(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】オーセチックデバイス送達装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20231017BHJP
A61M 25/098 20060101ALI20231017BHJP
A61M 25/092 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A61F2/966
A61M25/098
A61M25/092 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516144
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021054722
(87)【国際公開番号】W WO2022081668
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508070909
【氏名又は名称】オレゴン ヘルス アンド サイエンス ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アル‐ハキーム, ラムジー
(72)【発明者】
【氏名】ファーサド, カシャヤル
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン, ジョン, エー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB40
4C267BB53
4C267CC08
4C267CC20
4C267CC21
4C267CC22
4C267CC26
4C267EE03
4C267GG34
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
実施形態は、オーセチックデバイス用の送達デバイスを含む。送達デバイスは、外側拘束デバイスと、外側拘束デバイス内に同心円状に配置され、オーセチックデバイスを受け入れるためのチャンバを形成するようにずらされる、長手方向制御デバイスとを備える。外側拘束デバイスおよび長手方向制御デバイスに結合された機構が、オーセチックデバイスが展開されるときにチャンバのサイズを長手方向に調整することを可能にする。他の実施形態が、説明および/または特許請求され得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーセチックデバイス用の送達デバイスであって、
長手方向軸線を有する中空管状拘束デバイスと、
前記拘束デバイス内に長手方向軸線に沿って同心円状に嵌まるようにサイズ設定された長手方向制御デバイスと、
前記拘束デバイスおよび前記制御デバイスに結合された機構とを備え、
前記制御デバイスの端部が、前記拘束デバイスの長手方向軸線に沿って前記拘束デバイスの端部からずらされて、前記拘束デバイスの前記端部と前記制御デバイスの前記端部との間にチャンバを形成し、前記チャンバが、前記オーセチックデバイスを受け入れるように構成され、
前記機構が、前記チャンバのサイズを前記拘束デバイスの前記長手方向軸線に沿って調整するように構成される、送達デバイス。
【請求項2】
中心コアをさらに備え、前記中心コアが、遠位端部に配置された第1の放射線不透過性マーカと、前記オーセチックデバイスの最終位置に対応する前記中心コア上の位置に、前記拘束デバイスの前記長手方向軸線に沿って前記遠位端部から離れて配置された第2の放射線不透過性マーカとを備える、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項3】
前記機構が、前記拘束デバイスおよび前記制御デバイスに結合された複数のギヤを備えるユーザ作動機構であり、前記チャンバのサイズが、ユーザが前記機構を作動させることに応じて調整される、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項4】
前記複数のギヤの各々が、ジャッキねじを備え、前記拘束デバイスおよび前記制御デバイスが各々、ランナによって前記ジャッキねじのそれぞれ1つに結合される、請求項3に記載の送達デバイス。
【請求項5】
前記拘束デバイスに結合された前記ジャッキねじが、前記制御デバイスに結合された前記ジャッキねじとは異なるねじ山ピッチを有する、請求項4に記載の送達デバイス。
【請求項6】
前記拘束デバイスに結合された前記ジャッキねじが、前記制御デバイスに結合された前記ジャッキねじよりも粗いねじ山ピッチを有する、請求項5に記載の送達デバイス。
【請求項7】
前記ジャッキねじの各々が、サムホイールの回転が前記ジャッキねじの各々に対応する回転を付与するように前記サムホイールに結合される、請求項4に記載の送達デバイス。
【請求項8】
前記ジャッキねじの各々が、モータに結合される、請求項4に記載の送達デバイス。
【請求項9】
前記機構が、前記拘束デバイスおよび前記制御デバイスに結合されたばねである、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項10】
前記オーセチックデバイスが前記チャンバに挿入されたときに、前記制御デバイスが、前記オーセチックデバイス内内に少なくとも部分的に入る、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項11】
前記オーセチックデバイスが前記チャンバに挿入されたときに、前記制御デバイスの端部が、前記オーセチックデバイスの端部に当接する、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項12】
前記オーセチックデバイスが、ステントである、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項13】
送達デバイスの端部に配置されたチャンバにオーセチックデバイスを挿入するステップと、
患者内の管状構造内に前記送達デバイスを配置するステップと、
前記オーセチックデバイスを前記管状構造内に置くために前記送達デバイス上の機構を作動させるステップとを含む方法であって、
前記チャンバが、制御構造と、前記制御構造の周りに同心円状に配置された管状拘束構造とによって画定され、前記制御構造が、前記拘束構造の端部からずらされて前記チャンバを形成し、
前記機構が、前記チャンバのサイズを前記拘束デバイスの長手方向軸線に沿って調整するように構成される、方法。
【請求項14】
前記機構が、サムホイールを備え、前記機構を作動させるステップが、前記サムホイールを回転させて前記チャンバのサイズを減少させ、前記オーセチックデバイスを前記チャンバから押し出す工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記機構を作動させるステップが、前記制御構造および前記拘束構造を同じ方向に移動させ、前記制御構造が、前記拘束構造とは異なる速度で移動する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記機構を作動させるステップが、前記制御構造と前記拘束構造を相反する方向に移動させる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記オーセチックデバイスを前記チャンバに挿入するステップが、前記オーセチックデバイスの端部を前記制御構造の端部に当接させる工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記オーセチックデバイスを前記チャンバに挿入するステップが、前記オーセチックデバイスの一部を前記制御構造の端部の周りに同心円状に配置する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2020年10月13日に出願された、「AUXETIC DEVICE DELIVERY APPARATUS AND METHOD」と題する米国特許出願第63/090,847号明細書の利益を主張するものであり、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]開示する実施形態は、医療デバイスの送達に関し、特に、ステントなどのオーセチックデバイスの送達および展開のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]オーセチックステントは、静脈への適用、および場合によっては、胆管、尿生殖路、気管気管支樹、胃腸管、リンパ管、唾液分泌管、エウスタキオ管、動脈、および体内の他の管状構造などの同様の生体力学的特性を有する体内の他の管状構造への適用において独自の利益を有する。オーセチックステントおよびステント一般は、一般的な手術によって課される外傷を回避するために、カテーテルを介するなどの低侵襲技術を使用して患者に挿入され得る。
【0004】
[0004]本明細書で提供する背景技術の説明は、本開示の文脈を一般的に提示することを目的としている。本明細書で特に指示しない限り、このセクションに説明する資料は、本出願の特許請求の範囲の先行技術ではなく、このセクションに含めることによって先行技術であると認められない。
【0005】
[0005]実施形態は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。この説明を容易にするために、同様の参照番号は、同様の構造要素を示す。実施形態は、限定ではなく例として添付の図面の図に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】様々な実施形態による、デバイスの送達前、ならびにオーセチックデバイスの送達および拡張後の例示的なオーセチックデバイス送達装置を示す放射線図の対である。
【
図2】様々な実施形態による、装置の様々な構成要素を示す例示的なオーセチックデバイス送達装置の図である。
【
図3】様々な実施形態による、
図2の例示的な送達装置を用いてオーセチックデバイスを展開する例示的な方法のための動作のフローチャートである。
【
図4】様々な実施形態による、
図2の例示的な装置などのオーセチックデバイス送達装置のための例示的な制御機構の断面図である。
【
図5A】様々な実施形態による、プッシャがステント内に少なくとも部分的に配置されたオーセチックデバイス送達装置内のオーセチックステントの第1の例示的配置を示す図である。
【
図5B】様々な実施形態による、プッシャがステントの端部に当接したオーセチックデバイス送達装置内のオーセチックステントの第2の例示的配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0012]以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、同様の符号が全体を通して同様の部分を示す添付の図を参照し、この図内では、実施され得る例示的な実施形態が例として示されている。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的または論理的変更を加えることができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるものではなく、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義される。
【0008】
[0013]本開示の態様は、添付の説明に開示されている。本開示の代替の実施形態およびそれらの均等物は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく考案され得る。以下に開示する同様の要素は、図面において同様の参照番号によって示されることに留意されたい。
【0009】
[0014]様々な動作は、特許請求する主題を理解するのに最も有用な方法で、順を追って複数の個別の作用または動作として説明され得る。しかし、説明の順序は、これらの動作が必然的に順序に依存することを意味すると解釈されるべきではない。特に、これらの動作は、提示順に実行されなくてもよい。説明する動作は、説明する実施形態とは異なる順序で実行されてもよい。様々な追加の動作が実行されてもよく、および/または追加の実施形態において、説明する動作が省略されてもよい。
【0010】
[0015]本開示の目的のために、「Aおよび/またはB」という語句は、(A)、(B)、または(AおよびB)を意味する。本開示の目的のために、「A、B、および/またはC」という語句は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、BおよびC)を意味する。
【0011】
[0016]本説明は、「一実施形態」または「諸実施形態」という用語を使用することができ、これらは各々、同じまたは異なる実施形態のうちの1つまたは複数を指すことができる。さらに、実施形態に関して使用する「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、同義語である。
【0012】
[0017]オーセチックステントの試験に基づいて、オーセチックステントには独自の送達デバイスが望ましいことが認識されている。ステントのための現在知られている展開デバイスは、装填から展開まで同じ長さを短縮または維持することができる。しかし、オーセチックステントを含むオーセチックデバイスの送達のために特別に設計された展開デバイスは存在しない。現在知られている展開デバイスは、長さを短縮するか一定の長さを保つかのいずれかであるため、そのようなデバイスは、拡張されるにつれて伸長するオーセチックデバイスには理想的ではない。その結果、そのような展開デバイスは、延長し、拡張するときにオーセチックデバイスを十分に収容しないことがあり、それによって配置および所望の拡張/形状の達成を難しくする。いくつかのシナリオでは、展開デバイスは、延長するにつれてデバイスに抵抗し、望ましくないデバイスの変形を引き起こす可能性がある。そのような欠陥は、オーセチックデバイスの展開を不必要に複雑にし得る。
【0013】
[0018]オーセチック特性を有するデバイスのための開示する送達デバイスの実施形態は、展開中のオーセチックデバイスの能動的な伸長に対応することができる。これは、展開中にオーセチックデバイスを直線的または非線形的に能動的または受動的に伸長させることを含むことができる。送達デバイスは、互いに対して異なる速度で移動することができる送達構成要素を使用することによって、送達プロセスを通してオーセチックデバイスを適切に収容したままに保ち、オーセチックデバイスが配置中に周囲の構造と不必要に相互作用するのを防ぐことができる。送達デバイスは、第1の速度で移動する押圧構成要素および第2の速度で移動するシースを介してオーセチックデバイスの長手方向の延長を収容することによって、オーセチックデバイスが延長するときにオーセチックデバイスを適切に拘束し続けて正しい位置への送達を容易にすることができ、および/または意図しないおよび/または望ましくない変形を回避するために延長または拡張に抵抗を付与することを回避することができる。送達デバイスは、これらに限定されないが、胆管、泌尿生殖路、気管気管支樹、胃腸管、リンパ管、唾液分泌管、エウスタキオ管、動脈、および体内の他の管状構造を含む体内の管状構造にオーセチックデバイス/ステントを送達するために利用することができる。
【0014】
[0019]いくつかの実施形態では、オーセチックデバイスの軸方向/長手方向の長さは、長手方向制御デバイスまたは機構などによって、展開中に能動的または受動的に制御することができる。軸方向/長手方向の長さ制御は、展開中に直線的または非線形的に伸長するように構成することができる。例示的な長手方向制御機構またはデバイスは、能動的(ギヤ機構制御を有する長手方向制御デバイスなど)または受動的(ばね機構制御を有する長手方向制御デバイスなど)であることができる。
【0015】
[0020]能動的な制御実施形態では、送達および配置のためのステントまたは他のオーセチックデバイスを含むカテーテルなどの外側拘束デバイスが、ギヤ機構を介して長手方向制御デバイスに結合される。外側拘束デバイス/カテーテルはまた、後退のためのユーザ制御機構(サムホイールなど)に結合されてもよい。ユーザ制御機構による外側拘束デバイス/カテーテルの後退中、外側拘束デバイス/カテーテルと長手方向制御デバイスとの間に結合されたギヤ機構は、複数のギヤを備え得るギヤ機構のギヤ比によって決定される比で、長手方向制御デバイスの同時後退を可能にする。これにより、外側拘束デバイス/カテーテルと長手方向制御デバイスの両方が、場合によっては異なる速度で、ユーザからの単一の入力のみで同時に後退する。これは、展開中の拘束された長さから拘束されない長さ(公称長さ)へのオーセチックデバイス/ステントの伸長を制御することができる。
【0016】
[0021]開示する送達デバイスの実施形態は、送達中にデバイスの軸方向/長手方向の向きの能動的または受動的制御を可能にする。これは、オーセチックステントなどの展開中に伸長するオーセチックデバイスの送達/展開に特に適用可能であり得る。展開中にオーセチックデバイスの軸方向/長手方向の長さを制御することにより、オーセチックデバイスの機械力を、体内の血管または体内の任意の他の管状構造などの受容構造に最適に加えることができる。
【0017】
[0022]
図1は、オーセチックステント10の展開を示す放射線図であり、拡張形態へのステント10の半径方向拡張がどのようにして長手方向または軸方向の延長をもたらし得るかを示す。
図Aは、線22によって画定される近位端と、線24によって画定される遠位端とを有する拡張されていないオーセチックステント10を示す。
図Bは、拡張されたオーセチックステント15を作りだすための拡張後のステントを示す。線24は、拡張されたオーセチックステント15の遠位端も画定する。しかし、拡張されたオーセチックステント15の近位端20は線22を過ぎており、したがって、拡張されたオーセチックステント15が展開および拡張後に長手方向にどのように長さが増加したかを示している。実施形態では、この長手方向または軸方向の長さの増加は、オーセチックステントまたは同様のデバイスが拡張に応答して軸方向または長手方向に延長するときに構成を変更することができる送達デバイスによって対応することができる。生体外では、
図1のオーセチックステントは、
図Aのようなクリンプされた/負荷状態において長手方向の長さは6cmであり、
図Bのような展開状態において長手方向の長さは7.7cmである。以下に論じる開示する送達デバイスによって対処されるのは、拡張されたオーセチックステント15へのステント10のこの延長であり、それによって、ステントを制御された形で配置および拡張させることを可能にして、その有効性を最適化し、任意の周囲構造に対する害またはステントの有効性の低下の可能性を最小限に抑える。
【0018】
[0023]
図2は、1つの可能な実施形態による、例示的なオーバーザワイヤ送達デバイス100の様々な構成要素を示す。デバイス100は、外側拘束デバイス(またはカテーテル)102を含み、この中に、長手方向制御デバイス104が挿入され、したがって長手方向制御デバイス104を同心円状に収容する。デバイス100の中心を通って、中心コア106が長手方向に延びる。図で分かるように、長手方向制御デバイス104の遠位端部は、外側拘束デバイス102の遠位端部から長手方向にずらされて、チャンバ103を形成することができる。遠位端部で、このチャンバ103内には、図示の実施形態ではステントであるオーセチックデバイス108が挿入される。オーセチックデバイス108は、部分的に展開され、部分的に拡張されているものとして
図2に示されている。中心コア106内にはガイドワイヤ110が配置されている。ガイドワイヤ110は、デバイス100および挿入されたオーセチックデバイスを患者に送達するために案内することを意図したカテーテルの一部であってもよく、またはカテーテルもしくは同様の構造に取り付けられてもよい。中心コア106は、オーセチックデバイス108と同様に、患者に挿入するためのガイドワイヤ110を受け入れるために中空であってもよい。
【0019】
[0024]ガイドワイヤ110は、図示の実施形態では、遠位ステント位置放射線不透過性マーカ120および最終近位ステント位置放射線不透過性マーカ122を含んで、適切な撮像デバイス、例えばCTスキャナ、X線撮像装置などを用いて、患者内のデバイス100および挿入されたオーセチックデバイス108の配置を視覚化することを容易にすることができる。マーカ120および122は、ガイドワイヤ110に沿って、オーセチックデバイス108の遠位位置、ならびに展開されたオーセチックデバイス108の予想される最終位置および/または最終長さに対応する位置に、その予想される伸長を考慮しながら配置され得る。ガイドワイヤ110は、デバイス100が使用される特定の処置に適合する任意の適切な材料から製造され得る。ガイドワイヤ110は、これもまた放射線不透過性マーカを受け入れることができる生体適合性材料から製造され得る。そのような実施形態では、ガイドワイヤ110は、放射線不透過性マーカ120および122を確実に識別することを可能にするために、デバイス100の位置を決定するために使用されるいかなる撮像デバイスに対しても別の形で透明である材料から作製され得る。他の実施形態では、外側拘束デバイス102および/または長手方向制御デバイス104が十分な剛性を提供し、および/または患者内のその位置を確認するためのデバイス100の適切な撮像を可能にするなどの場合、ガイドワイヤ110は省略されてもよい。そのような実施形態では、外側拘束デバイス102および/または長手方向制御デバイス104は、放射線不透過性マーカを装備することができる。
【0020】
[0025]オーセチックデバイス108は、中心コア106の周りにチャンバ103内に装填されると、外側拘束デバイス102によって抑制され、図示の実施形態では、長手方向制御デバイス104の遠位端部に当接するか、またはほぼ当接する。中心コア106と外側拘束デバイス102との間で、長手方向制御デバイス104は、展開中にオーセチックデバイス108の軸方向/長手方向の長さを制御するように構成される。他の実施形態では、本明細書で論じるように、オーセチックデバイス108は、長手方向制御デバイス104の一部の上に挿入されてもよく、このとき長手方向制御デバイス104は、オーセチックデバイス108が患者の内に展開される外側拘束デバイス102の開口端部付近まで延びる。そのような実施形態では、チャンバ103は、最初は最小であってもよく、または存在しなくてもよく、チャンバ103は、ギヤ機構112の構成に応じて、オーセチックデバイス108が展開されるときに場合によっては現れ、拡張する。
【0021】
[0026]外側拘束デバイス102は、実施形態では、展開のための構成でオーセチックデバイス108を収容するように寸法決めされたカテーテルまたは同様の管状構造を備えることができる。そのような構成では、オーセチックデバイス108は、外側拘束デバイス102の直径を最小にするために、その最小直径まで圧縮され得る。そのように寸法決めされると、外側拘束デバイス102はまた、拡張を防止し、および/またはオーセチックデバイス108のサイズを展開するまで制御し、展開時点では、オーセチックデバイス108の直径は、実行されている処置に必要なサイズに拡張され得る。長手方向制御デバイス104は、図示の実施形態から分かるように、外側拘束デバイス102の内径よりも小さい直径に寸法決めされている。このサイズでは、長手方向制御デバイス104は、外側拘束デバイス102に沿って軸方向に摺動することができる。チャンバ103のサイズが縮小するように、長手方向制御デバイス104が外側拘束デバイス102に対して摺動すると、長手方向制御デバイス104は、オーセチックデバイス108を展開するためのプッシャまたはストッパとして機能することができる。したがって、外側拘束デバイス102は、オーセチックデバイス108から後退させられ、それにより、オーセチックデバイスは、周囲の解剖学的構造内に展開される。この動きは、本明細書でさらに論議するように、ギヤ機構112の構成によって達成され得る。他の実施形態では、長手方向制御デバイス104は、ステントに典型的なように中空であり得るオーセチックデバイス108の中心に部分的にまたは完全に延びることができ、この場合、長手方向制御デバイス104の端部は、先細であるか、またはそうでなければオーセチックデバイス108の内径よりも小さく寸法決めされる。さらに他の実施形態では、オーセチックデバイス108内に延びる長手方向制御デバイス104の部分は、展開中にオーセチックデバイス108の拡張および成形の制御をさらに可能にするために、バルーンなどを介して拡張するように構成され得る。
【0022】
[0027]オーセチックデバイス108は、展開されるとき、自動的に拡張および延長して、これが配置されている解剖学的構造を充填することができ、および/または長手方向制御デバイス104の作用によって少なくとも部分的になど、デバイス100によって寸法決めされてもよい。オーセチックデバイス108が自動的に拡張し、その適切な展開形状まで延長する実装形態では、そのような拡張は、オーセチックデバイス108の構造の性質によってもたらされてもよく、例えば、オーセチックデバイス108は、周囲の身体の熱にさらされると所定の形状に戻るメモリ型材料から製作され得る。そのような例は
図2に見ることができ、
図2では、外側拘束デバイス102から出現したオーセチックステント108の端部は、外側拘束デバイス102の端部よりも著しく大きな直径まで拡張しているように示されている。
【0023】
[0028]
図2の例示的な実施形態に見られるように、外側拘束デバイス102は、ギヤ機構112を介して長手方向制御デバイス104に結合されて、オーセチックデバイス108の軸方向/長手方向の長さの能動的制御を可能にする。ギヤ機構112は、図示の実施形態では、図示の実施形態ではギヤ付きサムホイールまたは指ホイールとして実装された、ユーザ操作またはユーザ制御機構114を備える。ギヤ機構112は、チャンバ103を含み、オーセチックデバイス108を収容するデバイス100の端部の反対側で遠位にあるデバイス100の端部に配置される。この遠位端部は、典型的には、患者の外側にあり、オーセチックデバイス108を配置する処置を実行または補助する人が、オーセチックデバイス108の展開をもたらすためにギヤ機構112を操作することができるように配置される。図示の実施形態におけるユーザ制御機構114はサムホイールであるが、ユーザ制御機構114は、ギヤ機構112の作動を可能にする任意の適切な制御であってもよい。いくつかの他の実施形態では、ユーザ制御機構114は、1つまたは複数のレバー、ダイヤル、ホイール、スライダ、ボタン、または別の適切な制御装置であってもよい。いくつかの実施形態では、ユーザ制御機構114は、ギヤ機構112に動力を供給すること、または外側拘束デバイス102および/または長手方向制御デバイス114を直接操作することに関与するモータドライブへのインターフェースであってもよい。
【0024】
[0029]ギヤ機構112は、所与の実装の要件に応じて、1つまたは複数のギヤを含むことができる。図示の実施形態では、ユーザ制御機構114は、第1のギヤ116および第2のギヤ118に機械的に結合されている。さらに、第1のギヤ116は、外側拘束デバイス102に結合され、第2のギヤ118は、長手方向制御デバイス104に結合される。この結合は、複合ギヤ、スパイラルベベルギヤ、ラックアンドピニオンギヤ、内歯車、ウォームギヤ、ヘリングボーンギヤ、ヘリカルギヤ、マイタギヤ、ねじ歯車、および/または傾斜歯車を含むがこれらに限定されない任意のタイプの既知のギヤの1つまたは複数を使用することによって行うことができる。論議したように、サムホイールまたは他のユーザ操作デバイスであってもよいユーザ制御機構114の回転または作動は、第1のギヤ116および第2のギヤ118を回転させる。他の実施形態は、より少ないまたはより多いギヤを有するギヤ機構112を利用することができ、1つまたは複数の異なるタイプのギヤの組み合わせを使用することができる。ギヤの数、種類、および/またはサイズの選択は、所与の実施形態または実施態様によって必要とされ得るように、長手方向制御デバイス104に対する外側拘束デバイス102の特定の移動を達成するように行われ得る。
【0025】
[0030]さらに他の実施形態では、ギヤ機構112は、ギヤなしで、または外側拘束デバイス102および/または長手方向制御デバイス104に直接作用する1つまたは複数のアクチュエータを介してなど、最小限のギヤを用いて実装され得る。例えば、機構112は、動力供給されるように構成されてもよく、このときユーザ制御機構114は、1つまたは複数のアクチュエータを作動させる1つまたは複数のボタンまたはトグルを備える。アクチュエータは、さらに、拘束デバイス102および/または長手方向制御デバイス104の動きを制御することができる。アクチュエータは、拘束デバイス102を長手方向制御デバイス104とは異なる速度で移動させるように構成されてもよく、それにより、オーセチックデバイス108は、拘束デバイス102の端部から制御された方法で展開される。ギヤ機構112は、オーセチックデバイス108の配置を補助する人による操作を容易にする適切なハウジング内に収容され得る。
【0026】
[0031]
図2の例示的な実施形態で分かり得るように、第1のギヤ116は、第2のギヤ118とは異なるサイズであってもよい。そのような実施形態では、第1のギヤ116は、ユーザ制御機構114が回転するときに第2のギヤ118とは異なる回転速度/周波数で回転する。したがって、いくつかの実施形態では、ユーザ制御機構114の回転は、外側拘束デバイス102および長手方向制御デバイス104の両方を、これらに限定されないが、ラックアンドピニオンギヤ機構などの機構を介して、ガイドワイヤ110/中心コア106に沿って同じ方向に、しかし異なる直線並進速度で並進させることができる。その結果、長手方向制御デバイス104は、外側拘束デバイス102内で軸方向に摺動し、外側拘束デバイス102と長手方向制御デバイス104との間の遠位端部に形成されたチャンバ103を、ユーザ制御機構114が回転する方向および第1のギヤ116から第2のギヤ118の構成に応じて、軸方向に延長または短縮させる。
【0027】
[0032]実施形態では、第1のギヤ116と第2のギヤ118との比は、外側拘束デバイス102が長手方向制御デバイス104とほぼ同じ速度で後退するような比であってもよい。そのような実施形態では、チャンバ103は、サイズが比較的固定したままであり得る。他の実施形態では、第1のギヤ116と第2のギヤ118との比は、外側拘束デバイス102が長手方向制御デバイス104よりも遅い速度で後退し得るような比であってもよく、これは、オーセチックデバイス108が、展開されるにつれて実質的に延長するように構成されており、チャンバ103を制御された形で延長に対応するサイズに拡張する必要があるなどの場合である。さらに他の実施形態では、第1のギヤ116と第2のギヤ118との比は、外側拘束デバイス102が長手方向制御デバイス104よりも速い速度で後退し得るような比であってもよい。そのような実施形態では、チャンバ103は、サイズが減少することができ、このとき長手方向制御デバイス104は、オーセチックデバイス108を外側拘束デバイス102の端部から確実に押し出すように作用する。変形例として、いくつかの実施形態では、外側拘束デバイス102のみが後退してもよく、長手方向制御デバイス104は本質的に固定したままである。
【0028】
[0033]長手方向制御デバイス104に対する外側拘束デバイス102の相対運動として定義される、チャンバ103が軸方向に延長または短縮する程度は、第1のギヤ116と第2のギヤ118との間のサイズ比に依存することが認識されるであろう。この比は、複合歯車、スパイラルベベルギヤ、ラックアンドピニオンギヤ、内歯車、ウォームギヤ、ヘリングボーンギヤ、ヘリカルギヤ、マイタギヤ、ねじ歯車、および/またはベベルギヤを含むがこれらに限定されない任意のタイプの既知のギヤの1つまたは複数などの追加のギヤ機構を組み込むことによって、さらに確立され得る。第1のギヤ116および第2のギヤ118の回転比/周波数は、複合歯車、スパイラルベベルギヤ、ラックアンドピニオンギヤ、内歯車、ウォームギヤ、ヘリングボーンギヤ、ヘリカルギヤ、マイタギヤ、ねじ歯車、および/またはベベルギヤを含むがこれらに限定されない任意のタイプの既知のギヤの1つまたは複数などの追加のギヤ機構を組み込むことによって、さらに調整することができる。第1のギヤ116および第2のギヤ118は、実際には単一ギヤである必要はなく、むしろ、第1のギヤ116の場合は外側拘束デバイス102および第2のギヤ118場合は長手方向制御デバイス104に連結された制御機構を表すことを理解されたい。長手方向制御デバイス104に対する外側拘束デバイス102の相対移動は、任意の適切な機構によって行われ選る。
【0029】
[0034]オーセチックデバイス108が長手方向制御デバイス104に当接するので、オーセチックデバイス108は、ユーザ制御機構114の作動に少なくとも部分的に応答してデバイス100から推進される。オーセチックデバイス108がデバイス100を離れると、これは、オーセチックデバイス108に固有の(体熱に反応するオーセチックデバイス108の材料から生じる)ばね張力に起因して、またはカテーテルバルーンなどからの機械的拡張に起因して、半径方向に拡張することができる。そのオーセチック的性質のために、オーセチックデバイス108が半径方向に延長するにつれて、これは、同様に軸方向にも伸長する。外側拘束デバイス102および長手方向制御デバイス104の異なる直線移動速度に起因するチャンバの軸方向寸法の変化は、この長手方向の延長に対応するように作用し、オーセチックデバイス108の制御された展開を可能にする。
【0030】
[0035]デバイス100の他の可能な実施形態は、ギヤ機構112の代わりに受動機構を使用することができる。例えば、外側拘束デバイス102を長手方向制御デバイス104に結合するためにばね機構が使用されてもよく、それにより、チャンバ長さは、デバイス100がオーセチックデバイス108を展開するために使用されるとき、自動的に、例えば長手方向制御デバイス104に対する外側拘束デバイス102の直接操作を必要とせずに変化する。
【0031】
[0036]デバイス100を含むオーセチックステント/デバイス送達システムの送達長さは、いくつかの実施形態では、65cmから150cmの標準的な作業長さを含む。しかし、20~40cmの作業長を有する短送達システムを提供する実施形態が、例えば末梢および/または頭蓋内用途のために使用されてもよい。これらのより短いデバイスの実施形態は、治療部位の長さへの短い血管アクセスのための独自の作業性を提供することができる。1つの具体的な使用は、内頸静脈から頭蓋内静脈送達部位(横静脈洞など)への逆行性アクセスである。別の特定の用途は、総大腿/大腿静脈から腸骨静脈送達部位への逆行性アクセスである。
【0032】
[0037]
図3は、デバイス100などの送達デバイスを使用してステントなどのオーセチックデバイスを送達するための例示的な方法200の動作を示す。動作202において、ステントまたはオーセチックデバイス108などのオーセチックデバイスが、送達デバイスの端部に、例えば外側拘束デバイス102および長手方向制御デバイス104によって形成されたチャンバ103などの、同心円状の内側および外側デバイスによって形成されたチャンバなどに挿入され得る。実装に応じて、オーセチックデバイスは、チャンバ内であるが内側デバイスの前方に置かれてもよく、または内側デバイスを少なくとも部分的に取り囲んで置かれてもよい。チャンバ自体は開いているため、オーセチックデバイスは、外側デバイスに対する内側デバイスの作用によって患者内の適切な部位に送達され得る。
【0033】
[0038]動作204において、オーセチックデバイスが装填された送達デバイスの端部が患者に挿入され、送達のための適切な位置に配置される。適切な配置は、送達デバイスの端部に配置された放射線不透過性マーカを参照することによってもたらされ得る。これらのマーカは、外側デバイス、内側デバイス、または送達デバイスのコアを通って延びることができるガイドワイヤなどの送達デバイスの一部に組み込まれてもよく、このとき内側デバイスおよび外側デバイスは、それぞれガイドワイヤから同心円状に外側に配置される。
【0034】
[0039]動作206において、オーセチックデバイスの適切なまたは所望の位置が達成されると、送達デバイスは後退され、送達デバイスの構成に応じて、送達機構が作動されて、オーセチックデバイスを制御された形で送達デバイスから排出することができる。送達機構は、ギヤ機構112などのギヤ付き機構であってもよく、このギヤ機構は、送達デバイスに取り付けられ、操作者によって作動されて内側デバイスおよび外側デバイスを所定の異なる速度で互いに対して移動させる。オーセチックデバイスは、送達されるにつれて半径方向に拡張するか、または拡張され得る。送達デバイスは、内側および外側デバイスがギヤ付き機構の作動から互いに対して移動する状態で、付随する長手方向の拡張に対応するようにオーセチックデバイスの送達を制御するように作用する。したがって、オーセチックデバイスのオーセチック特性を考慮した送達機構の操作により、オーセチックデバイスの拡張および延長を比較的正確に制御して送達を最適化することができる。
【0035】
[0040]
図4は、可能な実施形態による例示的な送達制御機構400を示し、これは、ギヤ機構112を含むか、または実装することができる。機構400は、サムホイールとして示されるユーザ制御機構114を収容するハウジング402を含み、ユーザ制御機構は、第1のギヤ116および第2のギヤ118に接続され、それにより、ユーザ制御機構114を回転させると、第1のギヤ116および第2のギヤ118に回転が付与される。外側拘束デバイス102、外側シース、および内側長手方向制御デバイス104、内側プッシャは、機構400に結合され、ハウジング402を通過する。読み手は、これらの構造についてより詳細に、上記の
図2に関連する説明を参照する。外側拘束デバイス102および内側長手方向制御デバイス104は、最初に鼠径部シース404を通過し、外側シース用の2つのフェルールまたは開口410、および内側プッシャ用の412を通過することによって機構400と係合する。シース404および開口410、412は、拘束デバイス102および制御デバイス404が、ユーザ制御機構114が作動されたときに、結合することなく、機構400を通って正しく移動するのを助ける。
【0036】
[0041]図示の実施形態では、第1のギヤ116はランナ406を介して外側拘束デバイス102に結合し、第2のギヤ118は、ランナ408を介して内側長手方向制御デバイス104に結合する。ランナ406は、ランナ406の軸方向移動が外側拘束デバイス102を同様に軸方向に移動させるように、外側拘束デバイス102に固定して取り付けられる。同様に、ランナ408は、ランナ408の軸方向移動が内側長手方向制御デバイスを軸方向に移動させるように、内側長手方向制御デバイス104に固定して取り付けられる。結果として、ランナ406またはランナ408のいずれかが他方に対して移動すると、外側拘束デバイス102および長手方向制御デバイス104は対応して互いに対して移動し、長手方向制御デバイス104は外側拘束デバイス102内で軸方向に摺動する。
【0037】
[0042]図示の実施形態では、ランナ406は、第1のギヤ116に係合されるカラー414を含む。カラー414は、相補的であり、第1のギヤ116と同じピッチのねじ山を有する内孔を含む。同様に、ランナ408は、第2のギヤ118に係合されるカラー416を含み、このカラーもまた、第2のギヤ118と相補的で同じピッチのねじ山を有する内側ボアを含む。図示の実施形態から分かるように、第1のギヤ116は、第2のギヤ118よりも粗いピッチを有する。ユーザ制御機構114の回転は、第1のギヤ116および第2のギヤ118の両方を同期して回転させる。異なるピッチに起因して、第1のギヤ116のより粗いピッチにより、ランナ406は、ランナ408よりも速い速度でユーザ制御機構114に向かって第1のギヤ116を進行し、ランナ408は、第2のギヤ118のより細かいピッチに起因して、より遅くユーザ制御機構114から離れるように進行する。したがって、ユーザ制御機構114が回転すると、外側拘束デバイス102は、長手方向制御デバイス104が引き出されるよりも速い速度で引き出される。その結果、外側拘束デバイス102の端部内に置かれたオーセチックデバイスは、長手方向制御デバイス104によって外側拘束デバイス102の外に進まされ、長手方向制御デバイス104は、それほど迅速に後退せず、外側拘束デバイス102に対して、外側拘束デバイス102内で患者内に配置され得るその中に向かって前進する。
【0038】
[0043]図示の実施形態では、第1のギヤ116が第2のギヤ118よりも長いことがさらに観察されるであろう。その結果、ユーザ制御機構114が回転するのとほぼ同時に、ランナ406および408の両方は、そのそれぞれのギヤの端部に到達することができる。ランナ406、408は、ユーザ制御機構114が回転する方向に応じて前進または後退することができることがさらに理解されよう。第1のギヤ116および第2のギヤ118は、ウォームギヤまたはジャッキねじとして実装されているため、逆送りに抵抗することによって拘束デバイス102および制御デバイス104の確実な制御を容易にすることができる。ウォームギヤは、圧力がランナ406または408のいずれかに加えられたときに回転に抵抗し、デバイス102および104を定位置に保持するのに役立つ。機構400は、ウォームギヤとして第1のギヤ116および第2のギヤ118を実装するが、上記で論じたように、他の実施形態は、従来の回転ギヤ、ラックアンドピニオン、または別の配置など、第1のギヤ116および/または第2のギヤ118に異なる機構を利用することができる。さらに、上記で論じたように、ユーザ制御機構114は、電子コマンドに応じて第1のギヤ116および第2のギヤ118を回転させることができるモータとして実装することができる。さらに、第1のギヤ116および第2のギヤ118ではなく、機構400は、ランナ406および/または408に接続されたサーボまたはアクチュエータを実装することができ、これらはそのため電子的に作動される。第1のギヤ116および/または第2のギヤ118は、金属、プラスチック、複合材、木材、セラミック、または別の適切な材料などの任意の適切な材料から構成され得る。
【0039】
[0044]
図5Aおよび
図5Bは、患者内への展開のためにデバイス100に挿入されたときのオーセチックデバイス108の2つの可能な配置を示す。
図5Aは、外側拘束デバイス102に挿入され、長手方向制御デバイス104の周りにあるオーセチックデバイス108を示し、長手方向制御デバイスは、オーセチックデバイス108内に同心円状に配置される。図から分かるように、制御デバイス104は、先細にされ、オーセチックデバイス108の中央チャネル内に嵌合する端部502を有し、それにより、この端部は、オーセチックデバイス108と拘束デバイス102の両方の端部開口部の近くにあるようになる。この配置では、拘束デバイス102および制御デバイス104が後退すると、第1および第2のギヤは、拘束デバイス102および制御デバイス104の両方が同じ方向に後退し、拘束デバイス102が制御デバイス104よりも速い速度504で、より遅い速度506で後退するように構成され得る。この構成は、オーセチックデバイス108が、拘束デバイス102が制御デバイス104の端部502に向かって後退する速度以上の速度で拡張し、延長するときに特に有用であり得る。
【0040】
[0045]
図5Bは同様に、外側拘束デバイス102に挿入されたオーセチックデバイス108を示すが、長手方向制御デバイス104の周りに同心円状にではなく、長手方向制御デバイス104の端部552に当接している。この配置では、拘束デバイス102および制御デバイス104が後退すると、第1および第2のギヤは、拘束デバイス102が制御デバイス104とは異なる方向554に後退するように構成されてもよく、制御デバイスは、方向556であるが、拘束デバイス102が方向554に後退するよりも遅い速度で前進する。この構成は、オーセチックデバイス108が急速に拡張しない場合、および/または適切に置くためにオーセチックデバイス108を拘束デバイス102から押し出す必要がある場合に有用であり得る。
【0041】
[0046]本明細書中に説明するデバイスは、当該技術分野において現在知られており、使用のために市販されているステントを含めて、様々な医療用途における医療用ステントの展開において使用され得る。いくつかの実施形態では、対象のステントは、2020年7月16日に公開されたPCT公開出願番号PCT/US2020/013156(国際公開第2020/146777号、Al-Hakimら、オレゴン健康科学大学)に教示されるものを含み、この文献の内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0042】
[0047]本明細書に説明するデバイスを使用して展開され得る追加のオーセチックステント、管状ライナー、管状移植片、シャント、および血管内インプラントは、米国特許出願公開第2011/0029063号明細書(Maら、2011年2月3日)、米国特許第6,613,079号明細書(Wolinsky他、2003年9月2日)、米国特許出願公開第2006/0129227号明細書(Hengelmolen、2006年6月15日)、米国特許出願公開第2007/0213838号明細書(Hengelmolen、2007年9月13日)、米国特許出願公開第2018/0116834号明細書(Longo他、2018年5月3日)、米国特許出願公開第2019/0060052号明細書(Harrisonら、2019年2月28日)、および米国特許出願公開第2019/0076276号明細書(Longo他、2019年3月14日)に開示するものを含む。
【0043】
[0048]ステント、特に本明細書に説明または参照するようなオーセチックステントは、解剖学的構造の開存性を促進するために、静脈または動脈などの血管と形態学的に類似するが異なる解剖学的構造において本明細書に説明するデバイスを使用して展開され得ることがさらに理解されよう。したがって、様々な開示された実施形態は、哺乳動物の管腔内の狭窄を治療するより一般的な方法を提供し、この方法は、それを必要とする管腔、管、または管路内に本明細書に説明するステントを埋め込むことを含む。本明細書で使用する場合、「狭窄」という用語は、管路、管、または管腔を通る物質(血液、空気、食物、糞便、リンパ液、尿、唾液、胆汁など)の正常な通過に影響を及ぼす体内の管路、管、または他の管腔が異常な狭小化または狭窄を指す。本明細書で使用する場合、「埋め込む」という用語は、狭窄を経験している管、管路、または管腔内の位置への本明細書に説明するステントの配置、および狭窄を治療または緩和するためのステントの拡張を指す。
【0044】
[0049]本明細書中に説明するデバイスを用いて達成され得る例示的な非静脈および非動脈ステント展開用途は、胆管、尿生殖路、胃腸管、気管気管支構造、副鼻腔、唾液腺、唾液管、唾液分泌管およびリンパ管への埋め込みを含む。追加の用途は、外科的腸骨切り術、外科的動静脈瘻および移植片、ならびに体内の任意の2つの構造の外科的吻合などの外科的処置における使用を含む。
【0045】
[0050]嚢胞管もしくは総胆管の狭窄の治療または胆道疾患の治療に使用される上記の参考文献に説明するステント(または本明細書の別の実施形態)と同一または類似のステントは、直径が約1mmから約30mm、長さが約5mm~約200mmであり、完全に拡張され得る(本明細書における各特定の使用に対する特定のステント測定値は、特に明記しない限り、ステントの完全な拡張時であり、全ての直径は外径である)。いくつかの実施形態において、胆管使用のためのそのようなステントは、直径が約5mmから約15mmであり、長さが約20mmから約120mmであってもよく、完全に拡張され得る。いくつかの実施形態では、胆管ステントは、直径が約5mm~約10mm、長さが約20mmから約120mmであってもよい。胆管治療に使用するための特定のステントは、(直径×長さ)5mm×20mm、5mm×30mm、5mm×40mm、5mm×50mm、5mm×60mm、5mm×70mm、5mm×80mm、5mm×90mm、5mm×100mm、5mm×110mm、5mm×120mm、5mm×130mm、5mm×140mm、5mm×150mm、6mm×20mm、6mm×30mm、6mm×40mm、6mm×50mm、6mm×60mm、6mm×70mm、6mm×80mm、6mm×90mm、6mm×100mm、6mm×110mm、6mm×120mm、6mm×130mm、6mm×140mm、6mm×150mm、8mm×20mm、8mm×30mm、8mm×40mm、8mm×50mm、8mm×60mm、8mm×70mm、8mm×80mm、8mm×90mm、8mm×100mm、8mm×110mm、8mm×120mm、8mm×130mm、8mm×140mm、8mm×150mm、10mm×20mm、10mm×30mm、10mm×40mm、10mm×50mm、10mm×60mm、10mm×70mm、10mm×80mm、10mm×90mm、10mm×100mm、10mm×110mm、10mm×120mm、10mm×130mm、10mm×140mm、および10mm×150mmを含む。
【0046】
[0051]ヒト尿管の狭窄の治療または尿管狭窄に関連する尿路疾患の治療に使用される、本明細書に説明または参照するステント(または本明細書の別の実施形態)と同一または類似のステントは、直径が約1mmから約100mm、長さが約5mm~約500mm(完全に拡張される)であってもよい。他の実施形態では、尿管ステントは、約1mmから約15mmの直径および約5mmから約500mmの長さを含むことができる。他の実施形態では、尿管ステントは、約1mmから約12mmの直径および約5mmから約500mmの長さを含むことができる。さらなる実施形態では、尿管ステントは、約1mmから約3mmの直径および約5mmから約500mmの長さを含むことができる。さらなる実施形態では、尿管ステントは、約1mmから約2mmの直径および約5mmから約500mmの長さを含むことができる。尿管移植のための本明細書の設計の具体的なステントは、1mm×10mm、1mm×20mm、1mm×40mm、1mm×60mm、1mm×80mm、1mm×100mm、1mm×120mm、1mm×150mm、1mm×200mm、1mm×250mm、1mm×300mm、1mm×350mm、1mm×400mm、1mm×500mm、2mm×10mm、2mm×20mm、2mm×40mm、2mm×60mm、2mm×80mm、2mm×100mm、2mm×120mm、2mm×150mm、2mm×200mm、2mm×250mm、2mm×300mm、2mm×350mm、2mm×400mm、および2mm×500mmの直径×長さを有するものを含む。
【0047】
[0052]胃腸管の狭窄の治療に使用される本明細書に説明または参照するステント(または本明細書の別の実施形態)と同一または類似のステントは、直径が約1mmから約100mm、長さが約5mmから約500mm(完全に拡張される)であってもよい。
【0048】
[0053]ステント100(または本明細書中の別の実施形態)と同一または類似の結腸ステントは、直径が約20mmから約40mm、長さが約20mmから約150mmであってもよい。いくつかの実施形態では、結腸ステントは、直径が約20mmから約35mm、長さが約40mmから約140mmであってもよい。他の実施形態では、結腸ステントは、直径が約26mmから約32mm、長さが約40mmから約120mmであってもよい。
【0049】
[0054]本明細書に説明または参照するステント(または本明細書の別の実施形態)と同一または類似の食道ステントは、直径が約10mmから約25mm、長さが約3cmから約20cmであってもよい。いくつかの実施形態では、結腸ステントは、直径が約15mmから約25mm、長さが約5cmから約15cmであってもよい。他の実施形態では、結腸ステントは、直径が約17mmから約23mm、長さが約5cmから約15cmであってもよい。
【0050】
[0055]いくつかの実施形態では、気管気管支ステントは、直径が約5mmから約25mm、長さが約10mmから約100mmであってもよい。いくつかの実施形態では、気管気管支ステントは、直径が約6mmから約22mm、長さが約10mmから約100mmであってもよい。ここで使用するための気管気管支ステントサイズの具体例は、約8mm×約20mm、約8mm×約30mm、約8mm×約40mm、10mm×約20mm、約10mm×約30mm、約10mm×約40mm、約10mm×約60mm、12mm×約20mm、約12mm×約30mm、約12mm×約40mm、約12mm×約60mm、12mm×約80mm、14mm×約20mm、約14mm×約30mm、約14mm×約40mm、約14mm×約60mm、14mm×約80mm、16mm×約20mm、約16mm×約30mm、約16mm×約40mm、約16mm×約60mm、16mm×約80mm、18mm×約20mm、約18mm×約30mm、約18mm×約40mm、約18mm×約60mm、18mm×約80mm、20mm×約20mm、約20mm×約30mm、約20mm×約40mm、約20mm×約60mm、および約20mm×約80mmからの拡張直径×長さの組み合わせを含む。
【0051】
[0056]本明細書で使用する唾液分泌管ステントの例は、直径が約0.5mmから約3mm、長さが約1mmから約40mmのものを含む。
【0052】
[0057]本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示するデバイスおよび関連する方法の開示する実施形態において様々な修正および変形を行うことができることが当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、修正および変形が任意の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入る限り、上記で開示した実施形態の修正および変形を包含することが意図される。
【0053】
[0058]以下は、追加の例示的な実施形態である。
【0054】
[0059]例1は、オーセチックデバイス用の送達デバイスであって、長手方向軸線を有する中空管状拘束デバイスと、拘束デバイス内に長手方向軸線に沿って同心円状に嵌まるようにサイズ設定された長手方向制御デバイスと、拘束デバイスおよび制御デバイスに結合された機構とを備え、制御デバイスの端部が、拘束デバイスの長手方向軸線に沿って拘束デバイスの端部からずらされて、拘束デバイスの端部と制御デバイスの端部との間にチャンバを形成し、チャンバが、オーセチックデバイスを受け入れるように構成され、機構が、チャンバのサイズを拘束デバイスの長手方向軸線に沿って調整するように構成される、送達デバイスである。
【0055】
[0060]例2は、例1、または本明細書のいくつかの他の例の主題を含み、さらに、中心コアを備え、中心コアは、遠位端部に配置された第1の放射線不透過性マーカと、オーセチックデバイスの最終位置に対応する中心コア上の位置に、拘束デデバイスの長手方向軸線に沿って遠位端部から離れて配置された第2の放射線不透過性マーカとを備える。
【0056】
[0061]例3は、例1または2、または本明細書のいくつかの他の例の主題を含み、機構は、拘束デバイスおよび制御デバイスに結合された複数のギヤを備えるユーザ作動機構であり、チャンバのサイズは、ユーザが機構を作動させることに応じて調整される。
【0057】
[0062]例4は、例1~3のいずれか、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、複数のギヤの各々は、ジャッキねじを備え、拘束デバイスおよび制御デバイスは各々、ランナによってジャッキねじのそれぞれ1つに結合される。
【0058】
[0063]例5は、例4、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、拘束デバイスに結合されたジャッキねじは、制御デバイスに結合されたジャッキねじとは異なるねじ山ピッチを有する。
【0059】
[0064]例6は、例5、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、拘束デバイスに結合されたジャッキねじは、制御デバイスに結合されたジャッキねじよりも粗いねじ山ピッチを有する。
【0060】
[0065]例7は、例4~6のいずれか、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、ジャッキねじの各々は、サムホイールの回転がジャッキねじの各々に対応する回転を付与するようにサムホイールに結合される。
【0061】
[0066]例8は、例4から7のいずれか、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、ジャッキねじの各々は、モータに結合される。
【0062】
[0067]例9は、例1もしくは2、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、機構は、拘束デバイスおよび制御デバイスに結合されたばねである。
【0063】
[0068]例10は、例1~9のいずれか、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、制御デバイスは、オーセチックデバイスがチャンバに挿入されたときに少なくとも部分的にオーセチックデバイス内に入る。
【0064】
[0069]例11は、例1~9のいずれか、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、制御デバイスの端部は、オーセチックデバイスがチャンバに挿入されたときにオーセチックデバイスの端部に当接する。
【0065】
[0070]例12は、例1~11のいずれか、または本明細書のいくつかの他の例の主題を含み、オーセチックデバイスはステントである。
【0066】
[0071]例13は、方法であって、送達デバイスの端部に配置されたチャンバにオーセチックデバイスを挿入するステップと、患者内の管状構造内に送達デバイスを配置するステップと、オーセチックデバイスを管状構造内に置くために送達デバイス上の機構を作動させるステップとを含み、チャンバが、制御構造と、制御構造の周りに同心円状に配置された管状拘束構造とによって画定され、制御構造が、拘束構造の端部からずらされてチャンバを形成し、機構は、チャンバのサイズを拘束デバイスの長手方向軸線に沿って調整するように構成される、方法である。
【0067】
[0072]例14は、例13、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、機構は、サムホイールを備え、機構を作動させるステップは、サムホイールを回転させてチャンバのサイズを減少させ、オーセチックデバイスをチャンバから押し出す工程を含む。
【0068】
[0073]例15は、例13もしくは14、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、機構を作動させるステップが、制御構造および拘束構造を同じ方向に移動させ、制御構造は、拘束構造とは異なる速度で移動する。
【0069】
[0074]例16は、例13もしくは14、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、機構を作動させるステップが、制御構造と拘束構造を相反する方向に移動させる。
【0070】
[0075]例17は、例13~16のいずれか、または本明細書の他のいくつかの例の主題を含み、オーセチックデバイスをチャンバに挿入するステップが、オーセチックデバイスの端部を制御構造の端部に当接させる工程を含む。
【0071】
[0076]例18は、例13~16のいずれか、または本明細書の他のいくつかの例の主題、請求項13の方法を含み、オーセチックデバイスをチャンバに挿入するステップが、オーセチックデバイスの一部を制御構造の端部の周りに同心円状に配置する工程を含む。
【国際調査報告】