(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールを含むポリオール組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/10 20060101AFI20231017BHJP
C08G 18/83 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
C08J11/10
C08G18/83 020
C08G18/83 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546387
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2021077837
(87)【国際公開番号】W WO2022074184
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102020126425.9
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523131830
【氏名又は名称】ハー ウント エス アンラーゲンテヒニク ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】H & S Anlagentechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Sandstrasse 19, 27232 Sulingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティン ストイチェフ
(72)【発明者】
【氏名】ツヴェトミル ツォネフ
【テーマコード(参考)】
4F401
4J034
【Fターム(参考)】
4F401AA26
4F401BA06
4F401CA67
4F401CA68
4F401CA75
4F401CB01
4F401EA46
4F401EA60
4F401EA65
4F401EA72
4F401EA78
4F401FA01Z
4F401FA06Z
4J034LA26
4J034LA34
(57)【要約】
ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールを含むポリオール組成物の製造方法、ならびに本方法により製造されたポリオール組成物およびその使用が記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールを含むポリオール組成物の製造方法であって、反応混合物において、
(a)ポリウレタン廃材と、
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物と、
(d)水と
を反応させて、ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールを含むポリオール組成物を形成する、方法。
【請求項2】
- 前記ポリエーテルポリオールの群の化合物(b)は、200g/mol~6000g/mol、好ましくは400g/mol~5000g/molの範囲の平均モル質量を有し、
- 前記ポリエステルポリオールの群の化合物(b)は、350g/mol~6000g/mol、好ましくは400g/mol~5000g/molの範囲の平均モル質量を有する、請求項1記載のポリオール組成物の製造方法。
【請求項3】
- 前記ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物(c)は、アジピン酸、およびマレイン酸無水物、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物およびコハク酸無水物からなる群から選択され、
かつ/または
- 前記反応混合物は、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)に加えて、1つ以上のモノカルボン酸をも含む、請求項1または2記載のポリオール組成物の製造方法。
【請求項4】
- 以下:
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物、ならびに任意に1つ以上のモノカルボン酸と、
(d)水と
を含む混合物を装入し、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱し、
- 前記混合物にポリウレタン廃材(a)を添加して反応混合物を形成し、その際、前記温度を130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持し、
- 前記ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加し、
- 前記反応混合物を、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で1~5時間、好ましくは2~3.5時間保持し、
- ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加し、
- 前記1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加後に、前記反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.5~3時間、好ましくは0.5~1.5時間保持し、
- その後、前記反応混合物を冷却する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記反応混合物に、
(e)2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物
を添加する、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリオール組成物の製造方法。
【請求項6】
前記2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物(e)は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタングリコールおよびグリセリンからなる群から選択される、請求項5記載のポリオール組成物の製造方法。
【請求項7】
- 以下:
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物、ならびに任意に1つ以上のモノカルボン酸と、
(d)水と
を含む混合物を装入し、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱し、
- 前記混合物にポリウレタン廃材(a)を添加して反応混合物を形成し、その際、前記温度を130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持し、
- 前記ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加し、
- 前記ポリウレタン廃材(a)の少なくとも3分の1、好ましくは半分が添加されて溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加するか;または前記ポリウレタン廃材(a)が完全に溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加し、
- 前記反応混合物を、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で1~5時間、好ましくは2~3.5時間保持し、
- ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加し、
- 前記反応混合物を、前記1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加後に冷却するか;または150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持した後で冷却する、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
- 以下:
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物、ならびに任意に1つ以上のモノカルボン酸と、
(d)水と
を含む混合物を装入し、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱し、
- 前記混合物にポリウレタン廃材(a)を添加して反応混合物を形成し、その際、前記温度を130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持し、
- 前記ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加し、
- 前記反応混合物を、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で1~5時間、好ましくは2~3.5時間保持し、
- ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加し、
- 前記1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加後に、前記反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持し、
- 2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加し、
- 前記1つ以上の化合物(e)の添加後に、前記反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持し、
- その後、前記反応混合物を冷却する、請求項5または6記載の方法。
【請求項9】
- 以下:
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物、ならびに任意に1つ以上のモノカルボン酸と、
(d)水と
を含む混合物を装入し、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱し、
- 前記混合物にポリウレタン廃材(a)を添加して反応混合物を形成し、その際、前記温度を130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持し、
- 前記ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加し、
- 前記ポリウレタン廃材(a)の少なくとも3分の1、好ましくは半分が添加されて溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加するか;または前記ポリウレタン廃材(a)が完全に溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加し、
- 前記反応混合物を、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で1~5時間、好ましくは2~3.5時間保持し、
- ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加し、
- 前記1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加後に、前記反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持し、
- 2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)のさらなる部分を添加し、
- 前記1つ以上の化合物(e)のさらなる部分の添加後に、前記反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持し、
- その後、前記反応混合物を冷却する、請求項5または6記載の方法。
【請求項10】
前記反応混合物の冷却時に、
(b)以下:
- 平均モル質量が200~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の化合物
のさらなる部分を添加する、請求項4、7、8または9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記出発材料(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の総重量を100重量%としてそれぞれ、
(a)ポリウレタン廃材を、30重量%~60重量%の総量で、および/または
(b)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物ならびにアクリル酸を、20重量%~60重量%の総量で、および/または
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物ならびにモノカルボン酸を、5重量%~20重量%の総量で、および/または
(d)水を、0.2重量%~10重量%、好ましくは1重量%~6重量%、特に好ましくは2重量%~5重量%の量で、および/または
(e)任意に、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物を、1重量%~30重量%の総量で
添加する、請求項1から10までのいずれか1項記載のポリオール組成物の製造方法。
【請求項12】
- ラジカル形成剤を添加せず、かつ/または
- 前記ポリエーテルポリオールの群の化合物(b)に1つ以上の酸化防止剤が添加されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載のポリオール組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法により製造可能である、ポリオール組成物。
【請求項14】
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法により得ることができるポリオール組成物の、ポリウレタンの製造への使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールを含むポリオール組成物の製造方法、ならびに本方法により製造されたポリオール組成物およびその使用に関する。
【0002】
独国特許発明第19512778号明細書には、イソシアネート反応性ポリオール分散液の製造方法が提案されており、この方法では、ポリウレタン廃材を、約140~250℃の温度で、モル質量が約500~5000g/molであり、水酸基価が2~5であるポリエーテルオールの存在下に、環状ジカルボン酸無水物および/もしくは環状ジカルボン酸無水物形成性ジカルボン酸ならびに/またはその誘導体による分解反応に供し、その際、ポリエーテルオールは、分解反応の前、中または後に、カルボニル基を含む炭素不飽和モノマーとのラジカルグラフト化反応に供される。グラフト化反応は、典型的にはラジカル形成剤の存在下で実施され、ラジカル形成剤として、例えばペルオキシドが使用される。
【0003】
国際公開第2018/091568号には、ポストコンシューマ分野で発生するポリウレタン廃材からポリエーテルオールの存在下でポリオール分散液を製造する方法が記載されており、この方法では、第1の反応ステップa)において、ポリウレタン廃材をまず、少なくとも1つのジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体と、平均モル質量が400~6000g/molであり水酸基価が2~4である少なくとも1つのポリエーテルオールとを含む反応混合物と170℃~210℃の温度で反応させて分散液を形成し;第2の反応ステップb)において、a)で得られた分散液を、180℃~230℃の温度で、少なくとも1つの短鎖ジオールおよび/または短鎖トリオールとさらに反応させてポリオール分散液を形成する。ポリウレタン基と前述のジカルボン酸あるいはジカルボン酸誘導体(例えばジカルボン酸無水物)との化学反応を開始あるいは加速するために、すなわち反応混合物を活性化するために、好ましくは、ラジカル重合の開始に適したラジカル形成剤が添加される。適切なラジカル形成剤としては、好ましくはペルオキシド化合物が使用され、例えば、無機ペルオキシド、有利には過酸化水素および/または有機ペルオキシド、有利にはtert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-アミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシドおよび/またはクメンヒドロペルオキシドが使用される。
【0004】
しかし、例えばペルオキシドなどのラジカル形成剤(ラジカル開始剤)の使用は、いくつかの欠点を伴う。例えばペルオキシドなどのラジカル形成剤は、爆発を誘発する可能性のある危険な物質である。したがって、独国特許発明第19512778号明細書あるいは国際公開第2018/091568号に記載された方法のためのプラントは、防爆設計である必要がある。
【0005】
独国特許発明第19512778号明細書あるいは国際公開第2018/091568号に記載された方法は、少なくとも1つのポリエーテルオール(ポリエーテルポリオール)の存在下で実施される。市販のポリエーテルポリオールには通常、1つ以上の抗酸化剤(酸化防止剤)が添加されている。ポリウレタン廃材自体にも、典型的には酸化防止剤が含まれている。酸化防止剤は、例えばペルオキシドなどのラジカル形成剤と反応して、製造されたポリオール分散液の濃色の色合い(褐色、場合によってはさらには深い濃褐色)を引き起こす生成物を形成する。このため、このポリオール分散液を使用して高価値用途のポリウレタン材料を製造することはできない。
【0006】
酸化防止剤と例えばペルオキシドなどのラジカル形成剤との反応は、例えば強度の泡形成を伴うような特定の状況下では非常に激しく進行することがある。このため、プロセスの制御が複雑になり、プロセスの進行を注意深く監視する必要がある。さらに、特定のポリエーテルポリオール(例えば、KOH法によって製造された一部のポリエーテルポリオール、および主に第一級OH基を有する一部のポリエーテルポリオール)は、ラジカル形成剤の存在下で、望ましくない副反応に基づき、塊状物(すなわち非常に大きなアグロメレート)、プラント部品への堆積物の形成、および遊離ポリオールの激しい品質損失の傾向を示す。
【0007】
上記の先行技術による方法のさらなる欠点は、該方法が、ポリウレタン廃材からのポリエステルポリオールの回収に適していないこと、あるいは遊離ポリエステルポリオールの品質が非常に低いことである。
【0008】
本発明は、先行技術の上記欠点を克服する、ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールを含むポリオール組成物の製造方法を提供するという課題に基づく。
【0009】
本発明によれば、この課題は、ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールを含むポリオール組成物の製造方法であって、反応混合物において、
(a)ポリウレタン廃材と、
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物と、
(d)水と
を反応させて、ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールを含むポリオール組成物を形成する方法により解決される。
【0010】
驚くべきことに、例えばペルオキシド化合物のようなラジカル形成剤を添加しなくても、水の添加によってポリウレタン廃材からのポリオールの遊離を開始できることが判明した。
【0011】
好ましくは、脱塩水、蒸留水または脱イオン水が使用される。
【0012】
水は、好ましくは、出発材料(a)、(b)、(c)、(d)および任意に(e)(下記参照)の総重量を100重量%として、0.2重量%~10重量%、好ましくは1重量%~6重量%、場合により特に好ましくは2重量%~5重量%の量で添加される。ここで、場合により既にポリウレタン廃材中に含まれている水は、計算に含められていない。有利には、ポリウレタン廃材が濡れていないことが望ましい。
【0013】
反応混合物が反応に必要な量以上の水を含む場合、余剰量の水を留去することができる。
【0014】
特定の事例において、特に主に軟質ポリウレタンフォームを含む廃材の場合には、反応混合物の含水量が、出発材料(a)、(b)、(c)、(d)および任意に(e)の総重量に対して1.5重量%~10重量%であると好ましく、その際、ポリウレタン廃材に既に含まれている水(例えば、廃材が周囲の湿分または大気湿分から吸収した水)は、計算に含められている。したがって、有利なことに、ポリウレタン廃材の予備乾燥は不要である。
【0015】
使用すべき水(d)の総量の計量供給は、少量ずつ実施することができ、例えば、好ましくは、水(d)の最初の部分が、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)ならびにジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物(c)とともに装入され、さらなる水(d)が、ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、1つ以上の部分に分けて、または連続的に添加される。
【0016】
本発明による方法において、ペルオキシドが、出発材料(a)、(b)、(c)、(d)および任意に(e)(下記参照)の総重量を100重量%として、0.1重量%未満の量で使用されることが好ましく、ペルオキシドが、出発材料(a)、(b)、(c)、(d)および任意に(e)(下記参照)の総重量を100重量%としてそれぞれ、0.05重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下の量で使用されることが好ましい。特に好ましくは、ペルオキシドは使用されず、さらに好ましくは、ラジカル形成剤は全く使用されない。したがって、有利には、本発明による方法においてペルオキシドは添加されず、本発明による方法で製造されたポリオール組成物は、ペルオキシドの反応またはペルオキシドとの反応によって形成されるいかなる反応生成物をも含まない。さらに好ましくは、本発明による方法においてラジカル形成剤は添加されず、形成されたポリオール組成物は、ラジカル形成剤の反応またはラジカル形成剤との反応によって形成されるいかなる反応生成物をも含まない。
【0017】
本発明による方法により後処理できるポリウレタン廃材は、生産後廃材(「ポストプロダクション廃材」)と消費後廃材(「ポストコンシューマ廃材」)との双方を含み、例えば、廃棄された家具、パッド、クッション、マットレス、カーシートおよび靴底の形態のものである。ポリウレタン廃材は、例えば、充填剤および/または添加剤を含むことができる。ポリウレタン廃材は、例えば、中実体であっても発泡体であってもよい。ポリウレタン廃材の種類および組成に関して、本発明による方法において制限はない。単一の種類のポリウレタン廃材を提供する必要はなく、したがって、有利なことに、ポリウレタン廃材の時間のかかる予備分別を省くことができる。
【0018】
プロセス工学的な理由から、ポリウレタン廃材をテキスタイル、鋼、木材などの夾雑成分およびさらなる夾雑物と分離することがしばしば好ましい。
【0019】
本発明による方法は、ポリウレタンがポリオレフィン、ABSまたはPVCのような熱可塑性プラスチックと一体化されており、それらと分離することが困難であるポリウレタン廃材にも適している。そのような熱可塑性樹脂は、本発明により製造されたポリオール組成物中に分散した状態で存在し、固液分離により、例えば濾過によってポリオール組成物から除去することができる。
【0020】
好ましくは、ポリウレタン廃材は、粉砕された形態で使用される。粉砕の程度は自由に選択可能であり、ポリウレタン廃材の反応速度にのみ影響を受ける。
【0021】
本発明による方法は、例えば、ポリウレタンフォーム廃材の後処理、特に、軟質ポリウレタンフォーム材、セルおよびマイクロセルポリウレタン材料、ポリウレタンエラストマー、硬質PUR一体化フォーム、半硬質ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、硬質ポリウレタンフォーム材ならびに硬質PUR/PIRフォーム材の後処理に適している。ポリウレタン廃材は、本発明による方法によって、分別された形態でも未分別の形態でも後処理することができる。ポリウレタン廃材は、生産分野およびポストコンシューマ分野から発生したものであってよい。
【0022】
本発明による方法は、例えば、ポリウレタンフォーム廃材(硬質フォーム、半硬質フォームおよび軟質フォーム)の後処理、特に半硬質および軟質フォームの後処理に適している。
【0023】
軟質ポリウレタン(PU)フォーム材は、不明な場合には、連続気泡構造または部分的に連続気泡構造を有する。これらは、例えば、連続的なブロック製造法またはバッチ式のボックス製造法などの多種多様な技術および方法を用いて自由発泡させるかまたはモールドを使用して発泡させて製造されるものであり、当業者には以下の用語で知られている:PUブロックフォーム、コールドフォーム、標準的な軟質ポリウレタンフォーム、HR-PUフォーム(高反発ポリウレタンフォーム)、粘弾性ポリウレタンフォーム(メモリーPUフォーム)、PUモールドフォーム、軟質POPフォーム、軟質SAN(スチレンアクリロニトリル)充填フォームなど。前述の軟質ポリウレタンフォーム材は、異なる密度等級で(典型的には、10kg/m3、例えばパッキングフォーム、最大で200kg/m3超、例えば工業用途)製造され、主にマットレスの製造、家具産業、自動車用途、ならびに例えば工業用軟質PUフォームおよびPU包装材としても使用されている。
【0024】
軟質ポリウレタンフォームは、連続気泡構造、SS-EN ISO 2439:2008(E)に準拠して測定した40%荷重時の硬度300N~500N、および弾性率25~60%(EN ISO 8307に準拠して測定)を有することができる。
【0025】
セルおよびマイクロセルポリウレタンエラストマーは、連続気泡または独立気泡構造を有する。セルおよびマイクロセルポリウレタンエラストマーのバリエーションとしての一体型硬質フォームは、多孔質のコアとほぼ中実のエッジゾーンとを有し、モールド内での反応射出成形法、または反応射出成形(RIM)法によって製造される。セルおよびマイクロセルポリウレタンエラストマーは、軟質、半軟質および硬質の生成物として製造することができる。典型的な用途としては、例えば、自動車のシートパッドおよびモールドパッド、ヘッドレスト、アームレストおよびフットレスト、自転車のサドル、ハンドルカバー、ならびに靴底(ミッドソールおよびインソールを含む)を挙げることができる。
【0026】
本発明による方法は、例えば、破断時伸び[Eb]が20%~600%(DIN EN ISO 1798:2008に準拠して測定)である弾性の、熱可塑性の、発泡したまたは中実のポリウレタン廃材)の後処理に適している。
【0027】
本発明による方法は、例えば、製造時の配合において水酸基価が28mgKOH/g~100mgKOH/g(DIN 53240に準拠して測定)であるポリエーテルまたはポリエステルベースポリオールが少なくとも40部使用されたポリウレタン材料の廃材の後処理に適している。
【0028】
半硬質とは、当該フォーム材が軟質フォームよりもはるかに硬いが、硬質フォームの硬度や寸法安定性を有しているわけではないことを意味する。しかし、その移行はなだらかであり、望ましい全ての中間段階を設定することができる。半硬質フォーム材は、不明な場合には、連続気泡型であり、発泡時に言及に値するスキン(すなわち、相当量のエッジゾーン)を形成しない。半硬質ポリウレタンフォームは、例えば、圧縮強度が少なくとも100kPa(EN ISO 844:2009に準拠して測定)である連続気泡構造を有することができる。
【0029】
良好なエネルギー吸収能力を特徴とする半硬質PURフォーム材の典型的な用途は、ドアの側面衝撃保護要素やバンパーのエネルギー吸収体であり、パイプライン産業や海洋産業、自動車産業および住宅建設用における音波減衰にも使用されている。
【0030】
本発明による方法は、例えば、製造時の配合において水酸基価が60mgKOH/g~450mgKOH/g(DIN 532404に準拠して測定)であるポリエーテルまたはポリエステルベースポリオールが少なくとも40部使用されたポリウレタン材料の廃材の後処理に適している。
【0031】
硬質PUR/PIRフォーム材は、強度に架橋されており、不明な場合には、圧縮強度が高い独立気泡構造を有する。独立気泡率は、通常は>90%である。硬質ポリウレタンフォーム製の断熱材は、その最適な断熱能力ゆえ多用途で使用することができ、断熱材として(例えば、冷却機器や冷凍システム、建物の断熱向けなど)のみならず、建築材料として様々なカバー層と組み合わせて使用することもできる。
【0032】
ポリウレタン硬質フォームは、不明な場合には、圧縮強度が少なくとも25kPa(例えば1k缶入りフォーム)、場合によっては少なくとも100kPa(EN ISO 844:2009に準拠して測定)である独立気泡構造を有する。
【0033】
本発明による方法は、例えば、製造時の配合において水酸基価が150mgKOH/g~600mgKOH/g(DIN 53240に準拠して測定)であるポリエーテルまたはポリエステルベースポリオールが少なくとも40部使用されたポリウレタン材料の廃材の後処理に適している。
【0034】
ポリウレタン廃材(a)は、好ましくは、上記で定義された出発材料(a)、(b)、(c)および(d)の総重量を100重量%として、30重量%~60重量%、好ましくは35重量%~45重量%の総量で使用される。
【0035】
典型的には、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)は、典型的にはポリウレタンの製造に使用されるような一次ポリオール(すなわち、ポリウレタンの開裂によって得られたものではないポリオール)である。本発明による方法では、通常、上記で定義されたポリエーテルポリオールからなる群の化合物(b)または上記で定義されたポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)のいずれかが使用され、有利には、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールが1つの同じ反応混合物に使用されることはない。
【0036】
ポリエーテルポリオールの群の化合物(b)は、好ましくは、200g/mol~6000g/mol、好ましくは400g/mol~5000g/molの範囲の平均モル質量を有する。ポリエステルポリオールの群の化合物(b)は、好ましくは、350g/mol~6000g/mol、好ましくは400g/mol~5000g/molの範囲の平均モル質量を有する。
【0037】
ポリエーテルポリオールの群の化合物(b)が使用される場合、典型的には、1つ以上の酸化防止剤がこれと混和される。
【0038】
特にポリエステルポリオールが使用される場合には、本発明による方法においてペルオキシドが使用されず、好ましくはラジカル形成剤が全く使用されないことが好ましい。
【0039】
上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)は、好ましくは、上記で定義された出発材料(a)、(b)、(c)および(d)の総重量を100重量%として、20重量%~60重量%、好ましくは20重量%~55重量%の総量で使用される。使用すべき、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)の総量の添加は、複数のステップで実施することができ、例えば、好ましくは、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)の最初の部分が、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物(c)ならびに水(d)とともに装入され、方法の後段で、ポリウレタン廃材(a)が既に十分に分解された段階で、化合物(b)のさらなる部分が添加される。驚くべきことに、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)の総量を、反応の過程で複数のステップで少量ずつ添加すると、ポリオール組成物におけるアグロメレートの形成が低減されることが判明した。
【0040】
使用すべき、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)の総量の添加が複数のステップで、すなわち複数の部分の形態で行われる場合、各ステップで、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の同一の化合物(b)を添加することも、各ステップで、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の異なる化合物(b)を添加することも可能である。
【0041】
ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物(c)は、廃材に含まれるポリウレタンの、酸分解による開裂を引き起こす。その際に、ポリウレタンの製造に元々使用されていたポリオールが遊離され、さらに、ポリ尿素、オリゴ尿素およびアシル尿素、ならびに場合によってはアミン、アミドおよびイミドの群の化合物、ならびにさらなるイソシアネート反応性オリゴマーが生じ得る。その際、ポリウレタンを形成するために元々使用されていた液体ポリオールに相当しないポリウレタン分解生成物は、典型的には、ポリオールを含む液相中の分散粒子として存在する。
【0042】
好ましくは、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物(c)は、アジピン酸およびマレイン酸無水物、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物およびコハク酸無水物からなる群から選択される。
【0043】
特定の事例において、反応混合物は、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)に加えて、1つ以上のモノカルボン酸、例えばアクリル酸をも含む。
【0044】
ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物(c)ならびに任意にモノカルボン酸は、好ましくは、上記で定義された出発材料(a)、(b)、(c)および(d)の総重量を100重量%として、5重量%~20重量%の総量で使用される。使用すべき、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物(c)の総量の添加は、複数のステップで実施することができ、例えば、好ましくは、化合物(c)の最初の部分が、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)ならびに水(d)とともに装入され、方法の後段で、ポリウレタン廃材(a)が既に十分に分解された段階で、化合物(c)のさらなる部分が添加される。方法の後段でのジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物(c)の添加は特に、製造されるポリオール組成物の脱アミノ反応に役立つ。使用すべき、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物(c)の総量の添加が複数のステップで、すなわち複数の部分の形態で行われる場合、各ステップで、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の同一の化合物(c)を添加することも、各ステップで、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の異なる化合物(c)を添加することも可能である。
【0045】
典型的には、本発明による方法において、上記で定義された反応混合物の成分(b)~(d)が装入され、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱される。その後、ポリウレタン廃材(a)が添加されることで、反応混合物が形成される。ポリウレタン廃材の添加の際に、温度は130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持される。ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加することができる。
【0046】
次いで、反応混合物は、好ましくは、190℃~240℃、好ましくは200℃~240℃の範囲の温度で数時間(1~5時間、好ましくは2~3.5時間)保持される。
【0047】
その後、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加することができる。これは特に、ポリオール組成物の脱アミノ反応に役立ち、このために、化合物(c)のさらなる部分の添加後に、反応混合物が170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.5~3時間、好ましくは0.5~1.5時間保持される。
【0048】
次いで、反応混合物を冷却することができる。その際に、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)のさらなる部分を添加することができる。
【0049】
以下の方法構成が好ましい:
- 以下:
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物、ならびに任意に1つ以上のモノカルボン酸と、
(d)水と
を含む混合物を装入し、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱し、
- この混合物にポリウレタン廃材(a)を添加して反応混合物を形成し、その際、温度を130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持し、
- ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加し、
- 反応混合物を、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で1~5時間、好ましくは2~3.5時間保持し、
- ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加し、
- 1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加後に、反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.5~3時間、好ましくは0.5~1.5時間保持し、
- その後、反応混合物を冷却する。
【0050】
本発明による方法の好ましい一変形例において、上記で定義された出発材料(a)、(b)、(c)および(d)の総重量を100重量%としてそれぞれ、
(a)ポリウレタン廃材が、30重量%~60重量%の総量で、および/または
(b)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物が、20重量%~60重量%の総量で、および/または
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物ならびに任意にモノカルボン酸が、5重量%~20重量%の総量で、および/または
(d)水が、0.2重量%~10重量%、好ましくは1重量%~6重量%、場合により特に好ましくは2重量%~5重量%の量で
使用される。
【0051】
本発明による方法の特に好ましい一変形例において、上記で定義された出発材料(a)、(b)、(c)および(d)の総重量を100重量%としてそれぞれ、
(a)ポリウレタン廃材が、30重量%~60重量%の総量で、および
(b)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物が、20重量%~60重量%の総量で、および
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物ならびに任意にモノカルボン酸が、5重量%~20重量%の総量で、および
(d)水が、0.2重量%~10重量%、好ましくは1重量%~6重量%、場合により特に好ましくは2重量%~5重量%の量で
使用される。
【0052】
各出発材料の総量が、1つのステップで全て添加されたかまたは方法の過程の異なる時点で複数のステップにわたって(すなわち、複数の部分の形態で)分配されたかにかかわらず、出発材料(a)、(b)、(c)および(d)の量のデータはいずれもそれぞれ、反応バッチで使用される上記で定義された出発材料(a)~(d)の総量に対するものである。
【0053】
本発明による方法の特定の一実施形態では、反応混合物に、上記で定義された成分(a)~(d)に加えて、
(e)2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物
が添加される。
【0054】
化合物(e)は特に、硬質ポリウレタンフォームの製造に適したポリオール組成物を製造することが望ましい場合に使用される。
【0055】
2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物(e)は、廃材に含まれるポリウレタンの、グリコリシスによる開裂を引き起こす。
【0056】
2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の好ましい化合物(e)は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタングリコールおよびグリセリンからなる群のジオールおよびトリオールである。
【0057】
2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)が使用される方法構成では、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物(e)が、上記で定義された出発材料(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の総重量を100重量%として、1重量%~30重量%の総量で使用されることが好ましい。
【0058】
使用すべき、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物(e)の総量の添加は、複数のステップで実施することができ、例えば、好ましくは、ポリウレタン廃材(a)の少なくとも3分の1、好ましくは半分または全てが添加されて溶解した段階で、化合物(e)の最初の部分が添加され、方法の後段で、1つ以上の化合物(e)のさらなる部分が添加される。2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物(e)、有利にはジプロピレングリコールまたはジエチレングリコールの、方法の後段での添加は、特に酸基の結合によりポリオール組成物の酸価を低下させる役割を果たす。
【0059】
使用すべき、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物(e)の総量の添加が複数のステップで、すなわち複数の部分の形態で行われる場合、各ステップで、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の同一の化合物(e)を添加することも、各ステップで、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の異なる化合物(e)を添加することも可能である。
【0060】
典型的には、本発明による方法において、上記で定義された反応混合物の成分(b)~(d)が装入され、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱される。その後、ポリウレタン廃材(a)が添加されることで、反応混合物が形成される。ポリウレタン廃材の添加の際に、温度は130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持される。ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加することができる。
【0061】
ポリウレタン廃材(a)の少なくとも3分の1、好ましくは半分が添加されて溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)の添加が行われる。あるいは2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)の添加は、ポリウレタン廃材(a)が完全に溶解した段階で行われる。その後、反応混合物は、好ましくは、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で数時間(1~5時間、好ましくは2~3.5時間)保持される。その後、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加することができる。化合物(c)のさらなる部分の添加後に、反応混合物を冷却することも、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持した後で冷却することも可能である。反応混合物の冷却時に、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)のさらなる部分を添加することができる。
【0062】
ここで、以下の方法構成が好ましい:
- 以下:
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物、ならびに任意に1つ以上のモノカルボン酸と、
(d)水と
を含む混合物を装入し、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱し、
- この混合物にポリウレタン廃材(a)を添加して反応混合物を形成し、その際、温度を130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持し、
- ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加し、
- ポリウレタン廃材(a)の少なくとも3分の1、好ましくは半分が添加されて溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加するか;またはポリウレタン廃材(a)が完全に溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加し、
- 反応混合物を、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で1~5時間、好ましくは2~3.5時間保持し、
- ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加し、
- 反応混合物を、1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加後に冷却するか、または150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持した後で冷却する。
【0063】
また、ポリウレタン廃材(a)の添加を(任意に上記のように並行してさらなる水(d)を添加しながら)行った後に、反応混合物を150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で1~5時間、好ましくは2~3.5時間保持し、次いで、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加することも可能である。反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持した後で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)の添加が行われる。化合物(e)の添加後に、反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持することができる。その後、反応混合物を冷却することができる。反応混合物の冷却時に、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)のさらなる部分を添加することができる。
【0064】
ここで、以下の方法構成が好ましい:
- 以下:
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物、ならびに任意に1つ以上のモノカルボン酸と、
(d)水と
を含む混合物を装入し、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱し、
- この混合物にポリウレタン廃材(a)を添加して反応混合物を形成し、その際、温度を130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持し、
- ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加し、
- 反応混合物を、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で1~5時間、好ましくは2~3.5時間保持し、
- ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加し、
- 1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加後に、反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持し、
- 2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加し、
- 1つ以上の化合物(e)の添加後に、反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持し、
- その後、反応混合物を冷却する。
【0065】
また、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物(e)の総量を、反応の過程で複数のステップで少量ずつ添加することも可能である。ここで、ポリウレタン廃材(a)の少なくとも3分の1、好ましくは半分が添加されて溶解した段階で、またはポリウレタン廃材(a)が完全に溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)の最初の部分の添加が行われる。その後、反応混合物は、好ましくは、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で数時間(1~5時間、好ましくは2~3.5時間)保持される。その後、ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加を行うことができる。1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加後に、反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持することができる。その後、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)の添加が行われる。この化合物(e)のさらなる部分の添加は、特に過剰の酸基を結合させる役割を果たし、それにより、酸価が低いポリオール組成物が得られる。化合物(e)のさらなる部分の添加後に、反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持することができる。その後、反応混合物を冷却することができる。反応混合物の冷却時に、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物(b)のさらなる部分を添加することができる。
【0066】
ここで、以下の方法構成が好ましい:
- 以下:
(b)以下:
- 平均モル質量が200g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエーテルポリオール、および
- 平均モル質量が250g/mol~8000g/molであり、水酸基価が2~4であるポリエステルポリオール
からなる群の1つ以上の化合物と、
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物、ならびに任意に1つ以上のモノカルボン酸と、
(d)水と
を含む混合物を装入し、130℃~230℃、好ましくは140℃~200℃の温度まで加熱し、
- この混合物にポリウレタン廃材(a)を添加して反応混合物を形成し、その際、温度を130℃~230℃、好ましくは140℃~210℃の範囲に保持し、
- ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる水(d)を、1つ以上の部分に分けてまたは連続的に添加し、
- ポリウレタン廃材(a)の少なくとも3分の1、好ましくは半分が添加されて溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加するか;またはポリウレタン廃材(a)が完全に溶解した段階で、2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)を添加し、
- 反応混合物を、150℃~240℃、好ましくは200℃~230℃の範囲の温度で1~5時間、好ましくは2~3.5時間保持し、
- ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の1つ以上の化合物(c)のさらなる部分を添加し、
- 1つ以上の化合物(c)のさらなる部分の添加後に、反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持し、
- 2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)のさらなる部分を添加し、
- 1つ以上の化合物(e)のさらなる部分の添加後に、反応混合物を170℃~240℃、好ましくは180℃~230℃の範囲の温度で0.25~1.5時間、好ましくは0.5~1時間保持し、
- その後、反応混合物を冷却する。
【0067】
2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)の添加が行われる上記の方法構成の好ましい一変形例において、上記で定義された出発材料(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の総重量を100重量%としてそれぞれ、
(a)ポリウレタン廃材が、30重量%~60重量%の総量で、および/または
(b)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物が、20重量%~60重量%の総量で、および/または
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物ならびに任意にモノカルボン酸が、5重量%~20重量%の総量で、および/または
(d)水が、0.2重量%~10重量%、好ましくは1重量%~6重量%、場合により特に好ましくは2重量%~5重量%の量で、および/または
(e)2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物が、1重量%~30重量%の総量で
使用される。
【0068】
2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の1つ以上の化合物(e)の添加が行われる上記の方法構成の好ましい一変形例において、上記で定義された出発材料(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の総重量を100重量%としてそれぞれ、
(a)ポリウレタン廃材が、30重量%~60重量%の総量で、および
(b)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の化合物が、20重量%~60重量%の総量で、および
(c)ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の化合物ならびに任意にモノカルボン酸が、5重量%~20重量%の総量で、および
(d)水が、0.2重量%~10重量%、好ましくは1重量%~6重量%、場合により特に好ましくは2重量%~5重量%の量で、および
(e)2~8個の炭素原子を有するジオールおよび3~8個の炭素原子を有するトリオールからなる群の化合物が、1重量%~30重量%の総量で
使用される。
【0069】
各出発材料の総量が、1つのステップで全て添加されたかまたは方法の過程の異なる時点で複数のステップにわたって(すなわち、複数の部分の形態で)分配されたかにかかわらず、出発材料(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の量のデータはいずれもそれぞれ、反応バッチで使用される上記で定義された出発材料(a)~(e)の総量に対するものである。
【0070】
本発明による方法のための反応装置の設計に際しては、本方法が腐食性物質(酸無水物および/または酸)の存在下に高温で行われることを考慮しなければならない。したがって、反応がステンレス鋼製の容器で行われることが好ましい。特に好ましくは、反応装置および周辺部全体が耐食性および耐酸性のステンレス鋼で仕上げられている。特定の実施形態では、装置は、例えば塔の形態の分留あるいは蒸留ユニットと、適切な計量供給ユニットとを備える。
【0071】
例えばペルオキシドのようなラジカル形成剤が存在しない場合、反応はさほど激しくは進行しないため、反応器の冷却は必須ではない。このことは、独国特許発明第19512778号明細書あるいは国際公開第2018/091568号に記載された方法に対するさらなる利点である。
【0072】
本発明の主題はさらに、上記の本発明による方法により、好ましくは上記の好ましい特徴の1つ以上を有する方法により、または上記の好ましい変形例の1つにより製造可能であるポリオール組成物である。
【0073】
本発明によるポリオール組成物は、ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールを含む液相と、上記で定義されたポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の1つ以上の化合物(b)(出発材料として使用)とを含む。
【0074】
本発明によるポリオール組成物は、ポリウレタン廃材の酸分解による、および - 上記で定義された化合物(e)が添加される方法構成では - グリコリシスによる開裂の際に形成される反応生成物をさらに含み、該反応生成物は、粒子の形態で液相中に分散しており、例えば、オリゴウレタン(元のポリウレタンの部分的な分解の後に残留するウレタン短鎖)、オリゴ尿素およびポリ尿素およびアシル尿素である。ポリウレタン廃材のさらなる分解生成物として、アミン、アミドおよびイミドが含まれ得る。
【0075】
ポリオレフィン、ABSまたはPVCのような熱可塑性プラスチックと一体化されたポリウレタンを含むポリウレタン廃材が使用される場合、本発明による方法により製造されたポリオール組成物は、これらの熱可塑性樹脂を分散した形態で含み、これらは、必要に応じて、固液分離により、例えば濾過によってポリオール組成物から除去することができる。
【0076】
本発明によるポリオール組成物は、未反応の残留ポリウレタンを分散粒子の形態で含むことができる。
【0077】
本発明による未濾過ポリオール組成物は、8ナノメートル~300マイクロメートルの範囲のサイズ(150~200マイクロメートルの範囲の平均粒径)の粒子を主にまたはほぼ独占的に含み、>300マイクロメートル~5ミリメートルの範囲のサイズのアグロメレートの割合はわずかに過ぎない(未濾過ポリオール組成物の重量に対して2重量%以下)。考え得る全ての粒径範囲を検出するために、粒径分布は、動的光散乱法(1nm~1μmの粒径を検出)と顕微鏡法(1μm~250μmの粒径を検出)とグラインド法(250μm以上の粒径を検出)とを組み合わせて求められる。
【0078】
濾過により、>300マイクロメートルの範囲のサイズのアグロメレートをポリオール組成物から十分に除去することができる。
【0079】
本発明による方法により製造可能であるポリオール組成物は、イソシアネート反応性であり、すなわち、分散液に含まれ、ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールをポリイソシアネートと反応させて新たなポリウレタン材料を形成することができる。
【0080】
本発明によるポリオール組成物は、水ではなくラジカル形成剤、例えばペルオキシド、特に過酸化水素が添加されているという唯一の例外を除いて同一の方法条件下で同一の出発材料(ポリウレタン廃材)から製造された本発明によらないポリオール組成物と比較して、より薄い色および/またはより小さい平均粒径および/またはより狭い粒径分布を有することを特徴とする。
【0081】
この文脈において、「同一の方法条件下で製造された」とは、特に、本発明によるポリオール組成物および本発明によらないポリオール組成物の製造に、上記で定義された、ポリウレタン廃材(a)の形態の同一の出発材料、ならびにジカルボン酸無水物およびジカルボン酸からなる群の同一の化合物(c)ならびに任意にモノカルボン酸、ならびにポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群の同一の化合物(b)がそれぞれ同一の量で使用され、反応が同一の温度管理で行われ、必要に応じて、上記で定義されたジオールおよびトリオールからなる群の同一の化合物(e)がそれぞれ同一の量で使用され、反応が同一の温度で同一の期間にわたって行われることをいう。さらに、本発明によるポリオール組成物および本発明によらないポリオール組成物の製造における比較ができるようにするため、他の全てのパラメータ(例えば、ステップ期間および出発材料(a)~(e)の合一順序)も同一であり、同一の(同じ構造の)装置が使用されることは、当業者に自明である。
【0082】
特定の理論に束縛されるものではないが、本発明によるポリオール組成物のより薄い色は特に、本発明による方法では、ポリウレタン廃材に含まれている、あるいは使用されるポリエーテルポリオールからなる群の化合物に含まれている酸化防止剤と望ましくない反応を生じ得る、例えばペルオキシドのようなラジカル形成剤の使用量がより少ないかまたはこれを全く使用しないことにより生じるものと推測される。
【0083】
この文脈において、「より薄い色」とは、水ではなくラジカル形成剤、例えばペルオキシド、特に過酸化水素が添加されているという唯一の例外を除いて同一の方法条件下で同一の出発材料(ポリウレタン廃材)から製造された本発明によるポリオール組成物と本発明によらないポリオール組成物との間に、少なくとも1dE(ΔE)、有利には少なくとも2dE(ΔE)、特に好ましくは少なくとも5dE(ΔE)の色差(ランベルト・ベールの法則による)が測定可能であることを意味する。
【0084】
特定の理論に束縛されるものではないが、本発明によるポリオール組成物のより小さい平均粒径は、本発明による方法では、1~10ミリメートルの範囲のサイズのアグロメレートの形成が十分に回避されることにより生じるものと推測される。本発明による未濾過ポリオール組成物は、8ナノメートル~300マイクロメートルの範囲のサイズ(150~200マイクロメートルの平均粒径)の粒子を主にまたはほぼ独占的に含み、>300マイクロメートル~5ミリメートルの範囲のサイズのアグロメレートの割合はわずかに過ぎない(未濾過ポリオール組成物の重量に対して2重量%以下)。考え得る全ての粒径範囲を検出するために、粒径分布は、動的光散乱法(1nm~1μmの粒径を検出)と顕微鏡法(1μm~250μmの粒径を検出)とグラインド法(250μm以上の粒径を検出)とを組み合わせて求められる。
【0085】
本発明によるポリオール組成物と比較して、水ではなくラジカル形成剤、例えばペルオキシド、特に過酸化水素が添加されているという唯一の例外を除いて同一の方法条件下で同一の出発材料(ポリウレタン廃材)から製造された本発明によらないポリオール組成物は、250マイクロメートル~3ミリメートルの範囲のサイズのアグロメレートの割合が常に少なくとも10%、しばしば少なくとも20%、またはさらには少なくとも50%高い。
【0086】
本発明によるポリオール組成物では、250マイクロメートル超のサイズのアグロメレートがほぼ存在しないため、水ではなくラジカル形成剤、例えばペルオキシド、特に過酸化水素が添加されているという唯一の例外を除いて同一の方法条件下で同一の出発材料(ポリウレタン廃材)から製造された本発明によらないポリオール組成物と比較して、粒径分布がより狭い。
【0087】
本発明によるポリオール組成物は、水ではなくラジカル形成剤、例えばペルオキシド、特に過酸化水素が添加されているという唯一の例外を除いて同一の方法条件下で同一の出発材料(ポリウレタン廃材)から製造された本発明によらないポリオール組成物よりも、むらなくより均質で、より高度の微細分散性を示すように見える。
【0088】
本発明によるポリオール組成物に含まれる、ポリウレタン廃材から遊離されたポリオールは、200~10000g/molの範囲の平均モル質量(Mn)を有することができる。
【0089】
本発明によるポリオール組成物は、通常、以下:
- 30~650mgKOH/gの水酸基価(DIN 53240に準拠して測定)および/または
- 1~40mgKOH/gのアミン価(DIN 53176に準拠して測定)および/または
- 0.1~10mgKOH/gの酸価(DIN 53402に準拠して測定)および/または
- 1000~50000mPa・sの粘度(DIN 53019に準拠して測定)
を有する。
【0090】
好ましくは、本発明によるポリオール組成物は、以下:
- 30~400mgKOH/gの水酸基価(DIN 53240に準拠して測定)および
- 1~20mgKOH/gのアミン価(DIN 53176に準拠して測定)および
- 0.1~5mgKOH/gの酸価(DIN 53402に準拠して測定)および
- 2000~12000mPa・s、特に好ましくは3000~8000mPa・sの粘度(DIN 53019に準拠して測定)
を有する。
【0091】
したがって、本発明によるポリオール組成物は、ポリウレタンの製造に通常使用されるポリオールの範囲にある水酸基価を有する。例えば、硬質フォームの製造には、好ましくは水酸基価が150~600mgKOH/gの範囲であるポリオールが用いられ、軟質フォームの製造には、好ましくは水酸基価が28~100mgKOH/gの範囲であるポリオールが用いられ、プレポリマー、接着剤および/またはエラストマーの製造には、好ましくは水酸基価が35~160mgKOH/gの範囲であるポリオールが用いられる。水酸基価は、それぞれDIN 53240に準拠して測定される。
【0092】
有利には、本発明によるポリオール組成物中の第一級芳香族アミンの濃度は、ポリオール組成物の総重量に対して0.1%未満である。
【0093】
本発明による方法により得ることができるポリオール組成物の、ポリウレタンの製造への使用も、本発明の主題である。ポリウレタンの対応する製造方法は、当業者に知られている。ポリウレタン形成のためのポリオール成分として、ここで、好ましくは、本発明による方法によりポリウレタン廃材から回収されたポリオールと一次ポリオール(すなわち、ポリウレタンの開裂によって得られたものではないポリオール)との混合物が用いられ、これを、好ましくは10:90~60:40の重量比で、通常の様式でポリイソシアネート成分と反応させる。
【0094】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するためのものであるが、限定的なものではない。
【0095】
実施例の実験は、保護ガス雰囲気下で行った。
【0096】
実施例1:
分留塔を備えた加熱可能なステンレス鋼製撹拌型反応器において、撹拌下に
(b)平均モル質量420g/molの長鎖ポリエーテルトリオール(Lupranol(登録商標)3300、BASF)37重量%と、
(c)フタル酸無水物8重量%と、
(d)脱塩水2重量%と
を装入し、90分以内に150℃まで加熱した。この温度で、撹拌下に
(a)ポリウレタン廃材(ポストコンシューママットレス、未分別、約2cm×2cm×2cmのサイズに細断)40重量%
を添加し、その際、ポリウレタン廃材(a)が溶解するまで温度を150℃~210℃の範囲に保持した。ポリウレタン廃材(a)を添加する間に、
(d)脱塩水さらに2重量%
を徐々に添加した。その後、撹拌を1時間行い、その後に
(e)短鎖グリコール(ジエチレングリコール)7重量%
を添加し、その際、温度を220℃~235℃の範囲に保持した。その後、この混合物を220℃の温度で1時間撹拌し、次いで撹拌下に
(c)マレイン酸無水物2重量%
および10分後に撹拌下に
(e)ジプロピレングリコール2重量%
を添加した。この混合物を220℃でさらに30分間保持した後、撹拌下に80℃まで冷却した。
【0097】
その後、得られたポリオール組成物をポンプで排出し、セルフクリーニングフィルター(150μm)で濾過し、室温まで冷却した。
【0098】
ポリオール組成物は、濾過後に以下の特性を有する:
水酸基価:DIN 53240に準拠して測定された268mgKOH/g
酸価:DIN 53402に準拠して測定された0.7mgKOH/g
粘度:25℃でDIN 53019に準拠して測定された5,600mPa・s
アミン価:DIN 53176に準拠して測定された18mgKOH/g。
【0099】
このポリオール組成物は、硬質ポリウレタンフォームの製造に適している。酸価が低いため、その後の硬質ポリウレタンフォームの製造時の触媒作用への悪影響が回避される。
【0100】
実施例2:
分留塔を備えた加熱可能なステンレス鋼製撹拌型反応器において、撹拌下に
(b)平均モル質量440g/molのポリエーテルトリオール(Dow Chemical Company、VORANOL CP 450)38重量%と、
(c)フタル酸無水物7重量%およびコハク酸無水物2重量%と、
(d)脱塩水1.5重量%と
を装入し、100分以内に165℃まで加熱した。この温度で、撹拌下に
(a)ポリウレタン廃材(ポストコンシューママットレス、未分別、約2cm×2cm×2cmのサイズに細断)40重量%
を添加し、その際、ポリウレタン廃材が溶解するまで温度を165℃~200℃の範囲に保持した。ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、
(d)脱塩水さらに2.5重量%
を徐々に添加した。ポリウレタン廃材(a)を反応器に完全に計量供給した後、撹拌下に
(e)ジエチレングリコール9重量%
を添加し、その際、温度を200℃~220℃の範囲に保持した。また、このジエチレングリコールの添加を、ポリウレタン廃材(a)の少なくとも半分、好ましくは少なくとも3分の2が反応器に計量供給された時点で行うことも可能である。この混合物を、210℃~225℃の範囲の温度で1.5時間撹拌した。次いで、撹拌下に
(c)マレイン酸無水物2重量%
を添加し、その後すぐに撹拌下にこの混合物を120℃まで冷却した。
【0101】
その後、得られたポリオール組成物をポンプで排出し、セルフクリーニングフィルター(150μm)で濾過し、室温まで冷却した。
【0102】
酸価が1.5mgKOH/g未満であり、第一級芳香族アミンの含有量が0.05重量%未満であるポリオール組成物を得た。ポリオール組成物は、濾過後に以下の特性を有する:
水酸基価:DIN 53240に準拠して測定された270mgKOH/g
酸価:DIN 53402に準拠して測定された1.2mgKOH/g
粘度:25℃でDIN 53019に準拠して測定された4,800mPa・s
アミン価:DIN 53176に準拠して測定された14mgKOH/g。
【0103】
このポリオール組成物は、硬質ポリウレタンフォーム(PURおよびまたはPUR/PIR)の製造に適している。PUR/PIRフォームパネルの製造に関する試験において、実施例1または実施例2に記載の本発明による方法によってポリウレタン廃材から回収したポリオールと一次ポリオール(すなわち、ポリウレタンの開裂によって得られたものではないポリオール)とを、10/90~50/50の重量比で使用した。PUR/PIRパネルが得られたが、その特性は、対応する元のPUR生成物(ポリウレタン廃材から回収されたポリオールを添加していないもの)と比較して不利な変更がなされていない。特に、生成物の圧縮強度、寸法安定性および熱伝導率は、比肩し得るかあるいは同等であった。
【0104】
実施例3:
分留塔を備えた加熱可能なステンレス鋼製撹拌型反応器において、撹拌下に
(b)水酸基価が48mgKOH/gである長鎖ポリエーテルポリオール(Arcol(登録商標)Polyol 1108、Covestro)38重量%と、
(c)フタル酸無水物6重量%およびアクリル酸4重量%と、
(d)脱塩水1重量%と
を装入し、90分以内に160℃まで加熱した。この温度で、撹拌下に
(a)軟質ポリウレタンフォーム廃材(未分別)41重量%
を添加し、その際、温度を160℃~210℃の範囲に保持した。ポリウレタン廃材の添加に並行して、
(d)脱塩水さらに4重量%
を徐々に添加した。その後、ポリウレタン廃材が完全に溶解するまで、210℃で1時間撹拌を行った。次いで、撹拌下に温度を220℃~225℃の範囲に2時間保持した。この混合物を225℃の温度でさらに30分間撹拌した。その後、撹拌下に
(c)マレイン酸無水物2重量%
および10分後に撹拌下に
(e)ジプロピレングリコール1重量%
を添加した。この混合物を220℃でさらに30分間撹拌した後、撹拌下に130℃まで冷却し、
(b)Arcol(登録商標)Polyol 1108 3重量%
を添加した。
【0105】
得られたポリオール組成物を、100℃で250μmのフィルターを用いて濾過し、室温まで冷却した。
【0106】
ポリオール組成物は、濾過後に以下の特性を有する:
水酸基価:DIN 53240に準拠して測定された53mgKOH/g
酸価:DIN 53402に準拠して測定された0.7mgKOH/g
粘度:25℃でDIN 53019に準拠して測定された8,700mPa・s
アミン価:DIN 53176に準拠して測定された9mgKOH/g。
【0107】
このポリオール組成物は、軟質ポリウレタンフォーム材の製造に適している。
【0108】
実施例4:
分留塔を備えた加熱可能なステンレス鋼製撹拌型反応器において、撹拌下に
(b)平均モル質量2000g/molのポリエステルポリオール(Lupraphen 5608/1、BASF)36重量%と、
(c)フタル酸無水物7重量%およびアジピン酸3重量%と、
(d)脱塩水2重量%と
を装入し、90分以内に150℃まで加熱した。この温度で、撹拌下に
(a)ポリウレタン廃材(ポリエステルベースの靴底、未分別)41重量%
を添加し、その際、温度を150℃~210℃の範囲に保持した。ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、さらなる
(d)脱塩水1重量%
を徐々に添加した。その後、ポリウレタン廃材(a)が完全に溶解するまで、210℃で1時間撹拌を行った。次いで、撹拌下に温度を220℃~225℃の範囲に2時間保持した。この混合物を225℃の温度でさらに30分間撹拌した。その後、撹拌下に
(c)ヘキサヒドロフタル酸無水物1.5重量%
および10分後に撹拌下に
(e)ジプロピレングリコール1.5重量%
を添加した。この混合物を撹拌下に220℃でさらに30分間保持した後、撹拌下に130℃まで冷却し、
(b)ポリエステルポリオール7重量%
を添加した。
【0109】
得られたポリオール組成物を、100℃で200μmのフィルターを用いて濾過し、室温まで冷却した。
【0110】
ポリオール組成物は、濾過後に以下の特性を有する:
水酸基価:DIN 53240に準拠して測定された54mgKOH/g
酸価:DIN 53402に準拠して測定された1.5mgKOH/g
粘度:25℃でDIN 53019に準拠して測定された4,700mPa・s
アミン価:DIN 53176に準拠して測定された5mgKOH/g。
【0111】
このポリオール組成物は、ポリエステルベースのポリウレタン靴底の製造に適している。
【0112】
実施例5:
分留塔を備えた加熱可能なステンレス鋼製撹拌型反応器において、撹拌下に
(b)平均モル質量350g/molのポリエステルポリオール(STEPANPOL(登録商標)PS-3152)32重量%と、
(c)フタル酸無水物7重量%およびマレイン酸無水物2重量%と、
(d)脱塩水2重量%と
を装入し、90分以内に150℃まで加熱した。この温度で、撹拌下に
(a)軟質ポリウレタンフォーム廃材(未分別)40重量%
を添加し、その際、温度を150℃~210℃の範囲に保持した。ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、
(d)脱塩水さらに1.5重量%と
徐々に
(e)ジエチレングリコール14重量%と
を添加し、その際、温度を180℃~210℃の範囲に保持した。その後、ポリウレタン廃材が完全に溶解するまで、210℃で1時間撹拌を行った。次いで、撹拌下に温度を220℃~235℃の範囲に2時間保持した。この混合物を225℃の温度でさらに30分間撹拌した。その後、撹拌下に
(c)マレイン酸無水物1.5重量%
を添加し、220℃でさらに30分間撹拌した後、撹拌下に100℃まで冷却した。
【0113】
得られたポリオール組成物を、100℃で150μmのフィルターを用いて濾過し、室温まで冷却した。
【0114】
ポリオール組成物は、濾過後に以下の特性を有する:
水酸基価:DIN 53240に準拠して測定された264mgKOH/g
酸価:DIN 53402に準拠して測定された1.8mgKOH/g
粘度:25℃でDIN 53019に準拠して測定された7,500mPa・s
アミン価:DIN 53176に準拠して測定された16mgKOH/g。
【0115】
このポリオール組成物は、硬質ポリウレタンフォーム材(PURおよびまたはPUR/PIR)の製造に適している。
【0116】
実施例6:
分留塔を備えた加熱可能なステンレス鋼製撹拌型反応器において、撹拌下に
(b)平均モル質量が3100g/molであり、水酸基価が55mgKOH/gである長鎖ポリエーテルポリオール(VORANOL(商標)8136、DOW Chemicals)38重量%と、
(c)フタル酸無水物7重量%およびアクリル酸3重量%と、
(d)脱塩水1重量%と
を装入し、90分以内に160℃まで加熱した。この温度で、撹拌下に
(a)軟質ポリウレタンフォーム廃材(未分別)41重量%
を添加し、その際、温度を160℃~210℃の範囲に保持した。ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、
(d)脱塩水さらに3.5重量%
を徐々に添加した。その後、ポリウレタン廃材(a)が完全に溶解するまで、210℃で1時間撹拌を行った。次いで、撹拌下に温度を220℃~225℃の範囲に2時間保持した。この混合物を225℃の温度でさらに30分間撹拌した。その後、撹拌下に
(c)マレイン酸無水物1.75重量%
および10分後に撹拌下に
(e)ジプロピレングリコール1.75重量%
を添加し、この混合物を220℃でさらに30分間撹拌した後、撹拌下に130℃まで冷却し、
(b)(VORANOL(商標)8136、DOW Chemicals)3重量%
を添加した。
【0117】
得られたポリオール組成物を、100℃で250μmのフィルターを用いて濾過し、室温まで冷却した。
【0118】
ポリオール組成物は、濾過後に以下の特性を有する:
水酸基価:DIN 53240に準拠して測定された53mgKOH/g
酸価:DIN 53402に準拠して測定された0.7mgKOH/g
粘度:25℃でDIN 53019に準拠して測定された8,700mPa・s
アミン価:DIN 53176に準拠して測定された9mgKOH/g。
【0119】
このポリオール組成物は、軟質ポリウレタンフォーム材の製造に適している。
【0120】
実施例7:
分留塔を備えた加熱可能なステンレス鋼製撹拌型反応器において、以下:
(b)水酸基価が48mgKOH/gであり平均モル質量が3400g/molである長鎖ポリエーテルポリオール(VORANOL(商標)3322、DOW Chemicals)33重量%と、
(c)フタル酸無水物9.5重量%およびアクリル酸1重量%と、
(d)脱塩水1.8重量%と
を装入し、90分以内に160℃まで加熱した。この温度で、
(a)軟質ポリウレタンフォーム廃材(未分別)42重量%
を添加し、その際、温度を160℃~210℃の範囲に保持した。ポリウレタン廃材(a)の添加に並行して、
(d)脱塩水さらに1.5重量%
を徐々に添加した。その後、ポリウレタン材料が完全に溶解するまで、210℃で1時間さらに撹拌を行った。次いで、撹拌下に温度を220℃~225℃の範囲に2時間保持した。この混合物を225℃の温度でさらに30分間撹拌した。その後、
(c)マレイン酸無水物1重量%
を添加した。この混合物を220℃でさらに30分間撹拌した後、撹拌下に130℃まで冷却し、
(b)VORANOL(商標)3322 10.2重量%
を添加した。
【0121】
得られたポリオール組成物を、100℃で250μmのフィルターを用いて濾過し、室温まで冷却した。
【0122】
ポリオール組成物は、濾過後に以下の特性を有する:
水酸基価:DIN 53240に準拠して測定された54mgKOH/g
酸価:DIN 53402に準拠して測定された1.8mgKOH/g
粘度:25℃でDIN 53019に準拠して測定された8,900mPa・s
アミン価:DIN 53176に準拠して測定された10mgKOH/g。
【0123】
このポリオール組成物は、軟質ポリウレタンフォーム材の製造に適している。
【国際調査報告】