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  • 特表-容積式ポンプの漏れ検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】容積式ポンプの漏れ検出方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
F04B49/06 321A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521846
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2021076788
(87)【国際公開番号】W WO2022078758
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】102020127285.5
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507165844
【氏名又は名称】ブリンクマン プンペン ケー.ハー.ブリンクマン ゲーエムベーハー ウント コー.ケーゲー
【氏名又は名称原語表記】Brinkmann Pumpen K.H.Brinkmann GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Friedrichstr.2,58791 Werdohl,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーカス,ヘルペルツ
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA05
3H145AA12
3H145AA22
3H145AA42
3H145BA02
3H145BA36
3H145BA43
3H145CA03
3H145CA09
3H145DA47
3H145EA04
3H145EA13
3H145EA17
(57)【要約】
変位すべき媒体を圧力ライン(20)へ変位するための少なくとも1つの変位体(12)を有するポンプ(10)における漏れを検出する方法であって、a)前記圧力ライン(20)を閉塞する、b)前記変位体(12)の速度が既知である状態で前記ポンプ(10)を運転する、c)前記圧力ライン(20)の圧力(P)を測定する、d)前記ステップb)及びステップc)を異なる速度で繰り返す、e)前記測定された圧力の速度からの依存性を記録する、ステップを含み、 前記変位体(12)の速度は、最小速度(n1)から始まり、徐々に最大速度(n2;n2)まで増加するようにプログラム制御され、前記最大速度は、測定された圧力上昇に基づいて計算される漏れ検出方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位すべき媒体を圧力ライン(20)へ変位するための少なくとも1つの変位体(12)を有するポンプ(10)における漏れを検出する方法であって、
a)前記圧力ライン(20)を閉塞するステップ、
b)前記変位体(12)の速度が既知である状態で前記ポンプ(10)を運転するステップ、
c)前記圧力ライン(20)の圧力(P)を測定するステップ、
d)前記ステップb)及びステップc)を異なる速度で繰り返すステップ、
e)前記測定された圧力の速度からの依存性を記録するステップ、
を含み、
前記変位体(12)の速度は、最小速度(n1)から始まり、徐々に最大速度(n2;n2)まで増加するようにプログラム制御され、
前記最大速度は、測定された圧力上昇に基づいて計算される漏れ検出方法。
【請求項2】
前記ポンプ(10)により前記媒体が供給される消費対象(22)の動作状態を検出し、 前記消費対象(22)に前記媒体を供給する必要がないときに測定プロセスを開始するために、前記圧力ライン(20)を閉鎖する請求項1に記載の漏れ検出方法。
【請求項3】
前記ポンプ(10)が、スクリュースピンドルポンプである請求項1又は2に記載の漏れ検出方法。
【請求項4】
前記変位体(12)の速度が、前記変位体のための駆動部材の回転速度または変位体自体の回転速度によって与えられる請求項1~3のいずれか一項に記載の漏れ検出方法。
【請求項5】
前記速度が、段階的に増加する請求項4に記載の漏れ検出方法。
【請求項6】
測定された圧力(P)が、時間(t)の関数としても記録される請求項4又は5に記載の漏れ検出方法。
【請求項7】
前記速度が、少なくとも前記変位体の全運転サイクルの間、前記各ステップで一定に保たれる請求項6に記載の漏れ検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位すべき媒体を圧力ラインに変位するための少なくとも1つの変位体を有するポンプにおける漏れを検出するための方法に関し、該方法は、以下の:
ステップa)圧力ラインを閉塞する、
ステップb)変位体の速度が既知の状態でポンプを運転する、
ステップc)圧力ライン内の圧力を測定する、
ステップd)ステップb)及びc)を異なる速度で繰り返す、
ステップe)測定された圧力の速度に対する依存性を記録する、
からなる。
【背景技術】
【0002】
本発明が適用される容積式ポンプ(displacement pump)の例としては、ピストンポンプ、ギアポンプ、ロータリーピストンポンプ、スクリュースピンドルポンプがある。
【0003】
ピストンポンプでは、シリンダ内で移動可能に配置され、シリンダの壁とともに圧力ラインと連通するポンプ容積を画定するピストンによって、変位体が形成される。ピストンがポンプ容積を減少させる意味で動くと、圧送される媒体は圧力ラインに変位し、それによってポンプ作用が達成される。
【0004】
スクリュースピンドルポンプでは、変位体は、ケーシング内で回転可能に配置され、互いに及び/又はケーシングの壁で、1つまたは複数のポンプ容積を画定する1つまたは複数のスクリュースピンドルによって形成される。スクリュースピンドルの回転の過程で、スクリュー形状の変位体とケーシングの壁が、ポンプ容積を囲むシールギャップを形成する位置は、ポンプの高圧側に向かって軸方向に移動し、媒体が圧力ラインに変位する。
【0005】
このような容積式ポンプでは、理想的には、容積流量は変位体の形状とその速度(ピストンの場合は直線速度、スクリュースピンドルポンプの場合は回転速度)によって一意に決まり、速度が分かれば容積流量を計算することができる。しかし実際には、変位体とケーシングの壁との接点を完全に密閉することはできず、多少なりとも密閉された隙間が形成され、その隙間から内部リーク、すなわち圧送された媒体の一部が低圧側へ逆流する可能性がある。さらに、ポンプの設計によっては、例えば、変位体の駆動部材がケーシング内に進入するシール部などで、外部漏れが発生することもある。これらの理由により、ポンプの実際の体積流量は、理論的に予想される値よりも実際には小さくなる。この2つの量の間の商は体積効率と呼ばれ、一般にある許容範囲内にあるべきものである。しかし、ポンプの運転中に摩耗により隙間寸法が大きくなり、時間の経過とともに漏れが増加し、それに応じて容積効率が低下することがある。
【0006】
そのため、多くの用途では、理論上の体積流量と実際の体積流量との差を測定して、ポンプの摩耗状態を時々確認する必要がある。しかし、実際の体積流量を正確に測定することは比較的面倒であり、高価な体積流量計を使用する必要がある。
【0007】
WO 2020/048947 A1には、上述したタイプの方法が開示され、この方法では、検出された漏れのタイプおよび性質を、記録された圧力の速度からの依存性に基づいて、より正確に特徴付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2020/048947号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、容積式ポンプの摩耗状態を自動的に、且つポンプに損傷を与える危険性を最小限に抑えて決定することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明による方法では、変位体の速度が、最小速度から始まって徐々に最大速度まで増加するようにプログラム制御され、前記最大速度は、測定された圧力上昇に基づいて計算される。
【0011】
本発明は、ポンプが圧力ラインを閉鎖した状態で運転される場合、変位体の速度がポンプの摩耗状態に依存するある限界値を超えると、例えば振動や加熱によってポンプに損傷を与える危険性が著しく増大するという考察に基づく。一般に、意味のある圧力/速度曲線を得るためには、圧力ができるだけ高く、なおかつポンプに有害でない値まで上昇するように、速度を上げる必要がある。ポンプの摩耗や漏れが大きければ大きいほど、この圧力値に到達する速度は高くなる。漏れが大きいポンプでは、ポンプが損傷しない限界値を超えてしまうことがある。しかし、測定開始時にはポンプの摩耗状態が不明であるため、この限界値を事前に決定することはできない。
【0012】
本発明では、安全な最低速度でスタートし、圧力測定の途中で徐々に速度を上げていくことでこの問題を解決する。速度の関数として圧力の上昇が遅ければ遅いほど、ポンプの漏れは大きくなる。したがって、圧力上昇からポンプの摩耗状態を推測し、このようにして決定された摩耗状態を使用して、速度を上げることができる限界を決定することができる。
【0013】
この方法は、適切にプログラムされた電子制御装置によって自動的に実行することができるので、個人でポンプの状態や挙動を監視したり、そのために温度センサや振動センサなどのセンサを採用したりする必要がなく、意味のある測定曲線を得ることができる。
【0014】
本発明の有用な詳細及び更なる発展が従属請求項に示されている。
【0015】
圧力センサ及びロックバルブは、ポンプの通常運転中も圧力ラインに留まることができるので、わずかな労力でポンプの摩耗状態をいつでもチェックすることができる。例えば、ポンプに接続されている消費対象からの信号が、消費対象が現在加圧媒体を必要としていないことを示すとき、摩耗状態の確認が自動的に開始され得る。
【0016】
測定プロセスの過程で、変位体の速度(すなわち、ポンプモータの回転速度)は、連続的又は段階的に増加させることができる。測定された圧力は、速度の関数としてだけでなく、時間の関数としても記録されることがあり、測定された圧力信号において周期的な圧力脈動が検出されることがある。これらの圧力脈動は、一方では回転速度の測定や確認に利用され、他方ではポンプの摩耗状態についてのより具体的な情報を提供することができる。例えば、ポンプの回転数は、少なくともポンプの全運転サイクルの間、各回転数レベルで一定に保たれ、この間に記録された圧力脈動は、高速フーリエ変換(FFT)によりスペクトルに変換され、漏れの性質についてさらなる洞察を得るために分析されることがある。同様に、圧力脈動を分析することにより、媒体中の気泡の可能性を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による方法によって漏れを検出するシステムを有する容積式ポンプの概略図である。
図2】異なる摩耗条件下にあるポンプについて、ポンプの駆動モータの回転速度と圧力ライン内の圧力との間の典型的な関係の例を示す図である。
図3】異なる摩耗条件下での圧力脈動のスペクトルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、実施形態例を図面と共に説明する。容積式ポンプの一例として、図1には、スクリュースピンドルの形態の変位体12を有するスクリュースピンドルポンプ10が示されている。スクリュースピンドルは、互いに、またポンプケーシングの壁とシール係合し、モータ14によって等しい回転速度で駆動され、スクリュースピンドルによって区画される容積空間がポンプの低圧側16から高圧側18に向かって軸方向に移動し、低圧側で取り込まれる媒体、例えば液体は高圧側18に向かって変位される。ポンプの高圧側は圧力ライン20に接続され、この圧力ライン20を介して媒体が消費対象22(図示の例ではスプレーノズル)へ高圧で供給される。消費対象によって排出された媒体は、媒体を再循環させることができるように、ポンプの低圧側に接続されている回収容器24に回収される。
【0019】
モータ14は、スクリュースピンドルを駆動するために、シャフト26を介して、詳細な図示はしないギアボックスに接続され、シャフトは、高圧側18のポンプケーシング内に入っている。シャフト26がケーシング壁を貫通する箇所の圧力を下げるために、圧力ライン20の接続点とシャフト26のフィードスルーの間のポンプ10のケーシング内にスロットル28が設けられ、スロットルは圧力を下げる機能を有し、漏れ口30を通してケーシングから出る限られた漏れ流のみを許可する。さらに、ポンプ10の内部では、圧送された媒体の一部が高圧側18から低圧側16に、変位体12とケーシングとの間の隙間を介して逆流するため、内部漏れ流が発生する。
【0020】
ポンプの複数の内部漏れ流および外部漏れ流の総量を測定し、それによって漏れが許容範囲内に収まっているかどうかを確認するための測定キット32が設けられている。測定キット32は、圧力ライン20を完全に閉鎖することができるロックバルブ34と、ロックバルブ34の上流で圧力ライン20に接続され、圧力ライン内の圧力を測定する圧力センサ36と、周波数変換器40を介してモータ14の回転速度を制御し、圧力センサ36から与えられる圧力信号を処理する電子制御評価装置38からなる。図示の例では、電子制御評価装置38はさらに、制御ラインを介してロックバルブ34に接続されており、バルブを電子的に作動させることができるようになっている。
【0021】
ポンプ10の通常運転中、ロックバルブ34は開いており、モータ14の回転速度は、消費対象22の需要を満たすことができるように制御され、またはフィードバック制御される。
【0022】
消費対象22が作動していない動作段階は、測定キット32によってポンプ10の摩耗状態をチェックするために利用されることがある。そのために、ロックバルブ34を閉じ、通常運転時の回転数よりも小さくてもよい回転数でモータ14を駆動する。そうすると、圧力センサによって検出される圧力が、圧力ライン20の上流部分に蓄積される。この圧力が上昇するほど、ポンプの漏れ箇所の圧力損失が大きくなり、これら全ての漏れ箇所の漏れ体積流量も増加し、その増加は、粘度が一定の(ニュートン)液体の層流の場合には、ほぼ圧力損失に比例し、乱流の場合には、概ね圧力損失の二乗に比例する。圧力センサ36によって測定される圧力は、漏れ体積流量とポンプ10の変位体積流量との間で平衡に達するまで増加する。したがって、モータ14が一定の回転速度で駆動されている間、圧力センサ36は、ある時間後に、漏れ箇所の流動抵抗を示す一定の圧力レベルを測定することになる。到達している圧力レベルが大きければ大きいほど、漏れ流抵抗は大きくなる。
【0023】
平衡状態において、漏れ体積流量は、ポンプ10の既知の形状に基づいて、所定の回転速度について計算することができるポンプ10の理論的変位流量に等しいので、モータ14の回転速度に基づいて、漏れ体積流量を計算することができる。
【0024】
算出された漏れ体積流量と、圧力センサ36によって測定された圧力Pとの間の既知の関係に基づいて、漏れ流れに対抗する流れ抵抗が算出され得る。この流れ抵抗から、ポンプ10の通常の動作段階、すなわち、駆動されるモータが消費対象22の要求に応じた回転速度で駆動される段階についても、漏れ流量を計算することができる。このようにして得られた漏れ体積流量と、所定の回転速度に対する理論的変位体積流量とから、ポンプの体積効率を算出することができ、この効率がポンプの摩耗によってどの程度低下しているかを評価することができる。
【0025】
次に、モータ14の回転速度nを変えて、上述した測定工程を繰り返す。例えば、最低速度n1から始めて、回転速度を均一または不均一な増分で段階的に増加させ、各段階において、圧力Pが安定した後に、回転速度の関数として圧力Pを記録する。
【0026】
一例としての図2は、回転速度nによる圧力Pの依存性をそれぞれ示す2つの曲線42,44を示している。この例では、速度増分が非常に小さくなるように選択されているので、曲線は実質的に連続する。曲線42は、図1に示すタイプの新品のスクリュースピンドルポンプ10に期待される結果を表している。この曲線の比較的急な立ち上がりは、漏れ量が比較的小さく、正常な範囲内であることを示している。これに対して、曲線44は、既に著しい摩耗が生じた同型のポンプを表しており、それに応じて、漏れ流量が大きくなり、曲線の立ち上がりがより平坦になっている。
【0027】
ニュートン液体について予想されるように、曲線42及び44は、小さな速度でほぼ直線的である。しかし、ある圧力レベルA、B、...では、圧力が急激に上昇する不連続面を持つ。これらの不連続面は、ポンプのそれぞれの漏れ間隙について、この間隙における漏れの層流から乱流への移行を表している。この遷移が起こる回転速度は、隙間の幅や表面の粗さ、隙間によって分離された容積の間の圧力差などに依存する。これらの不連続面の各々は、ある種の隙間、例えば、ポンプの主軸と側軸との間のプロファイルマッチング隙間、又はポンプのケーシングと主軸又はケーシングと側軸の1つとの間のケーシング隙間、を表す。
【0028】
曲線42及び44を互いに比較すると、両曲線の2つの第1の不連続がほぼ同じ圧力で、すなわち第1の不連続の圧力A及び第2の不連続の圧力Bで生じることが分かる。これは,ギャップの幅が対応するギャップタイプでほぼ等しいこと,すなわち,古いポンプでもこの2つのギャップでは大きな摩耗が発生していないことを示す。一方、高速で発生する不連続面は、曲線42の場合、圧力CとDに現れるのに対し、曲線44の場合、低い圧力C´とD´にシフトしている。これは、対応するギャップが摩耗により変化したことを示している。このように、曲線44を分析することによって、漏れ流の原因をより詳細に特定することができる。
【0029】
図示の例では、真新しいポンプ(曲線42)の速度が、最大値n2まで、どんどん上昇した。このポンプの漏れ流量は小さいので、それに応じて高い最大圧力に到達している。摩耗したポンプ(曲線44)でも同じ最大圧力に到達させたい場合、この曲線が平坦なため、速度をn2より大幅に上げる必要がある。この場合、ポンプやポンプモーターが過熱したり、ますます強くなる振動でポンプが損傷したりする危険性がある。一般に、ポンプの振動に対する感受性は、漏れが大きくなるほど高くなるので、すでにある種の摩耗を受けたポンプでは、ポンプのさらなる損傷を避けるために最高回転数を制限する必要がある。このため、ここで提案されている自動計測プロセスでは、最低速度n1の真上の計測プロセスの最初の段階で、すでに漏れ流量が計算され、曲線42および44のそれぞれの急峻さに基づいて、ポンプの摩耗状態が評価される。その後、ポンプの摩耗状態が少なくともほぼ判明した時点で、この摩耗状態に基づいて最高速度が決定される。この例では、曲線44で表されるポンプについて、ポンプへの損傷を避けるために、低い回転速度n2で測定プロセスがすでに中止された、という効果があった。
【0030】
ある設計のポンプについて、測定された漏れ流量と、測定プロセスで超えてはならない最大回転速度n2またはn2との間の関係は、理論モデルに基づいて計算することができ、またはテストサンプルによって実験的に決定することができる。この関係が所与の設計について判明すると、電子制御評価装置38は、回転速度が対応する最大速度までしか増加しないようにプログラムされる。
【0031】
同様に、ある設計のポンプにおいて、摩耗していないポンプの不連続部をどこに配置すべきか、言い換えれば、どのギャップがどの不連続部に属するかを、理論的な計算や実験的なテストによって決定することも可能である。この知識があれば、自動的に記録された測定シーケンスを、ポンプの精密診断に利用することができる。
【0032】
さらに、ここで提案する方法では、測定された圧力Pも時間の関数として記録され、ポンプの速度を一定に保ったまま高速フーリエ変換によって対応するスペクトルに変換される。図3は、異なるポンプで得られた2つのスペクトルの例を示している。曲線42は新品のポンプのスペクトルを示し、曲線48はすでにかなりの磨耗を受けたポンプのスペクトルを示している。これらの曲線は、スクリュースピンドルの回転速度に対応する基本周波数f1と、それ以上の高調波を持つ周期的な圧力脈動を示している。曲線48の場合、ポンプの摩耗が激しいことは、特に基本周波数f1の振幅が曲線46の場合よりも著しく小さいという事実から推測することができる。
【0033】
さらに、圧力脈動の検出は、回転周期Tとそれに伴うポンプの回転速度を測定するためのエレガントな方法でもある。例えば、ポンプの回転数がプログラムで要求された値になっているかどうかを、この方法でチェックすることができる。原理的には、ポンプの回転速度のフィードバック制御も可能であるが、閉じたフィードバックループでの速度制御は、測定結果を損なう可能性のある振動を引き起こし、測定期間を延長する可能性があるため、回転速度の直接フィードフォワード制御が好ましい。
【0034】
電子制御評価装置38は、漏れ測定が一定の時間間隔で自動的に実行されるようにプログラムすることもでき、測定の正確なタイミングは消費対象22の需要に依存することができる。測定結果は、自動的に記録され、印刷され、及び/又は無線リンクを介してオペレータのスマートフォンに送信されることができる。同様に、容積効率が許容できないほど低くなった場合には、アラームが自動的にトリガーされることがある。
図1
図2
図3
【国際調査報告】