(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】バッテリー管理システム、バッテリーパック、電気車両及びバッテリー管理方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20231016BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231016BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20231016BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H02J7/00 S
H02J7/00 P
H02J7/02 H
H01M10/48 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520179
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 KR2022009998
(87)【国際公開番号】W WO2023282713
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0089983
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジ-ウン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヨウン-ウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウン-ジュ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA03
5G503DA07
5G503DA08
5G503FA06
5G503FA17
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF32
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
本発明によるバッテリー管理システムは、バッテリーセルのスウェリング状態を検出するように構成される少なくとも一つのセンサーを含むスウェリング検出器と、前記バッテリーセルに対する充放電サイクルに含まれた充電過程の間に反復して検出された前記スウェリング状態の第1時系列データを生成するように構成される制御回路と、を含む。前記制御回路は、前記第1時系列データから、前記充電過程における前記スウェリング状態の第1変化量を決定するように構成される。前記制御回路は、前記第1変化量に基づいて、前記バッテリーセルが内部短絡故障であるか否かを判定するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセルのスウェリング状態を検出する少なくとも一つのセンサーを含むスウェリング検出器と、
前記バッテリーセルに対する充放電サイクルに含まれた充電過程の間に反復して検出された前記スウェリング状態の第1時系列データを生成する制御回路と、を含み、
前記制御回路は、
前記第1時系列データから、前記充電過程による前記スウェリング状態の第1変化量を決定し、
前記第1変化量に基づいて、前記バッテリーセルが故障であるか否かを判定する、バッテリー管理システム。
【請求項2】
前記スウェリング状態は、
前記バッテリーセルの厚さまたは前記バッテリーセルに作用する荷重である、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記第1時系列データの最小スウェリング状態と最大スウェリング状態との差、または前記充電過程の開始時点から所定の時間が経過した時点で検出されたスウェリング状態と第1時系列データの最大スウェリング状態との差を前記第1変化量として決定する、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記第1変化量が第1臨界変化量以上である場合、前記バッテリーセルを故障と判定する、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記充電過程後に行われるように前記充放電サイクルに含まれた放電過程の間に反復して検出された前記スウェリング状態の第2時系列データを生成し、
前記第1時系列データ及び第2時系列データから前記スウェリング状態の第2変化量を決定し、前記第2変化量は前記第1時系列データの最小スウェリング状態と前記第2時系列データの最小スウェリング状態との差であり、
前記第1変化量及び前記第2変化量に基づいて、前記バッテリーセルが故障である否かを判定する、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記第1変化量が第1臨界変化量であり、かつ前記第2変化量が第2臨界変化量以上である場合、前記バッテリーセルを故障と判定する、請求項5に記載のバッテリー管理システム。
【請求項7】
前記バッテリーセルを介して流れるバッテリー電流を検出するように構成される電流検出器をさらに含み、
前記制御回路は、前記充電過程の間に反復して検出された前記バッテリー電流の第3時系列データを生成し、
前記放電過程の間に反復して検出された前記バッテリー電流の第4時系列データを生成し、
前記第3時系列データから前記充電過程における前記バッテリー電流の第1積算量及び前記第4時系列データから前記放電過程における前記バッテリー電流の第2積算量を決定し、
(i)前記第1変化量が第1臨界変化量以上であり、(ii)前記第2変化量が第2臨界変化量以上であり、かつ(iii)前記第1積算量に対する前記第2積算量の割合が臨界割合未満である場合、前記バッテリーセルを故障と判定する、請求項5に記載のバッテリー管理システム。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記第1時系列データから、前記充電過程の初期における前記スウェリング状態の第1平均変化率及び前記充電過程の後期における前記スウェリング状態の第2平均変化率を決定し、
(i)前記第1変化量が第1臨界変化量以上であり、かつ(ii)前記第1平均変化率に対する前記第2平均変化率の割合が臨界割合以上である場合、前記バッテリーセルを故障と判定する、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の前記バッテリー管理システムを含む、バッテリーパック。
【請求項10】
請求項9に記載の前記バッテリーパックを含む、電気車両。
【請求項11】
バッテリーセルに対する充放電サイクルに含まれた充電過程の間に反復して検出された前記バッテリーセルのスウェリング状態の第1時系列データを生成する段階と、
前記第1時系列データから、前記スウェリング状態の第1変化量を決定する段階と、
前記第1変化量に基づいて、前記バッテリーセルが故障であるか否かを判定する段階と、を含む、バッテリー管理方法。
【請求項12】
前記スウェリング状態の第1変化量を決定する段階は、
前記第1時系列データの最小スウェリング状態と最大スウェリング状態との差、または前記充電過程の開始時点から所定の時間が経過した時点で検出されたスウェリング状態と第1時系列データの最大スウェリング状態との差を前記第1変化量として決定する、請求項11に記載のバッテリー管理方法。
【請求項13】
前記バッテリーセルが故障であるか否かを判定する段階は、
前記第1変化量が第1臨界変化量以上である場合、前記バッテリーセルを故障と判定する、請求項11に記載のバッテリー管理方法。
【請求項14】
前記充電過程後に行われるように前記充放電サイクルに含まれた放電過程の間に反復して検出された前記スウェリング状態の第2時系列データを生成する段階と、
前記第1時系列データ及び前記第2時系列データから前記スウェリング状態の第2変化量を決定する段階であって、前記第2変化量は、前記第1時系列データの最小スウェリング状態と前記第2時系列データの最小スウェリング状態との差である段階と、をさらに含み、
前記バッテリーセルが故障であるか否かを判定する段階は、
前記第1変化量及び前記第2変化量に基づいて、前記バッテリーセルが故障であるか否かを判定する、請求項11に記載のバッテリー管理方法。
【請求項15】
前記充電過程の間に反復して検出された前記バッテリーセルを介して流れるバッテリー電流の第3時系列データを生成する段階と、
前記放電過程の間に反復して検出された前記バッテリー電流の第4時系列データを生成する段階と、
前記第3時系列データ及び前記第4時系列データから前記充電過程における前記バッテリー電流の第1積算量及び前記放電過程における前記バッテリー電流の第2積算量を決定する段階をさらに含み、
前記バッテリーセルが故障であるか否かを判定する段階は、
(i)前記第1変化量が第1臨界変化量以上であり、(ii)前記第2変化量が第2臨界変化量以上であり、かつ(iii)前記第1積算量に対する前記第2積算量の割合が臨界割合未満である場合、前記バッテリーセルを故障と判定する、請求項14に記載のバッテリー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーセルの内部短絡故障を検出する技術に関する。
【0002】
本出願は、2021年7月8日出願の韓国特許出願第10-2021-0089983号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリー効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
電気車両などのようなアップリケーションの高電圧及び大容量の要求を満たすために、直列に接続された複数のバッテリーセルを含むバッテリーモジュールが広く普及されている。
【0006】
バッテリーモジュールにおいて、いくつかのバッテリーセルの故障がバッテリーシステムの全体的な性能と安全性に悪影響を与える可能性が高い。したがって、バッテリーシステムを運用するに際し、個別のバッテリーセルの故障を適切に検出することが重要である。
【0007】
バッテリーセルの多様な故障類型の中で内部短絡故障は火事に直・間接的に影響を及ぼす主な故障である。内部短絡故障は、「マイクロ短絡」とも称することがあり、バッテリーセル内における副反応(例えば、負極表面における析出物の生成)及び/または異物の浸透などによって発生する。
【0008】
従来には、休止中にバッテリーセルの開路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の低下量を所定の値または他のバッテリーセルの平均低下量と比較することで、各バッテリーセルの内部短絡故障を検出している。しかし、休止中のバッテリーセルのOCVは非常に遅く低下するため、OCVの低下量から内部短絡故障を検出することには、よほど長い時間が必要であるという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーセルのスウェリング状態(swelling status)と内部短絡故障との相関関係に基づき、充放電サイクルの間に検出されるバッテリーセルのスウェリング状態に対する時系列データを分析することで、バッテリーセルの内部短絡故障を検出するバッテリー管理システム、バッテリーパック、電気車両及びバッテリー管理方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一面によるバッテリー管理システムは、バッテリーセルのスウェリング状態を検出するように構成される少なくとも一つのセンサーを含むスウェリング検出器と、前記バッテリーセルに対する充放電サイクルに含まれた充電過程の間に反復して検出された前記スウェリング状態の第1時系列データを生成するように構成される制御回路と、を含む。前記制御回路は、前記第1時系列データから、前記充電過程による前記スウェリング状態の第1変化量を決定し、前記第1変化量に基づいて、前記バッテリーセルが内部短絡故障であるか否かを判定するように構成される。
【0012】
前記スウェリング状態は、前記バッテリーセルの厚さまたは前記バッテリーセルに作用する荷重である。
【0013】
前記制御回路は、前記第1時系列データの最小スウェリング状態と最大スウェリング状態との差、または前記充電過程の開始時点から所定の時間が経過した時点で検出されたスウェリング状態と第1時系列データの最大スウェリング状態との差を前記第1変化量として決定するように構成され得る。
【0014】
前記制御回路は、前記第1変化量が第1臨界変化量以上である場合、前記バッテリーセルを内部短絡故障と判定するように構成され得る。
【0015】
前記制御回路は、前記充電過程後に行われるように前記充放電サイクルに含まれた放電過程の間に反復して検出された前記スウェリング状態の第2時系列データを生成するように構成され得る。前記制御回路は、前記第1時系列データ及び第2時系列データから前記スウェリング状態の第2変化量を決定するように構成され得る。前記第2変化量は、前記第1時系列データの最小スウェリング状態と前記第2時系列データの最小スウェリング状態との差であり得る。前記制御回路は、前記第1変化量及び前記第2変化量に基づいて、前記バッテリーセルが内部短絡故障である否かを判定するように構成され得る。
【0016】
前記制御回路は、前記第1変化量が第1臨界変化量であり、かつ前記第2変化量が第2臨界変化量以上である場合、前記バッテリーセルを内部短絡故障と判定するように構成され得る。
【0017】
前記バッテリー管理システムは、前記バッテリーセルを介して流れるバッテリー電流を検出するように構成される電流検出器をさらに含み得る。前記制御回路は、前記充電過程の間に反復して検出された前記バッテリー電流の第3時系列データを生成するように構成され得る。前記制御回路は、前記放電過程の間に反復して検出された前記バッテリー電流の第4時系列データを生成するように構成され得る。前記制御回路は、前記第3時系列データから前記充電過程における前記バッテリー電流の第1積算量及び前記第4時系列データから前記放電過程における前記バッテリー電流の第2積算量を決定するように構成され得る。前記制御回路は、(i)前記第1変化量が第1臨界変化量以上であり、(ii)前記第2変化量が第2臨界変化量以上であり、かつ(iii)前記第1積算量に対する前記第2積算量の割合が臨界割合未満である場合、前記バッテリーセルを内部短絡故障と判定するように構成され得る。
【0018】
前記制御回路は、前記第1時系列データから、前記充電過程の初期における前記スウェリング状態の第1平均変化率及び前記充電過程の後期における前記スウェリング状態の第2平均変化率を決定するように構成され得る。前記制御回路は、(i)前記第1変化量が第1臨界変化量以上であり、かつ(ii)前記第1平均変化率に対する前記第2平均変化率の割合が臨界割合以上である場合、前記バッテリーセルを内部短絡故障と判定するように構成され得る。
【0019】
なお、本発明の他面によるバッテリーパックは、前記バッテリー管理システムを含む。
【0020】
本発明のさらに他面による電気車両は、前記バッテリーパックを含む。
【0021】
本発明のさらに他面によるバッテリー管理方法は、バッテリーセルに対する充放電サイクルに含まれた充電過程の間に反復して検出された前記バッテリーセルのスウェリング状態の第1時系列データを生成する段階と、前記第1時系列データから、前記スウェリング状態の第1変化量を決定する段階と、前記第1変化量に基づいて、前記バッテリーセルが内部短絡故障であるか否かを判定する段階と、を含む。
【0022】
前記スウェリング状態の第1変化量を決定する段階は、前記第1時系列データの最小スウェリング状態と最大スウェリング状態との差、または前記充電過程の開始時点から所定の時間が経過した時点で検出されたスウェリング状態と第1時系列データの最大スウェリング状態との差を前記第1変化量として決定し得る。
【0023】
前記バッテリーセルが内部短絡故障であるか否かを判定する段階は、前記第1変化量が第1臨界変化量以上である場合、前記バッテリーセルを内部短絡故障と判定し得る。
【0024】
前記バッテリー管理方法は、前記充電過程後に行われるように前記充放電サイクルに含まれた放電過程の間に反復して検出された前記スウェリング状態の第2時系列データを生成する段階と、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データから前記スウェリング状態の第2変化量を決定する段階であって、前記第2変化量は、前記第1時系列データの最小スウェリング状態と前記第2時系列データの最小スウェリング状態との差である段階と、をさらに含み得る。前記バッテリーセルが内部短絡故障であるか否かを判定する段階は、前記第1変化量及び前記第2変化量に基づいて、前記バッテリーセルが内部短絡故障であるか否かを判定し得る。
【0025】
前記バッテリー管理方法は、前記充電過程の間に反復して検出された前記バッテリーセルを介して流れるバッテリー電流の第3時系列データを生成する段階と、前記放電過程の間に反復して検出された前記バッテリー電流の第4時系列データを生成する段階と、前記第3時系列データ及び前記第4時系列データから前記充電過程における前記バッテリー電流の第1積算量及び前記放電過程における前記バッテリー電流の第2積算量を決定する段階と、をさらに含み得る。
【0026】
前記バッテリーセルが内部短絡故障であるか否かを判定する段階は、(i)前記第1変化量が第1臨界変化量以上であり、(ii)前記第2変化量が第2臨界変化量以上であり、かつ(iii)前記第1積算量に対する前記第2積算量の割合が臨界割合未満である場合、前記バッテリーセルを内部短絡故障と判定し得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施例の少なくとも一つによれば、バッテリーセルのスウェリング状態と内部短絡故障との相関関係に基づき、充放電サイクルの間に検出されるバッテリーセルのスウェリング状態に対する時系列データを分析することで、バッテリーセルの内部短絡故障を検出することができる。
【0028】
また、本発明の実施例の少なくとも一つによれば、バッテリーセルのスウェリング状態と同期して検出されるバッテリー電流に対する時系列データを追加的に活用することで、バッテリーセルの内部短絡故障をさらに精度よく検出することができる。
【0029】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0030】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による電気車両の構成を示した図である。
【0032】
【
図2】バッテリーセルの例示的な等価回路を説明するための参照図である。
【0033】
【
図3】充放電サイクルにおけるバッテリーセルのスウェリング状態の経時変化を示すグラフである。
【0034】
【
図4】本発明の第1実施例によるバッテリーの管理方法を示すフローチャートである。
【0035】
【
図5】本発明の第2実施例によるバッテリー管理方法を示すフローチャートである。
【0036】
【
図6】本発明の第3実施例によるバッテリー管理方法を示すフローチャートである。
【0037】
【
図7】本発明の第4実施例によるバッテリー管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0039】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0040】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0041】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「制御ユニット」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0042】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0043】
図1は、本発明による電気車両の構成を示した図である。
【0044】
図1を参照すると、電気車両1は、車両コントローラ2、バッテリーパック10及び電気負荷30を含む。バッテリーパック10の充放電端子P+、P-は、電気負荷30及び充電器40に電気的に結合し得る。充電器40は、電気車両1に含まれるか、または充電スチーションに設けられたものであり得る。
【0045】
車両コントローラ2(例えば、ECU:Electronic Control Unit)は、電気車両1に設けられた始動ボタン(図示せず)が使用者によってオン位置に切り換えられたことに応じて、キーオン(key-on)信号をバッテリー管理システム100に伝送するように構成される。車両コントローラ2は、始動ボタンが使用者によってオフ位置に切り換えられたことに応じて、キーオフ信号をバッテリー管理システム100に伝送するように構成される。充電器40は、車両コントローラ2と通信して、バッテリーパック10の充放電端子P+、P-を介して定電流または定電圧の充電電力を供給し得る。
【0046】
バッテリーパック10は、バッテリーモジュールBM、リレー20及びバッテリー管理システム100を含む。
図1においては、バッテリーパック10が単一のバッテリーモジュールBMを含むことを示したが、直列、並列または直・並列混合の二つ以上のバッテリーモジュールBMがバッテリーパック10に含まれ得る。
【0047】
バッテリーモジュールBMは、複数のバッテリーセルBC
1~BC
N(Nは2以上の自然数である。)を含む。複数のバッテリーセルBC
1~BC
Nは、互いに直列に接続される。複数のバッテリーセルBC
1~BC
Nは、互いに同じ電気化学的仕様を有するように製造されたものであり得る。
図1においては、複数のバッテリーセルBC
1~BC
NがBC
1からBC
Nの順に整列された様子を示している。バッテリーセル(例えば、BC
1)は、バッテリーモジュールBMのスペーサ(図示せず)によってそれに隣接する他のバッテリーセル(例えば、BC
2)から互いに所定の距離に離隔し得る。これによって、バッテリーセル(例えば、BC
1)のスウェリングによる他のバッテリーセル(例えば、BC
2)へのスウェリングの影響が除去され得る。
【0048】
以下では、複数のバッテリーセルBC1~BCNに共通する内容を説明することにおいて、バッテリーセルに対して符号「BC」を付与した。バッテリーセルBCは、例えば、リチウムイオンセルのように反復的な充放電が可能なのものであれば、その種類は特に限定されない。
【0049】
リレー20は、バッテリーモジュールBM及びインバータ31を接続する電力経路を通して、バッテリーモジュールBMに電気的に直列に接続される。
図1では、リレー20がバッテリーモジュールBMの正極端子と充放電端子P+との間に接続されたことが示されている。リレー20は、バッテリー管理システム100からのスイチング信号に応じて、オンオフ制御される。リレー20は、コイルの磁気力によってオンオフされる機械式コンタクターであるか、またはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect transistor)のような半導体スイッチであり得る。
【0050】
電気負荷30は、インバータ31及び電気モーター32を含む。インバータ31は、バッテリー管理システム100または車両コントローラ2からの命令に応じて、バッテリーパック10に含まれたバッテリーモジュールBMからの直流電流を交流電流に切り換えるように提供される。電気モーター32は、インバータ31からの交流電力を用いて駆動する。電気モーター32としては、例えば三相交流モーターを用い得る。
【0051】
バッテリー管理システム100は、スウェリング検出器110及び制御回路150を含む。バッテリー管理システム100は、電圧検出器120、電流検出器130及び通信回路160のうち少なくとも一つをさらに含み得る。
【0052】
スウェリング検出器110は、複数のバッテリーセルBC1~BCNの各々のスウェリング状態を検出し、検出されたスウェリング状態を示すスウェリング信号を生成するように構成される。
【0053】
スウェリング検出器110は、複数のスウェリングセンサーW1~WN、またはW1~WN+1を含み得る。以下では、複数のスウェリングセンサーW1~WNに共通する内容を説明することにおいて、スウェリングセンサーに対して符号「W」を付与した。スウェリング状態は、バッテリーセルBCに接触または非接触した状態で、スウェリングセンサーWによって検出されるバッテリーセルBCの厚さまたはバッテリーセルBCに作用する荷重であり得る。スウェリング状態をスウェリング量またはスウェリング値とも称し得る。スウェリングセンサーWとしては、例えば、赤外線センサー、ストレインゲージ、圧電センサー、イメージセンサーなどのような公知のスウェリング検出素子のいずれか一つまたは二つ以上の組合せによって具現され得る。
【0054】
iはN以下の自然数と仮定する。
図1は、複数のバッテリーセルBC
1~BC
Nの整列方向を基準にして、バッテリーセルBC
iの両側に二つのスウェリングセンサーW
i、W
i+1が位置している様子を示している。
【0055】
一例で、バッテリーセルBCiのスウェリング状態は、スウェリングセンサーWiまたはスウェリングセンサーWi+1によって検出され得る。他の例で、バッテリーセルBCiのスウェリング状態は、バッテリーセルBCiの両側に位置する二つのスウェリングセンサーWi、Wi+1によって検出され得る。
【0056】
電圧検出器120は、複数のバッテリーセルBC1~BCN各々の正極端子及び負極端子に接続され、バッテリーセルBCの両端にかかった電圧を検出し、検出されたセル電圧を示す電圧信号を生成するように構成される。
【0057】
電流検出器130は、バッテリーモジュールBMとインバーター31との間の電流経路を通してバッテリーモジュールBMに直列に接続される。電流検出器130は、バッテリーモジュールBMを介して流れるバッテリー電流を検出し、検出されたバッテリー電流を示す電流信号を生成するように構成される。複数のバッテリーセルBC1~BCNは、直列に接続されているので、複数のバッテリーセルBC1~BCNには共通のバッテリー電流が流れる。電流検出器130は、シャント抵抗、ホール素子などのような公知の電流検出素子のいずれか一つまたは二つ以上の組合せによって具現され得る。
【0058】
通信回路160は、制御回路150と車両コントローラ2との間の有線通信または無線通信を支援するように構成される。有線通信は、例えば、CAN(contoller area network)通信であり、無線通信は、例えば、ジグビー(登録商標)やブルートゥース(登録商標)通信であり得る。勿論、制御回路150と車両コントローラ2との間の有無線通信を支援するものであれば、通信プロトコールの種類は特に限定されない。通信回路160は、制御回路150及び/または車両コントローラ2から受信された情報を使用者(運転者)が認識可能な形態で提供する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー)を含み得る。
【0059】
制御回路150は、「バッテリーコントローラ」と称することがあり、ハードウェア的に、ASIC(application specific integrated circuit,特定用途向け集積回路)、DSP(digital signal processor,デジタルシグナルプロセッサ)、DSPD(digital signal processing device,デジタル信号処理デバイス)、PLD(programmable logic device,プログラマブルロジックデバイス)、FPGA(field programmable gate array,フィールドプログラマブルゲートアレイ)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、その他の機能遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。
【0060】
制御回路150は、リレー20、検出器110、120、130及び/または通信回路160に動作可能に結合する。二つの構成が動作可能に結合するということは、単方向または双方向に信号を送受信可能に二つの構成が直・間接的に接続していることを意味する。
【0061】
制御回路150は、バッテリーモジュールBMの充電、放電及び/または休止中に、電圧検出器120からの電圧信号、及び/または電流検出器130からの電流信号を一定間隔の時間毎に収集し得る。即ち、制御回路150は、内部に設けられたADC(Analog to Digital Converter;アナログ・デジタル・コンバーター)を用いて、検出器110、120、130から収集されたアナログ信号から、スウェリング検出値、電圧検出値及び/または電流検出値を取得してメモリー151に記録し得る。これによって、バッテリーセルBCのスウェリング状態、電圧及び/またはバッテリー電流各々の時系列データが生成される。参考までに、時系列データとは、任意の期間にかけて時間順に取得される値の集合(数列)を意味する。
【0062】
メモリー151は、例えば、フラッシュメモリー(登録商標)タイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、SSDタイプ(Solid State Disk type,ソリッドステートディスクタイプ)、SDDタイプ(Silicon Disk Drive type,シリコンディスクドライブタイプ)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、RAM(random access memory,ランダムアクセスメモリー)、SRAM(static random access memory,スタティックランダムアクセスメモリー)、ROM(read‐only memory,リードオンリーメモリー)、EEPROM(electrically erasable programmable read‐only memory,エレクトリカリーイレーサブルプログラマブルリードオンリーメモリー)、PROM(programmable read‐only memory,プログラマブルリードオンリーメモリー)の少なくとも一つのタイプの保存媒体を含み得る。メモリー151は、制御回路150による演算動作に要求されるデータ及びプログラムを保存し得る。メモリー151は、制御回路150による演算動作の結果を示すデータを保存し得る。メモリー151は、バッテリーセルBCの内部短絡故障の検出に適用される多様なアルゴリズムを保存し得る。メモリー151は、制御回路150内に集積化し得る。
【0063】
電気負荷30及び/または充電器40の動作中にリレー20がターンオンされる場合、バッテリーモジュールBMは、充電モードまたは放電モードになる。バッテリーモジュールBMが充電モードまたは放電モードで使用中にリレー20がターンオフされる場合、バッテリーモジュールBMは、休止に切り換えられる。
【0064】
制御回路150は、キーオン信号に応じて、リレー20をターンオンし得る。制御回路150は、キーオフ信号に応じて、リレー20をターンオフし得る。キーオン信号は、休止から充電または放電への切り換えを要請する信号である。キーオフ信号は、充電または放電から休止への切り換えを要請する信号である。または、リレー20のオンオフ制御は、制御回路150の代わりに車両コントローラ2が担当し得る。
【0065】
制御回路150は、バッテリーパック10の充電中、複数のバッテリーセルBC1~BCNの各々の電圧をモニターし、複数のバッテリーセルBC1~BCNの最大電圧を識別し得る。最大電圧は、複数のバッテリーセルBC1~BCNの電圧のうちで最大のものである。
【0066】
制御回路150は、バッテリーセルBCの内部短絡故障を検出するために、電気負荷30及び充電器40を制御して充放電サイクルを行い得る。充放電サイクルは、(i)充電過程及び放電過程の連続、または(iii)充電過程、休止過程及び放電過程の連続である。充電過程は、バッテリーセルBCのOCVが所定の電圧レベル(例えば、3.1V)以下であることを条件にして開始され得る。充電過程は、公知のCC(constant current)-CV(constant voltage)プロファイルによって行われ得る。CCの電流レート及びCVの充電電圧は、バッテリーセルBCの電気化学的仕様に応じて予め決められ得る。充電過程は、CVのうちバッテリー電流が所定のカットオフ電流(例えば、0.05A)に到達することを条件にして終了し得る。休止過程は、充電過程の終了時に開始される。休止過程は、充電過程によって発生したバッテリーセルBCの電気化学的な不安定性を安定化するためのものである。放電過程は、休止過程の終了時に開始される。CC充電の電流レベル(例えば、0.65A)、CV充電の電圧レベル(例えば、4.25V)、休止過程の持続時間(例えば、30分)は各々、バッテリーセルBCの仕様及び特性を考慮して適切に予め決められる。放電過程の電流レベル(例えば、-1.0A)は、バッテリーセルBCの仕様及び特性を考慮して各々適切に予め決められる。
【0067】
勿論、充放電サイクルは前述した内容に制限されず、内部短絡故障との明らかな相関関係が反映されたスウェリング状態の観測が可能になるようにいくらでも変形され得る。
【0068】
図2は、バッテリーセルの例示的な等価回路を説明するのに参照される図面であり、
図3は、充放電サイクルの間におけるバッテリーセルのスウェリング状態の経時変化を示しるグラフである。本明細書において、故障バッテリーセルとは、正常バッテリーセルとは異なり、内部短絡故障を有するバッテリーセルを指す。
【0069】
図2を参照すると、正常バッテリーセルは、直流電圧源V
DC、内部抵抗成分R
0及びRCペアR
1、Cの直列回路として等価化され得る。これに対し、故障バッテリーセルは、正常バッテリーセルに対応する直列回路の両端の間に追加的な抵抗成分R
ISCが接続されたことで等価化され得る。追加的な抵抗成分R
ISCは、漏洩電流I
ISCの経路として作用する内部短絡回路である。内部短絡回路R
ISCの抵抗値の減少は、内部短絡故障がひどくなることを意味し、内部短絡故障がひどくなるほど漏洩電流I
ISCとして消耗される電力量が増加し得る。
【0070】
図3は、所定のCC-CVプロファイルによる充電過程、休止過程及び定電流放電過程を含む充放電サイクルによるスウェリング状態の経時変化を示す。
図3において、カーブ310は、正常バッテリーセルのスウェリング状態を示し、カーブ320は、故障バッテリーセルのスウェリング状態を示す。理解を助けるために、二つのカーブ410、420に関わる充電過程の開始時点を時点t0に一致させており、時点t0において正常バッテリーセルと故障バッテリーセルのスウェリング状態はS0として同一であると仮定する。
【0071】
カーブ310において、t1、t2及びt3は、各々正常バッテリーセルに対する充電過程の終了時点(=休止過程の開始時点)、休止過程の終了時点(=放電過程の開始時点)及び放電過程の終了時点(=充放電サイクルの完了時点)である。カーブ310においては、スウェリング状態は、時点t0から時点t1まで増加し続ける。即ち、カーブ310においては、充電過程のスウェリング状態が時点t1で最大となる。
【0072】
カーブ320において、t11、t12及びt13は各々、故障バッテリーセルに対する充電過程の終了時点、休止過程の終了時点及び放電過程の終了時点である。カーブ320では、時点t11前の時点tPで最大スウェリング状態SPのピークPが位置しており、最大スウェリング状態SPは、充電過程の終了時のスウェリング状態SBよりも大きい。即ち、カーブ320において、スウェリング状態は、時点t0から増加し続けて時点tPで最大値SPになった後、時点tPから時点t11まで減少し続ける。充電過程の終了前にピークPの現われる理由は、時点tP付近で定電流充電から定電圧充電へ切り換えられることによって定電圧充電中に充電電流が減少し続け、このような充電電流の変化が正常バッテリーセルよりも故障バッテリーセルのスウェリング状態に相対的に大きい影響を与えた結果であると推測される。
【0073】
充電過程において、正常バッテリーセルとは対照的に、充電電力の一部は故障バッテリーセルに保存されなかったままで漏洩電流IISCとして消耗されてしまう。これによって、故障バッテリーセルにおいては、温度の上昇、ガスの発生、電極材料の膨張及び析出物(例えば、リチウム金属)の成長が加速化するので、それだけスウェリングがひどくなる。また、故障バッテリーセルに対する充電過程の所要時間(t11-t0)が正常バッテリーセルに対する充電過程の所要時間(t1-t0)よりも長い。
【0074】
本発明の発明者は、故障バッテリーセルのスウェリング状態が充電過程の初期t0~tAよりも後期tB~t1で速く増加する現象を確認した。このような現象は、大きく二つの原因、即ち、(i)時点t0から発生した漏洩電流IISCによる故障バッテリーセルの内部の不安定性が充電過程にかけて累積されること、及び(ii)充電過程の間に故障バッテリーセルの電圧が次第に増加すること、が複合的に作用した結果であり得る。原因(ii)は、故障バッテリーセルの電圧の増加から漏洩電流IISCが増加するオームの法則に基づく。
【0075】
次に、正常バッテリーセルに対する休止過程の持続時間(t2-t1)と、故障バッテリーセルに対する休止過程の持続時間(t12-t11)は、同一であり得る。
【0076】
続いて、放電過程においては、正常バッテリーセルとは対照的に、故障バッテリーセルの放電電力の一部は、電気負荷に供給されなかったままで漏洩電流IISCとして消耗されてしまう。これによって、放電過程において、故障バッテリーセルから漏洩電流IISCの追加的な放電電力が消耗されるので、故障バッテリーセルに対する放電過程の所要時間t13-t12が正常バッテリーセルに対する放電過程の所要時間t3-t2よりも短い。また、故障バッテリーセルBCに対する充電過程の最小スウェリング状態と放電過程の最小スウェリング状態との差ΔS2は、正常バッテリーセルに対する充電過程の最小スウェリング状態と放電過程の最小スウェリング状態との差ΔS1の数倍~数十倍に至るほど大きい。これは、故障バッテリーセル内に発生したガス及び析出物が放電過程後にもそのまま残留すると共に、正常バッテリーセルより大きい幅の温度上昇によって故障バッテリーセルの外装材が膨張していることに起因したと推測される。
【0077】
図4は、本発明の第1実施例によるバッテリー管理方法を示したフローチャートである。
【0078】
図1~
図4を参照すると、段階S410において、制御回路150は、充放電サイクルに含まれた充電過程の間に反復して検出されたバッテリーセルBCのスウェリング状態の第1時系列データを生成する。カーブ310において期間t0~t1の範囲は、バッテリーセルBCが正常である場合に生成される第1時系列データに対応する。カーブ320において期間t0~t11の範囲は、バッテリーセルBCが内部短絡故障である場合に生成される第1時系列データに対応する。
【0079】
段階S420において、制御回路150は、第1時系列データから、充電過程におけるスウェリング状態の第1変化量を決定する。第1変化量は、第1時系列データの最小スウェリング状態と最大スウェリング状態との差であり得る。または、第1変化量は、充電過程の開始時点から所定の時間が経過した時点で検出されたスウェリング状態と、第1時系列データの最大スウェリング状態との差であり得る。以下では、第1変化量が第1時系列データの最小スウェリング状態と最大スウェリング状態との差であると仮定する。
【0080】
図3のカーブ310を参照すると、バッテリーセルBCが正常である場合、充電過程の開始時点t0におけるスウェリング状態は最小であり、終了時点t1におけるスウェリング状態は最大であることから、第1変化量はSA-S0となる。これに対して、カーブ320を参照すると、バッテリーセルBCが故障である場合、充電過程の開始時点t0におけるスウェリング状態は最小であり、終了時点t11前の時点tPにおけるスウェリング状態は最大であることから、第1変化量はSP-S0になる。
【0081】
段階S430において、制御回路150は、第1変化量に基づいて、バッテリーセルBCが内部短絡故障であるか否かを判定する。一例で、第1変化量が第1臨界変化量以上である場合、バッテリーセルBCを内部短絡故障と判定する。段階S430の値が「はい」である場合、段階S440へ進む。
【0082】
段階S440において、制御回路150は、所定の保護機能を実行する。一例で、制御回路150は、バッテリーセルBCが内部短絡故障であることを示すアラームメッセージを通信回路160を通じて車両コントローラ2及び/または使用者(例えば、運転者)に出力し得る。他の例で、制御回路150は、充電電圧、放電電圧、充電電流及び/または放電電流の許容値を所定の値に制限し得る。
【0083】
後述された第2~第4実施例によるバッテリー管理方法は、前述した第1実施例によるバッテリー管理方法の変形例である。これによって、実施例を説明する際し、互いに共通する内容の反復的な説明は省略され得る。
【0084】
図5は、本発明の第2実施例によるバッテリー管理方法を示すフローチャートである。
【0085】
図1~
図3及び
図5を参照すると、段階S510において、制御回路150は、充放電サイクルに含まれた充電過程の間に反復して検出されたバッテリーセルBCのスウェリング状態の第1時系列データを生成する。
【0086】
段階S512において、制御回路150は、充放電サイクルに含まれた放電過程の間に反復して検出されたバッテリーセルBCのスウェリング状態の第2時系列データを生成する。カーブ310において期間t2~t3の範囲は、バッテリーセルBCが正常である場合に生成される第2時系列データに対応する。カーブ320において期間t12~t13の範囲は、バッテリーセルBCが内部短絡故障である場合に生成される第1時系列データに対応する。
【0087】
段階S520において、制御回路150は、第1時系列データ及び第2時系列データから充電過程におけるスウェリング状態の第1変化量及び放電過程におけるスウェリング状態の第2変化量を決定する。第2変化量は、放電過程の最小スウェリング状態と充電過程の最小スウェリング状態との差である。
図3において、バッテリーセルBCが正常である場合、第2変化量はΔS1である。一方、バッテリーセルBCが故障である場合、第2変化量はΔS2である。
【0088】
段階S530において、制御回路150は、第1変化量及び第2変化量に基づいて、バッテリーセルBCが内部短絡故障であるか否かを判定する。
【0089】
一例で、第1変化量が第1臨界変化量以上であり、かつ第2変化量が第2臨界変化量以上である場合、バッテリーセルBCは内部短絡故障と判定される。他の例で、第1変化量と第2変化量の和が第3臨界変化量以上である場合、バッテリーセルBCは内部短絡故障と判定される。さらに他の例で、第1変化量と第2変化量の加重和(または加重平均)が第4臨界変化量以上である場合、バッテリーセルBCは内部短絡故障と判定される。段階S530の値が「はい」である場合、段階S540へ進む。
【0090】
段階S540において、制御回路150は、所定の保護機能を実行する。
【0091】
図6は、本発明の第3実施例によるバッテリー管理方法を示したフローチャートである。
【0092】
図1~
図3及び
図6を参照すると、段階S610において、制御回路150は、充放電サイクルに含まれた充電過程の間に反復して検出されたバッテリーセルBCのスウェリング状態の第1時系列データを生成する。
【0093】
段階S612において、制御回路150は、充放電サイクルに含まれた放電過程の間に反復して検出されたバッテリーセルBCのスウェリング状態の第2時系列データを生成する。
【0094】
段階S620において、制御回路150は、充電過程の間に反復して検出されたバッテリーセルBCのバッテリー電流の第3時系列データを生成する。
【0095】
段階S622において、制御回路150は、放電過程の間に反復して検出されたバッテリーセルBCのバッテリー電流の第4時系列データを生成する。
【0096】
段階S630において、制御回路150は、第1時系列データ及び第2時系列データから、充電過程によるスウェリング状態の第1変化量及び放電過程によるスウェリング状態の第2変化量を決定する。
【0097】
段階S640において、制御回路150は、第3時系列データ及び第4時系列データから、充電過程におけるバッテリー電流の第1積算量及び放電過程におけるバッテリー電流の第2積算量を決定する。第1積算量は、充電過程の開始時点から終了時点までバッテリーセルBCを介して流れた充電電流の累積値を示す。第2積算量は、放電過程の開始時点から終了時点までバッテリーセルBCを介して流れた放電電流の累積値を示す。第1積算量に対する第2積算量の割合、即ち、(第2積算量)/(第1電算量)は、バッテリーセルBCのクーロン効率を示す。
【0098】
段階S650において、制御回路150は、第1変化量、第2変化量、第1積算量及び第2積算量に基づいて、バッテリーセルBCが内部短絡故障であるか否かを判定する。
【0099】
一例で、第1変化量が第1臨界変化量以上であり、第2変化量が第2臨界変化量以上であり、かつ第1積算量に対する第2積算量の割合が臨界割合未満である場合、バッテリーセルBCは内部短絡故障と判定される。
【0100】
他の例で、第1変化量と第2変化量の和が第3臨界変化量以上であり、かつ第1積算量に対する第2積算量の割合が臨界割合未満である場合、バッテリーセルBCは内部短絡故障と判定される。
【0101】
さらに他の例で、第1変化量と第2変化量の加重和(または加重平均)が第4臨界変化量以上であり、かつ第1積算量に対する第2積算量の割合が臨界割合未満である場合、バッテリーセルBCは内部短絡故障と判定される。段階S650の値が「はい」である場合、段階S660へ進む。
【0102】
段階S660において、制御回路150は、所定の保護機能を実行する。
【0103】
図7は、本発明の第4実施例によるバッテリー管理方法を示すフローチャートである。
【0104】
図1~
図3及び
図7を参照すると、段階S710において、制御回路150は、充放電サイクルに含まれた充電過程の間に反復して検出されたバッテリーセルBCのスウェリング状態の第1時系列データを生成する。
【0105】
段階S720において、制御回路150は、第1時系列データから充電過程によるスウェリング状態の第1変化量を決定する。
【0106】
段階S722において、制御回路150は、第1時系列データから充電過程の初期のスウェリング状態の第1平均変化率及び充電過程の後期のスウェリング状態の第2平均変化率を決定する。
【0107】
充電過程の初期は、充電過程の開始時点t0から第1時間が経過した時点までの期間である。
図3のカーブ320において、充電過程の初期は、充電過程の開始時点t0から時点tAまでの期間である。第1時間は、充電過程の基準時間と第1係数(1未満の正数)の積と同一であり得る。基準時間は、最小スウェリング状態が検出された時点と最大スウェリング状態が検出された時点との時間間隔である。一例で、基準時間tP-t0=150分、第1係数=0.2である場合、第1時間=30分である。または、第1時間は、予め決められ得る。第1平均変化率は、初期のスウェリング状態の変化量(SX-S0)を第1時間で割った値である。
【0108】
充電過程の後期は、充電過程の最大スウェリング状態が検出された時点から第2時間前までの期間である。
図3のカーブ320において、充電過程の後期は、充電過程の時点tBから時点tPまでの期間である。第2時間は、基準時間と第2係数(1未満の正数)の積と同一であり得る。一例で、基準時間tP-t0=150分、第2係数=0.1である場合、第2時間=15分である。または、第2時間は、予め決められ得る。第2平均変化率は、後期のスウェリング状態の変化量(SP-SY)を第2時間で割った値である。
【0109】
段階S730において、制御回路150は、第1変化量、第1平均変化率及び第2平均変化率に基づいて、バッテリーセルBCが内部短絡故障であるか否かを判定する。
【0110】
一例で、第1変化量が第1臨界変化量以上であり、かつ第1平均変化率に対する第2平均変化率の割合が臨界割合未満である場合、バッテリーセルBCは内部短絡故障と判定される。
【0111】
他の例で、第1変化量が第1臨界変化量以上であり、第1平均変化率と第2平均変化率との差が臨界変化率以上である場合、バッテリーセルBCは内部短絡故障と判定される。段階S730の値が「はい」である場合、段階S740へ進む。
【0112】
段階S740において、制御回路150は、所定の保護機能を実行する。
【0113】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0114】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0115】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 電気車両
10 バッテリーパック
100 バッテリー管理システム
110 スウェリング検出器
150 制御回路
BC バッテリーセル
BM バッテリーモジュール
【国際調査報告】