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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】多成分システム
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20231017BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20231017BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20231017BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231017BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231017BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231017BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231017BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20231017BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20231017BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20231017BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231017BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J163/00
C09J175/04
C09J183/04
A61K45/00
A61P31/04
A61P43/00 111
A61P29/00
A61K9/48
A61K47/32
A61K47/42
A61K9/51
A61K9/50
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/44
A61K47/04
A61P17/02
B32B7/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518405
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 EP2021076416
(87)【国際公開番号】W WO2022064014
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020124995.0
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438205
【氏名又は名称】スフェラ テクノロジー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポトレック ジャニーヌ-メラニー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076AA58
4C076AA63
4C076AA64
4C076AA65
4C076CC04
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4C076CC32
4C076DD67
4C076EE10H
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4C076EE41H
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4C076EE51
4C076EE55
4C076FF21
4C076FF36
4C076FF68
4C076GG16
4C084AA17
4C084MA05
4C084MA37
4C084MA38
4C084NA03
4C084NA10
4C084ZA901
4C084ZA902
4C084ZB112
4C084ZB322
4C084ZB352
4C084ZC022
4F100AB00
4F100AB00B
4F100AB00C
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
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4F100AT00
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA08
4F100CB00
4F100CB00A
4F100DA20
4F100DA20A
4F100DD32
4F100DD32A
4F100DG10
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4F100DG11
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4F100JL11A
4J040EC001
4J040EF001
4J040EK031
4J040JA13
4J040JB02
4J040MA02
4J040MA08
4J040MA10
4J040MB02
4J040MB03
4J040NA02
(57)【要約】
少なくとも1種の第1の物質と、少なくとも1種の第2の物質とを有し、第1の物質及び第2の物質が1つ以上の物質部分に存在する多成分システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物質(N1)と、
第2の物質(N2)と、
を含む多成分システムであって、
前記第1の物質(N1)は、カプセル(K1)内に含まれており、かつ前記第2の物質(N2)は、カプセル(K2)内に含まれており、かつ前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)は、任意に互いに接続されている、多成分システム。
【請求項2】
両方のカプセル(K1)及びカプセル(K2)の接続は、架橋を介して行われ、ここで、前記架橋は、前記カプセル(K1)に配置されているリンカー(L1)と、前記カプセル(K2)に配置されているリンカー(L2)との接続から形成される、請求項1に記載の多成分システム。
【請求項3】
前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)の少なくとも1つの第1のリンカー(L1)及び少なくとも1つの第2のリンカー(L2)の接続は、官能基の反応によって達成され、ここで、前記官能基は、それぞれ前記少なくとも1つの第1のリンカー(L1)及び前記少なくとも1つの第2のリンカー(L2)に配置されている、請求項1又は2に記載の多成分システム。
【請求項4】
前記カプセル(K1)と前記カプセル(K2)との間の架橋は、共有結合によって形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項5】
前記リンカーは、星型ポリマー、バイオポリマー、アルカン(例えば、(C~C20)アルカン)、アルケン(例えば、(C~C20)アルケン)、アルキン(例えば、(C~C20)アルキン)、脂肪族鎖、タンパク質、シルク、多糖類、セルロース、デンプン、キチン、核酸、合成ポリマー、ホモポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリラクタム、天然ゴム、ポリイソプレン、コポリマー、ランダムコポリマー、勾配コポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、ブチルゴム、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ、無機ポリマー、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリシラザン、セラミック、玄武岩、アイソタクチックポリマー、シンジオタクチックポリマー、アタクチックポリマー、線状ポリマー、架橋ポリマー、エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、部分晶質リンカー、熱可塑性樹脂、シス-トランスポリマー、伝導性ポリマー、超分子ポリマー、線状ポリマー類、多価を有するポリマー、星型ポリエチレングリコール、自己組織化単分子膜(SAM)、カーボンナノチューブ、環状ポリマー、デンドリマー、ラダーポリマー及び/又は類似物質、超分子ポリマー、又はカプセルと官能基とのあらゆる他の種類の連結からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項6】
前記官能基は、アルカン(特に、(C~C20)アルカン)、シクロアルカン(特に、(C~C12)シクロアルカン)、アルケン(特に、(C~C20)アルケン)、アルキン(特に、(C~C20)アルキン)、フェニル置換基、ベンジル置換基、ビニル、アリル、カルベン、ハロゲン化アルキル、フェノール、エーテル、エポキシド、エーテル、過酸化物、オゾン化物、アルデヒド、水和物、イミン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、ヘミアセタール、ヘミケタール、ラクトール、アセタール/ケタール、アミナール、カルボン酸、カルボン酸エステル、ラクトン、オルトエステル、無水物、イミド、ハロゲン化カルボン酸、カルボン酸誘導体、アミド、ラクタム、ペルオキシ酸、ニトリル、カルバメート、尿素、グアニジン、カルボジイミド、アミン、アニリン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、アゾ化合物、ニトロ化合物、チオール、メルカプタン、スルフィド、ホスフィン、P-イレン、P-イリド、ビオチン、ストレプトアビジン、メタロセン等からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項7】
前記少なくとも1個のカプセル(K1)は、2個以上のカプセル(K2)と接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項8】
前記カプセル(K1)は、最大50個、最大40個、最大30個、最大20個、又は最大10個のカプセル(K2)と接続されており、有利には、前記カプセル(K1)は、2個、3個、4個、又は5個のカプセル(K2)と接続されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項9】
前記カプセル(K1)内の前記物質(N1)は、接着剤又は多成分型接着剤の成分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項10】
前記カプセル(複数の場合もある)(K1)内の前記物質(N1)は、多成分型接着剤の少なくとも1つの成分を含み、ここで、前記多成分型接着剤は、エポキシ接着剤、ポリウレタン接着剤、及びフィブリン接着剤からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項11】
前記カプセル(K2)内の前記物質(N2)は、多成分型接着剤の少なくとも1つの成分を含み、ここで、前記多成分型接着剤は、エポキシ接着剤、及びポリウレタン接着剤からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項12】
前記カプセル(K1)内の前記物質(N1)は、エポキシ接着剤の樹脂を含み、前記樹脂は、有利には、グリシジルベースのエポキシ樹脂、ビスフェノールベースのエポキシ樹脂、ノボラック-エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、及びハロゲン化エポキシ樹脂からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのカプセル(K2)内の前記物質(N2)は、エポキシ接着剤の硬化剤を含み、前記硬化剤は、有利には、例えば多価アミン、脂肪族アミン等のアミン、及びジカルボン酸無水物からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項14】
前記カプセル(K1)内の前記物質(N1)は、グリシジルベースのエポキシ樹脂、ビスフェノールベースのエポキシ樹脂、ノボラック-エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、及びハロゲン化エポキシ樹脂からなる群から選択される多成分型接着剤の樹脂を含み、かつ前記カプセル(K2)内の前記物質(N2)は、例えば多価アミン、脂肪族アミン等のアミン、及びジカルボン酸無水物からなる群から選択される多成分型接着剤の硬化剤を含み、かつ前記多成分システムにおける前記物質(N1)対前記物質(N2)の量比は、約0.25~約4、約0.5~約2、有利には約0.7~約1.3、より有利には約0.8~約1.2の範囲内、より有利には約0.9~約1.1の範囲内、最も有利には約1である、請求項1~12のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項15】
前記カプセル(K1)内の前記物質(N1)は、グリシジルベースのエポキシ樹脂、ビスフェノールベースのエポキシ樹脂、ノボラック-エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、及びハロゲン化エポキシ樹脂からなる群から選択される多成分型接着剤の樹脂を含み、かつ前記カプセル(K2)内の前記物質(N2)は、例えば多価アミン、脂肪族アミン等のアミン、及びジカルボン酸無水物からなる群から選択される多成分型接着剤の硬化剤を含み、かつ前記多成分システムにおける前記カプセル(K1)の直径対前記カプセル(K2)の直径の比率は、約0.5~約2、約0.5~約2、有利には約0.7~約1.3、より有利には約0.8~約1.2の範囲内、より有利には約0.9~約1.1の範囲内、最も有利には約1である、請求項1~13のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項16】
前記カプセル(K1)及び/又は前記カプセル(K2)の90%は、カプセルサイズ分布の最大値の直径±前記最大値の直径の50%に相当する直径を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項17】
前記カプセル(K1)の直径は、約10μm~約200μm、有利には40μm~120μmであり、より有利には40μm~80μmである、請求項1~16のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項18】
前記カプセル(K2)の直径は、約2μm~約30μm、有利には10μm~25μmであり、より有利には10μm~20μmである、請求項1~17のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項19】
カプセル(K3)内に配置されている少なくとも1種の更なる物質(N3)を更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項20】
前記カプセル(3)は、前記カプセル(K1)又は前記カプセル(K2)の1つと架橋を介して接続されていない、請求項1~19のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項21】
前記カプセル(K3)内の前記物質(N3)は、接着剤、多成分型接着剤の成分、又は封止材を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項22】
前記カプセル(K3)内の前記物質(N3)は、エポキシ接着剤、シリコーン接着剤、ポリウレタン接着剤、アクリレート接着剤、フィブリン接着剤、相変化材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される接着剤である、請求項1~21のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項23】
前記カプセル(K3)内の前記物質(N3)は、シリコーンを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項24】
前記カプセル(K1)内の前記物質(N1)は、多成分型接着剤の第1の成分を含み、前記カプセル(K2)内の前記物質(N2)は、多成分型接着剤の第2の成分を含み、かつ前記カプセル(K3)内の前記物質(N3)は、シリコーン接着剤、ポリウレタン接着剤、アクリレート接着剤、フィブリン接着剤、相変化材料、封止材、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項25】
前記カプセル(K1)内の前記物質(N1)は、エポキシ接着剤の樹脂を含み、前記カプセル(K2)内の前記物質(N2)は、エポキシ接着剤の硬化剤を含み、かつ前記カプセル(K3)内の前記物質(N3)は、シリコーン又はポリウレタン接着剤を含み、ここで、前記カプセル(K1)は、架橋を介して前記カプセル(K2)と共有結合により接続されている、請求項1~24のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項26】
シリコーン対エポキシ接着剤又はポリウレタン接着剤対エポキシ接着剤の量比は、約1:9~約9:1、有利には約1:5~5:1、より有利には約1:1である、請求項1~25のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項27】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)は、マイクロカプセル又はナノカプセルとして構成されている、請求項1~26のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項28】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも1つは、2重以上のシェル(殻)を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項29】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも1つは、2重、3重、4重、5重、6重、7重、8重、9重、又は10重のシェルを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項30】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の前記シェルは、少なくとも1種の(コ)ポリマー、ワックス、樹脂、タンパク質、多糖類、アラビアゴム、マルトデキストリン、イヌリン、金属、セラミック、アクリレート(コ)ポリマー、ミクロゲル、相変化材料、脂質、マレインホルムアルデヒド、炭水化物、又はそれらの組合せを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項31】
前記第1のカプセル(K1)内の前記物質(N1)は、医薬品作用物質を含む、請求項1~8及び請求項27~30のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項32】
前記第1のカプセル(K1)内の前記物質(N1)は、抗生物質、抗微生物性作用物質、殺菌剤、抗炎症性作用物質、成長因子、又はそれらの組合せの群から選択される医薬品作用物質を含有する、請求項1~8及び請求項27~31のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項33】
前記第1のカプセル(K1)内の前記物質(N1)は、抗生物質を含む、請求項1~8及び請求項27~32のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項34】
前記第1のカプセル(K1)内の前記物質(N1)は、アルコール、第四級アンモニウム化合物、ヨウ素含有化合物、ハロゲン化化合物、キノリン誘導体、ベンゾキノン誘導体、フェノール誘導体、水銀含有化合物、又はそれらの混合物からなる群から選択される殺菌剤である、請求項1~8及び請求項27~33のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項35】
前記第1のカプセル(K1)内の前記物質(N1)は、抗炎症性作用物質である、請求項1~8及び請求項27~24のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項36】
前記第2のカプセル(K2)内の前記物質(N2)は、接着剤又は多成分型接着剤の成分を含む、請求項1~8及び請求項27~35のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項37】
前記第2のカプセル(K2)内の前記物質(N2)は、フィブリン接着剤又はその混合物からなる群から選択され、有利にはフィブリン接着剤である、請求項1~8及び請求項27~36のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項38】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)は、同じ機構又は異なる機構によって活性化される、請求項1~37のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項39】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、又は前記カプセル(K3)の少なくとも1つは、前記多成分システムの他のカプセル(K1)、カプセル(K2)、又はカプセル(K3)とは異なる機構によって活性化可能である、請求項1~37のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項40】
前記カプセル(複数の場合もある)(K1)、前記カプセル(複数の場合もある)(K2)、及び/又は前記カプセル(複数の場合もある)(K3)の活性化は、圧力の変化、pH値の変化、UV放射、浸透、温度変化、光、湿度の変化、水の添加、超音波、酵素、拡散、カプセルの溶解、分解制御、侵食等によって行われる、請求項1~39のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項41】
前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)の前記シェルは、それぞれのカプセル(K1)及びカプセル(K2)において異なる架橋度を有する少なくとも部分的に架橋された(コ)ポリマーを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項42】
前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)の前記シェルは、それぞれポリメタクリレート、有利にはポリメチルメタクリレートを含み、ここで、前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)のそれぞれのポリ(メチル)メタクリレートは、異なる架橋度を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項43】
前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)の前記シェルは、異なるポリマーから形成されている、請求項1~41のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項44】
一方の前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の前記シェルは、親水性(コ)ポリマーを含み、かつ他方の前記カプセルの前記シェルは、疎水性(コ)ポリマーを含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項45】
前記多成分システムは、周囲媒体を含み、ここで、前記周囲媒体は、有利には、液状、ペースト状、低粘性若しくは高粘性の媒体、又は固体表面被覆である、請求項1~44のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項46】
表面同士を接着する方法であって、以下の工程:
a)少なくとも1つのカプセル(K1)を準備する工程と、
ここで、前記少なくとも1つのカプセル(K1)は物質(N1)を含み、前記物質(N1)は接着剤又は多成分型接着剤の成分を含む;
b)任意に、前記カプセル(K1)を周囲媒体中に混ぜ入れる工程と、
c)前記カプセル(K1)を第1の材料の表面の少なくとも1つの部分に塗布する工程と、
d)任意に、塗布されたカプセルを乾燥させる工程と、
e)前記カプセル(K1)を活性化させる工程と、
f)第2の材料の表面の少なくとも1つの部分と、前記第1の材料の表面の少なくとも1つの部分とを接着する工程と、
を含む、方法。
【請求項47】
前記第1の材料及び前記第2の材料は、同一である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の材料及び前記第2の材料は、異なっている、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の材料及び/又は前記第2の材料は、金属、プラスチック、木材、紙、テキスタイル、織物、糸、繊維複合材料、鏡、レンズ、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記材料は、重金属、軽金属、貴金属、半貴金属、合金、及び卑金属からなる群から選択される金属である、請求項46~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記材料は、アルミニウム又はアルミニウムダイカストである、請求項46~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記方法は、以下の工程:
(i)少なくとも1つの更なるカプセル(K2)を準備する工程と、
ここで、前記少なくとも1つの更なるカプセル(K2)は物質(N2)を含み、前記物質(N2)は接着剤又は多成分型接着剤の成分を含む;
(ii)前記カプセル(K2)を第1の材料の表面の少なくとも1つの部分に塗布する工程と、
(iii)前記カプセル(K2)を活性化させる工程と、
を更に含む、請求項46~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記カプセル(K1)は、前記カプセル(K2)と架橋を介して接続されている、請求項46~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記カプセル(K1)は、前記カプセル(K2)と架橋を介して共有結合により接続されている、請求項46~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記カプセル(K1)内の前記物質(N1)は、エポキシ接着剤、シリコーン接着剤、ポリウレタン接着剤、アクリレート接着剤、フィブリン接着剤、相変化材料、又はそれらの組合せからなる群から選択される接着剤の成分又はそれらの接着剤を含む、請求項46~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記カプセル(K1)内の前記物質(N1)は、エポキシ接着剤の成分、有利にはエポキシ接着剤の樹脂を含む、請求項46~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記カプセル(K2)内の前記物質(N2)は、エポキシ接着剤の成分、有利にはエポキシ接着剤の硬化剤を含む、請求項46~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記方法は、以下の工程:
(i)少なくとも1つの更なるカプセル(K3)を準備する工程と、
ここで、前記少なくとも1つの更なるカプセル(K3)は物質(N3)を含み、前記物質(N3)は接着剤又は多成分型接着剤の成分を含む;
(ii)前記カプセル(K3)を第1の材料の表面の少なくとも1つの部分に塗布する工程と、
(iii)前記カプセル(K3)を活性化させる工程と、
を更に含む、請求項46~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記カプセル(K3)内の前記物質(N3)は、エポキシ接着剤、シリコーン接着剤、ポリウレタン接着剤、アクリレート接着剤、フィブリン接着剤、相変化材料、又はそれらの組合せからなる群から選択される接着剤の成分又はそれらの接着剤を含む、請求項46~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記カプセル(複数の場合もある)(K1)、前記カプセル(複数の場合もある)(K2)、及び/又は前記カプセル(複数の場合もある)(K3)の活性化は、圧力の変化、pH値の変化、UV放射、浸透、温度変化、光、湿度の変化、酵素、水の添加等の少なくとも1つによって行われる、請求項46~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記カプセル(複数の場合もある)(K1)の活性化は、前記カプセル(複数の場合もある)(K2)及び/又は前記カプセル(複数の場合もある)(K3)の活性化とは異なる機構によって行われる、請求項46~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記カプセル(複数の場合もある)(K1)、前記カプセル(複数の場合もある)(K2)、及び/又は前記カプセル(複数の場合もある)(K3)の活性化を、以下の時点で行うことができる:
(i)前記カプセル(複数の場合もある)(K1)の活性化を、前記カプセル(複数の場合もある)(K2)の活性化と同じ時点で又はそれとは異なる時点で行う;
(ii)前記カプセル(複数の場合もある)(K1)及び前記カプセル(複数の場合もある)(K2)が互いに接続されている場合に、前記カプセル(複数の場合もある)(K1)及び前記カプセル(複数の場合もある)(K2)の活性化を有利には同時に行う;
(iii)前記カプセル(複数の場合もある)(K3)が存在する場合に、前記カプセル(複数の場合もある)(K3)の活性化を、前記カプセル(複数の場合もある)(K1)の活性化とは異なる時点で行う、請求項46~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
以下の工程:
物質(N1)を含む第1のカプセル(K1)及び前記第1のカプセル(K1)に共有結合されており、物質(N2)を含む第2のカプセル(K2)を準備する工程と、
ここで、
前記第1の物質(N1)は、エポキシ接着剤の樹脂を含み、かつ、
前記第2の物質(N2)は、エポキシ接着剤の硬化剤を含む;
更なる接着剤を含むカプセル(K3)を準備する工程と、
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び前記カプセル(K3)を、第1の材料の表面の少なくとも1つの部分に適用する工程と、
エポキシ接着剤を形成させながら前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)を活性化させる工程と、
前記カプセル(K3)を同時に又は逐次的に活性化させる工程と、
第2の材料の表面の少なくとも1つの部分と、第1の材料の表面とを接着する工程と、
を含む、請求項45~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記カプセル(K3)内の前記物質(N3)は、接着剤又は封止材であり、有利には、シリコーン及びポリウレタン接着剤からなる群から選択される、請求項46~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記エポキシ接着剤と更なる接着剤との量比は、約9:1~1:9の範囲内、有利には5:1~1:5の範囲内、より有利には4:1~1:4の範囲内である、請求項46~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の材料及び/又は前記第2の材料は、金属、プラスチック、木材、紙、テキスタイル、織物、糸、繊維複合材料、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項46~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記第1の材料は、重金属、軽金属、貴金属、半貴金属、合金、及び卑金属からなる群から選択される金属である、請求項46~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の材料は、アルミニウムである、請求項46~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)は、約4000μm以下、約2000μm以下、約1000μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約150μm以下の層厚で少なくとも1つの材料上に塗布される、請求項46~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)のシェルはそれぞれ、ポリマー、ワックス、樹脂、タンパク質、多糖類、アラビアゴム、マルトデキストリン、イヌリン、金属、セラミック、アクリレートポリマー、ミクロゲル、相変化材料、脂質、マレインホルムアルデヒド、炭水化物、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む、請求項46~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも2つの前記シェルは、(コ)ポリマーを含み、ここで、前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の前記シェルは、それぞれ1つの異なる架橋度の(コ)ポリマーを有する、請求項46~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
少なくとも2つの前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の前記シェルはそれぞれ、ポリメタクリレート、有利にはポリメチルメタクリレートを含み、ここで、前記カプセルのそれぞれのポリメチルメタクリレートは、異なる架橋度を有する、請求項46~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも2つの前記シェルは、異なる(コ)ポリマーを含む、請求項46~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
一方の前記カプセルの前記シェルは、親水性ポリマーを含み、かつ他方の前記カプセルの前記シェルは、疎水性ポリマーを含む、請求項46~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び前記カプセル(K3)の少なくとも2つは、異なる数のシェルを有する、請求項46~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも2つの逐次的な活性化は、温度の変化によって達成される、請求項46~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも1つは、UV放射によって活性化される、請求項46~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも1つは、超音波によって活性化される、請求項46~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも1つは、圧力変化によって活性化される、請求項46~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも1つは、pH値の変化によって活性化される、請求項46~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
少なくとも1つの前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも1つは、浸透によって活性化される、請求項46~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
少なくとも1つの前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)を前記第1の材料の表面の少なくとも1つの部分に適用する前に、前記第1の材料は前処理を受ける、請求項46~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記第2の材料は、接着前に前処理を受けない、請求項46~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
第1の材料と第2の材料とを接着するための、請求項1~44のいずれか一項に記載の多成分システムの使用であって、前記第1の材料と前記第2の材料とは異なっている場合も又は同一である場合もある、使用。
【請求項85】
前記第1の材料及び/又は前記第2の材料は、金属、プラスチック、木材、紙、テキスタイル、織物、糸、繊維複合材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項83に記載の使用。
【請求項86】
請求項1~44のいずれか一項に記載の多成分システムが塗布されている材料。
【請求項87】
前記材料は、金属、プラスチック、木材、紙、テキスタイル、織物、糸、繊維複合材料、及びそれらの組合せからなる群から選択され、ここで、前記材料は、有利には金属、有利にはアルミニウムである、請求項86に記載の材料。
【請求項88】
請求項1~44のいずれか一項に記載の多成分システムは、周囲媒体中に存在する、請求項86又は87に記載の材料。
【請求項89】
前記周囲媒体は、接着剤を含み、ここで、前記周囲媒体の前記接着剤はカプセル内に存在しない、請求項86~88のいずれか一項に記載の材料。
【請求項90】
塗布された多成分システム及び任意選択で周囲媒体を、塗布後に乾燥させる、請求項86~89のいずれか一項に記載の材料。
【請求項91】
前記材料は、ポリマーフィルム、紙、又は織物材料であり、そこに、請求項1~44のいずれか一項に記載の多成分システムが、周囲媒体中で、有利にはカプセル内に存在しない接着剤中で前記材料の少なくとも1つの表面上に塗布される、請求項86~90のいずれか一項に記載の材料。
【請求項92】
前記材料の少なくとも1つの被覆された表面は、ライナーによって保護される、請求項91に記載の材料。
【請求項93】
医療用途のための、特に人間又は動物の組織を(再)接合するための、請求項1~44のいずれか一項に記載の多成分システムの使用。
【請求項94】
前記人間又は動物の組織の(再)接合は、縫合又は接着によって行われる、請求項93に記載の使用。
【請求項95】
前記人間又は動物の組織の(再)接合は、外科的縫合である、請求項93及び94のいずれか一項に記載の使用。
【請求項96】
医療において使用される、請求項1~44のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項97】
創傷の治療及び創傷の治癒において使用される、請求項1~44のいずれか一項に記載の多成分システム。
【請求項98】
前記治療は、縫合部又は縫合糸等の縫合材料に多成分システムを塗布することを含む、請求項97に記載の多成分システム。
【請求項99】
以下の方法工程:
請求項1~44のいずれか一項に記載の多成分システムを準備する方法工程、
を含み、
前記カプセル(K1)又は前記カプセル(K2)、及び/又は任意に前記カプセル(K3)の少なくとも1つの活性化は、以下の、圧力の変化、pH値の変化、UV放射、浸透、温度変化、光、湿度の変化、水の添加、超音波、酵素、拡散、カプセルの溶解、分解制御、侵食等の機構の少なくとも1つによって行われ、ここで、前記カプセル(複数の場合もある)の活性化を、以下の時点で行うことができる:
(i)前記カプセル(複数の場合もある)(K1)の活性化を、前記カプセル(複数の場合もある)(K2)の活性化と同じ時点で又はそれとは異なる時点で行う;
(ii)前記カプセル(複数の場合もある)(K1)及び前記カプセル(複数の場合もある)(K2)が互いに接続されている場合に、前記カプセル(複数の場合もある)(K1)及び前記カプセル(複数の場合もある)(K2)の活性化を有利には同時に行う;
(iii)前記カプセル(複数の場合もある)(K3)が存在する場合に、前記カプセル(複数の場合もある)(K3)の活性化を、前記カプセル(複数の場合もある)(K1)の活性化とは異なる時点で行う、方法。
【請求項100】
前記カプセル(K1)と前記カプセル(K2)とは、互いに接続されており、かつ前記カプセル(K3)は、前記カプセル(K1)及び/又は前記カプセル(K2)の1つに接続されておらず、ここで、両方の前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)は同時に活性化され、かつ前記カプセル(K3)はその後の時点で活性化される、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記物質(N1)及び前記物質(N2)は、前記カプセル(K1)及び前記カプセル(K2)の活性化後に互いに反応する、請求項99又は100に記載の方法。
【請求項102】
異なる前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも2つは、異なる機構によって活性化される、請求項99~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
異なる前記カプセル(K1)、前記カプセル(K2)、及び/又は前記カプセル(K3)の少なくとも2つは、同じ機構によって活性化される、請求項99~102のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多成分システムに関する。特に、本発明は、異なる成分を異なる時点で活性化させることができる多成分システムに関する。さらに、本発明は、多成分型接着剤システムとしての使用、並びに本発明による該システムの医療用途及び更なる用途への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多成分システムは、従来技術から既に知られている。
【0003】
例えば、接着技術において、例えば2成分システム等の多成分システムが使用される。
【0004】
特許文献1から、第1の層、第2の層、及び第1の層と第2の層とを接着するハイブリッド接着剤層を含む接着剤構造物が知られている。ハイブリッド接着剤層は、異なる接着剤材料でできた2種以上の接着剤単位を含み、これらの2種以上の接着剤単位は、或るパターンにおいて配置されている。
【0005】
同じ特性及び/又は異なる特性を有する少なくとも2種の異なる接着剤組成物を組み合わせることによって、異なる接着剤特性を兼ね備え、好ましくはまたそれらを増強するようにこれらの特性を組み合わせることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9333725号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、多成分システムを、有利な様式で、特に複数の成分の組合せによって、特に個々の成分の使用と比較して改善された作用をもたらすように開発することである。特に、多成分型接着剤システムによって、特に個々の成分の使用と比較して改善された付着作用が達成されるべきである。さらに、本発明の課題は、多成分システムであって、該システムの個々の成分を規定の時点で活性化させることができ、こうして1つ以上のシステムの有利な特性を改善又は利用することができる、多成分システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する多成分システムによって解決される。したがって、少なくとも1種の第1の物質N1と、少なくとも1種の第2の物質N2とを有し、第1の物質及び第2の物質が1つ以上の物質部分に存在し得る多成分システムを提供することが意図されている。
【0009】
本発明は、少なくとも1種の第1の物質の少なくとも1つの特性と、少なくとも1種の第2の物質の少なくとも1つの特性とを組み合わせることができ、こうして個々の物質の使用に比べて利点が得られるという基本的着想を基礎としている。この場合に、例えば、一実施の形態において、少なくとも1種の第1の接着剤と、少なくとも1種の第2の接着剤とを組み合わせることで、個々の接着剤を別個に使用する場合よりも改善された付着力、又は更に、例えば同じ付着力での改善された封止等の改善された特性を達成することができる。したがって、多成分システムはハイブリッド接着剤を含み得る。
【0010】
一般に、多成分システムは2種以上の物質を含み得る。
【0011】
したがって、一例示的実施の形態において、多成分型接着剤システムは、特に様々な表面又は材料の接着に際して、1成分型接着剤システムと比較して改善された付着作用を達成することができる。例えば、個々の接着剤の使用と比較して改善された、金属表面(例えば、重金属、軽金属、貴金属、半貴金属、合金、又は卑金属の表面)と、プラスチック表面及び/又は木材表面及び/又は紙表面及び/又はテキスタイル表面、織物、糸、縫合材料、繊維複合物質との接着が達成され得る。この場合に、改善された接着としては、改善された(高められた及び/又はより安定した、及び/又はより長期的に持続する、及び/又は非水溶性の)付着作用を挙げることができる。
【0012】
この場合に、2種以上の物質の特性を合わせた総合作用は、個々の物質が個別に使用される場合の個々の物質の特性の部分作用を合わせたものよりも大きくなり得る。
【0013】
しかしながら、一実施の形態において、第1の物質は接着剤である場合もあり、及び/又は第2の物質は接着剤とは異なる物質である場合もある。
【0014】
この場合に、使用される接着剤としては、例えば、エポキシ接着剤及び/又はシリコーン接着剤及び/又はポリウレタン接着剤及び/又はアクリレート接着剤及び/又はフィブリン接着剤、相変化材料を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0015】
しかしながら、この場合に、接着特性を有する物質を使用することができるだけでなく、例えば、接着される材料又は表面に対して同様に有利な機能を有する封止剤等の物質を使用することもできる。この場合に、例えば、シリコーン、アクリル樹脂分散液等のような封止剤を使用することができる。
【0016】
物質の特性としては、例えば、絶縁特性、熱伝導特性、電気伝導特性、抗生特性、抗微生物特性、接着特性、付着特性、活性化特性、阻害特性、遮断特性、封止特性、水溶性特性、及び/又は発光特性を挙げることができる。例えば、多成分型接着剤システムにおいて、複数の接着剤の組合せによって、個々の接着剤の使用と比較して改善された接着作用を達成することができる。代替的に及び/又は追加的に、第1の物質の接着作用を、例えば、第2の物質の封止作用と組み合わせることができる。
【0017】
物質又は物質部分としては、一般に、(ナノ及び/又はマイクロ)カプセル、(接着剤)ドットだけでなく、ドットから形成される幾何学的形状又は非幾何学的形状、縞線、球、楕円、線条、帯路等も挙げることができる。この場合に、典型的には、ナノカプセルはナノメートル範囲のサイズ(すなわち、1000nm未満のサイズ)を有するが、マイクロカプセルは、例えば最大2mm等の数ミリメートルのサイズ範囲のカプセルを示す場合もある。物質及び物質部分という用語は、本出願において同義に使用される。
【0018】
一般に、物質は、それぞれのカプセルのコア(芯とも呼ばれる)内に取り込まれており、1重以上のシェル(殻とも呼ばれる)によって取り囲まれている。これらの物質は、基本的に固体形、液体形、又は気体形であり得る。
【0019】
カプセル同士は架橋を介して互いに結合されている場合がある。有利には、カプセル同士は架橋を介して共有結合されている。
【0020】
或る特定の実施の形態において、カプセルのシェルは官能化されている。カプセルの官能化は、典型的には、カプセルのシェルにリンカー(L)を取り付けることによって、任意にリンカーに取り付けられている官能基を介して行われる。しかしながら、カプセルの製造時に、例えばUV放射によって官能化を直接もたらすこともできる。反応又は相互作用を介して、2個のカプセルを異なる官能基が連結することができる。この連結は、例えば、カプセルの両方の官能基が互いに反応する場合に共有結合の形で形成され得る。これらの場合に、両方のカプセル間に接続を生ずる架橋は、官能基と、任意選択でカプセルに結合されているリンカーとを介して形成される。
【0021】
特に、第1の物質の1つ以上の物質部分の体積は、第2の物質の1つ以上の物質部分の体積に対して規定の比率にあるため、第1の物質の1つ以上の物質部分と第2の物質の1つ以上の物質部分とを混合した場合に、これらの物質の規定の混合比が達成されることが考えられる。特に、体積及び混合比は、物質の混合の産物からそれぞれ個々の物質の作用を超える作用が生ずるように選択されている場合がある。接着剤システムの場合に、例えば、改善された付着作用が生じ得る。代替的に及び/又は追加的に、混合比は、ハイブリッド接着剤の乾燥時間の短縮がもたらされるように選択されている場合がある。
【0022】
一実施の形態において、第1のカプセルには、少なくとも1つの第1の官能基が形成されており、任意に第1のリンカーが備え付けられており、かつ第2のカプセルには、少なくとも1つの第2の官能基が形成されており、任意に第2のリンカーが備え付けられており、ここで、第1の官能基は、予め規定された相互作用を介して、弱い相互作用又は強い相互作用を介するが、有利には共有結合を介して第2の官能基と反応して、これらが互いに接続され、かつ官能基とそれぞれのカプセルとの距離は、それぞれのリンカー(存在するならば)によって決められている。官能基がカプセルのシェルに直接取り付けられている場合もあり、リンカーの存在は必要ないことが明らかになる。
【0023】
これは、官能基及び存在するならばリンカー及び官能基による接続の補助によりこうして規定される空間的配置によって、少なくとも1種の第1の物質及び少なくとも1種の第2の物質が規定通りに互いに配置されるという利点を有する。言い換えれば、カプセル内の両方の物質を規定の空間的関係に至らしめることができるため、例えば、第1の物質と第2の物質との狙い通りの反応が可能となる。したがって、目下、第1の物質と第2の物質とを規定の比率で、かつ相応して規定された距離で互いに別個に配置することが可能となる。次に、対応する活性化によって、物質同士が互いに混合されて、物質同士の互いの反応が可能となる。
【0024】
原則的に、第1の物質と第2の物質とが同一であることで、そもそも1成分システムが存在することも考えられる。このようなシステムも上記の意味での多成分システムとして解釈されるべきである。
【0025】
さらに、第1のリンカーが、第2のリンカーよりも長い又はその逆であることが意図され得る。これにより、例えば、第1の物質同士が、相応の結合後に、第1の物質から第2の物質までよりも大きな互いの距離を取るという利点がもたらされる。これにより、第2の物質が常に空間的に第1の物質の間に配置されていることとなり、十分な混合が促される。これにより、物質の相互の濃度比及び/又は体積比の調整も促される。
【0026】
リンカーは、カプセルと官能基との間のあらゆる形態の接続であり得る。
【0027】
リンカーはまた、カプセルと官能基との間のあらゆる種類の直接的な接続でもあり得る。
【0028】
架橋は、2個のカプセル間のあらゆる種類の直接的な接続であり得る。この場合に、架橋には、リンカー及び官能基が含まれ得る。
【0029】
一例示的実施の形態において、第1の物質部分には、少なくとも1つの第1の官能基が形成されており、第2の物質部分には、少なくとも1つの第2の官能基が形成されており、ここで、第1の官能基は、予め規定された相互作用を介して、特に、弱い相互作用又は強い相互作用を介するが、有利には共有結合を介して第2の官能基と反応して、これらが互いに接続され、第1の物質部分及び第2の物質部分の体積比は、両方の物質部分のサイズ/量を介して調整され得る。
【0030】
カプセルの少なくとも1つに含まれている場合がある物質又は物質部分は、有利には、接着剤、医薬品作用物質、芳香剤、染料、充填剤、ケア製品、成長因子、ホルモン、ビタミン、微量元素、脂肪、酸、塩基、漂白剤、塗料、アルコール、タンパク質、酵素、核酸、ヒドロゲル、洗剤、界面活性剤、アルコール、蛋白質、蛍光物質等、又は上述のものの組合せからのリストから選択される。
【0031】
この場合に、接着剤は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はエラストマーであり得る。接着剤の硬化を、例えばアクリレート(例えば、シアノアクリレート、メチルメタクリレート、不飽和ポリエステル、嫌気硬化型接着剤、放射線硬化型接着剤等)の場合のように、化学的に行うことができる。硬化を、任意選択で、例えばエポキシ接着剤、ポリウレタン接着剤、及びシリコーンの場合のように、重付加によって行うことができる。硬化を、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリスルフィド、ビスマレイミド、シラン変性ポリマー、そしてまたシリコーンの場合のように、重縮合反応を介して行うこともできる。例えば、溶剤含有接着剤、拡散接着剤、接触接着剤、水系の分散接着剤、及びコロイド系等の物理硬化性接着剤を使用することができる。ホットメルト接着剤及びいわゆるプラスチゾルを使用することも考えられる。
【0032】
さらに、第1の物質部分が、第2の物質部分よりも多数の物質部分と接続されている若しくは接続可能である又はその逆であるという趣旨で、第1の物質部分と第2の物質部分とが相違することが考えられる。これにより、濃度比及び/又は体積比、並びに物質の相互の相対比を調整することができる。官能基は、同種又は異種で形成されている場合がある。例えば、物質及び付随する官能基が異種である、すなわち、異なる官能基が使用され得ることが考えられる。例えば、これは、例えば製造時に最初に特定のリンカーに保護基を備え付けて、このリンカーが特定の結合、例えば第1の物質と第1の物質との結合又は第2の物質と第2の物質との結合又は更に第1の物質と第2の物質との結合に使用されるべきことを達成したい場合に望ましい。第1の官能基が2個のカプセルの接続を可能にし、かつ第2の異なる官能基が表面又は繊維上でのカプセルの結合を可能にすることも考えられる。第1の官能基が2個のカプセルの結合を可能にし、かつ第2の異なる官能基がカプセルの特性、例えば生体適合性、溶解性、又は同様の特性を変更するのを可能にすることも考えられる。異種の官能基により3成分システム以上を構成することが可能となることも考えられる。
【0033】
さらに、第1の官能基は、第1の物質部分とともに表面に付着することができ、又は言い換えると、第1の物質部分が第1の官能基を介して表面に付着することが意図され得る。
【0034】
しかしながら、全ての官能基が同種で、すなわち同一に構成されていることも考えられる。異種の構成の場合に、これを他の特性又はリンカーの構成の違い(例えば、長さ、角度、リンカーの種類等)と組み合わせることも考えられる。
【0035】
第1の物質部分は、本質的に同一のサイズを有し得る、及び/又は第2の物質部分は、本質的に同一のサイズを有し得る。サイズとは、特に空間的広がりを意味し得るが、質量又は占有体積も意味し得る。第1の物質部分及び第2の物質部分が、それぞれ同一のサイズ又は量を有することが考えられる。
【0036】
しかしながら、特に、第1の物質部分及び第2の物質部分が異なるサイズを有することも考えられる。
【0037】
サイズの選択によって、それぞれの物質のそれぞれの(局所的)体積及び/又はそれぞれの局所的濃度も決められる。
【0038】
多成分システムは、隙間を有する(網状)構造を有することができ、ここで、(網状)構造は、第1の物質の物質部分から構成されており、隙間内には周囲媒体と、少なくとも部分的に第2の物質のそれぞれ少なくとも1つの物質部分とが配置されている。結果として、個々の物質の十分な混合が改善され、したがって材料の使用も改善される。
【0039】
さらに、第1の物質及び/又は第2の物質の物質部分がカプセル、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内に配置されていることが意図され得る。カプセル化によって、多成分システムのための第1の物質及び/又は第2の物質の規定の質量又は規定の体積をもたらし得ることが容易に可能となる。
【0040】
マルチカプセルシステム又は、例えば2成分カプセルシステム(2Kカプセルシステム)では、カプセルが同じ内容物を有する場合に、カプセルが活性化されることでそれらの内容物が互いに反応し得るまで又は互いに反応せざるを得ない若しくは混ざり合わざるを得なくなるまでは、カプセルの内容物が規定の数及び/又は規定の比率並びに距離で別個の空間において互いに結合されていることが可能である。カプセルごとに、1種の物質の1つの物質部分が配置又は分包されている。1つのカプセルが複数の物質部分を含むことも考えられる。第1の物質及び第2の物質を有するカプセルの構造物は、カプセル複合体とも呼ばれることがあり、活性化後に規定の時点で試薬が混ざり合って物質の互いの反応が進行する、ほぼ(ミニ)反応フラスコのような機能を有する。多数のこれらのカプセル複合体によって、作用様式が集約されて、より大きな効果が引き起こされる又は物質の混合及び反応が改善される。個々の物質又は反応構成要素の相互のより十分な混合によって更なる利点がもたらされ、したがって、従来のシステムと比較してより高い転化率が、同時により少ない材料の使用で達成され得る。1成分システムの場合に、十分な混合は明らかに改善され得る。特に高粘性の接着テープの場合に、こうして一成分型接着剤で接着テープを通した完全な架橋を達成することができる。
【0041】
特に、第1の物質用のカプセルが、第2の物質用のカプセルとは異なるサイズを有し、特に、第1の物質用のカプセルが、第2の物質用のカプセルよりも大きいことが意図され得る。これによって、第2の物質に対する第1の物質の体積の比率(又はその逆)の調整、及び活性化挙動の調整も行われる。
【0042】
本発明による多成分システムは、第1の物質N1と、第2の物質N2とを含み、ここで、第1の物質N1は少なくとも1つのカプセルK1内に含まれ、第2の物質N2は少なくとも1つのカプセルK2内に含まれており、少なくとも1つのカプセルK1及びカプセルK2は、任意に互いに接続されている。
【0043】
この場合に、カプセルK1とカプセルK2との間の任意の接続は、直接的な接続であり得る。
【0044】
両方のカプセルK1及びカプセルK2の接続を、同様に架橋を介して行うこともでき、ここで、架橋は、カプセルの一方に配置されている少なくとも1つの第1のリンカーの接続から形成される。しかしながら、カプセル同士は同様に2つのリンカーを介している場合もあり、ここで、第1のリンカーL1はカプセルK1上に配置されており、第2のリンカーL2はカプセルK2上に配置されている。これらのリンカーに官能基を配置することができ、これにより、狙い通りの反応によって両方のカプセルのリンカーを介した接続が可能となる。
【0045】
両方のカプセル間の直接的な又は架橋を介した(すなわち、リンカー及び官能基による)接続は、好ましい実施の形態においては共有結合である。
【0046】
両方のカプセル間の直接的な接続は、あらゆる直接的な(化学的、生物学的、又は機械的な)接続であり得る。
【0047】
カプセルのリンカーの材料は、コポリマー、星型ポリマー、アルカン(特に、(C~C20)アルカン)、シクロアルカン(特に、(C~C12)シクロアルカン)、アルケン(特に、(C~C20)アルケン)、アルキン(特に、(C~C20)アルキン)、バイオポリマー、タンパク質、シルク、多糖類、セルロース及びその誘導体、デンプン、キチン、核酸、DNA、DNA断片、合成ポリマー、ホモポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリラクタム、天然ゴム、ポリイソプレン、コポリマー、ランダムコポリマー、勾配コポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、ブチルゴム、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ、無機ポリマー、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリシラザン、セラミック、玄武岩、アイソタクチックポリマー、シンジオタクチックポリマー、アタクチックポリマー、線状ポリマー、架橋ポリマー、エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、部分晶質リンカー、熱可塑性樹脂、シス-トランスポリマー、伝導性ポリマー、超分子ポリマー、それらの組合せ、又はカプセルと官能基とのあらゆる他の種類の連結からなる群から選択される。
【0048】
リンカーを介してカプセル上に配置されている官能基は、アルカン(特に、(C~C20)アルカン)、シクロアルカン(特に、(C~C12)シクロアルカン)、アルケン(特に、(C~C20)アルケン)、アルキン(特に、(C~C20)アルキン)、フェニル置換基、ベンジル置換基、ビニル、アリル、カルベン、ハロゲン化アルキル、フェノール、エーテル、エポキシド、エーテル、過酸化物、オゾン化物、アルデヒド、水和物、イミン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、ヘミアセタール、ヘミケタール、ラクトール、アセタール/ケタール、アミナール、カルボン酸、カルボン酸エステル、ラクトン、オルトエステル、無水物、イミド、ハロゲン化カルボン酸、カルボン酸誘導体、アミド、ラクタム、ペルオキシ酸、ニトリル、カルバメート、尿素、グアニジン、カルボジイミド、アミン、アニリン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、アゾ化合物、ニトロ化合物、チオール、メルカプタン、スルフィド、ホスフィン、P-イレン(P-Ylene)、P-イリド(P-Ylide)、ビオチン、ストレプトアビジン、メタロセン等からなる群から選択される。
【0049】
本発明の多成分システムは、一実施の形態において、カプセルK1と、1個のカプセルK2との接続を有する。
【0050】
しかしながら、2個以上のカプセルK2をカプセルK1に接続することもできる。それぞれのカプセルK1のサイズに応じて、最大50個、最大40個、最大30個、最大20個、又は最大10個のカプセルK2をカプセルK1上に配置することができる。これは、例えば、三次元構造物の形成を可能にし得る。さらに、これらのカプセルの数の比率を介して、それぞれの物質の存在量を制御し、こうして所望の化学量論比を容易にすることができる。幾つかの実施の形態において、1個のカプセルK1が2個、3個、4個、又は5個のカプセルK2と接続されていることが有利である。
【0051】
本発明によるシステムのカプセルは、少なくとも1重のシェル(殻)を有する。
【0052】
カプセルは、幾つかの実施の形態において、2重以上のシェルを有する場合もある。例えば、カプセルは、そのような実施の形態において、2重、3重、4重、5重、6重、7重、8重、9重、又は10重のシェルを有する。
【0053】
シェルは、既知の技術を使用して適用される。例えば、噴霧乾燥法(「Spray drying」)を用いて、第1のシェル上に更なるシェルを適用することができる。この過程を任意の回数繰り返すことができる。この場合に、シェルに様々な材料を使用して、シェルの特性をカスタマイズすることもできる。
【0054】
このように、例えば、カプセルのコア内に含まれる物質に到達可能になるまでの時間を、シェルに使用される材料又はシェルの数によって変化させることができる。
【0055】
一方のカプセルにおけるシェルの数が他方のカプセルに比べて多い場合に、カプセルを適切な機構により活性化したときに、最初にシェルの数がより少ないカプセルから物質又は物質部分に到達可能となる。したがって、それぞれのカプセルの物質に到達可能となる間の時間を、シェルの数によって調整することが可能である。
【0056】
シェルの特性を、使用される材料によって調整することも可能である。このように、適切なポリマー及びコポリマーの選択によって、例えば、シェルの親水性又は疎水性を調整し、それにより、例えば、適切な環境における物質の放出に影響を与えることができる。
【0057】
また、ポリマー又はコポリマーの架橋度を使用して、カプセルの活性化をカスタマイズすることもできる。このように、例えば、メタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、MMA)を、UV放射によって交差架橋させてポリメタクリレートにすることができる。この場合に、一方の材料の製造時に、第2の材料の場合よりも短い時間のUV放射が使用される。第2の材料は、より長い照射によって第1の材料よりも高い架橋度を示す。次に、これらの材料から製造されたカプセルの活性化を(線形の)温度上昇によって引き起こすと、より低い架橋度を有するカプセルが、カプセル内に含まれる物質を最初に放出する。一実施の形態において、本発明による多成分システムは、それぞれのカプセルK1及びカプセルK2において異なる架橋度を有する少なくとも部分的に架橋された(コ)ポリマーをそれぞれ含むカプセルK1及びカプセルK2を有する。
【0058】
同様に、様々な(コ)ポリマーの選択によって、シェルの放出特性を変更することもできる。したがって、一実施の形態は、製造に様々な(コ)ポリマーが使用されたカプセルを示す。
【0059】
カプセルのシェルの製造は、少なくとも1種のポリマー、コポリマー、ワックス、樹脂、タンパク質、多糖類、アラビアゴム、マルトデキストリン、イヌリン、金属、合金、セラミック、アクリレートポリマー、ミクロゲル、相変化材料、脂質、マレインホルムアルデヒド、樹脂類、炭水化物、タンパク質類、相変化材料、及び/又は1種以上の更なる物質、又は上述のものの組合せを含み得る。
【0060】
多成分システムのカプセルの活性化は、当業者に知られている方法によって行われる。この場合に、異なるカプセルを、同じ機構又は異なる機構のいずれかによって活性化させることができる。
【0061】
多成分システムのカプセル(複数の場合もある)を活性化させる通常の機構は、圧力の変化、pH値の変化、UV放射、浸透、温度変化、光、湿度の変化、水の添加、超音波、酵素、拡散、溶解、分解制御、侵食等である。
【0062】
本発明の一実施の形態は、多成分システムのカプセルの少なくとも1つが、他のカプセルとは異なる機構によって活性化可能であることを必要とする。このように、例えば、多成分システムにおいて、カプセルK1及びカプセルK2は、例えば多成分システムのK3等の更なるカプセルとは異なる機構によって活性化可能であり得る。
【0063】
多成分システムにおいては、例えば、一方のカプセル(例えばK1)は温度T1で活性化され得るのに対して、他方のカプセル(例えばK2)は異なる温度T2で活性化される。このように、例えば、カプセルの活性化を、それぞれの周囲温度によって制御することができる。
【0064】
例えば、一方のカプセルをUV放射によって活性化させるのに対して、第2のカプセルの活性化をpH値の変化によって行うことも考えられる。
【0065】
シェル用の材料を選択することによって、例えばシェル用の適切なポリマーを選択することによって、カプセル内の物質の放出を同様に狙い通りに制御することができる。このように、それぞれのカプセルの活性化時間を、数秒から数日までの範囲内で調整することが可能である。
【0066】
さらに、第1の物質用のカプセルが、同一のサイズを有することが考えられる。これはまた、活性化挙動又は混合挙動の調整にも役立つ。
【0067】
カプセルを、例えば事前塗被可能な接着剤として、被接着表面上、例えば金属表面上に、例えばディスペンサー法及び/又はスプレー法によって適用することができる。
【0068】
金属表面は一般に、約15分以内に酸化する。それにより酸化物層が形成される。この酸化物層は、金属表面の接着に悪影響を及ぼす。この理由のため、金属表面を通常、他の表面(金属又は他の材料)との接着の前にもう一度処理しなければならず、その後、接着を行うことができる。引き続き、酸化層が再び形成されるまで、接着には約15分間の時間枠がある。
【0069】
本発明の事前塗被可能な多成分システムは、金属表面上の酸化物層の形成を妨げる。その際、マイクロカプセルによって、任意選択でなおも分散媒(マトリックス)によっても、表面は酸化から保護される。これにより、(金属表面を繰り返し処理して酸化層を除去する)方法工程を削減することができるという利点がもたらされる。さらに、この接着剤の塗布により、表面処理と接着との間の短い時間枠とは無関係に、生産工程(金属部品の製造及び接着)を大幅により融通の利くものにすることが可能となる。接着は表面処理後の酸化物層の形成とは無関係であるため、接着をより再現性の高い条件下で行うことができ、これはまた、接着の質の向上にもつながる。
【0070】
事前塗被可能な接着剤は、第1の物質を含むマイクロカプセル(結合なし)及び第2の物質を含む更なるマイクロカプセル(結合なし)の形態であり得る。さらに、1成分マイクロカプセル、2成分マイクロカプセル、若しくは多成分マイクロカプセルの形態で、又はその組合せにおいて、塗布を行うことができる。この場合に、第1の接着剤成分を含むカプセルは、第2の接着剤成分を含むカプセルに対して規定の体積比にある。第1の接着剤成分を含むカプセル及び第2の接着剤成分を含むカプセルの結合を、相互作用、特に弱い相互作用を介して、及び/又は共有結合を介して行うことができる。
【0071】
本発明の多成分システムは物質N1を含み、物質N1は、カプセルK1においては接着剤又は多成分型接着剤の成分を含む。一例示的実施の形態において、少なくとも1つのカプセル(マイクロカプセル)内の一成分型接着剤は、表面又は材料上に事前塗被され、ここで、第1の物質のカプセル(複数の場合もある)は周囲マトリックス中に包埋されている場合がある。
【0072】
一実施の形態において、多成分システムは、二成分型接着剤システムである。この場合に、多成分型接着剤システムの物質は、エポキシ接着剤、ポリウレタン、フィブリン接着剤、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。有利には、多成分型接着剤システムとしては、エポキシ接着剤又はポリウレタン接着剤が挙げられる。
【0073】
一実施の形態において、多成分システムはエポキシ接着剤を含み、ここで、カプセルK1内の物質N1はエポキシ接着剤の樹脂を含み、この樹脂は、有利には、グリシジルベースのエポキシ樹脂、ビスフェノールベースのエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール-A、ビスフェノール-B、ビスフェノール-F、若しくはビスフェノール-S、700未満の平均分子量を有するビスフェノール-Fエピクロロヒドリン樹脂、又は700未満の平均分子量を有するビスフェノール-Aエピクロロヒドリン樹脂等)、ノボラック-エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、及びハロゲン化エポキシ樹脂からなる群から選択される。物質N2は、カプセルK2内にあり、エポキシ接着剤の硬化剤を含み、ここで、硬化剤は、有利には、例えば多価アミン、脂肪族アミン等のアミン、アミド、カルボン酸無水物、メルカプタン、ジシアンジアミド、ポリエチレン、トリエチレンテトラミン、N’-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、及びジカルボン酸無水物からなる群から選択される。
【0074】
或る特定の実施の形態において、多成分システムにおける物質N1対物質N2の量比は、約0.25~約4、約0.5~約2、有利には約0.7~約1.3、より有利には約0.8~約1.2の範囲内、より有利には約0.9~約1.1の範囲内、最も有利には約1であり得る。
【0075】
本発明の或る特定の実施の形態において、多成分システムにおけるカプセルK1の直径対カプセルK2の直径の比率は、約0.5~約2、約0.5~約2、有利には約0.7~約1.3、より有利には約0.8~約1.2の範囲内、より有利には約0.9~約1.1の範囲内、最も有利には約1である。典型的には、カプセルの直径は、光学顕微鏡法によって決定される。
【0076】
表面全体にわたって可能な限り均一な接着挙動を得るには、物質のカプセルのサイズ(したがって直径も)が可能な限り十分に均一であれば有利である。有利には、物質のカプセル(すなわち、それぞれカプセルK1、カプセルK2等)のサイズ分布は、単分散性である。有利な実施の形態において、物質のカプセルの直径は、それぞれのカプセルのサイズ分布の最大値の直径±最大値の直径の50%の範囲内に相当する。カプセルのサイズ分布の直径の最大値が50μmである場合に、カプセルの約90%は25μm~75μmの直径範囲内にあるべきである。
【0077】
或る特定の実施の形態において、多成分システムのカプセル、有利にはエポキシ接着剤を含むシステムのカプセルは、約10μm~約400μm、有利には10μm~約200μm、有利には40μm~120μm、より有利には40μm~80μmの範囲内の直径を有する。この場合に、このようなシステムの第2のカプセルの直径は、約2μm~約30μm、有利には10μm~25μm、より有利には10μm~20μmの範囲内である。カプセルの直径は、検鏡法等の光学的方法によって決定される。
【0078】
本発明の多成分システムは更に、更なる物質を含み得る。一実施の形態において、本発明によるシステムは、少なくとも1種の更なる物質N3を含み、物質N3は、少なくとも1つの第3のカプセルK3内に配置されている。
【0079】
この第3のカプセルK3は、典型的には、第1のカプセルK1の1つ又は第2のカプセルK2の1つと接続されていない。すなわち、多成分システムは、有利な実施の形態において、3成分システムを含み、ここで、第1の物質N1を含む第1のカプセルK1と、第2の物質N2を含む第2のカプセルK2とは互いに接続されているのに対して、カプセルK3はカプセルK1及び/又はK2のいずれとも接続されていない。
【0080】
同様に、カプセルK3がカプセルK1及び/又はカプセルK2の少なくとも1つに結合され得ることも考えられる。
【0081】
第3のカプセルK3内に含まれている物質N3は、例えば、接着剤、封止材、芳香剤、染料、充填剤、ケア製品、成長因子、ホルモン、ビタミン、微量元素、脂肪、酸、塩基、漂白剤、塗料、アルコール、タンパク質、酵素、核酸、ヒドロゲル、洗剤、アルコール、界面活性剤、蛋白質、蛍光物質、及び/又は染料等を含有し得るか、又はそれらの組合せを含み得る。
【0082】
物質N3が接着剤として選択される場合に、接着剤は、エポキシ接着剤、シリコーン接着剤、ポリウレタン接着剤、アクリレート接着剤、フィブリン接着剤、相変化材料、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0083】
一実施の形態において、第3のカプセルK3内の物質N3は、シリコーン又はシリコーン接着剤を含み得る。
【0084】
この場合に、シリコーンは、接着剤機能の他に封止作用も有し得る。
【0085】
多成分システムの様々なカプセル内の物質を適切に組み合わせることによって、このように様々な望ましい特性を狙い通りに調整することが可能であり、例えば、多成分システムの付着特性及び封止特性を物質の選択を介して調整することができる。
【0086】
有利な実施の形態において、多成分システムは、多成分型接着剤の第1の成分を含むカプセルK1内の物質N1と、多成分型接着剤の第2の成分を含むカプセルK2内の物質N2と、カプセルK3内の物質N3とを含み、ここで、カプセルK34内の物質は、シリコーン接着剤、ポリウレタン接着剤、アクリレート接着剤、フィブリン接着剤、相変化材料、封止材、及びそれらの組合せからなる群から選択される。この場合に、一実施の形態において、物質N1はエポキシ接着剤の樹脂を含み、物質N2はエポキシ接着剤の硬化剤を含み、物質N3はシリコーン、シリコーン接着剤、又はポリウレタン接着剤を含む。この場合に、エポキシ接着剤の成分を含む両方のカプセルは、架橋を介してカプセルK2と共有結合により接続されている。
【0087】
既に上記のように、多成分システムの成分の量比を介して、システムの特性を変えることができる。この場合に、以下の、約1:9~約9:1、有利には約1:5~5:1、より有利には約1:1のシリコーン対エポキシ接着剤又はポリウレタン接着剤対エポキシ接着剤の比率が様々な用途に適していることが明らかになった。
【0088】
一例示的実施の形態において、二成分型接着剤(例えばエポキシ接着剤)を事前塗被する。この場合に、少なくとも1つの第1のカプセル(マイクロカプセル)内にエポキシ接着剤の第1の成分が存在し、かつ少なくとも1つの第2のカプセル(マイクロカプセル)内にエポキシ接着剤の第2の成分が存在する。代替的に又は追加的に、これらのカプセルは周囲マトリックス中に導入されている場合がある。
【0089】
一例示的実施の形態において、マイクロカプセル化されたエポキシ接着剤(二成分型接着剤、第1の成分及び第2の成分)をシリコーン接着剤(一成分型接着剤、第3の成分)とともに事前塗被する。この場合に、少なくとも1つの第1の物質部分(マイクロカプセル)においてエポキシ接着剤の第1の成分が存在し、かつ少なくとも1つの第2の物質部分(マイクロカプセル)においてエポキシ接着剤の第2の成分が存在し、ここで、3種の成分のうちの2種が互いに結合されている場合がある。好ましくは、エポキシ接着剤のマイクロカプセル同士を互いに結合させる。代替的に又は追加的に、これらの物質部分は周囲マトリックス中に導入されている場合がある。
【0090】
一例示的実施の形態において、マイクロカプセル化されたエポキシ接着剤(二成分型接着剤、第1の成分及び第2の成分)をポリウレタン接着剤(一成分型接着剤、第3の成分)とともに事前塗被する。この場合に、少なくとも1つの第1の物質部分(マイクロカプセル)においてエポキシ接着剤の第1の成分が存在し、かつ少なくとも1つの第2の物質部分(マイクロカプセル)においてエポキシ接着剤の第2の成分が存在し、ここで、両方の成分が互いに結合されている場合がある。好ましくは、エポキシ接着剤のマイクロカプセル同士を互いに結合させる。さらに、ポリウレタン接着剤は、少なくとも1つの第3の物質部分(マイクロカプセル)に存在する。
【0091】
二成分型ポリウレタン接着剤の場合に、少なくとも1つの物質部分(マイクロカプセル)においてポリウレタン接着剤の第1の成分が存在し、かつ少なくとも1つの第4の物質部分(マイクロカプセル)においてポリウレタン接着剤の第2の成分が存在する。好ましくは、ポリウレタン接着剤のそれぞれの成分が充填された両方のマイクロカプセルを互いに結合させる。代替的に又は追加的に、これらの物質部分は周囲マトリックス中に導入されている場合がある。
【0092】
一例示的実施の形態において、カプセルは周囲マトリックス中に包埋されている。周囲マトリックスにより、カプセルの容易な塗布が可能となることに加えて、金属表面が酸化から保護される。マトリックスは、例えば、水、アセトン、又はエタノール等の溶媒、他の接着剤、ポリマー、抗生性溶液、抗微生物性溶液、グリース、ペースト等であり得る。
【0093】
本発明の更なる課題は、多成分システムを有利な様式で、特に、多成分システムの個々の成分の配量及びそれらの十分な混合をより良好に制御することができ、したがって、多成分システムの反応の効率が改善されるように開発することである。
【0094】
多成分システムのカプセルの活性化を、圧力、pH値、UV放射、浸透、温度、光強度、水分等の少なくとも1つの変化によって行うことが考えられる。
【0095】
1つ以上の活性化機構を並行して及び/又は逐次的に用いることが考えられる。例えば、異なる厚さのシェル、異なるシェル材料、異なるカプセルサイズ等によって、逐次の開放機構を行うことができる。
【0096】
可能なカプセル型としては、例えば、シングルカプセル、ダブルカプセル、マルチコアカプセル、カチオン特性若しくはアニオン特性を有するカプセル、異なるシェル材料を有するカプセル、造粒物、複数のシェルを有するカプセル、複数の層のシェル材料を備えたカプセル(いわゆる多層マイクロカプセル)、金属ナノ粒子を有するカプセル、マトリックスカプセル及び/又は中空カプセル、気密なシェル材料、例えば絶対的気密なシェル材料を備えたカプセル、多孔質カプセル、及び/又は空の多孔質カプセル(例えば、臭気をカプセル化するため)が挙げられる。
【0097】
第1の物質及び第2の物質は、多成分型接着剤、特に二成分型接着剤の構成要素であり得る。
【0098】
原則的に、他の適用分野も可能である。
【0099】
特に、第1の物質及び第2の物質が一成分型接着剤の構成要素であることが意図され得る。すなわち、第1の物質及び第2の物質は、同じ物質であり得る。
【0100】
第1の物質及び第2の物質は、例えばそれぞれ異なる接着剤であり得る。
【0101】
カプセルには、リンカー及び官能基が形成されている又はこれらで官能化されている。
【0102】
リンカーは、カプセルを互いに架橋するべきである。官能基がなおも保護基を備えていることが意図され得る。カプセル同士の距離をリンカーの長さによって決めることができる。リンカーの長さは、架橋を確実にするために、カプセルの排出される液体の内容物の半径が、隣接カプセルの内容物とわずかに重なるように選択されるべきである。より粘性の高い周囲媒体の場合に(例えば接着テープのように)、リンカーの長さは、ペースト又は液体等のより低い粘性の媒体の場合よりも短く選択されるべきであろう。
【0103】
一般に、カプセルの同型内架橋(Intravernetzung)が可能である。ここでは、1つのカプセル集団のカプセル同士が互いに架橋される。
【0104】
一般に、同型内架橋を介して同じ内容物を有するカプセル同士を架橋することが可能である。
【0105】
一般に、代替的に又は追加的に、カプセル同士の異型間架橋(Intervernetzung)が可能である。ここでは、少なくとも2つの異なるカプセル集団からのカプセル同士が互いに架橋される。
【0106】
一般に、異型間架橋を介して異なる内容物を有するカプセル同士を架橋することが可能である。
【0107】
化学的に硬化する接着剤の場合に、2つの別個の反応空間を有する2成分システムでは、樹脂と硬化剤とが規定の体積比で別個のカプセル内に存在し、貯蔵条件では活性化反応から保護されていると考えられる。その後、例えば、圧力、pH値、UV放射、浸透、温度、光強度、水分の変化、又は空気の排除によって、硬化反応が引き起こされる。
【0108】
1成分カプセルシステム又は多成分カプセルシステム、例えば2成分カプセルシステムのカプセルを、気相中、ペースト状媒体中、粘性媒体中、高粘性媒体中、液体システム中に導入することができる、及び/又は固体表面上に載せることができる。
【0109】
例えば、カプセルが、スプレー(スプレー接着剤)に含まれていることが考えられる。
【0110】
多成分システム、例えば二成分型接着剤が、周囲媒体としてのペースト状媒体中に導入されていることが考えられる。これにより、被接着面、例えば表面上に接着剤を非常に正確に塗布することが可能となり得る。二成分型接着剤は活性化前までは活性化されることはなく、プロセス時間だけでなく活性化を個別に決定することもできる。
【0111】
カプセルが、表面、例えば担体材料上に載置されていることが考えられる。カプセルは、例えば、両面担体材料又は片面担体材料の中及び/又はその上に含まれている場合がある。
【0112】
担体材料は、例えば、表面、プラスチック、プラスチックフィルム又は金属又は金属箔又はプラスチックフォーム又はテキスタイル織物又は紙又は木材又は繊維複合物質を含み得る。担体材料を、例えば、印刷若しくは打ち抜きによって又は他の方法で更に加工することも可能である。
【0113】
物質部分(カプセル化なしも)が、表面、例えば担体材料上に載置可能である、又は適用可能である、又は適用されている、又は載置されていることが考えられる。例えば、ドットだけでなく、ドットから形成される幾何学的形状又は非幾何学的形状、縞線、球、楕円、線条、帯路等の形状での適用も可能である。
【0114】
特に、1つの表面上での第1の物質の1つ以上の物質部分の配置及び少なくとも第2の物質の1つ以上の物質部分の配置によって、特に、例えば圧力、温度、誘導による活性化に際して、例えば、該表面と更なる表面との接着に際して、物質の混合、特に物質の最適な混合、並びに2つの異なる特性の組合せ、及び結果として得られるハイブリッド物質の所望の特性を達成することができることも考えられる。一例示的実施の形態において、個々の接着剤成分と比較して改善された付着作用を有するハイブリッド接着剤は、被接着表面上での第1の接着剤の1つ以上の物質部分及び第2の接着剤の1つ以上の物質部分の載置によって達成され、ここで、第1の物質の1つ以上の物質部分の体積は、第2の物質の1つ以上の物質部分の体積に対して規定の比率にあり、かつ被接着表面上での第1の物質の1つ以上の物質部分の配置及び第2の物質の1つ以上の物質部分の配置は、該表面と更なる表面との接着(加圧)時に、物質の混合、特に規定の混合比での物質の最適な混合が可能となるように構成されている。
【0115】
1成分カプセルシステム又は多成分カプセルシステム、例えば2成分カプセルシステムのカプセルを含む両面担体材料又は片面担体材料の可能な用途は、接着テープ及び/又は接着ストリップ及び/又は接着ラベルである。
【0116】
1成分カプセルシステム又は多成分カプセルシステム、例えば2成分カプセルシステムのカプセルを含む両面担体材料又は片面担体材料の可能な用途は、人間又は動物で創傷を被覆する接着テープ及び/又は接着ストリップ及び/又は接着ラベルである。一般に、植物、例えば木での使用も可能である。担体材料を、例えば、人間又は動物又は植物の皮及び/又は体表面に載置することができる。担体材料を、人間又は動物又は植物の(体)内に載置することも可能である。
【0117】
特に、こうして人間、動物、又は植物の創傷の被覆が可能となり得る。創傷に狙い通りに貼り付けることが可能である。それによれば、両面担体材料又は片面担体材料上のコンタクト型接着剤が、担体材料の位置決めのための最初の付着を可能にすることが意図されている。カプセルの活性化を介して架橋が起こり、それにより最終的な付着が可能となる。代替的に又は追加的に、例えば事故、負傷、外科手術、又はその他の種類の損傷によって構造的及び/又は機能的に変化した組織、例えば骨及び/又は軟骨組織、神経組織、筋肉組織、脂肪組織、上皮組織、エナメル質、象牙質、髄、実質、厚角組織、厚膜組織、表皮、周皮、木部、師部、又は器官の修復は、一成分型接着剤又は多成分型接着剤の両面担体材料又は片面担体材料の載置によって可能となり得る。
【0118】
2成分マイクロカプセルが官能化された官能基と相補的な官能基を被接着表面に形成する又は備え付ける(すなわち、官能化する)ことが考えられる。2成分マイクロカプセルが被接着表面に結合され得る。したがって、被接着表面は、非接着性に形成されている場合がある。2成分マイクロカプセルの活性化の時点及び種類を精密に決定することができる。これは、例えば、電子機器、ディスプレイ、接眼レンズ、レンズ等を接着するときのようなマイクロ範囲で接着するときに使用され得る。人間又は動物での深部軟部組織傷の範囲において使用することも考えられる。記載される方法によって、深い創傷及び/又はより大きな創傷が接着され得ることも考えられる。深い創傷及び/又は大きな創傷の低侵襲性の接着が考えられる。一般に、人間、動物、又は植物のあらゆる種類の組織及び/又は器官を接着することが考えられる。
【0119】
特に、1成分カプセルシステム又は多成分カプセルシステム、例えば2成分カプセルシステムのカプセルが、追加的に又は代替的に、薬理学的作用を有する物質、例えば、抗生物質、成長因子、消毒剤等を含む医薬を含むことが考えられる。これは、例えば、あらゆる種類の組織又は器官のより良好な創傷の治癒又は癒合を可能にし得る。
【0120】
この場合に、例えば、第1のカプセルK1内の物質N1は医薬品作用物質を含み得る。既に上述した医薬品作用物質の他に、第1の物質は、例えば、同様に殺菌剤、抗炎症性作用物質、成長因子、抗生物質、又はそれらの組合せを含み得る。
【0121】
適切な殺菌剤は、例えば、アルコール(エタノール、ヘキサノール、n-プロパノール、若しくはi-プロパノール、又は上述のものの混合物、若しくは上述のものと水との混合物等)、第四級アンモニウム化合物(例えば、ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ブリリアントグリーン、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、オクテニジン(二塩酸塩)、ポリヘキサニド等)、ヨウ素含有化合物(例えば、ポビドンヨウ素、又はヨウ素チンキ等)、ハロゲン化化合物(例えば、トリクロサン、クロルヘキシジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール等)、キノリン誘導体(例えば、オキシキノリン)、ベンゾキノン誘導体(例えば、アンバゾン)、フェノール誘導体(ヘキサクロロフェン)、又は水銀含有化合物(例えば、メルブロミン又はチオメルサール)である。
【0122】
多成分システムの更なるカプセル内に、例えば多成分システムの第2のカプセルK2内に、接着剤が含まれている場合がある。この接着剤は、人間又は動物の体内又は体表面に使用される場合に、これらの部位に適合性の接着剤として選択され得る。例えば、使用される接着剤はフィブリン接着剤である。
【0123】
1成分カプセルシステム又は多成分カプセルシステム、例えば2成分カプセルシステムのカプセルが、多孔質カプセルであることも考えられる。多孔質カプセルは、液体及び/又は臭気を吸収するのに使用され得る。例えば、多孔質カプセルを使用して、動物、人間、又は更に植物の創傷での創傷液を吸収することが考えられる。
【0124】
多成分カプセルシステム、例えば2成分カプセルシステムのカプセルを介して、選択された放出プロファイルを達成することも可能である。例えば、あらゆる種類の医薬又は成長因子及び/又は作用物質の段階的放出及び/又は遅延放出が考えられる。
【0125】
この場合に、例えば、一実施の形態において、多成分システムの一方のカプセルは、殺菌剤等の医薬品作用物質を含む場合があり、第2のカプセルは、接着剤又は多成分型接着剤(例えば、フィブリン接着剤)の成分を含む場合がある。この場合に、例えば、カプセルの活性化によって医薬品作用物質が最初に放出されるように、カプセルの活性化を時間的に制御することができる。このように、創傷を殺菌剤で手当てして、差し迫った敗血症を防ぐことができる。次に、規定の時間後に、接着剤を含むカプセルの活性化が起こるため、創傷の接着又は閉鎖をもたらすことができる。
【0126】
本発明による多成分システムのカプセルを、異なる機構によって活性化させることができる。この場合に、1つ以上のカプセルが同じ機構によって活性化されるのに対して(例えば、カプセルK1及びカプセルK2)、残りのカプセルのうちの少なくとも1つが他の機構を介して活性化され得ることが考えられる。すなわち、そのような実施の形態において、本発明による多成分システムのカプセルの少なくとも1つを、他のカプセルとは異なる様式で活性化させることができる。
【0127】
少なくとも1つのカプセル(例えば、K1、K2、及び/又はK3)の活性化を、圧力の変化、pH値の変化、UV放射、浸透、温度変化、光、湿度の変化、水の添加、超音波、酵素、拡散、カプセルの溶解、分解制御、侵食等によって行うことができる。
【0128】
しかしながら、様々なカプセルの狙い通りの活性化を、それぞれのカプセルにおける異なる数のシェルによって制御することも考えられる。
【0129】
代替的に、活性化を、様々なシェル材料を介して制御することもできる。このように、例えば、様々な(コ)ポリマーを、様々な親水性を有するカプセルの様々なシェルにおいて使用することができる。こうして、親水性モノマー構成単位及び疎水性モノマー構成単位の比率によって、所望の活性化挙動をカスタマイズすることができる。(コ)ポリマーの様々な交差架橋を介して、所望の(時間的に)ずれた活性化を行うことも可能である。このように、例えば、メチルメタクリレート(MMA)等のメタクリレートを、UV放射によって交差架橋させることができる。UV放射の持続時間を介して、ポリ(メチル)メタクリレート(PMMA)の架橋度を狙い通りに制御することができる。その際、カプセルの放出又は活性化は、カプセルのシェルにおいて使用される(コ)ポリマーの架橋度に応じた時間で起こる。
【0130】
2成分カプセルシステムでは、創傷のより素早い治癒のためにフィブリンを含む第1のカプセル集団が直ちに活性化されるが、抗生物質を含む第2のカプセル集団は遅延型の活性化機構を有するため、フィブリンの放出と比べて抗生物質の放出が遅れて起こることが考えられる。さらに、臭気及び/又は創傷液を吸い取る空の多孔質カプセルを導入することが可能である。
【0131】
2成分マイクロカプセルシステムにおいては、水性成分(第1の相)を含む第1のカプセル集団と、油含有成分(第2の相)を含む第2のカプセル集団とが含まれることが考えられる。したがって、2成分マイクロカプセルシステムが、水性成分と油含有成分とを、すなわち、第1の相と第2の相とを規定の比率で溶解することを可能にすることが考えられる。こうして、(第1相対第2相の)規定の比率を有する2成分マイクロカプセルシステムに基づく2相生成物が生成し得ることが考えられる。例えば、規定の比率の2成分マイクロカプセルシステムに基づく2相生成物を、織物/繊維に塗布し得ることが考えられる。2成分マイクロカプセルシステムに基づく2相生成物によって物質が乾燥しないことから、通常の包装で貯蔵し得ることが可能となることが考えられる。一般に、このようなシステムは、反応が従来のシステムの場合よりも効率的に進行するために使用され得る。
【0132】
同じ内容物を有するが、異なる活性化機構を伴う2成分カプセルシステムの2つのカプセル集団を、担体材料上で回分法において同型内架橋によって相互結合させることも考えられる。これにより、1成分カプセルシステムと比較してより長期的に持続する、例えば薬理学的作用を有する物質の放出が可能となり得る。
【0133】
さらに、2成分カプセルシステムの場合に、不安定な物質を、カプセル化によって周囲媒体中でより安定した形態でより長期に貯蔵することが考えられる。カプセルが活性化されると初めて、第1のカプセル内の安定した成分が第2のカプセルからの活性化剤と反応して、反応性の形態に変換され得る。
【0134】
カプセルを含む両面担体材料又は片面担体材料の更なる可能な用途は、パーソナルケアの分野、衣類及び/又は靴の製造若しくは修理、建設分野若しくは手工芸分野、日曜大工、木工、自動車産業、接着技術、電子産業等における接着テープ及び/又は接着ストリップである。
【0135】
1成分カプセルシステム及び/又は2成分カプセルシステムのカプセルを、人間、動物、植物、又は物体用のケア製品の分野で使用することも考えられる。
【0136】
多成分システム、例えば2成分システムが、自己修復製品にも使用され得ることが考えられる。
【0137】
モノマーが第1のカプセル内にカプセル化されており、活性化剤が他のカプセル内にカプセル化されていることが可能である。狙い通りの活性化によって、カプセル複合体は周囲媒体と反応することができる。
【0138】
例えば、2成分システムのカプセルを紙に導入することが考えられる。糖モノマーが第1のカプセル集団にカプセル化されており、対応する活性化酵素が第2のカプセル集団にカプセル化されている場合がある。活性化によってカプセルが破裂し得て、活性化酵素により糖モノマーは紙の繊維に結合され得る。こうして、1つ以上の破損箇所を修復し得ることが考えられる。この原理を、あらゆる種類の繊維、例えばプラスチック繊維に適用することが考えられる。
【0139】
一般に、モノマーが第1のカプセル集団に存在する場合があり、第1のカプセル集団におけるモノマーの重合用の開始剤が他のカプセル集団に存在する場合がある。
【0140】
この原理は、あらゆる種類のモノマーに適用され得る。
【0141】
一般に、2種のモノマーが異なるカプセル内に存在する場合もある。
【0142】
例えば、カルボン酸が第1のカプセル内に存在し、かつジオールが第2のカプセル内に存在する場合がある。カプセルの活性化によって重縮合が活性化され、両方のモノマーが反応してポリエステルが形成され得る。
【0143】
一般に、トリプルカプセルシステムも考えられる。第1のカプセル及び第2のカプセル内に、それぞれ同一のモノマー又は異なるモノマーが存在し得る。第3のカプセル内に、開始剤が存在し得る。
【0144】
例えば、フェノプラストの重縮合が可能であり、その際、フェノールが一方のカプセル内に存在し、アルデヒドが他方のカプセル内に存在する。第3のカプセル内には、開始剤が存在する。
【0145】
一般に、この原理は、あらゆる重合に適用され得る。
【0146】
カプセルが、少なくとも部分的に1種以上の芳香剤、染料、充填剤、ケア製品、成長因子、ホルモン、ビタミン、微量元素、脂肪、酸、塩基、漂白剤、アルコール、タンパク質、酵素、核酸、ヒドロゲル等を含むことが可能である。
【0147】
1成分カプセルシステム又は2成分カプセルシステムのカプセルを清浄剤の分野で使用することも考えられる。したがって、カプセルが、少なくとも部分的に1種以上の芳香剤、染料、洗剤、界面活性剤、アルコール、酸、塩基、漂白剤、酵素等を含むことが可能である。
【0148】
1成分カプセルシステム又は2成分カプセルシステムのカプセルを診断法の分野で使用することも考えられる。したがって、カプセルは、少なくとも部分的に造影剤、蛍光物質、及び/又は色素を含むことが可能である。
【0149】
1成分カプセルシステム又は2成分カプセルシステム(又は一般に多成分カプセルシステム)のカプセルを洗浄剤の分野で使用することも考えられる。したがって、カプセルが、少なくとも部分的に1種以上の芳香剤、染料、洗剤、界面活性剤、アルコール、酸、塩基、漂白剤、酵素等を含むことが可能である。
【0150】
1成分カプセルシステム又は2成分カプセルシステム(又は一般に多成分カプセルシステム)のカプセルをペイント及び塗料の分野で使用することも考えられる。したがって、カプセルが、少なくとも部分的に1種以上のエポキシド、シリコーン、顔料等を含むことが可能である。
【0151】
特に、2成分カプセルシステムの同種官能化及び/又は異種官能化されたカプセル集団が共有結合で相互結合されることが考えられる。特に、2成分カプセルシステムの同種官能化及び/又は異種官能化されたカプセル集団が、同型内架橋及び/又は異型間架橋によって共有結合で相互結合されることが考えられる。両方のカプセル集団は、それぞれ異なる物質、例えば異なる染料で充填されている場合がある。特定の状況では特定の活性化機構によって一方のカプセル集団の中身が排出され、第2の特定の状況では特定の活性化機構によって他方のカプセル集団の中身が排出されることが考えられる。両方の状況が起こると、両方のカプセル内容物が混ざり合うため、特定の色が生ずる。
【0152】
担体材料に少なくとも1つの官能基を形成することで、官能化されたカプセルが表面に結合するのを可能にすることも考えられる。
【0153】
特に、被接着表面の少なくとも1つの領域に官能基を形成することが考えられる。さらに、1成分カプセルシステム及び多成分カプセルシステムのカプセルに、上記のように官能基が形成され得る。引き続き、これらのカプセルは、官能化された表面へと架橋によって共有結合される。カプセルの活性化によって、接着剤が排出され、及び/又は互いに混ざり合い、それにより接着特性が生ずる。
【0154】
さらに、接着テープの担体材料の表面が官能化されている場合がある。コンタクト接着剤中に1成分システム及び多成分システムを混ぜ入れる。後続工程で、カプセル複合体の一部を担体材料の表面に結合させる。
【0155】
更なる例示的実施の形態において、カプセル複合体をコンタクト接着剤の表面全体又はその一部に適用することができる。
【0156】
一般に、溶剤蒸発、熱ゲル化、ゲル形成、界面重縮合、重合、噴霧乾燥、流動層、液滴凍結、押出、超臨界流体、コアセルベーション、エアーサスペンション(Luftfederung)、パンコーティング、共押出、溶剤抽出、分子包接、噴霧結晶化、相分離、乳化、in situ重合、不溶性、界面分離、ナノ分子篩による乳化、イオノトロピックゲル化法、コアセルベーション相分離、マトリックス重合、界面架橋、凝固法、遠心押出、及び/又は1つ以上の更なる方法によってカプセルを製造することが可能である。
【0157】
一般に、物理的方法、化学的方法、物理化学的方法、及び/又は同様の方法によってカプセルを製造することが可能である。
【0158】
一般に、カプセルのシェルは、少なくとも1種のポリマー、ワックス、樹脂、タンパク質、脂質、マレインホルムアルデヒド、樹脂類、炭水化物、タンパク質類、多糖類、アラビアゴム、マルトデキストリン、イヌリン、金属、セラミック、アクリレート、ミクロゲル、相変化材料、及び/又は1種以上の更なる物質並びに上述のものの組合せを含むことが可能である。
【0159】
一般に、カプセルのシェルは、多孔質ではない又は完全に多孔質ではないことが可能である。一般に、カプセルのシェルは、ほぼ完全に不透過性である又は完全に不透過性であることが可能である。
【0160】
一般に、カプセル内の物質は、固体、液状、及び/又は気体状であることが可能である。さらに、カプセルのコアが、少なくとも1種の相変化材料、酵素、カロチノイド、生細胞、少なくとも1種のフェノール化合物等を含むことが可能である。
【0161】
一般に、カプセルは、線状ポリマー、多価を有するポリマー、星型ポリエチレングリコール、自己組織化単分子膜(SAM)、カーボンナノチューブ、環状ポリマー、デンドリマー、ラダーポリマー、及び/又は同様の物質で形成されていることが可能である。
【0162】
可能な保護基としては、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、β-メトキシエトキシメチルエーテル、メトキシトリイル、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ジメトキシトリチル、ビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル、メトキシメチルエーテル、p-メトキシベンジルエーテル、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、トリチル、トリフェニルメチル、シリルエーテル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソプロピルシリルオキシメチル、トリイソプロピルシリル、メチルエーテル、エトキシエチルエーテル、p-メトキシベンジルカルボニル、tert-ブチルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、カルバメート、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、p-メトキシフェニル、1つ以上のトシル基若しくはノシル基、メチルエステル、ベンジルエステル、tert-ブチルエステル、2,6-二置換フェノールエステル(例えば、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジイソプロピルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、シリルエステル、オルトエステル、オキサゾリン等が挙げられる。
【0163】
カプセルのコーティング用に可能な材料としては、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、アガロース、キトサン、デンプン、カラギーナン、ポリデンプン、ポリデキストラン、ラクチド、グリコリド及びコポリマー、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリ無水物、ポリエチルメタクリレート、アクロレイン、グリシジルメタクリレート、エポキシポリマー、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アラビノガラクタン、ポリアクリル酸、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリメタクリレート、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレンビニルアセテート、硝酸セルロース、シリコーン、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、パラフィン、カルナウバ蝋、鯨蝋、蜜蝋、ステアリン酸、ステアリルアルコール、グリセリンステアレート、シェラック、セルロースアセテートフタレート、ゼイン、ヒドロゲル等が挙げられる。
【0164】
可能な官能基としては、アルカン、シクロアルカン、アルケン、アルキン、フェニル置換基、ベンジル置換基、ビニル、アリル、カルベン、ハロゲン化アルキル、フェノール、エーテル、エポキシド、エーテル、過酸化物、オゾン化物、アルデヒド、水和物、イミン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、ヘミアセタール、ヘミケタール、ラクトール、アセタール/ケタール、アミナール、カルボン酸、カルボン酸エステル、ラクトン、オルトエステル、無水物、イミド、ハロゲン化カルボン酸、カルボン酸誘導体、アミド、ラクタム、ペルオキシ酸、ニトリル、カルバメート、尿素、グアニジン、カルボジイミド、アミン、アニリン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、アゾ化合物、ニトロ化合物、チオール、メルカプタン、スルフィド、ホスフィン、P-イレン、P-イリド、ビオチン、ストレプトアビジン、メタロセン等が挙げられる。
【0165】
可能な放出機構(活性化機構)としては、拡散、溶解、分解制御、浸食等が挙げられる。
【0166】
放出機構を組み合わせることが考えられる。
【0167】
可能なリンカーとしては、バイオポリマー、タンパク質、シルク、多糖類、セルロース、デンプン、キチン、核酸、合成ポリマー、ホモポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリラクタム、天然ゴム、ポリイソプレン、コポリマー、ランダムコポリマー、勾配コポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、ブチルゴム、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ、無機ポリマー、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリシラザン、セラミック、玄武岩、アイソタクチックポリマー、シンジオタクチックポリマー、アタクチックポリマー、線状ポリマー、架橋ポリマー、エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、部分晶質リンカー、熱可塑性樹脂、シス-トランスポリマー、伝導性ポリマー、超分子ポリマーが挙げられる。
【0168】
リンカーは、カプセルと官能基との間のあらゆる形態の接続であり得る。
【0169】
さらに、本発明は、多成分システムの製造方法に関する。それによれば、少なくとも1種の第1の物質と、少なくとも1種の第2の物質とを含み、第1の物質及び第2の物質が複数の物質部分に存在する多成分システムの製造方法において、該方法が、以下の工程:
第1の物質部分に、少なくとも1つの第1の官能基を形成する工程と、
第2の物質部分に、少なくとも1つの第2の官能基を形成する工程と、
を含み、
第1の官能基が、予め規定された相互作用を介して第2の官能基と反応して、これらが互いに接続されることが意図されている。
【0170】
特に、第1の物質部分には、少なくとも1つの第3の官能基が形成されており、かつリンカーが備え付けられており、ここで、第3の官能基は、それぞれ少なくとも1つの保護基を有するため、第1の物質の物質部分には、第1の物質の相応して官能化された物質部分しか結合することができず、かつ上記方法は、保護基が最初に存在し、第1の物質部分が第3の官能基によって互いに接続されるべき場合に初めてその保護基を除去する工程を少なくとも更に含むことが意図され得る。これにより、第1の物質の物質部分、特にカプセルが既に、好ましくは第1の物質の更なる物質部分と接続されてしまうことが妨げられる。気相、低粘性相、液相、高粘性相、又は固相に導入した後に保護基を除去することができ、それにより同型内架橋が起こる。
【0171】
多成分システムは、上記のような多成分システムであり得る。
【0172】
本発明による方法又はシステムの可能な使用分野としては、バイオテクノロジー、化粧品、製薬産業、食品産業、化学産業、農業、包装技術、廃棄物リサイクル、テキスタイル産業、繊維複合材の製造、電気工学、機械工学、医療技術、微細技術、自動車産業、ペイント、塗料、洗浄剤、農薬、太陽電池等が挙げられる。
【0173】
したがって、以下の用途の1つ、すなわちバイオテクノロジー、製薬産業、化粧品、食品産業、化学産業、農業、包装技術、廃棄物リサイクル、テキスタイル産業、繊維複合材の製造、電気工学(例えば、電子素子の接続、チップ技術等に関連する)、機械工学、医療技術、微細技術、自動車産業等の単独での又は組み合わされた用途のための、上記及び更に下記の方法及び/又はシステムの使用が明示的に開示される。特に、化粧品分野においては、以下のことを述べることができる:
【0174】
化粧品においては、多くの2相生成物又は多相生成物が存在する。多くの場合に、ここでは水性成分と油性成分とが存在する。2Kマイクロカプセル技術によって、両方の相を規定の比率で溶解させることが可能である。
【0175】
更なる例示的実施の形態において、規定の比率で2Kカプセルを有する2相生成物がコットンパッドに適用され得る。これは一方で、物質が乾燥しないため、通常の包装で貯蔵することができるという利点を有し、それに加えて、該物質がその作用を発揮する効率は、同じ材料の使用で大幅に向上する。さらに、2種の物質の効率の向上は、クリーム、パック等にも適用され得る。
【0176】
一般に、上記の2相システムの原理は、あらゆる多相システムに適用され得る。
【0177】
さらに、かなり一般的に、この原理は、反応に際して収率を高めるために及び/又は反応がより効率的に進行するために使用され得る。
【0178】
製品開発の分野においては、例えば自己修復製品が考えられる:
【0179】
2Kシステムは、自己修復製品にも使用され得る。1つの変形形態において、モノマーは一方のカプセル内に存在し、活性化剤又は第2のモノマーは他方のカプセル内に存在する。狙い通りの活性化によって、カプセル複合体は周囲媒体と反応して、破損片を互いに接合する。
【0180】
例えば、上記カプセルは紙に導入され得る。一方のカプセル内には糖モノマーがあり、他方のカプセル内には対応する酵素がある。例えばUV放射による活性化によって、カプセルを破裂させると、酵素により対応する糖モノマーが繊維に結合され、その後、破損箇所は再び修復される。
【0181】
繊維、特にプラスチック繊維にも同じ原理を適用することができる。モノマーは一方のカプセル内に存在し、重合用の開始剤は他方の相内に存在する。
【0182】
この原理は、ペイント、塗料、及び多くの他の材料においても適用され得る。ここで、本発明の更なる詳細及び利点を、より詳細に図面に示される例示的実施の形態をもとに説明することとする。
【0183】
本発明の更なる態様は、表面同士を接着する方法である。
【0184】
表面同士を接着する本発明による方法は、この場合に、以下の工程:
a)少なくとも1つのカプセルK1を準備する工程と、
ここで、少なくとも1つのカプセルK1は物質N1を含み、物質N1は接着剤又は多成分型接着剤の成分を含む;
b)任意に、少なくとも1つのカプセルK1を周囲媒体中に混ぜ入れる工程と、
c)カプセルK1を第1の材料の表面の少なくとも1つの部分に塗布する工程と、
d)任意に、塗布されたカプセルを乾燥させる工程と、
e)カプセルK1を活性化させる工程と、
f)第2の材料の表面の少なくとも1つの部分と、第1の材料の表面の少なくとも1つの部分とを接着する工程と、
を含む。
【0185】
この場合に、第1の材料及び第2の材料は同一である場合も又は異なっている場合もある。材料は、有利には、金属、プラスチック、木材、紙、テキスタイル、織物、糸、繊維複合材料、鏡、レンズ、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0186】
この場合に、金属は、またしても重金属、軽金属、貴金属、半貴金属、合金、及び卑金属からなる群から選択され得る。この場合に、業界にとって特に関心が持たれるのは、アルミニウム又はアルミニウムダイカストの接着である。
【0187】
有利な実施の形態において、本発明による方法は、既に上記した方法工程に加えて、以下の工程:
(i)少なくとも1つの更なるカプセルK2を準備する工程と、
ここで、少なくとも1つの更なるカプセルK2は物質N2を含み、物質N2は接着剤又は多成分型接着剤の成分を含む;
(ii)少なくとも1つのカプセルK2を第1の材料の表面の少なくとも1つの部分に塗布する工程と、
(iii)少なくとも1つのカプセルK2を活性化させる工程と、
を更に含む。
【0188】
この場合に、カプセルK1が、少なくとも1つのカプセルK2と接続されており、例えば架橋を介して接続されていることが有利である。この場合に、カプセルK1とカプセルK2との間の接続は、有利には共有結合に基づく。
【0189】
一実施の形態において、少なくとも1つのカプセルK1内の物質N1は、接着剤又は多成分型接着剤の成分を含み、ここで、接着剤は、有利には、エポキシ接着剤、シリコーン接着剤、ポリウレタン接着剤、アクリレート接着剤、フィブリン接着剤、相変化材料、又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0190】
一実施の形態において、エポキシ接着剤が本発明の方法において使用される。そのために、少なくとも1つのカプセルK1内の物質N1は、エポキシ接着剤の成分、有利にはエポキシ接着剤の樹脂を含む。少なくとも1つのカプセルK2内の物質N2は、同様にエポキシ接着剤の成分、有利にはエポキシ接着剤の硬化剤を含む。カプセルK1及びカプセルK2は有利には互いに接続されているので、このエポキシ接着剤の両方の成分は、これらがカプセルの活性化後に狙い通りに互いに反応し得るように既に空間的に配置されている。エポキシ接着剤に基づき記載されたシステムは、更なる多成分型接着剤に問題なく転用することが可能である。こうして、例えば、ポリウレタン接着剤の異なる成分をカプセルに導入し、第1の材料の表面上に塗布した後に活性化させることもできる。
【0191】
この場合に、本発明による方法は、更なる有利な実施の形態において、追加の方法工程を含み得る。このように、上記方法において更なる物質N3を使用することができる。それによれば、上記方法は、以下の追加の工程、すなわち、
(i)少なくとも1つの更なるカプセルK3を準備する工程と、
ここで、少なくとも1つの更なるカプセルK3は物質N3を含み、物質N3は接着剤又は多成分型接着剤の成分を含む;
(ii)少なくとも1つのカプセルK3を第1の材料の表面の少なくとも1つの部分に塗布する工程と、
(iii)少なくとも1つのカプセルK3を活性化させる工程と、
を含む。
【0192】
接着剤又は多成分型接着剤の成分は、またしてもエポキシ接着剤、シリコーン接着剤、ポリウレタン接着剤、アクリレート接着剤、フィブリン接着剤、相変化材料、又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0193】
カプセルK3の活性化も同様に、他のカプセルについて記載された既に上記した機構を介して行うことができる。
【0194】
本発明による方法の一実施の形態において、少なくとも1つのカプセルK1の活性化は、少なくとも1つのカプセルK2及び/又は少なくとも1つのカプセルK3の活性化とは異なる機構によって行われる。
【0195】
この場合に、異なるカプセルが同じ時点で又は異なる時点で活性化されることが有利であり得る。既に上述したように、例えば、創傷の手当ての場合に、創傷を最初に殺菌剤によって手当てし、その後に接着剤を活性化させることで創傷の閉鎖の改善をもたらすことが望ましい場合がある。
【0196】
こうして、例えば、3成分システムが使用される本発明による方法においては、以下の時点でのカプセルK1、カプセルK2、及び/又はカプセルK3の活性化が有利であり得る。
a)少なくとも1つのカプセルK1の活性化を、少なくとも1つのカプセルK2の活性化と同じ時点で又はそれとは異なる時点で行う。
b)少なくとも1つのカプセルK1及びカプセルK2が互いに接続されている場合に、少なくとも1つのカプセルK1及びカプセルK2の活性化を、有利には同時に行う。
c)少なくとも1つのカプセルK3が存在する場合に、少なくとも1つのカプセルK3の活性化を、少なくとも1つのカプセルK1の活性化とは異なる時点で行う。
【0197】
本発明による多成分システムを任意に拡張することができ、また4種以上の異なるカプセル、例えば4種、5種、6種、7種、8種、9種、又は10種のカプセルを含み得る。
【0198】
多成分型接着剤システムの、有利には同時に互いに接続された異なるカプセルが互いに反応するべきである場合に、これらのカプセルはまた同じ時点で活性化されて、そのような反応が可能となる。同時の活性化によって、意図された化学量論量が反応時に可能な限り維持されることを確実にすることができる。
【0199】
例えば、カプセルK1及びカプセルK2が異なる接着剤を含むならば、システム及び用途に応じて、これらを同時に又は逐次的に活性化させることが有利である場合がある。
【0200】
しかしながら、使用されるシステムが、例えば、二成分型接着剤システム及び追加的に更なる物質を含む場合に、典型的には、2成分システムが同時に活性化されるが、更なる接着剤システムと同時には活性化されないことが有利である。この更なる接着剤システムは前工程又は後工程のいずれかで活性化され得る。理想的には、異なるシステムの活性化の間の時間は、最初に活性化されたシステムが反応し終わった後に、更なるシステムが活性化され得るように選択される。
【0201】
本発明による方法の有利な実施の形態は、以下の工程を含む。
(i)物質N1を含む第1のカプセルK1及び第1のカプセルK1に共有結合されており、物質N2を含む第2のカプセルK2を準備する工程、
ここで、
a.第1の物質N1は、エポキシ接着剤の樹脂を含み、かつ、
b.第2の物質N2は、エポキシ接着剤の硬化剤を含む;
(ii)更なる接着剤又は封止材を含むカプセルK3を準備する工程、
(iii)カプセルK1、カプセルK2、及びカプセルK3を、第1の材料の表面の少なくとも1つの部分に適用する工程、
(iv)エポキシ接着剤を形成させながらカプセルK1及びカプセルK2を活性化させる工程、
(v)少なくとも1つのカプセルK3を同時に又は逐次的に活性化させる工程、
(vi)第2の材料の表面の少なくとも1つの部分と、第1の材料の表面とを接着する工程。
【0202】
カプセルK3内の物質N3は、接着剤又は封止材を含み、有利には、シリコーン、シリコーン接着剤、及びポリウレタン接着剤からなる群から選択される。
【0203】
或る特定の実施の形態において、エポキシ接着剤と更なる接着剤との(量に対する)比率は、約9:1~1:9の範囲内、有利には5:1~1:5の範囲内、より有利には4:1~1:4の範囲内であり得る。
【0204】
接着される材料は、またしても金属、プラスチック、木材、紙、テキスタイル、織物、糸、繊維複合材料、又はそれらの組合せからなる群から選択され得る。有利には、アルミニウム又はアルミニウムダイカストが使用される。
【0205】
本発明による方法の一実施の形態において、カプセルは、約4000μm以下、約2000μm以下、約1000μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約150μm以下の層厚で材料上に塗布される。
【0206】
塗布の適切な層厚の選択は、選択された活性化機構によって十分な数の塗布されたカプセルが活性化されるように選択される。有利にはカプセルの少なくとも90%、より有利にはカプセルの少なくとも95%、更により有利にはカプセルの少なくとも98%が活性化される。
【0207】
既に上記したように、カプセルのシェルの材料は、同様に活性化に影響を与えることができる。このように、例えば、(コ)ポリマーの異なる架橋度によって、異なる活性化時間を実現することができるため、システムの異なる物質を異なる時間で放出することができる。この場合に、シェルに適した材料としては、ポリメチルメタクリレートが該当し、これは異なるカプセルで異なる架橋度を有する。代替的に、異なる親水性(又は疎水性)を有する上記の(コ)ポリマーを使用して、シェル材料によるカプセルの活性化を制御することができる。
【0208】
代替的に、活性化の異なる時点は、異なるカプセルについての上記の異なる数のシェルによっても達成され得る。
【0209】
本発明による方法において、異なるカプセルの逐次的な活性化は、温度変化によっても達成され得る。カプセルのうちの1つを温度T1で活性化させる一方で、更なるカプセルのうちの少なくとも1つを、温度T1とは異なる温度T2で活性化させる。
【0210】
また、圧力の変化、pH値の変化、UV放射、浸透、温度変化、光、湿度の変化、水の添加、超音波、酵素、拡散、カプセルの溶解、分解制御、侵食等のような更なる活性化機構を、本発明による方法において使用することもできる。
【0211】
任意に、接着される材料又はそれらの表面を接着前に前処理して、例えば金属表面から酸化物層を除去することができる。しばしば、業界ではこれらの前処理工程をより頻繁に繰り返さなければならない。それというのも、材料をそれほど迅速に処理することができず、接着剤は非常に短い可使時間を有するにすぎないためである。
【0212】
既に上記したように、本発明による方法は、被接着表面にシステムを塗布することによって、原則として、塗布されたカプセルにより酸化物層の新たな形成を妨げるか、又は表面を「保護」し、その後、所望の時点までカプセルの活性化により更なる処理を継続することを可能にする。
【0213】
こうして、作業工程を削減したり、又は外注に出したりすることもできる。接着される材料又はその表面上にカプセルを塗布することによって、中間生成物を得ることができ、任意選択で、他の場所(例えば、他の工場)に輸送し、そこで、例えばカプセルの狙い通りの活性化によって処理を継続する。
【0214】
本発明による方法は同様に、カプセル内の多成分型接着剤の異なる成分を材料又はそれらの表面上に塗布し、多成分型接着剤を後の所望の時点で活性化させることを可能にする。従来のシステムを使用する場合には、多成分型接着剤の両方の成分を(反応させずに)全く同一の材料又はその表面上に塗布することは、これらの成分がその際に既に反応してしまうため、これまでは不可能であった。そのため一部では、両方の異なる成分が異なる被接着部分に塗布されるが、これは本発明による方法に比べて追加の作業工程を必要とする。
【0215】
したがって、本発明による方法は、第2の材料を接着剤で被覆しない多成分型接着剤システムの使用を可能にする。本発明による方法は更に、第2の材料が接着前に前処理を受けないことを可能にする。
【0216】
更なる態様において、本発明は、本発明による多成分システムが塗布されている材料に向けられる。
【0217】
この場合に、本発明による多成分システムは周囲媒体中に存在し得る。この周囲媒体は、例えば接着剤を含む場合があり、ここで、周囲媒体の接着剤はカプセル内に存在しない。周囲媒体はペースト状に構成されている場合がある。
【0218】
多成分システム及び任意選択で周囲媒体が塗布された材料を塗布後に乾燥させることができる。有利な実施の形態において、材料は貯蔵安定性である、すなわち、塗布された多成分システムは貯蔵後でも使用可能であり、本発明に従って使用することができる。貯蔵試験においては、本発明によるカプセルを室温で6ヶ月間貯蔵した。この時間内に、接着剤の流出もカプセルの凝着も観察され得なかった。
【0219】
一実施の形態において、本発明による多成分システムを、有利にはポリマーフィルム、紙、又は織物である担体材料上に塗布する。この場合に、塗布を、有利にはカプセル内に存在しない接着剤である周囲媒体と一緒に行うことができる。塗布は、担体材料の両表面のうちの少なくとも一方に行われる。このような実施の形態は、カプセルの活性化によって接着する接着テープを形成することができる。本発明の多成分システムが塗布された表面を、使用前に剥がされるライナーによって保護することができる。一実施の形態において、本発明によるマルチカプセルシステムを担体材料の両面に塗布し、こうして両面接着テープを形成する。
【0220】
一実施の形態において、材料はポリマーフィルム、紙、又は織物材料であり、そこに、多成分システムが周囲媒体中で、好ましくはカプセル内に存在しない接着剤中で材料の少なくとも1つの表面に塗布される。使用前に剥がされるライナーによって接着テープの両面が保護され得ることは自明のことである。この場合に、カプセルシステムの活性化を、上記の機構を介して行うことができる。
【0221】
本発明の更なる態様は、医療用途のための、特に人間又は動物の組織を(再)接合するための、本発明による多成分システムの使用である。
【0222】
この場合に、本発明の更なる態様は、創傷の治療及び創傷の治癒における本発明による多成分システムの使用である。この場合に、本発明によるシステムは、縫合又は接着による人間又は動物の組織の(再)接合において行われ得る。上記のように、医薬品作用物質だけでなく、更なる材料もカプセル内に導入することができる。本発明による多成分システムを、創傷若しくは縫合部に直接適用するか、又は縫合糸を本発明による多成分システムで被覆し、創傷を縫合した後に活性化させることができる。
【0223】
したがって、本発明の更なる態様は、同様に、本発明の多成分システムで被覆されている縫合糸に関する。
【0224】
更なる態様においては、本発明は、以下の方法工程:
本発明による多成分システムを準備する工程、
を含み、
カプセルK1、カプセルK2、及び/又はカプセルK3の少なくとも1つは、以下の、圧力の変化、pH値の変化、UV放射、浸透、温度変化、光、湿度の変化、水の添加、超音波、酵素、拡散、溶解、分解制御、侵食等の機構の少なくとも1つによって活性化され、ここで、カプセル(複数の場合もある)の活性化を、以下の時点で行うことができる:
(i)少なくとも1つのカプセルK1の活性化を、少なくとも1つのカプセルK2の活性化と同じ時点で又はそれとは異なる時点で行う;
(ii)少なくとも1つのカプセルK1及び少なくとも1つのカプセルK2が互いに接続されている場合に、少なくとも1つのカプセルK1及び少なくとも1つのカプセルK2の活性化を有利には同時に行う;
(iii)少なくとも1つのカプセルK3が存在する場合に、少なくとも1つのカプセルK3の活性化を、少なくとも1つのカプセルK1の活性化とは異なる時点で行う;
方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0225】
図1】第1の物質と、第2の物質とを含む本発明による多成分システムの例示的実施形態を示す図である。
図2】第1の物質と、第2の物質とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図3図1又は図2に従う本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図4図1図2、又は図3に従う本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図5】2つの異なる物質部分/カプセル集団の本発明による異型間架橋の例示的実施形態を示す図である。
図6】2つの同じ物質部分/カプセル集団の本発明による同型内架橋の例示的実施形態を示す図である。
図7】本発明による2成分システムの例示的実施形態を示す図である。
図8】本発明による同型内架橋されたカプセルシステムの例示的実施形態を示す図である。
図9図7に従う本発明による異型間架橋及び同型内架橋された2成分システムの例示的実施形態を示す図である。
図10】本発明による二成分型接着テープの製造のワークフローの流れ図である。
図11A】本発明による1成分システムの同型内架橋されたカプセルの例示的実施形態を示す図である。
図11B】本発明による1成分システムの同型内架橋されたカプセル及びガスが充填された非架橋のカプセルの例示的実施形態を示す図である。
図12A】本発明による2成分システムの異型間架橋及び同型内架橋されたカプセルの例示的実施形態を示す図である。
図12B】本発明による多成分システムの異型間架橋及び同型内架橋されたカプセル並びにガスが充填された非架橋のカプセルの概略図である。
図13】本発明に従う本発明による2成分システムにおけるマイクロカプセルの結合状況の図である。
図14】同じサイズを有するが、異なる官能化を伴うマイクロカプセルの本発明による結合の図である。
図15】第1の物質N1と、第2の物質N2とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図16】第1の物質N1と、第2の物質N2と、第3の物質N3とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図17】第1の物質N1と、第2の物質N2と、第3の物質N3とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図18】第1の物質N1と、第2の物質N2とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図19】第1の物質N1と、第2の物質N2とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図20】本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図21】本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図22】本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図23】本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図24】本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図25】本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図26】本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図27】周囲マトリックス中に包埋された本発明による多成分システムの例示的実施形態を示す図である。
図28】周囲マトリックス中に包埋された本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図29】周囲マトリックス中に包埋された本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図30】周囲マトリックス中に包埋された本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図31】周囲マトリックス中に包埋された本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図32】周囲マトリックス中に包埋された本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す図である。
図33】個々の接着剤成分の使用と比較して増強された本発明によるハイブリッド接着剤の作用を示す図である。
図34】周囲媒体中で規格法ASTM D823によって200μmの層厚で塗布された本発明による多成分システムを示す図である。A及びBの図は、活性化前(Aの図)又は活性化後(Bの図)の、カプセルの接続を有しない本発明による2成分システムを示す図である。C及びDの図は、活性化前(Cの図)又は活性化後(Dの図)のカプセルの接続を有する本発明による2成分システムを示す図である。
図35】本発明による多成分システムと、市販のシリコーン接着剤(Elastosil(商標)E43)との付着力の比較を示す図である。
図36】シリコーン及びエポキシ接着剤の様々な混合比を有する本発明による多成分システムでの付着力の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0226】
図1は、第1の物質N1と、第2の物質N2とを含む本発明による多成分システムの例示的実施形態を示す。
【0227】
この例示的実施形態において、多成分システムは、活性化可能である。
【0228】
第1の物質N1及び第2の物質N2が、複数の物質部分に存在することが可能である。
【0229】
この例示的実施形態において、第1の物質N1は、カプセル集団K1において存在する。
【0230】
すなわち、この例示的実施形態において、第1の物質部分は、第1のカプセルK1である。
【0231】
この例示的実施形態において、第2の物質N2は、カプセル集団K2において存在する。
【0232】
すなわち、この例示的実施形態において、第2の物質部分は、第2のカプセルK2である。
【0233】
一般に、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2の物質部分がカプセルK、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内に配置されていることが可能である。
【0234】
この場合に、物質部分は、K1及びK2において、それぞれカプセルシェルS(殻とも呼ばれる)に取り囲まれているコアC(芯とも呼ばれる)を形成する。したがって、「殻-芯」構造に関係している。しかしながら、原則的に、殻-芯-芯構造も考えられる。
【0235】
この例示的実施形態において、第1の物質部分には、少なくとも1つの第1の官能基R2が形成されており、かつ第1のリンカーL1が備え付けられている。
【0236】
この例示的実施形態において、第2の物質部分には、少なくとも1つの第2の官能基R21が形成されており、かつ第2のリンカーL2が備え付けられている。
【0237】
この例示的実施形態において、第1の官能基R2は、予め規定された相互作用を介して第2の官能基R21と反応して、これらを互いに接続する。
【0238】
この例示的実施形態において、官能基とそれぞれの物質部分との距離は、それぞれのリンカーLによって決められている。
【0239】
図2図6に示されるカプセルは、図1に示されるカプセルK1及びカプセルK2と同じに構成されている。
【0240】
この例示的実施形態において、第1の物質部分には、少なくとも1つの第1の官能基R2が形成されており、かつ第1のリンカーL1が備え付けられている。
【0241】
この例示的実施形態において、第2の物質部分には、少なくとも1つの第2の官能基R21が形成されており、かつ第2のリンカーL2が備え付けられている。
【0242】
この例示的実施形態において、第1の官能基R2は、予め規定された相互作用を介して第2の官能基R21と反応して、これらを互いに接続する。
【0243】
この例示的実施形態において、官能基とそれぞれの物質部分との距離は、それぞれのリンカーLによって決められている。
【0244】
第1のリンカーL1が、第2のリンカーL2よりも長いことが可能である(図2を参照)。
【0245】
代替的に、第2のリンカーL2が、第1のリンカーL1よりも長いことが可能である。
【0246】
代替的に、両方のリンカーL1及びL2が同じ長さであることが可能である。
【0247】
図3は、図1又は図2に従う本発明による多成分システムの例示的実施形態を示す。
【0248】
この例示的実施形態において、第1の物質部分と第2の物質部分とは異なる。
【0249】
すなわち、この例示的実施形態において、第1のカプセル集団のカプセルK1と第2のカプセル集団のカプセルK2とは異なる。
【0250】
この例示的実施形態において、第1の物質部分は、第2の物質部分よりも多数の物質部分と接続されている又は接続可能である。
【0251】
すなわち、この例示的実施形態において、カプセルK1は、カプセルK2よりも多数のカプセルKと接続されている又は接続可能である。
【0252】
代替的には、第2の物質部分が、第1の物質部分よりも多数の物質部分と接続されている又は接続可能であることが可能である。
【0253】
すなわち、カプセルK2が、カプセルK1よりも多数のカプセルKと接続されている又は接続可能であることが可能である。
【0254】
図4は、図1図2、又は図3に従う本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0255】
この例示的実施形態において、第1の物質部分及び第2の物質部分は、本質的に異なるサイズを有する。
【0256】
この例示的実施形態において、第1のカプセルK1は、第2のカプセルK2よりも本質的に大きなサイズを有する。
【0257】
一般に、第1の物質N1用のカプセルK1は、第2の物質N2用のカプセルK2とは異なるサイズを有することができ、特に、第1の物質N1用のカプセルK1は、第2の物質N2用のカプセルK2よりも大きい。
【0258】
代替的には、第2の物質部分が、第1の物質部分よりも本質的に大きなサイズを有することが可能である。
【0259】
代替的には、第1の物質部分及び第2の物質部分が、本質的に同一のサイズを有することが可能である。
【0260】
第1の物質部分が本質的に同一のサイズを有し得る、及び/又は第2の物質部分が本質的に同一のサイズを有し得ることは、示されていない。
【0261】
図5は、2つの異なる物質部分の本発明による異型間架橋の例示的実施形態を示す。
【0262】
この例示的実施形態において、カプセルK1とカプセルK2とは異型間架橋されている。
【0263】
この例示的実施形態において、カプセルK1とカプセルK2とは、官能基R2及び官能基R21を介して異型間架橋されている。
【0264】
図6は、2つの同じ物質部分の本発明による同型内架橋の例示的実施形態を示す。
【0265】
この例示的実施形態において、2つのカプセルK1は同型内架橋されている。
【0266】
この例示的実施形態において、2つのカプセルK1は、官能基R2-R2を介して同型内架橋されている。
【0267】
図7は、本発明による2成分システムの例示的実施形態を示す。
【0268】
この例示的実施形態において、2成分システムは、2成分マイクロカプセルシステムである。
【0269】
この例示的実施形態において、2成分システムは、予め規定された相互作用を介してまだ互いに反応していない2成分マイクロカプセルシステムである。
【0270】
特に、2つの異なるカプセル集団K1及びK2が示されており、ここで、第1の物質N1は第1のカプセルK1内にあり、かつ第2の物質N2は第2のカプセルK2内にある。
【0271】
示されるカプセルK1及びカプセルK2は、例えばカプセル集団と呼ばれる多数のカプセルK1及びカプセルK2を表す。
【0272】
この例示的実施形態において、カプセルK1内の第1の物質N1は、第1の接着剤成分である。
【0273】
この例示的実施形態において、第2のカプセルK2内の第2の物質N2は、第2の接着剤成分である。
【0274】
すなわち、第1の物質及び第2の物質は、多成分型接着剤、特に二成分型接着剤の構成要素である。
【0275】
一般に、2つの異なるカプセル集団K1及びK2が、別個の回分反応器において製造されたものであることが可能である。
【0276】
両方のカプセル集団のカプセルK1及びカプセルK2は、官能化されている。
【0277】
第1のカプセルK1の表面に、異なる長さの2つの異なるリンカーL1及びリンカーL3並びに異なる官能基R1及び官能基R2を形成した(表面官能化)。
【0278】
すなわち、官能基Rは異種で形成されている。
【0279】
代替的な例示的実施形態において、官能基Rが同種で形成されていることが可能である。
【0280】
第2のカプセルK2に、リンカーL2及び官能基R21を形成した。
【0281】
第2のカプセルK2の官能基R21は、第1のカプセルK1の官能基R2と共有結合で反応する。
【0282】
この例示的実施形態において、第1のカプセルK1が、第2のカプセルK2よりも多数のカプセルKと接続されている又は接続可能であることが可能である。
【0283】
代替的な例示的実施形態において、第2のカプセルK2が、第1のカプセルK1よりも多数のカプセルKと接続されている又は接続可能であることが可能である。
【0284】
リンカーL3及び官能基R1は、第1のカプセルK1同士を互いに架橋するべきである(同型内架橋)。
【0285】
リンカーL1及び官能基R2並びにリンカーL2及び官能基R21を介して、カプセルK2は共有結合で第1のカプセルK1に結合される(異型間架橋)。
【0286】
両方のカプセルK1及びK2の活性化によって、カプセルK1及びカプセルK2の内容物が放出され得ることから、これにより両方の成分が混合されることとなる。
【0287】
一般に、第1のカプセルK1の表面官能化の密度又は官能基R2の数を介して、第1のカプセルK1に結合する第2のカプセルK2の数を決定することが可能である。
【0288】
一般に、2つの反応性物質は、カプセルK1及びカプセルK2内で互いに別々にカプセル化され、とりわけ共有結合(例えば、クリックケミストリー)、弱い相互作用を介して、生化学的に(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン)、又はその他の様式及び方式で特定の比率にて結合され得る。
【0289】
一般に、3つ以上の異なるカプセルKnが、3種以上の異なる物質、例えば反応性物質をカプセル化することが可能である。
【0290】
一般に、異なるカプセルKnに、3つ以上のリンカーLn及び異なる官能基Rnが形成されていることが可能である。
【0291】
一般に、リンカーLが、カプセルと官能基との間のあらゆる形態の接続であることが可能である。
【0292】
一般に、異種の官能化の場合に、表面、繊維、又はテキスタイルに結合するのに、官能基Rを使用し得ることが可能である。
【0293】
既存のカプセルシステムと同様に、考えられるあらゆる物質をカプセルK1及び/又はカプセルK2及び/又はカプセルKn内に導入することができる。
【0294】
2成分システムの活性化は、圧力、pH値、UV放射、浸透、温度、光強度、水分、誘導等の少なくとも1つの変化によって行われ得る。
【0295】
一般に、2成分カプセルシステムは、あらゆる任意の媒体中で反応され得る。
【0296】
図8は、本発明による同型内架橋されたカプセルシステムの例示的実施形態を示す。
【0297】
この例示的実施形態において、同型内架橋された本発明によるカプセルシステムは、同型内架橋されたマイクロカプセルシステムである。
【0298】
1成分システムが示されている。
【0299】
カプセル集団K1が示されている。
【0300】
カプセルK1は、1種の物質N1で充填されている。
【0301】
この例示的実施形態において、カプセルK1は接着剤で充填されている。
【0302】
この例示的実施形態において、カプセルK1は一成分型接着剤で充填されている。
【0303】
代替的に、カプセルK1は、あらゆる考えられる気体状、固体、粘性、及び/又は液状の物質で充填されている場合がある。
【0304】
代替的に、カプセルK1は、生きている生物及び/又はウイルスで充填されている場合もある。
【0305】
カプセルK1を官能化した。
【0306】
カプセルK1にリンカーL3を備え付けた。
【0307】
カプセルK1に(リンカーL3にある)官能基R1が形成されていることは、示されていない。
【0308】
リンカーL3は、カプセルK1同士を互いに架橋する(同型内架橋)。
【0309】
カプセルK1同士の距離を、リンカーL3の長さによって決めることができる。
【0310】
表面官能化R1の密度に応じて、カプセルK1同士の同型内架橋の程度を決めることができる。
【0311】
リンカーL3の長さは、架橋を確実にするために、カプセルK1の排出される液体の内容物の半径が、隣接カプセルK1の内容物とわずかに重なるように選択されるべきである。
【0312】
より粘性の高い周囲媒体の場合に(例えば接着テープのように)、リンカーL3の長さは、ペースト又は液体等のより低い粘性の媒体の場合よりも短く選択されるべきであろう。
【0313】
図9は、図7に従う本発明による異型間架橋及び同型内架橋された2成分システムの例示的実施形態を示す。
【0314】
第1のカプセルK1及び第2のカプセルK2は、異なる物質で充填されている。
【0315】
この例示的実施形態において、カプセルK1同士は、本質的に同一のサイズを有する。
【0316】
この例示的実施形態において、カプセルK2同士は、本質的に同一のサイズを有する。
【0317】
この例示的実施形態において、カプセルK1及びカプセルK2は、異なるサイズを有する。
【0318】
代替的な例示的実施形態において、カプセルK1及びカプセルK2が、本質的に同一のサイズを有することが可能である。
【0319】
基本的なシステムは、図8における図に対応する。
【0320】
さらに、第1のカプセルK1には、異種のリンカーL1が形成されている。
【0321】
リンカーL1に、第2のカプセル集団K2が結合する(図1を参照)。
【0322】
すなわち、2成分システムは、隙間を有する(網状)構造を有し、ここで、(網状)構造は、第1のカプセルK1から形成されており、かつ隙間内には少なくとも部分的にそれぞれ少なくとも1つのカプセルK2が配置されている。
【0323】
一般に、異なる内容物を有する2成分カプセルK1及びK2を気相中に導入することが可能である。こうして、これらを、例えば吸入装置又は他の薬物送達システムに適用することができる。不活性化されたカプセルが作用部位に到達し、そこで活性化されて、内容物が放出される。また、表面をこの分散体で被覆することができる。
【0324】
一般に、異なる内容物を有する2成分カプセルK1及びK2をペースト状媒体中に導入することが可能である。例えば、このために二成分型接着剤が使用され得る。このペーストは、カプセルが活性化されて互いに反応するまで不活性であり、良好に加工され得る。接着剤の理想的な混合比は、上記のように、第1のカプセルK1及び第2のカプセルK2の比率によって決められている。
【0325】
2成分カプセルシステムの理想的な組成の利点は、液状のシステムにおいても利用され得る。2成分カプセルシステムの両方のカプセルK1及びK2は近接して存在しているため、カプセルK1及びカプセルK2は、個別に分散しているよりも素早く規定通りに互いに反応する可能性が非常に高い。
【0326】
図10は、本発明による二成分型接着テープの製造のワークフローの流れ図を示す。
【0327】
図10は、本質的に、図7に従う2成分カプセルシステムを基礎としている。
【0328】
全体として、本発明による二成分型接着テープの製造は、4つの工程S1~S4に分けられる。
【0329】
第1の工程S1において、第1のカプセルK1及び第2のカプセルK2を官能化する(図7を参照)。
【0330】
本2成分システムでは、2つのリンカーL1及びL3を有する第1のカプセルK1に、異種の官能基R1及び官能基R2を形成する。
【0331】
別個の回分アプローチにおいて、リンカーL2を有するカプセルK2の第2の集団を、官能基R21により官能化する。
【0332】
官能基R21は、これが別個の反応工程において第1のカプセルK1の官能基R2と(共有結合で)反応するように選択されるべきである。
【0333】
第2の工程S2において、官能化された第2のカプセルK2を、官能化された第1のカプセルK1に加える。
【0334】
官能基R2と官能基R21とが、互いに(共有結合で)結合する(異型間架橋)。
【0335】
一般に、第3のカプセル集団又は任意の多さの更なるカプセル集団K3~Knを、第1のカプセル集団K1及び/又は第2のカプセル集団K2に加えることも可能である。
【0336】
それぞれの追加のカプセル集団K3~Knは、またしても少なくとも1つの官能基で官能化されている場合がある。
【0337】
第3の工程S3において、先行する工程S2からの異種のカプセル分散液を、まだ低粘性のコンタクト接着剤、ここでは接着テープBに導入する。
【0338】
これにより、接着テープBの全域を通して形成される予め決められた(同型内)架橋反応が生ずる。
【0339】
第4の工程S4において、架橋された2成分カプセル集団を塗布し、接着テープBを乾燥させる。
【0340】
この場合に、接着テープBの粘度は明らかに高まるが、網状組織は接着テープ上で均一に分布したままである。
【0341】
工程S1において、第1のカプセルK1が官能化の間に既に早期に互いに架橋してしまわないように、リンカーL3の官能基R1になおも保護基SGが形成されている場合があることが示されている。
【0342】
さらに、工程S3において、保護基SGが除去されることが示されている。
【0343】
保護基の除去によって、カプセルK1の同型内架橋が可能となり得る。
【0344】
種々の周囲媒体中での可能な用途:
本発明による二成分型接着テープの製造についての本明細書に記載されるワークフローから出発して、2成分カプセルシステムは、代替的に他の媒体中で、かつ全てのカプセル化された物質とともに使用され得る。
【0345】
とりわけ、気体、液状、ペースト状、低粘性及び高粘性の媒体、並びに固体表面被覆が周囲媒体として考えられる。
【0346】
一般に、カプセルKは、ナノカプセル又はマイクロカプセルとして構成されていることが可能である。
【0347】
一般に、上記方法は、少なくとも1種の第1の物質と、少なくとも1種の第2の物質とを含み、第1の物質及び第2の物質が複数の物質部分に存在し、活性化可能である更なる多成分システムの製造を可能にし、以下の工程:
第1の物質部分に、少なくとも1つの第1の官能基R2を形成し、かつ第1のリンカーL1を備え付ける工程と、
第2の物質部分に、少なくとも1つの第2の官能基R21を形成し、かつ第2のリンカーL2を備え付ける工程と、
を含み、
第1の官能基R2は、予め規定された相互作用を介して第2の官能基R21と反応して、これらが互いに接続され、かつ、
官能基Rとそれぞれの物質部分との距離は、それぞれのリンカーLによって決められる。
【0348】
一般に、第1の物質部分に、少なくとも1つの第3の官能基R1が形成されており、かつ第3のリンカーL3が備え付けられていることが可能である。
【0349】
一般に、第3の官能基R1がそれぞれ少なくとも1つの保護基SGを有するため、第1の物質の物質部分には、第1の物質の相応して官能化された物質部分しか結合することができないことが可能である。
【0350】
一般に、上記方法は、保護基SGが最初に存在し、第1の物質部分が第3の官能基R1によって互いに接続されるべきであるときに初めてその保護基を除去する工程を少なくとも更に含むことが可能である。
【0351】
一般に、官能基R1がそれぞれ少なくとも1つの保護基を有するため、第1の物質の物質部分には、第2の物質の相応して官能化された物質部分しか結合することができないことが可能である。
【0352】
さらに一般に、多成分システムの製造方法は、保護基が最初に存在し、第1の物質部分及び第2の物質部分が第1の官能基R2及び第2の官能基R21によって互いに接続されるべきであるときに初めてその保護基を除去する工程を少なくとも更に含むことが可能である。
【0353】
図11Aは、本発明による高粘性のシステムにおける1成分システムの同型内架橋されたカプセルの概略図を示す。
【0354】
この例示的実施形態において、図8に記載されるような架橋された1成分システムは、高粘性のシステム中に導入されている。
【0355】
高粘性のシステムは、接着テープBである。
【0356】
代替的に、他の高粘性、液状、気体状、ペースト状、又は低粘性のシステムが考えられる。
【0357】
この例示的実施形態において、接着テープBは、片面の接着テープBである。
【0358】
代替的には、接着テープBの両面の態様も可能である。
【0359】
通常、高粘性のシステムの場合には拡散の問題があるため、接着テープB内のカプセルK1の内容物は、接着される両方の材料間で交差架橋を達成しない。
【0360】
1成分システムの(同型内)架橋によって、カプセルK1同士の距離及び架橋度は、カプセルK1の内容物が高粘性の接着剤を通じて架橋されたシステムを形成するように選択され得る。
【0361】
この基本原理を、図12Aに示されるような2成分システムに拡張することもできる。そこでは、(異型間及び同型内)架橋機構が使用される。
【0362】
2成分システムが、カプセルK1及びカプセルK2の事前の異型間架橋によってのみ接着テープ内に導入され得ることも、示されていない。
【0363】
図11Bは、本発明による1成分システムの同型内架橋されたカプセル及びガスが充填された非架橋のカプセルの概略図を示す。
【0364】
代替的に、非架橋のカプセルに固体又は液状の物質が充填されている場合もある。
【0365】
図11Aによる1成分システムの同型内架橋されたカプセルK1に加えて、ガスが充填された非架橋のカプセルKGの更なる集団を、例えば接着テープB等の高粘性の接着剤中に導入することができ、これにより破裂時にガスが放出されるため、カプセルK1の液状成分のための空き領域が作り出される、又は接着テープを再び剥がすことが可能となる。
【0366】
さらに、溶けるプレースホルダー(Platzhalter)(例えば、繊維等)を接着テープB内に導入することが考えられる。
【0367】
こうして、通路が作り出されることとなり、その中でカプセルK1の液状接着剤は、接着テープB内の広い範囲にわたって広がり架橋することができる。
【0368】
さらに、液体が充填されたカプセルK1を細管(Roehrchen)内に充填し、これらを接着テープB内に導入することが可能である。
【0369】
ここでは、架橋は細管の長さの範囲内で起こり得る。
【0370】
この基本原理を、図12Bに示されるような2成分システムに拡張することもできる。
【0371】
ここでは、異型間架橋機構及び同型内架橋機構が使用される。
【0372】
1成分システムの第1のカプセルK1に加えて、第2のカプセル集団K2が導入される。
【0373】
この機構により二成分型接着システムを接着テープB内に導入することが可能となる。
【0374】
記載されるシステムは、1成分カプセルシステム又は2成分カプセルシステムに限定されない。
【0375】
それぞれのシステムのサイズ及び官能化に応じて、任意の多さのカプセル集団Knを相互結合させて、互いに架橋させることができる。
【0376】
個々の成分の組合せによって、非常に幅広い新たな機能様式、したがって新たな可能な用途を発展させることができる。
【0377】
以下に、ポリメチルメタクリレートマイクロカプセルの製造を例示的に記載する:
【0378】
最初に、2.5gのポリメチルメタクリレート(PMMA)を11.5mlのトルエン中に溶解する。引き続き、油を混ぜ入れる。マイクロカプセル化のために、均質な溶液を45mlの1重量%のポリビニルアルコール(PVA)溶液中に加える。エマルジョンを800回転/分で30分間撹拌する。引き続き、トルエンを蒸発させる。こうして得られたPMMAコーティング材料を含むマイクロカプセルKを蒸留水で洗浄し、5000回転/分で遠心分離し、真空炉内において50℃で一晩乾燥させる。
【0379】
次に、マイクロカプセルの表面をシラン化する。マイクロカプセルを流動床反応器に加える。コーティング材料として、5%の(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)水溶液を使用する。コーティング過程後に、表面上へのアミノシランの最適な結合を得るために、マイクロカプセルを真空炉内において80℃で1時間乾燥させる。さらに、反応前にマイクロカプセルKの表面を酸素プラズマで活性化させることができる。
【0380】
2つのカプセル集団K1及びK2(異なる内容物を含むカプセルK)の異型間架橋のために、相補的なカプセル集団Kをカルボキシル基で官能化することができる。ここで、手順は上記のシラン化と類似している。しかしながら、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)の代わりにシラン-PEG-COOHを使用する。
【0381】
引き続き、カプセルKを更に、単分散性を高めるために、種々の孔径を有する篩で篩別することができる。これは、後続の結合過程で、両方のカプセル内容物の体積比を、カプセルKのサイズを介して厳密に決めることができるという利点を有する。
【0382】
次に、マイクロカプセルの結合を行う。第1のマイクロカプセルK1は第一級アミンで官能化されているのに対して、第2のマイクロカプセルK2はカルボキシル基で官能化されている。後続工程で、80μlの10%のカルボキシル官能化されたマイクロカプセル懸濁液を水溶液に加え、7μLの2Mの(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)溶液(EDC溶液)及び7μLの0.3MのN-ヒドロキシスクシンイミド溶液(NHS溶液)を加えて、室温で1時間撹拌する。カルボキシル官能基を反応させて、活性エステルにする。引き続き、カルボキシルマイクロカプセルK2と同じ比率で、アミンマイクロカプセルK1をその溶液に加えて、室温で軽く撹拌しながら2時間相互結合させる。引き続き、互いに反応していない官能基をエタノールアミンで遮断し、篩を通してカプセルを濾別し、蒸留水で洗浄して、真空炉内において50℃にて1時間乾燥させる。
【0383】
図13において、ほとんどのマイクロカプセルKが比率1:1で相互結合していることを認識することができる。
【0384】
さらに、1:2の比率で結合した又は全く相互結合していないマイクロカプセルKが幾らか存在する。
【0385】
引き続き、2成分マイクロカプセルKの品質を保証するために、種々の孔径を有する篩を介してサイズ又はそれらの結合比に従って、マイクロカプセルKを精製する。マイクロカプセルKにある官能基の数によって、マイクロカプセルKの結合比に影響を及ぼすこともできる。
【0386】
同じサイズ(例えば、8μm)を有するが、官能化が異なるマイクロカプセルK同士が相互結合されていることが可能である。線状ポリマーによる官能化の場合には1:1の結合が優勢である(図14を参照)。多価を有するポリマーによる官能化の場合には三重の結合が優勢である。
【0387】
マイクロカプセルの官能化を、吸着を介して行うことも可能である。
【0388】
特にプラスチック表面を有するマイクロカプセルの場合に、マイクロカプセルの官能化を、吸着を介して行うことができる。プラスチック表面の有利な例は、アクリル樹脂、ポリ乳酸、ナイロン6及びナイロン12、エポキシ樹脂、並びにポリスチレンである。
【0389】
マイクロカプセルの表面への吸着には、有利にはアルキル鎖又は第一級アミンが使用される。
【0390】
第2の官能基は自由に選択され得るため、マイクロカプセルを結合する後続工程で利用可能である。
【0391】
マイクロカプセルのプラスチック表面は、マイクロカプセル化方法で直接的に又はこうして得られた多層マイクロカプセルによる第2工程で生成し得る。
【0392】
代替的な例示的実施形態において、金属粒子若しくは金属シェルを有する第2のマイクロカプセル集団を製造することができる、及び/又は第2のマイクロカプセル集団を金属粒子若しくは金属シェルで被覆することができる。
【0393】
両方のマイクロカプセル集団に、両方のマイクロカプセル集団の結合剤として4-アミノベンゼンチオールを加える。
【0394】
第一級アミンは吸着を介してプラスチック表面を有するマイクロカプセルに結合し、チオール基は金属表面に結合する。
【0395】
さらに、国際公開第2017/192407号に記載されるようにマイクロカプセル法の間に官能化することが可能である。
【0396】
それによれば、例えば、水(20ml)、酢酸エチル(5ml)、炭酸水素ナトリウム(0.580g)、約1.0mgのズダンブラック、及び1滴のTween 20を含む混合物を、機械式撹拌機(約500ml)を使用して室温で激しく混合する(500rpmで5分間)。この混合物に77mgの1,3-ビスクロロスルホニルベンゼンを添加し、その上で約3分間撹拌する。次に、混合物を3,5-ジアミノ安息香酸で処理し、更に72時間激しく撹拌する。混合物中で起こっている反応を観察するために、激しく撹拌し始めてから30分後とともに、その後12時間の間隔でアリコートを取り出す。顕微鏡で観察すると、アリコートは、ズダンブラック染料が中に含まれる1マイクロメートル~2マイクロメートルの直径を有するカプセルの形成を示す。反応は数時間後に終わる。カプセルは表面上に複数の-COOH基を有することが想定される。
【0397】
さらに、国際公開第2017/192407号に記載される更なる方法に従ってマイクロカプセル法の間に官能化することが可能である。
【0398】
それによれば、第2の物質部分が、別個の回分アプローチにおいて同じ方法に従って、表面上に第一級アミンのみを伴って作製され得る。
【0399】
引き続き、先の例でのような表面上にCOOHを有するマイクロカプセル集団をEDC/NHSで活性化し、アミン-カプセル集団を加え、カプセル同士を互いに共有結合させることができる。後続工程において、カプセルを洗浄(任意選択で濾過)し、乾燥させることができる。次に、こうして含まれるカプセルを、更なる周囲媒体中に導入することができる。
【0400】
考えられる更なる製造方法は、例えば、Yip, J and Luk, MYA, Antimicrobial Textiles, Woodhead Publishing Series in Textiles, 2016, Pages 19-46, 3-Microencapsultion technologies for antimicrobial textilesに記載されている。
【0401】
マイクロカプセルに、荷電を介して金属粒子を適用することも考えられる。同型内架橋が可能である。
【0402】
表面上に金属粒子を有するマイクロカプセルを製造した後に、アルコール及びメルカプタンからの混合物(SAMポリマー)をカプセルに加えることが考えられる。
【0403】
官能化されたチオールの場合に、第2の官能基を任意に選択することができる。チオール結合は金属表面に結合する。チオール分子の残基、すなわち第2の官能基はマイクロカプセル結合用の官能基として利用可能である。
【0404】
マイクロカプセルに加えられる1種以上のSAMポリマーの選択によって、表面の官能基を同種又は異種で構成することができる。
【0405】
さらに、リンカーの長さを、適切なメルカプタンによって決めることができる。
【0406】
例示的実施形態において、短いリンカーのためにエタンチオールを選択することが可能である。より長いリンカーのためには、11-メルカプトウンデカン酸を選択することができる。
【0407】
さらに、マイクロカプセルの官能化された表面を第2のポリマー、例えばPEGと結合させることで、リンカーの長さを更に長くすることが可能である。
【0408】
SAM表面としては、二亜硫酸塩、リン酸、シラン、チオール、及び高分子電解質が使用され得る。特に、アセチルシステイン、ジメルカプトコハク酸、ジメルカプトプロパンスルホン酸、エタンチオール(エチルメルカプタン)、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、カプトプリル、補酵素A、システイン、ペニシラミン、1-プロパンチオール、2-プロパンチオール、グルタチオン、ホモシステイン、メスナ、メタンチオール(メチルメルカプタン)、及び/又はチオフェノールが使用され得る。
【0409】
異型間架橋が可能である。
【0410】
金属ナノ粒子を有するマイクロカプセルを上記のように製造することができる。
【0411】
引き続き、アルコール及びジチオエーテルからの混合物を加えることができる。
【0412】
その一方の官能基Rは保護されている。
【0413】
こうしてマイクロカプセルは官能化される。
【0414】
次に、マイクロカプセルの表面上に存在する金属ナノ粒子の数を介して、官能化の数又は密度、したがって官能基の数を決めることができる。これにより、互いに同型内架橋又は異型間架橋を介して相互に反応するマイクロカプセルK2の数を決めることが可能である。
【0415】
後続工程において、これらのマイクロカプセルを、例えばコンタクト接着剤(又は同等物)等の所望の周囲媒体中に導入することができる。
【0416】
異型間架橋のために、NCO基が保護されている4-イソシアナトブタン-1-チオールを使用することが考えられる。
【0417】
保護基の除去、したがって官能基Rの活性化は、ここでは、まだ低粘性のコンタクト接着剤中で行われる。こうして遊離されたNCO基は、水性環境(例えば、コンタクト接着剤の溶剤)中で互いに架橋して尿素となり得る。
【0418】
図15は、第1の物質N1と、第2の物質N2とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0419】
第1の物質N1と、第2の物質N2とを有し、第1の物質N1及び第2の物質N2がそれぞれ1つの物質部分に存在する多成分システムが示されている。
【0420】
代替的には、第1の物質N1の複数の物質部分及び第2の物質N2の複数の物質部分が存在し得る。
【0421】
代替的に、多成分システムは、1つ以上の物質部分に存在し得る少なくとも1種の第3の物質N3をなおも含み得る。
【0422】
この例示的実施形態において、第1の物質N1及び第2の物質N2は、表面OF上に載置されている。
【0423】
この例示的実施形態において、第1の物質N1及び第2の物質N2は、表面OF上に帯路として塗被されている。
【0424】
両方の物質部分は、最初は別々に、すなわち互いの接触点又は接触線なしに表面OF上に載置されている。
【0425】
代替的に、物質部分は、接触点及び/又は接触線を伴って表面OF上に載置されている場合もある(図17を参照)。
【0426】
代替的に及び/又は追加的に、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2は、ドット、球、線条、円、楕円として、又は他の幾何学的形状若しくは非幾何学的形状において塗被されている場合がある(図18及び図19を参照)。
【0427】
一般に、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2は、表面OFの小区分上に(例えば、縁部に、角部において、複数の角部において、帯路又は円等に沿って)又は全表面OF上に塗被されている場合がある。
【0428】
一般に、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2の少なくとも1つの物質部分は、幾何学的パターン又は不規則な様式及び方式で表面OF上に塗被されている場合がある。
【0429】
この例示的実施形態において、表面OFは金属表面である。
【0430】
代替的に、表面は、プラスチック表面、フィルム、木材表面、テキスタイル表面、紙表面、ワックス表面等であり得る。
【0431】
この例示的実施形態において、第1の物質N1及び第2の物質N2をディスペンサーで塗被した。
【0432】
この例示的実施形態において、第1の物質N1は一成分型接着剤である。
【0433】
この例示的実施形態において、第2の物質N2は一成分型接着剤である。
【0434】
代替的に、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2は、接着剤ではなく、封止性成分、絶縁性成分、熱伝導性成分、電気伝導性成分、抗生性成分、抗微生物性成分、又は他の成分であり得る。
【0435】
第1の物質N1及び第2の物質N2は、それらの特性の点で異なる。
【0436】
図15の一実施形態において、代替的には、第1の物質N1は二成分型接着剤の第1の成分である場合があり、第2の物質N2は二成分型接着剤の第2の成分である場合がある。
【0437】
図15の一実施形態において、第1の物質N1は、第1の組成を有する第1の多成分型接着剤を含む場合があり、第2の物質N2は、第2の組成を有する第2の多成分型接着剤を含む場合がある。
【0438】
図15の一実施形態において、第1の物質N1は、第1の組成を有するエポキシ接着剤を含む場合があり、第2の物質N2は、第2の組成を有するエポキシ接着剤を含む場合がある。
【0439】
図15の一実施形態において、代替的には、第1の物質N1は、多成分型接着剤を含む場合があり、第2の物質N2は、一成分型接着剤を含む場合がある。
【0440】
図15の一実施形態において、代替的には、第1の物質N1は、エポキシ接着剤の第1の成分を含む場合があり、ここで、第1の成分は、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内にカプセル化されている複数の物質部分に存在し、第2の物質N2は、エポキシ接着剤の第2の成分を含む場合があり、ここで、第2の物質N2は、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内にカプセル化されている複数の物質部分に存在する。
【0441】
図15の一実施形態において、代替的には、第1の物質N1は、第1の組成を有するエポキシ接着剤を含む場合があり、第2の物質N2は、第2の組成を有するシリコーンベースの接着剤を含む場合がある。
【0442】
図15の一実施形態において、代替的には、第1の物質N1は、第1の組成を有するエポキシ接着剤を含む場合があり、第2の物質N2は、第2の組成を有するポリウレタン接着剤を含む場合がある。
【0443】
図15の一実施形態において、代替的には、第1の物質N1は、第1の組成を有するエポキシ接着剤を含む場合があり、第2の物質N2は、第2の組成を有するアクリレート接着剤を含む場合がある。すなわち、多成分システムはハイブリッド接着剤システムであり得る。
【0444】
図15の一実施形態において、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2の少なくとも1つの物質部分は、カプセルK、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内に配置されている場合がある(図21及び図22を参照)。
【0445】
図16は、第1の物質N1と、第2の物質N2と、第3の物質N3とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0446】
第1の物質N1と、第2の物質N2と、第3の物質N3とを有し、第1の物質N1、第2の物質N2、及び第3の物質N3がそれぞれ1つの物質部分又は接着剤帯路に存在する多成分システムが示されている。
【0447】
代替的には、第1の物質N1の複数の物質部分、第2の物質N2の複数の物質部分、及び/又は第3の物質N3の複数の物質部分が存在し得る。
【0448】
代替的に、多成分システムは、1つ以上の物質部分に存在し得る少なくとも1つの第4の物質をなおも含み得る。
【0449】
この例示的実施形態において、第1の物質N1、第2の物質N2、及び第3の物質N3は、表面OF上に載置されている。
【0450】
この例示的実施形態において、物質N1、物質N2、物質N3は表面OF上に帯路として塗被されており、ここで、第3の物質N3は、第1の物質N1と第2の物質N2との間に存在する。
【0451】
3つの物質部分は、最初は別々に、互いの接触点なしに表面OF上に載置されている。
【0452】
代替的に、3つの物質部分は、少なくとも部分的に互いに接触している場合がある(図17を参照)。
【0453】
代替的に及び/又は追加的に、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2及び/又は第3の物質N3は、ドット、球、線条、円、楕円として、又は他の幾何学的形状若しくは非幾何学的形状において塗被されている場合がある。
【0454】
この例示的実施形態において、表面OFは金属表面である。
【0455】
代替的に、表面は、プラスチック表面、フィルム、木材表面、テキスタイル表面、紙表面、ワックス表面等であり得る。
【0456】
この例示的実施形態において、第1の物質N1は、二成分型接着剤の第1の成分である。
【0457】
この例示的実施形態において、第2の物質N2は、二成分型接着剤の第2の成分である。
【0458】
この例示的実施形態において、第3の物質N3は、活性化されるまで第1の物質N1と第2の物質N2との間の反応を妨げる不活性物質である。
【0459】
図17は、第1の物質N1と、第2の物質N2と、第3の物質N3とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0460】
第1の物質N1と、第2の物質N2と、第3の物質N3とを有し、第1の物質N1、第2の物質N2、及び第3の物質N3がそれぞれ1つの物質部分に存在する多成分システムが示されている。
【0461】
代替的には、第1の物質N1の複数の物質部分、及び/又は第2の物質N2の複数の物質部分、及び/又は第3の物質N3の複数の物質部分が存在し得る。
【0462】
代替的に、多成分システムは、1つ以上の物質部分に存在し得る少なくとも1種の第4の物質をなおも含み得る。
【0463】
この例示的実施形態において、第1の物質N1、第2の物質N2、及び第3の物質N3は、表面OF上に載置されている。
【0464】
この例示的実施形態において、第1の物質N1、第2の物質N2、及び第3の物質N3は、表面OF上に帯路として塗被されている。
【0465】
物質部分は、(第1の物質N1と第2の物質N2との間及び第2の物質N2と第3の物質N3との間の)接触線を伴って表面OF上に載置されている。
【0466】
代替的に、幾つかの接触点も可能である。
【0467】
代替的に、第1の物質N1と第2の物質N2との間又は第2の物質N2と第3の物質N3との間だけの接触点及び/又は接触線も可能である。
【0468】
代替的に、物質部分はまた、特に最初は別々に、すなわち互いの接触点又は接触線なしに表面OF上に載置されている場合がある(図15又は図16を参照)。
【0469】
代替的に及び/又は追加的に、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2及び/又は第3の物質N3は、ドット、球、線条、円、楕円として、又は他の幾何学的形状若しくは非幾何学的形状において塗被されている場合がある(図18を参照)。
【0470】
図18は、第1の物質N1と、第2の物質N2とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0471】
第1の物質N1と、第2の物質N2とを有し、第1の物質N1及び第2の物質N2がそれぞれ複数の物質部分に存在する多成分システムが示されている。
【0472】
代替的には、第1の物質N1の1つだけの物質部分及び/又は第2の物質N2の1つだけの物質部分が存在し得る(図15を参照)。
【0473】
代替的に、多成分システムは、1つ以上の物質部分に存在し得る少なくとも1種の第3の物質をなおも含み得る。
【0474】
この例示的実施形態において、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、表面OF上に載置されている。
【0475】
この例示的実施形態において、第1の物質N1及び第2の物質N2は、表面OF上にドットとして塗被されている。
【0476】
物質部分は、最初は別々に、すなわち互いの接触点又は接触線なしに表面OF上に載置されている。
【0477】
代替的に、物質部分は、接触点及び/又は接触線を伴って表面OF上に載置されている場合もある(図17を参照)。
【0478】
代替的に及び/又は追加的に、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2は、球、線条、円、楕円、帯路、線として、又は他の幾何学的形状若しくは非幾何学的形状において塗被されている場合がある(図15を参照)。
【0479】
この例示的実施形態において、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、表面OF全体に広がっている。
【0480】
代替的に、第1の物質N2の物質部分及び/又は第2の物質N2の物質部分は、表面OFの小区分上にのみ、例えば帯路(図19を参照)又は円において、縁部に沿って、角部等において広がっている場合がある。
【0481】
図19は、第1の物質N1と、第2の物質N2とを含む本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0482】
図19の図の説明は、本質的に、図18の図の説明から導き出すことができる。しかしながら、第1の物質N2の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、表面OFの小区分上にのみ、ここでは(二重の)帯路において広がっている。
【0483】
代替的には、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、複数の帯路において表面上に広がって存在する場合がある。
【0484】
代替的には、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、別個の帯路において存在する場合がある(図23を参照)。
【0485】
一般に、個々の帯路の間に不活性物質(例えばまた、帯路の形で)が配置されていることが可能である(図23を参照)。
【0486】
図20は、本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0487】
この例示的実施形態において、1種の第1の物質N1及び1種の第2の物質N2が、帯路として表面OF上に適用されている。
【0488】
この例示的実施形態において、第1の物質N1上に、第3の物質N3が複数の物質部分で、ここではカプセル(特にマイクロカプセル又はナノカプセル)の形態で載置されている。
【0489】
代替的に、第3の物質N3は、第1の物質N1中に又は第1の物質N1の隣に載置されている場合もある。
【0490】
図20の一実施形態において、第1の物質N1は、エポキシ接着剤の第1の成分を含む場合があり、第3の物質N3は、エポキシ接着剤の第2の成分を含む場合があり、ここで、第3の物質N3は、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内にカプセル化されている複数の物質部分に存在する。
【0491】
すなわち、第3の物質N3は、カプセル、特にマイクロカプセル又はナノカプセル内に存在するエポキシ接着剤の成分を含み、第1の物質N1は、カプセル内には存在しないが、表面OF上に載置されているエポキシ接着剤の更なる成分を含む。
【0492】
多成分システムは、ここでも第2の物質N2、例えば他の接着剤(例えば、シリコーン接着剤又はポリウレタン接着剤)を含む。
【0493】
この例示的実施形態において、カプセルは活性化可能である。
【0494】
図20の一実施形態において、第1の物質N1及び第3の物質N3は、活性化可能な二成分型接着剤システムを表す場合がある。
【0495】
図20の一実施形態において、代替的には、二成分型接着剤の両方の成分はカプセル内に存在し得る場合がある。
【0496】
図20の一実施形態においては、第2の物質N2中、その上、又はそれに接して、(例えばマイクロカプセル又はナノカプセルの形態で)カプセル化されて存在する第4の物質N4が載置されている場合がある。例えば、ポリウレタン接着剤の成分が物質N4としてカプセル化されて存在する場合があり、ここで、ポリウレタン接着剤の少なくとも1つの成分は物質N3として存在する場合がある。
【0497】
図20の一実施形態において、代替的には、第2の物質N2はカプセル化された形態で存在し得る場合がある。
【0498】
図21は、本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0499】
少なくとも1種の第1の物質N1と、少なくとも1種の第2の物質N2とを有し、第1の物質N1及び第2の物質N2が複数の物質部分に存在する多成分システムが示されている。
【0500】
この例示的実施形態においては、第1の物質N1及び第2の物質N2の物質部分は、それぞれ1つのカプセルK、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内に配置されている。
【0501】
この例示的実施形態において、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、表面OF上に載置されている。
【0502】
この例示的実施形態において、表面OFは金属表面である。
【0503】
代替的に、表面OFは、木材表面、プラスチック表面、紙表面、テキスタイル表面、フィルム等であり得る。
【0504】
この例示的実施形態において、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、互いに規定の距離を伴って配置されていない。
【0505】
代替的に及び/又は追加的に、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、互いに規定の距離で配置されている場合がある(図22を参照)。
【0506】
図21の一実施形態においては、第1の物質N1は二成分型接着剤、例えばエポキシ接着剤の第1の成分であり得る場合がある。
【0507】
代替的に、第1の物質は、シリコーン接着剤又は一成分型接着剤であり得る。
【0508】
図21の一実施形態においては、第2の物質N2は二成分型接着剤、例えばエポキシ接着剤の第2の成分であり得る場合がある。
【0509】
代替的に、第2の物質は、シリコーン接着剤、プラスチック接着剤、又はポリウレタン接着剤であり得る。
【0510】
図21の一実施形態において、代替的に、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、1つの共通のカプセルK又は1つのダブルカプセル若しくは多成分カプセル内に存在し得る場合がある。
【0511】
ダブルカプセル又は多成分カプセルの場合に、第1の物質N1を含むカプセル及び第2の物質N2を含むカプセルの結合を、弱い相互作用及び/又は共有結合を介して行うことができる。
【0512】
図21の一実施形態において、第1の物質N1のカプセル及び第2の物質N2のカプセルに加えて、なおも第3の物質を含むカプセルが存在し得る場合がある。
【0513】
第3の物質N3はカプセル化されずに存在する場合もある。
【0514】
第3の物質N3は、例えば封止機能、熱伝導機能、絶縁機能、電気伝導機能等の更なる特性を有し得る。第3の物質N3は接着特性を有する場合もある。
【0515】
第3の物質N3は、例えばシリコーン接着剤及び/又はポリウレタン接着剤であり得る。
【0516】
図21の一実施形態において、4種以上の物質も可能であり得る。
【0517】
この例示的実施形態において、物質N1を含むカプセル及び物質N2を含むカプセルは、事前塗被された接着剤として被接着表面OF上に適用されている。
【0518】
図21の一実施形態においては、カプセルを、圧力、温度差、誘導、及び/又は超音波を介して活性化させて、第1の物質N1及び/又は第2の物質N2をカプセルから放出することができる。
【0519】
一般に、第1の物質N1を含むカプセル及び第2の物質N2を含むカプセルについての活性化機構及び/又は必要とされる活性化エネルギーは、異なっている場合も又は同じである場合もある。
【0520】
この例示的実施形態においては、事前塗被可能な接着剤は、金属表面OF上に酸化物層が形成されるのを妨げる。
【0521】
図21の一実施形態においては、カプセルは、周囲マトリックス中に包埋されている場合もあり得る(図27図32を参照)。周囲マトリックスにより、カプセルの容易な塗布が可能となることに加えて、金属表面OFが酸化から保護される。
【0522】
周囲マトリックスは、例えばアクリルペイント又はアクリル塗料、接着剤又は水系の接着剤であり得る。
【0523】
周囲マトリックスの様々な塗布パターンは、例えば、図15図20及び図22図25の塗布パターンに類似している。
【0524】
図22は、本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0525】
少なくとも1種の第1の物質N1と、少なくとも1種の第2の物質N2とを有し、第1の物質N1及び第2の物質N2が複数の物質部分に存在する多成分システムが示されている。
【0526】
この例示的実施形態においては、第1の物質N1及び第2の物質N2の物質部分がそれぞれ1つのカプセルK、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内に配置されている。
【0527】
この例示的実施形態において、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、表面OF上に載置されている。
【0528】
この例示的実施形態において、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、互いに規定の距離で配置されている。
【0529】
特に、物質(N1又はN2)の個々の物質部分の間の距離も、異なる物質の物質部分の間の距離も規定されている。
【0530】
代替的に、物質(N1又はN2)の個々の物質部分の間の距離、又は異なる物質の物質部分の間の距離のみが規定されている場合がある。
【0531】
代替的に及び/又は追加的に、第1の物質N1の物質部分及び/又は第2の物質N2の物質部分は、互いに規定の距離で配置されていない場合がある(図21を参照)。
【0532】
図22の一実施形態においては、第1の物質N1は二成分型接着剤の第1の成分であり得る場合がある。
【0533】
代替的に、第1の物質は、シリコーン接着剤又は一成分型接着剤であり得る。
【0534】
図22の一実施形態においては、第2の物質N2は二成分型接着剤の第2の成分であり得る場合がある。
【0535】
代替的に、第2の物質は、シリコーン接着剤、プラスチック接着剤、又はポリウレタン接着剤であり得る。
【0536】
図22の一実施形態において、第1の物質N1のカプセル及び第2の物質N2のカプセルに加えて、なおも少なくとも1種の更なる物質を含むカプセルが存在し得る場合がある(全体で3種以上の物質)。
【0537】
図23は、本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0538】
図23の図の説明は、本質的に、図18の図の説明から導き出すことができる。しかしながら、第1の物質N2の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、表面OFの小区分上にのみ、ここでは帯路において広がっている。
【0539】
この例示的実施形態において、第1の物質の物質部分及び第2の物質の物質部分は、別個の帯路において存在する。
【0540】
代替的には、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、1つ以上の共通の帯路において存在する場合がある(図19を参照)。
【0541】
さらに、第1の物質N1の帯路と第2の物質N2の帯路との間に、なおも第3の物質N3、例えば不活性物質が載置されている場合がある(図24を参照)。
【0542】
図24は、本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0543】
図24の図の説明は、本質的に、図23の図の説明から導き出すことができる。
【0544】
さらに、第1の物質N1の帯路と第2の物質N2の帯路との間に、なおも第3の物質N3、ここでは不活性物質が塗被されている。
【0545】
図25は、本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0546】
第1の物質N1と、第2の物質N2と、第3の物質N3と、第4の物質N4とを有し、第1の物質N1、第2の物質N2、第3の物質N3、及び第4の物質N4が複数の物質部分に存在する多成分システムが示されている。
【0547】
この例示的実施形態においては、第1の物質N1、第2の物質N2、第3の物質N3、及び第4の物質N4の各物質部分がそれぞれ1つのカプセルK、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内に配置されている。
【0548】
この例示的実施形態において、第1の物質N1、第2の物質N2、第3の物質N3、及び第4の物質N4の物質部分は、表面OF上に載置されている。
【0549】
この例示的実施形態において、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、互いに規定の距離で配置されている。
【0550】
第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、表面OF上に帯路の形態で配置されている。
【0551】
第3の物質N3の物質部分及び第4の物質N4の物質部分は、表面OF上に帯路の形態で配置されている。
【0552】
この例示的実施形態において、第3の物質N3の物質部分及び第4の物質N4の物質部分は、互いに規定の距離で配置されている。
【0553】
特に、物質(N1、N2、N3、又はN4)の個々の物質部分の間の距離も、異なる物質の物質部分の間の距離も規定されている。
【0554】
代替的に、物質(N1、N2、N3、又はN4)の個々の物質部分の間の距離、又は異なる物質の物質部分の間の距離のみが規定されている場合がある。
【0555】
代替的に及び/又は追加的に、第1の物質N1の物質部分及び/又は第2の物質N2の物質部分及び/又は第3の物質の物質部分及び/又は第4の物質N4の物質部分は、互いに規定の距離で配置されていない場合がある。
【0556】
図25の一実施形態においては、第1の物質N1は二成分型接着剤の第1の成分であり得る場合がある。
【0557】
代替的に、第1の物質は、シリコーン接着剤又は一成分型接着剤であり得る。
【0558】
図25の一実施形態においては、第2の物質N2は二成分型接着剤の第2の成分であり得る場合がある。
【0559】
代替的に、第2の物質N2は、シリコーン接着剤、プラスチック接着剤、又はポリウレタン接着剤であり得る。
【0560】
図25の一実施形態においては、第3の物質N3は二成分型接着剤の第1の成分であり得る場合がある。
【0561】
代替的に、第3の物質N3は、シリコーン接着剤又は一成分型接着剤であり得る。
【0562】
図25の一実施形態においては、第4の物質N4は二成分型接着剤の第2の成分であり得る場合がある。
【0563】
代替的に、第4の物質N4は、シリコーン接着剤、プラスチック接着剤、又はポリウレタン接着剤であり得る。
【0564】
図26は、本発明による多成分システムの更なる例示的実施形態を示す。
【0565】
第1の物質N1と、第2の物質N2と、第3の物質N3とを有し、第1の物質N1、第2の物質N2、及び第3の物質N3が複数の物質部分に存在する多成分システムが示されている。
【0566】
この例示的実施形態においては、第1の物質N1、第2の物質N2、及び第3の物質N3の各物質部分がそれぞれ1つのカプセルK、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内に配置されている。
【0567】
この例示的実施形態において、第1の物質N1、第2の物質N2、及び第3の物質N3の物質部分は、表面OF上に載置されている。
【0568】
この例示的実施形態において、第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、互いに規定の距離で配置されている。
【0569】
第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、表面OF上に帯路の形態で配置されている。
【0570】
第3の物質N3の物質部分は、表面OF上に帯路の形態で配置されている。
【0571】
この例示的実施形態において、第3の物質N3の物質部分は、互いに規定の距離で配置されている。
【0572】
特に、物質(N1、N2、N3)の個々の物質部分の間の距離だけでなく、異なる物質(N1、N2)の物質部分の間の距離も規定されている。
【0573】
代替的に、物質(N1、N2、N3)の個々の物質部分の間の距離、又は異なる物質の物質部分の間の距離のみが規定されている場合がある。
【0574】
代替的に及び/又は追加的に、第1の物質N1の物質部分及び/又は第2の物質N2の物質部分及び/又は第3の物質の物質部分は、互いに規定の距離で配置されていない場合がある。
【0575】
図26の一実施形態においては、第1の物質N1は二成分型接着剤の第1の成分であり得る場合がある。
【0576】
代替的に、第1の物質は、シリコーン接着剤又は一成分型接着剤であり得る。
【0577】
図26の一実施形態においては、第2の物質N2は二成分型接着剤の第2の成分であり得る場合がある。
【0578】
代替的に、第2の物質N2は、シリコーン接着剤、プラスチック接着剤、又はポリウレタン接着剤であり得る。
【0579】
図26の一実施形態においては、第3の物質N3はシリコーン接着剤又はポリウレタン接着剤であり得る場合がある。
【0580】
図15図26の実施形態においては、少なくとも1種の第1の物質N1の1つ以上の物質部分の体積は、本質的に、少なくとも1種の第2の物質N2の1つ以上の物質部分の体積に対して規定の比率にあり得る場合があるため、少なくとも1種の第1の物質N1の1つ以上の物質部分と、少なくとも1種の第2の物質N2の1つ以上の物質部分とを混合した場合に、これらの物質の規定の混合比が達成される。
【0581】
特に、体積及び混合比は、物質の混合の産物が個々の物質の作用を超える作用をもたらすように選択されている場合がある。
【0582】
図15図26の実施形態において、表面OF上での少なくとも1種の第1の物質N1の1つ以上の物質部分の配置及び少なくとも1種の第2の物質N2の1つ以上の物質部分の配置によって、特に、例えば圧力、超音波、温度変化等による活性化に際して、例えば、該表面OFと更なる表面OFとの接着に際して、物質の混合、特に物質の最適な混合、及び結果として得られるハイブリッド物質の所望の特性を達成することができる場合がある。
【0583】
図27図28図29図30図31、及び図32は、それぞれ1つの周囲マトリックス中に包埋された本発明による多成分システムの例示的実施形態を示す。
【0584】
第1の物質N1と、第2の物質N2とを有し、第1の物質N1及び第2の物質N2が複数の物質部分に存在する多成分システムがそれぞれ示されている。
【0585】
第1の物質N1及び第2の物質N2のそれぞれ1つの物質部分がそれぞれ1つのカプセルK、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内に配置されている。
【0586】
第1の物質N1の物質部分及び第2の物質N2の物質部分は、表面OF上に載置されている。
【0587】
表面OFは金属表面である。
【0588】
代替的に、表面OFは、木材表面、プラスチック表面、紙表面、テキスタイル表面、フィルム等であり得る。
【0589】
カプセルは周囲マトリックス中に包埋されている(図27:周囲マトリックスのアクリルペイント、図28:周囲マトリックスのアクリル塗料、図29:周囲マトリックスの水系の接着剤1、図30:周囲マトリックスの水系の接着剤2、図31:架橋された接着剤1、図32:架橋された接着剤2)。
【0590】
周囲マトリックスの可能な塗布パターンは、例えば、図15図20及び図22図25における塗布パターンに類似していると考えられる。
【0591】
図33は、個々の成分の使用と比較して増強されたハイブリッド接着剤の作用を示す。
【0592】
この例示的実施形態において、2つの異なる接着剤を含む本発明によるハイブリッド接着剤システムの付着力を個々の接着剤の付着力と比較した。
【0593】
このために、第1のコントロールとして、アルミニウムとアルミニウムとをエポキシ接着剤によって接着した(左から1本目のバー)。
【0594】
さらに、第2のコントロールとして、プラスチックとプラスチックとをエポキシ接着剤によって接着した(左から2本目のバー)。
【0595】
さらに、第3のコントロールとして、アルミニウムとアルミニウムとをポリウレタン接着剤によって接着した(真ん中のバー)。
【0596】
さらに、第4のコントロールとして、プラスチックとプラスチックとをポリウレタン接着剤によって接着した(右から2本目のバー)。
【0597】
エポキシ接着剤及びポリウレタン接着剤からの組合せの使用により(右のバー)、アルミニウムとプラスチックとの接着に際して、コントロールの付着力と比較してより高い付着力が示される。
【0598】
図34は、本発明の事前塗被された多成分システムであって、該システムが周囲媒体とともに規格法ASTM D823によって200μmの層厚でアルミニウム試験体上に適用された、多成分システムの比較を示す。
【0599】
この場合に、Aの図は、不活性化された状態における結合を有しない本発明の2成分システムを示す。Bの図において、Aの図に示されたシステムが160℃で活性化されている。この場合に、Cの図は、不活性化された状態におけるカプセル間に接続を有する本発明の2成分システムを示す。Dの図において、Cの図に示されたシステムは160℃で活性化されている。互いに結合されたカプセルの場合の接着剤の塗布が結合を有しない場合よりも明らかに均一であることが分かる。これは、接着剤の活性化前にも160℃での活性化後にも明らかである。
【0600】
接着前の試料の清浄化を、EN 13887に従って行った。接着剤の塗布を、ASTM D823に従って、DIN1465による12.5mm×25mmの接着剤層の長さで行った。
【0601】
この場合に、使用されるカプセルを、以下の方法に従って製造した。
【0602】
第1の溶液(溶液1)において、樹脂成分を10mlのジクロロメタン(DCM)中に溶解する。第2の溶液(溶液2)において、9gのSDSをHO中に溶解する。樹脂及びSDSの両方を溶液1及び溶液2中に溶解した後に、溶液1を26℃に加熱する。引き続き、溶液1を溶液2に滴加し、それにより樹脂成分をカプセル化する。引き続き、溶液を30℃で30分間撹拌する。引き続き、30分後に6%のSDS溶液を加え、温度を35℃に高め、こうして残りの溶剤を蒸発させる。カプセル化された樹脂成分を残りの溶剤から取り出すために、溶液を3000rpmで3分間遠心分離し、上清を除去する。代替的に、溶剤の完全な蒸発を介して、マイクロカプセルを抽出することができる。
【0603】
硬化剤及びシリコーン成分を用いて同様に行うことができる。
【0604】
マイクロカプセルシェルの架橋
マイクロカプセルの架橋度を介して、カプセルの内容物の放出(又は活性化)を決定することができる。架橋度が低いほど、内容物はより素早く、より多く放出される。
【0605】
補助成分を介した架橋度の調整
PMMA等のシェル材料に第2の成分を添加することによって、例えばSDS等の追加の架橋剤を加えることができる。様々な量のSDSを使用した(2重量%、4重量%、6重量%、及び9重量%)。DCM中でPMMAと組み合わせて使用されるSDSが多いほど、形成されるシェルの架橋度が高くなる。
【0606】
UV架橋を介した架橋度の調整
ラジカル重合は光誘起的に進められる。この場合に、先の例と同様の措置が取られる。ただし、シェル材料としてPMMAを使用する代わりに、MMAを使用する。254nmのUV光に曝露することによって、MMAがPMMAに転化され、したがって架橋が起こり、その結果、シェル材料が生成される。架橋度は、MMAポリマーの平均長さだけでなく、UV光による曝露時間にも依存する。ポリマーが長いほど、又はUV光の曝露が短いほど、シェル材料の架橋度は低くなる。
【0607】
シェル材料の官能基の数を介した架橋度の調整
上記の例でのように、シェル材料は、シェルの形成中に互いに架橋し、したがってマイクロカプセルのシェルを形成する官能基を有する。ポリマーが有する官能基が多いほど、架橋度が高くなる。線状ポリマーの場合には、官能基を1つの主鎖に取り付けることができ、又は星型ポリマーの場合には、ポリマー鎖の多くの主鎖に取り付けることができる。
【0608】
マイクロカプセルのサイズの調整
上述の例において、pH値の変更によって、様々なサイズのマイクロカプセルが得られる。硬化剤成分は、アミン誘導体からなり、9のpH値を有しており、6のpH値を有するビスフェノール誘導体からなる樹脂成分よりも明らかに低いpH値を有する。
【0609】
代替的に、マイクロカプセルのサイズを、撹拌速度、カプセル化される材料の粘度、マイクロ流体システムでのキャピラリーの開口部のサイズ、噴霧乾燥及び/又は滴下法、シェルの数等によって調整することができる。
【0610】
サイズ分布の決定
カプセルのサイズ分布を、KeyenceのVHX 7000デジタル顕微鏡を用いて実施した。マイクロカプセルの直径を測定することによって、マイクロカプセルのサイズを決定した。サイズ分布を、顕微鏡の内部プログラムを用いて測定した。
【0611】
マイクロカプセルを、例えば、国際公開第2020/193526号及び国際公開第2020/193536号の国際出願において記載されている方法に従って連結することができる。
【0612】
マイクロカプセルを、1回目の回分プロセスにおいて、上記のようにMMAのラジカル重合を介して製造する。このプロセスによって、マイクロカプセルは全表面上にカルボキシル基を有する。2回目の回分操作において、第2のマイクロカプセル成分を用いて同様に行う。引き続き、両方の成分の表面のカルボキシル基を、3:1のNHS/EDCからの混合物により室温で1時間、別個の回分操作で活性化させる。引き続き、マイクロカプセルを遠心分離し、洗浄する。次の工程において、硬化剤成分を含むマイクロカプセルにジアミンを過剰に加える。活性化されたカルボキシル基とのカップリングを介して、末端アミン基の1つがカルボキシル基と結合する。アミンは過剰に添加されているため、2つ目の末端アミンは、第2のマイクロカプセルの結合のために硬化剤成分の表面で自由に利用可能である。洗浄及び遠心分離の後に、活性化されたカルボキシル基を有する樹脂成分を、表面上に末端アミン基を有する硬化剤成分に合わせる。活性化されたカルボキシル基と末端アミノ基との反応を介する。したがって、両方の成分の様々なサイズだけでなく、マイクロカプセルの表面上の官能基の立体効果及び数の制限を介しても、両方の成分の理想的な混合比を達成することができる。
【0613】
図35は、本発明による多成分システムと、シリコーン(Elastosil(商標)E43)との調査結果を示す。
【0614】
この使用例において、二成分型エポキシ接着剤とともに一成分シリコーンをカプセル化した本発明による多成分システムの付着作用を試験した。この場合に、エポキシ接着剤の成分を含むカプセルが互いに結合されている。50:50の混合物(エポキシ接着剤対シリコーン)をアルミニウム表面上に適用した。引き続き、両方のマイクロカプセル化された接着剤を含む接着剤ペーストを金属表面上に適用し、40℃で30分間乾燥させる。
【0615】
こうして適用された接着剤層は立体規則性を有しないため、粘着性でも反応性でもない。したがって、接着を、これが必要とされる場合に初めて活性化させることができ、可使時間とは無関係に処理することができる。
【0616】
エポキシ接着剤とシリコーン接着剤とを組み合わせることによって、シリコーン接着剤の付着力の向上を達成することができた。
【0617】
このために、試料をDIN 1465に従って接着させ、引張試験においてZwickを用いて付着力を求めた。DIN規格1465の接着に際して、以下のパラメーターを考慮に入れなければならない:
【0618】
DIN 1465に準拠した試験により、特に、結合強度、接着剤の品質、劣化挙動、及び接着剤処理について推論を導き出すことができる。
【0619】
試料形態:
b:試料の幅(25mm)
l:試料の長さ(100mm)
L_2:接着層の長さ(12.5mm)
接合部分:
100×25×1.6mm
接着:
12.5×25mm。
【0620】
試験当たりの反復単位の数:6
試験速度:試料は、荷重時に65±20秒以内に破壊されなければならない。
【0621】
引張剪断試験への影響:
接着剤、室温、試験速度、試料の年数、接着剤の厚さ。
【0622】
本発明によるシステムにおける接着剤の組合せによって、シリコーン接着剤による場合よりも7倍高い付着力を達成することができた。
【0623】
図36は、図25に記載される本発明の多成分システムの更なる調査結果を示す。
【0624】
この場合に、エポキシ接着剤及びシリコーンの様々な比率を使用した場合の付着力を調査した。
【0625】
試験構成は、図35について記載された試験構成と同等である。
【0626】
この場合に、本発明による多成分システムにおけるエポキシ接着剤:シリコーンの以下の3:1、1:1、及び1:3の比率を試験した。
【0627】
付着力の向上と、エポキシ系接着剤の使用量との間には関連性が見られる。これらの試験は、本発明による多成分システムにおける様々な物質の使用されるカプセルのそれぞれの量によって、エポキシ接着剤対シリコーンの比率を介して所望の付着力を正確に調整することができることを示している。したがって、本発明によるシステムにより、両方の成分の所望の特性を調整することが可能となる。
【0628】
本発明に関連して、ここで、なおも以下の態様を明示的に開示する:
【0629】
態様1:少なくとも1種の第1の物質N1と、少なくとも1種の第2の物質N2とを有する活性化可能な多成分システムであって、第1の物質N1及び第2の物質N2が1つ以上の物質部分に存在する、多成分システム。
【0630】
態様2:多成分システムは、活性化可能であることを特徴とする、態様1に記載の多成分システム。
【0631】
態様3:第1の物質部分には、少なくとも1つの第1の官能基R2が形成されており、かつ第1のリンカーL1が備え付けられており、かつ第2の物質部分には、少なくとも1つの第2の官能基R21が形成されており、かつ第2のリンカーL2が備え付けられており、ここで、第1の官能基R2は、予め規定された相互作用を介して第2の官能基R21と反応して、これらが互いに接続され、かつ官能基とそれぞれの物質部分との距離が、それぞれのリンカーLによって決められていることを特徴とする、態様1又は態様2に記載の多成分システム。
【0632】
態様4:第1のリンカーL1は、第2のリンカーL2より長い又はその逆であることを特徴とする、請求項3に記載の多成分システム。
【0633】
態様5:第1の物質部分が、第2の物質部分よりも多数の物質部分と接続されている若しくは接続可能である又はその逆であるという趣旨で、第1の物質部分と第2の物質部分とが相違することを特徴とする、態様1~4のいずれかに記載の多成分システム。
【0634】
態様6:官能基Rは、同種又は異種で形成されていることを特徴とする、態様1~5のいずれかに記載の多成分システム。
【0635】
態様7:第1の物質部分は、本質的に同一のサイズを有する、及び/又は第2の物質部分は、本質的に同一のサイズを有することを特徴とする、態様1~6のいずれかに記載の多成分システム。
【0636】
態様8:第1の物質部分及び第2の物質部分は、異なるサイズを有することを特徴とする、態様1~7のいずれかに記載の多成分システム。
【0637】
態様9:多成分システムは、隙間を有する網状構造を有し、ここで、網状構造は、第1の物質の物質部分から形成されており、隙間内には、少なくとも部分的に第2の物質のそれぞれ少なくとも1つの物質部分が配置されていることを特徴とする、態様1~8のいずれかに記載の多成分システム。
【0638】
態様10:第1の物質N1及び/又は第2の物質N2の物質部分は、カプセルK、特にナノカプセル及び/又はマイクロカプセル内に配置されていることを特徴とする、態様1~9のいずれかに記載の多成分システム。
【0639】
態様11:第1の物質N1用のカプセルK1は、第2の物質N2用のカプセルK2とは異なるサイズを有し、特に、第1の物質N1用のカプセルK1は、第2の物質N2用のカプセルK2よりも大きいことを特徴とする、態様1~10のいずれかに記載の多成分システム。
【0640】
態様12:第1の物質N1用のカプセルK1は、同一のサイズを有することを特徴とする、態様10又は態様11に記載の多成分システム。
【0641】
態様13:多成分システムの活性化は、圧力、pH値、UV放射、浸透、温度、光強度、水分等の少なくとも1つの変化によって行われることを特徴とする、態様1~12のいずれかに記載の多成分システム。
【0642】
態様14:第1の物質N1及び第2の物質N2は、多成分型接着剤、特に二成分型接着剤の構成要素であることを特徴とする、態様1~13のいずれかに記載の多成分システム。
【0643】
態様15:少なくとも1種の第1の物質と、少なくとも1種の第2の物質とを含み、第1の物質及び第2の物質が複数の物質部分に存在し、活性化可能である多成分システムの製造方法であって、以下の工程:
第1の物質部分に、少なくとも1つの第1の官能基R2を形成し、かつ第1のリンカーL1を備え付ける工程と、
第2の物質部分に、少なくとも1つの第2の官能基R21を形成し、かつ第2のリンカーL2を備え付ける工程と、
を含み、
第1の官能基R2が、予め規定された相互作用を介して第2の官能基R21と反応して、これらが互いに接続され、かつ、
官能基R2、官能基R21とそれぞれの物質部分との距離が、それぞれのリンカー(L)によって決められる、方法。
【0644】
態様16:第1の物質部分には、少なくとも1つの第3の官能基R1が形成されており、かつ第3のリンカーL3が備え付けられており、ここで、第3の官能基R1は、それぞれ少なくとも1つの保護基SGを有するため、第1の物質の物質部分には、第1の物質の相応して官能化された物質部分しか結合することができず、かつ上記方法は、保護基SGが最初に存在し、第1の物質部分が第3の官能基R1によって互いに接続されるべきであるときに初めてその保護基を除去する工程を少なくとも更に含むことを特徴とする、態様16に記載の方法。
【0645】
態様17:多成分システムは、態様1~14のいずれかに記載の多成分システムであることを特徴とする、態様15又は態様16に記載の方法。
【符号の説明】
【0646】
B 接着テープ
C コア、芯
K カプセル/カプセル集団
K1 カプセル1/カプセル集団1
K2 カプセル2/カプセル集団2
K3 カプセル3/カプセル集団2
Kn カプセルn/カプセル集団n
KG ガスカプセル
L リンカー
L1 リンカー1
L2 リンカー2
N1 物質1
N2 物質2
OF 表面
R 官能基
R1 官能基1
R2 官能基2
R21 官能基21
S カプセル、殻
S1 工程1
S2 工程2
S3 工程3
S4 工程4
SG 保護基
UM 周囲マトリックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
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図14
図15
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図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
【国際調査報告】