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特表2023-544533材料をプラズマ内に供給するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】材料をプラズマ内に供給するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/30 20060101AFI20231017BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H05H1/30
B01J19/08 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519010
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 US2021071591
(87)【国際公開番号】W WO2022067338
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/083,204
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515084719
【氏名又は名称】シックスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティス,パウェル
(72)【発明者】
【氏名】コズラウスキー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レジダル,マッカルーフ
(72)【発明者】
【氏名】カルーソ,ジョーセフ・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ゾングレン
【テーマコード(参考)】
2G084
4G075
【Fターム(参考)】
2G084AA15
2G084BB03
2G084BB12
2G084BB14
2G084CC13
2G084CC14
2G084GG02
2G084GG26
2G084GG29
4G075AA22
4G075AA27
4G075AA62
4G075BB03
4G075CA02
4G075CA26
4G075CA48
4G075DA02
4G075EB43
4G075EC01
4G075EC21
(57)【要約】
供給原材料をプラズマトーチのプラズマ内に提供するための装置は、入力端および出力端を有する材料供給デバイスを含む。材料供給デバイスの出力端は、プラズマトーチの出力端の近くに生成されたプラズマの外周部の周りに少なくとも部分的に延びる。材料供給デバイスは、プラズマトーチの中心軸に対し、ある角度で向けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原材料をプラズマトーチのプラズマ内に提供するための装置であって、
入力端および出力端を有する材料供給デバイスであって、出力端が、プラズマトーチの出力端の近位に生成されたプラズマの外周部の周りに少なくとも部分的に延び、材料供給デバイスが、プラズマトーチの中心軸に対し、ある角度で向けられる、材料供給デバイス
を備える、装置。
【請求項2】
材料供給デバイスの出力端が、プラズマの外周部全体の少なくとも大部分の周りで供給原材料の実質的に均一な分散をもたらすために、プラズマの外周部の周りに少なくとも部分的に延びるフレア状断面ジオメトリを有するノズルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ノズルが、プラズマの外周部の周りの特定の位置において、プラズマの外周部の少なくとも半分の周りで供給原材料の実質的に均一な分散をもたらす、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
材料供給デバイスの出力端が、プラズマの外周部の周りに位置決めされた複数のノズルを含み、ノズルの数および断面ジオメトリが、プラズマの外周部全体の大部分の周りで供給原材料の実質的に均一な分散をもたらすように選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
材料供給デバイスが、プラズマの外周部全体の周りに供給原材料を散布するように設計される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
材料供給デバイスが、プラズマの長さに沿った異なる位置における供給原材料の供給を可能にするために、プラズマトーチの中心軸に対し調整可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
材料供給デバイスが、プラズマの外周部の大部分およびプラズマの長さに沿った所望の部分の周りに材料を供給する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
プラズマトーチの中心軸に対する材料供給デバイスの角度が、調整され得る、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
材料供給デバイスが、出力端よりも広い入力端を有し、プラズマトーチの少なくとも一部分を取り囲むように構成されたプラズマトーチライナーを有する、円錐形ホッパーである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
プラズマトーチライナーが、円錐形ホッパーの入力端および出力端の双方との間に間隙を形成し、プラズマトーチライナーと円錐形ホッパーの入力端との間の間隙が、プラズマトーチライナーと円錐形ホッパーの出力端との間の間隙よりも大きく、その結果、材料がより大きな間隙内に供給され、実質的にプラズマの外周部全体の周りでプラズマ内へと、より小さな間隙から出ることができる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
プラズマの第1の部分が、円錐形ホッパーの出力端およびプラズマトーチのそれぞれの端部の境界の外側に延び、材料が、円錐形ホッパーの出力端におけるより小さな間隙から直接、プラズマの第1の部分の外周部の周りに供給される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
円錐形ホッパー内で材料を均等に分配するのを支援するように、円錐形ホッパー内の材料と動作可能に連通するように位置決めされた材料渦流デバイスを更に備える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
供給原材料が、重力によってプラズマ内に供給される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
材料が、プラズマを、感知できるほどに混乱させず、プラズマによる材料の均一な処理をもたらす、特定のレートおよび速度でプラズマ内に供給される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
供給原材料をプラズマトーチのプラズマ内に均一に提供するための装置であって、
プラズマトーチ内のプラズマの近位に設置された材料供給デバイスを備え、
プラズマが、動作中に経時的に僅かに変わる3次元形状を有し、所望の比較的一貫した長さ、幅、深さ、形状および外周部を有し、材料供給デバイスが、プラズマ内に供給される材料源と動作可能に連通し、材料供給デバイスがまた、様々な要因に基づいて変わり得る所望の分散パターンでプラズマに材料を移送することができ、材料供給デバイスが、プラズマの実質的に全てのエネルギーを利用するために、プラズマの形状および位置の変動性にかかわらず、プラズマの長さに沿った位置において、およびプラズマの外周部全体の少なくとも大部分の周りで、プラズマ内への材料の実質的に均一な分散を可能にするように、プラズマ内に材料を入力することによって生じるプラズマ自体の変動性を減少させるように、および、厳密な材料の仕様を満たすための更なる処理を回避しながら歩留まりを増大させるための、より効率的で一貫した材料処理を提供するために、材料がプラズマと係合しプラズマによって処理される際の材料の濃度を減少させるように、設計ならびに設置される、
装置。
【請求項16】
プラズマトーチ内で材料を処理する方法であって、
a)内部に確立されたプラズマを有するプラズマトーチを用意することであって、プラズマが、動作中に経時的に僅かに変わる、比較的一貫しているが動的な3次元形状を有し、所望の比較的一貫した長さ、幅、深さ、形状および外周部を有する、ことと、
b)プラズマ内に供給されプラズマによって処理される材料源を用意することと、
c)プラズマの所望の位置の近位に材料供給デバイスを用意することであって、材料供給デバイスが、プラズマ内に供給される材料源と動作可能に連通する、ことと、
d)材料供給デバイスを用いて、材料を、様々な要因に基づいて変わり得る分散パターンでプラズマに移送することであって、材料供給デバイスが、プラズマの長さに沿った位置において、および少なくとも実質的にプラズマの外周部全体の周りで、プラズマ内への材料の実質的に均一な分散を可能にするように設計および設置される、ことと
を含む、方法。
【請求項17】
e)プラズマの出力を監視して、材料の所望の処理がプラズマによって提供されたか否かを決定することと、
f)材料の所望の処理が達成されていない場合、プラズマに対する材料の分散パターンを調整することと、
g)材料の所望の処理が達成されるまで、必要に応じて動作d)-f)を繰り返すことと
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
プラズマに対する材料の分散パターンを調整することが、材料供給レート、材料速度、およびプラズマに対する材料供給デバイスの位置のうちの少なくとも1つを調整することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
材料供給レートおよび材料速度が、プラズマトーチと動作可能に連通する材料供給デバイス内の材料の平滑な流れを提供し、材料供給デバイス内の材料のいかなる凝集も阻止するように選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
プラズマが、外部温度よりも少なくとも数倍高い内部温度を有するマイクロ波プラズマであり、プラズマに提供されるパワーが、外部温度が材料の所望の処理をもたらすことを可能にするのに十分であることのみを必要とし、その結果、プラズマの内部に進むことができる任意の材料が、パワーを保存し、したがってコストを低減しながら、所望の歩留まりを提供するように所望に応じて依然として処理される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月25日に出願された米国仮特許出願第63/083,204号の優先権および利益を主張し;その内容全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、一般的に、プラズマによる材料の処理のために材料をプラズマ内に供給するためのデバイス、システムおよび方法に関する。特に、本技術は、様々な材料供給技法が、プラズマ処理によって材料に様々な特性も提供しながら、スループットを増大させ、プラズマ-供給原料結合相互作用を増大させることを可能にするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマトーチは、様々な目的で高温プラズマを提供する。概して、誘導プラズマトーチおよびマイクロ波プラズマトーチを含むいくつかのタイプのプラズマトーチが存在する。他のタイプのプラズマトーチは、カソードとアノードとの間にアーク放電を有する、直流(DC)プラズマを含むことができる。これらのタイプのプラズマトーチは、実質的に異なる高温を提供し、マイクロ波プラズマは約6,000Kに達し、他は約10,000Kに達する。
【0004】
これらの高温プラズマは、プラズマに曝されるかまたはプラズマ内に供給される様々な材料の処理を可能にすることができる。1つのそのようなタイプの処理は、特定の大きさおよび形状の1つ以上の材料を取得し、これをプラズマに曝すかまたはプラズマ内に供給することによって、1つ以上の材料を異なる大きさおよび/または形状に変化させることである。
【0005】
例えば、初期または供給原料の材料は、通常、特定の形状または様々な形状および特定の大きさまたは様々な大きさで提供される。プラズマに曝されるかまたはプラズマ内に供給されると、初期供給原料の材料は、大きさがより小さくなるように、形状が類似するように、またはその双方となるように高温プラズマによって処理または変換される。しかしながら、この動作の1つの目的は、材料を、不規則形状から球に球状化することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10,477,665号明細書
【特許文献2】米国特許第8,748,785号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において、供給原材料をプラズマトーチのプラズマ内に提供するためのデバイスおよび方法が提供される。本開示の1つの態様によれば、供給原材料をプラズマトーチのプラズマ内に提供するための装置が開示される。装置は、入力端および出力端を有する材料供給デバイスを含む。出力端は、プラズマトーチの出力端にまたはその近くに生成されたプラズマの外周部の周りに少なくとも部分的に延びる。材料供給デバイスは、プラズマトーチの中心軸に対し、ある角度で向けられる。いくつかの実施形態では、材料供給デバイスの出力端が、プラズマの外周部全体の少なくとも大部分の周りで供給原材料の実質的に均一な分散をもたらすために、プラズマの外周部の周りに少なくとも部分的に延びるフレア状断面ジオメトリを有するノズルを含む。いくつかの実施形態では、ノズルが、プラズマの外周部の周りの特定の位置において、プラズマの外周部の少なくとも半分の周りで供給原材料の実質的に均一な分散をもたらす。いくつかの実施形態では、材料供給デバイスの出力端が、プラズマの外周部の周りに位置決めされた複数のノズルを含み、ノズルの数および断面ジオメトリが、プラズマの外周部全体の大部分の周りで供給原材料の実質的に均一な分散をもたらすように選択される。いくつかの実施形態では、材料供給デバイスが、プラズマの外周部全体の周りに供給原材料を散布するように設計される。いくつかの実施形態では、材料供給デバイスが、プラズマの長さに沿った異なる位置における供給原材料の供給を可能にするために、プラズマトーチの中心軸に対し調整可能である。いくつかの実施形態では、材料供給デバイスが、プラズマの外周部の大部分およびプラズマの長さに沿った所望の部分の周りに材料を供給する。いくつかの実施形態では、プラズマトーチの中心軸に対する材料供給デバイスの角度が、調整され得る。いくつかの実施形態では、材料供給デバイスが、出力端よりも広い入力端を有する円錐形ホッパーである。いくつかの実施形態では、プラズマトーチライナーが、円錐形ホッパーの入力端および出力端の双方との間に間隙を形成し、プラズマトーチと円錐形ホッパーの入力端との間の間隙が、プラズマトーチライナーと円錐形ホッパーの出力端との間の間隙よりも大きく、その結果、材料がより大きな間隙内に供給され、実質的にプラズマの外周部全体の周りでプラズマ内へと、より小さな間隙から出ることができる。いくつかの実施形態では、プラズマの一部分が、円錐形ホッパーの出力端およびプラズマトーチのそれぞれの端部の境界の外側に延び、材料が、円錐形ホッパーの出力端におけるより小さな間隙から直接、プラズマのこの部分の外周部の周りに供給される。いくつかの実施形態では、装置が、円錐形ホッパー内で材料を均等に分配するのを支援するように、円錐形ホッパー内の材料と動作可能に連通するように位置決めされた材料渦流デバイスも含む。いくつかの実施形態では、供給原材料が、重力によってプラズマ内に供給される。いくつかの実施形態では、材料が、プラズマを、感知できるほどに混乱させず、プラズマによる材料の均一な処理をもたらす、特定のレートおよび速度でプラズマ内に供給される。
【0008】
本開示の別の態様によれば、供給原材料をプラズマトーチのプラズマ内に均一に提供するための装置が開示される。材料供給デバイスが、プラズマトーチ内でプラズマの近くに設置される。プラズマは、動作中に経時的に僅かに変わる3次元形状を有し、所望の比較的一貫した長さ、幅、深さ、形状および外周部を有する。材料供給デバイスは、プラズマ内に供給される材料源と動作可能に連通し、材料供給デバイスは、様々な要因に基づいて変わり得る所望の分散パターンでプラズマに材料を移送することもできる。材料供給デバイスは、プラズマの実質的に全てのエネルギーを利用するために、プラズマの形状および位置の変動性にかかわらず、プラズマの長さに沿った位置において、およびプラズマの外周部全体の少なくとも大部分の周りで、プラズマ内への材料の実質的に均一な分散を可能にするように、プラズマ内に材料を入力することによって生じるプラズマ自体の変動性を減少させるように、および、厳密な材料の仕様を満たすための更なる処理を回避しながら歩留まりを増大させるための、より効率的で一貫した材料処理を提供するために、材料がプラズマと係合しプラズマによって処理される際の材料の濃度を減少させるように、設計ならびに設置される。
【0009】
本開示の別の態様によれば、プラズマトーチ内で材料を処理するための方法が開示される。本方法は:a)内部に確立されたプラズマを有するプラズマトーチを用意することを含み、プラズマは、動作中に経時的に僅かに変わる、比較的一貫しているが動的な3次元形状を有し、所望の比較的一貫した長さ、幅、深さ、形状および外周部を有する。本方法はまた:b)プラズマ内に供給されプラズマによって処理される材料源を用意することを含む。本方法はまた:c)プラズマの所望の位置の近くに材料供給デバイスを用意することを含み、材料供給デバイスは、プラズマ内に供給される材料源と動作可能に連通する。本方法はまた:d)材料供給デバイスを用いて、材料を、様々な要因に基づいて変わり得る分散パターンでプラズマに移送することを含み、材料供給デバイスは、プラズマの長さに沿った位置において、および少なくとも実質的にプラズマの外周部全体の周りで、プラズマ内への材料の実質的に均一な分散を可能にするように設計および設置される。いくつかの実施形態では、本方法はまた:e)プラズマの出力を監視して、材料の所望の処理がプラズマによって提供されたか否かを決定することと;f)材料の所望の処理が達成されていない場合、プラズマに対する材料の分散パターンを調整することと;g)材料の所望の処理が達成されるまで、必要に応じて動作d)-f)を繰り返すこととを含む。いくつかの実施形態では、プラズマに対する材料の分散パターンを調整することが:材料供給レート、材料速度、およびプラズマに対する材料供給デバイスの位置のうちの少なくとも1つを調整することを含む。いくつかの実施形態では、材料供給レートおよび材料速度が、プラズマトーチと動作可能に連通する材料供給デバイス内の材料の平滑な流れを提供し、材料供給デバイス内の材料のいかなる凝集も阻止するように選択される。いくつかの実施形態では、プラズマが、外部温度よりも少なくとも数倍高い内部温度を有するマイクロ波プラズマであり、プラズマに提供されるパワーが、外部温度が材料の所望の処理をもたらすことを可能にするのに十分であることのみを必要とし、その結果、プラズマの内部に進むことができる任意の材料が、パワーを保存し、したがってコストを低減しながら、所望の歩留まりを提供するように所望に応じて依然として処理される。
【0010】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の1つの実施形態による、円錐形材料供給デバイスおよびプラズマトーチライナーの側面図である。
図2】本開示の1つの実施形態による、図1の円錐形材料供給デバイスおよびプラズマトーチライナーの斜視図である。
図3】本開示の1つの実施形態による、図1の円錐形材料供給デバイスの別の斜視図である。
図4】本開示の1つの実施形態による、円錐形材料供給デバイスを有する例示的なマイクロ波プラズマトーチの断面図である。
図5】本開示の1つの実施形態による、円錐形材料供給デバイスを介してプラズマプルームに入る、ケルビン(K)単位のシミュレートされた粒子温度のグラフである。
図6】本開示の1つの実施形態による、円錐形材料供給デバイスを介してプラズマプルームに入る、シミュレートされた粒子速度のグラフである。
図7A】本開示の1つの実施形態による、フレア状材料供給デバイスの平面図である。
図7B】本開示の1つの実施形態による、図7Aのフレア状材料供給デバイスの側面図である。
図7C】本開示の1つの実施形態による、図7Aのフレア状材料供給デバイスのフレア状端部を向いた正面図である。
図8】本開示の1つの実施形態による、2つのフレア状材料供給デバイスを有する例示的なマイクロ波プラズマトーチの断面図である。
図9A】本開示の1つの実施形態による、一対のフレア状材料供給デバイスを介してプラズマプルームに入る、シミュレートされた粒子速度のグラフを示す。
図9B】本開示の1つの実施形態による、一対のフレア状材料供給デバイスを介してプラズマプルームに入る、シミュレートされた粒子温度のグラフを示す。
図10】本開示の1つの実施形態による、プラズマトーチを用いて材料を処理する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示されるデバイスおよび方法の構造、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を提供するために、ここで、特定の例示的な実施形態が記載される。これらの実施形態の1つ以上の例が添付の図面に示されている。当業者は、本明細書に明確に記載され、添付の図面に例示されるデバイスおよび方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、および本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して示される、または説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。そのような修正および変形は、本技術の範囲内に含まれることが意図される。
【0013】
概して、本技術の態様は、プラズマ処理のための材料供給デバイスに関するデバイス、システムおよび方法を対象とする。いくつかの実施形態では、プラズマトーチを用いて様々な材料が処理され得る。例えば、材料粒子は、プラズマ内に導入され、プラズマ内に存在する極度に高い温度に曝され得る。これらの温度によって、材料粒子を処理し、これらを、所望の処理に応じて異なる大きさまたは形状の粒子に変換することができる。様々な実施形態において、プラズマは、マイクロ波により生成されたプラズマまたは誘導により生成されたプラズマとすることができる。
【0014】
本明細書に開示される実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を提供することができる。いくつかの実施形態では、分配された材料供給デバイスが、様々な要因に基づいて変わり得る所望の分散パターンでプラズマに材料粒子を移送することができる。本明細書に記載の材料供給デバイスは、プラズマの長さに沿った特定の位置において、およびプラズマの外周部の大部分の周りで、プラズマ内への材料粒子の実質的に均一な分散パターンを可能にすることができる。いくつかの場合、均一分布が、プラズマの形状および位置の変動性にかかわらず、プラズマの外周部全体の周りで達成され得る。これにより、システムが、実質的にプラズマの全エネルギーを利用し、材料をプラズマ内に入力することによって生じるプラズマ自体の変動性を減少させることが可能になる。この供給システムによって同軸でプラズマプルームにアタックすることにより、動作の全体的な対称性が保持され、プルームの擾乱がプルームの周りで均一に分布する。
【0015】
本明細書に記載の材料供給デバイスは、より効率的で一貫した材料処理を提供するために、プラズマと係合しプラズマによって処理される際の材料の濃度(すなわち、プラズマプルームの周囲に入る単位容量あたりの粒子数)も減少させることができる。この濃度は、粉末が円錐によってどれだけ均一に分散されるかに関する。いくつかの実施形態では、供給ガスが、円錐の平面上で粉末を駆動するのに用いられる。そのような実施形態は、厳密な材料の仕様を満たすための更なる処理を回避しながら、歩留まりを増大させ、コストを低減することができる。
【0016】
さらに、本明細書において開示される技法は、所望の処理結果を達成するために、プラズマトーチの出力を監視し、プラズマに入る材料粒子の分散パターンを調整する再帰的方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、プラズマ内の供給原料の処理を最大にするために、供給原料は、局所的な材料濃度を減少させるように十分に分散されるべきである。局所的な材料濃度が過度に高い場合、特定のプラズマ条件について、いくらかの材料が処理不十分となる場合がある。
【0018】
材料処理は、局所的な供給原料濃度(g/cm単位)(すなわち、プラズマ内の粒子の数)が過度に高いとき、悪影響を受ける。この条件において、材料の高い濃度が利用可能なエネルギーを低下させ、プロセスを飽和させる。処理を改善する1つの方式は、粒子の分散を増大させるか、または局所的な供給原料濃度を減少させ、それによって、処理の成功のために十分なエネルギーが存在するようにすることである。本明細書に開示される注入スキームは、プラズマの外周部の周りで粒子を分散させることによって、プラズマ内の局所的な材料粒子濃度を減少させる技法である。
【0019】
いくつかの実施形態では、異なるタイプの材料は異なる温度で処理される。したがって、プラズマの長さに沿って材料がプラズマに入る場所を制御することが望ましい。本開示のいくつかの実施形態において、材料供給デバイスの位置は、プラズマトーチに対し調整され得、その結果、材料をプラズマの長さに沿った異なる場所で、所望の場合、異なる角度でプラズマ内に導入することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、供給原材料粒子は、角ばった粉体、角ばったチップ、不規則形状粉体、海綿状粉体、回転楕円体粒子または粉体等の、様々な形態であり得る。材料は、大きさ、ガス含有量、純度汚染、および化学的性質について、磨砕(grinding)、粉砕(milling)、クリーニング、洗浄、乾燥およびスクリーニング等の処理によって特定の基準を満足するように、プラズマ内に導入される前に処理され得る。クリーニングは、例えば、有機汚染物質、セラミック汚染物質、または金属汚染物質を除去することを含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、材料供給デバイスは、プラズマの周囲の全てまたは大部分の周りに粒子を導入し、それによって完全なプラズマ電位を利用すると共に、局所的な供給原料濃度を最小にする、円錐形ホッパーまたは円錐形材料フィーダーを含むことができる。いくつかの実施形態では、円錐形ホッパーは、全体平衡の供給原料の材料を材料入力端において注入し、これにより、任意の上流材料マニホールドの必要性を軽減するように、プレナムまたはバッファエリアとしての役割を果たすこともできる。そのような実施形態において、複数の別個の材料注入器に平衡流を提供する設計の課題をなくすことができる。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、材料供給デバイスは、プラズマの外周部の大部分の周りに材料粒子を分配するフレア状注入器またはノズルを含むことができる。円錐形材料フィーダーと対照的に、フレア状注入器は、供給原料を動作中の熱窓内に保持しながら(そうでない場合、球状化レベル等のプロセス効率が低減する)、供給原料を横方向に散布して、プラズマに入る粒子の濃度を減少させることができる。
【0023】
図1は、本開示の1つの実施形態による、プラズマトーチライナー101の周りに配設された円錐形材料供給デバイス103の側面図である。この実施形態において、円錐形材料供給デバイス103または注入器は、円筒形プラズマトーチライナー101を取り囲む円錐として形作られる。図1に示す矢印は、トーチの第1の端部から、プラズマプルームが形成されるトーチの第2の端部へのプラズマトーチライナー101を通るガス流の方向を示す。この実施形態において、円錐形材料供給デバイス103の内面は、材料入力端107から材料出力端105へ内方に角度を付けられ、それによって、円筒形プラズマトーチライナー101の中心軸に対し角度θで位置決めされるようになっている。
【0024】
いくつかの実施形態では、円錐形材料供給デバイス103と円筒形プラズマトーチライナー101との間の角度θは約45°とすることができる。他の実施形態では、角度θは、約40°~50°、約35°~55°、約30°~60°、約25°~65°、約20°~70°、約15°~75°、約10°~80°、または約5°~85°とすることができる。材料供給デバイスとプラズマトーチとの間の傾きの角度は、いくつかの実施形態では、材料粒子の所望の入射角に基づいて変わることができる。
【0025】
図2は、本開示の1つの実施形態による、図1の円錐形材料供給デバイス103の斜視図である。この実施形態に示すように、円錐形材料供給デバイス103は、円筒形プラズマトーチライナー101の周りに位置決めされ、円筒形プラズマトーチライナー101の外側と、最も狭い端部(図1に示す材料出力端105)における円錐の内径との間に画定される特定の間隙109が存在する。この間隙109は、供給原材料が、特定の角度で円錐形材料供給デバイス103から流れ出て、プラズマトーチの出口に形成されるプラズマに入ることを可能にする。いくつかの実施形態では、間隙109は、数ある他の要因の中でも、材料に応じて変わることができる。
【0026】
図3は、本開示の1つの実施形態による、図1の円錐形材料供給デバイス103の別の斜視図である。この図において、円錐形材料供給デバイスは、円錐形材料供給デバイス103とプラズマトーチライナー101との間の例示的な空間関係を更に示すために、垂直軸から外れて僅かに傾けられている。材料供給デバイスに円錐形の設計を用いることによって、材料が、プラズマ火炎の外周全体の周りでプラズマ内に注入または導入され、それによって、全エネルギー源を利用し、材料濃度を最小限にすることができる。いくつかの実施形態では、円錐形材料供給デバイス103は、材料分配バッファとしての役割を果たすこともできる。換言すれば、材料は、円錐形材料供給デバイス103と円筒形プラズマトーチライナー101との間の容積内に注入または供給され、渦流動作によって分配され、それによって、任意の上流のマニホールディングの必要性を回避することができる。いくつかの実施形態では、材料渦流デバイスは、供給デバイスの円錐部分において材料と動作可能に連通するように位置決めされ得る気流発生器を含むことができる。いくつかの実施形態では、設計は、重力を利用して材料粒子をプラズマ内に導入し、それによって注入速度を低下させ、潜在的に、プラズマ内の粒子の滞留時間を増大させ、したがって処理時間を増大させることができる。
【0027】
図4は、本開示の1つの実施形態による、円錐形材料供給デバイス403を有する例示的なマイクロ波プラズマトーチライナー401の断面図である。この実施形態において、マイクロ波プラズマトーチ402が利用され、マイクロ波放射が、導波路405を通してプラズマトーチ402内にもたらされ得る。図2を参照して上記で論じたように、供給材料は、プラズマチャンバ407内に供給され、円錐形材料供給デバイス403とマイクロ波プラズマトーチライナー401との間の間隙に、マイクロ波により生成されたプラズマと接触するように配置され得る。この例示的な実施形態において、収集チャンバまたは容器409は、粒子がマイクロ波により生成されたプラズマを通過した後、処理された粒子を収集するために、プラズマチャンバ407の出力に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、マイクロ波により生成されたプラズマは、米国特許第10,477,665号および/または米国特許第8,748,785号に記載のマイクロ波プラズマトーチを用いて生成することができ、その各々は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、マイクロ波プラズマは、その外部温度よりも数倍高い内部温度を有し、プラズマに提供されるパワーは、プラズマの内部に進むことができる任意の材料が、所望に応じて依然として処理されるように、外部温度が材料の所望の処理を提供することを可能にするのに十分であることのみを必要とする。これによって、パワーを保存し、したがってコストを低減しながら所望の歩留まりを提供することができる。いくつかの実施形態では誘導により生成されたプラズマは、プラズマの外側においてより高い温度を有し、これにより独自の問題を引き起こし得る。したがって、マイクロ波により生成されたプラズマの使用は、完全な処理を確実にし、それによって歩留まりを増大させることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、材料渦流デバイス411は、円錐形材料供給デバイス403内で材料と動作可能に連通するように位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、材料渦流デバイス411は、円錐形材料供給デバイス403内の粒子の集塊化を阻止し、一貫した粒子供給レートを確保するための気流を生成するように位置決めされ得る気流発生器を含むことができる。しかしながら、材料渦流デバイス411の数、タイプおよび位置決めは変わり得ることが理解される。
【0030】
いくつかの実施形態では、円錐形材料供給デバイス403は、プラズマチャンバ407またはプラズマトーチハウジングに装着され得る。いくつかの実施形態では、円錐形材料供給デバイス403の端部または最も狭い部分は、プラズマトーチライナー401の出力または第2の端部と一致するかまたは同一平面上にすることができる。いくつかの実施形態では、プラズマトーチライナー401に対する円錐形材料供給デバイス403の位置は、プラズマプルーム404の長さに沿って適切なまたは所望の場所においてプラズマプルーム404内に材料粒子を導入するために、垂直方向に調整され得る。材料粒子は、円錐形材料供給デバイス403の大きい方の端部において入り、(場合によっては材料渦流デバイス411によって支援される)渦流動作によってプラズマトーチライナー401の周囲の周りに分配され得る。いくつかの実施形態では、キャリアガス流と重力との組み合わせにより、円錐形材料供給デバイス403とプラズマトーチライナー401との間の底部間隙を通してプラズマプルーム404内に材料粒子を押すことができる。いくつかの実施形態では、円錐形材料供給デバイス403とプラズマトーチライナー401との間の間隙の大きさ、材料粒子の大きさ、材料粒子の体積、および/または円錐形材料供給デバイス403の傾き角は、プラズマに入る粒子のスピードおよび粒子濃度に影響を及ぼす可能性がある。この例示的な実施形態において、プラズマトーチライナー401は、プラズマトーチ402の一部分を少なくとも部分的に取り囲むことができる円筒形スリーブを含む。これにより、供給原料の材料が、プラズマトーチ402の熱い壁に接触し、そこで円筒を覆う場合があることを阻止することができる。プラズマトーチライナー401は、プラズマトーチライナー401および円錐形材料供給デバイス403内の材料を含むために、プラズマトーチ402に実質的に平行な円錐形の壁を有することができる。この実施形態は、プラズマトーチライナー401に対する円錐形材料供給デバイス403の位置決めのための例示的な技法を示すが、プラズマトーチおよびプラズマに対し所望の場所に供給デバイスを位置決めするために、様々な装着構造および技法が用いられ得ることが理解される。
【0031】
いくつかの実施形態では、パワー密度、供給レート、およびプラズマ内の滞留時間等の様々なプロセスパラメータは、他のパラメータの中でも、融点および熱伝導率等の材料粒子の物理的特性に依存し得る。他のそのようなパラメータの例は、粒子サイズ分布、材料の濃度等を含むことができる。
【0032】
図5は、本開示の1つの実施形態による、円錐形材料供給デバイスを介してプラズマプルームに入る、シミュレートされた粒子温度のグラフである。この実施形態において見てとることができるように、材料粒子は、プラズマプルーム全体の周りに粒子を均等に分配するために、プラズマの外周部全体の周りに導入され得る。この結果、より一貫した温度プロファイルが生じ、ここで、領域501内の粒子は、領域501’における温度読み値に対応し、領域503における粒子は領域503’における温度読み値に対応する。この特定の実施形態において、いくつかの外れ値粒子以外の、大多数の粒子がプラズマに入り、約1.75e+03K~約1.85e+03Kの高度に均一な温度プロファイルに曝される。理解されるように、パワー密度、粒子供給レート、粒子滞留時間、プラズマトーチに対する円錐形材料供給デバイスの位置決め、円錐形材料供給デバイスの傾き角等を含むプロセスパラメータの変動は、プラズマ内の異なる温度プロファイルに寄与することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、粒子の温度プロファイルは、実質的に均一とすることができ、それによって、プラズマに入る粒子の95%超が同じ温度範囲に曝される。他の実施形態では、粒子のうちの99%超、粒子のうちの97%超、粒子のうちの90%超、粒子のうちの85%超、粒子のうちの80%超、粒子のうちの75%超、粒子のうちの70%超、粒子のうちの65%超、粒子のうちの60%超、粒子のうちの55%超、または粒子のうちの60%超が、プラズマ内の実質的に同じ温度範囲に曝され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、材料粒子がプラズマ内で曝される温度範囲は、約1.75e+03K~約1.85e+03K、約1.70e+03K~約1.90e+03K、約1.65e+03K~約1.95e+03Kとすることができる。いくつかの実施形態では、材料粒子が曝される温度は、4,000Kの高さとすることができ、提供された例示的な範囲は、特定のシステムおよび処理されている材料に依存し得る。
【0035】
図6は、本開示の1つの実施形態による、円錐形材料供給デバイスを介してプラズマプルームに入る、シミュレートされた粒子速度のグラフである。この画像は、粒子速度の側面図を示し、ここで、粒子は、プラズマの外周全体の周りに導入される。この実施形態において、領域601内の粒子は、領域601’内の粒子速度に対応するのに対し、領域603内の粒子は、領域603’内の速度に対応する。この実施形態において、大多数の粒子は、プラズマプルームに曝され、約4.00e+00m/s~約4.50e+00m/sの実質的に均一な速度を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約3.75e+00m/s~約4.4e+00m/s、または約3.50e+00m/s~約5.00e+00m/sの実質的に均一な速度を有することができる。
【0036】
上記で論じたように、粒子速度は、プラズマ内の粒子滞留時間に、したがって処理時間に直接影響を及ぼす。異なる材料粒子には異なる処理時間が望ましい場合があり、所望の粒子速度および滞留時間を達成するために、様々なパラメータが調整され得る。いくつかの実施形態では、粒子はそれらの速度に応じてプラズマを吹き抜けるかまたはプラズマから跳ね返る場合があるため、粒子速度は、粒子滞留時間の他にも影響を及ぼす可能性がある。いくつかの実施形態では、最大処理を達成するために、プルームから粒子への最大熱伝達のために、供給原料がプルームの中を通った後、プルームと実質的に同一線上に留まるように、プルームと最適に係合することを確実にするように最適パラメータが選択され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、粒子速度は、実質的に均一とすることができ、それによって、プラズマに入る粒子の95%超が同じ粒子速度範囲を有する。他の実施形態では、粒子のうちの99%超、粒子のうちの97%超、粒子のうちの90%超、粒子のうちの85%超、粒子のうちの80%超、粒子のうちの75%超、粒子のうちの70%超、粒子のうちの65%超、粒子のうちの60%超、粒子のうちの55%超、または粒子のうちの60%超が、同じ粒子速度範囲を有することができる。
【0038】
図7Aは、本開示の1つの実施形態による、フレア状材料供給デバイス707の平面図である。粒子流は、Aとマーキングされた端部から、Bとマーキングされた端部へ、フレア状材料供給デバイス707を通るものとすることができる。この実施形態では、フレア状材料供給デバイス707は、総長701、ノズル部分703およびフレア状端部705を有する。理解されるように、フレア状端部705と、ノズル部分703の開始部との間のテーパ形ジオメトリは、製造者、およびフレア状材料供給デバイス707が用いられている特定の実施形態に依存し得る。プラズマの外周全体の周りの連続円錐形材料注入の代わりに、この実施形態では、フレア状端部705は、プラズマトーチの出力端または第2の端部の付近に位置決めされ、プラズマの外周部または周囲の周りで横方向に、粒子をより均等に分配するために広がる。プラズマトーチに対するフレア状材料供給デバイス707の位置決めについては、図8の論考においてより詳細に説明される。このフレア状ジオメトリは、フレア化により供給原料が最適処理のための熱動作エリア内に保持されるならば、プラズマのより大きなエリアにわたって、プラズマの外周部のより大きな割合の周りに粒子を散布し、供給原料の濃度の減少および均一処理の増大をもたらす。いくつかの実施形態では、ノズル幅は変わることができ、ノズルは、凹型であるか、または何らかの他の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、多くのノズルが用いられ得る。ノズルは、プラズマトーチライナーの端部の周囲の周りで互いから180°、90°離れた構成またはデルタ構成で配置され得る。
【0039】
図7Bは、本開示の1つの実施形態による、図7Aのフレア状材料供給デバイス707の側面図である。この側面図において、フレア状端部705が材料供給デバイスの残りの部分と比較して、横方向にフレア状であるかまたは細長いことに加えて、垂直方向に短くされていることを見てとることができる。この特定の実施形態では、垂直方向に短くされたジオメトリと、横方向にフレア状ジオメトリとの組み合わせは、プラズマの外周部の周りに粒子を分配するために、フレア状端部705から出る材料粒子をより均等に分布させるのに役立つ。いくつかの実施形態では、この断面の低減は、特により重い材料を有する粒子に更なる所望の速度を与えることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、フレア状材料供給デバイスの総長701は、約18インチ(約45.7cm)とすることができるのに対し、ノズル部分703は、約4.25インチ(約10.8cm)の長さを有することができ、フレア状端部705は、約3.25インチ(約8.3cm)の長さを有することができる。他の実施形態において、ジオメトリは、特定の用途、用いられる材料粒子の大きさ、プラズマトーチおよび/またはプラズマプルームの大きさ等に応じて異なり得る。例えば、フレア状端部705は、約1-4cm、1-5cm、または更に長い長さを有し得る。
【0041】
図7Cは、本開示の1つの実施形態による、図7Aのフレア状材料供給デバイスのフレア状端部705に向いた正面図である。この特定の実施形態において、フレア状端部705の横方向に細長いまたはフレア状ジオメトリ、およびフレア状端部705の短くされた垂直方向のジオメトリを見ることができる。いくつかの実施形態では、フレア状端部705は、プラズマプルームまたはプラズマトーチの直径の全てまたは一部分に実質的に一致するフレア状の横方向のジオメトリを有することができる。他の実施形態では、フレア状端部705の断面ジオメトリの横方向の長さは、プラズマトーチまたはプラズマプルームの直径の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%とすることができる。フレア状端部705およびノズル部分703のジオメトリまたは形状は、複数の要因に応じて変わり得ることが理解される。
【0042】
図8は、本開示の1つの実施形態による、2つのフレア状材料供給デバイス803を有する例示的なマイクロ波プラズマトーチ801の断面図である。この実施形態において、マイクロ波プラズマトーチ801が利用され、マイクロ波放射が、導波路805を通してプラズマトーチ801内にもたらされ得る。図7A図7Cを参照して上記で論じたように、供給材料は、プラズマチャンバ807内に供給され、フレア状材料供給デバイスのフレア状端部を用いて、マイクロ波により生成されたプラズマと接触するように配置され得る。この例示的な実施形態において、収集チャンバまたは容器809は、粒子がマイクロ波により生成されたプラズマを通過した後、処理された粒子を収集するために、プラズマチャンバ807の出力に位置決めされ得る。この例は、特定の形状を有する2つのフレア状材料供給デバイス803を示すが、供給デバイスのノズルの数および形状は変わり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、フレア状材料供給デバイス803は、プラズマチャンバ807またはプラズマトーチハウジングに装着され得る。いくつかの実施形態では、フレア状材料供給デバイス803のフレア状端部は、プラズマトーチ801の出力または第2の端部と一致するかまたは同一平面上にすることができる。いくつかの実施形態では、プラズマトーチ801に対するフレア状材料供給デバイス803の位置は、プラズマの長さに沿って適切なまたは所望の場所においてプラズマ内に材料粒子を導入するために、垂直方向に調整され得る。用いられているフレア状材料供給デバイス803の数、ならびにプラズマトーチ801の外周部の周りのそれらの場所、およびそれらの断面ジオメトリも、プラズマ内に2つ以上の分配粒子流を導入するためにカスタマイズすることができる。いくつかの実施形態では、プラズマの周りの適切な位置決めにおいて、および適切なノズルのジオメトリで、十分な数のフレア状材料供給デバイス803が用いられる場合、プラズマの外周部の実質的に全体の周りに材料粒子が導入され得る。この例示的な実施形態において、図8は、フレア状材料供給デバイス803の側面図を示しているため、供給デバイスのフレア状端部は、図7Bを参照して説明したように、側面からは狭くなるように示されている。上から見た場合、材料供給デバイスのフレア状端部は、プラズマトーチの外周部の全てまたは一部分に及ぶように細長い。
【0044】
いくつかの実施形態では、キャリアガス流と重力との組み合わせにより、フレア状材料供給デバイス803のフレア状端部を通してプラズマ内に材料粒子を押すことができる。いくつかの実施形態では、フレア状材料供給デバイス803とプラズマトーチ801との間の間隙の大きさ、材料粒子の大きさ、材料粒子の体積、および/またはフレア状材料供給デバイス803の傾き角は、プラズマに入る粒子のスピードおよび粒子濃度に影響を及ぼす可能性がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、パワー密度、供給レート、およびプラズマ内の滞留時間等の様々なプロセスパラメータは、融点、粒子サイズおよび熱伝導率等の材料粒子の物理的特性に依存し得る。
【0046】
図9A図9Bは、本開示の1つの実施形態による、一対のフレア状材料供給デバイス903を介してプラズマプルーム内に入る、シミュレートされた粒子速度および温度のグラフである。
【0047】
図9Aにおける例示的な実施形態は、粒子速度を示すシミュレーションの側面図を示し、ここで、粒子の2つのストリームが、一対のフレア状材料供給デバイス903を介してプラズマ内に導入される。この実施形態において、2つのフレア状材料供給デバイスの各々は、プラズマトーチ901の口部の下流に位置するプラズマの外周部の約半分の周りの粒子の分散を提供する。粒子の大部分は、一対のフレア状材料供給デバイス903を出てプラズマプルームに曝される際、実質的に均一な速度を有する。この特定の実施形態において、一対のフレア状材料供給デバイス903を出る粒子は、約4.00e+00m/s~約1.00e+01m/sの範囲の速度の大きさを有する。他の実施形態では、一対のフレア状材料供給デバイス903を出る粒子は、約5.00e+00m/s~約1.00e+01m/s、約5.00e+00m/s~約1.00e+01m/s、約6.00e+00m/s~約1.00e+01m/s、約7.00e+00m/s~約1.00e+01m/s、約8.00e+00m/s~約1.00e+01m/s、または約9.00e+00m/s~約1.00e+01m/sの範囲内の速度の大きさを有することができる。上記で論じたように、粒子速度は、プラズマ内の粒子滞留時間に、したがって処理時間に直接影響を及ぼす。単一の非フレア状または非分散型ノズルを通してプラズマ内に導入される粒子と比較して、この実施形態は、実質的により均一な速度を提供し、したがってより均一な処理時間を提供する。異なる材料粒子には異なる処理時間が望ましい場合があり、所望の粒子速度および滞留時間を達成するために、様々なパラメータが調整され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、粒子速度は、実質的に均一とすることができ、それによって、プラズマに入る粒子の95%超が同じ粒子速度範囲を有する。他の実施形態では、粒子のうちの99%超、粒子のうちの97%超、粒子のうちの90%超、粒子のうちの85%超、粒子のうちの80%超、粒子のうちの75%超、粒子のうちの70%超、粒子のうちの65%超、粒子のうちの60%超、粒子のうちの55%超、または粒子のうちの60%超が、同じ粒子速度範囲を有することができる。
【0049】
図9Bにおける例示的な実施形態は、粒子温度を示すシミュレーションの側面図を示し、ここで、粒子の2つのストリームが、一対のフレア状材料供給デバイス903を介してプラズマ内に導入される。図9Aに示す実施形態と同様に、2つのフレア状材料供給デバイスの各々は、プラズマトーチ901の口部の下流に位置するプラズマの外周部の約半分の周りの粒子の分散を提供する。粒子の大部分は、一対のフレア状材料供給デバイス903を出てプラズマプルームに曝される際、実質的に均一な温度プロファイルを有する。この特定の実施形態において、一対のフレア状材料供給デバイス903を出て、プラズマに入る粒子は、約1.40e+03K~約2.00e+03Kの範囲の温度を有する。他の実施形態では、一対のフレア状材料供給デバイス903からプラズマに入る粒子は、約1.50e+03K~約2.00e+03K、約1.60e+03K~約2.00e+03K、約1.70e+03K~約2.00e+03K、約1.80e+03K~約2.00e+03K、または約1.90e+03K-約2.00e+03K範囲内の速度の大きさを有することができる。単一の非フレア状または非分散型ノズルを通してプラズマ内に導入される粒子と比較して、この実施形態は、実質的により均一な温度プロファイルを提供し、したがってより均一な処理を提供する。異なる材料粒子には異なる処理時間が望ましい場合があり、所望の粒子速度および滞留時間を達成するために、様々なパラメータが調整され得る。
【0050】
図10は、本開示の1つの実施形態による、プラズマトーチを用いて材料を処理する方法を示すフローチャートである。動作1001において、プラズマトーチが用意される。いくつかの実施形態では、プラズマトーチには、その内部に確立されたプラズマが設けられ、プラズマは、動作中に経時的に非常に僅かに変わり得る、比較的一貫しているが、動的な3次元形状を有する。プラズマは、全て受容可能な所定の範囲内に入る、所望の比較的一貫した長さ、幅、深さ、形状および外周部も有することができる。後続の論考において、供給原材料を処理するのに十分なマイクロ波パワー、すなわち、最適なプルームが存在することが想定される。送達は、最適な処理のために最適なプラズマプルームおよび供給原料結合を達成するための、本明細書に記載の様々な実施形態によって解決されている課題である。
【0051】
動作1003において、材料源が、プラズマ内に供給され、プラズマによって処理されるために用意される。いくつかの実施形態では、供給原材料粒子は、角ばった粉体、角ばったチップ、不規則形状粉体、海綿状粉体等の、様々な形態であり得る。上記で論考したように、材料は、大きさ、ガス含有量、純度汚染、および化学的性質について、磨砕、粉砕、クリーニング、洗浄、乾燥およびスクリーニング等の処理によって特定の基準を満足するように、プラズマ内に導入される前に処理され得る。
【0052】
動作1005において、材料供給デバイスが用意される。いくつかの実施形態では、材料供給デバイスは、プラズマの所望の位置の近くに設計、形成および設置され、材料供給デバイスは、プラズマチャンバ、ハウジングまたはシステムの何らかの他の構造に装着され得る。材料供給デバイスは、プラズマ内に供給される材料源と動作可能に連通し、材料供給デバイスは、様々な要因に基づいて変わることができる所望の分散パターンでプラズマに材料を移送するように設計される。いくつかの実施形態では、材料供給デバイスは、プラズマの形状および位置の変動性にかかわらず、プラズマの長さに沿った位置において、およびプラズマの外周部の少なくとも一部分の周りで、プラズマ内への材料の実質的に均一な分散を可能にするように設計および設置される。そのような実施形態において、プラズマの外周部の周りの材料粒子の均一分散は、プラズマの実質的に全エネルギーを利用し、プラズマ内に材料を入力することによって生じるプラズマ自体の変動性を減少させ、材料がプラズマと係合し、プラズマによって処理される際の材料の濃度を減少させる。そのような実施形態は、厳密な材料の仕様を満たす任意の更なる処理を回避しながら、歩留まりを増大させ、コストを低減するための、より効率的で一貫した材料処理を提供することができる。上記で論考したように、材料供給デバイスは、プラズマプルームと連通した後続のステップにおいて、例えば、円錐形材料供給デバイスまたは1つ以上のフレア状材料供給デバイスを含むことができる。
【0053】
動作1007において、材料は、材料供給デバイスを用いてプラズマに送られるかまたは移送される。いくつかの実施形態では、材料供給デバイスは、所望の分散パターンで材料をプラズマに送るために制御または調整され、プラズマの長さに沿って特定の位置において、プラズマ内への材料の実質的に均一な分散を可能にする。いくつかの実施形態では、材料渦流デバイスは、材料を材料供給デバイスからプラズマに送ることを支援することができる。そのような材料渦流デバイスは、供給デバイスにおける材料との動作可能な連通のために位置決めされ得、プラズマの外周部の周りの材料の均等な分配を支援することができる。いくつかの実施形態では、材料は、重力によって材料供給デバイスからプラズマ内に供給される。いくつかの実施形態では、材料は、プラズマを、感知できるほどに混乱させず、プラズマによる材料の実質的に均一な処理を提供する特定のレートおよび速度でプラズマ内に供給される。
【0054】
いくつかの実施形態では、方法は、動作1007において終わることができ、材料が収集され得る。代替的な実施形態では、方法は、動作1009において、プラズマの出力を監視して、プラズマによって材料の所望の処理が生じたか否かを決定することに続くことができる。動作1011において、所望の処理が達成されたと決定される場合、方法は終了することができる。
【0055】
所望の処理が達成されていない場合、方法は、動作1013において、プラズマに対する材料流の分散パターンを調整することに続くことができる。いくつかの実施形態では、分散パターンは、材料供給レート、材料速度、またはプラズマに対する材料供給デバイスの位置を調整することによって調整される。材料供給デバイスの位置は、垂直方向に調整され得るか、または材料供給デバイスとプラズマトーチとの間の角度も、プラズマの長さに沿った、異なる接近角度における異なる位置に材料を供給することを可能にするために調整され得る。いくつかの実施形態では、材料供給レートおよび材料速度は、材料供給デバイス内の材料の平滑な流れを提供し、材料供給デバイス内の材料のいかなる凝集も阻止するように選択される。動作1013において材料の分散パターンが調整されると、方法は動作1007に戻り、所望の処理が達成され方法が終了するまで繰り返される。
【0056】
上記の明細書において、本発明は、その特定の実施形態を参照して説明された。しかしながら、本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、これらに対し様々な変更および変形が行われ得る。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的なものとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】