IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】クラウド分析パッケージ
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20231016BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20231016BHJP
【FI】
G16H40/20
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520167
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 IB2021058895
(87)【国際公開番号】W WO2022070062
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】17/062,526
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・シェーン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フィービッグ・ケビン・エム
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
本明細書の実施例は、クラウドコンピューティングシステム、外科用ハブ、及び外科用器具を備え得る、外科用システムについて記載する。クラウドコンピューティングシステムは、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成され得る。外科用ハブは、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定でき、受信機を介して複数の外科用デバイスから集約データを受信でき、受信した集約データに基づいて1つ以上の外科用ハブ制御アルゴリズムを更新でき、かつ、クラウドコンピューティングシステムとの通信を継続して追加の更新を受信でき、このとき追加の更新は、クラウドコンピューティングシステムによって判定される更新された集約データに関連する。外科用器具は、クラウドコンピューティングシステム及び外科用ハブとの通信が利用可能であるか否かを判定でき、受信機を介してクラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブから複数の外科用デバイスに関する集約データを受信できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ハブであって、
前記外科用ハブと、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
前記クラウドコンピューティングシステムから、前記受信機を介して、複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した前記集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、
前記クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、前記更新は、更新された集約データに関連する、外科用ハブ。
【請求項2】
外科用ハブが、前記集約データを使用して、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するように構成されている、請求項1に記載の外科用ハブ。
【請求項3】
前記集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、請求項1又は2に記載の外科用ハブ。
【請求項4】
前記集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、請求項1~3のいずれか一項に記載の外科用ハブ。
【請求項5】
前記外科用ハブが、教育及びプロセス改善システムのために前記集約データを使用するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の外科用ハブ。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の外科用ハブ。
【請求項7】
前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの前記判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータに従って判定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の外科用ハブ。
【請求項8】
外科用器具であって、
前記外科用器具と、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
前記クラウドコンピューティングシステムから、前記受信機を介して、前記複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した前記集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、
前記クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、前記更新は、更新された集約データに関連する、外科用器具。
【請求項9】
前記集約データが、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するために使用される、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、請求項8又は9に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、請求項8~10のいずれか一項に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記集約データが、教育及びプロセス改善システムに使用可能である、請求項8~11のいずれか一項に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記プロセッサが、前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、請求項8~12のいずれか一項に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの前記判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータによって判定される、請求項8~13のいずれか一項に記載の外科用器具。
【請求項15】
外科用システムであって、
複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されている、クラウドコンピューティングシステムと、
外科用ハブであって、
前記外科用ハブと、前記クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
前記クラウドコンピューティングシステムから、前記受信機を介して、前記複数の外科用デバイスからの前記集約データを受信し、
受信した前記集約データに基づいて、1つ以上の外科用ハブ制御アルゴリズムを更新し、かつ、
前記クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、前記更新は、更新された集約データに関連する、外科用ハブと、
外科用器具であって、
前記外科用器具と、前記クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記クラウドコンピューティングシステム及び前記外科用ハブとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
前記クラウドコンピューティングシステム又は前記外科用ハブから、前記外科用器具の前記受信機を介して、前記複数の外科用デバイスに関連する前記集約データを受信し、
受信した前記集約データに基づいて、1つ以上の外科用器具制御アルゴリズムを更新し、かつ、
前記クラウドコンピューティングシステム又は前記外科用ハブから更新を受信するように構成されており、前記更新は、更新された集約データに関連する、外科用器具と、を備える、外科用システム。
【請求項16】
前記集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用のうち1つ以上に関連する、請求項15に記載の外科用システム。
【請求項17】
前記集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、請求項15又は16に記載の外科用システム。
【請求項18】
前記外科用ハブが、前記集約データを使用して、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するように構成されている、請求項15~17のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項19】
前記外科用ハブが、教育及びプロセス改善システムにおいて前記集約データを使用するように構成されている、請求項15~18のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項20】
前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの前記判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータによって判定される、請求項15~19のいずれか一項に記載の外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、代理人整理番号END9287USNP1で「METHOD FOR OPERATING TIERED OPERATION MODES IN A SURGICAL SYSTEM」と題された同時出願の出願に関連し、その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
手術システムは、臨床医(単数又は複数)が、例えば、モニタなどの1つ以上のディスプレイ上で、手術部位及び/又はその1つ以上の部分を見ることを可能にできる撮像システムを組み込んでいることが多い。ディスプレイ(単数又は複数)は、手術現場(surgical theater)に局所的であっても、かつ/又は、遠隔であってもよい。撮像システムは、手術部位見て、かつ臨床医が見ることができるディスプレイにビューを送信する、カメラを備えたスコープを含むことができる。スコープとしては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、膀胱鏡、食道胃十二指腸鏡、腸鏡、食道十二指腸鏡(胃カメラ)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡、S状結腸鏡、胸腔鏡、尿管鏡、及び外視鏡が挙げられるが、これらに限定されない。撮像システムは、臨床医(単数又は複数)を認識することができ、かつ/又は臨床医に伝達することができる情報によって制限される場合がある。例えば、三次元空間内の特定の隠れた構造、物理的輪郭、及び/又は寸法は、特定の撮像システムでは手術中に認識できないことがある。追加的に、特定の撮像システムは、手術中に特定の情報を臨床医(単数又は複数)に通信すること、及び/又は伝達することできない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の様々な実施形態によれば、以下の実施例が提供される。
1.外科用ハブであって、
外科用ハブと、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、プロセッサが、
クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
クラウドコンピューティングシステムから、受信機を介して、複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、
クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、更新は、更新された集約データに関連する、外科用ハブ。
2.外科用ハブが、集約データを使用して、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するように構成されている、実施例1に記載の外科用ハブ。
3.集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施例1に記載の外科用ハブ。
4.集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施例1に記載の外科用ハブ。
5.外科用ハブが、教育及びプロセス改善システムのために集約データを使用するように構成されている、実施例1に記載の外科用ハブ。
6.プロセッサが、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
7.クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータに従って判定される、実施例1~6のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
8.外科用器具であって、
外科用器具と、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、プロセッサが、
クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
クラウドコンピューティングシステムから、受信機を介して、複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、
クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、更新は、更新された集約データに関連する、外科用器具。
9.集約データが、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するために使用される、実施例8に記載の外科用器具。
10.集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施例8に記載の外科用器具。
11.集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施例8に記載の外科用器具。
12.集約データが、教育及びプロセス改善システムのためである、実施例8に記載の外科用器具。
13.プロセッサが、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、実施例8~12のいずれか1つに記載の外科用器具。
14.クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータによって判定される、実施例8~13のいずれか1つに記載の外科用器具。
15.外科用システムであって、
複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されている、クラウドコンピューティングシステムと、
外科用ハブであって、
外科用ハブと、クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、プロセッサが、
クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
クラウドコンピューティングシステムから、受信機を介して、複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した集約データに基づいて、1つ以上の外科用ハブ制御アルゴリズムを更新し、かつ、
クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、更新は、更新された集約データに関連する、外科用ハブと、
外科用器具であって、
外科用ハブと、クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、プロセッサが、
クラウドコンピューティングシステム及び外科用ハブとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
クラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブから、外科用器具の受信機を介して、複数の外科用デバイスに関連する集約データを受信し、
受信した集約データに基づいて、1つ以上の外科用器具制御アルゴリズムを更新し、かつ、
クラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブから更新を受信するように構成されており、更新は、更新された集約データに関連する、外科用器具と、を備える、外科用システム。
16.集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用のうち1つ以上に関連する、実施例15に記載の外科用システム。
17.集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施例15に記載の外科用システム。
18.外科用ハブが、集約データを使用して、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するように構成されている、実施例15に記載の外科用システム。
19.外科用ハブが、教育及びプロセス改善システムにおいて集約データを使用するように構成されている、実施例15に記載の外科用システム。
20.クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータによって判定される、実施例15~19のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0004】
少なくとも実施例1、8及び18として、複数のレベル又は「階層」のデータ解析を有するシステムが提供される。クラウドコンピューティングシステムは、複数の外科用デバイスからのデータを集約するためのデータ集約機能を有する。クラウドコンピューティングシステムは更に、セットアップ及び他の使用のためにローカルハブ及び/又は接続されたデバイスに更新を供給する。上記の例として、更新は、直接又はローカルハブを介して外科用デバイスに提供されてもよい。上記の例として、クラウドコンピューティングシステムは解析能力を有する。クラウドコンピューティングシステムは、データを集約し、転帰、使用、及び製品における傾向を探す。クラウドコンピューティングシステムは、セットアップ、EMR情報、処置ビデオ、及び製品構成の使用を集約することができる。クラウドコンピューティングシステムは更に、代替製品の使用、使用工程、処置計画、トロカールの位置、及び手術室の設定を提案することができる。
【0005】
更新の範囲は、クラウドコンピューティングシステムから「プッシュ」によって提供され得る、ハブ及びその接続された機器の制御アルゴリズムの単なる更新から、デバイス及びHCPとのより精巧な対話型通信及びデータ転送まで変化し得る。上記の例として、クラウドコンピューティングシステムは、複数のレベルの更新を選択的に提供し、それによって、システム能力、データ容量、又は電力容量などの動的要件に基づいて適切なレベルの更新を提供する。これは、制御された使用集約及びシステム更新を可能にし、ひいては、デバイスの更なる改善及び処置の成功に寄与する。
【0006】
本発明の更なる実施形態によれば、外科用ハブが提供され、外科用ハブは、外科用ハブとクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成された送信機及び受信機と、プロセッサとを備える。プロセッサは、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、受信機を介して複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、受信した集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステムとの通信を継続するように構成されており、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステムによって判定される更新された集約データに関連する。
【0007】
本発明の更なる実施形態によれば、外科用器具が提供され、外科用器具は、外科用ハブとクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成された送信機及び受信機と、プロセッサとを備える。プロセッサは、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、受信機を介して複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、受信した集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステムとの通信を継続するように構成されており、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステムによって判定される更新された集約データに関連する。
【0008】
本発明の更なる実施形態によれば、外科用システムが提供され、外科用システムは、クラウドコンピューティングシステムと、外科用ハブと、外科用器具とを備える。クラウドコンピューティングシステムは、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されている。外科用ハブは、外科用ハブと、クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、プロセッサとを備える。プロセッサは、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、受信機を介して複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、受信した集約データに基づいて、1つ以上の外科用ハブ制御アルゴリズムを更新し、かつ、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステムとの通信を継続するように構成されており、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステムによって判定される更新された集約データに関連する。外科用器具は、外科用器具と、クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、プロセッサとを備える。プロセスは、クラウドコンピューティングシステム及び外科用ハブとの通信が利用可能であるか否かを判定し、クラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブから、受信機を介して、複数の外科用デバイスに関連する集約データを受信し、受信した集約データに基づいて、1つ以上の外科用器具制御アルゴリズムを更新し、かつ、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステム及び外科用ハブとの通信を継続するように構成されており、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステムによって判定される更新された集約データに関連する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、手術室内で外科処置を実施するために使用される外科用システムである。
図3】本開示の少なくとも1つの態様による、可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブである。
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に位置しているモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワークを示す。
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムを示す。
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを備える外科用ハブを示す。
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの制御システムの論理図を示す。
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を実施するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、状況認識外科用システムの図である。
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、外科処置における各工程で検出されたデータから外科用ハブが作成することができる例示的な外科処置及び推論のタイムラインを示す。
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの機能アーキテクチャを示すブロック図である。
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式デバイスの制御プログラム更新を適応生成するように構成されている、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図を示す。
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、コントローラ及びモータを有するハンドルと、ハンドルに解放可能に連結されるアダプタと、アダプタに解放可能に連結される装填ユニットとを備える、外科用システムを示す。
図15A】本開示の少なくとも1つの態様による、動作モードを決定し、決定されたモードで動作するための例示的なフローを示す。
図15B】本開示の少なくとも1つの態様による、動作モードを変更するための例示的なフローを示す。
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式デバイスの制御プログラムを更新するためのプロセスの論理フロー図を示す。
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブを通してモジュール式デバイスに更新をプッシュする分析システムの図を示す。
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの制御プログラム更新を適応生成するように構成されている、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの図を示す。
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの制御プログラムを更新するためのプロセスの論理フロー図を示す。
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの制御プログラムのデータ解析アルゴリズムを更新するためのプロセスの論理フロー図を示す。
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具と、外科用ハブと、クラウドコンピューティングシステムとの間の通信のためのシステムを示す。
図22】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの制御アルゴリズムを更新するためのプロセスの論理フロー図を示す。
図23】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具のアルゴリズムを更新するためのプロセスの論理フロー図を示す。
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用システムを更新するためのプロセスの論理フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の出願人は、同時に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
●米国特許出願第15/940,636号(代理人整理番号END8506USNP)、表題「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」、2018年3月29日出願、現在は米国特許出願公開第2019/0206003号、及び、
●米国特許出願第16/209,490号(代理人整理番号END9017USNP1)、表題「METHOD FOR FACILITY DATA COLLECTION AND INTERPRETATION」、2018年12月4日出願、現在は米国特許出願公開第2019/0206564号。
【0011】
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100は、1つ以上の外科用システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージデバイス105に連結されたリモートサーバ113を含み得るクラウド104)とを備え得る。各外科用システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する、少なくとも1つの外科用ハブ106を備え得る。一例では、図1に示すように、外科用システム102は、可視化システム108と、ロボットシステム110と、手持ち式インテリジェント外科用器具112とを含み、これらは、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成されている。いくつかの態様では、外科用システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個の手持ち式インテリジェント外科用器具112とを備えてもよく、M、N、O及びPは1以上の整数であり得る。
【0012】
様々な態様では、可視化システム108は、図2に示すように、滅菌野に対して戦略的に配置される1つ以上の撮像センサと、1つ以上の画像処理ユニットと、1つ以上のストレージアレイと、1つ以上のディスプレイとを備え得る。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS及びEMR用のインターフェースを備え得る。視覚化システム108の様々な構成要素については、2018年12月4日出願の「METHOD OF HUB COMMUNICATION, PROCESSING, STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において「Advanced Imaging Acquisition Module」という見出しの下で説明されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0013】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114のオペレータに見えるように滅菌野に配置される。加えて、可視化タワー111が、滅菌野の外に配置される。可視化タワー111は、互いに反対側を向いている第1非滅菌ディスプレイ107、及び第2非滅菌ディスプレイ109を備え得る。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109及び119を利用して、滅菌野の内側及び外側のオペレータへの情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に、一次ディスプレイ119上に手術部位のライブ映像を維持しながら、撮像デバイス124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットにより、例えば、非滅菌オペレータが、外科処置に関連する診断工程を実行することを可能にすることできる。
【0014】
一態様では、ハブ106は、可視化タワー111にいる非滅菌オペレータによって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌野内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台にいる滅菌オペレータが見ることができるようにも構成することができる。一例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることができる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットへの修正の形態であり得る。
【0015】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科用システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成することができる。例えば、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年12月4日出願の「METHOD OF HUB COMMUNICATION, PROCESSING, STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において。可視化タワー111にいる非滅菌オペレータによって入力される診断入力又はフィードバックは、ハブ106によって滅菌野内の外科用器具ディスプレイ115に送ることができ、これを外科用器具112のオペレータが見ることができる。外科用システム102と共に用いるのに好適な例示的な外科用器具については、例えば、2018年12月4日出願の「METHOD OF HUB COMMUNICATION, PROCESSING, STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において「Surgical Instrument Hardware」という見出しの下で説明されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0016】
図2は、手術室116内の手術台114上に横たわっている患者に対して外科処置を実行するために使用されている外科用システム102の例を示す。ロボットシステム110は、外科処置において外科用システム102の一部として使用され得る。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(手術用ロボット)と、手術用ロボットハブ122とを備え得る。外科医が外科医のコンソール118を通じて手術部位を見る間、患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開部を通じて、少なくとも1つの着脱可能に連結された手術具117を操作することができる。手術部位の画像は医療用撮像デバイス124によって取得され、この医療用撮像デバイスは、撮像デバイス124を配向するように患者側カート120によって操作することができる。ロボットハブ122を使用して、手術部位の画像を処理し、その後、外科医のコンソール118を通じて、外科医に表示することができる。
【0017】
他の種類のロボットシステムを、外科用システム102と共に使用するように容易に適合させることができる。本開示と共に使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、2018年12月4日出願の「METHOD OF ROBOTIC HUB COMMUNICATION, DETECTION, AND CONTROL」と題する米国特許出願公開第2019-0201137(A1)号(米国特許出願第16/209,407号)に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0018】
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用するのに好適なクラウドベース分析法の様々な例は、2018年12月4日出願の「METHOD OF CLOUD BASED DATA ANALYTICS FOR USE WITH THE HUB」と題する米国特許出願公開第2019-0206569(A1)号(米国特許出願第16/209,403号)に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
様々な態様では、撮像デバイス124は、少なくとも1つの画像センサと、1つ以上の光学構成要素とを備え得る。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0020】
撮像デバイス124の光学構成要素は、1つ以上の照明源、及び/又は1つ以上のレンズを含んでもよい。1つ以上の照明源は、術野の一部分を照明するように方向付けられてもよい。1つ以上の画像センサは、組織及び/又は手術器具から反射又は屈折された光を含む、術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0021】
1つ以上の照明源は、可視スペクトル並びに不可視スペクトル内の電磁エネルギーを照射するように構成され得る。可視スペクトルは、場合によっては、光スペクトルや発光スペクトルとも称され、人間の目に見える(すなわち、人間の目によって検出することができる)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と称されることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に応答する。
【0022】
不可視スペクトル(例えば、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長の)電磁スペクトルの一部分である。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線及びガンマ線電磁放射線になる。
【0023】
様々な態様では、撮像デバイス124は、低侵襲性処置において使用するように構成されている。本開示と共に使用するために好適な撮像デバイスの例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、膀胱鏡、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃カメラ)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
撮像デバイスは、トポグラフィーと下層構造とを区別するために、マルチスペクトルモニタリンスを採用してもよい。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトル全体から特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR、及び紫外からの光を含む特定の波長に対する感度を有する器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像により、人間の目がもつ赤、緑、青の受容体では取り込むことができない追加情報を抽出することが可能にある。マルチスペクトル撮像法の使用については、2018年12月4日出願の「METHOD OF HUB COMMUNICATION, PROCESSING, STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において「Advanced Imaging Acquisition Module」という見出しの下で詳述されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。マルチスペクトルモニタリングは、処置された組織に対して上述の試験のうちの1つ以上を実行するための手術タスクが完了した後に術野を再配置するのに有用なツールであり得る。いかなる外科手術においても手術室及び手術機器の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場」、すなわち、手術室又は処置室において要求される厳格な衛生条件及び滅菌条件は、全ての医療デバイス装置及び機器の可能な最も高い滅菌性を必要とする。上記の滅菌プロセスの一部としては、撮像デバイス124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性が挙げられる。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、あるいは滅菌野は、外科手術の準備が整った患者の直ぐ周囲の領域と見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0025】
ここで図3を参照すると、可視化システム108、ロボットシステム110及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信するハブ106が示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、及び手術室マッピングモジュール133を含む。特定の態様では、図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。外科手術中、封止及び/又は切断のために、組織へエネルギーを印加することは、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注と関連付けられる。異なる供給源からの流体ライン、電力ライン及び/又はデータラインは、外科手術中に絡まり合うことが多い。外科手術中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式エンクロージャ136は、電力ライン、データライン、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科手術において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブエンクロージャと、ハブエンクロージャのドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ接点及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールはまた、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。一態様では、上記の流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブエンクロージャ内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在している。一態様では、ハブエンクロージャは、流体インターフェースを備える。一部特定の外科手術は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式エンクロージャ136が様々な発生器を収容して、これらの間のインタラクティブ通信を促進するように構成されているという解決法を提示する。ハブのモジュール式エンクロージャ136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科手術で使用するためのモジュール式外科用エンクロージャを提示する。モジュール式外科用筐体は、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。上記に加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ接点及び第2の電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力接点及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力接点及び第2のデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成されている、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを含む。図3を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128との、モジュール式統合を可能にするハブのモジュール式エンクロージャ136に関する本開示の態様が提示される。ハブのモジュール式エンクロージャ136は、モジュール140とモジュール126とモジュール128と間のインタラクティブ通信を更に促進する。発生器モジュール140は、ハブのモジュール式エンクロージャ136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット内に支持される、一体化された単極構成要素、双極構成要素及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。発生器モジュール140は、単極装置142、双極装置144、及び超音波装置146に接続するように構成することができる。代替的に、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式エンクロージャ136を介して相互作用する一連の単極発生器モジュール、双極発生器モジュール及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。ハブのモジュール式エンクロージャ136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式エンクロージャ136にドッキングされた発生器間のインタラクティブ通信と、を促進するように構成されてもよい。
【0026】
図4は、医療施設の1つ以上の手術室、又は外科手術のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に位置するモジュール式デバイスをクラウドベースのシステム(例えばストレージ装置205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203はまた、ローカルコンピュータシステム210に連結することができ、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供することができる。外科用データネットワーク201は、パッシブ、インテリジェント又は切り替え式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェント外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機構を含む。インテリジェント外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0027】
手術室に位置するモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0028】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0029】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ、ネットワークスイッチ及びネットワークルータとの組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、コンピューティングリソースを共有することに依存することは理解されるであろう。「クラウド」という語は、「インターネット」の隠喩として使用され得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、「クラウドコンピューティング」という用語は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために使用することができ、この場合、サーバ、ストレージ及びアプリケーションなどの様々なサービスは、インターネットを介して、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210、並びにモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて多数の計算を実施することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0030】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的転帰の改善、コスト低減及び患者満足度の改善を提供することができる。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織のサンプルの画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病理を識別するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。そのようなデータには、組織の位置特定及びマージン確認並びに表現型が含まれ得る。撮像装置と一体化された様々なセンサを使用し、かつ複数の撮像装置によって捕捉された画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を識別するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析されてもよい。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に用いてもよく、標準化された手法を使用することは、外科的治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科的治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0031】
手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて有線チャネル又は無線チャネルを介して、モジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(Open System Interconnection、OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供することができる。ネットワークハブ207は、パケットの形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信することができる。ネットワークハブ207は、いかなる装置データを転送するための媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(media access control、MAC/Internet Protocol、IP)も記憶できない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関するルーティングテーブル又はインテリジェンスを有することができず、全てのネットワークデータを各コネクション全体及びクラウド204上のリモートサーバ213(図4)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0032】
手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置であり得る。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信することができ、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0033】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結され得る。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケットの形態のデータをクラウド204に送信でき、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0034】
ある例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線機能又は無線機能を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために用いられてもよい。
【0035】
例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。手術室装置1a~1n/2a~2mは、数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができ、そのような規格又はプロトコルとしては、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ニューラジオ(NR)、ロング・ターム・エボリューション(LTE)並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT及びこれらのイーサネット派生物のみならず3G、4G、5G及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどのより短距離の無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどのより長距離の無線通信専用であってもよい。
【0036】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱える。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送できる。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載されるように、数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによって、このデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0037】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよいか、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク形成するための良好な選択肢となり得る。
【0038】
図5は、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、多くの点で外科用システム102と類似する1つ又は2つ以上の外科用システム202を含む。各外科用システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。図6に示すように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。
【0039】
図5の実施例に示すように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結され得る撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結され得る発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意選択的にディスプレイ237に連結されたスマート装置/器具235及び非接触センサモジュール242に連結され得る。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結され得る。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。とりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載されるように、有線又は無線通信規格又はプロトコルを介して、モジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、モジュール式制御タワーに接続されたデバイスから受信されたデータを、画像及び重ね合わせられた画像と共に表示してもよい。
【0040】
図6は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えばローカルでの処理、可視化及び撮像を行うためのコンピュータシステム210と、を備え得る。図6に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続されてもよいモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送してもよい。図6に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチの各々は、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含み得る。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続され得る。クラウド204への通信は、有線通信チャネル又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0041】
外科用ハブ206は、手術室の寸法を測定し、また超音波非接触測定装置又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して手術現場のマップを生成するために、非接触センサモジュール242を使用できる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「METHOD OF HUB COMMUNICATION, PROCESSING, STORAGE AND DISPLAY」と題する2018年12月4日出願の米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)では、センサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成されているが、同文献中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室を走査できる。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信することによって手術室を走査でき、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して手術室のサイズを判定し、Bluetoothペアリング距離限界を調整する。
【0042】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244と、ネットワークインターフェース245と、を備え得る。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250及び入力/出力インターフェース251に連結され得る。システムバスは、任意の様々な利用可能なバスアーキテクチャを使用する、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造のうちのいずれかであってもよく、それらのアーキテクチャの例としては、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周辺装置相互接続(PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、小型計算機システムインターフェース(SCSI)又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)及び/又は、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0044】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラベースのファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0045】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを挙げることができる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0046】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性のコンピュータストレージ媒体、例えばディスク記憶装置などを含み得る。ディスク記憶装置としては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード又はメモリスティックのような装置を挙げることができるが、これらに限定されない。加えて、ディスク記憶装置は、上記の記憶媒体を、独立して、又は他の記憶媒体との組み合わせで含むことができる。他の記憶媒体としては、コンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない。ディスク記憶装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0047】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含み得ることを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムを挙げることができる。ディスク記憶装置上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能し得る。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスク記憶装置上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用し得る。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0048】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力できる。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティング装置、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどを挙げることができるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポートを介し、システムバスを通じてプロセッサに接続する。インターフェースポートとしては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート及びUSBが挙げられる。出力装置は、入力装置と同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、コンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とし得る出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在できることを示すために提供され得る。出力アダプタとしては、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードを挙げることができるが、これは例示としてのものであり、限定するものではない。リモートコンピュータなどの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供できることに留意されたい。
【0049】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータなどの1つ若しくは2つ以上のリモートコンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置又は他の一般的なネットワークノードなどであり得るが、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、リモートコンピュータと共に、メモリストレージ装置のみが示される。リモートコンピュータは、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続部を介して物理的に接続され得る。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含し得る。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などを挙げることができる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク並びにデジタル加入者回線(DSL)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0050】
様々な態様では、図6のコンピュータシステム210、図5図6の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを用いて速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実施することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0051】
通信接続部とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指し得る。例示の明瞭さのため通信接続部はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続部はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術を挙げることができる。
【0052】
図7は、本開示の1つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。システム470は、制御回路を備え得る。制御回路は、プロセッサ462及びメモリ468を備えるマイクロコントローラ461を含み得る。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータドライバ492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、Iビームナイフ要素を駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を判定するように構成され得る。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を判定するようにプログラム又は構成することができるプロセッサ462に提供され得る。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ473は、器具の様々な動作条件を表示でき、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
【0053】
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0054】
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラベースのファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0055】
マイクロコントローラ461は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実施するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462及びメモリ468を含み得る。電気モータ482は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。一態様では、モータドライバ492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバを、絶対位置付けシステムを備える追跡システム480で使用するために容易に代用することができる。絶対位置決めシステムに関する詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0056】
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答を得ることができ、これが実際のフィードバックの判定に使用される。観測された応答は、シミュレートされた応答の滑らかで連続的な性質と、測定された応答とのバランスをとる好適な調整された値であってよく、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0057】
いくつかの例では、モータ482は、モータドライバ492によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって用いられ得る。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。いくつかの例では、モータ482としては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータが挙げられ得る。モータドライバ492は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドル組立体又はツールハウジングに解除可能に装着された電源組立体によって給電され得る。電源組立体は、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を備えてもよい。特定の状況下では、電源組立体の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源組立体に連結可能かつ電源組立体から分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0058】
モータドライバ492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941 492は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラであり得る。ドライバ492は、固有の電荷ポンプレギュレータを備えることができ、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供でき、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にできる。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を使用して高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護され得る。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を示すものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータドライバを、絶対位置決めシステムを備えた追跡システム480で使用するために容易に代用することができる。
【0059】
追跡システム480は、本開示の一態様による位置センサ472を備える制御されたモータ駆動回路配置を備え得る。絶対位置付けシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供し得る。いくつかの例では、変位部材は、ギア減速機組立体の対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表すことができる。いくつかの例では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合され、構成され得る発射部材を表すことができる。いくつかの例では、変位部材は、発射バー又はIビームを表すことができ、それらの各々は、駆動歯のラックを含むように適合され、構成され得る。したがって、本明細書で使用するとき、変位部材という用語は、一般的に、駆動部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具又はツールの任意の可動部材を指すために使用され得る。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材は、発射部材、発射バー、及びIビームに連結され得る。したがって、絶対位置決めシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、Iビームの直線変位を追跡することができる。様々な態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結されてもよい。直線変位センサは、接触式変位センサ又は非接触式変位センサを含んでもよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線状に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線状に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0060】
電気モータ482は、変位部材上の駆動歯の組又はラックと噛合係合で装着されるギア組立体と動作可能にインターフェースする回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくつかの直線長手方向並進に対応するように、ギア組立体に動作可能に連結されてもよい。ギアリング及びセンサの構成は、ラックピニオン構成によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置決めシステムに電力を供給でき、出力インジケータは、絶対位置決めシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機組立体の対応する駆動ギアと噛合係合するための、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表すことができる。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組み合わせを表すことができる。
【0061】
位置センサ472と関連付けられたセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当し得、d1は、変位部材に連結されたセンサ素子の1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して連結されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0062】
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1よりも大きい整数である)が、単独で、又はギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態は、マイクロコントローラ461にフィードバックでき、マイクロコントローラ461は、論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0063】
位置センサ472は、例えば、全磁界又は磁界のベクトル成分を測定するかどうかに従って分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために使用される技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含み得る。磁界の感知に使用される技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサを挙げることができる。
【0064】
一態様では、絶対位置付けシステムを備える追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置付けシステムを備え得る。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ472は、マイクロコントローラ461とインターフェースされて絶対位置付けシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり得、磁石の上方に位置し得る位置センサ472のエリアに、4つのホール効果素子を含む。また、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラをチップ上に設けてもよい。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(CORDIC)プロセッサが設けられ得る。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に伝送され得る。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度を提供できる。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0065】
絶対位置付けシステムを備える追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源は、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサが設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサとしては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ配置を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置付けシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置付けシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置付けシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを使用して、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れてよい。
【0066】
絶対位置付けシステムは、単にモータ482がとった前方又は後方への工程の数を計数して装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供できる。
【0067】
例えば歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに適用される閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成され得る。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。センサ474の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムによってアンビルに加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定することができる。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームはまた、Iビームを発射バーによって遠位に前進させる際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含み得る。代替的に、モータ482により引き込まれる電流を測定するために、電流センサ478を用いることができる。発射部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に対応し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0068】
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療されている組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に加えられる力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成され得る微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を備え得る。一態様では、歪みゲージセンサ474は、組織圧縮を示し得る、クランプ動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は規模を測定することができる。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供され得る。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を動作させるために使用される力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0069】
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0070】
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、図5図6に示されるようにモジュール式通信ハブ203と通信するための有線通信回路又は無線通信回路を備えてもよい。
【0071】
図8は、様々な機能を実施するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実施することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実施することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実施することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実施することができる、といった具合である。特定の例では、ロボット外科用器具600の複数のモータは個々に起動されて、エンドエフェクタにおいて発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフト組立体を介してエンドエフェクタに伝達することができる。
【0072】
特定の例では、外科用器具システム又はツールは発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、具体的にはIビーム要素を変位させるために、モータ602によって生成された発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成することができる、発射モータ駆動組立体604に動作可能に連結されてもよい。特定の例では、モータ602によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルをステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織内へと配備し、かつ/又はIビーム要素の切刃を前進させて、捕捉された組織を切断してもよい。Iビーム要素は、モータ602の方向を逆転させることによって後退させることができる。
【0073】
特定の例では、外科用器具又は手術具は閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動組立体605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、エンドエフェクタは、例えば、組織を捕捉する、開放構成から接近構成へと移行することができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に移行され得る。
【0074】
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ又は2つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。モータ606a、606bは、モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、対応する関節運動モータ駆動組立体608a、608bに動作可能に連結され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0075】
本明細書に記載するように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成され得る複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止した状態を維持している間に、個別に又は別個に起動させて、1つ又は2つ以上の機能を実施することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。代替的に、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止した状態を維持している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は切刃を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管及びIビーム要素を遠位に前進させるために、発射モータ602と同時に起動されてもよい。
【0076】
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータと共に用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、ロボット外科用器具の複数のモータに対して個々に連結可能かつ分離可能であってもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ又は2つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に個別にかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうちの一方とのインターフェース接続から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちのもう一方とのインターフェース接続へと選択的に切り替えることができる。
【0077】
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、図8に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は移行させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に連結してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に連結してもよく、第3の位置618aでは、例えば、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に連結してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
【0078】
モータ602、603、606a、606bの各々は、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の様式で感知されてもよい。
【0079】
様々な例では、図8に示されるように、共通の制御モジュール610は、1つ又は2つ以上のHブリッジFETを備え得るモータドライバ626を備えてもよい。モータドライバ626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に連結されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、本明細書に記載されるように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に連結されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を判定することができる。
【0080】
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、様々なプログラム命令を記憶することができ、それが実行されると、プロセッサ622に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させることができる。特定の例では、メモリユニット624のうちの1つ以上が、例えば、プロセッサ622に連結されてもよい。
【0081】
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給してもよい。特定の例では、電源628は、例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「電源パック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0082】
様々な例では、プロセッサ622は、モータドライバ626を制御して、共通の制御モジュール610に連結されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータドライバ626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に連結されるモータを停止及び/又は無効化することができる。「プロセッサ」という用語は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(central processing unit、CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合した他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的プログラマブル装置であってもよい。これは、内部メモリを有し得るので、逐次的デジタル論理の一例であり得る。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作し得る。
【0083】
プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えばTexas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な機能の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ又は2つ以上のPWMモジュール、1つ又は2つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0084】
メモリ624は、共通の制御モジュール610に連結可能な外科用器具600のモータの各々を制御するためのプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
【0085】
例えば、センサ630などの1つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警報することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警報することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを備えてもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのIビームの発射と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
【0086】
図9は、本開示の少なくとも1つの態様に係る、状況認識外科用システム5100の図を示す。いくつかの例示では、データソース5126は、例えば、モジュール式デバイス5102(患者及び/又はモジュール式デバイス自体に関連付けられたパラメータを検出するように構成されたセンサを含み得る)、データベース5122(例えば、患者記録を含むEMRデータベース)、及び患者監視装置5124(例えば、血圧(BP)モニタ、及び心電図(EKG)モニタ)を含み得る。外科用ハブ5104は、例えば、受信したデータの特定の組み合わせ又はデータソース5126からデータが受信される特定の順序に基づいて、データから外科処置に関するコンテキスト情報を導出するように構成され得る。受信されたデータから推測されるコンテキスト情報は、例えば、実施される外科手術の種類、外科医が実行している外科手術の特定の工程、手術されている組織の種類、又は処置の対象である体腔を含むことができる。受信されたデータから外科処置に関する情報を導出又は推測するための外科用ハブ5104のいくつかの態様に係わるこの機能は、「状況認識」と称することもある。ある例示では、外科用ハブ5104は、受信されたデータから外科処置に関連するコンテキスト情報を導出する外科用ハブ5104に関連付けられたハードウェア及び/又はプログラミングである状況認識システムを組み込むことができる。
【0087】
外科用ハブ5104の状況認識システムは、様々な異なる方法でデータソース5126から受信されたデータから、コンテキスト情報を導出するように構成することができる。ある例示では、状況認識システムは、様々な入力(例えば、データベース5122、患者監視装置5124、及び/又はモジュール式デバイス5102からのデータ)を、外科処置に関する対応するコンテキスト情報と相関させるために、訓練データで訓練されたパターン認識システム、又は機械学習システム(例えば、人工ニューラルネットワーク)を含み得る。言い換えると、機械学習システムは、提供された入力から外科手術に関するコンテキスト情報を正確に導出するように訓練することができる。例では、状況認識システムは、外科処置に関する事前に特性評価されたコンテキスト情報を、そのコンテキスト情報に対応する1つ以上の入力(又は、入力の範囲)と関連付けて記憶する、ルックアップテーブルを含むことができる。1つ以上の入力による問い合わせに応答して、ルックアップテーブルは、モジュール式デバイス5102を制御するために状況認識システムの対応するコンテキスト情報を返すことができる。例では、外科用ハブ5104の状況認識システムによって受信されたコンテキスト情報は、1つ以上のモジュール式デバイス5102の特定の制御調節、又は一連の制御調節に関連付けられ得る。例では、状況認識システムは、コンテキスト情報を入力として提供された際、1つ以上のモジュール式デバイス5102の1つ以上の制御調節を生成又は読み出す、更なる機械学習システム、ルックアップテーブル、又は他のそのようなシステムを含み得る。
【0088】
状況認識システムを組み込む外科用ハブ5104は、外科用システム5100に多くの利点をもたらし得る。1つの利点は、検知及び収集されたデータの解釈を改善することを含んでよく、これは、外科処置の過程中の処理精度、及び/又はデータの使用を改善させる。以前の例に戻ると、状況認識外科用ハブ5104は、どの種類の組織が手術されているかを判定することができるので、したがって、外科用器具のエンドエフェクタを閉鎖するための予想外に高い力が検出されると、状況認識外科用ハブ5104は、組織種類に合わせて外科用器具のモータを正しく加速、あるいは減速させることができる。
【0089】
手術されている組織の種類は、特定の組織間隙測定用の手術用ステープル留め及び切断用器具の圧縮速度と負荷閾値になされる調節に影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、実行されている外科処置が胸部手術であるのか、又は腹部手術であるのかを推測することができ、これにより、外科用ハブ5104は、手術用ステープル留め及び切断用器具のエンドエフェクタによってクランプされている組織が肺であるのか(胸部手術の場合)、又は胃であるのか(腹部手術の場合)を決定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、手術用ステープル留め及び切断用器具の圧縮速度及び負荷閾値を、組織の種類に合わせて適切に調節することができる。
【0090】
送気処置中に手術されている体腔の種類は、排煙器の機能に影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、手術部位が(外科処置が送気を利用していると判定することによって)圧力下にあるか否かを判定し、処置の種類を決定することができる。一般に、ある処置種類が特定の体腔内で実行され得るので、外科用ハブ5104は、手術されている体腔に合わせて適切に排煙器のモータ速度を制御することができる。かくして、状況認識外科用ハブ5104は、胸部手術及び腹部手術の両方用に一貫した量の煙排出を提供し得る。
【0091】
実行されている処置の種類は、超音波外科器具、又は高周波(RF)電気外科器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。例えば、関節鏡手術では、超音波外科器具、又はRF電気外科器具のエンドエフェクタが流体中に浸漬されるので、より高いエネルギーレベルを必要とし得る。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置が関節鏡手術であるか否かを決定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、流体で満たされた環境を補償するために、発生器のRF電力レベル又は超音波振幅(すなわち、「エネルギーレベル」)を調節することができる。関連して、手術されている組織の種類は、超音波手術器具又はRF電気手術器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、どの種類の外科処置が実行されているかを決定し、次いで、外科処置について予想される組織形状に従って、超音波外科器具又はRF電気外科器具のエネルギーレベルをそれぞれカスタマイズすることができる。更に、状況認識外科用ハブ5104は、単に処置ごとにではなく、外科処置の過程にわたって、超音波外科器具又はRF電気外科器具のエネルギーレベルを調節するように構成することができる。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置のどの工程が実行されているか、又は引き続き実行されるかを決定し、次いで、発生器、及び/又は超音波外科器具若しくはRF電気外科器具の制御アルゴリズムを更新して、外科処置の工程に従って予想される組織の種類に適切な値までエネルギーレベルを設定することができる。
【0092】
例では、外科用ハブ5104が1つのデータソース5126から導き出される結論を改善するために、追加のデータソース5126からデータを導出することも可能である。状況認識外科用ハブ5104は、モジュール式デバイス5102から受信したデータを、他のデータソース5126から外科処置に関して構築したコンテキスト情報で強化し得る。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、医療用撮像デバイスから受信されたビデオ又は画像データに従って、止血が行われたか否か(すなわち、手術部位での出血が止まったか否か)を決定するように構成することができる。しかしながら、場合によっては、ビデオ又は画像データは、決定的ではない可能性がある。したがって、ある例示では、外科用ハブ5104は、生理学的測定(例えば、外科用ハブ5104へと通信可能に接続されたBPモニタで検知された血圧)を、(例えば、外科用ハブ5104へと通信可能に連結された医療用撮像デバイス124(図2)からの)止血の視覚データ又は画像データと比較して、ステープルライン又は組織溶着の完全性に関する決定を行うように更に構成することができる。言い換えると、外科用ハブ5104の状況認識システムは、生理学的測定データを考慮して、可視化データを分析する際に追加のコンテキストを提供することができる。追加のコンテキストは、可視化データがそれ自体では決定的ではないか、又は不完全であり得る場合に有用となり得る。
【0093】
例えば、状況認識外科用ハブ5104は、処置の後続の工程で器具の使用が必要とされると判定された場合に、RF電気外科器具が接続されている発生器を積極的に起動させることができる。エネルギー源を積極的に起動することにより、処置の先行する工程が完了すると直ぐに器具を使用準備完了にすることができ得る。
【0094】
状況認識外科用ハブ5104は、外科医が見る必要があると予想される手術部位の形状部(単数又は複数)に従って、外科処置の現工程、又は後続の工程が、ディスプレイ上の異なるビューや倍率を必要とするかどうかを決定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、表示されたビュー(例えば、可視化システム108用に医療用撮像デバイスから供給される)を適切に積極的に変更することができ、これにより、ディスプレイは外科処置にわたって自動的に調節する。
【0095】
状況認識外科用ハブ5104は、外科処置のどの工程が実行されているか、又は次に実行されるか、及び特定のデータ又はデータ同士の比較が外科処置の該当工程に必要とされるかどうかを決定することができる。外科用ハブ5104は、外科医が特定の情報を尋ねるのを待つことなく、実行されている外科処置の工程に基づいて、データスクリーンを自動的に呼び出すように構成することができる。
【0096】
外科処置のセットアップ中、又は外科処置の過程中に、エラーがチェックされ得る。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、手術室が、実行されるべき外科処置用に適切に又は最適にセットアップされているかどうかを決定することができる。外科用ハブ5104は、実行されている外科処置の種類を決定し、対応するチェックリスト、製品位置、又はセットアップ要件を(例えば、メモリから)読み出し、次いで、現在の手術室のレイアウトを、実行されていると外科用ハブ5104が決定した外科処置の種類の標準レイアウトと比較するように構成することができる。いくつかの例示では、外科用ハブ5104は、処置のための項目リスト、及び/又は外科用ハブ5104とペアリングされた装置のリストを、所与の外科処置のための項目及び/又は装置の推奨される又は予想されるマニフェストと比較するように構成され得る。リスト同士に分断が存在する場合、外科用ハブ5104は、特定のモジュール式デバイス5102、患者監視装置5124、及び/又は他の手術用物品が欠落していることを示すアラートを提供するように構成することができる。いくつかの例示では、外科用ハブ5104は、例えば、近接センサによってモジュール式デバイス5102及び患者監視装置5124の相対距離又は相対位置を決定するように構成することができる。外科用ハブ5104は、デバイスの相対位置を、特定の外科処置用に推奨又は予測されるレイアウトと比較することができる。レイアウト同士に分断が存在する場合、外科用ハブ5104は、外科処置の現在のレイアウトが推奨レイアウトから逸脱していることを示すアラートを提供するように構成することができる。
【0097】
状況認識外科用ハブ5104は、外科医(又は、他の医療従事者)が誤りを犯しているかどうか、又は外科処置の過程中に予想される一連のアクションから逸脱しているかどうかを決定することができる。例えば、外科用ハブ5104は、実行されている外科処置の種類を決定し、機器使用の工程又は順序の対応リストを(例えば、メモリから)読み出し、次いで、外科処置の過程中に実行されている工程又は使用されている機器を、外科用ハブ5104が実行されていると判定した外科処置の種類について予想される工程、又は機器と比較するように構成することができる。いくつかの例示では、外科用ハブ5104は、外科処置における特定の工程で想定外のアクションが実行されているか、又は想定外のデバイスが利用されていることを示すアラートを提供するように構成することができる。
【0098】
外科用器具(及び他のモジュール式デバイス5102)は、各外科処置の特定の状況に合わせて調整されてもよく(例えば、異なる組織の種類への調整)、外科処置中の動作を検証してもよい。次の工程、データ、及び表示調整は、処置の特定の状況に従って、手術現場内の外科用器具(及び他のモジュール式デバイス5102)に提供され得る。
【0099】
図10は、例示的な外科処置のタイムライン5200と、外科処置の各工程でデータソース5126から受信されたデータから外科用ハブ5104が導出することができるコンテキスト情報とを示す。図9に示されるタイムライン5200の以下の説明では、図9も参照されたい。タイムライン5200は、手術室のセットアップで始まり、患者を術後回復室に移送することで終了する肺区域切除手術の過程中に、看護師、外科医及び他の医療従事者がとるであろう一般的な工程を示し得る。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置の過程全体にわたって、医療関係者が外科用ハブ5104とペアリングされたモジュール式デバイス5102を使用するたびに生成されるデータを含むデータを、データソース5126から受信できる。外科用ハブ5104は、ペアリングされたモジュール式装置5102及び他のデータソース5126からこのデータを受信して、任意の所与の時間に処置のどの工程が行われているかなどの新しいデータが受信されると、進行中の処置に関する推定(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導出することができる。外科用ハブ5104の状況認識システムは、例えば、報告を生成するために処置に関するデータを記録すること、医療関係者によってとられている工程を検証すること、特定の処置工程に関連し得るデータ又はプロンプトを(例えば、表示画面を介して)提供すること、コンテキストに基づいてモジュール式デバイス5102を調整する(例えば、モニタを起動する、医療用撮像デバイスのFOVを調整する、又は超音波外科器具若しくはRF電気外科器具のエネルギーレベルを変更する)こと、及び本明細書に記載される任意の他のこうした動作を行うことが可能であり得る。
【0100】
この例示的な処置における第1工程5202として、病院職員は、病院のEMRデータベースから、患者のEMRを読み出すことができる。EMRにおいて選択された患者データに基づいて、外科用ハブ5104は、実施される処置が胸部手術であることを判定する。第2の5204では、職員は、処置のために入来する医療用品をスキャンし得る。外科用ハブ5104は、スキャンされた物資を様々な種類の処置において利用され得る物資のリストと相互参照し、物資の組み合わせが、胸部処置に一致することを確認する。更に、外科用ハブ5104はまた、処置が楔形切除術ではないと判定することができ得る(入来する用品が、胸部楔形切除術に必要な特定の用品を含まないか、又は別の点で胸部楔形切除術に対応していないかのいずれかであるため)。第3の5206で、医療従事者は、外科用ハブ5104に通信可能に接続されたスキャナ5128を介して患者バンドをスキャンできる。次いで、外科用ハブ5104は、スキャンされたデータに基づいて患者の身元を確認することができる。第4の5208では、医療職員が補助装置をオンにする。利用されている補助機器は、外科手術の種類、及び外科医が使用する技術に従って変動し得るが、この例示的なケースでは、排煙器、送気器及び医療用撮像デバイスが挙げられる。起動されると、モジュール式デバイス5102である補助装置は、その初期化プロセスの一部として、モジュール式デバイス5102の特定の近傍内に位置し得る外科用ハブ5104と自動的にペアリングすることができる。次いで、外科用ハブ5104は、この術前又は初期化段階中にそれとペアリングされるモジュール式装置5102の種類を検出することによって、外科処置に関するコンテキスト情報を導出することができる。この特定の実施例では、外科用ハブ5104は、ペアリングされたモジュール式デバイス5102のこの特定の組み合わせに基づいて、外科処置がVATS手術であると判定できる。患者のEMRからのデータの組み合わせ、処置に用いられる医療用品のリスト、及びハブに接続するモジュール式装置5102の種類に基づいて、外科用ハブ5104は、外科チームが実施する特定の処置を概ね推定することができる。外科用ハブ5104が、何の特定の処置が行われているかを知ると、次いで外科用ハブ5104は、メモリから、又はクラウドからその処置の工程を読み出し、次いで接続されたデータソース5126(例えば、モジュール式装置5102及び患者監視装置5124)からその後受信したデータを相互参照して、外科処置のどの工程を外科チームが実行しているかを推定することができる。第5の5210では、職員は、EKG電極及び他の患者監視装置5124を患者に取り付ける。EKG電極及び他の患者監視装置5124は、外科用ハブ5104とペアリングすることができる。外科用ハブ5104が患者監視装置5124からデータの受信を開始すると、外科用ハブ5104は、例えば、プロセス5207で説明するように、患者が手術室にいることを確認できる。第6の5212では、医療関係者は患者に麻酔を導入できる。外科用ハブ5104は、例えば、EKGデータ、血圧データ、人工呼吸器データ又はこれらの組み合わせを含む、モジュール式デバイス5102、及び/又は患者監視装置5124からのデータに基づいて、患者が麻酔下にあることを推測することができる。第6工程5212が完了すると、肺区域切除手術の術前部分が完了し、手術部が開始する。
【0101】
第7の5214では、手術されている患者の肺が虚脱され得る(換気が対側肺に切り替えられる間に)。外科用ハブ5104は、例えば、患者の肺が虚脱されたことを人工呼吸器データから推測することができる。外科用ハブ5104は、患者の肺が虚脱したのを検出したことを、処置の予期される工程(事前にアクセス又は読み出すことができる)と比較することができるため、処置の手術部分が開始したことを推定して、それによって肺を虚脱させることがこの特定の処置における第1の手術工程であり得ると判定することができる。第8の5216では、医療用撮像デバイス5108(例えば、スコープ)を挿入でき、医療用撮像デバイスからのビデオ映像が開始され得る。外科用ハブ5104は、医療用撮像デバイスへの接続を通じて医療用撮像デバイスデータ(すなわち、ビデオ又は画像データ)を受信できる。医療用撮像装置データを受信すると、外科用ハブ5104は、外科処置の腹腔鏡部分が開始したことを判定することができる。更に、外科用ハブ5104は、行われている特定の処置が、肺葉切除術とは対照的に区域切除術であると判定することができる(処置の第2の工程5204で受信したデータに基づいて、楔形切除術は外科用ハブ5104によって既に考慮に入れられていないことに留意されたい)。医療用撮像装置124(図2)からのデータを利用して、様々な方法で、例えば、患者の解剖学的構造の可視化に対して向けられている医療用撮像装置の角度を判定することによって、利用されている(すなわち、起動されており、外科用ハブ5104とペアリングされている)数又は医療用撮像装置を監視することによって、及び利用されている可視化装置の種類を監視することによって、行われている処置の種類に関するコンテキスト情報を判定することができる。例えば、VATS肺葉切除術を実行するための1つの技術は、カメラを患者の胸腔の前下方角部の横隔膜上方に配置し得るが、他方、VATS区域切除術を実行するための1つの技術は、カメラを、区域裂に対して前方の肋間位置に配置する。状況認識システムは、例えば、パターン認識技術又は機械学習技術を使用して、患者の解剖学的構造の可視化に従って、医療用撮像デバイスの位置を認識するように訓練することができる。VATS肺葉切除術を実行するための例示的な手法は、単一の医療用撮像デバイスを利用することができる。VATS区域切除術を実行するための例示的な手法は、複数のカメラを利用する。VATS区域切除術を実行するための例示的な手法は、区域裂を可視化するために赤外線光源(可視化システムの一部として外科用ハブへと通信可能に連結できる)を利用するが、これはVATS肺葉切除術では利用されない。医療用撮像装置5108からのこのデータのいずれか又は全てを追跡することによって、外科用ハブ5104は、行われている特定の種類の外科処置、及び/又は特定の種類の外科処置に使用されている技術を判定することができる。
【0102】
第9の5218では、外科チームは、処置の切開工程を開始することができる。外科用ハブ5104は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器からのデータを受信するため、外科医が患者の肺を切開して分離するプロセスにあると推定することができる。外科用ハブ5104は、受信したデータを外科処置の読み出しされた工程と相互参照して、プロセスのこの時点(すなわち、上述された処置の工程が完了した後)で発射されているエネルギー器具が切開工程に対応していると判定することができる。第10の5220では、外科チームは、処置の結紮工程に進むことができる。外科用ハブ5104は、器具が発射されていることを示すデータを外科用ステープル留め及び切断器具から受信し得るため、外科医が動脈及び静脈を結紮していると推定することができる。前工程と同様に、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、読み出しされたプロセス内の工程と相互参照することによって、この推定を導出することができる。第11の5222では、処置の区域切除術の部分が行われ得る。外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータ(そのカートリッジからのデータを含む)に基づいて、外科医が実質組織を横切開していると推定することができる。カートリッジのデータは、例えば、器具によって発射されているステープルのサイズ又はタイプに対応することができる。異なる種類のステープルが異なる種類の組織に利用されるので、カートリッジのデータは、ステープル留め及び/又は横切開されている組織の種類を示すことができる。この場合、発射されているステープルの種類は実質組織(又は他の同様の組織種)に利用され、これにより、外科用ハブ5104は、処置の区域切除術の部分が行われていると推定することができる。続いて第12の工程5224で、結節切開工程が行われる。外科用ハブ5104は、RF又は超音波器具が発射されていることを示す、発生器から受信したデータに基づいて、外科チームが結節を切開し、漏れ試験を行っていると推定することができる。この特定の処置の場合、実質組織が横切開された後に利用されるRF又は超音波器具は結節切開工程に対応しており、これにより外科用ハブ5104がこの推定を行うことができる。異なる器具が特定のタスクに対してより良好に適合するので、外科医が、処置中の特定の工程に応じて、手術用ステープル留め/切断器具と手術用エネルギー(例えば、RF又は超音波)器具とを、定期的に交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープル留め器具/切断器具及び手術用エネルギー器具が使用される特定のシーケンスは、外科医が処置のどの工程を実行しているかを示すことができる。第12の工程5224が完了すると、切開部が閉鎖され、処置の術後部分を開始できる。
【0103】
第13の5226では、患者を麻酔から覚醒させることができる。外科用ハブ5104は、例えば、ベンチレータデータに基づいて(すなわち、患者の呼吸速度が増加し始める)、患者が麻酔から覚醒しつつあると推定することができる。最後に、第14の工程5228は、医療関係者が患者から様々な患者監視装置5124を外す工程であり得る。したがって、外科用ハブ5104は、ハブがEKG、BP、及び患者監視装置5124からの他のデータを喪失したとき、患者が回復室に移送されていると推定することができる。この例示的な処置の説明から分かるように、外科用ハブ5104と通信可能に連結された各種データソース5126から受信したデータに従って、外科用ハブ5104は、所与の外科処置の各工程が発生しているときを判定又は推定することができる。
【0104】
図10に示されるタイムライン5200の第1の工程5202に示されるように、EMRデータベースからの患者データを利用して、行われる外科処置の種類を推定することに加えて、患者データはまた、状況認識外科用ハブ5104によって利用されて、ペアリングされたモジュール式デバイス5102の制御調整を生成することができる。
【0105】
図11は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。一態様では、このコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムは、外科用ハブ、外科用器具、ロボットデバイス、及び手術室又は医療施設を含む様々な外科用システムの動作に関するデータを監視及び分析するように構成され得る。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムは、クラウドベースの分析システムを含み得る。クラウドベースの分析システムは、外科用システムとして記載され得るが、必ずしもそのように限定されるものではなく、クラウドベースの医療システムであってもよい。図11に示すように、クラウドベースの分析システムは、(器具112と同じ又は類似であってよい)複数の外科用器具7012と、(ハブ106と同じ又は類似であってよい)複数の外科用ハブ7006と、外科用ハブ7006を(クラウド204と同じ又は類似であってよい)クラウド7004に連結するための(ネットワーク201と同じ又は類似であってよい)外科用データネットワーク7001と、を含み得る。複数の外科用ハブ7006のそれぞれは、1つ以上の外科用器具7012に通信可能に連結され得る。ハブ7006はまた、ネットワーク7001を介してコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのクラウド7004に通信可能に連結され得る。クラウド7004は、様々な外科用システムの動作に基づいて生成されたデータを記憶、操作、及び通信するためのハードウェア及びソフトウェアのリモートの集中型供給源であり得る。図11に示すように、クラウド7004へのアクセスはネットワーク7001を介して達成され得、このネットワーク7001は、インターネットであってもよく、又は他の好適なコンピュータネットワークであってもよい。クラウド7004に連結され得る外科用ハブ7006は、クラウドコンピューティングシステムのクライアント側(すなわち、クラウドベースの分析システム)と見なすことができる。外科用器具7012は、本明細書に記載される様々な外科処置又は動作の制御及び実施のために、外科用ハブ7006とペアリングされ得る。
【0106】
加えて、外科用器具7012は、(これも送受信機を備え得る)対応する外科用ハブ7006へのデータ伝送、及び外科用ハブ7006からのデータ伝送のための送受信機を備えてもよい。外科用器具7012と対応するハブ7006との組み合わせは、医療手術を提供するための医療施設(例えば、病院)内の手術室などの、特定の位置を示すことができる。例えば、外科用ハブ7006のメモリは、位置データを記憶することができる。図11に示すように、クラウド7004は、(リモートサーバ7013と同じ又は同様であってもよい)中央サーバ7013、ハブアプリケーションサーバ7002、データ解析モジュール7034、及び入出力(「I/O」)インターフェース7006を含む。クラウド7004の中央サーバ7013は、クラウドコンピューティングシステムを集合的に管理し、これは、クライアントモジュール7006による要求を監視し、その要求を実行するためのクラウド7004の処理能力を管理することを含む。中央サーバ7013のそれぞれは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ及び磁気記憶装置などの不揮発性メモリを含むことができる、好適なメモリ装置7010に連結された1つ以上のプロセッサ7008を備え得る。メモリ装置7010は、実行されると、プロセッサ7008に、クラウドベースのデータ分析、動作、推奨、及び以下で説明するその他の動作のためのデータ分析モジュール7034を実行させる、機械実行可能命令を含み得る。更に、プロセッサ7008は、独立して、又はハブ7006によって独立して実行されるハブアプリケーションと併せて、データ分析モジュール7034を実行することができる。中央サーバ7013はまた、メモリ2210内に存在し得る集約された医療データのデータベース2212を含み得る。
【0107】
ネットワーク7001を介した様々な外科用ハブ7006への接続に基づいて、クラウド7004は、様々な外科用器具7012及びそれらの対応するハブ7006によって生成された特定のデータからのデータを集約することができる。そのような集約データは、クラウド7004の集約された医療データベース7012内に記憶されてもよい。具体的には、クラウド7004は、有利にも、集約されたデータ上でデータ分析及び動作を実行して、洞察をもたらし、及び/又は個別のハブ7006がそれ自体では達成できない機能を行うことができる。この目的のために、図11に示すように、クラウド7004と外科用ハブ7006とは、情報を送受信するために通信可能に連結されている。I/Oインターフェース7006は、ネットワーク7001を介して複数の外科用ハブ7006に接続される。このようにして、I/Oインターフェース7006は、外科用ハブ7006と集約された医療データデータベース7011との間で情報を転送するように構成することができる。したがって、I/Oインターフェース7006は、クラウドベースの分析システムの読み出し/書き込み動作を容易にすることができる。このような読み出し/書き込み動作は、ハブ7006からの要求に応じて実行されてもよい。これらの要求は、ハブアプリケーションを介してハブ7006に送信され得る。I/Oインターフェース7006は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IEEE1394ポート、並びにクラウド7004をハブ7006に接続するためのWi-Fi及びBluetooth I/Oインターフェースを含んでもよい1つ以上の高速データポートを含んでもよい。クラウド7004のハブアプリケーションサーバ7002は、外科用ハブ7006によって実行されるソフトウェアアプリケーション(例えば、ハブアプリケーション)に共有機能をホストし、かつ供給するように構成され得る。例えば、ハブアプリケーションサーバ7002は、ハブアプリケーションによるハブ7006を介する要求を管理し、集約された医療データのデータベース7011へのアクセスを制御し、負荷分散を実行し得る。データ解析モジュール7034について、図12を参照してより詳細に説明する。
【0108】
本開示に記載される特定のクラウドコンピューティングシステムの構成は、具体的には、外科用器具7012、112などの医療用装置を使用して実行される医療手術及び処置のコンテキストにおいて生じる様々な問題に対処するように設計され得る。特に、外科用器具7012は、外科手術の成績を改善するための技術を実施するために、クラウド7004と相互作用するように構成されたデジタル外科用装置であってよい。様々な外科用器具7012及び/又は外科用ハブ7006は、臨床医が外科用器具7012とクラウド7004との間の相互作用の態様を制御できるように、タッチ制御されたユーザインターフェースを含み得る。聴覚的に制御されたユーザインターフェースなどの制御のための他の好適なユーザインターフェースもまた使用することもできる。
【0109】
図12は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの機能アーキテクチャを示すブロック図である。クラウドベースの分析システムは、医療分野において特に生じる問題にデータ解析ソリューションを提供するために、クラウド7004のプロセッサ7008によって実行され得る複数のデータ解析モジュール7034を含み得る。図12に示すように、クラウドベースのデータ解析モジュール7034の機能は、外科用ハブ7006上でアクセスすることができるハブアプリケーションサーバ7002によってホストされたハブアプリケーション7014を介して支援されてもよい。クラウドプロセッサ7008及びハブアプリケーション7014は、データ分析モジュール7034を実行するために連携して動作してもよい。アプリケーションプログラムインターフェース(API)7016は、ハブアプリケーション7014に対応する一連のプロトコル及びルーチンを規定できる。加えて、API7016は、アプリケーション7014の動作のために集約された医療データベース7012へのデータの記憶及び検索を管理できる。キャッシュ7018はまた、データを(例えば、一時的に)記憶でき、アプリケーション7014によって使用されるデータのより効率的な検索のためにAPI7016に連結され得る。図12のデータ解析モジュール7034は、リソース最適化7020、データ収集及び集約7022、認可及びセキュリティ7024、制御プログラム更新7026、患者転帰分析7028、推奨7030、並びにデータ分類及び優先順位付け7032のためのモジュールを含み得る。他の好適なデータ分析モジュールも、いくつかの態様により、クラウド7004によって実装され得る。一態様では、データ解析モジュールは、傾向、転帰、及び他のデータの分析に基づいて特定の推奨に使用され得る。
【0110】
例えば、データ収集及び集約モジュール7022は、顕著な特徴又は構成(例えば、傾向)の識別、冗長データセットの管理、及び手術によってグループ化することができるが、必ずしも実際の外科手術日付及び外科医に一致していないペアリングされたデータセットへのデータの保存を含む、自己記述型データ(例えば、メタデータ)を生成するために使用され得る。特に、外科用器具7012の動作から生成される対のデータセットは、例えば出血又は非出血事象などの二項分類を適用することを含み得る。より一般的には、二項分類は、望ましい事象(例えば、成功した外科処置)又は望ましくない事象(例えば、誤発射又は誤使用された外科用器具7012)のいずれかとして特徴付けられ得る。集約された自己記述型データは、外科用ハブ7006の様々なグループ又はサブグループから受信された個々のデータに対応し得る。したがって、データ収集及び集約モジュール7022は、外科用ハブ7006から受信した生データに基づいて、集約メタデータ又はその他の編成されたデータを生成することができる。この目的のために、プロセッサ7008は、データ分析モジュール7034を実行するために、ハブアプリケーション7014及び集約された医療データのデータベース7011に動作的に連結することができる。データ収集及び集約モジュール7022は、集約された編成データを集約された医療データのデータベース2212に記憶してよい。
【0111】
資源最適化モジュール7020は、この集約されたデータを分析して、特定の医療施設又は医療施設のグループに関する資源の最適な使用を決定するように構成することができる。例えば、資源最適化モジュール7020は、外科用ステープル留め器具7012の対応する予測される要求に基づいて、医療施設のグループに関する外科用ステープル留め器具7012の最適な発注点を決定することができる。資源最適化モジュール7020はまた、資源使用を改善することができるかどうかを判定するために、様々な医療施設の資源使用又は他の動作構成を評価することができる。同様に、推奨モジュール7030は、データ収集及び集約モジュール7022から集約された編成データを分析して推奨を提供するように構成することができる。例えば、推奨モジュール7030は、特定の外科用器具7012が、例えば、誤り率が予測よりも高いことに基づいて改善されたバージョンにアップグレードされるべきであることを、医療施設(例えば、病院などの医療サービス提供者)に推奨することができる。加えて、推奨モジュール7030及び/又は資源最適化モジュール7020は、製品再注文点などのより良好なサプライチェーンパラメータを推奨し、異なる外科用器具7012、その使用、又は手術結果を改善する手順工程の提案を提供することができる。医療施設は、対応する外科用ハブ7006を介してそのような推奨を受信することができる。様々な外科用器具7012のパラメータ又は構成に関する、より具体的な推奨もまた提供することができる。ハブ7006及び/又は外科用器具7012はそれぞれ、クラウド7004によって提供されるデータ又は推奨を表示する表示画面を有することもできる。
【0112】
患者転帰分析モジュール7028は、外科用器具7012の現在使用されている動作パラメータに関連付けられた手術結果を分析することができる。患者転帰分析モジュール7028はまた、他の潜在的な動作パラメータを分析及び評価してもよい。これに関連して、推奨モジュール7030は、より良好な封止又はより少ない出血などの、より良好な手術結果をもたらすことに基づいて、これらの他の潜在的な動作パラメータを使用して推奨することができる。例えば、提案モジュール7030は、対応するステープル留め外科用器具7012に特定のカートリッジを使用するときに関する提案を外科用7006に送信することができる場合もある。したがって、クラウドベースの分析システムは、共通変数を制御しながら、収集された大規模な生データを分析し、複数の医療施設にわたって(有利には、集約されたデータに基づいて決定される)集中的推奨を提供するように構成され得る。例えば、クラウドベースの分析システムは、医療行為の種類、患者の種類、患者の数、同様の種類の器具を使用する医療提供者間の地理的類似性などを、1つの医療施設が単独で独立して分析することはできない方法で、分析、評価、及び/又は集約することができる。制御プログラム更新モジュール7026は、対応する制御プログラムが更新されたときに、様々な外科用器具7012の推奨を実施するように構成することができる。例えば、患者転帰分析モジュール7028は、特定の制御パラメータを成功した(又は失敗した)結果と結び付ける相関関係を識別することができる。そのような相関関係は、更新された制御プログラムが制御プログラム更新モジュール7026を介して外科用器具7012に送信されるときに対処され得る。対応するハブ7006を介して送信され得る器具7012への更新は、クラウド7004のデータ収集及び集約モジュール7022によって収集されかつ分析された集約された成績データを組み込んでもよい。加えて、患者転帰分析モジュール7028及び推奨モジュール7030は、集約された成績データに基づいて、器具7012を使用する改善された方法を識別することができる。
【0113】
クラウドベースの分析システムは、クラウド7004によって実装されるセキュリティ機能を含んでもよい。これらのセキュリティ機能は、認可及びセキュリティモジュール7024によって管理され得る。各外科用ハブ7006は、ユーザ名、パスワード、及びその他の好適なセキュリティ資格情報などの関連する固有の資格情報を有することができる。これらの資格情報は、メモリ7010に記憶され、許可されたクラウドアクセスレベルに関連付けることができる。例えば、正確な資格情報を提供することに基づいて、外科用ハブ7006は、クラウドと所定の範囲まで通信するアクセスを付与され得る(例えば、特定の定義された種類の情報の送信又は受信を行ってよい)。この目的のために、クラウド7004の集約された医療データのデータベース7011は、提供された資格情報の正確さを検証するための認定された資格情報のデータベースを含んでもよい。異なる資格情報は、クラウド7004によって生成されたデータ分析を受信するための所定のアクセスレベルなど、クラウド7004との相互作用のための様々なレベルの許可に関連付けられてよい。更に、セキュリティ目的のために、クラウドは、ハブ7006、器具7012、及び禁止された装置の「ブラックリスト」を含み得るその他の装置のデータベースを維持することができる。具体的には、ブラックリスト上に列挙された外科用ハブ7006は、クラウドと相互作用することを許可されなくてもよい一方で、ブラックリスト上に列挙された外科用器具7012は、対応するハブ7006への機能的アクセスを有さなくてもよく、かつ/又は対応するハブ7006とペアリングされたときに完全に機能することが防止されてもよい。追加的に又は代替的に、クラウド7004は、不適合性又はその他の指定された基準に基づいて、器具7012にフラグを立ててもよい。このようにして、偽造医療用装置、及びそのような装置の、クラウドベースの分析システム全体での不適切な再使用を識別し、対処することができる。
【0114】
外科用器具7012は、無線送受信機を使用して、例えば、対応するハブ7006及びクラウド7004へのアクセスのための認可資格情報を表し得る無線信号を送信してもよい。有線送受信機も、信号を送信するために使用することができる。そのような認可資格情報は、外科用器具7012のそれぞれのメモリ装置に記憶することができる。認可及びセキュリティモジュール7024は、認可資格情報が正確であるか又は偽造であるかを判定することができる。認可及びセキュリティモジュール7024はまた、強化されたセキュリティのために、認可資格情報を動的に生成してもよい。資格情報はまた、ハッシュベースの暗号化を使用することなどによって、暗号化することができる場合もある。適切な認可を送信すると、外科用器具7012は、対応するハブ7006及び最終的にはクラウド7004に信号を送信して、器具7012が医療データを取得し送信する準備ができていることを示すことができる。これに応答して、クラウド7004は、集約された医療データのデータベース7011に記憶するための医療データを受信することが可能な状態に遷移し得る。このデータ伝送準備は、例えば、器具7012上の光インジケータによって示すことができる。クラウド7004はまた、それらの関連する制御プログラムを更新するために、外科用器具7012に信号を送信することができる。クラウド7004は、制御プログラムに対するソフトウェアアップデートが適切な外科用器具7012にのみ送信されるように、特定の部類の外科用器具7012(例えば、電気外科器具)に向けられた信号を送信することができる。更に、クラウド7004は、選択的データ送信及び認可資格情報に基づいてローカル又はグローバルの問題に対処するために、システム全体のソリューションを実装するために使用することができる場合もある。例えば、外科用器具7012のグループが共通の製造欠陥を有するものとして識別される場合、クラウド7004は、このグループに対応する認可資格情報を変更して、このグループの動作ロックアウトを実施し得る。
【0115】
クラウドベースの分析システムは、改善された実務を判定し、それに応じて変更を推奨する(例えば、提案モジュール2030を介して)ために、複数の医療施設(例えば、病院のような医療施設)を監視することを可能にし得る。したがって、クラウド7004のプロセッサ7008は、個々の医療施設に関連付けられたデータを分析して、施設を識別し、そのデータを他の医療施設に関連付けられた他のデータと集約することができる。グループは、例えば、同様の操作行為又は地理的位置に基づいて規定し得る。このようにして、クラウド7004は、医療施設グループに幅広い分析及び推奨を提供することができる。クラウドベースの分析システムはまた、強化された状況認識のために使用することもできる。例えば、プロセッサ7008は、(全体的な動作及び/又は様々な医療処置と比較して)特定の施設に対するコスト及び有効性に関する推奨の効果を予測的にモデル化してもよい。その特定の施設に関連するコスト及び有効性はまた、他の施設又は任意のその他の同等の施設の対応するローカル領域と比較することもできる。
【0116】
データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、重大性(例えば、データに関連付けられた医療イベントの重篤度、意外さ、不審さ)に基づいてデータを優先順位付けし分類してもよい。この分類及び優先順位付けは、本明細書に記載されるクラウドベースの分析及び動作を改善するために、本明細書に記載される他のデータ解析モジュール7034の機能と併せて使用し得る。例えば、データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、データ収集及び集約モジュール7022並びに患者転帰分析モジュール7028によって実行されるデータ分析に対する優先度を割り当てることができる。異なる優先順位レベルは、迅速応答のための上昇、特別な処理、集約された医療データのデータベース7011からの除外、又はその他の好適な応答などの、(緊急性のレベルに対応して)クラウド7004からの特定の応答をもたらすことができる。更に、必要に応じて、クラウド7004は、対応する外科用器具7012からの追加データのために、ハブアプリケーションサーバを介して要求(例えば、プッシュメッセージ)を送信することができる。プッシュメッセージは、支持又は追加のデータを要求するために、対応するハブ7006上に表示された通知をもたらすことができる。このプッシュメッセージは、クラウドが有意な不規則性又は外れ値を検出し、クラウドがその不規則性の原因を判定することができない状況で必要とされ得る。中央サーバ7013は、例えば、データが所定の閾値を超えて予測値と異なると判定されたとき、又はセキュリティが含まれていたと見られる場合など、特定の重大な状況において、このプッシュメッセージをトリガするようにプログラムされることができる。
【0117】
説明された様々な機能に関する更なる例示的な詳細を、以下の説明において提供する。様々な説明のそれぞれは、ハードウェア及びソフトウェアの実装の一実施例として図11及び図12に記載されるように、クラウドアーキテクチャを利用してもよい。
【0118】
図13は、本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式デバイス9050の制御プログラム更新を適応生成するように構成されている、コンピュータ実装適応外科用システム9060のブロック図を示す。いくつかの例示では、外科用システムは、外科用ハブ9000と、外科用ハブ9000に通信可能に連結された複数のモジュール式デバイス9050と、外科用ハブ9000に通信可能に連結された分析システム9100とを含んでもよい。単一の外科用ハブ9000が示され得るが、外科用システム9060は、分析システム9010に通信可能に連結される外科用ハブ9000のネットワークを形成するように接続され得る、任意の数の外科用ハブ9000を含み得ることに留意されたい。いくつかの例示では、外科用ハブ9000は、記憶された命令を実行するためのメモリ9020に連結されたプロセッサ9010と、データが分析システム9100に送信されるデータ中継インターフェース9030とを含み得る。いくつかの例示では、外科用ハブ9000は、ユーザからの入力を受信するための入力デバイス9092(例えば、静電容量式タッチスクリーン又はキーボード)と、ユーザに出力を提供するための出力デバイス9094(例えば、表示画面)とを有するユーザインターフェース9090を更に含み得る。出力は、ユーザによって入力されたクエリからのデータ、所与の手技において使用するための製品若しくは製品構成の提案、及び/又は外科処置手技の前、間、若しくは後に行われる行為のための指示を含むことができる。外科用ハブ9000は更に、モジュール式デバイス9050を外科用ハブ9000に通信可能に連結するためのインターフェース9040を含んでもよい。一態様では、インターフェース9040は、無線通信プロトコルを介してモジュール式デバイス9050に通信可能に接続可能な送受信機を含んでもよい。モジュール式デバイス9050としては、例えば、外科用ステープル留め及び切断器具、電気外科器具、超音波器具、吸入器、送気器、及び表示画面を挙げることができる。いくつかの例示では、外科用ハブ9000は更に、EKGモニタ又はBPモニタなどの1つ以上の患者監視装置9052に通信可能に連結され得る。いくつかの例示では、外科用ハブ9000は更に、外科用ハブ9000が位置する医療施設のEMRデータベースなどの1つ以上のデータベース9054又は外部コンピュータシステムに通信可能に連結され得る。
【0119】
モジュール式デバイス9050が外科用ハブ9000に接続されると、外科用ハブ9000は、モジュール式デバイス9050から周術期データを感知又は受信し、次いで、受信した周術期データを外科処置転帰データと関連付けることができる。周術期データは、外科処置の過程でモジュール式デバイス9050がどのように制御されたかを示すことができる。処置転帰データは、外科処置(又はその工程)からの結果に関連付けられたデータを含み、それは、外科処置(又はその工程)が良い又は悪い転帰を有したか否かを含むことができる。例えば、転帰データは、患者が特定の手技による術後合併症を発症したか否か、又は特定のステープル留め若しくは切開線において漏出(例えば、出血又は空気漏出)があったか否かを含むことができる。外科用ハブ9000は、外部ソースから(例えば、EMRデータベース9054から)データを受信することによって、転帰を(例えば、接続されたモジュール式デバイス9050のうちの1つを介して)直接検出することによって、又は状況認識システムを通して転帰の発生を推測することによって、外科処置転帰データを取得することができる。例えば、術後合併症に関するデータをEMRデータベース9054から検索することができ、ステープル留め又は切開線の漏出に関するデータを状況認識システムによって直接検出又は推測することができる。外科処置転帰データは、モジュール式デバイス9050自体、患者監視装置9052、及び外科用ハブ9000が接続されるデータベース9054などの、種々のデータソースから受信したデータから、状況認識システムによって推測することができる。
【0120】
外科用ハブ9000は、関連付けられたモジュール式デバイス9050のデータ及び転帰データを、分析システム9100にそこでの処理のために送信することができる。モジュール式デバイス9050がどのように制御されるかを示す周術期データと、処置転帰データとの両方を送信することによって、分析システム9100は、モジュール式デバイス9050を制御する異なる様式を、特定の処置の種類についての手術結果と相関させることができる。いくつかの例示では、分析システム9100は、外科用ハブ9000からデータを受信するように構成された分析サーバ9070のネットワークを含んでもよい。分析サーバ9070の各々は、メモリと、受信したデータを分析するために記憶された命令を実行しているメモリに結合されたプロセッサとを含むことができる。いくつかの例示では、分析サーバ9070は、分散コンピューティングアーキテクチャで接続されてもよく、及び/又はクラウドコンピューティングアーキテクチャを利用してもよい。この対にされたデータに基づいて、分析システム9100は、次いで、様々な種類のモジュール式デバイス9050について最適又は好ましい動作パラメータを学習し、現場のモジュール式デバイス9050の制御プログラムに対する調整を生成し、次いで、モジュール式デバイス9050の制御プログラムに対する更新を送信(又は「プッシュ」)することができる。
【0121】
外科用ハブ9000及びそれに接続可能な種々のモジュール式デバイス9050を含む、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム9060に関する更なる詳細は、図5図6に関連して説明される。
【0122】
図14は、本開示による外科用システム6500を提供し、有線又は無線接続を介してローカルエリアネットワーク6518又はクラウドネットワーク6520を通じてコンソール6522又はポータブルデバイス6526と通信することができる外科用器具6502を含み得る。様々な態様では、コンソール6522及びポータブルデバイス6526は、任意の適切なコンピューティングデバイスであり得る。外科用器具6502は、ハンドル6504と、アダプタ6508と、装填ユニット6514とを含み得る。アダプタ6508は、ハンドル6504に解放可能に連結し、装填ユニット6514は、アダプタ6508が駆動シャフトから装填ユニット6514に力を伝達するように、アダプタ6508に解放可能に連結する。アダプタ6508又は装填ユニット6514は、装填ユニット6514にかかる力を測定するために、内部に配置される力ゲージ(明示的に図示せず)を含んでもよい。装填ユニット6514は、第1のジョー6532及び第2のジョー6534を有するエンドエフェクタ6530を備え得る。装填ユニット6514は、装填ユニット6514を手術部位から抜いて装填ユニット6514を再装填する必要なく、臨床医が複数の締結具を複数回発射することを可能にするin-situ装填、つまり複数回発射装填ユニット(MFLU)であってもよい。
【0123】
第1及び第2のジョー6532、6534は、それらの間に組織をクランプし、クランプされた組織を通して締結具を発射し、クランプされた組織を切断するように構成され得る。第1のジョー6532は、少なくとも1つの締結具を複数回発射するように構成されてもよく、又は交換される前に2回以上発射できる複数の締結具(例えば、ステープル、クリップなど)を含む交換可能な複数回発射締結具カートリッジを含むように構成されてもよい。第2のジョー6534は、締結具が複数回発射締結具カートリッジから排出される際に、締結具を変形させるか、又は他の方法で組織の周りに固定するアンビルを含んでもよい。
【0124】
ハンドル6504は、駆動シャフトの回転に影響を及ぼすように駆動シャフトに結合されるモータを含んでもよい。ハンドル6504は、モータを選択的に作動させるための制御インターフェースを含むことができる。制御インターフェースは、ボタン、スイッチ、レバー、スライダ、タッチスクリーン、及び任意の他の好適な入力機構又はユーザインターフェースを含んでもよく、これらは、モータを起動するために臨床医によって係合され得る。
【0125】
ハンドル6504の制御インターフェースは、ハンドル6504のコントローラ6528と通信して、モータを選択的に作動させ、駆動シャフトの回転に作用することができる。コントローラ6528は、ハンドル6504内に配置されてもよく、制御インターフェースからの入力、及びアダプタ6508からのアダプタデータ、又は装填ユニット6514からの装填ユニットデータを受信するように構成される。コントローラ6528は、モータを選択的に起動するために、制御インターフェースからの入力、並びにアダプタ6508及び/又は装填ユニット6514から受信されたデータを分析することができる。ハンドル6504はまた、ハンドル6504の使用中に臨床医が見ることができるディスプレイを含んでもよい。ディスプレイは、器具6502の発射前、発射中、又は発射後に、アダプタ又は装填ユニットデータの部分を表示するように構成されてもよい。
【0126】
アダプタ6508は、内部に配置されるアダプタ識別デバイス6510を含んでもよく、装填ユニット6514は、内部に配置される装填ユニット識別デバイス6516を含む。アダプタ識別デバイス6510は、コントローラ6528と通信してもよく、装填ユニット識別デバイス6516は、コントローラ6528と通信してもよい。装填ユニット識別デバイス6516は、装填ユニット識別デバイス6516からコントローラ6528への通信を中継又は通過するアダプタ識別デバイス6510と通信し得ることが理解されるであろう。
【0127】
アダプタ6508はまた、アダプタ6508又は環境の種々の状態(例えば、アダプタ6508が装填ユニットに接続されているかどうか、アダプタ6508がハンドルに接続されているかどうか、駆動シャフトが回転しているかどうか、駆動シャフトのトルク、駆動シャフトの歪み、アダプタ6508内の温度、アダプタ6508の発射回数、発射中のアダプタ6508のピーク力、アダプタ6508に印加される力の総量、アダプタ6508のピーク後退力、発射中のアダプタ6508の休止回数など)を検出するために、その周囲に配置される複数のセンサ6512(1つが示される)を含んでもよい。複数のセンサ6512は、データ信号の形態でアダプタ識別デバイス6510に入力を提供することができる。複数のセンサ6512のデータ信号は、アダプタ識別デバイス6510内に記憶されてもよく、又はアダプタ識別デバイス6510内に記憶されたアダプタデータを更新するために使用されてもよい。複数のセンサ6512のデータ信号は、アナログ又はデジタルであってもよい。複数のセンサ6512は、発射中に装填ユニット6514に及ぼされる力を測定するための力ゲージを含んでもよい。
【0128】
ハンドル6504及びアダプタ6508は、電気的インターフェースを介して、アダプタ識別デバイス6510及び装填ユニット識別デバイス6516をコントローラ6528と相互接続するように構成され得る。電気的インターフェースは、直接電気的インターフェースであってもよい(すなわち、エネルギー及び信号をそれらの間で伝送するために互いに係合する電気接点を含む)。加えて、又は代替として、電気的インターフェースは、エネルギー及び信号をそれらの間で無線伝送する(例えば、誘導伝送する)ための非接触電気的インターフェースであってもよい。アダプタ識別デバイス6510及びコントローラ6528は、電気的インターフェースとは別個のワイヤレス接続を介して互いにワイヤレス通信し得ることも企図される。
【0129】
ハンドル6504は、コントローラ6528からシステム6500の他の構成要素(例えば、LAN6518、クラウド6520、コンソール6522、又はポータブルデバイス6526)に器具データを送信するように構成された送信機6506を含んでもよい。送信機6506はまた、システム6500の他の構成要素からデータ(例えば、カートリッジデータ、装填ユニットデータ、又はアダプタデータ)を受信してもよい。例えば、コントローラ6528は、ハンドル6504に取り付けられる取り付けられたアダプタ(例えば、アダプタ6508)のシリアル番号、アダプタに取り付けられた装填ユニット(例えば、装填ユニット6514)のシリアル番号、及び装填ユニットに装填された複数回発射締結具カートリッジ(例えば、複数回発射締結具カートリッジ)のシリアル番号を含む器具データを、コンソール6528に送信してもよい。その後、コンソール6522は、取り付けられたカートリッジ、装填ユニット、及びアダプタにそれぞれ関連付けられたデータ(例えば、カートリッジデータ、装填ユニットデータ、又はアダプタデータ)をコントローラ6528に返信してもよい。コントローラ6528は、ローカル機器ディスプレイ上にメッセージを表示するか、又は送信機6506を介してコンソール6522又はポータブルデバイス6526にメッセージを送信して、それぞれディスプレイ6524又はポータブルデバイススクリーン上にメッセージを表示することができる。
【0130】
図15Aは、動作モードを決定し、決定されたモードで動作するための例示的なフローを示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム並びに/又はコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの構成要素及び/若しくはサブシステムは、更新されるように構成され得る。そのような更新は、更新前にユーザに利用可能でなかった機能及び利益の包含を含み得る。これらの更新は、ユーザに機能を導入するのに適したハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェア更新の任意の方法によって確立することができる。例えば、交換可能/スワップ可能(例えば、ホットスワップ可能)なハードウェアコンポーネント、フラッシュ可能なファームウェアデバイス、及び更新可能なソフトウェアシステムを使用して、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム並びに/又はコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの構成要素及び/若しくはサブシステムを更新することができる。
【0131】
更新は、任意の適切な基準又は一連の基準を条件とすることができる。例えば、更新は、処理能力、帯域幅、解像度など、システムの1つ以上のハードウェア能力を条件とすることができる。例えば、更新は、あるソフトウェアコードの購入など、1つ以上のソフトウェア面を条件とすることができる。例えば、更新は、購入されたサービス階層を条件とすることができる。サービス階層は、ユーザがコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムに関連して使用する権利がある特徴及び/又は一連の特徴を表してもよい。サービス階層は、ライセンスコード、eコマースサーバ認証対話、ハードウェアキー、ユーザ名/パスワードの組み合わせ、生体認証対話、公開/秘密鍵交換対話などによって決定され得る。
【0132】
10704において、システム/デバイスパラメータが識別され得る。システム/デバイスパラメータは、更新が条件付けられる任意の要素又は一連の要素であり得る。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムは、モジュール式デバイスと外科用ハブとの間の通信のある帯域幅を検出してもよい。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムは、特定のサービス階層の購入の指示を検出してもよい。
【0133】
10708において、動作モードは、識別されたシステム/デバイスパラメータに基づいて決定され得る。この決定は、システム/デバイスパラメータを動作モードにマッピングするプロセスによって行われ得る。プロセスは、手動及び/又は自動プロセスであってもよい。プロセスは、ローカル計算処理及び/又はリモート計算処理の結果であってよい。例えば、クライアント/サーバ対話を使用して、識別されたシステム/デバイスパラメータに基づいて動作モードを決定することができる。例えば、ローカルソフトウェア及び/又はローカルに埋め込まれたファームウェアが、識別されたシステム/デバイスパラメータに基づいて動作モードを決定するために使用され得る。例えば、セキュアなマイクロプロセッサなどのハードウェアキーが、例えば、識別されたシステム/デバイスパラメータに基づいて動作モードを決定するために使用され得る。
【0134】
10710において、動作は、決定された動作モードに従って進行し得る。例えば、システム又はデバイスは、デフォルト動作モードで動作するように進み得る。例えば、システム又はデバイスは、代替動作モードで動作するように進み得る。動作モードは、システム又はデバイス内に既に存在する制御ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって指示され得る。動作モードは、新しくインストール/更新された制御ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって指示され得る。
【0135】
図15Bは、動作モードを変更するための例示的な機能ブロック図を示す。アップグレード可能な要素10714は、初期設定コンポーネント10716を含み得る。初期設定コンポーネント10716は、動作モードを決定するのに適した任意のハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含み得る。例えば、初期設定コンポーネント10716は、システム又はデバイススタートアッププロシージャの一部であり得る。初期設定コンポーネント10716は、アップグレード可能な要素10714の動作モードを決定するための相互作用に関与してもよい。例えば、初期設定コンポーネント10716は、例えば、ユーザ10730、外部リソース10732、及び/又はローカルリソース10718と対話することができる。例えば、初期設定コンポーネント10716は、ユーザ10730からライセンスキーを受信して、動作モードを決定することができる。初期設定コンポーネント10716は、動作モードを決定するために、アップグレード可能な装置10714のシリアル番号を用いて、例えばサーバなどの外部リソース10732に問い合わせてもよい。例えば、初期設定コンポーネント10716は、利用可能な帯域幅の量を決定するためのローカルクエリ及び/又は例えば動作モードを決定するためのハードウェアキーのローカルクエリなど、ローカルリソース10718に問い合わせてもよい。
【0136】
アップグレード可能な要素10714は、1つ以上の動作コンポーネント10720、10722、10726、10728及び動作ポインタ10724を含むことができる。初期設定コンポーネント10716は、動作ポインタ10724に指示して、アップグレード可能な要素10741の動作を、決定された動作モードに対応する動作コンポーネント10720、10722、10726、10728に向けることができる。初期設定コンポーネント10716は、アップグレード可能な要素の動作をデフォルト動作コンポーネント10720に向けるように動作ポインタ10724に指示してもよい。例えば、デフォルト動作コンポーネント10720は、他の代替動作モードが決定されていないという条件で選択されてもよい。例えば、デフォルト動作コンポーネント10720は、初期設定コンポーネントの障害及び/又は対話障害の条件で選択されてもよい。初期設定コンポーネント10716は、アップグレード可能な要素10714の動作を常駐動作コンポーネント10722に向けるように動作ポインタ10724に指示してもよい。例えば、特定の機能がアップグレード可能なコンポーネント10714に常駐してもよいが、動作させるためには起動を必要とする。初期設定コンポーネント10716は、新しい動作コンポーネント10728及び/又は新たにインストールされた動作コンポーネント10726をインストールするよう、アップグレード可能な要素10714の動作を向けるように動作ポインタ10724に指示してもよい。例えば、新しいソフトウェア及び/又はファームウェアがダウンロードされてもよい。新しいソフトウェア及び/又はファームウェアは、選択された動作モードによって表される機能を有効にするコードを含むことができる。例えば、新しいハードウェアコンポーネントをインストールして、選択された動作モードを有効にすることができる。
【0137】
図16は、本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式デバイス9050の制御プログラムを更新するためのプロセス9200の論理フロー図を示す。プロセス9200は、例えば、分析システム9100の分析サーバ9070の1つ以上のプロセッサによって実行することができる。一例示では、分析システム9100は、クラウドコンピューティングシステムであり得る。経済性のために、プロセス9200の以下の説明は、分析システム9100によって実行されるものとして説明されるが、しかしながら、分析システム9100は、プロセス9200の記載された工程を実行しているプロセッサ及び/又は制御回路を含むことを理解されたい。
【0138】
分析システム9100は、分析システム9100に通信可能に接続された外科用ハブ9000のうちの1つ以上から、モジュール式デバイス9050の周術期データ及び外科処置転帰データを受信する(9202)。周術期データは、所与の外科処置に関連してモジュール式デバイス9050によって検出された術前データ、術中データ、及び/又は術後データを含む。モジュール式デバイス9050又は手動で制御されるモジュール式デバイス9050の特定の機能に関して、周術期データは、外科スタッフメンバーがモジュール式デバイス9050を操作した様式を示す。モジュール式デバイス9050、又はモジュール式デバイスの制御プログラムによって制御されるモジュール式デバイス9050の特定の機能に関して、周術期データは、制御プログラムがモジュール式デバイス9050を動作させた様式を示す。モジュール式デバイス9050が(手動制御又はモジュール式デバイス9050の制御プログラムによる制御のいずれかに起因して)特定の条件セット下で機能する様式は、モジュール式デバイス9050によって示される「動作挙動」と称され得る。モジュール式デバイス9050の周術期データは、モジュール式デバイス9050の状態に関するデータ(例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の発射力若しくは閉鎖力、又は電気外科用若しくは超音波器具の出力)、モジュール式デバイス9050によって測定された組織データ(例えば、インピーダンス、厚さ、又は硬さ)、及びモジュール式デバイス9050によって検出され得る他のデータを含む。周術期データは、モジュール式デバイス9050が様々な検出された状態に応答してどのように機能したかを示すため、モジュール式デバイス9050が外科処置の過程中に動作するようにプログラムされた、又は手動で制御された様式を示す。
【0139】
外科処置転帰データは、外科処置の全体的な転帰に関するデータ(例えば、外科処置中に合併症があったか否か)、又は外科処置内の特定の工程の転帰に関するデータ(例えば、特定のステープルラインが出血又は漏出したか否か)を含む。処置転帰データは、例えば、モジュール式デバイス9050及び/又は外科用ハブ9000によって直接検出することができ(例えば、医療撮像デバイスは出血を視覚化又は検出することができる)、米国特許出願公開第2019/0201140(A1)号に記載されているような外科用ハブ9000の状況認識システムによって決定又は推測することができ、あるいは外科用ハブ9000又は分析システム9100によってデータベース9054(例えば、EMRデータベース)から取り出すことができる。処置転帰データは、データによって表される各転帰が良い結果であったか悪い結果であったかを含むことができる。各転帰が良かったか悪かったかは、モジュール式デバイス9050自体によって判定され、外科用ハブ9000に送信される周術期データに含まれ得るか、又は受信された周術期データから外科用ハブ9000によって判定若しくは推測され得る。例えば、出血したステープルラインについての処置転帰データは、出血が悪い転帰を表したことを含み得る。同様に、出血しなかったステープルラインについての処置転帰データは、出血がなかったことが良い転帰を表したことを含み得る。別の例示では、分析システム9100は、受信された処置転帰データに基づいて、処置結果が良い転帰であるか悪い転帰であるかを判定するように構成され得る。いくつかの例示では、モジュール式デバイス9050のデータを良い又は悪い処置転帰に相関させることにより、分析システム9100は、制御プログラム更新が生成されるべきかどうかを判定することができる(9208)。
【0140】
分析システム9100がデータを受信すると(9202)、分析システム9100は、モジュール式デバイス9050及び処置転帰データを分析して、モジュール式デバイス9050が特定の処置又は特定の処置の工程に関連して最適以下で利用されているか否かを判定する(9204)。モジュール式デバイス9050は、モジュール式デバイス9050が制御されている特定の様式が繰り返しエラーを引き起こしている場合、又はモジュール式デバイス9050を制御する代替の方法が同じ条件下で優れている場合、最適以下で制御され得る。したがって、分析システム9100は、モジュール式デバイス9050によって生成される良い転帰及び/又は悪い転帰の割合を、設定された閾値又は同じ種類の他のモジュール式デバイス9050の性能と比較することによって、モジュール式デバイス9050が最適以下で制御されているかどうかを(手動で又はその制御プログラムによって)判定することができる。
【0141】
例えば、分析システム9100は、特定の動作挙動に関連して特定の条件セット下でモジュール式デバイス9050によって生成される悪い処置転帰の割合が平均又は閾値レベルを超える場合、ある種類のモジュール式デバイス9050が最適以下で動作しているか否かを判定することができる。特定の例として、分析システム9100は、特定の発射力(又は発射力の範囲)を命令する外科用ステープル留め器具の制御プログラムが、特定の組織厚さ及び組織の種類に対して最適以下であるか否かを分析することができる(9204)。分析システム9100が、器具が特定の力で発射された(例えば、ステープルを奇形にさせる、組織を完全に貫通しない、又は組織を断裂させる)ときに平均又は閾値ステープルライン漏出率に対して異常に高い割合の漏出ステープルラインを生成すると判定した場合、分析システム9100は、外科用ステープル留め器具の制御プログラムが組織状態を考慮して最適以下で実行していると判定することができる。
【0142】
別の例として、分析システム9100は、特定の動作挙動に関連する特定の条件セット下で代替的な制御様式によって生成される良い転帰の割合が、同じ条件下で分析された制御様式によって生成される良い転帰の割合を超える場合に、ある種類のモジュール式デバイス9050が最適以下で動作しているかどうかを判定することができる。言い換えれば、ある種類のモジュール式デバイス9050の1つの部分集団が、ある特定の条件セット下で第1の動作挙動を示し、同じ種類のモジュール式デバイス9050の第2の部分集団が、同じ条件セット下で第2の動作挙動を示す場合、分析システム9100は、第1の動作挙動又は第2の動作挙動が、良い処置転帰とより高度に相関するかどうかに従って、モジュール式デバイス9050の制御プログラムを更新するかどうかを決定することができる。特定の例として、分析システム9100は、特定のエネルギーレベルを指示するRF電気外科器具又は超音波器具の制御プログラムが特定の組織の種類及び環境条件に対して最適以下であるか否かを分析することができる(9204)。分析システム9100が、組織条件及び環境条件(例えば、関節鏡手術のように、器具が液体で満たされた環境内に位置する)のセットを所与として第1のエネルギーレベルが第2のエネルギーレベルよりも低い止血率を生成すると判定した場合、分析システム9100は、第1のエネルギーレベルを指示する電気外科器具又は超音波器具の制御プログラムが所与の組織及び環境条件に対して最適以下で実行していると判定することができる。
【0143】
データを分析した(9204)後、分析システム9100は、制御プログラムを更新するかどうかを決定する(9206)。モジュール式デバイス9050が最適以下で制御されていないと分析システム9100が判定した場合、プロセス9200は「いいえ」の分岐に沿って継続し、分析システム9100は、上述のように、受信した(9202)データの分析(9204)を継続する。モジュール式デバイス9050が最適以下で制御していると分析システム9100が判定した場合、プロセス9200は「はい」の分岐に沿って継続し、分析システム9100は制御プログラム更新を生成する(9208)。生成された(9208)制御プログラム更新は、例えば、前のバージョンを上書きするための特定の種類のモジュール式デバイス9050のための制御プログラムの新しいバージョン、又は前のバージョンを部分的に上書き若しくは補足するパッチを含む。
【0144】
分析システム9100によって生成される(9208)制御プログラム更新のタイプは、分析システム9100によって識別されるモジュール式デバイス9050によって示される特定の最適以下の挙動に依存する。例えば、分析システム9100が、外科用ステープル留め器具を発射する特定の力が、漏出するステープルラインの割合の増加をもたらすと判定した場合、分析システム9100は、発射する力を第1の値から、より高い割合の非漏出ステープルライン又はより低い割合の漏出ステープルラインに対応する第2の値に調整する制御プログラム更新を生成することができる(9208)。別の例として、分析システム9100が、器具が液体で満たされた環境で使用されるときに(例えば、液体のエネルギー散逸効果に起因して)電気外科器具又は超音波器具の特定のエネルギーレベルが低い止血率をもたらすと判定した場合、分析システム9100は、器具が液体に浸漬される外科処置で利用されるときに器具のエネルギーレベルを調整する制御プログラム更新を生成することができる(9208)。
【0145】
分析システム9100によって生成される(9208)制御プログラム更新のタイプはまた、モジュール式デバイス9050によって示される最適以下の挙動が、手動制御によって引き起こされるか、又はモジュール式デバイス9050の制御プログラムによる制御によって引き起こされるかにも依存する。最適以下の挙動が手動制御によって引き起こされる場合、制御プログラム更新は、ユーザがモジュール式デバイス9050を操作している様式に基づいて、ユーザに警告、推奨、又はフィードバックを提供するように構成され得る。代替として、制御プログラム更新は、モジュール式デバイス9050の手動制御動作を、モジュール式デバイス9050の制御プログラムによって制御される動作に変更することができる。制御プログラム更新は、ユーザが特定の機能の制御プログラムの制御を無効にすることを許可してもしなくてもよい。一例示では、分析システム9100が、外科医がRF電気外科器具を特定の組織の種類又は処置の種類に対して最適以下のエネルギーレベルに手動で設定していると判定した場合(9204)、分析システム9100は、エネルギーレベルの変更を推奨するアラートを(例えば、外科用ハブ9000又はRF電気外科器具自体に)提供する制御プログラム更新を生成することができる(9208)。別の例示では、生成された(9208)制御プログラム更新は、特定の検出された状況を前提として、エネルギーレベルをデフォルト又は推奨レベルに自動的に設定することができ、次いで、医療施設スタッフによって所望に応じて変更することができる。更に別の実施形態では、生成された(9208)制御プログラム更新は、分析システム9100によって決定された設定レベルにエネルギーレベルを自動的に設定することができ、医療施設スタッフがエネルギーレベルを変更することを許可しない。最適以下の挙動がモジュール式デバイス9050の制御プログラムによって引き起こされる場合、制御プログラム更新は、制御プログラムが最適以下で実行している特定の環境セット下で制御プログラムがどのように機能するかを変更することができる。
【0146】
制御プログラム更新が分析システム9100によって生成されると(9208)、分析システム9100は、次いで、制御プログラム更新を、分析システム9100に接続されている関連する種類のモジュール式デバイス9050の全てに送信する(9210)又はプッシュする。モジュール式デバイス9050は、例えば、外科用ハブ900を通じて分析システム9100に接続され得る。一例示では、外科用ハブ9000は、様々な種類のモジュール式デバイス9050の制御プログラム更新を、それによって更新が生成される(9208)たびに分析システム9100からダウンロードするように構成される。モジュール式デバイス9050が、その後、外科用ハブ9000に接続又はペアリングされると、モジュール式デバイス9050は、そこから任意の制御プログラム更新を自動的にダウンロードする。一例示では、分析システム9100は、その後、上述したように、モジュール式デバイス9050からのデータの受信(9202)及び分析(9204)を継続することができる。
【0147】
一態様では、外科用システム9060は、モジュール式デバイス9050が外科用ハブ9000のデータストリームにおいて期限切れであることが検出された場合、ソフトウェアパラメータ及び更新の検証をプッシュダウンするように構成される。図17は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ9000を通してモジュール式デバイス9050に更新をプッシュする分析システム9100の図を示す。一例示では、分析システム9000は、特定の種類のモジュール式デバイス9050のために生成された制御プログラム更新を外科用ハブ9000に送信するように構成される。一態様では、モジュール式デバイス9050が外科用ハブ9000に接続するたびに、モジュール式デバイス9050は、その制御プログラムの更新されたバージョンが外科用ハブ9000上にあるか、又はそうでなければそれを介してアクセス可能であるか否かを判定する。外科用ハブ9000が特定の種類のモジュール式デバイス9050のための更新された制御プログラムを有する(又は、更新された制御プログラムが分析システム9100から利用可能である)場合、モジュール式デバイス9050は、そこから制御プログラム更新をダウンロードする。
【0148】
一例示では、分析システム9100に送信される任意のデータセットは、外科用ハブ9000の一意のIDと、その制御プログラム又はオペレーティングシステムの現在のバージョンとを含む。一例示では、分析システム9100に送られる任意のデータセットは、モジュール式デバイス9050の一意のIDと、その制御プログラム又はオペレーティングシステムの現在のバージョンとを含む。アップロードされたデータに関連付けられている外科用ハブ9000及び/又はモジュール式デバイス9050の一意のIDは、分析システム9100が、データが制御プログラムの最新バージョンに対応するかどうかを判定することを可能にする。分析システム9100は、例えば、期限切れの制御プログラムによって制御されているモジュール式デバイス9050又は外科用ハブ9000によって生成されたデータを差し引く(又は無視する)ことを選択し、及び/又は制御プログラム更新バージョンをモジュール式デバイス9050又は外科用ハブ9000にプッシュさせることができる。
【0149】
一例示では、外科用ハブ9000が更新された制御ソフトウェアを有する全てのモジュール式デバイス9050の動作バージョンはまた、周期的に分析システム9100に送信される外科用ハブ9000の状況データブロックに含まれ得る。分析システム9100が、外科用ハブ9100及び/又は接続可能なモジュール式デバイス9050のいずれかの制御プログラムの動作バージョンが期限切れであると識別する場合、分析システム9100は、関連する制御プログラムの最新のリビジョンを外科用ハブ9000にプッシュすることができる。
【0150】
一例示では、外科用ハブ9000及び/又はモジュール式デバイス9050は、任意のソフトウェア更新を自動的にダウンロードするように構成され得る。別の例示では、外科用ハブ9000及び/又はモジュール式デバイス9050は、ユーザが期限切れの制御プログラムを更新したいかどうかを次のセットアップ工程(例えば、外科処置の間)において尋ねるプロンプトをユーザに提供するように構成され得る。別の例示では、外科用ハブ9000は、決して更新を許可しないように、又は外科用ハブ9000自体ではなく、モジュール式デバイス9050の更新のみを許可するように、ユーザによってプログラム可能であり得る。
【0151】
図18は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ9000の制御プログラム更新を適応生成するように構成されている、コンピュータ実装適応外科用システム9060の図を示す。外科用システム9060は、分析システム9100に通信可能に連結されたいくつかの外科用ハブ9000を含む。分析システム9100に接続された全集団内の外科用ハブ9000の部分集団(それぞれが個々の外科用ハブ9000又は外科用ハブ9000のグループを含むことができる)は、外科処置の過程中に異なる動作挙動を示すことができる。集団内の外科用ハブ9000のグループ間の動作挙動の差異は、外科用ハブ9000がそれらの制御プログラムの異なるバージョンを実行することから、外科用ハブ9000の制御プログラムがローカルの外科スタッフによって異なるようにカスタマイズ又はプログラムされることによって、又はローカルの外科スタッフが外科用ハブ9000を異なるように手動で制御することによって生じ得る。図示の例では、外科用ハブ9000の集団は、特定のタスクのために、第1の動作挙動を示している第1の部分集団9312と、第2の動作挙動を示している第2の部分集団9314とを含む。外科用ハブ9000は、この特定の例では一対の部分集団9312、9314に分割されるが、外科用ハブ9000の集団内で示される異なる挙動の数には実際的な制限はない。外科用ハブ9000が実行することができるタスクは、例えば、外科用器具を制御すること、又は特定の方法でデータセットを分析することを含む。
【0152】
外科用ハブ9000は、外科用ハブ9000の動作挙動に関する周術期データを分析システム9100に送信するように構成され得る。周術期データは、術前データ、術中データ、及び術後データを含むことができる。術前データとして、例えば、人口統計的特性、病歴、既存の病状、術前精密検査、薬歴(すなわち、現在及び以前に服用された薬剤)、遺伝子データ(例えば、SNP又は遺伝子発現データ)、EMRデータ、高度撮像データ(例えば、MRI、CT、又はPET)、メタボロミクス、及びマイクロバイオームなどの患者固有の情報を挙げることができる。分析システム9100によって利用できる様々な追加の種類の患者固有情報は、米国特許第9,250,172号、米国特許出願第13/631,095号、同第13/828,809号、及び米国特許第8,476,227号によって説明されており、これらのそれぞれは、患者固有情報を説明する範囲で参照により本明細書に組み込まれる。また、術前データとして、例えば、地理的情報、病院の場所、手術室の場所、外科処置を行う手術スタッフ、担当外科医、特定の外科処置において潜在的に使用され得るモジュール式デバイス9050及び/又は他の外科的機器の数及び種類、特定の外科処置において使用されることが予想されるモジュール式デバイス9050及び/又は他の外科的機器の数及び種類、患者識別情報、並びに行われる処置の種類などの手術室特有の情報も挙げることもできる。
【0153】
術中データとして、例えば、モジュール式デバイス9050の利用(例えば、外科用ステープル留め器具による発射回数、RF電気外科器具若しくは超音波器具による発射回数、又は利用されるステープラカートリッジの数及び種類)、モジュール式デバイス9050の動作パラメータデータ(例えば、外科用ステープル留め器具のFTF曲線、外科用ステープル留め器具のFTC曲線、発生器のエネルギー出力、排煙器の内部圧力若しくは圧力差)、予期せぬモジュール式デバイス9050の利用(すなわち、処置の種類に対して標準的ではないモジュール式デバイスの利用の検出)、患者に施される補助療法、及びモジュール式デバイス9050以外の機器の利用(例えば、漏出に対処するためのシーラント)を挙げることができる。また、術中データとして、例えば、モジュール式デバイス9050の検出可能な誤用及びモジュール式デバイス9050の検出可能な適応外使用も挙げることができる。
【0154】
手術後データとして、例えば、患者が手術室から出ない、及び/若しくは標準的ではない術後ケアに送られる(例えば、所定の肥満手術を受けた患者が処置後にICUに送られる)場合のフラグ、外科処置に関する術後患者評価(例えば、胸部手術後の肺活量測定に関するデータ、又は腸若しくは肥満手術後のステープルライン漏出に関するデータ)、術後合併症に関するデータ(例えば、輸血又は空気漏出)、又は処置後の医療施設における患者の在院日数を挙げることができる。再入院率、合併症率、平均在院日数、及び他のそのような手術の質の測定基準に関する病院に対する等級付けが増えているため、手術後データソースは、外科用ハブ9000及び/又はモジュール式デバイス9050の制御プログラムを評価し、更新を開始するために、単独で又は手術処置転帰データ(後述)と組み合わせて、分析システム9100によって監視され得る。
【0155】
いくつかの例示では、術中及び/又は術後データは、各外科処置又は外科処置の工程の転帰に関するデータを更に含むことができる。外科処置転帰データは、特定の処置又は処置の特定の工程が良い又は悪い転帰を有したか否かを含むことができる。いくつかの例示では、外科処置転帰データは、モジュール式デバイス9050性能の処置工程及び/若しくはタイムスタンプ付き画像、モジュール式デバイス9050が適切に機能したか否かを示すフラグ、医療施設スタッフからの注記、又はモジュール式デバイス9050性能の不良、最適以下、若しくは容認できないといったフラグを含むことができる。外科処置転帰データは、例えば、モジュール式デバイス9050及び/又は外科用ハブ9000によって直接検出することができ(例えば、医療撮像デバイスは出血を視覚化又は検出することができる)、外科用ハブ9000又は分析システム9100によって、米国特許出願公開第2019/0201140(A1)号に記載されているような外科用ハブ9000の状況認識システムによって決定又は推測することができる。いくつかの例示では、モジュール式デバイス9050が外科処置の過程中に故障したか、又は別様にうまく機能しなかったことを示すフラグを含む術中データは、分析システム9100への通信及び/又は分析のために優先され得る。
【0156】
一例示では、周術期データは、処置ごとに集約され、外科用ハブ9000によって分析システム9100にアップロードされ、それによって分析され得る。周術期データは、様々な検出された状態に応答して外科用ハブ9000がどのような動作を行ったか、外科用ハブ9000がどのようにモジュール式デバイス9050を制御したか、及び受信されたデータから導出された状況認識外科用ハブ9000をどのように推論するかを示すため、外科用ハブ9000が動作するようにプログラムされたか、又は外科処置に関連して手動で制御された方法(すなわち、外科用ハブ9000の動作挙動)を示す。分析システム9100は、手術前、手術中、及び手術後のデータの様々な種類及び組み合わせを分析して、制御プログラム更新が生成されるべきかどうかを決定し、次いで、必要に応じて、外科用ハブ9000の集団全体又は1つ以上の部分集団に更新をプッシュするように構成され得る。
【0157】
図19は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ9000の制御プログラムを更新するためのプロセス9300の論理フロー図を示す。プロセス9200は、例えば、分析システム9100の分析サーバ9070の1つ以上のプロセッサによって実行することができる。一例示では、分析システム9100は、クラウドコンピューティングシステムであり得る。経済性のために、プロセス9300の以下の説明は、分析システム9100によって実行されるものとして説明されるが、しかしながら、分析システム9100は、プロセス9300の記載された工程を実行しているプロセッサ及び/又は制御回路を含むことを理解されたい。
【0158】
プロセス9300を実行する分析システム9100は、分析システム9100に通信可能に接続された外科用ハブ9000から周術期データを受信する(9302)。周術期データは、外科用ハブ9000が、それらの制御プログラムによって動作するようにプログラムされる、又は外科処置中に外科スタッフによって制御される様式を示す。いくつかの態様では、周術期データは、外科処置転帰データに関連して分析システム9100を含むか、又はそれに送信されることができる。外科処置転帰データは、外科処置の全体的な転帰に関するデータ(例えば、外科処置中に合併症があったか否か)、又は外科処置内の特定の工程に関するデータ(例えば、特定のステープルラインが出血又は漏出したか否か)を含み得る。
【0159】
プロセス9300を実行する分析システム9100が周術期データを受信した(9302)後、分析システム9100は次いで、データを分析して(9304)、更新条件が満たされたか否かを判定する。一例示では、更新条件は、集団内の外科用ハブ9000の閾値数又は割合が特定の動作挙動を示すかどうかを含む。例えば、分析システム9100は、外科用ハブ9000の大部分が、ある種類の外科処置における特定の工程においてエネルギー発生器をアクティブ化するために利用されるとき、その処置工程においてエネルギー発生器を自動的にアクティブ化するように制御プログラム更新が生成されるべきであると判定することができる。別の例示では、更新条件は、特定の動作挙動に相関する良い処置転帰(又は悪い処置転帰の欠如)の割合が、閾値(例えば、手順工程について良い処置転帰の平均割合)を超えるかどうかを含む。例えば、分析システム9100は、特定の組織の種類に対する特定のエネルギーレベルでの止血(すなわち、出血の欠如)の関連付けられた割合が閾値割合を超えるとき、エネルギー発生器がそのエネルギーレベルに設定されることを推奨するように、制御プログラム更新が生成されるべきであると判定することができる。別の例示では、更新条件は、特定の動作挙動に関する良い処置転帰(又は悪い処置転帰の欠如)の割合が、関連する動作挙動に関する良い処置転帰(又は悪い処置転帰の欠如)の割合よりも高いかどうかを含む。言い換えれば、外科用ハブ9000の1つの部分集団が、ある特定の条件セット下で第1の動作挙動を示し、外科用ハブ9000の第2の部分集団が、同じ条件セット下で第2の動作挙動を示す場合、分析システム9100は、第1の動作挙動又は第2の動作挙動が、良い処置転帰とより高度に相関するかどうかに従って、外科用ハブ9000の制御プログラムを更新するかどうかを決定することができる。別の例示では、分析システム9100は、データを分析して(9304)、複数の更新条件が満たされたか否かを判定する。
【0160】
更新条件が満たされていない場合、プロセス9300は「いいえ」の分岐に沿って継続し、分析システム9100は、更新条件の発生を監視するために、外科用ハブ9000からの周術期データの受信(9302)及び分析(9304)を継続する。更新条件が満たされている場合、プロセス9300は「はい」の分岐に沿って継続し、分析システム9100は、制御プログラム更新の生成(9308)に進む。生成された(9308)制御プログラム更新の性質は、更新条件を引き起こすものとして分析システム9100によって識別される外科用ハブ9000の特定の動作挙動に対応する。言い換えれば、制御プログラム更新は、米国特許出願公開第2019/0206003(A1)号の外科用ハブのように、外科用ハブ9000によって実行される機能を追加、除去、又は他の方法で変更する。
【0161】
外科用ハブ9000は、識別された動作挙動を生じさせた条件下で異なるように動作する。更に、制御プログラム更新のタイプはまた、識別された動作挙動が手動制御から生じるか、又は外科用ハブ9000の制御プログラムによる制御から生じるかに依存する。識別された動作挙動が手動制御から生じる場合、制御プログラム更新は、ユーザが外科用ハブ9000を操作している様式に基づいて、ユーザに警告、推奨、又はフィードバックを提供するように構成され得る。例えば、分析システム9100が、外科処置中の工程において特定のアクションをとること又は特定の器具を利用することが転帰を改善すると判定した場合、分析システム9100は、外科処置の指定された工程が行われている又は後に行われると外科用ハブ9000が判定したときに、外科スタッフにプロンプト、つまり警告を提供する制御プログラム更新を生成することができる(9308)。代替として、制御プログラム更新は、外科用ハブ9000の1つ以上の機能を、手動による制御可能であることから、外科用ハブ9000の制御プログラムによって制御されることに変更することができる。例えば、分析システム9100が、視覚化システムのディスプレイが、特定の工程における多数の外科処置において外科スタッフによって特定のビューに設定されていると判定した場合、分析システム9100は、外科用ハブ9000にそれらの条件下でディスプレイをそのビューに自動的に変更させる制御プログラム更新を生成することができる。識別された動作挙動が外科用ハブ9000の制御プログラムから生じる場合、制御プログラム更新は、識別された動作挙動を引き起こす一連の状況下で制御プログラムがどのように機能するかを変更することができる。例えば、分析システム9100が、RF電気外科器具又は超音波器具の特定のエネルギーレベルが、特定の条件セット下で不良の又は悪い転帰と相関すると判定した場合、分析システム9100は、一連の条件が検出されたとき(例えば、関節鏡手術が実行されていると外科用ハブ9000が判定したとき)、外科用ハブ9000に接続された器具のエネルギーレベルを異なる値に調整させる制御プログラム更新を生成することができる(9308)。
【0162】
次いで、分析システム9100は、更新条件を引き起こすものとして分析システム9100によって識別された動作挙動を実行している外科用ハブ9000の集団全体又は外科用ハブ9000の部分集団に、制御プログラム更新を送信する(9310)。一例示では、外科用ハブ9000は、制御プログラム更新を、それによって更新が生成される(9308)たびに分析システム9100からダウンロードするように構成される。一例示では、分析システム9100は、その後、上述したように、外科用ハブ9000から受信された(9302)データを分析する(9304)プロセス9300を継続することができる。
【0163】
図20は、図19に示されるプロセス9300の代表的な実装を示す。図20は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ9000の制御プログラムのデータ解析アルゴリズムを更新するためのプロセス9400の論理フロー図を示す。図19に示すプロセス9300と同様に、図20に示すプロセス9400は、一例示では、分析システム9100によって実行され得る。図18に示される適応外科用システム9060の一例示では、第1の外科用ハブ部分集団9312は、第1のデータ解析アルゴリズムを利用しており、第2の外科用ハブ部分集団9314は、第2のデータ解析アルゴリズムを利用している。例えば、第1の外科用ハブ部分集団9312は、特定のデータセットを分析するために通常の連続確率分布を利用することができ、第2の外科用ハブ部分集団9314は、特定のデータセットを分析するために二峰性分布を利用することができる。この例示では、分析システム9100は、それぞれのデータ解析アルゴリズムに対応する第1及び第2の外科用ハブ部分集団9312、9314から周術期データを受信する(9402、9404)。次に、分析システム9100は、周術期データセットを分析して(9406)、周術期データセットのうちの1つが1つ以上の更新条件を満たすかどうかを判定する。更新条件としては、例えば、集団全体における外科用ハブ9000の閾値パーセンテージ(例えば、75%)によって利用されている特定の分析方法、及び症例の閾値パーセンテージ(例えば、50%)における良い外科処置転帰に相関付けられている特定の分析方法を挙げることができる。
【0164】
この例示では、分析システム9100は、第1及び第2の外科用ハブ部分集団9312、9314によって利用されるデータ解析アルゴリズムのうちの1つが更新条件の両方を満たすかどうかを判定する(9408)。更新条件が満たされない場合、プロセス9400は「いいえ」の分岐に沿って進み、分析システム9100は、第1及び第2の外科用ハブ部分集団9312、9314からの周術期データの受信(9402、9404)及び分析(9406)を継続する。更新条件が満たされている場合、プロセス9400は「はい」の分岐に沿って進み、分析システム9100は、分析(9406)が決定したデータ解析アルゴリズムのうちのどれが更新条件を満たしているかに従って、制御プログラム更新を生成する(9412)。この例示では、制御プログラム更新は、外科用ハブ9000に、対応する分析種類を実行するときに更新条件を満たしたデータ解析アルゴリズムを利用させることを含む。次に、分析システム9100は、生成された(9412)制御プログラム更新を外科用ハブ9000の集団に送信する(9414)。一例示では、制御プログラム更新は、外科用ハブ9000の全集団に送信される(9414)。別の例示では、制御プログラム更新は、更新条件を満たしたデータ解析アルゴリズムを利用しなかった外科用ハブ9000の部分集団に送信される(9414)。換言すれば、分析システム9100が周術期データを分析し(9406)、第2の(二峰性)データ解析方法が更新条件を満たすと判定した(9408)場合、生成された(9412)制御プログラム更新は、この例示では外科用ハブ9000の第1の部分集団に送信される(9414)。更に、制御プログラム更新は、更新された外科用ハブ9000に、特定のデータセットを分析する際に第2の(二峰性)データ解析アルゴリズムを利用させるか、又は更新された外科用ハブ9000に、第2の(二峰性)データ解析アルゴリズムが所与の条件下で使用されることをユーザに警告又は推奨させることができる(ユーザが推奨に従うかどうかを選択することを可能にする)。
【0165】
この手法は、外科用ハブ9000のネットワーク全体から集約されたデータから生成された制御プログラムを更新することによって、外科用ハブ9000の性能を改善する。実際には、各外科用ハブ9000は、外科用ハブ9000ネットワーク全体で共有又は学習された知識に従って調整されることができる。この手法はまた、分析システム9100に、外科用ハブ9000ネットワーク全体の各種類の外科処置において利用されているデバイスの知識を提供することによって、予期せぬデバイス(例えば、モジュール式デバイス9050)が外科処置の過程においていつ利用されるのかを分析システム9100が判定することを可能にする。
【0166】
図21は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具21002と、外科用ハブ21004と、クラウドコンピューティングシステム21006との間の通信のためのシステム21000を示す。外科用器具21002は、送信器21008及び受信器21010を含み得る。送信機21008及び受信機21010は、少なくとも1つの外部デバイス間に通信経路21012及び21014を確立するように構成され得る。例えば、通信経路21012は、外科用器具21002と外科用ハブ21004との間にあってもよい。通信経路21014は、外科用器具21002とクラウドコンピューティングシステム21006との間にあってもよい。外科用器具21002は、制御アルゴリズム21016を含むことができる。制御アルゴリズム21016は、受信された新しいデータに基づいて更新され得る。外科用器具21002は、プロセッサ21018を含むことができる。プロセッサ21018は、制御アルゴリズム21016を更新することができる。制御アルゴリズム21016は、入力データの形態の制御パラメータに基づいて一連の動作を実行することができる。制御アルゴリズム21016は、入力データを出力信号に送信することができる。入力データは、上述したように、クラウドコンピューティングシステム21006によって集約されてもよい。例えば、入力データは、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び/又は製品構成の使用に関連し得る。いくつかの例では、集約データは、コンパイルされた使用工程及び/又は処置計画に関連し得る。いくつかの例では、集計データを使用して、転帰、使用、及び/又は製品における傾向を判定することができる。いくつかの例では、集約データは、教育及びプロセス改善システムとして使用される。図21は、外科用器具21002を示しているが、外科用器具112(図1)、外科用器具600(図8)、外科用器具7012(図11)、及び/又は外科用器具6502(図14)を含んでもよい。
【0167】
外科用ハブ21004は、外科用ハブ21004と少なくとも1つの外部デバイスとの間の通信経路を確立するように構成され得る、送信機21026及び受信機21028を含み得る。例えば、通信経路21012は、外科用ハブ21004と外科用器具21002との間にあってもよく、通信経路21024は、外科用ハブ21004とクラウドコンピューティングシステム21006との間にあってもよい。外科用ハブ21004は、受信された新しいデータに基づいて更新され得る制御アルゴリズム21030を含み得る。外科用ハブ21004は、制御アルゴリズム21030を更新し得るプロセッサ21032を含み得る。図21は、外科用ハブ21004を示しているが、外科用ハブ205(図5)、外科用ハブ206(図6)、外科用ハブ5104(図9)、外科用ハブ7006(図11)、及び/又は外科用ハブ9000(図13)を含んでもよい。
【0168】
クラウドコンピューティングシステム21006は、クラウドベースの分析システムを構成してもよく、1つ以上のネットワーク化されたコンピューティングリソースを含んでもよい。クラウドコンピューティングシステム21006は、通信経路21024を介して外科用ハブ21004に、通信経路21014を介して外科用器具21002に通信可能に連結されてもよい。クラウドコンピューティングシステム21006は、特定の基準に基づいて、データを迅速かつ効率的に識別することができる。いくつかの状況では、クラウドコンピューティングシステム21006は、複数の手術部位から判定されたデータを集約してもよい。クラウドコンピューティングシステム21006は、特定の基準又は閾値に基づくデータ分類、優先順位付け、及び他の種類のデータ処理によって、集約データを処理してもよい。図21はクラウドコンピューティングシステム21006を示しているが、図16に記載された分析システム9100を含んでもよい。
【0169】
図22は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ21004の制御アルゴリズムを更新するためのプロセス22000の論理フロー図を示す。22002において、プロセス22000は、クラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めるように外科用ハブ21004を構成することができる。送信機21026及び受信機21028は、外科用ハブ21004とクラウドコンピューティングシステム21006との間に通信経路21024を確立するように構成され得る。例えば、外科用ハブ21004の送信機21026は、クラウドコンピューティングシステム21006に通信要求を送信してもよい。22004において、外科用ハブ21004は、クラウドコンピューティングシステム21006との通信が利用可能であるか否かを判定してもよい。例えば、クラウドコンピューティングシステム21006との通信が利用可能であるか否かの判定は、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び/又は電力容量によって判定され得る。クラウドコンピューティングシステム21006は、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成され得る。通信が利用可能でない場合、外科用ハブ21004は、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合にデフォルト動作モードで動作するように構成されてもよく、後に、22002においてクラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めてもよい。通信が利用可能である場合、22006において、外科用ハブ21004は、受信機21028を介してクラウドコンピューティングシステム21006から集約データを受信してもよい。いくつかの例では、集約データは、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び/又は製品構成の使用に関連し得る。いくつかの例では、集約データは、コンパイルされた使用工程及び/又は処置計画に関連し得る。いくつかの例では、集計データを使用して、転帰、使用、及び/又は製品における傾向を判定することができる。いくつかの例では、集約データは、教育及びプロセス改善システムとして使用される。22008において、外科用ハブ21004は、受信された集約データに基づいて1つ以上の制御アルゴリズムを更新し得る。22010において、外科用ハブ21004は、追加の更新がクラウドコンピューティングシステム21006から利用可能であるか否かを判定し得る。追加の更新が利用可能でない場合、外科用ハブ21004は、22002において、例えば後にクラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めてもよい。追加の更新が利用可能である場合、外科用ハブ21004は、22012において、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステム21006と通信し続けてもよく、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステム21006によって判定される更新された集約データに関連する。いくつかの例では、外科用ハブ21004は、図15Bで上述したアップグレード可能な要素3014を含むことができる。アップグレード可能な要素3014は、受信された集約データに基づいて外科用ハブ21004の1つ以上の制御アルゴリズムの動作モードを更新するように動作してもよい。
【0170】
図23は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具21002のアルゴリズムを更新するためのプロセス23000の論理フロー図を示す。23002において、プロセス23000は、クラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めるように外科用器具21002を構成することができる。送信機21008及び受信機21010は、外科用器具21002とクラウドコンピューティングシステム21006との間に通信経路を確立するように構成され得る。例えば、外科用器具21002の送信機21008は、クラウドコンピューティングシステム21006に通信要求を送信してもよい。23004において、外科用器具21002は、クラウドコンピューティングシステム21006との通信が利用可能であるか否かを判定してもよい。例えば、クラウドコンピューティングシステム21006との通信が利用可能であるか否かの判定は、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び/又は電力容量によって判定され得る。クラウドコンピューティングシステム21006は、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成され得る。通信が利用可能でない場合、外科用器具21002は、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合にデフォルト動作モードで動作するように構成されてもよく、例えば後に、23002においてクラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めてもよい。通信が利用可能である場合、23006において、外科用器具21002は、受信機21010を介してクラウドコンピューティングシステム21006から集約データを受信してもよい。いくつかの例では、集約データは、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び/又は製品構成の使用に関連し得る。いくつかの例では、集約データは、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連し得る。いくつかの例では、集計データを使用して、転帰、使用、及び/又は製品における傾向を判定することができる。いくつかの例では、集約データは、教育及びプロセス改善システムとして使用される。23008において、外科用器具21002は、受信された集約データに基づいて1つ以上の制御アルゴリズムを更新し得る。23010において、外科用器具21002は、追加の更新がクラウドコンピューティングシステム21006から利用可能であるか否かを判定し得る。追加の更新が利用可能でない場合、外科用器具21002は、23002において、例えば後にクラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めてもよい。追加の更新が利用可能である場合、外科用器具21002は、23012において、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステム21006と通信し続けてもよく、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステム21006によって判定される更新された集約データに関連する。いくつかの例では、外科用器具21004は、図15Bで上述したアップグレード可能な要素3014を含むことができる。アップグレード可能な要素3014は、受信された集約データに基づいて外科用器具21002の1つ以上の制御アルゴリズムの動作モードを更新するように動作してもよい。
【0171】
図24は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用システムを更新するためのプロセス24000の論理フロー図を示す。24002において、プロセス22000は、クラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めるように外科用ハブ21004を構成することができる。送信機21026及び受信機21028は、外科用ハブ21004とクラウドコンピューティングシステム21006との間に通信経路を確立するように構成され得る。例えば、外科用ハブ21004の送信機21026は、クラウドコンピューティングシステム21006に通信要求を送信してもよい。24004において、外科用ハブ21004は、クラウドコンピューティングシステム21006との通信が利用可能であるか否かを判定してもよい。例えば、クラウドコンピューティングシステム21006との通信が利用可能であるか否かの判定は、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び/又は電力容量によって判定され得る。クラウドコンピューティングシステム21006は、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成され得る。通信が利用可能でない場合、外科用ハブ21004は、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合にデフォルト動作モードで動作するように構成されてもよく、例えば後に、24002においてクラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めてもよい。通信が利用可能である場合、24006において、外科用ハブ21004は、受信機21028を介してクラウドコンピューティングシステム21006から集約データを受信してもよい。いくつかの例では、集約データは、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び/又は製品構成の使用に関連し得る。いくつかの例では、集約データは、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連し得る。いくつかの例では、集計データを使用して、転帰、使用、及び/又は製品における傾向を判定することができる。いくつかの例では、集約データは、教育及びプロセス改善システムとして使用される。24008において、外科用ハブ21004は、受信された集約データに基づいて1つ以上の制御アルゴリズムを更新し得る。24010において、外科用ハブ21004は、追加の更新がクラウドコンピューティングシステム21006から利用可能であるか否かを判定し得る。追加の更新が利用可能でない場合、外科用ハブ21004は、24002において、例えば後にクラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めてもよい。追加の更新が利用可能である場合、外科用ハブ21004は、24012において、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステム21006と通信し続けてもよく、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステム21006によって判定される更新された集約データに関連する。いくつかの例では、外科用システムは、図15Bで上述したアップグレード可能な要素3014を含むことができる。アップグレード可能な要素3014は、受信された集約データに基づいて外科用ハブ21004及び/又は外科用器具21002の1つ以上の制御アルゴリズムの動作モードを更新するように動作してもよい。
【0172】
外科用具21004が追加の更新を受信した後、24014において、プロセス24000は、外科用ハブ21004との通信及び/又はクラウドコンピューティングシステム21006との直接通信を求めるように外科用器具21002を構成してもよい。送信機21008及び受信機21010は、外科用器具21002と外科用ハブ21004との間の通信経路、及び外科用器具21002とクラウドコンピューティングシステム21006との間の通信経路を確立するように構成され得る。例えば、外科用器具21002の送信機21008は、外科用ハブ21004及び/又はクラウドコンピューティングシステム21006に通信要求を送信してもよい。24016において、外科用器具21002は、外科用ハブ21004及び/又はクラウドコンピューティングシステム21006との通信が利用可能であるか否かを判定してもよい。例えば、外科用ハブ21004及び/又はクラウドコンピューティングシステム21006との通信が利用可能であるか否かの判定は、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び/又は電力容量によって判定され得る。外科用ハブ21004は、クラウドコンピューティングシステム21006から受信した集約データを記憶するように構成されてもよい。クラウドコンピューティングシステム21006は、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成され得る。通信が利用可能でない場合、外科用器具21002は、外科用ハブ21004又はクラウドコンピューティングシステム21006との通信が利用可能でない場合にデフォルト動作モードで動作するように構成されてもよく、例えば後に、23002において、外科用ハブ21004又はクラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めてもよい。通信が利用可能である場合、24018において、外科用器具21002は、受信機21010を介して外科用ハブ21004から、又はクラウドコンピューティングシステム21006から直接、集約データを受信してもよい。いくつかの例では、集約データは、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び/又は製品構成の使用に関連し得る。いくつかの例では、集約データは、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連し得る。いくつかの例では、集計データを使用して、転帰、使用、及び/又は製品における傾向を判定することができる。いくつかの例では、集約データは、教育及びプロセス改善システムとして使用される。24020において、外科用器具21002は、受信された集約データに基づいて1つ以上の制御アルゴリズムを更新し得る。24022において、外科用器具21002は、追加の更新が外科用ハブ21004から、又はクラウドコンピューティングシステム21006から直接利用可能であるか否かを判定し得る。追加の更新が利用可能でない場合、外科用器具21002は、24002において、例えば後に、外科用ハブ21004又はクラウドコンピューティングシステム21006との通信を求めてもよい。追加の更新が利用可能である場合、外科用器具21002は、24024において、追加の更新を受信するために外科用ハブ21004及び/又はクラウドコンピューティングシステム21006と通信し続けてもよく、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステム21006によって判定される更新された集約データに関連する。
【0173】
クラウドコンピューティングシステム21006は、月次/四半期報告によるデータ監視を提供し、任意の国/地域/ローカルエリアと比較して固有の施設で収集されたデータを利用することができる。クラウドコンピューティングシステム21006は、リスクを低減すること、安全性を改善すること、手術時間を短縮すること、及び/又は総製品使用量を低減することのいずれかのための推奨を提供し得る。一態様では、クラウドコンピューティングシステム21006は、在庫管理方法を提供することができる。例えば、クラウドコンピューティングデバイス21006は、人口統計的特性、利用法、及び/又は処置の種類に基づくガイダンスを提供して、在庫を最適化することができる。例えば、手術の終了時に、クラウドコンピューティングシステム21006は、使用された全てのデバイス及びカートリッジを報告でき、それにより、個々の病院は、何が使用されたか、及び注文が必要であるかを知ることができる。一態様では、クラウドコンピューティングシステム21006は、アイテムを現在の場所に確実に配置するため、あるロケーションに配置された全てのアイテムを追跡することができる。
【0174】
クラウドコンピューティングシステム21006は、手術を監視し、手術時間/部屋の使用を低減することができる間取り及びリソースの再構成を提供するサービスを提供してもよい。例えば、クラウドコンピューティングシステム21006は、デバイス、手技、及びトレーニングについての質問に関するモバイルデバイスアプリなどの即時回答するシステム/アプリにリンクされ得る。例えば、クラウドコンピューティングシステム21006は、データベース及び掲示板へのアクセスを提供することができ、ユーザによる質問、他のユーザによる質問及びそれらの質問に対する解答の閲覧を可能にすることができる。一態様では、クラウドコンピューティングシステム21006は、ロケーション固有であり得る最良の治療法に調整された特定のトレーニングプログラムを作成することができるデータに基づいて、サービスを提供することができる。
【0175】
本開示の実施例
以下は、階層化されたリモートサーバ分析機能に関する例の非網羅的リストである。
1.外科用ハブであって、
外科用ハブと、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、プロセッサが、
クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
クラウドコンピューティングシステムから、受信機を介して、複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、
クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、更新は、更新された集約データに関連する、外科用ハブ。
実施例1及び以下の実施例における複数の外科用デバイスによって提供されるデータとしては、外科用器具データ、患者転帰データ、性能の特徴、EMR情報、及び手技ビデオのうちの1つ以上を挙げることができる。
実施例1及び以下の実施例におけるクラウドコンピューティングシステムから外科用ハブ、又は接続された外科用器具への更新は、階層構造で提供されてもよく、複数のレベル又は階層の更新がクラウドコンピューティングシステムによって提供され得る。
例えば、更新のレベル又は階層は、1つ以上の制御パラメータに基づいてクラウドコンピューティングシステムによって決定され得る。
例えば、制御パラメータは、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量などの1つ以上の要件に関連し得る。
2.外科用ハブが、集約データを使用して、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するように構成されている、実施例1に記載の外科用ハブ。
3.集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施例1に記載の外科用ハブ。
例えば、クラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブは、セットアップ情報、EMR情報、処置ビデオ及び製品構成の使用などの器具及び処置情報のうちの1つ以上を集約するように構成されてもよい。
4.集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施例1に記載の外科用ハブ。
例えば、クラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブは、代替製品の使用、使用工程、処置計画、トロカールの位置、及び/又は手術室の設定の提案といった、器具、医療処置、手術室に関する提案及び推奨を提供するように構成され得る。
5.外科用ハブが、教育及びプロセス改善システムのために集約データを使用するように構成されている、実施例1に記載の外科用ハブ。
6.プロセッサが、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
7.クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータに従って判定される、実施例1~6のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
例えば、提供される階層は、様々なレベルの要件に基づき得る。要件は、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量などの、ハードウェア、ソフトウェア、及び通信ネットワークに関係し得る。
8.外科用器具であって、
外科用器具と、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、プロセッサが、
クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
クラウドコンピューティングシステムから、受信機を介して、複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、
クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、更新は、更新された集約データに関連する、外科用器具。
9.集約データが、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するために使用される、実施例8に記載の外科用器具。
10.集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施例8に記載の外科用器具。
11.集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施例8に記載の外科用器具。
12.集約データが、教育及びプロセス改善システムに使用可能である、実施例8に記載の外科用器具。
13.プロセッサが、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、実施例8~12のいずれか1つに記載の外科用器具。
14.クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータによって判定される、実施例8~13のいずれか1つに記載の外科用器具。
15.外科用システムであって、
複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されている、クラウドコンピューティングシステムと、
外科用ハブであって、
外科用ハブと、クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、プロセッサが、
クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
クラウドコンピューティングシステムから、受信機を介して、複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した集約データに基づいて、1つ以上の外科用ハブ制御アルゴリズムを更新し、かつ、
クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、更新は、更新された集約データに関連する、外科用ハブと、
外科用器具であって、
外科用器具と、クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、プロセッサが、
クラウドコンピューティングシステム及び外科用ハブとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
クラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブから、外科用器具の受信機を介して、複数の外科用デバイスに関連する集約データを受信し、
受信した集約データに基づいて、1つ以上の外科用器具制御アルゴリズムを更新し、かつ、
クラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブから更新を受信するように構成されており、更新は、更新された集約データに関連する、外科用器具と、を備える、外科用システム。
16.集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施例15に記載の外科用システム。更なる例として、クラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブは、セットアップ情報、EMR情報、処置ビデオ、及び製品構成の使用のうちの1つ又は複数を集約するように構成される。
17.集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施例15に記載の外科用システム。
18.外科用ハブが、集約データを使用して、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するように構成されている、実施例15に記載の外科用システム。
19.外科用ハブが、教育及びプロセス改善システムにおいて集約データを使用するように構成されている、実施例15に記載の外科用システム。
20.クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータによって判定される、実施例15~19のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0176】
少なくとも実施例1、8及び18として、複数のレベル又は「階層」のデータ解析を有するシステムが提供される。クラウドコンピューティングシステムは、複数の外科用デバイスからのデータを集約するためのデータ集約機能を有する。クラウドコンピューティングシステムは更に、セットアップ及び他の使用のためにローカルハブ及び/又は接続されたデバイスに更新を供給する。上記の例として、更新は、直接又はローカルハブを介して外科用デバイスに提供されてもよい。上記の例として、クラウドコンピューティングシステムは解析能力を有する。クラウドコンピューティングシステムは、データを集約し、転帰、使用、及び製品における傾向を探す。クラウドコンピューティングシステムは、セットアップ、EMR情報、処置ビデオ、及び製品構成の使用を集約することができる。クラウドコンピューティングシステムは更に、代替製品の使用、使用工程、処置計画、トロカールの位置、及び手術室の設定を提案することができる。
【0177】
更新の範囲は、クラウドコンピューティングシステムから「プッシュ」によって提供され得る、ハブ及びその接続された機器の制御アルゴリズムの単なる更新から、デバイス及びHCPとのより精巧な対話型通信及びデータ転送まで変化し得る。上記の例として、クラウドコンピューティングシステムは、複数のレベルの更新を選択的に提供し、それによって、システム能力、データ容量、又は電力容量などの動的要件に基づいて適切なレベルの更新を提供する。これは、制御された使用集約及びシステム更新を可能にし、ひいては、デバイスの更なる改善及び処置の成功に寄与する。
【0178】
本開示は、以下の実施形態を含む。
1.外科用ハブであって、外科用ハブとクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成された送信機及び受信機と、プロセッサと、を備え、プロセッサが、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、受信機を介して複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、受信した集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステムとの通信を継続するように構成されており、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステムによって判定される更新された集約データに関連する、外科用ハブ。
2.集約データが、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するために使用される、実施形態1に記載の外科用ハブ。
3.集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施形態1に記載の外科用ハブ。
4.集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施形態1に記載の外科用ハブ。
5.集約データが、教育及びプロセス改善システムとして使用される、実施形態1に記載の外科用ハブ。
6.プロセッサが、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、実施形態1に記載の外科用ハブ。
7.クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量によって判定される、実施形態1に記載の外科用ハブ。
8.外科用器具であって、外科用器具とクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成された送信機及び受信機と、プロセッサと、を備え、プロセッサが、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、受信機を介して複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、受信した集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステムとの通信を継続するように構成されており、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステムによって判定される更新された集約データに関連する、外科用器具。
9.集約データが、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するために使用される、実施形態8に記載の外科用器具。
10.集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施形態8に記載の外科用器具。
11.集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施形態8に記載の外科用器具。
12.集約データが、教育及びプロセス改善システムとして使用される、実施形態8に記載の外科用器具。
13.プロセッサが、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、実施形態8に記載の外科用器具。
14.クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量によって判定される、実施形態8に記載の外科用器具。
15.外科用システムであって、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されている、クラウドコンピューティングシステムと、外科用ハブであって、外科用ハブと、クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、プロセッサと、を備え、プロセッサが、クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、受信機を介して複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、受信した集約データに基づいて、1つ以上の外科用ハブ制御アルゴリズムを更新し、かつ、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステムとの通信を継続するように構成されており、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステムによって判定される更新された集約データに関連する、外科用ハブと、外科用器具であって、外科用器具と、クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、プロセッサと、を備え、プロセッサが、クラウドコンピューティングシステム及び外科用ハブとの通信が利用可能であるか否かを判定し、クラウドコンピューティングシステム又は外科用ハブから、受信機を介して、複数の外科用デバイスに関連する集約データを受信し、受信した集約データに基づいて、1つ以上の外科用器具制御アルゴリズムを更新し、かつ、追加の更新を受信するためにクラウドコンピューティングシステム及び外科用ハブとの通信を継続するように構成されており、追加の更新は、クラウドコンピューティングシステムによって判定される更新された集約データに関連する、外科用器具と、を備える、外科用システム。
16.集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施形態15に記載の外科用システム。
17.集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施形態15に記載の外科用システム。
18.外科用ハブの集約データが、転帰、使用、及び製品における判定に使用される、実施形態15に記載の外科用システム。
19.外科用ハブの集約データが、教育及びプロセス改善システムとして使用される、実施形態15に記載の外科用システム。
20.クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量によって判定される、実施形態15に記載の外科用システム。
【0179】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ハブであって、
前記外科用ハブと、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
前記クラウドコンピューティングシステムから、前記受信機を介して、複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した前記集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、
前記クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、前記更新は、更新された集約データに関連する、外科用ハブ。
(2) 外科用ハブが、前記集約データを使用して、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ハブ。
(3) 前記集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施態様1又は2に記載の外科用ハブ。
(4) 前記集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施態様1~3のいずれかに記載の外科用ハブ。
(5) 前記外科用ハブが、教育及びプロセス改善システムのために前記集約データを使用するように構成されている、実施態様1~4のいずれかに記載の外科用ハブ。
【0180】
(6) 前記プロセッサが、前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、実施態様1~5のいずれかに記載の外科用ハブ。
(7) 前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの前記判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータに従って判定される、実施態様1~6のいずれかに記載の外科用ハブ。
(8) 外科用器具であって、
前記外科用器具と、複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されているクラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
前記クラウドコンピューティングシステムから、前記受信機を介して、前記複数の外科用デバイスからの集約データを受信し、
受信した前記集約データに基づいて、1つ以上の制御アルゴリズムを更新し、かつ、
前記クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、前記更新は、更新された集約データに関連する、外科用器具。
(9) 前記集約データが、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するために使用される、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用に関連する、実施態様8又は9に記載の外科用器具。
【0181】
(11) 前記集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施態様8~10のいずれかに記載の外科用器具。
(12) 前記集約データが、教育及びプロセス改善システムに使用可能である、実施態様8~11のいずれかに記載の外科用器具。
(13) 前記プロセッサが、前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能でない場合、デフォルト動作モードで動作するように構成されている、実施態様8~12のいずれかに記載の外科用器具。
(14) 前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの前記判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータによって判定される、実施態様8~13のいずれかに記載の外科用器具。
(15) 外科用システムであって、
複数の外科用デバイスからのデータを集約するように構成されている、クラウドコンピューティングシステムと、
外科用ハブであって、
前記外科用ハブと、前記クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
前記クラウドコンピューティングシステムから、前記受信機を介して、前記複数の外科用デバイスからの前記集約データを受信し、
受信した前記集約データに基づいて、1つ以上の外科用ハブ制御アルゴリズムを更新し、かつ、
前記クラウドコンピューティングシステムから更新を受信するように構成されており、前記更新は、更新された集約データに関連する、外科用ハブと、
外科用器具であって、
前記外科用器具と、前記クラウドコンピューティングシステムとの間の通信経路を確立するように構成されている、送信機及び受信機と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記クラウドコンピューティングシステム及び前記外科用ハブとの通信が利用可能であるか否かを判定し、
前記クラウドコンピューティングシステム又は前記外科用ハブから、前記外科用器具の前記受信機を介して、前記複数の外科用デバイスに関連する前記集約データを受信し、
受信した前記集約データに基づいて、1つ以上の外科用器具制御アルゴリズムを更新し、かつ、
前記クラウドコンピューティングシステム又は前記外科用ハブから更新を受信するように構成されており、前記更新は、更新された集約データに関連する、外科用器具と、を備える、外科用システム。
【0182】
(16) 前記集約データが、セットアップ、EMR情報、処置情報、及び製品構成の使用のうち1つ以上に関連する、実施態様15に記載の外科用システム。
(17) 前記集約データが、コンパイルされた使用工程及び処置計画に関連する、実施態様15又は16に記載の外科用システム。
(18) 前記外科用ハブが、前記集約データを使用して、転帰、使用、及び製品における傾向を判定するように構成されている、実施態様15~17のいずれかに記載の外科用システム。
(19) 前記外科用ハブが、教育及びプロセス改善システムにおいて前記集約データを使用するように構成されている、実施態様15~18のいずれかに記載の外科用システム。
(20) 前記クラウドコンピューティングシステムとの通信が利用可能であるか否かの前記判定が、システム生成、ソフトウェアリビジョン、システム能力、相互接続されたデバイスの種類、ネットワーク形成のレベル、データ容量、及び電力容量を含む、1つ以上のパラメータによって判定される、実施態様15~19のいずれかに記載の外科用システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【国際調査報告】