(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】低温固定床反応器触媒をインサイチュで洗浄するための溶媒系
(51)【国際特許分類】
B01J 38/52 20060101AFI20231017BHJP
B01J 37/18 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B01J38/52
B01J37/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521550
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021053761
(87)【国際公開番号】W WO2022076550
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510331157
【氏名又は名称】ユナイテッド ラボラトリーズ インターナショナル, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】マツァ,スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ライス,エリサ
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA10
4G169BA07B
4G169CC05
4G169CC07
4G169CC08
4G169DA06
4G169ED08
4G169FB44
4G169FC07
4G169FC10
4G169GA10
(57)【要約】
機器除染の方法は、水素と、脂肪酸メチルエステルおよび酸素化溶媒を含むか、あるいはキャリヤ流体および炭化水素溶媒を含む溶媒とを含む洗浄流を機器に導入するステップと、窒素を含む流れを機器に導入するステップであって、機器が、堆積物および他の汚染物質を含むステップと、を含み得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器除染の方法であって、
(A)水素と、炭化水素溶媒および切削液を含む溶媒組成物とを含む洗浄流を前記機器に導入するステップと、
(B)窒素を含む流れを前記機器に導入するステップであって、前記機器が堆積物を含むステップと、を含む方法。
【請求項2】
ステップ(A)の前に無溶媒水素流を導入するステップをさらに含み、前記無溶媒水素流が、約150℃~約300℃の温度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(A)が、
前記溶媒組成物を水素流に注入する工程と、
前記水素流を用いて前記溶媒組成物を気化させる工程と、
前記水素流を用いて前記溶媒組成物を分散させる工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記炭化水素溶媒が、2つの縮合ベンゼン環を含む二環式炭化水素化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記2つの縮合ベンゼン環が、1つの芳香環と、1つの飽和環とを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記炭化水素溶媒が、120Kb~150KbのKb値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記炭化水素溶媒が、ナフタレン、テトラリン、デカリンまたはそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記炭化水素溶媒が、前記溶媒組成物の約60体積%~約100体積%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記切削液が、原油から自然に蒸留することができる任意の材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記切削液が、ディーゼル、ケロシン、ナフサまたはそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記堆積物を吸収するステップ、前記堆積物を脱凝集するステップ、またはそれらの任意の組合せと、
前記水素と、前記溶媒組成物と、前記吸収および/または脱凝集された堆積物とを含む底部流を生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒組成物ならびに前記吸収および/または脱凝集された堆積物の少なくとも一部を除去するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記機器が、触媒を含む反応器であり、前記方法が、ステップ(B)の後に前記触媒の少なくとも一部を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(A)水素を含む流れを反応器に導入するステップであって、前記反応器が、触媒と、前記触媒上の堆積物と、他の汚染物質とを含むステップと、
(B)水素を含む前記流れに、炭化水素溶媒および切削液を含む溶媒組成物流を導入するステップと、
(C)前記溶媒組成物流を、水素を含む前記流れに気化させて、洗浄流を生成するステップと、
(C)前記堆積物を前記洗浄流と接触させ、前記洗浄流によって前記堆積物および/または他の汚染物質の少なくとも一部を除去するステップと、
(D)窒素流を前記反応器に導入するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記水素流が、約150℃~約300℃の温度である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記堆積物が、不飽和炭化水素、芳香族炭化水素、炭化水素系ゴム、炭化水素系樹脂、重油またはオリゴマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記他の汚染物質が、限定するものではないが、硫化水素、ベンゼン、分散可燃性材料またはそれらの組合せから構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記炭化水素溶媒が、ナフタレン、テトラリン、デカリンまたはそれらの任意の組合せを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記切削液が、ディーゼル、ケロシン、ナフサまたはそれらの任意の組合せを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記洗浄流と、前記堆積物の前記除去された部分とを含む前記反応器から底部流を生成するステップと、
前記堆積物と、前記溶媒の少なくとも一部とを前記底部流から除去して、水素廃棄物流を生成するステップと、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる、2019年3月1日に出願された米国特許出願第16/290,679号明細書の一部継続出願である。
【0002】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
[0002]該当なし。
【0003】
[発明の背景]
発明の分野
[0003]本発明は、産業設備の浄化の分野に関し、さらに具体的には、触媒上のコークス堆積物の脱凝集およびその後の除去、ならびに産業機器への安全な容器進入を可能にするための爆発下限界(LEL)未満の蒸気の低減に関する。
【0004】
発明の背景
[0004]原油および天然ガスの精製プロセス中に、炭化水素供給流から様々な生成物を生成するために、反応器が使用され得る。反応器は、反応物から生成物への変換を促進し得る触媒を含み得る。触媒は、非触媒機構よりも活性化エネルギーが低い代替反応機構を提供することによって、さらに低い過酷度(例えば、さらに低い温度および圧力)で、所望の生成物に対してさらに高い選択性を伴って反応を行うことを可能にし得る。触媒は、炭化水素処理の重要な構成要素であり、触媒性能により、生成物の品質と、炭化水素処理操作の収益性とが決定され得る。したがって、触媒性能は、反応器の動作では、厳密にモニタリングされた測定基準であることが多い。触媒を使用するいくつかの一般的な炭化水素処理操作には、流動接触分解および熱分解などの分解、水素化処理(hydro treating)および水素化分解などの水素化処理(hydro processing)、接触改質、脱水素、ならびに当技術分野で周知の他の操作が含まれ得る。
【0005】
[0005]多くの場合コークスと呼ばれる炭素堆積物は、炭化水素流を処理する反応器およびその中の触媒を汚染する可能性がある。コークス形成反応は、形成されるコークスが触媒の表面に集まり、触媒活性を低下させる可能性があるため、一般に望ましくない。プロセス設計およびプロセス操作により、形成されるコークスの量が減少する可能性があるが、コークス形成反応の完全な排除は、すべてのプロセスでは可能ではない場合がある。触媒がコークス堆積物によって汚染されると、触媒は、触媒活性を回復させるために再生を必要とする場合がある。コークスに加えて、追加の汚染物質が反応器容器および触媒に堆積し得る。コークスを含む汚染物質は、まとめて「堆積物」と呼ばれ得る。追加の汚染物質は、一般にプロセス特異的であり、例えば、炭化水素、例えば、飽和炭化水素および不飽和炭化水素、芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、ならびにゴム、樹脂、重油堆積物、オリゴマー、およびニッケルおよびバナジウムを含有するポルフィリンを含み得る。サワー炭化水素を処理するいくつかのシステムでは、硫化水素も汚染物質であり得る。
【0006】
[0006]コークスおよび他の堆積物によって誘発される触媒活性の低下のために、反応器の動作の一部として、触媒活性を回復させるために触媒が定期的に再生され得る。総業中の再生に加えて、ほとんどのユニットは、汚染を除去し、触媒を再生するために、プラントの定期修理中に定期的に停止され得る。機器の定期的なメンテナンス中、例えば、定期修理事象中に、機器からの触媒の除去、および/または機器への進入が必要な場合がある。触媒がコークス堆積から動かなくなり、触媒の凝集がさらに大きな断片になり、これにより、除去しようとする尽力が損われ得るなど、汚染された触媒を除去することには多くの課題がある場合がある。上記のコークスおよび他の堆積物が反応器の内部に凝集し得、これにより、内部が除去するのに困難になる可能性がある。
【0007】
[0007]さらに、機器内に存在する前述のコークス、H2Sおよび他の炭化水素などの残留堆積物は、機器が触媒を除去するためにまたは進入のために開放された際に火災の危険をもたらす可能性がある。爆発下限界(LEL)は、発火源に曝された際に発火が可能な、空気中の蒸気の最低濃度であり得る。触媒の安全な除去と、容器進入とを可能にするために反応器内の蒸気濃度をLEL未満に制御することは、容器を開放し得る前にLELを制御しなければならないことを規制および安全要件が規定していることから、オペレータにとって懸念事項である場合がある。
【0008】
[0008]触媒からの堆積物の除去を可能にし、これにより、蒸気濃度もLEL未満に低下させる様々な技術が開発されている。堆積物を除去し、炭化水素蒸気濃度をLEL未満に低下させるために使用される特定の技術は、特定の触媒と、触媒が存在する機器とに依存し得る。例えば、水素化処理用途に使用される触媒は、特に高感度であり得、特定の再生処理に曝されると不活性状態に容易に転換され得る。さらに、デコーキングおよび蒸気除去処理は、処理後の触媒の活性を低下させる可能性がある触媒毒を不注意に導入する可能性がある。一部の機器では、コークスおよび炭化水素蒸気を除去するために、ユニットの単純なスチームアウトが行われ得る。スチームアウトは、典型的には長期間にわたって停止されるユニットを含み得る一般的に時間がかかるプロセスであり得る。さらに、除染用の蒸気に関連する過剰温度は、「軟質」コークスから「硬質」コークスにコークスを圧縮および凝縮し、最初に存在していたよりも硬い堆積物をもたらす可能性がある。硬い炭化水素堆積物は、機械的作用によって除去され得、その結果、ダウンタイムがさらに長くなり得るか、または機器および触媒が損傷を受け得る。
【0009】
[0009]他の技術には、水素スイープとそれに続く窒素パージが含まれ得る。水素スイープ法は、炭化水素蒸気およびH2Sの一部を除去し得るが、容器進入に許容可能なレベルまで炭化水素蒸気およびH2Sを下げることはできない場合がある。別の方法は、高温水素ストリップとそれに続く窒素とを含み得る。高温水素は、例えば、700°F(341℃)以上の高温で機器に導入され得る。水素の高熱およびガス流は、炭化水素堆積物を分解し、炭化水素を機器から流出させ得る。次いで、窒素パージを使用して、残留水素および炭化水素を押し出し、炭化水素蒸気をLEL未満まで、温度を許容可能な進入レベルまで低下させてもよい。ここでも、高温水素スイープは、LELおよびH2Sを許容可能なレベル未満まで低下させるのに常に有効であるとは限らない。さらに、水素スイープおよび高温水素ストリップは、比較的時間がかかるプロセスであり、完了するのに数日を要し、それによって、処理に関連するコストが増加する可能性がある。
【0010】
[0010]その結果、当技術分野では、炭化水素蒸気もLEL未満まで低下させ、触媒の保有量を減らし、さらに短い期間で機器への安全な進入を可能にする堆積物除去の新しい方法が必要とされている。
【0011】
[好ましい実施形態の一部の簡単な概要]
[0011]当技術分野におけるこれらおよび他の必要性は、水素、脂肪酸メチルエステルおよび酸素化溶媒を含む高温水素流が機器を通って循環される実施形態において対処される。高温水素流は、機器内に収集された堆積物の少なくとも一部を溶解および脱凝集し得る。
【0012】
[0012]実施形態では、機器除染の方法は、水素と、脂肪酸メチルエステルおよび酸素化溶媒を含む溶媒とを含む洗浄流を機器に導入するステップを含む。方法はまた、窒素を含む流れを機器に導入するステップを含み、機器は、堆積物を含む。
【0013】
[0013]他の実施形態では、方法は、水素を含む流れを反応器に導入するステップを含む。反応器は、触媒と、触媒上の堆積物と、他の汚染物質とを含む。方法はまた、水素を含む流れに、脂肪酸メチルエステルおよび酸素化溶媒を含む溶媒流を導入するステップと、溶媒流を、水素を含む流れに気化させて洗浄流を生成するステップとを含む。方法は、堆積物を洗浄流と接触させるステップと、洗浄流によって堆積物および他の汚染物質の少なくとも一部を除去するステップとをさらに含む。さらに、方法は、窒素流を反応器に導入するステップを含む。
【0014】
[0014]上記は、以下の本発明の詳細な説明がさらによく理解され得るように、本発明の特徴および技術的利点をかなり広く概説している。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する、本発明の追加の特徴および利点を以下に記載する。開示された概念および特定の実施形態は、本発明の同じ目的を実行するための他の実施形態を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者によって理解されるべきである。そのような同等の実施形態が添付の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱しないことも当業者によって理解されるべきである。
【0015】
[0015]本発明の好ましい実施形態の詳細な説明について、ここで添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】機器から汚染物質を除去するために溶媒組成物が使用され得るシステムの一実施形態を示す。
【
図2】冷却機器が熱交換器である
図1のシステムの一実施形態を示す。
【
図3】機器から汚染物質を除去するためのプロセスを詳述するフローチャートの一実施形態である。
【0017】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
[0019]上述のように、いくつかの機器では、高温水素スイープと窒素パージとを含む洗浄技術を使用して、触媒を洗浄および再生してもよい。本出願の一実施形態では、溶媒組成物が気化され、高温水素とともに反応器に運ばれるように、溶媒組成物が高温水素流に注入され得る。いくつかの実施形態では、溶媒組成物は、気化および/または分散される。溶媒組成物を加えると、炭化水素およびH2Sなどの堆積物を除去するための処理の有効性が増大し、ヘッドスペース内の炭化水素蒸気の濃度が低下し得る。実施形態では、溶媒組成物は、限定するものではないが、反応器、容器、タンク、真空塔、熱交換器、配管、蒸留塔などを含む任意の産業機器または容器から汚染物質を除去するために使用されてもよい。いくつかの特定の用途には、限定するものではないが、オレフィン処理、流動接触分解、水素化処理、アンモニア処理、および触媒を使用する他のプロセスが含まれ得る。さらに、限定するものではないが、溶媒組成物は、安全な方法で有人による進入を可能にするために十分な量の汚染物質を産業機器または容器から除去し得る。実施形態では、除去される汚染物質は、原油精製、天然ガス処理、炭化水素輸送、炭化水素処理、炭化水素浄化などのプロセス中に生成、貯蔵、輸送などされる任意の汚染物質を含み得る。実施形態では、汚染物質または堆積物の例には、残留油、硫化水素、可燃性ガス、コークス、オリゴマーなど、またはそれらの任意の組合せが挙げられ得る。実施形態では、堆積物が、脱凝集および/または溶解され、次いで、水素および/または窒素ガスによって堆積物を機器から流出させることによって産業機器から除去され得るように、汚染物質と溶媒組成物および高温水素とを接触させる。
【0018】
[0020]一実施形態では、溶媒組成物は、脂肪酸メチルエステルおよび酸素化溶媒を含み得る。脂肪酸メチルエステルは、例えば、ダイズ油とメタノールとのエステル交換生成物であり得る。脂肪酸メチルエステルは、バイオディーゼルまたはバイオディーゼル等価ブレンドであってもよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸メチルエステルは、RがC
14~C
18アルキル基である構造(1)を含み得る。
【化1】
【0019】
実施形態では、酸素化溶媒は、グリコールエーテル、例えば、ジプロピレングリコール、アルコール、例えば、ベンジルアルコール、エステル、例えば、乳酸エチル、エトキシル化アルコール、グリコールエーテルアセテートまたはそれらの組合せを含み得る。さらに、酸素化溶媒は、芳香族分散可燃性材料(例えば、炭化水素蒸気)の除去またはその濃度の低下、したがって、LELレベルの低下に有効なスクラバであり得る。LELレベルを低下させることにより、安全かつ効果的な容器進入が促進され得る。実施形態では、脂肪酸メチルエステルおよび酸素化溶媒は、溶媒組成物中に任意の比で存在してもよい。限定するものではないが、脂肪酸メチルエステルおよび酸素化溶媒の量は、脂肪酸メチルエステルおよび酸素化溶媒の同一性を含む多くの要因に依存し得る。実施形態では、脂肪酸メチルエステルは、溶媒組成物の約70体積%~約100体積%の範囲の量で存在してもよく、残りの体積は、酸素化溶媒、または前述の酸素化溶媒の組合せである。あるいは、脂肪酸メチルエステルは、溶媒組成物の約70体積%~約75体積%、約75体積%~約80体積%、約85体積%~約90体積%、約90体積%~約95体積%、約95体積%~約99.5体積%、もしくは約99.5体積%~約100体積%の範囲の点、または明示的に述べられた範囲の間の任意の値で存在してもよい。本開示の恩恵を受ける当業者であれば、特定の用途のための脂肪酸メチルエステルおよび酸素化溶媒の適切な同一性および量を選択することができるはずである。
【0020】
[0021]代替的な実施形態では、溶媒組成物は、製油所切削液および炭化水素溶媒を含み得る。製油所切削液は、原油から自然に蒸留することができる任意の材料であり得る。多くの製油所では、様々な炭化水素の混合物を含む原油が、蒸留プロセスを受けることがある。蒸留プロセスは、原油をその様々な成分、例えば、限定するものではないが、残留燃料油、重質軽油、蒸留物(ディーゼル)、ケロシン、ナフサ、ガソリンブレンド成分、ブタンおよび軽質生成物に分離することを目的とする。天然に存在する製油所切削液を利用する場合、溶媒組成物を生成するための利用コストが下がる可能性があり、溶媒組成物を輸送するための引火点が上がる可能性がある。実施形態では、製油所切削液は、ディーゼル、ケロシン、ナフサまたはそれらの任意の組合せを含み得る。実施形態では、製油所切削液はケロシンであり得る。
【0021】
[0022]実施形態では、炭化水素溶媒は、任意の炭化水素化合物であってよい。実施形態では、炭化水素化合物は、2つの縮合ベンゼン環を含む二環式であってよい。2つの縮合ベンゼン環は、芳香族、飽和またはそれらの任意の組合せであってよい。実施形態では、2つの縮合ベンゼン環は、1つの芳香環と、1つの飽和環とを含んでもよく、これにより、高いカウリブタノール(Kb)値を有する炭化水素化合物がもたらされ得る。Kb値は、炭化水素溶媒の溶解力の標準化された尺度である。実施形態では、炭化水素溶媒は、約120Kb~約150Kb、あるいは約130Kb~約140KbのKb値を有し得る。実施形態では、炭化水素溶媒は、132KbのKb値を有し得る。好適な炭化水素溶媒は、限定するものではないが、ナフタレン、テトラリン、デカリンまたはそれらの任意の組合せを含み得る。実施形態では、炭化水素溶媒は、テトラリンであってよい。
【0022】
[0023]実施形態では、炭化水素溶媒およびキャリヤ流体は、溶媒組成物中に任意の比で存在してもよい。実施形態では、炭化水素溶媒は、溶媒組成物の約60体積%~約100体積%の範囲の量で存在してもよく、残りの体積は切削液である。あるいは、炭化水素溶媒は、溶媒組成物の約60体積%~約70体積%、約70体積%~約80体積%、約80体積%~約90体積%、約90体積%~約95体積%、約95体積%~約99.5体積%、もしくは約99.5体積%~約100体積%の範囲の点、または明示的に述べられた範囲の間の任意の値で存在してもよい。本開示の恩恵を受ける当業者であれば、特定の用途のための炭化水素溶媒および切削液の適切な同一性および量を選択することができるはずである。
【0023】
[0024]酸素化溶媒が溶媒組成物に利用されない実施形態では、閉じ込められた芳香族分散可燃性材料の除去は、芳香族分散可燃性材料を閉じ込めるように作用する堆積物に対する優れた溶解力によって達成され得る。したがって、これらの実施形態はまた、安全かつ効果的な容器進入を可能にするのに十分なLELレベルを達成するためのさらに高い成功率を促進し得る。
【0024】
[0025]実施形態では、溶媒組成物は、溶媒組成物中の化学種の同一性および体積比に応じて、約125℃~約300℃の範囲の沸点を有し得る。比較的高い沸点の溶媒組成物には、すなわち、気相化学が比較的高い温度でさらに高い性能を有するということには利点があり得る。比較的高い沸点を有する溶媒組成物を使用する高温水素ストリッププロセスは、約260℃~約400℃という比較的高い温度で操作可能であり得る。さらに、比較的低い沸点の溶媒組成物には、すなわち、気相化学が、さらに低い温度で動作する産業機器に溶媒組成物を導入することを可能にし得るということには利点があり得る。比較的低い沸点を有する溶媒組成物を使用する高温水素ストリッププロセスは、約150℃~約300℃という比較的低い温度で操作可能であり得る。例えば、比較的低い沸点を有する溶媒組成物は、特定の産業機器によって利用される反応器に関連する触媒を用いて行われる高温水素ストリッププロセスに使用され得る。実施形態では、産業機器は、限定するものではないが、水素化処理装置、ナフサ水素化処理装置、水素化分解装置またはそれらの任意の組合せを備え得る。
【0025】
[0026]本出願の一実施形態では、溶媒組成物を含む高温水素流を機器に導入することによって、堆積物が機器から除去され得る。溶媒組成物は、多くの他の要因の中でも、容器のサイズ、容器内の触媒の体積、汚染の種類および量などの様々な要因に応じて、高温水素流中に任意の量で存在し得る。堆積物除去方法は、高温水素を機器に注入して機器を高温に加熱および/または維持するステップを含み得、これにより、溶媒組成物および水素とともに、機器内に存在する堆積物が脱凝集および溶解され得る。溶媒組成物は、高温水素流に導入され、これにより、溶媒組成物は、気化し、気相中で機器に運ばれ得る。ガス状溶媒組成物は、機器内の堆積物と接触し、堆積物を緩め得るか、または溶媒によって溶媒和させ得る。堆積物は、溶媒組成物との接触から移動可能になり得、機器から流出し得る。機器を出る流れは、堆積物が廃棄のために収集され得るように、収集容器に送られ得る。水素ガス流は、追加の溶媒組成物が加えられ得るように、収集され、再利用され、再び加熱され得る。再利用された水素は、さらに多くの堆積物をさらに除去するために機器に送られ得る。高温水素は、約200℃~約430℃の温度、またはその間の任意の温度で機器に導入され得る。あるいは、高温水素は、約150℃~約300℃の温度、またはその間の任意の温度で機器に導入され得る。実施形態では、高温水素が機器に導入され得る温度は、特定の用途に依存し得る。水素流は、例えば、電気ヒータまたは燃焼ヒータを含む任意の方法によって加熱され得る。本開示の恩恵を受ける当業者であれば、特定の用途のための適切な温度を選択することができるはずである。
【0026】
[0027]ここで、溶媒組成物が使用され得るシステム100の実施形態を示す
図1を参照する。システム100は、汚染された機器102と、ヒータ104と、熱交換器106と、分離機器108と、添加剤ポンプ112とを備え得る。汚染された機器102は、限定するものではないが、反応器、容器、タンク、真空塔、熱交換器、配管、蒸留塔などを含む産業機器または容器を備え得る。汚染された機器102は、例えば、コークス、H
2S、不飽和炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、ならびにゴム、樹脂、重油堆積物およびオリゴマーを含む前述の汚染物のいずれかを含み得る。水素は、流れ113を通って添加剤ポンプ112に導入され得る。添加剤ポンプ112からの出力流は、熱交換器106に導入される入力流114である。熱交換器106は、入力流114が流れ117として出る時までに、入力流114を所望の温度に加熱し得る。熱交換器106の出口からの流れ117は、ヒータ104に送られてもよく、それによって、ヒータ104は、流れ117の温度を約200℃~約430℃、あるいは約260℃~約430℃、あるいは約150℃~約300℃、あるいは約200℃~約300℃に上昇させてもよい。
【0027】
[0028]前述のように、溶媒組成物は、水素流が汚染された機器102に到達する前に、1つ以上の点で水素流に注入されてもよい。例えば、溶媒組成物は、注入点121のいずれかに導入されてもよい。溶媒組成物は、図示されるように添加剤ポンプ112などの任意の好適な手段によって導入されてもよい。
図1に示すように、注入点121は、熱交換器106の前、熱交換器106の後、またはヒータ104の後にあってよい。いくつかの実施形態では、溶媒組成物は、複数の注入点121に導入されてもよい。水素と溶媒組成物とを含む加熱された流れ118は、汚染された機器102に導入されてもよく、それによって、水素および溶媒は、汚染された機器102内の堆積物を緩めるおよび/または溶解するように作用し得る。水素と、溶媒組成物と、溶解した堆積物と、脱凝集した堆積物と、分散可燃性材料と、ベンゼンと、H
2Sとを含む機器出力流116は、汚染された機器102から出て、冷却機器124に導入され得る。冷却機器124は、機器出力流116内の成分の分離が容易にされ得るように、機器出力流116を冷却するように構成された任意の機器を備えてもよい。いくつかの実施形態では、冷却機器124は、冷蔵熱交換器、空冷熱交換器または一体型熱交換器を含んでもよい。冷却された流れ119は、冷却機器124を出て、分離機器108に導入されてもよい。冷却された流れ119は、約30℃~約430℃、あるいは約80℃~約280℃の温度である。
【0028】
[0029]分離機器108は、冷却された流れ119の成分を分離し、冷却された流れ119に存在する溶媒および堆積物から水素を分離するように構成された機器を備えてもよい。分離機器108は、限定するものではないが、タンク、容器、コアレッサ、ノックアウトドラム、デミスタシステム、高温セパレータ、低温セパレータ、デオイラなどの任意の機器、ならびにアミン塔および苛性塔などのプロセスを含んでもよく、これにより、冷却された流れ119に存在するサワー成分またはH2Sが処理され得る。一実施形態では、分離機器108は、水素、硫化水素および分散可燃性材料を溶媒および堆積物から分離する。いくつかの実施形態では、水素、硫化水素、分散可燃性材料またはそれらの任意の組合せを含む水素流150は、フレア155に導かれる。実施形態では、溶媒および堆積物を含む溶媒流160は、収集容器165に導入される。
【0029】
[0030]
図1に示すいくつかの実施形態では、機器出力流116中の堆積物の濃度が所望のレベルに達した後、窒素流150は、加熱された流れ118を介してシステム100に導入され得るか、または機器102に直接導入され得る(図示せず)。窒素流150は、任意の好適な手段によって導入され得る。一実施形態では、窒素流150は、ポンプによって導入されない。限定するものではないが、窒素流150は、H
2、H
2S、溶媒、分散可燃性材料、ベンゼンなどを機器102から押し出し得る。いくつかの実施形態では、窒素流150は加熱されない。例えば、限定するものではないが、アンモニアが500°Fを超える温度で生成され得るため、いくつかの実施形態では窒素流150は加熱されない。窒素流150は、機器102に流入し、水素および溶媒組成物を移動させ得、移動によって機器102の蒸気空間内の炭化水素濃度をさらに低下させ得る。機器出力流116中の、機器102を出る炭化水素の濃度が所望のレベル、一般に炭化水素のLEL未満、または炭化水素の特定のppm測定値になるまで、窒素流150はシステム100に導入されてもよい。実施形態では、H
2Sの所望の標的は、約10ppm未満である。一実施形態では、所望の標的は、約10%以下のLELである。
【0030】
[0031]
図2に示すシステム100の一実施形態では、機器出力流116は、熱交換器106に導入される。そのような実施形態では、入力流114は、機器出力流116とのクロスフローとして熱交換器106に導入され、熱交換器106は、機器出力流116からの熱を入力流114に渡して入力流114を加熱し、機器出力流116を冷却することを可能にするように構成される。そのような実施形態では、入力流114は、入力流114が流れ117として熱交換器106を出る時までに、所望の温度に加熱される。機器出力流116は、冷却された流れ119として熱交換器106を出て、次いで、分離機器108に導入される。冷却された流れ119は、約30℃~約430℃、あるいは約80℃~約280℃の温度である。
【0031】
[0032]
図3は、前述の溶媒組成物を使用して機器から堆積物を除去する方法200の一実施形態を示すフローチャートである。実施形態では、方法200は、吹出し202から開始する。ボックス204では、高温水素は、堆積物を含む機器(
図1および
図2の汚染された機器102)と、堆積物を含む機器に接続された他の補助機器とを通って循環し始める。高温水素は、約200℃~約430℃、あるいは約150℃~約300℃を含む任意の好適な温度、またはその間の任意の温度であってよい。高温水素注入は、約260℃~約430℃の比較的高い温度で、あるいは約150℃~約300℃の比較的低い温度で開始してもよく、温度は階段状であってよいか、または約230℃未満の温度まである期間にわたって徐々に低下してもよい。限定するものではないが、階段状の温度、または徐々に低下する温度は、窒素に切り替える際にアンモニアを生成しないことを容易にし得る。
【0032】
[0033]ボックス206では、溶媒組成物は、溶媒組成物を気化させるために、高温水素流に注入される。溶媒組成物は、前述の任意の溶媒組成物であってよい。溶媒組成物を含む高温水素流は、機器(
図1および
図2の汚染された機器102)および補助機器に進入してもよく、それによって、水素および溶媒組成物は、堆積物と接触し、堆積物を溶解および/または脱凝集してもよい。溶媒組成物を高温水素流に導入するために使用される機器は、高温水素流に入る溶媒組成物を正確に計量するためのポンプ、ノズルおよび関連する制御システムを備えてもよい。水素と溶媒組成物との比は、溶媒組成物中に存在する種の化学的同一性と、前述のように高温水素流が導入されている機器とに依存し得る。
【0033】
[0034]ボックス208では、高温水素流が流出する機器の位置は、堆積物除去の進行を追跡するためのモニタリング装置を用いてH
2Sおよび/またはベンゼンについてモニタリングされ得る。モニタリング装置は、ガスメータおよび/またはバッグサンプルならびにガスクロマトグラフなどの任意の好適なモニタリング装置であってよい。実施形態では、インライン機器を使用してリアルタイムで測定が行われてもよいか、または後の分析のために機器を出る流れのアリコートが引き出されてもよい。分析は、アリコート中のH
2Sおよび/またはベンゼンの濃度を決定することを含み得る。
図3には示されていないが、溶媒組成物の濃度、または高温水素流への溶媒組成物の体積流量は、堆積物を多かれ少なかれ除去するように調整されてもよい。高温水素流の温度は、ボックス208で調整されてもよい。
【0034】
[0035]決定210では、水素流中のH2Sおよび/またはベンゼンの最新の濃度が所望の濃度と比較される。堆積物を除去せずに溶媒組成物および高温水素が機器を通って循環する一実施形態では、堆積物の濃度は、堆積物が溶媒組成物と平衡に達するまで、または溶媒組成物が機器内のあらゆる堆積物を除去するまで連続的に増加し得る。溶媒組成物が機器への再導入前に堆積物を除去している実施形態では、出口流内の堆積物の濃度は一般に経時的に低下し得る。いずれの方法が行われる場合でも、出口流中のH2Sおよび/またはベンゼンの濃度は、H2Sおよびベンゼンの存在が堆積物に関連することから、堆積物除去の進行が観察され得るようにモニタリングされ得る。いくつかの実施形態では、追加の堆積物が除去されない定常状態にH2Sおよび/またはベンゼン濃度が達するまで、高温水素および溶媒組成物を循環させてもよい。H2Sおよび/またはベンゼン濃度が所望のレベルまたは定常状態レベルに達していない場合、方法はステップ214に進んでもよい。ステップ214では、出口流中の水素が放出されてもよい。方法は、さらに多くの高温水素を機器に注入するために、ステップ204を続けてもよい。決定210では、H2Sおよび/またはベンゼン濃度が所望のレベルに達すると、方法はブロック216に進み得、水素ガスの注入が中断され、ガス流が代わりに窒素に切り替わる。
【0035】
[0036]ブロック218では、機器および補助機器に入る窒素を計量し、循環させて、高温水素、溶媒組成物ならびに溶解および脱凝集した堆積物を移動させてもよい。前述のように、密閉された容器内のヘッドスペース内の炭化水素蒸気の濃度は、炭化水素蒸気のLELを超え、それによって、容器が大気に曝された場合に火災の危険をもたらす可能性がある。機器および補助機器を通して窒素を供給すると、存在する炭化水素をヘッドスペースから移動させる可能性がある。決定220では、炭化水素蒸気のLELがモニタリングされ得る。LELが許容限界を下回っていない場合、ステップ222が開始されてもよく、ここで、その時点の窒素が放出される。方法は、さらに多くの窒素ガスを機器内に注入するためにステップ218に進んでもよく、炭化水素蒸気のLELが所望の値を下回るまで窒素を連続的に供給してもよい。LELが許容限界を下回っている場合、プロセスは、終了ステップ224で終了してもよい。
【0036】
[0037]本実施形態のさらに良好な理解を容易にするために、いくつかの実施形態の特定の態様の以下の実施例が与えられる。以下の実施例は、実施形態の全範囲を限定または定義するために読まれるべきではない。
【0037】
[0038]実施例1
12の配合物を調製し、d-リモネン対照および別の独自の市販の溶媒対照に対して試験して、各配合物のアスファルト溶解能力を決定した。溶解試験のために、テキサス州の製油所からのブローンアスファルトを選択した。アスファルトは、約175℃(79.4℃)で軟化し、約320°F(160℃)で溶融すると決定された。各成分の密度を表1に示す。
【表1】
【0038】
[0039]表2に従ってサンプルを調製した。液体をバイアル内で調製し、5分間超音波処理して、混合物が均質であることを確実にした。次いで、各液体を、ブローンアスファルトを含有するバイアルに個別に加えた。サンプルを室温で静置した。市販の溶媒は、アスファルトなどの水素欠乏炭化水素堆積物を溶解するように配合された独自の溶媒ブレンドである。
【表2】
【0039】
[0040]5分後、d-リモネンサンプルが最も多くのアスファルトを溶解し、市販の溶媒がそれに続き、その後、サンプルG>B>C=D>A>F>E=Hであることが観察された。サンプルEおよびHは変色の兆候を示さず、サンプルGのみがスポーリングおよび変色の兆候を示した。1時間後、サンプルCは、バイアル底部に付着し始めた。2時間後、市販の溶媒が流動しており、サンプルA~Hが進行していないことが観察された。3時間後、バイアルを反転させて進行を決定した。サンプルA~Hは、2時間にわたって顕著な改善を示さなかった。サンプルGは暗い変色を有することが観察され、d-リモネンサンプルは不透明であることが観察された。22時間後、サンプルA~Hは顕著な改善を示さなかったことが観察された。d-リモネンサンプルはアスファルトの約85%を溶解し、市販の溶媒はアスファルトの約30%を溶解した。26時間後、サンプルを温水浴に入れて、アスファルトの溶解を促進した。約1時間後、温水浴中でd-リモネンサンプルは完全に溶解した。市販のサンプル(バイアルI)は溶解し続け、サンプルB、DおよびGは、暗色化およびスポーリングの兆候を示した。24時間後、温水浴中でサンプルA~Hは顕著に改善しなかったことが観察された。サンプルを温水浴から取り出し、周囲温度で6日間放置した。サンプルA~Hは、6日後にさらに多くの溶解を示さないことが観察された。
【0040】
[0041]実施例2
表3に従ってサンプルを調製した。
【表3】
【0041】
[0042]液体を超音波処理して混合し、ブローンアスファルトをバイアルJに加えた。溶液が数分以内に不透明になることが観察された。約10分後、アスファルトの約60%が溶解したことが観察された。約5時間後、アスファルトの約20%が残存していることが観察された。サンプルJを一晩放置して、さらに溶解させた。約20.5時間後、サンプルJが約95%溶解したことが観察された。約48時間後、サンプルJが完全に溶解したことが観察された。
【0042】
[0043]実施例3
表4に従ってサンプルを調製した。
【表4】
【0043】
[0044]液体を超音波処理して混合し、ブローンアスファルトを各サンプルに加えた。約5分後、サンプルKおよびLが50%を超えて溶解したことが観察された。45分後、KおよびLはいずれも、約70~75%溶解したように見えた。約26時間後、サンプルLは完全に溶解し、サンプルKは約95%溶解したことが観察された。
【0044】
[0045]実施例4
3/5満たした8×14メッシュのゼオライト、2.5満たした6×8メッシュのゼオライト、および1/5満たした1/4×6メッシュのゼオライトを4つのバイアルに充填することによって、ゼオライトサンプルを調製した。ゼオライトは、天然ゼオライト(斜プチロル沸石)であった。各バイアルを別個のビーカに注ぎ、完全に混合した。ブローンアスファルトを各バイアルに加え、バイアルを85℃に加熱した。アスファルトがゼオライト混合物を均一に被覆することが観察されるまで、定期的に撹拌しながら温度を215℃まで上昇させた。
【0045】
[0046]被覆ゼオライトサンプル混合物がまだ熱いうちに、サンプルアリコートを採取し、バイアルに加えた。表5に従って溶媒組成物を調製した。調製後、均質な混合を確実にするために、全バイアルを5分間超音波処理した。
【表5】
【0046】
[0047]全バイアルを55℃の温水浴に入れた。約30分後、バイアル3は単一の大きな凝集物を含有しないが、サンプル1、2および3は単一の大きな凝集物を含有することが観察された。その時点で、全バイアルを高温鉱油浴に移した。約30分後、バイアルが約93℃であることが観察された。バイアルのいずれにも、バイアルを横にした際に液面ラインから飛び出すのに十分な大きさの凝集物はなく、各バイアルが、ここでさらに小さな凝集物および微粒子を含有していることが観察された。ゼオライトは、依然として各バイアル内で被覆されているように見えた。高温鉱油浴の設定点を上げた。
【0047】
[0048]約45分後、高温鉱油浴が約126℃に達した際にバイアル1および3が沸騰し始めたことが観察された。バイアル1、2および4のゼオライトは、いくらかの残留微粒子を有する大きな塊として凝集および滑動する傾向があるが、バイアル3は他のバイアルよりも多くのスポーリングおよび大きな微粒子を有することが観察された。約3時間後、実験を一時停止し、バイアルを高温鉱油浴から取り出し、冷却した。冷却後、その後の観察のために、各バイアルからのゼオライトを別個の時計皿に注いだ。バイアル3および4からのゼオライトは、分離容易性および残留溶媒凝集特性に関して同様の感触を有することが見出された。バイアル1および2からのゼオライトは、同様の分離容易性を有することが見出され、バイアル3および4からのゼオライトよりも分離が容易であることが観察された。
【0048】
[0049]4つのゼオライトサンプルの各々を時計皿上で4日間乾燥させた。各サンプルをそれぞれのバイアル内で交換し、170℃の設定点を有する高温鉱油浴に入れた。約5時間後、サンプルをそれぞれの時計皿上に戻し、バイアル3からのゼオライトの凝集度は、バイアル2からのゼオライトよりも小さく、バイアル4からのゼオライトの凝集度にほぼ等しく、バイアル1からのゼオライトの凝集度よりも小さいことが観察された。
【0049】
[0050]実施例5
ゼオライトをオーストラリアの原油の容器に室温で1週間浸漬することによって、被覆ゼオライトサンプルを調製した。ゼオライトサンプルから原油を排出し、表6に従って5つのバイアルを調製した。
【表6】
【0050】
[0051]5つのバイアルの各々を120℃の高温鉱油浴に入れた。約1時間後、各バイアルを浴から取り出し、旋回させた。約4時間後、バイアルを浴から取り出し、冷却した。各サンプルの白色度を観察し、拡大解釈すれば、ゼオライトからどれだけの油が除去されたかを観察した。ほとんどの油がバイアル2および4から除去されたことが観察され、これらはほぼ等しかった。バイアル5は、バイアル3よりも良好に機能し、バイアル1よりも良好に機能することがさらに観察された。
【0051】
[0052]実施例6
実施例4からの残りの被覆ゼオライトサンプルを163℃に加熱し、28.5グラムの6×8メッシュの斜プチロル沸石天然ゼオライトと、8.03グラムのブローンアスファルトとを加えた。均一な被覆が観察されるまでゼオライトを撹拌した。表7に従ってサンプルを調製した。
【表7】
【0052】
[0053]調製後、各バイアルを超音波処理器に10分間入れた。次いで、バイアルを110℃のオーブンに入れた。約45分後、バイアルをオーブンから取り出した。バイアル1、4、5および7が最も容易に流動し、バイアル2、3および8はわずかに少なく流動したことが観察された。バイアル6のみが、底部に充填され沈降した微粒子を有することが観察された。バイアルをオーブンに戻した。オーブン内で合計4時間後、バイアルを取り出し、観察し、一晩冷却した。熱いうちに、バイアルは知覚可能な差を示さなかった。約15時間後、各バイアルからゼオライトを取り出し、ペーパタオル上に置いて過剰な溶液を除去し、その後、個々の時計皿に移した。すべてのサンプルについて決定することは困難であるが、除去された残留物の総量は、バイアル4については最も少なく、バイアル1および2については2番目に少ないことが分かった。目視検査による残りのバイアルの決定が困難であるため、2つの代替の順位付けを行った。第1は残留物の流れに基づいて、バイアル溶液の有効性を最も多い流れから最も少ない流れまで順番に順位付けし、そのような順位付けは、バイアル4>5>3=7>6>1≧2>8であった。第2のランク付けにより、処理された触媒が溶液中でどのように挙動するかを調査した。このために、ゼオライトの各サンプルをそれぞれのバイアルに戻したところ、低温凝集挙動は、最も凝集性が低いものから最も凝集性が高いものの順で4≦1≦2<5≒6<3≒7<8であることが分かった。バイアルを約2.5週間静置し、その後、バイアルをそれぞれ約75°に慎重に傾け、ゼオライト挙動を観察した。バイアル1、2および3は、バイアル底部から容易に流出し、バイアル4、6および8では、約1/3のゼオライトがバイアル底部に付着し、バイアル5および7では、大部分のゼオライトがバイアル底部に留まり、所定の位置に留まったことが分かった。
【0053】
[0054]組成物および方法は、様々な成分またはステップを「含む(comprising)」、「含有する(containing)」または「含む(including)」という用語で記載されており、組成物および方法はまた、様々な成分およびステップ「から本質的になる(consist essentially of)」または「からなる(consist of)」こともできることを理解されたい。さらに、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」または「an」は、それが導入する要素の1つまたは複数を意味するように本明細書で定義される。
【0054】
[0055]簡潔にするために、本明細書では、特定の範囲のみが明示的に開示されている。しかし、任意の下限からの範囲が、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために任意の上限と組み合わされ得、同様に、任意の下限からの範囲が、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために任意の他の下限と組み合わされ得、同様に、任意の上限からの範囲が、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために任意の他の上限と組み合わされ得る。さらに、下限および上限を有する数値範囲が開示される場合はいつでも、その範囲内に入る任意の数および任意の含まれる範囲が具体的に開示される。特に、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、または同等に「約a~b(from approximately a to b)」、または同等に「約a~b(from approximately a-b)」の形態の)値のすべての範囲は、明示的に列挙されていなくても、値のさらに広い範囲内に含まれるすべての数および範囲を示すと理解されるべきである。したがって、すべての点または個々の値は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために、任意の他の点もしくは個々の値または任意の他の下限もしくは上限と組み合わされたそれ自体の下限または上限として機能し得る。
【0055】
[0056]したがって、本発明は、言及された目的および利点、ならびにそれらに固有の目的および利点を達成するようによく適合されている。上記で開示された特定の実施形態は、本発明が本明細書の教示の利益を有する当業者に明らかな異なるが同等の方法で修正および実施され得ることから、例示にすぎない。個々の実施形態が説明されているが、本発明は、それらのすべての実施形態のすべての組合せを包含する。さらに、添付の特許請求の範囲に記載されているもの以外は、本明細書に示されている構造または設計の詳細を限定することを意図するものではない。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によって明示的かつ明確に定義されていない限り、それらの明白な通常の意味を有する。したがって、上記で開示された特定の例示的な実施形態は変更または修正されてもよく、そのような変形例はすべて本発明の範囲および趣旨内にあると考えられることは明らかである。本明細書、および参照により本明細書に組み込まれ得る1つ以上の特許または他の文献における単語または用語の使用に矛盾がある場合、本明細書と一致する定義が採用されるべきである。
【国際調査報告】