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特表2023-544640アルカリ金属イオン二次電池中の改良されたアノード用の無機バインダー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】アルカリ金属イオン二次電池中の改良されたアノード用の無機バインダー
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20231017BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20231017BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20231017BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20231017BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20231017BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20231017BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/134
H01M4/38 Z
H01M4/587
H01M4/36 E
H01M4/1395
H01M4/66 A
H01M4/36 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023522360
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 US2021051519
(87)【国際公開番号】W WO2022076170
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/088,631
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523129631
【氏名又は名称】ノヴォニクス・バッテリー・テクノロジー・ソリューションズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・オブロヴァク
(72)【発明者】
【氏名】コンシャオ・ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ヤング
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS10
5H017EE01
5H050AA02
5H050AA19
5H050BA17
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB29
5H050DA07
5H050DA11
5H050DA18
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA04
(57)【要約】
アルカリ金属イオン二次電池アノード中での使用に利点を提供する、ケイ素またはリンを含む無機バインダーが発見された。これらの改良されたアノードは親水性がより低く、ドライルームのレベルでも水の吸収によって従来のアノードにおいて起こる可能性がある変形を受けない。しかし、電池における性能特性は、従来のアノードから得られるものと同等か、それより優れてさえいる。また有利なことに、これらのアノードは水性スラリーから調製することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属イオン二次電池のアルカリ金属と合金化することができる電気化学的に活性なアノード粉末材料と、
ケイ素またはリンを含む無機化合物を含むバインダーと、
金属集電体と、を含むアルカリ金属イオン二次電池用のアノード。
【請求項2】
前記アルカリ金属がリチウムである、請求項1に記載のアノード。
【請求項3】
前記電気化学的に活性なアノード粉末材料が、ケイ素、スズ、またはアルミニウムを含む、請求項1に記載のアノード。
【請求項4】
前記電気化学的に活性なアノード粉末材料がケイ素を含む、請求項3に記載のアノード。
【請求項5】
前記電気化学的に活性なアノード粉末材料が、ケイ素と遷移金属との合金である、請求項4に記載のアノード。
【請求項6】
黒鉛を含む追加の電気化学的に活性なアノード粉末材料を含む、請求項4に記載のアノード。
【請求項7】
前記無機化合物がホウ素を含む、請求項4に記載のアノード。
【請求項8】
前記無機化合物がポリケイ酸塩、ポリリン酸塩またはリン酸塩である、請求項7に記載のアノード。
【請求項9】
前記無機化合物が、ポリケイ酸リチウム、ポリリン酸ナトリウムまたは一塩基性リン酸リチウムである、請求項8に記載のアノード。
【請求項10】
前記無機化合物が水に可溶性である、請求項1に記載のアノード。
【請求項11】
前記バインダーが本質的に前記無機化合物からなる、請求項1に記載のアノード。
【請求項12】
前記電気化学的に活性なアノード粉末材料に対する前記バインダーの重量での比率が、約0.03から0.55の範囲である、請求項1に記載のアノード。
【請求項13】
前記バインダーが、前記電気化学的に活性なアノード粉末材料を厚さが10nmより大きな被覆でコーティングしている、請求項1に記載のアノード。
【請求項14】
前記金属集電体が素の銅箔である、請求項1に記載のアノード。
【請求項15】
請求項1に記載のアノードを含む、アルカリ金属イオン二次電池。
【請求項16】
アルカリ金属イオン二次電池のアノードの製造方法であって、
アルカリ金属イオン二次電池リチウムのアルカリ金属と合金化できる電気化学的に活性な粉末材料、無機化合物を含むバインダー、および金属集電体を得るステップと、
電気化学的に活性な粉末材料、バインダー、およびバインダー用の溶媒を含むスラリーを調製するステップと、
スラリーを金属集電体上へコーティングするステップと、
溶媒を除去するステップと、を含むアルカリ金属イオン二次電池のアノードの製造方法。
【請求項17】
前記アルカリ金属がリチウムである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電気化学的に活性な材料が、ケイ素、スズ、またはアルミニウムを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記無機化合物がポリケイ酸塩、ポリリン酸塩またはリン酸塩である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記溶媒が水である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記バインダーが本質的に前記無機化合物からなる、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ金属イオン二次電池用のアノードを調製する際、特にリチウムイオン電池用の銅箔集電体を有するアノードを調製する際に使用されるバインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン(Li‐ion)電池などの高エネルギー密度二次電池の開発は、技術的に非常に重要である。従来のLi‐ion電池は、黒鉛を負極またはアノード活物質として利用している。セル動作の間、リチウムはインターカレーション機構を介して黒鉛に可逆的に挿入する。リチウムと合金を形成でき、黒鉛よりも単位重量および単位体積あたりはるかに多くのリチウムを貯蔵できる他の活物質が知られている。リチウムと合金を形成できるそのような活物質は、Si,Sn,Al,Zn,Mg,Sb,Bi,Pb,Cd,Ag,Au,およびアモルファス炭素(活性元素);活性元素の合金;ならびに活性元素と他の元素との合金を含む。リチウムと合金を形成することができる例示的な活物質は、Si、SiO、遷移金属を含むケイ素の合金、および遷移金属を含むスズの合金を含む。黒鉛とは対照的に、リチウムと合金を形成できる活物質のリチウム化/脱リチウム化は、非インターカレーション合金化プロセスを介して起こる。
【0003】
しかし、負極にリチウムと合金を形成できる活物質を含むLi‐ion電池は、サイクル中に容量が失われ、または容量が低下する傾向がしばしばある。これは、リチウムと合金を形成できる活物質は、リチウム化/脱リチウム化中に大きな体積膨張/収縮を受けるためである。体積膨張は最大で300%になりうる。この体積膨張は、電解質との反応から活物質表面を不動態化するのに役立つ固体電解質界面(SEI)を破壊することがある。その結果、リチウムと合金を形成できる活物質は、しばしば通常のセル動作中に電解質と継続的に反応し、容量の低下、電解質の枯渇、およびセルの故障につながる。
【0004】
二フッ化ビニリデン(PVDF)のような従来の非官能基化バインダーを、活性Si合金材料を含むアノード用のバインダーとして使用すると、性能が非常に大きく低下する結果になることが知られている。そのようなバインダーは活物質との結合を形成せず、したがって、特に脱リチウム化中、Si合金のサイズが収縮する際に、Si合金材料との電気的接触を維持する能力を持たない。この効果はサイクル中の容量の低下につながる。
【0005】
さらに、そのような非官能基化バインダーは、Si合金表面を効率的にコーティングせず、Si合金表面を電解質との反応にさらしたままにする。この効果はサイクル中の容量の低下につながる。
【0006】
リチウムと合金を形成できる活物質を含むLi‐ion電池の性能を改善するために、特殊なバインダーがしばしば使用される。[M.N.Obrovac,“Si‐alloy negative electrodes for Li‐ion batteries”,Current Opinion in Electrochemistry 9 (2018) 8-17]によれば、Si合金を含むアノードが良好にサイクル動作できるただ2種類の既知のバインダーがある。それは官能基化脂肪族バインダー(FABs)および芳香族バインダー(ABs)である。この参考文献によれば、FABsは、有機バインダーであり、「強いエステル様共有結合またはより弱い水素結合のいずれかで、ケイ素表面上の自然酸化ケイ素(Si‐O‐Si)およびシラノール(Si‐OH)基に結合することができる。FABsはカルボキシル基を含む脂肪族ポリマーおよび分子を含み、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリル酸リチウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、およびクエン酸を含む。活性Si合金含有アノード中のバインダーとして良好に機能するABsは、アノードの最初のリチウム化中に炭素に還元され、その結果「電気的接触を改善し、電解質の分解を減少させる、合金粒子の周りの炭素被覆」を形成すると考えられている。既知のABsの例は、ポリイミド(PI)およびフェノール樹脂(PR)を含む。有機前駆体の熱分解によって形成された炭素も、活性Si合金を含むアノードの効果的なバインダーであることが判明している[T.D.Hatchard,R.A.Fielden,and M.N.Obrovac,“Sintered polymeric binders for Li‐ion battery alloy anodes”,Canadian Journal of Chemistry 96 (2018) 765-770]。したがって、Si合金活物質を含むLi‐ion電池アノードに有用であることが知られているすべてのバインダーは、官能基化された有機分子;芳香族有機分子;および有機分子の分解生成物として形成される炭素である。
【0007】
そのような電池電極用の従来のバインダーには、多くの望ましくない問題が残っている。いくつかの従来のバインダー、例えばポリイミド、は高価なことがある。さらに、従来のバインダーの一部は親水性であり、電極の加工を困難にすることがある。例えば、市販のLi‐ion電池は、典型的に低湿度のドライルームで電極ウェブを円柱形または角柱形の「ジェリーロール」アセンブリに巻き付けることによって製造される。しかし、このような親水性バインダーは、これらのドライルームの低湿度雰囲気からでも、時間とともに十分な水を吸収して、膨張による電極の変形(例えば、ウェブの「カール」または「スクロール」)を引き起こし、許容できる巻き取りを妨げることがある。さらに、いくつかの例においては従来のバインダーを使用した電極コーティングは、集電体への弱い接着力を有する。加えて、従来のバインダーは典型的には少量で使用されるため、活物質表面に薄い層(~20nm)を形成する。より厚いバインダーの層は、イオン拡散を減少させることでセルの性能に支障をきたすことがある。
【0008】
米国特許第5856045号では、電気化学二次セル、およびより具体的に、リチウムイオン電気化学セルが、無機バインダーおよびその製造のための関連するプロセスとともに開示されている。バインダー材料は、第1および/または第2の電極の表面上への最終的な適用のために活物質と混合される。バインダー材料は活物質と可溶性であるが、関連する有機電解質については不溶性である。可能な活物質として合金は言及されていない。
【0009】
米国特許第10388467号では、繰り返されるリチウムイオン電池またはリチウムイオンキャパシタの充電と放電のサイクルにおいて、充電と放電の副反応としての電解液等の分解反応を最小化することで、リチウムイオン電池またはリチウムイオンキャパシタの長期サイクル性能が改善されている。集電体および集電体上の活物質層は、電力貯蔵装置用の電極に含まれる。活物質層は、複数の活物質粒子と酸化ケイ素とを含む。活物質粒子のうちの一つの表面は、他の活物質粒子の一つと接触する領域を持つ。前記領域を除いた活物質粒子の表面は、その一部または全部が酸化ケイ素で覆われている。
【0010】
米国特許出願公開第20170117586号では、非フッ素化カーボネートと、フッ素化溶媒と、環状硫酸塩と、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムテトラフルオロボレート、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つのリチウムボレート塩と、少なくとも1つの電解質塩とを含有する電解質組成物が開示されている。前記電解質組成物は、フッ素化環状カーボネートをさらに含んでもよい。前記電解質組成物は、リチウムイオン電池などの電気化学セルに有用である。
【0011】
米国特許出願公開第20160344032号では、正極、負極、および正極と負極との間の電解質層を含む電池が提供される。正極および負極の少なくとも一方は、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、およびバナジウム(V)を含む群から選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含んだ、少なくとも1種の無機バインダーを含む。可能な活物質として合金は言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5856045号
【特許文献2】米国特許第10388467号
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0117586号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/0344032号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】M.N.Obrovac,“Si‐alloy negative electrodes for Li‐ion batteries”,Current Opinion in Electrochemistry 9 (2018) 8-17
【非特許文献2】T.D.Hatchard,R.A.Fielden,and M.N.Obrovac,“Sintered polymeric binders for Li‐ion battery alloy anodes”,Canadian Journal of Chemistry 96 (2018) 765-770
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
二次電池の製造の簡素化、性能の改善、およびコストの削減に向けられた継続的かつ実質的な世界的努力にもかかわらず、これらすべての領域でさらなる改善が依然として望まれている。本発明は、これらの必要性に対処し、以下に開示するように更なる利益を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ケイ素および/またはリンを含む一定の無機ポリマーおよび分子は、アルカリ金属イオン電池、特にリチウムと合金を形成できる活物質を含むLi‐ion電池用のアノードにおいて単独のバインダーとして非常によく機能できることが判明している。例示的な無機バインダーは、ポリケイ酸塩、ポリリン酸塩、およびリン酸塩を含み、ポリケイ酸リチウム、ポリリン酸ナトリウム、および一塩基性リン酸リチウムを含んでいる。
【0016】
これらのバインダーは、アノード調製において水性スラリーの使用を可能にすることができるが、親水性が低く、水蒸気にさらされたときに変形しにくい。特に、電池の製造作業中に、例えばドライルームでの巻き上げ中に、より機械的に安定している。
【0017】
さらに、これらの無機バインダーのいくつかは、良好な電極反応速度を維持しながら、100nmを超え、いくつかの実施形態では500nmを超える厚い層を活物質の周りに形成することが判明した。理論に縛られないが、そのような厚いバインダー層は、活物質表面への電解質の拡散を妨げることによって、下にあり、リチウムとの合金を形成することができる活物質上の電解質反応性を有利に減少させることができると考えられる。
【0018】
具体的には、本発明のアノードは、アルカリ金属イオン二次電池中のアルカリ金属と合金化できる電気化学的に活性なアノード粉末材料を含むアルカリ金属イオン二次電池用である。アノードは、ケイ素またはリンを含む無機化合物を含んだバインダー、および金属集電体をさらに含む。
【0019】
本発明は、前記アルカリ金属がリチウムであるリチウムイオン電池での使用に特に適している。また、前記電気化学的に活性なアノード粉末材料がケイ素、スズ、またはアルミニウムを含むアノードでの使用にも特に適している。
【0020】
電気化学的に活性なアノード粉末材料がケイ素を含む実施形態では、材料自体がケイ素と遷移金属との合金であり得る。他の実施形態では、アノードは、黒鉛を含む追加の電気化学的に活性なアノード粉末材料をさらに含むことができる。
【0021】
バインダー中の無機化合物は、ケイ素および/またはリンを含み、ホウ素を含んでもよい。例示的な実施形態では、無機化合物は、ポリケイ酸塩、ポリリン酸塩、またはリン酸塩であり、例えば、それぞれポリケイ酸リチウム、ポリリン酸ナトリウム、または一塩基性リン酸リチウムである。
【0022】
本発明の利点は、無機化合物が水に可溶性であり、したがって、非水溶媒を必要とするバインダーよりも環境にやさしく、より多くの製造目的に使用できることである。さらに、無機化合物は、例えばポリアクリル酸リチウムなどの従来のバインダーよりもはるかに親水性が低くなることができ、したがって、保管中、またはドライルーム雰囲気でのスプールもしくは巻き取り作業中に変形し、または丸まる傾向が弱くなり得る。
【0023】
上述のように、これらのバインダーは、アルカリ金属イオン電池アノード、すなわちバインダーが本質的に無機化合物からなるアノードにおいて、単独のバインダーとして非常によく機能することができる。さらに、これらのバインダーは、金属集電体が素の銅箔、特に素の電解銅箔であるアノードに適している。
【0024】
以下の実施例で実証されるように、電気化学的に活性なアノード粉末材料に対するバインダーの適切な重量の比率は、約0.03から0.55の範囲であり得る。さらに、バインダーが、厚さが10nmより大きい被覆で電気化学的に活性なアノード粉末材料をコーティングする例示的な実施形態が調製された。
【0025】
前述のアノードを製造する方法には、バインダーの選択を除けば従来の方法と本質的に同様である方法が含まれる。すなわち、適切な方法は、アルカリ金属イオン二次電池リチウム中のアルカリ金属と合金化できる電気化学的に活性な粉末材料、無機化合物を含むバインダー、および金属集電体を得るステップと、電気化学的に活性な粉末材料、バインダー、およびバインダー用の溶媒を含むスラリーを製造するステップと、スラリーを金属集電体上にコーティングするステップと、溶媒を除去するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1a】ポリアクリル酸リチウムバインダーで調製された先行技術例1の先行技術リチウムイオンアノードの初期の断面後方散乱SEM画像を示す図である。
図1b】ハーフセルで測定された際の図1aの先行技術リチウムイオンアノードの電気化学的性能(放電容量維持対サイクル数)を示す図である。
図2a】ポリケイ酸リチウムバインダーで調製された実施例1のリチウムイオンアノードの初期の断面後方散乱SEM画像を示す図である。
図2b】ハーフセルで測定された際の実施例1のリチウムイオンアノードの電気化学的性能(放電容量維持対サイクル数)を示す図である。比較のために示されているのは、先行技術例1の先行技術リチウムイオンアノードで作られたハーフセルの電気化学的性能である。
図3a】ヘキサメタリン酸ナトリウムバインダーで調製された実施例2のリチウムイオンアノードの初期の断面後方散乱SEM画像を示す図である。
図3b】ハーフセルで測定された際の実施例2のリチウムイオンアノードの電気化学的性能(放電容量維持対サイクル数)を示す図である。比較のために示されているのは、先行技術例1の先行技術リチウムイオンアノードで作られたハーフセルの電気化学的性能である。
図4a】一塩基性リン酸リチウムバインダーで調製された実施例3のリチウムイオンアノードの初期の断面後方散乱SEM画像を示す図である。
図4b図4bは、ハーフセルで測定された際の、実施例3のリチウムイオンアノードの電気化学的性能(放電容量維持対サイクル数)を示す図である。比較のために示されているのは、先行技術例1の先行技術リチウムイオンアノードで作られたハーフセルの電気化学的性能である。
図5図5は、先行技術例2の先行技術リチウムイオンアノードで作られたハーフセルの電気化学的性能(放電容量維持対サイクル数)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
文脈が別に要求しない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む」、「含んでいる」などの用語は、開かれた、包括的な意味で解釈されるべきである。「ある(a、an)」などの用語は、少なくとも1つを意味すると見なされ、ただ1つに限定されない。
【0028】
さらに、以下の定義が本明細書を通して適用される。
【0029】
「アルカリ金属イオン電池」という用語は、個々のアルカリ金属イオンセル、または直列および/または並列配置で相互接続されたそのようなセルの配列の両方を指す。このような各セルは、アルカリ金属のイオンが可逆的に挿入および除去されることができる、アノードおよびカソード電極材料を含む。
【0030】
「アノード」という用語は、アルカリ金属イオン電池が放電されるときに酸化が起こる電極を指す。リチウムイオン電池では、アノードは放電中に脱リチウム化され、充電中にリチウム化される電極である。
【0031】
「カソード」という用語は、アルカリ金属イオン電池が放電されるときに還元が起こる電極を指す。リチウムイオン電池では、カソードは放電中にリチウム化され、充電中に脱リチウム化される電極である。
【0032】
本明細書では、「電気化学的に活性なアノード粉末材料」という用語は、関連する電気化学デバイスにおいて典型的なアノード電位でアルカリ金属と電気化学的に反応または合金化できる粉末材料を指す。リチウムイオン電池では、アノード材料は、典型的にはLiに対して0Vから2Vの電位で、充電中にリチウム化され、放電中に脱リチウム化される。例えば、Si、Sn、およびAl粉末材料は、リチウムイオン電池の文脈において電気化学的に活性な粉末材料である。
【0033】
「無機化合物」という用語の定義、および「無機化合物」と「有機化合物」との区別は、当技術分野では完全には合意されていない。本明細書では、「無機化合物」は、炭素原子を含まない任意の化学化合物と、1つ以上の炭素原子を含むがC‐H結合およびC‐C結合の両方を欠いている任意の化学化合物とを含むことを意図する。
【0034】
「ハーフセル」という用語は、作用電極および金属対/参照電極を有するセルを指す。リチウムハーフセルは、作用電極およびリチウム金属対/参照電極を有する。Liハーフセルでは、アノード材料はLiに対して2Vより低い電位で充電中に脱リチウム化され、放電中にリチウム化される。
【0035】
定量的な文脈では、「約」という用語は、プラス10%まで、およびマイナス10%までの範囲にあると解釈されるべきである。
【0036】
本発明において、アルカリ金属イオン二次電池のアノード用、特に、典型的なリチウムイオン電池のアノード用のバインダーとしての使用に有利な一定の無機化合物が確認された。そのような化合物は、電池動作において依然として競争力のある、または改善されてすらいる性能を与えながら、これらのアノードにおいて単独のバインダーとして機能し、及び改善された機械的特性を提供することができる。たとえば、これらの無機化合物は、従来の最先端のアノードバインダーよりも親水性が低く、水蒸気にさらされた際に膨張および変形を受けにくい。その結果、これらのバインダーで作られたウェブ電極は、より安定で、製造目的にとって非常に重要なドライルーム環境でカールしにくい。しかし、望ましくは、そのようなバインダーは水によく溶けることができ、したがって望ましくはアノードの調製において水性スラリーの使用を可能にすることができる。さらに、一定の無機バインダーは、活物質の周りに厚い層(例えば、>100nm)が形成されていても、電池動作において良好なアノード反応速度を可能にすることが判明した。次いで、これにより、電解質との反応を減少させることで、電池の寿命が改善される可能性がある。
【0037】
本発明の一般的な実施形態では、アノードは、アルカリ金属イオン二次電池中のアルカリ金属と合金化することができる電気化学的に活性なアノード粉末材料およびバインダーとしての無機化合物を少なくとも含み、これらは一緒に金属集電体に適用される。本発明での使用に適した無機化合物は、水中で加水分解してヒドロキシル基を形成することが知られているものである。いくつかの実施形態では、そのような無機化合物は、ケイ素またはリンを含むことができる。
【0038】
リチウムイオン電池での使用を意図した例示的なアノードの実施形態では、含まれるアルカリ金属はリチウムであり、電気化学的に活性なアノード粉末材料は、ケイ素、スズ、またはアルミニウムなどのリチウムと合金化できるものである。電気化学的に活性なアノード粉末材料は、合金そのもの、例えばケイ素と遷移金属の合金を含むこともできる。さらに、アノードは、黒鉛などの追加の電気化学的に活性なアノード粉末材料を含むことができる。
【0039】
適切な無機バインダーは、以下の実施例で成功裏に用いられている、それぞれポリケイ酸リチウム、ポリリン酸ナトリウム、および一塩基性リン酸リチウムなどのようなポリケイ酸塩、ポリリン酸塩、およびリン酸塩を含む。
【0040】
当業者が認識するように、バインダーの種類および使用される相対量の最適な選択は、含まれる他のアノード成分の種類および量に応じて多少変化すると予想される。通常のスキルを持つ者は、以下の実施例をガイドとして使用し、最小限の実験で、バインダーの種類および量の適切な選択を容易に決定できると予想される。例えば、素の電解銅箔上のV7 Si合金活性アノード粉末材料について、実施例中の前述したバインダー選択の1つを使用すると、重量で約0.11から0.55の範囲のバインダー量が適切であると予想され、望ましくは、活性合金アノード粉末上に厚さが100nmより大きい被覆をもたらすことができる。
【0041】
所与のアノード構造に対して適切なバインダーの種類および量が選択されると、アノードおよびそれらのアノードを使用するアルカリイオン二次電池は、当業者に既知の様々な方法で調製され得る。特に、アノードは、最初にすべての適切な成分を入手し、次に電気化学的に活性な粉末材料、バインダー、およびバインダー用の適切な溶媒を含むスラリーを調製し、次にスラリーを金属集電体上にコーティングし、そして最後に溶媒を除去(例えば、乾燥によって)することによって、標準の商業的方法で調製することができる。望ましくは、適切な無機化合物バインダーは水に可溶性であり、したがって毒性または可燃性の溶媒に関連する難点を製造時に回避することができる。
【0042】
このようにして、バインダーが本質的に無機化合物からなる(すなわち、無機化合物がアノード中で単独のバインダーである)本発明の改良されたアノードを調製することができる。さらに、集電体への許容できる接着力を得るために、集電体の特別な処理(例えば粗面化)は必要なく、追加の添加剤も要求されない。したがって、本発明は、追加の処理も添加物も伴わず、商業上典型的に使用される素の電解銅箔上にアノードを調製するために成功裏に使用されることができる。いくつかの実施形態では、添加剤を本発明の無機バインダーと組み合わせて使用して、スラリー粘度およびコーティング品質を改善することができる。そのような添加剤は、カルボキシメチルセルロースなどの増粘剤を含む。
【0043】
理論に縛られないが、水和無機バインダー上のヒドロキシル基は、金属および金属合金表面上のヒドロキシル基と反応し、[金属‐O‐有機バインダー]タイプの結合を形成できると考えられている。そのような結合の形成は、アノードに良好な機械的特性を与えることができると考えられている。また、そのような結合の形成は、セル動作中に活性合金粒子が電解質と反応するのを防ぐことができ、良好なサイクル性能につながる、活性合金粒子上の連続的なバインダー被覆を形成する結果になるとも考えられている。
【0044】
以下の実施例は、本発明の一定の態様を例証するが、決して本発明を限定すると解釈されるべきではない。当業者は、使用される無機バインダー、作られるアノード構造、使用される方法、および意図されるアルカリ金属イオン二次電池の種類について、他の別法が可能であることを容易に認識するであろう。
【0045】
[実施例]
本発明の例示的なアノードは、ケイ素合金粉末材料およびいくつかの異なるバインダー材料を使用して調製された。従来の最先端技術を代表するアノードも、比較の目的ためにポリアクリル酸リチウムバインダーを使用して調製された。調製されたアノードの一定の特性が決定され、ハーフセル測定からいくつかの性能結果が得られた。特に明記されない限り、すべての場合において、以下の準備および分析方法が使用された。
【0046】
(断面SEM)
アノードサンプルの断面は、サンプルにアルゴンイオンを照射してサンプルを切断するJEOL Cross‐Polisher(JEOL Ltd.、東京、日本)を使用して調製された。TESCAN MIRA 3 LMU 可変圧力ショットキー電界放出型走査電子顕微鏡(SEM)を使用して、断面アノードのモルフォロジーを調査し、画像を取得した。
【0047】
(セル調製)
実施例のアノード電極は、実験室テストリチウムハーフセル、すなわち、リチウム箔(99.9%、Sigma‐Aldrich)対/参照電極を有する2325型コインセルで組み立てられた。(注:当業者にはよく知られているように、これらのテストリチウムハーフセルの結果は、リチウムイオン電池中のアノード材料性能の信頼できる予測を可能にする。)Celgard 2300セパレーターの2つの層と吹込マイクロファイバー(3M company)の1つの層をセパレーターとして使用した。各コインセルは、適切な内圧を保証するために2つのCuスペーサーを含んだ。エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、およびモノフルオロエチレンカーボネート(体積比3:6:1、すべてBASFより)の溶液中の1M LiPF(BASF)を電解質として使用した。セルの組み立ては、Arで満たされたグローブボックス内で実施された。Maccor Series 4000 Automated Test Systemを使用し、最初の2サイクルは0.005VでのC/10およびC/40トリクル放電で、続くサイクルはC/5およびC/20の速度の0.005Vでのトリクル放電で、セルは定電流、30.0±0.1℃、0.005V~0.9Vの間でサイクル動作させられた。次に、各アノードの電気化学的性能を、維持された放電容量対サイクル数としてプロットした。
【0048】
[先行技術例1(ポリアクリル酸リチウムバインダーを有するSi合金アノード)]
0.5gのSi合金粉末(3M L‐20772 V7 Si合金、これ以後V7と呼ぶ、3M Co.,St.Paul,MN)と、0.56gの10wt%ポリアクリル酸リチウム水溶液とを混合することによってアノードスラリーを調製した。ポリアクリル酸リチウム溶液は、ポリアクリル酸(M=250,000、Sigma‐Aldrich)溶液を水酸化リチウム(LiOH・HO、≧98%、Sigma‐Aldrich)溶液で中和することによって調製された。スラリーを、Mazerustarミキサーを用いて5000rpmで10分間混合し、次いで、0.004インチのギャップのコーティングバーで素の電解銅箔(Furukawa Electric,日本)上に広げた。次に、コーティングを空気中、120℃で1時間乾燥させ、1.3cmのアノードディスクに切断し、真空下、120℃で一晩加熱した。得られたコーティングは、コーティングのひび割れや剥がれが観察されなかったため、箔との優れた接着力を示した。しかしながら、乾燥プロセス中のコート層の収縮により、箔は、箔のコートされた側で凹状にカールした。これにより、セルの構築が困難になった。
【0049】
図1aは、これらの先行技術リチウムイオンアノードのうちの初期のものの断面後方散乱SEM画像を示す。次いで、上述のように別のアノードサンプルを使用して実験室テストセルを組み立て、サイクル試験を行った。図1bは、この先行技術リチウムイオンアノードの電気化学的性能(放電容量維持対サイクル数)を示している。サイクル試験が完了した後(すなわち、100サイクル)、アノードを取り外し、このサイクル後の従来技術アノードの断面後方散乱SEM画像を得た。Si合金表面の著しい浸食が観察された。
【0050】
[実施例1(ポリケイ酸リチウムバインダーを含むSi合金アノード)]
次に、ポリケイ酸リチウムバインダーを使用することを除いて、前述と同様の方法でアノードスラリーを調製した。ここで、スラリーは、0.65mLの蒸留水中で0.8gの3M V7 Si合金粉末と0.44gのポリケイ酸リチウム溶液(HO中20wt%、Sigma‐Aldrich)を混合することによって調製された。再び、得られたコーティングは、コーティングのひび割れや剥がれが観察されなかったため、箔との優れた接着力を示した。このコーティングは、乾燥プロセス中に、いかなる目立った方法でもカールや変形をしなかった。
【0051】
図2aは、ここで調製したリチウムイオンアノードの1つの初期の断面後方散乱SEM画像を示す。図2bは、これらの創造的な実施例1のアノードの1つを含むハーフセルの電気化学的性能を前述の先行技術例と比較する。後者はわずかに優れているが、結果は同等で許容可能であった。
【0052】
[実施例2(ポリリン酸ナトリウムバインダーを含むSi合金アノード)]
別のアノードスラリーは、ポリリン酸ナトリウムバインダーを使用する以外は前述と同様の方法で調製された。このスラリーは、1mLの蒸留水中で1gの3M V7 Si合金粉末と0.11gのポリリン酸ナトリウム粉末(ヘキサメタリン酸ナトリウム、P基準65%-70%、Sigma‐Aldrich)を混合することによって調製された。再び、得られたコーティングは、コーティングのひび割れや剥がれが観察されなかったため、箔との優れた接着力を示した。このコーティングは、乾燥プロセス中に、いかなる目立った方法でもカールや変形をしなかった。
【0053】
図3aは、ここで調製されたリチウムイオンアノードの1つの初期の断面後方散乱SEM画像を示す。ここで、無機バインダーは、Si合金粒子上に厚さ約500nmの被覆を形成したことが観察された。
【0054】
図3bは、これらの創造的な実施例2のアノードの1つを含むハーフセルの電気化学的性能を前述の先行技術例と比較する。ここでは、結果はほとんど区別できない。
【0055】
[実施例3(一塩基性リン酸リチウムバインダーを有するSi合金アノード)]
別のアノードスラリーは、リン酸リチウム一塩基バインダーを使用することを除いて、前述と同様の方法で調製された。このスラリーは、1mLの蒸留水中で1gの3M V7 Si合金粉末と0.11gの一塩基性リン酸リチウム粉末(99%、Sigma‐Aldrich)を混合することによって調製された。再び、得られたコーティングは、コーティングのひび割れや剥がれが観察されなかったため、箔との優れた接着力を示した。このコーティングは、乾燥プロセス中に、いかなる目立った方法でもカールや変形をしなかった。
【0056】
図4aは、ここで調製されたリチウムイオンアノードの1つの初期の断面後方散乱SEM画像を示す。図4bは、これらの創造的な実施例3のアノードの1つを含むハーフセルの電気化学的性能を前述の先行技術例と比較する。ここで、本発明のアノードの結果は、最先端の先行技術例の結果よりわずかに優れている。
【0057】
上記から明らかなように、セル性能の結果は、先行技術例と比較して、試験されたすべての本発明のバインダーについて本質的に同じか、またはより優れている。さらに、これらの無機バインダーで作られた全てのアノードは、先行技術例と比較して、親水性が低く、水蒸気への暴露に対する感受性が低く、乾燥プロセス中に変形を示さなかった。
【0058】
[先行技術例2]
PVDFバインダー(GPCによる平均M~534,000、粉末、Sigma‐Aldrich)を使用したこと、およびN‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP、Sigma‐Aldrich、無水99.5%)を水の代わりに使用したことを除いて、上記と同様の方法で別のアノードスラリーを調製した。このスラリーは、1mLのNMP中で1gの3M V7 Si合金粉末と0.11gのPVDFとを混合することによって調製された。得られたコーティングは、コーティングのひび割れや剥がれが観察されなかったため、箔との優れた接着力を示した。このコーティングは、乾燥プロセス中に、いかなる目立った方法でもカールや変形をしなかった。
【0059】
図5は、これらの先行技術アノードの1つを含むハーフセルの電気化学的性能を示す。セルは、アノードの最初のリチウム化の後、ほぼ完全な容量の損失を受ける。この性能は、序論で論じた2つの種類の既知のバインダー(FABsまたはABs)または炭化バインダーに分類されないバインダーに典型的である。
【0060】
本明細書で参照される上記の米国特許、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物のすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0061】
本発明の特定の要素、実施形態、および用途が示され、説明されてきたが、特に前述の教示に照らして、本開示の思想と範囲から外れることなく当業者により修正がなされることができるので、当然のことながら、本発明はそれらに限定されないことが理解されよう。例えば、実施例はリチウムイオン電池用のアノードに焦点を当てているが、同様の利点があらゆるタイプのアルカリ金属イオン電池のアノードで得られることが予想される。そのような変更は、ここに添付の特許請求の範囲の権限および範囲内であるとみなされるべきである。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属イオン二次電池のアルカリ金属と合金化することができる電気化学的に活性なアノード粉末材料と、
ケイ素またはリンを含む無機化合物を含んだバインダーと、
金属集電体と、を含むアルカリ金属イオン二次電池用のアノードであって、
前記バインダーが本質的に無機化合物からなるアルカリ金属イオン二次電池用のアノード
【請求項2】
前記アルカリ金属がリチウムである、請求項1に記載のアノード。
【請求項3】
前記電気化学的に活性なアノード粉末材料が、ケイ素、スズ、またはアルミニウムを含む、請求項1に記載のアノード。
【請求項4】
前記電気化学的に活性なアノード粉末材料がケイ素を含む、請求項3に記載のアノード。
【請求項5】
前記電気化学的に活性なアノード粉末材料が、ケイ素と遷移金属との合金である、請求項4に記載のアノード。
【請求項6】
黒鉛を含む追加の電気化学的に活性なアノード粉末材料を含んだ、請求項4に記載のアノード。
【請求項7】
前記無機化合物がホウ素を含む、請求項4に記載のアノード。
【請求項8】
前記無機化合物がポリケイ酸塩、ポリリン酸塩またはリン酸塩である、請求項7に記載のアノード。
【請求項9】
前記無機化合物が、ポリケイ酸リチウム、ポリリン酸ナトリウムまたは一塩基性リン酸リチウムである、請求項8に記載のアノード。
【請求項10】
前記無機化合物が水に可溶性である、請求項1に記載のアノード。
【請求項11】
前記電気化学的に活性なアノード粉末材料に対する前記バインダーの重量での比率が、約0.03から0.55の範囲である、請求項1に記載のアノード。
【請求項12】
前記バインダーが、前記電気化学的に活性なアノード粉末材料を厚さが10nmより大きな被覆でコーティングしている、請求項1に記載のアノード。
【請求項13】
前記金属集電体が素の銅箔である、請求項1に記載のアノード。
【請求項14】
請求項1に記載のアノードを含む、アルカリ金属イオン二次電池。
【請求項15】
アルカリ金属イオン二次電池のアノードの製造方法であって、
アルカリ金属イオン二次電池リチウムのアルカリ金属と合金化できる電気化学的に活性な粉末材料、無機化合物を含むバインダー、および金属集電体を得るステップと、
電気化学的に活性な粉末材料、バインダー、およびバインダー用の溶媒を含むスラリーを調製するステップと、
スラリーを金属集電体上へコーティングするステップと、
溶媒を除去するステップと、を含むアルカリ金属イオン二次電池のアノードの製造方法であって、
前記バインダーが本質的に無機化合物からなる、アルカリ金属イオン二次電池のアノードの製造方法
【請求項16】
前記アルカリ金属がリチウムである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電気化学的に活性な材料が、ケイ素、スズ、またはアルミニウムを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記無機化合物がポリケイ酸塩、ポリリン酸塩またはリン酸塩である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒が水である、請求項15に記載の方法。
【国際調査報告】