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特表2023-544621エネルギ効率の良い光ワイヤレス通信モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】エネルギ効率の良い光ワイヤレス通信モジュール
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20231017BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20231017BHJP
   H04W 36/30 20090101ALI20231017BHJP
   H04W 36/36 20090101ALI20231017BHJP
   H04W 36/32 20090101ALI20231017BHJP
   H04B 10/114 20130101ALI20231017BHJP
【FI】
H04W48/16 134
H04W52/02
H04W36/30
H04W36/36
H04W36/32
H04B10/114
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521441
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2021076927
(87)【国際公開番号】W WO2022073843
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】20200946.0
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ストッベラール ピエテル ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ヴォールトハウセン パウル ヘンリクス ヨハンネス マリア
【テーマコード(参考)】
5K067
5K102
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067EE02
5K067EE37
5K067HH22
5K102AA19
5K102AA28
5K102AL23
5K102RD28
(57)【要約】
サービス品質を犠牲にすることなくより少ないエネルギを消費するように、光ワイヤレス通信モジュールは、複数の光トランシーバと、コントローラとを含み、コントローラは、UEの移動情報に基づいて使用されるべき光トランシーバを決定する、使用されるべき光トランシーバをアクティブにする、及び、他の光トランシーバを非アクティブにするように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が光通信を介して情報を受信及び送信するように構成される、複数の光トランシーバであって、前記複数の光トランシーバは、互いに異なる方向に設定される、複数の光トランシーバと、
前記複数の光トランシーバを独立して制御するように構成されるコントローラと、
を含む、光ワイヤレス通信モジュールであって、
前記コントローラは、
当該光ワイヤレス通信モジュールに関連するユーザ機器(UE)の移動情報に基づいて、情報を受信及び送信するために使用されるべき前記複数の光トランシーバのうちの第1のセットの光トランシーバを決定し、前記第1のセットに属さない前記複数の光トランシーバの残りは、第2のセットの光トランシーバを形成する、
情報を受信及び送信するために前記第1のセットの光トランシーバをアクティブにする、及び
前記第2のセットの光トランシーバのうちの少なくとも1つの光トランシーバを非アクティブにする、
ように構成される、光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1のセットの光トランシーバの光通信リンクの候補信号対雑音比(SNR)を決定する、及び
前記候補SNRが第1の閾値よりも大きいと判断すると、情報を受信及び送信するために使用される現在の光トランシーバから前記第1のセットの光トランシーバにハンドオーバする、
ように構成される、請求項1に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項3】
前記コントローラは、
情報を受信及び送信するために使用される現在の光トランシーバの現在の光通信リンクの現在のSNRを決定する、及び
前記現在のSNRが第2の閾値よりも小さいと判断すると、前記現在の光トランシーバから前記第1のセットの光トランシーバにハンドオーバする、
ように構成される、請求項1又は2に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項4】
前記移動情報は、前記UEの加速度情報を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項5】
前記加速度情報は、前記UEの加速度の大きさ、及び前記UEの加速度方向を含む、請求項4に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項6】
前記移動情報は、前記UEの移動速度の大きさ、及び前記UEの移動方向を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記UEの加速度の大きさ及び前記UEの移動速度の大きさのいずれかがゼロに等しくないと判断すると、前記UEの移動情報に基づいて情報を受信及び送信するために使用されるべき前記第1のセットの光トランシーバを決定する、
ように構成される、請求項5又は6に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項8】
当該光ワイヤレス通信モジュールは、無線周波数(RF)通信を介して情報を受信及び送信するためのRFトランシーバを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記移動情報を受けると、現在の光通信に代えて情報を受信及び送信するためにRF通信を開始する、及び前記現在の光通信を終了する、及び
前記UEの安定した状態を判断すると、情報を受信及び送信するために光通信を開始する、及び前記開始されたRF通信を終了する、
ように構成される、請求項8に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項10】
前記コントローラは、
情報を送信及び受信するためにRF通信及び光通信の両方を開始する、
前記RF通信の測定に基づいて、前記UEの前記移動情報及び/又は位置情報を決定する、及び
前記移動情報及び/又は前記位置情報に基づいて、情報を受信及び送信するために使用されるべき前記第1のセットの光トランシーバを決定する、
ように構成される、請求項8に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項11】
前記コントローラは、前記RF通信の受信信号強度インディケーションに基づいて、前記UEの前記移動情報及び/又は前記位置情報を決定するように構成される、請求項10に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項12】
前記複数の光トランシーバは、複数のLi-Fiトランシーバである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光ワイヤレス通信モジュール。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光ワイヤレス通信モジュールを含む、光ワイヤレス通信アクセスポイント装置。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光ワイヤレス通信モジュールを含む、光ワイヤレス通信エンドポイント装置。
【請求項15】
各々が光通信を介して情報を受信及び送信するための、複数の光トランシーバであって、前記複数の光トランシーバは、互いに異なる方向に設定される、複数の光トランシーバと、
前記複数の光トランシーバを独立して制御するためのコントローラと、
を含む光ワイヤレス通信モジュールの光ワイヤレス通信方法であって、
当該方法は、
前記光ワイヤレス通信モジュールに関連するユーザ機器(UE)の移動情報に基づいて、情報を受信及び送信するために使用されるべき前記複数の光トランシーバのうちの第1のセットの光トランシーバを決定することであって、前記第1のセットに属さない前記複数の光トランシーバの残りは、第2のセットの光トランシーバを形成する、ことと、
情報を受信及び送信するために前記第1のセットの光トランシーバをアクティブにすることと、
前記第2のセットの光トランシーバのうちの少なくとも1つの光トランシーバを非アクティブにすることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光トランシーバ、例えば、複数の光トランシーバセグメントを含むセグメント化された光トランシーバを含む光ワイヤレス通信モジュールに関する。とりわけ、本発明は、エネルギ効率の良い光ワイヤレス通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光ワイヤレス通信は、可視光、赤外光、又は紫外光を用いてデータを伝送するデータ通信の一種である。典型的な光ワイヤレス通信システムは、例えば、部屋の天井に設置される、複数のアクセスポイント(AP)を含む。ユーザによって手に持たれる、ユーザ機器UE、例えば、モバイルフォンは、APとUEとの間に確立される光ワイヤレス通信リンクを介して、有線ネットワークにワイヤレスで接続されながら、室内を移動することができる。
【0003】
Li-Fi(ライトフィデリティ(light fidelity))は、可視光、紫外線、赤外線スペクトル上で高速にデータを伝送することが可能である、光ワイヤレス通信のバリアントの1つである。使用法の観点から、Li-Fiは、Wi-Fi(登録商標)と同等である。大きな違いの1つは、Wi-Fiシステムが変調された無線周波数(RF)信号を使用してデータを送信するのに対し、Li-Fiシステムは変調された光を使用してデータを送信することである。発光ダイオード(LED)は、照明出力及び人間の目に顕著な影響を与えることなく非常に高速でパルス化されることができ、Li-Fiシステムによって、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)やワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)等、さまざまな異なるアプリケーションで広く使用されている。
【0004】
Li-Fiは、他のよく知られたワイヤレス通信技術と比較したその利点に起因してここ10年で普及が進んでいる。例えば、Li-Fiは、理論上は、最大100Gbit/sの高伝送速度を提供することができる。Li-Fiは、RF通信が使用されることができない、航空機の客室、病院、原子力発電所等、電磁波にセンシティブなアリアにおいて、電磁干渉を起こすことなく使用されることができる。光は、例えば壁によって、容易にブロックされることができるため、Li-Fiは、Wi-Fi等、RFベースのワイヤレス通信技術に比べ、より安全な接続を提供することができ、ハッキングに対してより耐性がある。
【0005】
しかしながら、UEは移動される可能性がある、及び、ユーザ自身又は部屋の家具がUEとAPとの間の直接光を妨げる可能性があるため、UEの正確なロケーション及び角度に依存して、あるロケーションに設けられたAPの一部だけが、一時に(at a time)UEと通信するために使用される可能性がある。斯くして、多数のAPが、シームレスな接続及び良好なサービス品質(QoS:Quality of Service)を確保するために設置されなければならない。しかしながら、このような光ワイヤレス通信システムは、高いエネルギ消費を有することになる。
【0006】
QoSを犠牲にすることなく、エネルギ効率の良い光ワイヤレス通信システムを提供することが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、エネルギ効率が向上し、QoSが高い、光ワイヤレス通信モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、この及び他の目的は、各々が光通信を介して情報を受信及び送信するように構成される、複数の光トランシーバであって、前記複数の光トランシーバは、互いに異なる方向に設定される、複数の光トランシーバと、複数の光トランシーバを独立して制御するように構成されるコントローラとを含む、光ワイヤレス通信モジュールであって、コントローラは、当該光ワイヤレス通信モジュールに関連するユーザ機器(UE:user equipment)の移動情報に基づいて、情報を受信及び送信するために使用されるべき複数の光トランシーバのうちの第1のセットの光トランシーバを決定し、第1のセットに属さない複数の光トランシーバの残りは、第2のセットの光トランシーバを形成する、情報を受信及び送信するために第1のセットの光トランシーバをアクティブにする、及び、第2のセットの光トランシーバのうちの少なくとも1つの光トランシーバを非アクティブにするように構成される、光ワイヤレス通信モジュールによって達成される。
【0009】
使用されるべき光トランシーバをアクティブにする及び使用されるべきではない光トランシーバの一部を非アクティブにすることにより、光ワイヤレス通信モジュールは、アクセスポイント(AP:access point)の通信フロントエンドとして使用されても、エンドポイント(EP)の通信フロントエンドとして使用されても、ワイヤレス通信モジュールのエネルギ消費を効果的に減らすことができる。
【0010】
UEの移動情報は、例えば、ユーザの移動によって引き起こされる、UEの移動を表してもよい。例えば、UEの移動は、ユーザがUEと共に歩くこと及び/又はテーブルからUEを持ち上げることによって引き起こされる可能性がある。移動は、角度移動、直線運動、又は角度運動及び直線運動の組み合わせであってもよい。
【0011】
光ワイヤレス通信モジュールは、複数の光トランシーバセグメントを含むセグメント化された光トランシーバを含んでもよい。各光トランシーバセグメントは、他のセグメントと異なる方向を向いてもよい。すなわち、各光トランシーバセグメントは、光通信を介して、視野(FoV:field of view)内の他の光通信デバイスと通信するためのFoVを有する。
【0012】
複数の光トランシーバのFoVは、オーバーラップされなくても(non-overlapped)よい。
【0013】
代替的に、複数の光トランシーバのFoVは、オーバーラップされてもよい。オーバーラップされるFoVは、1つのスポットをカバーする2つ以上の光トランシーバを提供することによって、死角を回避し、通信のロバスト性を向上させ得る。
【0014】
光ワイヤレス通信モジュールは、光ワイヤレス通信システムのAPと通信するためのUEの通信フロントエンドモジュールであってもよい。すなわち、UEの通信フロントエンドモジュールの光トランシーバの一部は、UE自身の移動情報に基づいてアクティブ及び/又は非アクティブにされてもよい。光ワイヤレス通信モジュールは、UEの一体部分であってもよく、又はスタンドアロン装置としてUEに接続されてもよい。
【0015】
代替的に、又は組み合わせて、光ワイヤレス通信モジュールは、UEと通信するための光ワイヤレス通信システムのAPの通信フロントエンドモジュールであってもよい。すなわち、APの通信フロントエンドの光トランシーバの一部は、APと通信するUEの移動情報に基づいてアクティブ及び/又は非アクティブにされてもよい。光ワイヤレス通信モジュールは、APの一体部分であってもよく、又はスタンドアロン装置としてAPに接続されてもよい。
【0016】
光トランシーバをアクティブにすることは、パワーオフ状態から光トランシーバをパワーオンすることを指してもよい。代替的に、光トランシーバをアクティブにすることは、完全にパワーオンされる場合と比較して大幅に低減された電気エネルギを消費する、スリープモード等、低パワーモードから光トランシーバをパワーアップすることを指してもよい。
【0017】
光トランシーバを非アクティブにすることは、パワーオン状態から光トランシーバをパワーオフすることを指してもよい。代替的に、光トランシーバを非アクティブにすることは、完全にパワーオンされる場合と比較して大幅に低減された電気エネルギを消費する、スリープモード等、低パワーモードに光トランシーバをパワーダウンすることを指してもよい。
【0018】
複数の光トランシーバは、複数のLi-Fi(Light-Fidelity)トランシーバであってもよい。
【0019】
コントローラは、第1のセットの光トランシーバの光通信リンクの候補(candidate)信号対雑音比(SNR:signal-noise-ratio)を決定する、及び、候補SNRが第1の閾値よりも大きいと判断すると、情報を受信及び送信するために使用される現在の光トランシーバから第1のセットの光トランシーバにハンドオーバするように構成されてもよい。
【0020】
コントローラは、情報を受信及び送信するために使用される現在の光トランシーバの現在の光通信リンクの現在のSNRを決定する、及び、現在のSNRが第2の閾値よりも小さいと判断すると、現在の光トランシーバから第1のセットの光トランシーバにハンドオーバするように構成されてもよい。
【0021】
「ハンドオーバ」という用語は、コアネットワークに接続されるあるリンクから別のリンクに進行中のデータ通信を移すプロセスを指してもよい。例えば、UEが第1のAPによってカバーされる第1のエリアから離れ、第2のAPによってカバーされる第2のエリアに入る場合、UEが第1のAPの範囲を離れる際にデータ通信が中断されないように、進行中のデータ通信が第1のAPから第2のAPに移される。
【0022】
光ワイヤレス通信モジュールがUEの通信フロントエンドモジュールである場合、UEの現在の光トランシーバとAPとの間に現在の光通信リンクがあり得る。UEの第1のセットの光トランシーバがアクティブにされた後、UEの第1のセットの光トランシーバとAPとの間の光通信リンクは、ハンドオーバが起こる前にセットアップされてもよい。
【0023】
光ワイヤレス通信モジュールがAPの通信フロントエンドモジュールである場合、APの現在の光トランシーバとUEとの間に現在の通信リンクがあり得る。APの第1のセットの光トランシーバがアクティブにされた後、APの第1のセットの光トランシーバとUEとの間の光通信リンクは、ハンドオーバが起こる前にセットアップされてもよい。
【0024】
第1のセットの光トランシーバの光通信リンクは、候補リンクであってもよい。候補光通信リンクのSNRは、候補SNRとして決定されてもよい。
【0025】
情報を受信及び送信するために使用される現在の光トランシーバの現在の光通信リンクのSNRは、現在のSNRとして決定されてもよい。
【0026】
情報を受信及び送信するために使用される現在の光トランシーバから第1のセットの光トランシーバへのハンドオーバは、候補SNR及び現在のSNRの少なくとも一方が基準を満たす場合に初期化されてもよい。
【0027】
第1及び第2の閾値を含む基準が、詳細に述べられる。
【0028】
第1の閾値は、第1のセットの光トランシーバへのハンドオーバのための最小許容SNRを表す値であってもよい。候補SNRが第1の閾値よりも大きい場合、第1のセットの光トランシーバへのハンドオーバが初期化されてもよい。これは、現在のSNRが良好か悪いかにかかわらず、候補リンクが十分に良好なSNRを有する場合にハンドオーバが初期化されることを保証する。
【0029】
第1の閾値は、固定値であってもよい。固定値は、異なる使用要求(usage requirement)を満たすように予め定められてもよい。例えば、一貫したQoSが望まれる場合、より大きな閾値が、ハンドオーバ全体を通してQoSを一貫して維持するために使用されてもよい。中断されない接続が望まれる場合、より小さな閾値が、ユーザが中断を経験するのを回避するために高速ハンドオーバを確保するために使用されてもよい。 第2の閾値は、情報を受信及び送信するために現在の光トランシーバを使用し続けるための最小許容SNRを表す値であってもよい。現在のSNRが第2の閾値よりも小さい場合、第1のセットの光トランシーバへのハンドオーバが初期化されてもよい。これは、候補SNRが良好か悪いかにかかわらず、現在のリンクが十分に良好なSNRを有さない場合にハンドオーバが初期化されることを保証する。
【0030】
同様に、第2の閾値は、固定値であってもよい。
【0031】
代替的に、又は組み合わせて、第1及び第2の閾値の少なくとも一方は、動的な値であってもよい。すなわち、第1の閾値及び/又は第2の閾値は、固定されなくてもよい。例えば、第1の閾値は、決定された現在のSNRに関連して設定されてもよく、及び/又は第2の閾値は、決定された候補SNRに関連して設定されてもよく、現在のSNR及び候補SNRの差があるレベルまで減少される場合、ハンドオーバが初期化されてもよい。
【0032】
UEの移動に伴い、候補SNRが良くなり、現在のSNRが悪くなる可能性が非常に高いため、現在のSNRよりも小さい第1の閾値を設定することにより、及び/又は候補SNRよりも大きい第2の閾値を設定することにより、十分に一貫したQoSで高速ハンドオーバが達成されることができる。これは、候補SNRが現在のSNRよりもまだ悪い場合に、ハンドオーバが初期化されることができることを保証する。言い換えれば、候補SNRは、ハンドオーバが完了する際に現在のSNRよりも既に良好である可能性が非常に高い。これは、ハンドオーバのより洗練された制御を提供する。
【0033】
移動情報は、UEの加速度情報を含んでもよい。加速度情報は、UEの加速度の大きさ、及びUEの加速度方向を含んでもよい。
【0034】
移動情報は、UEの移動速度の大きさ、及びUEの移動方向を含んでもよい。
【0035】
第1及び第2の閾値は、UEの移動情報に応じて動的に設定されてもよい。
【0036】
例えば、移動情報が、UEの加速度の大きさの大きな値及び/又は移動速度の大きな大きさを含む場合、これは、UEが高速で移動している又は高速で移動しようとしていることを示す。したがって、現在のSNRはすぐに悪くなり、候補SNRはすぐに良くなることになる。斯くして、例えば、より小さい第1の閾値及び/又はより大きい第2の閾値を設定することによって、現在のSNRが過度に低下する前に迅速なハンドオーバ(quick handover)を行うことが望ましい。
【0037】
同様に、移動情報が、UEの加速度の大きさの小さな値及び/又は移動速度の小さな大きさを含む場合、これは、UEがゆっくりと移動している又はゆっくりと移動しようとしていることを示す。したがって、現在のSNR及び候補SNRは、ゆっくりと変化することになる。斯くして、例えば、より大きな第1の閾値及び/又はより小さな第2の閾値を設定することによって、一貫したSNRを維持するための遅いハンドオーバ(slow handover)を行うことが望ましい。
【0038】
コントローラは、UEの加速度の大きさ及びUEの移動速度の大きさのいずれかがゼロに等しくないと判断すると、UEの移動情報に基づいて情報を受信及び送信するために使用されるべき第1のセットの光トランシーバを決定するように構成されてもよい。
【0039】
加速度の大きさ又は移動速度のいずれかがゼロでない場合、UEは移動している又は移動しようとしていることが分かる。UEの速度及び加速度情報に基づいて、UEの移動に従い(following)使用されるべき第1のセットの光トランシーバを推定することが可能である。
【0040】
光ワイヤレス通信モジュールはさらに、無線周波数(RF:radio frequency)通信を介して情報を受信及び送信するためのRFトランシーバを含んでもよい。
【0041】
RF通信は、異なる周波数のRF信号に基づく任意のタイプのワイヤレス通信を指してもよい。ワイヤレス通信プロトコルの例としては、限定されるものではないが、Wi-Fi(登録商標)、2G、3G、Long-Term Evolution(LTE)、4G、5Gを含むセルラーネットワークプロトコル等が挙げられる。
【0042】
コントローラは、移動情報を受けると、現在の光通信に代えて情報を受信及び送信するためにRF通信を開始する、及び現在の光通信を終了する、及び、UEの安定した状態を判断すると、情報を受信及び送信するために光通信を開始する、及び開始されたRF通信を終了するように構成されてもよい。
【0043】
ハイブリッドワイヤレス通信モジュールは、RF通信及び光通信の両方を使用して情報を送信及び受信してもよい。例えば、RF通信及び光通信の一方のみが、一時に情報を送信及び受信するために使用されてもよい。
【0044】
UEが移動している又は移動しようとしている場合、ハンドオーバが発生してもよい。UEがしばらく移動し続ける場合、UEが比較的安定した状態になるまで、複数回のハンドオーバが予想される可能性がある。ハンドオーバ中、UEとAPとの間の通信は、低減された信号品質を有する、ましては中断される可能性がある。
【0045】
光通信と異なり、RF信号は、通常、人体又は家具等、室内の物体を通過することができる。斯くして、UEが移動している又は移動しようとしている場合に光通信に代えてRF通信を使用することは、UEの移動中の信号品質の低下又は通信の中断を回避し得、より良いユーザ体験が提供されることができる。
【0046】
UEがテーブルの上に置かれる等、UEが移動後に比較的安定した状態に達する場合、光通信は再開されてもよく、RF通信は終了されてもよい。
【0047】
安定した状態は、UEの安定した角度位置を指してもよい。
【0048】
コントローラは、情報を送信及び受信するためにRF通信及び光通信の両方を開始する、RF通信の測定に基づいて、UEの移動情報及び/又は位置情報を決定する、及び、移動情報及び/又は位置情報に基づいて、情報を受信及び送信するために使用されるべき第1のセットの光トランシーバを決定するように構成されてもよい。
【0049】
コントローラは、RF通信の受信信号強度インディケーション(RSSI:receiving signal strength indication)に基づいて、UEの移動情報及び/又は位置情報を決定するように構成されてもよい。
【0050】
ハイブリッドワイヤレス通信モジュールのRF通信及び光通信の両方が、一時に情報を送信及び受信するために同時に使用されてもよい。
【0051】
UEの移動情報及び/又は位置情報は、RF通信の測定に基づいて決定されてもよい。
【0052】
例えば、UEと異なるAPとの間のRF通信のRSSIを測定することにより、高いRSSIを有するUEと通信するAPの第1のグループはUEにより近くにある、及び、低いRSSIを有するUEと通信するAPの第2のグループはUEから遠くにあると判断することが可能である。したがって、UEに対するAPの相対位置及び相対位置の変化に基づいて、UEの移動情報及び位置情報を決定することが可能である。
【0053】
本発明の第2の態様によれば、この及び他の目的は、光ワイヤレス通信モジュールを含む光ワイヤレス通信アクセスポイント装置によって達成される。
【0054】
光ワイヤレス通信アクセスポイント装置は、Li-Fiアクセスポイント装置であってもよい。
【0055】
光ワイヤレス通信アクセスポイント(AP)装置は、他の光ワイヤレス通信デバイスが有線ネットワーク、例えば、有線ローカルエリアネットワークに接続することを可能にする光ネットワーキングハードウェアデバイスである。このようなAPは、他のデバイスが有線ネットワークに接続するために、ワイヤレス技術、例えば、Li-Fiを使用する光ワイヤレス接続を提供することができる。このようなAPは、複数の光ワイヤレスデバイスの接続をサポートすることができる。例えば、1つのAPは、同時に複数のUEに接続されてもよい。
【0056】
APは、ルータに接続されるスタンドアロンデバイスであってもよい。また、APは、ルータの一体部分であることもできる。
【0057】
本発明の第3の態様によれば、この及び他の目的は、光ワイヤレス通信モジュールを含む光ワイヤレス通信エンドポイント装置によって達成される。
【0058】
光ワイヤレス通信エンドポイント装置は、Li-Fiエンドポイント装置であってもよい。
【0059】
光ワイヤレス通信エンドポイント(EP)装置は、光ワイヤレス通信APを介して有線ネットワークに接続する光ワイヤレス通信デバイスである。エンドポイント装置は、通常、UEを指してもよい。エンドポイント装置の例としては、モバイルフォン、ラップトップ、タブレット等が挙げられる。
【0060】
本発明の第4の態様によれば、この及び他の目的は、少なくとも1つの光ワイヤレス通信アクセスポイント装置、及び光ワイヤレス通信エンドポイント装置を含む光ワイヤレス通信システムによって達成される。
【0061】
光ワイヤレス通信システムは、Li-Fiシステムであってもよい。
【0062】
本発明の第5の態様によれば、この及び他の目的は、各々が光通信を介して情報を受信及び送信するための、複数の光トランシーバであって、複数の光トランシーバは、互いに異なる方向に設定される、複数の光トランシーバと、複数の光トランシーバを独立して制御するためのコントローラとを含む光ワイヤレス通信モジュールの光ワイヤレス通信方法であって、当該方法は、前記光ワイヤレス通信モジュールに関連するユーザ機器(UE)の移動情報に基づいて、情報を受信及び送信するために使用されるべき複数の光トランシーバのうちの第1のセットの光トランシーバを決定することであって、第1のセットに属さない複数の光トランシーバの残りは、第2のセットの光トランシーバを形成する、ことと、情報を受信及び送信するために第1のセットの光トランシーバをアクティブにすることと、第2のセットの光トランシーバのうちの少なくとも1つの光トランシーバを非アクティブにすることとを含む、方法によって達成される。
【0063】
本発明は、特許請求の範囲に列挙されている特徴のすべての可能な組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明のこの及び他の態様が、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に述べられる。
図1】光ワイヤレス通信モジュールの一例の概略図を示す。
図2】光ワイヤレス通信モジュールの複数の光トランシーバの一例の概略図を示す。
図3】光ワイヤレス通信システムを含む例示的な環境を概略的に示す。
図4】光ワイヤレス通信モジュールを含む光ワイヤレス通信アクセスポイント装置の使用例を示す。
図5】光ワイヤレス通信モジュールを含む光ワイヤレス通信エンドポイント装置の使用例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明は、本発明の現在好ましい実施形態が示されている添付図面を参照して、以下にさらに完全に述べられる。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書で述べられている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供されており、本開示の範囲を当業者に完全に伝える。
【0066】
図1は、光ワイヤレス通信モジュールの一例の概略図を示している。
【0067】
モジュール1は、各々が光通信を介して情報を受信及び送信するように構成される、複数の光トランシーバ11を含み、複数の光トランシーバ11は、互いに異なる方向に設定される。
【0068】
複数の光トランシーバ11は、複数のLi-Fiトランシーバであってもよい。モジュール1は、Li-Fi通信モジュールであってもよい。
【0069】
モジュール1は、複数の光トランシーバ11を独立して制御するように構成されるコントローラ12を含む。
【0070】
モジュール1は、RF通信を介して情報を受信及び送信するためのRFトランシーバ13を含んでもよい。
【0071】
RF通信は、異なる周波数のRF信号に基づく任意のタイプのワイヤレス通信であってもよい。ワイヤレス通信プロトコルの例としては、Wi-Fi(登録商標)、2G、3G、Long-Term Evolution(LTE)、4G、5Gを含むセルラーネットワークプロトコル等が挙げられる。
【0072】
モジュール1は、情報を記憶するためのメモリユニット14を含んでもよい。メモリユニット14は、図1に示されるように、別個のユニットであってもよく、又はコントローラ12の一体化された部分であってもよい。記憶された情報は、モジュール1の動作パラメータ、並びに/又は複数の光トランシーバ11、及びRFトランシーバ13のパラメータを含んでもよい。
【0073】
モジュール1は、移動情報を受けるためのインターフェース15を含んでもよい。受けた移動情報は、処理のためにコントローラ12に送られてもよい。
【0074】
図2は、光ワイヤレス通信モジュールの複数の光トランシーバの一例の概略図を示している。
【0075】
この例では、説明のために3軸X-Y-Zの人工座標系が導入されている。
【0076】
光ワイヤレス通信モジュールは、図2に示されるようなセグメント化された光トランシーバ16を含んでもよい。セグメント化された光トランシーバ16は、3つの異なるレイヤ161、162、163に配置される複数の光トランシーバセグメントを含んでもよい。複数の光トランシーバセグメントは、互いに異なる方向に設定される。各光トランシーバセグメントは、独立して光通信を介して情報を受信及び送信することができる。
【0077】
図2のセグメント化された光トランシーバ16は、軸X及び軸Yに平行で、軸Zに直交する取付プレート164を含む。
【0078】
第1のレイヤ161は、取付プレート164に実質的に垂直な方向を向く1つの光トランシーバセグメント1610のみを含む。言い換えれば、光トランシーバセグメント1610は、その視野(FoV)内に設けられる他の光通信デバイスと通信するために、軸Zに実質的に平行である視野を有する。
【0079】
第2のレイヤ162は、異なる方向を向いた、複数の光トランシーバセグメント1620、1621、1622、...を含む。すなわち、複数の光トランシーバセグメント1620、1621、1622、...の各々は、そのFoV内に設けられる光通信デバイスと通信することができる。これらの複数の光トランシーバセグメント1620、1621、1622、...は、図2に示されるように、各FoVが同じボリュームを有するように、軸Zの周りに角度的に均等に設定されてもよい。光トランシーバセグメントのこれらのFoVは、オーバーラップされなくてもよく、又はオーバーラップされてもよい。FOVがオーバーラップされる場合、通信の死角が効果的に回避され得る。
【0080】
第3のレイヤ163は、第2のレイヤ162と比較して、少ない光トランシーバセグメント1630、1631、...を含む。これらの光トランシーバセグメント1630、1631、...は、(異なるFoVを有する)異なる方向に設定される。この例では、それらの方向は、取付プレート164にほぼ平行である(すなわち、軸X及びYにほぼ平行である)。
【0081】
セグメント化された光トランシーバ16は、その複数の光トランシーバセグメントの同一又は異なるFoV内に設けられる複数の光通信デバイスと通信するために使用されることができる。
【0082】
第1のセットの光トランシーバセグメントが情報を受信及び送信するために使用されるべきであることが決定される場合、これらの光トランシーバセグメントは、情報を受信及び送信するためにアクティブにされることができる。使用されるべきではない光トランシーバセグメントの残りの少なくとも1つは、非アクティブにされることができる。
【0083】
この例では、セグメント化された光トランシーバ16は半球形状を有するので、ほとんどの接続は、第2のレイヤ162の光トランシーバセグメントによって行われることが予想される。したがって、第1及び第3のレイヤ161、163よりも多くの数の光トランシーバセグメントが、第2のレイヤ162に設けられる。
【0084】
セグメント化された光トランシーバ16は、異なる形状を有してもよい。セグメント化された光トランシーバ16の形状及びその光トランシーバセグメントの正確な配置は、特定の用途に依存してもよい。
【0085】
図3は、光ワイヤレス通信システムを含む概略的な例示的な環境である。
【0086】
光ワイヤレス通信システムは、部屋7の天井に取り付けられた複数の光ワイヤレス通信アクセスポイント装置(AP)2を含む。部屋7内を移動する、光ワイヤレス通信エンドポイント装置としての、第1のUE3、例えば、モバイルフォンを手に持つユーザ5がいる。部屋7内のテーブル5上には、第2のUE4、例えば、ラップトップが安定的に置かれている。
【0087】
光ワイヤレス通信システムのAP2及びUE3、4の各々は、光ワイヤレス通信モジュールを含んでもよい。代替的に、AP2及び/又はUE3、4の一部のみが、モジュールを含んでもよい。
【0088】
現実世界の使用法では、UE3、4が、例えば、ユーザ5によって移動される可能性があるので、UE3、4及びAP2の相対位置は静的ではない。1つのUE3、4が移動している又は移動しようとしている場合、UE3、4と1つのAP2との間の通信に使用される現在の光通信リンクは、UE3、4が新しい位置又は新しい角度に移動された後、物体、例えば、テーブル6又はユーザ5が、UE3、4とAP2との間の直接ラインオブサイト(direct light of sight)をブロックする可能性があるので、もはや通信に利用可能ではない可能性がある。代わりに、新しい光通信リンクが、UE3、4が新しい位置又は新しい角度に移動された後のUE3、4とAP2との間の通信のために確立されてもよい。
【0089】
光ワイヤレス通信モジュールに関連するUE3、4の移動情報に基づいて、モジュールのコントローラ12は、情報を受信及び送信するために使用されるべき複数の光トランシーバのうちの第1のセットの光トランシーバを決定するように構成され、第1のセットに属さない複数の光トランシーバの残りは、第2のセットの光トランシーバを形成する。コントローラ12は、情報を受信及び送信するために第1のセットの光トランシーバをアクティブにする、及び、第2のセットの光トランシーバのうちの少なくとも1つの光トランシーバを非アクティブにするように構成される。
【0090】
例えば、光ワイヤレス通信モジュールは、1つのAP2と通信するためのUE3の通信フロントエンドモジュールである。UE3が移動している場合、コントローラ12は、UE3が新しい位置又は新しい角度に移動された後、UEの通信フロントエンドモジュールの一部の光トランシーバが通信に使用されることができないと判断することができる。使用されるべきではないUEの通信フロントエンドモジュールのこれらの光トランシーバの少なくとも1つは、エネルギ消費を低減するために非アクティブにされることができる。使用されるべきであると決定されたUEの通信フロントエンドモジュールの光トランシーバは、新しい光通信リンクの確立を準備するためにアクティブにされてもよい。
【0091】
代替的に、又は組み合わせて、例えば、光ワイヤレス通信モジュールは、UE3と通信するための1つのAP2の通信フロントエンドモジュールである。UE3が移動している場合、UEの移動情報は、任意の既知の方法によって、AP2に送信されてもよい。コントローラ12は、UE3が新しい位置又は新しい角度に移動された後、APの通信フロントエンドモジュールの一部の光トランシーバが通信にもはや使用され得ないと判断することができる。APの通信フロントエンドモジュールのこれらの使用されるべきではない光トランシーバの少なくとも1つは、エネルギ消費を低減するために非アクティブにされることができる。使用されるべきであると決定されたAPの通信フロントエンドモジュールの光トランシーバは、新しい光通信リンクの確立を準備するためにアクティブにされてもよい。
【0092】
すなわち、モジュールがAP2及び/又はUE3、4の通信フロントエンドモジュールとして使用されるかどうかにかかわらず、UE3、4の移動情報に基づいて、使用されるべきその光トランシーバ11はアクティブにされてもよく、使用されるべきではないその光トランシーバ11は非アクティブにされてもよい。光トランシーバのアクティベーション及び非アクティベーションは、モジュールのエネルギ効率を向上させ、AP2とUE3、4との間で良好なサービス品質(QoS)を有するシームレスなデータ通信を提供することができる。
【0093】
UE3、4の移動情報は、UE3、4の加速度情報を含んでもよい。加速度情報は、UE3、4の加速度の大きさ、及びUE3、4の加速度方向を含んでもよい。
【0094】
UE3、4の移動情報は、UE3、4のセンサ、例えば、ジャイレータ又は加速度計によって検出されてもよい。
【0095】
加速度は、3つの軸、すなわち、軸X-Y-Zを含む座標系における3軸加速度として特徴付けられてもよい。加速度は、それぞれ、軸X、軸Y、及び/又は軸Zに沿った加速度であってもよい。加速度は、それぞれ、軸X、軸Y、及び/又は軸Zの周りの回転加速度であってもよい。
【0096】
移動情報は、UE3、4Eの移動速度の大きさ、及びUE3、4の移動方向を含んでもよい。
【0097】
速度は、座標系における3軸速度として特徴付けられてもよい。速度は、それぞれ、軸X、軸Y、及び/又は軸Zに沿ったものでもよい。
【0098】
移動情報が、UE3、4が安定した状態にあることを示した場合、例えば、加速度の大きさ及び移動速度が共に0である場合、UE3、4は移動していなく且つ移動しようとしてないことが分かる。通信に現在使用されている光トランシーバは、引き続き使用されてもよい。したがって、コントローラ12は、光トランシーバのアクティベーション及び非アクティベーション等、アクションを取らないことになる。
【0099】
移動情報が、UE3、4が安定した状態にないことを示した場合、例えば、加速度の大きさ又は移動速度が0ではない場合、UE3、4は移動している又は移動しようとしていることが分かる。通信に現在使用されている光トランシーバは、引き続き使用されなくてもよい。コントローラ12は、光トランシーバ11がそれぞれアクティブ及び非アクティブにされことを決定することになる。
【0100】
UE3、4の移動情報に基づいて、UE3、4の移動軌跡(movement track)を推定することが可能である。したがって、モジュールが、AP2の通信フロントエンドモジュールであっても、UE3、4の通信フロントエンドモジュールであっても、将来の時点において通信に使用されるべきである及び/又は使用されるべきではないモジュールの光トランシーバを決定することが可能である。
【0101】
コントローラ12は、第1のセットの光トランシーバの光通信リンクの候補SNRを決定する、及び、候補SNRが第1の閾値よりも大きいと判断すると、情報を受信及び送信するために使用される現在の光トランシーバから第1のセットの光トランシーバにハンドオーバするように構成されてもよい。
【0102】
コントローラ12は、情報を受信及び送信するために使用される現在の光トランシーバの現在の光通信リンクの現在のSNRを決定する、及び、現在のSNRが第2の閾値よりも小さいと判断すると、現在の光トランシーバから第1のセットの光トランシーバにハンドオーバするように構成されてもよい。
【0103】
すなわち、UE3、4の移動に起因して現在のSNRが低下しすぎる前にハンドオーバが初期化されてもよい。代替的に、又は組み合わせて、候補リンクのSNRが十分に良好である(すなわち、第1の閾値よりも大きい)と判断されるや否や、ハンドオーバが初期化されることができ、シームレスな通信が達成されることができる。
【0104】
第1及び第2の閾値は、ハンドオーバをトリガするために個別に又は一緒に使用されてもよい。
【0105】
第1及び第2の閾値は、所定の固定値であってもよい。例えば、これらのいずれかが、QoS等、システム要件を満たすために予め定められてもよい。
【0106】
第1の閾値及び第2の閾値は、動的な値であってもよい。
【0107】
例えば、第1の閾値は、決定された現在のSNRとの関係で設定されてもよい。現在のSNRと第1の閾値との差は、ΔSNR1であってもよい。すなわち、現在のSNRと候補SNRの差がΔSNR1未満である場合、ハンドオーバが初期化されてもよい。
【0108】
例えば、第2の閾値は、決定された候補SNRとの関係で設定されてもよい。第2の閾値と候補SNRとの差は、ΔSNR2であってもよい。すなわち、現在のSNRと候補SNRの差がΔSNR2未満である場合、ハンドオーバが初期化されてもよい。
【0109】
すなわち、現在のSNRと候補SNRの差が十分に小さい限り、ハンドオーバが初期化されてもよい。ハンドオーバをトリガするための現在のSNRと候補SNRの差(ΔSNR1、ΔSNR2)は、予め定められてもよい。
【0110】
第1及び第2の閾値は、UE3、4の移動情報に応じて動的に設定されてもよい。
【0111】
例えば、移動情報が、UE3、4が高速で移動している又は高速で移動しようとしていること(例えば、UEの加速度の大きさの大きな値及び/又は移動速度の大きな大きさ)を示す場合、現在のSNRはすぐに悪くなり、候補SNRはすぐに良くなることになる。斯くして、より小さい第1の閾値及び/又はより大きい第2の閾値を設定することによって、現在のSNRが過度に低下する前に、迅速なハンドオーバが達成される。
【0112】
例えば、移動情報が、UE3、4がゆっくりと移動している又はゆっくりと移動しようとしていること(例えば、UEの加速度の大きさの小さな値及び/又は移動速度の小さな大きさ)を示す場合、現在のSNR及び候補SNRは、ゆっくりと変化することになる。斯くして、より大きな第1の閾値及び/又はより小さな第2の閾値を設定することによって、一貫したSNRを有する遅いハンドオーバが達成される。
【0113】
斯くして、UEの移動情報に基づいて閾値を動的に設定することによって、ハンドオーバは、QoS等、異なる要件を満たすように正確に制御されることができる。
【0114】
RFトランシーバ13及び光トランシーバ11の両方を含む、ハイブリッドワイヤレス通信モジュールは、RF通信及び光通信の両方を使用して情報を送信及び受信してもよい。このようなハイブリッドワイヤレス通信モジュールは、さらなる利点を提供し得る。
【0115】
コントローラ12は、移動情報を受けると、現在の光通信に代えて情報を受信及び送信するためにRF通信を開始する、及び現在の光通信を終了する、及び、UE3、4の安定した状態を判断すると、情報を受信及び送信するために光通信を開始する、及び開始されたRF通信を終了するように構成されてもよい。
【0116】
RF信号は、光通信をブロックすることになる、部屋7内のユーザ5又はテーブル6等、物体を通過することができるので、RF通信が、UE3、4が移動している場合に光通信に代えて使用されることができる。UE3、4の移動中の信号品質の劣化、ましては通信の中断が回避されることができ、より良いユーザ体験が提供されることができる。UE3、4が移動後に比較的安定した状態にある場合、光通信は再開されてもよく、RF通信は終了されてもよい。すなわち、UEが移動している又は移動しようとしている場合に、RF通信が光通信に代えて使用されることができる。
【0117】
代替的に、コントローラ12は、RF通信及び光通信を同時に使用して情報を送信及び受信するように構成されてもよい。コントローラ12は、RF通信の測定に基づいて、UE3、4の移動情報及び/又は位置情報を決定する、及び、移動情報及び/又は位置情報に基づいて、情報を受信及び送信するために使用されるべき第1のセットの光トランシーバを決定してもよい。
【0118】
コントローラ12は、RF通信のRSSIに基づいて、UEの移動情報及び/又は位置情報を決定するように構成されてもよい。
【0119】
例えば、UE3、4とAP2との間のRF通信のRSSIを測定することにより、高いRSSIを有するUE3、4と通信するAP2の第1のグループは、UEの近くにある、及び、低いRSSIを有するUE3、4と通信するAP2の第2のグループはUE3、4から遠くにあると判断することが可能である。したがって、UE3、4に対するAP2の相対位置及びUE3、4に対するAP2の相対位置の変化に基づいて、UEの移動情報及び/又は位置情報を決定することが可能である。
【0120】
図4は、光ワイヤレス通信モジュールを含む光ワイヤレス通信アクセスポイント装置の使用例を示す。
【0121】
図4に示されるように、フロアプランは、18の部分、すなわち、部分P1、P2、...、P18に分割される。始めに、UE3を手に持つユーザ5は、部分P5内の第1の位置にいる。
【0122】
この例では、AP(図示せず)が、光ワイヤレス通信モジュールを含む。APのモジュールの複数の光トランシーバは、UE3を手に持つユーザ5がフロアプランの任意の部分内にいる場合、UE3と通信するために使用されることができるモジュールの少なくとも1つの光トランシーバがあるように、互いに異なる方向に設定される。
【0123】
APのモジュールの光トランシーバの一部が、ユーザ5が部分P1~P9のいずれか内にいる場合、APが、アクティブにされた光トランシーバの少なくとも1つによってUE3と通信することができるように、アクティブにされている。言い換えれば、フロアプランの部分P1~P9は、UE3と通信するために「アクティブに(activated)」される。
【0124】
APのモジュールの光トランシーバの一部は、APが、部分P10~P18のいずれか内のUEと通信することができないように、非アクティブにされている。言い換えれば、フロアプランの部分P10~P18は、UEと通信するために「非アクティブに(deactivated)」される。
【0125】
その後、ユーザ5は移動を開始し、APはUE3の移動情報を受ける。移動情報は、例えば、UE3のジャイレータ又は加速度計によって、検出されてもよい。移動情報は、UE3によってAPに送信されてもよい。
【0126】
この例では、UE3の移動情報、例えば、部分P11内の第2の位置へ向かう加速度及び/又は速度が測定され、APに送信される。
【0127】
移動情報に基づいて、ユーザ5は部分P8に向かって移動される可能性があると判断される。部分P8に近い部分、例えば、部分P4~P12を「アクティブにする(activating)」ためにその光トランシーバが、アクティブにされてもよい。ユーザ5はその現在の位置、すなわち、部分P5から離れるように移動される可能性があると判断される。部分P5に近い部分の一部、例えば、部分P1、P2及びP3は、非アクティブにされることができる。
【0128】
ここで、「部分をアクティブにする(activating a portion)」という表現は、UE3を手に持つユーザ5が当該部分内にいる場合、APがUE3と通信することができるように、APの光ワイヤレス通信モジュールの少なくとも1つの光トランシーバをアクティブにすることを指してもよい。
【0129】
「部分を非アクティブにする(deactivating a portion)」という表現は、APが当該部分内のUEと通信することができないように、APの光ワイヤレス通信モジュールの少なくとも1つの光トランシーバを非アクティブにすることを指してもよい。
【0130】
最後に、ユーザ5は、部分P8を通って移動し、部分P11内の第2の位置で停止する。UE3の移動情報、例えば、減加速度(deacceleration)及び/又はゼロ速度が測定され、APに送信されることができる。
【0131】
移動情報に基づいて、ユーザ5は部分P11内の第2の位置で停止した可能性があると判断される。部分P11に近い部分、例えば、部分P7~P15を「アクティブにする」ためにその光トランシーバが、アクティブにされてもよい。また、ユーザ5は、部分P5内の第1の位置から離れるように移動された可能性があると判断される。その後、部分P1~P6は、非アクティブにされてもよい。
【0132】
この例では、ユーザ5が第1の位置にいる場合、部分P1~P9がアクティブにされる。第1の位置から第2の位置へのユーザの移動に従い、3つの新しい部分P10~P12がアクティブにされ、以前にアクティブにされた部分P1~P3は非アクティブにされる。ユーザ5が最終的に第2の位置で停止する場合、3つの新しい部分P13~P15がアクティブにされ、以前にアクティブにされた部分P4~P6は非アクティブにされる。
【0133】
すなわち、APの光ワイヤレス通信モジュールは、UE3を手に持つユーザ5が移動し続けても良好なQoSを有するシームレスな接続が確保されることができるように、ユーザの現在位置に最も近いフロアプランの部分が通信のためにアクティブにされるように、その光トランシーバの一部をアクティブにしてもよい。この例では、18個の部分のうち9個の部分が、通信のためにいつでもアクティブにされる。
【0134】
APの光ワイヤレス通信モジュールは、光ワイヤレス通信モジュールのエネルギ効率が向上されることができるように、ユーザの現在位置から遠くにあるフロアプランの部分が非アクティブにされるように、その光トランシーバの一部を非アクティブにしてもよい。この例では、18個の部分のうち9個の部分が、いつでも非アクティブにされる。
【0135】
同様に、UEも光ワイヤレス通信モジュールを含む場合、自身の移動情報に基づいて、UEのモジュールの光トランシーバの一部がアクティブにされてもよく、残りが非アクティブにされてもよい。したがって、UEのエネルギ消費が、ユーザ体験を犠牲にすることなく低減され得る。
【0136】
図5は、光ワイヤレス通信モジュールを含む光ワイヤレス通信エンドポイント装置を使用する概略図を示している。
【0137】
この例では、ユーザ5は、図2に示されるセグメント化された光トランシーバを有する光ワイヤレス通信モジュールを含むUE4を手に持っている。複数のその光トランシーバセグメントは、AP2と通信するために、互いに異なる方向に設定される。
【0138】
この例では、3軸X-Y-Zを有する人工座標系が説明のために導入され、軸X及びYは床に平行であり、軸Zは軸X及びYに直交する。
【0139】
図5に示されるように、UE4を手に持つユーザ5は、Z軸に平行である軸を中心にターンし、これは、UE4及びそのセグメント化された光トランシーバを、軸Zを中心に回転方向に従って回転させる。
【0140】
ユーザ5のターン前に、セグメント化された光トランシーバの第1の光トランシーバセグメントが、AP2と通信するために使用されている。第1の光トランシーバセグメントは、AP2に面する視野(FoV)を有する。セグメント化された光トランシーバのすべての他のセグメントは、非アクティブにされている。
【0141】
その後、ユーザ5は、ターンを開始する。UE4の移動情報は、例えば、UE4のジャイレータ又は加速度計によって、検出されてもよい。この例では、UE4の移動情報、例えば、軸Zの周りの回転加速度及び/又は角速度が検出されてもよい。
【0142】
移動情報に基づいて、UE4の光ワイヤレス通信モジュールは、第1の光トランシーバセグメントに隣接して配置される第2の光トランシーバセグメントが、第1の光トランシーバセグメントの代わりに、AP2を向くFoVを有するように、UE4がターンする可能性あることが分かる。第2の光トランシーバセグメントは、移動情報に基づいてアクティブにされてもよい。
【0143】
ユーザが、第2の光トランシーバセグメントがAP2に面するFoVを有する場合にターンを停止する場合、UE4の移動情報、例えば、減加速度及び/又はゼロ速度が測定されることができる。
【0144】
移動情報に基づいて、UE4の光ワイヤレス通信モジュールは、UE4がターンを停止する可能性があることが分かる。第2の光トランシーバセグメントは、AP2に面するFoVを有することになり、第1の光トランシーバセグメントは、背けられていて、もはやAP2に面しないことになる。第1の光トランシーバセグメントは、非アクティブにされてもよい。
【0145】
この例では、第1の光トランシーバセグメントは、ユーザ5のターン前に、AP2と通信するために使用されている。ユーザ5のターンに従い、第2の光トランシーバセグメントが通信に使用されべきであると判断されて、アクティブにされている。ユーザ5が最終的に停止する場合、第2の光トランシーバセグメントが通信に使用され、第1の光トランシーバセグメントは非アクティブにされる。
【0146】
すなわち、UE4の光ワイヤレス通信モジュールは、UE4を手に持つユーザ5が移動し続けても良好なQoSを有するシームレスな接続が確保されることができるように、通信のためにAP2に面する及びAP2に面しようとしているその光トランシーバの一部をアクティブにしてもよい。
【0147】
UE4の光ワイヤレス通信モジュールは、光ワイヤレス通信モジュールのエネルギ効率が向上されることができるように、AP2に面していない光トランシーバを非アクティブにしてもよい。
【0148】
同様に、AP2も光ワイヤレス通信モジュールを含む場合、AP2のモジュールは、UE4の移動情報に基づいて、その光トランシーバの一部を決定してアクティブにし、残りの光トランシーバの一部を非アクティブにすることができる。したがって、AP2のエネルギ消費が、ユーザ体験を犠牲にすることなく低減され得る。
【0149】
当業者は、本発明が決して上記の好ましい実施形態に限定されるものではないことを認識する。それどころか、多くの修正及び変形が、添付の特許請求の範囲内で可能である。例えば、光ワイヤレス通信モジュールは、多くの様々なやり方で構築されてもよく、例えば、光トランシーバは、異なるタイプ、数及び方向配置のものであってもよい。このような細部は、エネルギ効率の良い光ワイヤレス通信モジュールに関する、本発明の重要な部分とは見なされない。
【0150】
さらに、図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】