(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵タンクを組み立てる、および設置するための方法
(51)【国際特許分類】
F17C 3/04 20060101AFI20231017BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
F17C3/04 A
B63B25/16 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520238
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021077200
(87)【国際公開番号】W WO2022069751
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】ポール、バロン
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン、デブルジェレーズ
(72)【発明者】
【氏名】セドリック、フェルゲイラス
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172BD05
3E172CA32
3E172DA23
(57)【要約】
液化ガス貯蔵タンクを組み立てる、および設置するための方法。本発明は、耐荷重構造体と、前記耐荷重構造体に配置されたシールされた断熱タンク(71)と、を備える液化ガス貯蔵設備であって、前記タンク(71)の前記主構造体の前記コファダム壁(B)の前記シール膜のいわゆる隣接膜(13、13’)は、少なくとも部分的に前記液体ドーム(2)内に突出し、いわゆる前記近接膜は、前記液体ドーム(2)のいわゆる前記隣接膜に、直接的にシール可能に固定される液化ガス貯蔵設備に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐荷重構造体と、前記耐荷重構造体に配置されたシールされた断熱タンク(71)と、を備える液化ガス貯蔵設備であって、
シールされた前記断熱タンク(71)は、互いに接続した複数のタンク壁から構成された主構造体であって、前記耐荷重構造体に固定された主構造体を含み、
前記主構造体は、内部貯蔵スペースを規定し、
前記主構造体は、少なくとも1つのシール膜(3、13、13’)と少なくとも1つの断熱バリアとを備え、
前記断熱バリアは、前記シール膜(3、13、13’)と前記耐荷重構造体との間に配置され、
前記主構造体の前記シール膜(3、13、13’)および前記断熱バリア、およびいわゆる上方耐荷重壁は、局所的に中断されて、液化ガス搬入/搬出パイプが通過可能な搬入/搬出開口からなる上方端部まで鉛直方向軸に沿って延びる煙突の耐荷重壁を形成するダクトを規定し、
前記ダクトは、前記タンク(71)の液体ドーム(2)を規定する前記開口に至り、
前記液体ドーム(2)は、前記タンク(71、71’)の前記主構造体と同様に、少なくとも1つのシール膜(3、33)と少なくとも1つの断熱バリアとを含み、
前記断熱バリアは、前記シール膜(3、33)と前記耐荷重壁との間に配置され、
前記液体ドーム(2)は、前記タンク(71)の軸方向一端部に配置され、
前記タンク(71)の前記主構造体のコファダム壁(B)と称される鉛直方向壁が、前記主構造体から延びて、同一平面に沿って、前記液体ドーム(2)の前記ダクトの壁(B’)を形成し、
前記主構造体の前記シール膜(3、13、13’、33)および前記液体ドーム(2)の前記シール膜は、一体的にシール可能に固定される複数の平坦な金属膜であって、垂直な少なくとも2列の波状部(4、5)を各々有する金属膜から構成され、
前記2列の波状部(4、5)の形状および寸法は、すべての前記膜についてそれぞれ同一であるため、並置されたこれらの前記膜は、繰り返しパターンを呈示する、
貯蔵設備において、
前記タンク(71)の前記主構造体の前記コファダム壁(B)の前記シール膜のいわゆる隣接膜(13、13’)が、少なくとも部分的に前記液体ドーム(2)内に突出し、
いわゆる前記隣接膜は、前記液体ドーム(2)のいわゆる隣接膜に、直接的にシール可能に固定される、
ことを特徴とする貯蔵設備。
【請求項2】
前記主構造体および前記液体ドーム(2)の前記シール膜を形成する前記平坦な金属膜(3、13、13’、33)は、2つの長辺および2つの短辺を持つ矩形形状を有する、
請求項1に記載の貯蔵設備。
【請求項3】
前記平坦な金属膜は、2つの隣接する辺に沿って延びる隆起部(7)であって、別の膜の前記隣接辺に重なるのに適した隆起部(7)を含む、
請求項1または2に記載の貯蔵設備。
【請求項4】
前記主構造体の前記断熱バリアおよび前記タンク(71)の前記液体ドーム(2)の前記断熱バリアは、前記主構造体の前記シール膜(3、13、13’、33)および前記液体ドーム(2)の前記シール膜が非連続的に溶接される金属プレートを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の貯蔵設備。
【請求項5】
前記液体ドーム(2)のいわゆる前記隣接膜は、下側の長辺に沿って延びる隆起部(7)を含む一方、前記タンク(71、71’)の前記主構造体のいわゆる直接隣接膜は、前記膜の2つの短辺のうちの一方に沿って延びる隆起部(7)を含む、
請求項2~4のいずれか一項に記載の貯蔵設備。
【請求項6】
前記タンク(71)の前記主構造体の前記コファダム壁(B)の前記シール膜のいわゆる前記隣接膜(13)の突出部(17)は、前記液体ドーム(2)内に少なくとも30ミリメートル、好適には55ミリメートル突出する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の貯蔵設備。
【請求項7】
前記タンク(71)の前記主構造体の前記コファダム壁(B)の前記シール膜のいわゆる前記隣接膜(13)の突出部(17)は、前記液体ドーム(2)内に最大で60ミリメートル突出する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の貯蔵設備。
【請求項8】
前記液体ドーム(2)のいわゆる前記隣接膜は、500ミリメートル~3300ミリメートルの長さ、および200ミリメートル~800ミリメートルの幅を有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の貯蔵設備。
【請求項9】
前記タンク(71)の前記主構造体の前記コファダム壁(B)の前記シール膜のいわゆる前記隣接膜(13、13’)は、500ミリメートル~3300ミリメートルの長さ、および200ミリメートル~800ミリメートルの幅を有する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の貯蔵設備。
【請求項10】
前記タンク(71、71’)の前記主構造体の前記コファダム壁(B)の前記シール膜のいわゆる前記隣接膜(13、13’)は、2列の平行な膜にあり、一方の列の膜(13’)は、200~400ミリメートルの幅を有し、他方の列の膜(13)は、700~800ミリメートルの幅を有する、
請求項9に記載の貯蔵設備。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の貯蔵設備を組み立てるための方法であって、
-前記タンクの前記主構造体の前記コファダム壁(B)のシール膜アセンブリ(3、13、13’)をシール可能に組み立てて固定する第1ステップと、
-前記液体ドーム(2)の前記隣接膜を除き、前記液体ドーム(2)の前記シール膜アセンブリ(3)をシール可能に組み立てて固定する第2ステップと、
-前記液体ドーム(2)のいわゆる前記隣接膜(33)をシール可能に組み立てて固定することで、前記主構造体および前記液体ドーム(2)の前記コファダム壁(B、B’)の前記アセンブリがシールされる最終ステップと、
を備え、
前記第1ステップおよび前記第2ステップは、任意の順番で、または同時に実施される方法。
【請求項12】
低温の液体製品を輸送するための船舶(70)であって、二重船体(72)と、前記二重船体に配置された請求項1~10のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)と、を含む船舶(70)。
【請求項13】
低温の液体製品を移送するためのシステムであって、請求項12に記載の船舶(70)と、前記船舶の船体に設置された前記タンク(71)を浮遊または陸上外部貯蔵設備(77)に接続するように配置された絶縁パイプ(73、79、76、81)と、低温の液体製品の流れを、前記絶縁パイプを介して、前記浮遊または陸上外部貯蔵設備から前記船舶の前記タンクに、または、前記浮遊または陸上外部貯蔵設備に前記船舶の前記タンクから搬送するためのポンプと、を含むシステム。
【請求項14】
請求項12に記載の船舶(70)を搬入または搬出するための方法であって、低温の液体製品が、絶縁パイプ(73、79、76、81)を介して、浮遊または陸上外部貯蔵設備(77)から前記船舶の前記タンク(71)に、または、前記浮遊または陸上外部貯蔵設備(77)に前記船舶の前記タンク(71)から搬送される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールされた断熱膜タンクを備える液化ガス貯蔵施設の分野に関する。特に、本発明は、液化ガスを低温で貯蔵および/または輸送するためのシールされた断熱タンク、例えば-50°C~0°Cの温度を有する液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を輸送する、または液化天然ガス(LNG)をおよそ-162°Cで大気圧において輸送するためのタンクの分野に関する。これらのタンクは、陸上または浮遊構造体に設置され得る。浮遊構造体の場合、タンクは、液化ガスを輸送するため、または液化ガスを、浮遊構造体を推進するための燃料として受容するためのものであり得る。
【背景技術】
【0002】
FR2991430は、船舶の二重船体からなる耐荷重構造体に組み込まれた、シールされた断熱タンクを備える液化ガス貯蔵設備を記載している。タンクの各壁は、二次断熱バリアと、二次シール膜と、一次断熱バリアと、金属製または合金製一次シール膜と、を備えている。
【0003】
一次シール膜は、従来的に、膜の破損なく熱収縮を可能にするのに適した波状部を備えている。このような波状部は、従来的に、互いに対してそれぞれ平行に延びてノードゾーンにより画定された格子構造を形成する小型波状部および大型波状部のネットワーク、すなわち小型波状部および大型波状部からなる概ね垂直な交差構造を形成する。
【0004】
タンクの頂部に位置するゾーンにおいて、タンクは、煙突状の凸部を含んでいる。このゾーンにおいて、耐荷重構造体は、局所的に中断されて、流体搬入/搬出パイプが通過可能な搬入/搬出開口を画成する。この搬入/搬出開口およびこの煙突状ダクトは、液体ドームとして知られ、一次シール膜を形成する要素とともに、絶縁体または断熱バリアを含んでいる。
【0005】
添付
図1および添付
図2に見られるように、この液体ドームは、従来的に、タンクの長手方向一端部に位置している。これにより、液体ドームの鉛直方向の壁のうちの1つが、(低温流体を収容する)タンクの主構造体の鉛直壁に、同一平面において、継続しているまたは、これを延長している。タンクがLNGまたはLPG等の低温流体を輸送するための船舶、すなわち液体天然ガス輸送船(LNGC)に存在している場合、液体ドームとタンクの主構造体とに共通のこの鉛直方向の壁は、コファダム壁として知られる。
【0006】
タンクは、船舶のような非常に高い機械的応力を受ける構造体であって、その周囲環境条件に応じて曲がったりねじれたりする構造体に設置される。耐荷重構造体は液体ドームで中断されるため、この地点での機械的応力はさらに重篤になる。
【0007】
タンクの主構造体の壁は、装着され、組み立てられる/固定される。液体ドームの壁は、別途、装着され、組み立てられる/固定される。その後、貯蔵設備のこれら2つの部品は、シール可能に互いに接続される。
【0008】
特に一次絶縁膜のサイズを理由として、膜同士は接続される。波状部の連続性は、一般に小さい寸法を有する接続シートであって、液体ドームおよびタンクの主構造体の隣接膜に溶接により固定された接続シートにより提供される。
【0009】
この接続シートは、十分な解決策ではない。
【0010】
まず、液体ドームとタンクの主構造体との間の鉛直方向の波状部の連続性を確保するために、オペレータは、打撃工具を使用して接続シートを現場で変形させなくてはならない。なぜならば、一方の液体ドームと他方の主構造体という2つの部品の波状部は、整列していないからである。この作業は、オペレータにとって辛いものであり、典型的には数時間の作業を必要とする。
【0011】
次に、この接続シートの成形性が、鉛直方向の波状部において弱体化する。上述のように、船舶のこのゾーンは、高い機械的応力を受ける。このため、一次シール膜の一部が破損して貯蔵設備のシール性が損なわれ得ることは容認できない。
【0012】
種々の実験および試験を経て、出願人は、よりシンプルで迅速な組立解決策を提案することにより、タンクの主構造体の一次膜と液体ドームのものとの間のこの接続ゾーンを機械的強度およびシール性の両方においてより確実にしつつも、この接続部品、すなわちシート部品を省略できることを見出した。
【発明の概要】
【0013】
したがって、本発明は、耐荷重構造体と、前記耐荷重構造体に配置されたシールされた断熱タンクと、を備える液化ガス貯蔵設備であって、
シールされた前記断熱タンクは、互いに接続した複数のタンク壁から構成された主構造体であって、前記耐荷重構造体に固定された主構造体を含み、
前記主構造体は、内部貯蔵スペースを規定し、
前記主構造体は、少なくとも1つのシール膜と少なくとも1つの断熱バリアとを備え、
前記断熱バリアは、前記シール膜と前記耐荷重構造体との間に配置され、
前記主構造体の前記シール膜および前記断熱バリア、およびいわゆる上方耐荷重壁は、局所的に中断されて、液化ガス搬入/搬出パイプが通過可能な搬入/搬出開口からなる上方端部まで鉛直方向軸に沿って延びる煙突の耐荷重壁を形成するダクトを規定し、
前記ダクトは、前記タンクの液体ドームを規定する前記開口に至り、
前記液体ドームは、前記タンクの前記主構造体と同様に、少なくとも1つのシール膜と少なくとも1つの断熱バリアとを含み、
前記断熱バリアは、前記シール膜と前記耐荷重壁との間に配置され、
前記液体ドームは、前記タンクの軸方向一端部に配置され、
前記タンクの前記主構造体のコファダム壁と称される鉛直方向壁が、前記主構造体から延びて、同一平面に沿って、前記液体ドームの前記ダクトの壁を形成し、
前記主構造体の前記シール膜および前記液体ドームの前記シール膜は、一体的にシール可能に固定される複数の平坦な金属膜であって、垂直な少なくとも2列の波状部を各々有する金属膜から構成され、
前記2列の波状部の形状および寸法は、すべての前記膜についてそれぞれ同一であるため、並置されたこれらの前記膜は、繰り返しパターンを呈示する、貯蔵設備に関する。
【0014】
本発明は、前記タンクの前記主構造体の前記コファダム壁の前記シール膜のいわゆる隣接膜が、少なくとも部分的に前記液体ドーム内に突出し、いわゆる前記隣接膜は、前記液体ドームのいわゆる隣接膜に、直接的にシール可能に固定されることを特徴とする。
【0015】
本件出願人は、数々の試験および分析の結果、タンクの主構造体を液体ドームに、液化ガス貯蔵設備のこれら2つの部品のそれぞれの膜の装着または組立時間を最適化しつつ、接続シートを使用することなく強固かつ完全にシール可能に接続できることを見出した。
【0016】
このようにすることで、本発明は、液化ガスに対する完璧なシール、および液体ドームが通常受けるあらゆる応力に対するその優れた機械的弾性を確保または保持しながら、液体ドームの製造における大幅な節約を可能とする。
【0017】
特に膜同士の固定に関して使用される「シール可能に」という表現は、固定が溶接により実施され、選択的に化学的固定、接着剤による接合、および/または、例えば密封材を使用した機械的固定により補われることを意味するように使われる。
【0018】
特に膜に関する「金属」という用語は、金属または金属合金、通常、鋼等の金属合金を意味するように使われる。
【0019】
「膜」という用語は、この用語が「シールされた」という用語を伴う場合でも伴わない場合でも、流体に対して不透過性のシールされた膜を体系的に指す。膜は、それがコファダム壁上に少なくとも1列の鉛直方向波状部、好適には複数の鉛直方向波状部と少なくとも1列の水平方向波状部とを有する場合に、本発明の範囲において、そのようなものとして分類される。本発明を説明するために選択された実施形態において、コファダム壁の/コファダム壁上の鉛直方向波状部は小型波状部であり、水平方向波状部は大型波状部である。
【0020】
「波状部」という用語は、単数または複数で、膜上に存在する要素を指す。その目的は、タンクにおける低温または超低温の液化ガスの有無に関する熱膨張の影響による収縮および/または伸張による膜の変形を可能にすることである。本発明の範囲において膜を規定する垂直な2列の波状部は、同一形状であっても異なる形状であってもよい。以下において、これら2列の波状部は、有利には異なるものであり、水平方向の列の大型波状部と鉛直方向の列の小型波状部とを有している。
【0021】
液体ドームの膜およびタンクの主構造体の膜に主として関する「隣接」という用語は、これらの膜が、タンクの他方の部品に最も近い、すなわち、液体ドームに位置する膜については主構造体に最も近い、そして、主構造体に位置する膜については液体ドームに最も近いという事実を指す。
【0022】
「ダクト」という用語は、それが液体ドームの外壁、より詳細には、液化ガスを収容するタンク内に出現する煙突の壁を形成することを意味するように使われる。「煙突」という用語は、鉛直方向に延びる液体ドームの全体形状を指す。
【0023】
本発明のさらなる有利な特徴を、以下に簡単に記載する。
【0024】
好適には、前記主構造体および前記液体ドームの前記シール膜を形成する前記平坦な金属膜は、2つの長辺および2つの短辺を持つ矩形形状を有する。
【0025】
好適には、前記平坦な金属膜は、2つの隣接する辺に沿って延びる隆起部であって、別の膜の前記隣接辺に重なるのに適した隆起部を含む。
【0026】
有利には、前記主構造体の前記断熱バリアおよび前記タンクの前記液体ドームの前記断熱バリアは、前記主構造体の前記シール膜および前記液体ドームの前記シール膜が非連続的に溶接される金属プレートを含む。
【0027】
有利には、前記液体ドームのいわゆる前記隣接膜は、下側の前記長辺に沿って延びる隆起部を含む一方、前記タンクの前記主構造体のいわゆる前記直接隣接膜は、前記膜の2つの前記短辺のうちの一方に沿って延びる隆起部を含む。特定例によれば、タンクの主構造体のいわゆる直接隣接膜は、膜の2つの短辺のうちの一方に沿って延びる隆起部を1つしか含まない。
【0028】
特定例によれば、これらのいわゆる隣接膜が、液体ドームの他の膜よりも後に装着され組み立てられる場合(これは本発明の好適な実施形態である)、液体ドームのいわゆる隣接膜は、2つの対向する長辺に沿って延びる隆起部を含む一方で、タンクの主構造体のいわゆる直接隣接膜は、膜の2つの短辺のうちの一方に沿って延びる隆起部を1つしか含まない。
【0029】
本発明の特定の特徴によれば、前記タンクの前記主構造体の前記コファダム壁(B)の前記シール膜のいわゆる前記隣接膜の前記突出部は、前記液体ドーム内に少なくとも30ミリメートル、好適には55ミリメートル突出する。
【0030】
本発明の特定の特徴によれば、前記タンクの前記主構造体の前記コファダム壁(B)の前記シール膜のいわゆる前記隣接膜の前記突出部は、前記液体ドーム内に最大で60ミリメートル突出する。
【0031】
ここで、特にタンクの主構造体に関する「コファダム壁(すなわち
図2においてBまたはB’として特定される壁)の」という表現は、過剰であることに留意されたい。なぜならば、本発明を説明するために選択された実施形態において本発明に関連する膜のみが、コファダム壁の膜であり、この壁は、液体ドーム内に鉛直方向に、換言すれば角度変化なく延びる唯一の壁であるからである。
【0032】
当然ながら、本発明は、例えば液体ドームが主構造体の隅部にあるため、コファダム壁の他に側壁(面取Eがない場合の
図2の壁F)が液体ドーム内に鉛直方向に延びる場合にも、適用可能である。このシナリオは、液体ドームがタンクの隅部にあるというこのような配置が理論的には不利かつ非現実的であるが、本発明に包含される。
【0033】
有利には、前記液体ドームのいわゆる前記隣接膜は、500ミリメートル~3300ミリメートルの長さ、および200ミリメートル~800ミリメートルの幅を有する。
【0034】
有利には、前記タンクの前記主構造体の前記コファダム壁の前記シール膜のいわゆる前記隣接膜は、500ミリメートル~3300ミリメートルの長さ、および200ミリメートル~800ミリメートルの幅を有する。
【0035】
本発明の別の有利な態様によれば、前記タンクの前記主構造体の前記コファダム壁の前記シール膜のいわゆる前記隣接膜は、2列の平行な膜にあり、一方の列の膜は、200~400ミリメートルの幅を有し、他方の列の膜は、700~800ミリメートルの幅を有する。
【0036】
また、本発明は、上述の貯蔵設備を組み立てるための方法であって、
-前記タンクの前記主構造体の前記コファダム壁の前記シール膜アセンブリをシール可能に組み立てて固定する第1ステップと、
-前記液体ドームの前記隣接膜を除き、前記液体ドームの前記シール膜アセンブリをシール可能に組み立てて固定する第2ステップと、
-前記液体ドームのいわゆる前記隣接膜をシール可能に組み立てて固定することで、前記主構造体および前記液体ドームの前記コファダム壁の前記アセンブリがシールされる最終ステップと、
を備え、
前記第1ステップおよび前記第2ステップは、任意の順番で、または同時に実施される方法に関する。
【0037】
本発明は、低温の液体製品を輸送するための船舶であって、二重船体と、前記二重船体に配置された上述の貯蔵設備と、を含む船舶に関する。
【0038】
また、本発明は、低温の液体製品を移送するためのシステムであって、上述の船舶と、前記船舶の前記船体に設置された前記タンクを浮遊または陸上外部貯蔵設備に接続するように配置された絶縁パイプと、低温の液体製品の流れを、前記絶縁パイプを介して、前記浮遊または陸上外部貯蔵設備から前記船舶の前記タンクに、または、前記浮遊または陸上外部貯蔵設備に前記船舶の前記タンクから搬送するためのポンプと、を含むシステムに関する。
【0039】
最後に、本発明は、上述の船舶を搬入または搬出するための方法であって、低温の液体製品が、絶縁パイプを介して、浮遊または陸上外部貯蔵設備から前記船舶の前記タンクに、または、前記浮遊または陸上外部貯蔵設備に前記船舶の前記タンクから搬送される方法に関する。
【0040】
本発明は、添付図を参照しつつ、非限定的な例示としてのみなされる以下の本発明のいくつかの特定の実施形態についての説明から、より明確に理解され、そのさらなる目的、詳細、特徴および利点が、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、液化ガス輸送船、すなわちLNGCの概略斜視断面図である。
【
図3】
図3は、3列の平行な大型波状部および9列の小型波状部を有するシール膜を示す概略図であり、2種の列は互いに対して垂直である。
【
図4】
図4は、液体ドームおよびタンクの主構造体のゾーンにおける膜の配置であって、各膜のその隣接するものに対する重なりを示す概略図である。
【
図6】
図6は、タンクの主構造体の隣接膜であって、側膜として知られる膜の寸法の詳細図である。
【
図7】
図7は、
図4のものと同じ図であって、膜の下方に存在する断熱タンクを、特に膜をこれらの断熱ブロックに溶接により固定するために使用される金属プレートとともに示す図である。
【
図8】
図8は、メタン輸送船貯蔵設備、およびこのタンクを搬入および/または搬出するためのターミナルの切欠概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書において、「鉛直/鉛直方向」という用語は、地球の重力場の方向に延びることを意味する。本明細書において、「水平/水平方向」とは、鉛直方向に対して垂直な方向に延びることを意味する。
【0043】
貯蔵設備が、メタン輸送船等の船舶70に配置される場合、添付図では見えない耐荷重構造体は、船舶の二重船体により形成される。外部上方耐荷重壁は、船舶の外部デッキとして知られる。
【0044】
以下、本発明を、従来の液化ガス輸送船70、すなわち液化天然ガス輸送船、つまりLNGCについて説明するが、当然ながら、本発明は、他のタイプのタンクにも適用可能である。ただし、このようなタンクが、タンクに収容された流体に直接的に接触することを理由として一次として知られるシール膜と、選択的に存在する第2シール膜と、液体ドーム2または類似のもの、すなわち、前記流体を搬入/搬出するための煙突および開口であって、タンク71、71’の主構造体の壁から連続する少なくとも1つの壁面を有する煙突および開口と、を含む場合に限る。これら2つの特徴が確認される場合、本発明は、このような流体貯蔵設備に適用可能である。
【0045】
したがって、
図1は、LNGC70に従来的に存在する4つのLNGタンク71、71’の分散配置を示す。上述のように、4つのうちの3つのタンク71は、同一の寸法を有するのに対し、船舶70の船首に位置する最後のタンク71’は、より小さい寸法を有している。特に、これにより、タンク71’の側方および下方に配置された脚荷は、他のタンク71の周囲に位置する他の脚荷よりも顕著に大きい寸法を有している。この目的は、タンク71が空の場合に船舶70の重みのほとんどが当該タンクの後方に位置することを考慮して、船舶70のバランスをより容易に取ることである。
【0046】
船舶70全体、すなわち船舶70の推進から各種機器に電力を発生させて供給するためのすべての回路を管理するための機械または機械室(添付図では見えない)は、従来的に、船舶70の船尾に位置する。また、機械の上方には、ブリッジ31がある。ブリッジ31は、従来的にタワーまたは類似のものからなり、この中に、乗組員の宿泊設備および船舶の制御室が配置されている。
【0047】
タンク71は、前壁Dと、後壁Bと、天井壁Aと、底壁Cと、底壁Cを天井壁Aに接続する2つの側壁Fと、最後に、側壁Fを底壁Cまたは天井壁Aに接続する2つ~4つの面取壁E、Gと、から構成される主構造体を含んでいる。側壁Fは、添付
図2で両方とも見えるわけではない(タンクの片側がこの図では見えないため)。したがって、タンク71の壁は互いに接続して、多面体を形成するとともに内部貯蔵スペースを規定している。タンク71’は、実質的にタンク71と同一である。
【0048】
液化ガスをタンク71に搬入する、またはタンク71から搬出するために、貯蔵設備は、搬入/搬出開口を含んでいる。搬入/搬出開口は、外部上方耐荷重壁、内部上方耐荷重壁、およびタンク71の天井壁を局所的に中断して、特に、添付図で図示しない搬入/搬出パイプが、この開口を通過することでタンク71の底部に到達することを可能としている。
【0049】
貯蔵設備は、添付図では見えない搬入/搬出タワーも備えている。搬入/搬出タワーは、液体ドーム2の開口およびタンク71の内部に並んで配置され、タンク71の全高に亘る搬入/搬出パイプのための、ならびにポンプ(図示せず)のための支持構造体を形成している。
【0050】
したがって、タンク71は、主構造体上に配置されて、タンク壁が内部デッキから外部デッキまで連続的に延びることを可能とする煙突またはダクトを含んでいる。外部デッキにおいて、タンク壁は搬入/搬出開口により中断している。液化ガス貯蔵タンク71、71’について、前記搬入/搬出開口を閉鎖するカバーを有するこのような煙突またはダクトは、液体ドーム2として知られている。
【0051】
搬入/搬出開口および煙突は、従来的に、矩形または正方形の外形または作用を有している。したがって、煙突は、4つの壁を備えている。
図2に見えるように、1つのB’は、後壁Bの延長部であり、タンク71、71’の主構造体の「コファダム壁」とも称される。一方、他の3つは、天井壁Aに、これに対して90°を形成しつつ接続している。
【0052】
本発明は、もっぱら、壁B、B’に、または、異なる実施形態においてはタンク71、71’の主構造体と液体ドーム2との間において角度の変化なく連続する、または延びる2つの壁に関する。より詳細には、タンク71、71’の主構造体と液体ドーム2との間のシール壁およびその接合部に関する。
【0053】
図3は、このような従来のシール膜3を示す。シール膜は、本発明の範囲において、少なくとも第1波状部列4と少なくとも第2波状部列5とを含む金属製または合金製シートとして規定される。第1波状部列4と第2波状部列5とは、互いに対して垂直に延びている。
【0054】
一実施形態によれば、タンク71、71’の主構造体は、特にFR-A-2691520に記載されるマークIII(登録商標)技術を用いて生産される。
【0055】
このような主構造体において、二次断熱バリア、一次断熱バリア、および二次シール膜は、主として、耐荷重構造体に並置されたパネルからなる。耐荷重構造体は、内部耐荷重構造体、または内部上方荷重構造体を外部上方荷重構造体に開口において接続する構造体であり得る。二次シール膜は、2枚のガラス繊維布間に配置されたアルミニウムシートを含む複合材料から構成されている。一次シール膜は、縁部に沿って互いに溶接された複数の金属プレートであって、2つの垂直な方向において延びる波状部を含む金属プレートを組み立てることにより得られる。金属プレートは、ステンレス鋼またはアルミニウムから構成され、曲げ加工またはプレス加工により成形される。
【0056】
より具体的には、本発明の実施形態を説明するために、シール膜は、
図3に示す膜に応じた複数の波状金属シートを組み立てることにより得られる、いわゆる一次シール膜(タンク71、71’に貯蔵される流体に直接的に接触するため)である。各波状金属膜3は、第1方向に延びる第1の一連のいわゆる高いまたは大型の平行な波状部5と、第1の一連の波状部5に対して垂直な第2方向に延びる第2の一連のいわゆる低いまたは小型の平行な波状部4と、を含んでいる。ノードゾーン6は、これら2つのタイプの波状部4、5が交差するゾーンである。波状部4、5は、タンク71、71’の内部に向かって突出している。上述のように、これらの波状金属膜3は、例えば、ステンレス鋼またはアルミニウムから構成される。
【0057】
波状金属膜3は、絶縁パネル21に、コファダム壁B、B’上で2つの垂直な方向に、すなわち鉛直方向および水平方向において延びる金属プレート20により固定されている。これらのプレート20は、絶縁パネル21の内面(タンクの内側スペースに向く)に固定されている。したがって、各絶縁パネル21は、一次シール膜を形成する波状金属膜3が溶接された金属プレート20が設けられた内面を有している。シール膜3が固定されたこれらの絶縁パネル21は、上述の金属プレート20とともに、添付
図7において見ることができる。
【0058】
金属プレート20は、絶縁パネル21の2つの対向する縁部に対して各々平行な2つの垂直な方向において延びている。金属プレート20は、絶縁パネル21の内面に作製された凹部に固定されるとともに、ネジ、リベットまたはクリップ等を使用してこれに対して固定されている。
【0059】
添付
図4~添付
図7は、タンク71、71’の主構造体の壁B上、および壁Bから連続する液体ドーム2における壁B’上のシール膜3、すなわち一次シール膜の実際の配置構成を示す。
【0060】
このような配置構成の第1特徴は、シール膜3、13、13’、33しか使用しない点にある。シール膜3、13、13’、33は、互いに対して垂直な少なくとも2列の波状部4、5を含んで、これら2つの壁、すなわち、タンク71、71’の主構造体のコファダム壁Bと液体ドーム2の連続する壁B’との間のシールの連続性を確保する。したがって、このゾーンに中間要素は存在しない。金属シート等の「中間要素」は、本発明によるシール膜3、13、13’、33ではない、すなわち上述の膜の定義に含まれないことが理解される。
【0061】
本発明によるこのような配置構成の第2特徴は、液体ドーム2に直接的に隣接するタンク71、71’の主構造体のシール膜13、すなわち
図4で見られる3つの膜14、15、16が、天井壁Aに存在する開口から、液体ドーム2内に、すなわち、この液体ドーム2を形成するスペース内に、突出することである。ここで、絶縁シール要素は、液体ドーム2のこの開口の位置を規定するように考慮されている。
【0062】
図6で見られるように、液体ドーム2内へのシール膜13の突出部17は、本例において55ミリメートルである。一般に、この突出部17は、少なくとも30ミリメートルかつ最大で60ミリメートルである。
図6に明瞭に見られるように、この突出部17を生じさせるように、中央膜15の場合には、隣接膜13がその全幅に亘って突出している、または、側膜14および16の場合には、隣接膜がその幅の一部に亘ってのみ突出している。これらのいわゆる側膜14および16については、液体ドーム2に隣接しない部分、すなわち液体ドーム2内に突出しない部分を除去すべく、例えばレーザーまたは鋸を使用して従来の膜に切欠が形成される。
【0063】
本発明の別の特別な特徴は、液体ドーム2およびタンク71、71’の主構造体の両方の隣接膜13、13’、33の寸法にある。これらの寸法は、従来のものではなく、タンク71、71’の主構造体の膜13、13’と液体ドーム2の膜33との接続が、完全かつできるだけ確実に適合するように選択されたものである。したがって、タンク71、71’の主構造体の従来の膜3は、通常3列の大型波状部5を含むのに対し、タンク71、71’の主構造体の隣接膜13、13’は、直接隣接膜13については2列の大型波状部5のみ、さらには、隣接膜13’については単一/単独の大型波状部5しか含まない。同様に、液体ドーム2の従来の膜3は、通常2列の大型波状部5を含むのに対し、液体ドーム2の隣接膜33は、単一/単独の大型波状部5しか含まない。
【0064】
非限定的な例として、
図6は、タンク71、71’の主構造体の隣接側膜14のミリメートルで表された寸法を、特に膜14に事前に作製された切欠による55ミリメートルの突出部17とともに示す。
図4および
図5は、膜13、13’、33、タンク71、71’の主構造体の一部、および液体ドーム2を一定の縮尺で示す。膜13、13’、33の各々の寸法、またはより正確には領域または範囲は、
図6において隣接側膜14に対して正確に与えられた寸法の知識を利用して推定可能である。当然ながら、
図6に示す正確な寸法は、単なる一実施形態であって、本発明の他の実施形態が想定可能であり、
図6に示す寸法は、突出部17を除いて、±30ミリメートル(mm)、好適には最大でも±15mmの領域または範囲内で変化し得ることを記憶されたい。突出部17に関して、30ミリメートル未満である、または60ミリメートルを超えることはできないことに留意されたい。
【0065】
本発明の別の特別な特徴は、液体ドーム2の隣接膜33が、それらの下面/上面34、35、すなわち2つの対向する長辺に、隆起部7を有している点にある。隆起部7は、2つの前記面34、35すなわち辺に沿って延びて、それらがそれぞれ固定された2つの上膜および下膜と重なっている。タンク71、71’の主構造体が装着され組み立てられた後に液体ドームの隣接膜33が装着され組み立てられなければならない本発明の範囲において、下側の隆起部7のみが必須であることに留意されなければならない。
【0066】
これらの隣接膜33のこの特定の特徴は、本発明による貯蔵設備に特有の組立方法により正当化される。ここで、液体ドーム2のこれらの隣接膜33は、有利には、液体ドーム2のシール膜が組み立てられ固定され、かつタンク71、71’の主構造体のシール膜(または少なくとも液体ドーム2の近傍に位置する膜)が組み立てられ固定された後に、最後に組み立てられる。このようにすることで、タンク71、71’の直接隣接膜13は、単一の隆起部7を、より詳細には短辺(幅)のうちの一方にしか有しない。
【0067】
図3に示すような従来の膜3は、膜3の2つの隣接する辺に沿って、すなわち、膜3の幅を規定する短辺のうちの一方、および膜3の長辺のうちの一方に沿って延びる2つの隆起部7を有していることに留意されなければならない。
図4~
図6において指摘されるように、黒い二等辺三角形は、前記三角形の先端の配向により、隆起部7の位置を示す。黒い二等辺三角形が位置する膜が、この隆起部7に沿った隣接膜に、当該短辺または長辺において重なっている。特に
図4は、液体ドーム2の膜3、33であっても、タンク71、71’の主構造体の膜3、13、13’であっても、異なる膜の相対的な装着または組立について非常に明確である。
【0068】
図7は、液化ガス貯蔵設備が有する断熱ブロック21を示す。本発明の範囲において、これらの断熱ブロック21は、先行技術に対して変更されていない。このような断熱ブロック21の詳細は、特にFR-A-2861060に記載されている。しかしながら、本発明の特別な特徴は、上述の金属プレート20にある。金属プレート20は、これらの断熱ブロック21に配置されるとともに膜3、13、13’33に面して、これらの膜3、13、13’、33をこれらの金属プレート20による溶接または接着によって断熱ブロック21に固定する。ここで、固定ストリップ(AS)としても知られるこれらの金属プレート20は、タンク71、71’の主構造体の隣接膜13、13’、33および膜13、13’に対して、および液体ドーム2の膜33に対して適切な態様で配置される。
【0069】
したがって、液体ドーム2の隣接膜33は、金属プレート20のすぐ隣に配置される。これにより、これらの膜33が1列の大型波状部5しか有していないため幅が広くない場合でも、それらは、その長さの70%を超えて延びる非連続的な溶接ラインを有している。比較として、液体ドーム2の他の膜3は、2列の大型波状部5を有するとともに、プレート20上に、それらの長さの70%を超える非連続的な溶接ラインを1つのみ有する。タンク71、71’の主構造体の小型の隣接膜13’も、それらが膜33のように単独/単一の列の大型波状部5しか有していない場合でも、このような非連続的な溶接ラインを有する。
【0070】
図8を参照すると、メタン輸送船70の切欠図は、船舶の二重船体72に組み立てられた全体として角柱状の形状を有するシールされた断熱タンク71を示す。タンク71の壁は、タンクに収容されたLNGとの接触に適した一次シール膜と、一次シール膜と船舶の二重船体72との間に配置された二次シール膜と、一次シール膜と二次シール膜との間、および二次シール膜と二重船体72との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアと、を含んでいる。
【0071】
それ自体既知の態様で、船舶の上方デッキに配置された搬入/搬出パイプ73は、積み荷としてのLNGをタンク71から、またはタンク71に移送するために、適切なコネクタにより、海上ターミナルまたは港湾ターミナルに接続可能である。
【0072】
図8は、搬入および搬出ステーション75と、海底パイプライン76と、陸上設備77とを含む海上ターミナルの一例を示す。搬入および搬出ステーション75は、可動アーム74、および可動アーム74を支持するタワー78を含む固定された海上設備である。可動アーム74は、搬入/搬出パイプ73に接続可能な絶縁性の可撓性ホース79の束を保持する。配向可能な可動アーム74は、すべてのサイズのメタン輸送船に適している。図示しない接続パイプラインが、タワー78の内部で延びている。搬入および搬出ステーション75により、メタン輸送船70を陸上設備77に搬入する、および陸上設備77から搬出することができる。後者は、液化ガス貯蔵タンク80、および、海底パイプライン76により搬入または搬出ステーション75に接続した接続パイプライン81を含んでいる。海底パイプライン76により、液化ガスを、搬入または搬出ステーション75と陸上設備77との間において、例えば5kmという長距離に亘って移送することができ、これにより、搬入および搬出作業中に、メタン輸送船70を海岸から遠距離に維持することができる。
【0073】
液化ガスを移送するのに必要な圧力を発生させるべく、船舶70に搭載されたポンプ、および/または、陸上設備77に設けられたポンプ、および/または、搬入および搬出ステーション75に設けられたポンプが実装される。
【0074】
本発明をいくつかの特定の実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は決してこれらに限定されないこと、および記載された手段のすべての技術的同等物およびこれらが本発明の範囲に入る場合にはその組み合わせも含むことが明らかである。
【0075】
動詞「含む」または「構成する」およびその活用形の使用は、請求項に記載された要素以外の要素またはステップの存在を排除するものではない。要素やステップに対して不定冠詞「1つの」を使用することは、特に断りのない限り、そのような要素やステップが複数存在することを否定するものではない。
【0076】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号を、特許請求の範囲を限定するものと解釈することはできない。
【国際調査報告】