(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】マルチバンド共有開口アンテナおよび通信デバイス
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/45 20150101AFI20231016BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20231016BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20231016BHJP
H01Q 19/10 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H01Q5/45
H01Q9/16
H01Q21/24
H01Q19/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521865
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2020120485
(87)【国際公開番号】W WO2022077185
(87)【国際公開日】2022-04-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デン、チャンシュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、レイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チャンシン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジアン
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA06
5J020BC09
5J020DA06
5J020DA08
5J021AA06
5J021AB03
5J021JA03
5J021JA05
(57)【要約】
マルチバンド共有開口アンテナおよび通信デバイスが提供される。マルチバンド共有開口アンテナは、複数の結合アレイ素子、周波数合成装置、低周波給電装置、および高周波給電装置を含む。結合アレイ素子は、反射パネル上に配置されている。周波数合成装置は、結合アレイ素子に接続されている。周波数合成装置は周波数合成層を含む。周波数合成層は周波数合成器を含む。周波数合成器は、アンテナポート、高周波ポート、および低周波ポートを含む。1つの層がある場合、アンテナポートは結合アレイ素子に接続されており、低周波ポートは低周波給電装置に接続されており、高周波ポートは高周波給電装置に接続されている。少なくとも2つの層がある場合、隣接した2つの層の間で、上層の低周波ポートが下層のアンテナポートに接続されており、先頭層のアンテナポートが結合アレイ素子に接続されており、先頭層の高周波ポートが高周波給電装置に接続されており、最終層の低周波ポートが低周波給電装置に接続されており、最終層の高周波ポートが高周波給電装置に接続されている。前述した技術的ソリューションによれば、アンテナはマルチ周波数拡張機能を有し、複数の周波数帯域において広角ビーム走査機能を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の結合アレイ素子、周波数合成装置、低周波給電装置、および高周波給電装置を備えるマルチバンド共有開口アンテナであって、
各結合アレイ素子が反射パネル上に配置されており;
前記周波数合成装置が前記複数の結合アレイ素子に接続されており;前記周波数合成装置が少なくとも1つの周波数合成層を有し;各周波数合成層が少なくとも1つの周波数合成器を含み;各周波数合成器がアンテナポート、少なくとも1つの高周波ポート、および少なくとも1つの低周波ポートを含み;複数の高周波ポートが少なくとも1つの高周波ポート群を形成し、複数の低周波ポートが少なくとも1つの低周波ポート群を形成し;各層では、高周波ポート群の数が周波数合成器の数より多くはなく、低周波ポート群の数が前記周波数合成器の数より少なく、前記高周波ポート群の数が前記低周波ポート群の数より少なくはなく;
前記周波数合成装置が1つの周波数合成層を有する場合、前記周波数合成器の前記アンテナポートが前記結合アレイ素子に接続されており、前記複数の低周波ポートが前記低周波給電装置に接続されており、前記複数の高周波ポートが前記高周波給電装置に接続されており;
前記周波数合成装置が少なくとも2つの周波数合成層を有する場合、2つごとに隣接した層同士の間で、複数の上層の低周波ポートが下層のアンテナポートに接続されており、先頭層の周波数合成器のアンテナポートが前記結合アレイ素子に接続されており、前記先頭層の周波数合成器の複数の高周波ポートが前記高周波給電装置に接続されており、最終層の周波数合成器の複数の低周波ポートが前記低周波給電装置に接続されており、前記最終層の周波数合成器の高周波ポートが前記高周波給電装置に接続されており;
前記低周波給電装置が低周波信号を給電するように構成されており;および
前記高周波給電装置が、前記低周波信号より高い少なくとも1つの種類の周波数信号を給電するように構成されている、マルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項2】
前記結合アレイ素子が異なるポート群に基づいて異なる周波数帯域の再構成素子を形成し、前記低周波ポート群内の前記低周波ポートに対応する結合アレイ素子が合同で低周波再構成素子を形成し、前記高周波ポート群内の前記高周波ポートに対応する結合アレイ素子が合同で高周波再構成素子を形成する、請求項1に記載のマルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項3】
2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離dが次式
【数12】
を満たし、ここでn
1が前記高周波ポート群内の高周波ポートの数であり、λ
1が前記高周波給電装置による高周波信号入力に対応する波長であり、n
1が正の整数である、請求項1または2に記載のマルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項4】
前記マルチバンド共有開口アンテナの最大走査角がθ
maxである場合、2つごとに隣接した結合アレイ素子の前記中心間の前記距離dが次式
【数13】
を満たす、請求項3に記載のマルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項5】
前記低周波ポート群内の低周波ポートの数n
2が次式
【数14】
を満たし、ここでλ
2が前記低周波給電装置による低周波信号入力に対応する波長であり、n
2が正の整数であり、dが2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離である、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項6】
前記マルチバンド共有開口アンテナの最大走査角がθ
maxである場合、前記低周波ポート群内の前記低周波ポートの数n
2が次式
【数15】
を満たす、請求項5に記載のマルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項7】
前記低周波給電装置および前記高周波給電装置に位相シフト装置がさらに存在しており;
各位相シフト装置が、前記低周波給電装置および前記高周波給電装置により放射された電磁波の位相遅れ/進みを、前記結合アレイ素子に対応する特定の位相に調整するように構成されており、前記位相シフト装置が、デジタル位相シフタ、アナログ位相シフタ、およびハイブリッド位相シフタという構造体のうちのいずれか1つまたは複数である、請求項1から6のいずれか一項に記載のマルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項8】
前記結合アレイ素子が少なくとも1つのダイポールアレイ素子を有し、前記ダイポールアレイ素子の偏波方向が前記結合アレイ素子のそれに対して平行であり、前記ダイポールアレイ素子の最後尾の両側には結合コンデンサが存在している、請求項1から7のいずれか一項に記載のマルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項9】
前記結合アレイ素子が2つのダイポールアレイ素子を有する場合、前記ダイポールアレイ素子が直交に配置されている、請求項8に記載のマルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項10】
前記周波数合成器が、分周器、デュプレクサ、およびフィルタという構造体のうちのいずれか1つまたは複数を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のマルチバンド共有開口アンテナ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のマルチバンド共有開口アンテナを備える通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は基地局アンテナ技術の分野に関し、具体的には、マルチバンド共有開口アンテナおよび通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
基地局アンテナネットワークの進化過程において、アンテナ設置プラットフォームの数が増加しており、アンテナ設置プラットフォームをタワーに配置する物理空間も減少している。アンテナ設置プラットフォームは、アンテナが位置しているプラットフォームである。したがって、マルチバンド基地局アンテナが現在のアンテナ設計の主流になっている。アンテナ開口が限定される場合には、アンテナ周波数の集積度をできるだけ向上させることがアンテナ技術開発のトレンドである。現時点では、大部分の4Gマルチバンド基地局アンテナに広角ビーム走査機能がない。しかしながら、5G MIMO(multiple-in multiple-out、複数入力複数出力)アレイアンテナには、柔軟な3D-M-MIMOビームフォーミング機能、広角ビーム走査機能、および高いスペクトル効率があり、これにより、アンテナカバレッジを効率的に向上させることができるようになる。
【0003】
マルチバンドアレイアンテナでは、広角ビーム走査が、アレイアンテナ設計における難点であり課題である。現時点で、費用効率の高い走査およびマルチ周波数カバレッジを備えたアレイアンテナを設計するのは、依然として困難であり、このアレイアンテナを大規模な商業利用に供するのは困難である。したがって現時点では、広角ビーム走査を実現できるフェーズドアレイアンテナおよび5G MIMOアンテナが、依然として単周波数且つ狭帯域の形態で設計されている。新たに規定された5G低周波帯域では、5Gのハイレートをサポートできないが、優れた周波数カバレッジを提供できるため、事業者には好まれている。しかしながら、低周波帯域および高周波帯域の間には複数のオクターブ帯域があり、低周波帯域を既存の高周波アンテナに組み込むのは困難である。基地局が5G低周波帯域の要件を満たす必要がある場合、5G低周波帯域の要件を満たすアンテナを再配置する必要がある。しかしながら、タワー上のスペースは不十分であり、新たなアンテナを再配置する余地はない。さらに、新たなアンテナの再配置には、追加のコストが必要になる。したがって現時点では、広角ビーム走査を実現し且つ複数の周波数(特に、複数の周波数における非整数周波数比)をサポートできるアレイアンテナを設計するのは困難である。
【発明の概要】
【0004】
本願は、マルチバンド共有開口アンテナおよび通信デバイスを提供し、これにより、アンテナアレイが優れたマルチ周波数拡張機能を有し、異なる周波数帯域において優れた広角ビーム走査機能を維持できるようになる。
【0005】
第1態様によれば、マルチバンド共有開口アンテナが提供される。マルチバンド共有開口アンテナは、複数の結合アレイ素子、周波数合成装置、低周波給電装置、および高周波給電装置を含む。
【0006】
各結合アレイ素子は、反射パネル上に配置されている。
【0007】
周波数合成装置は、複数の結合アレイ素子に接続されている。周波数合成装置は、少なくとも1つの周波数合成層を含む。各周波数合成層は、少なくとも1つの周波数合成器を含む。各周波数合成器は、アンテナポート、少なくとも1つの高周波ポート、および少なくとも1つの低周波ポートを含む。複数の高周波ポートが少なくとも1つの高周波ポート群を形成し、複数の低周波ポートが少なくとも1つの低周波ポート群を形成する。各層では、高周波ポート群の数が周波数合成器の数より多くはなく、低周波ポート群の数が周波数合成器の数より少なく、高周波ポート群の数が低周波ポート群の数より少なくはない。
【0008】
周波数合成装置が1つの周波数合成層を含む場合、周波数合成器のアンテナポートは結合アレイ素子に接続されており、複数の低周波ポートは低周波給電装置に接続されており、複数の高周波ポートは高周波給電装置に接続されている。
【0009】
周波数合成装置が、2つごとに隣接した層同士の間に少なくとも2つの周波数合成層を含む場合、複数の上層の低周波ポートが下層のアンテナポートに接続されており、先頭層の周波数合成器のアンテナポートが結合アレイ素子に接続されており、先頭層の周波数合成器の複数の高周波ポートが高周波給電装置に接続されており、最終層の周波数合成器の複数の低周波ポートが低周波給電装置に接続されており、最終層の周波数合成器の高周波ポートが高周波給電装置に接続されている。
【0010】
低周波給電装置は、低周波信号を給電するように構成されている。
【0011】
高周波給電装置は、低周波信号より高い少なくとも1つの種類の周波数信号を給電するように構成されている。
【0012】
前述のソリューションでは、低周波ポートおよび高周波ポートの異なる組み合わせが用いられており、これにより、アンテナは優れたマルチ周波数拡張機能を有し、異なる周波数帯域において優れた広角ビーム走査機能を維持できるようになる。給電装置の構造が再構成されるため、給電ポートの数が低減する。したがって、ハードウェアオーバーヘッドおよび消費電力も低減する。さらに、ビーム走査プロセスにおいてグレーティングローブの発生も回避できる。さらに、給電装置の構造が再構成されるため、給電ポートの数が低減する。したがって、ハードウェアオーバーヘッドおよび消費電力も低減する。
【0013】
具体的な実装ソリューションでは、結合アレイ素子は、異なるポート群に基づいて異なる周波数帯域の再構成素子を形成し、低周波ポート群内の低周波ポートに対応する結合アレイ素子が低周波再構成素子を合同で形成し、高周波ポート群内の高周波ポートに対応する結合アレイ素子が高周波再構成素子を合同で形成する。
【0014】
前述のソリューションでは、低周波ポートおよび高周波ポートを再合成して、異なる物理開口を有する素子を形成し、複数の周波数帯域において広角ビーム走査機能を向上させる。さらに、アンテナのコストおよび複雑度を効率的に低減でき、これにより、アンテナは優れた周波数拡散機能を有し、整数比および非整数周波数比のマルチバンド共有開口アンテナを構成するソリューションが利用可能になる。
【0015】
具体的な実装ソリューションでは、2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離dが次式
【数1】
を満たし得る。ここでn
1は高周波ポート群内の高周波ポートの数であり、λ
1は高周波給電装置による高周波信号入力に対応する波長であり、n1は正の整数である。
【0016】
2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離dが決定される。このように、高周波帯域におけるビーム走査プロセスにおいて、グレーティングローブの発生を回避することが保証され得る。
【0017】
具体的な実装ソリューションでは、マルチバンド共有開口アンテナの最大走査角がθ
maxである場合、2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離dは次式
【数2】
を満たし得る。
【0018】
2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離dが設定される。このように、優れた広角ビーム走査機能が高周波帯域にある場合、グレーティングローブの発生を回避することが保証され得る。
【0019】
具体的な実装ソリューションでは、低周波ポート群内の低周波ポートの数n
2が次式
【数3】
を満たし得る。ここでλ
2は低周波給電装置による低周波信号入力に対応する波長であり、n
2は正の整数であり、dは2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離である。
【0020】
2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離dが決定され、低周波ポート群内の低周波ポートの数n2が設定される。このように、低周波帯域におけるビーム走査プロセスにおいて、グレーティングローブの発生を回避することが保証され得る。
【0021】
具体的な実装ソリューションでは、マルチバンド共有開口アンテナの最大走査角がθ
maxである場合、低周波ポート群内の低周波ポートの数n
2は次式
【数4】
を満たし得る。
【0022】
低周波ポート群内の低周波ポートの数n2が設定される。このように、優れた広角ビーム走査機能が低周波帯域にある場合、グレーティングローブの発生を回避することが保証され得る。
【0023】
具体的な実装ソリューションでは、低周波給電装置および高周波給電装置に位相シフト装置がさらに存在してよい。各位相シフト装置は、低周波給電装置および高周波給電装置により放射された電磁波の、結合アレイ素子に対応する特定の位相に対する位相遅れ/進みを調整するように構成されており、位相シフト装置はデジタル位相シフタ、アナログ位相シフタ、およびハイブリッド位相シフタという構造体のうちのいずれか1つまたは複数であってよい。
【0024】
低周波給電装置および高周波給電装置により放射された電磁波の位相遅れ/進みは、前述した様々な位相シフト装置を用いて、結合アレイ素子に対応する特定の位相に対して調整され、ビーム走査を完了させるために、異なる方向にビームが形成される。
【0025】
具体的な実装ソリューションでは、結合アレイ素子は少なくとも1つのダイポールアレイ素子を含み、ダイポールアレイ素子の偏波方向が結合アレイ素子のそれに対して平行であり、ダイポールアレイ素子の最後尾の両側には結合コンデンサが存在している。ダイポールアレイ素子の方向が設定される。このように、結合アレイ素子は少なくとも1つの方向に偏波方向を有し、より多くのモードで偏波型を提供できる。
【0026】
具体的な実装ソリューションでは、結合アレイ素子が2つのダイポールアレイ素子を含む場合、ダイポールアレイ素子は直交に配置されている。ダイポールアレイ素子は直交に配置されており、これにより、結合アレイ素子は、垂直方向、水平方向、および±45°方向などの異なる方向にデュアル偏波機能を有し得るようになる。
【0027】
具体的な実装ソリューションでは、周波数合成器は、分周器、デュプレクサ、およびフィルタという構造体のうちのいずれか1つまたは複数を含んでよい。
【0028】
分周器、デュプレクサ、またはフィルタのインタフェースの数が設定される。このように、周波数合成器の低周波および高周波ポートの数を拡張でき、異なる方式で接続を確立できる。さらに、分周器はデュアル周波数型に限定されることはなく、トライ周波数またはマルチ周波数型の分周器を代替的に用いてもよい。これにより、アンテナのコストおよび複雑度をより効率的に低減し、アンテナが優れた周波数拡散機能を持つことができるようになる。
【0029】
第2態様によれば、通信デバイスが提供される。通信デバイスは、前述したマルチバンド共有開口アンテナのうちのいずれか1つを含む。前述した設計に基づいて、アンテナは優れたマルチ周波数拡張機能を有し、異なる周波数帯域において優れた広角ビーム走査機能を維持できる。さらに、ビーム走査プロセスにおいてグレーティングローブの発生も回避できる。さらに、給電装置の構造が再構成されるため、給電ポートの数が低減する。したがって、ハードウェアオーバーヘッドおよび消費電力も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【0031】
【
図2a】同軸重ね合わせ方式で設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図2b】同軸重ね合わせ方式で設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【0032】
【
図2c】インタリーブ重ね合わせ方式で設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図2d】インタリーブ重ね合わせ方式で設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【0033】
【0034】
【
図2f】反射パネル分離技術を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【0035】
【
図2g】広帯域装置共有技術を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【0036】
【
図2h】
図2gに示す構造に対応する給電構造の概略図である。
【0037】
【
図2i】密結合フェーズドアレイ技術を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【0038】
【
図2j】
図2iに示す構造の、異なる周波数帯域におけるアイソレーションの概略図である。
【0039】
【
図2k】
図2iに示す構造に対応する給電構造の概略図である。
【0040】
【
図3a】マルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【0041】
【
図3b】位相シフト装置を含むマルチバンド共有開口アンテナの構造の概略図である。
【0042】
【
図4a】アナログ位相シフタのビームフォーミングの原理図である。
【0043】
【
図4b】デジタル位相シフタのビームフォーミングの原理図である。
【0044】
【
図4c】ハイブリッド位相シフタのビームフォーミングの原理図である。
【0045】
【0046】
【0047】
【
図7a】平面アレイ型のマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図7b】平面アレイ型のマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図7c】平面アレイ型のマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図7d】平面アレイ型のマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図7e】平面アレイ型のマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図7f】平面アレイ型のマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図7g】平面アレイ型のマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図7h】平面アレイ型のマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【
図7i】平面アレイ型のマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。
【0048】
【
図8a】周期的に配置したアレイ素子の概略図である。
【0049】
【
図8b】非周期的に配置したアレイ素子の概略図である。
【0050】
【
図8c】ダミー素子を含むアレイ素子の配置の概略図である。
【0051】
【
図9a】デュアル偏波結合アレイ素子の概略図である。
【
図9b】デュアル偏波結合アレイ素子の概略図である。
【0052】
【
図10】クワッドバンド単偏波平面アレイの概略図である。
【0053】
【0054】
【
図12】インテリジェントリフレクタ表面の概略図である。
【0055】
【発明を実施するための形態】
【0056】
本願の目的、技術的ソリューション、および利点をより明確にするために、以下ではさらに、添付図面を参照して詳細に本願を説明する。
【0057】
以下では、本願に関連する、または関連する可能性がある用語を説明する。
【0058】
1.「少なくとも1つ」とは1つまたは複数を意味する、すなわち、1つ、2つ、3つ、またはそれより多くを含む。
【0059】
2.「複数の」とは2つまたはそれより多くを意味する、すなわち、2つ、3つ、4つ、またはそれより多くを含む。
【0060】
3.接続とは結合を意味し、電気的接続を実現するための直接的接続または別のコンポーネントを介した間接的接続を含む。
【0061】
4.グレーティングローブとは、素子間の間隔が十分に広い場合に、アレイアンテナの素子を複数の方向において同じ方向に重ね合わせたときに発生する、メインローブ以外のローブを指す。
【0062】
5.フェーズドアレイレーダ(phased array radar、PAR)は、個々に制御される大量の小型アンテナ素子を用いて、アンテナアレイを形成する。各アンテナ素子は、独立した位相シフトスイッチで制御される。各アンテナ素子により伝送される位相が制御されるので、異なる位相のビームを合成することが可能になる。フェーズドアレイのアンテナ素子により伝送される電磁波が合成され、干渉原理に従ってほとんど直線のレーダメインローブになる。
【0063】
6.マイクロ波無線エネルギー伝送技術とはエネルギー伝送の方式であり、衛星エネルギー伝送、指向性エネルギー兵器、生物医療、および2点間電力伝送などの分野で優れた応用可能性を持つ。マイクロ波無線エネルギー伝送技術では、受信アンテナおよび整流器回路が2つの重要な研究上の技術ポイントになる。
【0064】
7.レトロディレクティブアンテナとはアンテナアレイであり、具体的には、アンテナが信号を到来方向で受信したときに、発信元方向に優先的に電力を返すアンテナを指す。
【0065】
8.密結合フェーズドアレイ(tightly coupled phased array、TCPA)とは、素子間の強結合によってフェーズドアレイの帯域幅を向上させるためのアレイアンテナである。
【0066】
9.「共面」とは、同じ開口が異なる周波数帯域用のアンテナにより動作時に用いられることを意味する。非共面アンテナと比較すると、共面アンテナでは、異なる周波数および偏波特性を持つ複数のアンテナが同じ開口に含まれるように適切に設計され得る。さらに、コンパクトなアンテナ構造を維持するために、共面アンテナは、マルチ周波数およびマルチ偏波オペレーション性能を有しており、将来のアンテナの開発トレンドである。
【0067】
本願の実施形態で提供されるマルチバンド共有開口アンテナの理解を促進するために、マルチバンド共有開口アンテナの応用シナリオを最初に説明する。本願の実施形態で提供されるマルチバンド共有開口アンテナは、モバイル通信システムに適用可能である。ここでのモバイル通信システムは、限定しないが、移動体通信用グローバルシステム(global system for mobile communications、GSM(登録商標))システム、符号分割多元接続(code division multiple access、CDMA)システム、広帯域符号分割多元接続(wideband code division multiple access、WCDMA(登録商標))システム、汎用パケット無線サービス(general packet radio service、GPRS)システム、ロングタームエボリューション(long term evolution、LTE)システム、LTE周波数分割複信(frequency division duplex、FDD)システム、LTE時分割複信(time division duplex、TDD)システム、ユニバーサル移動体通信システム(universal mobile telecommunications system、UMTS)、ワールドワイドインターオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(worldwide interoperability for microwave Access、WiMAX(登録商標))通信システム、第5世代(5th generation、5G)システムまたは新無線(new radio、NR)システム、または将来の第6世代(6th generation、6G)システムなどを含む。
【0068】
例えば、本願におけるマルチバンド共有開口アンテナはさらに、フェーズドアレイレーダの分野にも適用されてよい。マルチバンド共有開口アンテナは、フェーズドアレイレーダのフェーズドアレイアンテナとして用いられる。これにより、レーダ走査角の向上、走査柔軟性の向上、および性能の向上が可能になる。
【0069】
本願におけるマルチバンド共有開口アンテナはさらに、マイクロ波無線エネルギー伝送の分野に適用されてよい。マルチバンド共有開口アンテナは、マイクロ波無線エネルギー伝送の受信アンテナとして用いられ、リフレクタ機能を提供し、エネルギーを受信して変換するマイクロ波整流器回路に接続している。このように、エネルギー伝送周波数帯域の受信特性に影響を与えることなく、他の周波数帯域のリフレクタ表面特性を再構成することができ、無線エネルギー伝送を実現すると共に、反射再構成素子アレイ/リフレクタアンテナの利点を考慮した。
【0070】
本願におけるマルチバンド共有開口アンテナ設計はさらに、レトロディレクティブアンテナの分野に適用されてよい。レトロディレクティブアンテナの動作方式では、アレイアンテナが広いビーム走査角および広い周波数帯域幅を有する必要があると結論づけている。しかしながら、無線周波数送受信機コンポーネントが従来のレトロディレクティブアンテナの大型ビームを備えているために、システムの複雑度およびコストが著しく増加することから、レトロディレクティブアンテナの用途は限られる。本願は、レトロディレクティブアンテナのアンテナアレイに拡張されてよい。前述した実施形態におけるマルチバンド共有開口アンテナはアレイアンテナとして用いられ、マルチバンドレトロディレクティブアンテナを実現し、帯域幅を拡張する。マルチバンド共有開口アンテナに結合器をさらに取り付けてよく、マルチバンド共有開口アンテナの結合アレイ素子が吸収負荷に接続されており、干渉信号を自動的に追跡して結合器キャリブレーションによって整合させ、アレイRCS(radar cross-section、レーダ反射断面積)を低減し、信号セキュリティを向上させる。
【0071】
本願の実施形態で提供されるマルチバンド共有開口アンテナは、無線ネットワークシステムにも適用されてよい。マルチバンド共有開口アンテナは、基地局サブシステム(base station subsystem、BBS)、地上波無線アクセスネットワーク(UMTS terrestrial radio access network、UTRAN)、UMTS(universal mobile telecommunications system、汎用移動通信システム)、または進化型地上波無線アクセスネットワーク(evolved universal terrestrial radio access、E-UTRAN)に適用されてよく、さらに、無線信号のセルカバレッジを提供し、UEおよび無線ネットワークの無線周波数側の間に接続を確立するように構成されている。
【0072】
実施形態のマルチバンド共有開口アンテナは代替的に、無線アクセスネットワークデバイスに配置されて、信号受信および送信を実現してよい。具体的には、無線アクセスネットワークデバイスは、限定しないが、
図1に示す基地局100を含んでよい。基地局100は、GSMまたはCDMAシステムにおけるベーストランシーバ基地局(base transceiver station、BTS)であってもよく、またはWCDMAシステムにおけるノードB(NodeB、NB)であってもよく、LTEシステムにおける進化型ノードB(evolved NodeB、eNBまたはeNodeB)であってもよく、またはクラウド型無線アクセスネットワーク(cloud radio access network、CRAN)シナリオにおける無線コントローラであってもよく、または基地局100は、中継局、アクセスポイント、車載デバイス、ウェアラブルデバイス、5Gネットワークにおける基地局、または将来の進化したPLMNネットワークにおける基地局(例えば、新無線の基地局)などであってもよい。本願の実施形態では、これについて限定しない。基地局100は、無線セル信号カバレッジを提供し、1つまたは複数のセルにおいて端末デバイスにサービスを提供してよい。
【0073】
図1は、基地局100の実現可能な構造を示している。この構造の基地局100は、基地局アンテナ101、送受信機(Transceiver、TRX)102、およびベースバンド処理装置103を含んでよい。TRX102は基地局アンテナ101のアンテナポートに接続されており、これにより、アンテナポートは、TRX102により送信される送信対象の信号を受信し、基地局アンテナ101の放射素子を介して送信対象の信号を放射する、または放射素子により受信された受信信号をTRX102に送信するように構成され得るようになる。TRX102は、リモート無線装置(radio remote unit、RRU)であってよく、ベースバンド処理装置103はベースバンド装置(baseband unit、BBU)であってよい。
【0074】
ベースバンド装置は、送信対象のベースバンド光信号を処理し、送信対象のベースバンド光信号をRRUに伝送するか、またはRRUにより送信された受信ベースバンド信号(すなわち、基地局アンテナ101で受信された受信無線周波数信号をRRUが信号受信プロセスで変換することにより取得されたベースバンド信号)を受信して処理するように構成されてよい。RRUは、BBUにより送信された伝送対象のベースバンド光信号を送信対象の無線周波数信号に変換してよい(ベースバンド信号に対して必要な信号処理、例えば信号増幅を行うことを含む)。次いで、RRUはアンテナポートを介して基地局アンテナ101に送信対象の無線周波数信号を送信してよく、これにより、無線周波数信号は基地局アンテナ101を介して放射されるようになる、またはRRUは基地局アンテナ101のアンテナポートを介して送信された受信無線周波数信号を受信し、受信無線周波数信号を受信ベースバンド信号に変換し、受信ベースバンド信号をBBUに送信してよい。
【0075】
基地局アンテナ101は、アレイアンテナ1011、給電ネットワーク1012、およびアンテナポート1013を含んでよい。アレイアンテナ1011は、幾何学的規則に従って配置された放射素子を含んでよく、電波を受信および/または放射するように構成されている。給電ネットワーク1012の出力側がアレイアンテナ1011に接続されており、アレイアンテナ1011の各放射素子に給電するように構成されており、これにより、アレイアンテナ1011は複数のビームを放射するようになる。ここで異なるビームが異なる範囲をカバーしてよい。給電ネットワーク1012は、アレイアンテナ1011により放射されたビームの放射方向を変えるように構成された位相シフタを含んでよい。給電ネットワーク1012は、垂直次元給電ネットワークおよび水平次元給電ネットワークを含んでよい。垂直次元給電ネットワークは、ビームのビーム幅および垂直次元ビーム方向を調整するように構成されてよく、水平次元給電ネットワークは、伝送信号に対して水平次元ビームフォーミングを行い、ビームのビーム幅、形状、およびビーム方向を変えるように構成されてよい。給電ネットワーク1012の入力側がアンテナポート1013に接続されて、送受信チャネルが形成される。各アンテナポート1013は1つの送受信チャネルに対応し、アンテナポート1013はTRX102に接続されてよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、各基地局アンテナ101は複数のアンテナポート1013を有してよく、各基地局アンテナ101は複数のTRX102を有してよい。各アンテナポート1013は1つのTRX102に接続されている。ベースバンド処理装置103は、1つまたは複数のTRX102に接続されてよい。
【0077】
現時点では、通信基地局が2G、3G、4G、および5Gの全帯域カバレッジを実現する必要がある。したがって、アンテナが異なる周波数帯域に適合する放射素子を有する必要がある。現在のアンテナは主に、限定しないが、マルチバンドビーム走査を実現する以下の構造を含む。
【0078】
構造1:同軸重ね合わせ(overlap-coaxial)方式を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナ
【0079】
図2aは同軸重ね合わせ方式を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの前面図であり、
図2bは同軸重ね合わせ方式を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの上面図である。低周波アレイ素子2011にはボウル状の素子が用いられており、2対のダイポールが含まれている。ボウル状の素子は中央が空洞化されており、高周波アレイ素子2012を配置するように構成されている。本明細書では、ボウル内の高周波アレイ素子2012は内部ボウル素子と呼ばれ、ボウルの外側にある残りの高周波アレイ素子2012が外部ボウル素子と呼ばれる。低周波アレイ素子2011の開口が、高周波アレイ素子2012のそれより大きい。ボウルの内側および外側にある高周波アレイ素子2012は、従来のクロスダイポールを用いてデュアル偏波素子を形成する。
【0080】
構造2:インタリーブ重ね合わせ(overlap-interleave)方式を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナ
【0081】
図2cはインタリーブ重ね合わせ方式を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの前面図であり、
図2dはインタリーブ重ね合わせ方式を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの上面図である。マルチバンドアンテナは、低周波アレイ素子2021および高周波アレイ素子2022を用いて互い違い交差方式で形成されている。
図2eは、
図2a~
図2dに示す構造に対応する給電構造の概略図である。基地局アンテナには、低周波アレイ素子および高周波アレイ素子が含まれてよい。低周波アレイ素子は、低周波給電ネットワークにより送信された信号f
Lを受信するように構成されており、高周波アレイ素子は、高周波給電ネットワークにより送信された信号f
Hを受信するように構成されている。
【0082】
構造3:反射パネル分離技術を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナ
【0083】
図2fは、反射パネル分離技術を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。マルチバンド共有開口アンテナは、低周波アレイ素子2031および高周波アレイ素子2032を含む。低周波アレイ素子2031の放射構造は、低周波アレイ素子2031には透過的であり、低周波アレイ素子2031の一部として用いられており、高周波アレイ素子2032の放射場としても用いられている。
【0084】
構造4:広帯域装置共有技術を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナ
【0085】
図2gは、広帯域装置共有技術を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。マルチバンド共有開口アンテナは広帯域アンテナ素子2051を含み、同じ広帯域アンテナ素子2051が複数の帯域で共有されている。
図2hは、
図2gに示す構造に対応する給電構造の概略図である。アンテナは広帯域アンテナ素子を含んでよい。広帯域アンテナ素子は、低周波給電ネットワークにより送信された信号f
Lおよび高周波給電ネットワークにより送信された信号f
Hを受信するように構成されている。
【0086】
構造5:密結合フェーズドアレイ技術を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナ
【0087】
図2iは、密結合フェーズドアレイ技術を用いて設計されたマルチバンド共有開口アンテナの概略図である。密結合フェーズドアレイには、複数の密結合素子2061が含まれている。通常、密結合フェーズドアレイの各密結合素子2061の電気的サイズは小さい。異なる周波数帯域で別個のビームフォーミングを実現するために、周波数分割ネットワークを用いて、アレイ素子の入力ポートが、異なる周波数を持つ位相シフタの出力ポートに別々に接続されて、共面アレイが実現される。
図2jは、
図2iに示す構造の、異なる周波数帯域におけるアイソレーションの概略図である。
図2kは、
図2iに示す構造に対応する給電構造の概略図である。基地局アンテナには、密結合素子2061が含まれてよい。各密結合素子2061は、低周波給電ネットワークにより送信された信号f
Lおよび高周波給電ネットワークにより送信された信号f
Hを受信するように構成されている。
【0088】
前述した構造1および2では、高周波アレイ素子および低周波アレイ素子の間に放射干渉が発生する。異なる種類の高周波アレイ素子および低周波アレイ素子が必要になるため、コストも増加する。さらに、高周波アレイ素子および低周波アレイ素子が配置されているため、別の周波数帯域を拡張するのが困難である。前述した構造3では、高周波アレイ素子および低周波アレイ素子は、階層化された3次元構造になっており、構造が複雑で、コストが高く、実際に適用するのが困難である。前述した構造4では、広帯域設計の際に、帯域幅の範囲内で高周波帯域における広角ビーム走査を実現するのが困難である。しかしながら、狭帯域設計の際に、周波数拡張を行うことができない。前述した構造5では、密結合素子のサイズが従来のアンテナ素子のそれより小さいため、給電ポートの規模が大きく、位相シフタまたはベースバンド処理モジュールの数が増加するにつれてコストが増加する。さらに、低周波帯域におけるアイソレーションが不十分である。
【0089】
結論として、現時点では、マルチバンド拡張、特に複数の周波数における非整数周波数比をサポートでき、グレーティングローブを発生させることなく広角ビーム走査を実現し、低コストを満たし、複数の周波数帯域において優れたアイソレーションを備えることができるマルチバンド共有開口アンテナを提供するのは依然として困難である。
【0090】
前述した課題を考慮して、本願の実施形態がマルチバンド共有開口アンテナを提供する。同じ開口の結合アレイ素子に、異なる周波数帯域が設計される。したがって、アンテナは共面構造を有し、これにより、アンテナは優れたマルチ周波数拡張機能を有し、異なる周波数帯域において優れた広角ビーム走査機能を維持できるようになる。さらに、ビーム走査プロセスにおいてグレーティングローブの発生も回避できる。さらに、給電装置の構造が再構成されるため、給電ポートの数が低減する。したがって、ハードウェアオーバーヘッドおよび消費電力も低減する。
【0091】
本願の実施形態で提供されるマルチバンド共有開口アンテナは、以下の条件を満たすことができる。すなわち、動作帯域幅が10:1の帯域幅を超えること、および全帯域の電圧定在波比が2より小さいことである。以下では、
図3aに示す構造を詳細に説明する。
図3aは、本願によるマルチバンド共有開口アンテナの構造の概略図である。マルチバンド共有開口アンテナ101は複数の結合アレイ素子301を含んでよく、各結合アレイ素子301は反射パネル302に配置されている。
【0092】
周波数合成装置303は、複数の結合アレイ素子301に接続されている。周波数合成装置303は、少なくとも1つの周波数合成層304を含む。各周波数合成層304は、少なくとも1つの周波数合成器305を含む。各周波数合成器305はアンテナポート306、少なくとも1つの高周波ポート307、および少なくとも1つの低周波ポート308を含む。高周波ポート307は少なくとも1つの高周波ポート群を形成し、低周波ポート308は少なくとも1つの低周波ポート群を形成する。各層では、高周波ポート群の数が周波数合成器305の数より多くはなく、低周波ポート群の数が周波数合成器305の数より少なく、高周波ポート群の数が低周波ポート群の数より少なくはない。
【0093】
周波数合成装置303が1つの周波数合成層304を含む場合、周波数合成器305のアンテナポート306は結合アレイ素子301に接続されており、複数の低周波ポート308が低周波給電装置309に接続されており、複数の高周波ポート307が高周波給電装置310に接続されている。
【0094】
周波数合成装置303が、2つごとに隣接した層同士の間に少なくとも2つの周波数合成層304を含む場合、複数の上層の低周波ポート308が下層のアンテナポート306に接続されており、先頭層の周波数合成器305のアンテナポート306が結合アレイ素子301に接続されており、先頭層の周波数合成器305の高周波ポート307が高周波給電装置310に接続されており、最終層の周波数合成器305の低周波ポート308が低周波給電装置309に接続されており、最終層の周波数合成器305の高周波ポート307が高周波給電装置310に接続されている。
【0095】
低周波給電装置309は、低周波信号を給電するように構成されている。
【0096】
高周波給電装置310は、低周波信号より高い少なくとも1つの種類の周波数信号を給電するように構成されている。
【0097】
いくつかの実施形態では、結合アレイ素子301は、異なるポート群に基づいて異なる周波数帯域の再構成素子を形成する。低周波ポート群内の低周波ポート308に対応する結合アレイ素子301が低周波再構成素子311を合同で形成し、高周波ポート群内の高周波ポート307に対応する結合アレイ素子301が高周波再構成素子312を合同で形成する。
【0098】
前述した方式では、異なる周波数帯域が同じ結合アレイ素子301において適切に設計され、共面構造が形成されてよく、異なる物理開口を備えた素子が結合アレイ素子301の柔軟な再構成によって形成され、複数の周波数帯域において広角ビーム走査機能が向上する。さらに、アンテナのコストおよび複雑度を効率的に低減でき、これにより、基地局アンテナ101は優れた周波数拡散機能を有し、整数比および非整数周波数比のマルチバンド共有開口アンテナを構成するソリューションが利用可能になる。さらに、結合アレイ素子301を再構成した後に、アレイアンテナのアイソレーションが要件を満たすことができ、ビーム走査時には給電ポートの数を低減できる。
【0099】
いくつかの実施形態では、低周波給電装置309および高周波給電装置310に位相シフト装置313がさらに存在する。
【0100】
図3bは、位相シフト装置を含むマルチバンド共有開口アンテナの構造の概略図である。各位相シフト装置313は、低周波給電装置309および高周波給電装置310により放射された電磁波の、結合アレイ素子に対応する特定の位相に対する位相遅れ/進みを調整するように構成されており、位相シフト装置313は、デジタル位相シフタ、アナログ位相シフタ、およびハイブリッド位相シフタという構造体のうちのいずれか1つまたは複数である。低周波給電装置および高周波給電装置により放射された電磁波の位相遅れ/進みは、前述した様々な位相シフト装置を用いて、結合アレイ素子に対応する特定の位相に対して調整され、ビーム走査を完了させるために、異なる方向にビームが形成される。
【0101】
具体的には、位相シフト装置313は、アンテナアレイの各アンテナ素子の重み係数を調整して、指向性ビームを発生させるように構成されている。これは、ビームフォーミングと呼ばれる。ビームフォーミング技術は主に、アナログビームフォーミング(analog beamforming、ABF)、デジタルビームフォーミング(digital beamforming、DBF)、およびハイブリッドビームフォーミング(hybrid-digital precoding beamforming、HBF)という3つの技術的ソリューションに基づいている。簡単に説明するために、以下では、ビームフォーミングを実施するためにビーム走査が1次元アレイで行われる一例を用いて、前述した3つのビームフォーミング方式を説明する。本願は1次元ビーム走査に限定されないことに留意されたい。結合アレイ素子の適切な再構成および給電装置の適切なレイアウトによって、2次元平面のアンテナアレイにおいて2次元ビーム走査が代替的に行われてよく、アンテナアレイの各素子の重み係数を調整することで、指向性ビームを発生させることができる。
【0102】
アナログ位相シフタは、アナログビームフォーミング技術に対応する。
図4aは、アナログ位相シフタのビームフォーミングの原理図である。位相シフタは主に、物理長を変える位相シフタおよび誘電率を変える位相シフタに分類される。アナログ位相シフタは、アンテナのバックエンドに位置しており、通常、位相を連続的に調整できる。アナログ位相シフタは、アナログ信号に重みを加える。送信側では、デジタル信号がDACを通過した後に、デジタル信号は最初に電力分割器により複数のアナログ信号に分解され、次いでこのアナログ信号に対してアナログ位相シフタを用いてビームフォーミングが行われる。受信側では、複数のアンテナにより受信されたアナログ信号が合成され、次いで位相シフタを用いてDACに送信される。
【0103】
デジタル位相シフタは、デジタルビームフォーミング技術に対応する。
図4bは、デジタル位相シフタのビームフォーミングの原理図である。デジタル位相シフタは、ベースバンド信号のフロントエンドに振幅および位相を含む重みを加えるのに用いられる。具体的には、送信側では、デジタル位相シフタはDACの前に位置しており、受信側では、デジタル位相シフタはADCの後に位置している。アンテナアレイの数が、無線周波数(RF)チェーンの数に対して1対1対応になっている。具体的には、各RFチェーンは、DAC/ADC、周波数混合器、フィルタ、および電力増幅器の独立したセットを必要とする。無線周波数チェーンの数は、ポートの数が増加するにつれて増加する。
【0104】
ハイブリッド位相シフタは、ハイブリッドビームフォーミング技術に対応する。
図4cは、ハイブリッド位相シフタのビームフォーミングの原理図である。ハイブリッド位相シフタは、デジタルおよびアナログ位相シフタの特徴を統合し、無線周波数チャネルの数、コスト、性能、およびシステム設計の複雑度の間でバランスを取り、デジタルアナログ変換器を縦続接続することにより位相エンコーディング機能を実現する。ハイブリッド位相シフタは、無線周波数チャネルの数を効率的に低減し、コストおよびビーム走査性能のバランスを取ることができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、周波数合成器305は、分周器、デュプレクサ、およびフィルタという構造体のうちのいずれか1つまたは複数を含む。
【0106】
さらに、分周器はデュアル周波数型に限定されることはなく、トライ周波数またはマルチ周波数型の分周器を代替的に用いてもよい。
【0107】
具体的には、周波数合成器305に、低周波ポート308および高周波ポート307以外の他の周波数帯域のポートがあってよい。分周器、デュプレクサ、およびフィルタのインタフェースの数が設定される。このように、周波数合成器の低周波および高周波ポートの数を拡張でき、異なる方式で接続を確立できる。これにより、アンテナのコストおよび複雑度をより効率的に低減し、アンテナが優れた周波数拡散機能を持つことができるようになる。当業者であれば、合成器構造および周波数合成器305における低周波ポートおよび高周波ポート以外の他の周波数帯域のポート間の具体的な接続方式を理解しているはずである。詳細はここで説明しない。
【0108】
いくつかの実施形態では、2つごとに隣接した結合アレイ素子301の中心間の距離dが、
【数5】
を満たしてよく、ここでλ
1は高周波給電装置310による高周波信号入力に対応する波長であり、n
1は正の整数である。2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離dが決定される。このように、高周波帯域におけるビーム走査プロセスにおいて、グレーティングローブの発生を回避できる。
【0109】
いくつかの実施形態では、マルチバンド共有開口アンテナ101の最大走査角がθ
maxである場合、2つごとに隣接した結合アレイ素子301の中心間の距離dは次式
【数6】
を満たし得る。2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離dが設定される。このように、優れた広角ビーム走査機能が高周波帯域にある場合、グレーティングローブの発生を回避できる。
【0110】
具体的には、ビーム走査時に、低周波および高周波再構成素子の間の間隔が次式
【数7】
を満たす。ここでλは信号に対応する波長であり、θ
maxはビーム走査の最大走査角である。
【0111】
したがって、結合アレイ素子301が配置される場合、結合アレイ素子301の中心間の距離dは、再構成素子同士の間隔Dおよび高周波ポート群内の高周波ポートの数n1に基づいて設定される必要がある。
【0112】
任意選択で、高周波ポート群内の高周波ポートの数が1である場合、高周波再構成素子312の中心間に設定された間隔d1が、結合アレイ素子301の中心間の距離dと同じである。
【0113】
高周波ポート群内の高周波ポートの数がmである場合、結合アレイ素子301の中心間に設定された距離dは、高周波再構成素子312間の間隔Dをmで割ったものに等しい。
【0114】
いくつかの他の実施形態では、低周波ポート群内の低周波ポート308の数n
2が次式
【数8】
を満たす。
【0115】
λ2は低周波給電装置による低周波信号入力に対応する波長であり、dは2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離であり、n2は正の整数である。2つごとに隣接した結合アレイ素子の中心間の距離dが決定され、低周波ポート群内の低周波ポートの数n2が設定される。このように、低周波帯域におけるビーム走査プロセスにおいて、グレーティングローブの発生を回避することが保証され得る。
【0116】
いくつかの他の実施形態では、マルチバンド共有開口アンテナの最大走査角がθ
maxである場合、低周波ポート群内の低周波ポートの数n
2は次式
【数9】
を満たす。低周波ポート群内の低周波ポートの数n
2が設定される。このように、優れた広角ビーム走査機能が低周波帯域にある場合、グレーティングローブの発生を回避することが保証され得る。
【0117】
具体的には、結合アレイ素子301が配置された後に、結合アレイ素子301の中心間の距離dが決定され、低周波再構成素子311の中心間の間隔d2が、低周波給電装置309による低周波信号入力に対応する波長λ2および既知の値dに基づいて決定される。
【0118】
低周波ポート群内の低周波ポート308の数は、低周波再構成素子311の中心間の間隔d2である。この場合、低周波ポート群内の低周波ポート308の数は次式
【数10】
を満たす必要がある。これにより、低周波再構成素子311は、最大走査角θ
maxが満たされている(低周波再構成素子311間の間隔が
【数11】
より小さい)場合でも、グレーティングローブを発生させない。
【0119】
本願のいくつかの実施形態では、マルチバンド共有開口アンテナにおいて結合アレイ素子301を再構成した後に、高周波および低周波の間の整数周波数比が満たされてよく、高周波および低周波でのビーム走査時にグレーティングローブが発生しない。次の実施形態では、マルチバンド共有開口アンテナのビーム走査角が、グレーティングローブを発生させることなく±60°の最大走査角で走査が行われることを満たす。
【0120】
図5aは、デュアルバンドアンテナの概略図である。この図における結合アレイ素子301は、周波数合成器305のアンテナポートに接続するように構成されており、各周波数合成器305の高周波ポートは高周波給電装置310に接続されており、2つの低周波ポート308がグループとして低周波給電装置309に接続されている。高周波がf
Hであり、低周波がf
Lであり、f
H:f
Lが2:1である。低周波再構成素子311は2つの結合アレイ素子301を用いて再構成されており、高周波再構成素子312は1つの結合アレイ素子301を含み、周波数比が2:1のデュアルバンドアンテナが実現される。再構成された高周波再構成素子312の中心間の間隔d1および再構成された低周波再構成素子311の中心間の間隔d2が両方とも、ビーム走査時にグレーティングローブが発生しないという条件を満たす。
【0121】
本願のいくつかの実施形態では、マルチバンド共有開口アンテナにおいて結合アレイ素子301を再構成した後に、高周波および低周波の間の非整数周波数比がさらに満たされてよく、高周波および低周波でのビーム走査時にグレーティングローブが発生しない。
【0122】
例1:
図5bはデュアルバンドアンテナの概略図である。低周波再構成素子311は5つの結合アレイ素子301を用いて再構成されており、高周波再構成素子312は2つの結合アレイ素子301を用いて再構成されており、周波数比が2.5:1のデュアルバンドアンテナが実現される。再構成された高周波再構成素子312の中心間の間隔d1および再構成された低周波再構成素子311の中心間の間隔d2が両方とも、ビーム走査時にグレーティングローブが発生しないという条件を満たす。
【0123】
例2:
図5cはデュアルバンドアンテナの概略図である。低周波再構成素子311は3つの結合アレイ素子301を用いて再構成されており、高周波再構成素子312は2つの結合アレイ素子301を用いて再構成されており、周波数比が1.5:1のデュアルバンドアンテナが実現される。再構成された高周波再構成素子312の中心間の間隔d1および再構成された低周波再構成素子311の中心間の間隔d2が両方とも、ビーム走査時にグレーティングローブが発生しないという条件を満たす。
【0124】
これに加えて、結合アレイ素子の再構成がさらに、整数比および非整数比に関連して行われ、デュアルバンドアンテナを実現してよい。
図5dに示すように、一部の低周波再構成素子311が4つの結合アレイ素子301を用いて再構成されており、他の一部の低周波再構成素子311が3つの結合アレイ素子301を用いて再構成されており、高周波再構成素子312は2つの結合アレイ素子301を用いて再構成されている。再構成された高周波再構成素子312の中心間の間隔d1、再構成された低周波再構成素子311の中心間の間隔d21(4つの結合アレイ素子)、および再構成された低周波再構成素子311の中心間の間隔d22(3つの結合アレイ素子)が全て、ビーム走査時にグレーティングローブが発生しないという条件を満たす。
【0125】
走査時にグレーティングローブが発生しないという必要条件を結合アレイ素子301の再構成が満たしている限り、ビーム走査時にグレーティングローブが発生しないという条件の間隔範囲内で、隣接した結合アレイ素子がランダムに組み合わされてよく、再構成する結合アレイ素子の数が同じ周波数において限定されることはない。換言すれば、走査時にグレーティングローブが発生しないという必要条件において、低周波ポート群内の低周波ポートの数がランダムに設定されてよい。これは、本明細書において限定されるものではない。
【0126】
いくつかの実施形態では、高周波給電装置310は、低周波信号より高い少なくとも2つの種類の周波数信号を周波数合成器の高周波ポート群に給電するように構成されている。例えば本実施形態では、高周波給電装置310は、低周波信号より高い2つの種類の周波数信号を給電するように構成されている。以下では、最高周波数の信号が高周波信号f
Hであり、2番目に高い周波数の信号が中間周波信号f
Mであり、低周波信号がf
Lである一例を用いる。
図6は、トライバンドアンテナの概略図である。低周波再構成素子311は4つの結合アレイ素子301を用いて再構成されており、中間周波再構成素子314が2つの結合アレイ素子301を用いて再構成されており、高周波再構成素子312は1つの結合アレイ素子301を含む。再構成された高周波再構成素子312の中心間の間隔d1、再構成された低周波再構成素子311の中心間の間隔d2、および中間周波再構成素子314の中心間の間隔d3が全て、ビーム走査時にグレーティングローブが発生しないという条件を満たす。
【0127】
さらに同様に、本願の設計ソリューションは、クワッドバンドアンテナまたはNバンドアンテナにさえ拡張されてよく、ここでNは正の整数であり、1つの結合アレイ素子301が複数の帯域で共有されて、共面アレイが形成される。したがって、マルチバンド共有開口アンテナにおける複数の周波数帯域の指向性パターンがうまく整合しており、超広帯域で柔軟な再構成機能および周波数拡張が実現され得る。さらに、走査時にグレーティングローブが発生しないという条件は、異なる周波数でも依然として満たされており、同等の広角ビーム走査機能が提供される。結合アレイ素子301の再構成によって、アレイアンテナでは、有効チャネルの数および複雑度を効率的に低減でき、給電ネットワークの複雑度およびアンテナコストが低減し、最終的にアンテナの包括的な競争力が向上する。
【0128】
いくつかの実施形態では、アンテナの放射効果を向上させるために、アレイアンテナを再構成する方式が、上述した1次元結合アレイ素子301の再構成および周波数拡張に限定されなくてもよく、代替的に、2次元平面における結合アレイ素子301の再構成であってもよい。
図7aは、平面アレイ型のデュアルバンドアンテナの概略図である。このアレイアンテナでは、結合アレイ素子が通常、2次元平面アレイ型に組み合わされて配置される。
図7aでは、2列の結合アレイ素子301が一例として用いられている。結合アレイ素子301は、周波数合成器305のアンテナポートに接続するように構成されており、各周波数合成器305の高周波ポートは高周波給電装置310に接続されており、4つの低周波ポート308がグループとして、低周波給電装置309に接続されている。高周波がf
Hであり、低周波がf
Lである。
図7bは、低周波再構成素子の概略接続図である。低周波再構成素子311は、2×2結合アレイ素子301を用いて再構成されている。
図7cは、高周波再構成素子の概略接続図である。高周波再構成素子312は、1つの結合アレイ素子301を含む。再構成された高周波再構成素子312の中心間の間隔d1および再構成された低周波再構成素子311の中心間の間隔d2が両方とも、ビーム走査時にグレーティングローブが発生しないという条件を満たす。給電ポートのチャネルの数が効率的に低減されて、コストが低減する。
【0129】
さらに、前述したアレイアンテナの再構成方式は、上述した1次元および2次元の再構成に限定されることはなく、代替的にコンフォーマル平面アンテナアレイ型であってもよい。
図7dは、コンフォーマル平面アレイ型のアンテナの概略図である。
図7eは、コンフォーマル平面アレイ型のアンテナ給電の概略図である。コンフォーマル平面における結合アレイ素子の具体的な再構成方式が、前述した再構成方式と同じコンセプトに基づいているため、詳細についてはここで改めて説明しない。
【0130】
いくつかの実施形態では、アレイ素子再構成が単偏波平面アレイに対して行われてよい。単偏波再構成方式には、以下の方式が含まれてよい。
【0131】
方式1:
図7fは、水平方向の結合アレイ素子を再構成することにより形成された平面アレイの概略図である。図の左側部分では、低周波再構成素子311は、水平方向の2つの結合アレイ素子301を用いて水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は1つの結合アレイ素子301を含み、水平方向にデュアルバンドアンテナを再構成している。図の中央部分では、低周波再構成素子311は、水平方向の2つの結合アレイ素子301を用いて垂直方向に再構成されており、高周波再構成素子312は1つの結合アレイ素子301を含み、垂直方向にデュアルバンドアンテナを再構成している。図の右側部分では、低周波再構成素子311は、水平方向の2×2結合アレイ素子301を用いて、垂直方向および水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は1つの結合アレイ素子301を含み、垂直方向および水平方向にデュアルバンドアンテナを再構成している。
【0132】
方式2:
図7gは、垂直方向の結合アレイ素子を再構成することにより形成された平面アレイの概略図である。図の左側部分では、低周波再構成素子311は、垂直方向の2つの結合アレイ素子301を用いて水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は1つの結合アレイ素子301を含み、水平方向にデュアルバンドアンテナを再構成している。図の中央部分では、低周波再構成素子311は、垂直方向の2つの結合アレイ素子301を用いて垂直方向に再構成されており、高周波再構成素子312は1つの結合アレイ素子301を含み、垂直方向のデュアルバンドアンテナを再構成している。図の右側部分では、低周波再構成素子311は、垂直方向の2×2結合アレイ素子301を用いて垂直方向および水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は1つの結合アレイ素子301を含み、垂直方向および水平方向にデュアルバンドアンテナを再構成している。
【0133】
方式3:
図7hは、水平方向の結合アレイ素子を再構成することにより形成された、非整数比の平面アレイの概略図である。図の左側部分では、低周波再構成素子311は、水平方向の3つの結合アレイ素子301を用いて水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は、水平方向の2つの結合アレイ素子301を用いて水平方向に再構成されており、水平方向にデュアルバンドアンテナを再構成している。図の右側部分では、低周波再構成素子311は、水平方向の3×3結合アレイ素子301を用いて垂直方向および水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は、水平方向の2×2結合アレイ素子301を用いて垂直方向および水平方向に再構成されており、垂直方向および水平方向にデュアルバンドアンテナを再構成している。
【0134】
方式4:
図7iは、水平方向の結合アレイ素子を再構成することにより形成されたトライバンド平面アレイの概略図である。図の左側部分では、低周波再構成素子311は、水平方向の4つの結合アレイ素子301を用いて水平方向に再構成されており、中間周波再構成素子314は、水平方向の2つの結合アレイ素子301を用いて水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は水平方向の1つの結合アレイ素子301を含み、水平方向にトライバンドアンテナを再構成している。図の中央部分では、低周波再構成素子311は、水平方向の2×4結合アレイ素子301を用いて水平方向および垂直方向に再構成されており、中間周波再構成素子314は、水平方向の2×2結合アレイ素子301を用いて水平方向および垂直方向に再構成されており、高周波再構成素子312は水平方向の1つの結合アレイ素子301を含み、垂直方向および水平方向にトライバンドアンテナを再構成している。図の右側部分では、低周波再構成素子311は水平方向の4×4結合アレイ素子301を用いて水平方向および垂直方向に再構成されており、中間周波再構成素子314は水平方向の2×2結合アレイ素子301を用いて水平方向および垂直方向に再構成されており、高周波再構成素子312は水平方向の1つの結合アレイ素子301を含み、垂直方向および水平方向にトライバンドアンテナを再構成している。
【0135】
結合アレイ素子301を周期的に再構成した後に、再構成された平面アレイが周期的アレイになる。結合アレイ素子301に対して非周期的再構成が行われた場合、再構成アレイがスパースアレイに相当する。具体的には、アレイアンテナの要件に従って、柔軟な配置が行われてよい。任意選択で、結合アレイ素子301は、平面アレイに周期的に配置されても、または非周期的に配置されてもよい。
【0136】
方式1:平面アレイは周期的な配置を用いる。
図8aは、周期的に配置したアレイ素子の概略図である。結合アレイ素子301の再構成が1つの周波数帯域で行われる(これは他の周波数帯域と同様である)。再構成する結合アレイ素子301に接続されたポートに異なる励起値が設定され、最終的に、特定の性能の指向性パターン機能が実現され得る。図の左側部分は結合アレイ素子301の再構成の概略図であり、図の中央部分は再構成された等価アンテナ素子の分布の概略図であり、図の右側部分は励起振幅の分布の概略図である。異なるパターンを用いて、異なる励起振幅を表している。
【0137】
方式2:平面アレイは非周期的な配置を用いる。
図8bに示すように、図の左側部分は結合アレイ素子301の再構成の概略図であり、図の中央部分は再構成された等価アンテナ素子の分布の概略図であり、図の右側部分は励起振幅の分布の概略図である。
【0138】
方式3:スパースアレイを実現するために、ダミー素子(dummy)領域が平面アレイ上に構成されてよい。
図8cに示すように、各再構成素子は、同じ数または異なる数の結合アレイ素子301を用いて再構成されてよい。スパースアレイアンテナでは、アレイ性能に対してアルゴリズム最適化が行われてよい。図の左側部分は、結合アレイ素子301の再構成の概略図である。破線ボックスで示すダミー素子は平面アレイに配置されてよく、ダミー素子には給電構成が行われていないため、等価スパースアレイが実現される。図の中央部分は、再構成等価アレイの分布の概略図である。図の右側部分は、等価アレイの振幅の分布の概略図である。
【0139】
いくつかの実施形態では、結合アレイ素子301は少なくとも1つのダイポールアレイ素子を含む。
【0140】
ダイポールアレイ素子の偏波方向が結合アレイ素子301のそれに対して平行であり、ダイポールアレイ素子の最後尾の両側には結合コンデンサが存在している。ダイポールアレイ素子の方向が設定される。このように、結合アレイ素子は少なくとも1つの方向に偏波方向を有し、より多くのモードで偏波型を提供できる。
【0141】
前述した実施形態では、全て単偏波方向にある結合アレイ素子301が提供されている。任意選択で、マルチバンド共有開口アンテナはさらに、マルチ偏波方向をサポートしてよい。ダイポールアレイ素子は直交に配置されており、これにより、結合アレイ素子は、垂直方向、水平方向、および±45°方向などの異なる方向にデュアル偏波機能を有し得るようになる。
【0142】
結合アレイ素子301がデュアル偏波形態で設計され、結合アレイ素子301が2つのダイポールアレイ素子を含み場合、ダイポールアレイ素子は直交に配置される。直交配置方式では、結合アレイ素子301の場合、限定しないが以下の方式を含む。
【0143】
方式1:2つのダイポールアレイ素子が垂直方向および水平方向に設計される。
図9aに示すように、図の左側部分では、低周波再構成素子311は、垂直方向および水平方向のダイポールアレイ素子を含む2つの結合アレイ素子301を用いて水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は、垂直方向および水平方向のダイポールアレイ素子を含む結合アレイ素子301を含む。図の中央部分では、低周波再構成素子311は、垂直方向および水平方向のダイポールアレイ素子を含む2つの結合アレイ素子301を用いて垂直方向に再構成されており、高周波再構成素子312は、垂直方向および水平方向のダイポールアレイ素子を含む結合アレイ素子301を含む。図の右側部分では、低周波再構成素子311は、垂直方向および水平方向のダイポールアレイ素子を含む2×2結合アレイ素子301を用いて垂直方向および水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は、垂直方向および水平方向のダイポールアレイ素子を含む1つの結合アレイ素子301を含む。
【0144】
方式2:2つのダイポールアレイ素子は±45°方向に設計される。
図9bに示すように、図の左側部分では、低周波再構成素子311は、±45°方向のダイポールアレイ素子を含む2つの結合アレイ素子301を用いて水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は、±45°方向のダイポールアレイ素子を含む1つの結合アレイ素子301を含む。図の中央部分では、低周波再構成素子311は、±45°方向のダイポールアレイ素子を含む2つの結合アレイ素子301を用いて垂直方向に再構成されており、高周波再構成素子312は、±45°方向のダイポールアレイ素子を含む1つの結合アレイ素子301を含む。図の右側部分では、低周波再構成素子311は、±45°方向のダイポールアレイ素子を含む2×2結合アレイ素子301を用いて垂直方向および水平方向に再構成されており、高周波再構成素子312は、±45°方向のダイポールアレイ素子を含む1つの結合アレイ素子301を含む。
【0145】
さらに、本願はクワッドバンドアンテナの一例を提供する。
図10は、クワッドバンド単偏波平面アレイの概略図である。この図は12×12結合アレイ素子301を含み、結合アレイ素子301の物理開口が19mm×19mmであり、アレイ素子間隔も19mmである。共面アレイアンテナは、Band3、Band41、Band42、およびLAA帯域を含む。クワッドバンドアンテナの定在波帯域幅は、1.5GHz~6GHzに達することができる。本願で提供されるマルチバンド共有開口アンテナによれば、再構成素子に対応する、動作周波数帯域における各再構成素子の物理開口が、±60°走査時にグレーティングローブが発生しないという条件を満たすことができ、アンテナの給電ポートの数を低減でき、再構成素子のアイソレーションを向上させることができる。このように、適切な数のチャネルが各周波数帯域のために維持され、アンテナの給電ポートの数が低減し、コストが低減し、アンテナの包括的な競争力が向上する。具体的には、グレーティングローブのないアレイ走査数式によれば、結合アレイ素子間の間隔が約0.5λ
LAAである。結合アレイ素子301間の間隔が0.5λ
LAAに設定された場合、結合アレイ素子301の再構成がLAA帯域の最高周波数で行われなくてもよい。結合アレイ素子301は、LAA帯域のアンテナ素子である。最大4つの結合アレイ素子301が3.5G(Band42)での再構成に用いられてよく、最大9つの結合アレイ素子301が2.6G(Band41)での再構成に用いられてよく、最大16個の結合アレイ素子301が1.7G(Band3)での再構成に用いられてよい。前述したアンテナ構造を用いて給電ポートの数を低減でき、コストも低減できる。再構成可能な結合アレイ素子の最大数の範囲内で、異なる周波数帯域の、異なるアンテナ素子を含む再構成素子が柔軟に配置される。
【0146】
任意選択で、以下の表1に示すように、周波数が低くなると、再構成可能な結合アレイ素子の数が大きくなり、再構成方式がより柔軟になることを示す。表1の色が濃い部分は、異なる周波数帯域のために選択できる結合アレイ素子の再構成規模を示す。再構成するアンテナ素子間の間隔が、再構成後の対応する周波数帯域の波長の約0.5倍を超えない場合、走査時にグレーティングローブがなく、±60°のビーム走査角を満たすことができる。さらに、再構成方式が異なるために、アレイアンテナ上に設計され得る再構成するアンテナ素子の数が変化する。前述した12×12アレイアンテナの場合、LAA帯域の最小144個の再構成するアンテナ素子がアレイアンテナ上に設計されてよく、Band42の最小36個の再構成するアンテナ素子がアレイアンテナ上に設計されてよく、Band42の最小16個の再構成するアンテナ素子がアレイアンテナ上に設計されてよく、Band3の9個の再構成するアンテナ素子がアレイアンテナ上に設計される。以下の表2に示すように、従来のクワッドバンドアンテナアレイと比較すると、本願で提供されるクワッドバンドアンテナは、異なる周波数帯域で動作し、給電ポートの数を低減し、コストを低減できる。
【0147】
Band3では給電ポートの数を144個-9個に低減でき、Band41では給電ポートの数を144個16個に低減でき、Band42では給電ポートの数を144個-36個に低減できる。したがって、従来ソリューションにおける給電ポートの数と比較すると、12×12結合アレイ素子のクワッドバンドアンテナでは、このソリューションにおける給電ポートの数を64.4%((576-205)/576)低減する。これにより、アンテナの複雑度およびビームフォーミング用の給電ポートの数が効率的に低減する。大規模なスパースアンテナアレイが、各再構成素子の結合アレイ素子の数を柔軟に調整することで再構成され、より高い性能または特別な要件を備えたアンテナアレイが実現され得る。
【表1】
【表2】
【0148】
本願で提供されるマルチバンド共有開口アンテナによれば、密結合フェーズドアレイ技術に基づいて結合アレイ素子を再構成し、結合アレイ素子を異なる周波数帯域の物理開口の素子に柔軟に再構成して、マルチバンド共面アンテナアレイを実現し、異なる周波数比の開口を共有し、複数の周波数帯域において広角ビーム走査機能を実現する。さらに、アンテナのコストおよび複雑度を効率的に低減でき、優れたマルチ周波数拡張機能を提供して、整数周波数比および非整数周波数比のソリューションを構成できる。従来の密結合素子間のポートアイソレーションと比較すると、再構成素子間のポートアイソレーションが、再構成後に少なくとも6dB向上する。マルチバンド共有開口アンテナが共面形態で設計され、同じ結合アレイ素子を共有するため、マルチバンド共有開口アンテナは優れた製造容易性を有し、複数の周波数帯域の指向性パターンがうまく整合し、異なる周波数帯域で同等のビーム走査角を維持して、間隔が大きすぎるためにグレーティングローブが発生するという課題を解決できる。これによりさらに、給電ポートの数およびコストが低減する。
【0149】
いくつかの実施形態では、本願のマルチバンド共有開口アンテナはさらに、反射アレイアンテナの設計に適用されてよい。
図11は、反射アレイアンテナの概略図である。反射アレイアンテナは、給電部1101およびリフレクタ表面1102を含む。リフレクタ表面1102は概して平面構造である。平面に配置されて給電部1101の照射を受ける素子が、アンテナが放物線特性を備えるのを可能にするように構成されている。主な原理は、リフレクタ表面1102において異なる位置で素子構造のサイズを調整することであり、これにより、アンテナのリフレクタ表面1102は異なる値の位相遅延を有するようになり、アンテナのビーム焦点および方向を正確な設計によって調整できるようになる。しかしながら、従来の反射アレイアンテナの特徴は狭帯域である。さらに、空間位相遅延差が周波数によって変化するため、従来のマイクロストリップパッチ素子で形成された反射アレイアンテナの帯域幅は5%より小さく、高いゲイン帯域幅を維持するのが困難という欠点がある。
【0150】
リフレクタ表面1102は、インテリジェントリフレクタ表面(intelligent reflector surface、IRS)として設計されてよい。
図12に示すように、インテリジェントリフレクタ表面IRSは、反射振幅/位相シフト情報を受信するように構成されたIRSコントローラ1201;IRSコントローラ1201によって作動し、各反射素子1204の反射振幅/位相シフトを調整する役割を担う制御回路基板1202;および信号エネルギー漏れを防ぐように構成された銅プレート1203を含む。反射素子1204にはPINダイオードが組み込まれており、DCフィーダを用いて反射素子1204のバイアス電圧が制御される。PINダイオードは、「オン」および「オフ」の状態を切り替えて、位相差πを発生させる。さらに、反射振幅を効率的に制御するために、可変抵抗負荷が反射素子1204の設計に適用されてよく、各反射素子1204の抵抗値を変えることで、入射信号エネルギーの異なる部分が消費され、[0,1]の範囲内で制御可能な反射振幅が実現される。しかしながら、パッチ素子の形態に限定され、インテリジェントリフレクタ表面の帯域幅が低い。本願におけるマルチバンド共有開口アンテナ設計が反射素子に適用される場合、リフレクタ表面の各反射素子1204は結合アレイ素子に相当し得る。
図13は、反射素子の概略図である。ダイオードまたはMEMS(micro-electro-mechanical system、微小電気機械システム)スイッチなどが各パッチ素子に取り付けられ、運用動作周波数において反射ビームの調整および制御が行われる。パッチ素子1301を負荷に接続して、再構成および合成を行った後に、反射アレイアンテナの素子の物理開口を同等に拡張するために制御ダイオード1302を取り付け、リフレクタ表面に新たな周波数を追加する。このように、マルチ周波数の共有開口リフレクタ表面特性が実現され、反射アレイアンテナで帯域幅拡張が実現される。あるいは、再構成素子に吸収抵抗1303をさらに取り付け、特定の周波数帯域において電波吸収特性を生成し、レーダ散乱インタフェースを低減し、反射アレイのステルス機能を実装して、セキュリティを向上させてもよい。
【0151】
さらに、本願の一実施形態がさらに、通信デバイスを提供する。通信デバイスは、前述したマルチバンド共有開口アンテナのうちのいずれか1つを含む。前述した設計では、マルチバンド共有開口アンテナを含む通信デバイスは、優れたマルチ周波数拡張機能を有し、異なる周波数帯域において優れた広角ビーム走査機能を維持できる。さらに、ビーム走査プロセスにおいてグレーティングローブの発生も回避できる。さらに、給電装置の構造が再構成されるため、給電ポートの数が低減する。したがって、ハードウェアオーバーヘッドおよび消費電力も低減できる。
【0152】
本願のソリューションでは、本願で提供されるマルチバンド共有開口アンテナおよび通信デバイスによれば、密結合フェーズドアレイ技術に基づいて結合アレイ素子を再構成し、結合アレイ素子を異なる周波数帯域における物理開口の素子に柔軟に再構成して、マルチバンド共面アンテナアレイを実現し、異なる周波数比の開口を共有し、複数の周波数帯域において広角ビーム走査機能を実現する。さらに、アンテナのコストおよび複雑度を効率的に低減でき、優れたマルチ周波数拡張機能を提供して、整数周波数比および非整数周波数比のソリューションを構成できる。従来の密結合素子間のポートアイソレーションと比較すると、再構成素子間のポートアイソレーションが、再構成後に少なくとも6dB向上する。マルチバンド共有開口アンテナが共面形態で設計され、同じ結合アレイ素子を共有するため、マルチバンド共有開口アンテナは優れた製造容易性を有し、複数の周波数帯域の指向性パターンがうまく整合し、異なる周波数帯域で同等のビーム走査角を維持して、間隔が大きすぎるためにグレーティングローブが発生するという課題を解決できる。これによりさらに、給電ポートの数およびコストが低減する。
【0153】
当業者であれば、本願の実施形態が、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供され得ることを理解するはずである。したがって、本願は、ハードウェアのみの実施形態、ソフトウェアのみの実施形態、またはソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせを有する実施形態の形式を用いてよい。さらに、本願は、コンピュータが使えるプログラムコードを含む、コンピュータが使える1つまたは複数の記憶媒体(限定しないが、ディスクメモリ、CD-ROM、および光メモリなどを含む)で実現されるコンピュータプログラム製品の形態を用いてよい。
【0154】
本願は、本願による方法、デバイス(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明されている。フローチャートおよび/またはブロック図における各プロセスおよび/または各ブロック、およびフローチャートおよび/またはブロック図におけるプロセスおよび/またはブロックの組み合わせを実装するためにコンピュータプログラム命令が用いられてよいことを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、または、任意の他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサに提供することで機械をもたらすことができる。その結果、コンピュータまたは任意の他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサにより実行される命令は、フローチャートの1つまたは複数のプロセス、および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおける特定の機能を実現するための装置をもたらす。
【0155】
特定の方式で動作するようコンピュータまたは任意の他のプログラム可能なデータ処理デバイスに指示できるこれらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読メモリに格納されてよく、これにより、コンピュータ可読メモリに格納された命令は、命令装置を含むアーチファクトをもたらすようになる。命令装置は、フローチャートの1つまたは複数のプロセス、および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおける特定の機能を実現する。
【0156】
これらのコンピュータプログラム命令は、代替的に、コンピュータまたは別のプログラム可能なデータ処理デバイスにロードされてよく、これにより、一連のオペレーションおよび段階がコンピュータまたは別のプログラム可能なデバイスで行われ、コンピュータ実装処理が生成されるようになる。したがって、コンピュータまたは別のプログラム可能なデバイスで実行される命令は、フローチャートの1つまたは複数の手順、および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおける特定の機能を実現するための段階を提供する。
【0157】
当業者であれば、本願の範囲から逸脱することなく、本願に対して様々な変更および変形を加えることができることは明確である。このように、本願では、本願についてのこれらの変更および変形が本願の特許請求の範囲およびその均等な技術の範囲に含まれる限り、これらの変更および変形も包含することが意図されている。
【国際調査報告】