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特表2023-544631プレスの移動可能な部分用の滑りガイドのガイド遊びを調整するための調整システムとプレスの滑りガイドの少なくとも1つのガイドブロックの位置を調整するための方法
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  • 特表-プレスの移動可能な部分用の滑りガイドのガイド遊びを調整するための調整システムとプレスの滑りガイドの少なくとも1つのガイドブロックの位置を調整するための方法 図1
  • 特表-プレスの移動可能な部分用の滑りガイドのガイド遊びを調整するための調整システムとプレスの滑りガイドの少なくとも1つのガイドブロックの位置を調整するための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】プレスの移動可能な部分用の滑りガイドのガイド遊びを調整するための調整システムとプレスの滑りガイドの少なくとも1つのガイドブロックの位置を調整するための方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/04 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
B30B15/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521730
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2021077881
(87)【国際公開番号】W WO2022078903
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】102020212830.8
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ビュシュ・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ヒュスゲン・ダーヴィト
【テーマコード(参考)】
4E088
【Fターム(参考)】
4E088AB04
4E088BA01
(57)【要約】
本発明は、プレスの移動可能な部分用の滑りガイドのガイド遊びを調整するための調整システムであって、少なくとも1つのガイド要素(1)を有し、このガイド要素が、プレスの案内すべき部分の移動方向に対して横に調整可能な少なくとも1つの滑りブロック(9)と、少なくとも1つの調整楔(5)と、少なくとも1つのガイド楔(8)を有し、滑りブロックと調整楔とガイド楔の互いに相対的な調整が、移動可能な部分の移動方向に対して横の滑りブロック(9)の移動を生じさせるものに関するものであり、この調整システムは、調整楔(5)が、少なくとも1つのスピンドル機構によって無段階に調整可能であること、を特徴とする。本発明は、更に、このような調整システムによりプレスの滑りガイドの少なくとも1つの滑りブロックの位置を調整するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスの移動可能な部分用の滑りガイドのガイド遊びを調整するための調整システムであって、少なくとも1つの調整可能なガイド要素(1)を有し、このガイド要素が、プレスの案内すべき部分の移動方向に対して横に調整可能な少なくとも1つの滑りブロック(9)と、少なくとも1つの調整楔(5)と、この調整楔(5)と協働する少なくとも1つのガイド楔(8)を有し、滑りブロックと調整楔とガイド楔の互いに相対的な調整が、移動可能な部分の移動方向に対して横の滑りブロック(9)の移動を生じさせ、調整楔(5)が、無段階に調整可能であるものにおいて、
調整楔(5)が、少なくとも1つのスピンドル機構によって調整可能であること、スピンドル機構が、好ましくはサーボモータによって駆動される少なくとも1つのスピンドル(3)を有し、このスピンドルが、調整楔(5)の移動ネジと協働すること、及び、滑りガイドのガイド遊びを検出し、このガイド遊びを、ガイド遊びを自動的に再調整するための制御及び/又は調整装置に出力する少なくとも1つの測定値センサが設けられていること、を特徴とする調整システム。
【請求項2】
スピンドル(3)、調整楔(5)及びガイド楔(8)が、共通のハウジング(2)内に配置され、滑りブロック(9)と共に構造ユニットを構成すること、を特徴とする請求項1に記載の調整システム。
【請求項3】
スピンドル(3)が、ハウジング(2)のブッシュ(4)内に回転可能に支承されていること、を特徴とする請求項2に記載の調整システム。
【請求項4】
滑りブロック(9)が、ガイド楔(8)に交換可能に固定されていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の調整システム。
【請求項5】
プレスの移動可能な部分が、スライドを備えるか、部分的にスライドとして形成されていること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の調整システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の調整システムを有するプレス。
【請求項7】
少なくとも1つのプレスフレーム及びこのプレスフレーム内で移動可能な少なくとも1つの可動ビーム及び/又は少なくとも1つのコンテナホルダ並びに可動ビーム及び/又はコンテナホルダ用の滑りガイドを有する請求項6に記載のプレス。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の調整システムによりプレスの滑りガイドの少なくとも1つの滑りブロックの位置を調整するための方法において、
滑りブロックとプレスの移動すべき部分の滑り面との間のガイド遊びが測定され、所定のガイド遊び(目標値)と比較され、実際のガイド遊びが、所定のガイド遊びと一致するまで、調整システムのスピンドルが回転されること、を特徴とする方法。
【請求項9】
スピンドルが、アクチュエータを介して自動的に、測定値センサによって検出された測定値に依存して調整されること、を特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
スピンドルの調整が、少なくとも1つの調整距離センサによって検出され、完了した調整距離から、滑りブロックの必要な交換の時点が計算されること、を特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスの移動可能な部分用の滑りガイドのガイド遊びを調整するための調整システムであって、少なくとも1つの調整可能なガイド要素を有し、このガイド要素が、プレスの案内すべき部分の移動方向に対して横に調整可能な少なくとも1つの滑りブロックと、少なくとも1つの調整楔と、少なくとも1つのガイド楔を有し、滑りブロックと調整楔とガイド楔の互いに相対的な調整が、プレスの移動可能な部分の移動方向に対して横の滑りブロックの移動を生じさせるものに関する。本発明の意味のプレスは、例えば、プレスフレームと、プレスフレーム内に、例えばガイドコラムに滑動的に案内された少なくとも1つの可動ビーム又はコンテナホルダを有する横型又は縦型の押出しプレスとしての金属押出プレスである。
【背景技術】
【0002】
一般的な調整システムは、例えば欧州特許第3003701号明細書から知られている。欧州特許第3003701号明細書は、滑りブロックが滑動し得るプレスのコラムに対してプレスの可動のクロスビームの滑り部材を調整するためのシステム及び方法に関する。調整システムは、移動可能なクロス部材と一部材に形成されるように形成された第1の楔と、滑りブロックが固定された第2の楔と、軸を規定しかつこの軸に対して偏心して配置された第1の終端を備えるピン-第1の終端は、第2の楔内に設けられた空所内に収容されている-と、ピンを回転させることによって、第1の終端が、軸に対して横の方向に沿った第1の楔における第2の楔の滑動を生じさせるように形成されたピンを操作するための第1の操作手段とを有する。ピンは、油圧シリンダとして形成された第2の操作手段によって、ロック位置とアンロック位置の間で移動される。移動可能な楔の位置を、これにより滑りブロックの位置を変更するため、ピンは、まず、アンロック位置に移動されなければならない。その後、遊びは、その偏心した終端によるピンの回転を介して調整される。調整の完了後、ピンは、再びロック位置に移動される。
【0003】
このメカニズムは、比較的複雑である。調整は、時間がかかり、これの自動化は困難である。
【0004】
別の従来技術は、例えば、中国特許出願公開第107243586号明細書から知られている。そこには、同様に、ワッシャもしくはシムによる遊びの調整が行なわれる、互いに調整可能な楔を有する調整システムが記載されている。
【0005】
別の従来技術は、中国実用新案第201669364号明細書、西独国特許出願公開第3901961号明細書、特許2525281号公報、特開平04-141337号公報、西独国特許出願公開第19728893号明細書、西独国特許出願公開第2758340号明細書、中国実用新案第201046513号明細書、国際公開第2011/047881号パンフレット及び米国特許第5775212号明細書から知られている。
【0006】
他の一般的な調整システムは、それぞれ、特開2013-220474号公報及び特開2011-152553号公報から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第3003701号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第107243586号明細書
【特許文献3】中国実用新案第201669364号明細書
【特許文献4】西独国特許出願公開第3901961号明細書
【特許文献5】特許2525281号公報
【特許文献6】特開平04-141337号公報
【特許文献7】西独国特許出願公開第19728893号明細書
【特許文献8】西独国特許出願公開第2758340号明細書
【特許文献9】中国実用新案第201046513号明細書
【特許文献10】国際公開第2011/047881号パンフレット
【特許文献11】米国特許第5775212号明細書
【特許文献12】特開2013-220474号公報
【特許文献13】特開2011-152553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底にある課題は、構造的に単純で、自動的に運転することができる冒頭で述べた形式の調整システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題は、請求項1の特徴を有する調整システムによって解決される。課題は、更に、請求項10の特徴を有する、このような調整システムによりプレスの滑りガイドの少なくとも1つの滑りブロックの位置を調整するための方法によって解決される。
【0010】
本発明の有利な形態は、従属請求項からわかる。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、プレスの移動可能な部分用の滑りガイドのガイド遊びを調整するための調整システムが企図されており、この調整システムは、少なくとも1つの調整可能なガイド要素を備え、このガイド要素が、プレスの案内すべき部分の移動方向に対して横に調整可能な少なくとも1つの滑りブロックと、少なくとも1つの調整楔と、少なくとも1つのガイド楔を有し、滑りブロックと調整楔とガイド楔の互いに相対的な調整が、移動可能な部分の移動方向に対して横の滑りブロックの移動を生じさせ、本発明による調整システムは、調整楔が、少なくとも1つのスピンドル機構によって無段階に調整可能であること、を特徴とする。本発明による調整システムは、更に、プレスの構成要素であり得、しかしながら、これは、相応に予め製造された別個の構造ユニットとして形成することもできる。プレスの移動可能な部分は、例えば、可動ビーム、コンテナホルダ等であり、これらは、例えば、プレスフレームのクロスビーム又はヨークの間で、ガイドコラム等の上を移動可能である。好ましくは、本発明による調整システムは、オープンダイ鍛造プレス、ドロップ鍛造プレス、等温鍛造プレス、リングブランクプレス、穿孔プレス、絞りプレス、深絞りプレス及び/又は押出プレスにおいて取付け可能である。
【0012】
本発明による調整システムは、特に、構造的に非常に簡単に実現可能である。スピンドル機構による無段階の調整は、比較的簡単に滑りガイドのガイド遊びの自動的な調整を実現することを可能にする。
【0013】
本発明の核心は、調整楔と、この調整楔と協働するガイド楔を有する楔対を介して調整能力が実現され、調整楔が、この調整楔と結合されたスピンドルを介してスピンドル軸の方向に無段階に移動可能であり、従って、ガイド楔をスピンドル軸に対して垂直に出入りさせることにある。調整楔とガイド楔は、互いに当接し、調整楔は、スピンドル機構の操作によってスピンドル軸に対して平行に移動可能であり、この場合、ガイド楔をスピンドル軸に対して横に移動させる。
【0014】
本発明による調整システムの場合、スピンドル機構が、サーボモータによって駆動される少なくとも1つのスピンドルを有し、このスピンドルが、調整楔の移動ネジと協働すること、が企図されている。調整楔は、相応のネジ孔を有するように形成することができる。選択的に、調整楔が、スピンドルナットに固定され、このスピンドルナットに、スピンドルが係合することが可能である。本発明の意味のサーボモータは、ギヤユニットを備えること及び/又は1つより多くのスピンドルに作用することもできる。
【0015】
更に本発明によれば、滑りガイドのガイド遊びを検出し、このガイド遊びを、ガイド遊びを自動的に再調整するための制御及び/又は調整装置に出力する少なくとも1つの測定値センサが設けられている。
【0016】
スピンドル、調整楔及びガイド楔は、共通のハウジング内に配置され、滑りブロックと共に、調整可能なガイド要素としての構造ユニットを構成すること、ができる。
【0017】
合目的に、スピンドルは、ハウジングのブッシュ内に回転可能に支承されている。更に合目的に、滑りブロックは、ガイド楔に交換可能に固定されている。
【0018】
本発明の別の態様によれば、前記形式の調整システムを有するプレスが提供される。プレスは、プレスフレーム及びこのプレスフレーム内で移動可能な少なくとも1つの可動ビーム及び/又はコンテナホルダ並びに可動ビーム及び/又はコンテナホルダ用の滑りガイドを有することができる。滑りガイドは、例えば、それぞれ本発明による調整システムの滑りブロックと協働する、プレスフレームのガイドコラムに設けることができる。プレスは、例えば2又は4コラムプレスとして形成することができる。
【0019】
本発明の別の態様によれば、前記形式の調整システムによりプレスの滑りガイドの少なくとも1つの滑りブロックの位置を調整するための方法が提供される。この方法は、滑りブロックとプレスの移動すべき部分の滑り面との間のガイド遊びが測定され、目標値としての所定のガイド遊びと比較され、場合によっては、実際のガイド遊び(実遊び)が、所定の必要なガイド遊び(目標遊び)と一致するまで、調整システムのスピンドルが調整もしくは回転されること、を特徴とする。
【0020】
最初の起動時に、調整システムが較正され、ここで検出された測定データが保存される場合が有利である。これにより、後からの測定データに比して、例えば、プレスの更なる発展又は整備間隔に関する予測を導出することができる。検出された測定データは、好ましくは、データメモリに記録され、後からの評価のために処理される。これにより、例えば、製品の後からの品質変動をプレスの測定データと比較すること及び/又は説明することができる。更に、測定データが設備オペレータに対して可視化され、目標値からの偏差を色で強調される場合が有利である。スピンドルは、本発明による方法の場合、アクチュエータを介して自動的に、測定値センサによって検出された測定値に依存して調整することができる。アクチュエータとして、例えばステップモータを設けることができる。
【0021】
本発明による方法の特に好ましいバリエーションの場合、スピンドルの調整が、少なくとも1つの調整値センサによって検出され、完了した調整距離から、滑りブロックの必要な交換の時点が計算されること、が企図されている。既に完了した調整距離は、例えば、制御及び/又は調整装置内で合計することができる。
【0022】
本発明を、以下で添付の図面に図示した実施例を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による調整システムの調整可能なガイド要素の断面図
図2】プレスでの取付け位置にある調整可能なガイド要素の図1に応じた断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による調整システムは、以下で説明する形式の少なくとも1つのガイド要素1を有する。調整システムは、以下で説明する形式の複数のガイド要素と、ガイド要素1又は複数のガイド要素の制御及び/又は自動的な操作をするための手段を有することlができる。
【0025】
図に図示したガイド要素1は、ハウジング2を有し、このハウジング内に、ブッシュ4内に回転可能に支承されたスピンドル3が延在する。スピンドル3は、スピンドル3の回転によってハウジング2内を移動可能な調整楔5の第1及び第2のネジ孔6,7を経て延在する。ネジ孔6,7のネジは、スピンドル3のネジに対して相補的に形成された移動ネジである。調整楔5は、滑りブロック9もしくは滑りプレートと結合された滑り斜面に当接する。滑りブロック9は、摩耗部品として形成され、図2からわかるように、ガイド要素1の取付け位置で、図示してないプレスのガイドコラム10に対して平行にかつ所定の間隔Sを置いて配置されている。ガイドローラ10に対する滑りブロック9の間隔Sは、滑りガイドのガイド遊びを規定する。
【0026】
スピンドル3は、ハウジングから突出するその終端に、工具用の又は図示してないモータの駆動軸用の係合部11を備えている。遊びSを調整するため、スピンドル3は、手又はモータによって回転される。回転運動は、調整楔5を、図2に記入した矢印Aの方向又はその逆に滑動させ、これにより、ガイド楔は、同様に図2に図示した矢印Bの方向に又はその逆に滑動し、ガイドコラム10と滑りブロック9の間の間隔Sを増加又は減少させる。
【符号の説明】
【0027】
1 ガイド要素
2 ハウジング
3 スピンドル
4 ブッシュ
5 調整楔
6 第1のネジ孔
7 第2のネジ孔
8 ガイド楔
9 滑りブロック
10 ガイドコラム
11 係合部
A 矢印
B 矢印
S 間隔
図1
図2
【国際調査報告】