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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/18 20060101AFI20231017BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20231017BHJP
   G02B 21/26 20060101ALI20231017BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G02B21/18
G02B21/36
G02B21/26
G01N21/17 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513531
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 GB2020052040
(87)【国際公開番号】W WO2022043644
(87)【国際公開日】2022-03-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523064837
【氏名又は名称】オーロックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジュスカイティス,リミヴダス
(72)【発明者】
【氏名】ニール,マーク エーエー
【テーマコード(参考)】
2G059
2H052
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059EE02
2G059EE07
2G059FF03
2G059JJ11
2G059JJ22
2G059KK04
2G059LL01
2H052AA08
2H052AB17
2H052AB25
2H052AB27
2H052AC04
2H052AC05
2H052AD03
2H052AD09
2H052AF14
2H052AF25
(57)【要約】
顕微鏡であって、試料を取り付けるための試料ステージと、試料ステージに取り付けられているときに、試料を照射するための光源と、検出器と、試料ステージの一方の側に配置された第1対物レンズと、試料ステージの反対の側に配置された第2対物レンズと第1対物レンズから検出器までの第1光路を画定する第1光学要素セットと、第2対物レンズから検出器までの第2光路を画定する第2光学要素セットと、を備える。第1対物レンズ及び第2対物レンズは、共通光軸を有し、試料ステージに取り付けられた試料を共通焦点面で結像するように構成されている。さらに、第1対物レンズは高倍率対物レンズであり、第2対物レンズは低倍率対物レンズである。かかる顕微鏡構成を提供することにより、試料を高倍率と低倍率の両方で同時に見ることができ、及び/又は、高倍率画像と低倍率画像の間の迅速な切り替えが可能になり、例えば、両方の倍率でほぼ同時に見ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡であって、
試料を取り付けるための試料ステージと、
前記試料ステージに取り付けられているときに試料を照射するための光源と、
検出器と、
前記試料ステージの一方の側に配置された第1対物レンズと、
前記試料ステージの反対の側に配置された第2対物レンズと
前記第1対物レンズから前記検出器までの第1光路を画定する第1光学要素セットと、
前記第2対物レンズから前記検出器までの第2光路を画定する第2光学要素セットと、を備え、
前記第1対物レンズ及び前記第2対物レンズは、共通光軸を有し、前記試料ステージに取り付けられた試料を共通焦点面で結像するように構成されており、
前記第1対物レンズは高倍率対物レンズであり、前記第2対物レンズは低倍率対物レンズである、
顕微鏡。
【請求項2】
前記第1光路及び前記第2光路に取り付けられているビームスプリッターをさらに備え、
前記ビームスプリッターは半透明ミラーを含む、
請求項1記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記第1光路及び前記第2光路に取り付けられているビームスプリッターをさらに備え、
前記ビームスプリッターは、複数の透過部分及び非透過部分を含む空間光変調器を有する、
請求項1記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記空間光変調器は、複数の透過部分及び非透過部分を有する回転可能マスクを有する、
請求項3記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記空間光変調器の前記非透過部分は反射性であり、
前記空間光変調器は、前記第1光路を第1透過光路と第1反射光路とに分割し、前記第2光路を第2透過光路と第2反射光路とに分割するように構成されており、
前記第1透過光路は前記第2反射光路と適合し、前記第1反射光路は前記第2透過光路と適合する、
請求項3又は4記載の顕微鏡。
【請求項6】
前記検出器は、第1検出器部分及び第2検出器部分を含み、
前記第1検出器部分は、透過光を受光し、透過画像データを生成するように構成されており、前記第2検出器部分は、反射光を受光し、反射画像データを生成するように構成されているか、又は、前記第2検出器部分は、透過光を受光し、透過画像データを生成するように構成されており、前記第1検出器部分は、反射光を受光し、反射画像データを生成するように構成されている、
請求項5記載の顕微鏡。
【請求項7】
前記第1検出器部分は、前記第1透過光路又は適合する前記第2反射光路からの光を受光するように構成されており、
前記第2検出器部分は、前記第2透過光路又は適合する前記第1反射光路からの光を受光するように構成されている、
請求項6記載の顕微鏡。
【請求項8】
画像プロセッサをさらに備え、
前記画像プロセッサは、前記検出器から画像データを受信するように接続されており、前記透過画像データから前記反射画像データを減算して前記第1対物レンズ及び前記第2対物レンズのうちの一方又は両方に対する共焦点画像データを生成するように構成されている、
請求項6又は7記載の顕微鏡。
【請求項9】
前記第1対物レンズと前記第2対物レンズとを切り換えるシャッター機構をさらに備える、
請求項1乃至8いずれか1項記載の顕微鏡。
【請求項10】
前記光源は、前記試料ステージに取付られた試料を前記第1対物レンズ及び/又は前記第2対物レンズを介して照射するために、ビームスプリッターを介して前記試料ステージに向けて光を方向づけるように構成されている、
請求項1乃至9いずれか1項記載の顕微鏡。
【請求項11】
前記第1対物レンズは、前記試料ステージに対して、光学z軸に沿って可動であり、
前記顕微鏡はzスタックコントローラを備え、前記zスタックコントローラは、前記第1対物レンズを光学z軸に沿って駆動し、前記第1対物レンズが光学z軸に沿って駆動されるにつれて一連の画像を捕捉するように構成されており、
前記zスタックコントローラは、画像が捕捉されているときに前記第1対物レンズを停止する必要なく、前記第1対物レンズが動いている間に前記一連の画像を捕捉するように構成されている、
請求項1乃至10いずれか1項記載の顕微鏡。
【請求項12】
画像データを格納するための集積データストレージユニットをさらに備える、
請求項1乃至11いずれか1項記載の顕微鏡。
【請求項13】
前記試料ステージは、
前記試料が取り付けられることができる透明ベースと、
前記透明ベースの頂部表面周りに前記試料をスライドさせるためのグライドプッシュ機構と、を備える、
請求項1乃至12いずれか1項記載の顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学顕微鏡に関する。特に、独占的ではないが、本発明は共焦点光学顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光学顕微鏡の多くは、倍率の異なる複数の対物レンズを備える。対物レンズはタレットに搭載され、顕微鏡の光路上に交互に配置することができ、異なる倍率で試料を観察することができる。これにより、ユーザーは比較的低い倍率で関心領域を特定し、その関心領域をより高い倍率で見ることができる。
【0003】
しかしながら、上記のタイプの従来の光学顕微鏡では、一度に1つの対物レンズしか光路に配置できないため、サンプルを両方の倍率で同時に見ることはできない。また、例えば両方の倍率でほぼ同時に(quasi-simultaneous)見ることができるように、高倍率と低倍率との画像を迅速に切り替えることもできない。これらは既知の光学顕微鏡の技術的な問題を表している。
【0004】
同様の問題は共焦点顕微鏡でも発生し、高倍率の対物レンズを使用して試料を走査することによって画像が生成されるが、試料の向きと関心エリアを位置特定するために低倍率の対物レンズも提供され得る。この場合も、両方の対物レンズを同時に使用することはできないため、高倍率画像と低倍率画像を同時に又はほぼ同時に撮影することはできない。これは、既知の共焦点顕微鏡の技術的な問題も表している。
【0005】
一部の共焦点顕微鏡では、光源からの光を試料上の単一のスポットに集光し、そのスポットから(例えば、反射や蛍光によって)放射される光を対物レンズで集めて検出器に集光する。試料を走査し、試料からの光の強度の変動を検出することで、試料の画像を構築することができる。しかしながら、試料を走査する必要があるため、リアルタイムの画像化はできない。
【0006】
別の共焦点システムでは、例えばUS6144489に記述されているように、試料に入射する光をエンコードし、試料の複数の領域から放射される光をデコードするためのマスクが提供される。これは、非共焦点画像と同時に試料の共焦点画像を生成する。共焦点画像から非共焦点画像を差し引くことにより、焦点ぼけを除去して共焦点画像を改善することができる。しかし、この共焦点システムは、特に高倍率画像と低倍率画像を同時に撮影することができないという、上記で特定された技術的問題に再び悩まされる。
【0007】
同様の共焦点顕微鏡システムがUS6687052に記載されている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、上記の1つ以上の問題を克服又は軽減する、又はそれに代わる有用な手段を提供する顕微鏡を提供することである。
【0009】
本発明によれば、顕微鏡が提供され、顕微鏡は:試料を取り付けるための試料ステージと、試料ステージに取り付けられているときに、試料を照射するための光源と、検出器と、試料ステージの一方の側に配置された第1対物レンズと、試料ステージの反対の側に配置された第2対物レンズと第1対物レンズから検出器までの第1光路を画定する第1光学要素セットと、第2対物レンズから検出器までの第2光路を画定する第2光学要素セットと、を備え、第1対物レンズ及び第2対物レンズは、共通光軸を有し、試料ステージに取り付けられた試料を共通焦点面で結像するように(to image)構成されており、第1対物レンズは高倍率対物レンズであり、第2対物レンズは低倍率対物レンズである(すなわち、第1対物レンズは第2対物レンズよりも高い倍率を有する)。
【0010】
かかる顕微鏡構成を提供することにより、試料を高倍率と低倍率の両方で同時に見ることができ、及び/又は、高倍率画像と低倍率画像の間の迅速な切り替えが可能になり、例えば、両方の倍率でほぼ同時に見ることができる。
【0011】
顕微鏡は、第1光路及び第2光路内に搭載されたビームスプリッターをさらに含むことができる。ビームスプリッターは、複数の透過部分と非透過部分と(a plurality of transmissive and non-transmissive portions)を有する空間光変調器又は半透明ミラーを備えることができる。
【0012】
例えば、ビームスプリッターは、複数の透過部分と非透過部分を有する回転可能なマスクの形態であり得る。かかるビームスプリッターは、第1光路と第2光路が検出器へと通過するときに分割するのを可能にする。これは、所望の画像を生成するために光ビームの一部を選択して処理する必要がある多くのアプリケーションで有用である。
【0013】
例えば、空間光変調器の非透過部分は反射性であり、空間光変調器は、第1透過光路が第2反射光経路と適合し(congruent)、第1反射光路が第2透過光路と適合するところで、第1光路を、第1透過光路と第1反射光路とに分割し、第2光路を、第2透過光路と第2反射光路とに分割する。透過光路と反射光路は画像を構築するために用いられることができるできる。
【0014】
検出器は、第1検出器部分及び第2検出器部分を含み、第1検出器部分は、透過光を受光し、透過画像データを生成するように構成されており、第2検出器部分は、反射光を受光し、反射画像データを生成するように構成されているか、又は、第2検出器部分は、透過光を受光し、透過画像データを生成するように構成されており、第1検出器部分は、反射光を受光し、反射画像データを生成するように構成されている。
【0015】
1つの構成において、第1検出器部分は、第1透過光路又は適合する第2反射光路からの光を受光するように構成されており、第2検出器部分は、第2透過光路又は適合する第1反射光路からの光を受光するように構成されている。顕微鏡は、さらに画像プロセッサを備え、画像プロセッサは、検出器から画像データを受信するように接続されており、透過画像データから反射画像データを減算して前記第1対物レンズ及び第2対物レンズのうちの一方又は両方に対する共焦点画像データを生成するように構成されている。かかる構成は、同時又はほぼ同時の、高倍率及び低倍率の画像化を含むレーザーフリーの共焦点顕微鏡を可能にする。
【0016】
かかるアレンジメントにおいて、例えば、光源は、LED照明を備えることができる。
【0017】
さらにまた、光源は、試料ステージに取付られた試料を第1対物レンズ及び/又は第2対物レンズを介して照射するために、ビームスプリッターを介して試料ステージに向けて光を方向づけるように構成されることができる。このアレンジメントは、US6144489に記載されたものと類似の機能を有する共焦点システムを提供することができる。
【0018】
ビームスプリッターは、試料に入射する光をエンコードし、試料の複数の領域から放射される光をデコードするためのマスクとして機能することができる。これは、非共焦点画像と同時に試料の共焦点画像を生成する。共焦点画像から非共焦点画像を減算すること(subtracting)により、焦点ぼけを除去して共焦点画像を改善することができる。しかしながら、US6144489とは対照的に、ここに記載されている共焦点システムは高倍率画像と低倍率画像とを同時に及び/又はほぼ同時に撮影することができる。
【0019】
顕微鏡はさらに、第1対物レンズと第2対物レンズとを切り換えるシャッター機構をさらに備え得る。したがって、ユーザーは、顕微鏡の光学構成にいかなる変更も加えることなく、低倍率画像又は高倍率画像のいずれかを見ることができる。これにより、オリエンテーション(orientation)のための低倍率の画像と、試料内の特定の関心エリアの高倍率の画像とをユーザーが非常に簡単に切り替えることができるようになる。また、シャッター機構を迅速に切り替えることにより、高倍率と低倍率との一対の画像を実質的にほぼ同時に捕捉することができる。
【0020】
第1対物レンズは、試料ステージに対して、光学z軸に沿って可動であり、顕微鏡はさらに、第1対物レンズを光学z軸に沿って駆動し、第1対物レンズが光学z軸に沿って駆動されるにつれて一連の画像を捕捉するように構成されたzスタックコントローラを備える。かかるzスタックコントローラは、公知である。ここで異なることは、zスタックコントローラは、画像が捕捉されているときに第1対物レンズを停止する必要なく、第1対物レンズが動いている間に一連の画像を捕捉するように構成されている。これにより、画像のzスタックを捕捉する時間を大幅に短縮できる。例えば、ある構成では、試料ステージ自体のコンポーネントは、試料がx-y平面内で移動するように、光学z軸に対してx-y平面内でのみ移動する。カメラはz軸に沿って駆動されるため、z方向のカメラの連続駆動でzスタックを実現する。
【0021】
試料ステージ自体は、試料を取り付けることができる透明なベースと、透明なベースの頂部表面で試料をスライドさせるためのグライドプッシュ機構(a glide-push mechanism)を備えることができる。この構成により、試料の所望のz位置を維持しながら、試料の所望のx-y運動を可能にする。また、試料ステージの両側の両方の対物レンズを介して試料を見ることができる。
【0022】
顕微鏡は、画像データを保存するための集積データ保存ユニット(an integrated data storage unit)を含むこともできる。ここで述べるように、顕微鏡によって大量の画像データを非常に迅速に生成することができる。そのため、画像データを保存するための集積データ保存ユニットを設けることが有利であることがわかっている。その後、このデータは顕微鏡内で処理され、及び/又は画像処理及び/又は表示のために外部デバイス(例:ラップトップ、デスクトップコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどのコンピューティングデバイス)に送信される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例として説明する。
図1図1は、先行技術の共焦点顕微鏡装置を模式的に示す図である。
図2図2は、本発明による共焦点顕微鏡装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1はUS6687052に記載された従来技術の共焦点顕微鏡装置の概略図である。この装置は、関連するコリメータレンズ2を有する光源1を含み、この光源は、ビームスプリッター3、例えば、半銀ミラーを四分の一波長板と組み合わせた偏光ビームスプリッター、又はダイクロイックビームスプリッターなど、に向けて光を方向づける。光は、反射され、ビームスプリッター3から、マスク6及び顕微鏡対物レンズ4を介して、試料ステージ5に取り付けられた試料Oへ進む。
【0025】
マスク6は、光源1から試料Oに通過する光を変調する空間光変調器を備える。典型的には、マスクは通過する光の強度を変調するが、代わりに光の位相や偏光を変調することもできる。
【0026】
一実施形態では、マスク6は透過領域と不透明又は反射領域のパターンを有し、マスクを通過する光の強度を変調する。マスクは、これらの透過領域と反射領域を移動させて(moved around)、試料Oに当たる(falling)照明パターンを調整できるように構成されている。これは、例えば、回転するディスク上に透過領域と反射領域のパターンを提供することによって達成することができる。あるいは、調整可能なマイクロミラーのアレイを有する空間光変調器を使用することもできる。
【0027】
試料Oから放出される光(例えば反射又は蛍光による)は、対物レンズ4によって捕捉され、マスク6に集束して戻される(focussed back)。マスク6の透過部分を通過した光は、ビームスプリッター3を通過し、レンズ8によって第1検出器7、例えばCCD検出器に焦点が合わされる(focussed)。第1検出器7は、試料Oの第1画像を捕捉する。
【0028】
マスク6は対物レンズ4の光軸Xに対して小さい角度(例えば数度)に設定されている。その結果、マスクの反射部分から反射された光はレンズ9によって第2検出器11に集光され、試料の第2画像が捕捉される。
【0029】
第1及び第2検出器7,11によって捕捉された画像は画像処理デバイス10に送信され、画像処理デバイスは第1及び第2検出器7,11によって捕捉された画像に基づいて合成画像を生成するように構成されている。
【0030】
使用時には、試料Oから放射される光は、顕微鏡対物レンズ4によってマスク6へと集束して戻され、マスク6はマスクの透過エリアに当たる光のみを透過する。透過画像は第1検出器7によって捕捉される。第1検出器7によって捕捉された画像は、ここではポジ画像(the positive image)と称され、通常画像(a conventional image)Iconvと共焦点画像(a confocal image)Iconfとの組み合わせを含み、共焦点画像Iconfは顕微鏡対物レンズ4の焦点面から放射される光から生成される。
【0031】
同時に、試料Oの他の部分、すなわち、試料の他の面から放射された光は、マスク6の裏面の空間パターンの反射部分によって反射され、第2検出器11に焦点が合わされる。したがって、第2検出器11は、通常画像Iconvから共焦点画像Iconをマイナスしたものを含む第2画像、ここではネガ画像(the negative image)と称される、を捕捉する。
【0032】
第1及び第2検出器7,11によって捕捉されたポジ画像及びネガ画像は、ポジ画像からネガ画像を減算する画像アナライザー10に送信される:
(Iconv+Iconf)-(Iconv-Iconf)。
【0033】
US6687052にて記載されるように、結果として生じる画像は、焦点外の通常画像が取り除かれた共焦点画像である。
【0034】
本発明の一実施形態による共焦点顕微鏡を図2に示す。以下により詳細に説明するように、光学的アレンジメントは図1に示す先行技術の共焦点顕微鏡のそれと大まかに類似している。しかしながら、本発明では、2つの顕微鏡対物レンズ20、22が設けられており、これは試料ホルダー24の反対側に取り付けられており、試料が少なくとも部分的に透明であれば、試料の2つの画像を同時に(又はほぼ同時に)捕捉することができる。
【0035】
一実施形態では、顕微鏡対物レンズ20、22は異なる倍率を有し、第1顕微鏡対物レンズ20は高倍率の対物レンズを、第2顕微鏡対物レンズ22は広視野を提供する低倍率の対物レンズを備えている。
【0036】
図2に示す実施形態では、高倍率対物レンズ20から検出器26までの高倍率光路25aは、この実施形態では、シャッター28a、ミラー30、レンズ32、及び、マスク34を備えるビームスプリッター33を含む光学要素のセットによって画定される。この実施形態では、マスク34は、透過領域と反射領域とのパターンを有する回転ディスクを含む。しかしながら、空間光変調器などの他のタイプのマスクも使用することができる。
【0037】
同様に、低倍率対物レンズ22から検出器26までの低倍率光路25bは、この実施形態ではシャッター28b、ミラー30、レンズ32及びマスク34を含む光学要素のセットによって定義される。
【0038】
高倍率光路25aと低倍率光路25bとの両方が、それぞれの対物レンズ20、22と検出器26との間のマスク34を通過することに留意されたい。
【0039】
図2に示されるミラー30およびレンズ32のアレンジメントは純粋に例示であり、限定を意図するものではないことにも留意されたい。実際には、顕微鏡の機能的動作を変更することなく、これらの構成要素のレイアウトを大幅に変更することができる。
【0040】
共焦点顕微鏡は、光源36も含み、これは、例えばビームスプリッター38を介して、高倍率光路25a又は低倍率光路25bのいずれかに沿って光ビームを導入する。この実施形態では、光源36からの光は、検出器26とマスク34との間の位置で高倍率光路に沿って導入される。光源26は、例えば、発光ダイオード(LED)、白熱灯又はアークランプなどの低コヒーレンス光源、又はレーザーのようなコヒーレント光源であってもよい。
【0041】
使用時には、光源36からの光はマスク34を通過し、高倍率対物レンズ20によって試料O内の焦点面に焦点が合わされる。図1に示す先行技術の顕微鏡に関して前述したように、光はマスク34によってエンコードされ、試料ホルダー24内の試料上に画像化される空間パターンを生成する。
【0042】
試料Oから、(例えば、反射や蛍光によって)放出されたエンコードされた光は、高倍率対物レンズ20によってマスク34に焦点が合わされ、マスクの透過領域に当たった光のみが透過する。透過画像は、検出器26の第1部分26a上で捕捉される。これは、通常画像Iconvを共焦点画像Iconfと重ね合わせたポジ画像であり、ここで、高倍率対物20の焦点面から放射される光から共焦点画像Iconfが生成される。
【0043】
同時に、試料Oの他の部分、すなわち顕微鏡対物レンズ20の焦点面にない部分から放射される光は、マスク34の空間パターンの反射部分によって反射され、検出器26の第2部分26bに焦点が合わされる。このようにして、検出器26は、通常画像Iconvから共焦点画像Iconfをマイナスしたネガ画像を捕捉する。
【0044】
検出器26によって取り込まれたポジ画像とネガ画像は画像アナライザー40に送信され、画像アナライザー40はポジ画像からネガ画像を減算し、焦点の合っていない通常画像が除去された高倍率共焦点画像を生成する。
【0045】
あるいは、低倍率対物レンズ22を通過し、低倍率光路25bに沿って通過する光を検出することによって、低倍率の共焦点画像を捕捉することもできる。低倍率の画像を捕捉するには、高倍率光路25aの第1シャッター28aを閉じ、低倍率光路25bの第2シャッター28bを開く。
【0046】
マスク34の第2面34bから反射した光で試料Oを照射する。前述のように、マスク34によって坦持される空間パターンは複数の透過部分と反射部分を有する。したがって、第2面34bから反射された光は、マスク34を透過した光が透過部分によってエンコードされるのと同様の方法で、反射部分によってエンコードされる。マスクから反射されたエンコードされた光は、低倍率対物レンズ22によって試料Oに集光され、試料O内の焦点面に空間パターンの像を形成する。好ましくは、低倍率対物レンズ22の焦点面は、高倍率対物レンズ20の焦点面と同一平面上にあり、そのため、両方の対物レンズ20、22は、試料O内の同じ平面を結像する(image)。
【0047】
試料から放射される光は、低倍率対物レンズ22によってマスク34上に集束され、マスクの透過エリアに当たった光のみが透過する。マスクの反射部分に当たる光は、マスクの空間パターンによってデコードされる。この光は、検出器26の第1部分26 aに低倍率のポジ画像を形成する。
【0048】
マスク34の透過部分を透過した光は、検出器の第2部分26 bに焦点を合わせ、低倍率のネガ画像(a negative low magnification image)を形成する。低倍率のポジ画像及びネガ画像はイメージアナライザ40に送られ、イメージアナライザはポジ画像からネガ画像を減算し、焦点外れの通常画像を除去した低倍率共焦点画像を形成する。
【0049】
第1及び第2シャッター28a、28bを連続的に又は逐次的に(consecutively)開くことにより、顕微鏡の光学的構成に他の変更を加えることなく、ユーザーは低倍率共焦点画像又は高倍率共焦点画像のいずれかを見ることができることが明らかになる。これにより、ユーザーは、オリエンテーションのための低倍率共焦点画像と、試料内の特定の関心エリアの高倍率共焦点画像とを容易に簡単に切り替えることができる。また、第1及び第2シャッター28a、28bを、開構成と閉構成との間で迅速かつ交互に切り替えることにより、一対の、高倍率画像及び低倍率の画像を実質的にほぼ同時に捕捉することができる。
【0050】
上記の実施形態は共焦点顕微鏡に関するものであるが、本発明は非共焦点顕微鏡にも適用でき、高倍率画像と低倍率画像等の、試料の2つの異なる画像を同時に又はほぼ同時に捕捉することができる。これは、マスク34を形成する空間光変調器を、例えば半銀ミラーなどのビームスプリッターに置き換えることによって達成することができる。
【0051】
このようなアレンジメントでは、光源36からの光は、マスク34を備えるビームスプリッターに当たる。この光の一部はマスク34を透過し、一部は反射する。透過光は高倍率光路に沿って高倍率の対物レンズ20へと通過し、この対物レンズは光を試料Oに集束させる。試料Oから放出された光は高倍率対物レンズ20に捕捉され、マスク34を通過して検出器26の第1部分26aに焦点が合わされ、試料Oの高倍率画像を形成する。なお、マスク34から反射された光は捕捉されず、第1画像は共焦点画像ではなく通常画像である。
【0052】
同様に、低倍率対物レンズ22を使用して低倍率画像を捕捉することができる。低倍率画像を捕捉するには、高倍率光路25aに沿って伝搬する光を遮断するために第1シャッター28aを閉じ、第2シャッター28bを開き、低倍率光路25bに沿って光を伝搬させることができる。マスク34から反射された光は、低倍率光路25bに沿って低倍率対物レンズ22に進み、低倍率対物レンズ22は光を試料Oに集束させる。その後、試料Oから放射される光は低倍率対物レンズ22に捕捉され、マスク34を通過して検出器26の第2部分26bに焦点が合わされ、試料Oの低倍率画像を形成する。この画像も共焦点画像ではなく通常画像である。
【0053】
ここに記載されている例は、本発明の例示的実施形態として理解されるべきである。さらなる実施形態及び実施例が想定される。任意の1つの例又は実施例に関連して記述された任意の特徴は、単独で使用することも、他の特徴と組み合わせて使用することもできる。さらに、任意の1つの実施例又は実施形態に関連して記述された任意の特徴は、他の実施例又は実施形態の1つ以上の特徴、又は他の実施例又は実施形態の任意の組み合わせと組み合わせて使用することもできる。さらに、ここに記載されていない均等物及び変更は、特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲内で使用することもできる。
図1
図2
【国際調査報告】