(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電極基材のノッチング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20231017BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20231017BHJP
B21D 28/14 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/04 A
B23Q11/00 K
B21D28/14 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513520
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 KR2022011071
(87)【国際公開番号】W WO2023033371
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0115771
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、チャン バム
【テーマコード(参考)】
4E048
5H050
【Fターム(参考)】
4E048FA01
5H050AA19
5H050BA08
5H050GA04
5H050GA29
5H050HA12
(57)【要約】
パンチに打抜き油供給ホールを形成させ、これを通じて、パンチの壁面に打抜き油を塗布することによって、電極集電体が汚染される従来の問題を改善することができ、かつ、パンチに形成されたホールを介して電極の打抜き時に生成される異物の排出も可能な、電極基材のノッチング装置及び方法が開示される。前記電極基材のノッチング装置は、電極基材が配置されるダイ部材;及び前記ダイ部材の上部に離隔して備えられ、ダイ部材側に上下移動するパンチが備えられたパンチ部材;を含み、前記パンチの壁面には、打抜き油をパンチの外表面に塗布するための1つ以上の打抜き油供給ホールが備えられたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極基材が配置されるダイ部材;及び
前記ダイ部材の上部に離隔して備えられ、前記ダイ部材側に上下移動するパンチを備えたパンチ部材;を含み、
前記パンチの壁面には、打抜き油を前記パンチの外表面に塗布するための1つ以上の打抜き油供給ホールが備えられた電極基材のノッチング装置。
【請求項2】
前記打抜き油供給ホールは、打抜き油貯蔵庫と連結された打抜き油供給ラインと締結され、前記打抜き油貯蔵庫及び前記打抜き油供給ラインを介して順次移送される打抜き油が前記打抜き油供給ホールを介して前記パンチの外表面に塗布される、請求項1に記載の電極基材のノッチング装置。
【請求項3】
前記パンチの壁面には、1つ以上のエア供給及び異物サクションホールがさらに備えられ、ノッチング時に発生する異物を外部に排出し、前記ダイ部材と前記パンチ部材との間にエア層を形成させる、請求項1に記載の電極基材のノッチング装置。
【請求項4】
前記エア供給及び前記異物サクションホールは、前記打抜き油供給ホールよりも下に位置する、請求項3に記載の電極基材のノッチング装置。
【請求項5】
前記電極基材は、活物質が塗布された維持部と活物質が塗布されていない無地部とを含み、ノッチングを介して前記無地部の一段を剪断加工するか、又は電極を切断加工する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電極基材のノッチング装置。
【請求項6】
(a)パンチ部材のパンチの壁面に備えられた打抜き油供給ホールを介して打抜き油を供給して前記パンチの外表面に塗布させる段階;及び
(b)前記パンチ部材を電極基材が配置されたダイ部材側に下降させ、前記打抜き油が塗布されたパンチで前記電極基材をノッチングさせる段階;を含む電極基材のノッチング方法。
【請求項7】
前記打抜き油は、前記(b)段階のノッチングが行われる間にも前記パンチの外表面に塗布される、請求項6に記載の電極基材のノッチング方法。
【請求項8】
前記電極基材がノッチングされる前までは、前記電極基材に前記打抜き油が接触しない、請求項6に記載の電極基材のノッチング方法。
【請求項9】
前記打抜き油は、打抜き油貯蔵庫及び打抜き油供給ラインを介して順次移送され、前記打抜き油供給ホールを介して前記パンチの外表面に塗布される、請求項6に記載の電極基材のノッチング方法。
【請求項10】
前記パンチの壁面には、エア供給及び異物サクションホールがさらに備えられ、前記(b)段階のノッチングと同時にエアを供給して前記ノッチング時に発生する異物を外部に排出し、前記ダイ部材と前記パンチ部材との間にエア層を形成させる、請求項6から9のいずれか一項に記載の電極基材のノッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月31日付け韓国特許出願第10-2021-0115771号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極基材のノッチング装置及び方法に関し、より詳しくは、パンチに打抜き油供給ホールを形成させ、これを通じて、パンチの壁面に打抜き油を塗布することによって、電極集電体が汚染される従来の問題を改善することができ、かつ、パンチに形成されたホールを介して電極の打抜き時に生成される異物の排出も可能な、電極基材のノッチング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器及び自動車に関する技術開発と需要が爆発的に増加するにつれて、高いエネルギー密度と放電電圧及び優れた出力安定性を有する二次電池についてより多くの研究が行われている。このような二次電池は、一般的に電極(負極、正極)と分離膜が交互に積層された構造を有する電極組立体、電極にイオンを移動させる電解質、及び前記電極組立体及び電解質が収容されるケースを含む構造を有する。そして、前記二次電池の製造工程は、大きく正極と負極を製造する極板工程、正極と負極を電極組立体で製造した後、前記電極組立体を電解質と共にケース内に挿入する組立工程、及び電極組立体のイオン移動を活性化させて電気を帯びるようにする化成工程に分類することができ、前記極板工程、組立工程及び化成工程はそれぞれ個別の細部工程に分けられる。
【0004】
前記極板工程は、活物質に導電材及びバインダーを添加し混合するミキシング工程、ミキシングされたスラリー組成物を集電体の上に塗布するコーティング工程、前記スラリー組成物が塗布された集電体を表面加圧するプレス工程、及び集電体表面にスラリー組成物が接着して製造された電極を大きさに合わせて切断するスリッティング工程と、切断された電極の無地部の一段に電極タブを形成するように剪断加工するノッチング工程などを含む。このとき、集電体の表面に活物質が塗布された状態の電極基材を大きさに合わせて切断するスリッティング工程と切断された電極の無地部の一段に電極タプを形成するように剪断加工するノッチング工程は、順次に行われてもよく、同時に行われてもよい。
【0005】
すなわち、規格化された大きさで連続して提供される電極基材は、スリッティング装置及びノッチング装置を通過し、予め決められた形状(例えば、一方側又は他方側に電極タブが突出する形状)を有するように切断及び加工が行われ、前記スリッティング装置とノッチング装置は別々に構成されるか、又は1つの装置で切断と加工が同時に行われるように構成されてもよい。したがって、スリッティング工程とノッチング工程は同一の打抜き装置によって行われてもよく、スリッティング装置とノッチング装置のそれぞれによって行われてもよい。このとき、前記ノッチング装置はパンチ(Punch)及びダイ(Die)などで構成されてもよい。
【0006】
図1は、通常のノッチング装置の側面図であり、例えば、ノッチング装置は、
図1に示すように、ダイホルダー11及びダイプレート12(サブダイプレート12a、メインダイプレート12b)を含むダイ部材10;パンチホルダー21、パンチプレート22(サブパンチプレート22a、メインパンチプレート22b)及びパンチ23を含んでダイ部材10側に上下移動し、電極の一段を剪断加工するパンチ部材20;含む構成からなってもよい。
【0007】
一方、通常の二次電池の電極ノッチング工程を進行する場合、電極のホイル部(集電体)がノッチング装置に焼着されて打抜き不良及び断線などの問題が必然的に発生する。
図2は、電極のノッチング工程の前に打抜き油を電極基材に塗布する様子を示す模式図であり、前記の問題点を改善するために、
図2に示すようにノッチング装置30を用いたノッチング工程の前に別途に打抜き油を電極基材50に直接塗布している。すなわち、言い換えれば、従来は、移送ロール40により移送される電極基材50の両面を、打抜き油供給ユニット60によって供給される打抜き油で塗布した後、打抜き油が供給された電極基材50をノッチング装置30に移送させてノッチング工程を行う方法により、電極のホイル部(集電体)がノッチング装置に焼着される問題を防止している。
【0008】
しかし、この場合、打抜き油により電極のホイル部(集電体)が汚染されて溶接不良などの問題を発生させ、かつ、打抜き油がノッチング装置内に直接供給及び噴射できず、ノッチング工程が円滑に行われないという問題点も発生させる。
【0009】
そこで、電極のホイル部(集電体)がノッチング装置に焼付されて打抜き不良及び断線などの問題を発生させないように打抜き油を供給し、打抜き油を電極基材に直接塗布させずに電極のホイル部(集全体)を汚染させない方案が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、パンチに打抜き油供給ホールを形成させ、これを通じて、パンチの壁面に打抜き油を塗布することによって、電極集電体が汚染される従来の問題を改善することができ、かつ、パンチに形成されたホールを介して電極の打抜き時に生成される異物の排出も可能な、電極基材のノッチング装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、電極基材が配置されるダイ部材;及び前記ダイ部材の上部に離隔して備えられ、ダイ部材側に上下移動するパンチを備えたパンチ部材;を含み、前記パンチの壁面には、打抜き油をパンチの外表面に塗布するための1つ以上の打抜き油供給ホールが備えられた電極基材のノッチング装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、(a)パンチ部材のパンチ壁面に備えられた打抜き油供給ホールを介して打抜き油を供給して前記パンチの外表面に塗布させる段階;及び(b)前記パンチ部材を電極基材が配置されたダイ部材側に下降させ、前記打抜き油が塗布されたパンチで電極基材をノッチングさせる段階;を含む電極基材のノッチング方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電極基材のノッチング装置及び方法は、ノッチング装置のパンチに打抜き油供給ホールを形成させ、これを通じて、パンチの壁面に打抜き油を塗布することによって、電極集電体が汚染される従来の問題を改善することができる利点が有する。かつ、本発明に係る電極基材のノッチング装置及び方法は、ノッチング装置のパンチに形成されたホールを介して電極の打抜き時に生成される異物の排出も可能な利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】電極ノッチング工程の前に打抜き油を電極基材に塗布する様子を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るノッチング装置の側面図である。
【
図4】本発明の他の実施例に係るノッチング装置の側面図である。
【
図5】本発明の他の実施例に係るノッチング装置において、パンチが下降して加工枠に挿入された様子を示す側面図である。
【
図6】本発明に係るノッチング装置のパンチに、打抜き油供給ラインとエア供給及び異物サクションラインとが連結された様子を示す側断面図である。
【
図7】本発明に係るノッチング装置のパンチに、打抜き油供給ラインとエア供給及び異物サクションラインとが連結された様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。しかし、本発明は、色々と異なる形態で具現されることができ、したがって、本発明は以下で説明する実施例に限定されない。また、本発明の特徴をより明確に説明するために、主要構成から外れている公知部分は図面において省略したことを明らかにする。
【0016】
図3は、本発明の一実施例に係るノッチング装置の側面図である。
図3に示すように、本発明に係るノッチング装置100は、電極基材が配置されるダイ部材110及び前記ダイ部材110の上部に離隔して備えられ、ダイ部材110側に上下移動するパンチ130が備えられたパンチ部材120を含み、前記パンチ130の壁面には打抜き油をパンチ130の外表面に塗布するための1つ以上の打抜き油供給ホール132が備えられた(又は、穿孔されて形成された)ことを特徴とする。
【0017】
通常の二次電池の電極ノッチング工程を進行する場合、電極の集電体がノッチング装置(又は、ノッチング金型)に焼着されて打抜き不良及び断線などの問題を発生させる。これを改善するために、
図2に示すように、ノッチング装置30を用いたノッチング工程の前に、別途に打抜き油を電極基材50に直接塗布している。すなわち、言い換えれば、従来は、移送ロール40により移送される電極基材50の両面を、打抜き油供給ユニット60によって供給される打抜き油で塗布した後に、打抜き油が供給された電極基材50をノッチング装置30に移送させてノッチング工程を行う方法により、電極の集電体がノッチング装置に焼着される問題を防止している。しかし、この場合には、打抜き油により電極の集電体が汚染されて溶接不良などの問題を発生させ、かつ、打抜き油がノッチング装置内に直接供給及び噴射できず、ノッチング工程が円滑に行われないという問題を誘発する。
【0018】
そこで、本出願人は、電極の集電体がノッチング装置に焼着されて打抜き不良及び断線などの問題を発生させないように打抜き油は供給しながらも、電極基材には直接塗布させずに電極の集電体を汚染させない技術を提示しようとするものである。
【0019】
二次電池は、一般的に電極(負極、正極)と分離膜が交互に積層された構造を有する電極組立体、電極にイオンを移動させる電解質、及び前記電極組立体及び電解質が収容されるケースを含む構造を有する。そして、前記二次電池の製造工程は、大きく正極と負極を製造する極板工程、正極と負極を電極組立体で製造した後、前記電極組立体を電解質と共にケース内に挿入する組立工程、及び電極組立体のイオン移動を活性化させて電気を帯びるようにする化成工程に分類することができ、前記極板工程、組立工程及び化成工程はそれぞれ個別の細部工程に分けられる。
【0020】
この中で極板工程は、活物質に導電材及びバインダーを添加し混合するミキシング工程、ミキシングされたスラリー組成物を集電体の上に塗布するコーティング工程、前記スラリー組成物が塗布された集電体を表面加圧するプレス工程、及び集電体表面にスラリー組成物が接着して製造された電極を大きさに合わせて切断するスリッティング工程と、切断された電極の無地部の一段に電極タブを形成するように剪断加工するノッチング工程などを含む。このとき、集電体の表面に活物質が塗布された状態の電極基材を大きさに合わせて切断するスリッティング工程と切断された電極の無地部の一段に電極タプを形成するように剪断加工するノッチング工程は、順次に行われてもよく、同時に行われてもよい。
【0021】
したがって、本発明に係るノッチング装置を通じては、切断されていない電極の無地部の一段に電極タブを形成するように剪断加工するノッチングと、電極を大きさに合わせて切断加工するスリッティングの両方を行ってもよく、切断された電極の無地部の一段を加工するノッチングのみを行ってもよい。
【0022】
前記電極基材は、ノッチング工程に適用可能な通常のものであってもよく、例えば、活物質、導電材及びバインダーが混合されたスラリー組成物を集電体の一面に塗布した後、加圧して製造されたものであってもよい。また、前記電極基材は、活物質が塗布された維持部と活物質が塗布されずに電極タブが形成される無地部とに区分することができ、ノッチングは、前記無地部の一段を剪断加工するものであってもよい。ただし、これはあくまで一例に過ぎず、通常の二次電池のノッチング工程で実行可能な作業が行われることができることは自明であるといえる。
【0023】
図3を参照して、本発明に係るノッチング装置100について具体的に説明する。本発明のノッチング装置100において、前記ダイ部材110は、連続的に供給される電極基材(すなわち、加工対象物)が配置されるもので、ダイホルダー111及びダイプレート112(サブダイプレート112a、メインダイプレート112b)などを含むことができ、必要に応じて、前記メインダイプレート112bには加工枠112b(破線表記部)を形成することができる。また、前記サブダイプレート112aとメインダイプレート112bの両方を備える必要はなく、このうちの1つのダイプレートのみを備えてもよい。このようなダイ部材110により、加工作業時の加工対象物の離脱又は流動を安定的に防止又は最小化することができる。一方、前記サブダイプレート112aはダイホルダー111に着脱可能に固定され、これによって、様々な規格のダイプレート112を交換使用することができ、作業性及び互換性を高めることができる。その他に、
図3に示すように、前記ダイホルダー111とサブダイプレート112aとの間に緩衝部材が介在することができ、これを通じて、騒音及び振動を減少させて加工精度を向上させることができる。
【0024】
前記パンチ部材120は、前記ダイ部材110の上部に離隔して備えられてダイ部材110側に上下移動するもので、パンチホルダー121及びパンチプレート122(サブパンチプレート122a、メインパンチプレート122b)を含むことができる。また、前記サブパンチプレート122aとメインパンチプレート122bの両方を備える必要はなく、このうちの1つのパンチプレートのみを備えてもよい。一方、前記サブパンチプレート122aはパンチホルダー121に着脱可能に固定され、これによって、様々な規格のパンチプレート122を交換使用することができ、作業性及び互換性を高めることができる。また、前記メインパンチプレート122bは、その下段に結合されるパンチ130が損傷するか、又は他の規格のパンチに交換しなければならない場合、前記サブパンチプレート122aから分離した後、別途のメインパンチプレートに交換することができる。その他に、
図3に示すように、前記パンチホルダー121とサブパンチプレート122aとの間に緩衝部材が介在することができ、これを通じて、騒音及び振動を減少させて加工精度を向上させることができる。
【0025】
前記パンチ130は、前記パンチ部材120の下段に結合されてパンチ部材120と共に上下移動し、加工対象物(電極基材)を直接加工するものである。すなわち、前記パンチ130を通じては、電極の無地部の一段に電極タブを形成するように剪断加工するノッチング及び電極を大きさに合わせて切断加工するスリッティングのいずれか1つ以上を行うことができ、必要に応じて別途のパンチングが要求される作業を行うこともできる。また、前記パンチ130は、前記パンチ部材120と共にダイ部材110のメインダイプレート112bに下降しながら加工対象物を加工するようになり、必要に応じて、メインダイプレート112bに形成可能な加工枠112b(破線表記部)に挿入されて加工を行うこともできる。
【0026】
前記パンチ130の壁面には、1つ以上の打抜き油供給ホール132が備えられる(又は、穿孔されて形成される)。これは、前述のように、ノッチング工程の前に打抜き油を電極基材に直接塗布することにより発生する問題(電極の集電体が汚染されて溶接不良などの問題を誘発)を除去するためのものである。すなわち、本発明は、前記打抜き油供給ホール132を介して打抜き油をパンチ130の外表面に塗布し、この打抜き油の塗布は、ノッチング加工が始まる前に行うことが好ましい。これは、電極の集電体が汚染される問題を防止又は最小化することができるからである。ただし、繰り返し行われる加工を考慮して、加工が始まった後にも間欠的に追加の後続塗布を行うことができ、持続的に電極の集電体が汚染される問題を防止又は最小化するために、後続塗布の場合にもパンチ130がダイ部材110から離隔した状態で行うことが好ましい。その他に、前記打抜き油はパンチ130の外表面に塗布可能であるが、下部に開口部が形成されているパンチの場合には、必要に応じてパンチの内部面にも打抜き油を塗布することが可能である。
【0027】
前記打抜き油供給ホール132は、パンチ130の壁面に1つ以上備えられてもよく、パンチの大きさ及び面積と加工の繰り返し回数などを考慮して打抜き油供給ホール132の数を適宜設定することができる。一方、
図3には、3つの打抜き油供給ホール132を形成しているが、これは一実施態様に過ぎないことを明らかにする。前記打抜き油供給ホール132の大きさにも特に制限はなく、これも、パンチ130の大きさ及び面積と加工の繰り返し回数などによって可変的であることを明らかにする。ただし、一例として、前記打抜き油供給ホール132の直径は1~2mmであってもよい。その他に、一例として、前記打抜き油供給ホール132は、パンチ130の最下段から30~40mm離れた位置に備えられてもよい。
【0028】
前記打抜き油供給ホール132は、打抜き油貯蔵庫と連結された打抜き油供給ラインと締結されてもよい(必要に応じて、打抜き油供給ノズルまで含む)。したがって、前記打抜き油は、前記打抜き油貯蔵庫及び打抜き油供給ラインを介して順次移送されてもよく、前記打抜き油供給ラインと締結された打抜き油供給ホールを介してパンチの外表面に塗布されてもよい。そして、打抜き油の供給は、打抜き油調節バルブを介して調整することができる。したがって、前記打抜き油調節バルブを介して開閉だけでなく、打抜き油の供給量を調節することもできる。
【0029】
一方、本発明のノッチング装置100に形成された打抜き油供給ホール132を通じて、ノッチング装置100の内部へのエア供給(air blow)及びノッチング加工時に発生する粉塵などの異物排出も可能である。したがって、この場合には、打抜き油供給ラインの代わりに、エア供給及び異物サクションラインを打抜き油供給ホール132と連結することができる。
【0030】
ただし、前記打抜き油供給ラインの代わりに、エア供給及び異物サクションラインを打抜き油供給ホール132と連結させ、その後、再び打抜き油供給ラインを打抜き油供給ホール132と連結させる煩わしさを避けるために、前記打抜き油供給ホール132の他に、エア供給及び異物サクションホールがパンチ130の壁面にさらに備えられてもよい。
図4は、本発明の他の実施例に係るノッチング装置の側面図である。すなわち、
図4に示すように、本発明の他の実施例に係るノッチング装置200は、パンチ130の壁面に打抜き油供給ホール132だけでなく、1つ以上のエア供給及び異物サクションホール134まで備えられたものであってもよい。
【0031】
前記のように、パンチ130の壁面にエア供給及び異物サクションホール134まで備えられると、打抜と同時にノッチング装置内で異物を直ちに除去することができるという利点がある。もし、打抜きと同時に異物を除去しない場合には、打抜き油と異物が混合してノッチング装置内の抵抗を増加させる可能性がある。したがって、打抜き油供給ホール132を介して異物を排出するよりは、エア供給及び異物サクションホール134を別途形成し、打抜き油供給ホール132とエア供給及び異物サクションホール134が同時に独立して本来の役割を果たすようにすることが好ましい。
【0032】
一方、前記のようにノッチング装置の内部にエアを供給(air blow)した後にサクション(suction)をするようになると、粉塵などの異物をノッチング装置の外部に排出することができる。それだけでなく、ノッチング装置の内部にエアを供給するようになると、ノッチング装置のダイ部材110とパンチ部材120との間にエア層が形成され、これを通じて、ノッチング装置内でのエア潤滑剤の機能までもするようになる。
【0033】
前記エア供給及び異物サクションホール134も打抜き油供給ホール132と同様に、前記パンチ130の壁面に1つ以上備えられてもよく、パンチの大きさ及び面積と加工の繰り返し回数などを考慮してエア供給及び異物サクションホール134の数を適宜設定することができる。一方、
図4には、エア供給及び3つの異物サクションホール134を形成しているが、これは一実施態様に過ぎないだけであることを明らかにする。前記エア供給及び異物サクションホール134の大きさにも特に制限はなく、これも、パンチ130の大きさ及び面積と加工の繰り返し回数などによって可変的であることを明らかにする。ただし、前記エア供給及び異物サクションホール134は、迅速な異物の除去及びエア層の形成のために、打抜き油供給ホール132よりも下に位置することが好ましい(すなわち、打抜き油供給ホール132基準下段に配置することが好ましい)。したがって、一例として、前記エア供給及び異物サクションホール134は、パンチ130の最下段部から10~15mm離れた位置に形成されてもよい(このとき、打抜き油供給ホール132はパンチ130の最下段部から30~40mm離れた位置に形成されてもよい)。
【0034】
図5は、本発明の他の実施例に係るノッチング装置において、パンチが下降して加工枠に挿入された様子を示す側面図である。前述のように、前記パンチ130は、パンチ部材120と共にダイ部材110のメインダイプレート112bに下降しながら加工対象物を加工するようになる。このとき、
図4に示すように、打抜き油供給ホール132とエア供給及び異物サクションホール134がパンチ130の壁面に備えられた場合には、
図5に示すように、前記パンチ130のエア供給及び異物サクションホール134のみがダイ部材110のメインダイプレート112bの内部に収容されてもよい。すなわち、言い換えれば、前記パンチ130が下降しても、打抜き油供給ホール132はメインダイプレート112bの内部に収容されないようにすることが好ましい。すなわち、加工前には打抜き油をパンチ130の外表面に塗布し、加工中にはエア供給(air blow)及び異物サクション(suction)の機能が稼働するためである。
【0035】
図6は、本発明に係るノッチング装置のパンチに、打抜き油供給ラインとエア供給及び異物サクションラインとが連結された様子を示す側断面図であり、
図7は、本発明に係るノッチング装置のパンチに、打抜き油供給ラインとエア供給及び異物サクションラインとが連結された様子を示す平面図である。前述のように、前記打抜き油供給ホール132は、打抜き油貯蔵庫と連結された打抜き油供給ラインと締結されてもよく、締結時に必要に応じて打抜き油供給ノズルまで含まれてもよい。
図6及び
図7を参照してより具体的に説明すると、前記打抜き油は、打抜き油貯蔵庫(図示せず)、打抜き油供給ライン142及び打抜き油供給ノズル144を介して順次移送されてもよく、前記打抜き油供給ノズル144と締結された打抜き油供給ホール132を介してパンチ130の外表面に塗布されてもよい。ただし、
図6及び
図7には、打抜き油供給ノズル144まで示されているが、これはあくまで一実施例に過ぎず、したがって、打抜き油供給ライン142が打抜き油供給ホール132に直接締結されてもよいことを明らかにする。また、前記打抜き油供給ホール132は
図6及び
図7に示すように、パンチ130の反対側にも形成されてもよいことを明らかにする。そして、前記打抜き油貯蔵庫の位置には特別な制限がないことを言っておく。
【0036】
続けて
図6及び
図7を参照すると、前記エア供給及び異物サクションホール134にはエア供給及び異物サクションノズル154が締結されてもよく、前記エア供給及び異物サクションノズル154はエア供給及び異物サクションライン152と連結されてもよい。しかし、
図6及び
図7には、エア供給及び異物サクションノズル154まで示されているが、これはあくまで一実施例に過ぎず、したがって、エア供給及び異物サクションライン152がエア供給及び異物サクションホール134に直接締結されてもよいことを明らかにする。また、エア供給及び異物サクションホール134は、
図6及び
図7に示すように、パンチ130の反対側にも形成されてもよくことを明らかにする。
【0037】
さらに、
図6及び
図7には、パンチ130の一方の側面に打抜き油供給ノズル144と空気供給及び異物サクションノズル154がそれぞれ1つずつ示されているが、これはあくまで説明の便宜のために示された一実施例に過ぎず、実際は、打抜き油供給ホール132と空気供給及び異物サクションホール134の形成数に合わせて備えられることを明らかにする。
【0038】
次に、本発明に係る電極基材のノッチング方法について説明する。再び
図3及び
図4を参照すると、前記電極基材のノッチング方法は、(a)パンチ部材120のパンチ130の壁面に備えられた打抜き油供給ホール132を介して打抜き油を供給して前記パンチ(130)の外表面に塗布させる段階、及び(b)前記パンチ部材120を電極基材が配置されたダイ部材110側に下降させ、前記打抜き油が塗布されたパンチ130で電極基材をノッチングさせる段階を含む。そして、前記打抜き油は、打抜き油貯蔵庫及び打抜き油供給ラインを介して順次移送され、前記打抜き油供給ホール132を介してパンチ130の外表面に塗布されてもよい。
【0039】
前記打抜き油はパンチ130の外表面に塗布され、この打抜き油塗布は、前記(b)段階のノッチ加工が始まる前から行われることが好ましい。これは、打抜き油が電極基材に直接塗布されることを防止又は最小化し、電極の集電体が汚染される問題を防止又は最小化することができるからである。ただし、繰り返し行われる加工を考慮して、ノッチング加工が行われる間にも間欠的に追加の後続塗布を行うことができ(同様に、パンチの外表面に塗布)、持続的に電極の集電体が汚染される問題を防止又は最小化するために、後続塗布の場合にもパンチ130がダイ部材110から離隔した状態で行うことが好ましい(もちろん、加工中でもパンチ130の外表面に打抜き油を塗布することが可能である)。したがって、本発明では、従来のように、ノッチング工程の前に別途の打抜き油ユニットで電極基材に打抜き油を塗布させる工程が除外されることを明らかにする(すなわち、電極基材がノッチング装置に位置する前又はノッチング加工される前までは、電極基材に打抜き油が接触しない)。また、前記打抜き油はパンチ130の外表面に塗布可能であるが、下部に開口部が形成されているパンチの場合には、必要に応じてパンチの内部面にも打抜き油を塗布することが可能である。
【0040】
一方、前記打抜き油供給ホール132を介してパンチ130の外表面に塗布される打抜き油は、打抜き油貯蔵庫及び打抜き油供給ラインを介して順次移送されて供給されてもよい。また、前記打抜き油の供給は打抜き油調節バルブを介して調節することができる。したがって、前記打抜き油調節バルブを介して開閉だけでなく、打抜き油の供給量を調整することもでき、前記打抜き油の供給量は、電極基材の加工状態などを考慮して調節することができる。また、前記打抜き油は、打抜き油供給ノズルを介して噴射方式でパンチ130の外表面に塗布されてもよい。前記打抜き油は、当業界において使用する通常のものであってもよく、その種類には制限がない。
【0041】
一方、本発明の他の実施例によれば、前記パンチ130はその壁面に前記打抜き油供給ホール132の他に、エア供給及び異物サクションホール134がさらに備えられたものであってもよい。したがって、この場合には、前記(b)段階の加工と同時にノッチング装置の内部にエアを供給し、前記ノッチング加工時に発生する粉塵などの異物を外部に排出し、前記ノッチング装置のダイ部材110とパンチ部材120との間にエア層を形成させるようになる。前記粉塵などの異物を加工と同時に外部に排出するようになると、打抜き油と異物が混合してノッチング装置内の抵抗を増加させる可能性が防止又は最小化される。また、前記ダイ部材110とパンチ部材120との間にエア層を形成させると、前記エア層がノッチング装置内でのエア潤滑剤の役割を果たし、ノッチング加工により有利となる。
【0042】
本発明を前述のように好ましい実施例により説明したが、本発明はこれに限定されず、以下に記載する特許請求の範囲の概念と範囲から逸脱しない限り様々な修正及び変形が可能であることを、本発明の属する技術分野に従事している者は容易に理解するだろう。
【符号の説明】
【0043】
100、200:ノッチング装置
110:ダイ部材
111:ダイホルダー
112:ダイプレート
112a:サブダイプレート
112b:メインダイプレート
120:パンチ部材
121:パンチホルダー
122:パンチプレート
122a:サブパンチプレート
122b:メインパンチプレート
130:パンチ
132:打抜き油供給ホール
134:エア供給及び異物サクションホール
142:打抜き油供給ライン
144:打抜き油供給ノズル
152:エア供給及び異物サクションライン
154:エア供給及び異物サクションノズル
【国際調査報告】