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特表2023-544508精子の健康状態を評価し、生殖補助医療に用いられる精子を判別する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】精子の健康状態を評価し、生殖補助医療に用いられる精子を判別する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20231017BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20231017BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20231017BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALN20231017BHJP
   A61P 15/08 20060101ALN20231017BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N21/64 Z
G01N33/48 M
C12Q1/02
A61P15/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517871
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2021075820
(87)【国際公開番号】W WO2022058592
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】2014788.0
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】514073617
【氏名又は名称】ザ プロボースト,フェローズ,ファンデーション スカラーズ,アンド ジ アザー メンバーズ オブ ボード,オブ ザ カレッジ オブ ザ ホーリー アンド アンディバイデッド トリニティ オブ クイーン エリザベス ニア ダブリン
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ケリー
(72)【発明者】
【氏名】ジル ブローニング
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ヤゴ―
【テーマコード(参考)】
2G043
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043CA03
2G043EA01
2G045AA25
2G045CB14
2G045DA36
4B063QA05
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QR48
4B063QS33
4B063QX01
(57)【要約】
本発明は、精子の健康状態を評価し、生殖補助医療に用いられる精子を判別する方法であって、患者からの生体試料、好ましくは精液試料を提供し、該試料中のバイオマーカーの定量的なレベルを測定し、該バイオマーカーの定量的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することによる方法において、前記バイオマーカーが膜結合性の終末糖化産物受容体(mRAGE)であるものに関する。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精子の健康状態を評価する体外受精の方法において、
(a)患者からの生体試料を提供する手順、
(b)該試料中のバイオマーカーの定量的又は定性的なレベルを測定する手順、及び、
(c)前記バイオマーカーの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価する手順、
を備え、前記バイオマーカーが膜結合性の終末糖化産物受容体(mRAGE)である方法。
【請求項2】
前記評価する手順(c)が、前記試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEの存在又は不存在を評価することで患者がmRAGE陰性であるかmRAGE陽性であるかを定めることを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
mRAGE陽性は、精子の健康状態が悪いこと、精子に異常があること、精子の運動性が低いこと、及び不妊の1つ以上を示しており、mRAGE陰性は精子が正常であること及び精子の健康状態が良いことの1つ以上を示している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEの存在が患者をmRAGE陽性であると定め、前記試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEの不存在が患者をmRAGE陰性であると定める、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記評価する手順(c)が、定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量を定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量と比較することを備えている、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量が、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも1倍外れている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量が、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも1倍外れていれば、患者がmRAGE陽性であると定め、及び/又は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量が、定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量から少なくとも1倍外れていれば、患者がmRAGE陰性であると定める、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の平均蛍光強度の値が、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の平均蛍光強度の値から少なくとも10倍外れていれば、患者がmRAGE陽性であると定める、及び/又は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の平均蛍光強度の値が、定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の平均蛍光強度の値から少なくとも10倍外れていれば、患者がmRAGE陰性であると定める、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
精子の健康状態を評価する前記方法が更に、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように精子の運動性をIM、NP又はPRと評定する手順を備え、その際、IMと分類された精子は精子の健康状態が悪いことを示しており、NPと分類された精子及び/又はPRと分類された精子は精子の健康状態が良いことを示している、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
mRAGE陽性の精子の量がPR精子の量と逆の相関関係がある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
精子の健康状態を評価する前記方法が更に精子の形態を評定する手順を備え、その際、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であるときに正常と分類され、また、精子は、正常からの逸脱があるときに異常と分類され、それは精子の健康状態が悪いことを示している、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
精子の健康状態を評価する前記方法が更にミトコンドリア膜電位(MMP)を評定する手順を備え、その際、定量可能なレベルのMMPはmRAGE陽性の精子を示し、定量可能なレベルのMMPの不存在はmRAGE陰性の精子を示している、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
精子の健康状態を評価する前記方法が更に細胞透過性を評定する手順を備え、その際、mRAGE陽性の精子にmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも2倍の細胞透過性の低下があることは精子の健康状態が悪いことを示している、及び/又は、精子の健康状態を評価する前記方法が更にアポトーシス及びネクローシスを評定する手順を備え、その際、mRAGE陽性の精子にmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも2倍のアポトーシス及びネクローシスの増加があることは精子の健康状態が悪いことを示している、及び/又は、精子の健康状態を評価する前記方法が更にDNA断片化を評定する手順を備え、その際、mRAGE陽性の精子にmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも2倍のDNA断片化の増加があることは精子の健康状態が悪いことを示している、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
精子の健康状態を評価する前記方法が更に密度勾配遠心分離(DGC)及び精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて前記試料を処理する手順を備えている、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記DGC法及びスイムアップ法の結果、
(a)mRAGE陽性の精子にmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも2倍の減少、及び/又は、
(b)PR精子に少なくとも2倍の増加、及び/又は、
(c)精子に少なくとも2倍の細胞透過性の低下、及び/又は、
(d)アポトーシスの精子に少なくとも2倍の減少
が生じ、それは、子宮腔内受精(IUI)、卵細胞質内注入法(ICSI)及び体外受精(IVF)のうち1つ以上を含む生殖補助医療に用いられる(ART)に用いることができる精子を示している、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記患者が糖尿病でないこと、喫煙していないこと、及び、肥満ではないことの1つ以上である、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
不妊を診断する方法である、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精子の健康状態を評価し、生殖補助医療に用いられる精子を判別する方法であって、患者からの生体試料、好ましくは精液試料を提供し、該試料中のバイオマーカーの定量的なレベルを測定し、該バイオマーカーの定量的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することによる方法において、前記バイオマーカーが膜結合性の終末糖化産物受容体(membrane-bound receptor for advanced glycation end products: mRAGE)であるものに関する。
【背景技術】
【0002】
不妊は再生産年齢の男女の約15%に影響を及ぼし、症例の約30~40%は男性側の要因による不妊に帰することができる。男性不妊は、精索静脈瘤、遺伝子変化、全身性疾患、精液指標の変化等、様々な事情により生じ得る。しかし、男性不妊に対する最大の単独の寄与因子は酸化的ストレスによる精子の損傷とそれによるDNA断片化であり、症例の30%から80%を占めるものと推定される。DNA断片化は精子の品質に影響するだけでなく、胚の品質、着床率及び流産率に悪影響を及ぼすことも分かっている。
【0003】
現在行われている男性不妊の調査には精液試料の物理的特性の評価(体積、粘性、pH及び色)と顕微鏡による試料中の精子の評価(濃度、運動性、形態及び活性)が含まれる。これらの検査により精液試料中の精子の母集団の健康状態を機能的及び物理的に読み取ることができる。精子の分子的な健康状態、受精率、及びDNAの完全性に関する追加情報を提供するため、精子のDNA中の二本鎖の切断を評定することが推奨される。検査には、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(terminal deoxynucleotidyl transferase: TdT)の媒介によるデオキシウリジン三リン酸(deoxyuridine triphosphate: dUTP)ニック末端標識(TUNEL)分析、コメット分析、又は精子クロマチン分散(sperm chromatin dispersion: SCD)分析が含まれる。残念ながらこれらの検査は、費用がかかる、時間がかかる、侵襲性である、そして精子の健康状態を十分に伝えないという理由から、男性不妊の調査には含まれないことが多い。
【0004】
精子のDNA損傷の度合い及び精子の品質と関連している細胞外マーカーがあれば、損傷した精子を生殖補助医療(assisted reproductive techniques: ART)の前に判別して除去する上で非常に役に立つであろう。過去30年にわたり、より高性能のマーカーを発見するために多大な努力が成されてきた。主に、DNA断片化、酸化的DNA損傷、酸化的ストレス、ミトコンドリア機能、及び精子細胞死の細胞内マーカーが発見されている。しかし、これらには侵襲性の内部標識処置が必要であり、後には生命力のない精子が残る。本研究では精子細胞の健康状態の細胞外マーカーを評価する。
【0005】
終末糖化産物受容体(Receptor for Advanced Glycation End products: RAGE)は自然免疫系の中心的なシグナル伝達分子であり、MHCクラスIIIの遺伝子座にコードされた細胞表面パターン認識受容体のクラスに属する。この受容体は膜結合性(完全長)、可溶性又は分泌性タンパク質として非常に多くの形で存在する。可溶性RAGE(sRAGE)は、膜結合性/完全長RAGE(mRAGE/fl-RAGE)のタンパク質分解性開裂、及び選択的mRNAスプライシングのいずれでも産生される。可溶性アイソフォームは細胞外ドメインを含むが膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインはない。
【0006】
RAGEは神経変性、アテローム性動脈硬化、循環器疾患、変形性関節症、糖尿病などの重い慢性病理の主要な誘引として長く認められている。正常な状態ではRAGEの発現は非常に低い。しかし、病気の間は、終末糖化産物(advanced glycation end products: AGE)、高移動度群ボックス1(high mobility group box-1: HMGB1)、S100/カルグラヌリン(S100/calgranulins)、ホスファチジルセリン(phosphatidylserine)、C3等、多数の異なるリガンドにより細胞表面でRAGEの産生が盛んに誘発される。加えて、RAGEの発現は免疫活性化又は感染の後では一層高められ、多くのRAGEリガンドが、RAGE依存性炎症反応の開始と拡大にとって極めて重要である可能性が高い単球、マクロファージ、好中球及び白血球によって分泌される。ヒト精子の先体帽(精子頭部内の核DNAへの直接アクセス点)における膜結合性受容体の位置は、核DNAの損傷を生じさせて悪化させる役割を果たすことに関与している。
【0007】
本研究ではmRAGEを低品質の精子の診断バイオマーカーとして記述する。糖尿病ではなく、肥満でもなく、喫煙もしない男性から採取した精子上でmRAGEの発現を分析することにより、これらの条件において高められるRAGE及びそのリガンドの、精子の健康状態への作用を排除した。精子上の細胞レベルでのmRAGEの発現を定量的に評定するためにフローサイトメトリーを用い、精子の運動性を評価するためにコンピュータ支援精子分析(computer-assisted sperm analysis: CASA)を用いた。mRAGE並びにミトコンドリア膜電位(mitochondrial membrane potential: MMP)、細胞透過性、運動性、形態、アポトーシス及びDNA断片化を細胞レベルで分析することにより、直接的な関係を示す非常に強力な証拠がもたらされる。
【0008】
精子上のmRAGEの発現はミトコンドリア機能障害、細胞死、DNA断片化、及び不動精子と関連していることが観察された。加えて、従来の手法(密度勾配遠心分離と直接スイムアップ)を用いて精子を精製することにより、mRAGE発現精子を除去することができた。そうなると、後は精子の健康状態を評価するための、信頼できる、低侵襲の細胞外マーカーが必要である。RAGEは膜結合性であるため、損傷した精子を除去するための手段としてそれを用いることも可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様により、精子の健康状態を評価する方法が提供される。該方法は、
(a)患者からの生体試料を提供する手順、
(b)該試料中のバイオマーカーの定量的又は定性的なレベルを測定する手順、及び、
(c)前記バイオマーカーの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価する手順、
を含み、前記バイオマーカーは膜結合性の終末糖化産物受容体(mRAGE)である。
【0010】
精子の健康状態を評価する前記方法は体外受精の方法であってもよい。
【0011】
mRAGEは細胞の膜に結合されていてもよい。
【0012】
mRAGEは精子の膜に結合されていてもよい。
【0013】
mRAGEは精子頭部の膜に結合されていてもよい。
【0014】
mRAGEは精子頭部の赤道域の膜に結合されていてもよい。
【0015】
mRAGEは膜貫通受容体であってもよい。
【0016】
mRAGEは3つの細胞外ドメインを備えていてもよい。
【0017】
mRAGEは、1つのV型Igドメイン及び2つのC型Igドメイン(C1及びC2)という3つの細胞外ドメインを備えていてもよい。
【0018】
mRAGEは、1つのV型Igドメイン及び2つのC型Igドメイン(C1及びC2)という3つの細胞外ドメイン、並びに1つの膜貫通ドメインを備えていてもよい。
【0019】
mRAGEは、1つのV型Igドメイン及び2つのC型Igドメイン(C1及びC2)という3つの細胞外ドメイン、1つの膜貫通ドメイン、並びに1つの細胞質尾部を備えていてもよい。
【0020】
mRAGEは、完全長RAGE(fl-RAGE)であってもよい。
【0021】
前記生体試料は精液試料であることが好ましい。
【0022】
前記バイオマーカーは遺伝子であってもよい。前記バイオマーカーは核酸であってもよい。前記バイオマーカーはデオキシリボ核酸であってもよい。前記バイオマーカーはリボ核酸であってもよい。前記バイオマーカーはタンパク質であってもよい。前記バイオマーカーはペプチドであってもよい。
【0023】
精子の健康状態を評価するための前記バイオマーカーはGenBankアクセッションバージョン番号がAQY76652である遺伝子であってもよい。
【0024】
精子の健康状態を評価するための前記バイオマーカーはUniProt IDがQ15109であるタンパク質であることが好ましい。
【0025】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的なレベルを測定することを含むことが好ましい。
【0026】
前記測定する手順(b)は、任意の定量分析技術により精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的なレベルを測定することを含んでいてもよい。
【0027】
前記測定する手順(b)は、細胞に基づく分析により精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含んでいてもよい。
【0028】
前記測定する手順(b)は、フローサイトメトリーにより精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含んでいてもよい。
【0029】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、RAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0030】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、sRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0031】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、mRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0032】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、マウス抗ヒトmRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0033】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、ウサギ抗ヒトmRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0034】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、ネズミ抗ヒトmRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0035】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、ヒツジ抗ヒトmRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0036】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、モノクローナルウサギ抗ヒトmRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0037】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、モノクローナルネズミ抗ヒトmRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0038】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、モノクローナルヒツジ抗ヒトmRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0039】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、モノクローナルマウス抗ヒトmRAGE抗体を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0040】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、モノクローナルマウス抗ヒトmRAGE抗体AF647を用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0041】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、DNAアプタマーを用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0042】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、RNAアプタマーを用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0043】
前記測定する手順(b)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルを測定することを含み、ペプチドアプタマーを用いて決定されている、というようにしてもよい。
【0044】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含んでいてもよい。
【0045】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGEが存在することがmRAGE陽性と定義されている、というようにしてもよい。
【0046】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEの存在又は不存在を評価することで患者がmRAGE陰性であるかmRAGE陽性であるかを定めることを含んでいてもよい。
【0047】
前記精液試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEの存在が患者をmRAGE陽性であると定め、前記精液試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEの不存在が患者をmRAGE陰性であると定める、というようにしてもよい。
【0048】
前記評価する手順(c)は、定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量を定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量と比較することを含んでいてもよい。
【0049】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも1倍外れている、というようにしてもよい。
【0050】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも2倍外れている、というようにしてもよい。
【0051】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも3倍外れている、というようにしてもよい。
【0052】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも4倍外れている、というようにしてもよい。
【0053】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも5倍外れている、というようにしてもよい。
【0054】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも6倍外れている、というようにしてもよい。
【0055】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも7倍外れている、というようにしてもよい。
【0056】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも8倍外れている、というようにしてもよい。
【0057】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも9倍外れている、というようにしてもよい。
【0058】
定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の量は、定量可能なレベルのmRAGEを発現していない精子の量から少なくとも10倍外れている、というようにしてもよい。
【0059】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の割合を評価することを含んでいてもよい。
【0060】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の割合を評価することで、患者をmRAGE陰性又はmRAGE陽性と定めることを含んでいてもよい。
【0061】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の割合を評価することを含み、その際、mRAGE陰性は、平均蛍光強度(MFI、幾何平均)値がmRAGE陽性の精子細胞に比べて10倍未満であることと定義されている、というようにしてもよい。
【0062】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の割合を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は、平均蛍光強度(MFI、幾何平均)値がmRAGE陰性の精子細胞に比べて少なくとも10倍高いことと定義されている、というようにしてもよい。
【0063】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の割合を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は、平均蛍光強度(MFI、幾何平均)値がmRAGE陰性の精子細胞に比べて少なくとも20倍高いことと定義されている、というようにしてもよい。
【0064】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上における定量可能なレベルのmRAGEを発現している精子の割合を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は、平均蛍光強度(MFI、幾何平均)値がmRAGE陰性の精子細胞に比べて少なくとも30倍高いことと定義されている、というようにしてもよい。
【0065】
定量可能なレベルのmRAGEを表している平均蛍光強度の値は、定量可能なレベルのmRAGEを表していない平均蛍光強度の値から、10倍未満だけ外れている、というようにしてもよい。
【0066】
定量可能なレベルのmRAGEを表している平均蛍光強度の値は、定量可能なレベルのmRAGEを表していない平均蛍光強度の値から、少なくとも10倍外れている、というようにしてもよい。
【0067】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0068】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陰性は精子が健康で繁殖力を持つことを示している、というようにしてもよい。
【0069】
更に、前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は精子に異常があることを示している、というようにしてもよい。
【0070】
更に、前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陰性は精子が正常であることを示している、というようにしてもよい。
【0071】
更に、前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陰性は精子の健康状態が良いことを示している、というようにしてもよい。
【0072】
更に、前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陰性は精子が正常であること及び精子の健康状態が良いことの1つ以上を示している、というようにしてもよい。
【0073】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は精子の健康状態が悪いこと及び精子に異常があることの1つ以上を示している、というようにしてもよい。
【0074】
更に、前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は精子の運動性が低いことを示している、というようにしてもよい。
【0075】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は、精子の健康状態が悪いこと、精子に異常があること及び精子の運動性が低いことの1つ以上を示している、というようにしてもよい。
【0076】
更に、前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は不妊を示している、というようにしてもよい。
【0077】
前記評価する手順(c)は、精液試料からの精子細胞上のmRAGEの定量的又は定性的なレベルに基づいて精子の健康状態を評価することを含み、その際、mRAGE陽性は、精子の健康状態が悪いこと、精子に異常があること、精子の運動性が低いこと、及び不妊の1つ以上を示している、というようにしてもよい。
【0078】
精子の健康状態を評価する前記方法において、前記患者は哺乳類であってもよい。
【0079】
精子の健康状態を評価する前記方法において、前記患者はヒト以外のものであってもよい。
【0080】
精子の健康状態を評価する前記方法において、前記患者は、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ及びクマ等、ヒト以外の動物であってもよい。
【0081】
精子の健康状態を評価する前記方法において、前記患者はヒトであることが好ましい。
【0082】
精子の健康状態を評価する前記方法において、前記患者は糖尿病ではないヒトであってもよい。
【0083】
精子の健康状態を評価する前記方法において、前記患者は、糖尿病ではなく喫煙もしないヒトであってもよい。
【0084】
精子の健康状態を評価する前記方法において、前記患者は、糖尿病ではなく、喫煙もせず、肥満でもないヒトであってもよい。
【0085】
精子の健康状態を評価する前記方法において、前記患者は糖尿病ではなく、喫煙もせず、肥満でもない(BMI<29.9)ヒトであってもよい。
【0086】
精子の健康状態を評価する前記方法において、前記患者は糖尿病ではなく、喫煙もせず、肥満でもない(BMI<29.9)男性であってもよい。
【0087】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含んでいてもよい。
【0088】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、前記精子は不動(IM)、非前進運動(NP)又は前進運動(PR)に分類される、というようにしてもよい。
【0089】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、IMに分類された精子は運動しない、というようにしてもよい。
【0090】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、IMに分類された精子は運動せず、これは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0091】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、IMに分類された精子は運動せず、これは精子の健康状態が悪いこと及び精子の運動性が低いことを示している、というようにしてもよい。
【0092】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、IMに分類された精子は運動しない、というようにしてもよい。
【0093】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、IMに分類された精子は精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0094】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、NPに分類された精子は、運動はするものの略直線的な方向には運動しない、というようにしてもよい。
【0095】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、NPに分類された精子は、運動はするものの略直線的な方向には運動しない、というようにしてもよい。
【0096】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、PRに分類された精子は略直線的な方向に運動する、というようにしてもよい。
【0097】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、PRに分類された精子は略直線的な方向に運動する、というようにしてもよい。
【0098】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、精液試料中でPRに分類された精子の少なくとも10%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0099】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、精液試料中でPRに分類された精子の少なくとも20%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0100】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、精液試料中でPRに分類された精子の少なくとも30%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0101】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、精液試料中でPRに分類された精子の少なくとも32%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0102】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精液試料中でPRに分類された精子の少なくとも32%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0103】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、精液試料中でNPに分類された精子とPRに分類された精子とを合わせたものの少なくとも10%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0104】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、精液試料中でNPに分類された精子とPRに分類された精子とを合わせたものの少なくとも20%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0105】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、精液試料中でNPに分類された精子とPRに分類された精子とを合わせたものの少なくとも30%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0106】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、精液試料中でNPに分類された精子とPRに分類された精子とを合わせたものの少なくとも40%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0107】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精液試料中でNPに分類された精子とPRに分類された精子とを合わせたものの少なくとも40%は正常とみなされる、というようにしてもよい。
【0108】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の運動性を評定することを含み、その際、mRAGE陽性の精子の割合はPR精子の割合と逆の相関関係があり、5μm/秒以上の空間ゲインを持つ精子をPR精子と定義する、というようにしてもよい。
【0109】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含んでいてもよい。
【0110】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、精子は正常又は異常と分類される、というようにしてもよい。
【0111】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子は正常又は異常と分類される、というようにしてもよい。
【0112】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であるときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0113】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であるときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0114】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があるときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0115】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があるときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0116】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があり、該先体部に大きな空胞がなく、2個以上の小さな空胞がなく、該空胞が精子頭部の20%より大きな割合を占めないときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0117】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があり、該先体部に大きな空胞がなく、2個以上の小さな空胞がなく、該空胞が精子頭部の20%より大きな割合を占めないときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0118】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があり、該先体部に大きな空胞がなく、2個以上の小さな空胞がなく、該空胞が精子頭部の20%より大きな割合を占めておらず、精子の中片部が細長く、整っており、精子頭部と略同じ長さであるときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0119】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があり、該先体部に大きな空胞がなく、2個以上の小さな空胞がなく、該空胞が精子頭部の20%より大きな割合を占めておらず、精子の中片部が細長く、整っており、精子頭部と略同じ長さであるときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0120】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があり、該先体部に大きな空胞がなく、2個以上の小さな空胞がなく、該空胞が精子頭部の20%より大きな割合を占めておらず、精子の中片部が細長く、整っており、精子頭部と略同じ長さであり、精子の中片部の長軸が精子頭部の長軸と一直線になっているときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0121】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があり、該先体部に大きな空胞がなく、2個以上の小さな空胞がなく、該空胞が精子頭部の20%より大きな割合を占めておらず、精子の中片部が細長く、整っており、精子頭部と略同じ長さであり、精子の中片部の長軸が精子頭部の長軸と一直線になっているときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0122】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があり、該先体部に大きな空胞がなく、2個以上の小さな空胞がなく、該空胞が精子頭部の20%より大きな割合を占めておらず、精子の中片部が細長く、整っており、精子頭部と略同じ長さであり、精子の中片部の長軸が精子頭部の長軸と一直線になっており、主部がその長さに沿って太さが一定であり、中片部よりも細く、約45μmの長さであるときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0123】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子は、精子頭部が滑らかで、整った輪郭を持ち、略卵形であり、且つ、精子頭部領域の40~70%を占める明瞭な先体部があり、該先体部に大きな空胞がなく、2個以上の小さな空胞がなく、該空胞が精子頭部の20%より大きな割合を占めておらず、精子の中片部が細長く、整っており、精子頭部と略同じ長さであり、精子の中片部の長軸が精子頭部の長軸と一直線になっており、主部がその長さに沿って太さが一定であり、中片部よりも細く、約45μmの長さであるときに正常と分類される、というようにしてもよい。
【0124】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、精子は正常からの逸脱があるときに異常と分類される、というようにしてもよい。
【0125】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子は正常からの逸脱があるときに異常と分類される、というようにしてもよい。
【0126】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、精子は正常からの逸脱があるときに異常と分類され、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0127】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に精子の形態を評定することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子は正常からの逸脱があるときに異常と分類され、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0128】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にミトコンドリア膜電位(MMP)を評定する手順を含んでいてもよい。
【0129】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定される、というようにしてもよい。
【0130】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、その際、MitoTracker CMX Rosは低MMPの細胞を染色しない、というようにしてもよい。
【0131】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、その際、MitoTracker CMX Rosは低MMPの細胞を染色せず、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0132】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、その際、MitoTracker CMX Rosは低MMPの細胞を染色せず、該低MMPは平均蛍光強度(MFI、幾何平均)値がmRAGE陰性の精子細胞に比べて10倍以下と定義されており、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0133】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、その際、MitoTracker CMX Rosは高MMPの細胞を染色する、というようにしてもよい。
【0134】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、その際、MitoTracker CMX Rosは高MMPの細胞を染色し、それは精子の健康状態が良いことを示している、というようにしてもよい。
【0135】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子には低MMPの精子の増加が見られる、というようにしてもよい。
【0136】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子には低MMPの精子の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0137】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陰性の精子には高MMPの精子の増加が見られる、というようにしてもよい。
【0138】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陰性の精子には高MMPの精子の増加が見られ、それは精子の健康状態が良いことを示している、というようにしてもよい。
【0139】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陰性の精子には、mRAGE陽性の精子に比べて、高MMPの精子の増加が見られる、というようにしてもよい。
【0140】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陰性の精子には、RAGE陽性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも2倍の増加が見られる、というようにしてもよい。
【0141】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陰性の精子には、RAGE陽性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも2倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が良いことを示している、というようにしてもよい。
【0142】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陰性の精子には、RAGE陽性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも5倍の増加が見られる、というようにしてもよい。
【0143】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陰性の精子には、RAGE陽性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも5倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が良いことを示している、というようにしてもよい。
【0144】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陰性の精子には、mRAGE陽性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも10倍の増加が見られる、というようにしてもよい。
【0145】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陰性の精子には、mRAGE陽性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも10倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が良いことを示している、というようにしてもよい。
【0146】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子には、RAGE陰性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも2倍の減少が見られる、というようにしてもよい。
【0147】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子には、RAGE陰性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも2倍の減少が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0148】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子には、RAGE陰性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも5倍の減少が見られる、というようにしてもよい。
【0149】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子には、RAGE陰性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも5倍の減少が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0150】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子には、mRAGE陰性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも10倍の減少が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0151】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にMMPを評定する手順を含み、その際、MMPはMitoTracker CMX Rosで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子には、mRAGE陰性の精子に比べて、高MMPの精子の少なくとも10倍の減少が見られる、というようにしてもよい。
【0152】
定量可能なレベルのMMPはmRAGE陰性の精子を示し、定量可能なレベルのMMPの不存在はmRAGE陽性の精子を示している、というようにしてもよい。
【0153】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に細胞透過性を評定する手順を含んでいてもよい。
【0154】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に細胞透過性を評定することを含み、その際、細胞透過性はDAPIで染色することにより評定される、というようにしてもよい。
【0155】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に細胞透過性を評定することを含み、その際、細胞透過性はDAPIで染色することにより評定され、DAPIによる染色で陽性になることは生命力のない細胞を表す、というようにしてもよい。
【0156】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に細胞透過性を評定することを含み、その際、細胞透過性はDAPIで染色することにより評定され、DAPIによる染色で陽性になることは生命力のない細胞を表し、mRAGE陽性の精子には生命力のない細胞の増加が見られる、というようにしてもよい。
【0157】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に細胞透過性を評定することを含み、その際、細胞透過性はDAPIで染色することにより評定され、DAPIによる染色で陽性になることは生命力のない細胞を表し、mRAGE陽性の精子には生命力のない細胞の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0158】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に細胞透過性を評定することを含み、その際、細胞透過性はDAPIで染色することにより評定され、DAPIによる染色で陽性になることは生命力のない細胞を表し、mRAGE陽性の精子には、mRAGE陰性の精子に比べて、生命力のない細胞の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0159】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に細胞透過性を評定することを含み、その際、細胞透過性はDAPIで染色することにより評定され、DAPIによる染色で陽性になることは生命力のない細胞を表し、mRAGE陽性の精子には、mRAGE陰性の精子に比べて、生命力のない細胞の少なくとも2倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0160】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に細胞透過性を評定することを含み、その際、細胞透過性はDAPIで染色することにより評定され、DAPIによる染色で陽性になることは生命力のない細胞を表し、mRAGE陽性の精子には、mRAGE陰性の精子に比べて、生命力のない細胞の少なくとも3倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0161】
mRAGE陽性の精子には、mRAGE陰性の精子に比べて、透過性のない細胞の少なくとも2倍の減少が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0162】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定する手順を含んでいてもよい。
【0163】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、その際、アポトーシスはAnnexin Vで染色することにより評定される、というようにしてもよい。
【0164】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、その際、アポトーシスはAnnexin Vで染色することにより評定され、Annexin Vによる染色で陽性になることは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0165】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、その際、アポトーシスはAnnexin VとDAPIの組み合わせで染色することにより評定される、というようにしてもよい。
【0166】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、その際、アポトーシスは、アポトーシスとネクローシスを同時に評定できるようにするためにAnnexin VとDAPIの組み合わせで染色することにより評定される、というようにしてもよい。
【0167】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、その際、アポトーシスは、アポトーシスとネクローシスを同時に評定できるようにするためにAnnexin VとDAPIの組み合わせで染色することにより評定され、Annexin VとDAPIの組み合わせによる染色で陽性になることは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0168】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、その際、アポトーシスは、アポトーシスとネクローシスを同時に評定できるようにするためにAnnexin VとDAPIの組み合わせで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子にはアポトーシスとネクローシスの増加が見られる、というようにしてもよい。
【0169】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、その際、アポトーシスは、アポトーシスとネクローシスを同時に評定できるようにするためにAnnexin VとDAPIの組み合わせで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子にはアポトーシスとネクローシスの増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0170】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、その際、アポトーシスは、アポトーシスとネクローシスを同時に評定できるようにするためにAnnexin VとDAPIの組み合わせで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子にはmRAGE陰性の精子に比べてアポトーシスとネクローシスの増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0171】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、その際、アポトーシスは、アポトーシスとネクローシスを同時に評定できるようにするためにAnnexin VとDAPIの組み合わせで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子にはmRAGE陰性の精子に比べてアポトーシスとネクローシスの少なくとも2倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0172】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、アポトーシスは、アポトーシスとネクローシスを同時に評定できるようにするためにAnnexin VとDAPIの組み合わせで染色することにより評価され、mRAGE陽性の精子にはmRAGE陰性の精子に比べてアポトーシスとネクローシスの少なくとも4倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0173】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にアポトーシスを評定することを含み、アポトーシスは、アポトーシスとネクローシスを同時に評定できるようにするためにAnnexin VとDAPIの組み合わせで染色することにより評定され、mRAGE陽性の精子にはmRAGE陰性の精子に比べてアポトーシスとネクローシスの少なくとも4倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0174】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にDNA断片化を評定する手順を含んでいてもよい。
【0175】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にApoBrdU末端デオキシヌクレオチド転移酵素dUTPニック末端標識(TUNEL)分析でDNA断片化を評定することを含んでいてもよい。
【0176】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にApoBrdU末端デオキシヌクレオチド転移酵素dUTPニック末端標識(TUNEL)分析でDNA断片化を評定することを含み、その際、mRAGE陽性の精子にはDNA断片化の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0177】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にApoBrdU末端デオキシヌクレオチド転移酵素dUTPニック末端標識(TUNEL)分析でDNA断片化を評定することを含み、その際、mRAGE陽性の精子には、mRAGE陰性の精子に比べて、DNA断片化の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0178】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にApoBrdU末端デオキシヌクレオチド転移酵素dUTPニック末端標識(TUNEL)分析でDNA断片化を評定することを含み、その際、mRAGE陽性の精子には、mRAGE陰性の精子に比べて、DNA断片化の少なくとも2倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0179】
精子の健康状態を評価する前記方法は更にApoBrdU末端デオキシヌクレオチド転移酵素dUTPニック末端標識(TUNEL)分析でDNA断片化を評定することを含み、その際、mRAGE陽性の精子には、mRAGE陰性の精子に比べて、DNA断片化の少なくとも3倍の増加が見られ、それは精子の健康状態が悪いことを示している、というようにしてもよい。
【0180】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別する手順を含んでいてもよい。
【0181】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、子宮腔内受精(IUI)を含む生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含んでいてもよい。
【0182】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、子宮腔内受精(IUI)と卵細胞質内注入法(ICSI)のうち1つ以上を含む生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含んでいてもよい。
【0183】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、子宮腔内受精(IUI)、卵細胞質内注入法(ICSI)及び体外受精(IVF)のうち1つ以上を含む生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含んでいてもよい。
【0184】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、子宮腔内受精(IUI)、卵細胞質内注入法(ICSI)、体外受精(IVF)及び人工授精(AI)のうち1つ以上を含む生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含んでいてもよい。
【0185】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、精液試料が処理される、というようにしてもよい。
【0186】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、分離技術を用いて精液試料が処理される、というようにしてもよい。
【0187】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)を含む分離技術を用いて精液試料が処理される、というようにしてもよい。
【0188】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、精子スイムアップ法を含む分離技術を用いて精液試料が処理される、というようにしてもよい。
【0189】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、ヒト精液の検査及び処理のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(第5版、2010年)で定義されているように、精子スイムアップ法を含む分離技術を用いて精液試料が処理される、というようにしてもよい。
【0190】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理される、というようにしてもよい。
【0191】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法は精子の密度に基づいて該精子を分離する、というようにしてもよい。
【0192】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法では、形態が正常な精子は異常な精子よりも密度が高いため精子の密度に基づいて該精子を分離する、というようにしてもよい。
【0193】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法では、形態が正常な精子は異常な精子よりも密度が高いため精子の密度に基づいて該精子を分離し、スイムアップ法では精子の運動性を頼りにする、というようにしてもよい。
【0194】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法では、形態が正常な精子は異常な精子よりも密度が高いため精子の密度に基づいて該精子を分離し、スイムアップ法では精子の運動性を頼りにしてIM精子及びNP精子からPR精子を分離する、というようにしてもよい。
【0195】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、mRAGE陽性の精子が減少する、というようにしてもよい。
【0196】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、スイムアップ法の結果、mRAGE陽性の精子が減少する、というようにしてもよい。
【0197】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、mRAGE陽性の精子が減少する、というようにしてもよい。
【0198】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、mRAGE陽性の精子が減少し、それは精子の健康状態が良いことを示している、というようにしてもよい。
【0199】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、mRAGE陽性の精子がmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも2倍減少する、というようにしてもよい。
【0200】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、mRAGE陽性の精子がmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも2倍減少し、スイムアップ法の結果、mRAGE陽性の精子がmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも2倍減少する、というようにしてもよい。
【0201】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、処理されたmRAGE陽性の精子が、処理されたmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも2倍減少し、スイムアップ法の結果、処理されたmRAGE陽性の精子が、処理されたmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも2倍減少する、というようにしてもよい。
【0202】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、処理されたmRAGE陽性の精子が、処理されたmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも3倍減少し、スイムアップ法の結果、処理されたmRAGE陽性の精子が、処理されたmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも3倍減少する、というようにしてもよい。
【0203】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、処理されたmRAGE陽性の精子が、処理されたmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも4倍減少し、スイムアップ法の結果、処理されたmRAGE陽性の精子が、処理されたmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも4倍減少する、というようにしてもよい。
【0204】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、処理されたmRAGE陽性の精子が、処理されたmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも4倍減少し、スイムアップ法の結果、処理されたmRAGE陽性の精子が、処理されたmRAGE陰性の精子に比べて少なくとも5倍減少する、というようにしてもよい。
【0205】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、PR精子が増加する、というようにしてもよい。
【0206】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、スイムアップ法の結果、PR精子が増加する、というようにしてもよい。
【0207】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、PR精子が増加する、というようにしてもよい。
【0208】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、PR精子が少なくとも2倍増加する、というようにしてもよい。
【0209】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、処理されたPR精子が未処理の精子に比べて少なくとも2倍増加し、スイムアップ法の結果、処理されたPR精子が未処理の精子に比べて少なくとも2倍増加する、というようにしてもよい。
【0210】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、処理されたPR精子が未処理の精子に比べて少なくとも3倍増加し、スイムアップ法の結果、処理されたPR精子が未処理の精子に比べて少なくとも3倍増加する、というようにしてもよい。
【0211】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、処理されたPR精子が未処理の精子に比べて少なくとも3.5倍増加し、スイムアップ法の結果、処理されたPR精子が未処理の精子に比べて少なくとも3.4倍増加する、というようにしてもよい。
【0212】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、精子の細胞透過性が低下する、というようにしてもよい。
【0213】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、スイムアップ法の結果、精子の細胞透過性が低下する、というようにしてもよい。
【0214】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、精子の細胞透過性が低下する、というようにしてもよい。
【0215】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、精子の細胞透過性が少なくとも2倍低下する、というようにしてもよい。
【0216】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、精子の細胞透過性が少なくとも2.75倍低下する、というようにしてもよい。
【0217】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、アポトーシスの精子が減少する、というようにしてもよい。
【0218】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、スイムアップ法の結果、アポトーシスの精子が減少する、というようにしてもよい。
【0219】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、アポトーシスの精子が減少する、というようにしてもよい。
【0220】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、アポトーシスの精子が少なくとも2倍減少する、というようにしてもよい。
【0221】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、処理されたアポトーシスの精子が未処理の精子に比べて少なくとも2倍減少する、というようにしてもよい。
【0222】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)と精子スイムアップ法のうち1つ以上を含む分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、処理されたアポトーシスの精子が未処理の精子に比べて少なくとも2.75倍減少する、というようにしてもよい。
【0223】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)や精子スイムアップ法等の分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法の結果、精子のMMPが増加する、というようにしてもよい。
【0224】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)や精子スイムアップ法等の分離技術を用いて精液試料が処理され、スイムアップ法の結果、精子のMMPが増加する、というようにしてもよい。
【0225】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)や精子スイムアップ法等の分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、精子のMMPが増加する、というようにしてもよい。
【0226】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)や精子スイムアップ法等の分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、精子のMMPが少なくとも1.5倍増加する、というようにしてもよい。
【0227】
精子の健康状態を評価する前記方法は更に、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別することを含み、その際、密度勾配遠心分離(DGC)や精子スイムアップ法等の分離技術を用いて精液試料が処理され、DGC法とスイムアップ法の結果、処理された精子のMMPが未処理の精子に比べて少なくとも1.5倍増加する、というようにしてもよい。
【0228】
前記方法は不妊の診断方法であってもよい。
【0229】
前記方法は不妊の診断方法であり、精子の健康状態が悪いことは不妊を示している、というようにしてもよい。
【0230】
前記不妊の診断方法において、前記患者は哺乳類であってもよい。
【0231】
前記不妊の診断方法において、前記患者はヒト以外のものであってもよい。
【0232】
前記不妊の診断方法において、前記患者は、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ及びクマ等、ヒト以外の動物であってもよい。
【0233】
前記不妊の診断方法において、前記患者はヒトであることが好ましい。
【0234】
前記不妊の診断方法において、前記患者は糖尿病ではないヒトであってもよい。
【0235】
前記不妊の診断方法において、前記患者は糖尿病ではなく、喫煙もしないヒトであってもよい。
【0236】
前記不妊の診断方法において、前記患者は糖尿病ではなく、喫煙もせず、肥満でもないヒトであってもよい。
【0237】
前記不妊の診断方法において、前記患者は糖尿病ではなく、喫煙もせず、肥満でもない(BMI<29.9の)ヒトであってもよい。
【0238】
前記不妊の診断方法において、前記患者は糖尿病ではなく、喫煙もせず、肥満でもない(BMI<29.9の)男性であってもよい。
【0239】
前記方法は不妊の診断方法であり、該方法は、患者からの生体試料を提供すること、該試料中のバイオマーカーの定量的なレベルを測定すること、及び、前記バイオマーカーの定量的なレベルに基づいて不妊を診断することを含み、前記バイオマーカーは膜結合性の終末糖化産物受容体(mRAGE)である、というようにしてもよい。
【0240】
好ましくは、前記方法は不妊の診断方法であり、該方法は、患者からの精液試料を提供すること、該試料中のバイオマーカーの定量的なレベルを測定すること、及び、前記バイオマーカーの定量的なレベルに基づいて不妊を診断することを含み、前記バイオマーカーは膜結合性の終末糖化産物受容体(mRAGE)である。
【0241】
本発明の別の態様により、不妊の治療方法が提供される。該方法は、
(a)患者からの生体試料を提供する手順、
(b)該試料中の膜結合性の終末糖化産物受容体(mRAGE)の定量的なレベルの存在又は不存在を測定して前記患者をmRAGE陰性又はmRAGE陽性と定める手順、及び、
(c)mRAGE陰性の試料を選択して卵子を受精させることにより不妊を治療する手順
を含む。
【0242】
前記不妊の治療方法は、
(a)生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別する手順、及び、
(b)前記ARTに用いることができる精子を選択して卵子を受精させることにより不妊を治療する手順
を含んでいてもよい。
【0243】
前記不妊の治療方法は、
(a)患者からの精液試料を提供することにより、生殖補助医療(ART)に用いることができる精子を判別する手順、
(b)前記精液試料中の膜結合性の終末糖化産物受容体(mRAGE)の定量的なレベルの存在又は不存在を測定して前記患者をmRAGE陰性又はmRAGE陽性と定める手順、及び、
(c)mRAGE陰性の精子を選択し、該選択した精子を用いて卵子を受精させることにより不妊を治療する手順
を含んでいてもよい。
【0244】
これより、添付の図面及び以下の非限定的な例を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0245】
図1】ヒト精子の細胞膜の先体及び赤道域にRAGEが見つかったことを示す図。
図2】膜のRAGEタンパクの発現と精子細胞の健康状態の分子マーカーを分析するためのフローサイトメトリーのゲート方法を示す図。
図3】フローサイトメトリーによる精子の分子的な健康状態の分析の検証を示す図。
図4】フローサイトメトリーと、洗浄済み精子からPR運動精子を分離するための直接スイムアップ標本分析のCASA評価とを示す図。
図5】糖尿病ではなく、喫煙もせず、肥満でもない男性の母集団からの精子においてRAGEの発現がガウス分布に従うことを示す図。
図6a】RAGEが、不動精子の母集団と関係のある精子上に安定的に発現されたタンパク質であることを示す図。
図6b】RAGEが、不動精子の母集団と関係のある精子上に安定的に発現されたタンパク質であることを示す図。
図6c】RAGEが、不動精子の母集団と関係のある精子上に安定的に発現されたタンパク質であることを示す図。
図6d】RAGEが、不動精子の母集団と関係のある精子上に安定的に発現されたタンパク質であることを示す図。
図6e】RAGEが、不動精子の母集団と関係のある精子上に安定的に発現されたタンパク質であることを示す図。
図6f】RAGEが、不動精子の母集団と関係のある精子上に安定的に発現されたタンパク質であることを示す図。
図7a】洗浄及び精製された精子中の精子細胞の健康状態のフローサイトメトリー定量化を示す図。
図7b】洗浄及び精製された精子中の精子細胞の健康状態のフローサイトメトリー定量化を示す図。
図8】ヒト精子上のRAGEの発現が、ミトコンドリア膜電位が低い精子、透過性細胞膜を持つ死滅しつつある及び死滅した精子と関係していることを示す図。
図8c】ヒト精子上のRAGEの発現が、ミトコンドリア膜電位が低い精子、透過性細胞膜を持つ死滅しつつある及び死滅した精子と関係していることを示す図。
図9】ヒト精子におけるRAGEの発現がDNA断片化の度合いと関連していることを示す図。
図10】ヒト精子における精子の健康状態とRAGEタンパク質の発現の評価を示す図。
図10c】ヒト精子における精子の健康状態とRAGEタンパク質の発現の評価を示す図。
図11】未処理のヒト精子及び処理されたヒト精子におけるRAGEタンパク質の発現と精子の細胞の健康状態の評価を示す図。
図11d】未処理のヒト精子及び処理されたヒト精子におけるRAGEタンパク質の発現と精子の細胞の健康状態の評価を示す図。
図12】DGC法又はスイムアップ法による処理後のRAGEタンパク質の発現と精子の運動性の相関関係の評価を示す図。
図12c】DGC法又はスイムアップ法による処理後のRAGEタンパク質の発現と精子の運動性の相関関係の評価を示す図。
図13】2つの運動性評定法及びそれらの方法と精子の形態との相関関係の評価を示す図。
図14】mRAGEタンパク質の発現、精子の健康状態、及び精子の形態の評価を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0246】
材料及び方法
【0247】
倫理審査による承認
【0248】
本研究は、メリソン不妊治療クリニック(Merrion Fertility Clinic)にて治療を受けていた複数の匿名の患者からの精液試料を用いて、提供者の許可、並びに、ダブリン大学トリニティ・カレッジの医学部研究倫理委員会及びホレスストリートの国立産科病院倫理委員会から倫理審査による承認を得た上で実施された。本研究はダブリン大学トリニティ・カレッジのトリニティ生体医科学研究所において実施された。
【0249】
調査対象母集団及び参加者
【0250】
2017年8月から2018年7月までの間にメリソン不妊治療クリニックで治療を受けていた男性らに本研究への参加を呼び掛け、全参加者から書面による同意を得た。治験対象患者基準は、妊性評定を受けていた正常精液の患者から採取した試料とした。除外基準は、1型又は2型糖尿病の参加者、喫煙者、及び/又は、BMI>29.9の個人から採取した試料とした。
【0251】
試料の採取及び分析
【0252】
2~5日間の性的禁欲後に精液試料を採取した。試料は無菌のプラスチック容器(Starstedt社、75-562-105)に採取し、37℃で30分間、液化させた。射精から1時間以内に精液分析を行った。全ての試料を従来の分析にかけ、世界保健機関(WHO)の勧告(WHO、第5版)に従って、精液体積(ml)、精子濃度(×10/ml)、精子の形態及び運動性を求めた。
【0253】
精子の形態の評定
【0254】
精子の形態の評定は単純な正常/異常の分類を用いて行った。厳しいKruger(Tygerberg)基準に従って染色前のスライド(TestSimplet、Waldeck社)を用いた。簡単に言うと、精液の小滴をカバースリップの中央に添加し、スライドの染色前の領域の上へ慎重に配置し、室温で15分間培養した。油の小滴をカバースリップの中央に配置し、Eclipse E400顕微鏡に取り付けた100倍の油浸漬型レンズを用いて形態を評定した。約200個の精子を評定し、正常(スコア>4%正常)又は異常(スコア<4%正常)な形状の割合を求めた。
【0255】
精子の運動性の評定
【0256】
精子の運動性の評定は、Hamilton Thorne社のソフトウェアとZeiss社の顕微鏡を用いたCASAにより、WHOと各メーカーの指針に従って行った。簡単に言うと、精液試料をパスツールピペットで再懸濁させ、精子洗浄媒体3に対して1の割合で希釈した。3μlの希釈精液をCASA顕微鏡のスライドに添加し、予備加熱したステージ(37℃)上に配置し、画面上でドリフトが見られなくなるまで沈下させた。運動性の評定は、未処理の試料についてはスライド毎に少なくとも1000個、処理した試料については少なくとも300個の精子細胞の軌跡を捕らえることにより評価した。細胞の総数(×10/ml)、不動精子(IM)、非前進運動精子(NP)及び前進運動精子(PR)の割合、並びに精子の平均経路速度(VAP)を試料毎に記録した。
【0257】
精子の洗浄
【0258】
1500×gの遠心分離により室温で1分間、精子を0.5mlの精子洗浄媒体(Irvine Scientific社、9983)中に流し込むという操作を2回繰り返すことにより精漿を除去した。最終的な精子ペレットを、その後の実験に先立って0.1mlの精子洗浄媒体に再懸濁させた。この試料を以下では「洗浄済み精子」と呼ぶ。
【0259】
精子の調製
【0260】
密度勾配遠心分離(DGC)又は直接スイムアップにより精液試料を精製した。DGCにはpuresperm 40/80 Nidacon PS40-100/PS80-100を分離媒体として用いた。1.5mlの40%下層分離媒体を15mlのファルコン試験管に添加した後、1.5mlの80%上層分離媒体を添加した。最低1mlの精液試料を勾配に乗せ、室温で20分間、400×gで遠心分離した。約2.5mlの上層を無菌のパスツールピペットで静かに除去し、精子ペレットを2mlの精子洗浄媒体で2回洗浄し、室温で5分間、380×gで遠心分離した。運動性の高い精製された精子を含んでいるこの洗浄済みペレットを0.5mlの精子洗浄媒体中に再懸濁させた。直接スイムアップのために、最低1mlの精漿を2mlの精子洗浄媒体に入れて室温で5分間、380×gで遠心分離することにより、2回洗浄した。洗浄された精子ペレットを静かに再懸濁させ、1mlの多用途処理培地(Irvine Scientific社、90166)の下で層状にし、37℃で予備平衡させ、室温で30分間培養した。運動性の高い精製された精子を含んでいる最上層を約0.8ml、取り出した。
【0261】
精子細胞の健康状態の定量的な評定
【0262】
ミトコンドリア膜電位(MMP)、細胞透過性、及び細胞死は、MitoTracker CMX Ros(ThermoFisher社)、DAPI(4′,6-diamidino-2-phenylindole; ThermoFisher社)及びAnnexin V-PeCy7(ThermoFisher社)をそれぞれ用いて測定した。簡単に言うと、精漿から採取した1×10個の精子を0.5mlの精子洗浄媒体に流し込んだ後、1%のFBSを含む0.5mlのPBSに2ステップで流し込んだ。MMPは、6.25nMのMitoTracker CMX Ros(Invitrogen; M7512)と共に37℃で15分間培養することにより評価した。細胞透過性は、遮光状態で、1%のFBSを含む0.1mlのPBS中で35ng/mlのDAPI(Invitrogen, D1306)と共に37℃で5分間培養することにより評価した。フローサイトメトリー分析の前に1%のFBSを含む0.5mlのPBSで試料を2回洗浄した。1×10個の精子を0.5mlの1倍のAnnexin V結合バッファに流し込んだ後、0.1mlの1倍の結合バッファ中で5μlのAnnexin V-PE-Cy7(Invitrogen; 8007-72)を使用し、室温で15分間培養して、アポトーシスとネクローシスを評価した。
【0263】
RAGEタンパク質の発現の定量的な評定
【0264】
RAGEタンパク質の発現はモノクローナルマウス抗ヒトmRAGE抗体AF647(Santa Cruz社; 80652)を用いて測定した。簡単に言うと、1%のFBSを含むPBSに1×10個の精子を流し込んだ後、遮光状態で、2μg/mlのRAGE抗体と共に37℃で1時間培養した。1%のFBSを含む0.5mlのPBSで試料を2回洗浄した後、フローサイトメトリー分析を行った。
【0265】
DNA断片化の定量的な評定
【0266】
DNA断片化は、ApoBrdU末端デオキシヌクレオチド転移酵素dUTPニック末端標識(TUNEL)分析を使用し、メーカーの指針(Invitrogen; A23210)を若干修正したものに従って測定した。簡単に言えば、1%のFBSを含むPBS中で洗浄した後、5×10個の洗浄済み精子細胞を4%のPFAで30分間で固定し、1%のFBSを含むPBSで2回洗浄した。固定された細胞を、氷上で2分間、PBS中の0.1mlの0.1%Triton-X、1%クエン酸ナトリウム中で培養し、キット同梱の洗浄バッファ0.5mlで2回洗浄することにより、透過性にした。固定され、透過性にされた細胞をTdT TUNEL反応(TdT酵素、BrdU、反応バッファ)と共に37℃で1時間培養し、0.5mlのすすぎバッファで2回洗浄し、マウス抗BrdU-AF488抗体(Invitrogen)と共に室温で30分間培養した。1%のFBSを含む0.5mlのPBSで細胞を2回洗浄し、キット同梱のRNaseAバッファ中で10μlのPIで対比染色した。
【0267】
フローサイトメトリーによる精子細胞の健康状態の分析
【0268】
フローサイトメトリーによるデータ収集のため、BD LSR Fortessaフローサイトメータを用いて、200事象/秒の流速で試料毎に最低10000例の単事象を記録した。450/50帯域通過フィルタでDAPIを、610/20フィルタでCMX Rosを、780/60フィルタでPE-Cy7、670/14フィルタでAF647を、そして530/30フィルタでAF488をそれぞれ測定した。FSC-AとSSC-Aを用いて火炎状域において精子をゲートすることで精子以外の破片や細胞を除去した。FSC-AとFSC-Wのドットプロットを用いてダブレットを省いた。FSC-Aに対して矩形ゲートを用いて各蛍光体を選択してゲートすることで陰性と陽性の母集団を選択した。象限プロットを用いてアポトーシス及びネクローシスの精子細胞を分析した。
【0269】
RAGEとミトコンドリア局在の共焦点分析
【0270】
精子上のRAGEとミトコンドリア局在を顕微鏡で評価するため、Leica SP8 Gated STED共焦点顕微鏡を用いて各スライドを観察した。RAGE局在の分析のため、1×10個の洗浄済みで未処理のヒト精子細胞を4μg/mlのマウス抗ヒトRAGE一次抗体(Santa Cruz社; sc-80652)と共に37℃で1時間培養した後、2μg/mlのヤギ抗マウスAF647二次抗体(ThermoFisher社; A28181)と共に37℃で30分間培養した。ミトコンドリア局在のため、1×10個の(DGCによる)精製済みヒト精子細胞を0.5μMのMitoTracker CMX Rosと共に37℃で15分間培養した。染色された細胞を0.5mlの4%PFA pH7.2で室温にて20分間で固定し、70ng/mlのDAPIと共に培養した。染色された精子細胞20μlをポリエルリジン製顕微鏡スライド上に添加して37℃で空気乾燥させた後、封入剤とカバースリップを加えることによりスライドを用意した。
【0271】
統計解析
【0272】
Prism 6.0ソフトウェア(GraphPad社)を用いて統計解析を行った。形態とmRAGEタンパク質の発現とを対応なしパラメトリックt検定で比較した。運動性とmRAGEタンパク質の発現とを対応ありパラメトリックt検定で比較した。フローサイトメトリーマーカーを対応ありパラメトリックt検定で比較した。全てのデータが正規分布しているものと仮定した。各値は±SDで表している。P値が0.05未満であれば統計的に有意とみなされる。RAGEタンパク質の発現と運動性との相関関係を分析するためにピアソンの相関検定を行った。未処理の試料と処理済み試料の全体にわたってフローサイトメトリーマーカーの発現を比較するため、両側P値を用いて一元配置分散分析を行った。P値が0.05未満であれば統計的に有意とみなされる。
【0273】
実施例1
【0274】
ヒト精子細胞の先体部及び赤道膜域にmRAGEが存在
【0275】
RAGEは非常に多くの形(膜結合性、可溶性又は分泌性)で存在するが、ヒト精子上での膜結合性RAGE(mRAGE)の検出が本研究にとって重要であった。
【0276】
図1(a)は、フローサイトメトリーによりモノクローナルRAGE抗体を用いて分析した、トランスフェクトされていないHEK293T細胞とトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるmRAGE陽性の蛍光を示す棒グラフである(n=2 生物的複製、SD)。図1(b)は、モノクローナルマウス抗ヒトRAGE一次抗体とマウス抗HRP二次抗体を用いた、トランスフェクトされたHEK293T細胞とトランスフェクトされていないHEK293T細胞からの全タンパク質溶解物、細胞質ゾルのタンパク質溶解物、及び膜タンパク質溶解物におけるRAGEの発現のウエスタンブロット分析である。図1(c)はヒト精子細胞上での先体部及び赤道域におけるmRAGE局在を示す、グレースケール化された共焦点画像である。
【0277】
要約すると、一過性にトランスフェクトされたHEK293T細胞モデルを用いて、多数の抗体をスクリーニングしてフローサイトメトリーでmRAGEを検出し(図1(a))、ウエスタンブロットでmRAGEの検出を示した(図1(b))。マウス抗ヒトmRAGE抗体でも精子細胞頭部の赤道中片部と先体部におけるmRAGEを検出できた(図1(c))。
【0278】
実施例2
【0279】
mRAGEタンパク質の発現と精子細胞の健康状態の分子マーカーとを分析するためのフローサイトメトリーのゲート方法、並びにフローサイトメトリーによる精子の分子的な健康状態の分析の検証
【0280】
図2はフローサイトメトリーによりヒト精子試料中のmRAGEタンパク質の発現と精子の健康状態とを分析するためのゲート方法のドットプロットを示しており、(i)は精子細胞の母集団の周囲に描かれた多角形ゲート、(ii)はダブレットを省いて単一細胞の周囲に描かれた矩形ゲート、(iii)はmRAGE陽性及び陰性の単一細胞の母集団の周囲にそれぞれ描かれた矩形ゲート、(iv)はDAPI陰性、薄暗い(dim)及び明るい(bright)単一細胞の母集団の周囲にそれぞれ描かれた矩形ゲート、(v)はMitoTracker陽性(高MMP)及び陰性(低MMP)の単一細胞の母集団の周囲にそれぞれ描かれた矩形ゲート、(vi)はアポトーシスとネクローシスを分析する象限プロットであって、Q1はAnV-DAPI+(ネクローシス)、Q2はAnV+DAPI+(アポトーシス)、Q3はAnV+DAPI-(初期アポトーシス)、Q4はAnV-DAPI-(生体)である。
【0281】
図3はフローサイトメトリーによる精子の分子的な健康状態の分析の検証を示している。図3(a)はDAPIの濃度を増大させながら培養したヒト精子の線グラフである(n=3)。更なる検討のために選択された最終的な濃度を囲み領域で示している。図3(b)は35ng/mlのDAPIと共に培養された未固定及び固定されたヒト精子中の核染色を示す棒グラフである。図3(c)はMitoTracker CMX Rosの濃度を増大させながら培養したヒト精子の線グラフである(n=3)。更なる検討のために選択された最終的な濃度を囲み領域で示している。図3(d)はミトコンドリアの電子伝達鎖(ETC)の阻害剤(FCCP、ロテノン及びマロネート)が存在する又は存在しない場合におけるMitoTracker CMX Ros陽性のヒト精子の平均蛍光強度(MFI)を示す棒グラフである。図3(e)はTUNEL分析のためのヒト精子のゲート方法を示す代表的なドットプロット(上図)と、それに対応する、図示したようなTUNEL陰性及び陽性のコントロール反応(下図)に対するフローサイトメトリーのドットプロットである。図3(f)はヒト精子中のDNA断片化を分析するための、陰性(-TdT酵素)及び陽性(+DNaseI)のコントロール反応中のTUNEL陽性精子を示す棒グラフである。
【0282】
実施例3
【0283】
フローサイトメトリーと、洗浄済み精子からPR運動精子を分離するための直接スイムアップ標本分析のCASA評価
【0284】
フローサイトメトリーと、洗浄済み精子からPR運動精子を分離するための直接スイムアップ標本分析のCASA評価。図4(a)はmRAGEタンパク質の発現、図4(b)はPR運動性、図4(c)は細胞透過性、図4(d)はMMP、そして図4(e)はアポトーシス、の割合を、洗浄済み精子中と、直接スイムアップ準備中に得られたペレット試料及び上澄み試料中との間で比較したもの(n=8;%平均±SEM)。一元配置分散分析で、****はP < 0.0001、**はP < 0.005、*はP < 0.05である。
【0285】
実施例4
【0286】
糖尿病でなく、喫煙もせず、肥満でもない男性の母集団から採取した精子においてmRAGEの発現はガウス分布に従う。
【0287】
図5はフローサイトメトリーにより測定された、n=60個の洗浄済み精子試料におけるmRAGEの発現の頻度分布のヒストグラムを示している。
【0288】
全体として、ヒト精子上でのmRAGEの発現は、糖尿病、喫煙又は肥満といった医学的な又は「自ら招いた」状態がなければ、不妊治療クリニックで治療を受けている患者の母集団において正規分布していることが分かった。
【0289】
実施例5
【0290】
mRAGEは、不動精子の母集団と関係のある精子上に安定的に発現されたタンパク質である。
【0291】
図6aは経時的に(0~72h)測定され、CASAとFCにより分析された、DGC精製済み精子中の不動精子とmRAGEの発現の割合を示す線グラフである(n=6 %平均±SEM)。図6bはDGC精製済み精子中のmRAGEの発現を経時的に(0~72h)示すドットプロットである。図6cは洗浄及び精製された精子試料中のPR運動性の割合の比較である(n=15;%平均±SEM)。一元配置分散分析で、****はP < 0.0001である。図6dは洗浄及び精製された精子試料中のmRAGEタンパク質の発現の割合の比較である(n=15;%平均±SEM)。一元配置分散分析で、****はP < 0.0001である。図6eは洗浄され、DGC及び直接スイムアップ法で精製された精子試料中のmRAGEの発現を示すドットプロットである。図6fは洗浄済み精子中のIM精子の%合計とmRAGEタンパク質の発現の割合との相関関係の評価である(n=35)。ピアソンの相関のR値をグラフ中に示し、95%信頼区間内のエラーバーを破線で示している。
【0292】
経時的な分析により、mRAGEの発現は時間が経っても大きく変わらない(4.6%±1.3(SD)から14.7%±7.3)のに対し、精製した試料中のIM精子の割合は72時間の間に7.7±1.9%(SD)から91.3±5.1%(SD)に増加することが観察された(図6a及び図6b、P < 0.0001)。これは精子上でのmRAGEの発現は個人の健康状態に直接関係しており、精液試料の採取の後で変化しないことを示唆するものであろう。特に、PR精子の割合は、どちらの手法についても、平均で、洗浄済み試料中の20.5±10.9%(SD)から、精製した試料中では69.1±11.9%まで増加した(図6c、P < 0.0001)。対照的に、mRAGE発現精子の割合は、平均で、洗浄済み試料中の22.1±10.1%(SD)から、精製した試料中では5.5±4.8%(SD)まで減少した(図6d及び図6e、P < 0.0001)。より大きな試料群においては、mRAGEの発現が精子の運動性の低さと関連していることも観察された(図6f)。これは正常な精子と異常な精子を細胞レベルで区別するためにmRAGEの発現を利用できる可能性があることを示唆している。このデータは精製された試料中のmRAGEの不存在がPR精子及び細胞の健康状態の改善と関連していることを示している。
【0293】
実施例6
【0294】
洗浄及び精製された精子中の精子細胞の健康状態のフローサイトメトリー定量化
【0295】
図7aは洗浄済み、DGC及びスイムアップ標本における細胞透過性、アポトーシス細胞及びMMPの割合の比較を示している(n=15;%平均±SEM)。一元配置分散分析で、****はP < 0.0001である。図7bは、洗浄済み精子中並びにDGC及びスイムアップ標本中のDAPI、MitoTracker CMXRos及びAnnexinVの蛍光を示す典型的なドットプロットを示している。
【0296】
フローサイトメトリーによる精子細胞の健康状態の各分子パラメータの同時解析の結果、精製した試料中では洗浄済み試料に比べて精子のミトコンドリア機能、(アポトーシス及びネクローシスによる)細胞死のレベル、及び膜の完全性が大きく改善することが判明した(図7a及び図7b、P < 0.0001)。
【0297】
実施例7
【0298】
ヒト精子上のmRAGEの発現は、ミトコンドリア膜電位が低い精子、透過性細胞膜を持つ死滅しつつある及び死滅した精子と関係している。
【0299】
図8(a)は、洗浄済み精子中のmRAGE陽性及び陰性の各サブグループと、mRAGE陽性及び陰性の精子の各サブグループにおけるMitoTracker(MMP)、AnnexinV-DAPI(アポトーシス又はネクローシス)及びDAPI(細胞透過性)の蛍光とを示す典型的なドットプロットである。図8(b)は、mRAGE陽性及び陰性の各サブグループにおけるMitoTracker陽性の精子、AnnexinV-DAPI陽性又は陰性の精子、及びDAPI陽性の精子の割合の比較を示している(n=35;%平均±SEM)。対応ありt検定で、****はP < 0.0001である。図8cは洗浄済み試料における精子の健康状態のマーカーとmRAGEタンパク質の発現との相関関係の評価を示している(n=35)。ピアソンの相関のR値をグラフ中に示し、95%信頼区間内のエラーバーを破線で示している。****はP < 0.0001、**はP < 0.005、*はP < 0.05である。
【0300】
DNAの完全性、ミトコンドリア機能、及び細胞死のレベルを全て用いて精子の分子的な健康状態を分析した。上のデータをみると、精製した試料中では細胞の健康状態が改善し、mRAGE発現精子が減少していた。より大きな試料群においては、フローサイトメトリーにより、mRAGE陰性の母集団に比べてmRAGE陽性の母集団中でミトコンドリア機能の低下(10倍)、アポトーシス(6倍)とネクローシス(2.5倍)のレベルの上昇、そして膜の完全性の低下(3倍)が見られたことから、精子上のmRAGEの発現が不健康な精子と関係していることが観察された(図8及び図8c、P < 0.0001)。このデータは不健康な精子の診断バイオマーカーとしてのmRAGEの使用を支持している。
【0301】
要約すると、生成されたデータは、(i)死滅した又は死滅しつつある細胞、(ii)ミトコンドリア膜電位の低い精子細胞、(iii)アポトーシスにより死滅しつつある精子細胞、及び(iv)ネクローシスにより死滅しつつある精子細胞において、mRAGEタンパク質の発現が高くなることを裏付けている。それは、mRAGE膜受容体が不健康な精子細胞の細胞表面マーカーに役割を果たすことを示唆するものであろう。
【0302】
実施例8
【0303】
ヒト精子におけるmRAGEの発現はDNA断片化の度合いと関連している。
【0304】
図9(a)はmRAGE陽性及び陰性の各サブグループにおけるTUNEL陽性の精子の割合の比較を示している(n=8;%平均±SEM)。対応ありt検定で、***はP < 0.005である。図9(b)はTUNEL陽性の精子の割合とmRAGE陽性の精子の割合の相関関係の評価を示している(n=8)。ピアソンの相関のR値を示しており、95%信頼区間内のエラーバーを破線で示している。
【0305】
糖尿病でない男性において、TUNEL分析により解析されたDNA断片化のレベルはmRAGE陰性の精子中に比べてmRAGE陽性の精子中の方が有意に高い(2.5倍)ことが観察された(図9(a)、P < 0.001)。また、データは、精子上のmRAGEの発現が精子のDNA損傷と関連しており(図9(b)、P < 0.05)、DNAの完全性及び精子細胞の健康状態の間接的なマーカーとして利用できる可能性があることを示している。
【0306】
実施例9
【0307】
ヒト精子における精子の健康状態とmRAGEタンパク質の発現の評価
【0308】
未処理の精子におけるmRAGE陽性及びmRAGE陰性の細胞の母集団中の精子細胞の健康状態の評価。マウス抗ヒトmRAGE AF647抗体でmRAGEタンパク質の発現を評価した。DAPIで細胞透過性を評価した。MitoTracker CM RosでMMPを評価した。AnnexinVとDAPIでアポトーシス/ネクローシスを評価した。LSR Fortessaフローサイトメータを用いてフローサイトメトリーデータを得た。図10(a)はmRAGE陽性及び陰性の精子の母集団を、対応するDAPI、MitoTracker及びAnnexi Vで染色した精子のサブ母集団と共に示す代表的なドットプロット(n=1)である。図10(b)はRAGE陽性及び陰性の精子の母集団における細胞透過性(DAPI陽性の細胞)とMMP(低MMPの細胞)の評価である(n=35;%平均±SEM)。対応ありt検定で、****はP<0.0001である。図10cはRAGE陽性及び陰性の精子の母集団におけるアポトーシス、初期アポトーシス、及びネクローシスの精子細胞の評価である(n=35;%平均±SEM)。対応ありt検定で、****はP<0.0001である。
【0309】
フローサイトメトリーのドットプロットを分析すると、mRAGE陽性及び陰性の細胞の母集団において細胞透過性、MMP並びにアポトーシス及びネクローシスに明らかな違いがあった(図10(a))。統計解析の結果、mRAGE陰性の細胞の母集団に比べてmRAGE陽性の細胞の母集団では、DAPI染色する、生命力のないことを表す細胞が3倍増加していることが判明した(図10(b)、P<0.0001)。また、mRAGE陽性の細胞の母集団に比べてmRAGE陰性の細胞の母集団では高MMPの細胞に10倍の増加が見られた(図10(b)、P<0.0001)。また、mRAGE陽性の細胞の母集団ではmRAGE陰性の細胞の母集団に比べてアポトーシス及びネクローシスの細胞にそれぞれ6倍及び2.5倍の増加が見られた(図10c、P<0.0001)。
【0310】
実施例10
【0311】
未処理及び処理済みのヒト精子におけるmRAGEタンパク質の発現並びに精子細胞の健康状態の評価
【0312】
次の実験一式は、運動性の高い精子を未処理の精液試料から分離した後でmRAGEタンパク質の発現に違いがあるかを判定するために計画された。前進運動性の高い精子は全精子の母集団からスイムアップ精製法及び/又はDGC精製により分離できる。
【0313】
図11(a)は未処理(混ぜ物なし)の精子並びにDGC及びスイムアップにより処理された精子中のmRAGE陽性及び陰性の精子の母集団を示す代表的なドットプロット(n=1)を示している。図11(b)は未処理の精子並びにDGC及びスイムアップによる処理染みの精子においてmRAGEを発現した精子細胞(mRAGE陽性の精子細胞)の評価を示している(n=15;%平均±SEM)。処理方法毎に、対応する未処理(混ぜ物なし)の画分を含めている。対応あり一元配置分散分析で、****はP<0.0001である。図11(c)は未処理の精子並びにDGC及びスイムアップによる処理染みの精子における前進運動性の評価を示している(n=15;%平均±SEM)。処理方法毎に、対応する未処理(混ぜ物なし)の画分を含めている。対応あり一元配置分散分析で、****はP<0.0001である。図11dは未処理の精子並びにDGC及びスイムアップによる処理染みの精子における細胞透過性(DAPI陽性の細胞)、高MMPの細胞及びアポトーシスの精子の評価を示している(n=15;%平均±SEM)。処理方法毎に、対応する未処理(混ぜ物なし)の画分を含めている。対応あり一元配置分散分析で、****はP<0.0001である。
【0314】
DGC及びスイムアップで精製された精子においてはRAGEタンパク質の発現に5倍及び4倍の減少が見られた(図11(b);P<0.0001)。同時に、DGC及びスイムアップで精製された精子においては前進運動精子の3.5倍及び3.4倍の増加が見られた(図11(c);P<0.0001)。これと共に、DGC及びスイムアップで精製された精子においては平均で、細胞透過性障害の2.75倍の減少、アポトーシスの精子の2.75倍の減少、そしてMMPの1.5倍の増加が見られた(図11d;P<0.0001)。
【0315】
要約すると、ここで論じた2つの方法で精製された精子はどちらも、高い前進運動性と活力を持ち、非透過性の細胞膜と高活性のミトコンドリアを有する精子となった。加えて、精製された画分におけるmRAGEタンパク質の発現の減少は、mRAGE発現精子が精製処理の間に除去されることを示唆するものであろう。
【0316】
実施例11
【0317】
DGC又はスイムアップ法による処理後のmRAGEタンパク質の発現と精子の運動性の相関関係の評価
【0318】
図12(a)は、DGC及びスイムアップ処理法の後に存在するmRAGE発現精子(mRAGE陽性の細胞)と不動細胞の相関関係の評価を示している(n=15;%平均±SEM)。図12(b)は、DGC及びスイムアップ処理法の後に存在するmRAGE非発現精子(mRAGE陰性の細胞)と運動性の細胞の相関関係の評価を示している(n=15)。図12cは、DGC又はスイムアップ処理法の後に存在するmRAGE非発現精子(mRAGE陰性の細胞)と前進性の精子の相関関係の評価を示している(n=15)。ピアソンの相関のR値をグラフに示しており、95%信頼区間内のエラーバーを破線で示している。****はP < 0.0001である。
【0319】
データを更に分析し、処理済み試料のmRAGEタンパク質の発現と精子の運動性を分析して相関プロットを生成したところ、mRAGEタンパク質の発現と精子の運動性の間に統計的に有意な相関関係があることが判明した。統計的に有意な相関関係は、mRAGE陽性の細胞と不動精子との間(図12(a);R>0.84)、mRAGE陰性の細胞と運動精子との間(図12(b);R>0.82)、及びmRAGE陰性の細胞と前進運動精子との間(図12c;R>0.39)で観察された。
【0320】
このデータは、スイムアップ及びDGC精製法の結果、mRAGE発現精子が極めて少ない、前進性の高い精子の画分が得られることを裏付けている。精製された画分内に残留しているmRAGE発現精子は、処理事象の後に低い割合で残っている動きのない/遅い精子と関係がある可能性がある。
【0321】
要するに、これらの実験の結果は、mRAGEタンパク質の発現は動きのない精子と関連しており、逆に、mRAGEを発現していない精子細胞は運動性が高い健康な精子である、ということを示している。
【0322】
実施例12
【0323】
2つの運動性評定方法及びそれらと精子の形態との相関関係の評価
【0324】
CASA及び人力による運動性評定という2つの精子運動性評定方法、並びに未処理の精液試料における正常な形態と異常な形態との相関関係の評価。精子の形態はTest-Simpletスライドと厳しいKruger基準を用いて評価した。CASAによる運動性評定はHamilton Thorne社のCASAソフトウェアを用いて行った。人力による精子の運動性評定と形態評定はメリソン不妊治療クリニックにおいてその定例業務の精液分析手続きの一部として行った。図13(a)は正常な形態及び異常な形態の患者においてCASAにより測定した精子の運動性(動きのない精子、運動精子、前進性の精子)である(n=35;平均 SEM)。対応なしt検定で、***はP<0.0005、**はP<0.005である。図13(b)は正常な形態及び異常な形態の患者において人力による運動性評定により測定した精子の運動性(動きのない精子、運動精子、前進性の精子)である(n=35;平均 SEM)。対応なしt検定で、***はP<0.0005である。
【0325】
異常な形態の精子試料において、CASA(図13(a))及び人力(図13(b))の方法により測定された動きのない精子について統計的に有意な増加が観察された(それぞれP = 0.0048及びP = 0.0007)。相応する結果が全運動性及び前進運動性を精子の形態と比較したときに観察された(図13(a)と(b);P値は0.0030~0.007の範囲)。2つの運動性評定方法の間には統計的な有意性に違いがあるものの、2つのグループ間の傾向は似ている。このデータは、運動性と形態は互いに関連しており、精子の健康状態を示すものである、という既に知られている現象を証明している。
【0326】
実施例13
【0327】
RAGEタンパク質の発現、精子の健康状態、及び精子の形態の評価
【0328】
図14(a)は正常な形態及び異常な形態の患者におけるRAGEタンパク質の発現、細胞透過性(DAPI陽性の細胞)、及びMMP(低MMPの細胞)の評価を示している(n=35;%平均±SEM)。対応なしt検定で、***はP<0.0005、*はP<0.005である。図14(b)は正常な形態及び異常な形態の患者におけるアポトーシスの細胞、初期アポトーシスの細胞、及びネクローシスの細胞の評価を示している(n=35;%平均±SEM)。
【0329】
続いてフローサイトメトリーのデータと形態のデータを対応ありt検定で分析したところ、正常な形態と異常な形態の患者においてRAGEタンパク質の発現とMMPの間に統計的に有意な差があることが判明した(図14(a);それぞれP=0.0002及びP=0.0236)。このデータは先に測定されたデータを補完するとともに、mRAGEタンパク質の発現が不健康で動きのない精子と関係しているという我々の仮説を更に裏付けており、今度は新たに形態的に異常な精子との関係を明らかにしている。
【0330】
実施例14
【0331】
mRAGE陽性及びmRAGE陰性の精子細胞の定量化とミトコンドリア膜電位(MMP)
【0332】
表1は処理済みと未処理の実験からの混ぜ物なしの試料の比較を示している(N=15)。mRAGE陽性とmRAGE陰性の精子細胞における平均蛍光強度(MFI、幾何平均)を比較分析し、高MMPと低MMPの精子細胞におけるMFIを比較分析した。
【0333】
表1はmRAGE及びmRAGEである精子細胞の割合を示している。また、mRAGE陽性とmRAGE陰性の精子細胞のMFI(幾何平均)も示している。また、mRAGE陽性とmRAGE陰性の精子細胞のMFI間の倍数差も示している。mRAGE陽性とmRAGE陰性の精子細胞間のMFIの平均倍数差は21.1%±13.8%である。
【0334】
表1は高MMPと低MMPの精子細胞の割合を示している。また、高MMPと低MMPの精子細胞のMFI(幾何平均)も示している。また、高MMPと低MMPの精子細胞のMFI間の倍数差も示している。高MMPと低MMPの細胞間のMFIの平均倍数差は25.3%±10.1%である。
【0335】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7a
図7b
図8
図8c
図9
図10
図10c
図11
図11d
図12
図12c
図13
図14
【国際調査報告】