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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】原子層堆積装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20231016BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/31 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521309
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 FI2021050671
(87)【国際公開番号】W WO2022079349
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】20205996
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522115871
【氏名又は名称】ベネク・オサケユフティオ
【氏名又は名称原語表記】Beneq Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ソイニネン,ペッカ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA05
4K030EA06
4K030EA11
4K030GA06
4K030KA02
5F045AA06
5F045AA15
5F045AD01
5F045AE01
5F045DP15
5F045DP27
5F045DQ10
5F045DQ12
5F045EE14
5F045EE17
5F045EF14
5F045EF20
5F045EM02
(57)【要約】
本発明は、支持体表面(63)を有する基材支持体(60)と、前駆体が供給される少なくとも1つの反応ゾーン(44,44’)を有する出力面(33)を有する前駆体供給ヘッド(30)と、回転機構(64,66)とを備える原子層堆積層装置(2)に関する。基材支持体(60)および前駆体供給ヘッド(30)は、回転機構(64,66)により互いに相対的に回転するように配置されている。少なくとも1つの反応ゾーン(44,44’)は、前駆体を供給するための前駆体供給ヘッド(30)の出力面(33)に開放されている前駆体供給ゾーン(47)と、前駆体供給ヘッド(30)の出力面(33)に開放されており、前駆体供給ヘッド(30)の出力面(33)において前駆体供給ゾーン(47)を囲むように配置された吸引ゾーン(46)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積の原理に従って、少なくとも第1前駆体および第2前駆体で基材の表面を連続的に処理するための原子層堆積装置(2)であって、前記装置(2)は、
支持体表面(63)を有し、1または2以上の基材を支持するように配置されている基材支持体(60)と、
出力面(33)を有する前駆体供給ヘッド(30)と、
反応ギャップ(65)が前記基材支持体(60)の前記支持体表面(63)と前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)との間に供されるように、互いに対向して配置された前記基材支持体(60)の前記支持体表面(63)および前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)と、
回転機構(64,66)と
を備え、
前記出力面(33)は、前駆体が供給される少なくとも1つの反応ゾーン(44,44’)により供され、
前記基材支持体(60)および前記前駆体供給ヘッド(30)は、前記基材支持体(60)の前記支持体表面(63)および前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)が互いに相対的に回転するように配置されるように、前記回転機構(64,66)により互いに相対的に回転するように配置されており、
前記少なくとも1つの反応ゾーン(44,44’)が、前駆体を供給するための、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に開放されている前駆体供給ゾーン(47)と、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に開放されており、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)において前記前駆体供給ゾーン(47)を囲むように配置された、吸引ゾーン(46)とを備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記回転機構(64,66)が前記基材支持体(60)に接続し、基材支持体(60)を回転するように配置され、または
前記回転機構(64,66)が前記前駆体供給ヘッド(30)に接続し、前記前駆体供給ヘッド(30)を回転するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(2)。
【請求項3】
均一な反応ギャップ(65)が前記基材支持体(60)の前記支持体表面(63)と前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)との間に供されるように、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)および前記基材支持体(60)の前記支持体表面(63)が互いに平行に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(2)。
【請求項4】
前記回転機構(64,66)が回転軸(64)を備え、ならびに前記回転軸(64)が前記出力面(33)、または前記支持体表面(63)もしくは前記出力面(33)および前記支持体表面(63)に対して垂直に配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載に装置(2)。
【請求項5】
前記反応ゾーン(44,44’)の前記前駆体供給ゾーン(47)が、前駆体供給エリアとして形成され、前記反応ゾーン(44,44’)の中心エリアとして配置されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項6】
前記前駆体供給ゾーン(47)が収納部(54)として前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に供され、前記収納部が前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に開放されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項7】
前記反応ゾーン(44,44’)の前記前駆体供給ゾーン(47)は、
前記前駆体供給ゾーン(47)上に前駆体を分配するための前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に開放されている2もしくは3以上の前駆体供給口(53)、または
前記収納部(54)におよび前記前駆体供給ゾーン(47)上に前駆体を分配するために前記収納部(54)に開放されている1もしくは2以上の前駆体供給口(53)、または
前記前駆体供給ゾーン(47)に供され、ならびに前記前駆体供給ゾーン(47)上に前駆体を分配するための前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に開放されている1もしくは2以上の前駆体分配口(59)を備える前駆体分配素子(58)、または
前記収納部(54)に供される前駆体分配素子(58)であって、前記収納部(54)におよび前記前駆体供給ゾーン(47)上に前駆体を分配するための前記収納部(54)に開放されている1もしくは2以上の前駆体分配口(59)を備える前記前駆体分配素子(58)
を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項8】
前記前駆体供給ヘッド(30)が前記回転機構(64,66)の前記回転軸(66)と一致して供されるヘッド中心点(37)を備え、前記前駆体供給ゾーン(47)の幅が前記ヘッド中心点(37)から離れる方向に増加することを特徴とする、請求項4~7のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項9】
前記吸引ゾーン(46)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)の周囲に前記前駆体供給ゾーン(47)を囲むように配置され、または
前記吸引ゾーン(46)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)の周囲に前記前駆体供給ゾーン(47)を囲むように配置された吸引スロット(46)として供されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項10】
前記反応ゾーン(44,44’)は、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に開放され、および前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)において前記吸引ゾーン(46)および前記前駆体供給ゾーン(47)を囲むように配置されているパージガス供給ゾーン(45)をさらに備え、前記吸引ゾーン(46)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)において前記前駆体供給ゾーン(47)と前記パージガス供給ゾーン(45)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項11】
前記パージガス供給ゾーン(45)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)の周囲に前記吸引ゾーン(46)を囲むように配置され、または
前記パージガス供給ゾーン(45)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)の周囲に前記吸引ゾーン(46)を囲むように配置されたパージガススロット(45)として供されることを特徴とする、請求項10に記載の装置(2)。
【請求項12】
前記前駆体供給ヘッド(30)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に2もしくは3以上の反応ゾーン(44,44’)を備え、または
前記前駆体供給ヘッド(30)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に第1反応ゾーン(44)および第2反応ゾーン(44’)を備え、
前記前駆体供給ヘッド(30)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記出力面(33)に第1反応ゾーン(44)および第2反応ゾーン(44’)を備え、前記第1および第2反応ゾーン(44,44’)が前記ヘッド中心点(37)の反対側に互いに対向して配置されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項13】
前記前駆体供給ヘッド(30)が、前記反応ゾーン(40,44’)に隣接して前記反応ゾーン(44,44’)の反対側に配置された中間パージガス供給ノズル(41)を備え、または
前記前駆体供給ヘッド(30)が、隣接する反応ゾーン(40,44’)間に配置された中間パージガス供給ノズル(41)を備え、または
前記前駆体供給ヘッド(30)が、前記第1および前記第2反応ゾーン(40,44’)間に配置された中間パージガス供給ノズル(41)を備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項14】
前記中間パージガス供給ノズル(41)が、前記隣接する反応ゾーン(40,44’)間の方向に延在するように配置され、または
前記中間パージガス供給ノズル(41)が、前記隣接する反応ゾーン(40,44’)間の直線状の方向に延在するように配置され、または
前記中間パージガス供給ノズル(41)が、長手方向曲線形状を有し、前記隣接する反応ゾーン(40,44’)間に延在するように配置され、または
前記中間パージガス供給ノズル(41)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記ヘッド中心点(37)から離れる方向に延在するように配置され、または
前記中間パージガス供給ノズル(41)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の前記ヘッド中心点(37)から離れる方向に放射状に延在するように配置されていることを特徴とする、請求項13に記載の装置(2)。
【請求項15】
前記基材支持体(60)が、1もしくは2以上の基材を保持するための前記支持体表面(63)に供された1もしくは2以上の基材ホルダー(62)を備え、または
前記基材支持体(60)が、1もしくは2以上の基材をそれぞれ受けるための前記支持体表面(63)に供された1もしくは2以上の基材ホルダー収納部(62)を備えることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項16】
前記基材支持体(60)が、前記前駆体供給ヘッド(30)の下方に垂直方向に配置されていることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項17】
前記装置が、前記プロセス・チャンバー(10)の内側にプロセス・チャンバー空間(12)を有する前記プロセス・チャンバー(10)を備え、前記基材支持体(60)および前記前駆体供給ヘッド(30)が前記プロセス・チャンバー(10)の内側に配置されていることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項18】
前記プロセス・チャンバー(10)が、前記プロセス・チャンバー(10)に供されならびに前記プロセス・チャンバー空間(12)からガスを放出するように配置された放出接続部(16,14)を備えることを特徴とする、請求項17に記載の装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、原子層堆積の原理に従って、少なくとも第1前駆体および第2前駆体によって基材の表面を処理するための原子層堆積装置、特に、請求項1のプレアンブルに係る原子層堆積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
原子層堆積法を用いた、基板、および特に半導体ウェハなどの平面基板の製造またはコーティングは、高いスループットおよび形成される薄膜の品質が重要である。しかしながら、先行技術のデバイスでは、装置の高いスループットまたは処理速度および高いコーティング品質は、しばしば相反する相対的なものである。これは、装置のスループットを上げると、コーティングの品質が低下してしまうことを意味する。一方、高いコーティング品質を実現するには、装置のスループットを下げる必要がある。
【0003】
先行技術の原子層堆積装置は、回転する基材支持体が使用されるソリューションを備える。1または2以上の(または1または複数の;one or more)基材が基材表面の支持体表面に支持されている。前駆体供給ヘッドは、前駆体供給ヘッドの出力面(output face)が基材支持体の支持体表面に対向し平行に配置されるように、基材支持体に対向して位置している。反応ギャップ(reaction gap)は、支持体表面と出力面との間に供される。前駆体材料または材料は、1または2以上の基材が基材の表面を前駆体に付すために支持されている支持体表面に向かって出力面を介して(または経て;via)供される。出力面は、1または2以上の反応ゾーン(または反応部;reaction zone)または前駆体が支持体表面および基材に向かって供給される前駆体ノズルを備える。基材支持体は、支持体表面に対して垂直である回転軸の周りに回転する。基材支持体が回転する場合、1もしくは2以上の基材は1もしくは2以上の反応ゾーンまたは前駆体ノズルの下を連続的におよび繰返し動き、基材の表面を前駆体に付す。
【0004】
上述の装置では、スループットは、基材が反応ゾーンまたは前駆体供給ヘッドの前駆体ノズルの下を通過する際に速度を上げて進めるように、基材支持体の回転速度を増加させることにより増加する。しかしながら、先行技術の装置では、回転速度を増加させた場合、コーティングの品質が低下する。これは、反応ゾーンまたは前駆体ノズルからの前駆体ガスフロー(またはの流れまたは流)が基材支持体の回転運動に付随して開始する傾向にある、または回転する基材支持体が前駆体を引きずることに起因している。したがって、前駆体材が反応ゾーンから逃げる(または漏れ出るまたは漏れるまたは流出する;escape)。これにより、基材支持体を囲む反応チャンバー(または反応室;reaction chamber)において異なる前駆体がさらに混合し得る。基材の表面での表面反応に代えてガス相前駆体反応(または気相前駆体反応;gas phase precursor reaction)が起こり得る。反応チャンバーに非常に強力な吸引フローまたは放出フローを配置することで、ガス相前駆体反応を防止する。しかしながら、このため非常に小さい前駆体フローが乱れ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の詳細な説明
本発明の目的は、先行技術の欠点を解決または少なくとも緩和する原子層堆積装置(または原子層成長装置または原子層蒸着装置;atomic layer deposition apparatus)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、独立請求項1に記載されていることを特徴とする原子層堆積装置によって達成される。
【0007】
本発明の好ましい実施形態は、独立請求項に開示されている。
【0008】
本発明は、原子層堆積の原理に従って少なくとも第1前駆体および第2前駆体によって基材の表面を連続的に処理するための原子層堆積装置を提供する思想に基づく。装置は、支持体表面を有し、かつ1または2以上の基材を支持するように配置された基材支持体と、出力面を有する前駆体供給ヘッドとを備える。出力面は、前駆体が供給される少なくとも1つの反応ゾーンによって供される。基材支持体の支持体表面および前駆体供給ヘッドの出力面は、反応ギャップが基材支持体の支持体表面と前駆体供給ヘッドの出力面との間に供されるように、互いに対向するように配置される。
【0009】
支持体表面および出力面は、好ましくは反応ギャップが支持体表面と出力面との間で均一であるように、互いに平行に配置されている。
【0010】
装置は、さらに回転機構を備える。基材支持体および前駆体供給ヘッドは、基材支持体の支持体表面および前駆体供給ヘッドの出力面が互いに相対的に回転するように配置されるように、回転機構で互いに相対的に回転するように配置されている。
【0011】
したがって、支持体表面に配置されている基材は、出力面の1または2以上の反応ゾーンを通り過ぎて進む。前駆体は、出力面の反応ゾーンから反応ギャップを介して基材支持体および基材へ供給され、反応ゾーンを通り過ぎて進むように基材表面が前駆体に付される。したがって、基材は、基材支持体および前駆体供給ヘッドが回転機構で互いに相対的に回転するように、前駆体に連続的に付される。
【0012】
本発明によれば、少なくとも1つの反応ゾーンは、前駆体を供給するための前駆体供給ヘッドの出力面に開放されている(または開口している;open)前駆体供給ゾーン(または前駆体供給部;precursor supply zone)と、前駆体供給ヘッドの出力面に開放され、かつ前駆体供給ヘッドの出力面で前駆体供給ゾーンを囲むように配置されている吸引ゾーンとを備える。
【0013】
したがって、前駆体供給ゾーンは、前駆体供給ノズル、または反応ギャップを介して基材支持体に向けて前駆体が供給される前駆体供給エリア(または前駆体供給領域;precursor supply area)を形成するように配置されている。前駆体供給ゾーンは、前駆体供給ヘッドの出力面に供され、出力面に開放されるように配置される。
【0014】
吸引ゾーンは、前駆体および可能な他のガスが出力面からおよび反応ギャップから放出される吸引ノズルまたは吸引スロット等を形成するように配置されている。吸引ゾーンは、前駆体供給ヘッドの出力面に供され、出力面に開放されるように配置されている。
【0015】
吸引ゾーンは、出力面で前駆体供給エリアを囲むように配置されている。したがって、過剰な前駆体は、除去され、出力面からおよび前駆体供給ゾーンの周囲の反応ギャップから放出される。よって、前駆体供給ゾーンは周囲から隔離されており、またはガスは出力面および支持体表面の相対回転中に外部から前駆体供給ゾーンに侵入することを防止または阻害される。したがって、基材支持体および前駆体供給ヘッドが互いに相対的に回転する場合、異なる前駆体の混合はコーティング処理中に防止されまたは減少する。
【0016】
さらに、前駆体供給フローは、出力面の反応ゾーンの外側に他のガスフローに関係なく均一な前駆体フローが達成されるように、周囲から隔離され得る。よって、高いコーティング品質は、より高い回転スピードで達成され得る。
【0017】
本発明の一実施形態では、回転機構は、基材支持体に接続され、かつ基材支持体を回転するように配置されている。これは、好ましく支持体表面に固定され得る基材が、出力面を供される静止反応ゾーンを通過して搬送される。
【0018】
別の実施形態では、回転機構は、前駆体供給ヘッドに接続し、前駆体供給ヘッドを回転するように配置されている。ガスが前駆体供給ヘッドを介して供給および放出され得るため、全てのプロセス機器を装置内の一つの要素に集約することが可能である。さらに、回転機構は、同じ前駆体供給ヘッドに供される。
【0019】
さらなる実施形態では、回転機構は、基材支持体におよび前駆体供給ヘッドに接続され、基材支持体および前駆体供給ヘッドを両方互いに相対的に回転するように配置される。
【0020】
一実施形態では、前駆体供給ヘッドの出力面および基材支持体の支持体表面は、均一な反応ギャップが基材支持体の支持体表面と前駆体供給ヘッドの出力面との間に供されるように、互いに平行となるように配置される。
【0021】
均一な反応ギャップは、支持体表面および基材の表面に向けた均一なガス分配および供給を可能にする。均一なガス分配は、均一で高いコーティング品質を供する。
【0022】
本願の文脈では、前駆体供給ヘッドの出力面は、平面的な表面または実質的に平面的な表面として供される。出力面は、1または2以上の反応ゾーンを備える。いくつかの実施形態では、出力面は第1前駆体用の第1反応ゾーンと、第2前駆体用の第2反応ゾーンとを備える。
【0023】
さらに、出力面および支持体表面は、均一な反応ギャップが形成されるように、互いに対向するように配置される。反応ギャップが、基材が支持される支持体表面全体にわたって均一となるように、出力面は支持体表面全体にわたって延在するように配置される。したがって、出力面は、支持体表面を覆うように配置される。出力面および支持体表面は、互いに平行となるように配置されている。
【0024】
したがって、出力面が支持体表面全体にわたって延在して配置されるため、反応ギャップは、反応ギャップの端でまたは反応ギャップの周縁(複数可)もしくは周辺で周囲に開放されている。
【0025】
したがって、装置がプロセス・チャンバー空間を有するプロセス・チャンバーを備える場合、反応ギャップがその周縁(複数可)でチャンバーに開放されている。
【0026】
一実施形態では、回転機構は回転軸を備える。回転軸は、出力面、または支持体表面もしくは出力面および支持体表面に対して垂直に配置される。したがって、回転軸および回転機構は、1つの平面における支持体表面または出力面を回転するように配置されている。好ましくは、支持体表面および出力面は互いに平行であり、回転軸は、出力面および支持体表面の両方に対して垂直である。よって、反応ギャップは、回転および処理中において一定および均一であり得る。
【0027】
一実施形態では、反応ゾーンの前駆体供給ゾーンは、前駆体供給エリアとして形成され、反応ゾーンの中心エリア(または中央部または中心領域;central area)として配置されている。したがって、前駆体は反応ゾーンの中心エリアから供給され、その後、反応ゾーンを通過して進むため、基材が所定の領域での前駆体に付され得る。さらに、これは、前駆体供給ゾーンを周囲から効率的に隔離することを可能にする。
【0028】
一実施形態では、前駆体供給ゾーンは、前駆体供給ヘッドの出力面に収納部(または凹部;recess)として供される。収納部は、前駆体供給ヘッドの出力面に開放されている。収納部は、基材の表面に向かう均一な前駆体供給が達成され得るように、前駆体供給ゾーンにおける前駆体を均等に分布することを可能にする。収納部は、反応ゾーンおよび前駆体供給ゾーンを通過する基材に必要な露出を供するために、出力面に沿った寸法を有する前駆体供給エリアをさらに供する。
【0029】
一実施形態では、反応ゾーンの前駆体供給ゾーンは、前駆体供給ゾーン上に前駆体を分布させるために前駆体供給ヘッドの出力面に開放されている2または3以上の前駆体供給口(precursor supply opening)を備える。
【0030】
2または3以上の前駆体供給口は、前駆体供給ゾーン上、さらに支持体表面および基材表面に向かって前駆体を均等な分配することを可能にする。
【0031】
別の実施形態では、反応ゾーンの前駆体供給ゾーンは、収納部におよび前駆体供給ゾーン上に前駆体を分配するための収納部に開放されている1または2以上の前駆体供給口を備える。
【0032】
前駆体は、1または2以上の前駆体供給口から収納部に入る。収納部および収納部を囲む吸引ゾーンは、支持体表面に向かって均一な前駆体フローを供するための収納部においておよび前駆体供給ゾーンにおいて均等な広がりを引き起こす。
【0033】
さらなる実施形態では、反応ゾーンの前駆体供給ゾーンは、前駆体供給ゾーンを供し、かつ前駆体供給ゾーンの前駆体を分配するために前駆体供給ヘッドの出力面に開放されている1または2以上の前駆体分配口(または前駆体分与口);precursor distribution opening)を備える前駆体分配素子(または前駆体分配要素または前駆体分与要素;precursor distribution element)を備える。
【0034】
前駆体分配素子は、支持体表面に向けて均一な前駆体フローを供するための前駆体供給ゾーンまたは前駆体供給エリアの上方に前駆体フローを分配するように配置されている。好ましくは前駆体分配素子は、前駆体供給ゾーンの上方に配置された2または3以上の、より好ましくはいくつかの前駆体分配口を備える。
【0035】
さらに別の実施形態では、反応ゾーンの前駆体供給ゾーンが、収納部に供された前駆体分配素子を備える。前駆体分配素子は、収納部におよび前駆体供給ゾーンの上方に前駆体を分配するための収納部に開放された1または2以上の前駆体分配口を備える。
【0036】
前駆体分配素子は、前駆体フローを収納部に分配するように配置されており、その収納部から前駆体が支持体表面および基材に向けて均一に流れ得る。好ましくは、前駆体分配素子は、収納部の上方に配置された2または3以上の、より好ましくはいくつかの前駆体分配口を備える。前駆体は、1または2以上の分配開口から収納部に入る。収納部および収納部を囲む吸引ゾーンは、支持体表面に向けて前駆体フローを供するための前駆体が収納部においておよび前駆体供給ゾーンにおいて均等に広がることを引き起こす。
【0037】
一実施形態では、前駆体供給ヘッドは、回転機構の回転軸に一致して供されるヘッド中心点(または中央点;centre point)を備える。前駆体供給ゾーン、または前駆体供給エリアもしくは収納部の幅は、ヘッド中心点から離れた方向において増加する。
【0038】
したがって、前駆体供給ゾーン、または前駆体供給エリアもしくは収納部の幅がヘッド中心点から離れて放射方向に増加する。前駆体供給ゾーン、または前駆体供給エリアもしくは収納部の幅がヘッド中心点から放射方向に対して垂直である。
【0039】
ヘッド中心点から離れた方向において幅を増加させることで、回転軸およびヘッド中心点からの異なる距離で基材の等しい滞留時間または通過時間を供することが可能となる。よって、基材の異なる部分は、回転中に均等に前駆体に付され、反応ゾーンを通過する。
【0040】
一実施形態では、吸引ゾーンは、前駆体供給ヘッドの出力面で、前駆体供給ゾーンを周方向に囲むように配置されている。
【0041】
したがって、吸引部は、前駆体供給ゾーンの周りに全方向に同様に配置される。これにより、前駆体供給ゾーンを周囲から全方向に隔離することができる。さらに、吸引ゾーンから供された吸引部は、前駆体供給ゾーン全体の上方に前駆体の分配を誘起する。
【0042】
別の実施形態では、吸引ゾーンは、前駆体供給ヘッドの出力面で、前駆体供給ゾーンを周方向に囲むように配置されている吸引スロットとして供されている。前駆体供給ゾーンを囲むように周回スロット(または溝;slot)を設けることで、前駆体の吸引を効率的かつ均等に行うことが可能となる。
【0043】
一実施形態では、反応ゾーンは、前駆体供給ヘッドの出力面に開放されかつ前駆体供給ヘッドの出力面で吸引ゾーンおよび前駆体供給ゾーンを囲むように配置されたパージガス供給ゾーンをさらに備える。吸引ゾーンは、前駆体供給ヘッドの出力面で、前駆体供給ゾーンとパージガス供給ゾーンとの間に配置されている。
【0044】
パージガスゾーンは、さらに、処理中において周囲および他の前駆体から前駆体供給ゾーンを隔離することを可能にする。よって、パージガスゾーンは、周囲と前駆体供給ゾーンとの間に、ガスカーテンおよびバリアガスフローを供する。さらに、吸引ゾーンは、パージガスゾーンからのパージガスおよび前駆体供給ゾーンからの前駆体が反応ゾーンから前駆体が逃げるのを防止しかつ均一で安定な前駆体フローを供する吸引ゾーンを流れるように、前駆体供給ゾーンとパージガス供給ゾーンとの間に配置されている。
【0045】
一実施形態では、パージガス供給ゾーンは、前駆体供給ヘッドの出力面で吸引ゾーンを周方向に囲むように配置されている。
【0046】
したがって、吸引部は、前駆体供給ゾーンの周りの全方位からおよびパージガス供給ゾーンの全方位から同様に供される。よって、前駆体フローに対向するパージガスフローは、吸引ゾーンに向かって生成される。これにより、前駆体供給ゾーンを周囲から全方位に隔離することを可能にする。
【0047】
別の実施形態では、パージガス供給ゾーンは、前駆体供給ヘッドの出力面で、吸引ゾーンの周方向を囲むように配置されたパージガススロットとして供される。
【0048】
したがって、前駆体供給ゾーンは、吸引スロットにより周囲からおよびパージガス供給スロットにより全方位から隔離される。これにより、処理中ならびに前駆体供給ヘッドおよび基材支持体の相対的な回転中において、基材支持体および基材表面に向かって安定なかつ円滑な前駆体フローを供することが可能になる。
【0049】
一実施形態では、前駆体供給ヘッドは、前駆体供給ヘッドの出力面で2または3以上の反応ゾーンを備える。
【0050】
反応ゾーンは、同一のまたは異なる前駆体が供給されるように配置され得る。反応ゾーンの数を増加させることにより、1回転当たりのコーティング層の数が増加し得るため、装置の効率を高め得る。ただし、同時に出力面での反応ゾーンの増加は、異なる前駆体材の混合の可能性を増加させる。さらに、本発明の反応ゾーンの構造は、異なる前駆体の過剰な混合なしに、出力面でのより多くの数の反応ゾーンの利用を可能にする。
【0051】
別の実施形態では、前駆体供給ヘッドは、前駆体供給ヘッドの出力面に第1反応ゾーンおよび第2反応ゾーンを備える。
【0052】
第1反応ゾーンは、第1前駆体源に接続し得、ならびに処理中および回転中において基材支持体に向かって第1前駆体を供給するように配置され得る。第2反応ゾーンは、第2前駆体源に接続され得、ならびに処理中および回転中において基材支持体に向かって第2前駆体を供給するように配置され得る。
【0053】
さらに、いくつかの実施形態では、出力面に2または3以上の第1および第2反応ゾーンが存在し得る。第1および第2反応ゾーンは、回転方向において出力面に連続的におよび代替的に供される。
【0054】
したがって、基材の表面は、回転運動中および処理中において、第1および第2前駆体に代替的に付される。
【0055】
さらなる実施形態では、前駆体供給ヘッドは、前駆体供給ヘッドの出力面に第1反応ゾーンおよび第2反応ゾーンを備える。第1および第2反応ゾーンは、ヘッド中心点の反対側に互いに対向するように配置される。
【0056】
よって、第1および第2反応ゾーンはならびに第1および第2前駆体はまた、互いに物理的に分離されており、出力面で回転方向において互いに間隔をあけて配置される。
【0057】
好ましくは、出力面に対称に供される2または3以上の反応ゾーンが存在する。それらは、互いに対して対称に供され得る。さらに、それらは、ヘッド中心点に対して対称に供され得る。
【0058】
一実施形態では、前駆体供給ヘッドは、出力面における反応ゾーンの反対側で反応ゾーンに隣接して配置されている中間パージガス供給ノズル(intermediate purge gas feeding nozzle)を備える。
【0059】
中間パージガス供給ノズルは、異なる反応ゾーン間で前駆体が混合することをさらに防止するように配置される。
【0060】
中間パージガス供給ノズルは、反応ゾーンに隣接し、回転方向における出力面の反応ゾーンと反対側の両側に配置されている。
【0061】
別の実施形態では、前駆体供給ヘッドは、隣接する反応ゾーン間に配置された中間パージガス供給ノズルを備える。
【0062】
中間パージガス供給ノズルは、回転方向において出力面で隣接する反応ゾーン間に配置されている。よって、中間パージガス供給ノズルは、隣接する反応ゾーンと、互いに隣接する反応ゾーンから供給される前駆体とをさらに分離する。
【0063】
さらなる実施形態では、前駆体供給ヘッドは、第1および第2反応ゾーン間に配置される中間パージガス供給ノズルを備える。
【0064】
中間パージガス供給ノズルは、回転方向において出力面で第1および第2反応ゾーン間に配置されている。よって、中間パージガス供給ノズルは、さらに第1および第2反応ゾーンと第1および第2反応ゾーンから供給される前駆体とを互いに分離する。
【0065】
一実施形態では、中間パージガス供給ノズルは、隣接する反応ゾーン間の方向に延在するように配置される。
【0066】
したがって、中間パージガス供給ノズルは、1の反応ゾーンから別の反応ゾーンへの方向に延在するように配置されている。
【0067】
よって、中間パージガス供給ノズルは、いくつかの実施形態では回転方向において実質的に延在するように配置されている。
【0068】
さらに、中間パージガス供給ノズルは、いくつかの実施形態では、回転軸の放射方向に対して横方向または垂直方向に延在するように配置されている。
【0069】
別の実施形態では、中間パージガス供給ノズルは、隣接する反応ゾーン間を直線方向に延在するように配置されている。
【0070】
これらの実施形態では、パージガスフローは、回転の放射方向(または半径方向;radical direction)に向き得る。これにより、出力面、支持体表面からおよび反応ギャップから離れる効率的なフローが供される。
【0071】
さらなる実施形態では、中間パージガス供給ノズルは、長手方向曲線形状を有し、隣接する反応ゾーン間を延在するように配置されている。
【0072】
好適な実施形態では、中間パージガス供給ノズルは、回転軸から放射方向に一定な長手方向曲線形状を有する。よって、曲がった中間パージガス供給ノズルは、隣接する反応ゾーン間を回転方向に延在する。
【0073】
さらに別の実施形態では、中間パージガス供給ノズルは、前駆体供給ヘッドのヘッド中心点から離れる方向に延在するように配置される。
【0074】
代替の実施形態では、中間パージガス供給ノズルは、前駆体供給ヘッドのヘッド中心点から離れる方向に放射状に延在するように配置されている。
【0075】
これらの実施形態では、中間パージガス供給ノズルは、隣接する反応ゾーンを互いに分離させる。さらに、中間パージガス供給ノズルからのパージガスフローを、異なる前駆体の誘起された分離を供する反応ゾーンに向ける。
【0076】
一実施形態では、基材支持体は、1または2以上の基材を保持するための支持体表面に供された1または2以上の基材ホルダーを備える。
【0077】
基材は、基材の表面、好ましくは平坦な基材の表面が支持体表面から離れかつ対向する出力面に向かうように配置されるように、支持体表面に支持されている。
【0078】
好ましくは、バランスよく回転させるための基材支持体および支持体表面に対称に供される2または3以上の基材ホルダーが存在する。
【0079】
さらに、基材は好ましくは基材の平坦な平面が出力面にまたは出力面および支持体表面に平行となるように、支持されている。
【0080】
別の実施形態では、基材支持体は、1または2以上の基材をそれぞれ受けるための支持体表面に供された1または2以上の基材ホルダー収納部を備える。
【0081】
基材は、収納部に受けられている。
【0082】
いくつかの実施形態では、収納部は、出力面に向いた基材の上面が支持体表面より下か、または支持体表面と同一面となるように、基材を受けるように配置されている。これにより、支持体表面での均一なガスフローを可能とし、コーティング品質を向上させる。
【0083】
一実施形態では、基材支持体は、前駆体供給ヘッドの下方の垂直方向に配置されている。
【0084】
したがって、前駆体供給ヘッドは、垂直方向において基材支持体の上方に配置されている。本実施形態では、支持体表面および出力面は、好ましくは水平に配置されている。よって、回転軸は、垂直に延在する。
【0085】
これにより、基材が効率的に装置へ搬入され、および装置から搬出される構造を供される。
【0086】
一実施形態では、装置はプロセス・チャンバーの内側のプロセス・チャンバー空間を有するプロセス・チャンバーを備え、基材支持体および前駆体供給ヘッドはプロセス・チャンバーの内側に配置される。
【0087】
一実施形態では、装置は、プロセス・チャンバーの内側のプロセス・チャンバー空間を有するプロセス・チャンバーを備え、基材支持体の支持体表面および前駆体供給ヘッドの出力面は、プロセス・チャンバーの内側に配置されている。したがって、基材支持体は、チャンバー空間におけるプロセス・チャンバーの内側全体にあり得るか、または支持体表面のみがプロセス・チャンバーの内側に供される。後者の場合では、支持体表面は、チャンバー壁の1または少なくともその一部を形成するように配置され得る。さらに、前駆体供給ヘッドは、チャンバー空間におけるプロセス・チャンバーの内側全体にあり得るか、または出力面のみがプロセス・チャンバーの内側に供される。後者の場合では、出力面は、チャンバー壁の1またはその少なくとも一部を形成するように配置され得る。
【0088】
好適な一実施形態では、基材支持体はプロセス・チャンバーのチャンバー空間の内側に供され、前駆体供給ヘッドの出力面はチャンバー空間の内側に供される。よって、前駆体供給ヘッドは、チャンバー空間の内側に完全にあるわけではない。出力面は、チャンバー壁の1、例えば、上壁または少なくとも一部に配置され得る。
【0089】
よって、基材の処理は、汚染を防止するプロセス・チャンバーにおいて実行され得る。
【0090】
一実施形態では、プロセス・チャンバーは、プロセス・チャンバーに供されかつプロセス・チャンバー空間からガスを放出するように配置される放出接続部(排出接続部;discharge connection)を備える。
【0091】
放出接続部は、好ましくは壁またはプロセス・チャンバーの壁に供される。よって、パージガスおよび過剰な前駆体は、プロセス・チャンバーから放出され得る。
【0092】
反応ギャップは、上述のように、チャンバー空間に開放されており、よって、放出接続部は、反応ギャップからチャンバー空間を介して過剰なガスを放出するために、開放された反応の周縁または周縁(peripheral or circumferential edge)から反応ギャップに吸引または低圧を導くように配置される。
【0093】
本発明の利点は、本発明の原子層装置により高い製造スループットで高い品質のコーティングを可能となることである。本発明では、前駆体供給ヘッドの出力面での反応ゾーンにおいて前駆体供給ゾーンを囲む吸引ゾーンは、より高い回転速度でさえ基材の表面に向けて前駆体フローを均一かつ安定とさせることが可能となる。吸引ゾーンをさらに囲むパージガス供給ゾーンは、コーティング品質を損なうことなく、さらなる回転速度の増加を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0094】
図面の簡単な説明
本発明は、添付の図面を参照して、特定の実施形態の手段により詳細に説明される。
図1図1は、本発明に係る装置の一実施形態を示す概略図である。
図2図2は、本発明に係る装置の別の実施形態を示す概略図である。
図3図3は、本発明に係る装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。
図4図4は基材支持体の概略上面図である。
図5図5は、図4の支持体の概略側面図である。
図6図6は、前駆体供給ヘッドの一実施形態を示す概略上面図である。
図7図7は、前駆体供給ヘッドの別の実施形態の概略上面図である。
図8図8は、本発明に係る反応ゾーンの一実施形態を示す模式図である。
図9図9は、反応ゾーンの一実施形態を示す概略断面側面図である。
図10図10は、反応ゾーンの他の実施形態を示す概略断面側面図である。
図11図11は、第1反応ゾーンを示す概略断面側面図である。
図12図12は、第2反応ゾーンを示す概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
発明の詳細な説明
図1は、原子層体積の原理に従って少なくとも第1前駆体および第2前駆体により基材の表面を連続的に処理するための原子層堆積装置2を示す。装置は、プロセス・チャンバー10の内側にプロセス・チャンバー空間12を有するプロセス・チャンバー10を備える。プロセス・チャンバー10は、プロセス・チャンバー空間12を定義するプロセス・チャンバー壁を備える。
【0096】
プロセス・チャンバー10は、真空チャンバーとして供され、真空デバイス(不図示)に接続されている。よって、プロセス・チャンバー10は、プロセス・チャンバーとしておよび真空チャンバーとして供される。
【0097】
代替の実施形態では、プロセス・チャンバー10を囲む別の真空チャンバー(不図示)がある。よって、プロセス・チャンバーは、真空チャンバーの内側に供される。真空チャンバーは、真空チャンバーの内側に真空を供するための真空装置(不図示)に接続されている。
【0098】
基材は、プロセス・チャンバー10の内側で処理される。
【0099】
装置2は、支持体表面63を有し、支持体表面63に1または2以上の基材を支持するように配置されている基材支持体60をさらに備える。基材支持体60は、装置2により基材を処理する間に1または2以上の基材を支持または保持するように配置される。
【0100】
基材支持体60は、プロセス・チャンバー10の内側に供される。よって、基材支持体60は、プロセス・チャンバー空間12の内側にある。
【0101】
支持体表面63は、平面に延在する平坦な表面である。
【0102】
基材は、支持体表面63に配置され、または支持体表面63に接続して配置されている。好ましくは、基材は、例えば、シリコンウェハのような2つの主たる基材表面を有する平面または板状の基材である。
【0103】
基材は、基材表面または主たる基材表面が支持体表面63に平行となるように基材支持体60に通常支持される。
【0104】
基材支持体60は、処理中に1または2以上の基材を固定および保持するように配置される1または2以上の基材ホルダー62を備える。基材ホルダー62は、支持体表面63に供されるか、または支持体表面63に接続して供される。
【0105】
基材は、支持体表面63から離れる方向を向いた上面が支持体表面63と同一平面で(もしくはぴったり重なってもしくは面一となるように)または支持体表面63の水準(高さ)となるように、支持体表面63に支持されている。
【0106】
いくつかの代替の、実施形態では、支持体表面63から離れる方向を向いた上面が支持体表面63の下方となるように、基材は支持体表面63に支持されている。
【0107】
さらに、いくつかの実施形態では、基材は支持体表面63から離れる方向を向いた上面が支持体表面63の上方となるように、支持体表面63に支持されている。これらの実施形態では、基材は支持体表面63に直接支持され得る。
【0108】
本発明の装置は、出力面33を有する前駆体供給ヘッド30をさらに備える。出力面33は、少なくとも1つのガス分配素子40,40’により供され、少なくとも1つのガス分配素子40,40’を介して前駆体が供給される。1または2以上のガス分配素子40,40’は、1または2以上の反応ゾーン44,44’をそれぞれ供する。
【0109】
前駆体供給ヘッド30は、プロセス・チャンバー10の内側に供される。よって、前駆体供給ヘッド30は、プロセス・チャンバー空間12の内側にある。したがって、前駆体供給ヘッド30の出力面33も、プロセス・チャンバー10のチャンバー空間12の内側にある。
【0110】
ガス分配素子40,40’および反応ゾーン44,44’は、前駆体が出力面33を介して供給されるように、出力面33に供されるか、または出力面33に接続して供される。
【0111】
前駆体供給ヘッド30は、前駆体供給システム20に接続している。前駆体供給システム20は、例えば、前駆体容器のような前駆体源(不図示)と、供給導管22を介して前駆体供給ヘッド30に前駆体を供給するためのポンプおよびバルブ(不図示)とを備える。
【0112】
前駆体供給システム20はまた、例えば、パージガス容器のようなパージガス源(不図示)と、供給導管22を介して前駆体供給ヘッド30にパージガスを供給するための1または2以上のポンプおよびバルブ(不図示)とを備え得る。
【0113】
前駆体供給システム20はまた、供給導管22を介して出力面33からガスを放出するための吸引ポンプ(複数可)を備え得る。
【0114】
供給導管22は、各前駆体に対して1つずつ設けられた1または2以上の前駆体導管を備える。前駆体導管は、前駆体供給システム20における前駆体源に接続している。
【0115】
供給導管22は、1または2以上のパージガス導管をさらに備える。パージガス導管は、前駆体供給システム20におけるパージガス源に接続している。
【0116】
供給導管22は、1または2以上の吸引導管をさらに備える。吸引導管は、ガスを放出するための前駆体供給システム20における吸引ポンプ(複数可)に接続している。
【0117】
図1に示すように、前駆体供給システム20は、プロセス・チャンバー10の外側に配置される。供給導管22は、前駆体供給システム20と前駆体供給ヘッド30との間に延在する。したがって、供給導管22は、プロセス・チャンバー10の外側からチャンバー壁を通ってプロセス・チャンバー10内へ、さらに前駆体供給ヘッド30へ延在する。
【0118】
プロセス・チャンバー10を囲む別の真空チャンバーを備える実施形態では、前駆体供給システム20は真空チャンバーの外側に配置されている。したがって、供給導管22は、真空チャンバーの外側から真空チャンバー壁を通して真空チャンバー内へ延在し、さらにチャンバー壁を通してプロセス・チャンバー10内へおよび前駆体供給ヘッド30へ延在する。
【0119】
前駆体供給ヘッド30は、前駆体の供給路(または供給チャンネル;supply channels)32、パージ部および吸引部を備える。
【0120】
供給路32は、対応する供給導管22に接続している。さらに、前駆体供給ヘッド30の供給路32は、前駆体供給ヘッド30の、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’にそれぞれ接続している。
【0121】
供給路32は、前駆体を供給するための1または2以上の前駆体供給路を備え得る。前駆体供給路は、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’、それぞれに接続している。各前駆体は、別の前駆体供給路で供され得る。前駆体供給路は、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’、それぞれと、供給導管20の前駆体供給導管との間に接続している。
【0122】
供給路32は、パージガスを供給するための1または2以上のパージガス供給路を備え得る。パージガス供給路(複数可)は、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’、それぞれに接続されている。パージガス供給路は、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’、のそれぞれと供給導管20のパージガス供給導管との間に接続されている。
【0123】
供給路32は、ガスを放出するための1または2以上の吸引路を備え得る。吸引路(複数可)は、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’、のそれぞれに接続されている。吸引路(複数可)は、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’、それぞれと供給導管20の吸引導管との間に接続されている。
【0124】
上述によれば、前駆体供給システム20と1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’との間のガス交換は、供給路32の供給導管22を介して実行される。
【0125】
図1に示すように、基材支持体60の支持体表面63および前駆体供給ヘッド30の出力面33は、互いに対向して配置されている。反応ギャップ65が支持体表面63と出力面33との間に供されるように、支持体表面63および出力面33は互いに間隔をあけて配置されている。
【0126】
前駆体は、処理中に支持体表面63および支持体表面63に配置された基材に向かって出力面33を介して供給される。さらに、前駆体は、1または2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’から反応ギャップ65を介して支持体表面63に向かって供給される。したがって、処理中に前駆体、ならびに可能な(possible)パージガスは、反応ギャップ65において支持体表面63に向かってまたは支持体表面63に対して進み(移動し;travel)、基材は支持体表面63に固定された状態で支持する。
【0127】
前駆体供給ヘッド30の出力面33および基材支持体60の支持体表面63は、互いに平行に配置されている。平行な出力面33および支持体表面63がともに均一な反応ギャップ65を形成する。均一な反応ギャップ65は、出力面33と支持体表面33との間の距離が出力面33と支持体表面63との間の領域において一定であることを意味する。
【0128】
図1の実施形態では、基材支持体60は、前駆体供給ヘッド30の下方の垂直方向に配置されている。さらに、支持体表面63は、出力面33の下方の鉛直方向に配置されている。したがって、前駆体および可能なパージガスは、前駆体供給ヘッド30から出力面33を介して下方に、支持体表面63に向かって供給される。
【0129】
出力面33および支持体表面63は、ともに水平方向に配置され、互いに平行である。
【0130】
代替の実施形態では、基材支持体60は、前駆体供給ヘッド30の上方の垂直方向に配置される。本実施形態ではまた、出力面33および支持体表面63は、ともに水平方向に平行に配置されている。
【0131】
基材支持体60および前駆体供給ヘッド30は、プロセス・チャンバー10の内側に配置されている。
【0132】
図1の実施形態では、基材支持体60および前駆体供給ヘッド30は、ともにチャンバー空間12の内側に配置されている。
【0133】
装置2は、プロセス・チャンバー10に接続している放出システム(または排出システム;discharge system)14をさらに備える。放出システム14は、プロセス・チャンバー10の内側のプロセス・チャンバー空間12を形成するガスを放出するように配置されている。
【0134】
放出システム14は、放出導管16によりプロセス・チャンバー壁に接続している。放出システム14は、プロセス・チャンバー10のチャンバー空間12からガスを放出するように配置される1または2以上の放出ポンプを備える。放出システム14および放出導管は、ともにプロセス・チャンバー10に供され、プロセス・チャンバー空間12からガスを放出するように配置された放出接続部16,14を形成する。
【0135】
放出デバイス14は、プロセス・チャンバー10の外側に配置されている。
【0136】
プロセス・チャンバー10を囲む別の真空チャンバーを備える実施形態では、放出システム14は、真空チャンバーの外側に配置されている。したがって、放出導管16は、真空チャンバーの外側から真空チャンバー壁を通して真空チャンバー内へ、さらにプロセス・チャンバー10のチャンバー壁へ延在する。
【0137】
本発明によれば、前駆体供給ヘッド30および基材支持体30は、回転軸66を中心に互いに回転する。
【0138】
回転軸66は、出力面33および支持体表面63に対して垂直に延在する。したがって、反応ギャップ65は、回転中に一定に維持される。
【0139】
回転中に、支持体表面に支持された基材は、前駆体供給ヘッド30の、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’、それぞれに関連して回転運動で移動する。よって、基材は、相対的回転運動に起因する前駆体供給ヘッド30の、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’、それぞれを介して供給される前駆体に連続的に付される。回転中に、基材は、前駆体供給ヘッド30の、1もしくは2以上のガス分配素子40,40’、または1もしくは2以上の反応ゾーン44,44’、それぞれのそばを通過し、その後、前駆体に付される。
【0140】
装置2は、回転機構64,66を備える。基材支持体60および前駆体供給ヘッド30は、回転機構64,66により互いに相対的に回転されるように配置される。基材支持体60の支持体表面63および前駆体供給ヘッド30の出力面33が互いに相対的に回転するように配置されるように、基材支持体60および前駆体供給ヘッド30は回転機構により互いに相対的に回転するように配置される。
【0141】
図1の実施形態では、回転機構64、66または回転デバイス64は、基材支持体60を回転されるための基材支持体60に接続している。回転デバイス64は、回転運動を出力するように配置された回転モーター等の装置を備える。
【0142】
回転デバイス64は、回転デバイス60から基材支持体60へ回転運動で移動するように配置された回転軸66により基材支持体60に接続している。回転デバイス64および回転軸66は、回転方向Aで基材支持体60を回転させるように配置されている。
【0143】
回転軸66は、支持体表面63に対して垂直に延在する。
【0144】
したがって、回転軸66は垂直方向に延在する。
【0145】
図1に示すように、回転デバイス64は、プロセス・チャンバー10の外側に配置されている。回転軸66は、回転デバイス64と基材支持体60との間に延在する。したがって、回転軸66は、プロセス・チャンバー10の外側からチャンバー壁を通してプロセス・チャンバー10へ、さらに基材支持体60へ延在する。
【0146】
回転デバイス64は、基材支持体60の下方の垂直方向に配置されている。
【0147】
プロセス・チャンバー10を囲む別の真空チャンバーを備える実施形態では、回転デバイス64は、真空チャンバーの外側に配置されている。したがって、回転軸66は、真空チャンバーの外側から真空チャンバー壁を通して真空チャンバー内へ、さらにチャンバー壁を通してプロセス・チャンバー10および基材支持体60内へ延在する。
【0148】
図2は、本発明に係る装置の別の実施形態を示す。本実施形態では、前駆体供給ヘッド30は、プロセス・チャンバー10のプロセス・チャンバー壁の一部を形成するように配置されている。
【0149】
したがって、前駆体供給ヘッド30の出力面33は、プロセス・チャンバーの壁を形成するようにおよびプロセス・チャンバー空間12を定義するように配置される。ただし、前駆体供給ヘッド30は、チャンバー空間12の内側に配置されていない。しかしながら、基材支持体60は、チャンバー空間12の内側に配置されている。基材支持体30は、回転デバイス64によりチャンバー空間12の内側に回転方向Aに回転するように配置されている。
【0150】
図2の実施形態では、前駆体供給ヘッド30の出力面33は、プロセス・チャンバー10のチャンバー空間12の内側に配置されている。
【0151】
さらに、図2では、前駆体供給ヘッド30の出力面33は、上壁(または天壁)の一つであるチャンバー壁を形成するように配置されている。
【0152】
図3は、回転機構64,66または回転装置64が回転方向Aに前駆体供給ヘッド30を回転させるための回転軸66を有する前駆体供給ヘッド30に接続している、さらなる実施形態を示す。本実施形態では、基材支持体60は定常的に供される。
【0153】
回転装置64は、前駆体供給ヘッド30の上方の垂直方向に配置される。回転軸66は、垂直方向に延在する。
【0154】
装置が、基材支持体60および前駆体供給ヘッド30をそれぞれ互いに別におよび独立して回転するための2つの回転機構64,66を備え得ることに留意されたい。
【0155】
さらに、前駆体供給ヘッド30はまた基材支持体60の下方に配置され得ることに留意されたい。
【0156】
基材支持体60および/または前駆体供給ヘッド30は、好ましくは円筒要素円筒形状である。円筒形状は、スムーズでバランスの良い回転に有利である。
【0157】
したがって、基材支持体60および/または回転する前駆体供給ヘッド30の少なくとも1つは、円筒形状を有する。
【0158】
支持体表面63および/または出力面33が円筒形状を有する。したがって、基材支持体60および/または回転する前駆体供給ヘッド30の少なくとも一つは、円筒形状を有する支持体表面63または出力面33をそれぞれ有する。
【0159】
支持体表面63および出力面33は、好ましくは類似または同一の形状、例えば、円形形状を有する。
【0160】
図4は、基材支持体60の一実施形態の上面図を示す。基材支持体60および支持体表面63は、支持中心点67または支持中心軸67を有する。支持中心点67は、円形の支持体表面63の中心点である。回転軸66は、支持中心点67でまたは支持中心軸67に沿って基材支持体60に接続している。よって、基材支持体60および支持体表面63は、回転軸66および支持中心点67または支持中心軸67の周囲に回転方向Aで回転する。
【0161】
基材支持体60は、2つの基材を保持するための支持体表面63に供される2つの基材ホルダー62を備える。それぞれの基材ホルダー62は、1の基材を受けるようにおよび保持するように配置されている。
【0162】
基材ホルダー62は、支持体表面63に対して支持中心点67の反対側で互いに対向するように配置されている。
【0163】
代替の実施形態では、1または2以上の基材ホルダー62が存在し得る。好ましくは、互いに相対的に支持中心点67に対して対称に配置された2または2以上基材ホルダー62が存在する。
【0164】
基材ホルダー62は、回転方向Aに連続的にまたは隣接するように配置されている。
【0165】
よって、基材ホルダー62は、支持中心点67から同じ距離にある。
【0166】
図5は、図4の基材支持体60の側面を示す。基材ホルダー62は、1または2以上の基材をそれぞれ受けるための支持体表面63に供される基材ホルダー収納部として形成される。基材の上面が前駆体供給ヘッド30の出力面33に向くように、基材ホルダー収納部62は、基材を受けるように配置されている。さらに、基材の上面は、好ましくは支持体表面63および出力面33に平行である。
【0167】
よって、基材ホルダー収納部62の底は、支持体表面63および出力面33と平行に配置され得る。
【0168】
図6は、前駆体供給ヘッド30およびその出力面33の一実施形態を示す。前駆体供給ヘッド30および出力面33は、ヘッド中心点37またはヘッド中心軸37を有する。ヘッド中心点37は、円形出力面33の中心点である。
【0169】
ヘッド中心点37は、回転機構64,66の回転軸66に一致して配置される。
【0170】
あるいはまたは加えて、ヘッド中心点37は、支持中心点または支持中心軸67に一致してまたは正対して(directly opposite)配置される。
【0171】
出力面33は、前駆体が供給される2つのガス分配素子40,40’に供される。2つのガス分配素子40,40’は2つの反応ゾーン44,44’をそれぞれ供する。
【0172】
一実施形態では、第1ガス分配要素40および第1反応ゾーン44は、第1前駆体を供給するように配置される。同様に、第2ガス分配要素40’および第2反応ゾーン44’は、第2前駆体を供給するように配置される。
【0173】
第1および第2ガス分配素子40,40’、ならびに第1および第2反応ゾーン44,44’は、それぞれ出力面33に互いに相対的に対称に供される。さらに第1および第2ガス分配素子40,40’ならびに第1および第2反応ゾーン44,44’は、それぞれヘッド中心点37に相対的に対称に供される。
【0174】
第1および第2ガス分配素子40,40’は、ヘッド中心点37の反対側に互いに対向するように出力面33に配置される。
【0175】
代替の実施形態では、1または2以上のガス分配素子40,40’が存在し得る。好ましくは、ヘッド中心点37に対して互いに相対的に対称に配置された2または3以上のガス分配素子40,40’が存在し得る。
【0176】
ガス分配素子40,40’は、回転方向Aに連続的にまたは隣接するように配置されている。
【0177】
よって、ガス分配素子40,40’は、ヘッド中心点37から同じ距離にある。
【0178】
さらに、ガス分配素子40,40’はヘッド中心点37から同じ距離で配置され、基材ホルダー62は支持中心点67から同じ距離で配置されている。よって、回転運動中に、基材ホルダー62およびその中の基材は、基材を前駆体に付すために、ガス分配素子40,40’およびその反応ゾーン44,44’を通過する。
【0179】
前駆体供給ヘッド30は、ガス分配素子40,40’または反応ゾーン44,44’に隣接する出力面33に配置される中間パージガス供給ノズル41を備える。
【0180】
したがって、中間パージガス供給ノズル41は、図6に示すように、ガス分配素子40,40’または反応ゾーン44,44’の反対側にガス分配素子40,40’または反応ゾーン44,44’のそれぞれに隣接して接続している。
【0181】
さらに、中間パージガス供給ノズル41は、隣接するガス分配素子40,40’または反応ゾーン44,44’の間に配置されている。
【0182】
第1および第2ガス分配素子40,40’または第1および第2反応ゾーン44,44’を有する実施形態では、中間パージガス供給ノズル41は、第1および第2ガス分配素子40,40’または第1および第2反応ゾーン44,44’の間に配置されている。
【0183】
中間パージガスノズル41に関連して隣接する(adjacent)という用語は、回転方向Aにおいてガス分配要素40,40’または反応ゾーン44,44’に隣接することを意味する。よって、ヘッド中心点37の周りに回転方向Aにおいて出力面33に隣接することを意味する。これは、基材支持体60のみが回転する実施形態にも適用される。
【0184】
中間パージガスノズル41に関連して間(between)という用語は、回転方向Aにおいて2つのガス分配素子40,40’または2つの反応ゾーン44,44’の間を意味する。よって、ヘッド中心点37の周りに回転方向Aにおいて隣接するガス分配素子40,40’または隣接する反応ゾーン44,44’の間の出力面33を意味する。これは、基材支持体60のみが回転する実施形態にも適用される。
【0185】
図6の実施形態では、中間パージガス供給ノズル41は、長手方向曲線形状を有し、隣接する反応ゾーン44,44’間に延在するように配置されている。したがって、中間パージガス供給ノズル41は、隣接するガス分配素子40,40’または隣接する反応ゾーン44,44’の間の方向に延在する。
【0186】
さらに、中間パージガス供給ノズル41は、ヘッド中心点37の周りに回転方向Aにおいて延在するように配置されている。これは、基材支持体60のみが回転する実施形態にも適用される。よって、中間パージガス供給ノズル41は、ヘッド中心点から一定の半径を有する長手方向曲線形状を有するか、または回転軸66または支持中心点67を形成する。よって、曲がった中間パージガス供給ノズルは、隣接するガス分配素子40,40’または隣接する反応ゾーン44,44’の間に回転方向Aに延在する。
【0187】
パージガスフローBは、図6に示すように、回転方向Aの放射方向またはヘッド中心点の放射方向に向けられる。これにより、隣接するガス分配素子40,40’また隣接する反応ゾーン44,44’の間に横方向のパージガスフローが供される。よって、パージガスは、反応ギャップ65にまたはその内側に、および反応ギャップ65の内側へ向けて、ならびに反応ギャップ65から前駆体供給ヘッド30および基材支持体60を囲むプロセス・チャンバー空間12の外側に、および反応ギャップ65の外に向けられる。
【0188】
曲がった中間パージガス供給ノズル41は、隣接するガス分配素子40,40’または隣接する反応ゾーン44,44’間の方向に延在する長手方向に直線状の中間パージガス供給ノズル41により置き換えられ得る。あるいは、図6の中間パージガス供給ノズル41は、隣接するガス分配素子40,40’または隣接する反応ゾーン44,44’間で代替手段で曲げられ得る。
【0189】
図7は、長手方向の中間パージガス供給ノズル41が出力面33で配置され、前駆体供給ヘッド30のヘッド中心点37から離れる方向に延在する代替の実施形態を示す。
【0190】
さらに、長手方向の中間パージガス供給ノズル41は、前駆体供給ヘッド30のヘッド中心点37から離れる方向に放射状に延在する。長手方向の中間パージガス供給ノズル41は、隣接するガス分配素子40,40’または隣接する反応ゾーン44,44’の間を回転方向Aに配置されている。
【0191】
図7の実施形態では、長手方向の中間パージガス供給ノズル41は、直線方向に延在する。ただし、代替の実施形態では、長手方向の中間パージガス供給ノズル41はまた曲がり得る。
【0192】
さらに、長手方向の中間パージガス供給ノズル41は、ヘッド中心点37から放射方向以外のヘッド中心点37から離れる方向にも延在するように配置され得る。
【0193】
パージガスフローCは、図7に示すように、長手方向の中間パージガス供給ノズル41で回転方向Aに向けられるか、またはヘッド中心点37の接線方向に向けられる。これにより、隣接するガス分配素子40,40’もしくは隣接する反応ゾーン44,44’に対してまたはそれに向かうパージガスフローCが供される。
【0194】
中間パージガス供給ノズル41は、出力面33に長手方向のスロットとして配置され得る。
【0195】
中間パージガス供給ノズル41は、パージガス供給導管22およびパージガス供給路32を介して前駆体供給システム20のパージガス源に接続している。
【0196】
図8は、ガス分配要素40または反応ゾーン44の一実施形態を模式的に示す。
【0197】
ガス分配要素40または反応ゾーン44は、前駆体を供給するための前駆体供給ヘッド30の出力面33に開放されている前駆体供給ゾーン47を備える。
【0198】
ガス分配要素40の前駆体供給ゾーン47は、前駆体供給ノズル54により供される。
【0199】
前駆体供給ゾーン47は、前駆体供給エリアとして形成され、反応ゾーン44またはガス分配要素40の中心エリアとして配置されている。
【0200】
さらに、前駆体供給ノズル54は、ガス分配要素40の中心ノズルを供するように配置されている。
【0201】
ガス分配要素40または反応ゾーン44は、前駆体供給ヘッド30の出力面33に開放されている吸引ゾーン46をさらに備える。吸引ゾーン46は、前駆体供給ヘッド30の出力面33において前駆体供給ゾーン47を囲むように配置されている。
【0202】
ガス分配要素40の吸引ゾーン46は、吸引ノズル52により供されている。吸引ノズル52は、ガス分配要素40においておよび出力面33に、前駆体供給ノズル54を囲むように配置されている。
【0203】
したがって、吸引ゾーン46は、反応ゾーン44においておよび出力面33に、前駆体供給ゾーン47を周方向に囲むように配置されている。
【0204】
同様に、吸引ノズル52は、ガス分配要素40においておよび出力面33に、周方向に前駆体供給ノズル54を囲むように配置されている。
【0205】
したがって、吸引ゾーン46および吸引ノズル52は、前駆体供給ゾーン47および前駆体供給ノズル54をすべての方向から出力面33でそれぞれ囲んでいる。
【0206】
図8に示すように、前駆体供給ゾーン47および前駆体供給ノズル54から供給される前駆体は、矢印Dで示すように、前駆体供給ゾーン47から吸引ゾーン46に向かって流れる。よって、前駆体は、反応ゾーン44からおよびガス分配要素40から離れ周囲に逃げることを防止される。
【0207】
好適な実施形態では、ガス分配要素40または反応ゾーン44は、前駆体供給ヘッド30の出力面33に開放されているパージガス供給ゾーン45をさらに備える。パージガス供給ゾーン45は、前駆体供給ヘッド30の出力面33で吸引ゾーン46および前駆体供給ゾーン47を囲むように配置されている。したがって、吸引ゾーン46は、前駆体供給ヘッド30の出力面33で、前駆体供給ゾーン47およびパージガス供給ゾーン45の間に供される。
【0208】
ガス分配要素40のパージガス供給ゾーン45は、パージガス供給ノズル50によって供される。パージガス供給ノズル50は、ガス分配要素40においておよび出力面33に、吸引ノズル52を囲むように配置されている。
【0209】
したがって、パージガス供給ゾーン45は、反応ゾーン44においておよび出力面33に周方向に吸引ゾーン46を囲むように配置されている。
【0210】
同様に、パージガス供給ノズル50は、ガス分配要素40においておよび出力面33に周方向に吸引ノズル52を囲むように配置されている。
【0211】
したがって、パージガス供給ゾーン45およびパージガス供給ノズル50は、出力面33にすべての方向から吸引ゾーン466および吸引ノズル52をそれぞれ囲む。
【0212】
図8に示すように、パージガス供給ゾーン45およびパージガス供給ノズル50から供給されるパージガスは、矢印Eで示すように、パージガス供給ゾーン45から吸引ゾーン46に向かって流れる。
【0213】
パージガスフロー方向Eは、前駆体フロー方向Dに対向している。よって、前駆体は、反応ゾーン44からおよびガス分配要素40から離れて周囲へ逃げることを効率的に防止する。
【0214】
上述によれば、吸引ゾーン46は、反応ゾーン44において出力面33に、前駆体供給ゾーン47とパージガス供給ゾーン45との間に供される。さらに、吸引ノズル52は、ガス分配要素40において出力面33に前駆体供給ノズル54とパージガス供給ノズル50との間に配置されている。
【0215】
図6、7および8に示すように、前駆体供給ゾーン47の幅は、ヘッド中心点37から離れる方向にまたはヘッド中心点37の放射方向において増加する。同様に、前駆体供給ノズル54の幅は、ヘッド中心点37から離れる方向においてまたはヘッド中心点37の放射方向において、増加する。
【0216】
したがって、前駆体供給ゾーン47または前駆体供給ノズル54の近位端71の幅Wは、前駆体供給ゾーン47または前駆体供給ノズル54の遠位端72の幅W未満である。前駆体供給ゾーン47または前駆体供給ノズル54の近位端71は、前駆体供給ゾーン47または前駆体供給ノズル54のヘッド中心点37および遠位端71に近い端であり、さらにヘッド中心点37からの端である。
【0217】
前駆体供給ゾーン47または前駆体供給ノズル54の幅は、ヘッド中心点37から放射方向に対して垂直である。
【0218】
図9は、ガス分配要素40の模式的な断面側面図を示す。ガス分配要素40は、反応ゾーン44の前駆体供給ゾーン47を形成するように配置された前駆体供給ノズル54により供されている。
【0219】
前駆体Pは、前駆体源から前駆体供給路57および1または2以上の前駆体供給口53を介して前駆体供給ノズル54へ供給される。1または2以上の前駆体供給口53は、前駆体供給路57と前駆体供給ノズル54との間に供されている。前駆体Pは、図9の矢印Fで示すように、さらに支持体表面63または基材に向かって供給される。
【0220】
前駆体供給ノズル54は、前駆体供給エリアとしておよび反応ゾーン44の中心エリアとして前駆体供給ゾーン47を形成するように配置されている。さらに、前駆体供給ノズル54は、ガス分配要素40の中心ノズルを供するように配置されている。
【0221】
前駆体供給ゾーン47または前駆体供給ノズル54は、収納部54として前駆体供給ヘッド30の出力面33に供される。収納部54または前駆体供給ノズル54は、前駆体供給ヘッド30の出力面33に開放されている。
【0222】
図9に示すように、前駆体Pを前駆体供給ゾーン47に分配するための前駆体供給ゾーン47および前駆体供給ノズル54または収納部に開放されている1または2以上の、好ましくは2または3以上の前駆体供給口53が存在し得る。
【0223】
前駆体PおよびパージガスNは、吸引路56および吸引ノズル52および吸引ゾーン46を介して放出される。吸引路56は、吸引ノズル52におよび吸引ゾーン46に接続している。前駆体PおよびパージガスNは、出力面33から放出され、図9の矢印Gで示される反応ギャップ65を形成する。
【0224】
吸引ノズル52は、前駆体供給ヘッド30の出力面33の周方向に前駆体供給ゾーン47および前駆体供給ノズル54を囲むように配置された吸引スロットとして吸引ゾーン46を形成するように配置されている。
【0225】
パージガスNは、パージガス源からパージガス供給路55を介してパージガス供給ノズル50へ供給される。パージガスNは、図9の矢印Hで示されるように支持体表面63または基材に向かってさらに供給される。
【0226】
パージガス供給ノズル50は、前駆体供給ヘッド30の出力面33の周方向に吸引ゾーン46および吸引ノズル52を囲むように配置されたパージガススロットとしてパージガス供給ゾーン45を形成するように配置されている。
【0227】
図10は、前駆体分配素子58が前駆体供給ゾーン47におよび前駆体供給ノズル54に供される実施形態を示す。前駆体分配素子58は、前駆体源から前駆体Pを受けるための前駆体供給路57に接続している。前駆体分配素子58は、前駆体供給ノズル54および前駆体供給ゾーン47に開放されている1または2以上の前駆体分配口59を備える。好ましくは前駆体分配素子58は、前駆体供給ゾーン47の領域上に前駆体を分配するための前駆体供給ノズル54および前駆体供給ゾーン47に開放されている2または3以上の前駆体分配口59を備える。したがって、前駆体分配素子58は、前駆体供給ゾーン47の領域の上方に前駆体を分配するための前駆体供給ゾーン47をカバーする。
【0228】
図11および図12は、第1ガス分配要素40および第2ガス分配要素40’をそれぞれ示す。図11および図12の第1および第2ガス分配素子40,40’は、図6および図7の第1および第2ガス分配素子40,40’に対応する。
【0229】
第1前駆体を備える第1前駆体源82は、第1前駆体供給路57を介して第1前駆体供給領域47または第1ガス分配要素40の第1パージガス供給ノズルに接続している。第1吸引デバイス81は、第1吸引路56を介して第1吸引ゾーン46または第1ガス分配要素40の第1吸引ノズルに接続している。第1パージガス源80は、第1パージガス供給路55を介して第1パージガス供給領域45または第1ガス分配要素40の第1パージガス供給ノズルに接続している。
【0230】
第1前駆体源82、第1吸引デバイス81および第1パージガス源80は、装置2の前駆体供給システム20に供される。
【0231】
第1前駆体供給路57、第1吸引路56、および第1パージガス供給路55は、図1図2および図3の導管22および路32において、示すかまたは備えられる。
【0232】
第2前駆体を備える第2前駆体源82’は、第2前駆体供給路57’を介して第2前駆体供給領域47’または第2ガス分配要素40’の第2パージガス供給ノズルに接続している。第2吸引デバイス81’は、第2吸引路56’を介して第2吸引ゾーン46’または第2ガス分配要素40’の第2吸引ノズルに接続している。第2パージガス源80’は、第2パージガス供給路55’を介して、第2パージガス供給領域45’または第2ガス分配要素40’の第2パージガス供給ノズルに接続している。
【0233】
第2前駆体源82’、第2吸引デバイス81’および第2パージガス源80’は、装置2の前駆体供給システム20に供されている。
【0234】
第2前駆体供給路57’、第2吸引路56’、および第2パージガス供給路55’は、図1、2および3の導管22および路(またはチャンネルまたは経路;channels)32を示すかまたはにおいて備えられる。
【0235】
さらに、第1および第2吸引デバイス81,81’は、1の共通吸引デバイスとして供され得る。
【0236】
さらに、第1および第2パージガス源80,80’は、1の共通のパージガス源として供され得る。
【0237】
同じパージガス源はまた、中間パージガス供給ノズル41に接続し得る。
【0238】
本発明は、図に示す実施例を参照して上述した通りである。ただし、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で種々変更可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】