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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】カプセル装置
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/48 20060101AFI20231017BHJP
   A61J 3/07 20060101ALI20231017BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231017BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20231017BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20231017BHJP
   A61K 38/28 20060101ALN20231017BHJP
【FI】
A61K9/48
A61J3/07 E
A61K45/00
A61P3/10
A61P43/00 111
A61K38/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521736
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2021077969
(87)【国際公開番号】W WO2022074252
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】20201193.8
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガザル, アギアド
(72)【発明者】
【氏名】スティッカー, ドラゴ
(72)【発明者】
【氏名】イエプセン, ヤコブ ビョン フヮ
(72)【発明者】
【氏名】クリーブランド, コディー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ウォーター, ヨリト ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】モウリトスン, ブリーアン
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C047AA29
4C047BB11
4C047CC04
4C047DD32
4C047DD33
4C076AA11
4C076AA24
4C076AA53
4C076AA55
4C076AA95
4C076BB04
4C076BB05
4C076BB11
4C076BB34
4C076CC21
4C076CC29
4C076FF31
4C076FF63
4C076FF68
4C076FF70
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084DB34
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA37
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA66
4C084NA03
4C084NA05
4C084NA12
4C084NA13
4C084ZC031
4C084ZC032
4C084ZC351
4C084ZC352
(57)【要約】
対象の胃腸内腔などの内腔への挿入または摂取に好適なカプセル装置(100)。カプセル装置(100)は、-カプセルハウジング(110、130)と、-カプセルハウジング(110、130)に対して配設された薬剤出口(190、290、390、490)と、-液体原薬を収容する単一のキャピラリーダクト(125)と、-作動チャンバー(A)と、-薬剤排出ユニットであって、薬剤排出ユニットが、液体原薬を単一のキャピラリーダクトから薬剤出口(190)を通して排出するように作動されるように構成され、薬剤排出ユニットが、液体原薬に直接負荷をかけるために、作動チャンバー(A)内で加圧ガスを発生させるように作動可能なガス膨張ユニット(150)を備える、薬剤排出ユニットと、を備え、ガス放出ゲート(151、170)が、c)作動チャンバー(A)内の加圧ガスが液体原薬を単一のキャピラリーダクト(125)から薬剤出口(190)を通して押し出すことを防止する、第1の構成と、d)作動チャンバー(A)からの加圧ガスが液体原薬を単一のキャピラリーダクト(125)から薬剤出口(190)を通して押し出すことを許容する、第2の構成と、の間で動作するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物対象の内腔への摂取または挿入に好適なカプセル装置(100、200、300、400)であって、前記カプセル装置(100、200、300、400)が、
-カプセルハウジング(110、130、210、230、310、330、410、430)と、
-前記カプセルハウジング(110、130、210、230、310、330、410、430)に対して配設された薬剤出口(190、290、390、490)と、
-液体原薬を収容するように構成されている薬剤貯蔵部と、
-作動チャンバー(A)と、
-薬剤排出ユニットであって、前記薬剤排出ユニットが、前記液体原薬を前記薬剤出口(190、290、390、490)を通して排出するように作動されるように構成され、前記薬剤排出ユニットが、前記液体原薬に負荷をかけるために、前記作動チャンバー(A)内で加圧ガスを発生させるか、または前記作動チャンバー(A)からガスを放出するように作動可能なガス膨張ユニット(150、245、260、345、360、445、460)を備える、薬剤排出ユニットと、を備え、
前記薬剤貯蔵部が、第1の端部および第2の端部を有する単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)として提供され、前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)が、前記作動チャンバー(A)を前記薬剤出口(190、290、390、490)と流体接続するように構成され、前記液体原薬が、前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)内に配設され、
ガス放出ゲート(151、170、280、380、480)が、前記作動チャンバー(A)から前記薬剤出口(190、290、390、490)に向けた加圧ガスの流れを制御するように配設され、前記ガス放出ゲート(151、170、280、380、480)が、
a)前記作動チャンバー(A)内の加圧ガスが液体原薬を前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)から前記薬剤出口(190、290、390、490)を通して押し出すことを防止する、第1の構成と、
b)前記作動チャンバー(A)からの加圧ガスが液体原薬を前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)から前記薬剤出口(190、290、390、490)を通して押し出すことを許容する、第2の構成と、の間で動作するように構成されている、カプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項2】
前記第2の構成で、前記作動チャンバー(A)からの加圧ガスが、前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)内の前記液体原薬と直接係合し、それにより前記液体原薬に負荷をかけて、前記液体原薬を前記薬剤出口(190、290、390、490)に向けて押す、請求項1に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項3】
前記作動チャンバー(A)の最も近くに配設された前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)内の前記液体原薬が、液気界面を画定する、請求項1または2に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項4】
前記第2の構成で、前記作動チャンバー(A)からの加圧ガスが、前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)内の前記液体原薬と直接係合して、前記液体原薬に負荷をかける、請求項1~3のいずれか一項に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項5】
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)が、コイル状構成などの非直線状構成を形成する細長いキャピラリーを形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項6】
前記カプセル装置が、ヒトの胃腸内腔に摂取されるようにサイズ設定され構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項7】
前記内腔が、内腔壁を備え、前記薬剤出口(190、290、390、490)が、無針送達用に構成されたノズル配設を備え、前記カプセルは、前記液体原薬が前記内腔壁の組織に貫入することを可能にする貫入速度で、前記ノズル配設を通して前記液体原薬を排出するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項8】
前記内腔が、内腔壁を備え、前記薬剤出口が、注射針であって、前記液体原薬を前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)から前記注射針の内腔を通して送達するように構成されている、注射針、を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項9】
前記ガス膨張ユニットが、前記液体原薬に負荷をかけるために、前記作動チャンバー(A)内で加圧ガスを発生させるように作動可能に構成されているガス発生器(245、260、345、360、445、460)を備え、
バーストゲート(280、380、480)が、前記ガス発生器(245、260、345、360、445、460)と前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)との間に配設され、前記バーストゲート(280、380、480)は、前記作動チャンバー(A)内のガス圧力が閾値圧力レベルを上回って上昇する際に、前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)内の液体原薬上に負荷を放出し、それにより前記液体原薬の排出を始動するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項10】
前記ガス発生器(245、260、345、360、445、460)が、前記ガス発生器(245、260、345、360、445、460)を作動させるように構成されているトリガ配設を備える、請求項9に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項11】
前記バーストゲート(280、380、480)が、バーストディスクなどの破裂可能な膜を備える、請求項9または10に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項12】
前記ガス膨張ユニットが、ガスキャニスター(150)を備え、前記ガスキャニスター(150)が、加圧ガスで充填され、破裂可能な密封部(151)であって、前記破裂可能な密封部(151)の破裂の際に、加圧ガスが前記ガスキャニスター(150)から出て前記作動チャンバー(A)に流れることを可能にするように破裂可能に構成されている、破裂可能な密封部(151)、を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項13】
前記ガス放出ゲート(151、170)が、画定されるか、または前記破裂可能な密封部(151)を備える、請求項12に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項14】
前記カプセル装置(100、200、300、400)が、スパイク(170)を備えるトリガ配設(140、142、145、170)を備え、前記スパイク(170)および前記加圧ガスキャニスター(150)が、相対運動のために配設され、前記トリガ配設(140、142、145、170)が、前記スパイク(170)と前記加圧ガスキャニスター(140、142、145)との間の相対運動を創出して、前記破裂可能な密封部(151)を破裂させるための手段を備える、請求項12または13に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【請求項15】
前記単一のキャピラリーダクト(125、225、325、425)の断面積が、少なくともその延長の一部に沿って、1mm~16mmの間の寸法である、請求項1~14のいずれか一項に記載のカプセル装置(100、200、300、400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体原薬を対象使用者に送達するための嚥下可能なカプセルなど、ヒトまたは動物対象の内腔への摂取または挿入に好適な薬剤送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主にインスリンの送達による糖尿病治療が参照されるが、これは本発明の例示的な使用に過ぎない。
【0003】
多くの人々が、糖尿病などの疾患に罹患し、定期的に、および多くの場合は日常的に、薬剤の注射を受けることを必要としている。疾患を治療するために、これらの人々は、複雑であるとみなされる場合や、不快な経験となる場合がある、異なるタスクを行う必要がある。更に、これらの人々は、外出時に注射装置、針、および薬剤を持参することが必要となる。したがって、治療が錠剤またはカプセルの経口摂取に基づくことができたら、これはそのような疾患の治療の顕著な改善とみなされるであろう。
【0004】
しかしながら、タンパク質ベースの薬剤は、摂取時に吸収されるのではなく、分解および消化されることになるため、そのような解決策は、実現が非常に困難である。
【0005】
経口摂取を通してインスリンを血流中に送達するための作用溶液を提供するためには、薬剤は、まず胃腸管の内腔に送達され、更に胃腸管の壁(内腔壁)の中に送達されなければならない。これは、以下のいくつかの課題を提示する。(1)薬剤は、胃内の酸による分解または消化から保護されなければならない。(2)薬剤は、胃内、または下部胃腸管、すなわち、胃の後に放出されなければならず、これは、薬剤放出の絶好の機会を制限する。(3)薬剤は、胃および下部胃腸管内の流体の分解環境に曝される時間を制限するために、内腔壁に送達されなければならない。壁で放出されない場合、薬剤は、放出点から壁への移動中に分解され得るか、または分解流体から保護されない限り、吸収されずに下部胃腸管を通過し得る。
【0006】
内腔または内腔壁に原薬を送達するためのカプセル装置が提案されている。カプセルを対象の胃腸系へと嚥下することによってなど、カプセルを挿入した後、原薬を貯蔵部から出口を通して押し出すアクチュエータを使用して、薬剤送達を行ってもよい。典型的なカプセル装置は、圧縮ばねまたはガス膨張ユニットなどのアクチュエータと、貯蔵部内の液体原薬との間に配設された、摺動可能なピストンなどの移動可能な分離具を備える薬剤貯蔵部を含む。
【0007】
そのような装置については、カプセル装置に十分な量の薬剤を収容すること、および/または送達標的において満足のいく薬剤沈着をもたらすのに十分なエネルギーを収容することが困難である場合が多い。
【0008】
上記のことを考慮して、先行技術のカプセル装置と比べて改善されたカプセル装置を提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0009】
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処する、または以下の開示から、および例示的な実施形態の説明から明らかな目的に対処する、実施形態および態様が説明される。
【0010】
このため、本発明の一態様では、ヒトまたは動物対象の内腔への摂取または挿入のためのカプセル装置が提供される。本カプセル装置は、
-カプセルハウジングと、
-カプセルハウジングに対して配設された薬剤出口と、
-液体原薬を収容するように構成されている薬剤貯蔵部と、
-作動チャンバー(A)と、
-薬剤排出ユニットであって、薬剤排出ユニットが、液体原薬を薬剤出口を通して排出するように作動されるように構成され、薬剤排出ユニットが、液体原薬に負荷をかけるために、作動チャンバー(A)内で加圧ガスを生成するか、または作動チャンバー(A)から加圧ガスを放出するように作動可能なガス膨張ユニットを備える、薬剤排出ユニットと、を備える。
【0011】
薬剤貯蔵部は、第1の端部および第2の端部を有する単一のキャピラリーダクトとして提供され、この単一のキャピラリーダクトは、作動チャンバー(A)を薬剤出口と流体接続するように構成され、液体原薬は、単一のキャピラリーダクト内に配設される。
【0012】
ガス放出ゲートは、作動チャンバー(A)から薬剤出口に向けた加圧ガスの流れを制御するように配設され、ガス放出ゲートは、
a)作動チャンバー(A)内の加圧ガスが、液体原薬を単一のキャピラリーダクトから薬剤出口を通して押し出すことを防止する、第1の構成と、
b)作動チャンバー(A)からの加圧ガスが、液体原薬を単一のキャピラリーダクトから薬剤出口を通して押し出すことを許容する、第2の構成と、の間で動作するように構成される。
【0013】
ガス膨張ユニットは、単一のキャピラリーダクト内の液体原薬に直接負荷をかけるために、作動チャンバー(A)内で加圧ガスを発生させるように、または作動チャンバー(A)から加圧ガスを放出するように、好ましくは構成される。
【0014】
液体原薬の収容および排出にキャピラリーを使用する利点には、以下が含まれる。
1.ピストンの使用を排除することにより、装置のスペースが節約される。
2.可動部品の数が減ることで、装置の複雑性が低減される。
3.装置に充填される薬剤体積がより大きい(最大400μl)。
4.ある特定の電力でジェットを駆動するために必要なエネルギーがより少ない(6barまで下がる)。
5.装置をトリガするための起動方法がより単純である。
【0015】
本明細書に従い、特に単純で、費用効果の高い可能性がある解決法が提供される。
【0016】
本カプセル装置のある特定の実施形態では、第2の構成で、作動チャンバー(A)からの加圧ガスは、単一のキャピラリーダクト内の液体原薬と直接係合し、それによって、液体原薬上に負荷、すなわちガス圧力を及ぼして、液体原薬を薬剤出口に向かって押し出す。
【0017】
本明細書に従い、一部の実施形態について、本カプセル装置は、作動チャンバー(A)と液体原薬との間に摺動可能なピストンまたは他の移動可能な分離壁を組み込まない。
【0018】
典型的には、薬剤排出中の第2の構成で、作動チャンバー(A)の最も近くに配設された単一のキャピラリーダクト内の液体原薬、および加圧ガスは、液気界面を画定する。
【0019】
第2の構成にあるときの本カプセル装置の一部の実施形態では、作動チャンバー(A)からの加圧ガスは、単一のキャピラリーダクト内で液体原薬と直接係合して、液体原薬を薬剤出口に向かって移動させるために液体原薬上に負荷をかける。
【0020】
いくつかの実施形態では、液体原薬は、単一のキャピラリーダクト内に直列に配設される第1および第2の不混和性液体物質を含む液体カラムを形成し、第2の液体物質は、第1の第2の液体物質とは異なり、第1の液体物質から上流に配設され、少なくとも第1の液体物質、および任意選択で第2の液体物質は、治療効果を提供するのに有益な薬剤を含む。第1および第2の液体物質を単一キャピラリーダクト内の別々の部分において形成することによって、第1の液体物質と比較してより少量で提供され得る第2の液体物質は、第1の液体成分とは異なる物理的および化学的パラメータを呈してもよく、本カプセル装置は、加圧ガスと液体原薬との間の適当かつ明確に画定された気/液界面を維持するために最適化された特性を利用してもよい。これにより、患者に投与されたときに治療効果に対して典型的には最適化されることになる第1の液体物質を選択する自由度がより高くなる。
【0021】
更なる実施形態では、第1の端部と第2の端部との間にある単一のキャピラリーダクトは、コイル状構成などの非直線状構成で延在する細長いキャピラリーを形成する。
【0022】
本発明に従う一部の実施形態は、単一のキャピラリーダクトの形態の専用薬剤貯蔵部、専用作動チャンバー(A)、およびその単一の薬剤出口のための専用薬剤排出ユニットを伴う、単一の薬剤出口のみを含むが、他の実施形態は、そのような、単一のキャピラリーダクトの形態の専用薬剤貯蔵部、専用作動チャンバー(A)、および単一の薬剤出口各々のための専用薬剤排出ユニットのセットを複数組み込んでもよいことが留意される。
【0023】
また、本発明について、「キャピラリーダクト」という用語は、単一のキャピラリーダクトが、狭く細長いチャネルを形成し、これにおいて、明確に画定された液気界面が維持される、すなわち、そのような毛管現象によってチャネル内部で液体を移動させる使用を必要としないという情報を伝達するために主に使用される。
【0024】
一部の実施形態では、カプセルは、胃腸内腔に摂取さるようにサイズ設定され、構成される。
【0025】
一部の実施形態では、本カプセル装置は、内腔への挿入または摂取のために構成され、内腔は、内腔壁を備え、薬剤出口は、無針液体ジェット送達のために構成されているノズル配設を備え、カプセルは、原薬を、原薬が内腔壁の組織に貫入することを可能にする貫入速度で、ノズル配設を通して排出するように構成されている。
【0026】
他の実施形態では、本カプセル装置は、内腔に挿入または摂取されるように構成され、内腔は、内腔壁を備え、薬剤出口は、注射針であって、液体原薬を単一のキャピラリーダクトから注射針の内腔を通して送達するように構成されている、注射針、を備える。
【0027】
ガス膨張ユニットは、一部の形態では、液体原薬に負荷をかけるために、作動チャンバー(A)内で加圧ガスを発生させるように作動可能に構成されているガス発生器を備えてもよい。バーストゲートが、ガス発生器と単一のキャピラリーダクトとの間に配設され、バーストゲートは、作動チャンバー(A)内のガス圧力が閾値圧力レベルを上回って上昇する際に、単一のキャピラリーダクト内の液体原薬上に負荷を放出し、それにより液体原薬の排出を始動するように構成されている。
【0028】
例示的な実施形態は、バーストディスクなどの破裂可能な膜を備えるバーストゲートを含んでもよい。
【0029】
本カプセル装置の一部の変形では、本カプセル装置は、例えば、トリガ事象に応答して、薬剤出口を通した薬剤送達を始動するためのトリガ配設を更に備える。一部の形態では、環境感受性機構を備えるようにトリガ配設が提供されている。
【0030】
一部の形態では、本カプセル装置は、患者による嚥下、および小腸または大腸のそれぞれなどの患者の胃腸管の内腔内への移動のために構成されている。環境感受性機構は、ある特定の実施形態では、胃腸管環境感受性機構であってもよい。胃腸管環境感受性機構は、トリガ部材を備えてもよく、トリガ部材は、以下を含む群のうちの少なくとも1つを特徴とする。
a)トリガ部材が、胃腸管内のpHの変化に起因して分解、摩滅、および/または溶解する材料を含むこと、
b)トリガ部材が、胃腸管内のpHに起因して分解、摩滅、および/または溶解する材料を含むこと、
c)トリガ部材が、胃腸管内の酵素の存在に起因して分解、摩滅、および/または溶解する材料を含むこと、
d)トリガ部材が、胃腸管内の酵素の濃度の変化に起因して分解、摩滅、および/または溶解する材料を含むこと。
【0031】
代替形態では、トリガ配設はまた、電子トリガであっても、電子トリガを含んでもよい。
【0032】
本カプセル装置がガス発生器を備える実施形態では、ガス発生器は、ガス発生器を作動させるように構成されているトリガ配設を備えてもよい。
【0033】
本カプセル装置の更なる実施形態では、ガス膨張ユニットは、加圧ガスで充填された加圧ガスキャニスターを備え、破裂すると、加圧ガスがガスキャニスターから作動チャンバー(A)に流れることを可能にするように構成されている、破裂可能な密封部を備える。
【0034】
一部の形態では、ガス放出ゲートは画定されるか、または該破裂可能な密封部を含む。
【0035】
加圧ガスキャニスターおよび破裂可能な密封部を備える形態の本カプセル装置は、スパイクを備えるトリガ配設を更に備えてもよく、スパイクおよび加圧ガスキャニスターは、相対運動のために配設され、トリガ配設は、スパイクと加圧ガスキャニスターとの間の相対運動を創出して、破裂可能な密封部を破裂させるための手段を備える。
【0036】
更なる代替実施形態では、本カプセル装置は、薬剤出口を通る液体の流れを選択的に制御するために、薬剤出口と関連付けられた放出ゲートとして提供される、更なるバージョンのガス放出ゲートを備える。放出ゲートは、トリガ配設を含んでもよく、これは、作動チャンバー(A)内の加圧ガスが、トリガ事象の際に、液体原薬を単一のキャピラリーダクトから駆動できるように、放出ゲートが第1の構成から第2の構成に動作できるようにするためのものである。こうした実施形態では、放出ゲートは、一部の形態では、トリガ前には薬剤出口を密封するが、流体の流れを可能にするために破裂または別様に密封解除された状態になり得る膜として提供されてもよい。放出ゲートが薬剤出口に提供されるカプセル装置では、ガス膨張ユニットは、加圧ガスを含んでもよく、その結果、液体原薬が、高圧レベルでの、例えば、加圧ガスのガス圧力レベルに等しい圧力レベルでのトリガ前には貯蔵されるようになる。
【0037】
一部の実施形態では、単一のキャピラリーダクトの材料は疎水性であり、薬剤に向けた接触角θは、40°超、例えば、60°超、例えば、80°超、例えば、85°超である。接触角が0°よりもはるかに大きく、好ましくは90°に近いように材料を選択すると、キャピラリーダクトの内表面上の液体原薬の液滴の形成が起こる可能性が低いことが確実となる。いくつかの実施形態では、単一のキャピラリーダクト、例えば、液体薬剤接触のために構成されたダクトの表面材料部分は、ポリマー材料から作製される。
【0038】
いくつかの実施形態では、単一のキャピラリーダクトの断面形状は、円形である。他の実施形態では、単一のキャピラリーダクトの断面形状は、略長方形または略正方形もしくは楕円形である。更に他の実施形態では、単一のキャピラリーの断面形状は、多角形を有してもよい。
【0039】
特定の実施形態では、単一のキャピラリーダクトの断面積は、少なくともその延長の一部に沿って、1mm~16mm、例えば、4mm~10mmである。いくつかの実施形態では、単一のキャピラリーダクトは、第1の端部から第2の端部へのその延長の大部分に沿って、例えば、第1の端部から第2の端部への延長全体に沿って、断面積が同じである。
【0040】
単一のキャピラリーダクトの断面形状が、1~5mm、例えば、2~4mmの内径を有する円形である実施形態。
【0041】
更なる実施形態では、本カプセル装置のカプセルハウジングは、投与前に最大外形ハウジング寸法(z)を画定する。こうした実施形態では、単一のキャピラリーダクトは、作動チャンバー(A)から薬剤出口までの長さを計測した寸法であってもよく、該長さは、(z)の少なくとも2倍、例えば、(z)の少なくとも5倍、例えば、(z)の少なくとも10倍、例えば、(z)の少なくとも15倍、例えば、(z)の少なくとも20倍である。一部の形態では、単一のキャピラリーダクトは、(z)の5倍~(z)の12倍である。
【0042】
特定の実施形態では、単一のキャピラリーダクトは、長さが、80mm~200mm、例えば、80mm~130mm、130~r、150~200mmである。
【0043】
本カプセル装置の一部の変形では、単一のキャピラリーダクトは、螺旋状の経路に沿って延在するように形状設定される。他の形態では、単一のキャピラリーダクトは、カプセルハウジング内部で蛇行する構成で延在するように形状設定される。
【0044】
一部の形態では、単一のキャピラリーダクトは、チューブの形態で提供され、チューブは、所定の形状で配設されるように、硬質材料から製造されてもよい。代替実施形態では、チューブは、例えば、チューブが、チューブの製造後にコイル状になることができるなど変形可能である、可撓性チューブとして製造されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、単一のキャピラリーダクトは、50~400μl、例えば、100~300μlの液体原薬の合計体積を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、小腸などの内腔は、内腔壁を画定し、薬剤出口は、無針ジェット送達のために構成されているジェットノズル配設を備える。このように、摂取可能なカプセル装置は、鋭利な針点を含まず、針を作動させ格納する機構も必要とされない。例えば、バーストディスクなどの破裂可能な膜を含めることで、好適なジェット注射を実行するために、移動可能な分離器に作用する十分な圧力があるときにのみ、薬剤排出が開始されることを確実にする。
【0047】
ジェット送達のための既存のジェット注射器システムは、当該技術分野で公知である。当業者であれば、例えば、WO2020/106,750(PROGENITY INC)から、治療物質を内腔壁内に送達するための正しいジェット力を提供する適切なジェット注射器を選択する方法を理解するであろう。更なる詳細および例は、本出願において更に提供される。
【0048】
無針ジェット注射の実施形態について、本カプセルは、原薬を、原薬が内腔壁の組織に貫入することを可能にする貫入速度で、ノズル配設を通して排出するように構成されてもよい。
【0049】
本カプセルの他の形態では、薬剤出口は、注射針を備え、原薬は、注射針を通して排出可能である。
【0050】
例示的な実施形態では、本カプセル装置は、患者による嚥下、および胃、小腸、または大腸のそれぞれなどの患者の胃腸管の内腔内への移動のために構成されている。本装置のカプセルは、ヒトなどの対象によって嚥下されることを可能にするように形状設定およびサイズ設定されてもよい。
【0051】
上記の配設により、経口投与された原薬を、生存哺乳動物対象の胃壁または腸壁内に、安全かつ確実に送達することができる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「薬剤」、「原薬」、「薬剤製品」、または「ペイロード」という用語は、指定された標的部位内またはその上に送達されることができる任意の製剤を包含することを意味する。薬剤は、単一の薬剤化合物、予混合されたもしくは共製剤化された複数の薬剤化合物、または更には2つ以上の別個の薬剤成分によって混合される製剤であってもよく、混合は、排出の前または最中のいずれかに行われる。代表的な薬剤としては、固体、粉末、または液体の両方の形態にある、ペプチド(例えば、インスリン、インスリン含有薬剤、GLP-1含有薬剤、ならびにその誘導体)、タンパク質、およびホルモンなどの医薬品、生物由来または活性物質、ホルモンおよび遺伝子に基づく物質、栄養製剤、ならびに他の物質が挙げられる。具体的には、薬剤は、インスリンまたはGLP-1含有薬剤であってもよく、これは、その類似体、および1つ以上の他の薬剤との組み合わせを含む。
【0053】
以下では、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に従う摂取可能なカプセル100の断面側面図であり、本カプセルは、
図2図2は、本発明の第1の実施形態に従う摂取可能なカプセル100の断面側面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に従うカプセル100のコア部材120の斜視図である。
図4図4は、本発明の第2の実施形態に従う摂取可能なカプセル200の断面側面図である。
図5図5は、本発明の第3の実施形態に従う摂取可能なカプセル300の断面側面図である。
図6図6は、本発明の第3の実施形態に従うカプセル300のコア部材120の斜視図である。
図7図7は、本発明の第4の実施形態に従う摂取可能なカプセル400の断面側面図である。
図8図8は、本発明の第4の実施形態に従うカプセル400のコア部材120の斜視図である。
図9図9は、異なるサイズのキャピラリーの圧力損失を示すグラフである。
図10a-10b】図10aおよび10bは、2つの異なるサイズのキャピラリーの液体表面についての略図を描写する。
図11図11は、接触角および表面張力がキャピラリーのブレークオフ前の最大速度に与える影響を示すグラフである。
図12図12は、様々なノズル直径についての体積流量Q対電力を示すグラフである。
図13図13は、異なる電力レベルでの様々なノズル直径に必要なキャピラリー直径を示すグラフである。
図14図14は、異なるノズル直径についての電力と圧力との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図中、同様の構造物は、主として同様の参照番号によって識別される。
【0056】
以下で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」などの用語、または同様の相対表現が使用されるとき、これらは、添付の図に言及するだけであり、必ずしも実際の使用状況ではない。示される図は、概図であり、そのため、異なる構造の構成、およびそれらの相対寸法は、例示的な目的のみを果たすことが意図される。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用されるとき、これは概して、説明される実施形態においてこの構成要素が単一の構成要素であることを示すが、代替的に、説明される構成要素のうちの2つ以上が単一の構成要素として、例えば、単一の射出成形部品として製造される可能性があるように、同一の部材または要素がいくつかの下位構成要素を備えてもよい。「組立品」および「サブ組立品」という用語は、説明された構成要素が所与の組立手順の間に単一の、または機能組立品またはサブ組立品を提供するために組立てられる必要があることを暗示しておらず、機能的により密接に関連するものとしてともに分類される構成要素を説明するために使用されるに過ぎない。
【0057】
図1、2、および3を参照すると、本発明に従う薬剤送達装置の第1の実施形態が説明され、本実施形態は、患者または他の使用者が摂取するようにカプセル装置100がサイズ設定および形状設定され、本装置は、患者の標的内腔内でトリガされると、ある用量の液体薬剤をカプセル装置100の外部部分に提供された薬剤出口を通して排出する、本カプセル装置に組み込まれたトリガ可能な排出システムを続いて展開するように構成されている。以下で単に「カプセル」と呼ばれる開示されている摂取可能なカプセル装置100は、例示に過ぎず、本発明に従って、異なるカプセル外形を有する他の形態で提供されてもよいことに留意されたい。また、示される出口は、出口を通して物質を直接排出するための出口ノズル開口部を提供するが、出口は、注射針と関連付けられた出口開口部を有するなど、代替の形態で提供されてもよい。開示の実施形態は、カプセルが、胃腸管、より具体的には小腸の内腔に入り、その後、内腔の内部または内腔を包囲する内腔壁の組織内のいずれかの標的位置で、原薬などのペイロードの液体用量を排出することを可能にするために、患者が摂取するのに好適なカプセル100に関する。他の実施形態では、本カプセルは、胃などの胃腸系の他の位置、大腸、または更には対象の他の内腔部分において、物質を排出するように構成されてもよい。
【0058】
示される実施形態のカプセル100では、原薬は、単一薬剤製品から調製されるか、または単一薬剤製品として提供されることが意図される。あるいは、物質は、少なくとも2つの薬剤製品から調製されてもよい。物質が2つの薬剤製品によって調製されるとき、第1の生成物は、第1の貯蔵部内に貯蔵されてもよく、一方で第2の生成物は、第2の薬剤チャンバー内に貯蔵され、排出前に混合されるか、または更には出口を通した排出中に混合されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の薬剤成分は、最初は粉末などの凍結乾燥原薬として提供され、一方で第2の薬剤成分は、希釈剤などの再構成液体である。他の実施形態では、2つ以上の薬剤製品は各々、最初は、薬剤排出の前または最中に互いと混合される液体として提供される。しかしながら、簡略化のために、以下の実施形態は、単一の生成物のみを排出するための変形を開示する。
【0059】
図1および図2を参照すると、カプセル100は、以下で「長手方向軸」とも呼ばれる軸に沿って延在する細長い形状を有するハウジングを含む。細長いハウジングは、円筒形セクションを含み、外部円形端部分、すなわち、近位端部分および遠位端部分を更に含む。示される実施形態では、出口190は、近位端部分と遠位端部分とのほぼ中間にある円筒形セクションの側壁部分に配設される。このため、出口は、内腔壁の組織に近接するように配設された表面から半径方向外側を向く。示される実施形態では、本カプセルは、00細長いカプセルに大体対応する形状およびサイズで形状設定される。
【0060】
示される実施形態では、カプセル100は、長手方向軸に対して横方向に位置付けられる薬剤出口190を含む。出口190は、ジェット注射の発生を可能にするアパーチャーであってもよい。
【0061】
ジェット薬剤送達のための既存のジェット注射器システムは、当該技術分野で公知である。当業者であれば、例えば、WO2020/106,750(PROGENITY INC)から、治療物質を内腔壁24内に送達するための正しいジェット力を提供する適切なジェット注射器を選択する方法を理解するであろう。
【0062】
具体的に、当業者であれば、ジェット注射を使用した患者の胃腸管内への薬剤送達中、ジェット注射器によって生成されたジェット流が、胃腸管の内腔と内腔に面する胃腸管の表面と結び付けることを理解するであろう。最終的に、原薬は、噴霧への分解が最小限である安定した流体のジェット流として、胃腸管の粘膜層(例えば、上皮層、および上皮層上に存在し得る任意の粘液)に影響を及ぼす物質によって、粘膜下組織および/または粘膜組織中に堆積する。
【0063】
原薬の流体の体積は、ジェット注射器をピークジェット速度で出るジェット流を生成するピーク流体圧力を受ける。ジェット流は、ピークジェット電力、ピークジェット圧力、およびピークジェット力により、胃腸管の内腔と内腔に面する胃腸管の表面との界面に影響を及ぼす。当業者であれば、これら3つのパラメータが相互に関連していることを認識するであろう。
【0064】
当業者であれば、記載されるタイプのジェット注射での使用の好適性について、様々なジェット注射器の特徴を評価および測定する方法を理解するであろう。例えば、ジェット電力を評価する1つの方法は、ジェットの力を測定する力センサー上にジェットを放出することである。力を読み取り、ノズルの面積およびジェット液体の密度を知ることに基づき、方程式1を使用して、ジェット速度を決定することができる。計算された速度に基づき、方程式2を使用して、電力(ワット)を計算することができる。ジェット圧力(すなわち、ジェット流が排出される圧力)を評価するために、方程式3を使用することができる。
【数1】
F=力(N)
ρ=密度(kg/m3)
A=ノズルの面積(m2)
V=速度(m/s)
P=電力(W)
bar=圧力(bar)
C=ノズル損失係数(典型的には0.95)
【0065】
図1を参照すると、示されるカプセル100は、円筒形のスリーブ部材を画定する主ハウジング110と、主ハウジング110の円筒形穴内に配設され、主ハウジングの大部分に沿って軸方向に延在する、略円筒形状のコア部材120とを含む。示される実施形態では、コア部材120は、主ハウジング110内に固定して備え付けられる。カプセル100の遠位端には、キャップ130が取り付けられ、キャップ130は、主ハウジング110を遠位端で密封し、コア部材120を完全に覆う。コア部材120内には、ガス膨張ユニットが配設され、このユニットは、示される実施形態では、事前に加圧されたガスキャニスター150を備える。本カプセルは、トリガ配設を更に備え、このトリガ配設は、ガス膨張ユニットを、すなわち所定の条件によってトリガされるときに、作動させるように構成されている。カプセル100がトリガされると、ガス膨張ユニットは、カプセル100内に収容された液体薬剤製品を出口190に向かって排出するために、液体薬剤貯蔵部に向けて加圧ガスを提供する。
【0066】
主ハウジング110の円筒形穴は、両端で開放するように形成される。よって、近位端にある主ハウジング110は、コア部材120が主ハウジング110によって覆われていない軸方向開口部を提供する。しかしながら、カプセル100の近位端、より具体的には、コア部材120の近位端は、半透過性膜によって閉じられ、この半透過性膜は、胃腸液のための流体侵入ポートとして機能し、本カプセルのトリガ配設の一部を形成する。
【0067】
図2は、カプセルが患者によって摂取される準備ができている初期状態にある組立てられたカプセルを表すカプセル100の断面側面図を示す。カプセル100の内部では、その近位端において、コア部材120が、カプセル100の遠位半分に配設されたより大きな直径の穴122に向かって延在する細長いチャネル121を画定する。より大きな直径の穴122の内部には、事前に加圧されたガスキャニスター150が収容され、ガスキャニスターは、ガス加圧チャンバーBを画定する。より大きな直径の穴122の軸方向の長さは、ガスキャニスター150の軸方向の長さよりも長く、それにより、ガスキャニスターを、初期の近位位置(図2に示される)から、より遠位に位置する、すなわち、カプセル100の遠位端にある第2のトリガ位置に向かって、軸方向に移動させることができるようになる。より大きな直径の穴122は、ガスキャニスター150から遠位に位置する作動チャンバーAを画定する。
【0068】
薬剤貯蔵部は、断面が貯蔵部の長さと比較して特に狭い、細長いチャネルまたはダクトとして、カプセル100内に形成される。本開示では、薬剤貯蔵部は、カプセル100の貯蔵の間、または患者がカプセルを嚥下する直前に、液体薬剤製品がキャピラリーに充填されている間のいずれかに、液体薬剤製品を収容することを意図した、キャピラリー125またはキャピラリーダクトと呼ばれる。本明細書に示される実施形態では、キャピラリー125は、ガス膨張ユニットと出口との間に単一のキャピラリーダクトまたはチャネルを形成する。
【0069】
ほとんどの実施形態について、キャピラリー125は、カプセル100の軸長よりも長く、典型的には、カプセル100の軸長よりもはるかに長い全長を有する細長いチャネルを形成する。これを達成するために、キャピラリー125は、少なくとも1つの非直線状セグメント経路に沿って、典型的には、キャピラリー入口セクションからキャピラリー出口セクションまで、複数の非直線状セグメント経路を通って延在するように配設され、後者は、それと流体連通するために薬剤出口190に隣接して配設される。よって、キャピラリー125は狭いチャネルを画定するが、キャピラリー125の非線形構成は、カプセル100に収容される液体薬剤のための実質的な体積を提供する高密度に詰められた構成を形成する役割を果たす。
【0070】
図2を参照すると、示される実施形態では、キャピラリー125、すなわち、薬剤貯蔵部は、キャピラリー入口セクション125Aと中間セクション125Dとの間で軸方向にほぼ中間に配設された、薬剤出口190に向けて半径方向外向きに延在するキャピラリー出口セクション125Fを介して、遠位に配設されたキャピラリー入口セクション125Aから近位に配設された中間セクション125Dへ、および更に略直線形状のセグメント125Eにおいて軸方向に続く、略螺旋状に延在するセグメント125B、125Cを含むように成形される。直線形状のセグメント125Eが螺旋状に延在するセグメント125B、125Cを軸方向に横切るために、直線形状のセグメント125Eは、半径方向に重複する様式で螺旋状に延在するセグメント125B、125Cに対して半径方向内向きに延在するように配設される。
【0071】
カプセル100の残りの部分から分離されたコア部材120が、図3の斜視外面図に示される。示される実施形態では、コア部材120は、略円筒形の外面を画定する。外面は、コア部材120の遠位端セクションからコア部材の近位端セクションまで延在する、略螺旋状に延在する陥凹軌道125b、125cを含む。コア部材120の遠位端に位置するキャピラリー入口セクション125Aは、より大きな直径の穴122と螺旋状に延在するセグメント125B、125Cとの間の流体連通を提供する半径方向内向きに延在するチャネルとして延在する。コア部材120の近位端に位置する中間セグメント125Dは、螺旋状に延在するセグメント125Bと125Cとの間の流体連通を提供する半径方向内向きに延在するチャネルとして延在する。直線形状のセグメント125Eは、中間セグメント125Dから軸方向に遠位に、プラグ226で終結する薬剤出口190をわずかに軸方向に超えて、延在する。半径方向外向きに延在するキャピラリー出口セクション125Fは、直線形状のセグメント125Eと、主ハウジング110の円筒形スリーブ部材中に、すなわち、薬剤出口190に形成されたジェットノズル192との間の流体連通を提供する。
【0072】
半径方向外向きに延在するキャピラリー出口セクション125Fを収容するために、螺旋状の延在するセグメントは、キャピラリー出口セクション125Fに対してそれぞれ近位および遠位に配設される2つのサブセグメント125Bおよび125Cに分割される。螺旋状サブセグメント125Bおよび125Cのピッチは、高密度に詰まったキャピラリー構成を提供するように選択される。2つのサブセグメント125Bと125Cとを相互接続するチャネルは、半径方向外向きに延在するキャピラリー出口セクション125Fのためのスペースを作るために、ピッチをかなり大きくして形成される。
【0073】
示される実施形態では、図2に示すように、主ハウジング110の円周方向に配設された外側スリーブと組み合わせたコア部材120の外面に形成された螺旋状に延在する陥凹軌道は、比較的小さな曲率半径を有する角を画定する正方形の断面を伴うキャピラリーを画定する。こうした実施形態により、製造コストを下げるために最適化されたカプセルが提供され得る。しかしながら、他の実施形態では、キャピラリーは、より大きな曲率半径を伴う角部を有する正方形の断面など、異なる形状の断面で形成されてもよい。また、特定の実施形態では、キャピラリーは、円を画定する断面形状を提供するように形成されてもよい。ただし、キャピラリーは、キャピラリー125の延長全体にわたって、すなわち、セグメント/セクション125A、125B、125C、125D、125E、および125F全体にわたって、同じ断面形状または寸法を有する必要はないが、異なる形状および/または様々な領域を伴って形成されてもよいことが留意される。
【0074】
本発明の態様に従い、薬剤貯蔵部、すなわち、キャピラリー125からの薬剤の排除は、膨張ガスと貯蔵部内に収容される液体薬剤との間に配設されたピストンまたは密封プランジャーなどの分離部材を使用することなく行われる。代わりに、キャピラリー125は、キャピラリー内に収容された液体薬剤が、出口190を通して液体薬剤を出して空にするように液体に作用する膨張ガスに対して、明確に画定された液体界面を呈するように、液体およびガス膨張ユニットの特性と組み合わせて、設計される。明確に画定された液体界面とは、ガスが液体界面に直接作用するが、貯蔵中、および/または液体薬剤をキャピラリー125から出して空にする間に、ガス膨張ユニットからのガスと液体薬剤との混合が発生しないか、または実質的なものではない混合しか発生しないことを意味する。こうすると、加圧ガスが液体から抜かれた場所で、キャピラリー内に、液体の液滴が残らないか、またはわずかな数の液滴しか残らない。同様に、キャピラリー125の液体カラムに進入することになる気泡は、存在しないか、または量がわずかである。薬剤排出の過程で、液体界面、すなわち、液体カラムの後端部は、キャピラリー125を通って薬剤出口に向かって移動し、最終的にジェットノズル192に到達することになる。
【0075】
キャピラリー125の端部に配設される出口190は、貯蔵部からカプセル100の外部への流体出口通路を画定する。示される実施形態では、出口190は、薬剤が出口を通って押し出されるときに、薬剤の液体ジェット流を創出するように寸法設定および形状設定されたジェットノズル192を含む。貯蔵部は、液体薬剤の高い圧力で破壊されるように設計された密封により、出口において密封されてもよい。
【0076】
カプセルが初期状態をとるとき、すなわち、投与前には、液体原薬は、貯蔵部、すなわち、キャピラリー125内に収容される。示される実施形態では、液体薬剤は、液体がキャピラリー入口セクション125Aからキャピラリー出口セクション125Fまで全体的に、キャピラリー125を完全に満たし、更に場合によってはジェットノズル192によって画定される内部空間を満たし、その結果、カプセル100に含まれる液体が、空気などのガスの気泡のない連続的な液体体積を形成するように充填される。初期状態において、液体界面はチャネル132に位置してもよい。
【0077】
再び図2を参照すると、キャピラリー125は、キャップ130内に形成されたチャネル132を介して作動チャンバーAと流体連通して配設される。示される実施形態では、キャップ130は、キャップ130と一体的に形成されるスパイク170を更に含む。
【0078】
上述のように、示される実施形態では、ガス膨張ユニットは、事前に加圧されたガスキャニスター150を含む。ガスキャニスター150は、高圧で貯蔵されたガスを収容する円筒形空間Bを有するエンクロージャーを形成する。円筒形空間は、この実施形態では、薄いホイル材料、例えば、アルミホイルから作製された膜として提供される破裂可能な密封部151によって閉鎖され、破裂可能な密封部151は、カプセル100の遠位端に面する。この第1の実施形態では、ガスキャニスター150は、より大きな直径の穴122内で軸方向に摺動可能に配設される。
【0079】
スパイク170は、キャップ130上にその中央位置で固定されて配置され、すなわち、長手方向軸と同軸に配設されている。スパイクは、近位方向を向いている、したがってガスキャニスター150の破裂可能なシール151に向かう、尖った端部を有する。スパイク170は、ガスキャニスター150がスパイク170に対して遠位に移動すると、密封部151を破裂させて、加圧ガスを円筒形空間Bから脱出させ、作動チャンバーA内に流入させるように構成される。
【0080】
上記のように、コア部材120の近位端は、半透過性膜145によって閉じられ、この半透過性膜145は、流体侵入ポートとして機能し、本カプセルのトリガ配設の一部を形成する。半透過性膜145は、コア部材120の近位に面する端壁上に固定されて配設され、その結果、半透過性膜が、コア部材120内に形成された細長いチャネル121の近位端を覆うようになる。よって、カプセル100の細長いチャネル121に進入する胃腸液は、半透過性膜145を通過する必要がある。コア部材120の近位に面する端壁は、半透過性膜145の設置面として機能するのに十分な構造強度および面積を提供する。
【0081】
示される実施形態について、半透過性膜145用のカプセル100の例示的な材料は、標準グレード再生セルロース(RC)から作製されてもよい。半透過性膜145用の材料は、体液に供されたときに生分解性であるように選択されてもよい。
【0082】
一片のスポンジ材料140が、当接関係においてなど、半透過性膜145に近接して配設される。スポンジ材料140は、液体との接触に供されたときに急速に膨潤する顕著な能力を呈するように選択された、繊維性、多孔性、または微孔性の、連続気泡の材料から作製された吸収性材料によって形成されてもよい。示される実施形態では、スポンジ部分140は、圧縮形態で提供される乾燥セルローススポンジであり、セルロースは、生分解性スポンジとして提供される。
【0083】
スポンジ部分140は、半透過性膜145とガスキャニスター150との間に軸方向に配置された細長いチャネル121内に配設される。半透過性膜が開口部115を通して胃液に急速に浸漬すること、すなわち、半透過性膜と組み合わせて浸透圧駆動としての役割を果たすことを可能にするために、塩142または類似の材料が、半透過性膜145およびスポンジ部分140の両方と接触して位置付けられる。示される実施形態では、半透過性膜145、スポンジ部分140、およびガスキャニスター150は、スポンジ部分140内に形成された空洞内に配設された塩142により互いに接着してもよい。いくつかの実施形態について、スポンジ部分140は、胃液がスポンジを膨張させると、スポンジが主にまたは専ら軸方向寸法で膨張するように、その円周の周囲に拘束されてもよい。
【0084】
示される実施形態では、半透過性膜145、塩142、スポンジ部分140、およびスパイク170は、組み合わさって、トリガ組立品を形成する。また、示される実施形態では、図1および図2では見えないが、半透過性膜145は、最初に半透過性膜145を通した流体の侵入を遮断するpH感受性腸溶コーティングの層によって最初は覆われている。当該技術分野で公知のように、腸溶コーティングは、胃から小腸に移動するときにカプセル100が受けるpHレベルの顕著なシフトを利用するように構成されてもよい。カプセルが小腸に進入した後、所定の時間が経つと、腸溶コーティングは十分に分解された状態となり、その結果、胃腸液が半透過性膜145を通って進入し得るようになる。
【0085】
次に、カプセル100の動作について説明する。患者がカプセル100を嚥下した後、小腸に進入すると、カプセル100の腸溶コーティングが溶解し始め、直後に胃液が浸透圧駆動のために利用可能になって、半透過性膜145を横切る流体輸送を提供する。
【0086】
胃腸液がスポンジ部分140と接触すると、スポンジは、急速に膨張し始める。示される実施形態では、スポンジ部分140は、流体がスポンジを膨潤させると、スポンジが主にまたは専ら軸方向寸法で膨張するように、その円周の周囲に拘束されてもよい。スポンジ部分140の軸方向の膨潤により、ガスキャニスター150は、半透過性膜145を通る流体の侵入の過程で遠位に変位する。
【0087】
ガスキャニスター150が遠位に移動すると、スパイク170は、破裂可能な密封部151と接触し始めることになる。ガスキャニスター150が更に遠位に移動すると、スパイク170は、ある時点で、破裂可能な密封部151を貫通し、その後、ガスキャニスター内の加圧ガスが作動チャンバーAを脱出し、ガス圧力を急速に増加させて、液体薬剤界面に直接作用するようにする。上記のように、発端からのカプセルの充填レベルに応じて、液体界面は、最初は、キャピラリー入口セクション125A内などのキャピラリー125の内部、またはチャネル132内のいずれかに提供されてもよい。
【0088】
作動チャンバーAにおけるガス圧力の急速な増加は、負荷、すなわち、上昇したガス圧力を液体薬剤界面上に直接及ぼして、キャピラリー125に存在する液体カラム全体を出口に向かって押すように作用し、液体ジェットの流れがジェットノズル192から形成され始める。ジェット流の力は、小腸の内腔壁の組織内に薬剤デポーを形成するために、粘膜組織に貫入するように構成される。
【0089】
最終的に、キャピラリー125に存在する全ての液体薬剤がキャピラリー125から出て空になり、ジェットノズル192を通る薬剤のジェット流は終了することになる。液体薬剤の送達後、カプセル100は、消化管を通過し、その後、排泄されることができるようになる。
【0090】
ここで図4を参照して、カプセル200の第2の実施形態をこれから説明する。カプセル200は、多くの態様ではカプセル100に対応するが、トリガ可能な排出システム、すなわち、ガス膨張ユニットおよびトリガ配設が異なる。
【0091】
第2の実施形態の主ハウジング210およびコア部材220は、第1の実施形態の主ハウジング110およびコア部材120と同様に形成される。よって、キャピラリーダクト225、すなわち薬剤貯蔵部、および薬剤出口290は、構造および機能において、カプセル100のそれに対応する。
【0092】
遠位に配設されたキャップ230は、ここでも、カプセル200の遠位端を密封する。キャップ230はまた、チャネル232を提供し、その結果、キャピラリー225が、キャップ230内に形成されたチャネル232を介して中間チャンバーCと流体連通して配設されるようになる。
【0093】
第2の実施形態のカプセル200については、排出システムが、トリガ時、すなわち所定の条件によるトリガ時に、加圧ガスを発生させるように構成されて配設される。駆動システムは、キャピラリー225の液体カラムに負荷をかけるためにガスを生成することができるガス発生器を備えるが、所定の閾値を超過するガス発生器からの上昇したガス圧力のみに供される。示される実施形態では、ガス発生器は、作動チャンバーA、すなわち細長いチャネル221およびより大きな直径の穴222を画定するコア部材220の中空空間の内部に配設される。
【0094】
ガスが化学反応によって発生してもよく、その結果、ガス発生器が作動すると、ガスが生成されて、カプセル200の作動チャンバーA内に加圧ガスが形成される。例えば、水素セル、エアバッグインフレータ、相変化を利用するガス発生器、または重炭酸ナトリウムと酸とを混合するなど、反応物を混合し、化学的に反応させてガスを形成することを組み込む発生器などのガス生成セルを使用することによって、作動チャンバーA内にガス発生を提供するために、異なる原理を使用してもよい。反応物の混合を使用するガス発生については、全ての反応物は、作動前にカプセル上に保存されてもよく、または少なくとも1つの反応物は、カプセル上に保存された反応物と混合するためにカプセル内に導入されてもよい。
【0095】
以下は、二酸化炭素COを生成し、作動チャンバーA内で加圧ガスを発生させるための構成要素として使用され得る、化学反応の例である。
実施例1(塩酸を含む炭酸カルシウム):CaCo3+2HCl→CaCl2+H2O+CO2
実施例2(重炭酸ナトリウムを含むクエン酸):C6H8O7+3NaHCO3→3H2O+CO2+Na3C6H5O7
実施例3(重炭酸ナトリウムを含む酒石酸):H2C4H4O6+2NaHCO3→Na2C4H4O6+2H2O+2CO2
【0096】
発泡反応のための酸の例:
-クエン酸
-酢酸
-塩酸
-酒石酸
-リンゴ酸
-アジピン酸
-アスコルビン酸
-フマル酸
【0097】
発泡反応のための炭酸塩の例:
-重炭酸ナトリウム
-炭酸ナトリウム
-炭酸カルシウム
-重炭酸カリウム
【0098】
他の実施形態では、発泡反応は、1つ以上の固体状態の成分が湿潤している(例えば、腸液、またはカプセル200に貯蔵された他の流体に曝されている)ことによって起こってもよく、これが発泡反応を引き起こす。
【0099】
図4におけるカプセル200の示される実施形態では、ガスは、作動チャンバー内に配設された内部配設された発泡材料260によって、および胃腸液を作動チャンバーA内に導入して発泡材料部分260と反応するのに役立つ半透過性膜245によって、作動チャンバーA内で発生する。
【0100】
発泡材料部分260は、後にブロック形状に圧縮される粉末成分から形成されてもよい。ブロック形状の発泡材料部分260は、少なくとも1つの酸性材料と、重炭酸ナトリウムおよびクエン酸などの1つの塩基性材料とで構成される発泡対を含む。発泡材料260のブロックは、半透過性膜245に接着されて、ガス生成に利用可能な作動チャンバーAの体積を残しながら膜との近接を確実にする。
【0101】
第1の実施形態のカプセル100に関連して上記したように、第2の実施形態のカプセル200のコア部材220の近位端は、流体侵入ポートとして機能し、カプセルのトリガ配設の一部を形成する半透過性膜245によって閉じられる。半透過性膜245は、コア部材220の近位に面する端壁上に固定されて配設され、その結果、半透過性膜が、コア部材220内に形成された細長いチャネル221の近位端を覆うようになる。よって、カプセル200の細長いチャネル221に進入する胃腸液は、半透過性膜245を通過する必要がある。コア部材220の近位に面する端壁は、半透過性膜245の設置面として機能するのに十分な構造強度および面積を提供する。他の実施形態では、膜は、締付構造によってコア部材に対して設置されてもよい。
【0102】
示される実施形態について、半透過性膜245用のカプセル200の例示的な材料は、標準グレード再生セルロース(RC)から作製されてもよい。半透過性膜245用の材料は、体液に供されたときに生分解性であるように選択されてもよい。
【0103】
バーストゲートとして機能するバースト部材は、作動チャンバーAと中間チャンバーCとの間で軸方向に配設される。バースト部材は、加圧ガスによって提供される負荷をキャピラリー225の液体薬剤カラム上に放出するために、ゲートとして機能するが、これは、作動チャンバーA内のガス圧力が所定の閾値圧力レベルを超えて増加する際のみである。所定の閾値圧力レベルを下回るガス圧力に対しては、バースト部材は、実質的に気密の密封を形成し、キャピラリー225内に収容された液体薬剤が出口290に向かって移動することを防止する。
【0104】
示される実施形態では、カプセル200は、遠位端キャップ230に隣接する軸位置で軸方向に固定される破裂可能な膜280の形態でバーストゲートを含む。ハウジング部分に対して接着されることによるもの、または1つ以上のハウジング部分に対して固定して設置された硬質構造間のバースト膜の締付によるものなど、異なる取り付け方法が、破裂可能な膜230をカプセル200内に設置するために使用され得る。
【0105】
図4の実施形態では、破裂可能な膜280は、薄い平面ディスクとして形成される。破裂可能な膜用の例示的な材料は、アルミニウムなどの金属材料、ポリマー材料、または所定の閾値圧力レベルでバーストする明確に定義された能力を呈する他の好適な材料から選択されてもよい。破裂可能な膜を平面ディスクとして形成する代わりに、バーストゲートは、薄い層状の材料の形態を含んでもよく、この形態は、初期状態で1つ以上の凸状および/または凹状部分を呈しても、またはこれを含んでもよい。
【0106】
図4に示される例示的なカプセル200では、ジェット送達は、作動チャンバーBの12bar程の最大流体圧力で動作するように寸法設定されてもよい。示される例では、半透過性膜245は、漏出する前に12barをわずかに上回る最大ガス圧力に耐えることができる。本明細書に従い、バーストディスクは、ガス圧力レベルが12barを超過すると、液体原薬の界面に向かってガスの放出を提供するように設計されてもよい。
【0107】
破裂可能な膜280は、異なる実施形態では、ガス圧力が所定の閾値圧力レベルを超過すると、破裂可能な膜が破断し始める場所(単数または複数)を画定する、スコアリング線または他の弱化部分を含み得る。
【0108】
第2の実施形態のカプセル200は、図4では見えないが、半透過性膜245は、最初に半透過性膜245を通した流体の侵入を遮断するpH感受性腸溶コーティングの層によって最初は覆われている。当該技術分野で公知のように、腸溶コーティングは、胃から小腸に移動するときにカプセル200が受けるpHレベルの顕著なシフトを利用するように構成されてもよい。カプセルが小腸に進入した後、所定の時間が経つと、腸溶コーティングは十分に分解された状態となり、その結果、胃腸液が半透過性膜245を通って進入し、発泡材料部分260に向けた膜を通した流体の移動を開始してもよい。図4に示される実施形態について、腸溶コーティングは、半透過性膜245および発泡材料部分260によって形成されるガス発生器を作動させるためのトリガ配設の一部を形成する。
【0109】
次に、カプセル200の動作について説明する。患者がカプセル200を嚥下した後、小腸に進入すると、カプセル200の腸溶コーティングが溶解し始め、直後に胃腸液が利用可能になって、半透過性膜245を横切る流体輸送を可能にする。
【0110】
流体が発泡材料部分260と接触すると、加圧ガスが作動チャンバーA内で形成され始め、それによってガス圧力が徐々に増加し、増加していく負荷を破裂可能な膜280に提供する。所定の期間が経過した後、作動チャンバーA内のガス圧力レベルは、破裂可能な膜280を破裂させることになる所定の閾値圧力レベルを超過する。
【0111】
以後、作動チャンバーA内の加圧ガスは、破裂した膜280を通って脱出し、中間チャンバーC内部のガス圧力が急速に増加することになる。中間チャンバーCにおけるガス圧力の急速な増加は、負荷を液体薬剤界面上に直接及ぼして、キャピラリー225に存在する液体カラム全体を出口に向かって押すように作用し、液体ジェットの流れがジェットノズル292から形成され始める。ジェット流の力は、小腸の内腔壁の組織内に薬剤デポーを形成するために、粘膜組織に貫入するように構成される。
【0112】
最終的に、キャピラリー225に存在する全ての液体薬剤がキャピラリー225から出て空になり、ジェットノズル292を通る薬剤のジェット流は終了することになる。液体薬剤の送達後、カプセル200は、消化管を通過し、その後、排泄されることができるようになる。
【0113】
上記の実施形態に記載されるように、嚥下後、本カプセル装置は、最初に胃を通って移動し、その後小腸に進入する。腸溶コーティングは、小腸に進入すると溶解するため、カプセル100および200への液体の侵入は、流体入口/半透過性膜を通した流体の侵入が可能になるために腸溶コーティングが十分に溶解したときにのみ開始される。
【0114】
腸溶コーティングは、コーティングされた物体が活性化されて腸内に放出されることを可能にするいずれの好適なコーティングであってもよい。場合によっては、腸溶コーティングは、胃と比較して小腸で優先的に溶解してもよい。他の実施形態では、腸溶コーティングは、胃と比較して小腸で優先的に加水分解してもよい。腸溶コーティングとして使用される材料の非限定的な例としては、アクリル酸メチル-メタクリル酸共重合体、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(すなわち、酢酸コハク酸ヒプロメロース)、酢酸フタル酸ビニル(PVAP)、メタクリル酸メチル-メタクリル酸共重合体、およびアルギン酸ナトリウム、およびステアリン酸が挙げられる。追加の例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるUS2018/0193621に開示されている。所与の物体(ここではカプセル)、または流体入口のみが、腸溶コーティングでコーティングされてもよい。腸溶コーティングは、所与のpHで、または所与のpH範囲内で、例えば、5.5超のpHで、6.5超のpHで、約5.6~6の範囲内で、または約5.6~6.5もしくは7の範囲内で可溶性であるように構成されてもよい。腸内pHでの溶解時間は、腸溶コーティングの組成によって制御または調整され得る。例えば、腸内pHでの溶解時間は、腸溶コーティングの厚さによって制御または調整され得る。
【0115】
他の実施形態では、トリガが起こるときを制御するための条件は、他の原理によって提供されてもよい。例えば、溶解可能な層は、最初にカプセルの流体入口を遮断するように配置されてもよく、溶解可能な層の溶解は、胃液への最初の曝露時に始動され、溶解可能な層のタイミングは、カプセルがどの位置で展開するかの決め手である。また、胃で展開可能なカプセルなどについては、コーティングは存在しない場合があり、その結果、ガス膨張ユニットのトリガは、十分な液体が半透過性膜を通して移されるとすぐに起こる。更に他のトリガ原理は、流体入口を通してカプセルのガス膨張ユニットに入る、温度変化によって誘導される胃液の通過に依存してもよい。
【0116】
例示的な実施形態の上記説明は、主に小腸における送達のための摂取可能なカプセルに関するものであるが、本発明は概して、カプセル装置が製剤の送達のために身体内腔内に位置付けられる、内腔挿入のためのカプセル装置全般に有用性を見出す。カプセル装置の非限定的な例としては、胃内への送達または胃壁の組織内への送達のためのカプセル装置が挙げられる。例えば、WO2018/213600に記載される様々な自己復元または自己配向構造および/または方法が、本開示に従うカプセル装置によって用いられ得る。WO2018/213600は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0117】
本明細書に記載される特定の薬剤貯蔵部および排出配設を利用するカプセルの様々な実施形態では、薬剤送達は、針などの送達部材を使用して行われても、粘膜内層への無針液体ジェット貫入を提供するための液体のジェット流を介して行われても、内腔内の噴霧を介して行われてもよい。
【0118】
本明細書に開示されるように、キャピラリーダクト125および225は、第1の部品および第2の部品に好適な凹部を作成することによって形成されてもよく、これらにより、組み合わせると、組立て時に、所望のキャピラリーダクトが形成される。第1および第2の実施形態では、コア部材120/220内に陥凹軌道が形成されるが、陥凹軌道は、代わりに主ハウジング110/210内に形成されてもよい。更に他の実施形態では、両方の部品は、陥凹領域を含んでもよく、これらが組立て時に組み合わさって、所望の断面を有するキャピラリーダクトを形成する。例えば、第1の部材および第2の部材の各々は、表面への半円形の陥凹で形成されてもよい陥凹軌道を含んでもよい。第1および第2の部品が組立てられると、第1の部品の半円形陥凹軌道と第2の部品の半円形陥凹軌道とにより、円形の断面を有するキャピラリーダクトが形成される。
【0119】
また、他の実施形態では、キャピラリーは、楕円形または多角形などの他の断面形状で形成されてもよい。キャピラリーダクトが長方形の断面を有し、キャピラリーの断面が、厚さ寸法に対して横方向に比較的幅の広い薄いスロットとして形成され得る実施形態が提供されてもよい。更に他の実施形態は、第1および第2の同軸上に配設された円筒、例えば、第1の円筒を囲むように配設される第2の円筒を含んでもよく、ここでは、薄い円筒形の隙間が、第1の円筒と第2の円筒との間に形成され、すなわち、キャピラリーが、第1の円筒を囲む円筒形断面である環状の円形断面を画定するようになる。
【0120】
図5および図6を参照して、更なる第3の実施形態のカプセル300を次に説明する。カプセル300は、上記のカプセル200と同様に機能するように設計されているが、キャピラリーダクトは異なって設計されている。キャピラリー225は、組み合わさってキャピラリー225を形成する第1および第2の部品から作製されるのに対し、カプセル300は、接合されて単一部材チューブ320を形成する成形部分から作製される単一体キャピラリー325を含む。単一部材チューブ320は、後に、カプセルハウジング310に挿入される。チューブ320は、硬質材料から形成されても、代替的に可撓性材料から形成されてもよく、チューブは、示される実施形態では、第1の入口端から第2の出口端まで約5.5の巻きで、螺旋状の経路に沿って延在するように配設される。
【0121】
バーストゲートは、チューブ320に固定されて取り付けられた様式で、チューブ320の第1の入口端に提供される。バーストゲートは、ここでも、カプセル300のトリガの前にチューブ320の入口端で液密の密封を形成する、破裂可能な膜380の形態で提供される。破裂可能な膜380は、作動チャンバー(A)内のガス圧力が閾値圧力レベルを超えて増加する際に、負荷、すなわち、ガス圧力をキャピラリー325内の液体原薬に放出し、それにより原薬の排出を始動するように、構成される。
【0122】
図5に示されるように、チューブ320がカプセルハウジング310内に配設された状態で、チューブ320の第2の出口端は、薬剤出口390に対して密封様式で嵌合されるが、薬剤出口がカプセルハウジング310の近位端に位置する状態では、ここでも、細長いカプセルの外側面に対して半径方向外向きを指している。第2の実施形態と同様に、図面には示されていないが、取り外し可能な密封部は、ジェットノズル392の出力側またはジェットノズル392から上流の内部位置のいずれかで、薬剤出口390を密封するように配設されてもよい。第1の入口端部と第2の出口端部との間のチューブ320の内部に、液体原薬が貯蔵される。
【0123】
また、第3の実施形態のカプセル300については、排出システムが、トリガ時、すなわち所定の条件によるトリガ時に、加圧ガスを発生させるように構成されて配設される。駆動システムは、キャピラリー325の液体カラムに負荷をかけるためにガスを生成することができるガス発生器を備えるが、所定の圧力閾値を超過するガス発生器からの上昇したガス圧力のみに供される。ここでも、排出システムは、第2の実施形態の膜245と類似した半透過性膜345および発泡材料部分260と類似した発泡材料部分360を組み込む。発泡材料部分は、カプセルハウジング310の近位端に配設され、チューブ320およびカプセルハウジング310は、カプセルハウジングの近位端で発生したガスが破裂可能な膜380に向かって妨げられずに流れるように設計される。ここでも、第2のカプセル200については、遠位端キャップ330は、カプセルハウジング31の遠位端に、密封様式で取り付け設置される。好適なトリガ配設が含まれるが、示されていない。
【0124】
第4の実施形態のカプセル400が図7および図8に示される。カプセル400は、上記のカプセル300と同様に機能するように設計されているが、ここでもキャピラリーダクトは異なって設計されている。カプセル400には、滑らかな外面を伴うが、螺旋状の延在するキャピラリーダクト425の一部を形成するように形状設定される半径方向内側に面する表面を伴う、細長く略円筒形の形状を有するカプセルハウジング410が提供される。半径方向内側に面する表面は、半円形の陥凹で形成される陥凹軌道を含む。コア部材420は、半径方向外側に面する表面への半円形の陥凹として形成される陥凹軌道を含む。コア部材420がカプセルハウジング410に挿入されるとき、コア部材の半円形陥凹軌道とカプセルハウジングの半円形陥凹軌道とは、組み合わさって、第1の入口端から第2の出口端まで螺旋状の経路に沿って延在するように配設された円形の断面を有するキャピラリーダクトを提供する。示される第4の実施形態では、螺旋状のキャピラリーダクト425は、第1の入口端から第2の出口端まで約6つの巻きで形成される。
【0125】
破裂可能な膜480として提供されるバーストゲートは、キャピラリー425の第1の入口端から「上流」に提供される。示される実施形態では、破裂可能な膜4808は、コア部材420の長手方向に延在する貫通穴内に、その遠位端で固定されて設置される。
【0126】
図7に示すように、カプセルハウジング410内に一体的に成形された薬剤出口490は、ジェットノズル492を伴って形成される。カプセルハウジング410は、キャピラリーダクト425を部分的に構成するため、キャピラリーダクト425と薬剤出口との間の接合は不要である。薬剤出口は、カプセル400を取り囲む組織の液体ジェット貫入を可能にするために、細長いカプセルの外側面に対して半径方向外向きを指す様式で、カプセルハウジング410の近位端に位置する。第3の実施形態と同様に、図面には示されていないが、取り外し可能な密封は、ジェットノズル492の出力側またはジェットノズル492から上流の内部位置のいずれかで、薬剤出口490を密封するように配設されてもよい。第1の入口端部と第2の出口端部との間のキャピラリーダクト425の内部に、液体原薬が貯蔵される。
【0127】
第3の実施形態に類似して、第4の実施形態のカプセル400は、トリガ時、すなわち所定の条件によるトリガ時に、加圧ガスを発生させるように構成されている排出システムを備える。駆動システムは、キャピラリー425の液体カラムに負荷をかけるためにガスを生成することができるガス発生器を備えるが、所定の圧力閾値を超過するガス発生器からの上昇したガス圧力のみに供される。ここでも、排出システムは、第3の実施形態の膜345と類似した半透過性膜445および発泡材料部分360と類似した発泡材料部分460を組み込む。発泡材料部分は、カプセルハウジング410/コア部材420の近位端に配設され、その結果、コア部材420の長手方向に延在する穴において近位端で発生したガスが破裂可能な膜480に向かって妨げられずに流れることができるようになる。
【0128】
第4の実施形態では、遠位端キャップ430が、カプセルハウジング410と一体的に形成される。好適なトリガ配設が含まれるが、示されていない。
【0129】
以下では、カプセル装置の動作およびキャピラリー排出機能の決め手となる異なるパラメータを考察する。
【0130】
実施例1.
本発明に従う例示的なカプセル装置について、好適なジェットノズルサイズ
【数2】
約0.25mmで選択してもよく、アンプル中の適用圧力
【数3】
約10barで選択してもよく、これはジェット注入プロセスによって決定される。
【0131】
ノズル設計の標的は、約2Wの電力
【数4】
を送達するジェットを創出すること、すなわち、流量
【数5】
が約2000mm/sであるようにすることである。
【0132】
貯蔵部または「キャピラリー」の直径
【数6】
が小さい場合には、これは、所与の薬剤体積を収容するのに長さも必要であり、このことは、嚥下される装置内に適合させるのを困難にし得る。
【0133】
他の制約または設計上の考慮事項には、著しい圧力損失を引き起こさないようにするための貯蔵部セクションにおける流れ抵抗が含まれる。
【0134】
加えて、本システムは、表面張力が明確に画定された液/気界面を維持することができ、全ての薬剤がキャピラリーから排出されるように設計される必要がある。
【0135】
貯蔵部における流れ抵抗は、
【数7】
であり、ここで、
【数8】
は、リザーバ内の液体カラムの長さである。薬剤体積
【数9】
に対応するためには、
【数10】
が必要であり、ここで、
【数11】
は、断面積である。圧力損失は、
【数12】
であり、粘度
【数13】
【数14】
であり、
【数15】
で排出された水様の薬剤については、貯蔵部の直径が
【数16】
であるとき、圧力損失は0.4bar未満である。図9参照。
【0136】
表面張力が重力を克服し、貯蔵部において明確に画定された界面を維持するためには、貯蔵部の直径は、いわゆる「キャピラリー長」
【数17】
と比較して小さいか、またはそれほど大きくない必要がある。表面張力
【数18】
密度
【数19】
および重量
【数20】
の薬剤については、
【数21】
である。よって、こうしたシステムのための貯蔵部は、2.3mmよりもはるかに大きくすることはできない。
【0137】
シミュレーションによると、比率
【数22】
の場合、すなわち、
【数23】
に対応する
【数24】
であると、界面が不安定になることが示される。図10aは、
【数25】
での液/気界面を示し、一方で図10bは、
【数26】
での液/気界面を示す。両方とも、接触角は
【数27】
であり、重量は「下」を向いている。D>3.57mmについては、液体は、貯蔵部の片側に水溜まりを形成し得る。
【0138】
本デバイスが振盪されたまたは落下した場合、g力は、9.8m/s超であり、いずれの場合も界面が乱され得る。これがジェット注射事象中に起こる可能性は低いが、貯蔵中には、いずれの貯蔵部も空気を含まないようにするべきであり、さもなければ、空気が液体カラム中または更にはノズル領域中で気泡を形成する場合に、機能にどのような影響が及ぶのかを検討する必要がある。
【0139】
貯蔵部表面上に薬剤の液滴を残さないために、薬剤に向かう接触角θが
【数28】
である、適度に疎水性である物質を選択する必要がある。理想的には、ポリマー貯蔵部には、
【数29】
程度が達成可能であろう。
【0140】
移動界面における粘性力と表面張力との間のバランスのための特性速度は、
【数30】
である。
【数31】
および
【数32】
については、
【数33】
である。界面速度
【数34】
と特性速度との比率は、いわゆる「キャピラリー数」である。
【数35】
【0141】
【数36】
少ない場合、表面張力は、界面を損傷せずに維持し、貯蔵部を完全に空にすることができる。しかしながら、より大きい
【数37】
では、移動界面での流体力学により、液体フィルムが残り、これは、後に表面に液滴を形成することになる。
【0142】
フィルム厚と
【数38】
との間の関係は、Bretherton(1961)およびより最近ではGiavedoni(1997)によって調査されている。
【0143】
薬剤の完全回収と液滴形成との間の移行は、以下の臨界速度で起こり、
【数39】
ここで、θは、ラジアンでの接触角である(「P.-G.de Gennes;F.Brochard-Wyart;D.Quere in Capillarity and wetting phenomena;Springer:New York;2004」の143ページ参照)。
【数40】
および
【数41】
では、
【数42】
である。
【0144】
【数43】
の流量を維持するためには、したがって、貯蔵部領域が
【数44】
または
【数45】
を超過する必要がある。
【0145】
のウィンドウがあるようであるが、
【数46】
を大きく超過はしない。
【0146】
薬剤が(著しく)より粘性である場合には、
【数47】
が低下し、ウィンドウがより狭くなり、同様に貯蔵部表面がより親水性であり、θが小さい場合には、
【数48】
が低下し、同じ貯蔵部直径のときと同じだけ高い流量を受け入れることはできない。
【0147】
ノズル設計を因子とすれば、
【数49】
を増加させ、ノズル領域、したがって
【数50】
を減少させることで、同じ力
【数51】
に達することができる可能性がある。
【0148】
しかしながら、これは、より高いエネルギー損失:
【数52】
を意味するため、魅力的とは言えない。所与の薬剤体積については、流れを駆動するエネルギー源のサイズを最小化するために、可能な限り低い圧力でジェット注射を実行することが希望される。
【0149】
実施例1の終わり
実験パラメータの特定
上の方程式を使用して実験パラメータを最もよく特定するために、グラフを使用した以下の段階的実演により、ガイダンスを提供する。
【0150】
どの薬剤およびキャピラリー材料を使用すべきか。特定の薬剤を知ることで、薬剤の表面張力を知ることができ、キャピラリー材料を知ることで、接触角を特定することができる。薬剤の粘度に加えてこれらを特定したら、次の方程式を使用して、界面を乱すことなく(つまり、ガスが薬剤を通って流れて、噴霧を生じさせることなく)、薬剤を駆動/ジェットできる最大速度を計算することができる。
【数53】
【0151】
図11は、接触角および表面張力がキャピラリーのブレークオフ前の最大速度に与える影響を示すグラフである。
【0152】
キャピラリーのVmaxを計算したら、使用するノズルの直径を特定する必要があり、これが今度はノズルの面積に影響を与え、これが今度は、
【数54】
(Aはノズルの面積であり、これがキャピラリーの直径の特定につながる)である故に、噴出されたジェットの体積流量(Q)に影響する。キャピラリーの直径は、以下の方程式に示される所望のジェット力に応じて変化する。
【数55】
【0153】
これらの相関は、図12および図13に見ることができ、ここでは、所望のノズル直径およびジェット力を所与として、キャピラリーの直径を特定することができ、その間ずっと、キャピラリー内の安定した薬剤界面を確保することができる。
【0154】
体積流量はまた、
【数56】
である故に、所与の所望の電力に対するガス圧力の観点で表すことができ、この関係は図14に見ることができる。
【0155】
例示的な実施形態および実施例の上記の説明では、異なる構成要素について説明された機能を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかになる程度まで、説明してきた。異なる構成要素に対する詳細な構築および仕様は、本明細書に示される道筋に沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】