IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライナス ヘルス,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-544550機械学習支援される認知的評価および処置のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】機械学習支援される認知的評価および処置のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/50 20180101AFI20231017BHJP
【FI】
G16H50/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519290
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 US2021052218
(87)【国際公開番号】W WO2022067189
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/083,266
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.iPad
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】523108500
【氏名又は名称】ライナス ヘルス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】パスクアル-レオン,アルバロ
(72)【発明者】
【氏名】スィヤール-マンダレ,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,エミリー
(72)【発明者】
【氏名】ベーコン,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ラントン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トビーン,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,カール
(72)【発明者】
【氏名】ベイツ,デビッド
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
システム、方法、およびコンピュータプログラム製品が、標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するために提供される。様々な実施形態において、標的患者の複数の健康データおよび/または標的患者の複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる方法が、提供される。複数の健康データは、複数のモダリティから導き出される。複数の健康データおよび複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数は、事前訓練される人工ニューラルネットワークの中間層から受け取られる。複数の潜在変数は、事前訓練される学習システムに提供される。事前訓練される学習システムは、複数の潜在変数を入力として受け取り、かつ標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定する方法であって、
前記標的患者の複数の健康データおよび/または前記標的患者の前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量(first order feature)を、事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記標的患者の前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、
前記標的患者の前記複数の健康データおよび複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記事前訓練されるニューラルネットワークの中間層から、受け取ること、ならびに
事前訓練される学習システムに前記複数の潜在変数を提供することであって、前記事前訓練される学習システムが、前記複数の潜在変数を入力として受け取りかつ前記標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される、提供すること、
を含む、方法。
【請求項2】
標的患者のデジタルモデルを作成する方法であって、
前記標的患者の複数の健康データおよび/または前記標的患者の前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記標的患者の前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、ならびに
前記標的患者の前記複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記人工ニューラルネットワークの中間層で、作成するように前記人工ニューラルネットワークを訓練すること、
を含む、方法。
【請求項3】
標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためにシステムを訓練する方法であって、
複数の健康データおよび/または前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、第一の人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、
前記複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記第一の人工ニューラルネットワークの中間層で、作成するように前記第一の人工ニューラルネットワークを訓練すること、
前記複数の潜在変数に基づき1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように第二の人工ニューラルネットワークを訓練すること、
を含む、方法。
【請求項4】
標的患者の健康データを合成する方法であって、
前記標的患者の複数の健康データおよび/または前記標的患者の前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記標的患者の前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、
前記標的患者の前記複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記事前訓練されるニューラルネットワークの中間層から、受け取ること、
事前訓練される学習システムに前記複数の潜在変数を提供すること、
前記事前訓練される学習システムに前記複数の健康データおよび/または前記複数の一次特徴量を提供することであって、前記事前訓練される学習システムが、前記複数の潜在変数と前記複数の健康データおよび/または前記一次特徴量の少なくとも1つを入力として受け取るように訓練され、前記事前訓練される学習システムが、前記複数の健康データおよび/または前記一次特徴量に関連する少なくとも1つの値を合成するように構成される、提供すること、
を含む、方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態が、モントリオール認知機能評価(MoCA)スコアを含む、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態が、疾患ラベルを含む、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の健康データが、時間データを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記時間データが、前記標的患者の四肢のタイムスタンプされた座標、視覚刺激に応答した前記標的患者の視線追跡座標、視聴覚刺激に応答した前記標的患者からの聴覚信号、前記標的患者のパルスデータ、前記標的患者の酸素飽和データ、前記標的患者の血圧データ、および/または前記標的患者の脳波(EEG)データ、の少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の健康データが、非時間データを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記非時間データが、前記標的患者の血液型、前記標的患者の遺伝子表現型、前記標的患者の利き手、および/または前記標的患者のアレルギー、の少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の一次特徴量が、データのウィンドウ(windows)へと前記複数の健康データの1つまたは複数を集約することにより決定される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の一次特徴量が、データの2つ以上のウィンドウに時間差を適用することにより決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の一次特徴量が、前記複数の健康データの少なくとも一部に適用される平滑関数により決定される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の一次特徴量が、前記複数の健康データの少なくとも一部に回帰を適用することにより決定される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の一次特徴量が、データの各ウィンドウに適用される平均、最小、最大、および標準偏差の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の一次特徴量が、臨床決定を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記臨床決定が、言語想起評価の間に行われ、前記臨床決定が、即時想起、遅延想起、各言語を想起するのにかかった時間、想起された言語の正確性、想起時の躊躇の回数、想起中の間違い、合図によりおよび合図なしで想起された言語、声量、声の調子、声の高さ、構音障害、発語障害、ならびに/または音声振戦、の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のモダリティが、脳波(EEG)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のモダリティが、聴覚を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のモダリティが、fMRIを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のモダリティが、1つまたは複数の描画評価を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数のモダリティが、視線追跡を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のモダリティが、スマート機器を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のモダリティが、加速度計含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のモダリティが、心拍センサを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のモダリティが、ガルバニック応答センサを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも前記複数の健康データの一部および/または前記複数の一次特徴量の一部が、電子健康記録(EHR)から受け取られる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記合成された少なくとも1つの値が、前記複数のモダリティの少なくとも1つからの欠けているデータを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項29】
前記合成された少なくとも1つの値が、前記複数の健康データおよび/または前記複数の一次特徴量のデータの1つまたは複数の時系列内に1つまたは複数のデータポイントを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記合成された少なくとも1つの値が、前記複数のモダリティ中にない別のモダリティを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項31】
前記合成された少なくとも1つの値が、非fMRIモダリティからの入力に基づく合成されたfMRI画像を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記合成された少なくとも1つの値が、非脳波(EEG)モダリティーからの入力に基づく合成されたEEG信号を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態が、2つ以上のバイオマーカおよび/または健康状態を含み、
前記患者についての1つまたは複数の追加的評価を、前記2つ以上のバイオマーカおよび/または健康状態に基づき、決定することであって、前記1つまたは複数の追加的評価が、潜在的診断として少なくとも1つのバイオマーカおよび/または健康状態を排除するためのデータを提供する、決定すること、
をさらに含む、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項34】
前記1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態が、脳の健康評価である、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の健康データが、空間的および時間的配列の質問、文章完成の質問、1つもしくは複数のうつおよび/もしくは不安スクリーン、逆唱テスト、ボールバランシング評価、二重作業課題評価、ならびに/または遅延主観的想起、の少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためのシステムであって、
それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含む計算ノードを含み、前記プログラム命令が、
前記標的患者の複数の健康データおよび/または前記標的患者の前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記標的患者の前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、
前記標的患者の前記複数の健康データおよび複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記事前訓練されるニューラルネットワークの中間層から、受け取ること、ならびに
事前訓練される学習システムに前記複数の潜在変数を提供することであって、前記事前訓練される学習システムが、前記複数の潜在変数を入力として受け取りかつ前記標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される、提供すること、
を含む方法を前記プロセッサに実施させるために前記計算ノードのプロセッサにより実行可能である、
システム。
【請求項37】
標的患者のデジタルモデルを作成するためのシステムであって、
それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含む計算ノードを含み、前記プログラム命令が、
前記標的患者の複数の健康データおよび/または前記標的患者の前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記標的患者の前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、ならびに
前記標的患者の前記複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記人工ニューラルネットワークの中間層で、作成するように前記人工ニューラルネットワークを訓練すること、
を含む方法を前記プロセッサに実施させるために前記計算ノードのプロセッサにより実行可能である、
システム。
【請求項38】
標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためにシステムを訓練するためのシステムであって、
それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含む計算ノードを含み、前記プログラム命令が、
複数の健康データおよび/または前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、第一の人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、
前記複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記第一の人工ニューラルネットワークの中間層で、作成するように前記第一の人工ニューラルネットワークを訓練すること、
前記複数の潜在変数に基づき1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように第二の人工ニューラルネットワークを訓練すること、
を含む方法を前記プロセッサに実施させるために前記計算ノードのプロセッサにより実行可能である、
システム。
【請求項39】
標的患者の健康データを合成するためのシステムであって、
それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含む計算ノードを含み、前記プログラム命令が、
前記標的患者の複数の健康データおよび/または前記標的患者の前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記標的患者の前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、
前記標的患者の前記複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記事前訓練されるニューラルネットワークの中間層から、受け取ること、
前記複数の健康データおよび/または前記複数の一次特徴量を前記事前訓練される学習システムに提供することであって、前記事前訓練される学習システムが、前記複数の潜在変数と少なくとも1つの前記複数の健康データおよび/または前記一次特徴量を入力として受け取るように訓練され、前記事前訓練される学習システムが、前記複数の健康データおよび/または前記一次特徴量に関連する少なくとも1つの値を合成するように構成される、提供すること、
を含む方法を前記プロセッサに実施させるために前記計算ノードのプロセッサにより実行可能である、
システム。
【請求項40】
標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためのコンピュータプログラム製品であって、
それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含み、前記プログラム命令が、
前記標的患者の複数の健康データおよび/または前記標的患者の前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記標的患者の前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、
前記標的患者の前記複数の健康データおよび複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記事前訓練されるニューラルネットワークの中間層から、受け取ること、ならびに
前記複数の潜在変数を事前訓練される学習システムに提供することであって、前記事前訓練される学習システムが、前記複数の潜在変数を入力として受け取りかつ前記標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される、提供すること、
を含む方法を前記プロセッサに実施させるためにプロセッサにより実行可能である、
コンピュータプログラム製品。
【請求項41】
標的患者のデジタルモデルを作成するためのコンピュータプログラム製品であって、
それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含み、前記プログラム命令が、
前記標的患者の複数の健康データおよび/または前記標的患者の前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記標的患者の前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、ならびに
前記標的患者の前記複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記人工ニューラルネットワークの中間層で、作成するように前記人工ニューラルネットワークを訓練すること、
を含む方法を前記プロセッサに実施させるためにプロセッサにより実行可能である、
コンピュータプログラム製品。
【請求項42】
標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためにシステムを訓練するためのコンピュータプログラム製品であって、
それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含み、前記プログラム命令が、
複数の健康データおよび/または前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、第一の人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、
前記複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記第一の人工ニューラルネットワークの中間層で、作成するように前記第一の人工ニューラルネットワークを訓練すること、
前記複数の潜在変数に基づき1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように第二の人工ニューラルネットワークを訓練すること、
を含む方法を前記プロセッサに実施させるためにプロセッサにより実行可能である、
コンピュータプログラム製品。
【請求項43】
標的患者の健康データを合成するためのコンピュータプログラム製品であって、
それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含み、前記プログラム命令が、
前記標的患者の複数の健康データおよび/または前記標的患者の前記複数の健康データから決定される複数の一次特徴量を、事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として、受け取ることであって、前記標的患者の前記複数の健康データが、複数のモダリティから導き出される、受け取ること、
前記標的患者の前記複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を、前記事前訓練されるニューラルネットワークの中間層から、受け取ること、
前記複数の健康データおよび/または前記複数の一次特徴量を前記事前訓練される学習システムに提供することであって、前記事前学習された学習システムが、前記複数の潜在変数と少なくとも1つの前記複数の健康データおよび/または前記一次特徴量を入力として受け取るように訓練され、前記事前学習された学習システムが、前記複数の健康データおよび/または前記一次特徴量に関連する少なくとも1つの値を合成するように構成される、提供すること、
を含む方法を前記プロセッサに実施させるためにプロセッサにより実行可能である、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体として参照により本明細書に組み入れられる、2020年9月25日出願の米国特許仮出願第63/083,266号の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示の実施形態は一般に、機械学習を介してマルチモーダル健康データから患者のバイオマーカおよび/または健康状態を決定する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
認知障害、具体的には認知症およびアルツハイマー病は、米国で最も大きな健康問題の1つである。米国のおよそ600万名が幾つかの形態の認知症を有し、ヘルスケアシステムの年間経費は2250億ドルである。これらの人々のおよそ530万名は、米国における死因の第六位である、アルツハイマー病を有する。2050年までに、これらの数がおおよそ3倍になり、ほぼ1600万名のアメリカ人が認知症と診断され、年間経費が1兆ドルを超えると予測される。このとてつもなく大きな健康問題に取り組むための現行の標準治療は多くの場合、実行者と患者の両方にとって長々しく、おそらく侵襲性で、高額であり、疾患の経過に介入しそれを潜在的に変化させるのに充分早期に障害を検出しない場合がある。脳の健康において意義のある偏向を同定するおよび探知するための、かつ最も早期段階で認知障害を検出するための、費用対効果があり、信頼でき、客観的で、非侵襲性で正確なシステムが、必要とされている。加えて、治療および処置の勧告と、既存および開発中の治療の投与量およびパーソナル化を最適化する必要性が、増している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、患者に関係するマルチモーダルデータから認知的健康に関係づけられる患者のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するための改善された方法およびシステムが、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡単な概要
様々な実施形態において、標的患者の複数の健康データおよび/または標的患者の複数の健康データから決定される複数の一次特徴量(first order feature)が事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる、標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定する方法が、提供される。複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。複数の健康データおよび複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数が、事前訓練される人工ニューラルネットワークの中間層から受け取られる。複数の潜在変数は、事前訓練される学習システムに提供される。事前訓練される学習システムは、複数の潜在変数を入力として受け取り、かつ標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される。
【0006】
様々な実施形態において、標的患者の複数の健康データおよび/または標的患者の複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる、標的患者のデジタルモデルを作成する方法が、提供される。標的患者の複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。人工ニューラルネットワークは、その中間層で、標的患者の複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を作成するように訓練される。
【0007】
様々な実施形態において、複数の健康データおよび/または複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が第一の人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる、標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためのシステムを訓練する方法が、提供される。複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。第一の人工ニューラルネットワークは、その中間層で、複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数を作成するように訓練される。第二の人工ニューラルネットワークは、複数の潜在変数に基づき、1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される。
【0008】
様々な実施形態において、標的患者の複数の健康データおよび/または複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる、標的患者の健康データを合成する方法が、提供される。標的患者の複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。標的患者の複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数が、事前訓練される人工ニューラルネットワークの中間層から受け取られる。複数の潜在変数が、事前訓練される学習システムに提供される。複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量が、事前訓練される学習システムに提供される。事前訓練される学習システムは、複数の潜在変数と、複数の健康データおよび/または一次特徴量の少なくとも1つを入力として受け取るように訓練される。事前訓練される学習システムは、複数の健康データおよび/または一次特徴量に関連する少なくとも1つの値を合成するように構成される。
【0009】
様々な実施形態において、標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためのシステムが、提供される。システムは、それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を伴う計算ノードを含む。プログラム命令は、計算ノードのプロセッサにより実行可能であり、標的患者の複数の健康データおよび/または標的患者の複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる方法を、プロセッサに実施させる。複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。複数の健康データおよび複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数が、事前訓練される人工ニューラルネットワークの中間層から受け取られる。複数の潜在変数は、事前訓練される学習システムに提供される。事前訓練される学習システムは、複数の潜在変数を入力として受け取りかつ標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される。
【0010】
様々な実施形態において、標的患者のデジタルモデルを作成するためのシステムが、提供される。システムは、それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を伴う計算ノードを含む。プログラム命令は、計算ノードのプロセッサにより実行可能であり、標的患者の複数の健康データおよび/または標的患者の複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる方法を、プロセッサに実施させる。標的患者の複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。人工ニューラルネットワークは、その中間層で、複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数および/または標的患者の複数の一次特徴量を作成するように訓練される。
【0011】
様々な実施形態において、標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためにシステムを訓練するためのシステムが、提供される。システムは、それにより具現化されるプログラム命令を有する
コンピュータ可読保存媒体を伴う計算ノードを含む。プログラム命令は、計算ノードのプロセッサにより実行可能であり、複数の健康データおよび/または複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が第一の人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる方法を、プロセッサに実施させる。複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。第一の人工ニューラルネットワークは、その中間層で、複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づいて複数の潜在変数を作成するように訓練される。第二の人工ニューラルネットワークは、複数の潜在変数に基づき、1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される。
【0012】
様々な実施形態において、標的患者の健康データを合成するためのシステムが、提供される。システムは、それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を伴う計算ノードを含む。プログラム命令は、計算ノードのプロセッサにより実行可能であり、標的患者の複数の健康データおよび/または標的患者の複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる方法を、プロセッサに実施させる。標的患者の複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。標的患者の複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数が、事前訓練される人工ニューラルネットワークの中間層から受け取られる。複数の潜在変数が、事前訓練される学習システムに提供される。複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量が、事前訓練される学習システムに提供される。事前訓練される学習システムは、複数の潜在変数と、複数の健康データおよび/または一次特徴量の少なくとも1つを入力として受け取るように訓練される。事前訓練された学習システムは、複数の健康データおよび/または一次特徴量に関連する少なくとも1つの値を合成するように構成される。
【0013】
様々な実施形態において、標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためのコンピュータプログラム製品が、提供される。コンピュータプログラム製品は、それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含む。プログラム命令は、計算ノードのプロセッサにより実行可能であり、標的患者の複数の健康データおよび/または標的患者の複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる方法を、プロセッサに実施させる。複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数は、事前訓練される人工ニューラルネットワークの中間層から受け取られる。複数の潜在変数は、事前訓練される学習システムに提供される。事前訓練される学習システムは、複数の潜在変数を入力として受け取りかつ1つまたは標的患者の複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される。
【0014】
様々な実施形態において、標的患者のデジタルモデルを作成するためのコンピュータプログラム製品が、提供される。コンピュータプログラム製品は、それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含む。プログラム命令は、プロセッサにより実行可能であり、標的患者の複数の健康データおよび/または標的患者の複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる方法を、プロセッサに実施させる。標的患者の複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。人工ニューラルネットワークは、その中間層で、標的患者の複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づいて複数の潜在変数を作成するように訓練される。
【0015】
様々な実施形態において、標的患者の1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を決定するためにシステムを訓練するためのコンピュータプログラム製品が、提供される。コンピュータプログラム製品は、それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含む。プログラム命令は、プロセッサにより実行可能であり、複数の健康データおよび/または複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が第一の人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる方法を、プロセッサに実施させる。複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。第一の人工ニューラルネットワークは、その中間層で、複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づいて複数の潜在変数を作成するように訓練される。第二の人工ニューラルネットワークは、複数の潜在変数に基づいて、1つまたは複数のバイオマーカおよび/または健康状態を出力するように訓練される。
【0016】
様々な実施形態において、標的患者の健康データを合成するためのコンピュータプログラム製品が、提供される。コンピュータプログラム製品は、それにより具現化されるプログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体を含む。プログラム命令は、プロセッサにより実行可能であり、標的患者の複数の健康データおよび/または標的患者の複数の健康データから決定される複数の一次特徴量が事前訓練される人工ニューラルネットワークへの入力として受け取られる方法を、プロセッサに実施させる。標的患者の複数の健康データは、複数のモダリティから導かれる。標的患者の複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量に基づく複数の潜在変数は、事前訓練される人工ニューラルネットワークの中間層から受け取られる。複数の潜在変数は、事前訓練される学習システムに提供される。複数の健康データおよび/または複数の一次特徴量が、事前訓練される学習システムに提供される。事前訓練される学習システムは、複数の潜在変数と、複数の健康データおよび/または一次特徴量の少なくとも1つを入力として受け取るように訓練される。事前訓練される学習システムは、複数の健康データおよび/または一次特徴量に関連する少なくとも1つの値を合成するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態による情報流を示す系統図を示す。
図2】本開示の実施形態による患者体験のプロセスフローを示すフローチャートを示す。
図3】本開示の実施形態による一次特徴量を収集するために2つのタスクに焦点をあてた実施形態での情報流を示す系統図を示す。
図4】本開示の実施形態によるさらなる分析で用いられる複数の異なる供給源(即ち、マルチモーダル)から収集される時系列データの概念的表現を示す。
図5A】本開示の実施形態によるマルチモーダルデータからMOCAスコアを予測するための例示的なニューラルネットワークを示す。
図5B】本開示の実施形態によるマルチモーダルデータからMOCAスコアを予測するための例示的なニューラルネットワークを示す。
図6】本開示の実施形態による時間窓を設定した集約を計算する方法を示す。
図7A】本開示の実施形態による時系列内の健康データの欠けているデータポイントを合成するための機械学習ワークフローを示す。
図7B】本開示の実施形態による時系列内の健康データの欠けているデータポイントを合成するための機械学習ワークフローを示す。
図8A】本開示の実施形態による疾患コードの例示的クラスタリングを示す。
図8B】本開示の実施形態による疾患コードの例示的クラスタリングを示す。
図9A】本開示の実施形態による複数の他のモダリティからあるモダリティにおいて欠けている健康データを合成するための機械学習ワークフローを示す。
図9B】本開示の実施形態による複数の他のモダリティからあるモダリティにおいて欠けている健康データを合成するための機械学習ワークフローを示す。
図10】本開示の実施形態による本発明の勧告を最適化するための深層Q学習ワークフローを示す。
図11】本開示の実施形態による臨床医のレビューのための患者健康データに基づく臨床勧告を決定するフィードバックループを示すワークフローを示す。
図12】本開示の実施形態による患者データモデル(「デジタルツイン」)の例示的ワークフローを示す。
図13】本開示の実施形態によるアルツハイマー病の発病を予測するための一次および二次特徴量を活用する例示的モデルを示す。
図14】本開示の実施形態による患者ごとの特徴量についての例示的な特徴量のグループ化および重要性の決定を示す。
図15】本開示の実施形態による例示的な計算ノードを表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な記載
様々な実施形態において、本開示は、患者のバイオマーカおよび/または健康状態の機械学習支援による決定のための、かつ患者の認知的健康の潜在表現の作成のためのシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品を提供する。様々な実施形態において、システムは、一連の認知評価を個体に施して、様々な異なるモダリティから患者に関する生の健康データ(例えば、発語、歩行およびバランス、眼球運動、描画、睡眠、表情、身振り)を取得し、これらのデータから導かれる生の健康データから一次特徴量を作成し、かつそれらを具体的な脳の健康ドメイン、臨床診断、および/または処置計画に関連づけ得る。
【0019】
様々な実施形態において、本開示は、異なる認知バイオマーカおよび/または診断のための脳機能の集約尺度を作成するためにスマートフォン、タブレット、または他のセンサを用いて取得される複数のモダリティにわたる健康タスクから受け取られるデータを統合し得る。様々な実施形態において、様々なモダリティからの健康データは、機械学習システムに提供されて、それによりデータ間の関連性を作成し得る。様々な実施形態において、関連性は、機械学習システム(例えば、ニューラルネットワーク)から抽出された潜在変数の形態で作成されてよい。様々な実施形態において、潜在変数は、ニューラルネットワークの中間層から抽出されてよい。様々な実施形態において、最適化された治療および処置行動のための勧告が、これらの関連性に基づき提供されてよい。様々な実施形態において、プラットフォームが、様々なデータモダリティ間で、かつ個々のデータセット内で決定された関連性を介する既存の個別のエンドポイント解決法のみよりも、認知低下に対して感度が良く、かつ特定の神経疾患に対してより特異的であるように最適化されてよい。様々な実施形態において、プラットフォームは、脳の健康および異なる脳ドメインと相関されることが、発表された研究で示されている、様々な補助的神経システムにわたるタスクを選択できる。様々な実施形態において、タスクおよび/または評価は、描画に基づくタスク、意思決定および反応時間の尺度、発語誘因タスク、視線追跡に基づく記憶評価、歩行およびバランス評価、睡眠測定、ならびにライフスタイル/健康歴問診を含み得る。
【0020】
様々な実施形態において、脳健康の一次特徴量が、これらのデータから抽出されてよい。様々な実施形態において、一次特徴量は、生の記録された健康データの任意の変換、または明白に数値化されなくてよい臨床専門技術から導かれる洞察を含んでよい。様々な実施形態において、一次特徴量および生の健康データは、対象の脳健康情報(例えば、神経心理学テストスコア、血液および脳画像バイオマーカ、臨床コンセンサス診断ほか)について訓練される機械学習アルゴリズム(例えば、再帰型ニューラルネットワーク)に入力されて、特異的な脳健康ドメイン(例えば、記憶、運動制御、実行機能)、特異的な脳部位およびネットワーク(例えば、右または左海馬形成、右または左前頭前皮質、右または左注意ネットワーク)、ならびに臨床診断(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病)に結びつけられた二次特徴量を作成してよい。様々な実施形態において、二次特徴量は、ニューラルネットワークの中間層から抽出される潜在変数であってよい。様々な実施形態において、二次特徴量は、MoCAスコアを予測する、見込みのあるEEGデータを合成する、見込みのあるfMRI画像を合成する、影響を受けた脳領域、経路または回路を同定するなどの、他のタスクのために訓練される他の事前訓練された機械学習アルゴリズムに提供されて、治療および処置勧告、ならびに既存および開発中の治療の投与量およびパーソナル化を最適化してよい。
【0021】
図1は、本開示による幾つかの実施形態において情報が流れる様式を示す。様々な実施形態において、システムは、適切なハードウエア(例えば、タブレット、スマートフォン)を用いて患者に提供されるタスクおよび/または評価から健康データを収集してよい。様々な実施形態において、例示的評価としては、描画評価、意思決定および反応評価、発語評価、眼球運動評価、歩行およびバランス評価、ならびに/または睡眠評価が挙げられる。様々な実施形態において、収集された情報はその後、暗号化され、プラットフォームに関連するデータベース中に安全に保存されてよい。様々な実施形態において、記録データに基づき、システムは、本明細書により詳細に記載される通り一次特徴量を決定してよい。
【0022】
様々な実施形態において、一次特徴量および生の健康データが、機械学習システムに提供されて、二次特徴量を作成してよい。様々な実施形態において、二次特徴量は、新規な構築物(例えば、モダリティあたり、および/または複数のモダリティでの新規な潜在構築物)、既存の脳構築物(例えば、記憶、実行機能)、および関連疾患構築物(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭側頭型認知症の可能性がある)を含んでよい。様々な実施形態において、既存の脳構築物はまた、影響を受けた領域(例えば、近心側頭葉、ブローカ野)および神経回路(例えば、パペッツ回路)またはシステム(例えば、辺縁系)を含んでよい。
【0023】
様々な実施形態において、健康データの最初の収集の後で、またはその間に、システムは、適応タスク遂行に基づきさらなるまたは追加の収集を促してよい。例えば取り込まれる個々のタスクとそれらから導かれる二次特徴量の所与のセットについて、システムは、より多くの個々のタスクを取り込み二次特徴量を作成する工程を繰り返して、更新された二次特徴量を作成するように患者、医師、または患者治療チームを促してよい。
【0024】
様々な実施形態において、システムは、勧告および/または診断を提供することなどの、提供された二次特徴量に基づく特異的タスクを実施するように訓練される、事前訓練される機械学習システムに二次特徴量を提供してよい。様々な実施形態において、システムは、脳中の1つまたは複数の異常な構築物、領域、回路、または経路を同定し得る。様々な実施形態において、システムは、患者がシステムを超える要素(例えば、MRI、CTスキャン)なしに実行できない具体的処置または確証的テストを勧告してよい。様々な実施形態において、患者データおよび計算された二次特徴量に基づき、システムは、例えば投与量をパーソナル化すること、または患者にアクセス可能な固有の専門家または医院(例えば、神経学者vs.精神病医を参照)への経過観察を勧告すること、により勧告される処置をパーソナル化してよい。
【0025】
図2は、患者体験のプロセスフローを示す。様々な実施形態において、一連のタスクが、個体に施されてよい。様々な実施形態において、施行は、臨床現場でより一般に見出されかつより少ないメンテナンスを必要とする装置を活用することにより開発を容易にするために、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ、活動量計または同様のものを用いることを含んでよく、かつ経費と管理者負担の同時低減をもたらし得る。様々な実施形態において、機器(複数可)により取り込またタスクデータは、システムのサーバに安全に転送され得、そこでそれは、解読され、次いで先進の分析論を利用して分析され得る。様々な実施形態において、テスト分析に続き、レポートが、自動的に作成されてよく、例えば臨床スタッフ、管理者、または患者自身による、レビューに即時利用できるように提供されてよい。様々な実施形態において、タスクの分析により作成された結果および勧告はその後、認知機能および脳の健康のより正確な評価のために臨床で使用されてよい。
【0026】
様々な実施形態において、一次特徴量を収集するために2つのタスクを施す、本開示による例示的システムの情報流が、図3に表される。この実施例において、システムは、患者に2つのタスク:時計描画タスクおよびアイテム想起発語タスク、を完了させるよう促すことにより始動してよい。タスクから誘因された行動信号が、モダリティおよび一次特徴量を収集するために測定され得る。例えば時計描画タスクは、システムが描画効率、正しい成分配置、描画の場所、潜時の分布、用いられた全インク量、描画速度、および振動運動などの要素を測定することを可能にし得る。アイテム想起発語テストは、システムが想起のパーセンテージ、アイテム間の潜時、躊躇、調音の精密性、平均ピッチ、および不要な言語数などの要素を測定することを可能にし得る。様々な実施形態において、これらの一次特徴量は、二次特徴量、例えばデジタル時計描画タスクとアイテム想起タスクの両方からの実行機能尺度の組合せに基づく新規な潜時構築物、を作成するために用いられる機械学習システムに生データと共に提供されてよい。様々な実施形態において、これらの二次特徴量はまた、実行機能、視空間的推論、および記憶を含む認知健康尺度に関係づけられてよい。様々な実施形態において、システムは、アルツハイマー病またはパーキンソン病のリスクなどの既存の疾患構築物を評価するために二次特徴量を分析してよい。様々な実施形態において、関連のリスク(例えば、術後せん妄の高いリスク)の同定、具体的処置の勧告(例えば具体的麻酔薬を回避する)、または特有の治療計画の示唆を含み得る、介入勧告がその後、患者、医師、または患者治療チームに伝達され得る。
【0027】
様々な実施形態において、物理的、神経学的、および/または心理学的健康の補助態様を測定する類似の評価指標が、関連情報を取り込む、低減された特徴量のセットへと組み合わされてよい。例えば、記憶の二次特徴量は、例えば、即時のおよび遅延された物語想起、物体想起、パターン認識/マッチング、および口頭命令の実行時間を含む、様々な評価指標によりテストされ得る。様々な実施形態において、様々な教師なし、または自己教師あり方法が、記憶の圧縮された二次特徴量を抽出するために用いられ得る。様々な実施形態において、次元低減法は、例えば、主成分分析(PCA、ことによるとトランケート形)との評価指標の相関を除去すること、t分布型確率近傍埋め込み法(t-SNE)もしくは均一多様体近似と射影(UMAP)の類似性および差異を視覚化すること、または深層学習自己符号化器(AE)との非直線的関係を学習することを含んでよい。様々な実施形態において、これらの例示的方法は、次元低減を実施し、記憶の二次特徴量への成分として用いられ得るよりコンパクトな潜在空間表現を提供し得る。
【0028】
様々な実施形態において、追加的処理が、シルエットスコアの様な内在的な最適性評価指標を利用して、ノイズを伴うアプリケーションの密度ベースの空間クラスタリング(density-based spatial clustering of applications with noise)(DBSCAN)、空間クラスタリング、および/または階層クラスタリングなどの教師なしクラスタリングを実施することにより、潜在空間表現で実施されてよい。様々な実施形態において、クラスタの形成はその後、離散分類スコアをデータに割りつけるために用いられてよく、こうして二次特徴量を複数の実在する貴重な成分から単一の離散クラスに変更する。様々な実施形態において、将来のデータが、変換された潜在空間表現で分類を再度実行することにより、または時間/プロセッサの制約が存在する場合あるいは過去のクラスタリングが変更されるべきでない場合にk近傍法(KNN)のようなより静的なクラスタリング法を用いることにより、のいずれかで、同様に処理されてよい。様々な実施形態において、評価指標の部分的カテゴリーについてこの種の分析を実施することにより、それ自体をさらなる組み合わせまたは分析に導き得る、記憶、実行機能、微細および大まかな運動制御、言語処理、認知効率、空間処理、情報処理、心理学的健康のより高次の特徴量が、作成され得る。
【0029】
様々な実施形態において、データ構造が、診断、神経心理学的テストスコア、血液および脳バイオマーカ(例えば、アミロイド、タウPET)、および遺伝的リスクファクタ(例えば、APoE)などの臨床ラベルを通して教師あり手法で学習され得る。様々な実施形態において、アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺(PCP)、軽度認知障害(MCI)、病的老化、または正常な制御などの様々なラベルが、臨床診断を通して試料に割りつけられ得る。様々な実施形態において、線形回帰、深層学習、ランダムフォレスト、および勾配ブースタなどの機械学習モデルが、生データ、またはより迅速な処理および改善された解釈可能性を可能にし得る計算された二次評価指標のどちらかを採用して、その臨床ラベルのための予測モデルを生成するために用いられてよい。
【0030】
様々な実施形態において、システムは、二次特徴量を、医療記録もしくはユーザから得られた具体的医療情報(例えば、血液および画像バイオマーカ、遺伝子マーカ、標準の神経心理学的テスト)、またはより一般的な健康関連情報(例えば、体格指数、投薬、栄養習慣、フレイル指数ほか)と組み合わせてよい。様々な実施形態において、システムは、異なる物理的、神経学的、および心理学的サブシステムが脳の健康および疾患発症における変化への寄与に果たす役割について追加的洞察を得るためにこれらの特徴量を組み合わせてよい。
【0031】
様々な実施形態において、これらの二次特徴量において異なる健康成分を評価することにより、システムは、異常な状態に対する感度のみならず、物理的、認知的または心理学的低下の厳密な性質に対する特異度を提供し得る。
【0032】
様々な実施形態において、マルチモーダルデータが、患者のバイオマーカ(例えば、認知スコア)および/または健康状態(例えば、認知疾患)を決定するための別の学習システムでの使用のための患者の健康データの潜在表現を決定するために用いられる学習システム(例えば、ニューラルネットワーク)に入力されてよい。様々な実施形態において、学習システムは、モバイル機器を介して実行された健康評価からの患者データを取り込んでよい。様々な実施形態において、学習システムは、統合されたハードウエア機器(例えば、スマート機器、フィットネストラッカーほか)、電子健康記録(EHR)システムからの患者データを取り込んでよい。様々な実施形態において、学習システムは、第三者のハードウエア、ソフトウエア、および/またはサービスからの患者データを取り込んでよい。様々な実施形態において、学習システムは、学習システムを操作するプラットフォームの一部としてモバイルアプリケーションを介して実行された診断テストからの出力;第三者団体の診断機器により実行された診断テストおよび/またはその後、学習システムを操作するプラットフォームにより取り込まれたアプリケーションからの出力;統合されたハードウエア機器(例えば、スマート機器、フィットネストラッカーほか)、連結されたホームアプライアンス、および/または一般的なインターネット・オブ・シングス(IOT)機器からの出力などの任意の適切なデータ供給源からの患者データを取り込んでよい。様々な実施形態において、連結されたホームアプライアンスおよび/またはIOT機器は、ユーザおよび/またはユーザの環境に関するデータ(例えば、アプライアンス/機器の使用頻度、湿度、空気の性質、UV暴露、屋内/屋外温度ほか);電子健康記録システムからの患者健康データ;サーベイおよび/または生態学的経時的評価からの患者の健康および/または患者が報告した転帰に関係する入力およびフィードバックを提供するために、臨床医を通して得られた患者健康データを記録するように構成されてよい。
【0033】
様々な実施形態において、マルチモーダルデータの入力は、時計を描画することなどの、患者がモバイルアプリケーションでタスクまたは評価を行う間にモバイル機器のスタイラスにより提供される入力などのユーザ相互作用の位置データ(即ち、タッチスクリーン上のタイムスタンプされたX軸およびY軸座標)を記録すること;視覚刺激を提供し、かつその刺激を感知しそれに応答する能力を誘因するタスクを行うよう患者に要求する間の視線追跡データ;視聴覚刺激を提供し、かつそのような刺激を感知しそれに応答する能力を誘因するためのその刺激への応答を発声するよう患者に要求する間の聴覚記録;歩行などの幾つかのタスクを行う患者のビデオデータ記録;歩行などの幾つかのタスクを行う患者の加速度計データ記録;本明細書に列挙される評価またはタスクのいずれか1つを行う患者の機能的神経画像または感知(例えば、脳波(EEG)記録または機能的磁気共鳴画像(fMRI);代謝的または化学的供給源からの神経画像データ(例えば、陽電子放出断層撮影)、構造的または血管の画像からの神経画像データ;評価のユーザパフォーマンスと同時に、または日常活動の間に歴史的に取り込まれる、のどちらかでの第三者の機器により取り込まれるデータ、を含み得る。例えば、パルス、ガルバニック応答などを記録し得る装着可能な個人向け健康機器からのデータが、学習システムへの入力として提供されてよい。
【0034】
様々な実施形態において、学習システムへ入力される患者健康データは、時間データを含んでよい。様々な実施形態において、健康データは、各データポイントが取り込まれ、かつそれにより一時性の要素を有する時のタイムスタンプと関連づけられてよい。様々な実施形態において、特定のデータ入力の解釈は、特に経時的な事象系列の分析に関係する。様々な実施形態において、時間データ入力は一般に、経時的に記録された変数、例えば1日を通した血圧の時系列、についてのデータポイントを指してよい。時間データ入力の例は、患者がモバイル機器上で描画するよう求められる、健康評価の間に取り込まれるタイムスタンプされたX軸、Y軸座標(経時的な座標の配列自体は、時系列として処置されてよい);視覚刺激を伴う健康評価を行う間に患者の目を追跡することに関係して経時的に取り込まれる座標;患者が健康評価を行うことからの視聴覚刺激に応答する際に経時的に取り込まれる聴覚信号;患者が評価を得る期間にわたり取り込まれるパルスデータ;所定の期間にわたり、かつ/または患者がタスクもしくは評価を行う間に取り込まれるEEGデータ;所定の期間にわたり、かつ/または患者がタスクもしくは評価を行う間に取り込まれるfMRI画像、を含むが、これらに限定されない。
【0035】
様々な実施形態において、対象が時計描画などの健康評価を実施している間に取り込まれる時間データの概念的例が、表1に示される。様々な実施形態において、タイムスタンプは、時間、分、秒、および秒あたりのサンプル数を含む。様々な実施形態において、秒あたりのサンプル数は、索引づけを0で開始し、ハードウエア機器の制約に基づき最大に達してよい。例えば、秒あたり240のサンプルは、タイムスタンプの最後の3桁が239を決して超えないことを意味する。この例では、秒あたりのサンプル数の値が239に達したら、それは0にリセットされ、秒が増加する。様々な実施形態において、サンプリング速度は、データ分解能を決定する。この例では、各試料(秒あたり240回採取)について、X座標、Y座標、方位、高度、および力を取り込む。様々な実施形態において、これらの値の範囲は、ハードウエア機器の仕様により決定されてよい。
【表1】
【0036】
図4は、さらなる分析で使用される複数の異なる供給源(即ち、マルチモーダル)から収集された時系列データの概念的表現を示す。様々な実施形態において、マルチモーダルな時間データストリームが、多変量分析および/または人工知能アプリケーションで用いられてよい。
【0037】
様々な実施形態において、生データは、非時間データ入力を含んでよい。様々な実施形態において、非時間データ入力は、データが取り込まれた時間に関連する時間的態様を含んでよい。様々な実施形態において、これらの入力の解釈は一般に、それらが収集された時間またはそれらがどのようにして経時的に変化し得るか、の情報に対し感度が低い。非時間データ入力の例は、患者の血液型;患者の遺伝子表現型;患者の利き手(患者が右利きか、または左利きか);患者にアレルギーがあるか、もしくはアレルギーがないか、ならびに/または食事および/もしくは運動習慣を含むが、これらに限定されない。
【0038】
様々な実施形態において、生データは、機械学習システムにおいてデータを解析するために用いられる特徴量を決定するために処理されてよい。様々な実施形態において、特徴量のエンジニアリングは、生データ(例えば、記録された変数)の使用およびこれらの生データ供給源からの新しい変数の構築の両方を指してよい。様々な実施形態において、生データと構築された特徴量の両方が、人工知能アルゴリズムへの入力として用いられる。様々な実施形態において、特徴量のエンジニアリングの実践は、時間データ対非時間データで異なり得る。様々な実施形態において、人工知能アルゴリズムについての特徴量は、生データ入力からの変換なしに、もしくは微細な変換を有して抽出された特徴量;集約などの生データ入力から導かれる一次特徴量;一次評価指標および生データの集約として対象分野の専門知識から定義される二次特徴量、または生データ、一次特徴量および/もしくは機械学習アルゴリズムの出力のいずれかで実行されたアルゴリズムもしくは統計方法から導かれる特徴量を含んでよい。様々な実施形態において、一次特徴量は、集約を含んでよく、統計結果、機械学習アルゴリズム、ヒト対象分野の専門知識から作成されるルールであってよい。様々な実施形態において、二次特徴量は、生データおよび一次特徴量に基づき機械学習システムにより決定されてよい。
【0039】
様々な実施形態において、機械学習システムの幾つかの適用は、データ変換が最小限ないしは全く含まれない相対的に生のデータ入力を使用してよい。様々な実施形態において、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)は、1つのそのような適用であり、一般的な時間窓およびサンプリング速度が、訓練用の時間データを入力するために用いられる。表1からの時計描画評価データで訓練されるそのようなネットワークの例が、図4に示される。この例では、生データは、時計描画評価の間の直接的ユーザ入力からのX、Y座標、方位、高度および力の入力である。様々な実施形態において、データの変形または特徴量のエンジニアリングがなくてもよい。様々な実施形態において、ニューラルネットワーク(例えば、RNN)は、生データで訓練される際に隠れ層の中の潜在特徴量(latent feature)を学習してよい。様々な実施形態において、データの時間窓サブセットが、ネットワークの訓練の間に提供されてよい。図4に示される通り、時間窓は、表1に提供された概念的データからのわずか3つのサンプルを含む。様々な実施形態において、入力層の厳密な長さは、異なるモデルアーキテクチャのためのグリッドサーチ技術を利用して最適化され得る。
【0040】
図5A~5Bは、マルチモーダルデータからMOCAを予測するための例示的ニューラルネットワークを示す。特に、図5A~5Bは、MOCAスコアの標的変数を予測することについて訓練するためのRNNの長・短期記憶バージョンの例示的適用を示す。様々な実施形態において、活性化関数が、回帰モデルを訓練するために選択されてよい。様々な実施形態において、LSTMの二方向性が、MOCAスコアを予測する入力間での連続関連性を学習してよい。様々な実施形態において、LSTMは、生データ入力を変換する必要性なしに関連性を学習し得る。様々な実施形態において、これらのアプローチは、標的変数を予測するために用いられ得るネットワークアーキテクチャの隠れ層における潜在特徴量を作成してよい。様々な実施形態において、隠れ層または埋め込みからの値は、単独で一次および/または二次特徴量として用いられてよい。
【0041】
様々な実施形態において、図5A~5Bの例示的なLSTM RNNの例示的モデルに示される通り、デジタル時計描画評価からのデータが、入力として用いられてよい。様々な実施形態において、本明細書でX座標、Y座標、方位対、高度および力として表される個々のタイムポイント(最下の列)からの評価指標の埋め込みが、モデルの第一層(下から2番目の列)で学習される。様々な実施形態において、これらの埋め込みは、連結およびグローバルプーリングが行われる前にLSTM層を通過される。様々な実施形態において、LSTM層は、データの配列(複数可)を学習する。様々な実施形態において、線形活性化関数で完全に連結された層は、予測されるMoCAスコアを生成する。様々な実施形態において、完全に連結された層は、1つまたは複数の完全に連結された層を包含し得る。様々な実施形態において、完全に連結された層(複数可)および線形活性化関数(複数可)は、任意の他の適切な完全に連結された層(複数可)と線形活性化関数(複数可)で置換されてよい。様々な実施形態において、完全に連結された層は、特有の結果(例えば、MoCAスコア)を出力するように別個に訓練されてよい。例えば、MoCAスコアを予測するための線形活性化関数層を有する完全に連結された層は、発語テストなどの別の評価の結果を予測する線形活性化関数を有する完全に連結された層と交換されてよい。様々な実施形態において、完全に連結された層は、完全に除去されてよく、潜在変数は、グローバルプーリング層から収集されてよい。
【0042】
様々な実施形態において、一次特徴量は、生データ入力から計算される任意の導かれた特徴量を指してよい。様々な実施形態において、そのような特徴量としては、運動平均の計算、時間差、トレンド除去、デジタルシグナル処理関数(例えば、スペクトラルパワー解析、時間周波数ドメイン解析、および/またはフーリエ変換)、ならびに臨床分野の専門知識に基づく論理演算および/または数学演算から計算される評価指標が挙げられるが、これらに限定されない。これらの特徴量および尺度は、提供される例を用いて以下でさらに記載される。
【0043】
様々な実施形態において、特徴量は、臨床分野の専門知識から導かれてよい。様々な実施形態において、一次特徴量は、臨床医により定義されてよい。様々な実施形態において、一次特徴量は、特有のタスクを完了する患者の能力の主観的または客観的評価に関係してよい。様々な実施形態において、一次特徴量は、臨床分野の専門知識に基づく生の健康データで実施される特有の計算であってよい。例えば、対象は、発語される3つの言語を聞き、その後それらを順番に繰り返すよう求められてよい。様々な実施形態において、モバイルアプリケーションが、生の聴覚信号データとして対象の応答を記録してよい。様々な実施形態において、生の健康データは、言語に転写されてよく(例えば、自動音声認識(ASR)を用いて)、対象が想起可能な言語数および言語が正しい順序であるかどうかなどの評価指標が、計算されてよい。様々な実施形態において、そのような計算された評価指標は、データを収集するための評価と、評価指標を生成するために対象の応答を測定する手法の両方を設計する臨床医(例えば、神経学者)の臨床的専門知識により情報提供される生データで定義される論理的操作と数学的操作の組合せであってよい。
【0044】
様々な実施形態において、臨床分野の専門知識に基づく一次特徴量(上記の発語の例を用いる)の追加的例としては、即時想起;遅延想起;各言語を想起するのにかかった時間;想起された言語の正確性;想起する時の躊躇の回数;言語を想起する時の間違い;合図を与えた場合、および与えなかった場合に想起された言語;声量、声の調子および/または高さ;構音障害(言語を形成することが困難であること)、発語障害、および/または音声振戦が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
図6は、時間窓を設定した集約を計算する方法を示す。様々な実施形態において、特徴量は、データドリブンの計算および/または変換から導かれてよい。様々な実施形態において、運動集約、部分的もしくは全体的最小値、部分的もしくは全体的最大値、および/または標準偏差などの時間窓を設定した集約は、任意の生の時間データ時間窓で計算され得る。例が、図6に示される。様々な実施形態において、時間窓が、選択される。例えば、表1に示される概念的データのために1秒の時間窓が、選択されてよい。この例では、1秒の時間窓は、各時間窓内に各寸法について240個の値を生成する。単一の時間窓内のそれらのサンプルのそれぞれについて、統計値(例えば、平均、最小値、最大値、および標準偏差)が、決定されてよい。様々な実施形態において、各時間窓について統計値を決定することは、秒基準でこれらの集約値へと生データを変換してよい。様々な実施形態において、より長い、またはより短い時間窓が、選択されてよい。様々な実施形態において、それにより窓がシフトされる任意の適切な時間量が、これらの時間窓の集約を計算する際に用いられてよい。様々な実施形態において、運動平均、減衰関数、および/または平滑関数が、生の健康データに適用されてよい。様々な実施形態において、これらの方法は、様々な長さの任意の数の重複した時間窓で再帰的に適用されてよく、より小さい時間窓の出力は、より長い時間窓内で集約されてよい。様々な実施形態において、これらの値は、異なる状況で用いられる場合であっても、確実な情報を提供するようにZスコアづけされ得る。
【0046】
様々な実施形態において、時間の差分は、先に記載され図6に示される通り、生データまたは時間窓を設定した集約の出力のどちらかに適用され得る。様々な実施形態において、1つのタイムポイントでの値(例えば、生データ、平均、最大値、標準偏差ほか)が、所与の間隔で別のタイムポイントでの値から差し引かれてよく、この工程は、各データポイントについて繰り返されてよい。様々な実施形態において、この操作の出力は、古い時系列の値の間の差で構成される新しい時系列であってよい。様々な実施形態において、これらの方法は、様々なモデリング目的のためにデータを安定にするために、データをトレンド除去するために用いられてよい。様々な実施形態において、トレンド除去するための他の適切な方法としては、平滑関数、運動平均、および回帰分析を挙げることができる。様々な実施形態において、これらの方法は、生データの変換であってよくかつ図5に示されるものなどの様々な機械学習モデルへの入力として提供され得る、時系列出力を生成する。
【0047】
様々な実施形態において、二次特徴量は、生データおよび一次特徴量から決定されてよい。様々な実施形態において、経験的な二次特徴量は、一次特徴量と相関してよい。様々な実施形態において、臨床治療での多くの尺度は、本質的に観察に基づき、一般に疾患の徴候および/または症状に関して参照され得る。様々な実施形態において、幾つかの徴候および/または症状は、特殊な機器およびテスト手順を利用して客観的かつ定量可能な様式でバイオマーカにより評価されてよい。様々な実施形態において、幾つかの症状は、そのような直接的手法で評価され得ず、臨床分野の専門知識を有する専門家により評価されなければならない。一例は、軽度認知障害の診断であり、それは、個人が日常生活の活動を妨害すると感じられる認知欠損を有することを必要とする。そのため、この決定は、最終的にそのような診断に達するために、個人、家族および介護者との議論に大きく依存する。他の例は、本態性振戦、またはパーキンソン病に関連する振戦などの運動障害であり、臨床医の往診の間に個人により共有され、医師により観察および留意される。様々な実施形態において、規則体系およびテンプレートのライブラリが設定されて、それによりそれらが客観的かつ定量的な手法で直接評価され得ない場合であっても、二次特徴量を作成し得る。様々な実施形態において、これらの特徴量についての値を入力するための情報は、観察から医師によって直接割りつけられても、または電子健康記録での自然言語処理技術を利用して臨床記録から解析および処理されてもよい。
【0048】
様々な実施形態において、ヒトが生成した特徴量は、機械学習により臨床分野の専門知識からのラベルと組み合わされてよい。様々な実施形態において、臨床研究は、特定の尺度が神経機能を予測することを示し得る。例えば、フレイルは、術後せん妄の予測因子と見なされてよい。せん妄を予測する例において、様々な実施形態において、臨床医は、他の因子に加えてフレイルの幾つかの尺度を考慮することを望むかもしれない。様々な実施形態において、フレイルはそれ自体が、一緒に考慮される複数の他の尺度の複合物であってよい。様々な実施形態において、第一の機械学習モデルは、臨床分野の専門知識から構築される論理および/または数学から定義される、フレイルなどの標的可変尺度を予測するように訓練されてよい。第二の機械学習モデルは、せん妄のリスクなどのより高レベルの標的変数を予測するように訓練される一方で、特徴量入力としての第一の機械学習モデルからの尺度を入力として受け取るように訓練されてよい。
【0049】
様々な実施形態において、教師あり学習を適用するためのワークフローは、以下の一般的処理ステップを含んでよい:1.臨床医が、その分野の専門知識に基づいてフレイルのスコアで患者記録をラベルする。様々な実施形態において、ラベルは、患者健康データで利用可能なフレイルと相関することが知られるバイオマーカから導かれてもよい。両方の例で、臨床医は、ラベル値を割りつけるための論理および計算を提供する。2.追加的マルチモーダルデータが、タスクおよび/または評価での対象のパフォーマンスなどの各対象に関連づけられてよい。様々な実施形態において、対象に関連づけられるデータは、マルチモーダル入力、およびそれらの入力を用いて予測するためのフレイルの標的変数を含む。3.教師あり機械学習モデルが、フレイルの標的変数を予測するためにマルチモーダル入力データで訓練される。4.新しい対象が評価される場合、臨床医がフレイルのスコアで対象の記録をラベルしていないとしても、新たに訓練された機械学習モデルが、その対象のフレイル尺度を予測するために用いられ得る。5.モデルから生成された現実の、または予測されたフレイル尺度がその後、次の機械学習モデルで(例えば、第三者により提供される事前訓練されたせん妄モデル)、またはせん妄のリスクなどの新しい標的変数を予測するための、および/もしくは介入のための勧告を行うためのルールシステムにおいて、二次特徴量として用いられ得る。
【0050】
様々な実施形態において、特定の機械学習アルゴリズムは、転移学習として知られるアプローチにおいて、一般的タスクで訓練されることにより潜在変数を学習してよく、そこで潜在変数はその後、異なるタスクのために訓練される二次モデルへの入力として用いられる二次特徴量として生データをコードするために用いられ得る。転移学習の一例は、一般的タスクでのニューラルネットワークの事前訓練であり、その後、得られたモデルを使用し、かつ異なるタスクでの追加の訓練で更新する。このアプローチの具体的例は、BERT深層トランスフォーマモデルである。
【0051】
図7A~7Bは、時系列内の健康データの欠けているデータポイントを合成するための機械学習ワークフローを示す。様々な実施形態において、機械学習モデルは、複数のモダリティ(例えば、EEG値の移動平均、記録された聴覚/音声、およびfMRI画像)からの健康データおよび/または一次特徴量を提供されてよい。様々な実施形態において、マルチモーダル健康データの任意の適切な形態が、患者がタスクまたは評価または別の一般的な活動(例えば、運動)を行う間に収集されてよい。様々な実施形態において、データ入力は、上記データの供給源またはモダリティのいずれかからであってよい。この例では、EEGデータが、対象が評価を行う間に、対象で収集される。様々な実施形態において、このデータは、大きな患者集団で収集されてよく、そのようなデータの大きなライブラリを作成する。様々な実施形態において、EEGデータが入力であるような機械学習モデル(例えば、再帰型ニューラルネットワーク)が、訓練されてよい。様々な実施形態において、訓練されたモデルは、他の患者のEEGの欠けている値を合成するために用いられてよい。
【0052】
様々な実施形態において、EEGデータは、完全でなくてよく、例えば、幾つかの値が、欠けているか、または壊れていてもよい(例えば、患者の動きまたは電磁的干渉により)。様々な実施形態において、機械学習モデルは、各モダリティの各時間窓のための埋め込み、各時間窓のためのセグメント埋め込み、および/または各時間窓のための位置埋め込みを学習してよい。様々な実施形態において、不完全な患者EEG値が、訓練されるモデル入力に供給されてよい。様々な実施形態において、他のモダリティ(例えば、視線追跡、音声、fMRIほか)からのデータが、訓練される学習システムに供給されてよい。様々な実施形態において、モデルの出力は、データが欠けているモダリティにおける欠けているデータの値を予測してよい。例えば、図7A~7Bに示される通り、各5秒間の各秒に値のセットが存在する、EEGデータの移動平均が、提供されてよい。様々な実施形態において、それらの秒の1つの平均が、欠けている場合、訓練されるモデルは、複数の患者の健康データおよび/または一次特徴量での事前の訓練に基づきその値を予測してよい。様々な実施形態において、モデルは、EEGデータの一般的配列を学習し、EEGについての「言語モデル」の選別を確立してよい。
【0053】
様々な実施形態において、モデルの最終的な出力層は、除去されてよく、中間の隠れ層の出力が、他のモデルで用いられる二次特徴量として用いられてよい。様々な実施形態において、この工程で学習された埋め込みおよび隠れ層は、他のタスクに用いられ得る潜在変数または二次特徴量として用いられてよい。例えば、予測MOCAスコアのための新しい出力層が、訓練されるモデルに添加されてよい。様々な実施形態において、埋め込みは、将来のEEGデータのために作成されてよく、これらの埋め込みは、予測MOCAスコアのためのサポートベクターマシンなどの他の機械学習アルゴリズム(例えば、第三者から供給されるモデル)に供給されてよい。
【0054】
図8A~8Bは、疾患コードの例示的クラスタリングを示す。様々な実施形態において、健康データが、対象分野の専門知識から人により生成されてよい。様々な実施形態において、臨床医は、対象分野の専門知識を利用して、個々の特徴量のみより大きな予測力を担う集約特徴量へと特徴量をグループ化してよい。図8Bは、複数の関連するICDコードがワンホットエンコードされる例を示し、即ち、それらは、もしこのコードが患者の医療記録に出現するならば1の値に、出現しなければ0の値に、割りつけられる。様々な実施形態において、医療コードを表すこの方法は、機械学習アルゴリズムの入力として役立ち得る。様々な実施形態において、図8Bの上の表のコードは全て心臓血管の健康の合併症に関係するため、それらのコードは、1つのカスタムコードへと一緒にグループ化されてよく、それは次いで、もし構成要素のコードのいずれかが患者の医療記録に出現するならば1にワンホットエンコードされる。様々な実施形態において、結果が、図8Bの下で表に示され、そこで画像の上の表から心臓血管疾患に関係づけられる複数のICDコードが、下の表中の1つのカスタムコードであるCV-RFにマッピングされている。
【0055】
様々な実施形態において、このように特徴量を表すことは、機械学習アルゴリズムへの入力として用いられるさらなる次元をもたらし得る。様々な実施形態において、次元を増加させることは、パラメータ空間が指数関数的に増加し、任意の個々の特徴量の予測力を効果的に弱める、次元の呪いと呼ばれる問題をもたらし得る。様々な実施形態において、臨床医は、ここで提供されたICDコードが全て関係し、かつ集約と見なされ得ることに気づくかもしれない。これらの疾患コードを組み合わせることにより、次元の数が低減され得、こうして次元の呪いを低減し(例えば、最小化する)、一方で教師あり学習アルゴリズムに提供される特徴量の予測力を増加させる。
【0056】
様々な実施形態において、システムは、臨床医が図8Bに示されるように定義された集約コードなどの二次特徴量へとICDコードなどの一次尺度をグループ化することを可能にする、そのルールエンジンに関係するオントロジーマッピングを含んでよい。様々な実施形態において、この特有のオントロジーは、他の因子と組み合わされる際に様々な神経学的問題のリスクを評価するための共存症として特に関連する単一の集約コードへの心臓血管健康に関係するICDコードのグループ化である。図8Aは、とりわけ高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、栄養不良、運動不足を含む、心臓血管危険因子を表す集約コードであるこの1つのオントロジー成分の詳述を示す。様々な実施形態において、高血圧および糖尿病などの心臓血管の危険因子は、加齢による認知低下および認知症を発症するための重大な危険因子であり得、これらの心臓血管危険因子の多くは、同じ人に見出される場合がある。現在の推定は、米国の成人3名中1名が高血圧を有し、および糖尿病の個体のほぼ80%が高血圧も呈することを示す。様々な実施形態において、そのような個々の因子をクラスタリングすること、およびそれらを他のデータ源(例えば、遺伝子、行動、パフォーマンスに基づく評価、および他のタイプの健康データ)の状況にあてはめることにより、機械学習アルゴリズムは、認知障害および認知症のリスク、ならびに標的とされた介入からの応答性を推定する予測能力における改善を可能にする。
【0057】
様々な実施形態において、臨床分野の専門知識が、一次特徴量および/または二次特徴量を別の予測使用例のためのより予測性のある集約にグループ化するために用いられ得る。幾つかの追加的例は、以下のものを含むが、これらに限定されない:1.特有の表現型を区別するために、ICDコードをPHEコードとしてグループ化すること。それらは主に、対照群の症例混入(case contamination)を排除するために用いられる。PHEコードはまた、対照群の症例による混入を予防するための排除コードを定義する。2.群と見なされる広域抗生物質などの、化学組成物または生理学的効果に基づく薬物の概念的グループ化。3.薬物の治療学に基づきクラスまたはサブクラスに薬物をグループ化するためのMedi-Span Generic Product Identifier(GPI)。GPIの最初の6文字は、レベル6コードとして知られ、Medi-Spanにより定義される薬物の治療クラスを同定するために用いられる。4.脳機能の現在の理解に基づく特有の評価指標のグループ化。例えば、フレイルは、生理学的、心理学的および社会学的機能の加齢による低下を特徴とする臨床症候群として定義され得る。障害累積型臨床モデルを利用して、高齢者総合的機能評価(医療歴および機能的能力など)の日常的に収集される項目が、特定個人のフレイル度に洞察を与えるフレイル指数を計算するために用いられ得る。
【0058】
図14は、患者ごとの特徴量のための例示的な特徴量グループ化および重要性決定を示す。図14に示される通り、図5A~5Bに示される例示的モデルを利用して、特徴量係数抽出(feature coefficient extraction)が、実施されてよい。様々な実施形態において、データ駆動型グループ化および意味的グループ化が、特徴量/係数抽出の後に決定されてよい。様々な実施形態において、一致が、データ駆動型グループ化と意味的グループ化の間で決定されてよい。様々な実施形態において、結果は、レポート作成、EHR統合などのために提供されてよい。様々な実施形態において、データ駆動型グループ化は、本開示全体に記載される通り、クラスタリングに基づき決定されてよい。様々な実施形態において、意味的グループ化は、臨床分野の専門知識に基づき決定されてよい(例えば、手動または自動で、例えば、ルールを通して、臨床知識に基づく集約において具体的特徴量、評価指標、および/または概念を一緒に組み合わせて)。
【0059】
様々な実施形態において、各患者のための患者モデル(図5A~5Bのモデルを利用)は、各患者の特徴量の重要性について分析されてよい。様々な実施形態において、シャープレイ値が、各患者モデルのために決定されてよい。様々な実施形態において、Kernel SHAP(SHapley Additive exPlanations)アルゴリズムが、個々の患者モデル(複数可)に適用されてよい。Kernel SHAPアルゴリズムは、表形式データに適用される回帰および分類モデルに適したモデル非依存の(ブラックボックス)ヒトに解釈可能な説明を提供する。この方法は、アディティブ・フィーチャー・アトリビューション・メソッドクラスのメンバーであり;フィーチャー・アトリビューションは、基底値(例えば、訓練セットにおけるそのクラスの平均予測確率)に関して説明される転帰の変化(分類問題におけるクラス確率)が、モデル入力特徴量に異なる割合で貢献し得る、という事実を指す。Kernel SHAPについての参考文献は、オンラインでhttps://docs.seldon.io/projects/alibi/en/stable/methods/KernelSHAP.htmlに見出され得る。様々な実施形態において、Tree SHAPアルゴリズムが、個々の患者モデル(複数可)に適用されてよい。Tree SHAPアルゴリズムは、表形式データに適用される木構造のモデルの回帰および分類に適したヒトに解釈可能な説明を提供する。この方法は、アディティブ・フィーチャー・アトリビューション・メソッドクラスのメンバーであり;フィーチャー・アトリビューションは、基底値(例えば、訓練セットにおけるそのクラスの平均予測確率)に関して説明される転帰の変化(分類問題におけるクラス確率)が、モデル入力特徴量に異なる割合で貢献し得る、という事実を指す。Kernel SHAPの実証文書は、オンラインで、https://docs.seldon.io/projects/alibi/en/stable/methods/TreeSHAP.htmlに見出され得る。様々な実施形態において、Force Plotが、決定されたシャープレイ値(複数可)に基づき各患者について作成されてよい。
【0060】
様々な実施形態において、患者のクラスタリングが、異常検出および鑑別診断を可能にするために実施されてよい。様々な実施形態において、一般的ワークフローは、1.患者データモデルにおける特徴量の全てまたは一部のサブセットをベクトルに射影する;2.主成分分析などの次元低減技術を適用する、3.クラスタリングアルゴリズム(例えば、K平均、K近傍法、DBSCAN、スペクトラルクラスタリングほか)を適用する、を含んでよい。
【0061】
図9A~9Bは、あるモダリティにおいて欠けている健康データを複数の他のモダリティから合成するための機械学習ワークフローを示す。様々な実施形態において、健康データに基づき患者の健康を評価することは、健康データが、ノイズが多く、欠失があり、または問題のある品質であり得るため、困難である可能性がある。様々な実施形態において、マルチモーダルデータを収集することは、どのように各モダリティが他のモダリティと相関するか、かつどのように各モダリティが疾患状態を予測すること、または最適処置経路を勧告すること、などの標的変数と集合的に相関するか、などのモダリティ間の関連性の学習を可能にする。様々な実施形態において、異なるモダリティからのデータ間の関連性の学習は、患者の健康記録で収集されなかったモダリティについて欠けているデータを合成すること、および/またはどのような介入が別のモダリティからのデータを用いて1つのモダリティに影響を及ぼし得るかを予測すること、を可能にする。例えば、EEG信号に影響を及ぼす薬物処置は、薬物処置から生じると予測されるfMRI画像を合成するために用いられてよい。
【0062】
様々な実施形態において、教師あり機械学習アプローチが、モデルを訓練するために適用されてよく、1つのモダリティからのデータが標的変数として用いられ、かつ1つまたは複数の他のモダリティからのデータが入力特徴量として用いられる。モダリティの異なる並べ替えが、他のモダリティを予測するために用いられ得る。例えば、以下のマルチモーダルデータが、一連のタスクおよび/または評価を実施する複数の患者から同時に収集されてよい:1.視線追跡データ;2.音声記録データ;3.描画評価データ;4.EEGデータ;5.評価の間に対象で採取され、その後プラットフォームにアップロードされるfMRI。
【0063】
様々な実施形態において、最初の4つのモダリティからの生データ(例えば、視線追跡データ、音声記録データ、描画評価データ、およびEEGデータ)、ならびに先の節に記載された一次および/または二次特徴量が、fMRIから収集されたデータが特有の患者についてどのように見えるかを合成するための訓練データとして用いられてよい。様々な実施形態において、各モダリティについてのデータは、訓練データに利用可能である。具体的に、この例において、患者の視線の位置、患者が何を話しているかを表す音声信号、描画する際のモバイル機器インターフェースとの相互作用、EEG記録、および脳活性のfMRIデータ。様々な実施形態において、機械学習モデルは、標的変数としてfMRIの出力で訓練されてよい。モデリングの例示的ワークフローが、図9A~9Bに示される。様々な実施形態において、このモデルは、視線追跡、音声記録データ、描画活性、および/またはEEGデータのみを与えられ合成fMRI信号を作成するために用いられてよい。様々な実施形態において、1つまたは複数の他のモダリティからのデータのみが提供される場合に1つのモダリティについて合成されたデータを作成することが、将来の試験にとって、または電子健康記録を完成させるために、特に有用であり、ここで全てのデータモダリティが利用可能であるとは限らず、ユーザは、それらのモダリティからの欠けているモダリティを合成することを望むかもしれず、それは疾患状況などの他の標的変数のより確実な予測を行うために、または介入のための勧告を作成するために提示される。様々な実施形態において、ユーザは、特有の欠けているモダリティについて合成される健康データを作成して、例えば欠けているモダリティ(単独で、または利用可能なデータモダリティとの組み合わせで)に基づき疾患ラベルを出力するように、訓練される第三者の機械学習モデルへの入力の完成されたセットを提供してよい。
【0064】
様々な実施形態において、fMRIは、特定の刺激により脳のどの領域がどのように活性化されるか、などのより高次の情報と相関されてよい。様々な実施形態において、fMRI値は、他のモダリティ(例えば、視線追跡、音声、EEG、および/または描画の評価)から推測されてよく、fMRIデータは、脳のどの領域が活性化されているかを示し得る。様々な実施形態において、活性化されている脳の領域は、利用可能な他のモダリティにより推測され得、合成されるfMRI画像は、他のデータモダリティに基づき作成されてよい。様々な実施形態において、この機能性は、脳のどの領域がどのように影響を受けているかを推測することによる将来の評定を利用して介入の効果をテストするために用いられ得る。例えば、臨床試験は、薬物の投与または経頭蓋電気刺激などの異なる介入が特有の様式で脳の特定領域に影響を及ぼすはずであることを示してよい。これらの効果を提供するための試験の間、臨床医は、その介入を施し、一連の評価を施し、収集がより容易なモダリティからデータを収集し、その後fMRIについての値または脳領域での効果を予測するまたは帰属する(fMRIは、専門の技術者により保有および操作する高価なモダリティであるため)。様々な実施形態において、合成されたモダリティからの結果は、予測される値が期待された値と一致するかどうかを示すために有用であり得る。様々な実施形態において、欠けているモダリティからの合成健康データを他のモダリティから作成することは、データの特定のモダリティを収集することが困難であるがそれらのモダリティが他のモダリティから予測され得る状況において極めて有益であり得る。
【0065】
図12は、患者データモデル(「デジタルツイン」)の例示的ワークフローを示す。様々な実施形態において、全体的健康と、認知機能性を表すマルチモーダルデータの間の微細な関連性を取得する、患者データモデルまたは「デジタルツイン」が、作成されてよい。様々な実施形態において、このモデルは、一次および二次特徴量、全ての導き出された特徴量、臨床分野の専門知識に基づく特徴量、集約特徴量、ならびに各データモダリティを含む先に記載された組み合わされた特徴量を含んでよい。様々な実施形態において、ソフトウエアプラットフォームが、統計学的アプローチおよび機械学習を利用してこれらの特徴量の間の関連性を学習してよい。様々な実施形態において、追加的プロファイリングが、患者データモデルの全ての分野の間の相互作用効果を学習するために実施されてよい。様々な実施形態において、欠けている値が、様々な分析を支援する所与の患者データモデルにおいて合成されてよい。様々な実施形態において、いくつかのアルゴリズムは、欠けている値によりそれほど影響されず、他の場合では、値が欠けているという事実そのものが、様々な患者の状況を予測するための貴重な情報を提供し得る。様々な実施形態において、あるモデルは、手近の分析使用例に応じて、これらの異なるシナリオに適応されてよい。
【0066】
様々な実施形態において、デジタルツインモデルは、特徴量の全てにまたがる指数を、それらの間の相関の全てに関連するメタデータと共に含んでよい。様々な実施形態において、メタデータは、機械学習モデルを含んでよい。様々な実施形態において、メタデータは、全ての特徴量推測の同時確率分布のベイズモデルなどの、統計モデルを含んでよい。
【0067】
様々な実施形態において、デジタルツインモデルは、データが患者の医療歴において欠けている場合にそのデータが合成され得ることにおいて特に有用であり得る。様々な実施形態において、データを合成できるように、合成モデルを作成するためのソースデータが、必要とされ得る。様々な実施形態において、患者に関するデータが存在しない場合、エビデンスの合成が、データ合成のルールを作成するための無作為化比較試験のために用いられてよい。様々な実施形態において、データが患者に関して提供される場合、1つまたは複数のモデルが、変数の間の相関を学習してよく、1つまたは複数のモデル(異なるモデルであり得る)が、そのデータを合成するために用いられてよい。
【0068】
様々な実施形態において、データが機械学習モデルに利用できない場合、潜在表現が、発表された文献のRCTからのエビデンス合成、および臨床スタッフから得た本発明者自身の専門知識に基づき決定され得る。様々な実施形態において、データが提供される場合、先に記載された通り、機械学習モデルが、データで訓練されてよい。様々な実施形態において、モデル(複数可)は、潜在表現を学習するニューラルネットワークを含んでよい。様々な実施形態において、モデル(複数可)は、本発明者らの特徴量全て(例えば、生データ、一次特徴量、および/または二次特徴量)の同時確率分布で訓練されたベイズ生成モデルを含んでよい。
【0069】
様々な実施形態において、全ての変数の間の相互作用効果での統計値が、更新されてよい。様々な実施形態において、機械学習モデルが、更新されてよい。様々な実施形態において、新しいデータが加わると、新しいデータが現行の統計値および機会学習モデルの基になったデータからどれほどずれているかを含む、1つまたは複数の分布が、データから測定されてよい。様々な実施形態において、ドリフト閾値が、いつ特有のモデルを始動するおよび更新するかを決定するために、決定されてよい。
【0070】
様々な実施形態において、患者データモデルは、全ての生データおよび本明細書に記載された特徴量のみならず、各特徴量の間の関連性も取り込む。様々な実施形態において、この「デジタルツイン」は、対象の脳の生理学的状況ならびに本明細書に記載される様々な評価指標およびバイオマーカにより定義される対象のための認知的健康のオーバーホール状況を表す評価指標の複合物を表すために用いられてよい。
【0071】
様々な実施形態において、患者の「デジタルツイン」の構築は、非限定的に、1.疾患状態を予測する入力として患者のデータモデル状況および変数を利用すること;2.介入を勧告するための最適化アルゴリズムへの入力として患者データモデル状況を利用すること;3.介入を勧告するための強化学習における目的関数として患者データモデル状況およびそれらの値の幾つかの評価を利用すること;4.限定されたデータモダリティのみが測定のために利用可能な場合に、薬物投与などの介入の効果を予測するまたは検出するために患者データモデルを利用すること、を含む複数の目的を果たし得る。
【0072】
様々な実施形態において、疾患状態を予測するおよび検出するためのアルゴリズムは、介入のための勧告を最適化するためのアルゴリズム、および潜在的に鑑別診断のためのものと異なっていてよい。様々な実施形態において、生データならびに前の節に記載された一次および二次特徴量が、これらの使用例の全てで用いられ得る。
【0073】
様々な実施形態において、先に記載された特徴量の任意の適切な推測が、バイオマーカ値または疾患状態を予測するまたは検出するための教師あり機械学習法への入力として用いられてよい。様々な実施形態において、多重モデルが、訓練され得、各モデルは異なる標的変数に重点を置く。様々な実施形態において、潜在的な標的変数は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALSまたはルーゲーリック病)、アミロイドタンパク質、タウタンパク質、および/または患者データモデルのデジタルツインの状況を含むが、これらに限定されない。様々な実施形態において、図5A~5Bのモデルは、これらの標的変数の1つを予測するように、例えば一次および二次特徴量、かつ場合によりヒトが作成した入力を組み合わせたマルチモーダル入力を介してアルツハイマー病の標的変数を予測するように適応されてよい。様々な実施形態において、変数は、予測が将来の何時かに、例えば現在の日付から1年目に、患者状況を予想しているように、時間差をつけられてよい。様々な実施形態において、特徴量はまた、即時診断目的のためより短期間内のより多くの予測または検出のために標的にされ得る。
【0074】
図13は、アルツハイマー病の発病を予測するための一次および二次特徴量を活用する例示的モデルを示す。様々な実施形態において、変数は、予測が将来の何時かに、例えば現在の日付から1年目に、患者状況を予想しているように、時間差をつけられてよい。様々な実施形態において、特徴量はまた、即時診断目的のためより短期間内のより多くの予測または検出のために標的にされ得る。様々な実施形態において、患者データモデルは、一次特徴量を含んでよい(図12および13に示される)。例えば、一次特徴量は、即時および遅延の想起スコア、言語あたりの想起までの時間、セッションあたりの躊躇の数ほかなどの、抽出された聴覚特徴量を含んでよい。別の例において、一次特徴量は、シグナル移動平均および時間差系列(time differences series)などの、抽出されたEEG特徴量を含んでよい。様々な実施形態において、患者データモデルは、二次特徴量を含んでよい(図12および13に示される)。例えば二次特徴量は、音声埋め込み、EEG埋め込み、fMRI埋め込みほかなどの、ニューラルネットワーク(例えば、RNN)からの学習された埋め込みを含んでよい。別の例において、二次特徴量は、集約された臨床医ICDコードを含んでよい。
【0075】
様々な実施形態において、ルールが、定義され、かつ臨床決定支援を駆動し得る他の基準と予測モデルの出力を組み合わせるために適用されてよい。様々な実施形態において、対象がアルツハイマー病を有し得る可能性を予測するための機械学習を利用することは、臨床的意思決定の駆動力であってよいが、決定を下すために臨床医に情報を提供する際に他の基準と共に考慮される必要があり得る。様々な実施形態において、追加的基準は、一般集団について訓練された機械学習モデル出力の解釈を修正し得る、特定の場所で処置される特有の集団;外れ値変数が機械学習結果を歪める場合があるが特定の神経状態の診断が適切でないであろう、18歳未満の対象;特有の場所で臨床医が、疾患状態を予測する際に、精密さの代償を払ってより高い再現率を好む場合、またはその逆の場合のユーザ選択;予測が、処置センターおよび通常の作業の状況での臨床経過観察のための特有のカテゴリーに転換されなければならない場合の、臨床ワークフローへの統合、を含んでよいが、これらに限定されない。
【0076】
様々な実施形態において、ルールエンジンが、提供されてよく、臨床医は、先に記載された状況基準を機械学習モデルの出力、ならびに先に記載された一次および/または二次特徴量と組み合わせて、実行可能な臨床決定支援を提供するためにルールを発案する。さらに、そのプラットフォームは、ユーザが、ユーザ自身のカスタムルールを発案しかつルールを他者と共有して最良の実践について合意に達することを可能にし得る。
【0077】
様々な実施形態において、入力として用いられる特徴量は、グループ化されてよい。様々な実施形態において、グループ化自体は必ずしも、機械学習アルゴリズムへの入力のための特徴量として用いられない。様々な実施形態において、グループ化は、どのようにそれらの値がモデル予測出力に影響したか、のより意味的に有意義な解釈を伝える特徴量の意味的グループ化であってよい。
【0078】
様々な実施形態において、本明細書に記載される機械学習モデルは、患者の健康データ(例えば、EHR)における異常の検出に用いられてよい。様々な実施形態において、対象の具体的疾患状態を予測することは常に可能というわけではないが、正常と見なされるものから対象が逸脱している度合いを評価することは、依然として有意義であり得る。様々な実施形態において、1つまたは複数の機械学習モデルが、患者健康データを分析するため、かつどの値が正常から逸脱するかを決定するために含まれてよい。様々な実施形態において、正常値は、臨床ガイドラインまたは標準から定義されてよい。様々な実施形態において、例示的ワークフローは、以下の通りである:1.神経学的問題を有すると診断されていない(即ち、「健康」である)対象のみでの患者データモデル(例えば、デジタルツインモデル)の例からなるデータセットを作成する;2.このデータセットに対し前の節に記載された通りクラスタリングを実行する。様々な実施形態において、これは、データ駆動の方法で患者をグループへと自然に分類する。様々な実施形態において、グループは、年齢、性別、または先に記載された特徴量のいずれかに基づいてよい。3.サポートベクターマシンなどの方法を利用して1クラス分類モデルを訓練する。様々な実施形態において、患者データモデルから射影される同じベクトルが、このモデル訓練への入力として用いられ得る。4.評価される新しい対象に関係するデータを取り込み、患者データモデルを作成する(欠けているデータを有することは完全に許容され得る)。5.新しい対象に最も近いクラスタを見出し、それと関連する1クラス分類モデルを調べる。6.新しい対象がそのクラスの一部と見なされるか否かを決定するために、1クラス分類モデルを用いて新しい対象に関連する患者データモデルベクトルを評価する。もしクラスの一部と見なされなければ、新しい対象は、外れ値であり、正常な神経機能から逸脱する。
【0079】
様々な実施形態において、プラットフォームは、鑑別診断を支援してよく、かつその結果に基づき評価を勧告し得る。様々な実施形態において、臨床医は、先に記載された症状に関連する一次および/または二次特徴量についての値を入力してよい。様々な実施形態において、ルールのライブラリが、特徴を評価して、それらの値に基づく特有の評価を勧告するために提供されてよい。例えば、対象がアルツハイマー病に共通する複数の症状を有する場合、システムは、時計描画評価などのアルツハイマー病の可能性を測定するために具体的に設計された1つまたは複数の評価の適用を示唆するルールを処理してよい。様々な実施形態において、機械学習は、新しい対象を既存のクラスタと比較する結果に基づく評定の示唆を駆動するために用いられ得る。様々な実施形態において、ワークフローは、以下のものを含んでよい:1.異なる神経学的問題(例えば、アルツハイマー病、ALS、パーキンソン病ほか)を有すると診断された対象でのLinus患者データモデルの例からなるデータセットを作成する。2.このデータセットに対し前の節に記載されたようにクラスタリングを実行する。これは、データ駆動の方法で患者をグループへと自然に分類する。得られたクラスタが全て、第一のステップで述べられた条件の1つを有する対象を含む可能性は低い。代わりに、各クラスタはおそらく、大多数の例として役立つ1つの条件を有する、幾つかのサブセットを有する。3.評価される新しい対象に関係するデータを取り込み、それらに関する患者データモデルの例を作成する。欠けているデータを有することは完全に許容され得る。4.新しい対象に最も近いクラスタを見出す。5.最も近いクラスタ内の任意の対象により表される条件を列挙する。6.クラスタの大多数の条件または条件の幾つかのサブセットのどちらかにより決定される評価の収集を示唆する。
【0080】
様々な実施形態において、勧告は、診断および予測の目的で用いられるものと異なる最適化アルゴリズムを用いて作成されてよいが、それらは、同じ特徴量で動作してよい。様々な実施形態において、勧告エンジンは、現在の状態、取るべき可能な行動を分析してよく、かつ現在の状態を変えるための所望の効果を生じる可能性が最も高い行動について最適化してよい。様々な実施形態において、勧告エンジンは、先に記載された健康データ合成モデルを適用して、患者に対する特有の処置の潜在的結果を分析してよい(例えば、患者デジタルツインデータモデルを用いて)。
【0081】
様々な実施形態において、定義されるシステムの状況では、患者の現在の状態は、先に記載された方法を利用して予測されてよいが、可能ならば、直接測定から得ることもできる。
【0082】
エビデンスに基づく医薬は、熟練の臨床知識と、最高の利用可能な科学的エビデンスと、患者の価値観、希望および要件を統合して、臨床管理に関与する意思決定を導く工程である。臨床知識における最良の実践は、異なる起源から提供されてよく、最良の診断実践は、専門の組織(American Academy of NeurologyまたはAmerican Heart Associationなど)により発信された臨床現場のガイドラインから提供されてよく、最良の介入実践は、最高の利用可能なエビデンスから提供され、それは、以下の表4に認められる通り、I~VIIの範囲のスケールで等級化される(より低いものは強いエビデンスレベルを示す)。
【表2】
【0083】
様々な実施形態において、臨床医は、最高の利用可能なエビデンス;患者の希望、要件、および個々の好み;様々な予測値を決定することにおける特徴量の重要性と共に、前の節に記載された方法からのバイオマーカ値の予測;電子健康記録およびマルチモーダル評価からの生データ;マルチモーダル評価データから計算される一次尺度;二次尺度(潜在変数の表現);ならびに/または臨床環境、を非限定的に含む複数の入力を採用し得るルールを定義してよい。様々な実施形態において、ルールは、臨床で確立された最良の実践に基づく出力勧告にこれらの入力値を組み合わせる論理を適用してよい。
【0084】
様々な実施形態において、強化学習が、最適な介入勧告を提供しようと試みるモデルを訓練するために用いられ得る。様々な実施形態において、深層Q学習が、図10に示される通り、用いられてよく、それは、採用され得る様々な介入活動の効果を予報する一対のニューラルネットワークを活用すること、その後、最大の有益を提供すると予測される活動を勧告することにより機能する。記載されたプラットフォーム内で深層Q学習を用いる1つの例は、入力として、生の健康データ、一次特徴量、および/または二次特徴量を受けてよい。様々な実施形態において、これらの特徴量は、対象の現行の状況(例えば、デジタルツイン)を表してよい。様々な実施形態において、可能な介入は、非限定的に、経頭蓋電気刺激;薬物投与もしくは投薬の特異的力価;食事または運動の変化などのライフスタイルの変化の勧告、を含んでよい。
【0085】
様々な実施形態において、これらの介入の履歴データが、特定環境でのそれらの潜在的な効果および利益のモデルの理解を増進するために用いられ得る。例えば、処置の前および後の対象らのパフォーマンスを含む経頭蓋電気刺激を受ける対象についてのデータ、並びにバイオマーカおよび電子健康データの測定値が、利用可能であってよい。様々な実施形態において、深層Q学習モデルの予測モデル成分は、そのような介入の前および後に過去のデータ測定に基づく介入を与えられた入力特徴量について新しい値を予測するように学習する。様々な実施形態において、この工程は、各潜在的介入のために繰り返されてよい。様々な実施形態において、深層Q学習モデルの最適化成分がその後、入力特徴量の最良の新しい予測値を生成する介入を取り入れるために目的関数を最大化する。様々な実施形態において、患者モデルが、最適化アルゴリズムのための目的関数としてMOCAなどのバイオマーカを予測するために用いられてよい。様々な実施形態において、深Q学習の例では、最適化工程を示唆するモデルは、先に参照された本発明者らの患者データモデルを利用して患者状況を予測する。様々な実施形態において、患者データモデルは、MOCAスコアを予測するための予測モデルへの入力として用いられてよい。様々な実施形態において、予測モデルは、目的関数またはその成分として働いてよい。例えば、最適化アルゴリズムは、MOCAスコアを最大にし得る。
【0086】
任意の健康システム内で、集団および集団で収集されたデータは、経時的に変化してよい。様々な実施形態において、機械学習モデルおよびルールは、ヘルスケアおよび集団の変化の統計学的または論理的示唆が必要と思われる場合に、更新されてよい。様々な実施形態において、自動化成分が、モデルおよび/ルールを更新するために提供されてよい。様々な実施形態において、監査機能が、経時的にモデルおよび/またはルールのパフォーマンスを監査するために提供されてよい。
【0087】
様々な実施形態において、機械学習モデルは、経時的に様々な尺度を追跡するために、交差検証を利用してバージョン管理、追跡、および定期監査されてよい。様々な実施形態において、これらの尺度は、受信者操作特性、曲線下面積(AUC)、想起、精密性、および/またはF1スコアを含んでよい。様々な実施形態において、モデルが、モデルドリフトの特定の閾値に達したら、自動化は、通告を発信し、モデルの自動更新を始動する。様々な実施形態において、自動化された更新は、より最近のデータ(例えば、モデルドリフトを引き起こしたデータ)をより古いデータからのサンプルと共に使用してよい。様々な実施形態において、モデルは、最近のデータを含む新しい訓練データで再訓練されてよい。
【0088】
様々な実施形態において、異なるモデリング技術が、用いられ、各モデルのAUCが、異なるアルゴリズムが提案されるかどうかを同定するために比較されてよい。様々な実施形態において、次元の数および型を取り扱うことが可能な教師あり学習モデルが、用いられてよい。様々な実施形態において、モデルの訓練および評価は、モデルが最終的に、示される評価指標により定義される最適なパフォーマンスおよび正確性を実現するマーキング前に全ての他の更新モデルバージョンに対し比較され得るように、バージョン管理されたデータおよびハイパーパラメータを有してよい。様々な実施形態において、モデルは、新しいモデルが機械学習評価指標の基準に適合するだけでなく、操作システムに有害な影響を及ぼさないことを確実にするために、直ちに生成するよう急かされずに、念入りな開発操作を通してテスト工程を実行してよい。様々な実施形態において、手動でのチェックおよび監査が、更新モデルのデプロイメント前に設けられ得る。様々な実施形態において、政府機関からの規制により、任意のモデリング変更が、デプロイメント前に登録および再検討される必要があるかもしれない。
【0089】
様々な実施形態において、ルールは、新しいデータトレンドを考慮してヒトの介入を通じ、かつ臨床分野の専門知識および最良の実践が進化する際に、経時的に手動で更新されてよい。様々な実施形態において、ルールは、自動化された品質保証テストを経てよい。様々な実施形態において、これらの工程は、各潜在的入力についての全ての潜在的出力を包括的に決定するために、ルールを通して合成データおよび/または実際のデータを実行してよい。様々な実施形態において、さらなる分析が、最も可能性のある入力に基づき最も可能性のある転帰を同定するために実施される。
【0090】
図11は、臨床医のレビューのための患者健康データに基づく臨床勧告を決定するフィードバックループを示すワークフローを示す。様々な実施形態において、先に記載された方法は、患者の転帰を評価する、予測する、および最適化するために繰り返しループにおいて組み合わされてよい。様々な実施形態において、ある成分の出力が、別の成分への入力として働いてよい。様々な実施形態において、一般的ワークフローは、以下の通り進み得る:1.一連の評価が、患者および患者の応答に対し収集されたマルチモーダルデータに施される。2.電子健康記録、臨床フィードバック、および他のものからの追加的データが、取り込まれ、マルチモーダル評価データと組み合わされる;3.一次および/または二次特徴量が抽出され、および/または作成される;4.特徴量が、対象についてバイオマーカおよび/または健康状態を予測する事前学習された機械学習モデルに入力される;5.予測されたバイオマーカ、健康状態、および潜在的に特徴量が、勧告エンジンに供給され、勧告エンジンが、これらの特徴量の状況を考慮し、かつそれらの予測および特徴量の値において最も望ましい変化を生じるとそれが予測する1つまたは複数の介入を勧告する;6.臨床医は、勧告された介入を実施してよい;7.評価は、介入が所望の結果を有したかどうかを決定するために再度施されてよい。
【0091】
図11に示される通り、生データ、ならびに一次および/または二次特徴量が予測モデルに供給されて、特有の出力を生成する。様々な実施形態において、モデルは、特徴量の重要性およびこの特有の出力への貢献を理解するために問い合わされてよい。様々な実施形態において、臨床医は、特徴量を意味的に有意義なクラスタにグループ化してよい。様々な実施形態において、モデルの出力を提示する場合、シングルスコアを提示する代わりに、臨床医が作成したクラスタが、ユーザに提供されてよい。様々な実施形態において、クラスタについての値が、予測出力へのそれらの構成の特徴量の貢献の集約として計算されてよい(例えば、特徴量の重要性により加重される)。
【0092】
様々な実施形態において、システムは、困難すぎて患者で直接測定できない場合がある他のモダリティでの値を予測するためにモバイル機器で送達される患者の様々なタスクおよび/または評価を活用できる。様々な実施形態において、システムは、他の欠けている、または取得が困難なモダリティについての合成データを作成するための他のデータに加えて、デジタルツインデータモデルを利用してよい。一例において、病院は、2つの主要な心電図(ECG/EKG)のみを有してよいが、特有の機械学習モデルは、入力として6または12の主要な値を必要としてよい。本明細書に記載される機械学習モデルは、生の2つの主要なデータに基づき合成される6および/または12の主要なデータ、ならびにその特有の患者についての他の記録された健康データ、かつ合成される6および/または12の主要なデータを作成するためにそのデータから決定される一次および/または二次特徴量、を作成するために用いられてよい。
【0093】
様々な実施形態において、開示されるシステムは、薬物投与、異なる投与量、経頭蓋電気刺激、またはライフスタイルの変化などの介入がどのように、それらの効果がEEGなどのモダリティによってのみ直接測定可能な脳の生理学および機能に影響を及ぼすか、を明らかにできる。こうして、モバイル機器の評価は、介入効果の新しい尺度として機能してよい。
【0094】
例示的評価
以下の列挙は、本開示によるシステムおよび方法で用いられ得る、タスクの簡単な説明を含む、例示的タスクを含む。しかし本開示は、以下のタスクのみに限定されない。任意の適切な生理学的条件または特性を測定する他のタスクが、用いられてよい。それらの他のタスクおよび以下のタスクのそれぞれは、単独で、または互いに任意に組み合わせて用いられてよい。
【0095】
様々な実施形態において、MMSEからの空間的および時間的配列の質問への音声応答は精神状況の基本尺度を提供し得るため、タスクおよび/または評価は、時間的および空間的配列の質問を含んでよい。時間的配列は、特に、経時的なMMSE降下と有意に関連づけられており、IVDまたはPDよりもADでより大きな差異を明らかにし得る。
【0096】
様々な実施形態において、タスクおよび/または評価は、命名および語彙アクセスを評価するための文章完成タスクを含んでよい。様々な実施形態において、参加者は、希望および恐怖に関する制限のない誘発への音声応答を提供してよい。様々な実施形態において、情動および抑揚の定性分析が、個性および精神状況への観察手段を提供してよい。
【0097】
様々な実施形態において、タスクおよび/または評価は、1つまたは複数のうつおよび/または不安のスクリーンを含んでよい。様々な実施形態において、PHQ-4およびGAD-2からの質問の組み合わせが、気分を評価するために用いられてよい。晩年のうつは、認知症の危険因子であり得、生活の質(QoL)に影響を及ぼす。こうして、認知症の患者では、顕著な不安が、QoLを低減し、日常生活の行動性を損ない、介護者の負担を増加させる可能性がある。
【0098】
様々な実施形態において、タスクおよび/または評価は、注意および作業記憶の操作を含む実行能力を評価するための逆唱タスクを含んでよい。様々な実施形態において、逆唱テスト(BDST)が、用いられてよい。様々な実施形態において、受験者は、4つの数字の連続を聞き、それらを逆の順序に繰り返すよう促されてよい。様々な実施形態において、このタスクは、2回以上繰り返されてよく、きっかけごとに任意の適切な数の試行を含んでよい(例えば、きっかけが失敗と見なされる前に合計3回の試行)。
【0099】
様々な実施形態において、タスクおよび/または評価は、運動制御および協調を評価するための1つまたは複数のボールバランシングタスクを含んでよい。様々な実施形態において、受験者は、地面に平行に機器を支え、標的エリア内にバーチャルボールを維持するように、必要に応じてスクリーンを傾けてよい。様々な実施形態において、慣性計測装置(IMU)センサが、反応時間、緻密な運動制御、運動の特徴、振戦、および/またはジスキネジアを測定するために用いられてよい。
【0100】
様々な実施形態において、タスクおよび/または評価は、前頭系のリソース割り当ておよび認知・運動緩衝を評価するために二重作業課題を含んでよい。様々な実施形態において、受験者は、ボールバランシングと逆唱タスクを同時に実行するように求められてよい。様々な実施形態において、複数の複雑なタスクから認知的負荷を集約することは、個体の認知予備力および全般的な実行機能についての洞察を与える。
【0101】
様々な実施形態において、タスクおよび/または評価は、エピソード記憶を評価するために遅延主観的想起を含んでよい。様々な実施形態において、受験者は、テストの開始の頃にあらかじめ提供された応答を想起するように求められてよい。様々な実施形態において、フィラデルフィア言語学習テスト(PVLT)が、用いられてよい。様々な実施形態において、自動音声認識(ASR)ソフトウエアが、応答(複数可)の正確性を決定するために用いられてよい。様々な実施形態において、受験者の音声が、一時停止率、高さおよび/または速度などの速度の評価指標を導き出すために分析される。
【0102】
様々な実施形態において、1つのテストまたは評価は、別のテストまたは評価と互換性があってよい。例えばPVLTは、双極性うつ病評価尺度(BDRS)を用いる評価の代わりに実施されてよい。1つまたは複数のタスクおよび/または評価を変えるための条件は、医療従事者により決定されてよい。様々な実施形態において、自動化されたルールが、別のテストまたは評価が利用できない場合代わりのテストまたは評価からのデータを検索するために提供されてよい。
【0103】
描画タスク:一連の描画に基づくタブレットテストが、タブレットおよびスタイラス、または他の適切な電子機器を用いて施されてよい。タイムスタンプされた描画信号の分析が、認知変化の早期指標を同定するために実行され得る。タブレットのアプリケーションは、取り込み、暗号化し、暗号化されたデータをシステムサーバに転送する。これらの描画に基づくタスクは、以下のものを含み得る:
【0104】
プレテスト:他のタブレットテスト(DCTclockタブレットを含む)を完了する前に施される、タブレットおよびスタイラスを用いる描画により対象を快適にする目的で、波をまねることを含む運動。
【0105】
DCTclock(商標):認知状況のより高感度の尺度を提供し得る伝統的な時計描画テストに基づく神経心理学的テスト。DCTclockテストは、伝統的なクロック描画テストのデザインを充分に活用すいるが、先進の分析および技術を利用して、最終的描画およびそれを作成した工程の両方を評価し、より確実な評価を生成する。DCTclockテストは、市場化が許可されており、描画しながら、2.54センチメートル(1インチ)の1000分の2の空間解像度で紙面の位置を1秒あたり75回デジタル記録もする、デジタル化ボールペンを使用する。DCTclockソフトウエアは、裸眼で見ることができないペンの位置の変化を検出しおよび測定し、かつデータがタイムスタンプされるため、システムは、最終結果のみよりむしろ、行動(例えば、各発作、休止、または躊躇)の全体の一続きを取り込む。これは、認知機能における変化と相関すると見出されている非常に微妙な行動の取り込みおよび分析を可能にする。これらの測定は全て、コードで操作的に定義され(このためユーザバイアスがない)、リアルタイムで実行される。
【0106】
経路探索テスト:可能な限り迅速かつ正確に完了される一連の迷路。
【0107】
記号テスト:記号-数字ペアのキーが提供され、続いて空のボックスで促され、対象は可能な限り迅速に適切な応答を入力するように求められる。
【0108】
連結テスト:対象は、予め確定されたパターンに従い可能な限り迅速に一連の円を連結するように指示される。
【0109】
追跡テスト:対象は、利き手および非利き手の両方で線をたどるように求められる。
【0110】
意思決定および反応時間テスト:参加者は、タブレットまたは他の適切な電子機器に提示される3つの短い認知タスクを完了するよう求められ得る。これらのタスクは、FDAの認可を受けた、認知能力における微妙な変化を追跡することにより認知効率を測定するモジュラーアプリケーションである、DANA Brain Vital(Anthrotronix, Inc.)から供給されてよい。DANAの評価は、高感度であり、高頻度の使用のために設計され、認知効率の2つの重大な要素である正確性および反応時間に重点を置く。各タスクは、完了するのに1~2分間かかる。対象はまた、PHQ-9うつスクリーニングツールを完了するように求められ得る。iPadアプリケーションは、取り込み、暗号化し、暗号化されたデータをHIPAAコンプライアントサーバに転送する。
【0111】
このタスクは、以下のものを含み得る。
【表3】
【0112】
発語誘因タスク:システムは、個体からの神経系機能の指標として転帰の尺度を抽出するように設計された誘因および分析システムを利用し得る。タスクが施され、音声記録が、タブレット、スマートフォン、または他の音声取得機器を通して取り込まれおよび暗号化される。音声記録はその後、安全なHIPAAコンプライアントクラウドサーバにアップロードされる。音声記録の転写物が作成され、AIエンジンが、有限であるが臨床的に関係する情報について分析する。アルゴリズムは、信号処理および認知言語分析を適用して、発語および微細な運動技能を評価し、認知機能における微妙な変化を検出する。言語的および表音的尺度の抽出は、アルツハイマー病および認知機能に相関することが示されている。
【0113】
発語および音声評価は、以下のものを含み得る。
【表4】
【0114】
視線追跡に基づく記憶評価:VisMET(視空間記憶視線追跡タスク(Visuospatial Memory Eye-Tracking Task))は、記憶判定というよりむしろ目の動きを追跡することにより視空間記憶を受動的に評価する、タブレットを基にしたアプリケーションである。VisMETは、客観的記憶障害を検出できならびに認知および疾患状況を予測できる、感度が高く効率的な記憶パラダイムを提供する。このタスクは、iPadまたは他の適切な電子機器で実行され、参加者が、画像一回目と2回目の観察の間でが微妙に変化される(例えば、最初の画像中のある物品が、繰り返された画像中で削除されている)繰り返し画像を見る際に、参加者の視線の位置および視線のパターンを監視する。このテストは、顔全体のビデオ記録を取り込み、それは治験の場所で局所的に保存され、匿名化される。匿名化された座標レベルのデータはその後、アップロードされ、コンピューター化されたアルゴリズムが、視線の位置を作成して目の位置に近づける。累積凝視時間、停留時間、および他の目の運動パターンは、一次尺度のいくつかとして働く。
【0115】
歩行およびバランス評価:認知低下および神経変性疾患は、トップダウンメカニズムおよび前頭系のリソース割り当ての乱れを介する歩行機能不全において示唆され、実行機能不全に結びつけられている。認知が低下すると歩行速度が低下し、変動性が上昇し、歩行しながら同時に複数のことをする能力(二重課題)が障害され、認知症進行のリスク指標であり得る。これらの特徴量は、スマート機器上の加速度計およびジャイロスコープなどの、運動センサを用いて取り込まれてよく、そのようなアプローチは、実験室測定に対して検証されている。二重課題(例えば、認知タスクを実施しながら歩行するまたは起立すること)は、一方または両方のタスクの実践を妨害し、もたらされる二重課題の損失は、年齢とともに増加し、認知的予備力の喪失ならびに認知機能不全および早期認知症の発症の信頼できる指標であることが示された。具体的には二重課題は、前頭皮質を含む、脳領域のネットワークを活性化し、嗅内野の変性に関連する。それは、実行機能と相関し内側側頭葉記憶系の早期バイオマーカとして機能する、前頭系の完全性の高感度の定量性評価指標を提供する。このタスクは、ポケット中で携行されるスマートフォンまたは患者の腰に取りつけられる電話キャリア、あるいは他の適切な電子機器を与える試験を利用して実行される。歩行評価では、対象は、対象が選択する快適なペースで45秒間、歩くよう求められる。彼らは、その後、連続減算タスクを実施しながらその歩行運動を繰り返すよう求められる。合計歩行時間は、2分未満である。バランス評価では、対象は、目を開けたまま、30秒間可能な限り静止して立つよう求められ、最後に、連続減算タスクを実施しながら、眼を開けたまま30秒間立つよう求められる。合計起立時間は、2分未満である。これらのタスクからのデータは、ジャイロスコープおよび加速度計の読み取り値を包含する。
【0116】
ライフスタイル問診:様々な実施形態において、患者は、ライフスタイルに関係する一連の質問を受けてよい。一例において、患者は、日常生活動作(ADL)問診を施されてよい。別の例において、1つの問診は、Barcelona Brain Health Initiativeから適合され、かつ認知的パフォーマンスに関連する参加者のライフスタイルについての最大57のはい/いいえの質問を含む。これらの質問は、タブレットまたは他の適切な電子機器上で提示され、対象は、指を使って各質問についてはい、またはいいえを選択する。
【0117】
ここで図13を参照して、計算ノードの例の略図が示される。計算ノード10は、適切な計算ノードの一例に過ぎず、本明細書に記載された本発明の実施形態の使用または機能性の範囲に関するいずれかの限定を示唆するものではない。関係なく、計算ノード10は、本明細書の先に表された機能性のいずれかを実装できるおよび/または実施できる。
【0118】
計算ノード10には、数多くの他の汎用のまたは特定目的の計算システムの環境または構成で操作されるコンピュータシステム/サーバ12が存在する。コンピュータシステム/サーバ12での使用に適し得る周知の計算システム、環境、および/または構成の例としては、パーソナルコンピュータシステム、サーバコンピュータシステム、シンクライアント、シッククライアント、携帯型またはラップトップ機器、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサに基づくシステム、セットアップボックス、プログラマブルコンシューマエレクトロニクス、ネットワークPC、マイクロコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、および上記システムまたは機器のいずれかを含む分散クラウド計算環境および同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
コンピュータシステム/サーバ12は、コンピュータシステムにより実行される、プログラムモジュールなどの、コンピュータシステム実行可能な命令の一般的文脈で記載されてよい。一般に、プログラムモジュールは、特有のタスクを実施する、または特有の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、成分、ロジック、データ構造などを含んでよい。コンピュータシステム/サーバ12は、通信ネットワークを通して連結される遠隔処理機器によりタスクが実施される、分散クラウド計算環境で実践されてよい。分散クラウド計算環境では、プログラムモジュールは、メモリ保存機器を含む局所および遠隔の両方のコンピュータシステム保存媒体に配置されてよい。
【0120】
図13に示される通り、計算ノード10中のコンピュータシステム/サーバ12は、汎用計算機器の形態で示される。コンピュータシステム/サーバ12の成分は、1つまたは複数のプロセッサまたは処理ユニット16、システムメモリ28、およびシステムメモリ28を含む様々なシステム成分をプロセッサ16に連結するバス18を含み得るが、これらに限定されない。
【0121】
バス18は、様々なバス構造のいずれかを用いる、メモリバスまたはメモリコントローラ、ペリフェラルバス、アクセラレーテッドグラフィックスポート、およびプロセッサまたはローカルバスを含む、バス構造の複数のタイプのいずれかの1つまたは複数を表す。例であり限定ではなく、そのような構造は、インダストリスタンダードアーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、エンハンスドISA(EISA)バス、ビデオエレクトロニクススタンダードアソシエーション(VESA)ローカルバス、およびペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バスを含む。
【0122】
コンピュータシステム/サーバ12は典型的には、種々のコンピュータシステム可読媒体を含む。そのような媒体は、コンピュータシステム/サーバ12によりアクセス可能である任意の利用可能な媒体であってよく、それは、揮発性および不揮発性媒体、リムーバブルおよびノンリムーマブルメディアの両方を含む。
【0123】
システムメモリ28は、ランダムアクセスメモリ(RAM)30および/またはキャッシュメモリ32などの、揮発性メモリの形態のコンピュータシステム可読媒体を含み得る。コンピュータシステム/サーバ12はさらに、他のリムーバブル/ノンリムーバブル、揮発性/不揮発性コンピュータシステム保存媒体を含んでよい。例に過ぎないが、保存システム34が、ノンリムーバブル不揮発性磁気媒体(図示されず、典型的には「ハードドライブ」と呼ばれる)からの読み出しおよびそれへの書き込みのために提供され得る。図示されないが、リムーバブル不揮発性磁気ディスク(例えば、「フロッピーディスク」)からの読み出しおよびそれへの書き込みのための磁気ディスクドライブ、ならびにCD-ROM、DVD-ROMまたは他の光媒体などのリムーバブル不揮発性光ディスクからの読み出しまたはそれへの書き込みのための光ディスクドライブが、提供され得る。そのような例では、それぞれが、1つまたは複数のデータ媒体インターフェースによりバス18に接続され得る。以下にさらに表示されおよび記載される通り、メモリ28は、本発明の実施形態の機能を実行するように構成されるプログラムモジュールのセット(例えば、少なくとも1つの)を有する少なくとも1つのプログラム製品を含んでよい。
【0124】
プログラムモジュール42のセット(例えば、少なくとも1つの)を有する、プログラム/ユーティリティ40は、例であり限定でなくメモリ28に、ならびにオペレーティングシステム、1つまたは複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータに保存されてよい。オペレーティングシステム、1つまたは複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータまたはその幾つかの組み合わせのそれぞれは、ネットワーク環境の実装を含んでよい。プログラムモジュール42は一般に、本明細書に記載される本発明の実施形態の機能および/または方法論を実行する。
【0125】
コンピュータシステム/サーバ12はまた、キーボード、ポインティング機器、ディスプレイ24などの1つもしくは複数の外部機器14;ユーザがコンピュータシステム/サーバ12と相互作用することを可能にする1つもしくは複数の機器;ならびに/またはコンピュータシステム/サーバ12が1つもしくは複数の他の計算機器と通信することを可能にする任意の機器(例えば、ネットワークカード、モデムほか)と通信してよい。そのような通信は、入力/出力(I/O)インターフェース22を介して起こり得る。さらにまた、コンピュータシステム/サーバ12は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、一般的なワイドエリアネットワーク(WAN)、および/またはネットワークアダプタ20を介するパブリックネットワーク(例えば、インターネット)などの1つまたは複数のネットワークと通信し得る。表される通り、ネットワークアダプタ20は、バス18を介してコンピュータシステム/サーバ12の他の成分と通信する。図示されないが、他のハードウエアおよび/またはソフトウエア成分がコンピュータシステム/サーバ12と一緒に用いられ得ることが、理解されなければならない。例としては、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長化処理ユニット、外部ディスクドライブアレイ、RAIDシステム、テープドライバ、およびデータアーカイブ保存システムほかが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
本発明は、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品であってよい。コンピュータプログラム製品は、本発明の態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読保存媒体(または複数の媒体)を含んでよい。
【0127】
コンピュータ可読保存媒体は、命令実行機器による使用のための命令を保持および保存し得るタンジブル機器であり得る。コンピュータ可読保存媒体は、例えば非限定的に、電子保存機器、磁気保存機器、光保存機器、電磁保存機器、半導体保存機器、または前述のものの任意の適切な組み合わせであってよい。コンピュータ可読保存媒体のより具体的な例の非網羅的リストは、以下のものを含む:ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカードまたはそこに記録された命令を有する溝の中の隆起された構造などの機械的に暗号化された機器、および前述のものの任意の適切な組み合わせ。本明細書で用いられるコンピュータ可読保存媒体は、電波もしくは他の自由伝搬電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を通して伝搬する電磁波(例えば、ファイバーオプティックケーブルを通る光パルス)、またはワイヤを通して伝送される電気信号などの、一時的な伝搬信号そのものであると解釈されるべきでない。
【0128】
本明細書に記載されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読保存媒体からそれぞれの計算/処理機器へ、またはネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークおよび/もしくはワイヤレスネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部保存機器へ、ダウンロードされ得る。ネットワークは、銅製伝送ケーブル、光伝送ケーブル、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータおよび/またはエッジサーバを含んでよい。各計算/処理機器のネットワークアダプタハードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受け取り、各計算/処理機器内のコンピュータ可読保存媒体の保存用のコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0129】
本発明の操作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウエア命令、状態設定データ(state-setting data)、またはSmalltalk、C++および同様のものなどのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つもしくは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコードもしくはオブジェクトコードのいずれかであってもい。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータで全体に、ユーザのコンピュータで部分的に、スタンドアローンソフトウエアパッケージとして、ユーザのコンピュータで部分的におよびリモートコンピュータで部分的に、またはリモートコンピュータもしくはサーバで全体に実行してよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む、任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続されてよく、または接続は、外部コンピュータ(例えば、インターネットーサービスプロバイダを利用するインターネットを通して)になされてもよい。幾つかの実施形態において、例えばプログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実施するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナル化することにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行してよい。
【0130】
本発明の態様が、本発明の実施形態により方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して本明細書に記載される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図中のブロックの組み合わせが、コンピュータ可読プログラム命令により実装され得ることは、理解され得よう。
【0131】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、多用途のコンピュータ、特定目的のコンピュータ、または機械を生成するための他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてよく、それによりコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックもしくは複数のブロックに指定された機能/作用を実装するための手段を作成する。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、および/または特有の様式で機能する機器を指揮し得るコンピュータ可読保存媒体に保存されてよく、それによりその内部に保存される命令を有するコンピュータ可読保存媒体は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックもしくは複数のブロックにおいて指定された機能/作用の態様を実装する命令を含む項目を含む。
【0132】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の機器にロードされて、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の機器で行われる一連の操作ステップにコンピュータ実装工程を生成させてよく、それによりコンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の機器で実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックもしくは複数のブロックで指定される機能および/または作用を実装する。
【0133】
図のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、および操作を示す。これに関連して、フローチャートまたはブロック図中の各ブロックは、命令のモジュール、セグメント、または部分を表してよく、それは、指定された論理関数(複数可)を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む。幾つかの代わりに実装において、ブロック中に注記される機能は、図中に注記される順序と異なって実行されてよい。例えば、連続で示される2つのブロックは、実際には、含まれる機能性に応じて、実質的に同時に実行されてよく、またはブロックは時には、逆の順序で実行されてよい。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図中のブロックの組み合わせが、指定された機能もしくは作用を実施する、または特定の目的のハードウエアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する、特定の目的のハードウエアに基づくシステムにより実装され得ることもまた、注意すべきである。
【0134】
本発明の様々な実施形態の記載が、例示を目的として提示されたが、開示された実施形態に網羅または限定されるものではない。多くの改良および変更が、記載された実施形態の範囲および趣旨を逸脱することなく当業者に明白になろう。本明細書で用いられる用語法は、実施形態の原理、市場で見出される技術を越える実際の適用もしくは技術的改善を最良に説明するために、または他の当業者が本明細書に開示された実施形態を理解することを可能にするために選択された。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】