ(N)分岐に沿って続く。トロカール201510の位置が、迅速な全体閉鎖ゾーンと称される、第2のゾーン201520内に位置するとき、プロセス201700は、はい(Y)分岐に沿って継続し、制御回路760は、アンビル201514の閉鎖速度を高速に設定201706して、アンビル201514を迅速に閉鎖する。別様に、プロセス201700は、いいえ(N)分岐に沿って続く。トロカール201510の位置が、確認ゾーンと称される第3のゾーン201522内に位置するとき、プロセスは、はい(Y)分岐に沿って継続し、制御回路760は、アンビル201514の閉鎖速度を減速に設定201708して、トロカール201510へのアンビル201514の完全な取り付けを確認する。別様に、プロセス201700は、いいえ(N)分岐に沿って続く。トロカール201510の位置が、高閉鎖負荷ゾーンと称される第4のゾーン201524内に位置するとき、プロセス201700は、はい(Y)分岐に沿って継続し、制御回路760は、高閉鎖負荷の適用中に、アンビル201514の閉鎖速度を以前の確認ゾーン201522よりも遅い速度に設定201710する。アンビル201514が、トロカール201510を完全に閉鎖して、組織をそれらの間に捕捉すると、制御回路760は、ナイフ201519を作動させて、組織を切断する。
【0233】
一態様では、本開示は、トロカール上の多方向着座運動を決定して、アンビルを適切に着座させるためのデジタル的に可能な円形ステープラ適応アルゴリズムを提供する。図33は、本開示の少なくとも1つの態様による、トロカール201540及びアンビル201544の閉鎖速度の検出を示す、電動ステープル留め装置201532及びグラフ201534の図201530である。電動ステープル留め装置201532は、図18図21を参照して本明細書に記載される電動円形ステープル留め器具201800と同様であり、図7図8及び図16図17に関連して説明される制御回路のいずれかを使用して制御されてもよく、図1図6及び図9図13に関連して説明されるように、ハブ及びクラウド環境で用いられ得る。アンビル201544は、アンビルヘッド201545と、アンビルシャンク201547と、を含む。トロカール201540は、矢印201546によって示される方向に前進及び後退することができる。一態様では、アンビルシャンク201547がトロカール201540からの緩い引張を検出された場合、電動ステープル留め装置210530は、アンビル201544の着座の不安定性が解消されるまで、後退を停止するか、又は開放位置201541に向かって後退又は逆方向に前進し得る。アンビル201544が完全に引き離された場合、電動ステープル留め装置210530は、トロカール201540へのアンビルシャンク201547の再取り付けを試みることを、ユーザに示して、完全に開放する201541ことができる。
【0234】
図33の左側に示される電動ステープル留め装置201532は、トロカール201540を通して受け取る着座カラー201538を有する円形ステープル留めヘッドアセンブリ201536を含む。トロカール201540は、ロック特徴部201542を介してアンビル201544と係合する。トロカール210540は、矢印201546によって示される方向に移動可能であり、例えば、前進及び後退する。ナイフ201548などの切断要素は、円形ステープル留めヘッドアセンブリ201536がアンビル201544に向かって駆動されるときに組織を切断する。
【0235】
一態様では、トロカール201540及びアンビル201544の閉鎖速度が検出され得、2つの構成要素の閉鎖速度間のいかなる不一致も、トロカール201540の自動延在、次いでアンビル201544をトロカール201540上に完全に着座させるために、トロカール201540の後退を発生させる可能性がある。一態様では、トロカール201540及びアンビル201544の閉鎖速度の間のいかなる不一致も、制御回路又はプロセッサに提供されて、トロカール201540の自動延在、次いで、アンビル201544をトロカール201540上に完全に着座させるために再後退を発生させるように、トロカール201540に連結されたモータを操作し得る。アンビルシャンク201547がトロカール201540からの緩い引張を検出した場合、スマート電動ステープル留め装置201532は、アンビル201544を着座させる不安定性が解消されるまで、後退を停止するか、又は逆に、開いた方へ前進するように構成され得る。アンビル201544が完全に引き離された場合、トロカール201540へのアンビルシャンク201547の再取り付けを試みることをユーザに示して、完全に開放してもよい。図33に示されるように、アンビル201544の取り付けを再確認する前に、アンビル201544の脱離が感知された場合、制御アルゴリズムは、トロカール201540を開放位置201541に向かって戻してアンビル201544をリセットするように構成され、アンビル201544が取り付けられていることを確認すると、通常どおり処理することができる。
【0236】
したがって、システムは、アンビル201544を適切に着座させるために、トロカール201540上の多方向着座運動のために構成され得る。例えば、アンビルシャンク201547がトロカール201540からの緩い引張を検出した場合、スマート電動ステープル留め装置201530は、アンビル201544を着座させる不安定性が解消されるまで、後退を停止するか、又は逆に、開いた方へ前進するように構成され得る。アンビル201544が完全に引き離された場合、スマート電動ステープル留め装置201532は、トロカール201540へのアンビルシャンク201547の再取り付けを試みることを、ユーザに示して、完全に開放するように構成され得る。
【0237】
図33の右側では、グラフ201534は、本開示の少なくとも1つの態様による、垂直軸に沿って「δトロカール」及び水平軸に沿って「t」とラベル付けされた、特定の主要点における時間の関数としてのトロカール201510の位置を示す。トロカール201540位置プロファイル曲線201549は、時間(t)の関数としてプロットされる。トロカール201540位置プロファイル曲線201549を参照すると、トロカール201540は、完全開放位置201541から、迅速閉鎖速度で第1の期間201556にわたって完全閉鎖位置201543に向かって移動する。第2の期間201558中、トロカール201540は、アンビルロック特徴部201542が着座カラー201538と適切に係合したことを確認するために低速で、アンビルロック特徴部201542が着座カラー201538と係合する、確認ゾーン201547に移動する。示される実施例では、アンビル201544の脱離開始は、時間201552において感知される。アンビル201544が脱離されたことを感知すると、トロカール201540は、開放位置に向かって前進し、第3の期間201560にわたって戻る。トロカール201540はその後、アンビル201544が、時間201554においてトロカール201540に取り付けられることが確定又は確認されるまで、第4の期間201562中にゆっくりと移動する。その後、トロカール201540は、アンビル201544と円形ステープル留めヘッドアセンブリ201536との間に捕捉された組織を切断するためにナイフ201548が前進する前に、高い組織負荷の下、第5の期間201564中に非常にゆっくりと閉鎖位置201543に向かって移動する。
【0238】
図34は、本開示の少なくとも1つの態様による、アンビル201544を適切な着座へと駆動するためのトロカール201540上の多方向着座運動を検出する制御プログラム又は論理構成を示すプロセス201720の論理フロー図である。このプロセス201720は、図7図8及び図16図17を参照して本明細書に記載される、任意の制御回路を用いて実施されてもよい。このプロセス201720は、例えば、図1図6及び図9図13を参照して説明される、ハブ又はクラウドコンピューティング環境内で実施されてもよい。
【0239】
具体的には、図34に示されるプロセス201720を、図17の制御回路760を参照して説明する。制御回路760は、位置センサ784から受信した情報に基づいて、トロカール201540の閉鎖速度を決定201722する。制御回路760は、次に、位置センサ784から受信した情報に基づいて、アンビル201544の閉鎖速度を決定201724する。代替的に、トロカール201540又はアンビル201544の閉鎖速度は、センサ788若しくはタイマー/カウンタ781回路又はこれらの組み合わせから受信した情報に基づいて、決定されてもよい。制御回路760は、トロカール201540及びアンビル201544の閉鎖速度を比較207126する。トロカール201540及びアンビル201544の閉鎖速度の間に不一致がない場合、プロセス201720は、トロカール201540及びアンビル201544の閉鎖速度の間に不一致が存在するまで、いいえ(N)分岐に沿って継続し、ループする。トロカール201540及びアンビル201544の閉鎖速度の間に不一致が存在するとき、プロセス201720は、はい(Y)分岐に沿って継続し、制御回路760は、トロカール201540を延在し、後退207128させて、アンビル201544をリセットする。その後、プロセス201720は、トロカール201540及びアンビル201544の取り付けを確認201130する。取り付けが確認された場合、プロセス201720は、はい(Y)分岐に沿って継続し、制御回路760は、組織負荷下でトロカール201540の閉鎖速度を減速207132させる。取り付けが確認されない場合、プロセス201720は、アンビル201544へのトロカール201540の取り付けが確認されるまで、いいえ(N)分岐に沿って継続し、ループする。アンビル201544がトロカール201540上で完全に閉鎖して、組織をそれらの間に捕捉すると、制御回路760は、ナイフ201548を作動させて組織を切断する。
【0240】
様々な態様において、円形ステープラ及びエンドポイントのナイフ速度は、アンビルとカートリッジとの間の組織の感知された靭性又は厚みに基づいて、調節することができる。したがって、円形ステープラ制御アルゴリズムは、ナイフストローク及び速度を調節するために、組織間隙及び発射力を検出するように構成され得る。一態様では、本開示は、本開示の少なくとも1つの態様による、ナイフストローク及びナイフ速度を調節するために、組織間隙及び発射力を検出するためのデジタル的に可能な円形ステープラ適応アルゴリズムを提供する。
【0241】
概して、図35図37は、本開示の少なくとも1つの態様による、円形電動ステープル留め装置201610と、アンビル201612の位置(δAnvil)に対するクランプを閉鎖する力(FTC)、ナイフ201616の位置(δKnife)に対するナイフ201616の速度(VK)、及びナイフ201616の力(FK)を示す一連のグラフと、を表す。シャンク201621の長さに沿った異なる点で感知されたデータを使用して、制御アルゴリズムは、組織上で圧縮されたときに高い側又は低い側を監視するアンビル201612の組織間隙又は反力ベクトルのマップを生成することができる。発射時、システムは、力センサを含む圧縮要素201620上に作用する力を測定し、シャンクの力ベクトルに沿って均等に作用して、均一かつ完全な切断を提供するように調節する。
【0242】
具体的には、図35は、本開示の少なくとも1つの態様による、左側にアンビル201612閉鎖部、及び右側に作動するナイフ201616を示す、円形電動ステープル留め装置201610の部分概略図である。円形電動ステープル留め装置201610は、完全開放位置δA2から完全閉鎖位置δA0まで移動可能なアンビル201612を備える。中間位置δA1は、アンビル201612がアンビル201612と円形ステープラ201614との間に位置する組織に接触する点を表す。アンビルシャンク201621の長さに沿って位置する1つ以上の位置センサは、アンビル201612の位置を監視する。一態様では、位置センサは、着座カラー201618内に位置してもよい。圧縮要素201620は、中間位置δA1に示されるように、組織に印加された力を監視し、組織とのアンビル201612の初期接点を検出するために、例えば、歪みゲージなどの力センサを備えてもよい。位置センサ及び力センサは、例えば、円形ステープラ制御アルゴリズムを実施する、図7図8及び図16図17を参照して本明細書に記載される制御回路のうちのいずれかとインターフェースする。円形電動ステープル留め装置201610はまた、完全な組織切断を達成するために、完全に後退した位置δA0から完全に伸長した位置δA2まで移動可能であるナイフ201616などの移動可能な切断要素を備える。ナイフ201616の中間位置δA1は、ナイフ201616が、歪みゲージ又は他の接触センサ若しくは近接センサを備える、圧縮要素201620と接触する点を表す。
【0243】
電力ステープル留め装置201610は、図7図8及び図16図20に関連して本明細書に記載されるように、モータと、センサと、制御回路と、を含む。モータは、アンビル201612及びナイフ201616を移動させるために制御回路によって制御される。電力ステープル留め装置201610上に位置する1つ以上の位置センサは、アンビル201612及びナイフ201616の位置を制御回路に提供する。力センサ201620などの追加のセンサはまた、アンビル201612及びナイフ201616に作用する組織接点並びに力を制御回路に提供する。制御回路は、図38に関連して以下に説明される円形ステープラ制御アルゴリズムを実施するために、アンビル201612の位置、ナイフ201616の位置、初期組織接点、又はアンビル201612若しくはナイフ201616に作用する力を用いる。
【0244】
図36は、本開示の少なくとも1つの態様による、水平軸に沿ったクランプを閉鎖する力(FTC)の関数として、垂直軸に沿ったアンビル201612変位(δAnvil)のグラフ図201600である。垂直線は、組織靭性を示すFTC閾値201606を表す。FTC閾値201606の左側は、正常靭性を有する組織を表し、FTC閾値201606の右側は、強靭性を有する組織を表す。アンビル201612が完全開放位置δA2から、アンビル201612が最初に組織に接触する中間位置δA1まで後退させられるとき、FTCは実質的に低い(約0)。アンビル201612がこの点を越えて円形ステープラ201614に向かって完全に後退した位置δA0から、圧縮された組織の厚さを引いた位置まで閉鎖し続けると、FTCは非直線となる。正常から強靭性への各組織のタイプは、異なるFTC曲線を生成することになる。例えば、破線で示される第1のFTC曲線201604は、約0~約100lbsに及び、最大FTCは、FTC閾値201606を下回る。実線で示される第2のFTC曲線201602は、約0~約200lbsに及び、最大FTCは、FTC閾値201606を超える。前に考察されたように、FTCは、圧縮要素201620内に位置付けられ、制御回路に連結された力センサによって測定される。
【0245】
図37は、本開示の少なくとも1つの態様による、左側に、水平軸に沿ったナイフ201616速度(VK mm/秒)の関数として、更に右側に、水平軸に沿ったナイフ201616の力(FK lbs)の関数として、垂直軸に沿ったナイフ201616変位(δKnife)のグラフ図201630である。左側は、水平軸に沿ったナイフ201616の速度(VK mm/秒)の関数として、垂直軸に沿ったナイフ201616の変位(δKnife)のグラフ図201632である。右側は、水平軸に沿ったナイフ201616の力(FK lbs)の関数として、垂直軸に沿ったナイフ201616の変位(δKnife)のグラフ図201634である。グラフ表現201632、201634の各々における破線201638、20142の曲線は、正常な靭性の組織を表し、実線201636、201640の曲線は、強靭性の組織を表す。
【0246】
正常な組織のナイフ速度プロファイル201638によって示されるように、正常な組織靭性について左側のグラフ図201632を参照すると、正常な組織靭性のためのナイフ201616の初期速度は、初期ナイフ位置δK0において、例えば、ちょうど4mm/秒すぎの第1の速度で開始する。ナイフ201616は、ナイフ位置δK1に到達するまでその速度を継続し、ナイフ位置δK1では、ナイフ201616が、組織に接触して、切断を完了し、制御回路がモータを停止し、したがってナイフ201616を停止することを示すナイフ位置δK2に到達するまで、ナイフ201616は、組織を通して切断する際に、ナイフ201616の速度を遅くする。正常な組織のナイフ力曲線201642によって示されるように、正常な組織靭性について右側のグラフ図201634を参照すると、ナイフ201616上に作用する力は、初期ナイフ位置δK0において0lbsであり、ナイフ201616が、切断が完了する、ナイフ位置δK2に到達するまで、非直線的に変化する。
【0247】
厚い組織のナイフ速度プロファイル201636によって示されるように、高い組織靭性について左側のグラフ図201632を参照すると、高い組織靭性のためのナイフ201616の初期速度は、例えば、ちょうど3mm/秒すぎなどの、第2の速度で開始し、これは初期ナイフ位置δK0において、第1の速度よりも低く、正常な組織靭性の初期速度未満である。ナイフ201616は、ナイフ201616が組織に接触するナイフ位置δK1に達するまで、その速度を継続する。この時点で、ナイフ201616の速度は、ナイフ201616の短い変位のために組織を切断する際に非直線的に減速し始める。制御回路は、ナイフ201616が組織に接触したことを検出し、これに応答して、切断を完了し、制御回路がモータを停止し、したがってナイフ201616を停止することを示す位置δにナイフ201616が到達するまで、ナイフ201616の速度を例えばナイフ201616まで初期速度まで増加させるようにモータの速度を増加させる。これは、強靭性の組織の切断を改善する速度スパイク201644として示される。厚い組織のナイフ力曲線201640によって示されるように、高い組織靭性について右側のグラフ図201634を参照すると、ナイフ201616上に作用する力は、初期ナイフ位置δK0において0lbsであり、ナイフ201616が、切断を完了する、ナイフ位置δK2に到達するまで、非直線的に変化する。正常及び高い組織ナイフ力曲線201640、201642の比較は、より低い速度で、ナイフ201616との組織接触後直ぐに速度スパイク201644を加えることで、ナイフ201616は、正常な靭性の組織を切断するときに経験するよりも高い靭性の組織を切断する際に、より低い力を経験することを示す。
【0248】
図38は、本開示の少なくとも1つの態様による、ナイフストローク及び速度を調整するために、組織間隙及び発射力を検出するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセス201720の論理フロー図である。このプロセス201750は、図7図8及び図16図17を参照して説明された制御回路のいずれかと共に実施されてもよい。このプロセス201750は、例えば、図1図6及び図9図13を参照して説明される、ハブ又はクラウドコンピューティング環境内で実施されてもよい。
【0249】
具体的には、図38に示されるプロセス201750を、図17の制御回路760、及び図35図37に示される円形電動ステープル留め装置201610を参照して説明する。制御回路760は、位置センサ784から受信された位置フィードバックに基づいて、アンビル201612の変位を監視201752する。前に考察されたように、一態様では、位置センサ784は、アンビル201612のシャンク201612に埋め込まれてもよい。アンビル201612が変位されると、制御回路760は、アンビル201612と円形ステープラ201614との間に位置決めされた組織とアンビル201612の接触を監視201754する。一態様では、組織接触は、圧縮要素201620に埋め込まれた力センサによって提供されてもよい。力センサは、図17に示される外科用器具790のセンサ788要素として表される。力センサ788は、アンビル201612と円形ステープラ201614との間に位置決めされた組織上へのアンビル201612の閉鎖力である、クランプを閉鎖する力(FTC)を監視201756するために用いられる。制御回路760は、FTCを所定の閾値と比較201758する。FTCが所定の閾値を下回るとき、制御回路760は、図37に示されるように、正常な組織靭性速度プロファイル201638を使用して、ナイフ201616を前進201760させるために、モータ754の速度を設定する。FTCが所定の閾値を上回るとき、制御回路760は、図37に示されるように、速度スパイク201644を有する高い組織靭性速度プロファイル201636を使用して、ナイフ201616を前進201762させるために、モータ754の速度を設定する。
【0250】
図39は、本開示の少なくとも1つの態様による、図37に示されるような速度スパイク201644を有する高い組織靭性速度プロファイル201636の下で、ナイフ201616を前進201762させる制御プログラム又は論理構成を示す、プロセス201762の論理フロー図である。このプロセス201762は、図7図8及び図16図17を参照して説明された制御回路のいずれかと共に実施されてもよい。このプロセス201750は、例えば、図1図6及び図9図13を参照して説明される、ハブ又はクラウドコンピューティング環境内で実施されてもよい。
【0251】
具体的には、図39に示されるプロセス201762を、図17の制御回路760、及び図35図37に示される円形電動ステープル留め装置201610を参照して説明する。高い組織靭性が検出されると、制御回路760は、ナイフ201616の初期速度を、正常な組織靭性を切断するために使用されるナイフ速度に対してより低いナイフ速度に設定201770する。一態様では、高い組織靭性の状態におけるより遅いナイフ速度は、より良好な切断を促進する。制御回路760は、ナイフ201616がいつ組織に接触するかを監視201772する。前に考察されたように、組織接触は、圧縮要素201620に埋め込まれた力センサによって検出されてもよい。図37に示されるように、ナイフ201616が組織に接触するとき、ナイフ201616は、自然に減速する。したがって、制御回路760は、ナイフ201616が組織と接触したことを検出すると、組織接触が検出され、制御回路760は、モータ754の速度を増加201774させて、組織を切断するナイフ201616の速度を増加させる。制御回路760は、切断の完了を監視201776し、切断の完了が検出されるまでモータ740の速度を維持201778し、次いでモータ740を停止201780させる。
【0252】
ここで図40図44を参照すると、組織の量及び位置のみならず、組織の性質、種類、又は状態も、ステープル留めの結果に影響を及ぼし得る。例えば、不規則な組織分布はまた、例えば、端々吻合処置など、予めステープル留めされた組織をステープル留めすることを伴う状況においても顕在化する。ステープルカートリッジのエンドエフェクタ内での予めステープル留めされた組織の位置決め及び分布が不十分であると、予め発射されたステープル線が、エンドエフェクタ内で別のゾーンよりも1つのゾーンに集中する場合があり、これは、こうした処置の結果に悪影響を及ぼす。
【0253】
本開示の態様は、エンドエフェクタの第1のジョーと第2のジョーとの間でクランプされた組織をステープル留めするように構成されたエンドエフェクタを含む、外科用ステープル留め器具を提示する。一態様では、エンドエフェクタ内の予めステープル留めされた組織の位置決め及び配向は、エンドエフェクタ内のいくつかの所定のゾーンで組織インピーダンスを測定及び比較することによって決定される。様々な態様では、組織インピーダンス測定値を利用して、組織の重ね合わせられた層及びエンドエフェクタ内のそれらの位置を特定することができる。
【0254】
図40図42は、円形ステープラのエンドエフェクタ25500を示し、それは、ステープルカートリッジ25502とアンビル25504と、を含み、それらの間に組織が把持するように構成されている。アンビル25504及びステープルカートリッジ25502のステープルキャビティ25505は、エンドエフェクタ25500の他の特徴を強調するために図40から取り除かれている。ステープルカートリッジ25502は、本開示に従って、感知回路(S1、S2、S3、S4)によって画定される4つの所定のゾーン(ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、ゾーン4)を含む。
【0255】
図41は、それらの間に組織を把持するように構成されているステープルカートリッジ25512とアンビルとを含む、円形ステープラの別のエンドエフェクタ25510を示す。アンビル及びステープルカートリッジ25512のステープルキャビティは、エンドエフェクタ25510の他の特徴を強調するために取り除かれている。ステープルカートリッジ25512は、本開示による、感知回路(S1~S8)によって画定される8つの所定ゾーン(ゾーン1~ゾーン8)を含む。図40及び図41の円形ステープラの各々に画定されたゾーンは、サイズが等しい、又は少なくとも実質的に等しく、円形ステープラのシャフトを通って長手方向に延在する長手方向軸の周囲で円周方向に配置される。
【0256】
上記のように、予めステープル留めされた組織は、組織内に予め配備されたステープルを含む組織である。円形ステープラは、多くの場合、図42に図示されるように、予めステープル留めされた組織を他の予めステープル留めされた組織にステープル留めする際に利用される(例えば、端々吻合処置)。
【0257】
通常、ステープルは組織とは異なる導電率を有するため、組織内のステープルの存在は組織インピーダンスに影響を及ぼす。本開示は、エンドエフェクタに対する予めステープル留めされた組織の最適な位置決め及び配向を決定するために、円形ステープラのエンドエフェクタ(例えばエンドエフェクタ25500、25510)の所定のゾーンにおける組織インピーダンスを監視及び比較するための様々なツール及び技術を提示する。
【0258】
図42の左側の実施例は、円形ステープラの所定のゾーンに対して適切に位置決め及び配向された予めステープル留めされた組織を示す。予めステープル留めされた組織は、ステープルカートリッジ25502の中心を通って適切に延在し、所定のゾーンと1回のみ交差する。図42の左下側は、適切に位置決め及び配向された予めステープル留めされた組織内に配備されたステープルカートリッジ25502のステープル25508を示す。
【0259】
図42の右側の実施例は、不十分に位置決め及び配向された予めステープル留めされた組織を示す。予めステープル留めされた組織は、1つ以上の所定のゾーンにおいて中心から外れている、又は重なり合っている。図42の右下側は、不十分に位置決め及び配向された予めステープル留めされた組織内に配備されたステープルカートリッジ25502のステープル25508を示す。
【0260】
図40図44に関連して用いられているように、ステープル線は、複数列の千鳥状ステープルを含んでもよく、限定しないが、2列又は3列の千鳥状ステープルを通常含む。図42の実施例では、図40の円形ステープラは、予め配備されたステープル線SL1、SL2を含む2つの組織をステープル留めするために用いられる。適切に位置決め及び配向されたステープル線SL1、SL2を表す図42の左側の実施例では、ゾーン1~ゾーン4の各々は、ステープル線SL1、SL2のうちの1つの別個の部分を受け取る。第1のステープル線SL1はゾーン2及びゾーン4にわたって延在し、一方、中心点で第1のステープル線SL1と交差する第2のステープル線SL2は、ゾーン1及びゾーン3にわたって延在する。したがって、4つのゾーンで測定されたインピーダンスは、互いに等しく、又は少なくとも実質的に等しく、ステープル留めされていない組織のインピーダンスよりも小さくなる。
【0261】
反対に、不適切に位置決め及び配向されたステープル線SL1、SL2を表す図42の右側の実施例では、ステープル線SL1、SL2は、ゾーン1及びゾーン3にわたって、互いの上に重なり合うか、又は実質的に互いの上に延在し、ゾーン2及びゾーン4と比較して低いインピーダンス測定値をゾーン1及びゾーン3にもたらす。
【0262】
図43及び図44は、上述したように、8つの感知回路S1~S8によって画定される8つの所定のゾーン(ゾーン1~ゾーン8)を含む円形ステープラのエンドエフェクタ25510によって実施される端々吻合処置におけるステープル線SL1、SL2を示す。エンドエフェクタ25510のアンビル及びステープルカートリッジ25512のステープルキャビティは、エンドエフェクタ25510の他の特徴を強調するために図43及び図44から取り除かれている。
【0263】
図45及び46は、感知回路S1~S8からのセンサ信号に基づいて、測定された組織インピーダンスを示す。個々の測定値は、組織インピーダンスシグネチャを定義する。垂直軸25520、25520’は、配向の角度(θ)を表し、垂直軸25522、25522’は、対応する所定のゾーン(ゾーン1~ゾーン8)を列挙する。組織インピーダンス(Z)は、水平軸25524、25524’上に描かれる。
【0264】
図43及び図45の実施例では、インピーダンス測定値は、適切に位置決め及び配向されたステープル線SL1、SL2を表す。図43に示すように、ステープル線SL1、SL2は、ゾーン1、ゾーン3、ゾーン5、及びゾーン7を通って延在し、ステープルカートリッジ25512の中心点でのみ重なり合う。予めステープル留めされた組織は、ゾーン1、ゾーン3、ゾーン5、及びゾーン7の間で均等に分布しているため、こうしたゾーンにおける組織インピーダンス測定値は、規模が同じであるか、又は少なくとも実質的に同じであり、また、予めステープル留めされた組織を受容しなかったゾーン2、ゾーン4、ゾーン6、及びゾーン8における組織インピーダンス測定値よりも著しく低い。
【0265】
反対に図44図46の実施例では、インピーダンス測定値は、不適切に位置決め及び配向されたステープル線SL1、SL2を表す。図143に示すように、ステープル線SL1、SL2は、互いの上に重なり合い、ゾーン1及びゾーン5のみを通って延在する。したがって、ゾーン1及びゾーン5における組織インピーダンス測定値は、予めステープル留めされた組織を受容しなかった残りのゾーンよりも規模が著しく低い。
【0266】
図47は、外科手術の際に、外科手術の決定された進捗状況に応じて、外科用ハブ5104の動作モードを選択するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセス206520の論理フロー図を示す。プロセス2065520は、例えば、外科用ハブ5104の制御回路などの任意の好適な制御回路によって実施され得る。データは、少なくとも1つのデータソースから受信206522することができ、患者監視装置からの患者データ206532、外科スタッフ検出装置からの外科スタッフデータ206534、1つ以上のモジュール式装置からのモジュール式装置データ206536、及び/又は病院データベースからの病院データ206538を含んでもよい。受信された206522データを、外科用ハブ5104によって処理して、外科手術の進捗状況を決定する。外科手術が進行しているか否かの決定に関する更なる詳細は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された、Method for adaptive control schemes for surgical network control and interactionと題する米国特許出願第16/209,465号に開示されている。
【0267】
図47に示されるように、受信された206522データを外科用ハブ5104によって利用して、外科手術が進行中であるか否かを決定206523することができる。そうでない場合、外科用ハブ5104は、以前の処置/ネットワーク相互作用モード206524を起動又は選択する。しかしながら、外科用ハブ5104は、外科手術が進行中であると決定する206523と、外科手術が進行中であるか否かを更に決定する206525。そうでない場合、外科用ハブ5104は、インタラクティブ/構成可能制御モード206526を起動又は選択する。しかしながら、外科手術が進行中であると外科用ハブ5104が決定した206525場合、外科用ハブ5104は、器具ディスプレイ制御及び処置ディスプレイモード206528を起動又は選択する。
【0268】
モード206524はモード206526よりも制限的であり、モード206526はモード206528よりも制限的である。この配置は、例えば、偶発的なコマンドの形態のユーザエラーを考慮するように設計される。外科手術が開始する前に、モード206524は、例えば、以前の処置データへのアクセス、及びクラウドベースのシステム104、204との限定された相互作用のみを可能にする。術前工程の間、しかし外科手術が開始される前に、モード206526は、ユーザが、かかる制御を使用又は起動することができない状態で、様々なパラメータ及び/若しくは制御にアクセスし、かつ/又はそれらを構成することを可能にする、制限の少ないインターフェースを提供する。外科手術中にのみ利用可能な最少制限モード206528では、ユーザは、実施されている外科手術工程に応じて、特定のモジュール式装置の制御を使用又は起動することができる。
【0269】
外科用ハブは、外科手術の状況パラメータを決定するデータを受信し、それに応答して、決定された状況パラメータに基づいて感知されたパラメータに対する応答を調整し得る。少なくとも1つの実施例では、図48に示されるように、感知されたパラメータは、セキュリティ脅威を検出206552している可能性がある。他の実施例では、感知されたパラメータは、外科医を検出している206554可能性がある。他の実施例では、感知されたパラメータは、例えば、モジュール式装置などの器具障害を検出している20559可能性がある。
【0270】
上記に加えて、検出206552されたセキュリティ脅威に応答することは、外科手術が進行中であるか否かに依存し、これは、図47に関連して上に記載されるように決定206525され得る。外科手術が進行中であると決定206525された場合、独立した動作モード206553を起動することができる。外科手術が進行中でない場合、現在のセキュリティレベルを、より高いセキュリティレベルまでエスカレートさせる206551ことができ、かつ適切な反応又は応答をとって、検出された206552セキュリティ脅威に対処することができる。外科手術が進行中であるか否かの決定に関する更なる詳細は、2018年12月4日に出願された、Method for adaptive control schemes for surgical network control and interactionと題する米国特許出願第16/209,465号に開示されている。
【0271】
様々な実施例では、分離動作モード206553は、例えば、クラウドベースのシステム104、204などの外部システムとの通信を中断することを含む。特定の実施例では、通信中断は、例えば、器具と器具との通信、器具と外科用ハブ106、206との通信、及び/又はリモートコントローラと器具との通信などの、手術室内のローカル通信を除外する。
【0272】
図48を更に参照すると、検出206554された外科医に応答することは、外科手術が進行中であるか否かに依存し、これは、図47に関連して上に記載されるように決定206523され得る。外科手術が進行中であると決定された206523場合、リンクされる器具を、例えば、検出された206554外科医の以前の使用構成に基づいて、予め定義されたパラメータに設定する206557ことができる。しかしながら、外科手術が進行中でない場合、例えば、以前にキャプチャされたデータ及び/又は以前の外科手術データを呼び出す206555ことができる。外科手術が進行中であるか否かを決定することに関する更なる詳細は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された、Method for adaptive control schemes for surgical network control and interactionと題する米国特許出願第16/209,465号に開示されている。
【0273】
図48を更に参照すると、検出206556された器具の故障に応答することは、外科手術が進行中であるか否かに依存し、かつ更に、外科手術が進行中であるか否かに依存し、これらは、図47に関連して上に記載されるように決定206523、206525され得る。器具は、例えば、モジュール式装置であり得る。外科手術が進行中であると決定された206523場合、及び更に、外科手術が進行中であると決定された206525場合、器具のためにリンプモードを起動する206565ことができる。しかしながら、外科手術が進行中でない場合、外科用器具のロックアウトが係合されて206561、外科用器具が使用されるのを防止することができる。更に、外科手術は進行中であるが、外科手術は進行中でないと決定された206523場合、外科用ハブ5104によって、外科スタッフに対して、例えば、選択肢を勧告する、警告又は警報を発行する206563ことができる。
【0274】
図49は、例えば、器具208100(図50に示す)などの特定の外科用器具を操作する際に臨床医を支援するための選択可能なオプションを含む一連のメニューを表示するGUIを示す。図示の実施例では、第1の一連の表示208010は、複数の選択可能なメニューオプションを示しており、この場合、特定の外科医が選択され、特定器具が選択され、特定の機能が選択される。そのような場合、特定の外科医を選択して、例えば制御回路208103などの制御回路が、例えばその特定の外科医のための学習された適応限界などの特定の設定をロードし得るようにすることができる。例えば、制御回路が特定の制御プログラムをロードして、器具208100などの特定器具を動作させ得るように選択することができる。これは、特定器具及び特定の外科医に対応する特定の適応制限プログラムを含み得る。所望の装置を動作させるための正しい制御プログラム及び/又は設定をロードするように、選択されたオプションの全部を、制御回路によって考慮することができる。図示の例では、ジョーンズ医師のステープラ2の発射機能が選択されている。これらのオプションは、制御回路によって自動的に感知されてもよく、少なくとも1つの例では、選択されない。例えば、情報は、例えば、外科用ハブ(例えば、102、202)によって特定の手術に対応するパッケージ内の制御回路に既に送達されていてもよい。別の事例では、外科医は、制御回路の構成要素が感知し得る識別子チップを装着してもよく、例えば、器具が取り付けられる、外科用ロボット110などの外科用ロボットは、どの器具がロボット110の動作アームに取り付けられているかを自動的に識別することが可能であってもよく、及び/又は特定の器具の発射設定は、例えば、外科用ロボット制御インターフェース上の外科医からの間接的入力に基づいて、ロボットによって識別されてもよい。
【0275】
更に図49を参照すると、ステープラ2の発射機能に関するジョーンズ医師の選択可能なオプションを少なくとも1つの例で示す2つのディスプレイ208020が示されている。これらのディスプレイ208020に見られるように、発射時間及びクランプ力が表示され、例えば、器具208100などの器具の全体的な発射速度に関連付けることができる。この場合、ジョーンズ医師の経験は乏しい可能性がある。このような経験は、例えば、ジョーンズ医師について記憶された情報に基づいて、制御回路208103などの制御回路によって知ることができる。そのような例では、発射速度の許容値の範囲は、それらが選択可能な学習限界及び/又は選択可能な一次関数パラメータであるか否かにかかわらず、熟練した外科医に許容される許容値の範囲よりも大きくてもよい。例えば、スミス医師よりも経験のある外科医であるスミス医師に、厳密なデフォルト設定が提供されるディスプレイ208030が示されている。これは、例えば、器具208100などの特定の器具を用いて外科医が有する反復の量に起因して生じ得る。少なくとも1つの場合において、特定の器具のより安全な動作を示す許容値範囲は、経験の乏しい外科医に提供されてもよく、特定の器具のより危険な動作を示すより大きい許容値範囲は、経験の豊富な外科医に提供されてもよい。
【0276】
図50は、ユーザインターフェース208101と、ユーザインターフェース208101からの入力を受信するように構成されている制御回路208103と、を備える外科用器具208100を示す。外科用器具208100は、モータドライバ208105と、モータドライバ208105によって駆動され、制御回路208103によって制御されるように構成されているモータ208107と、モータ208107によって駆動されるように構成されている発射部材208111を備えるエンドエフェクタ208109と、を更に備える。少なくとも1つの場合において、外科用器具208100の様々な構成要素は、例えば、超音波外科用器具などのエネルギーベースの外科用器具に代用されてもよい。制御回路208103などの本明細書に記載される制御回路は、任意の好適な装置によって電力供給される任意の好適なエンドエフェクタ機能又はパラメータを制御するように構成されている。少なくとも1つの場合において、ユーザインターフェース208101は、人間ベースの入力ではなくコンピュータベースの入力を含む。例えば、そのようなコンピュータベースの入力は、例えば、外科用ハブ(例えば、102、202)から生じてもよい。外科用器具208100は、本明細書に記載されるシステム、装置、及び/又は制御回路のいずれかと共に使用され得る。本明細書に説明される種々のシステム、装置、及び/又は制御回路を、外科手術患者を治療するために使用することができる。図示の例では、外科用ステープラは、発射部材208111などの発射部材を利用して、外科手術中に患者の組織を切断し、及び/又は組織を通してステープルを打ち込んで組織を締結することができる。そのような場合、発射部材の改善された動作を提供し得る制御回路を提供することが有利であり得る。本明細書の制御回路のいずれも、そのような利点を提供し得る。少なくとも1つの場合において、モータ208107とステープルとの間に延在し、例えば、スレッドによって排出されるように構成されている発射アセンブリを、発射部材208111は含む。少なくとも1つの場合において、モータ208107とステープルとの間に延在し、例えば、スレッドによって排出されるように構成されている発射アセンブリの1つ以上の構成要素を、発射部材208111は含む。
【0277】
図51は、本開示の少なくとも1つの態様による、患者の電子医療記録(EMR)データベース4002と相互作用するための技術を例示する図4000である。一態様では、本開示は、病院又は医療施設内に位置するEMRデータベース4002内に鍵4004を埋め込む方法を提供する。データ障壁4006は、患者データのプライバシーを保つために設けられ、本明細書に以下に記載されるように、再アセンブルされるべき、外科用ハブ106、206又はクラウド104、204から取り除かれ絶縁された対のデータの再統合を可能にする。外科用ハブ206の概略図は、概して図1図6及び図9図13に記載されている。したがって、図51の説明では、読者は、開示の簡潔性及び明瞭性のために本明細書で省略され得る外科用ハブ206の任意の実装例の詳細に関して、図1図6及び図9図13で案内される。図51に戻ると、本方法は、ユーザが、外科手術中に収集された全部のデータ、及び電子医療記録4012の形態で記憶された患者情報に完全にアクセスすることを可能にする。再アセンブルされたデータは、外科用ハブ206又は二次モニタに連結されたモニタ4010上に表示され得るが、いかなる外科用ハブのストレージ装置248にも恒久的には記憶されない。再アセンブルされたデータは、外科用ハブ206又はクラウド204のいずれかに位置するストレージ装置248内に一時的に記憶され、その使用の終了時に削除され、回収され得ないことを保証するために上書きされる。EMRデータベース4002内の鍵4004を使用して、匿名化されたハブデータを、完全に統合された患者の電子医療記録4012データに再統合する。
【0278】
図51に示されるように、EMRデータベース4002は、病院データ障壁4006内に位置する。EMRデータベース4002は、関連性アレイ、又は辞書若しくはハッシュとして今日知られている他のデータ構造を記憶するため、読み出すため、及び管理するために構成され得る。辞書は、オブジェクト又は記録のコレクションを含有し、コレクションは、それらの内部に、各々がデータを含有する、多くの異なるフィールドを有する。患者の電子医療記録4012は、患者の電子医療記録4012を一意的に識別し、EMRデータベース4002内のデータを迅速に見つけるために使用される鍵4004を使用して記憶し、読み出すことができる。鍵値EMRデータベース4002システムは、全ての記録に対して異なるフィールドを有し得る単一の不透明なコレクションとしてデータを取り扱う。
【0279】
EMRデータベース4002からの情報は、外科用ハブ206に伝達されてもよく、患者の電子医療記録4012は、ハブ206又はクラウド204のいずれかに基づいて分析システムに送信される前に、改訂され取り除かれる。匿名データファイル4016は、個人的な患者データを改訂し、関連患者データ4018を患者の電子医療記録4012から取り除くことによって作成される。本明細書で使用するとき、改訂処理は、患者の電子医療記録4012から個人的な患者情報を削除又は除去して、匿名の患者データのみを含む改訂された記録を作成することを含む。改訂された記録は、機密患者情報が抹消された記録である。改訂されていないデータを削除することができる4019。関連患者データ4018は、本明細書では、取り除かれた/抽出されたデータ4018と称される場合がある。関連患者データ4018は、分析の目的のために外科用ハブ206又はクラウド204処理エンジンによって使用され、外科用ハブ206のストレージ装置248に記憶され得るか、又はクラウド204ベースの分析システムストレージ装置205に記憶され得る。外科用ハブの匿名データファイル4016は、EMRデータベース4002に記憶された鍵4004を使用して再構築されて、外科用ハブの匿名データファイル4016を、完全に統合された患者の電子医療記録4012に再統合することができる。分析処理で使用される関連患者データ4018は、患者の肺気腫の診断、術前治療(例えば、化学療法、放射線、抗血栓薬、血圧薬剤など)、通常の血圧、又は患者の身元を確認するために単独で使用され得ない任意のデータなどの情報を含み得る。改訂されるデータ4020は、患者の電子医療記録4012から除去された個人的な情報を含み、年齢、雇用者、ボディマス指数(body mass index、BMI)、又は患者の身元を確認するために使用され得る任意のデータを含んでもよい。外科用ハブ206は、例えば、固有の匿名処置ID番号(例えば、380i4z)を作成する。病院データ障壁4006内に位置するEMRデータベース4002内で、外科用ハブ206は、外科用ハブ206のストレージ装置248に記憶された匿名データファイル4016内のデータと、EMRデータベース4002に記憶された患者の電子医療記録4012内のデータと、を外科医のレビューのために再結合することができる。外科用ハブ206は、外科用ハブ206に連結されたディスプレイ又はモニタ4010上に、組み合わされた患者の電子医療記録4012を表示する。最終的に、改訂されていないデータは、外科用ハブ206のストレージ248から削除される4019。
【0280】
内側で、匿名化されていないデータを使用してハブからのデータを比較することができ、外側で、データが取り除かれる必要がある、病院データ障壁の作成
一態様では、本開示は、図5及び図6に記載されるような外科用ハブ206を提供し、例えば、外科用ハブ206は、プロセッサ244と、プロセッサ244に連結されたメモリ249と、を備える。メモリ249は、外科用器具235に問い合わせ、外科用器具235から第1のデータセットを読み出し、医療用撮像装置238に問い合わせ、医療用撮像装置238から第2のデータセットを読み出し、鍵によって第1のデータセットと第2のデータセットを関連付け、関連付けられた第1及び第2のデータセットを外科用ハブ206の外側のリモートネットワーク、例えば、クラウド204に伝達する、ための、プロセッサ244によって実行可能な命令を記憶している。外科用器具235は、患者データの第1の供給源であり、第1のデータセットは、外科手術に関連付けられている。医療用撮像装置238は、患者データの第2の供給源であり、第2のデータセットは、外科手術の成果に関連付けられている。第1及び第2のデータ記録は、鍵によって一意的に識別される。
【0281】
別の態様では、外科用ハブ206は、メモリ249であって、鍵を使用して第1のデータセットを読み出し、第1のデータセットを匿名化し、鍵を使用して第2のデータセットを読み出し、第2のデータセットを匿名化し、匿名化された第1のデータセットと第2のデータセットをペアリングし、匿名化された、ペアリングされた第1及び第2のデータセットに基づいて、外科手術によってグループ化される外科手術の成功率を決定する、ための、プロセッサ244によって実行可能な命令を記憶している、メモリ249を提供する。
【0282】
別の態様では、外科用ハブ206は、メモリ249であって、匿名化された第1のデータセットを読み出し、匿名化された第2のデータセットを読み出し、鍵を使用して、匿名化された第1のデータセットと第2のデータセットを再統合する、ための、プロセッサ244によって実行可能な命令を記憶している、メモリ249を提供する。
【0283】
別の態様では、第1及び第2のデータセットは、それぞれの第1及び第2のデータパケット内の第1及び第2のデータペイロードを定義する。
【0284】
様々な態様では、本開示は、上に記載されるように、鍵によって第1のデータセットと第2のデータセットを関連付けるための制御回路を提供する。様々な態様では、本開示は、コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ可読命令が、実行されると、機械に、上に記載されるように、鍵によって第1のデータセットと第2のデータセットを関連付けさせる、非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0285】
外科手術中に、外科的成果を改善するために処置中に使用される器具の構成及び動作を可能にするために、外科手術に関連付けられたデータを監視することが望ましいであろう。技術的課題は、患者に関連付けられたデータのプライバシーを維持するために、患者の匿名性を維持する方法でデータを読み出すことである。データは、データを個別化することなく、他のデータとの凝集(conglomeration)のために使用され得る。
【0286】
1つの解決策は、外科用ハブ206を提供して、患者の電子医療記録4012データに関して電子医療記録データベース4002に問い合わせ、患者の電子医療記録4012から望ましい又は関連患者データ4018を取り除き、患者を識別するために使用され得る任意の個人的な情報を改訂することである。改訂技術は、取り除かれた関連患者データ4018を特定の患者、外科手術、又は時間に相関させるために使用され得る任意の情報を除去する。次いで、外科用ハブ206、及び外科用ハブ206に連結された器具235は、取り除かれた関連患者データ4018に基づいて構成及び操作され得る。
【0287】
図51に関連して開示されるように、患者の電子医療記録4012から関連患者データ4018を抽出する(又は取り除く)一方で、患者を外科手術又は外科手術のスケジュールされた時間と相関させるために使用され得る任意の情報を改訂することにより、関連患者データ4018を匿名化することができる。次いで、集約、処理、及び操作のために、匿名データファイル4016をクラウド204に送信することができる。匿名データファイル4016を使用して、抽出された匿名データファイル4016に基づいて、外科手術中に、図5及び図6に示される外科用器具235若しくはいずれかのモジュール、又は外科用ハブ206を構成することができる。
【0288】
一態様では、病院データ障壁4006は、データ障壁4006の内側では様々な外科用ハブ206からのデータを、匿名化されていない、改訂されていないデータを使用して比較することができ、データ障壁4006の外側では様々な外科用ハブ206からのデータを取り除いて、匿名性を維持し、患者及び外科医のプライバシーを保護するように、作成される。この態様に関する更なる詳細は、その開示が、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された、Method of hub communication,processing,storage and displayと題する米国特許出願第16/209,385号に開示されている。
【0289】
一態様では、外科用ハブ206からのデータは、病院内分析及びデータの表示を提供するために、外科用ハブ206間(例えば、ハブ間、スイッチ間、又はルータ間)で交換され得る。図1は、互いに、及びクラウド104と通信する複数のハブ106の例を示している。この態様に関する更なる詳細は、2018年12月4日に出願された、Method of hub communication,processing,storage and displayと題する米国特許出願第16/209,385号に開示されている。
【0290】
別の態様では、人工的な時間測定は、器具235、ロボットハブ222内に位置するロボット、外科用ハブ206、及び/又は病院コンピュータ機器内の内部に記憶された全ての情報のリアルタイムクロックの代わりに代用される。匿名化された患者及び外科医のデータを含み得る匿名化されたデータは、クラウド204内のサーバ213に伝達され、サーバ213に連結されたクラウドストレージ装置205に記憶される。人工的なリアルタイムクロックの代用により、データの連続性を維持しながら患者データ及び外科医データを匿名化することができる。一態様では、器具235、ロボットハブ222、外科用ハブ206、及び/又はクラウド204は、データを維持しながら患者識別(identification、ID)を不明瞭にするように構成されている。
【0291】
外科用ハブ206内では、ローカル解読鍵4004により、外科用ハブ206自体から読み出された情報は、匿名データファイル4016内に位置する匿名化されたデータセットからのリアルタイム情報を復元することができる。しかしながら、ハブ206又はクラウド204に記憶されたデータは、匿名データファイル4016内の匿名化されたデータセットからのリアルタイム情報に復元され得ない。鍵4004は、暗号化された形式で、外科用ハブ206のコンピュータ/ストレージ装置248にローカルで保持される。外科用ハブ206のネットワークプロセッサIDは、解読機構の一部であり、それにより、鍵4004及びデータが除去された場合、匿名データファイル4016内の匿名化されたデータセットは、元の外科用ハブ206のコンピュータ/ストレージ装置248に存在しない状態では復元され得ない。
【0292】
図52は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム5700のブロック図を示す。システム5700は、上述したように、外科用ハブ5706(及び外科用ハブ5706にペアリングされたモジュール式装置)が関連して利用される外科手術に関するデータを検出及び追跡することができるいくつかの外科用ハブ5706を含む。1つの例示では、外科用ハブ5706は、外科用ハブ5706によって追跡されているデータがネットワーク全体にわたって一緒に集約されるように、ローカルネットワークを形成するように接続される。外科用ハブ5706のネットワークは、例えば、医療施設と関連付けることができる。外科用ハブ5706のネットワークから集約されたデータを分析して、データ傾向又は推奨に関する報告を提供することができる。例えば、第1の医療施設5704aの外科用ハブ5706は、第1のローカルデータベース5708aに通信可能に接続され、第2の医療施設5704bの外科用ハブ5706は、第2のローカルデータベース5708bに通信可能に接続される。第1の医療施設5704aに関連付けられた外科用ハブ5706のネットワークは、外科用ハブ5706の各ネットワークからの集約データが、各医療施設5704a、5704bに個別に対応するように、第2の医療施設5704bに関連付けられた外科用ハブ5706のネットワークとは別個であり得る。データベース5708a、5708bに通信可能に接続された外科用ハブ5706又は別のコンピュータ端末は、それぞれの医療施設5704a、5704bに関連付けられた集約データに基づいて報告又は推奨を提供するように構成することができる。この例示では、外科用ハブ5706によって追跡されたデータは、例えば、外科手術の特定の発生率が、特定の処置タイプを完了するための平均ネットワーク内時間から逸脱したか否かを報告するために利用することができる。
【0293】
別の例示では、各外科用ハブ5706は、追跡されたデータをクラウド5702にアップロードし、次いで、複数の外科用ハブ5706、外科用ハブ5706のネットワーク、及び/又は医療施設5704a、5704bにわたって追跡されたデータを処理し、集約するように構成され、それらは、クラウド5702に接続される。次いで、各外科用ハブ5706を利用して、集約データに基づいて報告又は推奨を提供することができる。この例示では、外科用ハブ5706によって追跡されたデータを利用して、例えば、外科手術の特定の発生率が、特定の処置タイプを完了するための平均グローバル時間から逸脱したかどうかを報告することができる。
【0294】
別の例示では、各外科用ハブ5706は、クラウド5702にアクセスして、ローカルに追跡されたデータを、クラウド5702に通信可能に接続された全ての外科用ハブ5706から集約されたグローバルデータと比較するように更に構成することができる。各外科用ハブ5706は、追跡されたローカルデータとローカル(すなわち、ネットワーク内)又はグローバルノルムとの比較に基づいて報告又は推奨を提供するように構成することができる。この例示では、外科用ハブ5706によって追跡されたデータを利用して、例えば、外科手術の特定の発生率が、特定の処置タイプを完了するための平均的なネットワーク内時間又は平均的なグローバル時間のいずれかから逸脱したかどうかを報告することができる。
【0295】
1つの例示では、各外科用ハブ5706又は外科用ハブ5706に対してローカルな別のコンピュータシステムは、外科用ハブ5706によって追跡されたデータをローカルで集約し、追跡されたデータを記憶し、問い合わせに応答して追跡されたデータに従って、報告及び/又は推奨を生成するように構成されている。外科用ハブ5706が医療施設ネットワーク(追加の外科用ハブ5706を含み得る)に接続される場合、外科用ハブ5706は、追跡されたデータをバルク医療施設データと比較するように構成することができる。バルク医療施設データは、EMRデータと、外科用ハブ5706のローカルネットワークからの集約データとを含むことができる。別の例示では、クラウド5702は、外科用ハブ5706によって追跡されたデータを集約し、追跡されたデータを記憶し、問い合わせに応答して追跡されたデータに従って、報告及び/又は推奨を生成するように構成されている。
【0296】
各外科用ハブ5706は、データの傾向に関する報告を提供することができ、及び/又は行われている外科手術の効率性又は有効性を改善することについての推奨を提供することができる。様々な例示では、データの傾向及び推奨は、外科用ハブ5706自体によって追跡されたデータ、複数の外科用ハブ5706を含むローカル医療施設ネットワークにわたって追跡されたデータ、又はクラウド5702に通信可能に接続された多数の外科用ハブ5706にわたって追跡されたデータに基づくことができる。外科用ハブ5706によって提供される推奨は、例えば、外科用器具/製品組み合わせと患者の転帰及び手術効率性との間の相関に基づいて、特定の外科手術に利用するための特定の外科用器具又は製品組み合わせを説明することができる。外科用ハブ5706によって提供される報告は、例えば、特定の外科手術がローカル又はグローバルノルムに対して効率的に行われたかどうか、医療施設で行われている特定の種類の外科手術が、グローバルノルムに対して効率的に行われているかどうか、及び特定の外科チームについての特定の外科手術又は外科手術の工程を完了するのにかかった平均時間を説明することができる。
【0297】
1つの例示では、各外科用ハブ5706は、(例えば、状況認識システムを介して)手術室のイベントが発生したときを決定し、次いで、各イベントに費やされた時間の長さを追跡するように構成されている。手術室のイベントは、外科用ハブ5706がその発生を検出又は推定することができるイベントである。手術室のイベントは、例えば、特定の外科手術、外科手術の工程若しくは部分、又は外科手術間の休止時間を含み得る。手術室のイベントは、行われている外科手術の種類などのイベント種類に従って分類することができ、個々の手順からのデータを集約して、検索可能なデータセットを形成することができるようにする。1つの例示では、外科用ハブ5706は、外科手術が行われているかどうかを決定し、次いで、処置と処置のとの間に費やされた時間の長さ(すなわち、休止時間)と処置自体で費やされた時間との両方を追跡するように構成されている。外科用ハブ5706は、更に、外科手術と外科手術との間又は外科手術中のいずれかに医療従事者(例えば、外科医、看護師、又は用務係)によって行われた個別の工程の各々に費やされた時間を決定し、追跡するように更に構成され得る。外科用ハブは、手術処置又は外科手術の異なる工程が行われているときを、状況認識システムを介して決定することができ、これは、上記で更に詳細に説明されている。この態様に関する更なる詳細は、2018年12月4日に出願された、Method of hub communication,processing,storage and displayと題する米国特許出願第16/209,385号に開示されている。
【0298】
図53は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具制御プログラムを更新する例示的な分析システム9100の図を示す。1つの例示では、外科用ハブ9000又は外科用ハブ9000のネットワークは、図13において上述したように、分析システム9100に通信可能に連結される。分析システム9100は、モジュール式装置9050の制御プログラムに対して調整が行われる必要があるか否かを決定するために、外科的処置結果データに関連付けられたモジュール式装置9050のデータをフィルタリングし、分析するように構成されている。次いで、分析システム9100は、必要に応じて、外科用ハブ9000を通してモジュール式装置9050に更新をプッシュすることができる。図示の例示では、分析システム9100は、クラウドコンピューティングアーキテクチャを備える。外科用ハブ9000によって、それらのペアリングされたモジュール式装置9050から受信されたモジュール式装置9050の周術期データは、例えば、発射力(すなわち、組織を通して外科用ステープル留め器具の切断部材を前進させるために必要とされる力)と、閉鎖する力(すなわち、組織上で外科用ステープル留め器具のジョーをクランプするために必要とされる力)と、電力アルゴリズム(すなわち、器具の内部状態及び/又は組織状態に応じた電気又は超音波器具の経時的な電力の変化)と、組織特性(例えば、インピーダンス、厚さ、剛性など)、組織間隙(すなわち、組織の厚さ)と、閉鎖速度(すなわち、器具のジョーがクランプされて閉鎖する速度)と、を含むことができる。分析システム9100に送信されるモジュール式装置9050データは、単一のタイプのデータに限定されず、処置結果データとペアリングされた複数の異なるデータタイプを含み得ることに留意されたい。外科手術(又はその工程)のための処置結果データは、例えば、手術部位に出血があったか否か、手術部位に空気又は流体の漏れがあったか否か、及び特定のステープル線のステープルが適切に形成されたか否か、を含むことができる。処置結果データは、例えば、外科用ハブ9000又は分析システム9100によって決定されるような、肯定的な結果若しくは否定的な結果を更に含むか、又はそれに関連付けられ得る。モジュール式装置9050のデータ、及びモジュール式装置9050の周術期データに対応する処置結果データは、分析システム9100にアップロードされたときに、互いにペアリングするか、又は他の方法で互いに関連付けることができ、これにより、分析システム9100は、各特定の結果を生成したモジュール式装置9050の基礎データに基づいて処置結果の傾向を認識することができる。換言すれば、分析システム9100は、モジュール式装置9050のデータ及び処置結果データを集約して、モジュール式装置9050の制御に対して行い得る調整を示し得る、基礎となる装置モジュール式データ9050内の傾向又はパターンを検索することができる。
【0299】
図示される例示では、図13に関連して説明されるプロセス9200を実行する分析システム9100は、モジュール式装置9050データ、及び処置結果データを受信9202する。処置結果データは、分析システム9100に送信されたとき、特定の手順結果を引き起こしたモジュール式装置9050の動作に対応するモジュール式装置9050データと関連付けられるか、又はペアリングされ得る。モジュール式装置9050の周術期データ、及び対応する処置結果データは、データペアと称することがある。データは、成功した処置結果に関連付けられたデータの第1のグループ9212と、否定的な処置結果に関連付けられたデータの第2のグループ9214と、を含むものとして示されている。この特定の例示のために、分析システム9100によって受信された9202データ9212、9214のサブセットが、本明細書で説明される概念を更に解明するために強調表示されている。
【0300】
第1のデータペア9212aに関して、モジュール式装置9050データは、経時的な閉鎖する力(FTC)と、経時的な発射力(FTF)と、組織タイプ(実質組織)と、組織状態(組織は、肺気腫を患っており、放射線を受けた患者からのものである)と、これが器具に対して何番目に発射したか(3番目)と、匿名化タイムスタンプ(分析システムが発射間の経過時間及び他のそのようなメトリックを計算することを依然として可能にしながら、患者の機密性を保護する)と、匿名患者識別子(002)と、を含む。処置結果データは、出血がなかったことを示すデータを含み、これは、成功した結果(すなわち、外科用ステープル留め器具の成功した発射)に対応する。第2のデータペア9212bについて、モジュール式装置9050データは、器具が発射される前の待ち時間(器具の第1の発射に対応する)と、経時的なFTCと、経時的なFTF(発射ストロークの終わり近くに力スパイクがあったことを示す)と、組織タイプ(1.1mm血管)と、組織状態(組織が放射線にさらされていた)と、これが器具に対して何回発射されたか(第1)と、匿名化タイムスタンプと、匿名化患者識別子(002)と、を含む。処置結果データは、漏れがあったことを示すデータを含み、これは、否定的な結果(すなわち、外科用ステープル留め器具の発射失敗)に対応する。第3のデータペア9212cに関して、モジュール式装置9050データは、器具が発射される前の待機時間(器具の第1の発射に対応する)と、経時的なFTCと、経時的なFTFと、組織タイプ(1.8mm血管)と、組織状態(注目すべき状態なし)と、これが器具に対して何回発射したか(第1)と、匿名化タイムスタンプと、匿名化患者識別子(012)と、を含む。処置結果データは、漏れがあったことを示すデータを含み、これは、否定的な結果(すなわち、外科用ステープル留め器具の発射失敗)に対応する。このデータは、本明細書で説明される概念の理解を助けるための例示目的のみを意図しており、制御プログラム更新を生成するために分析システム9100によって受信され、及び/又は分析されるデータを限定するように解釈されるべきではないことに再び留意されたい。
【0301】
分析システム9100が通信可能に接続された外科用ハブ9000から周術期データを受信9202すると、分析システム9100は、データに関連付けられた処置タイプ(又はその工程)、データを発生したモジュール式装置9050のタイプ、及び他のそのようなカテゴリに従って、データを集約及び/又は記憶することに進む。それに応じてデータを照合することによって、分析システム9100は、データセットを分析して、各特定のタイプのモジュール式装置9050を制御する特定の方法と肯定的又は否定的な処置結果との間の相関を識別することができる。モジュール式装置9050を制御する特定の方法が肯定的又は否定的な処置結果に相関するか否かに基づいて、分析システム9100は、モジュール式装置9050のタイプの制御プログラムが更新されるべきか否かを決定9204することができる。
【0302】
この特定の例示では、分析システム9100は、ピークFTF値毎の発射回数9211に対して、ピークFTF 9213(すなわち、外科用ステープル留め器具の特定の発射毎の最大FTF)を分析することによって、データセットの第1の分析9216を実施する。この例示的な場合において、分析システム9100は、ピークFTF 9213と、特定のデータセットについての肯定的な結果又は否定的な結果の発生との間に特定の相関関係がないと決定することができる。言い換えれば、肯定的な結果及び否定的な結果についてピークFTF 9213の明確な分布はない。ピークFTF 9213と、肯定的な結果又は否定的な結果との間に特定の相関がないので、分析システム9100は、したがって、この変数に対処するための制御プログラム更新が不要であると決定する。更に、分析システム9100は、器具が発射される前の待機時間9215を発射回数9211に対して分析することによって、データセットの第2の分析9216bを実施する。この特定の分析9216bに対して、分析システム9100は、明確な否定的な結果分布9217及び肯定的な結果分布9219があると決定することができる。この例示的な場合において、否定的な結果分布9217は、4秒の平均であり、肯定的な結果分布は、11秒の平均である。したがって、分析システム9100は、待ち時間9215と、この外科手術工程の結果のタイプとの間に相関関係があると決定することができる。すなわち、否定的な結果分布9217は、4秒以下の待ち時間に対する否定的な結果の割合が比較的大きいことを示している。否定的な結果分布9217と、肯定的な結果分布9219との間に大きい乖離があることを実証するこの分析9216bに基づいて、分析システム9100は、次いで、制御プログラム更新が生成9208されるべきであると決定9204することができる。
【0303】
分析システム9100がデータセットを分析し、データセットの対象である特定のモジュール装置9050の制御プログラムに対する調整がモジュール式装置9050の性能を改善すると決定9204すると、分析システム9100は、それに応じて制御プログラム更新を生成9208する。この例示的な場合では、分析システム9100は、データセットの分析9216bに基づいて、5秒を超える待ち時間を推奨する制御プログラム更新9218が、95%の信頼区間で否定的な結果の分布の90%を防止すると決定することができる。代替的に、分析システム9100は、データセットの分析9216bに基づいて、5秒を超える待ち時間を推奨する制御プログラム更新9218が、肯定的な結果の割合が否定的な結果の割合よりも大きくなると決定することができる。したがって、否定的な結果が肯定的な結果よりも一般的でないので、分析システム9100は、特定のタイプの外科用器具が特定の組織条件下で発射される前に5秒を超えて待機すべきと決定することができる。分析システム9100が決定する制御プログラム更新を生成9208するためのこれらの制約のいずれか又は両方が分析9216bによって満たされたことに基づいて、分析システム9100は、外科用器具の制御プログラム更新9218を生成9208することができ、これは、所与の状況下で、特定の外科用器具が発射され得る前に5秒以上の待機時間を外科用器具に課すか、又は器具を発射する前にユーザが少なくとも5秒待機すべきであることをユーザに示す警告若しくは推奨を外科用器具がユーザに表示する。制御プログラム更新が否定的な結果の割合を特定の割合だけ減少させるか否か、又は制御プログラム更新が肯定的な結果の割合を最大化するか否かなど、制御プログラム更新を生成9208するか否かを決定する際に、分析システム9100によって、様々な他の制約を利用することができる。
【0304】
制御プログラム更新9218が生成9208された後、分析システム9100は、次いで、適切なタイプのモジュール式装置9050の制御プログラム更新9218を外科用ハブ9000に送信9210する。一例示では、制御プログラム更新9218に対応するモジュール式装置9050が、制御プログラム更新9218をダウンロードした外科用ハブ9000に次に接続されるとき、モジュール式装置9050は、更新9218を自動的にダウンロードする。別の例示では、制御プログラム更新9218がモジュール式装置9050自体に直接送信されるのではなく、外科用ハブ9000は、制御プログラム更新9218に従ってモジュール式装置9050を制御する。
【0305】
図54は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ9000のための制御プログラム更新を適応的に生成するように構成されているコンピュータ実装適応外科用システム9060の図を示す。外科用システム9060は、分析システム9100に通信可能に連結された、いくつかの外科用ハブ9000を含む。分析システム9100に接続された全集団内の外科用ハブ9000の部分集団(各々が個々の外科用ハブ9000、又は外科用ハブ9000のグループを含み得る)は、外科手術の過程中に異なる動作挙動を示すことができる。集団内の外科用ハブ9000のグループ間の動作挙動の差異は、外科用ハブ9000がそれらの制御プログラムの異なるバージョンを実行することから、外科用ハブ9000の制御プログラムがローカルな外科スタッフによって異なるようにカスタマイズ又はプログラムされることによって、又はローカルな外科スタッフが外科用ハブ9000を異なるように手動で制御することによって、生じ得る。図示の例では、外科用ハブ9000の集団は、特定のタスクのために、第1の動作挙動を示している第1の部分集団9312と、第2の動作挙動を示している第2の部分集団9314と、を含む。外科用ハブ9000は、この特定の実施例ではペアの部分集団9312、9314に分割されるが、外科用ハブ9000の集団内で示される異なる挙動の数には実際的な制限がない。外科用ハブ9000が実行し得るタスクは、例えば、外科用器具を制御すること、又は特定の方法でデータセットを分析することを含む。
【0306】
外科用ハブ9000は、外科用ハブ9000の動作挙動に関する周術期データを分析システム9100に送信するように構成することができる。周術期データは、術前データ、術中データ、及び術後データを含むことができる。術前データは、例えば、人口統計、病歴、既往歴、術前精密検査、薬歴(すなわち、現在及び以前に服用された薬剤)、遺伝子データ(例えば、SNP又は遺伝子発現データ)、EMRデータ、高度撮像データ(例えば、MRI、CT、又はPET)、メタボロミクス、及びマイクロバイオームなどの患者固有の情報を含むことができる。分析システム9100によって利用され得る様々な追加のタイプの患者固有情報は、米国特許第9,250,172号、米国特許出願第13/631,095号、米国特許出願第13/828,809号、及び米国特許第8,476,227号によって説明されており、これらの各々は、患者固有情報を説明する範囲で参照により本明細書に組み込まれる。術前データはまた、例えば、地理的情報、病院の場所、手術室の場所、外科手術を実施する手術スタッフ、担当外科医、特定の外科手術において潜在的に使用され得るモジュール式装置9050及び/又は他の外科手術機器の数及びタイプ、特定の外科手術において使用されることが予想されるモジュール式装置9050及び/又は他の外科手術機器の数及びタイプ、患者識別情報、並びに実施されている処置のタイプなど、手術室特有の情報を含むことができる。
【0307】
術中データは、例えば、モジュール式装置9050の利用(例えば、外科用ステープル留め器具による発射回数、RF電気外科用器具若しくは超音波器具による発射回数、又は利用されるステープラカートリッジの数及びタイプ)、モジュール式装置9050の動作パラメータデータ(例えば、外科用ステープル留め器具のFTF曲線、外科用ステープル留め器具のFTC曲線、発生器のエネルギー出力、排煙器の内部圧力若しくは圧力差)、予期せぬモジュール式装置9050の利用(すなわち、処置タイプに対して非標準であるモジュール式装置の利用の検出)、患者に施される補助療法、及びモジュール式装置9050以外の機器の利用(例えば、漏れに対処するためのシーラント)を含むことができる。術中データはまた、例えば、モジュール式装置9050の検出可能な誤用、及びモジュール式装置9050の検出可能な適応外使用を含むことができる。
【0308】
術後データは、例えば、患者が手術室を出ていない、及び/又は非標準的な術後ケアのために送られる(例えば、日常的な肥満処置を受けている患者が処置後にICUに送られる)場合のフラグ、外科手術に関する術後患者評価(例えば、呼吸器外科後の肺活量測定に関するデータ、又は腸若しくは肥満処置後のステープル線漏れに関するデータ)、術後合併症に関するデータ(例えば、輸血又は空気漏れ)、あるいは処置後の医療施設における患者の在院日数を含むことができる。病院は、再入院率、合併症率、平均在院日数、及び他のそのような手術の質の測定基準に関してますます等級付けされているので、外科用ハブ9000及び/又はモジュール式装置9050の制御プログラムを評価し、更新を開始するために、術後データソースを、単独で、又は外科的処置結果データ(後述)と組み合わせて、分析システム9100によって監視することができる。
【0309】
一部の例示では、術中及び/又は術後データは、各外科手術又は外科手術の工程の結果に関するデータを更に含むことができる。外科的処置結果データは、特定の処置、又は処置の特定の工程が肯定的又は否定的な結果を有しているか否かを含むことができる。一部の例示では、外科的処置結果データは、モジュール式装置9050性能の処置ステップ及び/若しくはタイムスタンプ付き画像、モジュール式装置9050が適切に機能したか否かを示すフラグ、医療施設スタッフからの注記、又はモジュール式装置9050性能の不良、準最適、若しくは容認できないためのフラグを含むことができる。外科的処置結果データは、例えば、モジュール式装置9050及び/又は外科用ハブ9000によって直接検出することができ(例えば、医療用撮像装置が出血を可視化又は検出することができる)、米国特許出願第15/940,654号に記載されているような外科用ハブ9000の状況認識システムによって決定又は推測することができ、あるいは外科用ハブ9000又は分析システム9100によってデータベース9054(例えば、EMRデータベース)から読み出すことができる。一部の例示では、モジュール式装置9050が外科手術の過程中に故障したか、又はそうでなければ正常に機能しなかったことを示すフラグを含む周術期データを、分析システム9100への通信及び/又は分析システム9100による分析のために優先することができる。
【0310】
1つの例示では、周術期データは、処置毎に組み立てられ、外科用ハブ9000によって分析システム9100にアップロードされ、それによって分析され得る。様々な検出された状態に応答して外科用ハブ9000がどのような動作を行ったか、外科用ハブ9000がどのようにモジュール式装置9050を制御したか、及び受信されたデータから導出された状況認識外科用ハブ9000をどのように推論するかを、周術期データは示すので、周術期データは、外科用ハブ9000が動作するようにプログラムされたか、又は外科手術に関連して手動で制御された方法(すなわち、外科用ハブ9000の動作挙動)を示す。分析システム9100は、術前、術中、及び術後のデータの様々なタイプ及び組み合わせを分析して、制御プログラム更新が生成されるべきか否かを決定し、次いで、必要に応じて、外科用ハブ9000の集団全体又は1つ以上の部分集団に更新をプッシュするように構成することができる。
【0311】
図55図56は、本開示の少なくとも1つの態様による、RFIDシステムと、その制御システムとを含むように適応され得る例示的な外科用円形ステープル留め器具216010を示す。ステープル留め器具216010を使用して、患者の消化管の一部分のような解剖学的管腔の2つの区間の間で、端々吻合を提供し得る。この実施例の器具216010は、ハウジングアセンブリ216100と、シャフトアセンブリ216200と、ステープル留めヘッドアセンブリ216300と、アンビル216400と、を備える。ハウジングアセンブリ216100は、斜めに配向されたピストルグリップ216112を画定するケーシング216110を備える。ハウジングアセンブリ216100はハンドルの形態で示されているが、これに限定されない。様々な例において、ハウジングアセンブリ216100は、例えば、ロボットシステムの構成要素であり得る。
【0312】
ハウジングアセンブリ216100は、移動可能なインジケータ針の視認を可能にするウインドウ216114を更に含む。いくつかの変形形態では、一連のハッシュマーク、着色領域、及び/又は他の固定インジケータがウインドウ216114に隣接して位置決めされ、インジケータ針に対する視覚的背景を提供し、それによって、ウインドウ216114内で針の位置をオペレータが評価することを容易にする。インジケータ針の動きは、ステープル留めヘッドアセンブリ216300に対するアンビル216400の閉鎖運動に対応する。ハッシュマーク、着色領域、及び/又は他の固定インジケータは、器具216010を発射するための最適なアンビル閉鎖ゾーンを画定することができる。したがって、インジケータ針が最適なアンビル閉鎖ゾーンにあるとき、ユーザは器具216010を発射し得る。本明細書の教示を考慮することで、当業者には、ハウジングアセンブリ216100の様々な好適な代替的な特徴及び構成が、明らかとなるであろう。
【0313】
本実施例の器具216010は、電池パック216120の形態をなし得る電源を更に含む。電池パック216120は、ピストルグリップ216112内のモータ216160(図57)に電力を供給するように動作可能である。様々な態様では、電池パック216120は、ハウジングアセンブリ216100から取り外し可能である。特に、図55図56に示されるように、電池パック216120は、ケーシング216110によって画定されるソケット216116の中に挿入され得る。電池パック216120がソケット216116内に完全に挿入されると、電池パック216120のラッチ216122が弾性的にケーシング216110の内側特徴部に係合して、スナップ嵌めをもたらし得る。電池パック216120を取り外すには、オペレータはラッチ216122を内側に押し込んでラッチ216122とケーシング216110の内側特徴部との係合を解除した後、電池パック216120をソケット216116から近位に引き抜くことで実現し得る。電池パック216120及びハウジングアセンブリ216100は、補完的な電気的接点、ピン及びソケット、並びに/又は、電池パック216120がソケット216116内に挿入されたときに、電池パック216120からハウジングアセンブリ216100内の電動構成要素への電気的通信用の経路を提供する他の特徴部を有し得るということを理解されたい。また、いくつかの変形形態では、電池パック216120がハウジングアセンブリ216100から取り外され得ないように、電池パック216120は、ハウジングアセンブリ216100内に一体的に統合されるということも理解されたい。
【0314】
シャフトアセンブリ216200が、ハウジングアセンブリ216100から遠位側に延在し、予め成形された屈曲部を含む。いくつかの変形形態では、予め成形された屈曲部は、患者の大腸内にステープル留めヘッドアセンブリ216300を位置決めすることを容易にするように構成されている。使用できる様々な好適な曲げ角度又は曲率半径が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。いくつかの他の変形形態では、シャフトアセンブリ216200に予め成形された屈曲部が存在しないように、シャフトアセンブリ216200は真っ直ぐである。様々な例示的な構成要素が、シャフトアセンブリ216200に統合され得るが、それについては後で詳しく説明する。
【0315】
ステープル留めヘッドアセンブリ216300は、シャフトアセンブリ216200の遠位端に位置する。図55図56に示すように、アンビル216400は、ステープル留めヘッドアセンブリ216300に隣接して、シャフトアセンブリ216200と取り外し可能に連結するように構成されている。アンビル216400及びステープル留めヘッドアセンブリ216300は協働して、組織をクランプする、組織を切断する、及び組織をステープル留めするといった3通りの方法で組織を操作するように構成されている。ハウジングアセンブリ216100の近位端のノブ216130は、ケーシング216110に対して回転可能であり、アンビル216400と、ステープル留めヘッドアセンブリ216300との間で、組織を正確にクランプすることができるようになっている。ハウジングアセンブリ216100の安全トリガ216140が、ハウジングアセンブリ216100の発射トリガ216150から遠ざかるように枢動されたとき、発射トリガ216150は作動され、これにより組織を切断し、ステープル留めし得る。
【0316】
アンビル216400についての以後の考察では、「遠位」及び「近位」という用語、並びにそれらの変形は、アンビル216400が器具216010のシャフトアセンブリ216200に連結されたときに、アンビル216400の配向を指して使用される。したがって、アンビル216400の近位特徴部は、器具216010のオペレータに近い側にある一方で、アンビル216400の遠位特徴部は、器具216010のオペレータから遠い側にある。
【0317】
図57は、本開示の1つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム221211の論理図を示す。制御システム221211は、例えば、RFIDスキャナ221202と統合され得るか、あるいはハウジングアセンブリ216100内のRFIDスキャナ221202に連結され得るが別々に位置決めされ得る制御回路221210を含む。制御回路221210は、RFIDタグ221203に記憶されたステープル留めヘッドアセンブリ216300上に位置するステープルカートリッジに関する情報、及び/又はRFIDタグ221201に記憶されたアンビル221200に関する情報を示す入力をRFIDスキャナ221202から受信するように構成することができる。
【0318】
様々な実施例では、RFIDタグ221203は、ステープルカートリッジの識別情報を記憶し、RFIDタグ221201は、アンビル221200の識別情報を記憶する。そのような例では、制御回路221210は、ステープルカートリッジの識別情報を示すRFIDスキャナ221202からの入力を受信し、その入力に基づいてステープルカートリッジの識別を検証する。更に、制御回路221210は、アンビル221200の識別情報を示すRFIDスキャナ221202から入力を受信し、その入力に基づいてアンビル221200の識別を検証する。
【0319】
少なくとも1つの実施例において、制御回路221210は、プロセッサ221214と、例えばメモリ221212など記憶媒体と、を有するマイクロコントローラ221213を含む。メモリ221212は、例えば、識別検証など様々なプロセスを実施するためのプログラム命令を記憶する。プログラム命令は、プロセッサ221214によって実行されると、例えば、RFIDタグ221201、221203から受信された識別情報を、同一性データベース又はテーブルの形態でメモリ221212に記憶された識別情報と比較することによって、ステープルカートリッジの識別とアンビル221200の識別とを、プロセッサ221214に検証させる。
【0320】
少なくとも1つの例では、制御回路221210は、RFIDスキャナ221202からの入力に基づいて、ステープル留めヘッドアセンブリ216300のステープルカートリッジとのアンビル221200の適合性を確認するように構成することができる。プロセッサ221214は、例えば、アンビル221200及びステープルカートリッジの識別情報を、メモリ221212に記憶された適合性データベース又はテーブルで確認することができる。
【0321】
様々な実施例において、メモリ221212は、器具216010のローカルメモリを備える。他の例において、同一性データベース若しくはテーブル及び/又は適合性データベース若しくはテーブルをリモートサーバからダウンロードすることができる。様々な態様では、器具216010は、RFIDタグ221201、221203から受信された情報を、識別及び/又は適合性チェックをリモートに実施するためのデータベース又はテーブルを記憶したリモートサーバに送信してもよい。
【0322】
図57を参照すると、モータ216160、221160がそれぞれモータドライバ216161及び221161に連結され、これらのモータドライバは、電源(例えば電池パック216120)からモータ216160及び221160への電気エネルギーの流動を含めて、モータ216160及び221160の動作を制御するように構成されている。様々な実施例において、プロセッサ221214は、モータドライバ216161、221161を通してモータ216160、221160に連結される。様々な形態において、モータ216160及び/又はモータ221160は、外科用エンドエフェクタによる組織治療を実現するためのギアボックス及び機械的リンクを備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。一態様では、モータドライバ216161、221161は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941の形態をなすものであってもよい。他のモータドライバも、制御システム221211と共に使用するために容易に代用され得る。
【0323】
様々な形態において、モータ216160、221160は、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。他の構成では、モータ216160、221160は、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでもよい。モータドライバ216161、221161は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ216160、221160を電源によって給電することができる。電源は、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を含んでもよい。特定の状況下では、電源の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源に結合可能かつ電源から分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0324】
様々な態様において、本開示によるモータドライバは、ブラシ付きDCモータなどの誘導負荷に合わせて特別に設計された外部のNチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用されるフルブリッジコントローラであり得る。モータドライバは、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を使用して高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードでは、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を示すものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータドライバを、絶対位置付けシステムを備えた追跡システムで使用するために容易に代用し得る。
【0325】
様々な態様では、本開示のモータのうちの1つ以上は、例えば、発射駆動アセンブリ221163又は閉鎖駆動アセンブリ216163の変位部材上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合して取り付けられるギアアセンブリと動作可能にインターフェース接続する回転式シャフトを含むことができる。センサ素子は、位置センサ素子の1回転が、変位部材のいくつかの直線長手方向並進に対応するように、ギアアセンブリに動作可能に結合されてもよい。ギアリング及びセンサの構成は、ラックピニオン構成によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置付けシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置付けシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。変位部材は、長手方向に移動可能な閉鎖部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組み合わせを表す。
【0326】
特定の実施例では、図57に示されるように、ステープル留めヘッドアセンブリ216300によるアンビル216400の閉鎖構成への移行が、モータ221160によって駆動される。そのような例では、制御回路221210は、上述のように、RFIDスキャナ221202及び/又はRFIDスキャナ221204からの入力に基づいて、アンビル216400の適切な配向、完全な着座、及び/又は適切な識別が制御回路221210によって検出された場合に、モータ221160がアンビル216400の閉鎖を駆動することを可能にする。したがって、アンビル216400の適切な配向、完全な着座、及び/又は適切な識別のうちの1つ以上を確立する際に、失敗を検出することにより、制御回路221210は、モータ221160がアンビル216400の閉鎖を開始すること、及び/又は閉鎖を完了することを防止する。
【0327】
特定の例では、RFIDスキャナ221202によって報告されるように、RFIDタグ221201、221203に記憶された情報に基づいて、ステープルカートリッジとアンビルとの適合性が確認された場合、制御回路221210により、モータ216160は、ステープルを発射すること、及び円筒形ナイフ部材の前進を駆動することが可能になる。反対に、RFIDスキャナ221202によって報告されるように、RFIDタグ221201、221203に記憶された情報に基づいて、ステープルカートリッジとアンビルとの適合性が確立できない場合、制御回路221210は、モータ216160が、ステープル発射を、及び円筒形ナイフ部材の前進を、駆動することを防止するように構成されている。
【0328】
様々な実施例では、RFIDタグ221201、221203、及びRFIDスキャナ221202のうちの1つ以上のアンテナは、接続時に係合されるブースターアンテナで補完されてもよい。様々な実施例では、例えば、RFIDタグ221201及びRFIDタグ221203などの外科用器具216010上のアクティブRFIDタグのアンテナを、計画された方式で外科用器具216010の正常な動作中に切断することができる。そのようなRFIDタグからの損失信号は、外科的タスクの完了を知らしめ得る。
【0329】
様々な態様では、RFIDタグを、円筒形ナイフ部材の経路に沿って位置決めすることができる。RFIDタグは、例えば、そのアンテナを介してRFIDスキャナ221202に信号を伝送し得る。アンテナがナイフ部材によって切断されると、信号が失われる。信号損失によって、ナイフ部材の前進を確認することができる。
【0330】
一実施例では、RFIDタグは、アンビル216400の破断可能ワッシャ上に位置決めされる。そのような実施例では、破断可能ワッシャは、ナイフ部材の遠位の全動作範囲の端に向かうナイフ部材によって破断される。ナイフ部材は、破断可能ワッシャを破断する間にRFIDタグのアンテナを切断する。アンテナが切断されると、例えば、RFIDタグからRFIDスキャナ221202に送信される信号が失われる。RFIDスキャナ221202は、制御回路221210に連結され、信号損失を制御回路221210に報告することができる。信号損失は、外科用器具216010の発射シーケンスの完了を示すことを、制御回路221210が解釈する。
【0331】
様々な態様では、上に更に詳述されたように、例えば、器具216010などの外科用器具は、閉鎖構成で、ステープル留めヘッドアセンブリ216300に向かって移動可能なアンビル216400を含み、それらの間で組織を捕捉する。次いで、組織は、外科用器具216010の発射シーケンスにおいてステープル留めされ、切断される。器具216010は、例えばRFIDタグ221201などのRFIDタグと、例えばRFIDスキャナ221202などのRFIDスキャナと、を更に含み、RFIDスキャナ221202は、RFIDタグ221201を読み取りかつ/又はそれに書き込むように構成されている。RFIDタグ221201及びRFIDスキャナ221202は、組織からのRF信号の後方散乱に基づいて組織の特性を決定するために、制御回路221210によって使用され得るRFIDシステムを定義する。
【0332】
アンビル216400とステープル留めヘッドアセンブリ216300との間に把持された組織に対するRFIDタグ221201及びRFIDスキャナ221202の位置を、RF信号の後方散乱の測定に最適となるように選択することができる。少なくとも1つの実施例では、RFIDタグ221201及びRFIDスキャナ221202は、組織の両側に位置決めされ得る。
【0333】
組織分析を可能にするために、後方散乱データからのRF信号が収集され、既知の組織特性と相関され得る。様々な態様において、組織の様々な特性を決定するために、後方散乱データのスペクトル特性が解析され得る。少なくとも1つの例では、後方散乱データは、組織内の境界特徴を識別するために用いられる。少なくとも1つの実施例では、後方散乱データを使用して、アンビル216400とステープル留めヘッドアセンブリ216300との間に把持された組織の厚さを評価することができる。
【0334】
出願人は、外科用器具機能の適応制御のためのシステム及び技法を開示する。外科用器具は、例えば、外科用ハブなどの外部システムと通信するように構成されてもよい。外科用ハブは、外科用器具によって適応的に制御されるべき1つ以上の機能の指示を生成してもよく、外科用器具は、その指示を受信してもよい。例えば、外科用ステープラ器具は、ステープル高さ動作範囲の表示を適応的に制御するため、及び/又は外科用器具の電動の特徴を適応的に制御するための指示を受信してもよい。外科用器具は、識別された機能に関連付けられるパラメータの値を決定し、決定されたパラメータに基づいて識別された機能の制御を適応させ得る。外科用器具は、パラメータに基づいて1つ以上の制御された機能のその動作を修正してもよい。外科用器具は、追加のパラメータ値などの追加の情報を外部システムに通信してもよく、示された1つ以上の機能の継続制御に関する更なる入力を受信してもよい。
【0335】
図58は、外科用器具機能の適応制御のための例示的な処理のフローチャートを示す。示されるように、225010において、外科用器具は、例えば、外科用ハブシステムなどの外部システムとの通信を確立し得る。外科用器具は、外科用器具に関連付けられたパラメータを外科用ハブに通信し得る。例えば、外科用器具は、装置内に備えられるハードウェア、装置上で動作するソフトウェア、並びに/又は外科用器具及びその使用に関する任意の他の関連情報の指示を通信してもよい。
【0336】
外科用ハブシステムは、外科用器具の識別及び外科用器具から受信された1つ以上のパラメータ値を使用して、外科用器具がその処理中に制御し得る1つ以上の機能を決定し得る。例えば、外科用器具が交換式エンドエフェクタを有する外科用円形ステープラであることをパラメータが示す場合、外科用ハブシステムは、外科用器具がステープル高さ動作範囲の適応制御を提供すべきであると決定してもよい。外科用器具が外科用ハブシステムが関連する動作又は動作パラメータを有する以前の外科手術において使用されたタイプの外科用円形ステープラであることをパラメータが示す場合、外科用ハブシステムは、外科用器具が以前の外科手術から導出された動作パラメータを使用してそのシステムの制御を提供するべきであると決定してもよい。
【0337】
225020において、外科用ハブシステムは、1つ以上の制御された機能を提供するための指示を、外科用ハブシステムから送信し、外科用器具が受信する。指示は、例えば、パラメータを含む任意の適切な方法で通信され得る。指示は、例えば、適応ステープル高さ動作範囲、電動組織圧縮の適応制御、及び/又は以前の外科手術に関連付けられた動作パラメータを使用する装置制御を提供するように、外科用器具に指示し得る。
【0338】
225030において、外科用器具は、外科用ハブシステムからの通信において示された1つ以上の制御された機能に関連付けられた1つ以上のパラメータを決定し得る。例えば、外科用器具が適応ステープル高さ動作範囲を提供するための指示を受信した場合、外科用器具は、外科用器具のエンドエフェクタに関連付けられたアンビルヘッドのサイズに関するパラメータを決定してもよい。外科用器具が、組織圧縮アンビルによって印加された力に関連付けられたモータの適応可能制御を提供するための指示を受信した場合、外科用器具は、ステープルを挿入するための力が印加されているという指示を監視し得る。外科用器具が、以前に完了した外科手術からの動作パラメータを使用する指示を受信した場合、外科用器具は、外科用ハブシステムに動作パラメータを要求し、外科用ハブシステムから動作パラメータを受信することによって、以前の処置から動作パラメータを決定し得る。
【0339】
225040において、外科用器具は、決定されたパラメータに基づいて、外科用ハブからの通信において示される1つ以上の制御された機能を提供し得る。例えば、外科用器具は、エンドエフェクタのアンビルヘッドのサイズを示すパラメータに基づいて、適応可能なステープル高さ動作範囲を提供してもよい。アンビルヘッドが比較的小さいか又は大きい場合、ステープル高さ動作範囲は、デフォルト表現から修正され得る。外科用器具が、組織圧縮に適応されたモータの制御を提供するための指示を受信した場合、ステープルが挿入されている又は挿入されようとしていることを示すデータを受信すると、外科用器具は、適切な時間に、適切な持続時間にわたって圧縮を提供するために印加された力を増加させるようにモータを制御し得る。外科用器具が、以前に完了した外科手術に関連付けられた動作パラメータに基づいて制御を提供するための指示を受信した場合、外科用器具は、受信した動作パラメータを使用して、その動作を実施し得る。
【0340】
225050において、外科用器具は、必要に応じて外科用ハブシステムと通信を継続し、そのステータス及び動作に関する追加のパラメータ及び情報を外科用ハブに提供し、制御された動作を実施するための追加の命令及びデータを外科用ハブから受信し得る。
【0341】
外科用器具は、適応可能な安定高さ動作範囲を提供するために、外科用ハブから指示を受信し得る。図59は、例示的な電動円形ステープル留め器具210100を示す。例示的な電動円形ステープル留め器具210100は、図18に示される器具201800に関連して、及び図55に示される器具216010に関連して説明されるような機能を実施するように適応され得る構造を含み得る。円形ステープル留め器具210100は、シャフトアセンブリ210150と、ハンドルアセンブリ210170と、回転ノブ210180と、を含み得る。シャフトアセンブリ210150、ハンドルアセンブリ210170、及び回転ノブ210180は、器具201800に関連して、それぞれ201806、201808、及び201812に関連して説明したように動作し得る。シャフトアセンブリ210150、ハンドルアセンブリ210170、及び回転ノブ210180は、器具216010において、それぞれ216200、216100、及び216130に関連して説明したように動作し得る。
【0342】
シャフトアセンブリ210150は、1つ以上のエンドエフェクタに取り付けられ、それと共に動作するように構成され得る。エンドエフェクタは、異なる構成のエンドエフェクタを含み得る。例えば、エンドエフェクタは、異なるサイズ、異なる形状、異なる機能性などで構成されてもよい。エンドエフェクタは、例えば、異なる組織タイプのために、及び/又は特定の組織タイプの異なる状態のために構成されてもよい。
【0343】
エンドエフェクタは、201804又は216400などのアンビルを含み得る。エンドエフェクタは、ヘッドアセンブリ201802を含み得る。シャフトアセンブリ210150は、異なるサイズのヘッドアセンブリと共に動作するように構成され得る。例えば、シャフトアセンブリ210150は、小型アンビル210110Aと共に動作するように構成されてもよい。シャフトアセンブリ210150は、小型ステープル留めヘッドアセンブリ210130Aと共に動作するように構成されてもよい。シャフトアセンブリ210150は、中型(例えば、標準サイズ)のアンビル210110Bと共に動作するように構成されてもよい。シャフトアセンブリ210150は、中型(例えば、標準サイズ)のステープル留めヘッドアセンブリ210130Bと共に動作するように構成されてもよい。シャフトアセンブリ210150は、大型アンビル210110Cと共に動作するように構成されてもよい。シャフトアセンブリ210150は、大型ステープル留めヘッドアセンブリ210130Cと共に動作するように構成されてもよい。
【0344】
各ステープル留めヘッドアセンブリ210130A~Cは、それぞれのデータ記憶要素210120A~Cを含み得る。例えば、ステープル留めヘッドアセンブリ210130Bは、データ記憶要素210120Bを含んでもよい。データ記憶要素210130Bは、データを記憶し、記憶されたデータを送信するように構成され得る。画像データは、有線又は無線接続を介して送信されてもよい。データ記憶要素210120Bは、それぞれのアンビル210110B及び/又はステープル留めヘッドアセンブリ210130Bに関するデータ及び/又は情報を記憶し得る。データは、ステープル留めヘッドアセンブリのタイプ(例えば、電動円形ステープラヘッドアセンブリ)、アンビル210110Bの特性(例えば、直径などのアンビルヘッドのサイズ)、ステープル留めヘッドアセンブリの状態(例えば、ステープルが発射されたか否か)などを識別するデータを含み得る。
【0345】
データ記憶要素210120Bは、記憶されたデータを記憶及び/又は提供するために好適な任意の装置、システム、及び/又はサブシステムを含んでもよい。例えば、データ記憶要素210120Bは、RFIDマイクロトランスポンダ及び/又はデジタル署名を含むRFIDチップを備えてもよい。データ記憶要素210120Bは、電池支援受動的RFIDタグを含み得る。電池支援受動的RFDタグは、(例えば、RFIDマイクロトランスポンダ及び/又はRFIDチップと比較して)改善された範囲及び信号長を呈し得る。データ記憶要素210120Bは、本明細書で説明されるデータを記憶するために使用され得る書き込み可能セクションを含み得る。データは、図7図8及び図16図17に関連して説明されるように、器具210100の制御回路を介して、書き込み可能セクションに書き込まれてもよい。書き込み可能セクションは、器具210100のセンサによって読み取られ得る。例えば、ステープルが発射されたとき、器具210100は、発射されたステープルイベントを示すデータを書き込み可能セクションに書き込んでもよい。器具210100(又は、例えば、別の器具)は、続いて、発射されたステープルイベントを示すデータを書き込み可能セクションから読み取ってもよい。このデータ書き込み及び読み取りは、器具210100がユーザ及び/又は他の関連システムに、ステープル発射履歴を通知することを可能にし得る。
【0346】
ステープル留めヘッドアセンブリ210130A及び210130Cは、それぞれ、データ記憶要素210120A及び210120Cを含み得る。データ記憶要素210120A及び210120Cは、データ記憶要素210120Bを参照して説明したように機能し、実装し得る。
【0347】
ステープル留めヘッドアセンブリ210130A、210130B、及び210130Cは各々、それぞれのステープルカートリッジを含み得る。ステープルカートリッジは、所定のゾーンを含み得る。所定のゾーンは、感知回路によって画定され得る。所定のゾーンは、感知回路を介して、組織インピーダンスの測定を可能にし得る。ステープル留めヘッドアセンブリは、図40又は図41に示されるようなステープル留めヘッドアセンブリを含んでもよい。図41に示されるように、ステープルカートリッジ25512は、感知回路(S~S)によって画定された8つの所定のゾーン(ゾーン1~ゾーン8)を含み得る。図40及び図41の円形ステープラに画定されたゾーンは、サイズが等しいか又は少なくとも実質的に等しく、円形ステープラのシャフトを通って長手方向に延在する長手方向軸の周囲で円周方向に配置され得る。図45は、ステープルカートリッジ25512上の組織インピーダンス測定値が、予めステープル留めされた組織を受け取った可能性があるゾーン1、ゾーン3、ゾーン5、及びゾーン7において、大きさが実質的に同じである例を示す。ステープルカートリッジ25512上の極めて高い組織インピーダンス測定値は、予めステープル留めされた組織を受け取っていない可能性があるゾーン2、ゾーン4、ゾーン6、及びゾーン8において、大きさが実質的に均一であり得る。図46は、ゾーン間に不均等に分布した組織インピーダンス測定値を示す。
【0348】
ハンドルアセンブリ210170は、器具201800を参照して説明されるようなモータを含み得る。ハンドルアセンブリ210170は、図8、16、17、及び57に説明されるような複数のモータを含んでもよい。例えば、ハンドルアセンブリ210170は、少なくとも、別個に制御されるアンビル閉鎖モータ(例えば、図8に示される閉鎖モータ603、及び図57に示されるモータ216160)と、別個に制御される発射モータ(例えば、図8に示される発射モータ602、及び図57に示されるモータ221160)と、を含んでもよい。
【0349】
ハンドルアセンブリ210170は、適応可能なステープル高さ動作範囲210160のグラフィック表現を含んでもよく、これは、組織圧縮のための動作範囲の表現とも称され得る。適応可能なステープル高さ動作範囲210160は、図55図56に関連して説明したウインドウ216114と同様に動作し得る。グラフィック表現は、可変ステープル高さウィンドウ(例えば、図23の可変ステープル高さウインドウ201076、201078、201080、201082を参照して説明したものなど)を含み得る。グラフィック表現は、可変ステープル発射範囲(例えば、図23のステープル発射範囲201088、201090、201092を参照して説明したものなど)を含み得る。適応可能なステープル高さ動作範囲210160は、器具210100によって感知される1つ以上のパラメータに基づいて適応され得る。適応可能なステープル高さ動作範囲210160は、1つ以上の以前に使用されたパラメータ構成に基づいて適応され得る。
【0350】
適応可能なステープル高さ動作範囲210160は、図60図63に関連して説明されるように動作し得る。図60は、例示的な電動円形ステープル留め器具210100上に現れ得るように表示された適応可能なステープル高さ動作範囲の例示的な表現を示す。制御回路は、適応可能なステープル高さ動作範囲210160を有効にし得る。適応可能なステープル高さ動作範囲210160は、例えば、ストローク制御モード、負荷制御モード、及び/又は以前の構成制御モードなどのモードに従って適応され得る。適応可能なステープル高さ動作範囲210160は、動作モードの階層化システムにおけるモードに従って適応され得る。モード選択(例えば、器具210100がストローク制御モード、負荷制御モード、又は以前の構成制御モードで動作するか否か)は、器具210100が外部システムから受信するシステムパラメータによって決定され得る。例えば、器具210100は、手術室内の外科用ハブとリンク(例えば、ペアリング)されてもよく、外科用ハブから構成情報を受信してもよい。例えば、システムパラメータであり得る指示は、外科用ハブから器具210100に送信されてもよい。システムパラメータは、特定の制御モードで動作するように器具210100に指示し得る。器具210100は、受信されたシステムパラメータに基づいて、ストローク制御モード、負荷制御モード、又は以前の構成制御モードのうちの1つで動作することを決定し得る。システムパラメータは、医療専門家(例えば、外科医)、特定の患者及び/又は患者のクラス、医療施設又は機関、サブスクリプションレベル及び/又は購入されたソフトウェア層など、のうちの1つ以上に関連付けられる設定であってもよい。
【0351】
図61は、電動円形ステープル留め器具がストローク制御動作モードで動作している間に、適応可能なステープル高さ動作範囲を提供するための例示的な処理を示すフロー図である。211010において、器具210100であり得る外科用円形ステープラ211000は、ストローク制御モードで動作している間に、適応可能なステープル高さ動作範囲(図59の210160、及び図60の210160A~Cに示される)を提供するために、システムパラメータを含み得る指示を受信し得る。ストローク制御モードは、例えば、組織クランプ中のアンビルのストローク位置及びアンビルヘッドサイズに少なくとも基づいて、適応可能なステープル高さ動作範囲210160を適応させることを指し得る。例えば、211012において、外科用円形ステープラ211000と共に動作するために、中型の直径(D)を有する中型のアンビルヘッド210110Bが選択されたとき、外科用円形ステープラの制御回路は、データ記憶要素210120Bに記憶された値からD直径サイズを決定し得る(図59に示されるように)。
【0352】
211014において、外科用円形ステープラは、アンビルヘッドの決定されたサイズ、例えば、中型を使用して、標準的な適応可能なステープル高さ動作範囲210160Bが提示されるべきであると決定し得る。標準的な適応可能なステープル高さ動作範囲210160Bは、黄色ゾーンyによって表される標準的な実行可能(例えば、作業可能)ステープル高さ範囲と、緑色ゾーンgによって表される標準的な実行可能ステープル発射範囲と、を含み得る。図60に示されるように、黄色ゾーンは、第1の横方向に延在するバンドを表し、緑色ゾーンは、第1の横方向に延在するバンド内に位置付けられる第2の横方向に延在するバンドを表す。
【0353】
211012において、外科用円形ステープラ211000と共に動作するために、大型直径(D)を有する大型のアンビルヘッド210110Cが選択されたとき、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、データ記憶要素210120C(図59に示される)に記憶された値からD直径サイズを決定し得る。211014において、外科用円形ステープラは、アンビルヘッドの決定されたサイズ、すなわち大きいサイズを使用して、適応可能なステープル高さ動作範囲210160Cが提示されるべきであると決定し得る。図60を参照すると、適応可能なステープル高さ動作範囲210160Cは、黄色ゾーンyによって表される実行可能ステープル高さ範囲と、緑色ゾーンgによって表される実行可能ステープル発射範囲と、を含み得る。実行可能ステープル高さ範囲は、適応可能な実行可能ステープル高さ範囲と称される場合がある。実行可能ステープル発射範囲は、適応可能な実行可能ステープル発射範囲、及び/又は適応可能なステープル発射範囲と称される場合がある。アンビルヘッド210110Cによってクランプされている組織210540Cは、アンビルヘッド210110Bによってクランプされている組織210540Bと同じ組織厚さG標準を有し得る。外科用円形ステープラ211000は、標準的な黄色ゾーンy、及び標準的な緑色ゾーンgをそれぞれ黄色ゾーンy、及び緑色ゾーンgにシフトアップすることによって、適応可能なステープル高さ動作範囲210160Cを決定し得る。標準的な黄色と比較して、黄色ゾーンy2を表す横方向に延在するバンドは、圧縮されるか、又はより狭くなり得る。標準的な緑色ゾーンと比較して、緑色ゾーンg2を表す横方向に延在するバンドは、上方にシフトされ得る。シフトは、DがDより大きいことに起因し、大きいアンビルヘッドを用いてクランプするとき、高いステープル高さをもたらす同じアンビル閉鎖力から生じ得る。このような効果は、同じステープル高さをもたらすために大きいアンビル閉鎖力を必要とする大きいクランプ表面積を有する大きいアンビルヘッドサイズに起因し得る。外科用円形ステープラ211000は、標準的な黄色ゾーンy、及び標準的な緑色ゾーンgよりも、狭いy、及び狭い緑色ゾーンgをそれぞれ決定することによって、適応可能なステープル高さ動作範囲210160Cを決定し得る。そのような適応は、同じクランプ力が与えられた大きいアンビルヘッドでクランプするときに、高いステープル高さがもたらされることによって引き起こされ得る。利用不可能な低いステープル高さ範囲は、黄色ゾーン及び緑色ゾーンを狭くする。
【0354】
211012において、外科用円形ステープラ211000と共に動作するために、小型直径(D)を有する小型アンビルヘッド210110Aが選択されたとき、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、データ記憶要素210120A(図59に示される)に記憶された値からD直径サイズを決定し得る。211014において、外科用円形ステープラは、適応可能なステープル高さ動作範囲210160Aを決定し得る。適応可能なステープル高さ動作範囲210160Aは、黄色ゾーンyによって表される実行可能ステープル高さ範囲と、緑色ゾーンgによって表される実行可能ステープル発射範囲と、を含み得る。アンビルヘッド210110Cによってクランプされている組織210540Cは、アンビルヘッド210110Bによってクランプされている組織210540Bの組織厚さG標準(完全開放ストローク位置に対して短いアンビルストロークに対応する)と比較して、組織210540Aの薄い組織厚さG薄い(完全開放ストローク位置に対して長いアンビルストロークに対応する)を有し得る。外科用円形ステープラ211000は、標準的な黄色ゾーンy、及び標準的な緑色ゾーンgをそれぞれ黄色ゾーンy及び緑色ゾーンgとなるようにシフトダウンすることによって、適応可能なステープル高さ動作範囲210160Aを決定し得る。標準的な黄色と比較して、黄色ゾーンyを表す横方向に延在するバンドは、下方にシフトされ得る。標準的な緑色ゾーンと比較して、緑色ゾーンg1を表す横方向に延在するバンドは、広くてもよい。外科用円形ステープラ211000は、標準的な緑色ゾーンgよりも広い緑色ゾーンgを決定することによって、適応可能なステープル高さ動作範囲210160Aを決定し得る。小さいアンビルヘッドでクランプするとき、同じアンビル閉鎖力が、低いステープル高さをもたらし得るので、そのような適応は、DがDよりに小さいことに起因し得る。このような効果は、同じステープル高さをもたらすために小さいアンビル閉鎖力を必要とする小さいクランプ表面積を有する小さいアンビルヘッドサイズに起因し得る。このような適応はまた、アンビルヘッド210110Bによってクランプされている組織210540Bの組織厚さG標準よりも、薄い組織210540Aの組織厚さG薄いに起因する場合があり、これは、組織クランプの開始時の小さいアンビル間隙に対応する。
【0355】
211016において、外科用円形ステープラは、適応可能なステープル高さ動作範囲を表示し得る。
【0356】
図62は、電動円形ステープル留め器具が負荷制御動作モードで動作している間に、適応可能なステープル高さ動作範囲を提供するための例示的な処理のフロー図を示す。211510において、外科用円形ステープラは、システムパラメータであり得る指示を受信して、負荷制御モードにおいて適応可能なステープル高さ動作範囲(図59の210160、及び図60の210160A~Cに示される)を提供し得る。負荷制御モードは、アンビルのアンビルヘッドサイズ及びストローク位置に加えて、組織クランプ段階、及び組織クリープ/待機段階中の閉鎖力(FTC)(例えば、FTCの代用として感知されたモータ負荷)に基づいて、適応可能なステープル高さ動作範囲210160を適応させることを指し得る。
【0357】
組織クランプ中に、211512において、外科用円形ステープラ211000と共に動作するために、小型直径(D)を有する小型アンビルヘッド210110Aが選択されたとき、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、図61に関連して211012において記載されるように、アンビルヘッド210110Aが組織210540Aと最初に接触すると、Dパラメータを決定し、組織厚さG薄いを感知することに加えて、FTCを決定し得る。211514において、外科用円形ステープラ211000は、適応可能なステープル高さ動作範囲を決定し、211516において、適応可能なステープル高さ動作範囲を表示し得る。そのような適応可能なステープル高さ動作範囲は、図61を参照して211014で説明されたものからの更なる適応であり得る。例えば、同じ組織厚さが与えられた場合、組織クランプ中の決定されたFTCは、本明細書の図24の組織圧縮力に対する時間関数グラフにおいて、時間tとtとの間で説明されるように、可変組織剛性に応じて変動し得る。低い剛性の組織に対応する組織圧縮力曲線202026の例では、低いFTCが感知されるので、適応可能なステープル高さ動作範囲の黄色ゾーン及び緑色ゾーンは、正常な剛性の組織と比較して更に下方にシフトし得る。高い剛性の組織に対応する組織圧縮力曲線202024の実施例では、高いFTCが感知されるので、適応可能なステープル高さ動作範囲の黄色ゾーン及び緑色ゾーンは、正常な剛性の組織と比較して上方にシフトし得る。
【0358】
211014において、同じアンビル間隙が与えられた場合、組織クリープ/待機段階中の決定されたFTCは、本明細書の図24の組織圧縮力に対する時間関数グラフにおいて、tとtとの間で説明されるように、可変組織剛性に応じて変動し得る。例示的な組織圧縮力曲線202022、202024、202026が適用された場合、減少したFTCが感知されるので、適応可能なステープル高さ動作範囲の黄色ゾーン及び緑色ゾーンは、組織クランプ中に決定された黄色ゾーン及び緑色ゾーンと比較して、組織クリープ/待機段階中に更に下方にシフトし得る。
【0359】
外科用器具は、適応モータ制御を提供するために外科用ハブから指示を受信し得る。図64は、負荷制御動作モードにおいて適応モータ制御を使用して動作する例示的な電動円形ステープル留め器具の様々な態様を示す図である。図64は、器具210100などの外科用円形ステープラ211000が、アンビル閉鎖モータ(図59に説明される)の出力を発射モータ(図59に説明されるような)の出力に動的に適応させることによって、ステープル発射/組織切断中に、一定のアンビル間隙を維持するために、外科手術において使用され得ることを図示する。そのような適応は、発射モータが発生した力を、アンビル閉鎖モータが発生した反対方向の力で打ち消し得る。両方の力をアンビルに印加して、一定のアンビル間隙を維持し得る。グラフ212510は、時間に対する、アンビル閉鎖モータ(例えば、FTC)についての感知されたモータ負荷、及び発射モータ(例えば、発射力(FTF)又はナイフ前進力(FAK))についての感知されたモータ負荷を示す。グラフ211512は、感知されたアンビル間隙に対する時間を示す。グラフ211514は、感知された組織伸長に対する時間を示す。グラフ211516は、アンビル閉鎖モータ及び発射モータのモータ出力(例えば、電力、電流、及び/又はトルク)に対する時間を示す。
【0360】
図65は、負荷制御動作モードにおいて適応モータ制御を使用して動作する例示的な電動円形ステープル留め器具のフロー図を示す。213010において、器具210100などの外科用円形ステープラ211000は、モータ制御を提供するための指示を受信し得る。例えば、外科用円形ステープラは、負荷制御モードを設定するためのシステムパラメータを受信してもよい。
【0361】
213012において、外科用円形ステープラ211000は、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられた第1のモータ(例えば、本明細書に記載されるアンビル閉鎖モータ)を監視し得る。図64に関連して説明される例示的な外科的処理では、t0において(例えば、アンビルが組織との初期接触を感知したとき)、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、例えば、グラフ212512に示されるようにアンビル間隙を感知することによって、アンビルのストローク位置の監視を開始し得る。制御回路はまた、グラフ212510に示されるように、アンビル閉鎖モータのモータ負荷の監視を開始してもよい。アンビル間隙が減少するにつれて、制御回路は、アンビル閉鎖モータに、一定出力(「第1のアンビル閉鎖モータ出力」)の生成を開始させ、グラフ212516に図示されるように、電動組織クランプをもたらし得る。その結果、制御回路は、グラフ212510に示されるように、アンビル閉鎖モータに対する増加するモータ負荷(例えば、FTC)の感知を開始し得る。このようにして、外科用円形ステープラ211000は、アンビル閉鎖モータのモータ負荷を監視し得る。
【0362】
図64を参照すると、t1において、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、アンビル間隙が減少を停止して一定を維持していることを感知し、それに応じて、アンビル閉鎖モータに、第1のアンビル閉鎖モータ出力の生成を停止させて、電動組織クランプを終了させ、グラフ212516に示されるように、組織クリープ/待機段階を開始させ得る。制御回路がアンビル閉鎖モータのモータ負荷を監視を継続するにつれて、制御回路は、減少するモータ負荷(例えば、FTC)を感知し、次いで、グラフ212510に図示されるように、t2において組織クリープ安定化が達成されるにつれて、一定のモータ負荷(例えば、FTC)を感知し得る。このようにして、外科用円形ステープラ211000は、アンビル閉鎖モータのモータ負荷を更に監視する。t0とt2との間で、グラフ212514は、組織クランプの終了時に増加し、時間t1で最大に到達し、組織クリープが開始するにつれて減少し、t2で一定になる、組織伸長を図示する。
【0363】
図65の213014において、外科用円形ステープラ211000は、外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた第2のモータ(例えば、本明細書に記載の発射モータ)を監視し得る。図64に示される例示的な外科手術において、t2において、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、例えば、グラフ212516に示されるように、器具オペレータ(例えば、外科医)がステープル発射をトリガすると、発射モータに一定出力(「第1の発射モータ出力」)の生成を開始させ得る。それに応答して、制御回路は、t2において開始するアンビル閉鎖モータについての一定のモータ負荷を監視することに加えて、グラフ212510に示されるように、発射モータについてのモータ負荷の監視を開始し得る。このようにして、外科用円形ステープラ211000は、発射モータのモータ負荷を監視する。
【0364】
図65の213016において、外科用円形ステープラ211000は、外科用ステープルを、アンビルによって圧縮された組織内に挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別し得る。例えば、図64に示されるタイムラインを継続すると、t2において、外科用円形ステープラ211000の制御回路が発射モータのモータ負荷の監視を開始すると、制御回路は、第1の発射モータ出力に起因するグラフ212510に示されるような発射モータの増加するモータ負荷(例えば、FTF)の感知を開始し得る。このようにして、外科用円形ステープラ211000は、ステープル発射のための力の印加に関連付けられた指示を識別し得る。グラフ212514は、発射モータのモータ負荷(例えば、FTF)が増加するにつれて、t2で開始して増加する組織伸長を示す。
【0365】
図65の213018において、外科用円形ステープラ211000は、外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別したことに応答して、アンビルが組織に力を印加するように第1のモータを制御することを決定し得る。図64に示されるタイムラインを継続すると、t3において、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、発射モータのモータ負荷(例えば、FTF)の増加を感知する。それに応答して、制御回路は、一定の出力(「第2のアンビル閉鎖モータ出力」)を発生し得る。第2のアンビル閉鎖モータ出力は、213016で説明される増加する組織伸長に対抗し、それによって、一定のアンビル間隙を維持するために、アンビル閉鎖のための力をもたらし得る。外科用円形ステープラ211000は、ステープル発射のための力の印加の指示を識別したことに応答して、アンビル閉鎖のための力を印加するようにアンビル閉鎖モータを制御する。
【0366】
図65の213016及び213018における処理の更なる実施例として、図64に示されるタイムラインを継続すると、t4において、器具210100のナイフを前進することは、(図57に関連して説明されるように)破断可能ワッシャと初期接触してもよい。初期接触を感知すると、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、アンビル閉鎖モータに、第2のアンビル閉鎖モータ出力よりも高い一定出力(「第3のアンビル閉鎖モータ出力」)を発生させ得る。第3のアンビル閉鎖モータ出力は、グラフ212516に示されるように、ナイフが破断可能ワッシャを押して、それを通して切断するときにアンビルに印加される予想される追加の力スパイクに対抗するために、短い期間にわたってアンビル閉鎖のための高い力をもたらし得る。この期間は、破断可能ワッシャが切断されるt5で終了してもよい。外科用円形ステープラ211000は、それによって、ステープル発射のための力(すなわち、破断可能ワッシャを通して切断するための力)の印加の指示を識別したことに応答して、アンビル閉鎖のための力を印加するようにアンビル閉鎖モータを更に制御する。
【0367】
図64では、ナイフが破断可能ワッシャを通して切断するときにナイフによって印加された力と、アンビル閉鎖モータによってもたらされる対抗アンビル閉鎖力とに対応する、感知された増加したモータ負荷スパイクFが、グラフ212510に示される。これは、アンビル閉鎖のためのモータ、及びステープル発射のためのモータをそれぞれ監視するための図65の工程213012及び213014の更に別の実施例である。t4とt5との間のグラフ212514では、増加した組織伸長が、破断可能ワッシャを通して切断するナイフによって印加された力の別の効果として描写される。図64において点線で示されるように、t4とt5との間で、グラフ212512は、第3のアンビル閉鎖モータ出力を発生しなかった場合に、破断可能ワッシャを通して切断するナイフによって印加された力によって引き起こされ得る潜在的な増加したアンビル間隙を示す。このようにして、ナイフが破断可能ワッシャを通して押して切断するときに、一定のアンビル間隙を維持し得る。
【0368】
t5とt6との間には、グラフ21516に示されているように、アンビル開放のための力をもたらすために、極めて短い期間にわたって別に発生されたアンビル閉鎖モータ出力(「第4のアンビル閉鎖モータ出力」)がある。そのような力は、ナイフが、破断可能ワッシャを通して切断した後、その着座位置に後退するときに、ナイフがアンビル閉鎖方向に破断可能ワッシャに印加する力に、対抗するために使用され得る。
【0369】
t6とt7との間には、器具オペレータがアンビルストロークを開始してアンビルを開くと、アンビル間隙が増大する前の期間が示されている。t7において、外科用円形ステープラ211000の制御回路がアンビル間隙の増加を感知すると、制御回路は、アンビル閉鎖モータに、別の一定出力(「第5のアンビル閉鎖モータ出力」)を発生させて、電動アンビル開放をもたらす。
【0370】
図66図68は、器具210100が負荷制御モードで動作する動作モードの階層化システムにおける3つのサブモードに関連付けられた処理のフロー図を示す。図66は、サブモード、例えば、デフォルトのサブモード下で動作する器具210100を示し、アンビル閉鎖モータのモータ負荷(例えば、FTCの代用としてモータによって引き込まれる電流)は、器具210100がステープル発射のための所定の基準を満たすことを確実にするために静的に測定され得る(「静的測定サブモード」)。図67は、器具210100がステープル発射のための所定の基準を満たすことを確実にするために、センサ読み取り値が繰り返し測定され得るサブモード(「反復センサ測定サブモード」)下で動作する器具210100を示す。図68は、図60図63を参照して上述した以前の構成制御モードであるサブモード下で動作する器具210100を示しており、図66及び図67に記載された所定の基準は、外科用ハブなどの外部システムに記憶され得る以前に使用された構成で予め構成され得る。そのようなサブモードのためのモード選択は、上記で説明したように、システムパラメータによって決定され得る。
【0371】
図66を参照すると、負荷制御モードの静的測定サブモードの実施例では、213510において、器具210100であり得る外科用円形ステープラ211000は、アンビル閉鎖の電動制御、及び外科用ステープラ発射の電動制御を含むモータ制御を提供するための指示を受信し得る。例えば、本明細書に記載される負荷制御モードで動作するように外科用円形ステープラ211000を設定するためのシステムパラメータは、デフォルトで、そのような指示として機能してもよい。
【0372】
213512において、外科用円形ステープラ211000は、第1のモータに関連付けられた指示に基づいて、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定し得る。例えば、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられたモータに関連付けられた指示は、外科用円形ステープラ211000のアンビル閉鎖モータのモータ負荷であってもよい。モータ負荷は、組織クリープ/待機段階の終了時に感知されてもよい。感知されたモータ負荷は、図24に示すように、FminからFmax、すなわち理想発射ゾーン202036の範囲内にあるt2とt3との間の組織圧縮力曲線202022(すなわち、組織クリープ/待機段階)のような、所定の範囲内の大きさを有する組織圧縮力(FTCとも呼ばれる)であってもよい。図25に示されるFminからFmaxまでの範囲内にあるt4とt5との間(すなわち、組織クリープ/待機段階)の組織圧縮力曲線202062は、別のそのような実施例であり得る。
【0373】
213514において、外科用円形ステープラ211000は、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たすと決定した後、外科用ステープルを、アンビルによって圧縮された組織に挿入するための力を印加することを決定し得る。例えば、図24に記載の制御回路760と同様に、組織圧縮力Fが図24の理想発射ゾーン202036などの理想発射ゾーン内にあると、外科用円形ステープラ211000の制御回路が決定すると、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、ステープルカートリッジ内にステープルを配備するように構成されてもよい。
【0374】
図67は、負荷制御モードの反復センサ測定サブモードを示す。214010において、外科用円形ステープラ211000は、センサ読み取り値に基づく電動制御を含むモータ制御を提供するための指示を受信し得る。外科用円形ステープラ211000を負荷制御モードの反復センサ測定サブモードで動作するように設定するための本明細書に記載されるシステムパラメータは、そのような指示として機能し得る。
【0375】
214012において、外科用円形ステープラ211000は、組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を受信し得る。例えば、図59に記載されるように、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、図40~41に図示されるように、ステープルカートリッジ上の所定のゾーンから組織インピーダンス測定値を受信してもよい。
【0376】
214014において、外科用円形ステープラ211000は、組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されていることを示すセンサ読み取り値を決定し得る。例えば、図59に関連して記載されるように、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、組織インピーダンス測定値が図45に示されるように実質的に均一であると決定してもよい。この決定は、各所定のゾーンの組織インピーダンス測定値が他のゾーンからどれだけ逸脱し、依然として均一であると見なされ得るかを定義する所定の閾値に基づき得る。外科用円形ステープラ211000の制御回路は、組織インピーダンス測定を繰り返し(例えば、所定の秒数当たり1回)実施して、組織インピーダンス測定値が組織クリープ安定化に到達したときを含む組織クリープ中など、任意の期間にわたって実質的に均一であると決定するように構成され得る。
【0377】
214016において、外科用円形ステープラ211000は、組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されていることを示すセンサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを組織に挿入するための力を印加することを決定し得る。例えば、外科用円形ステープラ211000の制御回路が、組織インピーダンス測定値が図45に示されるようにステープルカートリッジの所定のゾーン内で実質的に均一であると決定した後、組織クリープ安定化に達したとき、外科用円形ステープラ211000の制御回路は、例えば、アンビル閉鎖モータの感知されたモータ負荷(図24に示される組織圧縮Fなど)も図24に示されるように理想発射ゾーン内にあるとき、ステープルカートリッジ内にステープルを配備してもよい。
【0378】
外科用器具は、外科用ハブからの指示を受信して、以前に実施された処置に関連付けられた動作又は動作パラメータを使用して制御を提供し得る。図69は、例示的な以前の構成制御モードに関連付けられた機能フロー図である。以前の構成制御モードは、図60図63を参照して、及び図64図68を参照して本明細書で説明されるようなプロセス及び機能を含み得る。
【0379】
図69を参照すると、215020において、例えば、図1図6及び図9図13に関連して説明されたような外科用ハブであり得る外科用ハブ215005は、外科用円形ステープラ211000などの外科用器具の動作パラメータを含む関連データのデータストアを維持し得る。動作パラメータは、以前に実施された外科手術に関連付けられたパラメータであり得る「以前の動作パラメータ」又は「以前の動作パラメータ」を含み得る。図53及び54に関連して説明されるように、外科用ハブが外科用器具から受信し、ローカルに記憶し得る動作パラメータは、例えば、閉鎖力(FTC)曲線に対する時間(FTC曲線)、発射力(FTF)曲線に対する時間(FTF曲線)、アンビル閉鎖速度、組織特性(例えば、インピーダンス、厚さ、剛性など)、並びに他のものを含んでもよい。
【0380】
外科用円形ステープラ2111000の動作に関連し、外科用ハブによってステープラに提供され得る動作パラメータは、ステープラの動作モードに応じて変動し得る。例えば、ストローク制御モード外科手術手順において使用される動作パラメータは、例えば、ストローク制御モードインジケータ、アンビルヘッドサイズ、組織厚さ、実行可能ステープル高さ範囲、実行可能ステープル発射範囲、及びステープル発射段階前の待機時間を含んでもよい。例示的な外科手術において負荷制御モードで使用される動作パラメータは、例えば、負荷制御モードインジケータ、アンビルヘッドサイズ、組織厚さ、組織剛性、実行可能ステープル高さ範囲、実行可能ステープル発射範囲、及びステープル発射段階前の待機時間を含んでもよい。例示的な外科手術において以前の構成制御モードで使用される動作パラメータは、例えば、以前の構成制御モードインジケータ、アンビルヘッドサイズ、組織厚さ、組織剛性、実行可能ステープル高さ範囲、実行可能ステープル発射範囲、及びステープル発射段階前の待機時間を含んでもよい。
【0381】
処置のために使用され、外科用ハブによって外科用器具に提供され得るパラメータの組み合わせは、変動し得る。例えば、例示的な外科手術における負荷制御モードで使用される動作パラメータの組み合わせは、例えば、負荷制御モードインジケータ、アンビルヘッドサイズ、組織厚さ、組織剛性、実行可能ステープル高さ範囲、実行可能ステープル発射範囲、ステープル発射を可能にする最大FTC及び最小FTC、FTC曲線、FTF曲線、アンビル閉鎖モータ出力曲線(例えば、図64に示すグラフ212516)、発射モータ出力曲線(例えば、図64に示すグラフ212516)を含んでもよい。別の例では、例示的な外科手術における負荷制御モードで使用される動作パラメータの組み合わせは、例えば、負荷制御モードインジケータ、反復センサ測定サブモードインジケータ、アンビルヘッドサイズ、組織厚さ、組織剛性、反復測定の頻度、ステープル発射時のステープルカートリッジ上の所定ゾーン毎の組織インピーダンス、実行可能ステープル高さ範囲、実行可能ステープル発射範囲、ステープル発射に許容される最大FTC及び最小FTC、FTC曲線、FTF曲線、アンビル閉鎖モータ出力曲線(例えば、図64に示すグラフ212516)、発射モータ出力曲線(例えば、図64に示すグラフ212516)を含んでもよい。別の例では、例示的な外科手術における負荷制御モードで使用される動作パラメータの組み合わせは、以前の構成制御モードインジケータ、アンビルヘッドサイズ、組織厚さ、組織剛性、センサゾーンの組織インピーダンス均一性偏差閾値、反復センサ測定の頻度、実行可能ステープル高さ範囲、実行可能ステープル発射範囲、ステープル発射に許容される最大FTC及び最小FTC、FTC曲線、FTF曲線、アンビル閉鎖モータ出力曲線(例えば、図64に示されるグラフ212516)、発射モータ出力曲線(例えば、図64に示されるグラフ212516)を含んでもよい。
【0382】
外科手術のための以前の動作パラメータは、処置の工程又は全体的な処置に関連付けられた処置結果と共に記憶され得る。図53に関連して説明されるように、例示的な転帰は、手術部位に出血があったか否かであり得る。別の実施例は、特定のステープル線のステープルが、処置のステープル発射工程のために適切に形成されたか否かであってもよい。図53に説明されるように、処置結果は、陽性又は陰性結果と関連付けられるように更に分析されてもよく、そのような分析された処置結果は、以前の動作パラメータと共に記憶されてもよい。
【0383】
外科手術のための以前の動作パラメータは、器具オペレータ識別子及び/又は患者パラメータと共に記憶され得る。図54に記載されるように、例えば、担当外科医が記憶されてもよい。図51に関連して説明されるように、患者パラメータは、電子医療記録データベース(EMR)からの患者記録からのものであってもよく、匿名化プロセスの後、外科用ハブ215005などの外科用ハブに記憶されてもよい。患者パラメータの例には、患者の肺気腫の診断、術前治療(例えば、化学療法、放射線、抗血栓薬、血圧薬剤など)、通常の血圧などを含んでもよい。
【0384】
以前の動作パラメータは、複数の以前の外科手術に基づく動作パラメータ集約データであり得る。図52に説明されるように、例えば、複数の以前の外科手術からの以前の動作パラメータは、外科用ハブ(例えば、外科用ハブ215005)においてローカルに集約されてもよく、医療施設に関連付けられた外科用ハブ(例えば、外科用ハブ215005のような外科用ハブ)のネットワークにわたって集約されてもよく、又はクラウド5702においてグローバルに集約されてもよい。例示的な集約データは、同じ処置タイプ、類似の患者パラメータ、及び類似の動作パラメータ(例えば、組織特性)を有する外科手術の動作パラメータ平均であってもよく、例えば、外科用ハブにおける、ローカルな医療施設における、及びグローバルなクラウド5702における待ち時間(ステープル発射段階前)平均などである。別の例示的な集約データは、奇形ステープルを有さないか、又は一般に肯定的な結果を有する処置についてのみ、医療施設での待ち時間平均など、処置結果に基づいて上記の動作パラメータ平均を更に集約してもよい。
【0385】
図69を参照すると、図の左側に示されるように、外科用ハブ211005と連結された外科用円形ステープラ211000は、以前に実施された外科手術に関連付けられた動作パラメータに基づいて、外科用円形ステープラを構成するための指示を受信し得る。そのような指示は、以前の構成制御モードで動作するように外科用円形ステープラ211000を設定する、図63に説明されるようなシステムパラメータであってもよい。外科用円形ステープラ211000及び外科用ハブ211005は、計画された外科手術に備えて手術室内で連結され得る。
【0386】
215012において、外科用円形ステープラ211000は、外科用ハブ211005などのリンクされた外科用ハブに、外科用円形ステープラ211000に関連付けられた特性を通信し得る。例えば、外科用円形ステープラ211000は、210110B(図59に示される)などのアンビルと、210130B(図59に示される)などのステープルヘッディングアセンブリと、を有するエンドエフェクタと共に動作してもよい。そのような実施例では、外科用円形ステープラ211000は、以前の構成制御モードインジケータ及び中型アンビルヘッドサイズの指示を外科用ハブ211005に送信してもよい。
【0387】
215022において、外科用ハブ211005は、計画された外科手術に関連付けられた特性を受信し得る。215012における実施例を継続すると、外科用ハブ211005は、外科用円形ステープラ211000から送信された、以前の構成制御モードインジケータ及び中型アンビルヘッドサイズを受信し得る。
【0388】
215024において、外科用ハブ211005は、外科用円形ステープラ211000から、受信した特性に対応する動作パラメータをデータストアから読み出し得る。215022において、外科用円形ステープラが使用され、外科用円形ステープラ動作モードが負荷制御モードであり、アンビルヘッドサイズが中型であった場合に、外科用ハブ211005は、器具オペレータ(例えば、計画された外科手術の担当外科医)によって実施された最後の外科手術において使用された動作パラメータをデータストアから読み出し得る。そのような実施例では、読み出された動作パラメータは、負荷制御モードインジケータ、中型アンビルヘッドサイズ、正常な組織厚さ、正常な組織剛性、実行可能ステープル高さ範囲、実行可能ステープル発射範囲、ステープル発射に許容される最大FTC及び最小FTC、FTC曲線、FTF曲線、アンビル閉鎖モータ出力曲線、発射モータ出力曲線を含んでもよい。
【0389】
215026において、外科用ハブ211005は、計画された外科手術を実施するように外科用円形ステープラ211000を構成する際に使用するために、212024において、読み出された動作パラメータを外科用円形ステープラ211000に送信し得る。それに応答して、215014において、外科用円形ステープラ211000は、212024において、読み出された動作パラメータを外科用ハブ211005から受信し得る。
【0390】
215016において、外科用円形ステープラ211000は、215014において、受信された動作パラメータをデフォルト動作パラメータとして使用して事前に構成され得る。215014において、受信された動作パラメータが与えられた場合、外科用円形ステープラ211000は、計画された外科手術において手術される組織が、整合する組織特性、すなわち、正常な厚さ及び正常な剛性を有する組織を有するとき、受信された実行可能ステープル高さ範囲、実行可能ステープル発射範囲、ステープル発射に許容される最大FTC及び最小FTC、FTC曲線、FTF曲線、アンビル閉鎖モータ出力曲線、発射モータ出力曲線で動作するように事前構成され得る。
【0391】
図70は、図60図63及び図64図68を参照して本明細書に記載されるように、外科用円形ステープラ211000が以前の構成制御モードを動作させるように構成されている別の例示的なプロセスに対応するフローチャートである。
【0392】
215520において、外科用ハブ215005は、図69の215020において説明されるように、以前に実施された外科手術に関連付けられる動作パラメータのデータストアを維持し得る。
【0393】
215510において、外科用円形ステープラ211000は、図69の211005において説明されるように、以前に実施された外科手術に関連付けられた動作パラメータに基づいて外科用円形ステープラを構成するための指示を受信し得る。
【0394】
215522において、外科用ハブ215005は、外科手術に関連付けられた特性を指定するクエリを受信し得る。例えば、図69に記載されるような器具オペレータは、外科用円形ステープラ211000から受信された同じ特性を有するデータストアに対して外科用ハブ215005上でクエリを開始して、図69の215022に記載されるような器具オペレータによって以前に実施された外科手術において使用された動作パラメータを読み出し得る。器具オペレータは、外科用ハブ215005上に位置するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を使用して、クエリを開始してもよい。図49は、器具オペレータが外科用ハブと相互作用する能力を提供し得る、外科用ハブ上に位置し得る例示的なGUIを提供する。
【0395】
器具オペレータは、クエリを開始して、外科用円形ステープラ211000を事前構成するための集約された動作パラメータを取得し得る。中型アンビルヘッドサイズを有する外科用円形ステープラが使用され、動作モードが負荷制御モードであり、処置結果が肯定的であった場合、集約された動作パラメータの実施例は、正常な厚さを有する組織のための実行可能ステープル高さ範囲及び実行可能ステープル発射範囲の医療施設(外科用ハブ215005が位置する)平均であってもよい。215524において、外科用ハブ215005は、図69の215024で説明されるように、データストアから整合する動作パラメータを読み出し得る。215526において、外科用ハブ215005は、図69の215026において説明されるように、読み出された動作パラメータを外科用円形ステープラ211000に送信し得る。215514において、外科用円形ステープラ211000は、図69の215014で説明されるように、読み出された動作パラメータを受信し得る。215516において、外科用円形ステープラ211000は、図69の215014で説明されるように、215514において、受信された動作パラメータを使用して事前構成され得る。そのような実施例では、外科用円形ステープラ211000は、動作パラメータの中でもとりわけ、実行可能ステープル高さ範囲及び実行可能ステープル発射範囲について、受信された医療施設平均で動作するように事前構成されてもよい。
【0396】
図63は、図70に説明されるように、212022、212024、212026、及び212018において、外科用ハブ215005のデータストアに対する器具オペレータのクエリに基づいて、外科用ハブ215005から読み出された以前の動作パラメータを使用して、組織圧縮のための動作範囲の適応可能な表現を提供するように外科用円形ステープラ211000を事前構成するための処理を示す。外科用円形ステープラ211000を事前構成した後、図62に説明されるように、212012、212014、及び212016において、外科用円形ステープラは、効果的に負荷制御モードで動作し得る。
【0397】
図68は、図70に説明されるように、214522、214524、214526、及び214512において、外科用ハブ215005のデータストアに対する器具オペレータのクエリに基づいて、外科用ハブ215005から読み出された以前の動作パラメータを用いて、負荷制御モードにおいて電動制御を提供するように外科用円形ステープラ211000を事前構成するための処理を示す。事前構成された後、外科用円形ステープラ211000は、図66及び図67にそれぞれ214514、214516、214517、214518、及び214519で説明されるように、ローカル制御モード下で「静的測定」サブモード及び「反復センサ測定」サブモードの両方で動作され得る。
【0398】
したがって、外科用器具機能の適応制御のためのシステム及び技術が開示されている。外科用器具は、例えば、外科用ハブなどの外部システムと通信するように構成されてもよい。外科用ハブは、外科用器具によって適応的に制御されるべき1つ以上の機能の指示を生成してもよく、外科用器具は、その指示を受信してもよい。例えば、外科用ステープラ器具は、ステープル高さ動作範囲の表示を適応的に制御するため、及び/又は外科用器具の電動の特徴を適応的に制御するための指示を受信してもよい。外科用器具は、識別された機能に関連付けられるパラメータの値を決定し、決定されたパラメータに基づいて識別された機能の制御を適応させ得る。外科用器具は、パラメータに基づいて1つ以上の制御された機能のその動作を修正してもよい。外科用器具は、追加のパラメータ値などの追加の情報を外部システムに通信してもよく、示された1つ以上の機能の継続制御に関する更なる入力を受信してもよい。
【0399】
本開示の実施例
1.モータ制御を提供するための指示を受信し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられた第1のモータを監視し、
外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた第2のモータを監視し、
外科用ステープルをアンビルによって圧縮された組織に挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別し、
外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別したことに応答して、アンビルが組織に力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
2.外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別するように構成されているプロセッサが、第2のモータを監視することによって指示を識別するように構成されている、実施例1に記載の外科用円形ステープラ。
3.プロセッサが、アンビルが組織への力の印加を中断するように第1のモータを制御することを決定するように更に構成されている、実施例1又は2に記載の外科用円形ステープラ。
4.アンビルが組織に力を印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されているプロセッサが、アンビルが第1の力を第1の期間にわたって印加し、かつ第2の力を第2の期間にわたって印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されている、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用円形ステープラ。
5.アンビルが第1の力を第1の期間にわたって印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されているプロセッサが、外科用ステープラが組織に挿入されるのに対応する期間中にアンビルが第1の力を印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成され、
アンビルが第2の力を第2の期間にわたって印加するように、第1のモータを制御することを決定するように構成されているプロセッサが、ナイフが組織を切断するために使用されるのに対応する期間中にアンビルが第2の力を印加するように第2のモータを制御することを決定するように構成されている、実施例4に記載の外科用円形ステープラ。
6.モータ制御を提供するための指示を受信するように構成されているプロセッサが、アンビル閉鎖の電動制御及び外科用ステープラ発射の電動制御を提供するための指示を受信するように構成されている、実施例1~5のいずれか一項に記載の外科用円形ステープラ。
7.プロセッサが、
第1のモータに関連付けられた指示に基づいて、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていることに基づいて、外科用ステープルをアンビルによって圧縮された組織に挿入するための力を印加することを決定する、
ように更に構成されている、実施例6に記載の外科用円形ステープラ。
8.組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が時間に関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成され、例えば、力が所定の閾値時間を超える時間にわたって印加されたか否かを、プロセッサが決定してもよい、実施例7に記載の外科用円形ステープラ。
9.組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が力の大きさに関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成され、例えば、印加された力の大きさが力の大きさの所定の範囲内にあるか否かを、プロセッサが決定してもよい、実施例7に記載の外科用円形ステープラ。
10.センサ読み取り値に基づいて、モータ制御を提供するための指示を受信し、
組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定し、
センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
11.組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、センサ読み取り値が示していると決定するように構成されている、実施例10に記載の外科用円形ステープラ。
12.組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、複数のゾーンからのセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施例10又は実施例11に記載の外科用円形ステープラ。
13.センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを挿入するための力を印加することを決定するように構成されているプロセッサが、組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、複数のゾーンからのセンサ読み取り値が示していると決定するように構成され、例えば、複数のゾーンのうちの1つに関連付けられた各センサ読み取り値が、複数のゾーンのうちの他のゾーンに関連付けられたセンサ読み取り値からどれだけ逸脱してもよいかを定義する所定の閾値に、決定が基づいてもよい、実施例12に記載の外科用円形ステープラ。
14.複数のゾーンが、円形配列で配列されている、実施例12又は実施例13に記載の外科用円形ステープラ。
15.組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施例10~14のいずれか一項に記載の外科用円形ステープラ。
16.ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、ある期間にわたって連続的にセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施例15に記載の外科用円形ステープラ。
17.構成データに基づいてモータ制御を提供するための指示を受信し、
閾値を示す構成データを受信し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていると決定し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていることに基づいて、外科用ステープルをアンビルによって圧縮された組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
18.プロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられた第2のモータを監視するように更に構成され、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていることを、第2のモータから決定するように構成されている、実施例17に記載の外科用円形ステープラ。
19.プロセッサが、組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を受信するように更に構成され、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていることを、受信されたセンサ読み取り値から決定するように構成されている、実施例17又は18に記載の外科用円形ステープラ。
20.構成データに基づいてモータ制御を提供するための指示が、外科用ハブシステムから受信される、実施例17~19のいずれか一項に記載の外科用円形ステープラ。
【0400】
上記の例として、特に実施例1では、外科用ステープルが組織に挿入される時点で、外科用ステープラは、組織にクランプ力を印加するように動作可能である。そのようなとき、ステープルの挿入の力の下で、組織が伸長し、拡張する傾向があり得る。このような組織の伸長は、組織がもはやステープル形成のために最適化された幅に圧縮されないことを意味し得る。(第1のモータ及びアンビルを介して)組織に力を印加することによって、この伸長に対抗することができる。これは、ひいては、ステープルが挿入時に適切に形成されることを確実にするために有用であり、処置からの改善された臨床転帰につながる。
【0401】
上記の例として、特に実施例2では、(外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた)第2のモータは、第1のモータによりアンビルが組織に力を印加するときの指示を提供するために監視される。指示は、(例えば、ユーザ入力ではなく)第2のモータの監視に基づくため、組織の伸長に対抗する力が、組織を通して駆動されるステープルと正確に同期されることを確実にし、ステープルが挿入時に適切に形成されることを更に確実にすることができる。
【0402】
上記の例として、特に実施例3では、伸長に対抗するために組織に印加された力は、ステープル挿入が伸長を引き起こす時間に対応する離散的な時間だけ印加される。これは、次に、組織が過剰なクランプ力を受けないことを確実にし、それによって、望ましくない組織損傷の可能性を軽減する。
【0403】
上記の例として、特に実施例4及び5では、組織に印加される追加のクランプ力を、異なる量の力で2段階で印加することができる。これは、外科用ステープラが、外科用ステープラの動作の他の段階と関連付けられ得る追加的な伸長を補償することを可能にする。例えば、ナイフが組織を通して前進するように動作可能である実施例5では、これは、ステープラ挿入によって引き起こされるものに加えて、更なる組織伸長を生じさせ得る。あるいは、いくつかの状況において、ステープルの挿入によって引き起こされる伸長の程度は、予測可能な様式で経時的に変化してもよく、例えば、最初に、特定の予測可能な伸長の程度を引き起こし、その後、少ない(又は多い)伸長の期間が続く。これらの状況(又は他の状況)のいずれかにおいて、それぞれの期間にわたって第1及び第2の力を印加することは、外科用ステープラが、ステープルの挿入(及び/又は組織を通るナイフの進行)によって付与されることが予想される伸長の程度を正確に補償することを可能にし、更に、ステープルが挿入時に適切に形成されることを確実にする。
【0404】
上記の例として、特に実施例7、10、及び17では、組織をクランプするために印加される力が、ステープラによるステープルの挿入に適切であることを確実にすることができる。そうでなければ、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力は、力が過少圧縮又は過剰圧縮となる可能性があり、これは、適切なステープル挿入に悪影響を及ぼし得る。
【0405】
上記の例として、特に実施例10及び19では、組織に印加された力を、センサ読み取り値を使用することによって評価することができる。これにより、モータ負荷又はアンビル位置とは無関係に、適切な組織圧縮の確認が可能になり、それによって、ステープルが組織内への挿入時に適切に形成されることを確実にすることができる。
【0406】
上記の例として、特に実施例11では、均一な圧力が組織に印加されたときにのみ、ステープラがステープルを組織に挿入するように動作可能であることを確実にすることができる。これは、クランプされた組織が定位置に「定着」することを確実にし、ステープル挿入中に組織が移動する可能性を軽減することができる。これは次に、挿入時の適切なステープル形成を確実にするために有用である。
【0407】
上記の例として、特に実施例15では、組織に印加された圧力が時間と共に安定したときにのみ、ステープラがステープルを組織に挿入するように動作可能であることを確実にすることができる。これは、例えば、クランプ中の組織クリープの期間に続いて、クランプされた組織が定位置に「定着」することを確実にすることができる。これは、ステープル挿入中に組織が移動する可能性を軽減し、ひいては、挿入時に適切なステープル形成を確実にするために役立たせることができる。
【0408】
上記の例として、特に実施例20では、ステープル挿入前に達成されるべき適切な組織クランプ力の閾値を含む外科用ステープラの構成を、外科用ハブ内に記憶された構成に基づいて更新することができる。このようにして、外科用ステープラは、特定の処置、患者の組織が圧縮にどのように応答するかに影響を及ぼす可能性がある特定の患者の特性、又はステープル挿入のための最適な組織圧縮に影響を及ぼす特定の患者の特性(患者の年齢、病歴、生理、病理など)に関して最良の臨床診療に適応することができる。これは、患者毎、又は処置毎に臨床転帰を改善することができる。更に、外科用ハブは、以前の同様の処置の結果に基づいて、臨床転帰が経時的に更に改善され得るように、構成データを改良することができる。
【0409】
実施形態の以下のリストは、説明の一部を形成する。
1.モータ制御を提供するための指示を受信し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられた第1のモータを監視し、
外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた第2のモータを監視し、
外科用ステープルをアンビルによって圧縮された組織に挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別し、
外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別したことに応答して、アンビルが組織に力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
2.外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた指示を識別するように構成されているプロセッサが、第2のモータを監視することによって指示を識別するように構成されている、実施形態1に記載の外科用円形ステープラ。
3.プロセッサが、アンビルが組織への力の印加を中断するように第1のモータを制御することを決定するように更に構成されている、実施形態1に記載の外科用円形ステープラ。
4.アンビルが組織に力を印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されているプロセッサが、アンビルが第1の力を第1の期間にわたって印加し、かつ第2の力を第2の期間にわたって印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されている、実施形態1に記載の外科用円形ステープラ。
5.アンビルが第1の力を第1の期間にわたって印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されているプロセッサが、外科用ステープラが組織に挿入されるのに対応する期間中にアンビルが第1の力を印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成され、
アンビルが第2の力を第2の期間にわたって印加するように第1のモータを制御することを決定するように構成されているプロセッサが、ナイフが組織を切断するために使用されるのに対応する期間中にアンビルが第2の力を印加するように第2のモータを制御することを決定するように構成されている、実施形態4に記載の外科用円形ステープラ。
6.モータ制御を提供するための指示を受信するように構成されているプロセッサが、アンビル閉鎖の電動制御及び外科用ステープラ発射の電動制御を提供するための指示を受信するように構成されている、実施形態1に記載の外科用円形ステープラ。
7.プロセッサが、
第1のモータに関連付けられた指示に基づいて、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていることに基づいて、外科用ステープルをアンビルによって圧縮された組織に挿入するための力を印加することを決定する、
ように更に構成されている、実施形態6に記載の外科用円形ステープラ。
8.組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が時間に関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成されている、実施形態7に記載の外科用円形ステープラ。
9.組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が力の大きさに関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成されている、実施形態7に記載の外科用円形ステープラ。
10.センサ読み取り値に基づいて、モータ制御を提供するための指示を受信し、
組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定し、
センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
11.組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、センサ読み取り値が示していると決定するように構成されている、実施形態10に記載の外科用円形ステープラ。
12.組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、複数のゾーンからのセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施形態10に記載の外科用円形ステープラ。
13.センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを挿入するための力を印加することを決定するように構成されているプロセッサが、組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、複数のゾーンからのセンサ読み取り値が示していると決定するように構成されている、実施形態12に記載の外科用円形ステープラ。
14.複数のゾーンが、円形配列で配列されている、実施形態12に記載の外科用円形ステープラ。
15.組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施形態10に記載の外科用円形ステープラ。
16.ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されているプロセッサが、ある期間にわたって連続的にセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施形態15に記載の外科用円形ステープラ。
17.構成データに基づいてモータ制御を提供するための指示を受信し、
閾値を示す構成データを受信し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていると決定し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていることに基づいて、外科用ステープルをアンビルによって圧縮された組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
18.プロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられた第2のモータを監視するように更に構成され、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていることを、第2のモータから決定するように構成されている、実施形態17に記載の外科用円形ステープラ。
19.プロセッサが、組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を受信するように更に構成され、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていると決定するように構成されているプロセッサが、組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が閾値を満たしていることを、受信されたセンサ読み取り値から決定するように構成されている、実施形態17に記載の外科用円形ステープラ。
20.構成データに基づいてモータ制御を提供するための指示が、外科用ハブシステムから受信される、実施形態17に記載の外科用円形ステープラ。
【0410】
〔実施の態様〕
(1) モータ制御を提供するための指示を受信し、
組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力に関連付けられた第1のモータを監視し、
外科用ステープルを挿入するための力の印加に関連付けられた第2のモータを監視し、
外科用ステープルを前記アンビルによって圧縮された組織に挿入するための力の前記印加に関連付けられた指示を識別し、
前記外科用ステープルを挿入するための前記力の前記印加に関連付けられた前記指示を識別したことに応答して、前記アンビルが前記組織に力を印加するように前記第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
(2) 前記外科用ステープルを挿入するための前記力の印加に関連付けられた指示を識別するように構成されている前記プロセッサが、前記第2のモータを監視することによって前記指示を識別するように構成されている、実施態様1に記載の外科用円形ステープラ。
(3) 前記プロセッサが、前記アンビルが前記組織への力の印加を中断するように前記第1のモータを制御することを決定するように更に構成されている、実施態様1又は2に記載の外科用円形ステープラ。
(4) 前記アンビルが前記組織に力を印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成されている前記プロセッサが、前記アンビルが第1の力を第1の期間にわたって印加し、かつ第2の力を第2の期間にわたって印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成されている、実施態様1~3のいずれかに記載の外科用円形ステープラ。
(5) 前記アンビルが第1の力を前記第1の期間にわたって印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成されている前記プロセッサが、外科用ステープラが前記組織に挿入されるのに対応する期間中に前記アンビルが前記第1の力を印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成され、
前記アンビルが第2の力を前記第2の期間にわたって印加するように前記第1のモータを制御することを決定するように構成されている前記プロセッサが、ナイフが前記組織を切断するために使用されるのに対応する期間中に前記アンビルが前記第2の力を印加するように前記第2のモータを制御することを決定するように構成されている、実施態様4に記載の外科用円形ステープラ。
【0411】
(6) モータ制御を提供するための指示を受信するように構成されている前記プロセッサが、アンビル閉鎖の電動制御及び外科用ステープラ発射の電動制御を提供するための指示を受信するように構成されている、実施態様1~5のいずれかに記載の外科用円形ステープラ。
(7) 前記プロセッサが、
前記第1のモータに関連付けられた指示に基づいて、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された力が所定の閾値を満たしていると決定し、
前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記所定の閾値を満たしていることに基づいて、前記外科用ステープルを前記アンビルによって圧縮された前記組織に挿入するために前記力を印加することを決定する、
ように更に構成されている、実施態様6に記載の外科用円形ステープラ。
(8) 前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記所定の閾値を満たしていると決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が時間に関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成され、実施態様について、前記力が所定の閾値時間を超える時間にわたって印加されたか否かを、前記プロセッサが決定してもよい、実施態様7に記載の外科用円形ステープラ。
(9) 前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記所定の閾値を満たしていると決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が力の大きさに関する所定の閾値を満たしていると決定するように構成され、実施態様について、前記印加された力の前記大きさが力の大きさの所定の範囲内にあるか否かを、前記プロセッサが決定してもよい、実施態様7に記載の外科用円形ステープラ。
(10) センサ読み取り値に基づいて、モータ制御を提供するための指示を受信し、
前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定し、
前記センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを前記組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
【0412】
(11) 前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、前記センサ読み取り値が示していると決定するように構成されている、実施態様10に記載の外科用円形ステープラ。
(12) 前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されている前記プロセッサが、複数のゾーンからのセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施態様10又は11に記載の外科用円形ステープラ。
(13) 前記センサ読み取り値に基づいて、外科用ステープルを挿入するための力を印加することを決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織に印加された圧力が実質的に均一に印加されたことを、複数のゾーンからの前記センサ読み取り値が示していると決定するように構成され、実施態様について、前記複数のゾーンのうちの1つに関連付けられた各センサ読み取り値が前記複数のゾーンのうちの他のゾーンに関連付けられたセンサ読み取り値からどれだけ逸脱してもよいかを定義する所定の閾値に、決定が基づいてもよい、実施態様12に記載の外科用円形ステープラ。
(14) 前記複数のゾーンが、円形配列で配列されている、実施態様12又は13に記載の外科用円形ステープラ。
(15) 前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を決定するように構成されている前記プロセッサが、ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施態様10~14のいずれかに記載の外科用円形ステープラ。
【0413】
(16) ある期間にわたるセンサ読み取り値を決定するように構成されている前記プロセッサが、前記ある期間にわたって連続的にセンサ読み取り値を決定するように構成されている、実施態様15に記載の外科用円形ステープラ。
(17) 構成データに基づいてモータ制御を提供するための指示を受信し、
閾値を示す構成データを受信し、
前記組織を圧縮するためにアンビルによって印加された力が前記閾値を満たしていると決定し、
前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていることに基づいて、外科用ステープルを前記アンビルによって圧縮された前記組織に挿入するための力を印加するように第1のモータを制御することを決定する、
ように構成されている、プロセッサ、
を備える、外科用円形ステープラ。
(18) 前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力に関連付けられた第2のモータを監視するように更に構成され、
前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていると決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていることを、前記第2のモータから決定するように構成されている、実施態様17に記載の外科用円形ステープラ。
(19) 前記プロセッサが、前記組織に印加された圧力に関連付けられたセンサ読み取り値を受信するように更に構成され、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていると決定するように構成されている前記プロセッサが、前記組織を圧縮するために前記アンビルによって印加された前記力が前記閾値を満たしていることを、前記受信されたセンサ読み取り値から決定するように構成されている、実施態様17又は18に記載の外科用円形ステープラ。
(20) 構成データに基づいてモータ制御を提供するための前記指示が、外科用ハブシステムから受信される、実施態様17~19のいずれかに記載の外科用円形ステープラ。
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【国際調査報告】