(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】表面不明瞭化コーティングを伴う飲料缶
(51)【国際特許分類】
B05D 3/02 20060101AFI20231017BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20231017BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20231017BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20231017BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20231017BHJP
B05B 12/02 20060101ALI20231017BHJP
B05B 5/025 20060101ALI20231017BHJP
B65D 25/34 20060101ALI20231017BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20231017BHJP
B41M 1/28 20060101ALI20231017BHJP
B41M 1/40 20060101ALI20231017BHJP
B41M 1/06 20060101ALI20231017BHJP
B41M 1/18 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B05D3/02 Z
B05D7/14 F
B05D3/06 Z
B05D3/06 102Z
B05C5/00 101
B05C9/12
B05B12/02
B05B5/025 A
B65D25/34 B
B41M1/30 B
B41M1/28
B41M1/40 Z
B41M1/06
B41M1/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520022
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 US2021052566
(87)【国際公開番号】W WO2022072436
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523115508
【氏名又は名称】コンツアー プリントワークス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フィーバー, ティモシー エル.
(72)【発明者】
【氏名】アルヴェソン, マシュー イー.
(72)【発明者】
【氏名】レムナント, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ティーグ, アラン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ポールマン, ジェイソン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ムーア, ロバート ウェイン
【テーマコード(参考)】
2H113
3E062
4D075
4F034
4F035
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
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2H113AA05
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(57)【要約】
本開示は、基部と、基部から上向き方向に延在し、ネックおよびフランジ付き部分を備える、曲線側面であって、基部および曲線側面は、金属材料を使用して形成される、曲線側面と、それぞれ、曲線側面の少なくとも一部上に適用される、第1のインクの少なくとも1つの層と、第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層とを備える、缶を装飾するためのシステム、方法、および装置を説明する。本方法はさらに、曲線側面を表面処理し、第1のオーバーワニスの表面エネルギーを増加させることと、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層を曲線側面の部分に適用することであって、その部分は、ネックおよびフランジ付き部分を含む場合とそうではない場合がある、ことと、第2のオーバーワニスおよび/または第2のインクの1つまたはそれを上回る層を缶の曲線表面の部分に適用することと、缶を硬化させることとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以前にオーバーワニス処理された缶を装飾するための方法であって、
缶を提供することであって、前記缶は、
基部と、
曲線側面であって、前記曲線側面は、前記基部から上向き方向に延在し、ネックおよびフランジ付き部分を備え、前記基部および曲線側面は、金属材料を使用して形成される、曲線側面と、
前記曲線側面の少なくとも一部上に適用される少なくとも1つの第1のインク層と、
前記第1のインク層にわたって適用される第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層であって、前記第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層は、少なくとも前記曲線側面上に適用される、第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層と
を備える、ことと、
光学的に緻密な不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層が、部分的に、前記少なくとも1つの第1のインク層の色、テキスト、またはグラフィック要素の少なくとも一部を不明瞭化し、その判読性を低減させるように、前記光学的に緻密な不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層を前記缶の曲線側面の部分に適用することと、
硬化オーブンを介して、またはUVまたは他のエネルギー源への暴露を介して、前記缶を硬化させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記光学的に緻密な不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層は、前記少なくとも1つの第1のインク層の色、テキスト、またはグラフィック要素を完全に不明瞭化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光学的に緻密な不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層は、紫外線(UV)硬化性または非UV硬化性インク、塗料、顔料ワニスまたは顔料水溶性オーバーワニス、および低摩擦面を提供するための潤滑剤のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光学的に緻密な不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層は、1つまたはそれを上回る金属粒子を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたはそれを上回る金属粒子は、アルミニウムおよび酸化アルミニウムのうちの1つまたはそれを上回るものを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層は、デジタルプリンタ、噴霧機械、1つまたはそれを上回るオフセットローラ、共形化可能賦形ローラ、および前記缶を前記不明瞭化剤コーティングの中に浸漬または水没させることを介してのうちの1つまたはそれを上回るものを使用して適用される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記噴霧機械は、スプレーガン、ノズル、ノズルフィルタ、ノズル制限器、圧力センサ、粘度センサ、および温度センサのうちの1つまたはそれを上回るものを備え、前記噴霧機械は、コントローラに電子的かつ通信可能に結合される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記缶の曲線側面を表面処理し、前記第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層の表面エネルギーを増加させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
表面処理することは、前記缶の曲線側面のトポグラフィおよび化学的性質を修正することを含み、前記表面処理することは、吹き付けイオン表面処理、洗剤洗浄、コロナ処理、化学エッチング、化学プラズマ処理、火炎処理、プライマ材料の適用、およびレーザ表面処理から成る群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記吹き付けイオン表面処理は、1つまたはそれを上回るイオン処理器ヘッドを利用することを含み、各イオン処理器ヘッドは、同軸電極を含む1つまたはそれを上回るノズルを備え、前記方法はさらに、前記1つまたはそれを上回るイオン処理器ヘッドのノズルの少なくとも一部を通して圧縮空気を吹き付け、前記圧縮空気と個別の同軸電極との相互作用を介して、1つまたはそれを上回るイオンまたはプラズマプルームを前記ノズルの少なくとも一部から延在させることを含み、前記1つまたはそれを上回るイオンまたはプラズマプルームは、前記缶の曲線側面に接触し、前記第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層の表面エネルギーを増加させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記缶に適用される前記不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層は、前記不明瞭化剤コーティングの適用の間に、および/または続けて前記硬化オーブン内で、連続的または断続的な熱源によって熱硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記缶に適用される前記不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層は、前記不明瞭化剤コーティングの適用の間に、および/または前記不明瞭化剤コーティングの適用に続けて、UVまたは他のエネルギー源への暴露によって硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記硬化オーブンは、前記硬化オーブンを通して前記缶を輸送するための運搬機構を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記硬化オーブンを介して前記缶を硬化させることはさらに、前記缶に関する硬化温度を決定することであって、前記硬化温度は、部分的に、前記不明瞭化剤コーティングに基づく、ことを含み、前記方法はさらに、前記缶を硬化させるための滞留時間を決定することを含み、前記運搬機構の速度は、部分的に、前記硬化温度、前記滞留時間、またはそれらの組み合わせに基づく、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1つまたはそれを上回る第2のインク層を前記缶の曲線側面の部分に適用することであって、前記部分は、少なくとも前記ネックおよびフランジ付き部分を含む場合とそうではない場合がある、こと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたはそれを上回る第2のインク層は、デジタルインクジェットプリンタを介して適用される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を前記缶の曲線側面の部分に適用することであって、前記第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層は、前記部分の最外側層を備える、こと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のオーバーワニスは、水溶性、非紫外線(UV)硬化性、水溶性かつ非UV硬化性、またはUV硬化性のうちの1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層は、デジタルプリンタ、噴霧機械、1つまたはそれを上回るオフセットローラ、共形化可能賦形ローラ、および前記缶を前記第2のオーバーワニスの中に浸漬または水没させることを介してのうちの1つまたはそれを上回るものを使用して適用される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記噴霧機械は、1つまたはそれを上回るスプレーガン、ノズル、ノズルフィルタ、ノズル制限器、圧力センサ、粘度センサ、温度センサ、ヒータ、および強制空気アプリケータを備え、前記噴霧機械は、コントローラに電子的かつ通信可能に結合される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラは、1つまたはそれを上回る調節可能なパラメータを決定付ける命令を前記噴霧機械に渡すように構成され、前記1つまたはそれを上回る調節可能なパラメータは、スプレーガンの数、ノズルタイプ、ノズル配向、ノズルフィルタタイプ、ノズル制限器タイプ、プログラム可能な噴霧時間、ノズル回転速度、缶回転速度、ノズル噴霧圧力、隣接するノズル先端と前記缶の表面との間の距離、第2のオーバーワニス温度、不明瞭化剤粘度、第2のオーバーワニス粘度、周囲温度、缶配向、缶温度、湿度、強制空気硬化促進剤の速度および温度から成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のオーバーワニスは、前記缶の曲線側面の部分に適用されることに先立って適合され、前記適合することは、溶媒を使用して前記第2のオーバーワニスを希釈し、オーバーワニス-溶媒混合物を生成することと、前記オーバーワニス-溶媒混合物を加熱および攪拌し、適合されたオーバーワニス混合物を生成することと、リザーバ内に前記適合されたオーバーワニス混合物を貯蔵することであって、前記リザーバは、閾値温度範囲内に維持される、こととを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒は、蒸留水または脱イオン水のうちの1つであり、前記リザーバは、加熱されたリザーバである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記噴霧機械の水圧ポンプおよび1つまたはそれを上回る圧力調整器を介して、前記リザーバから、噴霧機械の1つまたはそれを上回るスプレーヘッドに、前記適合されたオーバーワニス混合物を供給することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を適用することは、前記適合されたオーバーワニス混合物の1つまたはそれを上回る層を適用することを含み、前記適合されたオーバーワニス混合物の1つまたはそれを上回る層を適用することはさらに、1つまたはそれを上回る第2のインク層を備える前記缶を、回転可能チャックに移送することであって、前記回転可能チャックは、前記缶を保持し、軸方向に回転させるように適合される、ことと、前記噴霧機械の1つまたはそれを上回るスプレーヘッドを使用して、前記缶の曲線側面の部分上に前記適合されたオーバーワニス混合物を噴霧することとを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記缶に適用される前記第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層は、前記硬化オーブン内で熱硬化され、前記硬化オーブンは、前記硬化オーブンを通して前記缶を輸送するための運搬機構を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化オーブンを介して前記缶を硬化させることはさらに、前記缶に関する硬化温度を決定することであって、前記硬化温度は、部分的に、前記第2のオーバーワニスに基づく、ことと、前記缶を硬化させるための滞留時間を決定することとを含み、前記運搬機構の速度は、部分的に、前記硬化温度、前記滞留時間、またはそれらの組み合わせに基づく、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
飲料缶であって、前記飲料缶は、基部と、前記基部から上向き方向に延在する曲線側面であって、前記曲線側面は、ネックおよびフランジ付き部分を備え、前記基部および曲線側面は、金属材料を使用して形成される、曲線側面と、前記曲線側面の少なくとも第1の部分上に適用されるインクの第1の層と、少なくとも前記曲線側面上で、前記インクの第1の層にわたって適用される第1のオーバーワニス層と、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層が、前記インクの第1の層の色、テキスト、またはグラフィック要素の少なくとも一部を不明瞭化し、その判読性を低減させるように、前記曲線側面の少なくとも第1の部分上に適用される不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層とを備える、飲料缶。
【請求項28】
前記缶の曲線側面の少なくとも第2の部分に、前記不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層にわたって適用される第2のインクの1つまたはそれを上回る層と、
第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層が、前記缶の曲線側面の最外側層を備えるように、前記缶の曲線側面の少なくとも第2の部分に適用され、硬化オーブンまたはUVまたは他のエネルギー源を介して前記缶を硬化させる第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層と
をさらに備える、請求項27に記載の飲料缶。
【請求項29】
前記不明瞭化剤コーティング層の1つまたはそれを上回る層は、前記曲線側面の少なくとも第1の部分上に形成され、前記第1の部分は、前記ネックおよびフランジ付き部分を含む場合とそうではない場合があり、前記不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層は、前記缶の曲線側面を表面処理した後に形成され、前記表面処理は、前記第1のオーバーワニス層の表面エネルギーの増加を引き起こす、請求項28に記載の飲料缶。
【請求項30】
以前にオーバーワニス処理および装飾された缶を装飾するためのシステムであって、前記システムは、
缶であって、前記缶は、
基部と、
曲線側面であって、前記曲線側面は、前記基部から上向き方向に延在し、ネックおよびフランジ付き部分を備え、前記基部および曲線側面は、金属材料を使用して形成される、曲線側面と、
前記曲線側面の少なくとも一部上に適用される第1のインクおよび第1のオーバーワニスのそれぞれの少なくとも1つの層と
を備える、缶と、
表面処理デバイスと、
印刷デバイスと、
噴霧デバイスと、
硬化のための硬化オーブンまたはUVまたは他のエネルギー源と、
1つまたはそれを上回るハードウェアプロセッサであって、
前記表面処理デバイスによって、前記缶の少なくとも曲線側面を表面処理し、前記第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層の表面エネルギーを増加させることと、
前記印刷デバイスによって、前記缶の曲線側面の部分に不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層を適用することであって、前記部分は、前記ネックおよびフランジ付き部分を含む場合とそうではない場合がある、ことと、
前記印刷デバイスによって、前記缶の曲線側面に第2のインクの1つまたはそれを上回る層を適用することと、
前記噴霧デバイスによって、前記缶の曲線側面に第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を適用することと、
前記硬化オーブンまたは他のエネルギー源によって、前記第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を硬化させることと
を行うように機械可読命令によって構成される、1つまたはそれを上回るハードウェアプロセッサと
を備える、システム。
【請求項31】
以前にオーバーワニス処理された缶を装飾するための方法であって、
缶を提供することであって、前記缶は、
基部と、
ネックおよびフランジ付き部分と、
曲線側面であって、前記曲線側面は、前記基部から上向き方向に延在し、前記基部および曲線側面は、金属材料を使用して形成される、曲線側面と、
前記曲線側面、前記基部、前記ネックおよびフランジ付き部分、または組み合わせの少なくとも一部上に適用される少なくとも1つの第1のインク層と、
前記第1のインク層にわたって適用される第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層と
を備える、ことと、
前記缶の部分を表面処理し、前記第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層、前記少なくとも1つの第1のインク層、または組み合わせの全てまたは大部分を除去することと、
前記缶の曲線側面の部分に1つまたはそれを上回る第2のインク層を適用することであって、前記部分は、前記ネックおよびフランジ付き部分を含む場合とそうではない場合がある、ことと、
前記缶の曲線側面の部分に第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を適用することであって、前記第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層は、前記缶上の最外側層を備える、ことと、
硬化オーブンまたは他のエネルギー源を介して、前記缶を硬化させることと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2020年9月30日に出願された米国仮出願第63/085,486号の優先権を主張し、また、2020年7月24日に出願され、本明細書の譲受人に譲渡された、「Surface Treatment for Preformed Necked Cans」と題された米国非仮出願第16/938,659号に関連する。これらの出願の詳細は、あらゆる適切な目的のために、本明細書で参照することによって明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示される実施形態は、概して、以前に装飾されたアルミニウム缶上の装飾を不明瞭化し、ある場合には、不明瞭化コーティングの上に新しい装飾を適用するためのシステムおよび方法に関する。特に、限定としてではないが、本開示される実施形態は、缶をコーティングすることに関し、ある場合には、それらの缶を印刷およびワニス処理することに関する。
【背景技術】
【0003】
缶は、食品および飲料産業において普及している。ある場合には、缶は、缶製造プロセスの一部として、缶メーカによって印刷または装飾され得る。殆どの場合では、缶は、色またはグラフィック要素を用いて装飾され、潤滑剤を含有する保護層を用いてオーバーワニス処理された、事前形成されたネック付き/フランジ付き缶であり、これは、缶が、他の缶または機器に付着することなく、充填および包装プロセスの間に容易に運搬されることを可能にし得る。ある場合には、そのような缶は、オーバーワニス層のない、または少なくとも1つのオーバーワニス層を備える、非装飾の事前形成されたネック付き/フランジ付き「ブライト」缶として販売される。そのような「ブライト」缶のネック付き/フランジ付き部分を装飾(例えば、印刷)するための現在の技法は、運用経済性および費用、および健康および安全性の考慮事項を含む、種々の理由から、欠如している。多くの他の場合では、装飾されたネック付きおよびフランジ付き缶は、顧客のキャンセルまたは誤植等の種々の理由から、使用不能になり得る。これらの場合では、機能的観点から完全に良好である缶が、廃棄または再生利用のいずれかを行われなければならず、缶製造業者およびそれらの顧客の両方にとっての余分な費用および収益機会の損失につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下は、本明細書に開示される1つまたはそれを上回る側面および/または実施形態に関する簡略化された要約を提示する。したがって、以下の要約は、全ての想定される側面および/または実施形態に関する広範な概要と見なされるべきではなく、以下の要約は、全ての想定される側面および/または実施形態に関する主要または重要な要素を識別する、または任意の特定の側面および/または実施形態と関連付けられる範囲を画定すると見なされるべきでもない。故に、以下の要約は、下記に提示される詳細な説明に先んじて、本明細書に開示される機構に関する1つまたはそれを上回る側面および/または実施形態に関するある概念を簡略化形態において提示する目的のみを有する。本開示の目的のために、缶、飲料缶、容器、および事前形成された缶という用語は、本願全体を通して同義的に使用され得る。さらに、本開示の目的のために、表面処理デバイスという用語は、プライマまたは他の接着改良コーティングを適用する機械またはシステムを含む、表面処理機械または表面処理システムという用語と同等であり得る。スプレーまたは噴霧デバイスはまた、オーバーワニス噴霧システムまたはデジタル印刷デバイスを指し得る。不明瞭化剤という用語は、バルク液体、固体、またはスラリーのいずれかの形態における、通常、顔料を含有する、光学的に緻密な任意の材料、またはそれから作製されるコーティングを指し得、下層表面の不明瞭化および装飾の両方の二重の目的を果たし得る、インクおよび塗料、および他のワニス、ベースコート、およびオーバーワニスを指し得、そのうちのいずれかはまた、飲料缶上の保護コーティングとして使用され得る、潤滑剤を含有してもよい。不明瞭化剤という用語はまた、連続して適用される複数のコートから成る、コーティングを指し得、少なくとも1つのコーティング適用に、硬化周期が続き、これは、後続コーティング層の適用に先立って、強制空気、熱、UVエネルギー、電子ビームエネルギー、または硬化を加速させるためのある他の手段を含む場合とそうではない場合がある。装飾は、缶の少なくとも一部上に画像、テキスト、または他のグラフィック要素を作成する、プロセスまたはプロセスの結果を指し得、そのような画像、テキスト、または他のグラフィック要素は、缶上の唯一の不明瞭化剤層として作用する場合とそうではない場合がある。硬化オーブンはまた、UVエネルギー源、電子ビームエネルギー源、またはコーティング材料を硬化させるために使用される任意の他のエネルギーの源またはデバイスを指し得る。最後に、印刷デバイスという用語は、UV硬化能力の有無を問わないインクジェットプリンタ等、缶にインク(例えば、不明瞭化剤および/または装飾として)および/または専用不明瞭化剤コーティングを適用するためのプリンタ、またはローラ、噴霧器、または他の機構を介して塗料またはインクを適用する、任意の他のデバイスを指し得る。
【0005】
現在、缶、特に、缶から直接消費されることが意図される飲料および他の製品のために好適なツーピース缶を装飾するための種々の手段が、存在する。例えば、飲料缶は、缶製造プロセスの一部として、缶メーカによって印刷され得る。従来の技法では、缶メーカは、典型的には、4つまたはそれを上回る色および転写ローラを伴う従来的な溶媒系オフセット印刷プロセスを使用し、直線の側を伴うそのままのアルミニウム伸長カップを装飾する。印刷プロセス後、ワックスおよび/または他の潤滑剤を含有する、透明なオーバーワニスが、典型的には、転写ローラに類似するローラを用いて適用される。オーバーワニスは、次いで、オーブン内で熱硬化され、それに続いて、缶は、ネック加工機械に進むことができ、これは、一連の連続してより小さくなるスタンピングダイを使用し、缶のネックを形成する。ある場合には、オーバーワニス中の潤滑剤は、下層インクを損傷させることなく、缶がネック加工されることを可能にする。ネック加工後、缶の上部は、フランジ加工され得る。ある場合には、フランジは、続けて、シーミングプロセスにおいて缶上に蓋をシールするために使用され得る。いくつかの状況では、シーミングプロセスは、缶が充填された後に実施され得る。これらの形成された缶は、いったん飲料顧客によって要求される形態において印刷、ネック加工、およびフランジ加工されると、元の装飾のために使用された同一の印刷機器を使用して、再印刷または再装飾されることができない。結果として、ある理由から過剰に、または誤って印刷される、印刷された形成された缶、すなわち、「孤立した」缶は、典型的には、廃棄される、または粉砕され、梱包され、アルミニウム再生業者に返送され、溶解され、新しいアルミニウム缶に変換される。
【0006】
従来、「ブライト」缶は、オーバーワニスの適用に先立って、いかなるインクも金属缶に適用されないことを除いて、オーバーワニス適用および硬化、続けてネック加工およびフランジ加工を含む、上記に説明されるプロセスを経た缶である。
【0007】
別の従来使用される技法では、シュリンク被着プラスチックスリーブが、事前形成された「ブライト」缶上に適用され得る。白色または透明プラスチックフィルムが、デジタルまたは従来の溶媒印刷プロセスのいずれかを使用して印刷され、次いで、スリーブにされ得る。本スリーブは、ワニスまたは特殊な潤滑インクを用いて、缶にわたって滑動され得る。さらに、スリーブ缶アセンブリは、加熱され、プラスチックスリーブを収縮させ、缶上に適合させ得る。現在、クラフトビール等のより少ない数量(または量)で販売される飲料缶のために使用される缶の大部分は、そのようなプラスチックスリーブ付き缶である。しかしながら、石油化学製品に由来する材料に対するそれらの依拠、および再生利用プロセスの間にプラスチック製品の流れから缶を除去するための人間の選別者の使用に起因して、そのようなプラスチックスリーブ付き缶は、概して、環境に優しくないと見なされる。ある場合には、スリーブからのプラスチックはまた、アルミニウム再溶解プロセスの一部として化学的に溶解される、または焼却され、有害な化学物質が環境中に放出されることにつながり得る。環境問題とは別に、プラスチックスリーブは、多くの場合、従来的に印刷される缶に対して品質が劣ると見なされる。したがって、それらが廃棄または再生利用されるのではなく、再装飾および再使用され得るように、孤立した缶上の元の装飾を消去する、または不明瞭化するための手段の必要性が、存在する。シュリンク被着プラスチックスリーブまたは接着ラベルは、元の装飾を機能的に不明瞭化し得るが、これらの技法の使用に対する実践的な限定が、存在する。最初に、再利用または「アップサイクル」される缶を使用する包装会社は、それらの顧客が、スリーブまたはラベルを容易に除去し、缶が元々別の包装会社のために装飾されていたことを発見し得る場合、それらを購入することをためらう可能性が高い。同様に、消費者に対する元の装飾の開示はまた、缶が元々装飾されていた包装会社に対する懸念を生じさせ得る。加えて、再利用される缶の使用は、それらが、例えば、アルコール飲料を包装するために使用されることを意図されるとき、法的な問題を有する。再装飾されたラベルまたはスリーブを除去し、それによって、飲料が誤ったラベルを付けられた缶内に包装されることが可能である場合、異なる飲料のために以前にラベル付けされた、再装飾された缶内にアルコール飲料を包装することは、違法であり得る。
【0008】
より最近では、デジタルプリンタが、まだワニス処理されていない、直壁の飲料缶ブランク(すなわち、ネック加工およびフランジ加工に先立つ)上に直接印刷するために開発されている。ある場合には、これらのプリンタは、缶作製ラインの一部として配設され得、従来的な印刷プロセスの代替として、または従来的な印刷プロセスを補強するための手段として使用され得る。しかしながら、直壁の飲料缶ブランクを装飾するためにそのようなプリンタを使用する実践性には、疑問が残る。現在、最も高速のデジタルプリンタは、最も低速の従来的な缶装飾器の10分の1未満の速度で動作し、これは、大量の缶を印刷することに慣れている多くの缶メーカにとって許容不可能であり得る。飲料生産業者等の一部の外部関係者は、直壁の飲料缶ブランク上に印刷するが、缶メーカの大部分は、ネック加工およびフランジ加工(すなわち、事前形成)されていない缶を商業的に販売しない。加えて、オーバーワニス適用は、缶加工プロセスの重要な部分と見なされるため、缶メーカが適用されたオーバーワニスを伴わない缶を販売することは、非典型的である。
【0009】
直壁の缶ブランク(すなわち、まだネック加工およびフランジ加工されていない缶)は、比較的に脆く、容易に損傷するため、缶メーカは、多くの場合、生産プロセスの途中から直壁の缶ブランクを除去することで問題が起こると考える。したがって、缶メーカまたは他の源から直接大量に購入され得るものを含む、事前形成、ネック加工、およびオーバーワニス処理された缶上に印刷するための技法の必要性が、存在する。いくつかの状況では、「ダイレクトツーシェイプ」または「ダイレクトツーオブジェクト」プリンタが、そのような缶上に印刷するための好適な固定具を伴って適合され得る。ある場合には、これらのプリンタは、インクジェットプリントヘッドを使用し得、各プリントヘッドは、ノズルの1つまたはそれを上回る列を含有し得、各列は、典型的には、単一の色のインク専用である。さらに、これらのプリンタは、プリントヘッドに隣接して回転される缶上にインクを分注するように構成され得る。ある場合には、プリンタはまた、1つまたはそれを上回る下層インク層を被覆するために、透明なオーバーワニスを適用し得る。他の場合では、あるインク化学物質またはプリンタ技術を使用するプリンタは、缶メーカによって缶に元々適用されたインクおよび/またはオーバーワニスとの不適合に起因して、いくつかの事前形成された缶上で良好なコーティング結果を達成することが困難または不可能であると見出し得る。特に、いくつかのプリンタは、すでに白色の「ベースコート」層を有する缶上での、または具体的缶製造業者によって供給される、または具体的オーバーワニスを使用する缶への印刷に限定され得る。これらのプリンタは、その上に印刷する缶のそれらの選択肢を広げるように、印刷されるべき事前形成された缶が、使用されているプリンタおよびインクと適合するコーティングを用いて最初に処理されることを要求し得る。これらのプリンタは、したがって、続けて適用される層の接着を改良するためのプライマとしても作用する、不明瞭化剤の使用から利益を享受し得る。インクジェット技術は、2つの主要なタイプ、すなわち、連続インクジェット(CIJ)およびドロップオンデマンド(DOD)に分類されることができる。さらに、圧電および熱インクジェットが、DODインクジェット技術のいくつかの実施例である。
【0010】
この理由から、缶を再使用している包装業者、または消費者が、元の装飾の全てまたは有意な部分を取り外し、露見させる可能性を低減させる方法で、ネックを含む、装飾された缶の曲線側面全体の全てまたは一部にわたって元の装飾を不明瞭化するためのプロセスの必要性が、存在する。さらに、不明瞭化剤層として、または不明瞭化剤層に加えて使用され得る、第2の装飾(例えば、デジタル印刷インク層)と、インクおよび/または不明瞭化剤コーティングを保護し、また、缶が典型的な自動化缶充填および処理製造ラインを通して通過するために必要な適正な「滑り」を伴う缶表面を提供することを促進し得る(すなわち、プロセスの中断を引き起こし得る、他の缶および/または機器への付着を伴わない)、水性オーバーワニスとを適用するためのプロセスの必要性が、存在する。ある場合には、顔料水性ベースコート(従来的に缶に適用される装飾の下に使用され、ここではオーバーコートとして使用される)または顔料水性オーバーワニスから成る、不明瞭化剤コーティングが、利用され得、これは、元の装飾の不明瞭化および好適な缶表面の提供の両方の役割を果たし得る。包装業者が、別の源から孤立した缶を確保せず、代わりに、デジタルダイレクトツーシェイププリンタによるように、缶がオーバープリントされることを選定することによって、それらの独自の孤立した缶を再使用する(すなわち、それらを廃棄または再生利用するのではなく)ことを所望するとき等、ある場合には、オーバープリントされた層(例えば、デジタル印刷インク層)を適用する前に、別の不明瞭化剤層を用いて元の装飾を完全に不明瞭化することは、必要ではない場合がある。これらの場合では、デジタル印刷インク層を唯一の不明瞭化剤として使用する、または透けて見える部分が、事前に適用された不明瞭化剤コーティングに適用される第2の装飾から有意に邪魔をする、または気を散らすほど十分ではない限り、元の装飾の一部が、事前適用された不明瞭化剤コーティングを通して見えるように、オーバープリントされた層の下に事前適用された不明瞭化剤層を使用することは、許容可能であり得る。
【0011】
下層コーティングを保護し、十分な滑りを提供するためのオーバーワニスを適用する一方法は、光開始剤を含有する紫外線硬化オーバーワニスの使用を伴い得る。これらは、缶に適用され得、それに続いて、缶は、UVランプに暴露される。UV放射への暴露は、オーバーワニスを非常に短い周期(例えば、10ミリ秒(ms)、50ms、100ms等)で硬化および硬質化させ得る。UV硬化オーバーワニスの使用は、下層インクを保護するための便宜的な選択肢と見なされ得るが、唇、舌、または手が、UV硬化コーティング、特に、コーティングが完全に硬化されていないものと接触するときに生じ得る、健康への潜在的な悪影響についての疑問が、存在する。例えば、ある場合には、未硬化のモノマーおよびオリゴマー、およびコーティング中の過剰な光開始剤が、缶の表面に移動し、より実質的な身体への害ではないにしても、アレルギー反応を引き起こし得る。この理由から、UV硬化されない水溶性オーバーワニスが、代わりに使用され得る。ある場合には、水溶性オーバーワニスは、直接消費を意図される、商業的に入手可能な印刷された飲料缶のために使用され得る。
【0012】
本開示は、缶メーカによって以前に適用されている場合がある、缶のオーバーワニス基材の外面が、オーバーワニス基材上への不明瞭化剤層の良好な接着を支援するように、適用されるべき不明瞭化剤コーティング(専用不明瞭化剤層または不明瞭化および装飾のために適用されるインク層のいずれか)のものに対して高い表面エネルギーを有することを可能にする、事前形成された装飾されたネック付き缶のための表面処理のためのシステム、方法、材料、および装置を含む。不明瞭化剤層の適合後、結果として生じる缶は、下層装飾の全てまたは一部を被覆する、連続的または非連続的な不明瞭化剤層を含有してもよく、これは、次いで、不明瞭化剤層およびオーバーワニスの両方の層が、潜在的に、缶の曲線側面全体にわたって(すなわち、缶壁の底部から缶のネックの上におけるフランジまで)延在し得るように、第2の不明瞭化/装飾層および/または第2の水溶性オーバーワニスを用いてコーティングされてもよい。他の実施形態では、オーバーワニスの1つまたはそれを上回る層は、不明瞭化剤が湿潤し、より少ない材料およびより少ないコートを用いて下層グラフィックを被覆することを可能にするために、プラズマ処理された缶の上部にわたってプライマとして使用されてもよい。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態は、以前にオーバーワニス処理された缶上の装飾の全てまたは一部を不明瞭化するための方法として特徴付けられてもよく、本方法は、缶を提供することであって、缶は、基部と、曲線側面であって、曲線側面は、基部から上向き方向に延在し、ネックおよびフランジ付き部分を備え、基部および曲線側面は、金属材料を使用して形成される、曲線側面と、少なくとも曲線側面上に適用される、インクの少なくとも1つの層および少なくとも曲線側面上に適用される、第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層とを備える、ことを含む。本方法はさらに、随意に、缶の曲線側面を表面処理し、第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層の表面エネルギーを増加させることと、缶の曲線側面の一部に不明瞭化剤コーティングおよび/または不明瞭化剤/装飾コーティングの1つまたはそれを上回る層を適用することと、随意に、第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を缶の曲線側面の部分に適用することと、硬化オーブンを介して、缶を硬化させることとを含む。
【0014】
本開示の他の実施形態はまた、基部と、基部から上向き方向に延在する、曲線側面であって、曲線側面は、ネックおよびフランジ付き部分を備え、基部および曲線側面は、金属材料を使用して形成される、曲線側面と、曲線側面上に装飾を形成する、インクの1つまたはそれを上回る層と、インクに上置し、少なくとも曲線側面上に形成される、第1のオーバーワニス層とを備える、飲料缶として特徴付けられてもよい。飲料缶はさらに、ネックおよびフランジ付き部分を含む場合とそうではない場合がある、曲線側面の少なくとも一部上に形成される、不明瞭化剤および装飾層の両方であり得る、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層を備えることができる。いくつかの実施形態では、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層は、缶の曲線側面を表面処理した後に形成されてもよく、表面処理は、第1のオーバーワニス層の表面エネルギーの増加を引き起こす。いくつかの実施形態では、飲料缶はまた、曲線側面の少なくとも一部上の専用不明瞭化剤層にわたって第2の装飾を形成する、インクの1つまたはそれを上回る層を備えてもよい。いくつかの実施形態では、飲料缶は、少なくとも曲線側面上に形成される、第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を備えてもよく、第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を形成することは、硬化オーブンを介して、第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を硬化させることを含む。
【0015】
本開示の他の実施形態は、以前に装飾およびオーバーワニス処理された缶上の装飾の全てまたは一部を不明瞭化するためのシステムとして特徴付けられることができ、本システムは、缶を備え、缶は、基部と、曲線側面であって、曲線側面は、基部から上向き方向に延在し、ネックおよびフランジ付き部分を備え、基部および曲線側面は、金属材料を使用して形成される、曲線側面と、曲線側面上に第1の装飾を形成する、インクの1つまたはそれを上回る層と、少なくとも曲線側面上に適用される、第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層とを備える。本システムはさらに、不明瞭化剤コーティングを適用するための印刷または噴霧デバイスと、不明瞭化剤コーティングを硬化させるための硬化オーブンとを備える。いくつかの実施形態では、本システムはまた、不明瞭化剤層を適用することに先立って、第1のオーバーワニス層の表面エネルギーを増加させるために、表面処理デバイスを備える。いくつかの実施形態では、本システムは、専用不明瞭化剤層または不明瞭化剤層にわたる第2の装飾のいずれかとして、インクの1つまたはそれを上回る層を適用するために、デジタルインクジェットプリント等のダイレクトツーシェイププリンタを含む。いくつかの実施形態では、本システムはまた、缶の外側層として第2の水溶性オーバーワニスを適用するための第2の噴霧デバイスを備える。いくつかの実施形態では、本システムはまた、不明瞭化剤層を適用することに先立って、第1のオーバーワニス層の表面エネルギーを増加させるために、水溶性プライマ、ワニス、または他の材料を適用するために使用される、表面処理デバイスとして第3の噴霧デバイスを備える。いくつかの実施形態では、本システムはまた、以下の動作のうちのいくつかまたは全てを実施する、すなわち、表面処理デバイスによって、缶の少なくとも曲線側面を表面処理し、第1のオーバーワニスの少なくとも1つの層の表面エネルギーを増加させ、噴霧または印刷デバイスによって、缶の曲線側面の一部に不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層を適用し、硬化オーブンによって、不明瞭化剤の1つまたはそれを上回る層を硬化させ、印刷デバイスによって、缶の曲線側面の一部にインクの1つまたはそれを上回る層を適用し、噴霧または印刷デバイスによって、缶の曲線側面に第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を適用し、硬化オーブンまたは他のエネルギー源によって、第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を硬化させるように、機械可読命令によって構成される、コントローラまたは1つまたはそれを上回るハードウェアプロセッサを備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の種々の目的および利点およびより完全な理解が、付随の図面と併せて検討されるとき、以下の詳細な説明および添付される請求項を参照することによって、明白となり、より容易に理解される。
【0017】
【
図1】
図1は、本開示のある実施形態による、以前に装飾された飲料缶に不明瞭化剤コーティングを適用するためのプロセスフローの図示である。
【0018】
【
図2A】
図2A、2B、2C、および2Dは、本開示のある実施形態による、事前形成されたネック付き缶を表面処理するための吹き付けイオン表面処理システムを図示する。
【
図2B】
図2A、2B、2C、および2Dは、本開示のある実施形態による、事前形成されたネック付き缶を表面処理するための吹き付けイオン表面処理システムを図示する。
【
図2C】
図2A、2B、2C、および2Dは、本開示のある実施形態による、事前形成されたネック付き缶を表面処理するための吹き付けイオン表面処理システムを図示する。
【
図2D】
図2A、2B、2C、および2Dは、本開示のある実施形態による、事前形成されたネック付き缶を表面処理するための吹き付けイオン表面処理システムを図示する。
【0019】
【
図3】
図3は、本開示のある実施形態による、事前形成されたネック付き缶を表面処理するためのレーザ表面処理システムを図示する。
【0020】
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、1つまたはそれを上回る実装による、事前形成されたネック付き缶を硬化させるためのシステムのある実施形態を図示する。
【
図4B】
図4Aおよび4Bは、1つまたはそれを上回る実装による、事前形成されたネック付き缶を硬化させるためのシステムのある実施形態を図示する。
【0021】
【
図5A】
図5A、5B、および5Cは、1つまたはそれを上回る実装による、事前形成されたネック付き缶を硬化させるためのシステムの代替実施形態を図示する。
【
図5B】
図5A、5B、および5Cは、1つまたはそれを上回る実装による、事前形成されたネック付き缶を硬化させるためのシステムの代替実施形態を図示する。
【
図5C】
図5A、5B、および5Cは、1つまたはそれを上回る実装による、事前形成されたネック付き缶を硬化させるためのシステムの代替実施形態を図示する。
【0022】
【
図6】
図6は、本開示のある実施形態による、以前に装飾された事前形成されたネック付き缶を表面処理し、それに不明瞭化剤コーティングを適用するための方法を図示する。
【0023】
【
図7】
図7は、本開示のある実施形態による、コントローラを実現するために利用され得る、物理的コンポーネントを描写する、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本開示は、概して、以前に装飾された飲料缶に不明瞭化剤(または不明瞭化)コーティングを適用することによって、飲料缶を装飾することに関する。より具体的には、限定ではないが、本開示は、飲料缶を表面処理し、塗装し、オーバーワニス処理することに関する。
【0025】
単語「例示的」は、「実施例、事例、または例証としての役割を果たすこと」を意味するように本明細書に使用される。「例示的」として本明細書に説明される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい、または有利として解釈されるものではない。
【0026】
予備注記:以下の図のフローチャートおよびブロック図は、本発明の種々の実施形態による、システム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能性として考えらえる実装のアーキテクチャ、機能性、および動作を図示する。この点で、これらのフローチャートまたはブロック図におけるいくつかのブロックは、規定された論理機能を実装するための1つまたはそれを上回る実行可能な命令を備える、コードのモジュール、区画、または部分を表し得る。また、いくつかの代替実装では、ブロックに記述される機能が、図に記述される順序以外で行われ得ることに留意されたい。例えば、関与する機能性に応じて、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に並行して実行され得る、またはブロックは、時として、逆の順序で実行され得る。また、ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせが、規定された機能または行為を実施する専用のハードウェアベースのシステム、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせによって実装され得ることに留意されたい。
【0027】
前述で説明されるように、新しい装飾を直接作成する、または新しい装飾が缶に適用されることを可能にし、したがって、これが包装のために再使用され得る(すなわち、廃棄または再生利用されるのではなく)様式で、それらの元の装飾の一部または全てを隠蔽するように、以前に印刷または装飾された缶(例えば、食品安全缶、飲料缶等)を再利用またはアップサイクルするための精緻化されたプロセスの必要性が、存在する。一実施形態では、以前に印刷されたネック付きおよびフランジ付き缶が、本明細書に説明される技法を使用して、その上に直接オーバープリントされてもよい。
【0028】
第1の(または元の)オーバーワニスにおいて使用される潤滑剤およびネック加工プロセスの一部として缶に適用される食品等級潤滑剤が、缶の表面エネルギーを有意に低下させ得、これが、ひいては、不明瞭化剤コーティング(例えば、液体インク)がそれらの表面上で湿潤し、適切に接着することを困難にし得ることに留意されたい。オーバーワニス基材上への不明瞭化剤コーティング層の良好な接着を可能にするために、本明細書に開示される表面処理が、缶に適用され、適用されるべき不明瞭化剤コーティングのものに対して高い表面エネルギーをこれに与え得る。
【0029】
広義には、本開示は、これが本明細書に説明される種々の手段のうちのいずれかによって再装飾され得るように、以前に装飾された缶の色およびグラフィック要素を完全または部分的に隠蔽するためのシステム、方法、および装置を説明する。いくつかの実施形態では、缶は、基部と、基部から上向き方向に延在し、ネックおよびフランジ付き部分を備える、曲線側面であって、基部および曲線側面は、金属材料を使用して形成される、曲線側面と、それぞれ、曲線側面の少なくとも一部上に適用される、第1のオーバーワニスおよび第1のインクの少なくとも1つの層と、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層が、下層の第1のインク層の色、テキスト、またはグラフィック要素の少なくとも一部を部分的または完全に不明瞭化し、その判読性を低減または排除するように、曲線側面の少なくとも一部上に形成される、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層とを備える。
【0030】
図1は、本開示のある実施形態による、以前に装飾された事前形成されたネック付き缶を表面処理し、それに不明瞭化剤コーティングを適用するためのプロセスフロー100の図示である。ある場合には、プロセスフロー100は、缶105を表面処理し、不明瞭化剤層を用いてこれをコーティングすることに関し得る。ある場合には、プロセスフロー100は、缶105を表面処理し、不明瞭化層を用いてこれをコーティングし、随意に、これを装飾し、次いで、随意に、水溶性オーバーワニス層を用いてこれをコーティングすることに関し得る。他の場合では、プロセスフロー100は、不明瞭化剤層を用いて缶105を処理することに関し得る。なおも他の場合では、プロセスフロー100は、複数の不明瞭化剤層を適用することによって作成される不明瞭化剤層を用いて缶105を処理することに関し得、少なくともその最初のものに、硬化周期が続き、これは、他の硬化周期に長さが等しい場合とそうではない場合があり、強制空気、熱、UVエネルギー、または任意の他の硬化促進剤を採用する場合とそうではない場合がある。缶は、不明瞭化剤層の適用に先立って、表面処理される場合とそうではない場合がある。さらに、プロセスフロー100は、缶を装飾することを含む場合とそうではない場合があり、任意の装飾は、組み合わせられた不明瞭化/装飾ステップまたは専用不明瞭化ステップと対合される装飾ステップから成ってもよい。いくつかの実施形態では、第2の水溶性オーバーワニス層が、缶の全てまたは少なくとも一部(例えば、不明瞭化層を備える部分)をコーティングするために使用されてもよい。プロセスフロー100に示されるように、缶105は、ステップまたはこれがその中にあるプロセスに基づいて、異なる参照番号(例えば、缶105-a、缶105-b、缶105-c、缶105-d、および缶105-e)を使用して参照され得る。
【0031】
ある場合には、缶105-aは、以前に装飾、ネック加工、およびフランジ加工された缶の実施例であってもよい。示されるように、缶105-aは、ネック110-aと、基部130-aとを備える。ある場合には、缶105-aは、湾曲区画および線形区画の両方を含有する、曲線外形を備えてもよい。いくつかの実施形態では、缶製造業者は、缶105-aの曲線表面全体(例えば、側面、ネック110-a、基部130-a等)に第1の装飾層114-aの1つまたはそれを上回る層を適用してもよく、第1の装飾層114-aは、第1のインク装飾層および第1のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を備えてもよい。ある場合には、第1のオーバーワニスは、水溶性オーバーワニス、または代替として、UV硬化または電子ビーム硬化オーバーワニスの実施例であってもよい。第1のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を適用することが、プロセスフロー100における随意のステップであり得ることに留意されたい。
【0032】
第1のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層の適用に続いて、缶105-aの曲線側面の少なくとも一部は、
図2A-Dおよび3に関連してさらに説明されるように、オーバーワニスコーティングおよび缶のネックを汚染している場合がある、任意の潤滑剤の表面エネルギーを増加させるために、表面処理されてもよい。ある場合には、表面処理は、缶表面が、インクおよび/または不明瞭化剤コーティングを「湿潤」させることを可能にし得、これは、外観を強化し、接着を最適化する役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、表面処理は、いくつかの非限定的実施例を挙げると、吹き付けイオンプラズマ処理(
図2A-Dに関連して説明される)、レーザ表面処理(
図3に関連して説明される)、洗剤洗浄、コロナ処理、化学エッチング、化学プラズマ処理、火炎処理、および/またはワニスおよびオーバーワニスを含む、プライマ材料の適用を含んでもよい。ある場合には、適用されたプライマ、ワニス、または他の材料は、表面処理プロセスの一部として、(例えば、硬化オーブン内での)高温での滞留時間を伴う、熱硬化を要求し得る。そのような熱硬化は、コーティングステップに先立って、または続けて行われてもよい。ある場合には、複数の表面処理技法(例えば、吹き付けイオンプラズマ処理およびレーザ表面処理)の使用が、例えば、単一の表面処理システムの作用および性能をエミュレートおよび強化するために、想定されてもよい。ある場合には、レーザ表面処理または他の表面処理方法は、インク層および第1のオーバーワニス層を恒久的に除去してもよく、これは、後続コーティングが、その上に第1の装飾(すなわち、第1のインク層)が元々印刷されていたアルミニウム缶または別のコーティング上に直接堆積されることを可能にし得る。
【0033】
ある場合には、表面処理に続いて、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層(すなわち、不明瞭化剤層125)が、以降で缶105-bとして表される、オーバーワニス処理および表面処理された缶105-aに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層は、ネックおよびフランジ部分、および基部を含む、缶の曲線側面全体に適用されてもよい。他の場合では、不明瞭化剤の1つまたはそれを上回る層は、例えば、第1の装飾層114-aにおける設計要素およびそれらの要素を不明瞭化するかどうかの所望に基づいて、曲線側面の一部のみに適用されてもよい。いずれの場合も、缶の曲線側面全体を表面処理することは、不明瞭化剤が、缶105-bの基部から上部(ネック付き)部分に適用されることを可能にし得る。示されるように、缶105-bは、そのネックおよびその側面上に適用される、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層を備える。ある場合には、不明瞭化剤コーティングはまた、缶105-bの基部に適用されてもよい。他の場合では、不明瞭化剤層125が、最初に表面処理プロセスを実施することなく、缶105-bの曲線側面の全てまたは一部に直接適用されてもよい。
【0034】
不明瞭化剤層125(すなわち、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層)を適用した後、缶105-bは、硬化オーブン125内での硬化に先立って、短い期間(例えば、3分、4分、10分等)にわたって静置されてもよい。ある場合には、缶105-bは、室温(例えば、摂氏22度)またはその付近で静置されてもよいが、他の硬化前静置温度も、他の実施形態において想定される。示されるように、いったん硬化オーブン125に入ると、缶は、以降で缶105-cと称され得る。缶105-cは、
図4A-Bおよび5A-Cに関連してさらに説明されるように、ある時間量(例えば、1分、6分、10分、20分等)にわたって事前構成された温度(例えば、華氏350度、華氏400度、華氏390度等)において硬化オーブン125内で硬化されてもよく、これは、不明瞭化剤層125が、硬質の不透過性保護シェルに固化することを可能にし得る。
【0035】
ある場合には、不明瞭化剤層125の適用および硬化に続いて、第2のインク装飾(すなわち、インク層115-a)の1つまたはそれを上回る色が、以降で缶105-dによって表される、缶105-bの不明瞭化剤層125および第1のオーバーワニス層にわたって適用されてもよい。ある場合には、第2のインク装飾(例えば、インク層115-a)の1つまたはそれを上回る色は、不明瞭化剤層125において具現化され、以降で缶105-dによって表される、缶105-bの第1のオーバーワニス層にわたって適用されてもよい。代替として、不明瞭化剤層125が、硬化オーブン(または他のエネルギー源)126内で硬化された場合、インク層115-aは、同様に缶105-dによって表される、オーバーワニス処理され、表面処理され、硬化された缶105-cにわたって適用されてもよい。いくつかの実施形態では、インクの1つまたはそれを上回る層は、ネックおよびフランジ部分、および基部を含む、缶の曲線側面全体に適用されてもよい。他の場合では、インクの1つまたはそれを上回る層は、例えば、設計要件に基づいて、曲線側面の一部のみに適用されてもよい。いずれの場合も、缶の曲線側面全体を表面処理することは、インクが、缶105-c(または不明瞭化剤層の適用に続いて硬化がない場合、缶105-b)の基部から上部(ネック付き)部分に適用されることを可能にし得る。また、缶の曲線側面全体に不明瞭化剤層125を適用することは、第1の装飾層114-aが、第2のインク層115-aの下に殆どまたは全く可視ではないように、インクが、缶105-cの基部から上部(ネック付き)部分に適用されることを可能にし得る。示されるように、缶105-dは、そのネック110-bおよびその側面上に適用される、不明瞭化剤コーティングの1つまたはそれを上回る層と、第2のインク層115-aの1つまたはそれを上回る層とを備える。ある場合には、インク層115-aはまた、缶105-dの基部130-bに適用されてもよい。
【0036】
ある場合には、第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層(すなわち、第2のオーバーワニス層120-b)が、以降で缶105-eによって表される、缶105-dの曲線側面全体に適用されてもよい。
図1に示されるように、缶105-eは、不明瞭化剤層125と、第2のインク層115-aと、第2のオーバーワニス層120とを含む、缶105にわたって適用される種々の層を図示する。缶105-e上に示される種々の層は、例証のみを目的とし、性質における限定として解釈されるものではない。さらに、第1のインク層と、第1のオーバーワニス層とを備える、装飾層114-aが、それらが不明瞭化剤層125によって不明瞭化されるため、示されていないことに留意されたい。ある場合には、缶105-eは、適正な滑り特性を伴う硬質シェルを形成するために以前に硬化された(例えば、缶105-c)、不明瞭化剤層125を用いて、その上部(ネック付き)部分からその基部までコーティングされてもよい。さらに、不明瞭化剤層125にわたって第2の装飾(例えば、インク層115-a)を備える、缶105-dは、第2のオーバーワニス層120の1つまたはそれを上回る層を用いてコーティングされてもよく、以降で缶105-eとして表される。本缶105-eは、次いで、硬化オーブン126内で硬化されてもよく、以降で缶105-fとして表される。いくつかの実施例では、缶105-fは、充填および包装ができる状態であり得、それに続いて、これは、顧客に送達され得る。第2のオーバーワニス層120が、第2のインク層115-aの全体を被覆し得ることに留意されたい。他の場合では、不明瞭化剤層125の適用に続いて、缶105-cは、第2のインク層115-aを用いてその上部(ネック付き)部分からその基部までコーティングされてもよく、第2のオーバーワニス層120は、第2のインク層115-aの全体を被覆してもよい。さらに、第2のインク層115-aは、不明瞭化剤層125の一部のみを被覆してもよい。ある場合には、第2のオーバーワニス層120は、水溶性および/または非UV硬化性オーバーワニスを含んでもよい。代替として、第2のオーバーワニス層120は、UV硬化性オーバーワニスであってもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、第2のオーバーワニス層120(すなわち、第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層)を適用した後、缶105-eは、硬化オーブン126内での硬化に先立って、短い期間(例えば、3分、4分、10分等)にわたって静置されてもよい。ある場合には、缶105-eは、室温(例えば、摂氏22度)またはその付近で静置されてもよいが、他の硬化前静置温度も、他の実施形態において想定される。示されるように、いったん硬化オーブン126に入ると、缶は、以降で缶105-fと称され得る。缶105-fは、
図4A-Bおよび5A-Cに関連してさらに説明されるように、ある時間量(例えば、1分、6分、10分、20分等)にわたって事前構成された温度(例えば、華氏350度、華氏400度、華氏390度等)において硬化オーブン126内で硬化されてもよく、これは、第2のオーバーワニス層120が、硬質の不透過性保護シェルに固化することを可能にし得る。
【0038】
硬化持続時間および温度は、具体的プライマ材料、不明瞭化剤コーティング、オーバーワニスまたは適合されたオーバーワニス、および使用される硬化オーブンのタイプに応じて、変動し得る。例えば、ある場合には、1分にわたる365°Fの硬化温度が、いくつかの不明瞭化剤コーティングを硬化させる際に十分であり得る。これを達成するために、不明瞭化剤層125を用いてコーティングされた湿潤した缶(すなわち、缶105-c)は、ピン上に設置されてもよく、ピンは、ラック上の隣接する缶105(図示せず)から缶105-dを分離するために使用されてもよい。設置後、ピンおよび缶を備える、ラックは、実験室オーブンまたは硬化オーブン(それぞれ、
図4A-Bおよび5A-Cに硬化オーブン400および500として示される)内に設置されてもよく、実験室または硬化オーブンは、約2分にわたって400°Fに設定されてもよい。缶105-eが、所望の硬化温度に到達するまでにある量の時間がかかり得るため、オーブン設定温度およびオーブン内で缶が費やす実際の時間が、硬化温度および硬化時間と異なり得ることに留意されたい。さらに、オーブンの温度は、開放されるときに低下し得、これもまた、考慮される必要があり得、これは、缶をその中に移送する間にオーブンが開放された持続時間に依存し得る。故に、オーブン設定温度およびオーブン周期(すなわち、オーブン内で缶が費やす時間)は、具体的不明瞭化剤コーティングおよび使用される硬化オーブンに応じて、変動し得る。いくつかの他の場合では、硬化時間および温度は、例えば、(例えば、インク層115-aの)インク製法に基づいてもよい。一実施例では、缶上に第2の装飾層またはインク層115-aを印刷するために使用されるインクは、インク層115-aおよび第2のオーバーワニス層120の両方の硬化を促進するように具体的に設計される溶媒成分を備えてもよい。ある場合には、不明瞭化剤層125、オーバーワニス層120、および/または任意の適用されるインクの過剰な硬化を回避するために、缶が到達する表面温度は、例えば、390°Fまたはそれを下回るものに限定されてもよい。ある場合には、オーバーワニスおよび/またはインクの過剰な硬化は、変色または接着問題をもたらし得、これは、最終製品の品質に悪影響を及ぼし得る。硬化オーブンを出た後、硬化された缶は、冷却され、顧客への送達のために、パレタイザを介した出荷パレットまたは集積テーブルを介した段ボール箱等の媒体に移送されてもよい。
【0039】
図2は、1つまたはそれを上回る実装による、事前形成されたネック付き缶のための表面処理プロセスの例示的実施形態に関する。特に、
図2Aは、印刷されていないネック付きおよびフランジ付き缶205-aに適用される、オーバーワニスコーティング(例えば、
図1の装飾層114-aの第1のオーバーワニス層)の表面エネルギーを増加させるために展開され得る、吹き付けイオンプラズマシステム200-aのシステムレベル図を図示する。いくつかの他の場合では、缶205-aは、以前に装飾された缶(例えば、印刷された缶)であってもよい。
図2B-Dは、本開示の側面による、それぞれ、
図2Aにおける吹き付けイオンシステム200-aの実施形態の斜視図、側面図、および底面図を図示する。いくつかの実施形態では、吹き付けイオンプラズマシステム200-aはまた、第2の装飾の1つまたはそれを上回る層(例えば、
図1のインク層115-a)の適用に先立って、プライマコーティングまたは不明瞭化剤コーティング(例えば、
図1の不明瞭化剤層125)の表面エネルギーを増加させるために使用されてもよい。そのような場合では、不明瞭化剤コーティングを備える缶は、不明瞭化剤層の適用に続いて、(例えば、硬化オーブン内で)硬化されている場合とそうではない場合がある。
【0040】
示されるように、吹き付けイオンプラズマシステム200-aは、吹き付けイオンプラズ処理器201-aと、缶205-aとを備える。いくつかの実施形態では、吹き付けイオンプラズ処理器201-aは、1つまたはそれを上回るイオン処理器ヘッド202を備えてもよい。各イオン処理器ヘッド202は、ノズル203と、それを横断して高電圧プラズマが生成される、1つまたはそれを上回る同軸電極(図示せず)とを備えてもよい。いくつかの実施例では、高圧空気206-aが、これが同軸電極と相互作用するまで、イオン処理器ヘッド202内の管204を通して流動し得る。示されるように、放電211が、同軸電極によって高圧空気206-aに印加され、周辺空気粒子中の荷電イオン(例えば、正荷電イオン)を備える、混合物206-bを発生させ得る。さらに、ある場合には、空気圧は、空気粒子および荷電イオンの流れ(すなわち、混合物206-b)をノズル203に向かって強制的に加速させ得、これは、次いで、吹き付けイオンプラズマ212としてノズルを通して吹送され得る。ある場合には、吹き付けイオンプラズマ212はまた、吹き付けイオン空気プラズマまたはイオン/プラズマプルームと称され得る。ある場合には、吹き付けイオンプラズマ212は、1~2センチメートル等のノズル203からの距離に延在し、缶205-aの近傍の表面と相互作用し得る。吹き付けイオンプラズマ206-cは、接触に応じて、缶205-aの表面層を正に荷電させ得、これは、その表面エネルギーを増加させることによって、缶205-aの表面を清浄化、マイクロエッチング、および機能化することを支援し得る。ある場合には、吹き付けイオンプラズマ206-cは、缶205-aのオーバーワニスコーティングの表面エネルギーが、最小56ダイン/cmまで上昇されることを可能にし得る。いくつかの実施例では、56ダイン/cmまたはそれを上回る表面エネルギーは、適用された不明瞭化剤コーティング(またはインク)が、粉砕されたときであっても、ネック付きおよびフランジ付き缶205-aのオーバーワニスコーティングに接着することを可能にし得る。他の場合では、30~35ダイン/cmの表面エネルギーが、不明瞭化剤コーティングまたはインク接着を可能にするために十分であり得る。ある場合には、ダインレベルは、適用されるべき不明瞭化剤層(例えば、
図1の不明瞭化剤層125)の堅牢性および接着に影響を及ぼし得る。さらに、最小のダインレベルは、使用される不明瞭化剤コーティングまたはオーバーワニスのタイプおよび/またはオーバーワニス(すなわち、第1のオーバーワニス層)の厚さを含む、1つまたはそれを上回る因子に基づき得る。
【0041】
図2Bは、本開示の側面による、吹き付けイオンプラズマシステム200-bの斜視図を図示する。ある場合には、吹き付けイオンプラズマシステム200-bは、
図2Aに関連して前述で説明される、吹き付けイオンプラズマシステム200-aの1つまたはそれを上回る側面を実装してもよい。さらに、
図2Cおよび2Dは、それぞれ、
図2Bに見られる、吹き付けイオンプラズマシステム200-bの側面図および底面図を図示する。
【0042】
ある場合には、吹き付けイオンプラズマシステム200-bは、1つまたはそれを上回る缶205(例えば、缶205-b)と、吹き付けイオンプラズマ処理器201と、ロボットアセンブリ208とを備えてもよい。示されるように、吹き付けイオン処理器201は、イオン処理器ヘッド202を備えてもよく、各イオン処理器ヘッド202はさらに、ノズル203を備える。いくつかの実施形態では、ロボットアセンブリ208は、缶205を確実に保持し、所望の回転速度でスピンさせる(すなわち、軸方向に回転させる)ための1つまたはそれを上回る回転可能チャック207を備えてもよい。いくつかの実施形態では、缶205の一方の端部(すなわち、缶の基部または開放開口のいずれか)は、手動で、または自動的にのいずれかで、回転可能チャック207のポート内に設置されてもよい。ある場合には、回転可能チャック207は、真空チャックの実施例であってもよく、真空システムに接続するための吸気口を備えてもよい。
【0043】
ある場合には、各イオン処理器ヘッド202は、缶205の長さに沿って延在する軸に沿ってイオン処理器ヘッド202を平行移動させるように構成される、支持アーム(図示せず)上に懸下されてもよい。支持アームは、例えば、イオン処理器ヘッド202が処理している缶205の領域または区域に応じて、可変率において各イオン処理器ヘッド202を移動させてもよい。いくつかの状況では、缶の下3分の1等、ネック付きおよびフランジ付き缶のいくつかの区域は、汚染が少ない場合があり、結果として、所望の表面エネルギーをより迅速に達成し、イオン処理器ヘッド202が、より速い速度でこれらの区域を通して移動することを可能にし得る。他方、ネック210等のネック付きおよびフランジ付き缶のいくつかの区域は、各イオン処理器ヘッドノズル203からのより長い距離またはより重い汚染レベルに起因して、所望の表面エネルギーをより緩慢に達成し得る。故に、イオン処理器ヘッド202は、所望の表面エネルギーをより迅速に達成し得る区域と比較して、これらの区域を通してより緩慢に移動してもよい。
【0044】
いくつかの実施例では、最小の時間量において所望の表面エネルギーを達成するための区域構成、各イオン処理器ヘッド202が各区域を通して移動する速度、および缶205の回転速度は、異なる潜在的区域構成、イオン処理器ヘッド速度、および缶回転速度を反復的に試験することによって、缶205の結果として生じる表面エネルギーを測定することによって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、缶205-b等の缶の結果として生じる表面エネルギーは、ダインペンを使用して測定されてもよいが、他の表面エネルギー試験デバイスも、異なる実施形態において想定される。
【0045】
いくつかの実施形態では、複数のイオン処理ヘッド202が、缶205の曲線長全体を処理するように構成されてもよい。そのような技法は、缶および/または処理ヘッドの平行移動を限定することによって、処理時間を低減させる役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、付加的イオン処理ヘッド202が、缶205の所与の領域に適用され、その領域においてより高いレベルの処理を適用してもよい(すなわち、いかなるまたは最小の平行移動も伴わない)。いくつかの他の場合では、複数の同軸電極および/または複数のノズルを備える、イオン処理器ヘッドが、付加的イオン処理器ヘッドを追加することの効果的な低費用代替として使用されてもよい。例えば、ある場合には、イオン処理器ヘッドは、複数のノズルを備えてもよく、各ノズルは、1つまたはそれを上回る同軸電極を備える。他の場合では、同軸電極の複数のセットが、単一のノズルを備える、単一のイオン処理器ヘッドに内蔵されてもよい。いずれの方法でも、単一のイオン処理器ヘッドが、複数のイオン処理器ヘッドを必要とする代わりに、缶を表面処理するために使用され得る。いくつかのさらなる実施形態では、吹き付けイオンプラズマ処理プロセスは、生産効率を最適化するために、デジタルインクジェットプリンタ等のインクプリンタ(図示せず)と統合されてもよい。
【0046】
ここで、吹き付けイオンプラズマシステム200-bの底面図を図示する、
図2Dに目を向ける。ある場合には、ロボットアセンブリ208は、滑車システム214に結合されてもよく、滑車システム214は、滑車とも称される、1つまたはそれを上回る車輪213と、ケーブル209とを備える。ケーブル209は、缶を保持する1つまたはそれを上回る回転可能チャック(例えば、
図2Bに示される回転可能チャック207)の周囲に配設または巻回されてもよい。このように、回転可能チャックおよび滑車システム214は、缶205(例えば、缶205-b)が、吹き付けイオン処理器201のノズル203の前の定位置で保持およびスピンされることを可能にし得る。別の実装では、滑車システム214は、一連の個々に駆動される回転モータによって置換されてもよく、そのそれぞれは、1つまたはそれを上回る回転可能チャックに取り付けられる。また別の実装では、回転モータは、1つまたはそれを上回る回転可能チャックに取り付けられ、それらが回転する際、それらを線形運動において移動させることを可能にする、線形回転アクチュエータと置換されてもよい。この場合では、ロボットアセンブリ208に類似する、別個のロボットアセンブリが、缶の表面に隣接する方向にノズル203を平行移動させるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ロボットアセンブリ208は、コントローラを備えてもよく、コントローラは、非一過性有形プロセッサ可読記憶媒体内でエンコードされる、プロセッサ実行可能コードを備える。ある場合には、コードは、コントローラによって実行されるとき、コントローラに、例えば、滑車システム214のケーブル209における速度および/または張力を変化させることによって、真空チャックの回転速度を変動させるように構成されてもよい。
【0047】
図3は、1つまたはそれを上回る実装による、事前形成されたネック付き缶のための表面処理プロセスの実施例を図示する。例えば、
図3は、レーザ表面処理システム300のシステムレベル図を図示し、少なくとも
図1を含む、本明細書に説明される図の1つまたはそれを上回る側面を実装してもよい。ある場合には、レーザ表面処理システム300は、缶305の表面エネルギーを増加させ、これを不明瞭化剤(またはインク)層に対してより受容的にする手段として、缶305の表面トポグラフィおよび/または化学的性質を修正するために使用されてもよい。具体的には、いくつかの実施例では、レーザ表面処理は、缶305に適用されたオーバーワニスコーティング(例えば、
図1の装飾層114-aの第1のオーバーワニス層)の表面エネルギーを増加させるために展開されてもよい。いくつかの実施例では、缶305は、以前にオーバーワニス処理された(すなわち、第1のオーバーワニス層を備える)場合とそうではない場合がある、事前形成されたネック付き缶であってもよい。ある場合には、事前形成されたネック付き缶305は、印刷されていない場合がある。いくつかの他の場合では、事前形成されたネック付き缶305は、以前に印刷、ネック加工、フランジ加工、およびオーバーワニス処理された缶の実施例であってもよい。
【0048】
ある場合には、レーザ表面処理システム300は、集束レーザビーム304を発生させることが可能なレーザ303を備えてもよい。ある場合には、集束レーザビーム304は、缶305の表面(例えば、曲線側面)上に指向されてもよい。缶表面によって吸収されるレーザ放射からの光学エネルギーは、加熱を誘発し得、これは、ある場合には、缶305の表面材料を融解させる、またはさらには蒸発させるために十分であり得る。ある場合には、レーザビーム304からの放射は、缶305から表面材料、破片、汚染等の一部または全てを除去することを促進し、したがって、缶305の表面トポグラフィを修正し得る。言い換えると、レーザ放射は、缶305の曲線側面の粗度を修正し得る。ある場合には、レーザ放射または十分に高エネルギーの光子を伴うUV放射等の任意の他のタイプの電磁放射は、化学結合を破壊する、および/または材料の表面化学を変化させることが可能であり得る。いくつかの他の場合では、レーザビーム304からの放射は、第1の装飾を形成するインクの全てまたはほぼ全ておよび/または缶305からの第1のオーバーワニスの全てを除去することを促進し得る。いくつかの側面では、レーザ表面処理システム300は、不明瞭化剤層の必要性を排除し、缶305の表面トポグラフィを修正することによって、新しいインク層および/または新しいオーバーワニス層の強化された湿潤を促進し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、熱および化学レーザ誘発プロセスのうちの1つまたはそれを上回るものが、缶305の表面特性を修正するために、同時に使用されてもよい。さらに、示されるように、集束レーザビーム(例えば、レーザビーム304)は、缶305の表面を迅速に走査し、したがって、その表面エネルギーを増加させ、これを印刷のためにより好適にするような方法でその表面を修正するように操作されてもよい。例えば、レーザビーム304は、コントローラを使用して、回転される、またはスピンするように構成されてもよい。加えて、または代替として、缶305は、例えば、回転可能チャックまたは別の適用可能なシステムを使用して、スピンまたは回転されてもよい。レーザビーム304が走査される方向および速度を制御することによって、レーザビームの透過エネルギーおよび有効形状は、回転チャック(例えば、
図2Dに見られる回転可能チャック207)上でスピンする缶の表面等の缶の表面の処理を最適化するための1つまたはそれを上回る適用可能な方法で修正されてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、レーザ表面処理システム300等の走査レーザビームシステムは、それぞれ、
図2AおよびBに示される吹き付けイオンプラズマシステム200-aまたは200-bまたは別の表面処理システム(例えば、コロナ処理システム、火炎処理システム等)等のプラズマ処理器システムの作用および性能をエミュレートおよび強化するために使用されてもよい。ある場合には、レーザビーム304は、スピンする缶のアクセスに対して平行または垂直のいずれかである方向において、または平行および垂直の両方の移動を組み合わせるパターンにおいて走査されてもよい。一特定の実施形態では、レーザ303の走査ヘッドは、缶305の表面からの、または代替として、スピンする缶305の長軸からの固定された距離(例えば、5mm、10mm、2インチ等)に保持され、缶がスピンする際、長軸に平行である線に沿って移動されてもよい。いずれの場合も、レーザ表面処理システム300の意図される効果は、例えば、不明瞭化剤層の適用を促進し得る、缶305の表面全体にわたる均一な表面エネルギーを達成するために、缶305の表面の種々の部分が、要求される量だけ処理されることを可能にすることである。
【0051】
図4Aおよび4Bは、1つまたはそれを上回る実装による、事前形成されたネック付き缶を硬化させるための硬化オーブン400の実施例を図示する。硬化オーブン400は、
図1および本明細書に説明される他の図の1つまたはそれを上回る側面を実装する。さらに、
図4Bは、
図4Aおよび本明細書に説明される他の図の1つまたはそれを上回る側面を組み込む。
【0052】
ある場合には、缶405-aを表面処理し、その上に不明瞭化剤層を適用し、それを塗装し、その上にオーバーワニスの第2の層を適用した後、缶405-aは、随意に、室温(例えば、摂氏22度、摂氏24度)またはその付近で、4分等の短い期間にわたって、硬化前静置を受けてもよい。硬化オーブン400がまた、缶405-a等の缶405上にプライマ層または不明瞭化剤層を適用した後、第2の装飾層および第2のオーバーワニス層を適用する前に利用され得ることに留意されたい。ある場合には、缶405-aは、湿潤し、オーバーワニス処理された缶(例えば、不明瞭化剤コーティングを伴う缶または不明瞭化剤コーティング、塗料、および第2のオーバーワニス層を伴う缶)の実施例であってもよい。いくつかの実施形態では、缶405-aは、硬化オーブン400への途中のコンベヤベルト上等の清浄な環境内で硬化前静置を受けてもよい。いくつかの側面では、本硬化前静置は、適合されたオーバーワニスが沈降することを可能にし、および捕獲された気泡が逃散することを可能にし得、これは、適合されたオーバーワニス表面コーティングにおける視覚的および触覚的欠陥を低減させる役割を果たし得る。
【0053】
硬化オーブン400の斜視図を描写する、
図4Aに示されるように、硬化前静置を受けた場合とそうではない場合がある、1つまたはそれを上回る湿潤した缶405(例えば、缶405-a)は、各缶に適用されたコーティング(例えば、1つまたはそれを上回る第2のオーバーワニス層)を硬化させるために、硬化オーブン400の中に移送されてもよい。硬化オーブン400は、各缶405のコーティングを硬化させるために要求される時間量にわたる所定の温度(例えば、華氏300、350、375度)における缶405の均一な加熱を可能にする、任意のオーブンであってもよい。ある場合には、硬化プロセスは、不明瞭化剤コーティング層および/または適合されたオーバーワニスから揮発物を除去し、それらを硬質の不透過性保護シェルに固化する役割を果たし得る。
【0054】
図4A(斜視図)および4B(底面図)に見られるように、各缶405の基部は、運搬機構401に取り付けられる、回転可能シート414において保持されてもよい。運搬機構は、チェーン413を含む、歯車システム416を備えてもよいが、他の運搬システムも、異なる実施形態において想定される。さらに、缶405を保持する回転可能シート414は、チェーン413および歯車システム416の回転によって、硬化オーブン400を通して運搬されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、回転可能シート414の円周は、固定レール426または他の表面と連続的に接触してもよく、缶を保持する回転可能シートは、缶405が、チェーン413および歯車システム416を介してオーブン400を通して運搬される際、連続的に回転されてもよい。いくつかの他の場合では、各缶405の基部は、回転可能シート414の基部が、一方の端部に歯車の歯429を有するロッド430を備えるように、運搬機構401に取り付けられる、回転可能シート414において保持されてもよい。いくつかの実施例では、歯車の歯429は、固定レール426または他の表面の中に組み込まれる突出部(図示せず)と断続的に接触し、それによって、缶405-a等の缶405が、オーブン400を通して運搬される際、歯車の歯429が、固定された突出部のうちの1つと接触する度に、固定された角度だけ回転し得る。別の特定の実施形態では、歯車の歯429に類似する、歯車の歯が、回転可能シート414の円周に沿って位置してもよい(図示せず)。ロッド430の端部に取り付けられる歯車の歯と同様に、回転可能シートの円周に沿って位置する歯車の歯は、固定レール426または他の表面の中に組み込まれる突出部(図示せず)と断続的に接触し、それによって、缶405が、オーブン400を通して運搬される際、これが、固定された突出部のうちの1つと接触する度に、固定された角度だけ回転し得る。別の実施形態では、回転可能シートはそれぞれ、それらがコンベヤベルト、回転車輪、または線形または回転運搬のある他の手段を介して硬化オーブンを通して移動する際、回転可能シートおよび缶を連続的または断続的に回転させる、個々の回転アクチュエータに取り付けられてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、硬化オーブン400は、オーブン400の中に移送された各缶405のコーティングされた表面の全体が、所望の期間にわたって所望の硬化温度に到達するように整列される、1つまたはそれを上回る赤外線熱源(図示せず)、例えば、電気赤外線熱パネルから成ってもよい。
【0057】
図4Aに再び目を向けると、ある場合には、硬化オーブン400は、硬化オーブン400の内部温度を、缶405を硬化させるために設定される所定の温度に維持するように適合される、コントローラ417を備えてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ417はまた、運搬機構401(例えば、歯車システム416およびチェーン413)の速度を制御するように構成されてもよく、これは、ひいては、硬化オーブン400を通して運搬されている缶405の速度を制御し得る。
【0058】
図5A、5B、および5Cは、1つまたはそれを上回る実装による、事前形成されたネック付き缶を硬化させるための硬化オーブン500の代替実施形態を図示する。
図5A、5B、および5Cは、それぞれ、硬化オーブン500の上面図、斜視図、および側面図を図示する。容易な提示のために、その内側の機能に焦点を当てる、硬化オーブンの内部部分のみが、
図5A、5B、および5Cに見られることに留意されたい。すなわち、図は、開放されるものとして(例えば、
図5Aでは上部に向かって、および
図5Bおよび5Cでは右および左に向かって)硬化オーブン500の1つまたはそれを上回る側を描写するが、実装の間、硬化オーブン500が、両側でシールされ得ることに留意されたい。実際、硬化オーブンを両側でシールすることは、その内側空洞内の均一な熱分布を確実にする役割を果たし得る。
【0059】
ある場合には、缶505-aを表面処理し、その上に不明瞭化剤層を適用し、それを塗装し、その上にオーバーワニスの第2の層を適用した後、缶505-aは、随意に、室温(例えば、摂氏22度、摂氏24度)またはその付近で、4分等の短い期間にわたって、硬化前静置を受けてもよい。いくつかの実施例では、
図5A-Cは、
図4Aおよび4Bおよび本明細書に説明される他の図の1つまたはそれを上回る側面を実装してもよい。さらに、硬化オーブン500がまた、缶505-a等の缶505上に不明瞭化剤層を適用した後、第2の装飾層(例えば、
図1の第2のインク層115-a)および第2のオーバーワニス層(例えば、
図1のオーバーワニス層120)を適用する前に利用され得ることに留意されたい。
【0060】
缶505-aが、例えば、まだ硬化されていないプライマ材料、不明瞭化剤コーティング、インク、および/またはオーバーワニスの層に起因して、湿潤し、オーバーワニス処理された缶の実施例であり得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、缶505-aは、硬化オーブン500への途中のコンベヤベルト上等の清浄な環境内で硬化前静置を受けてもよい。前述で説明されるように、不明瞭化剤コーティングまたはオーバーワニス処理に続く硬化前静置周期は、適合されたオーバーワニスが沈降することを可能にし、および捕獲された気泡が逃散することを可能にし得、これは、不明瞭化剤または適合されたオーバーワニス表面コーティングにおける視覚的および触覚的欠陥を低減させる役割を果たし得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、硬化オーブン500は、コーティングが、オーブン通過時間の間に硬化されるように、オーブン500を通して、1つまたはそれを上回る赤外線熱源518(例えば、赤外線熱源518-a、赤外線熱源518-b)に近接して缶505を輸送する、運搬機構(
図5Bの運搬機構519として示される)を含有してもよい。いくつかの実施形態では、運搬機構519は、これがオーブン500を通して通過する際、例えば、缶505-aを連続的または周期的に回転させることによって、缶505-a等の缶505を再配向するための手段を有してもよく、これは、全てのコーティングされた缶表面が、最適化された時間量において所望の硬化温度および滞留時間に到達することを可能にし得る。
【0062】
他の実施形態では、複数の赤外線熱源518が、缶経路に対して異なる角度または場所に配向されてもよく、これは、熱源518から放射される熱が、全ての熱源が缶経路に対して同一の方向に配向される場合に生じ得るものよりも大きい合計缶表面積に直接衝突することを可能にし得る。
図5A-5Cに図示されるように、赤外線熱源518は、所与の熱源(例えば、熱源518-a)から放射される熱の主要方向が、隣接する熱源(例えば、熱源518-b)から放射される熱の主要方向に対して、例えば、30または90度だけ角度的にオフセットされるように、缶経路の1つまたはそれを上回る側上でジグザグパターンにおいて整列されてもよい。いくつかの側面では、熱源のそのような配列は、任意の所与の時点で(すなわち、熱源の全てが同様に整合されるときに照射され得る表面積と比較して)缶505の合計照射表面積を増強する役割を果たし得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、硬化オーブン500は、効率的な熱伝達のために缶505の表面にわたって空気を連続的に移動させる、強制対流オーブンであってもよく、これは、缶505間の均一な温度を可能にし得る。いくつかの実施形態では、硬化オーブン500は、穿孔付きガラス繊維コンベヤマット(例えば、運搬機構519にわたって、またはその一部として配設される)を伴う強制対流連続コンベヤオーブンであってもよく、これは、熱い空気が、マットを通して流動し、缶505を変位させることを必要とすることなく、缶を硬化させることを可能にし得る。
【0064】
図6は、以前に装飾された事前形成されたネック付き缶を表面処理し、それに不明瞭化剤コーティングを適用するための方法600の一実施形態のフローチャートを図示する。いくつかの実施例では、方法600は、元の装飾を不明瞭化し、不明瞭化剤層自体として、または専用不明瞭化層と併せてのいずれかで、ネック付きおよびフランジ付き缶の曲線外形の一部または全体に第2の装飾を適用し、缶の少なくとも一部(または代替として、曲線外形全体)に第2のオーバーワニス層を適用することによって、以前に装飾されたネック付きおよびフランジ付き缶を処理および再装飾することに関する。本明細書に説明されない他のタイプの以前に印刷および/またはオーバーワニス処理された缶も、いくつかの実施形態において想定されることに留意されたい。ある場合には、曲線外形を含有する缶は、缶が、湾曲(例えば、ネック)および線形(例えば、缶の側面)区画の両方を含有し得ることを含意し得る。方法600は、
図1および本明細書に説明される他の図の1つまたはそれを上回る側面を実装してもよい。
【0065】
ある場合には、ブロック602において、集合的に第1の装飾層と称される、第1のインク装飾および第1のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層が、
図1の缶105等の缶の曲線側面上に適用されてもよい。ブロック602の周囲の点線が、随意のステップを含意し得ることに留意されたい。例えば、飲料/食品生産業者または缶装飾業者が、缶製造業者から缶を受け取り得、缶は、処理(例えば、第1のインク装飾、第1のオーバーワニス適用および硬化)され、続けてネック加工およびフランジ加工されている。この場合では、ブロック602は、第1のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層が、缶の側面上にすでに適用されているため、随意と見なされてもよい。
【0066】
ある場合には、ブロック604において、(例えば、第1の装飾層を用いて以前に装飾された)ネック付きおよびフランジ付き缶の曲線側面全体が、そのオーバーワニスコーティングおよび缶のネックを汚染している場合がある、任意の潤滑剤の表面エネルギーを増加させるために処理されてもよく、これは、強化された外観および/または最適化された不明瞭化剤(またはインク)接着のために、インクを「湿潤」させる際に缶表面を支援し得る。例えば、30~35ダイン/cmまたはそれを上回る表面エネルギーが、適用された不明瞭化剤層(またはインク)が、粉砕されたときであっても、ネック付きおよびフランジ付き缶のオーバーワニスコーティングに接着することを可能にし得る。いくつかの他の場合では、56ダイン/cm等のより高い最小表面エネルギーが、不明瞭化剤(またはインク)が第1のオーバーワニス層に接着することを可能にするために必要とされ得る。
【0067】
図1および2A-Dに関連して前述で説明されるように、いくつかの実施形態では、表面処理は、1つまたはそれを上回るイオン処理器ヘッドから成る、吹き付けイオンプラズ処理機械によって適用され得る、吹き付けイオンプラズマ処理を含んでもよい。各イオン処理器ヘッドは、それを横断して高電圧プラズマが生成される、同軸電極から成る、ノズルを有してもよい。高圧空気が、ノズルを通して吹送され、イオンまたはプラズマプルームを、1~2センチメートル等のノズルからの距離に延在させ、缶の近傍の表面と相互作用させ得る。イオンプルームは、接触に応じて、缶の表面層を正に荷電させ得、これは、その表面エネルギーを増加させることによって、缶の表面を清浄化、マイクロエッチング、および機能化する。
【0068】
例示的実施形態では、缶の一方の端部、すなわち、缶の基部または開放開口のいずれかは、手動で、または自動的にのいずれかで、回転可能チャック(例えば、真空チャック)上に設置されてもよい。回転可能チャックは、缶を確実に保持し、所望の回転速度でスピンさせるように構成されてもよい。ある場合には、各イオン処理器ヘッドは、缶の長さに沿って延在する軸(例えば、縦方向軸)に沿って各イオン処理器ヘッドを平行移動させるように構成される、支持アーム上に懸下されてもよい。ある場合には、支持アームは、例えば、イオン処理器ヘッドが処理している缶の領域または区域に応じて、可変率において各イオン処理器ヘッドを移動させてもよい。ネック付きおよびフランジ付き缶のいくつかの区域は、他の区域と比較して汚染が少ない場合がある。例えば、缶の下3分の1は、より少ない汚染を被る区域の実施例であり得る。さらに、ネックおよびフランジ付き部分等の缶の上部部分は、ネック加工潤滑剤および/または第1のオーバーワニスコーティングの以前の適用に起因して、より高いレベルの汚染を被り得る。結果として、缶の下3分の1は、例えば、所望の表面エネルギーをより迅速に達成し、イオン処理器ヘッドがより速い速度で本区域を通して移動することを可能にし得る。他方、ネックは、各イオン処理器ヘッドノズルからのより長い距離またはより重い汚染レベルを含む、1つまたはそれを上回る因子に基づいて、所望の表面エネルギーをより緩慢に達成し得る。そのような場合では、イオン処理器ヘッドは、ネックを備える区域を通してより緩慢に移動してもよい。
【0069】
上記に記述されるように、所望の表面エネルギーを(すなわち、最適な時間量において)達成するための区域構成、各イオン処理器ヘッドが各区域を通して移動する速度、および缶の回転速度は、異なる潜在的区域構成、イオン処理器ヘッド速度、および缶回転速度を反復的に試験し、例えば、ダインペンを用いて、缶の結果として生じる表面エネルギーを測定することによって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、
図2A-Dに関連して前述で説明されるように、複数のイオン処理ヘッドが、缶の曲線長全体を処理するために利用されてもよい。ある場合には、複数のイオン処理ヘッドの使用は、イオン処理ヘッドが、缶の全体部分を表面処理するためにいかなる平行移動も要求しない場合があるため、処理時間を低減させる役割を果たし得る。加えて、または代替として、複数のイオン処理ヘッドが、缶の所与の領域を処理するために利用されてもよく、これもまた、いかなる平行移動の必要性も最小限にし得る。上記に記述されるように、いくつかの他の場合では、複数の同軸電極セットが、単一のイオン処理ヘッドに統合されてもよく、これは、複数のイオン処理ヘッドの必要性を軽減し得る。そのような場合では、単一のイオン処理ヘッドは、1つまたはそれを上回るノズルを備えてもよく、各ノズルは、1つまたはそれを上回る同軸電極と関連付けられてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、吹き付けイオンプラズマ処理プロセスは、生産効率を増加させるために、デジタルインクジェットプリンタ等のプリンタまたは他の不明瞭化剤アプリケータと統合されてもよい。いくつかの実施形態では、ネック付きおよびフランジ付き缶処理はまた、いくつかの非限定的実施例を挙げると、レーザ表面処理、洗剤洗浄、コロナ処理、化学エッチング、化学プラズマ処理、火炎処理、および/またはプライマ材料の適用を含んでもよい。
【0071】
他の実施形態では、ブロック604は、缶の表面トポグラフィおよび/または化学的性質を修正するためのレーザ表面処理の使用を備えてもよい。前述で説明されるように、レーザ表面処理はまた、第1のオーバーワニス層および第1の装飾層を形成するインク(例えば、缶が以前に印刷または装飾されていた場合)の全てまたは大部分を除去するために使用されてもよい。レーザ表面処理は、缶および/または缶上の第1のオーバーワニスコーティングの表面エネルギーを増加させ、したがって、これをブロック606において適用された不明瞭化剤層に対してより受容的にする手段として利用されてもよい。ある場合には、レーザ表面処理は、缶表面上に集束レーザビームを放射または指向することを含んでもよい。吸収されたレーザ放射からの光学エネルギーは、表面材料および/または表面下材料を融解または蒸発させるために十分な加熱を誘発し、したがって、表面トポグラフィを修正する(すなわち、その粗度を修正する)ことに加えて、その一部または全てを除去し得る。いくつかの実施例では、十分に高エネルギーの光子を伴う紫外線(UV)または他のレーザが、表面材料(すなわち、缶表面)内の化学結合を破壊し、その表面化学を変化させ得る。多くの場合では、熱および化学レーザ誘発プロセスの両方が、缶の表面特性を同時に修正してもよい。上記に説明される(同様に
図2A-Dに関連する)プラズマベースの表面処理器と同様に、最小閾値エネルギーの集束レーザビームが、缶の表面を迅速に走査するように操作されてもよい。缶表面上に(例えば、
図3に関連して説明される)集束レーザビームを指向することは、その表面を修正し、その表面エネルギーを増加させる役割を果たし得、これは、プライマまたは不明瞭化剤を適用するために缶表面をより好適にすることを促進し得る。レーザビームが走査される方向および速度を制御することによって、レーザビームの透過エネルギーおよび有効形状もまた、1つまたはそれを上回る方法で修正されてもよい。いくつかの側面では、本開示に説明されるような缶を表面処理するための動的および適応的レーザビームの使用は、回転チャック上でスピンするもの等の缶表面の表面処理を最適化し得る。ある場合には、レーザ表面処理のために使用される回転チャックは、吹き付けイオン表面処理のために使用される回転チャックに類似する、または実質的に類似し得る。いくつかの実施例では、回転チャックは、真空チャックであってもよいが、他のタイプのチャックも、異なる実施形態において想定される。一実施例では、レーザビームは、スピンする缶のアクセスに対して平行または垂直方向において、または平行および垂直の両方の移動を組み合わせるパターンにおいて走査されてもよい。一特定の実施形態では、レーザの走査ヘッドは、缶表面からの、または代替として、スピンする缶の長軸からの固定された距離、例えば、5または10センチメートルに保持されてもよい。さらに、走査レーザヘッドは、缶がスピンする際、缶の長軸に平行である線に沿って移動されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、走査レーザビームシステムが、吹き付けイオンプラズマ処理システムと併せて、またはそれに加えて使用されてもよい。言い換えると、走査レーザビーム表面処理システムは、プラズマ処理器システムの作用および性能をエミュレートおよび強化する役割を果たしてもよい。他の場合では、走査レーザビームまたは吹き付けイオンプラズマのうちの1つのみが、例えば、使用事例に基づいて、缶を表面処理するために使用されてもよい。いずれの場合も、表面処理デバイス(例えば、レーザ表面処理、吹き付けイオンプラズマ、コロナ処理、火炎処理等)の意図される効果は、ネックおよびフランジ部分を含む、缶の表面全体にわたる均一な表面エネルギーを達成するために、缶表面の種々の部分が、要求される量だけ処理されることを可能にすることである。
【0073】
缶の曲線側面全体を表面処理した後、処理されたネック付きおよびフランジ付き缶は、プリンタ、噴霧器、または噴霧機械等の他の不明瞭化剤適用デバイスに移送されてもよい。ある場合には、噴霧器は、缶の直壁、缶の底部における湾曲壁、および缶のネックを含む、缶の曲線側全体に不明瞭化剤を適用することが可能であり得る。一実施例では、噴霧器は、缶の曲線側面の少なくとも一部またはさらには曲線側面全体にわたって(例えば、缶基部の底部曲線上の点から、缶のネックおよびフランジまで、またはそれを通して、または各缶の曲線側面全体の小区分にわたって)不明瞭化剤の1つまたはそれを上回る層を適用してもよい。さらなる実施形態では、缶取扱および運搬能力と適合された噴霧器はまた、それから上流(例えば、表面処理システム)および下流(例えば、第2の装飾またはインク印刷システム、オーバーワニス噴霧システム、硬化オーブン等)の両方の異なるサブシステムと相互作用するように構成されてもよい。ある場合には、噴霧器は、缶取扱、噴霧等を最適化するために、人工知能または機械学習技法を組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、種々のプライマが、噴霧器によって不明瞭化剤層の下に適用されてもよい。すなわち、以前に装飾された缶の表面処理に続いて、プライマの1つまたはそれを上回る層が、不明瞭化剤層を適用することに先立って適用されてもよい。そのようなプライマはまた、不明瞭化剤層を適用することに先立って、別個のプロセスにおいて熱的に、または別様に硬化されてもよい。いくつかの他の場合では、インクプライマが、以前に装飾された缶を表面処理することの代替として適用されてもよい。さらに、缶が、不明瞭化剤層の適用に続いて、第2の装飾(またはインク)層の適用の前に、再び表面処理され得ることに留意されたい。
【0074】
ブロック608において、第2のインクの1つまたはそれを上回る層が、ブロック606からの缶の曲線側面に適用されてもよく、ブロック606からの缶は、不明瞭化剤の1つまたはそれを上回る連続層を備える。それに第2のインクが適用され得る、缶表面の領域または部分は、それに第1のインクが元々適用されていた部分と同一である、または異なってもよい。前述で説明されるように、ブロック606において不明瞭化剤を適用した後、缶は、第2のインクを適用することに先立って、硬化オーブン内で硬化されてもよい。
【0075】
ブロック610において、水性ポリエステルまたはアクリル樹脂オーバーワニス等の第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層が、第1のインク、不明瞭化剤、および/または第2のインクを備える、缶の曲線側面の全てまたは少なくとも一部に適用されてもよい。このように、第2のオーバーワニス層は、缶の側面の最外側層を備えてもよい。利用されるオーバーワニスが、印刷された缶を含む、従来的なプロセスを使用して生産される飲料缶との併用のために適合し得ることに留意されたい。いくつかの実施例では、適用されたオーバーワニス(すなわち、第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層)は、例えば、任意の不明瞭化剤コーティング層、UV硬化インクまたはコーティング、および缶メーカまたは装飾業者によって以前に適用された任意の下層コーティングを被覆してもよい。ある場合には、そのようなオーバーワニス層は、手触りが滑らかであってもよい、または一部のブランド所有者および/または消費者に魅力的であり得る、テクスチャ仕上げを作成するような方法で適用されてもよい。ブロック610において、第2のオーバーワニスが、例えば、噴霧機械によって、印刷された缶の曲線側面の少なくとも一部(例えば、50%、70%、100%)に適用されてもよい。ある場合には、その部分は、印刷された缶のネックおよび/またはフランジ付き部分を含んでもよい。
【0076】
ある場合には、オフセットローラプロセスを介して適用されることが意図される、不明瞭化剤コーティングおよびオーバーワニスが、不明瞭化剤または第2のオーバーワニス粘度を調節することによって、噴霧のために適合されてもよい。ある場合には、所望の粘度は、水を用いた不明瞭化剤または第2のオーバーワニスの希釈を介して達成されてもよい。加えて、または代替として、粘度は、温度調節を介して制御されてもよい。いずれの場合も、不明瞭化剤またはオーバーワニス粘度の調節は、硬化されると、損傷から下層の層を保護し、仕上げられた缶が缶充填および/または缶取扱機器を通して効率的に処理されることを可能にするための適正な(または低い)摩擦係数を伴う表面を提供し、第2のオーバーワニス障壁を横断するインク構成物の移動を最小限にするために十分であり得る、不明瞭化剤またはオーバーワニス被覆をもたらすことによって、スプレープロセスを最適化する役割を果たし得る。加えて、または代替として、不明瞭化剤粘度の調節はまた、これが全て(または殆ど)第2の装飾層の下で知覚不可能であるように、不明瞭化剤コーティングが第1の装飾層を適正に不明瞭化する(または包み隠す)ことを可能にし得る。
【0077】
一実施例では、蒸留水または脱イオン水が、不明瞭化剤または第2のオーバーワニス等のオーバーワニスに添加されてもよい。本水-不明瞭化剤または水-オーバーワニス混合物は、次いで、95~105°F等の所望の温度範囲内で加熱され、#2ザーンカップを用いて測定されるような20.0~21.5秒の流出時間等の所望の粘度が達成されるまで、攪拌されてもよい。所望の粘度を達成した後、本適合されたオーバーワニス混合物は、次いで、加熱されたリザーバ等のリザーバ内に貯蔵され、95~105°F等の所望の温度範囲内で維持されてもよく、そこから、これは、スプレーシステムの中に圧送されてもよい。上記に議論される粘度および温度が、実施例にすぎず、議論のみを目的とすることに留意されたい。それらは、限定であることを意図しておらず、そのように解釈されるべきではない。異なる温度範囲および不明瞭化剤またはオーバーワニス粘度が、異なる実施形態において想定されてもよい。加えて、または代替として、蒸留水または脱イオン水の代わりに、またはそれに加えて、異なる溶媒が、他の実施形態において想定されてもよい。そのような場合では、不明瞭化剤-溶媒またはオーバーワニス-溶媒混合物が、生成されてもよい。不明瞭化剤-溶媒またはオーバーワニス-溶媒混合物は、適合された不明瞭化剤または適合されたオーバーワニス混合物を生成するために、加熱される場合とそうではない場合がある(すなわち、攪拌のみ)。さらに、本明細書に説明される混合物のうちのいずれかは、温度制御された(例えば、加熱された)リザーバ内に貯蔵されてもよいが、非加熱リザーバも、いくつかの実施形態において展開されてもよい。
【0078】
いくつかの実施例では、水圧ポンプ等のポンプが、スプレーシステムにおける一連の圧力調整器を通して適合された不明瞭化剤または適合されたオーバーワニスを加圧し、循環させるために使用されてもよく、圧力調整器は、適合された混合物(例えば、適合されたオーバーワニスおよび/または適合された不明瞭化剤)を750~850psig等の所望の圧力において1つまたはそれを上回るスプレーノズルに供給するために使用されてもよい。ある場合には、他のオーバーワニス製剤が、随意に、使用されてもよく、これは、十分なオーバーワニス被覆を達成するために、それらの独自の具体的希釈、噴霧温度、噴霧圧力、および噴霧時間を要求し得る。代替および随意の実施形態では、1つまたはそれを上回るスプレーヘッドによって使用されない過剰な不明瞭化剤またはオーバーワニスは、スプレーシステムを介して加熱されたリザーバに戻されてもよく、これは、浪費を最小限にする役割を果たし得る。しかしながら、(例えば、汚染物質に起因して)改変された組成を被っている任意の不明瞭化剤またはオーバーワニスが、加熱されたリザーバに戻らないようにされ得ることに留意されたい。
【0079】
ある場合には、缶の曲線側面の部分に不明瞭化剤または第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層を適用することは、最初に、
図1-5に関連して前述で説明される、真空チャック等の回転可能チャック上に印刷された缶を移送することを含んでもよい。ある場合には、真空チャックは、噴霧機械が、プログラム可能な噴霧時間で缶の曲線側面の全てまたは一部に不明瞭化剤または適合されたオーバーワニスを適用する間、缶を確実に保持し、所望の回転速度でスピンさせるように構成されてもよい。ある場合には、プログラム可能な噴霧時間は、コントローラを介して制御されてもよい。不明瞭化剤または第2のオーバーワニスが、缶上での適用または噴霧に先立って、適合(例えば、脱イオン水または別の溶媒を使用して希釈)される場合とそうではない場合があることに留意されたい。言い換えると、ある場合には、不明瞭化剤または第2のオーバーワニスは、希釈を伴わずに、液体を保持する容器またはバケツから直接適用されてもよい。
【0080】
特定の実施形態では、缶は、缶の開放端部が、缶の内側に意図せず進入し、潜在的に、それを汚染させ得る、スプレー飛沫から遮蔽され得るような様式で、回転可能チャック上に固着されてもよい。別の実施形態では、缶は、缶の基部が、意図せず不要な不明瞭化剤材料を基部の一部に適用させ得る、スプレー飛沫から遮蔽され得るような様式で、回転可能チャック上に固着されてもよい。特定の実施形態では、缶の基部および/または開口は、それを通して空気が押進されるスロットまたは開口部の内側に、またはその近傍に位置し、これが缶上で静置する前に、いずれの不要な不明瞭化剤材料の除去も促進し得る。さらなる特定の実施形態では、1つまたはそれを上回る遮蔽要素が、不要な不明瞭化剤材料の直接適用を遮断すること、および缶の基部および/または開口から不要な不明瞭化剤材料を除去するように意図される直接空気流に役立つことの両方を行うように、缶基部および/または開口の近傍に設置されてもよい。代替実施形態では、缶の開放開口は、回転可能チャック上に固着され、それによって、スプレー飛沫の進入に対してシールされてもよい。プログラム可能な噴霧時間は、スプレー重複およびコーティング厚の変動を最小限にする、または最適化するように設定されてもよい。ある場合には、プログラム可能な噴霧時間は、缶の回転速度および/または各スプレーヘッドの構成に依存し得る。加えて、または代替として、プログラム可能な噴霧時間は、適用するべき不明瞭化剤またはオーバーワニスの層の数を決定するように設定されてもよい。一実施例では、不明瞭化剤または第2のオーバーワニスの2つまたは3つの層が、噴霧に費やす最小の時間を伴って適正な品質の表面コーティングを提供し得る。他の場合では、不明瞭化剤または第2のオーバーワニスのより多いまたはより少ない層(例えば、単一の層)が、必要とされ得る。他の場合では、不明瞭化剤または第2のオーバーワニスの1つまたはそれを上回る層が、適用され、硬化周期が続き、不明瞭化剤または第2のオーバーワニスの別の1つまたはそれを上回る層の適用が続き、所望のコーティング特性を達成するために要求されるだけ繰り返されてもよい。
【0081】
いくつかの実施例では、不明瞭化剤または第2のオーバーワニスを適用するために使用される1つまたはそれを上回るスプレーヘッドはそれぞれ、調節可能なノズル構成を含有する、1つまたはそれを上回るエアレススプレーガンを備えてもよい。そのような場合では、缶に不明瞭化剤またはオーバーワニスを適用するために使用されるスプレーパターンは、異なる用途に基づいて、制御されてもよい。いくつかの状況では、スプレーシステムのユーザは、限定ではないが、スプレーガンの数、ノズルタイプ、ノズル配向、ノズルフィルタ、ノズル制限器(随意)、プログラム可能な噴霧時間、回転速度、噴霧圧力、ノズル先端と缶表面との間の距離、適合されたオーバーワニス温度、周囲温度、缶配向、缶温度、不明瞭化剤または第2のオーバーワニス粘度、湿度、強制空気硬化促進剤の速度および温度を含む、スプレーシステムの1つまたはそれを上回るパラメータを調節することによって、種々の所望のコーティングを達成してもよい。ある場合には、スプレーシステムはまた、温度、圧力、および/または粘度センサ等の1つまたはそれを上回るセンサを備えてもよい。
【0082】
一実施例では、不明瞭化剤、オーバーワニス、または適合されたオーバーワニス温度が、周囲温度(例えば、缶が噴霧されている部屋の温度)の変化に基づいて、調節される必要があり得る。不明瞭化剤、オーバーワニス、または適合されたオーバーワニスの適切な設定および硬化は、強制空気、印加される熱、UVエネルギー、または他の硬化促進剤を要求し得る。そのような促進剤は、スプレープロセスの間に、または噴霧器アクティブ化の間に、連続的または断続的のいずれかで適用されてもよく、適切な機器が、それに応じて、スプレーデバイスに統合されてもよい。加えて、または代替として、不明瞭化剤またはオーバーワニス温度以外の1つまたはそれを上回る他のパラメータが、周囲温度、缶温度、湿度等の変化に起因して、最適な性能のためにスプレーシステムを微調整するために調節される必要があり得る。故に、スプレーシステムのためのコントローラは、缶の回転速度、噴霧時間の持続時間、不明瞭化剤またはオーバーワニスコーティングを適用した後のモータ逓減、不明瞭化剤またはオーバーワニス粘度、強制加熱空気または他の硬化促進剤の温度および粘度等のうちの1つまたはそれを上回るものを制御するために使用されてもよい。ある場合には、噴霧システムはまた、ユーザが、噴霧圧力、ノズルまたはイオン処理器ヘッドの数、およびそれらの場所を手動で設定することを可能にし得る。ある場合には、不明瞭化剤またはオーバーワニス温度は、加熱要素に結合されたサーモスタットを介して制御されてもよく、加熱要素は、リザーバおよび/またはスプレーポンプ内に位置してもよい。
【0083】
ブロック604および/または
図1および2A-Dに説明される吹き付けイオン表面処理システムと同様に、スプレーシステムは、処理の時間および費用を潜在的に低減させるために、デジタルインクジェットプリンタ等のインクプリンタと統合されてもよい。別の実施形態では、不明瞭化剤は、インクジェット噴霧のために好適な不明瞭化剤/装飾製剤を使用して、デジタルインクジェットプリンタによって直接適用されてもよい。別の実施形態では、不明瞭化剤層は、例えば、ローラ転写機構によって、ネックを含む、印刷された缶の曲線側面全体に適用されてもよい。一実施例では、ローラ転写機構は、賦形ローラを利用してもよく、賦形ローラは、形成された缶表面の外形に合致するように切断されてもよい。加えて、または代替として、ローラ転写機構は、缶の側にローラ表面を適合させることを支援し得る、共形化可能材料を含む、ローラを採用してもよい。また他の場合では、それぞれ、形成された缶の外形の準線形区画のうちの1つ専用である、複数のローラを使用するローラシステムが、第2のオーバーワニスを適用するために利用されてもよい。加えて、または代替として、缶は、不明瞭化剤コーティングを適用するために、不明瞭化剤の中に浸漬または水没されてもよい。
【0084】
ブロック612において、ブロック606-610からの1つまたはそれを上回る不明瞭化剤層、第2のインク、またはオーバーワニスを用いてコーティングされた、湿潤した缶が、室温またはその付近において、短い期間(例えば、4分、5分、10分等)にわたって、硬化オーブンへの途中のコンベヤベルト上等の清浄な環境内で硬化前静置を受けてもよい。ある場合には、利用する用途に基づいて、上記に提供される実施例よりも、硬化前静置は、より長い、またはより短く、温度は、より高い、またはより低くてもよい。いくつかの側面では、本硬化前静置は、不明瞭化剤またはオーバーワニスが沈降することを可能にする、および/または捕獲された気泡が逃散することを可能にし得、これは、不明瞭化剤またはオーバーワニス表面コーティングにおける視覚的および触覚的欠陥を低減させる役割を果たし得る。
【0085】
さらに、ブロック612において、湿潤した缶または部分的に硬化された湿潤した缶(すなわち、缶が、硬化前静置を受けている場合)は、
図1、4A-B、および5A-Cに関連して前述で説明されるように、各缶に適用されたコーティングを硬化させるために、硬化オーブンの中に移送されてもよい。いくつかの実施例では、硬化オーブンは、事前構成された温度において、缶のコーティングを硬化させるために必要とされる時間量にわたって、缶の均一な加熱を可能にする、任意のオーブンであってもよい。いくつかの状況では、硬化プロセスは、不明瞭化剤または適合されたオーバーワニスから揮発物を除去し、これを硬質の不透過性保護シェルに固化してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、硬化オーブンは、缶のコーティングされた表面の全体が、所望の硬化温度に到達し得るようなアレイにおいて配列される、1つまたはそれを上回る赤外線熱源、例えば、電気赤外線熱パネルから成ってもよい。ある場合には、缶は、コーティング(例えば、不明瞭化剤、第2のオーバーワニス等)が硬化および固化することを可能にするための適正な時間量にわたって、硬化オーブン内で硬化されてもよい。いくつかの実施形態では、硬化オーブンは、コーティングが、オーブン通過時間の間に硬化することを可能にするために、オーブンを通して、1つまたはそれを上回る赤外線熱源に近接して缶を輸送する、運搬機構を含有してもよい。いくつかの実施形態では、運搬機構は、缶表面の全てのコーティングされた区域(例えば、下3分の1、ネック、フランジ、上半分等)が、最小または望ましい時間量において所望の硬化温度に到達し得るように、これがオーブンを通して通過する際、例えば、缶を連続的または周期的に回転させることによって、缶を再配向するように構成されてもよい。ある場合には、硬化のために必要とされる時間量は、滞留時間と称され得る。滞留時間は、ある場合には、硬化温度、オーブン温度等に依存し得る。本開示の側面はまた、硬化されたコーティングの適正な品質を確実にしながら、滞留時間を最小限にすることに関し得る。
【0087】
一特定の実施形態では、各缶の基部は、
図4A-Bに関連して前述で説明されるように、回転可能シートの円周が、固定レールまたは他の表面と連続的に接触し、缶がオーブンを通して運搬される際に連続的に回転されるように、運搬機構に取り付けられる回転可能シートにおいて保持されてもよい。別の特定の実施形態では、各缶の基部は、同様に
図4A-Bに関連して説明されるように、回転可能シートの円周が、固定レールまたは他の表面の中に組み込まれる突出部と断続的に接触し、それによって、缶がオーブンを通して運搬される際、歯が固定突出部のうちの1つと接触する度に、固定された角度だけ回転する、歯車の歯から成るように、運搬機構に取り付けられる回転可能シートにおいて保持されてもよい。
【0088】
他の実施形態では、複数の赤外線熱源(例えば、
図5Bおよび5Cの赤外線熱源518-aおよび518-b)が、熱源によって放射されている缶表面積の量を最適化するために(すなわち、熱源が缶経路に沿って同一の方向に配向されるときと比較して)、缶経路に対して異なる角度または場所に配向されてもよい。特定の実施形態では、赤外線熱源は、熱が、主として、缶経路に垂直である方向に放射されるように、缶経路の2つまたはそれを上回る側上に線形に整列されてもよい。別の特定の実施形態では、赤外線熱源は、所与の熱源から放射される熱の主要方向が、隣接する熱源から放射される熱の主要方向に対して、例えば、30または90度だけ角度的にオフセットされるように、缶経路の1つまたはそれを上回る側上でジグザグパターンにおいて整列されてもよい。これは、任意の所与の時点で、熱源の全てが同様に整合されるときに照射され得る表面積と比較して、缶の合計照射表面積を効果的に増加させる役割を果たし得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、硬化オーブンは、増加された熱伝達のために缶の表面にわたって熱い空気を連続的に移動させるように構成される、強制対流オーブンであってもよい。いくつかの側面では、熱い空気の連続的移動はまた、缶間のより均一な温度を可能にし得る。いくつかの他の場合では、硬化オーブンは、穿孔付きガラス繊維コンベヤマットを利用する、強制対流連続コンベヤオーブンであってもよい。穿孔付きマットの使用は、マットを通した空気流動を可能にし、したがって、缶がそれらを変位させることなく硬化されることを可能にし得る。
【0090】
図4A-Bおよび5A-Cに記述されるように、硬化持続時間および温度は、具体的プライマ、不明瞭化剤またはオーバーワニス(または適合されたオーバーワニス)、および/または使用されている硬化オーブン(すなわち、強制対流オーブン、強制対流連続コンベヤオーブン、熱源の配列等)に応じて、変動し得る。加えて、または代替として、オーブン設定点温度および缶がオーブン内で費やす時間は、具体的不明瞭化剤または適合されたオーバーワニスおよび使用される硬化オーブンに応じて、変動し得る。いくつかの実施形態では、硬化オーブンの中に装填される缶は、硬化プロセスの間に固定位置(または定常)に留まってもよい。他の場合では、硬化オーブンは、オーブンを通して缶を輸送するための運搬機構を備えてもよい。いずれの場合も、制御された具体的温度が、不明瞭化剤コーティング(例えば、不明瞭化剤層が、適用に続いて、第2の装飾またはインク層の適用の前に硬化される場合)および/または缶の表面上の以前に適用された第2のオーバーワニス層を硬化させるために使用されてもよい。ある場合には、硬化オーブン内で費やす時間は、滞留時間と称され得る。滞留時間は、限定ではないが、運搬機構の速度(該当する場合)および硬化温度を含む、種々の因子に基づいてもよい。硬化オーブン内の缶の滞留時間は、タイマによって、および/またはコンベヤ速度の調節を介して、制御されてもよい。このように、缶の不明瞭化剤コーティングおよび/または第2のオーバーワニスコーティングは、要求される時間量にわたって要求される硬化温度に暴露され、したがって、これが缶の曲線側面上に固定されることを可能にし得る。ある場合には、缶は、それぞれ、異なる硬化温度または滞留時間と関連付けられる、異なる硬化区域を備えてもよい。そのような場合では、硬化オーブンは、缶の異なる硬化区域に異なるレベルの熱を印加し、および異なる硬化区域に関する熱暴露時間を変動させるように構成されてもよい。実施例として、缶のネックに関する硬化温度が、缶の下3分の1よりも高いように決定され、ネックに関する滞留時間が、缶の下3分の1に関するものよりも2分長い場合、硬化オーブンは、そのコンベヤ速度、熱源と缶の個別の硬化区域との間の距離、および/または赤外線熱源の電力レベルを変動させ、異なる硬化区域が、適切な時間量にわたって適切な熱量を受け取る(すなわち、不明瞭化剤または第2のオーバーワニスコーティングの硬化のために要求されるような設定持続時間にわたって曲線面温度を達成するために)ことを確実にするように構成されてもよい。硬化条件(例えば、該当する場合、温度、時間、回転速度等)が、不明瞭化剤および第2のオーバーワニスコーティングに関して同一または異なり得ることに留意されたい。さらに、不明瞭化剤および第2のオーバーワニスコーティングのために使用される硬化オーブンのタイプ(例えば、
図4の硬化オーブン400または
図5の硬化オーブン500)もまた、いくつかの実施形態において異なってもよい。他の場合では、同一の硬化オーブンが、不明瞭化剤および第2のオーバーワニスの両方を硬化させるために使用されてもよい。
【0091】
ある場合には、変色または接着問題をもたらし得る、適用されたコーティング(例えば、プライマ、不明瞭化剤、インク、またはワニス)のいかなる過剰な硬化も回避するために、缶の温度は、390°Fを下回るもの等に限定されてもよい。ある場合には、硬化オーブンから出た後、硬化された缶は、冷却され(例えば、室温まで)、パレタイザを介した出荷パレットまたは集積テーブルを介した段ボール箱等の顧客への送達のための媒体に移送されてもよい。
【0092】
本明細書に開示される実施形態と関連して説明される方法は、ハードウェアにおいて直接、非一過性有形プロセッサ可読記憶媒体内でエンコードされるプロセッサ実行可能コードにおいて、または2つの組み合わせにおいて具現化されてもよい。例えば、
図7を参照すると、例示的実施形態による、コントローラ(例えば、
図4のコントローラ417)を実現するために利用され得る、物理的コンポーネントを描写する、ブロック
図700が、示される。示されるように、本実施形態では、表示部分712および不揮発性メモリ720が、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)724、処理部分(N個の処理コンポーネントを含む)726、随意のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)727、およびN個の送受信機を含む送受信機コンポーネント728にも結合される、バス722に結合される。
図7に描写されるコンポーネントは、物理的コンポーネントを表すが、
図7は、詳細なハードウェア図であることを意図しておらず、したがって、
図7に描写されるコンポーネントのうちの多くは、共通の構成物によって実現される、または付加的物理的コンポーネント間に分散されてもよい。また、他の既存の、およびまだ開発されていない物理的コンポーネントおよびアーキテクチャが、
図7を参照して説明される機能的コンポーネントを実装するために利用され得ることが想定される。
【0093】
本表示部分712は、概して、ユーザのためのユーザインターフェースを提供するように動作し、いくつかの実装では、ディスプレイは、タッチスクリーンディスプレイによって実現される。一般に、不揮発性メモリ720は、データおよびプロセッサ実行可能コード(本明細書に説明される方法をもたらすことと関連付けられる実行可能コードを含む)を記憶する(例えば、持続的に記憶する)ように機能する、非一過性メモリである。例えば、いくつかの実施形態では、不揮発性メモリ720は、本明細書にさらに説明される
図1および/または6を参照して説明される方法の実行を促進するために、ブートローダコード、オペレーティングシステムコード、ファイルシステムコード、および非一過性プロセッサ実行可能コードを含む。
【0094】
多くの実装では、不揮発性メモリ720は、フラッシュメモリ(例えば、NANDまたはONENANDメモリ)によって実現されるが、他のメモリタイプも、同様に利用され得ることが想定される。不揮発性メモリ720からのコードを実行することが、可能性として考えられ得るが、不揮発性メモリ内の実行可能コードは、典型的には、RAM724にロードされ、処理部分726内のN個の処理コンポーネントのうちの1つまたはそれを上回るものによって実行される。
【0095】
RAM724と関連するN個の処理コンポーネントは、概して、不揮発性メモリ720内に記憶される命令を実行し、表面処理システム、不明瞭化剤スプレーおよび硬化システム、オーバーワニススプレーシステム、および/または硬化オーブンの制御を可能にするように動作する。例えば、
図1および/または6を参照して説明される方法をもたらすための非一過性プロセッサ実行可能コードは、不揮発性メモリ720内に持続的に記憶され、RAM724と関連するN個の処理コンポーネントによって実行されてもよい。当業者が理解するであろうように、処理部分726は、ビデオプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、グラフィック処理ユニット(GPU)、または他のハードウェア処理コンポーネント、またはハードウェアおよびソフトウェア処理コンポーネントの組み合わせ(例えば、FPGAまたはデジタル論理処理部分を含むFPGA)を含んでもよい。
【0096】
加えて、または代替では、処理部分726は、本明細書に説明される方法論(例えば、
図1または
図6を参照して説明される方法)の1つまたはそれを上回る側面をもたらすように構成されてもよい。例えば、非一過性プロセッサ可読命令が、不揮発性メモリ720内またはRAM724内に記憶され、処理部分726上で実行されるとき、処理部分726に、以前に装飾され、随意に、オーバーワニス処理された缶を再装飾する方法を実施させてもよい。代替として、非一過性FPGA構成命令が、不揮発性メモリ720内に持続的に記憶され、処理部分726によって(例えば、ブートアップの間に)アクセスされ、コントローラ110の機能をもたらすように処理部分726のハードウェア構成可能部分を構成してもよい。
【0097】
入力コンポーネント730は、以前に装飾およびオーバーワニス処理された缶の不明瞭化および潜在的再装飾に関連する1つまたはそれを上回る側面を示す、信号(例えば、硬化オーブン内の熱センサからのデータ、硬化オーブン内の運搬機構からのデータ、プライマ、不明瞭化剤、またはオーバーワニススプレーシステムからのデータ、不明瞭化剤/インクプリンタからのデータ等)を受信するように動作する。入力コンポーネントにおいて受信される信号は、例えば、いくつかの非限定的実施例を挙げると、温度データ、速度データ、コーティング厚データを含んでもよい。出力コンポーネントは、概して、
図4Aのコントローラ417等のコントローラの動作側面をもたらすために、1つまたはそれを上回るアナログまたはデジタル信号を提供するように動作する。例えば、出力部分732は、
図1を参照して説明される運搬機構401の線形または回転速度を変動させるためのコントローラ命令を提供してもよい。
【0098】
描写される送受信機コンポーネント728は、無線または有線ネットワークを介して外部デバイスと通信するために使用され得る、N個の送受信機チェーンを含む。N個の送受信機チェーンはそれぞれ、特定の通信スキーム(例えば、Wi-Fi、イーサネット(登録商標)、Profibus等)と関連付けられる送受信機を表してもよい。
【0099】
いくつかの部分は、コンピュータメモリ等のコンピューティングシステムメモリ内に記憶されるデータビットまたはバイナリデジタル信号に対する演算のアルゴリズムまたは記号的表現の観点から提示される。これらのアルゴリズム記述または表現は、データ処理技術分野における当業者によって、自身の作業の実質を他の当業者に伝えるために使用される、技法の実施例である。アルゴリズムは、所望の結果につながる動作または類似する処理の自己無撞着シーケンスである。本文脈では、動作または処理は、物理量の物理的操作を伴う。典型的には、必ずしもそうではないが、そのような量は、記憶される、転送される、組み合わせられる、比較される、または別様に操作されることが可能な電気または磁気信号の形態をとり得る。随時、主として、一般的な使用の理由から、そのような信号をビット、データ、値、要素、記号、文字、用語、数字、数値、または同等物と称することが便宜的であることが証明されている。しかしながら、これらおよび類似する用語の全てが、適切な物理量と関連付けられるものであり、便宜的な標識にすぎないことを理解されたい。具体的に別様に記載されない限り、本明細書全体を通して、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」、および「識別する」、または同等物等の用語を利用する議論が、メモリ、レジスタ、またはコンピューティングプラットフォームの他の情報記憶デバイス、伝送デバイス、または表示デバイス内の物理的電子または磁気量として表されるデータを操作または変換する、1つまたはそれを上回るコンピュータまたは類似する電子コンピューティングデバイスまたは複数のデバイス等のコンピューティングデバイスのアクションまたはプロセスを指すことを理解されたい。
【0100】
当業者によって理解されるであろうように、本発明の側面は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化されてもよい。故に、本発明の側面は、全て概して、本明細書では「回路」、「モジュール」、または「システム」と称され得る、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、またはソフトウェアおよびハードウェア側面を組み合わせる実施形態の形態をとってもよい。さらに、本発明の側面は、その上に具現化されるコンピュータ可読プログラムコードを有する、1つまたはそれを上回るコンピュータ可読媒体内で具現化される、コンピュータプログラム製品の形態をとってもよい。
【0101】
本明細書に使用されるように、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」の列挙は、「A、B、C、またはA、B、およびCの任意の組み合わせのいずれか」を意味するように意図している。開示される実施形態の前述の説明は、当業者が本開示を作製または使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態の種々の修正が、当業者に容易に明白となり、本明細書に定義される一般的な原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図しておらず、本明細書に開示される原理および新規の特徴と一貫する、最も広い範囲を与えられるものである。開示される実施形態の前述の説明は、当業者が本発明を作製または使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態の種々の修正が、当業者に容易に明白となり、本明細書に定義される一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図しておらず、本明細書に開示される原理および新規の特徴と一貫する、最も広い範囲を与えられるものである。
【国際調査報告】