(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】新規JAK阻害剤化合物、その合成方法、及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 498/14 20060101AFI20231017BHJP
A61K 31/5383 20060101ALI20231017BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231017BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20231017BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231017BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231017BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231017BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20231017BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20231017BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231017BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20231017BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231017BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231017BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20231017BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
C07D498/14
A61K31/5383
A61P43/00 111
A61P31/14
A61P27/02
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P17/06
A61P17/14
A61P17/00
A61P11/06
A61P1/04
A61P35/00
A61P37/06
A61P7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023516538
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 IB2021058266
(87)【国際公開番号】W WO2022054005
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520077229
【氏名又は名称】ガルデルマ ホールディング エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ウヴリー ギレス
(72)【発明者】
【氏名】ムシツキ ブラニスラヴ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ソロー エティエンヌ
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072AA01
4C072BB03
4C072CC03
4C072CC11
4C072EE07
4C072FF03
4C072GG01
4C072HH01
4C072HH07
4C072JJ02
4C072JJ03
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB15
4C086ZC20
(57)【要約】
式(I)を有する新規化合物、並びに疾患、状態、及び障害を治療するためにこれらの化合物を使用する方法を説明する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体であって、
式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
Rが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、-OR
a、-NO
2、-C(O)R
b、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、-SR
a、-S(O)R
b、-S(O)
2R
b、-S(O)NR
cR
d、-S(O)
2NR
cR
d、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-NR
cNR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)R
b、-NR
cNR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)OR
a、-CRcR
dS(O)
2R
b、-CRcR
dS(O)
2NR
cR
d、-OR
a、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である、
式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項2】
式(II)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体であって、
その塩、又はその鏡像異性体、
式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
R
1が、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アラルキルラジカル、置換アラルキルラジカル、アルコキシラジカル、置換アルコキシラジカル、環状アミンラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、複素環式アミンラジカル、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cS(O)R
b、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である、
式(II)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項3】
Yが、Oであり、
R
1が、複素環式ラジカル若しくは置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、又は複素環式アミンラジカルであり、
R
2が、水素原子、低級アルキルラジカル、又はフッ素原子で置換された低級アルキルラジカルであり、
R
cが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカルであり、かつ
nが、0である、
請求項2に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項4】
R
1が、置換複素環式ラジカルであり、ヘテロ原子が、シクロアルキルラジカルで置換される、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項5】
R
1が、NR
cR
dであり、R
c及びR
dの一方が、メチルラジカルであり、他方が、ブテニルラジカルである、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項6】
R
2が、水素原子、低級アルキルラジカル、又はフッ素原子で置換された低級アルキルラジカルである、請求項1に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項7】
R
2が、水素原子である、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項8】
Yが、Oである、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項9】
nが、0である、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項10】
式(IIa)
を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
式(IIb)
を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、1-シクロプロピル-N-((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)アゼチジン-3-スルホンアミドである、請求項2に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項13】
以下の式:
を有する、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
先行請求項のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項15】
JAK産生を伴う疾患、障害、又は状態を治療する方法であって、請求項14に記載の薬学的組成物を対象に投与して、前記対象におけるJAK1の産生を阻害することを含む、方法。
【請求項16】
前記疾患又は障害が、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、白斑、慢性手湿疹、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、骨髄線維症、真性多血症、移植片対宿主病、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、モルフェア/好酸球性筋膜炎、クローン病、喘息、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、アイリック筋膜炎、環状肉芽腫、菌状息肉腫、アトピー性喘息、covid感染症、慢性そう痒、皮膚筋炎、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、炎症性腸疾患、単一遺伝子障害、眼疾患、及びがんからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が、自己免疫及び/又は炎症性皮膚疾患である、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炎症性皮膚疾患が、アトピー性皮膚炎、白斑、慢性手湿疹、及び円形脱毛症炎症性皮膚からなる群から選択される、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患が、アトピー性皮膚炎である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
JAK活性を伴う疾患、障害、又は状態を治療する方法であって、請求項14に記載の薬学的組成物を対象に投与して、前記対象におけるJAK1の活性を阻害することを含む、方法。
【請求項21】
対象におけるJAK1の産生を阻害する方法であって、JAK1を請求項14に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項22】
対象におけるJAK1の活性を阻害する方法であって、JAK1を請求項14に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項23】
JAK1の産生を阻害する方法であって、JAK1を産生する細胞を請求項14に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項24】
JAK1の活性を阻害する方法であって、JAK1を産生する細胞を請求項14に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項25】
対象におけるJAK産生を伴う疾患、障害、又は状態の治療のための医薬品の製造における、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
前記疾患又は障害が、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、白斑、慢性手湿疹、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、骨髄線維症、真性多血症、移植片対宿主病、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、モルフェア/好酸球性筋膜炎、クローン病、喘息、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、アイリック筋膜炎、環状肉芽腫、菌状息肉腫、アトピー性喘息、covid感染症、慢性そう痒、皮膚筋炎、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、炎症性腸疾患、単一遺伝子障害、眼疾患、及びがんからなる群から選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記疾患が、自己免疫及び/又は炎症性皮膚疾患である、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記炎症性皮膚疾患が、アトピー性皮膚炎、白斑、慢性手湿疹、及び円形脱毛症炎症性皮膚からなる群から選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記疾患が、アトピー性皮膚炎である、請求項25に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年9月14日に出願された米国仮出願第63/078054号に対する米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、以下の式(I)の新規化合物:
式(I)の化合物を合成するためのプロセス、並びに疾患、状態、及び障害の治療のための薬学的組成物における式(I)の化合物の使用に関する。本開示の化合物は、ヤヌスキナーゼ(JAK)、特にJAK1の阻害剤として作用する。したがって、これらは、JAK1媒介性疾患、状態、又は障害の治療に使用される。
【背景技術】
【0003】
背景
タンパク質キナーゼ(PK)は、とりわけ、組織修復、細胞成長、生存、臓器形成、血管形成、分化、形態形成、及び再生を含む多様な生物学的プロセスを調節する。タンパク質キナーゼはまた、がんを含む多くのヒト疾患において特化した役割を果たす。サイトカインは、異なる受容体スーパーファミリーへの結合に基づいて分類される多くの構造的に無関係のタンパク質を包含する。サイトカインは細胞の分化、増殖、及び活性化に影響を及ぼし、炎症促進性応答及び抗炎症性応答の両方を調節して、宿主が病原体に適切に反応することを可能にすることができる。I型及びII型サイトカイン受容体は、細胞内シグナル伝達のためにヤヌスキナーゼ(JAK)を用いる受容体のファミリーである[Schwartz,Daniella M et al.Nature reviews.Drug discovery,vol.17,1(2017):78(非特許文献1)]。JAKは、対でシグナル伝達し、シグナル伝達及び転写活性化因子(STAT)の因子を介して膜受容体から細胞核にサイトカインシグナル伝達を伝達する、細胞内細胞質チロシンキナーゼである。JAKは、ほぼ同一の2つのリン酸転移ドメインを有する。一方のドメインはキナーゼ活性を示し、他方は第1のキナーゼ活性を負に調節する(偽キナーゼ)。
【0004】
4種類の異なるJAKが知られている:JAK1、JAK2、JAK3(ヤヌスキナーゼ、白血球、JAKL、及びL-JAKとしても知られている)、及びTYK2(タンパク質-チロシンキナーゼ2)。[Namour,F.,et al.,Clin Pharmacokinet,54,859-874(2015)(非特許文献2)]。各JAKは、因子のサブセットによってシグナル伝達を仲介する主要な役割を有するが、異なるJAKにはいくつかの重複する役割がある可能性がある。例えば、JAK1は、サイトカイン駆動型炎症促進性シグナル伝達を伝達する炎症性疾患、及びJAK媒介性シグナル伝達によって駆動される他の疾患の新規標的である。JAK2は、様々なサイトカインに対してシグナルを発するが、主にエリスロポエチン及びトロンボポエチン(TPO)などの造血成長因子の受容体によって使用される。JAK3は、免疫機能を媒介する主要な役割について研究されているが、Tyk2は、インターロイキン-12及び-23(IL-12及びIL-23)などのサイトカインのシグナル伝達を伝達するためにJAK2又はJAK3と関連して機能する[Pesu,Marko et al.,Immunological reviews,vol.223(2008):132-42(非特許文献3)]。JAK1、JAK2、及びTyk2は多くの細胞型及び組織で発現されるが、JAK-3の発現は造血及びリンパ様前駆細胞に偏っている。
【0005】
JAK1の阻害は、インターロイキン-6(IL-6)及びインターフェロン(IFN)α、β、及びγなどの炎症促進性サイトカインの低減と関連しており、それにより炎症の制御と関連している。アブロシチニブ、ウパダシチニブ、バリシチニブ、トファシチニブ、ルキソリチニブ、デルゴシチニブ、ブレポシチニブ、オクラシチニブ、ペフィシチニブ、及びフェドラチニブなどのJAK阻害剤が既に知られている。しかしながら、多数のこれらの阻害剤は、ファミリーの他の酵素と比較して、JAK1酵素に選択的に作用しない。JAK1の選択的阻害は、JAK2、JAK3、及びTyk2の阻害と関連する有効性の増強及び望ましくない効果の低減につながり得る。例えば、ウパダシチニブ及びバリシチニブの経口剤形は、血栓症、悪性腫瘍(リンパ腫)、及び入院又は死亡につながる重篤な感染症などの重篤な副作用に関する黒枠警告を伴う関節リウマチの治療のために承認されている。これらの経口薬物のいくつかは、他の投与形態のために再評価され別の目的で使用されているが、これらの薬物の全身的な望ましくない効果は依然としてそれらの開発成功の障害である。
【0006】
JAK-STAT経路は、希な単一遺伝性障害からより一般的な複雑な疾患まで、ヒトの健康及び疾患において基本的な役割を果たすことが見出されている。全身的な副作用を排除しながら、JAK1の産生及び活性を選択的に阻害又は低減する薬剤は、自己免疫性、炎症性、及び腫瘍性疾患を含む、JAK1の発現を伴う様々な疾患の治療のための治療標的として非常に関心のあるものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Schwartz,Daniella M et al.Nature reviews.Drug discovery,vol.17,1(2017):78
【非特許文献2】Namour,F.,et al.,Clin Pharmacokinet,54,859-874(2015)
【非特許文献3】Pesu,Marko et al.,Immunological reviews,vol.223(2008):132-42
【発明の概要】
【0008】
概要
本開示は、式(I):
を有する新規化合物、その塩、又はその鏡像異性体
(式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
Rが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、-OR
a、-NO
2、-C(O)R
b、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、-SR
a、-S(O)R
b、-S(O)
2R
b、-S(O)NR
cR
d、-S(O)
2NR
cR
d、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-NR
cNR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)R
b、-NR
cNR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)OR
a、-CRcR
dS(O)
2R
b、-CRcR
dS(O)
2NR
cR
d、-OR
a、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である)を提供する。
【0009】
本開示はまた、式(I)の化合物の塩及び鏡像異性体(薬学的に許容される塩及び鏡像異性体を含む)を提供する。本開示はまた、式(I)の化合物と、担体又は薬学的に許容される担体とを含む、組成物及び薬学的組成物を提供する。
【0010】
本明細書に開示される化合物は、JAK阻害剤、具体的にはJAK1阻害剤である。したがって、本開示は、式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体を含む薬学的組成物、及びJAK1放出と関連する疾患、障害、又は状態の治療のための式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体を使用する方法を提供する。本開示はまた、JAK産生及び/又は活性を伴う疾患、障害、又は状態の治療方法を提供し、方法は、式(I)の化合物を含む薬学的組成物を対象に投与して、対象におけるJAK1の産生及び/又は活性を阻害することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】スタウロスポリン対照試料、化合物E、及びルキソリチニブのJAK1活性(1mM)の濃度対阻害%曲線を図示する。
【
図2】化合物Eの様々な受容体に対するインビトロ結合アッセイのヒストグラムプロットを図示する。
【
図3】ルキソリチニブの様々な受容体に対するインビトロ結合アッセイのヒストグラムプロットを図示する。
【
図4】化合物E及びルキソリチニブのインビトロアセチルコリンエステラーゼ(h)結合アッセイのヒストグラムプロットを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本開示による実施形態は、以下により完全に説明される。しかしながら、本開示の態様は、異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するように提供される。本明細書の説明に使用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、本発明を限定することを意図しない。
【0013】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、本出願及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想的な又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが更に理解されるであろう。以下で明示的に定義されていないが、そのような用語は、それらの共通の意味に従って解釈されるべきである。
【0014】
本明細書の記載で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけであり、本発明を限定することを意図しない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0015】
文脈が別段に指示をしない限り、本明細書に記載の本発明の様々な特徴を任意の組み合わせで使用することができることが具体的に意図されている。更に、本開示はまた、1つ以上の実施形態では、本明細書に記載される任意の特徴又は特徴の組み合わせが除外又は省略され得ることを企図する。例示するために、本明細書が、複合体が構成要素A、B、及びCを含むと述べる場合、A、B、若しくはCのいずれか、又はそれらの組み合わせを、単独で又は任意の組み合わせで省略し、排除することができることが具体的に意図されている。
【0016】
別段に明示的に指示されない限り、全ての特定の実施形態、特徴、及び用語は、列挙された実施形態、特徴、又は用語、及びそれらの生物学的等価物の両方を含むことを意図する。
【0017】
定義
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化する。当業者に明らかではない用語の使用がある場合、それが使用される文脈、例えば、範囲を含む数値指定、例えば、温度、時間、量、及び濃度の前などを所与として、(+)又は(-)10%、5%、又は1%で変化し得る近似を示す。
【0018】
要素を説明する文脈での「a」及び「an」及び「the」という用語、並びに同様の指示語の使用(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)は、本明細書で別段指示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾する場合を除き、単数及び複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段示されない限り、単に、範囲内に含まれる各個別の値を個々に参照する簡略方法として機能することを意図しており、各個別の値は、本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に別段に指示されない限り、又は文脈によって別段に明らかに矛盾する場合を除き、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に実施形態をよりよく明らかにすることを意図するものであり、別段の記載がない限り、特許請求の範囲に限定をもたらすものではない。本明細書におけるいかなる言語も、いかなる非特許請求要素を必須要素として示すものとして解釈されるべきではない。
【0019】
「含む」という表現は、「~を含むが、これらに限定されない」を意味する。例えば、組成物及び方法は、列挙された要素を含むが、他を除外しない。「~から本質的になる」は、記載された目的のための組み合わせにとって任意の本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義されるような要素から本質的になる組成物は、特許請求される発明の基本的及び新規特徴に実質的に影響を与えない他の材料又はステップを排除しないであろう。「からなる」は、他の成分及び実質的な方法ステップの微量を超える要素を除外することを意味するものとする。これらの移行用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0020】
本明細書で使用される場合、「アルキルラジカル」という用語は、1~10個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐飽和炭化水素ベースの鎖を示す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「低級アルキルラジカル」という用語は、1~5個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐飽和炭化水素ベースの鎖を示す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「アルケニルラジカル」という用語は、2~10個の炭素原子を含有し、1つ以上の二重結合を含む直鎖又は分岐不飽和炭化水素ベースの鎖を示す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アルキニルラジカル」という用語は、2~10個の炭素原子を含有し、1つ以上の三重結合を含む直鎖又は分岐不飽和炭化水素ベースの鎖を示す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「置換アルキルラジカル」という用語は、1~10個の炭素原子を含有し、ハロゲン原子、アルコキシラジカル、シクロアルキルラジカル、ヘテロシクリルラジカル、ヘテロアリールラジカル、又はヒドロキシルラジカルなどの1つ以上のラジカル又は原子で置換された直鎖又は分岐飽和炭化水素ベースの鎖を示す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「置換アルケニルラジカル」という用語は、2~10個の炭素原子を含有し、1つ以上の二重結合を含み、ハロゲン原子、アルコキシラジカル、シクロアルキルラジカル、ヘテロシクリルラジカル、ヘテロアリールラジカル、又はヒドロキシルラジカルなどの1つ以上のラジカル又は原子で置換された直鎖又は分岐不飽和炭化水素ベースの鎖を示す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「置換アルキニルラジカル」という用語は、2~10個の炭素原子を含有し、1つ以上の三重結合を含み、ハロゲン原子、アルコキシラジカル、シクロアルキルラジカル、ヘテロシクリルラジカル、ヘテロアリールラジカル、又はヒドロキシルラジカルなどの1つ以上のラジカル又は原子で置換された直鎖又は分岐不飽和炭化水素ベースの鎖を示す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキルラジカル」という用語は、3~7個の炭素原子を含有する環状飽和炭化水素ベースの鎖を示す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「置換シクロアルキルラジカル」という用語は、3~7個の炭素原子を含有し、ハロゲン原子、アルコキシラジカル、ヘテロシクリルラジカル、ヘテロアリールラジカル、及びヒドロキシルラジカルから選択される1つ以上のラジカルで置換された環状飽和炭化水素ベースの鎖を示す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「アリールラジカル」という用語は、芳香族炭化水素ベースの環又は2つの縮合芳香族炭化水素ベースの環を示す。アリールラジカルの例としては、フェニル及びナフチルラジカルが挙げられる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「置換アリールラジカル」という用語は、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロシクリルラジカル、ヘテロアリールラジカル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、又はニトロなどの1つ以上のラジカル又は原子で置換されている、芳香族炭化水素ベースの環又は2つ以上の縮合芳香族炭化水素ベースの環を示す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アラルキルラジカル」という用語は、アリールで置換されたアルキルを示す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「置換アラルキルラジカル」という用語は、1つ以上のラジカル又は原子で置換されたアラルキルを示す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「複素環式ラジカル」という用語は、O、S、及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和、環状又は多環式炭化水素ベースの鎖を示す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「置換複素環式ラジカル」という用語は、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルラジカル、ヘテロアリールラジカル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、又はニトロなどの1つ以上のラジカル又は原子で置換された複素環式ラジカルを示す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリールラジカル」という用語は、O、S、及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む芳香族複素環式ラジカル、すなわち環状又は多環式芳香族炭化水素ベースの鎖を示す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「置換ヘテロアリールラジカル」という用語は、アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、又はニトロなどの1つ以上のラジカル又は原子で置換されたヘテロアリールラジカルを示す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアラルキルラジカル」という用語は、ヘテロアリールラジカルで置換されたアルキルラジカルを示す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「置換ヘテロアラルキルラジカル」という用語は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、又はニトロなどの1つ以上のラジカル又は原子で置換されたヘテロアラルキルラジカルを示す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「アルコキシラジカル」という用語は、アルキルラジカルで置換された酸素原子を示す。アルキルラジカルは、分岐、直鎖、置換、又は非置換であり得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を示す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「アミンラジカル」という用語は、一級、二級、又は三級アミンラジカルであり得る。アミンラジカルは、分岐、直鎖、置換、又は非置換であり得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「置換アミンラジカル」という用語は、1つ以上のラジカル、例えば、炭化水素基で置換されたアミンラジカルを示す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「環状アミン」という用語は、窒素が環構造に組み込まれているラジカルを示す。環状アミンの例は、環状アルキルアミンであり得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「複素環式アミン」という用語は、O、S、又はNなどの1つ以上のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和環状アミンを示す。
【0045】
本明細書全体で使用される場合、「任意」又は「任意に」という用語は、その後に説明される事象又は状況が発生し得るが、発生する必要はなく、説明は、事象又は状況が発生する事例及び発生しない事例を含むことを意味する。
【0046】
「任意に置換された」という用語は、置換又は非置換基を指す。基は、例えば、1、2、3、4、又は5つの置換基などの1つ以上の置換基で置換され得る。
【0047】
本明細書で定義される置換基に加えて、「置換された」は、本明細書で定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、エーテル、又はシクロアリル基(例えば、アルキル基)を指し、その中に含有される水素原子への1つ以上の結合は、非H又は非炭素原子への結合によって置き換えられる。置換された基はまた、炭素又は水素原子への1つ以上の結合が、ヘテロ原子への二重又は三重結合を含む1つ以上の結合によって置き換えられる基を含む。したがって、別段の定めがない限り、置換された基は1つ以上の置換基で置換される。いくつかの実施形態では、置換された基は、1、2、3、4、5、又は6つの置換基で置換されている。置換基の例としては、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、及びI)、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、及びヘテロシクリルアルコキシ基、カルボニル(オキソ)、カルボキシル、エステル、ウレタン、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、アラルコキシアミン、チオール、硫化物、スルホキシド、スルホン、スルホニル、スルホンアミド、アミン、N-酸化物、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アミド、尿素、アミジン、グアニジン、エナミン、イミド、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チオシアネート、イミン、ニトロ基、ニトリル(すなわち、CN)などが挙げられる。全ての置換基は、更に置換され得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「立体異性体」という用語は、鏡像異性体及びジアステレオマーの両方を指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「誘導体」という用語は、その代謝誘導体及びその化学誘導体の両方を意味する。
【0050】
本明細書で使用される場合、患者における疾患の「治療すること」又は「治療」は、(1)疾患の素因があるか、若しくはまだその症状を示さない動物において症状若しくは疾患が発生するのを防止すること、(2)疾患を阻害するか、若しくはその進行を阻止すること、又は(3)疾患若しくは疾患の症状を回復若しくは退行させることを指す。当該技術分野で理解されるように、「治療」は、臨床結果を含む有益な又は所望の結果を得るためのアプローチである。本技術の目的のために、有益な又は所望の結果は、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、1つ以上の症状の緩和又は回復、状態(疾患を含む)の程度の減少、状態(疾患を含む)の安定した(すなわち、悪化しない)段階、状態(疾患を含む)の遅延又は緩徐、状態(疾患を含む)の進行、回復、又は緩和、段階、及び寛解(部分的又は完全な)の1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。一態様では、「治療」という用語は、防止又は予防を除外する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、「患者」と同義に使用され、哺乳動物、又はヒト、ヒツジ、ウシ、ネコ、イヌ、ウマ、サルなどを示す。診断又は治療の対象となる非ヒト動物としては、例えば、サル、マウス、例えば、ラット、マウス、イヌ、ウサギ、家畜、スポーツ動物、及びペットが挙げられる。1つ以上の実施形態では、対象はヒトである。
【0052】
「有効量」は、有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与、適用、又は投薬で投与することができる。そのような送達は、個々の投薬単位が使用される期間、治療薬の生物学的利用能、投与経路などを含むいくつかの変数に依存する。しかしながら、任意の特定の対象について本開示の治療薬の特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、全般的な健康、性別、及び食生活、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、並びに治療される特定の障害の重症度及び投与形態を含む様々な要因に依存することが理解される。一般に、インビボで有効であることが見出される濃度に見合った血清レベルを達成するのに有効な量の化合物を投与することが望まれる。これらの考慮事項、並びに有効な製剤及び投与手順は、当該技術分野で周知であり、標準的な教科書に記載されている。この定義と一致して、及び本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、指定された障害若しくは疾患を治療するのに十分な量、又は代替的に薬理学的応答を得るのに十分な量である。
【0053】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、対象に投与するために安全かつ十分に非毒性であることを指す。非限定的な例として、本発明と関連して使用するために企図されるいくつかの薬学的に許容される塩又はエステルは、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸、又はアミノ酸(塩基性又は酸性アミノ酸)で形成されるものを含む。無機塩基の塩は、例えば、ナトリウム又はカリウムなどのアルカリ金属の塩、カルシウム及びマグネシウム又はアルミニウムなどのアルカリ土類金属、並びにアンモニアであり得る。有機塩基の塩は、例えば、塩トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンであり得る。無機酸の塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、及びリン酸の塩であり得る。有機酸の塩は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸の塩であり得る。四級アンモニウム塩は、例えば、メチル、エチル、プロピル、及びブチルの塩化物、臭化物、及びヨウ化物などの低級アルキルハロゲン化物、硫酸ジアルキル、デシル、ラウリル、ミリスチル、及びステアリルの塩化物、臭化物、及びヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物、並びに臭化ベンジル及び臭化フェネチルなどのアラルキルハロゲン化物との反応によって形成することができる。アミノ酸塩は、例えば、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、スレオニン、チロシン、バリン、シトルリン、又はオルニチンの塩であり得る。
【0054】
本開示は、タンパク質キナーゼ、例えば、酵素ヤヌスキナーゼ(JAK)、具体的には、ヤヌスキナーゼ1(JAK1)酵素の阻害剤として有用な新規化合物を提供する。したがって、これらの新規化合物は、JAK1産生及び/又は活性の阻害又は低減を伴う病理学的状態の治療のための様々な治療薬の潜在的な活性成分である。
【0055】
化合物
JAK/STAT経路は、経路を使用する幅広いエフェクター分子のために、幅広い疾患のための魅力的な治療標的となっている。JAK阻害剤は、経口又は局所投与のいずれかによってサイトカインシグナル伝達を標的とする。既知のJAK阻害剤の有効性及び安全性プロファイルは、これらの薬物の選択性に常に対応しているとは限らない。特に、既知のJAK阻害剤を使用する全身治療は、潜在的な副作用を有し、そのため、多くの経口JAK阻害剤が局所使用のための別の目的で使用されており、副作用を低減している。これらの進展にもかかわらず、疾患の治療のためのより効果的な薬剤の必要性が依然として存在する。我々は、一連のピロロ-ピリジン化合物が強力なJAK1阻害剤であり、したがってJAK1媒介性障害の療法に有用であることを発見した。
【0056】
したがって、本開示の目的は、局所、吸入、及び鼻腔の投与を含む様々な剤形の様々な潜在的適応症の治療に使用するための新規JAK阻害剤化合物、特にJAK1阻害剤化合物を提供することである。いくつかの態様では、本開示は、免疫炎症性障害の局所治療のための局所的な設計によるJAK1阻害剤を提供する。本開示の化合物、組成物、及び方法は、他の局所JAK阻害剤と比較して、局所標準治療よりも高い有効性、低い全身曝露によるより良い安全性を有し、かつ全身作用がなく、革新的な投与スケジュール及び送達方法のために製剤化することができるという点で有利である。本開示の新規化合物、組成物、及び方法は、低い全身曝露で体表面積(BSA)を増加させるように設計される。本開示の化合物及び組成物は、大きな治療指標を示すことができ、有益な治療効果と、JAK阻害と関連する望ましくない全身性副作用の発生との間に広い治療域を提供することが予想される。本開示の新規化合物、組成物、及び方法は、(a)制限された全身曝露による改善された全身安全性プロファイル、(b)皮膚浸透の増強及びJAK1効力の増加による改善された局所有効性、並びに(c)より高い血漿クリアランス及び選択性プロファイルによるより良い局所忍容性及び改善された安全性プロファイルのために設計される。
【0057】
本明細書で提供される式(I)の新規化合物は、良好なJAK1阻害活性を示し、特に、他のJAKファミリーメンバーと比較して、JAK1酵素を選択的に阻害する。したがって、本開示は、以下の式(I):
の化合物、その塩、又はその鏡像異性体
(式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
Rが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、-OR
a、-NO
2、-C(O)R
b、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、-SR
a、-S(O)R
b、-S(O)
2R
b、-S(O)NR
cR
d、-S(O)
2NR
cR
d、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-NR
cNR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)R
b、-NR
cNR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)OR
a、-CRcR
dS(O)
2R
b、-CRcR
dS(O)
2NR
cR
d、-OR
a、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である)を提供する。
【0058】
ある特定の実施形態では、Rは、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、-ORa、-NO2、-C(O)Rb、-C(O)ORa、-C(O)NRcRd、-SRa、-S(O)Rb、-S(O)2Rb、-S(O)NRcRd、-S(O)2NRcRd、-NRcRd、-NRcC(O)Rb、-NRcC(O)NRcRd、-NRcC(O)ORa、-NRcS(O)2Rb、-NRcS(O)2NRcRd、-NRcNRcRd、-NRcNRcC(O)Rb、-NRcNRcC(O)NRcRd、-NRcNRcC(O)ORa、-CRcRdS(O)2Rb、-CRcRdS(O)2NRcRd、-ORa、-OC(O)Rb、又は-OC(O)NRcRdであり得る。ある特定の実施形態では、Rは、-NRcRd、-NRcC(O)Rb、-NRcC(O)NRcRd、-NRcC(O)ORa、-NRcS(O)2Rb、-NRcS(O)2NRcRd、-NRcNRcRd、-NRcNRcC(O)Rb、-NRcNRcC(O)NRcRd、及び-NRcNRcC(O)ORaからなる群から選択され得る。ある特定の実施形態では、Rは、-NRcS(O)2Rb、又は-NRcS(O)2NRcRdである。特定の実施形態では、Rは、-NRcS(O)2Rbである。
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(II):
の化合物、その塩、又はその鏡像異性体
(式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
R
1が、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アラルキルラジカル、置換アラルキルラジカル、アルコキシラジカル、置換アルコキシラジカル、環状アミンラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、複素環式アミンラジカル、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cS(O)R
b、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である)を提供する。
【0060】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(II)の化合物を提供し、式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
R1が、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アラルキルラジカル、置換アラルキルラジカル、アルコキシラジカル、置換アルコキシラジカル、環状アミンラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、複素環式アミンラジカルであり、
R2が、水素原子、低級アルキルラジカル、又はハロゲン原子で置換された低級アルキルラジカルであり、
R3は、水素原子、低級アルキルラジカル、ハロゲン原子で置換された低級アルキルラジカル、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-C(O)ORa、-C(O)NRcRd、-S(O)2Rb、又は-NRcRdであり、
Ra、Rb、Rc、及びRdの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、及びハロアルキルラジカルから選択されるか、又はRc及びRdが、-NRcRdにおけるNと一緒に、複素環式ラジカル、及び置換複素環式ラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である。
【0061】
他の実施形態では、本開示は、式(II)の化合物を提供し、式中、
Yが、Oであり、
R1が、複素環式ラジカル若しくは置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアラクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、又は複素環式アミンラジカルであり、
R2が、水素原子、低級アルキルラジカル、又はフッ素原子で置換された低級アルキルラジカルであり、
Rcが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカルであり、かつ
nが、0である。
【0062】
ある特定の実施形態では、R1が、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アラルキルラジカル、置換アラルキルラジカル、アルコキシラジカル、置換アルコキシラジカル、環状アミンラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、複素環式アミンラジカル、-NRcRd、-NRcC(O)Rb、-NRcC(O)ORa、-NRcC(O)NRcRd、-NRcS(O)Rb、-NRcS(O)2Rb、-NRcS(O)2NRcRd、-OC(O)Rb、又は-OC(O)NRcRdであり得る。ある特定の実施形態では、R1が、複素環式ラジカル若しくは置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、又は複素環式アミンラジカルであり得る。ある特定の実施形態では、R1が、複素環式ラジカル又は置換複素環式ラジカルであり得る。ある特定の実施形態では、R1が、シクロアルキルラジカル又は置換シクロアルキルラジカルのうちの1つ以上で置換された複素環式ラジカルである。ある特定の実施形態では、R1が、シクロアルキルラジカル又は置換シクロアルキルラジカルのうちの1つ以上で置換された複素環式ラジカルである。ある特定の実施形態では、R1が、置換複素環式ラジカルであり、ヘテロ原子は、1つ以上のシクロアルキルラジカルで置換される。ある特定の実施形態では、R1が、置換複素環式ラジカルであり、ヘテロ原子は、シクロアルキルラジカルで置換される。ある特定の実施形態において、R1が、シクロプロピルラジカルで置換されたアゼチジニルラジカルである。ある特定の実施形態では、R1が、1-シクロプロイルアゼチジニルラジカルである。
【0063】
ある特定の実施形態では、R2が、水素原子、低級アルキルラジカル、又はフッ素原子で置換された低級アルキルラジカルであり得る。ある特定の実施形態では、R2が、C1-C5アルキルラジカル又はフッ素原子で置換されたC1-C5アルキルラジカルであり得る。ある特定の実施形態では、R2が、水素原子、メチルラジカル、エチルラジカル、又は-CF3である。ある特定の実施形態では、R2が、水素原子である。
【0064】
ある特定の実施形態では、R3が、水素原子、低級アルキルラジカル、ハロゲン原子で置換された低級アルキルラジカル、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-C(O)ORa、-C(O)NRcRd、-S(O)2Rb、又は-NRcRdであり得る。ある特定の実施形態では、R3が、水素原子である。
【0065】
ある特定の実施形態では、nは、0、1、又は2である。ある特定の実施形態では、nは、0又は1である。ある特定の実施形態では、nは、0である。
【0066】
ある特定の実施形態では、Yが、O、S、N、又は-CHである。ある特定の実施形態では、Yが、O、S、又は-CHである。ある特定の実施形態では、Yが、O、N、又は-CHである。ある特定の実施形態では、Yが、O、S、又はNである。特定の実施形態では、Yが、O又はSである。特定の実施形態では、Yが、O又はNである。特定の実施形態では、Yが、O又は-CHである。ある特定の実施形態では、Yが、Oである。
【0067】
ある特定の実施形態では、R2が、水素原子であり得る。そのような場合、いくつかの実施形態では、R1が、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アラルキルラジカル、置換アラルキルラジカル、アルコキシラジカル、置換アルコキシラジカル、環状アミンラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、複素環式アミンラジカル、-NRcRd、-NRcC(O)Rb、-NRcC(O)ORa、-NRcC(O)NRcRd、-NRcS(O)Rb、-NRcS(O)2Rb、-NRcS(O)2NRcRd、-OC(O)Rb、又は-OC(O)NRcRdであり得る。ある特定の実施形態では、R1が、複素環式ラジカル若しくは置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、又は複素環式アミンラジカルであり得る。ある特定の実施形態では、R1が、複素環式ラジカル又は置換複素環式ラジカルであり得る。ある特定の実施形態では、R1が、シクロアルキルラジカル又は置換シクロアルキルラジカルのうちの1つ以上で置換された複素環式ラジカルである。ある特定の実施形態では、R1が、シクロアルキルラジカル又は置換シクロアルキルラジカルのうちの1つ以上で置換された複素環式ラジカルである。
【0068】
ある特定の実施形態では、nが0である場合、R2が水素原子であり得る。そのような場合、R1が、複素環式ラジカル又は置換複素環式ラジカルである。
【0069】
別の態様では、本開示は、以下の式(IIa):
の化合物、その塩、又はその鏡像異性体
(式中、R
1及びR
2が、式(II)の化合物について定義されたとおりである)を提供する。
【0070】
別の態様では、本開示は、以下の式(IIb):
の化合物、その塩、又はその鏡像異性体
(式中、R
1、R
3、及びnが、式(II)の化合物について定義されたとおりである)を提供する。
【0071】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下の化合物E:
、その塩、又はその鏡像異性体である。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物の塩を提供する。更に、塩は、式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物の薬学的及び/又は生理学的に許容される塩である。更に、本開示は、式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物の鏡像異性体、特に薬学的に許容される鏡像異性体を提供する。
【0073】
本開示は、式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物自体だけでなく、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、エステル、アミド、立体異性体、誘導体、多形、及びプロドラッグ、並びにその様々な結晶及び非晶質の形態も提供する。薬学的に許容される塩としては、上で特定されるような、薬学的に許容される酸で形成される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物の塩、及び薬学的に許容される塩基で形成される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物の塩を挙げることができる。
【0074】
組成物
本明細書では、式(I)、式(II)、式(IIa)、若しくは式(IIb)の化合物又はそれらの等価物を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる薬学的組成物が提供される。任意の実施形態では、本開示は、本明細書に記載される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物のうちの1つ以上と、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とを含む、薬学的組成物を提供する。任意の実施形態では、薬学的組成物は、治療有効量の式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む。好適な薬学的担体及び賦形剤としては、薬学的に許容され、選択された投与方法と適合性であるものが挙げられる。本明細書に記載の薬学的組成物は、当業者に既知の様々な担体又は賦形剤を含有し得る。
【0075】
好適な薬学的に許容される賦形剤及び担体は、当業者に一般に既知であり、したがって、本開示に含まれる。本開示の式(I)の化合物又はその等価物の薬学的組成物は、標準方法に従い、Remington’s Pharmaceutical Science,Mark Publishing Co.,New Jersey(1991)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載される賦形剤及び担体を使用して、製剤として調製することができる。例示的な担体又は賦形剤としては、軟化剤、軟膏基剤、乳化剤(emulsifying agent)、可溶化剤、保水剤、増粘剤又はゲル化剤、湿潤剤、テクスチャエンハンサー、安定剤、pH調整剤、浸透圧調整剤、乳化剤(emulsifier)、UV-A及びUV-B遮断剤、防腐剤、透過促進剤、キレート剤、酸化防止剤、酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝剤、及びビヒクル又は溶媒を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0076】
薬学的組成物は、例えば、経口、局所、静脈内、直腸、口腔、鼻腔内、及び経皮経路を含む、同様の有用性を有する薬剤の受け入れられる投与モードのいずれかによって、動脈内注射によって、腹腔内、非経口、皮下、筋肉内に、吸入剤として、又はステントなどの含浸性若しくはコーティングされたデバイスを介して、単回又は複数回用量のいずれかで投与され得る。本開示の薬学的組成物は、好ましくは局所投与される。具体的には、薬学的組成物は、局所適用によって対象又は患者に投与される。組成物は、主に経口、眼、又は膣内使用のために設計されていない場合があるが、他の投与方法が企図される。
【0077】
本明細書の任意の実施形態の薬学的組成物は、局所投与又は本明細書で考察される経路のいずれかのために製剤化され得る。1つ以上の実施形態では、式(I)、式(II)、式(IIa)、若しくは式(IIb)の化合物又はそれらの等価物の薬学的組成物は、局所投与のための組成物として製剤化され得る。本開示の薬学的組成物は、皮膚及び粘膜の局所治療に特に好適であり、軟膏、クリーム、ミルク、ポマード、粉末、含浸パッド、溶液、ゲル、ゲル-クリーム、スプレー、ローション、フォーム、又は懸濁液の形態であり得る。1つ以上の実施形態では、組成物は、微小球若しくはナノ球体の懸濁液、又は脂質若しくはポリマー小胞の懸濁液、又は制御放出のためのポリマーパッチ及びヒドロゲルの形態であり得る。局所適用のためのこれらの組成物は、無水形態、水性形態、又はエマルションの形態であってもよい。1つ以上の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、クリーム、ゲル、ゲル-クリーム、又はローションの形態である。
【0078】
本開示は、JAK1媒介性疾患、状態、又は障害の治療のための、式(l)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)のうちの1つ以上の化合物を含む、組成物、特に医薬及び美容組成物を提供する。本開示は、化合物がJAK1酵素阻害活性を有する医薬又は美容組成物を調製するための、式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)のうちの少なくとも1つの化合物の使用を提供する。
【0079】
治療方法
研究は、自己免疫及び炎症性疾患を治療するためのJAK-STATシグナル伝達を標的とするための論理的根拠を提供する、免疫系の恒常性におけるJAK及びSTATの重要性を示している。JAK1は、ある特定のI型及びII型サイトカインのシグナル伝達に必須のヒトチロシンキナーゼタンパク質である。それは、IL-2受容体ファミリー(例えば、IL-2R、IL-7R、IL-9R、及びIL-15R)、IL-4受容体ファミリー(例えば、IL-4R及びIL-13R)、gp130受容体ファミリー(例えば、IL-6R、IL-11R、LIF-R、OSM-R、カルジオトロフィン-1受容体(CT-1R)、毛様体神経栄養因子受容体(CNTF-R)、ニューロトロフィン-1受容体(NNT-1R)、及びレプチン-R)からのシグナルを誘発するために、I型サイトカイン受容体の共通ガンマ鎖(γc)と相互作用する。それは、I型(IFN-α/β)及びII型(IFN-γ)インターフェロン、並びにII型サイトカイン受容体を介してIL-10ファミリーのメンバーによるシグナルの形質導入にも重要である。JAK1は、複数の主要なサイトカイン受容体ファミリーへの応答を開始する際に重要な役割を果たし、アレルギー性、炎症性、及び自己免疫障害の発症の根底にある。特に、JAK1は、炎症性を有する多くの病理学的状態において役割を果たすことが知られているいくつかの炎症促進性サイトカインのシグナル伝達において主要な役割を果たす。
【0080】
したがって、一態様では、調節解除されたタンパク質キナーゼ活性、特にJAK活性、及びより具体的にはJAK1活性によって引き起こされる、及び/又はそれと関連する疾患を治療するための方法が提供され、方法には、有効量の上記で定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)で表される置換ピロロ-ピリジン化合物を、それを必要とする対象に投与することが含まれる。
【0081】
別の態様では、本開示は、JAK1放出と関連する病理学的疾患、状態、及び障害の治療のための、上記で定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の少なくとも1つの化合物の使用を提供する。式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)のJAK1阻害剤は、JAK1産生を減少させる。その結果、JAK1阻害剤は、JAK1放出と関連する病理学的状態、疾患、又は障害の治療に有用である。
【0082】
一態様では、本開示は、JAK1酵素を阻害することによって改善される病理学的疾患、状態、又は障害の治療のために、上記で定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の1つ以上の化合物の使用を提供する。1つ以上の化合物は、JAK1媒介性疾患、障害、又は状態の治療のために製剤化された医薬又は美容組成物中に存在し得る。
【0083】
本開示は、式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を含む医薬又は美容組成物を、JAK1阻害剤として、したがって、JAK1産生の阻害剤として投与又は適用することを含む、治療的(ヒト又は動物)又は美容的治療方法を提供する。本明細書で提供される方法を使用して、哺乳動物、特にヒトを治療することができる。
【0084】
本開示は、JAK1産生と関連する病理学的疾患、状態、又は障害の治療のために、上記で定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の1つ以上の化合物を使用する方法を提供する。
【0085】
別の態様では、本開示はまた、上記で定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を、JAK1の産生及び/又は活性の低減が所望される病理学的疾患、状態、又は障害の治療を目的とする医薬品を調製するために使用する方法に関する。
【0086】
本明細書に開示される化合物は、JAK1の産生及び/又は活性の低減が重要である疾患、障害、又は状態の治療及び予防に特に好適である。以下に非限定的に列挙されるこれらの病理学的状態は、例えば、関節リウマチ(RA)、アトピー性皮膚炎(AD)、円形脱毛症、白斑、慢性手湿疹、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、骨髄線維症、真性多血症、移植片対宿主病(GVHD)、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、モルフェア(局所性強皮症)/好酸球性筋膜炎、クローン病、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、(慢性)皮膚エリテマトーデス、アイリック筋膜炎、環状肉芽腫、菌状息肉腫、アトピー性喘息、COVID感染症、慢性そう痒、皮膚筋炎、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、炎症性腸疾患、単一遺伝子障害、眼疾患、及びがんである。
【0087】
本開示は、JAK1が関与する炎症性を有する病理学的状態の治療を目的とする医薬品を調製するために、上記に定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を使用する方法を提供する。本開示は、自己免疫及び/又は炎症性皮膚障害、例えば、アトピー性皮膚炎、白斑、慢性手湿疹、及び円形脱毛症の治療を目的とする医薬品を調製するために、上記に定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を使用する方法を提供する。本開示はまた、アトピー性皮膚炎の治療を目的とする医薬品を調製するために、上記に定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を使用する方法を提供する。
【0088】
本開示はまた、アトピー性皮膚炎の治療を目的とする医薬品を調製するために、上記に定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を使用する方法を提供する。本明細書に記載のJAK1阻害剤化合物は、例えば、IL-4、IL-5、IL-13、IL-31、及びIL-22などのアトピー性皮膚炎の病態生理学に関与する主なサイトカインからのシグナル伝達を媒介し得る。
【0089】
本開示はまた、JAK依存性サイトカインを伴う様々な病因を有する皮膚状態である慢性手湿疹の治療を目的とする医薬品を調製するために、上記に定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を使用する方法を提供する。
【0090】
本開示はまた、円形脱毛症の治療を目的とする医薬品を調製するために、上記に定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を使用する方法を提供する。JAK1/2/3の過剰発現は、円形脱毛症の患者の皮膚において観察されている。細胞傷害性NKG2D発現CD8+T細胞は、円形脱毛症の中心であることが示されており、毛包におけるIL-15の上方調節、及び最終的に、攻撃のために毛包を標的とするIFN-gの産生を引き起こす。IFNgは主に、JAK1/2及びIL15を介して、主にJAK1/3を介してシグナルを伝達する。JAK阻害剤(経口及び局所)は、円形脱毛症のいくつかの動物モデルにおいて、IFNシグネチャーを排除し、疾患を逆転させることが示されている。
【0091】
本開示はまた、白斑の治療を目的とする医薬品を調製するために、上記に定義される式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を使用する方法を提供する。白斑の病因は細胞媒介免疫を介したメラノサイトの破壊を伴い、研究はIFN-γ及びCD8+T細胞がこのプロセスにおいて重要な役割を果たすことを示す。特に、病変皮膚に強いIFN-γ特異的TH1サイトカインシグネチャーが存在し、関連するサイトカインCXCL9及びCXCL10の上方調節を伴う。本明細書に記載のJAK1阻害剤化合物は、IFNgシグナル伝達を媒介し得る。
【0092】
有効量の式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を、1回以上の投与、適用、又は投薬で投与することができる。そのような送達は、個々の投薬単位が使用される期間、治療薬の生物学的利用能、投与経路などを含むいくつかの変数に依存する。しかしながら、任意の特定の対象について本開示の治療薬の特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、全般的な健康、性別、及び食生活、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、並びに治療される特定の障害の重症度及び投与形態を含む様々な要因に依存することが理解される。治療投薬量は一般に、安全性及び有効性を最適化するために滴定され得る。投薬量は、医師によって決定され、必要に応じて、治療の観察された効果に合わせて調整することができる。
【0093】
1つ以上の実施形態では、式(I)、式(II)、式(IIa)、又は式(IIb)の化合物を、1日3回、1日2回、1日1回、隔日、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、年に2回、年に1回、又はこれらの値のうちの任意の2つを含む、及び/若しくはその間の任意の範囲、並びに/又は必要に応じて投与される。
【0094】
治療は、患者及び療法に応じて、期間が異なる。したがって、治療期間は数日から数年まで続く可能性がある。1つ以上の実施形態では、治療期間は、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約10週間、約20週間、約30週間、約36週間、約40週間、約48週間、約50週間、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、又はこれらの値のうちの任意の2つを含む、及び/若しくはその間の任意の範囲、並びに/又は必要に応じてである。
【0095】
本開示は、良好なJAK1阻害活性を示す化合物を提供し、特に、それらは、他のJAKと比較して、JAK1酵素を選択的に阻害する。このJAK1酵素阻害活性を、酵素アッセイで測定し、IC50(JAK1酵素の50%阻害を得るために必要な阻害濃度)の測定によって定量化する。本明細書に提供される化合物は、JAK1に対して10μM以下、より具体的には1μM以下のIC50を有する。有利には、本明細書に記載の化合物は、JAK1に対して0.5μM以下のIC50を有する。有利には、これらの化合物は、他のJAKと比較してJAK1に対して選択的であり、それらの阻害活性は、他のJAKよりもJAK1に対して少なくとも10倍高く(すなわち、JAK1のIC50値は、他のJAKよりも少なくとも10倍小さい)、より有利には、少なくとも100倍高い。
【0096】
調製方法
本技術はまた、本明細書に開示される化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、エステル、アミド、立体異性体、誘導体、多形、プロドラッグ、及び結晶又は非晶質形態の調製も包含する。本明細書の反応スキームのうちのいずれかに記載される化合物のいずれか又は全ては、当業者に既知の適切な条件下で、無機若しくは有機酸、又は無機若しくは有機塩基との反応によって薬学的に許容される塩に変換され得る。薬学的に許容されるエステル及びアミドは、それぞれ、ヒドロキシ又はアミノ官能基を、上で特定されるような薬学的に許容される有機酸と反応させることによって調製することができる。プロドラッグは、化学的に修飾され、その作用部位で生物学的に不活性であり得るが、1つ以上の酵素又は他のインビボプロセスによって親生理活性形態に分解又は修飾される薬物である。一般に、プロドラッグは、例えば、より容易に吸収される、より良好な塩形成若しくは可溶性を有する、及び/又はより良好な全身安定性を有するように、親薬物とは異なる薬物動態プロファイルを有する。
【0097】
本明細書に記載のJAK1阻害剤化合物は、有機化学の技術分野で周知の方法によって調製することができる。これらの化合物の合成のために使用される出発材料は、合成されるか、又は限定されないが、Sigma-Aldrich Companyなどの商業的供給源から得られるかのいずれかであり得る。記載の化合物及び異なる置換基を有する他の関連する化合物は、任意に、例えば、Fieser&Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1-17(John Wiley and Sons,1991)、Organic Reactions,Volumes 1-40(John Wiley and Sons,1991)、Larock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)、March,Advanced Organic Chemistry 4th Ed.,(Wiley 1992)、Carey&Sundberg,Advanced Organic Chemistry 4th Ed.,Vols.A and B(Plenum 2000,2001)、及びGreen&Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Ed.,(Wiley 1999)(これらの全ては、そのような開示のために参照により組み込まれる)にあるような技術などを使用して合成される。本明細書に記載される化合物の調製のための一般的な方法は、本明細書に提供される式中に見出される様々な部分の導入のために、適切な試薬及び条件の使用によって修飾される。本明細書に記載の合成手順は、特に当技術分野の一般的な知識とともに行われる場合、本発明の化合物の合成、単離、及び精製を行うための十分なガイダンスを当業者に提供する。更に、これらの実施形態及び実施例の個々の特徴は、1つ以上の他の実施形態又は実施例の特徴と組み合わせることができることが企図される。
【0098】
また、以下に記載されるプロセスにおいて、中間体化合物の官能基が好適な保護基によって保護される必要があり得ることも、当業者によって理解される。保護基は、当業者に既知である標準的な技法に従って、また本明細書に記載されるように、付加又は除去され得る。保護基の使用は、Green,T.W.and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis(1999),3rd Ed.,Wileyに詳細に記載されている。
【0099】
加えて、本明細書に開示される反応スキームのいずれかの時点において、そのように形成される出発材料、中間体、又は産物は、個々の鏡像異性体又はジアステレオマーが、立体異性的に実質的に純粋な形態である出発材料、中間体、又は産物に分離される分解プロセスを受けることができる。次いで、これらの個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、又はそれらの混合物を、本明細書の反応スキームのいずれかに開示される方法で使用して、式(I)、式(II)、式(IIa)、若しくは式(IIb)の化合物、又はそれらの等価物若しくはそれらの混合物の立体異性体的に実質的に純粋な形態を調製することができる。ラセミ体又は他の立体異性体混合物の分解方法は、当該技術分野で周知である(例えば、E.L.Eliel and S.H.Wilen,in Stereochemistry of Organic Compounds;John Wiley&Sons:New York,1994;Chapter 7、及びそこで引用される参考文献)。
【0100】
以下の実施例は、本明細書で提供される例示的な化合物のための例示的な方法を図示する。これらの実施例は、本開示の範囲を限定するものとして意図されておらず、また解釈されるべきでもない。本方法は、本明細書に具体的に記載される以外の方法、及び本明細書に記載の属の範囲内の他の化合物について実施され得ることは明らかであろう。本明細書の教示を考慮すると、多数の修正及び変形が可能であり、したがって、本開示の範囲内である。
【実施例】
【0101】
様々な実施形態は、本開示をそれに限定することを決して意図しない以下の実施例によって更に明確にされる。
【0102】
【0103】
化合物の調製のための一般的な方法
式(I)の代表的な化合物を合成し、以下に記載されるように特徴付けた。
【0104】
実施例1:化合物E(CD14896)の調製
化合物Eを、以下のスキームに従って合成した。
スキーム1
【0105】
ステップA:5-(2-ブロモエトキシ)-4-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(2)
0℃でTHF(175mL)中のトリフェニルホスフィン(19.4g、73.95mmol)の撹拌溶液に、DTAD(17.0g、73.95mmol)を加え、混合物を0℃で1.5時間撹拌した。得られたベタインの沈殿物を形成させ、次いで、THF(90mL)中の4-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-オール(9.0g、59.16mmol)及び2-ブロモエタノール(9.24g、73.95mmol)の懸濁液を0℃で滴下して加え、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、MTBE(150mL)中に取り入れた。トリフェニルホスフィンオキシドを沈殿させ、濾過によって除去し、濾液を蒸発させて、オレンジ色の固体を得た。粗物質を、シクロヘキサン中0~30%の勾配のEtOAcで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(12.7g、83%)を白色固体として得た。
【0106】
1H NMR(CDCl3)δ 9.75(s,1H),8.27(d,1H),7.34(s,1H),6.62(s,1H),4.44(t,J=6.5Hz,2H),3.66(t,J=6.5Hz,2H).MS(ESI):m/z=259,261[M+H]+
【0107】
ステップB:tert-ブチル((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)カルバメート(4)
NMP(35mL)中の5-(2-ブロモエトキシ)-4-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(3.89g、15.01mmol)の撹拌溶液に、tert-ブチル((シス)-3-アミノシクロブチル)カルバメート(3)(4.19g、22.52mmol)、及びDIPEA(5.23mL、30.03mmol)を加え、反応混合物を60℃で22時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、EtOAc(200mL)で希釈し、水(2×100mL)及びブライン(2×80mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物をオレンジ色の油として得た。粗物質を、DCM中MeOHの勾配(0~5%)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(4)をクリーム色の固体として得た(3.39g、66%)。
【0108】
1H NMR(CDCl3)δ 10.56(s,1H),7.78(s,1H),7.13(d,J=3.7Hz,1H),6.48(d,J=3.7Hz,1H),4.82(s,1H),4.67(tt,J=9.8,7.2Hz,1H),4.20-4.13(m,2H),3.86(s,1H),3.56(t,J=4.5Hz,2H),2.69(tdt,J=9.8,7.2,2.7Hz,2H),2.23(d,J=10.5Hz,2H),1.45(s,9H).MS(ESI):m/z=345[M+H]+
【0109】
ステップC:(シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブタン-1-アミンジヒドロクロリド(5)
ジオキサン(40mL)中のtert-ブチル((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)カルバメート(3.39g、9.84mmol)撹拌溶液に、ジオキサン中のHCl 4M(49mL、197mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空下で濃縮して乾燥させ、表題化合物(3.10g、99%)を白色固体として得た。
【0110】
1H NMR(DMSO-d6)δ 14.09(s,1H),12.30(s,1H),8.59-8.54(br s,3H),7.86(s,1H),7.37(d,J=3.7Hz,2H),6.96(d,J=3.7Hz,2H),4.89(p,J=8.4Hz,1H),4.22(t,J=4.6Hz,2H),4.00(m,2H),3.89(m,1H),2.76-2.66(m,2H),2.59-2.51(m,2H).MS(ESI):m/z=245[M+H]+
【0111】
ステップD:ベンジル3-(N-((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)スルファモイル)アゼチジン-1-カルボキシレート(6)
DMF(98mL)中の6(3.10g、9.77mmol)の撹拌懸濁液に、DIPEA(8.51mL、48.9mmol)を加え、溶液を得て、DMF(11mL)中のベンジル3-(クロロスルホニル)アゼチジン-1-カルボキシレート(7)(2.97g、10.26mmol)を素早く加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。水を加え、水層をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4下で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗生成物をオレンジ色の油として得た。粗物質を、DCM中0~10%MeOHの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(6)(3.96g、81%)をオレンジ色の固体として得た。
【0112】
1H NMR(CDCl3)δ 9.42(s,1H),7.74(s,1H),7.35-7.26(m,5H),7.18(s,1H),7.10(d,J=3.7Hz,1H),6.42(d,J=3.7Hz,1H),5.09(s,2H),4.60(p,J=8.4Hz,1H),4.28(m,4H),4.17-4.07(m,2H),3.98(p,J=6.8Hz,1H),3.79(m,1H),3.41(m,2H),2.69(m,2H),2.24(m,2H).MS(ESI):m/z=498[M+H]+
【0113】
ステップE:N-((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)-アゼチジン-3-スルホンアミド(8)
EtOH(74mL)中のベンジル3-(N-((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)スルファモイル)アゼチジン-1-カルボキシレート(3.66g、7.36mmol)の溶液を、Arでフラッシュした後、20%Pd(OH)2/C(775mg)を加えた。反応容器をH2で再充填し、反応物を80℃で5時間撹拌した。混合物をセライトのパッドを通して濾過し、セライトを、EtOH(100mL)及びEtOH/DCM 50:50の混合物(20mL)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮して乾燥させ、表題化合物(2.74g、99%)を黄色の固体として得た。
【0114】
1H NMR(DMSO-d6)δ 11.98(s,1H),8.12(d,J=9.0Hz,1H),7.82(s,1H),7.33(d,J=3.6Hz,1H),6.87(d,J=3.7Hz,1H),4.78-4.65(m,1H),4.42-4.31(m,3H),4.27-4.23(m,2H),4.19-4.07(m,2H),3.73(重複するシグナル,3H),2.65(m,2H),2.34(qd,J=9.1,2.4Hz,2H).MS(ESI):m/z=364[M+H]+
【0115】
ステップF:1-シクロプロピル-N-((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)アゼチジン-3-スルホンアミド(化合物E)
N-((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)アゼチジン-3-スルホンアミド(1.2g、3.30mmol)、乾燥MeOH(21mL)、分子ふるい3Å(141mg)、及び((1-エトキシシクロプロピル)オキシ)トリメチルシラン(1.06mL、5.28mmol)を、密封性反応容器内で合わせた。容器をアルゴンでパージし、AcOH(944μL、16.51mmol)を加えた。容器を密封し、80℃で2時間加熱した。混合物を室温に冷却した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(518mg、8.25mmol)を加えた。容器を再密封し、40℃まで1.5時間ゆっくりと加熱した。更に、NaBH3CN(260mg、4.16mmol)を加え、反応混合物を48時間撹拌した。粗混合物をセライトで濾過し、メタノールで洗浄した。濾液を濃縮し、残留物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液中に取り入れた。得られた溶液をCHCl3/iPrOHで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物をクリーム色の粉末として得た。粗物質を、シクロヘキサン/(EtOAc/EtOH 3:1)の20:80~80:20の勾配で、最後にEtOAc/EtOH(3:1)100%)の混合物で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、精製生成物を得た。得られた固体をEtOH(10mL)中に懸濁し、混合物を超音波処理して、濾過により収集した沈殿物を得、冷EtOHで洗浄し、粉末を真空下で一定重量まで乾燥させて、表題化合物(0.661g、48%)を白色固体として得た。
【0116】
1H NMR(DMSO-d6)δ 11.15(s,1H),7.63-7.54(m,2H),7.16(dd,J=3.6,2.2Hz,1H),6.55(dd,J=3.7,1.5Hz,1H),4.59(tt,J=9.6,7.3Hz,1H),4.09(dd,J=5.2,3.7Hz,2H),3.98-3.86(m,1H),3.69-3.56(m,1H),3.53(m,2H),3.51-3.45(m,2H),3.39(dd,J=8.1,6.8Hz,2H),2.58-2.51(m,2H),2.23(qd,J=9.0,2.7Hz,2H),1.92(tt,J=6.7,3.5Hz,1H),0.40-0.30(m,2H),0.24-0.16(m,2H).MS(ESI):m/z=404[M+H]+.
【0117】
化合物Eの調製に使用されるベンジル3-(クロロスルホニル)アゼチジン-1-カルボキシレート(7)を、以下のスキームに従って調製した:
スキーム2
【0118】
ステップA:ベンジル3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート(9)
無水THF(720mL)及びH2O(360mL)中のアゼチジン-3-オールハイドロクロライド(8)(60g、547.7mmol)の溶液に、K2CO3(151g、1095mmol)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで0℃に冷却した。次いで、CbzCl(97g、569.6mmol)をゆっくりと加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を濾過した。溶媒を真空除去し、残留物をEtOAc(500mL)及びH2O(300mL)に取り入れた。有機層を分離した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、化合物9をオフホワイトの固体として得た(110g、96%)。
【0119】
1H NMR(CDCl3)δ 7.36(m,5H),5.09(s,2H),4.61(m,1H),4.23(m,2H,3.88(m,2H),2.55(d,1H).MS(ESI):m/z=208[M+H]+
【0120】
ステップB:ベンジル3-((メチルスルホニル)オキシ)アゼチジン-1-カルボキシレート(10)
無水DCM(500mL)中の9(110g、530.89mmol)の溶液に、TEA(53.7g、531mmol)を加えた。混合物を0℃に冷却し、MsCl(63.8g、557.43mmol)を滴下して加えた。混合物をN2保護下、0℃で30分間撹拌した。水(300mL)を混合物に加えた。有機層を分離した。合わせた有機層を水性NaHCO3(300mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、化合物10をオフホワイトの固体として得た(140g、92%)。
【0121】
1H NMR(CDCl3)δ 7.35(m,5H),5.23(m,1H),5.11(s,2H),4.36(m,2H),4.18(m,2H),3.06(s,3H).MS(ESI):m/z=286[M+H]+
【0122】
ステップC:ベンジル3-(アセチルチオ)アゼチジン-1-カルボキシレート(11)
無水DMF(1300mL)中の化合物10(140g、490.69mmol)の溶液に、カリウムチオアセテート(140.1g、1226.74mmol)を加えた。混合物をN2保護下、80℃で一晩撹拌した。反応物を室温に冷却し、水(1L)に注いだ。水層をEtOAc(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)により精製して、11をオフホワイトの固体として得た(70g、53%)。
【0123】
1H NMR(CDCl3)δ 7.34(m,5H),5.09(s,2H),4.45(m,2H),4.21(m,1H),3.90(m,2H),2.33(s,3H).MS(ESI):m/z=266[M+H]+
【0124】
ステップD:ベンジル3-(クロロスルホニル)アゼチジン-1-カルボキシレート(7)
無水MeCN(800mL)及び濃HCl(209mL)の混合物中のNCS(130.8g、979.91mmol)の溶液を、室温で30分間撹拌した。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、MeCN(200mL)中の化合物11(65g、244.98mmol)の溶液を混合物にゆっくりと加えた。混合物をN2保護下、0oCで30分間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、DCM(3*200mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)により精製して、化合物7を白色固体(53g、74%)として得た。
【0125】
1H NMR(CDCl3)δ 7.35(m,5H),5.13(s,2H),4.54(m,1H),4.44(m,4H).MS(ESI):m/z=291[M+H]+.
【0126】
他の化合物も同様に、適切な中間化合物を使用して調製することができる。
【0127】
生物学的アッセイ
例示的な生物学的アッセイを以下に記載し、結果を表1に要約する。
【0128】
実施例2:インビトロ酵素アッセイ
組換え酵素、ビオチン化基質、及びATPを使用したキナーゼアッセイを、製造業者(Cisbio)によって記載されるように行った。低容積のProxiPlate 384ウェルプレート(Perkin Elmer、6008280)を使用して、キナーゼ反応を10μL容量で行った。1×キナーゼ反応緩衝液(KRB)は、50mM TRIS(pH8.0)、0.01%のTween 20、10mMのMgCl2、及び2mM DTTからなった。組換えJAK1(Life Technologies、PV4775)、JAK2(Life Techonolgies、PV4210)、JAK3(Life Technologies、PV3855)、及びTyk2酵素(Life Technologies、PR8440C)を、それぞれ2.7nM、2pM、24pM、及び350pMの最終濃度で使用した。これらのJAKタンパク質の量を、経時的な初期速度及び直線性を確実にするように決定した。酵素緩衝液を、25%グリセロール及び250nM SEB(Cisbio)を1Xキナーゼ反応緩衝液に添加することによって調製した。簡潔に述べると、各ウェルに、4μlのDMSO中の2.5x化合物(KRB緩衝液中0.2%の最終DMSO濃度)を添加し、続いてウェル当たり2μlの5xTK基質-ビオチン(Cisbio、KRB緩衝液中1μMの最終濃度)を添加した。次に、2μlの5×キナーゼ、続いて2μlの5×ATP(Sigma、KRB緩衝液中300μMの最終濃度)を添加した。23℃で30分間のインキュベーション後、ストレプトアビジンXL-665(Cisbio、検出緩衝液中125nMの最終濃度)及びTK抗体-クリプターゼ(Cisbio、検出緩衝液中1×最終濃度)を含有するミックス10μl/ウェル。プレートを23℃で1時間インキュベートし、励起については337nM、発光については620nM及び665nMの波長で、Envisionリーダー(Perkin Elmer)で読み取った。4つの酵素に対するIC50値を決定するために、化合物を10回の3段階希釈にわたって重複して試験した。アクセプター(665nM)とドナー(620nM)発光との比率を使用して、IC50を計算した。
【0129】
実施例3:インビトロ細胞アッセイ
-pSTAT3アッセイ(MSD Phospho-STAT3(Tyr705)キット、K150SVD):TF-1細胞(CRL-2003、ATCC)を、減少血清及びフェノール再不含Opti-MEM(Thermofisher、11058-021)を含有するT75フラスコ中で、高濃度(15×106細胞/フラスコ)で飢餓させた。フラスコを37℃、5%CO2で一晩インキュベートし、次いで25μL中150000細胞/ウェルで96ウェルプレート(TPP)に播種した。細胞を、DMSO中の5μL/ウェルの連続希釈化合物(0.1%の最終DMSO濃度)で処理し、37℃で30分間インキュベートした。IL-6(6μL/ウェル、Opti-MEM,Thermofisher,PHC 0066中の最終濃度として100ng/ml)を細胞プレートに添加し、続いて37℃で30分間インキュベーションした。次に、12μl/ウェルの4倍補充溶解緩衝液を添加することによって細胞を溶解し、撹拌下で、4℃で30分間インキュベートした。製造業者(MSD)によって記載されるように、試験される25μlの非希釈細胞溶解物を用いてpSTAT3検出のために試料を処理した。化合物を、それらのIC50値を決定するために、10回の3段階希釈にわたって単一で(in simplicates)試験した。
【0130】
-pSTAT5アッセイ(Live Blazer FRET-B/G充填キット、Life Technologies):Irf1-bla TF-1(Life Technologies、K1657)を、0.5%透析FBSを含む減少血清及びフェノール再不含Opti-MEM(Thermofisher、11058-021)を含有するT75フラスコ内で、高濃度(12×106細胞/フラスコ)で飢餓させた。フラスコを37℃、5%CO2で一晩インキュベートし、次いで32μL中30000細胞/ウェルで384ウェルプレートに播種した。次に、DMSO中の4μlの連続希釈した(0.1%の最終DMSO濃度)10×化合物を細胞に添加し、37℃で30分間インキュベートした。次いで、4μlの10xGM-CSF(Opti-MEM、Thermofisher、PHC2015中の最終濃度1ng/ml)を添加し、37℃で5時間インキュベートした。最後に、8μlの6X LiveBlazer-FRET基質を(ウェルに添加し、暗所で、室温で2.5時間インキュベートした。励起については409nM、発光については450nM及び520nMの波長で、プレートをEnvisionリーダー(Perkin Elmer)で読み取った。化合物を、それらのIC50値を決定するために、10回の3段階希釈にわたって重複して試験した。アクセプター(450nM)とドナー(520nM)発光との比率を使用して、IC50を計算した。
【0131】
実施例4:インビボ薬力学モデル
-IL-6誘導ホスホ-STAT3モデル:BALB/c ByJ Rjマウスを、エリザベスカラーの適用、治療、及びIL-6の注射の前に、イソフルランの吸入により麻酔した。試験化合物(0.01~10mM)又はそのビヒクル(プロピレングリコール/アセトン/トランスクトール(30/40/30、v/v/v))を、マウス組換えIL-6の静脈内注射の2時間前に局所投与した(8ng/g、R&D Systems)。対照群に生理食塩水を注射し、ビヒクルのみで治療した。皮膚試料を15分間採取した。生理食塩水を注射し、ビヒクルで治療した群に対して、皮膚溶解物中のp-STAT3Y705及びSTAT3の発現を、MesoScale Technologyによって定量化する(Meso Scale Technology(商標))。
【0132】
実施例5:エクスビボのヒト皮膚
試験化合物2.7mMをPG/H2Oクリーム1mg/mL中に配置した後、6~24時間(ng/cm2/時)中、皮膚及び真皮を通る流動濃度を測定した。平衡化後、32±1℃で維持された拡散セル系Franzセル1.76cm2において、350~500μm厚のヒト真皮節化皮膚(凍結)を使用した。皮膚の完全性は、TEWL<20g/m2/時によって確認された。各試験に3人のドナーを使用した。化合物を、改変水性英国薬局方クリーム、pH6 PG14%に製剤化し、重量を量ることによって5mg/cm2を適用した。PBS10mM中4%のBSAを含有するレセプター流体を撹拌下で維持し、曝露の6時間後及び24時間後に真皮とともに採取した。5つのストリップを使用して、過剰の製剤を慎重に除去し、投与しなかった。
【0133】
実施例6:タンパク質結合分析
タンパク質結合を、ヒト、雄のbalb-cマウス、雄のWistar Hanラット、雄のゲッチンゲンミニブタの血漿において、迅速平衡透析(RED)デバイスによって評価した。血漿及びリン酸緩衝液50mM、pH7.4を37℃で平衡化した後、化合物を血漿に添加して、5μMの最終濃度にした。血漿のアリコートを直ちに取り出した。穏やかな撹拌下での平衡化を4時間継続した。血漿及び緩衝液を採取し、試料を4容量のアセトニトリルでクエンチし、遠心分離した。上清をHPLC/MS/MSで定量化して、緩衝液中に溶解した(未結合)化合物及び血漿タンパク質に結合した化合物の回収率及びパーセンテージを計算した。
【0134】
実施例7:h-r-mミニブタの肝細胞における固有クリアランス
固有クリアランスは、親化合物の消失を調べることによって、一緒にプールされ性別が混合されたヒト肝臓ドナー、雄のbalb-cマウス、雄のWistar Hanラット、及び雄のゲッチンゲンミニブタによって得られた凍結保存された肝細胞において評価された。インキュベーションは、100万/mlの生細胞の最終濃度(70%を超える生存率)及び2.5μMの試験品を使用して行った。インキュベーションを最大2時間追跡した。アリコートを異なる時点で取り出し、反応をアセトニトリルでクエンチした。遠心分離後、上清をHPLC/MSにより分析して、時間0と比較して残存する親の量を定量化した。クリアランスは、Graphpad Prism ver.7で残存パーセンテージのログを適合することにより計算した。
【0135】
実施例8:代謝物の活性
試験品の代謝物が活性である可能性を、Stat3のリン酸化を調べる細胞アッセイにおいて評価した。試験品を、ヒト肝臓マイクロソームとともに0分間(更なる処理を待って凍結)又は0.5~10000nMの範囲の異なる濃度で2時間インキュベートした。インキュベーションの終わりに上清を遠心分離によって取り出し、1μlを細胞に添加し、通常のアッセイのように処理し、一方、別のアリコートを使用して、残存する試験品の濃度を決定した。時間0のインキュベーションのセットからの上清で得られたIC50を、公称試験品濃度を使用して計算した2時間のセットで得られたものと比較した。代謝が無視できる場合、又は代謝物のプールが親に対して等価である場合、2つのIC50は同じであると予想され、すなわち1の比率であった。逆に、代謝が関連しており、全ての代謝物にいかなる活性もない場合、2時間セットのIC50は、代謝物のないものの倍数であり、親の残留濃度によって推定されると予想された。
【0136】
実施例9:CYP2D6及び3A阻害
CYP2D6及び3Aを阻害する可能性を、選択的プローブ基質:CYP2D6についてはデキストロメトルファン、並びにCYP3Aについてはミダゾラム及びテストステロンで化合物EのIC50を評価する性別が混合されたヒトプール肝ミクロソーム(主に白人)において評価した。37℃で5分後、NADPHでインキュベーションを開始し、10分間延長した。試験化合物を30μMまで試験し、有機溶媒の最終濃度を0.5%未満に保った。マイクロソームの最終濃度は、インキュベーション時間中の直線性を確実にするために0.1mg/mlであった。3容量のアセトニトリルを添加することによって反応をクエンチした。遠心分離後、上清をHPLC/MS/MSにより、CYP2D6によって選択的に産生されたデス-メチルデキストロメトルファン、及びCYP3Aによって選択的に産生された1’ヒドロキシミダゾラム又は6β-ヒドロキシテストステロンの形成について分析した。IC50は、試験化合物の存在下で産生された代謝物の量を、試験品の不在下で産生された代謝物の量と比較して、Graphpad Prism v.7で計算した。
【0137】
実施例10:ラットにおけるインビボ薬物動態分析
1匹の雄のWistar Hanラット。化合物を、リン酸緩衝液60mM、pH7中DMSO/ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン20%(5:95)において、1mg/kgの標的用量、用量容量:2mL/kgで給餌動物に静脈内投与した。様々な時点で血液試料を収集した。次いで、アセトニトリルによるタンパク質沈殿に基づく方法、続いてLC/MS/MS分析を使用して、血液試料をアッセイした。非コンパートメント法を使用して、時間データに対して血中濃度の薬物動態分析を行った。
【0138】
実施例11:ミニブタにおけるインビボ薬物動態分析
3匹の雄のゲッチンゲンミニブタ。化合物を、DMSO:リン酸緩衝液60mM、pH7中のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン20%(5:95)中、1mg/kgの標的用量、用量容量1mL/kgで、給餌動物に静脈内投与した。様々な時点で血液試料を収集した。次いで、アセトニトリルによるタンパク質沈殿に基づく方法、続いてLC/MS/MS分析を使用して、血液試料をアッセイした。非コンパートメント法を使用して、時間データに対して血中濃度の薬物動態分析を行った。
【0139】
実施例12:Eurofinsプロトコル
腹部手術からのヒトの完全な皮膚試料。必要に応じて、過剰な皮下脂肪を除去する。皮膚試料を摘出し、約2.5cm×2.5cmの切片に切断した。完全な皮膚を使用し、厚さをOditestキャリパにより測定した。
【0140】
Franzセルにおける十分な平衡化時間の後、0.5~5g/m2/時の範囲のTewameterを使用して、TransEpidermal Water Loss(TEWL)により、各完全皮膚試料について角質層の完全性を測定した(1)。拡散チャンバ及び皮膚試料を32±1℃の一定温度で維持した。化合物を、試験当日に新しくビヒクルPG/エタノール30/70(w/w)中10mMに製剤化し、適用される10μLに対応するセル当たり(2cm2)5μL/cm2を適用した(適用される理論上の量0.1μmol)。ドナー1つ当たり試験1回につき2つのセルを使用した。
【0141】
拡散セルを、32℃±1℃の温度で維持される水槽と一体化した磁気撹拌器上に配置した。セルは文字で識別される。各セルのレセプターコンパートメントは、気泡の任意の形成を防止するような方式でレセプター流体で、コンパートメントの縁よりわずかに上のメニスカスを得るために十分な量で充填される。レセプター流体PBS(pH7.2)+0.25%Tween80は、セルを載置する前に事前に加温される。皮膚試料は、レセプターコンパートメント上に配置される。ドナーコンパートメントは、皮膚試料上に配置される。気泡がないことを確認した後、クランプを配置して両方のコンパートメントを接続する。レセプター流体の撹拌が開始される。
【0142】
実施例13:ミニAmesアッセイ(TA98及びTA100)
マイクロ法におけるAmesアッセイ(6ウェルプレート=ミニAmes)は、標準的なAmes法の一般原理に従う。Ames試験には、ヒスチジン合成に関与する遺伝子に変異を有する細菌サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)の株を使用した。これらの株は栄養要求性変異体であり、成長のためにヒスチジンを必要とするが、それを産生することはできない。アッセイを使用して、試験品が逆変異を誘導し、細菌をヒスチジン不含培地中で成長する能力を観察した。ヒスチジンの不在下で成長する野生型の能力を回復させて獲得する細菌の数は、インキュベーション時に発生するコロニーを数えることによって推定することができる。異なる株の使用は、遺伝子変異の異なる機構の特定を可能にする(フレームシフト変異の検出のためのTA98及び塩基対置換の検出のためのTA100)。
【0143】
多くの場合、試験品自体は直接変異原性ではないが、その代謝誘導体は変異原性である。したがって、前駆型変異原(promutagens)及び直接変異原を実証するために、代謝活性化(S9)の有無にかかわらず、試験品をTA98及びTA100で研究した。
【0144】
完全栄養素寒天プレート(ヒスチジンを含む)で毒性評価を行い、遺伝毒性アッセイに使用される最高濃度を定義した。溶液を100%DMSO中で調製した。ウェル(6ウェルプレート)で分析した最初の濃度は、プレート当たり500μg、続いて7回の連続希釈(希釈係数の2倍)であった。各濃度を、各株及び治療の各条件について3つ組で試験した。陽性及び陰性対照の生存率を、代謝活性化系の有無にかかわらず、各株について分析し、研究を検証するために履歴データと比較した。細菌毒性が生じなかった場合、遺伝毒性について試験した最高濃度はプレート当たり1000μgであった。毒性が生じた場合、70%を超える生存率は、試験した最高濃度を定義した。
【0145】
遺伝毒性評価は、細胞傷害性評価と同じ希釈手順に従って、最小限の寒天プレート(ヒスチジンなし)で行った。DMSO及びリン酸緩衝液対照を陰性対照として使用した。2-ニトロフルオレン(2NF)、2-アミノアントラセン(2AA)及び4-ニトロ-1.2フェニレンジアミン(DANB)を陽性対照として選択した。
【0146】
試験品、陽性及び陰性対照を、2つの細菌株とともにインキュベートした。代謝活性化(S9)の有無にかかわらず、37℃で48時間インキュベーションした後、プレート上で成長した原栄養変異コロニーを数えた。結果は、試験した各条件(各々3つの複写物)並びに試験品及び対照の各濃度の復帰変異体の平均数として表された。試験品の存在下における復帰変異体と自発的復帰変異体との比率に対応する誘導比を、各濃度について決定した。試験品は、代謝活性化系の有無にかかわらず、少なくとも1つの株において、試験範囲を超える濃度関連の増加及び/又はプレート当たりの復帰変異体コロニーの数における1つ以上の濃度での再現可能な増加が観察された場合、変異原性であるとみなされた。
【0147】
結果は、化合物Eが、代謝活性化の有無にかかわらず、サルモネラ・ティフィムリウムTA98及びTA100の復帰変異体の平均数において生物学的に顕著な増加を誘導しなかったことを示した。したがって、化合物Eは、TA98及びTA100の実験条件下では変異原性であるとはみなされなかった(代謝系の有無にかかわらず)。
【0148】
実施例14:6つのチロシンキナーゼ及び8つのセリン/トレオニンキナーゼのIC50の決定
試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、それで希釈して、100倍の高濃度を達成した。この溶液をアッセイ緩衝液で更に25倍希釈して、最終試験化合物溶液を作製した。アッセイ対照のための参照化合物も同様に調製した。
【0149】
標的キナーゼは、FLT3_1mM、JAK1_1mM、JAK2_1mM、JAK3_1mM、RET_1mM、TYK2_1mM、AurA_1mM、AurB_1mM、AurC_1mM、MAP2K1_カスケード、MAP2K4_カスケード、MAP3K2_カスケード、MNK2、ROCK1_1mMであった。
【0150】
4×基質/ATP/金属溶液をキット緩衝液(20mM HEPES、0.01% Triton X-100、5mM DTT、pH7.5)で調製し、2×キナーゼ溶液をアッセイ緩衝液(20mM HEPES、0.01% Triton X-100、1mM DTT、pH7.5)で調製した。5μLの4×化合物溶液、5mLの4×基質/ATP/金属溶液、及び10mLの2×キナーゼ溶液を混合し、ポリプロピレン384ウェルマイクロプレートのウェルにおいて室温で1時間又は5時間*インキュベートした。(*=キナーゼに依存する)。70mLの終結緩衝液(QuickScout Screening Assist MSA;Carna Biosciences)をウェルに添加した。反応混合物をLabChip(商標)システム(Perkin Elmer)に適用し、生成物及び基質ペプチドピークを分離及び定量化した。キナーゼ反応を、生成物(P)及び基質(S)ペプチドのピーク高さから計算した生成物比(P/(P+S))によって評価した。
【0151】
反応対照(完全反応混合物)の読み出し値を0%阻害とし、バックグラウンド(酵素(-))の読み出し値を100%阻害とした。各試験溶液の阻害パーセントを計算した。IC
50値は、4つのパラメータロジスティック曲線に適合することによって、濃度対阻害%曲線から計算した。対照及び試験化合物のJAK1_1mMの濃度対阻害%曲線を
図1に示す。
【0152】
実施例15:CEREP安全性スクリーニング-44
異なる結合及び酵素/取り込みアッセイにおいて10μMで試験した場合、異なる薬理学的標的と相互作用する化合物の能力を評価するために、インビトロ薬理学アッセイを行った。含まれる標的は、主要臓器及び薬物-薬物相互作用における潜在的な効果を示す。
【0153】
化合物の結合を、各標的に特異的な放射性標識リガンドの結合の阻害%として計算した。化合物を1.0E-05Mで試験した。化合物酵素阻害効果を、対照酵素活性の阻害%として計算した。50%を超える阻害又は刺激を示す結果は、試験化合物の顕著な効果を表すと考えられる。
【0154】
結果は、
図2~
図4に示すとおりである。特に、
図2は化合物Eのヒストグラムを表し、
図3はルキソリチニブのヒストグラムを表す。更に、
図4は、化合物E及びルキソリチニブの阻害%を示すアセチルコリンエステラーゼ(h)のヒストグラムである。化合物Eは、ルキソリチニブよりも顕著に改善された薬理学的効果を示すことが分かる。
【0155】
実施例16:インビトロヒトリンパ球(TK6)小核アッセイ
この試験の目的は、ヒトリンパ芽球TK6細胞における小核の頻度に対するその効果によって、試験化合物の染色体異常誘発性及び異数性誘発性の可能性を評価することである。
【0156】
化合物を、代謝活性化ミックスを用いずに3時間及び26時間の処理後に、ある範囲の濃度で細胞傷害性について試験した。細胞生存率は、相対集団倍加(RPD)値によって測定された。小核分析のための上位濃度は、短期及び長期治療のための40~50%RPD許容基準(RPD≧40%)に従って選択した。
【0157】
小核分析のために、化合物を、S9の存在下及び不在下で3時間、並びにS9の不在下で26時間、TK6細胞とともにインキュベートした。ビヒクルを陰性対照として、マイトマイシンC及びビンブラスチンを陽性対照として使用した。小核発生率は、1000細胞当たりの小核単核細胞頻度として表された。アッセイは、小核細胞の発生率が履歴値を超え、濃度と関連していた場合に陽性とみなされた。
【0158】
染色体異常誘発性及び異数性誘発性の評価のために、テロメア及びセントロメア染色は、MNの自動採点にPNAプローブを使用した。テロメア及びセントロメア染色によって提供されるこの情報は、薬剤の性質:染色体異常誘発性(テロメアシグナルを伴うMN、及びいずれのシグナルも伴わないMN)又は異数性誘発性(テロメア及びセントロメアシグナルを伴うMN)の決定を可能にした。
【0159】
実施例17:インビトロhERGチャネル
hERG遺伝子(human ether a go go-related gene)によってコードされる遅延整流性カリウム電流(IKr)の遮断は、QT間隔の延長につながる可能性があり、したがって、心リスク評価の一部として調査される。このチャネルは、心膜の再分極に重要である。IKrに対する化合物の影響を、最大30μMの異なる濃度での過剰融合後にhERG(Human Ether-a-go-go Related Gene)チャネルを発現する安定してトランスフェクトされたCHO-K1細胞における全細胞パッチクランプによって評価した。
【0160】
実施例18:光毒性
光毒性を3T3マウス線維芽細胞において評価した。細胞を、異なる濃度の試験化合物とともにインキュベートした。次いで、一方のプレートを7J/cm2の照射量に曝露し(UVA/UVBは通常の日光曝露を模倣したものである)、他方のプレートを暗所に保持した。次いで、処理培地を培養培地に交換し、24時間後の細胞生存率をニュートラルレッド取り込みによって決定した。生存率の50%減少につながる濃度を、照射の不在下及び存在下で計算した。次いで、PIF(光刺激係数)比を計算した:PIF=IC50+UV/IC50-UV)。
【0161】
CaCO2透過性、ヒトマイクロソーム(Syneos 7007703.SA.186)及びヒト肝細胞(Syneos 7007703.SA.185)における代謝物プロファイリング、代謝物M3b構造解明(Syneos 7007703.SA.186)、マウスiv雌(ODS CFH-1798)、マウスiv+ABT雌(ODS CFH 1799)、マウス局所d1、d10(ODS研究番号:NBK39-32、12 Sep.2019、ELN生物分析研究:NBK156-79)、ラットiv(Pharmaron PH-DMPK-GAL-20-002)、イヌ局所d1、d10(CRL FY19.085)、及びミニブタ局所PK d1、d7(Pharmaron 92404-19-914)を含むがこれらに限定されない他の研究もまた、当該技術分野で既知の標準プロトコルを使用して実施される。
【0162】
ルキソリチニブと比較した実施例化合物Eの生物学的アッセイの結果を以下の表1に示す。結果は、生化学的及び細胞アッセイにおいて、試験化合物及びルキソリチニブについて同様の活性が観察されたことを示す。本技術の試験化合物はまた、JAK1に対するより高い阻害活性及びより高い選択性、JAK2に対するより高い選択性、並びにJAK3及びTYK2に対するより高い選択性を示す。更に、ルキソリチニブと比較して、本技術の試験化合物はまた、局所経路、皮膚浸透の可能性、安全性プロファイル、及び局所製剤可能性(formulability)により同様又は改善された薬力学的活性を示す。
【0163】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。上記は様々な実施形態の観点から説明されているが、当業者は、様々な修正、置換、省略、及び変更が、その趣旨から逸脱することなく行われ得ることを理解するであろう。
【0164】
【表1】
ND=決定されず; TBD=決定される。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体であって、
式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
Rが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、-OR
a、-NO
2、-C(O)R
b、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、-SR
a、-S(O)R
b、-S(O)
2R
b、-S(O)NR
cR
d、-S(O)
2NR
cR
d、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-NR
cNR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)R
b、-NR
cNR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)OR
a、-CRcR
dS(O)
2R
b、-CRcR
dS(O)
2NR
cR
d、-OR
a、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である、
式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項2】
式(II)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体であって、
その塩、又はその鏡像異性体、
式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
R
1が、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アラルキルラジカル、置換アラルキルラジカル、アルコキシラジカル、置換アルコキシラジカル、環状アミンラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、複素環式アミンラジカル、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cS(O)R
b、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である、
式(II)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項3】
Yが、Oであり、
R
1が、複素環式ラジカル若しくは置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、又は複素環式アミンラジカルであり、
R
2が、水素原子、低級アルキルラジカル、又はフッ素原子で置換された低級アルキルラジカルであり、
R
cが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカルであり、かつ
nが、0である、
請求項2に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項4】
R
1が、置換複素環式ラジカルであり、ヘテロ原子が、シクロアルキルラジカルで置換される、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項5】
R
1が、NR
cR
dであり、R
c及びR
dの一方が、メチルラジカルであり、他方が、ブテニルラジカルである、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項6】
R
2が、水素原子、低級アルキルラジカル、又はフッ素原子で置換された低級アルキルラジカルである、請求項1に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項7】
R
2が、水素原子である、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項8】
Yが、Oである、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項9】
nが、0である、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項10】
式(IIa)
を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
式(IIb)
を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、1-シクロプロピル-N-((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)アゼチジン-3-スルホンアミドである、請求項2に記載の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
【請求項13】
以下の式:
を有する、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
先行請求項のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項15】
JAK産生を伴う疾患、障害、又は状態を治療する方法であって、請求項14に記載の薬学的組成物を対象に投与して、前記対象におけるJAK1の産生を阻害することを含む、方法。
【請求項16】
前記疾患又は障害が、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、白斑、慢性手湿疹、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、骨髄線維症、真性多血症、移植片対宿主病、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、モルフェア/好酸球性筋膜炎、クローン病、喘息、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、アイリック筋膜炎、環状肉芽腫、菌状息肉腫、アトピー性喘息、covid感染症、慢性そう痒、皮膚筋炎、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、炎症性腸疾患、単一遺伝子障害、眼疾患、及びがんからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が、自己免疫及び/又は炎症性皮膚疾患である、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炎症性皮膚疾患が、アトピー性皮膚炎、白斑、慢性手湿疹、及び円形脱毛症炎症性皮膚からなる群から選択される、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患が、アトピー性皮膚炎である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
JAK活性を伴う疾患、障害、又は状態を治療する方法であって、請求項14に記載の薬学的組成物を対象に投与して、前記対象におけるJAK1の活性を阻害することを含む、方法。
【請求項21】
対象におけるJAK1の産生を阻害する方法であって、JAK1を請求項14に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項22】
対象におけるJAK1の活性を阻害する方法であって、JAK1を請求項14に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項23】
JAK1の産生を阻害する方法であって、JAK1を産生する細胞を請求項14に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項24】
JAK1の活性を阻害する方法であって、JAK1を産生する細胞を請求項14に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項25】
対象におけるJAK産生を伴う疾患、障害、又は状態の治療のための医薬品の製造における、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
前記疾患又は障害が、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、白斑、慢性手湿疹、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、骨髄線維症、真性多血症、移植片対宿主病、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、モルフェア/好酸球性筋膜炎、クローン病、喘息、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、アイリック筋膜炎、環状肉芽腫、菌状息肉腫、アトピー性喘息、covid感染症、慢性そう痒、皮膚筋炎、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、炎症性腸疾患、単一遺伝子障害、眼疾患、及びがんからなる群から選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記疾患が、自己免疫及び/又は炎症性皮膚疾患である、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記炎症性皮膚疾患が、アトピー性皮膚炎、白斑、慢性手湿疹、及び円形脱毛症炎症性皮膚からなる群から選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記疾患が、アトピー性皮膚炎である、請求項25に記載の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
技術分野
本開示は、以下の式(I)の新規化合物:
式(I)の化合物を合成するためのプロセス、並びに疾患、状態、及び障害の治療のための薬学的組成物における式(I)の化合物の使用に関する。本開示の化合物は、ヤヌスキナーゼ(JAK)、特にJAK1の阻害剤として作用する。したがって、これらは、JAK1媒介性疾患、状態、又は障害の治療に使用される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
概要
本開示は、式(I):
を有する新規化合物、その塩、又はその鏡像異性体
(式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
Rが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、-OR
a、-NO
2、-C(O)R
b、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、-SR
a、-S(O)R
b、-S(O)
2R
b、-S(O)NR
cR
d、-S(O)
2NR
cR
d、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-NR
cNR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)R
b、-NR
cNR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)OR
a、-CRcR
dS(O)
2R
b、-CRcR
dS(O)
2NR
cR
d、-OR
a、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である)を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
本明細書で提供される式(I)の新規化合物は、良好なJAK1阻害活性を示し、特に、他のJAKファミリーメンバーと比較して、JAK1酵素を選択的に阻害する。したがって、本開示は、以下の式(I):
の化合物、その塩、又はその鏡像異性体
(式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
Rが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、-OR
a、-NO
2、-C(O)R
b、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、-SR
a、-S(O)R
b、-S(O)
2R
b、-S(O)NR
cR
d、-S(O)
2NR
cR
d、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-NR
cNR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)R
b、-NR
cNR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cNR
cC(O)OR
a、-CRcR
dS(O)
2R
b、-CRcR
dS(O)
2NR
cR
d、-OR
a、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である)を提供する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(II):
の化合物、その塩、又はその鏡像異性体
(式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
R
1が、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アラルキルラジカル、置換アラルキルラジカル、アルコキシラジカル、置換アルコキシラジカル、環状アミンラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、複素環式アミンラジカル、-NR
cR
d、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)OR
a、-NR
cC(O)NR
cR
d、-NR
cS(O)R
b、-NR
cS(O)
2R
b、-NR
cS(O)
2NR
cR
d、-OC(O)R
b、又は-OC(O)NR
cR
dであり、
R
2が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2、-C(O)OR
a、-C(O)NR
cR
d、又は-NR
cR
dから選択され、
R
a、R
b、R
c、及びR
dの各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c及びR
dが、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である)を提供する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本明細書に開示される化合物は、JAK阻害剤、具体的にはJAK1阻害剤である。したがって、本開示は、式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体を含む薬学的組成物、及びJAK1放出と関連する疾患、障害、又は状態の治療のための式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体を使用する方法を提供する。本開示はまた、JAK産生及び/又は活性を伴う疾患、障害、又は状態の治療方法を提供し、方法は、式(I)の化合物を含む薬学的組成物を対象に投与して、対象におけるJAK1の産生及び/又は活性を阻害することを含む。
[本発明1001]
式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体であって、
/式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
Rが、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、-OR
a
、-NO
2
、-C(O)R
b
、-C(O)OR
a
、-C(O)NR
c
R
d
、-SR
a
、-S(O)R
b
、-S(O)
2
R
b
、-S(O)NR
c
R
d
、-S(O)
2
NR
c
R
d
、-NR
c
R
d
、-NR
c
C(O)R
b
、-NR
c
C(O)NR
c
R
d
、-NR
c
C(O)OR
a
、-NR
c
S(O)
2
R
b
、-NR
c
S(O)
2
NR
c
R
d
、-NR
c
NR
c
R
d
、-NR
c
NR
c
C(O)R
b
、-NR
c
NR
c
C(O)NR
c
R
d
、-NR
c
NR
c
C(O)OR
a
、-CRcR
d
S(O)
2
R
b
、-CRcR
d
S(O)
2
NR
c
R
d
、-OR
a
、-OC(O)R
b
、又は-OC(O)NR
c
R
d
であり、
R
2
が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3
が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2
、-C(O)OR
a
、-C(O)NR
c
R
d
、又は-NR
c
R
d
から選択され、
R
a
、R
b
、R
c
、及びR
d
の各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c
及びR
d
が、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である、
式(I)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1002]
式(II)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体であって、
/その塩、又はその鏡像異性体、
式中、
Yが、O、S、N、又は-CHであり、
R
1
が、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アラルキルラジカル、置換アラルキルラジカル、アルコキシラジカル、置換アルコキシラジカル、環状アミンラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、複素環式アミンラジカル、-NR
c
R
d
、-NR
c
C(O)R
b
、-NR
c
C(O)OR
a
、-NR
c
C(O)NR
c
R
d
、-NR
c
S(O)R
b
、-NR
c
S(O)
2
R
b
、-NR
c
S(O)
2
NR
c
R
d
、-OC(O)R
b
、又は-OC(O)NR
c
R
d
であり、
R
2
が、水素原子、アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、複素環式ラジカル、又は置換複素環式ラジカルであり、
R
3
が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、アルコキシラジカル、ハロアルキルラジカル、ハロゲン、シクロアルキルラジカル、置換シクロアルキルラジカル、-CN、-NO
2
、-C(O)OR
a
、-C(O)NR
c
R
d
、又は-NR
c
R
d
から選択され、
R
a
、R
b
、R
c
、及びR
d
の各々が、独立して、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカル、アルケニルラジカル、置換アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、置換アルキニルラジカル、ハロアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、アリールラジカル、置換アリールラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、若しくは置換ヘテロアラルキルラジカルから選択されるか、
又はR
c
及びR
d
が、それらが結合している窒素と一緒に、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリールラジカル、若しくは置換ヘテロアリールラジカルを形成し、かつ
nが、0、1、又は2である、
式(II)の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1003]
Yが、Oであり、
R
1
が、複素環式ラジカル若しくは置換複素環式ラジカル、シクロアルキルラジカル、置換シクロアクリルラジカル、ヘテロアラルキルラジカル、置換ヘテロアラルキルラジカル、又は複素環式アミンラジカルであり、
R
2
が、水素原子、低級アルキルラジカル、又はフッ素原子で置換された低級アルキルラジカルであり、
R
c
が、水素原子、アルキルラジカル、置換アルキルラジカルであり、かつ
nが、0である、
本発明1002の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1004]
R
1
が、置換複素環式ラジカルであり、ヘテロ原子が、シクロアルキルラジカルで置換される、先行本発明のいずれかの化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1005]
R
1
が、NR
c
R
d
であり、R
c
及びR
d
の一方が、メチルラジカルであり、他方が、ブテニルラジカルである、先行本発明のいずれかの化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1006]
R
2
が、水素原子、低級アルキルラジカル、又はフッ素原子で置換された低級アルキルラジカルである、本発明1001の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1007]
R
2
が、水素原子である、先行本発明のいずれかの化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1008]
Yが、Oである、先行本発明のいずれかの化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1009]
nが、0である、先行本発明のいずれかの化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1010]
式(IIa)
を有する、本発明1002の化合物。
[本発明1011]
式(IIb)
を有する、本発明1002の化合物。
[本発明1012]
前記化合物が、1-シクロプロピル-N-((シス)-3-(2,3-ジヒドロピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1(7H)-イル)シクロブチル)アゼチジン-3-スルホンアミドである、本発明1002の化合物、その塩、又はその鏡像異性体。
[本発明1013]
以下の式:
を有する、本発明1001又は本発明1002の化合物。
[本発明1014]
先行本発明のいずれかの化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
[本発明1015]
JAK産生を伴う疾患、障害、又は状態を治療する方法であって、本発明1014の薬学的組成物を対象に投与して、前記対象におけるJAK1の産生を阻害することを含む、方法。
[本発明1016]
前記疾患又は障害が、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、白斑、慢性手湿疹、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、骨髄線維症、真性多血症、移植片対宿主病、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、モルフェア/好酸球性筋膜炎、クローン病、喘息、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、アイリック筋膜炎、環状肉芽腫、菌状息肉腫、アトピー性喘息、covid感染症、慢性そう痒、皮膚筋炎、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、炎症性腸疾患、単一遺伝子障害、眼疾患、及びがんからなる群から選択される、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記疾患が、自己免疫及び/又は炎症性皮膚疾患である、本発明1015又は本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記炎症性皮膚疾患が、アトピー性皮膚炎、白斑、慢性手湿疹、及び円形脱毛症炎症性皮膚からなる群から選択される、本発明1015~1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記疾患が、アトピー性皮膚炎である、本発明1015の方法。
[本発明1020]
JAK活性を伴う疾患、障害、又は状態を治療する方法であって、本発明1014の薬学的組成物を対象に投与して、前記対象におけるJAK1の活性を阻害することを含む、方法。
[本発明1021]
対象におけるJAK1の産生を阻害する方法であって、JAK1を本発明1014の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
[本発明1022]
対象におけるJAK1の活性を阻害する方法であって、JAK1を本発明1014の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
[本発明1023]
JAK1の産生を阻害する方法であって、JAK1を産生する細胞を本発明1014の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
[本発明1024]
JAK1の活性を阻害する方法であって、JAK1を産生する細胞を本発明1014の薬学的組成物と接触させることを含む、方法。
[本発明1025]
対象におけるJAK産生を伴う疾患、障害、又は状態の治療のための医薬品の製造における、本発明1001~1013のいずれかの化合物の使用。
[本発明1026]
前記疾患又は障害が、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、白斑、慢性手湿疹、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、骨髄線維症、真性多血症、移植片対宿主病、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、モルフェア/好酸球性筋膜炎、クローン病、喘息、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、アイリック筋膜炎、環状肉芽腫、菌状息肉腫、アトピー性喘息、covid感染症、慢性そう痒、皮膚筋炎、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、炎症性腸疾患、単一遺伝子障害、眼疾患、及びがんからなる群から選択される、本発明1025の使用。
[本発明1027]
前記疾患が、自己免疫及び/又は炎症性皮膚疾患である、本発明1026の使用。
[本発明1028]
前記炎症性皮膚疾患が、アトピー性皮膚炎、白斑、慢性手湿疹、及び円形脱毛症炎症性皮膚からなる群から選択される、本発明1027の使用。
[本発明1029]
前記疾患が、アトピー性皮膚炎である、本発明1025の使用。
【国際調査報告】