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特表2023-544587試料導入装置およびシステムならびにそれらの使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】試料導入装置およびシステムならびにそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20231017BHJP
   H01J 49/04 20060101ALI20231017BHJP
   H01J 49/10 20060101ALI20231017BHJP
   H01J 49/26 20060101ALI20231017BHJP
   H01J 49/42 20060101ALI20231017BHJP
   G01N 30/16 20060101ALI20231017BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G01N1/00 101G
H01J49/04
H01J49/04 220
H01J49/04 310
H01J49/10
H01J49/26
H01J49/42
G01N1/00 101R
G01N30/16 K
G01N30/16 L
G01N30/72 A
G01N30/72 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520090
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 US2021052646
(87)【国際公開番号】W WO2022072492
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】17/038,841
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
2.PYTHON
3.SWIFT
4.JAVASCRIPT
5.iOS
(71)【出願人】
【識別番号】523113962
【氏名又は名称】パーキンエルマー・ユー・エス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER U.S. LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラック,ベンジャミン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,ロバート・エイチ
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AD02
2G052AD06
2G052AD42
2G052AD46
2G052BA14
2G052CA04
2G052CA18
2G052GA15
2G052GA24
2G052GA27
(57)【要約】
磁気カプラおよびそれらを含む試料導入装置について説明する。特定の構成では、試料導入装置は、サンプリング装置を押し下げて、サンプリング装置から機器または別の構成要素への分析物試料の導入を可能にするために使用することができる磁気カプラを含むことができる。磁気カプラを含むシステム、ならびにそれらを使用する方法および装置も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料導入装置であって、
サンプリング装置を受け入れるための開口部と、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを備える第1のハウジングを備える第1の磁気カプラであって、前記第1の磁気カプラは、前記第1のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備え、前記第1の表面における第1の磁場を使用して前記第1の表面で前記サンプリング装置に磁気的に結合するように構成され、前記第1の磁気カプラの前記第2の表面での第2の磁場の大きさが前記第1の磁場の大きさよりも小さい、第1の磁気カプラと、を備える、試料導入装置。
【請求項2】
前記サンプリング装置が前記試料導入装置にいつ結合されるかを決定するように構成された磁気センサをさらに備える、請求項1に記載の試料導入装置。
【請求項3】
前記磁気センサは、ニードルトラップが注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成されている、請求項2に記載の試料導入装置。
【請求項4】
前記磁気センサが、固相マイクロ抽出繊維が注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成されている、請求項2に記載の試料導入装置。
【請求項5】
前記磁気センサが、マイクロ抽出コイルが注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成されている、請求項2に記載の試料導入装置。
【請求項6】
前記第1の磁気カプラは、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている、請求項1に記載の試料導入装置。
【請求項7】
前記第1の磁気カプラは、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている、請求項1に記載の試料導入装置。
【請求項8】
第3の表面、第4の表面、および前記第2のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備える第2のハウジングを備える第2の磁気カプラをさらに備える、請求項1に記載の試料導入装置。
【請求項9】
前記開口部は、前記第1の磁気カプラと前記第2の磁気カプラとの間に位置する、請求項8に記載の試料導入装置。
【請求項10】
前記磁気センサはホール効果センサを備え、前記第1のハウジングは正方形の金属管として構成されている、請求項2に記載の試料導入装置。
【請求項11】
前記第1の磁気カプラは、ハルバッハ配列を備える、請求項1に記載の試料導入装置。
【請求項12】
前記第1のハウジングは非鉄系材料を含む、請求項1に記載の試料導入装置。
【請求項13】
サンプリング装置から機器に試料を提供するために、前記サンプリング装置を前記機器の開口部に挿入するステップを含む方法であって、前記機器は、前記試料を分析するために隣接磁場を使用するように構成され、前記サンプリング装置は、第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを備える第1のハウジングを備える第1の磁気カプラを備える試料導入装置に存在し、前記第1の磁気カプラは、前記第1のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備え、前記第1の表面における第1の磁場を使用して前記第1の表面で前記サンプリング装置に磁気的に結合するように構成され、前記第1の磁気カプラの前記第2の表面での第2の磁場の大きさは、前記第1の磁場の大きさよりも小さい、方法。
【請求項14】
磁気センサを使用して前記サンプリング装置の存在を検出するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプリング装置を前記開口部に挿入するステップは人間によって行われ、前記第1の磁場の前記大きさは、前記人間が前記サンプリング装置に触れることなく前記サンプリング装置を定位置に保持するのに十分である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の磁気カプラは、いかなる外的機械力も加えずに前記サンプリング装置を前記開口部に保持する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の磁気カプラは、いかなる外部締結具も使用せずに前記サンプリング装置を前記開口部に保持する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の磁気カプラと前記隣接する場との間に磁気遮蔽材料を使用せずに前記サンプリング装置の存在を検出するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記磁気センサをホール効果センサとして構成するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を用いて前記第1の磁気カプラを構成するステップをさらに含み、個々の磁石は互いに90度オフセットされている、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を用いて前記第1の磁気カプラを構成するステップをさらに含み、個々の磁石は互いに90度オフセットされている、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記サンプリング装置に磁気的に結合するために第2の磁気カプラを使用するステップをさらに含み、前記第2の磁気カプラは、第2のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の磁気カプラおよび前記第2の磁気カプラは、個々の永久磁石の異なる配置を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のハウジングは、正方形の金属管を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のハウジングは、円形の金属管を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
ニードルトラップ、固相マイクロ抽出繊維、およびマイクロ抽出コイルのうちの1つまたは複数の存在を検出して、いつ前記サンプリング装置が前記機器に結合されたかを決定するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項27】
機器であって、
1つまたは複数の分析物を含むサンプリング装置から試料を受け取るように構成されたクロマトグラフと、
前記クロマトグラフにより分離された分析物を受け取り、前記受け取った分離された分析物をイオン化するように構成されたイオン化源と、
前記イオン化源に流体的に結合され、前記イオン化源から前記イオン化された分析物を受け取るように構成された質量分析計であって、前記イオン化された分析物をフィルタリング、選択、または誘導するために場を使用するように構成された質量分析計と、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを備える第1のハウジングを備える第1の磁気カプラであって、前記第1の磁気カプラは、前記第1のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備え、前記第1の表面における第1の磁場を使用して前記第1の表面で前記サンプリング装置に磁気的に結合するように構成され、前記第1の磁気カプラの前記第2の表面での第2の磁場の大きさが前記第1の磁場の大きさよりも小さい、第1の磁気カプラと、を備える、機器。
【請求項28】
前記第2の磁場の大きさは、前記イオン化された分析物をフィルタリング、選択または誘導するために前記質量分析計によって使用される場に影響を及ぼさない、請求項27に記載の機器。
【請求項29】
前記クロマトグラフがガスクロマトグラフまたは液体クロマトグラフである、請求項27に記載の機器。
【請求項30】
前記サンプリング装置がいつ前記機器に結合されたかを決定するように構成された磁気センサをさらに備える、請求項27に記載の機器。
【請求項31】
前記磁気センサは、ニードルトラップが前記機器の注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成されている、請求項30に記載の機器。
【請求項32】
前記磁気センサは、固相マイクロ抽出繊維が前記機器の注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成されている、請求項30に記載の機器。
【請求項33】
前記磁気センサは、マイクロ抽出コイルが前記機器の注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成されている、請求項30に記載の機器。
【請求項34】
前記第1の磁気カプラは、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている、請求項27に記載の機器。
【請求項35】
前記第1の磁気カプラは、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている、請求項27に記載の機器。
【請求項36】
第3の表面、第4の表面、および前記第2のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備える第2のハウジングを備える第2の磁気カプラをさらに備える、請求項27に記載の機器。
【請求項37】
前記第1の磁気カプラと前記第2の磁気カプラとの間に開口部が配置される、請求項36に記載の機器。
【請求項38】
前記磁気センサはホール効果センサを備え、前記第1のハウジングは正方形の金属管として構成されている、請求項30に記載の機器。
【請求項39】
前記第1の磁気カプラは、ハルバッハ配列を備える、請求項27に記載の機器。
【請求項40】
前記第1のハウジングは非鉄系材料を含む、請求項27に記載の機器。
【請求項41】
前記イオン化源は、誘導結合プラズマ、放電プラズマ、容量結合プラズマ、マイクロ波誘導プラズマ、グロー放電イオン化源、脱離イオン化源、エレクトロスプレーイオン化源、大気圧イオン化源、大気圧化学イオン化源、光イオン化源、電子イオン化源、または化学イオン化源のうちの少なくとも1つを含む、
請求項27に記載の機器。
【請求項42】
前記クロマトグラフはガスクロマトグラフであり、前記質量分析計はイオントラップを備える、請求項27に記載の機器。
【請求項43】
前記第1の磁気カプラと前記イオントラップとの間に磁気遮蔽材料は存在しない、請求項42に記載の機器。
【請求項44】
サンプリング装置を機器に流体的に結合するように構成された試料導入装置であって、前記試料導入装置は、試料が前記サンプリング装置から前記機器に導入される間、前記サンプリング装置を定位置に保持するように構成された少なくとも1つのハルバッハ配列を備え、前記ハルバッハ配列は、ハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備える、試料導入装置。
【請求項45】
機器であって、
請求項44に記載の試料導入装置と、
前記サンプリング装置から前記機器に供給される試料を分析するための分析磁場を生成するように構成された少なくとも1つの磁場源を含む試料分析器であって、前記少なくとも1つのハルバッハ配列は、前記分析磁場を使用して前記試料の分析を変化させる量未満だけ前記分析磁場を摂動させるようにさらに構成されている、試料分析器と、を備える、機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2020年9月30日に出願された米国特許出願第17/038,841号に関連し、その優先権および利益を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
特定の構成は、サンプリング装置を分析機器などの別の構成要素に保持するために使用することができる試料導入装置に関する。試料導入装置の使用および製造方法も記載されている。
【背景技術】
【0003】
背景
試料導入装置は、試料を機器に導入するために用いられる。機器の特定の構成要素に応じて、特定の種類の試料導入装置の使用を妨げる制限が存在し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一態様では、試料導入装置は、開口部と、第1の磁気カプラとを備える。特定の実施形態では、開口部はサンプリング装置を受け入れることができる。他の実施形態では、第1の磁気カプラは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備える第1のハウジングを備える。特定の構成では、第1の磁気カプラは、第1のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備え、第1の磁気カプラは、第1の表面における第1の磁場を使用して第1の表面でサンプリング装置に磁気的に結合するように構成され、第1の磁気カプラの第2の表面における第2の磁場の大きさは、第1の磁場の大きさよりも小さい。
【0005】
特定の例では、試料導入装置は、いつサンプリング装置が試料導入装置に結合されるかを決定するように構成された磁気センサを含むことができる。いくつかの実施形態では、磁気センサは、ニードルトラップが注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成される。他の実施形態では、磁気センサは、固相マイクロ抽出繊維が注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、磁気センサは、マイクロ抽出コイルが注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成される。
【0006】
特定の構成では、第1の磁気カプラは、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。他の構成では、第1の磁気カプラは、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。
【0007】
他の実施形態では、第3の表面、第4の表面、および第2のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を含む第2のハウジングを備える第2の磁気カプラが存在することができる。いくつかの実施形態では、開口部は、第1の磁気カプラと第2の磁気カプラとの間に配置される。
【0008】
他の実施形態では、磁気センサはホール効果センサを備え、第1のハウジングは正方形の金属管として構成される。
【0009】
特定の構成では、第1の磁気カプラはハルバッハ配列を備える。いくつかの例では、第1のハウジングは非鉄系材料を含む。
【0010】
別の態様では、方法は、サンプリング装置を機器の開口部に挿入して、サンプリング装置から機器に試料を提供するステップを含み、機器は、隣接する場を使用して試料を分析するように構成され、サンプリング装置は、第1の磁気カプラを備える試料導入装置内に存在する。例えば、第1の磁気カプラは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備える第1のハウジングを備えてもよく、第1の磁気カプラは、第1の表面における第1の磁場を使用して第1の表面でサンプリング装置に磁気的に結合するように構成され、第1の磁気カプラの第2の表面における第2の磁場の大きさは、第1の磁場の大きさよりも小さい。
【0011】
特定の実施形態では、方法は、磁気センサを使用してサンプリング装置の存在を検出するステップを含む。特定の実施形態では、サンプリング装置を開口部に挿入することは人間によって行われ、第1の磁場の大きさは、人間がサンプリング装置に触れることなくサンプリング装置を定位置に保持するのに十分である。いくつかの実施形態では、第1の磁気カプラは、いかなる外的機械的力も加えずにサンプリング装置を開口部に保持する。他の実施形態では、第1の磁気カプラは、いかなる外部締結具も使用せずにサンプリング装置を開口部に保持する。
【0012】
特定の構成では、方法は、第1の磁気カプラと隣接する場との間に磁気遮蔽材料を使用せずにサンプリング装置の存在を検出するステップを含む。他の実施形態では、方法は、磁気センサをホール効果センサとして構成するステップを含む。
【0013】
特定の実施形態では、方法は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石で第1の磁気カプラを構成するステップを含み、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。他の実施形態では、方法は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石で第1の磁気カプラを構成するステップを含み、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。
【0014】
追加の実施形態では、方法は、サンプリング装置に磁気的に結合するために第2の磁気カプラを使用するステップを含み、第2の磁気カプラは、第2のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備える。いくつかの実施形態では、第1の磁気カプラおよび第2の磁気カプラは、個々の永久磁石の異なる配置を備える。他の実施形態では、第1のハウジングは、正方形の金属管を備える。特定の実施形態では、第1のハウジングは、円形の金属管を備える。
【0015】
いくつかの構成では、方法は、ニードルトラップ、固相マイクロ抽出繊維、およびマイクロ抽出コイルのうちの1つまたは複数の存在を検出して、いつサンプリング装置が機器に連結されたかを決定するステップを含む。
【0016】
さらなる態様では、機器は、クロマトグラフと、イオン化源と、質量分析計と、第1の磁気カプラとを備える。いくつかの構成では、クロマトグラフは、1つまたは複数の分析物を含むサンプリング装置からの試料を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、イオン化源は、クロマトグラフによって分離された分析物を受け取り、受け取った分離された分析物をイオン化するように構成される。特定の実施形態では、質量分析計は、イオン化源に流体的に結合され、イオン化源からイオン化された分析物を受け取るように構成され、質量分析計は、イオン化された分析物をフィルタリング、選択または誘導するために場を使用するように構成される。特定の構成において、第1の磁気カプラは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備える第1のハウジングを備え、第1の磁気カプラは、第1の表面における第1の磁場を使用して第1の表面でサンプリング装置に磁気的に結合するように構成され、第1の磁気カプラの第2の表面における第2の磁場の大きさは、第1の磁場の大きさよりも小さい。
【0017】
特定の実施形態では、第2の磁場の大きさは、イオン化された分析物をフィルタリング、選択または誘導するために質量分析計によって使用される場に影響を及ぼさない。他の実施形態では、クロマトグラフはガスクロマトグラフまたは液体クロマトグラフである。いくつかの実施形態では、サンプリング装置がいつ機器に結合されたかを決定するように構成された磁気センサが存在する。特定の構成では、磁気センサは、ニードルトラップが機器の注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成される。他の実施形態では、磁気センサは、固相マイクロ抽出繊維が機器の注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、磁気センサは、マイクロ抽出コイルが機器の注入器にいつ挿入されるかを決定するように構成される。特定の構成では、第1の磁気カプラは、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。他の実施形態では、第1の磁気カプラは、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。
【0018】
追加の実施形態では、機器は、第3の表面、第4の表面、および第2のハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を含む第2のハウジングを備える第2の磁気カプラを備える。いくつかの構成では、第1の磁気カプラと第2の磁気カプラとの間に開口部が配置される。特定の実施形態では、磁気センサはホール効果センサを備え、第1のハウジングは正方形の金属管として構成される。いくつかの構成では、第1の磁気カプラはハルバッハ配列を備える。他の実施形態では、第1のハウジングは非鉄系材料を含む。
【0019】
特定の実施形態では、イオン化源は、誘導結合プラズマ、放電プラズマ、容量結合プラズマ、マイクロ波誘導プラズマ、グロー放電イオン化源、脱離イオン化源、エレクトロスプレーイオン化源、大気圧イオン化源、大気圧化学イオン化源、光イオン化源、電子イオン化源、または化学イオン化源のうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
他の実施形態では、クロマトグラフはガスクロマトグラフであり、質量分析計はイオントラップを備える。特定の構成では、第1の磁気カプラとイオントラップとの間に磁気遮蔽材料は存在しない。
【0021】
別の態様では、サンプリング装置を機器に流体的に結合するように構成された試料導入装置が提供される。特定の実施形態では、試料導入装置は、試料がサンプリング装置から機器に導入される間、サンプリング装置を定位置に保持するように構成された少なくとも1つのハルバッハ配列を備え、ハルバッハ配列は、ハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備える。
【0022】
さらなる態様では、機器は、本明細書に記載の試料導入装置と、サンプリング装置から機器に提供された試料を分析するための分析磁場を生成するように構成された少なくとも1つの磁場源を備える試料分析器とを備える。例えば、試料導入装置の少なくとも1つのハルバッハ配列は、分析磁場を使用して試料の分析を変化させる量未満だけ分析磁場を摂動させるように構成することができる。
【0023】
別の態様では、複数の配置された個々の永久磁石を備える磁気カプラを提供するためのアセンブリ固定具が説明される。特定の構成では、アセンブリ固定具は、個々の永久磁石を連続的に受け入れて磁気カプラのハウジングに挿入するように構成され、アセンブリ固定具は、連続的に挿入された個々の磁石を磁気カプラのハウジングに挿入する前に、連続的に挿入された個々の磁石の磁極配向を90度だけ配置およびオフセットするように構成された磁石回転子アセンブリを備える。いくつかの実施形態では、挿入されて配置された複数の個々の永久磁石は、共に磁気カプラとして機能する。例えば、磁気カプラは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備え、磁気カプラは、第1の表面に第1の磁場を備え、磁気カプラの第2の表面における第2の磁場の大きさは、第1の磁場の大きさよりも小さい。
【0024】
特定の実施形態では、磁石回転子アセンブリは、第1の位置、第2の位置、第3の位置、および第4の位置を備える。他の実施形態では、アセンブリ固定具は、磁気カプラのハウジングを受け入れるように構成されたスロットを備える。いくつかの実施形態では、スロットは、磁気カプラのハウジングをアセンブリ固定具に保持する装入装置を受け入れるようなサイズおよび配置である。
【0025】
他の実施形態では、磁石回転子アセンブリは、個々の永久磁石を受け入れるように構成された磁石装填ステーションを備え、磁石回転子アセンブリの第1の位置、第2の位置、第3の位置および第4の位置は、個々の磁石の磁極を異なる磁極配向に配向させる。
【0026】
特定の構成では、アセンブリ固定具は、磁気装填ステーション内の装填された個々の磁石に係合し、装填された個々の磁石を磁気カプラのハウジングに配置するための力を提供するように構成された挿入装置を備える。いくつかの実施形態では、装填された個々の磁石を磁気カプラのハウジングに配置するために挿入装置を押すと、磁石回転子アセンブリに接触して、磁石回転子アセンブリを異なる位置まで回転させる。他の実施形態では、装填された個々の磁石を磁気カプラのハウジングに配置した後に挿入装置を引き込むと、磁石回転子アセンブリに接触して、磁石回転子アセンブリを異なる位置まで回転させる。特定の実施形態では、スロットは、ハウジングを受け入れるようなサイズおよび配置であり、ハウジングは、少なくとも4つの個々の永久磁石を受け入れるようなサイズおよび配置である。他の実施形態では、スロットは、ハウジングを受け入れるようなサイズおよび配置であり、ハウジングは、少なくとも6つの個々の永久磁石を受け入れるようなサイズおよび配置である。
【0027】
別の態様では、磁気カプラを提供するためのアセンブリ固定具が説明される。特定の構成では、アセンブリ固定具は、個々の永久磁石を受け入れるようなサイズおよび配置の磁石装填ステーションを備える。他の実施形態では、アセンブリ固定具は、磁石装填ステーションに磁気的に結合された磁石回転子アセンブリを備え、磁石回転子アセンブリは、第1の位置、第2の位置、第3の位置および第4の位置を備える。いくつかの構成では、アセンブリ固定具は、磁気カプラのハウジングを受け入れて位置決めするように構成された第1の端部を備え、磁気カプラのハウジングは、複数の個々に配置された永久磁石を連続的に受け入れ、受け入れた複数の個々に配置された永久磁石を磁気カプラのハウジング内に保持するように構成される。他の実施形態では、アセンブリ固定具は、磁石装填ステーション内の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジングに挿入するための力を提供するように構成された挿入装置を備える。
【0028】
特定の実施形態では、磁石回転子アセンブリの第1の位置は、第1の個々の永久磁石を第1の磁極配向で磁石装填ステーションに装填することを可能にする。例えば、挿入装置を使用して、装填された第1の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジングに挿入すると、磁石回転子アセンブリが第1の位置から第2の位置まで回転する。他の実施形態では、磁石回転子アセンブリの第2の位置は、第1の磁極配向から90度回転した第2の磁極配向で第2の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填することを可能にする。例えば、挿入装置を使用して、装填された第2の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジングに挿入すると、磁石回転子アセンブリが第2の位置から第3の位置まで回転する。追加の実施形態では、磁石回転子アセンブリの第3の位置は、第2の磁極配向から90度回転した第3の磁極配向で第3の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填することを可能にする。例えば、挿入装置を使用して、装填された第3の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジングに挿入すると、磁石回転子アセンブリが第3の位置から第4の位置まで回転する。いくつかの実施形態では、磁石回転子アセンブリの第4の位置は、第3の磁極配向から90度回転した第4の磁極配向で第4の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填することを可能にする。特定の例では、挿入装置を使用して、装填された第4の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジングに挿入すると、磁石回転子アセンブリが第4の位置から第1の位置まで回転し、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを備える磁気カプラが提供される。特定の実施形態では、磁気カプラは、第1の表面に第1の磁場を備え、磁気カプラの第2の表面における第2の磁場の大きさは、第1の磁場の大きさよりも小さい。
【0029】
いくつかの構成では、第4の個々の永久磁石の挿入後、第1の位置は、磁石装填ステーションへの第5の個々の永久磁石の装填を可能にし、装填された第5の個々の永久磁石の磁気カプラのハウジングへの挿入は、挿入された第5の個々の永久磁石の磁極配向を第1の磁極配向と整列させる。他の構成では、第5の個々の永久磁石の挿入後、第2の位置は、磁石装填ステーションへの第6の個々の永久磁石の装填を可能にし、装填された第6の個々の永久磁石の磁気カプラのハウジングへの挿入は、挿入された第6の個々の永久磁石の磁極配向を第2の磁極配向と整列させる。
【0030】
特定の実施形態では、第1の端部は、磁気カプラのハウジングを受け入れるようなサイズおよび配置のスロットを備える。他の実施形態では、スロットは、正方形または長方形の幾何学的形状を備える。
【0031】
追加の態様では、磁気カプラの製造方法は、磁石回転子アセンブリの第1の位置で第1の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填することによって、複数の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジング内に連続的に配置するステップと、装填された第1の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップであって、装填された第1の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップは、磁石回転子アセンブリを第2の位置まで回転させる、ステップとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、磁石回転子アセンブリの第2の位置で第2の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填するステップであって、第2の位置は、装填された第2の個々の永久磁石の磁極配向が、装填された第1の個々の永久磁石の磁極配向から90度になるように、第2の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填する、ステップと、装填された第2の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップであって、装填された第2の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップは、磁石回転子アセンブリを第3の位置まで回転させる、ステップとを含む。特定の実施形態では、方法は、磁石回転子アセンブリの第3の位置で第3の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填するステップであって、第3の位置は、装填された第3の個々の永久磁石の磁極配向が、装填された第2の個々の永久磁石の磁極配向から90度になるように、第3の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填する、ステップと、装填された第3の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップであって、装填された第3の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップは、磁石回転子アセンブリを第4の位置まで回転させる、ステップとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、磁石回転子アセンブリの第4の位置で第4の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填するステップであって、第4の位置は、装填された第4の個々の永久磁石の磁極配向が、装填された第3の個々の永久磁石の磁極配向から90度になるように、第4の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填するステップと、装填された第4の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップであって、装填された第4の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップは、磁石回転子アセンブリを第1の位置まで回転させ、製造された磁気カプラは、ハウジングの第1の表面に第1の磁場を備え、ハウジングの反対側の第2の表面は実質的に磁場を備えない、ステップとを含む。
【0032】
特定の実施形態では、方法は、装填された第4の個々の永久磁石を設置した後に、磁石回転子アセンブリの第1の位置で第5の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填するステップであって、第1の位置は、装填された第5の個々の永久磁石の磁極配向が、装填された第4の個々の永久磁石の磁極配向から90度になるように、第5の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填する、ステップと、装填された第5の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップであって、装填された第5の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップは、磁石回転子アセンブリを第2の位置まで回転させる、ステップとを含む。
【0033】
他の実施形態では、本方法は、装填された第5の個々の永久磁石を設置した後に、磁石回転子アセンブリの第2の位置で第6の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填するステップであって、第2の位置は、装填された第6の個々の永久磁石の磁極配向が、装填された第5の個々の磁石の磁極配向から90度になるように、第6の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填するステップと、装填された第6の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップであって、装填された第6の個々の永久磁石をハウジングに設置するステップは、磁石回転子アセンブリを第3の位置まで回転させる、ステップとを含む。
【0034】
いくつかの構成では、方法は、設置された個々の第1、第2、第3および第4の永久磁石をハウジング内に保持するために、ハウジングの端部を封止するステップを含む。他の構成では、方法は、設置された個々の第1、第2、第3および第4の永久磁石をハウジング内に保持するために、ハウジングの端部を圧着するステップを含む。さらなる例では、方法は、設置された個々の第1、第2、第3および第4の永久磁石をハウジング内に保持するために、ハウジングの少なくとも一端に接着剤を塗布するステップを含む。
【0035】
別の態様では、試料がサンプリング装置から機器に導入されている間にサンプリング装置を定位置に保持するように構成されたハルバッハ配列を製造する方法は、アセンブリ固定具を使用して個々の永久磁石をハウジングに連続的に設置してハルバッハ配列を提供するステップを含み、アセンブリ固定具は、隣接する装填された磁石の磁極が90度オフセットされるように、ハウジング内の隣接する磁石を位置決めして装填するように構成される。
【0036】
追加の態様では、磁気カプラを試験するための試験固定具は、複数の個々に配置された永久磁石を含むハウジングを備え、試験固定具は、ベースの摺動可能なトレイ内に磁気カプラを受け入れるように構成されたベースを備え、磁気カプラは、ハウジングの第1の表面に第1の磁場を備え、ハウジングの反対側の第2の表面に第2の磁場を備え、第2の磁場の大きさは、第1の磁場の大きさよりも小さい。いくつかの実施形態では、試験固定具は、摺動可能なトレイ内の受け入れられた磁気カプラの第2の、反対面の下の磁場を測定するためにベース内に開口部を備え、摺動可能なトレイは、ベース内の開口部の位置に対して、受け入れられた磁気カプラの位置を変更するためにベースの一方の側から他方の側に摺動して、磁気カプラの第2の、反対面に沿った磁場強度を測定するように構成される。
【0037】
さらなる態様、実施形態、構成、および特徴を以下により詳細に説明する。
図面のいくつかの概観の簡単な説明
特定の態様、実施形態、構成、および特徴は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】いくつかの実施例による、機器に結合された試料導入装置を示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、磁気カプラを備える試料導入装置を示す図である。
図3】特定の実施形態による、2つの磁気カプラを備える試料導入装置を示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、3つの磁気カプラを備える試料導入装置を示す図である。
図5】特定の実施形態による、4つの磁気カプラを備える試料導入装置を示す図である。
図6】いくつかの例による、開口部の同じ側にある2つの磁気カプラを示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、磁気カプラアレイを示す図である。
図8】いくつかの実施形態による、ニードルトラップを示す図である。
図9】特定の例による、吸着管を示す図である。
図10A】いくつかの実施形態による、固相マイクロ抽出繊維を示す図である。
図10B】いくつかの実施形態による、マイクロ抽出コイルを示す図である。
図11】特定の実施形態による、ガスクロマトグラフィシステムを示す図である。
図12】いくつかの実施形態による、液体クロマトグラフィシステムを示す図である。
図13】特定の実施形態による、超臨界流体クロマトグラフィシステムを示す図である。
図14】いくつかの実施形態による、イオン化源と質量分析器とを備えるシステムの図である。
図15A】いくつかの実施形態による、試料導入装置の開口部に挿入された磁気カプラおよびニードル抽出器を示す図である。
図15B】いくつかの実施形態による、試料導入装置の開口部に挿入された磁気カプラおよびニードル抽出器を示す図である。
図16】いくつかの実施形態による、試料導入装置および移送ラインを示す断面図である。
図17】特定の実施形態による、試料導入装置内の2つの磁気カプラおよび開口部を示す図16の装置の上面図である。
図18】いくつかの実施形態による、磁気カプラを組み立てるためのアセンブリ固定具の斜視図である。
図19】いくつかの実施形態による、磁気カプラを組み立てるためのアセンブリ固定具の側面図である。
図20A】いくつかの実施形態による、磁気カプラの斜視図である。
図20B】いくつかの実施形態による、磁気カプラのハウジング内の磁石の配置を示す磁気カプラの図である。
図21】磁気カプラの磁場強度を測定するために使用することができるテキスト固定具の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
特定の構成、実施形態および特徴は、サンプリング装置、試料導入装置、磁気カプラ、機器および他の装置に関連して記載されているが、記載された構成、実施形態および特徴は、サンプリング装置、試料導入装置、磁気カプラ、機器および他の装置に含まれ得る多くの異なる構成、実施形態および特徴の一部を単に例示することを意図している。追加の構成、実施形態および特徴は、この説明の利益を考慮して、当業者によって認識されるであろう。別の構成要素に対する1つの構成要素のサイズは、本明細書に記載の技術のよりユーザフレンドリな説明を容易にするために、図面において誇張されているか、歪んでいるか、そうでなければ縮尺通りに描かれていない場合がある。その特定の実施形態の説明から明らかにされない限り、特定の寸法、サイズ、形状、幾何学的形状または他の配置は必要とされないことが意図される。
【0040】
本明細書に記載の特定の構成および実施形態は、第1の構成要素を第2の構成要素に保持するために磁気カプラを使用する。一緒に保持される正確な構成要素は変化し得るが、磁場(第1および第2の構成要素の一方または両方によって提供される)は、機器または装置によって使用される磁場に悪影響を及ぼさない。例えば、第1の構成要素または第2の構成要素の磁場は、イオン化された分析物をフィルタリング、選択または誘導するために質量分析計によって使用される場に影響を及ぼさない。以下でより詳細に述べるように、磁場を適切な向きに構成することにより、磁気カプラは、機器の別の構成要素またはシステムによって使用される場に悪影響を与えたり、場を変更したりすることなく、構成要素を一緒に保持することができる。この配置は、外部の締め具、継手などを使用する必要なしに機器へのアイテムの迅速な結合および分離を可能にするが、そのような締め具、継手なども必要に応じて使用することができる。
【0041】
本明細書に記載の他の構成および実施形態は、複数の個々の磁石を備える磁気カプラを提供するために使用することができる装置に関する。複数の個々の磁石、例えば4つ以上の個々の磁石を使用することにより、安価で製造が容易な磁気カプラを製造することができる。さらに、使用される磁石の正確な数は、所望に応じて4、6、8またはそれ以上の個々の磁石から変更することができる。個々の磁石は、ハウジング内にパッケージされて保持され、磁気カプラを提供することができる。全体的な磁場強度(および磁場パターン)は、個々の磁石を選択することによって変更することもできる。
【0042】
特定の実施形態では、試料導入装置は、第1の磁気カプラを備えるか、第1の磁気カプラとして、または第1の磁気カプラと共に構成され得る。図1を参照すると、第1の表面112および第2の表面114を備える磁気カプラ110を備える試料導入装置105が示されている。磁気カプラ110は、サンプリング装置(図示せず)を機器120またはその構成要素に流体的に結合または保持するために使用することができ、そのため、サンプリング装置内の分析物試料は、サンプリング装置から機器120に提供され得る。以下でより詳細に述べるように、第1の表面112における磁場強度は、第2の表面114における磁場強度と必ずしも同じではない。いくつかの構成では、第2の表面114における磁場の強度は、第1の表面112における磁場の強度よりも小さくてもよい。いくつかの例では、第2の表面114における磁場強度は、約0または0に近い場合がある。試料導入装置105の全体的な向きに応じて、第2の表面114における磁場の強度は、第1の表面112における磁場の強度よりも大きくてもよい。すべての場合に必要とされるわけではないが、磁気カプラ110の表面の一方におけるより低い磁場強度の存在は、磁気センサ、または機器によって使用される別の電場もしくは磁場による破壊または干渉の可能性を低減することができる。同時に、カプラ110の表面の少なくとも一方に隣接する磁場の存在は、機器に分析物試料を提供するために適切な部位でサンプリング装置を機器に保持するように作用することができる。この構成はまた、機器の任意の隣接する電場または磁場を磁気カプラの場から遮蔽するための磁気遮蔽材料の省略を可能にし得る。場合によっては、磁気カプラ110は、以下でより詳細に説明するようにハルバッハ配列として構成されてもよい。必要に応じて、試料導入装置105は、サンプリング装置を機器120の別のポートまたは構成要素に流体的に結合するのを助けるために、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の磁気カプラを備えてもよい。いくつかの構成では、磁気カプラを使用して、外部締結具を使用せずに、または外部機械力を加えることなく、試料導入装置105を機器120に流体的に結合することができる。例えば、ユーザは、試料導入装置の開口部にサンプリング装置を挿入することができ、磁気カプラからの磁場は、外力を加える必要なくサンプリング装置を定位置に保持することができ、またはそうでなければサンプリング装置を定位置に保持する必要はない。さらに、サンプリング装置の迅速な挿入および取り外しを容易にするために、ねじ山または外部締結具を省略することができる。
【0043】
特定の構成では、図2を参照すると、第1の磁気カプラ210と、サンプリング装置を受け入れるように構成されたポートまたは開口部220とを含む試料導入装置200が示されている。開口部220の正確な寸法およびサイズは変化してもよく、必要に応じて、サンプリング装置は摩擦嵌合によって開口部220に結合することができる。他の例では、磁気カプラ210からの磁場を使用して、サンプリング装置を開口部220内に保持し、サンプリング装置を機器の構成要素に対して保持して、試料をサンプリング装置から機器に移送することができる。例えば、サンプリング装置の末端は、注入器に対してまたは注入器内に保持することができるので、サンプリング装置からの試料を注入器内に供給することができる。場合によっては、磁気カプラ210は、ハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を備えてもよい。磁石は、カプラ210がハルバッハ配列として機能するようにハウジングに配置することができる。例えば、磁気カプラ210は、サンプリング装置に磁気的に結合するように構成することができる。いくつかの例では、磁気カプラ210は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。他の実施形態では、磁気カプラ210は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。磁石は、鉄系材料、希土類材料または他の磁気材料および磁気材料の組み合わせを含む多くの異なる材料を含むことができる。後述するように、例えば円形ハルバッハ配列を含む他の構成を代わりに使用して、磁気カプラを提供することができる。試料導入装置200における磁気カプラ210の正確な位置決めは様々であってもよく、望ましくは、磁気カプラ210は、試料導入装置の使用中に試料導入装置を所定の位置に保持するのに十分にサンプリング装置に近い。例えば、磁気カプラ210の第1の面は、開口部220内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。サンプリング装置の位置に対する磁気カプラ210の他の配置および位置決めは、本開示の利益を考慮して、当業者によって選択される。
【0044】
他の構成では、図3を参照すると、第1の磁気カプラ310と、第2の磁気カプラ312と、サンプリング装置を受け入れるように構成されたポートまたは開口部320とを備える試料導入装置300が示されている。第1の磁気カプラ310と第2の磁気カプラ312とは同じであっても異なっていてもよい。さらに、磁気カプラ310、312は、開口部320からほぼ同じ距離だけ離間していてもよく、または開口部320から異なる距離だけ離間していてもよい。開口部320の正確な寸法およびサイズは変化してもよく、典型的には、サンプリング装置は、摩擦嵌合、ガスケット、ゴムシール、およびそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を介して開口部320に結合するが、ねじ山または他の適切な結合および継手も必要に応じて使用することができる。他の例では、磁気カプラ310、312からの磁場を使用して、サンプリング装置を開口部320内に保持し、サンプリング装置を機器の構成要素、例えば注入器に対して保持して、試料をサンプリング装置から機器に移すことができる。場合によっては、磁気カプラ310、312の各々は、ハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を独立して備えてもよい。磁石は、磁気カプラ310、312の各々がハルバッハ配列として機能するようにハウジングに配置することができる。例えば、磁気カプラ310、312の各々は、サンプリング装置に磁気的に結合するように構成することができる。いくつかの例では、磁気カプラ310、312の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。他の実施形態では、磁気カプラ310、312の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。磁石は、鉄系材料、希土類材料または他の磁気材料および磁気材料の組み合わせを含む多くの異なる材料を含むことができる。必要に応じて、磁気カプラ310は、磁気カプラ312よりも多いまたは少ない永久磁石を備えてもよい。後述するように、例えば円形ハルバッハ配列を含む他の構成を代わりに使用して、磁気カプラ310もしくは312またはその両方を提供することができる。場合によっては、磁気カプラ310、312の一方は線形ハルバッハ配列であってもよく、他方のカプラは円形ハルバッハ配列であってもよい。試料導入装置300における磁気カプラ310、312の正確な位置決めは様々であってもよく、望ましくは、磁気カプラ310、312は、試料導入装置の使用中に試料導入装置を所定の位置に保持するのに十分にサンプリング装置に近い。例えば、磁気カプラ310の第1の面は、開口部320内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。同様に、磁気カプラ312の第1の面は、開口部320内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。サンプリング装置の位置に対する磁気カプラ310、312の他の配置および位置決めは、本開示の利益を考慮して、当業者によって選択される。
【0045】
いくつかの実施形態では、図4を参照すると、第1の磁気カプラ410と、第2の磁気カプラ412と、第3の磁気カプラ414と、サンプリング装置を受け入れるように構成されたポートまたは開口部420とを備える試料導入装置400が示されている。第1の磁気カプラ410、第2の磁気カプラ412および第3の磁気カプラ414は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、磁気カプラ410、412は、開口部420からほぼ同じ距離だけ離間していてもよく、または開口部420から異なる距離だけ離間していてもよい。開口部420の正確な寸法およびサイズは変化してもよく、典型的には、サンプリング装置は、摩擦嵌合、ガスケット、ゴムシール、およびそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を介して開口部420に結合するが、ねじ山または他の適切な結合および継手も必要に応じて使用することができる。他の例では、磁気カプラ410、412、414からの磁場を使用して、サンプリング装置を開口部420内に保持し、サンプリング装置を機器の構成要素、例えば注入器に対して保持して、試料をサンプリング装置から機器に移送することができる。場合によっては、磁気カプラ410、412、414の各々は、ハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を独立して備えてもよい。磁石は、磁気カプラ410、412、414の各々がハルバッハ配列として機能するようにハウジングに配置することができる。例えば、磁気カプラ410、412、414の各々は、サンプリング装置に磁気的に結合するように構成することができる。いくつかの例では、磁気カプラ410、412、414の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。他の実施形態では、磁気カプラ410、412、414の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。磁石は、鉄系材料、希土類材料または他の磁気材料および磁気材料の組み合わせを含む多くの異なる材料を含むことができる。必要に応じて、磁気カプラ410、414、414のいずれか1つは、他の磁気カプラ410、412、414よりも多いまたは少ない永久磁石を備えてもよい。後述するように、例えば円形ハルバッハ配列を含む他の構成を代わりに使用して、磁気カプラを提供することができる。場合によっては、磁気カプラ410、412、414の1つは線形ハルバッハ配列であってもよく、他のカプラは円形ハルバッハ配列であってもよい。代替的な配置では、カプラ410、412、414のうちの2つ以上は線形ハルバッハ配列であってもよく、またはカプラ410、412、414のうちの2つ以上は円形ハルバッハ配列であってもよい。試料導入装置400における磁気カプラ410、412、414の正確な位置決めは様々であってもよく、望ましくは、磁気カプラ410、412、414は、試料導入装置の使用中に試料導入装置を所定の位置に保持するのに十分にサンプリング装置に近い。例えば、磁気カプラ410の第1の面は、開口部420内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。同様に、磁気カプラ412の第1の面は、開口部420内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。磁気カプラ414は、試料導入装置400を定位置に保持するのを助けるために、サンプリング装置に磁気的に結合することができ、および/または機器に磁気的に結合することができる。サンプリング装置の位置に対する磁気カプラ410、412、414の他の配置および位置決めは、本開示の利益を考慮して、当業者によって選択される。
【0046】
特定の実施形態では、図5を参照すると、第1の磁気カプラ510と、第2の磁気カプラ512と、第3の磁気カプラ514と、第4の磁気カプラ516と、サンプリング装置を受け入れるように構成されたポートまたは開口部520とを含む試料導入装置500が示されている。第1の磁気カプラ510、第2の磁気カプラ512、第3の磁気カプラ514および第4の磁気カプラ516は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、磁気カプラ510、512は、開口部520からほぼ同じ距離だけ離間していてもよく、または開口部520から異なる距離だけ離間していてもよい。磁気カプラ514、516は、開口部520からほぼ同じ距離だけ離間していてもよく、または開口部520から異なる距離だけ離間していてもよい。開口部520の正確な寸法およびサイズは変化してもよく、典型的には、サンプリング装置は摩擦嵌合によって開口部520に結合する。他の例では、磁気カプラ510、512、514、516からの磁場を使用して、サンプリング装置を開口部520内に保持し、サンプリング装置を機器の構成要素、例えば注入器に対して保持して、試料をサンプリング装置から機器に移送することができる。しかしながら、必要に応じて、システムの全体構成に応じて、代わりに試料を機器からサンプリング装置に移送することができる。場合によっては、磁気カプラ510、512、514、516の各々は、ハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を独立して備えてもよい。磁石は、磁気カプラ510、512、514、516の各々がハルバッハ配列として機能するようにハウジングに配置することができる。例えば、磁気カプラ510、512、514、516の各々は、サンプリング装置に磁気的に結合するように構成することができる。いくつかの例では、磁気カプラ510、512、514、516の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。他の実施形態では、磁気カプラ510、512、514、516の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。磁石は、鉄系材料、希土類材料または他の磁気材料および磁気材料の組み合わせを含む多くの異なる材料を含むことができる。必要に応じて、磁気カプラ510、512、514、516のいずれか1つは、他の磁気カプラ510、512、514、516よりも多いまたは少ない永久磁石を備えてもよい。後述するように、例えば円形ハルバッハ配列を含む他の構成を代わりに使用して、磁気カプラを提供することができる。場合によっては、磁気カプラ510、512、514、516の1つは線形ハルバッハ配列であってもよく、他のカプラは円形ハルバッハ配列であってもよい。代替的な配置では、カプラ510、512、514、516のうちの2つ以上は線形ハルバッハ配列であってもよく、またはカプラ510、512、514、516のうちの2つ以上は円形ハルバッハ配列であってもよい。試料導入装置500における磁気カプラ510、512、514、516の正確な位置決めは様々であってもよく、望ましくは、磁気カプラ510、512、514、516は、試料導入装置の使用中に試料導入装置を所定の位置に保持するのに十分にサンプリング装置に近い。例えば、磁気カプラ510の第1の面は、開口部520内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。同様に、磁気カプラ512の第1の面は、開口部520内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。磁気カプラ514、516は、試料導入装置500を定位置に保持するのを助けるために、サンプリング装置に磁気的に結合することができ、および/または機器に磁気的に結合することができる。サンプリング装置の位置に対する磁気カプラ510、512、514、516の他の配置および位置決めは、本開示の利益を考慮して、当業者によって選択される。
【0047】
2つ以上の磁気カプラを備える実施形態では、磁気カプラは、離間される、または開口部の各側に配置される必要はない。図6を参照すると、試料導入装置600は、第1の磁気カプラ610と、第2の磁気カプラ612と、開口部620とを備える。第1の磁気カプラ610と第2の磁気カプラ612とは同じであっても異なっていてもよく、開口部620の片側に位置する。開口部620の正確な寸法およびサイズは変化してもよく、典型的には、サンプリング装置は摩擦嵌合によって開口部620に結合する。他の例では、磁気カプラ610、612の一方または両方からの磁場を使用して、サンプリング装置を開口部620内に保持し、サンプリング装置を機器の構成要素、例えば注入器に対して保持して、試料をサンプリング装置から機器に移送することができる。しかしながら、必要に応じて、システムの全体構成に応じて、代わりに試料を機器からサンプリング装置に移送することができる。場合によっては、磁気カプラ610、612の各々は、ハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を独立して備えてもよい。磁石は、磁気カプラ610、612の各々がハルバッハ配列として機能するようにハウジングに配置することができる。例えば、磁気カプラ610、612の各々は、サンプリング装置に磁気的に結合するように構成することができる。いくつかの例では、磁気カプラ610、612の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。他の実施形態では、磁気カプラ610、612の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。磁石は、鉄系材料、希土類材料または他の磁気材料および磁気材料の組み合わせを含む多くの異なる材料を含むことができる。必要に応じて、磁気カプラ610は、磁気カプラ612よりも多いまたは少ない永久磁石を備えてもよい。例えば円形ハルバッハ配列を含む他の構成を代わりに使用して、磁気カプラを提供することができる。場合によっては、磁気カプラ610、612の一方は線形ハルバッハ配列であってもよく、他方のカプラは円形ハルバッハ配列であってもよい。試料導入装置600における磁気カプラ610、612の正確な位置決めは様々であってもよく、望ましくは、磁気カプラ610、612の少なくとも1つは、試料導入装置の使用中に試料導入装置を定位置に保持するのに十分にサンプリング装置に近い。例えば、磁気カプラ610の第1の面は、開口部620内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。サンプリング装置の位置に対する磁気カプラ610、612の他の配置および位置決めは、本開示の利益を考慮して、当業者によって選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、磁気カプラのアレイが試料導入装置内に存在してもよい。例えば、図7を参照すると、磁気カプラの2×2アレイが存在し、磁気カプラ710、712は、磁気カプラ714、716が配置されている半径方向平面とは開口部720に沿って異なる半径方向平面に配置されている。3×3、4×4、5×5、6×6または非対称アレイ、例えば2×3、2×4、3×2、3×4などを含む他のアレイが代わりに存在してもよい。第1の磁気カプラ710、第2の磁気カプラ712、第3の磁気カプラ714および第4の磁気カプラ716は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、磁気カプラ710、712は、開口部720からほぼ同じ距離だけ離間していてもよく、または開口部720から異なる距離だけ離間していてもよい。磁気カプラ714、716は、開口部720からほぼ同じ距離だけ離間していてもよく、または開口部720から異なる距離だけ離間していてもよい。開口部720の正確な寸法およびサイズは変化してもよく、典型的には、サンプリング装置は摩擦嵌合によって開口部720に結合する。他の例では、磁気カプラ710、712、714、716からの磁場を使用して、サンプリング装置を開口部720内に保持し、サンプリング装置を機器の構成要素、例えば注入器に対して保持して、試料をサンプリング装置から機器に移送することができる。しかしながら、必要に応じて、システムの全体構成に応じて、代わりに試料を機器からサンプリング装置に移送することができる。場合によっては、磁気カプラ710、712、714、716の各々は、ハウジングに配置された複数の個々の永久磁石を独立して備えてもよい。磁石は、磁気カプラ710、712、714、716の各々がハルバッハ配列として機能するようにハウジングに配置することができる。例えば、磁気カプラ710、712、714、716の各々は、サンプリング装置に磁気的に結合するように構成することができる。いくつかの例では、磁気カプラ710、712、714、716の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも4つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。他の実施形態では、磁気カプラ710、712、714、716の各々は、隣接して配置された磁極配向を有する少なくとも6つの配置された個々の永久磁石を備え、個々の磁石は互いに90度オフセットされている。磁石は、鉄系材料、希土類材料または他の磁気材料および磁気材料の組み合わせを含む多くの異なる材料を含むことができる。必要に応じて、磁気カプラ710、712、714、716のいずれか1つは、他の磁気カプラ710、712、714、716よりも多いまたは少ない永久磁石を備えてもよい。例えば円形ハルバッハ配列を含む他の構成を代わりに使用して、磁気カプラを提供することができる。場合によっては、磁気カプラ710、712、714、716の1つは線形ハルバッハ配列であってもよく、他のカプラは円形ハルバッハ配列であってもよい。代替的な配置では、カプラ710、712、714、716のうちの2つ以上は線形ハルバッハ配列であってもよく、またはカプラ710、712、714、716のうちの2つ以上は円形ハルバッハ配列であってもよい。試料導入装置700における磁気カプラ710、712、714、716の正確な位置決めは様々であってもよく、望ましくは、磁気カプラ710、712、714、716は、試料導入装置の使用中に試料導入装置を所定の位置に保持するのに十分にサンプリング装置に近い。例えば、磁気カプラ710の第1の面は、開口部720内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。同様に、磁気カプラ712の第1の面は、開口部720内のサンプリング装置に隣接して配置されて、サンプリング装置に隣接して磁場を提供し、試料導入装置の使用中にそれを所定の位置に保持することができる。磁気カプラ714、716は、試料導入装置700を定位置に保持するのを助けるために、サンプリング装置に磁気的に結合することができ、および/または機器に磁気的に結合することができる。サンプリング装置の位置に対する磁気カプラ710、712、714、716の他の配置および位置決めは、本開示の利益を考慮して、当業者によって選択される。
【0049】
1~4つの磁気カプラを含む試料導入装置が図1図7に示されているが、必要に応じて4つを超える磁気カプラが存在してもよい。さらに、サンプリング装置を試料導入装置内の所定の位置に配置するために特定の磁気カプラが存在してもよく、試料導入装置を機器の別の構成要素に保持するために他の磁気カプラが存在してもよい。
【0050】
特定の構成では、本明細書に記載の磁気カプラと共に使用されるサンプリング装置は、ニードル、ニードルトラップ、吸着管、固相マイクロ抽出(SPME)サンプリング装置、マイクロ抽出コイルサンプリング装置、および気体、液体、固体または他の材料をサンプリングするために使用することができる他のサンプリング装置を含む多くの形態をとることができる。いくつかの実施形態では、サンプリング装置を使用して気体分析物をサンプリングすることができる。例えば、気体分析物は、サンプリング装置に引き込まれ、吸収され、または他の方法で導入されてもよく、そこで保持され、後でサンプリング装置から機器に導入することによって分析され得る。1つまたは複数の磁気カプラを使用して、サンプリング装置を押し下げて、サンプリング装置から機器の別の構成要素への導入を可能にすることができる。場合によっては、サンプリング装置は、機器内に存在するセンサを始動させるように作用することができる磁性または鉄系材料を含むことができる。例えば、鉄系材料は、サンプリング装置の外面内または外面上に存在してもよい。サンプリング装置が磁気カプラによって押し下げられると、鉄系材料の存在を磁気センサによって検出して、サンプリング装置内の試料の分析を開始することができる。サンプリング装置は、多くの異なる環境を能動的または受動的にサンプリングするために使用され得る。能動的サンプリングは、サンプリング装置への、またはサンプリング装置を通る気体試料の圧送を含むことができるが、受動的サンプリングは、拡散または通常の重力下での分析物試料の保持または吸着を含む。いくつかの実施形態では、サンプリング装置を使用して、水性および非水性試料を含む液体分析物をサンプリングすることができる。使用のための特定のサンプリング装置の選択は、少なくとも部分的に、収集および分析される分析物に依存し得る。例示的な分析物には、金属、非金属、炭化水素、例えば1つまたは複数の炭素原子を有する炭化水素、芳香族、ならびに他の有機および無機材料が含まれる。
【0051】
特定の実施形態では、サンプリング装置は、ニードルまたはニードルトラップを備えてもよい。ニードルトラップ800がニードル810および本体820を備える一例が図8に示されている。本体820は、1つまたは複数の吸着材料を含むことができる。吸着材料は、分析物を吸着および脱着するのに有効である。例示的な吸着材料には、グラスウール、ポリジメチルシロキサンコーティング粒子、ジビニルベンゼン、カーボンブラック吸着材料、グラファイトカーボンブラック吸着材料およびそれらの組み合わせ、または吸着管に関連して以下に記載される吸着材料が含まれるが、これらに限定されない。ニードルトラップ800はまた、ニードルトラップが試料導入装置の開口部に挿入されたときに磁気センサを作動させるために、ニードルトラップの一部に鉄コーティング(または磁気コーティング)を含むか、または鉄系材料(または磁気材料)から製造されてもよい。
【0052】
特定の例では、1つまたは複数の吸着媒体を含む吸着管を、本明細書に記載の装置およびシステムと共に使用することができる。図9を参照すると、管900は、中空体内に吸着材料を充填することを可能にするために、典型的には中空体である本体910を備える。管900の本体910は、1つまたは複数の金属、1つまたは複数のガラス、1つまたは複数のセラミック、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、本体910は、石英、ステンレス鋼、コーティングされたステンレス鋼、鉄系材料、磁気材料、または残留物を脱着させるために使用される温度サイクルに耐えることができる他の金属もしくは非金属系材料を含んでもよい。本明細書で説明するように、吸着された構成要素の脱着のために本体910を熱源に熱的に結合することが望ましい場合がある。本体910はまた、吸着管が試料導入装置の開口部に挿入されたときに磁気センサを作動させるために、ニードル本体910の一部に鉄コーティング(または磁気コーティング)を含むか、または鉄系材料もしくは磁気材料から製造されてもよい。管900はまた、入口920および出口925を備える。2つ以上の吸着材料がしばしば存在するが、2つの異なる吸着材料930および940が本体910内に存在するものとして示されている。吸着材料930、940は、中空本体910内に配置することができ、本体910の内部容積の少なくとも一部を占めることができる。特定の例では、内部容積全体を異なる吸着材料930、940によって占有することができるが、他の例では、内部容積の少なくとも一部を開いたままにすることができ、例えば、入口920および出口925に隣接する領域は空であってもよい。吸着管900は、少なくとも1つの磁気カプラを使用して、例えばGCまたはGC/MSなどの分析装置に流体的に結合することができ、キャリアガスは、典型的には加熱を伴って出口925から入口920への一般的な方向に吸着管900を通って掃引されて、吸着された残留種を脱着することができる。特に、キャリアガスは、一般に試料収集物の吸着管900への流れの方向に対して逆流または逆平行な流れである方向に供給されてもよい。吸着種は、入口920を通って吸着管900から出る。次いで、脱着した種を注入器に供給し、次いでクロマトグラフィカラム(図示せず)に供給してそれらを分離し、続いて火炎イオン化検出器、質量分析計またはクロマトグラフィシステムに一般的に見られるもしくはクロマトグラフィシステムと共に使用される他の適切な検出器などの適切な分析器または検出器を使用してその後の分析を行うことができる。必要に応じて、例えば、従来の標準曲線技術および標準を使用することによって、残留物の総量を決定することができ、または1つまたは複数の残留構成要素の特定の量を決定することができる。図9には示されていないが、管900は、材料への実質的な吸着なしに凝縮表面を提供するのに有効な選択された量の材料を含むことができる。場合によっては、この材料は、吸着材料930の上流、例えば吸着材料930よりも入口920の近くに配置することができる。いくつかの例では、吸着管900に使用される様々な材料のベッド長、例えば、吸着管900の長手方向軸に沿った長さは同じであってもよいが、他の例では、ベッド長は異なっていてもよい。
【0053】
特定の実施形態では、吸着管は、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の吸着材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、吸着材料のうちの2つ以上は異なっていてもよく、他の実施形態では、吸着材料のうちの2つ以上は同じであってもよい。吸着管に使用される正確な材料は、サンプリング条件、脱着条件などに応じて変化し得る。いくつかの例では、吸着管は、ガラスビーズ、ガラスウール、ガラス粒子もしくはそれらの組み合わせ、または1つもしくは複数の他の材料と組み合わせたガラスビーズ自体を含む材料を含むことができる。ガラスビーズは一般に材料のいずれも吸着しないが、ガラスビーズは、管の前端で高分子量種、例えばC22以上の凝縮を可能にするための高い表面積を提供することができる。ガラスビーズは、前端で高分子量種を効果的に除去し、低分子量種が管を下って移動し、管に充填された吸着材料の1つによって吸着されることを可能にする。特定の例では、2つ以上の異なるタイプのガラスビーズが存在し得る。いくつかの実施形態では、より高分子量の構成要素、例えばC22以上を保持するために充填材料を含む必要はない場合がある。したがって、吸着管は、吸着管内に高分子量構成要素を保持するために、高い表面積を有する内部表面特徴、例えば一体型ガラスビーズ、キャップ、シェブロン、フィン、ガラスビーズなどを含むことができる。
【0054】
いくつかの例では、吸着材料の1つまたは複数は、グラファイト化カーボンブラック、例えば、Carbotrap(商標)B吸着剤またはCarbopack(商標)B吸着剤、Carbotrap(商標)Z吸着剤またはCarbopack(商標)Z吸着剤、Carbotrap(商標)C吸着剤またはCarbopack(商標)C吸着剤、Carbotrap(商標)X吸着剤またはCarbopack(商標)X吸着剤、Carbotrap(商標)Y吸着剤またはCarbopack(商標)Y吸着剤、Carbotrap(商標)F吸着剤またはCarbopack(商標)F吸着剤であってもよく、その任意の1つまたは複数は、その市販形態(SupelcoまたはSigma-Aldrichから市販されている)で使用され得るか、または既知のプロトコルに従ってグラファイト化され得る。他の例では、吸着材料は、Carboxen(商標)1000吸着剤、Carboxen(商標)1003吸着剤、またはCarboxen(商標)-1016吸着剤などの炭素モレキュラーシーブであってもよく、その任意の1つまたは複数は、その市販形態(SupelcoまたはSigma-Aldrichから市販されている)で使用され得るか、または既知のプロトコルに従って最適化され得る。
【0055】
3つの異なる材料が存在する特定の実施形態では、材料のうちの少なくとも2つは、本明細書に列挙された吸着材料のうちの1つであってもよく、吸着材料の各々は、吸着装置に使用される他の吸着材料とは異なる吸着材料である。そのような例では、2つの異なる吸着材料が、場合によりガラスビーズまたは他の構造もしくは材料と共に吸着管内に存在して、内部凝縮表面を提供する。3つの異なる吸着材料が存在するいくつかの実施形態では、吸着材料の各々は、本明細書に列挙された吸着材料のうちの1つであってもよく、吸着材料の各々は、吸着装置に使用される他の吸着材料とは異なる吸着材料である。そのような例では、3つの異なる吸着材料が、場合によりガラスビーズまたは他の構造もしくは材料と共に吸着管内に存在して、内部凝縮表面を提供する。いくつかの例では、本明細書に記載の吸着管は、吸着管入口に隣接するガラスビーズ(またはガラスビーズを含む材料)およびガラスビーズの下流のガラスビーズ以外の1つまたは複数の材料を含むことができる。例えば、吸着管は、ガラスビーズおよび1つまたは複数のCarbopack(商標)またはCarbotrap(商標)材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、吸着管は、入口に隣接するガラスビーズと、ガラスビーズの下流、例えば管の出口に近い少なくとも2つの異なるCarbopack(商標)材料とを含むことができる。他の実施形態では、吸着管は、入口に隣接するガラスビーズと、ガラスビーズの下流の少なくとも2つの異なるCarbotrap(商標)材料とを含むことができる。他の実施形態では、吸着管は、入口に隣接するガラスビーズと、ガラスビーズの下流の少なくとも1つのCarbotrap(商標)材料と、ガラスビーズの下流の少なくとも1つのCarbopack(商標)材料とを含むことができる。様々な材料を充填する際に、最も強い吸着強度を有する材料は、通常、出口に最も近く充填され、最も弱い吸着強度を有する吸着剤は、吸着管の入口に最も近く充填される。本明細書で述べるように、様々な材料のベッド長は同じであっても異なっていてもよい。
【0056】
特定の例では、吸着管内の材料のメッシュサイズまたは範囲は、選択された特定の材料に応じて変化し得る。いくつかの例では、メッシュサイズは、20~約100、より具体的には約20~80、30~70または40~60の範囲であり得る。他の例では、メッシュサイズ範囲は、吸着管に使用される材料に応じて、約20~40、40~60、60~80または80~100であり得る。他の適切なメッシュサイズは、本開示の利益を考慮して、当業者によって容易に選択されるであろう。
【0057】
特定の実施形態では、サンプリング装置は、固相マイクロ抽出(SPME)を実行するように構成されてもよい。SPMEでは、分析物が抽出され、収集され、濃縮される。SPME技術は、分析物を吸着または捕捉することができる1つまたは複数の材料または材料コーティングを含むSPME繊維を使用することができる。捕捉後、SPME繊維は、熱脱着、分離および検出のために加熱注入器ポートに直接挿入することができる。SPMEサンプリング装置上またはSPMEサンプリング装置内に存在し得る例示的な材料としては、ジビニルベンゼン(DVB)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアクリレート、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンモレキュラーシーブ、Carboxen(登録商標)材料、吸着管に関連して記載された吸着材料およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。存在する正確な材料は、少なくとも部分的に、吸着される分析物の性質に依存し得る。例えば、PDMSは、60~600g/molの分子量を有する非極性分析物と共に使用されることが多い。ポリアクリレート材料は、80~300g/molの分子量を有する極性分析物を捕捉するために使用されることが多い。DVB/PDMS繊維は、50~500g/molの分子量を有する芳香族化合物を捕捉するために使用されることが多い。カーボンブラック/DPMS繊維は、30~275g/molの分子量を有する高度に揮発性および半揮発性の分析物を捕捉するために使用されることが多い。3つ以上の異なる材料を有する繊維はまた、異なる揮発性の分析物が試料中に存在する多くの場合に使用される。SPME繊維は、所望に応じてシリンジ、ニードルまたは他の装置に存在してもよく、または試料導入装置の開口部に封止することができるフェルールと共に存在してもよい。一例が図10Aに示されており、SPME繊維1010は、繊維1010よりも大きい外径を有するフェルール1020を備える。繊維1010、フェルール1020、またはその両方は、繊維1010が試料導入装置に挿入されると磁気センサを作動させるために使用することができる鉄系材料を含むことができる。
【0058】
いくつかの例では、コイル状形態で存在するが、SPME繊維と同様のマイクロ抽出コイルを使用して、環境をサンプリングし、分析物をコイルに吸着することができる。例えば、コイル状材料をシリンジ本体内に存在させ、液体分析物または気体分析物を吸着するために使用することができる。マイクロ抽出コイルの一部は、マイクロ抽出コイルが試料導入装置に挿入されると磁気センサを作動させるための磁気または鉄系材料を含み得る。図10Bを参照すると、シリンジ本体または他のハウジングの内側に存在することができるコイル状本体1060を備えるマイクロ抽出コイル1050が示されている。コイル状本体1060は、例えば、ニードルトラップ、SPME繊維および吸着管に関連して説明したような1つまたは複数の材料を含むことができる。これらの材料をコイル状本体1060に塗布してもよいし、これらの材料から直接コイル状本体1060を形成してもよい。
【0059】
特定の実施形態では、本明細書に記載の試料導入装置およびサンプリング装置は、典型的には、サンプリング装置内に存在する異なる分析物を分離するためのクロマトグラフィシステムと共に使用される。クロマトグラフィシステムは、ガスクロマトグラフィシステム、液体クロマトグラフィシステム、超臨界流体クロマトグラフィシステム、または他のクロマトグラフィシステムであってもよい。クロマトグラフィシステムは、可搬式であってもよく、実験室の実験台上に配置されてもよく、または他の形態をとってもよい。例えば、クロマトグラフィシステムは、測定のために現場に運べるように、ブリーフケースまたはバックパックと同様のサイズにすることができる。他の例では、クロマトグラフィシステムは、分離および/または検出のためにカートリッジに搭載された適切な構成要素を含み得るカートリッジの形態をとることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、図11を参照すると、ガスクロマトグラフィシステム1100の簡略図が示されているが、本開示の利点を考慮すると、GCシステムの他の構成が当業者によって認識されるであろう。GCシステム1100は、流体ラインを介して圧力調整器1120に流体的に結合されたキャリアガス源1110を備える。圧力調整器1120は、流体ラインを介して分流器1130に流体的に結合されている。分流器1130は、キャリアガス流を少なくとも2つの流体ラインに分割するように構成される。分流器1130は、流体ラインのうちの1つを介して注入器1140に流体的に結合される。本明細書に記載の試料導入装置は、試料をサンプリング装置から注入器1140に導入するために注入器1140に結合することができる。例えば、1つまたは複数の磁気カプラがサンプリング装置を注入器1140に保持することができるので、サンプリング装置から注入器1140内に試料を供給することができる。導入された試料は、注入器1140の一部および固定相を含むカラム1150を収容することができるオーブン1135内で気化される。図示されていないが、注入器1140は、様々な分析物を吸着および脱着するように構成された吸着管または装置またはSPME繊維と完全に交換することができる。カラム1150は、分析種を個々の分析種構成要素に分離し、それらの分析種が矢印1165の一般的な方向に出口1160を通って出ることを可能にする。次いで、以下により詳細に記載されるように、出てくる分析物を1つまたは複数の検出器に提供することができる。いくつかの例では、熱脱着装置またはモジュール(図示せず)は、注入器1140に流体的に結合することができ、吸着管内の吸着剤媒体に吸着された分析物を脱着するために、またはSPME繊維に吸着された分析物を脱着するために使用することができる。
【0061】
特定の実施形態では、本明細書に記載の試料導入装置は、液体クロマトグラフィシステムで使用することができる。ガスクロマトグラフィとは対照的に、液体クロマトグラフィ(LC)は、液体移動相および固定相を使用して種を分離する。液体クロマトグラフィは、様々な有機または生物学的分析物を互いに分離する際の使用に望ましい場合がある。図12を参照すると、液体クロマトグラフィシステムの一構成の簡略化された概略図が示されている。この構成では、システム1200は、高速液体クロマトグラフィを実行するように構成される。システム1200は、ポンプ1220などの1つまたは複数のポンプに流体的に結合された液体リザーバまたは供給源1210を備える。ポンプ1220は、流体ラインを介して注入器1240に流体的に結合される。必要に応じて、フィルタ、背圧調整器、トラップ、排水弁、パルスダンパ、または他の構成要素が、ポンプ1220と注入器1240との間に存在してもよい。試料は、1つまたは複数の磁気カプラを使用して注入器1240に結合された試料導入装置(本明細書に記載)から導入することができる。注入器1240には液体試料が注入され、カラム1250に供給される。カラム1250は、試料中の液体分析物構成要素を、カラム1250から溶出する個々の分析物構成要素に分離することができる。次いで、個々の分析物構成要素は、流体ライン1265を通ってカラム1250から出ることができ、1つまたは検出器、分析器またはステージに提供することができる。さらに、直列または並列GC/LCシステムを備えるハイブリッドシステムを使用して、特定の分析物構成要素を気化させ、GCを使用してそれらを分離しながら、分離された分析物構成要素を1つまたは複数の検出器または他の構成要素に提供する前にLC技術を使用して他の構成要素を分離することもできる。
【0062】
場合によっては、サイズ排除液体クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、高速タンパク質液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、免疫隔離または他のクロマトグラフィ技術などの他の液体クロマトグラフィ技術も使用することができる。特定の実施形態では、超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)システムを使用することができる。図13を参照すると、システム1300は、ポンプ1320などの1つまたは複数のポンプに流体的に結合された二酸化炭素源1310を備える。ポンプ1320は、流体ラインを介して注入器1340に流体的に結合される。必要に応じて、フィルタ、背圧調整器、トラップ、排水弁、パルスダンパ、または他の構成要素が、ポンプ1320と注入器1340との間に存在してもよい。液体試料は、例えば本明細書に記載の試料導入装置から注入器1340に注入され、オーブン1345内のカラム1350に供給される。カラム1350は、試料中の液体分析物構成要素をカラム1350から溶出する個々の分析物構成要素に分離するために、超臨界二酸化炭素を使用することができる。次いで、個々の分析物構成要素は、流体ライン1365を通ってカラム1350から出ることができ、1つまたは複数の検出器、分析器または本明細書に記載の他の構成要素に提供することができる。直列または並列GC/SFCシステムを備えるハイブリッドシステムを使用して、特定の分析物構成要素を気化させ、GCを使用してそれらを分離しながら、分離された分析物構成要素を1つまたは複数の検出器または他の構成要素に提供する前にSFC技術を使用して他の構成要素を分離することもできる。
【0063】
特定の実施形態では、試料導入装置およびクロマトグラフィシステムは、イオン化源、質量分析器および検出器を含む機器と共に存在するかまたは共に使用することができる。簡略図が図14に示されており、システム1400は、試料導入装置1410と、クロマトグラフィシステム1420と、イオン化源1430と、質量分析器1440と、検出器1450とを備える。試料が試料導入装置1410からクロマトグラフィシステム1420に導入されると、個々の分析物がクロマトグラフィシステム1420から溶出し、イオン化源1430に提供され得る。イオン化源1430は、分析物をイオン化し、イオン化された分析物をフィルタリング、選択、またはその両方のために質量分析器1440に供給することができる。得られたイオンは、検出のために検出器1450に供給することができる。
【0064】
特定の実施形態では、使用される正確なイオン化源は変化し得る。例えば、イオン化源1430は、誘導結合プラズマ、放電プラズマ、容量結合プラズマ、マイクロ波誘導プラズマ、グロー放電イオン化源、脱離イオン化源、エレクトロスプレーイオン化源、大気圧イオン化源、大気圧化学イオン化源、光イオン化源、電子イオン化源および化学イオン化源のうちの1つ以上を含む。他のイオン化源およびイオン化源の組み合わせも使用することができる。
【0065】
特定の例では、質量分析器1440は、例えば四重極または他のロッドアセンブリなどの1つまたは複数のロッドアセンブリを含むことができる。質量分析器は、イオン化源1430から受け取られた入射ビームをサンプリングおよび/またはフィルタリングするために使用することができる1つまたは複数のイオンガイド、コリジョンセル、イオン光学系および他の構成要素をさらに備えることができる。様々な構成要素は、干渉種を除去し、光子を除去し、別の方法で入射イオンから所望のイオンを選択するのを助けるように選択することができる。いくつかの例では、質量分析器1440は飛行時間型装置であってもよく、または飛行時間型装置を含んでもよい。場合によっては、質量分析器1440は、それ自体の無線周波数発生器を備えてもよい。特定の例では、質量分析器1440は、走査質量分析器、磁気セクタ分析器(例えば、単焦点および二重焦点MS装置で使用するためのもの)、四重極質量分析器、イオントラップ分析器(例えば、サイクロトロン、四重極イオントラップ)、飛行時間分析器(例えば、マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型分析器)、および異なる質量電荷比を有する種を分離することができる他の適切な質量分析器である。必要に応じて、質量分析器1440は、イオンインターフェースから受け取ったイオンを選択および/または識別するために、直列に配置された2つ以上の異なる装置、例えばタンデムMS/MS装置またはトリプル四重極装置を備えることができる。質量分析器は、質量分析器の様々なステージでイオンを選択するために使用される真空を提供するために真空ポンプに流体的に結合することができる。真空ポンプは、典型的には、粗面化ポンプもしくはフォラインポンプ、ターボ分子ポンプ、またはその両方である。質量分析器に存在し得る様々な構成要素は、例えば、共同所有されている米国特許第10,032,617号、同第9,916,969号、同第9,613,788号、同第9,589,780号、同第9,368,334号、同第9,190,253号、およびPerkinElmer Health Sciences社(マサチューセッツ州ウォルサム)またはPerkinElmer Health Sciences Canada社(ウッドブリッジ、カナダ)が現在所有している他の特許に記載されている。
【0066】
いくつかの実施形態では、質量分析器1440は、電場、磁場、またはその両方を使用してイオンをフィルタリングまたは選択することができる。一例では、質量分析器はイオントラップを備えてもよい。イオントラップ内に存在する正確な構成要素は変化し得るが、単純なイオントラップは、中央ドーナツ形状のリング電極および一対のエンドキャップ電極を備え得る。2つのエンドキャップ電極が接地されている間に、可変高周波(RF)電圧をリング電極に印加することができる。適切な質量電荷比(m/z)を有するイオンは、リング電極によって囲まれたキャビティ内の安定した軌道を循環する。RF電圧が増加するにつれて、より重いイオンの軌道は安定化されるが、より軽いイオンの軌道は不安定化され、それらをリング電極の壁に衝突させる。イオンが導入された後にRF電圧を走査することによって、不安定化されたイオンは、エンドキャップの開口部を通ってリングキャビティから出て、検出のために検出器に供給することができる。必要に応じて、本明細書に記載の試料導入装置と共にサイクロトロン共鳴トラップを使用することもできる。
【0067】
いくつかの例では、検出器1450を使用して、質量分析器によってフィルタリングまたは選択されたイオンを検出することができる。検出器は、例えば、既存の質量分析計、例えば、電子増倍管、ファラデーカップ、コーティングされた写真プレート、シンチレーション検出器、マルチチャネルプレートなどと共に使用することができる任意の適切な検出装置、および本開示の利益を考慮して当業者によって選択される他の適切な装置であり得る。質量分析計で使用することができる例示的な検出器は、例えば、共同所有されている米国特許第9,899,202号、同第9,384,954号、同第9,355,832号、同第9,269,552号、およびPerkinElmer Health Sciences社(マサチューセッツ州ウォルサム)またはPerkinElmer Health Sciences Canada社(ウッドブリッジ、カナダ)が現在所有している他の特許に記載されている。
【0068】
特定の事例では、システムはまた、典型的にはマイクロプロセッサおよび/またはコンピュータの形態をとるプロセッサ1460と、質量分析器1440に導入される試料の分析に適したソフトウェアとを備えてもよい。プロセッサ1460は、クロマトグラフィシステム1420、イオン化源1430、質量分析器1440および検出器1450に電気的に結合されているように示されているが、システムの異なる構成要素を全体的に制御または動作させるために、他の構成要素、例えば試料導入装置に電気的に結合することもできる。さらに、プロセッサ1460は、サンプリング装置が分析を開始するための適切な位置にいつ存在するかを決定するために使用することができる磁気センサ(または他のセンサ)に電気的に結合することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ1460は、システムを使用する様々な動作モードのためにシステムの動作を制御および調整するために、例えばコントローラ内にまたはスタンドアロンプロセッサとして存在することができる。この目的のために、プロセッサ1460は、システム1400の各構成要素、例えば、1つまたは複数のポンプ、1つまたは複数の電圧源、ロッドなどに電気的に結合することができる。
【0069】
特定の構成では、プロセッサ1460は、例えば、イオン化源、ポンプ、質量分析器、検出器などの電圧を制御するために、例えばマイクロプロセッサおよび/またはシステムを動作させるための適切なソフトウェアを含む1つまたは複数のコンピュータシステムおよび/または共通のハードウェア回路に存在してもよい。いくつかの例では、システムの任意の1つまたは複数の構成要素は、その構成要素の動作を可能にするために、それ自体のそれぞれのプロセッサ、オペレーティングシステム、および他の機能を含むことができる。プロセッサは、システムと一体であってもよく、またはシステムの構成要素に電気的に結合された1つまたは複数のアクセサリ基板、プリント回路基板、またはコンピュータ上に存在してもよい。プロセッサは、典型的には、システムの他の構成要素からデータを受信し、必要または所望に応じて様々なシステムパラメータの調整を可能にするために、1つまたは複数のメモリユニットに電気的に結合される。プロセッサは、Unix(登録商標)、Intel PENTIUM(登録商標)型プロセッサ、Motorola PowerPC、Sun UltraSPARC、Hewlett-Packard PA-RISCプロセッサ、または任意の他のタイプのプロセッサに基づくものなどの汎用コンピュータの一部であってもよい。本技術の様々な実施形態に従って、任意の種類のコンピュータシステムのうちの1つまたは複数を使用することができる。さらに、システムは、単一のコンピュータに接続されてもよいし、通信ネットワークによって接続された複数のコンピュータに分散されてもよい。ネットワーク通信を含む他の機能を実行することができ、本技術は任意の特定の機能または機能のセットを有することに限定されないことを理解されたい。様々な態様は、汎用コンピュータシステムで実行される専用ソフトウェアとして実装されてもよい。コンピュータシステムは、ディスクドライブ、メモリ、またはデータを記憶するための他のデバイスなどの1つまたは複数のメモリ装置に接続されたプロセッサを含むことができる。メモリは、典型的には、様々なモードでのシステムの動作中にプログラム、較正およびデータを記憶するために使用される。コンピュータシステムの構成要素は、1つまたは複数のバス(例えば、同じ機械内に統合された構成要素間)および/またはネットワーク(例えば、別々の個々の機械に存在する構成要素間)を含むことができる相互接続装置によって結合することができる。相互接続装置は、システムの構成要素間で交換される通信(例えば、信号、データ、命令)を提供する。コンピュータシステムは、典型的には、システム1400の迅速な制御を可能にするために、例えば数ミリ秒、数マイクロ秒以下の処理時間内にコマンドを受信および/または発行することができる。例えば、真空圧力を制御し、イオンインターフェースの要素に電圧を供給するなどのために、コンピュータ制御を実施することができる。プロセッサ1460は、典型的には、例えば、直流源、交流源、バッテリ、燃料電池、もしくは他の電源、または電源の組み合わせとすることができる電源に電気的に結合される。電源は、システムの他の構成要素によって共有され得る。システムはまた、1つまたは複数の入力デバイス、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、マイクロフォン、タッチスクリーン、手動スイッチ(例えば、オーバーライドスイッチ)、および1つまたは複数の出力デバイス、例えば、印刷デバイス、ディスプレイスクリーン、スピーカを含むことができる。さらに、システムは、(相互接続装置に加えて、または相互接続装置の代替として)コンピュータシステムを通信ネットワークに接続する1つまたは複数の通信インターフェースを含むことができる。システムはまた、システム内に存在する様々な電気装置から受信した信号を変換するための適切な回路を含むことができる。そのような回路は、プリント回路基板上に存在することができ、または適切なインターフェース、例えば、シリアルATAインターフェース、ISAインターフェース、PCIインターフェースなどを介して、または1つもしくは複数の無線インターフェース、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、近距離無線通信もしくは他の無線プロトコルおよび/もしくはインターフェースを介してプリント回路基板に電気的に結合された別個の基板もしくは装置上に存在することができる。
【0070】
特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムで使用される記憶システムは、典型的にはコンピュータ可読および書き込み可能な不揮発性記録媒体を含み、これには、プロセッサによって実行されるプログラムによって使用され得るコードを記憶することができ、またはプログラムによって処理される情報が媒体上もしくは媒体内に記憶されている。媒体は、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、またはフラッシュメモリであってもよい。通常、動作中、プロセッサは、媒体よりもプロセッサによる情報への高速アクセスを可能にする別のメモリに不揮発性記録媒体からデータを読み込ませる。このメモリは、典型的には、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはスタティックメモリ(SRAM)などの揮発性ランダムアクセスメモリである。これは、記憶システムまたはメモリシステム内に配置されてもよい。プロセッサは、一般に、集積回路メモリ内のデータを操作し、次いで、処理が完了した後にデータを媒体にコピーする。媒体と集積回路メモリ素子との間のデータ移動を管理するための様々な機構が知られており、本技術はそれに限定されない。本技術はまた、特定のメモリシステムまたはストレージシステムに限定されない。特定の実施形態では、システムはまた、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの、特別にプログラムされた専用ハードウェアを含むことができる。本技術の態様は、ソフトウェア、ハードウェアもしくはファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実施することができる。さらに、そのような方法、動作、システム、システム要素、およびそれらの構成要素は、上述のシステムの一部として、または独立した構成要素として実装されてもよい。特定のシステムは、本技術の様々な態様を実施することができる1つのタイプのシステムとして例として記載されているが、態様は記載されたシステム上で実施されることに限定されないことを理解されたい。様々な態様は、異なるアーキテクチャまたは構成要素を有する1つまたは複数のシステム上で実施することができる。システムは、高レベルコンピュータプログラミング言語を使用してプログラム可能な汎用コンピュータシステムを備えることができる。システムはまた、特別にプログラムされた専用ハードウェアを使用して実装されてもよい。システムにおいて、プロセッサは、典型的には、Intel社から入手可能な周知のPentium(登録商標)クラスのイクロプロセッサなどの市販のプロセッサである。他の多くのプロセッサも市販されている。そのようなプロセッサは、通常、例えば、Microsoft社から入手可能なWindows(登録商標)95、Windows98、Windows NT、Windows2000(Windows ME)、Windows XP、Windows Vista、Windows 7、Windows 8もしくはWindows10オペレーティングシステム、Snow Leopard、Lion、Mountain LionなどのMAC OS(登録商標) X、またはAppleから入手可能な他のバージョン、Sun Microsystemsから入手可能なSolarisオペレーティングシステム、または様々なソースから入手可能なUNIX(登録商標)もしくはLinux(登録商標)オペレーティングシステムであり得るオペレーティングシステムを実行する。多くの他のオペレーティングシステムが使用されてもよく、特定の実施形態では、コマンドまたは命令の単純なセットがオペレーティングシステムとして機能してもよい。
【0071】
特定の例では、プロセッサおよびオペレーティングシステムは、高レベルプログラミング言語のアプリケーションプログラムを書き込むことができるプラットフォームを共に定義することができる。本技術は、特定のシステムプラットフォーム、プロセッサ、オペレーティングシステム、またはネットワークに限定されないことを理解されたい。また、本開示の利点を考慮すると、本技術が特定のプログラミング言語またはコンピュータシステムに限定されないことは当業者には明らかである。さらに、他の適切なプログラミング言語および他の適切なシステムも使用できることを理解されたい。特定の例では、ハードウェアまたはソフトウェアは、認知アーキテクチャ、ニューラルネットワーク、または他の適切な実装形態を実装するように構成することができる。所望に応じて、コンピュータシステムの1つまたは複数の部分は、通信ネットワークに結合された1つまたは複数のコンピュータシステムにわたって分散されてもよい。これらのコンピュータシステムはまた、汎用コンピュータシステムであってもよい。例えば、様々な態様は、1つまたは複数のクライアントコンピュータにサービス(例えば、サーバ)を提供するように、または分散システムの一部としてタスク全体を実行するように構成された1つまたは複数のコンピュータシステム間で分散されてもよい。例えば、様々な態様は、様々な実施形態による様々な機能を実行する1つまたは複数のサーバシステムに分散された構成要素を含むクライアント-サーバまたは多層システム上で実行されてもよい。これらの構成要素は、通信プロトコル(例えば、TCP/IP)を使用して通信ネットワーク(例えば、インターネット)を介して通信する実行可能コード、中間コード(例えば、IL)または解釈されたコード(例えば、Java(登録商標))であってもよい。本技術は、任意の特定のシステムまたはシステムのグループ上で実行することに限定されないことも理解されたい。また、本技術は、いかなる特定の分散アーキテクチャ、ネットワーク、または通信プロトコルにも限定されないことを理解されたい。
【0072】
場合によっては、例えば、SQL、SmallTalk、Basic、Java、Javascript、PHP、C++、Ada、Python、iOS/Swift、Ruby on RailsまたはC#(C-Sharp)などのオブジェクト指向プログラミング言語を使用して、様々な実施形態をプログラムすることができる。他のオブジェクト指向プログラミング言語も使用されてもよい。あるいは、関数、スクリプト、および/または論理プログラミング言語が使用されてもよい。様々な構成を、プログラムされていない環境(例えば、ブラウザプログラムのウィンドウに表示されたときに、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の態様をレンダリングし、または他の機能を実行するHTML、XML、または他のフォーマットで作成された文書)で実施することができる。特定の構成は、プログラムされたまたはプログラムされていない要素、またはそれらの任意の組み合わせとして実施されてもよい。いくつかの例では、システムは、有線または無線インターフェースを介して通信することができ、かつ所望に応じてシステムの遠隔操作を可能にするモバイル装置、タブレット、ラップトップコンピュータ、または他のポータブル装置上に存在するものなどのリモートインターフェースを備えることができる。
【0073】
特定の例では、図15Aを参照すると、試料導入装置は、サンプリング装置(図示せず)を受け入れるように構成された本体1500と、第1の磁気カプラ1510と、第2の磁気カプラ1512と、磁気センサ1520とを備えてもよい。例えば、磁気カプラ1510、1512の各々は、ハルバッハ配列として構成することができ、磁気センサ1520は、ホール効果センサとして構成することができる。サンプリング装置が鉄系または磁気材料を含む場合、本体1500へのサンプリング装置の挿入は、センサ1520を作動させることができる。図15Bを参照すると、ニードルトラップ1550が本体1500内に配置されているものとして示されている。磁気カプラ1510、1520は、ニードルトラップ1550を定位置に保持し、センサ1520を作動させる。センサ1520の作動は、ニードルトラップ1550内の試料を受け取って分析するための機器の起動を開始するためにプロセッサ(図示せず)によって使用され得る。
【0074】
図16を参照すると、試料導入装置が機器に連結されている機器の一部が示されている。例えば、較正試料をニードルトラップに配置することができる。試料導入装置は、第1の磁気カプラ1610および第2の磁気カプラ1612と、ニードルトラップ(図示せず)を受け入れるように構成された開口部1650とを備える。ニードルの先端は、広い領域(要素1655の下)に挿入され、分割された量のガスがチャンバを満たす。この結合はチャンバを加圧し、ガスはニードルトラップを通って押し出される。ニードルトラップ内のベッドは、較正された標準を捕捉し、キャリアガスは機器を出る。
【0075】
図16の構成要素の異なる図を示す図17を参照すると、磁気カプラおよび磁気センサの別の図が示されている。第1の磁気カプラ1610および第2の磁気カプラ1612は、サンプリング装置を受け入れるように構成された開口部1650に隣接して配置される。磁気センサ1660、例えばホール効果センサは、サンプリング装置がいつ開口部1650に挿入されるかを決定するように構成される。磁気センサ1660の作動は、試料の分析を開始するためにプロセッサに信号を送信することができ、あるいは何らかの他のステップを実行するために他の方法でプロセッサを開始することができる。開口部1650の正確な長さおよび寸法は変化し得る。いくつかの構成では、開口部1650は、サンプリング装置を受け入れ、開口部1650間の摩擦嵌合を通して、および磁気カプラ1610、1612によって提供される磁場を使用することによってそれを保持するようなサイズおよび配置にすることができる。本明細書で述べるように、必要に応じて、ガスケット、シールまたは他の継手および結合も使用することができる。例えば、開口部は、サンプリング装置の過挿入を防止するために、サンプリング装置の大部分と係合しながら、例えば、上面でフェルール、シリンジバレルなどと係合しながら、サンプリング装置の一部を開口部1650に挿入することを可能にするように構成されてもよい。
【0076】
特定の構成では、本明細書に記載の試料導入装置および異なる表面で異なる磁場強度を有する磁気カプラを使用することができる他の装置で使用することができる磁気カプラを組み立てるために、アセンブリ固定具を使用することができる。例えば、アセンブリ固定具を使用して、複数の配置された個々の永久磁石を備える磁気カプラを提供することができる。アセンブリ固定具は、個々の永久磁石を連続的に受け入れ、磁気カプラのハウジングに挿入することができる。図18を参照すると、連続的に挿入された個々の磁石を磁気カプラのハウジングに挿入する前に、連続的に挿入された個々の磁石の磁極配向を90度だけ配置およびオフセットするように構成された磁石回転子アセンブリ1810を備えるアセンブリ固定具1800が示されている。アセンブリ固定具1800はまた、磁石を磁気カプラのハウジングに挿入するために使用することができる挿入装置、例えばプランジャ1820と、磁気カプラのハウジングを受け入れることができる磁気カプラハウジングホルダ1830とを備える。図19を参照すると、磁石1845をホルダ1830に隣接して配置することができる。磁石回転子アセンブリ1810は、プランジャ1820の移動と組み合わせて、磁石を適切な向きに配置し、それらを磁気カプラのハウジングの開口端に挿入することができる。
【0077】
一例では、回転子アセンブリ1810は、図18において下向きの矢印を含む。磁気カプラのハウジングは、ホルダ1830の固定具1800に挿入される。磁石は、回転子アセンブリ1810の上方の固定具1800に装填することができる。プランジャ1820がホルダ1830に向かって押し込まれると、磁石がハウジングに挿入され、回転子アセンブリ1810が90度回転し、その結果、矢印はここでは固定具1800の左側を向いている。回転子アセンブリ1810のこの回転はまた、ハウジング内に挿入されるべき次の磁石を90度回転させる。プランジャ1820を引き抜いた後、プランジャを押し下げて、前に挿入された磁石から90度オフセットした向きで次の磁石をカプラハウジングに挿入することができる。また、第2の磁石が挿入されると、回転子アセンブリ1810が再び90度回転する。このプロセスは、所望の数の磁石がハウジングに挿入されて磁気カプラが提供されるまで繰り返すことができる。例えば、回転子アセンブリ1810は、磁気カプラをハウジングに挿入する前に磁石を適切に位置決めするために使用することができる4つの異なる位置を含むことができる。回転子アセンブリ1810は、個々の永久磁石を受け入れるように構成された磁石装填ステーションを含むことができ、磁石回転子アセンブリの第1の位置、第2の位置、第3の位置および第4の位置は、ハルバッハ配列を提供するために、個々の磁石の磁極を異なる磁極配向に配向させる。ホルダ1830は、磁気カプラのハウジングを受け入れるように構成されたスロットを備えてもよい。あるいは、ホルダ1830は、磁気カプラのハウジングをアセンブリ固定具1800に保持する装入装置を受け入れるようなサイズおよび配置であってもよい。ホルダ1830は、異なる長さのハウジングを受け入れるようなサイズおよび配置にすることができる。必要に応じて、第1のホルダ1830を取り外し、磁気カプラハウジングを受け入れることができるものより長いホルダと交換することができる。例えば、ホルダ1830を使用して、第1の磁気カプラのハウジングに4つの永久磁石を装填することができる。ホルダ1830は、第2の磁気カプラのハウジング内に六個の永久磁石を装填するために使用されるものより長いホルダと交換することができる。ホルダ1830は長方形である必要はなく、代わりに、非長方形の形状を有するハウジングを受け入れるために異なる形状にすることができる。
【0078】
特定の実施形態では、挿入装置1820の押し込みは、回転子アセンブリ1810と係合し、回転子アセンブリをその次の位置まで回転させることができる。あるいは、装填された個々の磁石を磁気カプラのハウジングに配置した後に挿入装置1820を引き込むと、磁石回転子アセンブリ1810に接触して、磁石回転子アセンブリ1810を異なる位置まで回転させることができる。別の構成では、エンドユーザは、回転子アセンブリ1810をその次の位置に手動で回転させることができる。
【0079】
特定の構成において、図20Aおよび図20Bを参照すると、ハウジング2010と、ハウジング内に挿入された複数の永久磁石2022、2024、2026、2028、2030および2032とを備える磁気カプラ2000が示されている。カプラ2000の第1の端部2012から始まってカプラ2000の第2の端部2014に向かって移動し、第1の磁石2022は、上向きのN極と下向きのS極とを備える。N極およびS極への言及は、単に便宜上なされており、第1の磁石2022にいかなる向きも必要とされることを意味するものではない。第2の磁石2024は、N極を左方に向け、S極を右方に向けている。第3の磁石2026は、N極を下方に向け、S極を上方に向けている。第4の磁石2028は、N極を右方に向け、S極を左方に向けている。第5の磁石2030は、N極を上側に向け、S極を下方に向けている。第6の磁石2032は、N極を左方に向け、S極を右方に向けている。特定の構成では、カプラ2000の一方の表面または側面における磁場は、異なる表面における磁場強度よりも大きい磁場強度を有することができる。例えば、磁気カプラ2000は、カプラ2000の一方の側の磁場がカプラ2000の第2の表面または側の磁場よりも大きいハルバッハ配列として構成することができる。いくつかの例では、1つの表面における磁場は、0または0に近い場合がある。特定の構成では、磁気カプラの第1の表面における磁場強度は、約-100ガウス~約200ガウス、例えば、約-70ガウス~約180ガウスで変化し得る。第2の表面における磁場強度は、約400ガウス~約700ガウス、例えば、約400ガウス~約670ガウスの範囲で変化し得る。磁気カプラ2000に使用される磁石は、希土類磁石、ネオジム鉄ホウ素(NdFeB)磁石、サマリウムコバルト(SmCo)磁石、アルミニウムニッケルコバルト(アルニコ)磁石、セラミック磁石、フェライト磁石、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0080】
磁石の線形アレイは、固定具1800を使用して生成されるが、本明細書に記載の磁気カプラは、線形形状以外の形状を含むことができる。例えば、円形のハルバッハ配列は、サンプリング装置を押し下げるために使用される磁気カプラに使用または存在することができる。あるいは、必要に応じて、異なる形状のハルバッハ配列の組み合わせが存在してもよい。
【0081】
特定の実施形態では、磁気カプラのハウジング内に磁石を保持するために、ハウジング2010の端部は、例えばプレートまたは他の構造で封止することができる。他の例では、テープ、接着剤、シーラントまたは他の材料を端部2012、2014に配置して、磁石をハウジング2010内に保持することができる。場合によっては、端部2012、2014を圧着して磁石をハウジング2010内に保持することができる。ハウジング2010は、典型的には、非磁気または非鉄系材料を含み、金属、プラスチック、ポリマー、紙または他の材料から製造することができる。
【0082】
特定の実施形態では、磁気カプラを提供するためのアセンブリ固定具は、磁石装填ステーションと、磁石回転子アセンブリと、磁気カプラのハウジングを受け入れるように構成された第1の端部と、挿入装置とを備えることができる。磁石装填ステーションは、個々の永久磁石を受け入れるようなサイズおよび配置にすることができる。磁石回転子アセンブリは、磁石装填ステーションに磁気的に結合することができ、第1の位置、第2の位置、第3の位置および第4の位置を含むことができる。固定具の第1の端部は、複数の個々に配置された永久磁石を連続的に受け入れ、受け入れた複数の個々に配置された永久磁石を磁気カプラのハウジング内に保持するように構成されたハウジングを受け入れることができる。挿入装置は、磁石装填ステーション内の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジング内に挿入するための力を提供するように構成することができる。いくつかの例では、磁石回転子アセンブリの第1の位置は、第1の個々の永久磁石を第1の磁極配向で磁石装填ステーションに装填することを可能にする。挿入装置を使用して、装填された第1の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジングに挿入すると、磁石回転子アセンブリが第1の位置から第2の位置まで回転する。磁石回転子アセンブリの第2の位置は、第1の磁極配向から90度回転した第2の磁極配向で第2の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填することを可能にする。挿入装置を使用して、装填された第2の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジングに挿入すると、磁石回転子アセンブリが第2の位置から第3の位置まで回転する。磁石回転子アセンブリの第3の位置は、第2の磁極配向から90度回転した第3の磁極配向で第3の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填することを可能にする。挿入装置を使用して、装填された第3の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジングに挿入すると、磁石回転子アセンブリが第3の位置から第4の位置まで回転する。磁石回転子アセンブリの第4の位置は、第3の磁極方向から90度回転した第4の磁極方向で第4の個々の永久磁石を磁石装填ステーションに装填することを可能にし、挿入装置を使用して、装填された第4の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジングに挿入することは、磁石回転子アセンブリを第4の位置から第1の位置まで回転させ、第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を含む磁気カプラを生成または提供し、磁気カプラは、第1の表面に第1の磁場を含み、磁気カプラの第2の表面における第2の磁場の大きさは、第1の磁場の大きさよりも小さい。特定の構成では、第4の個々の永久磁石の挿入後、磁石回転子アセンブリは第1の位置に戻り、これにより、第5の個々の永久磁石の磁石装填ステーションへの装填が可能になる。装填された第5の個々の永久磁石を磁気カプラのハウジング内に挿入することにより、挿入された第5の個々の永久磁石の極方向が第1の極方向と整列する。第5の個々の永久磁石の挿入後、第2の位置は、磁石装填ステーションへの第6の個々の永久磁石の装填を可能にし、装填された第6の個々の永久磁石の磁気カプラのハウジングへの挿入は、挿入された第6の個々の永久磁石の磁極配向を第2の磁極配向と整列させる。このプロセスは、所望の数の磁石が磁気カプラのハウジングに挿入されるまで繰り返すことができる。
【0083】
いくつかの例では、試験固定具2100(図21参照)を使用して、磁気カプラの異なる表面または端部で磁場強度を試験または測定することができる。試験固定具2100は、磁気カプラ2120を受け入れることができる摺動可能なトレイ2110を含むことができる。スロット2115は、磁場強度を測定するためのプローブを受け入れることができる。トレイ2110を左右に移動させて、カプラ2120の異なる表面または端部における磁場強度を測定することができる。トレイ2110の正確な形状およびサイズは様々であってもよく、望ましくは、トレイは、磁場強度測定が実行されている間にカプラを定位置に保持することができるスロットを含む。
【0084】
特定の実施形態では、アセンブリ固定具および試験固定具は、アセンブリ固定具を使用して磁気カプラを製造する方法および/またはテキスト固定具を使用して磁気カプラの異なる表面での磁場強度を測定する方法の印刷または電子指示と共にキットに包装することができる。いくつかの実施形態では、キットはまた、磁気カプラハウジング、永久磁石、および必要に応じて他の構成要素を含むことができる。
【0085】
本明細書に開示される例の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、1つまたは複数の要素があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、オープンエンドであることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。本開示の利点を考慮すると、実施例の様々な構成要素は、他の実施例の様々な構成要素と交換または置換することができることが当業者によって認識されるであろう。
【0086】
特定の態様、例、および実施形態を上述したが、本開示の利益を考慮すると、開示された例示的な態様、実施例、および実施形態の追加、置換、修正、および変更が可能であることが当業者によって認識されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21
【国際調査報告】