(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】呼吸治療システムのユーザを支援するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20231017BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20231017BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A61B5/08
A61M16/00 305A
A61M16/00 366
A61M16/00 343
A61M16/00 345
A61B5/16 120
A61B5/16 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518176
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 IB2021058518
(87)【国際公開番号】W WO2022058967
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522102697
【氏名又は名称】レズメド センサー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リオン、グレーム アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ショルディス、レドモンド
(72)【発明者】
【氏名】ライス、アンナ
(72)【発明者】
【氏名】フォックス、ニオール アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PP05
4C038PR01
4C038PR04
4C038PS00
4C038SS00
4C038SS08
(57)【要約】
方法は、ユーザと関連付けられた第1の生理学的データを受信することを含む。この方法は、第1の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、ユーザと関連付けられた第1の情動スコアを判定することを含む。この方法はまた、第1の情動スコアが所定の条件を満たすと判定したことに応答して、呼吸治療システムの1つ以上の設定を変更することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ユーザと関連付けられた第1の生理学的データを受信することと、
前記第1の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザと関連付けられた第1の情動スコアを判定することと、
前記第1の情動スコアが所定の条件を満たすと判定したことに応答して、呼吸治療システムの1つ以上の設定の変更を判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の情動スコアを変更するのを支援するために、1つ以上のプロンプトが前記ユーザに伝達されることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のプロンプトは、視覚プロンプト、音声プロンプト、又はその両方を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚プロンプトは、光源から放出される光を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光は、色、強度、及び発光パターンを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記視覚プロンプトは、前記光の前記色を変更すること、前記光の前記強度を変更すること、前記光の前記発光パターンを変更すること、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のプロンプトは、前記ユーザの呼吸数を変更するのを支援するために、呼吸運動を含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザに関連付けられた前記第1の情動スコアを判定することは、前記第1の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザに関連付けられた呼吸数を判定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の光パルスは、前記ユーザに関連付けられた前記呼吸数を変更するのを支援するために、前記光源から所定の周波数で放出される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記光源は、ユーザデバイスに物理的に結合又は統合されている、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記光源は、前記ユーザデバイスの表示デバイスである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光源は、前記呼吸治療システムの一部に物理的に結合又は統合されている、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記呼吸治療システムの前記一部は、ユーザインタフェース、導管、又は呼吸治療デバイスである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記音声プロンプトは、トランスデューサを介して前記ユーザに伝達される、請求項3~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記トランスデューサは、前記呼吸治療システムに物理的に結合又は統合されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザに関連付けられた前記第1の情動スコアを判定することは、動き、呼吸数、呼吸数変動、呼吸深度、一回換気量、吸気振幅、吸気持続時間、呼気振幅、呼気持続時間、吸気対呼気比、心拍数、心拍数変動、心臓波形、発汗、血液酸素化、血圧、末梢動脈緊張、心原性振動、電気皮膚反応、交感神経系反応、皮膚温度、周囲温度、フォトプレチスモグラフィ、脈波伝播時間、核心体温、呼吸数に関連する傾向、心拍数に関連する傾向、電気皮膚反応に関連する傾向、又はそれらの任意の組み合わせを判定することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定の前記変更は、前記呼吸治療システムの呼吸治療デバイスに所定の圧力で加圧空気を供給させる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の生理学的データは、前記ユーザが前記呼吸治療システムのユーザインタフェースを装着しているときに受信される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記呼吸治療システムは、前記第1の情動スコアが前記所定の条件を満たすと判定する前に、第1の所定の圧力で加圧空気を供給する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定の前記変更は、前記呼吸治療システムに、前記第1の所定の圧力とは異なる第2の所定の圧力の加圧空気を供給させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の所定の圧力は、前記第1の所定の圧力より大きい、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の情動スコアが前記所定の条件を満たすと判定することは、前記第1の情動スコアが前記所定の閾値未満であると判定することを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の生理学的データは、1つ以上のセンサによって生成される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、前記呼吸治療システムに物理的に結合又は統合されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、前記呼吸治療システムとは別体で区別されるユーザデバイス又は活動追跡器に物理的に結合又は統合されている、請求項23又は請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記呼吸治療システムは、持続気道陽圧(CPAP)システムである、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の生理学的データの少なくとも一部は、前記ユーザの第1の睡眠セッションの少なくとも一部に関連付けられている、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記呼吸治療システムの1つ以上の設定の前記判定された変更の実施に続いて、前記ユーザと関連付けられた第2の生理学的データを受信することであって、前記第2の生理学的データが、前記ユーザの第1の睡眠セッションに関連付けられている、受信することと、
前記第2の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザと関連付けられた第2の情動スコアを判定することと、を更に含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の睡眠セッション中又はその後に、前記第1の情動スコア、前記第2の情動スコア、又はその両方の指標が前記ユーザ、第三者、又はその両方に伝達されることを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の情動スコアが前記所定の条件を満たさないと判定することに応答する、前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定の更なる変更を更に含む、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記判定された第2の情動スコアに少なくとも部分的に基づいて、1つ以上のモノのインターネット(IoT)デバイスの1つ以上の設定を変更することを更に含む、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の情動スコアに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザに対する療法の推奨を判定することと、前記推奨の指標が前記ユーザ、第三者、又はその両方に伝達されることを更に含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記療法の推奨は、前記呼吸治療システムのためのユーザインタフェースのタイプを変更する推奨を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記呼吸治療システムのユーザインタフェースの前記タイプは、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、又は鼻マスクである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記療法の推奨は、投薬の推奨を含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記療法の推奨は、前記呼吸治療システムの使用を中止する推奨を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記療法の推奨は、代替医療デバイスを使用する推奨を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記代替医療デバイスは、下顎骨再配置デバイス、神経刺激デバイス、又はその両方を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の生理学的データは、第1の睡眠セッションの少なくとも一部の間に生成され、前記ユーザは、前記第1の睡眠セッションの少なくとも一部の間に、前記変更された1つ以上の設定で前記呼吸治療システムを使用する、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の睡眠セッションに続く第2の睡眠セッションの少なくとも一部の間に、前記ユーザと関連付けられた第2の生理学的データを受信することと、
前記第2の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザと関連付けられた第2の情動スコアを判定することと、
前記判定された第2の情動スコアを変更するのを支援するために、1つ以上のプロンプトが前記ユーザに伝達されることと、を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記判定された第2の情動スコアを変更するのを支援するための前記1つ以上のプロンプトは、判定された前記第1の情動スコアを変更するのを支援するための前記1つ以上のプロンプトとは異なる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の情動スコア、前記第2の情動スコア、又はその両方に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の睡眠セッションのための前記呼吸治療システムの1つ以上の設定の変更を判定することを更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の睡眠セッションと関連付けられた1つ以上の第1の睡眠関連パラメータを判定することと、
前記第2の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の睡眠セッションと関連付けられた1つ以上の第2の睡眠関連パラメータを判定することと、
前記第2の睡眠セッションの後に、前記1つ以上の第1の睡眠関連パラメータのうちの少なくとも1つ、前記1つ以上の第2の睡眠関連パラメータのうちの少なくとも1つ、又はその両方の指標が、前記ユーザ、第三者、又はその両方に伝達されることと、を更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記呼吸治療システムは、前記ユーザの一部と係合するように構成されたユーザインタフェースを含み、前記ユーザインタフェースは、通気孔を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定の前記判定された変更の実施は、前記通気孔の位置を変更することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記通気孔の前記位置を変更することは、前記通気孔をほぼ開いた位置からほぼ閉じた位置に向かって移動させることを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記1つ以上のプロンプトは、前記呼吸治療システムのユーザインタフェースを組み立てるための1つ以上のプロンプトを含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
システムであって、
1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、
機械可読命令を記憶したメモリと、を備え、
前記制御システムは、前記メモリに連結され、前記メモリ内の前記機械実行可能命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサの少なくとも1つによって実行されると、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法が実施される、システム。
【請求項49】
請求項1~47のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御システムを備える、1つ以上の指標をユーザに伝達するためのシステム。
【請求項50】
コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項1~47のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項51】
非一時的コンピュータ可読媒体である、請求項50に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項52】
システムであって、
ユーザと関連付けられた生理学的データを受信するように構成された電子インタフェースと、
機械可読命令を記憶するメモリと、
1つ以上のプロセッサを含む制御システムであって、前記1つ以上のプロセッサは、前記機械可読命令を実行して、
前記生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザと関連付けられた情動スコアを判定することと、
前記情動スコアが所定の条件を満たすと判定したことに応答して、呼吸治療システムの1つ以上の設定を変更することと、を行うように構成されている、制御システムと、を備える、システム。
【請求項53】
前記呼吸治療システムを更に備える、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記呼吸治療システムは、呼吸治療デバイス、導管、ユーザインタフェース、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記生理学的データを生成するように構成された1つ以上のセンサを更に備える、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記1つ以上のセンサのうちの第1のセンサは、前記呼吸治療システムに物理的に結合又は統合され、前記第1のセンサは、前記ユーザが前記ユーザインタフェースを装着しているときに、前記ユーザに関連付けられた生理学的データを生成するように構成されている、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記1つ以上のセンサのうちの第2のセンサは、前記ユーザが前記ユーザインタフェースを装着していないときに、前記ユーザに関連付けられた生理学的データを生成するように構成されている、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記制御システムは、前記情動スコアを変更するのを支援するために、1つ以上のプロンプトが前記ユーザに伝達されるように更に構成されている、請求項52~57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
前記1つ以上のプロンプトを前記ユーザに伝達するための表示デバイスを更に備えている、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記制御システムは、前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定を変更する前に、前記呼吸治療デバイスに第1の所定の圧力で空気を供給させ、前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定を変更した後に、前記呼吸治療デバイスに第2の所定の圧力で空気を供給させるように構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項61】
前記第2の所定の圧力は、前記第1の所定の圧力より大きい、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記呼吸治療システムは、持続気道陽圧(CPAP)システム又は高流量療法(HFT)システムである、請求項52~61のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月18日に出願された米国仮特許出願第63/080,401号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、全般的には、呼吸治療システムを使用する際にユーザを支援するためのシステム及び方法に関し、特に、ユーザと関連付けられた情動スコアを判定し、その情動スコアを変更するのを支援するためにユーザに1つ以上のプロンプトを伝達するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの人が、例えば、周期性四肢運動障害(PLMD)、下肢静止不能症候群(RLS)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)などの睡眠呼吸障害(SDB)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、胸壁障害、及び不眠症などの、睡眠関連障害及び/又は呼吸障害に罹患している。これらの障害の多くは、呼吸治療システムを使用して治療することができるが、別の技術を使用して治療し得るものもある。しかしながら、ユーザは、呼吸治療システムを使用する際に、例えば不慣れ(例えば、初めてのユーザ)又は不快感のために、不安又はストレスを経験することがある。この不安又はストレスは、ユーザの入眠を妨げ、あるいはユーザが呼吸治療システムの使用を断念する原因となる可能性がある。本開示は、これらの問題などを解決することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ある方法が、ユーザと関連付けられた第1の生理学的データを受信することを含む。この方法は、第1の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、ユーザと関連付けられた第1の情動スコアを判定することを含む。この方法はまた、第1の情動スコアが所定の条件を満たすと判定したことに応答して、呼吸治療システムの1つ以上の設定を変更することを含む。
【0005】
本開示のいくつかの実装形態では、システムは、電子インタフェースと、メモリと、制御システムとを含む。電子インタフェースは、ユーザと関連付けられた生理学的データを受信するように構成される。メモリは、機械可読命令を記憶する。制御システムは、機械可読命令を実行して、生理学的データに少なくとも部分的に基づいてユーザと関連付けられた情動スコアを判定するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。制御システムは更に、情動スコアが所定の条件を満たすと判定したことに応答して、呼吸治療システムの1つ以上の設定を変更するように構成される。
【0006】
上記の概要は、本開示の各実装形態又はあらゆる態様を示すことを意図していない。本開示の更なる特徴及び利益は、下記の詳細な説明及び図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示のいくつかの実装形態に係る、システムの機能ブロック図である。
【
図2】本開示のいくつかの実装形態に係る、少なくとも
図1のシステムの一部、ユーザ、及び同床者の斜視図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実装形態に係る、
図1の呼吸治療システムのユーザインタフェースの斜視図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実装形態に係る、
図3Aのユーザインタフェースの斜視分解図である。
【
図4】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠セッションの例示的なタイムラインを示す。
【
図5】本開示のいくつかの実装形態に係る、
図4の睡眠セッションと関連付けられた例示的なヒプノグラムを示す。
【
図6】本開示のいくつかの実装形態に係る、ユーザを支援するための方法のプロセスフロー図である。 本開示は、様々な変更及び代替形態が可能であるが、本開示の具体的な実装形態及び実施形態が図面に例として示されており、本明細書において詳述される。ただし、それは、開示された特定の形態に本開示を限定することを意図するものではなく、むしろ、本開示は、添付の請求項によって定義される本開示の趣旨及び範囲内に属するすべての改変物、均等物、及び代替物を網羅するということを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
多くの人が、睡眠関連障害及び/又は呼吸障害に患っている。睡眠関連及び/又は呼吸障害としては、例えば、周期性四肢運動障害(PLMD)、下肢静止不能症候群(RLS)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、混合性無呼吸及び呼吸低下など他のタイプの無呼吸などの睡眠呼吸障害(SDB)、呼吸努力関連覚醒(RERA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満低換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、急速眼球運動(REM)行動障害(RBDとも呼ばれる)、夢の行動化(DEB)、高血圧、糖尿病、卒中、不眠症、及び胸壁障害が挙げられる。
【0009】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の一形態であり、異常に小さな上気道と、舌、軟口蓋、及び中咽頭後壁の領域における筋緊張の通常損失との組み合わせによる、睡眠中の上気道の閉塞又は障害などのイベントによって特徴付けられる。より一般的には、無呼吸とは、一般的に、空気の閉塞によって生じる呼吸の休止(閉塞性睡眠時無呼吸)又は呼吸機能の停止(中枢性睡眠時無呼吸と称されることが多い)のことである。通常、個人は、閉塞性睡眠時無呼吸イベント中に、約15秒~約30秒で呼吸を停止する。
【0010】
他の種類の無呼吸としては、呼吸低下、過呼吸及び高炭酸ガス血症が挙げられる。低呼吸は概して、気道の閉塞ではなく、気道の狭窄によって生じる遅い呼吸又は浅い呼吸によって特徴付けられる。過呼吸は概して、呼吸の深さ及び/又は速度の増大によって特徴付けられる。高炭酸ガス血症は概して、血流中の二酸化炭素量の急増又は過剰によって特徴付けられ、通常、不十分な呼吸によって生じられるものである。
【0011】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の障害であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増及び漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素化及び再酸素化の繰り返しによって特徴付けられる。
【0012】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に無い状態における、重症肥満及び覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状としては、呼吸困難、起床時の頭痛、及び日中の過度の眠気が挙げられる。
【0013】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、空気の移動に対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長、肺の正常な弾力性の喪失など、ある特性を共通して有する下気道疾患群のいずれかを包含する。
【0014】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接的に介して、又は神経病理を間接的に介して筋肉の機能を損なう多数の疾病及び病気を包含する。胸壁障害は、呼吸筋と胸郭の間に非効率連結をもたらす胸郭変形群である。
【0015】
呼吸努力関連覚醒(RERA)イベントは、通常、睡眠からの覚醒に至る10秒以上の呼吸努力の増加によって特徴付けられ、無呼吸又は呼吸低下イベントの基準を満たさない。RERAは、睡眠からの覚醒に至る呼吸努力の増加によって特徴付けられるが、無呼吸又は呼吸低下の基準を満たさない一連の呼吸と定義される。これらのイベントは、(1)食道の陰圧が漸増するパターンが、陰圧レベルの急低下及び覚醒によって終了し、(2)イベントが10秒以上続く、という両方の基準を満たす必要がある。いくつかの実装形態では、鼻カニューレ/圧力トランスデューサシステムが、RERAの検出に十分かつ信頼できる。RERA検出器は、呼吸治療デバイスから導出された実際のフロー信号に基づき得る。例えば、フロー制限尺度が、フロー信号に基づいて判定され得る。その後、覚醒の尺度が、フロー制限尺度及び換気量の急増の尺度の関数として導出され得る。1つのかかる方法が、レスメド社に付与された国際公開第2008/138040号及び米国特許第9358353号に記載されており、各文献の開示内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
これらを始めとする障害は、睡眠中に起こり得る特定イベント(例えば、いびき、無呼吸、低呼吸、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増、呼吸困難、喘息発作、てんかん挿間症、発作、又はそれらの任意の組み合わせ)によって特徴付けられる。
【0017】
無呼吸低呼吸指数(AHI)とは、睡眠セッション中の睡眠時無呼吸の重症度を示すために使用される指数である。AHIは、睡眠セッション中にユーザが経験した無呼吸イベント及び/又は低呼吸イベントの数を、その睡眠セッションにおける全睡眠時間数で除算することによって求められる。このイベントは、例えば、少なくとも10秒以上続く呼吸の一時停止であり得る。5未満のAHIは、正常とみなされる。5以上15未満のAHIは、軽度の睡眠時無呼吸を示すものとみなされる。15以上30未満のAHIは、中程度の睡眠時無呼吸を示すものとみなされる。30以上のAHIは、重度の睡眠時無呼吸を示すものとみなされる。小児では、1よりも大きいAHIが異常とみなされる。睡眠時無呼吸は、AHIが正常であるとき、又はAHIが正常若しくは軽度であるときに、「制御されている」とみなすことができる。またAHIを酸素飽和度と組み合わせて使用して、閉塞性睡眠時無呼吸の重症度を示すことができる。
【0018】
更に、多くの人が、不眠症、すなわち、睡眠の質又は持続時間に対する不満(例えば、睡眠開始困難、最初に就眠した後の頻繁にある覚醒又は長時間の覚醒、及び睡眠に復帰できない早期覚醒)を概して特徴とする疾患にも罹患している。世界中で26億人超が何らかの形の不眠症を経験しており、世界中で7億5000万人超が不眠障害と診断されて罹患していると推定されている。米国では、不眠症が1年あたり総額推定1075億ドルの経済負担をもたらしており、全休職日数13.6%及び医療処置を必要とする傷害の4.6%を占める。また、最近の研究により、不眠症が2番目に多い精神障害であり、不眠症がうつ病の第一危険因子であることも示されている。
【0019】
夜間不眠症症状としては、例えば、睡眠の質の低下、睡眠持続時間の短縮、入眠障害、睡眠維持障害、遅発性不眠症、混合性不眠症、及び/又は逆説性不眠症が一般に挙げられる。入眠障害は、就寝時の睡眠開始困難を特徴とする。睡眠維持障害は、初回就眠後、夜間における頻繁にある覚醒及び/又は長時間の覚醒を特徴とする。遅発性不眠症は、睡眠に復帰できない早朝(例えば、目標又は所望の覚醒時刻前の)覚醒を特徴とする。併存性不眠症は、不眠症症状が、少なくとも部分的に、別の身体疾患又は精神疾患(例えば、不安、うつ、病状、及び/又は薬剤使用)の症状又は合併症によってもたらされる不眠症のタイプを指す。混合性不眠症は、他のタイプの不眠症の属性の組み合わせ(例えば、入眠障害、睡眠維持障害、及び遅発性不眠症の症状の組み合わせ)を指す。逆説性不眠症は、ユーザが知覚する睡眠の質とそのユーザの実際の睡眠の質との間の断絶又は不一致を指す。
【0020】
日中(例えば昼間)の不眠症症状としては、例えば、疲労、エネルギー低下、認知障害(例えば、注意、集中、及び/又は記憶)、学術若しくは職業環境における機能困難、及び/又は気分障害が挙げられる。これらの症状は、例えば、精神的(及び/又は肉体的)パフォーマンスの低下、反応時間の遅延、うつリスクの増大、及び/又は不安障害リスクの増大などの心理的合併症へと至り得る。不眠症症状は、例えば、免疫系機能の低下、高血圧、心疾患リスクの増大、糖尿病リスクの増大、体重増加、及び/又は肥満などの生理学的合併症にも至り得る。
【0021】
不眠症と睡眠時無呼吸の併発(COMISA)は、被験者が不眠症と閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)との両方を経験するタイプの不眠症を指す。OSAは、無呼吸低呼吸指数(AHI)及び/又は酸素飽和度低下レベルに基づいて測定することができる。AHIは、睡眠セッション中にユーザが経験した無呼吸イベント及び/又は低呼吸イベントの数を、その睡眠セッションにおける全睡眠時間数で除算することによって求められる。このイベントは、例えば、少なくとも10秒以上続く呼吸の一時停止であり得る。5未満のAHIは、正常とみなされる。5以上15未満のAHIは、軽度のOSAを示すものとみなされる。15以上30未満のAHIは、中程度のOSAを示すものとみなされる。30以上のAHIは、重度のOSAを示すものとみなされる。小児では、1よりも大きいAHIが異常とみなされる。
【0022】
不眠症は、その持続時間に基づいて分類することもできる。例えば、不眠症症状の発現が3か月未満で収まれば、急性又は一過性とみなされる。逆に、不眠症症状が、例えば3か月以上にわたって発現した場合には、慢性又は持続性とみなされる。持続性/慢性不眠症症状は、急性/一過性不眠症症状とは異なる治療経路が必要となることが多い。
【0023】
不眠症の既知の危険因子としては、性別(例えば、不眠症は男性よりも女性に多く見られる)、家族歴、及びストレスへの曝露(例えば、重度及び慢性のライフイベント)が挙げられる。年齢は、不眠症の潜在的な危険因子である。例えば、入眠障害は若年成人に多く、睡眠維持障害は中高年に多く見られる。不眠症のその他の潜在的な危険因子としては、人種、地理的因子(例えば、冬の長い地理的地域に住んでいること)、高度、及び/又はその他の社会人口学的因子(例えば、社会経済的地位、雇用、学歴、自己評価の健康)が挙げられる。
【0024】
不眠症の機序としては、素因、憎悪因子、及び遷延因子が挙げられる。素因として挙げられるのが過剰覚醒で、睡眠中及び覚醒中の生理学的覚醒の増大を特徴とする。過剰覚醒の尺度としては、例えば、コルチゾールレベルの増大、(例えば、安静時心拍数増及び/又は心拍数変動によって示される)自律神経系活性の増大、脳活性の増大(例えば、睡眠中のEEG周波数増及び/又はREM睡眠中の覚醒回数増)、代謝速度の増大、体温の上昇及び/又は下垂体-副腎軸における活性の増大が挙げられる。憎悪因子としては、ストレスの多いライフイベント(例えば、雇用又は教育、人間関係などに関連するもの)が挙げられる。遷延因子としては、睡眠不足とその結果として生じる結果について過度に心配することが挙げられ、これは、その遷延因子が取り除かれた後でも不眠症の症状が続くことがある。
【0025】
従来、不眠症の診断又はスクリーニング(不眠症のタイプ及び/又は特定の症状の特定を含む)には、一連のステップが含まれる。多くの場合、スクリーニングプロセスは、患者からの主観的な苦情から始まる(例えば、患者が、眠れない、又は寝付けない)。
【0026】
次に、臨床医は、不眠症の症状、不眠症の症状に影響を与える因子、健康因子、及び社会的因子を含むチェックリストを使用して、主観的な苦情を評価する。不眠症の症状としては、例えば、発症年齢、増悪イベント、発症時間、現在の症状(例えば、入眠障害、睡眠維持障害、及び遅発性不眠症)、症状の頻度(例えば、毎晩、一時的、特定の夜、状況固有、又は季節変動)、症状の発症からの経過(例えば、重症度の変化及び/又は症状の相対的な出現)、並びに/又は知覚した日中の影響が挙げられる。不眠症の症状に影響を与える因子としては、例えば、過去及び現在の治療法(その有効性を含む)、症状を改善又はよくする因子、不眠症を悪化させる因子(例えば、ストレス又はスケジュールの変更)、行動的因子を含む不眠症を維持する因子(例えば、早すぎる就寝、週末の余分な睡眠、アルコールの摂取など)、及び認知的因子(例えば、睡眠についての役に立たない信念、不眠症の影響についての心配、睡眠不足への恐れなど)が挙げられる。健康因子としては、医学的障害及び症状、睡眠を妨げる状態 (例えば、痛み、不快感、治療)、並びに薬理学的考慮事項(例えば、薬物の警告及び鎮静効果)が挙げられる。社会的因子としては、睡眠と相容れない仕事のスケジュール、くつろぐ時間がなく遅く帰宅すること、夜間の家族及び社会的責任(例えば、子供や高齢者の世話)、ストレスの多いライフイベント(例えば、過去のストレスの多いイベントが引き金となり、現在のストレスの多い出来事が永続化する可能性がある)、並びに/又はペットと一緒に寝ることが挙げられる。
【0027】
臨床医がチェックリストを完成させ、不眠症の症状、症状に影響を与える因子、健康因子、及び/又は社会的因子を評価した後、患者はしばしば、毎日の睡眠日記を作成し、かつ/又はアンケートに記入するように指示される(例えば、不眠症の重症度指数又はピッツバーグの睡眠品質指数)。したがって、不眠症のスクリーニング及び診断に対するこの従来のアプローチは、客観的な睡眠評価ではなく主観的な苦情に依存しているため、エラーが発生しやすくなっている。睡眠状態の誤解(逆説的不眠症)により、患者の主観的な苦情と実際の睡眠との間に断絶がある可能性がある。
【0028】
更に、不眠症の診断に対する従来のアプローチは、例えば、周期性四肢運動障害(PLMD)、下肢静止不能症候群(RLS)、睡眠呼吸障害(SDB)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、及び胸壁障害などの他の睡眠関連障害を除外している。これらの他の障害は、睡眠中に起こる特定事象(例えば、いびき、無呼吸、低呼吸、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増、呼吸困難、喘息発作、てんかん挿間症、発作、又はそれらの任意の組み合わせ)によって特徴付けられる。これらの他の睡眠関連障害は、不眠症と同様の症状を有し得るが、これらの他の睡眠関連障害を不眠症と区別することは、種々の治療を必要とし得る特徴を区別する効果的な治療計画をカスタマイズする上で有用である。例えば、疲労が一般的に不眠症の特徴であるのに対し、日中の過剰な眠気は、他の障害(例えば、PLMD)に特有の特徴であり、無意識に眠りに落ちる生理学的傾向を反映したものである。不眠症はまた、情動(例えば、不安誘発性不眠症)に結び付けられ得るため、患者の情動(又は不安)を追跡することで、不眠症の管理又は治療に対する洞察を得ることができる。
【0029】
不眠症と診断されると、様々な手法を使用したり、患者に推奨事項を提供したりして、不眠症を管理又は治療することができる。一般に、患者は一般的に健康的な睡眠習慣(例えば、十分な運動と日中の活動を行うこと、日課にすること、日中は寝ないこと、夕食を早めに食べること、就寝前にリラックスすること、午後にカフェインを避けること、アルコールを避けること、寝室を快適にすること、寝室にある気を散らすものを取り除くこと、眠くなければベッドから出ること、就寝時間に関係なく毎日同じ時間に起きるようにすること)を実践するよう奨励若しくは推奨されるか、又は特定の習慣を思いとどまらせる(例えば、ベッドで仕事をしない、早すぎる就寝をしない、疲れていない状態で就寝しない)。患者は、追加的又は代替的に、処方睡眠補助薬、市販の睡眠補助薬、及び/又は家庭用薬草療法などの睡眠薬及び医学療法を使用して治療することができる。
【0030】
患者は、認知行動療法(CBT)又は不眠症の認知行動療法(CBT-I)を使用して治療することもでき、これには、一般に、睡眠衛生教育、リラクゼーション療法、刺激制御、睡眠制限、並びに睡眠管理ツール及びデバイスが含まれる。睡眠制限は、ベッドでの時間(睡眠ウィンドウ又は持続時間)を実際の睡眠に制限し、恒常的な睡眠ドライブを強化するように設計された方法である。睡眠ウィンドウは、患者が最適な睡眠時間を達成するまで、数日又は数週間かけて徐々に増やすことができる。刺激制御としては、ベッドと寝室と睡眠との関連性を強化し、一貫した睡眠-覚醒スケジュール(例えば、眠いときだけ就寝すること、眠れないときはベッドから出ること、ベッドは睡眠のみに使用すること(例えば、読書をしない又はテレビ視聴はしない)、毎朝同じ時間に起床すること、昼寝をしないことなど)を再確立するように設計された一連の指示を患者に提供することが挙げられる。リラクゼーショントレーニングとしては、自律神経系の覚醒、筋肉の緊張、及び睡眠を妨げる侵入思考を軽減することを目的とした臨床手順が挙げられる(例えば、漸進的筋弛緩法を使用)。認知療法は、睡眠に関する過度の心配を軽減し、不眠症とその日中の影響についての役に立たない信念を再構成するように設計された心理的アプローチである(例えば、ソクラテスの質問、行動経験、及び逆説的意図法を使用)。一般に、睡眠衛生とは、個人の慣行(例えば、食事、運動、物質使用、就寝時間、就寝前の活動、就寝前のベッドでの活動など)及び/又は環境パラメータ(例えば、周囲光、周囲の騒音、周囲温度など)を指す。少なくとも場合によっては、毎晩特定の就寝時間に就寝する、特定の時間継続して睡眠する、特定の時間に目覚める、環境パラメータを変更する、又はそれらの任意の組み合わせによって、睡眠衛生を改善することができる。睡眠衛生教育としては、睡眠を妨げ得る、健康習慣(例えば、食事、運動、物質使用)及び環境因子(例えば、光、騒音、過度の温度)に関する一般的なガイドラインが挙げられる。マインドフルネスに基づく介入としては、例えば瞑想が挙げられる。
【0031】
図1を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係るシステム100が示されている。システム100は、制御システム110、メモリデバイス114、電子インタフェース119、呼吸治療システム120、1つ以上のセンサ130、1つ以上のユーザデバイス170、光源180、及び活動追跡器190を含む。
【0032】
制御システム110は、1つ以上のプロセッサ112(以下、プロセッサ112とする)を含む。制御システム110は概して、システム100の様々な構成要素を制御(例えば、作動)し、かつ/又はシステム100の構成要素によって取得及び/若しくは生成されたデータを分析するために使用される。プロセッサ112は、汎用又は特殊用途プロセッサ又はマイクロプロセッサであってもよい。
図1には1つのプロセッサ112が示されているが、制御システム110は、単一の筐体内に存在し得るか又は互いに離れて位置し得る任意の適切な数のプロセッサ(例えば、1個のプロセッサ、2個のプロセッサ、5個のプロセッサ、10個のプロセッサなど)を含むことができる。制御システム110は、例えば、ユーザデバイス170の筐体、呼吸治療システム120の一部(例えば、筐体)に結合され、かつ/又はユーザデバイス170の筐体、呼吸治療システム120の一部(例えば、筐体)、及び/若しくはセンサ130のうちの1つ以上の筐体の内部に位置付けることができる。制御システム110は、(1つのかかる筐体内に)集中させるか、(物理的に別個である2つ以上のかかる筐体内に)分散させることができる。制御システム110を収容する2つ以上の筐体を含むこのような実装形態では、このような筐体は、互いに近接し、かつ/又は離れて位置することができる。
【0033】
メモリデバイス114は、制御システム110のプロセッサ112が実行可能な機械可読命令を記憶する。メモリデバイス114は、例えば、ランダムアクセスメモリデバイス又はシリアルアクセスメモリデバイス、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリデバイスなどの任意の適切なコンピュータ可読メモリデバイス又は媒体とすることができる。
図1には1つのメモリデバイス114が示されているが、システム100は、任意の適切な数のメモリデバイス114(例えば、1つのメモリデバイス、2つのメモリデバイス、5つのメモリデバイス、10個のメモリデバイスなど)を含むことができる。メモリデバイス114は、呼吸治療デバイス122の筐体、ユーザデバイス170の筐体、活動追跡器190、センサ130うちの1つ以上の筐体、又はそれらの任意の組み合わせに結合すること、及び/又はそれらの内部に位置付けることができる。制御システム110と同様に、メモリデバイス114は、(1つのかかる筐体内に)集中させてもよいし、(物理的に異なるかかる筐体のうちの2つ以上の内部に)分散させてもよい。
【0034】
いくつかの実装形態では、メモリデバイス114(
図1)は、ユーザと関連付けられたユーザプロファイルを格納する。ユーザプロファイルとしては、例えば、ユーザと関連付けられた人口統計情報、ユーザと関連付けられた生体情報、ユーザと関連付けられた医療情報、自己申告によるユーザフィードバック、ユーザと関連付けられた睡眠パラメータ(例えば、1つ以上の以前の睡眠セッションから記録された睡眠関連パラメータ)、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。人口統計情報としては、例えば、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザの人種、ユーザの地理的位置、交際状況、不眠症の家族歴、ユーザの雇用状況、ユーザの教育状況、ユーザの社会経済状況、又はそれらの任意の組み合わせを示す情報が挙げられる。医療情報としては、例えば、ユーザと関連付けられた1つ以上の病状、ユーザによる薬剤使用量又はその両方を示す情報が挙げられる。医療情報データとしては更に、反復睡眠潜時検査(MSLT)の結果又はスコア及び/又はピッツバーグ睡眠質指数(PSQI)のスコア又は値が挙げられる。医療情報データとしては、睡眠ポリグラフ(PSG)検査、CPAP滴定、又は家庭用睡眠検査(HST)のうちの1つ以上からの結果、1つ以上の睡眠セッションからの呼吸治療システム設定、1つ以上の睡眠セッションからの睡眠関連呼吸イベント、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。自己申告によるユーザフィードバックとしては、自己報告による主観的な睡眠スコア(劣悪、普通、良好など)、ユーザの自己報告による主観的なストレスレベル、ユーザの自己申告による主観的な疲労度、ユーザの自己申告による主観的な健康状態、ユーザが経験した最近のライフイベント又はそれらの任意の組み合わせを示す情報が挙げられる。
【0035】
電子インタフェース119は、1つ以上のセンサ130からデータ(例えば、生理学的データ及び/又はオーディオデータ)を受信するように構成されており、そのデータは、メモリデバイス114に格納すること、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析することができる。生理学的データ、流量データ、圧力データ、運動データ、音響データなどの受信データを使用して、生理学的パラメータを判定及び/又は計算することができる。電子インタフェース119は、有線接続又は無線接続(例えば、RF通信プロトコル、Wi-Fi通信プロトコル、ブルートゥース(登録商標)通信プロトコル、IR通信プロトコル、セルラーネットワーク、その他の光通信プロトコルなどを用いて)を用いて、1つ以上のセンサ130と通信することができる。電子インタフェース119は、アンテナ、受信機(例えば、RF受信機)、送信機(例えば、RF送信機)、トランシーバ又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。また、電子インタフェース119は、本明細書に記載のプロセッサ112及びメモリデバイス114と同一又は同様のもう1つのプロセッサ及び/又はもう1つのメモリデバイスを含むことができる。いくつかの実装形態では、電子インタフェース119は、ユーザデバイス170に結合又は統合される。他の実装形態では、電子インタフェース119が、制御システム110及び/又はメモリデバイス114に結合されているか、それらと(例えば、筐体内で)統合されている。
【0036】
上述したように、いくつかの実装形態では、システム100は、必要に応じて、呼吸治療システム120を含む。呼吸治療システム120は、(本明細書において呼吸治療デバイス122と称される)呼吸圧力療法(RPT)デバイス122、ユーザインタフェース124、(チューブ又は空気回路とも称される)導管126、表示デバイス128、加湿タンク129、又はそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実装形態では、制御システム110、メモリデバイス114、表示デバイス128、センサ130のうちの1つ以上、及び加湿タンク129は、呼吸治療デバイス122の一部である。呼吸圧力療法とは、(例えば、タンクベンチレータ又は陽陰圧体外式人工呼吸器(cuirass)などの陰圧療法とは異なり、)ユーザの呼吸サイクル全体を通じて大気に対して名目上陽である制御された目標圧力で、ユーザの気道の入口に空気供給を印加することを指す。呼吸治療システム120は概して、1つ以上の睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸、又は混合性睡眠時無呼吸)に罹患している個人を治療するために使用される。
【0037】
呼吸治療デバイス122は概して、(例えば、1つ以上の圧縮機を駆動する1つ以上のモータを使用して)ユーザに輸送される加圧空気を生成するために使用される。いくつかの実装形態では、呼吸治療デバイス122は、ユーザに輸送される連続的な一定の空気圧を生成する。他の実装形態では、呼吸治療デバイス122は、2つ以上の所定の圧力(例えば、第1の所定の空気圧及び第2の所定の空気圧)を生成する。更に別の実装形態では、呼吸治療デバイス122は、所定の範囲内の様々な異なる空気圧を生成するように構成される。例えば、呼吸治療デバイス122は、少なくとも約6cmH2O、少なくとも約10cmH2O、少なくとも約20cmH2O、約6cmH2O~約10cmH2Oの間、約7cmH2O~約12cmH2Oの間などの圧力の加圧空気を輸送することができる。呼吸治療デバイス122は、(周囲圧力に対して)陽圧を維持しながら、例えば、約-20L/分~約150L/分の所定の流量で加圧空気を輸送することもできる。
【0038】
ユーザインタフェース124は、ユーザの顔の一部と係合し、呼吸治療デバイス122からユーザの気道に加圧空気を輸送し、睡眠中に気道が狭窄及び/又は閉塞することを防止することを支援する。これにより、睡眠中のユーザの酸素摂取量も増加し得る。一般的に、ユーザインタフェース124は、ユーザの顔と係合させることにより、ユーザの口、鼻、又は、ユーザの口及び鼻の両方を介して、ユーザの気道に加圧空気を輸送する。呼吸治療デバイス122、ユーザインタフェース124及び導管126は共に、ユーザの気道に流体的に結合された空気経路を形成する。 また、加圧空気は、睡眠中のユーザの酸素摂取量を増加させる。
【0039】
適用される療法に応じて、ユーザインタフェース124は、例えば、ユーザの顔の領域又は一部とシールを形成して、療法を発効させるために周囲圧力と十分に異なる圧力、例えば、周囲圧力に対する約10cm H2Oの陽圧でのガスの輸送を容易にすることができる。酸素輸送などの、他の形態の療法において、ユーザインタフェースは、約10cm H2Oの陽圧において気道へのガス供給の輸送を容易にするのに充分なシールを含まなくもてよい。
【0040】
図2に示すように、いくつかの実装形態では、ユーザインタフェース124は、ユーザの鼻及び口を覆うフェイスマスク(例えば、フルフェイスマスク)であるか又はこのようなフェイスマスクを含む。代替的に、いくつかの実装形態では、ユーザインタフェース124は、ユーザの鼻に空気を提供する鼻マスク、又はユーザの鼻孔に空気を直接的に輸送する鼻枕マスクである。ユーザインタフェース124は、ユーザの一部分(例えば顔)にインタフェースを位置付け、かつ/又は安定させるための複数のストラップ(例えば面ファスナを含む)と、ユーザインタフェース124とユーザとの間での気密密着を提供するのを支援する形状適合性クッション(例えば、シリコーン、プラスチック、発泡体など)と、を含むことができる。いくつかの例では、ユーザインタフェース124は、チューブアップマスクとすることができ、マスクのストラップは、加圧空気をフェイスマスク又は鼻マスクに輸送する導管として機能するように構成される。ユーザインタフェース124は、ユーザ210によって吐き出された二酸化炭素及び他のガスを逃がせるようにするための1つ以上の通気孔も含むことができる。他の実装形態では、ユーザインタフェース124は、マウスピース(例えば、ユーザの歯に適合するように成形されたナイトガードマウスピース、下顎再配置デバイスなど)を含む。
【0041】
導管126(空気回路又はチューブとも称される)は、呼吸治療デバイス122及びユーザインタフェース124など、呼吸治療システム120の2つの構成要素間で空気が流れるようにする。いくつかの実装形態では、この導管に吸気及び呼気用の別々の枝管が存在し得る。他の実装形態では、単枝型導管が吸気及び呼気の両方に使用される。
【0042】
呼吸治療デバイス122、ユーザインタフェース124、導管126、表示デバイス128、及び加湿タンク129のうちの1つ以上が、1つ以上のセンサ(例えば、圧力センサ、流量センサ、湿度センサ、温度センサ、又はより一般的には、本明細書に記載されている他のセンサ130のいずれか)を収容することができる。これらの1つ以上のセンサは、例えば、呼吸治療デバイス122によって供給された加圧空気の空気圧及び/又は流量を測定するために用いることができる。
【0043】
表示デバイス128は概して、静止画、動画、若しくはその両方を含む画像(単数又は複数)、及び/又は呼吸治療デバイス122に関する情報を表示するのに使用される。例えば、表示デバイス128は、呼吸治療デバイス122の状態に関する情報(例えば、呼吸治療デバイス122がオン/オフであるか否か、呼吸治療デバイス122によって輸送されている空気の圧力、呼吸治療デバイス122によって輸送されている空気の温度など)及び/又は他の情報(例えば、睡眠スコア及び/又は療法スコア(それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2016/061629号に記載されているようなmyAir(登録商標)スコアなど)、現在の日付/時刻、ユーザ210の個人情報など)を提供することができる。いくつかの実装形態では、表示デバイス128は、画像を表示するように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を入力インタフェースとして含む、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)として機能する。表示デバイス128は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、LCDディスプレイなどとすることができる。入力インタフェースは、例えば、タッチスクリーン又は接触感知基板、マウス、キーボード、又は呼吸治療デバイス122とやりとりする人間ユーザによって行われる入力を感知するように構成された任意のセンサシステムとすることができる。
【0044】
加湿タンク129は、呼吸治療デバイス122に結合されるか、又は統合される。加湿タンク129は、呼吸治療デバイス122から輸送される加圧空気を加湿するために使用することができる水のリザーバを含む。呼吸治療デバイス122は、ユーザに提供される加圧空気を加湿するために、加湿タンク129内の水を加熱するヒータを含むことができる。追加的に、いくつかの実装形態では、導管126は、ユーザに輸送される加圧空気を加熱する(例えば、導管126に結合及び/又は埋め込まれた)加熱素子も含むことができる。加湿タンク129は、空気経路の水蒸気入口に流体的に結合され、水蒸気を水蒸気入口を介して空気経路に輸送することができるか又は空気経路自体の一部として空気経路と一列に形成することができる。他の実装形態では、呼吸治療デバイス122又は導管126は、無水加湿器を含むことができる。無水加湿器は、システム100の他の場所に位置付けられた他のセンサとインタフェースするセンサを組み込むことができる。
【0045】
呼吸治療システム120を、例えば、人工呼吸器、あるいは持続気道陽圧(CPAP)システム、自動気道陽圧(APAP)システム、バイレベル又は可変気道陽圧(BPAP又はVPAP)システム、高流量療法(HFT)システムなどの気道陽圧(PAP)システムあるいはそれらの任意の組み合わせとして使用することができる。CPAPシステムは、(例えば、睡眠医によって判定される)所定の空気圧をユーザに輸送する。APAPシステムは、例えば、ユーザと関連付けられた呼吸データに基づいて、ユーザに輸送される空気圧を自動的に変化させる。BPAP又はVPAPシステムは、第1の所定の圧力(例えば、吸気気道陽圧又はIPAP)と、第1の所定の圧力より低い第2の所定の圧力(例えば、呼気気道陽圧又はEPAP)と、を輸送するように構成される。HFTシステムは、典型的には、連続的な、加熱された、加湿された空気流れを密閉されていないか又は開口した患者インタフェースを通じて、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で提供することである。治療流量は、患者のピーク吸気流量を超えるようにノミナル設定されている。
【0046】
図1を参照すると、いくつかの実装形態に係る、システム100(
図1)の一部が示されている。呼吸治療システム120のユーザ210及び同床者220は、ベッド230に位置し、マットレス232に横たわっている。ユーザインタフェース124は、ユーザ210の鼻と口を覆うフェイスマスク(例えば、フルフェイスマスク)である。代替的に、ユーザインタフェース124は、ユーザ210の鼻に空気を提供する鼻マスク、又はユーザ210の鼻孔に空気を直接的に輸送する鼻枕マスクとすることができる。ユーザインタフェース124は、ユーザ210の一部分(例えば顔)にインタフェースを位置付け、かつ/又は安定させるための複数のストラップ(例えば面ファスナを含む)と、ユーザインタフェース124とユーザ210との間での気密密着を提供するのを支援する形状適合性クッション(例えば、シリコーン、プラスチック、発泡体など)と、を含むことができる。ユーザインタフェース124は、ユーザ210によって吐き出された二酸化炭素及び他のガスを逃がせるようにするための1つ以上の通気孔も含むことができる。他の実装形態では、ユーザインタフェース124は、加圧空気をユーザ210の口に導くマウスピース(例えば、ユーザの歯に適合するように成形されたナイトガードマウスピース、下顎再配置デバイスなど)である。
【0047】
ユーザインタフェース124は、導管126を介して呼吸治療デバイス122に流体的に結合及び/又は接続される。次に、呼吸治療デバイス122は、導管126及びユーザインタフェース124を介して加圧空気をユーザ210に輸送し、ユーザ210の喉内の空気圧を上昇させて、睡眠中に気道が閉鎖し、かつ/又は狭窄になることを防止することを支援する。呼吸治療デバイス122は、
図2に示すように、ベッド230に直接的に隣接するナイトテーブル240上に、又はより一般的には、ベッド230及び/又はユーザ210にほぼ隣接する任意の表面又は構造上に、位置付けることができる。
【0048】
一般に、呼吸治療システム120の使用を処方されたユーザは、呼吸治療システム120を使用しない場合(特に、ユーザが睡眠時無呼吸又はその他の睡眠関連障害に罹患している場合)と比較すると、睡眠中に呼吸治療システム120を使用した後、より質の良い睡眠と日中の疲労軽減を経験する傾向がある。例えば、ユーザ210は、閉塞性睡眠時無呼吸に罹患しており、導管126を介して呼吸治療デバイス122から加圧空気を輸送するために、ユーザインタフェース124(例えば、フルフェイスマスク)に依存している場合がある。呼吸治療デバイス122は、睡眠中に気道が閉鎖し、かつ/又は狭窄になることを防止するために、ユーザ210の喉の空気圧を増加させるために使用される持続気道陽圧(CPAP)マシンとすることができる。睡眠時無呼吸症候群の人は、睡眠中に気道が狭窄になったり閉塞したりして、酸素摂取量が減少し、強制的に目覚めさせたり、かつ/又は睡眠を妨げたりすることがある。CPAPマシンは、気道が狭窄になったり閉塞したりするのを防止し、酸素摂取量の減少によって目が覚めたり、又は気道が乱れたりすることを最小限に抑える。呼吸治療デバイス122は、睡眠中に医学的に処方された空気圧を維持しようとするが、ユーザは、療法のために睡眠の不快感を経験することがある。
【0049】
再び
図1Aを参照すると、システム100の1つ以上のセンサ130は、圧力センサ132、流量センサ134、温度センサ136、運動センサ138、マイクロフォン140、スピーカ142、無線周波数(RF)受信機146、RF送信機148、カメラ150、赤外線センサ152、フォトプレチスモグラム(PPG)センサ154、心電図(ECG)センサ156、脳波(EEG)センサ158、容量センサ160、力センサ162、歪みゲージセンサ164、筋電図(EMG)センサ166、酸素センサ168、検体センサ174、水分センサ176、測距(LiDAR)センサ178、皮膚電気センサ、加速度計、眼電図(EOG)センサ、光センサ、湿度センサ、空気質センサ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。一般的に、1つ以上のセンサ130のそれぞれは、メモリデバイス114又は1つ以上の他のメモリデバイスにおいて受信及び格納されたセンサデータを出力するように構成される。
【0050】
1つ以上のセンサ130は、圧力センサ132、流量センサ134、温度センサ136、運動センサ138、マイクロフォン140、スピーカ142、RF受信機146、RF送信機148、カメラ150、赤外線センサ152、光電式(PPG)センサ154、心電図(ECG)センサ156、脳波(EEG)センサ158、容量センサ160、力センサ162、歪みゲージセンサ164、筋電図(EMG)センサ166、酸素センサ168、検体センサ174、水分センサ176、及びLiDARセンサ178のそれぞれを含むものとして図示及び記載されているが、より一般的には、1つ以上のセンサ130は、本明細書に記載及び/又は図示されたセンサの各々の任意の組み合わせ及び任意の個数を含むことができる。
【0051】
本明細書に記載のとおり、システム100は一般に、睡眠セッションの前、最中、及び/又は後に、ユーザ(例えば、
図2に示す呼吸治療システム120のユーザ)と関連付けられたデータ(例えば、生理学的データ、流量データ、圧力データ、運動データ、音響データなど)を生成するために使用することができる。生成されたデータを分析して、ユーザに関する任意のパラメータ、計測値などを含むことができる、1つ以上の生理学的パラメータ(例えば、睡眠セッションの前、最中、及び/又は後)及び/又は睡眠関連パラメータ(例えば、睡眠セッション中)を生成することができる。1つ以上の生理学的パラメータの例としては、呼吸パターン、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、心拍数、心拍変動、呼吸間の時間の長さ、最大吸気時間、最大呼気時間、強制呼吸パラメータ(例えば、呼吸の解放と強制呼気の区別)、呼吸変動、呼吸の形態(例えば、1つ以上の呼吸の形状)、ユーザ210の動き、温度、EEG活動、EMG活動、ECGデータ、交感神経反応パラメータ、副交感神経反応パラメータなどが挙げられる。睡眠セッション中にユーザ210に関して判定できる1つ以上の睡眠関連パラメータとしては、例えば、無呼吸-低呼吸指数(AHI)スコア、睡眠スコア、療法スコア、流れ信号、圧力信号、呼吸信号、呼吸パターン、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりのイベント(例えば、無呼吸イベント)の数、イベントのパターン、睡眠状態及び/又は睡眠段階、心拍数、心拍数変動、ユーザ210の動き、温度、EEG活動、EMG活動、覚醒、いびき、窒息、咳、口笛、喘鳴、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0052】
1つ以上のセンサ130は、例えば、生理学的データ、音声データ、又はその両方を生成するのに使用することができる。センサ130のうちの1つ以上によって生成された生理学的データは、制御システム110によって使用されて、ユーザ210の睡眠の持続時間及び睡眠の質を判定することができる。例えば、睡眠セッション中のユーザ210と関連付けられた睡眠-覚醒信号及び1つ以上の睡眠関連パラメータがある。睡眠-覚醒信号は、睡眠、覚醒、リラックスした覚醒、微小覚醒、又は急速眼球運動(REM)段階、第1のノンREM段階(「N1」と称されることが多い)、第2のノンREM段階(「N2」と称されることが多い)、第3のノンREM段階(「N3」と称されることが多い)などの明確な睡眠段階、又はそれらの任意の組み合わせを含む、1つ以上の睡眠状態を示すことができる。センサ130などのセンサのうちの1つ以上によって生成された生理学的データから睡眠状態及び/又は睡眠段階を判定する方法は、例えば、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/047310号、国際公開第2014/0088373号、国際公開第2017/132726号、国際公開第2019/122413号、及び国際公開第2019/122414号に記載されている。
【0053】
また、睡眠-覚醒信号には、ユーザが就床する時刻、ユーザが離床した時刻、ユーザが入眠しようとした時刻などを判定するために、タイムスタンプを付与することができる。睡眠-覚醒信号は、睡眠セッション中に、例えば、1秒につき1サンプル、30秒につき1サンプル、1分につき1サンプルなど所定のサンプリングレートで1つ以上のセンサ130によって測定することができる。いくつかの実装形態においては、睡眠-覚醒信号が、睡眠セッション中の呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりのイベントの数、イベントのパターン、呼吸治療デバイス122の圧力設定、又はそれらの任意の組み合わせも示すことができる。
【0054】
イベントとしては、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合性無呼吸、呼吸低下、口漏れ、マスク漏れ(例えば、ユーザインタフェース124からの漏れ)、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増加、心拍数変動、努力性呼吸、喘息発作、てんかん挿間症、発作、発熱、咳、くしゃみ、いびき、あえぎ、風邪又はインフルエンザ等の病気の存在、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実装形態では、口漏れは、連続的な口漏れ、又は典型的には鼻/鼻枕マスクを使用しているユーザの唇が呼気時にポンと開く弁状の口漏れ(すなわち、呼吸の持続時間に応じて変動する)を含むことができる。口漏れは、口の乾燥や口臭につながる可能性があり、口語的に「サンドペーパー口」と呼ばれることもある。
【0055】
睡眠-覚醒信号に基づいて睡眠セッション中にユーザのために判定できる1つ以上の睡眠関連パラメータとしては、例えば、総就寝時間、総睡眠時間、入眠潜時、中途覚醒パラメータ、睡眠効率、断片化指数、又はそれらの任意の組み合わせなどの睡眠の質の測定基準が挙げられる。
【0056】
1つ以上のセンサ130によって生成されたデータ(例えば、生理学的データ、流量データ、圧力データ、運動データ、音響データなど)も、呼吸信号を判定するために使用することができる。呼吸信号は概して、ユーザの呼吸を示す。呼吸信号は、例えば、呼吸数、呼吸数変動、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、及び他の呼吸関連パラメータ、並びにそれらの任意の組み合わせを含むことができる、呼吸パターンを示すことができる。場合によっては、睡眠セッション中、呼吸信号は、1時間あたりのイベントの数(例えば、睡眠中)、イベントのパターン、呼吸治療デバイス122の圧力設定、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。このイベント(単数又は複数)としては、いびき、無呼吸(例えば、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合性無呼吸、及び低呼吸)、口漏れ、(例えばユーザインタフェース124からの)マスク漏れ、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増、呼吸困難、喘息発作、てんかん挿間症、発作、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0057】
一般的に、睡眠セッションは、ユーザ210がベッド230(又は睡眠するつもりで利用する別の領域又は物体)に横たわったり、若しくは座ったりした後、かつ/又は呼吸治療デバイス122をオンにし、かつ/又はユーザインタフェース124を身に付けた後の任意の時点を含む。したがって、睡眠セッションは、(i)ユーザ210がCPAPシステムを使用しているが、就眠試行前である時間周期(例えば、ユーザ210がベッド230に横になって本を読んでいる時間周期)、(ii)ユーザ210が就眠することを試行し始めるがまだ覚醒している時間周期、(iii)ユーザ210が浅睡眠(非急速眼球運動(ノンREM)睡眠の段階1及び段階2とも呼ばれる)に入っている時間周期、(iv)ユーザ210が深睡眠(徐波睡眠(SWS)、又はノンREM睡眠の段階3とも呼ばれる)に入っている時間周期、(v)ユーザ210が急速眼球運動(REM)睡眠に入っている時間周期、(vi)ユーザ210が、浅睡眠、深睡眠、又はREM睡眠の間で周期的に覚醒している時間周期、あるいは(vii)ユーザ210が覚醒して眠りに戻らない時間周期を含むことができる。
【0058】
睡眠セッションは概して、ユーザ210がユーザインタフェース124を取り外し、呼吸治療デバイス122をオフにし、かつ/又はベッド230から離れると終了するものと定義することができる。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、追加の時間期間を含むこと、又は上に開示された時間の一部のみに限定することができる。例えば、睡眠セッションは、呼吸治療デバイス122が気道又はユーザ210に加圧空気を供給し始めたときに始まり、呼吸治療デバイス122がユーザ210の気道に加圧空気を供給するのを停止したときに終わり、かつ、ユーザ210が眠っているか又は覚醒しているときにその間の時点の一部又は全部を含む期間を包含するように画定することができる。
【0059】
場合によっては、就寝前期間は、ユーザが入眠する前(例えば、ユーザが浅い睡眠、深い睡眠、REM睡眠に入る前)の時間として画定することができ、これは、ユーザがベッド230(又は、寝ようとする別の領域又は物体)に横たわるか、若しくは座る前、かつ/又は後の時間を含むことができる。場合によっては、本明細書で開示される個人別の同調は、この就寝前期間中に使用することができるが、常にそうである必要はない。場合によっては、例えば、個人別の同調は、睡眠セッション中(例えば、ユーザが眠っている間、若しくはユーザが浅い睡眠、深い睡眠、又はREM睡眠の間で定期的に起きている間)かつ/又は睡眠セッションの後(例えば、ユーザが目を覚まし、起きていようと決めた後など)に使用することができる。場合によっては、本明細書で開示される個人別の同調は、就寝前期間中に、睡眠セッション中(例えば、同じ又は変更された形式で)に、かつ/又は睡眠セッションが終了した後に(例えば、同じ形式で)に継続して使用することができる。
【0060】
圧力センサ132は、メモリデバイス114に格納され、かつ/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る圧力データを出力する。いくつかの実装形態では、圧力センサ132は、呼吸治療システム120のユーザの呼吸(例えば、吸気及び/又は呼気)及び/又は周囲圧力を示すセンサデータを生成する空気圧センサ(例えば、気圧センサ)である。このような実装形態では、圧力センサ132は、呼吸治療デバイス122、ユーザインタフェース124又は導管126に結合又は統合することができる。圧力センサ132は、呼吸治療デバイス122内の空気圧、導管126内の空気圧、ユーザインタフェース124内の空気圧、又はそれらの任意の組み合わせを判定するために使用される。圧力センサ132は、例えば、容量センサ、電磁センサ、誘導センサ、抵抗センサ、圧電センサ、歪みゲージセンサ、光学センサ、電位差センサ又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。一例では、圧力センサ132を使用して、ユーザの血圧を判定することができる。
【0061】
流量センサ134は、メモリデバイス114に格納することのできる、かつ/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析できる、流量データを出力する。いくつかの実装形態では、流量センサ134は、呼吸治療デバイス122からの空気流量、導管126を通る空気流量、ユーザインタフェース124を通る空気流量又はそれらの任意の組み合わせを判定するために使用される。このような実装形態では、流量センサ134を呼吸治療デバイス122、ユーザインタフェース124又は導管126に結合又は統合することができる。流量センサ134は、例えば、回転式流量計(例えば、ホール効果流量計)、タービン流量計、オリフィス流量計、超音波流量計、熱線センサ、渦流センサ、膜センサ、又はそれらの任意の組み合わせなどの、質量流量センサとすることができる。
【0062】
流量センサ134を使用して、睡眠セッション中の呼吸治療デバイス122のユーザ210(
図2)と関連付けられた流量データを生成することができる。流量センサ(例えば、流量センサ134など)の例は、国際公開第2012/012835号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。いくつかの実装形態では、流量センサ134は、通気流(例えば、意図的な「漏れ」)、意図しない漏れ(例えば、口漏れ及び/又はマスク漏れ)、患者の流れ(例えば、肺に出入りする空気)、又はそれらの任意の組み合わせを測定するように構成される。いくつかの実装形態では、流量データを分析して、ユーザの心原性振動を判定することができる。
【0063】
温度センサ136は、メモリデバイス114に格納され、かつ/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る温度データを出力する。いくつかの実装形態では、温度センサ136は、ユーザ210(
図2)の核心体温、ユーザ210の皮膚温度、呼吸治療デバイス122から及び/又は導管126を通って流れる空気の温度、ユーザインタフェース124内の空気の温度、周囲温度、又はそれらの任意の組み合わせを示す温度データを生成する。温度センサ136は、例えば、熱電対センサ、サーミスタセンサ、シリコンバンドギャップ温度センサ若しくは半導体ベースのセンサ、抵抗温度検出器、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0064】
運動センサ138は、メモリデバイス114に格納され、かつ/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る、運動データを出力する。運動センサ138は、睡眠セッション中のユーザ210の動き、及び/又は呼吸治療デバイス122、ユーザインタフェース124又は導管126などの呼吸治療システム120の構成要素のいずれかの動きを検出するために使用することができる。運動センサ138は、例えば、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計などの、1つ以上の慣性センサを含むことができる。いくつかの実装形態では、運動センサ138が、代替的に又は追加的に、ユーザの体動を表す1つ以上の信号を生成し、この信号から、例えばユーザの呼吸運動を介して、ユーザの睡眠状態又は睡眠段階を表す信号が取得され得る。いくつかの実装形態では、運動センサ138からの運動データを、別のセンサ130からの追加データと併用して、ユーザの睡眠状態又は睡眠段階を判定することができる。いくつかの実装形態では、運動データを使用して、ユーザの位置、身体位置、及び/又は身体位置の変化を判定することができる。
【0065】
マイクロフォン140は、メモリデバイス114に格納し得る、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析し得る音声データを出力する。マイクロフォン140によって生成された音声データは、睡眠セッション中の1つ以上の音(例えば、ユーザ210からの音)として再生可能である。本明細書において更に詳細に記載されるように、またマイクロフォン140からの音声データを使用して、睡眠セッション中のユーザが経験したイベントを(例えば、制御システム110を使用して)識別することができる。マイクロフォン140は、呼吸治療デバイス122、ユーザインタフェース124、導管126又はユーザデバイス170に結合又は統合することができる。いくつかの実装形態では、システム100が複数のマイクロフォン(例えば、ビーム形成機能を有する2つ以上のマイクロフォン及び/又はマイクロフォンの配列)を含み、複数のマイクロフォンのそれぞれによって生成された音データが、その複数のマイクロフォンのうちの別のものによって生成された音データを区別するのに使用できるようになっている。
【0066】
スピーカ142は、音波を出力する。1つ以上の実装形態では、音波は、システム100のユーザ(例えば、
図2のユーザ210)に聞こえてもよいし、システムのユーザに聞こえなくてもよい(例えば、超音波)。スピーカ142は、例えば、目覚まし時計として使用するか、又は(例えば、識別された身体位置及び/又は身体位置の変化に応答して)ユーザ210に警告又はメッセージを再生するために使用することができる。いくつかの実装形態では、スピーカ142は、マイクロフォン140によって生成された音声データをユーザに伝えるために使用することができる。スピーカ142は、呼吸治療デバイス122、ユーザインタフェース124、導管126又はユーザデバイス170に結合又は統合することができる。
【0067】
マイクロフォン140及びスピーカ142を独立したデバイスとして使用することができる。いくつかの実装形態では、マイクロフォン140及びスピーカ142は、例えばそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2018/050913号及び国際公開第2020/104465号に記載されるように、音響センサ141(例えば、SONARセンサ)に組み合わせることができる。かかる実装形態では、スピーカ142が、所定の間隔及び/又は周波数で音波を生成又は放出し、マイクロフォン140が、スピーカ142から放出された音波の反射を検出する。1つ以上の実装形態では、スピーカ142によって生成又は放出された音波は、ユーザ210又は同床者220(
図2)の睡眠を妨げないように、人間の耳に聞こえない周波数(例えば、20Hz未満又は約18kHz超)を有することができる。制御システム110は、マイクロフォン140及び/又はスピーカ142からのデータに少なくとも部分的に基づいて、マイクロフォン140及び/又はスピーカ142からのデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザ210(
図2)の位置、及び/又は本明細書に記載の睡眠関連パラメータ(例えば、識別された身体位置及び/又は身体位置の変化)及び/又は例えば、呼吸パターン、呼吸信号(例えば、呼吸の形態を判定することができる)、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間あたりのイベントの数、イベントのパターン、睡眠状態、睡眠段階、又はそれらの任意の組み合わせなどの本明細書に記載の呼吸関連パラメータ、のうちの1つ以上を判定することができる。この文脈では、ソナーセンサが、超音波又は低周波数超音波感知信号(例えば、約17~23kHz、18~22kHz、又は17~18kHzの周波数範囲内)を空中で生成/送信することなどによるアクティブ音響センシングに関わるものと理解され得る。このようなシステムは、上述の国際公開第2018/050913号及び国際公開第2020/104465号に関連して考えることができる。
【0068】
場合によっては、マイクロフォン140及び/又はスピーカ142を、イヤホン又はヘッドホンの1つ又はセットなどの身体装着デバイスなどの別体のデバイスに組み込むことができる。場合によっては、このようなデバイスは、1つ以上のセンサ130のうちの他のものを含むことができる。
【0069】
いくつかの実装形態では、センサ130は、(i)マイクロフォン140と同じ又は類似し、音響センサ141に統合された第1のマイクロフォンと、(ii)マイクロフォン140と同じ又は類似するが、音響センサ141に統合された第1のマイクロフォンとは独立しかつ別体である第2のマイクロフォンと、を含む。
【0070】
RF送信機148は、所定の周波数及び/又は所定の振幅(例えば、高周波帯域内、低周波帯域内、長波信号、短波信号など)を有する電波を生成及び/又は放射する。RF受信機146は、RF送信機148から放射された電波の反射を検出し、このデータを制御システム110によって分析することにより、ユーザ210(
図2)の位置及び/又は身体位置、及び/又は本明細書に記載の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を決定することができる。また、制御システム110、呼吸治療デバイス122、1つ以上のセンサ130、ユーザデバイス170又はそれらの任意の組み合わせの間での無線通信のために、RF受信機(RF受信機146及びRF送信機148のどちらか、又は別のRFペア)を使用することができる。RF受信機146及びRF送信機148は、
図1では別体の区別できる要素として示されているが、いくつかの実装形態では、RF受信機146及びRF送信機148は、RFセンサ147(例えば、RADARセンサ)の一部として組み合わされる。いくつかのこのような実装形態では、RFセンサ147は、制御回路を含む。RF通信の具体的な形式は、Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)などであってもよい。
【0071】
いくつかの実装形態では、RFセンサ147がメッシュシステムの一部である。メッシュシステムの一例としては、それぞれが移動式/可動式又は固定式であり得るメッシュノード、メッシュルータ及びメッシュゲートウェイを含み得るWi-Fiメッシュシステムが挙げられる。このような実装形態では、Wi-Fiメッシュシステムは、それぞれがRFセンサ147と同じ又は類似するRFセンサを含む、Wi-Fiルータ及び/又はWi-Fiコントローラ、並びに1つ以上の衛星(例えば、アクセスポイント)を含む。Wi-Fiルータ及び衛星は、Wi-Fi信号を使用して互いに持続的に通信する。Wi-Fiメッシュシステムは、物体又は人の移動が信号を部分的に妨害することによってルータと衛星との間のWi-Fi信号の変化(例えば、受信された信号強度の差)に基づいて運動データを生成するために使用することができる。この運動データは、運動、呼吸、心拍数、歩行、転倒、挙動など、又はそれらの任意の組み合わせを示し得る。
【0072】
カメラ150は、メモリデバイス114に格納し得る1つ以上の画像(例えば、静止画、動画、熱画像、又はそれらの任意の組み合わせ)として再現可能な画像データを出力する。カメラ150からの画像データは、本明細書に記載の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を判定するために、制御システム110によって使用することができる。制御システム110は、カメラ150からの画像データを使用して、例えば、1つ以上のイベント(例えば、周期性四肢運動又は下肢静止不能症候群)、呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりのイベントの数、イベントのパターン、睡眠状態、睡眠段階、又はそれらの任意の組み合わせなど、本明細書に記載されている睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を判定することができる。更に、カメラ150からの画像データを使用して、ユーザの位置及び/又は身体位置を識別し、ユーザ210の胸の動きを判定し、ユーザ210の口及び/又は鼻の空気流を判定し、ユーザ210がベッド230に就床する時刻を判定し、ユーザ210がベッド230から離床する時刻を判定することができる。カメラ150はまた、眼球運動、瞳孔拡張(ユーザ210の片眼又は両眼が開いている場合)、瞬目率又はREM睡眠中の任意の変化を追跡するために用いることができる。
【0073】
赤外線(IR)センサ152は、メモリデバイス114に格納し得る1つ以上の赤外線画像(例えば、静止画像、動画像、又はその両方)として再生可能な赤外線画像データを出力する。IRセンサ152からの赤外線データを使用して、ユーザ210の温度及び/又はユーザ210の動きを含む、睡眠セッション中の1つ以上の睡眠関連パラメータを判定することができる。また、ユーザ210の存在、位置及び/又は動きを測定する際に、IRセンサ152は、カメラ150と組み合わせて使用することができる。IRセンサ152は、例えば、約700nmと約1mmとの間の波長を有する赤外光を検出することができるのに対し、カメラ150は、約380nmと約740nmとの間の波長を有する可視光を検出することができる。
【0074】
PPGセンサ154は、例えば、心拍数、心拍数パターン、心拍数変動、心周期、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、推定血圧パラメータ、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ以上の睡眠関連パラメータを判定するために使用され得る、ユーザ210(
図2)と関連付けられた生理学的データを出力する。PPGセンサ154は、ユーザ210によって着用され、ユーザ210が着用する衣類及び/又は布地に埋め込み、ユーザインタフェース124及び/又はその関連するヘッドギア(例えば、ストラップなど)に埋め込み及び/又は結合することができる。場合によっては、PPGセンサ154は、離れた場所でPPGを行うことができる非接触PPGセンサとすることができる。場合によっては、パルス到達時間(PAT)の判定にPPGセンサ154を使用することができる。PATは、脈波が心臓から、指やその他の位置などの身体の遠位の位置に移動するのに必要な時間間隔を判定することができる。換言すれば、PATは、ECGのR波とPPGのピークとの間の時間間隔を測定することによって判定することができる。場合によっては、PPG信号のベースライン変化を使用して呼吸信号を導出し、呼吸数などの呼吸情報を導出することができる。場合によっては、PPG信号がSpO2データを提供し、OSAなどの睡眠関連障害の検出に使用することができる。
【0075】
ECGセンサ156は、ユーザ210の心臓の電気的活動と関連付けられた生理学的データを出力する。いくつかの実装形態では、ECGセンサ156が、睡眠セッション中のユーザ210の一部の上又は周囲に位置付けられている1つ以上の電極を含む。ECGセンサ156からの生理学的データは、例えば、本明細書に記載されている睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を判定するのに使用することができる。場合によっては、ECG電気トレースの振幅及び/又は形態の変化を使用して、呼吸曲線を識別し、呼吸数などの呼吸情報を識別することができる。
【0076】
場合によっては、ECG信号及び/又はPPG信号を、電気皮膚反応(GSR)センサなどを介して、副交感神経及び/又は交感神経支配の二次推定と合わせて使用することができる。このような信号を使用して、実際の呼吸曲線がどのようなものであるか、並びにそれが個人のストレスレベルにプラス、ニュートラル、又はマイナスの影響を与えるかどうかを特定することができる。
【0077】
EEGセンサ158は、ユーザ210の脳の電気的活動と関連付けられた生理学的データを出力する。いくつかの実装形態では、EEGセンサ158は、睡眠セッション中のユーザ210の頭皮の上又はその周囲に配置された、1つ以上の電極を含む。EEGセンサ158からの生理学的データは、例えば、睡眠セッション中の任意の所与の時期におけるユーザ210の睡眠状態又は睡眠段階を判定するのに使用することができる。いくつかの実装形態では、EEGセンサ158をユーザインタフェース124及び/又はそれと関連付けられたヘッドギア(例えば、ストラップなど)に統合することができる。
【0078】
容量センサ160、力センサ162、及び歪みゲージセンサ164は、メモリデバイス114に格納されて、本明細書に記載の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を判定するために制御システム110によって使用され得るデータを出力する。EMGセンサ166は、1つ以上の筋肉により生み出された電気的活動と関連付けられた生理学的データを出力する。酸素センサ168は、(例えば、導管126内又はユーザインタフェース124における)ガスの酸素濃度を示す、酸素データを出力する。酸素センサ168は、例えば、超音波酸素センサ、電気酸素センサ、化学酸素センサ、光学酸素センサ、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ130はまた、ガルヴァニック皮膚反応(GSR)センサ、血流センサ、呼吸センサ、脈拍センサ、血圧計センサ、酸素測定センサ又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0079】
検体センサ174は、ユーザ210の呼気中の検体の存在を検出するために使用することができる。検体センサ174によって出力されたデータは、メモリデバイス114に格納され、ユーザ210の息における任意の検体の同一性及び濃度を判定するために制御システム110によって使用することができる。いくつかの実装形態では、検体センサ174は、ユーザ210の口の付近に位置付けられて、ユーザ210の口から吐き出された息に含まれる検体を検出する。例えば、ユーザインタフェース124が、ユーザ210の鼻及び口を覆うフェイスマスクである場合、分析物センサ174は、ユーザ210の口呼吸を監視するためにそのフェイスマスク内に位置付けられることができる。他の実装形態では、ユーザインタフェース124が鼻マスク又は鼻枕マスクである場合に、検体センサ174は、ユーザ210の鼻の付近に位置付けられてユーザの鼻からの呼気中の検体を検出することができる。更に別の実装形態では、ユーザインタフェース124が鼻マスク又は鼻枕マスクである場合、検体センサ174は、ユーザ210の口の付近に位置付けることができる。この実装形態では、検体センサ174は、ユーザ210の口から不用意に空気が漏れているか否かを検出するために使用することができる。いくつかの実装形態では、検体センサ174は、炭素系化学物質又は炭素系化合物を検出するために使用することができる揮発性有機化合物(VOC)センサである。いくつかの実装形態では、また、検体センサ174は、ユーザ210が鼻又は口で呼吸しているか否かを検出するために使用することができる。例えば、ユーザ210の口付近又は(ユーザインタフェース124がフェイスマスクである実装形態において)フェイスマスク内に位置付けられた分析物センサ174によって出力されたデータによって分析物の存在が検出された場合、制御システム110は、ユーザ210が口で呼吸しているという指標としてこのデータを使用することができる。
【0080】
水分センサ176は、メモリデバイス114に格納され、制御システム110によって使用され得るデータを出力する。水分センサ176は、ユーザを取り囲む様々な領域(例えば、導管126又はユーザインタフェース124の内部、ユーザ210の顔付近、導管126とユーザインタフェース124との接続部付近、導管126と呼吸治療デバイス122との接続部付近など)における水分を検出するために使用することができる。したがって、いくつかの実装形態では、水分センサ176をユーザインタフェース124又は導管126内に配置して、呼吸治療デバイス122からの加圧空気の湿度を監視することができる。他の実装形態では、水分センサ176は、水分レベルを監視する必要がある任意の領域の付近に配置される。水分センサ176はまた、例えばユーザ210の寝室内の空気等、ユーザ210を取り囲む周囲環境の湿度を監視するために用いることができる。水分センサ176はまた、環境変化に対するユーザ210の生体反応を追跡するために用いることができる。
【0081】
1つ以上の光検出及び測距(LiDAR)センサ178は、深度感知に使用することができる。この種の光学センサ(例えば、レーザセンサ)は、物体を検出し、生活空間などの周囲環境の3次元(3D)マップを作成するために使用することができる。 LiDARは一般に、パルスレーザを利用して飛行時間を計測することができる。 LiDARは、3Dレーザスキャンとも称される。このようなセンサの一使用例では、LiDARセンサ178を有する固定機器又は(スマートフォンなどの)モバイル機器は、センサから5メートル以上離れた領域を測定しマッピングすることができる。LiDARデータは、例えば電磁式RADARセンサによって推定された点群データと融合することができる。 LiDARセンサ178はまた、人工知能(AI)を使用して、(RADARに対して高反射性であり得る)ガラス窓など、RADARシステムに問題を引き起こす可能性のある空間内の地物を検出し分類することにより、RADARシステムのジオフェンスを自動的に作成し得る。 LiDARは、人の身長に加え、人が座ったとき、倒れたときなどに生じる身長の変化を推定するのに使用することもできる。 LiDARは、環境の3Dメッシュ表現を形成するのに使用され得る。更なる用途では、電波が通過する固体表面(例えば電波透過性材料)に対して、LiDARは、このような表面で反射し得るため、異なるタイプの障害物の分類が可能となる。
【0082】
いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ130が、ガルヴァニック皮膚反応(GSR)センサ、血流センサ、呼吸センサ、脈拍センサ、血圧計センサ、オキシメトリセンサ、ソナーセンサ、RADARセンサ、血糖センサ、色センサ、pHセンサ、空気質センサ、傾斜センサ、方位センサ、雨センサ、土壌水分センサ、水流センサ、アルコールセンサ、又はそれらの任意の組み合わせも含む。
【0083】
図1では別々に示されているが、1つ以上のセンサ130の任意の組み合わせを、呼吸治療デバイス122、ユーザインタフェース124、導管126、加湿タンク129、制御システム110、ユーザデバイス170又はそれらの任意の組み合わせを含むシステム100の構成要素のうちの任意の1つ以上に統合及び/又は結合することができる。例えば、マイクロフォン140及びスピーカ142は、ユーザデバイス170に統合及び/又は結合され、圧力センサ130及び/又は流量センサ132は、呼吸治療デバイス122に統合及び/又は結合される。いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つは、呼吸治療デバイス122、制御システム110又はユーザデバイス170に結合されず、睡眠セッション中のユーザ210に概ね隣接して位置付けられる(例えば、ユーザ210の一部に配置されるか又は接触し、ユーザ210が着用し、ナイトテーブルに結合されるか又はその上に位置付けられ、マットレスに結合され、天井に結合されるなど)。
【0084】
1つ以上のセンサ130からのデータを分析して、呼吸信号、呼吸数、呼吸パターン若しくは形態、呼吸数変動、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、呼吸間の時間の長さ、最大吸気時間、最大呼気時間、強制呼吸パラメータ(例えば、呼吸の解放と強制呼気の区別)、1つ以上のイベントの発生、1時間あたりのイベントの数、イベントのパターン、睡眠状態、睡眠段階、無呼吸低呼吸指数(AHI)、心拍数、心拍変動、ユーザ210の動き、温度、EEG活動、EMG活動、ECGデータ、交感神経反応パラメータ、副交感神経反応パラメータ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る、1つ以上の生理学的パラメータを判定することができる。1つ以上のイベントとしては、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合性無呼吸、呼吸低下、意図的なマスク漏れ、意図しないマスク漏れ、口漏れ、咳、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増加、努力性呼吸、喘息発作、てんかん挿間症、発作、血圧上昇、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。これらの生理学的パラメータの多くは睡眠関連パラメータであるが、場合によっては、1以上のセンサ130からのデータを分析して、非生理学的睡眠関連パラメータなどの1つ以上の非生理学的パラメータを判定することができる。非生理学的パラメータとしては、流量、圧力、加圧空気の湿度、モータの速度などを含む、呼吸治療システムの動作パラメータも挙げられる。1つ以上のセンサ130からのデータ又は他のタイプのデータのいずれかに基づいて、他のタイプの生理学的パラメータ及び非生理学的パラメータを判定することもできる。
【0085】
ユーザデバイス170(
図1)は、表示デバイス172を含む。ユーザデバイス170は、例えば、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、スマートウォッチ、ラップトップなどのモバイル機器とすることができる。代替的に、ユーザデバイス170は、外部感知システム、テレビ(例えば、スマートテレビ)又は別のスマートホームデバイス(例えば、スマートスピーカ、任意選択でGoogle Home(登録商標)、Google Nes(登録商標)、Amazon Echo(登録商標)、Amazon Echo Show(登録商標)、Alexa(登録商標)の対応デバイスなどのディスプレイを有する)とすることができる。いくつかの実装形態では、ユーザデバイスは、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ)である。表示デバイス172は、一般的に、静止画像、動画像又はその両方を含む画像を表示するために使用される。いくつかの実装形態では、表示デバイス172は、画像を表示するように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)と入力インタフェースを含む、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)として機能する。表示デバイス172は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、LCDディスプレイなどとすることができる。入力インタフェースは、例えば、タッチスクリーン又はタッチセンサ式基板、マウス、キーボード、又はユーザデバイス170と対話する人間のユーザによって行われた入力をセンシングするように構成された任意のセンサシステムとすることができる。いくつかの実装形態では、1つ以上のユーザデバイスを、システム100が使用すること、及び/又はシステム100に含めることができる。
【0086】
光源180は概して、強度及び波長(例えば、色)を有する光を放出するために使用される。例えば、光源180は、約380nm~約700nmの間の波長(例えば、可視光スペクトルの波長)を有する光を放出することができる。光源180としては、例えば、1つ以上の発光ダイオード(LED)、1つ以上の有機発光ダイオード(OLED)、電球、ランプ、白熱電球、CFL電球、ハロゲン電球、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実装形態では、光源180から放出される光の強度及び/又は波長(例えば、色)は、制御システム110によって変更することができる。光源180はまた、例えば、連続発光、パルス発光、異なる強度の周期的発光(例えば、強度の漸増とそれに続く強度の低下を含む発光サイクル)、又はそれらの任意の組み合わせなどの所定の発光パターンで光を放出することができる。光源180から放出された光は、ユーザが直接見ることができるか、あるいは、ユーザに到達する前に反射又は屈折することができる。いくつかの実装形態では、光源180は、1つ以上のライトパイプを含む。
【0087】
いくつかの実装形態では、光源180は、呼吸治療システム120に物理的に結合又は統合される。例えば、光源180は、呼吸治療デバイス122、ユーザインタフェース124、導管126、表示デバイス128、又はそれらの任意の組み合わせに物理的に結合又は統合することができる。いくつかの実装形態では、光源180は、ユーザデバイス170又は活動追跡器190に物理的に結合又は統合される。他の実装形態では、光源180は、呼吸治療システム120、ユーザデバイス170、及び活動追跡器190のそれぞれとは別体の区別できるものである。このような実装形態では、光源180を、ユーザ210(
図2)に向けて、例えば、ナイトテーブル240、ベッド230、その他の家具、壁、天井などの上に位置付けることができる。
【0088】
活動追跡器190は概して、ユーザと関連付けられた活動測定値を判定するための生理学的データの生成に役立つために使用される。活動測定値としては、例えば、歩数、移動距離、登り歩数、身体活動の持続期間、身体活動のタイプ、身体活動の強度、立って過ごした時間、呼吸数、平均呼吸数、安静時呼吸数、最大呼吸数、呼吸数変動、心拍数、平均心拍数、安静時心拍数、最大心拍数、心拍数変動、カロリー消費量、血中酸素飽和度(SqO2)、皮膚電気活動(皮膚コンダクタンス又はガルヴァニック皮膚反応としても知られている)、ユーザの位置、ユーザの姿勢、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。活動追跡器190は、例えば、運動センサ138(例えば、1つ以上の加速度計及び/又はジャイロスコープ)、PPGセンサ154及び/又はECGセンサ156などの本明細書に記載の1つ以上のセンサ130を含むことができる。
【0089】
いくつかの実装形態では、活動追跡器190は、スマートウォッチ、リストバンド、リング又はパッチなどのユーザが着用できるウェアラブルデバイスである。例えば、
図2を参照すると、活動追跡器190は、ユーザ210の手首に装着される。また、活動追跡器190をユーザが着用する衣服又は衣類に結合又は統合することができる。更に代替的に、活動追跡器190をユーザデバイス170に結合又は(例えば、同じ筐体内に)統合することできる。より一般的には、活動追跡器190は、制御システム110、メモリ114、呼吸治療システム120、及び/又はユーザデバイス170と通信可能に結合できること、又は物理的に(例えば、筐体内に)統合することができる。
【0090】
図1には、制御システム110及びメモリデバイス114がシステム100の別体の区別できる構成要素として記載され、示されているが、いくつかの実装形態では、制御システム110及び/又はメモリデバイス114は、ユーザデバイス170及び/又は呼吸治療デバイス122に統合される。代替的に、いくつかの実装形態では、制御システム110又はその一部(例えば、プロセッサ112)は、クラウドに位置し(例えば、サーバに統合され、モノのインターネット(IoT)デバイスに統合され、クラウドに接続され、エッジクラウド処理を受けるなど)、1つ以上のサーバ(例えば、リモートサーバ、ローカルサーバ等、又はそれらの任意の組み合わせ)に位置することができる。
【0091】
システム100は、上記構成要素のすべてを含むものとして示されているが、本開示の実装形態では、生理学的データを生成するため、及びユーザにとって勧奨される通知又は行動を判定するためのシステムに、より多い構成要素又はより少ない構成要素を含めることができる。例えば、第1の代替システムは、制御システム110、メモリデバイス114、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つを含む。別の例として、第2の代替システムは、制御システム110、メモリデバイス114、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つ、ユーザデバイス170を含む。更に別の例として、第3の代替システムは、制御システム110、メモリデバイス114、呼吸治療システム120、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つ、ユーザデバイス170を含む。したがって、本明細書に示され記載された構成要素の任意の一部を使用し、及び/又は1つ以上の他の構成要素と組み合わせて、様々なシステムを形成することができる。
【0092】
図3A及び
図3Bを参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係る、ユーザインタフェース300が示されている。ユーザインタフェース300は、ユーザインタフェース124(
図1及び
図2)と同じ又は同様とすることができ、本明細書に記載のシステム100と共に使用することができる。ユーザインタフェース300は、ストラップアセンブリ310、クッション330、フレーム350、及びコネクタ370を含む。ストラップアセンブリ310は、ユーザがユーザインタフェース300を装着したときに、ユーザの頭の少なくとも一部の周りに概して位置付けられるように構成される。ストラップアセンブリ310は、フレーム350に結合され、ユーザの頭がストラップアセンブリ310とフレーム350との間に位置付けられるように、ユーザの頭に位置付けられる。
【0093】
いくつかの実装形態では、クッション330は、ユーザの顔とフレーム350との間に位置付けられ、ユーザの顔にシールを形成する。コネクタ370の第1の端部372Aは、フレーム350に結合され、コネクタ370の第2の端部372Bは、導管(例えば、
図1及び
図2に示される導管126)に結合することができる。次に、導管は、呼吸治療デバイス(例えば、本明細書に記載の呼吸治療デバイス122)の空気出口に結合することができる。呼吸治療デバイス内の送風機モータは、空気出口から加圧空気を流すように動作可能であり、それによって加圧空気をユーザに提供する。加圧空気は、空気がユーザの口、鼻、又はその両方を通ってユーザの気道に到達するまで、呼吸治療デバイスから導管、コネクタ370、フレーム350、及びクッション330を通って流れることができる。
【0094】
ストラップアセンブリ310は、後方部分312、一対の上部ストラップ314A及び314B、及び一対の下部ストラップ316A及び316Bから形成される。ストラップアセンブリの後方部分312は、ユーザがユーザインタフェース300を装着するときに、ユーザの頭の後ろに概して位置付けられる。上部ストラップ314A、314B及び下部ストラップ316A、316Bは、後方部分312からユーザの顔の前方に向かって延びる。図示の実装形態では、後方部分312は、円形である。しかしながら、後方部分312は、他の形状を有してもよい。後方部分312、上部ストラップ314A、314B、及び下部ストラップ316A、316Bは、布地、弾性体、ゴムなどの一般的に伸縮性若しくは弾力性のある材料、又は材料の任意の組み合わせから形成又は織ることができる。いくつかの実装形態では、ストラップアセンブリ310は、以下で更に詳細に説明するように、電線又はトレースがそこを通って延び得る中空の内部又はチャネルを有する。
【0095】
上部ストラップ314A、314B及び下部ストラップ316A、316Bはそれぞれ、後方部分312から始まる第1の端部、及びフレーム350に結合する第2の端部を有する。ユーザがユーザインタフェース300を装着すると、ストラップアセンブリ310によって提供される張力がフレーム350をユーザの顔に保持し、したがってユーザインタフェース300をユーザの頭に固定する。
【0096】
いくつかの実装形態では、ストラップアセンブリのストラップのうちの1つに張力センサを埋め込むことができる。例えば、
図3Bは、上部ストラップ314Aに埋め込まれた張力センサ313を示している。張力センサ313は、ユーザインタフェース124のストラップの張力を測定するように構成される。議論したように、ユーザインタフェース124は、面ファスナを使用して締め付けられ得るストラップを使用して、ユーザ210の頭に概して固定される。張力センサ313は、ストラップの張力を感知することができ、次いで、それを使用して、ユーザインタフェース124の正しいフィッティングについてユーザ210に通知及び/又は指示することができる。張力センサ313は、糸、繊維、ワイヤ、炭素繊維、縦糸、ウェブなどに組み込むことができる。ストラップの張力が増減すると、張力センサ313のセンサ素子がたわみ、出力信号の電圧が変化する。張力センサ313は、高弾性及び低抵抗、及び洗浄性を有することができる。いくつかの実装形態では、張力センサ313は、呼吸インダクタンスプレチスモグラフィの原理によって膨張可能な本体の直径を測定する。張力センサ313はまた、電気インピーダンスプレチスモグラフィセンサ、磁力計、歪みゲージセンサとすることができ、又はピエゾ抵抗材料変位センサで作ることができる。
【0097】
フレーム350は概して、第1の表面354A及び対向する第2の表面354Bを画定する本体352から形成される。ユーザがユーザインタフェース300を装着すると、第1の表面354Aは、ユーザの顔とは反対側を向き、第2の表面354Bは、ユーザの顔の方を向く。フレームはまた、クッション330及びコネクタ370を挿入できる環状開口部356を画定し、それによって、クッション330及びコネクタ370をフレーム350に物理的に結合する。
【0098】
クッション330は、クッション330がユーザの顔とフレーム350との間に位置付けられるように、第2の表面354Bに隣接するフレーム350の内側に結合することができる。クッション330は、ユーザインタフェース124のクッションと同じ又は同様の材料、例えば、ユーザの顔との気密シールの形成を助ける共形材料から作ることができる。クッション330は、開口部336を画定し、クッションの開口部336の周りでクッション330から延びる環状突出部338を含む。環状突出部338は、クッション330の環状開口部336がフレーム350の環状開口部356と重なるように、フレーム350の環状開口部356に挿入される。いくつかの実装形態では、クッション330の環状突出部338は、環状突出部338と環状開口部356の周りの本体352との間の摩擦嵌合を介して、フレーム350の本体352に解放可能に固定される。
【0099】
他の実装形態では、環状突出部338及びフレーム350は、クッション330をフレーム350に固定するために互いに嵌合する嵌合特徴を有することができる。例えば、クッション330の環状突出部338は、外側に延びる周辺フランジを含み得、フレーム350の本体352は、環状開口部356の周りに、対応する内側に延びる周辺フランジを含むことができる。クッション330の環状突出部338がフレーム350の環状開口部356に挿入されると、周辺フランジは、互いにスライド又はスナップすることができ、それによってクッション330をフレーム350に固定する。追加の実装形態では、クッション330は、ストラップアセンブリ310によって提供される張力によって所定の位置に保持され、フレーム350に物理的に結合されない。更に他の実装形態では、クッション330及びフレーム350は、単一の一体部品として形成することができる。
【0100】
コネクタ370は、クッション330と同様の方法でフレーム350の反対側に結合することができる。コネクタ370の第1の端部372Aは、ほぼ円筒形状を有し、端部372Aの中空内部376が環状開口部356及びクッション330の開口部336と重なるように、フレーム350の環状開口部356に挿入することができる。次に、コネクタ370の反対側の第2の端部372Bが導管に結合され、ユーザの顔(ユーザの口及び/又は鼻を含む)が、クッション330、フレーム350、及びコネクタ370を通して導管と流体連通した状態となる。
【0101】
コネクタ370の第1の端部372Aは概して環状形状であり、フレーム350の環状開口部356に嵌め込まれる。フレーム350はまた、フレーム350の第2の表面354Bから延び、かつ環状開口部356の周りに形成される環状突出部358を含む。第1の端部372Aがフレーム350の環状開口部356に挿入されると、環状突出部358の内面は、コネクタ370の第1の端部372AAの外面と重なる。
【0102】
いくつかの実装形態では、環状突出部358と第1の端部372Aとの間の摩擦嵌合は、コネクタ370をフレーム350に固定する。他の実装形態では、コネクタ370は、コネクタ370を(例えば、ネジ接続を介して)フレーム350に固定するように構成されたファスナを含むことができる。一例では、環状突出部358は、外側に延びる周辺フランジを有し、ファスナは、コネクタ370の第1の端部372Aに形成された1つ以上の偏向可能なラッチである。第1の端部372Aがスライドして環状突出部358内に挿入されると、偏向可能なラッチが環状突出部358の外側に位置付けられるように、偏向可能なラッチが周辺フランジ上をスライドする。偏向可能なラッチが周辺フランジを通過すると、周辺フランジは、偏向可能なラッチを環状突出部358から押し離す。その後、偏向可能なラッチは元の位置に戻るので、コネクタ370は、偏向可能なラッチを環状突起358から離れる方向に手動で偏向させない限り、フレーム350から外れない。
【0103】
フレーム350は、本体352の上端351Aから上方に延びるT字型延長ストリップ360を含む。いくつかの実装形態では、延長ストリップ360は、本体352と一体的に形成される。他の実装形態では、延長ストリップ360は、本体352に結合された別体の構成要素である。ユーザがユーザインタフェース300を装着すると、延長ストリップ360は概して、ユーザの額まで延びる。いくつかの実装形態では、延長ストリップ360は、ユーザ210の額に接触して冷却する冷却部分又は機構を含み、不眠症のユーザが眠りにつくのを助けることができる。
【0104】
下部ストラップ316A、316Bは、ストラップアセンブリ310の後方部分312からフレーム350に向かって延び、本体352の下端351Bの両側に結合される。上部ストラップ314A、314Bは、ストラップアセンブリ310の後方部分312からフレーム350に向かって延び、延長ストリップ360の上端361の反対側に結合される(例えば、T字のほぼ水平な「十字」)。フレーム350は、上部ストラップ314A、314B及び下部ストラップ316A、316Bと結合するための様々な異なるストラップ取付点を含むことができる。
【0105】
あるタイプのストラップ取付点が延長ストリップ360に示されている。延長ストリップ360の上端361は、2つの開口部362A、362Bを含む。これらの開口部は、延長ストリップ360自体に一体的に形成することができ、又は延長ストリップ360に結合される別体の構成要素又は部品の一部として形成してもよい。開口部362A、362Bは、上部ストラップ314A、314Bの端部315A、315Bが開口部362A、362Bを通して挿入されることを可能にするように成形される。その後、端部315A、315Bは、ループバックされて、面ファスナ、接着剤などの任意の適切な機構を介して上部ストラップ314A、314Bの残りの部分に固定することができる。したがって、上部ストラップ314A、314Bは、フレーム350の延長ストリップ360に固定される。
【0106】
フレーム350は、下部ストラップ316A、316Bをフレーム350に結合するために使用される異なるタイプのストラップ取付点と共に示されている。フレーム350は、本体352の下端351Bの両端から離れて延びる2つの側方ストリップ364A、364Bを含む。各側方ストリップ364A、364Bの第1の端部は、本体352に結合され、対応する磁石366A、366Bは、各側方ストリップ364A、364Bの第2の端部に配置される。磁石318Aは、下部ストラップ316Aの端部317Aに結合され、磁石318Bは、下部ストラップ316Bの端部317Bに結合される。磁石318Aは、磁気引力を介して磁石366Aに固定することができ、磁石318Bは、磁気引力を介して磁石366Bに固定することができ、それによって下部ストラップ316A、316Bをフレーム350の本体352に結合する。
【0107】
いくつかの実装形態では、フレーム350は、延長ストリップ360を含まず、代わりに上部ストラップ314A、314Bが側方ストリップ364A、364Bの上方でフレームに結合される。これらの実装における上部ストラップ314A、314Bは、ユーザ210のこめかみを通り越して、ユーザ210の頭の後ろへと周って延びる。フレーム350は、上部ストラップ314A、314Bが結合される上部側方ストリップを含んでもよい。
【0108】
ユーザインタフェース300は、1つ以上のセンサ390を含むこともできる。
図3Bは概して、単一のセンサのみを示しているが、任意の数のセンサをストラップアセンブリ310に結合することができる。いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ390がストラップアセンブリ310に結合され、ユーザがユーザインタフェース300を装着すると、ユーザのターゲット領域に隣接するように構成される。ターゲット領域は、ユーザの額、こめかみ、喉、首、耳などである。他の実装形態では、1つ以上のセンサ390は、ストラップアセンブリ310に結合されないが、代わりに、コネクタ370内など、ユーザインタフェース300内の他の位置に位置する。センサ390は、
図1に関して本明細書で説明したセンサ130のうちの任意の1つ以上とすることができ、追加的に、又は代替的に、他のタイプのセンサを含むことができる。
【0109】
いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ390は、ユーザのターゲット領域に接触する1つ以上の接触センサを含む。例えば、1つ以上のセンサ390は、脳波(EEG)センサ、心電図(ECG)センサ、筋電図(EMG)センサ、眼電図(EOG)センサ、音響センサ、末梢酸素飽和度(SpO2)センサ、ガルヴァニック皮膚反応(GSR)センサ、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0110】
いくつかの実装では、1つ以上のセンサ390は、追加的に又は代替的に、二酸化炭素(CO2)センサ(CO2濃度を測定するため)、酸素(O2)センサ(CO2濃度を測定するため)、圧力センサ、温度センサ、運動センサ、マイクロフォン、音響センサ、流量センサ、張力センサ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る1つ以上の非接触センサを含む。
【0111】
更なる実装形態では、1つ以上のセンサ390は、ユーザのターゲット領域に接触するように構成された1つ以上の接触センサ、及び1つ以上の非接触センサを含む。これらの実装形態のいくつかでは、非接触センサは、ストラップアセンブリ310に結合されないが、代わりにクッション330、フレーム350、又はコネクタ370に配置される。更に、ユーザインタフェース300は、これらの位置の任意の組み合わせに配置された複数の非接触センサを含むことができる。
【0112】
一般的に、ユーザインタフェース300の1つ以上のセンサ390は、制御システム及びメモリデバイスにデータを送信するために、呼吸治療システムの制御システム及びメモリデバイス(システム100の制御システム110及びメモリデバイス114など)に電気的に接続される必要がある。これらのデータは、人工呼吸器デバイスの動作を変更するために使用することができ、他の目的にも使用することができる。1つ以上のセンサ390から制御システム及びメモリデバイスにデータを送信するために、1つ以上のセンサ390は、フレーム350及びコネクタ370を含むユーザインタフェース300の様々な部分に電気的に接続することができる。1つ以上のセンサ390からのデータは、1つ以上のセンサ390と、フレーム350と、コネクタ370との間の電気接続を使用して送信することができる。したがって、1つ以上のセンサ390がユーザインタフェース300に位置する場合、1つ以上のセンサ390は、制御システム及びメモリデバイスに電気的に接続できる必要がある。
【0113】
本明細書において使用されるように、睡眠セッションは、例えば、初期開始時刻と終了時刻に基づいて、いくつかの方法で定義することができる。
図1を参照すると、睡眠セッションの例示的なタイムライン400が示されている。タイムライン400は、就床時刻(t
bed)と、入眠時刻(t
GTS)と、初期睡眠時刻(t
sleep)と、第1の微小覚醒MA
1と、第2の微小覚醒MA
2と、目覚時刻(t
wake)と、起床時刻(t
rise)と、を含む。
【0114】
いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、ユーザが眠っている持続時間である。このような実装形態では、睡眠セッションは、開始時刻と終了時刻とを有し、睡眠セッション中に、ユーザは終了時刻まで覚醒しない。すなわち、ユーザが覚醒している時間は、睡眠セッションに含まれない。睡眠セッションのこの第1の定義からは、ユーザが一晩で複数回覚醒及び入眠した場合、それらの覚醒期間によって隔てられたそれぞれの睡眠期間が、睡眠セッションとなる。
【0115】
代替的に、いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、開始時刻と終了時刻とを有し、睡眠セッション中に、ユーザは、ユーザが覚醒している連続持続時間が覚醒持続時間閾値を下回っている限り、睡眠セッションが終了してしまうことなく、目を覚ましてもよい。覚醒持続時間閾値は、睡眠セッションの百分率として定義することができる。覚醒持続時間閾値は、例えば、睡眠セッションの約20パーセント、睡眠セッション持続時間の約15パーセント、睡眠セッション持続時間の約10パーセント、睡眠セッション持続時間の約5パーセント、睡眠セッション持続時間の約2パーセントなど、又は他の任意の閾値百分率とすることができる。いくつかの実装形態では、覚醒持続時間閾値は、例えば、約1時間、約30分間、約15分間、約10分間、約5分間、約2分間などの一定時間又は他の任意の量の時間と定義される。
【0116】
いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、ユーザが夜に最初に就床した時刻から、翌朝に最後に離床した時刻までの総時間と定義される。別の言い方をすれば、睡眠セッションは、(例えば、ユーザが寝る前に最初にテレビを見たりスマートフォンをいじったりすることを意図した場合ではなく)ユーザが寝るという意図を持って最初に就床した、現在の夜と称せる第1の日付(例えば、2020年1月6日月曜日)の第1の時刻(例えば午後10:00)に始まり、ユーザがその翌朝に再び寝ないという意図を持って最初に起床した、翌朝と称せる第2の日付(例えば2020年1月7日火曜日)の第2の時刻(例えば午前7:00)に終わる時間と定義することができる。
【0117】
いくつかの実装形態では、ユーザが睡眠セッションの開始を手動で定義し、かつ/又は睡眠セッションを手動で終了させることができる。例えば、ユーザは、ユーザデバイス170の表示デバイス172(
図1)上に表示されるユーザ選択可能要素を(例えば、クリック又はタップすることによって)選択して、睡眠セッションを手動で開始又は終了することができる。
【0118】
就床時刻t
bedは、ユーザが入眠前(例えば、ユーザが横になっているとき、又はベッドに座っているとき)に最初にベッドに入る時間(例えば、
図2のベッド230)に関連付けられる。就床時刻t
bedを就床閾値持続期間に基づいて識別して、ユーザが寝るために就床する時刻と、ユーザが他の理由で(例えば、テレビを見る)就床する時刻と、を区別することができる。例えば、就床閾値持続期間は、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間などとすることができる。本明細書においては、ベッドに関連して就床時刻t
bedを説明しているが、より一般的には、就床時刻t
bedは、ユーザが寝るために最初に何らかの箇所(例えば、ソファ、椅子、寝袋など)に就いた時刻を表すことができる。
【0119】
入眠時刻(GTS)は、ユーザが、就床(tbed)した後、最初に入眠しようとする時刻に関連付けられる。例えば、ユーザは、床に就いた後、眠ろうとする前に、くつろぐために1つ以上の活動(例えば、読書、テレビ視聴、音楽鑑賞、ユーザデバイス170の使用など)をしてもよい。初期睡眠時刻(tsleep)は、ユーザが最初に入眠した時刻である。例えば、初期睡眠時刻(tsleep)は、ユーザが最初に第1のノンREM睡眠段階に入った時刻とすることができる。
【0120】
目覚時刻twakeは、(例えば、ユーザが真夜中に目覚めて睡眠に戻るのとは異なり)ユーザが二度寝をせずに目を覚ました時刻と関連付けられた時刻である。ユーザは、最初に入眠した後、短い持続時間(例えば、4秒間、10秒間、30秒間、1分間など)を有する、より多くの無意識の微小覚醒(例えば、微小覚醒MA1及びMA2)のうちの1つを経験する可能性がある。目覚時刻twakeとは対照的に、ユーザは、微小覚醒MA1及びMA2のそれぞれを経て、再び眠る。同様に、ユーザは、最初に入眠した後、1回以上の意識的な覚醒(例えば、覚醒A)(例えば、トイレに行くために起きること、子供又はペットの世話をすること、夢遊病など)を行う可能性がある。しかしながら、ユーザは、覚醒Aの後に二度寝する。したがって、目覚時刻twakeは、例えば、(例えば、ユーザが15分間以上、20分間以上、30分間以上、1時間以上など覚醒した)目覚閾値持続期間に基づいて定義することができる。
【0121】
同様に、起床時刻triseは、(例えば、ユーザが夜間にトイレに行くために起きること、子供又はペットの世話をすること、夢遊病などとは反対に)ユーザが睡眠セッションを終了させる目的で離床してベッドに不在する時間に関連付けられる。換言すれば、起床時刻triseは、ユーザが次の睡眠セッション(例えば、次の夜)までベッドに戻らずに最後にベッドを離れた時刻である。したがって、起床時刻triseは、例えば、(例えば、ユーザがベッドを15分間以上、20分間以上、30分間以上、1時間以上など離れた)起床閾値持続期間に基づいて定義することができる。2回目以降の就床時刻tbedも、起床閾値持続期間(例えば、ユーザがベッドを離れて4時間以上、6時間以上、8時間以上、12時間以上経過した場合など)に基づいて定義することができる。
【0122】
上述したように、ユーザは、最初のtbedから最後のtriseまでの間に、夜間に1回以上目覚めてベッドから離れる可能性がある。いくつかの実装形態では、最後の目覚時刻twake及び/又は最後の起床時刻triseは、イベント(例えば、入眠するか又はベッドを離れること)に続く時刻の所定の閾値持続期間に基づいて識別又は判定される。このような閾値持続期間は、ユーザ向けにカスタマイズすることができる。夜に就床し、朝に目覚めてベッドから出る標準ユーザの場合、約12時間~約18時間の間の任意の時間(ユーザが目覚めるか(twake)又は起床して(trise)から、ユーザが就床(tbed)、入眠(tGTS)又は睡眠する(tsleep)までの間)を使用することができる。就寝時間が長いユーザの場合、より短い閾値期間(例えば、約8時間~約14時間の間)を使用することができる。閾値期間は、ユーザの睡眠挙動を監視するシステムに基づいて、最初に選択され、及び/又は後に調整されてもよい。
【0123】
総就寝時間(TIB)とは、就床時刻t
bedから起床時刻t
riseまでの持続期間である。総睡眠時間(TST)は、初期睡眠時刻から目覚時刻までの持続時間から、その間の意識的又は無意識の覚醒及び/又は微小覚醒を除外した持続時間と関連付けられる。一般的に、総睡眠時間(TST)は、総就寝時間(TIB)より短くなる(例えば、1分間短い、10分間短い、1時間短いなど)。例えば、
図4のタイムライン401を参照すると、総睡眠時間(TST)は、初期睡眠時刻t
sleepと目覚時刻t
wakeとの間にわたっているが、第1の微小覚醒MA
1、第2の微小覚醒MA
2、及び覚醒Aの持続期間が除外される。図示されているように、この例では、総睡眠時間(TST)は、総就寝時間(TIB)より短い。
【0124】
いくつかの実装形態では、総睡眠時間(TST)は、総持続的睡眠時間(PTST)として定義することができる。このような実装形態では、総持続的睡眠時間は、第1のノンREM段階(例えば、浅睡眠段階)の所定の初期部分又は初期期間を除外するものである。例えば、この所定の初期部分は、約30秒間から約20分間、約1分間から約10分間、約3分間から約5分間などとすることができる。総持続的睡眠時間は、持続睡眠の測定値であり、睡眠-覚醒睡眠経過図を平滑化するものである。例えば、ユーザが最初に入眠するとき、ユーザは、非常に短い時間(例えば、約30秒間)に第1のノンREM段階に入り、その後、短い時間(例えば、1分間)に覚醒段階に戻った後に、第1のノンREM段階に戻ってもよい。この例では、総持続的睡眠時間は、第1のノンREM段階の第1のインスタンス(例えば、約30秒間)を除外するものである。
【0125】
いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、就床時刻(tbed)に始まり、起床時刻(trise)に終わると定義され、すなわち、睡眠セッションは、総就寝時間(TIB)として定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、初期睡眠時刻(tsleep)に始まり、目覚時刻(twake)に終わると定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションが、総睡眠時間(TST)と定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、入眠時刻(tGTS)に始まり、目覚時刻(twake)に終わると定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、入眠時刻(tGTS)に始まり、起床時刻(trise)に終わると定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、就床時刻(tbed)に始まり、目覚時刻(twake)に終わると定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、初期睡眠時刻(tsleep)に始まり、起床時刻(trise)に終わると定義される。
【0126】
図1を参照すると、いくつかの実装形態に係る、タイムライン401(
図4)に対応する例示的なヒプノグラム500が示されている。図示されているように、ヒプノグラム500は、睡眠-覚醒信号501、覚醒段階軸510、REM段階軸520、浅睡眠段階軸530、及び深睡眠段階軸540を含む。睡眠-覚醒信号501と軸510~540のうちの1つとの交点は、睡眠セッション中の任意の所与の時刻における睡眠段階を示している。
【0127】
睡眠-覚醒信号501は、ユーザと関連付けられた(例えば、本明細書に記載されているセンサ130(
図1)のうちの1つ以上によって生成された)生理学的データに基づいて生成することができる。睡眠-覚醒信号は、覚醒状態、リラックス覚醒状態、微小覚醒、REM段階、第1の非REM段階、第2の非REM段階、第3の非REM段階、又はそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の睡眠状態又は睡眠段階を示すことができる。いくつかの実装形態では、第1のノンREM段階、第2のノンREM段階及び第3のノンREM段階のうちの1つ以上をグループ化し、浅睡眠段階又は深睡眠段階として分類することができる。例えば、浅睡眠段階は、第1のノンREM段階を含んでもよく、深睡眠段階は、第2のノンREM段階及び第3のノンREM段階を含むことができる。
図5にはヒプノグラム500が浅睡眠段階軸530及び深睡眠段階軸540を含むものとして示されているが、いくつかの実装形態では、ヒプノグラム500は、第1の非REM段階、第2の非REM段階及び第3の非REM段階のそれぞれに対する軸を含むことができる。他の実装形態では、睡眠-覚醒信号は、呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気-呼気比、1時間当たりのイベント数、イベントパターン又はそれらの任意の組み合わせを示すことができる。睡眠-覚醒信号について記述している情報は、メモリデバイス114に格納することができる。
【0128】
ヒプノグラム500を使用して、例えば、入眠潜時(SOL)、中途覚醒(WASO)、睡眠効率(SE)、睡眠断片化指数、睡眠ブロック、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ以上の睡眠関連パラメータを判定することができる。
【0129】
入眠潜時(SOL)は、入眠時刻(tGTS)から初期睡眠時刻(tsleep)までの時間として定義される。換言すれば、入眠潜時は、ユーザが最初に就眠を試行してから実際に就眠するまでに要した時間を示す。いくつかの実装形態では、入眠潜時が持続的入眠潜時(persistent sleep onset latency:PSOL)と定義される。持続的入眠潜時は、入眠時刻から所定量の持続睡眠までの持続時間と定義されるという点で、入眠潜時とは異なる。いくつかの実装形態では、所定量の持続的睡眠が、例えば、第2のノンREM段階内、第3のノンREM段階内、並びに/又は2分間以下の覚醒、第1のノンREM段階、及び/若しくはその間の移動を伴うREM段階内の少なくとも10分間の睡眠、を含み得る。換言すれば、持続的入眠潜時は、例えば、第2のノンREM段階、第3のノンREM段階及び/又はREM段階における最大8分間の持続睡眠が必要とされる。他の実装形態では、所定量の持続睡眠は、初期睡眠時刻に続く第1のノンREM段階、第2のノンREM段階、第3のノンREM段階、及び/又はREM段階における少なくとも10分間の睡眠を含むことができる。このような実装形態では、所定量の持続睡眠は、一切の微小覚醒を除外することができる(例えば、10秒間の微小覚醒後に、その10分間が再開されることはない)。
【0130】
中途覚醒(WASO)は、初期睡眠時刻から目覚時刻までの間でユーザが覚醒している全持続時間と関連付けられる。したがって、中途覚醒は、意識的か無意識的かにかかわらず、睡眠セッション中の短時間微小覚醒(例えば、
図4に示す微小覚醒MA
1とMA
2)を含む。いくつかの実装形態では、中途覚醒(WASO)は、所定の長さ(例えば、10秒間以上、30秒間以上、60秒間以上、約5分間以上、約10分間以上など)を有する覚醒の総持続時間のみを含む、持続的中途覚醒(PWASO)として定義される。
【0131】
睡眠効率(SE)は、総就寝時間(TIB)と総睡眠時間(TST)との比率として判定される。例えば、総就寝時間が8時間で、総睡眠時間が7.5時間である場合、その睡眠セッションの睡眠効率は、93.75%である。睡眠効率は、ユーザの睡眠衛生を示す。例えば、ユーザが就床し、睡眠前に他の活動(例えば、テレビ視聴)に時間を費やす場合、睡眠効率が低下する(例えば、ユーザにペナルティが与えられる)。いくつかの実装形態では、総就寝時間(TIB)と、ユーザが入眠しようとする総時間とに基づいて、睡眠効率(SE)を算出することができる。このような実装形態では、ユーザが入眠しようとする総時間は、本明細書に記載の入眠(GTS)時刻から起床時刻までの持続期間として定義される。例えば、総睡眠時間が8時間(例えば、午後11時から午前7時まで)、入眠時刻が午後10時45分、起床時刻が午前7時15分であるという実装形態では、睡眠効率パラメータは、約94%として算出される。
【0132】
断片化指数は、睡眠セッション中の覚醒回数に少なくとも部分的に基づいて判定される。例えば、ユーザが2つの微小覚醒(例えば、
図5に示される微小覚醒MA
1及び微小覚醒MA
2)を有していた場合、断片化指数は、2として表すことができる。いくつかの実装形態では、断片化指数は、所定の範囲の整数の間 (例えば、0~10の間)でスケーリングされる。
【0133】
睡眠ブロックは、任意の睡眠段階(例えば、第1のノンREM段階、第2のノンREM段階、第3のノンREM段階、及び/又はREM)と覚醒段階との間の移行に関連付けられる。例えば、30秒間の分解能で睡眠ブロックを算出することができる。
【0134】
いくつかの実装形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、睡眠-覚醒信号を含む睡眠経過図を生成又は分析して、睡眠経過図の睡眠-覚醒信号に少なくとも部分的に基づいて、就床時刻(tbed)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時刻(tsleep)、1つ以上の第1の微小覚醒(例えば、MA1及びMA2)、目覚時刻(twake)、起床時刻(trise)、又はそれらの任意の組み合わせを判定又は特定することを含むことができる。
【0135】
他の実装形態では、センサ130のうちの1つ以上を使用して、就床時刻(tbed)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時刻(tsleep)、1つ以上の第1の微小覚醒(例えば、MA1及びMA2)、目覚時刻(twake)、起床時刻(trise)又はそれらの任意の組み合わせを判定又は識別することにより、睡眠セッションを定義することができる。例えば、就床時刻tbedは、例えば、運動センサ138、マイクロフォン140、カメラ150又はそれらの任意の組み合わせによって生成されたデータに基づいて判定することができる。入眠時刻は、例えば、運動センサ138からのデータ(例えば、ユーザによる動きがないことを示すデータ)、カメラ150からのデータ(例えば、ユーザによる動きがないこと、及び/又はユーザが照明を消したことを示すデータ)、マイクロフォン140からのデータ(例えば、使用がテレビを消したことを示すデータ)、ユーザデバイス170からのデータ(例えば、ユーザがユーザデバイス170をもう使用していないことを示すデータ)、圧力センサ132及び/又は流量センサ134からのデータ(例えば、ユーザが呼吸治療デバイス122の電源を投入したことを示すデータ、ユーザがユーザインタフェース124を装着したことを示すデータなど)、又はそれらの任意の組み合わせなどに基づいて判定することができる。
【0136】
図1を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係る、ユーザを支援するための方法600が示されている。方法600の1つ以上のステップ又は態様は、本明細書に記載のシステム100の任意の部分又は態様を使用して実施することができる。
【0137】
方法600のステップ601は、ユーザと関連付けられた生理学的データを受信することを含む。生理学的データは、本明細書に記載されたセンサ130(
図1)のうちの1つ以上によって生成され、受信することができる。受信した生理学的データは、例えば、動き、心拍数、心拍数変動、心臓波形、呼吸数、呼吸数変動、呼吸深度、一回換気量、吸気振幅、吸気持続時間、呼気振幅、呼気持続時間、吸気対呼気比、発汗、温度(例えば、周囲温度、体温、核心体温、表面温度など)、血液酸素化、フォトプレチスモグラフィ、脈波伝播時間、血圧、末梢動脈緊張、心原性振動、電気皮膚反応、交感神経系反応、脈波伝播時間、心拍数に関連する傾向、呼吸数に関連する傾向、電気皮膚反応に関連する傾向、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ以上の生理学的パラメータを示すことができる。生理学的データは、例えば、本明細書に記載の電子インタフェース119及び/又はユーザデバイス170によって、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つから受信し、メモリ114(
図1)に格納することができる。生理学的データは、電子インタフェース119又はユーザデバイス170によって、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つから、直接的又は間接的に(例えば、1つ以上の仲介物を介して)受信することができる。生理学的データは、ストレス/不安の指標となり得る音声を含み、マイクロフォン140によって受信することができる。マイクロフォン140は、マイクロフォンセンサ(例えば、Amazon(登録商標)Haloデバイス)に組み込むことができる。
【0138】
いくつかの実装形態では、生理学的データは、睡眠セッションの少なくとも一部の間に生成される。例えば、睡眠セッションの生理学的データの第1の部分は、ユーザが睡眠セッションを開始する前又は開始する最初の日(例えば、月曜日)に関連付けることができる。最初の睡眠セッションが終了する前に次の日(例えば、火曜日)に延長された場合、生理学的データは、2日目の一部にも関連付けられる。この例では、生理学的データの第1の部分は、睡眠セッションの任意の部分に関連付けることができる(例えば、睡眠セッションの10%、睡眠セッションの25%、睡眠セッションの50%、睡眠セッションの100%など)。
【0139】
いくつかの実装形態では、ステップ601において受信された生理学的データは、ユーザがユーザインタフェース124を装着又は着用する前に(例えば、センサ130のうちの1つ以上によって)生成又は取得される。他の実装形態では、生理学的データは、ユーザがユーザインタフェース124を装着又は着用する前後に生成される。このような実装形態では、生理学的データは、ユーザがユーザインタフェース124を装着する前に、1つ以上のセンサ130のうちの第1のセンサ(例えば、ユーザデバイス170又は活動追跡器190に物理的に結合又は統合されたセンサ)及びユーザがユーザインタフェース124を装着した後の1つ以上のセンサ130のうちの第2のセンサ(例えば、呼吸治療システム120に物理的に結合又は統合されたセンサ)によって生成することができる。
【0140】
方法600のステップ602は、生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、ユーザと関連付けられた第1の情動スコアを判定することを含む。一般的に、情動スコアは、ユーザが現在経験している不安又はストレスを示す。例えば、ユーザは、呼吸治療システム120のユーザインタフェース124を装着するときに、特にユーザがユーザインタフェース124を装着することに慣れていないときに、不安、ストレス、懸念、不快感などを経験する可能性がある。ストレス、不安、不快感などのレベルが高まると、ユーザにとって就眠が困難となり得、かつ/又はユーザが呼吸治療システム120の使用を放棄したくなり得る。情動スコアによるユーザのストレス又は不安の定量化を使用して、行動又は活動を提案又は推奨して、不安又はストレスを軽減し、ユーザが入眠し、呼吸治療システム120の使用に慣れるのを支援することができる。
【0141】
情動スコアは、絶対値とすることができ、又は相対値にすることができる。情動スコアは、例えば、所定の尺度(例えば、1~10の間、1~100の間など)上にある数値、レターグレード(例えば、A、B、C、D、又はF)、又は記述語(例えば、高、低、中、不良、正常、異常、可、良、優、平均、平均未満、平均超、要改善、満足など)とすることができる。いくつかの実装形態では、情動スコアが、以前の情動スコア(例えば、情動スコアが、以前の情動スコア(例えば、前日の情動スコア)よりも良い、情動スコアが以前の情動スコアよりも悪い、情動スコアが以前の情動スコアと同じである、など)又は基準情動スコア(例えば、情動スコアが基準情動スコアよりも50%高い、情動スコアが基準情動スコアに等しい、など)を基準にして判定される。いくつかの実装形態では、以前の情動スコアは、目標情動スコアとすることができる。目標情動スコアの例としては、ユーザが眠りにつくことができたスコア、ユーザが短い入眠潜時を持っていたスコアなどが挙げられる。
【0142】
いくつかの実装形態では、ユーザのストレス又は不安の定量化は、ベースラインの情動スコアからの変化に基づくことができる。定量化は、目標情動スコアとの差(相対的又は絶対的)の形を取ることができる。
【0143】
いくつかの実装形態では、ステップ601においてユーザがユーザインタフェース124を装着又は着用する前に生成された生理学的データは、ベースライン情動スコアを表す。いくつかの実装形態では、ベースライン情動スコアは、ユーザがリラックスしていると予想されるとき(例えば、ユーザが眠りにつくとき、ユーザがちょうど眠りについたときなど)に生理学的データから判定することができる。睡眠段階を示す生理学的データを使用して、異なる時間を判定することができる。ベースライン情動スコアは、ユーザが装着したウェアラブル電子機器(例えば、活動追跡器190)、ユーザが取得した主観的情報などから判定することができる。いくつかの実装形態では、ベースラインの情動スコアを確認するために、1以上のプロンプトをユーザに提供することができる。
【0144】
いくつかの実装形態では、ステップ602は、例えば、動き、呼吸数、心拍数、心拍数変動、心臓波形、呼吸数、呼吸数変動、呼吸深度、一回換気量、吸気振幅、吸気持続時間、呼気振幅、呼気持続時間、吸気対呼気比、発汗、温度(例えば、周囲温度、体温、核心体温、表面温度など)、血液酸素化、フォトプレチスモグラフィ(例えば、SpO2、末梢灌流、末梢動脈緊張、脈拍数、その他の心臓関連パラメータなどの測定に使用することができる)、脈波伝播時間、血圧、心原性振動、電気皮膚反応、交感神経系反応、脈波伝播時間、心拍数に関連する傾向、呼吸数に関連する傾向、電気皮膚反応に関連する傾向、呼吸数に関連する傾向、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ以上の生理学的パラメータを判定することを含むことができる。
【0145】
これらの生理学的パラメータは、ユーザの情動又は不安を示すことができる。例えば、過換気、(例えば、ユーザと関連付けられた基準、ユーザのグループの基準、標準値などに対する)呼吸数増、(例えば、ユーザと関連付けられた基準、ユーザのグループの基準、標準値などに対する)心拍数変動減、心不整脈、心拍数、及び血圧(例えば、ユーザが高血圧であるか非高血圧であるか、夜間血圧降下などを調整する)は、不安レベルの上昇を示すことができる。逆に、(例えば、ユーザと関連付けられた基準、ユーザのグループの基準、標準値などに対する)心拍数変動増は、よりリラックスした状態を示すことができる。情動スコアは、上記のユーザプロファイルに格納されているユーザの旧記録生理学的パラメータ、複数の他のユーザの旧記録生理学的パラメータ、又はその両方に基づき、生理学的パラメータのうちの1つ以上をスケーリング又は標準化することによって少なくとも部分的に判定することができる。代替的に、情動スコアは、関連付けられた生理学的パラメータ(単数又は複数)をパラメータ(単数又は複数)の所望値又は目標値でスケーリングすることによって判定することができる。
【0146】
生理学的パラメータは、個人固有のものとすることができる。生理学的パラメータを監視して、生理学的パラメータが範囲内にあるかどうかを判定することができる。例えば、典型的な成人の呼吸数は、12~20回/分(bpm)であり、25bpmを超える呼吸数は、不安/ストレスを示している可能性がある。同様に、典型的な成人の心拍数は、60~100回/分であり、120bpmを超える心拍数は、不安/ストレスを示している可能性がある。体温の上昇は、不安やストレスを示している可能性がある。更に、生理学的パラメータの値が、療法の開始などの刺激の後に、又は療法圧力の増加後に変化するが、その後、比較的迅速に(例えば、5~10分以内又は他の所定の期間内に)ベースライン値に戻る場合、情動スコアの増加は許容することができる。情動スコアのわずかな増加は一時的なものであるため、情動スコアの増加は許容されるので、情動スコアを調整する必要はない(又は最小限の数のプロンプトが必要である)。
【0147】
いくつかの実装形態では、ステップ602は、ユーザからの主観的フィードバックを受信することと、受信した主観的フィードバックに少なくとも部分的に基づいて情動スコアを判定することと、を更に含む。主観的フィードバックは、例えば、記述的指標(例えば、高、低、中、不明)、数値(例えば、10をストレス大とし、0をストレスなしとした場合の1~10のスケール)などの形態でユーザの現在のストレス又は不安レベルを示す自己申告ユーザフィードバックを含むことができる。ユーザのストレス又は不安レベルは、リッカート尺度に基いてもよいし、又はそれに対応してもよい。主観的フィードバックは、例えば、ユーザデバイス170を介して受信することができる。このような実装形態では、ステップ602が、(例えば、ユーザデバイス170の表示デバイス172を介して)1つ以上のプロンプトをユーザに伝えて主観的フィードバックを求めることを含むことができる。
【0148】
いくつかの実装形態では、ステップ602が、ユーザと関連付けられた人口統計情報に少なくとも部分的に基づいて情動スコアを判定することを含む。人口統計情報は、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザの体重、ユーザの肥満度指数(BMI)、ユーザの身長、ユーザの人種、ユーザの関係又は婚姻状況、不眠症の家族歴、ユーザの雇用状況、ユーザの教育状況、ユーザの社会経済的状況、又はそれらの任意の組み合わせを示す情報を含むことができる。人口統計情報は、例えば、ユーザと関連付けられた1つ以上の病状、ユーザによる薬剤使用、又はその両方を示すなど、ユーザと関連付けられた医療情報も含むことができる。人口統計情報は、メモリ114(
図1)によって受信及び格納することができる。(
図1)に格納することができる。人口統計情報は、例えば、ユーザデバイス170を介して(例えば、表示デバイス172を通じて提示されるアンケート又は調査を介して)、ユーザが手動で提供することができる。代替的に、人口統計情報は、ユーザと関連付けられた1つ以上のデータソース(例えば医療記録)から自動的に収集することができる。特定の生理学的パラメータ(心拍数など)は、年齢や病状などの関数として変化する可能性があるため、人口統計情報は、情動スコアを判定するための有用な入力になり得る。
【0149】
方法600のステップ603は、第1の情動スコアが所定の条件を満たすかどうかを判定することを含む。一般的に、所定の条件は、ユーザの不安又はストレスが許容できるレベルにある(例えば、ユーザが眠りにつく、呼吸治療システム120の使用を開始する、ユーザインタフェース124を介してユーザに供給される空気の圧力を増加させるなどができるように)ことを示す。換言すれば、情動スコアが所定の条件を満たす場合、ユーザは、十分にリラックスしており、ユーザは眠りにつくことができ、及び/又は呼吸治療システム120を使用することができ、及び/又はユーザインタフェース124を介してユーザに供給される空気の圧力を増加させることができるようになる。許容できるレベルは、ユーザが呼吸治療システム100の使用を開始するときに、多数の睡眠セッションにわたって、及び/又は較正期間にわたって、ユーザから知ることができる。許容できるレベルは、ユーザの母集団(コホートなど)、規範的な値などから知ることができる。
【0150】
例えば、情動スコアの数値が高いと不安又はストレスが高いことを示すのであれば、所定の条件は、ユーザの不安又はストレスが許容できるレベルにあることを示す数値とすることができる。この例においては、情動スコアが所定の条件以下であれば、その情動スコアは所定の条件を満たしている。
【0151】
いくつかの実装形態では、所定の条件が、ユーザと関連付けられた旧記録生理学的データに少なくとも部分的に基づいて判定される。このような実装形態では、機械学習アルゴリズムを用いて所定の条件を判定することができる。機械学習アルゴリズムは、ユーザと関連付けられた旧記録生理学的データを用いて(例えば、教師あり又は教師なし訓練技法を用いて)、所定の条件を判定するような構成となるように訓練することができる。このような実装形態では、旧記録生理学的データが、例えば、入眠潜時、中途覚醒、睡眠効率、断片化指数、就寝時間、全就床時間、全睡眠時間、又はそれらの任意の組み合わせなど、ユーザの就眠能力に関する対応データを含むことができる。機械学習アルゴリズムを訓練するための旧記録データは、本明細書に記載のとおり、ユーザからの主観的フィードバックを含むことができる。機械学習アルゴリズムを訓練するための旧記録データは、ユーザの母集団又はユーザと同様の人口統計に住むユーザのコホートからのデータとすることができる。ユーザのコホートからのデータは、ユーザの生理学的データから学習する前の初期設定に使用することができる。
【0152】
いくつかの実装形態では、方法600は、判定された情動スコアの1つ以上の指標を(例えば、レポートの形で)ユーザに伝達することを含む。例えば、判定された情動スコアの指標は、ユーザデバイス170を介してユーザに伝達することができる。指標は、睡眠セッションの前、最中、又は後にユーザに伝達することができる。追加的に又は代替的に、判定された情動スコアの指標は、第三者(例えば、医療提供者、医師など)に伝達することができる。追加的に、方法600は、本明細書に記載される睡眠関連パラメータのいずれかの1つ以上の指標をユーザに伝達することを更に含むことができる。例えば、睡眠関連パラメータの指標は、睡眠セッションの前、最中、又は後に、ユーザデバイス170を介してユーザに伝達することができる。情動スコアの対象となる情動及び/又は不安は、不眠症(例えば、不安誘発性不眠症)を引き起こす可能性がある。したがって、スコアリングによる情動の追跡は、ユーザの不眠症の状態を説明するのに役立つ。
【0153】
方法600のステップ604は、判定された情動スコア(ステップ602)が所定の条件を満たさないと判定したこと(ステップ603)に応答して、情動スコアを変更するのを支援するために、1つ以上のプロンプトをユーザに伝達することを含む。1つ以上のプロンプトは概して、判定された第1の情動スコアを変更する(例えば、改善する)のを助けるために使用される。1つ以上のプロンプトは、1つ以上の視覚プロンプト、1つ以上の音声プロンプト、1つ以上の触覚プロンプト、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つ以上の視覚プロンプトは、例えば、呼吸治療システム120の表示デバイス128を介して、ユーザデバイス170の表示デバイス172を介して、光源180、活動追跡器190、又はそれらの任意の組み合わせを介して、ユーザに伝達することができる。1つ以上の音声及び/又は触覚プロンプトは、例えば、呼吸治療デバイス122、ユーザデバイス170、又は活動追跡器190と物理的に結合又は統合され得る、スピーカ142などの、トランスデューサを介してユーザに伝達することができる。1つ以上の音声及び/又は触覚プロンプトは、例えば、ユーザインタフェース124及び/又は導管126によって、及び/又は骨伝導によって、ユーザに伝えることができる。1つ以上の音声及び/又は触覚プロンプトは、異なる強度での連続的、パルス的、周期的通信、又はそれらの任意の組み合わせなどの所定のパターンで伝達することができる。
【0154】
いくつかの実装形態では、ステップ604は、情動スコアを変更するのを支援するために、光源180を介して1つ以上の視覚プロンプトをユーザに伝達することを含む。本明細書に記載されるように、いくつかの例では、光源180は、呼吸治療システム120に物理的に結合又は統合することができる。代替的に、光源180は、呼吸治療システム120から物理的に分離し、区別することができる(例えば、ユーザデバイス170、活動追跡器190などに物理的に統合又は結合される)。このような実装形態では、ステップ604は、光源180に、所定の色、所定の強度、所定の周波数(例えば、光パルス)、又はそれらの任意の組み合わせを有する光を放出させることを含む。1つ以上のプロンプトは、例えば、光源180から放出される光の色を変更すること、光源180から放出される光の強度を変更すること、又はその両方を含むことができる。
【0155】
上述したように、ステップ602は、とりわけ、ユーザに関連付けられた呼吸数を判定することを含むことができる。ステップ604は、呼吸数を変更(例えば減少)するのを支援するために、光源180に所定の周波数で光パルスを放出させることを含むことができる。例えば、各光パルスは、呼吸数、ひいては情動スコアを変更するのを支援するために、息を吸う(例えば、パルスの開始時)及び/又は息を吐く(例えば、パルスの終了時)ようにユーザに信号を送ることができる。いくつかの実装形態では、検出されたユーザの呼吸数に基づいて、光パルスのパターンは、最初にユーザの呼吸数を反映し、その後、ユーザの呼吸数を所望の呼吸数、ひいては所望の情動スコアに変更するように促すために、徐々に変化(例えば、減少)することができる。代替的に、ステップ602は、呼吸数、ひいては情動スコアを変更するのを支援するために、呼吸運動を実行するように1つ以上のプロンプトをユーザに伝達することを含むことができる。いくつかの実装形態では、目標呼吸パターンは、例えば、人工呼吸を実行することなく、穏やかなガイド付き呼吸を提供する目標パターンとしてモータRPMに変調を導入することによって、呼吸治療システムの圧力設定に重ね合わせることができる。このような実装形態では、変調は、典型的には療法セッションの開始時に発生する圧力勾配の前又はそれと共に、低圧(例えば、最大圧力設定の10%、最大圧力設定の25%、最大圧力設定の50%など)で行うことができる。次いで、圧力勾配又は目標圧力は、情動スコアが所定の条件を満たし、かつ/又はユーザが持続的な眠りに入ると、継続することができる。
【0156】
上述したように、いくつかの例では、第1の生理学的データが生成されているとき(ステップ601)、ユーザは、ユーザインタフェース124を装着している。したがって、いくつかの実装形態では、ステップ604においてユーザに伝達される1つ以上のプロンプトは、情動スコアを変更するのを支援するためにユーザインタフェース124を取り外すプロンプト又は推奨を含むことができる。例えば、ユーザは、所定の持続時間(例えば、1分、5分、10分など)、ユーザインタフェース124を取り外すように促され得る。インタフェース124が取り外されると、情動スコアを変更するのを更に支援するために、ユーザは呼吸運動を行うように更に促され得る。
【0157】
いくつかの実装形態では、ユーザに伝達される1つ以上のプロンプトは、アクティビティを実行するための1つ以上の指示を含む。活動を実行するための指示は、視覚的に(例えば、表示デバイス172上に表示される英数字テキスト、表示デバイス172に表示される画像又は写真などを介して)及び/又は音声を介して(例えば、ユーザデバイス170又はスピーカ142を介して)伝達することができる。指示は、例えば、ユーザインタフェース300を装着する前のユーザインタフェース300(
図3A及び3B)の様々な構成要素をどのように組み立てるかの指示を含むことができる。ユーザインタフェース300のためのこれらの組み立て指示は、各構成要素の機能又は目的に関する情報を含むことができ、概して情動スコアを変更するのを支援することができる。
【0158】
いくつかの実装形態では、ステップ604においてユーザに伝達される1つ以上のプロンプトは、情動スコアを変更するのを更に支援するメディアコンテンツを含むことができる。例えば、メディアコンテンツは、情動スコアを変更するのを支援するために、オーディオ(例えば、音楽、電子書籍など)、ビデオ(例えば、テレビ番組、映画)、写真などを含むことができる。メディアコンテンツは、例えば、ユーザデバイス170又は別のデバイス(例えば、テレビ、ラップトップ、タブレットなど)を介してユーザに配信することができる。
【0159】
いくつかの実装形態では、ステップ604は、ユーザに伝達される1つ以上のプロンプトを選択することを含む。例えば、1つ以上のプロンプトは、ユーザに関連付けられた旧記録データに少なくとも部分的に基づいて(例えば、1つ以上のプロンプトに対するユーザの以前の応答に基づいて)選択することができる。このような実装形態では、機械学習アルゴリズムは、1つ以上のプロンプトがユーザに伝達される前及び/又は後に記録された、旧記録生理学的データ及び/又はユーザと関連付けられた情動スコアを使用して訓練することができる。したがって、1つ以上のプロンプトを選択することは、入力として現在の生理学的データ及び/又はユーザと関連付けられた情動スコアを受信し、出力として、判定された情動スコアを変更するのを支援するためにユーザに伝達する1つ以上のプロンプトを判定するように訓練された機械学習アルゴリズムを使用すること(例えば、教師あり又は教師なし技術を使用して)を含むことができる。このようにして、本方法は、例えば、ユーザの情動スコアが所定の条件を達成することを可能にする1つ以上のプロンプトを識別することができる。特定の実装形態では、本方法は、心拍数を最も低下させ、心拍数変動を高め、浅い睡眠N1への移行を早める、深呼吸、吸気対呼気比の変更などの指示などの1つ以上のプロンプトを識別することができる。
【0160】
上述したように、ステップ604は、情動スコアが所定の条件を満たさないとステップ603で判定されたことに応答して実行される。ステップ604において1つ以上のプロンプトがユーザに伝達された後、ステップ601~604を1回以上繰り返して、情動スコアが所定の条件を満たすまで情動スコアを変更するのを支援することができる。情動スコアが所定の条件を満たすと判定されたことに応答して、方法600は、ステップ605に進む。
【0161】
方法600のステップ605は、第1の情動スコアが所定の条件を満たすと判定されたことに応答して、呼吸治療システムの1つ以上の設定を変更することを含む(ステップ603)。代替的に、又は追加して、呼吸治療システムの1つ以上の設定を変更することは、ユーザの睡眠状態(例えば、覚醒、睡眠など)及び/又は睡眠段階(例えば、N1、N2など)を判定することに応答する。例えば、ステップ605は、呼吸治療デバイス122の圧力設定を変更すること(例えば、加圧空気を輸送するために呼吸治療デバイス122をオン/オフすること、圧力を増加させること、圧力を減少させること、最大圧力設定を変更すること、最小圧力設定を変更すること、勾配持続時間の変更など)、導管温度を変更すること、加圧空気の加湿を変更すること、呼気圧リリーフ(EPR)などの快適設定を変更すること、又はそれらの任意の組み合わせ、を含むことができる。
【0162】
いくつかの実装形態では、ステップ605は、呼吸治療システム120の呼吸治療デバイス122に加圧空気を供給させることを含む。このような実装形態では、呼吸治療デバイス122は、情動スコアが所定の条件を満たすと判定する前に、加圧空気を輸送しないか、又は加圧空気を低圧で輸送する。換言すれば、このような実装形態では、ステップ605は、呼吸治療デバイス122を作動又はオンにすることを含む。
【0163】
いくつかの実装形態では、呼吸治療システム120の呼吸治療デバイス122は、第1の情動スコアが所定の条件を満たすと判定する(ステップ603)前に、第1の所定の圧力で加圧空気を供給する。このような実装形態では、ステップ605は、呼吸治療システム120の呼吸治療デバイス122に、第1の所定の圧力とは異なる第2の所定の圧力で加圧空気を供給させることを含むことができる。いくつかの実装形態では、第2の所定の圧力は、第1の所定の圧力よりも大きい。例えば、判定された第1の情動スコアが所定の閾値を下回る場合(例えば、ユーザがリラックスしていることを示す)、第2の所定の圧力は、第1の所定の圧力よりも大きくすることができる。この例では、第1の所定の圧力は、第2の所定の圧力に達するまで徐々に増加することができる。他の実装形態では、第2の所定の圧力は、第1の所定の圧力未満である。例えば、判定された第1の情動が所定の閾値を超える場合(例えば、ユーザがインタフェース124を装着して加圧空気を受けている間に不安を経験している場合)、第1の所定の圧力を第2の所定の圧力に下げて、情動スコアを変更するのを更に支援することができる。
【0164】
いくつかの実装形態では、ステップ605は、呼吸治療システム120の外部にある1つ以上のデバイスの1つ以上の設定を変更することを含む。例えば、ステップ605は、ユーザデバイス170の1つ以上の設定(例えば、表示デバイス172に表示されるコンテンツ)及び/又は活動追跡器190の1つ以上の設定を変更することを含むことができる。別の例として、ステップ605は、例えば、スマート家電(例えば、テレビ)、スマートサーモスタット又はHVACシステム、スマート照明等などの1つ以上のモノのインターネット(IoT)デバイスの1つ以上の設定を変更することを含むことができる。変更された設定に対するユーザの応答(例えば、情動スコアの変更)を使用して、将来の情動スコアを変更するのを支援するためにユーザに伝達する1つ以上のプロンプトを判定することができる。
【0165】
いくつかの実装形態では、方法600は、第1の情動スコアに少なくとも部分的に基づいて、ユーザのための療法の推奨を判定することを含む。このような実装形態では、方法600は、推奨の指示をユーザ、第三者(例えば、医療提供者)、又はその両方に伝達することを含むことができる。療法の推奨としては、例えば、呼吸治療システムのユーザインタフェースのタイプを変更する推奨(例えば、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、鼻マスクなど)が挙げられる。また、療法の推奨としては、投薬の推奨、呼吸治療システムの使用を中止する推奨、代替医療デバイス(例えば、下顎骨の再配置デバイス、神経刺激デバイスなど)を使用する推奨、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0166】
上述したように、情動スコアが所定の条件を満たすまで、ステップ601から604を1回以上繰り返すことができる。追加的に、ステップ605で呼吸治療システムの1つ以上の設定が変更された後、ステップ601~604を1回以上繰り返すことができる。例えば、ユーザがユーザインタフェース124を使用して入眠したが、睡眠セッションの途中で目が覚めた場合、情動スコアは、生理学的データに基づいて更新される。情動スコアが所定のしきい値を満たさない場合、呼吸治療システムの1つ以上の設定を更に変更することができる(例えば、オフにする、圧力を下げる、ユーザにユーザインタフェース124を外すように促すなど)。本開示のいくつかの実装形態に対する1つの利点は、ユーザが療法処方に従わない場合、医師/医療機器供給者がその従わない理由をよりよく理解できることである。例えば、医師/医療機器供給者は、ユーザが例えば怠惰又は物忘れではなく、呼吸治療デバイス122を快適に使用することができず、ストレスを感じていると判定することができる。
【0167】
1回の睡眠セッションに関して上述したが、方法600の1つ以上のステップは、追加の睡眠セッション(例えば、2回の睡眠セッション、3回の睡眠セッション、10回の睡眠セッション、100回の睡眠セッション、500回の睡眠セッションなど)のために1回以上繰り返すことができる。例えば、呼吸治療デバイス122が次善の療法/低圧設定で動作していることから、ユーザが多数の療法セッションにわたって不安を感じていないことが検出された場合、療法は、最適(例えば、処方された)療法設定に近くなるように調整されてもよい。更に、ステップ601~605を特定の順序で示し、本明細書で説明したが、より一般的には、ステップ601~605を任意の適切な順序で及び/又は同時に実行することができる。
【0168】
以下の請求項1~62のいずれか1つ以上からの1つ以上の要素、態様、ステップ又はその一部をその他の請求項1~62のいずれか1つ以上又はその組み合わせからの1つ以上の要素、態様、ステップ又はその一部と組み合わせることにより、本開示の1つ以上の更なる実装形態及び/又は請求項を形成することができる。
【0169】
本開示を1つ以上の特定の実施形態又は実装形態を参照して説明したが、当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であることを認識するであろう。これらの実装形態及びその明確な変更例はそれぞれ、本開示の趣旨及び範囲に収まるものとして企図される。そして、本開示の各種態様による更なる実装形態が、本明細書に記載された実装形態のいずれかから任意の数の特徴を組み合わせ得ることも企図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸治療システムと、
機械可読命令を記憶したメモリと、
1以上のプロセッサを含む制御システムと、
を備え、前記1以上のプロセッサが、前記機械可読命令を実行することで、
ユーザと関連付けられた第1の生理学的データを受信することと、
前記第1の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザと関連付けられた第1の情動スコアを判定すること
であって、前記第1の情動スコアは、前記ユーザが眠りにつくことができたときの以前の情動スコアと関連して判定されることと、
前記第1の情動スコアが所定の条件を満たすと判定したことに応答して、呼吸治療システムの1つ以上の設定の変更を判定することと、
を行うよう構成される、システム。
【請求項2】
前記制御システムは、前記機械可読命令を実行することで、前記第1の情動スコアを変更するのを支援するために、1つ以上のプロンプトが前記ユーザに伝達される
ように構成される、請求項1に記載の
システム。
【請求項3】
前記1つ以上のプロンプトは、視覚プロンプト、音声プロンプト、又はその両方を含む、請求項2に記載の
システム。
【請求項4】
前記視覚プロンプトは、光源から放出される光を含む、請求項3に記載の
システム。
【請求項5】
前記視覚プロンプトは、前記光の色を変更すること、前記光の強度を変更すること、前記光の発光パターンを変更すること、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項
4に記載の
システム。
【請求項6】
前記1つ以上のプロンプトは、前記ユーザの呼吸数を変更するのを支援するための、呼吸運動を含
み、
前記ユーザと関連付けられた第1の情動スコアを判定することは、前記第1の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザに関連付けられた呼吸数を判定することを含む、
請求項2~
5のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項7】
1つ以上の光パルスは、前記ユーザに関連付けられた前記呼吸数を変更するのを支援するために、光源から所定の周波数で放出される、請求項
6に記載の
システム。
【請求項8】
前記光源は、ユーザデバイスに物理的に結合又は統合されている、請求項4~
7のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項9】
前記光源は、前記呼吸治療システムの一部に物理的に結合又は統合されて
おり、
前記呼吸治療システムの前記一部は、ユーザインタフェース、導管、又は呼吸治療デバイスである、
請求項4~
8のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項10】
前記音声プロンプトは、トランスデューサを介して前記ユーザに伝達され
、
前記トランスデューサは、前記呼吸治療システムに物理的に結合又は統合されている、
請求項3~
9のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項11】
前記ユーザに関連付けられた前記第1の情動スコアを判定することは、動き、呼吸数、呼吸数変動、呼吸深度、一回換気量、吸気振幅、吸気持続時間、呼気振幅、呼気持続時間、吸気対呼気比、心拍数、心拍数変動、心臓波形、発汗、血液酸素化、血圧、末梢動脈緊張、心原性振動、電気皮膚反応、交感神経系反応、皮膚温度、周囲温度、フォトプレチスモグラフィ、脈波伝播時間、核心体温、呼吸数に関連する傾向、心拍数に関連する傾向、電気皮膚反応に関連する傾向、又はそれらの任意の組み合わせを判定することを含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項12】
前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定の前記変更は、前記呼吸治療システムの呼吸治療デバイスに所定の圧力で加圧空気を供給させる、請求項1~
11のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項13】
前記第1の生理学的データは、前記ユーザが前記呼吸治療システムのユーザインタフェースを装着しているときに受信され
、
前記呼吸治療システムは、前記第1の情動スコアが前記所定の条件を満たすと判定する前に、第1の所定の圧力で加圧空気を供給し、
前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定の前記変更は、前記呼吸治療システムに、前記第1の所定の圧力とは異なる第2の所定の圧力の加圧空気を供給させる、
請求項1~
12のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項14】
前記第2の所定の圧力は、前記第1の所定の圧力より大きい、請求項
13に記載の
システム。
【請求項15】
前記第1の情動スコアが前記所定の条件を満たすと判定することは、前記第1の情動スコアが前記所定の閾値未満であると判定することを含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項16】
前記第1の生理学的データは、1つ以上のセンサによって生成される、請求項1~
15のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項17】
前記第1の生理学的データの少なくとも一部は、前記ユーザの第1の睡眠セッションの少なくとも一部に関連付けられている、請求項1~
16のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項18】
前記制御システムはさらに、前記機械可読命令を実行することで、
前記呼吸治療システムの1つ以上の設定の前記判定された変更の実施に続いて、前記ユーザと関連付けられた第2の生理学的データを受信することであって、前記第2の生理学的データが、前記ユーザの第1の睡眠セッションに関連付けられている、受信することと、
前記第2の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザと関連付けられた第2の情動スコアを判定する
ことであって、前記第2の情動スコアが前記以前の情動スコアに関連して判定されることと、
を
行うよう構成される、請求項1~
17のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項19】
前記第1の睡眠セッション中又はその後に、前記第1の情動スコア、前記第2の情動スコア、又はその両方の指標が前記ユーザ、第三者、又はその両方に伝達されることを更に含む、請求項
18に記載の
システム。
【請求項20】
前記制御システムはさらに、前記機械可読命令を実行することで、
前記第2の情動スコアが所定の条件を満たさないと判定することに応答
して、前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定の更なる変更を
行うよう構成される、請求項
18又は請求項
19に記載の
システム。
【請求項21】
前記判定された第2の情動スコアに少なくとも部分的に基づいて、1つ以上のモノのインターネット(IoT)デバイスの1つ以上の設定を変更することを更に含む、請求項
18~20のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項22】
前記制御システムはさらに、前記機械可読命令を実行することで、
前記第1の情動スコアに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザに対する療法の推奨を判定することと、前記推奨の指標が前記ユーザ、第三者、又はその両方に伝達されることを更に含む、請求項1~
21のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項23】
前記療法の推奨は、前記呼吸治療システムのためのユーザインタフェースのタイプを変更する推奨を含
み、
前記呼吸治療システムのユーザインタフェースの前記タイプは、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、又は鼻マスクである、
請求項
22に記載の
システム。
【請求項24】
前記療法の推奨は、前記呼吸治療システムの使用を中止する推奨を含む、請求項
22に記載の
システム。
【請求項25】
前記第1の生理学的データは、第1の睡眠セッションの少なくとも一部の間に生成され、前記ユーザは、前記第1の睡眠セッションの少なくとも一部の間に、前記変更された1つ以上の設定で前記呼吸治療システムを使用する、請求項1~
24のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項26】
前記制御システムはさらに、前記機械可読命令を実行することで、
前記第1の睡眠セッションに続く第2の睡眠セッションの少なくとも一部の間に、前記ユーザと関連付けられた第2の生理学的データを受信することと、
前記第2の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザと関連付けられた第2の情動スコアを判定することと、
前記判定された第2の情動スコアを変更するのを支援するために、1つ以上のプロンプトが前記ユーザに伝達されること
であって、前記第2の情動スコアが前記以前の情動スコアと関連して判定されることと、
を
行うよう構成され、
前記判定された第2の情動スコアを変更するのを支援するための前記1つ以上のプロンプトは、判定された前記第1の情動スコアを変更するのを支援するための前記1つ以上のプロンプトとは異なる、
請求項
25に記載の
システム。
【請求項27】
前記第1の情動スコア、前記第2の情動スコア、又はその両方に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の睡眠セッションのための前記呼吸治療システムの1つ以上の設定の変更を判定することを更に含む、請求項
26に記載の
システム。
【請求項28】
前記制御システムはさらに、前記機械可読命令を実行することで、
前記第1の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の睡眠セッションと関連付けられた1つ以上の第1の睡眠関連パラメータを判定することと、
前記第2の生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の睡眠セッションと関連付けられた1つ以上の第2の睡眠関連パラメータを判定することと、
前記第2の睡眠セッションの後に、前記1つ以上の第1の睡眠関連パラメータのうちの少なくとも1つ、前記1つ以上の第2の睡眠関連パラメータのうちの少なくとも1つ、又はその両方の指標が、前記ユーザ、第三者、又はその両方に伝達されることと、
を
行うよう構成される、請求項
26に記載の
システム。
【請求項29】
前記呼吸治療システムは、前記ユーザの一部と係合するように構成されたユーザインタフェースを含み、前記ユーザインタフェースは、通気孔を含
み、
前記呼吸治療システムの前記1つ以上の設定の前記判定された変更の実施は、前記通気孔の位置を変更することを含み、
前記通気孔の前記位置を変更することは、前記通気孔をほぼ開いた位置からほぼ閉じた位置に向かって移動させることを含む、
請求項1~
28のいずれか一項に記載の
システム。
【請求項30】
前記1つ以上のプロンプトは、前記呼吸治療システムのユーザインタフェースを組み立てるための1つ以上のプロンプトを含む、請求項1~
29のいずれか一項に記載の
システム。
【国際調査報告】