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特表2023-544453食品グレード増粘剤及び嚥下障害を治療するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】食品グレード増粘剤及び嚥下障害を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/206 20160101AFI20231016BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20231016BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20231016BHJP
   A23L 29/25 20160101ALI20231016BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20231016BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20231016BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20231016BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20231016BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20231016BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20231016BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20231016BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231016BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A23L29/206
A23L29/256
A23L29/238
A23L29/25
A23L29/262
A23L29/231
A23L29/269
A23L5/00 N
A23L33/10
A23L33/125
A23L19/00 102Z
A61K47/36
A61P1/00
B65D47/34 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543246
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 AU2021051124
(87)【国際公開番号】W WO2022061419
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】2020903490
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2020903609
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523110754
【氏名又は名称】トリスコ アイキャップ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トリストラム,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】モッセル,ブレンダ
(72)【発明者】
【氏名】キースリー,サンテージ
【テーマコード(参考)】
3E084
4B016
4B018
4B035
4B041
4C076
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084AB06
3E084BA02
3E084LD21
4B016LC07
4B016LE05
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4B016LP02
4B016LP04
4B016LP05
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4B018LE05
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4B018MD35
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4B018ME14
4B018MF01
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4B018MF14
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4B041LK07
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4B041LP01
4C076BB01
4C076CC16
4C076EE30G
4C076FF17
4C076FF68
(57)【要約】
本発明は、食品グレード増粘剤を提供するための方法であって、第1の多糖類の水性連続相を確立する工程と、連続相に第2の多糖類を添加し、それによってゲル化混合物を形成する工程と、ゲル化混合物を加水分解して、ゲル化混合物の粘度を低減させる工程と、ガムを、ガムがその粘度を部分的にのみ発現するような条件下で加水分解されたゲル化混合物に添加し、それによって食品グレード増粘剤を形成する工程と、を含む、方法を提供する。本発明はまた、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態を患っている対象を治療する方法であって、食材を対象に投与する工程を含み、食材が、本発明の食品グレード増粘剤を含む、方法にも関する。本発明は更に、食品グレード増粘剤のための保管及び供給システムであって、a)本発明の食品グレード増粘剤を収容する容器と、b)容器に密閉して取り付けられたポンプディスペンサと、を備え、ディスペンサが、容器内で組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える、保管及び供給システムにも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品グレード増粘剤を提供するための方法であって、水性相を提供する工程と、
前記水性相に多糖類を添加し、それによってゲル化混合物を形成する工程と、前記ゲル化混合物を加水分解して、前記ゲル化混合物の粘度を低減させる工程と、ガムを、前記ガムがその粘度を部分的にのみ発現するような条件下で加水分解された前記ゲル化混合物に添加し、それによって前記食品グレード増粘剤を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記多糖類が、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多糖類が、約0.5~30重量%の濃度で前記水性相に添加される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ゲル化混合物が、約50~95℃の温度で加水分解される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ゲル化混合物が、約2~72時間の間加水分解される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲル化混合物が酸加水分解されて、前記加水分解されたゲル化混合物を生成する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加水分解されたゲル化混合物が、ブルックフィールド粘度計#1スピンドルを10rpmで使用して、20℃で測定された約40~150cPの粘度を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ガムが、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム及びローカストビーンガム、キサンタンガム、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ガムが、約2~30重量%の濃度で添加される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によって生成された食品グレード増粘剤。
【請求項11】
前記食品グレード増粘剤が、少なくとも6ヶ月間安定である、請求項10に記載の食品グレード増粘剤。
【請求項12】
前記食品グレード増粘剤が、ブルックフィールド粘度計#5スピンドルを10rpmで使用して、20℃で測定された約500~10,000cPの粘度を有する、請求項10又は11に記載の食品グレード増粘剤。
【請求項13】
前記食品グレード増粘剤が、ボストウィックコンシストメータを使用して、20℃、30秒で測定された約12cmを超える流動抵抗を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤。
【請求項14】
前記食品グレード増粘剤及び水の7重量%溶液が、1cmの経路長を使用して測定された場合、650nmで約>90%の透過率を有する、請求項10~13のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤。
【請求項15】
水性液体又は水性液体固体混合物食材の粘度を増加させるための方法であって、前記食材に請求項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を添加する工程を含む、方法。
【請求項16】
添加される食品グレード増粘剤の量が、約1~30重量%である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記食材に前記食品グレード増粘剤を添加することによって、前記食材の粘度が少なくとも約95cPに増加される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態を患っている対象を治療する方法であって、食材を前記対象に投与する工程を含み、前記食材が、請求項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を含む、方法。
【請求項19】
咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態の治療又は改善のための医薬の製造における、請求項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤の使用。
【請求項20】
嚥下困難の克服又は改善を、このような治療を必要とする患者において行う方法であって、前記患者による消費のために、食品又は飲料を、請求項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を用いて増粘する工程を含む、方法。
【請求項21】
嚥下困難の克服又は改善を、このような治療を必要とする患者において行うための医薬の製造における、請求項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤の使用。
【請求項22】
食品グレード増粘剤のための保管及び供給システムであって、
請求項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を収容する容器と、
前記容器に密閉して取り付けられたポンプディスペンサと、を備え、前記ディスペンサが、前記容器内で前記組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える、保管及び供給システム。
【請求項23】
食品グレード増粘剤のための保管及び供給システムのためのキットであって、
請求項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を収容する容器と、
前記容器への取り付けのためのポンプディスペンサと、を備え、前記ポンプディスペンサが、前記容器内で前記組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える、キット。
【請求項24】
食品グレード増粘剤を水性液体又は水性液体固体混合物食材に供給する方法であって、
請求項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を収容する容器を提供する工程と、
前記ポンプディスペンサに力を加えて、それによって所定体積の前記食品グレード増粘剤の1回以上の投与を前記食材に供給する工程と、を含む方法。
【請求項25】
所定体積の前記食品グレード増粘剤の1、2、及び3回の投与によって、前記食材の粘度がそれぞれ第1、第2、及び第3の粘度レベルに増加し、前記第1、第2、及び第3の粘度レベルの間に非線形関係が存在する、請求項22に記載のシステム、又は請求項23に記載のキット、又は請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ポンプディスペンサが、前記容器内で前記組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える、請求項22若しくは25に記載のシステム、又は請求項23若しくは25に記載のキット、又は請求項24若しくは25に記載の方法。
【請求項27】
前記バルブが、自己シーリングバルブであるか、又は自己シーリングバルブを備える、請求項22、25、若しくは26のいずれか一項に記載のシステム、又は請求項23、25、若しくは26のいずれか一項に記載のキット、又は請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記バルブが、クロススリットバルブ、ボールバルブ、フラッパーバルブ、アンブレラバルブ、ダックビルバルブ、リードバルブ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載のシステム、又は請求項27に記載のキット、又は請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記バルブが、閉位置に偏っており、前記組成物が前記バルブを通って流動することを強制する前記ポンプディスペンサへ力を加えると、開位置に作動する、請求項27に記載のシステム、又は請求項27に記載のキット、又は請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ポンプディスペンサが、ディスペンサ先端を備え、前記ディスペンサ先端が、その中に配置された前記バルブを含む、請求項22若しくは25~29のいずれか一項に記載のシステム、又は請求項23若しくは25~29のいずれか一項に記載のキット、又は請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
注入性の食品グレード増粘剤を含む、嚥下障害を補助又は嚥下障害を改善する組成物であって、#3スピンドルを5rpmで使用して、20℃で測定された約約5,000cPs未満の見かけ粘度、及びボストウィックコンシストメータを使用して、20℃、30秒で測定された約12cmを超える流動抵抗を有し、前記食品グレード増粘剤及び水の7重量%溶液が、1cmの経路長を用いて測定された場合、650nmで>90%の透過率を有する、嚥下障害を補助又は嚥下障害を改善する組成物。
【請求項32】
食品グレード増粘剤を提供するための方法であって、
第1の多糖類の水性連続相を確立する工程と、
前記連続相に第2の多糖類を添加し、それによってゲル化混合物を形成する工程と、
前記ゲル化混合物を加水分解して、前記ゲル化混合物の粘度を低減させる工程と、ガムを、前記ガムがその粘度を部分的にのみ発現するような条件下で加水分解された前記ゲル化混合物に添加し、それによって前記食品グレード増粘剤を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項33】
前記第1の多糖類が、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、又はキサンタンガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記水性連続相が、約0.002~1.0重量%の前記第1の多糖類を含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記水性連続相を加熱して、前記第1の多糖類を溶融させる、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の多糖類が、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の多糖類が、約0.5~30重量%の濃度で前記水性相に添加される、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ゲル化混合物が、約50~95℃の温度で加水分解される、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ゲル化混合物が、約2~72時間の間加水分解される、請求項32~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ゲル化混合物が酸加水分解されて、加水分解されたゲル化混合物を生成する、請求項32~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記加水分解されたゲル化混合物が、ブルックフィールド粘度計#1スピンドルを10rpmで使用して、20℃で測定された約40~150cPの粘度を有する、請求項32~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ガムが、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、及びローカストビーンガム、キサンタンガム、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ガムが、約2~30重量%の濃度で添加される、請求項32~42のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本発明は、オーストラリア仮特許出願第2020/903490号及び同第2020/903609号の優先権を主張し、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、食品グレード増粘剤に関する。具体的には、本発明は、増粘薬剤及び粘度抑制剤組成物を含む安定な液体食品グレード増粘剤組成物に関し、食品グレード増粘剤は、水性液体食材の粘度を増加させるのに好適である。食品グレード増粘剤は、その場で比較的低い粘度を維持し、しかも水性液体又は水性液体固体混合物食材中で希釈される場合、対象食材の粘度は、比較的短時間で有意に増加する。好ましくは、本発明の食品グレード増粘剤の粘度は、組成物の構成要素のうちの1つ以上がその粘度増加効果を完全に発現することを可能にすることによって、食品グレード増粘剤が希釈された場合に瞬時に解放される。本発明はまた、嚥下困難及び/又は嚥下痛などの嚥下障害の治療又は改善又は補助のための食品グレード増粘剤の使用も提供する。最後に、本発明の食品グレード増粘剤を供給するための特に便利な方法である、保管及び供給システムが提供される。しかしながら、本発明は、これらの特定の使用分野に限定されないことが理解されるであろう。
【背景技術】
【0003】
以下の先行技術の考察は、本発明を適切な技術的文脈に置き、その利益をより完全に理解することを可能にするために提供される。しかしながら、本明細書全体にわたる先行技術のいかなる考察も、このような先行技術が広く知られているか、又はその分野における一般的な一般知識の一部を形成しているという明示的又は黙示的な容認とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0004】
食品業界では、最終生成物の粘度を増加させるために、食品配合物に粘度増強剤を添加することが多くの場合望ましい。このような最終生成物の例としては、ヨーグルト及びデザートが挙げられる。粘性の増粘液体を、特に高齢者及び回復期患者の市場に提供することも多くの場合望ましい。増粘された液体は、これらの市場に応用可能である特定の、既知の、再現性のある粘度である必要がある。
【0005】
現在、これらの生成物は、包装前に食材と粘度増強剤とを混合することによって予備調製され、既に包装された最終増粘生成物を提供する。いくつかの事例では、増粘剤は、予備混合された粘性エマルジョン又はゲルとして提供され、次いで、増粘される食品に添加され、撹拌される。ゲルは容易に分散されず、塊になる傾向があるため、これらのゲルを食品に適切に混合することは多くの場合困難であり、塊の多い最終生成物がもたらされる。
【0006】
粘度増強剤はまた、最終ユーザーが増粘される食品に混合するための粉末形態で提供され得る。これらの粘度増強剤が水溶液中に溶解される場合、それらは、一般的に水分子の動きを制限し、増粘からゲル形成まで、著しい粘度増加を引き起こす。これによって、粉末の組み込みにむらが発生する問題が提起され得、非常に高粘度の生成物に空気が組み込まれる可能性を有する。また、粉末状増粘剤の添加は、通常、塊の多い、むらのある生成物をもたらし、それは、特に高齢者消費者、又は咀嚼及び/若しくは嚥下疾患、障害、若しくは状態、例えば嚥下困難を患っている患者にとって、安全又は望ましい消費とはならないだろう。
【0007】
粘度増強剤はまた、水溶液などとして食材にも添加され得る。しかしながら、この方法に伴う問題点のうちの1つは、粘度増強剤が、典型的に溶液中で一旦その粘度を発現し、粘度増強剤の濃度が低くない限り、溶液を吐出することが困難になることである。このことは、添加される溶液の量によって最終生成物の粘度及び濃度が影響を受けるため、食材への溶液の添加に影響を及ぼす。
【0008】
更に、このような溶液は、典型的には不安定であり、直ちに使用されるか、又は保存されなければならない。したがって、この種類の組成物は、典型的には、この形態で調製、保管、又は販売されないが、通常、食品生成物の生成に使用する直前まで粉末状形態で保持される。加えて、カップメジャーを使用するなど、体積による粉末状粘度増強剤の吐出は、粉末のかさ密度の変動に起因して本質的に不正確である。
【0009】
粘性の増粘液体を、特に高齢者及び回復期患者の市場に提供することは、多くの場合望ましい。増粘された液体は、これらの市場に応用可能である特定の、既知の、再現性のある粘度である必要がある。誤嚥性肺炎などの障害の一般的な併存症が予防されるように、嚥下困難患者の嚥下を「遅らせること」において臨床的に有意な有益性を有するとみなされる所定の液体粘度が、多くの規制機関によって開発されている。嚥下障害の様々な重症度を考慮して、以下の専門的な指針:軽度に高粘度(ネクター粘稠性)、中程度に高粘度(蜂蜜粘稠性)、及び極度に高粘度(プリン粘稠性)が、一般的に臨床的に実践されている。
これらの指針は、典型的には、それぞれ150、400、及び900mPa・sと相関する。これらの粘度レベルは、現在、IDDSI(International Dysphagia Diet Standardisation Initiative)フレームワークと称される比較的新しい国際的なフレームワークに含まれており、レベル1-わずかに高粘度、レベル2-軽度に高粘度、レベル3-中程度に高粘度、及びレベル4-極度に高粘度と記載されている。IDDSIフレームワークは、4つの粘稠性レベルの主観的属性を記載するだけでなく、達成されることが望まれる粘稠性への厳密な準拠を確実にするために、厳密に定義された測定範囲を有する客観的試験(IDDSIフロー試験)も規定している。これらの粘稠性パラメータに準拠しないと、上記のような重篤な合併症をもたらし得、かつ虚弱患者及び高齢患者の死亡をもたらし得る嚥下困難を有する人による不安全な嚥下のリスクが増加する。
【0010】
上記を考慮して、改善された液体食品グレード増粘剤組成物の必要性が存在し、これは安定であり、任意の熱い又は冷たい食材にその場で添加されて、既知でかつ再現性のある粘度の増粘された液体食材を提供し得、これは、例えば、咀嚼及び/又は嚥下障害、例えば嚥下困難を患っている対象への栄養補給のために使用され得る。
【0011】
本発明者らは、この発明の分野における他の先行技術文献、例えば、食材を増粘するために使用され得る増粘剤組成物の調製に関する「高度に増粘剤を含有する調製物」(すなわち、JP2007)と題されたJP2007/105018Aを認識している。
【0012】
JP2007は、高粘度増粘剤(キサンタンガムなど)を溶解させるための自由水が不足し、その場ではその粘度を十分に発現し得ないが、水性の対象食材に添加する場合、急速にその粘度を発現し得る流動性の増粘剤溶液を提供するという概念に関する。これは、低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)及び/又は低粘度アルギネート(便宜上、本明細書では「粘度抑制剤」と称される)が水中に溶解される水溶液に、高粘度増粘剤を添加することによって達成される。高粘度増粘剤の溶解を抑制することによって、流動性の増粘剤溶液の粘度が低く保たれ、流動性の増粘剤溶液が水性対象食材に添加される場合、増粘溶液が得られ得る。流動性の増粘剤溶液は、対象食材中に急速に分散し、急速に粘度を発現する。
【0013】
JP2007では、開示される「高粘性ペースト」(すなわち、増粘剤)は、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、カラヤガム、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、アルギネート、変性デンプン、及び高粘度CMCである。水溶液は、低粘度CMC(2~12重量%、好ましくは4~10重量%)、又は低粘度アルギネート(2~12重量%、好ましくは4~10重量%)である粘度抑制剤を含む。
【0014】
JP2007では、100mPa・s未満としての低粘度CMCと、10%CMC水溶液で1000~100000mPa・sの粘度を有する高粘度CMCとを区別している。実施例1は、18mPa・s(10%、20℃、30rpmでのB型粘度計)の粘度を有するCMCを使用し、実施例2~5は、32.8mPa・s(10%、20℃、30rpmでのB型粘度計)の粘度を有するアルギン酸ナトリウムを使用する。これらの実施例では、高粘度増粘剤が、粘度抑制剤を有する水溶液に添加された場合、得られる粘度は、750~2,100mPa・sの範囲であり、その流動性の増粘剤溶液が、20:80重量%の比で、対象食材に添加された場合、粘度は、2,800~3,900mPa・sの範囲であった。
【0015】
本出願人は、JP2007に開示された作業を再現しよう試みたが、JP2007は、その中で開示された流動性の増粘剤溶液が食品グレード増粘剤であると主張しているにもかかわらず、食品グレードである流動性の増粘剤溶液を配合し得なかったことが判明し驚いた。したがって、この先行技術の指示に従って、本出願人は、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態の治療に役立ち得る食品グレードの流動性の増粘剤溶液を配合し得なかった。JP2007は、得られる流動性の増粘剤溶液が食品グレードであることを示しているにもかかわらず、実際には、JP2007の実施例において利用される粘度抑制剤は、食品グレードではなく、したがって、JP2007における食品グレードの流動性の増粘剤溶液の提供に関する有効な開示は存在しないと本出願人によって仮説が立てられた。特に、CMCナトリウムの工業グレードが食品グレードよりも低い見かけ粘度を有することが知られていることから、JP2007の発明者らは、食品グレード粘度抑制剤ではなく、工業グレードの粘度抑制剤を調達したと本出願人によって推測される。この理解は、JP2007の出願人によって商品化された生成物がないという事実と一致しているようであり、この種の生成物には世界中で必要とされる厳密で厳格な食品グレードの基準を満たしていないことを示唆している。
【0016】
更に説明するために、本出願人は、様々な食品グレードCMCナトリウムを調達し、調達され得た最も低分子量の食品グレード(すなわち、10,000ダルトン)は、10%溶液で2000cPsの粘度をもたらしたことを見出した。対照的に、JP2007は、CMCナトリウムが、10%溶液の場合、18cPsの粘度を有することを記載している。これは、以下に更に説明されるように、本出願人がJP2007と本発明との間で明らかにした相違の重要な要因である。CMC溶液の粘度は、濃度とともに急速に増加することもよく知られている。「経験則」では、濃度が2倍の場合、粘度は、8~10倍に増加し、したがって10%溶液で18cPsの粘度は実現不可能である。JP2007の方法において入手可能な最低粘度の食品グレードCMCナトリウムを使用することによって、高すぎて流動性又はポンプ圧送性ではない粘度がもたらされ、対象食材中に容易に分散しない。更なる比較実験データは、以下の実験節において見られ得る。完全を期すために、本出願人がJP2007に開示されている「Dispermix」と同等であるとみなされる汎用固定子を有するSilverson混合器を利用したことは注目に値する。したがって、本出願人がこの先行技術で見出した相違は、本明細書で考察される形成の調製に使用された混合条件又は装置に単に起因するものではない。
【0017】
要約すると、以下の実験節で更に示されるように、食品グレード成分がJP2007の教示において使用される場合、生成された組成物は、水性食材において流動性、ポンプ圧送性及び/又は分散性ではない。したがって、JP2007の組成物は、食品グレードではない成分からなり、したがって、嚥下障害を患っている対象の治療において適切ではない。JP2007で主張されているにもかかわらず、その文献では食品グレード増粘剤は生成されていない。本発明は、先行技術を上回る進歩である。なぜなら、本出願人は、流動性で、ポンプ圧送性で、対象水性食材中に容易に分散する増粘溶液を調製することが可能であり、食品グレードであり、したがって、それは、嚥下障害を患っている対象の治療に役立ち得る。
【0018】
必要なのは、以下の本発明の目的のうちの1つ以上に対処する食品グレード増粘剤を(食品グレード成分を使用して)生成するための方法論である。本明細書で開示されるように、本出願人は、JP2007に対する特許可能な改善を提示する食品グレード増粘剤を配合し得た。
【0019】
本発明の目的は、先行技術の1つ以上の不利益を克服又は改善すること、又は少なくとも有用な代替物を提供することである。
【0020】
本発明の好ましい実施形態の目的は、増粘液体が均質であり、食品グレードであるように、流動性であり、ポンプ圧送性であり、水性液体に分散性である食品グレード増粘剤溶液を提供することである。
【0021】
本発明の更に好ましい実施形態の目的は、以下の利益のうちの1つ以上をも有する食品グレード増粘剤を提供することである:均質性(すなわち、未分散増粘剤の塊又はドメインを含有しない)であり、十分な水和速度を有するため、ピーク粘度は、低せん断(すなわち、フォーク/スプーンを用いて30~80BPM)で短い時間枠内(すなわち、約30~60秒)で到達し、食品グレードポンプを用いる供給時にせん断に耐える能力を有し、経時的に分離せず若しくは実質的な分離を示さず、透明(clear)/透明(transparent)(すなわち、対象食材に対してほとんど色を付与しない、又は色を付与しない)であり、ほとんど臭気を有さず若しくは臭気を有さず、かつ/又は比較的少量の添加で、増粘される対象食材の風味又は他の所望の属性を損なうことなく、安全にテクスチャを変性し得るように、十分に高濃度である。
【発明の概要】
【0022】
第1の態様によれば、本発明は、食品グレード増粘剤を提供するための方法を提供し、方法は、
水性相を提供する工程と、
水性相に多糖類を添加し、それによってゲル化混合物を形成する工程と、ゲル化混合物を加水分解して、ゲル化混合物の粘度を低減させる工程と、ガムを、ガムがその粘度を部分的にのみ発現するような条件下で加水分解されたゲル化混合物に添加し、それによって食品グレード増粘剤を形成する工程と、を含む。
【0023】
一実施形態では、水性相は、水を含み、次いで、多糖類(すなわち、以下で考察されるような第1及び/又は第2の多糖類)が、その水性相に添加される。別の実施形態では、水性連続相は、第1の多糖類を用いて最初に確立され、第2の多糖類をそれに添加して、それによってゲル化混合物を形成する。
【0024】
第1の態様による本発明は、本質的に、ガムの形態の増粘薬剤が添加される粘度抑制剤組成物を含み、粘度抑制剤組成物は、ガムがその粘度を部分的にのみ発現するように配合される。
【0025】
本発明は、先行技術を有意に前進させるものである。いくつかの実施形態では、最初の工程では、本発明は、第1の多糖類の水性連続相を提供し、次いで、ゲル化混合物が、第2の多糖類を使用してその水性連続相内に形成される。次いで、ゲル化水性連続相が加水分解されて、所定の粘度を得る。加水分解条件は、好ましくは、20時間未満の期間、約80~90℃であるが、この好ましい時間よりも短くても長くてもよく、かつ/又はこの好ましい温度範囲よりも高温であっても低温であってもよい。好ましくは、本方法の工程のうちの1つ以上は、以下で更に説明されるように、高いせん断条件を使用する先行技術とは対照的である低いせん断条件下で実行される。最終工程では、十分な量のキサンタンガムなどのガムが、好ましくは約4~8重量%の濃度で加水分解された連続相に添加されて、加水分解された連続相中にキサンタンガムの懸濁液又は分散液を生成し、ブルックフィールド粘度計#3スピンドルを5RPMで使用して、20℃で測定された約4,000cPの見かけ粘度を生成する。食品グレード増粘剤は、好ましくは、組成物の構成要素の分離に抵抗し、しかもチキソトロピーを保持し、供給ポンプによって吐出性であるようにせん断変形に抵抗し、対象食材を急速に増粘する能力を保持するべきである。
【0026】
本出願人は、本明細書に開示される本発明方法が、本発明の食品グレード増粘剤のポンプ圧送性及び注入性に関連する、増粘剤システムの「凝集力」及び「接着力」であると理解されるものに対する制御を提供することを見出した。「凝集力」及び「接着力」パラメータは、以下の試験によって測定される。
●凝集力-ブルックフィールド粘度計#3スピンドルを5RPMで使用して、20℃で測定された約約5,000cPs未満の見かけ粘度、及び
●接着力-ボストウィックコンシストメータを使用して、20℃、30秒で測定された約15cmを超える流動抵抗。
システムの「凝集力」及び「接着力」パラメータ、又はその等価物を測定するために、他の方法が使用され得ることが理解されるであろう。
【0027】
粘度測定単独では、研究中のシステムの十分な特性を提供しないことが見出された。しかしながら、これらの基準を満たす本発明の食品グレード増粘剤を調製することは、流動性であり、ポンプ圧送性であり、水性食材に分散性である。本発明の食品グレード増粘剤はまた、均質であり、それが組み合わされる水性食材に追加の不均質性を付与しない。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、第2の多糖類は、当初、方法によって「緩和され」、ガムを収容し、それがわずかに水和することを可能にする三次構造を有し、所望の凝集/接着特性が達成されるようになっていると考えられている。第1の多糖類の組み合わせを利用して、最初に連続相を調製し、第2の多糖類をその中に分散させてゲル化網目構造を形成し、次いで、組み合わされた多糖類ゲル化網目構造を加水分解することによって、ガムが一度添加されると部分的にのみ水和することを可能にするように、網目構造の化学結合が分解され、それによってその粘度発現が抑制されるように思われる。
【0028】
第一に、第1の多糖類の水性連続相を確立する工程と、次いで第二に、第2の多糖類を連続相に添加し、それによってゲル化混合物を形成する工程と、次いでゲル化混合物を加水分解して、ゲル化混合物の粘度を所定の範囲に低減させる工程とによって、本発明の食品グレード増粘剤(すなわち、ガムを含む)が、以下の有益な特性のうちの1つ以上、特に好ましい実施形態では、これらの実施形態の複数、いくつかの好ましい実施形態では、以下の特性の全てを有することを可能にすることが、本出願人によって見出された。均質性(すなわち、未分散増粘剤の塊又はドメインを含有しない)であり、十分な水和速度を有するため、ピーク粘度は、低せん断(すなわち、フォーク/スプーンを用いて30~150BPM)で短い時間枠内(すなわち、約30~60秒)で到達し、食品グレードポンプを用いる供給時にせん断に耐える能力を有し(すなわち、非ニュートン/チキソトロピック流体である)、経時的に分離せず、対象食材中で透明/透明(すなわち、ほとんど無色又は無色)であり、増粘される対象食材にいかなる風味も付与しないように臭気及び/又は味を有しない。本発明の特定の工程は、JP2007によって予示されず、示唆さえされておらず、この先行技術文献によって生成され得ない食品グレード増粘剤を生成することを可能にする。本発明の食品グレード増粘剤は、少なくとも上記の理由のために、市販の生成物を上回る進歩である。
【0029】
以下に示されるように、本明細書に記載される本発明の増粘剤組成物とは対照的に、先行技術は、好ましい凝集特性の代理であり、分散性に関連する5000cPs未満の見かけ粘度を示さない。加えて、先行技術は、ポンプ圧送性に関連する好ましい接着特性の代理であるボストウィックコンシストメータを使用して、20℃、30秒で測定された約15cmを超える流動抵抗を示さない。
【0030】
第1の多糖類
いくつかの実施形態では、本発明の方法の第1の工程では、第1の多糖類の水性連続相が確立される。第1の多糖類は、単一の多糖類又は複数の多糖類であり得る。第1の多糖類は、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。どのような第1の多糖類が利用されるにしても、それは、食品グレードであることが理解されるであろう。いくつかの多糖類は、使用前に変性され得、例えば、それらは、より高い又はより低い分子量を有するように、又は異なる粘度を有するように変性され得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、多糖類はまた、ゲル化温度を調整するように変性され得る。いくつかの実施形態では、ゲル化温度は、10~100℃、又は20~100℃、又は30~50℃、又は40~60℃、又は50~70℃、又は60~80℃、又は70~90℃、又は80~95℃、又は90~100℃であるように調整される。一実施形態では、ゲル化温度は、ゲル化カチオンの添加を通して修正され得る。いくつかの実施形態では、多糖類は、より低い又はより高いアシル化を有するように変性され得るか、又は低アシル若しくは高アシル形態で使用され得る。低アシルとは、部分的(アシル化度1~50%)又は完全(アシル化度1%未満)に脱アシル化された多糖類を指し、高アシルとは、比較的多数のアシル置換基、例えば、50%を超えるアシル化のアシル化度を含有する多糖類を指すことが理解されるであろう。
【0031】
水性連続相を確立するために、好ましい実施形態では、水のpHは、食品グレード酸性化剤を用いてpH3~4に調整される。任意の食品グレード酸性化剤が使用され得るが、一実施形態では、グルコノ-デルタ-ラクトン(GDL)が使用される。次いで、第1の多糖類が酸性化水に添加され、混合されて、好ましくは高いせん断条件下で組み込まれる。好ましい実施形態では、第1の多糖類の濃度は、0.01重量%、又は0.01~0.06重量%若しくは1:50~1:100の比である。しかしながら、0.002、0.004、0.006、0.008、0.010、0.012、0.014、0.016、0.018、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.2、0.4、0.6、0.8、又は1.0重量%などの他の濃度が使用され得ることが理解されるであろう。また、この工程で使用される濃度は、使用される特定の第1の多糖類、及びゲル化カチオンの濃度に基づいて変化し得ることも理解されるであろう。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1の多糖類が酸性化水中に分散されると、ゲル化カチオン、任意選択的に1つ以上の保存料が添加され得る。好適なゲル化カチオンは、0.001重量%のCaClである。しかしながら、他のゲル化カチオンが、異なる濃度で使用され得ることが理解されるであろう。ゲル化カチオンの使用は、最終食品グレード増粘剤に追加の安定性を提供し得、経時的な食品グレード増粘剤の分離を回避するのに役立ち得る。好適な保存料は、約1000ppmで組み込まれ得るソルビン酸カリウムである。しかしながら、他の保存料が、異なる濃度で使用され得ることが理解されるであろう。
【0033】
次いで、溶液が加熱されて、第1の多糖類を「溶融」させ、第1の多糖類を含む水性連続相を確立することが好ましい。いくつかの実施形態では、溶液は、第1の多糖類の設定温度に加熱される。いくつかの実施形態では、溶液は、第1の多糖類の溶融温度に加熱される。いくつかの実施形態では、溶液は、設定温度と溶融温度との間に加熱される。他の実施形態では、第1の多糖類は、設定温度及び溶融温度のいずれかをはるかに上回るまで加熱される。好ましい実施形態では、溶液は、60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5℃に加熱される。二価のカチオンは、一価のイオンと比較して、いくつかの多糖類のゲル化を促進する上でより効率的であることが理解されるであろう。いくつかの多糖類のゲル化及び設定温度は、カチオン濃度とともに上昇し得ることも理解されるであろう。
【0034】
第2の多糖類
本発明の方法の更なる工程では、第2の多糖類が連続相に添加されて、それによってゲル化混合物を形成する。本発明のいくつかの実施形態では、第2の多糖類は、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、及びキサンタンガムからなる群から選択される1つ以上の材料を含む。本発明のいくつかの実施形態では、第2の多糖類は、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロースからなる群から選択される1つ以上の材料を含む。
【0035】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第2の多糖類は、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウムである。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第2の多糖類は、低分子量CMCナトリウムである。好ましい分子量は、5,000~10,000、10,000~15,000、15,000~20,000、20,000~25,000、又は25,000~30,000ダルトンの範囲である。いくつかの好ましい実施形態では、第2の多糖類は、低分子量CMCナトリウムの混合物である。本発明のこの実施形態では、第1のCMCナトリウム及び第2のCMCナトリウムは、約1:1の比で使用される。しかしながら、他の比、例えば、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10が好適であり得ることが理解されるであろう。第1及び第2のCMCナトリウムは、食品グレードであることが理解されるであろう。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態では、十分な量の第2の多糖類が水性連続相に添加されて、約3~5重量%の目標濃度を得る。しかしながら、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、若しくは30%、又はその間の任意の他の濃度などの濃度の範囲が使用され得ることが理解されるであろう。また、この工程で使用される濃度は、使用される特定の多糖類に基づいて変化し得ることも理解されるであろう。
【0037】
市場の生成物は、異なる特性を有する多糖類の組み合わせを使用していないと理解される。本出願人は、多糖類の組み合わせを使用することによって、ゲル化混合物の特性を微調整して、所望の見かけ粘度(ブルックフィールド)及び流動抵抗(ボストウィック)を有する最終目標濃縮物、並びにポンプ圧送性、並びに透明性及び分散性などの特性を得ることができることを見出した。多糖類分子の分子量及び置換度(DOS)は、溶液特性に大きな影響を及ぼすことが知られている。一般的に言えば、DOSが増加するにつれて、溶液の透明性は、安定性と同様に増加するが、(水素結合を介する)相互作用及びチキソトロピーは低減し得る。分子量に起因する競合効果も存在する。
【0038】
高分子量形態の多糖類及び低分子量形態の多糖類の両方から有益な特性を得ることが理想的であろう。例えば、高分子量多糖類の使用に由来する傾向のある安定性及び透明性が好ましく、多糖類の低分子量形態の特性である傾向のある連続相のほぼニュートン挙動(チキソトロピー)が好ましい。ほぼニュートン挙動であることが好ましく、そうでない場合は、十分なガムの導入と、ポンプ圧送性、流動性、分散性、及び経時安定性の特性の達成とを両立させることは、困難である。食品グレード増粘剤がポンプ圧送方法中にせん断を経験する場合、粘度(流動抵抗)が低下し、これがガムに影響を及ぼし得、その結果として、対象食材に添加された場合にその粘度を表現するのにかかり得る時間に影響を及ぼし、本発明の食品グレード増粘剤の有用性に悪影響を及ぼす。本発明の食品グレード増粘剤の好ましい目的は、<30秒の国際嚥下困難食標準化イニシアチブ(Dysphagia Diet Standardisation Initiative、IDDSI)を提供することである。IDDSIフレームワークは、8つのレベル(0~7)の連続体からなる。レベルは、数字、テキストラベル、及びカラーコードによって特定される。(IDDSIフレームワークの更なる情報及び詳細については、https://iddsi.org/を参照されたい)。
【0039】
本明細書で使用される場合、多糖類という用語は、合成多糖類、天然に存在する多糖類、多糖類断片、及びこれらの任意の組み合わせを含む。合成多糖類は、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシビニルポリマー、メチルビニルエーテル、無水マレイン酸ポリマー、エチレンオキシドポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。天然に存在する多糖類は、スクレログルカン、デキストラン、エルシナン、レバン、オルタナン、イヌリン、グルコオリゴ糖類、アカシア樹多糖類抽出物、アラビノキシラン、カードラン、カラマツオクシデンタリス多糖類抽出物、カラマツラリシナ多糖類抽出物、カラマツデシドゥア多糖類抽出物、カラマツシビリカ多糖類抽出物、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。多糖類断片は、プルラン断片、大豆多糖類断片、アラビノガラクタン断片、アラビアガム断片、寒天断片、アルギン酸断片、カラギーナン断片、グアーガム断片、トラガカントガム断片、ガティガム断片、カラヤガム断片、ローカストビーンガム断片、タラガム断片、サイリウムシードガム断片、クインスシードガム断片、ペクチンガム断片、ファーセララン断片、ジェランガム断片、コンニャク断片、カルボキシメチルセルロースナトリウム断片、アルギン酸ナトリウム断片、キサンタンガム断片、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。また、本発明の範囲内にあるのは、アルギン酸ナトリウム断片、キサンタンガム断片、ペクチン断片、ジェランガム断片、カラヤガム断片、トラガカントガム断片、カルボキシメチルセルロースナトリウム断片、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるイオン性多糖類の使用である。
【0040】
合成多糖類を合成するプロセスでは、合成多糖類の重合度、したがって、ポリマー鎖長は、少なくともある程度、事前に決定され得るか、又は制御され得ることが理解されるであろう。したがって、このような合成多糖類は、本発明の食品グレード増粘剤に望ましい正確な機能的要件(例えば、増粘薬剤によって付与される粘度を好適に抑制する能力)に適応し得る。
【0041】
本明細書に記載される多糖類断片は、当該技術分野において既知の任意の方法によって生成され得る。例として、高平均分子量(例えば、500,000を超える)、したがって高粘度の天然に存在する多糖類は、加水分解(例えば、酸加水分解)によって、そのより低い平均分子量断片(例えば、500000未満)、したがってより低い粘度に低減され得る。クエン酸、塩酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸などの任意の食品グレード酸が、4未満、好ましくは1.0~3.0のpHを達成するのに十分な濃度で使用され得、所望の加水分解レベルに到達するまで、約60~約120℃、好ましくは約80~約100℃に、およそ5~6時間、好ましくは2~3時間加熱され得る。1気圧を超えるものなどの高圧が、加水分解の速度を加速するために使用され得、したがって、全体的なプロセス時間が低減され得る。
【0042】
あるいは、本明細書に記載される多糖類断片は、より大きな出発多糖類の酵素消化によって生成され得る。天然に存在する多糖類は、その基本構造(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、キシロース)において糖を含有し、様々な種類のグリコシド結合を介して結合し、グリコシド結合は、様々な特定の酵素によって加水分解され得る。出発多糖類の消化に必要な特定の酵素は、典型的には、加水分解の対象とされる特定の糖/糖結合によって決まり、したがって、分子量の低減の程度を決定することを当業者には理解されるであろう。加えて、最も効果的な加水分解度を達成するための最適な条件は、当該の酵素及び加水分解し得るグリコシド結合の種類にも固有のものである。
【0043】
多糖類断片のサイズは、典型的には、食品グレード増粘剤の増粘薬剤によって付与される粘度の抑制により便利に適合する、より小さな多糖類への要望など、様々な要因の関数となるであろう。特定の実施形態では、多糖類断片は、より大きな出発多糖類の少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、2000、2050、2100、2150、2200、2250、2300、2350、2400、2450、2500、2550、2600、2650、2700、又は2750個の連続した糖類単位、又はその中の任意の範囲を含む。
【0044】
セルロース多糖類を分類する別の方法は、それらが所与の濃度に対して生成し得る粘度の量によるものである。これは、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウムを参照して以下のように説明され得るが、全てのセルロース多糖類に等しく応用可能である。カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウムは、特定の濃度(典型的には、2%w/w)の溶液が生成する粘度に応じて、以下の群に分類され得る:
●高粘度CMC-2%w/w溶液、DP>1000、平均分子量>250000の場合、50000~8000mPa.s
●中粘度CMC-2%w/w溶液、DP750~1000、平均分子量175000~250000の場合、8000~800mPa.s
●低粘度CMC-2%w/w溶液、DP500~750、平均分子量175000~125000の場合、100~800mPa.s
●超低粘度CMC-2%w/w溶液、DP<500、平均分子量<125000の場合、100~1mPa.s。
【0045】
CMCの2%w/w溶液の粘度と重合度(したがって、その分子量)との間に関係が存在するので、CMC(及び実際には全てのセルロース系多糖類)の粘度抑制能力は、そのCMCの2%溶液の有効範囲によって指定することが同様に有効である。低粘度CMC、中粘度CMC、及び高粘度CMCは、流動性の液体増粘剤溶液を生成し得ないほど高すぎる2%の溶液粘度を生成する。代わりに、それらは、液体食品に分散するのが困難である、高粘度で非流動性のペーストを生成する。図5は、上記の4つのCMCガム群の典型的な粘度対濃度プロファイルを例示する。
【0046】
本明細書に提供される食品グレード増粘剤は、合成多糖類、天然に存在する多糖類、多糖類断片、及び/又はイオン性多糖類を含む1つ以上の多糖類を含み得る。例として、食品グレード増粘剤は、本明細書に記載されるものなどの1、2、3、4、5以上の多糖類を含み得る。
【0047】
連続相中で第2の多糖類を混合し、それによってゲル化混合物を形成する
好ましい実施形態では、第2の多糖類は、低せん断条件下で連続相中で混合されて、第2の多糖類を可溶化し、ゲル化混合物を形成する。好適な混合速度は、10~200rpmである。しかしながら、様々な装置が使用され得、様々な混合速度が用いられ得ることが理解されるであろう。せん断条件は、最小化されるか、又は低く保たれることが好ましい。これは、2000rpmでのローター固定子であると理解されるものを使用して、高混合速度及び/又は高せん断条件を使用する先行技術からの逸脱である。高い混合速度及び/又は高いせん断条件を使用することによって、第2の多糖類から高すぎる粘度が発現され得、これは、本発明の食品グレード増粘剤の約4000~5000cPsの目標よりも見かけ粘度を増加させ、システムに対する不可逆的粘度及び/又はレオロジー変化となる。以下で更に考察されるように、本発明の食品グレード増粘剤は、対象食材中に急速な分散を提供する約4000~5000cPsの見かけ粘度を有することが好ましい。
【0048】
図2においてわかるように、高せん断条件下で多糖類を組み込むことによって、組成物の透明性が低減され得る。図2aは、低せん断混合(10~200rpm)を使用して組み込まれ、続いて0、8、10、12、及び14時間加水分解されたCMC溶液を示す。ラベル裏面の文字が溶液を通して明確に見られ得、それは、ほぼ水のような透明性を示す。比較において、図2bは、高せん断混合(7600~10200rpm)を使用して組み込まれ、続いて0、12、24、36、及び48時間加水分解されたCMC溶液を示す。これらの画像は、図2aの溶液が、図2bの溶液よりも実質的に高い透明性を有することを明確に示す。ラベル裏面の文字は、溶液(T-0)を通してのみ見られ得、それは、ほぼ水のような透明性を示すが、他の実験では、溶液は、完全に又は実質的に不透明である。
【0049】
第2の多糖類を溶解する方法、及び溶解中の撹拌(せん断)の程度は、本発明の食品グレード増粘剤の最終粘度に影響を及ぼし得ることが理解されるであろう。加えて、溶媒、第2の多糖類の化学組成、及び/又は最終溶液のせん断履歴は、第2の多糖類の溶解特性に影響を及ぼし得る。
【0050】
加水分解段階
本発明の方法の好ましい形態の更なる工程では、ゲル化混合物が加水分解されて、ゲル化混合物の粘度を低減させる。当業者は、ゲル化混合物を加水分解するために、様々な方法が使用され得ることを理解するであろう。しかしながら、1つの好ましい実施形態では、ゲル化混合物の温度は、好ましくは、約95℃、又は約90℃、又は正確に90℃、又は89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75、70、65、60、55、又は50℃に上昇する。いくつかの好ましい実施形態では、ゲル化混合物が温度で保持される時間は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、60、若しくは72時間、又はその間の任意の時間である。
【0051】
好ましい実施形態では、加水分解段階は、粘度が好ましくは(ブルックフィールド回転粘度計スピンドル#1を用いて、10rpm、20℃で測定された)約80~90cPsの範囲である所定粘度に低減されるように、十分な時間及び十分な温度で実行される。他の好ましい実施形態では、粘度は、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~110、110~120、120~130、130~140、又は140~150cPの範囲にもたらされる。典型的には、ゲル化混合物の粘度は、(ブルックフィールド回転粘度計スピンドル#3を用いて、20rpm、20℃で測定された)約250~300cPsであり、これは、加水分解段階が約50%の粘度低減を提供することを意味するが、20、30、40、50、60、70、80、又は90%の粘度低減を提供するように実行され得る。ゲル化混合物は、約250~300cPsよりも高い又は低い粘度を有し得、ゲル化混合物の開始粘度に関係なく、加水分解段階は、好ましくは約60~120cPsの目標粘度を達成するように実行されることが理解されるであろう。
【0052】
本発明の1つの好ましい実施形態では、加水分解された材料は、沈殿せず、回収され、回収された材料は、次いで、ガムが添加される連続相を作り出すために使用されるという条件がある。
【0053】
これは、例えば、pHを調整し、保存料を添加するために、加水分解されたゲル化混合物に他の食品グレード添加物を提供するための本発明の方法において、便利な点であることが理解されるであろう。
【0054】
第2の多糖類を加水分解するための別の潜在的な方法は、酵素加水分解によるものである。多糖類分子中の特定の結合を切断し得る多くの酵素が存在する。これらの酵素の作用によって切断される場合、多糖類は、その分子量を効果的に減少させ、水に結合し、その動きを制限するのに潜在的に有効ではないより小さな分子になり、すなわち、多糖類が発現し得る見かけ粘度を低減させる。以下の表1は、様々な食品多糖類を切断することが可能である酵素を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
酵素加水分解のための最適な条件は、各酵素について異なるが、当業者には周知である。当業者は、酵素加水分解のための最適な条件を選択し、多糖類溶液の粘度の低減を監視することによって、加水分解反応の進行を監視し得る。一般的に、少なくとも2倍の粘度低減、典型的には少なくとも3倍の低減、及び潜在的には5倍又は7倍と同程度の粘度低減が観察される。
【0057】
ガム添加
好ましくは、加水分解されたゲル化混合物の条件は、ガムがその粘度を部分的にのみ発現するようなものである。好ましい実施形態では、約4~8重量%のガムが添加される。他の濃度、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30重量%が使用され得ることが理解されるであろう。
【0058】
好ましくは、ガムは、低せん断条件下で加水分解されたゲル化混合物に添加され、ガムを部分的に水和させるために組み込まれる。好適な混合速度は、10~200rpmである。しかしながら、約4000~5000cPsの目標最終粘度を達成するために、低いせん断条件を含み得る様々な混合速度が用いられ得ることが理解されるであろう。
【0059】
理論に拘束されることを望まないが、本発明の方法は、ガムの水和の程度を限定する多糖類の最適な三次及び四次構造を提供し、それによってポンプ圧送中のせん断抵抗又はせん断耐性を提供すると同時に、対象食材への急速な分散を容易にし、ガムのピーク粘度が穏やかな撹拌条件下、例えば100~150BPMで30秒間で到達されるようにする。
【0060】
ガム及び増粘薬剤
本発明の方法によれば、ガムは、加水分解されたゲル化混合物に添加される。「ガム」及び「増粘薬剤」という用語は、本明細書では互換的に使用されることが理解されるであろう。一実施形態では、単一のガムが加水分解されたゲル化混合物に添加される。しかしながら、1つ以上のガムが添加され得ることが理解されるであろう。ガムは、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、ガラクトマンナン(フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、及びローカストビーンガム)、キサンタンガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、ガムは、アルギン酸、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、ジェランガム、カラヤガム、トラガカントガム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0062】
本発明の一態様は、ガムが、食品グレード増粘剤が、ガムのみを含む食品グレード増粘剤よりも低い粘度を有するような量で含まれていることである。
【0063】
好ましくは、加水分解された第1及び第2の多糖類の組み合わせ作用から得られたゲル化連続相は、食品グレード増粘剤の粘度が、ガムのみを含む組成物の粘度の少なくとも50%、40%、30%、20%、10%、又は5%であるように、ガムの添加を可能にする。
【0064】
水溶液の粘度を増加させるための、本明細書に記載されるものなどの増粘薬剤の能力は、典型的には、少なくとも部分的に、水分子を結合する能力、及び/又は剛性結晶様構造から、水の移動を妨げる強結合及び弱結合を形成し得る絡み合ったランダムポリマー鎖の網目構造に展開する能力によって決定される。水分子が溶液中で自由に移動する障害は、粘度の増加として現れる。この目的のために、本発明は、少なくとも部分的に、特定の増粘薬剤の水結合能力及び/又はこれらの特定の増粘薬剤が剛性結晶様構造から絡み合ったランダムポリマー鎖の網目構造に展開し得る程度が、本明細書に記載されるものなどの1つ又は複数の多糖類の添加によって、特定の程度の粘度抑制を引き起こすように調整及び/又は制御され得るという発見に基づいている。加えて、これらの多糖類は、食品グレード増粘剤の希釈時に、それらの粘度抑制が解除及び/又は逆転する速度及び程度を更に制御し得る。
【0065】
上記の態様の特定の実施形態では、食品グレード増粘剤は、1つ以上のガムを含む。例えば、食品グレード増粘剤は、1、2、3、4、5以上の増粘薬剤を含み得る。
【0066】
食品グレード増粘剤
本発明の食品グレード増粘剤は、以下の特性のうちの1つ以上を有する。
a)貯蔵安定性:密閉容器中>6ヶ月の貯蔵寿命。
b)流動性:濃縮物の見かけ粘度は、それが注入され得るようなものである。
c)分散性:食品グレード増粘剤は、穏やかな撹拌(例えば、<1分で100BPM)をしながら対象食材に組み込まれて、30秒以内に粘度を発現し得る。
d)ポンプ圧送性:食品グレード増粘剤は、分散性に悪影響を及ぼすことなく、(本質的にせん断を付与する)吐出ポンプを通してポンプ圧送され得る。本発明の食品グレード増粘剤は、ポンプ圧送時のせん断に抵抗する。
e)透明性:本発明の食品グレード増粘剤は、透明(clear)かつ透明(transparent)である。例えば、水中の7%溶液は、650nm(1cmの経路長)で>98%の透過率を有する。先行技術は、透明性について沈黙しており、以下に示されるように、本発明の食品グレード増粘剤によって達成される透明性を有しない。
f)均質性:食品グレード増粘剤は、バルク内に塊又は高度にゲル化されたドメイン又は凝集体がないことと実質的に一致するという点で、実質的に均質である。
【0067】
好ましくは、本明細書で言及される食品グレード増粘剤は、室温で少なくとも6ヶ月間、及び少なくとも2年まで安定である。本発明の増粘剤組成物は、増粘薬剤の性能を有意に劣化させることなく安定であるため、商業的に合理的な期間、粘度は一定のままである。したがって、配合物は、それ自体パッケージ化された生成物として、例えば計量ポンプディスペンサでエンドユーザーに提供され得る。この目的のために、エンドユーザーは、その所望の最終粘度を達成するために、食品又は飲料に添加する本発明の良好なグレードの増粘剤の量を確実に計算し得る。次いで、本発明の食品グレード増粘剤は、容易に吐出され、食材中に容易に混合されて、所望の最終生成物を得る。このように食品グレード増粘剤を包装して使用することができるのは、増粘薬剤と多糖類との組み合わされた存在の結果であり、これは、増粘薬剤の粘度の発現を抑制し、正確なパックサイズが適切でない場合に正確に測定すること、及び液体食材に組み込むことが著しく困難である、粉末又はゲル様の増粘剤の従来の小袋と比較して使用する際の明確な有益性を提供する。
【0068】
いくつかの実施形態では、食品グレード増粘剤は、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、5100、5200、5300、5400、5500、5600、5700、5800、5900、6000、6100、6200、6300、6400、6500、6600、6700、6800、6900、7000、7100、7200、7300、7400、7500、7600、7700、7800、7900、8000、8100、8200、8300、8400、8500、8600、8700、8800、8900、9000、9500、10000、11000、12000、13000、14000、15000、16000、17000、18000、19000、20000cP、又はその中の任意の範囲の粘度を有する。好ましくは、食品グレード増粘剤は、約500cP~約10000cPの粘度を有する。より好ましくは、食品グレード増粘剤は、約2000cP~約8000cPの粘度を有する。1つの好ましい実施形態では、食品グレード増粘剤は、ポンプ吐出性である粘度のものである。
【0069】
本発明の液体食品グレード増粘剤の経時的安定性は、食品グレード増粘剤の色(もしあれば)、風味(もしあれば)、分離(もしあれば)、微生物的腐敗(もしあれば)、粘度及び/又は透明性の保持によって示され得る。加えて、又はあるいは、食品グレード増粘剤の安定性は、食材に添加された場合、組成物が所定のレベルに粘度を付与する能力によって決定され得る。食品グレード増粘剤の安定性は、微生物学的腐敗の程度及び速度を測定する微生物学的試験、分離及び/又は沈殿などの物理的変化のための目視検査、色、風味、及び/又は透明性の変化を決定する官能評価、ボストウィックコンシストメータ又はブルックフィールド粘度計又は類似のデバイスを使用する粘性測定を含む、食品科学分野の当業者に利用可能な技術のいずれかを使用することによって決定され得る。
【0070】
第2の態様によれば、本発明は、第1の態様に従った方法によって生成される場合、食品グレード増粘剤を提供する。
【0071】
第3の態様によれば、本発明は、水性液体又は水性液体固体混合物食材の粘度を増加させるための方法であって、食材に、第1の態様に従った方法によって生成された食品グレード増粘剤を添加する工程を含む、方法を提供する。
【0072】
第4の態様によれば、本発明は、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態を患っている対象を治療する方法であって、食材を対象に投与する工程を含み、食材が、第1の態様に従った方法によって生成された食品グレード増粘剤を含む、方法を提供する。
【0073】
第5の態様によれば、本発明は、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態の治療又は改善のための医薬の製造における、第1の態様に従った方法によって生成された食品グレード増粘剤の使用を提供する。
【0074】
第6の態様によれば、本発明は、嚥下困難の克服又は改善を、このような治療を必要とする患者において行う方法であって、当該患者による消費のために、食品又は飲料を、第1の態様に従った方法によって生成された食品グレード増粘剤を用いて増粘する工程を含む、方法を提供する。
【0075】
第7の態様によれば、本発明は、嚥下困難の克服又は改善を、このような治療を必要とする患者において行うための医薬の製造における、第1の態様に従った方法によって生成された食品グレード増粘剤の使用を提供する。
【0076】
第8の態様によれば、本発明は、食品グレード増粘剤のための保管及び供給システムであって、
a.)第1の態様に従った方法によって生成された食品グレード増粘剤を収容する容器と、
b.)容器に密閉して取り付けられたポンプディスペンサと、を備え、当該ディスペンサが、容器内で組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える、保管及び供給システムを提供する。
【0077】
第9の態様によれば、本発明は、食品グレード増粘剤のための保管及び供給システムのためのキットであって、
a.)第1の態様に従った方法によって生成された食品グレード増粘剤を収容する容器と、
b.)容器への取り付けのためのポンプディスペンサと、を備え、
当該ポンプディスペンサが、容器内で組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える、キットを提供する。
【0078】
第10の態様によれば、本発明は、食品グレード増粘剤を水性液体又は水性液体固体混合物食材に供給する方法であって、
a.)第1の態様に従った方法によって生成された食品グレード増粘剤を収容する容器を提供する工程と、
b.)ポンプディスペンサに力を加えて、それによって所定体積の食品グレード増粘剤の1回以上の投与を食材に供給する工程と、を含む方法を提供する。
【0079】
第11の態様によれば、本発明は、注入性の食品グレード増粘剤を含む、嚥下障害を補助又は嚥下障害を改善する組成物であって、#3スピンドルを5rpmで使用して、20℃で測定された約約5,000cPs未満の見かけ粘度、及びボストウィックコンシストメータを使用して、20℃、30秒で測定された約12cmを超える流動抵抗を有し、1cmの経路長を使用して測定された場合、650nmで>90%の透過率を有する、嚥下障害を補助又は嚥下障害を改善する組成物を提供する。
【0080】
第12の態様によれば、本発明は、食品グレード増粘剤を提供するための方法であって、
第1の多糖類の水性連続相を確立する工程と、
連続相に第2の多糖類を添加し、それによってゲル化混合物を形成する工程と、
ゲル化混合物を加水分解して、ゲル化混合物の粘度を低減させる工程と、ガムを、ガムがその粘度を部分的にのみ発現するような条件下で加水分解されたゲル化混合物に添加し、それによって食品グレード増粘剤を形成する工程と、を含む、方法を提供する。
【0081】
嚥下障害の治療
嚥下に伴う困難は、一般的に2つの問題を指す。
a.)嚥下困難-食品及び液体が逆流したり、若しくは胸に詰まったりする感覚、又は嚥下中に咳込み若しくは窒息を引き起こす喉の不調、及び
b.)嚥下痛-嚥下中の喉又は胸の痛み。
【0082】
嚥下障害は、神経又は筋肉の調整不足の結果であり得るか、又は感染症及び腫瘍の結果であり得ることもある。嚥下障害の症状は、以下を含む。
●嚥下困難-下る途中での食品「詰まり」の感覚、及び食品又は液体を口から食道に胃に通過させることの困難、
●嚥下中又は嚥下直後の咳込み、
●窒息-喉又は食道における食品又は液体の詰まった感覚、続いての咳込み、
●逆流-首尾よく通過した後に、口又は咽頭への食品又は液体の戻り。
●鼻の逆流-食品又は液体が鼻に入る場合、これは、鼻咽頭が適切に閉じない場合に起こる
【0083】
他の症状としては、喉の痛み、嗄声、息切れ、及び胸の不快感又は痛みが挙げられ得る。
【0084】
本発明の食品グレード増粘剤は、食材の摂取に役立てることによって、このような嚥下障害を患っている患者に援助を提供する。具体的には、治療は、上記の症状のうちの1つ以上を回避又は実質的に回避するように食材を変性する工程を含む。好ましくは、本明細書に開示される本発明の食品グレード増粘剤の使用の結果として、増加した粘度を有する対象食材は、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態を患っている対象への栄養補給のためのものである。好ましくは、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態は、嚥下困難であるか、又はそれを含む。
【0085】
好ましくは、本発明による食品グレード増粘剤は、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態を患っている対象への栄養補給のために、水性液体又は水性液体固体混合物食材に添加される。好ましくは、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態は、嚥下困難であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、食品グレード増粘剤は、小袋などの適切な個々の部分に分離されるか、又はポンプ吐出性である。
【0086】
嚥下困難は、嚥下のプロセスが損なわれる状態であることが容易に理解されるであろう。食事中、これが液体又は固体食品が気管に入ることにつながる得、その後、患者の肺が誤嚥性肺炎につながる可能性がある。嚥下困難は、どの年齢でも起こり得るが、特に脳卒中を患っている場合又は認知症を有する場合は、高齢者において最も一般的である。嚥下困難を患う場合の1つの管理戦略は、嚥下反射を遅らせ、食品が通過する前に気管を閉じる時間を与え、それによって誤嚥を防止するテクスチャが変性される食品(すなわち、増粘食品及び飲料)を摂取することである。
【0087】
食品グレード増粘剤のための保管及び供給システム
本発明の更なる態様は、容器内に本発明の食品グレード増粘剤を提供することであり、容器は、それによって実質的に密閉されたシステムを提供するために、容器に密閉して取り付けられたポンプディスペンサを備える。ディスペンサは、好ましくは、容器内で組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える。
【0088】
好ましくは、ディスペンサは、ディスペンサ先端を備え、ディスペンサ先端は、その中に配置されたバルブを含む。好適には、上記のバルブは、自己シーリングバルブであるか、又はそれを含む。特定の実施形態では、上記のバルブは、クロススリットバルブ、ボールバルブ、フラッパーバルブ、アンブレラバルブ、ダックビルバルブ、リードバルブ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。本発明の特定の実施形態では、バルブは、閉位置に偏っており、当該組成物がバルブを通って流動することを強制するポンプディスペンサへ力を加えると、開位置に作動する。
【0089】
本発明の保管及び供給システムは、好ましくは、ポンプディスペンサ、又は当該技術分野で既知である別の密閉された供給システムを備え、(1)本明細書に記載される食品グレード増粘剤を、使用時及びそれが販売される保管及び供給システムの内容物又は体積全体を通して、一貫した投与又は体積(例えば、±3重量%~5重量%)を供給し、(2)保管及び供給システム内に収容又は保管されている間に、95%未満の相対湿度を有する雰囲気又は環境の乾燥効果から食品グレード増粘剤を保護することができる。
【0090】
本発明の食品グレード増粘剤を密閉容器に保管する利益は、長期安定性の向上である。例えば、本発明の食品グレード増粘剤は、室温で少なくとも6ヶ月間安定である。
【0091】
本発明の別の実施形態では、本発明の食品グレード増粘剤は、小袋などによって保管及び/又は供給される。一実施形態では、小袋は、引き裂き式の注ぎ口の形態のディスペンサを含む。
【0092】
本発明の好ましい実施形態では、食品グレード増粘剤は、95%を超える水分活性を維持する。水分活性又はaは、材料中の水の部分蒸気圧と、同じ温度での水の標準状態部分蒸気圧との比として定義されることが容易に理解されるであろう。加えて、水は、一般的に、平衡に達するまで、高い水分活性の領域から、低い水分活性の領域に移動する。例えば、本明細書に提供される食品グレード増粘剤は、95%を超える(例えば、約95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、及びこれらの中の任意の範囲の程度又はこれらを超える)水分活性を有し、次いで、典型的には、95%未満の相対湿度を有する雰囲気又は環境からの保護を必要として、食品グレード増粘剤が保管中及び供給又は吐出前に乾燥するのを防止する。
【0093】
したがって、保管及び供給システムは、好ましくは、所望の食材に食品グレード増粘剤の比較的正確な及び/又は正確な投与又は体積を提供する。特定の実施形態では、本発明の保管及び供給システムによる食品グレード増粘剤の食材への供給は、その粘度が、当該食材の所望の又は事前に決定された粘度の少なくとも+/-7.5%(例えば、5+/-0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、及びこれらの中の任意の範囲)以内にあることをもたらす。より好ましくは、本発明の保管及び供給システムによる食品グレード増粘剤の食材への供給は、その粘度が、当該食材の所望の又は事前に決定された粘度の少なくとも+/-3.5%以内にあることをもたらす。
【0094】
いくつかの実施形態では、保管及び供給システムは、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15,16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40mLの体積、又はその間の任意の量の食品グレード増粘剤を、対象食材に供給し得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、保管及び供給システムは、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、若しくは1000秒-1の速度でのせん断、又はその間の任意のせん断速度を供給する。食品グレード増粘剤によって経験されるせん断の程度は、ポンプ圧送装置の内部動作に関連しており、異なるポンプ圧送装置間で変化することが理解されるであろう。
【0096】
食材の粘度を高めるための食品グレード増粘剤の使用
いくつかの実施形態では、所望の目標粘度、例えば1~30重量%を達成するために、十分な量の食品グレード増粘剤が対象食材に添加される。いくつかの実施形態では、食材に添加される食品グレード増粘剤の量は、(溶液の総質量に基づいて)1~5、6~10、11~15、16~20、21~25、又は26~30重量%の範囲、又はその間の任意の範囲である。
【0097】
いくつかの実施形態では、当該食材の粘度は、本発明の食品グレード増粘剤を添加すると、少なくとも95、100、110、120、130、140、150、175、200、250、300、350,400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、2000、2050、2100、2150、2200、2250、2300、2350、2400、2450、2500、2550、2600、2650、2700、2750、2800、2850、2900、2950、3000、3100、3200、3300、3400、若しくは3500cP、又はその中の任意の範囲に増加する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
そこで、本発明の好ましい実施形態を、例としてのみ、添付の図面を参照して記載する。
【0099】
図1】連続相形成、ゲル形成、加水分解、及びガム添加の工程を示す、請求項に係る発明の方法のフローチャートを示す。
図2a】最小限のせん断(10~200rpm)で1時間可溶化し、続いて90℃で加水分解した様々なCMC溶液(pH3.6)を、(L-R)時間=0(>10mL)、8時間(5.8mL)、10時間(5.6mL)、12時間(5.0mL)、及び14時間(4.2mL)で示す。かっこ内の値は、IDDSI流動試験(10秒の流動)に従って実施された流動試験におけるそれぞれの残体積(mL)である。
図2b】高せん断(7600~10200rpm)で1時間可溶化し、続いて90℃で加水分解した様々なCMC溶液(pH3.6)を、(L-R)時間=0時間(>10mL)、12時間(3.4mL)、24時間(0.8mL)、36時間(0.3mL)、及び48時間(0mL)で示す。かっこ内の値は、IDDSI流動試験(10秒の流動)に従って実施された流動試験におけるそれぞれの残体積(mL)である。
図3a】先行技術及び本発明の様々な組成物を、水と1:5の比で混合した場合の効果を示し、a)請求項に係る発明、及びb)~h)食品グレード多糖類を使用してJP2007の教示に従って生成された比較例の組成物を示す。
図3b】先行技術及び本発明の様々な組成物を、水と1:5の比で混合した場合の効果を示し、a)請求項に係る発明、及びb)~h)食品グレード多糖類を使用してJP2007の教示に従って生成された比較例の組成物を示す。
図3c】先行技術及び本発明の様々な組成物を、水と1:5の比で混合した場合の効果を示し、a)請求項に係る発明、及びb)~h)食品グレード多糖類を使用してJP2007の教示に従って生成された比較例の組成物を示す。
図3d】先行技術及び本発明の様々な組成物を、水と1:5の比で混合した場合の効果を示し、a)請求項に係る発明、及びb)~h)食品グレード多糖類を使用してJP2007の教示に従って生成された比較例の組成物を示す。
図3e】先行技術及び本発明の様々な組成物を、水と1:5の比で混合した場合の効果を示し、a)請求項に係る発明、及びb)~h)食品グレード多糖類を使用してJP2007の教示に従って生成された比較例の組成物を示す。
図3f】先行技術及び本発明の様々な組成物を、水と1:5の比で混合した場合の効果を示し、a)請求項に係る発明、及びb)~h)食品グレード多糖類を使用してJP2007の教示に従って生成された比較例の組成物を示す。
図3g】先行技術及び本発明の様々な組成物を、水と1:5の比で混合した場合の効果を示し、a)請求項に係る発明、及びb)~h)食品グレード多糖類を使用してJP2007の教示に従って生成された比較例の組成物を示す。
図3h】先行技術及び本発明の様々な組成物を、水と1:5の比で混合した場合の効果を示し、a)請求項に係る発明、及びb)~h)食品グレード多糖類を使用してJP2007の教示に従って生成された比較例の組成物を示す。
図3i】先行技術及び本発明の様々な組成物を、水と1:5の比で混合した場合の効果を示し、a)請求項に係る発明、及びb)~h)食品グレード多糖類を使用してJP2007の教示に従って生成された比較例の組成物を示す。
図4a】24時間にわたる安定性比較例1~8を示し、比較例1~8の組成物はいずれもこの期間にわたって安定性を維持しないことを示す。
図4b】24時間にわたる安定性比較例1~8を示し、比較例1~8の組成物はいずれもこの期間にわたって安定性を維持しないことを示す。
図4c】24時間にわたる安定性比較例1~8を示し、比較例1~8の組成物はいずれもこの期間にわたって安定性を維持しないことを示す。
図4d】24時間にわたる安定性比較例1~8を示し、比較例1~8の組成物はいずれもこの期間にわたって安定性を維持しないことを示す。
図4e】24時間にわたる安定性比較例1~8を示し、比較例1~8の組成物はいずれもこの期間にわたって安定性を維持しないことを示す。
図4f】24時間にわたる安定性比較例1~8を示し、比較例1~8の組成物はいずれもこの期間にわたって安定性を維持しないことを示す。
図4g】24時間にわたる安定性比較例1~8を示し、比較例1~8の組成物はいずれもこの期間にわたって安定性を維持しないことを示す。
図4h】24時間にわたる安定性比較例1~8を示し、比較例1~8の組成物はいずれもこの期間にわたって安定性を維持しないことを示す。
図4i】24時間にわたる安定性比較例1~8を示し、比較例1~8の組成物はいずれもこの期間にわたって安定性を維持しないことを示す。
図5】カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウムガムの4つの群の典型的な粘度対濃度プロファイルを示すヒストグラム図である。
図6】酸加水分解されたカルボキシメチルセルロースナトリウム濃度の関数としての5%キサンタンガム溶液の粘度を示すグラフである。
図7】酸加水分解されたアルギン酸ナトリウム濃度の関数としての5%キサンタンガム溶液の粘度を示すグラフである。
図8】酵素加水分解されたキサンタンガム濃度の関数としての5%キサンタンガム溶液の粘度を示すグラフである。
図9】酵素加水分解されたグアーガム濃度の関数としての5%キサンタンガム溶液の粘度を示すグラフである。
図10】メチルエチルセルロース(DP=250)濃度の関数としての5%キサンタンガム溶液の粘度を示すグラフである。
図11】カルボキシメチルセルロースナトリウム(DP=120~150)濃度の関数としての5%キサンタンガム溶液の粘度を示すグラフである。
図12】20部の酵素加水分解されたキサンタンガム、20部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(DP=120~150)、10部の酸加水分解されたカルボキシメチルセルロースナトリウム、20部の酸加水分解されたアルギン酸ナトリウム、及び20部の酸加水分解されたペクチンの、低粘度、高可溶性多糖類の混合物濃度の関数としての5%キサンタンガム溶液の粘度を示すグラフである。
図13】8.3部分の酸加水分解されたペクチン、8.3部のヒドロキシプロピルメチルセルロース(DP=200)、及び8.3部分の酵素加水分解されたグアーガムの、低粘度、高可溶性多糖類の混合物濃度の関数としての8%アルギン酸ナトリウム溶液の粘度を示すグラフである。
【0100】
定義
本発明の記載及び特許請求の範囲において、以下の用語は、以下に記載される定義に従って使用される。本明細書で使用される用語は、単に本発明の特定の実施形態を記載する目的のためであり、限定することが意図されないことも理解されたい。
【0101】
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0102】
文脈が明確に別様を必要としない限り、記載及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などという用語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で、すなわち、「含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、方法又は方法は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていない他の要素、又はこのような組成物、混合物、方法又は方法に固有の要素を含み得る。
【0103】
移行語句「からなる」は、指定されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する。請求項に記載されている場合、このような請求項は、通常それに関連する不純物を除いて、列挙されている材料以外の材料を含める主張を閉じることになる。前文の直後ではなく、請求項本文の節に「~からなる」という句が現れる場合、その節に記載された要素のみを限定し、他の要素は、請求項全体から除外されることはない。
【0104】
移行語句「から本質的になる」は、これらの追加の材料、工程、特徴、構成要素、又は要素が請求項に係る発明の基本的及び新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないことを条件として、文字通り開示されるものに加えて、材料、工程、特徴、構成要素、又は要素を含む組成物、方法、又は方法を定義するために使用される。「から本質的になる」という用語は、「含む」と「からなる」との間の中間領域を占める。
【0105】
出願人らが「含む」などの非限定的用語を用いて発明又はその一部を定義した場合、(別段の記載がない限り)記載は、「から本質的になる」又は「からなる」という用語を使用して、このような発明を記載するようにも解釈されるべきであることが容易に理解されるであろう。言い換えれば、「含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」という用語に関して、これらの3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、本明細書に開示され、請求項に係る主題は、他の2つの用語のいずれかの使用を含み得る。したがって、他に明示的に記載されていないいくつかの実施形態では、「含む」の任意の事例は、「からなる」、又はあるいは、「から本質的になる」によって置き換えられ得る。
【0106】
更に、明示的に反対が記載されていない限り、「又は」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指さない。例えば、条件A又はBは、以下のうちのいずれか1つによって満たされる。Aは真(又は存在)でありかつBは偽(又は存在しない)である、Aは偽(又は存在しない)でありかつBは真(又は存在する)である、AとBとの両方が真(又は存在する)である。
【0107】
また、本発明の要素又は構成要素に先行する不定冠詞「a」及び「an」は、要素又は構成要素の事例(すなわち、出現)の数に関して非限定的であることが意図される。したがって、「a」又は「an」は、1つ又は少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、要素又は構成要素の単数形は、数が明らかに単数であることを意味しない限り、複数形も含む。
【0108】
動作例を除き、又は別途示される場合、本明細書で使用される成分の量又は反応条件を表す全ての数値は、全ての事例で「約」という用語によって修飾されるものと理解される。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図しない。以下、又は別段に示される場合、「%」は「重量%」を意味し、「比」は「重量比」を意味し、「部」は「重量部」を意味する。
【0109】
本明細書で使用される場合、「圧倒的に」及び「実質的に」という用語は、別段の指示がない限り、50重量%超を含むことを意味する。
【0110】
本明細書で使用される場合、数値の範囲内の数値に関して、「約」、「およそ」、及び「実質的に」という用語は、参照される数値の-10%~+10%、好ましくは参照される数値の-5%~+5%、より好ましくは参照される数値の-1%~+1%、最も好ましくは参照される数値の-0.1%~+0.1%の範囲を指すと理解される。更に、数値範囲を参照すると、これらの用語は、その範囲内の任意の数又は数のサブセットに向けられた特許請求の範囲の支持を提供すると解釈されるべきである。例えば、1~10の開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9、8~10などの範囲を支持するものとして解釈されるべきである。
【0111】
本明細書で使用される場合、重量%は、参照される組成物の総重量に対する特定の構成要素の重量を指す。
【0112】
「X及び/又はY」の文脈で使用される「及び/又は」という用語は、「X」、又は「Y」、又は「X及びY」として解釈されるべきである。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」、又は「Y」、又は「XとYとの両方」として解釈されるべきである。
【0113】
「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、特定の状況下で、特定の有益性をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で、他の実施形態も好ましい場合がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0114】
本明細書で引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、各々が個別に組み込まれるかのように、参照によりそれら全体が組み込まれる。
【0115】
本明細書で使用される場合、「多糖類」という用語は、一般に、ヘミアセタール結合又はグリコシド結合によって互いに結合した約10~500、500~1000、1000~2000、2000~5000、5000~10,000、10,000~50,000、50,000~100,000、又は100,000超の糖類単位、又はその中の任意の範囲、例えば10~100,000超の糖類単位で形成されたポリマーを指す。多糖類は、直鎖、単一分岐、又は多分岐のいずれかであり得、各分岐は、追加の二次分岐を有し得、単糖類は、それぞれ、D-フルクトース及びD-ガラクトースなどのピラノース(6員環)又はフラノース(5員環)形態の標準D-又はL-環状糖であり得る。加えて、それらは、環状糖誘導体、デオキシ糖、糖、糖酸、又は多誘導体化糖であり得る。当業者によって理解されるように、多糖類調製物、具体的には、自然から単離されたものは、典型的には、分子量が不均一である分子を含む。
【0116】
本明細書で使用される場合、「増粘薬剤」という用語は、液体混合物及び/又は溶液の粘度を増加させるために使用される任意の化合物、具体的には、食用ガム、植物性ガム、及び食品グレード多糖類などの食品用途で使用するものを指す。
【0117】
本明細書で使用される場合、「合成多糖類」とは、化学的及び/若しくは酵素的に生成され、誘導され、並びに/又は変性された多糖類を指す。特定の実施形態では、合成多糖類は、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシビニルポリマー、メチルビニルエーテル、無水マレイン酸ポリマー、エチレンオキシドポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0118】
本明細書で使用される場合、「天然に存在する多糖類」とは、一般に、単離されることを除いて、自然界で発生する方法から変性されていない多糖類を指す。
【0119】
本発明の目的のために、「単離された」とは、その天然状態から除去されたか、又はそうでなければ人為的な操作に供された材料を意味する。単離された材料は、その天然状態で通常それに付随する成分を実質的に含み得ないか若しくは本質的に含み得ないか、又はその天然状態で通常それに付随する成分とともに人工的な状態になるように操作され得る。単離された材料は、天然及び組換え形態の材料を含む。これに関して、天然に存在する多糖類は、天然に見られるような多糖類を効果的に複製するように合成され得る。「単離された」という用語はまた、「濃縮された」及び「精製された」などの用語も包含する。
【0120】
「多糖類断片」とは、例えば、より大きな出発多糖類の酵素的消化及び/又は化学的消化によって形成される任意の複雑な炭水化物を意味する。したがって、断片は、それが誘導される出発多糖類より常に小さいが、出発多糖類又はその断片のいずれにも特定のサイズ限定は意味されない。
【0121】
本明細書で使用される場合、「流動性の」という用語及び「流動性」などの同様の用語は、標準的な大気条件及び温度下で、無理な力を加えずに連続した蒸気で流動する物質の能力を指す。
【0122】
本明細書で使用される「ポンプ圧送性の」という用語及び「ポンプ圧送性」などの同様の用語は、ポンプ装置のライン、ノズル、及び通路、並びに/又はその附属品を通して、当該ライン、ノズル、及び通路を通って流動する材料に不可逆的変形又は悪影響を付与することなく、圧力下で流動する物質の能力を指す。
【0123】
本明細書で使用される場合、「注入性の」という用語及び「注入性」などの同様の用語は、標準的な大気条件及び温度下で、無理な力を加えずに連続した蒸気で注入される又は他の方法で流動する物質の能力を指す。
【0124】
本明細書で使用される場合、「分散性の」という用語及び「分散性」などの同様の用語は、塊又は微粒子を形成することなく、最小限の力で媒体全体に急速に均等に分布する物質の能力を指す。
【0125】
本明細書で使用される場合、「cP」、「cPs」、「センチポイズ」、「mPa・s」、及び「ミリパスカル-秒」という単位は、互換的であると理解され、溶液の動的粘度を記載するものとして当業者によって理解されるであろう。
【0126】
本明細書で使用される場合、「低せん断」という用語は、比較的低い速度(例えば、2~300rpm)を使用し、好ましくは、水中翼インペラなどの低せん断撹拌機を用いる条件を指す。様々な撹拌機が適切であり、当業者は、溶液に最小限のせん断を付与するものを選択し得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、低せん断は、1~1000rpmである。
【0127】
本明細書で使用される場合、「高せん断」という用語は、比較的高い混合速度(例えば、>1500rpm)を使用する、かつ/又は高せん断撹拌機を使用する条件を指す。いくつかの実施形態では、高せん断は、>1,000~10000rpmである。
【0128】
別段の記載がない限り、本明細書における全ての粘度及び見かけ粘度測定は、ブルックフィールド回転粘度計の#3スピンドルを使用して、5rpmで20℃で実施される。
【0129】
別段の記載がない限り、本明細書における全ての流動抵抗測定は、ボストウィックコンシストメータを使用して20℃で30秒間にわたって実施される。
【0130】
別段の記載がない限り、全ての透過率(透明性)測定は、1cmの経路長を使用してHach DR3900分光光度計で実施される。しかしながら、様々な分光光度計が適切であり、同等の結果を提供するであろうことが理解されるであろう。
【0131】
本明細書で使用される場合、ボストウィックコンシストメータ(「ボストウィック」)は、試料がそれ自体の重量の下で流動する距離を測定することによって、様々な材料の粘稠性を決定する器具に関すると理解される。このような器具は、ASTM規格(ASTM F1080-93(2019))に準拠していることが理解されるであろう。
【0132】
本明細書で使用される場合、ブルックフィールド粘度計(「ブルックフィールド」)は、物体(「スピンドル」など)を回転させるために必要なトルクを測定することによって、材料の粘度を決定する器具に関すると理解される。
【発明を実施するための形態】
【0133】
当業者は、本発明が本明細書に開示される実施形態及び特徴、並びに開示される実施形態及び特徴の全ての組み合わせ及び/又は置換を含むことを理解するであろう。
【0134】
本発明の方法によって生成された組成物は、以下のうちの1つ以上などの様々な利益を提供し得、先行技術に比べて有意な進歩である。
●流動性、
●ポンプ圧送性、
●均質性(すなわち、分散していないガム及び/又は多糖類の塊又はドメインを含有しない)、
●増粘液体が均質であるように水性液体中に分散性であり、
●食材中のピーク粘度が低いせん断(すなわち、フォーク/スプーンを用いて80~160BPM)で短い時間枠内(すなわち、約30~60秒)で到達するように、十分な水和速度を有し、
●食品グレードポンプを用いた供給時のせん断に耐える能力を有し、
●経時的に分離することはなく、
●透明(飼料中に分散された場合に無色)で、
対象食材に臭気若しくは味をほとんど付与しない、又は臭気若しくは味を付与しない。
【0135】
上で考察されたように、食品グレード増粘剤は、典型的には、患者の家庭で、又は病院若しくは高齢者ケアのシナリオで使用される。この文脈では、患者又は介護者がポンプを介して所定量の増粘剤を既知の量の対象食材に単に吐出して、食材を増粘し得るように、ポンプを備えた容器を提供することは特に便利である。増粘剤が流動性であり、それが添加される食材に悪影響を及ぼさないように、臭気若しくは味をほとんど有さない、又は臭気若しくは味を有さないことが重要である。また、増粘剤が透明であり、それが添加される食材に重ねて悪影響を及ぼさないように、対象食材に色を付与しないことも非常に好ましい。更に、増粘剤が水性液体食材中に容易に分散し、その結果増粘食材が均質であり、かつ低せん断(すなわち、フォーク/スプーンを用いて80~160BPM)で短い時間枠内(すなわち、約30~60秒)でピーク粘度に到達するように、十分な水和速度を有することが非常に好ましい。容器/ポンプによる保管及び供給システムに保管される場合、増粘剤は、容易にポンプ圧送性でなければならず、言及した他の望ましい特性に悪影響を及ぼさないように、せん断に耐えなければならない。更になお、増粘剤が均質である場合、すなわち、その場での場合、又は対象食材に供給される場合のいずれかで、未分散のガムの塊又はドメインを含有しない場合、非常に望ましい。なお更になお、増粘剤がその場での場合、又は対象食材に供給される場合のいずれかで、経時的に分離することがない場合、非常に望ましい。これらの目的を達成する食品グレード増粘剤を考案することは、主に、多くの競合する目的が存在するため、非常に複雑な作業であり、様々な成分が本質的に組成物に供給される限界内で作業する必要がある。本出願人は、好ましい実施形態では、上記の目的の全てを供給する方法を考案した。
【0136】
好ましい実施形態では、水性液体又は水性液体固体混合物食材に所望の量で添加された場合、本明細書に記載される食品グレード増粘剤は、消費者にとって魅力的であり得る食材の元の風味及び/又は色など、その特に望ましい属性に及ぼす影響が最小限又は無視できるものである。これに関して、食品グレード増粘剤は、好ましくは、望ましい量でそれに添加された場合、当該食材に風味及び/若しくは色の寄与をほとんどもたらさない、又は風味及び/若しくは色の寄与をもたらさない。加えて、食材の風味及び/又は色特性を希釈することを避けるために、その望ましい粘度を達成するために食材に添加される食品グレード増粘剤の量が比較的少ないことが好ましい。
【0137】
好ましい実施形態では、本発明は、流動性である食品グレード増粘剤を提供する。有益なことには、食品グレード増粘剤は、好ましくは、ポンプなどから容易に吐出され得るような粘度であり、並びに、所望の量で水性液体又は水性液体固体混合物食材に添加される場合、撹拌がほとんどないか又は撹拌がない状態で分散され得る。好ましくは、本発明の食品グレード増粘剤は濃縮されており、組成物の流動性の特性を失うことなく、比較的高いパーセンテージの増粘薬剤を収容し得る。これによって、食品グレード増粘剤を選択した食材に容易かつ正確に吐出することが更に可能になる。
【0138】
以下の組成物は、本発明の食品グレード増粘剤を例示し、先行技術が個別に、又は集合的に、上記の目的を提供し得ないことを示す、先行技術との比較例を提供する。
【実施例
【0139】
ここで、本発明を、全ての点で例示的かつ非限定的であるとみなされるべき以下の実施例を参照して記載する。
【0140】
実施例1:発明の方法
本発明の本発明の食品グレード増粘剤を、以下の方法を用いて調製した。
1.水のpHをGDLを用いてpH3~4に調整する。
2.水中のジェランガム(1:50~100の比)を加水分解する。
3.酸性化された水に加水分解されたジェランガムを添加する。溶液にゲル化カチオン(CaCl 0.001%)及びソルビン酸カリウム(1000ppm)保存料を添加する。
4.溶液を80℃に加熱する。
5.約2~8重量%のCMCナトリウムを添加する。
6.低せん断10~200rpmで1時間混合して、可溶化する。
7.CMCナトリウム溶液を(ブルックフィールド回転粘度計スピンドル#1を用いて、10rpmで測定された)20℃で約250~300cPsの粘度から約80~90cPsの粘度に加水分解するのに十分な時間をかけて、温度を約90℃に上昇させる。
8.pHをGDLを用いて3.8~3.9に調整する。
9.熱を80℃に低減させ、10~200rpmの低せん断を使用して4~8%のキサンタンガムを組み込み、それによって本発明の食品グレード増粘剤を生成する。
【0141】
第1の工程では、水のpHを一般的な食品グレード酸性化剤(すなわち、グルコノデルタ-ラクトン、GDL)を用いてpH3~4に調整した。酸性化された水に、ジェランガム、ゲル化塩、及びソルビン酸カリウム(1000ppm)を添加して、混合物を保存した。次いで、溶液を80℃に加熱して、ジェランガムを活性化させた。
【0142】
ジェランガムを溶液中に十分に混合させると、低分子量CMCナトリウムを添加した。約2~8重量%のCMCナトリウムを添加した。混合させると、溶液を10~200rpmの低せん断条件下で混合して、CMCを可溶化した。
【0143】
可溶化すると、溶液の粘度は、約250~300cPsであり、次いで温度を90℃に上昇させ、約10時間保持して、CMCナトリウム溶液を加水分解して、(ブルックフィールド回転粘度計スピンドル#1を用いて、10rpm、20℃で測定された)約80~90cPsの粘度を得た。
【0144】
この段階では、温度を90℃の目標温度に上昇させ、目標温度を超える溶液内にホットスポットが形成されていないことを確実にした。加熱段階の終了時に、GDLを用いてpHを3.8~3.9に調整し、温度を80℃に低減し、その時点で4~8%のキサンタンガムを10~200rpmの低せん断混合を使用して添加して、組み込み、それによって本発明の食品グレード増粘剤を生成した。
【0145】
実施例2:組成物1
【表2】
上記方法及び組成物1を使用して生成された本発明の食品グレード増粘剤は、5,000cP未満の見かけ粘度を有する流動性の液体であった。10gの食品グレード増粘剤を200グラムの水に添加し、150rpmで30秒間撹拌した場合、得られた溶液は、約80~100mPa・sの粘度に到達し、1cmの経路長を用いて650nmで測定された>90%の透過率を有していた。
【0146】
実施例3:組成物2
【表3】
上記方法及び組成物2を使用して生成された本発明の食品グレード増粘剤は、(ブルックフィールド回転粘度計スピンドル#3を用いて、5rpmで測定された)約14,600cPの見かけ粘度を有する流動性の液体であった。6グラムの食品グレード増粘剤を100グラムの水に添加し、150rpmで30秒間撹拌した場合、得られた溶液は、好適な粘度に到達し、1cmの経路長を用いて650nmで測定された>90%の透過率を有していた。
【0147】
実施例4:組成物3
【表4】
上記方法及び組成物3を使用して生成された本発明の食品グレード増粘剤は、約4000cPの見かけ粘度を有する流動性の液体であった。20グラムの食品グレード増粘剤を100グラムの水に添加し、75rpmで30秒間撹拌した場合、得られた溶液は、約3000cPの見かけ粘度に到達し、1cmの経路長を用いて650nmで測定された約84.7%の透過率を有していた。
【0148】
実施例5:組成物4
【表5】
上記方法及び組成物4を使用して生成された本発明の食品グレード増粘剤は、約8200cPの見かけ粘度を有する流動性の液体であった。5グラムの食品グレード増粘剤を100グラムの水に添加し、150rpmで30秒間撹拌した場合、得られた溶液は、好適な粘度に到達し、1cmの経路長を用いて650nmで測定された約98%の透過率を有していた。
【0149】
実施例6:組成物5
【表6】
上記方法及び組成物5を使用して生成された本発明の食品グレード増粘剤は、約14200cPの見かけ粘度を有する流動性の液体であった。5グラムの食品グレード増粘剤を100グラムの水に添加し、150rpmで30秒間撹拌した場合、得られた溶液は、適切な粘度に到達し、1cmの経路長を用いて650nmで測定された約99.1%の透過率を有していた。
【0150】
JP2007との比較例
以下の実施例は、市販の食品グレード低分子量CMCを使用したJP2007の方法を再現したものである。
【表7】
表2では、食品グレードCMC1は、2%溶液で30cPsの粘度を有し、食品グレードCMC2は、2%溶液で50cPsの粘度を有する。
【0151】
比較例1~3及び8の方法。
1.食品グレード低分子量CMCを水中に溶解させる。
2.JP2007に従って、Silversonを用いて2000rpmで5分間撹拌する。
3.塊がないことを確認する。
4.キサンタンガムを添加し、Silversonを用いて2000rpmで1分間撹拌する。
5.30rpmで粘度を測定する(ブルックフィールド回転粘度計20rpm、25℃での粘度に応じてスピンドル5又は6)。
【0152】
比較例4の方法。
1.食品グレード低分子量CMCを水中に溶解させる。
2.Silversonを用いて2000rpmで5分間撹拌する。
3.塊がないことを確認する。
4.90℃で12時間加水分解する
5.キサンタンガムを添加し、Silversonを用いて2000rpmで1分間撹拌する。
6.30rpmで粘度を測定する(ブルックフィールド回転粘度計20rpm、25℃での粘度に応じてスピンドル5又は6)。
【0153】
比較例5の方法
1.水にキサンタンガムを添加する。
2.Silversonを用いて2000rpmで5分間撹拌する。
3.30rpmで粘度を測定する(ブルックフィールド回転粘度計30rpm、25℃での粘度に応じてスピンドル5又は6)。
【0154】
比較例6&7の方法
1.2つの食品グレード低分子量CMCとキサンタンガムとをブレンドする。
2.水に混合物を添加する。
3.Silversonを用いて2000rpmで1分間撹拌する。
4.30rpmで粘度を測定する(ブルックフィールド回転粘度計30rpm、25℃での粘度に応じてスピンドル5又は6)。
【0155】
JP2007に開示された「ディスパー混合」と同等とみなされる汎用固定子を備えたsilverson混合器を使用し、JP2007の明細書には追加情報が提供されていなかったため、一般的な固定子アタッチメントを利用した。
【0156】
比較例1は、JP2007の方法において食品グレードCMCナトリウム(2%溶液、30mPa・s)を使用した場合に得られた結果を示す。JP2007の教示に従って、CMCを最初に水中に溶解し、2000rpmで撹拌した。しかしながら、JP2007の教示に反して、溶液は、CMCを十分に水和させるために、4000rpmで7分間混合しなければならず、2000rpmでのみ混合すると、不均質で塊の多い溶液が得られた。次いで、キサンタンガムを添加し、溶液を2000rpmで更に1分間撹拌した。JP2007で報告された1364mPa・sの粘度とは対照的に、食品グレードCMCを使用した組成物は、作製された生成物が極端に塊が多かったため、ガムが一晩水和する時間を与えた後、8,000mPa・sの見かけ粘度を有していた。組成物は、注入性であったが、高粘度で、流動抵抗であった。本出願に記載されるものなどのポンプ装置で使用された場合、組成物は吐出されると劣化したことから、組成物が不十分なせん断抵抗を有し、バルク保管及び供給に対して好適ではないことが示された。特に、1分経過した時点で塊が確認されたため試験を中止し、更に2分間溶液を水和させた。JP2007の教示は、組成物が急速に分散し、その粘度を発現したことを示す。しかしながら、食品グレードCMCを使用して方法を再現した場合、組成物は分散し、その粘度を非常にゆっくりと発現した。更に、1:5の比で水と混合した場合、得られた溶液は、報告された3496mPa・sではなく、300mPa・sの見かけ粘度を有していた。図3bに示されるように、増粘水溶液は、不十分な透明性(650nmで47.6%の透過率)を有し、曇った塊の多いものであった。増粘水溶液はまた、不十分な安定性を示し、24時間以内に容易に分離した(図4b)。
【0157】
比較例2は、JP2007の方法において食品グレードCMCナトリウム(2%溶液、50mPa・s)を使用した場合に得られた結果を示す。JP2007の教示に従って、CMCを最初に水中に溶解し、2000rpmで5分間撹拌した。比較例1と同様に、CMCを水和させるために、4000rpmで更に2分間の撹拌が必要であった。次いで、キサンタンガムを添加し、溶液を2000rpmで更に1分間撹拌した。JP2007の教示に反して、キサンタンガムを組み込むのに更に6分が必要であった。JP2007で報告された1364mPa・sの粘度とは対照的に、この食品グレードCMCを使用した組成物は、30,000mPa・sの見かけ粘度を有していた。組成物は、極端に高粘度であって、注入性又は流動性ではなかった。本出願に記載されるものなどのポンプ装置で使用された場合、組成物は吐出されると劣化したことから、組成物が不十分なせん断抵抗を有し、バルク保管及び供給に対して好適ではないことが示された。JP2007の教示は、組成物が急速に分散し、その粘度を発現したことを示す。しかしながら、この食品グレードCMCを使用して再現した場合、組成物は、分散性ではなかった。更に、1:5の比で水と混合した場合、得られた溶液は、報告された3496mPa・sではなく、800mPa・sの見かけ粘度を有していた。この増粘水溶液はまた、図3cに示されるように、中程度の透明性(650nmで71.7%の透過率)を有し、増粘剤組成物の未分散の曇った塊を含有していた。増粘水溶液はまた、不十分な安定性を示し、24時間以内に容易に分離した(図4c)。
【0158】
比較例3は、JP2007の方法において食品グレードCMCナトリウムの組み合わせ(2%溶液、30mPa・sと、2%溶液、50mPa・sとの8:2の比)を使用した場合に得られた結果を示す。JP2007の教示に従って、CMCを最初に水中に溶解し、2000rpmで5分間撹拌した。しかしながら、この方法ではCMCを十分に組み込むことができなかったため、撹拌速度を4000rpmで5分間に増加させた。次いで、キサンタンガムを添加し、溶液を2000rpmで更に1分間撹拌した。JP2007で報告された1364mPa・sの粘度(単一のCMCを含有する組成物の場合)とは対照的に、食品グレードCMCのこの組み合わせを使用した組成物は、20000mPa・sの見かけ粘度を有していた。組成物は高粘度であり、限られた注入性及び流動性を示した。本出願に記載されるものなどのポンプ装置で使用された場合、組成物は吐出されると劣化したことから、組成物が不十分なせん断抵抗を有し、バルク保管及び供給に対して好適ではないことが示された。JP2007の教示は、組成物が急速に分散し、その粘度を発現したことを示す。しかしながら、食品グレードCMCのこの組み合わせを使用して再現した場合、組成物は、分散性ではなかった。更に、1:5の比で水と混合した場合、得られた溶液は、報告された3496mPa・s(1つのCMCを含む組成物の場合)ではなく、150mPa・sの見かけ粘度を有していた。この増粘水溶液はまた、図3dに示されるように、不十分な透明性(650nmで64.3%の透過率)を有し、増粘剤組成物の未分散の曇った塊を含有していた。増粘水溶液はまた、不十分な安定性を示し、24時間以内に容易に分離した(図4d)。
【0159】
比較例4は、ガム添加の前の加水分解の追加工程とともに、JP2007の方法においてCMCの組み合わせを使用した場合に得られた結果を示す。本出願人は、JP2007の方法中に粘度抑制剤を加水分解したにもかかわらず、請求項に係る発明の有益な性質を有する組成物に到達することができなかったことを見出した。食品グレードCMCを最初に水中に溶解し、2000rpmで5分間撹拌した。次いで、溶液を90℃で12時間加水分解した後、キサンタンガムを添加し、溶液を2000rpmで更に1分間撹拌した。組成物は、4,000mPa・sの見かけ粘度を有していたが、不十分な注入性及び流動性を示した。本出願に記載されるものなどのポンプ装置で使用された場合、組成物は吐出されると劣化したことから、組成物が不十分なせん断抵抗を有し、バルク保管及び供給に対して好適ではないことが示された。1:5の比で水と混合した場合、得られた溶液は、3650mPa・sの見かけ粘度を有していたが、非常に不十分な分散性を示し、均質な混合物を形成しなかった(図4e)。この増粘水溶液は、図3eに示されるように、中程度の透明性(650nmで72.4%の透過率)を有し、増粘剤組成物の未分散の曇った塊を含有していた。
【0160】
比較例5は、最初にCMCナトリウムを溶解することなく、JP2007の方法においてキサンタンガム(1%のKCl中1%、1300~1700cPs、スピンドル#3、60rpm)を使用した場合に得られた結果を示す。JP2007の教示に従って、キサンタンガムを添加し、溶液を2000rpmで5分間撹拌した。上記と同様に、CMCを十分に水和させるために、撹拌速度を4000rpmに増加させた。JP2007で報告された16,300mPa・sの粘度と同様に、キサンタンガムを使用した組成物は、15400mPa・sの見かけ粘度を有していた。組成物は、極端に高粘度であって、注入性又は流動性ではなかった。本出願に記載されるものなどのポンプ装置で使用された場合、組成物は吐出されると劣化したことから、組成物が不十分なせん断抵抗を有し、バルク保管及び供給に対して好適ではないことが示された。JP2007の教示と一致して、この組成物は、分散性ではなかった。JP2007の教示とは対照的に、1:5の比で水と混合した場合、得られた溶液は、報告された242mPa・sではなく、2250mPa・sの見かけ粘度を有していた。この増粘水溶液は、図3fに示されるように、高い透明性(650nmで83.9%の透過率)を有していたが、増粘剤組成物の塊を含有していた。更に、この増粘水溶液は、非常に不十分な分散性を示し、均質な混合物を形成しなかった(図4f)。
【0161】
以下の比較例(6~7)は、CMC及びキサンタンガムを溶液に順次添加するのではなく、同時に組み込む効果を実証する。これらの実施例は、成分が添加される順序が組成物の特性に有意な影響を及ぼすことを実証する。
【0162】
比較例6は、食品グレードCMCナトリウム(2%溶液、30mPa・s)をキサンタンガム(1%のKCl中1%、1300~1700cPs、スピンドル#3、60rpm)と混合させ、JP2007の方法において使用した場合に得られた結果を示す。CMC及びキサンタンガムを最初にブレンドし、次いで水中に溶解し、2000rpmで1分間撹拌した。JP2007で報告された4,780mPa・sの粘度とは対照的に、この食品グレードCMCを使用した組成物は、15,000mPa・sの見かけ粘度を有していた。組成物は高粘度であり、限られた注入性及び流動性を示した。本出願に記載されるものなどのポンプ装置で使用された場合、組成物は吐出されると劣化したことから、組成物が不十分なせん断抵抗を有し、バルク保管及び供給に対して好適ではないことが示された。これらのデータは、組成物が分散し、その粘度を非常にゆっくりと発現したというJP2007の教示と一致する。1:5の比で水と混合した場合、得られた溶液は、報告された3044mPa・sではなく、170mPa・sの見かけ粘度を有していた。この増粘水溶液はまた、図3gに示されるように、高い透明性(650nmで80.3%の透過率)を有し、増粘剤組成物の未分散の曇った塊を含有していた。更に、増粘水溶液は、非常に不十分な分散性を示し、均質な混合物を形成せず、24時間以内に容易に分離した(図4g)。
【0163】
比較例7は、食品グレードCMCナトリウム(2%溶液、50mPa・s)をキサンタンガム1%のKCl中1%、1300~1700cPs、スピンドル#3、60rpm)と混合させ、JP2007の方法において使用した場合に得られた結果を示す。CMC及びキサンタンガムを最初にブレンドし、次いで水中に溶解し、2,000rpmで1分間撹拌した。JP2007で報告された4,780mPa・sの粘度とは対照的に、この食品グレードCMCを使用した組成物は、17,500mPa・sの見かけ粘度を有していた。組成物は高粘度であり、限られた注入性及び流動性を示した。本出願に記載されるものなどのポンプ装置で使用された場合、組成物は吐出されると劣化したことから、組成物が不十分なせん断抵抗を有し、バルク保管及び供給に対して好適ではないことが示された。1:5の比で水と混合した場合、得られた溶液は、300mPa・sの見かけ粘度を有していた。この増粘水溶液はまた、図3hに示されるように、不十分な透明性(650nmで47.8%の透過率)を有し、増粘剤組成物の未分散の曇った塊を含有していた。増粘水溶液はまた、不十分な安定性を示し、24時間以内に容易に分離した(図4h)。
【0164】
比較例8は、JP2007の方法において食品グレードCMCの組み合わせを使用した場合に得られた結果を示す。JP2007の教示に従って、CMCを最初に水中に溶解し、2000rpmで5分間撹拌した。次いで、キサンタンガムを添加し、溶液を2000rpmで更に1分間撹拌した。組成物は、7,000mPa・sの見かけ粘度を有していたが、不十分な注入性及び流動性を示した。本出願に記載されるものなどのポンプ装置で使用された場合、組成物は吐出されると劣化したことから、組成物が不十分なせん断抵抗を有し、バルク保管及び供給に対して好適ではないことが示された。1:5の比で水と混合した場合、得られた溶液は、400mPa・sの見かけ粘度を有していた。この溶液は、図3iに示されるように、高い透明性(650nmで98.4%の透過率)を有し、増粘剤組成物の未分散の曇った塊を含有していた。溶液はまた、不十分な安定性を示し、24時間以内に容易に分離した(図4i)。
【0165】
上記の比較例から見られるように、食品グレードの材料を用いて先行技術の方法を繰り返しても、流動性、ポンプ圧送性、均質性(すなわち、分散していないガム/多糖類/食品グレード増粘剤の塊又はドメインを含有しない)、増粘液体が均質であるように水性液体中に分散性であり、低せん断(すなわち、フォーク/スプーンを用いて80~160BPM)で短い時間枠内(すなわち、約30~60秒)でピーク粘度に到達するような十分な水和速度を有し、食品グレードポンプを用いた供給時のせん断に耐える能力を有し、経時的に分離することはなく、透明(無色)であり、臭気若しくは味をほとんど有さない、又は臭気若しくは味を有さない、増粘剤をもたらさない。先行技術に関連する上記の全ての場合では、得られた増粘組成物は、これらの望ましい特性の1つ以上を欠いており、したがって、嚥下障害を有する患者に使用するための増粘薬剤としての使用には好適ではない。
【0166】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本発明者らは、上記の結果は、より低い見かけの粘度を有することが知られている工業用グレードではなく、単にCMCナトリウムの食品グレードの使用に起因するものであると仮定する。具体的には、商業的数量で調達され得る最も低い食品グレードは、2%溶液で10~20mPa・sである。対照的に、JP2007は、(10%溶液の場合)18mPa・sの粘度を有するCMCナトリウムを使用すると主張している。本発明者らは、これが有意な寄与要因であり、これが工業用精製グレードであり、したがって、嚥下障害の治療のための液体の変性において、JP2007は、応用可能ではないと仮定する。表3に示されるように、JP2007の方法における食品グレードCMCナトリウムの使用によって、我々の用途において容易に分散する流動性のポンプ圧送性の液体を可能にするには、粘度が高すぎる濃縮物粘度がもたらされる。JP2007の教示を加水分解工程(比較例4)と組み合わせた場合、得られた組成物は、依然として、請求項に係る発明の分散性、流動性、注入性、及びポンプ圧送性を達成し得なかった。
【0167】
対照的に、好ましい実施形態では、請求項に係る発明は、上記の特性の各々を有する。例えば、実施例4の食品グレード増粘剤は、4,000mPa・sの見かけ粘度を有し、均質で、流動性で、かつ注入性である。水を用いて1:5の比率で溶解する場合、増粘剤は急速に分散し、その粘度を急速に(約30秒以内に)発現し、溶液を3000mPa・sに増粘する。増粘水が、均質であり、高い透明性(650nmで84.7%の透過率)を有し、ポンプ装置を通して吐出される場合に劣化しないことは、せん断抵抗、バルク保管及び供給への好適性を示す。
【0168】
請求項に係る発明の方法に関連して本明細書に示されるデータは、食品グレード、ポンプ圧送性、注入性、透明の目的を達成する食品グレード増粘剤を明確に示す。本明細書では、食品グレード多糖類を用いてJP2007の方法を繰り返すことによって、これらの目的が達成されなかったことが更に示されている。したがって、本明細書では、JP2007が、そこで請求項に係る結果を達成するために工業グレード多糖類を使用することが示され、工業グレード多糖類が人間の消費に適していないことが理解されるであろう。第1の多糖類及び第2の多糖類を加水分解工程で用い、続いてガムがその粘度を部分的にのみ発現するような条件下で加水分解された混合物にガムを添加し、それによって食品グレード増粘剤を形成するという独特の組み合わせが理解されるであろう。本明細書では、得られた食品グレード増粘剤は、ポンプ圧送装置を介した供給に特に好適にする特定の凝集特性及び接着特性を有し、流動性、ポンプ圧送性、分散性、透明性及び/又は対象食材中で透明性、均質性及び/又は対象食材中で均質性であり、臭気若しくは味をほとんど有さない、若しくは臭気若しくは味を有さない、及び/又は対象食材中で臭気若しくは味をほとんど付与しない、若しくは臭気若しくは味を付与しない。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
1.ブルックフィールド回転粘度計を使用して、20rpm(粘度に応じてスピンドル#5又は#6)、25℃で測定した。
2.B型粘度計を使用して測定した。
3.75rpmで30秒間撹拌した。
4.4rpmで15秒間撹拌した。
【0169】
実験及び試験
試験A1:製造の方法
以下の一般的な方法は、増粘剤組成物の製造のために使用され、以下の試験A2及びA3に関して使用される。
●500000未満の分子量の多糖類を、良好な撹拌を用いて水中に溶解させる。
●食品酸、色素、香料、及び保存料などの他の添加物を溶液に添加し、混合して溶解させる。
●溶液を60~90℃に加熱する。
●増粘薬剤を高温溶液に添加し、混合して、分散させる。
●次いで、得られた溶液を、60℃の最低温度で食品包装体に熱充填する。
【0170】
試験A2:組成物1
【表9】
試験A1に記載される方法を使用して、この組成物は、2500cPの流動性の液体である。5gのこの液体を100ミリリットルのオレンジジュースに添加し、十分に混合して分散させる場合、得られた溶液は、急速に250cPの粘度に増粘する。組成物は、安定しており、室温で保管される場合、10ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0171】
試験A3:組成物2
【表10】
試験A1に記載される方法を使用して、この組成物は、1700cPの流動性の液体である。10gのこの液体を100ミリリットルの水に添加し、十分に混合して分散させる場合、得られた溶液は、急速に430cPの粘度に増粘する。組成物は、安定しており、室温で保管される場合、12ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0172】
試験A4:組成物3
アラビノガラクタン断片溶液は、アカシアの木から抽出された多糖類の酸加水分解(80℃)から得られる。アラビノガラクタン断片溶液の16%乾燥固体溶液は、55cPの粘度の溶液を与える濃縮(水の除去)によって得られる。次いで、9重量%のキサンタンガムを添加して、1100cPの粘度の増粘濃縮物を生成する。溶液を酸性重亜硫酸ナトリウムを用いてpH4.5に酸性化し、保存料として1000ppmの安息香酸を添加する。次いで、溶液を78℃に加熱し、プラスチックボトル内に熱充填する。15gのこの増粘濃縮物を100ミリリットルの味噌汁に添加し、十分に混合して分散させる場合、得られた溶液は、急速に620cPの粘度に増粘する。組成物は、安定しており、室温で保管される場合、12ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0173】
試験A5:組成物4
7重量%のキサンタンガム溶液を、キサンタンデポリメラーゼ(エンド-ベータ-1,4-グルカナーゼ)酵素を使用して酵素加水分解する。得られた溶液は、83cPの粘度を有する。酵素加水分解物を濾過及び精製して、懸濁された材料及び汚染物質を除去し、次いで7重量%の天然の加水分解されていないキサンタンガム粉末を溶液に添加して、1650cPの粘度の増粘濃縮物を生成する。溶液をクエン酸でpH4.5に酸性化し、保存料として1000ppmの安息香酸を添加する。次いで、溶液を75℃に加熱し、プラスチックボトル内に熱充填する。5gのこの増粘濃縮物を100ミリリットルの高温の緑茶に添加し、十分に混合して分散させる場合、得られた溶液は、急速に110cPの粘度に増粘する。組成物は、安定しており、室温で保管される場合、9ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0174】
試験B:製造の方法
試験B1
4部の中粘度のカルボキシメチルセルロースナトリウム(重合度750~1000)を96部の水に添加し、混合して、粉末を分散させた。溶液の粘度を、977mPa・s(ローター3、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)として測定した。溶液を、グルコノデルタラクトンを使用してpH4.2に酸性化し、90℃に120分間加熱した。溶液を室温に冷却し、酸加水分解された溶液の粘度を測定したところ、312mPa・s(ローター3、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)であることが判明した。酸加水分解によって、3倍を超える粘度低減を達成した。
【0175】
5部のキサンタンガムを、冷却されたカルボキシメチルセルロースナトリウムの酸加水分解された溶液に、穏やかに混合しながら添加した。これによって、2160mPa・s(ローター1、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)の流動性の食品グレード増粘剤が生成され、これは、5%のキサンタンガム水溶液よりも9倍粘性が低くなっており、酸加水分解されたカルボキシメチルセルロースナトリウムがキサンタンガムの粘度抑制に有効であることを証明した(図6参照)。
【0176】
上記で作製されたキサンタンガム含有溶液の8部を92部の水に添加し、手で穏やかに混合したところ、液体は急速に分散し、30秒以内の混合で水の粘度が727mPa・s(ローター2、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)に上昇した。
【0177】
この配合物を、700ppmのソルビン酸カリウム(又は他の許可された食品保存料)を添加し、80℃の密閉容器に熱充填することによって、少なくとも12ヶ月の貯蔵寿命で貯蔵安定化させた。
【0178】
試験B2
6部のアルギン酸ナトリウムを94部の水に添加し、混合して、粉末を分散させた。溶液の粘度を、3948mPa・s(ローター3、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)として測定した。溶液を、クエン酸を使用してpH4.4に酸性化し、90℃に60分間加熱した。溶液を室温に冷却し、酸加水分解された溶液の粘度を測定したところ、63mPa・s(ローター1、60rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)であることが判明した。酸加水分解によって、63倍を超える粘度低減を達成した。
【0179】
5部のキサンタンガムを、冷却されたアルギン酸ナトリウムの酸加水分解された溶液に、穏やかに混合しながら添加した。これによって、3948mPa・s(ローター3、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)の流動性の食品グレード増粘剤が生成され、これは、5%のキサンタンガム水溶液よりもほぼ5倍粘性が低くなっており、酸加水分解されたアルギン酸ナトリウムがキサンタンガムの粘度抑制に有効であることを証明した(図7参照)。
【0180】
上記で作製されたキサンタンガム含有溶液の8部を92部の水に添加し、手で穏やかに混合したところ、液体は急速に分散し、30秒以内の混合で水の粘度が768mPa・s(ローター2、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)に上昇した。
【0181】
この配合物を、700ppmのソルビン酸カリウム(又は他の許可された食品保存料)を添加し、80℃の密閉容器に熱充填することによって、少なくとも12ヶ月の貯蔵寿命で貯蔵安定化させた。
【0182】
試験B3
2部のキサンタンガムを98部の水に添加し、混合して、粉末を分散させた。溶液の粘度を、3827mPa・s(ローター3、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)として測定した。0.05Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)中に、0.4mMのMgSO及び0.03mMのMnSOとともに、キサンタンデポリメラーゼを3.6x10-4IU/mLの濃度で添加し、32~34℃で20分間インキュベートした。酵素を50℃に加熱することによって不活性化し、次いで溶液を室温に冷却し、その粘度を測定した。酵素加水分解後の粘度は、94mPa・s(ローター1、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)であることが判明した。酵素加水分解によって、40倍の粘度低減を達成した。
【0183】
5部のキサンタンガムを、冷却されたキサンタンガムの酵素加水分解された溶液に、穏やかに混合しながら添加した。これによって、2455mPa・s(ローター2、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)の流動性の食品グレード増粘剤が生成され、これは、5%のキサンタンガム水溶液よりも8倍粘性が低くなっており、酵素加水分解されたキサンタンガムが加水分解されていないキサンタンガムの粘度抑制に有効であることを証明した(図8参照)。
【0184】
上記で作製されたキサンタンガム含有溶液の8部を92部の水に添加し、手で穏やかに混合したところ、液体は急速に分散し、30秒以内の混合で水の粘度が740mPa・s(ローター2、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)に上昇した。
【0185】
この配合物を、0.6%w/wのグルコノデルタ-ラクトン(又は他の許可された食品酸)及び700ppmのソルビン酸カリウム(又は他の許可された食品保存料)を添加し、80℃の密閉容器に熱充填することによって、少なくとも12ヶ月の貯蔵寿命で貯蔵安定化させた。
【0186】
試験B4
2部のグアーガムを98部の水に添加し、混合して、粉末を分散させた。溶液の粘度を、2870mPa・s(ローター3、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)として測定した。β-マンナナーゼを8.3x10-4IU/mLの濃度で添加し、リン酸緩衝液(pH7.0)を添加し、25℃で30分間インキュベートした。酵素を90℃に加熱することによって不活性化し、次いで溶液を室温に冷却し、粘度を測定した。酵素加水分解後の粘度=410mPa・s(ローター1、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)であった。酵素加水分解によって、7倍の粘度低減を達成した。
【0187】
5部のキサンタンガムを、冷却されたグアーガムの酵素加水分解された溶液に、穏やかに混合しながら添加した。これによって、3475mPa・s(ローター2、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)の流動性の食品グレード増粘剤が生成され、これは、5%のキサンタンガム水溶液よりも5倍粘性が低くなっており、酵素加水分解されたグアーガムがキサンタンガムの粘度抑制に有効であることを証明した(図9参照)。
【0188】
上記で作製されたキサンタンガム含有溶液の8部を92部の水に添加し、手で穏やかに混合したところ、液体は急速に分散し、30秒以内の混合で水の粘度が790mPa・s(ローター2、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)に上昇した。
【0189】
この配合物を、0.6%w/wのグルコノデルタ-ラクトン(又は他の許可された食品酸)及び700ppmのソルビン酸カリウム(又は他の許可された食品保存料)を添加し、80℃の密閉容器に熱充填することによって、少なくとも12ヶ月の貯蔵寿命で貯蔵安定化させた。
【0190】
試験B5
250の平均重合度を有するメチルエチルセルロースの4部を96部の水に添加し、混合して、粉末を分散させた。溶液の粘度を、95mPa・s(ローター1、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)として測定した。
【0191】
5部のキサンタンガムを、メチルエチルセルロースの溶液に、穏やかに混合しながら添加した。これによって、3340mPa・s(ローター3、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)の流動性の食品グレード増粘剤が生成され、これは、5%のキサンタンガム水溶液よりも約6倍粘性が低くなっており、250の平均重合度を有するメチルエチルセルロースがキサンタンガムの粘度抑制に有効であることを証明した(図10参照)。
【0192】
上記で作製されたキサンタンガム含有溶液の8部を92部の水に添加し、手で穏やかに混合したところ、液体は急速に分散し、30秒以内の混合で水の粘度が740mPa・s(ローター2、30rpm、デジタル回転粘度計NDJ-5S使用)に上昇した。
【0193】
この配合物を、0.6%w/wのグルコノデルタ-ラクトン(又は他の許可された食品酸)及び700ppmのソルビン酸カリウム(又は他の許可された食品保存料)を添加し、80℃の密閉容器に熱充填することによって、少なくとも12ヶ月の貯蔵寿命で貯蔵安定化させた。
【0194】
試験B6
120~150の平均重合度を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムの2.5部を97.5部の水に添加し、混合して、粉末を分散させた。溶液の粘度を、39mPa・s(ローター1、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)として測定した。4.5部のキサンタンガムを、カルボキシメチルセルロースナトリウムの溶液に、穏やかに混合しながら添加した。これによって、2450mPa・s(ローター3、60rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)の流動性の食品グレード増粘剤が生成され、これは、5%のキサンタンガム水溶液よりも約8倍粘性が低くなっており、120~150の平均重合度を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムがキサンタンガムの粘度抑制に有効であることを証明した(図11参照)。
【0195】
上記で作製されたキサンタンガム含有溶液の7部を93部の水に添加し、手で穏やかに混合したところ、液体は急速に分散し、30秒以内の混合で水の粘度が747mPa・s(ローター2、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)に上昇した。
【0196】
この配合物を、0.6%w/wのグルコノデルタ-ラクトン(又は他の許可された食品酸)及び700ppmのソルビン酸カリウム(又は他の許可された食品保存料)を添加し、80℃の密閉容器に熱充填することによって、少なくとも12ヶ月の貯蔵寿命で貯蔵安定化させた。
【0197】
試験B7
以下の配合物は、上記の3種類の低粘度、高可溶性多糖類をどの様に組み合わせて、流動性の粘度抑制組成物を生成し得るかの例を示す。
●水-91%w/w
●キサンタンガム(天然未加水分解形態)-5%w/w
●キサンタンガム(酵素加水分解)-1%w/w
●カルボキシメチルセルロースナトリウム(重合度120~150)-1.0%w/w
●カルボキシメチルセルロースナトリウム(重合度>500、酸加水分解)-0.5%w/w
●アルギン酸ナトリウム(酸加水分解)-1%w/w
●ペクチン(酸加水分解)-1%w/w
【0198】
方法:1部のキサンタンガムを99部の水に添加し、混合して、粉末を分散させた。0.05Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)中に、0.4mMのMgSO及び0.03mMのMnSOとともに、キサンタンデポリメラーゼを3.6x10-4IU/mLの濃度で添加し、32~34℃で20分間インキュベートした。酸加水分解される3つのガム(0.5部の500を超える重合度のカルボキシメチルセルロースナトリウム、1部のアルギン酸ナトリウム、及び1部のペクチン)を、良好なせん断混合下で添加し、グルコノデルタラクトンを使用してpH4.1に酸性化した。溶液を90℃に60分間加熱した(この加熱工程は、キサンタンデポリメラーゼ酵素も失活させる)。最後に、1部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(重合度120~150)を、良好なせん断混合下で添加した。溶液の粘度を、76mPa・s(ローター1、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)として測定した。
【0199】
5部のキサンタンガムを、上記で調製された低粘度、高可溶性多糖類の混合物に、穏やかに混合しながら添加した。これによって、1740mPa・s(ローター1、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)の流動性の食品グレード増粘剤が生成され、これは、5%のキサンタンガム水溶液よりも11倍粘性が低くなっており、混合物がキサンタンガムの粘度抑制に有効であることを証明した(図12参照)。効果は同様であり、場合によっては、上記の試験B1~6において単独で使用された場合、個々の低粘度、高可溶性多糖類よりも良好である。
【0200】
上記で作製されたキサンタンガム含有溶液の8部を92部の水に添加し、手で穏やかに混合したところ、液体は急速に分散し、30秒以内の混合で水の粘度が705mPa・s(ローター2、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)に上昇した。
【0201】
この配合物を、0.6%w/wのグルコノデルタ-ラクトン(又は他の許可された食品酸)及び700ppmのソルビン酸カリウム(又は他の許可された食品保存料)を添加し、80℃の密閉容器に熱充填することによって、少なくとも12ヶ月の貯蔵寿命で貯蔵安定化させた。
【0202】
試験B8
以下の配合物は、上記の3種類の低粘度、高可溶性多糖類をどの様に組み合わせて、流動性の粘度抑制組成物を生成し得るかを示す。
●水-80%w/w
●アルギン酸ナトリウム(天然未加水分解形態)-8%w/w
●ペクチン(酸加水分解)-1%w/w
●ヒドロキシプロピルメチルセルロース(重合度200)-1%w/w
●グアーガム(酵素加水分解)-1%w/w
【0203】
方法:1部のグアーガムを99部の水に添加し、混合して、粉末を分散させた。β-マンナナーゼを、8.3x10-4IU/mLの濃度で添加し、リン酸緩衝液(pH7.0)を添加した。溶液を25℃で30分間インキュベートした。次いで、ペクチンを添加して、良好なせん断混合下で酸加水分解し(1部)、その溶液を酒石酸を使用してpH4.1に酸性化した。次いで、溶液を90℃に60分間加熱した(この加熱工程は、β-マンナナーゼ酵素も失活させた)。最後に、良好なせん断混合下で、1部のヒドロキシプロピルメチルセルロース(重合度200)を添加した。溶液の粘度を、75mPa・s(ローター1、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)として測定した。
【0204】
8部のアルギン酸ナトリウムを、上記で調製された低粘度、高可溶性多糖類の混合物に、穏やかに混合しながら添加した。これによって、440mPa・s(ローター1、30rpm、NDJ-5Sデジタル回転粘度計を使用)の流動性の食品グレード増粘剤が生成され、これは、8%のアルギン酸ナトリウム水溶液よりも10倍粘性が低くなっており、混合物がアルギン酸ナトリウムの粘度抑制に有効であることを証明した(図13参照)。
【0205】
上記で作製されたアルギン酸ナトリウムガム含有溶液の12部を88部の水に添加し、手で穏やかに混合したところ、液体は急速に分散し、30秒以内の混合で水の粘度が610mPa・s(ローター2、30rpm、デジタル回転粘度計NDJ-5S使用)に上昇した。
【0206】
この配合物を、0.6%w/wのグルコノデルタ-ラクトン(又は他の許可された食品酸)及び700ppmのソルビン酸カリウム(又は他の許可された食品保存料)を添加し、80℃の密閉容器に熱充填することによって、少なくとも12ヶ月の貯蔵寿命で貯蔵安定化させた。
【0207】
本発明を具体的な実施例を参照して記載したが、本発明は、様々な記載された実施例のうちのいずれか1つの特定の特徴が、他の記載された実施例のうちのいずれかにおいて任意の組み合わせで提供され得ることにおいて、多くの他の形態で具体化され得ることが、当業者には理解されるであろう。この発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、この発明の様々な修正及び変更が当業者に明らかになるであろう。この発明は、本明細書に記載された例示的な実施形態及び実施例によって過度に限定されることが意図されておらず、このような実施例及び実施形態は、本明細書に記載される請求項によってのみ限定されることが意図される本発明の範囲のみを例として提示されることを理解されたい。
【0208】
本明細書に記載される本発明の他の実施形態は、以下の項において定義される。
1.食品グレード増粘剤を提供するための方法であって、水性相を提供する工程と、
水性相に多糖類を添加し、それによってゲル化混合物を形成する工程と、ゲル化混合物を加水分解して、ゲル化混合物の粘度を低減させる工程と、
ガムを、ガムがその粘度を部分的にのみ発現するような条件下で加水分解されたゲル化混合物に添加し、それによって食品グレード増粘剤を形成する工程と、を含む、方法。
2.多糖類が、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、項1に記載の方法。
3.多糖類が、約0.5~30重量%の濃度で水性相に添加される、先行項のいずれか一項に記載の方法。
4.ゲル化混合物が、約50~95℃の温度で加水分解される、先行項のいずれか一項に記載の方法。
5.ゲル化混合物が、約2~72時間の間加水分解される、先行項のいずれか一項に記載の方法。
6.ゲル化混合物が酸加水分解されて、加水分解されたゲル化混合物を生成する、先行項のいずれか一項に記載の方法。
7.加水分解されたゲル化混合物が、ブルックフィールド粘度計#5スピンドルを10RPMで使用して、20℃で測定された約40~150cPの粘度を有する、先行項のいずれか一項に記載の方法。
8.ガムが、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、及びローカストビーンガム、キサンタンガム、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、先行項のいずれか一項に記載の方法。
9.ガムが、約2~30重量%の濃度で添加される、先行項のいずれか一項に記載の方法。
10.項1~9のいずれか一項に記載の方法によって生成された食品グレード増粘剤。
11.食品グレード増粘剤が、少なくとも6ヶ月間安定である、項10に記載の食品グレード増粘剤。
12.食品グレード増粘剤が、ブルックフィールド粘度計#3スピンドルを5RPMで使用して、20℃で測定された約500~10,000cPの粘度を有する、項10又は11に記載の食品グレード増粘剤。
13.食品グレード増粘剤が、ボストウィックコンシストメータを使用して、20℃、30秒で測定された約12cmを超える流動抵抗を有する、項10~12のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤。
14.食品グレード増粘剤及び水の7重量%溶液が、1cmの経路長を使用して測定された場合、650nmで約>90%の透過率を有する、項10~13のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤。
15.水性液体又は水性液体固体混合物食材の粘度を増加させるための方法であって、食材に項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を添加する工程を含む、方法。
16.添加される食品グレード増粘剤の量が、約1~30重量%である、項15に記載の方法。
17.食材に食品グレード増粘剤を添加することによって、食材の粘度が少なくとも約95cPに増加される、項15又は16に記載の方法。
18.咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態を患っている対象を治療する方法であって、食材を対象に投与する工程を含み、食材が、項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を含む、方法。
19.咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害、又は状態の治療又は改善のための医薬の製造における、項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤の使用。
20.嚥下困難の克服又は改善を、このような治療を必要とする患者において行う方法であって、当該患者による消費のために、食品又は飲料を、項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を用いて増粘する工程を含む、方法。
21.嚥下困難の克服又は改善を、このような治療を必要とする患者において行うための医薬の製造における、項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤の使用。
22.食品グレード増粘剤のための保管及び供給システムであって、項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を収容する容器と、容器に密閉して取り付けられたポンプディスペンサと、を備え、当該ディスペンサが、容器内で組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える、保管及び供給システム。
23.食品グレード増粘剤のための保管及び供給システムのためのキットであって、
項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を収容する容器と、容器への取り付けのためのポンプディスペンサと、を備え、当該ポンプディスペンサが、容器内で組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える、キット。
24.食品グレード増粘剤を水性液体又は水性液体固体混合物食材に供給する方法であって、
項10~14のいずれか一項に記載の食品グレード増粘剤を収容する容器を提供する工程と、ポンプディスペンサに力を加えて、それによって所定体積の食品グレード増粘剤の1回以上の投与を食材に供給する工程と、を含む方法。
25.所定体積の食品グレード増粘剤の1、2、及び3回の投与によって、当該食材の粘度がそれぞれ第1、第2、及び第3の粘度レベルに増加し、第1、第2、及び第3の粘度レベルの間に非線形関係が存在する、項22に記載のシステム、又は項23に記載のキット、又は項24に記載の方法。
26.ポンプディスペンサが、容器内で組成物の乾燥を抑制又は防止するためのバルブを備える、項22若しくは25に記載のシステム、又は項23若しくは25に記載のキット、又は項24若しくは25に記載の方法。
27.バルブが、自己シーリングバルブであるか、又は自己シーリングバルブを備える、項22、25、若しくは26のいずれか一項に記載のシステム、又は項23、25、若しくは26のいずれか一項に記載のキット、又は項24~26のいずれか一項に記載の方法。
28.バルブが、クロススリットバルブ、ボールバルブ、フラッパーバルブ、アンブレラバルブ、ダックビルバルブ、リードバルブ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項27に記載のシステム、又は項27に記載のキット、又は項27に記載の方法。
29.バルブが、閉位置に偏っており、当該組成物がバルブを通って流動することを強制するポンプディスペンサへ力を加えると、開位置に作動する、項27に記載のシステム、又は項27に記載のキット、又は項27に記載の方法。
30.ポンプディスペンサが、ディスペンサ先端を備え、ディスペンサ先端が、その中に配置されたバルブを含む、項22若しくは25~29のいずれか一項に記載のシステム、又は項23若しくは25~29のいずれか一項に記載のキット、又は項24~29のいずれか一項に記載の方法。
31.注入性の食品グレード増粘剤を含む、嚥下障害を補助又は嚥下障害を改善する組成物であって、#3スピンドルを5rpmで使用して、20℃で測定された約約5,000cPs未満の見かけ粘度、及びボストウィックコンシストメータを使用して、20℃、30秒で測定された約12cmを超える流動抵抗を有し、食品グレード増粘剤及び水の7重量%溶液が、1cmの経路長を用いて測定された場合、650nmで>90%の透過率を有する、嚥下障害を補助又は嚥下障害を改善する組成物。
32.食品グレード増粘剤を提供するための方法であって、第1の多糖類の水性連続相を確立する工程と、
連続相に第2の多糖類を添加し、それによってゲル化混合物を形成する工程と、ゲル化混合物を加水分解して、ゲル化混合物の粘度を低減させる工程と、
ガムを、ガムがその粘度を部分的にのみ発現するような条件下で加水分解されたゲル化混合物に添加し、それによって食品グレード増粘剤を形成する工程と、を含む、方法。
33.第1の多糖類が、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、又はキサンタンガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項32に記載の方法。
34.水性連続相が、約0.002~1.0重量%の第1の多糖類を含む、項32又は33に記載の方法。
35.水性連続相を加熱して、第1の多糖類を溶融させる、項32~34のいずれか一項に記載の方法。
36.第2の多糖類が、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、項32~35のいずれか一項に記載の方法。
37.第2の多糖類が、約0.5~30重量%の濃度で水性相に添加される、項32~36のいずれか一項に記載の方法。
38.ゲル化混合物が、約50~95℃の温度で加水分解される、項32~37のいずれか一項に記載の方法。
39.ゲル化混合物が、約2~72時間の間加水分解される、項32~38のいずれか一項に記載の方法。
40.ゲル化混合物が酸加水分解されて、加水分解されたゲル化混合物を生成する、項32~39のいずれか一項に記載の方法。
41.加水分解されたゲル化混合物が、ブルックフィールド粘度計#1スピンドルを10RPMで使用して、20℃で測定された約40~150cPの粘度を有する、項32~40のいずれか一項に記載の方法。
42.ガムが、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、クインスシードガム、ペクチン、ファーセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、及びローカストビーンガム、キサンタンガム、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項32~41のいずれか一項に記載の方法。
43.ガムが、約2~30重量%の濃度で添加される、項32~42のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図3i
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図4i
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】