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特表2023-544608能動的な圧力拘束を伴うシート中央エアバッグシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】能動的な圧力拘束を伴うシート中央エアバッグシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/207 20060101AFI20231017BHJP
   B60R 21/2338 20110101ALI20231017BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/2338
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521084
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021071780
(87)【国際公開番号】W WO2022082153
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】17/069,775
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、デイヴィッド ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】モリス、クリスティーナ リニー
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA23
3D054CC11
(57)【要約】
関連する方法と共に、骨盤拘束機能を有するシート中央エアバッグ拘束システム。幾つかの実装形態において、第1のシート搭載型エアバッグクッションは、車両乗員の第1の側に沿って展開されてもよく、第2のシート搭載型エアバッグクッションは、車両乗員の第2の側に沿って展開されてもよい。第1及び第2のシート搭載型エアバッグクッションのうちの少なくとも一方と係合する少なくとも1つのラップアラウンドベルトが、車両乗員の車両シート内での前方への並進を抑制するために、部分的又は完全に解放されてもよい。
【選択図】図1A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート[15]の第1の側に隣接して展開するように構成される第1の側部クッション[110]と、
前記第1の側部クッション[110]と結合され、展開中に前記第1の側部クッション[110]に張力を付与するように構成される第1のベルト部分[114]と、
前記第1の側の反対側の前記車両シート[15]の第2の側に隣接して展開するように構成される第2の側部クッションと、
前記第2の側部クッションと結合され、展開中に前記第2の側部クッションに張力を付与するように構成される第2のベルト部分[116]と、
車両乗員の大腿部上部及び骨盤領域の少なくとも一方の回転による前記車両乗員の車両内での前方への並進を抑制するために展開中に第1の及び第2のベルト部分の少なくとも一方を解放するための手段[120]と、
を備えるシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項2】
前記第1及び第2のベルト部分の少なくとも一方と結合される少なくとも1つのテザー[130]を更に備え、前記解放するための手段[120]は、前記第1及び第2のベルト部分の少なくとも一方と結合される前記少なくとも1つのテザー[130]を解放するための手段を備える、請求項1に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項3】
前記解放するための手段[120]が火工テザー解放アクチュエータ[122]を備える、請求項1又は2に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項4】
前記解放するための手段[120,220]がテザーカッター[220]を備える、請求項2に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項5】
前記第1のベルト部分[114]及び前記第2のベルト部分[116]は、前記第1の側部クッション[110]及び前記第2の側部クッションの両方との係合を可能にするために前記車両シートの下方で延びる単一の一体型ベルトの部分である、請求項1から4のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項6】
前記車両用シートに対して前記第1のベルト部分よりも後方の位置で前記車両用シートの前記第1の側に隣接して展開するように構成される第3のベルト部分と、
前記車両シートに対して前記第2のベルト部分よりも後方の位置で前記車両シートの前記第2の側に隣接して展開するように構成される第4のベルト部分と、
を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項7】
前記解放するための手段[120]は、前記ベルト部分のそれぞれを同時に解放するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記解放するための手段[120]は、前記ベルト部分のうちの少なくとも1つを他のベルト部分のうちの少なくとも1つとは別個に解放するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項9】
前記第1のベルト部分[114]は、前記第1の側部クッション[110]と係合して、前記車両シート[15]の下方で延びるとともに、展開中に前記第2の側部クッションと係合するように構成される第1のラップアラウンドベルトを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項10】
前記解放するための手段[120]は、前記第1のラップアラウンドベルトを解放して、展開中に前記第1のラップアラウンドベルトが前記車両シート[15]に対して前方に移動できるようにするための手段を備える、請求項9に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項11】
前記第1の側部クッション[110]と係合して、前記車両シート[15]の下方で延びるとともに、展開中に前記第2の側部クッションと係合するように構成される第2のラップアラウンドベルトを更に備える、請求項8又は9に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【請求項12】
前記解放するための手段[120]は、前記第1のラップアラウンドベルト及び前記第2のラップアラウンドベルトの両方を同時に解放するように構成される、請求項11に記載のシート搭載型エアバッグアセンブリ[100]。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
多くの車両環境は、例えば、ニーボルスター及び/又はトーパンによって提供され得る十分な骨盤拘束を欠いている。自律型車両又は高度自動運転(HAD)車両などの高度な自律的機能を有する車両は、特に、骨盤拘束が弱い傾向がある。したがって、そのような車両用に設計されたいくつかの拘束/安全システムは、特に乗員を拘束する傾向があり得る。
【0002】
例えば、いくつかのシステムは、ステアリングホイール又は隣接する車両パネルからではなく、シート自体からエアバッグクッションを展開する。そのようなシステムは、「ラップアラウンドベルト」として知られるベルトを展開して、膨張中にエアバッグを乗員に隣接して保持するための反作用面を提供することができる。しかしながら、そのようなシステムは、特に乗員が一般的なシートベルトによってシートに拘束されていない場合、正面衝突などの特定の衝突事象中に乗員の骨盤が前方に移動することを許容する傾向があることが多い。これは、膨張中の乗員の骨盤領域の十分な拘束の欠如に起因し、不必要な乗員傷害につながる可能性がある。
【0003】
したがって、本発明者らは、前述の制限及び/又は先行技術の他の制限のうちの1つ以上を克服する装置、システム、及び方法を提供することが望ましいと判断した。したがって、幾つかの実施形態において、本明細書に開示される本発明の概念は、エアバッグ展開中に前方への並進ではなく乗員の回動/回転を促進するために1つ以上のベルトを完全に又は部分的に解放するための手段と共に、クッションのための反作用面を与えるための1つ以上の(一般に2つの)ラップアラウンドベルトを備えるシート中央及び/又はシート展開エアバッグシステムを提供することができる。また、幾つかの実施形態は、ベルトの他のサブセットの同時又は順次の解放によってベルトのサブセットの張力付与/収縮をもたらすこともでき、これにより、展開運動学を更に改善し、それによって乗員の安全性を改善することができる。
【0004】
シート搭載型エアバッグアセンブリのより具体的な例では、アセンブリは、車両シートの第1の側から展開するように構成された第1の側部クッションを備えてもよい。アセンブリは、第1の側部クッションと結合されるとともに、展開中に第1の側部クッションに張力を付与するように構成される第1のベルト及び/又はベルト部分を更に備えてもよい。アセンブリは、第1の側とは反対側の車両シートの第2の側から展開するように構成される第2の側部クッションを、第2の側部クッションに結合されるとともに展開中に第2の側部クッションに張力を付与するように構成される第2のベルト及び/又はベルト部分と共に更に備えてもよい。
【0005】
アセンブリは、展開中に第1及び第2のベルト部分の一方又は両方を部分的又は完全に解放するための手段を更に備えることができる。幾つかの実施形態において、この解放は、場合によっては、乗員運動学を、車両乗員の大腿上部及び骨盤領域の少なくとも1つの前方への並進などの前方並進から、車両シート内の回転動作(上方及び後方)に変換することによって、車両内の車両乗員の前方への並進を防止又は少なくとも抑制することができる。
【0006】
幾つかの実施形態では、アセンブリはテザーを備えてもよい。幾つかのそのような実施形態において、解放するための手段は、第1及び第2のベルト部分の少なくとも一方と結合される少なくとも1つのテザーを解放するための手段を備えることができる。
【0007】
幾つかの実施形態では、解放するための手段が火工アクチュエータを備えてもよい。
【0008】
幾つかの実施形態において、解放するための手段は、幾つかのそのような実施形態では、火工作動テザーカッターを構成することができるテザーカッターを備えてもよい。
【0009】
第1のベルト部分及び第2のベルト部分は、幾つかの実施形態では、第1の側部クッション及び第2の側部クッションの両方との係合を可能にするために車両シートの下方で延びる単一の一体型ベルトの部分を備えてもよい。
【0010】
幾つかの実施形態は、車両シートに対して第1のベルト部分よりも後方の位置で車両シートの第1の側に隣接して展開するように構成される第3のベルト部分と、車両シートに対して第2のベルト部分よりも後方の位置で車両シートの第2の側に隣接して展開するように構成される第4のベルト部分とを更に備えることができる。幾つかのそのような実施形態では、第3のベルト部分が第4のベルト部分と一体であってもよく、及び/又は第1のベルト部分が第2のベルト部分と一体であってもよい。
【0011】
幾つかの実施形態において、解放するための手段は、ベルト部分のそれぞれを同時に解放するように構成されてもよい。或いは、1つ以上のベルト部分は、1つ以上の他のベルト部分に対して順次解放されてもよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、解放するための手段は、ベルト部分のうちの少なくとも1つを他のベルト部分のうちの少なくとも1つとは別個に解放するように構成されてもよい。
【0013】
他の実施形態に係るシート搭載型エアバッグアセンブリの他の例において、アセンブリは、車両シートの第1の側から展開するように構成される第1の側部クッションと、第1の側とは反対側の車両シートの第2の側から展開するように構成される第2の側部クッションとを備えてもよい。アセンブリは、第1の側部クッションと係合して、車両シートの下方で延びるとともに、展開中に第2の側部クッションと係合するように構成される第1のラップアラウンドベルトを更に備えることができる。第1のラップアラウンドベルトを解放するための手段を設けて、展開中に第1のラップアラウンドベルトが車両シートに対して前方及び/又は上方に移動できるようにすることができ、これにより、乗員は、衝撃事象中に前方に並進するのではなく、上方及び/又は後方に回動/回転することができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、解放するための手段は、展開中に第1のラップアラウンドベルト及び第1のラップアラウンドベルトに結合されるテザーのうちの少なくとも一方を切断するように構成されるカッターを備えてもよい。
【0015】
幾つかの実施形態において、解放するための手段は、展開中に第1のラップアラウンドベルトの解放を容易にするように構成される火工アクチュエータを備えてもよい。火工アクチュエータは、例えば、切断機構又はテザー解放機構を作動させることができる。
【0016】
幾つかの実施形態は、第1の側部クッションと係合して、車両シートの下方で延びるとともに、展開中に第2の側部クッションと係合するように構成される第2のラップアラウンドベルトを更に備えることができる。第2のラップアラウンドベルトは、第1のラップアラウンドベルトの前方及び/又は内側に位置されてもよい。幾つかのそのような実施形態において、解放するための手段は、第1のラップアラウンドベルト及び第2のラップアラウンドベルトの両方を同時に解放するように構成される。
【0017】
幾つかの実施形態は、第1のラップアラウンドベルト及び第2のラップアラウンドベルトの少なくとも一方と結合されるプリテンショナを更に備えることができる。プリテンショナは、第2のラップアラウンドベルトが解放されるときに第1のラップアラウンドベルトに作用する張力を増大させるように構成されてもよく、或いは逆もまた同様である。これに加えて又は代えて、プリテンショナは、解放されるラップアラウンドベルトから弛みを除去するように構成されてもよい。
【0018】
幾つかの実施形態は、所定の力閾値に達したときに第1のラップアラウンドベルトを切断するように構成され得る、第1のラップアラウンドベルトと結合されるテザー内の脆弱部分などの脆弱部分を備えることができる。
【0019】
衝撃事象中の車両乗員の前方への並進を抑制するための方法の一例において、方法は、車両乗員の第1の側に沿って第1のシート搭載型エアバッグクッションを展開するステップと、車両乗員の第2の側に沿って第2のシート搭載型エアバッグクッションを展開するステップとを含むことができる。方法は、第1及び第2のシート搭載型エアバッグクッションのうちの少なくとも一方と係合する少なくとも1つのラップアラウンドベルトを解放して、車両乗員の車両シート内での前方への並進を抑制するステップを更に含むことができる。
【0020】
幾つかの実装形態において、少なくとも1つのラップアラウンドベルトは、第1のラップアラウンドベルト及び第2のラップアラウンドベルトを備えてもよく、第1のラップアラウンドベルト及び第2のラップアラウンドベルトの両方は、展開中に第1及び第2のシート搭載型エアバッグクッションの一方又は両方と係合するように構成される。
【0021】
幾つかの実装形態において、少なくとも1つのラップアラウンドベルトを解放するステップは、第1のラップアラウンドベルト及び第2のラップアラウンドベルトを解放することを含むことができ、第1のラップアラウンドベルト及び第2のラップアラウンドベルトの解放は、同時に又は順次に行われてもよい。
【0022】
幾つかの実装形態において、少なくとも1つのラップアラウンドベルトを解放するステップは、第1のラップアラウンドベルトを解放して、プリテンショナを使用して第2のラップアラウンドベルトに作用する張力を増大させることを含むことができる。これに加えて又は代えて、少なくとも1つのラップアラウンドベルトを解放するステップは、第1のラップアラウンドベルトを解放して、第1のラップアラウンドベルト上の弛みを除去することを含むことができ、これは必要に応じてプリテンショナを使用して行うこともできる。
【0023】
一実施形態に関連して本明細書に開示される特徴、構造、工程、又は特性は、1つ以上の代替実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面を参照して、本開示の様々な実施形態を含む、本開示の非限定的かつ非網羅的な実施形態が記載される。
【0025】
図1A】幾つかの実施形態に係る骨盤拘束を有するシート搭載型エアバッグのクッションシステムの側面斜視図である。
図1B】ベルト解放手段を展開した後の図1Aのシート搭載型エアバッグクッションシステムの側面斜視図である。
図2A】展開前に示される火工テザー解放機構を備えるベルト解放手段の側面図である。
図2B】テザーを解放するための展開後に示される図2Aのベルト解放手段の側面図である。
図3A】展開前に示されるテザーカッターを備える他の実施形態に係るベルト解放手段の断面図である。
図3B】テザーを切断するための展開後の図3Aのベルト解放手段の断面図である。
図3C】展開前の図3A及び図3Bのベルト解放手段の他の図である。
図3D】展開後の図3Cのベルト解放手段を示す。
図4A】他の実施形態に係るシート搭載型エアバッグクッションシステムの側面斜視図である。
図4B】シート搭載型エアバッグクッションのうちの1つ以上を拘束するベルトのうちの1つを解放するためのベルト解放手段の展開後の図4Aのシート搭載型エアバッグクッションシステムを示す。
図5A】更に他の実施形態に係るシート搭載型エアバッグクッションシステムの側面斜視図である。
図5B】シート搭載型エアバッグクッションのうちの1つ以上を拘束する2つのベルトを解放するためのベルト解放手段の展開後の図5Aのシート搭載型エアバッグクッションシステムを示す。
図6A】更なる実施形態に係るシート搭載型エアバッグクッションシステムの側面斜視図である。
図6B】展開中に閾値力を受けたときにベルトを切断するためにベルトのうちの1つに沿って形成された脆弱部分を備えるベルト解放手段の展開後の図6Aのシート搭載型エアバッグクッションシステムを示す。
図7A】更に他の実施形態に係るシート搭載型エアバッグクッションシステムの側面斜視図である。
図7B】ベルト解放手段及びプリテンショナの展開後の図7Aのシート搭載型エアバッグクッションシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の様々な実施形態と一致する装置、システム、及び方法の詳細な説明を以下に提供する。いくつかの実施形態について説明するが、本開示は、開示される特定の実施形態のいずれかに限定されるものではなく、代わりに多数の代替形態、修正形態、及び均等物を包含することを理解されたい。加えて、本明細書に開示される実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明において多数の具体的な詳細が記載されているが、いくつかの実施形態は、これらの詳細の一部又は全てを伴わずに実施することができる。更に、明確にする目的で、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、関連技術分野において既知の特定の技術資料について詳細に説明していない。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、示されるように機能する動作、特性、属性、状態、構造、項目、若しくは結果の完全若しくはほぼ完全な程度又は度合いを指す。例えば、「実質的に」円筒形又は「実質的に」垂直である物体は、物体/特徴が、同じ又はほぼ同じ機能をもたらすように、円筒形/垂直又はほぼ円筒形/垂直のいずれかであることを意味する。この用語によって提供される正確な許容される偏差の程度は、特定の文脈に依存し得る。「実質的に」の使用は、動作、特性、属性、状態、構造、項目、若しくは結果の完全な又はほぼ完全な欠如を指すために、負の含意で使用される場合に等しく適用可能である。例えば、底部を「実質的に含まない」構造は、底部を完全に欠いている、又はその効果が底部を完全に欠いていた場合と実質上同じであるように、底部をほぼ完全に欠いているかのいずれかである。
【0028】
同様に、本明細書で使用するとき、用語「約」は、所与の値が、範囲に関連付けられた機能を依然として達成しながら、端点の「わずか上」又は「わずか下」であり得ることを提供することによって、数値範囲の端点に柔軟性を提供するために使用される。
【0029】
本開示の実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解することができ、同様の部分は、同様の数字によって指定される場合がある。開示される実施形態の構成要素は、本明細書の図面に概ね記載及び例示されるように、多種多様な異なる構成で配置及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、本開示の装置及び方法の実施形態の以下の詳細な説明は、特許請求されるように、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に本開示の可能な実施形態を表すものである。加えて、特に指定しない限り、方法の工程は、必ずしも、任意の特定の順序で実行される必要はなく、又は更には連続的に実行される必要はなく、また工程は1回のみ実行される必要もない。特定の好ましい実施形態及び実装形態に関する更なる詳細は、ここで添付図面を参照してより詳細に説明される。
【0030】
図1A及び図1Bは、幾つかの実施形態に係るシート中央エアバッグシステム100を示す。特定の好ましい実施形態では、システム100は、ニーボルスター及び/又はトーパンによる拘束などの効果的な骨盤拘束がない車両環境で使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、システム100は、自律型又は高度自動運転(HAD)車両に設置されてもよい。
【0031】
図では片側のみが見えるが、システム100は、一般に、図1A及び図1Bに示すように、車両乗員10のための車両シート15から又は車両シート15に隣接する位置から、例えば車両シート15の背後から展開されるように構成される一対のエアバッグクッションを備える。したがって、クッション110は、図1Aにおいて乗員10の右側で展開後に示される。この場合の先と同様、一般に、他の同様のクッションが、乗員10の左側から展開されるが、本明細書に記載されるように、ベルト解放手段及びそれらの機能の描写を容易にするために図示されない場合がある。
【0032】
隣接するエアバッグクッション110がクッション110の展開中に反作用面及び十分な張力を有するようにするべく、1つ以上のベルト又は「ラップアラウンドベルト」を使用して反作用面を与えることができる。本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上において使用され得るラップアラウンドベルトの例は、「Vehicle Occupant Restraint Device」と題する米国特許出願公開第2017/0259774号明細書に見出すことができ、その全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0033】
より詳細には、図示の実施形態では、2つのベルト、すなわち下部又は後方ベルト114及び上部又は前方ベルト116が示される。幾つかの実施形態では、ベルト114及び116は、シート15の下方で延在し、また、図示されていない乗員10の左側の前述のクッションと係合してもよい。しかしながら、他の実施形態では、別個のベルトがアセンブリ/システム100の両側で使用されてもよいことが考えられる。ベルト114/116の上端は、当業者が理解するように、シートの上端に結合されてもよい。ベルト114/116は、幾つかの実施形態では、シート15の下方で互いに結合されてもよく又は隣接する位置でシート15に結合されてもよい。同様に、ベルト114/116は、それぞれの上端で互いに結合されてもよく又は好ましくは互いに隣接する別個の位置で結合されてもよい。
【0034】
ベルトは、上端及び/又は底下端に進退可能に取り付けられてもよく、適切な展開を可能にするのに十分な長さを与えるようにするために様々なプリテンショナ、荷重リミッタなどを含んでもよいが、隣接するクッション120上の張力を維持するようにするために更なる収縮を抑制する。さらに、ベルト114/116のいずれかは、適切な展開を確実にするために、各々のクッション110の一部分に連結され得ることを理解されたい。この結合は、強固であってもよく、又は摺動可能なクリップなどによる摺動可能な結合によって行われてもよい。
【0035】
車両内の車両乗員10の前方への並進を抑制するために展開中にベルト又はベルト部分を解放するための手段120も含まれてもよい。図示された実施形態において、解放手段120は、その幾つかの特定の例が以下でより詳細に説明されるが、シート15の下部の下方に或いはさもなければシート15の下部に隣接して位置されてもよい。
【0036】
図1Bに示されるように、一方又は両方のベルト114/116が解放されると、シート15内で前方に並進するのではなく、衝撃事象中の乗員10の運動学は、前方骨盤及び/又は大腿上部並進から骨盤及び/又は大腿上部の回転まで乗員の運動学を変更することができ、それによってシート15に対する拘束を維持する。これは、図1Bの矢印によって示されるように、ベルト114/116が上方及び/又は前方に摺動及び/又は回転できるようにし、それによってベルト114/116の上部アタッチメントの周りでシート15の後部及び/又は上部まで回動できるようにする解放に起因する。
【0037】
幾つかの実施形態において、ベルト114/116の一方又は両方は、それらがシート15の下から出ることができるようにするために完全に解放されてもよい。他の実施形態では、ベルト114/116の一方又は両方を部分的に解放して、それぞれのベルトが前方及び/又は上方に摺動できるようにするが、シート15との結合を維持することができる。したがって、図1Bに示す実施形態では、両方のベルトが部分的に解放されて、前述の摺動/回動が乗員10の前方への並進を抑制できるようにするが、シート15との結合は展開後に維持される。
【0038】
図2A及び図2Bは、解放手段120のより具体的な例を示す。解放手段120は、火工作動テザー解放部を備える。したがって、幾つかの実施形態では、一方又は両方のベルト114/116を直接解放するのではなく、テザー130を一方又は両方のベルト114/116に結合することができ、テザー130を解放手段によって解放し、それによってベルトを解放することができる。
【0039】
火工作動式解放機構120は、ブラケット124と共に所定の位置に保持され得る火工アクチュエータ122を備える。ピストンが火工アクチュエータ122によって移動されてもよく、これは、摺動可能なテザー支持部材126と結合されるリテーナアーム125を、火工アクチュエータのハウジング又は火工アクチュエータ122が結合される他の装置に形成された開口部から押し出すことができる。
【0040】
テザー支持部材は、ピン128などを摺動可能に受けるように構成される長尺なスロット127を更に備えてもよい。したがって、火工アクチュエータ122の作動時に、テザー支持部材126は、リテーナアーム125を解放できるようにするべく(図面の視点から左に)摺動することができる。
【0041】
図2Bに示すように、テザー支持部材126はピン128に回転可能に結合されてもよい。これにより、リテーナアーム125は、一旦解放されると、回転が可能になる。テザー130と結合されるベルトに作用する張力に起因して、この力は、リテーナアーム125を回転させ、テザー130がリテーナアーム125から滑り落ちて解放されることを可能にする。
【0042】
図3A図3Dは、解放手段220の他の例を示す。解放手段220は、同様に火工的に作動され得るテザーカッターを備える。したがって、テザーカッター220は、火工アクチュエータ222を備える。幾つかの実施形態において、火工アクチュエータ222は、以下に説明するように、それ自体の内側に巻き返され、展開中に繰り出されて延びるように構成される再延伸端部を有する「再延伸イニシエータ」を備えることができ、それによってブレード/カッターを作動させるのに必要な力を与える。そのような「再延伸」イニシエータは、2003年12月5日に出願された「Assemblies including extendable,reactive charge-containing actuator devices(伸長可能な反応性電荷含有アクチュエータ装置を含むアセンブリ)」と題する米国特許第7,063,019号により詳細に開示及び記載されている。この特許の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
その遠位先端に位置されたブレード225を有するピストン223が、装置のチャンバ内に摺動可能に位置されてもよい。ピストン223をイニシエータ222、別の火工装置、又は別の適切な作動装置と動作可能に結合することにより、ブレードは、図3B及び図3Dに示すように、装置に形成された開口部232を通って延びるテザー230を切断するように構成され得る。図示された実施形態では、テザー230をベルト(図示せず)に結合することができると考えられるが、別の実施形態では、必要に応じて、カッター220又は別の同様の装置を使用して1つ以上のベルトを直接切断することも考えられる。停止要素229を使用して、ブレード225をカッター220内のその経路の遠位端に閉じ込めるための手段を提供することができる。
【0044】
図4A及び図4Bは、ベルト解放手段420を備えるシート搭載型エアバッグアセンブリ400の別の実施形態を示しており、その詳細は図には示されていないが、本明細書に開示されているより具体的なベルト解放手段のいずれかを備えることができる。この実施形態では、上部/前方ベルト416のみが解放され、下部/後方ベルト414のシート15への結合が維持される。幾つかの実施形態では、下部(後方)ベルト416のシート15への接続を維持しながら、上部(前方)ベルト414のみを解放して骨盤拘束機能を与え(乗員の後方への回転に対する前方並進を変更し)、このベルト414に継続的な張力を与えてクッション410を安定させ、乗員10を拘束するのに必要な支持を行なうことが有益であり得る。この場合も先と同様に、一般に、ベルト414/416、他の同様のベルト又はベルト部分もまた、乗員10の反対側に延び、別の膨張可能なクッションと係合することを理解すべきである。したがって、好ましい実施形態では、ベルト416(又は、他の実施形態では、ベルト414又はベルト414及び416の両方)の解放は、これらの図に示されていない反対側に同様の効果をもたらす。
【0045】
更に、ベルト416(及び/又は他の実施形態ではベルト414)は直接解放されてもよいが、図示の実施形態では、ベルト416に結合されたテザー430は、ベルト416を直接解放するのではなく、解放ベルト416に解放される。ここでも、本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、必要に応じて、テザーを使用して結合/解放を達成することができる。
【0046】
しかしながら、前述のように、他の実施形態では、両方のベルト414/416は、同時に又は順次に解放されてもよい。したがって、シート搭載型エアバッグアセンブリ500の別の実施形態が図5A及び図5Bに示されており、これは、所望のようにいずれかの方法で両方のベルトの解放を可能にすることができる。他の実施形態と同様に、アセンブリ500は、本明細書に開示される特定のベルト解放手段のいずれかを構成することができるベルト解放手段520を含む。図5Bに示すように、ベルト514及びベルト516の両方が解放されている。
【0047】
幾つかの実施形態では、これらのベルトは一緒に/同時に解放されてもよい。したがって、このような実施形態では、単一のベルト解放手段520を使用して両方のベルト514/516を解放することができる。しかしながら、別の実施形態では、意図的な遅延が、ベルトの一方を他方よりも先に解放することに組み込まれてもよい。したがって、各ベルトに対して別個のベルト解放手段が設けられてもよく、或いは、2つのアクチュエータを有する単一の装置が設けられてもよく、又は段階的なアクチュエータが使用されてもよいと考えられる。
【0048】
ベルト514/516の解放間に意図的な遅延を組み込む実施形態では、2つの解放間の遅延時間は、衝突パルスの重大度及び角度、ベルト付き乗員の状態対ベルトなし乗員の状態、乗員のサイズなどを含む幾つかの要因に依存し得る。例えば、幾つかの実施形態では、システム500は、車両内の様々なセンサによるこれらのパラメータのうちの1つ以上の検出に応じて、ベルトの解放間の遅延をもたらすか、又は遅延をもたらさないように構成され得る。例えば、乗員10がベルトを締められ、追加の骨盤拘束を必要としない場合、いずれのベルト514/516も解放されない可能性がある。遅延が必要とされるか、そうでなければシステムに組み込まれる場合、遅延は、例えば、約20ms~約30msであってもよい。一般に、この遅延は、前方/上部ベルト516が後方/下部ベルト514の前に解放されるように組み込まれる。
【0049】
シート搭載型エアバッグアセンブリ600の別の例が、図6A及び図6Bに示されている。ここでも、このシステムは、一対のラップアラウンドベルト614/616を使用して、1つ以上の隣接する膨張式クッションに対する反作用面及び張力を与える。しかしながら、この実施形態において、解放手段は、解放される1つ以上のベルト内の所定の力閾値に達したときに生じる解放するための手段などの、センサ入力なしで適応的にベルト解放をもたらすことができる機械的に作動される手段を備える。より具体的には、アセンブリ/システム600のテザー解放手段は、外側/上部ベルト616上に形成されて示されているが、他の実施形態では、これに加えて又は代えて、内側/下部ベルト614上に形成されてもよい脆弱部分617を備える。図6Bは、脆弱部分617の切断後のベルト616を示し、脆弱部分は、先と同様にベルト自体に形成されてもよいが、より好ましくはベルト616に結合されたテザーに形成される。
【0050】
脆弱部分617は、例えば、引裂継ぎ目、引裂ステッチ、穿孔、又はベルト内の任意の他の適切な力作動機構、及び/又はエアバッグ展開中に受けると予想される荷重下で解放し、ベルトをシートアタッチメントから所望の解放をもたらすベルトに結合されたテザーを備えることができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、ベルト616を完全に解放する代わりに、任意の負荷制限機構を使用して、閾値力に達するとベルト616の有効長を増大させることができる。この特徴は、幾つかの実施形態では、荷重制限シートベルトリトラクタに使用される特徴と同様に、曲げ要素又はトーションバーの形態であってもよい。ウェビング又は付随するテザーの制御された伸長又は繰り出しを可能にする他の特徴も使用することができる。
【0052】
シート搭載型エアバッグアセンブリ700の更に別の実施形態が、図7A及び図7Bに示されている。この実施形態では、図7Bに示すようにベルト716が解放され、両方の図の矢印で示すように、ベルト714はプリテンショナ740を使用して引っ込められる。プリテンショナ740は、典型的なシートベルトプリテンショナ又はプリテンショニングリトラクタを備えてもよく、ベルト714が解放されるときにベルト716の張力を増大させるように構成される。プリテンショナ740によって与えられる更なる張力付与は、ベルト716の解放に対して同時に、又は順次行われてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ベルト716の解放のわずか前に予張力付与を行うことができる。
【0053】
更に、幾つかの実施形態では、解放されたベルトで予張力付与及び/又は弛み低減を行うことができる。幾つかのそのような実施形態では、ラップアラウンドベルトの予張力付与又は長さ/弛み低減は、図面に示されるように底部ではなくシートバックの上部で行われてもよい。これにより、ラップアラウンドベルトがシートの下から離れ、円弧状の動きで上方/後方に引っ張られ、乗員が前方に移動するときに大腿部を持ち上げることが可能になり得る。
【0054】
前述の明細書は、様々な実施形態及び実装形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることを理解するであろう。例えば、様々な動作工程、並びに動作工程を実行するための構成要素は、特定の用途に応じて、又はシステムの動作に関連付けられた任意の数の費用関数を考慮して、様々な方法で実装されてもよい。したがって、工程のうちの任意の1つ以上は、削除、修正、又は他の工程と組み合わせることができる。更に、本開示は、限定的な意味ではなく例示的なものと見なされるべきであり、そのような全ての修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。同様に、様々な実施形態に関して、利益、他の利点、及び問題に対する解決策が上述されてきた。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、若しくは解決策を生じさせる、又はより顕著にさせることができる任意の要素(単数又は複数)は、重要な、必要な、若しくは必須の特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0055】
当業者は、本発明の基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に多くの変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【国際調査報告】