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特表2023-544576電源の主電源電圧を決定するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電源の主電源電圧を決定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519800
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2021076886
(87)【国際公開番号】W WO2022069602
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/086,678
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20203517.6
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.DALI
2.ZIGBEE
3.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】クラウベルフ ベレント
(72)【発明者】
【氏名】ファン ユーホン
(72)【発明者】
【氏名】プレムラジ アシュウィン
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS11
5H730BB43
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE58
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD24
5H730FF19
5H730FG12
5H730VV03
(57)【要約】
二次側コントローラが、所定の期間にわたって電源の変換器の二次側巻線のピーク電圧及び/又は周波数を決定するよう構成され、前記二次側コントローラは、前記変換器がバーストモードにあるときには、一次側コントローラが変換出力電圧を増加させるよう標準モードで動作させるように、設定値を増加させるよう前記一次側コントローラに指示するよう構成され、前記二次側コントローラは、前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させている間に前記二次側巻線の前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次側主電源測定を有する電源であり、
入力電圧を受け取り、変換出力電圧を供給するよう構成される変換器であって、一次側巻線及び二次側巻線を有するトランスであり、前記電源の一次側及び二次側を規定するトランスであって、前記一次側が、前記二次側からガルバニック絶縁されているトランスと、前記トランスの前記一次側巻線を通る電流の流れを遮断する又は可能にするよう配置されるスイッチとを含む変換器と、
前記スイッチに供給される駆動信号を介して前記変換器を動作させるよう構成される一次側コントローラであり、前記変換出力電圧を目標設定値に維持するよう前記変換器を動作させる一次側コントローラであって、前記電源の出力端子に接続される負荷の抵抗が閾値を超えるときには、前記変換器がバーストモードで動作させられ、前記負荷の前記抵抗が前記閾値未満であるとき、又は前記一次側コントローラが前記変換出力電圧を増加させるよう前記変換器を動作させているときには、前記変換器が標準モードで動作させられる一次側コントローラと、
所定の期間にわたって前記二次側巻線のピーク電圧及び/又は周波数を決定するよう構成される二次側コントローラであり、前記変換器が前記バーストモードにあるときには、前記一次側コントローラが前記変換出力電圧を増加させるよう前記標準モードで動作させるように、前記設定値を増加させるよう前記一次側コントローラに指示するよう構成される二次側コントローラであって、前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させている間に前記二次側巻線の前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を決定する二次側コントローラとを有する電源であって、
前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を測定し、その後、前記設定値を減少させるよう前記一次側コントローラに指示するのに十分な長さの時間にわたって前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させるように前記設定値が所定の期間にわたって増加される電源。
【請求項2】
前記二次側コントローラが、前記ピーク電圧及び/又は前記周波数に基づく推定主電源電圧及び/又は主電源周波数を遠隔コンピューティングデバイスに供給するよう構成される請求項1に記載の電源。
【請求項3】
前記二次側コントローラが、前記一次側コントローラに供給される誤差信号を変化させることによって、前記設定値を増加させるよう前記一次側コントローラに指示するよう構成される請求項1に記載の電源。
【請求項4】
前記誤差信号を生成するよう構成される増幅器を更に有し、前記増幅器が、前記変換出力電圧を表す第1入力と、基準入力である第2入力とを受け取り、前記誤差信号が、前記第1入力と前記第2入力との間の差に基づき、前記二次側コントローラが、前記第2入力を調節することによって前記誤差信号を変化させるよう構成される請求項3に記載の電源。
【請求項5】
前記変換器が、フライバックコンバータである請求項1に記載の電源。
【請求項6】
前記一次側コントローラが、力率補正コントローラである請求項1に記載の電源。
【請求項7】
前記二次側巻線が、補助巻線である請求項1に記載の電源。
【請求項8】
電源の二次側主電源測定の方法であり、
所定の期間にわたってトランスの二次側巻線のピーク電圧及び/又は周波数を決定するステップであって、前記トランスが、前記電源の変換器において用いられており、前記変換器が、入力電圧を受け取り、変換出力電圧を供給するよう構成され、前記トランスが、前記電源の一次側及び二次側を規定し、前記一次側が、前記二次側からガルバニック絶縁されており、前記変換器が、前記トランスの前記一次側巻線を通る電流の流れを遮断する又は可能にするよう配置されるスイッチを更に有し、前記マイクロコントローラが、前記電源の前記二次側に配置されるステップと、
前記スイッチに供給される駆動信号を介して前記変換器を動作させるよう構成される一次側コントローラがバーストモードで動作させているのか標準モードで動作させているのかを、前記ピーク電圧及び/又は前記周波数に従って決定するステップであって、前記一次側コントローラが、前記変換出力電圧を目標設定値に維持するよう前記変換器を動作させるステップと、
前記一次側コントローラが前記変換出力電圧を増加させるよう前記標準モードで動作させるように、前記設定値を増加させるよう前記一次側コントローラに指示するステップと、
前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させている間に前記二次側巻線の前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を決定するステップとを有する方法であって、
前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を測定し、その後、前記設定値を減少させるよう前記一次側コントローラに指示するのに十分な長さの時間にわたって前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させるように前記設定値が所定の期間にわたって増加される方法。
【請求項9】
前記変換器が前記標準モードで動作させられている間に決定される前記二次側巻線の前記ピーク電圧及び/又は周波数に基づく推定主電源電圧及び/又は主電源周波数を遠隔コンピューティングデバイスに供給するステップを更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記二次側巻線の前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を決定した後に前記設定値を減少させるよう前記一次側コントローラに指示するステップを更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記設定値を増加させるよう前記一次側コントローラに指示するステップが、前記一次側コントローラに供給される誤差信号を変化させるステップを有する請求項8に記載の方法。
【請求項12】
誤差信号を変化させるステップが、誤差増幅器の基準電圧を増加させるステップを有し、前記誤差増幅器が、前記変換出力電圧を前記基準電圧と比較する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の期間が、前記ピーク電圧が取り込まれるような整流主電源信号の少なくとも1回の半周期、又は前記トランスの前記二次側巻線において、少なくとも2つのゼロ交差が検出され、主電源周波数が決定されるような少なくとも1回の整流主電源周期である請求項1に記載の電源。
【請求項14】
コンピュータ可読の非一時的な媒体であって、プロセッサシステムに請求項8に記載の方法を実行させるための命令を前記コンピュータ可読の非一時的な媒体に記憶しているコンピュータ可読の非一時的な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、電源の主電源電圧を決定するためのシステム及び方法に関し、特に、電源の変換器がバーストモードで動作しているときの電源の主電源電圧の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くのLEDドライバは、絶縁出力で設計されており、出力電圧又は電流を目標値に調整するために二次側コントローラを使用する。LEDドライバの、DALI又は同様のもののようなデジタルインターフェースへの進化に伴って、LEDドライバはまた、ますます多くの診断機能を追加するようになっている。更に、DiiAなどの標準化団体は、D4iロゴを付ける製品に対して或る特定の診断を要求している。これらの診断は、LED電圧及び電流のような項目を含むが、主電源電圧、力率及び主電源周波数のような主電源電圧関連項目も含む。これらの絶縁トポロジの多くにおいては、二次側コントローラが、主電源電圧が受け取られる一次側から絶縁されるので、主電源関連パラメータを測定することは困難である。それ故、コントローラが一次側から絶縁される場合には、これらの診断項目を二次側から直接測定することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
更に、入力段が軽負荷状態によりバーストモードで動作する場合には、バースト動作は主電源電圧及び周波数とは無関係であることから、絶縁二次側からの主電源電圧及び周波数の検知の精度は低下する。従って、当技術分野においては、とりわけ、電源入力段がバーストモード又は標準モードで動作することができる場合に、電源の二次側から主電源電圧及び周波数を決定する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書において記載されている例は、技術的に可能な任意のやり方で組み合わされることができる。
【0005】
或る態様によれば、二次側主電源測定(secondary side mains measurement)を有する電源は、入力電圧を受け取り、変換出力電圧を供給するよう構成される変換器であって、一次側巻線及び二次側巻線を有するトランスであり、前記電源の一次側及び二次側を規定するトランスであって、前記一次側が、前記二次側からガルバニック絶縁されている(galvanically isolated)トランスと、前記トランスの前記一次側巻線を通る電流の流れを遮断する又は可能にするよう配置されるスイッチとを含む変換器と、前記スイッチに供給される駆動信号を介して前記変換器を動作させるよう構成される一次側コントローラであり、前記変換出力電圧を目標設定値(target set point)に維持するよう前記変換器を動作させる一次側コントローラであって、前記電源の出力端子に接続される負荷の抵抗が閾値を超えるときには、前記変換器がバーストモードで動作させられ、前記負荷の前記抵抗が前記閾値未満であるとき、又は前記一次側コントローラが前記変換出力電圧を増加させるよう前記変換器を動作させているときには、前記変換器が標準モードで動作させられる一次側コントローラと、所定の期間にわたって前記二次側巻線のピーク電圧及び/又は周波数を決定するよう構成される二次側コントローラであり、前記変換器が前記バーストモードにあるときには、前記一次側コントローラが前記変換出力電圧を増加させるよう前記標準モードで動作させるように、前記設定値を増加させるよう前記一次側コントローラに指示するよう構成される二次側コントローラであって、前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させている間に前記二次側巻線の前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を決定する二次側コントローラとを含む。
【0006】
例においては、前記二次側コントローラは、前記ピーク電圧及び/又は前記周波数に基づく推定主電源電圧及び/又は主電源周波数を遠隔コンピューティングデバイスに供給するよう構成される。
【0007】
例においては、前記二次側コントローラは、更に、前記設定値を減少させるよう前記一次側コントローラに指示するよう構成される。
【0008】
例においては、前記二次側コントローラは、前記一次側コントローラに供給される誤差信号を変化させることによって、前記設定値を増加させるよう前記一次側コントローラに指示するよう構成される。
【0009】
例においては、前記電源は、前記誤差信号を生成するよう構成される増幅器を更に含み、前記増幅器は、前記変換出力電圧を表す第1入力と、基準入力である第2入力とを受け取り、前記誤差信号は、前記変換出力電圧と前記基準入力との間の差に基づき、前記二次側コントローラは、前記基準入力を調節することによって前記誤差信号のフィードバックを変化させるよう構成される。
【0010】
例においては、前記変換器は、フライバックコンバータである。
【0011】
例においては、前記一次側コントローラは、力率補正コントローラである。
【0012】
例においては、前記二次側巻線は、補助巻線である。
【0013】
例においては、前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を測定するのに十分な長さの一時的な時間にわたって前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させるように前記設定値が所定の期間にわたって増加される。
【0014】
例においては、前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を測定するのに十分な長さの時間にわたって前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させるように選択される所定の量だけ前記設定値が増加される。
【0015】
別の態様によれば、マイクロコントローラは、プロセッサと、非一時な記憶媒体とを有し、前記非一時な記憶媒体は、前記プロセッサによって実行されるときに、所定の期間にわたってトランスの二次側巻線のピーク電圧及び/又は周波数を決定するステップであって、前記トランスは、電源の変換器において用いられており、前記変換器は、入力電圧を受け取り、変換出力電圧を供給するよう構成され、前記トランスは、前記電源の一次側及び二次側を規定し、前記一次側は、前記二次側からガルバニック絶縁されており、前記変換器は、前記トランスの前記一次側巻線を通る電流の流れを遮断する又は可能にするよう配置されるスイッチを更に有し、前記マイクロコントローラは、前記電源の前記二次側に配置されるステップと、前記スイッチに供給される駆動信号を介して前記変換器を動作させるよう構成される一次側コントローラがバーストモードで動作させているのか標準モードで動作させているのかを、前記ピーク電圧及び/又は前記周波数に従って決定するステップであって、前記一次側コントローラは、前記変換出力電圧を目標設定値に維持するよう前記変換器を動作させるステップと、前記一次側コントローラが前記変換出力電圧を増加させるよう前記標準モードで動作させるように、前記設定値を増加させるよう前記一次側コントローラに指示するステップと、前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させている間に前記二次側巻線の前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を決定するステップとを含むプログラムコードを記憶する。
【0016】
例においては、前記プログラムコードは、前記変換器が前記標準モードで動作させられている間に決定される前記二次側巻線の前記ピーク電圧及び/又は周波数に基づく推定主電源電圧及び/又は主電源周波数を遠隔コンピューティングデバイスに供給するステップを更に含む。
【0017】
例においては、前記プログラムコードは、前記二次側巻線の前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を決定した後に前記設定値を減少させるよう前記一次側コントローラに指示するステップを更に含む。
【0018】
例においては、前記設定値を増加させるよう前記一次側コントローラに指示するステップは、前記一次側コントローラに供給される誤差信号を変化させるステップを有する。
【0019】
例においては、誤差信号を変化させるステップは、誤差増幅器の基準電圧を増加させるステップを有し、前記誤差増幅器は、前記変換出力電圧を前記基準電圧と比較する。
【0020】
例においては、前記変換器は、フライバックコンバータである。
【0021】
例においては、前記一次側コントローラは、力率補正コントローラである。
【0022】
例においては、前記二次側巻線は、補助巻線である。
【0023】
例においては、前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を測定するのに十分な長さの時間にわたって前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させるように前記設定値が所定の期間にわたって増加される。
【0024】
例においては、前記ピーク電圧及び/又は前記周波数を測定するのに十分な長さの時間にわたって前記一次側コントローラが前記変換器を前記標準モードで動作させるように選択される所定の量だけ前記設定値が増加される。
【0025】
下記の実施形態を参照して、様々な実施形態のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】トランスの二次側巻線の電圧から主電源電圧を測定するよう構成される二次側コントローラを含む電源の概略図である。
図2A】標準モードで動作させられるフライバックコンバータを備える電源の整流主電源電圧、補助巻線電圧及びバス電圧のプロットである。
図2B】バーストモードで動作させられるフライバックコンバータを備える電源の整流主電源電圧、補助巻線電圧及びバス電圧のプロットである。
図3】フライバックコンバータの電圧設定値が増加されるときのフライバックコンバータを備える電源の整流主電源電圧、補助巻線電圧及びバス電圧のプロットである。
図4A】標準モード又はバーストモードで動作可能なコンバータを備える電源の二次側巻線から主電源電圧を決定する方法である。
図4B】標準モード又はバーストモードで動作可能なコンバータを備える電源の二次側巻線から主電源電圧を決定する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書において記載されている様々な例は、電源が標準モード又はバーストモードで動作しているときに、電源の二次側から主電源電圧を決定するためのシステム及び方法に向けられている。図1は、一次側と二次側との間のガルバニック絶縁を維持するトランスを用いる変換器を有し、二次側から主電源電圧及び/又は周波数を検出するよう構成される電源100を図示している。図1において示されているように、電源100は、主電源電圧から得られる入力電圧を受け取り、変換出力電圧(バス電圧)を目標設点値に維持するよう一次側コントローラU1によって動作させられるフライバックコンバータ102を含む。電源100は、フライバックコンバータ102において用いられる(図1においては巻線L1、L2及びL3から成る)トランスであって、互いにガルバニック絶縁される電源の一次側及び二次側を規定するトランスを含む。電源100は、フライバックの二次側巻線に従って主電源電圧及び/又は主電源周波数を決定するよう構成される二次側コントローラU2を更に含む。
【0028】
この開示の目的のために、フライバックコンバータ102は、(巻線L1、L2及びL3によって形成される)トランスと、スイッチQ1と、出力ダイオードD1と、出力コンデンサC1とを含む。トランスは、入力主電源電圧を受け取る電源の一次側を、この開示においてはバス電圧と呼ばれており、図1においてはバス電圧として示されている変換出力電圧を出力する二次側からガルバニック絶縁する。トランスは、二次巻線L2及び補助巻線L3に磁気的に結合される一次巻線L1を含む。トランスの一次側を通る電流は、一次巻線L1を通る電流の流れを交互に遮断する又は可能にするよう配置される(例えば、MOSFETであるが、任意の適切なスイッチが使用されることができる)スイッチQ1によって制御される。一次巻線の磁界によって誘導される二次巻線L2の電圧は、ダイオードD1によって整流され、コンデンサC1によって平滑化される。コンデンサC1の両端の電圧、即ち、バス電圧が、フライバックコンバータ102の変換出力電圧である。
【0029】
フライバックコンバータ102の動作は一般に理解されており、従って、ここでは完全を期すための簡単な要約しか提供しない。スイッチQ1が閉じられるときには、電流が一次巻線L1を流れることが可能になり、トランスにエネルギを蓄積する。スイッチQ1が閉じられ、電流が一次巻線L1を流れているこのフェーズは、「順方向フェーズ(forward phase)」として知られている。二次巻線L2は、一次巻線L1とは逆方向に巻かれていることから、ダイオードD1は、順方向フェーズにおいては、逆バイアスされ、二次巻線L2を通る電流の流れを防止する。スイッチQ1が開くと、(「フライバックフェーズ」として知られているフェーズを開始し、)トランスは放電を開始し、二次巻線L2の両端の電圧が、反転し、ダイオードD1を順バイアスし、コンデンサC1を充電する。主電源周期ごとに複数回、ダイオードD1を介してトランスを放電することによって、コンデンサC1の両端の電圧は、実質的に一定に保たれ、フライバックコンバータ102の出力において目標変換出力電圧(バス電圧)を形成する。
【0030】
当業者は、分かりやすくする目的のためにフライバックコンバータ102が簡略化されていることを理解するであろう。様々な代替例において、フライバックコンバータ102は、性能を向上させるために追加の構成要素を含むことができる。フライバックコンバータ102へのこのような追加のうちの1つは、フライバックコンバータ102における浮遊容量によって導入されるスイッチQ1のドレインにおけるリンギング波形を低減するために一次巻線L1にわたって配置されるクランプ回路である。一次巻線L1と並列に接続されるこのようなクランプ回路は、例えば、逆バイアスダイオードと直列に接続される抵抗器及びコンデンサの並列組み合わせを含むことができる。このクランプ回路は、ドレイン電圧がコンデンサ電圧を超えると漏れ電流を吸収する役割を果たし、従って、リンギングを減衰させる。性能を向上させるために、フライバックコンバータ102には他の回路(例えば、RCスナバ回路)が同様に導入され得る。
【0031】
図1においてはフライバックコンバータ102が示されているが、フライバックコンバータは、電源100において使用されることができる変換器のタイプの一例に過ぎないことは理解されたい。実際、トランスの一次側及び二次側からのガルバニック絶縁を維持するためにトランスを用いる任意の適切な変換器(例えば、アクティブクランプフォワードコンバータ、単一スイッチフォワードコンバータ、2スイッチフォワードコンバータ、プッシュプルコンバータ、ハーフブリッジコンバータ、フルブリッジコンバータなど)が使用され得る。このような代替変換器の動作は、一般に理解されており、従って、詳細には説明しない。
【0032】
電源100は、フライバックコンバータ102の性能を有利に向上させるやり方でフライバックコンバータ102への主電源電圧入力を調整するよう設計される、フライバックコンバータ102への入力段を更に含むことができる。例えば、電源100は、EMIフィルタ104と整流器106とを含むことができる。EMIフィルタ104は、入力主電源電圧に存在する高周波ノイズを除去するよう機能する。このようなEMIフィルタ104は、当技術分野においてはよく知られており、様々な例において、幾つかの潜在的な構成要素の中でも特に、アクロスザラインコンデンサ(across-the-line capacitor)、コモンモードチョークコイル、ラインバイパスコンデンサ及びノーマルモードチョークコイルの何らかの組み合わせを含むことができる。整流器106は、入力AC主電源電圧を整流するよう機能し、例えば、ダイオードブリッジから形成され得る。変換器による使用のために主電源電圧を適切に調整するための他の入力段も、考えられ、様々な代替例において含まれ得る。
【0033】
同様に、電源100は、ここでは出力段108によって表されている出力段を含むことができる。出力段108は、フライバックコンバータ102の出力電圧を更に調整するよう機能し得る。出力段108は、様々な例において、バス電圧を或る目標値に降圧するための、バックコンバータなどの追加の変換器であり得る。従って、電源100の出力は、フライバックコンバータ102(又は使用される他の変換器)の変換出力電圧(バス電圧)ではなく、出力段の出力であり得る。更に、バス電圧を更に調整する(例えば、降圧又は昇圧、平滑化などの)ために、追加の又は別の種類の出力段が必要に応じて採用され得ることは理解されたい。
【0034】
一次側コントローラU1は、(代わりに「設定値」と呼ばれる)目標出力電圧又は出力電流を維持するようスイッチQ1にゲート駆動信号を供給する(目標出力電流を維持することは、所与の接続負荷の抵抗に応じて電圧を目標出力電圧に設定することと考えられ得る)。出力電圧又は電流を調整するために、(アナログコントローラ若しくはマイクロコントローラ、又は1つ以上のマイクロコントローラ及び関連ハードウェアの組み合わせを含む)任意の数の適切な一次側コントローラが用いられ得るが、一次側コントローラU1は、一般に、力率補正(PFC)コントローラとして用いられる。PFCコントローラは、電源の力率及び出力電圧又は電流を目標電圧又は電流値に維持するために、ゲート駆動信号を変化させることによって電源の出力を調整するよう設計されるアナログコントローラ又はマイクロコントローラである。上述のように、目標力率及び/又は目標出力電圧は、一定である必要はなく、状況に応じて変化し得る。例えば、幾つかの例においては、設定値は、電流を一定値に維持するために、負荷抵抗に応じて変化し得る。
【0035】
一次側コントローラU1は、出力端子に接続される負荷の大きさに応じて、標準モード又はバーストモードのいずれかで動作する。より具体的には、負荷の抵抗が、(代わりに閾又は閾値と呼ばれる)特定の値未満であるときには、負荷によって消費される電力が、標準モードで動作するために必要とされる電力閾値よりも大きいことから、一次側コントローラは、上記の標準モードで動作する。しかしながら、負荷の抵抗が閾値よりも大きいときには、負荷によって消費される電力が、標準モードで動作するために必要とされる電力閾値未満であることから、一次側コントローラは、標準モードで動作中の周波数よりも大幅に小さい周波数でスイッチQ1を閉じるようゲート駆動信号が供給されるバーストモードで動作する。
【0036】
各スイッチングサイクルの順方向フェーズ中には、エネルギがトランスの一次磁化インダクタンスに蓄積され、出力コンデンサC1が負荷へ放電される。フライバックフェーズ中には、一次側に蓄積されたエネルギが二次側へ放出され、出力コンデンサC1が充電される。標準モードの動作中には、各スイッチングサイクル内の充電及び放電エネルギはバランスが取れている。バーストモードは、負荷の抵抗が高いときには、負荷の抵抗が低いときよりも大幅に遅い速度で出力コンデンサC1が放電することから、生じる。一次側に蓄積されるエネルギには、コントローラに基づく最小限度がある。その結果、フライバックフェーズ中、コンデンサC1の出力電圧は、目標出力電圧、より低い抵抗の負荷で通常生じるような次の順方向フェーズ中に放電しない電圧以上に素早く充電される。従って、一次側コントローラU1は、一次側コントローラU1が標準モードにとどまらせた場合に生じるような、コンデンサC1を目標出力電圧より高い値まで充電することを避けるために、連続する順方向フェーズ間の時間(即ち、スイッチQ1を連続的に閉じる間の時間)を増加させる。バーストモードの詳細な特性(例えば、供給されるバーストの周波数及び大きさ)は、一次側コントローラによって異なる。
【0037】
バス電圧を調節するために、一次側コントローラU1は、バス電圧誤差、即ち、バス電圧が目標電圧から離れている程度を表すフィードバック誤差信号を受信することができる。フィードバック誤差信号は、例えば、出力電圧又は電流の、基準信号との比較に基づき得る。このことは、図1において示されており、図1においては、誤差増幅器112が、バス電圧と基準信号(バス制御)との間の差に基づいて出力を生成する。この出力誤差検知信号は、一次側と二次側との間のガルバニック絶縁を維持するために、オプトカプラU3を介して一次側コントローラU1に供給され得る。フライバックコンバータは、バス電圧を目標設定値に維持するために、オプトカプラU3を介して誤差増幅器112又は二次側コントローラU2から受信されるフィードバック信号の大きさに応じて、ゲート駆動信号のパルス幅を調節する(即ち、パルス幅変調)。
【0038】
誤差増幅器112は、様々な適切な形態をとり得る。図1の例においては、誤差増幅器は、オペアンプU4並びに抵抗器R1、R2、R3及びR4を有する。オペアンプは、この例においてはバス電圧入力である、R1における入力と、この例においてはバス制御入力である、R3における入力との間の差に比例する(即ち、幾らかの利得を持つ)信号を出力する。更に、コンデンサC3及びC4は、入力における電圧が何らかの急激な変化をする場合のオーバーシュート及びアンダーシュートの問題に対処するよう選択される補償回路網を形成する。R1乃至R5及びC3乃至C4の値は、出力の利得と、アンダーシュート及びオーバーシュートが防止される程度とを設定するよう選択され得る設計上の選択である。更に、図1において構成されているような、R1乃至R5及びC2乃至C3の関連構成要素を備える誤差増幅器112の例は、適切な誤差増幅器の一例に過ぎないことは理解されたい。様々な代替例において、誤差増幅器112は、バス電圧と基準信号との間の差を検出し、前記差に比例する誤差信号を供給するのに適した任意の回路によって形成されることができる。
【0039】
この例における誤差増幅器112への入力は、基準信号であって、他の入力、バス電圧が、前記基準信号と比較される基準信号であるバス制御信号である。従って、誤差増幅器112の出力は、バス電圧とバス制御基準信号との間の差に比例する。以下で説明するように、バス制御信号は、二次側コントローラU2によって供給され得る。従って、この例においては、基準であって、バス電圧が前記基準と比較される基準は、二次側コントローラU2よって指示される。
【0040】
代替例においては、バス電圧と基準電圧との間の比較は、二次側コントローラU2内で行われることができ、従って、(誤差増幅器112を省いて)ファームウェア又はソフトウェアによって完全に実施されることができる。この例においては、バス電圧は、マイクロコントローラU2に供給され、マイクロコントローラU2は、この入力を(内蔵比較器で)基準電圧と比較する。基準電圧は、内部で生成されることができる、又はコントローラU2への基準電圧入力において受け取られることができる。更に、この例においては、バス電圧と基準電圧との間の差は、二次側コントローラU2からオプトカプラU3を介して一次側コントローラに出力されることができる。
【0041】
上記の例においては、誤差増幅器112又は二次側コントローラU2のいずれかに入力されるバス電圧は、バス電圧を表す電圧として誤差増幅器112又は二次側コントローラU2に供給され得ることは理解されたい。より詳細には、バス電圧は、幾つかの例においては、比較的高くなり得ることから、バス電圧は、誤差増幅器112又は二次側コントローラU2に入力される前に降圧され得る。従って、誤差増幅器112又は二次側コントローラU2へのバス電圧入力は、バス電圧それ自体ではなく、バス電圧に比例する入力であり得る。
【0042】
一次側コントローラU1が標準モードにあり、フライバックコンバータ102が順方向フェーズにあるとき(即ち、スイッチQ1が閉じられ、電流が一次巻線L1を流れているとき)には、トランスの任意の二次側巻線(例えば、L2又はL3)の両端の電圧は主電源電圧に比例する。従って、主電源電圧は、二次側巻線L2又は補助巻線L3のいずれかを横切る電圧を測定することによって、二次側で検出されることができる。このやり方においては、トランスの二次側巻線の両端の電圧は、代理(proxy)であって、前記代理によって、主電源の電圧が電源の二次側において測定され得る代理としての役割を果たすことができる。
【0043】
図1の例においては、補助巻線L3が二次側巻線L2の代わりに使用されている。なぜなら、補助巻線L3が、一般に、より少ない巻数を含み、従って、出力電圧がより低いからである。その結果、補助巻線L3の電圧が測定されるために降圧されるときに、より少ない電力が消費され、一般により高電力の二次巻線L2において生じ得る接地の問題がより少ない。更に、補助巻線L3は、使用され得る補助巻線の一例に過ぎないことは理解されたい。実際、トランスは、任意の数の潜在的な補助巻線を含むことができ、そのいずれもが、必要に応じて主電源電圧及び/又は周波数を検出するために使用され得る。実際、図1と関連する以下の説明は、補助巻線L3の両端の電圧に言及しているが、任意の二次側巻線が使用され得ることは理解されたい。
【0044】
図1の例においては、二次側コントローラU2は、主電源ピークと表示されている入力において補助巻線L3の電圧を測定する。この入力は、補助巻線L3にわたって接続されるピーク検出器110の出力である。補助巻線L3の電圧は、フライバックコンバータが順方向フェーズにあるときの整流主電源電圧のみに比例することから、ピーク検出器110は、補助巻線L3の電圧のピーク(即ち、包絡線(envelope))を検出するために利用され、従って、二次側コントローラU2の入力において主電源電圧に実質的に比例する信号を再現する。ピーク検出補助巻線L3の電圧を所定の期間(例えば、主電源電圧の半周期)にわたって測定することによって、補助巻線のピーク電圧が測定されることができる(ピーク電圧は、主電源電圧の周期的な半周期内で生じる最大電圧を指す)。補助巻線のピーク電圧は、主電源電圧のピーク電圧に比例し、従って、(例えば、ピーク・トゥ・ピーク値又はRMS値として)主電源電圧値を決定するために使用されることができる。
【0045】
更に、補助巻線の電圧のゼロ交差、又は波形の何らかの他の繰り返される識別可能な部分(例えば、ピーク)の間の経過時間を測定することによって、主電源電圧の周波数が、二次側コントローラU2によって識別されることができる。ゼロ交差又は波形の他の繰り返される識別可能な部分の間の時間は、例えば、ゼロ交差又は識別可能な部分の連続するインスタンス(instance)間の(二次側コントローラU2のクロックの)マイクロコントローラクロックサイクルをカウントすることによって、測定されることができる。決定された主電源電圧及び/又は周波数は、以下でより詳細に説明する方法に従って、診断情報として、接続されるデバイス又は遠隔デバイスに出力されることができる。
【0046】
二次側コントローラU2は、様々な例において、この開示において記載されているステップ及び機能を実行するよう構成される、1つ以上のマイクロコントローラとして、ハードウェアとして、又は1つ以上のマイクロコントローラ及びハードウェアの組み合わせとして実施されることができる。
【0047】
示されている例においては、ピーク検出器110は、ダイオードD2及びコンデンサC2で構成され得る。ダイオードD2は、フライバックコンバータ102が順方向フェーズにあるときには、電流が流れることを可能にし、コンデンサC2を充電し、フライバックコンバータ102がフライバックフェーズにあるときには、電流の流れを遮断する。コンデンサC2は、フライバックコンバータ102が順方向フェーズにあるときにすぐには放電しないことから、コンデンサC2の両端の電圧は、順方向フェーズの電圧の包絡線に従い、整流主電圧信号を正確に表す。
【0048】
代替例においては、ピーク検出器110は、(例えば、電圧を、二次側コントローラU2の入力において許容可能な電圧範囲内に収めるために)補助巻線の両端の電圧を降圧するための回路(例えば、分圧器)を更に含み得る。更に、図1のピーク検出器110は例として示されているだけであり、任意の適切なピーク検出器が使用され得ることは理解されたい。代替例においては、ピーク検出は、コントローラU2の内部で(例えば、ソフトウェア又はファームウェアで)実施されることができ、従って、ピーク検出器110は省かれ得る。
【0049】
しかしながら、一次側コントローラU1がバーストモードで動作するときには、補助巻線の電圧は、容易には、主電源電圧と関連付けられることができない。実際、バースト中、補助巻線L3の電圧は、整流主電源電圧を表すが、これらのバーストは、整流主電源電圧のピークで起こらないかもしれず、バースト繰り返し率は、主電源周波数とは無関係であり、従って、整流主電源電圧の電圧及び周波数は識別できない。
【0050】
このことは、標準モード中(図2A)及びバーストモード中(図2B)の、ピーク検出補助巻線電圧、整流主電源電圧及び変換出力電圧のプロットを図示している、図2A図2Bとを対比することによって、分かり得る。図2Aにおいて示されているように、ピーク検出補助巻線電圧200Aは、(一次巻線への入力において測定される)ピーク検出整流主電源電圧202Aの例にほぼ従う。しかしながら、図2Bにおいて示されているように、バーストモードにおいては、一次側巻線が導通している頻度がどれほど低いかを考慮すると、ピーク検出整流主電圧202Bは、大きさ又は周波数において主電源電圧に類似していない。従って、一次側巻線L1のバーストに従うピーク検出補助電圧200Bからは、主電源電圧についての意味のある情報は確認されることができない。
【0051】
それ故、二次側コントローラU2は、一次側コントローラU1がバーストモードで動作しているときを検出し、トランスの二次側で主電源電圧を測定する前に、一次側コントローラU1が出力バス電圧を増加させるように、一次側コントローラU1の電圧設定値を増加させ、一次側コントローラU1をバーストモードから標準モードの動作に引き込むよう構成され得る。
【0052】
図3は、バーストモードで動作している一般的なLEDドライバにおいてバス電圧が強制的に新しい設定値にされるときに、図2において示されている信号に何が起こるかを示している。示されているように、二次側コントローラU2によってバス電圧204Cの設定値が増加されるとすぐに、一次側コントローラU1はバス電圧を増加させて新しい設定値に戻そうとし、そうすることで、ほぼ10回の主電源半周期にわたってそれを非バースト動作に追いやる。これらの周期の間、一次巻線202Cにおけるピーク検出整流主電源電圧及びピーク検出補助巻線L3の電圧200Cは、入力主電源電圧に正確に対応し、この期間中に主電源の電圧及び周波数の両方が正確に決定されることができる。
【0053】
電圧ステップを十分に大きく調節することによって、ピーク電圧が取り込まれるように、一次側コントローラU1が、整流主電源信号の少なくとも1回の半周期の間、標準モードのままであることが確実にされ得る。他の例においては、電圧ステップは、少なくとも2つのゼロ交差が検出され、主電源周波数も決定されることができるように、一次側コントローラU1が、少なくとも1回の整流主電源周期の間、標準モードのままであることを確実にするのに十分に大きくされることができる。
【0054】
しかしながら、一次側コントローラU1によっては、大きな電圧ステップでも、半周期よりも短い時間内に一次側コントローラU1が大きな電圧ステップに到達することがあるので、一次側コントローラU1が半周期又は全周期にわたって通常動作のままであることを保証しない。それに応じて、二次側コントローラU2は、半周期又は全周期の間に、設定値を複数回又は連続的に増加させることができ、フライバックコンバータが、変化する設定値を満たそうとするので、主電源電圧又は周波数を取り込む(capture)のに必要とされる長さの時間にわたって、標準モードのままであることを確実にする。
【0055】
図1の例においては、二次側コントローラU2は、誤差信号を変更するように増幅器へのバス制御入力を変更し、バス電圧が低すぎることを一次側コントローラU1に示すことによって、設定値を変更することができる。別の言い方をすれば、二次側コントローラU2は、バス制御電圧を増加させ、バス電圧とバス制御電圧との間の差を増加させ、その結果として、一次側コントローラU1への誤差信号フィードバックの大きさを増加させることができる。その結果、バス電圧が低すぎるというフィードバックを受ける一次側コントローラU1は、バス電圧を増加させるために通常動作に入る。
【0056】
代替実施形態においては、二次側コントローラU2は、誤差増幅器112とは無関係に、電圧設定値を増加させるよう、直接、一次側コントローラU1に(例えば、オプトカプラU3を介して)信号を出力することができる。例えば、二次側コントローラU2の出力は、誤差増幅器112からのフィードバック入力に加えて又は代わるものとして、二次側コントローラU2のフィードバック入力に供給され得る。例えば、上記のように、二次側コントローラU2は、誤差増幅器112に取って代わり、バス電圧と基準信号との間の比較を実施することができる。この例においては、誤差センサ信号は、誤差増幅器112からではなく、二次側コントローラU2から一次側コントローラU1に供給される。別の例においては、フィードバック信号は、二次側コントローラU2及び誤差増幅器112の両方から一次側コントローラU1に供給され得る。例えば、誤差検知信号と二次側コントローラU2からの出力との両方がオプトカプラに供給されることができ、それらのうちの大きい方が一次側コントローラU1へのフィードバック信号入力を決定し、二次側コントローラU1が、誤差増幅器112からのフィードバック入力をオーバーライドし、それに応じて、電圧出力を設定することを可能にする。
【0057】
別の例においては、一次側コントローラU1へのフィードバックピン以外のピンが、設定値を増加させるために使用され得る。例えば、一次側コントローラU1は、設定値ピンを含むことができ、前記設定値ピンへの入力が、バス電圧の設定値を指示する。この例においては、二次側コントローラU1は、設定値を上げ、主電源電圧及び周波数を測定するのに十分な時間、コントローラU1を標準モードに入らせるため、このピンへの入力を変更することができる。
【0058】
二次側コントローラU2が、一次側コントローラU1が主電源電圧及び/又は周波数を取り込むのに十分な長さの時間にわたって標準モードで動作することを確実にするように設定値を増加させたら、二次側コントローラU2は、設定値を低下させて以前の値に戻すことができる。図1の例においては、 これは、バス制御信号を低下させて増加前にそうであった値に戻すことによって達成されることができる。バス制御信号は、主電源電圧及び/又は周波数が再び読み取られる必要があるときであって、設定値が再び増加され得るときまで、より低い値のままであることができる。
【0059】
二次側コントローラU2は、補助巻線L3の電圧又は周波数を閾値と比較することによって、一次側コントローラU1がバーストモードにあるか否かを判定することができる。一次側コントローラU1がバーストモードにあるときには、補助巻線L3の出力は、特定の閾値を超えて上昇せず、特定の周波数を超えない。従って、二次側コントローラは、(電圧を閾値と比較するために)半周期又は(周波数を閾値と比較するために)全周期にわたって補助巻線L3をモニタすることによって、一次側コントローラU1がバーストモードにあるか否かを判定することができる。
【0060】
二次側コントローラU2は、測定補助巻線電圧から主電源電圧及び周波数を決定するよう構成されることができる。所与の半周期におけるピーク補助巻線電圧は、何らかの比例定数によって主電源電圧と関連付けられる可能性が高い。従って、二次側コントローラU2は、補助巻線の測定ピーク電圧に比例定数を掛けることによって主電源電圧を決定するよう構成されることができる。補助巻線の周波数は、主電源電圧の周波数と同じである可能性が高いが、介在する回路が二次側コントローラにおける測定周波数を変化させる程度まで、二次側コントローラも、同様に、測定周波数を主電源電圧の周波数に変換する。
【0061】
二次側コントローラU2は、有線又は無線方式で、任意の適切なプロトコル(例えば、DALI、Bluetooth、ZigBee、NFCなど)で、測定主電源電圧を遠隔デバイスに送信するよう構成されることができる。実際、上記のように、DiiAなどの或る特定の標準化団体は、D4iロゴを付ける製品は、出力電圧及び周波数、並びに主電源電圧、主電源周波数及び力率のような主電源電圧関連項目などの診断情報を供給できることを要求している。このような遠隔デバイスは、モバイルデバイス又はコンピュータであり得る。遠隔デバイスは、ユーザが主電源電圧及び/又は周波数をモニタすることができるように、例えばダッシュボードで、ユーザに診断情報を表示するよう構成されることができる。
【0062】
代替例においては、二次側コントローラU2は、主電源電圧及び/又は周波数を決定するために設定値を変化させるだけでなく、フライバックコンバータの効率を高めるために電圧設定値を定期的に変化させるよう構成されることができる。より具体的には、バス電圧の値が重要ではないインスタンスにおいては(即ち、電源がスタンバイ状態にあるときには)、一次側コントローラU1を通常動作に保つよう、バス電圧設定値が絶え間なく変更されることができる。これらの例においては、電源出力端子にバス電圧が存在しないように、出力段108はオフであり得る。バーストモードは通常動作よりもはるかに効率が悪く、従って、電源がスタンバイ状態にあるときには、二次側コントローラU2は、一次側コントローラU1がバーストモードに入らないように、又はより少ない規則性でバーストモードに入るように、バス電圧設定値を変化させ続けることができる。
【0063】
図4は、電源の一次側と二次側との間のガルバニック絶縁を維持するトランスを用いる変換器を有する電源の二次側から主電源電圧及び/又は周波数を決定するための方法400のフローチャートを図示している。例においては、変換器は、フライバックコンバータであり得るが、このようなトランスを利用する任意の変換器(例えば、アクティブクランプフォワードコンバータ、単一スイッチフォワードコンバータ、2スイッチフォワードコンバータ、プッシュプルコンバータ、ハーフブリッジコンバータ、フルブリッジコンバータなど)が使用され得る。このような電源は、図1に関連して示され、説明されている電源100であり得るが、これは、例として示されているに過ぎない。図4の方法ステップは、二次側コントローラU2のようなコントローラによって実行されることができる。方法ステップは、ソフトウェア又はファームウェアとして非一時的な記憶装置にプログラムされ、マイクロコントローラのプロセッサによって実行されることができる。しかしながら、幾つかの例においては、ステップの幾つかは、ハードウェアにおいて、又はハードウェア、ソフトウェア及び/若しくはファームウェアの組み合わせとして実行されることができる。
【0064】
ステップ402においては、トランスの二次側巻線の両端の電圧が、所定の期間であって、前記電圧から、前記期間からのピーク電圧又は前記期間からの測定電圧の周波数が決定されることができる所定の期間にわたって測定される。二次側巻線は、トランスの二次側巻線又は補助巻線のいずれかであり得る(トランスは、任意の数の補助巻線を含み得る)。 所定の期間は、一般に主電源電圧の半周期又は全周期を取り込むのに十分な期間であり得る。二次側巻線の両端の電圧は、変換器が順方向フェーズにあるときの主電源電圧のみを表すことから、電圧の包絡線を検出するピーク検出器と組み合わせて測定されることができる。任意の適切なピーク検出器が使用され得る。
【0065】
ステップ404においては、一次側コントローラ(例えば、一次側コントローラU1)がバーストモードで動作しているか否かが判定される。例においては、一次側コントローラは、フライバックコンバータなどの変換器を動作させるよう設計される集積回路であるPFCコントローラである。例においては、一次側コントローラがバーストモードで動作しているか否かを判定するために、二次側巻線の測定電圧又は周波数が閾値と比較される。測定電圧又は周波数が閾値未満であれば、一次側コントローラはバーストモードで動作していると判定されることができ、そうでなければ、一次側コントローラは標準モードで動作していると判定されることができる。
【0066】
ステップ406においては、一次側コントローラが標準モードにあると判定される場合に、二次側巻線の測定電圧及び/又は周波数が、診断情報として、モバイルデバイス又はコンピュータなどの遠隔コンピューティングデバイスに供給される。或る例においては、測定電圧及び/又は周波数は、診断情報が遠隔コンピューティングデバイスによって要求されるまで、二次側コントローラのメモリに記憶されることができる。診断情報は、DALI、Bluetooth、ZigBee、NFCなどのような任意の適切なプロトコルを介して有線又は無線のいずれかで送信されることができる。例においては、二次側巻線の両端の測定電圧の大きさは、一次側巻線の巻数に対する二次側巻線の巻数、及び二次側巻線と二次側コントローラとの間の任意の介在回路(例えば、ピーク検出器、分圧器など)によって決定されるので、測定電圧は、何らかの比例係数に従って主電源電圧に変換されることができる。同様に、主電源周波数は、補助巻線から、(それらは同じであることがあるので)直接、又は何らかの変換プロセス、例えば、比例定数による乗算を通して、決定されることができる。
【0067】
ステップ408においては、一次側コントローラがバーストモードで動作していると判定される場合に、一次側コントローラは、変換器出力電圧(バス電圧)の電圧設定値を増加させるよう指示され得る。電圧設定値を増加させる指示は、例えば、一次側コントローラが誤差の増加に対処するために出力電圧を増加させる(従って、標準モードに入る)ように、一次側コントローラにフィードバックされる誤差信号を増加させることによって、なされることができる。誤差信号は、例えば、誤差増幅器の基準電圧を増加させることによって、又は二次側コントローラから直接(オプトカプラを介して)一次側コントローラに供給される誤差信号を増加させることによって、増加されることができる。
【0068】
一次側コントローラは、主電源電圧又は主電源周波数を測定するのに十分な期間(それぞれ、主電源電圧の少なくとも半周期又は全周期)にわたって、一次側コントローラを標準モードのままにさせるやり方で、電圧設定値を増加させるよう指示され得る。これは、一次側コントローラが必要な期間にわたって標準モードのままであることを確実にするのに十分に高く設定値の増加を設定することによって、達成されることができる。他の例においては、設定値は、(例えば、半周期又は全周期にわたって)時間と共に増加されることができ、一次側コントローラが、変化する電圧要件を満たすために標準モードで動作し続けることを確実にする。
【0069】
ステップ410においては、ステップ408の電圧出力設定値の増加により一次側コントローラが標準モードで動作している間に、二次側巻線の電圧及び/又は周波数が測定される。ステップ402に関連して説明したように、二次側巻線は、ピーク検出器と組み合わせて測定されることができる。
【0070】
ステップ412においては、ステップ406と同様に、二次側巻線の測定電圧及び/又は周波数が、診断情報として、モバイルデバイス又はコンピュータなどの遠隔コンピューティングデバイスに供給される。そして同様に、測定電圧及び/又は周波数は、診断情報が遠隔コンピューティングデバイスによって要求されるまで、二次側コントローラのメモリに記憶されることができる(従って、このステップは、下記のステップ414の後に行われ得る)。診断情報は、DALI、Bluetooth、ZigBee、NFCなどのような任意の適切なプロトコルを介して有線又は無線のいずれかで送信されることができる。例においては、測定電圧及び/又は周波数は、例えば何らかの比例定数に従って、主電源電圧及び/又は周波数に変換され得る。
【0071】
ステップ414においては、電圧設定値が、ステップ408における増加の前の値に戻される。前記電圧設定値は、一次側コントローラがバーストモードにある間に電圧及び/又は周波数が測定されるべきである次のインスタンスまで、この電圧のままである。
【0072】
上記のように、主電源電圧を決定するために設定値を変化させるのではなく、電源がスタンバイ状態にある間、効率を高めるために、一次側コントローラを標準モードの動作に保つよう、設定値が変更されることができる。これは、ステップ408の電圧設定値の増加及びステップ414の電圧設定値の減少をループで繰り返すことによって達成されることができ、従って、一次側コントローラU1を標準モードの動作に維持する。この期間中、変換器が高いバス電圧を生成している間に出力信号を生成するのを避けるために、出力段はオフであり得る。これは、電源がスタンバイ状態のままである限り、継続されることができる。
【0073】
本明細書において記載されている機能、又はその一部、及びその様々な修正したもの(以下、「機能」)は、少なくとも部分的に、コンピュータプログラム製品、例えば、1つ以上のデータ処理装置、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ及び/又はプログラム可能な論理構成要素による実行のために、又は前記1つ以上のデータ処理装置の動作を制御するために、1つ以上の非一時的な機械可読媒体又は記憶デバイスなどの情報担体において有形に実施されるコンピュータプログラムを介して、実施されることができる。
【0074】
コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語(compiled language)又はインタプリタ型言語(interpreted language)を含む任意の形態のプログラミング言語で記述されることができ、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン若しくはコンピューティング環境での使用に適した他の構成単位として含む任意の形態で、展開されることができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータにおいて、又は1つのサイトにある、若しくは複数のサイトに分散され、ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータにおいて実行されるよう、展開されることができる。
【0075】
機能の全て又は一部を実施することに関連する動作は、較正プロセスの機能を実施するための1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実施されることができる。機能の全て又は一部は、専用論理回路、例えば、FPGA及び/又はASIC(特定用途向け集積回路)として実施されることができる。
【0076】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用及び専用マイクロプロセッサの両方、並び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの構成要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスとを含む。
【0077】
本明細書には幾つかの発明の実施形態が記載及び図示されているが、当業者は、本明細書に記載されている利点のうちの1つ以上及び/若しくは結果を得るための並びに/又は機能を実施するための様々な他の手段及び/又は構造を容易に思い描き、このような変形及び/又は修正の各々は、本明細書に記載されている発明の実施形態の範囲内にあると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載されている全てのパラメータ、寸法、材料及び構成は、例示的なものであるよう意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は構成は、本発明の教示が使用される1つ以上の特定の用途に依存することを容易に理解するだろう。当業者は、多くの、本明細書に記載されている特定の発明の実施形態と同等のものを、認識するだろう、又は単なる日常的な実験だけを使用して突き止めることができるだろう。それ故、前述の実施形態は、ほんの一例として提示されており、添付の特許請求の範囲及びそれと同等のものの範囲内で、発明の実施形態は、明確に記載及び請求されているものとして以外に実施され得ることを理解されたい。本開示の発明の実施形態は、本明細書に記載されている各個別の特徴、システム、物品、材料及び/又は方法を対象にしている。更に、2つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料及び/又は方法の任意の組み合わせが、このような特徴、システム、物品、材料及び/又は方法が相互に矛盾しない場合に、本開示の発明の範囲内に含まれる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】