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特表2023-544620抗IL12/IL23抗体によるクローン病のための治療方法
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  • 特表-抗IL12/IL23抗体によるクローン病のための治療方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】抗IL12/IL23抗体によるクローン病のための治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20231017BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20231017BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20231017BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20231017BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20231017BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231017BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P1/04 ZNA
A61K39/395 D
A61K39/395 W
A61K39/395 Y
A61K9/08
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/34
A61K47/18
A61K47/20
C07K16/24
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521437
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 IB2021059211
(87)【国際公開番号】W WO2022074603
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/089,786
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/235,188
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ル バース,マニュエラ
(72)【発明者】
【氏名】プロトニック,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スローン,シェルドン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC16
4C076DD49
4C076DD55
4C076DD60Z
4C076DD67
4C076EE23F
4C076FF12
4C076FF16
4C076FF61
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE05
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
クローン病、特に患者における中等度から重度の活動性クローン病の臨床的に証明された安全かつ有効な治療のための方法及び組成物は、臨床的指標を評価することによって決定される維持投与間隔での、抗IL12/IL23p40抗体の静脈内初期投与及び皮下維持投与を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療することを必要とする被検者のクローン病を治療する方法であって、
治療の前に前記被検者に内視鏡検査を実施して、クローン病についてのベースライン簡易内視鏡スコア(SES-CD)及びベースラインCDAIを測定することと、
臨床的に証明された安全なかつ臨床的に証明された有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体を含む医薬組成物を、前記被検者の体重1kg当たり6mgの抗体の初期重量に基づくIV用量及び前記初期用量投与の8週間後における90mgの抗体の皮下用量で、前記被検者に投与することと(ここで、前記抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、配列番号1の相補的決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補的決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む)、
(i)C-反応性タンパク質(CRP)及び/若しくは糞便カルプロテクチン(FCal)レベルから選択されるクローン病関連生物マーカー、並びに/又は(ii)前記初期用量投与の16週間後の、前記被検者のCDAI及びSES-CDから選択される臨床症状を測定することと、
(iii)CDAI<220、ベースラインCDAIからの70ポイント未満の改善、CRP≦10mg/L及び/又はFCal≦250μg/gを有すると測定された被検者に、前記初期用量投与の16週間後及び16週目の前記皮下用量後の4週間毎に、皮下用量によって90mgの抗体を投与すること、又は(iv)SES-CDスコア対ベースラインSES-CDスコアにおいて25%未満の改善を有すると測定された被検者に、前記初期用量投与の16週間後及び16週目の前記皮下用量後の8週間毎に、皮下用量によって90mgの抗体を投与することと、
(i)C反応性タンパク質(CRP)レベル及び/若しくは糞便カルプロテクチン(FCal)レベルから選択されるクローン病関連生物マーカー、並びに/又は(ii)前記被検者のCDAI及びSES-CDから選択される臨床症状を、前記初期用量の投与から48週間後及び/若しくは104週間後に測定することと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記初期用量の初期投与後16週目の測定が、内視鏡検査で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
初期投与後16週目の前記測定が、腸内超音波によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
治療される前記被検者が、前記初期用量の48週間後及び/又は前記初期用量の104週間後に、内視鏡的改善及びベースラインSES-CDからのSES-CDの少なくとも50%の減少を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
治療される前記被検者が、全体的な内視鏡的寛解(SES-CDスコア≦2)、粘膜治癒、ベースラインCDAIから≧70のCDAI改善、ベースラインCDAIスコアから≧100の減少を伴う臨床応答、CDAI総スコア<150、並びに/又はfCal及びCRPのベースラインからの変化を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体が、配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号10の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号11の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記被検者が、220~450のCDAI又は簡易内視鏡スコアSES-CD≧3によって測定されるような、中等度から重度の活動性クローン病を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
初期投与後48週目の前記測定が、内視鏡検査によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記被検者が初期投与後48週目に臨床的寛解状態にある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記被検者が初期投与後104週目に臨床的寛解状態にある、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記被検者が、抗TNF、ベドリズマブ、コルチコステロイド、アザチオプリン(AZA)、及び6メルカプトプリン(6MP)からなる群から選択される少なくとも1つの療法に以前に不全であったか、若しくはこれらに非耐性であったか、又は前記被検者が、コルチコステロイド依存性を示した、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
静脈内投与のための前記医薬組成物が、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのL-メチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩二水和物を、pH6.0で含む溶液を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
皮下投与のための前記医薬組成物が、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床応答が16週目に測定され、治療療法が評価され、抗IL12/23抗体の静脈内及び/又は皮下投与の使用によって任意選択で調整される患者において、クローン病、特に中等度から重度の活動性クローン病のための、臨床的に証明された安全な治療及び臨床的に証明された有効な治療を提供する方法に関する。
【0002】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、2021年10月1日付で作成された、「JBI6409WOPCT1SEQLIST.txt」というファイル名のASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出された、15KBのサイズを有する配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
クローン病(CD)を含む炎症性腸疾患(IBD)は、胃腸(GI)管の破壊的炎症及び上皮損傷によって特徴付けられる慢性再発性疾患である(Baumgart and Sandborn,J Clin Invest.98:1010-1020(1996)、Danese and Fiocchi,N Engl J Med.365:1715-1725(2011))。
【0004】
IBDの病因におけるIL12/23経路の関与は十分に確立されており、腸炎症におけるIL12/IL-23経路の重要な役割が大腸炎において解明されている(Ahernら,Immunity.33(2):279-288 (2010);Uhligら,Immunity.25:309 318(2006);Yenら,J Clin Invest.116(5):1310-1316(2006))。初期の試験は、抗IFNγによる治療(Bergら,J Clin Invest.98:1010-1020(1996)、Davidsonら,J Immunol.161:3143-3149(1998))又は抗IL-12p40モノクローナル抗体(mAb)による治療が、大腸炎の実験モデルにおける疾患を予防することを示しており、腸炎症を促進する1型ヘルパーT(Th-1)細胞に対する重要な役割を示唆している(Neurathら,J Exp Med.182(5):1281-1290(1995))。
【0005】
現在、中等度から重度の活動性クローン病の治療に認可された3つのクラスの生物学的薬剤:腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor、TNF)拮抗薬療法(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ)、インテグリン阻害剤(ナタリズマブ及びベドリズマブ)、及びIL12/23阻害剤(ウステキヌマブ)が存在する。クローン病における導入療法としての静脈内(IV)ウステキヌマブの有効性及び安全性は、臨床試験CRD3001及びCRD3002において評価されている。試験CRD3001では、1つ以上のTNF拮抗薬に対する以前の不全又は非耐性を示した被検者を評価し、CRD3002では、コルチコステロイド又は免疫調節物質の不十分な応答又は非耐性の病歴を有するが、TNF拮抗薬に対する不十分な応答又は非耐性の病歴がない被検者を評価した。これらの試験では、次の2つのIV用量を評価した:130mgのIV固定用量(mg/kg単位で約2mg/kg)を低用量群に選択し、体重範囲に基づく用量約6mg/kg IV(体重≦55kg:ウステキヌマブ260mg、体重>55かつ≦85kg:ウステキヌマブ390mg、体重>85kg:ウステキヌマブ:520mg)を高用量群として選択した。両方の試験において、ウステキヌマブは、プラセボと比べて臨床的に有意な有効性を示し、良好な安全性プロファイルで十分に忍容された。
【0006】
生物学的薬剤の導入は、中等度から重度の活動性クローン病を有する患者の臨床管理を有意に改善したが、被検者患者集団のうちかなりの割合が応答しないか、又は経時的に応答を失う。承認された生物学的薬剤に対する利用可能なデータの総説は、特に、以前に生物学的薬剤不全であった患者間での、長期的な寛解の達成及び維持における必要性が満たされていないことを強調している。全ての治療患者(すなわち、評価された研究の0週目に無作為化された全ての患者)において、生物学的薬剤不全又は非耐性(BIO不全)集団での1年における臨床的寛解の推定率は約20%であり、従来療法の不全又は非耐性(CON不全)集団では20%~50%の範囲である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
より高い割合の患者、特に中等度から重度の活動性クローン病に対して改良された有効性を達成するために、クローン病を治療する改良された方法が、当技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願は、抗IL12/IL23p40抗体(抗IL12/IL23抗体)を初期静脈内用量で、初期用量の8週間後に皮下用量で被検者に投与し、臨床終点、生物マーカー及び/又は臨床応答の評価に基づいて、初期用量の16週間後に臨床応答(有効性)の指標を測定し、初期用量の16週間後及びその後4週間毎、その後8週間毎又はその後12週間毎に抗体を皮下用量で投与することによる、中等度から重度の活動性クローン病の治療のための、臨床的に証明された安全な方法及び組成物並びに臨床的に証明された有効な方法及び組成物に関する。
【0009】
1つの一般的態様では、本出願は、中等度から重度の活動性クローン病の治療を、それを必要とする被検者において行う、臨床的に証明された安全な方法及び臨床的に証明された有効な方法に関し、本方法は、被検者に、安全かつ有効な量の抗IL12/23p40抗体を含む医薬組成物を投与することを含み、抗体が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号1の相補的決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補的決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0010】
ある特定の実施形態では、本出願の方法は、(i)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び(ii)配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列、を含む、抗IL12/23p40抗体若しくは抗原結合断片を含む医薬組成物を、被検者に静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む。
【0011】
ある特定の実施形態では、本出願の方法は、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列、及び(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、を含む、抗IL12/23p40抗体のウステキヌマブを含む医薬組成物を、被検者に静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、0週目のIV用量は、約6.0mg/kgである。例えば、IV用量は、体重が35kg以上~55kg以下の被検者に対しては260mgであり、体重が55kg超~85kg以下の被検者に対しては390mgであり、体重が85kg超の被検者に対しては520mgである。
【0013】
ある特定の実施形態では、本出願の実施形態による方法によって治療される被検者は、従来又は既存の療法に対して不十分な応答を有したか、又はこれらに非耐性であった。いくつかの実施形態では、被検者は、抗TNF及び/又はベドリズマブなどの生物学的薬剤療法に対して、以前に不全であったか、又はこれらに非耐性であった。いくつかの実施形態では、被検者は、コルチコステロイド、アザチオプリン(AZA)、及び/又は6メルカプトプリン(6MP)による治療などの非生物学的薬剤療法に以前に不全であったか、又はこれらに非耐性であった。いくつかの実施形態では、被検者は、コルチコステロイド依存性を示した。
【0014】
ある特定の実施形態では、本発明は、被検者において中等度から重度の活動性クローン病を治療する、臨床的に証明された安全な方法及び臨床的に証明された有効な方法を提供し、被検者が、抗体による治療に対する応答者であり、以下から選択される臨床的指標及び臨床終点よって決定されるような、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして、特定される。
(i)内視鏡的応答(≧50%のSES-CDスコアにおけるベースラインからの減少)
(ii)全体的な内視鏡的寛解(SES-CDスコア≦2)
(iii)粘膜治癒(いずれの回腸結腸セグメントにおいても粘膜潰瘍が完全に存在しない)
(iv)CDAI70応答(ベースラインに対してCDAI総スコア≧70ポイントの改善)
(v)臨床応答(ベースラインCDAI総スコアからの≧100ポイントの減少、又はCDAI総スコア<150)
(vi)臨床的寛解(CDAI総スコア<150ポイント)
(vii)生物マーカー(fCal及びCRP)におけるベースラインからの変化
(viii)クローン病活動性指数(CDAI)スコアにおけるベースラインからの変化。CDAIスコアは、8つの異なるクローン病関連変数に関する情報を収集することによって評価され、スコアは0~約600の範囲である。経時的な減少は、疾患活動性の改善を示す。
(ix)毎日の平均排便頻度(stool frequency、SF)及び毎日の平均腹痛(abdominal pain、AP)スコアに基づいて定義される、16週目又は48週目における患者報告結果(Patient-Reported Outcome、PRO)-2寛解。
(x)CDAIスコアに基づく臨床反応、及びC反応性タンパク質(C-reactive protein、CRP)又は便中カルプロテクチンのベースラインからの減少を使用して定義される、臨床生物マーカー反応。
【0015】
(xi)クローン病の簡易内視鏡スコア(Simple Endoscopic Score for Crohn’s Disease、SES-CD)によって測定された内視鏡反応。SES-CDは、5つの回結腸セグメントにわたる4つの内視鏡要素の評価に基づいており、合計スコアは0~56の範囲である。
(xii)48週目におけるCDAIスコア<150、かつ48週目においてコルチコステロイドを受けていないとして定義される、48週目におけるコルチコステロイドを使用しない臨床的寛解。
(xiii)1日平均排便回数(SF)及び1日平均腹痛(AP)スコアに基づいて定義される、48週目におけるPRO-2寛解。患者報告結果測定情報システム(Patient-Reported Outcomes Measurement Information System、PROMIS)に基づく、12週目における疲労応答。疲労簡易フォーム7aには、疲労の重症度を評価する7つの項目が含まれ、スコアが高いほど疲労が大きいことを示す。
【0016】
その他の実施形態では、抗IL12/23p40抗体の維持用量が、16週目における治療後に4週間毎に、16週目における治療後に8週間毎に、又は16週目における治療後に12週間毎に投与され、臨床応答は、少なくとも48週間にわたって被検者によって維持される。
【0017】
ある特定の実施形態では、本出願は、被検者におけるクローン病を治療する方法を提供し、IV投与で使用するための抗IL12/23p40抗体は、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩二水和物を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【0018】
ある特定の実施形態では、本出願は、被検者におけるクローン病を治療する、臨床的に証明された安全な方法及び臨床的に証明された有効な方法を提供し、皮下投与で使用するための抗IL12/IL23p40抗体は、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
上述の「発明の概要」及び以降の「発明を実施するための形態」は、添付の図面と併せて読むことでより良好に理解されるであろう。本発明は、図面に示される正確な実施形態に限定されない点を理解する必要がある。
図1】クローン病における抗IL-12/IL-23p40抗体(ウステキヌマブ)の3b相試験デザインを標的とするSTARDUST治療の、概略図を示す。
図2】試験のための抗IL-12/IL-23p40抗体(ウステキヌマブ)の用量調整を決定するための治療決定の、フローチャートを示す。
図3】試験における患者の素因(RAS)を示す。
図4】標的に対する無作為化治療(T2T)群及び標準治療(SoC)群の試験における、患者素因(RAS)を示す。
図5A】(NRI)0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(≦16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(0又は1)によって層別化される、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定(Cochran-Mantel-Haenszel test)に基づいたp値(公称値)を有する、48週目における内視鏡結果(左バーT2T及び右バーSoC)を示す。内視鏡検査評価を受けていない患者は、非応答者/無応答者と見なされる。内視鏡応答は、≧25%又は100%のSES-CDにおけるベースラインからの減少を示すものとして、定義される。内視鏡的解寛は、SES-CDスコア≦2として定義される。粘膜治癒は、いずれの回腸結腸セグメントにおいても粘膜潰瘍が完全に存在しないものとして、定義される。コルチコステロイドフリーの内視鏡応答は、≧50%のSES-CDスコアにおけるベースラインからの減少、及び終点前の少なくとも30日間コルチコステロイドを服用しないものとして、定義される。LOCF(図5B)=最終観測値繰越、NRI(図5A)=非応答者インピュテーション。
図5B】(LOCF)0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(≦16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(0又は1)によって層別化される、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定(Cochran-Mantel-Haenszel test)に基づいたp値(公称値)を有する、48週目における内視鏡結果(左バーT2T及び右バーSoC)を示す。内視鏡検査評価を受けていない患者は、非応答者/無応答者と見なされる。内視鏡応答は、≧25%又は100%のSES-CDにおけるベースラインからの減少を示すものとして、定義される。内視鏡的解寛は、SES-CDスコア≦2として定義される。粘膜治癒は、いずれの回腸結腸セグメントにおいても粘膜潰瘍が完全に存在しないものとして、定義される。コルチコステロイドフリーの内視鏡応答は、≧50%のSES-CDスコアにおけるベースラインからの減少、及び終点前の少なくとも30日間コルチコステロイドを服用しないものとして、定義される。LOCF(図5B)=最終観測値繰越、NRI(図5A)=非応答者インピュテーション。
図6A】(NRI)0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(≦16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(なし又は1)によって層別化される、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定に基づいたp値(公称値)を有する、48週目における臨床的結果(左バーT2T及び右バーSoC)を示す。データが欠損している患者は、非応答者/無応答者と見なされる。CDAI70応答は、ベースラインに対して≧70ポイントのCDAI総スコアの改善を示すものとして定義される。臨床応答は、CDAI総スコアのベースラインから≧100ポイントの減少又はCDAI総スコア<150として定義される。臨床的寛解は、<150ポイントのCDAI総スコアとして定義される。48週目に、高い割合の臨床応答がT2T群及びSoC群において達成された:68.2%対77.8%(p=0.0212;NRI)/89.5%対89.6%(有意でない[NS];LOCF);臨床的寛解61.4%対69.7%(NS;NRI)/76.8%対78.3%(NS;LOCF)。T2T(n=220)及びSoC(n=221)。
図6B】(LOCF)0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(≦16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(なし又は1)によって層別化される、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定に基づいたp値(公称値)を有する、48週目における臨床的結果(左バーT2T及び右バーSoC)を示す。データが欠損している患者は、非応答者/無応答者と見なされる。CDAI70応答は、ベースラインに対して≧70ポイントのCDAI総スコアの改善を示すものとして定義される。臨床応答は、CDAI総スコアのベースラインから≧100ポイントの減少又はCDAI総スコア<150として定義される。臨床的寛解は、<150ポイントのCDAI総スコアとして定義される。48週目に、高い割合の臨床応答がT2T群及びSoC群において達成された:68.2%対77.8%(p=0.0212;NRI)/89.5%対89.6%(有意でない[NS];LOCF);臨床的寛解61.4%対69.7%(NS;NRI)/76.8%対78.3%(NS;LOCF)。T2T(n=220)及びSoC(n=221)。
図7】48週目における内視鏡応答(SES-CD改善≧50%[95%CI](RAS)、T2Tについてn=220(左のバー)及びSoCについてn=221(右のバー))を示す。p<0.05。データが欠損している被検者を非応答者として分析した。p値(公称値)は、0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(≦16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(0又は1)によって層別化される、CMH検定に基づく。48週目にSES-CDスコアが欠損している被検者、又は48週目に達する前に治療を停止した被検者は、最後のSES-CDスコアを繰り越す。全ての無作為化患者は、有効性の欠如/喪失以外の理由により48週目に達する前に治療を停止した被検者を除く。
図8】T2Tについてn=220(左のバー)及びSoCについてn=221(右のバー)、p<0.05、0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(≦16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(なし又は1)によって層別化される、CMH検定に基づいたp値(公称値)を有する、48週目における臨床的結果(RAS NRI)を示す。データが欠損している被検者は、非応答者/無応答者と見なされる。CDAI70応答は、ベースラインに対して≧70ポイントのCDAI総スコアの改善を示すものとして定義される。臨床応答は、CDAI総スコアのベースラインから≧100ポイントの減少又はCDAI総スコア<150として定義される。臨床的寛解は、<150ポイントのCDAI総スコアとして定義される。CDAIスコア<150として定義される終点でのコルチコステロイドフリーの臨床的寛解、及び終点評価の前に、≧30日間、コルチコステロイドを服用していない。
図9】T2Tについてn=220(左のバー)及びSoCについてn=221(右のバー)を有する、48週目における臨床的結果(RAS LOCF)を示す。p値(公称値)は、0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(≦16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(なし又は1)によって層別化されるCMH検定に基づく。CDAI70応答は、ベースラインに対して≧70ポイントのCDAI総スコアの改善を示すと定義される。臨床応答は、ベースラインCDAI総スコアからの≧100ポイントの減少値、又はCDAI総スコア<150として定義される。臨床的寛解は、<150ポイントのCDAI総スコアとして定義される。終点でのコルチコステロイドフリーの臨床的寛解は、CDAIスコア<150として定義され、また終点評価に先立って≧30日間、いかなるコルチコステロイドをも摂取していない。
図10A】(RAS NRI)患者の数(Y軸における%)に対する生物マーカーの結果を示す。図10Aについて、p値(公称値)を有するp<0.05は、0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(<=16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(なし又は1)によって層別化されるCMH検定に基づく。データが欠損している被検者は、改善がないと考えられる。fCal改善は、>=50%の、fCalにおけるベースラインからの減少を示すものとして定義される。ベースラインで正規化されたfCal(<=250μg/g)を有する被検者は、除外される。CRP改善は、>=50%の、CRPにおけるベースラインからの減少を示すものとして定義される。ベースラインで正規化されたCRP(<=3mg/L)を有する被検者は、除外される。正規化されたfCalは、fCal<=250μg/gとして定義される。ベースラインで正規化されたfCalを有する被検者は、除外される。正規化CRPは、CRP≦3mg/Lとして定義される。ベースラインで正規化されたCRPを有する被検者は、除外される。完全な生物マーカー応答は、正規化されたCRP及びfCalの両方として定義される。ベースラインにおいて正規化されたCRP及びfCalを有する被検者は除外され、同様にベースラインにおいてCRP及びfCalの両方が欠損している被検者も除外される。正規化CRPは、CRP≦3mg/Lとして定義される。正規化されたfCalは、fCal<=250μg/gとして定義される。図10Bについて、p値(公称値)は、0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(<=16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(なし又は1)によって層別化されるCMH検定に基づく。fCal改善は、>=50%の、fCalにおけるベースラインからの減少を示すものとして定義される。ベースラインで正規化されたfCal(<=250μg/g)を有する被検者は、除外される。CRP改善は、>=50%の、CRPにおけるベースラインからの減少を示すものとして定義される。ベースラインで正規化されたCRP(<=3mg/L)を有する被検者は、除外される。正規化されたfCalは、fCal<=250μg/gとして定義される。ベースラインで正規化されたfCalを有する被検者は、除外される。正規化CRPは、CRP≦3mg/Lとして定義される。ベースラインで正規化されたCRPを有する被検者は、除外される。完全な生物マーカー応答は、正規化されたCRP及びfCalの両方として定義される。ベースラインにおいて正規化されたCRP及びfCalを有する被検者は除外され、同様にベースラインにおいてCRP及びfCalの両方が欠損している被検者も除外される。正規化CRPは、CRP≦3mg/Lとして定義される。正規化されたfCalは、fCal<=250μg/gとして定義される。
図10B】(RAS LOCF)患者の数(Y軸における%)に対する生物マーカーの結果を示す。図10Aについて、p値(公称値)を有するp<0.05は、0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(<=16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(なし又は1)によって層別化されるCMH検定に基づく。データが欠損している被検者は、改善がないと考えられる。fCal改善は、>=50%の、fCalにおけるベースラインからの減少を示すものとして定義される。ベースラインで正規化されたfCal(<=250μg/g)を有する被検者は、除外される。CRP改善は、>=50%の、CRPにおけるベースラインからの減少を示すものとして定義される。ベースラインで正規化されたCRP(<=3mg/L)を有する被検者は、除外される。正規化されたfCalは、fCal<=250μg/gとして定義される。ベースラインで正規化されたfCalを有する被検者は、除外される。正規化CRPは、CRP≦3mg/Lとして定義される。ベースラインで正規化されたCRPを有する被検者は、除外される。完全な生物マーカー応答は、正規化されたCRP及びfCalの両方として定義される。ベースラインにおいて正規化されたCRP及びfCalを有する被検者は除外され、同様にベースラインにおいてCRP及びfCalの両方が欠損している被検者も除外される。正規化CRPは、CRP≦3mg/Lとして定義される。正規化されたfCalは、fCal<=250μg/gとして定義される。図10Bについて、p値(公称値)は、0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(<=16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(なし又は1)によって層別化されるCMH検定に基づく。fCal改善は、>=50%の、fCalにおけるベースラインからの減少を示すものとして定義される。ベースラインで正規化されたfCal(<=250μg/g)を有する被検者は、除外される。CRP改善は、>=50%の、CRPにおけるベースラインからの減少を示すものとして定義される。ベースラインで正規化されたCRP(<=3mg/L)を有する被検者は、除外される。正規化されたfCalは、fCal<=250μg/gとして定義される。ベースラインで正規化されたfCalを有する被検者は、除外される。正規化CRPは、CRP≦3mg/Lとして定義される。ベースラインで正規化されたCRPを有する被検者は、除外される。完全な生物マーカー応答は、正規化されたCRP及びfCalの両方として定義される。ベースラインにおいて正規化されたCRP及びfCalを有する被検者は除外され、同様にベースラインにおいてCRP及びfCalの両方が欠損している被検者も除外される。正規化CRPは、CRP≦3mg/Lとして定義される。正規化されたfCalは、fCal<=250μg/gとして定義される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
「背景技術」において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載し、これら参照文献のそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明の文脈を与えるためのものである。このような考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0021】
特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。本明細書に引用する全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によりあたかもその全体が本明細書に記載されているように組み込まれる。
【0022】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示被検者物を含むことに留意する必要がある。別途記載のない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、一連の全ての要素を指すと理解されるべきである。当業者であれば、単なる通常の実験手順を使用するだけで、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に対して多くの同等物を認識するか、又は確認することができよう。このような均等物は、本発明によって包含されることが意図される。
【0023】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上必要としない限り、「含む(comprise)」という用語並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、指定の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を含むが、任意のその他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外するものではないことを意味すると、理解されよう。本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」という用語は、「含有する(containing)」又は「含む(including)」という用語に置き換えることができ、又は場合によって本明細書で使用する場合、「有する(having)」という用語に置き換えることもできる。
【0024】
本明細書で使用する場合、「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素において指定されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する。本明細書で使用する場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程は除外しない。本発明の態様又は実施形態に関連して本明細書で使用する場合、本開示の範囲を変化させるために、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、及び「有する」という上記用語のいずれかを、用語「からなる(consisting of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」に置き換えることができる。
【0025】
本明細書で使用する場合、複数の列挙された要素間の「及び/又は」という接続的な用語は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしの第1の要素の適用性を指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用する場合、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。
【0026】
本明細書で使用する場合、「被検者」とは、本発明の実施形態による方法によって治療される、又は治療された任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用する場合、用語「哺乳動物」は、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル又は類人猿などの非ヒト霊長類(non-human primate、NHP)、ヒト等、より好ましくはヒトが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書で使用する場合、「併用される(in combination)」という用語は、被験者への2つ以上の治療薬の投与との関連において、複数の治療薬の使用を指す。「併用」という用語の使用は、治療薬を被検者に投与する順序について限定するものではない。例えば、第1治療薬(例えば、本明細書に記載される組成物)を、被検者への第2治療薬の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、同時、又はその後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に投与することができる。
【0028】
本明細書で使用する場合、「抗IL-12/23p40抗体」、又は「IL-12/23抗体」は、サイトカインのインターロイキン-12及びインターロイキン-23(IL-12/23p40)によって共有される40kDa(p40)サブユニットに結合するモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合断片を指す。本抗体は、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、IL12/23放出、IL12/23受容体シグナル伝達、膜IL12/23切断、IL12/23活性、IL12/23産生及び/又は合成などであるが、これらに限定されない、IL12/23活性又は機能のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすことができる。
【0029】
「抗体(antibody)」という用語は、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びその断片などといった抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分又はその特定された断片若しくは一部分を含む、抗体、その消化断片、特定された部分、及び変異体を包含することを更に意図する。機能断片としては、哺乳類のIL-12/23に結合する抗原結合断片が挙げられる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再集合による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)断片が挙げられるがこれらに限定されない、IL-12/23又は一部分に結合することができる抗体断片が、本発明に包含される(例えば、上記のColligan,Immunologyを参照されたい)。
【0030】
このような断片は、当該技術分野において周知であるような、及び/又は本明細書に記載のような、酵素による切断、合成又は組換え技術により生成することができる。抗体はまた、1つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、種々の切断型で生成することもできる。例えば、F(ab’)重鎖部をコード化する遺伝子の組み合わせは、重鎖のC1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコード化するDNA配列を含むよう設計することができる。抗体の種々の部分を従来技術により化学的に結合することができ、又は遺伝子工学技術を使用して切れ目なく連続するタンパク質として調製することができる。
【0031】
本明細書で使用する場合、「ヒト抗体」という用語は、実質的にタンパク質の全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、C、Cドメイン(例えば、C1、C2、C3)、ヒンジ(V、V))が軽微な配列の変化又は変異を有するだけで実質的にヒトにおいて非免疫原性である抗体を指す。「ヒト抗体」はまた、ヒト生殖細胞系列型の免疫グロブリン配列に由来する抗体でも、又は厳密に一致する抗体であることもできる。ヒト抗体は、生殖細胞系列型免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダムな若しくは部位特異的な変異の導入により、又はインビボにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含むことができる。多くの場合、これは、ヒト抗体がヒトにおいて実質的に非免疫原性であることを意味する。ヒト抗体は、それらのアミノ酸配列の類似性に基づいてグループに分類されている。したがって、配列類似性検索を使用して、類似の直鎖配列を有する抗体を、ヒト抗体を作り出すためのテンプレートとして選択することができる。同様に、名称に霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)及びその他の哺乳類を含む抗体は、このような種、亜属、属、亜科、及び科に特異的な抗体を指定する。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含むことができる。このような変化又は変異は、場合によりかつ好ましくは、修飾していない抗体に比べて、ヒト又はその他の種における免疫原性を保持するか、又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。
【0032】
ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる、ヒト以外の動物、又は原核若しくは真核細胞により産生され得ることが指摘される。更に、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体では見られないリンカペプチドを含むことができる。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又はその他のアミノ酸残基などのリンカペプチドを含むことができる。このようなリンカペプチドは、ヒト由来のものと見なされる。
【0033】
本発明の方法及び組成物において有用である抗IL12/23p40抗体(IL12/23p40抗体とも称される)は、所望により、IL12/23p40への高親和性結合、任意選択でかつ好ましくは低毒性を有することを特徴とすることができる。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択的にかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗体、その特定の断片、又は変異体が本発明において有用である。本発明で使用することができる抗体は、所望により、症状の測定可能な緩和並びに低い及び/又は許容できる毒性を備えて、長期間被検者を治療する能力を特徴とする。低い若しくは許容できる免疫原性、及び/又は高い親和性、並びに他の好適な特性が、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、治療される被検者の約75%未満、若しくは好ましくは約50%未満で有意にHAHA、HACA若しくはHAMA応答が増加する、及び/又は、治療される被検者において低い力価(二重抗原酵素免疫アッセイで測定した場合に約300未満、好ましくは約100未満)が増加することとして定義される(Elliottら,Lancet 344:1125-1127(1994)、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。「低い免疫原性」は、治療期間中に推奨される治療過程にわたって推奨投与量で治療される被検者の25%未満、好ましくは治療される被検者の10%未満で発現する、抗IL-12抗体で治療される被検者における抗IL-12抗体に対する滴定レベルの抗体の発現率としても定義することができる。
【0034】
「臨床的に証明された有効性(clinically proven efficacy)」及び「臨床的に証明された有効な(clinically proven effective)」という用語は、用量、投与療法、治療又は方法の文脈において本明細書で使用する場合、特定の用量、投与、投与療法の有効性を指す。本発明の薬剤に応答した疾患の経過中の変化に基づいて、有効性を測定することができる。例えば、本発明の抗IL12/23p40(例えば、ウステキヌマブ)は、治療されている障害の重症度を反映する少なくとも1つの指標において、改善、好ましくは持続的な改善を引き起こすのに十分な量及び時間で、被検者に投与される。その治療の量及び時間が十分であるかどうかを判定するために、被検者の病気、疾患又は病状の程度を反映する種々の指標が評価され得る。このような指標には、例えば、疾患重篤度、症状、又は問題となっている障害の発現についての、臨床的に認識されている指標が含まれる。改善度は全体的に医師により判定され、医師はこの判定を、徴候、症状、生検、又はその他の検査結果に基づいて行うことができ、また被検者に対して行うアンケート、例えば所与の疾患に関して開発された生活の質に関する質問票などを採用することもできる。例えば、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体を、クローン病に関連する被検者の状態の臨床的寛解又は改善を達成するために投与することができる。
【0035】
本明細書に記載されるように、疾患活動性指数の改善、臨床症状の寛解、又は疾患活動性の任意のその他の測定によって、本改善を示すことができる。このような疾患の指数は、クローン病活動性指数(CDAI)スコア又はクローン病における簡易内視鏡スコア(Simple Endoscopic Score(SES-CD))である。
【0036】
「臨床応答」という用語は、本明細書中で使用される場合、被験体の薬物投与への応答に関し、また、クローン病において測定され、当該分野で周知であるような「臨床的寛解」を指し得る。
【0037】
「臨床的に証明された安全性(clinically proven safe)」という用語は、本発明の抗IL12/IL-23p40抗体(例えば、ウステキヌマブ)による用量、投与療法、治療又は方法に関する場合、標準治療又は別の比較薬と比べて、治療下で発現した有害事象(adverse event、AE又はtreatment-emergent adverse event、TEAEと称される)の許容可能な頻度及び/又は許容可能な重症度を伴う、良好なリスク:ベネフィット比を指す。本明細書で使用する場合、「有害事象(adverse event)」、「治療中に発生した有害事象(treatment-emergent adverse event)」、及び「有害反応(adverse reaction)」は、医薬組成物又は治療薬の投与に関連するか、若しくはこれらによって引き起こされた、任意の有害な、好ましくない、意図しない若しくは望ましくない兆候又は結果を意味する。これは、医薬品を投与された被検者における好ましくない医療上の出来事である。しかしながら、異常な値又は観察結果は、治験責任医師によって臨床的に有意であると見なされない限り、有害事象として報告されない。本明細書で使用する場合、有害事象を指す場合に、「臨床的に明らかな(clinically apparent)」とは、当業者に許容される基準を使用して、医師又は治験責任医師によって決定されるような臨床的に有意であることを意味する。有害事象の有害又は望ましくない結果がこのような重症度に達すると、規制当局は、医薬組成物又は治療薬を提案される使用には許容できないと見なすことができる。特に、本発明の抗IL12/23p40抗体による用量、投与療法又は治療に関連する「安全性」は、有害事象が抗IL12/23p40抗体の使用による可能性がある、可能性が高い、又は非常に高いと考えられる場合、抗体の投与に関連する有害事象の許容される頻度及び/又は許容される重症度を指す。
【0038】
本明細書で使用する場合、別途注記のない限り、用語「臨床的に証明された(clinically proven)」(独立して、又は用語「安全(性)」及び/又は「有効(性)」を修飾するために使用される)は、米国食品医薬品局、EMEA、又は対応する国家規制機関の承認基準を満たしている臨床試験によって証明されていることを意味するものとする。例えば、臨床試験は、薬剤の効果を臨床的に証明するために使用される、適切なサイズの無作為化二重盲検試験であってもよい。
【0039】
本明細書で使用する場合、「mg/kg」単位での抗IL12/IL23p40抗体の投与量は、抗体を投与される被検者の体重キログラム当たりの抗IL12/IL23p40抗体のミリグラムの量を指す。
【0040】
本発明の抗体-産生及び生成
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗IL12/23p40は、任意選択的に、当該技術分野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって産生することができる。例えば、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ausubelら,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colliganら,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.,NY(1994~2001)、Colliganら,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997-2001)。
【0041】
ヒトIL-12/23p40タンパク質又はその断片に特異的なヒト抗体は、単離されたIL-12/23p40タンパク質、IL-23タンパク質、及び/又はそれらの一部分(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な免疫原性抗原に対して生じることができる。その他の特異的な又は一般的な哺乳動物の抗体もまた、同様に生じることができる。免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の産生は、本開示を考慮して、任意の好適な技術を用いて実施することができる。
【0042】
1つのアプローチでは、適切な不死細胞株(例えば、限定されるものではないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、L243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL-60、MLA 144、NAMALWA、NEURO 2Aなどの骨髄腫細胞株、又はヘテロミローマス、その融合産物、又はそれに由来する任意の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において周知の任意のその他の好適な細胞株)(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.com.などを参照されたい)を、限定されるものではないが、単離された又はクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺、又はその他の免疫若しくはB細胞含有細胞などの抗体産生細胞、あるいは内因性又は異種核酸として、組換え若しくは内因性、ウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、単一、二重若しくは三重鎖、ハイブリダイズなど、又はそれらの任意の組み合わせとしてのいずれかで、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変、又はフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意のその他の細胞と融合することにより、ハイブリドーマを産生する。例えば、上記のAusubel、及び上記のColligan,Immunologyの第2章を参照されたい。なお両文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
抗体産生細胞はまた、目的の抗原で免疫化されたヒト又はその他の好適な動物の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意のその他の好適な宿主細胞を使用して、本発明の抗体、特定の断片又はその変異体をコードする異種核酸若しくは内在核酸を発現させることもできる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又はその他の好適な周知の方法を使用して単離し、限界希釈若しくは細胞選別又はその他の周知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えば、ELISA)によって選択することができる。
【0044】
ペプチド又はタンパク質ライブラリから組換え抗体を選択する方法が挙げられるがこれらに限定されない、必要とされる特異性を有する抗体を産生又は単離するのに好適なその他の方法を使用することができる(例えば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブラリであるがこれらに限定されるものではなく、例えば、Cambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys,Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberdeen,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berkeley,CA、Ixsys.から入手可能である)。例えば、欧州特許第368,684号、国際出願第GB91/01134号、同第GB92/01755号、同第GB92/002240号、同第GB92/00883号、同第GB93/00605号、米国特許出願第08/350260号(5/12/94)、国際出願第GB94/01422号、同第GB94/02662号、同第GB97/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/14443号、同第90/14424号、同第90/14430号、国際出願第US94/1234号、国際公開第92/18619号、同第96/07754号(Scripps)、同第96/13583号、同第97/08320号(MorphoSys)、同第95/16027号(BioInvent)、同第88/06630号、同第90/3809号(Dyax)、米国特許第4,704,692号(Enzon)、国際出願第US91/02989号(Affymax)、国際公開第89/06283号、欧州特許第371998号、欧州特許第550400号、(Xoma)、欧州特許第229046号、国際出願第US91/07149号(Ixsys)、又は確率論的に生成されるペプチド若しくはタンパク質-米国特許第5723323号、同第5763192号、同第5814476号、同第5817483号、同第5824514号、同第5976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第590689号(Ixsys、適用された分子進化(Applied Molecular Evolution、AME)の前身、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)か、又は当該技術分野において周知であり、かつ/若しくは本明細書に記載される、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫化に依存する(例えば、SCIDマウス、Nguyenら,Microbiol.Immunol.41:901-907(1997)、Sandhuら,Crit.Rev.Biotechnol.16:95-118(1996)、Erenら,Immunol.93:154-161(1998)、それぞれが参照によりその全体が組み込まれる)。このような技術には、リボソームディスプレイ(Hanesら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937-4942(Can 1997);Hanesら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130-14135(Nov.1998))、単一細胞抗体産生技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(「selected lymphocyte antibody method、SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wenら,J.Immunol.17:887-892(1987)、Babcookら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843-7848(1996))、ゲルマイクロドロップレット及びフローサイトメトリ(Powellら,Biotechnol.8:333-337(1990))、One Cell Systems(Cambridge,MA)、Grayら,J.Imm.Meth.182:155-163(1995)、Kennyら,Bio/Technol.13:787-790(1995))、B細胞選択物(Steenbakkersら,Molec.Biol.Reports 19:125-134(1994)、Jonakら,Progress Biotech,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam、Netherlands(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
ヒト以外の抗体又はヒト抗体を工学的処理又はヒト化する方法も同様に使用でき、技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体又は修飾抗体は、ヒト以外、例えば、限定されるものではないが、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、又はその他の哺乳動物の供給源からの1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれる残基により置き換えられるが、この「インポート」残基は、典型的には周知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、又はその他のドメインから得られる。
【0046】
周知のヒトIg配列が、例えば以下に開示されている:www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi、www.ncbi.nih.gov/igblast、www.atcc.org/phage/hdb.html、www.mrc-cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php、www.kabatdatabase.com/top.html、ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat;www.sciquest.com、www.abcam.com、www.antibodyresource.com/onlinecomp.html、www.public.iastate.edu/~pedro/research_tools.html、www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm、www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab、www.path.cam.ac.uk/~mrc7/mikeimages.html、mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;www.immunologylink.com、pathbox.wustl.edu/~hcenter/index.html;www.appliedbiosystems.com、www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody、www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/Elisa.html、www.biodesign.com、www.cancerresearchuk.org、www.biotech.ufl.edu、www.isac-net.org、baserv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html;www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu、www.mrc-cpe.cam.ac.uk、www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html、http://www.bioinf.org.uk/abs、antibody.bath.ac.uk;www.unizh.ch、www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s、www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html、www.path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html、www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html、www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html、www.jerini.de、Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)、それぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
このようなインポートされた配列は、免疫原性を低減させるため、あるいは、当該技術分野において周知のように、結合、親和性、結合速度定数、解離速度定数、結合活性、特異性、半減期、又は任意のその他の好適な特性を低減、増強又は改変するために使用することができる。一般的に、CDR残基は、抗原結合に直接的にかつほとんど実質的に影響する。したがって、非ヒトCDR配列又はヒトCDR配列の一部又は全てを維持しつつ、可変領域及び定常領域の非ヒト配列を、ヒトのアミノ酸又は他のアミノ酸に置き換えることもできる。
【0048】
抗体は、任意選択的に、ヒト化されてもよい、又はヒト抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持させたまま修飾させることができる。本目的を達成するためには、任意選択的に、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列及び種々の理論上のヒト化産物を解析するプロセスによって、ヒト化(又はヒト)抗体を調製することができる。三次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者に周知である。選択された免疫グロブリン配列候補について確率の高い三次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの解析、すなわち免疫グロブリン候補の抗原結合能に影響する残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることができる。
【0049】
なお、本発明の方法に使用されるヒト抗IL12/23p40抗体は、ヒト生殖系列軽鎖フレームワークを含んでもよい。特定の実施形態では、軽鎖生殖系列配列は、A1、A10、A11、A14、A17、A18、A19、A2、A20、A23、A26、A27、A3、A30、A5、A7、B2、B3、L1、L10、L11、L12、L14、L15、L16、L18、L19、L2、L20、L22、L23、L24、L25、L4/18a、L5、L6、L8、L9、O1、O11、O12、O14、O18、O2、O4、及びO8を含むが、これらに限定されない、ヒトVK配列から選択される。ある特定の実施形態では、本軽鎖ヒト生殖系列フレームワークは、V1-11、V1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-2、V1-20、V1-22、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V2-1、V2-11、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、V2-6、V2-7、V2-8、V3-2、V3-3、V3-4、V4-1、V4-2、V4-3、V4-4、V4-6、V5-1、V5-2、V5-4、及びV5-6から選択される。
【0050】
その他の実施形態では、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列重鎖フレームワークを含むことができる。特定の実施形態では、本重鎖ヒト生殖系列フレームワークは、VH1-18、VH1-2、VH1-24、VH1-3、VH1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69、VH1-8、VH2-26、VH2-5、VH2-70、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-35、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3-64、VH3-66、VH3-7、VH3-72、VH3-73、VH3-74、VH3-9、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-4、VH4-59、VH4-61、VH5-51、VH6-1、及びVH7-81から選択される。
【0051】
特定の実施形態では、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域は、フレームワーク領域、又はフレームワーク領域の少なくとも一部分(例えば、FR2及びFR3などの2又は3つの小領域を含む)を含む。ある特定の実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、完全ヒトである。その他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、完全ヒトである。いくつかの実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列(上述の周知のヒトIg配列の供給源で容易に入手可能である)を含む。その他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列を含む。好ましい実施形態では、フレームワーク領域は、完全なヒトフレームワーク領域である。
【0052】
本発明の抗体のヒト化又は工学的処理は、Winter(Joneら,Nature 321:522(1986);Riechmannら,Nature 332:323(1988);Verhoeyenら,Science 239:1534(1988)),Simsら,J.Immunol.151:2296(1993);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carterら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992);Prestaら,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5723323号、同第5976862号、同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第5763192号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号、同第6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530101号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567号、国際出願第US98/16280号、同第US96/18978号、同第US91/09630号、同第US91/05939号、同第US94/01234号、国際出願第GB89/01334号、同第GB91/01134号、同第GB92/01755号、国際公開第90/14443号、同第90/14424号、同第90/14430号、欧州特許第229246号(それぞれ、参照によりその全体が明細書に組み込まれ、その中に引用される文献を含む)に記載されるものなどであるがこれらに限定されない、任意の周知の方法を使用して行うことができる。
【0053】
ある特定の実施形態では、抗体は、変更された(例えば、変異を導入された)Fc領域を含む。例えば、いくつかの実施形態では、Fc領域は、抗体のエフェクタ機能を低減又は増強するために変更されている。いくつかの実施形態では、Fc領域は、IgM、IgA、IgG、IgE、又は他のアイソタイプから選択されるアイソタイプである。あるいは、又は加えて、アミノ酸修飾と、IL-23結合分子のFc領域のC1q結合及び/又は補体依存性細胞毒性機能を変更する1つ以上の更なるアミノ酸修飾と、を組み合わせることが有用であり得る。特定の目的の出発ポリペプチドは、C1qに結合するものであることができ、補体依存性細胞毒性(complement dependent cytotoxicity、CDC)を示す。既存のC1q結合活性を有し、任意選択的に更にCDCを介在する能力を有するポリペプチドは、これらの活性のうちの1つ又は両方が増進するように、修飾され得る。C1qを変更する、かつ/又はその補体依存性細胞傷害機能を修飾するアミノ酸修飾は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第0042072号に記載されている。
【0054】
上記に開示されるように、例えば、C1q結合及び/又はFcγR結合を修飾し、それにより、補体依存性細胞毒性(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性を変化させることによって、変更されたエフェクタ機能を有する本発明のヒト抗IL12/23p40抗体のFc領域を設計することができる。「エフェクタ機能」は、(例えば、被検者における)生物学的活性を活性化又は低減させる役割を果たす。エフェクタ機能の例としては、これらに限定されるものではないが、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。このようなエフェクタ機能は、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することを必要とする場合があり、また多種多様なアッセイ(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる。
【0055】
例えば、改善されたC1q結合及び改善されたFcγRIII結合を有する(例えば、改善されたADCC活性及び改善されたCDC活性の両方を有する)ヒト抗IL12/23p40抗体の変異体Fc領域を生成することができる。あるいは、エフェクタ機能を低減又は除去することが所望される場合、変異体Fc領域は、CDC活性を低減させるよう及び/又はADCC活性を低減させるよう修飾することができる。その他の実施形態では、これらの活性の1つだけが増強されてもよく、任意選択的に、同時にその他の活性が低減され得る(例えば、改善されたADCC活性と低減されたCDC活性を有するFc領域バリアント、及びこの逆のFc領域バリアントを生成するため)。
【0056】
Fc変異は、胎児性Fc受容体(Fc receptor、FcRn)との相互作用を変更し、それらの薬物動態特性を改善するように遺伝子を操作して、導入することもできる。FcRnへの結合を改善したヒトFc変異体の収集は、説明されている(Shieldsら,(2001).High resolution mapping of the binding site on human IgG1 for FcγRI,FcγRII、FcγRIII,and FcRn and design of IgG1 variants with improved binding to the FCγR、J.Biol.Chem.276:6591-6604)。
【0057】
別のタイプのアミノ酸置換は、ヒト抗IL12/23p40抗体のFc領域のグリコシル化パターンを修飾するように働く。Fc領域のグリコシル化は、典型的に、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付加を指す。O結合型グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用され得るが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの付着を指す。アスパラギン側鎖ペプチド配列への炭水化物部分の酵素的付着のための認識配列は、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンであり、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。このため、ポリペプチド中にこれらのいずれかのペプチド配列が存在すると、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。
【0058】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに見出される1つ以上のグリコシル化部位(複数可)を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することによって、変更させることができる。抗体のFc領域へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変更することによって首尾よく達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。代表的なグリコシル化変異体は、重鎖の残基Asn297のアミノ酸置換を有する。本変更は、元々のポリペプチド配列への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれらによる置換によっても行われ得る(O結合型グリコシル化部位の場合)。加えて、Asn 297をAlaに変更すると、グリコシル化部位の1つを除去することができる。
【0059】
ある特定の実施形態では、本発明のヒト抗IL12/23p40抗体は、GnT IIIがGlcNAcをヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体に付加するように、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)を発現する細胞において発現される。このような様式で抗体を産生するための方法は、国際公開第9954342号、同第03011878号、特許公報第2003/0003097(A1)号、及びUmanaら,Nature Biotechnology,17:176-180,Feb.1999に提供されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0060】
ヒト抗IL12/23p40抗体はまた、任意選択的に、本明細書に記載及び/又は当該技術分野において周知であるように、ヒト抗体のレパートリーを生成することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生じる場合もある。ヒト抗IL12/23p40抗体を産生する細胞は、本明細書に記載の方法のような好適な方法を使用して、このような動物から単離し、不死化してもよい。
【0061】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニックマウスは、周知の方法(例えば、これらに限定されるものではないが、Lonbergらに発行された米国特許第5,770,428号、同第5,569,825号、同第5,545,806号、同第5,625,126号、同第5,625,825号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び同第5,789,650号、Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobovitsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/24884号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際公開第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096号、Kucherlapateらの欧州特許第0463151(B1)号、Kucherlapateらの欧州特許第0710719(A1)号、Suraniらの米国特許第5,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bruggemannらの欧州特許第0438474(B1)号、Lonbergらの欧州特許第0814259(A2)号、Lonbergらの英国特許第2272440(A)号、LonbergらのNature368:856-859(1994)、TaylorらのInt.Immunol.6(4)579-591(1994)、GreenらのNature Genetics 7:13-21(1994)、MendezらのNature Genetics 15:146-156(1997)、TaylorらのNucleic Acids Research 20(23):6287-6295(1992)、TuaillonらのProc Natl Acad Sci USA 90(8)3720-3724(1993)、LonbergらのInt Rev Immunol 13(1):65-93(1995)及びFishwaldらのNat Biotechnol 14(7):845-851(1996)であって、これらは、参照により各全体が本明細書に組み込まれる)によって生成することができる。一般に、これらのマウスは、機能的に再構成された、又は機能的な再構成を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含む、少なくとも1つの導入遺伝子を含む。このようなマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させて、マウスの、内因性遺伝子によりコードされている抗体の産生能を除去することができる。
【0062】
類似のタンパク質又は断片への特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。本方法は、望ましい機能又は構造をもつ個々のメンバーについてペプチドの大規模コレクションをスクリーニングすることを含む。ペプチドディスプレイライブラリの抗体スクリーニングは当該技術分野において周知である。ディスプレイされたペプチド配列の長さは、3~5000個又はそれ以上のアミノ酸であり、頻繁には5~100個のアミノ酸長、多くは約8~25個のアミノ酸長であることができる。ペプチドライブラリを作成する直接化学合成法に加えて、いくつかの組換えDNA方法も記述されている。1つのタイプは、バクテリオファージ又は細胞の表面上でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージ又は細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含有する。このような方法は、国際出願特許公報第91/17271号、同第91/18980号、同第91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。
【0063】
ペプチドライブラリを作成するためのその他のシステムは、インビトロでの化学合成法及び組換え法の両方の態様を有する。国際出願特許公報第92/05258号、同第92/14843号、及び同第96/19256号を参照されたい。米国特許第5,658,754号及び同第5,643,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、ベクター、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)及びCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire,UK)のような供給元から市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許第4704692号、同第4939666号、同第4946778号、同第5260203号、同第5455030号、同第5518889号、同第5534621号、同第5656730号、同第5763733号、同第5767260号、同第5856456号、Dyaxに譲渡された米国特許第5223409号、同第5403484号、同第5571698号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された米国特許第5427908号、同第5580717号、Cambridge antibody Technologiesに譲渡された米国特許第5885793号、Genentechに譲渡された米国特許第5750373号、Xomaに譲渡された米国特許第5618920号、同第5595898号、同第5576195号、同第5698435号、同第5693493号、同第5698417号、上記のColligan、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたく、上記特許及び刊行物のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0064】
本発明の方法に使用される抗体は、このような抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を提供するために、核酸をコードする少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体を使用して調製することもできる。このような動物は、周知の方法を使用して準備することができる。例えば、これらに限定されるものではないが、米国特許第5,827,690号、同第5,849,992号、同第4,873,316号、同第5,849,992号、同第5,994,616号、同第5,565,362号、同第5,304,489号などを参照されたい(それらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0065】
本発明の方法に使用される抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、このような抗体、特定の部分、又は変異体を産生するトランスジェニック植物及び培養された植物細胞(例えば、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体を使用して更に調製することができる。非限定的な実施例として、例えば、誘導プロモータを用い、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉をうまく使用して、大量の組換えタンパク質が提供されてきた。例えば、Cramerら,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95-118(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。また、トランスジェニックトウモロコシは、その他の組換え系において生成されるタンパク質又は天然資源から精製されるタンパク質に等しい生物学的活性を有する哺乳動物タンパク質を、商業生成レベルで発現するために使用されてきた。例えば、Hoodら,Adv.Exp.Med.Biol.464:127-147(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。抗体は、単鎖抗体(scFv)などの抗体断片を含む、タバコ種子及びポテト塊茎などといったトランスジェニック植物の種子からも、大量に産生されてきた。例えば、Conradら,Plant Mol.Biol.38:101-109(1998)及びその中で引用される文献を参照されたい。したがって、本発明の抗体はまた、周知の方法に従って、トランスジェニック植物を使用して産生することもできる。例えば、Fischerら,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99-108(Oct.,1999)、Maら,Trends Biotechnol.13:522-7(1995)、Maら,Plant Physiol.109:341-6(1995)、Whitelamら,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994)、及びこれらの中で引用される文献も参照されたい。上記文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0066】
本発明の方法において使用される抗体は、広範囲にわたる親和性(KD)でヒトIL12/IL23p40に結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択的に、高い親和性でヒトIL12/IL23p40に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、ヒトIL12/23p40を、約10-7M以下、例えば、限定されるものではないが、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)、X 10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値などのKDで結合することができる。
【0067】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験により求めることができる。(例えば、Berzofsky,ら,「Antibody-Antigen Interactions,」In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992);及び本明細書に記載される方法を参照されたい)。特定の抗体抗原相互作用について測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なることができる。したがって、親和性及びその他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは、抗体及び抗原の標準化溶液、及び本明細書で記載される緩衝剤等の標準化緩衝剤を用いて行われる。
【0068】
ベクター及び宿主細胞
本発明はまた、単離された核酸分子を含むベクター、組換えベクターで遺伝子工学処理される宿主細胞、及び当該技術分野において周知である組換え技術による少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体の産生に関する。例えば、上記のSambrookら、上記のAusubelらを参照されたく、それぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
ポリヌクレオチドは、任意選択的に、宿主の増殖についての選択マーカーを含有するベクターに結合することができる。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物内、又は荷電脂質との複合体内に導入される。ベクターがウイルスである場合は、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロでこれをパッケージングし、その後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0070】
DNA挿入物は、適切なプロモータに機能的に連結されるべきである。発現コンストラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写された領域内では翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含む。コンストラクトにより発現した成熟した転写産物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきmRNAの最後に適切に位置する開始及び終止コドン(例えば、UAA、UGA、又はUAG)で始まる翻訳を含み、哺乳類又は真核生物細胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0071】
発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーを含むが、これは任意選択的である。このようなマーカーは、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(methotrexate、MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase(DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸、又はグルタミンシンセターゼ(glutamine synthetase、GS、同第5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号)抵抗性遺伝子、並びに大腸菌(E.coli)及びその他の細菌又は原核生物における培養のためのテトラサイクリン又はアンピシリン抵抗性遺伝子を含むが、これらに限定されるものではない(上記特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適切な培養培地及び条件は、技術分野において周知である。好適なベクターは、当業者にとって容易に明白となるであろう。宿主細胞へのベクターコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストランを介在させたトランスフェクション、カチオン性脂質を介在させたトランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染又は他の周知の方法により達成することができる。このような方法については、上記のSambrook、第1~4章及び第16~18章、上記のAusubel、第1、9、13、15、16章などの技術分野に記載されている。
【0072】
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などの修飾された形態で発現され得、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含むことができる。例えば、追加アミノ酸の領域、特に荷電アミノ酸を抗体のN末端に追加して、精製中又は後続の処理及び保存中に、宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に追加して、精製を促進することもできる。抗体又は少なくとも1つのその断片の最終調製前に、このような領域を除去することができる。このような方法は、上記のSambrook、第17.29~17.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusubel、第16、17及び18章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0073】
当業者であれば、本発明の方法に使用されるタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系について精通している。あるいは、核酸は、抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞内で、(操作により)オンに切り替えることにより、宿主細胞中で発現させることができる。このような方法は、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、当該技術分野において周知であり、上記特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0074】
抗体、その特定の部分又は変異体の産生に有用な細胞培養物の一例は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば細胞からなる単層形態を取るが、哺乳動物細胞の懸濁液又はバイオリアクタも使用可能である。無傷なグリコシル化タンパク質を発現可能ないくつかの好適な宿主細胞株が当該技術分野において開発されており、これにはCOS-1(例えばATCC CRL 1650)、COS-7(例えばATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL-10)、CHO(例えばATCC CRL1610)及びBSC-1(例えばATCC CRL-26)細胞株、Cos-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0-Ag14、293細胞、HeLa細胞などが挙げられ、これらは例えば、American Type Culture Collection(Manassas,Va)(www.atcc.org)から容易に入手できる。好ましい宿主細胞としては、骨髄腫及びリンパ腫細胞などのリンパ系に由来する細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC寄託番号CRL-1580)及びSP2/0-Ag14細胞(ATCC寄託番号CRL-1851)である。特に好ましい実施形態では、組換え細胞は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細胞である。
【0075】
これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモータ(例えば、後期又は初期SV40プロモータ、CMVプロモータ(米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号)、HSV tkプロモータ、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモータ、EF-1アルファプロモータ(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモータ、エンハンサ、及び/又はリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポリ付加部位)、並びに転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるがこれらに限定されるものではない、発現制御配列のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、上記のAusubelら、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の生成に有用なその他の細胞は周知である、並びに/あるいは例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(www.atcc.org)又はその他の周知の供給源若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0076】
真核宿主細胞が利用される場合、典型的には、ベクター内にポリアデニル化又は転写終結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含むことができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,ら,J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該技術分野において周知であるように、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列をベクター内に組み込むことができる。
【0077】
抗体の精製
抗IL12/23p40抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ及びレクチンクロマトグラフィが挙げられるがこれらに限定されない周知の方法により、組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィ(「high performance liquid chromatography、HPLC」)を精製に利用することもできる。例えば、Colligan、Current Protocols in Immunology又はCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997-2001)の、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたく、それぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0078】
本発明の方法に使用される抗体には、天然に精製された生産物、化学合成工程の生産物、並びに例えば、酵母、高等植物、昆虫、及び哺乳動物細胞を含む、真核宿主から組換え技術により生産された生産物が含まれる。組換え生産工程において利用される宿主に応じて、抗体は、グリコシル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化されるのが好ましい。このような方法は、上記のSambrook、セクション17.37-17.42、上記のAusubel、第10、12、13、16、18、及び20章、上記のColligan,Protein Science、第12~14章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されており、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0079】
抗IL12/23p40抗体
本発明による抗IL12/23p40抗体は、抗体に組み込むことができる、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分、例えば、限定されるものではないが、少なくとも1つのリガンド結合部分(ligand binding portion、LBP)、例えば、限定されるものではないが、重鎖若しくは軽鎖の相補的決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部分、重鎖又は軽鎖可変領域、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4、又はそれらの断片、更に場合により、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、重鎖又は軽鎖定常領域(例えば、少なくとも1つのCH1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、CH2、若しくはCH3、又はそれらの断片、更に場合により、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、又はそれらの任意の部分を含む任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類、又はこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されるものではない、任意の哺乳動物を含むか、又はそれに由来することができる。
【0080】
好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合断片は、ヒトIL12/23p40に結合し、それにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的又は実質的に中和する。少なくとも1つのIL12/23p40タンパク質又は断片の少なくとも1つの生物学的活性を部分的に又は好ましくは実質的に中和する抗体又はその特定された部分若しくは変異体は、タンパク質又は断片に結合し、それによりIL12/23p40又はIL-23の、IL-12及び/若しくはIL-23受容体への結合を通して、又はその他のIL12/23p40若しくはIL-23依存性機序若しくは媒介型機序を通して媒介される活性を阻害することができる。本明細書で使用する場合、「中和抗体」という用語は、アッセイに応じて約20~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%以上、IL12/23p40又はIL-23依存活性を阻害することができる抗体を指す。抗IL12/23p40又はIL-23抗体がIL12/23p40又はIL-23依存活性を阻害する能力は、好ましくは、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において周知の、少なくとも1つの好適なIL12/23p40又はIL-23タンパク質又は受容体アッセイによって評価される。ヒト抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなど)又はアイソタイプのものであってもよく、カッパ又はラムダ軽鎖を含むことができる。一実施形態では、ヒト抗体は、IgG重鎖又は規定された断片、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4(例えば、γ1、γ2、γ3、γ4)のうちの少なくとも1つのアイソタイプを含む。本タイプの抗体は、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において周知の、少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgA、IgM)トランス遺伝子を含むトランスジェニックマウス又はその他のトランスジェニック非ヒト哺乳動物を用いることによって調製することができる。別の実施形態では、ヒト抗体は、IgG1重鎖と、IgG1軽鎖と、を含む。
【0081】
抗体は、少なくとも1つのIL12/23p40タンパク質、サブユニット、断片、部分、又はそれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定されたエピトープに結合する。本少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことが可能であり、このエピトープは好ましくは、タンパク質の少なくとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外側部分、又は細胞質部分から構成されている。
【0082】
一般に、ヒト抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1つのヒト相補的決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体、及び少なくとも1つのヒト相補的決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの軽鎖可変領域の変異体を含む抗原結合領域を含む。CDR配列は、ヒト生殖細胞系列型配列に由来するものでよく、又は生殖細胞系列型配列に厳密に一致するものでもよい。例えば、元の非ヒトCDRに由来する合成ライブラリからのCDRを使用することができる。これらのCDRは、元の非ヒト配列に由来する保存的置換の組込みによって形成することができる。別の特定の実施形態では、抗体又は抗原結合部分又は変異体は、対応するCDR1、2及び/又は3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部分を含む抗原結合領域を有することができる。
【0083】
このような抗体は、組換えDNA技術に関する従来技術を使用して抗体をコードする(すなわち、1つ以上の)核酸分子を調製して発現させることによって、又は任意のその他の好適な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗体の種々の部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることにより調製できる。
【0084】
一実施形態では、本発明に有用な抗IL12/23p40抗体は、それぞれ配列番号1、2、及び3の重鎖相補的決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3と、それぞれ配列番号4、5、及び6の軽鎖CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、モノクローナル抗体、好ましくはヒトmAbである。
【0085】
抗IL12/23p40抗体は、画定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、好ましい実施形態では、抗IL12/23p40抗体は、配列番号7に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を有する抗IL12/23p40抗体を含む。
【0086】
抗IL12/23p40抗体はまた、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖のうちの少なくとも1つを含むことができる。別の好ましい実施形態では、抗IL12/23p40抗体は、配列番号10に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号11に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む。
【0087】
好ましくは、抗IL12/23p40抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むウステキヌマブ(Stelara(登録商標))である。本発明に有用な抗IL12/23p40抗体のその他の実施例としては、ブリアキヌマブ(Briakinumab)(ABT-874、Abbott)及び米国特許第6,914,128号、同第7,247,711号、同第7700739号(これらの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているその他の抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
本発明はまた、本明細書に記載されるアミノ酸配列と実質的に同じである配列中のアミノ酸を含む抗体、抗原結合断片、免疫グロブリン鎖及びCDRに関する。好ましくは、このような抗体又は抗原結合断片及びこのような鎖若しくはCDRを含む抗体は、高い親和性(例えば、KDが約10-9M以下)で、ヒトIL12/23p40又はIL-23に結合することができる。本明細書に記載されている配列と実質的に同じであるアミノ酸配列としては、保存的アミノ酸置換並びにアミノ酸欠失及び/又は挿入を含む配列が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、第1のアミノ酸のものに類似する化学的及び/又は物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸で、第1のアミノ酸を置換することを指す。保存的置換は、限定されるものではないが、1個のアミノ酸を、以下の群内の別のアミノ酸で置き換えることを含む:リジン(K)、アルギニン(R)、及びヒスチジン(H);アスパラギン酸塩(D)及びグルタミン酸塩(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、及びE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、及びグリシン(G);F、W、及びY;C、S、及びT。
【0089】
ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、規定された重鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、当該技術分野で周知及び/又は本明細書に記載の、ファージディスプレイ(Katsube,Y.ら,Int J Mol.Med,1(5):863-868(1998))又はトランスジェニック動物を採用する方法など、好適な方法を使用して調製することができる。例えば、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン重鎖導入遺伝子と、機能的な再構成を受けることが可能なヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座からのDNAを含む導入遺伝子とを含むトランスジェニックマウスを、ヒトIL12/23p40若しくはIL-23又はその断片で免疫化して抗体の産生を誘発することができる。所望する場合、抗体産生細胞を単離することができ、本明細書に記載されるように、かつ/又は技術分野において周知であるように、ハイブリドーマ又はその他の不死化させた抗体産生細胞を調製することができる。あるいは、抗体、特定の部分又は変異体は、好適な宿主細胞内で、コード核酸又はその一部分を使用して発現させることができる。
【0090】
本発明の方法に使用される抗IL12/23p40抗体は、本明細書で指定されるように、天然の突然変異又はヒトによる操作のいずれかによる、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含むことができる。
【0091】
当業者が行い得るアミノ酸置換の数は、上記のものを含む多くの要因に依存する。一般的に言えば、所与の抗IL12/23p40抗体、断片又は変異体のアミノ酸置換、挿入又は欠失の数は、本明細書で特定されるように、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、例えば、1~30又はこの中の任意の範囲若しくは値を超えない。
【0092】
機能上不可欠である抗IL12/23p40抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発などの、当該技術分野において既知の方法により同定することができる(例えば、上記のAusubel、Chapters 8,15;Cunningham及びWells,Science 244:1081-1085 (1989))。後者の手順では、分子内の残基毎に単個のアラニンによる変異を導入する。得られた突然変異分子は、次に、例えば、限定されるものではないが、少なくとも1つのIL12/23p40又はIL-23中和活性などの生物学的活性について試験される。抗体結合にとって極めて重要である部位もまた、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識などの構造解析によって同定することができる(Smithら,J.Mol.Biol.224:899-904(1992)及びde Vosら,Science 255:306-312(1992))。
【0093】
抗IL12/23p40抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、10、又は11のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸のうちの5個から全てから選択される、少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
抗IL12/23p40抗体又は特定の部分若しくは変異体としては、上記配列番号の少なくとも3~5個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~17個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~10個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~11個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~7個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~9個の隣接アミノ酸から選択される少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。
【0095】
抗IL12/23p40抗体は、更に任意選択的に、上記配列番号5、17、10、11、7、9、119、108、449、又は214個の隣接アミノ酸の70~100%の少なくとも1つのポリペプチドを含むことができる。一実施形態では、免疫グロブリン鎖、又はその一部分(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、上記配列番号のうちの少なくとも1つの対応する鎖のアミノ酸配列と、約70~100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、上記配列番号の配列と比較することができ、又は重鎖CDR3のアミノ酸配列を、上記配列番号と比較することができる。好ましくは、70~100%のアミノ酸同一性(すなわち、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)は、当該技術分野において周知であるように、好適なコンピュータアルゴリズムを使用して決定される。
【0096】
当該技術分野において周知のように、「同一性」は、配列を比較することにより決定される、2つ以上のポリペプチド配列間又は2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、このような線状の配列間の一致によって決定されるような、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」及び「類似性」は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991、並びにCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されるものではない、周知の方法によって容易に算出することができる。なお、同一性の割合に関する値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)の構成要素であるAlignXのデフォルト設定を用いて作成される、アミノ酸及びヌクレオチド配列アラインメントから得ることができる。
【0097】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致度が得られるように設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて成文化(codified)されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら,Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Atschul,S.F.ら,J.Molec.Biol.215:403-410(1990))を含むが、これらに限定されるものではない。BLAST Xプログラムは、NCBI及びその他のソース(BLAST Manual,Altschul,S.ら,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894:Altschul,S.ら,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)から公的に入手可能である。周知のスミス・ウォーターマン・アルゴリズム(Smith Waterman algorithm)もまた、同一性を決定するために使用することができる。
【0098】
代表的な重鎖及び軽鎖可変領域の配列、並びにそれらの部分は、上記配列番号に示される。本発明の抗体、又はその特定された変異体は、本発明の抗体から任意の数の隣接アミノ酸残基を含むことができ、その数は、抗IL12/23p40抗体における隣接残基数の10~100%からなる整数の群から選択される。任意選択的に、隣接アミノ酸のこの部分配列は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250又はそれ以上のアミノ酸長、又はその中の任意の範囲若しくは値である。更に、このような部分配列の数は、少なくとも2、3、4、又は5などの、1~20からなる群から選択される任意の整数であることができる。
【0099】
当業者には明らかとなるように、本発明には、本発明の少なくとも1つの生物学的活性抗体が含まれている。生物学的活性抗体は、天然(非合成)、内因性、又は関連する、及び周知の抗体のものの、少なくとも20%、30%、又は40%、好ましくは少なくとも50%、60%、又は70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%、又は95%~100%又はそれ以上(限定されるものではないが、比活性の最大10倍を含む)の比活性を有する。酵素活性及び基質特異性のアッセイ及び定量測定の方法は、当業者にとって周知である。
【0100】
別の態様では、本発明は、有機部分の共有結合により修飾される、本明細書に記載されるヒト抗体及び抗原結合断片に関する。このような修飾は、改善された薬物動態特性(例えば、増大したインビボでの血清半減期)をもつ抗体又は抗原結合断片を産生することができる。有機部分は、直鎖又は分枝鎖親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。特定の実施形態では、親水性ポリマー基は、分子量が約800~約120,000ダルトンであって、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンであり得、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基は、約8~約40個の炭素原子を含むことができる。
【0101】
修飾された抗体及び抗原結合断片は、抗体に直接的又は間接的に共有結合される、1つ以上の有機部分を含むことができる。本発明の抗体又は抗原結合断片に結合される各有機部分は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。本明細書で使用する場合、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を包含する。本明細書で使用する場合、「親水性ポリマー基」という用語は、オクタンよりも水に対する溶解度が高い有機ポリマーを意味する。例えば、ポリリシンは、オクタンよりも水に対する溶解度が高い。よって、ポリリシンの共有結合により修飾された抗体は、本発明に包含される。本発明の抗体を修飾するのに好適な親水性ポリマーは、直線状又は分岐状であることができ、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(monomethoxy-polyethylene glycol、mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子体として、約800~約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000及びPEG20,000を使用することができる。下付き文字は、ポリマーの平均分子量(ダルトン)である。親水性ポリマー基は、1~約6個のアルキル基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマー類は、好適な方法を利用することによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボン酸塩に連結させることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上の活性化カルボン酸塩(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化されている)をポリマー上のヒドロキシル基に連結させることができる。
【0102】
本発明の抗体を修飾するために好適な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和されてもよいし、又は1つ以上の不飽和単位を含有することができる。本発明の抗体を修飾するのに適切な脂肪酸としては、例えば、n-ドデカン酸(C12、ラウリン酸)、n-テトラデカン酸(C14、ミリスチン酸)、n-オクタデカン酸(C18、ステアリン酸)、n-エイコサン酸(C20、アラキジン酸)、n-ドコサン酸(C22、ベヘン酸)、n-トリアコンタン酸(C30)、n-テトラコンタン酸(C40)、シス-Δ9-オクタデカン酸(C18、オレイン酸)、全てのシス-Δ5,8,11,14-エイコサテトラエン酸(C20、アラキドン酸)、オクタンジオン酸、テトラデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、ドコサンジオン酸などが挙げられる。好適な脂肪酸エステルは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を含む、ジカルボン酸のモノエステルを含む。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含むことができる。
【0103】
修飾ヒト抗体及び抗原結合断片は、1つ以上の修飾剤と反応させるなど、好適な方法を使用して調製することができる。本明細書で使用されるとき、「修飾剤」という用語は、活性化基を含む好適な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を意味する。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、これにより修飾剤と第2の化学基との間に共有結合を形成することのできる、化学部分又は官能基である。例えば、アミン反応性活性化基としては、トシル酸、メシル酸、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)などの求電子基、N-ヒドロキシスクシニミジルエステル(N-hydroxysuccinimidyl esters、NHS)などが挙げられる。チオール類と反応可能な活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが挙げられる。アルデヒド官能基は、アミン又はヒドラジド含有分子と連結することができ、アジド基は、三価リン基と反応してホスホルアミデート又はホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性化基を導入するための好適な方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Hermanson,G.T.、Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)を参照されたい)。活性化基は、有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接的に、又はリンカー部分(例えば、二価のC1~C12基、ここで1つ以上の炭素原子は酸素、窒素又は硫黄などのヘテロ原子に置換できる)を介して、結合することができる。適切なリンカー部分としては例えば、テトラエチレングリコール、-(CH2)3-、-NH-(CH2)6-NH-、-(CH2)2-NH-及び-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH-NH-が挙げられる。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で、モノ-Boc-アルキルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノへキサン)を脂肪酸と反応させることにより、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間のアミド結合を形成することによって産生可能である。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)処理により生成物から除去し、記載されているように別のカルボン酸塩に連結し得る一級アミンを露出させることができ、又はこれを無水マレイン酸と反応させ、得られた生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる。(例えば、国際公開第92/16221号(Thompsonら)を参照されたく、参照によりこの教示の全体が本明細書に組み込まれる)。
【0104】
修飾された抗体は、ヒト抗体又は抗原結合断片を修飾剤と反応させることによって産生することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHSエステルを利用して、部位特異的なものではない方法で抗体に結合させることができる。抗体又は抗原結合断片のジスルフィド結合(例えば、鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって、修飾されたヒト抗体又は抗原結合断片を調製することもできる。このとき、還元された抗体又は抗原結合断片をチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明の修飾された抗体を産生することが可能である。本発明の抗体の特定の部位に結合される有機部分を含む修飾されたヒト抗体及び抗原結合断片は、逆タンパク質分解など(Fischら,Bioconjugate Chem.,3:147-153(1992)、Werlenら,Bioconjugate Chem.,5:411-417(1994)、Kumaranら,Protein Sci.6(10):2233-2241 (1997);Itohら,Bioorg.Chem.,24(1):59-68(1996)、Capellasら,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456-463(1997))の適切な方法、及びHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)に記載される方法などを使用して調製することができる。
【0105】
本発明の方法はまた、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において周知であるように、非自然発生組成物、混合物、又は形態で提供される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ以上のその抗IL12/23p40抗体を含む、抗IL12/23p40抗体組成物も使用する。このような組成物は、上記配列番号の隣接アミノ酸の70~100%、又はその特定される断片、ドメイン、若しくは変異体からなる群から選択される抗IL12/23p40抗体のアミノ酸配列の、少なくとも1つ又は2つの完全長、C及び/若しくはN末端欠失変異体、ドメイン、断片、又は特定された変異体を含む非自然発生組成物を含む。好ましい抗IL12/23p40抗体組成物は、例えば、上記配列番号の70~100%の、本明細書に記載される抗IL12/23p40抗体配列、又はその特定された断片、ドメイン、若しくは変異体の、少なくとも1つのCDR又はLBP含有部分として、少なくとも1つ又は2つの完全長、断片、ドメイン、又は変異体を含む。更に好ましい組成物は、例えば、上記配列番号などの70~100%、又はその特定の断片、ドメイン、若しくは変異体のうちの少なくとも1つを40~99%含む。このような組成物の百分率は、当該技術分野において周知であるように、又は本明細書に記載されるように、重量、容量、濃度、モル濃度、あるいは液体若しくは無水溶液(dry solution)、混合物、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、又はコロイドとしてのモル濃度によるものである。
【0106】
更なる治療活性成分を含む抗体組成物
本発明の方法に使用される抗体組成物は、任意に更に、抗感染症薬、心血管(cardiovascular、CV)系作用薬、中枢神経系(central nervous system、CNS)薬、自律神経系(autonomic nervous system、ANS)薬、呼吸器薬、消化(gastrointestinal、GI)管作用薬、ホルモン薬、体液又は電解質平衡薬、血液作用薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、眼、耳又は鼻用薬、局所作用薬、栄養薬などのうち、少なくとも1つから選択される、少なくとも1つの化合物又はタンパク質を有効量含むことができる。このような薬品は、本明細書に示されるそれぞれの製剤、適応症、投与量、及び投与を含めて、当該技術分野において周知である(例えば、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ、Pharmcotherapy Handbook,Wellsら,Appleton&Lange,Stamford,CTを参照されたく、それぞれは、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0107】
本発明の方法の抗体と組み合わせることができる薬剤の例として、抗感染薬は、殺アメーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は少なくとも1種の抗らい菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド抗感染薬、及び種々の抗感染薬から選択される少なくとも1種であることができる。ホルモン薬は、コルチコステロイド、アンドロゲン、又は少なくとも1種のアナボリックステロイド、エストロゲン、又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬、又は少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン拮抗薬、下垂体ホルモン、及び副甲状腺様薬から選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種のセファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフラジン、及びロラカルベフから選択される少なくとも1種であることができる。
【0108】
少なくとも1種のコルチコステロイド(coricosteroid)は、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメサゾン、酢酸デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及び二酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種のアンドロゲン又はタンパク質同化ステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、及びテストステロン経皮系から選択される少なくとも1種であることができる。
【0109】
少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ-CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミゾリビン、及びタクロリムスから選択される少なくとも1種であることができる。
【0110】
少なくとも1種の局所抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、及びトルナフテートから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種の疥癬殺虫剤若しくは殺シラミ薬は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン、及びピレトリンから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種の局所コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、及びトリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1種であることができる。(例えば、Nursing 2001 Drug Handbookの1098~1136ページを参照されたい。)
【0111】
抗IL12/23p40抗体組成物は、このような調整、治療、又は治療を必要とする細胞、組織、器官、動物、又は被検者に接触されるか又は投与される少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体を含み、場合により更に、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されるものではないが、TNF化学若しくはタンパク質拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体又は断片、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)又は断片、その融合ポリペプチド、又は小分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I若しくはII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシマブ、エタナセプト(eternacept)、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒドロキシクロロキン硫酸塩、レフルノミド、スルファサラジン)、免疫化物質、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1種を含む、任意の好適かつ有効な量の組成物又は医薬組成物のうちの少なくとも1つを更に含むことができる。このようなサイトカインの非限定的な実施例としては、IL-1~IL-23など(例えば、IL-1、IL-2など)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な投与量は、技術分野において周知である。例えば、Wellsら,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、「PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000」特別版、Tarascon Publishing、Loma Linda,CA(2000年)を参照されたく、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0112】
本発明の方法に使用される抗IL12/23p40抗体化合物、組成物、又は混合物は更に、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこれらに限定されるものではない、任意の好適な助剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。薬学的に許容される助剤が好ましい。このような滅菌溶液を調製する方法及びその非限定な実施例は、当該技術分野において周知であり、例えば、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,PA),1990が挙げられるが、これに限定されるものではない。当該技術分野において周知であるように、又は本明細書に記載されるように、抗IL12/23p40、断片、又は変異体組成物の投与方法、溶解度、及び/又は安定性に好適な医薬的に許容される担体を、日常的に選択することができる。
【0113】
本組成物において有用な薬学的賦形剤及び添加剤は、これらに限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、並びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してもよく、単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は容量%含まれる。代表的なタンパク質賦形剤としては、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(recombinant human albumin、rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体構成要素としては、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましいアミノ酸の1つはグリシンである。
【0114】
本発明で使用するのに好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン類などの多糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物添加物は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0115】
抗IL12/23p40抗体組成物は、緩衝剤又はpH調整剤を含むことができ、典型的には、緩衝剤は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物で使用するのに好ましい緩衝剤は、クエン酸などの有機酸塩である。
【0116】
加えて、抗IL12/23p40抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」及び「TWEEN80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー賦形剤/添加剤を含むことができる。
【0117】
本発明による抗IL12/23p40抗体、部分又は変異体組成物で使用するのに好適なこれら及び追加の周知の薬学的賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において周知であり、例えば、「Remington:The Science&Practice of Pharmacy」、19th ed.,Williams&Williams,(1995)、及び「Physician’s Desk Reference」、52nd ed,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に列挙されており、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担体又は添加物材料は、炭水化物(例えば、単糖類及びアルジトール)及び緩衝剤(例えば、クエン酸)又はポリマー剤である。代表的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、これらは関節内送達に有用であることができる。
【0118】
製剤
上述したとおり、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝剤である安定した製剤、並びに保存剤を含有する保存溶液及び製剤、並びに製薬学的に許容できる製剤中に少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体を含む薬剤学的又は獣医学的用途に好適な多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つの周知の、すなわち少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から任意選択的に選択される保存剤を含有する。当該技術分野において周知であるように、0.001~5%、又はその中の任意の範囲若しくは値、例えば、0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9など、又はその中の任意の範囲若しくは値の、任意の好適な濃度又は混合物を使用することができる。非限定的な実施例としては、保存剤無添加、0.1~2%のm-クレゾール(例えば、0.2、0.3.0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが挙げられる。
【0119】
上述のとおり、本発明の方法は、包装材と、任意選択的に水性希釈剤中に処方された緩衝剤及び/又は保存剤を有する少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイアルと、を含む製品を使用し、当該包装材は、このような溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上の期間にわたり保持することができることを記すラベルを含む。本発明は、包装材と、凍結乾燥された抗IL12/23p40抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤又は保存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルと、を含む製品を更に使用し、当該包装材は、抗IL12/23p40抗体を水性希釈剤で再構成して、24時間以上の期間にわたって保持することができる溶液を形成するように被検者に指示するラベルを含む。
【0120】
本発明により使用される抗IL12/23p40抗体は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において周知の、哺乳類細胞又はトランスジェニック調製物から産生することを含む組換え手段により産生することができるか、又はその他の生物源から精製することができる。
【0121】
抗IL12/23p40抗体の範囲は、湿式/乾式系の場合、再構成の場合に約1.0μg/mL~約1000mg/mLの濃度が得られる量で含まれるが、より低い濃度及び高い濃度でも作業可能であり、意図される送達溶剤に依存し、例えば溶液製剤では、経皮パッチ、肺、経粘膜、又は浸透圧性若しくはマイクロポンプ方法とは異なる。
【0122】
好ましくは、水性希釈剤は任意選択的に、医薬的に許容される保存剤を更に含む。好ましい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。製剤中で使用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに充分な濃度である。このような濃度は選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0123】
その他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサは、任意選択的にかつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度で一般に使用される。好ましくは、生理学的に耐性の緩衝剤を添加して、改善されたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、及び好ましくは約pH5~約pH9の範囲、及び最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を被検者とすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを有する。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline、PBS)が含まれる。
【0124】
その他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)などの、医薬的に許容される可溶化剤、又はポリソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic(登録商標)ポリル(polyl)などの非イオン性界面活性剤、その他のブロックコポリマー、並びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を、任意に製剤又は組成物に添加して、凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。医薬的に許容される界面活性剤の存在により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0125】
製剤は、少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体と、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、緩衝溶液中の一定量の少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体を、所望の濃度のタンパク質及び保存剤を提供するために十分な量の緩衝溶液中で所望の保存剤と組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0126】
製剤は、透明な溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好ましくはリン酸塩緩衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中に含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された抗IL12/23p40抗体のバイアルを含むデュアルバイアル(dual vial)として、被検者に提供することができる。単一の溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の被検者治療サイクルに十分であり得、したがって、現在使用できるよりも便利な投与療法を提供することができる。
【0127】
本製品は、即時から24時間以上の範囲の期間にわたる投与に有用である。したがって、本発明により特許請求される製品は、被検者に大きな利益を提供する。本発明の処方は、約2℃~約40℃の温度で所望により安全に保管し、長期間タンパク質の生物学的活性を保持することができ、したがって包装ラベルには、溶液が6、12、18、24、36、48、72、又は96時間以上にわたって保持及び/又は使用できることを示すことができる。保存されている希釈剤を使用する場合には、このようなラベルに最高1~12ヶ月、半年、1年半、及び/又は2年までの使用を含むことができる。
【0128】
抗IL12/23p40抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び任意選択的に保存剤又は緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0129】
特許請求される製品は、透明な溶液として、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された抗IL12/23p40抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして、被検者に提供することができる。単一の溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルは、いずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の被検者治療サイクルに十分であり得、したがって、現在使用できるよりも便利な投与療法を提供する。
【0130】
特許請求される製品は、透明な溶液、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された抗IL12/23p40抗体のバイアルを含むデュアルバイアルを、薬局、診療所、又はその他のこのような機関及び施設に提供することによって、被検者に対し間接的に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更にはそれを超える容量であることができ、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体溶液を1回又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により顧客及び/又は被検者に提供できる。
【0131】
単一バイアルシステムを含む承認済みデバイスとしては、溶液を送達するためのペン型注射器デバイス、例えば、BD Pens、BD Autojector(登録商標)、Humaject(登録商標)、NovoPen(登録商標)、B-DPen(登録商標)、OnePress(登録商標)(SelfDose(登録商標))、AutoPen(登録商標)、及びOptiPen(登録商標)、GenotropinPen(登録商標)、Genotronorm Pen(登録商標)、Humatro Pen(登録商標)、Reco-Pen(登録商標)、Roferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、Iject(登録商標)、J-tip Needle-Free Injector(登録商標)、Intraject(登録商標)、Medi-Ject(登録商標)、Smartject(登録商標)など(Becton Dickensen(Franklin Lakes,NJ、www.bectondickenson.com)、Disetronic(Burgdorf、Switzerland、www.disetronic.com)、Bioject(Portland,Oregon(www.bioject.com)、National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK、www.weston-medical.com)、Medi-Ject Corp(Minneapolis,MN、www.mediject.com)によって製造又は開発されている)、及び類似の好適なデバイスが挙げられる。デュアルバイアルシステムを含む承認済みデバイスとしては、再構成した溶液を送達するために、凍結乾燥された薬品をカートリッジ内で再構成するためのペン型注射器システム、例えばHumatroPen(登録商標)などが挙げられる。好適なその他のデバイスの実施例としては、予め充填された注射器、自動注射器、針なし注射器、及び針なしIV注入セットが挙げられる。
【0132】
製品は、包装材を含むことができる。包装材は、規制当局によって必要とされる情報に加えて、製品を使用することができる条件を提供する。本発明の包装材は、該当する場合、少なくとも1つの抗IL12/23p40抗体を水性希釈剤でもどして溶液を形成し、2~24時間以上の期間にわたって、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を被験者に提供する。シングルバイアルの溶液製品、予め充填された注射器、又は自動注射器の場合、ラベルは、このような溶液を2~24時間以上の期間にわたって使用することができることを示す。製品は、ヒト用医薬製品用途に有用である。
【0133】
本発明の方法に使用される製剤は、抗IL12/23p40及び選択された緩衝剤、好ましくは生理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸塩緩衝剤を混合することを含むプロセスにより調製することができる。抗IL12/23p40抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤を提供するのに充分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0134】
本発明の方法は、ヒト又は動物の被検者に投与するのに有用かつ許容できる種々の製剤を含む医薬組成物を提供する。このような医薬組成物は、希釈剤として「標準状態」の水、及び当業者に周知の日常的な方法を使用して調製される。例えば、ヒスチジン及びヒスチジン一塩酸塩水和物などの緩衝構成要素が最初に提供され、続いて適切な非最終容量の水希釈剤、スクロース、及びポリソルベート80が「標準状態」で添加され得る。次に、単離された抗体を添加することができる。最後に、水を希釈剤として使用して「標準状態」条件の下で、医薬組成物の容量を所望の最終容量に調整する。当業者は、医薬組成物の調製に好適ないくつかのその他の方法を認識する。
【0135】
医薬組成物は、水の容量単位当たりの示される質量の各構成成分を含むか、又は「標準状態」で示されるpHを有する水溶液又は懸濁液であることができる。本明細書で使用する場合、「標準状態」という用語は、25℃±2℃の温度及び1気圧の圧力を意味する。「標準状態」という用語は、当該技術分野では、当該技術分野が認識する単一の温度又は圧力のセットを指すように使用されないが、代わりに参照「標準状態」条件下の特定の組成物を含む溶液又は懸濁液を説明するために使用される温度及び圧力を特定する参照状態である。これは、溶液の容量が一つには温度及び圧力の関数であるためである。当業者は、本明細書に開示されるものと同等の医薬組成物がその他の温度及び圧力で製造され得ることを認識するであろう。このような医薬組成物が本明細書に開示されるものと同等であるかは、上記に定義された「標準状態」条件下(例えば、25℃±2℃及び1気圧の圧力)で決定されるべきである。
【0136】
重要なことに、このような医薬組成物は、医薬組成物の単位容積当たり「約」ある特定の値の構成要素の質量(例えば、「約0.53mgのL-ヒスチジン」)を含有するか、又は約ある特定の値のpH値を有することができる。医薬組成物中に存在する構成要素の質量又はpH値は、単離された抗体が医薬組成物に存在するか、又は単離された抗体が医薬組成物から除去された後(例えば、希釈により)に、医薬組成物中に存在する単離された抗体がペプチド鎖に結合することができる場合の、「約」所与の数値である。つまり、構成要素の質量値又はpH値などの値は、単離された抗体を医薬組成物中に入れた後に単離された抗体の結合活性が維持され、検出可能である場合の、「約」所与の数値である。
【0137】
競合結合分析を行って、IL12/23p40mAbが類似の若しくは異なるエピトープに結合し、かつ/又は互いに競合するかを決定する。ELISAプレート上にAbを個々にコーティングする。競合するmAbを添加し、続いてビオチン化hrIL-12又はIL-23を添加する。陽性対照には、コーティングに同じmAbが競合mAb(「自己競合」)として使用され得る。IL12/IL23p40又はIL-23結合は、ストレプトアビジンを使用して検出される。これらの結果は、mAbがIL12/23p40又はIL-23上の類似の又は部分的に重複するエピトープを認識するかどうかを示す。
【0138】
医薬組成物の一実施形態では、単離された抗体濃度は、1mLの医薬組成物当たり約77~約104mgである。医薬組成物の別の実施形態では、pHは約5.5~約6.5である。
【0139】
安定又は保存製剤は、透明な溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び賦形剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL12/23p40のバイアルを含むデュアルバイアルとして、被検者に提供することができる。単一の溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルは、いずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の被検者治療サイクルに十分であり得、したがって、現在使用できるよりも便利な投与療法を提供する。
【0140】
抗IL12/23p40を安定化するその他の処方又は方法は、抗体を含む凍結乾燥粉末の透明溶液以外のものであることができる。非透明溶液としては、微粒子懸濁液を含む処方があり、当該微粒子は、ミクロスフェア、微小粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、又はリポソームとして様々に知られる種々の寸法の構造内に抗IL12/23p40を含有する組成物である。活性薬剤を含有するこのような比較的均質な本質的に球状の微粒子製剤は、米国特許第4,589,330号に教示されるとおり、活性薬剤及びポリマーを含有する水相と非水相とを接触させ、次に、非水相を蒸発させて水相からの粒子の合体を引き起こすことにより、形成することができる。多孔性微小粒子は、米国特許第4,818,542号に教示されるとおり、連続溶媒中に分散された活性薬剤とポリマーとを含有する第1相を使用し、凍結乾燥又は希釈-抽出-沈殿により懸濁液からこの溶媒を除去することで調製することができる。このような調製に好ましいポリマーは、ゼラチン寒天、デンプン、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L-フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6-ジイソシアナトヘキサン)及びポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択される、天然又は合成のコポリマー又はポリマーである。特に好ましいポリマーは、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、及びポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)などのポリエステルである。ポリマー及び/又は活性物質を溶解させるのに有用な溶媒としては、水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、又はヘキサフルオロアセトンセスキ水和物が挙げられる。活性物質含有相を第2相に分散させるプロセスは、ノズル内のオリフィスに当該第1相を圧力で強制的に通して液滴形成に作用させる工程を含むことができる。
【0141】
乾燥粉末処方は、例えば、噴霧乾燥法、又は蒸発による溶媒抽出法、若しくは水性又は非水性溶媒を除去するための1つ以上の工程が後続する結晶性組成物の沈殿などの、凍結乾燥以外のプロセスの結果として得ることができる。噴霧乾燥抗体製剤の調製は、米国特許第6,019,968号に教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物は、呼吸用乾燥粉末を提供するための条件下で、溶媒中の抗体の溶液又はスラリー、及び任意選択的に賦形剤を噴霧乾燥させることによって生産できる。溶媒としては、容易に乾燥可能な、例えば水及びエタノールなどの極性化合物を挙げることができる。抗体の安定性は、酸素不在下、例えば窒素ブランケット下において噴霧乾燥手順を実施すること、又は乾燥用気体として窒素を使用することにより増強させることができる。別の比較的乾燥した製剤は、国際公開第9916419号に教示されているような、典型的にはヒドロフルオロアルカン噴射剤を含む懸濁培地中に分散した、複数の有孔微細構造の分散物である。安定化された分散物は、定量吸入器を用いて被検者の肺に投与することができる。噴霧乾燥された薬物の商業的製造において有用な機器は、Buchi Ltd.又はNiro Corp.により製造されている。
【0142】
本明細書に記載される安定若しくは保存製剤又は溶液のいずれかの中の抗IL12/23p40抗体は、当該技術分野において周知のように、SC若しくはIM注射、経皮、経肺、経粘膜、埋め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、又は当業者により理解されるその他の手段などの種々の送達方法を介して、本発明に従って被検者に投与することができる。
【0143】
治療への応用
本発明はまた、当該技術分野において周知のように又は本明細書に記載のように、本発明の抗IL12/23p40抗体を用いて、例えば、細胞、組織、臓器、動物、又は被検者に、治療有効量の抗IL12/23p40抗体を投与して又は接触させて、細胞、組織、臓器、動物、又は被検者における潰瘍性大腸炎を調整又は治療するための方法を提供する。
【0144】
本発明のいずれの方法は、このような調整、治療、又は療法を必要としている細胞、組織、臓器、動物、又は被検者に、抗IL12/23p40抗体を含む組成物又は医薬組成物を有効量で投与することを、含むことができる。このような方法は、所望により、このような疾病又は疾患の治療のための同時投与又は併用療法を更に含むことができ、ここで、抗IL12/23p40抗体、その特定部分又は変異体を投与することは、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、以下に限定されるものではないが、化学物質性若しくはタンパク質性TNF拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体若しくは断片、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70又はp85)若しくは断片、その融合ポリペプチド、又は低分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I又はII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト(Enbrel(商標))、アダリムマブ(Humira(商標))、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(non-steroid anti-inflammatory drug、NSAID)(例えば、5-アミノサリチレート)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗腫瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、ぜんそく治療薬、ベータ作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類縁体、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを、前に、同時に、及び/又は後に、投与することを更に含む。好適な投与量は、技術分野において周知である。例えば、Wellsら,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ,を参照されたく、これらの参考文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0145】
治療処置
潰瘍性大腸炎の治療は、抗IL12/23p40抗体組成物の有効量又は投与量を、それを必要とする被検者に投与することによって影響を受ける。投与される投与量は、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方法及び経路、受容者の年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び程度、同時治療の種類、治療頻度、並びに所望の作用などの周知の因子により異なり得る。場合によっては、望ましい治療量を達成するために、反復投与、すなわち特定の監視された用量又は計量された用量の反復個別投与を提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投与は、所望の1日の投与量又は効果が得られるまで繰り返される。
【0146】
クローン病の安全かつ有効な治療を、それを必要とする被検者において提供する1つの代表的な療法では、約130mgの抗IL12/23p40抗体の総投与量が、投与毎に被検者に静脈内投与される。例えば、投与される組成物の総容量は、投与当たり80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg又は180mgで抗体の目標とする投与量を被検者に提供するように、適切に調整される。
【0147】
重症の活動性UCの安全かつ有効な治療を、それを必要とする被検者において提供する1つの代表的な療法では、約6.0mg/kg±1.5mg/kgの抗IL12/23p40抗体の総投与量が、投与毎に被検者に静脈内投与される。例えば、投与される組成物の総量は、1回の投与につき被検者の体重1kg当たり、3.0mg/kg、3.5mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5.0mg/kg、5.5mg/kg、6.0mg/kg、6.5mg/kg、7.0mg/kg、7.5mg/kg、8.0mg/kg、8.5mg/kg、又は9.0mg/kgで、抗体の目標とする投与量を被検者に提供するように、適切に調整される。
【0148】
1回の投与で被検者に投与される抗IL12/23p40抗体の総投与量は、約30分~180分、好ましくは60分~120分の期間にわたって(例えば、30分、60分、90分、120分、150分、又は180分)静脈内注入によって投与することができる。
【0149】
重症の活動性UCの安全かつ有効な治療を、それを必要とする被検者において提供する別の代表的な療法では、約90mgの抗IL12/23p40抗体の総投与量が、投与毎に被検者に皮下投与される。例えば、投与される組成物の総量は、投与当たり40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、又は140mgで抗体の目標とする投与量を被検者に提供するように、適切に調整される。投与当たりの目標とする投与量は、単回の皮下注射又は複数回の皮下注射、例えば、1、2、3、4、5回又はそれ以上の皮下注射で投与することができる。
【0150】
抗IL12/23p40抗体の総投与量は、1日1回、1週間に1回、1ヶ月に1回、6ヶ月毎に1回など、1日間、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間又はそれ以上の期間にわたって投与することができる。それぞれ本明細書に記載される総投与量での抗IL12/23p40抗体の複数回の投与を、それを必要とする被検者に投与することができる。
【0151】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、一般に、ユニット又は容器当たり約0.001ミリグラム~約500ミリグラムの活性成分を含む。
【0152】
非経口投与に関して、抗体は、医薬的に許容される非経口溶剤と合わせて、又は別個に提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として製剤化され得る。このような溶剤の実施例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び不揮発性油などの非水性溶剤を使用することもできる。溶剤又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール、化学安定性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、周知の又は好適な技術によって滅菌される。
【0153】
好適な薬学的担体は、本分野での標準的参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版の中で記載されている。
【0154】
IL12/23p40抗体の医薬的に有効な量を投与するために、本発明に従って、多くの周知の方式及び開発された方式を使用することができる。本発明の抗IL12/23p40抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液として、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される若しくは当該技術分野において周知であるその他の方法による投与に適した種々のデバイス及び方法のいずれかを使用して、送達することができる。
【0155】
非経口投与用製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどを含有してもよい。注射用の水性又は油性懸濁液は、周知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製可能である。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液又は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤であることができる。使用可能な溶剤又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが許容され、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。非経口投与は技術分野において周知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されているようなガス加圧式無針注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載されているようなレーザ穿孔機デバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0156】
代替的送達
本発明は更に、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮手段による抗IL12/23p40抗体の投与に関する。抗IL12/23p40抗体組成物は、非経口(皮下、筋肉内、又は静脈内)又は任意のその他の投与、特に、液体溶液若しくは懸濁液の形態で使用するために、特に、クリーム及び座薬などであるがこれらに限定されるものではない半固体形態で、膣若しくは直腸の投与における使用のために、錠剤若しくはカプセルなどであるがこれらに限定されるものではない形態で、口腔若しくは舌下投与用に、あるいは粉末、点鼻薬若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるがこれらに限定されるものではない形態で、鼻腔内用に、あるいは、皮膚構造を改変するか又は経皮パッチ中の薬剤濃度を増加させるかのいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進剤を用いて(Jungingerら「Drug Permeation Enhancement」;Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(Marcel Dekker,Inc.New York 1994収載、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開第98/53847号)、又は電気穿孔法などの一過性の輸送経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚を通して荷電薬剤の移動度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波の適用(米国特許第4,309,989号及び同第4,767,402号)を可能にする酸化剤を用いて、限定されるものではないが、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液若しくはパッチ送達系システムなどで、経皮用に、調製することができる(上記の刊行物及び特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0157】
実施形態
本発明は以下の非限定的な実施形態も提供する。
1.治療することを必要とする被検者のクローン病を治療する方法であって、
治療の前に被検者に内視鏡検査を実施して、クローン病についてのベースライン簡易内視鏡スコア(SES-CD)及びベースラインCDAIを測定することと、
臨床的に証明された安全なかつ臨床的に証明された有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体を含む医薬組成物を、被検者の体重1kg当たり6mgの抗体の初期重量に基づくIV用量及び初期用量投与の8週間後における90mgの抗体の皮下用量で、被検者に投与することと(ここで、抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号1の相補的決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補的決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む)、
(i)C-反応性タンパク質(CRP)及び/又は糞便カルプロテクチン(FCal)レベルから選択されるクローン病関連生物マーカー、並びに(ii)初期用量投与の16週間後の、被検者のCDAI及びSES-CDから選択される臨床症状を測定することと、
(iii)CDAI<220、ベースラインCDAIからの70ポイント未満の改善、CRP≦10mg/L及び/又はFCal≦250μg/gを有すると測定された被検者に、初期用量投与の16週間後及び16週目の皮下用量後の4週間毎に、皮下用量によって90mgの抗体を投与すること、又は(iv)SES-CDスコア対ベースラインSES-CDスコアにおいて25%未満の改善を有すると測定された被検者に、初期用量投与の16週間後及び16週目の皮下用量後の8週間毎に、皮下用量によって90mgの抗体を投与することとを含む、方法。
2.抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域及び、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む、実施形態1に記載の方法。
3.抗体が、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖を含む、実施形態1に記載の方法。
4.抗体が、約6.0mg/被検者の体重1kg又は投与当たり130mgの投与量で、被検者に、好ましくは治療の0週目に静脈内投与される、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
5.抗体が、投与当たり約90mgの投与量で、測定された臨床的パラメータによって決定されるように、好ましくは治療の8週目及び16週目に、また好ましくはその後4週目毎又は8週目毎に、被検者に更に皮下投与される、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
6.被検者が、抗TNF、ベドリズマブ、コルチコステロイド、アザチオプリン(AZA)、及び6メルカプトプリン(6MP)からなる群から選択される少なくとも1つの療法が以前に不全であったか、若しくはこれらに非耐性であったか、又は被検者が、コルチコステロイド依存性を示した、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。
7.静脈内投与のための医薬組成物が、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのL-メチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩二水和物を、pH6.0で含む溶液を更に含む、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
8.皮下投与のための医薬組成物が、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を更に含む、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0158】
本発明を全般的に記述してきたが、上記と同様のことは、実例として提供されるが制限することを意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。更に、本発明の詳細は、以下の非限定的な実施例によって例示される。本明細書の全ての引用の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例
【0159】
実施例:Treat to Target Strategy(T2T)を標準治療(Standard of Care、SoC)と比較するための、クローン病患者の治療のためのウステキヌマブの第3b相試験。
方法の概要
中等度から重度の活動性クローン病(CD)(CD活動性指数[CDAI]220-450)及びCDにおける簡易内視鏡スコア[SES-CD]≧3)を有し、従来の療法及び/又は1つの生物学的薬剤に不全であった成人患者が含まれた。患者は、0週目に約6mg/kgのIV、体重ベースのウステキヌマブ(UST)(ベースライン[BL])、8週目に皮下(SC)UST90mgを受けた。16週目に、患者に内視鏡検査を実施した後、CDAI70応答者をT2T治療群又はSoC治療群に無作為化(1:1)した。T2T群の患者は、BLに対するSES-CDスコアの25%の改善に基づいて、SC UST q12w又はq8wに割り当てられた。16~48週目から、以下の目標が満たされない場合、UST用量をq4wまで更に調整した。CDAI<220及びBLから≧70ポイントの改善、並びにC反応性タンパク質(CRP)≦10mg/L又は糞便カルプロテクチン(FCal)≦250μg/g。UST q4wにもかかわらず治療標的に不全であった患者については中止した。SoC群において、UST用量は、EU smPC(q12w又はq8w)に基づいて治験責任医師によって割り当てられた。一次終点:48週目での内視鏡応答(中央読取内視鏡検査において、BLに対してSES-CDスコアが≧50%減少)。非応答者インピュテーション(NRI)及び最終観察繰越(LOCF)を、それぞれ、欠損二分変数及び連続変数に使用した。LOCF分析はまた、一次終点のための予備計画された感度分析であった。報告された全てのp値は公称値である。
【0160】
結果の概要
合計で500人の患者が登録された。16週目に、441はCDAI70応答を達成し、T2T(n=220)又はSoC(n=221)に無作為化された;T2T及びSoCにおいてそれぞれ75%及び86%が48週間で完了した。T2T群対SoCにおける患者の数値的により高い割合が、48週目に一次終点を達成した:37.7%対29.9%(p=0.0933)。予備指定された感度分析(LOCF)において、群間で有意差に達した:40.0%(T2T)対30.8%(SoC)(p=0.0494(LOCF])。48週目に、高い割合の臨床応答が、T2T群及びSoC群の両方において達成された:68.2%対77.8%(p=0.0212)(NRI)/89.5%対89.6%(LOCF;NS)、臨床的寛解61.4%対69.7%(NRI)/76.8%対78.3%(LOCF;NS)、FCal39.4%対46.5%(NRI)/63.1%対60.6%(LOCF;NS)における≧50%の改善及びCRPレベル41.7%対53.3% p=0.032(NRI)/53.2%対57.2%(LOCF、NS)。その他の終点については表を参照されたい。T2T群及びSoC群では、患者の59.2%(122/206)及び53.2%(116/218)がUST q12wで開始した。それらのうちの59.8%(73/122)及び63.8%(74/116)は、48週目に依然としてq12wであった。q8wで開始した患者のうち、40.5(34/84)及び78.4%(80/102)が、それぞれT2T治療群及びSoC治療群において、48週目に本療法を維持した。48週目に、患者の17%(35/206)が、T2T群においてq4w投薬を受けていた。新たな安全性シグナルは報告されなかった。
【0161】
長期継続投与(LTE;48週から104週まで)期間は、臨床症状、内視鏡検査、及び生物マーカー制御用量調整(漸減を含む)アルゴリズムの有効性を調査するように設計された。48週目から、患者は、104週目まで、LTE期間に皮下ウステキヌマブを受け続けた。q12w/q8w/q4wの間の漸増/漸減を伴うウステキヌマブ投与の頻度は、以下の標的に基づいた:48週目での内視鏡的寛解(Simple Endoscopic Score for CD[SES-CD]スコア≦2)及びコルチコステロイド(CS)フリーの臨床的寛解([CDAIスコア<150ポイント]≧16週間);並びにその後、8週間隔での2回の連続来院での、CSフリーの臨床的寛解及び生物マーカー寛解(C-反応性タンパク質≦10mg/L及び糞便カルプロテクチン≦250μg/g)。q4w投与で標的に達しなかった患者については中止した。提示された結果は、非応答者インピュテーション(NRI)分析であり、LTE(修飾RAS[mRAS])に入る患者についてのみ示されている。
【0162】
16週目にT2T又はSoCのいずれかに無作為化された440人の患者のうち、74人が48週目の前に脱落した。48週目を完了した残りの366人の患者のうち、43人が中止し、LTEに入らず、これらのうち、q4w投薬の15人の患者は、標的が満たされなかったので中止した。48週目に、323人の患者がLTE(mRAS)に参加した:患者の7.7%がq4w投与であり、48.6%がq8w投与であり、43.6%がq12w投与であった。これらの割合は、8人の未治療患者を除外した後の104週目/早期脱落において、それぞれ、14.3%、39.4%、及び46.3%であった。合計20.1%の患者が、104週目を完了する前に中止した。全体として、患者の38.4%について、用量は、LTEの間に少なくとも1回漸増/漸減され、同様の割合の患者が用量漸増(22.9%)又は用量漸減(19.2%)を受けた。臨床応答及び寛解は、48週目にLTEに入った患者の高い割合(それぞれ、92.6%及び83.9%)で観察され、104週目に高いままであった(それぞれ、70.9%及び68.4%)。LTEの経過にわたって、内視鏡応答及び寛解の患者の割合は、LTEへの参加時に43.7%及び17.0%であったのに対して、104週目には、それぞれ、39.3%及び14.6%であった(表4)。新たな安全性シグナルは、LTE中に観察されなかった。
【0163】
結論の概要
STARDUSTは、16週目において内視鏡を使用する第1の無作為化T2T試験であり、CDを有する患者における用量の増大を誘導する。USTによる48週間の維持療法の後、より高い割合の患者が、SoC群と比較してT2T群において内視鏡的応答に達した。T2Tは、医師がUSTによる投与計画の決定を誘導するための追加のツールであり得る。全体として、USTによる高い臨床的寛解及び生物マーカー応答が、48週目にUSTを有する両方の群において達成された。同様の割合の患者(約20%)が、設定された標的に従って、LTE中に用量漸増/用量漸減を受け、更に、大多数の患者が、104週目にラベルウステキヌマブ投薬を完了した。LTEに入った患者の大部分及び104週目は、臨床応答及び寛解状態であった。柔軟なウステキヌマブ投与は、LTE中の臨床応答及び内視鏡応答並びに寛解における患者の割合の維持を可能にした。ウステキヌマブは、104週目に好ましいリスク-ベネフィット比を有した。
【0164】
目的
USTを用いた保守戦略が以下に基づくという仮説を検証する。
・初期の内視鏡検査、続いて、
・生物マーカー(fCal、CRP)及び臨床症状(CDAI)の定期的な評価、
・標的を達成するための治療のその後の調整
USTを用いた治療の48週間後の分析による実際的な維持戦略よりも、内視鏡的改善を得ることにおいてより成功している。
【0165】
図2は、CDAI測定値、CRP測定値及びFCal測定値に基づく試験デザイン及び用量調整基準を示す。活動性疾患の存在下でBLにおいて上昇したCRP(すなわち、0週目においてCRP≦2.87mg/L)を有さない患者については、CRPは、用量調整のための生物マーカー標的とは考えられず、したがって、これらの患者についての治療標的は、
CDAI<220、及びBLからのCDAIスコアにおける≧70ポイントの改善(0週目)、及びFCal≦250μg/gという達成となり得る。
【0166】
試験には以下のものが含まれた。
・中等度から重度の活動性クローン病(CDAI 220-450及びSES-CD≧3)を有し、従来の療法及び/又は1種の生物学的薬剤に不全であった患者(年齢≧18歳)であって、試験に登録するのに適格であった患者
・8週目に単回用量のIVを、体重段階的に、UST約6mg/kg、続いてSC UST 90mgで受けた適格な患者
・16週目に、T2T治療群又はSoC治療群に無作為化した(1:1の比)CDAI70応答者。
・8週目、16週目、及び48週目に分析された重要な終点(NRI及びLOCFインピュテーション)。
-一次評価項目
・内視鏡応答(≧50%のSES-CDスコアにおけるベースラインからの減少)。
-重要な二次終点
・全体的な内視鏡的寛解(SES-CDスコア≦2)
・粘膜治癒(いずれの回腸結腸セグメントにおいても粘膜潰瘍が完全に存在しない)。
・CDAI70応答(ベースラインに対してCDAI総スコア≧70ポイントの改善)
・臨床応答(ベースラインCDAI総スコアからの≧100ポイントの減少、又はCDAI総スコア<150)
・臨床的寛解(CDAI総スコア<150ポイント
・生物マーカー(fCal及びCRP)におけるベースラインからの変化
【0167】
統計分析を、以下のように実施した。
・FASは、少なくとも1用量のUSTを受けた全ての登録患者を含んでいた。
・RASは、16週目に無作為化された全ての患者を含んでいた(CDAI70応答者)。
・非応答者インピュテーション(NRI)及び最終観察繰越(LOCF)を、それぞれ、欠損二分変数及び連続変数に使用した。LOCF分析はまた、一次終点のための予備計画された感度分析であった。
・二分評価項目については、CMHカイ二乗検定を使用して治療群間を検定する。p値(公称値)は、0.05の両側αレベルがベースラインSES-CDスコア(≦16、>16)及び生物学的薬剤への事前曝露(なし又は1)によって層別化されるCMH検定に基づく。
・連続終点は、ベースライン値及び共変量として層別化因子を用いた分散分析(ANOVA)又は共分散分析(ANCOVA)を使用して比較され得る。正規性仮定が問題である場合、van der Waerden正規化スコアに対するANOVA又はANCOVAが使用される。
・事象終点までの時間は、特に指示がない限り、層別因子として生物学的薬剤及びベースラインSES-CDスコア(≦16又は>16)への事前曝露による層別ログランク検定を使用して、治療群間で比較され得る。
【0168】
T2T群における用量分布については、59%が16週目にq12wであり、41%が16週目にq8wであった(n=206)。T2Tの48週目に、36%がq12wであり、27%がq8wであり、17%がq4wであった(20%は中止)。q12wで開始した患者のうち、59.8%(73人/122人)は、48週目でもq12wであった。q8wに開始した患者のうち、40.5(34人/84人)は、48週目にq8wに留まった。
【0169】
SOC群における用量分布については、53%が16週目にq12wであり、47%が16週目にq8wであった(n=218)。SoCの48週目に、35%がq12wであり、52%がq8wであった(13%は中止)。q12wで開始した患者のうち、63.8%(74人/116人)は、48週目でもq12wであった。q8wで開始した患者のうち、78.4%(80人/102人)が、48週目に本療法に留まった。
【0170】
図5A図5B図6A図6B及び図7は、異なる変数で測定された内視鏡応答を示す。一次終点は、48週目での内視鏡応答(SES-CD改善≧50%)である。これは、T2T群対SoC群において数値的により高く(NRIインピュテーション)、37.7%対29.9% p=0.09であった。無効力について試験を中止した患者のみを含むLOCF又はNRI:T2T群対SoC群についての有利な有意性は、LOCFについて40.0%対30.8% p<0.05、NRIについて43.0%対32.3% p=0.036(無効力のみのD/Cを含む)であった。二次終点(LOCF)は、w48対BLでの平均SES-CD変化であり、SES-CDの≧25%改善を有する%ptsであり、内視鏡的寛解及び粘膜治癒は、T2T群及びSoC群において同様である。SES-CD対BLの有意な変化は、T2Tについて16週目に到達し、48週目まで進行した。
【0171】
図8及び図9は、臨床終点を示す。48週目の二次終点は、平均CDAI変化対ベースラインであり、T2T及びSoCにおいて類似しており、有意な変化対BLは8週目に到達し、48週目まで進行した。臨床応答(変化≧100又はCDAIスコア<150)、臨床的寛解(CDAIスコア<150)及びCDAI70応答は、両方の試験群において同様であった。
【0172】
図10A及び図10Bは、RAS NRI及びRAS LOCFについての48週目での生物マーカー結果を示す。二次終点は以下のとおりである:平均変化対fCal及びCRPにおけるベースラインは、全ての時点でT2T及びSoCにおいて同様であった。有意な変化対BLは8週目に到達し、48週目まで進行した。fCal及びCRPの≧50%の改善の達成、並びに48週目におけるfCalレベル及びCRPレベル及び完全生物マーカー応答の正規化は、両方の試験群において同様であった。
【0173】
【表1】
【0174】
完了者は、48週目の訪問ウィンドウに該当する早期終了訪問を有する被検者を含む。T2T及びSoCにおいて、それぞれ、75%及び86%が48Wの治療を完了した。
【0175】
【表2】
【0176】
【表3】
【0177】
AEは、治験責任医師によって評価された場合、治験剤に関連する可能性がある、高確率で関連する、又は関連する可能性が非常に高いものとして分類される。死に至るAEは、致死のAE結果に基づく。死亡の原因-未知及び心血管(剖検によって未確認)-両方の死亡は、治験責任医師の判断に従って治験薬と無関係であった。AEは、患者の少なくとも5%で報告された。注入に関連するAEは、注入後1時間以内に生じた事象を指す。
【0178】
【表4】
【0179】
【化1】
【0180】
【化2】
【0181】
【化3】
【0182】
【化4】
【0183】
【化5】
【0184】
【化6】
【0185】
【化7】
【0186】
【化8】
【0187】
【化9】
【0188】
【化10】
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
【配列表】
2023544620000001.app
【国際調査報告】