IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベー・ブラウン・メルズンゲン・アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図1A
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図1B
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図2
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図3
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図4
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図5
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図6
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図7
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図8
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図9
  • 特表-針アセンブリおよび関連する方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】針アセンブリおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
A61M25/06 512
A61M25/06 500
A61M25/06 556
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521189
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2021077417
(87)【国際公開番号】W WO2022073987
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/088,139
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591002131
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・メルズンゲン・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ルー,リリアン ジー リン
(72)【発明者】
【氏名】クー,テン リップ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA11
4C267BB02
4C267BB18
4C267CC08
4C267HH04
4C267HH08
(57)【要約】
本開示は、カテーテル装置(100、127、162)に関し、ブッシング(50)はカテーテルハブ(101)の内部空洞(92)に配置される。カテーテルチューブ(140)および補強スリーブ(60)は、ブッシング(50)の上に被せられ、カテーテルチューブと補強スリーブとの組み合わせがカテーテルハブに楔止めされる。補強スリーブ(60)は、少なくともカテーテルハブ(101)の遠位端においてカテーテルチューブ(140)と重なる。針(110)を備えた針ハブ(102)は、使用準備完了位置においてブッシング(50)およびカテーテルチューブ(140)を通って突き出る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリ(100、127、162)であって、
カテーテルアセンブリは、
内部空洞(92)を規定する外面および内面を有するハブ本体(88)を有するカテーテルハブ(101)と、
内部空洞(92)内に配置された遠位セクション(70)および近位セクション(55)を有するブッシング(50)と、
第1の長さ、内腔(141)、およびブッシングの上に被せられている遠位開口(142)を有するカテーテルチューブ(140)と、
非金属材料で作られ、ブッシング(50)の上に被せられている第2の長さを有する補強スリーブ(60)と、を含み、
補強スリーブ(60)は、カテーテルチューブ(140)のキンクに抵抗または防止するようにカテーテルハブ(101)の遠位端でカテーテルチューブ(140)の少なくとも一部と重なり、
カテーテルアセンブリはさらに、
針ハブ(102)の遠位端から外に延びる針(110)を備えた針ハブ(102)を含み、
針(110)は、針内腔および針先端(112)を有する針シャフト(111)を含み、
使用準備完了位置において、針シャフト(111)は、ブッシング(50)、カテーテルチューブ(140)、および補強スリーブ(60)を貫通して突出する、カテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項2】
第1の長さが第2の長さより大きい、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項3】
カテーテルチューブ(140)または補強スリーブ(60)は、ブッシング(50)と直接接触する、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項4】
補強スリーブ(60)は、カテーテルチューブ(140)の上またはカテーテルチューブ(140)の中に配置される、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項5】
補強スリーブ(60)は、熱収縮チューブである、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項6】
熱収縮チューブは、カテーテルハブ(101)の外装の少なくとも一部を囲む、
請求項5に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項7】
第2の長さの20%から70%が、カテーテルハブ(101)の遠位側に延びる、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項8】
近位開口部を有する近位壁と針シャフト(111)に摺動可能に取り付けられた2つの弾力性アームとを有する針ガード(103)をさらに含む、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項9】
カテーテルハブ(101)を通る流体の流れを制限するためのバルブ(122)をさらに含み、
バルブ(122)は、少なくとも2つのフラップを規定する少なくとも1つのスリットを含む、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項10】
カテーテルハブ(101)内でバルブ(122)の近位に位置するバルブアクチュエータ(104)をさらに含み、
バルブアクチュエータ(104)は、流体通路を有するノーズ部(94)と、雄型ルアーチップによって押すための少なくとも1つのプランジャ要素(90)とを含む、
請求項9に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項11】
ハブ本体(88)から径方向に延びるサイド流体ポート(184)をさらに含み、
サイド流体ポート(184)は、チューブ(188)をサイド流体ポート(184)の内腔に固定するブッシング(52)を有する、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(127)。
【請求項12】
カテーテルアセンブリ(100、127、162)を製造する方法であって、
方法は、
内部空洞(92)を規定する内面を有する本体(88)を有するカテーテルハブ(101)を形成するステップと、
ブッシング(50)の上に第1の長さを有するカテーテルチューブ(140)を被せるステップと、
ブッシング(50)の上に第2の長さを有する非金属の補強スリーブ(60)を被せるステップと、
ブッシング(50)をカテーテルハブ(101)の内部空洞(92)に固定するステップと、
針内腔と針先端(112)を有する針シャフト(111)を含む針(110)を有する針ハブ(102)を形成し、使用準備完了位置で針シャフト(111)をブッシング(50)とカテーテルチューブ(140)を通して突出させるステップと、
を含む方法。
【請求項13】
近位開口部を有する近位壁と2つの弾力性アームとを有する針ガード(103)を針シャフト(111)上に摺動可能に配置するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
カテーテルハブ(101)を通る流体の流れを制限するためのバルブ(122)をカテーテルハブ(101)の内部空洞(92)内に配置し、バルブ(122)の近位にバルブアクチュエータ(104)を配置するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
カテーテルアセンブリ(100、127、162)であって、
内部空洞(92)を規定する外面及び内面を有するハブ本体(88)を有するカテーテルハブ(101)と、
内部空洞(92)内に配置された細長い遠位シート(70)及びテーパ状シート(55)を有するブッシング(50)と、
ブッシング(50)上に被せられた第1の長さを有するカテーテルチューブ(140)と、
ブッシング(50)上に被せられた、第1の長さに比べて短い第2の長さを有する非金属の補強スリーブ(60)と、
針ハブ(102)の遠位端から延びる針(110)を有する針ハブ(102)と、を含み、
針(110)は、針内腔および針先端(112)を有する針シャフト(111)を含み、
針シャフト(111)は、使用準備完了位置において、ブッシング(50)、カテーテルチューブ(140)および補強スリーブ(60)を通って突出し、
補強スリーブ(60)は、カテーテルチューブ(140)の上またはカテーテルチューブ(140)の中に配置されている、
カテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項16】
補強スリーブ(60)の第2の長さの20%~75%がカテーテルハブ(101)のノーズ部(118)から遠位に延びる、
請求項15に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項17】
カテーテルチューブ(140)または補強スリーブ(60)は、ブッシング(50)と直接接触する、
請求項15に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項18】
補強スリーブ(60)は、熱収縮チューブである、
請求項15に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項19】
テーパ状シート(55)は円錐形であり、近位端(56)で、遠位端(57)の開口よりも大きい開口を有する、
請求項15に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項20】
補強スリーブ(60)に標識が提供される、
請求項15に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項21】
補強スリーブ(60)に抗菌剤が提供される、
請求項15に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【請求項22】
カテーテルハブ(101)の少なくとも一部は、熱収縮材料で覆われる、
請求項15に記載のカテーテルアセンブリ(100、127、162)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医薬品が血管に送達される場合に使用するための針装置、システム、および方法に関するものである。より詳細には、本開示は、静脈内医療装置で使用されるカテーテル装置またはアセンブリおよび針構成、ならびにそのような装置およびシステムを使用し製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、血管アクセス装置は、患者の血管系と流体を連通するために使用される。例えば、カテーテルは、通常の生理食塩水、様々な医薬品、および総合非経口栄養などの流体を患者に注入するため、患者から血液を抜き取るため、または患者の血管系の様々なパラメータをモニタするために使用される。
【0003】
一般的なタイプの静脈内(IV)カテーテルは、オーバー・ザ・ニードル末梢IVカテーテルである。その名が示すように、オーバー・ザ・ニードルカテーテルチューブは、鋭利な遠位先端を有するイントロデューサ針の上に取り付けられる。カテーテルチューブの遠位部分の少なくとも内面は、血管内へのカテーテルの挿入時にカテーテルチューブの捲れ返りを防ぐために、針の外面をしっかりと包み込む、または囲む。カテーテルチューブとイントロデューサ針は、イントロデューサ針の針先がカテーテルチューブの遠位先端を越えて延び、針のベベルが患者の皮膚から反対向きに上を向くように組み立てられる。カテーテル材料は部分的に透明であり、X線コントラストを提供するために透明材料のストライプと不透明のストライプを有することができる。カテーテルとイントロデューサの針は、一般に、患者の皮膚を通して浅い角度で血管に挿入される。
【0004】
針とカテーテルが血管内に適切に配置されていることを確認するために、臨床医は一般に、アクセスの確認として血液フラッシュバックを探す。最初の血液フラッシュバックは、針を通って透明な針ハブに入るもので、これは一次血液フラッシュバックと呼ばれることもある。これにより、少なくとも針が静脈を見つけたことが確認できる。次に、針をカテーテルチューブから離れる近位方向に引き抜くと、針とカテーテルチューブの間で血液がフラッシュバックする。これは二次フラッシュバックと呼ばれ、カテーテルチューブが静脈を見つけたことが確認できる。カテーテルが血管に正しく挿入されたことが確認されると、臨床医は、導入針とカテーテルの遠位側にある血管上の患者の皮膚を押さえることによって、血管に圧力をかけてもよい。この指圧により血管が閉塞され、カテーテルを通る血流、およびカテーテルハブから血液が漏れる可能性が、最小限に抑えられる。
【0005】
いくつかのIVカテーテルアセンブリでは、針に開いたノッチがあり、そこから血液が針とカテーテルチューブの間のスペースに流れ込むことができる。この「インスタントフラッシュ」によれば、針の先端だけが静脈に入り、カテーテルチューブは必ずしも静脈に入っていないことが確認できる。ノッチを採用した場合、針とカテーテルチューブの間に一次の血液が存在するため、二次的なフラッシュバックは起こりえない。
【0006】
その後、臨床医は、カテーテルからイントロデューサ針を引き抜くことができる。イントロデューサ針は、針先を覆い、偶発的な針刺しを防止する針先シールド又は針キャップの中に引き戻すことができる。針が開いたノッチを有する場合、遠位開口部と開いたノッチの間の血液は、毛細管現象によって保持されず、針から滴り落ちることがある。
【0007】
カテーテルから針を抜いた後、カテーテルハブを患者の皮膚にテープで固定し、カテーテルチューブが挿入点を介して血管にアクセスする状態でカテーテルハブを所定の位置にしっかりと固定することができる。しばしば、カテーテルハブが患者に固定された後、カテーテルチューブの軸がカテーテルハブの中心線と一致しない、および/または中心線から外れていることがある。カテーテルチューブとカテーテルハブの中心線との間の位置合わせの違いにより、可撓性チューブがきつい屈曲部を形成し、挿入点での患者の快適性に影響を与えたり、屈曲部でカテーテルチューブを通る流れを制限したり、カテーテルチューブに沿ってキンクを形成する可能性がある。例えば、挿入点付近の筋肉の伸展や屈曲のような患者からのいかなる動きも、患者への不快感を増大させ、カテーテルチューブにキンクを形成させる可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
針アセンブリの様々な実施形態は、いくつかの特徴を有し、そのうちの単一のものがそれらの望ましい属性の唯一の原因となることはない。後に続く特許請求の範囲に規定される本実施形態の範囲を限定することなく、今、それらのより顕著な特徴が簡潔に論じられる。
【0009】
本開示の態様に従って提供されるカテーテルアセンブリは、内部空洞を規定するハブ本体を有するカテーテルハブを含むことができる。カテーテルアセンブリは、内部空洞内に配置されたブッシングをさらに含むことができる。カテーテルアセンブリは、ブッシングの上に被せられた(sleeved over)カテーテルチューブをさらに含んでもよい。カテーテルアセンブリは、ブッシングの上に被せられたスリーブをさらに含んでもよい。スリーブは、少なくともカテーテルハブの遠位端でカテーテルチューブと重なることがある。カテーテルアセンブリは、針内腔と針先端を有する針シャフトを含む針を有する針ハブをさらに含むことができる。針シャフトは、使用準備完了位置において、ブッシング及びカテーテルチューブを貫通して突出することがある。
【0010】
カテーテルチューブおよびスリーブは、針シャフト突出方向に沿って、それぞれ第1および第2の長さを有していてもよい。第1の長さは、第2の長さよりも大きい場合がある。カテーテルチューブまたはスリーブは、ブッシングと直接接触していてもよい。
【0011】
スリーブは、カテーテルチューブの上に配置されてもよいし、カテーテルチューブの中に配置されてもよい。スリーブは、スリーブがカテーテルチューブ内にあるときよりも、スリーブがカテーテルチューブの上にあるときの方が大きな直径を有することがある。
【0012】
カテーテルチューブまたはスリーブは、熱収縮チューブであってもよい。
【0013】
ブッシングは、カテーテルチューブ又はスリーブに結合されたテーパ状シートをさらに含むことができる。テーパ状シートは、近位端でより広い開口を有し、遠位端で比較的狭い開口を有する円錐形であってもよい。ブッシングは、金属であってもよい。
【0014】
カテーテルアセンブリは、近位開口を有する近位壁と、針シャフトに摺動可能に取り付けられた2つの弾力性アームとを有する針ガードをさらに含むことができる。
【0015】
カテーテルアセンブリは、カテーテルハブを通る流体の流れを制限するためのバルブをさらに含むことができる。
【0016】
本開示の別の態様は、カテーテルアセンブリを製造するための方法である。本方法は、内部空洞を有するカテーテルハブを形成することを含むことができる。本方法は、ブッシングの上にカテーテルチューブを被せることをさらに含む場合がある。本方法は、ブッシングの上にスリーブを被せることをさらに含むことができる。本方法は、ブッシングをカテーテルハブの内部空洞に固定することをさらに含むことができる。本方法は、針で針ハブを形成することをさらに含むことができる。針は、針内腔と針先端を有する針シャフトを含むことができる。針シャフトは、ブッシング及びカテーテルチューブを貫通して突出することができる。
【0017】
本方法は、近位開口部を有する近位壁と2つの弾力性アームとを有する針ガードを針シャフト上に摺動可能に配置することをさらに含み得る。
【0018】
本方法は、カテーテルハブを通る流体の流れを制限するためのバルブをカテーテルハブの内部空洞内に配置することをさらに含み得る。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、カテーテルチューブを遠位セクションに被せることに加えて、非金属補強スリーブをブッシングの遠位セクションに被せ、ブッシングをカテーテルハブの内部に固定することを含む、カテーテルチューブのキンクに抵抗する方法である。カテーテルハブは、その遠位側に延びる針を有する針ハブを含むカテーテルアセンブリの一部であり、カテーテルハブ、補強スリーブ及びカテーテルチューブを使用準備完了の位置で貫通することができる。
【0020】
一実施例では、補強スリーブは、カテーテルハブの外側の周囲に配置することができる。代替例では、補強スリーブは、カテーテルハブの内腔内に配置することができる。
【0021】
本開示の別の態様は、内部空洞を規定するハブ本体を有するカテーテルハブを含み得るカテーテルアセンブリである。カテーテルアセンブリは、内部空洞に配置されたブッシングをさらに含むことができる。カテーテルアセンブリは、ブッシングの上に被せられたカテーテルチューブをさらに含むことができる。カテーテルアセンブリは、ブッシングの上に被せられたスリーブをさらに含むことができる。カテーテルアセンブリは、針を有する針ハブをさらに含んでもよい。針は、針内腔と針先端を有する針シャフトを含むことができる。針シャフトは、使用準備完了位置でブッシング及びカテーテルチューブを貫通して突出することがある。スリーブは、カテーテルチューブ及びブッシングの上又は中に配置されることがある。スリーブ及びカテーテルチューブは、それぞれ異なるカテーテルチューブに沿った長さを有していてもよい。
【0022】
スリーブは、カテーテルチューブの上に配置されてもよいし、カテーテルチューブの中に配置されてもよい。スリーブは、スリーブがカテーテルチューブの上にあるときは、スリーブがカテーテルチューブの中にあるときよりも大きな直径を有することがある。
【0023】
カテーテルチューブ上に配置されたスリーブは、遠位先端を有することができ、スリーブの遠位先端は、カテーテルチューブの遠位先端の近位側に位置する。
【0024】
スリーブの遠位先端は,テーパ状になっている。スリーブのテーパ状の先端は、トリッピング工程によって形成されている。
【0025】
ティッピング(tipping)工程は、カテーテルチューブのテーパ状の先端を形成するためのティッピング工程と同様にすることができる。一例として、スリーブは金属ピンの上に位置することができ、又は金属ピンはスリーブの内腔の中に位置することができる。次に、スリーブは、先端を形成するために、スリーブを加熱し、金型、アンビルまたは工具に当てることを含むティッピング工程を経る。
【0026】
いくつかの例では、まずカテーテルチューブが金属チップの上に置かれ、次にスリーブがカテーテルチューブと金属チップの両方の上に置かれる。その後、スリーブはティッピング工程を経る。
【0027】
カテーテルチューブまたはスリーブは、ブッシングと直接接触していてもよい。
【0028】
カテーテルチューブまたはスリーブは、熱収縮チューブであってもよい。
【0029】
ブッシングは、カテーテルチューブ又はスリーブに結合されたテーパ状シートをさらに含むことができる。テーパ付きシートは、近位端でより広い開口を有し、遠位端で比較的狭い開口を有する円錐形であってもよい。ブッシングは、金属から作られることがある。
【0030】
別の例では、ブッシングはプラスチックである。血栓形成、静脈炎、または血栓を防止または阻止するために、ブッシングの内面および外面の一部に疎水性コーティングを任意に適用することができる。一例では、パリレンコーティングが、ブッシングの細長い遠位シートの少なくとも内面に適用され得る。さらに他の例では、ブッシングは、医療用シリコーンゴムのようなポリマ材料またはポリママトリックス材料から作られ得る。
【0031】
カテーテルアセンブリは、近位開口を有する近位壁と、針シャフトに摺動可能に取り付けられた2つの弾力性アームとを有する針ガードをさらに含むことができる。
【0032】
カテーテルアセンブリは、カテーテルハブを通る流体の流れを制限するためのバルブをさらに含むことができる。
【0033】
本発明のさらに別の態様は、カテーテルアセンブリであって、
カテーテルアセンブリは、
内部空洞を規定する外面および内面を有するハブ本体を有するカテーテルハブと、
内部空洞内に配置された遠位セクションおよび近位セクションを有するブッシングと、
第1の長さ、内腔、およびブッシングの上に被せられている遠位開口を有するカテーテルチューブと、
ブッシングの上に被せられている第2の長さを有する補強スリーブと、を含み、
補強スリーブは、カテーテルハブの遠位端でカテーテルチューブの少なくとも一部と重なり、
カテーテルアセンブリはさらに、
針ハブの遠位端から外に延びる針を備えた針ハブを含み、
針は、針内腔および針先端を有する針シャフトを含み、
使用準備完了位置において、針シャフトは、ブッシング、カテーテルチューブ、および補強スリーブを貫通して突出する、カテーテルアセンブリ。
【0034】
第1の長さは、第2の長さよりも大きくてもよい。
【0035】
カテーテルチューブまたは補強スリーブは、ブッシングと直接接触することができる。
【0036】
補強スリーブは、カテーテルチューブの上またはカテーテルチューブの中に配置することができる。
【0037】
補強スリーブは、例えば熱収縮チューブから作られるような熱収縮材料から作ることができる。熱収縮材料は、カテーテルチューブの外装の一部と、任意にカテーテルハブの外装の少なくとも一部も囲むことができる。
【0038】
一実施例では、第2の長さ、または補強スリーブの長さの20%から70%が、カテーテルハブの遠位側に延びることができる。
【0039】
一例では、カテーテルハブの遠位端の遠位に延びる内側毛細管、又は場合により外側毛細管の部分は、内側毛細管の長さの約10%~約85%であり、25%~65%であることがより好ましい。
【0040】
設置を容易にするために、カテーテルチューブを加熱または冷却することができ、および/または、内側毛細管を冷却または加熱することができる。
【0041】
補強毛細管又はスリーブは、カテーテルチューブと同じ材料から作られることがある。一例では、内側毛細管は、非限定的な例として、シリコーンゴム、ラテックス、ポリウレタン(PUR)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フッ化エチレンプロピレン(FET)、又はシリコーンなどのポリマ材料から、例えば押出工程などによって、金属以外の材料から作られてもよい。いくつかの例では、特にスリーブがカテーテルチューブの外部に使用される外側スリーブである場合、材料はテフロン(登録商標)であり得る。さらに他の例では、材料は、熱可塑性ウレタンやポリエーテルブロックアミド(PEBA)などの熱可塑性エラストマから作られることがある。
【0042】
いくつかの例では、抗菌剤は、任意に、補強毛細管又はスリーブに組み込まれることがある。一例では、抗菌金属をポリマ材料に添加して、又は組み合わせて、スリーブの一部として押し出し成型することができる。例示的な抗菌金属は、銀、金、白金、銅、亜鉛などの貴金属を含む。生理的抗菌金属化合物は、好ましくは銀、また金の酸化物および塩を含むことができる。これらの薬剤には、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、硝酸銀、酸化銀、スルファジアジン銀、硫酸銀、塩化金、酸化金などがある。また、クロロプラチン酸またはその塩(例えば、クロロプラチン酸ナトリウムおよびカルシウム)などの白金化合物も使用することができる。あるいは、銀について上記に示したような銅および亜鉛の酸化物および塩も使用することができる。本発明の好ましいピストン(piston)で使用可能な好ましい生理的抗菌性金属化合物としては、酢酸銀、酸化銀、イオン性銀、硫酸銀、塩化金、および酸化銀と塩化金との組合せが挙げられる。抗菌剤の量は、組み合わせた材料の重量比で2%~8%の範囲とすることができる。また、抗菌剤とともに着色剤を添加することもできる。
【0043】
近位開口部を有する近位壁と2つの弾力性アームとを有する針ガードを、針シャフトに摺動可能に取り付けることができる。
【0044】
少なくとも2つのフラップを規定する少なくとも1つのスリットを含むカテーテルハブを通る流体の流れを制限するためのバルブは、カテーテルハブの内側に配置することができる。
【0045】
バルブアクチュエータは、カテーテルハブ内でバルブの近位に位置することができ、バルブアクチュエータは、流体通路を有するノーズ部と、雄型ルアーチップ(Luer tip)によって押すための少なくとも1つのプランジャ要素とを含むことができる。
【0046】
本発明のさらに別の態様は、カテーテルアセンブリを製造するための方法である。この方法は、
内部空洞を規定する内面を有する本体を有するカテーテルハブを形成するステップ;
ブッシングの上に第1の長さを有するカテーテルチューブを被せるステップ;
ブッシングの上に第2の長さを有する補強スリーブを被せるステップ;
ブッシングをカテーテルハブの内部空洞に固定するステップ;および
針内腔と針先端を有する針シャフトを含む針を有する針ハブを形成し、使用準備完了位置で針シャフトをブッシングとカテーテルチューブを通して突出させるステップ、を含んでもよい。
【0047】
本方法は、近位開口部を有する近位壁と2つの弾力性アームとを有する針ガードを針シャフト上に摺動可能に配置するステップをさらに含んでもよい。本方法は、針ガードをカテーテルハブの内部に取り外し可能に係合させるステップを含んでもよい。
【0048】
本方法は、カテーテルハブを通る流体の流れを制限するためのバルブをカテーテルハブの内部空洞内に配置するステップと、バルブの近位にバルブアクチュエータを配置するステップとをさらに含んでもよい。
【0049】
本発明のさらに別の態様は、カテーテルアセンブリであって、
内部空洞を規定する外面及び内面を有するハブ本体を有するカテーテルハブ;
内部空洞内に配置された細長い遠位シート及びテーパ状シートを有するブッシング;
ブッシング上に被せられた第1の長さを有するカテーテルチューブ;
ブッシング上に被せられた、第1の長さに比べて短い第2の長さを有する補強スリーブ;
遠位端から延びる針を有する針ハブ、を含み、
針は、針内腔および針先端を有する針シャフトを含み、
針シャフトは、使用準備完了位置において、ブッシング、カテーテルチューブおよび補強スリーブを通って突出しており、
補強スリーブは、カテーテルチューブの上またはカテーテルチューブの中に配置されている、カテーテルアセンブリである。
【0050】
補強スリーブは、標識(indicia)を備えることができる。標識は、カテーテルチューブの色と異なる色、または1つ以上のマーキングとすることができる。
【0051】
補強スリーブは、抗菌剤を備えることができる。
【0052】
カテーテルハブの少なくとも一部は、熱収縮材料で覆うことができる。例えば、カテーテルハブのノーズ部を熱収縮材料で囲み、その後、熱などで活性化してノーズ部の周囲にきつくフィットさせることができる。
【0053】
熱収縮チューブは、いくつかの非限定的な例を挙げると、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、バイトン、ネオプレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PUR)、またはフッ化エチレンプロピレン(FEP)等の一連の熱可塑性プラスチックから作ることができる。
【0054】
針ガードを提供することができる。針ガードは、針の側方に位置する表面を有することができ、不注意な針刺しから針先をブロックするために、表面が針先の遠位に位置するように、針先と表面とが互いに対して可動である。針は、周囲で針ガードに係合するために、クリンプのようなプロファイル変化を有することができる。あるいは、針ガードは、プロファイルの変化なしに、保護位置で針を把持するために傾斜する(cant over)ことができる。
【0055】
針ガードは、カテーテルハブの内部に配置することができ、針によってバイアスされて、使用準備完了位置にある針ハブに係合することができる。他の例では、針ガードは、バルブオープナによってカテーテルハブ内に保持される。例えば、バルブオープナは、2つのプランジャ要素又は脚部を有し、2つのプランジャ要素の異なる縁部を接続する2つのバンドを有し、それによって連続したセクション及び2つの貫通開口部を形成することが可能である。ニードルガードの2つのエルボは、2つの貫通開口部に位置し、カテーテルハブ内に保持されることができる。
【0056】
カテーテルアセンブリが補強毛細管又はスリーブを備える場合、その特徴は、カテーテルチューブをキンクから支持するためにカテーテルチューブのボア内に適合する内側スリーブ、又はカテーテルチューブをキンクから支持するためにカテーテルチューブの外側に適合する外側スリーブとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明の装置、システム、および方法のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の明細書、請求項、および添付の図面を参照して同じことがよりよく理解されるようになると、理解されるであろう。
【0058】
図1A図1Aは、本開示の態様に従って提供されるIVカテーテルアセンブリの一実施形態の断面図である。
図1B図1Bは、本開示の態様に従って提供されるIVカテーテルアセンブリの別の実施形態の断面図である。
図2図2は、本開示の態様に従って提供されるカテーテルハブアセンブリの等角図である。
図3図3は、図2のカテーテルハブアセンブリの断面図である。
図4図4は、本開示の態様に従って提供されるブッシングの一実施形態を示す側面図である。
図5図5は、図4のブッシングを示し、カテーテルチューブに取り付けられている。
図6図6は、図4のブッシングを示し、カテーテルチューブは部分的に偏向している。
図7図7は、図2のハブアセンブリを示し、カテーテルチューブは部分的に偏向している。
図8図8は、IVカテーテルアセンブリの別の実施形態を示す。
図9図9は、IVカテーテルアセンブリのさらに別の実施形態を示す。
図10図10は、IVカテーテルアセンブリのさらに別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、針アセンブリの現在好ましい実施形態、および本発明の装置、システム、および方法の態様に従って提供される針アセンブリと共に使用するかまたは形成するための構成要素の説明として意図されており、本発明の装置、システム、および方法が構築または利用され得る唯一の形態を表すことを意図していない。本説明では、図示された実施形態に関連して、本デバイス、システム、および方法の実施形態を構築および使用するための特徴およびステップを規定する。しかしながら、同じまたは同等の機能および構造が、本開示の精神および範囲内に包含されることも意図される異なる実施形態によって達成され得ることが理解されよう。本明細書の他の箇所で示されるように、同種の要素番号は、同種または類似の要素または特徴を示すことを意図している。
【0060】
図1Aは、本開示の態様に従って提供されるカテーテル装置またはアセンブリ100を示す。カテーテル装置100は、近位端93と遠位端91との間に中空内部空洞92を規定する外面および内面を有する本体88を有するカテーテルハブ101と、針ハブ102と、針ハブ102から延び、使用準備完了位置にある柔軟なチューブまたはカテーテルチューブ140を通って突出する針110とを含むことができる。針110の遠位端に針ベベルを有する針先端112は、図1Aの準備完了位置にあるカテーテルチューブ140の遠位端開口142から延び出すことができる。針110は、針内腔を有する針シャフト111を規定する壁面を有すると理解することができる。プッシュタブは、カテーテル穿刺中にカテーテルハブ101を押すのを助けるためにハブ本体88に設けることができ、一対のウィングが、静脈穿刺の成功後にカテーテルハブを患者に固定するのを容易にするためにハブ本体88の側方に延びてもよい。
【0061】
カテーテル装置100は、針刺し損傷を防止するために、静脈穿刺の成功後に針110がカテーテルハブ101から引き抜かれた後、保護位置にある針先端112を覆う針シールド又は針ガード103を任意に含むことができる。針ガード103は、使用可能な位置で内部空洞92の内部に固定することができる。針ガード103は、図10を参照してさらに後述するように、代替的に、内部空洞92の外側または部分的に外側に設けられることができる。針ガード103は、針を収容するための開口を規定する周囲を有する近位壁と、近位壁の遠位に延びる2つのアームと、不注意による針刺しを防ぐために保護位置で針先112を覆うための端面または遠位壁とを有することができる。
【0062】
一実施例では、針ガード103は、使用準備完了位置にある針シャフト111の側方に位置する表面を有し、表面は、不注意な針刺しから針先端112を覆うために保護位置にある針先端112の遠位に移動可能である。針シールドの例は、米国特許第8,827,965号およびUS2012/0046620 A1として公開された米国特許出願第13/257,572号にあり、その内容は、参照によりここに明示的に組み込まれる。したがって、針ガードは、針の側方に位置する表面を有し、不注意な針刺しから針先をブロックするために、表面が針先の遠位に位置するように、針先と表面とが互いに対して可動である。これらの針シールドまたはガードは、ユニット的に形成することができ、または複数の部品または構成要素から別々に作られ、その後一緒に組み立てることができる。
【0063】
針110は、残りの針シャフトとは異なる表面輪郭又は形状を有するプロファイル又はプロファイル113の変化を含むことができる。プロファイル113の変化は、針ガード103が保護位置で針110から遠位方向に変位して外れてしまうのを止めるために、針ガード103の近位壁上の開口を規定する周囲と相互作用するために針先端112の近くに組み込まれた圧着または放射状の膨らみを具現化することができる。針ガード103の中には、針110を取り囲む開口部が針シャフト111を把持できるようにキャントまたは傾斜できるものなど、針110上のプロファイル113を変化させずに動作できるものがあり、例えば、米国特許第6,709,419号に開示されており、その内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。図1Aの実施形態では、針シールド103は、カテーテルハブ101の内部空洞92に位置し、針110がそこを通り、例えば、近位壁の開口を通り、2つのアームのエルボがカテーテルハブの内部の環状突起に係合するように2つのアームを外側に偏らせるために2つのアームの間を通っている。他の例では、針シールド103は、カテーテルハブと針ハブとの間に位置する第3のハウジングまたはガードハウジング内など、カテーテルハブ101の外側または実質的に外側に配置される。任意に、針ガード103は省略することができる。他の例では、針ガードは、図9に示すバルブオープナのようなバルブオープナによってカテーテルハブ内に保持される。例えば、バルブオープナは、2つのプランジャ要素または脚部を有することができ、2つのプランジャ要素の異なる縁部を接続し、それによって連続部および2つの貫通開口部を形成する2つのバンドを有することができる。針ガードの2つのエルボは、2つの貫通開口部内または貫通開口部に配置され、カテーテルハブ内に保持され得る。
【0064】
任意に、図9に示すようなバルブとバルブオープナをカテーテルハブ101に含めることができる。針ハブ102から延びる針110は、使用準備完了位置にあるバルブオープナおよびバルブの両方を通って延びることができる。含まれる場合、バルブは、内部空洞内に楔状に配置され、そこを横切る流体の流れを制御することができる。バルブオープナは、カテーテルハブ内でバルブの近位側に摺動可能に取り付けられることができる。バルブオープナは、2つ以上のフラップ、例えば3つまたは4つのフラップを規定する1つ以上のスリットを有するバルブに進入し、流体の流れのためにバルブを開くことができる。例えば、静脈穿刺に成功した後、点滴液ラインの雄型ルアーアダプタをカテーテルハブの近位開口部に接続し、バルブオープナをバルブ内に進めて2つ以上のバルブフラップを偏向させ、点滴バッグとカテーテルチューブの間の流体連絡を開くことができる。例示的なバルブ及びバルブオープナは、米国特許第10,166,370号明細書および米国公開番号2018/0214682号に記載されており、それらの内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0065】
カテーテルチューブ140は、ブッシング50を介してカテーテルハブ101の遠位端に接続することができる。ブッシング50は、カテーテルチューブ140の近位端をブッシング50の外面とカテーテルハブ101の内面との間で押圧して、カテーテルチューブ140をカテーテルハブ101に保持する。
【0066】
一例では、ブッシング50は、撓み、曲がり、及び/又は変形することができないブッシングとすることができる。ブッシング50は、従来の金属ブッシングのような従来のブッシングとすることができる。ブッシング50は、漏斗形状を有するテーパ状シート55を有する近位部と呼ぶことができるアンカー55又は近位シート55と、テーパ状シート55から遠位方向に延びる、滑らかな円筒体などの滑らかな表面を有する細長い本体を有する遠位部と呼ぶことができる細長い遠位シート70(図4)を含むことができる。他の例では、近位シート55の形状は、テーパ状または非テーパ状であることに限定されない。例えば、近位シートの形状は、テーパ状および非テーパ状の両方の特徴の組み合わせ、延伸、非延伸、規則的、または不規則な特徴を有することができる。遠位シート70は、細長くすることができ、中空円筒を具現化することができる。
【0067】
一例として、カテーテルチューブ140をカテーテルハブに楔着させるためにブッシング50をカテーテルハブ101の内部空洞92に固定するとき、細長い遠位シート70の一部は、少なくとも部分的にカテーテルハブのノーズ部118のボア内に延び得る。別の例では、細長い遠位シート70の大部分は、ノーズ部118のボア内に凹んでいる。カテーテルチューブ140の近位端は、細長い遠位シート70の外側とノーズ部118のボアまたは内面との間、および場合によっては近位シート55においても圧縮される。ブッシング50がカテーテルハブをノーズ部118の内面に対して楔止めするカテーテル装置100の領域またはセクションは、固定セクション120と称されることがある。
【0068】
一実施例では、固定セクション120は、カテーテルチューブ140に加えて、補強毛細管又はスリーブ60を含んでもよい。補強毛細管またはスリーブ60は、中空内部を規定する外部と内部とを有する細長い可撓性チューブを含んでもよい。補強毛細管又はスリーブ60は、補強毛細管60のボア内にカテーテルチューブ140を収容することができ、又は補強毛細管60はカテーテルチューブの外側又は外部に配置することができる。図1Aの例では、補強毛細管60は内側毛細管または内側スリーブ60aであり、これは、補強毛細管またはスリーブ60の外側がカテーテルチューブ140の内側と接触するようにカテーテルチューブ内に配置されると理解される。
【0069】
内側毛細管60aをカテーテルチューブ140のボア内に配置し、カテーテルチューブ140と内側毛細管60aの両方を、固定セクション120でブッシング50を介してカテーテルハブ101の遠位端に接続することが可能である。ブッシング50は、カテーテルチューブ140の近位端を、内筒60aの外側とカテーテルハブ101のノーズ部118のボアとの間で押圧して、カテーテルチューブ140をカテーテルハブ101に保持するとともに、内筒60aも保持できる。言いかえれば、ブッシング50は、カテーテルチューブ140と内側毛細管60aの両方をノーズ部118に対して楔止めすることができる。内側スリーブ60aの少なくとも一部は、ノーズ部118の遠位端91の遠位に延びることができる。カテーテルハブ101の遠位端91の外に延びる内側毛細管60aの部分は、可撓性があり、カテーテルチューブ140と共に曲がることができるが、ノーズ部でのその位置は、以下にさらに論じるように、カテーテルハブのノーズ部またはその付近でのカテーテルチューブ140のキンクまたは潰れを抑止するためにカテーテルチューブを補強する。一例では、遠位端91の遠位に延びる内側毛細管60aの部分は、内側毛細管60aの長さの約10%~約85%であり、25%~65%であることがより好ましい。カテーテルチューブ140は、取り付けを容易にするために、加熱することができ、および/または、内側毛細管60aは冷却することができる。
【0070】
カテーテルハブを患者にテーピングするときなど、カテーテルチューブ140が曲がるとき、曲がった部分の上側は引張応力を受け、下側は圧縮応力を受ける。圧縮応力がカテーテルチューブの降伏強度を超えるとキンクが発生し、カテーテルチューブが折れ曲がる。内側毛細管60aは、静脈穿刺の成功後にカテーテルハブを固定するために接着ドレッシングを塗布するためにカテーテルハブを患者の皮膚に対して傾けるときなど、曲がりによってカテーテルチューブ140に及ぼされる力に対抗できる。内側毛細管60aは、曲げに対する抵抗を増大させることができ、毛細管チューブ140の引張および/または圧縮応力による破壊、またはキンクが起こる前に、比較的大きな曲げ角度を許容することさえできる。
【0071】
組立中、内側毛細管60aは、ブッシング50の上に被せることができ、カテーテルチューブ140は、その後内側毛細管60aの上に被せられ得る。組み立てを容易にするために、カテーテルチューブ及び/又は内側スリーブに熱を加えることができる。内側毛細管60aがブッシング上に配置されると、内側毛細管60aは冷却され得る一方、カテーテルチューブ140は組み立てを容易にするために加熱され得る。内側毛細管60aは、ブッシング50の上に被せられる前の細長い遠位シート70(図4)の直径とほぼ同じかそれよりも小さい内径を有することができる。一旦、内側毛細管60aがブッシング50の上に被せられると、内側毛細管60aの内径は、細長い遠位シート70の直径にほぼ拡大し、細長い遠位シート70に圧縮力を加え、ぴったりとした嵌合を形成し得る。内側毛細管60a及びカテーテルチューブ140の両方をブッシング50上に被せることに続いて、ブッシング50をカテーテルハブ101のノーズ部118のボアに挿入して、組み合わせカテーテルチューブ及び内側毛細管をノーズ部に楔止めすることができる。
【0072】
内側毛細管60aは、約1cm~4cmの長さを有することができ、1.5cm~2.5cmがより好ましい。内側毛細管60aの長さは、細長い遠位シート70の長さよりも長くすることができ、細長い遠位シート70の長さは、カテーテルチューブ140の方向に沿う。内側毛細管60aは、カテーテルチューブのゲージサイズに依存して変化し得る内径を有し得る。例えば、外径が1.37mmのG16金属ブッシングの場合、内側毛細管60aの内径は1.34mmとすることができる。別の例として、外径が1.05mmのG18金属ブッシングの場合、内側毛細管60aの内径は0.98mmとすることができる。一例では、内側毛細管60aは長さを有し得、長さの約15%~約85%は、ノーズ部118の遠位端の遠位に延在し得る。内側毛細管60aは、カテーテルチューブ140の長さよりも短い長さを有する。
【0073】
内側毛細管60aは、カテーテルチューブと同じ材料から作られることがある。一例では、内側毛細管は、非限定的な例として、シリコーンゴム、ラテックス、ポリウレタン(PUR)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フッ素化エチレンプロピレン(FET)、又はシリコーンなどのポリマ材料から、押出工程などによって、非金属材料から作られ得る。いくつかの例では、特にスリーブがカテーテルチューブの外部に使用される外側スリーブである場合、材料はテフロン(登録商標)であり得る。さらに他の例では、材料は、熱可塑性ウレタンやポリエーテルブロックアミド(PEBA)などの熱可塑性エラストマから作られることがある。
【0074】
針110は、針ハブ102の遠位端から延び、ブッシング50のテーパ状シート55と細長い遠位シート70を通ってカテーテルハブ101の内部空洞92を通り、使用準備完了位置にあるカテーテルチューブ140の遠位端開口142から針先端112が延びている状態でカテーテルチューブ140に入れることができる。カテーテルチューブ140の遠位部分は、内側にテーパするか、または針110の外径よりも小さいサイズを有する開口部を有して、カテーテルチューブ140の開口部で針110とのシールを形成して、針先112が切開箇所または挿入点で患者の皮膚に突き刺さるときにカテーテルチューブ140と針110との間の空間に流体が入ることを防止できる。針110とカテーテルチューブ140の内部との間の空間は、環状とすることができ、任意に、隆起などのバッフルによって区画することができ、または、後述するように、二次的な血液フラッシュバックの認識を高めるために血液と反応または吸収する材料で裏打ちすることができる。
【0075】
静脈に入るときなど、皮膚に穴を開けるときに、針110の針内腔に流れ込み、針ハブ102に入る血液は、一次血液フラッシュバックとして知られている。針ハブ102に流入した血液は、サンプリングのためにベントプラグまたは血液収集装置107に収集することができる。一次的な血液フラッシュバックの後に針先112をカテーテルチューブ140内に近位方向に後退させると、流体または血液が針110とカテーテルチューブ140の内部との間の空間に流れ込むことができ、これは二次的な血液フラッシュバックとして知られる。
【0076】
従って、本発明の一態様は、内部空洞を規定する外面及び内面を有するハブ本体を有するカテーテルハブを含む耐キンク性カテーテルアセンブリを含むと理解される。カテーテルハブの遠位端にボアを有するノーズ部。カテーテルチューブの近位端を、ノーズ部のボアを規定する内面に楔止めする金属ブッシング。補強毛細管またはスリーブが、カテーテルチューブの内部に配置される。補強毛細管またはスリーブの外側は、カテーテルチューブの内側に接触することも、ノーズ部の内側に対してブッシングによって楔止めされていない位置で、カテーテルチューブの内側から間隔をあけることもできる。補強毛細管またはスリーブは、ブッシングの細長い遠位シートに装着される。補強毛細管またはスリーブは、近位座の手前で終端するか、近位座のテーパ面の一部と接触することができる。カテーテルチューブは、補強毛細管とブッシングの細長い遠位座の上に装着される。金属製ブッシングは、カテーテルチューブと補強毛細管の両方をノーズ部のボアの内面に楔止めする。内側毛細管は、カテーテルチューブの長さよりも短い長さを有する。内側毛細管はある長さを有し、長さの約15%~約85%がカテーテルハブのノーズ部の遠位端の遠位に延びることができる。内側毛細管は、静脈穿刺の成功後にカテーテルハブを固定するために接着ドレッシングを塗るために患者の皮膚に対してカテーテルハブを傾けるときなど、カテーテルチューブの曲がりによってカテーテルチューブに及ぼされる力に対抗できる。内側毛細管は曲げに対する抵抗力を高め、毛細管チューブの引張および/または圧縮応力による折れ曲がり、またはキンクが生じる前に、比較的大きな曲げ角度を許容することさえ可能である。
【0077】
耐キンク性カテーテルアセンブリは、針ハブから延び、カテーテルチューブ及び内側補強スリーブを通り、カテーテルチューブの遠位開口部から出る針をさらに含むことができる。組み込まれる場合、針ガードは、カテーテルハブの内部、またはカテーテルハブと針ハブの間に位置する第3のハウジングに配置することができる。カテーテルアセンブリは、さらに任意で、カテーテルハブの内部に位置するバルブとバルブオープナとを含むことができる。ニードルガードは、バルブの近位に位置することができる。例えば、針ガードは、バルブオープナの2つのプランジャ要素の間、または第3のハウジングの内部に配置することができる。
【0078】
いくつかの例では、抗菌剤は、任意に内側補強スリーブ60a、又は外側補強スリーブ60bに組み込まれることがある。一例では、抗菌金属をポリマ材料に添加して、又は組みあわせて、スリーブの一部として押し出すことができる。例示的な抗菌金属は、銀、金、白金、銅、および亜鉛などの貴金属を含む。生理的抗菌金属化合物は、好ましくは銀、また金の酸化物および塩を含むことができる。これらの薬剤には、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、硝酸銀、酸化銀、スルファジアジン銀、硫酸銀、塩化金、酸化金などがある。また、クロロプラチン酸またはその塩(例えば、クロロプラチン酸ナトリウムおよびカルシウム)などの白金化合物も使用することができる。あるいは、銀について上記に示したような銅および亜鉛の酸化物および塩も使用することができる。本発明の好ましいピストンで使用可能な好ましい生理的抗菌性金属化合物としては、酢酸銀、酸化銀、イオン性銀、硫酸銀、塩化金、および酸化銀と塩化金との組合せが挙げられる。抗菌剤の量は、組み合わせた材料の重量比で2%~8%の範囲とすることができる。また、抗菌剤とともに着色剤を添加することもできる。
【0079】
図1Bは、本開示のさらなる態様に従って提供されるカテーテル装置又はアセンブリ100を示す。この実施形態では、補強毛細管またはスリーブ60は、カテーテルチューブ140の上に取り付けられ、またはカテーテルチューブは、スリーブ60のボアの内側に配置され、補強スリーブは、外側毛細管または外側スリーブ60bと呼ばれることがある。外側毛細管60bは、カテーテルチューブ140のボアの外側に配置することができ、カテーテルチューブ140および外側毛細管60bの両方を、固定セクション120においてブッシング50を介してカテーテルハブ101の遠位端に接続することができる。したがって、外側スリーブ60bは、ボアを規定する内面を有することができ、カテーテルチューブ140は、外側スリーブ60bのボア内に位置し、場合によっては外側スリーブの内面に接触し得る。
【0080】
ブッシング50は、固定セクション120において、カテーテルチューブ140の外面とカテーテルハブ101のノーズ部118の内部との間で外側毛細管60bの近位端を押圧して、外側毛細管60bをカテーテルハブ101内に部分的に保持できる。外側毛細管60bに加えられる保持力は、外側毛細管60bとブッシング50との間に位置するカテーテルチューブ140にも作用して、カテーテルチューブ140を所定の位置に保持し得る。外側毛細管60bのカテーテルハブ101の遠位端91から延びる部分は、カテーテルチューブ140と共に曲がって、カテーテルハブのノーズ部またはその付近でカテーテルチューブ140のキンクまたは折れ曲がりを抑止できる。外側毛細管60bは、静脈穿刺の成功後にカテーテルハブを固定するために接着ドレッシングを塗布するためにカテーテルハブを患者の皮膚に対して傾けるときなど、曲がりによってカテーテルチューブ140に及ぼされる力に対抗できる。外側毛細管60bは、曲げに対する抵抗を増大させることができ、毛細管チューブ140の引張および/または圧縮応力による折れ曲がり、すなわちキンクの前に比較的大きな曲げ角度を許容することもできる。
【0081】
組立中、カテーテルチューブ140は、ブッシング50の上に被せられ、外側毛細管60bは、次に、カテーテルチューブ140及びブッシング50の両方の上に被せられることができる。任意選択で、外側スリーブ60bは、カテーテルチューブ140の上に配置され、その後、組み合わせがブッシング50の遠位シート70に取り付けられることができる。外側毛細管60bは、カテーテルチューブ140の上に被せられる前のカテーテルチューブ140の外径とほぼ等しいか、またはそれよりも小さい内径または内径を有することができる。実施形態では、外側毛細管60bは、カテーテルチューブの外径よりわずかに大きい内径を有していてもよい。外側毛細管60bがカテーテルチューブ140の上に被せられると、外側毛細管60bの内径は膨張し、カテーテルチューブ140だけでなく、細長い遠位シート70と外側毛細管60bが重なるブッシングの細長い遠位シート70に圧縮力をかけることがある。この係合により、外側毛細管60bとカテーテルチューブ140との間に、ぴったりとした嵌合またはわずかな干渉嵌合が生じる。外側スリーブおよび/またはカテーテルチューブを軟化させ、および/または組立中に構成要素を硬くまたは収縮させるために、熱および冷却を適用することができる。カテーテルチューブおよびスリーブをブッシングに取り付けるのに続いて、ブッシング50をカテーテルハブ101のノーズ部118のボアに挿入して、ノーズ部の内部に対して両者を楔止めすることができる。
【0082】
外側毛細管60bは、約1cm~4cmの長さを有することができ、1.5cm~2.5cmがより好ましい。外側毛細管60bの長さは、細長い遠位シート70の長さよりも長くすることができる。外側毛細管60bは、カテーテルチューブのゲージサイズに依存して変化し得る内径を有することができる。
【0083】
実施例では、カテーテルチューブ140は、その長さに沿って同じ外径を有したうえで、2つの端部に、異なるサイズまたは形状を有することができる。いくつかの例では、カテーテルチューブ140は、2つの端部において第1の外径と第2の外径を有することができ、ここで第1の外径は第2の外径よりも大きい。例えば、第2の外径は、外側補強スリーブとの嵌合のために近位端に位置することができる。第2の外径は、組み合わせたときに、重なった部分がカテーテルチューブの他の部分とほぼ同じ外径を有することができるように、外側毛細管60bのための空間を提供し得る。他の例では、カテーテルチューブ140は均一な外径を有することができ、スリーブは均一な外径の上に配置される。外側スリーブの遠位端は、外側スリーブまでの挿入深さが適切な静脈穿刺のために必要とされる場合に、カテーテルチューブから外側スリーブへの移行が滑らかで、患者に進入できるように、楔状またはテーパ状とすることができる。
【0084】
外側スリーブ60bは、ポリマ材料のような非金属材料から押出成形されてもよい。外側スリーブは、上述した内側スリーブ60aと同じ材料から作られてもよい。いくつかの例では、外側スリーブ60bは、マーキングやカテーテルチューブの色とは異なる色などの標識で成形またはコーティングされてもよい。この標識は、カテーテルチューブを患者の皮膚にさらに進めないように医師に知らせるための「停止」表示として機能することができる。
【0085】
いくつかの例では、外側補強毛細管又はスリーブは、チューブの形状を有する熱収縮非金属材料を意味すると理解される熱収縮チューブから作ることができる。例えば、熱収縮チューブは、金属ブッシングの遠位座の上に位置するカテーテルチューブの近位端の上に配置することができ、次に、熱収縮チューブをIRライト、抵抗加熱器、および熱ランプなどで加熱してカテーテルチューブの上に適合する形にする。熱収縮チューブは、非限定の例を挙げると、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、バイトン、ネオプレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PUR)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)など、様々な熱可塑性プラスチックから作ることができる。熱収縮チューブおよびカテーテルチューブは、カテーテルハブのノーズ部のボア内に楔状に配置することができる。代替実施形態では、熱収縮材料は、カテーテルハブのノーズ部に隣接するカテーテルチューブの部分を補強することに加えて、カテーテルハウジングを覆うこともできる。例えば、熱収縮材料は、カテーテルチューブのノーズ部118の周囲と、カテーテルチューブの近位端の上に、ノーズ部118のすぐ遠位に、キンクサポートを提供するために適切な長さで配置することができる。この実施形態は、組み込むと、カテーテルチューブがハブ本体101から突出する、カテーテルハブとカテーテルチューブとの間の隙間を有利に覆うことができる。熱収縮材料がハブ本体も覆う場合、カテーテルチューブの一部に加えて、熱収縮材料は、カテーテルハブのノーズ部の少なくとも一部を覆うことができ、場合によっては、ノーズ部の近位側にハブ本体の一部も覆うことができる。これにより、カテーテルチューブとカテーテルハブとの間の隙間での血液の捕捉や血液の凝固を抑止することができる。
【0086】
ここで図2を参照すると、本開示の一態様に従って提供されるカテーテルハブアセンブリ108の等角図が示されている。カテーテルハブアセンブリ108は、カテーテルハブ101と、カテーテルチューブ140と、内側毛細管60aであり得るが、代替的に外側毛細管60bであり得る補強毛細管60と、カテーテルハブの内部に位置するブッシング50とを含み得る。図3は、図2のカテーテルハブアセンブリ108の断面図であり、カテーテルハブの内部空洞92の内部に位置するブッシング50をより明確に示している。
【0087】
図3を引き続き参照すると、カテーテルハブ101は、カテーテルハブ101の近位端93の開口部とカテーテルハブ101の遠位端91の開口部との間に規定される内部空洞92を有する。ブッシング50は、カテーテルハブ101の近位端93の開口部を通して挿入され、圧入、干渉嵌合、接着剤、またはそれらの組み合わせを介してカテーテルハブ101の内部空洞92の遠位端に固定されることができる。また、ブッシング50は、他の締結手段によって固定することもできる。
【0088】
テーパ状シート55及び細長い遠位シート70は、一体的に形成することができる。あるいは、テーパ状シート55および細長い遠位シート70は、別々の部分として形成され、溶接または他の締結手段によって一緒に組み立てられることができる。ブッシング50の材料の選択は、温度変動、衝撃、腐食性物質、熱、及び外気に耐えることができるタイプのものである。一実施例では、ブッシング50は金属製である。別の実施例では、ブッシング50はプラスチックである。血栓形成、静脈炎、または血栓を防止するために、ブッシング50の内面および外面の一部に疎水性コーティングを任意に適用することができる。一実施例では、血栓形成を防止するために、細長い遠位シート70の少なくとも内面にパリレンコーティングが施される。さらに他の例では、ブッシングは、医療グレードのシリコーンゴムのようなポリマ材料またはポリママトリックス材料から作ることができる。
【0089】
テーパ状シート55は、近位端56でより広い開口を有する本体と、漏斗形本体の遠位端57で比較的狭い開口を有する、規定された厚みを有する円錐形又は漏斗形とすることができる。狭い方の開口は、細長い遠位シート70に移行する。テーパ状シート55は、カテーテルハブ101への挿入後にその円錐形状を維持し、それによってカテーテルチューブ140の近位端をカテーテルハブ101の内部、特に固定セクション120に楔止めするために、剛性で柔軟性がない、または半剛性であり得る。他の例では、テーパ状シート55は、可撓性および弾性を有することができる。
【0090】
上述したように、テーパ状シート55は、干渉嵌め、圧入または他の締結手段によってカテーテルハブの内部空洞92の内部に固定することができる。内部空洞92の内部にテーパ状シート55を固定するために、カテーテルハブ101の内部に保持機構またはリテーナ95を設けることができる。例えば、リテーナ95は、カテーテルハブ101の内部空洞92の内部に形成された隆起した円周リングまたはリップとすることができ、したがって、テーパ状シート55の近位端が当接するための肩部を形成している。
【0091】
ブッシング50は、カテーテルハブ101の近位端93の開口部からカテーテルハブ101の内部空洞92に挿入し、テーパ状シート55が弾性変形してリテーナ95上を滑り、ボアとリテーナ95の内部の固定位置にスナップするまで遠位に押すことができる。リテーナ95の隆起した周方向リングまたは肩部は、テーパ状シート55の近位端56におけるより広い開口の最大外径よりも小さいか、わずかに小さい内径を有することができ、リテーナ95に対するテーパ状シート55の正の係合を提供し、ブッシング50のテーパ状シート55が所定の位置にスナップした後に近位の外にスライドすることを防止できる。周方向リングは、ブッシング50を固定位置にスライドさせるのを支援するために、遠位方向に徐々に内側にテーパを付けることができる。周方向リングは、テーパ状シート55の遠位端57に抵抗し、ブッシング50が内部空洞92から近位方向にスライドするのを防止するための凹部又は他の表面特徴を有することも可能である。他の例では、リテーナ95は、ブッシング50の取り付け後にカテーテルハブ101に挿入され固定される一連のバンプ又は突起又は別個に形成された要素であり得る。
【0092】
図4は、本開示の態様に従って提供されるブッシング50の側面図である。示されるように、ブッシング50の細長い遠位シート70は、円筒形であり得、テーパ状シート55の遠位端57の狭い開口部から延びる。細長い遠位シート70およびテーパ状シート55は、剛性で柔軟性がない、または多少の柔軟性を有する半剛性であり得る。細長い遠位シート70の遠位端または挿入端68は、カテーテルチューブまたは補強スリーブへの挿入を容易にするために、角が丸められる、または面取りされることがある。
【0093】
図5を参照すると、カテーテルチューブ140及び補強毛細管60、又は例によって示されるように、内側毛細管60aは、テーパ状シート55まで、又は少なくともその途中部分まで延びることができる。他の例では、カテーテルチューブ140および内側毛細管60aは、カテーテルチューブの近位端開口が補強毛細管の近位端開口の遠位にあるように、テーパ状シート55と細長い遠位シート70の間の交差点まで、または交差点のすぐ近くまで延びることができる。他の例では、補強毛細管60は、外側スリーブ60bであり、カテーテルチューブ140の外側に配置され得る。
【0094】
カテーテルチューブ140の内腔141、内側毛細管60a、及びブッシング50の間の界面に、層又は構成要素の間を流体が流れないようにシールを形成することができる。細長い遠位シート70の直径は、カテーテルチューブ140の内腔141の直径及び内側毛細管60aの内径と同じかそれより大きくすることができる。したがって、カテーテルチューブ140および内側毛細管60aは、細長い遠位シート70の上に引き伸ばされて、しっかりとした安全な嵌合を形成することができる。接着剤又は他の固定手段を提供して、内側毛細管60aを細長い遠位シート70及び/又はテーパ状シート55にさらに固定することができる。
【0095】
図6を参照すると、カテーテルチューブ140と補強毛細管60、または図示のような内側毛細管60aは、一緒にまたは一体となって、n字形状、または図示の形状を説明するために使用できる任意の言葉または説明を形成して曲げることができる。この屈曲は、カテーテルチューブ140のうち、n字型屈曲部の内面または内半径72を形成する部分に圧縮応力を及ぼし、カテーテルチューブ140のうち、n字型屈曲部の外面または外半径74を形成する部分に引張応力を及ぼすことができる。カテーテルチューブの内面72および外面74を裏打ちまたは支持する内側毛細管60aは、曲げに起因するカテーテルチューブ140の圧縮に対抗する構造的支持を提供し、キンクの可能性を低減するかまたはキンクを排除し得る。一例では、n字形状は、大きな半径の曲げ、またはタイトな半径の曲げとして特徴付けることができる。補強毛細管60は、外側毛細管60bとすることができ、同様に、カテーテルチューブ140を不要なキンクが起こらないように支持することができる。
【0096】
ここで図7を参照すると、図2のカテーテルハブアセンブリ108の部分断面図が示されており、議論の目的のために、いくつかの隠れた構成要素が破線で示されている。示された図において、カテーテルハブ101の遠位端91は、カテーテルチューブ140および補強毛細管60、または例によって内側毛細管60aまたは外側毛細管60bの屈曲に対応できるように角を丸めた開口を有して凹部109を形成することができる。凹部109の形状は限定されず、図7に示される遠位端91のように、カテーテルチューブ140および補強毛細管60の動きに対応できるために十分なクリアランスが提供されるならば、任意の形状を具現化することができる。
【0097】
図8は、本明細書の他の箇所で説明されたブッシング50に取り付けられたカテーテルハブ101とカテーテルチューブ140を含むカテーテルアセンブリ127の実施形態を示しており、補強毛細管60、又は図示のように内側毛細管60a、もしくは代替的に図1Bまたは図5に示すように外側毛細管60b、の少なくとも一部がカテーテルハブ101の遠位端から延出している。アセンブリ127は、カテーテルチューブ140を通って延びる針110を有する針ハブ102と、サイド流体ポート184と、第2のブッシング52によってサイド流体ポート184に取り付けられたチューブ188によってサイド流体ポート184に取り付けられた流体アダプタ(図示せず)とをさらに含む。チューブ188は、サイド流体ポート184と、雌型ルアー入口を有するニードルレスバルブであり得る流体アダプタとの間の流体の流れのための内腔を有し得る。本カテーテルアセンブリは、一体型カテーテルアセンブリと称されることがある。第2のブッシング52がカテーテルハブ101から引き抜かれるのを防ぐために、第2のブッシング52は、接着剤、干渉嵌合、またはそれらの組み合わせでカテーテルハブ101に固定され得る。
【0098】
カテーテルハブ101の内部には、セプタム、シールまたはバルブを設けることができ、これにより、針110および針ハブ102の取り外し後にハブ本体の近位開口部から流れ出ることを防止できる。上述したような針ガード103は、針ハブ102とカテーテルハブ101との間の第3のハウジングの内部に組み込むことができる。カテーテルハブ101は、一対のウィングを備えて示されている。針ハブ102は、代替的に、その側の翼の代わりに、サイド流体ポート184と反対側のカテーテルハブ101の側面に沿って遠位方向に延びる翼を有することができる。
【0099】
針110の針先112は、カテーテルチューブ140の遠位開口部を越えて遠位に延びることができる。患者に挿入されると、針ハブを通して一次フラッシュバックから、および針とカテーテルチューブ140の間の環状空間において二次フラッシュバックから、血流を監視することができる。静脈穿刺が成功した後、針ハブ102を近位方向に引き抜くなどして、針110を患者から取り外すことができる。カテーテルハブの近位端のシールまたは隔壁は、近位開口部からの流体流出を止めることができる。流体は、チューブ188を介して流体アダプタ(図示せず)を通してサイドポート184に注入し、次にカテーテルハブ101を通って、次にカテーテルチューブ140から出ることができる。あるいは、カテーテルハブ101の近位端がセプタムまたはシールの代わりにバルブを有する場合、流体は、バルブを通してハブ本体の近位開口部を経由し、次にカテーテルチューブを通して注入され得る。また、クランプ(図示せず)を用いて、サイド流体ポート184と流体アダプタとの間の延長ラインをクランプ閉じすることができる。
【0100】
図9を参照すると、カテーテルアセンブリ100は、図1Aまたは図1Bのカテーテルアセンブリと同様であり、それぞれ内側スリーブまたは外側スリーブのいずれかを備えるが、カテーテルアセンブリは、バルブ122を開くためのバルブアクチベータまたはアクチュエータ104をさらに含むことができ、このバルブは、注射器の先端、雄型ルアーコネクタ、またはルアーアダプタなどの雄型医療器具によってバルブアクチベータ104が進められると開くことができる3個、4個またはそれ以上などの複数のフラップを規定する1つまたは複数のスリットを有することができる。アクチュエータ104は、バルブ122を物理的に開くためのノーズ部と、雄型の医療器具によって押されるように構成された少なくとも1つのプランジャ要素または脚90を含むプランジャ端部とを有し得る。図示のように、バルブアクチュエータ104は2つのプランジャ要素を有し、針ガード103は使用準備完了位置でその間に配置される。任意に、バルブ122、バルブアクチュエータ104、および針ガード103は省略することができる。バルブ122は、カテーテルハブ101の内部空洞92内に収容され、組み込まれると、図9に示すような使用準備完了位置で、そこを通って突出する針110を有する。
【0101】
いくつかの例では、3つのスリットがバルブ122に設けられ、3つのフラップを形成する。他の例では、「X」の形状の4つのスリットが提供され、4つのフラップを形成する。異なる数のスリット及びフラップが企図される。バルブ122は、カテーテルハブの内部空洞92に形成されたバルブシートに着座させることができる。例えば、カテーテルハブ101の内部にアンダーカットを形成して、内部空洞内のベイル(vale)の近位にバルブ122を保持することができる。バルブを遠位変位から支持するために、バルブの遠位側のカテーテルハブの内部に肩部を設けることができる。いくつかの例では、血液のフラッシュバック中に通気するために、バルブ122とカテーテルハブ101の内部との間に経路を形成するために、バルブ122の外部の周りにバンプまたは突起を設けることができる。可撓性チューブ14を患者の血管系に配置した後、針110をカテーテルハブ101から引き抜くと、1つまたは複数のスリットが閉じて、バルブ122がそれ自体を密閉し、それによってバルブ122を横切る流れを制限する。こうして、バルブ122は、カテーテルハブ101を通る血液の逆流を制限する。バルブ122は、針110との界面でシールまたは制限を形成し、針110が引き抜かれた後に再シールする材料で構成することができる。例えば、限定するものではないが、バルブ122は、シリコーン、シリコーンゴム、ポリプロピレン、または他の適切な材料を含んでもよい。別段の指示がない限り、本明細書の他の場所で議論される様々な構成要素は、従来の材料から作られ得る。
【0102】
アクチベータ104は、医療器具によって遠位に動かされたときに、バルブ122を開いて流体または溶液がバルブ122を通過できるようにするために、スリットを通して突出してフラップを開くかまたはたわませるように、バルブ122に押し付けるように設けることができる。アクチベータ104は、準備位置にある針110を受け入れるため、およびカテーテルハブがIVラインに接続されたときに流体を流すために、ノーズ部94を貫通して形成された通路を有する。アクチベータは、流体がカテーテルハブに入るときに流体が混合するための表面形状を有することができる。
【0103】
針110及び針ハブ102が取り外された後、注射器のルアーチップ、IVラインに関連して使用されるような雄型ルアーコネクタ又はアダプタ、ルアーアクセスコネクタ、又はベントプラグのような雄型医療器具が、シール122を開くためにアクチベータ104を遠位に押すように挿入され得る。例えば、アクチベータ104は、注射器の先端によって遠位に前進させることができ、この注射器の先端は、アクチベータ104によってバルブのディスク80の近位向き表面に押し付けて、アクチベータ104のノーズ部94を遠位に前進させてスカート82内のバルブ122に押し込み、1つ以上のスリットを開ける。一例では、アクチベータ104は、バルブ122を押し開くための楔形のノーズ部94と、雄型医療器具によって押し付けられるようにノーズ部94から近位方向に延びる延長部、プランジャ、または脚90とを有することができる。
【0104】
アクチベータ104を押すために単一の延長部または脚が使用可能であるが、図9に示すように、2つ以上の脚延長部が好ましい。延長部90は、アクチベータ104をバルブ122に対して前進させるために雄型医療器具によって押し付けられることができる1つまたは複数の別個のセクションを具現化することができる。2つの間隔を空けた延長部90が提供され得て、その間に針ガード103を収容する。アクチベータの例は、US2014/0052065 A1として公開された米国特許出願第14/062,081号に見出すことができ、その内容は、参照によりここに明示的に組み込まれる。
【0105】
バルブ122を変更することもできるし、異なるバルブ実施形態を本カテーテルアセンブリに使用することもできる。例えば、スカート82ではなくディスク80のみをツーピースカテーテル本体の継ぎ目に配置することができる。さらに別の例では、針シールド103は、図10に示すような、カテーテルハブ101と針ハブ102との間の中間ハブで支持または収容することができる。中間ハブは、カテーテルハブ101と取り外し可能に結合することができ、第3ハブまたは針シールドもしくは針ガードハウジングと呼ばれることがある。
【0106】
さらに他の例では、カテーテルハブ101は、アクチュエータをカテーテルハブの内部空洞の内部から省略できるように、流体圧のみで作動できるバルブを備える。例えば、IVポールに掛けられたIVバッグから頭圧がバルブを撓ませ、バルブを押し上げ、流体の流れのための1つまたは複数の流路またはチャネルを開くことができる。さらに他の例では、バルブは、アクチュエータ又はアクチベータ104を用いずに、カテーテルハブの近位開放端に接続された雄型ルアーによって開放されるように、カテーテルハブの近位開放端に対して閉じた位置に配置される。
【0107】
次に図10を参照すると、弾力性のあるアームなどのバイアス部材または弾力性のある部材を含む針安全シールドまたはガード103が、カテーテルハブ101の完全に外側または実質的に外側にあることを除いて、図9のカテーテル装置と同様の例示的なカテーテルアセンブリ162が示されている。したがって、本カテーテルアセンブリ162は、補強毛細管またはスリーブによって支持されるカテーテルチューブ140を有し、この補強毛細管は、他で説明したように内側スリーブまたは外側スリーブとすることができる。図示のように、中間ハブ、針シールドハブ、または第3のハブ105が、少なくとも部分的に、カテーテルハブ101と針ハブ102との間に配置される。針110は、本明細書の他の箇所で説明した他の実施形態と同様に、プロファイル113の変化を有する。
【0108】
針シールド103は、中間ハブ105上又は中間ハブ105内に配置される。中間ハブ105は、図示のように囲まれることができ、単一の壁を有することができ、または壁に開口部を有することができる。針シールド103は、中間ハブ105の支持フランジ106によって支持され得るか、または遠位アームが針110に直接接触することが可能である。支持フランジ106は、針安全シールドまたはガード103の弾力性のあるアームがフランジ106に支持されるように、中間ハブ105の遠位壁から延びる。
【0109】
使用中、針110が図示のように後退し、針ハブが見えなくなると、輪郭又はプロファイル113の変化は、針シールド103の近位壁上の近位開口に係合し、針シールド103を近位に引っ張って、2つの弾力性アームが支持フランジ106から引き離され、続いて一緒に接近して針先端112を塞ぐようにする。
【0110】
本明細書の他の箇所で議論されるような針装置およびその構成要素の製造方法および使用方法が企図される。
【0111】
本明細書では、ブッシングと補強スリーブとを備えた様々なカテーテルアセンブリの限定的な実施形態を具体的に説明し図示したが、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。例えば、任意のオーバー・ザ・ニードルカテーテルは、本明細書に開示された内側または外側毛細管を使用することにより、キンクの確率を減らし、柔軟性を高め、挿入点またはその付近でさらなる不快感を引き起こすことなく患者が動くことができるという利益を得ることができる。さらに、ブッシングと補強スリーブとを有する1つのカテーテルアセンブリについて特に論じた特徴は、機能に互換性があれば、別のカテーテル装置に含めるために採用することができると理解され企図されている。したがって、開示された装置、システム、および方法の原理に従って構築されたブッシングおよび補強スリーブを有するカテーテル装置およびその構成要素は、本明細書に具体的に記載された以外の方法で具現化されてもよいことが理解される。また、本開示は、以下の特許請求の範囲において定義される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】