(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】改善された機械的特性を有する紙および板紙適用のためのミクロフィブリル化セルロースおよび微小孔性無機微粒子材料複合物を含むフィラー組成物
(51)【国際特許分類】
D21H 11/18 20060101AFI20231017BHJP
D21H 15/02 20060101ALI20231017BHJP
D21H 17/67 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
D21H11/18
D21H15/02
D21H17/67
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023513687
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 IB2021000613
(87)【国際公開番号】W WO2022053869
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516341914
【氏名又は名称】ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】スクーゼ,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】フィップス,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】リーヴ-ラーソン,トーマス
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA02
4L055AA03
4L055AC03
4L055AC06
4L055AF09
4L055AF46
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4L055EA12
4L055EA16
4L055EA32
(57)【要約】
ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を製造する方法ならびにミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料および紙製品を製造する方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙または板紙の製造のための抄紙完成紙料に添加するためのミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む紙または板紙フィラー組成物であって、前記MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比較して改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する、紙または板紙フィラー組成物。
【請求項2】
前記MFCは同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ、セルロースを含む繊維性基材は粉砕装置内の水性環境において同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され;前記繊維性基材対前記無機微粒子材料は約99.5:0.5~約0.5:99.5の比である、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項3】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降炭酸カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、およびミリングされた膨張パーライトを含む、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項4】
前記微小孔性無機材料はか焼粘土を含む、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項5】
前記微小孔性無機材料はカオリンを含む、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項6】
前記微小孔性無機材料はカオリナイトを含む、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項7】
前記微小孔性無機材料はか焼粘土を含む、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項8】
前記微小孔性無機材料はアモルファスケイ酸アルミニウムを含む、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項9】
前記微小孔性無機材料は偏三角面体沈降炭酸カルシウムを含む、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項10】
前記微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降塩化カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、ミリングされた膨張パーライトの少なくとも2つを含む、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項11】
前記抄紙完成紙料は針葉樹パルプから選択される1つ以上のパルプを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項12】
前記針葉樹パルプはエゾマツ、マツ、モミ、カラマツおよびヘムロックまたは混合針葉樹パルプから選択される、請求項11に記載のフィラー組成物。
【請求項13】
前記抄紙完成紙料は、広葉樹パルプから選択される1つ以上のパルプを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項14】
前記広葉樹パルプはユーカリ、ヤマナラシおよびカバノキ、または混合広葉樹パルプから選択される、請求項13に記載のフィラー組成物。
【請求項15】
前記抄紙完成紙料のためのパルプ源は、ユーカリパルプ、エゾマツパルプ、マツパルプ、ブナパルプ、ヘンプパルプ、アカシア、綿パルプ、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項16】
前記抄紙完成紙料のためのパルプ源は、ノルディック・パイン、ブラックスプルース、ラジアータパイン、サザンパイン、酵素処理したノルディック・パイン、ダグラスファー、溶解パルプ、カバノキ、ユーカリ、アカシア、混合ヨーロピアン広葉樹、混合タイ広葉樹、ティッシュダスト、綿、アバカ、サイザル麻、バガス、ケナフ、ススキ、ソルガム、ダンチクおよび亜麻から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項17】
前記機械的特性は、引張強度、引張伸び、嵩、引張剛性、曲げ剛性、多孔度、破裂および引裂強度、および「Z」方向の引張強度の1つ以上から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項18】
前記機械的特性は引張強度である、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項19】
前記機械的特性は引張伸びである、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項20】
前記機械的特性は嵩である、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項21】
前記機械的特性は引張剛性である、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項22】
前記機械的特性は曲げ剛性である、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項23】
前記機械的特性は多孔度である、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項24】
前記機械的特性は破裂である、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項25】
前記機械的特性は引裂強度である、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項26】
前記機械的特性は「Z」方向の引張強度である、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項27】
前記ミクロフィブリル化セルロースは約0.1μm-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項28】
ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも約0.5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有する、請求項1~10の一つに記載の方法。
【請求項29】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、沈降により測定すると、約3μm~約50μm、または約5μm~約30μm、または約10μm~約30μm、または約15μm~約25μm、または約20μm~約30μm、または約3μm~約15μm、または約5μm~約15μm、または約5μm~約10μm、または約2μm~約6μm、特に好ましくは3μm~6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項30】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、約3μm~約6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有する、請求項1~10に記載のフィラー組成物。
【請求項31】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、1つ以上の分散剤、例えば、ポリカルボン酸および/またはそれらの塩もしくは誘導体のホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸に基づくエステル;アクリルアミドまたはアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、またはその混合物;アルカリポリリン酸塩、ホスホン酸、クエン酸および酒石酸およびその塩またはエステル;またはその混合物を含む群から選択されるものと関連し得る、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項32】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、粉末の形態で提供される、請求項1~10のいずれかに記載のフィラー組成物。
【請求項33】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、懸濁液の形態で提供される、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項34】
前記懸濁液は水性懸濁液である、請求項33に記載のフィラー組成物。
【請求項35】
前記水性懸濁液はポンピング可能な液体である、請求項34に記載のフィラー組成物。
【請求項36】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約10:90~約90:10の範囲であり得る、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項37】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約20:80~約80:20の範囲であり得る、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項38】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約25:75~約75:25の範囲であり得る、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項39】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約40:60~約60:40の範囲であり得る、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項40】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の無機微粒子材料対前記第2の無機微粒子材料の比は、重量で約50:50の範囲であり得る、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項41】
バインダをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項42】
前記バインダは無機または有機バインダである、請求項41に記載のフィラー組成物。
【請求項43】
前記バインダはアルカリ金属ケイ酸塩である、請求項41に記載のフィラー組成物。
【請求項44】
前記アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸ナトリウムである、請求項43に記載のフィラー組成物。
【請求項45】
前記アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸カリウムである、請求項43に記載のフィラー組成物。
【請求項46】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:5~5:1である、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項47】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:3~3:1である、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項48】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:2~2:1である、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項49】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:1.5~1.5:1である、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項50】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は約1:1である、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項51】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、10wt%~95wt%の量で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項52】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、15wt%~90wt%の量で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項53】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、20~75wt%の量で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項54】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、25wt%~67wt%の量で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項55】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、33~50wt%の量で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項56】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料を製造する方法であって、
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を前記抄紙完成紙料に添加するステップ;
前記MFCを前記抄紙完成紙料に添加するステップ
を含み;
前記MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、前記ミクロフィブリル化セルロースおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する、方法。
【請求項57】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料を製造する方法であって、
MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を前記抄紙完成紙料に添加するステップ
を含み;
前記MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、前記ミクロフィブリル化セルロースおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する、方法。
【請求項59】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料から紙または板紙を製造する方法であって、
MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を前記抄紙完成紙料に添加するステップを含み、
前記フィラー組成物は、前記MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する、方法。
【請求項61】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料から紙または板紙を製造する方法であって、
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を前記抄紙完成紙料に添加するステップ;
MFCを前記抄紙完成紙料に添加するステップ
を含み;
前記MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、前記ミクロフィブリル化セルロースおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する、方法。
【請求項63】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
改善された機械的特性を有する紙または板紙を製造する方法であって、前記改善は、紙または板紙の生成のための抄紙完成紙料を調製すること;ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を調製すること;前記フィラー組成物を前記抄紙完成紙料に添加すること;紙または板紙を前記抄紙完成紙料から、前記抄紙完成紙料を脱水および乾燥することにより製造することを含み;前記フィラー組成物は、MFCおよび微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する、方法。
【請求項65】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
改善された機械的特性を有する紙または板紙を製造する方法であって、前記改善は、紙または板紙の生成のための抄紙完成紙料を調製すること;1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を前記抄紙完成紙料に添加すること;ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を前記抄紙完成紙料に添加すること;紙または板紙を前記抄紙完成紙料から、前記抄紙完成紙料を脱水および乾燥することにより製造することを含み、前記MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する、方法。
【請求項67】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られ;前記MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比較して改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降塩化カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、またはミリングされた膨張パーライトを含む群から選択される、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記微小孔性無機材料はか焼粘土を含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記微小孔性無機材料はカオリンを含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記微小孔性無機材料はカオリナイトを含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記微小孔性無機材料はか焼粘土を含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記微小孔性無機材料はアモルファスケイ酸アルミニウムを含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記微小孔性無機材料は偏三角面体沈降炭酸カルシウムを含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降塩化カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、ミリングされた膨張パーライトの少なくとも2つを含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記抄紙完成紙料は針葉樹パルプから選択される1つ以上のパルプを含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記針葉樹パルプは、エゾマツ、マツ、モミ、カラマツおよびヘムロックまたは混合針葉樹パルプを含む群から選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記抄紙完成紙料は、広葉樹パルプから選択される1つ以上のパルプを含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記広葉樹パルプは、ユーカリ、ヤマナラシおよびカバノキ、または混合広葉樹パルプを含む群から選択される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記抄紙完成紙料のためのパルプ源は、ユーカリパルプ、エゾマツパルプ、マツパルプ、ブナパルプ、ヘンプパルプ、アカシア、綿パルプ、およびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記抄紙完成紙料のためのパルプ源は、ノルディック・パイン、ブラックスプルース、ラジアータパイン、サザンパイン、酵素処理したノルディック・パイン、ダグラスファー、溶解パルプ、カバノキ、ユーカリ、アカシア、混合ヨーロピアン広葉樹、混合タイ広葉樹、ティッシュダスト、綿、アバカ、サイザル麻、バガス、ケナフ、ススキ、ソルガム、ダンチクおよび亜麻を含む群から選択される、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記機械的特性は、引張強度、引張伸び、嵩、引張剛性、曲げ剛性、多孔度、破裂および引裂強度、および「Z」方向の引張強度の1つ以上から選択される、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記機械的特性は引張強度である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記機械的特性は引張伸びである、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記機械的特性は嵩である、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
前記機械的特性は引張剛性である、請求項82に記載の方法。
【請求項87】
前記機械的特性は曲げ剛性である、請求項82に記載の方法。
【請求項88】
前記機械的特性は多孔度である、請求項82に記載の方法。
【請求項89】
前記機械的特性は破裂である、請求項82に記載の方法。
【請求項90】
前記機械的特性は引裂強度である、請求項82に記載の方法。
【請求項91】
前記機械的特性は「Z」方向の引張強度である、請求項82に記載の方法。
【請求項92】
前記ミクロフィブリル化セルロースは約0.1μm-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズを有する、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも約0.5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有する、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、沈降により測定すると、約3μm~約50μm、または約5μm~約30μm、または約10μm~約30μm、または約15μm~約25μm、または約20μm~約30μm、または約3μm~約15μm、または約5μm~約15μm、または約5μm~約10μm、または約2μm~約6μm、特に好ましくは3μm~6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有する、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記1つ以上の微小孔性ミネラル複合物は、約3μm~約6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有する、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、1つ以上の分散剤、例えば、ポリカルボン酸および/またはそれらの塩もしくは誘導体のホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸に基づくエステル;アクリルアミドまたはアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、またはその混合物;アルカリポリリン酸塩、ホスホン酸、クエン酸および酒石酸およびその塩またはエステル;またはその混合物を含む群から選択されるものと関連し得る、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、粉末の形態で提供される、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、懸濁液の形態で提供される、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記懸濁液は水性懸濁液である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記水性懸濁液はポンピング可能な液体である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約10:90~約90:10の範囲であり得る、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約20:80~約80:20の範囲であり得る、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約25:75~約75:25の範囲であり得る、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約40:60~約60:40の範囲であり得る、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の無機微粒子材料対前記第2の無機微粒子材料の比は、重量で約50:50の範囲であり得る、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
バインダをさらに含む、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記バインダは無機または有機バインダである、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記バインダはアルカリ金属ケイ酸塩である、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸ナトリウムである、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸カリウムである、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:5~5:1である、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:3~3:1である、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:2~2:1である、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:1.5~1.5:1である、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は約1:1である、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき10wt%~95wt%の量で存在する、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、15wt%~90wt%の量で存在する、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、20~75wt%の量で存在する、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、25wt%~67wt%の量で存在する、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、33~50wt%の量で存在する、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適粒子サイズおよび粒子サイズ分布を有する嵩高微小孔性無機微粒子材料の選択により、改善された機械的特性を有するミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)および嵩高微小孔性無機微粒子材料を含む紙を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機微粒子材料がグラフ用紙において、光学および印刷特性を増強するために一般的に使用される。無機微粒子材料(本明細書では「ミネラル」および「フィラー」とも呼ばれる)はパルプ繊維よりも実質的に安価であるので、無機微粒子材料の使用により、製紙業者は経費を節減することもできる。使用することができる無機微粒子材料の量は、無機微粒子材料が、製造中の湿潤状態、および、乾燥後の両方において、紙の強度特性に対して有する効果のために制限される。
【0003】
製造中、無機微粒子材料含量を制限する最も重要な特性は、プレス後の湿紙の引張強度である。ほとんどの抄紙機では、紙はプレスから乾燥機セクションに支持なしで渡され、よって、依然として最大60%までの比較的高含水量のまま引っ張られて保持される。
【0004】
乾燥後、多くの紙グレードは、印刷および加工プロセス中のダメージに抵抗するために、最小引張、破裂および引裂強度、ならびに「Z」方向(紙の面に垂直)の引張強度を必要とする。他の重要なシート特性としては、曲げに対する抵抗性およびシート嵩または厚さが挙げられる。
【0005】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の添加は、製造中の湿潤強度を含む紙の重要な強度特性の多くを増加させるためにコスト効率の良い方法として確立されており、よって、より高い無機微粒子材料含量の使用が可能になり、経費が節減される。しかしながら、MFCの添加および無機微粒子材料含量の増加は典型的にはどちらも紙を高密度化する効果を有し、シート厚さの低減につながる。
【0006】
抄紙において使用される従来のフィラー組成物、例えば、重質炭酸カルシウム(GCC)およびカオリンは、繊維の単位質量当たりの紙の厚さにおいてわずかな増加を与える可能性があり、というのも、いくつかの無機微粒子材料粒子が重なり合う繊維(それは、そうでなければ、一緒にしっかりと接着されるであろう)間の領域を占め、繊維間の間隔を増加させるからである。しかしながら、粒子の大半は、繊維ネットワークにおける空隙(そうでなければ空っぽとなる)に位置し、繊維と比べてより高い密度を考えると、繊維をフィラーと置き換える正味の効果は紙を高密度化することである。
【0007】
MFCは繊維に強く接着し、それらを結びつけ、これもまた、紙の嵩および厚さを低減させる。紙のシートの曲げ剛性はその厚さに非常に敏感であるので、無機微粒子材料含量を増加させるためのMFCの使用はまた、この特性に対して有害効果となる可能性がある。その結果、MFCの添加で達成可能な無機微粒子材料含量の増加はしばしば、その強度よりもむしろ紙の嵩および剛性により制限される。
【0008】
微小孔性無機微粒子材料
いくつかの型のフィラー、例えば、か焼粘土および偏三角面体およびアラゴナイト沈降炭酸カルシウム(PCC)は、開放型多孔性構造を有する粒子の強凝集体から構成される(すなわち、これらは微小孔性無機微粒子材料の例である)。か焼粘土は米国特許第3,586,523号(これにより、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。そのようなか焼カオリン粘土は実質的には無水、アモルファスケイ酸アルミニウムであり、それらは特定の型のカオリン粘土、例えば、硬質堆積カオリン粘土をか焼することにより得られる。
【0009】
クラスター形態の沈降炭酸カルシウム(PCC)は、米国特許第5,695,733号(これによりその全体が参照により組み込まれる)に開示されるように当技術分野で知られている。PCCは柱状形態を有するかなりの割合の粒子を有する特有のクラスター形態で生成される。PCCを生成するために使用される溶液環境、すなわち、石灰(酸化カルシウム)の消化、炭酸化の温度および二酸化炭素の導入速度を制御することにより、方解石、アラゴナイト、またはバテライトのいずれかが生成される。また、プロセス条件によって方解石は柱状、偏三角面体または菱面体結晶形のいずれかを有し得る。
【0010】
微小孔性無機微粒子材料の他の例としては、化学的に凝集されたフィラー材料が挙げられる。そのような化学的に凝集されたフィラーの例が米国特許第4,072,537号(これにより、その全体が本明細書で組み込まれる)において見出され得る。そのような微小孔性無機微粒子材料は粘土成分および金属ケイ酸塩成分を含む複合ケイ酸塩材料を含む。粘土成分は典型的にはカオリン粘土またはカオリナイトであり、金属ケイ酸塩材料は典型的には、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウムである。
【0011】
‘537特許において記載されるように、複合顔料を調製するための好ましい方法は、下記のステップを含む:(a)粘土顔料の水性懸濁液を形成するステップ、(b)粘土スラリー中にある量の塩化カルシウムなどの塩をブレンドするステップ、(c)粘土および塩のスラリー中に、高せん断で、ある量のケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩成分を測定して入れるステップ、ならびに、任意で、(d)スラリーのpHをミョウバンの添加によりpH4以上のpHに調整するステップ、その後(e)沈殿した生成物を濾過して洗浄し、全ての可溶性塩を除去するステップ。そのような微小孔性複合ケイ酸塩材料は、抄紙プロセスにおいて直接使用される、かまたは、乾燥して、後に使用される。追加の微小孔性無機微粒子材料としては、珪藻土および膨張パーライトなどの材料が挙げられる。
【0012】
前記材料、微小孔性無機微粒子材料は全て、紙プレスおよび乾燥を通して持続し、また、カレンダー仕上げ後にほとんど無傷のままでなければならない剛性内部空隙を含む粒子から構成される。
【0013】
偏三角面体PCC、か焼粘土および化学的に凝集されたフィラーは、より小さな粒子の開放型強凝集体を形成し、粒子を強く接着させる(そこでは、それらは互いに接触する)ことにより、この構造を達成する。珪藻土は、自然に細孔を含む粒子から構成される。ミリングされた膨張パーライトは、ミクロンサイズのガラス球の断片から構成される。よって、微小孔性無機微粒子材料は数ミクロンの外法寸法を有する別々の粒子または粒子の強凝集体を含み、それらは外法寸法により規定される体積内に、前記外法寸法より数倍小さい空隙を含む。集合的に、前記無機微粒子材料は本明細書で、本発明の目的のために「微小孔性無機微粒子材料」と指定されている。
【0014】
紙において使用される場合、これらの微小孔性無機微粒子材料は、固体フィラー粒子よりも、繊維の間隔に、添加された微粒子材料の単位質量当たり、ずっと大きな効果を有する。このため、それらは紙強度に対しより有害なものとなるが、光散乱が増加し、それは光学特性に有益である。
【0015】
無機微粒子材料の別の効果は常に、シート多孔度(通気性)を増加させることであり、これは、印刷および加工プロセスにおいて著しい不利益となる。微小孔性無機微粒子材料の有効密度はまた、固体フィラーよりも低くなり、これらの効果の組み合わせが、繊維がフィラーの代わりに使用されるにつれ、シート嵩および厚さの増加につながる可能性がある。
【0016】
偏三角面体PCC(微小孔性無機微粒子材料の一例)では、強度に対する弱凝集の効果は、粒子サイズ分布を狭い範囲に制御する(よって、紙強度に非常に有害である超微細粒子を排除する)、および、光散乱に最適なものより大きなメジアン粒子サイズを使用することにより幾分オフセットされ得る。しかしながら、粒子または弱凝集体サイズが大きすぎると、光散乱効率が失われる。
【0017】
ミクロフィブリル化セルロース
ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)を生成する様々な方法が当技術分野で知られている。粉砕手順により生成されるミクロフィブリル化セルロースを含むある一定の方法および組成物がWO-A-2010/131016号に記載される。Husband, J. C., Svending, P., Skuse, D. R., Motsi, T., Likitalo, M., Coles, A., FiberLean Technologies Ltd., 2015, “Paper filler composition,” PCT国際出願第WO-A-2010/131016、この内容はこれによりその全体が参照により組み込まれる。記載される粉砕プロセスにより生成されたMFCはセルロース含有繊維の無機微粒子材料との同時粉砕を含み得る。あるいは、MFCはセルロース繊維を無機微粒子材料以外の粉砕媒体の存在下で粉砕することにより生成され得る。そのようなミクロフィブリル化セルロースを含む紙製品は優れた紙特性、例えば、紙破裂および引張強度を示すことが示されている。WO-A-2010/131016号において記載される方法によっても、ミクロフィブリル化セルロースの生成が経済的に可能になる。
【0018】
WO2010/131016号は、無機微粒子材料ありまたはなしでのミクロフィブリル化セルロースの生成のための粉砕手順を記載する。そのような粉砕手順は以下に記載される。WO-A-2010/131016号において明記されたプロセスの一実施形態では、プロセスは、セルロース繊維の機械的崩壊を利用し、ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)をコスト効率良く、かつ、大規模に生成させ、セルロース前処理が必要とされない。方法の一実施形態は、撹拌媒体デトライター粉砕技術を使用し、これは、粉砕媒体ビーズをかくはんすることにより繊維をMFCに崩壊させる。このプロセスでは、炭酸カルシウムまたはカオリンなどのミネラルが粉砕助剤として添加され、必要とされるエネルギーが大きく低減される。Husband, J. C., Svending, P., Skuse, D. R., Motsi, T., Likitalo, M., Coles, A., FiberLean Technologies Ltd., 2015, “Paper filler composition,” 米国特許US9127405B2号(これにより、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0019】
前記進歩にもかかわらず、十分低い多孔度、高い白色度および不透明度ならびに湿潤および乾燥強度特性、例えば、最小引張、破裂および引裂強度、ならびに紙および板紙の「Z」方向(紙の面に垂直)における引張強度を維持する、および、印刷および加工プロセス中のダメージに抵抗し、一方、曲げに対する抵抗性およびシート嵩または厚さを最適化するように、無機微粒子材料粒子サイズおよび粒子サイズ分布の賢明な選択および制御により、MFCおよび無機微粒子材料を含む紙フィラー組成物を最適化することが、依然として必要なままである。
【発明の概要】
【0020】
本明細書の記載、図面、実施例および特許請求の範囲によれば、発明者らは、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の粒子サイズおよび粒子サイズ分布に基づく、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の調製および使用による、改善された機械的特性を有する紙および板紙の製造のためのプロセスを発見した。
【0021】
本発明はミクロフィブリル化セルロースおよび微小孔性無機微粒子材料の使用に基づき、それらは抄紙完成紙料に添加され、MFCおよび微小孔性無機微粒子材料の組成物が、MFCおよび従来の無機微粒子材料単独の代わりに使用される場合に、実質的に劣化されず、または、維持され、またはさらに改善される増強された機械的特性を有する紙および板紙が生成される。ミクロフィブリル化セルロースおよび微小孔性無機微粒子材料は別々にまたはMFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物として抄紙完成紙料に添加することができる。
【0022】
本発明者らは驚いたことに、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料、すなわち、従来の粒子および弱凝集サイズよりも粗い(大きな)サイズを有する無機微粒子材料と組み合わせたMFCの使用により、要求される強度、嵩、剛性および多孔度特性を維持しながら、グラフ用紙の無機微粒子材料含量の実質的な増加を得ることができることを見出した。MFCの使用から生じる嵩および剛性の損失は1つ以上の微小孔性無機微粒子材料からの高い嵩寄与によりオフセットされ、高含量の微小孔性無機微粒子材料の使用による強度の損失はMFCの使用によりオフセットされる。MFCはまた、微小孔性無機微粒子材料と関連する多孔度の典型的な増加をオフセットし、MFCおよび微小孔性無機微粒子材料の増加した含量は最適より粗い粒子サイズを有する微小孔性無機微粒子材料を使用することと関連する光散乱効率の損失をオフセットする。
【0023】
本開示の様々な態様および実施形態によれば、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、本明細書で記載される沈降方法により測定される、および、当技術分野で知られているように、約3μm~約50μm、例えば、例として、約5μm~約30μm、約10μm~約30μm、約15μm~約25μm、約20μm~約30μm、約3μm~約15μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、約2μm~約6μm、特に好ましくは3μm~6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d50)を有する、粗粒子サイズ無機微粒子材料および粗粒子サイズ微小孔性無機微粒子材料の弱凝集体を含む。
【0024】
また、本開示の様々な態様および実施形態によれば、機械的特性という用語は、引張伸び、引張剛性、嵩、および曲げ剛性の1つ以上を含む。前記特性は、本明細書で記載される方法により、および、紙および板紙を製造する技術分野でよく知られているように測定され得る。
【0025】
本開示の一態様では、紙または板紙の製造のための抄紙完成紙料に添加するためのミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む紙または板紙フィラー組成物が開示され、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比較して改善された機械的特性を紙または板紙に付与する。
【0026】
本開示の別の態様では、紙または板紙の製造のための抄紙完成紙料を製造するための方法において使用するための、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む紙または板紙フィラー組成物が開示され、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比較して改善された機械的特性を紙または板紙に付与する。
【0027】
本開示の別の態様では、紙または板紙の製造のための抄紙完成紙料に添加するためのミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む紙または板紙フィラー組成物が開示され、MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料およびセルロースを含む繊維性基材を使用して得られ;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比較して改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。
【0028】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降塩化カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、およびミリングされた膨張パーライトを含む(または、これからなる群より選択される)。
【0029】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土を含む(または、これから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0030】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、カオリンを含む(または、これから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0031】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、カオリナイトを含む(または、これから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0032】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、アモルファスケイ酸アルミニウムを含む(または、これから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0033】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、偏三角面体沈降炭酸カルシウムを含む(または、これから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0034】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、アラゴナイト沈降炭酸カルシウムを含む(または、これから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0035】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、化学的に凝集されたフィラー材料を含む(または、これから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0036】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、珪藻土を含む(または、これから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0037】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、ミリングされた膨張パーライトを含む(または、これから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0038】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は抄紙完成紙料に、別々に添加してもよく、またはフィラー組成物として一緒に添加してもよい。
【0039】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、抄紙完成紙料は針葉樹パルプから選択される1つ以上のパルプを含む。
【0040】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、針葉樹パルプはエゾマツ、マツ、モミ、カラマツおよびヘムロックおよび混合針葉樹パルプから選択される(または、これらからなる群より選択される)。
【0041】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、抄紙完成紙料は、広葉樹パルプから選択される(または、これらからなる群より選択される)1つ以上のパルプを含む。
【0042】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、広葉樹パルプはユーカリ、ヤマナラシおよびカバノキ、および混合広葉樹パルプから選択される(または、これらからなる群より選択される)。
【0043】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、抄紙完成紙料のためのパルプ源は、ユーカリパルプ、エゾマツパルプ、マツパルプ、ブナパルプ、ヘンプパルプ、綿パルプ、アカシアおよびそれらの混合物から選択される(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0044】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、抄紙完成紙料のためのパルプ源は、ノルディック・パイン、ブラックスプルース、ラジアータパイン、サザンパイン、酵素処理したノルディック・パイン、ダグラスファー、溶解パルプ、カバノキ(本明細書で明記されるカバノキ#1、カバノキ#2を含む)、ユーカリ、アカシア、混合ヨーロピアン広葉樹、混合タイ広葉樹、再生紙、綿、アバカ、アカシア、サイザル麻、バガス、ケナフ、ススキ、ソルガム、ダンチクおよび亜麻から選択される(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)。
【0045】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は、引張強度、引張伸び、嵩、引張剛性、曲げ剛性、多孔度、破裂、引裂強度、および「Z」方向の引張強度の1つ以上から選択される。
【0046】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は引張強度である。
【0047】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は引張伸びである。
【0048】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は嵩である。
【0049】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は引張剛性である。
【0050】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は曲げ剛性である。
【0051】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は多孔度である。
【0052】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は破裂である。
【0053】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は引裂強度である。
【0054】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、機械的特性は「Z」方向の引張強度である。
【0055】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは約0.1μm-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズを有する。
【0056】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも約0.5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有する。
【0057】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、レーザー光散乱により測定すると、約3μm~約50μm、約5μm~約30μm、約10μm~約30μm、約15μm~約25μm、約20μm~約30μm、約3μm~約15μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、約3μm~約6μm、または約3~約5μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d50)を有する。
【0058】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、1つ以上の分散剤、例えば、ポリカルボン酸および/またはそれらの塩もしくは誘導体のホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸に基づくエステル;アクリルアミドまたはアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、またはその混合物;アルカリポリリン酸塩、ホスホン酸、クエン酸および酒石酸およびその塩またはエステル;およびそれらの混合物を含む群から選択される(または、これからなる群より選択される)ものと関連し得る。
【0059】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、粉末の形態で提供される。
【0060】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、懸濁液、または水性懸濁液の形態で提供され、他の実施形態では、水性懸濁液はポンピング可能な液体である。
【0061】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、第1の微小孔性無機微粒子材料対第2の微小孔性無機微粒子材料の比は重量で約10:90~約90:10、または重量で約20:80~約80:20、または重量で約25:75~約75:25、または重量で約40:60~約60:40、または重量で約50:50の範囲であってもよい。
【0062】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、バインダ組成物は、バインダをさらに含み、一実施形態では無機または有機バインダであってもよい。他の実施形態では、バインダはアルカリ金属ケイ酸塩、例えば、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムであってもよい。
【0063】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、バインダ組成物は、乾燥重量に基づき、1:5~5:1、または1:3~3:1、または1:2~2:1、または1:1.5~1.5対1、または1:1である、ミクロフィブリル化セルロース対1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比を有する。
【0064】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、フィラー組成物の乾燥重量に基づき、10wt%~95wt%、またはフィラー組成物の乾燥重量に基づき、15wt%~90wt%、または20~75wt%、または25wt%~67wt%、または33~50wt%の量で存在する。
【0065】
本開示の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料を製造する方法が開示され、方法は、下記ステップを含み:
1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を抄紙完成紙料に添加するステップ;
MFCを抄紙完成紙料に添加するステップ;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を紙または板紙に付与する。
【0066】
本開示の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料を製造する方法が開示され、方法は、下記ステップを含み:
1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を抄紙完成紙料に添加するステップ;
MFCを抄紙完成紙料に添加するステップ;MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られ;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。
【0067】
本開示の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料を製造する方法が開示され、方法は、下記ステップを含み:
MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を抄紙完成紙料に添加するステップ;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を紙または板紙に付与する。
【0068】
本開示の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料が開示され、方法は、下記ステップを含み:
MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を抄紙完成紙料に添加するステップ;MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られ;ならびに、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。
【0069】
本開示の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料から製造された紙または板紙が開示され、方法は、下記ステップを含み:
MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を抄紙完成紙料に添加するステップ;フィラー組成物はMFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。
【0070】
改善された機械的特性を有する紙または板紙を製造する方法であって、方法は、下記ステップを含み:紙または板紙の生成のための抄紙完成紙料を調製するステップ;1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を抄紙完成紙料に添加するステップ;ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を抄紙完成紙料に添加するステップであって;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、抄紙完成紙料に別々に、または、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物として添加される、ステップ;抄紙完成紙料から、抄紙完成紙料を脱水および乾燥することにより紙または板紙を製造するステップ;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を紙または板紙に付与する。
【0071】
本開示の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料から紙または板紙を製造する方法が存在し、方法は、下記ステップを含み:
MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を抄紙完成紙料に添加するステップ;MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られ;フィラー組成物は、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比較して改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。一実施形態では、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、抄紙完成紙料に別々に、または、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物として添加される。
【0072】
本開示の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料から紙または板紙を製造する方法が存在し、方法は、下記ステップを含み:
1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を抄紙完成紙料に添加するステップ;
MFCを抄紙完成紙料に添加するステップ;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。一実施形態では、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、抄紙完成紙料に別々に、または、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物として添加される。
【0073】
本開示の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料から紙または板紙を製造する方法が存在し、方法は、下記ステップを含み:
1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を抄紙完成紙料に添加するステップ;
MFCを抄紙完成紙料に添加するステップ;
MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られ;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。一実施形態では、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、抄紙完成紙料に別々に、または、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物として添加される。
【0074】
本開示の別の態様では、改善された機械的特性を有する紙または板紙を製造する方法が存在し、方法は、下記ステップを含み:紙または板紙の生成のための抄紙完成紙料を調製するステップ;ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を調製するステップ;フィラー組成物を抄紙完成紙料に添加するステップ;紙または板紙を抄紙完成紙料から、抄紙完成紙料を脱水および乾燥することにより製造するステップ;フィラー組成物は、MFCおよび微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。一実施形態では、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、抄紙完成紙料に別々に、または、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物として添加される。
【0075】
本開示の別の態様では、改善された機械的特性を有する紙または板紙を製造する方法が存在し、方法は、下記ステップを含み:紙または板紙の生成のための抄紙完成紙料を調製するステップ;ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を調製するステップ;フィラー組成物を抄紙完成紙料に添加するステップ;紙または板紙を抄紙完成紙料から、抄紙完成紙料を脱水および乾燥することにより製造するステップ;MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られ;フィラー組成物はMFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。一実施形態では、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、抄紙完成紙料に別々に、または、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物として添加される。
【0076】
本開示の別の態様では、改善された機械的特性を有する紙または板紙を製造する方法が存在し、改善は下記を含み:紙または板紙の生成のための抄紙完成紙料を調製するステップ;1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を抄紙完成紙料に添加するステップ;ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を抄紙完成紙料に添加するステップ;紙または板紙を抄紙完成紙料から、抄紙完成紙料を脱水および乾燥することにより製造するステップ;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比べて改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。一実施形態では、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、抄紙完成紙料に別々に、または、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物として添加される。
【0077】
本開示の別の態様では、改善された機械的特性を有する紙または板紙を製造する方法が存在し、改善は下記を含み:紙または板紙の生成のための抄紙完成紙料を調製するステップ;1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を抄紙完成紙料に添加するステップ;ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を抄紙完成紙料に添加するステップ;紙または板紙を抄紙完成紙料から、抄紙完成紙料を脱水および乾燥することにより製造するステップ;MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または従来の非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られ;MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含まない同一の抄紙完成紙料から製造された紙および板紙製品と比較して改善された機械的特性を前記紙または板紙に付与する。一実施形態では、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、抄紙完成紙料に別々に、または、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物として添加される。
【0078】
本開示の前記態様および実施形態の追加の実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降塩化カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、またはミリングされた膨張パーライトを含む群から選択される(またはこれからからなる群より選択される)。
【0079】
一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料はか焼粘土を含む、か、これである。
【0080】
一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料はカオリンを含む、か、これである。
【0081】
一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料はカオリナイトを含む、か、これである。
【0082】
一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料はアモルファスケイ酸アルミニウムを含む、か、これである。
【0083】
一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は偏三角面体沈降炭酸カルシウムを含む、か、これである。
【0084】
一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料はアラゴナイト沈降炭酸カルシウムを含む、か、これである。
【0085】
一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は化学的に凝集されたフィラー材料を含む、か、これである。
【0086】
一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は珪藻土を含む、か、これである。
【0087】
一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料はミリングされた膨張パーライトを含む、か、これである。
【0088】
本開示の態様の一実施形態では、抄紙完成紙料は針葉樹パルプから選択される1つ以上のパルプを含む。
【0089】
本開示の態様の一実施形態では、針葉樹パルプは、エゾマツ、マツ、モミ、カラマツおよびヘムロックまたは混合針葉樹パルプから選択される(または、これからなる群より選択される)。
【0090】
本開示の態様の一実施形態では、抄紙完成紙料は、広葉樹パルプから選択される1つ以上のパルプを含む。
【0091】
本開示の態様の一実施形態では、広葉樹パルプは、ユーカリ、ヤマナラシおよびカバノキ、または混合広葉樹パルプから選択される(または、これからなる群より選択される)。
【0092】
本開示の態様の一実施形態では、抄紙完成紙料のためのパルプ源は、ユーカリパルプ、エゾマツパルプ、マツパルプ、ブナパルプ、ヘンプパルプ、アカシア、綿パルプ、およびそれらの混合物から選択される(または、これからなる群より選択される)。
【0093】
本開示の態様の一実施形態では、抄紙完成紙料のためのパルプ源は、ノルディック・パイン、ブラックスプルース、ラジアータパイン、サザンパイン、酵素処理したノルディック・パイン、ダグラスファー、溶解パルプ、(カバノキ(本明細書で明記されるカバノキ#1、カバノキ#2を含む)、ユーカリ、アカシア、混合ヨーロピアン広葉樹、混合タイ広葉樹、再生紙、綿、アバカ、サイザル麻、バガス、ケナフ、ススキ、ソルガム、ダンチクおよび亜麻から選択される(または、これからなる群より選択される)。
【0094】
本開示の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料複合物の調製において利用される1つ以上の非凝集無機微粒子材料を用いた同時粉砕プロセスにより調製される。
【0095】
本開示の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有する。
【0096】
本開示の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、レーザー光散乱により測定すると、約5~約500μmの範囲のd50を有する。
【0097】
本開示の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、レーザー光散乱により測定すると、約400μm以下のd50を有する。
【0098】
本開示の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、レーザー光散乱により測定すると、約200μm以下のd50を有する。
【0099】
本開示の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、レーザー光散乱により測定すると、約200μm以下のd50を有する。
【0100】
本開示の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、レーザー光散乱により測定すると、約150μm以下のd50を有する。
【0101】
本開示の態様の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、粉末の形態で提供される。
【0102】
本開示の態様の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、懸濁液の形態で提供される。別の実施形態では、懸濁液は水性懸濁液であってもよい。さらなる実施形態では、水性懸濁液はポンピング可能な液体である。
【0103】
本開示の態様の一実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、第1の微小孔性無機微粒子材料対第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約10:90~約90:10、重量で約20:80~約80:20、または重量で約25:75~約75:25、または重量で約40:60~約60:40、または重量で約50:50の範囲であってもよい。
【0104】
本開示の態様の一実施形態では、方法は、バインダをさらに含む。別の実施形態では、バインダは有機または無機バインダである。さらなる実施形態では、バインダはアルカリ金属ケイ酸塩、例えば、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムである。
【0105】
本開示の態様のさらなる実施形態では、乾燥重量に基づく、ミクロフィブリル化セルロース対1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:5~5:1、または1:3~3:1、または1:2~2:1、または1:1.5~1.5対1、または約1:1である。
【0106】
本開示の態様のさらなる実施形態では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量はフィラー組成物の乾燥重量に基づき10wt%~95wt%、フィラー組成物の乾燥重量に基づき15wt%~90wt%、または20~75wt%、または25wt%~67wt%、または33~50wt%の量で存在する。
【0107】
別記されない限り、無機微粒子材料について本明細書で言及される粒子サイズ特性は、よく知られた方法において、水性媒体中に完全に分散された状態の微粒子材料の沈降により、Micromeritics Instruments Corporation, Norcross, Ga., USA(電話:+1 770 662 3620;ウェブサイト:www.micromeritics.com)により供給されるSedigraph5100機(本明細書で「Micromeritics Sedigraph5100ユニット」と呼ばれる)を使用して測定されるものである。そのような機械は測定、および、所定のe.s.d値未満の、当技術分野で「球相当径」(e.s.d)と呼ばれるサイズを有する、粒子の累積重量パーセンテージのプロットを提供する。平均粒子サイズd50は粒子e.s.dのこのように決定された値であり、そこでは、粒子の50重量%がそのd50値未満の球相当径を有する。
【0108】
本開示の態様の一実施形態では、第1および第2の無機微粒子材料のブレンドおよびバインダ溶液は、バインダ組成物(スラリーまたは懸濁液)を第1および第2の無機微粒子材料のブレンドの接触弱凝集点に少なくとも実質的に均一に分配させるように十分かくはんしながら混合され得、第1および第2の無機微粒子材料の構造に損傷はない。
【0109】
本開示の態様の一実施形態では、接触は低せん断混合装置において実施される。
【0110】
本開示の態様の一実施形態では、混合は約室温(すなわち、約20℃~約23℃)で起こり得る。
【0111】
本開示の態様の一実施形態では、混合は約室温(すなわち、約20℃~約50℃)で起こり得る。
【0112】
本開示の態様の一実施形態では、混合は約室温(すなわち、約30℃~約45℃)で起こり得る。
【0113】
本開示の態様の一実施形態では、混合は約室温(すなわち、約35℃~約45℃)で起こり得る。
【0114】
本開示の態様の一実施形態では、接触は第1のおよび/または第1および第2の無機微粒子材料のブレンドにバインダ組成物(スラリーまたは懸濁液)を噴霧することを含み得る。
【0115】
本開示の態様の一実施形態では、接触は断続的である。
【0116】
本開示の態様の一実施形態では、接触は連続である。
【0117】
本開示の態様の一実施形態では、バインダは、バインダ組成物(スラリーまたは懸濁液)中に、バインダ溶液の重量に対して、約40重量%未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、バインダは、約1%~約10重量%の範囲であり得る。
【0118】
前記は、下記の発明の詳細な説明が、よりよく理解され得るように、本発明の特徴および技術利点をかなり広く概説している。発明の追加の特徴および利点が本明細書で記載されており、これが発明の特許請求の範囲の主題を形成する。本明細書で開示されるいずれの概念および特定の実施形態も、本発明の同じ目的を実施するための他の手段を改変または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者により認識されるべきである。そのような等価手段は添付の特許請求の範囲において明記される発明の精神および範囲から逸脱しないこともまた、当業者により理解されるべきである。その組織および動作方法の両方に関して、発明の特徴であると考えられる新規特徴は、さらなる目的および利点と共に、下記説明から、添付の図面と共に考えるとよりよく理解されるであろう。しかしながら、いずれの説明、図、実施例、なども例示および説明の目的のみのために提供され、決して、発明の限界を規定することを意図しないことが明確に理解されるべきである。
【0119】
本明細書で開示される原理、およびその利点をより完全に理解するために、添付の図面と併用してなされた下記記載が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【
図1】重質炭酸カルシウム(GCC)組成物を20%および30%レベルでMFCありおよびなしで含む組成物を、沈降炭酸カルシウム(PCC)組成物を20%および30%レベルでMFCありおよびなしで含むものと比べた、スコットボンド、曲げ剛性、比引張強度、嵩および光散乱特性のプロットである。
【
図2】mN.mで表した曲げ剛性対PCCを含むパーセンテージフィラー割合(残りはGCCである)のグラフである。
【
図3】cm
2g
-1で表した光散乱係数(F10)対PCCを含むパーセンテージフィラー割合(残りはGCCである)のグラフである。
【
図4】N.m/gで表した比引張強度対PCCを含むパーセンテージフィラー割合(残りはGCCである)のグラフである。
【
図5】J/m
2で表したスコットボンド対PCCを含むパーセンテージフィラー割合(残りはGCCである)のグラフである。
【
図6】N.m/gで表した比引張強度対パーセンテージPCC含量で表したシートフィラー含量のグラフである。
【
図7】光散乱(F10S)対パーセンテージPCC含量で表したシートフィラー含量のグラフである。
【
図8】mNで表した曲げ剛性対パーセンテージPCC含量で表したシートフィラー含量のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0121】
本明細書で提供される表題、見出しおよび小見出しは、開示の様々な態様を制限するものと解釈されるべきではない。したがって、以下で規定される用語は、明細書を全体として参照することにより、より詳しく規定される。本明細書で引用される全ての参考文献は全体として参照により組み込まれる。
【0122】
本発明は、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料なしで生成された紙および板紙と比べて改善された機械的特性を有する紙および板紙の生成のための抄紙完成紙料において使用される、MFCおよび1つ以上の微小孔性無機微粒子材料複合物を含むフィラー組成物に関する。
【0123】
定義および見出し
本明細書で提供される表題、見出しおよび小見出しは、開示の様々な態様を制限するものと解釈されるべきではない。したがって、以下で規定される用語は、明細書を全体として参照することにより、より詳しく規定される。本明細書で引用される全ての参考文献は全体として参照により組み込まれる。
【0124】
別に規定されない限り、本明細書で使用される科学および技術用語は、当業者により普通に理解される意味を有する。さらに、文脈により別段要求されない限り、単数形用語は複数形を含み、複数形用語は単数形を含む。
【0125】
本出願では、「または」の使用は、別記されない限り「および/または」を意味する。多数項従属クレームとの関連では、「または」の使用は、選択的にのみ1を超える先行独立または従属クレームに戻って参照する。
【0126】
「含む」という用語と共に使用される場合の単語「1つの(aまたはan)」の使用は、は「1つ(one)」を意味し得るが、「1つ以上の」、「少なくとも1つの」および「1つまたはそれ以上」の意味とも一致する。「または」という用語の使用は、代替案が相互排他的である場合にのみ代替案を示すことが明確に示されない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、開示は代替案のみ、および、「および/または」を示す定義を支持する。本出願を通して、「約」という用語は、値は、定量装置、その値を決定するために採用される方法についての誤差の固有の変動、または研究対象間に存在する変動を含むことを示すために使用される。例えば、制限はしないが、「約」という用語が使用される場合、指定された値は、±12パーセント、または11パーセント、または10パーセント、または9パーセント、または8パーセント、または7パーセント、または6パーセント、または5パーセント、または4パーセント、または3パーセント、または2パーセント、または1パーセントだけ変動し得る。「少なくとも1つの」という用語の使用は、1つならびに1を超える任意の量、例えば、限定はされないが、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100、などを含むと理解されるであろう。「少なくとも1つの」という用語は、それが付着されている用語によって、最大100または1000またはそれ以上まで拡大可能である。加えて、100/1000の量は、制限するものと考えられるべきではなく、より低いまたはより高い限界もまた、満足のいく結果を生成させることができる。加えて、「X、Y、およびZの少なくとも1つ」という用語の使用は、Xのみ、Yのみ、およびZのみ、ならびにX、Y、およびZの任意の組み合わせを含むと理解されるであろう。
【0127】
序数用語(すなわち、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、など)は2つ以上のアイテム間で区別するためだけのものであり、別記されない限り、1つのアイテムの別のアイテムを超えるいずれかの順序または順番または重要性、または、いずれかの添加の順序を暗示することを意味しない。
【0128】
本明細書では、1つ以上の微小孔性無機微粒子材料という用語は、本明細書で記載される沈降方法により測定される、および、当技術分野で知られているように、約3μm~約50μm、例えば、例として、約5μm~約30μm、約10μm~約30μm、約15μm~約25μm、約20μm~約30μm、約3μm~約15μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、約2μm~約6μm、特に好ましくは3μm~6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d50)を有する粗粒子サイズ無機微粒子材料および粗粒子サイズ無機微粒子材料の弱凝集体を含む。
【0129】
本明細書では、「含む(comprising)」(およびcomprisingの任意の形態、例えば、「comprise」、「comprises」、および「comprised」)、「有する(having)」(およびhavingの任意の形態、例えば、「have」および「has」)、「包含する(including)」(およびincludingの任意の形態、例えば、「includes」および「include」)、または「含有する(containing)」(およびcontainingの任意の形態、例えば、「contains」および「contain」)という用語は包括的であり、または制約がなく、追加の、列挙されていない要素または方法ステップを排除しない。加えて、「含む」という用語と併用して使用される用語はまた、「から構成される」または「から本質的に構成される」という用語と併用して使用することができることが理解される。同様に、「から選択される」という句および同様の重要性の単語はまた、「からなる群より選択される」という句を含み得る。
【0130】
本明細書では、「包含する(include)」という用語およびその文法的変形は、非限定的であることが意図され、そのため、アイテムのリストでの列挙は、リスト化されたアイテムと置換することができ、またはこれに追加することができる他の同様のアイテムを排除しない。
【0131】
セルロースを含む繊維性基材(本明細書で様々に、「セルロースを含む繊維性基材」、「セルロース繊維」、「繊維性セルロース原料」、「セルロース原料」および「セルロース含有繊維(または繊維性)」などと呼ばれる)は、バージンもしくは再生パルプまたは紙工場損紙および/または産業廃棄物、または紙工場からのミネラルフィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームに由来し得る。
【0132】
本明細書では、機械的特性は下記特性の1つ以上を含む:引張強度、引張伸び、嵩、引張剛性、曲げ剛性、多孔度、引張、破裂、引裂強度、および「Z」方向の引張強度。
【0133】
本明細書では、「実質的に」という用語は、その後に記載されるイベントまたは状況が完全に起こること、または、その後に記載されるイベントまたは状況が大体、または、大部分起こることを意味する。例えば、特定のイベントまたは状況に関しては、「実質的に」という用語は、その後に記載されるイベントまたは状況が少なくとも80%の確率で、または少なくとも85%の確率で、または少なくとも90%の確率で、または少なくとも95%の確率で起こることを意味する。反対に、機械的特性、例えば、引張強度および/または曲げ剛性が「実質的に劣化されない」または同様の文体となることを示すために使用される場合、引張強度および/または曲げ剛性の劣化は制御特性から15%超、または10%超または5%超だけ減少されない。
【0134】
本明細書では、「X~Yの整数」という句は、終点を含む任意の整数を意味する。例えば、「1~5の整数」という句は1、2、3、4、または5を意味する。
【0135】
ミクロフィブリル化セルロース
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、ここで開示されるおよび/または特許請求される発明概念(複数可)のために、当技術分野においてよく知られており、説明されているが、ミクロフィブリル化セルロースは単離されたセルロースミクロフィブリルおよび/またはセルロースのミクロフィブリル束のいずれかの形態(どちらも、セルロース原料に由来する)のミクロフィブリルからなるセルロースとして規定される。よって、ミクロフィブリル化セルロースは、部分的にまたは完全にフィブリル化されたセルロースまたはリグノセルロース繊維を含むと理解されるべきであり、これは、当技術分野で知られている様々なプロセスにより達成され得る。
【0136】
本明細書では、「ミクロフィブリル化セルロース」は、「ミクロフィブリルセルロース」、「ナノフィブリル化セルロース」、「ナノフィブリルセルロース」、「セルロースのナノファイバー」、「ナノスケールフィブリル化セルロース」、「セルロースのミクロフィブリル」と同じ意味で使用することができ、および/または、単に「MFC」として使用することができる。加えて、本明細書では、「ミクロフィブリル化セルロース」と代替可能である以上で列挙される用語は完全にミクロフィブリル化されているセルロース、または、実質的にミクロフィブリル化されているが、依然としてある量の非ミクロフィブリル化セルロースを、本明細書で記載される、および/または、特許請求されるミクロフィブリル化セルロースの利点を妨害しないレベルで含むセルロースを示し得る。
【0137】
「ミクロフィブリル化」により、セルロースのミクロフィブリルが、予備ミクロフィブリル化パルプの繊維と比べて、個々の種として、または、小さな強凝集体として遊離される、または部分的に遊離されるプロセスが意味される。抄紙において使用するのに好適な、典型的なセルロース繊維(すなわち、予備ミクロフィブリル化パルプ)は、数百または数千の個々のセルロースフィブリルのより大きな強凝集体を含む。
【0138】
ミクロフィブリル化セルロースはセルロースを含み、これは繰り返しグルコース単位を含む天然起源のポリマーである。「ミクロフィブリル化セルロース」という用語は、MFCとも示され、この明細書では、ミクロフィブリル化/ミクロフィブリルセルロースおよびナノフィブリル化/ナノフィブリルセルロース(NFC)(この材料はナノセルロースとも呼ばれる)を含む。
【0139】
ミクロフィブリル化セルロースは機械的せん断により、酵素または化学前処理あり、またはなしで曝露されている可能性があるセルロース繊維の外層を剥ぎ取ることにより調製される。当技術分野で知られているミクロフィブリル化セルロースを調製する多くの方法が存在する。
【0140】
非限定的例では、ミクロフィブリル化セルロースという用語は、100nm未満の少なくとも1つの寸法をしばしば有するナノスケールセルロース粒子繊維またはフィブリルを含むフィブリル化セルロースを記載するために使用される。セルロース繊維から遊離されると、フィブリルは典型的には100nm未満の直径を有する。セルロースフィブリルの実際の直径は起源および製造方法に依存する。
【0141】
フィブリル化セルロース繊維に付着された、または、遊離ミクロフィブリルとしてのセルロースミクロフィブリルの粒子サイズ分布および/またはアスペクト比(長さ/幅)はミクロフィブリル化プロセスにおいて採用される起源および製造方法に依存する。
【0142】
非限定的例では、ミクロフィブリルのアスペクト比は典型的には高く、個々のミクロフィブリルの長さは1マイクロメートルを超える可能性があり、直径は約5~60nmの範囲内にある可能性があり、数平均直径は典型的には20nm未満である。ミクロフィブリル束の直径は1ミクロンより大きい可能性があるが、しかしながら、それは通常、1未満である。
【0143】
非限定的例では、最小フィブリルは従来、基本フィブリルと呼ばれ、これは一般におよそ2-4nmの直径を有する。基本フィブリルが強凝集することも一般的であり、これもまた、ミクロフィブリルと考えることができる。
【0144】
非限定的例では、ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも部分的にナノセルロースを含み得る。ナノセルロースは主に、100nm未満である直径およびミクロン範囲またはそれ以下にあり得る長さを有するナノサイズのフィブリルを含み得る。最小ミクロフィブリルはいわゆる基本フィブリルと同様であり、その直径は典型的には2~4nmである。当然、ミクロフィブリルおよびミクロフィブリル束の寸法および構造は、ミクロフィブリル化セルロースを生成する方法に加えて使用される原料に依存する。それにもかかわらず、当業者であれば、ここで開示されるおよび/または特許請求される発明概念(複数可)との関連で、「ミクロフィブリル化セルロース」の意味を理解するであろうことが予測される。
【0145】
セルロース繊維源およびセルロース繊維をミクロフィブリル化するために採用される製造プロセスによって、フィブリルの長さはしばしば、約1~10マイクロメートル超まで変動する可能性がある。
【0146】
粗MFCグレードは、かなりの割合のフィブリル化繊維、すなわち仮道管(セルロース繊維)からの突出フィブリルを含むことができ、仮道管(セルロース繊維)から遊離されたある一定量のフィブリルを有する。
【0147】
一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースはまた、再生パルプまたは紙工場損紙および/または産業廃棄物、または紙工場からのミネラルフィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームから調製され得る。
【0148】
セルロースを含む繊維性基材は粉砕容器に添加することができ、セルロースを含む繊維性基材は乾燥状態である。例えば、乾燥損紙はグラインダー容器に直接添加され得る。次いで、グラインダー容器内の水性環境は、パルプの形成を促進する。
【0149】
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の同時粉砕プロセス
一実施形態では、本発明は、WO-A-2010/131016号(その全内容はこれにより参照により組み込まれる)に記載される方法および組成物に対する改変、例えば、改善に関する。
【0150】
WO-A-2010/131016号は、例えば、セルロースを含む繊維性材料を、任意で粉砕媒体および無機微粒子材料の存在下で粉砕することによりミクロフィブリル化することを含む、ミクロフィブリル化セルロースを調製するためのプロセスを開示する。紙中のフィラーとして、例えば、従来のミネラルフィラーの代用物または部分代用物として使用される場合、前記プロセスにより得られるミクロフィブリル化セルロースは、任意で無機微粒子材料と共に、紙の破裂強度特性を改善することが予想外に見出された。すなわち、排他的にミネラルフィラーで満たされた紙に対して、ミクロフィブリル化セルロースで満たされた紙は破裂強度を改善したことが見出された。言い換えれば、ミクロフィブリル化セルロースフィラーは、紙破裂強度増強属性を有することが見出された。その発明の1つの特に有利な実施形態では、セルロースを含む繊維性材料は粉砕媒体の存在下、任意で無機微粒子材料と共に粉砕され、20~約50の繊維峻度を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0151】
セルロースを含む繊維性基材および少なくとも1つの無機微粒子材料の共処理
本明細書では、「ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の同時粉砕(または「同時粉砕された」)複合物」という用語は、「同時粉砕ミクロフィブリル化プロセス」により得られた複合物を示し、セルロースを含む繊維性基材は粉砕装置内の水性環境において、少なくとも1つの無機微粒子材料、および任意で、少なくとも1つの無機微粒子材料以外の粉砕媒体の存在下でミクロフィブリル化される(または、言い換えれば、セルロースを含む繊維性基材を少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下、湿式粉砕装置において、任意で少なくとも1つの無機微粒子材料以外の粉砕媒体(粉砕後に除去される)の存在下で「共処理」することにより、ミクロフィブリル化セルロースが生成される)。例示的なミクロフィブリル化プロセスおよび湿式粉砕プロセスの下記説明を参照されたい。
【0152】
共処理されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料複合物を形成するための共処理後、追加の無機微粒子材料が添加され得(例えば、ブレンディングまたは混合により)、共処理されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料複合物のミクロフィブリル化セルロース含量が低減される。
【0153】
一実施形態では、MFCは、タワーミルまたはスクリーングラインディングミル(screened grinding mill)例えば、撹拌媒体デトライターを使用して製造され得る。
【0154】
撹拌媒体ミルは、運動エネルギーを小さな粉砕媒体ビーズに伝達する回転羽根車から構成され、ビーズはせん断、圧縮、および衝撃力の組み合わせにより充填物を細かく粉砕する。様々な粉砕装置が、本明細書で開示された方法によりMFCを生成するために使用され得、例えば、タワーミル、スクリーングラインディングミル、または撹拌媒体デトライターが挙げられる。
【0155】
ミクロフィブリル化プロセス
本開示のさらなる態様および実施形態によれば、セルロースを含む繊維性基材を、少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化する方法が提供される。本方法の特定の実施形態によれば、ミクロフィブリル化ステップはミクロフィブリル化剤として作用する無機微粒子材料の存在下で実施される。別の実施形態によれば、ミクロフィブリル化ステップは、無機微粒子材料および少なくとも1つの無機微粒子材料以外の粉砕媒体(粉砕後に除去される)の存在下で実施される。
【0156】
しかしながら、本発明において使用されるミクロフィブリル化セルロースは単一の製造方法に制限されない。そのようなミクロフィブリル化プロセスが例示を目的として提示される。
【0157】
「ミクロフィブリル化」により、セルロースのミクロフィブリルが個々の種として、または予備ミクロフィブリル化セルロース含有パルプの繊維と比べてより小さな強凝集体として遊離される、または部分的に遊離されるプロセスが意味される。抄紙において使用するのに好適な典型的なセルロース繊維(すなわち、予備ミクロフィブリル化セルロース含有パルプ)は数百または数千の個々のセルロースミクロフィブリルのより大きな強凝集体を含む。セルロースをミクロフィブリル化することにより、特定の特徴および特性、例えば、限定はされないが、本明細書で記載される特徴および特性がミクロフィブリル化セルロースならびにミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機微粒子材料を含む組成物に付与される。
【0158】
ミクロフィブリル化のステップは任意の好適な装置において実施され得る。1つの実施形態では、ミクロフィブリル化ステップは粉砕容器において湿式粉砕条件下で実施される。別の実施形態では、ミクロフィブリル化ステップはホモジナイザーにおいて実施される。これらの実施形態の各々が以下により詳細に記載される。
【0159】
湿式粉砕ミクロフィブリル化プロセス
粉砕は粉砕媒体の存在下での摩砕粉砕プロセスであってもよく、または、自生粉砕プロセス、すなわち、粉砕媒体なしで実施されるものであってもよい。粉砕媒体により、セルロースを含む繊維性基材と同時粉砕される少なくとも1つの無機微粒子材料以外の媒体が意味される。
【0160】
粉砕媒体は、存在する場合、天然または合成材料であってもよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬いミネラル、セラミックまたは金属材料のボール、ビーズまたはペレットを含み得る。そのような材料は、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウムまたはカオリン質粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼させることにより生成されるムライトリッチ材料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が使用される。あるいは、好適な粒子サイズの天然砂の粒子が使用され得る。
【0161】
一般に、発明において使用するために選択される粉砕媒体の型および粒子サイズは、特性、例えば、例として、粉砕される材料の供給懸濁液の粒子サイズ、および化学組成に依存する可能性がある。好ましくは、微粒子粉砕媒体は、約0.1mm~約6.0mmの範囲、より好ましくは、約0.2mm~約4.0mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。粉砕媒体(または複数)は、充填物の最大約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、または充填物の少なくとも約30体積%、または充填物の少なくとも約40体積%、または充填物の少なくとも約50体積%、または充填物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0162】
粉砕は1つ以上の段階で実施され得る。例えば、粗無機微粒子材料はグラインダー容器内であらかじめ決められた粒子サイズ分布まで粉砕され得、その後、セルロースを含む繊維性材料が添加され、所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで粉砕が続けられる。この発明の第1の態様にしたがい使用される粗無機微粒子材料は最初に、粒子の約20重量%未満が2μm未満の必須球径(e.s.d)を有し、例えば、粒子の約15重量%未満、または約10重量%未満が2μm未満のe.s.d.を有する粒子サイズ分布を有し得る。別の実施形態では、この発明の第1の態様にしたがい使用される粗無機微粒子材料は最初に、Malvern Mastersizer S機を使用して測定すると、粒子の約20体積%未満が2μm未満のe.s.dを有する、例えば、粒子の約15体積%未満、または約10体積%未満が2μm未満のe.s.d.を有する粒子サイズ分布を有し得る。
【0163】
粗無機微粒子材料は粉砕媒体なしで、またはその存在下で湿式または乾式粉砕され得る。湿式粉砕段階の場合、粗無機微粒子材料は好ましくは、水性懸濁液中、粉砕媒体の存在下で粉砕される。そのような懸濁液中では、粗無機微粒子材料は好ましくは、懸濁液の約5重量%~約85重量%の量;より好ましくは懸濁液の約20重量%~約80重量%の量で存在し得る。最も好ましくは、粗無機微粒子材料は懸濁液の約30重量%~約75重量%の量で存在し得る。以上で記載される通り、粗無機微粒子材料は、粒子の少なくとも約10重量%が2μm未満のe.s.dを有する、例えば、粒子の少なくとも約20重量%、または少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または約100%重量が2μm未満のe.s.dを有するような粒子サイズ分布まで粉砕され得、その後、セルロースパルプが添加され、2成分が同時粉砕され、セルロースパルプの繊維がミクロフィブリル化される。
【0164】
別の実施形態では、粗無機微粒子材料は、Malvern Mastersizer S機を使用して測定すると、粒子の少なくとも約10体積%が2μm未満のe.s.dを有する、例えば、粒子の少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%、または少なくとも約80体積%、または少なくとも約90体積%、または少なくとも約95体積%、または約100体積%が2μm未満のe.s.dを有するような粒子サイズ分布まで粉砕され、その後、セルロースパルプが添加され、2成分が同時粉砕され、セルロースパルプの繊維がミクロフィブリル化される。
【0165】
1つの実施形態では、無機微粒子材料の平均粒子サイズ(d50)は同時粉砕プロセス中に低減される。例えば、無機微粒子材料のd50は少なくとも約10%だけ低減され得(Malvern Mastersizer S機により測定される)、例えば、無機微粒子材料のd50は少なくとも約20%だけ低減され、または少なくとも約30%だけ低減され、または少なくとも約50%だけ低減され、または少なくとも約50%だけ低減され、または少なくとも約60%だけ低減され、または少なくとも約70%だけ低減され、または少なくとも約80%だけ低減され、または少なくとも約90%だけ低減され得る。例えば、同時粉砕前2.5μmのd50および同時粉砕後1.5μmのd50を有する無機微粒子材料は粒子サイズの40%低減を受けたことになるであろう。ある一定の実施形態では、無機微粒子材料の平均粒子サイズは同時粉砕プロセス中、大きくは低減されない。「大きくは低減されない」により、無機微粒子材料のd50は約10%未満だけ低減される、例えば、無機微粒子材料のd50は約5%未満だけ低減されることが意味される。
【0166】
セルロースを含む繊維性基材は少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、レーザー光散乱により測定すると、約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、約400μm以下、例えば約300μm以下、または約200μm以下または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0167】
セルロースを含む繊維性基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、約0.1-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズ、および、0.25-20μmの範囲のモード無機微粒子材料粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0168】
セルロースを含む繊維性基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、Malvernにより測定すると、約10以上の繊維峻度を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維峻度(すなわち、繊維の粒子サイズ分布の峻度)は下記式により決定される:峻度=100×(d30/d70)。
【0169】
ミクロフィブリル化セルロースは約100以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維峻度を有し得る。
【0170】
粉砕は粉砕容器、例えば、転動ミル(例えば、ロッド、ボールおよび自生)、撹拌ミル(例えば、SAMまたはIsaMill)、タワーミル、撹拌媒体デトライター(SMD)、またはその間に粉砕される供給物が供給される回転平行粉砕プレートを含む粉砕容器において好適に実施される。
【0171】
1つの実施形態では、粉砕容器はタワーミルである。タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に静止ゾーンを含み得る。静止ゾーンは、タワーミルの内部の頂上に向かって位置する領域であり、そこでは、最小の粉砕が起こり、または粉砕は起こらず、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む。静止ゾーンは粉砕媒体の粒子が沈降してタワーミルの1つ以上の粉砕ゾーンに入る領域である。
【0172】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に分類器を含み得る。一実施形態では、分類器は上部に取り付けられており、静止ゾーンに隣接して配置される。分類器はハイドロサイクロンであってもよい。
【0173】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方にスクリーンを含み得る。一実施形態では、スクリーンは静止ゾーンおよび/または分類器に隣接して配置される。スクリーンは、粉砕媒体をミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む生成物水性懸濁液から分離し、粉砕媒体沈降を増強するようなサイズとされ得る。
【0174】
一実施形態では、粉砕はプラグ流条件下で実施される。プラグ流条件下では、タワーを通る流れは、タワーを通る粉砕材料の制限された混合が存在するようなものである。これは、タワーミルの長さに沿った異なる点で水性環境の粘度は、ミクロフィブリル化セルロースの細かさが増加するにつれ変動するということを意味する。よって、実際には、タワーミル内の粉砕領域は特性粘度を有する1つ以上の粉砕ゾーンを含むと考えることができる。当業者であれば、粘度に関しては隣接する粉砕ゾーン間に鮮明な境界はないことを理解するであろう。
【0175】
一実施形態では、水が、1つ以上の粉砕ゾーン上方の静止ゾーンまたは分類器またはスクリーンに最も近いミルの上部で添加され、ミル内のそれらのゾーンでの、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の粘度が低減される。ミル内のこの点で、生成物ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料複合物を希釈することにより、静止ゾーンおよび/または分類器および/またはスクリーンへの粉砕媒体持ち越しの防止が改善されることが見出されている。さらに、タワーを通る制限された混合により、タワーを下がるより高い固体での処理が可能になり、上部で希釈され、タワーを後退して1つ以上の粉砕ゾーンに入る希釈水の逆流が制限される。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む生成物水性懸濁液の粘度を希釈するのに有効な任意の好適な量の水が添加され得る。水は粉砕プロセス中連続して、または一定の間隔で、または不規則な間隔で添加され得る。
【0176】
別の実施形態では、水は1つ以上の粉砕ゾーンに、タワーミルの長さに沿って配置された1つ以上の水注入点を介して添加することができ、または各水注入点は1つ以上の粉砕ゾーンに対応する位置に配置される。便宜的に、タワーに沿った様々な点で水を添加することができることにより、ミルに沿ったいずれかまたは全ての位置での粉砕条件のさらなる調整が可能になる。
【0177】
タワーミルはその長さ全体にわたって一連の羽根車ローターディスクが取り付けられた垂直羽根車軸を含み得る。羽根車ローターディスクの動作により、一連の別々の粉砕ゾーンがミル全体にわたって生成される。
【0178】
別の実施形態では、粉砕はスクリーングラインダー、好ましくは撹拌媒体デトライターにおいて実施される。スクリーングラインダーは少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つ以上のスクリーン(複数可)を含むことができ、例えば、1つ以上のスクリーンは、少なくとも約300μm、または少なくとも約350μm、または少なくとも約400μm、または少なくとも約450μm、または少なくとも約500μm、または少なくとも約550μm、または少なくとも約600μm、または少なくとも約650μm、または少なくとも約700μm、または少なくとも約750μm、または少なくとも約800μm、または少なくとも約850μm、または少なくとも約900μm、または少なくとも約1000μmの公称開口サイズを有し得る。
【0179】
真上で述べられたスクリーンサイズは以上で記載されるタワーミル実施形態に適用可能である。
【0180】
上述のように、粉砕は粉砕媒体の存在下で実施され得る。一実施形態では、粉砕媒体は約1mm~約6mmの範囲、例えば約2mm、または約3mm、または約4mm、または約5mmの平均直径を有する粒子を含む粗媒体である。
【0181】
別の実施形態では、粉砕媒体は少なくとも約2.5、例えば、少なくとも約3、または少なくとも約3.5、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.5、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0の比重を有する。
【0182】
別の実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含み、少なくとも約2.5の比重を有する。
【0183】
以上で記載される通り、粉砕媒体(または複数)は充填物の最大約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、または充填物の少なくとも約30体積%、または充填物の少なくとも約40体積%、または充填物の少なくとも約50体積%、または充填物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0184】
1つの実施形態では、粉砕媒体は、充填物の約50体積%の量で存在する。
【0185】
「充填物」によりグラインダー容器に供給される供給物である組成物が意味される。充填物は水、粉砕媒体、セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料、ならびに本明細書で記載される任意の他の任意的な添加物を含む。比較的粗いおよび/または高密度の媒体の使用は、改善された(すなわち、より速い)沈降速度ならびに静止ゾーンおよび/または分類器および/またはスクリーン(複数可)を通る低減された媒体持ち越しという利点を有する。
【0186】
比較的粗い粉砕媒体を使用するさらなる利点は、無機微粒子材料の平均粒子サイズ(d50)は粉砕プロセス中大きくは低減されない可能性があることであり、そのため、粉砕システムに付与されるエネルギーは主にセルロースを含む繊維性基材のミクロフィブリル化において消費される。
【0187】
比較的粗いスクリーンを使用する際のさらなる利点は比較的粗いまたは高密度の粉砕媒体がミクロフィブリル化ステップにおいて使用され得ることである。加えて、比較的粗いスクリーン(すなわち、最小約250μmの公称開口を有する)の使用により、比較的高固体の生成物が処理され、グラインダーから除去されることが可能になり、これにより、比較的高固体の供給物(セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料を含む)が経済的に実行可能なプロセスにおいて処理される。以下で記載されるように、高い初期固体含量を有する供給物がエネルギー十分性の観点から望ましいことが見出されている。さらに、より低い固体で(所定のエネルギーで)生成された生成物はより粗い粒子サイズ分布を有することもまた見出されている。
【0188】
よって、1つの実施形態によれば、セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料は水性環境中に少なくとも約4wt%の初期固体含量で存在し、その少なくとも約2重量%はセルロースを含む繊維性基材である。初期固体含量は、少なくとも約10wt%、または少なくとも約20wt%、または少なくとも約30wt%、または少なくとも約40wt%であってもよい。初期固体含量の少なくとも約5重量%はセルロースを含む繊維性基材であってもよく、例えば、初期固体含量の少なくとも約10重量%、または少なくとも約15重量%、または少なくとも約20重量%はセルロースを含む繊維性基材であってもよい。
【0189】
別の実施形態では、粉砕は粉砕容器のカスケードで実施され、その1つ以上は1つ以上の粉砕ゾーンを含み得る。例えば、セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料は2以上の粉砕容器のカスケード、例えば、3以上の粉砕容器のカスケード、または4以上の粉砕容器のカスケード、または5以上の粉砕容器のカスケード、または6以上の粉砕容器のカスケード、または7以上の粉砕容器のカスケード、または8以上の粉砕容器のカスケード、または9以上の粉砕容器のカスケード(直列)、または最大10までの粉砕容器を含むカスケードにおいて粉砕され得る。粉砕容器のカスケードは直列もしくは並列または直列とおよび並列の組み合わせで動作可能に連結され得る。カスケード内の粉砕容器の1つ以上からのアウトプットおよび/またはインプットは1つ以上のスクリーニングステップおよび/または1つ以上の分類ステップに供され得る。
【0190】
ミクロフィブリル化プロセスにおいて消費される総エネルギーはカスケード内の粉砕容器の各々にわたって等しく分配され得る。あるいは、エネルギー入力はカスケード内の粉砕容器のいくつかまたは全て間で変動し得る。
【0191】
当業者であれば、1つの容器あたりで消費されるエネルギーはカスケード内の容器間で、各容器内でミクロフィブリル化される繊維性基材の量、任意で各容器内での粉砕速度、各容器内での粉砕期間、各容器内での粉砕媒体の型ならびに無機微粒子材料の型および量によって変動し得ることを理解するであろう。粉砕条件は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の両方の粒子サイズ分布を制御するために、カスケード内の各容器内で変動し得る。例えば、粉砕媒体サイズは、無機微粒子材料の粉砕を低減させ、セルロースを含む繊維性基材の粉砕を標的にするために、カスケード内の連続容器間で変動され得る。
【0192】
一実施形態では、粉砕は閉回路で実施される。別の実施形態では、粉砕は開回路で実施される。粉砕はバッチモードで実施され得る。粉砕は再循環バッチモードで実施され得る。別の実施形態では、粉砕は、この明細書の他のどこかで記載されるように、連続モードで実施され得る。
【0193】
以上で記載される通り、粉砕回路は粗無機微粒子がグラインダー容器においてあらかじめ決められた粒子サイズ分布まで粉砕される予備粉砕ステップを含むことができ、その後、セルロースを含む繊維性材料は予備粉砕された無機微粒子材料と合わせられ、粉砕が同じかまたは異なる粉砕容器内で所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで続けられる。
【0194】
粉砕される材料の懸濁液は比較的高い粘度を有する可能性があるので、好適な分散剤が好ましくは、粉砕前に懸濁液に添加され得る。分散剤は、例えば、水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸またはその塩、または高分子電解質、例えば、80,000以下の数平均分子量を有するポリ(アクリル酸)またはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であってもよい。使用される分散剤の量は一般に、乾燥無機微粒子固体材料の重量に基づき0.1~2.0重量%の範囲となるであろう。懸濁液は4℃~100℃の範囲の温度で好適に粉砕され得る。
【0195】
ミクロフィブリル化ステップ中に含めることができる他の添加物としては下記が挙げられる:カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素。
【0196】
粉砕される材料の懸濁液のpHは約7または約7超(すなわち、塩基性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約8、または約9、または約10、または約11であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは約7(すなわち、酸性)未満であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約6、または約5、または約4、または約3であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、適切な量の酸または塩基の添加により調整され得る。好適な塩基はアルカリ金属水酸化物、例えば、例としてNaOHを含んだ。他の好適な塩基は炭酸ナトリウムおよびアンモニアである。好適な酸は無機酸、例えば、塩酸および硫酸、または有機酸を含んだ。例示的な酸はオルトリン酸である。
【0197】
同時粉砕される混合物中の無機微粒子材料およびセルロースパルプの量は、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき約99.5:0.5~約0.5:99.5の比、例えば、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき約99.5:0.5~約50:50の比で変動し得る。例えば、無機微粒子材料および乾燥繊維の量の比は約99.5:0.5~約70:30であり得る。一実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の比は約80:20、または例えば、約85:15、または約90:10、または約91:9、または約92:8、または約93:7、または約94:6、または約95:5、または約96:4、または約97:3、または約98:2、または約99:1である。好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約95:5である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約90:10である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約85:15である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約80:20である。
【0198】
所望の水性懸濁液組成物を得るための典型的な粉砕プロセスにおける総エネルギー入力は典型的には、無機微粒子フィラーの総乾燥重量に基づき約100~1500kWht-1であってもよい。総エネルギー入力は、約1000kWht-1未満、例えば、約800kWht-1未満、約600kWht-1未満、約500kWht-1未満、約kWht-1未満、約300kWht-1未満、または約200kWht-1未満であってもよい。そのようなものとして、本発明者らは驚いたことに、セルロースパルプは、それが無機微粒子材料の存在下で同時粉砕される場合、比較的低いエネルギー入力でミクロフィブリル化することができることを見出した。明らかになるように、セルロースを含む繊維性基材中の乾燥繊維1メートルトンあたりの総エネルギー入力は、約10,000kWht-1未満、例えば、約9000kWht-1未満、または約8000kWht-1未満、または約7000kWht-1未満、または約6000kWht-1未満、または約5000kWht-1未満、例えば約4000kWht-1未満、約3000kWht-1未満、約2000kWht-1未満、約1500kWht-1未満、約1200kWht-1未満、約1000kWht-1未満、または約800kWht-1未満である。総エネルギー入力はミクロフィブリル化される繊維性基材中の乾燥繊維の量、ならびに任意で粉砕速度および粉砕期間によって変動する。
【0199】
別の実施形態では、粉砕媒体は約3mmの平均直径および約2.7の比重を有する粒子を含む。
【0200】
別の実施形態では、MFCはWO-A-2010/131016号において記載される方法にしたがい製造され、この方法は、セルロースを含む繊維性基材を、粉砕の完了後に除去されることになっている微粒子粉砕媒体の存在下で粉砕することにより、ミクロフィブリル化するステップを含む。「ミクロフィブリル化」により、セルロースのミクロフィブリルが、予備ミクロフィブリル化パルプの繊維と比べて、個々の種として、または、小さな強凝集体として遊離される、または部分的に遊離されるプロセスが意味される。抄紙において使用するのに好適な、典型的なセルロース繊維(すなわち、予備ミクロフィブリル化パルプ)は数百または数千の個々のセルロースフィブリルのより大きな強凝集体を含む。セルロースをミクロフィブリル化することにより、特定の特徴および特性(本明細書で記載される特徴および特性を含む)が、MFCおよびMFCを含む組成物に付与される。
【0201】
セルロースを含む繊維性基材(本明細書で様々に、「セルロースを含む繊維性基材」、「セルロース繊維」、「繊維性セルロース原料」、「セルロース原料」および「セルロース含有繊維(または繊維性)」などと呼ばれる)は、再生パルプまたは紙工場損紙および/または産業廃棄物、または紙工場からのミネラルフィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームに由来し得る。
【0202】
セルロースパルプはビーティングすることができ(例えば、Valleyビーターにおいて)および/またはそうでなければ、リファイニングすることができ(例えば、コニカルまたはプレートリファイナにおける処理)、cm3で表されるカナダ標準ろ水度(CSF)として当技術分野で報告される任意のあらかじめ決められたろ水度とされる。CSFは、パルプの懸濁液が濾水され得る速度により測定されるパルプのろ水度または濾水速度に対する値を意味し、この試験はT 227 cm-09 TAPPI標準に従い実施される。例えば、セルロースパルプは、ミクロフィブリル化される前に約10cm3以上のカナダ標準ろ水度を有し得る。セルロースパルプは、約700cm3またはそれ以下、例えば、約650cm3以下、または約600cm3以下、または約550cm3以下、または約500cm3以下、または約450cm3以下、または約400cm3以下、または約350cm3以下、または約300cm3以下、または約250cm3以下、または約200cm3以下、または約150cm3以下、または約100cm3以下、または約50cm3以下のCSFを有し得る。セルロースパルプは、約20~約700のCSFを有し得る。次いで、セルロースパルプは当技術分野でよく知られた方法により脱水され得、例えば、パルプはスクリーンを通して濾過され得、少なくとも約10%固体、例えば少なくとも約15%固体、または少なくとも約20%固体、または少なくとも約30%固体、または少なくとも約40%固体または少なくとも50%固体を含むウェットシートが得られる。パルプはリファイニングされていない状態で、すなわち、ビーティングまたは脱水されずに使用され得、あるいは別様にリファイニングされる。
【0203】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースはセルロースを含む繊維性基材を水性環境において、粉砕媒体(粉砕の完了後に除去されることになっている)の存在下で粉砕することにより、ミクロフィブリル化するステップを含む方法にしたがい調製され、粉砕はタワーミルまたはスクリーングラインダーにおいて実施され、粉砕は粉砕可能な無機微粒子材料なしで実施される。
【0204】
粉砕可能な無機微粒子材料は、粉砕媒体の存在下で粉砕される材料である。
【0205】
微粒子粉砕媒体は天然または合成材料であってもよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬いミネラル、セラミックまたは金属材料のボール、ビーズまたはペレットを含み得る。そのような材料は、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウムまたはカオリン質粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼することにより生成されるムライトリッチ材料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、好適な粒子サイズの天然砂の粒子が使用され得る。
【0206】
一般に、発明において使用するために選択される粉砕媒体の型および粒子サイズは、特性、例えば、例として、粉砕される材料の供給懸濁液の粒子サイズ、および化学組成に依存する可能性がある。好ましくは、微粒子粉砕媒体は、約0.5mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。1つの実施形態では、粒子は少なくとも約3mmの平均直径を有する。
【0207】
粉砕媒体は少なくとも約2.5の比重を有する粒子を含み得る。粉砕媒体は少なくとも約3、または少なくとも約4、または少なくとも約5、または少なくとも約6の比重を有する粒子を含み得る。
【0208】
粉砕媒体(または複数)は、充填物の最大約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、または充填物の少なくとも約30体積%、または充填物の少なくとも約40体積%、または充填物の少なくとも約50体積%、または充填物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0209】
セルロースを含む繊維性基材はミクロフィブリル化され得、レーザー光散乱により測定すると、約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材はミクロフィブリル化され得、約400μm以下、例えば約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0210】
セルロースを含む繊維性基材はミクロフィブリル化され得、約0.1-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材は存在下でミクロフィブリル化され得、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0211】
セルロースを含む繊維性基材はミクロフィブリル化され得、Malvernにより測定すると、約10以上の繊維峻度を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維峻度(すなわち、繊維の粒子サイズ分布の峻度)は下記式により決定される:
峻度=100×(d30/d70)
【0212】
ミクロフィブリル化セルロースは約100以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維峻度を有し得る。一実施形態では、好ましい峻度範囲は約20~約50である。
【0213】
MFC繊維および無機微粒子材料の繊維峻度の計算は当技術分野でよく知られている。例えば、5gの乾燥材料を与えるのに十分な同時粉砕されたスラリーのサンプルがビーカー中に秤量され、60gまで脱イオン水で希釈され、5cm3の1.0wt%炭酸ナトリウムおよび0.5wt%ヘキサメタリン酸ナトリウムの溶液と混合される。さらなる脱イオン水が撹拌しながら添加され、80gの最終スラリー重量とされる。次いで、スラリーが1cm3アリコートで、Mastersizer S(またはMastersizer Insitecまたは他の同等装置)に取り付けられた試料調製ユニット中の水に最適レベルのオブスキュレーションが示されるまで(通常、10-15%)添加される。次いで、光散乱分析手順が実施される。選択した計器領域は300RF:0.05-900であり、ビーム長は2.4mmに設定した。炭酸カルシウムおよび繊維を含む同時粉砕された試料については、炭酸カルシウムについての屈折率(1.596)が使用される。カオリンおよび繊維の同時粉砕された試料については、カオリンについてのRI(1.5295)が使用される。粒子サイズ分布がMie理論から計算され、差分体積に基づく分布として出力が与えられる。2つの明らかピークの存在は、ミネラル(より細かいピーク)および繊維(より粗いピーク)から生じるものとして解釈される。
【0214】
より細かいミネラルピークは測定データ点にフィッティングされ、分布から数学的に減算され、繊維ピークが残り、これが累積分布に変換される。同様に、繊維ピークが元の分布から数学的に減算され、ミネラルピークが残り、これもまた、累積分布に変換される。次いで、これらの累積曲線はどちらも、平均粒子サイズ(d50)および分布峻度(d30/d70×100)を計算するために使用することができる。微分曲線がミネラルおよび繊維画分の両方についてのモード粒子サイズを見出すために使用され得る。
【0215】
1つの実施形態では、粉砕容器はタワーミルである。タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に静止ゾーンを含み得る。静止ゾーンはタワーミルの内部の上部近くに配置された領域であり、そこでは、最小の粉砕しか起こらず、または、全く粉砕が起こらず、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む。静止ゾーンは粉砕媒体の粒子が沈降してタワーミルの1つ以上の粉砕ゾーンに入る領域である。
【0216】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に分類器を含み得る。一実施形態では、分類器は上部に取り付けられており、静止ゾーンに隣接して配置される。分類器はハイドロサイクロンであってもよい。
【0217】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方にスクリーンを含み得る。一実施形態では、スクリーンは静止ゾーンおよび/または分類器に隣接して配置される。スクリーンは、粉砕媒体を、ミクロフィブリル化セルロースを含む生成物水性懸濁液から分離し、粉砕媒体沈降を増強するようなサイズとされ得る。
【0218】
一実施形態では、粉砕はプラグ流条件下で実施される。プラグ流条件下では、タワーを通る流れは、タワーを通る粉砕材料の制限された混合が存在するようなものである。これは、タワーミルの長さに沿った異なる点で、水性環境の粘度は、ミクロフィブリル化セルロースの細かさが増加するにつれ変動するということを意味する。よって、実際には、タワーミル内の粉砕領域は特性粘度を有する1つ以上の粉砕ゾーンを含むと考えることができる。当業者であれば、粘度に関しては隣接する粉砕ゾーン間に鮮明な境界はないことを理解するであろう。
【0219】
一実施形態では、水が、1つ以上の粉砕ゾーン上方の静止ゾーンまたは分類器またはスクリーンに最も近いミルの上部で添加され、ミル内のそれらのゾーンでのミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の粘度が低減される。ミル内のこの点で生成物ミクロフィブリル化セルロースを希釈することにより、静止ゾーンおよび/または分類器および/またはスクリーンへの粉砕媒体持ち越しの防止が改善されることが見出されている。さらに、タワーを通る制限された混合により、タワーを下がるより高い固体での処理が可能になり、上部で希釈され、タワーを後退して1つ以上の粉砕ゾーンに入る希釈水の逆流が制限される。ミクロフィブリル化セルロースを含む生成物水性懸濁液の粘度を希釈するのに有効な任意の好適な量の水が添加され得る。水は粉砕プロセス中連続して、または一定の間隔で、または不規則な間隔で添加され得る。
【0220】
別の実施形態では、水は1つ以上の粉砕ゾーンに、タワーミルの長さに沿って配置された1つ以上の水注入点を介して添加することができ、そのまたは各水注入点は1つ以上の粉砕ゾーンに対応する位置に配置される。便宜的に、タワーに沿った様々な点で水を添加することができることにより、ミルに沿ったいずれかまたは全ての位置での粉砕条件のさらなる調整が可能になる。
【0221】
タワーミルはその長さ全体にわたって一連の羽根車ローターディスクが取り付けられた垂直羽根車軸を含み得る。羽根車ローターディスクの動作により、一連の別々の粉砕ゾーンがミル全体にわたって生成される。
【0222】
別の実施形態では、粉砕はスクリーングラインダー、好ましくは撹拌媒体デトライターにおいて実施される。スクリーングラインダーは、少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つ以上のスクリーン(複数可)を含むことができ、例えば、1つ以上のスクリーンは、少なくとも約300μm、または少なくとも約350μm、または少なくとも約400μm、または少なくとも約450μm、または少なくとも約500μm、または少なくとも約550μm、または少なくとも約600μm、または少なくとも約650μm、または少なくとも約700μm、または少なくとも約750μm、または少なくとも約800μm、または少なくとも約850μm、または少なくとも約900μm、または少なくとも約1000μm、または少なくとも約1,250μm、または少なくとも約1,500μmの公称開口サイズを有し得る。
【0223】
真上で述べられたスクリーンサイズは以上で記載されるタワーミル実施形態に適用可能である。
【0224】
上述のように、粉砕は粉砕媒体の存在下で実施される。一実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mmの範囲、例えば約2mm、または約3mm、または約4mm、または約5mmの平均直径を有する粒子を含む粗媒体である。
【0225】
別の実施形態では、粉砕媒体は少なくとも約2.5、例えば、少なくとも約3、または少なくとも約3.5、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.5、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0の比重を有する。
【0226】
以上で記載される通り、粉砕媒体(または複数)は充填物の最大約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、または充填物の少なくとも約30体積%、または充填物の少なくとも約40体積%、または充填物の少なくとも約50体積%、または充填物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0227】
1つの実施形態では、粉砕媒体は、充填物の約50体積%の量で存在する。
【0228】
「充填物」により、グラインダー容器に供給される供給物である組成物が意味される。充填物は水、粉砕媒体、セルロースを含む繊維性基材および任意の他の任意的な添加物(本明細書で記載されるもの以外)を含む。
【0229】
比較的粗いおよび/または高密度の媒体の使用は、改善された(すなわち、より速い)沈降速度ならびに静止ゾーンおよび/または分類器および/またはスクリーン(複数可)を通る低減された媒体持ち越しという利点を有する。
【0230】
比較的粗いスクリーンの使用におけるさらなる利点は、比較的粗いまたは高密度の粉砕媒体がミクロフィブリル化ステップにおいて使用され得ることである。加えて、比較的粗いスクリーン(すなわち、最小約250μmの公称開口を有する)の使用により、比較的高固体の生成物が処理され、グラインダーから除去されることが可能になり、これにより、比較的高固体の供給物(セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料を含む)が経済的に実行可能なプロセスにおいて処理される。以下で記載されるように、高い初期固体含量を有する供給物がエネルギー十分性の観点から望ましいことが見出されている。さらに、より低い固体で(所定のエネルギーで)生成された生成物は、より粗い粒子サイズ分布を有することもまた見出されている。
【0231】
1つの実施形態によれば、セルロースを含む繊維性基材は水性環境中に少なくとも約1wt%の初期固体含量で存在する。セルロースを含む繊維性基材は水性環中に少なくとも約2wt%、例えば少なくとも約3wt%、または少なくとも約少なくとも4wt%初期固体含量で存在し得る。典型的には、初期固体含量は約10wt%以下である。
【0232】
別の実施形態では、粉砕は粉砕容器のカスケードで実施され、その1つ以上は1つ以上の粉砕ゾーンを含み得る。例えば、セルロースを含む繊維性基材は、2以上の粉砕容器のカスケード、例えば、3以上の粉砕容器のカスケード、または4以上の粉砕容器のカスケード、または5以上の粉砕容器のカスケード、または6以上の粉砕容器のカスケード、または7以上の粉砕容器のカスケード、または8以上の粉砕容器のカスケード、または9以上の粉砕容器のカスケード(直列)、または最大10までの粉砕容器を含むカスケードにおいて粉砕され得る。粉砕容器のカスケードは動作可能に直列もしくは並列または直列とおよび並列の組み合わせで連結され得る。カスケード内の粉砕容器の1つ以上からのアウトプットおよび/またはインプットは1つ以上のスクリーニングステップおよび/または1つ以上の分類ステップに供され得る。
【0233】
ミクロフィブリル化プロセスにおいて消費される総エネルギーはカスケード内の粉砕容器の各々にわたって等しく分配され得る。あるいは、エネルギー入力はカスケード内の粉砕容器のいくつかまたは全て間で変動し得る。
【0234】
当業者であれば、1つの容器あたりで消費されるエネルギーはカスケード内の容器間で、各容器内でミクロフィブリル化される繊維性基材の量、ならびに任意で各容器内での粉砕速度、各容器内での粉砕期間および各容器内での粉砕媒体の型によって変動し得ることを理解するであろう。粉砕条件は、カスケード内の各容器内でミクロフィブリル化セルロースの粒子サイズ分布を制御するために、変化させることができる。
【0235】
一実施形態では、粉砕は閉回路で実施される。別の実施形態では、粉砕は開回路で実施される。
【0236】
粉砕される材料の懸濁液は比較的高い粘度を有する可能性があるので、好適な分散剤が好ましくは、粉砕前に懸濁液に添加され得る。分散剤は、例えば、水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸またはその塩、または高分子電解質、例えば、80,000以下の数平均分子量を有するポリ(アクリル酸)またはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であってもよい。使用される分散剤の量は一般に、乾燥無機微粒子固体材料の重量に基づき0.1~2.0重量%の範囲となるであろう。懸濁液は4℃~100℃の範囲の温度で好適に粉砕され得る。
【0237】
ミクロフィブリル化ステップ中に含めることができる他の添加物としては下記が挙げられる:カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素。
【0238】
粉砕される材料の懸濁液のpHは約7または約7超(すなわち、塩基性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約8、または約9、または約10、または約11であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは約7未満(すなわち、酸性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約6、または約5、または約4、または約3であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、適切な量の酸または塩基の添加により調整され得る。好適な塩基はアルカリ金属水酸化物、例えば、例としてNaOHを含んだ。他の好適な塩基は炭酸ナトリウムおよびアンモニアである。好適な酸は無機酸、例えば、塩酸および硫酸、または有機酸を含んだ。例示的な酸はオルトリン酸である。
【0239】
所望の水性懸濁液組成物を得るための典型的な粉砕プロセスにおける総エネルギー入力は、典型的には、無機微粒子フィラーの総乾燥重量に基づき、約100~1500kWht1であってもよい。総エネルギー入力は、約1000kWht-1未満、例えば、約800kWht-1未満、約600kWht-1未満、約500kWht-1未満、約400kWht-1未満、約300kWht-1未満、または約200kWht-1未満であってもよい。そのようなものとして、本発明者らは驚いたことに、セルロースパルプは、それが無機微粒子材料の存在下で同時粉砕される場合、比較的低いエネルギー入力でミクロフィブリル化することができることを見出した。明らかになるように、セルロースを含む繊維性基材中の乾燥繊維1メートルトンあたりの総エネルギー入力は約10,000kWht-1未満、例えば、約9000kWht-1未満、または約8000kWht-1未満、または約7000kWht-1未満、または約6000kWht-1未満、または約5000kWht-1未満例えば約4000kWht-1未満、約3000kWht-1未満、約2,000kWht-1未満、約1500kWht-1未満、約1200kWht-1未満、約1000kWht-1未満、または約800kWht-1未満である。総エネルギー入力はミクロフィブリル化される繊維性基材中の乾燥繊維の量、ならびに任意で粉砕速度および粉砕期間によって変動する。
【0240】
発明の様々な態様は下記サブセクションにおいてさらに詳細に記載される。サブセクションの使用は発明を制限することを意味しない。各サブセクションは発明の任意の態様に当てはまり得る。本出願では、「または」の使用は、別記されない限り、「および/または」を意味する。
【0241】
MFCは連続またはバッチモードで生成され得る。MFCはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の水性懸濁混合物である。一実施形態では、MFCは、セルロース木材パルプの低固体水性懸濁液を、無機微粒子材料粒子の存在下、湿式垂直撹拌媒体ミルにおいて同時粉砕することにより調製される。ミネラル粒子は粉砕助剤として作用し、パルプリファイニングに類似するプロセスにおけるパルプ繊維のミクロフィブリルへのコスト効率の良いフィブリル化を促進する。
【0242】
使用される無機微粒子材料は標準紙フィラー、しばしば炭酸カルシウムまたはカオリンである。ほとんどのプロセスはカオリン、重質炭酸カルシウムまたは沈降炭酸カルシウムを使用する。無機微粒子材料は水性スラリー形態である。
【0243】
使用されるセルロースは典型的には、製紙工場のパルプ源由来のリファイニングされていないクラフトまたは亜硫酸パルプ(>99%セルロース)または紙および板リサイクリング活動由来の再生パルプである。パルプは製紙工場から、水性スラリーとして通常およそ4-5wt%固体で受け取られる。使用される水は工場のプロセスストリームまたは場合によっては公営(水道用)水由来である。セラミック粉砕媒体は典型的には、か焼カオリン製の3mm直径ビーズである。再生パルプが使用されるいくつかの場合には、パルプはすでにいくつかの無機微粒子材料を含む。
【0244】
例示的なレシピでは:およそ4%固体のクラフトパルプおよびおよそ66%固体の含水カオリンまたはおよそ75%固体の炭酸カルシウムスラリーおよび水がグラインダーに連続して添加される。グラインダーには3mm直径のムライト粉砕媒体が、総充填体積のおよそ50%が媒体により占められるように(総充填体積=ムライト+パルプ+カオリン+水により占められる体積)添加される。スループットは、パルプおよびミネラル混合物が最適化期間の間同時粉砕されるように制御される。典型的には、この最適期間は最大粘度および引張特性の発展に対応する。典型的には、およそ1500-5000kWhr/乾燥メートルトンのMFCが適用される。グラインダー内の温度は、粉砕中に約65セ氏温度に達する。MFC生成物は水性スラリー形態である。
【0245】
場合によっては、連続して実行されるよりもむしろ、同じプロセスがバッチ式で動作される。この場合、材料成分はバッチの開始時に添加され、次いで、グラインダーが、1500-5000kWhr/乾燥メートルトンのMFCが適用されるように割り当てられた時間の間実行され、次いで、バッチの終わりにさらなる水が添加され、生成物が放出され、その後、プロセスが繰り返される。
【0246】
場合によっては、無機微粒子材料が最終用途適用において耐えることができない場合、上記プロセスは無機微粒子材料の添加なしで実施される。
【0247】
粉砕およびスクリーニングプロセスから得られた上記MFC生成物は、性能を低減させ、非常に細かいスクリーニングに供せられた場合閉塞を引き起こし得る弱凝集体を含む。これらの弱凝集体はホモジナイザーの使用により低減され得る。
【0248】
場合によっては、MFC生成物と関連する水のいくらかは、輸送コストを低くするために除去される。これはベルトプレスによる脱水および/または熱風乾燥機を使用した乾燥の使用により、または、当技術分野で知られている他の手段により達成される。脱水され、乾燥された生成物が調製されると、殺生物剤が時として添加され、有効期間が増加され、生成物が分解から保護される。殺生物剤はMFCに、例えば、プラウせん断ミキサを使用して混入される。脱水され、部分的に乾燥された生成物は、通常、バルクバッグに入れて出荷される。
【0249】
使用される殺生物剤は、DBNPA(2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド)、およびCMIT/MIT(5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン/2-メチル-2Hイソチアゾール-3-オン(CMIT/MIT)であり、または、部分乾燥生成物についてはOIT(2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン)である。
【0250】
連続生成プロセスはパススループロセスであり、セルロース、無機微粒子材料および水はミルから供給され、処理後、ミルに戻される。
【0251】
生成を制御するために使用され得るパラメータはレーザー光散乱により測定される生成物d50、および、粘度または引張特性のいずれか、例えば、この明細書のどこかで記載されるFLT比引張強度である。
【0252】
発明の様々な態様は下記サブセクションにおいてさらに詳細に記載される。サブセクションの使用は発明を制限することを意味しない。各サブセクションは発明の任意の態様に当てはまり得る。本出願では、「または」の使用は、別記されない限り、「および/または」を意味する。
【0253】
微小孔性無機微粒子材料複合物
いくつかの型のフィラー、例えば、か焼粘土ならびに偏三角面体およびアラゴナイト沈降炭酸カルシウム(PCC)は開放型多孔性構造を有する粒子の強凝集体から構成される(すなわち、これらは微小孔性無機微粒子材料の例である)。か焼粘土は米国特許第3,586,523号(これによりその全体が参照により組み込まれる)に記載される。そのようなか焼カオリン粘土は実質的に無水の、アモルファスケイ酸アルミニウムであり、これは、特定の型のカオリン粘土、例えば、硬質堆積カオリン粘土をか焼させることにより得られる。
【0254】
クラスター形態の沈降炭酸カルシウム(PCC)は、米国特許第5,695,733号(これによりその全体が参照により組み込まれる)に開示されるように当技術分野で知られている。PCCはかなりの割合の、柱状形態を有する粒子を有する特有のクラスター形態で生成される。PCCを生成するために使用される溶液環境、すなわち、石灰(酸化カルシウム)の消化、炭酸化の温度および二酸化炭素の導入速度を制御することにより、方解石、アラゴナイト、またはバテライトのいずれかが生成される。再び、プロセス条件によって方解石は柱状、偏三角面体または菱面体結晶形のいずれかを有し得る。
【0255】
微小孔性無機微粒子材料の他の例としては、化学的に凝集されたフィラー材料が挙げられる。そのような化学的に凝集されたフィラーの例は米国特許第4,072,537号(その全体が本明細書に組み込まれる)において見出すことができる。そのような微小孔性無機微粒子材料は粘土成分および金属ケイ酸塩成分を含む複合ケイ酸塩材料を含む。粘土成分は典型的にはカオリン粘土またはカオリナイトであり、金属ケイ酸塩材料は典型的には水溶性アルカリ金属ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウムである。
【0256】
‘537特許において記載されるように、複合顔料を調製するための好ましい方法は、下記のステップを含む:(a)粘土顔料の水性懸濁液を形成するステップ、(b)粘土スラリー中にある量の塩化カルシウムなどの塩をブレンドするステップ、(c)粘土および塩のスラリー中に、高せん断で、ある量のケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩成分を測定して入れるステップ、ならびに、任意で、(d)スラリーのpHをミョウバンの添加によりpH4以上のpHに調整するステップ、その後、(e)沈殿した生成物を濾過して洗浄し、全ての可溶性塩を除去するステップ。そのような微小孔性複合ケイ酸塩材料は、抄紙プロセスにおいて直接使用される、かまたは、乾燥して、後に使用される。追加の微小孔性無機微粒子材料としては、珪藻土および膨張パーライトなどの材料が挙げられる。
【0257】
前記材料は全て紙プレスおよび乾燥を通して持続し、また、カレンダー仕上げ後にほとんど無傷のままでなければならない剛性内部空隙を含む粒子から構成される。
【0258】
偏三角面体PCC、か焼粘土および化学的に凝集されたフィラーは、より小さな粒子の開放型強凝集体を形成させ、粒子を強く接着させる(そこでは、それらは互いに接触する)ことによりこの構造を達成する。珪藻土は自然に細孔を含む粒子から構成される。ミリングされた膨張パーライトはミクロンサイズのガラス球の断片から構成される。よって、微小孔性無機微粒子材料は数ミクロンの外法寸法を有する別々の粒子または粒子の強凝集体を含み、これらは外法寸法により規定される体積内に空隙を含み、それらは前記外法寸法よりも数倍小さい。集合的に、前記無機微粒子材料は本発明の目的のために、本明細書で「微小孔性無機微粒子材料」と指定されている。
【0259】
紙において使用される場合、これらの微小孔性無機微粒子材料は、固体フィラー粒子よりも、繊維の間隔に対し、フィラーの単位質量当たりずっと大きな効果を有する。このため、それらは紙強度に対しより有害なものとなるが、光散乱が増加し、それは光学特性に有益である。
【0260】
無機微粒子材料の別の効果は常にシート多孔度(通気性)を増加させることであり、それは印刷および加工プロセスにおいて著しい不利益となる。微小孔性無機微粒子材料の有効密度はまた、固体フィラーよりも低くなり、これらの効果の組み合わせが、繊維がフィラーの代わりに使用されるにつれ、シート嵩および厚さの増加につながる可能性がある。
【0261】
偏三角面体PCC(微小孔性無機微粒子材料の一例)については、強度に対する弱凝集の効果は、粒子サイズ分布を狭い範囲に制御し(よって、紙強度に非常に有害である超微細粒子が排除される)、光散乱に最適なものより大きなメジアン粒子サイズを使用することより幾分オフセットされ得る。しかしながら、粒子または弱凝集体サイズが大きすぎると、光散乱効率が失われる。
【0262】
本開示の一態様では、微小孔性無機微粒子材料複合物は約10μm未満、かつ、約3μm超、または約3μm~約6μmのメジアン粒子サイズ(d50)を有する。
【0263】
本開示の一態様では、微小孔性無機微粒子材料複合物、微小孔性ミネラル複合物のd50は、微小孔性ミネラル複合物を形成するために使用される同じ構成要素の弱凝集されていない混合物のd50と比べて、実質的により大きい。
【0264】
微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は粉末の形態で提供することができるが、それらは好ましくは、懸濁液、例えば、水性懸濁液の形態で添加される。この場合、懸濁液の固体含量は、それがポンピング可能な液体である限り重要ではない。
【0265】
重量メジアン粒子サイズd50の決定のために、0.5μm超のd50を有する粒子については、Micromeritics社、USA製のSedigraph5100装置が使用され得る。測定は0.1wt% Na4P2O7の水溶液中で実施され得る。試料は高速スターラーおよび超音波を使用して分散され得る。d50≦500nmを有する粒子についての体積メジアン粒子サイズの決定のために、Malvern社、UK製のMalvern Mastersizerが使用され得る。測定は0.1wt%Na4P2O7の水溶液中で実施され得る。試料は高速スターラーおよび超音波を使用して分散され得る。Sedigraph5100は、当技術分野において「球相当径」または「esd」と呼ばれるあるサイズを有する粒子の測定およびその累積重量パーセンテージのプロットを提供する。あるいは、微小孔性ミネラル複合物の粒子サイズ特性は、Malvern MastersizerまたはMicrotracレーザー粒子サイズ分布分析計により供給元使用説明書を使用して測定され得る。
【0266】
本開示の一態様では、第1の無機微粒子材料対第2の無機微粒子材料の比は、重量で約10:90~約90:10、例えば、重量で約20:80~約80:20、重量で約25:75~75:25、重量で約40:60~約60:40、または重量で約50:50の範囲であり得る。
【0267】
バインダ
本開示の一態様では、第1の微小孔性無機微粒子材料、および/またはミクロフィブリル化セルロースに対する第2の微小孔性無機微粒子材料の弱凝集を促進するためにバインダが使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、バインダはアルカリシリカバインダであってもよい。
【0268】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、バインダは無機バインダまたは有機バインダの少なくとも1つを含み得る。バインダはまた、微小孔性ミネラル複合物の成分間の接着および機械強度を改善し得る。
【0269】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、バインダは無機バインダ、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩を含み得る。
【0270】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、無機微粒子材料のブレンドは、バインダ溶液と、バインダ溶液を無機微粒子材料のブレンドと混合することにより接触され得る。
【0271】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、混合はかくはんを含み得る。
【0272】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドおよびバインダ溶液は、バインダ溶液を少なくとも実質的に均一に、第1のおよび/または第1および第2の無機微粒子材料の接触弱凝集点の間に分配させるように十分混合される。
【0273】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドならびにバインダ溶液は、バインダ溶液を少なくとも実質的に均一に、第1および第2の無機微粒子材料のブレンドの接触弱凝集点の間に分配させるように、十分かくはんしながら混合され得、第1および第2の無機微粒子材料の構造に損傷を与えない。
【0274】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、接触は低せん断混合を含み得る。
【0275】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、混合は約室温(すなわち、約20℃~約23℃)で起こり得る。他の実施形態では、混合は約20℃~約50℃の範囲の温度で起こり得る。さらなる実施形態では、混合は約30℃~約45℃の範囲の温度で起こり得る。さらに他の実施形態では、混合は約35℃~約40℃の温度で起こり得る。
【0276】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、接触は第1のおよび/または第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドにバインダ溶液を噴霧することを含み得る。いくつかの実施形態では、噴霧は断続的であってもよい。他の実施形態では、噴霧は連続であってもよい。さらなる実施形態では、噴霧は、第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを、バインダ溶液を噴霧しながら混合することを含み、例えば、スプレーに異なる接触弱凝集点が曝露される。いくつかの実施形態では、そのような混合は断続的であってもよい。他の実施形態では、そのような混合は連続であってもよい。
【0277】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、バインダはバインダ溶液中に、バインダ溶液の重量に対して約40重量%未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、バインダは、約1%~約10重量%の範囲であり得る。さらなる実施形態では、バインダは、約1%~約5重量%の範囲であり得る。
【0278】
本開示の前記態様および実施形態の一実施形態では、バインダは、第2の微小孔性無機微粒子材料の第1の微小孔性無機微粒子材料への弱凝集を促進する。いくつかの実施形態によれば、第2の微小孔性無機微粒子材料は、第1の微小孔性無機微粒子材料より小さな直径を有する。
【0279】
本開示の一態様では、微小孔性無機微粒子材料およびミクロフィブリル化セルロース複合物は、分散剤、例えば、ポリカルボン酸および/またはそれらの塩もしくは誘導体のホモポリマーまたはコポリマー、例えば、例として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸に基づくエステル;例えば、アクリルアミドまたはメタクリル酸メチルなどのアクリル酸エステル、またはその混合物;アルカリポリリン酸塩、ホスホン酸、クエン酸および酒石酸およびその塩またはエステル;またはその混合物を含む群から選択されるものと関連し得る。
【0280】
本開示の一態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよび微小孔性無機微粒子材料の組み合わせは、1つまたはいくつかのステップで、微小孔性無機微粒子材料をMFCに添加することにより実施することができる。
【0281】
本開示の一態様では、微小孔性無機微粒子材料の組み合わせはMFCに1つまたはいくつかのステップで添加することができる。ミクロフィブリル化セルロースおよび微小孔性無機微粒子材料はフィブリル化ステップ後に完全にまたは少しずつ添加することができる。
【0282】
本開示の一態様では、乾燥重量に基づく、MFC対微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:33~10:1、より好ましくは1:10~7:1、さらにいっそう好ましくは1:5~5:1、典型的には1:3~3:1、とりわけ1:2~2:1、最も好ましくは1:1.5~1.5:1、例えば1:1である。
【0283】
本開示の一態様では、微小孔性無機微粒子材料の総含量は複合材料の乾燥重量に基づき、10wt%~95wt%、好ましくは15wt%~90wt%、より好ましくは20~75wt%、さらにいっそう好ましくは25wt%~67wt%、とりわけ33~50wt%の量で存在する。
【0284】
沈降炭酸カルシウム
沈降炭酸カルシウム(PCC)が本発明における微粒子炭酸カルシウムの起源として使用され得、当技術分野で使用可能な公知の方法のいずれかにより生成され得る。TAPPI Monograph Series No 30, “Paper Coating Pigments,” 34-35ページは、製紙業において使用するための製品を調製するのに使用するのに好適であり、本発明の実施にも使用することができる沈降炭酸カルシウムを調製するための3つの主な商業的プロセスを記載する。3つ全てのプロセスにおいて、炭酸カルシウム供給材料、例えば、石灰石が最初にか焼され、生石灰が生成され、次いで生石灰が、水中で消和され、水酸化カルシウムまたは石灰乳が得られる。第1のプロセスでは、石灰乳は二酸化炭素ガスにより直接炭酸塩化される。このプロセスは副産物が形成されないという利点を有し、炭酸カルシウム生成物の特性および純度を制御することは比較的容易である。第2のプロセスでは、石灰乳はソーダ灰と接触させられ、複分解により、炭酸カルシウムの沈殿および水酸化ナトリウムの溶液が生成される。水酸化ナトリウムは、このプロセスが商業的に使用される場合、炭酸カルシウムから実質的に完全に分離され得る。第3の主な商業的プロセスでは、石灰乳は最初に塩化アンモニウムと接触させられ、塩化カルシウム溶液およびアンモニアガスが得られる。次いで、塩化カルシウム溶液はソーダ灰と接触させられ、複分解により、沈降炭酸カルシウムおよび塩化ナトリウムの溶液が生成される。結晶は、使用される特定の反応プロセスによって、様々な異なる形状およびサイズで生成させることができる。PCC結晶の3つの主な形態はアラゴナイト、菱面体および偏三角面体であり、それらは全て、その混合物を含み、本発明において使用するのに好適である。
【0285】
ある一定の実施形態では、PCCはミクロフィブリル化セルロースを生成するプロセス中に形成され得る。
【0286】
炭酸カルシウムの湿式粉砕は炭酸カルシウムの水性懸濁液の形成を含み、これは次いで、任意で好適な分散剤の存在下で粉砕され得る。炭酸カルシウムの湿式粉砕に関するより多くの情報については、例えば、EP-A-614948号(この内容は全体として参照により組み込まれる)を参照することができる。
【0287】
いくつかの状況では、他のミネラルの微量添加を含むことができ、例えば、カオリン、か焼カオリン、ウォラストナイト、ボーキサイト、タルクまたは雲母の1つ以上もまた存在することができる。
【0288】
実施例
実施例1.フィラー含量を増加させた時の嵩および剛性を維持するための粗偏三角面体PCCおよびFiberLean MFCの使用
完成紙料を、450CSF(28.5°S.R.)までコリファイニングされた70%広葉樹(ユーカリ、ex.UPMウルグアイ)および30%針葉樹(BOTNIA RMA90 Pine、ex.Metsa)から調製した。
【0289】
研究デザインはGCC(60%<2μm)添加から生じた19%の開始フィラー含量を有する80g/m2 UWF紙を標的にした。
【0290】
使用したMFC生成物はNBSK Botnia RMA90およびGCCミネラル(60%<2μm)から構成される50%POP MFCスラリーであった。
【0291】
歩留向上剤を乾燥シート重量に基づき0.12%で添加した。歩留向上剤はカチオン性ポリアクリルアミド(Percol 292NS、ex.BASF)とした。白水をシート形成中に再循環させた(その場合、各シート由来の白水を使用して、その後のシートを連続試し点で形成させ、保持平衡が各製剤を用いて達成されたことを確認した)。シート形成法に関するさらなる詳細が付属書類で見られる
【0292】
実施例1の結果が表1にまとめて示される。
【表1】
【0293】
N.B.:完成紙料(70%ユーカリ/30%マツ)はパルプ完成紙料の100%を表し、これは、次いで、1シートあたりの全体的な質量の観点から、フィラーおよびMFCにより表される割合で置き換えられた。
【0294】
これらの結果は下記を示す:
【0295】
標準GCC(IC60、メジアンサイズ1.6μm)を3%MFCと共に使用して、20%から30%までフィラー含量を増加させると、強度のわずかな減少、だが、嵩および剛性の著しい損失が得られる。
【0296】
MFC投与量を増加させると、より大きな嵩損失という結果になる。粗PCC(メジアンサイズ3.1μm)を使用して20%から30%までフィラー含量を増加させると、非常に高い多孔度および低い強度が得られる。
【0297】
30%PCCおよび4%MFCの組み合わせにより、高い嵩、許容される多孔度および強度ならびに20%GCC充填紙に匹敵する剛性が得られる。
【0298】
総合すれば、実施例は下記を示す:
【0299】
MFC添加により、機械的特性、不透明度、多孔度および粗さが改善する。これらの改善と引き換えに、いくつかの可能性が示される:
【0300】
完成紙料調整:長繊維の低減またはCTMP含量の増加(比例して短繊維含量を調整)。
【0301】
使用されるフィラー型の変更およびフィラー含量の増加。
【0302】
どちらの可能性も潜在的経費節約を示す。
【0303】
MFCの使用はまた、嵩を低減させ、これは、ひいては、剛性への損害につながる。さらに、フィラーレベルを増加させるためにMFCを使用すると、剛性へのより大きな損害につながり得る。
【0304】
これらの嵩/剛性損失は下記によりオフセットすることができる:
より粗い/より嵩高いフィラーへの切り替え
完成紙料中の長繊維含量の低減
完成紙料中の機械パルプ含量の増加。
【0305】
MFCを使用する場合のこれらの様々な手段の最適化は、経費節約および全体の紙特性を最大化することができる。
【0306】
全ての紙試験を下記TAPPI標準にしたがい実施した:
内部結合強度(スコットボンド):T569
引張特性:T494
Bendtsen多孔度:T460
厚さ(嵩計算のためのキャリパー):T411
坪量:T410
不透明度:T425
灰分:T413およびT211
引張強度
破裂強度:T403
引裂強度
「Z」方向の引張強度(紙の面に垂直)
曲げ剛性:T535
嵩または厚さ
粗さ:T555
【0307】
シート調製
全てのハンドシートを、Rapid Kothenシート形成装置上で、TAPPI標準T205に従い調製した。シートを製造するために使用される完成紙料の全ての成分の非常に高い全体保持を確保するために、白水を各シートの形成後に再循環させ、次のシートを製造するための完成紙料の希釈において使用した。各組成物の最初の5シートを廃棄し、再循環水中での保持されない材料の定常状態までの蓄積を可能にし、その後、さらなる7シートを形成させ、プレスし、試験のために乾燥させた。標的フィラーローディングを全ての場合において2パーセント点内で達成した。カチオン性歩留向上剤(Percol 292NS、BASF)を各完成紙料に、完成紙料中の総固体に基づき0.12%のレベルで添加した。紙特性を、関連TAPPI標準に従い測定した。フィラー含量を、シートを450℃の炉に2時間入れた後に測定した残灰重量から計算した。この温度では、使用した炭酸カルシウムフィラーについて強熱減量は起こらない。
【0308】
実施例2
ハンドシートを、70%広葉樹(ユーカリ、UPMウルグアイ)および30%針葉樹(マツ、Metsa Botnia RMA90)を含むさらしクラフトパルプのブレンドから製造した。これらを、研究室Valleyビーターにおいて、450mlCSF(28.5°S.R.)のろ水度までコリファイニングした。各シートを、20重量%かまたは30重量%の標的フィラー含量を有する80gsmの標的物質に製造した。
【0309】
MFCを、Botnia RMA90さらしクラフトマツパルプを標準フィラーグレード重質炭酸カルシウム(GCC、Intracarb60、重量で60%<2μm、d50 1.4μm、Imerys)と、重量で50/50比で、撹拌媒体デトライターミルを使用して同時粉砕することにより生成させた。
【0310】
GCC(Intracarb60)または偏三角面体PCC(Syncarb S350、Omya、3.5μm d50)のいずれかを、その総フィラー含量(同時粉砕されるMFCと共に添加されるフィラーを含む)が、最終シートのための標的値に合致するように、各シートのための完成紙料に添加した。
【0311】
形成されたハンドシートの紙特性が下記表2に示される。
【表2】
【0312】
下記表3および
図1は、20%GCCが充填された参照シートと比較した、各組成物の基本性質における相対的変化を示す。GCCを用いたフィラー含量の30%までの増加は、機械的特性の著しい損失を引き起こし、これらは、3%MFCの添加により部分的に回復される。20%ローディングでのGCCから粗PCCへの切り替えは、比引張強度およびスコットボンドを犠牲にして、嵩および剛性の著しい増加を引き起こし、30%PCCまでさらに増加させると、後者は、GCCのレベル未満まで低減され、一方、剛性も参照未満まで低減される。4%MFCの添加は剛性をその元の値の5%以内まで回復させ、一方、嵩、スコットボンドおよび光散乱において、参照を超える改善が提供される。
【表3】
【0313】
実施例3
ハンドシートを95%さらしユーカリクラフトパルプおよび5%さらしケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)のブレンドから製造した。クラフトパルプを、研究室Valleyビーターにおいて、330mlCSF(37.5°S.R.)のろ水度までリファイニングさせた。各シートを、25重量%または35重量%のいずれかの標的フィラー含量を有する75gsmの標的物質に製造した。
【0314】
MFCを、さらしユーカリクラフトパルプを標準フィラーグレード重質炭酸カルシウム(GCC、Hydrocarb60、重量で60%<2μm、d50 1.4μm、Omya)と、重量で50/50比で、撹拌媒体デトライターミルを使用して同時粉砕することにより生成させた。
【0315】
参照シートは25%GCCを含んだ。他の全てのシートについて、2%MFCを添加し、GCC(Hydrocarb60)および偏三角面体PCC(3.1μm d50、製紙工場のサテライトPCCプラントから取得)のブレンドを、各シートのための完成紙料に、その総フィラー含量(同時粉砕されたMFCと共に添加されたフィラーを含む)が35%となり、ブレンド中のPCCフィラーの割合が、0~100%の間の固定値となるように、添加した。
【0316】
形成されたハンドシートの紙特性が下記4に示される。
【表4】
【0317】
GCCから粗PCCへの変更の効果が下記
図2~
図5に示される。
図2は、25%から35%へのGCCフィラーの増加は、たとえ2%MFCを添加しても、曲げ剛性の実質的な降下を引き起こすが、添加するGCCを粗PCCと置換するとそれが参照値まで回復することを示す。
図3は、GCCをPCCと置換すると、紙の光散乱係数がフィラー含量の増加によりすでに達成されたものを超えて増加することを示す。
図4および
図5は、2%MFCの添加にもかかわらず、この高度にリファイニングされた完成紙料では、フィラー増加に伴う比引張強度およびスコットボンドのわずかな降下があるが、GCCをPCCと置換すると、これに実質的に影響しないことを示す。
【0318】
実施例4
ハンドシートを、70%ユーカリおよび30%マツを含むさらしクラフトパルプのブレンドから製造した。これらを研究室Valleyビーターにおいて350mlCSF(36°S.R.)のろ水度までコリファイニングした。各シートを、16重量%~35重量%の範囲の標的フィラー含量を有する80gsmの標的物質に製造した。
【0319】
標準フィラーグレード偏三角面体PCC(2.3μm d50、製紙工場のサテライトPCCプラントから取得)または粗グレード偏三角面体PCC(Syncarb S300、Omya、3.0μm d50)のいずれかを、その総フィラー含量(同時粉砕されたMFCと共に添加されたフィラーを含む)が最終シートのための標的値に合致するように、各シートのための完成紙料に添加した。
【0320】
形成されたハンドシートの紙特性が下記5に示される。
【表5】
【0321】
図6は、一定比引張強度については、1%MFCの添加により、標準PCCを用いると3.5%のフィラー含量の増加が可能になるが、より粗いPCCを用いると6%が可能になることを示す。
【0322】
図7は、光散乱が、標準2.3μmフィラーにおける3.5%増加では、100cm
2g
-1だけ、粗3.0μmフィラーにおける6%増加では80cm
2g
-1だけ増加することを示す。
【0323】
図8は、これらの増加は、2.3μmフィラーについては等価の剛性を与えるが、粗3.0μmフィラー.ccでは、0.04mNm(7%)の増加を与えることを示す。
【0324】
当業者であれば、本明細書で記載される発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識するであろう、またはわずかルーチン実験を使用して確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記記載に制限されることを意図せず、むしろ、下記特許請求の範囲に明記される通りである。
【0325】
請求要素を改変するための、特許請求の範囲での順序用語、例えば、「第1」、「第2」、「第3」などの使用は、それ自体、1つの請求要素の別の請求要素を超える優先性、先行性、または順序もしくは方法の動作が実施される時間的順序を暗示しないが、単に、ある一定の名称を有する1つの請求要素を同じ名称を有する別の要素から識別する標識として使用される(が、順序用語の使用については)、請求要素を区別するための標識として使用される。
【0326】
本明細書および特許請求の範囲においてここで使用される冠詞「1つの(aおよびan)」は、反対のことが明確に示されない限り、複数の指示対象を含むと理解されるべきである。群の1つ以上のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または記載は、群のメンバーの1つ、1超または全てが所定の生成物またはプロセス中に存在する、これにおいて採用される、またはこれに別様に関連する場合、反対のことが示されない限り、または、文脈から別様に明らかにならない限り、満たすと考えられる。発明は、厳密に、群の1つのメンバーが所定の生成物またはプロセス中に存在する、これにおいて採用される、またはこれに別様に関連する実施形態を含む。発明はまた、1を超える、または群全体のメンバーが所定の生成物またはプロセス中に存在する、これにおいて採用される、またはこれに別様に関連する実施形態を含む。さらに、発明は、列挙されたクレームの1つ以上からの1つ以上の制限、要素、節、記述用語、などが同じ基本クレームに依存する別のクレーム(または、関連するものとして、任意の他のクレーム)に導入される全ての変更、組み合わせ、および置換を、別記されない限り、または、矛盾または不一致が生じるであろうことが当業者に明らかでない限り、包含することが理解されるべきである。要素が、リストとして(例えば、マーカッシュ群または同様のフォーマットで)示される場合、要素の各サブグループもまた開示され、かつ、任意の要素(複数可)が群から除去され得ることが理解されるべきである。一般に、発明、または発明の態様が、特定の要素、特徴、などを含むものとして言及される場合、発明のある一定の実施形態または発明の態様は、そのような要素、特徴、などから構成され、またはこれから本質的に構成されることが理解されるべきである。簡単にするために、それらの実施形態は全ての場合において、本明細書で、正確に、特定的に明記されているわけではない。発明のいずれの実施形態または態様も、特定の排除が明細書において列挙されるかどうかに関係なく、特許請求の範囲から明確に排除することができることもまた理解されるべきである。発明の背景を記載する、および、その実施に関して追加の詳細を提供するために本明細書で言及される刊行物、ウェブサイトおよび他の参考資料はこれにより、参照により組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙または板紙の製造のための抄紙完成紙料に添加するためのミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む紙または板紙フィラー組成物であって、
前記抄紙完成紙料は、1つ以上の広葉樹パルプを含み;
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降炭酸カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、菱面体沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、およびミリングされた膨張パーライトからなる群より選択され;
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、沈降により測定すると、約3μm~約50μm、約5μm~約30μm、約10μm~約30μm、約15μm~約25μm、約20μm~約30μm、約3μm~約15μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、または約2μm~約6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有し;
前記MFCは、少なくとも約0.5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有し;ならびに
前記MFCは、約20~約50の繊維峻度を有する、紙または板紙フィラー組成物。
【請求項2】
前記MFCは同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ、セルロースを含む繊維性基材は粉砕装置内の水性環境において同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または非凝集無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され;前記繊維性基材対前記無機微粒子材料は約99.5:0.5~約0.5:99.5の比である、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項3】
前記微小孔性無機材料はか焼粘土を含む、請求項1に記載のフィラー組成物。
【請求項4】
前記微小孔性無機材料はカオリンを含む、請求項1または2に記載のフィラー組成物。
【請求項5】
前記微小孔性無機材料はカオリナイトを含む、請求項または2に記載のフィラー組成物。
【請求項6】
前記微小孔性無機材料はか焼粘土を含む、請求項2に記載のフィラー組成物。
【請求項7】
前記微小孔性無機材料はアモルファスケイ酸アルミニウムを含む、請求項1または2に記載のフィラー組成物。
【請求項8】
前記微小孔性無機材料は偏三角面体沈降炭酸カルシウムを含む、請求項1または2に記載のフィラー組成物。
【請求項9】
前記微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降塩化カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、菱面体沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、およびミリングされた膨張パーライトの少なくとも2つを含む、請求項1または2に記載のフィラー組成物。
【請求項10】
前記1つ以上の広葉樹パルプはユーカリ、ヤマナラシ、カバノキ、アカシア、および混合広葉樹パルプからなる群より選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項11】
前記ミクロフィブリル化セルロースは約0.1μm-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項12】
ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも約0.5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有する、請求項1~10の一つに記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、沈降により測定すると、約3μm~約15μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項14】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、沈降により測定すると、約3μm~約6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィラー組成物
【請求項15】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびMFC複合物は、ポリカルボン酸および/またはそれらの塩もしくは誘導体のホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸に基づくエステル;アクリルアミドまたはアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、またはその混合物;アルカリポリリン酸塩、ホスホン酸、クエン酸および酒石酸およびその塩またはエステル;およびその混合物からなる群より選択される1つ以上の分散剤と結合される、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項16】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびMFC複合物は、粉末の形態で提供される、請求項1~15のいずれかに記載のフィラー組成物。
【請求項17】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびMFC複合物は、懸濁液の形態で提供される、請求項1~15のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項18】
前記懸濁液は水性懸濁液である、請求項17に記載のフィラー組成物。
【請求項19】
前記水性懸濁液はポンピング可能な液体である、請求項18に記載のフィラー組成物。
【請求項20】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約10:90~約90:10である、請求項1~19のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項21】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約20:80~約80:20である、請求項1~20のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項22】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約25:75~約75:25である、請求項1~20のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項23】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約40:60~約60:40である、請求項1~20のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項24】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の無機微粒子材料対前記第2の無機微粒子材料の比は、重量で約50:50である、請求項1~20のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項25】
バインダをさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項26】
前記バインダは無機または有機バインダである、請求項25に記載のフィラー組成物。
【請求項27】
前記バインダはアルカリ金属ケイ酸塩である、請求項25に記載のフィラー組成物。
【請求項28】
前記アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸ナトリウムである、請求項27に記載のフィラー組成物。
【請求項29】
前記アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸カリウムである、請求項27に記載のフィラー組成物。
【請求項30】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:5~5:1である、請求項1~29のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項31】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:3~3:1である、請求項1~29のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項32】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:2~2:1である、請求項1~29のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項33】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は1:1.5~1.5:1である、請求項1~29のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項34】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は約1:1である、請求項1~29のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項35】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約10wt%~約95wt%の量で存在する、請求項1~34のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項36】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約15wt%~約90wt%の量で存在する、請求項1~34のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項37】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約20wt%~約75wt%の量で存在する、請求項1~34のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項38】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約25wt%~約67wt%の量で存在する、請求項1~34のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項39】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約33~約50wt%の量で存在する、請求項1~34のいずれか一項に記載のフィラー組成物。
【請求項40】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料を製造する方法であって、
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を前記抄紙完成紙料に添加するステップ;および
前記MFCを前記抄紙完成紙料に添加するステップ
を含み;
前記抄紙完成紙料は、1つ以上の広葉樹パルプを含み;
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降炭酸カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、菱面体沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、およびミリングされた膨張パーライトからなる群より選択され;
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、沈降により測定すると、約3μm~約50μm、約5μm~約30μm、約10μm~約30μm、約15μm~約25μm、約20μm~約30μm、約3μm~約15μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、または約2μm~約6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有し、
前記MFCは、少なくとも約0.5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有し、
前記MFCは、約20~約50の繊維峻度を有する、方法。
【請求項41】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料を製造する方法であって、
MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を前記抄紙完成紙料に添加するステップ
を含み、
前記抄紙完成紙料は、1つ以上の広葉樹パルプを含み;
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降炭酸カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、菱面体沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、およびミリングされた膨張パーライトからなる群より選択され、
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、沈降により測定すると、約3μm~約50μm、約5μm~約30μm、約10μm~約30μm、約15μm~約25μm、約20μm~約30μm、約3μm~約15μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、または約2μm~約6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有し、
前記MFCは、少なくとも約0.5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有し、
前記MFCは、約20~約50の繊維峻度を有する、方法。
【請求項43】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料から紙または板紙を製造する方法であって、
前記MFCおよび前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含むフィラー組成物を前記抄紙完成紙料に添加するステップを含み、
前記抄紙完成紙料は、1つ以上の広葉樹パルプを含み、
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降炭酸カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、菱面体沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、およびミリングされた膨張パーライトからなる群より選択され、
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、沈降により測定すると、約3μm~約50μm、約5μm~約30μm、約10μm~約30μm、約15μm~約25μm、約20μm~約30μm、約3μm~約15μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、または約2μm~約6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有し、
前記MFCは、少なくとも約0.5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有し、
前記MFCは、約20~約50の繊維峻度を有する、方法。
【請求項45】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を含む抄紙完成紙料から紙または板紙を製造する方法であって、
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料を前記抄紙完成紙料に添加するステップ;
MFCを前記抄紙完成紙料に添加するステップ
を含み;
前記抄紙完成紙料は、1つ以上の広葉樹パルプを含み、
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、か焼粘土、カオリン、カオリナイト、アモルファスケイ酸アルミニウム、偏三角面体沈降炭酸カルシウム、アラゴナイト沈降炭酸カルシウム、菱面体沈降炭酸カルシウム、化学的に凝集されたフィラー材料、珪藻土、およびミリングされた膨張パーライトからなる群より選択され、
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は、沈降により測定すると、約3μm~約50μm、約5μm~約30μm、約10μm~約30μm、約15μm~約25μm、約20μm~約30μm、約3μm~約15μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、または約2μm~約6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有し、
前記MFCは、少なくとも約0.5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有し、
前記MFCは、約20~約50の繊維峻度を有する、方法。
【請求項47】
前記MFCは同時粉砕プロセスにより、同じかまたは異なる微小孔性無機微粒子材料および/または非凝集無機微粒子材料、および、セルロースを含む繊維性基材を使用して得られる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記微小孔性無機材料はか焼粘土を含む、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記微小孔性無機材料はカオリンを含む、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記微小孔性無機材料はカオリナイトを含む、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記微小孔性無機材料はアモルファスケイ酸アルミニウムを含む、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記微小孔性無機材料は偏三角面体沈降炭酸カルシウムを含む、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ以上の広葉樹パルプは、ユーカリ、ヤマナラシ、カバノキ、アカシア、および混合広葉樹パルプからなる群より選択される、40~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記MFCは約0.1μm-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズを有する、請求項40~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記1つ以上の微小孔性ミネラル複合物は、約3μm~約6μmの範囲のメジアン粒子サイズ(d
50)を有する、請求項40~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびMFC複合物は、ポリカルボン酸および/またはそれらの塩もしくは誘導体のホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸に基づくエステル;アクリルアミドまたはアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、またはその混合物;アルカリポリリン酸塩、ホスホン酸、クエン酸および酒石酸およびその塩またはエステル;およびその混合物からなる群より選択される1つ以上の分散剤と結合される、請求項40~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびMFC複合物は、粉末の形態で提供される、請求項40~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料およびMFC複合物は、懸濁液の形態で提供される、請求項40~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記懸濁液は水性懸濁液である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記水性懸濁液はポンピング可能な液体である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約10:90~約90:10である、請求項40~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約20:80~約80:20である、請求項40~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約25:75~約75:25である、請求項40~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の微小孔性無機微粒子材料対前記第2の微小孔性無機微粒子材料の比は、重量で約40:60~約60:40である、請求項40~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料は第1および第2の微小孔性無機微粒子材料のブレンドを含み、前記第1の無機微粒子材料対前記第2の無機微粒子材料の比は、重量で約50:50である、請求項40~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
バインダをさらに含む、請求項40~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記バインダは無機または有機バインダである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記バインダはアルカリ金属ケイ酸塩である、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸ナトリウムである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸カリウムである、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は約1:5~約5:1である、請求項40~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は約1:3~約3:1である、請求項40~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は約1:2~約2:1である、請求項40~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は約1:1.5~約1.5:1である、請求項40~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
乾燥重量に基づく、前記MFC対前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の重量比は約1:1である、請求項40~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約10wt%~約95wt%の量で存在する、請求項40~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約15wt%~約90wt%の量で存在する、請求項40~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約20wt%~約75wt%の量で存在する、請求項40~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約25wt%~約67wt%の量で存在する、請求項40~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記1つ以上の微小孔性無機微粒子材料の総含量は、前記フィラー組成物の乾燥重量に基づき、約33wt%~約50wt%の量で存在する、請求項40~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記微小孔性無機材料は菱面体沈降炭酸カルシウムを含む、請求項1または2記載のフィラー組成物。
【請求項82】
前記微小孔性無機材料は菱面体沈降炭酸カルシウムを含む、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】