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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】遠隔撮像システムにおける偏光分離
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20231016BHJP
   G02B 6/27 20060101ALI20231016BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20231016BHJP
   G02B 6/126 20060101ALI20231016BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20231016BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20231016BHJP
   G01S 17/34 20200101ALI20231016BHJP
   G02B 27/28 20060101ALN20231016BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G02B6/27
G02B6/125 301
G02B6/126
G02B6/12 301
G02B6/42
G01S17/34
G02B27/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520283
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-08
(86)【国際出願番号】 US2021052485
(87)【国際公開番号】W WO2022072387
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】17/062,618
(32)【優先日】2020-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437076
【氏名又は名称】シルク テクノロジーズ インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーナス、プラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】フ、シュレン
(72)【発明者】
【氏名】アスガリ、メヘディ
(72)【発明者】
【氏名】ルフィ、ブラッドレー ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ベールーズプール、ベーナム
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2H199
5J084
【Fターム(参考)】
2H137AA04
2H137AA14
2H137AB11
2H137AB16
2H137BA44
2H137BA45
2H137BA46
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB17
2H137BB25
2H137BC02
2H137BC07
2H137BC43
2H137BC50
2H137BC51
2H137DA39
2H137FA06
2H147AA02
2H147AB04
2H147AB05
2H147AB11
2H147AB21
2H147BD01
2H147BE13
2H147BE15
2H147BE22
2H147CA08
2H147CA13
2H147CA22
2H147CA23
2H147CD02
2H147EA12C
2H147EA13C
2H147EA14C
2H199AB37
2H199AB45
5J084AA04
5J084BA03
5J084BA36
5J084BA48
5J084BB01
5J084BB17
5J084BB21
5J084BB28
5J084BB34
5J084CA08
(57)【要約】
本明細書に記載のシステム及び方法は、光検出及び測距(LIDAR)システム等の撮像システムに関連付けられたレーザー信号及び/または入射光信号の偏光分離に関する。例示的な実施形態では、入射光信号を偏光分離器に誘導し、入射光信号の2つの偏光状態を捕捉するように構成されたシステムが記載される。いくつかの場合では、前記レーザー信号を2つの異なる偏光状態に変換し得る。本システムは、入射光信号の2つの偏光状態をレーザー参照信号の対応する偏光状態と共に個別に処理して、前記撮像システムの視野内の反射物体に関連する情報を抽出し得る。前記偏光分離器は、撮像システムに関連する出射光信号及び入射光信号を処理するために使用される光集積回路(PIC)の端部に隣接して配置された複屈折結晶であってもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光分離のための電気光学システムであって、該システムは、
少なくとも1つの入力信号を受信して、
前記少なくとも1つの入力信号に基づいて、該少なくとも1つの入力信号の第1偏光部分及び第2偏光部分を生成するように
構成された複屈折結晶;及び
該複屈折結晶から第1入力導波路を介して該少なくとも1つの入力信号の第1偏光部分を受信し、そして
該複屈折結晶から第2入力導波路を介して該少なくとも1つの入力信号の第2偏光部分を受信する
ように構成された光集積回路(PIC)
を含み、前記第1入力導波路及び前記第2入力導波路に関連付けられた分離距離は、該複屈折結晶の寸法に基づく、
前記システム。
【請求項2】
前記PICが、出力導波路を介して出力信号を送信するようにさらに構成され、前記少なくとも1つの入力信号が、前記電気光学システムの視野(FOV)内に位置する物体からの出力信号の反射に関連付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記PICが、対応する入力導波路を介して追加の入力信号の偏光部分を受信するようにさらに構成され、該追加の入力信号の偏光部分が、前記電気光学システムの前記FOV内に位置する異なる物体からの出力信号の少なくとも1回の反射に関連付けられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複屈折結晶の寸法が、約100μmを超えてかつ2mm未満のその長さに対応する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1入力導波路及び前記第2入力導波路に関連付けられた分離距離が、数μm~200μmの間で変動する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記PICが、前記出力信号に基づいて第1参照信号を生成し、そして前記少なくとも1つの入力信号の第1偏光部分を該第1参照信号と干渉させることに基づいて第1光拍動信号を生成するようにさらに構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記PICが、第1マルチモード干渉(MMI)装置を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1MMI装置が、2×2MMI装置であり、前記第1MMI装置が、前記第1光拍動信号を生成するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記出力信号を生成するように構成されたレーザー、及び少なくとも前記第1光拍動信号を受信するように構成された光センサーの第1ペアーをさらに含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記光センサーの第1ペアーが、前記第1光拍動信号を第1電気拍動信号にそれぞれ変換するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
偏光分離のための電気光学システムであって、該システムは、
出力信号を生成する
ように構成されたレーザー、
該出力信号を受信して、
該出力信号に関連付けられた横方向電気(TE)信号を生成し、そして
該出力信号に関連付けられた横方向磁気(TM)信号を生成する
ように構成された偏光回転子、
該出力信号に関連付けられたTE信号及びTM信号を受信して、
第1屈折角で該TE信号を送信し、そして
第2屈折角で該TM信号を送信する
ように構成された第1複屈折結晶、
少なくとも1つの入力信号を受信して、
該少なくとも1つの入力信号に基づいて、該少なくとも1つの入力信号の第1偏光部分及び第2偏光部分を生成する
ように構成された第2複屈折結晶、及び
前記第1複屈折結晶から前記出力信号に関連付けられたTE信号を受信し、
前記第1複屈折結晶から前記出力信号に関連付けられたTM信号を受信し、
前記第2複屈折結晶から第1入力導波路を介して前記少なくとも1つの入力信号のTE部分を受信し、そして
前記第2複屈折結晶から第2入力導波路を介して前記少なくとも1つの入力信号のTM部分を受信する
ように構成された光集積回路(PIC)
を含む、前記システム。
【請求項12】
前記第1入力導波路及び前記第2入力導波路に関連付けられた第1分離距離が、前記第2複屈折結晶の少なくとも1つの寸法に基づく、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記PICが、TE出力信号を放射するように構成された出力導波路を介して前記TE信号を受信し、そしてTM光信号をサポートするように構成されたTM導波路を介して前記TM信号を受信するようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記出力導波路及び前記TM導波路に関連付けられた第2分離距離が、前記第1複屈折結晶の少なくとも1つの寸法に基づく、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2複屈折結晶の少なくとも1つの寸法が、約100μmを超えてかつ2mm未満のその長さに対応する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1入力導波路及び前記第2入力導波路に関連付けられた第1分離距離が、数μm~200μmの間で変動する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記出力導波路及び前記TM導波路に関連付けられた第2分離距離が、数μm~200μmの間で変動する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記PICが、
前記TE出力信号に基づいて第1参照信号を生成し、そして
前記TM光信号に基づいて第2参照信号を生成する
ようにさらに構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記PICが、
前記少なくとも1つの入力信号のTE部分を前記第1参照信号と干渉させることに基づいて第1光拍動信号を生成し、そして
前記少なくとも1つの入力信号のTM部分を前記第2参照信号と干渉させることに基づいて第2光拍動信号を生成する
ようにさらに構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記PICが、
前記第1光拍動信号を生成するように構成された第1マルチモード干渉(MMI)装置、及び
前記第2光拍動信号を生成するように構成された第2MMI装置
を備える、請求項19に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本発明は、撮像システムに関する。特に、本発明は、周波数変調連続波(FMCW)に基づくLIDAR(光検出及び測距)システムに関する。
【背景】
【0002】
総合的な光工学における最近の進歩により、フォーム ファクター、低損失、及び高速動作の面で改良された撮像システムの設計プラットフォームが提供された。例えば、統合されたオンチップ レーザー、導波路等の光学的な構成要素、及び電子機器を備えたLIDARシステムは、無人車両、ドローン、自律型ロボット、及びその他の撮像分野にわたる自律型撮像応用の革命への道を開いている。特に、FMCWに基づくLIDARは、周辺光の干渉に影響されず、各撮像ピクセルに速度、深度、反射光ビームに関連付けられた偏光情報等複数のデータ メトリックを提供する先端的な撮像技術として浮上している。
【0003】
しかし、FMCWに基づくLIDARの潜在的な欠点として、スキャナ システムの動作が高速化するにつれて、信号の捕捉が失われことがある。例えば、一部の微小電気機械(MEMS)スキャナは、標的視野(FOV)を走査するためにレーザー出力ビームを使用しながら連続的に回転するように構成された1つまたは複数のミラーを備える。フォーム ファクターが縮小されたフォトニック集積回路(PIC)に依存するFMCWに基づくLIDARシステムは、多くの場合、反射レーザー ビームを受信するために、ミクロンサイズの入力ファセットを備える。大きな開口部を備えた受動的な外部光学系(レンズ等)は、反射レーザー ビームの大部分を捕捉できることがあるが、これらのビームは、PICの対応する入力ファセットに到達するために、スキャナ ミラーを経由する必要がある。該ミラーの連続的な動きは、代わりに、入射レーザービームの一部を対応する入力ファセットから遠ざけることができ、それによって帰還信号の捕捉が失われる。入射光ビームとして同じFOVからの帰還信号が撮像装置の入力ファセットから離れる方向に誘導されるこの現象は、「ウォークオフ」と称されることがある。帰還信号に関連付けられた光子の損失は、走査速度や動作範囲を制限し、また信号対ノイズ比(SNR)を低下させ、これにより、FMCW LIDARの性能を低下させ得る。
【0004】
ウォークオフ軽減に取り込むFMCWシステムは、様々な時間間隔で様々な角度で帰還する信号を捕捉するために、複数の入力ファセットに依存する場合がある。複数の入力ファセットは、そうでなければ失われていた帰還光子の大部分を捕捉することができる。これらの光子に関連付けられた偏光固有の情報を取得するために、FMCWシステムには、入射信号または帰還信号を2つの偏光成分、即ち、横方向電気(TE)成分と横方向磁気(TM)成分に分割できる偏光分離器の要素を含めることができる。そのため、偏光に敏感な光学的な構成要素を介して両方の偏光状態に関連付けられた情報を抽出でき、これにより、FMCWシステムの性能を改善することができる。この性能の改善には、損失の少ないピクセル、高いSNR、及び標的材質の種類に関する情報を提供できる標的反射率固有の情報を有するより高密度なポイント クラウドが含まれる。
【概要】
【0005】
本概要は、本明細書の開示の重要または必須の特徴を特定することを意図したものではなく、その特定の特徴及び変形を単に要約するものである。その他の詳細及び特徴についても、以降の部分で説明する。
【0006】
本明細書で説明する特徴のいくつかは、前記ウォークオフ効果を軽減するためのシステム及び装置に関する。いくつかの実施形態では、撮像装置(例えば、LIDARチップ)は、単一の出力導波路及び複数の入力導波路を備え得る。該単一の出力導波路は、出力された撮像信号を搬送するように構成され得る。また、該複数の入力導波路は、反射された撮像信号を前記撮像装置に結合するように構成され得る。複数の入力導波路は、FOV、速軸速度、遅軸速度、動作範囲、動作波長、チャープ帯域幅、チャープ周波数、及び/またはチャープ期間等の様々なパラメータに基づいて離間され得る。入力導波路間の間隔はさらに、前記撮像システム(例えば、LIDARシステム)で使用される光学系(例えば、照準器、レンズ等)及び/または導波路結合係数に基づくことができる。いくつかの実施形態では、前記システムは、上述の様々なパラメータ及び/または撮像装置の構成に基づいて、ウォークオフ軽減パラメータを測定することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、複数の入力導波路を備えた撮像装置は、走査ミラーが速軸及び遅軸を中心に回転し続けるときに、所与の撮像FOVに関連付けられた帰還光子を受信し続けるように構成され得る。例えば、前記複数の入力導波路の第1入力導波路は、撮像システムに最も近い物体から帰還光子を受信してもよく、一方、前記複数の入力導波路の第2入力導波路は、わずかに遠くに位置する物体から帰還光子を受信してもよい。次に、前記複数の入力導波路の第3入力導波路は、該システムの動作に関して所与の最大範囲について、該撮像システムから最も遠くに位置する物体から帰還光子を受信してもよい。このように、前記撮像システムは、走査ミラーの異なる方向での帰還光子の捕捉を最大化することによって、帰還信号の損失を最小化するように構成されることができる。これにより、前記撮像システムは、撮像の質を低下させずに、より高い撮像速度で標的領域を走査することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、複数の入力導波路の各ペアーの間の間隔を変えることによって、前記撮像システムの動作範囲を拡大し得る。例えば、異なる動作範囲に対して帰還光子の捕獲を最大化することにより、前記撮像システムは、短い動作範囲及び中程度の動作範囲に位置する物体を同時に検出できる場合がある。いくつかの場合では、同じ走査速度を維持しながら、前記撮像システムの動作範囲を拡大し得る。これにより、コストを増加させずに、高性能の撮像システムを開発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書におけるいくつかの特徴は、限定ではなく例として示されている。添付の図面において、同様の参照番号は、同様の要素を指す。
【0010】
図1は、本明細書に記載の様々な実施形態による遠隔撮像システムを示す。
【0011】
図2は、本明細書に記載の様々な実施形態によるLIDARチップの例示的な図を示す。
【0012】
図3は、電子機器、制御、及び本明細書に記載の様々な実施形態による、図2のLIDARチップの光学的な構成要素とインターフェースする処理回路の例示的な図を示す。
【0013】
図4は、本明細書に記載の様々な実施形態による、図3のLIDARチップに関連付けられた複数の入力導波路の断面図を示す。
【0014】
図5は、本明細書に記載の様々な実施形態によるLIDARチップの端部に隣接して配置された偏光分離器の図を示す。
【0015】
図6は、本明細書に記載の様々な実施形態による、図5のLIDARチップのための複数の入力導波路の断面図を示す。
【詳細な説明】
【0016】
ここで、例示的な実施形態を、添付の図面を参照してより完全に説明する。多くの代替形態は、具現化され得る。また、例示的な実施形態は、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。これらの図面において、同様の参照番号は、同様の要素を指す。
【0017】
理解されるように、「第1」や「第2」等の用語を本明細書で使用して様々な要素を説明しているが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。本明細書で使用される「及び/または」の用語は、1つまたは複数の関連項目の任意及びすべての組み合わせを含む。特に明記されていない限り、または議論から明らかな場合を除き、「処理する」、「コンピューター処理する」、「計算する」、「測定する」、または「表示する」等の用語は、計算システムのレジスタ内の物理的、電子的な量として表されるデータを操作して変換し、また、該計算システムのメモリ、レジスタ、またはその他のそのような情報を保存、伝送、または表示する装置内の物理的な量として同様に表される他のデータへ記憶する計算システムまたは同様の電子計算装置の動作及びプロセスを指す。
【0018】
以下の説明では、例示的な実施形態は、特定のタスクを実行するか、特定の抽象データタイプを実行するルーチン、プログラム、物体、構成要素、データ構造等を含むプログラムモジュールまたは機能プロセスとして実行され得るか、また、電子システム(例えば、撮像及び表示装置)におけるハードウェアを使用して実行され得る動作の記号表現(例えば、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、ブロック図等の形式)を参照して説明される。そのような既存のハードウェアは、デジタル信号プロセッサ(DSP)、カスタムIC(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央処理ユニット(CPU)等の1つまたは複数を含み得る。
【0019】
本明細書に開示されるように、「記憶媒体」、「コンピューターで読み取り可能な記憶媒体」、または「非一時的なコンピューターで読み取り可能な記憶媒体」の用語は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダム アクセス メモリ(RAM)、磁気RAM、磁気ディスク記憶メモリ、光学記憶媒体、フラッシュ メモリ装置、及び/または情報を保存するためのその他の有形の機械読み取り可能媒体を含む、データを保存するための装置の1つまたは複数を表し得る。「コンピューター読み取り可能なメモリ」の用語は、携帯可能なまたは固定の記憶装置、光記憶装置、及び命令及び/またはデータを保存、収容、または搬送できる様々な他の媒体を含み得るが、これらに限定されない。
【0020】
さらに、例示的な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせによって実行され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードで実行される場合、必要なタスクを実行するためのプログラム コードまたはコード セグメントは、機械またはコンピューターで読み取り可能な媒体に保存され得る。ソフトウェアで実行される場合、プロセッサは、必要なタスクを実行するようにプログラムされ、それによって専用のプロセッサまたはコンピューターに変換される。
【0021】
図1は、遠隔撮像システム100の概略図を示す。該撮像システムは、光信号を生成、送信、及び/または受信するための光集積回路(PIC)を含める撮像装置101を備え得る。該撮像システムは、光信号を操縦するための機構106(例えば、走査モジュール、マイクロ電子機械ミラー、アレイ導波路回折格子、光フェーズドアレイ等)、制御ユニット104、分析ユニット110、 少なくとも1つの表示ユニット112、インターフェース電子機器102、光学系 (例: 照準器、レンズ等)、及びその他の様々な処理要素(DSP、ASIC、CPU、FPGA、回路、メモリ等)をさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、該撮像システムは、グラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)等の1つまたは複数の通信インターフェースを含み得る。
【0022】
PIC101は、電子機器102及び様々な処理要素(例えば、電気回路、マイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、CPU)と通信する上記の非一時的なコンピューターで読み取り可能な記憶媒体等のメモリを含める制御ユニット104とインターフェースし得る。前記電子機器は、単一の場所にある単一の構成要素として示されているが、該電子機器は、互いに独立し、かつ/または異なる場所に配置された複数の異なる構成要素を含んでもよい。また、上述のように、開示された電子機器の全部または一部は、前記チップと一体化され得る電子機器を含むチップ上に含まれ得る。前記電子機器は、前記LIDARシステムの一部を構成し得る。
【0023】
撮像システム100は、PIC101の1つまたは複数の光学的な構成要素及び/または走査モジュール106を制御して、標的領域108を走査するように構成されてもよい。例えば、撮像システム100は、約10~180度のFOVにわたって標的領域108を、走査モジュール106の速軸については50Hz~数kHz及び遅軸については数Hz~数十Hzのおおよその走査速度で走査するように構成された出力撮像信号を生成し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記撮像システムは、FMCW LIDARシステムであってもよく、前記PICは、LIDARチップまたはLIDARチップの一部であってもよい。前記LIDARシステムは、異なるチャープ期間にわたって周波数が変調されたLIDAR出力信号等の出力光信号を生成し得る。例えば、前記LIDAR出力信号の周波数は、第1チャープ期間(t)にわたって直線的に増加し、第2チャープ期間(t)にわたって直線的に減少し得る。これにより、LIDAR出力信号の波長が、異なるチャープ期間にわたって変動し得る。例えば、LIDAR出力信号の波長は、オンチップレーザーの動作の波長範囲に応じて、約1200nm~1320nm、1400nm~1590nm、及び1900nm~2100nmの間で変動し得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の光源(例えば、レーザー)は、約1550nmを中心とする波長を有するLIDAR出力信号を生成するように構成されてもよい。出射LIDAR信号の周波数が直線的に増加する第1チャープ期間は、アップランプチャープと称されてもよく、また、出射LIDAR信号の周波数が直線的に減少する第2チャープ期間は、ダウンランプチャープと称されてもよい。前記LIDARシステムは、少なくとも1つのチャープ期間に基づいて目標範囲及び/または速度を推定するように構成されてもよい。
【0025】
制御ユニット104は、走査モジュール106が出射LIDAR信号を操縦して、異なる標的領域の走査を制御するように構成されてもよい。前記標的領域は、それぞれ少なくとも1つのデータ サイクルに関連付けることができ、かつ/または各データ サイクルは、前記標的領域の1つに関連付けることができる。その結果、各LIDARデータの結果は、前記標的領域の1つに関連付けることができる。異なる標的領域は、いくらか重複してもよく、または互いに異なってもよい。2つのチャープ期間を含むデータ サイクルの場合、標的領域の各データ ポイントは、2つのチャープ期間に関連付けてもよい。3つのチャープ期間を含むデータ サイクルの場合、標的領域の各データ ポイントは、3つのチャープ期間に関連付けてもよい。
【0026】
図2は、複数の入力導波路の構成を含めることでウォークオフ軽減に取り込むLIDARチップの上面図を示している。第1入力ファセット228から相殺された後に到着するLIDAR信号は、チップ端部の水平軸に沿って該第1ファセットから離れて配置された第2入力ファセット230を介して依然として収集され得る。前記LIDARチップは、光源10(例えば、レーザー)、及び出力導波路16、第1入力導波路219、第2入力導波路231、第1入力ファセット228、第2入力ファセット230、第1参照導波路220、第2参照導波路226、第1光結合要素222、第2光結合要素234、分割器214、218及び224、ならびに干渉計216等複数の光学的な構成要素を含み得る。
【0027】
第1入力導波路219は、出力導波路212から第1所定距離(D1)だけ離れて配置され、第2入力導波路から第2所定距離(D2)だけ離間されてもよい。いくつかの実施形態では、前記第1所定距離及び/または第2所定距離は、50nm~10μmの間で変動し得る。様々なパラメータは、D1及び/またはD2の選択に影響を与え得る。これらのパラメータには、動作範囲(例えば、短い範囲<10m、中程度の範囲10m~50m、及び長い範囲>50m)、動作波長範囲(例えば、1200nm~1320nm、1400nm~1590nm、及び1900nm~2100nm)、チャープ期間、チャープ速度、走査モジュール106、レンズの仕様、及び/または光信号(例えば、LIDAR出力信号、第1LIDAR入力信号、及び第2LIDAR入力信号)をLIDARチップとの間で集束させるために使用される照準器の少なくとも1つが含まれる。
【0028】
出力導波路212は、レーザー210からの光を結合してもよい。該結合されたレーザー光は、出力ファセットを終端する出力導波路を介して出力ファセットに伝送されてもよい。該出力ファセットから伝送されたレーザー光は、出射 LIDAR信号またはLIDAR出力信号と交換可能に称してもよい。前記出力ファセットは、LIDARチップの端部に配置してもよい。該出力ファセットは、出力導波路212に関連付けられた終端ファセットと称してもよい。図2のLIDARチップは、出願番号16/931,444、16/547,522、及び16/726,235の関連出願に記載されたLIDARチップと関連付けられてもよく、それらの全体が本明細書に開示される。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記LIDARチップは、LIDAR出力信号の出力経路に沿って、前記出力ファセットの前に配置された増幅器を含んでもよい。例えば、出力導波路212は、LIDAR出力信号を前記増幅器に搬送してもよく、そして、増幅されたLIDAR出力信号は、前記出力ファセットから前記LIDARチップを出射してもよい。電子機器102は、増幅器の動作を制御し、かつ/またはLIDAR出力信号のパワーを制御するように構成されてもよい。増幅器の例には、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)、エルビウムドープ導波路増幅器(EDWA)、及び半導体光学増幅器(SOA)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、前記増幅器は、チップに取り付けられた個別の構成要素であってもよい。個別の増幅器は、LIDARチップ上のLIDAR出力信号の経路に沿った任意の位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、前記増幅器の全部または一部は、前記LIDARチップとともに、一体化されたオンチップ構成要素として製造してもよい。前記LIDARチップは、様々な基盤材料から製造してもよく、例えば、二酸化シリコン、リン化インジウム、及びシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェーハが含まれるが、これらに限定されない。分割器214、218、及び224の例には、y接合、光結合器、及びMMIが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
いくつかの実施形態では、レンズ、照準器、及びミラー等の光学系をチップから離れて配置されてもよい。次いで、走査モジュール106は、LIDAR出力信号を目標FOVに誘導し、該LIDAR出力信号に関連付けられた帰還LIDAR信号を照準及び/または集束する光学系に戻すように誘導してもよい。例えば、レンズは、この帰還LIDAR信号を収集し、該帰還信号をスキャナミラーに集束させてもよい。次に、該ミラーは、該帰還信号をLIDARチップに誘導してもよい。しかし、該スキャナミラーが絶え間なく動くため、特定の出力信号の反射に関連付けられた帰還信号は、出力ファセットから相殺された領域でLIDARチップに戻るように誘導され得る。前記出力信号と帰還信号は、LIDARチップに出入りする同じ経路を通過しない場合がある。例えば、前記出力信号は、前記出力ファセットからチップを出射し得る。また、最も早く反射された信号は、第1入力ファセット228を介してチップに入射し得る。後に到着する反射された信号は、第2入力ファセット230を介してチップに入射し得る。第1入力信号及び第2入力信号の両方の入力信号は、前記出力信号の所与の測定チャープ期間中に走査された2つの異なる物体からの帰還信号に対応する。前記測定期間は、アップチャープ期間であってもよく、ダウンチャープ期間であってもよい。
【0031】
一例として、入力導波路219に入射する第1LIDAR入力信号は、短い遅延の後に入力導波路231に入射する第2LIDAR入力信号を反射する第2物体よりもLIDARチップに近い位置にある第1物体に関連付けられ得る。第1LIDAR入力信号と第2LIDAR入力信号との間の到着遅延は、LIDARチップの位置に対する第1物体と第2物体との間の見通し距離に比例し得る。両方の入力信号は、特定のチャープ期間及び同じFOV中の出力信号の反射に対応し得る。いくつかの場合では、両方の入力信号が、同じ物体の異なる表面からの反射に対応し得る。
【0032】
入力導波路219及び231は、第1LIDAR入力信号及び第2LIDAR入力信号を前記LIDARチップの2つのデータ分岐の一部であり得るそれぞれの光結合要素222及び234(例えば、マルチモード干渉装置(MMI)、断熱分割器、及び/または方向性結合器)に送信してもよい。いくつかの実施形態では、光結合要素222及び234は、2×2MMI装置等のMMI装置であってもよい。図示の光結合要素の機能は、複数の光学的な構成要素によって実行され得る。
【0033】
各データ分岐は、前記LIDARチップの光LIDAR信号を誘導かつ/または改変する光学的な構成要素を含んでもよい。各データ分岐の光学的な構成要素は、分割器 (例えば、218及び 224)、参照導波路(例えば、220及び226)、光結合要素 (例えば、222及び234)、第1検出器導波路(例えば、236及び246)、第2検出器導波路(例えば、238及び248)、第1光センサー(例えば、240及び250)、及び第2光センサー(例えば、242及び252)を含んでもよい。構成要素254、256、258、及び260は、外部の電子機器とインターフェースするためのボンドパッドで終端する電気信号線にそれぞれ関連付けられてもよい。
【0034】
各分割器は、前記レーザー出力の一部を出力導波路212から対応する参照導波路に送信してもよい。例えば、分割器218は、出力導波路212からの光を参照導波路220へ結合できるようにするために、出力導波路212に十分近くに配置されてもよい。
【0035】
参照導波路に送信されたレーザー信号の部分は、参照信号と称してもよい。例えば、第1参照導波路220は、第1参照信号を第1光結合要素222に搬送し、また、第2参照導波路226は、第2参照信号を第2光結合要素234に搬送してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1光結合要素222が2×2MMIであれば、第1LIDAR入力信号及び第1参照信号は、それぞれ第1入力導波路219及び第1参照導波路220を介して2×2MMIの2つの入力に結合し得る。同様に、第2LIDAR入力信号及び第2参照信号は、第2光結合要素234の2×2MMIの2つの入力に結合され得る。次に、2つの入力光信号のそれぞれは、それぞれのMMIの2つのアームに沿って移動するときに干渉し、MMIの各出力がそれぞれの入力信号の結合部分を搬送することになる。例えば、第1MMI 222の出力は、2つの出力アーム上の第1LIDAR入力信号及び参照信号の両方の一部を含み得る。MMI 222の第1アームに関連付けられた出力光信号は、第1LIDAR入力信号の一部及び参照信号の一部を含み得る。また、該MMIの第2アームに関連付けられた出力光信号は、第1LIDAR入力信号の残りの部分及び参照信号の残りの部分を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、各MMIの第1アームと第2アームの出力光信号間に位相シフト(例えば、0からπまで)があり得る。第1MMIの2つのアームに関連付けられた出力光信号は、第1複合信号及び第2複合信号と称してもよく、ここで、該第1複合信号及び第2複合信号は、第1LIDAR入力信号の部分及び参照信号の部分を含む。第2MMIの2つのアームに関連付けられた出力光信号は、第3複合信号及び第4複合信号と称してもよく、ここで、該第3複合信号及び第4複合信号は、第2LIDAR入力信号の部分及び第2参照信号の部分を含む。
【0038】
第1複合信号は、第1検出器導波路236に結合してもよく、第2複合信号は、第2検出器導波路238に結合してもよく、第3複合信号は、第3検出器導波路246に結合してもよく、また、第4複合信号は、第4検出器導波路248に結合してもよい。次に、第1検出器導波路236は、第1複合信号を第1光センサー240に送信してもよく、第2検出器導波路238は、第2複合信号を第2光センサー242に送信してもよく、第3検出器導波路246は、第3複合信号を第3光センサー250に送信してもよく、また、第4検出器導波路248は、第4複合信号を第4光センサー252に送信してもよい。
【0039】
次いで、各光センサーは、対応する複合光信号をそれぞれの電気信号に変換してもよい。例えば、第1光センサー240はその後、第1複合信号を第1電気信号に変換してもよい。別の例として、第2光センサー242は、第2複合信号を第2電気信号に変換してもよい。従って、第1光センサー240及び第2光センサー242はそれぞれ、第1複合信号及び第2複合信号を、経時的に変動する光検出器電流に変換する。前記光センサーの例には、フォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、光センサーのペアー240と242、及び250と252は、それぞれの光電流に関連付けられた直流(DC)成分を打ち消すために、直列配置の平衡光検出器として構成されてもよい。該平衡光検出器の構成は、ノイズを低減し、かつ/または該光検出器の検出感度を向上させることができる。
【0041】
前記LIDARチップは、レーザー10の動作を制御するための制御分岐216を含むことができる。該制御分岐は、出力導波路212からのレーザー出力の一部を制御導波路に結合できる方向性結合器を含み得る。該制御導波路を介して送信されたレーザー出力の結合部分は、タップ信号として機能することができる。いくつかの実施形態では、前記方向性結合器の代わりに、y接合及び/またはMMI等の他の信号傍受の光学的な構成要素を使用してもよい。
【0042】
前記制御導波路は、タップ信号を分割し、その後、互いに位相がそれぞれ相殺されたタップ信号の異なる部分を再結合する制御干渉計にタップレーザー信号を搬送することができる。前記制御干渉計は、入力信号の分割部分が端部に向かって再結合する(例えば、干渉する)前に移動する2つの等しくないアームを備えるマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)であってもよいが、他の干渉計の構成を使用してもよい。前記制御干渉計の信号出力の特徴として、その強度が、主にタップレーザー出力の周波数の関数である。例えば、MZIは、縞パターンを特徴とする正弦波信号を出力し得る。
【0043】
前記制御干渉計からの正弦波信号は、干渉計導波路に結合し、制御光センサーへの入力として機能することができる。前記制御光センサーは、正弦波光信号を、電気制御信号として機能できる電気信号に変換し得る。前記出射LIDAR信号の周波数が変化すると、前記制御光信号の周波数が変化する。従って、前記制御光センサーから出力される電気制御信号の周波数は、LIDAR出力信号の周波数の関数である。前記制御光センサーの代わりに、他の検出機構を使用することができる。
【0044】
電子機器62は、チップ上の1つまたは複数の構成要素を操作することができる。例えば、電子機器62は、レーザー10、光センサー、及び制御光センサーと電気通信し、それらの動作を制御することができる。電子機器62は、前記チップから離れているように示されているが、該電子機器の全部または一部を前記チップ上に含めることができる。例えば、前記チップは、第1光センサー240を第2光センサー242と直列に接続する導電体を含むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記電子機器は、図1に関して先に説明したように、LIDAR出力信号のチャープ周波数及び/またはチャープ期間を制御し得る。測定期間は、1つまたは複数のチャープ期間に対応し得る。各測定期間は、データ サイクルと称してもよい。LIDARデータは、各データ サイクル(LIDARシステムと反射物体間の視線距離及び/または視線速度)に対して生成することができる。
【0046】
例えば、1つのデータ サイクルは、1つのアップランプチャープ期間及び1つのダウンランプチャープ期間を効果的に包含する2つのチャープ期間に対応し得る。別の例として、1つのデータ サイクルは、1つのアップランプチャープ期間、1つのダウンランプチャープ期間、及び別の1つのアップランプチャープ期間を効果的に包含する3つのチャープ期間に対応し得る。
【0047】
各データ期間中に、電子機器62は、LIDAR出力信号のチャープ周波数を調整し得る。以下でより詳細に説明するように、電子機器62は、時間の関数としてのLIDAR出力信号のチャープ周波数が該電子機器に知られるように、出射LIDAR信号のチャープ周波数を制御するために、制御分岐からの出力を使用することができる。第1チャープ期間中、電子機器62は、LIDAR出力信号の周波数を増加させてもよく、また、第2チャープ期間中に、電子機器62は、LIDAR出力信号の周波数を減少させてもよい。またはその逆でもよい。
【0048】
第1チャープ期間中に LIDAR出力信号の周波数が増加すると、該信号は、LIDARチップから離れて移動し、視野のサンプル領域にある物体は、LIDAR出力信号からの光を反射し得る。その後、該反射光の少なくとも一部は、前述のように、第1LIDAR入力信号を介してチップに帰還する。LIDAR 出力信号と第1LIDAR入力信号がチップと該反射物体の間を移動している間、出力ファセットを出射するLIDAR出力信号の周波数は、増加し続けることがある。出力信号の一部が参照信号としてタップされるため、参照信号の周波数は、増加し続ける。その結果、第1LIDAR入力信号は、光結合要素に同時に入射する参照信号よりも低い周波数で光結合要素222に入射する。さらに、反射物体がチップから遠くにあるほど、LIDAR入力信号がチップに帰還する前に参照信号の周波数が増加するほど、反射物体が遠くにあるため、LIDAR撮像信号に関連する往復遅延が大きくなる。従って、第1LIDAR入力信号の周波数と参照信号の周波数との差が大きければ大きい程、反射物体がチップから離れる。結果として、第1LIDAR入力信号の周波数と参照信号の周波数との間の差は、チップと反射物体との間の距離の関数である。
【0049】
複合信号は、対応する光結合要素内のそれぞれのLIDAR入力信号と参照信号との間の干渉に基づいてもよい。例えば、2x2MMIは、第1LIDAR入力信号と第1参照信号を、互いに近接した2つの経路を介して誘導するため、また、これらの信号は、異なる周波数を有するため、第1LIDAR入力信号と第1参照信号の間に拍動がある。従って、複合信号は、第1LIDAR入力信号と第1参照信号との間の周波数差に関連する拍動周波数に関連付けることができる。また、該拍動周波数を使用して、第1LIDAR入力信号と第1参照信号との間の周波数の差を測定することができる。複合信号の拍動周波数が高いことは、第1LIDAR入力信号と第1参照信号の周波数の差が大きいことを示す。その結果、データ信号の拍動周波数は、LIDARシステムと反射物体との間の距離及び/または視線速度の関数である。
【0050】
2つ以上のデータ期間またはチャープ期間からの拍動周波数(fLDP)を組み合わせて、反射物体に関連付けられた周波数領域、距離、及び/または視線速度の情報を含み得るLIDARデータを生成し得る。例えば、電子機器62が第1データ期間(DP)から測定する第1拍動周波数を該電子機器が第2データ期間(DP)から測定する第2拍動周波数と組み合わせて、LIDARシステムから反射物体までの距離を測定することができ、また、いくつかの実施形態では、反射物体とLIDARシステムとの間の相対速度を測定することができる。
【0051】
電子機器62が出射LIDAR信号の周波数を直線的に増加させ得る第1データ期間中に、式fub=-f+ατを適用することができる。ここで、fubは、拍動周波数であり、fは、ドップラー シフト(f=2vf/c) を表し、ここで、fcは、光周波数(fO)を表し、cは、光速を表し、vは、反射物体とLIDARシステムの間の視線速度であり、ここで、反射物からチップに向かう方向を正方向と仮定する。前記電子機器が出射LIDAR信号の周波数を直線的に減少させる第2データ期間中に、式fdb=-f-ατを適用することができる。ここで、fdbは、拍動周波数である。これらの2つの式では、f及びτは、未知数である。電子機器62は、該2つの未知数について、これら2つの式を解くことができる。次に、サンプリングされた領域を伴う反射物体の視線速度は、ドップラー シフト(v=c/(2fc ))から測定することができ、そのサンプリングされた領域における反射物体とLIDARチップの間の分離距離は、式c/2から測定することができる。
【0052】
LIDARチップと反射物体の間の視線速度がゼロまたは非常に小さい場合、拍動周波数に対するドップラー効果の寄与は、実質的にゼロである。これらの場合では、ドップラー効果は、拍動周波数に実質的に寄与しないことがあり、また、電子機器62は、チップと反射物体との間の距離を測定するために、第1データ期間を使用してもよい。
【0053】
動作中、電子機器62は、制御光センサーから出力される電気制御信号に応答して、出射LIDAR信号の周波数を調整することができる。上述のように、制御光センサーから出力される電気制御信号の大きさは、出射LIDAR信号の周波数の関数である。従って、電子機器62は、制御の大きさに応答して、出射LIDAR信号の周波数を調整することができる。例えば、データ期間中に出射LIDAR信号の周波数を変更する間、電子機器62は、時間の関数として、電気制御信号の大きさのプリセット値の範囲を有することができる。データ期間中の複数の異なる時点で、電子機器62は、電気制御信号の大きさを、サンプル内の現在の時間に関連付けられたプリセット値の範囲と比較することができる。電気制御信号の大きさが、出射LIDAR信号の周波数が関連の電気制御信号の大きさの範囲外であることを示す場合、電子機器62は、レーザー10を操作して、出射LIDAR信号の周波数を変更し、それが関連の範囲内に収まるようにすることができる。電気制御信号の大きさが、出射LIDAR信号の周波数が関連の電気制御信号の大きさの範囲内にあることを示す場合、電子機器62は、出射LIDAR信号の周波数を変更しない。
【0054】
単一の出射LIDAR信号に関連付けられた複数入力導波路の構成を実行することにより、撮像システムは、帰還信号を損失せずに、高い走査速度(例えば、最大10kHz)を達成し得る。さらに、該システムは、後でさらに遠くから帰還する光子に関連付けられた光子を収集することの効率が向上するため、拡大された動作範囲にわたって高い走査速度で高い走査解像度を維持し得る。例えば、該システムは、ウォークオフ軽減なしに、約80mの最大動作範囲に制限される代わりに、ウォークオフ軽減で、300mの最大動作範囲及び少なくとも20mの最小動作範囲に対して、約100Hzの走査速度で高い走査解像度を維持し得る。該システムに関連付けられたFOVは、約10度~180度の間で変動し得る。
【0055】
図3は、他の電子機器、制御、及び/または処理回路と通信する、図2のLIDARチップの一部を示している。例えば、図2の光結合要素222(例えば、2×2MMI)は、平衡光検出器(BPD)302等のトランスデューサ要素、及び/またはアナログ・デジタル変換器(ADC)306及び制御ユニット104に電気的に接続されたトランスインピーダンス増幅器(TIA)304とインターフェースし得る。別の例として、光結合要素234は、BPD308、及び/またはADC312に電気的に接続されたTIA310とインターフェースし得る。ADC312の出力は、制御ユニット104に送信され得る。
【0056】
TIA304及び310は、対応するBPD構成の経時的に変動する光電流出力を、経時的に変動する電圧信号または図2を参照して上記で説明した拍動周波数を有する拍動信号に変換するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、該拍動信号は、大部分が正弦波であってもよく、また、少なくともLIDARチップと反射物体との間の相対速度の関数であってもよい。例えば、LIDARチップと反射物体が互いに向かって移動している場合、拍動信号の周波数が高くなり得る。その逆の場合もある。次いで、拍動信号は、所定のサンプリング周波数に基づいてそれぞれの拍動信号をサンプリングして、サンプリングされたまたは量子化された拍動信号の出力を生成する対応のADCへの入力として機能することができる。前記所定のサンプリング周波数は、LIDARシステムの動作の最大範囲に基づいてもよい。いくつかの場合では、前記所定のサンプリング周波数は、LIDARシステムの動作の最大範囲、及び走査の対象とLIDARチップとの間の最大相対速度に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、前記サンプリング周波数は、100MHz~400MHzの間で変動し得る。ADCのサンプリングされた拍動信号の出力は、拍動周波数を推定するために制御ユニット104に電気的に接続されてもよい。
【0057】
BPDは、光センサー240と242、及び図2に示されるように直列に配置された光センサー250と252を含み得る。TIA304及び310は、LIDARチップ上に含まれてもよく、LIDARチップと分離されてもよい。ADC306及び312は、個別の構成要素または制御ユニット104の一部を含み得る他の処理要素の一部であってもよい。代替の実施形態では、2x2MMI222は、図2に関して上記で説明したように、2x1MMIに置き換えられてもよい。制御ユニット104は、1つまたは複数のDSP、ASIC、FPGA、CPU等を含んでもよい。いくつかの場合では、アップチャープ期間とダウンチャープ期間が異なってもよく、また、対応する測定期間が異なってもよい。
【0058】
図4は、図2及び3に関して先に説明したように、様々なギャップで離間された出力導波路212、第1入力導波路219、及び第2入力導波路231の断面図を示している。図4の断面図は、点線270に沿って示されるように、図2の断面に関連付けてもよい。各導波路は、それぞれの高さ(例えば、h1、h2、及びh3)及びそれぞれの幅(例えば、w1、w2、及びw3)によって特徴付けられてもよい。ここで、それぞれの高さは、200nm~5μmの間で変動し得る。また、それぞれの幅は、200nm~5μmの間で変動し得る。いくつかの実施形態では、第1入力導波路219は、出力導波路212から所定距離D1離れて配置されてもよい。第2入力導波路231は、入力導波路219から所定距離D2離れて、かつ、出力導波路212から合計距離(D1+D2+w2)離れて配置されてもよい。いくつかの実施形態では、D1は、D2にほぼ等しくてもよい。出力導波路212と最も近い入力導波路との間の間隔は、約50nm~10μmの間で変動し得る。入力導波路(例えば、第1入力導波路と第2入力導波路)の間の間隔は、約50nm~10μmの間で変動し得る。
【0059】
図5は、LIDARシステムの着信LIDAR信号の偏光分離を示している。偏光分離のため、ランダムに偏光された光信号を横方向電気(TE)成分と横方向磁気(TM)成分に分割する複屈折結晶を使用してもよい。複屈折結晶は、走査モジュールとLIDARチップとの間に、帰還LIDAR信号の伝播経路に沿って、配置されてもよい。いくつかの実施形態では、複屈折結晶は、図5に示されるように、LIDARチップの発光端部及び集光端部に隣接して配置されてもよい。
【0060】
次に、複屈折結晶は、着信LIDAR信号を2つの成分信号、即ちTEのみの成分とTMのみの成分に分割してもよい。次いで、該2つの成分信号は、2つの異なる角度及び/または出口点で該結晶を出射してもよい。ウォークオフ軽減に取り込む図2及び3のLIDARチップ構成の場合、複屈折結晶は、第1LIDAR入力信号と第2LIDAR入力信号の両方に対して偏光分離を提供してもよい。例えば、第2LIDAR入力信号は、LIDARチップからさらに離れた位置にある物体からの反射により、第1LIDAR入力信号の後に到達し得る。走査モジュールの1つまたは複数のミラーが機械的に連続的に回転するため、第2LIDAR入力信号は、第1LIDAR入力信号とは異なる位置及び/または角度で複屈折結晶に入射し得る。次いで、複屈折結晶は、第1LIDAR入力信号及び第2LIDAR入力信号をそれらの偏光成分に分割して、該偏光成分を異なる角度で及び/または異なる出口点から出射してもよい。例えば、複屈折結晶は、第1LIDAR入力信号をTE偏光信号とTM偏光信号に分割してもよい。次いで、これらの信号のそれぞれが、2つの異なる位置から、かつ/または対応する屈折角で、複屈折結晶を出射してもよい。
【0061】
前記結晶を出射するときに、第1LIDAR信号のTE偏光信号とTM偏光信号との間の分離は、S1であり得る。分離S1は、前記結晶の寸法及び/または複屈折の特性に依存し得る。いくつかの場合では、これは、数ミクロン~200μmの間で変動する。例えば、前記結晶の長さLが大きくなればなるほど、分離S1は、大きくなり得る。いくつかの実施形態では、前記結晶の長さは、約2mm未満であり得る。前記結晶の長さは、S1の所望の値に基づいて測定してもよく、数十ミクロン~2mmの間で変動する。
【0062】
第2LIDAR入力信号は、第1LIDAR入力信号の後に到着するため、スキャナの回転により、第2LIDAR入力信号が、光学系とスキャナ ミラーの回転方向に応じて、異なる角度及び/または位置で複屈折結晶に入射し得る。次いで、第2LIDAR入力信号は、固有の位置及び/または角度から複屈折結晶を出射する対応のTE偏光成分及びTM偏光成分にさらに分割し得る。前記結晶を出射するときに、第2LIDAR信号のTE偏光信号とTM偏光信号との間の分離は、S2であり得る。分離S2は、200μm未満であってもよく、前記結晶の寸法及び/または複屈折の特性に依存し得る。
【0063】
入力信号の偏光成分のそれぞれは、LIDARチップの端部でそれぞれのファセット(例えば、502、504、506、及び508)からLIDARチップに結合してもよい。次いで、各ファセットは、入力導波路510、512、514、及び516等のそれぞれの入力導波路に接続してもよい。例えば、4つの入力導波路を備えたLIDARチップ(そのうち、2つの入力導波路は第1LIDAR入力信号に関連付けられ、残りの2つの入力導波路は第2LIDAR入力信号に関連付けられる)は、第1LIDAR入力信号及び第2LIDAR入力信号の特定の偏光状態(例えば、TE及びTM)にそれぞれ関連付けられた4つの光信号を受信するように構成することができる。
【0064】
複屈折結晶を含むLIDARシステムは、オンチップの偏光分離器を必要としない場合がある。代わりに、LIDARチップは、図7に関して後述するように、入力信号の偏光成分の経路に沿って、オンチップの偏光回転子を含み得る。
【0065】
図5は、2つのLIDAR入力信号に対応する4つの入力導波路を備えるLIDARチップを示しているが、該LIDARチップは、複屈折結晶を通過する際の各入力信号の各偏光成分に関連付けられた、ウォークオフ軽減係数及び/または偏角θに応じて離間される複数の入力導波路を介して複数のLIDAR入力信号を受信するように構成することができる。
【0066】
4つの入力導波路のそれぞれを介して送信される入力信号の処理は、図1、2及び3に関して先に説明したものと同様であってもよい。しかし、LIDAR入力信号の2つの偏光状態により、LIDARチップは、入力LIDAR信号と同じ偏光状態の対応する参照信号を生成するために、レーザー入力信号の偏光分離を含むことができる。図8、9A及び9Bでは、レーザー信号の偏光分離の詳細がさらに提供される。これにより、LIDARチップは、LIDAR入力信号のそれぞれのTE偏光成分とTM偏光成分にそれぞれ対応する拍動信号を生成できる。
【0067】
LIDARチップは、点線570を超えて先に説明したように、様々な光学的な構成要素を含み得る。例えば、複数の光結合要素、参照導波路、分割器、光センサー、検出器導波路、及びBPD(図示せず)は、光信号のそれぞれの処理を可能にし得る。光センサーのそれぞれは、光から電気へのトランスデューサとして機能し、図1、2、及び3に関して前述したように、対応するTIAに結合できる対応の電気信号出力を生成し得る。該電気信号出力は、対応の電気信号線を介してそれぞれのTIAに搬送され得る。いくつかの実施形態では、前記TIA及び/またはTIAのそれぞれに接続する追加のADCは、LIDARチップ上に配置されてもよい。一方、代替実施形態では、前記TIA及び/または追加のADCは、別個の取り付け集合体の上に配置されてもよく、また、前記電気信号線は、複数のワイヤボンドパッドでLIDARチップの端の近辺で終端してもよい。
【0068】
上記の構成により、FOV内の単一のサンプル領域のLIDARデータが、同じサンプル領域に関連付けられた複数の異なる電気信号から生成される。いくつかの場合では、サンプル領域のLIDARデータを測定することは、電子機器が異なる電気信号からLIDARデータを組み合わせることを含む。LIDARデータを結合することは、前記光センサー、TIA及び/またはADCによって生成された異なる電気信号のそれぞれから生成された対応のLIDARデータの平均値、中央値、またはモードを取ることを含むことができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、電子機器が走査されたサンプル領域に関連付けられたLIDARデータを表し得る複数の電気信号から1つの電気信号を選択し、かつ/または処理することで、サンプル領域のLIDARデータを測定してもよい。次に、前記電子機器は、選択された電気信号からのLIDARデータを、他の処理に用いられる代表的なLIDARデータとして使用することができる。所定のSNR、所定の振幅閾値、または動的に測定された閾値レベルを満たすことに基づいて、前記選択された電気信号を選択してもよい。例えば、前記電子機器は、同じサンプル領域に関連付けられた他の電気信号よりも大きな振幅を有する代表的な電気信号に基づいて、代表的な電気信号を選択してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、前記電子機器は、同じサンプル領域の複数の電気信号に関連付けられたLIDARデータを組み合わせてもよい。例えば、処理システムは、複合信号のそれぞれに対してFTを実行し、得られたFTスペクトルを追加して、対応するサンプル領域の結合された周波数領域データを生成してもよい。別の例では、前記システムは、複合信号のそれぞれを分析し、それぞれのSNRを測定し、ある所定のSNRを下回るSNRに関連付けられた複合信号を廃棄してもよい。次いで、前記システムは、残りの複合信号に対してFTを実行し、FTの後に対応する周波数領域データを組み合わせてもよい。いくつかの実施形態では、特定のサンプル領域の複合信号のそれぞれのSNRが所定のSNR値を下回る場合、前記システムは、関連の複合信号を破棄してもよい。
【0071】
いくつかの場合では、前記システムは、同じLIDAR入力信号の異なる偏光状態(例えば、TE及びとTM)に関連付けられたFTスペクトルを、結果として異なる電気信号を組み合わせてもよい。これを偏光組み合わせのアプローチと称してもよい。いくつかの他の例では、前記システムは、同じ帰還LIDAR信号の異なる偏光状態に関連付けられたFTスペクトルを比較し、最高のSNRを有するFTスペクトルを選択してもよい。これを偏光の多様性に基づくアプローチと称してもよい。
【0072】
図6は、複数の入力導波路(例えば、510、512、514、及び516)及び出力導波路212の断面図の概略図を示している。図6の断面図は、図5の点線570に沿って示される断面に関連付けてもよい。各導波路は、それぞれの高さ(例えば、h1、h2、h3、h4、及びh5)及びそれぞれの幅(例えば、w1、w2、w3、w4、及びw5)によって特徴付けられてもよい。ここで、それぞれの高さは、200nm~5μmの間で変動してもよく、それぞれの幅は、200nm~5μmの間で変動してもよい。出力導波路212、第1入力導波路510、第2入力導波路512、第3入力導波路514、及び第4入力導波路516は、様々なギャップで離間されてもよい。例えば、第1入力導波路510は、出力導波路212から距離D3離れて配置されてもよい。第2入力導波路512は、入力導波路510から距離S1離れ、かつ出力導波路212から合計距離(S1+D3+w2)離れて配置されてもよい。第3入力導波路514は、出力導波路212から距離(S1+D3+w2+D4)離れて配置されてもよい。また、第4入力導波路516は、入力導波路3から距離S2離れて、かつ出力導波路212から合計距離(S1+D3+w2+D4+w4)離れて配置されてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、D3は、D4にほぼ等しくてもよく、また、S1は、S2にほぼ等しくてもよい。図4及び5に関して先に説明したように、出力導波路212と最も近い入力導波路との間の間隔は、約50nm~10μmの間で変動してもよい。第1入力導波路及び第3入力導波路の間の間隔は、約600nm~250μmの間で変動してもよい。
【0074】
図4に関して前述したように、ウォークオフ軽減パラメータに基づいて、所定距離(D1、D2、D3、及びD4)のそれぞれを測定してもよい。前述のように、前記ウォークオフ軽減パラメータは、FOV、速軸速度、遅軸速度、動作範囲、動作波長、チャープ帯域幅、チャープ周波数、及び/またはチャープ期間等様々なパラメータに基づいてもよい。前記ウォークオフ軽減パラメータはさらに、撮像システム(例えば、LIDARシステム)で使用される光学系(例えば、照準器、レンズ等)及び/または導波路結合係数に基づいてもよい。
【0075】
図2、3、4、5、及び6の実施形態は、2入力の及び4入力の導波路構成を示しているが、偏光分離を実現し、走査モジュール106の1つまたは複数のミラーの高速回転により、出力導波路ファセットに最も近い位置にある第1入力ファセットからさらに離れた位置にある物体、及び/または相殺された物体から反射された後から到着する光子を収集する効率を改善するために、本LIDARシステムは、任意の数の入力の導波路を備えてもよい。
【0076】
図7は、LIDAR入力信号の伝播経路に沿って、オフチップ複屈折結晶720及びオンチップ偏光回転子(PR)702を備えたLIDARチップ710を示している。例えば、図5及び6に関連の第1LIDAR入力信号のTM偏光成分の伝播経路に沿って、PR702を導入してもよい。PR702は、TM偏光信号をTE偏光信号に変換するように構成されてもよい。例えば、第1LIDAR入力信号のTM偏光成分が、第2ファセット504及び第2入力導波路512を介してLIDARチップに結合される場合、PR702を第2入力導波路512の経路に沿って含めてもよい。いくつかの場合では、オンチップ偏光子(図示せず)を該PRと共に含めてもよい。例えば、PR702の出力は、前記偏光子に結合して、PR702から結合された信号の残りのTM偏光部分を除去してもよい。
【0077】
各TE偏光成分は、導波路703及び704に沿って伝播してもよい。点線710を超えて示される図7のPICは、図1~6に関して先に説明したものと同様の様々な光学的及び/または電気的構成要素を含めてもよい。例えば、該PICは、撮像対象の距離及び/または速度に関連される情報を含む電気データ信号を生成するための光結合要素、導波路、検出器、及びBPDを含めてもよい。
【0078】
偏光回転子の例には、機械的に回転する偏光保持ファイバー、ファラデー回転子、半波長板、MEMに基づく偏光回転子、及び非対称y分岐、マッハ・ツェンダー干渉計、及びマルチモード干渉結合器を使用した統合された光偏光回転子、が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
図8は、LIDARチップに結合する前のレーザー信号の偏光分離を示している。前記システムは、レーザー810、偏光回転子(PR)を含み得る集束及び/または視準する光学系811、及び複屈折結晶812を含むことができる。例えば、レーザー810は、光学系811を通過した後、TE偏光成分及びTM偏光成分と共に出現するTE偏光を生成し得る。これは、PRがレーザーのTE偏光にTM偏光成分を加えるためである。複屈折結晶812は、PRからの光を、LIDARチップの2つの異なるファセットに入射できるTE偏光及びTM偏光に分離し得る。各ファセットは、レーザー信号がLIDARチップの導波路に結合することを可能にし得る。例えば、レーザー信号のTE偏光成分は、LIDARチップの導波路813に結合し、また、レーザー信号のTM偏光成分は、LIDARチップの導波路815に結合し得る。各導波路は、それぞれの高さ及びそれぞれの幅によって特徴付けられ得る。ここで、それぞれの高さは、200nm~5μmの間で変動し、また、それぞれの幅は、200nm~5μmの間で変動し得る。
【0080】
TE偏光成分は、LIDARチップのファセット814から、LIDAR出力信号として放射され得る。TE偏光成分の一部は、導波路818を介して結合された対応のTE偏光LIDAR入力信号と比較するために、TE偏光の一部を参照信号として結合する方向性結合器816によって取り込まれ得る。導波路813及び818は、図5~7に関して先に説明したように、ウォークオフ軽減のために距離D5で分離され得る。D5は、50nm~10μmの間で変動し得る。様々なパラメータは、D5の選択に影響を与え得る。これらのパラメータには、動作範囲(例えば、短い範囲<10m、中程度の範囲10m~50m、及び長い範囲>50m)、動作波長範囲 (例えば、1200nm~1320nm、1400nm~1590nm、及び1900nm~2100nm)、チャープ期間、チャープ速度、走査モジュール106、レンズの仕様、及び/または光信号(例えば、LIDAR出力信号及びLIDAR入力信号)をLIDARチップとの間で集束させるために使用される照準器の少なくとも1つが含まれる。
【0081】
レーザー信号のTM偏光成分は、導波路815に結合し、導波路819を介して結合された対応のTM偏光LIDAR入力信号と比較するための参照信号として機能し得る。図5に関して先に説明したように、第1LIDAR入力信号は、オフチップ複屈折結晶に基づいてTE及びTM偏光信号に分割され得る。第1LIDAR入力信号のTE及びTM偏光成分は、ファセット820及び821でLIDARチップに入射してもよく、またはその逆でもよい。各ファセットは、入射信号をそれぞれの導波路に結合するように構成されてもよい。例えば、ファセット820は、第1LIDAR入力信号のTE偏光成分を導波路818に結合するように構成されてもよい。別の例として、ファセット821は、第1LIDAR入力信号のTM偏光成分を導波路819に結合するように構成されてもよい。導波路819は、導波路818から距離S3離れて配置されてもよい。間隔S3は、数ミクロン~200μmの間で変動し、また、LIDARチップの発光端及び/または集光端の近くに配置された結晶の寸法及び/または複屈折特性に依存し得る。
【0082】
次に、これらの信号のそれぞれは、同じ偏光状態のそれぞれの参照信号と比較するために、それぞれの導波路を介して光結合要素に誘導されてもよい。例えば、光結合要素822及び825は、TE偏光状態及びTM偏光状態にそれぞれ対応する拍動信号を生成するように構成されてもよい。検出器導波路823、824、826、及び827は、図2及び3に関して先に説明した検出器導波路と同様であってもよい。光センサーのペアー828と829、及び830と831は、図2及び3に関して先に説明したものと同様であってもよい。前記光センサーのペアーは、図2及び3のBPD構成で配置されてもよい。前記光センサーのそれぞれからの電気信号は、電気信号(例えば、832、833、834、及び835)を介して、TIA及び/またはADC等のオフチップ電子機器とインターフェースするために、それぞれのボンドパッドに送信され得る。
【0083】
代替の実施形態では、TM偏光成分は、導波路813に結合してもよく、一方、TE偏光成分は、導波路815に結合してもよい。この場合、導波路813のファセット814から出射するLIDAR出力信号は、主にTM偏光される。次いで、導波路818は、ファセット820を介して第1LIDAR入力信号のTM偏光成分を受信し得る。導波路819は、ファセット821を介して第1LIDAR入力信号のTE偏光成分を受信し得る。次に、第1LIDAR入力信号のTM偏光成分及びTE偏光成分は、対応する光結合要素822及び825を介して、それぞれの参照信号でさらに処理され得る。
【0084】
図8のLIDARチップは、図2に関して説明した制御分岐と同様に動作するように構成された制御分岐(図示せず)を含み得る。例えば、制御分岐は、レーザー810の動作を制御してもよい。制御分岐は、導波路813からのレーザー出力の一部を制御導波路に結合できる方向性結合器を含み得る。制御導波路を介して送信されたレーザー出力の結合部分は、タップ信号として機能することができる。いくつかの実施形態では、前記方向性結合器の代わりに、y接合及び/またはMMI等の他の信号傍受の光学的な構成要素を使用してもよい。
【0085】
前記制御導波路は、タップ信号を分割し、その後、互いに位相がそれぞれ相殺されたタップ信号の異なる部分を再結合する制御干渉計にタップレーザー信号を搬送することができる。前記制御干渉計は、入力信号の分割部分が末端に向かって再結合する(例えば、干渉する)前に移動する2つの等しくないアームを備えるマッハ・ツェンダー干渉計(MZI)であってもよいが、他の干渉計の構成を使用してもよい。前記制御干渉計の信号出力の特徴として、その強度が、主にタップレーザー出力の周波数の関数である。例えば、MZIは、縞パターンを特徴とする正弦波信号を出力し得る。
【0086】
前記制御干渉計からの正弦波信号は、干渉計導波路に結合し、制御光センサーへの入力として機能することができる。該制御光センサーは、正弦波光信号を、電気制御信号として機能できる電気信号に変換し得る。前記出射LIDAR信号の周波数が変化すると、前記制御光信号の周波数が変化する。従って、前記制御光センサーから出力される電気制御信号の周波数は、LIDAR出力信号の周波数の関数である。前記制御光センサーの代わりに、他の検出機構を使用することができる。
【0087】
図9A及び9Bは、レーザー入力信号の偏光分離の代替的な実施形態を示している。図9Aは、レーザー910、光学系911、及び複屈折結晶912を示している。一般に、レーザーは、TE偏光波長を放射するように構成される。従って、レーザー910は、TEのみの偏光を放射するように構成されてもよい。レーザー910の放射面は、x-y平面にあるように示されている。また、レーザー放射の方向は、z方向に沿った放射面に対して垂直である。レーザー910に放射方向の周りの回転及びx-y平面内の回転を導入することによって、LIDARチップに結合されるレーザー信号に他の偏光成分を導入し得る。例えば、レーザー910を、z軸を中心に回転させることにより、レーザー信号にTM偏光成分を導入することができる。これにより、個別のPRが不要になり得る。光学系911は、レーザー空洞への後方反射を防止し、レーザー信号を視準及び/または集束するためのレンズ及び分離器を含み得る。複屈折結晶912は、図8に関して先に説明したように、レーザー信号のTE及びTM成分の偏光分離を提供し得る。従って、発光軸を中心としたレーザーの回転に依存することにより、図9Aの偏光分離の構成では、PRの使用が不要となる。
【0088】
図9Bは、レーザー信号の偏光分離を達成するための代替的な実施形態を示している。この構成は、レーザー913、光学系914、偏光ビーム分割器(PBS)915、ミラー916、及びレンズ917と918を含み得る。レーザー913は、図9Aに関して説明したように、発光軸(例えば、z軸)を中心に回転されてもよい。その場合、レーザー放射は、光学系及びPBSの整列軸に対するTE及びTM電磁波の振動面におけるオフセットに起因して、TE及びTM偏光成分を含み得る。光学系914は、分離器及び少なくとも1つのレンズを含み得る。レーザー信号は、レーザー信号のTE及びTM偏光成分の偏光分離を行うPBS915に誘導され得る。ミラー916は、LIDARチップのファセットに集束させるために、レーザー信号のTM偏光成分をレンズ917に誘導してもよい。レーザー信号のTE偏光成分は、レンズ918を介してLIDARチップの異なるファセット上に集束され得る。例えば、TE偏光成分及びTM偏光成分は、図8のLIDARチップの導波路813及び815にそれぞれ結合されたファセット上に集束され得る。
【0089】
前記撮像システムは、LIDARシステムの文脈で開示されているが、本明細書で開示される実施形態は、マシンビジョン、顔認識、及び分光測定等の他の用途で使用することができる。
【0090】
上述の例示的な実施形態は、処理システムによって具現化される様々な動作を実施するためのプログラム命令を含む非一時的なコンピューターで読み取り可能な媒体に記録してもよい。前記媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造等を単独でまたは組み合わせて含んでもよい。前記媒体に記録されたプログラム命令は、例示的な実施形態のために特別に設計及び構築されたものであるか、またはコンピューターソフトウェア技術の当業者にとって周知で利用可能な種類のものであり得る。非一時的なコンピューターで読み取り可能な媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ等の磁気媒体;CD ROMディスク及びDVD等の光学媒体;光ディスク等の光磁気媒体;読み取り専用メモリ(ROM)、ランダム アクセス メモリ(RAM)、フラッシュ メモリ等、プログラム命令を保存及び実行するように特別に構成されたハードウェア装置等が含まれる。前記非一時的なコンピューターで読み取り可能な媒体はまた、プログラム命令が分散方式で保存かつ実行されるように、分散されたネットワークであってもよい。前記プログラム命令は、1つまたは複数のプロセッサまたは計算要素によって実行され得る。前記非一時的なコンピューターで読み取り可能な媒体はまた、プログラム命令を実行する(プロセッサのように処理する)少なくとも1つのカスタムIC(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)で具現化され得る。プログラム命令の例には、コンパイラによって生成されるような機械語、及び上記の例示的な実施形態の動作を実行するために1つまたは複数のソフトウェアモジュールとして機能するように構成され得る、またはその逆のような、より高レベルのコードを含むファイルが含まれる。
【0091】
例示的な実施形態を示して説明してきたが、当業者は、本開示の原理及び主旨から逸脱することなく、これらの例示的な実施形態に変更を加えることができるが、その範囲は、請求項及びそれらの同等物によって定義されることを理解するであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
【国際調査報告】